JP2022000361A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】温度条件に拘らず良好なシール性を発揮することを可能にした空気入りタイヤを提供する。【解決手段】トレッド部1の内表面に粘着性シーラント材からなるシーラント層10を備えた空気入りタイヤにおいて、0℃におけるシーラント層10の厚さをG0、50℃におけるシーラント層10の厚さをG50、0℃におけるシーラント層10の幅をW0、50℃におけるシーラント層10の幅をW50としたとき、下記式(1)で表される厚さ変化率RGを3%以下にし、下記式(2)で表される幅変化率RWを3%以下に設定する。RG=(|G50−G0|/G0)×100(1)RW=(|W50−W0|/W0)×100(2)【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤ内表面にシーラント層を備えたセルフシールタイプの空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤにおいて、トレッド部におけるインナーライナー層のタイヤ径方向内側にシーラント層を設けることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような空気入りタイヤでは、釘等の異物がトレッド部に突き刺さった際に、その貫通孔にシーラント層を構成するシーラント材が流入することにより、空気圧の減少を抑制し、走行を維持することが可能になる。
上述したセルフシールタイプの空気入りタイヤにおいて、シーラント材の粘度が低いと、シーラント材が貫通孔内に流入し易くなるという点でシール性の向上が見込めるが、走行中に加わる熱や遠心力の影響によりシーラント材がタイヤセンター側に向かって流動し、その結果、貫通孔がタイヤセンター領域から外れると、シーラント材が不足して、シール性が充分に得られない虞がある。一方、シーラント材の粘度が高いと、前述のシーラント材の流動は防止できるが、シーラント材が貫通孔内に流入しにくくなり、シール性が低下する虞がある。そのため、タイヤ内表面にシーラント層を設けるにあたっては、走行に伴うシーラント材の流動の抑制と、良好なシール性の確保とをバランスよく両立することが求められている。
これに加えて、一般的にシーラント材はゴムを主体とするため、温度によって体積が変化する傾向がある。即ち、シーラント材は高温時には膨張し、低温時には収縮する傾向がある。また、シーラント材の粘度にも温度依存性があるため、温度によって流動性が変化する傾向がある。即ち、高温時にシーラント材の粘度が低下すると、シーラント材が流動してシーラント層の厚さや幅が変動する虞がある。このようなシーラント層の寸法変化によって、例えば、シーラント層の厚さが減少すると貫通孔に十分な量のシーラント材が流入しにくくなり、シーラント層の幅が減少するとシール性を発揮できる範囲が狭まる虞がある。タイヤは、様々な環境(寒冷地域、高温地域、日較差が大きい地域、年較差が大きい地域など)で使用される可能性があり、また、走行速度によっても大きな温度変化が生じる可能性があるため、タイヤにシーラント層を設けるにあたって、温度変化に起因するシーラント層(シーラント材)の寸法変化を抑制して、温度条件に拘らずに良好なシール性を発揮することが求められている。
特開2006‐152110号公報
本発明の目的は、タイヤ内表面にシーラント層を備えた空気入りタイヤであって、温度条件に拘らずに良好なシール性を発揮することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成する本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、前記トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ外径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、少なくとも前記トレッド部の内表面に粘着性シーラント材からなるシーラント層が設けられた空気入りタイヤにおいて、0℃における前記シーラント層の厚さをG0、50℃における前記シーラント層の厚さをG50、0℃における前記シーラント層の幅をW0、50℃における前記シーラント層の幅をW50としたとき、下記式(1)で表される厚さ変化率RGが3%以下であり、下記式(2)で表される幅変化率RWが3%以下であることを特徴とする。
G=(|G50−G0|/G0)×100 (1)
W=(|W50−W0|/W0)×100 (2)
本発明の空気入りタイヤは、上述のようにシーラント層を備えることでシール性を発揮するが、その際に、上記のように厚さ変化率RGと幅変化率RWとが十分に低く設定されているので、温度変化が生じても寸法変化が生じにくくなり、温度条件に拘らずに優れたシール性を発揮することができる。
尚、「厚さ変化率RG」は、上記式(1)で算出されるが、具体的には、以下の方法で求める。即ち、タイヤ内周を12等分した箇所のそれぞれで、タイヤ赤道位置とシーラント層の両端からそれぞれタイヤ幅方向内側に10mmの位置の3箇所をそれぞれ測定点とし、各測定点において、直径0.5mmの針をシーラント層に垂直に突き刺し、針の先端がシーラント層とタイヤ内表面との界面に達したときにシーラント層の表面(タイヤ内腔側の面)に対応する針の位置に印を付け、シーラント層から抜き取った針の先端から前述の印までの長さ(シーラント層の厚さ)を計測する。「0℃におけるシーラント層の厚さG0」と「50℃におけるシーラント層の厚さG50」は、タイヤの周辺温度をそれぞれの温度条件(0℃または50℃)に設定して1時間放置した後に測定する。各測定点でG0とG50の差(|G50−G0|)を求め、この差が最大となる測定点における値を「厚さ変化率RG」とする。同様に、「幅変化率RW」は、上記式(2)で算出されるが、具体的には、以下の方法で求める。即ち、タイヤ内周を12等分した箇所をそれぞれ測定点とし、各測定点において、シーラント層の両端間のタイヤ幅方向に沿った長さ(シーラント層の幅)を計測する。「0℃におけるシーラント層の幅をW0」と「50℃におけるシーラント層の幅をW50」は、タイヤの周辺温度をそれぞれの温度条件(0℃または50℃)に設定して1時間放置した後に測定する。各測定点でW0とW50の差(|W50−W0|)を求め、この差が最大となる測定点における値を「幅変化率RW」とする。
本発明においては、0℃における粘着性シーラント材の粘度η0〔単位:kPa・s〕と、50℃における粘着性シーラント材の粘度η50〔単位:kPa・s〕との比η0/η50が6以下であることが好ましい。このように粘度を設定することで、シール性を向上するには有利になる。特に、温度変化に伴う粘度の変化が適度に小さいため、温度条件に拘らずに優れたシール性を発揮することができる。尚、粘着性シーラント材の粘度は、JIS K6833‐1:2008に準拠し、それぞれ指定された温度条件(0℃、50℃)で、回転式粘度計を用いて測定した値である。
本発明においては、粘着性シーラント材が架橋されていることが好ましい。このように、シーラント層を予め架橋された粘着性シーラント材で構成することで、シーラント層のタイヤ幅方向およびタイヤ周方向の変形を防止するには有利になる。
本発明においては、粘着性シーラント材において、下記(3)式で表されるトルエン不溶分の割合Aが30質量%〜60質量%であることが好ましい。このような物性の粘着性シーラント材は、架橋密度が適度な範囲であり、温度変化に伴う寸法変化が小さい物性を有するので、温度条件に拘らずに優れたシール性を発揮するには有利になる。
A=(M2/M1)×100 (3)
(式中、M2は粘着性シーラント材をトルエンに浸漬させて1週間放置した後に残存したトルエン不溶分の質量〔単位:g〕であり、M1は粘着性シーラント材をトルエンに浸漬する前の初期質量〔単位:g〕である。)
本発明においては、粘着性シーラント材に架橋剤が配合されており、この架橋剤が硫黄成分を含むことが好ましい。これにより、タイヤ内面に対する粘着性シーラント材の接着性が良好になり、シーラント層のタイヤ幅方向およびタイヤ周方向の変形(粘着性シーラント材の流動)を防止するには有利になる。
本発明においては、粘着性シーラント材を構成するゴム成分がブチルゴムを含むことが好ましい。このようにブチルゴムを配合にすることで、タイヤ内面に対する粘着性シーラント材の接着性を向上することができ、良好なシール性を確保するには有利になる。
本発明においては、シーラント層の表面を覆う補助シートを設けることが好ましい。このように補助シートを設けると、補助シートによってシーラント層の変形が制限されるので、シーラント層の変形や流動を抑制するには有利になる。また、シーラント層の表面に異物が付着することを防止することもできる。
尚、後述の説明において、タイヤの寸法は、タイヤを正規リムにリム組みし、正規内圧を充填し、正規荷重を負荷した状態で測定する。「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRAであれば“Design Rim”、或いはETRTOであれば“Measuring Rim”とする。「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”であるが、タイヤが乗用車用である場合には180kPaとする。「正規荷重」は、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば表“TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“LOAD CAPACITY”であるが、タイヤが乗用車用である場合には前記荷重の88%に相当する荷重とする。
本発明の空気入りタイヤの一例を示す子午線断面図である。 本発明の空気入りタイヤの別の例を示す子午線断面図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の空気入りタイヤ(セルフシールタイプの空気入りタイヤ)は、例えば図1に示すように、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、このトレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、サイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。図1において、符号CLはタイヤ赤道を示す。尚、図1は子午線断面図であるため描写されないが、トレッド部1、サイドウォール部2、ビード部3は、それぞれタイヤ周方向に延在して環状を成しており、これにより空気入りタイヤのトロイダル状の基本構造が構成される。また、子午線断面図における他のタイヤ構成部材についても、特に断りがない限り、タイヤ周方向に延在して環状を成している。
図1の例において、左右一対のビード部3間にはカーカス層4が装架されている。カーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5およびビードフィラー6の廻りに車両内側から外側に折り返されている。ビードフィラー6はビードコア5の外周側に配置され、カーカス層の本体部と折り返し部とにより包み込まれている。
トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層(図1では2層)のベルト層7が埋設されている。これら複数層のベルト層7のうち、ベルト幅が最も小さい層を最小ベルト層7a、ベルト幅が最も大きい層を最大ベルト層7bという。各ベルト層7は、タイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。これらベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。トレッド部1におけるベルト層7の外周側にはベルト補強層8が設けられている。図示の例では、ベルト層7の全幅を覆うフルカバー層とフルカバー層の更に外周側に配置されてベルト層7の端部のみを覆うエッジカバー層の2層のベルト補強層8が設けられている。ベルト補強層8は、タイヤ周方向に配向する有機繊維コードを含み、この有機繊維コードはタイヤ周方向に対する角度が例えば0°〜5°に設定されている。
トレッド部1において、上述のタイヤ構成部材(カーカス層4、ベルト層7、ベルト補強層8)の外周側にはトレッドゴム層R1が配置される。トレッドゴム層R1は、物性の異なる2種類のゴム層(キャップトレッド層およびアンダートレッド層)がタイヤ径方向に積層した構造を有していてもよい。サイドウォール部2におけるカーカス層4の外周側(タイヤ幅方向外側)にはサイドゴム層R2が配置され、ビード部3におけるカーカス層4の外周側(タイヤ幅方向外側)にはリムクッションゴム層R3が配置されている。
タイヤ内面にはカーカス層4に沿ってインナーライナー層9が設けられている。このインナーライナー層9は、タイヤ内に充填された空気がタイヤ外に透過することを防ぐための層である。インナーライナー層9は、例えば、空気透過防止性能を有するブチルゴムを主体とするゴム組成物で構成される。或いは、熱可塑性樹脂をマトリクスとする樹脂層で構成することもできる。樹脂層の場合、熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマー成分を分散させたものであってもよい。
本発明は、このような空気入りタイヤの内表面に設けられる後述のシーラント層10に関するものである。そのため、本発明の空気入りタイヤは、後述のシーラント層10を備えていれば、基本構造は上述の構造に限定されない。尚、シーラント層10とは、上述の基本構造を有する空気入りタイヤの内表面に貼付されるものである。具体的には、シーラント層10は、走行時に釘等の異物が刺さる可能性がある領域、即ち、トレッド部1の接地領域に対応するタイヤ内面(インナーライナー層9のタイヤ径方向内側)に設けられる。そして、シーラント層10は、例えば釘等の異物がトレッド部1に突き刺さった際に、その貫通孔にシーラント層10を構成するシーラント材が流入し、貫通孔を封止することにより、空気圧の減少を抑制し、走行を維持することを可能にするものである。
本発明のシーラント層10について、0℃における厚さをG0、50℃における厚さをG50とすると、本発明のシーラント層10は、下記式(1)で表される厚さ変化率RGが3%以下、好ましくは2%以下であるという特性を有する。尚、G0およびG50は、測定温度が異なるだけで測定箇所は共通するので、図中においては、G0およびG50の両者を示す符号として厚さGを示している。このように厚さ変化率RGが十分に低く設定されているので、温度変化が生じても寸法変化(厚さの変化)が生じにくくなり、温度条件に拘らずに貫通孔に流入するシーラント材の量を十分に確保することができ優れたシール性を発揮することができる。
G=(|G50−G0|/G0)×100 (1)
このとき、厚さ変化率RGが3%を超えると、シーラント層10の厚さが小さくなったときに貫通孔に流入するシーラント材の量を十分に確保することができず、シール性を良好に維持することができない。シーラント層10の厚さは特に限定されないが、一般的な空気入りタイヤにおいては、シーラント層10の厚さGが、例えば0.5mm〜5.0mmであるとよい。尚、ここで述べるシーラント層10の厚さは、上述のG0およびG50と異なり室温(25℃)における厚さである。この程度の厚さを有することで、シール性を良好に確保しながら、走行時のシーラントの流動を抑制することができる。また、シーラント層10をタイヤ内面に貼付する際の加工性も良好になる。シーラント層10の厚さが0.5mm未満であると充分なシール性を確保することが難しくなる。シーラント層10の厚さが5.0mmを超えるとタイヤ重量が増加して転がり抵抗が悪化する。
更に、シーラント層10の厚さに関して、−30℃における厚さをG-30、80℃における厚さをG80とすると、本発明のシーラント層10は、下記式(1’)で表される厚さ変化率RG’が好ましくは3%以下、より好ましくは2.5%以下であるとよい。このように厚さ変化率RG’が十分に小さく設定されていると、著しい温度変化が生じても寸法変化(厚さの変化)が生じにくくなり、温度条件に拘らずに貫通孔に流入するシーラント材の量を十分に確保することができ、更に優れたシール性を発揮することができる。尚、G-30、G80、RG’は、温度条件のみを変更して、G0、G50、RGと同様の方法で求めることができる。
G’=(|G80−G-30|/G-30)×100 (1’)
同様に、本発明のシーラント層10について、0℃における幅をW0、50℃における幅をW50とすると、本発明のシーラント層10は、下記式(2)で表される幅変化率RWが3%以下、好ましくは2%以下であるという特性を有する。尚、W0およびW50は、測定温度が異なるだけで測定箇所は共通するので、図中においては、W0およびW50の両者を示す符号として厚さWを示している。このように幅変化率RWが十分に低く設定されているので、温度変化が生じても寸法変化(幅の変化)が生じにくくなり、温度条件に拘らずにシール性を発揮する領域を十分に確保することができ優れたシール性を発揮することができる。
W=(|W50−W0|/W0)×100 (2)
このとき、幅変化率RWが3%を超えると、シーラント層10の幅が小さくなったときにシーラント層10が覆う領域(シール性を発揮可能な領域)を十分に確保することができず、シール性を良好に維持することができない。シーラント層10の幅は特に限定されないが、一般的な空気入りタイヤにおいては、シーラント層10の幅は、ベルト層7の幅Wb(最も幅の広いベルト層(図示の例の場合、最大ベルト層7b)の幅)以上であるとよい。また、最も幅の広いベルト層(図示の例の場合最大ベルト層7b)の幅方向端部を通るカーカスラインの法線からのシーラント層10の突き出し量wは好ましくは20mm以内であるとよい。尚、ここで述べるシーラント層10の幅や突き出し量wは、上述のW0およびW50と異なり室温(25℃)における寸法である。
更に、シーラント層10の幅に関して、−30℃における幅をW-30、80℃における幅をW80とすると、本発明のシーラント層10は、下記式(2’)で表される幅変化率RW’が好ましくは3%以下、より好ましくは2.5%以下であるとよい。このように幅変化率RW’が十分に小さく設定されていると、著しい温度変化が生じても寸法変化(幅の変化)が生じにくくなり、温度条件に拘らずに貫通孔に流入するシーラント材の量を十分に確保することができ、更に優れたシール性を発揮することができる。尚、W-30、W80、RW’は、温度条件のみを変更して、W0、W50、WGと同様の方法で求めることができる。
W’=(|W80−W-30|/W-30)×100 (2’)
シーラント層10は、加硫済みの空気入りタイヤの内面に、粘着性シーラント材(以下、単に「シーラント材」という)を後から貼り付けることで形成することができる。例えば、シート状に成型されたシーラント材をタイヤ内表面の全周に亘って貼付したり、紐状または帯状に成型されたシーラント材をタイヤ内表面に螺旋状に貼付することでシーラント層10を形成することができる。その際、シーラント材は架橋されているものを用いることが好ましい。このように予め架橋されたシーラント材を用いると、シーラント材のタイヤ幅方向およびタイヤ周方向の変形をより効果的に防止することができる。
シーラント層10の変形を抑制するという観点から、図2に示すように、シーラント層10の表面(タイヤ内腔に露出する面)に、更に、シーラント層10の表面を覆う補助シート11を設けてもよい。図2は、補助シート11を除いて図1と共通の構造を有する。このような補助シート11が存在すると、シーラント層10の変形(シーラント材の流動)が規制されるので、シーラント材のタイヤ幅方向およびタイヤ周方向の変形を防止するには有利になる。また、補助シート11を設けることで、シーラント層10の表面に異物が付着することを防止することもできる。補助シート11の材質は特に限定されないが、ポリエチレン、ポリアミド等の樹脂フィルムを好適に用いることができる。補助シート11は、主として上述のようにシーラント層10の変形を抑制するものであるので、シーラント層10の全面を覆うシートである必要はなく、例えばメッシュ状や網目状のように一部に穴や欠落部を有する素材であってもよい。また、補助シート11が、穴や欠落部を有さないシート状の場合も、シーラント層10の全面を覆う必要はなく、シーラント層10の表面積(タイヤ内腔に露出する面の面積)の少なくとも80%、好ましくは90%以上の範囲を覆っているとよい。
本発明では、シーラント材として、セルフシールタイプの空気入りタイヤのシーラント層10に一般的に用いられる材料を使用することができる。但し、温度変化に伴うシーラント層10の変形を抑制する観点からは、0℃における粘度η0〔単位:kPa・s〕と50℃における粘度η50〔単位:kPa・s〕との比η0/η50が好ましくは6以下、より好ましくは4以下であるものを用いるとよい。このような物性を有するシーラント材を用いることで、シール性を向上するには有利になる。特に、温度変化に伴う粘度の変化が小さいため、温度条件に拘らずに優れたシール性を発揮することができる。このとき、粘度の比η0/η50が6を超えるとシーラント材の加工性が低下する虞がある。粘度η0および粘度η50は特に限定されないが、シーラント材としての基本性能(良好なシール性を確保しながら走行時に流動しにくい特性)の観点からは、粘度η0は例えば2kPa・s〜100kPa・sに設定するとよい。
更に、シーラント材の粘度について、−30℃における粘度をη-30〔単位:kPa・s〕、80℃における粘度をη80〔単位:kPa・s〕としたときの、これらの比η-30/η80は好ましくは18以下、より好ましくは12以下であるとよい。また、粘度η80は例えば0.5kPa・s〜30kPa・sに設定するとよい。このように粘度を設定することで、著しい温度変化が生じても粘度の変化が適度に小さいため、温度条件に拘らずに優れたシール性を発揮することができる。尚、粘度η-30、η80は、温度条件のみを変更して粘度η0、η50と同様の方法で求めることができる。
更に、本発明で使用されるシーラント材は、下記(3)式で表されるトルエン不溶分の割合Aが30質量%〜60質量%、好ましくは35質量%〜50質量%という特性を有するとよい。
A=(M2/M1)×100 (3)
(式中、M2はシーラント材をトルエンに浸漬させて1週間放置した後に残存したトルエン不溶分の質量〔単位:g〕であり、M1はシーラント材をトルエンに浸漬する前の初期質量〔単位:g〕である。)
このような特性を有するシーラント材は、温度条件に拘らずに優れたシール性を発揮するには有効である。具体的には、トルエン不溶分の割合Aが30質量%〜60質量%であることで、架橋密度を良好にすることができるので、温度変化に伴う寸法変化が小さい物性を付与することができ、温度条件に拘らずに優れたシール性を発揮することができる。トルエン不溶分の割合Aが30質量%未満であると、架橋密度が低くなり、温度変化に伴う寸法変化を抑制する効果が十分に得られない。トルエン不溶分の割合Aが60質量%を超えると、架橋密度が高くなりすぎて、シール性が低下する虞がある。
本発明で使用されるシーラント材は、上述の特性を有していれば、その具体的な配合は特に限定されない。但し、上述の特性を確実に得るために、本発明で使用されるシーラント材は、例えば後述の配合のシーラント材組成物で構成されていることが好ましい。
本発明のシーラント材を構成するシーラント材組成物(以下、「本発明のシーラント材組成物」という)において、ゴム成分はブチル系ゴムを含むとよい。ゴム成分中に占めるブチル系ゴムの割合は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%〜90質量%であるとよい。このようにブチル系ゴムを含むことで、タイヤ内面に対する良好な接着性を確保することができる。ブチル系ゴムの割合が10質量%未満であると、タイヤ内面に対する接着性を十分に確保することができない。
本発明のシーラント材組成物においては、ブチル系ゴムとして、ハロゲン化ブチルゴムを含むことが好ましい。ハロゲン化ブチルゴムとしては、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴムを例示することができ、特に塩素化ブチルゴムを好適に用いることができる。塩素化ブチルゴムを用いる場合、ゴム成分100質量%に占める塩素化ブチルゴムの割合は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%〜85質量%である。ハロゲン化ブチルゴム(塩素化ブチルゴム)を含むことで、ゴム成分と後述の架橋剤や有機過酸化物との反応性が高まり、シール性の確保とシーラントの流動の抑制とを両立するには有利になる。また、シーラント材組成物の加工性を向上することもできる。塩素化ブチルゴムの割合が5質量%未満であると、ゴム成分と後述の架橋剤や有機過酸化物との反応性が充分に向上せず、所望の効果が充分に得られない。
本発明のシーラント材組成物において、ブチル系ゴムの全量がハロゲン化ブチルゴム(塩素化ブチルゴム)である必要はなく、非ハロゲン化ブチルゴムを併用することもできる。非ハロゲン化ブチルゴムとしては、シーラント材組成物に通常用いられる未変性のブチルゴム、例えば、JSR社製BUTYL‐065、LANXESS社製BUTYL‐301などが挙げられる。ハロゲン化ブチルゴムと非ハロゲン化ブチルゴムとを併用する場合、非ハロゲン化ブチルゴムの配合量はゴム成分100質量%中に、好ましくは20質量%未満、より好ましくは10質量%未満にするとよい。
本発明のシーラント材組成物においては、ブチル系ゴムとして2種以上のゴムを併用することが好ましい。即ち、塩素化ブチルゴムに対して、他のハロゲン化ブチルゴム(例えば、臭素化ブチルゴム)または非ハロゲン化ブチルゴムを組み合わせて用いることが好ましい。塩素化ブチルゴム、他のハロゲン化ブチルゴム(臭素化ブチルゴム)、非ハロゲン化ブチルゴムの3種は、加硫速度が互いに異なるため、少なくとも2種類を組み合わせて用いると、加硫速度の違いに起因して、加硫後のシーラント材組成物の物性(粘度や弾性等)は均質にならない。即ち、シーラント材組成物内での加硫速度の異なるゴムの分布(濃度のばらつき)によって、加硫後のシーラント層において相対的に硬い部分と相対的に柔らかい部分とが混在することになる。その結果、相対的に硬い部分では流動性が抑制され、相対的に柔らかい部分ではシール性が発揮されて、これら性能をバランスよく両立するには有利になる。
本発明のシーラント材組成物においては、ゴム成分としてブチル系ゴム以外の他のジエン系ゴムを配合することもできる。他のジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等のシーラント材組成物に一般的に用いられるゴムを使用することができる。これら他のジエン系ゴムは、単独又は任意のブレンドとして使用することができる。
本発明のシーラント材組成物においては、架橋剤を配合することが好ましい。尚、本発明における「架橋剤」とは、有機過酸化物を除いた架橋剤であり、例えば硫黄、亜鉛華、環状スルフィド、樹脂(樹脂加硫)、アミン(アミン加硫)等を例示することができる。架橋剤としては、特に硫黄成分を含むもの(例えば、硫黄)を用いることが好ましい。このように架橋剤を配合することで、シール性の確保とシーラントの流動の防止とを両立するための適度な架橋を実現できる。架橋剤の配合量は、上述のゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部〜40質量部、より好ましくは0.5質量部〜20質量部である。架橋剤の配合量が0.1質量部未満であると、実質的に架橋剤が含まれないのと同等になり、適切な架橋を行うことができない。架橋剤の配合量が40質量部を超えると、シーラント材組成物の架橋が進みすぎてシール性が低下する。
本発明のシーラント材組成物においては、上述の架橋剤を単独で用いるのではなく、有機過酸化物と併用することが好ましい。このように架橋剤および有機過酸化物を併用して配合することで、シール性の確保とシーラントの流動の防止とを両立するための適度な架橋を実現できる。有機過酸化物の配合量は、上述のゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部〜40質量部、より好ましくは1.0質量部〜20質量部である。有機過酸化物の配合量が1質量部未満であると、有機過酸化物が過少であり架橋が十分に行うことができず、所望の物性を得ることができない。有機過酸化物の配合量が40質量部を超えると、シーラント材組成物の架橋が進みすぎてシール性が低下する。
このように架橋剤と有機過酸化物とを併用するにあたって、架橋剤の配合量Aと有機過酸化物の配合量Bとの質量比A/Bを、好ましくは5/1〜1/200、より好ましくは1/10〜1/20にするとよい。このような配合割合とすることで、シール性の確保とシーラントの流動の防止とを、よりバランスよく両立することが可能になる。
有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ブチルヒドロパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド等が挙げられる。特に、1分間半減期温度が100℃〜200℃である有機過酸化物が好ましく、前述の具体例の中では、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイドが特に好ましい。尚、本発明において、「1分間半減期温度」は、一般に、日本油脂社の「有機過酸化物カタログ第10版」に記載された値を採用し、記載のない場合は、カタログに記載された方法と同様に、有機溶媒中における熱分解から求めた値を採用する。
本発明のシーラント材組成物には、架橋助剤を配合することが好ましい。架橋助剤とは、硫黄成分を含む架橋剤と共に配合することで架橋反応触媒として作用する化合物である。架橋剤および架橋助剤を配合することで、加硫速度を早めることができ、シーラント材組成物の生産性を高めることができる。架橋助剤の配合量は、上述のゴム成分100質量部に対して好ましくは0質量部超1質量部未満、より好ましく0.1質量部〜0.9質量部である。このように架橋助剤の配合量を抑えることで、触媒として架橋反応を促進させつつシーラント材組成物の劣化(熱劣化)を抑制することができる。架橋助剤の配合量が1質量部以上であると熱劣化を抑制する効果が十分に得られない。尚、架橋助剤は、上記のように硫黄成分を含む架橋剤と共に配合することにより架橋反応触媒として作用するものであるので、硫黄成分の代わりに有機過酸化物と共存させても架橋反応触媒としての作用は得られず、架橋助剤を多く使用しなければならず、熱劣化を促進してしまう。
架橋剤の配合量は、上述の架橋助剤の配合量の好ましく50質量%〜400質量%、より好ましくは100質量%〜200質量%であるとよい。このように架橋剤と架橋助剤をバランスよく配合することで、架橋助剤の触媒としての機能を良好に発揮することができ、シール性の確保とシーラントの流動の防止とを両立するには有利になる。架橋剤の配合量が架橋助剤の配合量の50質量%未満であると流動性が低下する。架橋剤の配合量が架橋助剤の配合量の400質量%を超えると耐劣化性が低下する。
架橋助剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオ尿素系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸塩系、アルデヒド‐アミン系、アルデヒド‐アンモニア系、イミダゾリン系、キサントゲン酸系の化合物(加硫促進剤)を例示することができる。これらの中でも、チアゾール系、チウラム系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸塩系の加硫促進剤を好適に用いることができる。チアゾール系の加硫促進剤としては、例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等を挙げることができる。チウラム系の加硫促進剤としては、例えば、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。グアニジン系の加硫促進剤としては、例えば、ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン等を挙げることができる。ジチオカルバミン酸塩系の加硫促進剤としては、例えば、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム等を挙げることができる。特に、本発明においては、チアゾール系またはチウラム系の加硫促進剤を用いることが好ましく、得られるシーラント材組成物の性能のばらつきを抑えることができる。
尚、例えばキノンジオキシムのような実際は架橋剤として機能する化合物を便宜的に架橋助剤と呼称する場合があるが、本発明における架橋助剤は、上述のように架橋剤による架橋反応の触媒として機能する化合物であるので、キノンジオキシムは本発明における架橋助剤には該当しない。
本発明のシーラント材組成物は、液状ポリマーを配合することが好ましい。このように液状ポリマーを配合することで、シーラント材組成物の粘性を高めてシール性を向上することができる。液状ポリマーの配合量は、上述のゴム成分100質量部に対して、好ましくは50質量部〜400質量部、より好ましくは70質量部〜200質量部である。液状ポリマーの配合量が50質量部未満であると、シーラント材組成物の粘性を高める効果が充分に得られないことがある。液状ポリマーの配合量が400質量部を超えると、シーラントの流動を充分に防止することができない。
液状ポリマーとしては、シーラント材組成物中のゴム成分(ブチルゴム)と共架橋可能であることが好ましく、例えば、パラフィンオイル、ポリブテンオイル、ポリイソプレンオイル、ポリブタジエンオイル、ポリイソブテンオイル、アロマオイル、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。シーラント材組成物の物性の温度依存性を低く抑えて、低温環境下におけるシール性を良好に確保する観点から、これらの中でも、パラフィンオイル、ポリブテンオイル、ポリイソプレンオイル、ポリブタジエンオイル、アロマオイル、ポリプロピレングリコールが好ましく、特にパラフィンオイルを用いることが好ましい。パラフィンオイルを用いることで、上述の温度ごとの粘度をそれぞれ適切な範囲に設定するには有利になる。また、液状ポリマーの分子量は好ましくは800以上、より好ましくは1000以上、更に好ましくは1200以上3000以下であるとよい。このように分子量の大きいものを用いることで、タイヤ内面に設けたシーラント層からタイヤ本体にオイル分が移行してタイヤに影響を及ぼすことを防止することができる。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
タイヤサイズ235/40R18で、図1または図2に示す基本構造を有し、トレッド部の内表面にシーラント層を有する空気入りタイヤにおいて、厚さ変化率RG、厚さ変化率RG’、幅変化率RW、幅変化率RW’、粘度η-30、粘度η0、粘度η50、粘度η80、比η0/η50、比η-30/η80、トルエン不溶分の割合A、補助シートの有無、シーラント層の表面積に対する補助シートの面積の割合を表1に記載のように設定した比較例1〜2、実施例1〜8のタイヤを製作した。
厚さ変化率RGは、0℃におけるシーラント層の厚さG0と50℃におけるシーラント層の厚さG50に基づいて下記式(1)に基づいて算出した。具体的には、タイヤ内周を12等分した箇所のそれぞれで、タイヤ赤道位置とシーラント層の両端からそれぞれタイヤ幅方向内側に10mmの位置の3箇所をそれぞれ測定点とし、各測定点において、直径0.5mmの針をシーラント層に垂直に突き刺し、針の先端がシーラント層とタイヤ内表面との界面に達したときにシーラント層の表面(タイヤ内腔側の面)に対応する針の位置に印を付け、シーラント層から抜き取った針の先端から前述の印までの長さ(シーラント層の厚さ)を計測し、「0℃におけるシーラント層の厚さG0」と「50℃におけるシーラント層の厚さG50」は、タイヤの周辺温度をそれぞれの温度条件(0℃または50℃)に設定して1時間放置した後に測定し、各測定点でG0とG50の差(|G50−G0|)を求め、この差が最大となる測定点における値を「厚さ変化率RG」とした。
G=(|G50−G0|/G0)×100 (1)
厚さ変化率RG’は、−30℃におけるシーラント層の厚さG-30と80℃におけるシーラント層の厚さG80に基づいて下記式(1’)に基づいて算出した。温度条件を除いて測定条件等は上述の厚さ変化率RGと共通である。
G’=(|G80−G-30|/G-30)×100 (1’)
幅変化率RWは、0℃におけるシーラント層の幅W0と50℃におけるシーラント層の幅W50に基づいて下記式(2)で算出した。具体的には、タイヤ内周を12等分した箇所をそれぞれ測定点とし、各測定点において、シーラント層の両端間のタイヤ幅方向に沿った長さ(シーラント層の幅)を計測し、「0℃におけるシーラント層の幅をW0」と「50℃におけるシーラント層の幅をW50」は、タイヤの周辺温度をそれぞれの温度条件(0℃または50℃)に設定して1時間放置した後に測定し、各測定点でW0とW50の差(|W50−W0|)を求め、この差が最大となる測定点における値を「幅変化率RW」とした。
W=(|W50−W0|/W0)×100 (2)
幅変化率RW’は、−30℃におけるシーラント層の幅W-30と80℃におけるシーラント層の幅W80に基づいて下記式(2’)に基づいて算出した。温度条件を除いて測定条件等は上述の厚さ変化率RWと共通である。
W’=(|W80−W-30|/W-30)×100 (2’)
粘度η-30は−30℃におけるシーラント材の粘度、粘度η0は0℃におけるシーラント材の粘度、粘度η50は50℃におけるシーラント材の粘度、粘度η80は80℃におけるシーラント材の粘度であり、それぞれJIS K6833‐1:2008に準拠し、各温度条件で、回転式粘度計を用いて測定した。
トルエン不溶分の割合A〔質量%〕は、シーラント材をトルエンに浸漬させて1週間放置した後に残存したトルエン不溶分の質量M2〔単位:g〕と、シーラント材をトルエンに浸漬する前の初期質量M1〔単位:g〕を用いて下記(3)式により算出した。
A=(M2/M1)×100 (3)
いずれの例においても、ベルト層の幅は195mm、シーラント層の幅(25℃における幅)は215mm(ベルト層の幅の1.10%)とし、シーラント層の厚さ(25℃における厚さ)は3mmとした。
これら試験タイヤについて、下記試験方法により、押出速度、加工性、シール性を評価し、その結果を表1に併せて示した。
シール性
各試験タイヤを後述の温度条件で24時間静置した後、リムサイズ18×8.5Jのホイールに組み付けて試験車両に装着し、初期空気圧250kPa、荷重8.5kNの条件で、直径4.0mmの釘をトレッド部に打ち込み、更に、その釘を抜いた状態でタイヤを後述の温度条件で1時間静置した後の空気圧を測定した。温度条件は、−30℃、0℃、50℃、80℃の4通りとしそれぞれの温度条件で試験を行った。尚、釘を打ち込む際の温度条件も、釘を打ち込む前後にタイヤを静置する際と同じ条件とした。評価結果は、以下の4段階で示した。尚、評価結果が「○」或いは「◎」であれば十分なシール性を発揮しており、「◎」の場合に特に優れたシール性を発揮したことを意味する。
◎:静置後の空気圧が240kPa以上かつ250kPa以下
○:静置後の空気圧が230kPa以上かつ240kPa未満
△:静置後の空気圧が200kPa以上かつ230kPa未満
×:静置後の空気圧が200kPa未満
シーラントの流動性
試験タイヤをリムサイズ18×8.5Jのホイールに組み付けてドラム試験機に装着し、空気圧220kPa、荷重8.5kNとし、走行速度を150km/hとして1時間走行し、走行後のシーラントの流動状態を調べた。評価結果は、走行前にシーラント層の表面に5mm方眼罫20×40マスの線を引き、走行後に形状が歪んだマスの個数を数えて、シーラントの流動が全く認められない場合(歪んだマスの個数が0個)を「○」で示し、歪んだマスの個数が全体の1/4未満である場合を「△」で示し、歪んだマスの個数が全体の1/4以上である場合を「×」で示した。
Figure 2022000361
表1から明らかなように、実施例1〜8の空気入りタイヤは、温度条件に拘らずに優れたシール性を発揮した。また、実施例1〜8の空気入りタイヤは流動性も良好であり、走行後にシーラントの流動が抑制されていた。特に、補助シートを備えた実施例1〜5のタイヤでは、シーラントの流動が全く認められず、流動性が特に優れていた。一方、比較例1〜2は、厚さ変化率RGと幅変化率RWが大きいため、十分なシール性および流動性を確保できなかった。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルト補強層
9 インナーライナー層
10 シーラント層
11 補助シート
R1 トレッドゴム層
R2 サイドゴム層
R3 リムクッションゴム層
CL タイヤ赤道

Claims (7)

  1. タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、前記トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ外径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、少なくとも前記トレッド部の内表面に粘着性シーラント材からなるシーラント層が設けられた空気入りタイヤにおいて、
    0℃における前記シーラント層の厚さをG0、50℃における前記シーラント層の厚さをG50、0℃における前記シーラント層の幅をW0、50℃における前記シーラント層の幅をW50としたとき、下記式(1)で表される厚さ変化率RGが3%以下であり、下記式(2)で表される幅変化率RWが3%以下であることを特徴とする空気入りタイヤ。
    G=(|G50−G0|/G0)×100 (1)
    W=(|W50−W0|/W0)×100 (2)
  2. 0℃における前記粘着性シーラント材の粘度η0〔単位:kPa・s〕と、50℃における前記粘着性シーラント材の粘度η50〔単位:kPa・s〕との比η0/η50が6.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記粘着性シーラント材が架橋されていることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記粘着性シーラント材において、下記(3)式で表されるトルエン不溶分の割合Aが30質量%〜60質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
    A=(M2/M1)×100 (3)
    (式中、M2は前記粘着性シーラント材をトルエンに浸漬させて1週間放置した後に残存したトルエン不溶分の質量〔単位:g〕であり、M1は前記粘着性シーラント材をトルエンに浸漬する前の初期質量〔単位:g〕である。)
  5. 前記粘着性シーラント材に架橋剤が配合されており、前記架橋剤が硫黄成分を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記粘着性シーラント材を構成するゴム成分がブチルゴムを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記シーラント層の表面を覆う補助シートを設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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