JP2022012436A - メタノール及びメタンの併産方法並びにメタノール及びメタンの併産設備 - Google Patents

メタノール及びメタンの併産方法並びにメタノール及びメタンの併産設備 Download PDF

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Abstract

Figure 2022012436000001
【課題】水素と二酸化炭素からメタン及びメタノールを製造するに際して、設備コストを抑制しつつ、変換効率の改善されたメタン及びメタノールの併産方法を提供する。
【解決手段】水素と二酸化炭素とから、メタノール及びメタンを併産する方法であって、
水素と二酸化炭素とを含む原料ガスから逆シフト反応によって、水素、一酸化炭素、二酸化炭素及び水蒸気を含む合成ガスを得る工程と、合成ガスを冷却して水を分離する工程と、水を分離した合成ガスをメタノール合成触媒に通じてメタノールを合成する工程と、メタノールを分離する工程と、水素と二酸化炭素とを含む原料ガスをメタン化触媒に通じてメタンを合成する工程とを備え、メタン化反応で生じた反応熱を逆シフト反応の熱源として用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、水素と二酸化炭素とを原料としてメタノール及びメタンを併産する方法並びに設備に関する。
近年、地球温暖化対策の観点から、燃焼利用しても大気中の二酸化炭素濃度を実質的に増加させることがないカーボンニュートラル燃料に注目が集まっている。
工業プロセスや火力発電などで発生する排ガスから二酸化炭素を回収し、再生可能エネルギーである太陽光発電や風力発電などによる電力を用いた電気分解により得られた水素と反応させることにより、メタンあるいはメタノールを得ることができる。この方法によって得られたメタンあるいはメタノールは、燃焼利用しても追加的な二酸化炭素の発生がないことから、地球温暖化に影響しないカーボンニュートラル燃料と考えることができる。
二酸化炭素と水素とを反応させてメタンを得るメタン化反応(式1)は公知である。
(式1)
CO+4H → CH+2H
特許文献1には、CO及びHを含むガスをメタン化するに際し、上流側にCu-Zn系低温シフト触媒を配し且つ下流側にメタン化触媒を配置したメタン化反応器を使用することを特徴とするCO及びHを含むガスのメタン化方法が開示されている。上流側の低温シフト反応器ではCOシフト反応(式2)が進行するので、原料ガスに含まれる一酸化炭素の大部分は水蒸気と反応して二酸化炭素に転換され、下流側のメタン化触媒上では二酸化炭素のメタン化反応が進行しているものと考えられる。
(式2)
CO+HO → CO+H
メタン化反応はアンモニア合成用の水素から一酸化炭素及び二酸化炭素を除去する目的で古くから使用されており、NiやRuなどを担持した触媒が高活性を示すことが知られている(非特許文献1、2)。
二酸化炭素を水素と反応させてメタンを得るメタン化反応は、工業的にも確立された技術(たとえば非特許文献3)であるが、カーボンニュートラル燃料の製造の観点では、なお改良の余地がある。
二酸化炭素を水素と反応させてメタンを得るメタン化反応は、式1に示す通り、4molの水素から1molのメタンを生成する反応である。水素4molの発熱量(高位発熱量、以下同じ)は、1143.3kJであり、メタン1molの発熱量は890.3kJであるから、反応が理論式通り100%の収率で進行した場合でも、得られるメタンの発熱量は、原料となる水素の発熱量の77.9%にとどまる。残りは反応熱として放出されて、通常は利用することができないので、水素からメタンへの変換過程で約22%のエネルギーを失うことになる。
二酸化炭素と水素とを反応させてメタノールを得る反応(式3)も公知である(例えば、特許文献2)。
(式3)
CO+3H → CHOH+H
この反応では、3molの水素から1molのメタノールを生成する。水素3molの発熱量(高位発熱量、以下同じ)は、857.5kJであり、メタノール1molの発熱量は726.1kJであるから、反応が理論式通り100%の収率で進行した場合に得られるメタノールの発熱量は、原料となる水素の発熱量の84.7%となって、メタンに変換する場合よりも効率は高いことになる。
このように変換の熱効率が高いことは、反面で二酸化炭素と水素とを反応させてメタノールを得る反応の反応熱(エンタルピー変化)が小さいことも意味し、これは反応のギブズエネルギー変化が小さいこと、すなわち平衡的に反応が進行し難いことにつながる。
例えば、250℃、5MPaの条件で、CO:H=1:4のガスをメタン化反応させて平衡組成とした場合には、COの99.5%がメタンに変換される。これに対して、同じ250℃、5MPaの条件で、CO:H=1:3のガスをメタノール合成反応させて平衡組成とした場合には、COの約20%しかメタノールに変換されない。
このように、二酸化炭素と水素との反応によりメタノールを合成する反応は、平衡的に高い転化率が得難いことから、逆シフト反応(式4)により二酸化炭素の少なくとも一部を一酸化炭素にあらかじめ変換し、生成した水を除去してからメタノール合成触媒に通じるメタノール合成方法も提案されている(非特許文献4、特許文献3)。
(式4)
CO+H → CO+H
一酸化炭素と水素からメタノールを得る反応(式5)は、逆シフト反応の吸熱の分だけ、二酸化炭素と水素からメタノールを得る反応よりも発熱量が大きくなる。これに伴い、平衡的に一酸化炭素のメタノールへの転化率は、二酸化炭素からのメタノール合成反応よりも高くなる。例えば、250℃、5MPaの条件で、CO:H=1:2のガスをメタノール合成反応させて平衡組成とした場合には、COの58%がメタノールに変換される。
(式5)
CO+2H → CHOH
逆シフト反応は、吸熱反応であり、高温になるほど二酸化炭素の一酸化炭素への転化率が高くなる。例えば、CO:H=1:3のガスを逆シフト反応させた場合、250℃では、二酸化炭素の一酸化炭素への転化率は16%にとどまるが、350℃では29%、450℃であれば、43%まで向上する。従って、逆シフト反応を十分に進行させるためには、高温で反応を行う必要があり、これには高温の熱源が必要となる。
一方で、メタノール合成反応は発熱反応であり、温度が高いほど転化率が低くなることから、熱交換型の反応器を用いて250℃程度で反応させることが一般的であり、350℃以上の排熱を回収することは通常不可能である。水素を燃焼させて逆シフト反応の吸熱を賄うこともできるが、必然的に水素のメタノールへの変換効率は低下することになる。
特開昭60-235893号公報 特開平7-39755号公報 米国特許第8198338号明細書
社団法人化学工学協会編、化学プロセス集成、1970年、p.153 触媒学会編、触媒便覧、2008年、p.535 川越、松田、松島及び植松、日立評論、68巻10号、1986年、p.73 S.-J.Uhmほか、Industrial and Engineering Chemistry Research、38巻、1999年、p.1808.
本発明が解決しようとする課題は、以上の問題に鑑み、水素と二酸化炭素からメタン及びメタノールを製造するに際して、設備コストを抑制しつつ、変換効率の改善されたメタン及びメタノールの併産方法並びに併産設備を提供することにある。
本発明に係るメタノール及びメタンの併産方法の特徴構成は、
水素と二酸化炭素とから、メタノール及びメタンを併産する方法であって、
(a)水素と二酸化炭素とを含む原料ガスから逆シフト反応によって、水素、一酸化炭素、二酸化炭素及び水蒸気を含む合成ガスを得る工程と、
(b)合成ガスを冷却して水を分離する工程と、
(c)水を分離した合成ガスをメタノール合成触媒に通じてメタノールを合成する工程と、
(d)工程(c)で得たガスを冷却して、メタノールを分離する工程と、
(e)水素と二酸化炭素とを含む原料ガスをメタン化触媒に通じてメタンを合成する工程と、を備え、
工程(e)で生じた反応熱を工程(a)の熱源として用いる点にある。
また、本発明に係るメタノール及びメタンの併産設備の特徴構成は、
水素と二酸化炭素とから、メタノール及びメタンを併産する設備であって、
水素と二酸化炭素とを含む原料ガスから逆シフト反応によって、水素、一酸化炭素、二酸化炭素及び水蒸気を含む合成ガスを得る逆シフト反応部と、
合成ガスを冷却して水を分離する水分離部と、
水を分離した合成ガスをメタノール合成触媒に通じてメタノールを合成するメタノール合成部と、
メタノール合成部から送出されたガスを冷却して、メタノールを分離するメタノール分離部と、
水素と二酸化炭素とを含む原料ガスをメタン化触媒に通じてメタンを合成するメタン化反応部と、
メタン化反応部で生じた反応熱を逆シフト反応部に供給する熱供給部とを備える点にある。
本特徴構成によれば、水素と二酸化炭素を含む原料ガスからメタノールを得るに際して、あらかじめ逆シフト反応によって、二酸化炭素の一部を一酸化炭素に変換しているため、メタノールの収率が改善される。さらに、逆シフト反応は、通常350℃以上、好ましくは450℃以上で行われるが、メタノール合成ではこの温度の排熱は得られないところ、本発明のメタン及びメタノールの併産方法並びに併産設備では、メタン化の発熱が逆シフト反応の熱源として活用されるため、水素の製品(メタン及びメタノール)への変換効率が高くなる。
本発明に係るメタノール及びメタンの併産方法の更なる特徴構成は、工程(d)で得たメタノールを分離した合成ガスの少なくとも一部が工程(e)におけるメタン化反応の原料ガスとして用いられる点にある。
また、本発明に係るメタノール及びメタンの併産設備の更なる特徴構成は、
メタノール分離部から送出された合成ガスの少なくとも一部をメタン化反応部に原料ガスとして供給するように構成され、
メタノール分離部からメタン化反応部へと供給する合成ガスの流量を調整する流量調整部を備える点にある。
本特徴構成によれば、水素と二酸化炭素を含む原料ガスからメタノールを得るに際して、メタノールを分離した合成ガスの少なくとも一部がメタン化反応の原料ガスとして用いられるため、メタノール合成プロセスにおいて通常必要となる未反応ガスの原料ガスへのリサイクル量が減少し、メタノール分離後の合成ガスをメタン化反応の原料ガスとして有効利用できる。尚、メタノールを分離した合成ガスの全量がメタン化反応の原料ガスとして用いられる場合には、メタノール合成の原料ガスへの未反応ガスのリサイクルが不要となることから、設備コストが大幅に削減できる。
本発明に係るメタノール及びメタンの併産方法の更なる特徴構成は、工程(d)で得たメタノールを分離した合成ガスの少なくとも一部が工程(a)における逆シフト反応の原料ガスに混合して用いられる点にある。
また、本発明に係るメタノール及びメタンの併産設備の更なる特徴構成は、メタノール分離部から送出された合成ガスの少なくとも一部を逆シフト反応部に原料ガスとして返送するように構成され、
流量調整部は、メタノール分離部から逆シフト反応部へと供給する合成ガスの流量を調整する点にある。
本特徴構成によれば、メタン化反応工程における発熱が、逆シフト反応工程における吸熱を賄える範囲において、メタノールとメタンの製造量を任意に選択でき、経済的に有利にメタノールとメタンの併産を行うことができる。
本発明のメタノール及びメタンの併産方法並びに併産設備の一態様を示すブロックフロー図である。 本発明のメタノール及びメタンの併産方法並びに併産設備の別の一態様を示すブロックフロー図である。 本発明のメタノール及びメタンの併産方法並びに併産設備の一態様を示すプロセスフロー図である。 本発明の方法によらないメタノール及びメタンの併産方法並びに併産設備を示すプロセスフロー図である。 本発明のメタノール及びメタンの併産方法並びに併産設備の一態様を示すプロセスフロー図である。 本発明の方法によらないメタノール及びメタンの併産方法並びに併産設備を示すプロセスフロー図である。
〔実施形態〕
以下、メタノール及びメタンの併産方法並びに併産設備の実施形態について説明する。図1は、本発明のメタノール及びメタンの併産方法並びに併産設備を示すブロックフロー図である。本実施形態に係るメタノール及びメタンの併産方法は、水素と二酸化炭素とを含む原料ガスから逆シフト反応によって、水素、一酸化炭素、二酸化炭素及び水蒸気を含む合成ガスを得る工程(逆シフト反応工程)と、合成ガスを冷却して水を分離する工程(水分離工程)と、水を分離した合成ガスをメタノール合成触媒に通じてメタノールを合成する工程(メタノール合成工程)と、メタノール合成工程で得たガスを冷却して、メタノールを分離する工程(メタノール分離工程)と、水素と二酸化炭素とを含む原料ガスをメタン化触媒に通じてメタンを合成する工程(メタン化反応工程)とを有し、メタン化反応工程で生じた反応熱を逆シフト反応工程の熱源として用いる。
また、本実施形態に係るメタノール及びメタンの併産設備は、上記併産方法における各工程に対応する逆シフト反応部1、水分離部2、メタノール合成部3、メタノール分離部4、メタン化反応部5を有するとともに、メタン化反応部5で生じた反応熱を逆シフト反応部1に供給する熱供給部6を有する。
逆シフト反応工程(逆シフト反応部1)では、二酸化炭素と水素とを含む原料ガスを、後述するメタン化反応工程で生じる反応熱を熱供給部6により供給して予熱し、逆シフト触媒に接触させて、二酸化炭素と水素との逆シフト反応により、一酸化炭素と水蒸気を生成する。尚、熱供給部6は、例えば、原料ガスとメタン化反応により温度が上昇したガスとの熱交換を行う熱交換器である。
原料として用いる二酸化炭素及び水素は、逆シフト反応させるにあたって支障のない純度及び性状のものである限り、どのような方法で製造されたものであっても差支えない。水素は、例えば水を電気分解して得た電解水素であってもよい。二酸化炭素は、燃焼排ガスからアミン吸収法などの公知の二酸化炭素回収方法によって回収されたものであってもよく、有機物をメタン発酵させて得られるバイオガスから回収された二酸化炭素であってもよい。
二酸化炭素または水素に硫黄分やハロゲン化合物、シロキサン化合物、重質炭化水素などが含まれる場合、これらが逆シフト触媒または後段のメタノール合成触媒の劣化を引き起こすことがあるので、必要に応じて反応に供する前にこれらを除去することが好ましい。
逆シフト触媒としては、公知のCOシフト触媒である、銅-亜鉛触媒、鉄-クロム触媒などが使用できる。
予熱温度は、メタン化反応工程の発熱とのバランスによる制約があるが、通常300℃以上550℃以下、好ましくは350℃以上500℃以下とする。この範囲にあれば、二酸化炭素の一酸化炭素への転化率が確保されるとともに、メタン化反応工程の発熱で、予熱に必要な熱を賄うことが容易である。
逆シフト反応を断熱型の反応器で行う場合には、反応の進行により温度が低下し、これに応じて二酸化炭素の一酸化炭素への転化率が低下するので、必要に応じて複数段に分けて予熱と反応を繰り返してもよい。
水分離工程(水分離部2)では、前記の逆シフト反応により得た、水素、一酸化炭素、二酸化炭素及び水蒸気を含むガスを冷却して、水蒸気を水として分離する。逆シフト反応後のガスは、十分高い温度にあるので、その顕熱は熱回収して、例えば逆シフト反応に供する二酸化炭素と水素とを含む原料ガスと熱交換して、その予熱に用いるのが好ましい。
逆シフト反応に供する二酸化炭素と水素とを含む原料ガスとの熱交換だけでは、十分に温度が低下しない場合には、さらに冷却水や空冷などの手段により冷却し、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下に冷却して、凝縮した水を分離する。例えば、冷凍機などを用いて、さらに低い温度に冷却してから水を分離することで、ガスに残留する水蒸気の量を低減すると、後段のメタノール合成工程で得られるメタノールの量がある程度増加するが、通常は冷却水等での冷却で十分である。
メタノール合成工程(メタノール合成部3)では、水を分離した水素、一酸化炭素、二酸化炭素と、微量の水蒸気を含むガスをメタノール合成触媒に接触させて、メタノールを生成する。
メタノール合成触媒としては、公知の銅-亜鉛触媒、クロム-亜鉛触媒、銅-クロム-亜鉛触媒などが使用できる。
メタノール合成触媒に接触させる温度は、200℃以上350℃以下が好ましく、220℃以上280℃以下がより好ましい。前記の範囲にあると、十分な反応速度と、メタノールへの転化率が確保できるので、触媒量を過大に用いることなく、メタノールの生産量が確保できる。
メタノール合成反応は一定の発熱を伴うことから、メタノール合成反応器としては、発生した熱を除去しながら反応を進行させる熱交換型反応器を用いるのが好ましい。
メタノール分離工程(メタノール分離部4)では、前記のメタノール合成工程により得た、メタノールと未反応の水素、一酸化炭素、二酸化炭素を含むガスを冷却して、メタノールを液体として分離回収する。メタノール合成工程後のガスは、十分高い温度にあるので、その顕熱は熱回収して、例えばメタノール合成に供するガスと熱交換して、その予熱に用いるのが好ましい。
メタノールは、常温でも一定の蒸気圧を持つことから、熱交換による冷却や、水冷あるいは空冷による冷却に加えて、冷凍機と熱交換器を用いて、常温以下まで冷却するとメタノールの回収量を高めることができる。好ましくは20℃以下、より好ましくは10℃以下に冷却して、メタノールを分離する。
メタン化反応工程(メタン化反応部5)では、前記のメタノールを分離後の、未反応の水素、一酸化炭素及び二酸化炭素を含むガスをメタン化触媒に接触させて、メタンを生成する。
メタン化反応工程において用いるメタン化触媒としては、NiやRuなどを含有する公知のメタン化触媒を用いることができる。
メタン化触媒に接触させる際の入口温度は、200℃以上350℃以下が好ましく、225℃以上275℃以下がより好ましい。前記の範囲にあると、十分な反応速度が得られやすいことから、触媒量を過大に用いることなくメタン化反応を進行させることが容易になり、かつ、メタン化反応の出口温度が高まりすぎないことから、触媒の耐久性を確保することが容易になる。
メタン化反応は、比較的大きな発熱を伴うため、反応の進行に伴い、ガスの温度が上昇し、それに伴って平衡転化率が低下する。従って、1段の反応で所望の転化率を得ることは通常困難である。一方で、熱交換型の反応器を採用すると、逆シフト反応に必要な高温の熱を取り出すことが困難になる。そこで、入口側には断熱型の反応器を用い、反応熱により温度が上昇した出口ガスを逆シフト反応に供するガスとの熱交換(即ち、メタン化反応工程で生じた反応熱を逆シフト反応工程の熱源として利用)により冷却したのち、次段反応器に導入するプロセスとするのが好ましい。断熱型の反応器を冷却用の熱交換器を介して多段に連結してもよく、入口側の少なくとも1つの断熱型反応器と、出口側の少なくとも1つの熱交換型反応器とを、冷却用の熱交換器を介して、連結して用いてもよい。
メタン化反応は、比較的大きな発熱を伴うことから、触媒の熱劣化が問題となる場合もある。反応器出口側のガスを、反応器入口側に戻して、反応に供するガスを希釈することもできる。この反応器構成を用いると、希釈効果により温度上昇が抑えられることから触媒の耐久性が改善される。加えて、反応器出口温度が低下することにより、平衡転化率が高まる効果も生じるため、単純な多段反応器の構成よりも反応器の段数を削減できる場合がある。
メタン化反応後のガスを冷却して、水分を分離することにより、メタンを主成分とするガスが得られる。
反応圧力は、3MPa以上10MPa以下とするのが好ましく、4MPa以上7MPa以下とするのがより好ましい。反応圧力がこの範囲にあると、設備コストを抑制しながら、メタンに対するモル比で0.5~1程度のメタノールを得ることができる。
図1に示す態様のメタノール及びメタンの併産方法並びに併産設備では、逆シフト反応部1に供給された二酸化炭素と水素とを含む原料ガスから得られる合成ガスを基に、まずメタノールが合成され、これを分離した後の未反応の合成ガスを原料としてメタンが合成される。生産されるメタノールとメタンのモル比は、反応圧力及び逆シフト反応の進行度合いなどによって決まり、通常3:7~5:5の範囲である。
本態様の方法では、メタノール合成反応後の未反応の合成ガスは、その全量がメタン化反応の原料として用いられるので、メタノール転化率を高めるために、例えば20MPaというような、従来のメタノール合成で採用されるような極端な高圧を選択する必要はなく、また未反応の合成ガスをメタノール合成反応の入口側に戻すリサイクルコンプレッサーなどの高価な設備も不要である。
本態様のメタノール及びメタンの併産方法並びに併産設備では、反応条件により、生産されるメタノールとメタンのモル比が変化する。二酸化炭素と水素との反応によりメタノールを得る場合、二酸化炭素に対するモル比で3倍の水素が必要であり、メタンを得る場合は、二酸化炭素に対するモル比で4倍の水素が必要である。従って、本態様のメタノール及びメタンの併産方法で、逆シフト反応に供給する二酸化炭素と水素の割合は、二酸化炭素に対する水素のモル比で3以上4以下とするが、メタンを都市ガス原料とする場合には、水素や二酸化炭素が多量に残存することは好ましくない。例えば、生産されるメタノールとメタンのモル比が、4:6である場合、二酸化炭素に対する水素のモル比が3.6となるように混合したガスを逆シフト反応部1に供給することで、メタン化反応後のガスに含まれるメタン以外のガスの濃度を低くすることができる。
図2は、本発明の別の態様のメタノール及びメタンの併産方法並びに併産設備を示すブロックフロー図である。本実施形態に係るメタノール及びメタンの併産方法並びに併産設備も、逆シフト反応工程(逆シフト反応部1)と、水分離工程(水分離部2)、メタノール合成工程(メタノール合成部3)、メタノール分離工程(メタノール分離部4)、メタン化反応工程(メタン化反応部5)とを有する。ただし、図1に示した態様とは異なり、メタノール分離工程(メタノール分離部4)でメタノールを分離した後の合成ガスが流量調整部7を経由し、合成ガスの大部分が逆シフト反応部1の入口に返送され、残部が別に用意された水素と二酸化炭素とを含む原料ガスに混合されてメタン化反応工程の原料として用いられる。尚、流量調整部7は、逆シフト反応部1に返送する合成ガス量とメタン化反応部5に供給する合成ガス量とを任意で調整可能に構成されている。
この態様では、メタン化反応工程における発熱が、逆シフト反応の吸熱を賄える範囲で、メタノールとメタンの生産量の比を任意に設定することができる。
本態様の方法では、逆シフト反応により二酸化炭素の一部が一酸化炭素に変換されているので、単通でのメタノール転化率が高くなる。このため未反応合成ガスを入口側に戻すリサイクルコンプレッサーなどの設備の規模が従来公知の方法や設備と比較して小さくなる。また単通でのメタノール転化率が高くなることから、リサイクルされる未反応ガスの割合が減ることにより、メタノール合成触媒に導入される合成ガスの流量が削減されることから、メタノール合成触媒量も削減でき、触媒及び反応器にかかる費用を低減することができる。
未反応ガスのリサイクルを伴うメタノール合成設備では、通常未反応の合成ガスの一部は、不活性成分の蓄積を防ぐため、パージガスとして系外に抜き出される。この中には、メタンなどの軽質炭化水素も含まれうるが、これらはメタン化原料として利用することができるので、本態様のメタノールとメタンの併産方法並びに併産設備にあっては、逆シフト反応に供する原料とは別に用意された水素と二酸化炭素を含む原料ガスと混合して、メタン化反応工程に供する原料とすることができ、水素から製品となるメタノール及びメタンへの変換効率を高めることができる。
〔実施例及び比較例〕
以下に、プロセス計算に基づく試算例を示す。圧力は5MPaであり、各機器及び配管における圧力損失及び放熱損失は考慮していない。尚、図3は、本発明のメタノール及びメタンの併産方法並びに併産設備の一態様を示すプロセスフロー図である。
原料ガスは、温度25℃で、二酸化炭素1mol/sと水素3.6mol/sの流量で逆シフト反応部1に供給する。逆シフト反応部1では、熱交換器311において、原料ガスを後述する逆シフト反応後のガスとの熱交換により350℃まで加熱する。次いで、逆シフト反応器312に通じて、逆シフト反応により二酸化炭素の一部が一酸化炭素に変換される。逆シフト反応により温度が低下したガスを、熱交換器313(熱供給部に相当)において、メタン化反応後のガスとの熱交換により520℃まで加熱する。次いで、逆シフト反応器314に通じて、さらに逆シフト反応を進行させて、一酸化炭素の割合をさらに高める(逆シフト反応工程)。逆シフト反応器314の出口ガスは、熱交換器315(=熱交換器311の高温側)で150℃まで原料ガスとの熱交換により冷却し、水分離部2に送る。
水分離部2では、逆シフト反応後のガスを、熱交換器321で冷却水を用いて40℃までさらに冷却する。冷却により凝縮した水は、気液分離ドラム322で、合成ガスから分離する(水分離工程)。
メタノール合成部3では、水分離部2で水分を分離した合成ガスを、熱交換器331で後述するメタノール合成反応後のガスとの熱交換により150℃まで加熱し、さらに熱交換器332で、後述するメタン化反応後のリサイクルガスとの熱交換により250℃まで加熱し、次いでメタノール合成反応器333に通じて、合成ガスからのメタノール合成を行う。メタン化反応後のリサイクルガスとの熱交換による250℃までの昇温は、必ずしも必要なものではない。通常のメタノール合成反応では、メタノール合成反応器出口ガスと入口ガスとの熱交換で、メタノール合成反応器入口ガスをメタノール合成反応の開始に必要な温度、例えば200℃程度まで予熱し、メタノール合成反応器内での反応及び熱交換により、徐々にメタノール合成反応に適切な温度まで温度上昇させていくことが一般的である。ただし、メタン化反応後のリサイクルガスとの熱交換により250℃まで昇温した方が、メタノール合成反応に適切な温度で速やかに反応が開始する点で有利である。
メタノール合成反応器333は熱交換型反応器であり、メタノール合成反応により生成する発熱を除去しながら概ね250℃を保って反応が進行し、250℃の平衡組成までメタノール合成反応が進行する(メタノール合成工程)。発熱は高圧蒸気として回収される。メタノール合成反応後のガスは、熱交換器334(熱交換器331の高温側)で150℃まで熱回収して、メタノール分離部4に送られる。
メタノール分離部4では、メタノール合成反応後のガスから、熱交換器341で冷却水を用いて40℃まで冷却し、さらに冷凍機と熱交換器(図示せず)を用いて常温以下まで冷却し、気液分離ドラム342により、生成したメタノールを分離する(メタノール分離工程)。
メタン化反応部5では、メタノール分離部4でメタノールを分離した合成ガスの全量を、後述する熱交換器352の出口から分岐したガスと混合し250℃で、メタン化反応器351に通じて、合成ガスのメタン化反応を行う(メタン化反応工程)。メタン化反応器351は断熱型の反応器であり、メタン化の進行に伴い温度が上昇して、600℃の平衡組成までメタン化反応が進行する。熱交換器352は熱交換器313の高温側(放熱側)であって、メタン化反応後のガスは熱交換により479℃まで冷却され、72.3%がリサイクルコンプレッサー(図示せず)を用いて、リサイクルガスとして入口側に返送される。リサイクルガスは、まず熱交換器353(熱交換器332の高温側)でメタノール合成触媒入口側のガスとの熱交換により416℃まで冷却し、さらに熱交換器354で水との熱交換により、高圧蒸気として熱回収しながら、350℃まで冷却して、メタノールを分離した合成ガスに混合する。残る27.7%は、熱交換器355に通じて、高圧蒸気として熱回収しながら、250℃まで冷却して、メタン化反応器356に送られる。メタン化反応器356は熱交換型反応器であり、反応により生成する発熱を除去しながら概ね250℃を保って反応が進行し、250℃の平衡組成までメタン化反応が進行し、発熱は高圧蒸気として回収される。反応後のガスは、熱交換器357により、150℃まで熱回収して低圧蒸気を得たのち、さらに熱交換器358により冷却水で冷却して、気液分離ドラム359で水を分離することで、メタン主成分ガスが得られる。
プロセスの主要な箇所における、温度及び流量を表1に示す。
Figure 2022012436000002
メタノール及びメタンの生産量は、それぞれ0.400mol/s、0.597mol/sであった。原料水素に対する生成物(メタノール及びメタン)の発熱量の比率は79.9%であった。また、生成したメタン主成分ガスの脱水後の組成は、メタン97.66%、水素1.86%、二酸化炭素0.48%であった。また、表1に示す通り、メタノール合成触媒の入口ガス量は4.118mol/sであった。メタノール合成触媒の設計触媒量をガス時間当たり空間速度(GHSV)毎時2000で設計する場合、166リットルのメタノール合成触媒が必要となり、メタノール合成触媒の単位体積当たりのメタノール生産量は、8.66mol[メタノール]/(h・L[触媒])となった。
図4は、図3の構成から、逆シフト反応部1と水分離部2を省いた構成のプロセスフロー図であり、図3に対する比較例となっている。
原料ガスは、温度25℃で、二酸化炭素1mol/sと水素3.778mol/sの流量でメタノール合成部3に直接導入される。メタノール合成部3では、原料となる二酸化炭素と水素とを含むガスを、熱交換器431で後述するメタノール合成反応後のガスとの熱交換により150℃まで加熱し、さらに熱交換器432で、後述するメタン化反応後のリサイクルガスとの熱交換により250℃まで加熱し、次いでメタノール合成反応器433に通じて、合成ガスからのメタノール合成を行う。メタノール合成反応器433は熱交換型反応器であり、メタノール合成反応により生成する発熱を除去しながら概ね250℃を保って反応が進行し、250℃の平衡組成までメタノール合成反応が進行する。発熱は高圧蒸気として回収される。メタノール合成反応後のガスは、熱交換器434(熱交換器431の高温側)で150℃まで熱回収して、メタノール分離部4に送られる。
メタノール分離部4では、メタノール合成反応後のガスから、熱交換器441で冷却水を用いて40℃まで冷却し、さらに冷凍機と熱交換器(図示せず)を用いて常温以下まで冷却し、気液分離ドラム442により、生成したメタノールを分離する。
メタン化反応部5では、メタノール分離部4でメタノールを分離した合成ガスを、後述する熱交換器452の出口から分岐したガスと混合し250℃で、メタン化反応器451に通じて、合成ガスのメタン化反応を行う。メタン化反応器451は断熱型の反応器であり、メタン化の進行に伴い温度が上昇して、579℃の平衡組成までメタン化反応が進行する。熱交換器452では、高圧蒸気として熱回収しながら489℃まで冷却され、72.3%がリサイクルコンプレッサー(図示せず)を用いて、リサイクルガスとして入口側に返送される。リサイクルガスは、まず熱交換器453(熱交換器432の高温側)でメタノール合成触媒入口側のガスとの熱交換により433℃まで冷却し、さらに熱交換器354で水との熱交換により、高圧蒸気として熱回収しながら、350℃まで冷却して、メタノールを分離した合成ガスに混合する。残る27.7%は、熱交換器455に通じて、高圧蒸気として熱回収しながら、250℃まで冷却して、メタン化反応器456に送られる。メタン化反応器456は熱交換型反応器であり、反応により生成する発熱を除去しながら概ね250℃を保って反応が進行し、250℃の平衡組成までメタン化反応が進行し、発熱は高圧蒸気として回収される。反応後のガスは、熱交換器457により、150℃まで熱回収して低圧蒸気を得たのち、さらに熱交換器458により冷却水で冷却して、気液分離ドラム459で水を分離することで、メタン主成分ガスが得られる。
プロセスの主要な部位における、温度及び流量を表2に示す。
Figure 2022012436000003
メタノール及びメタンの生産量は、それぞれ0.222mol/s、0.774mol/sであった。原料水素発熱量に対する生成物(メタノール及びメタン)の発熱量の比率は78.7%であった。また、生成したメタン主成分ガスの脱水後の組成は、メタン97.52%、水素1.98%、二酸化炭素0.50%であった。また、表2に示す通り、メタノール合成触媒の入口ガス量は4.778mol/sであった。メタノール合成触媒の設計触媒量をガス時間当たり空間速度(GHSV)毎時2000で設計する場合、193リットルのメタノール合成触媒が必要となり、メタノール合成触媒の単位体積当たりのメタノール生産量は、4.15mol[メタノール]/(h・L[触媒])となった。
図4の構成では、図3の構成と比較して、メタノール合成触媒の単位体積当たりのメタノール収量が小さく、メタノール及びメタンの併産プロセスとして経済性が劣ることが明らかである。加えて、メタン化により製造されるメタン主成分ガスに含まれる水素及び二酸化炭素の濃度が高い、すなわちメタンの純度が低い。
図5は、本発明のメタノール及びメタンの併産方法並びに併産設備の別の一態様を示すプロセスフロー図である。
メタノール合成用の原料ガスは、温度25℃で、二酸化炭素1mol/sと水素3mol/sの流量で逆シフト反応部1に供給する。逆シフト反応部1では、熱交換器511において、原料ガスを後述する逆シフト反応後のガスとの熱交換により350℃まで加熱する。次いで、逆シフト反応器512に通じて、逆シフト反応により二酸化炭素の一部が一酸化炭素に変換される。逆シフト反応により温度が低下したガスを、熱交換器513(熱供給部に相当)において、メタン化反応後のガスとの熱交換により520℃まで加熱する。次いで、逆シフト反応器514に通じて、さらに逆シフト反応を進行させて、一酸化炭素の割合をさらに高める(逆シフト反応工程)。逆シフト反応器514の出口ガスは、熱交換器515(=熱交換器511の高温側)で150℃まで原料ガスとの熱交換により冷却し、水分離部2に送る。
水分離部2では、逆シフト反応後のガスを、熱交換器521で冷却水を用いて40℃までさらに冷却する。冷却により凝縮した水は、気液分離ドラム522で、合成ガスから分離する(水分離工程)。
メタノール合成部3では、水分離部2で水分を分離した合成ガスを、熱交換器531で後述するメタノール合成反応後のガスとの熱交換により150℃まで加熱し、さらに熱交換器532で、後述するメタン化反応後のリサイクルガスとの熱交換により250℃まで加熱し、次いでメタノール合成反応器533に通じて、合成ガスからのメタノール合成を行う。メタノール合成反応器533は熱交換型反応器であり、メタノール合成反応により生成する発熱を除去しながら概ね250℃を保って反応が進行し、250℃の平衡組成までメタノール合成反応が進行する(メタノール合成工程)。発熱は高圧蒸気として回収される。メタノール合成反応後のガスは、熱交換器534(熱交換器531の高温側)で150℃まで熱回収して、メタノール分離部4に送られる。
メタノール分離部4では、メタノール合成反応後のガスから、熱交換器541で冷却水を用いて40℃まで冷却し、冷凍機と熱交換器(図示せず)を用いて常温以下まで冷却し、気液分離ドラム542により、生成したメタノールを分離する(メタノール分離工程)。メタノール分離部4でメタノールを分離した合成ガスは、流量調整部543において、体積基準で1%がパージガスとして系外に抜き出され、残部がリサイクルコンプレッサー(図示せず)を用いて、逆シフト反応部入口に返送される。
メタン化反応用の原料ガスは、温度25℃で、二酸化炭素1mol/sと水素4mol/sの流量でメタン化反応部5に供給される。原料ガスは、熱交換器551において、後述するメタン化反応後のガスとの熱交換により250℃まで加熱され、さらに後述する熱交換器556の出口から分岐したガスと混合して、250℃でメタン化反応器552に導入される。メタン化反応器552は断熱型の反応器であり、メタン化の進行に伴い温度が上昇して、600℃の平衡組成までメタン化反応が進行する(メタン化反応工程)。熱交換器553は熱交換器513の高温側(放熱側)であって、メタン化反応後のガスは熱交換により454℃まで冷却される。次いで導入される熱交換器554は熱交換器532の高温側(放熱側)であって、メタン化後のガスは熱交換により385℃までさらに冷却される。次の熱交換器555は熱交換器551の高温側(放熱側)であって、原料ガスとの熱交換により298℃までさらに冷却される。次の熱交換器556で、高圧蒸気として熱回収しながら、メタン化後のガスは250℃まで冷却される。冷却後のガスの67.6%はリサイクルコンプレッサー(図示せず)を用いて、リサイクルガスとして入口側に返送される。残る32.4%は、メタン化反応器557に送られる。メタン化反応器557は熱交換型反応器であり、反応により生成する発熱を除去しながら概ね250℃を保って反応が進行し、250℃の平衡組成までメタン化反応が進行し、発熱は高圧蒸気として回収される。反応後のガスは、熱交換器558により、150℃まで熱回収して低圧蒸気を得たのち、さらに熱交換器559により、冷却水で冷却して、気液分離ドラム560で水を分離することで、メタン主成分ガスが得られる。
メタノール合成反応器533の入口及び出口における、温度及び流量を表3に示す。
Figure 2022012436000004
メタノール及びメタンの生産量は、それぞれ0.983mol/s、0.995mol/sであった。原料水素の発熱量に対する生成物(メタノール及びメタン)の発熱量の比率は79.9%であった。また、生成したメタン主成分ガスの脱水後の組成は、メタン97.44%、水素2.05%、二酸化炭素0.51%であった。また、表3に示す通り、メタノール合成触媒の入口ガス量は9.261mol/sであった。メタノール合成触媒の設計触媒量をガス時間当たり空間速度(GHSV)毎時2000で設計する場合、374リットルのメタノール合成触媒が必要となり、メタノール合成触媒の単位体積当たりのメタノール生産量は、9.48mol[メタノール]/(h・L[触媒])となった。
なお、図5の構成において、メタノール分離後のパージガスをメタン化の原料に混合した場合、メタン主成分ガスの脱水後の組成は同等で、メタンの生産量は1.011mol/sに増加した。ただし、メタン化反応用の原料ガスの流量は4.017mol/sに調整することが必要であった。この条件では、原料水素の発熱量に対する生成物(メタノール及びメタン)の発熱量の比率は80.5%に向上した。これはパージガスがメタン化原料として利用されたことによる。
図6は、図5の構成から、逆シフト反応部1と水分離部2を省いた構成のプロセスフロー図であり、図5に対する比較例となっている。
メタノール合成用の原料ガスは、温度25℃で、二酸化炭素1mol/sと水素3mol/sの流量でメタノール合成部3に供給する。
メタノール合成部3では、熱交換器631で後述するメタノール合成反応後のガスとの熱交換により150℃まで加熱し、さらに熱交換器632で、後述するメタン化反応後のリサイクルガスとの熱交換により250℃まで加熱し、次いでメタノール合成反応器633に通じて、合成ガスからのメタノール合成を行う。メタノール合成反応器633は熱交換型反応器であり、メタノール合成反応により生成する発熱を除去しながら概ね250℃を保って反応が進行し、250℃の平衡組成までメタノール合成反応が進行する。発熱は高圧蒸気として回収される。メタノール合成反応後のガスは、熱交換器634(熱交換器531の高温側)で150℃まで熱回収して、メタノール分離部4に送られる。
メタノール分離部4では、メタノール合成反応後のガスから、熱交換器641で冷却水を用いて40℃まで冷却し、冷凍機と熱交換器(図示せず)を用いて常温以下まで冷却し、気液分離ドラム642により、生成したメタノールを分離する。メタノール分離部4でメタノールを分離した合成ガスは、流量調整部643において、体積基準で1%がパージガスとして系外に抜き出され、残部がリサイクルコンプレッサー(図示せず)を用いて、逆シフト反応部入口に返送される。
メタン化反応用の原料ガスは、温度25℃で、二酸化炭素1mol/sと水素4mol/sの流量でメタン化反応部5に供給される。原料ガスは、熱交換器651において、後述するメタン化反応後のガスとの熱交換により250℃まで加熱され、さらに後述する熱交換器655の出口から分岐したガスと混合して、250℃でメタン化反応器652に導入される。メタン化反応器652は断熱型の反応器であり、メタン化の進行に伴い温度が上昇して、600℃の平衡組成までメタン化反応が進行する。熱交換器653は熱交換器632の高温側(放熱側)であって、メタン化反応後のガスは熱交換により470℃まで冷却される。次の熱交換器654は熱交換器651の高温側(放熱側)であって、原料ガスとの熱交換により386℃までさらに冷却される。次の熱交換器655で、高圧蒸気として熱回収しながら、メタン化後のガスは250℃まで冷却される。冷却後のガスの67.6%はリサイクルコンプレッサー(図示せず)を用いて、リサイクルガスとして入口側に返送される。残る32.4%は、メタン化反応器656に送られる。メタン化反応器656は熱交換型反応器であり、反応により生成する発熱を除去しながら概ね250℃を保って反応が進行し、250℃の平衡組成までメタン化反応が進行し、発熱は高圧蒸気として回収される。反応後のガスは、熱交換器657により、150℃まで熱回収して低圧蒸気を得たのち、さらに熱交換器658により、冷却水で冷却して、気液分離ドラム659で水を分離することで、メタン主成分ガスが得られる。
メタノール合成反応器633の入口及び出口における、温度及び流量を表4に示す。
Figure 2022012436000005
メタノール及びメタンの生産量は、それぞれ0.964mol/s、0.995mol/sであった。原料水素の発熱量に対する生成物(メタノール及びメタン)の発熱量の比率は79.2%であった。図5の構成における比率(79.9%)よりも低くなった理由は、メタノール合成工程における単通転化率が低下して、リサイクルガスとして循環される割合が高くなり、パージガス量が増加したためと考えられる。生成したメタン主成分ガスの脱水後の組成は、メタン97.44%、水素2.05%、二酸化炭素0.51%であった。また、表4に示す通り、メタノール合成触媒の入口ガス量は17.85mol/sであった。メタノール合成触媒の設計触媒量をガス時間当たり空間速度(GHSV)毎時2000で設計する場合、720リットルのメタノール合成触媒が必要となり、メタノール合成触媒の単位体積当たりのメタノール生産量は、4.82mol[メタノール]/(h・L[触媒])となった。図5の構成と比較すると、メタノール合成触媒の単位体積当たりのメタノール生産量は半減した。
表3及び表4のメタノール合成触媒の入口及び出口のガス組成から、メタノール合成の単通転化率を比較すると、図5の構成では38%、図6の構成では21%となっている。逆シフト反応工程を設けた図5の構成では、メタノール合成触媒の入口の一酸化炭素と二酸化炭素の組成比がおよそ1:1となっており、高い単通転化率につながったものと考えられる。一方、図6の構成では、メタノール合成触媒の入口の一酸化炭素と二酸化炭素の組成比がおよそ1:10となって、CO:H=1:3のガスをメタノール合成反応に供した時の平衡転化率(約20%)とほぼ変わらない、低い単通転化率にとどまったものと考えられる。
そして、逆シフト反応工程を設けることで、メタノール合成工程における単通転化率が大きく向上した結果として、メタノール合成触媒の単位体積当たりのメタノール生産量が向上するとともに、未反応ガスのリサイクル量が低減し、パージガス量が低減したことから、原料水素の発熱量に対する生成物(メタノール及びメタン)の発熱量の比率が向上したと考えられる。
〔別実施形態〕
〔1〕上記の実施形態では、メタノール合成工程での反応圧力とメタン化反応工程での反応圧力とを同一(5MPa)とした例について特に説明した。しかし、本発明に係るメタノール合成工程及びメタン化反応工程において、圧力は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
〔2〕図1及び図3に示した態様では、流量調整部を設けず、メタノール分離部4でメタノールを分離した合成ガスの全量をメタン化反応部5に供給するようにしたが、これに限られるものではない。流量調整部を設けた上で、メタノール分離部4でメタノールを分離した合成ガスの一部をパージガスとして系外に抜き出し、残部をメタン化反応部5に供給するようにしてもよいし、合成ガスの全量をメタン化反応部5に供給するようにしてもよい。
〔3〕図2に示した態様では、流量調整部7が、逆シフト反応部1に返送する合成ガス量とメタン化反応部5に供給する合成ガス量とを任意で調整可能な構成を採用し、メタノール分離部4でメタノールを分離した後の合成ガスが流量調整部7を経由し、合成ガスの大部分が逆シフト反応部1の入口に返送され、残部が別途用意された原料ガス(水素及び二酸化炭素)に混合されてメタン化反応工程の原料として用いられるようにしたが、これに限られるものではない。流量調整部7は、逆シフト反応部1に返送する合成ガス量、メタン化反応部5に供給する合成ガス量、及びパージガスとして系外に排出する合成ガス量を任意で調整可能に構成されていてもよく、この場合、例えば、メタノールを分離した後の合成ガスのうち、所定量を逆シフト反応部1の入口へ返送し、同じく所定量をメタン化反応部5へ供給し、所定量をパージガスとして系外に排出するようにしてもよい。
〔4〕図5に示した態様では、流量調整部543を設け、メタノール分離部4でメタノールを分離した合成ガスの一部をパージガスとして系外に抜き出し、残部を逆シフト反応部1の入口に返送するようにしたが、これに限られるものではない。例えば、メタノールを分離した合成ガスの全量を逆シフト反応部1の入口に返送するようにしてもよいし、流量調整部を設けない構成を採用した上で、合成ガスの全量を逆シフト反応部1の入口に返送するようにしてもよい。
上記実施形態(別実施形態を含む)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
本発明は、たとえば、都市ガス原料となるメタン主成分ガスと化学品あるいは液体燃料として利用できるメタノールを製造する方法及び設備として利用することができる。
1 逆シフト反応部
2 水分離部
3 メタノール合成部
4 メタノール分離部
5 メタン化反応部
6 熱供給部
7 流量調整部
312,314,512,514 逆シフト反応器
333,533 メタノール合成反応器
351,552 メタン化反応器(断熱型)
356,557 メタン化反応器(熱交換型)

Claims (6)

  1. 水素と二酸化炭素とから、メタノール及びメタンを併産する方法であって、
    (a)水素と二酸化炭素とを含む原料ガスから逆シフト反応によって、水素、一酸化炭素、二酸化炭素及び水蒸気を含む合成ガスを得る工程と、
    (b)合成ガスを冷却して水を分離する工程と、
    (c)水を分離した合成ガスをメタノール合成触媒に通じてメタノールを合成する工程と、
    (d)工程(c)で得たガスを冷却して、メタノールを分離する工程と、
    (e)水素と二酸化炭素とを含む原料ガスをメタン化触媒に通じてメタンを合成する工程と、を備え、
    工程(e)で生じた反応熱を工程(a)の熱源として用いるメタノール及びメタンの併産方法。
  2. 工程(d)で得たメタノールを分離した合成ガスの少なくとも一部が工程(e)におけるメタン化反応の原料ガスとして用いられる請求項1に記載のメタノール及びメタンの併産方法。
  3. 工程(d)で得たメタノールを分離した合成ガスの少なくとも一部が工程(a)における逆シフト反応の原料ガスに混合して用いられる請求項2に記載のメタノール及びメタンの併産方法。
  4. 水素と二酸化炭素とから、メタノール及びメタンを併産する設備であって、
    水素と二酸化炭素とを含む原料ガスから逆シフト反応によって、水素、一酸化炭素、二酸化炭素及び水蒸気を含む合成ガスを得る逆シフト反応部と、
    合成ガスを冷却して水を分離する水分離部と、
    水を分離した合成ガスをメタノール合成触媒に通じてメタノールを合成するメタノール合成部と、
    メタノール合成部から送出されたガスを冷却して、メタノールを分離するメタノール分離部と、
    水素と二酸化炭素とを含む原料ガスをメタン化触媒に通じてメタンを合成するメタン化反応部と、
    メタン化反応部で生じた反応熱を逆シフト反応部に供給する熱供給部とを備えるメタノール及びメタンの併産設備。
  5. メタノール分離部から送出された合成ガスの少なくとも一部をメタン化反応部に原料ガスとして供給するように構成され、
    メタノール分離部からメタン化反応部へと供給する合成ガスの流量を調整する流量調整部を備える請求項4に記載のメタノール及びメタンの併産設備。
  6. メタノール分離部から送出された合成ガスの少なくとも一部を逆シフト反応部に原料ガスとして返送するように構成され、
    流量調整部は、メタノール分離部から逆シフト反応部へと供給する合成ガスの流量を調整する請求項5に記載のメタノール及びメタンの併産設備。
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