JP2022013418A - ベンゾオキサジン化合物含有混合物、これを含む硬化性組成物および該硬化性組成物を硬化させてなる硬化物 - Google Patents

ベンゾオキサジン化合物含有混合物、これを含む硬化性組成物および該硬化性組成物を硬化させてなる硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】他の樹脂(好ましくは、エポキシ化合物)に対して相溶性を有し、硬化性組成物に含有させたときに、その硬化物が高耐熱性を有することができる、ベンゾオキサジン化合物を含んでなる混合物、およびその硬化性組成物の提供。【解決手段】p-アミノフェノールと、芳香族第1級ジアミン類と、モノフェノール類と、ホルムアルデヒド類とを縮合して得られる化合物の混合物であって、前記混合物は式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物を含んでなり、前記混合物の数平均分子量は600~1500である混合物、及びそれを含んでなる硬化性組成物。TIFF2022013418000020.tif45162【選択図】なし

Description

本発明は、ベンゾオキサジン化合物含有混合物、これを含む硬化性組成物および該硬化性組成物を硬化させてなる硬化物に関する。
硬化樹脂は半導体封止材、繊維強化プラスチック等各種用途に使用され、その一原料としてベンゾオキサジン化合物が使用されている。
ベンゾオキサジン化合物とは、ベンゼン骨格とオキサジン骨格とを有するベンゾオキサジン環を含む化合物を指し、その硬化物(重合物)は、耐熱性等の物性に優れ、多方面の用途において高性能材料として使用されている。
ベンゾオキサジン化合物としては、例えば、特許文献1に、高い熱伝導率を有するベンゾオキサジン樹脂硬化物を製造するために用いられる原料となる特定構造のベンゾオキサジン化合物およびその製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、特定構造のベンゾオキサジン環構造を主鎖中に有するポリベンゾオキサジン樹脂の反応性末端を封止した熱硬化性樹脂が開示されている。
さらに、ベンゾオキサジン化合物を得る方法としては、p-アミノフェノールを原料とする方法が知られている。例えば、非特許文献1には、p-アミノフェノールを用いて合成したベンゾオキサジン化合物が開示されている。
特開2013‐060407号公報 特開2012‐036318号公報
TAREK AGAG, TSUTOMU TAKEICHI, Journal of Polymer Science:PartA: Polymer Chemistry, 2007, vol.45, p.1878-1888
p-アミノフェノールを原料としてベンゾオキサジン化合物を得る場合、その分子量分布の制御が困難であり、高分子量体は他樹脂との相溶性を低下させ、低分子量体は耐熱性を低下させることが本発明者らの検討により明らかとなった。さらに、高分子量体の生成は芳香族第1級モノアミン類およびモノフェノール類をキャッピング剤として添加することにより抑制することができるが、芳香族第1級モノアミン類とモノフェノール類から生成するベンゾオキサジン単量体により、硬化後の耐熱性が低下するという問題点もあることが本発明者らの検討により明らかとなった。
したがって、本発明は、他の樹脂(好ましくは、エポキシ化合物)に対して相溶性を有しながら、さらに、硬化性組成物に含有させたときに、その硬化物が高耐熱性を有することができる、ベンゾオキサジン化合物を含んでなる混合物の提供をその目的とするものである。また、本発明の別の目的は、高耐熱性を有する硬化物を得るための硬化性組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、特定の原料を用いて合成したベンゾオキサジン化合物含有混合物が、高分子量体および低分子量体の生成が抑制されることにより、他の樹脂(好ましくは、エポキシ化合物)に対する相溶性が優れながら、他の樹脂(好ましくは、エポキシ化合物)と混合した際の粘度を低くすることができ、さらに、該混合物を硬化性組成物に含有させたときに、その硬化物が高耐熱性に優れることを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
[1] p-アミノフェノールと、
芳香族第1級ジアミン類と、
モノフェノール類と、
ホルムアルデヒド類と
を縮合して得られる化合物の混合物であって、
前記混合物は式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物を含んでなり、
前記混合物の数平均分子量は600~1500であり、
前記混合物全量に対する、式(1)中のmおよびnが0であるベンゾオキサジン化合物の割合が20面積%以下である、混合物。
Figure 2022013418000001
[式(1)中、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、アルコキシ基、もしくはアリール基であるか、または、R~Rのうち隣り合う基が、それらが結合する炭素原子とともに芳香環を形成しており、
Lは芳香環を1~5個有する2価の有機基であって、該有機基は酸素を含んでいてもよく、
m、nは、それぞれ独立して0以上の整数である。]
[2] 式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物のR~Rがすべて水素である、[1]に記載の混合物。
[3] 式(1)中のmとnとの合計の値が異なるベンゾオキサジン化合物を含んでなる、[1]または[2]に記載の混合物。
[4] 式(1)中のmとnとの合計の値が1以上であるベンゾオキサジン化合物を含んでなる、[1]~[3]のいずれか一つに記載の混合物。
[5] 前記混合物全量に対する、式(1)中のmとnとの合計の値が5以上であるベンゾオキサジン化合物の割合が20面積%以上80面積%以下である、[1]~[4]のいずれか一つに記載の混合物。
[6] 前記混合物全量に対する、式(1)中のmとnとの合計の値が1~4であるベンゾオキサジン化合物の割合が20面積%以上である、[1]~[5]のいずれか一つに記載の混合物。
[7] 前記混合物全量に対する、ベンゾオキサジン環を一つ有し、かつ、分子量が210~250である化合物の割合が3面積%以下である、[1]~[6]のいずれか一つに記載の混合物。
[8] 分子量分散度が1.05~2.50である、[1]~[7]のいずれか一つに記載の混合物。
[9] [1]~[8]のいずれか一つに記載の混合物を含んでなる、硬化性組成物。
[10] 硬化剤および所望により硬化促進剤をさらに含んでなる、[9]に記載の硬化性組成物。
[11] エポキシ化合物をさらに含んでなる、[9]または[10]に記載の硬化性組成物。
[12] [9]~[11]のいずれか一つに記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
[13] [1]~[8]のいずれか一つに記載の混合物を製造する方法であって、
p-アミノフェノールと、芳香族第1級ジアミン類と、モノフェノール類と、ホルムアルデヒド類とを縮合反応させる工程を含んでなる、方法。
[14] 前記縮合反応工程における、前記p-アミノフェノールおよび前記芳香族第1級ジアミン類由来のアミノ基と、前記p-アミノフェノールおよび前記モノフェノール類由来のフェノール性水酸基との比(NH/OH)が1/1である、[13]に記載の方法。
[15] 前記縮合反応工程において、前記p-アミノフェノールおよび前記モノフェノール類由来のフェノール性水酸基のうち、前記p-アミノフェノールのフェノール性水酸基の含有率が95モル%以下である、[13]または[14]に記載の方法。
[16] 前記縮合反応工程において、前記p-アミノフェノールおよび前記芳香族第1級ジアミン類由来のアミノ基のうち、前記p-アミノフェノールのアミノ基の含有率が95モル%以下である、[13]~[15]のいずれか一つに記載の方法。
[17] 前記式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物の混合物であって、
前記ベンゾオキサジン化合物の数平均分子量が600~1500であり、
分子量分散度が1.05~2.50である、ベンゾオキサジン化合物の混合物。
Figure 2022013418000002
[式(1)中、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、アルコキシ基、もしくはアリール基であるか、または、R~Rのうち隣り合う基が、それらが結合する炭素原子とともに芳香環を形成しており、
Lは芳香環を1~5個有する2価の有機基であって、該有機基は酸素を含んでいてもよく、
m、nは、それぞれ独立して0以上の整数である。]
本発明によれば、他の樹脂(好ましくは、エポキシ化合物)に対して相溶性を有し、かつ、高耐熱性を有する硬化物の作製が可能な、式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物を含んでなる混合物(以下、式(1)のベンゾオキサジン化合物含有混合物ともいう)を提供することができる。本発明のベンゾオキサジン化合物含有混合物は、該混合物と他の樹脂(好ましくは、エポキシ化合物)との調製物(すなわち、硬化性組成物)の粘度を低くすることができる上で有利である。また、本発明によれば、高耐熱性を有する硬化物を得るための硬化性組成物を提供することができる。
図1は、実施例1で得られたベンゾオキサジン化合物含有混合物のH NMRピークチャートを表す。 図2は、実施例1で得られたベンゾオキサジン化合物含有混合物の赤外吸収スペクトル(IR)を示す。 図3は、実施例7で得られたベンゾオキサジン化合物含有混合物のH NMRピークチャートを表す。 図4は、実施例7で得られたベンゾオキサジン化合物含有混合物の赤外吸収スペクトル(IR)を示す。 図5は、実施例10で得られたベンゾオキサジン化合物含有混合物のH NMRピークチャートを表す。 図6は、実施例10で得られたベンゾオキサジン化合物含有混合物の赤外吸収スペクトル(IR)を示す。 図7は、比較例1で得られたベンゾオキサジン化合物含有混合物のH NMRピークチャートを表す。 図8は、比較例1で得られたベンゾオキサジン化合物含有混合物の赤外吸収スペクトル(IR)を示す。 図9は、比較例3で得られたベンゾオキサジン化合物含有混合物のH NMRピークチャートを表す。 図10は、比較例3で得られたベンゾオキサジン化合物含有混合物の赤外吸収スペクトル(IR)を示す。 図11は、比較例4で得られたベンゾオキサジン化合物含有混合物のH NMRピークチャートを表す。 図12は、比較例4で得られたベンゾオキサジン化合物含有混合物の赤外吸収スペクトル(IR)を示す。 図13は、比較例5で得られたベンゾオキサジン化合物含有混合物のH NMRピークチャートを表す。 図14は、比較例5で得られたベンゾオキサジン化合物含有混合物の赤外吸収スペクトル(IR)を示す。
ベンゾオキサジン化合物含有混合物
本発明の一実施態様によれば、ベンゾオキサジン化合物含有混合物は、下記式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物を含んでなる。また、上記ベンゾオキサジン化合物含有混合物は硬化性組成物に含有させることができる。
Figure 2022013418000003
[式(1)中、
~Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、アルコキシ基、もしくは、アリール基であるか、または、R~Rのうち隣り合う基が、それらが結合する炭素原子とともに芳香環を形成しており、
Lは芳香環を1~5個有する2価の有機基であって、該有機基は酸素を含んでいてもよく、
m、nは、それぞれ独立して0以上の整数である。]
本発明の一つの実施態様によれば、上記式(1)において、R~Rは、それぞれ独立して、例えば、水素原子、アリール基で置換されていてもよい炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、もしくは、炭素数6~12のアリール基であるか、または、R~Rのうち隣り合う基(好ましくは、R~Rのうち隣り合う2つの基)が、それらが結合する炭素原子とともに芳香環を形成してもよい。R~Rは、それぞれ独立して、好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基であり、より好ましくは、好ましくは水素原子、アルキル基である。
上記式(1)中のR~Rで示されるアルキル基の炭素数は、1~10が挙げられ、好ましくは1~8であり、より好ましくは1~6である。上記アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、オクチル基、ドデシル基、i-プロピル基、i-ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基等が挙げられ、好ましくは、メチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基である。上記アルキル基は、アリール基(好ましくは、フェニル基)で置換されていてもよい。
上記式(1)中のR~Rで示される上記アルコキシ基のアルキル鎖の炭素数は、特に限定されるものではないが、1~10が挙げられ、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~3である。上記アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられ、好ましくは、メトキシ基、エトキシ基である。
上記式(1)中のR~Rで示される上記アリール基の炭素数は、6~12が挙げられ、好ましくは6~10である。上記アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくは、フェニル基である。
上記式(1)中のR~Rのうち隣り合う基は、それらが結合する炭素原子とともに芳香環を形成してもよい。芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、イミダゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環等が挙げられ、好ましくは、ベンゼン環、ナフタレン環である。
式(1)のLにおける芳香環の数は1~5個であり、例えば、単環化合物、多環化合物、および縮合環化合物が挙げられる。したがって、Lは、アリーレン基であってもよい。また、L中に酸素を含んでいてもよい。Lとしては、例えば、フェニレン基(例えば、1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、1,4-フェニレン)、ナフチレン基、フェナンスレン基、メチレンジフェニル基、イソプロピレンジフェニル基、オキシジフェニル基、4,4’-(9-フルオレニリデン)ジフェニル基が挙げられる。
Lの具体例として、下記式(2)に示す基を挙げることができる。
Figure 2022013418000004
なお、m、nが0の場合、Lは、R~RまたはR~Rが結合するベンゾオキサジン環の窒素原子に直接結合する。
本発明の好ましい実施態様によれば、式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物における、上記式(1)中のR~Rが水素原子であり、Lがフェニレン基、メチレンジフェニル基、またはオキシジフェニル基である。
本発明の好ましい実施態様によれば、式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物の具体例としては、以下のベンゾオキサジン化合物が挙げられる。
Figure 2022013418000005
上記式(1)中のm、nは互いに独立して0以上であれば特に限定されないが、好ましくは1~10の整数であり、好ましくは1~8の整数である。
本発明の好ましい実施態様によれば、式(1)のベンゾオキサジン化合物含有混合物は、式(1)中のmとnとの合計の値が異なるベンゾオキサジン化合物を含んでなる。
本発明の好ましい実施態様によれば、式(1)のベンゾオキサジン化合物含有混合物は、式(1)中のmとnとの合計の値が1以上であるベンゾオキサジン化合物を含んでなる。上記ベンゾオキサジン化合物含有混合物としては、式(1)中のmとnとの合計の値がそれぞれ0、1、2、3、4、5である各ベンゾオキサジン化合物を含むことが好ましい。
なお、上記ベンゾオキサジン化合物を、化合物中に存在するベンゾオキサジン環の数に基づき、x量体ともいう(ここで、xは1以上の整数である)。例えば、式(1)においてm+n=0である化合物は2量体、m+n=1である化合物は3量体ともいう。なお、単量体は、ベンゾオキサジン環を一つ有する化合物を示す。
本発明の好ましい実施態様によれば、式(1)のベンゾオキサジン化合物含有混合物は、前記混合物全量に対する、式(1)中のmおよびnが0であるベンゾオキサジン化合物(2量体)の割合が20面積%以下であり、好ましくは10面積%以下、より好ましくは3面積%以下である。式(1)中のmおよびnが0であるベンゾオキサジン化合物の割合を20面積%以下とすることにより、硬化物の耐熱性をより向上することができる。
混合物全量に対する、x量体の含有率(すなわち、単量体、2量体、3量体等のそれぞれの含有率)(面積%)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定し、実施例に記載のベンゾオキサジン化合物を分子量換算標準物質として用いて得られたGPC較正曲線により算出することができる。このような測定および換算は、市販のGPC装置(例えば東ソー株式会社製)およびカラム(例えば、TSKgel SuperHZ3000、TSKgel SuperHZ2000およびTSKgel SuperHZ1000(それぞれ、東ソー株式会社製))を用いることにより、簡便に行うことができる。上記測定および換算としては、例えば、以下の条件により行うことができる。装置:HLC-8420GPC(東ソー株式会社)、カラム:TSKgel SuperHZ3000+TSKgel SuperHZ2000+TSKgel SuperHZ1000×2(それぞれ、東ソー株式会社)、溶離液:テトラヒドロフラン(THF)、流量:0.35ml/分、測定温度:40℃、注入量:3μL、検出器:UV検出器、検出波長:254nm、分子量換算標準物質:後述の実施例に記載の構造のベンゾオキサジン4種。
本発明の好ましい実施態様によれば、式(1)のベンゾオキサジン化合物含有混合物は、前記混合物全量に対する、式(1)中のmおよびnの合計の値が5以上であるベンゾオキサジン化合物(7量体以上)の割合が20面積%以上80面積%以下であり、好ましくは25面積%以上75面積%以下、より好ましくは30面積%以上60面積%以下である。式(1)中のmおよびnが5以上であるベンゾオキサジン化合物の割合を20面積%以上80面積%以下とすることにより、エポキシ化合物への相溶性をより向上することができる。
本発明の好ましい実施態様によれば、式(1)のベンゾオキサジン化合物含有混合物は、前記混合物全量に対する、式(1)中のmおよびnが1~4であるベンゾオキサジン化合物(3~6量体)の割合が20面積%以上であり、好ましくは24面積%以上、より好ましくは33面積%以上である。式(1)中のmおよびnが1~4であるベンゾオキサジン化合物の割合の上限値は、例えば95面積%以下、好ましくは80面積%以下、より好ましくは65面積%以下である。式(1)中のmおよびnが1~4であるベンゾオキサジン化合物の割合を20面積%以上とすることにより、硬化物の耐熱性をより向上することができる。
本発明の好ましい実施態様によれば、式(1)のベンゾオキサジン化合物含有混合物は、前記混合物全量に対する、ベンゾオキサジン環を一つ有する化合物(単量体)の割合が5面積%以下であり、好ましくは3面積%以下であり、より好ましくは1面積%以下、さらに好ましくは0.1面積%以下である。下限値は特に限定されないが、0面積%以上が好ましい。混合物全量に対するベンゾオキサジン環を一つ有する化合物の割合を5面積%以下とすることにより、硬化物の耐熱性をより向上することができる。上記ベンゾオキサジン環を一つ有する化合物の分子量としては210~250が挙げられる。かかる化合物としては、好ましくは、下記の式(2)の化合物であり、より好ましくは式(3)の化合物である。
Figure 2022013418000006
[式中、R1~4は、式(1)で定義される通りであり、R9は、水素原子または水酸基である。]
Figure 2022013418000007
[式中、R9は、水素原子または水酸基である。]
本発明の一つの実施態様によれば、式(1)のベンゾオキサジン化合物含有混合物の数平均分子量(Mn)は、特に限定されないが、600~1500が挙げられ、好ましくは650~1300、より好ましくは700~1200である。式(1)のベンゾオキサジン化合物含有混合物の数平均分子量は、上述のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
本発明の一つの実施態様によれば、式(1)のベンゾオキサジン化合物含有混合物の分子量分散度は、特に限定されないが、1.05~2.50が挙げられ、好ましくは1.10~2.30、より好ましくは1.20~2.00である。分子量分散度は、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)である。ここで、式(1)のベンゾオキサジン化合物含有混合物の重量平均分子量(Mw)は上述のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
本発明の一実施態様によれば、上述の式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物を含んでなる混合物は、p-アミノフェノールと、芳香族第1級ジアミン類と、モノフェノール類と、ホルムアルデヒド類とを縮合して得られる化合物の混合物である。したがって、上記混合物は、縮合反応によって得られる反応産物であってよい。
本発明の別の実施態様によれば、上述の式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物を含んでなる混合物は、p-アミノフェノールと、芳香族第1級ジアミン類と、モノフェノール類と、ホルムアルデヒド類とを縮合して得られる化合物の混合物(例えば、反応産物)を、分液洗浄、再結晶、カラム精製等により得られたものであってもよい。
(式(1)のベンゾオキサジン化合物含有混合物の特性)
本発明の一つの実施態様によれば、式(1)のベンゾオキサジン化合物含有混合物は他の樹脂(好ましくは、エポキシ化合物)と高い相溶性を示す。相溶性は、式(1)のベンゾオキサジン化合物含有混合物と他の樹脂とをそれぞれ同質量で、加熱下で混合することにより確認することができる。式(1)のベンゾオキサジン化合物含有混合物は、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下でエポキシ化合物と相溶できる。
本発明の一つの実施態様によれば、他の樹脂としては、特に限定されないが、エポキシ化合物、ビスマレイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、イソシアネート樹脂等が挙げられ、好ましくは、エポキシ化合物、ビスマレイミド樹脂である。
ベンゾオキサジン化合物含有混合物の製造方法
式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物を含んでなる混合物は、p-アミノフェノールと、芳香族第1級ジアミン類と、モノフェノール類と、ホルムアルデヒド類とを縮合反応させる工程を含んでなる方法により製造することができる。
本発明の一実施態様によれば、縮合反応工程における、上記p-アミノフェノールおよび上記芳香族第1級ジアミン類由来のアミノ基と、上記p-アミノフェノールおよび上記モノフェノール類由来のフェノール性水酸基との比(NH/OH)は、特に限定されないが、例えば、1.20/1~1/1.20であり、好ましくは1/1である。
本発明の一実施態様によれば、縮合反応工程における、上記p-アミノフェノールおよび上記モノフェノール類由来のフェノール性水酸基のうち、上記p-アミノフェノールのフェノール性水酸基の含有率は、特に限定されないが、例えば、95モル%以下であり、好ましくは20~90モル%であり、より好ましくは25~85モル%であり、さらに好ましくは30~70モル%である。
本発明の一実施態様によれば、縮合反応工程における、上記p-アミノフェノールおよび上記芳香族第1級ジアミン類由来のアミノ基のうち、上記p-アミノフェノールのアミノ基の含有率は、特に限定されないが、例えば、95モル%以下であり、好ましくは20~90モル%であり、より好ましくは25~85モル%であり、さらに好ましくは30~70モル%である。
(芳香族第1級ジアミン類)
芳香族第1級ジアミン類としては、1分子中に2個の第1級アミノ基を有する芳香族化合物であれば特に限定されないが、例えば、o-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、2-フェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2,6-ジエチル-1,3-ジアミノベンゼン、4,6-ジエチル-2-メチル-1,3-ジアミノベンゼン、3,5-ジエチルトルエン-2,6-ジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(4,4’-ODA)、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル(3,4’-ODA)、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ビス(2,6-ジエチル-4-アミノフェニル)メタン、4,4’-メチレン-ビス(2,6-ジエチルアニリン)、ビス(2-エチル-6-メチル-4-アミノフェニル)メタン、4,4’-メチレン-ビス(2-エチル-6-メチルアニリン)、2,2-ビス(3-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジジン、3,3’-ジメチルベンジジン、2,2-ビス(4-アミノフェノキシ)プロパン、2,2-ビス(3-アミノフェノキシ)プロパン、2,2-ビス[4’-(4’’-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)フルオレン、2,6-ナフタレンジアミン、2,7-ジアミノフェナントレン、9,10-ジアミノフェナントレン等が挙げられ、好ましくは、p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテルである。これら芳香族第1級ジアミン類は単独で用いても、2種類以上で用いても良い。
芳香族第1級ジアミン類の使用量は、特に限定されないが、p-アミノフェノール1モルに対して、好ましくは0.01~2モルであり、より好ましくは0.02~1.5モルである。
(モノフェノール類)
モノフェノール類としては、1分子中に1個の水酸基を有する芳香族化合物であれば特に限定されないが、好ましくは、Ar-OH(式中、Arは、置換されていてもよいアルキル基、アルコキシ基、およびアリール基からなる群から独立して選択される置換基により置換されていてもよいアリール基である。)が挙げられる。上記モノフェノール類としては、例えば、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、p-tert-ブチルフェノール、p-オクチルフェノール、p-クミルフェノール、ドデシルフェノール、o-フェニルフェノール、p-フェニルフェノール、1-ナフトール、2-ナフトール、m-メトキシフェノール、p-メトキシフェノール、m-エトキシフェノール、p-エトキシフェノール、3,4-ジメチルフェノール、3,5-ジメチルフェノール等が挙げられ、好ましくは、フェノール、p-クレゾール、2-ナフトールである。これらモノフェノール類は単独で用いても、2種類以上で用いても良い。なお、かかるモノフェノール類には4-アミノフェノールは含まれない。
モノフェノール類の使用量は、特に限定されないが、p-アミノフェノール1モルに対して、好ましくは0.02~4モルであり、より好ましくは0.04~3モルである。
(ホルムアルデヒド類)
ホルムアルデヒド類としては、特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、1,3,5-トリオキサン、テトラオキシメチレン、ホルマリン等が挙げられ、好ましくは、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ホルマリンである。これらホルムアルデヒド類は単独で用いても、2種類以上で用いても良い。
ホルムアルデヒド類の使用量は、特に限定されないが、p-アミノフェノールおよびモノフェノール類の合計1モルに対して、好ましくは1~3モルであり、より好ましくは1.5~2.5モルである。ここで、ホルムアルデヒド類としてパラホルムアルデヒドを用いる場合のモル量は、ホルムアルデヒド換算したモル量とする。
(反応条件)
縮合反応は、通常、溶媒の存在下で実施できる。溶媒は、反応中、還流させておいてもよい。
溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、n-ヘキシルアルコールおよびシクロヘキシルアルコール等のアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサンおよびジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;トルエン、キシレンおよびベンゼン等の脂肪族炭化水素溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリジノンおよびジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;アセトニトリルおよびベンゾニトリル等のニトリル溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、四塩化炭素およびクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒;水;等が挙げられ、好ましくは、ジオキサン、クロロホルム、トルエンである。溶媒は、複数種類の溶媒を混合して用いてもよい。
反応は、常圧条件下で行ってもよいし、加圧条件下で行ってもよいし、減圧条件下で行ってもよい。また、窒素ガス及びアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。
反応温度は、通常30℃~120℃であり、好ましくは60℃~110℃である。
反応時間は、特に限定されないが、例えば、3時間~100時間である。
本発明の一実施態様によれば、式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物を含んでなる混合物の製造にあたっては、上述の製造方法で得られた該混合物の純度が低い場合は、濃縮、ろ過、蒸留、分液洗浄、再結晶、再沈殿、カラム精製、またはそれらの組み合わせにより精製を行うことが好ましい。
式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物の構造は、H-NMR、赤外吸収スペクトル等によって同定できる。
本発明の好ましい実施態様によれば、芳香族第1級ジアミン類としてp-フェニレンジアミン、モノフェノール類としてフェノール、アルデヒド類として、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、またはホルマリンを使用した場合、式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物として、式(1)中、R~Rが水素原子であり、Lがフェニレン基である化合物を得ることができる。
本発明の別の好ましい実施態様によれば、芳香族第1級ジアミン類として4,4’-ジアミノジフェニルメタン、モノフェノール類としてフェノール、アルデヒド類として、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、またはホルマリンを使用した場合、式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物として、式(1)中、R~Rが水素原子であり、Lがメチレンジフェニル基である化合物を得ることができる。
本発明の別の好ましい実施態様によれば、芳香族第1級ジアミン類として4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、モノフェノール類としてフェノール、アルデヒド類として、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、またはホルマリンを使用した場合、式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物として、式(1)中、R~Rが水素原子であり、Lがオキシジフェニル基である化合物を得ることができる。
硬化性組成物
本発明の一実施態様によれば、上記式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物を含んでなる混合物を含んでなる硬化性組成物であることを一つの特徴とする。
上記硬化性組成物には、上記式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物を含んでなる混合物とともに、硬化物により効果的に耐熱性を付与する観点から、所望により、その他の成分(例えば、硬化剤、エポキシ化合物、硬化促進剤等)とを組み合わせて含有させることができる。
以下、硬化性組成物に含有できる各成分について詳細に説明する。
(式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物を含んでなる混合物)
式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物を含んでなる混合物については上述の通りである。
本発明の一実施態様によれば、硬化性組成物における式(1)のベンゾオキサジン化合物含有混合物の含有量としては、硬化性組成物の総量100質量部に対して、上記混合物が5~99質量部の範囲であることが好ましく、10~80質量部の範囲であることがより好ましく、30~60質量部の範囲であることがさらに好ましい。式(1)のベンゾオキサジン化合物含有混合物をこの範囲で含有することにより、より耐熱性に優れた硬化物を得ることができる。
(硬化剤)
本発明の一実施態様によれば、硬化性組成物に含有させることのできる硬化剤としては、酸無水物系化合物、アニオン系化合物(例えば、アミン系化合物、フェノール系化合物および潜在性硬化剤)等が挙げられ、好ましくは、フェノール系化合物である。
酸無水物系化合物としては、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサントリカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、オクテニルコハク酸無水物、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、アルキルスチレン-無水マレイン酸共重合体、クロレンド酸無水物、ポリアゼライン酸無水物、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセロールトリストリメリテート、グリセリンビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ポリアジピン酸無水物、ポリセバシン酸無水物、ポリ(エチルオクタデカン二酸)無水物、ポリ(フェニルヘキサデカン二酸)無水物、ヘット酸無水物、ノルボルナン-2,3-ジカルボン酸無水物等が挙げられる。
アミン系化合物としては、イミダゾール類(2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、2-メチル-イミダゾール、2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール、2,4-ジアミノ-6-[2-メチルイミダゾリル-(1)]エチル-s-トリアジン、2-フェニル-イミダゾリン、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール等のイミダゾール類)、ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシブチレンジアミン、ポリオキシペンチレンジアミン、ポリオキシエチレントリアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、ポリオキシブチレントリアミン、ポリオキシペンチレントリアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、m-キシレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、イソフォロンジアミン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルナンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、N-アミノエチルピペラジン等が挙げられる。
フェノール系化合物としては、フェノール、ピロガロール、レゾルシノール、ビスフェノール類として、フェノール性水酸基を2つ有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールC、ビスフェノールS、ビスフェノールZ、4,4‘-ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ノボラック類として、キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ビフェニル骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、テルペン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック、ビスフェノールFノボラック、ビスフェノールSノボラック、ビスフェノールAPノボラック、ビスフェノールCノボラック、ビスフェノールEノボラック、ビスフェノールZノボラック、ビフェノールノボラック、テトラメチルビスフェノールAノボラック、ジメチルビスフェノールAノボラック、テトラメチルビスフェノールFノボラック、ジメチルビスフェノールFノボラック、テトラメチルビスフェノールSノボラック、ジメチルビスフェノールSノボラック、テトラメチル-4,4’-ビフェノールノボラック、トリスヒドロキシフェニルメタンノボラック、レゾルシノールノボラック、ハイドロキノンノボラック、ピロガロールノボラック、ジイソプロピリデンノボラック、1,1-ジ-4-ヒドロキシフェニルフルオレンノボラック、フェノール化ポリブタジエンノボラック、フェノールノボラック、クレゾール類ノボラック、エチルフェノール類ノボラック、ブチルフェノール類ノボラック、オクチルフェノール類ノボラック、ナフトール類ノボラック等が挙げられる。
潜在性硬化剤としては、熱カチオン開始剤、ジシアンジアミド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、ケチミン、イミダゾール化合物、ジヒドラジド化合物、アミンアダクト系硬化剤等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、上記したような硬化剤を1種または2種以上含んでいてもよい。
硬化物の耐熱性という観点からは、硬化性組成物における硬化剤の含有量としては、硬化性組成物の総量100質量部に対して、硬化剤が1~50質量部の範囲であることが好ましく、3~30質量部の範囲であることがより好ましい。
(硬化促進剤)
本発明の一実施態様によれば、硬化性組成物に含まれる硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリフェニルベンジルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムジエチルホスホロジチオエート、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムアセテート、テトラ-n-ブチルホスホニウムブロマイド、テトラ-n-ブチルホスホニウムベンゾトリアゾレート、テトラ-n-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート、テトラ-n-ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムアイオダイド、エチルトリフェニルホスホニウムアセテート、メチルトリ-n-ブチルホスホニウムジメチルホスフェート、n-ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のホスフィン類とその第四級塩、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、2-メチル-イミダゾール、2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール、2,4-ジアミノ-6-[2-メチルイミダゾリル-(1)]エチル-s-トリアジン、2-フェニル-イミダゾリン、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール等のイミダゾール類、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、テトラブチルアンモニウムブロミド等の3級アミンとその第四級塩、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン-5等の超強塩基性の有機化合物、オクチル酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸錫等の有機カルボン酸金属塩、ベンゾイルアセトン亜鉛キレート、ジベンゾイルメタン亜鉛キレートおよびアセト酢酸エチル亜鉛キレート等の金属-有機キレート化合物、テトラ-n-ブチルスルホニウム-o,o-ジエチルホスホロジチオネート等が挙げられる。ここで、硬化促進剤としては、硬化反応の促進作用を有する限り、硬化剤と同一の化合物であっても異なる化合物であってもよい。
本発明の硬化性組成物は、上記したような硬化促進剤を1種または2種以上含んでいてもよい。
硬化物の耐熱性という観点から、本発明の硬化性組成物における硬化促進剤の含有量としては、硬化性組成物の総量100質量部に対して、硬化剤が0.01~10質量部の範囲であることが好ましく、0.1~6質量部の範囲であることがより好ましい。
(エポキシ化合物)
本発明の一実施態様によれば、硬化性組成物は、用途に応じてエポキシ化合物を含んでいてもよい。かかるエポキシ化合物としては、例えば、グリシジルエーテル型エポキシド、グリシジルエステル型エポキシド、グリシジルアミン型エポキシド、脂環式エポキシド等が挙げられ、好ましくは、脂環式エポキシドである。
グリシジルエーテル型エポキシドとしては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、テトラメチルビフェノールジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル等の二価フェノールのグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフチルクレゾールトリグリシジルエーテル、トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル、テトラキス(ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル、ジナフチルトリオールトリグリシジルエーテル、フェノールノボラックグリシジルエーテル、クレゾールノボラックグリシジルエーテル、キシリレン骨格含有フェノールノボラックグリシジルエーテル、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラックグリシジルエーテル、ビフェニル骨格含有フェノールノボラックグリシジルエーテル、テルペン骨格含有フェノールノボラックグリシジルエーテル、ビスフェノールAノボラックグリシジルエーテル、ビスフェノールFノボラックグリシジルエーテル、ビスフェノールSノボラックグリシジルエーテル、ビスフェノールAPノボラックグリシジルエーテル、ビスフェノールCノボラックグリシジルエーテル、ビスフェノールEノボラックグリシジルエーテル、ビスフェノールZノボラックグリシジルエーテル、ビフェノールノボラックグリシジルエーテル、テトラメチルビスフェノールAノボラックグリシジルエーテル、ジメチルビスフェノールAノボラックグリシジルエーテル、テトラメチルビスフェノールFノボラックグリシジルエーテル、ジメチルビスフェノールFノボラックグリシジルエーテル、テトラメチルビスフェノールSノボラックグリシジルエーテル、ジメチルビスフェノールSノボラックグリシジルエーテル、テトラメチル-4,4’-ビフェノールノボラックグリシジルエーテル、トリスヒドロキシフェニルメタンノボラックグリシジルエーテル、レゾルシノールノボラックグリシジルエーテル、ハイドロキノンノボラックグリシジルエーテル、ピロガロールノボラックグリシジルエーテル、ジイソプロピリデンノボラックグリシジルエーテル、1,1-ジ-4-ヒドロキシフェニルフルオレンノボラックグリシジルエーテル、フェノール化ポリブタジエンノボラックグリシジルエーテル、エチルフェノールノボラックグリシジルエーテル、ブチルフェノールノボラックグリシジルエーテル、オクチルフェノールノボラックグリシジルエーテル、ナフトールノボラックグリシジルエーテル、水素化フェノールノボラックグリシジルエーテル等の多価フェノールのグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメチロールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等の二価アルコールのグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールヘキサグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル等の多価アルコールのグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。
グリシジルエステル型エポキシドとしては、グリシジルメタクリレート、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、トリメット酸トリグリシジルエステル等のカルボン酸のグリシジルエステルやグリシジルエステル型のポリエポキシド等が挙げられる。
グリシジルアミン型エポキシドとしては、N,N-ジグリシジルアニリン、N,N-ジグリシジルトルイジン、N,N,N’,N’-テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’-テトラグリシジルジアミノジフェニルスルホン、N,N,N’,N’-テトラグリシジルジエチルジフェニルメタン等のグリシジル芳香族アミン、ビス(N,N-ジグリシジルアミノシクロヘキシル)メタン(N,N,N’,N’-テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンの水素化物)、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-1,3-(ビスアミノメチル)シクロヘキサン(N,N,N’,N’-テトラグリシジルキシリレンジアミンの水素化物)、トリスグリシジルメラミン、トリグリシジル-p-アミノフェノール、N-グリシジル-4-グリシジルオキシピロリドン等のグリシジル複素環式アミン等が挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、トリシクロペンタジエンジオキシド、ビニルシクロヘキセンジオキシド、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド、ビス(2,3-エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポキシジシクロペンチルエーテル、3,4-エポキシ-6-メチルシクロへキシルメチル 3’,4’-エポキシ-6’-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシシクロへキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-1-メチルシクロへキシル 3,4-エポキシ-1-メチルヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-3-メチルシクロへキシルメチル 3,4-エポキシ-3-メチルヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-5-メチルシクロへキシルメチル 3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシシクロへキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-メタジオキサン、メチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサン)、(3,3’,4,4’-ジエポキシ)ビシクロヘキシル、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物、テトラヒドロインデンジエポキシド等が挙げられ、好ましくは、3’,4’-エポキシシクロへキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレートである。
本発明の硬化性組成物は、上記したようなエポキシ化合物を1または2種以上含んでいてもよい。
硬化物の耐熱性という観点からは、エポキシ化合物の含有量は、硬化性組成物の総量100質量部に対して、10~90質量部の範囲であることが好ましく、30~70質量部の範囲であることがより好ましい。
(溶剤/その他)
本発明の一実施態様によれば、硬化性組成物は、溶剤をさらに含んでいてもよい。溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、トルエン、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン系溶剤、アミド系溶剤およびエタノール等が挙げられる。
本発明の一実施態様によれば、硬化性組成物は、その特性を損なわない範囲において、各種添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、フィラー(充填剤)、シランカップリング剤、離型剤、着色剤、難燃剤、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、消泡剤、光安定剤、顔料や染料等の着色剤、可塑剤、pH調整剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、イオン交換剤等が挙げられる。
(硬化性組成物の特性)
本発明の硬化性組成物の粘度は、硬化前の硬化性組成物の粘度により評価できる。
硬化性組成物の30℃での粘度は、特に限定されないが、100Pa・s以下が挙げられ、好ましくは50Pa・s以下、より好ましくは30Pa・s以下とされる。下限値は特に限定されないが、0.1Pa・s以上が好ましい。粘度は、レオメーターにより測定することができる。このような測定は、市販のレオメーター(例えばTAインスツルメント製)を用い、パラレルプレート法により測定することができる。
本発明の一実施態様によれば、式(1)のベンゾオキサジン化合物含有混合物および他の樹脂(好ましくは、エポキシ化合物)を含んでなる硬化性組成物は、上述の様に極めて低粘度を示すことから、成型性、流動性に優れる点で有利である。特に、式(1)のベンゾオキサジン化合物含有混合物と他の樹脂(好ましくは、エポキシ化合物)との混合時の粘度が低いと、硬化性組成物中にフィラー等を多く含有することができ、得られる硬化性組成物およびその硬化物の改質や高機能化が容易となる点で有利である。
硬化性組成物の製造方法
本発明の一実施態様によれば、硬化性組成物の製造においては、当業者に広く知られた技術常識に従い、硬化性組成物にさらに含有させる成分、および硬化性組成物の調製方法を適宜選択することができる。
本発明の好ましい実施態様によれば、硬化性組成物の製造方法としては、例えば、上述の、本発明の式(1)のベンゾオキサジン化合物含有混合物、さらに、所望により上述の成分、およびその他の成分を適宜追加して混練または混合することにより、硬化性組成物を製造することができる。
混練または混合方法は、特に限定されず、例えば、プラネタリーミキサー、2軸押出機、熱ロール、ピーディーミキサー、バタフライミキサー、ニーダー、プラストミル、ディゾルバー等の混合装置または混練機等を用いて混合することができる。
硬化物
本発明の一実施態様によれば、上述した硬化性組成物を硬化させてなる硬化物は、ガラス転移温度が高く、耐熱性に優れるという特徴を有している。
(硬化物の特性)
本発明の一実施態様によれば、硬化物の耐熱性は、ガラス転移温度を測定することにより評価できる。かかるガラス転移温度は、耐熱性付与の観点から高いことが好ましい。
ガラス転移温度は、動的粘弾性測定(DMA)により測定することができる。DMAによるガラス転移温度の測定は、市販の粘弾性測定装置(例えば、株式会社日立ハイテクサイエンス製、製品名:DMA-7100)を用いることにより、簡便に行うことができる。
本発明の硬化物のDMAによるガラス転移温度は、240℃以上が挙げられ、好ましくは245℃以上であり、好ましくは250℃以上である。上限は特に限定されないが、300℃以下が好ましい。
硬化物の製造方法
本発明の一実施態様によれば、硬化物は、上述した本発明の硬化性組成物を硬化させることにより得られる。硬化性組成物の硬化方法は特に限定されるものではないが、加熱等により適宜行うことができる。
加熱により、硬化性組成物を硬化させる場合、多段階的に硬化性組成物を加熱することが好ましい。これにより、硬化反応を十分に進めることができる。例えば、160~200℃で60~240分の一次加熱と、220~270℃で60~300分の二次加熱とにより硬化反応を行うことができる。一次加熱温度までの昇温速度、および、一次加熱温度から二時加熱温度までの昇温速度は、特に限定されないが、1~4℃/分が好ましい。しかしながら、硬化反応の条件は、上記に限定されるものではなく、式(1)のベンゾオキサジン化合物含有混合物の含有量、硬化性組成物に含まれるその他の化合物などの特性を考慮し、適宜変更して行うことが好ましい。
硬化物の用途
本発明の一実施態様によれば、硬化物の用途としては、具体的には、接着剤、粘着剤、金属、樹脂フィルム、ガラス、紙、木材等の基材上に塗布する塗料、半導体素子や有機薄膜素子(例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子や有機薄膜太陽電池素子)の表面保護膜、ハードコート剤、防汚膜および反射防止膜等のコーティング剤、レンズ、プリズム、フィルター、画像表示材料、レンズアレイ、光半導体素子の封止材やリフレクター材料、半導体素子の封止材、光導波路、導光板、光拡散板、回折素子および光学用接着剤等の各種光学部材、注型材料、層間絶縁体、プリント配向基板用保護絶縁膜および繊維強化複合材料等の材料、レジスト材料等が挙げられる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の実施例、比較例で使用した物質は以下の通りである。
・p-アミノフェノール:東京化成工業株式会社製
・p-フェニレンジアミン:東京化成工業株式会社製
・フェノール:富士フィルム和光純薬株式会社製
・ビスフェノールF:東京化成工業株式会社製
・ビスフェノールA:東京化成工業株式会社製
・パラホルムアルデヒド:富士フィルム和光純薬株式会社製
・4,4’-ジアミノジフェニルメタン:シグマアルドリッチジャパン社製
・4,4’-ジアミノジフェニルエーテル:東京化成工業株式会社製
・アニリン:富士フィルム和光純薬株式会社製
・クロロホルム:富士フィルム和光純薬株式会社製
・1,4-ジオキサン:富士フィルム和光純薬株式会社製
・エポキシ化合物:セロキサイド2021P((株)ダイセル製)
以下の実施例、比較例におけるベンゾオキサジン化合物含有混合物の評価は以下の方法で行った。
(ベンゾオキサジン化合物含有混合物の数平均分子量および重量平均分子量の測定、ならびに、ベンゾオキサジン化合物含有混合物におけるx量体の含有率の測定)
以下の実施例、比較例で得られた混合物の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)の測定はGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により行った。また、混合物全量に対する、x量体の含有率(面積%)も、GPCの測定結果に基づき、下記分子量換算標準物質を用いて得られたGPC較正曲線から算出した。x量体の含有率(面積%)は、具体的には、混合物に由来するピーク面積の総和に対する、x量体のピーク面積の割合である。ここで、ピーク面積としては、ピークが分離している場合はピーク開始点と終了点を結んで得られた面積値であり、ピークが重なっている場合はピーク間の極小値から垂直分割して得られた面積値である。
GPCは、具体的には、以下の条件で行った。
[GPC条件]
測定装置:HLC-8420GPC(東ソー株式会社)
カラム:TSKgel SuperHZ3000+TSKgel SuperHZ2000+TSKgel SuperHZ1000×2(それぞれ、東ソー株式会社)(カラムは、TSKgel SuperHZ3000、TSKgel SuperHZ2000、TSKgel SuperHZ1000 2本の順に直列でつないだ。)
溶離液:THF
流量:0.35ml/分
測定温度:40℃
注入量:3μL(サンプルは、THFで希釈または溶解して約0.5wt%溶液とした。)
検出器:UV検出器
検出波長:254nm
分子量換算標準物質:下記構造のベンゾオキサジン4種を用いた。
Figure 2022013418000008
上記GPC測定において、x量体のピーク面積を以下の通り求めた。ピークトップの分子量が210~250の範囲にある化合物のピーク面積を、単量体のピーク面積とした。ピークトップの分子量が320~420の範囲にある化合物のピーク面積を、2量体のピーク面積とした。ピークトップの分子量が430~550の範囲にある化合物のピーク面積を、3量体のピーク面積とした。ピークトップの分子量が570~650の範囲にある化合物のピーク面積を、4量体のピーク面積とした。ピークトップの分子量が670~760の範囲にある化合物のピーク面積を、5量体のピーク面積とした。ピークトップの分子量が780~850の範囲にある化合物のピーク面積を、6量体のピーク面積とした。ピークトップの分子量が880~1100の範囲にある化合物のピーク面積を、7量体以上の化合物のピーク面積とした。
(ベンゾオキサジン化合物含有混合物の H-NMRスペクトルの測定)
以下の実施例、比較例で得られた混合物について、H-NMRスペクトルの測定を行った。具体的には、以下の条件で行った。
[H-NMRの測定条件]
測定装置:DD2(Agilent Technologies)
溶媒:CDCl
測定周波数:600MHz
試料濃度:0.3~0.8質量%
積算回数:16回
(ベンゾオキサジン化合物含有混合物の赤外吸収スペクトルの測定)
以下の実施例、比較例で得られた混合物の赤外吸収スペクトル(IR)を、ATR法により、以下の条件で測定した。
[赤外吸収スペクトルの測定条件]
装置:Nicolet iS10(Thermo Fisher Scientific)
測定範囲:4000~400cm-1
積算回数:10回
(ベンゾオキサジン化合物含有混合物のエポキシ化合物への相溶性の測定)
以下の実施例、比較例で得られた混合物50質量部と、エポキシ化合物(セロキサイド2021P、(株)ダイセル製)50質量部とを、80℃、100℃、または120℃に加温して混合し、試料を得た。得られた試料の相溶性を以下の基準に基づき評価した。
得られた試料において、不溶性の残渣が残らない状態を「相溶した」と評価した。「相溶した」とは、具体的には、エポキシ化合物に混合物が全て溶解し、均一溶液の状態であった。
◎:80℃以下で相溶可能
〇:100℃以下で相溶可能
△:120℃以下で相溶可能
×:溶け残りあり
(ベンゾオキサジン化合物含有混合物とエポキシ化合物との調製物(熱硬化性組成物)の粘度の測定)
以下の実施例、比較例で得られた混合物50質量部と、エポキシ化合物(セロキサイド2021P、(株)ダイセル製)50質量部とを、加温し均一溶液とした後に、室温まで冷却したものを試料として用いた。
試料の粘度は、レオメーター(DHR-2、TAインスツルメント製)を用いて測定した。具体的には、試料を、ギャップを1mmに調整したパラレルプレートに挟み、温度20℃から140℃まで昇温速度2℃/minで昇温させて測定し、30℃における粘度を求めた。測定は、回転速度 10rad/sで行った。
(硬化物のガラス転移温度;Tg)
以下の実施例、比較例で得られた混合物50質量部とエポキシ化合物50質量部とをカップに入れ、100℃(ただし、比較例4のみ120℃)に加温した後、マゼルスター(KK-V350W、真空遊星式撹拌脱泡装置、倉敷紡績株式会社製)にて混合・脱気を行い調製した。その後、得られた調製物を金型に注ぎ、オーブン内で100℃から180℃まで昇温速度2℃/分で昇温した後180℃にて2時間加熱し、その後、昇温速度2℃/分で250℃まで昇温し、250℃で4時間加熱することにより硬化し、硬化物を作成した。得られた硬化物を縦約10mm×横約50mm×厚さ約3mmの大きさに切断し試験片を得た。かかる試験片を用いて、下記の粘弾性測定装置によって下記条件によりtanδのピークトップによりTgを測定した。結果を表1に示した。
装置:DMA-7100(株式会社日立ハイテクサイエンス製)
測定条件:N流量;20mL/分、測定範囲;30~350℃、昇温速度;5℃/分
実施例1:ベンゾオキサジン化合物含有混合物(p-AP/p-PDA/PhOH=4/1/2)の合成
p-アミノフェノール(982g、9.00mol)、p-フェニレンジアミン(243g、2.25mol)、フェノール(424g、4.50mol)、パラホルムアルデヒド(892g、29.7mol)をクロロホルム(3.6L)/1,4-ジオキサン(5.2L)に溶解し、加熱還流下(オイルバスの温度:80℃)で、16時間撹拌した。
反応終了後、反応物をろ過し、つづいてろ液を1/3量まで濃縮した後、メタノールにて晶析し、濾別、真空乾燥し、目的のベンゾオキサジン化合物を含む混合物を1660g得た(収率84モル%)。
上記原料をモル比等で示したものを表1に示す。
実施例1で得られた混合物をGPC測定した結果、Mn:810、Mw:1223であった。
さらに、GPC測定に基づく、実施例1で得られた混合物におけるx量体の含有率を表1に示す。なお、表1中、「ND」は検出限界未満を示す。なお、検出限界は0.1面積%である。
また、実施例1で得られた混合物について、H-NMRスペクトルの測定を行い、その測定結果を図1に示した。
H-NMRスペクトルにおいては、4.7~4.2ppmおよび5.3~5.0ppm付近のピークがオキサジン環のCHに帰属されるピークで、オキサジン環に2か所含まれるものであり、そのプロトンの積分値の比が約1:1となることが確認された。
(実施例1で得られた混合物のH NMRスペクトル)
H NMR(600MHz,CDCl) δ(ppm) 7.3-6.4(芳香族H)、5.3-5.0(-O―C -N)、4.7-4.2(N-C -C)。
実施例1で得られた混合物について、赤外吸収スペクトルの測定を行い、その測定結果を図2に示した。1494cm-1、1222cm-1、936cm-1に、ベンゾオキサジンの特徴的なピークが観察された。
上記のGPC、H NMRスペクトルおよび赤外吸収スペクトルの測定結果から、得られた混合物には下記式の化合物(m+n=4(理論値))が含まれていることが確認された。
Figure 2022013418000009
さらに、実施例1で得られた混合物についての、エポキシ化合物との相溶性、粘度、ガラス転移温度の測定結果を表1に示す。
実施例2~6
原料の組成、配合割合、反応時間を下記表1に示されるように変更し、パラホルムアルデヒド(ホルムアルデヒド換算)をp-アミノフェノールとフェノールとの合計の2.2倍モルとした以外は、実施例1と同様にして混合物を合成した。
さらに、実施例2~6で得られた混合物についての、収率、平均分子量、x量体の含有率、エポキシ化合物との相溶性、粘度、ガラス転移温度の測定結果を表1に示す。
Figure 2022013418000010
実施例7:ベンゾオキサジン化合物含有混合物(p-AP/DDM/PhOH=2/1/2)の調製
p-アミノフェノール(109g、1.00mol)、4,4’-ジアミノジフェニルメタン(99g、0.50mol)、フェノール(94g、1.00mol)、パラホルムアルデヒド(132g、4.40mol)をクロロホルム(0.4L)/1,4-ジオキサン(0.6L)に溶解し、加熱還流下(オイルバスの温度:80℃)で、54時間撹拌した。
反応終了後、反応物をろ過し、つづいてろ液を1/3量まで濃縮した後、メタノールにて晶析し、濾別、真空乾燥し、ベンゾオキサジン化合物を含む混合物を280g得た(収率80モル%)。
上記原料をモル比等で示したものを表1に示す。
実施例7で得られた混合物についての、収率、平均分子量、x量体の含有率を表1に示す。
また、実施例7で得られた混合物について、H-NMRスペクトルの測定を行い、その測定結果を図3に示した。
H-NMRスペクトルにおいては、4.7~4.2ppmおよび5.4~5.0ppm付近のピークがオキサジン環のCHに帰属されるピークで、そのプロトンの積分値の比が約1:1となることが確認された。
(実施例7で得られた混合物のH NMRスペクトル)
H NMR(600MHz,CDCl) δ(ppm) 7.4-6.4(芳香族H)、5.4-5.0(-O―C -N)、4.7-4.2(N-C -C)、3.9-3.6(C-C -C)。
実施例7で得られた混合物について、赤外吸収スペクトルの測定を行い、その測定結果を図4に示した。1497cm-1、1224cm-1、および934cm-1に、ベンゾオキサジンの特徴的なピークが観察された。
上記のGPC測定結果、H NMRスペクトルの測定値の測定値および赤外吸収スペクトルの測定結果から、得られた混合物には下記式の化合物(m+n=2(理論値))が含まれていることが確認された。
Figure 2022013418000011
さらに、実施例7で得られた混合物についての、エポキシ化合物との相溶性、粘度、ガラス転移温度の測定結果を表1に示す。
実施例8および9
原料の組成、配合割合、反応時間を上記表1に示されるように変更し、パラホルムアルデヒド(ホルムアルデヒド換算)をp-アミノフェノールとフェノールとの合計の2.2倍モルとした以外は、実施例7と同様にして混合物を合成した。
さらに、実施例8、9で得られた混合物についての、収率、平均分子量、x量体の含有率、エポキシ化合物との相溶性、粘度、ガラス転移温度の測定結果を表1に示す。
実施例10:ベンゾオキサジン化合物含有混合物(p-AP/DDM/PhOH=3/1/2)の調製
p-アミノフェノール(108g、0.99mol)、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(66g、0.33mol)、フェノール(62g、0.66mol)、パラホルムアルデヒド(109g,3.63mol)をクロロホルム(0.4L)/1,4-ジオキサン(0.6L)に溶解し、加熱還流下(オイルバスの温度:80℃)で、11時間撹拌した。
反応終了後、反応物をろ過し、つづいてろ液を1/3量まで濃縮した後、メタノールにて晶析し、濾別、真空乾燥しベンゾオキサジン化合物を含む混合物を229g(収率83モル%)得た。
上記原料をモル比等で示したものを表1に示す。
実施例10で得られた混合物についての、収率、平均分子量、x量体の含有率を表1に示す。
また、実施例10で得られた混合物について、H-NMRスペクトルの測定を行い、その測定結果を図5に示した。
H-NMRスペクトルにおいては、4.7~3.9ppmおよび5.4~4.8ppm付近のピークがオキサジン環のCHに帰属されるピークで、そのプロトンの積分値の比が約1:1となることが確認された。
(実施例10で得られた混合物のH NMRスペクトル)
H NMR(600MHz,CDCl) δ(ppm) 7.2-6.2(芳香族H)、5.4-4.8(-O―C -N)、4.7-3.9(N-C -C)。
実施例10で得られた混合物について、赤外吸収スペクトルの測定を行い、その測定結果を図6に示した。1497cm-1、1222cm-1、および936cm-1に、ベンゾオキサジンの特徴的なピークが観察された。
上記のGPC、H NMRスペクトルおよび赤外吸収スペクトルの測定結果から、得られた混合物には下記式の化合物(m+n=3(理論値))が含まれていることが確認された。
Figure 2022013418000012
さらに、実施例10で得られた混合物についての、エポキシ化合物との相溶性、粘度、ガラス転移温度の測定結果を表1に示す。
実施例11
原料の組成、配合割合、反応時間を上記表1に示されるように変更し、
パラホルムアルデヒド(ホルムアルデヒド換算)をp-アミノフェノールとフェノールとの合計の2.2倍モルとした以外は、実施例10と同様にして混合物を合成した。
さらに、実施例11で得られた混合物についての、収率、平均分子量、x量体の含有率、エポキシ化合物との相溶性、粘度、ガラス転移温度の測定結果を表1に示す。
比較例1
p-アミノフェノール(38.1g、0.35mol)、フェノール(4.7g、50mmol)、アニリン(4.7g、50mmol)、パラホルムアルデヒド(26g、0.87mol)をクロロホルム(150ml)/1,4-ジオキサン(180ml)に溶解し、加熱還流下(オイルバスの温度:80℃)で、42時間撹拌した。
反応終了後、反応物をろ過し、つづいてろ液を1/3量まで濃縮した後、ヘキサンにて晶析し、濾別、真空乾燥し目的のベンゾオキサジン化合物を含む混合物を49g得た(収率86モル%)。
比較例1で得られた混合物についての、収率、平均分子量、x量体の含有率を表1に示す。
また、比較例1で得られた混合物について、H-NMRスペクトルの測定を行い、その測定結果を図7に示した。
(比較例1で得られた混合物のH NMRスペクトル)
H NMR(600MHz,CDCl) δ(ppm) 7.5-6.3(芳香族H)、5.4-5.0(-O―C -N)、4.7-4.0(N-C -C)。
比較例1で得られた混合物について、赤外吸収スペクトルの測定を行い、その測定結果を図8に示した。933cm-1、1220cm-1、および1494cm-1に、ベンゾオキサジンの特徴的なピークが観察された。
上記のGPC、H NMRスペクトルおよび赤外吸収スペクトルの測定結果から、得られた混合物には下記式の化合物(n=7(理論値))が含まれていることが確認された。
Figure 2022013418000013
さらに、比較例1で得られた混合物についての、エポキシ化合物との相溶性、粘度、ガラス転移温度の測定結果を表1に示す。
比較例2
原料の組成、配合割合、反応時間を下記表1に示されるように変更し、パラホルムアルデヒド(ホルムアルデヒド換算)をp-アミノフェノールとフェノールとの合計の2.2倍モルとした以外は、比較例1と同様にして混合物を合成した。
さらに、比較例2で得られた混合物についての、収率、平均分子量、x量体の含有率、エポキシ化合物との相溶性、粘度、ガラス転移温度の測定結果を表1に示す。
比較例3
ビスフェノールA(70g、0.31mol)、4,4’-ジアミノジフェニルメタン(61g、0.31mol)、パラホルムアルデヒド(40g、1.31mol)をクロロホルム(0.8L)に溶解し、加熱、還流下(オイルバスの温度:80℃)で、5時間撹拌した。
反応終了後、反応物をろ過し、ろ液を1N NaHCOaq(1.6L)で分液洗浄し、乾燥(NaSO)後、ろ過、濃縮し、その後、メタノールにて晶析し、濾別、真空乾燥し目的のベンゾオキサジン化合物を含む混合物を156g得た(収率100モル%)。
比較例3で得られた混合物についての、収率、平均分子量、x量体の含有率を表1に示す。なお、比較例3では、ピークが分離していないため、3量体以上の化合物の合計を算出している。
また、比較例3で得られた混合物について、H-NMRスペクトルの測定を行い、その測定結果を図9に示した。
(比較例3で得られた混合物のH NMRスペクトル)
H NMR(600MHz,CDCl) δ(ppm)7.2-6.4(芳香族H)、5.4-5.2(-O―C -N)、4.6-4.4(N-C -C)、3.9-3.7(C-C -C)、1.7-1.4(C )。
比較例3で得られた混合物について、赤外吸収スペクトルの測定を行い、その測定結果を図10に示した。938cm-1、1228cm-1、および1497cm-1、1510cm-1に、ベンゾオキサジンの特徴的なピークが観察された。
上記のGPC測定結果、H NMRスペクトルの測定値の測定値および赤外吸収スペクトルの測定結果から、得られた混合物には下記式の繰り返し単位を有する化合物が含まれていることが確認された。
Figure 2022013418000014
さらに、比較例3で得られた混合物についての、エポキシ化合物との相溶性、粘度、ガラス転移温度の測定結果を表1に示す。なお、比較例3で得られた混合物は、エポキシ化合物との相溶性が悪く、均一な組成物が得られないため、該混合物の粘度やガラス転移温度は測定不能であった。
比較例4
ビスフェノールF(61g、0.31mol)、4,4’-ジアミノジフェニルメタン(61g、0.31mol)、パラホルムアルデヒド(40g,1.32mol)をクロロホルム(0.8L)に溶解し、加熱還流下(オイルバスの温度:80℃)で、5時間撹拌した。
反応終了後、反応物をろ過し、ろ液を1N NaHCOaq(1.6L)で分液洗浄し、乾燥(NaSO)後、ろ過、濃縮し、その後、メタノールにて晶析し、濾別、真空乾燥し、目的のベンゾオキサジン化合物を含む混合物を112g得た(収率80モル%)。
比較例4で得られた混合物についての、収率、平均分子量、x量体の含有率を表1に示す。なお、比較例4では、ピークが分離していないため、3量体以上の化合物の合計を算出している。
また、比較例4で得られた混合物について、H-NMRスペクトルの測定を行い、その測定結果を図11に示した。
(比較例4で得られた混合物のH NMRスペクトル)
H NMR(600MHz,CDCl) δ(ppm)7.2-6.5(芳香族H)、5.4-5.1(-O―C -N)、4.6-4.3(N-C -C)、3.9-3.6(C-C -C)。
比較例4で得られた混合物について、赤外吸収スペクトルの測定を行い、その測定結果を図12に示した。928cm-1、1223cm-1、および1499cm-1、1511cm-1に、ベンゾオキサジンの特徴的なピークが観察された。
上記のGPC、H NMRスペクトルおよび赤外吸収スペクトルの測定結果から、得られた混合物には下記式の繰り返し単位を有する化合物が含まれていることが確認された。
Figure 2022013418000015
さらに、比較例4で得られた混合物についての、エポキシ化合物との相溶性、粘度、ガラス転移温度の測定結果を表1に示す。なお、比較例4で得られた混合物についての粘度としては、40℃における粘度を示した。
比較例5
ビスフェノールF(100g、0.50mol)、4,4’-ジアミノジフェニルメタン(198g、1.00mol)、フェノール(94g、1.00mol)、パラホルムアルデヒド(132g、4.4mol)をクロロホルム(1.0L)に溶解し、加熱還流下(オイルバスの温度:80℃)で、48時間撹拌した。
反応終了後、反応物をろ過し、ろ液を水(1L、3回)洗浄し、乾燥(MgSO)後、ヘキサンにて晶析し、濾別、真空乾燥し、目的のベンゾオキサジン化合物を含む混合物を352g得た(収率83モル%)。
比較例5で得られた混合物についての、収率、平均分子量、x量体の含有率を表1に示す。なお、比較例5では、3量体以上の化合物のピークが分離していないため、3量体以上の化合物の合計を算出している。
また、比較例5で得られた混合物について、H-NMRスペクトルの測定を行い、その測定結果を図13に示した。
(比較例5で得られた混合物のH NMRスペクトル)
H NMR(600MHz,CDCl) δ(ppm) 7.3-6.5(芳香族H)、5.4-5.0(-O―C -N)、5.0-4.4(N-C -C)、3.9-3.6(C-C -C)。
比較例5で得られた混合物について、赤外吸収スペクトルの測定を行い、その測定結果を図14に示した。926cm-1、1223cm-1、および1497cm-1、1510cm-1に、ベンゾオキサジンの特徴的なピークが観察された。
上記のGPC、H NMRスペクトルおよび赤外吸収スペクトルの測定結果から、得られた混合物には下記式の化合物(n=1(理論値))が含まれていることが確認された。
Figure 2022013418000016
さらに、比較例5で得られた混合物についての、エポキシ化合物との相溶性、粘度、ガラス転移温度の測定結果を表1に示す。
比較例6
比較例6として、下記に示す、市販のフェノール-ジアミノジフェニルメタン(P-d)型ベンゾオキサジン(四国化成株式会社製)を用いた。
Figure 2022013418000017
比較例6の(P-d)型ベンゾオキサジンについての、エポキシ化合物との相溶性、粘度、ガラス転移温度の測定結果を表1に示す。
上記表1に示す結果から、式(1)のベンゾオキサジン化合物含有混合物はエポキシ化合物に対し優れた相溶性を示し、硬化性組成物の粘度を低くすることができることが分かった。さらに、式(1)のベンゾオキサジン化合物含有混合物を含む硬化性組成物の硬化物は優れた耐熱性を示すことが分かった。

Claims (17)

  1. p-アミノフェノールと、
    芳香族第1級ジアミン類と、
    モノフェノール類と、
    ホルムアルデヒド類と
    を縮合して得られる化合物の混合物であって、
    前記混合物は下記式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物を含んでなり、
    前記混合物の数平均分子量は600~1500であり、
    前記混合物全量に対する、下記式(1)中のmおよびnが0であるベンゾオキサジン化合物の割合が20面積%以下である、混合物。
    Figure 2022013418000018
    [式(1)中、
    ~Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、アルコキシ基、もしくはアリール基であるか、または、R~Rのうち隣り合う基が、それらが結合する炭素原子とともに芳香環を形成しており、
    Lは芳香環を1~5個有する2価の有機基であって、該有機基は酸素を含んでいてもよく、
    m、nは、それぞれ独立して0以上の整数である。]
  2. 式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物のR~Rがすべて水素である、請求項1に記載の混合物。
  3. 式(1)中のmとnとの合計の値が異なるベンゾオキサジン化合物を含んでなる、請求項1または2に記載の混合物。
  4. 式(1)中のmとnとの合計の値が1以上であるベンゾオキサジン化合物を含んでなる、請求項1~3のいずれか一項に記載の混合物。
  5. 前記混合物全量に対する、式(1)中のmとnとの合計の値が5以上であるベンゾオキサジン化合物の割合が20面積%以上80面積%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の混合物。
  6. 前記混合物全量に対する、式(1)中のmとnとの合計の値が1~4であるベンゾオキサジン化合物の割合が20面積%以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の混合物。
  7. 前記混合物全量に対する、ベンゾオキサジン環を一つ有し、かつ、分子量が210~250である化合物の割合が3面積%以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の混合物。
  8. 分子量分散度が1.05~2.50である、請求項1~7のいずれか一項に記載の混合物。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の混合物を含んでなる、硬化性組成物。
  10. 硬化剤および所望により硬化促進剤をさらに含んでなる、請求項9に記載の硬化性組成物。
  11. エポキシ化合物をさらに含んでなる、請求項9または10に記載の硬化性組成物。
  12. 請求項9~11のいずれか一項に記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
  13. 請求項1~8のいずれか一項に記載の混合物を製造する方法であって、
    p-アミノフェノールと、芳香族第1級ジアミン類と、モノフェノール類と、ホルムアルデヒド類とを縮合反応させる工程を含んでなる、方法。
  14. 前記縮合反応工程における、前記p-アミノフェノールおよび前記芳香族第1級ジアミン類由来のアミノ基と、前記p-アミノフェノールおよび前記モノフェノール類由来のフェノール性水酸基との比(NH/OH)が1/1である、請求項13に記載の方法。
  15. 前記縮合反応工程において、前記p-アミノフェノールおよび前記モノフェノール類由来のフェノール性水酸基のうち、前記p-アミノフェノールのフェノール性水酸基の含有率が95モル%以下である、請求項13または14に記載の方法。
  16. 前記縮合反応工程において、前記p-アミノフェノールおよび前記芳香族第1級ジアミン類由来のアミノ基のうち、前記p-アミノフェノールのアミノ基の含有率が95モル%以下である、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記式(1)で示されるベンゾオキサジン化合物の混合物であって、
    前記混合物の数平均分子量が600~1500であり、
    分子量分散度が1.05~2.50である、ベンゾオキサジン化合物の混合物。
    Figure 2022013418000019
    [式(1)中、
    ~Rは、それぞれ独立して、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、アルコキシ基、もしくはアリール基であるか、または、R~Rのうち隣り合う基が、それらが結合する炭素原子とともに芳香環を形成しており、
    Lは芳香環を1~5個有する2価の有機基であって、該有機基は酸素を含んでいてもよく、
    m、nは、それぞれ独立して0以上の整数である。]
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