JP2021529262A - 高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金及びその製造方法 - Google Patents

高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金及びその製造方法を提供する。Cu−Ag−Sc合金の成分は、Ag1〜10質量%、Sc0.05〜0.5質量%、残成分がCuであり、硬度が88〜148HVであり、導電性が83〜88%IACSである。製造方法は、(1)金属Agと金属Scとをアーク炉に入れ、真空熔解し、アーク炉で冷却してAg−Sc中間合金を得るステップと、(2)Ag−Sc中間合金と電解銅と金属Agとを誘導加熱炉に入れ、真空条件下且つ1200〜1300℃で熔解して鋳造し、誘導加熱炉で室温まで冷却するステップと、(3)不活性雰囲気下、700〜850℃に加熱して熱処理を行い、水で常温に冷却するステップと、(4)不活性雰囲気下、400〜500℃に加熱してエージング処理を行い、常温に空冷するステップとを含む。本発明の方法では、中間合金Ag−Scを使用する方式によって、成分が均一に分布するCu−Ag−Sc合金を得ることができ、ScがCuに溶融しにくいという問題を解決することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、非金属合金(non−ferrous alloy)の技術分野に属し、特に、高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金及びその製造方法に関する。
現代の産業と技術の発展に伴い、硬度及び導電性に優れた導電性材料を必要とする分野が増えている。金属銅が優れた導電性を有するが、硬度は産業と技術の要求に満たさない。よって、多くの学者が金属銅に異なる割合のAgを添加して合金硬度を増強させ、材料の硬度を向上させる方法を提案している。
Cu−Ag合金では、Agの相の析出挙動は、連続析出及び不連続析出の2つの方式を有する。不連続析出相は、低含有量のAgを有するCu−Ag合金(8wt%以下)によく現れ、且つその分布が高角度の粒子境界付近に集中し、形状としては粗い繊維状を形成する傾向がある。一方で、連続析出相は、高含有量のAg合金(8wt%以上)によく現れ、分布が粒子内部に集中し、微小且つ網状の形態を形成する傾向がある。その結果、不連続析出相の密度よりも連続析出相の密度が大きい。多数の実験結果により、Cu−Agの複合材料の硬度は、高密度のAg繊維の影響に由来することがわかった。変形後のAg繊維の密度は、変形前のCu−Ag合金におけるAg析出相の密度に比例しているので、Agの連続析出相を得ることは、Cu−Ag複合材料の性能を改善することを期待できる。研究によると、連続析出相の割合は、Ag含有量の増加とともに増加する(8〜30wt%の範囲内)ことが分かった。しかし、金属Agを使用すれば、コストが高くなるため、低含有量のAgでも、連続析出相を得られるCu−Ag合金を製造する方法は、Cu−Ag合金に関する分野における注目される研究である。
中国特許出願200510048639.8は、Reを添加してCu−Ag合金構造を微細化させ、また、大きな変形及び合理的な熱処理によって、硬度及び導電性に優れた繊維強化材料を提案している。中国特許出願201310614153.0は、Zrを添加することによって、Cu−Ag合金の再結晶温度、クリープ硬度、高温低サイクル疲労耐性(High temperature low cycle fatigue)を改善し、合金の軟化耐性と熱硬度を向上させる技術を開示している。中国特許出願02110785.8は、低含有量AgのCu−Ag合金に、少量のCr、Ce、La、Ndを添加する方法を開示しており、Ag含有量の低減及び製造プロセスの簡素化を実現する同時に、硬度及び導電性が24%−25%Agの合金性能に達する技術を開示している。中国特許出願201610218372.0は、Cu−Ag合金に少量のFeを添加して、磁場の作用下で、合金硬度が増加し、合金原材料のコストを削減することを実現できるが、材料の導電性が大幅に低下した問題があった。中国特許出願201610173651.Xでは、Nb、Cr及びMoを添加した後、合理な熱処理温度及び時間を制御してAgの析出方式を制御することを開示しており、当該方法は、Agの連続析出相の形成を促進し、Cu−Ag合金材料の硬度及び導電性を向上させたが、第3主成分の融点が高いため、合金鋳塊の製造が困難となり、応用への展開に制限した。
なお、学術記事でも、Agの析出方式を制御する方法について検討している。例えば、A. Gaganovら(Materials Science and Engineering: A. 2006, 2:437)、J. Freudenbergerら(Materials Science and Engineering: A. 2010, 7−8:527)、J.B. Liuら(Materials Science and Engineering: A. 2012.1, 532)は、Zr元素の添加でAgの不連続析出相を抑制し、連続析出相の形成を促進できるが、Zrの融点が高いため(1855℃)、Cu及びAgに固溶性がほとんどない。従って、鋳塊の熔解が困難であり、特に工業生産に必要な大きな鋳塊を形成できないという問題がある。
本発明は、従来の技術欠点を解決するためのものであり、高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金及びその製造方法を提供している。具体的には、低含有量のAgを有するCu−Ag合金に、微量のSc元素を添加し、Agの析出方式を変化させ、硬度及び導電性に優れるCu−Ag−Sc合金を得ることを特徴としている。
本発明の高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金の成分は、Ag1〜10質量%、Sc0.05〜0.5質量%、残成分がCuであり、硬度が88〜148HVであり、導電性が83〜88%IACSである。
本発明の高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金の製造方法は、
ステップ1:金属Agと金属Scとをアーク炉に入れ、真空条件下で熔解し、アーク炉で室温まで冷却して、Scの含有量が0.5〜5質量%であるAg−Sc中間合金を得るステップと、
ステップ2:Ag−Sc中間合金と、電解銅と、金属Agとを誘導加熱炉に入れ、真空条件下で1200〜1300℃に加熱し、10〜60min保温熔解して鋳造し、誘導加熱炉で室温まで冷却して合金鋳塊であって、合金鋳塊の成分は、Ag1〜10質量%、Sc0.05〜0.5質量%、残成分がCuである合金鋳塊を形成するステップと、
ステップ3:不活性雰囲気下、合金鋳塊を700〜850℃に加熱し、1〜15h保温熱処理して、水で室温まで急冷して熱処理された合金鋳塊を得るステップと、
ステップ4:不活性雰囲気下、熱処理された合金鋳塊を400〜500℃に加熱し、2〜20h保温エージング処理し、常温まで空冷して、硬度88〜148HV、導電性83〜88%IACSの高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金を得るステップと、を含む。
前記ステップ1及び2の真空度が10−2MPa以下である。
不活性雰囲気がアルゴン雰囲気である。
従来の技術では、第3成分としてSc元素を用いてCu−Ag合金及びその製造方法はなく、Sc元素の融点が1541℃であり、Zr(1855℃)よりも低い。また、Sc元素は、Agに一定の固溶性(926℃での固溶性が4.6wt%である)を有するため、本発明では、Ag−Sc中間合金を利用してScをCu−Ag合金に均一に添加し、さらに合理的な熱処理方法を介して、Agを連続的な析出相の方式でCu基体に分布することを実現している。また、Scは、CuとAgとの中間化合物を形成できるため、合金の硬度を大幅に増大させることができる。それによって、Cu−Ag−Sc合金の硬度が同じ条件下で得られたCu−Ag合金よりも大幅に高くなった。
本発明の方法は、中間合金Ag−Scを使用することにより、成分が均一に分布したCu−Ag−Sc合金を得て、ScがCu中で溶融しにくいという問題を解決した。
本発明の実施例2の比較例であるCu−2.8Ag合金の電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例2の高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金の電子顕微鏡写真である。
本発明の実施例は、マイクロ硬度計を使用して硬度を測定し、4点プローブ方を使用して複合材料の導電率を検出している。
本発明の実施例に使用された金属Agは、99.990〜99.998%の純度を有する銀棒である。
本発明の実施例に使用された金属Scの純度が99.75〜99.99%である。
本発明の実施例に使用された電解銅の純度が99.95〜99.99%である。
以下、本発明の好ましい実施例を説明する。
金属Agと金属Scとをアーク炉に入れ、真空条件下で熔解する。ここで、真空度が10−2MPa以下である。その後、アーク炉で室温まで冷却し、Ag−Sc中間合金(intermediate alloy)を得る。Ag−Sc中間合金のSc含有量が5質量%である。
Ag−Sc中間合金と、電解銅と、金属Agとを誘導加熱炉に入れ、真空条件下で1300℃に加熱する。ここで、真空度が10−2MPa以下である。15min保温熔解して鋳造し、誘導加熱炉で室温まで冷却して合金鋳塊を形成する。合金鋳塊の成分は、Ag1質量%、Sc0.1質量%、残成分がCuである。
不活性雰囲気下、合金鋳塊を800℃に加熱し、4h保温熱処理し、次に水で室温まで急冷して、熱処理された合金鋳塊を得る。
アルゴン雰囲気下で、熱処理された合金鋳塊を475℃に加熱し、4h保温エージング処理し、常温まで空冷して、硬度88HV、導電性87.5%IACSの高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金を得る。
実施例1の方法と比較して、異なる点が以下のようである。
(1)Ag−Sc中間合金のSc含有量が3質量%である。
(2)誘導加熱炉にて、真空条件下で1250℃に加熱し、20min保温熔解して鋳造し、誘導加熱炉で室温まで冷却して合金鋳塊を形成する。合金鋳塊の成分は、Ag3質量%、Sc0.3質量%、残成分がCuである。
(3)合金鋳塊を760℃に加熱し、2h保温する。
(4)エージング処理温度が450℃であり、8h保温する。硬度108HV、導電性88%IACSの高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金を得る。
従来のScを添加しないCu−2.8Ag合金と比較して、Cu−3Ag−0.3Sc合金の硬度が44.6%増加した。また、Cu−2.8Ag合金の電子顕微鏡写真が図1及び図2に示している。図より、Cu−3Ag−0.3Sc合金には、Agの細かく均一な連続析出相が現れ、Cu−3Agには、Agの粗い不連続析出相が現れている。
本実施例のCu−3Ag−0.3Sc合金の硬度は、Cu−3Agよりも高くなっている。450℃エージング後のCu−3Ag−0.3Sc合金の硬度が108HVであり、同条件下でのCu−3Agより44.6%高くなっている。走査型電子顕微鏡では、Cu−3Ag−0.3Sc合金は、Agの微細で均一な連続性析出相しかなく、Cu−3Agには、Agの粗い不連続析出相しか現れていない(図1を参照)。
実施例1の方法と比較して、異なる点が以下のようである。
(1)Ag−Sc中間合金のSc含有量が5質量%である。
(2)誘導加熱炉にて、真空条件下で1250℃に加熱し、15min保温熔解して鋳造し、誘導加熱炉で室温まで冷却して合金鋳塊を形成する。合金鋳塊の成分は、Ag3質量%、Sc0.4質量%、残成分がCuである。
(3)合金鋳塊を760℃に加熱し、10h保温する。
(4)エージング処理温度が450℃であり、4h保温し、硬度115HV、導電性84%IACSの高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金を得る。
実施例1の方法と比較して、異なる点が以下のようである。
(1)Ag−Sc中間合金のSc含有量が2質量%である。
(2)誘導加熱炉にて、真空条件下で1300℃に加熱し、20min保温熔解して鋳造し、誘導加熱炉で室温まで冷却して合金鋳塊を形成する。合金鋳塊の成分は、Ag7質量%、Sc0.07質量%、残成分がCuである。
(3)合金鋳塊を760℃に加熱し、6h保温する。
(4)エージング処理温度が450℃であり、16h保温し、硬度148HV、導電性83%IACSの高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金を得る。
本発明は、非金属合金(non−ferrous alloy)の技術分野に属し、特に、高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金及びその製造方法に関する。
現代の産業と技術の発展に伴い、硬度及び導電性に優れた導電性材料を必要とする分野が増えている。金属銅が優れた導電性を有するが、硬度は産業と技術の要求に満たさない。よって、多くの学者が金属銅に異なる割合のAgを添加して合金硬度を増強させ、材料の硬度を向上させる方法を提案している。
Cu−Ag合金では、Agの相の析出挙動は、連続析出及び不連続析出の2つの方式を有する。不連続析出相は、低含有量のAgを有するCu−Ag合金(8wt%以下)によく現れ、且つその分布が高角度の粒子境界付近に集中し、形状としては粗い繊維状を形成する傾向がある。一方で、連続析出相は、高含有量のAg合金(8wt%以上)によく現れ、分布が粒子内部に集中し、微小且つ網状の形態を形成する傾向がある。その結果、不連続析出相の密度よりも連続析出相の密度が大きい。多数の実験結果により、Cu−Agの複合材料の硬度は、高密度のAg繊維の影響に由来することがわかった。変形後のAg繊維の密度は、変形前のCu−Ag合金におけるAg析出相の密度に比例しているので、Agの連続析出相を得ることは、Cu−Ag複合材料の性能を改善することを期待できる。研究によると、連続析出相の割合は、Ag含有量の増加とともに増加する(8〜30wt%の範囲内)ことが分かった。しかし、金属Agを使用すれば、コストが高くなるため、低含有量のAgでも、連続析出相を得られるCu−Ag合金を製造する方法は、Cu−Ag合金に関する分野における注目される研究である。
中国特許出願200510048639.8は、Reを添加してCu−Ag合金構造を微細化させ、また、大きな変形及び合理的な熱処理によって、硬度及び導電性に優れた繊維強化材料を提案している。中国特許出願201310614153.0は、Zrを添加することによって、Cu−Ag合金の再結晶温度、クリープ硬度、高温低サイクル疲労耐性(High temperature low cycle fatigue)を改善し、合金の軟化耐性と熱硬度を向上させる技術を開示している。中国特許出願02110785.8は、低含有量AgのCu−Ag合金に、少量のCr、Ce、La、Ndを添加する方法を開示しており、Ag含有量の低減及び製造プロセスの簡素化を実現する同時に、硬度及び導電性が24%−25%Agの合金性能に達する技術を開示している。中国特許出願201610218372.0は、Cu−Ag合金に少量のFeを添加して、磁場の作用下で、合金硬度が増加し、合金原材料のコストを削減することを実現できるが、材料の導電性が大幅に低下した問題があった。中国特許出願201610173651.Xでは、Nb、Cr及びMoを添加した後、合理な熱処理温度及び時間を制御してAgの析出方式を制御することを開示しており、当該方法は、Agの連続析出相の形成を促進し、Cu−Ag合金材料の硬度及び導電性を向上させたが、第3主成分の融点が高いため、合金鋳塊の製造が困難となり、応用への展開に制限した。
なお、学術記事でも、Agの析出方式を制御する方法について検討している。例えば、A. Gaganovら(Materials Science and Engineering: A. 2006, 2:437)、J. Freudenbergerら(Materials Science and Engineering: A. 2010, 7−8:527)、J.B. Liuら(Materials Science and Engineering: A. 2012.1, 532)は、Zr元素の添加でAgの不連続析出相を抑制し、連続析出相の形成を促進できるが、Zrの融点が高いため(1855℃)、Cu及びAgに固溶性がほとんどない。従って、鋳塊の熔解が困難であり、特に工業生産に必要な大きな鋳塊を形成できないという問題がある。
本発明は、従来の技術欠点を解決するためのものであり、高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金及びその製造方法を提供している。具体的には、低含有量のAgを有するCu−Ag合金に、微量のSc元素を添加し、Agの析出方式を変化させ、硬度及び導電性に優れるCu−Ag−Sc合金を得ることを特徴としている。
本発明の高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金の成分は、Ag1〜10質量%、Sc0.05〜0.5質量%、残成分がCuであり、硬度が88〜148HVであり、導電性が83〜88%IACSである。
本発明の高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金の製造方法は、
ステップ1:金属Agと金属Scとをアーク炉に入れ、真空条件下で熔解し、アーク炉で室温まで冷却して、Scの含有量が0.5〜5質量%であるAg−Sc中間合金を得るステップと、
ステップ2:Ag−Sc中間合金と、電解銅と、金属Agとを誘導加熱炉に入れ、真空条件下で1200〜1300℃に加熱し、10〜60min保温熔解して鋳造し、誘導加熱炉で室温まで冷却して合金鋳塊であって、合金鋳塊の成分は、Ag1〜10質量%、Sc0.05〜0.5質量%、残成分がCuである合金鋳塊を形成するステップと、
ステップ3:不活性雰囲気下、合金鋳塊を700〜850℃に加熱し、1〜15h保温熱処理して、水で室温まで急冷して熱処理された合金鋳塊を得るステップと、
ステップ4:不活性雰囲気下、熱処理された合金鋳塊を400〜500℃に加熱し、2〜20h保温エージング処理し、常温まで空冷して、硬度88〜148HV、導電性83〜88%IACSの高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金を得るステップと、を含む。
前記ステップ1及び2の真空度が10−2MPa以下である。
不活性雰囲気がアルゴン雰囲気である。
従来の技術では、第3成分としてSc元素を用いてCu−Ag合金及びその製造方法はなく、Sc元素の融点が1541℃であり、Zr(1855℃)よりも低い。また、Sc元素は、Agに一定の固溶性(926℃での固溶性が4.6wt%である)を有するため、本発明では、Ag−Sc中間合金を利用してScをCu−Ag合金に均一に添加し、さらに合理的な熱処理方法を介して、Agを連続的な析出相の方式でCu基体に分布することを実現している。また、Scは、CuとAgとの中間化合物を形成できるため、合金の硬度を大幅に増大させることができる。それによって、Cu−Ag−Sc合金の硬度が同じ条件下で得られたCu−Ag合金よりも大幅に高くなった。
本発明の方法は、中間合金Ag−Scを使用することにより、成分が均一に分布したCu−Ag−Sc合金を得て、ScがCu中で溶融しにくいという問題を解決した。
本発明の実施例2の比較例であるCu−2.8Ag合金の電子顕微鏡写真である。 本発明の実施例2の高硬度・高導電性Cu−2.8Ag−0.2Sc合金の電子顕微鏡写真である。
本発明の実施例は、マイクロ硬度計を使用して硬度を測定し、4点プローブ方を使用して複合材料の導電率を検出している。
本発明の実施例に使用された金属Agは、99.990〜99.998%の純度を有する銀棒である。
本発明の実施例に使用された金属Scの純度が99.75〜99.99%である。
本発明の実施例に使用された電解銅の純度が99.95〜99.99%である。
以下、本発明の好ましい実施例を説明する。
金属Agと金属Scとをアーク炉に入れ、真空条件下で熔解する。ここで、真空度が10−2MPa以下である。その後、アーク炉で室温まで冷却し、Ag−Sc中間合金(intermediate alloy)を得る。Ag−Sc中間合金のSc含有量が5質量%である。
Ag−Sc中間合金と、電解銅と、金属Agとを誘導加熱炉に入れ、真空条件下で1300℃に加熱する。ここで、真空度が10−2MPa以下である。15min保温熔解して鋳造し、誘導加熱炉で室温まで冷却して合金鋳塊を形成する。合金鋳塊の成分は、Ag1質量%、Sc0.1質量%、残成分がCuである。
不活性雰囲気下、合金鋳塊を800℃に加熱し、4h保温熱処理し、次に水で室温まで急冷して、熱処理された合金鋳塊を得る。
アルゴン雰囲気下で、熱処理された合金鋳塊を475℃に加熱し、4h保温エージング処理し、常温まで空冷して、硬度88HV、導電性87.5%IACSの高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金を得る。
実施例1の方法と比較して、異なる点が以下のようである。
(1)Ag−Sc中間合金のSc含有量が3質量%である。
(2)誘導加熱炉にて、真空条件下で1250℃に加熱し、20min保温熔解して鋳造し、誘導加熱炉で室温まで冷却して合金鋳塊を形成する。合金鋳塊の成分は、Ag2.8質量%、Sc0.2質量%、残成分がCuである。
(3)合金鋳塊を760℃に加熱し、2h保温する。
(4)エージング処理温度が450℃であり、8h保温する。硬度108HV、導電性88%IACSの高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金を得る。
従来のScを添加しないCu−2.8Ag合金と比較して、Cu−2.8Ag−0.2Sc合金の硬度が44.6%増加した。また、Cu−2.8Ag合金の電子顕微鏡写真が図1に示している。図2より、Cu−2.8Ag−0.2Sc合金には、Agの細かく均一な連続析出相が現れ、Cu−2.8Agには、Agの粗い不連続析出相が現れている。
本実施例のCu−2.8Ag−0.2Sc合金の硬度は、Cu−2.8Agよりも高くなっている。450℃エージング後のCu−2.8Ag−0.2Sc合金の硬度が108HVであり、同条件下でのCu−2.8Agより44.6%高くなっている。走査型電子顕微鏡では、Cu−2.8Ag−0.2Sc合金は、Agの微細で均一な連続性析出相しかなく、Cu−2.8Agには、Agの粗い不連続析出相しか現れていない(図1を参照)。
実施例1の方法と比較して、異なる点が以下のようである。
(1)Ag−Sc中間合金のSc含有量が5質量%である。
(2)誘導加熱炉にて、真空条件下で1250℃に加熱し、15min保温熔解して鋳造し、誘導加熱炉で室温まで冷却して合金鋳塊を形成する。合金鋳塊の成分は、Ag3質量%、Sc0.4質量%、残成分がCuである。
(3)合金鋳塊を760℃に加熱し、10h保温する。
(4)エージング処理温度が450℃であり、4h保温し、硬度115HV、導電性84%IACSの高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金を得る。
実施例1の方法と比較して、異なる点が以下のようである。
(1)Ag−Sc中間合金のSc含有量が2質量%である。
(2)誘導加熱炉にて、真空条件下で1300℃に加熱し、20min保温熔解して鋳造し、誘導加熱炉で室温まで冷却して合金鋳塊を形成する。合金鋳塊の成分は、Ag7質量%、Sc0.07質量%、残成分がCuである。
(3)合金鋳塊を760℃に加熱し、6h保温する。
(4)エージング処理温度が450℃であり、16h保温し、硬度148HV、導電性83%IACSの高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金を得る。

Claims (3)

  1. 高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金の製造方法であって、
    (1)金属Agと金属Scとをアーク炉に入れ、真空条件下で熔解し、アーク炉で室温まで冷却して、Scの含有量が0.5〜5質量%であるAg−Sc中間合金を得るステップと、
    (2)Ag−Sc中間合金と、電解銅と、金属Agとを誘導加熱炉に入れ、真空条件下で1200〜1300℃に加熱し、10〜60min保温熔解して鋳造し、誘導加熱炉で室温まで冷却して合金鋳塊であって、合金鋳塊の成分は、Ag1〜10質量%、Sc0.05〜0.5質量%、残成分がCuである合金鋳塊を形成するステップと、
    (3)不活性雰囲気下、合金鋳塊を700〜850℃に加熱し、1〜15h保温熱処理して、水で室温まで急冷して熱処理された合金鋳塊を得るステップと、
    (4)不活性雰囲気下、熱処理された合金鋳塊を400〜500℃に加熱し、2〜20h保温エージング処理し、常温まで空冷して、硬度88〜148HV、導電性83〜88%IACSの高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金を得るステップと、を含む高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金の製造方法。
  2. ステップ(1)及び(2)の真空度が10−2MPa以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金の製造方法。
  3. ステップ(3)での不活性雰囲気がアルゴン雰囲気である、ことを特徴とする請求項1に記載の高硬度・高導電性Cu−Ag−Sc合金の製造方法。
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