JP2022013672A - モータ装置 - Google Patents

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哲平 時崎
Teppei Tokisaki
有一 高村
Yuichi Takamura
直樹 緒方
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Abstract

【課題】長期に亘って安定した電流リップルを発生させることができ、小型軽量化は勿論のこと、高精度で制御し得るモータ装置を提供する。【解決手段】モータ装置のトータル運転時間が長くなって、ブラシ50の摩耗長さが徐々に増加して、通電を阻害する黒鉛被膜や酸化被膜がコンミテータ26の表面に徐々に堆積するような場合に、ブラシ50の電気抵抗値(Ω)は徐々に小さくなる。つまり、ブラシ50は、短くなるに連れて通電し易くなる。これにより、コントローラにより検出される電流リップルの波形を、コンミテータ26の表面の状態に関わらず安定化させることが可能となる。したがって、モータ装置の小型軽量化は勿論のこと、モータ装置を長期に亘って高精度で制御することが可能となる。【選択図】図5

Description

本発明は、回転軸を有するアーマチュアと、回転軸に固定されたコンミテータと、コンミテータに先端側が摺接されるブラシと、を備えたモータ装置に関する。
従来、自動車等の車両に搭載されるパワーウィンドウ装置等の駆動源には、小型でありながら大きな出力が得られる減速機構付きのモータ装置が用いられている。そして、車室内の操作スイッチ等を操作することでモータ装置が正方向または逆方向に駆動され、これによりウィンドウガラス等の開閉体が開閉される。
このようなモータ装置が、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載されたモータ装置は、環状のセンサマグネットが固定されたアーマチュア軸と、アーマチュア軸の近傍に配置され、回転センサが実装されたセンサ基板と、を備えている。そして、回転センサがセンサマグネットの回転状態を検出することで、コントローラがアーマチュア軸の回転状態を制御するようになっている。
特開2014-155425号公報
しかしながら、上述の特許文献1に記載されたモータ装置では、アーマチュア軸(回転軸)の回転状態を、センサマグネットおよび回転センサを用いて制御するようにしている。したがって、センサマグネットおよび回転センサ(センサ基板)を有する分、モータ装置の小型軽量化には限界があった。
そこで、モータ装置の駆動時に発生する電流リップル(脈流)を利用して、コントローラに回転軸の回転状態を把握させて、これにより回転軸の回転状態を制御することが考えられる。すなわち、電流リップルを利用することで、センサマグネットおよび回転センサを省略することが可能となる。
具体的には、ブラシ付きのモータ装置では、コンミテータを形成する複数のセグメントをブラシが跨ぐたびに有効導体数が変化する。この有効導体数の変化がモータ装置に流れる電流(モータ電流)を変動させる。
例えば、図4に示されるように、合計8個のセグメントを備え、かつ対向配置された2個のブラシを有するモータ装置の場合には、コンミテータ(回転軸)の回転に伴い、有効導体数が「8(跨がない)→6(跨ぐ)→8→6…」と変化する。
ここで、図9(a),(b)は、図4に示されるモータ装置の作動初期および作動終期における電流リップルを示すグラフであり、図9(a)に示されるように、コンミテータが1回転(360[deg])する間に、合計8回の電流リップルのピーク値P1~P8(12[A]以上)が発生する。よって、これらの電流リップルのピーク値P1~P8をコントローラにカウントさせることで、コントローラは、回転軸の回転状態を把握して回転軸を高精度で制御することが可能となる。
ただし、図9(a),(b)に示されるように、電流リップルの発生具合は、モータ装置の作動初期(トータル運転時間「短」)とモータ装置の作動終期(トータル運転時間「長」)とで相違する場合がある。例えば、作動終期では、コンミテータが1回転する間に電流リップルのピーク値がP1~P6しか出現しなくなる。よって、回転軸の回転状態を精度良く制御するのが困難になる。
本発明の目的は、長期に亘って安定した電流リップルを発生させることができ、小型軽量化は勿論のこと、高精度で制御し得るモータ装置を提供することにある。
本発明のモータ装置では、回転軸を有するアーマチュアと、前記回転軸に固定されたコンミテータと、先端側が前記コンミテータに摺接されるブラシと、を備えたモータ装置であって、前記ブラシは、先端部、中間部および基端部を有し、かつ前記先端部、前記中間部および前記基端部の順に電気抵抗値が小さくなっており、前記ブラシの限界摩耗長さを10としたときに、前記ブラシの摩耗長さが0以上1未満の部分に前記先端部が配置され、前記ブラシの摩耗長さが1以上4未満の部分に前記中間部が配置され、前記ブラシの摩耗長さが4以上10未満の部分に前記基端部が配置されていることを特徴とする。
本発明のモータ装置によれば、モータ装置のトータル運転時間が長くなって、ブラシの摩耗長さが徐々に増加して、通電を阻害する黒鉛被膜や酸化被膜がコンミテータの表面に徐々に堆積するような場合に、ブラシの電気抵抗値は徐々に小さくなる。つまり、ブラシは、短くなるに連れて通電し易くなる。
これにより、コントローラにより検出される電流リップルの波形を、コンミテータの表面の状態に関わらず安定化させることが可能となる。したがって、モータ装置の小型軽量化は勿論のこと、モータ装置を長期に亘って高精度で制御することが可能となる。
本発明のモータ装置の概要を示す斜視図である。 回転軸の軸方向に沿うモータ部の断面図である。 図2のA-A線に沿う断面図である。 図2のB-B線に沿う断面図である。 コンミテータおよび一対のブラシを示す斜視図である。 安定した電流特性が得られることを説明するグラフである。 実施の形態2のブラシを示す斜視図である。 実施の形態3のブラシを示す斜視図である。 (a),(b)は、モータ装置の作動初期および作動終期における電流リップルを示すグラフである。 実施の形態4のモータ装置の図1に対応した斜視図である。
以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明のモータ装置の概要を示す斜視図を、図2は回転軸の軸方向に沿うモータ部の断面図を、図3は図2のA-A線に沿う断面図を、図4は図2のB-B線に沿う断面図を、図5はコンミテータおよび一対のブラシを示す斜視図を、図6は安定した電流特性が得られることを説明するグラフをそれぞれ示している。
図1に示されるモータ装置10は、自動車等の車両に搭載されるパワーウィンドウ装置の駆動源に用いられ、ウィンドウガラスを昇降させるウィンドウレギュレータを駆動するものである。モータ装置10は、小型でありながら大きな出力が得られる減速機構付きのモータ装置であり、車両のドア内に形成された幅狭のスペースに設置される。モータ装置10は、モータ部20とギヤ部30とを備えており、これらは互いに複数の締結ねじ(図示せず)によって連結され、ユニット化されている。
図1ないし図4に示されるように、モータ部20は、磁性体からなる鋼板を深絞り加工等することで有底筒状に形成されたヨーク21を備えている。ヨーク21は、その軸方向と交差する方向の断面形状が略小判形状に形成されており、これによりヨーク21は扁平形状とされ、車両への搭載性を向上させている。
また、ヨーク21の内壁には、当該ヨーク21の軸方向と交差する方向の断面形状が略円弧形状に形成された一対のマグネット22が固定されている。具体的には、これらのマグネット22は互いに対向配置されており、接着剤等(図示せず)によりヨーク21の内壁に強固に固定されている。
一対のマグネット22の径方向内側には、所定の隙間Sを介して、アーマチュア23が回転自在に設けられている。アーマチュア23は、合計8個のスロットSLを備えており、これらのスロットSLには、インシュレータISを介してコイル24が重ね巻き等の巻き方で巻装されている。すなわち、本実施の形態のモータ装置10は、2極8スロット型のモータ装置であり、小型軽量化に優れた構造となっている。
アーマチュア23の回転中心には、アーマチュア軸(回転軸)25が貫通して固定されている。アーマチュア軸25の軸方向一側(図中右側)は、ヨーク21の段付底部21aに装着された第1軸受部材B1により回転自在に支持されている。また、アーマチュア軸25の軸方向他側(図中左側)は、ギヤハウジング31の内部に装着された第2軸受部材B2(図1参照)により回転自在に支持されている。
図2,図4および図5に示されるように、アーマチュア軸25の軸方向中央寄りの部分で、かつアーマチュア23の近傍には、略筒状に形成されたコンミテータ26が固定されている。コンミテータ26の径方向外側には、合計8個のセグメント27が設けられている。これらのセグメント27は、合計8個のスロットに対応して設けられ、それぞれのセグメント27には、コイル24が電気的に接続されている。
また、アーマチュア軸25の軸方向他側(図2中左側)には、減速機構SDを形成するウォーム28が、圧入等により強固に固定されている。そして、ウォーム28は、減速機構SDを形成するウォームホイール32の歯部32aに噛み合わされている。これにより、アーマチュア軸25の回転が減速され、減速されて高トルク化された回転力が、ウォームホイール32の出力部33から、モータ装置10の駆動対象物であるウィンドウレギュレータに出力される。
図1に示されるように、ギヤ部30は、プラスチック等の樹脂材料により所定形状に形成されたギヤハウジング31を備えている。なお、ギヤハウジング31の内部構造を分かり易くするために、ギヤハウジング31の外形を破線で示している。また、ギヤハウジング31においても、ヨーク21と同様に扁平形状となっている。
ギヤハウジング31の内部には、ウォーム減速機からなる減速機構SDが回転自在に収容されている。減速機構SDは、アーマチュア軸25に固定されたウォーム28と、ウォーム28に噛み合わされる歯部32aを備えたウォームホイール32とから構成されている。
ウォームホイール32の回転中心には、セレーション部33aを備えた出力部33が一体に設けられている。そして、出力部33は、ウィンドウレギュレータの入力部(図示せず)に動力伝達可能に接続されるようになっている。なお、出力部33の軸方向およびアーマチュア軸25の軸方向は、互いに直交している。
また、ギヤハウジング31の内部には、モータ装置10の回転状態、つまりアーマチュア23の回転を制御するコントローラ34が収容されている。コントローラ34は、CPUやその他の電子部品(詳細図示せず)が実装された基板からなり、コントローラ34には、複数の第1導電部材35の基端部が電気的に接続されている。これらの第1導電部材35の先端部には、車両側の外部コネクタに設けられた複数の接続端子(図示せず)がそれぞれ電気的に接続されるようになっている。
なお、第1導電部材35の先端部は、ギヤハウジング31に一体に設けられたコネクタ接続部31aの内部に露出されている。これにより、コネクタ接続部31aに外部コネクタを接続するだけで、外部コネクタの接続端子と第1導電部材35とが、互いに電気的に接続される。
さらに、コントローラ34には、一対の第2導電部材36の基端部が電気的に接続されている。これらの第2導電部材36の先端部には、モータ装置10を組み立てた状態において、一対の駆動用導電部材47(図4参照)がそれぞれ電気的に接続される。これにより、ブラシホルダ40に保持された一対のブラシ50(図4ないし図6参照)に対して駆動電流が供給され、ひいてはモータ装置10が駆動される。
そして、コントローラ34に実装されたCPU(図示せず)は、モータ装置10に流れる電流の変動を監視するようになっている。すなわち、コントローラ34は、一対のブラシ50,コンミテータ26およびコイル24に流れている実電流値を検出するようになっている。より具体的には、コントローラ34は、図9(a),(b)に示されるように、アーマチュア軸25(コンミテータ26)が1回転する間の電流リップル(脈流)のピーク値P1~P8をカウント(計数)するようになっている。つまり、コントローラ34は、アーマチュア軸25の回転に伴って発生する電流リップルのピーク値P1~P8を検出してアーマチュア23の回転を制御するようになっている。
ここで、電流リップルのピーク値P1~P8のカウントは、予め所定の大きさに設定された電流閾値(図示せず)との比較により行われる。例えば、本実施の形態においては、電流閾値は12[A]に設定されている。これにより、コントローラ34は、アーマチュア軸25の回転状態を精度良く把握することができ、ひいてはアーマチュア軸25の回転状態を高精度で制御可能となっている。
図2に示されるように、ヨーク21の軸方向において段付底部21a側とは反対側には、開口部21bが設けられている。開口部21bには、プラスチック等の樹脂材料よりなるブラシホルダ40が装着されている。すなわち、ヨーク21の開口部21bは、ブラシホルダ40により閉塞されている。
図1,図2および図4に示されるように、ブラシホルダ40は、ヨーク21の断面形状と同様に略小判形状に形成されたホルダ本体41を備えている。ホルダ本体41には、アーマチュア軸25の軸方向と交差する方向に広がる底壁部42と、当該底壁部42の周囲を囲うようにして配置された側壁部43と、が設けられている。ここで、側壁部43は、アーマチュア軸25の軸方向に延在されており、側壁部43の延在方向における略中間部分の内側に、底壁部42が一体に設けられている。
そして、側壁部43の延在方向一側(図2中右側)が、ヨーク21の開口部21bに差し込まれて固定される。一方、側壁部43の延在方向他側(図2中左側)が、ギヤハウジング31のホルダ固定部(図示せず)に差し込まれて固定される。すなわち、ブラシホルダ40は、モータ装置10を組み立てた状態において、ヨーク21およびギヤハウジング31の双方に支持される。
なお、側壁部43の延在方向の略中間部分で、かつ底壁部42側とは反対側(外側)には、天然ゴム等の弾性材料からなるシール部材44が装着されている。これにより、シール部材44は、ヨーク21とギヤハウジング31との間に挟持されて、ひいてはモータ装置10の内部への雨水や埃等の進入が阻止される。
また、図2および図4に示されるように、底壁部42の略中央部分には、アーマチュア軸25が挿通される挿通孔42aが設けられている。挿通孔42aの部分には、アーマチュア軸25に固定されたコンミテータ26が、微小隙間を介して配置されており、コンミテータ26(アーマチュア軸25)は、底壁部42に接触すること無く、スムーズに回転可能となっている。
図1,図2および図4に示されるように、底壁部42のギヤハウジング31側の面には、アーマチュア軸25の軸方向に延びる筒状部45が一体に設けられている。筒状部45は、その軸方向と交差する方向の断面形状が、ホルダ本体41の断面形状と同様に略小判形状に形成されており、筒状部45の基端側が、底壁部42の略中央部分に固定されている。すなわち、筒状部45の径方向内側(内部)は、挿通孔42a(図2参照)に連通されている。
また、筒状部45の先端側で、かつ筒状部45の径方向内側には、第3軸受部材B3が装着されている。第3軸受部材B3は、図2に示されるように、アーマチュア軸25の軸方向における略中間部分を回転自在に支持している。具体的には、第3軸受部材B3は、アーマチュア軸25の軸方向におけるコンミテータ26とウォーム28との間に配置されている。
このように、アーマチュア軸25は、第1軸受部材B1,第2軸受部材B2および第3軸受部材B3の合計3箇所で支持されている。これにより、ウォーム28とウォームホイール32の歯部32aとの噛み合い状態を、モータ装置10に掛かる負荷の大きさに関わらず適正に保持することができる。
さらに、図4に示されるように、底壁部42のギヤハウジング31側には、略箱形状に形成された一対のブラシガイド46と、一対のチョークコイルCCと、一対の駆動用導電部材47と、コンデンサKDと、がそれぞれ配置されている。そして、筒状部45を中心に、一対のブラシガイド46が互いに対向し、一対のチョークコイルCCが互いに対向し、さらには駆動用導電部材47とコンデンサKDとが互いに対向している。
そして、一対のブラシガイド46は、略直方体形状に形成されたブラシ(カーボンブラシ)50を、それぞれ移動自在に支持(保持)している。なお、一対のブラシ50は、それぞれブラシスプリング48のばね力により、所定の押圧力でコンミテータ26に押圧されている。これにより、高速回転されるコンミテータ26に対してブラシ50が確実に摺接されて、コンミテータ26に確実に駆動電流が供給される。
一対のブラシ50は、筒状部45を中心に互いに180度間隔となるように対向配置されている。これにより、図4に示されるように、コンミテータ26の隣り合うセグメント27を、それぞれ同時に跨ぐようになっている。すなわち、モータ装置10の有効導体数は、コンミテータ26の回転に伴って、「8(跨がない)→6(跨ぐ)→8→6…」と変化するようになっている。
ここで、図4に示されるように、アーマチュア軸25の回転方向において、一方のブラシガイド46と一方のチョークコイルCCとの間に、一対の駆動用導電部材47が配置されている。これに対し、アーマチュア軸25の回転方向において、他方のブラシガイド46と他方のチョークコイルCCとの間に、コンデンサKDが配置されている。このように、一対の駆動用導電部材47およびコンデンサKDは、それぞれ底壁部42の比較的大きなデッドスペースに配置されており、よって、ブラシホルダ40の大型化が避けられている。
なお、一対のチョークコイルCCは、アーマチュア軸25の駆動時に発生するブラシノイズ(電気ノイズ)を吸収して、当該ブラシノイズの外部への放散を防止する機能を備えている。また、コンデンサKDは、アーマチュア軸25の回転方向を決める機能に加えて、アーマチュア軸25に起動トルクおよび定格トルクを発生させる機能を備えている。
ここで、詳細には図示しないが、一対の駆動用導電部材47と一対のブラシ50との間に、一対のチョークコイルCCおよび1つのコンデンサKDが電気的に接続されており、これにより、ブラシホルダ40にモータ装置10の駆動回路が形成される。
図4ないし図6に示されるように、一対のブラシ50は、それぞれ同じ形状に形成されている。ブラシ50は、コンミテータ26側となる先端側からブラシスプリング48側となる基端側に向けて、先端部51,中間部52および基端部53を備えている。具体的には、ブラシ50の長手方向は、コンミテータ26(アーマチュア軸25)の軸方向に対して直交しており、コンミテータ26の軸方向と直交する方向において、先端部51,中間部52および基端部53が、コンミテータ26側からブラシスプリング48側に向けて、この順番で並んで配置されている。
なお、ブラシ50の先端部51,中間部52および基端部53の部分を除く他の部分は、ブラシ50として使用不可能な使用不能部54となっている。そして、使用不能部54には、ブラシ50に駆動電流を供給するピグテール(配線)PTの端部が電気的に接続されており、さらには、ブラシスプリング48(図4参照)を支持するスプリング支持溝SGが形成されている。
図5および図6に示されるように、先端部51,中間部52および基端部53の境界部分がそれぞれ二点鎖線で示されており、これらの境界部分には、外観上段差等の形状変化が何も無い。先端部51,中間部52および基端部53のそれぞれは、互いに形状に変化は無いが、銅の含有率がこの順番で徐々に大きくなるように設定されている。具体的には、先端部51における銅の含有率が「50~70%(少量)」に設定され、中間部52における銅の含有率が「70~90%(中量)」に設定され、基端部53における銅の含有率が「90~100%(多量)」に設定されている。
すなわち、ブラシ50は、先端側から基端側に向けてそれぞれ電気抵抗値(Ω)が小さくなるように形成されており、先端部51の電気抵抗値が最も大きく、基端部53の電気抵抗値が最も小さく、中間部52の電気抵抗値が先端部51と基端部53との間の中間の大きさの電気抵抗値にそれぞれ設定されている。
より具体的には、先端部51の電気抵抗値は「0.03Ω」に設定され、中間部52の電気抵抗値は「0.015Ω」に設定され、基端部53の電気抵抗値は「0.0075Ω」に設定されている。つまり、中間部52の電気抵抗値は先端部51の半分(1/2)の値となっており、基端部53の電気抵抗値は中間部52の半分(1/2)の値となっている。
また、図6に示されるように、ブラシ50の長手方向において、先端部51の長さ寸法L1が最も短く、基端部53の長さ寸法L3が最も長く、中間部52の長さ寸法L3が先端部51と基端部53との間の中間の長さ寸法L2に設定されている(L1<L2<L3)。ここで、先端部51ないし基端部53の長さ寸法の合計値である「L1+L2+L3」は、ブラシ50の「限界摩耗長さ」となっている。
すなわち、ブラシ50は、モータ装置10のトータル運転時間が長くなるに連れて摩耗して短くなり、「限界摩耗長さ=L1+L2+L3」に到達したところでブラシ50は寿命を迎え、新品のブラシ50に交換する必要がある。そして、本実施の形態では、ブラシ50の限界摩耗長さを[10]としたときに、ブラシ50の摩耗長さが[0以上1未満]の部分に先端部51が配置されている。また、ブラシ50の摩耗長さが[1以上4未満]の部分に中間部52が配置されている。さらに、ブラシ50の摩耗長さが[4以上10未満]の部分に基端部53が配置されている。
言い換えれば、本実施の形態のブラシ50では、限界摩耗長さに対する先端部51,中間部52および基端部53の割合(比率)が、[1:3:6]に設定されている。より具体的には、本実施の形態では、車載用のモータ装置10に適用される小型のブラシ50を用いているため、限界摩耗長さは例えば「8.0mm」とされ、よって、先端部51の長さ寸法L1が「0.8mm」,中間部52の長さ寸法L2が「2.4mm」,基端部53の長さ寸法L3が「4.8mm」となっている。
このように、限界摩耗長さ対する先端部51,中間部52および基端部53の割合(比率)を[1:3:6]に設定し、かつそれぞれの電気抵抗値を「0.03Ω」→「0.015Ω」→「0.0075Ω」のように段階的に小さくなるように設定することで、図6の太線グラフ(本発明)に示されるような電流特性が得られる。ここで言う「電流特性」とは、モータ装置10の駆動時に流れる電流の電流波形の基本次数成分と、その他の次数成分の合計との割合のことである。よって、電流特性が100%であれば基本次数成分のみとなり、電流波形に歪みが無く理想の電流波形(理想値)となる。これに対し、電流特性のパーセンテージ(%)が低いほど、その他の次数成分が増加して、電流波形が大きく歪むことを意味する。
本実施の形態(本発明)では、図6の太線グラフに示されるように、耐用回転回数が10,000回の略全域において、電流特性が50%以上のところで大きな変動が無く(振れ幅が小さく)、終始安定していることが分かる。ここで、「耐用回転回数=10,000回」とは、ブラシ50が限界摩耗長さの分だけ短くなり、ひいてはブラシ50が寿命を迎えるコンミテータ26(図5参照)の回転回数のことである。このように、本実施の形態では、モータ装置10のトータル運転時間に関わらず、安定した電流特性が得られるようになっている。
これは、モータ装置10のトータル運転時間が増えて、コンミテータ26の表面に黒鉛被膜や酸化被膜が生じた場合でも、モータ装置10のトータル運転時間の増加に伴ってブラシ50の電気抵抗値が徐々に小さくなるからである。すなわち、通電性能の悪化要因となる黒鉛被膜や酸化被膜の増加具合と、通電性能を徐々に高める電気抵抗値の減少具合とを、最適にバランスさせている。よって、ブラシ50とコンミテータ26との導通性能を良好な状態に維持することが可能となり、長期に亘って図9(a)に示されるような安定した電流リップルを発生させることが可能となる。
これに対し、図6の破線グラフは、ブラシの長手方向全域において銅の含有率を所定値で一定とした、つまり何の対策も施していない比較例のブラシの電流特性を示している。これによると、ブラシの摩耗量が多くなる(短くなる)に連れて、電流特性が大きく歪んでおり、略50%の部分に設定された特性閾値Thを早々に下回ることが分かる。特に、耐用回転回数が2,000回を超えた辺りから僅かではあるが特性閾値Thを下回り始める。また、耐用回転回数が5,000回を超えた辺りから頻繁にかつ大きく特性閾値Thを下回るようになる。このように、電流特性が特性閾値Thを下回ると、図9(b)に示されるような不安定な電流リップルを発生させることになる。
そこで、本発明では上述のような比較例の電流特性に基づき、耐用回転回数が1,000回のところで電気抵抗値を小さくし(1回目)、耐用回転回数が4,000回のところでさらに電気抵抗値を小さくしている(2回目)。なお、上述した比較例の電流特性からすると、耐用回転回数が2,000回のところで電気抵抗値を小さくし(1回目)、耐用回転回数が5,000回のところでさらに電気抵抗値を小さくする(2回目)ことも考えられる。しかしながら、モータ装置10の使用環境(高温環境/高湿環境)が想定よりも過酷な場合には、コンミテータ26の表面に黒鉛被膜や酸化被膜がより早期に生じてしまう虞がある。これにより、本実施の形態においては、電気抵抗値を小さくする耐用回転回数を、それぞれ早めの1,000回(1回目)のところ、および4,000回(2回目)のところに設定している。
以上詳述したように、本実施の形態に係るモータ装置10によれば、モータ装置10のトータル運転時間が長くなって、ブラシ50の摩耗長さが徐々に増加して、通電を阻害する黒鉛被膜や酸化被膜がコンミテータ26の表面に徐々に堆積するような場合に、ブラシ50の電気抵抗値(Ω)は徐々に小さくなる。つまり、ブラシ50は、短くなるに連れて通電し易くなる。
これにより、コントローラ34により検出される電流リップルの波形を、コンミテータ26の表面の状態に関わらず安定化させることが可能となる。したがって、モータ装置10の小型軽量化は勿論のこと、モータ装置10を長期に亘って高精度で制御することが可能となる。
また、本実施の形態に係るモータ装置10によれば、先端部51の銅の含有率、中間部52の銅の含有率および基端部53の銅の含有率が、この順番で徐々に大きくなっているので、ブラシ50の外観を変化させること無く、先端部51から基端部53に向けて電気抵抗値(Ω)を徐々に小さくすることができる。よって、ブラシ50をブラシホルダ40のブラシガイド46に容易に組み付けることができ、モータ装置10の組み立て性を向上させることができる。
次に、本発明の他の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
図7は実施の形態2のブラシを示す斜視図を、図8は実施の形態3のブラシを示す斜視図をそれぞれ示している。
図7に示されるように、実施の形態2では、上述した実施の形態1のブラシ50(図5参照)に比して、ブラシ60の形状が異なっている。また、ブラシ60の長手方向全域において、銅の含有率を所定値で一定の値(例えば70~90%)とした点が異なっている。
ブラシ60は、略階段状に形成されており、コンミテータ26(アーマチュア軸25)の軸方向に沿う先端部61の断面積,中間部62の断面積および基端部63の断面積が、この順番で段階的に大きくなっている。より具体的には、使用不能部64のピグテールPTが接続された接続面SFが、使用不能部64から先端部61に向かうに連れて、徐々に下るようにして略階段状となっている。なお、ブラシ60の長手方向に沿う先端部61,中間部62および基端部63の長さ寸法は、それぞれ実施の形態1と略同じ長さ寸法(1:3:6の比率)となっている。
このようにブラシ60の形状を略階段状にすることで、実施の形態1のブラシ50と同様に、短くなるに連れてブラシ60は通電し易くなる。したがって、実施の形態2においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態2では、先端部61,中間部62および基端部63のそれぞれにおいて、銅の含有率を変化させることが無いので、ブラシ60の成形装置を簡素化することができる。また、ブラシ60を略階段状にするため、ブラシ60の摩耗具合を容易に目視することが可能となる。
ここで、ブラシ60の接続面SF側の部分のみを略階段状にせずに、図8(実施の形態3)に示されるように、ブラシ70の使用不能部74から基端部73,中間部72および先端部71に向けて、ブラシ70の接続面SFの他にも側面SMも略階段状にして、徐々に先細り形状となるようにしても良い。このような実施の形態3においても、実施の形態2と略同様の作用効果を奏することができる。なお、ブラシ70においても、その長手方向全域において、銅の含有率が所定値で一定の値(例えば70~90%)となっている。
次に、本発明の実施の形態4について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
図10は実施の形態4のモータ装置の図1に対応した斜視図を示している。
図10に示されるように、実施の形態4のモータ装置80は、コントローラ34(図1参照)を備えておらず、一対の導電部材81を有する単純な構造のモータ装置80となっている。具体的には、モータ装置80には、車両側に搭載された車載コントローラCUが電気的に接続され、これによりモータ装置80は、車載コントローラCUからの駆動電流により正逆方向に回転駆動される。そして、車載コントローラCUは、上述したコントローラ34と同様に、モータ装置80に流れる電流の変動を監視する。つまり、車載コントローラCUは、コントローラ34と同様の機能を有している。
モータ装置80は、コントローラ34を備えていない分、実施の形態1のモータ装置10に比して、小型軽量化および構造の簡素化(コストダウン)が図られている。そして、実施の形態1のモータ装置10に比して、ブラシホルダ82の形状が異なっている。
モータ装置80を形成するブラシホルダ82には、コネクタ接続部83が一体に設けられている。コネクタ接続部83は、略箱形状に形成されており、当該コネクタ接続部83には、外部コネクタ(図示せず)を介して車載コントローラCUが接続されている。
コネクタ接続部83は、橋渡し部84を介してブラシホルダ82に一体化されており、当該橋渡し部84の内部には、一対の導電部材81がインサート成形により埋設されている。そして、これら一対の導電部材81の基端部(ブラシホルダ82側)は、一対の駆動用導電部材47(図4参照)に、それぞれ電気的に接続されている。一方、一対の導電部材81の先端部(コネクタ接続部83側)は、コネクタ接続部83の内部に露出されている。
これにより、コネクタ接続部83に外部コネクタを接続するだけで、モータ装置80と車載コントローラCUとが互いに確実に電気的に接続される。よって、ブラシホルダ82に保持された一対のブラシ50(図5参照)に対して駆動電流が供給され、ひいてはモータ装置80が駆動される。
以上のように構成した実施の形態4においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態4では、モータ装置80を単体で見たときに、実施の形態1のモータ装置10に比して、小型軽量化および構造の簡素化(コストダウン)を図ることができる。
なお、実施の形態4では、図5に示されるブラシ50を適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、図7に示されるブラシ60(実施の形態2)や、図8に示されるブラシ70(実施の形態3)を適用することもできる。
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態においては、モータ装置10,80を、パワーウィンドウ装置の駆動源に適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、他の車載装置、例えばパワースライドドア装置,シートスライド装置,ワイパ装置等の駆動源にも適用することができる。
その他、上記各実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上記各実施の形態に限定されない。
10:モータ装置,20:モータ部,21:ヨーク,21a:段付底部,21b:開口部,22:マグネット,23:アーマチュア,24:コイル,25:アーマチュア軸(回転軸),26:コンミテータ,27:セグメント,28:ウォーム,30:ギヤ部,31:ギヤハウジング,31a:コネクタ接続部,32:ウォームホイール,32a:歯部,33:出力部,33a:セレーション部,34:コントローラ,35:第1導電部材,36:第2導電部材,40:ブラシホルダ,41:ホルダ本体,42:底壁部,42a:挿通孔,43:側壁部,44:シール部材,45:筒状部,46:ブラシガイド,47:駆動用導電部材,48:ブラシスプリング,50:ブラシ,51:先端部,52:中間部,53:基端部,54:使用不能部,60:ブラシ,61:先端部,62:中間部,63:基端部,64:使用不能部,70:ブラシ,71:先端部,72:中間部,73:基端部,74:使用不能部,80:モータ装置,81:導電部材,82:ブラシホルダ,83:コネクタ接続部,84:橋渡し部,B1:第1軸受部材,B2:第2軸受部材,B3:第3軸受部材,CC:チョークコイル,CU:車載コントローラ,IS:インシュレータ,KD:コンデンサ,P1~P8:ピーク値,PT:ピグテール,S:隙間,SD:減速機構,SF:接続面,SG:スプリング支持溝,SL:スロット,SM:側面,Th:特性閾値

Claims (3)

  1. 回転軸を有するアーマチュアと、
    前記回転軸に固定されたコンミテータと、
    先端側が前記コンミテータに摺接されるブラシと、
    を備えたモータ装置であって、
    前記ブラシは、先端部、中間部および基端部を有し、かつ前記先端部、前記中間部および前記基端部の順に電気抵抗値が小さくなっており、
    前記ブラシの限界摩耗長さを10としたときに、
    前記ブラシの摩耗長さが0以上1未満の部分に前記先端部が配置され、
    前記ブラシの摩耗長さが1以上4未満の部分に前記中間部が配置され、
    前記ブラシの摩耗長さが4以上10未満の部分に前記基端部が配置されていることを特徴とする、
    モータ装置。
  2. 前記先端部の銅の含有率、前記中間部の銅の含有率および前記基端部の銅の含有率が、この順番で徐々に大きくなっていることを特徴とする、
    請求項1に記載のモータ装置。
  3. 前記回転軸の軸方向に沿う前記先端部の断面積、前記中間部の断面積および前記基端部の断面積が、この順番で徐々に大きくなっていることを特徴とする、
    請求項1または請求項2に記載のモータ装置。
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