JP2022011325A - 分離膜及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】カビの付着を防止できる分離膜及びその製造方法の提供。【解決手段】本発明の分離膜は、濾過膜と、前記濾過膜の表面に形成されたポリマー層とを有する分離膜であって、前記ポリマー層は、アニリン系ポリマーと、酸化還元電位が-0.4以下である金属とを含む。本発明の分離膜の製造方法は、濾過膜を備えた分離膜の製造方法であって、アニリン系ポリマーと、酸化還元電位が-0.4以下である金属とを含む組成物を用いて、前記濾過膜の表面を処理する工程を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、分離膜及びその製造方法に関する。
逆浸透膜、限外濾過膜、精密濾過膜等の分離膜を用いる膜分離技術は、飲料水の製造分野、半導体等の洗浄用の超純水の製造分野、浄水処理や排水処理等の水処理分野など、様々な分野で利用されている。
このような用途に用いられる分離膜としては、数多くのポリマー材料を用いたものが研究され、様々な膜が開発されている。
例えば、高い透水量を有する分離膜として、多孔性支持膜層と分離活性層とを含み、分離活性層の表面にアニオン系の親水性基を有する有機重合体層を形成した逆浸透複合膜が提案されている(特許文献1参照)。
特開平10-57783号公報
しかしながら、従来の分離膜では塩素も除去されてしまうため、分離膜を透過した透過水にカビが発生し、このカビが分離膜に付着することで水質が低下することがある。特に、分離膜を備えた水処理装置の運転を停止すると透過水が装置内に滞留するため、透過水にカビが発生すると分離膜に付着しやすくなる。そのため、定期的に次亜塩素酸ナトリウム等の殺菌剤を用いて分離膜を殺菌処理する必要があるが、殺菌剤により分離膜が劣化することがある。
本発明は、カビの付着を防止できる分離膜及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、分離膜を構成する濾過膜の表面に、アニリン系ポリマーと電子を放出しやすい金属とを用いてポリマー層を形成することで、透過水にカビが発生することを抑制し、分離膜へのカビの付着を防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を有する。
[1] 濾過膜と、前記濾過膜の表面に形成されたポリマー層とを有する分離膜であって、
前記ポリマー層は、アニリン系ポリマーと、酸化還元電位が-0.4以下である金属とを含む、分離膜。
[2] 前記アニリン系ポリマーが酸性基を有する、前記[1]の分離膜。
[3] 前記アニリン系ポリマーが、下記一般式(2)で表される単位を有する、前記[2]の分離膜。
Figure 2022011325000001
式(2)中、R18~R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を表し、R18~R21のうちの少なくとも1つは酸性基である。
[4] 濾過膜を備えた分離膜の製造方法であって、
アニリン系ポリマーと、酸化還元電位が-0.4以下である金属とを含む組成物を用いて、前記濾過膜の表面を処理する工程を有する、分離膜の製造方法。
[5] 前記アニリン系ポリマーが酸性基を有する、前記[4]の分離膜の製造方法。
[6] 前記アニリン系ポリマーが、下記一般式(2)で表される単位を有する、前記[5]の分離膜の製造方法。
Figure 2022011325000002
式(2)中、R18~R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を表し、R18~R21のうちの少なくとも1つは酸性基である。
本発明によれば、カビの付着を防止できる分離膜及びその製造方法を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための単なる例示であって、本発明をこの実施の形態にのみ限定することは意図されない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、様々な態様で実施することが可能である。
なお、本明細書において「溶解性」とは、単なる水、塩基及び塩基性塩の少なくとも一方を含む水、酸を含む水、水と水溶性有機溶媒との混合物のうちの1つ以上の溶媒10g(液温25℃)に、0.1g以上均一に溶解することを意味する。
また、本明細書において「質量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によって測定される質量平均分子量(ポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算)である。
[分離膜]
本発明の分離膜は、濾過膜と、濾過膜の表面に形成されたポリマー層とを有する。
なお、本発明では、濾過膜とポリマー層との位置関係を明確にするために「濾過膜の表面に」と表現しているが、ポリマー層の一部が濾過膜の内部に含浸している場合もある。
<濾過膜>
濾過膜としては、逆浸透膜、限外濾過膜、精密濾過膜等に用いられる多孔質膜が挙げられる。
濾過膜の材質としては、例えばセルロース、セルロースアセテート、ポリスルホン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ナイロンなどが挙げられる。
濾過膜の形態としては特に制限されず、中空糸膜、平膜など、用途に応じた形状をとすることができる。
濾過膜には、濾過膜を補強するための支持体(例えば、編紐や組紐等の繊維状物)を設けてもよい。例えば濾過膜の形態が中空糸膜である場合、中空状の支持体上に多孔質膜を形成したものを濾過膜としてもよい。
濾過膜としては、市販品を用いることができき、例えば市販のポリプロピレン濾過膜やポリエーテルスルホン濾過膜などが挙げられる。
<ポリマー層>
ポリマー層は、濾過膜の表面に形成される層であり、アニリン系ポリマー(以下、「ポリマー(A)」ともいう。)と、酸化還元電位が-0.4以下である金属(以下、「金属(B)」ともいう。)とを含む。
ポリマー層は、塩基性化合物(C)をさらに含むことが好ましい。また、必要に応じて任意成分の1つ以上を含んでいてもよい。
なお、濾過膜の表面とは、被処理水が流入する側の表面のことである。例えば濾過膜の形態が中空糸膜である場合、ポリマー層は濾過膜の外表面に形成される。
(ポリマー(A))
ポリマー(A)は、アニリン系ポリマーである。
ポリマー(A)は、水中でスーパーオキシドやヒドロキシラジカルを発生させる際の触媒の役割を果たす。
ポリマー(A)としては、アリニン及びアニリン誘導体の少なくとも一方をモノマー単位として含むポリマーが挙げられる。
ポリマー(A)は、酸性基を有することが好ましい。ポリマー(A)が酸性基を有していれば、濾過膜の表面が親水化され、透水量が高まる。ポリマー(A)は、一分子中に2種の酸性基を有してもよい。
ポリマー(A)は、高い溶解性を発現できる観点から、下記一般式(1)で表される単位を、ポリマー(A)を構成する全単位(100mol%)中に20~100mol%含有するポリマーが好ましい。
Figure 2022011325000003
式(1)中、R11~R15は各々独立に、水素原子、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、ハロゲン原子(-F、-Cl、-Br又はI)、-N(R16、-NHCOR16、-SR16、-OCOR16、-COOR16、-COR16、-CHO、又は-CNを表す。R16は炭素数1~24のアルキル基、炭素数6~24のアリール基、又は炭素数7~24のアラルキル基を表す。
ただし、一般式(1)のR11~R15のうちの少なくとも1つは酸性基である。
酸性基としては、スルホン酸基及びカルボキシ基の少なくとも一方であることが好ましい。
スルホン酸基(スルホ基)は、酸の状態(-SOH)で含まれていてもよく、イオンの状態(-SO )で含まれていてもよい。さらに、スルホン酸基には、スルホン酸基を有する置換基(-R17SOH)も含まれる。
一方、カルボキシ基(カルボン酸基)は、酸の状態(-COOH)で含まれていてもよく、イオンの状態(-COO)で含まれていてもよい。さらに、カルボン酸基には、カルボン酸基を有する置換基(-R17COOH)も含まれる。
前記R17は炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキレン基、炭素数6~24の直鎖若しくは分岐鎖のアリーレン基、又は炭素数7~24の直鎖若しくは分岐鎖のアラルキレン基を表す。
酸性基の一部又は全部は、塩を形成していてもよい。
酸性基の塩としては、スルホン酸基又はカルボン酸基のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、又は置換アンモニウム塩などが挙げられる。
アルカリ金属塩としては、例えば硫酸リチウム、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
アルカリ土類金属塩としては、例えばマグネシウム塩、カルシウム塩などが挙げられる。
置換アンモニウム塩としては、例えば脂肪族アンモニウム塩、飽和脂環式アンモニウム塩、不飽和脂環式アンモニウム塩などが挙げられる。
脂肪族アンモニウム塩としては、例えばメチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、メチルエチルアンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジブチルアンモニウム、メチルプロピルアンモニウム、エチルプロピルアンモニウム、メチルイソプロピルアンモニウム、エチルイソプロピルアンモニウム、メチルブチルアンモニウム、エチルブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラメチロールアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラn-ブチルアンモニウム、テトラsec-ブチルアンモニウム、テトラt-ブチルアンモニウムなどが挙げられる。
飽和脂環式アンモニウム塩としては、例えばピペリジニウム、ピロリジニウム、モルホリニウム、ピペラジニウム及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
不飽和脂環式アンモニウム塩としては、例えばピリジニウム、α-ピコリニウム、β-ピコリニウム、γ-ピコリニウム、キノリニウム、イソキノリニウム、ピロリニウム、及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
ポリマー(A)としては、溶解性により優れる観点から、上記一般式(1)で表される単位の中でも特に、下記一般式(2)で表される単位を有することがより好ましい。
Figure 2022011325000004
式(2)中、R18~R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子(-F、-Cl、-Br又は-I)を表す。また、R18~R21のうちの少なくとも1つは酸性基である。
前記一般式(2)で表される単位としては、製造が容易な点で、R18~R21のうち、いずれか1つが炭素数1~4の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基であり、他のいずれか1つがスルホン酸基であり、残りが水素であるものが好ましい。
ポリマー(A)は、pHに関係なく水及び有機溶媒への溶解性に優れる観点から、ポリマー(A)を構成する全単位(100mol%)のうち、前記一般式(2)で表される単位を10~100mol%含有することが好ましく、50~100mol%含有することがより好ましく、100mol%含有することが特に好ましい。
また、ポリマー(A)は、前記一般式(2)で表される単位を1分子中に10以上含有することが好ましい。
また、分離膜の透水量がより向上する観点から、ポリマー(A)において、ポリマー中の芳香環の総数に対する、酸性基が結合した芳香環の数は、50%以上であることが好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましく、90%以上が特に好ましく、100%が最も好ましい。
ポリマー中の芳香環の総数に対する、酸性基が結合した芳香環の数は、ポリマー(A)製造時の、モノマーの仕込み比から算出した値のことを指す。
また、ポリマー(A)において、モノマーユニットの芳香環上の酸性基以外の置換基は、モノマーへの反応性付与の観点から電子供与性基が好ましく、具体的には、炭素数1~24のアルキル基、炭素数1~24のアルコキシ基、ハロゲン基(-F、-Cl、-Br又はI)等が好ましく、このうち、電子供与性の観点から、炭素数1~24のアルコキシ基であることが最も好ましい。
さらに、ポリマー(A)は、前記一般式(2)で表される単位以外の構成単位として、本発明の効果に影響を及ぼさない限り、チオフェン、ピロール、フェニレン、ビニレン、二価の不飽和基、二価の飽和基からなる群より選ばれる1種以上の単位を含んでいてもよい。
ポリマー(A)としては、高い溶解性と透水量を発現できる観点から、下記一般式(3)で表される構造を有する化合物であることが好ましく、下記一般式(3)で表される構造を有する化合物の中でも、ポリ(2-スルホ-5-メトキシ-1,4-イミノフェニレン)、ポリ(2-メトキシアニリン-5-スルホン酸)が特に好ましい。
Figure 2022011325000005
式(3)中、R22~R37は、各々独立に、水素原子、炭素数1~4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1~4の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子(-F、-Cl、-Br又はI)を表す。また、R22~R37のうち少なくとも1つは酸性基である。また、nは重合度を示す。本発明においては、nは5~2500の整数であることが好ましい。
ポリマー(A)に含有される酸性基の少なくとも一部は、遊離酸型であることが望ましい。
ポリマー(A)の質量平均分子量は、GPCのポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算で、溶解性及び成膜性の観点から、1000~100万が好ましく、1500~80万がより好ましく、2000~50万がさらに好ましく、2000~10万が特に好ましい。ポリマー(A)の質量平均分子量が1000未満の場合、溶解性には優れるものの、成膜性が不足する場合がある。一方、質量平均分子量が100万を超える場合、溶解性が不充分な場合がある。
ここで、「成膜性」とは、ハジキ等が無い均一な膜となる性質のことを指し、ガラス上へのスピンコート等の方法で評価することができる。
ポリマー(A)は、例えば重合溶媒及び酸化剤の存在下、ポリマー(A)の原料モノマーを重合することで得られる。
以下に、ポリマー(A)の製造方法の一例について説明する。なお、以下に示す製造方法は、酸性基を有するポリマー(A)の製造方法である。
<<ポリマー(A)の製造方法>>
ポリマー(A)の製造方法は、重合溶媒及び酸化剤の存在下、ポリマー(A)の原料モノマーを重合する工程(重合工程)を含む。
重合工程は、重合溶媒及び酸化剤の存在下、ポリマー(A)の原料モノマーを重合する工程である。
原料モノマーの具体例としては、酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
酸性基置換アニリンとしては、例えば酸性基としてスルホン酸基を有するスルホン酸基置換アニリンが挙げられる。
スルホン酸基置換アニリンとして代表的なものは、アミノベンゼンスルホン酸類であり、具体的にはo-,m-,p-アミノベンゼンスルホン酸、アニリン-2,6-ジスルホン酸、アニリン-2,5-ジスルホン酸、アニリン-3,5-ジスルホン酸、アニリン-2,4-ジスルホン酸、アニリン-3,4-ジスルホン酸などが好ましく用いられる。
アミノベンゼンスルホン酸類以外のスルホン酸基置換アニリンとしては、例えばメチルアミノベンゼンスルホン酸、エチルアミノベンゼンスルホン酸、n-プロピルアミノベンゼンスルホン酸、iso-プロピルアミノベンゼンスルホン酸、n-ブチルアミノベンゼンスルホン酸、sec-ブチルアミノベンゼンスルホン酸、t-ブチルアミノベンゼンスルホン酸等のアルキル基置換アミノベンゼンスルホン酸類;メトキシアミノベンゼンスルホン酸(例えば2-メトキシアニリン-5-スルホン酸、2-メトキシアニリン-3-スルホン酸、3-メトキシアニリン-2-スルホン酸、3-メトキシアニリン-5-スルホン酸等)、エトキシアミノベンゼンスルホン酸、プロポキシアミノベンゼンスルホン酸等のアルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類;ヒドロキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類;ニトロ基置換アミノベンゼンスルホン酸類;フルオロアミノベンゼンスルホン酸、クロロアミノベンゼンスルホン酸、ブロムアミノベンゼンスルホン酸等のハロゲン置換アミノベンゼンスルホン酸類などを挙げることができる。
これらの中では、溶解性に特に優れるポリマー(A)が得られる点で、アルキル基置換アミノベンゼンスルホン酸類、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、ヒドロキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、又はハロゲン置換アミノベンゼンスルホン酸類が好ましく、製造が容易な点で、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、そのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩が特に好ましい。
これらのスルホン酸基置換アニリンは、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
重合溶媒としては、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合溶媒などが挙げられる。
水としては、水道水、イオン交換水、純水、超純水、蒸留水などが挙げられる。
有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノール等のアルコール類;アセトン、エチルイソブチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル等のエチレングリコール類;プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のプロピレングリコール類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類;N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン等のピロリドン類などが挙げられる。
重合溶媒としては、水、又は水と有機溶媒との混合溶媒が好ましい。
なお、重合溶媒として水と有機溶媒との混合溶媒を用いる場合、これらの質量比(水/有機溶媒)は1/100~100/1であることが好ましく、2/100~100/2であることがより好ましい。
酸化剤としては、標準電極電位が0.6V以上である酸化剤であれば限定はないが、例えばペルオキソ二硫酸、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム等のペルオキソ二硫酸類;過酸化水素などが挙げられる。
これらの酸化剤は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
重合工程は、重合溶媒及び酸化剤に加えて、塩基性反応助剤の存在下で原料モノマーを重合してもよい。
塩基性反応助剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の無機塩基;アンモニア;メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、ジエチルメチルアミン等の脂式アミン類;環式飽和アミン類;ピリジン、α-ピコリン、β-ピコリン、γ-ピコリン、キノリン等の環式不飽和アミン類などが挙げられる。
これらの中では、無機塩基、脂式アミン類、環式不飽和アミン類が好ましく、環式不飽和アミン類がより好ましい。
これらの塩基性反応助剤は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
重合の方法としては、例えば、酸化剤溶液中に原料モノマー溶液を滴下する方法、原料モノマー溶液に酸化剤溶液を滴下する方法、反応容器等に原料モノマー溶液と、酸化剤溶液を同時に滴下する方法などが挙げられる。原料モノマー溶液には、必要に応じて塩基性反応助剤が含まれていてもよい。
酸化剤溶液及び原料モノマー溶液の溶媒としては、上述した重合溶媒を用いることができる。
重合反応の反応温度は、50℃以下が好ましく、-15~40℃がより好ましく、-10~30℃がさらに好ましい。重合反応の反応温度が50℃以下、特に30℃以下であれば、副反応の進行を抑止できる。重合反応の反応温度が-15℃以上であれば、十分な反応速度を維持し、反応時間を短縮できる。
重合工程により、反応生成物であるポリマー(A)が重合溶媒に溶解又は沈殿した状態で得られる。
反応生成物が重合溶媒に溶解している場合は、重合溶媒を留去して反応生成物を得る。
反応生成物が重合溶媒に沈殿している場合は、遠心分離器等の濾過器により重合溶媒を濾別して反応生成物を得る。
こうして得られた反応生成物を乾燥して、ポリマー(A)として用いてもよいし、必要に応じて反応生成物を精製したものをポリマー(A)として用いてもよい。
反応生成物を精製する方法としては、洗浄溶媒を用いた洗浄法、膜濾過法、イオン交換法、加熱処理による不純物の除去、中和析出などあらゆる方法を用いることができる。
(金属(B))
金属(B)は、酸化還元電位が-0.4以下の金属である。酸化還元電位が低いほど電子を放出しやすい。
ポリマー(A)を含むポリマー層が金属(B)を含むことで、透過水にカビが発生することを抑制し、分離膜へのカビの付着を防止できる。係る理由は以下のように考えられる。
水中の酸素を還元すると殺菌作用を有するスーパーオキシドが生成する。このスーパーオキシドは自身の不均化反応により過酸化水素を発生させ、発生した過酸化水素はスーパーオキシドと反応して、より活性の高いヒドロキシラジカルが生成される。この水中での酸素の還元によるスーパーオキシドの生成や、スーパーオキシドからヒドロキシラジカルへの変化は、ポリマー(A)の触媒作用により促進される。また、ポリマー(A)の触媒活性は、金属(B)から放出された電子がポリマー(A)に供給されることで高まる。よって、ポリマー層がポリマー(A)と金属(B)とを含むことで、被処理水を濾過する間に、金属(B)から放出された電子を供給されたポリマー(A)の触媒作用によってスーパーオキシドやヒドロキシラジカルが発生しやすくなり、これらの殺菌作用により透過水にカビが発生することを抑制し、分離膜へのカビの付着を防止できると考えられる。
金属(B)としては、鉄、アルミニウム、リチウム、マグネシウム、ジルコニウム、バナジウム、チタンなどが挙げられる。これらの中でも、透過水を飲料水用に用いる場合は、鉄、アルミニウムが好ましい。
金属(B)は、金属単体として用いられてもよいし、金属塩化物、金属酸化物、金属炭酸塩等の金属化合物の状態で用いられてもよい。
金属化合物としては、酸化還元電位が-0.4以下の金属を含む化合物であれば特に制限されないが、例えば塩化鉄(II)、塩化アルミニウム等の金属塩化物;酸化チタン(IV)等の金属酸化物;水酸化鉄(II)、水酸化鉄(III)、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物などが挙げられる。
なお、金属(B)の酸化還元電位は、「化学便覧 基礎編II 改定3版」(日本化学会編、1984年6月発行)に記載されている値(標準電極電位)を採用できる。
(塩基性化合物(C))
ポリマー(A)が酸性基を有する場合、ポリマー層は塩基性化合物(C)をさらに含むことが好ましい。ポリマー層が塩基性化合物(C)を含むことで、ポリマー層中でポリマー(A)と塩基性化合物(C)とがイオン架橋する。具体的には、塩基性化合物(C)とポリマー(A)の酸性基とでイオン架橋構造を形成する。その結果、ポリマー層の耐水性が高まる。
塩基性化合物(C)としては、2つ以上の窒素原子を有する化合物が好ましい。塩基性化合物(C)が2つ以上の窒素原子を有することで、ポリマー(A)と塩基性化合物(C)の2つ以上の窒素原子とで、分子内及び分子間の少なくとも一方において安定なネットワークを形成しやすくなり、ポリマー層の耐水性がより向上する。
塩基性化合物(C)としては、例えば2-アミノピリジン、3-アミノピリジン、4-アミノピリジン;2,6-ジアミノピリジン、2,3-ジアミノピリジン、3,4-ジアミノピリジン;4-ジメチルアミノピリジン、4-ジメチルアミノメチルピリジン、3,4-ビス(ジメチルアミノ)ピリジン等の第3級アミノ基が置換したピリジン誘導体;1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン(DBN)や、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)、ポリビニルピリジン及びこれらの誘導体;ヒドラジン、メチレンジアミン、エチエンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、ジアミノヘプタン等の脂肪族ジアミン類;ビピリジル等の分子内にピリジン環を2個以上有する多価ピリジン化合物;キノリン環を分子内に2つ以上有する多価キノリン化合物;ピロールを分子内に2つ以上有する多価ピロール;ポリアリルアミン等のポリアミン化合物などが挙げられる。
これら塩基性化合物(C)は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
(任意成分)
ポリマー層は、必要に応じて、ポリマー(A)、金属(B)及び塩基性化合物(C)以外の成分(任意成分)を含んでいてもよい。
任意成分としては、例えばバインダー、分散剤、流動性調整剤、界面活性剤、滑剤、紫外線吸収剤、保存安定剤、接着助剤、増粘剤、レベリング剤、帯電防止剤、スリップ剤、有機フィラーなどが挙げられる。
(含有量)
ポリマー層中のポリマー(A)の含有量は、ポリマー層の総質量に対して、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。
ポリマー(A)の含有量が上記下限値以上であれば、水中での殺菌効果が促進され、透過水にカビが発生するのをより抑制でき、分離膜にカビが付着するのをより防止できる。
金属(B)の含有量は、ポリマー(A)100質量部に対して1~1000質量部が好ましく、10~500質量部がより好ましい。
金属(B)の含有量が上記下限値以上であれば、ポリマー(A)に供給される電子の量が増え、ポリマー(A)の触媒活性がより高まる。金属(B)の含有量が上記上限値以下であれば、充分な殺菌効果が得られる。
塩基性化合物(C)の含有量は、ポリマー(A)100質量部に対して0.1~100質量部が好ましく、1~90質量部がより好ましく、5~80質量部がさらに好ましく、10~70質量部が特に好ましく、20~50質量部が最も好ましい。
塩基性化合物(C)の含有量が上記下限値以上であれば、ポリマー(A)が酸性基を含む場合にポリマー層の耐水性がより向上する。塩基性化合物(C)の含有量が上記上限値以下であれば、分離膜の透水性を良好に維持できる。
(膜厚)
ポリマー層の膜厚は、0.1~100μmが好ましい。ポリマー層の膜厚が上記下限値以上であれば、透水性がより向上する。ポリマー層の膜厚が上記上限値以下であれば、濾過膜の濾過性能を良好に維持できる。
<作用効果>
以上説明した本発明の分離膜は、濾過膜の表面にポリマー(A)と金属(B)とを含むポリマー層が形成されている。金属(B)から放出された電子がポリマー(A)に供給されることでポリマー(A)の触媒活性が高まり、水中でスーパーオキシドやヒドロキシラジカルが発生しやすくなる。よって、分離膜により被処理水から塩素が除去されても、ポリマー(A)の触媒作用により発生したスーパーオキシドやヒドロキシラジカルの殺菌作用により、分離膜を透過した透過水にカビが発生することを抑制でき、分離膜へのカビの付着を防止できる。また、分離膜を備えた水処理装置の運転を停止することで透過水が装置内に滞留しても、透過水にはカビが発生しにくいので、分離膜へのカビの付着を防止できる。
<用途>
本発明の分離膜は、飲料水の製造、半導体等の洗浄用の超純水の製造、浄水処理や排水処理等の水処理などに用いられる分離膜として好適である。
[分離膜の製造方法]
本発明の分離膜は、上述したポリマー(A)と金属(B)とを含む組成物(X)を用いて、上述した濾過膜の表面を処理することで得られる。すなわち、本発明の分離膜の製造方法は、ポリマー(A)と金属(B)とを含む組成物(X)を用いて、濾過膜の表面を処理する工程(処理工程)を有する。
組成物(X)は、ポリマー(A)と金属(B)とを含む。組成物(X)は、塩基性化合物(C)及び溶剤の少なくとも一方をさらに含むことが好ましい。また、組成物(X)は、必要に応じて任意成分を含んでいてもよい。
ポリマー(A)、金属(B)、塩基性化合物(C)及び任意成分は、分離膜の説明において先に例示したポリマー(A)、金属(B)、塩基性化合物(C)及び任意成分と同じであるため、これらの説明は省略する。
ポリマー(A)の含有量は、組成物(X)の総質量に対して、0.05~97.9質量%が好ましく、0.1~89質量%がより好ましい。ポリマー(A)の含有量が上記範囲内であれば、組成物(X)の濾過膜への塗布性が向上する。
組成物(X)に含まれる溶剤としては、少なくともポリマー(A)を溶解することができる溶剤であれば、本発明の効果を有する限り特に限定はされないが、水、有機溶剤、水と有機溶剤との混合溶剤が挙げられる。
水としては、ポリマー(A)の製造方法の説明において先に例示した重合溶媒のうちの水が挙げられる。
有機溶剤としては、ポリマー(A)の製造方法の説明において先に例示した重合溶媒のうちの有機溶媒が挙げられる。
溶剤として、水と有機溶剤との混合溶剤を用いる場合、これらの質量比(水/有機溶剤)は1/100~100/1であることが好ましく、2/100~100/2であることがより好ましい。
溶剤の含有量は、組成物(X)の総質量に対して、1~99.85質量%が好ましく、10~99.5質量%がより好ましく、50~99.5質量%がさらに好ましい。溶剤の含有量が上記範囲内であれば、組成物(X)の濾過膜への塗布性が向上する。
処理工程では、組成物(X)を用いて濾過膜の表面を処理する。具体的な処理方法としては、濾過膜の表面に組成物(X)を塗布した後、加熱する方法が挙げられる。
濾過膜の表面に組成物(X)を塗布する方法としては、一般の塗工に用いられる方法を採用でき、例えばグラビアコーター、ロールコーター、カーテンフローコーター、スピンコーター、バーコーター、リバースコーター、キスコーター、ファンテンコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、キャストコーター、スクリーンコーター等の塗布方法、スプレーコーティング等の噴霧方法、ディップ等の浸漬方法などが用いられる。
加熱温度は、40~120℃が好ましい。
加熱時間は、10秒~100分が好ましい。
なお、組成物(X)が塗布された濾過膜を加熱する代わりに、組成物(X)が塗布された濾過膜を常温(25℃)で1分間~60分間放置してもよい。
このように、組成物(X)を用いて濾過膜の表面を処理することで、濾過膜の表面にポリマー(A)と金属(B)とを含むポリマー層が形成された分離膜が得られる。
上述したように、ポリマー層中の金属(B)から放出された電子がポリマー(A)に供給されることでポリマー(A)の触媒活性が高まり、水中でスーパーオキシドやヒドロキシラジカルが発生しやすくなることから、分離膜を透過した透過水にカビが発生することを抑制でき、分離膜へのカビの付着を防止できる。
よって、本発明の分離膜の製造方法であれば、カビの付着を防止できる分離膜を容易に製造できる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、以下の実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
[測定・評価方法]
<カビの発生の評価>
超純水に分離膜を1か月間浸漬させた後、分離膜の表面を目視にて観察し、以下の評価基準にて評価した。
A:変色が認められない。
B:変色がやや認められる。
C:変色がかなり認められる。
[ポリマー(A)の製造]
2-メトキシアニリン-5-スルホン酸100mmolを、4mol/L濃度のトリエチルアミン溶液(溶媒:水/アセトニトリル=5/5(質量比))300mLに25℃で溶解し、モノマー溶液を得た。
別途、ペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolを、水/アセトニトリル=5/5(質量比)の溶液に溶解し、酸化剤溶液を得た。
ついで、酸化剤溶液をモノマー溶液に滴下した。滴下終了後、25℃で12時間さらに撹拌した後、反応生成物を遠心濾過器にて濾別した。さらに、反応生成物をメタノールにて洗浄した後、乾燥させ、粉末状のポリマー(A-1)であるポリ(2-メトキシアニリン-5-スルホン酸)を15g得た。
[実施例1]
ポリマー(A-1)5.5質量部と、塩化鉄(酸化還元電位:-0.44V)2質量部と、ポリビニルピリジン(アルドリッチ社製)1.65質量部と、水分散ポリエステル(三菱ケミカル株式会社製、「ニチゴーポリエスター」)2.85質量部と、溶媒として水388質量部及びエタノール600質量部とを混合し、組成物(X)を調製した。
濾過膜としてポリエーテルスルホンからなる中空状の多孔質膜に組成物(X)を5秒間浸漬させた後、60℃の熱風乾燥機の中で3分間保持して、濾過膜の表面に膜厚2μmのポリマー層が形成された分離膜を得た。得られた分離膜は中空糸膜である。
得られた分離膜についてカビの発生を評価した。結果を表1に示す。
[実施例2]
水分散ポリエステルを用いなかった以外は、実施例1と同様にして組成物(X)を調製し、分離膜を製造した。
得られた分離膜についてカビの発生を評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
塩化鉄0.2質量部の代わりに塩化アルミニウム(酸化還元電位:-1.66V)2質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして組成物(X)を調製し、分離膜を製造した。
得られた分離膜についてカビの発生を評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
塩化鉄2質量部の代わりに塩化アルミニウム2質量部を用い、かつ水分散ポリエステルを用いなかった以外は、実施例1と同様にして組成物(X)を調製し、分離膜を製造した。
得られた分離膜についてカビの発生を評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1で用いた濾過膜を分離膜とし、カビの発生を評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
塩化鉄を用いなかった以外は、実施例1と同様にして組成物(X)を調製し、分離膜を製造した。
得られた分離膜についてカビの発生を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2022011325000006
表1から明らかなように、各実施例で得られた分離膜は、純水に1か月間浸漬させても表面は変色せず、カビの付着を防止できた。
一方、表面にポリマー層を形成させなかった比較例1の場合、超純水に1か月間浸漬させると濾過膜の表面がかなり変色した。これはカビが付着したことによるものと考えられる。
塩化鉄を含まないポリマー層が濾過膜の表面に形成された比較例2の分離膜は、純水に1か月間浸漬させると表面がやや変色した。
本発明の分離膜は、カビの付着を防止でき、飲料水の製造、半導体等の洗浄用の超純水の製造、浄水処理や排水処理等の水処理などに用いられる分離膜として有用である。

Claims (6)

  1. 濾過膜と、前記濾過膜の表面に形成されたポリマー層とを有する分離膜であって、
    前記ポリマー層は、アニリン系ポリマーと、酸化還元電位が-0.4以下である金属とを含む、分離膜。
  2. 前記アニリン系ポリマーが酸性基を有する、請求項1に記載の分離膜。
  3. 前記アニリン系ポリマーが、下記一般式(2)で表される単位を有する、請求項2に記載の分離膜。
    Figure 2022011325000007
    式(2)中、R18~R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を表し、R18~R21のうちの少なくとも1つは酸性基である。
  4. 濾過膜を備えた分離膜の製造方法であって、
    アニリン系ポリマーと、酸化還元電位が-0.4以下である金属とを含む組成物を用いて、前記濾過膜の表面を処理する工程を有する、分離膜の製造方法。
  5. 前記アニリン系ポリマーが酸性基を有する、請求項4に記載の分離膜の製造方法。
  6. 前記アニリン系ポリマーが、下記一般式(2)で表される単位を有する、請求項5に記載の分離膜の製造方法。
    Figure 2022011325000008
    式(2)中、R18~R21は、各々独立に、水素原子、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、炭素数1~24の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基、酸性基、ヒドロキシ基、ニトロ基、又はハロゲン原子を表し、R18~R21のうちの少なくとも1つは酸性基である。
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