JP2022014617A - 電動モータ - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のモータ部を有する電動モータの運転効率を向上させる。【解決手段】電動モータ100は、同一の負荷を駆動するように接続された複数のモータ部50A,50Bと、モータ部50A,50B毎に設けられ、モータ部50A,50Bに関連する温度を検出する温度センサ64A,64B,65A,65Bと、複数のモータ部50A,50Bに供給される電流の配分を制御する制御部60と、を備え、制御部60は、複数のモータ部50A,50Bで生じる熱損失の合計が減少するように、複数の温度センサ64A,64B,65A,65Bで検出された温度に基づいて電流の配分を制御する。【選択図】図2
Description
本発明は、電動モータに関するものである。
特許文献1には、複数のステータ部と、各ステータ部に対向して配置される複数のロータ部と、を備えた電動モータが開示されている。つまり、特許文献1に記載の電動モータは、ステータ部とロータ部とからなるモータ部を複数有している。
特許文献1に記載の電動モータのように、複数のモータ部を有する電動モータでは、電動モータ内での各モータ部のレイアウトや電動モータの周辺に配置される機器の影響によって、モータ部毎に放熱性が異なる。このように種々の要因によりモータ部毎に放熱性が異なると、放熱性が低下したモータ部では、温度が上昇して熱損失が大きくなることから、結果として、電動モータの運転効率の低下を招くおそれがある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、複数のモータ部を有する電動モータの運転効率を向上させることを目的とする。
本発明は、電動モータが、同一の負荷を駆動するように接続された複数のモータ部と、モータ部毎に設けられ、モータ部に関連する温度を検出する温度検出器と、複数のモータ部に供給される電流の配分を制御する制御部と、を備え、制御部は、複数のモータ部で生じる熱損失の合計が減少するように、複数の温度検出器で検出された温度に基づいて電流の配分を制御することを特徴とする。
この発明では、複数のモータ部に供給される電流の配分は、複数のモータ部で生じる熱損失の合計が減少するように、各モータ部に関連する温度を検出する温度検出器で検出された温度に基づいて、制御部により制御される。このように、電動モータの合計熱損失が最小となるように、各モータ部に供給される電流の配分を制御することによって、電動モータの運転効率を向上させることができる。
また、本発明は、制御部が、温度検出器で検出された温度と、モータ部に関連する抵抗値と、の相関性を示す抵抗値マップを有し、抵抗値マップから求められたそれぞれのモータ部に関連する抵抗値と、負荷を駆動するために必要とされる電流値と、に基づいて電流の配分を決定することを特徴とする。
この発明では、温度と抵抗値との相関性を示す抵抗値マップから、電流の配分を決定するために用いられる各モータ部に関連する抵抗値が求められる。このように、予め制御部に記憶された抵抗値マップを用いることで、制御部における演算負荷を軽減させつつ、電流の配分を容易に随時更新することができる。
また、本発明は、モータ部が2つ設けられ、制御部が、負荷の出力が所定値以下である場合、2つのモータ部のうち温度が低い方のモータ部のみへ電流を供給することを特徴とする。
この発明では、負荷の出力が所定値以下である場合、温度が低い方のモータ部のみへ電流が供給される。このように電動モータに要求される出力が比較的小さい場合には、温度が最も低く熱損失が最も低いと推定されるモータ部のみを駆動させることにより電動モータの運転効率を向上させることができる。
また、本発明は、モータ部が2つ設けられ、制御部が、負荷を駆動するために必要な電流値と、一方のモータ部に関連する抵抗値と、他方のモータ部に関連する抵抗値と、一方のモータ部に供給される電流値と、他方のモータ部に供給される電流値と、が所定の関係式を満たすように2つのモータ部へ供給される電流の配分を制御することを特徴とする。
この発明では、電動モータの合計熱損失が最小となる所定の関係式を満たすように、2つのモータ部へ供給される電流の配分が制御される。この結果、電動モータの運転効率を向上させることができる。
本発明によれば、複数のモータ部を有する電動モータの運転効率を向上させることができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る電動モータ100について説明する。
本発明の実施形態に係る電動モータ100は、冗長性を確保するために複数のモータ部を備えた3相交流モータである。電動モータ100は、例えば、図1に示すように、作動流体を吐出するポンプ部10を回転駆動する駆動源として用いられ、電動モータ100の何れかのモータ部に異常が生じた場合であっても、他のモータ部によってポンプ部10による作動流体の吐出が維持されるように構成されている。図1には、電動モータ100の断面が示されるとともに電動モータ100のシステム構成が示されている。なお、電動モータ100により駆動される駆動対象は、ポンプ部10に限定されない。
図1に示すように、電動モータ100は、ハウジング20と、ハウジング20に外周側が保持される環状のステータ部30A,30Bと、ハウジング20に回転自在に支持され、ステータ部30A,30Bを挿通するように設けられるシャフト22と、シャフト22の外周に設けられ、ステータ部30A,30Bに対向して配置される筒状のロータ部40A,40Bと、を備える。
ステータ部30A,30Bは、シャフト22の軸方向に沿って複数設けられており、図1に示す実施形態では、シャフト22の軸方向に沿って第1ステータ部30Aと第2ステータ部30Bとの2つのステータ部が設けられている。
ロータ部40A,40Bは、ステータ部30A,30Bと同様に、シャフト22の軸方向に沿って複数設けられており、図1に示す実施形態では、第1ステータ部30Aに対向して配置される第1ロータ部40Aと第2ステータ部30Bに対向して配置される第2ロータ部40Bとの2つのロータ部が設けられている。
第1ステータ部30Aは、第1ロータ部40Aと所定の空隙を介して第1ロータ部40Aを取り囲むように配設される図示しない円環状のステータコアと、ステータコアに巻装される図示しない巻線と、を有し、ステータコアには、巻線によって3相の駆動電流に対応した図示しないコイルが複数形成されている。このようにコイルを形成する巻線の末端は、ステータコアに隣接して配置される図示しないインシュレータに設けられた電極を介して後述の第1インバータ62Aに接続される。第2ステータ部30Bも第1ステータ部30Aと同様の構成を有し、第2ステータ部30Bにおいてコイルを形成する巻線の末端は、後述の第2インバータ62Bに接続される。
第1ロータ部40Aは、シャフト22の外周に固定されてシャフト22とともに回転する図示しないロータコアと、ロータコアの外周面に等間隔で周方向に配設される図示しない複数の永久磁石と、を有し、第2ロータ部40Bも第1ロータ部40Aと同様の構成を有する。
このように対向して配置される第1ステータ部30Aと第1ロータ部40Aとにより第1モータ部50Aが構成され、第2ステータ部30Bと第2ロータ部40Bとにより第2モータ部50Bが構成される。
そして、第1モータ部50Aでは、第1ステータ部30Aのステータコアの磁化状態と第1ロータ部40Aの永久磁石との作用によって、第1ロータ部40Aがシャフト22を軸として回転し、第2モータ部50Bでは、第2ステータ部30Bのステータコアの磁化状態と第2ロータ部40Bの永久磁石との作用によって、第2ロータ部40Bがシャフト22を軸として回転することになる。つまり、第1モータ部50Aと第2モータ部50Bとは、シャフト22を共通の駆動軸とし、ポンプ部10という同一の負荷を駆動するように接続されている。
なお、第1ロータ部40Aと第2ロータ部40Bとは、別体で構成される必要はなく、シャフト22の軸方向において、ハウジング20の一方の端部側に配置される第1ステータ部30Aからハウジング20の他方の端部側に配置される第2ステータ部30Bにおよぶ長さを有するように、一体的に形成されていてもよい。
また、図1に示す実施形態では、第2モータ部50Bは、第1モータ部50Aとポンプ部10との間に配置されているが、第2モータ部50Bは、ポンプ部10を挟んで第1モータ部50Aとは反対側に配置されていてもよい。
電動モータ100は、第1モータ部50Aと第2モータ部50Bとの2つのモータ部を駆動させるために、直流電力を交流電力に変換して第1モータ部50Aに供給する第1インバータ62Aと、直流電力を交流電力に変換して第2モータ部50Bに供給する第2インバータ62Bと、第1インバータ62A及び第2インバータ62Bを通じて第1モータ部50A及び第2モータ部50Bに供給される電力を調節することにより電動モータ100の出力を制御する制御部60と、をさらに備える。
第1インバータ62Aには、第1モータ部50Aへ供給される電流の向きや大きさを変更可能とするために図示しないMOSFETなどのスイッチング素子が複数設けられ、第2インバータ62Bにも、同様に、第2モータ部50Bへ供給される電流の向きや大きさを変更可能とするための図示しないスイッチング素子が複数設けられる。
制御部60は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びI/Oインターフェース(入出力インターフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。RAMはCPUの処理におけるデータを記憶し、ROMはCPUの制御プログラム等を予め記憶し、I/Oインターフェースは制御部60に接続された機器との情報の入出力に使用される。なお、制御部60は、複数のマイクロコンピュータで構成されていてもよい。また、制御部60は、モータ部50A,50B毎に設けられていてもよい。
制御部60は、第1インバータ62A及び第2インバータ62Bに設けられた複数のスイッチング素子を切り換え制御することによって、図示しない回転角検出部により検出されたシャフト22の回転角度に応じて第1モータ部50A及び第2モータ部50Bに供給される電流の向きを制御するとともに、シャフト22の回転数が外部から入力される目標回転数となるように第1モータ部50A及び第2モータ部50Bに供給される電流の大きさを制御する。
なお、第1モータ部50Aの制御と、第2モータ部50Bの制御とは、第1インバータ62A及び第2インバータ62Bを介して、制御部60により別個に行われている。このため、例えば、第1モータ部50Aへ電力を供給する第1インバータ62Aに異常が生じ、第1モータ部50Aが停止した場合であっても、第2モータ部50Bの制御は、第2インバータ62Bを介して制御部60により継続される。したがって、電動モータ100が、ポンプ部10を回転駆動する駆動源として用いられるような場合には、電動モータ100に何らかの異常が生じてもポンプ部10により作動流体を所定量以上、吐出させ続けることが可能である。
ここで、一般的に、複数のモータ部を有する電動モータでは、電動モータ内での各モータ部のレイアウトや電動モータの周辺に配置される機器の影響によって、モータ部毎に放熱性が異なる。例えば、上記構成の電動モータ100では、第1モータ部50Aとポンプ部10とにより挟まれた第2モータ部50Bは、第1モータ部50Aより放熱性が低下する。また、上記構成の電動モータ100が、エンジンといった熱源の近傍に設置された場合には、エンジンにより近い方のモータ部の放熱性が低下することとなり、冷却ファンからの送風があたる場所に設置された場合には、送風が直接的にあたる方のモータ部の放熱性が向上することになる。
このように種々の要因によりモータ部毎に放熱性が異なると、放熱性が低下したモータ部では、温度が上昇して電気抵抗が大きくなり、いわゆるジュール熱として消費される熱損失が増大することから、結果として、電動モータの運転効率が低下してしまうおそれがある。
このような課題を解決するために、本実施形態に係る電動モータ100では、モータ部50A,50Bの電気抵抗値と相関性を有するモータ部50A,50Bの温度を検出可能な温度検出器をモータ部50A,50B毎に設け、検出された各モータ部50A,50Bの温度に基づいて、複数のモータ部50A,50Bで生じる熱損失の合計が減少するように、各モータ部50A,50Bに供給される電流の配分を制御部60によって制御している。
具体的には、電動モータ100は、図1に示すように、モータ部50A,50Bに関連する温度を検出する温度検出器として、第1モータ部50Aの第1ステータ部30Aに形成されたコイルの温度を検出する第1コイル温度センサ64Aと、第2モータ部50Bの第2ステータ部30Bに形成されたコイルの温度を検出する第2コイル温度センサ64Bと、第1インバータ62Aのスイッチング素子の温度を検出する第1素子温度センサ65Aと、第2インバータ62Bのスイッチング素子の温度を検出する第2素子温度センサ65Bと、を備える。これらの温度センサ64A,64B,65A,65Bで検出された検出値は、制御部60に入力される。
そして、制御部60には、温度センサ64A,64B,65A,65Bで検出された検出値からモータ部50A,50Bに関連する抵抗値を求めるために、コイル温度センサ64A,64Bで検出された温度とコイルの抵抗値との相関性を示すコイル抵抗値マップと、素子温度センサ65A,65Bで検出された温度と素子の抵抗値との相関性を示す素子抵抗値マップと、が抵抗値マップとして記憶されている。
制御部60では、これらの抵抗値マップを用いて、現在運転中の電動モータ100の各モータ部50A,50Bに関連する抵抗値、例えば、第1モータ部50Aのコイルの抵抗値や第2モータ部50Bのコイルの抵抗値、第1インバータ62Aのスイッチング素子の抵抗値、第2インバータ62Bのスイッチング素子の抵抗値を求める。
ここで、各モータ部50A,50Bで生じる熱損失を足し合わせた電動モータ100の熱損失である合計熱損失Lossは、以下の式(1)によって求められる。
Loss=Ra・Ia2+Rb・Ib2 ・・・(1)
Loss=Ra・Ia2+Rb・Ib2 ・・・(1)
この式(1)において、Raは、第1モータ部50Aに関連する抵抗値、具体的には第1モータ部50Aのコイルの抵抗値、または、これに第1インバータ62Aのスイッチング素子の抵抗値を足し合わせたものであり、Rbは、第2モータ部50Bに関連する抵抗値、具体的には第2モータ部50Bのコイルの抵抗値、または、これに第2インバータ62Bのスイッチング素子の抵抗値を足し合わせたものである。また、Iaは、第1インバータ62Aを通じて第1モータ部50Aに供給される電流値であり、Ibは、第2インバータ62Bを通じて第2モータ部50Bに供給される電流値である。
第1モータ部50Aに供給される電流値Iaと、第2モータ部50Bに供給される電流値Ibとを足し合わせた合計電流値It(=Ia+Ib)は、電動モータ100がポンプ部10を駆動するために必要な必要電流値であって、電動モータ100に要求される出力によって決定される。つまり、合計電流値Itは定数とみなすことができることから、上記式(1)においてIaのみを変数として表すと以下の式(2)となる。
Loss=(Ra+Rb){(Ia-It・Rb/(Ra+Rb))2}
+Rb2・It2/(Ra+Rb)+Rb・It2 ・・・(2)
Loss=(Ra+Rb){(Ia-It・Rb/(Ra+Rb))2}
+Rb2・It2/(Ra+Rb)+Rb・It2 ・・・(2)
そして、上記式(2)において、下記式(3)及び下記式(4)が成立するとき、合計熱損失Lossは最小となる。
Ia=It・Rb/(Ra+Rb) ・・・(3)
Ib=It-Ia ・・・(4)
Ia=It・Rb/(Ra+Rb) ・・・(3)
Ib=It-Ia ・・・(4)
つまり、式(3)及び式(4)が成立するように、第1モータ部50Aに供給される電流値Ia及び第2モータ部50Bに供給される電流値Ibを、第1モータ部50Aに関連する抵抗値Ra及び第2モータ部50Bに関連する抵抗値Rbに基づいて設定することによって、電動モータ100の熱損失を最小とし、電動モータ100の運転効率を向上させることができる。
このため、制御部60では、入力される温度センサ64A,64B,65A,65Bで検出された検出値により、第1モータ部50Aに関連する抵抗値Ra及び第2モータ部50Bに関連する抵抗値Rbを随時更新し、第1モータ部50Aに供給される電流値Iaと第2モータ部50Bに供給される電流値Ibとの配分が、合計熱損失Lossを最小とするのに最適な配分となるように、すなわち、式(3)及び式(4)が常に成立するように常時制御している。
換言すれば、制御部60は、熱損失が大きいと推定されるモータ部50A,50Bへ供給される電流の配分を減らす一方、熱損失が小さいと推定されるモータ部50A,50Bへ供給される電流の配分を増やすことで、電動モータ100の合計熱損失Lossをできるだけ小さくすることによって、電動モータ100の運転効率を向上させている。
次に、図2のフローチャートを参照して、電動モータ100の制御部60により行われる制御について説明する。
まず、ステップS11において、制御部60は、各温度センサ64A,64B,65A,65Bで検出された検出値である各モータ部50A,50Bに関連する温度、具体的には、第1モータ部50Aの第1ステータ部30Aに形成されたコイルの温度、第2モータ部50Bの第2ステータ部30Bに形成されたコイルの温度、第1インバータ62Aのスイッチング素子の温度、及び、第2インバータ62Bのスイッチング素子の温度を取り込む。
続く、ステップS12において、制御部60は、取り込まれた各部の温度に基づいて、各モータ部50A,50Bに関連する抵抗値を求める。具体的には、コイル抵抗値マップを用いて第1モータ部50A及び第2モータ部50Bのそれぞれのコイル抵抗値を算出し、素子抵抗値マップを用いて第1インバータ62A及び第2インバータ62Bのそれぞれのスイッチング素子抵抗値を算出する。
各モータ部50A,50Bに関連する抵抗値の算出が完了すると、ステップS13に進み、制御部60は、すべてのモータ部50A,50Bに電流を供給するか、あるいは、何れか1つのモータ部50A,50Bのみに電流を供給するか、換言すれば、すべてのモータ部50A,50Bを駆動させるか、あるいは、何れか1つのモータ部50A,50Bのみを駆動させるか、について判定する。
ここで、電動モータ100により駆動される負荷であるポンプ部10の駆動出力は、吐出量や吐出圧によって決まるが、例えば、目標吐出量が比較的小さい場合、電動モータ100に要求される出力も小さくなる。このような場合は、電動モータ100のすべてのモータ部50A,50Bを効率が低い極低負荷で一律に駆動させるよりも、モータ部50A,50Bの何れか1つのみを効率が良い負荷で駆動させた方が、電動モータ100全体の運転効率はよくなる。
このため、制御部60は、例えば、すべてのモータ部50A,50Bを駆動したときの効率とモータ部50A,50Bの何れか1つのみを駆動したときの効率とが同等となるときの出力を基準出力とし、電動モータ100に要求される出力がこの基準出力よりも大きい場合、すべてのモータ部50A,50Bに電流を供給するようにインバータ62A,62Bを制御し、電動モータ100に要求される出力が基準出力以下である場合、モータ部50A,50Bの何れか1つのみに電流を供給するようにインバータ62A,62Bを制御する。
ステップS13において、電動モータ100に要求される出力が基準出力よりも大きいと判定されるとステップS14に進み、制御部60は、電動モータ100が要求出力を出力するために必要な必要電流値を算出する。具体的には、予め記憶された要求出力と必要電流値との相関性を示すマップを用いて必要電流値を算出する。
続くステップS15において、制御部60は、ステップS12で求められたコイル抵抗値及びスイッチング素子抵抗値に基づいて、ステップS14で求められた必要電流値をどのような割合で各モータ部50A,50Bに配分するかを決定する。
具体的には、ステップS12で求められたコイル抵抗値及びスイッチング素子抵抗値と、上述の式(3)とから、第1モータ部50Aに供給される電流値Iaを求め、さらに、ステップS14で求められた必要電流値、すなわち、合計電流値Itと、上述の式(4)とから、第2モータ部50Bに供給される電流値Ibを求める。
そして、続くステップS16において、制御部60は、ステップS15で求められた配分に基づく電流値Ia,Ibが各モータ部50A,50Bに供給されるようにインバータ62A,62Bへと指令を出し、各インバータ62A,62Bのスイッチング素子の作動を制御する。
これにより、各モータ部50A,50Bに供給される電流値Ia,Ibの配分は、電動モータ100の合計熱損失Lossが最小となるように制御され、結果として、電動モータ100の運転効率を向上させることができる。
一方、ステップS13において、電動モータ100に要求される出力が基準出力以下であると判定されるとステップS17に進む。
ステップS17において、制御部60は、モータ部50A,50Bの何れか1つのみに電流を供給するようにインバータ62A,62Bを制御する。この際、制御部60は、電動モータ100の合計熱損失Lossを小さくするために、モータ部50A,50Bのうち最も温度が低く、熱損失が小さいと推定されるモータ部50A,50Bを選定して電流を供給する。
具体的には、制御部は、ステップS11で求められた各モータ部50A,50Bに関連する温度を比較し、温度が低い方のモータ部50A,50Bを、最も熱損失が小さいモータ部50A,50Bとして選定する。そして、選定されたモータ部50A,50Bへ電流を供給するインバータ62A,62Bへと指令を出し、インバータ62A,62Bのスイッチング素子の作動を制御する。なお、最も熱損失が小さいモータ部50A,50Bの選定にあたっては、ステップS11で求められた各モータ部50A,50Bに関連する温度の比較に代えて、ステップS12で求められた各モータ部50A,50Bに関連する抵抗値を比較し、抵抗値が最も小さいモータ部50A,50Bを、最も熱損失が小さいモータ部50A,50Bとして選定してもよい。
これにより、電動モータ100に要求される出力が小さく、モータ部50A,50Bの何れか1つのみが駆動されるような場合であっても、電動モータ100の合計熱損失Lossを小さくし、電動モータ100の運転効率を向上させることができる。
上述の一連の制御は、制御部60によって所定の時間毎に繰り返し実行される。つまり、各モータ部50A,50Bに供給される電流値Ia,Ibの配分を決定するために用いられる各モータ部50A,50Bに関連する温度は、随時更新される。このため、例えば、電動モータ100の近傍に配置された冷却ファンのオンオフによって、各モータ部50A,50Bの放熱性が変化し、各モータ部50A,50Bの温度が頻繁に変化してしまうような場合であっても、各モータ部50A,50Bに供給される電流値Ia,Ibの配分は適宜変更される。したがって、電動モータ100は、その合計熱損失Lossが最小となるように制御部60によって常時制御される。
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
上記構成の電動モータ100では、複数のモータ部50A,50Bに供給される電流値Ia,Ibの配分が、複数のモータ部50A,50Bで生じる熱損失の合計が減少するように、各モータ部50A,50Bに関連する温度を検出する温度センサ64A,64B,65A,65Bで検出された温度に基づいて、制御部60により制御される。
このように、電動モータ100の合計熱損失Lossが最小となるように、各モータ部50A,50Bに供給される電流値Ia,Ibの配分を制御することによって、電動モータ100の運転効率を向上させることができる。
次に、変形例について説明する。
上記実施形態では、モータ部50A,50Bは、第1モータ部50Aと第2モータ部50Bとの2つである。モータ部50A,50Bの数は、2つに限定されず、3つ以上であってもよく、例えば、モータ部が3つである場合、制御部60は、上述のステップS17において、3つのモータ部のうち最も温度が低く、熱損失が最も小さいと推定されるモータ部を選定し、このモータ部のみに電流を供給することによって、電動モータ100の合計熱損失Lossを小さくする。
また、上記実施形態では、モータ部50A,50Bに関連する温度を検出する温度検出器は、コイル温度センサ64A,64Bと、素子温度センサ65A,65Bと、の2つである。温度検出器は、これらに限定されず、モータ部50A,50Bの各部やモータ部50A,50Bに供給される電流が流れるインバータ62A,62Bの各部など、モータ部50A,50Bに関連する温度を検出するものであれば、どのような温度センサであってもよい。
また、上記実施形態では、モータ部50A,50Bに関連する抵抗値は、コイル抵抗値マップや素子抵抗値マップといった抵抗値マップから求められる。これに代えて、モータ部50A,50Bに関連する抵抗値は、モータ部50A,50Bに関連する温度を変数とする演算式から求めてもよい。なお、制御部60における演算負荷を軽減させるには、抵抗値マップを用いる方が好ましい。
以上のように構成された本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
電動モータ100は、ポンプ部10という同一の負荷を駆動するように接続された複数のモータ部50A,50Bと、モータ部50A,50B毎に設けられ、モータ部50A,50Bに関連する温度を検出する温度センサ64A,64B,65A,65Bと、複数のモータ部50A,50Bに供給される電流の配分を制御する制御部60と、を備え、制御部60は、複数のモータ部50A,50Bで生じる熱損失の合計が減少するように、複数の温度センサ64A,64B,65A,65Bで検出された温度に基づいて電流の配分を制御する。
この構成によれば、複数のモータ部50A,50Bに供給される電流値Ia,Ibの配分は、複数のモータ部50A,50Bで生じる熱損失の合計が減少するように、各モータ部50A,50Bに関連する温度を検出する温度センサ64A,64B,65A,65Bで検出された温度に基づいて、制御部60により制御される。このように、電動モータ100の合計熱損失Lossが最小となるように、各モータ部50A,50Bに供給される電流値Ia,Ibの配分を制御することによって、電動モータ100の運転効率を向上させることができる。
また、制御部60は、温度センサ64A,64B,65A,65Bで検出された温度と、モータ部50A,50Bに関連する抵抗値と、の相関性を示す抵抗値マップを有し、抵抗値マップから求められたそれぞれのモータ部50A,50Bに関連する抵抗値と、ポンプ部10を駆動するために必要とされる電流値と、に基づいて電流の配分を決定する。
この構成では、温度と抵抗値との相関性を示す抵抗値マップから、電流の配分を決定するために用いられる各モータ部50A,50Bに関連する抵抗値が求められる。このように、予め制御部60に記憶された抵抗値マップを用いることで、制御部60における演算負荷を軽減させつつ、電流の配分を容易に随時更新することができる。
また、モータ部50A,50Bは2つ設けられ、制御部60は、ポンプ部10の出力が所定値以下である場合、2つのモータ部50A,50Bのうち温度が低い方のモータ部50A,50Bのみへ電流を供給する。
この構成では、ポンプ部10の出力が所定値以下である場合、最も温度が低いと判定されたモータ部50A,50Bのみへ電流が供給される。このように電動モータ100に要求される出力が比較的小さい場合には、最も温度が低く熱損失が最も低いと推定されるモータ部50A,50Bのみを駆動させることにより電動モータ100の運転効率を向上させることができる。
また、モータ部50A,50Bは2つ設けられ、制御部60は、ポンプ部10を駆動するために必要な電流値であって、2つのモータ部50A,50Bに供給される電流値をIt、第1モータ部50Aに関連する抵抗値であって、温度センサ64A,65Aで検出された温度における抵抗値をRa、第2モータ部50Bに関連する抵抗値であって、温度センサ64B,65Bで検出された温度における抵抗値をRb、第1モータ部50Aに供給される電流値をIa、第2モータ部50Bに供給される電流値をIb、とした場合に、上記式(3)及び上記式(4)が成り立つように2つのモータ部50A,50Bへ供給される電流の配分を制御する。
この構成では、上記式(3)及び上記式(4)が成り立つように2つのモータ部50A,50Bへ供給される電流の配分が制御される。このように、電動モータ100の合計熱損失Lossが最小となるように、2つのモータ部50A,50Bに供給される電流値Ia,Ibの配分を制御することによって、電動モータ100の運転効率を向上させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
100・・・電動モータ、10・・・ポンプ部(負荷)、50A・・・第1モータ部(モータ部)、50B・・・第2モータ部(モータ部)、60・・・制御部、62A・・・第1インバータ、62B・・・第2インバータ、64A・・・第1コイル温度センサ(温度検出器)、64B・・・第2コイル温度センサ(温度検出器)、65A・・・第1素子温度センサ(温度検出器)、65B・・・第2素子温度センサ(温度検出器)
Claims (4)
- 同一の負荷を駆動するように接続された複数のモータ部と、
前記モータ部毎に設けられ、前記モータ部に関連する温度を検出する温度検出器と、
複数の前記モータ部に供給される電流の配分を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、複数の前記モータ部で生じる熱損失の合計が減少するように、複数の前記温度検出器で検出された温度に基づいて前記電流の配分を制御することを特徴とする電動モータ。 - 前記制御部は、
前記温度検出器で検出された温度と、前記モータ部に関連する抵抗値と、の相関性を示す抵抗値マップを有し、
前記抵抗値マップから求められたそれぞれの前記モータ部に関連する抵抗値と、前記負荷を駆動するために必要とされる電流値と、に基づいて前記電流の配分を決定することを特徴とする請求項1に記載の電動モータ。 - 前記モータ部は2つ設けられ、
前記制御部は、前記負荷の出力が所定値以下である場合、2つの前記モータ部のうち温度が低い方の前記モータ部のみへ電流を供給することを特徴とする請求項1または2に記載の電動モータ。 - 前記モータ部は2つ設けられ、
前記制御部は、
前記負荷を駆動するために必要な電流値であって、2つの前記モータ部に供給される電流値をIt、
一方の前記モータ部に関連する抵抗値であって、前記温度検出器で検出された温度における抵抗値をRa、
他方の前記モータ部に関連する抵抗値であって、前記温度検出器で検出された温度における抵抗値をRb、
一方の前記モータ部に供給される電流値をIa、
他方の前記モータ部に供給される電流値をIb、
とした場合に、以下の(式1)及び(式2)が成り立つように2つの前記モータ部へ供給される電流の配分を制御することを特徴とする請求項1から3の何れか1つに記載の電動モータ。
Ia=It・Rb/(Ra+Rb) ・・・(式1)
Ib=It-Ia ・・・(式2)
Priority Applications (1)
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JP2020117040A JP2022014617A (ja) | 2020-07-07 | 2020-07-07 | 電動モータ |
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2020
- 2020-07-07 JP JP2020117040A patent/JP2022014617A/ja active Pending
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