JP2022003227A - 給水装置 - Google Patents

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哲則 坂谷
Tetsunori Sakatani
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Abstract

【課題】 給水量の急増に素早く対応可能であって、圧力脈動が発生し難い給水装置の一例を開示する。【解決手段】 制御部CTLはは、PID制御に用いる比例項Kpとして、評価試験と経験値に基づいて予め決められた固定値でなく、流量変化率ΔQの関数値(Kp=X×△Q)として決定する。なお、係数Xは、予め決められた0より大きい実数である。したがって、当該給水装置1では、給水量の急増に素早く対応可能になるとともに、圧力脈動が発生し難くなる。【選択図】 図1

Description

本開示は、給水装置に関する。
例えば、特許文献1に記載の給水装置では、電動ポンプを駆動するインバータの出力周波数をPI制御方式にて制御している。
特開平9−217684号公報
ところで、PID制御方式により電動ポンプを制御する場合、通常、モータ部の回転速度をフィードバック制御する。当該PID制御方式では、「吐出し圧力と目標圧力との偏差に対する比例項」、「吐出し圧力と目標圧力との偏差に対する積分項」及び「吐出し圧力と目標圧力との偏差に対する微分項」の3つパラメータにより操作量を決定する。
このとき、比例項は、評価試験と経験値に基づいて予め決められた値、つまり固定値として与えられている。
すなわち、給水量が急激に増加すると、吐出し圧力が低下してしまうおそれがある。このような場合には、給水量の急増に素早く連動してインバータの出力周波数が急上昇するような比例項、つまり大きな値の比例項が望ましい。
しかし、比例項が大きいと操作量が大きくなるため、圧力変化の少ない通常時には、吐出し圧力が変動し易くなり、圧力脈動が発生してしまう。このため、比例項は、評価試験と経験値に基づいて決定されていた。
本開示は、上記点に鑑み、給水量の急増に素早く対応可能であって、圧力脈動が発生し難い給水装置の一例を開示する。
ポンプ部及びモータ部を有する電動ポンプ(P)を備える給水装置は、給水圧を検出する圧力センサ(Ps)と、ポンプ部を流通する流水の流量を検出する流量センサ(Fs)であって、流量に応じた電気信号を出力可能な流量センサ(Fs)と、モータ部をインバータ駆動回路にて駆動する駆動回路を有し、当該インバータ駆動回路の出力周波数を制御することにより、当該モータ部の作動を制御する制御部(CTL)とを備え、制御部(CTL)は、圧力センサ(Ps)により検出された給水圧が目標とする圧力(以下、目標圧力という。)となるように、PID制御方式にて出力周波数を制御可能であり、流量センサ(Fs)の流量信号が時間微分された値を流量変化率としたとき、制御部(CTL)は、PID制御方式に用いられる比例項を流流量変化率に応じて増減する比例項増減機能が実行可能であることが望ましい。
これにより、当該給水装置では、PID制御に用いる比例項(Kp)は、評価試験と経験値に基づいて予め決められた固定値でなく、流量変化率(ΔQ)の関数値として決定される。したがって、当該給水装置では、給水量の急増に素早く対応可能になるとともに、圧力脈動が発生し難くなる。
因みに、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的構成等との対応関係を示す一例であり、本開示は上記括弧内の符号に示された具体的構成等に限定されない。
第1実施形態に係る給水装置を示す図である。 第1実施形態に係る流量センサを示す図である。 第1実施形態に係る制御部の制御を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る給水装置を示す図である。
以下の「発明の実施形態」は、本開示の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されない。
少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位は、「1つの」等の断りがされた場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。本開示に示された給水装置は、少なくとも符号が付されて説明された部材又は部位等の構成要素、並びに図示された構造部位を備える。
(第1実施形態)
<1.給水装置の概要>
本実施形態は、例えば、マンションや商業ビル等の建物に適用される給水装置に本開示に係る給水装置の一例が適用されたものである。図1に示されるように、本実施形態に係る給水装置1は、少なくとも1つの電動ポンプP及び制御部CTL等を少なくとも備える。
電動ポンプPは、ポンプ部Pp及びモータ部Pmを有する電動式のポンプである。当該電動ポンプPは、制御部CTLにより制御される。制御部CTLは、モータ部Pmを駆動するためのインバータ方式の駆動回路及び当該駆動回路を制御するインバータ制御部等を少なくとも有する。
そして、インバータ制御部は、モータ部Pmを駆動する駆動周波数(以下、出力周波数という。)を調整制御することにより、電動ポンプPの吐出し流量や吐出し圧力等を制御する。
なお、出力周波数は、予め決められた最低周波数fminと最高周波数fmaxとの間で制御される。当該出力周波数fは、例えば、以下の数式1により決定される。
f=u(t)×(fmax−fmin)+fmin・・・数式1
但し、u(t):PID制御時の操作量
制御部CTLには、吐出し圧センサPs及び流量センサFsそれぞれの検出値が入力されている。吐出し圧センサPsは、給水装置1の吐出し圧力(以下、給水圧という。)を検出する。
流量センサFsは、電動ポンプPの吐出し流量、つまり給水装置1の給水量Qを検出する。なお、本実施形態に係る流量センサFsは、図2に示されるように、羽根車Fs1及びセンサ基板Fs2等を少なくとも有する。
羽根車Fs1は、配管Pi内を流通する流水から動圧を受けて回転する部材である。センサ基板Fs2は、羽根車Fs1の回転速度に応じて出力されるパルス信号を処理する処理回路である。
なお、本実施形態では、図2に示されるように、制御部CTLを構成する制御基板CTL1と流量センサFsとが一体化されて制御モジュールが構成されている。当該制御モジュールは、電動ポンプPの吐出し口側配管Piに設置されている。
<2.制御部の制御>
<2.1 制御の概要>
制御部CTLの制御回路は、例えば、CPU、ROM及びRAM等を有するマイクロコンピュータ等にて構成されている。制御部CTLは、ROM等の不揮発性記憶部に予め記憶された制御用プログラムに従って駆動回路等を制御する。
制御部CTLは、給水圧が目標とする圧力(以下、目標圧力Ptという。)となるように、PID制御方式にて出力周波数を制御可能である。なお、本実施形態に係る目標圧力Ptは、推定末端圧一定制御に利用される推定末端圧である。
制御部CTLは、PID制御時の操作量u(t)を以下の数式2により決定する。
u(t)=Kp×△P+ki×△P
=Kp×△P+Kp/(n×Ts)×△P・・・数式2
ΔP=圧力偏差(目標圧力Pt−操作量決定時に圧力センサPsが検出した圧力)
Kp:比例項のフィードバックゲイン(=X×△Q)
係数Xは、予め決められた0より大きい実数
ΔQ:流量センサFsの流量信号が時間微分された値(以下、流量変化率という。)
Ki:積分項のフィードバックゲイン
n:サンプル回数(=積分時間Ti/サンプル時間Ts)
<流量変化率ΔQの演算>
流量変化率ΔQは、例えば、以下のようにして演算される。
制御部CTLは、予め決められた時間間隔で前記パルス信号を計数することにより、当該時間間隔で流量信号を演算し、当該時間間隔毎に演算された流量信号を比較することにより流量変化率ΔQを演算する。
なお、流量変化率ΔQは給水量Qの時間変化率であり、かつ、給水量Qは操作量u(t)が決まらないと決まらない。つまり、制御部CTLは、操作量u(t)と流量変化率ΔQとを同時に決めることはできない。
このため、制御部CTLは、前回決めた操作量u(t)を利用して現時の給水量Qを決定する。そして、制御部CTLは、現時の給水量Qから流量変化率ΔQを演算して次回の操作量u(t)を決定する。なお、係数Xは、評価試験等に基づいて決定された値である。
<2.2 制御の詳細>
図3は、制御部CTLで実行される制御処理の一例である。当該制御処理を実行するためのプログラムは、ROM等の不揮発性記憶部に記憶されている。なお、以下の「(S1)」等の記載は、各制御ステップを示す符合である。
当該制御処理は、給水装置1の運転スイッチ(図示せず。)が投入された時に起動し、当該運転スイッチが遮断された時に停止する。当該制御処理が起動されると、制御部CTLは、電動ポンプPが運転中であるか否かを判断する(S1)。
電動ポンプPが運転中であると判断された場合(S1:YES)、制御部CTLは、吐出し圧力、つまり給水圧と目標圧力Ptを比較して圧力偏差ΔPを演算する(S2)。次、制御部CTLは、流量センサFsが検出した現時の給水量QをRAMにQ1として記憶する(S3)。
次に、制御部CTLは、流量センサFsが検出した現時の給水量Q2と給水量Q1といとを比較して流量変化率ΔQを演算した後(S4、S5)、比例項Kpを演算する(S6)。そして、制御部CTLは、S6にて演算した比例項Kpを用いて操作量u(t)を演算した後(S7)、数式1を用いて出力周波数を決定し(S8)、駆動回路に当該出力周波数を指令する(S9)。
<3.本実施形態に係る給水装置の特徴>
本実施形態に係る給水装置1では、PID制御に用いる比例項Kpは、評価試験と経験値に基づいて予め決められた固定値でなく、流量変化率ΔQの関数値として決定される。したがって、当該給水装置1では、給水量の急増に素早く対応可能になるとともに、圧力脈動が発生し難くなる。
(第2実施形態)
本実施形態に係る比例項Kpは、「吸込圧力変化率に予め決められた0以上の実数が乗算された値」と「流量変化率に予め決められた0より大きい実数が乗算された値」との和を利用して決定される。以下の説明は、上述の実施形態に係る給水装置1との相違点に関する説明である。
本実施形態では、電動ポンプPの吸入側は水道に接続されている。そして、図4に示されるように、当該吸込側には、吸込圧を検出する第2圧力センサPs2が設けられている。なお、本実施形態に係る吐出し圧センサには、符合「Ps1」が付されている。
そして、制御部CTLは、PID制御の比例項Kpを以下の数式3にて決定する。
Kp=X×△Q+Y×△Ps・・・数式3
係数Yは、予め決められた0より大きい実数
△Ps:吸込圧力変化率(=吸込圧が時間微分された値)
以上のように、本実施形態に係る制御部CTLは、PID制御の比例項Kpを、流量変化率△Qと、吸込圧力変化率△Psに連動させて増減させるので、直結給水方式の給水装置であっても、給水量の急増に素早く対応可能になるとともに、圧力脈動が発生し難くなる。
なお、上述の実施形態と同一の構成要件等は、上述の実施形態と同一の符号が付されている。このため、本実施形態では、重複する説明は省略されている。
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る給水装置1は、1つの電動ポンプPを備える構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、複数の電動ポンプPを備える給水装置構成であってもよい。
上述の実施形態に係る流量センサは、パルス信号を発信する構成であった。しかし、本開示はこれに限定されない。すなわち、当該開示は、例えば、流量に応じた電圧が生じる流量センサであってもよい。
さらに、本開示は、上述の実施形態に記載された開示の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態が組み合わせられた構成、又は上述の実施形態において、図示された構成要件もしくは符号を付して説明された構成要件のうちいずれかが廃止された構成であってもよい。
1… 給水装置
P… 電動ポンプ
Pp… ポンプ部
Pm… モータ部
CTL… 制御部

Claims (4)

  1. ポンプ部及びモータ部を有する電動ポンプを備える給水装置において、
    給水圧を検出する圧力センサと、
    前記ポンプ部を流通する流水の流量を検出する流量センサであって、流量に応じた電気信号を出力可能な流量センサと、
    前記モータ部をインバータ駆動回路にて駆動する駆動回路を有し、当該インバータ駆動回路の出力周波数を制御することにより、当該モータ部の作動を制御する制御部とを備え、
    前記制御部は、
    前記圧力センサにより検出された前記給水圧が目標とする圧力(以下、目標圧力という。)となるように、PID制御方式にて前記出力周波数を制御可能であり、
    前記流量センサの流量信号が時間微分された値を流量変化率としたとき、
    前記制御部は、PID制御方式に用いられる比例項を前記流流量変化率に応じて増減する比例項増減機能が実行可能である給水装置。
  2. 前記制御部は、前記比例項増減機能の実行時には、前記比例項として、前記流量変化率に予め決められた0より大きい実数が乗算された値を利用する請求項1に記載の給水装置。
  3. 前記流量センサは、流水から動圧を受けて回転する羽根車、及び当該羽根車の回転速度に応じて出力されるパルス信号を処理するセンサ基板を有しており、
    前記制御部又は前記センサ基板は、予め決められた時間間隔で前記パルス信号を計数することにより、当該時間間隔で前記流量信号を演算し、
    さらに、前記制御部又は前記センサ基板は、前記時間間隔毎に演算された前記流量信号を比較することにより前記流量変化率を演算する請求項1又は2に記載の給水装置。
  4. 前記電動ポンプの吸入側は水道に接続可能であって、当該吸込側には、吸込圧を検出する第2の圧力センサが設けられており、
    前記吸込圧が時間微分された値を吸込圧力変化率としたとき、
    前記制御部は、前記比例項増減機能の実行時には、前記比例項として、「前記吸込圧力変化率に予め決められた0以上の実数が乗算された値」と「前記流量変化率に予め決められた0より大きい実数が乗算された値」との和を利用する請求項1に記載の給水装置。
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