JP2022016473A - 肝臓及び/又は腎臓機能の診断剤 - Google Patents

肝臓及び/又は腎臓機能の診断剤 Download PDF

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Abstract

【課題】肝臓及び腎臓の機能変化を早期に検出することができる、肝臓及び/又は腎臓機能の診断剤を提供すること。【解決手段】一般式(1-0)で表される化合物を有効成分とする肝臓及び/又は腎臓機能の診断剤。TIFF2022016473000008.tif36149[一般式(1-0)中、Rは-O(CH2)n-、-O(CH2)nOC2H4-、-CH2O(CH2)n-又は-CH2O(CH2)nOC2H4-を示し、nは1~5の整数を示し、Q1は、F又は-OCH3を示す。]【選択図】なし

Description

本発明は、肝臓及び/又は腎臓機能の診断剤に関する。
陽電子(ポジトロン)放出型断層撮影法(PET法)は、種々の診断に応用されている。PET法に使用できるプローブとして、例えば、特許文献1及び2には、ミトコンドリアComplex-1の検出に適した化合物、及び潅流造影を含む適用のための造影剤が開示されており、またこれらの標識化合物を使用して脳のイメージングを行ったことが開示されている。特許文献3には、癌に対する治療効果の診断剤が開示されている。しかしながら、肝臓及び腎臓機能の診断にミトコンドリアComplex-1を指標としたPET法を応用した例はこれまで報告されていない。
国際公開第2014/30709号 特表2011-513306号公報 国際公開第2015/56521号
肝臓及び腎臓の機能障害は、敏感な生化学バイオマーカーが不足しているため、初期段階で捉えることが難しいという問題点がある。また、肝臓及び腎臓の機能障害は、ゆっくりと進行する慢性疾患であることが多く、患者自身が自覚し難く、医療機関を受診した時点で既に治療が困難なレベルにまで重症化してしまうケースが多い。またそのため、根本的な治療を目的とした医薬品の開発も難しいと考えられている。
本発明は、肝臓及び腎臓の機能変化を早期に検出することができる、肝臓及び/又は腎臓機能の診断剤を提供することを目的とする。
本発明は、一般式(1-0)で表される化合物(以下、「化合物(1-0)」ともいう。)を有効成分とする肝臓及び/又は腎臓機能の診断剤を提供する。
Figure 2022016473000001

一般式(1-0)中、Rは-O(CH-、-O(CHOC-、-CHO(CH-又は-CHO(CHOC-を示し、nは1~5の整数を示し、Qは、F又は-OCHを示す。
化合物(1-0)は、ミトコンドリアComplex-1(以下、「MC-1」ともいう。)の検出に適していること(特許文献1)、癌に対する治療効果を診断できること(特許文献3)が知られている。一方、本発明者らは、肝臓及び腎臓に化合物(1-0)が集積することを新たに見出した。本発明者らは更に、肝臓及び腎臓における化合物(1-0)の集積はMC-1特異的であること、肝臓及び腎臓における化合物(1-0)の集積量は肝臓及び腎臓機能の程度と相関することを見出している。本発明は、これらの知見に基づき、肝臓及び/又は腎臓機能の診断という化合物(1-0)の新たな用途を提供するものである。
本発明の診断剤は、肝臓及び/又は腎臓の機能変化を早期に検出することができる。このため本発明の診断剤は、血液又は尿中の生化学バイオマーカーの測定による従来の診断方法よりも早期に軽症の段階で肝臓及び/又は腎臓の機能障害を検出することができる。また、本発明の診断剤は、従来の生化学バイオマーカーでは検出ができなかった肝臓及び/又は腎臓の機能障害を検出することもできる。なお、本発明の診断剤は、肝臓及び腎臓における化合物(1-0)の集積量が肝臓及び腎臓機能の程度と相関することから、肝臓及び腎臓機能の低下(機能障害等)のみならず、肝臓及び腎臓機能の亢進(機能の回復等)の検出も可能である。
上記診断剤は、Q18F又は-O11CHであってもよい。これにより、上記化合物はポジトロンを放出することが可能になる。上記化合物から放出されたポジトロンは、すぐに電子と結合してγ線(消滅放射線)を放出する。このγ線をPET法に用いられる装置で測定することにより、肝臓及び/又は腎臓に集積する上記化合物を定量的かつ経時的に画像化することができる。すなわち、PET法の標識化合物としても利用可能になる。
本発明はまた、上記診断剤を対象に投与する工程と、肝臓及び/又は腎臓に集積した化合物(1-0)を検出する工程と、肝臓及び/又は腎臓における化合物(1-0)の集積量を定量解析する工程と、を含む、肝臓及び/又は腎臓機能の診断方法と捉えることもできる。
本発明は、肝臓及び/又は腎臓機能の診断に使用するための一般式(1-0)で表される化合物と捉えることもできる。本発明はまた、肝臓及び/又は腎臓機能の診断剤の製造における一般式(1-0)で表される化合物の使用と捉えることもできる。
本発明の肝臓及び/又は腎臓機能の診断剤によれば、肝臓及び腎臓の機能変化を早期に検出することができる。このため本発明の診断剤は、血液又は尿中の生化学バイオマーカーの測定による従来の診断方法よりも早期に(軽症の段階で)肝臓及び腎臓の機能障害を検出することができる。また、本発明の診断剤は、従来の生化学バイオマーカーでは検出ができなかった肝臓及び/又は腎臓の機能障害を検出することもできる。
例えば、肥満、過度の飲酒、及び糖尿病等が原因である脂肪肝の患者数は、日本国内で3,000万人(成人国民の約3分の1)と言われている。脂肪肝は自覚症状がなく、そのため放置されると慢性肝炎から肝硬変又は肝臓ガンへと進む危険性がある。また、「21世紀の国民病」と言われ、日本国民の100人に1人が感染しているとされるC型肝炎ウイルスも、初期にはほとんど症状を示さないが、放置しておくと長い経過のうちに肝硬変又は肝がんに進行する。また例えば、2011年末には透析患者が30万人(日本国民の450人に1人)を超えている。また、慢性腎臓病の患者数は1,330万人(日本国民の8人に1人)にのぼり、その約半数の580万人が進行性に腎機能が低下して透析患者予備群になると考えられている。さらに、多くの医薬品がその過剰摂取により、急性的又は慢性的に肝臓と腎臓の機能を損なう事も知られている。
本発明の診断剤は、これらの肝臓又は腎臓の機能障害又はその進行を早期に検出することもできるため、重症化の予防に寄与できる。更には治療可能な早期段階での発見により、根本的な治療を目的とした医薬品の開発に寄与できると考えられる。
試験2で撮像した画像の一例である。(A)PET集積画像をCT画像に重ね合わせた画像の一例である。(B)腎臓切片のオートラジオグラフィイメージの一例である。 試験3での腎皮質及び腎髄質における[18F]BCPP-BF又は[18F]FDGの集積量(放射能集積量(SUV))を示すグラフである。 試験3での腎機能バイオマーカー(尿中のBUN量及び尿タンパク質量)の測定結果を示すグラフである。 試験4での肝臓並びに腎皮質及び腎髄質における[18F]BCPP-BFの集積量(放射能集積量(SUV))を示すグラフである。 試験4での肝機能バイオマーカー(血中AST濃度及びALT濃度)の測定結果を示すグラフである。 試験4での腎機能バイオマーカー(尿中のBIL量及び尿タンパク質量)の測定結果を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る肝臓及び/又は腎臓機能の診断剤は、一般式(1-0)で表される化合物を有効成分とする。
Figure 2022016473000002
化合物(1-0)中、Rは、-O(CH-、-O(CHOC-、-CHO(CH-又は-CHO(CHOC-である。Rは、-O(CH-又は-O(CHOC-であることが好ましく、-O(CH-であることがより好ましい。
化合物(1-0)中、nは1~5の整数であり、2~5の整数であることが好ましく、3~5の整数であることがより好ましく、4であることが更に好ましい。
化合物(1-0)中、Qは、F又は-OCHであり、18F又は-O11CHであることが好ましい。Q18F又は-O11CHである化合物(1-0)は、ポジトロンを放出することができるため、陽電子放出型断層撮影法(PET)に使用するための標識化合物として好適である。また、Qが-O11CHである場合、半減期が20分と短いため、同一被験者に対して1日に複数回の計測を行うことも可能になる。Q18Fである場合、半減期が110分と-O11CHよりも長いため、1回の計測時間を長くすることが可能になる。
ピリジン環における、ピリダジン環と結合している-OCH-の結合位置及びRの結合位置は特に制限されないが、ピリダジン環と結合している-OCH-の結合位置がピリジン環の5位であり、Rの結合位置がピリジン環の2位であることが好ましい。以下に示す一般式(1-0’)で表される化合物(以下、「化合物(1-0’)」ともいう。)は、ピリダジン環と結合している-OCH-の結合位置がピリジン環の5位であり、Rの結合位置がピリジン環の2位であるときの構造式である。
Figure 2022016473000003

一般式(1-0’)中、R、n及びQは、一般式(1-0)中のR、n及びQと同義である。
肝臓及び腎臓機能の診断用途により適したものになることから、化合物(1-0)は、一般式(1-0’’)で表される化合物(以下、「化合物(1-0’’)」ともいう。)であることが好ましく、式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」ともいう。)であることがより好ましい。
Figure 2022016473000004

一般式(1-0’’)中、n及びQは、一般式(1-0)中のn及びQと同義である。
Figure 2022016473000005

式(1)中、Qは、一般式(1-0)中のQと同義である。
化合物(1-0)は、例えば、対応する前駆体から合成することができる。化合物(1-0’)、化合物(1-0’’)及び化合物(1)についても同様である。
化合物(1-0)の対応する前駆体としては、例えば、下記一般式(2-0)で表される化合物(以下、「化合物(2-0)」ともいう。)が挙げられる。化合物(1-0’)、化合物(1-0’’)及び化合物(1)の対応する前駆体としては、例えば、化合物(2-0)において、R並びにピリジン環におけるピリダジン環と結合している-OCH-の結合位置及びRの結合位置が、化合物(1-0’)、化合物(1-0’’)及び化合物(1)と同じになる化合物が挙げられる。
Figure 2022016473000006

一般式(2-0)中、Rは一般式(1-0)中のRと同義である。Qは、脱離可能な置換基(置換スルホニルオキシ基、ハロゲン原子又は水酸基等)を示す。
上記置換スルホニルオキシ基としては、例えば、トシルオキシ基(-OTs)、メタンスルホニルオキシ基(-OMs)、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基(-OTf)、ニトロベンゼンスルホニルオキシ基(-ONs)が挙げられるが、-OTsが好ましく用いられる。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
前駆体は、例えば、特許文献1及び特許文献3に記載された方法により合成することができる。
化合物(1-0)は、MC-1特異的に肝臓及び腎臓に集積する。また、化合物(1-0)は、肝臓及び腎臓機能の程度と相関して集積量が変化する。すなわち、肝臓及び腎臓の機能が低下すると化合物(1-0)の集積量が減少し、肝臓及び腎臓の機能が亢進すると化合物(1-0)の集積量が増加する。したがって、本実施形態に係る診断剤は、化合物(1-0)の集積量の測定を介して、肝臓及び腎臓機能の診断に好適に用いられる。
化合物(1-0)の集積量の測定は、これに限られるものではないが、例えば、化合物(1-0)に蛍光色素等を結合させる、シングルフォトン核種(123I,99mTc等)又はポジトロン核種で標識を行うことで標識化合物とし、当該標識を検出することにより実施することができる。ポジトロン標識は、例えば、化合物(1-0)のQを-O11CH又は18Fとすることにより行うことができる。ポジトロン標識した場合は、消滅放射線をPET法に用いられる装置で測定することによって、化合物(1-0)の体内分布を定量的かつ経時的に画像化することができる。
本実施形態に係る診断剤は、例えば、化合物(1-0)を任意の緩衝液に溶解することによって製造することができる。この場合、本実施形態に係る診断剤は、溶液として提供され、緩衝成分の他、界面活性剤、防腐剤、安定化剤等のその他の成分を含有してもよい。
本実施形態に係る肝臓及び/又は腎臓機能の診断方法は、本発明に係る診断剤を対象に投与する工程と、肝臓及び/又は腎臓に集積した化合物(1-0)を検出する工程と、肝臓及び/又は腎臓における化合物(1-0)の集積量を定量解析する工程と、を含む。
対象としては、例えば、ヒト、サル、マウス及びラットが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
診断剤を対象に投与する方法は、化合物(1-0)が肝臓及び/又は腎臓に到達する限りにおいて特に制限されないが、通常、静脈内投与である。
診断剤の投与量としては、化合物(1-0)を肝臓及び/又は腎臓で検出するのに充分な投与量であれば特に制限されず、投与する対象及び化合物(1-0)を検出する方法に応じて適宜設定すればよい。例えば、Q18F又は-O11CHである化合物(1-0)を含む診断剤を用いて、PET法に用いられる装置で化合物(1-0)を検出する場合、診断剤の投与量(以下、「投与放射能量」ともいう。)は、1MBq/kg体重~1000MBq/kg体重であってもよい。化合物(1-0)の比放射能は、10~10,000GBq/μmolであってもよい。また、診断剤の投与放射能量は、使用するPETカメラの感度と対象個体の体積に依存するが、げっ歯類(マウス、ラット)ではおおよそ200~500MBq/kg体重を0.1~0.5mLの生理食塩水溶液として投与する。ヒト以外の霊長類(サル類)の場合、40~200MBq/kg体重を0.5~2mLの生理食塩水で投与し、ヒトの場合、2~10MBq/kg体重を1~5mLの生理食塩水溶液として投与する。
肝臓及び/又は腎臓に集積した化合物(1-0)を検出する方法としては、特に制限されず、公知の方法に準じて実施することができる。例えば、Q18F又は-O11CHである化合物(1-0)を含む診断剤を用いる場合、PET法によって、化合物(1-0)を検出することが可能である。PET法における測定方法は特に制限されず、公知の方法に準じて実施することができる。また例えば、PET法で計測する方法としては、診断剤の投与直後から60分間のダイナミック計測をしてもよいし、診断剤を投与して30~40分間待って肝臓及び/又は腎臓に化合物(1-0)を十分集積させてから、10~20分間のPET計測をしてもよい。
肝臓及び/又は腎臓における化合物(1-0)の集積量を定量解析する方法としては、特に制限されず、公知の方法に準じて実施することができる。例えば、以下の方法が挙げられる。まず、PET法によって得られた化合物(1-0)の集積画像と、CT計測等によって得られた肝臓及び/又は腎臓の形態画像を重ねあわせ、肝臓及び/又は腎臓のPET画像を同定する。次に肝臓及び/又は腎臓のPET画像上に関心領域を設定して、対象となる個体の体重と投与放射能量とで正規化した値を、肝臓及び/又は腎臓への化合物(1-0)の集積量とする。
本実施形態に係る診断方法は、定量解析した化合物(1-0)の集積量を基準値と比較し、肝臓及び/又は腎臓機能を診断する工程を更に含んでいてもよい。
基準値は、診断目的に応じて適宜設定してよい。例えば、集団健康診断において本実施形態に係る診断方法を実施する場合、基準値は、複数の同種の対象における化合物(1-0)の集積量の分布から予め決定した正常範囲であってもよい。この場合、特定の対象における集積量の定量解析値が、当該正常範囲に入るか否かに応じて、当該特定の対象における肝臓及び/又は腎臓機能が正常か否かを診断することができる。
また、例えば、肝臓及び/又は腎臓の機能障害を引き起こす症状(例えば、脂肪肝、ウイルス感染、慢性肝炎、慢性腎臓病、医薬品投与等)に罹患している対象において、当該症状の経過観察、治療効果の確認、又は予後予測等のために本実施形態に係る診断方法を実施する場合、基準値は、当該対象のある時点(例えば、健常時、初診断時、治療開始時、治療終了等)における化合物(1-0)の集積量の測定結果であってもよい。
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔試験1:[18F]BCPP-BFの合成〕
下記式で表される[18F]BCPP-BFは、非特許文献(J.Labelled Comp. Radiopharm.,2013年,56巻11号,pp.553-561)に記載された方法により合成した。得られた最終生成物の放射化学的純度は99.8%、比放射能は68.4GBq/μmolであった。
Figure 2022016473000007
〔試験2:ロテノンの前投与による結合特異性の評価〕
ロテノンの投与が、ラットの肝臓及び腎臓への[18F]BCPP-BFの集積に与える影響を評価した。ロテノンは、ミトコンドリアコンプレックス-1の阻害薬である。
ラットをイソフルレンで麻酔しながら、小動物用X-CT(SHIMADZU ClairvivoCT)で形態画像を収集した。麻酔を施したまま、ラットを動物用PETカメラ(HAMAMATSU SHR-38000)のガントリー内に固定して、ロテノン0.1mg/kg又は溶媒を1時間かけて静脈内に持続投与した。吸収補正のために15分間のトランスミッション計測を実施した後、ラットの尾静脈から約20MBq/0.5mLの[18F]BCPP-BFを投与して、90分間のエミッション計測を実施した。PET計測終了後、[18F]BCPP-BF投与15-30分後のPET集積画像を、CT画像に重ね合わせた。X-CT画像から同定した肝臓及び腎臓のPET画像上に関心領域を設定して、各個体の体重と投与放射能量で正規化した値を、各部位への[18F]BCPP-BFの集積量とした。一部のラットについては、[18F]BCPP-BF投与の30分後に実験殺し、腎臓を摘出した。摘出した腎臓から2mm厚の病理切片を作成し、イメージングプレート(Fuji Film BAS2000)を使用して、放射能分布を画像化してオートラジオグラフィイメージを得た。
(結果)
図1に撮像した画像の一例を示す。図1(A)は、PET集積画像をCT画像に重ね合わせた画像の一例である。図1(B)は、腎臓切片のオートラジオグラフィイメージの一例である。図1中、集積量がより多い領域は、より濃い色で示している。図1に示すとおり、ロテノンの前投与により、[18F]BCPP-BFの肝臓及び腎臓への集積量が低下した。したがって、[18F]BCPP-BFの集積は、肝臓及び腎臓のミトコンドリアコンプレックス-1に特異的であると考えられる。
〔抗Thy-1抗体投与による腎臓機能障害ラットモデルによる評価〕
(腎機能障害ラットモデル)
ラット腎のメサンギウム細胞表面に存在するThy-1抗原に特異的な抗Thy-1抗体を使用して腎機能障害ラットモデルを作製した。抗Thy-1抗体は腎臓に障害を与えることが知られている。抗Thy-1抗体(Life Span BioSciences, Inc., Anti-THY1/CD90 Antibody)を1000倍希釈した溶液7.5mL/kgを8週齢の雄性Sprague-Dawleyラットに静脈内投与して、腎機能障害ラットモデルを作製した。対照として、ラットに同様の手順で溶媒を投与した。
(腎機能の生化学バイオマーカーの測定)
抗Thy-1抗体又は溶媒を投与した1、2、3及び4週間後に、ラットから採尿し、尿中の尿素窒素(BUN)量及び尿タンパク質量を測定した。
(腎臓のPET計測)
抗Thy-1抗体又は溶媒を投与した1週間後に、ラットをイソフルレンで麻酔しながら、小動物用X-CT(SHIMADZU ClairvivoCT)で形態画像を収集した。麻酔を施したまま、ラットを動物用PETカメラ(HAMAMATSU SHR-38000)のガントリー内に固定して、吸収補正のために60分間のトランスミッション計測を実施した後、ラットの尾静脈から約20MBq/0.5mLの[18F]BCPP-BFを投与して、90分間のエミッション計測を実施した。また、対照として約15MBq/0.5mLの[18F]FDGを同様の手順で投与して、90分間のエミッション計測を実施した。PET計測終了後、[18F]BCPP-BF又は[18F]FDG投与15-30分後のPET集積画像を、CT画像に重ね合わせた。X-CT画像から同定した腎臓の皮質及び髄質のPET画像上に関心領域を設定して、各個体の体重と投与放射能量で正規化した値を、各部位への[18F]BCPP-BF又は[18F]FDGの集積量とした。
(結果)
図2は、腎皮質及び腎髄質における[18F]BCPP-BF又は[18F]FDGの集積量(放射能集積量(SUV))を示すグラフである。図2(A)は、[18F]FDGの集積量を示すグラフである。[18F]FDGでは、正常個体(対照)と比較して、抗Thy-1抗体の投与による腎臓への集積量の変化は認められなかった。図2(B)は、[18F]BCPP-BFの集積量を示すグラフである。抗Thy-1抗体の投与により、投与1週間後には、正常個体(対照)と比較して[18F]BCPP-BFの腎臓への集積量の有意な低下が認められた。
図3は、腎機能バイオマーカー(尿中のBUN量及び尿タンパク質量)の測定結果を示すグラフである。尿中のBUN量及び尿タンパク質量共に、抗Thy-1抗体の投与2週間以降にならないと、異常値を示さなかった。
これらの結果から、[18F]BCPP-BFを使用したPET計測では、生化学バイオマーカーの検出による従来の方法よりも早期に腎臓機能を診断できることが分かる。
〔試験4:アセトアミノフェン投与による肝機能障害ラットモデルによる評価〕
(肝機能障害ラットモデル)
過剰量のアセトアミノフェンを投与して肝機能障害ラットモデルを作製した。過剰量のアセトアミノフェンの投与は、肝臓に障害を与えることが知られている。アセトアミノフェンを100、300又は600mg/kgの用量で8週齢の雄性Sprague-Dawleyラットに腹腔内投与して、肝機能障害ラットモデルを作製した。対照として、ラットに同様の手順で溶媒を投与した。
(肝機能及び腎機能の生化学バイオマーカーの測定)
アセトアミノフェン又は溶媒を投与した2、6及び24時間後に、ラットから採血及び採尿し、血中のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)量及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)量、並びに尿中のビリルビン(BIL)量及び尿タンパク質量を測定した。
(肝臓及び腎臓のPET計測)
アセトアミノフェン又は溶媒を投与した直後に、ラットをイソフルレンで麻酔しながら、小動物用X-CT(SHIMADZU ClairvivoCT)で形態画像を収集した。麻酔を施したまま、ラットを動物用PETカメラ(HAMAMATSU SHR-38000)のガントリー内に固定して、吸収補正のために15分間のトランスミッション計測を実施した後、ラットの尾静脈から約20MBq/0.5mLの[18F]BCPP-BFを投与して、90分間のエミッション計測を実施した。PET計測終了後、[18F]BCPP-BF投与15-30分後のPET集積画像を、CT画像に重ね合わせた。X-CT画像から同定した肝臓並びに腎臓の皮質及び髄質のPET画像上に関心領域を設定して、各個体の体重と投与放射能量で正規化した値を、各部位への[18F]BCPP-BFの集積量とした。
(結果)
図4は、肝臓並びに腎皮質及び腎髄質における[18F]BCPP-BFの集積量(放射能集積量(SUV))を示すグラフである。図4に示す集積量は、アセトアミノフェンを投与した2時間後のものである。アセトアミノフェンの投与により、肝臓並びに腎皮質及び腎髄質への[18F]BCPP-BFの集積量の有意な低下が認められた。特に腎皮質及び肝臓では、アセトアミノフェン300mg/kgの投与でも[18F]BCPP-BFの集積量の有意な低下が認められた。これまで、ラットに対するアセトアミノフェン300mg/kgという用量は、障害を引き起こさないと言われていた用量である。また、肝臓並びに腎皮質及び腎髄質における[18F]BCPP-BFの集積量の低下は、アセトアミノフェンの用量依存的であった。
図5は、肝機能バイオマーカー(血中AST濃度及びALT濃度)の測定結果を示すグラフである。過剰量のアセトアミノフェン(600mg/kg)の投与により血中AST濃度及びALT濃度の上昇が認められた。また、アセトアミノフェン300mg/kgの投与では、投与後5時間では変化が検出されず、24時間後に血中AST濃度及びALT濃度の上昇が認められた。なお、アセトアミノフェン100mg/kgの投与では、投与後5時間及び24時間後でも変化が検出されなかった。
図6は、腎機能バイオマーカー(尿中のBIL量及び尿タンパク質量)の測定結果を示すグラフである。過剰量のアセトアミノフェン(600mg/kg)の投与の場合でも、24時間後にようやく尿タンパク質量に有意な上昇が認められた。
これらの結果から、[18F]BCPP-BFを使用したPET計測では、生化学バイオマーカーの検出による従来の方法よりも早期に肝臓機能及び腎臓機能を診断できることが分かる。加えて、[18F]BCPP-BFを使用したPET計測では、従来の方法では検出できなかった機能障害を検出できたことから、極めて高い感度を有していることが分かる。

Claims (1)

  1. 本明細書に記載の発明。

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