本出願は、高分子量オレフィンコポリマーゴムに関するものであり、これはバイモーダルの分子量によって特性付けられ、またこれは中程度の分子量成分と超高分子量成分との改善された分子量分割比および改善された組成分布を有する(「改善された比のバイモーダルゴム(IRのバイモーダルゴム)」)。IRのバイモーダルゴムは、アイソタクチックポリプロピレンランダムコポリマー(RCP)とブレンドされ、それによってペレット安定性のオレフィンコポリマーの「バイモーダルゴム」(「ペレット安定性バイモーダルゴム」)が製造される。本開示はまた、ペレット安定性「バイモーダルゴム」を作りおよび使用する方法ならびにそれから作られた物品にも関する。本開示はまた、熱可塑性加硫物(TPV)組成物;「ペレット安定性バイモーダルゴム」を用いてそのようなTPVを作る方法;およびそれから作られた物品にも関する。
本明細書の目的のためには、CheMicaL Engineering News、63(5)巻、27頁(1985)に記載された周期表の族の番号付け方式が使用される。たとえば、「第4族金属」とは、周期表の第4族からの元素、たとえば、Hf、TiまたはZrである。
本明細書に開示された任意の特定の化合物の場合、提示された任意の一般的なまたは特定の構造はまた、特に明記されない限り、特定の一組の置換基から生じることがある全ての配座異性体、位置異性体および立体異性体も包含する。同様に、特に明記されない限り、当業者によって認識されるであろうように、一般的なまたは特定の構造はまた、鏡像異性体であれラセミ体であれ、全ての対掌体、ジアステレオマーおよび他の光学異性体とともに立体異性体の混合物も包含する。
定義
特定の略語が簡潔さのために使用されることがあり、定義の項の中に列挙されたものが挙げられるが、これらに限定されない。
用語「アルケニル」とは、1つ以上の二重結合を有する直鎖状、分枝鎖状または環式の炭化水素基を意味する。これらのアルケニル基は任意的に置換されていてもよい。適当なアルケニル基の例としては、エテニル、プロペニル、アリル、1,4−ブタジエニル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクテニル等が、これらの置換された同族体を含めて挙げられるが、これらに限定されない。
用語「アルコキシ」または「アルコキシド」とは、アルキルエーテルまたはアリールエーテル基を意味し、ここで用語アルキルとは下に定義された通りである。適当なアルキルエーテル基の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、ターシャリブトキシ、フェノキシ等が挙げられるが、これらに限定されない。「アルコキシド」としては、アルキル基がC1〜C10ヒドロカルビル、たとえばC1〜C10アルキルまたはC5〜C20アリールであるものが挙げられる。そのアルキル基は、直鎖状、分岐状または環式であってもよい。そのアルキル基は飽和または不飽和であってもよい。いくつかの実施形態では、アルキル基は少なくとも1つの芳香族基を含んでいてもよい。
用語「アルキル」とは、1〜12の炭素原子(すなわち、C1〜C12アルキル)、特に1〜8の炭素原子(すなわち、C1〜C8アルキル)、特に1〜6の炭素原子(すなわち、C1〜C6アルキル)および特に1〜4の炭素原子(すなわち、C1〜C4アルキル)を有する飽和炭化水素基を指す。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、デシル等が挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基は、直鎖状、分枝状または環式であってもよい。「アルキル」は、アルキル基の全ての構造異性体形を包含するように意図されている。たとえば、本明細書で使用されるプロピルは、n−プロピルおよびイソプロピルの両方を包含し、ブチルは、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルおよびターシャリブチル等を包含する。
インデニル化合物に関連して使用される用語「非対称の」とは、4−位での置換が異なる、または2−位での置換が異なる、または4−位での置換が異なりかつ2−位での置換が異なることを意味する。
本明細書で使用される「C1アルキル」はメチル(−CH3)を指し、「C2アルキル」はエチル(−CH2CH3)を指し、「C3アルキル」はプロピル(−CH2CH2CH3)を指し、また「C4アルキル」はブチル(たとえば、−CH2CH2CH2CH3、−(CH3)CHCH2CH3、−CH2CH(CH3)2等)を指す。
さらに、本明細書で使用される、Meはメチルであり、Etはエチルであり、Prはプロピルであり、Cprはシクロプロピルであり、nPrはn−プロピルであり、iPrはイソプロピルであり、Buはブチルであり、nBuはノルマルブチルであり、iBuはイソブチルであり、sBuはsec−ブチルであり、tBuはターシャリブチルであり、Octはオクチルであり、Phはフェニルであり、Bnはベンジルであり、MAOはメチルアルモキサンである。
用語「芳香族」とは、非局在化された共役π系を有し、かつ5〜20の炭素原子(芳香族C5〜C20炭化水素)、特に5〜12の炭素原子(芳香族C5〜C12炭化水素)、また特に5〜10の炭素原子(芳香族C5〜C10炭化水素)を有する不飽和の環式炭化水素を指す。1つ以上の実施形態では、芳香族としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、クメン、ナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、エチルナフタレン、アセナフタレン、アントラセン、フェナントレン、テトラフェン、ナフタセン、ベンゾアントラセン、フルオランテン、ピレン、クリセン、トリフェニレン等およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。用語「芳香族」はまた、芳香族複素環配位子と似ている性質および構造(ほとんど平面状)を有する複素環置換基であるが、定義により芳香族ではない擬似芳香族の複素環も指す。同様に、用語「芳香族」はまた、置換された芳香族も指す。
用語「アリール」または「アリール基」とは、C4〜C20芳香族環、たとえば6炭素芳香族環およびこれらの置換された変異体を包含し、たとえばフェニル、2−メチルフェニル、キシリル、4−ブロモキシリルが挙げられるが、これらに限定されない。同様に、ヘテロアリールとは、環の1個の炭素原子(または、環の2個または3個の炭素原子)が、ヘテロ原子、たとえばN、O、Sで置き換えられているアリール基を意味する。
別段の指定がない限り、指定されたアルキル、アルケニル、アルコキシまたはアリール基の異性体が存在する場合(たとえば、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびターシャリブチル)、その基の1つの構成員への言及(たとえば、n−ブチル)は、そのファミリーの残りの異性体(たとえば、イソブチル、sec−ブチルおよびターシャリブチル)を明示的に開示しているものとする。同様に、特定の異性体(たとえば、ブチル)を指定しないアルキル、アルケニル、アルコキシドまたはアリール基への言及は、全ての異性体(たとえば、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびターシャリブチル)を明示的に開示している。本明細書で使用される用語「バイモーダルゴム」は、i)分子量および組成の中にバイモーダル性を有する、エチレン、アルファオレフィンおよびジエンのターポリマーを含んでいるEPDM、およびii)エチレン、プロピレンおよび5−エチリデン−2−ノルボルネンのターポリマーを含んでいる。
本明細書で使用される「触媒」は、単一の触媒、または各触媒が配座異性体もしくは配置異性体である複数の触媒を包含する。配座異性体は、たとえば配座異性体および回転異性体を包含する。配置異性体は、たとえば立体異性体を包含する。
本明細書で使用される「触媒生産性」とは、T時間にわたって、W gの触媒(cat)を含んでいる重合触媒を使用して、どれだけのグラムのポリマー(P)が製造されるかの指標であり、以下の式:P/(T x W)によって表され、gPgcat−1h−1の単位で表されてもよい。転化率は、ポリマー製品に転化されたモノマーの量であり、モル%として報告され、ポリマー収量およびリアクターに供給されたモノマーの量に基いて計算される。触媒活性は、触媒がどれくらい活性であるかの指標であり、使用された触媒(cat)の1モル当たり製造された製品ポリマー(P)の質量(Pkg/catモル)として報告される。
「均一系触媒系」とは、遷移金属触媒化合物および活性化剤が重合媒体の中に溶解されているシステムであり、典型的には触媒系は担体上に担持されておらず、溶媒/モノマー混合物の中に溶解されている。
別段の指定がない限り、「触媒活性」は、触媒がどれくらい活性であるかの指標であり、別段の指定がない限り、ある時間にわたって、使用された触媒の1モル当たり製造された製品ポリマーの質量として報告される。これは、(ポリマーのkg)/(触媒のミリモル)(分)の単位で与えられてもよい。質量、モル量または時間の他の単位が同様に使用されてもよい。別段の指定がない限り、「転化率」とは、ポリマー製品に転化されたモノマーの量であり、モル%として報告され、ポリマー収量およびリアクターに供給されたモノマーの量に基いて計算される。
「触媒系」とは、少なくとも1種の触媒化合物、担持材料、任意的な活性化剤および任意的な共活性化剤の組み合わせである。本開示および特許請求の範囲の目的のためには、触媒系または組成物がその成分の中性の安定形態を含んでいると記載される場合、それは、その成分のイオン形態がモノマーと反応してポリマーを製造する形態であることが当業者によって十分に理解されている。それが、活性化の後にそのようなことを記載するために使用される場合には、それは担体、活性化錯体および活性化剤または他の電荷を平衡させる部分を意味している。遷移金属化合物は、前触媒中と同じように中性であってもよく、または活性化された触媒系中と同じように対イオンで帯電された化学種であってもよい。
用語「共触媒」および「活性化剤」は、本明細書では互換的に使用され、中性の触媒化合物を触媒現象的に活性な触媒化合物カチオンに変換することによって、本明細書に記載された触媒化合物のうちのいずれか1種を活性化することができる任意の化合物であると定義される。非限定的な活性化剤は、たとえばイオン化する活性化剤を含んでおり、これは中性またはイオン性であってもよく、たとえば非配位性アニオンである。活性化剤は多くの場合、イオン化するアニオン前駆体化合物を含んでおり、これは反応性の、σ−結合された金属配位子を引き抜き、その金属錯体をカチオンにし、かつ電荷を平衡させる非配位性または弱い配位性のアニオンを提供する。
用語「比較例のサンプル」とは、本明細書に記載された成分からの組成物から作られるが、特定して除外された成分はどれも含んでいない材料を指し、それ以外の点では、その成分についてTPVの同じ組成物である。
用語「錯体」はまた、触媒前駆体、前触媒、触媒、触媒化合物、遷移金属化合物または遷移金属錯体と呼ばれてもよく、これらの語は互換的に使用され、また活性化剤および共触媒も互換的に使用される。
用語「圧縮永久ひずみ」は、ポリマーサンプル、熱可塑性組成物またはTPVが圧縮されたときの永久変形の指標である。
用語「連続の」とは、中断または停止なしに作動するシステムを意味する。たとえば、ポリマーを製造する連続プロセスは、反応物質が1基以上のリアクターの中に絶えず導入され、ポリマー製品が絶えず抜き出されるものである。
用語「コポリマー」とは、少なくとも2種の異なるモノマーの重合によって形成されたポリマーを指す。「コポリマー」としては、共重合反応製品が挙げられるが、これに限定されない。
用語「架橋」とは、1つのポリマー鎖を別のものに連結する結合を指す。本明細書に記載された用語「架橋すること」とは、架橋を使用してポリマーの物理的性質の差を促進することを指す。
用語「架橋可能なエラストマーポリマー」とは、0.5モル%超の自由なジエンの含有量を有する任意のエラストマーを指す。1つの実施形態では、それは120℃で、溶媒として1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2を使用してプロトンNMRによって測定されて、不飽和オレフィン基が測定される。
用語「部分的に架橋された」とは、リアクター中のゴムの95重量%未満(たとえば、10〜95重量%)が架橋されている場合であると定義される。用語「完全に架橋された」とは、リアクター中のゴムの95重量%以上が架橋されている場合と定義される。
本明細書で使用される「結晶性の」とは、示差走査熱量測定(DSCピーク融解温度)によって測定された約100℃超の識別可能なピーク融解温度を有することと定義される。
用語「シクロペンタジエニル」とは、環内に非局在化結合を有し、典型的にはη5−結合によってMに結合されている5員環であって、炭素が典型的には5員の位置の大多数を構成している5員環を指す。
用語「異なる」または「同じでない」とは、本明細書に記載された任意の化学式の中のR基(たとえば、R2およびR8またはR4およびR10)または本明細書に記載された任意の置換基に言及するために使用された場合、これらの基または置換基が少なくとも1つの原子だけ互いにまたは異性体として異なることを示す。
本明細書に記載された用語「動的加硫」とは、熱可塑性ポリマーの融点超の温度におけるせん断の条件の下で熱可塑性樹脂成分(TRC)とブレンドされた硬化可能なゴム成分の加硫または硬化を意味し、このせん断条件はこの混合物を可塑化するのに十分なものである。少なくとも1つの実施形態では、ゴム成分は、TRC内のミクロサイズの粒子として同時に架橋され分散される。硬化の程度、ゴム成分とTRCとの比、ゴム成分とTRCとの相溶性、混練機のタイプおよび混合の強さ(せん断速度)に応じて、他の形態(モーフォロジー)、たとえば可塑性マトリクス中の共連続なゴム相が可能である。動的加硫はプロセス油の存在の下で行われてもよく、またはプロセス油は動的加硫後に、またはこれらの両方で添加されることができる。
この開示の目的のためには、エチレンはαオレフィンと見なされるものとする。
本明細書に記載された「エラストマー」または「エラストマー組成物」とは、ASTM D1566の定義と整合する、任意のポリマーまたはポリマーの組成物(たとえば、ポリマーのブレンド)を指し、エラストマーポリマーは架橋可能なエラストマーポリマーであると見なされる。エラストマーは、ポリマーの混合されたブレンド、たとえば融解物混合および/またはリアクター混合によって調製されたものを包含する。
「エチレンポリマー」または「エチレンコポリマー」とは、少なくとも50モル%のエチレン由来単位を含んでいるポリマーまたはコポリマーである。
「複素環」とは、環の原子上の水素がヘテロ原子で置き替えられている「ヘテロ原子で置換された環」とは対照的に「環構造にヘテロ原子を有する環」である。たとえば、テトラヒドロフランは複素環であり、4−N,N−ジメチルアミノフェニルは、ヘテロ原子で置換された環である。
本明細書で使用される「超高分子量」または「超高MW」の「バイモーダルゴム」は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定された2,000,000g/モル以上の分子量(MW)値を有するバイモーダルゴムと定義される。逆に、「中程度の分子量」または「中程度のMW」は、GPCによって測定された2,000,000g/モル未満の分子量(MW)値と定義される。「IRのバイモーダルゴム」の中程度の分子量(MW)成分が存在し、これは、約600,000以下のピークMWを有し、またプロピレンに富み、したがってポリプロピレンマトリクスと相溶性を有し、「IRのバイモーダルゴム」の全体組成の主要成分である。「バイモーダルゴム」の超高MW成分は、そのゴムの全体組成の少数成分であり、エチレンに富み、したがって非常に弾性であり、低いガラス転移温度(Tg)、高いMW、および約10,000,000以下のピークMWを有する。ポリマー中の超高MW成分および中程度のMW成分は、GPCカーブ(dWt対LogM)をプロットし、横座標(LogM)上の2,000,000g/モルの点を特定し、横座標上の2,000,000g/モルの点から直線を垂直上方(90度)に引き、その直線を使用してGPCカーブを高いMW成分と中程度のMW成分とに分割することによって決定される。超高および中程度のMW成分の重量パーセントが、次にGPCカーブの下の領域を別々に積分することによって計算される。1つ以上の実施形態では、用語「超高MWポリマーまたはゴム」は、2元触媒によって製造されたゴムに適用され、これは、いくつかの実施形態では、単一のリアクター内で生じる。
本明細書で使用される「ホモポリマー」とは、単一のモノマーの重合から得られるポリマー、すなわち単一のタイプの繰り返し単位から本質的に成るポリマーを意味する。
用語「炭化水素」とは、炭素に結合された水素を含んでいる化合物の類を意味し、(i)飽和炭化水素化合物、(ii)不飽和炭化水素化合物、および(iii)(飽和および不飽和の)炭化水素化合物の混合物を包含する。
用語「ヒドロカルビル基(radical)」、「ヒドロカルビル」、「ヒドロカルビル基(group)」、「アルキル基」および「アルキル」は、この文書の全体にわたって互換的に使用される。この開示の目的のためには、「ヒドロカルビル」または「非置換ヒドロカルビル」は、C1〜C100基を指し、それは直鎖状、分枝状または環式であり、環式の場合、芳香族または芳香族であってもよい。そのような基の例としてはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、ターシャリブチル、ペンチル、イソアミル、ヘキシル、オクチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル等が挙げられる。
本明細書で使用される用語「ヒドロキシ」とは、OH基を指す。
用語「IRのバイモーダルゴム」とは、より高い分子量のオレフィンコポリマーゴムに関し、それは、バイモーダルの分子量、中程度の分子量成分と超高分子量成分との改善された分子量分割比および改善されたバイモーダルの組成分布によって特性付けられる。
本明細書で使用される用語「直鎖状」とは、ポリマーが、長鎖分枝をたとえあったとしてもほとんど有しておらず、典型的には0.97以上、たとえば0.98以上のg’vis値を有することを意味する。
本明細書で使用される用語「融点」とは、ポリマーブレンドを参照する場合には平均融点を意味する。それは、ブレンド中の各熱可塑性ポリマーの融点を、ブレンド中の各ポリマーの割合を考慮して平均することによって計算される
本明細書の記載では、「メタロセン触媒」は、触媒前駆体、前触媒化合物、メタロセン触媒化合物または遷移金属化合物と記載されてもよく、またこれらの用語は互換的に使用される。「アニオン配位子」とは、1個以上の電子対を金属イオンに供与する、負に帯電された配位子である。
メタロセン触媒は、遷移金属に結合された、少なくとも1個のπ−結合されたシクロペンタジエニル部分(または置換されたシクロペンタジエニル部分)、より高い頻度では2個のπ−結合されたシクロペンタジエニル部分(または置換されたシクロペンタジエニル部分を有する有機金属化合物と定義される。
本明細書で使用される、Mnは数平均分子量であり、Mwは重量平均分子量であり、Mzはz平均分子量であり、重量%は重量パーセントであり、モル%はモルパーセントである。分子量分布(MWD)は、多分散性(PDI)とも呼ばれ、Mnで割られたMwであると定義される。特に断りのない限り、全ての分子量(たとえば、Mw、MnおよびMz)はg/モルであり、GPC−IRによって決定される。
「オレフィン」は、あるいは「アルケン」とも呼ばれ、少なくとも1個の二重結合を有する炭素と水素との、直鎖状、分枝状または環式の化合物である。本明細書の目的のためには、ポリマーまたはコポリマーが「オレフィンを含んでいる」と呼ばれる場合、そのようなポリマーまたはコポリマーの中に存在するオレフィンは、そのオレフィンの重合された形態である。たとえば、コポリマーが35重量%〜55重量%の「エチレン」含有量を有すると言われる場合、コポリマー中の「マー」単位は重合反応でエチレンから導かれ、また当該導かれた単位は、コポリマーの重量に基いて、35重量%〜55重量%で存在することが理解される。
本明細書で使用される「有機金属オレフィン重合触媒」とは、配位重合付加をすることができる任意の触媒を指し、この場合に一連のモノマーが有機金属の活性中心においてモノマー鎖に次々に加えられる。
「phr」の略語は、ゴム100重量部当たりの部に等しい。
用語「ポリエチレン」とは、少なくとも50モル%のエチレン単位から作られ、20重量%未満のプロピレン単位を有するポリマーを意味する。
「ポリマー」は同じまたは異なる「マー」単位の2個以上を有し、「ホモポリマー」は同じである「マー」単位を有するポリマーであり、「コポリマー」は、2種以上の異なるモノマーに由来するポリマー(ターポリマー、テトラポリマー等を包含する。)であり、また「ターポリマー」は互いに異なる3種の「マー」単位を有するポリマーである。「マー」単位を参照するために使用される「異なる」とは、「マー」単位が、少なくとも1個の原子によって互いに異なるまたは異性体として異なることを示す。したがって、本明細書で使用されるコポリマーの定義は、ターポリマー等を包含する。本明細書で使用されるように、ポリマーがモノマーを含んでいると呼ばれる場合、そのモノマーはそのポリマーの中に、モノマーの重合された形態またはモノマーの誘導体の形態をして存在する。本明細書で使用されるように、ポリマー組成物またはブレンドが、ある重量パーセント(重量%)のモノマーを含んでいると言われる場合、別段の指定のない限り、そのモノマーのパーセントは、その組成物またはブレンドの全てのポリマー成分中のモノマー単位の全量に基く。
「重合可能な条件」または「条件」とは、活性化されたオレフィン重合触媒と接触された場合に1種以上のオレフィンモノマーの反応を促して、典型的には配位重合によって所望のポリオレフィンポリマーを製造するような、少なくとも1基の重合リアクター内の、温度、圧力、反応物質濃度、任意的な溶媒/希釈剤、反応物質の混合/添加パラメーターおよび他の条件についての当業者の選択を包含する条件を指す。
重合
「バルク重合」とは、溶媒または希釈剤として不活性溶媒をほとんどまたは全く使用しないで、重合されているモノマーおよび/またはコモノマーが溶媒または希釈剤として使用される重合プロセスを意味する。ほんのわずかの不活性溶媒が、触媒および捕捉剤のキャリアーとして使用されてもよい。バルク重合系は、25重量%未満、たとえば10重量%未満、たとえば1重量%未満、たとえば0重量%未満の不活性溶媒または希釈剤を含有する。
「均一重合」とは、ポリマー製品が重合媒体に溶解されているものである。1つ以上の実施形態では、Oliveira,J.V.ら、(2000年)「ポリプロピレン−炭化水素系の高圧相平衡」、Ind.Eng.Chem.Res.、39巻、4627〜4633頁に記載されているように、そのような系は混濁していない。
本明細書で使用される用語「スラリー重合プロセス」とは、担持触媒が使用され、モノマーがその担持触媒粒子上で重合される重合プロセスを意味する。担持触媒から誘導されたポリマー製品の少なくとも95重量%は、固形粒子として粒状形態をしている(希釈剤に溶解されていない。)。
本明細書で使用される用語「溶液重合」とは、ポリマーが液体重合媒体、たとえば不活性溶媒またはモノマーまたはそれらのブレンドに溶解されている重合プロセスを意味する。溶液重合は典型的には均一である。
本明細書で使用される用語「ポリプロピレン」または「プロピレンポリマー」とは、任意のホモ、インパクトまたはランダムの、プロピレンのポリマーまたはコポリマー、ターポリマー、より高次のポリマー、インパクトコポリマー、またはプロピレン由来単位から作られたインターポリマー、またはこれらの組み合わせを広く意味し、これは、少なくとも50重量パーセント(または少なくとも50モル%)のプロピレン由来単位を含有している。プロピレンポリマーは、組成において広く様々であることができ、例としては、立体規則性ポリプロピレン、無定形ポリプロピレンによって分離された立体規則性ポリプロピレンセグメント、無定形ポリプロピレン、ポリプロピレンコポリマー、プロピレンターポリマーおよびより高次のプロピレンコポリマーが挙げられる。
本明細書での用語「ランダムコポリマー」または「RCP」とは、プロピレンおよび少なくとも1種の2または4個から12個までの炭素原子を有するアルファオレフィンコモノマーまたはこれらの組み合わせを含んでおり、それによってアイソタクチックポリプロピレンランダムコポリマー(RCP)を形成するコポリマーを指し、この場合に、RCPのプロピレンと合計コモノマーとのモル比は90:10〜99.5:0.5である。
用語「環原子」とは、環構造の一部である原子を意味する。この定義によれば、ベンジル基は6個の環原子を有し、またテトラヒドロフランは5個の環原子を有する。
別段の指定がない限り、「室温」は23℃である。
「捕捉剤」とは、リアクターに加えられて、不純物を除去することによって重合を促進することができる化合物である。いくつかの捕捉剤はまた、連鎖移動剤として働いてもよい。いくつかの捕捉剤はまた、活性化剤として働いてもよく、共活性化剤と呼ばれてもよい。捕捉剤ではない共活性化剤もまた、活性な触媒を形成するために活性化剤とともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、共活性化剤は、遷移金属化合物と予め混合されて、アルキル化された遷移金属化合物を形成することができる。捕捉剤の例としては、トリアルキルアルミニウム、メチルアルモキサン、変性メチルアルモキサン、MMAO−3A(Akzo NobeL社)、ビス(ジイソブチルアルミニウム)オキシド(Akzo NobeL社)、トリ(n−オクチル)アルミニウム、トリイソブチルアルミニウムおよびジイソブチルアルミニウムヒドリドが挙げられるが、これらに限定されない。
別段の指定がない限り、用語「置換され」とは、水素基がヒドロカルビル、ヘテロ原子またはヘテロ原子含有基と置き換えられていることを意味する。たとえば、「置換されたヒドロカルビル」とは、炭素および水素から作られた基であり、少なくとも1個の水素がヘテロ原子またはヘテロ原子含有基と置き換えられている。置換された基は、その基の少なくとも1個の水素原子が少なくとも1個のハロゲン(たとえば、Br、CL、FまたはI)または少なくとも1個の官能基、たとえばC(O)R*、C(O)NR*2、C(O)OR*、NR*2、OR*、SeR*、TeR*、PR*2、AsR*2、SbR*2、SR*、BR*2、SiR*3、GeR*3、SnR*3、PbR*3等(ここで、R*は、独立して水素またはヒドロカルビル基であり、2個以上のR*は一緒に結合して、置換または非置換の、飽和、部分的に不飽和または芳香族環式または多環式の構造を形成してもよい。)で置き換えられた基であり、またはその場合に少なくとも1個のヘテロ原子が環の内に挿入されている。
用語「溶媒」は、その中にポリマーが溶解して均一溶液を形成する、任意の炭化水素または炭化水素の混合物を意味すると定義される。
用語「置換基」、「基(radical)」、「基(group)」および「部分」は、互換的に使用されてもよい。
本明細書で使用される用語「熱可塑性ポリマー」とは、DSCによって測定された少なくとも70℃の融点を有する任意のポリマーであると定義される。
本明細書で使用される用語「立体規則性ポリプロピレン」とは、当業者に知られている条件の下で結晶させるのに十分なほど長い立体規則性のプロピレン連鎖を有するポリプロピレンを意味する。
用語「加硫され」とは、本明細書では、任意の発行された特許、刊行物または辞書に反映されるような、その最も広い意味で定義され、一般に、組成物(たとえば、架橋可能なゴム)の全てまたは一部が、ある程度または量の加硫を受けた後のその組成物の状態を指す。したがって、この用語は部分的および全体の加硫の両方を包含する。加硫の1つのタイプは「動的加硫」であり、これもまた「加硫物」を製造する。少なくともその文脈では、用語「加硫」は、熱的および化学的の両方の、任意の形態の硬化(架橋)を包含し、これは動的加硫に利用されることができる。また、少なくとも1つの実施形態では、用語「加硫され」は、関連する特性の測定可能な変化、たとえば組成物のメルトフローインデックス(MFI)の(何らかのASTM−1238手順による)10%以上の変化をもたらす硬化(架橋)のような実質的でない加硫以上のものを指す。
本明細書で使用される用語「部分的に加硫された」ゴム成分は、(動的加硫のような)加硫、たとえばTPVのゴム相の架橋の後に、架橋可能なゴム成分の5重量%超が沸騰キシレンに抽出可能なものである。
用語「加硫物」とは、加硫されたある成分(たとえば、ゴム)を含んでいる組成物を意味する。
用語「熱可塑性加硫物」(TPV)とは、熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性樹脂成分と、分散された、少なくとも部分的に加硫された/架橋されたゴム成分とのブレンドを含んでおり、熱可塑性樹脂成分(TRC)内に連続相および非連続相が存在する任意の材料と、広く定義される。他の実施形態では、共連続的な形態または相転移が達成される。TPV材料はさらに、添加物、構成物質、硬化剤、プロセス油、他の成分およびこれらの組み合わせを含んでいてもよい。
本明細書で使用される略語「TPV」および「複数のTPV(TPVs)」は、熱可塑性加硫物を指すために使用されてもよい。
用語「得られるTPV」とは、本明細書では、その成分が任意の順で、任意の様式でおよび任意の時間、一緒にブレンドされまたは混合される組成物であり、反応生成物、溶液、スラリー、混合物、ブレンド等またはこれらの組み合わせを含んでいるTPVを説明するために使用される。さらに、任意の成分を接触させるステップは、本明細書に記載された組成物の他の成分の存在の下でまたは存在しないで行われる場合がある。追加の材料または成分を組み合わせるステップは任意の適当な方法によって行われることができる。
本開示の様々な特定の実施形態、バージョンおよび例が、本明細書で採用される様々な実施形態および定義を含めて、これから記載される。以下の詳細な記載は特定の実施形態を示すけれども、当業者は、これらの実施形態は例でしかなく、本開示は他の方法で実施されることができることを認識できるだろう。本「開示」のどのような参照も、特許請求の範囲によって定義された実施形態の1つ以上の参照であってもよいが、必ずしもその全てを参照するものではない。標題の使用は、便宜のみの目的のためにあり、本開示の範囲を制限しない。
改善された熱可塑性加硫物(TPV)
本開示の1つ以上の実施形態は、中程度の分子量成分と超高分子量成分との改善された分子量分割比を有し、かつ好ましい組成分布を有する、より高い分子量のオレフィンコポリマーバイモーダルゴム(「IRのバイモーダルゴム」)の製造に関する。1つ以上の実施形態では、「IRのバイモーダルゴム」は、超高MW成分中に、より高いエチレン含有量、および中程度のMW成分中に、より高いプロピレン含有量を有する。「IRのバイモーダルゴム」は、アイソタクチックポリプロピレンランダムコポリマー(RCP)とブレンドされ、それによってペレット安定性のRCP含有オレフィンコポリマー「バイモーダルゴム」(「ペレット安定性バイモーダルゴム」)が製造される。
本開示の1つ以上の実施形態では、図1に一般的に示されるように、上記の「バイモーダルゴム」は、直列にされた通常の複数のリアクターの中で1種以上の異なる触媒を使用するのではなく、単一の第1のリアクターの中で少なくとも2種の異なる触媒を使用して合成される。1つ以上の実施形態では、第2の単一のリアクターは、アイソタクチックポリプロピレンランダムコポリマー(「RCP」)を製造しており、これは第1の「バイモーダルゴム」を製造するリアクターと並列に操作される。次に、1つ以上の実施形態では、「バイモーダルゴム」とRCPとの別々のリアクター流出物は、それからその場で(in situ)リアクターブレンドされ、それによってペレット安定性の「バイモーダルゴム」が作られ、これは任意的にペレット化されてもよい。さらに、1つ以上の実施形態では、ペレットが、ペレット安定性「バイモーダルゴム」を用いて製造され、このようにして製造されたペレットの凝集を防ぐためのフィラーおよび/または微粒子状ペレットコーティング剤の必要をなくすことができる。
また、1つ以上の実施形態では、ペレット安定性「バイモーダルゴム」が使用されて、熱可塑性加硫物(「TPV」)が作られる。そのようなペレット安定性「バイモーダルゴム」の使用は、最初にゴムベールを粒状化する必要を除去し、また、そうでなければ粒状化されたゴムクラムが凝集するのを防ぐために必要なタルク、クレーまたは他の凝集防止剤を使用する必要を除去する。また、いくつかの実施形態では、必要とされるまたは使用されるフィラーの量が減少され、またはいくつかの場合には完全に不必要にさえされる。1つ以上の実施形態では、改善されたTPVは、ペレット安定性のRCP含有バイモーダルエラストマーコポリマーと追加の熱可塑性樹脂成分(TRC)とを融解物混合することによって調製され、追加の熱可塑性樹脂成分(TRC)は、1つ以上の実施形態ではポリプロピレンを含んでいる。また、硬化剤が添加される。好ましい組成分布を有する「バイモーダルゴム」の上記の改善された分子量分割比は、優れた加工性、弾性およびポリプロピレン(PP)との相溶性を提供し、このようにして、以下でさらに議論されるように、より柔軟でより弾性のTPVの製造を可能にする。ペレット安定性の「バイモーダルゴム」はまた、TPVの内部のゴム分散物のサイズおよび均一性の改善ももたらし、このゴム分散物はまた弾性でもある。さらに、ペレット安定性のゴム内のRCPは、より強く、より良好な熱可塑性の靭帯の形成をもたらす。
エチレン、アルファオレフィンおよびジエンターポリマーを含んでいるペレット安定性のバイモーダルのEPDMの使用は、先行技術であるダスティング剤を除去し、より微細で、より弾性の加硫ゴム分散物を提供し、これらの全てがTPVの柔軟性および靭性を改善し、これらの両方はTPVの弾性を高める。
オレフィンエラストマーコポリマー
1つ以上の実施形態では、熱可塑性加硫物(TPV)のゴム成分は、架橋可能なゴム成分(たとえば、加硫の前)または架橋されたゴム成分(たとえば、加硫の後)である。天然ゴムは一般に、TPVの中のエラストマー成分に不可欠ないくつかの特性を欠いている。ある様相では、ゴム成分は、遊離ラジカル発生化合物、たとえば有機過酸化物を使用して加硫されることができる任意のオレフィン含有ゴムであることができる。1つ以上の実施形態では、マルチモーダルのオレフィンエラストマーコポリマーとしては、エチレン−アルファオレフィン−非共役ジエンゴムが挙げられる。1つ以上の実施形態では、エチレン−プロピレンゴムが使用され、様々な技術を使用することによって製造されまたは合成されてもよい。たとえば、これらのコポリマーは、チーグラー−ナッタ系、バナジウム触媒および第IV〜VI族メタロセンを含むシングルサイト触媒を包含する多数の触媒系を使用する溶液、スラリーまたは気相の重合技術を使用することによって合成されることができる。加硫されたEPDMゴムの分散物は、高いプロピレン含有量(60%超のプロピレン含有量)を有するEPDMを使用することによってさらに改善されることができ、これは次に、TPVの中のEPDMゴムとPP連続マトリクスとの間の相溶性を(界面張力を低下させることによって)改善することになる。しかし、EPDMの中のプロピレン含有量を上げることは、そのガラス転移温度を上げ、その弾性特性を下げることになる。エチレン、アルファオレフィンおよびジエンターポリマーを含んでいるバイモーダルのEPDMは、「少量成分」である高分子量成分がエチレンに(40%超で)富みかつ(100万超の)超高分子量であるけれども、これらの両方は、主要成分である中程度の分子量のプロピレンに富むEPDMによってバランスを取られて、エチレン、アルファオレフィンおよびジエンターポリマーを含んでいるバイモーダルのEPDMの弾性を有意に高めることになり、TPVの中の(プロピレンに富む中程度のMWの成分に起因して)微細でありかつ(エチレンに富む超高MWの成分に起因して)弾性である加硫されたゴム分散物を実現することができるだろう。
1つ以上の実施形態では、エチレン−プロピレンゴムとしては、エチレン、少なくとも1種のαオレフィンモノマーおよび任意的に少なくとも1種のジエンモノマーから重合されたコポリマーが挙げられる。αオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンまたはこれらの組み合わせが挙げられてもよいが、これらに限定されない。1つの実施形態では、αオレフィンとしては、プロピレン、1−ヘキセン、1−オクテンまたはこれらの組み合わせが挙げられる。ジエンモノマーとしては、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニル−2−ノルボルネン、ジビニルベンゼン、1,4−ヘキサジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,6−オクタジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、1,3−シクロペンタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエンまたはこれらの組み合わせが挙げられてもよいが、これらに限定されない。コポリマーがエチレン、1種以上の他のαオレフィンおよび1種以上のジエンモノマーから調製される場合、コポリマーはターポリマーと、または複数のαオレフィンまたはジエンが使用される場合にはテトラポリマーとさえ呼ばれてもよい。
1つ以上の実施形態では、ゴムはマルチモーダルであり、直列、並列またはこれらの組み合わせのリアクターによって製造されてもよい。商業的には、バイモーダルのゴムは、典型的には単一の触媒を使用して直列のリアクターによって製造され、その場合に各成分の分子量は2基のリアクターの温度によって調節される。
代わりに、1つ以上の実施形態では、ゴムは、本明細書に記載されたように直列のリアクターを使用することによって、または図1に一般的に示されたように並列のリアクターを使用することによって作られる。1つ以上の実施形態では、超高分子量(MW)画分のピーク分子量は、1,000,000〜20,000,000、他の実施形態では1,500,000〜15,000,000、また他の実施形態では2,000,000〜10,000,000である。1つ以上の実施形態では、「バイモーダルゴム」の中程度の分子量(MW)成分は、100,000〜800,000、他の実施形態では150,000〜600,000、他の実施形態では200,000〜500,000のピークMWを有する。中程度のMW成分はまた、プロピレンにも富み、したがってポリプロピレンマトリクスと相溶性である。中程度のMW成分は、エチレン、アルファオレフィンおよびジエンターポリマーを含んでいるEPDMゴムの全体組成の主要成分である。
「バイモーダルゴム」の超高MW成分は、エチレン、アルファオレフィンおよびジエンターポリマーを含んでいるEPDMゴムの全体組成の少量成分であり、またエチレンに富み、したがって低いガラス転移温度(Tg)および高いMWを有して、非常に弾性である。これらの新規に開示されたゴムは、多くの用途に対して加工性であり、相溶性を有し、また弾性である。1つ以上の実施形態では、選択されたゴムは、バイモーダルのエチレン、アルファオレフィン、ジエンコポリマーである。
あるいは、そのようなゴムは、直列および/または並列のリアクター内で製造された、より高い分子量成分と、より低い分子量成分とを物理的にブレンドすることによって作られることができる。いずれの場合にも、マルチモーダル性は、MWGPC LALLSシグナルの中に2つのはっきりと区別できるピークまたは主ピークおよびショルダーピークとして現われてもよい。
オレフィンエラストマーコポリマーを製造するための触媒
TPVのエラストマーポリマー部分が直接重合によって製造される場合、1つ以上の実施形態では、触媒はシングルサイト触媒である。しかし、本開示の実施はシングルサイト触媒に限定されない。たとえば、オレフィンコポリマーバイモーダルゴムは、以下の触媒を用いて調製されてもよい:(i)架橋ビスシクロペンタジエニル遷移金属化合物;(ii)遷移金属ピリジルジアミド(以下でさらに説明される。);(iii)架橋または非架橋のメタロセン触媒化合物であって、(i)または(ii)以外のもの、または本明細書に記載された触媒系、またはこれらの組み合わせ。
シングルサイト触媒が利用される実施では、それは一般に、少なくとも100℃の温度で均一の環境の中で重合するのに十分な活性および長寿を有する。1つ以上の実施形態では、異なる分子量の画分が、温度を調節することによっておよび/または水素含有量を調節することによって直列に配置された一連のリアクターの中で製造されることができる。1つ以上の実施形態では、シングルサイト触媒は、嵩高い配位子遷移金属触媒である。嵩高い配位子は、グループを形成する多数の結合された原子、たとえば炭素原子を含有してもよく、そのグループは1個以上の任意的なヘテロ原子を有する環状であってもよい。嵩高い配位子はシクロペンタジエニル誘導体であってもよく、それは単核または多核であることができる。1個以上の嵩高い配位子は遷移金属原子に結合されてもよい。嵩高い配位子は、支配的な科学的理論によれば、重合の過程で均一の重合効果を提供する位置に留まると想定されている。他の配位子は、遷移金属に結合されまたは配位されて、たとえばヒドロカルビル基またはハロゲン脱離基のような共触媒または活性化剤によって引き抜き可能なものであってもよい。何らかのそのような配位子の引き抜きが、オレフィンモノマーがポリマー鎖へ挿入されることができる配位サイトの生成につながると想定されている。遷移金属原子は、元素の周期表の第IV、VまたはVI族の遷移金属である。遷移金属原子は、たとえば第IVB族原子である。活性触媒状態の遷移金属は4+の酸化状態にあり正に帯電されたカチオンであると想定されているけれども、一般に中性である前駆体遷移金属錯体は、より低い酸化状態にあってもよい。適当なメタロセン錯体の詳細な記載については、たとえば米国特許第6,211,312号が参照される。
触媒は、式:「L」mM「X」nによって表わされる化合物からの誘導体であり、この式で、Lは嵩高い配位子であり、Xは脱離基であり、Mは遷移金属であり、またMおよびnは、その合計の配位子原子価が遷移金属の原子価に対応するようなものである。たとえば、いくつかの実施形態では、触媒は、その化合物が1+の原子価状態にイオン化可能であるように4配位である。配位子LおよびXは互いに架橋されていてもよく、2種の配位子Lおよび/またはXが存在する場合には、これらは架橋されていてもよい。メタロセンは、シクロペンタジエニル基である2個の配位子Lを有する完全なサンドイッチ化合物、またはシクロペンタジエニル基である1個の配位子Lのみを有するハーフサンドイッチ化合物であってもよい。メタロセンとしては、元素の周期表の遷移金属と組み合わされて1個以上のシクロペンタジエニル部分を含んでいるような化合物が挙げられる。メタロセン触媒成分は、一般式:(Cp)mMRnR’pによって表わされ、この式で、Cpは置換または非置換のシクロペンタジエニル環であり、Mは第IV、VまたはVI族の遷移金属であり、RおよびR’は独立して、選択されたハロゲン、ヒドロカルビル基または1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルボキシ基であり、m=1〜3、n=0〜3、p=0〜3およびm+n+pの合計はMの酸化状態に等しい。
1つ以上の実施形態では、有用なメタロセンとしては、第IV族の遷移金属、たとえばジルコニウム、ハフニウムのビスシクロペンタジエニル誘導体が挙げられる。国際出願WO1999/41294を見よ。これは、単一の炭素またはケイ素原子によって架橋されているフルオレニル配位子またはシクロペンタジエニル配位子を含んでいる誘導体であってもよい。(国際出願WO1999/45040およびWO1999/45041を見よ。)ある実施形態では、Cp環は非置換であり、および/または架橋はアルキル置換基、たとえばアルキルシリル置換基を含んでいて、そのメタロセンのアルカン溶解性の助けとなる。WO2000/24792およびWO2000/24793(米国特許の慣行の目的のためには、参照によって本明細書に完全に組み込まれる。)を見よ。他のメタロセン触媒系が、本明細書の開示に従って組成物を作るのに適した重合能力を示してもよい。たとえば、欧州特許EP418044はモノシクロペンタジエニル化合物を使用し、それはEP416815のモノシクロペンタジエニル化合物に似ている。類似の化合物がEP420436に記載されている。また、WO1997/03992は、単一のCp化学種およびフェノールがCまたはSi連結子によって連結された触媒、たとえばMe2C(Cp)(3−tBu−5−Me−2−フェノキシ)TiCl2を示している。さらに、WO2001/05849は、Cp−ホスフィニミン触媒、たとえば(Cp)((tBu)3P=N)TiCl2を開示している。
1つ以上の実施では、メタロセン触媒は、両方のリアクターで使用されて、それによってバイモーダルのゴムが製造される。
触媒は共触媒または活性化剤とともに使用されてもよく、それは、支配的な科学的理論によれば、メタロセンカチオンを形成する助けとなると想定されている。アルミニウムアルキル由来の活性化剤が使用されてもよく、メチルアルモキサンのそれが、主要なかつ周知の例である。この材料はまた、捕捉剤としても機能し、Albemarle社またはSchering社から市販で入手可能である。
いくつかの実施形態では、EP277004に記載されているタイプの非または弱配位性のアニオン(NCA)を生成する活性化剤が挙げられる。これらの活性化剤は、上記のメタロセン特許の参照文献の中のメタロセンとともにしばしば使用され、説明されている。NCAは、遷移金属錯体からグループを引き抜いて安定化するアニオンを形成することができる、安定化するアニオンまたは非イオンのルイス塩基を含んでいる中性塩であってもよい前駆体から生成されてもよい。NCAは、生成の様式に応じて、ホウ素またはアルミニウムのような金属原子上に置換された3個または4個の配位子を有していてもよい。配位子は、たとえばフッ素化された、たとえば過フッ素化された、芳香族部分、たとえばフェニル、ビスフェニルまたはナフチルである。別の適当なNCA構造物を記載するWO2001/42249(米国特許の慣行の目的のためには、参照によって本明細書に完全に組み込まれる。)もまた、参照される。
工業規模での操作では、高い触媒活性および低い触媒濃度により、毒物に対する感受性が高まる。毒物は、溶媒またはモノマー供給原料の中の不純物として重合リアクターの中に入るか、あるいは適当な重合が終了した後、一般に水を用いて遂行される、触媒を殺す操作のような二次プロセスによって生成されることがある。
これらの毒物は、アルキルアルミニウム捕捉剤、たとえばトリエチルアルミニウム(TEAL)、チタンホウ素アルミニウム(TIBAL)、ビス(ジイソブチルアルミニウム)酸化物(DIBALO)またはn−オクチルアルミニウムを使用することによって不活性化されてもよい。毒物の存在はまた、連続リアクター装置の中のリサイクルの一部としてモレキュラーシーブまたは他の精製設備を備えることによって対抗されることもできる。
重合プロセス
任意の知られている重合プロセス、たとえば溶液、懸濁、スラリー、超臨界および気相の重合プロセスならびに任意の知られている重合触媒が使用されて、エラストマーコポリマー成分が製造されることができる。一般に、エラストマーコポリマー成分を製造するために使用される触媒は、嵩高いモノマーを重合することができ、また20,000以上のMwおよび20%未満の結晶化度を有するポリマーを製造することができるべきである。
複数のリアクターが直列で使用される場合、WO1999/45047に記載されているように、第1および第2のリアクターの間のような条件は、区別されてもよい。一般に、(適当なジエンを含有する)ターポリマーは、エチレン、より高級のアルファオレフィン(たとえば、プロピレン、ブチレン、ヘキセンおよびオクテン)および非共役ジエンを使用して、以下のステップを含んでいるプロセスで作られる:
a)ジエンを含有するモノマーの第1の組を第1のリアクターに供給するステップ;
b)第1のリアクターにシングルサイト触媒を加えるステップ;
c)第1のリアクターを操作し、モノマーの第1の組を重合して、第1のポリマー成分および任意的な未反応モノマーを含有する流出物を製造するステップ;
d)第2のリアクターにc)の流出物を供給するステップ;
e)モノマーの第2の組を第2のリアクターに供給するステップ;
f)第2のリアクターを操作し、モノマーの第2の組およびあり得る未反応モノマーを重合して、第2のポリマー成分を製造するステップ。
任意的に、追加の触媒がまた、第2のリアクターに供給されてもよい。最終ポリマー製品は、当該第1および第2のポリマー成分の混合物を含んでいる。
重合およびあり得る触媒の不活性化または殺しの後、溶媒が、1つ以上のフラッシングステップまたはEP552945に記載されているような液相分離によって、溶媒含有量が0.1重量%以下に低下するように除去されることができる。溶媒はリサイクルされ、またポリマーはベール化されまたはペレット化されることができる。
遷移金属ピリジルジアミド触媒
本明細書に記載された、改善されたペレット安定性の「バイモーダルゴム」はまた、2017年11月27日に出願され、発明の名称を「2元有機金属触媒を使用するバイモーダルのエチレン、アルファオレフィンおよびジエンポリマー」とする米国特許仮出願第62/585,634号に開示された遷移金属ピリジルジアミド触媒によって合成された「バイモーダルゴム」を用いて調製されてもよい。同特許は、米国特許の慣行の目的のためには、参照によって本明細書に組み込まれる。本開示の実施形態はまた、エチレン、アルファオレフィンおよびジエンターポリマーを含んでいるバイモーダルのEPDMゴムの分子量分割比および組成分布の改善に関する。1つ以上の実施形態では、多元の(典型的に2元の)触媒系が使用されて、直列の複数のリアクターではなく、単一のリアクターの中で、オレフィン含有ゴムが製造される。いくつかの実施形態では、多元触媒系は、少なくとも1種の遷移金属ピリジルジアミド化合物および少なくとも1種の架橋メタロセン化合物を含んでいる。このようにして生成された、エチレン、アルファオレフィンおよびジエンターポリマーを含んでいるバイモーダルのEPDMゴムは、改善された分子量分割比および組成分布を有する。これは有意義なことである。というのは、バイモーダルのエチレン、アルファオレフィンおよびジエンターポリマーを含んでいるバイモーダルのゴムは市販で入手可能で、単一モードのゴムよりも加工するのが容易であるけれども、多くの市販のバイモーダルのEPDMタイプのゴムはTPV用途のための好ましい組成分布を有していないからである。すなわち、そのような市販のEPDMタイプのゴムは、分散のための高含有量のプロピレン成分、弾性のための高含有量のエチレン成分および(高弾性に必要な)超高分子量成分を欠いている。
少なくとも1つの実施形態では、本開示は、遷移金属ピリジルジアミド化合物および架橋メタロセン化合物を含んでいる多元の(典型的に2元の)触媒系に関する。
典型的には、遷移金属ピリジルジアミド触媒は、超高Mwコポリマー、たとえばエチレン、アルファオレフィンおよびジエンターポリマーを含んでいる高いMwのEPDMゴム)に有用である。本発明に特に有用な遷移金属ピリジルジアミド触媒は、米国特許出願公開第2014/0256893号に記載されており、これは参照によって本明細書に組み込まれる。典型的には、架橋メタロセンは、中程度のMw(たとえば、75,000g/モル以上のMw)のポリマー、たとえばエチレン、アルファオレフィンおよびジエンターポリマーを含んでいる中程度のMwのEPDMゴムを提供し、これは多数成分がプロピレンで構成されている。架橋メタロセンは典型的には第4族遷移金属、たとえばハフニウムまたはジルコニウムを含んでいる。特に有用な架橋ビスシクロペンタジエニルハフニウム錯体は、米国特許第6,559,253号および第6,528,670号に記載されているものであり、それらの開示は参照によって本明細書に組み込まれる。WO96/33227、WO97/22635およびEP0612768に記載された架橋ハフノセンは、追加して適しており、これらの文書の記載および実施例は、参照によって本明細書に組み込まれる。
1つの実施形態では、マルチモーダルのオレフィンエラストマーコポリマーは、直列の中の少なくとも1基のリアクターの中で、少なくとも1種のメタロセン触媒を使用することによって調製され、その場合に、より高い分子量の、より高い粘度成分が第1のリアクターの中で製造され、さらに、より低い分子量の、より低い粘度成分が第2のリアクターの中で製造され、そしてこれらの組み合わせが最終のマルチモーダルコポリマーをもたらす。
1つ以上の実施形態では、改善された分子量分割比および組成分布を有する、より高い分子量の「バイモーダルゴム」(「IRのバイモーダルゴム」)は、オレフィンと式(I)または(II):
によって表わされる遷移金属ピリジルジアミド触媒成分とを接触させることによって製造されてもよく、
この式で、Mは、第3、4、5、6、7、8、9または10族の金属(たとえば、MはZrまたはHfである。)であり;
Eは、C(R2)またはC(R3)(R3’)であり;
Xは、アニオン脱離基(たとえば、Xは、C1〜C12アルキル(たとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルまたはこれらの異性体、たとえばイソ−、ターシャリ、n−、sec−)、ヒドリド、ベンジル、ネオペンチル、トリメチルシリルメチル、ハロゲン(たとえば、クロリド、ブロミド、フルオリド、イオジド)、トリフレート(たとえば、メチル、クロリドまたはジアルキルアミド)であり;
Lは、中性のルイス塩基(たとえば、Lはエーテル、アミン、ホスフィンまたはチオエーテルである。)であり;
R1およびR13は、独立して、置換または非置換の、ヒドロカルビルまたはシリル基(たとえば、R1およびR13はアリール基、たとえばR1は2、6−2置換アリール、たとえばR1は2、6−ジイソプロピルフェニル、たとえばR13は2置換アリール、たとえばR13はフェニル、たとえばR1は2、6−2置換アリール基、およびR13は2および6の位置が非置換のアリール基である。)であり;
R2は、1〜10個の炭素原子を含んでいる基であり、これは任意的にR4と連結されて芳香族環を形成し(たとえば、R2および R4は連結されて6員環の芳香族環を形成する。);R3、R3’、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11およびR12は各々独立して、水素、置換または非置換のヒドロカルビル、シリル、アミノ、アリールオキシ、ハロゲンおよびホスフィノから選ばれ(たとえば、R3および R3’は水素である。);
Jは、ピリジン環とアミド窒素の間に3原子長さの橋を形成する2価の基であり(たとえば、Jは以下のものから選ばれ):
nは1または2であり;
mは0、1または2であり;および
2個のX基は、連結されて2価アニオン基を形成してもよく;
2個のL基は、連結されて2座のルイス塩基を形成してもよく;
X基は、L基に連結されて1価アニオンの2座基を形成してもよく;
以下のR3、R3’、R4、R3、R3’、R4、R8、R9、R10、R11およびR12の隣接基は、連結されて環を形成してもよい(R7およびR8は連結されて芳香族環を形成してもよく、たとえばR7およびR8は連結されてシクロペンチルまたはシクロヘキシルを形成し、R10およびR11は連結されて5または6員環を形成してもよく、たとえばR10およびR11は連結されてシクロペンチルまたはシクロヘキシルを形成する。)。
さらに、1つ以上の実施形態では、「バイモーダルゴム」を合成するのに使用される遷移金属ピリジルジアミド触媒成分、これはペレット安定性の「バイモーダルゴム」を作るのに使用されるものであるところ、この遷移金属ピリジルジアミド触媒成分は、式(III):
によって表わされ、
この式で、
R12、R13、R14、R15およびR16の各々は、独立して水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチルまたはターシャリブチルであり、
X1およびX2の各々は、独立してハロゲンまたはアルキル(たとえば、F、CL、Br、I、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルまたはこれらの異性体、たとえばイソ−、ターシャリ、n−、sec−)である。
ペレット安定性の「バイモーダルゴム」を製造するのに使用されることができる「バイモーダルゴム」を製造するのに使用される触媒系として有用な遷移金属ピリジルジアミドの非限定的な実施形態が、本明細書に記載され、以下の(1)〜(8)の1種以上が挙げられる:
架橋メタロセン化合物
改善された分子量分割比および組成分布を有する上記の「IRのバイモーダルゴム」を作るのに使用されてもよい架橋メタロセン化合物は、1つ以上の実施形態では、架橋ビスシクロペンタジエニルハフニウムまたはジルコニウム化合物である。本開示のこれらの架橋ビスシクロペンタジエニルハフニウムまたはジルコニウム化合物としては、金属中心の2個のシクロペンタジエニル(Cp)配位子を架橋する1個の置換または非置換の炭素または置換のケイ素原子、芳香族縮合環で置換されたシクロペンタジエニル配位子または複数の配位子であって、C1〜C20ヒドロカルビルまたはヒドロカルビルシリル置換基から選ばれた非シクロペンタジエニル芳香族環上の置換基を任意的に含有するものを有する化合物が挙げられる。置換基としては、典型的には、縮合環であるかまたはペンダント配置である、直鎖状、分枝状、環式、脂肪族、芳香族または組み合わされた基であることができる1個以上のC1〜C30炭化水素またはヒドロカルビルシリル基が挙げられる。例としては、メチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、ターシャリブチル、ネオペンチル、フェニルおよびベンジルが挙げられる。「ヒドロカルビルシリル」としては、CH2−SiR*3(ここでR*はC1〜C10アルキル、たとえばメチルである。)、トリメチルシリルおよびトリエチルシリルが挙げられるが、これらに限定されない。同様に、非炭素の14または15族原子がCp環または縮合環の環炭素の1個を置き換えているヘテロ原子含有シクロペンタジエニル環または縮合環の使用は、本明細書の場合、「シクロペンタジエニル」、「インデニル」または「フルオレニル」の用語の範囲内にあると見なされる。
特に有用な架橋ビスシクロペンタジエニル化合物は、以下の式
によって表されることができ、
この式で、
Mは、ジルコニウムまたはハフニウム、たとえばハフニウムであり;
Cp1およびCp2の各々は、独立して置換または非置換のシクロペンタジエニル含有基であり;
Tは、14族元素含有架橋基であり、たとえば1個以上の炭素またはケイ素原子を含んでおり;
Y1およびY2の各々は、独立してアニオン脱離基であり;
Q1およびQ2の各々は、独立して置換または非置換のドロカルビル基であり、またAr1およびAr2の各々は、独立して置換または非置換のアリール基である。
非限定的な例として、Ar1およびAr2は独立して
であり、
この式で、R30、R31、R32、R33およびR34の各々は、独立して水素、直鎖状または分枝状のC1〜C40ヒドロカルビル、直鎖状または分枝状の置換C1〜C40ヒドロカルビル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、C6〜C10アリール、置換C6〜C10アリール、−NR’2、−SR’、OR’、OSiR’3または−PR’2であってもよく、各々のR’は水素、ハロゲン、C1〜C10アルキルまたはフェニルである。
非限定的な例として、Q1およびQ2は、独立して水素、直鎖状または分枝状のC1〜C40ヒドロカルビル、直鎖状または分枝状の置換C1〜C40ヒドロカルビル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、C6〜C10アリール、置換C6〜C10アリール、−NR’2、−SR’、OR’、OSiR’3または−PR’2であってもよく、各々のR’は水素、ハロゲン、C1〜C10アルキルまたはフェニルである。
例示的な非限定的な例として、Cp1およびCp2の各々は、独立して非置換シクロペンタジエニル、置換シクロペンタジエニル、非置換インデニル、置換インデニル、非置換フルオレニルまたは置換フルオレニルであってもよい。
例示的な非限定的な例として、Y1およびY2は、独立して水素、ハライド、ヒドロキシまたはC1〜C50の置換または非置換ヒドロカルビル、アミド、アルコキシド、スルフィド、ホスフィド、ハライドまたはこれらの組み合わせであってもよく、またはY1およびY2は一緒に連結されてメタロサイクル環を形成し、またはY1およびY2は連結されてキレート化する配位子またはアルキリデンを形成する(たとえば、Y1およびY2の各々は、独立してC1〜C12アルキル(たとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルまたはこれらの異性体、たとえばイソ−、ターシャリ、n−、sec−)、ヒドリド、ベンジル、ネオペンチル、トリメチルシリルメチル、ハロゲン(たとえば、クロリド、ブロミド、フルオリド、イオジド)またはトリフレートであり、たとえば、Y1およびY2は、メチル、クロリドまたはジアルキルアミドであってもよい。)
本発明の1つの実施形態では、本明細書に記載された任意の式の任意の実施形態では、Tは、Si、GeまたはCを含んでいる架橋基であり、たとえばTは、ジアルキルケ素またはジアルキルゲルマニウムであり、また、たとえばTは、ジメチルケイ素である。
本発明の1つの実施形態では、本明細書に記載された任意の式の任意の実施形態では、Tは架橋基であり、以下のものによって表される:R’2C、R’2Si、R’2Ge、R’2CCR’2、R’2CCR’2CR’2、R’CCR’2CR’ 2CR’ 2、R’C=CR’、R’C=CR’CR’2、R’CCR’=CR’CR’2、R’C=CR’CR’=CR’、R’C=CR’CR’2CR’2、R’2CSiR’2、R’2SiSiR’2、R2CSiR’2CR’2、R’2SiCR’2SiR’2、R’2CGeR’2、R’2GeGeR’2、R’2CGeR’2CR’2、R’2GeCR’2GeR’2、R’2SiGeR’2、R’C=CR’GeR’2、R’B、R’C−BR’、R’C−BR’−CR’2、R’C−O−CR’2、R’2CR’2C−O−CR’2CR’2、R’2C−O−CR’2CR’2、R’2C−O−CR’=CR’ 、R’2C−S−CR’2、R’2CR’2C−S−CR’2CR’2、R’2C−S−CR’2CR’2、R’2C−S−CR’=CR’、R’2C−Se−CR’2、R’2CR’2C−Se−CR’2CR’2、R’2C−Se−CR2CR’2、R’2C−Se−CR’=CR’2、R’2C−N=CR’、R’2C−NR’−CR’2、R’2C−NR’−CR’2CR’2、R’2C−NR−CR’=CR’、R’2CR’2C−NR’−CR’2CR’2、R’2CP=CR’またはR’2C−PR’−CR’2、ここで、各R’は、独立して水素またはC1〜C20含有ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリルカルビルまたはゲルミルカルビルの置換基であり、任意的に、2個以上の隣接するR’は、連結して置換または非置換の、飽和、部分的に不飽和または芳香族の、環式または多環式の置換基であってもよい。Tは、CH2、CH2CH2、C(CH3)2、SiMe2、SiPh2、SiMePh、シリルシクロブチル(Si(CH2)3)、(Ph)2C、(p −(Et)3SiPh)2C、シクロペンタシリレン(Si(CH2)4)またはSi(CH2)5であってもよい。
特定の架橋ビスシクロペンタジエニル化合物としては、以下に由来するものが挙げられる:(1)インデニルに基いた錯体、たとえば以下のもののラセミ−またはメソ−異性体または混合物:ジメチルシリルビス(インデニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシリルビス(2−メチル−インデニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシリルビス(2−プロピル−インデニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシリルビス(4−メチル,2−フェニル−インデニル)ハフニウムジメチルまたはメチレン(インデニル)(2,7−ジ−ターシャリブチル−フルオレニル)ハフニウムジメチル、およびジフェニルメチレン(インデニル)(2,7−ビスターシャリ−ブチルフルオレニル)ハフニウムジベンジル:(2)フルオレニルに基いた錯体、たとえばジブチルシリル(フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ジメチルシリル(インデニル)フルオレニルハフニウムジヒドリド、イソプロピル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジメチル、ジナフチルメチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルメチレン(2,7−ジターシャリブチル,5−メチル−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルメチレン(2,7−ジパラ−n−ブチル−フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチルフルオレニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−ターシャリブチル−フルオレニル)ハフニウムジメチル、メチレン(2,7−ジ−ターシャリブチルフルオレニル)(フルオレニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルメチレン(2,7−ジ−ターシャリブチルフルオレニル)(フルオレニル)ハフニウムジメチル、メチレンビス(フルオレニル)ハフニウムジメチルまたはメチルフェニルメチレンビス(フルオレニル)ハフニウムジメチル;および(3)シクロペンタジエニルに基いた錯体、たとえば以下のもののラセミ−またはメソ−異性体または混合物:(パラ−トリメチルシリルフェニル)(パラ−n−ブチルフェニル)メチレン(フルオレニル)(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ジ(パラ−トリメチルシリルフェニル)メチレン(2,7−ジ−ターシャリブチルフルオレニル)(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、ジ(パラ−トリメチルシリルフェニル)メチレン(2,7−ジ−ターシャリブチルフルオレニル)(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル、(パラ−トリメチルシリルフェニル)(パラ−ターシャリブチルフェニル)メチレン(2,7−ジターシャリブチルフルオレニル)(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチルまたはジベンジル、ジ(パラ−トリメチルシリルフェニル)メチレン(2,7−ジメチルフルオレニル)(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチルまたはジベンジル、およびビス(p−トリエチルシリルフェニル)カルビル(シクロペンタジエニル)(2,7−ジターシャリブチルフルオレニル)ハフニウムジメチル。
他の有用な架橋ビスシクロペンタジエニル化合物としては、以下のものが挙げられる:ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−ターシャリブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジメチル、ジ(p−トリメチルシリル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジメチル、ジ(p−トリメチルシリル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジメチル、ジ(p−トリエチルシリル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジメチル、、ジ(p−トリエチルシリル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジメチル、ジ(p−トリエチルシリル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−ターシャリブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジメチル、(p−トリエチルシリル−フェニル)(p−ターシャリブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジメチル、(p−トリエチルシリル−フェニル)(p−n−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジメチル、(p−トリメチルシリルフェニル)(p−n−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−ターシャリブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジメチルおよび(p−トリエチルシリル−フェニル)(p−n−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジメチル。
非対称の、架橋化合物、たとえば上に列挙されたものが本開示に従って特に有用であることが見いだされた。
特に、架橋ハフニウム化合物については、芳香族縮合環で置換された配位子の上の置換度を増加させると、分子量を増加させるのに寄与すると考えられ、これは、複数のシクロペンタジエニル配位子の間の、置換または非置換の炭素原子(−CH2−、または−CHR−、または−CR2−)架橋基または置換シリレン(−SiR2−)架橋基を有する共有結合の橋を使用する場合も同じであり、この場合に、各Rは同じまたは異なるC1〜C20ヒドロカルビル置換基であり、または2個のRは共有結合で連結されて環式構造を形成してもよい。ハフニウム化合物中のインデニル、フルオレニルまたはアズレニル基上の置換基は一般に、上に定義されたような6員縮合環上の2個以上のC1〜C30炭化水素置換基を含んでいる。
本発明はさらに、ペレット安定性のバイモーダルゴムを製造するのに使用されることができるバイモーダルゴムを製造するのに使用される触媒系に関し、この触媒系は、上に記載された架橋ビスシクロペンタジエニル化合物の少なくとも1種、上に記載された遷移金属ピリジルジアミド化合物の少なくとも1種、任意的な活性化剤、任意的な共活性化剤および任意的な担体を含んでいる。
少なくとも1つの実施形態では、1つの触媒系は「バイモーダルゴム」を製造するのに使用されることができ、その「バイモーダルゴム」はその後、ペレット安定性の「バイモーダルゴム」を製造するのに使用されることができるものであり、その触媒系は以下のものを含んでいる:
A)以下のものを含んでいる架橋ビスシクロペンタジエニル化合物:
i)少なくとも1種の非置換のシクロペンタジエニル配位子または芳香族縮合環で置換されたシクロペンタジエニル配位子;
ii)1種の、芳香族縮合環で置換されたシクロペンタジエニル配位子;
iii)両方のシクロペンタジエニル配位子に結合された遷移金属;
iv)2種のシクロペンタジエニル配位子を連結する架橋基であって、当該架橋が1個以上の炭素またはケイ素原子を有する架橋基;および
B)式(I)または(II)によって表される遷移金属ピリジルジアミド化合物:
これらの式で、
Mは、3、4、5、6、7、8、9または10族金属(たとえば、MはZrまたはHfである。)であり;
Eは、C(R2)または℃(R3)(R3’)であり;
Xは、アニオン脱離基(たとえば、Xはメチル、ヒドリド、ベンジル、ネオペンチル、トリメチルシリルメチル、クロリド、ブロミド、フルオリド、イオジド、プロピル、エチル、ヘキシル、トリフレート、さらにたとえば、メチル、クロリドまたはジアルキルアミドである。)であり;
Lは、中性のルイス塩基(たとえば、Lはエーテル、アミン、ホスフィンまたはチオエーテルである。)であり;
R1およびR13は、独立して、置換または非置換のヒドロカルビルまたはシリル基から選ばれ(たとえば、R1およびR13はアリール基であり、たとえばR1は2,6−2置換アリールであり、たとえばR1は2,6−ジイソプロピルフェニルであり、たとえばR13は2置換アリールであり、たとえばR13はフェニルであり、たとえばR1は2,6−2置換アリール基であり、またR13は2および6位が非置換であるアリール基である。);
R2は、任意的にR4と連結されて芳香族環を形成する1〜10個の炭素原子を含有する基であり(たとえば、R2およびR4は連結されて6員芳香族環を形成する。);
R3、R3’、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11およびR12は、各々独立して水素、置換または非置換のヒドロカルビル、アルコキシ、シリル、アミノ、アリールオキシ、ハロゲンおよびホスフィノから選ばれ(たとえば、R3およびR3は’ 水素である。);
Jは、ピリジン環とアミド窒素との間に3原子長さの架橋を形成する2価の基であり(たとえば、Jは以下の式:
のものから選ばれ):
nは、1または2であり;
mは、0、1または2であり;
2個のX基は、連結されて2価アニオン基を形成してもよく;
2個のL基は、連結されて2座ルイス塩基を形成してもよく;
X基は、L基と連結されて単価アニオン2座基を形成してもよく;かつ
以下のR3、R3’、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11およびR12からの隣接基は、連結されて環を形成してもよい(たとえばR7およびR8は連結されて芳香族環を形成し、たとえばR7およびR8は連結されてシクロペンチルまたはシクロヘキシルを形成し、たとえばR10およびR11は連結されて5または6員環を形成し、たとえばR10およびR11は連結されてシクロペンチルまたはシクロヘキシルを形成する。)。
少なくとも1つの実施形態では、Mはハフニウムである。
少なくとも1つの実施形態では、Mはジルコニウムである。
少なくとも1つの実施形態では、架橋は単一の炭素またはケイ素原子である。
少なくとも1つの実施形態では、芳香族縮合環で置換されたシクロペンタジエニル配位子は、置換または非置換のフルオレニル配位子である。
少なくとも1つの実施形態では、架橋ビスシクロペンタジエニル化合物の架橋基は、置換または非置換の炭素原子である。
少なくとも1つの実施形態では、架橋原子は、少なくとも1個のアリール基で置換されている。
少なくとも1つの実施形態では、架橋ビスシクロペンタジエニル化合物は、以下の少なくとも1つである:ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジメチル、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−ターシャリブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジメチル、ジ(p−トリメチルシリル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジメチル、ジ(p−トリメチルシリル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジメチル、ジ(p−トリメチルシリル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−ターシャリブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジメチル、ジ(p−トリエチルシリル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジメチル、ジ(p−トリエチルシリル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジメチル、ジ(p−トリエチルシリル−フェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−ターシャリブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジメチル、(p−トリエチルシリル−フェニル)(p−ターシャリブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジメチル、(p−トリエチルシリル−フェニル)(p−n−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジメチル、(p−トリメチルシリルフェニル)(p−n−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−ターシャリブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジメチルおよび(p−トリエチルシリル−フェニル)(p−n−ブチルフェニル)メチレン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジメチル。
少なくとも1つの実施形態では、架橋ビスシクロペンタジエニル化合物は、以下のものである:
少なくとも1つの実施形態では、この架橋ビスシクロペンタジエニル化合物の架橋基は、置換ケイ素原子である。
少なくとも1つの実施形態では、触媒系としては、式(III)によって表される遷移金属ピリジルジアミド化合物が挙げられる:
この式で、
R12、R13、R14、R15およびR16の各々は、独立して水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチルまたはターシャリブチルであり;かつ
X1およびX2の各々は、独立してハロゲンまたはアルキルである。
少なくとも1つの実施形態では、触媒系は、たとえば(1)〜(8)の以下の遷移金属ピリジルジアミド化合物の1つ以上を含んでいる:
少なくとも1つの実施形態では、触媒系は、たとえば以下の遷移金属ピリジルジアミド化合物を含んでいる:
本発明は、ゴムを製造するための触媒系にさらに関し、この触媒系は、以下のものを含んでいる:(a)上記の架橋ビスシクロペンタジエニル化合物;(b)上記の遷移金属ピリジルジアミド化合物;(c)架橋または非架橋のメタロセン触媒化合物であって、(a)の架橋ビスシクロペンタジエニル化合物とは異なるもの;および(d)遷移金属ピリジルジアミド化合物であって、(b)の遷移金属ピリジルジアミド化合物とは異なるもの。
本発明は、ゴムを製造するための触媒系にさらに関し、この触媒系は、以下のものを含んでいる:(a)上記の架橋ビスシクロペンタジエニル化合物;(b)上記の遷移金属ピリジルジアミド化合物;および(c)遷移金属ピリジルジアミド化合物であって、(b)の遷移金属ピリジルジアミド化合物とは異なるもの。
本発明は、ゴムを製造するための触媒系にさらに関し、この触媒系は、以下のものを含んでいる:(a)上記の架橋ビスシクロペンタジエニル化合物;(b)上記の遷移金属ピリジルジアミド化合物;および(c)架橋または非架橋のメタロセン触媒化合物であって、(a)の架橋ビスシクロペンタジエニル化合物とは異なるもの。
本発明の目的のためには、1つの触媒化合物は他の触媒化合物と、2つの触媒化合物が少なくとも1つの原子の違いで異なる場合、異なると考えられる。たとえば、「ビスインデニルジルコニウムジクロリド」は「(インデニル)(2−メチルインデニルジルコニウムジクロリド」と異なり、後者は「(インデニル)(2−メチルインデニル)ハフニウムジクロリド」と異なる。異性体のみの違いで異なる触媒化合物は、本発明の目的のためには同じと考えられ、たとえば、 ラセミ−ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニル)ハフニウムジメチルはメソ−ジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニル)ハフニウムジメチルと同じであると考えられる。したがって、本明細書で使用される、ラセミおよび/またはメソ異性体を有する、単一の、架橋された、非対称的に置換されたメタロセン触媒化合物は、それ自体、2つの異なる架橋メタロセン触媒成分を構成しない。
本発明の任意の実施形態では、触媒系は活性化剤をさらに含んでいる。本発明の任意の実施形態では、触媒系は担体材料をさらに含んでいる。本発明の任意の実施形態では、触媒系は活性化剤および担体材料をさらに含んでいる。
本発明のいくつかの実施形態では、ゴムを製造するための触媒系は、アルモキサンを含んでいる活性化剤をさらに含んでいる。本発明のいくつかの実施形態では、触媒系は、非配位性アニオン活性化剤を含んでいる活性化剤をさらに含んでいる。本発明のいくつかの実施形態では、触媒系はシリカ担体をさらに含んでいる。
活性化剤
触媒錯体が合成された後、触媒系は、錯体と任意的な活性化剤とを任意の適当な方法で組み合わせることによって形成されてもよい。触媒系またはその任意の成分は、スラリーまたは気相重合で使用されるために任意的に担持されてもよい。触媒系はまた、均一重合系、たとえば溶液重合または(モノマー中の)バルク重合に添加されまたはその中で生成されてもよい。触媒系は典型的には、上記の2種の触媒錯体および活性化剤、たとえばアルモキサンまたは非配位性アニオンを含んでいる。
非限定的な活性化剤としては、たとえばアルモキサン、アルミニウムアルキル、イオン化する活性化剤、これらは中性またはイオン性であってもよいが、および従来型の共触媒が挙げられる。活性化剤はしばしば、アルモキサン化合物、変性アルモキサン化合物、および反応性の、σ−結合された金属配位子を引き抜いて、金属錯体をカチオンにし、かつ電荷を平衡化する非配位性または弱く配位するアニオンを提供するイオン化性アニオン前駆体化合物を含んでいる。
アルモキサン活性化剤
1つの実施形態では、アルモキサン活性化剤が触媒系の中の活性化剤として使用される。アルモキサンは一般に、−Al(R1)−O−の副次的単位を含有するオリゴマー化合物であり、ここでR1はアルキル基である。アルモキサンの例としては、メチルアルモキサン(MAO)、変性メチルアルモキサン(MMAO)、エチルアルモキサンおよびイソブチルアルモキサンが挙げられる。アルキルアルモキサンおよび変性アルキルアルモキサンは、触媒活性化剤として適しており、特に引き抜かれ可能な配位子がアルキル、ハライド、アルコキシドまたはアミドである場合に適している。様々なアルモキサンおよび変性アルモキサンの混合物がまた、使用されてもよい。1つの実施形態では、メチルアルモキサンが使用され、それは目視で清澄なアルモキサンである。濁ったまたはゲル化したアルモキサンは、ろ過されて清澄な溶液が生成されることができ、または清澄なアルモキサンが、濁った溶液からデカンテーションされることができる。有用なアルモキサンは、変性メチルアルモキサン(MMAO)共触媒タイプ3Aである(米国特許第5,041,584号の下で「変性メチルアルモキサンタイプ3A」の商品名でAkzo Chemical社から市販で入手可能)。
別の有用なアルモキサンは、米国特許第9,340,630号、第8,404,880号および第8,975,209号に記載された固形ポリメチルアルモキサンである。
活性化剤が(変性または未変性の)アルモキサンである場合、いくつかの実施形態は、活性化剤の最大量は典型的には、全ての触媒化合物に対して(金属触媒サイト当たり)約5000倍のモル過剰のAl/M比までから選択される。最小の活性化剤と触媒化合物との比は、約1:1モル比である。代わりとなる範囲としては、約1:1〜約500:1、あるいは約1:1〜約200:1、あるいは約1:1〜約100:1、あるいは約1:1〜約50:1が挙げられる。代わりの実施形態では、本明細書に記載された重合プロセスではアルモキサンはほとんどまたは全く使用されない。たとえば、アルモキサンは約0モル%で存在し、あるいはアルモキサンは約500:1未満、たとえば約300:1未満、たとえば約100:1未満、たとえば約1:1未満のアルミニウムと触媒化合物遷移金属とのモル比で存在する。
非配位性アニオン活性化剤
非配位性アニオン(NCA)は、触媒金属カチオンに配位しないか、あるいは触媒金属カチオンに配位するが、わずかに弱く配位するアニオンを意味すると定義される。用語「NCA」はまた、多成分のNCA含有活性化剤、たとえばN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを含有するとも定義され、これは酸性のカチオン基および非配位性アニオンを含んでいる。用語「NCA」はまた、中性のルイス酸、たとえばトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素を含有するとも定義され、これは触媒と反応して、アニオン基の引き抜きによって活性種を形成することができる。NCAは十分に弱く配位するので、中性のルイス塩基、たとえばオレフィン性またはアセチレン性の不飽和のモノマーが触媒中心からそれを置き換えることができる。互換性であり、弱く配位する錯体を形成することができる任意の金属またはメタロイドが、非配位性アニオンに使用されまたはその中に含有されてもよい。適当な金属としては、アルミニウム、金および白金が挙げられるが、これらに限定されない。適当なメタロイドとしては、ホウ素、アルミニウム、リンおよびケイ素が挙げられるが、これらに限定されない。
「互換性の」非配位性アニオンは、最初に形成された錯体が分解するときに、中性に劣化されないものであることができ、かつ、アニオンは、カチオンがアニオンから中性の遷移金属化合物および中性の副生成物を形成させるようには、アニオンの置換基または断片をカチオンに転移しない。本開示に従って有用な非配位性アニオンは、互換性であり、そのイオン電荷を+1で平衡させるという意味において遷移金属カチオンを安定化させ、それにもかかわらず、重合中の置き換えを可能にするのに十分な変わり易さを保持するものである。
中性またはイオン性のイオン化する活性化剤、たとえばトリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリスパーフルオロフェニルホウ素メタロイド前駆体またはトリスパーフルオロナフチルホウ素メタロイド前駆体、ポリハロゲン化ヘテロボランアニオン(WO98/43983)、ホウ酸(米国特許第5,942,459号)またはこれらの組み合わせを使用することは本開示の範囲内である。また、中性もしくはイオン性の活性化剤を単独でまたはアルモキサンもしくは変性アルモキサン活性化剤と組み合わせて使用することも本開示の範囲内である。
本開示の触媒系は、少なくとも1種の非配位性アニオン(NCA)活性化剤を含んでいることができる。
1つの実施形態では、以下の式:
Zd+(Ad−)
によって表わされるホウ素含有NCA活性化剤が使用されることができ、
この式で、
Zは(L−H)または還元性ルイス酸であり;Lは中性のルイス塩基であり;Hは水素であり;(L−H)+はブレンステッド酸であり;Ad−は非配位性アニオン、たとえば電荷d−を有するホウ素含有非配位性アニオンであり;dは1、2または3である。
カチオン成分Zd+は、ブレンステッド酸、たとえばプロトンまたはプロトン化されたルイス塩基または還元性ルイス酸を含んでいてもよく、これらは、嵩高い配位子含有遷移金属触媒前駆体からアルキルまたはアリールのような分子部分をプロトン化しまたは抽出して、カチオン性遷移金属種をもたらすことができる。
活性化するカチオンZd+はまた、分子部分、たとえば銀、トロピリウム、カルボニウム、フェロセニウムおよびこれらの混合物、たとえばカルボニウムおよびフェロセニウムであってもよい。1つ以上の実施形態では、Zd+はトリフェニルカルボニウムである。還元性ルイス酸の例としては、任意のトリアリールカルボニウムが挙げられ、この場合、アリールは置換または非置換のもの、たとえば式:(Ar3C+)で表されるものであることができ、この式で、Arはアリール、またはヘテロ原子、C1〜C40ヒドロカルビルまたは置換C1〜C40ヒドロカルビルで置換されたアリールであり、たとえば「Z」の中の還元性ルイス酸としては、式:(Ph3C)によって表されるものが挙げられ、この式で、Phは置換または非置換のフェニル、たとえばC1〜C40ヒドロカルビルで置換されたもの、または置換されたC1〜C40ヒドロカルビル、たとえばC1〜C20アルキルまたは芳香族または置換されたC1〜C20アルキルまたは芳香族であり、たとえばZはトリフェニルカルボニウムである。
Zd+が活性化するカチオン(L−H)d+である場合、それは、たとえばブレンステッド酸であり、遷移金属触媒前駆体にプロトンを供与することができ、遷移金属カチオンをもたらし、遷移金属カチオンとしては、アンモニウム、オキソニウム、ホスホニウム、シリリウムおよびこれらの混合物、たとえばメチルアミン、アニリン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルアニリン、ジフェニルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、メチルジフェニルアミン、ピリジン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、p−ニトロ−N,N−ジメチルアニリンのアンモニウム;トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィンおよびジフェニルホスフィンからのホスホニウム;エーテル、たとえばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキサンからのオキソニウム;チオエーテル、たとえばジエチルチオエーテルからのスルホニウム;テトラヒドロチオフェンおよびこれらの混合物が挙げられる。
アニオン成分Ad−としては、式:[Mk+Qn]d−を有するものが挙げられ、この式で、kは1、2または3であり、nは1、2、3、4、5または6(たとえば1、2、3または4)であり、n−k=dであり、Mは元素の周期表の13族から選ばれた元素、たとえばホウ素またはアルミニウムであり、またQは独立してヒドリド、架橋または非架橋のジアルキルアミド、ハライド、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビルおよびハロ置換ヒドロカルビル基であり、当該Qは20個までの炭素原子を有し、但し1以下の出現でQはハライドである。1つ以上の実施形態では、各Qは1〜20個の炭素原子を有するフッ素化ヒドロカルビル基であり、たとえば各Qはフッ素化アリール基であり、また、たとえば各Qはペンタフルオリルアリール基であってもよい。適当なAd−の例としてはまた、米国特許第5,447,895号に開示されたジホウ素化合物も挙げられ、これは参照によって本明細書に完全に組み込まれる。
活性化する共触媒として使用されてもよいホウ素化合物の例としては、米国特許第8,658,556号に活性化剤として記載された化合物(および特に活性化剤として具体的に示されたもの)が挙げられ、これは参照によって本明細書に組み込まれる。
「嵩高い活性化剤」はまた、NCAとしても本発明に有用である。本明細書で使用される「嵩高い活性化剤」とは、以下の式によって表されるアニオン活性化剤を指し:
この式で、
各R1は、独立してハライド、たとえばフルオリドであり;
Arは、置換または非置換のアリール基(たとえば、置換または非置換のフェニル)、たとえばC1〜C40ヒドロカルビル、たとえばC1〜C20アルキルまたは芳香族で置換されたものであり;
各R2は、独立してハライド、C6〜C20の置換芳香族ヒドロカルビル基または式:−O−Si−Raのシロキシ基であり、この式でRaはC1〜C20ヒドロカルビルまたはヒドロカルビルシリル基であり(たとえば、R2はフルオリドまたは過フッ素化フェニル基である。)、
各R3は、ハライド、C6〜C20の置換芳香族ヒドロカルビル基または式:−O−Si−Raのシロキシ基であり、この式でRaはC1〜C20ヒドロカルビルまたはヒドロカルビルシリル基であり(たとえば、R3はフルオリドまたはC6過フッ素化芳香族ヒドロカルビル基である。)、ここで、R2およびR3は、1個以上の飽和または不飽和の、置換または非置換の環を形成することができ(たとえば、R2およびR3は過フッ素化フェニル環を形成する。)、
Lは中性のルイス塩基であり;(L−H)+はブレンステッド酸であり; dは1、2または3であり;
ここで、アニオンは1020g/モル超の分子量を有し;かつ
ここで、B原子上の置換基の少なくとも3個は各々、250立方Å超、あるいは300立方Å超、あるいは500立方Å超の分子体積を有する。
1つ以上の実施形態では、(Ar3C)d+は(Ph3C)d+であり、Phは、置換または非置換のフェニル、たとえばC1〜C40ヒドロカルビルまたは置換C1〜C40ヒドロカルビル、たとえばC1〜C20アルキルもしくは芳香族または置換C1〜C20アルキルもしくは芳香族で置換されたものである。
「分子体積」は、本明細書では、溶液中の活性化剤分子の空間的立体的な体積の近似として使用される。異なる分子体積の置換基の比較は、より小さい分子体積の置換基が、より大きい分子体積の置換基と比較して「より低度に嵩高い」と見なされることを可能にする。反対に、より大きい分子体積の置換基は、より小さい分子体積の置換基と比較して「より嵩高い」と見なされてもよい。
分子体積は、Girolami、G.S.(1994年)「単純な「たやすく算出できる」液体および固体の密度および分子体積を推定する方法」、Journal of Chemical Education、71巻(11号)、962〜964頁に報告されたように計算されてもよい。分子体積(MV)は、立方Åの単位で、式:MV=8.3Vsを使用して計算され、この式で、Vsは計量された体積である。Vsは、構成原子の相対体積の合計であり、相対体積の以下の表を使用して置換基の分子式から計算される。縮合環の場合、Vsは縮合環当たり7.5%減少する。
特に有用な「嵩高い」活性化剤のリストは、米国特許第8,658,556号に記載され、この特許は参照によって本明細書に組み込まれる。
別の実施形態では、NCA活性化剤の1種以上は、米国特許第6,211,105号に記載された活性化剤から選ばれる。
例となる活性化剤としては、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレート、[Ph3C+][B(C6F5)4−]、[Me3NH+][B(C6F5)4−]、1−(4−(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ピロリジニウムおよび4−(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)−2,3,5,6−テトラフルオロピリジンが挙げられる。
1つの実施形態では、活性化剤としては、トリアリールカルボニウム(たとえば、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
別の実施形態では、活性化剤としては、トリアルキルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジアルキルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリアルキルアンモニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジアルキルアニリニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリアルキルアンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジアルキルアニリニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリアルキルアンモニウム(パーフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジアルキルアニリニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリアルキルアンモニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、N,N−ジアルキルアニリニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、N,N−ジアルキル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、またはジ−(i−プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの1種以上が挙げられる(ここで、アルキルはメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、sec−ブチルまたはターシャリブチルである。)。
1つ以上の実施形態では、イオン性活性化剤Zd+(Ad−)は、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウム(パーフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリ(ターシャリブチル)アンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(パーフルオロナフチル)ボレートまたはトロピリウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレートの1種以上である。
典型的な活性化剤と触媒との比、たとえば全てのNCA活性化剤と触媒との比は、約1:1モル比である。代わりの範囲としては、約0.1:1〜約100:1、あるいは約0.5:1〜約200:1、あるいは約1.1:1〜約500:1、あるいは約1.1:1〜約1000:1が挙げられる。特に有用な範囲は約0.5:1〜約10:1、約1:1〜約5:1である。
また、触媒化合物が、アルモキサンとNCAとの組み合わせと一緒にされることができることも本開示の範囲内である(たとえば、米国特許第5,153,157号および第5,453,410号、EP0573120B1、WO94/07928およびWO95/14044を見よ。これらは、アルモキサンをイオン化する活性化剤と組み合わせて使用することを議論している。)。
任意的な捕捉剤または共活性化剤
これらの活性化剤化合物に加えて、捕捉剤または共活性化剤が使用されてもよい。捕捉剤または共活性化剤として使用されてもよいアルミニウムアルキルまたは有機アルミニウム化合物としては、たとえばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウムおよびジエチル亜鉛が挙げられる。
有用な連鎖移動剤は典型的には、アルキルアルモキサン、式;AlR3、ZnR2によって表される化合物(この式で、各Rは独立してC1〜C8脂肪族、たとえばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチルまたはこれらの異性体である。)またはこれらの組み合わせ、たとえばジエチル亜鉛、メチルアルモキサン、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムまたはこれらの組み合わせである。
特に有用な連鎖移動剤は、トリアルキルアルミニウムおよびジアルキル亜鉛であり、これらは式:AlR3およびZnR2によって表され(この式で、各Rは独立してC1〜C8脂肪族基、たとえばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチルまたはこれらの異性体である。)またはこれらの組み合わせ、たとえばジエチル亜鉛、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムまたはこれらの組み合わせである。
任意的な担体材料
本発明のいくつかの実施形態では、触媒系は不活性な担体材料を含んでいてもよい。たとえば、担体材料は多孔質の担体材料、たとえばタルクおよび無機酸化物である。他の担体材料としては、ゼオライト、クレー、有機クレーもしくは他の任意の有機もしくは無機担体材料等またはこれらの組み合わせが挙げられる。
たとえば、担体材料は、微細に分割された形態の無機酸化物である。本発明の触媒系に使用されるのに適した無機酸化物材料としては、2、4、13および14族金属の酸化物、たとえばシリカアルミナおよびこれらの混合物が挙げられる。単独でまたはシリカもしくはアルミナと組み合わされて使用されてもよい他の無機酸化物は、マグネシア、チタニア、ジルコニア等である。しかし、他の適当な担体材料、たとえば微細に分割された官能化ポリオレフィン、たとえば微細に分割されたポリエチレンが、使用されることができる。特に有用な担体としては、マグネシア、チタニア、ジルコニア、モンモリロナイト、フィロシケート、ゼオライト、タルク、クレー等が挙げられる。また、これらの担体材料の組み合わせ、たとえばシリカ−クロム、シリカアルミナ、シリカ−チタニア等が使用されてもよい。体材料としては、Al2O3、ZrO2、SiO2およびこれらの組み合わせ、たとえばSiO2、Al2O3またはSiO2/Al2O3が挙げられる。
1つ以上の実施形態では、担体材料は、たとえば無機酸化物であり、それは、約10〜約700m2/gの範囲内の表面積、約0.1〜約4.0cc/gの範囲内の細孔容積および約5〜約500μmの範囲内の平均粒子サイズを有する。1つ以上の実施形態では、担体材料の表面積は約50〜約500m2/gの範囲内、約0.5〜約3.5cc/gの細孔容積および約10〜約200μmの平均粒子サイズである。1つ以上の実施形態では、担体材料の表面積は約100〜約400m2/gの範囲内、約0.8〜約3.0cc/gの細孔容積および約5〜約100μmの平均粒子サイズである。本開示に有用な担体材料の平均細孔サイズは、約10〜約1000Å、たとえば50〜500Å、たとえば75〜約350Åの範囲内にある。いくつかの実施形態では、担体材料は、高い表面積、無定形のシリカ(表面積=300m2/g;1.65cm3/gの細孔容積)である。いくつかのシリカは、W.R.Grace社のDavison化学部門によってDAVISON 952またはDAVISON 955の商品名の下で販売されている。他の実施形態では、DAVISON 948が使用される。
担体材料は、乾燥している、すなわち吸着水を含んでいないものであるべきである。担体材料の乾燥は、約100℃〜約1,000℃、たとえば少なくとも約600℃での加熱または焼成によって達成されることができる。担体材料がシリカである場合、それは少なくとも200℃、たとえば約200℃〜約850℃に、たとえば約600℃で;約1分〜約100時間、約12時間〜約72時間または約24時間〜約60時間、加熱される。焼成された担体材料は、少なくともいくらかの反応性ヒドロキシ(OH)基を有して、本開示の担持された触媒系が製造されなければならない。焼成された担体材料はその後、少なくとも1種の触媒化合物および活性化剤を有する、少なくとも1種の重合触媒系と接触させられる。
反応性表面基、典型的にはヒドロキシ基を有する担体材料は、非極性溶媒中でスラリー化され、その結果物は触媒化合物および活性化剤の溶液と接触させられる。いくつかの実施形態では、担体材料のスラリーは、最初に約0.5時間〜約24時間、約2時間〜約16時間または約4時間〜約8時間の範囲内の期間、活性化剤と接触させられる。触媒化合物の溶液はその後、分離された担体/活性化剤と接触させられる。いくつかの実施形態では、担持された触媒系はその場で(in situ)生成される。代わりの実施形態では、担体材料のスラリーは、最初に約0.5時間〜約24時間、約2時間〜約16時間、または約4時間〜約8時間の範囲内の期間、触媒化合物と接触させられる。担持された触媒化合物のスラリーがその後、活性化剤溶液と接触させられる。
触媒、活性化剤および担体の混合物は、約0℃〜約70℃、たとえば約23℃〜約60℃に、たとえば室温で加熱される。接触時間は、典型的には約0.5時間〜約24時間、約2時間〜約16時間、または約4時間〜約8時間の範囲である。
適当な非極性溶媒は、本発明で使用される全ての反応物質、すなわち活性化剤および触媒化合物がその中に少なくとも部分的に可溶性であり、かつ反応温度で液体である材料である。いくつかの非極性溶媒は、アルカン、たとえばイソペンタン、ヘキサン、n−ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカンである。もっとも、様々な他の材料、たとえばシクロヘキサンのようなシクロアルカン、ベンゼン、トルエンおよびエチルベンゼンのような芳香族もまた、使用されてもよい。
フルオリド化担体
1つの実施形態では、フルオリド化(フルオリデート化とも呼ばれる。)担体が、本明細書に開示された任意の触媒系に使用される。フルオリド化担体(たとえば、フルオリド化シリカ)は、極性溶媒(たとえば、水)とフッ素化合物(たとえば、(NH4)2SiF6)との溶液を担体のスラリー(たとえば、シリカのトルエンスラリー)に添加することによって得られることができる。この調製方法は、フルオリド化合物(たとえば、(NH4)2SiF6)の担体表面(たとえば、シリカ表面)上への均一な分布に寄与し、これは、米国特許出願公開第2002/0123582A1号に記載された、固体の塩が固体のシリカと一緒にされる場合に観察されるそれほど均一でない分布とは対照的である。
1つの実施形態では、フッ素化剤(たとえば、(NH4)2SiF6)の水性溶液が、担体のスラリー(たとえば、シリカのトルエンスラリー)に添加される。混合物の激しい撹拌が、(水の中に)溶解されたフッ素化合物が親水性の担体表面上に均等に吸収されることを可能にする。ろ過の後、湿った担体は、それが自由流動性になるまで空気乾燥され、次に(典型的には、約100℃超の温度で少なくとも約1時間)焼成されてもよい。
1つの実施形態では、極性溶媒とフッ素化剤(たとえば、(NH4)2SiF6)との溶液は、担体のスラリー(たとえば、シリカのトルエンスラリー)に添加される。混合物の激しい撹拌が、(水の中に)溶解されたフッ素化合物が親水性の担体表面上に均等に吸収されることを可能にする。ろ過の後、湿った担体は、それが自由流動性になるまで空気乾燥され、次に(典型的には、約100℃超の温度で少なくとも約1時間)焼成されてもよい。
少なくとも1つの実施形態では、担体材料は、電子求引性アニオンで処理された担体材料を含んでいる。担体材料は、シリカアルミナ、シリカアルミナ、シリカジルコニア、アルミナジルコニア、アルミニウムホスフェート、ヘテロポリタングステート、チタニア、マグネシア、ボリア、酸化亜鉛、これらの混合酸化物またはこれらの混合物であることができ;また、電子求引性アニオンは、フルオリド、クロリド、ブロミド、ホスフェート、トリフレート、ビサルフェート、サルフェートまたはこれらの任意の組み合わせから選ばれる。
担体材料を処理するために使用される電子求引性成分は、(少なくとも1種の電子求引性アニオンで処理されていない担体材料と比較して)処理後の担体材料のルイスまたはブレンステッド酸性度を増加させる任意の成分であることができる。少なくとも1つの実施形態では、電子求引性成分は、塩、酸または他の化合物、たとえば揮発性有機化合物に由来する電子求引性アニオンであり、これらの塩、酸または他の化合物、たとえば揮発性有機化合物は、そのアニオンの源または前駆体として機能する。電子求引性アニオンは、サルフェート、ビサルフェート、フルオリド、クロリド、ブロミド、イオジド、フルオロサルフェート、フルオロボレート、ホスフェート、フルオロホスフェート、トリフルオロアセテート、トリフレート、フルオロジルコネート、フルオロチタネート、ホスホタングステート、またはこれらの混合物またはこれらの組み合わせであることができる。この開示の少なくとも1つの実施形態では、電子求引性アニオンは、フルオリド、クロリド、ブロミド、ホスフェート、トリフレート、ビサルフェートまたはサルフェートまたはこれらの任意の組み合わせであることができる。少なくとも1つの実施形態では、電子求引性アニオンは、サルフェート、ビサルフェート、フルオリド、クロリド、ブロミド、イオジド、フルオロサルフェート、フルオロボレート、ホスフェート、フルオロホスフェート、トリフルオロアセテート、トリフレート、フルオロジルコネート、フルオロチタネートまたはこれらの組み合わせである。
したがって、たとえば、本開示の触媒系に使用されるのに適した担体材料は、フルオリド化アルミナ、クロリド化アルミナ、ブロミド化アルミナ、サルフェート化アルミナ、フルオリド化シリカアルミナ、クロリド化シリカアルミナ、ブロミド化シリカアルミナ、サルフェート化シリカアルミナ、フルオリド化シリカジルコニア、クロリド化シリカジルコニア、ブロミド化シリカジルコニア、サルフェート化シリカジルコニア、フルオリド化シリカチタニア、フルオリド化シリカでコーティングされたアルミナ、サルフェート化シリカでコーティングされたアルミナ、ホスフェート化シリカでコーティングされたアルミナまたはこれらの組み合わせの1種以上であることができる。少なくとも1つの実施形態では、活性化剤−担体は、フルオリド化アルミナ、サルフェート化アルミナ、フルオリド化シリカアルミナ、サルフェート化シリカアルミナ、フルオリド化シリカでコーティングされたアルミナ、サルフェート化シリカでコーティングされたアルミナ、ホスフェート化シリカでコーティングされたアルミナまたはこれらの組み合わせであることができ、またはそれらを含んでいることができる。別の実施形態では、担体材料としては、ヘキサフルオロチタン酸で処理されたアルミナ、ヘキサフルオロチタン酸で処理された、シリカでコーティングされたアルミナ、ヘキサフルオロジルコニウム酸で処理されたシリカアルミナ、トリフルオロ酢酸で処理されたシリカアルミナ、フルオリド化ボリア−アルミナ、テトラフルオロホウ酸で処理されたシリカ、テトラフルオロホウ酸で処理されたアルミナ、ヘキサフルオロリン酸で処理されたアルミナまたはこれらの組み合わせが挙げられる。さらに、これらの活性化剤−担体のいずれかは、任意的に金属イオンで処理されることができる。
本開示の中の電子求引性アニオンの塩に使用するのに適したカチオンの非限定的な例としては、アンモニウム、トリアルキルアンモニニウム、テトラアルキルアンモニウム、テトラアルキルホスホニウム、H+、[H(OEt2)2」+またはこれらの組み合わせが挙げられる。
さらに、1種以上の異なる電子求引性アニオンの組み合わせが、様々な割合で、担体材料の特定の酸性度を所望のレベルに合わせるために使用されることができる。電子求引性成分の組み合わせは、担体材料と同時にまたは個別に、および所望の化学的に処理された担体材料の酸性度を提供する任意の順番で接触させられることができる。たとえば、少なくとも1つの実施形態では、2種以上の電子求引性アニオン源化合物が、2つ以上の個別の接触ステップで接触させられることができる。
本開示の1つの実施形態では、化学的に処理された担体材料が調製されるプロセスの1つの例は、以下のとおりである:選択された担体材料または担体材料の組み合わせが、第1の電子求引性アニオン源化合物と接触させられて第1の混合物が形成されることができ;そのような第1の混合物は焼成され、次に第2の電子求引性アニオン源化合物と接触させられて、第2の混合物が形成され;第2の混合物は次に焼成されて、処理された担体材料が形成されることができる。そのようなプロセスでは、第1および第2の電子求引性アニオン源化合物は、同じまたは異なる化合物であることができる。
酸化物が、電子求引性成分、典型的には電子求引性アニオンの塩または酸、と接触させられる方法としては、ゲル化、共ゲル化、1つの化合物を別の化合物の上へ含浸させることまたはこれらの組み合わせが挙げられることができる。接触させる方法に引き続いて、担体材料、電子求引性アニオンおよび任意的な金属イオンの混合物は、焼成されることができる。
本開示の別の実施形態によれば、担体材料は以下のプロセスによって処理されることができる:(i)担体材料を第1の電子求引性アニオン源化合物と接触させて、第1の混合物を形成するステップ;(ii)第1の混合物を焼成して、焼成され第1の混合物を製造するステップ;(iii)焼成された第1の混合物を第2の電子求引性アニオン源化合物と接触させて、第2の混合物を形成するステップ;および(iv)第2の混合物を焼成して、処理された担体材料を形成するステップ。
ペレット安定性のマルチモーダルゴムを作るための合成されたオレフィンエラストマーコポリマー
本開示の1つ以上の実施形態では、「バイモーダルゴム」は、直列の複数のリアクターの中で異なる触媒を使用してではなく、図1に一般的に示されたように、単一の第1のリアクターの中で少なくとも2種の異なる触媒を使用して合成される。1つ以上の実施形態では、第2の単一リアクターは、下に記載されるアイソタクチックポリプロピレンランダムコポリマー(「RCP」)を製造しており、それは第1の「バイモーダルゴム」を製造するリアクターと並列に操作される。次に、1つ以上の実施形態では、「バイモーダルゴム」およびRCPの別々のリアクター流出物は、その場(イン シチュー)リアクターブレンド操作によって一緒にされる。1つ以上の実施形態では、このようにして製造されたRCP含有「バイモーダルゴム」は、ペレット安定性であり、かつ任意的にペレット化されてもよい。
「バイモーダルゴム」は、2元の有機金属触媒を使用して(C2対称のまたは擬似C2対称のメタロセン触媒を使用して)合成され、60,000超のMnおよび4重量%未満のエチレンコモノマーを有するアイソタクチックポリプロピレンランダムコポリマー(RCP)とリアクターブレンドされる。1つ以上の実施形態では、リアクターブレンド中のアイソタクチックコポリマーの量は、約2.5重量%〜20重量%、または5重量%〜15重量%である。
ポリオレフィン製品
1つ以上の実施形態では、上記の触媒系および本明細書に開示された方法は、マルチモーダルのオレフィンエラストマーコポリマーを製造し、これは以下のものを含んでいる:i)分子量および組成においてバイモーダル性を有する、エチレン、アルファオレフィンおよびジエンターポリマーを含んでいるEPDM:およびii)エチレン、プロピレンおよび5−エチリデン−2−ノルボルネンターポリマー(「バイモーダルゴム」)。1つの実施形態では、これらの「バイモーダルゴム」は、本明細書により完全に記載されているように、単一の溶液リアクター中で0.25:2のモル比の架橋メタロセンとピリジルジアミド遷移金属均一系触媒との混合物によって合成される。1つ以上の実施形態では、そのような「バイモーダルゴム」は、エチレン、少なくとも1種のアルファオレフィン(たとえば、プロピレン)および少なくとも1種のジエンとそのような触媒系とを接触させることによって合成されてもよい。
本発明で製造されるコポリマーは、バイモーダルの分子量、すなわち中程度の分子量成分および超高分子量成分を有することによって、かつバイモーダルの組成分布、すなわち(40重量%超で)プロピレンに富む中程度のMW成分および(60重量%超で)エチレンに富む超高MW成分を有することによって特性付けられてもよい。「バイモーダルゴム」の改善された分子量分割比および組成分布は、優れた、加工性、弾性、および熱可塑性樹脂成分の中に存在するポリプロピレン(PP)およびまたペレット安定性「バイモーダルゴム」内のRCPとの相容性を提供し、このようにしてより柔軟でより弾性のTPVの製造を可能にする。
1つの実施形態では、コポリマーは、ゲル透過クロマトグラフィーによって測定されるマルチモーダルの分子量分布を有する。「マルチモーダル」とは、GPCトレースが少なくとも2つのピークを有することを意味する。ピークが「ショルダー」を含んでいるGPCトレースの場合、用語「バイモーダル」は、GPCトレースが少なくとも2つの変曲点、たとえばピークに1つおよびショルダーに1つを有することを意味する。(図2Aおよび2Bは、ピークおよびショルダーを有するGPCトレースの例である)。変曲点は、カーブの二次導関数の符号が(たとえば、正から負へまたはその逆へ)変わる点である。本明細書でのいくつかの実施形態では、第1のポリオレフィン成分および少なくとも別のポリオレフィン成分を有するマルチモーダルのポリオレフィン組成物が製造され、この少なくとも別のポリオレフィン成分は、第1のポリオレフィン成分と、GPCトレースが1つ超のピークまたは変曲点を有するように分子量が異なる。
1つの実施形態では、本発明で製造されたコポリマーは、(コポリマーの重量に基いて)5.0〜50重量%の超高分子量成分および50〜99.9重量%の中程度の分子量成分を有する。
エチレン由来単位
1つ以上の実施形態では、製造されたゴム中のエチレン由来単位の最大全体量は、(バイモーダルのエチレン、アルファオレフィンおよびジエンターポリマーを含んでいるEPDMゴム中の85重量%に相当する)15モル%〜90モル%である。1つ以上の実施形態では、中程度の分子量(MW)画分は、エチレンおよびαオレフィンの全重量に基いて、50重量%未満の、他の実施形態では45重量%未満の、また他の実施形態では45重量%未満のエチレン由来単位を含んでいる。1つ以上の実施形態では、超高MW画分は、50重量%超の、他の実施形態では55重量%超の、また他の実施形態では60重量%超のエチレン由来単位を含んでいる。
エチレンの重量パーセント
1つ以上の実施形態では、中程度のMW画分中のエチレンの(全ポリマーの重量に基いた)重量パーセントおよび超高MW画分中のエチレンの重量パーセントは、30%以下だけ、他の実施形態では25%以下だけ、他の実施形態では20%以下だけ異なる。各画分の相対量は変わる場合があり、所望の全体ポリマーの多分散性および弾力性に依存することになる。
バイモーダルのエチレン、アルファオレフィンおよびジエンターポリマーを含んでいるEPDMゴム中のエチレン含有量は、典型的には約45重量%〜約85重量%であり、ジエン含有量は用途のニーズに応じて約1%〜約12%で変わる。1つ以上の他の実施形態では、エチレン由来単位の最大量は、モノマーの全モル数に基いて80モル%で、他の実施形態では75モル%で、他の実施形態では70モル%で、他の実施形態では65モル%で、またさらに他の実施形態では60モル%である。1つ以上の他の実施形態では、エチレン由来単位の最少量は、モノマーの全モル数に基いて15モル%で、他の実施形態では20モル%で、他の実施形態では25モル%で、他の実施形態では30モル%で、他の実施形態では35モル%で、他の実施形態では40モル%で、他の実施形態では50モル%で、また他の実施形態では55モル%である。
ジエン含有量
1つ以上の実施形態では、ジエン含有量の最大量は、5.0モル%(15重量%)で、他の実施形態では3.0モル%で、他の実施では2.5モル%で、他の実施形態では0.2モル%(0.7重量%)で、他の実施形態では0.3モル%で、また他の実施形態では0.5モル%である。1つ以上の実施形態では、ポリマー単位の残余はαオレフィンで占められる。
他の実施形態では、両方の画分は、同じまたは類似の重量パーセントのジエンを含有し、各画分中の重量パーセントは、ジエンの5重量%以下だけ、他の実施形態では3重量%以下だけ、他の実施形態では2重量%以下だけ、また他の実施形態では1重量%以下だけ異なる。1つ以上の実施形態では、中程度のMWおよび超高MWの画分は、エチレン、αオレフィンおよびジエンの全重量に基いて15重量%未満の、他の実施形態では12重量%未満の、他の実施形態では10重量%未満の、他の実施形態では8重量%未満の、他の実施形態では5重量%未満の、また他の実施形態では3重量%未満のジエン含有量を有する。
粘度
製造されたゴムの分子量は粘度に関係しており、粘度はいくつかの方法で、たとえばASTM D1646に従ってムーニー粘度計を使用することによって測定されることができる。1つ以上の実施形態では、中程度のMW画分は、少なくとも50の、他の実施形態では少なくとも60の、また他の実施形態では少なくとも70のムーニー粘度(MST(5+4@200℃))を有する。1つ以上の実施形態では、超高MW画分は、120超の、他の実施形態では200超の、他の実施形態では250超の、他の実施形態では300超のムーニー粘度(ML(1+4@125℃))を有する。
ピーク分子量
1つ以上の実施形態では、超高分子量(MW)画分のピーク分子量は、1,000,000g/モル〜20,000,000g/モルで、他の実施形態では1,500,000g/モル〜15,000,000g/モルで、また他の実施形態では2,000,000g/モル〜10,000,000g/モルである。1つ以上の実施形態では、中程度の分子量(MW)画分のピーク分子量は、100,000g/モル〜800,000g/モルで、他の実施形態では150,000g/モル〜600,000g/モルで、また他の実施形態では200,000g/モル〜500,000g/モルである。
分子量分布
1つ以上の実施形態では、エチレン、アルファオレフィンおよびジエンターポリマーを含んでいるバイモーダルのEPDMの中の画分は各々が単独で、6以下の、他の実施形態では5以下の、他の実施形態では4以下の、また他の実施形態では3以下の分子量分布(MWD)によって特性付けられてもよい。しかし、エチレン、アルファオレフィンおよびジエンターポリマーを含んでいるバイモーダルのEPDMのMWDは、6超のMWDを有するバイモーダル性の結果としてより大きいことは理解されるべきである。
分枝指数
1つ以上の実施形態では、TPVを調製するのに用いられるマルチモーダルのゴムは、少なくとも0.7の、他の実施形態では少なくとも0.8の、他の実施形態では少なくとも0.85の、他の実施形態では少なくとも0.9の、他の実施形態では少なくとも0.92の、他の実施形態では少なくとも0.95の、また他の実施形態では少なくとも0.98の分枝指数(BI)によって特性付けられてもよい。1つ以上の実施形態では、本発明で製造されたゴムコポリマー(たとえば、エチレン、アルファオレフィン、ジエンコポリマー)は、たとえば約0.95以上の、約0.97以上の、またはさらにより多く約0.98以上のg’vis価を有する。いくつかの実施形態では、本発明で製造されたエチレン、プロピレン、ジエン(たとえば、エチリデンノルボルネン)コポリマーは、約0.95以上の、約0.97以上の、またはより多く約0.98以上のg’vis値を有する。
重量平均分子量(MW)
1つ以上の実施形態では、バイモーダルのエチレン−プロピレンゴムは、500,000g/モル超で、他の実施形態では600,000g/モル超で、他の実施形態では700,000g/モル超で、また他の実施形態では800,000g/モル超である重量平均分子量(MW)を有し;また1つの実施形態のエチレン−プロピレンゴムの重量平均分子量は、15,000,000g/モル未満で、他の実施形態では10,000,000g/モル未満で、他の実施形態では5,000,000g/モル未満で、また他の実施形態では2,500,000g/モル未満である。
数平均分子量(Mn)
1つ以上の実施形態では、有用なエチレン−プロピレンゴムは、20,000g/モル超で、他の実施形態では50,000g/モル超で、他の実施形態では75,000g/モル超で、また他の実施形態では100,000g/モル超である数平均分子量(Mn)を有し;また1つ以上の実施形態のゴムの数平均分子量は、1,000,000g/モル未満で、他の実施形態では750,000g/モル未満で、他の実施形態では500,000g/モル未満で、また他の実施形態では300,000g/モル未満である。
コポリマーの超高分子量成分
バイモーダルのゴムが製造される、さらに1つ以上の実施形態では、本発明で製造されるコポリマーの超高分子量成分は、以下のものを含んでいてもよい:
A.コポリマーの全重量に基いて約5〜約50重量%の、他の実施形態では約5〜約40重量%の、他の実施形態では約5〜約30重量%の、他の実施形態では約5〜約20重量%の、他の実施形態では約5〜約15重量%の、また他の実施形態では約15重量%未満の超高分子量(MW)画分。
さらに1つ以上の実施形態では、本発明で製造されるコポリマーの超高分子量成分は、1つ以上の実施形態では以下のものを有する:
i)約1,000,000g/モル〜20,000,000g/モルの、他の実施形態では約1,500,000g/モル〜15,000,000g/モルの、また他の実施形態では約2,000,000g/モル〜10,000,000g/モルの、また約2,500,000g/モル〜約9,000,000g/モルの、約3,000,000g/モル〜約8,000,000g/モルの、さらに別の実施形態では約2,500,000g/モル〜7,500,000g/モルの、約2,500,000g/モル〜約5,000,000g/モルの、またさらに別の実施形態では約2,500,000g/モル〜約3,500,000g/モルのピーク分子量;
ii)約40〜約80重量%の、他の実施形態では45重量%超の、または50重量%超の、または55重量%超の、またさらにいくつかの実施形態では60重量%超の(重量%単位での)エチレン含有量;
iii)20超〜約60重量%の、または約25〜約55重量%の、または他の実施形態では約30〜約50重量%の(重量%単位での)C3〜C40アルファオレフィン(たとえば、プロピレン)含有量;
iv)0超〜約12重量%の、また約1〜約7重量%のジエン(たとえば、エチリデンノルボルネン)含有量;および
v)約2〜約20のスプレッド(ピークの半値幅)。
コポリマーの中程度の分子量成分
バイモーダルのゴムが製造される、さらに1つ以上の実施形態では、全体ポリマーは以下のものを含んでいてもよい:
A.少なくとも50重量%の、他の実施形態では少なくとも60重量%の、他の実施形態では少なくとも70重量%の、他の実施形態では少なくとも80重量%の中程度のMW画分、また他の実施形態では85重量%の中程度の分子量画分(すなわち、より低い粘度画分)、またさらなら実施形態では「バイモーダルゴム」ポリマーは85重量%超の中程度の分子量成分を含有していてもよい。
さらに1つ以上の実施形態では、本発明で製造されるコポリマーの中程度の分子量成分は、1つ以上の実施形態では以下のものを有する:
i)約100,000g/モル〜約800,000g/モルのピーク分子量、または他の実施形態では約150,000g/モル〜約600,000g/モルのピーク分子量、または他の実施形態では約200,000g/モル〜約500,000g/モルのピーク分子量、または約250,000g/モル〜約500,000g/モルのピーク分子量、または約500,000g/モル未満のピーク分子量;
ii)50重量%未満の、または他の実施形態では45重量未満の、または40重量%未満の、または35重量%未満の、または30重量%未満の(重量%単位での)エチレン含有量;
iii)50超〜約90重量%の、または他の実施形態では約55〜約80重量%の、または約60〜約75重量%の(重量%単位での)C3〜C40アルファオレフィン(たとえば、プロピレン)含有量;
iv)0超〜約12重量%の、または他の実施形態では約1〜約7重量%の、または約2〜約5重量%のジエン(たとえば、エチリデンノルボルネン)含有量;および
v)約2〜約20のスプレッド(ピークの半値幅)。
1つ以上の実施形態では、全コポリマーは以下のものを有する;
1)約0.95以上のg’vis値;
2)500,000g/モル以上のMw、(あるいは、750,000g/モル以上);
3)75,000g/モル以上のMn、(あるいは、100,000g/モル以上);
4)3〜15のMw/Mn、たとえば4〜10、たとえば5〜9;および
5)55重量%以下、あるいは10〜45重量%の平均エチレン含有量。
分子量および測定方法が以下に記載される。別段の指示がない限り、分子量のモーメントの測定、すなわちピーク分子量、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)およびz平均分子量(Mz)は、以下に記載されるようにゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。少なくともいくつかの実施形態では、製造されるポリマーは立体規則性のポリマー、たとえばアイソタクチックポリマーである。本発明で製造されるコポリマーは、少なくとも約20%(たとえば、少なくとも約30%、たとえば少なくとも約40%)のアイソタクチックペンタッドを有していてもよい。ポリマーは、それが10%以上のアイソタクチックペンタッド(あるいは20%以上、あるいは30%以上、たとえば40%以上のアイソタクチックペンタッド)を有するならば、「アイソタクチック」である。ポリオレフィンは、それが約10%未満のアイソタクチックペンタッドおよびシンジオタクチックペンタッドを有するならば、「アタクチック」であり、これは無定形とも呼ばれる。たとえば、本発明で製造されるコポリマーは、10%未満のアイソタクチックペンタッドを有する。
エチレン、アルファオレフィンおよびジエンターポリマーを含んでいるバイモーダルのEPDMゴムはより多くのプロピレンおよびより高いTgを有するので、より低いTgおよびより良好な弾性のために「バイモーダルゴム」中の高いMW成分中に約40重量%超のエチレンを有することが望ましい。そのような組成物は、高い弾性、靭性および加工性を可能にする。
このようにして製造されたポリマーは、広範囲の用途を有する。1つ以上の実施形態では、「バイモーダルゴム」はポリプロピレンランダムコポリマー(RCP)と混合されて、それによってペレット安定性の「バイモーダルゴム」が製造され、それはその後様々な目的に使用されることができ、その用途としてはTPVの製造があげられるが、これに限定されない。
ポリプロピレンランダムコポリマー(「RCP」)
この開示はまた、新しいランダムのアイソタクチックポリプロピレンコポリマー(「RCP」)の製造にも関する。
ポリプロピレンランダムコポリマー(RCP)を製造するための触媒
1つ以上の実施形態では、そのようなRCPを製造するのに有用なメタロセン触媒化合物としては、オレフィンと接触させられることができ、かつ以下の式によって表されるものが挙げられ、
この式で、
R2およびR8は、同じまたは異なってもよく、各々が独立してC1〜C20直鎖状アルキル基であり、たとえばR2およびR8の少なくとも1種は少なくとも4個の炭素原子、たとえば少なくとも6個の炭素原子を有し、また、たとえばR2およびR8は、アルファまたはベータ位に分枝を有しておらず;
R4およびR10は、置換または非置換のアリール基(たとえば、置換または非置換のフェニル基、たとえば置換されたフェニル基)であり、但しアリール基の少なくとも1つが、1)オルト位においてC1〜C40ヒドロカルビル、ヘテロ原子およびヘテロ原子含有基から選ばれた少なくとも1つの基で置換され、および/または2)3’、4’または5’位においてC1〜C40ヒドロカルビル、ヘテロ原子およびヘテロ原子含有基から選ばれた少なくとも1つの基で置換されており;
Mは、2、3または4族遷移金属、たとえば4族遷移金属であり;
Tは、架橋基であり;
各Xは、アニオン脱離基であり;また
各R1、R3、R5、R6、R7、R9、R11、R12、R13およびR14は、独立して水素、またはヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリルカルビル、置換シリルカルビル、ゲルミルカルビルまたは置換ゲルミルカルビル置換基である。
1つの実施形態では、R2は、直鎖状C1〜C10アルキル基、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニルまたはn−デシルであってもよく、これはハロゲン化され、たとえばI、F、ClまたはBrでハロゲン化されてもよい。
1つの実施形態では、R8は、直鎖状C1〜C10アルキル基、たとえばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニルまたはn−デシルであってもよく、これはハロゲン化され、たとえばI、F、ClまたはBrでハロゲン化されてもよい。
本開示のいくつかの実施形態では、R2およびR8は、同じ直鎖状アルキル基、たとえばn−ブチル、n−ヘキシル等である。代わりの実施形態では、R2およびR8は異なるものであり、たとえばR2はメチルであり、R8はn−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチルまたはn−オクチルである。
「置換されたフェニル基」とは、フェニルが1、2、3、4または5個のC1〜C20置換または非置換のヒドロカルビル基、たとえばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、フェニル、置換フェニル、ビフェニルまたはこれらの異性体で置換されていることを意味する。有用な実施形態では、フェニル基は、メタまたはパラ位において、たとえば3’および/または5’位において、たとえばC4〜C12アルキル基で置換される。あるいは、フェニル基は、2’位において置換されていてもよいが、たとえば2’位および6’位においては置換されておらず、たとえば本開示の1つ以上の実施形態では、フェニル基の2’位が置換されている場合には、6’位はHである。あるいは、フェニル基は4’位において式(XR’n)−の基で置換されていてもよく、この式で、Xは14、15、16または17族ヘテロ原子であり、またR’は、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C10アルキル基またはC6〜C10アリール基のうちの1種であり、nは0、1、2または3であり、式(XR’n)−の基は、たとえば−NR’2、−SR’、−OR’、−OSiR’3、−SiR’3または−PR’2であり;また、任意的にフェニル上の残りの位置、たとえば2’、3’および/または5’位は置換されている。
別の様相では、アリール基上の4’位はC4基ではなく、あるいはヒドロカルビル基ではない。
別の様相では、R4およびR10は、独立して置換フェニル基、たとえばC1〜C10アルキル基(たとえば、ターシャリブチル、sec−ブチル、n−ブチル、イソプロピル、n−プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、フェニル、メシチルまたはアダマンチル)で置換されたフェニル基、またはアリール基でさらに置換されていてもよいアリール基、および一緒に結合された2個のアリール基であり、この一緒に結合された2個のアリール基は直接にまたはリンカー基によって一緒に連結されることができ、その場合に、このリンカー基はアルキル、ビニル、フェニル、アルキニル、シリル、ゲルミル、アミン、アンモニウム、ホスフィン、ホスホニウム、エーテル、チオエーテル、ボラン、ボレート、アランまたはアルミネート基である。
別の様相では、R4およびR10の少なくとも1つ(または、任意的に両方とも)は、3’および5’位で置換されたフェニル基である。
別の様相では、R4およびR10の少なくとも1つ(または、任意的に両方とも)は、2’位においてアルキルまたはアリール基、たとえばフェニル基で置換されたフェニル基である。
別の様相では、R4およびR10の少なくとも1つ(または、任意的に両方とも)は3’および5’位で置換されたフェニル基であり、またR4およびR10の少なくとも1つ(または、任意的に両方とも)は2’位においてアルキルまたはアリール基、たとえばフェニル基で置換されたフェニル基である。
さらに別の様相では、R4およびR10の少なくとも1つ(または、任意的に両方とも)は、3’および5’位においてC1〜C10アルキル基、たとえばターシャリブチル基で置換されたフェニル基である。
さらに別の様相では、R4およびR10の少なくとも1つは、3’および5’位においてC1〜C10アルキル基、たとえばターシャリブチル基で置換されたフェニル基であり、またR4およびR10の少なくとも1つは2’位においてアルキルまたはアリール基、たとえばフェニル基で置換されたフェニル基である。
さらに別の様相では、R4およびR10の少なくとも1つは、3’および5’位においてC1〜C10アルキル基、たとえばターシャリブチル基で、かつ4’位において(XR’n)−で置換されたフェニル基であり、ここで、Xは、13〜79の原子量を有する14、15、16または17族のヘテロ原子であり、R’は水素原子、ハロゲン原子、C1〜C10アルキル基またC6〜C10アリール基のうちの1種であり、nは0、1、2または3であり、たとえば(XR’n)−はメトキシであり、またR4およびR10の少なくとも1つは2’位においてアルキルまたはアリール基、たとえばフェニル基で置換されたフェニル基である。
さらに別の様相では、R4およびR10の両方は、3’および5’位においてC1〜C10アルキル基、たとえばターシャリブチル基で置換されたフェニル基である。
さらに別の様相では、R4およびR10の少なくとも1つは、3’および5’位においてアリール基、たとえば置換または非置換のフェニル基で置換されたフェニル基である。
さらに別の様相では、R4およびR10の両方は、3’および5’位においてアリール基、たとえば置換または非置換のフェニル基で置換されたフェニル基である。
別の様相では、R4およびR10の少なくとも1つは、3’および5’位においてC1〜C10アルキル基(たとえば、ターシャリブチル、sec−ブチル、n−ブチル、イソプロピル、n−プロピル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、フェニル、メシチルまたはアダマンチル)またはアリール基およびこれらの組み合わせで置換されたアリール基であり、ここで、R4およびR10がアリール基でさらに置換されたフェニル基である場合には、この一緒に結合された2個の基は、直接にまたはリンカー基によって一緒に連結されることができ、その場合に、このリンカー基はアルキル、ビニル、フェニル、アルキニル、シリル、ゲルミル、アミン、アンモニウム、ホスフィン、ホスホニウム、エーテル、チオエーテル、ボラン、ボレート、アランまたはアルミネート基である。
あるいは、R4およびR10の少なくとも1つが3’および5’位で置換されたフェニル基である場合には、このフェニル基はまた、4’位において、たとえば(XR’n)−から選ばれた置換基で置換されていてもよく、ここで、Xは、13〜79の原子量を有する14、15、16または17族のヘテロ原子(たとえば、N、O、S、PまたはSi)であり、R’は水素原子、ハロゲン原子、C1〜C10アルキル基(たとえば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシルまたはこれらの異性体)またC6〜C10アリール基のうちの1種であり、nは0、1、2または3であり、たとえば(XR’n)−は−NR’2、−SR’、−OR’、−OSiR’3、−SiR’3または−PR’2であり、たとえば(XR’n)−は−NR’2、−SR’、−OR’、−OSiR’3または−PR’2であり、たとえば(XR’n)−は−SR’、−OR’または−OSiR’3であり、たとえば(XR’n)−は−NR’2または−PR’2であり、またはたとえば(XR’n)−は−OR’mであり、ここで、たとえばR’は、C1〜C10アルキル基、特にメトキシ、エトキシル、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシまたはターシャリブトキシ基、最も特にメトキシである。
さらに別の様相では、MはHf、Tiおよび/またはZr、特にHfおよび/またはZr、特にZrである。
基R1、R3、R5、R6、R7、R9、R11、R12、R13およびR14の各々に適した基は、独立して水素;またはメチル、エチル、エテニル;およびプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、プロペニル、ブテニルの全ての異性体(シクロヘキシルのような環状物を含む)を含むヒドロカルビル基から;およびハロカルビルおよびパーフルオロプロピル、パーフルオロブチル、パーフルオロエチル、パーフルオロメチルを含むハロカルビルの全ての異性体から;および置換ヒドロカルビル基およびトリメチルシリルプロピル、トリメチルシリルメチル、トリメチルシリルエチルを含む置換ヒドロカルビル基の全ての異性体から;およびフェニルおよびメチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、テトラメチルフェニル、ペンタメチルフェニル、ジエチルフェニル、トリエチルフェニル、プロピルフェニル、ジプロピルフェニル、トリプロピルフェニル、ジメチルエチルフェニル、ジメチルプロピルフェニル、ジメチルブチルフェニル、ジプロピルメチルフェニル等を含むヒドロカルビル置換フェニルの全ての異性体から;およびハロフェニル、ジハロフェニル、トリハロフェニル、テトラハロフェニルおよびペンタハロフェニルを含むハロ置換フェニル(ここで、ハロは独立してフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードである。)の全ての異性体から;およびハロメチルフェニル、ジハロメチルフェニル、(トリフルオロメチル)フェニル、ビス(トリフルオロメチル)フェニルを含むハロ置換ヒドロカルビルで置換されたフェニル(ここで、ハロは独立してフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードである。)から;およびベンジルの全ての異性体およびメチルベンジルおよびジメチルベンジルを含むヒドロカルビル置換ベンジルの全ての異性体から選ばれる。
本開示の他の実施形態では、各Xは、独立して、1〜20個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、ヒドリド、アミド、アルコキシド、スルフィド、ホスフィド、ハライド、ジエン、アミン、ホスフィン、エーテルおよびこれらの組み合わせから成る群から選ばれる(2個のXは、縮合環または環系の一部を形成してもよい。)。
Xに適した例としては、クロリド、ブロミド、フルオリド、イオジド、ヒドリドおよびC1〜C20ヒドロカルビル、たとえばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、フェニル、ベンジルおよびこれらの全ての異性体が挙げられ、または2個のXは一緒にC4〜C10ジエン、たとえばブタジエン、メチルブタジエン、ペンタジエン、メチルペンタジエン、ジメチルペンタジエン、ヘキサジエン、メチルヘキサジエン、ジメチルヘキサジエンから、またはC1〜C10アルキリデン、たとえばメチリデン、エチリデン、プロピリデンから、またはC3〜C10アルキルジイル、たとえばプロパンジイル、ブタンジイル、ペンタンジイルおよびヘキサンジイルから選ばれる。特に、Xはクロリドまたはメチルである。
任意の実施形態では、Tは、R’2C、R’2SiR’2Ge、R’2CCR’2、R’2CCR’2CR’2、R’C=CR’、R’C=CR’CR’2、R’2CSiR’2、R’2SiSiR’2、R’2CSiR’2CR’2、R’2SiCR’2SiR’2、R’C=CR’SiR’2、R’2CGeR’2、R’2GeGeR’2、R’2CGeR’2CR’2、R’2GeCR’2GeR’2、R’2SiGeR’2、R’C=CR’GeR’2、R’B、R’2C−BR’、R’2C−BR’−CR’2、R’N、R’2C−NR’、R’2C−NR’−CR’2、R’P、R’2C−PR’およびR’2C−PR’−CR’2から選ばれた架橋基であり、ここでR’は、独立して、水素、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビル、シリルカルビルまたはゲルミルカルビルであり、また、同じ原子または隣接する原子上の2個以上のR’は、一緒に連結して、置換または非置換の、飽和の、部分的に不飽和の、または芳香族の、環状または多環状の置換基であってもよい。
架橋基Tに適した例としては、ジヒドロカルビルシリレン、たとえばジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジプロピルシリレン、ジブチルシリレン、ジペンチルシリレン、ジヘキシルシリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジシクロヘキシルシリレン、メチルシクロヘキシルシリレン、ジベンジルシリレン、テトラメチルジシリレン、シクロトリメチレンシリレン、シクロテトラメチレンシリレン、シクロペンタメチレンシリレン、ジビニルシリレンおよびテトラメチルジシロキシレン;ジヒドロカルビルゲルミレン、たとえばジメチルゲルミレン、ジエチルゲルミレン、ジプロピルゲルミレン、ジブチルゲルミレン、メチルフェニルゲルミレン、ジフェニルゲルミレン、ジシクロヘキシルゲルミレン、メチルシクロヘキシルゲルミレン、シクロトリメチレンゲルミレン、シクロテトラメチレンゲルミレンおよびシクロペンタメチレンゲルミレン;カルビレンおよびカルブジイル、たとえばメチレン、ジメチルメチレン、ジエチルメチレン、ジブチルメチレン、ジプロピルメチレン、ジフェニルメチレン、ジトリルメチレン、ジ(ブチルフェニル)メチレン、ジ(トリメチルシリルフェニル)メチレン、ジベンジルメチレン、シクロテトラメチレンメチレン、シクロペンタメチレンメチレン、エチレン、メチルエチレン、ジメチルエチレン、トリメチルエチレン、テトラメチルエチレン、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、プロパンジイル、メチルプロパンジイル、ジメチルプロパンジイル、トリメチルプロパンジイル、テトラメチルプロパンジイル、ペンタメチルプロパンジイル、ヘキサメチルプロパンジイル、ビニレンおよびエテン−1,1−ジイル;ボランジイル、たとえばメチルボランジイル、エチルボランジイル、プロピルボランジイル、ブチルボランジイル、ペンチルボランジイル、ヘキシルボランジイル、シクロヘキシルボランジイルおよびフェニルボランジイル;およびこれらの組み合わせ、ならびにジメチルシリルメチレン、ジフェニルシリルメチレン、ジメチルシリルエチレン、メチルフェニルシリルメチレンが挙げられる。
特に、Tは、CH2、CH2CH2、C(CH3)2、SiMe2、SiPh2、SiMePh、Si(CH2)3、Si(CH2)4、Si(Me3SiPh)2またはSi(CH2)5であってもよい。別の実施形態では、Tは式Ra2Jによって表され、この式で、JはC、SiまたはGeであり、各Raは独立して、水素、ハロゲン、C1〜C20ヒドロカルビルまたはC1〜C20置換ヒドロカルビルであり、また2個のRaは環状構造、たとえば芳香族の、部分的に飽和の、または飽和の、環状または縮合環系を形成することができる。
本開示の1つ以上の実施形態では、本明細書に記載された任意の式において、Tは式(R*2G)gによって表され、この式で、各GはC、SiまたはGeであり、gは1または2であり、各R*は、独立して水素、ハロゲン、C1〜C20ヒドロカルビルまたはC1〜C20置換ヒドロカルビルであり、また2個以上のR*は環状構造、たとえば芳香族の、部分的に飽和の、または飽和の、環状または縮合環系を形成することができる。
本開示のいくつかの様相では、メタロセン触媒のラセミおよびメソ異性体形態の混合物のラセミ/メソ比は、50:1以上、または40:1以上、または30:1以上、または20:1以上、または15:1以上、または10:1以上、または7:1以上、または5:1以上である。
本開示の1つの実施形態では、メタロセン触媒は、形成された、もしあればラセミおよびメソ異性体の全量に基いて、55モル%超のラセミ異性体を、または60%超のラセミ異性体を、または65%超のラセミ異性体を、または70%超のラセミ異性体を、または75%超のラセミ異性体を、または80%超のラセミ異性体を、または85%超のラセミ異性体を、または90%超のラセミ異性体を、または92%超のラセミ異性体を、または95%超のラセミ異性体を、または98%超のラセミ異性体を含んでいる。本開示の特別の実施形態では、メタロセン、特に架橋ビス(インデニル)メタロセン化合物は、ラセミ異性体から本質的に成る。
ラセミおよびメソ異性体の量はプロトンNMRによって決定される。1H NMRデータは、重水素化塩化メチレンまたは重水素化ベンゼンを備えた400MHz Bruker分光計を使用して、5mmプローブを用いて23℃で収集される。データは、最大パルス幅45°、パルス間8秒、平均16トランジェントのシグナルを使用して記録される。スペクトルは、重水素化塩化メチレン中のプロトン化塩化メチレンに正規化され、それは5.32ppmにピークを示すと見込まれている。
本明細書に記載されたプロセスのいずれかにおける1つ以上の実施形態では、1つの触媒化合物が使用され、たとえば触媒化合物は異なるものではない。この開示の目的のためには、1つのメタロセン触媒化合物は別のものと、それが少なくとも1つの原子だけ異なる場合には異なると考えられる。たとえば、「ビスインデニルジルコニウムジクロリド」は、「(インデニル)(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド」とは異なり、「(インデニル)(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド」は「(インデニル)(2−メチルインデニル)ハフニウムジクロリド」とは異なる。異性体によってのみ異なる触媒化合物は、本開示の目的のためには同じものと考えられ、たとえばラセミジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニル)ハフニウムジメチル」はメソジメチルシリルビス(2−メチル−4−フェニル)ハフニウムジメチルと同じものであると考えられる。
いくつかの実施形態では、2種以上の異なる触媒化合物が本発明で使用される触媒系の中に存在する。いくつかの実施形態では、2種以上の異なる触媒化合物が、本明細書に記載されたプロセスが行われる反応ゾーンの中に存在する。2種の遷移金属化合物に基いた触媒が混合触媒系として1基のリアクターの中で使用される場合、これらの2種の遷移金属化合物はこれらの2種が相溶性であるように選ばれるべきである。当業者に知られた1Hまたは13C NMRによるような簡単なスクリーニング方法が、どの遷移金属化合物が相溶性であるかを決めるために使用されることができる。いくつかの実施形態では、同じ活性化剤が複数の遷移金属化合物に使用される。しかし、2種の異なる活性化剤、たとえば非配位性アニオン活性化剤およびアルモキサンが、組み合わされて使用されることもできる。1種以上の遷移金属化合物が、ヒドリド、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルではないX1またはX2配位子を含有している場合には、典型的にはアルモキサンが非配位性アニオン活性化剤の添加の前に遷移金属化合物と接触させられる。
複数の遷移金属化合物(前触媒)は任意の比率で使用されてもよい。たとえば、遷移金属化合物(A)と遷移金属化合物(B)とのモル比は、(A:B)が1:1000〜1000:1の、あるいは1:100〜500:1の、あるいは1:10〜200:1の、あるいは1:1〜100:1の、あるいは1:1〜75:1の、あるいは5:1〜50:1の範囲内に入る。選ばれる特定の比率は、選ばれた具体的な前触媒、活性化の方法および所望の最終製品に依存することになる。特定の実施形態では、2種の前触媒を使用して両方が同じ活性化剤で活性化される場合には、有用なモルパーセントは、前触媒の分子量に基いて、10〜99.9%のAから0.1〜90%のBまで、あるいは25〜99%のAから0.5〜50%のBまで、あるいは50〜99%のAから1〜25%のBまで、あるいは75〜99%のAから1〜10%のBまでである。
1つ以上の実施形態では、Tはジアルキルシリルであり、R2はメチルであり、R8はブチルであり、またR5およびR6は、連結されて5または6または7個の原子を含有する非芳香族環を形成する。
1つ以上の実施形態では、Mはジルコニウムであり、Tはジアルキルシリルであり、R2はメチルであり、またR5およびR6は、連結されて5または6または7個の原子を含有する環を形成する。
1つ以上の実施形態では、Tはジアルキルシリルであり、R2はメチルであり、R8は2〜14個の炭素を含有する非分枝状のアルキル基であり、またR5およびR6は、連結されて5または6または7個の原子を含有する環を形成する。
1つ以上の実施形態では、Mはジルコニウムであり、Tはジアルキルシリルであり、R2はメチルであり、R8は2〜14個の炭素を含有する非分枝状のアルキル基であり、またR5およびR6は、連結されて5または6または7個の原子を含有する環を形成する。
本発明のいくつかの有用な触媒化合物の例としては、以下のものが挙げられる:Me2Si(4-oPh2-2-nC6-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nBu-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC5-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC7-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC8-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC9-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC10-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC6-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nBu-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC5-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC7-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC8-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC9-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC10-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC6-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nBu-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC5-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC7-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Ph2Si(4-oPh2-2-nC8-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC9-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC10-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC6-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nBu-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC5-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC7-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC8-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC9-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC10-Ind)(2-Me-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC6-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nBu-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC5-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC7-Ind)(2-Et -4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC8-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC9-Ind)(2-Et -4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC10-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC6-Ind)(2-Et -4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nBu-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC5-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC7-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC8-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC9-Ind)(2-Et -4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC10-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC6-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nBu-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC5-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC7-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC8-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC9-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC10-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC6-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nBu-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC5-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC7-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC8-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC9-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC10-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC6-Ind)(2-nPr-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nBu-Ind)(2-nPr-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC5-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC7-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC8-Ind)(2-Et -4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC9-Ind)(2-Et -4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC10-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC6-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nBu-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC5-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC7-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC8-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC9-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC10-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC6-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nBu-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC5-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC7-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC8-Ind)(2-Et-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC9-Ind)(2-n-propyl-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC10-Ind)(2-nC3-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC6-Ind)(2-nC3-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nBu-Ind)(2-nPr-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC5-Ind)(2-nPr-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC7-Ind)(2-n-propyl-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC8-Ind)(2-n-propyl-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC9-Ind)(2-nC3-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC10-Ind)(2-n-propyl-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC6-Ind)2ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC5-Ind)2ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nBu-Ind)2ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC7-Ind)2ZrCl2; Me2Si2(4-oPh2-2-nC8-Ind)2ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC9-Ind)2ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC10-Ind)2ZrCl2; Me2Si(2-nBu-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)2ZrCl2; Me2Si(2-nC5-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)2ZrCl2; Me2Si2(2-n-hexyl-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)2ZrCl2; Me2Si(2-nC7-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)2ZrCl2; Me2Si(2-nC8-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)2ZrCl2; Me2Si(2-nC9-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)2ZrCl2; Me2Si(2-nC10-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)2ZrCl2; Me2Si(2-nBu-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)2ZrCl2; Me2Si(2-nC5-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)2ZrCl2; Me2Si(2-n-hexyl-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)2ZrCl2; Me2Si(2-nC7-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)2ZrCl2; Me2Si(2-nC8-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)2ZrCl2; Me2Si(2-nC9-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)2ZrCl2; Me2Si(2-nC10-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)2ZrCl2; Me2Si(2-Me-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)(2-nBu-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(2-Me-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)(2-nC5-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(2-Me-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)(2-n-hexyl-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(2-Me-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)(2-nC7-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(2-Me-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)(2-nC8-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(2-Me-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)(2-nC9-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(2-Me-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)(2-nC10-4-(3',5'-tBu2-4'-OMe-Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(2-Me-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)(2-nBu-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(2-Me-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)(2-nC5-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(2-Me-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)(2-n-hexyl-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(2-Me-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)(2-nC7-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(2-Me-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)(2-nC8-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(2-Me-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)(2-nC9-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(2-Me-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)(2-nC10-4-(3',5'-tBu2Ph)-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-Me-Ind)(4-oPh2-2-nBu-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-Me-Ind)(4-oPh2-2-nC5-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-Me-Ind)(4-oPh2-2-nC6-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-Me-Ind)(4-oPh2-2-nC7-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-Me-Ind)(4-oPh2-2-nC8-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-Me-Ind)(4-oPh2-2-nC9-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-Me-Ind)(4-oPh2-2-nC10-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-Et-Ind)(4-oPh2-2-nBu-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-Et-Ind)(4-oPh2-2-nC5-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-Et-Ind)(4-oPh2-2-nC6-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-Et-Ind)(4-oPh2-2-nC7-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-Et-Ind)(4-oPh2-2-nC8-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-Et-Ind)(4-oPh2-2-nC9-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-Et-Ind)(4-oPh2-2-nC10-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-n-propyl-Ind)(4-oPh2-2-nBu-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-n-propyl-Ind)(4-oPh2-2-nC5-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-n-propyl-Ind)(4-oPh2-2-nC6-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-n-propyl-Ind)(4-oPh2-2-nC7-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-n-propyl-Ind)(4-oPh2-2-nC8-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nPr-Ind)(4-oPh2-2-nC9-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nPr-Ind)(4-oPh2-2-nC10-Ind)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC6-Ind)2ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC5-Ind)2ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nBu-Ind)2ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC7-Ind)2ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC8-Ind)2ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC9-Ind)2ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC10-Ind)2ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nBu-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-Me-THI)ZrCl2; dimethylsilyl (4-o-biphenyl-2-n-butyl indenyl) (4-(3’,5’-di-tert-butyl-4’-methoxyphenyl)-2-methyl-1,5,6,7-tetrahydro- s-indacenyl) zirconium dimethyl; Me2Si(4-oPh2-2-nC5-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC6-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC7-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC8-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC9-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC10-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nBu-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC5-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC6-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC7-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC8-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC9-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nBu-Ind)(4-(3’,5’-tBu2)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC5-Ind)(4-(3’,5’-tBu2)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC6-Ind)(4-(3’,5’-tBu2)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC7-Ind)(4-(3’,5’-tBu2)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC8 -Ind)(4-(3’,5’-tBu2)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC9-Ind)(4-(3’,5’-tBu2)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC10-Ind)(4-(3’,5’-tBu2)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nBu-Ind)(4-(3’,5’-tBu2)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC5-Ind)(4-(3’,5’-tBu2)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC6-Ind)(4-(3’,5’-tBu2)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC7-Ind)(4-(3’,5’-tBu2)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC8-Ind)(4-(3’,5’-tBu2)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC9-Ind)(4-(3’,5’-tBu2)-2-Me-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nBu-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-Et-THI)ZrCl2
; Me2Si(4-oPh2-2-nC5-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-Et-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC6-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-Et-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC7-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-Et-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC8-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-Et-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC9-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-Et-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nBu-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-n-propyl-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC5-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-n-propyl-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC6-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-n-propyl-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC7-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2- n-propyl-THI) ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC8-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-n-propyl-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC9-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-n-propyl-THI) ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-Me-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2- nBu-THI) ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-Me-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2- nC5-THI) ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-Me-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-n-hexyl-THI) ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-Me-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-nC7-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-Me-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-nC8-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-Me-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2- nC9-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-Me-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-nC10-THI) ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nBu-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-nBu-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nC5-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-nC5-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-n-hexyl-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-n-hexyl-THI)ZrCl2; Me2Si(4-oPh2-2-nBu-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-nC7-THI)ZrCl2;およびMe2Si(4-oPh2-2-n-hexyl-Ind)(4-(3’,5’-tBu2-4’-OMePh)-2-nC8-THI)ZrCl2。以上の触媒化合物において、oPh2はo−ビフェニルであり、nC6はn−ヘキシルであり、t-Bu2およびtBu2はジターシャリブチルであり、nBuはn−ブチルであり、OMeはメトキシであり、Indはインデニルであり、Phはフェニルであり、nC3およびnPrはn−プロピルであり、oPh2はオルトビフェニルであり、nC5はn−ペンチルであり、nC7はn−ヘプチルであり、nC8はn−オクチルであり、nC9はn−ノニルであり、nC10はn−デシルであり、Meはメチルであり、Etはエチルであり、THIは1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インデセニルであり、またOMe-PhおよびOMePhはメトキシフェニルである。上に列挙されたZr化合物のハフニウム同族体もまた、本発明での触媒化合物として有用である。
活性化剤
1つ以上の実施形態では、本明細書に記載された重合プロセスでは、アルモキサンは、ほとんどまたは全く使用されない。1つ以上の実施形態では、アルモキサンは零モル%で存在し;あるいは、アルモキサンは、500:1未満の、たとえば300:1未満の、たとえば100:1未満の、たとえば1:1未満のアルミニウムと触媒化合物遷移金属とのモル比で存在する。
用語「非配位性アニオン」(NCA)とは、カチオンに配位しないか、あるいはカチオンにわずかに弱く配位して、それによって中性のルイス塩基によって置き換えられるのに十分なほど不安定なままでいるアニオンを意味する。「互換性の」非配位性アニオンは、最初に形成された錯体が分解するときに、中性にまで劣化しないものである。さらに、アニオンは、カチオンがアニオンから中性の遷移金属化合物および中性の副生成物を形成させるようには、アニオンの置換基または断片をカチオンに転移しない。本開示に従って有用な非配位性アニオンは、互換性であり、そのイオン電荷を+1で平衡させるという意味において遷移金属カチオンを安定化させ、それにもかかわらず、重合中の置き換えを可能にするのに十分な変わり易さを保持するものである。
中性またはイオン性の、イオン化するまたは化学量論の活性化剤、たとえばトリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリスパーフルオロフェニルホウ素メタロイド前駆体またはトリスパーフルオロナフチルホウ素メタロイド前駆体、ポリハロゲン化ヘテロボランアニオン(WO98/43983)、ホウ酸(米国特許第5,942,459号)またはこれらの組み合わせを使用することは本開示の範囲内である。また、中性もしくはイオン性の活性化剤を単独でまたはアルモキサンもしくは変性アルモキサン活性化剤と組み合わせて使用することも本開示の範囲内である。
中性の化学量論の活性化剤の例としては、3置換されたホウ素、テルル、アルミニウム、ガリウムおよびインジウムまたはこれらの混合物が挙げられる。3置換基は各々独立して、アルキル、アルケニル、ハロゲン、置換アルキル、アリール、アリールハライド、アルコキシまたハライドから選ばれる。たとえば、3個の基は、独立して、ハロゲン、単また多環状(ハロ置換されたものを含む。)アリール、アルキルおよびアルケニル化合物、またこれらの混合物、たとえば1〜20個の炭素原子を有するアルケニル基、1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、1〜20個の炭素原子を有するアルコキシ基および3〜20個の炭素原子を有するアリール基(置換されたアリール基を含む。)から選ばれる。1つ以上の実施形態では、3個の基は、1〜4個の炭素基、フェニル、ナフチルまたはこれらの混合物を有するアルキルである。1つ以上の実施形態では、3個の基はハロゲン化、たとえばフッ素化アリール基である。中性の化学量論の活性化剤の1つの例は、トリスパーフルオロフェニルホウ素またはトリスパーフルオロナフチルホウ素である。
イオン性の化学量論の活性化剤化合物は、活性なプロトン、またはイオン化する化合物の残りのイオンと会合しているが、それに配位していないまたはわずかに緩く配位しているあるカチオンを含有していてもよい。そのような化合物等は、欧州の刊行物、たとえばEP0570982A、EP0520732A、EP0495375A、EP0500944B1、EP0277003A、EP0277004A;および米国の刊行物、たとえば米国特許第5,153,157号、第5,198,401号、第5,066,741号、第5,206,197号、第5,241,025号、第5,384,299号および第5,502,124号、また、たとえば、1994年8月3日に出願された米国特許仮出願第08/285,380号に記載されており、これらの全ては参照によって本明細書に完全に組み込まれる。
この開示のプロセスでの活性化剤として有用な例となる化合物は、カチオンを含んでおり、これはたとえばプロトンを供与することができるブレンステッド酸であり、また互換性の非配位性アニオンを含んでおり、このアニオンは比較的大きく(嵩高く)、2つの化合物が組み合わせられたときに形成される活性な触媒種(4族カチオン)を安定化させることができ、かつ当該アニオンは、オレフィン、ジオレフィンおよびアセチレン性不飽和物質または他の中性ルイス塩基、たとえばエーテル、アミン等によって置き換えられるのに十分なほど不安定である。2種類の有用な互換性の非配位性アニオンが、たとえばEP0277003A1およびEP0277004A1に開示されており、これらは、1)中央の電荷保有金属またはメタロイドの核に共有結合で配位されそれを遮蔽する複数の親油性基を含んでいるアニオン配位錯体、および2)複数のホウ素原子、たとえばカルボラン、メタラカルボランおよびボランを含んでいるアニオンである。
1つ以上の実施形態では、化学量論の活性化剤はカチオンおよびアニオン成分を含んでおり、例において以下の式(II)によって表され:
Zd +(Ad−) (II)
この式で、Zは(L−H)または還元性ルイス酸であり;Lは中性のルイス塩基であり;Hは水素であり;(L−H)+はブレンステッド酸であり;Ad−は電荷d−を有する非配位性アニオンであり;dは1〜3の整数である。
Zが、カチオン成分が(L−H)d+であるような(L−H)である場合に、カチオン成分としては、嵩高い配位子メタロセン含有遷移金属触媒前駆体からアルキルまたはアリールのような分子部分をプロトン化して、カチオンの遷移金属種をもたらすことができる、プロトン化されたルイス塩基のようなブレンステッド酸が挙げられてもよい。たとえば、活性化するカチオン(L−H)d+はブレンステッド酸であり、遷移金属触媒前駆体にプロトンを供与して、遷移金属カチオンをもたらすことができ、遷移金属カチオンとしては、アンモニウム、オキソニウム、ホスホニウム、シリリウムおよびこれらの混合物、たとえばメチルアミン、アニリン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルアニリン、ジフェニルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、メチルジフェニルアミン、ピリジン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、p−ニトロ−N,N−ジメチルアニリンのアンモニウム;トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィンおよびジフェニルホスフィンからのホスホニウム;エーテル、たとえばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキサンからのオキソニウム;チオエーテル、たとえばジエチルチオエーテルおよびテトラヒドロチオフェンからのスルホニウム;およびこれらの混合物が挙げられる。
Zが還元性ルイス酸である場合、それは、たとえば式:(Ar3C+)によって表され、この式で、Arはアリール、またはヘテロ原子、C1〜C40ヒドロカルビルもしくは置換C1〜C40ヒドロカルで置換されたアリールであり、たとえば還元性ルイス酸は式:(Ph3C+)によって表され、この式で、Phはフェニル、またはヘテロ原子、C1〜C40ヒドロカルビルもしくは置換C1〜C40ヒドロカルで置換されたフェニルである。1つの実施形態では、還元性ルイス酸はトリフェニルカルベニウムである。
アニオン成分Ad−としては、式:[Mk+Qn]d−を有するものが挙げられ、この式で、kは1、2または3であり、nは1、2、3、4、5または6、たとえば3、4、5または6であり、n−k=d であり、Mは元素の周期表の13族から選ばれた元素、たとえばホウ素またはアルミニウムであり、またQは独立してヒドリド、架橋または非架橋のジアルキルアミド、ハライド、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビルおよびハロ置換ヒドロカルビル基であり、当該Qは20個までの炭素原子を有し、但し1以下の出現でQはハライドであり、また2個のQ基は環構造を形成してもよい。たとえば、各Qは1〜20個の炭素原子を有するフッ素化ヒドロカルビル基であり、たとえば各Qはフッ素化アリール基であり、また、最もたとえば各Qはペンタフルオリルアリール基である。適当なAd−の例としてはまた、米国特許第5,447,895号に開示されたジホウ素化合物も挙げられ、これは参照によって本明細書に完全に組み込まれる。
1つ以上の実施形態では、この開示は、ペレット安定性オレフィンコポリマーゴム(「ペレット安定性バイモーダルゴム」)を作る方法に関し、またTPVを作る方法に関し、オレフィンコポリマー「バイモーダルゴム」成分は、オレフィン(たとえばエチレン)と触媒化合物と式(14):
Zd +(Ad−) (14)
によって表されるホウ素含有NCA活性化剤とを接触させることによって作られ、この式で、ZはZは(L−H)または還元性ルイス酸であり;Lは(上でさらに記載されたような)中性のルイス塩基であり;Hは水素であり;(L−H)は(上でさらに記載されたような)ブレンステッド酸であり;Ad−は(上でさらに記載されたような)電荷d−を有するホウ素含有非配位性アニオンであり;dは1、2または3である。
1つ以上の実施形態では、上に記載された式14によって表される任意のNCAにおいて、還元性ルイス酸は式:(Ar3C+)によって表され、この式で、Arは、アリール、またはヘテロ原子、C1〜C40ヒドロカルビルまたは置換C1〜C40ヒドロカルビルで置換されたアリールであり、たとえば、還元性ルイス酸は式:(Ph3C+)によって表され、Phは、フェニル、またはヘテロ原子、C1〜C40ヒドロカルビルまたは置換C1〜C40ヒドロカルビルで置換されたフェニルである。
1つ以上の実施形態では、上に記載された式14によって表される任意のNCAにおいて、Zd+は式:(L−H)d+によって表され、この式で、Lは中性のルイス塩基であり、Hは水素であり、(L−H)はブレンステッド酸であり、またdは1、2または3であり、たとえば、(L−H)d+は、アンモニウム、オキソニウム、ホスホニウム、シリリウムおよびこれらの混合物から選ばれたブレンステッド酸である。
1つ以上の実施形態では、上に記載された式14によって表される任意のNCAにおいて、アニオン成分Ad−は、式:[M*k*+Q*n*]d*−に表され、この式で、k*は1、2または3であり、n*は1、2、3、4、5または6(たとえば、1、2、3または4)であり、n*−k*=d*であり、M*はホウ素であり、またQ*は、独立してヒドリド、架橋または非架橋のジアルキルアミド、ハライド、アルコキシド、アリールオキシド、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ハロカルビル、置換ハロカルビルおよびハロ置換ヒドロカルビル基から選ばれ、当該Q*は20個までの炭素原子を有し、但し1以下の出現でQ*はハライドである。
この開示はまた、式(I):
RnM**(ArNHal)4−n (I)
によって表されるNCA活性化剤をオレフィン(たとえば、エチレン)および触媒化合物と接触させることによって、オレフィンを重合して、ペレット安定性「バイモーダルゴム」を作るのに使用されるRCPを製造する方法に関し、この式で、Rは、1価アニオンの配位子であり;M**は、13族の金属またはメタロイドであり;ArNHalは、ハロゲン化された、窒素含有芳香族環、多環状芳香族環、または2個以上の環(または縮合環系)が互いにまたは一緒に直接連結されている芳香族環集合体であり;またnは0、1、2または3である。典型的には、式Iのアニオンを含んでいるNCAはまた、遷移金属化合物とともに形成されたイオン性触媒錯体と本質的に干渉しない適当なカチオンも含んでいる。たとえば、このカチオンは上に記載されたZd+である。
1つ以上の実施形態では、上に記載された式Iによって表されるアニオンを含んでいるNCAのいずれにおいても、Rは、置換されたまたは非置換の、C1〜C30ヒドロカルビル脂肪族または芳香族基から成る群から選ばれ、ここで、「置換された」とは、炭素原子上の少なくとも1個の水素が、以下のもので置き換えられていることを意味する:ヒドロカルビル、ハライド、ハロカルビル、ヒドロカルビルまたはハロカルビルで置換された有機メタロイド、ジアルキルアミド、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルスルフィド、アリールスルフィド、アルキルホスフィド、アリールホスフィドまたは他のアニオン置換基;フルオリド;嵩高いアルコキシド(ここで、「嵩高い」とは、C4〜C20ヒドロカルビル基を意味する。);−SR1、−NR22およびPR32(ここで、各R1、R2またはR3は、独立して、上で定義された置換または非置換のヒドロカルビルである。);またはC1〜C30ヒドロカルビルで置換された有機メタロイド。
1つ以上の実施形態では、上に記載された式Iによって表されるアニオンを含んでいるNCAのいずれにおいても、NCAはまた、式:(Ar3C+)によって表される還元性ルイス酸を含んでいるカチオンも含んでおり、この式で、Arは、アリール、またはヘテロ原子、C1〜C40ヒドロカルビルまたは置換C1〜C40ヒドロカルビルで置換されたアリールであり、たとえば、式:(Ar3C+)によって表される還元性ルイス酸は、式:(Ph3C+)によって表される還元性ルイス酸であり、Phは、フェニル、またはヘテロ原子、C1〜C40ヒドロカルビルまたは置換C1〜C40ヒドロカルビルで置換されたフェニルである。
1つ以上の実施形態では、上に記載された式Iによって表されるアニオンを含んでいるNCAのいずれにおいても、NCAはまた、式:(L−H)d+によって表されるカチオンも含んでおり、この式で、Lは中性のルイス塩基であり;Hは水素であり;(L−H)はブレンステッド酸であり:またdは1、2または3であり;たとえば、(L−H)d+は、アンモニウム、オキソニウム、ホスホニウム、シリリウムおよびこれらの混合物から選ばれたブレンステッド酸である。
有用な活性化剤のさらなる例としては、たとえば米国特許第7,297,653号および第7,799,879号で開示されたものが挙げられる。
本発明に有用な別の活性化剤は、式(16):
(OX
e+)
d(A
d−)
e (16)
によって表される、カチオン性酸化剤と非配位性で相溶性のアニオンとの塩を含んでおり、この式で、OXe+はe+の電荷を有するカチオン性酸化剤であり;eは1、2または3であり;dは1、2または3であり;またAd−はd−の電荷を有する非配位性アニオンである(上でさらに記載されたとおりである。)。カチオン性酸化剤の例としては、以下のものが挙げられる:フェロセニウム、ヒドロカルビルで置換されたフェロセニウム、Ag+またはPb+2。Ad−の1つの実施形態としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。別の実施形態では、ペレット安定性「バイモーダルゴム」の中に使用されるRCPを合成するための本明細書に記載された触媒化合物は、「嵩高い活性化剤」とともに使用されることができる。本明細書で使用される「嵩高い活性化剤」は、以下の式によって表されるアニオン活性化剤を指し、
この式で、
各R1は、独立してハライド、たとえばフルオリドであり;
各R2は、独立してハライド、C6〜C20の置換芳香族ヒドロカルビル基または式:−O−Si−Raのシロキシ基であり、この式でRaはC1〜C20ヒドロカルビルまたはヒドロカルビルシリル基であり(たとえば、R2はフルオリドまたは過フッ素化フェニル基である。)、
各R3は、ハライド、C6〜C20の置換芳香族ヒドロカルビル基または式:−O−Si−Raのシロキシ基であり、この式でRaはC1〜C20ヒドロカルビルまたはヒドロカルビルシリル基であり(たとえば、R3はフルオリドまたはC6過フッ素化芳香族ヒドロカルビル基である。)、ここで、R2およびR3は、1個以上の飽和または不飽和の、置換または非置換の環を形成することができ(たとえば、R2およびR3は過フッ素化フェニル環を形成する。)、
Lは中性のルイス塩基であり;(L−H)+はブレンステッド酸であり; dは1、2または3であり;
ここで、アニオンは1020g/モル超の分子量を有し;かつ
B原子上の置換基の少なくとも3個は各々、250立方Å超、あるいは300立方Å超、あるいは500立方Å超の分子体積を有する。
「分子体積」は、本明細書では、溶液中の活性化剤分子の空間的立体的な体積の近似として使用される。異なる分子体積の置換基の比較は、より小さい分子体積の置換基が、より大きい分子体積の置換基と比較して「より低度に嵩高い」と見なされることを可能にする。反対に、より大きい分子体積の置換基は、より小さい分子体積の置換基と比較して「より嵩高い」と見なされてもよい。
本発明に適した複数の活性化剤および各々の計量された体積および分子体積は、米国特許第9,266,977号の20欄、35行以下の表に示されている。
特に有用な「嵩高い活性化剤」のリストについてはまた、たとえば米国特許第8,658,556号も見よ。この特許は参照によって本明細書に組み込まれる。
別の実施形態では、NCA活性化剤の1種以上は、たとえば米国特許第6,211,105号に記載された活性化剤から選ばれる。
1つ以上の実施形態では、活性化剤としては、以下のものが挙げられる:N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロナフタレン−2−イル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロフェニル)ボレート、[Me3NH+][B(C6F5)4−]、1−(4−(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ピロリジニウムおよび4−(トリス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)−2,3,5,6−テトラフルオロピリジン。
1つ以上の実施形態では、活性化剤は、トリアリールカルボニウム(たとえば、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス−(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート)を含んでいる。
別の実施形態では、活性化剤は、トリアルキルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジアルキルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリアルキルアンモニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジアルキルアニリニウムテトラキス(2,3,4,6−テトラフルオロフェニル)ボレート、トリアルキルアンモニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、N,N−ジアルキルアニリニウムテトラキス(パーフルオロナフチル)ボレート、トリアルキルアンモニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、N,N−ジアルキルアニリニウムテトラキス(パーフルオロビフェニル)ボレート、トリアルキルアンモニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、N,N−ジアルキルアニリニウムテトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、N,N−ジアルキル−(2,4,6−トリメチルアニリニウム)テトラキス(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、ジ−(イソプロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートの1種以上を含んでいる(ここで、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、sec−ブチルまたはターシャリブチルである。)。
1つ以上の実施形態では、本明細書に記載された複数の活性化剤のいずれも、触媒化合物との組み合わせの前にまたはその後に、たとえば触媒化合物と混合される前に、混合されてもよい。
いくつかの実施形態では、2種のNCA活性化剤が重合に使用されてもよく、また第1のNCA活性化剤と第2のNCA活性化剤とのモル比は、任意の比であることができる。いくつかの実施形態では、第1のNCA活性化剤と第2のNCA活性化剤とのモル比は、0.01:1〜10,000:1、たとえば0.1:1〜1000:1、たとえば1:1〜100:1である。
さらに、典型的な活性化剤と触媒との比、たとえば、全てのNCA活性化剤と触媒との比は、1:1モル比である。代わりの範囲としては、0.1:1〜100:1、あるいは0.5:1〜200:1、あるいは1:1〜500:1、あるいは1:1〜1000:1である。特に有用な範囲は0.5:1〜10:1、たとえば1:1〜5:1である。
任意的な捕捉剤または共活性化剤
これらの活性化剤化合物に加えて、捕捉剤または共活性化剤が使用されてもよい。捕捉剤または共活性化剤として使用されてもよいアルミニウムアルキルまたは有機アルミニウム化合物としては、たとえばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn−ヘキシルアルミニウム、トリn−オクチルアルミニウムおよびジエチル亜鉛が挙げられる。
連鎖移動剤
この開示は、水素または主族金属の有機金属化合物であってもよい連鎖移動剤の存在の下で上記の触媒を使用してオレフィンを重合する方法にさらに関する。
「連鎖移動剤」とは、重合プロセスの間に、配位重合触媒と連鎖移動剤との間でヒドロカルビルおよび/またはポリマー基の交換をすることができる任意の剤である。連鎖移動剤は、任意の望ましい化学化合物、たとえばWO2007/130306に開示されたものであることができる。たとえば、連鎖移動剤は、2、12または13族金属のアルキルまたはアリール化合物から選ばれ、たとえば亜鉛、マグネシウムまたはアルミニウムアルキルまたはアリール;たとえばその場合、アルキルは、C1〜C30アルキル、あるいはC2〜C20アルキル、あるいはC3〜C12アルキルであり、典型的には独立して、メチル、エチル、プロピル基、ブチル、イソブチル、ターシャリブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、フェニル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルおよびドデシルから選ばれ;またジエチル亜鉛が選ばれる。
特に有用な実施形態では、この開示は、活性化剤、本明細書に記載された触媒化合物および連鎖移動剤を含んでいる触媒系に関し、連鎖移動剤は2、12または13族金属のアルキルまたはアリール化合物から選ばれる。
特に有用な実施形態では、連鎖移動剤はジアルキル亜鉛化合物から選ばれ、その場合、アルキルは、独立してメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシルおよびフェニルから選ばれる。
特に有用な実施形態では、連鎖移動剤はトリアルキルアルミニウム化合物から選ばれ、その場合、アルキルは、独立してメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシルおよびフェニルから選ばれる。
有用な連鎖移動剤は典型的には、触媒成分に対して10または20または50または100当量から600または700または800または1,000当量までで存在する。あるいは、連鎖移動剤(「CTA」)は、約1:3000〜10:1の、あるいは約1:2000〜10:1の、あるいは約1:1000〜10:1の、あるいは約1:500〜1:1の、あるいは約1:300〜1:1の、あるいは約1:200〜1:1の、あるいは約1:100〜1:1の、あるいは約1:50〜1:1の、あるいは約1:10〜1:1の触媒錯体とCTAとのモル比で存在する。
有用な連鎖移動剤としては、ジエチル亜鉛、トリ−n−オクチルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチル亜鉛、ジ−n−プロピル亜鉛、ジ−n−ヘキシル亜鉛、ジ−n−ペンチル亜鉛、ジ−n−デシル亜鉛、ジ−n−ドデシル亜鉛、ジ−n−テトラデシル亜鉛、ジ−n−ヘキサデシル亜鉛、ジ−n−オクタデシル亜鉛、ジフェニル亜鉛、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジ−n−オクチルアルミニウムヒドリド、ジブチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウムおよびトリエチルホウ素が挙げられる。
ポリプロピレンランダムコポリマー(RCP)を製造する重合プロセス
本発明のいくつかの実施形態では、本開示は、プロピレンモノマーおよび任意的なコモノマーが、上に記載された、非配位性アニオン活性化剤および少なくとも1種のメタロセン化合物を含んでいる触媒系と接触させられて、それによってRCPが合成される重合プロセスに関する。触媒化合物および活性化剤は、任意の順に一緒にされ、典型的にはモノマーと接触する前に一緒にされる。
本発明に有用なモノマーとしては、置換または非置換のC2〜C40アルファオレフィン、たとえばC2〜C20アルファオレフィン、たとえばC2〜C12アルファオレフィン、たとえばエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセンおよびこれらの異性体が挙げられる。本開示の1つ以上の実施形態では、モノマーは、プロピレン、およびエチレンまたはC4〜C40オレフィン、たとえばC4〜C20オレフィンまたはたとえばC6〜C12オレフィンの1種以上を含んでいる任意的なコモノマーを含んでいる。C4〜C40オレフィンモノマーは、直鎖状、分枝状または環状であってもよい。C4〜C40環状オレフィンは、ひずみのかかったまたはひずみのかかっていない、単環状または多環状であってもよく、任意的にヘテロ原子および/または1種以上の官能基を含んでいてもよい。別の実施形態では、モノマーは、エチレン、および1種以上のC3〜C40オレフィン、たとえばC4〜C20オレフィンまたはたとえばC6〜C12オレフィンを含んでいる任意的なコモノマーを含んでいる。C3〜C40オレフィンモノマーは、直鎖状、分枝状または環状であってもよい。C3〜C40環状オレフィンは、ひずみのかかったまたはひずみのかかっていない、単環状または多環状であってもよく、任意的にヘテロ原子および/または1種以上の官能基を含んでいてもよい。
C2〜C40オレフィンモノマーおよび任意的なコモノマーの例としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、ジシクロペンタジエン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロドデセン、7−オキサノルボルネン、7−オキサノルボルナジエン、これらの置換誘導体およびこれらの異性体、たとえばヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、シクロオクテン、1,5−シクロオクタジエン、1−ヒドロキシ−4−シクロオクテン、1−アセトキシ−4−シクロオクテン、5−メチルシクロペンテン、シクロペンテン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、ノルボルナジエン、およびこれらの各々の同族体および誘導体、たとえばノルボルネン、ノルボルナジエンおよびジシクロペンタジエンが挙げられる。
この開示の重合プロセスは、当該技術分野で知られた任意の方法で実施されることができる。当該技術分野で知られた任意の均一相、バルク相、溶液相(超臨界を含む。)重合プロセスが使用されることができる。そのようなプロセスはバッチ、半バッチまたは連続様式で実施されることができる。均一溶液重合プロセスおよびスラリープロセスは有用である。(均一重合プロセスは、製品の少なくとも90重量%が反応媒体中に可溶であるプロセスであると定義される。)バルク均一プロセスは特に有用である。(バルクプロセスは典型的には、リアクターへの全ての供給原料中のモノマー濃度が70体積%以上であるプロセスである。)あるいは、バルクプロセスでは、反応媒体中に溶媒または希釈剤が存在しないか、または添加されない(触媒系または他の添加物のキャリアーとして使用される少量、またはモノマーに典型的に見い出される量、たとえばプロピレン中のプロパンを除いて)。
重合に適した希釈剤/溶媒としては、非配位性の、不活性の液体が挙げられる。例としては、直鎖および分枝鎖の炭化水素、たとえばイソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカンおよびこれらの混合物;環式および脂環式の炭化水素、cシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタンおよびこれらの混合物、たとえば市販で見出されるもの(Isopar(商標));パーハロゲン化炭化水素、たとえば過フッ素化C4−10アルカン、クロロベンゼン、および芳香族およびアルキル置換芳香族化合物、たとえばベンゼン、トルエン、メシチレンおよびキシレンが挙げられる。適当な溶媒としてはまた、モノマーまたはコモノマーとして働いてもよい液状のオレフィン、たとえばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセンおよびこれらの混合物が挙げられる。1つ以上の実施形態では、脂肪族炭化水素溶媒が溶媒として使用され、たとえばイソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカンおよびこれらの混合物;環式および脂環式の炭化水素、たとえばシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタンおよびこれらの混合物である。別の実施形態では、溶媒は芳香族ではなく、たとえば芳香族は、溶媒中に溶媒の重量に基いて1重量%未満で、たとえば0.5重量%未満で存在する。
1つ以上の実施形態では、重合用のモノマーおよびコモノマーの供給原料濃度は、供給原料流れの全体積に基いて、溶媒の60体積%以下、たとえば40体積%以下、たとえば20体積%以下である。1つ以上の実施形態では、重合はバルクプロセスで実施される。
いくつかの実施形態では、重合は、所望のポリマーを得るのに適した任意の温度および/または圧力で実施されることができる。典型的な温度および/または圧力としては、約80℃〜約300℃、たとえば約85℃〜約200℃、たとえば約90℃〜約150℃、たとえば約90℃〜約120℃の範囲の温度;および0.35MPa〜約10MPa、たとえば0.45MPa〜約6MPaまたはたとえば0.5MPa〜約4MPaの範囲の圧力が挙げられる。
典型的な重合では、エチレンは、重合リアクターの中に0〜1000psig(0〜6900kPa)、5〜300psig(34〜2068kPa)、たとえば10〜100psig(69〜690kPa)の分圧で存在する。
典型的な重合では、反応の実施時間は、300分間までの、たとえば約5〜250分間の、またはたとえば約10〜120分間の範囲内である。
本開示の別の実施形態では、重合温度は、たとえば約70℃〜約130℃、たとえば約80℃〜約125℃、たとえば約90℃〜約120℃、たとえば約95℃〜約110℃であり、また重合プロセスは均一プロセス、たとえば溶液プロセスである。
いくつかの実施形態では、水素は、重合リアクターの中に0.001〜50psig(0.007〜345kPa)、たとえば0.01〜25psig(0.07〜172kPa)または0.1〜10psig(0.7〜70kPa)の分圧で存在する。いくつかの実施形態では、水素は、重合リアクターに加えられない、すなわち水素は他の源に由来して、たとえば水素生成触媒に由来して存在してもよいが、水素はリアクターに添加されない。
本開示の実施形態では、触媒の活性は、少なくとも50g/ミリモル/時、たとえば500g/ミリモル/時以上、たとえば5000g/ミリモル/時以上、たとえば50、000g/ミリモル/時以上、たとえば100,000g/ミリモル/時以上、たとえば150,000g/ミリモル/時以上、たとえば200、000g/ミリモル/時以上、たとえば250,000g/ミリモル/時以上、たとえば300,000g/ミリモル/時以上、たとえば350,000g/ミリモル/時以上である。代わりの実施形態では、オレフィンモノマーの転化率は、ポリマー収量および反応ゾーン入るモノマーの重量に基いて、少なくとも10%、たとえば20%以上、たとえば30%以上、たとえば50%以上、たとえば80%以上である。
1つ以上の実施形態では、エチレンポリマーを製造するプロセスで、捕捉剤はほとんどまたは全く使用されない。たとえば、捕捉剤(たとえば、トリアルキルアルミニウム)は零モル%で存在し、あるいは捕捉剤は、100:1未満の、たとえば50:1未満の、たとえば15:1未満の、たとえば10:1未満の捕捉剤金属と遷移金属とのモル比で存在する。
1つ以上の実施形態では、重合は、1)80℃〜130℃(たとえば、90℃〜120℃、たとえば95℃〜120℃)の温度で実施され;2)大気圧〜10MPa(たとえば、0.35〜10MPa、たとえば0.45〜6MPa、たとえば0.5〜4MPa)の圧力で実施され;3)脂肪族の炭化水素溶媒(たとえば、イソブタン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカンおよびこれらの混合物;または環式および脂環式の炭化水素溶媒、たとえばシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘプタンおよび、これらの混合物)中で実施され;たとえば、その場合に、芳香族が、溶媒の重量に基いて、たとえば1重量%未満で、たとえば0.5重量%未満で、たとえば0重量%で溶媒の中に存在し;4)エチレンが、重合リアクターの中に0〜1000psig(0〜6900kPa)、たとえば5〜300psig(34〜2068kPa)、より多くたとえば10〜100psig(69〜690kPa)の分圧で存在し;5)重合が、たとえば1つの反応ゾーンで生じ;6)触媒化合物の生産性が、少なくとも80,000g/ミリモル/時(たとえば少なくとも150,000g/ミリモル/時、たとえば少なくとも200,000g/ミリモル/時、たとえば少なくとも250,000g/ミリモル/時、たとえば少なくとも300,000g/ミリモル/時)であり;7)任意的に、捕捉剤(たとえば、トリアルキルアルミニウム化合物)は存在せず(たとえば、零モル%で存在し、あるいは、捕捉剤は100:1未満の、たとえば50:1未満の、たとえば15:1未満の、たとえば10:1未満の捕捉剤金属と遷移金属とのモル比で存在し);また、8)任意的に、水素が重合リアクターの中に0.001〜50psig(0.007〜345kPa)(たとえば0.01〜25psig(0.07〜172kPa)、またはたとえば0.1〜10psig(0.7〜70kPa))の分圧で存在する。
1つの実施形態では、重合に使用される触媒系は、わずかに1種の触媒化合物を含んでいる。「反応ゾーン」は、「重合ゾーン」とも呼ばれ、重合が生じる容器であり、たとえばバッチリアクターである。複数のリアクターが直列か、あるいは並列の配置で使用される場合、各リアクターは個別の重合ゾーンと見なされる。バッチリアクターおよび連続リアクターの両方における多段重合の場合、各重合段階は個別の重合ゾーンと見なされる。1つの実施形態では、重合は1つの反応ゾーンで生じる。特段の明示がなければ、室温は23℃である。多段重合技術は、当業者に知られた少なくとも2基のリアクター、たとえば直列の2基以上の連続流の撹拌槽型リアクターを使用する。多段重合方法は、(a)成分の量、(b)成分の組成および(c)成分の分子量に対する広い制御を提供する。多段リアクター装置の例は、米国特許第6,319,998号、第4,016,342号および第4,306,041号に開示されており、これらの各々はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
他の添加物、たとえば1種以上の捕捉剤、促進剤、変性剤、連鎖移動剤(たとえば、ジエチル亜鉛または水素)、還元剤、酸化剤、水素、アルミニウムアルキルまたはシランも、所望により、重合の中で使用されてもよい。
溶液相重合
本明細書で使用される語句「溶液相重合」とは、製造されたポリマーが重合媒体中に可溶である重合系を指す。一般に、これは、連続式リアクターの中での重合に関わり、その中で生成されたポリマーおよび出発モノマーおよび供給された触媒材料が撹拌されて濃度勾配が低減されまたは回避され、かつその中でモノマーが希釈剤または溶媒としての役割を果たし、またはその中で炭化水素が希釈剤または溶媒として使用される。適当なプロセスは典型的には、約80℃〜約250℃の、たとえば約80℃〜約200℃の、たとえば約80℃〜約150℃の、またはたとえば約90℃〜約140℃の、またはたとえば約95℃〜約120℃の温度で、および約0.1MPa以上の、たとえば2MPa以上の圧力で操作される。圧力の上限は、決定的に拘束的なものではないが、典型的には約200MPa以下、たとえば120MPa以下である。リアクターの温度調節は一般に、重合熱を、リアクタージャケットまたは冷却コイルによるリアクターの内容物の冷却、自己冷凍、予冷却された供給原料、液状媒体(希釈剤、モノマーまたは溶媒)の蒸発または全ての3つの組み合わせによるリアクターの冷却と、平衡させることによって得られることができる。予冷却された供給原料を用いた断熱リアクターが使用されることもできる。溶媒の純度、種類および量は、特定の種類の重合に対して最大の触媒生産性を求めて最適化されることができる。溶媒はまた、触媒担体として導入されることもできる。溶媒は、圧力および温度に応じて気相としてまたは液相として導入されることができる。有利なのは、溶媒が液相に保たれ、液体として導入されることができることである。溶媒は、重合リアクターへの供給原料の中に導入されることができる。
1つの実施形態では、重合プロセスは、連続式の非バッチプロセスとして記述されることができ、それは、その定常状態操作において、単位時間当たりに作られたポリマーの排除量が、単位時間当たり反応槽から抜き出されるポリマーの量と実質的に等しいことによって実証される。「実質的に等しい」とは、これらの量、すなわち、単位時間当たり作られたポリマーの量および単位時間当たり抜き出されたポリマーの量が、0.9:1、または0.95:1、または0.97:1、または1:1の一方と他方との比であることが意図されている。そのようなリアクターでは、実質的に均一のモノマー分布が存在することになる。
たとえば、連続プロセスでは、リアクター中の触媒およびポリマーの平均滞留時間は、一般に約5分間〜約8時間、またたとえば約10分間〜約6時間、またはたとえば10分間〜1時間であることができる。いくつかの実施形態では、コモノマー(たとえば、エチレン)は、主モノマー(たとえば、プロピレン)と任意的な存在するジエンモノマーとの合計蒸気圧を超える圧力差を維持する量で反応槽に加えられることができる。
別の実施形態では、重合プロセスは、約0kPa〜約6900kPa、たとえば約34kPa〜約2068kPa、またはたとえば約69〜690kPaのエチレン圧力で実施されることができる。重合は、一般に約25℃〜約250℃、たとえば約75℃〜約200℃、またたとえば約95℃〜約200℃の温度で実施されることができる。
典型的な溶液相プロセスへの少量の炭化水素の添加は、ポリマー溶液粘度を低下させ、またはポリマー溶質の量を増加させる。従来の溶液プロセスでの大量の溶媒の添加は、ポリマーの別の相(それは反応条件、たとえば温度または圧力に応じて、固体または液体であることができる。)への分離を引き起こすことがある。
本明細書で議論され記載されたプロセスは、連続撹拌槽リアクター、バッチリアクターまたは栓流リアクターの中で実施されることができる。たとえ逐次的な重合が行われているとしても、たとえば2つの反応の時間および空間の分離が存在する限り、1基のリアクターが使用されることができる。同様に、直列または並列で操作される2基以上のリアクターも使用されることができる。これらのリアクターは内部冷却を有し、または有しないことができ、またモノマー供給原料が冷却されても、されなくてもよい。米国特許第5,001,205号の一般的な開示を、たとえば一般的なプロセス条件のために見よ。また、たとえばWO96/33227およびWO97/22639も見よ。
ランダムプロピレンコポリマー(RCP)重合製品
1つの実施形態では、本明細書に記載されたプロセスは、プロピレンホモポリマーまたはプロピレンコポリマー、たとえばプロピレン−エチレンおよび/またはプロピレン−アルファオレフィン(たとえば、C3〜C20)コポリマー(たとえば、プロピレン−ヘキセンコポリマーまたはプロピレン−オクテンコポリマー)を製造し、これらは、ペレット安定性の「バイモーダルゴム」を作るのに使用されるためにおよび/または改善された特性を有するTPVを作るために、たとえば200,000g/モル超の重量平均分子量(Mw)、1〜6(たとえば、2〜4)のMw/Mnを有する。同様に、このプロセスの開示は、オレフィンポリマー、たとえばポリプロピレンホモポリマーおよびコポリマーを製造する。
1つの実施形態では、本発明で製造されたポリマーは、プロピレンのホモポリマーであり、プロピレンのコポリマーであり、プロピレンのコポリマーは、たとえば0〜50モル%(あるいは0.5〜25モル%、あるいは0.5〜20モル%、あるいは1〜15モル%、たとえば1.5〜10モル%)の1種以上のエチレンまたはC4〜C20オレフィンコモノマー(たとえば、エチレンまたはC4〜C12アルファオレフィン、たとえばエチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、たとえばプロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン)を有し、またはプロピレンのコポリマーは、たとえば0〜25モル%(あるいは0.5〜20モル%、あるいは1〜15モル%、あるいは1.5〜10モル%)の1種以上のC2またはC4〜C20オレフィンコモノマー(たとえば、エチレンまたはC4〜C12アルファオレフィン、たとえばエチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、デセン、ドデセン、たとえばエチレン、ブテン、ヘキセン、オクテン)を有する。
1つの実施形態では、RCPは、プロピレンおよび少なくとも1種のアルファオレフィンコモノマーを含んでいる。1つの実施形態では、モノマーはプロピレンであり、コモノマーはヘキセン、たとえば1〜15モル%のヘキセン、あるいは1〜10モル%のヘキセンである。1つの実施形態では、モノマーはプロピレンであり、コモノマーはエチレン、たとえばコポリマーの重量に基いて、0.5〜99.5重量%のエチレン、あるいは1〜65重量%のエチレン、あるいは1〜60重量%のエチレン、あるいは1〜30重量%のエチレン、あるいは2〜20重量%のエチレンである。
典型的には、本発明で製造されたポリマーは、5,000g/モル〜10,000,000g/モルの、あるいは100,000g/モルから5,000,000g/モルの、あるいは200,000g/モル〜1,000,000g/モルの(GPC−DRIによって測定された)Mwを有する。典型的には、本発明で製造されたポリマーは、1超〜40の、たとえば1〜20の、たとえば1.1〜15の、たとえば1.2〜10の、たとえば1.3〜5の、たとえば1.4〜4の(GPC−DRIによって測定された)Mw/Mnを有する。
典型的には、本発明で製造されたRCPは、5,000g/モル〜10,000,000g/モル(たとえば100,000g/モル〜5,000,000g/モル、たとえば200,000g/モル〜1,000,000g/モル)の(GPC−DRIによって測定された)Mwおよび/または1超〜40(あるいは1.5〜20、あるいは1.8〜10、あるいは2〜5、あるいは2〜4)のMw/Mnを有する。より高いMwのRCPが、触媒の能力に応じて、できるだけ高いMwとともにTPVの中のPPを強靭化するために好ましい。
1つの実施形態では、本発明で製造されたRCPは、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって決定されたユニモーダルまたはマルチモーダルの分子量分布を有する。「ユニモーダル」とは、GPCトレースが1個のピークまたは3個の変曲点を有することを意味する。「マルチモーダル」とは、GPCトレースが少なくとも2個のピークまたは3個超の変曲点を有することを意味する。変曲点とは、カーブの二次導関数の符号が(たとえば、正から負へまたはその逆にmm)変わる点である。
本発明で製造されたRCPは、少なくとも145℃、または少なくとも150℃、または少なくとも152℃、または少なくとも153℃、または少なくとも154℃の融点(Tm、第2回目の融解時のDSCピーク)を有する。たとえば、ポリマーは、少なくとも145℃から約175℃の、約150℃〜約165℃の、約152℃〜約160℃の融点を有する。
本発明で製造されたRCPは、約0.1dg/分、約0.2dg/分、約0.5dg/分、約1dg/分、約5dg/分、約30dg/分または約45dg/分の下限から、約75dg/分、約100dg/分、約200dg/分または約300dg/分の上限までのメルトフローレート(MFR、ASTM 1238、2.16kg、230℃)を有することができる。
本発明の触媒によって製造されたRCPは分枝状ではない。RCPはまた、モノマー単位のランダムの統計的分布によってさらに特性付けられてもよく、これは、ポリマー鎖中の特定の点で所与のタイプのモノマー残留物を見い出す可能性が、その鎖中のそのモノマー残留物のモル分率にほぼ等しいことを意味する。
RCPは、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、または70%以上、75%以上または80%以上の組成分布幅指数を有してもよい。1つ以上の実施形態では、マトリクス相はまた、バイモーダルの分子量分布を有してもよく、その場合、RCPのプロピレン:全コモノマーのモル比は90:10〜99.5:0.5である。1つ以上の実施形態では、C2対称または擬対称のメタロセン触媒を使用して、このようにして調製されたアイソタクチックポリプロピレンランダムコポリマー(RCP)は、60,000超のMn、4重量%未満の量のエチレンコモノマーを有する。1つ以上の実施形態では、RCPは200,000g/モル超の重量平均分子量(Mw)を有する。
ペレット安定性のRCP含有バイモーダルゴム
1つ以上の実施形態では、ペレット安定性の「バイモーダルゴム」は、2基の並列リアクターを使用することによって可能になり、第1のリアクターで2元触媒(1つのメタロセン触媒および1つの有機金属触媒)を用いて「IRのバイモーダルゴム」が合成され、これは低いおよび高い分子量成分の改善された分子量分割比を有し、他方、第2のリアクターは図1に一般的に示されたようにランダムのアイソタクチックポリプロピレンコポリマー(RCP)を調製するために使用される。1つ以上の実施形態では、第1のリアクターからの流出物は、RCPを合成する第2のリアクターからの流出物とその場で(in situ)リアクターブレンドされ、それによってペレット安定性のオレフィンコポリマー「バイモーダルゴム」(「ペレット安定性のバイモーダルゴム」)が形成される。
1つの実施形態では、ペレットはその場で(in situ)リアクターブレンドすることによって作られるので、ペレットはフィラーを含んでいない。しかし、ペレット安定性のEPDMペレットもまた、EPDMと、ポリプロピレンのホモポリマー(HPP)または6%未満のような少量のエチレンコモノマーを有するRCPの10%と、をその場で(in situ)リアクター溶液ブレンドすることによって作られ得る。しかし、プロピレンのホモポリマー(またはHPP)ではなく、RCPがバイモーダルゴムペレットの安定化のために好まれる。
その後、ペレット安定性の「バイモーダルゴム」は、ゴムベールを粒状化する必要なくまた凝集防止の固形剤を添加する必要なく、TPVを製造する押出機の中に直接供給されることができる。HPPがTPVの製造に使用されることを考慮すると、HPPの中へのペレット安定性バイモーダルゴムペレットの導入によるRCPのこの添加は、最終TPVがその熱可塑性樹脂成分(TRC)として有するものがHPPと少量のRCPとのブレンドであることに帰着する。HPPと、少量のRCP、好ましくはより高いMWのRCPと、をブレンドすることは、タイチェーン濃度を上げることによってHPPの靭性を改善することが知られている。商業的には、TCR(特別あつらえの結晶化樹脂)は、一連のスラリーリアクターで作られたHPPと少量成分RCPとのブレンドであり、改善された靭性および透明性で知られている。
わずかに比較的小パーセントのRCPが、「バイモーダルゴム」を堅くするのに必要であり、それによってペレット安定性のゴムになり、これは任意的にペレット化されることができる。1つ以上の実施形態では、「バイモーダルゴム」とリアクターブレンドされるRCPの量は、約2.5〜20重量%、または約5〜15重量%、約8〜12重量%、または9〜11重量%である。
1つ以上のさらなる実施形態では、他の量のRCPが「バイモーダルゴム」を堅くするために加えられてもよく、たとえば約20重量%未満のRCP、約17.5重量%未満、約15重量%未満、約12.5重量%未満、約11.0重量%未満、約10.5重量%未満、約10.0重量%未満、約9.0重量%未満、約8.0重量%未満、約7.0重量%未満、約6.0重量%未満、約5.0重量%未満、または約4.0重量%未満さえのRCPが、対応する量の「バイモーダルゴム」に加えられることができる。
またさらなる実施形態では、以下の量のRCPが「バイモーダルゴム」を堅くするために加えられてもよい:約4.5〜5.5重量%、約5.5〜6.5重量%、約6.5〜7重量%、約7〜7.5重量%、約7.5〜8重量%、約8〜8.5重量%、約8.5〜9重量%、約9〜9.5重量%、約9.5〜10重量%、約10〜10.5重量%、約10.5〜11重量%、約11.0〜11.5重量%、約11.5〜12.5重量%、約12.5〜15重量%、約15〜17.5重量%、約17.5〜20重量%、約20〜22.5重量%、約22.5〜25.0重量%、または約25.0重量%以上のRCPが、対応する量の「バイモーダルゴム」に加えられて、所望の濃度および堅さに達することができる。
1つ以上の実施形態では、堅くされた「バイモーダルゴム」はペレット化される。ペレットは、従来の装置を使用して形成され押し出されることができる。1つの実施形態では、用語「ペレット」としては、他のプロセスで現在使用されている、他の可塑性物または製品の製造のための、任意の使用および用途のための可塑性物ペレットの形状およびサイズが挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上の実施形態では、表面の微粒子はペレットが凝集するのを防ぐために必要ではない。さらに、ペレット安定性の堅くされた「バイモーダルゴム」は、他の可塑性物ブレンドの製造、または物品、それが中間形態であれ、最終形態であれ、の製造に使用可能な様々な形状およびサイズに形成されることができる。
ペレットはその後、TPVの製造の際にまたは他所で使用されることができる。ペレットがTPVを製造するために使用される場合、非微粒子状のゴムおよび/または大きいゴムベールを粒状化する必要は完全に排除される。さらに、いくつかの実施形態では、粒状のゴムクラムが凝集するのを防ぐためにタルク、クレーまたは他の凝集防止剤を使用する必要はない。
ペレット安定性「バイモーダルゴム」を製造するためには、改善された「IRのバイモーダルゴム」がRCPと一緒に使用されるのが最適であるけれども、TPVを改善するために新規に形成されたRCPとともに使用されてもよい市販で入手可能なエラストマーコポリマーの例は、Vistalon(商標)、VISTAMAXX(商標)(ExxonMobil社、米国、テキサス州、ヒューストン)、Keltan(商標)(DSM Copolymers社、米国、ルイジアナ州、バトンルージュ)、Nordel(商標)IP(DuPont Dow Elastomers社、米国、デラウェア州、ウィルミントン)、Nordel MG(商標)(DuPont Dow Elastomers社)、Royalene(商標)(Chemtura社)およびBuna(商標)(Lanxess社)の商品名の下で販売されている。
他の成分および添加物
熱可塑性樹脂成分(TRC)
TPVの熱可塑性樹脂成分(TRC)は、「ゴム」でなく、かつ本来熱可塑性であると見なされるポリマーまたはポリマーブレンドである任意の材料、たとえば、熱にさらされると柔らかくなり、室温に冷却されるとその元の条件に戻るポリマーであることができる。TRCは、1種以上のポリオレフィン、たとえばポリオレフィンホモポリマーおよびポリオレフィンコポリマーを含有することができる。TRCは、未加硫または非架橋であってもよい。いくつかの実施形態では、熱可塑性ポリマーとしては、結晶性、半結晶性および結晶化可能なポリオレフィン、オレフィンコポリマーおよび非オレフィン樹脂が挙げられる。
1つ以上の実施形態では、TRCは、i)2〜7個の炭素原子を有するオレフィンモノマーから調製されたポリマー、およびii)2〜7個の炭素原子を有するオレフィンモノマーと(メタ)アクリレートまたは酢酸ビニルとから調製されたコポリマー、のうちの少なくとも1種を含んでいる。1つ以上の実施では、熱可塑性コポリマーは、エチレンまたはαオレフィン、たとえばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセンおよびこれらの混合物を重合することによって形成されてもよい。エチレンおよびプロピレンならびにエチレンおよび/またはプロピレンと、他のαオレフィン、たとえば1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセンまたはこれらの混合物とのコポリマーもまた、熟考される。特に含まれるのは、リアクターインパクト、およびプロピレンとエチレンまたは上に記載された、より高級のαオレフィンまたはC10〜C20ジオレフィンとのランダムコポリマーである。これらのプロピレンコポリマーについてのコモノマー含有量は、ポリマーの1重量%〜約30重量%であってもよく、たとえば米国特許第6,867,260B2号を見よ。1つ以上の実施形態では、TRCは、プロピレンとエチレンおよび/またはC4〜C10アルファオレフィンとのコポリマー、たとえば米国特許出願公開第2007/044123号に記載されたもの、またはランダム熱可塑性プロピレンコポリマー、たとえば米国特許第6,288,171号に記載されたものを含有していてもよい。
1つ以上の実施形態では、TRCはポリプロピレンでありまたはそれを含んでおり、これはプロピレンモノマーにのみ由来し(すなわち、プロピレン単位のみを有する)、または主にプロピレン(75%超のプロピレン)および他のコモノマーに由来することができる。本明細書に注記されたように、高いMFR(たとえば、10、または15、または20dg/分の下限から、25または30dg/分の上限まで)を有する特定のポリプロピレンが使用されてもよい。1つ以上の実施形態では、TRCは1つ以上のタイプのポリプロピレンを含有しており、またTRCとしては、プロピレンのホモ、インパクトおよびランダムポリマーまたはコポリマーが挙げられる。また、1つ以上の実施形態では、本明細書に記載されたように、TRCとしては、アイソタクチックポリプロピレンホモポリマーおよびアイソタクチックポリプロピレンランダムコポリマー(RCP)が挙げられる。
1つ以上の実施形態では、TRCは、1種以上の結晶性プロピレンホモポリマーまたはDSCによって測定された少なくとも105℃の融解温度を有するプロピレンのコポリマーを含有する。1つの実施形態では、ポリプロピレンのコポリマーとしては、プロピレンのターポリマー、プロピレンのインパクトコポリマー、ランダムポリプロピレン、プロピレンのランダムコポリマーおよびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上の実施形態では、RCPは2個の炭素原子または4〜12個の炭素原子を有し、また1つの実施形態では、コモノマーはエチレンである。
1つ以上の実施形態では、TRCとしては、プロピレンに基いたポリマー、たとえばプロピレンの重合に由来する単位を主に含んでいる固体の、概して高い分子量の可塑性樹脂が挙げられる。プロピレンに基いたTRCの単位の、ある実施形態では少なくとも75%、他の実施形態では少なくとも90%、他の実施形態では少なくとも95%、またさらに他の実施形態では少なくとも97%は、プロピレンの重合に由来する。特定の実施形態では、これらのポリマーとしては、プロピレンのホモポリマーが挙げられる。プロピレンに基いたポリマーは、当該技術分野で知られた適当な重合技術、たとえばこれに限定されないが、従来のジーグラーナッタタイプの重合、およびシングルサイト有機金属触媒を用いる触媒反応、たとえばこれに限定されないが、メタロセン触媒を使用することによって合成されてもよい。
1つ以上の実施形態では、TRCの、有用なプロピレンに基いたポリマーは、約110℃〜約170℃、他の実施形態では約140℃〜約168℃、また他の実施形態では約160℃〜約165℃である融解温度(Tm)を有することができる。これらのポリマーは、約−10℃〜約10℃、他の実施形態では約−3℃〜約5℃、また他の実施形態では約0℃〜約2℃のガラス転移温度(Tg)を有してもよい。1つ以上の実施形態では、これらのポリマーは、少なくとも約75℃、他の実施形態では少なくとも約95℃、他の実施形態では少なくとも約100℃、また他の実施形態では少なくとも約105℃、とともに105℃〜130℃の範囲の1つの実施形態の結晶化温度(Tc)を有してもよい。
特定の実施形態では、TRCのプロピレンに基いたポリマーとしては、高結晶化度のアイソタクチックまたはシンジオタクチックポリプロピレンのホモポリマーが挙げられる。特定の実施形態では、それは、DSC分析によって決定された、65J/g超の、あるいは少なくとも70J/gの、あるいは少なくとも80J/gの、または65もしくは70J/gから90もしくは100もしくは110J/gまでの範囲内の、結晶化度の尺度である、融解熱(ΔHf)を有する。ΔHfはポリプロピレンの組成に依存する。プロピレンホモポリマーは、コポリマーまたはホモポリマーとコポリマーとのブレンドよりも高いΔHfを有する。1つの実施形態では、熱可塑性ポリマーは、示差走査熱量測定法(DSC)によって測定された、少なくとも約30%の、また少なくとも約40%の、また少なくとも約50%の、また他の実施形態では少なくとも約60%の結晶化度を有するポリプロピレンである。
このポリプロピレンは約0.89〜約0.91g/ccの密度を有するとともに、大部分がアイソタクチックのポリプロピレンは約0.90〜約0.91g/ccの密度を有することができる。また、1未満のメルトフローレートを有する高い分子量および超高分子量のポリプロピレンが使用されてもよい。1つ以上の実施形態では、ポリプロピレン樹脂は、10dg/分以下、他の実施形態では1.0dg/分以下、また他の実施形態では0.5dg/分以下であるMFR(ASTM D−1238; 2.16kg@230℃)によって特性付けられてもよい。改善された「バイモーダルゴム」とともに使用されてもよい、市販で入手可能なポリプロピレンホモポリマーの1つの例は、(ExxonMobil社からの)PP5341の表示の下で販売されている。
他のポリオレフィンコポリマーとしては、オレフィンとスチレンとのコポリマー、たとえばスチレン−エチレンコポリマー、オレフィンとα,β−不飽和酸、α,β−不飽和エステルとのポリマー、たとえばポリエチレン−アクリレートコポリマーが挙げられてもよい。非オレフィンの熱可塑性ポリマーとしては、スチレン、α,β−不飽和酸、α,β−不飽和エステルのポリマーおよびコポリマー並びにこれらの混合物が挙げられてもよい。たとえば、ポリスチレン、ポリアクリレートおよびポリメタクリレートが使用されてもよい。本明細書に記載された2種以上のポリオレフィン熱可塑性物の、またはさらに他のポリマー変性剤との、ブレンドまたは混合物もまた適している。有用な熱可塑性ポリマーとしてはまた、インパクトコポリマーおよびリアクターコポリマーが挙げられてもよい。
触媒
任意の知られた重合プロセスが、熱可塑性ポリマーを製造するために使用されてもよい。たとえば、ポリマーは、一段式または多段式のリアクターでプロピレンのホモ重合によって得られたプロピレンホモポリマーであってもよい。コポリマーが、プロピレンと2個または4〜20個の炭素原子を有するαオレフィンとを一段式または多段式のリアクターで共重合することによって得られてもよい。重合方法としては、従来のチーグラーナッタ触媒またはシングルサイトのメタロセン触媒系またはこれらの組み合わせ、たとえば2元金属の(すなわち、Z/Nおよび/またはメタロセン)触媒を使用する、高圧、スラリー、気相、バルク、懸濁、超臨界もしくは溶液相またはこれらの組み合わせが挙げられる。
コポリマーは、プロピレンと2個または4〜20個の炭素原子を有するαオレフィンとを一段式または多段式のリアクターで共重合することによって得られてもよい。重合方法としては、従来のチーグラーナッタ触媒またはシングルサイトのメタロセン触媒系またはこれらの組み合わせ、たとえば2元金属の(すなわち、Z/Nおよび/またはメタロセン)触媒を使用する、高圧、スラリー、気相、バルク、懸濁、超臨界もしくは溶液相またはこれらの組み合わせが挙げられる。1つの実施形態では、選択された触媒は、C2〜C20オレフィンを重合して、少なくとも30%の結晶化度および少なくとも0.01%の末端不飽和結合を有するポリプロピレンを製造することができるものである。触媒は、均一溶液のまたは担持されたまたはこれらの組み合わせの形態をしていることができる。重合は、連続の、半連続のまたはバッチのプロセスで実施されてもよく、また連鎖移動剤、捕捉剤または適用可能と見なされるような他の添加物の使用を含んでいてもよい。「連続の」とは、中断または停止なしで操作される(または操作されるように意図される)系を意味する。たとえば、ポリマーを製造する連続プロセスとは、反応物質が1基以上のリアクター中に持続的に導入され、かつポリマー製品が持続的に抜き出されるものになるだろう。
熱可塑性マトリクスがポリオレフィン、たとえばプロピレンポリマーまたはコポリマーを含んでいる場合には、そのポリオレフィンは一般に、シングルサイト触媒、たとえばメタロセン触媒とともに活性化剤および任意的な捕捉剤の存在の下で製造されることになる。1つの実施形態では、メタロセン触媒は、C2〜C20オレフィンを重合して、少なくとも30%の結晶化度を有するポリプロピレンを製造することができるものである。
1つ以上の実施形態では、本発明のプロセスでポリプロピレンを製造するのに有用なメタロセン触媒は厳密には定義されていないが、一般的に、最も適したものは、高分子量、高融解温度で高度にアイソタクチックのプロピレンポリマーを製造することで知られている、総括的な部類に入るものとして、架橋され置換されたビス(シクロペンタジエニル)メタロセン、特異的には架橋され置換されたビス(インデニル)メタロセンであることが見い出されている。特に適した触媒は、各インデニル環の2位および4位の一方または両方の上に置換基を有する架橋されたビスインデニルメタロセン触媒、または各インデニル環の2位、4位および7位の上に置換基を有するものである。概して言えば、米国特許第5,770,753号(これは、参照によって本明細書に完全に組み込まれる。)に開示された総括的な部類のものが適しているはずである。しかし、得られた具体的なポリマーはメタロセンの特定の置換パターンにとりわけ依存することが見い出されている。有用な触媒化合物の特定のリストは、WO2004/026921、29頁、段落[00100]〜66頁、第4行に見い出される。別の実施形態では、WO2004/026921、66頁、段落[00103]〜70頁、第3行に記載された触媒化合物もまた、本発明の実施に使用されてよい。
1つの実施形態では、メタロセンはラセミ化合物のメタロセン、たとえばラセミ−ジメチルシラジイル(2−イソプロピル,4−フェニルインデニル)2ジルコニウムジクロリド;ラセミ−ジメチルシラジイル(2−イソプロピル,4−[1−ナフチル]インデニル)2ジルコニウムジクロリド;ラセミ−ジメチルシラジイル(2−イソプロピル,4−[3,5−ジメチルフェニル]インデニル)2ジルコニウムジクロリド;ラセミ−ジメチルシラジイル(2−イソプロピル,4−[オルト−メチル−フェニル]インデニル)2ジルコニウムジクロリド;ラセミ−ジメチルシリルビス−(2−メチル,4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド;ラセミ−ジメチルシラジイルビス−(2−メチル,4−ナフチルインデニル)ジルコニウムジクロリド;ラセミ−ジメチルシラジイル(2−イソプロピル,4−[3,5ジターシャリブチル−フェニル]インデニル)2ジルコニウムジクロリド;ラセミ−ジメチルシラジイル(2−イソプロピル,4−[オルトフェニル−フェニル]インデニル)2ジルコニウムジクロリド;ラセミ−ジフェニルシラジイル(2−メチル−4−[1−ナフチル]インデニル)2ジルコニウムジクロリド;およびラセミ−ビフェニルシラジイル(2−イソプロピル,4−[3,5ジターシャリブチル−フェニル]インデニル)2ジルコニウムジクロリドである。これらのメタロセンのアルキル化変異体(たとえば、ジクロリドの代わりにジメチル)もまた有用であり、特に非配位性アニオンタイプの活性化剤と一緒にされた場合にそうである。これらのおよび他のメタロセン組成物は、米国特許第6,376,407号、第6,376.408号、第6,376,409号、第6,376,410号、第6,376,411号、第6,376,412号、第6,376,413号、第6,376,627号、第6,380,120号、第6,380,121号、第6,380,122号、第6,380,123号、第6,380,124号、第6,380,330号、第6,380,331号、第6,380,334号、第6,399,723号および第6,825,372号に詳細に記載されている。
第1の重合ステップで使用される触媒の活性化の様式は、様々であることができる。1つの実施形態では、アルモキサンおよびメチルアルモキサン(MAO)が使用されることができる。非配位性または弱く配位するアニオン活性化剤(NCA)は、EP0277004およびEP0426637に記載された方法のいずれかで得られてもよい。活性化は一般に、アニオン基、たとえばメチル基の抽出によってメタロセンカチオンが形成されることが関与していると考えられる。もっとも、いくつかの文献によれば両性イオンが生成される可能性もある。NCA前駆体は、ボレートまたはアルミネートのイオン対になることができ、その際に前駆体カチオン、たとえばテトラキスペンタフルオロフェニルホウ素のトリチルまたはアンモニウム誘導体(EP0277004を見よ。)がある様式で活性化の後に取り除かれる。NCA前駆体は中性の化合物、たとえばボレーンになることができ、それは、メタロセンから抽出されたアニオン基の抽出およびそれの組み込みによってカチオンへとされる(EP0426638を見よ。)。
アルモキサン活性化剤は、1:1〜20,000:1以上のアルミニウムとメタロセンとのモル比を提供する量で使用されてもよい。非配位性互換性アニオン活性化剤は、10:1〜1:1のメタロセン化合物と非配位性アニオンとのモル比を提供する量で使用されてもよい。
特に有用な活性化剤としては、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートおよびジメチルアニリニウムテトラキス(ヘプタフルオロ−2−ナフチル)ボレートが挙げられる。有用な活性化剤のより詳細な記載のためには、WO2004/026921、72頁、段落[00151]〜81頁、段落[00119]を見よ。本発明の実施に使用されることができる特に有用な活性化剤のリストが、WO2004/046214の72頁、段落[00177]〜74頁、段落[00178]に見い出されてもよい。
1つの実施形態では、重合は連続式の撹拌槽型リアクターで実施される。供給原料、触媒および架橋剤を段階的な様式で導入するための機器設備を備えた管型リアクターもまた、使用されることができる。一般に、重合リアクターは、濃度勾配を低減または回避するために揺動(撹拌)される。反応環境は、モノマーが希釈剤または溶媒の役割をする場合とともに液状炭化水素が希釈剤または溶媒として使用される場合を含んでいる。1つの実施形態では、炭化水素液体としては、脂肪族および芳香族流体の両方、たとえば脱硫軽質バージンナフサ、およびアルカン、たとえばプロパン、イソブタン、混合ブタン、ヘキサン、ペンタン、イソペンタン、シクロヘキサン、イソオクタンおよびオクタンが挙げられる。代わりの実施形態では、パーフルオロカーボンまたはハイドロフルオロカーボンが、溶媒または希釈剤として使用される。
重合に適した条件としては、約50〜約250℃、たとえば約50〜約200℃、またさらには約70〜約150℃の温度、および0.1MPa以上、たとえば2MPa以上の圧力が挙げられる。圧力の上限は、決定的に拘束的なものではないが、典型的には200MPa以下、たとえば120MPa以下であるが、超臨界相で操作される場合は除外され、その場合には圧力および温度は問題の反応媒体の臨界点超である(典型的にはプロピレン重合の場合、95℃および4.6MPaを超える。)。超臨界重合を実施する上でのより多くの詳細は、WO2004/026921を見よ。リアクターの温度調節は一般に、重合熱を、リアクタージャケットまたは冷却コイル、自己冷凍、予冷却された供給原料、液状媒体(希釈剤、モノマーまたは溶媒)の蒸発または全ての3つの組み合わせによるリアクターの冷却と、平衡させることによって得られることができる。予冷却された供給原料を用いた断熱リアクターが使用されてもよい。
通常の熟練した化学者は、TPVの特性要件に基いて他のどの種類のTPVが使用されてもよいかを認識し、そのようなTRCの量を決定することもできるだろう。
ゴム、熱可塑性樹脂成分および任意的なプロセス用添加物に加えて、TPVは種々様々の添加物および加工助剤を含んでいてもよい。
加硫用、架橋用の硬化剤、硬化遅緩剤
TPVに使用される硬化剤としては、イオウ、酸化亜鉛および脂肪酸が挙げられる。過酸化物加硫剤系も使用されることができる。一般に、ポリマー組成物は、硬化剤分子、たとえばイオウ、金属酸化物(すなわち、酸化亜鉛)、有機金属化合物、ラジカル開始剤等を加え、引き続いて加熱することによって架橋されることができる。特に、以下のものは使用されてもよい通常の硬化剤である:ZnO、CaO、MgO、Al2O3、CrO3、FeO、Fe2O3、NiO。これらの金属酸化物は、対応する金属ステアレート錯体(たとえば、Zn(ステアレート)2、Ca(ステアレート)2、Mg(ステアレート)2およびAl(ステアレート)3)とともに、またはステアリン酸およびイオウ化合物またはアルキルパーオキシド化合物とともに使用されることができる。
使用されるゴム成分に応じて、特定の硬化剤が選択されることができる。たとえば、ビニルノルボルネンに由来する単位を含んでいるエラストマーコポリマーが使用される場合、過酸化物硬化剤が選ばれてもよい。と言うのは、過酸化物の必要な量がTPVの熱可塑性相のエンジニアリング特性に有害な影響を及ぼさないからである。他の状況では、過酸化物硬化剤は使用されない。と言うのは、過酸化物硬化剤は、あるレベルでTPVのTRCを劣化させることがあるからである。
使用されるゴム成分に応じて、特定の硬化剤が選択されることができる。有用なフェノール硬化系が、たとえば米国特許第2,972,600号、第3,287,440号、第5,952,425号および第6,437,030号に開示されている。1つ以上の実施形態では、フェノール樹脂硬化剤としてレゾール樹脂が挙げられ、これはアルキル置換フェノールまたは非置換フェノールとアルデヒド、たとえばホルムアルデヒドとのアルカリ媒体中での縮合によってまたは両官能性フェノールジアルコールの凝縮によって作られることができる。アルキル置換フェノールのアルキル置換基は、1〜約10個の炭素原子を含有していてもよい。ジメチルフェノールまたは1〜約10個の炭素原子を含有するアルキル基でパラ位を置換されたフェノール樹脂が使用されてもよい。1つの実施形態では、オクチルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とノニルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂とのブレンドが使用される。このブレンドは、約25〜約40重量%のオクチルフェノール−ホルムアルデヒドおよび約75〜約60重量%のノニルフェノール−ホルムアルデヒドを含んでおり、他の実施形態では、このブレンドは、約30〜約35重量%のオクチルフェノール−ホルムアルデヒドおよび約70〜約65重量%のノニルフェノール−ホルムアルデヒドを含んでいる。1つの実施形態では、このブレンドは、約33重量%のオクチルフェノール−ホルムアルデヒドおよび約67重量%のノニルフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を含んでおり、その場合に、オクチルフェノール−ホルムアルデヒドおよびノニルフェノール−ホルムアルデヒドの各々はメチロール基を含んでいる。このブレンドは、パラフィン油の中に約30%の固体分で相分離することなく可溶化されることができる。
フェノール樹脂硬化剤の例としては、以下の一般式によって定義されるものが挙げられる:
この式で、Qは、−CH2−、−CH2−O−CH2−から成る群から選ばれる2価の基であり;mは零または1〜20の正の整数であり;またR’は有機基である。1つの実施形態では、Qは2価の基:−CH2−O−CH2−であり、mは零または1〜10の正の整数であり、またR’は20個未満の炭素原子を有する有機基である。他の実施形態では、mは零または1〜10の正の整数であり、またR’は4〜12個の炭素原子を有する有機基である。
1つ以上の実施形態では、フェノール樹脂は、硬化促進剤、たとえば塩化第1スズ、および金属酸化物、たとえば酸化亜鉛とともに使用され、酸化亜鉛は加硫遅延剤および酸捕捉剤および/またはポリマー安定剤として機能すると考えられる。有用な酸化亜鉛としては、従来からゴム加工のために使用されているものが挙げられる。1つ以上の実施形態では、酸化亜鉛は約0.05〜約0.15μmの平均粒径を有する。有用な酸化亜鉛は、Kadox(商標)911(Horsehead社)の商品名の下で市販で得られることができる。これらのまたは他の実施形態では、フェノール樹脂は、酸捕捉剤、たとえばハイドロタルサイトとともに使用されることができ、これは硬化剤の下流で加えられてもよい。
1つ以上の実施形態では、フェノール樹脂は、100phr当たり、約2〜約6重量部、他の実施形態では約3〜約5重量部、また他の実施形態では約4〜約5重量部の量で使用されてもよい。補足的な量の塩化第1スズは、phr当たり、約0.5〜約2.0重量部、他の実施形態では約1.0〜約1.5重量部、また他の実施形態では約1.2〜約1.3重量部であってもよい。これらとともに、約0.1〜約6.0重量部の、他の実施形態では約1.0〜約5.0重量部の、また他の実施形態では約2.0〜約4.0重量部の酸化亜鉛が使用されてもよい。1つ以上の実施形態では、フェノール硬化剤とともに使用されるオレフィンゴムとしては、5−エチリデン−2−ノルボルネンに由来するジエン単位が挙げられる。
遊離ラジカル硬化剤としては、過酸化物、たとえば有機過酸化物が挙げられる。有機過酸化物の例としては、ジターシャリブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ターシャリブチルクミルパーオキシド、α,α−ビス(ターシャリブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリブチルパーオキシ)ヘキサン(DBPH)、1,1−ジ(ターシャリブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4−4−ビス(ターシャリブチルパーオキシ)バリレート、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ジラウロイルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ターシャリブチルパーオキシ)ヘキシン−3およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。また、ジアリールパーオキシド、ケトンパーオキシド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキシド、ヒドロパーオキシド、パーオキシケタールおよびこれらの混合物が使用されてもよい。他のものとしては、アゾ開始剤、たとえばLuazo(商標)AP(ARCHEMA社)が挙げられる。有用な過酸化物およびTPVの動的加硫へのこれらの使用方法は、たとえば米国特許第5,656,693号に開示されており、これは米国特許の慣行の目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。ある実施形態では、硬化系、たとえば米国特許第6,747,099号、米国出願公開第2004/0195550号、国際公開WO2002/28946、WO2002/077089およびWO2005/092966に記載されたものが使用されてもよい。
1つ以上の実施形態では、遊離ラジカル硬化剤が、1種以上の共助剤とともに使用されてもよい。共助剤としては、高ビニルポリジエンまたはポリジエンコポリマー、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、イオウ、n,n’−m−フェニレンジマレイミド、n,n’−p−フェニレンジマレイミド、ジビニルベンゼン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、3官能性アクリレートエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、多官能性アクリレート、抑制されたシクロヘキサンジメタノールジアクリレートエステル、多官能性メタクリレート、アクリレートとメタクリレートとの金属塩、多官能性アクリレート、多官能性メタクリレートまたはオキシマー、たとえばキノンジオキシムが挙げられてもよい。これらの共助剤の組み合わせが使用されてもよい。たとえば、高ビニルポリジエンおよびα,β−エチレン性不飽和金属カルボキシレートは、たとえば米国特許仮出願第11/180,235号に開示されているように有用である。共助剤はまた、希釈されていない液体としてまたはキャリアーと一緒に使用されてもよい。たとえば、キャリアーと一緒にされた多官能性アクリレートまたは多官能性メタクリレートは、たとえば米国特許仮出願第11/246,773号に開示されているように有用である。また、たとえば米国特許第4,087,485号に記載されているように、硬化剤および/または共助剤はTPVの配合物の前に可塑性物と前混合されてもよい。
ケイ素含有硬化系としては、少なくとも2個のSiH基を有するケイ素ヒドリド化合物が挙げられてもよい。有用であるケイ素ヒドリド化合物としては、メチル水素ポリシロキサン、メチル水素ジメチルシロキサンコポリマー、アルキルメチル−コ−メチル水素ポリシロキサン、ビス(ジメチルシリル)アルカン、ビス(ジメチルシリル)ベンゼンおよびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ケイ素ヒドリド硬化剤の一例は、Silicone Fluid 2−5084の商品名の下でDow Chemical社から市販で入手可能である。有用なヒドロシリル化触媒としては、VIII族の複数の遷移金属が挙げられるが、これに限定されない。これらの金属としては、パラジウム、ロジウムおよび白金とともにこれらの金属の錯体が挙げられるが、これらに限定されない。有用なケイ素含有硬化剤および硬化系は、たとえば米国特許第5,936,028号に開示されている。1つ以上の実施形態では、シラン含有化合物は、phr当たり、約0.5〜約5.0重量部の、他の実施形態では約1.0〜約4.0重量部の、また他の実施形態では約2.0〜約3.0重量部の量で使用されてもよい。補足的な量の触媒は、ゴムの100万重量部当たり、約0.5〜約20.0部、他の実施形態では約1.0〜約5.0部、また他の実施形態では約1.0〜約2.0部の金属を含んでいてもよい。1つ以上の実施形態では、ヒドロシリル化硬化剤とともに使用されるオレフィンゴムは、5−ビニル−2−ノルボルネン由来のジエン単位を含んでいる。
通常の熟練した化学者は、特性要件に基いてどの種類の硬化剤が使用されてもよいかを認識し、硬化剤の量を決定することもできるだろう。
促進剤
使用されてもよい促進剤としては、アミン、グアニジン、チオ尿素、チアゾール、チウラム、スルフェンアミド、スルフェンイミド、チオカルバメートおよびキサンテート等が挙げられる。硬化プロセスの促進は、ある量の促進剤を組成物に加えることによって達成されることができる。「バイモーダルゴム」の組成物の促進された加硫機構は、硬化剤、促進剤、活性化剤およびポリマーの間の複雑な相互作用が関与している。理想的には、使用可能な全硬化剤が、有効な架橋の形成に費やされ、この架橋は2個のポリマー鎖を一緒に連結し、ポリマーマトリクスの全体強さを高める。多数の促進剤が、当該技術分野で知られており、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:ステアリン酸、ジフェニルグアニジン(DPG)、テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、N’N−ジ−オルト−トリルグアニジン(DOTG)、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド(DPTT)、4,4’−ジチオジモルホリン(DTDM)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBTD)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、2,2’−ベンゾチアジルジスルフィド(MBTS)、ヘキサメチレン−1,6−ビスチオサルフェートジナトリウム塩二水和物、2−(モルホリノチオ)ベンゾチアゾール(MBSまたはMOR)、90%のMORと10%のMBTSとの組成物(MOR 90)、N−ターシャリブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド(TBBS)、N−オキシジエチレンチオカルバミル−N−オキシジエチレンスルホンアミド(OTOS)、亜鉛ジエチルジチオカルバメート(ZDEC)、亜鉛2−エチルヘキサノエート(ZEH)およびN,N’−ジエチルチオ尿素)。
通常の熟練した化学者は、特性要件に基いてどの種類の促進剤が使用されることができるかを認識し、促進剤の量を決定することもできるだろう。
エキステンダー油/プロセス油
1つ以上の実施形態では、添加油がTPVの中に加えられてもよい。用語「添加油」は、「プロセス油」および「エキステンダー油」の両方を含んでおり、鉱油、炭化水素油、芳香族、パラフィン合成油またはこれらの組み合わせが挙げられる。たとえば、高分子量ゴムがTPV用途での使用に選ばれる場合、高分子量ゴムは多くの場合非常に高い粘度を本質的に有しており、これはこれらのポリマーの加工性に関連する困難さをもたらす。したがって、市販で入手可能な非常に高い分子量のバイモーダルゴムは、典型的には約50〜約125phrの添加油を含んでいる。エキステンダー油の必要なレベルは、エラストマーの分子量に依存するが、1つ以上の実施形態では、選択された量は見かけの粘度を約100ML(1+4@125℃)以下のムーニー粘度に低減するのに通常十分である。それにもかかわらず、エキステンダー油/プロセス油の使用から問題が生じることがある。たとえば、油で伸展されたエラストマーは、コンパウンドの処方箋に望ましくなく、またさらなるコンパウンドにする選択肢を限定するかもしれないレベルおよび/または種類の油をすでに含有しているので、コンパウンドにされる許容範囲が制限される。さらに、エキステンダー油は単にプロセス油として作用し、加硫後の目の詰まった架橋網状組織の形成に関与しない。これは、加硫されたコンパウンドの弾性を低減する。
添加油の例としては鉱油が挙げられ、これは、芳香族、ナフテン、パラフィンおよびイソパラフィン油を含んでおり、処理油または未処理油であってもよい。有用な鉱油は、SUNPAR(商標)の商品名(Sun Chemicals社)の下で得られることができる。他のものが、たとえばPARALUX(商標)の商品名(Chevron社)の下で入手可能である。プロセス油はまた、可塑剤、たとえば有機エステルおよび合成可塑剤を含んでいてもよい。さらに、パラフィン油または鉱油と比較して、より低い流動点、より低い排出物等を有する他の合成流体が、いくつかの実施では使用されることができる。
1つ以上の実施形態では、合成油としては、イソブテン、1−ブテン、2−ブテン、ブタジエンおよびこれらの混合物を含むブテンのポリマーおよびオリゴマーが挙げられる。1つ以上の実施形態では、これらのオリゴマーは、イソブテニルの「マー」単位を含んでいてもよく、また1つ以上の実施形態では、約300g/モル〜約9,000g/モルの、他の実施形態では約700g/モル〜約1,300g/モルの数平均分子量(Mn)によって特性付けられることができる。合成油の他の例としては、ポリイソブチレン、ポリ(イソブチレン−コ−ブテンおよびこれらの混合物が挙げられる。1つ以上の実施形態では、合成油としては、ポリ直鎖状αオレフィン、ポリ分枝状αオレフィン、水素化ポリアルファオレフィンおよびこれらの混合物が挙げられる。
1つ以上の実施形態では、合成油としてはまた、約20cp超の、他の実施形態では約100cp超の、さらに他の実施形態では約190cp超の粘度を有する合成ポリマーまたはコポリマーが挙げられ、この場合、粘度は38℃でASTM D−4402によって測定される。これらのまたは他の実施形態では、これらの油の粘度は、4,000cp未満、また他の実施形態では1,000cp未満であることができる。有用な合成油は、Polybutene(商標)(Soltex;米国、テキサス州、ヒューストン)、Indopol(商標)(Innouvene社)、およびParapol(商標)(ExxonMobil社)の商品名の下で得られることができる。合成ホワイトオイルは、SPECTRASYN(商標)(ExxonMobil社)、以前はSHF Fluids(Mobil社)の商品名の下で入手可能である。たとえば、米国特許第5,936,028号に記載された油も使用されてよい。合成油は、高められた低温性能を提供する場合があると考えられている。また、高温性能も分子構造に基いて高められる場合がある。
1つ以上の実施形態では、炭素に基いたまたは炭素を含有する油、たとえば石油、加硫された石油、加硫された植物油およびパラフィン油が使用されてもよい。1つ以上の実施形態では、エキステンダー油としては、有機エステル、アルキルエーテルまたはこれらの組み合わせ、たとえば米国特許第5,290,866号および第5,397,832号に開示されたものが挙げられてもよく、これらの特許は米国特許の慣行の目的のために、参照によって本明細書に組み込まれる。1つ以上の実施形態では、有機エステルおよびアルキルエーテルエステルは、一般に約10,000未満である分子量を有していてもよく、また適当なエステルとしては、約2,000未満の、また他の実施形態では約600未満の平均分子量を有するモノマー性およびオリゴマー性材料が挙げられる。
1つ以上の実施形態では、これらのエステルは、ポリアルファオレフィンおよび組成物のゴム成分の両方と相溶性または混和性であってもよい;すなわち、これらのエステルは他の成分と混合して単一相を形成してもよい。1つ以上の実施形態では、エステルとしては、脂肪族のモノまたはジエステル、あるいはオリゴマー性脂肪族エステルまたはアルキルエーテルエステルが挙げられる。しかし、1つ以上の実施形態では、TPVは、ポリマー性脂肪族エステルおよび芳香族エステルとともにホスフェートエステルを欠いている。
最後に、通常の熟練した化学者は、特定のゴムとともにどの種類の油が使用されるべきであるかを認識し、適当な油の量を決定することもできるだろう。有用なプロセス油のいくつかの市販品例は、SUNDEX(商標)(Sun Chemicals社)およびFLEXON(商標)(ExxonMobil社)である。
フィラー
TPV組成物は、少なくとも1種のフィラーを含んでいてもよく、強化用および非強化用フィラーを含んでいる。フィラーとして有用である本明細書に記載された種類の材料は、単独で使用されまたは所望の特性を得るために混合されることができる。従来技術のTPV組成物では、フィラーはTPVとエラストマー成分との全量に対して多くの場合に約50重量%〜約150重量%の量で存在してもよい。というのは、混合を達成するために相当な量のフィラーを粒状化ゴムに加えなければならないからである。
しかし、ペレット安定性の、RCPを含んでいる「バイモーダルゴム」がTPV製造用のゴム供給原料として使用される場合には、凝集を防止しまたは混合を遂行するために通常のタルク、クレーまたは他の凝集防止剤を加える必要はない。もっと具体的に言うと、従来技術のゴムベールが小さいゴムクラムへと機械的に粒状化される場合には、そのような粒状化ゴムクラムが凝集するのを防ぎ、かつ混合装置にたとえば、重力作用によって加えられるゴムクラムの自由で安定した流れを促進するために、タルク、クレーまたは他の凝集防止剤が要求される。その上、さらにより多くのタルク、クレーまたは固形粒子が従来技術のTPVに混合を遂行するために加えられる場合には、そのような加えられた粒子はうかつにもTPVを堅くしてしまい、これは望ましくない。
しかし、フィラーが他の理由で依然として望ましい場合には、そのようなフィラーは有機フィラーおよび/または無機フィラーであることができる。非黒色フィラーが使用される場合には、非黒色フィラーとポリマーとの間の界面を相溶化するためのカップリング剤を含めることが望ましいかもしれない。
有機フィラーとしては、カーボンブラック、フライアッシュ、黒鉛、セルロース、でんぷん、小麦粉、木粉およびポリマー繊維、たとえばポリエステルに基いたおよびポリアミドに基いた材料、およびこれらの組み合わせのような材料が挙げられる。
無機フィラーの例は、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、ヒュームドシリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、砂、ガラス、ガラス繊維、ガラスビーズ、大理石粉塵、セメント粉塵、クレー、焼成クレー、カオリンクレー、ナノクレー、長石、鉱物骨材、珪灰石、マイカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、チタン酸塩、有機変性クレーまたはナノクレー、ガラス微少球およびチョークである。これらのフィラーのうち、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アンチモン、タルク、シリカ/ガラス、ガラス繊維、アルミナ、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、および二酸化チタンおよびこれらの混合物が選択されることができる。
通常の熟練した化学者は、特性要件に基いてどの種類のフィラーが使用されることができるかを認識し、フィラーの量を決定することもできるだろう。
ポリマー加工添加物
ある実施形態では、TPVは、ポリマー加工添加物を含んでいてもよい。加工添加物は、非常に高いメルトフローインデックスを有するポリマー樹脂であってもよい。これらのポリマー樹脂としては、別段の定めがない限り直鎖状および分枝状ポリマーの両方が挙げられ、これらのポリマー樹脂は、約500dg/分超、他の実施形態では約750dg/分超、他の実施形態では約1000dg/分超、他の実施形態では約1200dg/分超、また他の実施形態では約1500dg/分超であるメルトフローレートを有する。メルトフローレートは、ポリマーが標準圧力の下でどれくらい容易に流れるかの指標であり、230℃および2.16kgの荷重でASTM D−1238を使用することによって測定される。TPVは、様々な分枝状または様々な直鎖状のポリマー加工添加物の混合物を含んでいてもよい。
1つ以上の実施形態では、直鎖状のポリマー加工添加物としては、ポリプロピレンホモポリマーが挙げられ、また分枝状のポリマー加工添加物としては、たとえばジエン変性ポリプロピレンポリマーが挙げられる。同じような加工添加物を含んでいるTPVは、たとえば米国特許第6,451,915号に開示されている。さらに、1つ以上の実施形態では、直鎖状のポリマー加工添加物は結晶性または半結晶性材料である。もっとも、非晶性材料があるコポリマーから得られてもよい。一般に、これらの直鎖状の添加物は、約130℃〜約180℃の、また1つの様相では約140℃〜約170℃の、また1つの実施では約160℃〜約165℃の融解温度を有する。1つ以上の実施形態では、直鎖状のポリマー加工添加物または樹脂はポリオレフィンであり、また1つの実施ではアイソタクチックポリオレフィンである。これらのポリオレフィンは、2〜約10個の炭素原子を有するエチレンまたはαオレフィンモノマーに由来することができ、たとえばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセンおよび1−オクテンが挙げられるが、これらに限定されない。1つ以上の実施形態では、ポリオレフィンはホモポリマーである。もっとも、コポリマーおよびターポリマーもまた企図される。1つの実施では、ポリオレフィンはポリプロピレンである。約700または約1,500のMFRを有するポリプロピレンである、市販で入手可能な直鎖状のポリマー加工添加物の1つの例は、Achieve(商標)の商品名(ExxonMobil社)の下で入手可能である。
ポリマー加工添加物の平均分子量は、ポリオレフィンの、酸化的分解または他のポストリアクター処理によって低減されてもよく、これはコントロールレオロジー処理(CR処理)と呼ばれることもあり、それは分子の切断を行う。これは、酸化剤、たとえばポリオレフィンポリマーを開裂する有機または無機過酸化物を用いたポストリアクター処理によって遂行されてもよい。その結果、ポリマーの平均分子量は低減されるが、それにもかかわらず分子量分布は実質的に変わらないだろう。このプロセスは、たとえば米国特許第5,736,465号に記載されており、その内容は米国特許の慣行の目的のために、参照によって本明細書に組み込まれる。
通常の熟練した化学者は、どの種類の他の添加物がその特性要件に基いて使用されることができるかを認識し、そのような添加物の量を決定することもできるだろう。
他の添加物
1つ以上の実施形態では、追加の添加物、たとえば以下のものがTPVに添加されてもよい:酸化防止剤(たとえば、ヒンダードフェノール、例としてCiba−Geigy社から入手可能なIRGANOX(商標)1010またはIRGANOX(商標)1076);ホスファイト(たとえば、Ciba−Geigy社から入手可能なIRGAFOS(商標)168);核生成剤(たとえば、Milliken Chemical社から入手可能なHyperform(商標)、例としてHyperform(商標)HPN−68L、HPN−68L);非粘着剤;粘着性付与剤、たとえばポリブテン、テルペン樹脂、脂肪族および芳香族炭化水素樹脂;ワックス;ロジン;水素化ロジンアルカリ金属およびグリセリンステアレート;ケミカルコンディショナー;均質化剤;素練り促進剤;起泡剤;消泡剤;ブロッキング剤;ブロッキング防止剤;酸捕捉剤;スリップ剤;剥離剤;静電防止剤;伝導性粒子;結晶化剤;金属活性低下剤;粘着促進剤;中和剤;乾燥剤;安定剤;熱安定剤;UV抑制剤;UV安定剤;光安定剤;光吸収剤;顔料;着色剤;染料;カップリング剤、たとえばシランおよびチタネート;潤滑剤;アジュバント;界面活性化剤;防腐剤;シックナー;レオロジー変性剤;保湿剤;分散剤;難燃剤等;およびこれらの組み合わせ。
通常の熟練した化学者は、どの種類の他の添加物がその特性要件に基いて使用されることができるかを認識し、そのような添加物の量を決定することもできるだろう。
熱可塑性加硫物(TPV)の調製
エラストマー成分、RCPおよび熱可塑性成分が、上に記載されたように調製され、次に組み合わされる。TPVを作る任意の知られたプロセスが使用されることができる。たとえば、個々の材料および成分、例として1種以上のゴム、TRC、熱可塑性変性剤、硬化剤、添加物油および他の添加物が、TRCの融解温度超の温度で混合されて、融解された材料が形成されることができる。
たとえば、熱可塑性成分およびエラストマー成分は、融解物のプレス/折り重ね/ロール練り、融解物ブレンド、溶液ブレンド、単軸および2軸混合押出機によって、低粘度の融解ポリマー流れを混合するための静的ミキサーを使用して、インピンジメントミキサーによって、一緒にされる。ブレンド物が熱可塑性成分とエラストマー成分との実質的に均一な形態を示すときに混合は完了する。いくつかの実施形態では、微粒子の組成物は、微粒子材料を液状モノマー中に懸濁し、次に重合によってポリマーを形成することにより調製される。
実例となる混合装置としては、ニーダー付きまたは1個以上の混合チップもしくはフライトを備えた混合要素付き押出機、1本以上のスクリューを備えた押出機、および共回転もしくは逆回転押出機が挙げられる。適当な混合装置としてはまた、たとえばBrabender(商標)、Banbury(商標)、BussミキサーおよびニーダーならびにFarrel連続ミキサーが挙げられる。押出機を包含するこれらの混合装置の1つ以上は、直列で使用されることができる。TPVを作るためのいくつかの追加の詳細は、たとえば米国特許第4,594,390号に開示され、その内容は米国特許の慣行の目的のために、参照によって本明細書に組み込まれる。
1つ以上の実施形態では、組成物は、成分をバッチミキサー、たとえば圧力ラムを備えた2軸ローター密閉式ミキサーでブレンドすることによって調製される。混合は、フィラー(使用される場合)および他のコンパウンド成分が微細に取り込まれ、TPVおよびエチレンに基いたエラストマーの内部に均一に分散されるような圧力および温度で実施されることができる。
ブレンド操作はまた、「マスターバッチ」による取り組みを含んでいてもよく、その場合、TRC、エラストマー成分および任意的にフィラーおよび他の添加物と、予めブレンドされたマスターバッチの適当な量とともに硬化剤、促進剤、プロセス油および他の添加物とを、組み合わせることによってエラストマーの濃度目標が達成されて、最終組成物が作られる。
1つ以上の実施形態では、バイモーダルのゴム成分は、ゴム成分およびTRCの全重量に基いて約15重量%〜約95重量%の量で存在してもよい。1つ以上の実施形態では、バイモーダルのゴム成分は、TPV組成物の全重量に基いて約45重量%〜約90重量%、または60重量%〜88重量%の量で存在する。1つ以上の実施形態では、バイモーダルのエチレン、アルファオレフィンおよびジエンターポリマーを含んでいるEPDMがTPVを製造するために使用される場合、そのようなゴムは、ブレンド中のポリマーの量に基いて約10〜約99重量%、さらに約20〜約95重量%、少なくとも約30〜約90重量%、少なくとも約40〜約90重量%、少なくとも約50〜約90重量%、少なくとも約60〜約90重量%、また他の実施形態では少なくとも約70〜約90重量%で存在してもよい。
1つ以上の実施形態では、熱可塑性樹脂成分(TRC)は、ゴム成分およびTRCの全重量に基いて約5重量%〜約85重量%の量で存在する。1つ以上の実施形態では、TRCは、ゴム成分およびTRCの全重量に基いて約10重量%〜約55重量%、または12重量%〜40重量%の量で存在する。他の実施形態では、そのようなTRCは、ブレンド中のポリマーの量に基いて約10〜約20重量%、さらに約15〜約25重量%、少なくとも約20〜約30重量%、約25〜約35重量%、約30〜約35重量%、約35〜約40重量%、少なくとも約40重量%、また他の実施形態では少なくとも約45重量%で存在してもよい。
1つ以上の実施形態では、TRCは、スチレンブロックコポリマーの50重量%未満、または30重量%未満、または10重量%未満、または1重量%未満を含有してもよい。スチレンブロックコポリマーは、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(SEBS)またはスチレン−エチレン/プロピレン−スチレン(SEPS)の水素化中間ブロックを有してもよい。他の実施形態では、TPVはSEBSを少しも含んでいない、またはSEPSを少しも含んでいない。
ほとんどのTPVは典型的には、約15〜50重量%の合計油含有量を有し、通常には約10重量%以下が後続の融解物混合の間に加えられる。しかし、ペレット安定性「バイモーダルゴム」は油を含んでいない。したがって、そのようなペレット安定性のゴムが使用される場合には、エキステンダー油/プロセス油、たとえば上に記載されたものが、TPVの製造の間に加えられなければならない。1つ以上の実施形態では、約15〜40重量%のプロセス油が、そのようなペレット安定性のゴムを有するTPVの製造の間に加えられる。他の実施形態では、そのようなエキステンダー油は、TPVの全重量に基いて、約15〜約25重量%、約20〜約30重量%、約25〜約35重量%、約35〜約40重量%、または約45〜約50重量%の量で加えられる。またさらに他の実施形態では、そのようなエキステンダー油は、ゴム100重量部(phr)当たり、たとえば約15〜約100phrで、約25〜約50phrで、約40〜約60phrで、約50〜約70phrで、約60〜約80phrで、約70〜約90phrで、または約90〜約100phrで加えられる。
1つ以上の実施形態では、TPVを作るために使用された他の成分とともにマルチモーダルゴムが導入されたときにマルチモーダルゴム内にある、またはマルチモーダルゴムによって運び込まれた非ゴム微粒子、たとえばカーボンブラックの量は、ゴム100重量部当たり15重量部未満、他の実施形態では5.0重量部未満、他の実施形態では1.0重量部未満、他の実施形態では0.5重量部未満、また他の実施形態では0.05重量部未満である。いくつかの実施形態では、非ゴム微粒子を、ゴムは含んでおらず、また他の実施形態では実質的に含んでいない。1つ以上の実施形態では、非ゴム微粒子としては、カーボンブラックおよび/または無機材料が挙げられる。
上に列挙された硬化剤の1種以上は、熱可塑性加硫物を調製するために、TRCと混合されているゴムを硬化または架橋することができる。たとえば、ゴムがオレフィンエラストマーコポリマーを含んでいる場合、硬化剤としては、過酸化物、フェノール樹脂、遊離ラジカル硬化剤、ケイ素含有硬化剤または熱硬化性樹脂を調製する際に慣用的に使用され当業者に知られた他の硬化剤が挙げられてもよい。対照的に、ブチルゴムが熱可塑性加硫物を調製するのに使用される場合には、硬化剤としては、フェノール樹脂、ケイ素含有硬化系、酸化亜鉛系およびアミン系が挙げられてもよい。
硬化剤はたとえば、ゴム相内に所望の量の硬化を生成するのに有効な量で存在する。ある実施形態では、硬化剤は、0.01phr〜50phr、他の実施形態では0.05phr〜40phr、他の実施形態の中では0.1phr〜30phr、他の実施形態では0.5phr〜25phr、他の実施形態では1.0phr〜20phr、他の実施形態では1.5phr〜15phr、また他の実施形態では2.0phr〜10phrの量で存在する。硬化剤が加えられた後、1つ以上の実施形態では、ゴムは動的加硫によって硬化されまたは架橋され、その場合に、ゴムは加熱可塑性物の融点超の温度で高いせん断の条件の下で架橋されまたは加硫される。TPVの中のゴムの加硫または架橋は、主要なブレンド成分であるゴムを、連続相の代わりに、分散相として維持するのに必要である。
1つ以上の実施形態では、ゴムは、TRCの熱可塑性マトリクス内の微粒子として同時に硬化されかつ分散されることができる。もっとも、他の形態もまた存在してもよい。動的加硫は、熱可塑性エラストマー成分を高められた温度で混合することによって達成されることができる。この動的加硫は、当該技術分野で使用されている他の成分とともに、リアクターに仕込まれたプロセス油の存在の下で生じてもよい。得られたTPVは、連続的な熱可塑性相を、その中に分散された硬化されたゴムの微粒子とともに含んでいる。これらの熱可塑性エラストマー内のゴムは、RCPとブレンドされたTRCの連続相内の、加硫されたまたは硬化されたゴムの微細に分割され十分に分散された粒子の形態をしていることができる。
他の実施形態では、共連続の形態または相反転が達成されることができる。硬化されたゴムが熱可塑性媒体内で微細に分割されかつ十分に分散された粒子の形態をしている実施形態では、ペレット安定性の「バイモーダルゴム」が使用される場合、ゴム粒子は2μm未満、いくつかの実施形態では1μm未満である平均直径を有することができる。
ペレット安定性の「バイモーダルゴム」が使用されて熱可塑性加硫物(TPV)が製造される場合、加硫されたゴム粒子はより小さくかつサイズがより均一であり、これはより高い粒子数を有するTPVをもたらす。より高い粒子数は、より良好な弾性特性を備えたTPVをもたらす。得られたTPV内のより微細な(より小さい)、より均一の、より「弾性の」ゴム分散物は、「IRのバイモーダルゴム」の中程度の分子量成分および超高分子量の分子量成分の改善された分子量分割比および組成分布を有するバイモーダルゴムの設計および合成に由来する。弾性のゴム分散物の量を増加させる能力は、(ゴムの中のより高いエチレン含有量によって達成された)より低いTgによって促進された、より低い圧縮永久ひずみ/ヒステリシスおよびより速い回復を有するTPVをもたらす。その上、より高い分子量のゴムは、ゴムの弾性のためにより多くの立体配座の状態を提供する。
ペレット安定性のゴムの中へのRCPの組み込みはまた、得られたTPV内の粒子間により多くのかつより強い熱可塑性の「靭帯」の追加ももたらす。そのようなRCPの追加はまた、降伏応力も低下させ、したがってTPVにより良好な全体的な弾性特性を提供する。
通常の熟練した化学者は、どの追加の添加物または製造形態がペレット安定性のバイモーダルゴムとともに使用されることができるかを認識するだろう。
ブレンド
熱可塑性加硫物は熱可塑性のエラストマーであるが、熱硬化性のゴムではなく、したがって、加硫されたゴム分散物とともにではあるが、そのゴムが部分的にまたは完全に硬化された状態にあるかもしれないという事実にもかかわらず、熱可塑性物として加工処理されまたは再加工処理されることができる。動的加硫が達成された後で、多段階プロセスもまた使用されることができ、それによって追加の成分が加えられてもよい。TPVがすでに製造され固化された後に、改善されたTPVブレンドが、従来の装置および方法を使用して、たとえば個々の成分をドライブレンドし引き続いてミキサー中で融解物混合することによって、または成分を一緒に直接ミキサー中で混合することによって形成されてもよく、ミキサーは、たとえばBanburyミキサー、Haakeミキサー、Brabender密閉式ミキサーまたは単軸もしくは2軸押出機であり、単軸または2軸押出機としては、コンパウンド用押出機が挙げられてもよい。さらに、本明細書に記載された添加物が、ブレンドの中に、ブレンドの1種以上の成分の中に、および/または所望によりブレンドから形成された物品または製品の中に入れられてもよい。
製造物品
ゴムが部分的にまたは完全に硬化されてもよいという事実にもかかわらず、TPVは従来の可塑性物加工処理技術、たとえば押し出し、射出成形、ブロー成形および圧縮成形によって加工処理され、また再加工処理されることができる。改善されたTPV組成物は、多くの用途に使用されるのに適しており、さらに、改善されたTPV材料で物品を形成することを包含する。さらに、TPVは中間物品、たとえばペレットへと形成され、その後再融解されて物品が形成されてもよい。
TPV材料の物品は、当該技術分野で知られたポリオレフィンを形成し成形するための任意の有用な個別の成形または連続的な押し出しの手段によって作られまたは形成されてもよく、その手段としては以下のものが挙げられる:コンパウンド形成、押し出し、シート押し出し、キャスティング、プロフィール押し出しまたは共押し出し、ブロー成形、射出成形、熱成形、トランスファー成形、弾塑性溶接、圧縮成形、射出成形、共射出成形、ガスアシスト射出成形、トランスファー成形、発泡成形、トランスファー成形、回転成形、真空成形、溶融ブロー成形、薄層成形、引き抜き成形、ドローリダクション、カレンダー加工、または他の形態の加工処理、たとえばMaurice Nortonによる「ゴム技術」(Van Nostrand Reinhold社刊、米国、ニューヨーク)に記載されたもの、またはこれらの組み合わせ。1つ以上の実施形態では、加工処理後、物品は、さらに処理、硬化、架橋、照射、加熱等をされ、または他の物品と組み合わされてもよい。1つの実施では、改善されたTPVはまた、回収材料の一部で作られた材料または発泡TPVからの材料の配合物に使用されてもよい。
そのようなTPVは、以下に挙げられる物品を作るのに特に有用であるが、これらに限定されない:自動車部品、消費財、工業製品、建設資材、包装材料等。1つの様相では、物品としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:調理器具、ストレージウェア、玩具、医療機器、殺菌コンテナー、シート、クレート、コンテナー、パッケージング、ワイヤーおよびケーブル被覆、パイプ、屋根板、ジオメンブレン、スポーツ用品、椅子マット、管材料、プロフィール、器具類サンプル保持具、サンプルウィンドウ、屋外用家具、遊具、ボートおよび水上オートバイ部品、弾性繊維等。
自動車部品の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:乗物ウェザーシール、たとえばガラスランチャンネル、トランクシール、テールゲートシール、カウルシール、ギャップフィラー、ガラスカプセル化、カットラインシール、ドアシール、フードからラジエターまでのシール、ルーフラインシール、ロッカーパネル、サッシ、ベルトラインシール、他の乗物部品および要素、たとえばタイヤ、ブレーキ部品、例としてカップ、カップリングディスクおよびダイアフラムカップ、等速継ぎ手およびラックアンドピニオン継ぎ手のためのブーツ、管材料、シールガスケット、油圧または空気圧で操作された装置の部品、Oリング、ピストン、バルブ、バルブシート、バルブガイド、および他のエラストマーポリマーに基いた部品または金属/プラスチック組み合わせ材料のような他の材料と組み合わされたエラストマーポリマー。同様に検討されるものは、伝道ベルト、たとえばVベルト、織物面のVを含む切頂リブを備えた歯付きベルト、粉砕短繊維強化Vまたは短繊維植毛Vを備えた成形ガム。追加の自動車および乗物物品としては、以下のものが挙げられる:バンパー、グリル、装備品、ダッシュボード、計器板、外側ドアおよびフード部品、スポイラー、ウィンドウスクリーン、ハブキャップ、ミラー枠、ボディパネルおよび保護サイド成形品等。
1つの様相では、物品としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:調理器具、合成コルク、ストレージウェア、玩具、医療機器、殺菌コンテナー、シート、クレート、コンテナー、パッケージング、ワイヤーおよびケーブル被覆、パイプ、屋根板、ジオメンブレン、スポーツ用品、椅子マット、管材料、プロフィール、器具類サンプル保持具、サンプルウィンドウ、屋外用家具、遊具、他の自動車部品、ボートおよび水上オートバイ部品、弾性繊維等。
さらなる成形物品としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:非自動車シールまたはガスケット;ホース、たとえばエアホース、ヒートホース、ガーデンホース、工業用ホース等;建築資材、たとえば屋根膜、ビルディングプロフィール、発泡材、パイプ絶縁物、ケーブル絶縁層および外側被覆、ベルト、ガスケットおよび合成コルク。消費財としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:エレクトロニクス、携帯電話、構築適用プリンター、プリンター部品、スポーツ用品、ソフトタッチグリップ等。
1つ以上の実施形態では、記載された組成物は、ガラス基板に、たとえばガラスカプセル化のために少なくとも部分的に付着されることができる。ガラスカプセル化のための実例となる使用としては、たとえば、フロントガラスシール、サンルーフシール、後ろ窓ウシール、横窓シールおよびわき窓シールが挙げられる。1つの実施形態では、組成物は、当該技術分野で知られた技術を使用して押し出されて、押し出されたエラストマーのプロフィールまたはガスケットが形成される。この押し出されたプロフィールまたはガスケットは、その後ガラス基板に付着される。
上の記載は、本明細書に開示された改良の例示となるように意図されているが、本発明の範囲を限定していると見なされるべきではない。当業者は、様々な修正が本明細書の開示の精神および範囲から逸脱することなくなされることができることを認識するだろう。したがって、本改良は添付された請求項およびそれらの等価物内に入る全てのそのような修正を包含すると認められるだろう。以下の実施例および表は、本明細書に開示された改良にさらなる背景を提供してもよい。
実験による実施例
a.バイモーダルゴムの合成
連続撹拌槽リアクター中の溶液重合の基本手順(Table 1、実施例1〜2)
重合反応は、150℃までの温度で不活性炭化水素(イソヘキサン)溶媒の存在の下で配位挿入重合を行なうように装備をされた、十分に撹拌された2リットルのバッチリアクターの中で実施された。この気液重合系で、重合は液相で生じ、その液相で、ガスエチレンが溶液中へと加圧され、また液体プロピレンおよびエチリデンノルボルネンが触媒溶液の添加の前にリアクター中に供給された。重合の前に、リアクターは、最初にトルエンで洗われ、次に150℃で1時間の窒素パージで乾燥された。
その後、DIBALO(ビス(ジイソブチルアルミニウム)オキシド、CAS番号998−00−5、0.2mモル/ml溶液)の1〜1.25mlのトルエン溶液が、捕捉剤として、イソヘキサン溶媒の添加の前にリアクターに仕込まれた。エチレンおよびイソヘキサンは、ExxonMobil Chemical社のプラントから来て、全てが精製されていた。
触媒1は、プロピレンが主成分の、中程度のMWのゴムを調製するために選択され、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートによって活性化されたビス(p−トリエチルシリルフェニル)カルビル(シクロペンタジエニル)(2,7−ジターシャリブチルフルオレニル)ハフニウムジメチルのCs対称の架橋メタロセンである。触媒1は、商業的供給源から購入されまたは合成されることができる。
触媒2は、超高MWゴムを合成するために選択され、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートによって活性化された2−(8−アニリノ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1−イル)−N−(2,6−ジイソプロピルフェニル)キノリン−8−アミドハフニウムジメチルの非メタロセンのC1対称のピリジルジアミド触媒である。
触媒1および2のトルエン溶液は、活性化剤と触媒との1:1モル比で予め活性化され、所定の比率で混合され、そしてリアクター中に注入される。リアクター条件は、2つの「バイモーダルゴム」の調製用にTable 1に列挙されたものであり、それらが調製された。
リアクターに、液体プロピレン、エチリデンノルボルネン(ENB)、捕捉剤(典型的には、ヘキサン中約0.2Mのビス(ジイソブチルアルミニウム)およびイソヘキサン溶媒(約1000ml)が充填された。その混合物が、最小で約10分間、(約800rpmで)撹拌され所望の温度に加熱された。この温度でのリアクター圧力が書き留められ、次にエチレン調整器がこの値を超える所望の圧力に設定される。エチレンガスが導入され、リアクターは撹拌されながら平衡状態になる。重合は、触媒の添加後に直ちに始まり、調節されたリアクター温度の下で30分間継続された。5mlの安定剤溶液(1リットルのトルエン中に20gのIrganox 1076)が、合成されたバイモーダルゴムに加えられて、ポリマーの乾燥の際のゲル化が防止された。その後、リアクターは室温に達するまで放置され、ベントによって減圧された。重合溶液はアルミニウムトレーの中に注ぎ込まれた。ポリマーが収集され、周囲条件の下で16時間にわたって放置乾燥された。ポリマーは、60℃で真空下さらに乾燥された。
Table 1は、使用された触媒の量を除いて、エチレン、プロピレン、ENBの量(ml)およびリアクター温度が同じであったことを示す。NMRが使用されて、平均エチレンおよびENBの含有量が決定された。これらの「バイモーダルゴム」の特性の結果がTable 2に見い出されることができる。
Table 2は、より少ない量の触媒を使用した実施例2のリアクターは、30,000(g/g)のより高い比較の活性ならびにより低いおよびより高い分子量画分の相対的により高いピーク分子量を有していたのに対して、他方、より多い量の触媒を使用した実施例1のリアクターは、18,200(g/g)のより低い比較の活性ならびにより低いおよびより高い分子量画分の相対的により低いピーク分子量を有していたことを示す。
GPC−IRが使用されて、分子量および組成分布が決定された。また、実施例1および実施2についてのGPC−4Dプロットが、各々、図2A、2Bに見い出されることができる。図2Aは、実施例1の条件の下で製造された「バイモーダルゴム」の代表的なプロットであり、dWt/dLogM対プロピレン取り込み量(C3重量%)のプロットは、MWDを表すカーブがバイモーダルであり、また中程度のMW成分が、製造された「バイモーダルゴム」の大多数成分であることを示す。さらに、実線で示された「バイモーダルゴム」のプロピレン含有量(C3重量%)は、中程度のMW成分についての約65%から超高成分についての約35%までの範囲にわたっている。
図2Bは、実施例2の下で製造された「バイモーダルゴム」の代表的なプロットであり、dWt/dLogM対プロピレン取り込み量(C3重量%)のプロットは、MWDを表すカーブがバイモーダルであり、中程度のMW成分が、製造された「バイモーダルゴム」の大多数成分であることを示す。さらに、実線で示された「バイモーダルゴム」のプロピレン含有量(C3重量%)は中程度のMW成分についての約70%から超高成分についての約40%までの範囲にわたっている。
b.実施例のRCP合成
重合反応は、150℃までの温度で不活性炭化水素(イソヘキサン)溶媒の存在の下で配位挿入重合を行なうように装備をされた、十分に撹拌された2リットルのバッチリアクターの中で実施された。この気液重合系で、重合は液相で生じ、その液相で、ガスエチレンが溶液中へと加圧され、また液体プロピレンが触媒溶液の添加の前にリアクター中に供給された。重合の前に、リアクターは、最初にトルエンで洗われ、次に150℃で1時間の窒素パージで乾燥された。その後、イソブチルアルミニウム(CAS100−99−2;1mモル/ml溶液)の1mlのヘキサン溶液が、捕捉剤として、イソヘキサン溶媒の添加の前にリアクターに仕込まれた。エチレン、プロピレンおよびイソヘキサンは、ExxonMobil Chemical社のプラントから来て、全てが精製されていた。
RCPを合成するために使用されたメタロセン触媒は、888.48g/モルの分子量を有する擬似C2対称の架橋C57H68OSiZrであり、またはジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートによって活性化されたジメチルシリル(4−o−ビフェニル−2−n−ブチルインデニル)(4−(3’,5−ジターシャリブチル−4’−メトキシフェニル)−2−メチル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インデセニル)ジルコニウムジメチルである。触媒のトルエン溶液は、活性化剤と触媒との1:1モル比で予め活性化され、所定の比率で混合され、そしてリアクター中に注入される。
リアクター条件は、調製された2つのRCP用にTable 3に列挙されている。重合は、触媒の添加後に直ちに始まり、調節されたリアクター温度の下で60分間継続された。その後、リアクターは室温に達するまで放置され、ベントによって減圧された。重合溶液はアルミニウムトレーの中に注ぎ込まれた。ポリマーが収集され、周囲条件の下で16時間にわたって放置乾燥された。ポリマーは、60℃で真空下さらに乾燥された。
RCPの特性の結果もまたTable 3に見い出されることができる。Table 3に示されたエチレン含有量は平均であることに留意するべきである。表3は、より少ない量の触媒を使用した実施例4のリアクターが115,000(g/g)のより高い比較の活性を有していたのに対し、他方、より多い量の触媒を使用した実施例3のリアクターは56,000(g/g)のより低い比較の活性を有していたことを示す。
GPC−IRが使用されて、分子量および組成分布が決定された。また、実施例3および実施4についてのGPC−4Dプロットが、各々、図3A、3Bに見い出されることができる。
図3Aは、実施例3の条件の下で製造されたRCPの代表的なプロットであり、dWt/dLogM対エチレン取り込み量(C2重量%)のプロットは、MWDを表すカーブがユニモーダルであることを示す。さらに、実線で示されたRCPのエチレン含有量(C2重量%)は、分子量が増加するにつれて、約3%から約0.5%まで変動している。
図3Bは、実施例4の条件の下で製造された「バイモーダルゴム」の代表的なプロットであり、dWt/dLogM対エチレン取り込み量(C2重量%)のプロットは、MWDを表すカーブがユニモーダルであることを示す。さらに、実線で示されたRCPのエチレン含有量(C2重量%)は、分子量が増加するにつれて、約5%から約0%まで変動している。図3Aおよび図3Bのカーブの右側の負の傾斜は、RCPコポリマーのMWが増加するにつれて、エチレン含有量がより低くなることを示している。
c.ペレット安定性のバイモーダルゴム
10重量%の実施例3(RCP)を90重量%の実施例2(「バイモーダルゴム」)の中に溶液ブレンドする実験が、150℃で、溶媒としてジクロロベンゼン(o−DCB)を使用して、溶液ブレンドの間の熱劣化を防ぐために0.5重量%のBHT酸化防止剤を添加して実施された。実施例5、すなわち、このようにして調製されたRCP含有「バイモーダルゴム」は、安定しており、より低度に粘着性であった。このことは、RCP含有「バイモーダルゴム」が潜在的にペレット安定性であることを示唆している。
d.TPVの調製
実施例の成分
Vistalon(商標)3666ゴムは、中程度〜高い分子量、中程度のジエン含有量、中程度のエチレン含有量および広い分子量分布を有する、油展されたターポリマーグレードのゴムであり、比較のゴム対照例として選択された。Vistalon(商標)3666ゴムは、75phrの油含有量、52MUのムーニー粘度(ML 1+4,257°F(125℃)(ASTM 01646(mod))、64.0重量%のエチレン含有量(ASTM D3900A)および4.5重量%のエチリデンノルボルネン(ENB)含有量(ASTM 06047(mod))を有しており、高密度のベール形態をした固体である。
5341PP、ポリプロピレンホモポリマー(PP)は、ExxonMobil社から入手可能な熱可塑性のポリマーである。5341PPは、0.95の比重(ASTM D792)、0.950g/cm3の密度(ISO 1183)を有する。
「ROI」は、30%の樹脂/70%の油のミックスであり、ここで樹脂は、Sunpar(商標)150油(Sunoco社)中のSP1045フェノール樹脂(SI Group社)である。
1種以上の市販TPVの中で使用される主要成分は、アイソタクチックポリプロピレン、EPDM(油展)phr油およびプロセス油、RIOおよび硬化剤である。
「ペレット安定性バイモーダルゴム」は、実験による実施例の目的のために、実施例3のRCP(10%)と実施例2のEDPMコポリマー(90%)とのブレンドを用いて作られる。実施例5の場合、RCP含有「バイモーダルゴム」は油を含んでいないことに留意するべきである。
d.TPV配合物
実施例6〜8についての詳細なTPV配合物は、Table 4に見い出されることができる。
上記の単位はphr、すなわちゴム100部当たりの部である。
*: V3666 EPDMは75phrの油含有量を有する。
**: 実施例5は、10重量%の実施例3 (RCP)と90重量%の実施例2 (EDPMコポリマー)とのブレンドである。
実施例5のRCP含有バイモーダルコポリマーゴムは油を含んでいないのに対して、実施例6および7(両者とも対照例)で使用された「バイモーダルゴム」は油展されているので、実施例8では油が調節されて入れられていることに留意するべきである。これは、各配合物における最終かつ合計の油量が同じであることを確実にするためである。
さらに、比較の目的のために、実施例8におけるPP量は、対照の実施例6および7と同じ最終PP量を有するようにするために、87phrのPPホモポリマーの追加によって調節されている。
全てのTPVは、180℃(実施例7では190℃)および100RPMで操作されるBrabender密閉式ミキサーで調製された。実施例8の場合、100phrの実施例5のペレット安定性「バイモーダルゴム」および87phrのポリプロピレンホモポリマー(PPホモポリマー)が最初に加えられた。1分後に、油の1/2(40phr)が加えられ、それから2分後に7phrのRIOが導入され、サンプルは1分間混合された。次に、SnCl2/ZnOが加えられ、サンプルはもう5分間混合された。最後に、油の残りの1/2(40phr)が加えられ、3分間混合された。合計混合時間は12分間であった。その後、サンプルは取り出され、放置冷却された。
同じように、実施例6は180℃で混合されたが、実施例7は190℃で混合された。しかし、両方とも100RPMで混合された。実施例7〜8の場合、175phrの市販で入手可能のバイモーダルゴムおよび97phrのPPホモポリマーが最初に加えられた。1分後に、油の1/2(40phr)が加えられ、それから2分後に7phrのRIOが導入され、サンプルは1分間混合された。次に、SnCl2/ZnOが加えられ、サンプルはもう5分間混合された。最後に、油の残りの1/2(40phr)が加えられ、3分間混合された。合計混合時間は12分間であった。その後、サンプルは取り出され、放置冷却された。
実施例5、すなわちRCP含有バイモーダルEPDMは油を含んでいないが、油展されたバイモーダルゴムとちょうど同じくらい容易に加工処理されることができることに注目するべきである。ここで、この油展されたバイモーダルゴムはTPVに普通に用いられている成分である。
e.TPV分散物および特性
全てのTPVサンプルは、機械的な測定のための試験片へと圧縮成形された。全てのTPVサンプルはまた、対照例も含めて、クリオミクロトーム(Leica社)を使用してクリオフェースがされ、その後、位相AFM(原子間力顕微鏡、Icon、Bruker社)をタッピングして検査された。各サンプルについて、3つの60×60ミクロン2の位相画像が収集され、次にSPIPソフトウェア(走査型プローブ画像処理、Image Metrology社)によって処理された。様々なTPVブレンドの代表的な画像が図4A〜4Cに示され、それらは、TPVの横断面の各々の画像で測定された分散粒子の粒子サイズ、形状および粒子数を示している。図4Aは比較例6を示し、図4Bは比較例7を示し、また図4Cは、特に調製されたRCPとブレンドされた高分子量EDPMを用いて作られたTPVを示す。
Table 5は、TPVの特性、ならびに粒子の分散サイズおよび各サンプルの粒子数を示す。
図4Aおよび図4B(対照例)およびTable 5に示されたように、実施例6および7の特性は互いに類似している。しかし、実施例8の本発明のTPVは、実施例6および7と比較して、より高い粒子数を有し、著しくより低い曲げ弾性率(MPa)および第1ヒステリシスおよび第2ヒステリシスを有する。Dn、DwおよびDvに関しては、これらは数平均、重量平均および体積平均の等価分散直径に各々関係し、またDw/Dnに関しては、これはサイズ分散度の指標であるところ、Table 5に示されたように、ペレット安定性の「バイモーダルゴム」で作られた実施例8のTPVは、著しく改善された特性、著しくより小さい粒子サイズおよびより高い粒子数を有する。
実施例8は、低いおよび高い分子量成分の改善された分子量分割比を有するペレット安定性のRCP含有バイモーダルのコポリマーゴム(「IRのバイモーダルゴム」)が、改善された特性および性能を備えたTPVを作るために使用されることができることを実証している。たとえば、より低い圧縮永久ひずみ/ヒステリシスおよびより速い回復という、改善された特性および性能は、より低いTg(より多くのエチレン)に起因する。より高い分子量のバイモーダルのゴムはまた、ゴム弾性のためのより多くの立体配座状態も有し、またペレット安定性の「バイモーダルゴム」は、TPV内のゴム粒子の数の増加およびサイズの減少をもたらす。
TPVの中のこれらのより均一でより微細な加硫ゴム分散物は、ゴム粒子間に形成される可塑性靭帯を増加させ、またTPVの弾性を上げる。加えて、より弾性の加硫ゴム分散物は、変形の際にTPVの中により多くの可塑性の靭帯ねじれを生成し、その弾性がさらに高められる。
前述のペレット安定性の「バイモーダルゴム」がTPVを製造するために使用される場合、そのようなTPVは、より低いヒステリシスおよび曲げ弾性率(MPa)、したがってより良好な弾性特性を有することによって改善される。さらに、少量のランダムアイソタクチックポリプロピレンコポリマー(RCP)の添加は、より多数のかつより強健なPPの可塑性靭帯をもたらし、これは、TPVに、より低い降状応力/ひずみをもたらす。
追加の試験法
分子体積
分子体積は、Girolami、G.S.(1994年)「単純な「たやすく算出できる」液体および固体の密度および分子体積を推定する方法」、Journal of Chemical Education、71巻(11号)、962〜964頁に報告されたように計算されてもよい。分子体積(MV)は、立方Åの単位であり、式:MV=8.3Vsを使用して計算され、この式で、Vsは計量された体積である。Vsは、構成原子の相対体積の合計であり、相対体積の以下の表を使用して置換基の分子式から計算される。縮合環の場合、Vsは縮合環当たり7.5%減少する。
ポリプロピレンの微細構造、たとえばアイソタクチックおよびシンジオタクチックのダイアド([m]および[r])、トリアド([mm]および[rr])およびペンタド([mmmm]および「rrrr」)の濃度は、13C−NMR分光法によって決定された。記号指示「m」または「r」は、隣接するプロピレン基の対の立体化学を記述し、「m」はメソを指し、また「r」はラセミを指す。サンプルはd2−1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解され、スペクトルは100MHz(またはより高い)NMR分光計を使用して125℃で記録された。ポリマーの共鳴ピークは、mmmm=21.8ppmを基準とする。NMRによるポリマーの特性解析に関わる計算は、Bovey,F.A.(1969年)「ポリマーの立体配座および立体配置」(Academic Press社、米国、ニューヨーク)およびRandall, J.(1977)「ポリマー連鎖の決定、13C−NMR法」(Academic Press社、米国、ニューヨーク)によって記述されている。
GPC(RCP)によって様々な分子量に関連する数値を決定するために、高温サイズ排除クロマトグラフィーが、自動「Rapid GPC」システムを使用して、米国特許第6,491,816号、第6,491,823号、第6,475,391号、第6,461,515号、第6,436,292号、第6,406,632号、第6,175,409号、第6,454,947号、第6,260,407号および第6,294,388号に一般的に述べられているように行われ、米国の目的のために、これらの内容は参照によって本明細書に完全に組み込まれる。この装置は、一連の3本の30cm×7.5mmの直線状カラムを有し、各々がPLゲル、10μm、ミックスBを含んでいた。GPC装置は、580〜3,390,000g/モルの範囲のポリスチレン標準物を使用して較正された。この装置は、2.0mL/分の溶離剤流量および165℃のオーブン温度で操作された。1,2,4−トリクロロベンゼンが溶離剤として使用された。ポリマーサンプルは、1,2,4−トリクロロベンゼンに0.1〜0.9mg/mLの濃度で溶解され、250μLの溶液が装置内に注入された。溶離剤中のポリマーの濃度は、Polymer Char IR4検知器を使用して監視された。表示された分子量は、直鎖状ポリスチレン標準物に相対的なものであり、未補正である。本発明のみの目的のために、「Rapid GPC」のMw(重量平均分子量)データは1.9で割られて、エチレン−プロピレンコポリマーについてのGPC−3DのMw結果に近似させることができる。同様に、本発明のみの目的のために、プロピレンホモポリマーについての「Rapid GPC」のMwデータは、1.5で割られて、GPC−3DのMw結果に近似させることができる。
RCPデータに使用された示差走査熱量測定(DSC手順―1)
ポリマーの融点を決定するために、TA−Q200機器を用いて測定が行われた。サンプルは、220℃で15分間予めアニールされ、それから室温まで一晩放置冷却された。サンプルはそれから100℃/分の速度で220℃に加熱され、次に50℃/分の速度で冷却された。融点データは、加熱の間に収集された。ポリマーに組み入れられたエチレンの量(重量%)は、反射モードでのBruker社Vertex 70 IRを用いて迅速なFT−IR分光分析によって決定された。サンプルは、蒸発堆積手法によって薄膜フォーマットに調製された。エチレンの重量パーセントは、729.8および1157.9cm−1でのピーク高さの比率から得られた。この方法は、ある範囲の既知のエチレン含有量重量%を有する1組のエチレン/プロピレンコポリマーを使用して較正された。
(より大規模製品用の)示差走査熱量測定(DSC手順−2)−RCP
ピーク融点(Tm、融点とも呼ばれる。)、ピーク結晶化温度(Tc、結晶化温度とも呼ばれる。)、ガラス転移温度(Tg)、融解熱(Hf)および結晶化度パーセントが、ASTM D3418−03による以下のDSC手順を使用して決定された。示差走査熱量測定(DSC)データは、TA Instruments社モデルQ2100機器を使用して得られた。およそ5〜10mgのサンプル秤量は、アルミニウム密閉サンプル皿の中に密閉された。DSCデータは、最初にサンプルを10℃/分の速度で200℃まで徐々に加熱することによって記録された。サンプルは、200℃で2分間維持され、それから10℃/分の速度で−70℃まで冷却され、引き続いて2分間等温に維持され、そして10℃/分で200℃まで加熱された。第1サイクルと第2サイクルの両方の熱事象が記録された。吸熱ピークの下の面積が測定され、融解熱および結晶化度パーセントを決定するために使用された。結晶化度パーセントは、式:[融解ピークの下の面積(ジュール/グラム)/B(ジュール/グラム)]*100を使用して計算され、この式で、Bは主要モノマー成分の100%結晶性のホモポリマーについての融解熱である。Bについてのこれらの値は、John Wiley and Sons社によって出版された「ポリマーハンドブック」、4版、米国、ニューヨーク1999年から得られることになっている。しかしながら、但し、189J/gの値が100%結晶性ポリプロピレンの融解熱として使用され、290J/gの値が100%結晶性ポリエチレンの融解熱に使用される。本明細書に報告された融解および結晶化温度は、特に断りのない限り第1の冷却/第2の加熱サイクルの間に得られた。DSC手順−1とDSC手順−2との間で矛盾がある場合には、DSC手順−2が使用されるものとする。
3種の検知器(GPC−3D)を備えたゲル透過クロマトグラフィー(RCPデータに使用された)
Mw、MnおよびMW/Mnは、3種のインライン検知器:屈折率検知器(DRI)、光散乱(LS)検知器および粘度計を装備した高温ゲル透過クロマトグラフィー(AgiLent社 PL−220)を使用することによって決定される。検知器の較正を含む実験の詳細は、Sun,T.ら、(2001年)「希薄溶液中のポリオレフィンのコイル寸法に及ぼす短鎖分枝の影響」、Macromolecules、34巻(19号)、6812〜6820頁、およびその中の参考文献に記載されている。3本のAgilent社PLゲル、10μm、ミックスBLSカラムが使用される。名目流量は0.5mL/分であり、また名目注入体積は300μLである。様々な移送ライン、カラム、粘度計および示差屈折率計(DRI検知器)が、145℃に維持されたオーブン内に収容されている。実験のための溶媒は、酸化防止剤として6グラムのブチル化ヒドロキシトルエンを4リットルのAldrich社試薬グレード1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB))中に溶解させることによって調製される。TCB混合物は、次に0.1μmテフロン(商標)フィルターを通してろ過される。TCBは、オンライン脱ガス装置で脱ガスされ、その後GPC−3Dに入れられる。ポリマー溶液は、乾燥されたポリマーをガラス製容器に入れ、所望量のTCBを加え、次に混合物を約2時間連続的に振とうしながら160℃で加熱することによって調製される。全ての量は重量測定法で測定される。ポリマー濃度を質量/体積単位で表すために使用されるTCBの密度は、室温で1.463g/mlおよび145℃で1.284g/mlである。注入濃度は0.5〜2.0mg/mlであり、より低い濃度がより高い分子量のサンプルに使用される。各サンプルを試験にかける前に、DRI検知器および粘度計はパージされる。装置内の流量は、それから0.5ml/分に増加され、DRIは8時間放置安定化され、その後最初のサンプルが注入される。LSレーザーは、サンプルをかける少なくとも1〜1.5時間前に電源を入れられる。クロマトグラムの各点における濃度(c)は、ベースラインを差し引かれたDRIシグナルから、以下の式を使用して計算される:
c=KDRIIDRI/(dn/dc)
この式で、KDRIはDRIを較正することによって決定された定数であり、また(dn/dc)はその系の屈折率増分である。屈折率(n)は、145℃のTCBおよびλ=690nmの場合にn=1.500である。GPC−3D法の本明細書の記載全体にわたってのパラメーターの単位は、濃度がg/cm3単位で表され、分子量はg/モル単位で表され、また固有粘度はdL/g単位で表されるようなものである。
LS検知器は、Wyatt Technology社製High Temperature DAWN HELEOSである。クロマトグラムの各点での分子量(M)は、静的光散乱についての以下のZimmモデル(M.B.Huglin、「ポリマー溶液からの光散乱」、Academic Press社、1971年)を使用して、LS出力を分析することによって決定される:
この式で、ΔR(θ)は散乱角θで測定された超過レーリー散乱強度であり、cはDRI分析から決定されたポリマー濃度であり、A2は第二ビリアル係数である。P(θ)は単分散ランダムコイルについての形状因子であり、Koはその系の光学定数である:
この式で、NAはアボガドロ数であり、また(dn/dc)はその系の屈折率増分であり、これはDRI法から得られたものと同じ値をとる。屈折率(n)は、145℃のTCBおよびλ=657nmの場合にn=1.500である。
高温Viscotek社粘度計、これは2台の圧力変換器を備えたホイートストンブリッジ状に配置された4本のキャピラリーを有し、これが比粘度を測定するために使用された。1台の変換器は検出器を通しての全圧力低下を測定し、ブリッジの2つの側の間に配置された他方の変換器は差圧を測定する。粘度計を通って流れる溶液の比粘度(ηs)は、それらの出力から計算される。クロマトグラムの各点における固有粘度[η]は次の式から計算される:
ηs=c[η]+0.3(c[η])2
この式で、cは濃度であり、DRIの出力から測定された。
分枝指数(g’vis)は、GPC−DRI−LS−VIS法の出力を使用して以下のように計算される。
この式で、総和は積分限界間のクロマトグラフのスライスiの全体にわたる。
分枝指数g’visは以下のように定義される:
Mvは、LS分析によって測定された分子量に基く粘度平均分子量である。Z平均分枝指数(g’Zave)は、Ci=ポリマーピーク内のスライスiの濃度、にそのスライスの質量の2乗(Mi2)を掛けたものを使用して計算される。
試験されたサンプルのデータ処理に使用されたMark−Houwinkパラメーターは以下のとおりである:1)エチレンポリマーについて:K/a=0.000579/0.695;および2)プロピレンポリマーについて:K/a=0.0002288/0.705。
特に断りのない限り、全ての分子量は重量平均である。特に断りのない限り、全ての分子量はg/モル単位で報告される。
GPC−3D手順と「Rapid GPC」との間に矛盾がある場合には、直ぐ上のGPC−3D手順が使用されるものとする。Mw、Mn、MWDを決定する方法に関するさらなる詳細は、米国特許出願公開第2006/0173123号、24〜25頁、段落[0341]〜[0334]に記載されている。
GPC−4D手順:多数の検知器をつながれたGPC−IRによる分子量、コモノマー組成および長鎖分枝の決定(新規に生成された「バイモーダルゴム」に使用)
別段の指示がない限り、分子量の分布およびモーメント(Mw、Mn、MW/Mn等)、コモノマー含有量(C2、C3、C6等)および分枝指数(g’vis)は、多重チャンネルバンドフィルターに基いた赤外線検出器IR5、18角光散乱検知器および粘度計を装備した高温ゲル透過クロマトグラフィー(Polymer Char社製GPC−IR)を使用することにより決定される。3本のAgilent社製PLゲル、10μm、ミックスB LSカラムが使用されて、 ポリマーの分離が提供される。Aldrich社試薬グレード1,2,4−トリクロロベンゼン(TCB)が、300ppmの酸化防止剤ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含んで移動相として使用される。TCB混合物は0.1μmテフロン(商標)フィルターを通してろ過され、オンライン脱ガス装置で脱ガスされ、その後GPC機器に入れられる。名目流量は1.0ml/分であり、また名目注入体積は200μLである。移送ライン、カラムおよび検知器を含む装置全体は、145℃に維持されたオーブンに収容されている。ポリマーサンプルは秤量され、標準ガラス瓶の中に入れられ、80μLのフローマーカー(ヘプタン)がそこに加えられて密閉される。ガラス瓶をオートサンプラーに装填した後、ポリマーは、機器の中でTCBの加えられた8mlの溶媒に自動的に溶解される。ポリマーは、ほとんどのPEサンプルの場合に約1時間またはPPサンプルの場合に2時間連続的に振とうされながら、160℃で溶解される。濃度の計算に使用されるTCBの密度は、室温で1.463g/mlおよび145℃で1.284g/mlである。サンプル溶液の濃度は0.2〜2.0mg/mlであり、より低い濃度がより高い分子量サンプルに使用される。クロマトグラム中の各点における濃度(c)は、ベースラインを差し引かれたIR5の広帯域シグナル強度(I)から以下の式:c=βIを使用して計算され、この式でβは質量定数である。質量回収率は、溶出体積に対する濃度クロマトグラフィーの積分された面積と、所定の濃度に注入ループの体積を掛けたものに等しい注入質量と、の比から計算される。従来の分子量(IR MW)は、普遍的較正関係式とカラムの較正とを組み合わせることによって決定され、カラムの較正は、700〜10Mg/モルの範囲の一連の単分散ポリスチレン(PS)標準物を用いて行なわれる。各溶出体積のMWは、以下の式を用いて計算される。
この式で、下付き文字「PS」を有する変数はポリスチレンを表し、他方、下付き文字のないものは試験サンプルを表す。この方法で、αPS=0.67およびKPS=0.000175であり、他方、αおよびKは、文献(Sun,T.ら、(2001年)Macromolecules、34巻、6812〜6820頁)に公表されたとおりに計算された他の材料を表し、本開示の目的のためには、以下の例外がある:エチレン、プロピレン、ジエンモノマーコポリマーの場合、α=0.700およびK=0.0003931(下の実施例1はK=0.000351およびα=0.701を使用したことに注意せよ。);直鎖状エチレンポリマーの場合、α=0.695およびK=0.000579;直鎖状プロピレンポリマーの場合、α=0.705およびK=0002288;直鎖状ブテンポリマーの場合、α=0.695およびK=000181;エチレンブテンコポリマーの場合、αは0.695であり、Kは0.000579*(1−0.0087*w2b+0.000018*(w2b)^2)であり、ここでw2bはブテンコモノマーのバルク重量パーセントであり;エチレンヘキセンコポリマーの場合、αは0.695であり、Kは0.000579*(1−0.0075*w2b)であり、ここでw2bはヘキセンコモノマーのバルク重量パーセントであり;またエチレンオクテンコポリマーの場合、αは0.695であり、Kは0.000579*(1−0.0077*w2b)であり、ここでw2bはオクテンコモノマーのバルク重量パーセントである。別段の断りのない限り、濃度はg/cm3単位で表され、分子量はg/モルで表され、また固有粘度(したがって、KはMark−Houwinkの式の中のKである。)はdL/g単位で表される。
コモノマーの組成は、一連のPEおよびPPのホモ/コポリマー標準物を用いて較正されたCH2およびCH3チャンネルに対応するIR5検知器強度の比によって決定される。特に、これは、分子量の関数として1,000個の全炭素当たりのメチル基数(CH3/1000TC)を提供する。次に、1000TC当たりの短鎖分岐(SCB)含有量(SCB/1000TC)が、各ポリマー鎖が直鎖状であり各末端でメチル基によって停止されると仮定して、CH3/1000TC関数にポリマー鎖末端部の補正を適用することにより、分子量の関数として計算される。コモノマー重量%が、次に以下の式:
w2=f*SCB/1000TC
から得られ、この式で、fは、C3、C4、C6、C8等々コモノマーの場合に、各々0.3、0.4、0.6、0.8等々である。
GPC−IRおよびGPC−4D分析からのポリマーのバルク組成は、濃度クロマトグラムの積分限界間のCH3およびCH2チャンネルの全シグナルを考慮することによって得られる。最初に、以下の比が得られる。
次に、CH3とCH2とのシグナル比の同じ較正が、分子量の関数としてCH3/1000TCを得る際に前に言及されたように、バルクCH3/1000TCを得るために適用される。1000TC当たりのバルクメチル鎖末端部(バルクCH3末端部/1000TC)が、分子量の範囲にわたって鎖末端部の補正を重量平均することによって得られる。そうすると、
w2b=f*バルクCH3/1000TC
となり、バルクSCB/1000TCは、上に記載されたのと同じ様式でバルクw2に変換される。
LS検知器は、18角のWyatt Technology社製High Temperature DAWN HELEOS IIである。クロマトグラムの各点での分子量(M)は、静的光散乱についての以下のZimmモデル(「ポリマー溶液からの光散乱」、Huglin,M.B.編、Academic Press社、1972年)を使用して、LS出力を分析することによって決定される:
この式で、ΔR(θ)は散乱角θで測定された超過レーリー散乱強度であり、cはIR5分析から決定されたポリマー濃度であり、A2は第二ビリアル係数である。P(θ)は単分散ランダムコイルについての形状因子であり、Koはその系の光学定数である:
この式で、NAはアボガドロ数であり、また(dn/dc)はその系の屈折率増分である。屈折率(n)は、145℃のTCBおよびλ=657nmの場合にn=1.500である。ポリエチレンホモポリマー、エチレン−ヘキセンコポリマーおよびエチレン−オクテンコポリマーを分析する場合、dn/dc=0.1048ml/mgおよびA2=0.0015であり;エチレン−ブテンコポリマーを分析する場合、dn/dc=0.1048*(1−0.00126*w2)ml/mgおよびA2=0.0015であり、ここで、w2はブテンコモノマーの重量パーセントである。
高温Agilent社(またはViscotek社)粘度計、これは2台の圧力変換器を備えたホイートストンブリッジ状に配置された4本のキャピラリーを有し、これが比粘度を測定するために使用された。1台の変換器は検出器を通しての全圧力低下を測定し、ブリッジの2つの側の間に配置された他方の変換器は差圧を測定する。粘度計を通って流れる溶液の比粘度(ηs)は、それらの出力から計算される。クロマトグラムの各点における固有粘度[η]は、式:[η]=ηs/cから計算され、この式で、cは濃度であり、IR5の広帯域チャンネル出力から測定される。各点における粘度MWは、
M=KpsMαps+1/[η]
として計算され、この式で、αpsは0.67であり、またKPSは0.000175である。
分枝指数(g’vis)は、GPC−IR5−LS−VIS法の出力を使用して以下のように計算される。サンプルの平均固有粘度([η] avg)は以下の式によって計算される:
この式で、総和は積分限界間のクロマトグラフのスライスiの全体にわたる。
分枝指数g’visは以下のように定義される:
この式で、Mvは、LS分析によって決定された分子量に基いた粘度平均分子量であり、またKおよびαは、参照の直鎖状ポリマーを表し、本開示の目的のためには、これらは、エチレン、プロピレン、ジエンモノマーコポリマーの場合、α=0.700およびK=0.0003931;直鎖状エチレンポリマーの場合、α=0.695およびK=0.000579;直鎖状プロピレンポリマーの場合、α=0.705およびK=0002288;直鎖状ブテンポリマーの場合、α=0.695およびK=000181;エチレンブテンコポリマーの場合、αは0.695であり、Kは0.000579*(1−0.0087*w2b+0.000018*(w2b)^2)であり、ここでw2bはブテンコモノマーのバルク重量パーセントであり;エチレンヘキセンコポリマーの場合、αは0.695であり、Kは0.000579*(1−0.0075*w2b)であり、ここでw2bはヘキセンコモノマーのバルク重量パーセントであり;またエチレンオクテンコポリマーの場合、αは0.695であり、Kは0.000579*(1−0.0077*w2b)であり、ここでw2bはオクテンコモノマーのバルク重量パーセントである。。別段の断りのない限り、濃度はg/cm3単位で表され、分子量はg/モルで表され、また固有粘度(したがって、KはMark−Houwinkの式の中のKである。)はdL/g単位で表される。w2b値の計算は、上で議論されたとおりである。
上に記載されていない実験および分析の詳細は、検知器の較正方法ならびにMark−Houwinkのパラメーターおよび第二ビリアル係数の組成依存性の計算方法を含めて、Sun,T.ら、(2001年)Macromolecules、34巻(19号)、6812〜6820頁によって記載されている。
特に断りのない限り、全ての分子量は重量平均である。特に断りのない限り、全ての分子量はg/モル単位で報告される。
1000炭素当たりのメチル基(CH3/1000炭素)は、1H NMRによって決定される。
特に断りのない限り、メルトインデックス(MI、I2とも呼ばれる。)は、2.16kgの荷重の下で、190℃でASTM D1238によって測定される。MIの単位は、g/10分またはdg/分である。
高荷重メルトインデックス(HLMI、I21とも呼ばれる。)は、21.6kgの荷重の下で、190℃でASTM D−1238によって測定されたメルトフローレートである。HLMIの単位は、g/10分またはdg/分である。
メルトインデックス比(MIR)は、高荷重メルトインデックスとメルトインデックスとの比、すなわちI21/I2である。
これまでの記載は本開示の実施形態に向けられているけれども、本開示の他のおよびさらなる実施形態が、その基本的な範囲から外れずに考案されてもよく、また、その範囲は引き続く特許請求の範囲によって決定される。