JP2021519745A - 腫瘍細胞の抗腫瘍薬に対する薬剤耐性を逆転させる方法および薬 - Google Patents
腫瘍細胞の抗腫瘍薬に対する薬剤耐性を逆転させる方法および薬 Download PDFInfo
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Abstract
Description
(1)本発明の霊芝抽出物は、抗腫瘍多剤耐性の作用を有する。同等投与量で、本発明の霊芝抽出物の効力は、他の霊芝トリテルペン単量体および霊芝多糖などの霊芝成分よりもはるかに強く、霊芝抽出物における特有の活性成分は、相乗作用を有し、かつ霊芝抽出物は、肝毒性を増加させることがなく、良好な安全性を有する。これからわかるように、本発明で得られた霊芝抽出物により、効果増加及び減毒の有益な効果が得られた。
(2)本発明の霊芝抽出物は、細胞毒性が無く、多剤耐性細胞におけるローダミン123(Rh123)の蓄積を顕著に増加させることができ、その効果は他の霊芝単量体成分よりも強く、P-gp機能に対して抑制作用を有することを示している。且つ、HepG2/ADM細胞(ヒト肝臓癌薬剤耐性腫瘍細胞)のパクリタキセル、ビンクリスチン、ドキソルビシンに対する薬剤耐性を逆転させることができ、MCF-7/ADR細胞(ヒト乳癌薬剤耐性腫瘍細胞)のパクリタキセル、ドキソルビシンに対する薬剤耐性を逆転させることができ、P-糖タンパク質の機能に対して抑制作用を有する。
(3)本発明の霊芝抽出物の作用により、移植腫瘍のパクリタキセル、ビンクリスチンに対する感受性が回復され、パクリタキセルの体内副作用を増強させることがない。
霊芝子実体を乾燥して粗粉に粉砕した後、10倍量の5%エタノールで加熱還流して3回抽出し、毎回3時間であり、濾過し、3回の抽出液を合わせた後、エタノール抽出液を得て、濃縮し乾燥させ、霊芝子実体アルコール抽出物、すなわち霊芝抽出物が得られた。
霊芝子実体を乾燥して粗粉に粉砕した後、5倍量の95%エタノールで加熱還流して3回抽出し、毎回3時間であり、濾過し、3回の抽出液を合わせた後、エタノール抽出液を得て、濃縮し乾燥させ、霊芝子実体アルコール抽出物、すなわち霊芝抽出物が得られた。
本実施例で調製された霊芝抽出物の成分に対して高速液体クロマトグラフィー分析を行い、そのうち、8種類のトリテルペン(ガノデル酸A、ガノデル酸B、ガノデル酸C2、ガノデル酸G、ガノデル酸LM2、ガノデル酸H、ガノデル酸F、ルシデン酸)の合計含有量は9.45%で、エルゴステロールの含有量が0.21%で、霊芝多糖の含有量が2.8%であった。高速液体クロマトグラフィーのクロマトグラムを図1に示し、8種類のトリテルペンの各々の含有量を表1に示す。本発明の以下の実施例の中で薬理実験に用いられる治験薬はいずれも本実施例で得られた霊芝抽出物であり、実施例1の霊芝抽出物の効果は本実施例と類似しているので、ここでは詳細な説明を省略する。
発明者は、本発明の調製方法を利用して、異なる抽出パラメータで霊芝抽出物を調製し、且つ調製された霊芝抽出物の成分範囲をまとめた。本含有量比率の霊芝抽出物の調製方法は実施例2に示されている。
本発明の調製方法を利用して得られた霊芝抽出物の成分範囲を表2-1及び表2-2に示す。
本実施例の腫瘍細胞の増殖実験に用いられる治験薬は、実施例2で得られた霊芝エタノール(95%)抽出物であり、そのうち、8種類のトリテルペン(ガノデル酸A、ガノデル酸B、ガノデル酸C2、ガノデル酸G、ガノデル酸LM2、ガノデル酸H、ガノデル酸F、ルシデン酸)の合計含有量が9.45%で、エルゴステロールの含有量が0.21%で、多糖の含有量が2.8%であった。
MTT法で細胞増殖を評価する。即ち、ヒト肝臓癌細胞株(HepG-2)又はヒト乳癌細胞株(MCF-7)を1ウェルあたり4×103細胞になるように96ウェルプレートに接種して一晩培養し、次に異なる濃度(31.25〜1000.00μg/mL)の試料で細胞を48時間処理した。次いで、ウェル毎に20μl MTTを添加し、細胞を4時間インキュベートした。最後に、形成された紫色のホルマザン結晶体を150μl DMSOで溶解し、マルチモードマイクロプレートリーダー(Bio-Rad laboratories、USA)を用いて、490nm波長で、その吸光度を測定した。Graph Pad Prism5.0を用いてIC50値を計算した。
MTT試験により試料のヒト肝臓癌薬剤耐性細胞HepG-2/ADMに対する毒性効果を測定し、その結果を図2に示す。横座標は、試料の濃度であり、縦座標は、細胞生存率であった。HepG-2/ADM細胞でMTT細胞毒性アッセイを評価した。様々な濃度の試料で細胞を48時間処理し、細胞生存率を測定した。試料と対照品との吸光度の比から、細胞増殖に対する試料の抑制効果を計算した。結果の値は、3つの独立した試験の平均値±標準偏差(n=6)として計算された。図2から明らかなように、0〜1000.00μg/mLの範囲内で濃度を次第に増加させた試料で48時間処理した場合、これらの細胞の増殖は抑制されなかった。1000.00μg/mLの試料で処理した場合、90%以上の細胞の生存が確認された。その結果、本発明の霊芝抽出物がヒト肝臓癌薬剤耐性細胞に対して細胞毒性がないことが分かった。従って、霊芝抽出物の多剤耐性に対する逆転作用についてさらに検討する。
本実施例の腫瘍薬剤耐性逆転実験に用いられる治験薬は実施例2で得られた霊芝エタノール(95%)抽出物であり、そのうち、8種類のトリテルペン(ガノデル酸A、ガノデル酸B、ガノデル酸C2、ガノデル酸G、ガノデル酸LM2、ガノデル酸H、ガノデル酸F、ルシデン酸)の合計含有量は9.45%で、エルゴステロールの含有量が0.21%で、多糖の含有量が2.8%であった。
1.インビトロ薬剤耐性抑制活性試験
ヒト肝臓癌感受性細胞株HepG-2と薬剤耐性細胞株HepG-2/ADM、及び、ヒト乳癌感受性細胞MCF-7と薬剤耐性細胞MCF-7/ADRの2対の腫瘍薬剤耐性/感受性細胞株を選択した。
陽性対照薬はベラパミルであり、抗腫瘍陽性薬はパクリタキセル(paclitaxel)、ビンクリスチン(VCR)、ドキソルビシン(Doxorubicin、DOX)であった。
治験薬において、Sample 1(試料1)はガノデル酸A、Sample 2(試料2)はガノデル酸B、Sample 3(試料3)はガノデリン酸B、Sample 4(試料4)はガノデリオールF、Sample 5(試料5)は霊芝多糖、Sample 6(試料6)は本発明の実施例2の霊芝抽出物であった。
薬剤耐性逆転剤は、非毒性投与量で活性評価を行う必要があるため、MTT法を利用して細胞毒性を測定した。非毒性投与量又はIC10に相当する投与量で3つの投与量を設定し、且つそれぞれの陽性及び陰性の対照群を設け、陽性対照薬はベラパミルであった。
対数増殖期の細胞を96ウェルプレートに接種し、細胞を完全に接着させた後、元の培地を廃棄し、治験薬及び異なる濃度の抗腫瘍薬の両方を含有する培地を加え、ベラパミル(VRP)を陽性対照とした。72時間インキュベートした後、ウェル毎に30μlの5mg/mL MTT溶液を加えて4時間処理した。廃液を廃棄し、100μLのDMSOを加えて生成されたホルマザンを溶解して、マイクロプレートリーダーでそのOD値を測定し、且つPrism4.0ソフトウェアによりIC50を算出し、IC50により逆転剤の逆転倍数を算出し、逆転倍数(fold reversal、FR)で逆転効果の評価を示す:逆転倍数=単独投与IC50/併合投与IC50であった。霊芝抽出物の薬剤耐性ヒト肝臓がん細胞株HepG-2/ADM細胞に対する逆転作用の結果を表3に示し、霊芝抽出物の薬剤耐性ヒト乳がん細胞株MCF-7/ADR細胞に対する逆転作用結果表4に示す。
本発明の霊芝抽出物は、腫瘍の薬剤耐性を顕著に逆転させる作用を有し、複数種の腫瘍細胞の複数種の抗腫瘍薬に対する耐性を逆転させることができ、且つ他の霊芝成分よりも強い効果を示す。同等投与量で、本発明の霊芝抽出物の効果は、他の霊芝トリテルペン単量体および霊芝多糖などの霊芝成分よりもはるかに強く、本霊芝抽出物における特有の活性成分が相乗作用を有することを示唆している。
2. 霊芝抽出物のHepG-2/ADM細胞でのRh-123蓄積への影響
ローダミン123(Rh-123)は、糖タンパク質の特異的な蛍光プローブ基質であり、糖タンパク質の機能を測定するためのものである。
(1)Rh-123蓄積試験
1ウェル当たり1×105細胞になるように細胞を6ウェルプレートに接種し、一晩インキュベートした。細胞濃度が0.5mg/mLの試料溶液を37℃で48時間処理した後、10.0μM Rh-123染色液を用いて恒温、遮光で4時間培養した。上記のようにして、細胞を収集し、冷たいPBS溶液で3回洗浄した。最後に、細胞をPBS緩衝液中で懸濁させ、フローサイトメーターで細胞内のRh-123の蛍光強度を測定し、得られたデータをFlowJo7.6.1ソフトウェアで解析した。
(2)霊芝抽出物によるHepG-2/ADM細胞でのRh-123蓄積の増加
本研究において、試料のRh-123の蓄積は、P-糖タンパク質過剰発現のHepG-2/ADM細胞に影響を及ぼすことが検出された。細胞を500μg/mLの試料で4時間処理した後、フローサイトメトリーにより分析した。実験結果は、図3に示すように、P-タンパク質が発現しないヒト肝臓がん感受性細胞(Rh-123 accumulation in HepG-2)がヒト肝臓がん薬剤耐性細胞(Rh-123 accumulation in HepG-2/ADM)よりも高いレベルのRh-123を蓄積した。このことからわかるように、このヒト肝癌細胞株が大多数のP-タンパク質基質抗がん剤に対して非常に強い耐性を有する。フローサイトメトリー分析の対照群及び試料群のHepG-2/ADM細胞でのRh-123(10.0μM)の蓄積については、フローサイトメトリーにより細胞内の蛍光強度を測定することにより、細胞内のRh-123含有量を反映する。ここで、霊芝抽出物(Sample 6)の作用は最も強く、0.5mg/mL以下の霊芝抽出物は、多剤耐性細胞でのRh-123の蓄積を顕著に増加させることができる。この2つの結果は、いずれも霊芝抽出物がP-gp機能に対して抑制作用を有し、その作用が最も強いことを示している。
1.ヒト癌のヌードマウス異種移植腫瘍モデルの構築
P-gpにより仲介された多剤耐性の研究において、HepG-2/ADMおよびMCF-7/ADRは、研究に適した標的細胞である。本試験では、HepG-2/ADM及びMCF-7/ADRのヒト癌のヌードマウス異種移植腫瘍モデルが利用され、それが体内の多剤耐性の表現型を維持し、且つパクリタキセル及びビンクリスチンに対して耐性を有することを見出した。
実験全体で、抗腫瘍陽性薬はパクリタキセルおよびビンクリスチンであった。HepG-2/ADMおよびMCF-7/ADR細胞をそれぞれインビトロで培養、収集し、そして、ヌードマウスの片側にHepG2/ADMまたはMCF-7/ADR細胞(25%マトリゲルを含有する200μlリン酸塩緩衝液中の1×107個の細胞)を一回皮下注射した。腫瘍が見られる場合、腫瘍の長さおよび幅を測定して体積を計算した。腫瘍サイズが約100mm3になると、ヌードマウスを無作為に4つの群(5匹のヌードマウスを一群とする)に分け、そして、異なる治療方法で処理した。(a)control:生理食塩水(0.9%,i.p.,q2d×8)。(b)パクリタキセル(18mg/kg,i.p.,q2d×8)またはビンクリスチン(5mg/kg,i.p.,q1d×16)のみ。(c)試料(400mg/kg,i.g.,q1d×16)。(d)パクリタキセル(18mg/kg,i.p.,q2d×8)またはビンクリスチン(5mg/kg,i.p.,q2d×8)と試料(400mg/kg,i.p.,q1d×8)。マウスの体重、長さ及び幅を二日毎に記録し、以下の式に従って腫瘍の体積を算出した。
腫瘍の体積および処理時間に基づいて、腫瘍増殖曲線を描いた。対照群の腫瘍平均体積が1300mm3に達した直後(マウス個体差のため)、マウスをCO2窒息により安楽死させた。マウスから腫瘍組織を切除し、その重量を測定した。以下の式に従って増殖抑制率(IR)を算出した。
IR=1-(実験群の腫瘍の平均重量/対照群の腫瘍の平均重量)×100%
各群の試験の最後に、動物を安楽死させ、マウスの体重および腫瘍の重量を記録した。異種移植腫瘍組織を採取し、ウェスタンブロット分析のために、群毎に三つの腫瘍を液体窒素中で凍結させ、かつ、他の腫瘍を収集し、ホルマリン中で固着し、HE染色の研究を行った。
2. 霊芝抽出物の薬剤耐性癌細胞に対する全体的な抗癌効果
(1)ヌードマウスのHepG-2/ADM細胞異種移植モデルによる霊芝試料のインビボでのパクリタキセル耐性を逆転させる効果に対する評価
試料とパクリタキセルとの組み合わせにより、同様にマウスを処理し、HepG-2/ADM異種移植腫瘍モデルのMDR逆転効果を図4に示す。図4において、Aは、処理後の16日目で、各群のマウスから切除したHepG-2/ADM腫瘍の大きさの代表的な画像である。Bは、P-gp過剰発現のHepG-2/ADM移植腫瘍モデルにおける実験時間の経過に伴う腫瘍体積の変化を示しており、その処理過程は以下のとおりである。(a)control:生理食塩水(i.p.,q2d×8);(b)paclitaxel:パクリタキセルのみ(18mg/kg,i.p.,q2d×8);(c)Sample 6:霊芝抽出物のみ(400mg/kg,i.g.,q1d×16);(d)Sample 6+paclitaxel:パクリタキセル(18mg/kg,i.p.,q2d×8)及び霊芝抽出物(400mg/kg,i.g.,q1d×16)。折れ線グラフでの各点は、移植後の特定日の腫瘍体積(mm3)の平均値(n=5)を表し、且つ、各棒はSD/100を表す。対照群及びパクリタキセルのみの群に比べて、*は差異が顕著である(P<0.05)、**は差異が非常に顕著である(P<0.01)ことを表す。Cは、各群のマウスから切除したHepG-2/ADM腫瘍の腫瘍重量の平均値(マウス、n=5)を示しており、各列は測定値の平均値、棒はSDを表し、未処理の対照群と比べて、*は差異が顕著である(P<0.05)、**は差異が非常に顕著である(P<0.01)ことを表す。Dは、P-gp過剰発現のHepG-2/ADM移植腫瘍モデルでの実験時間の経過に伴う体重平均値の変化を示している。
図4から分かるように、生理食塩水群に比べて、投与量が18mg/kgであるパクリタキセルはマウスにおける腫瘍増殖をわずかに抑制することしかできず、該移植瘤がMDR表現型を保持してパクリタキセル治療に対して耐性を有することが示された。さらに、生理食塩水(陰性対照)、パクリタキセル(陽性対照)、霊芝抽出物で処理された動物間の腫瘍サイズに有意差は認められなかった。パクリタキセルのみで処理されたマウスは、腫瘍増殖抑制率が18.56%であり、霊芝抽出物とパクリタキセルとの組み合わせの群は、パクリタキセルのみの群及び霊芝抽出物のみの治療群に比べて、腫瘍増殖が顕著に抑制された。霊芝抽出物とパクリタキセルとの組み合わせの群は、腫瘍増殖抑制率が68.18%であり、パクリタキセルのみの群の18.56%よりも高い。この結果からわかるように、霊芝抽出物は、インビボでP-gpにより仲介されたMDRに対して顕著な逆転作用を有する。また、投与量試験では、霊芝抽出物とパクリタキセルとの組み合せの群に、死亡したり、体重が著しく減少したりすることが確認されなかった。このことから、組み合せ案で毒性・副作用の発生の増加がないことが分かった。
(2)ヒト癌のヌードマウスMCF-7/ADR細胞異種移植モデルによる霊芝試料のインビボでのビンクリスチン耐性を逆転させる効果に対する評価
ヒト癌のヌードマウスMCF-7/ADR細胞異種移植モデルにおいて、霊芝抽出物とビンクリスチンとの組み合わせの群の場合、腫瘍増殖抑制率は76.52%であり、ビンクリスチンのみの群の24.31%よりも高い。このことから、霊芝抽出物がヒト乳癌MCF-7/ADR細胞のビンクリスチンに対する耐性を逆転させることが分かった。
したがって、ヒト癌のヌードマウス異種移植モデルでは、霊芝抽出物が、糖タンパク質(P-gp)により仲介された腫瘍多剤耐性(MDR)を逆転させた。
1.Western blot 分析
腫瘍組織を溶解緩衝液(20mMTris-HCl pH 7.4、2mM EDTA、500mMバナジン酸ナトリウム、1% Triton X-100、0.1% SDS、10mM NaF、10mg/mLロイペプチン、および1mM PMSF)中に入れ、CoolBoxTM XTシステム(Sigma)で均質化させた。ブラッドフォード法を用いてタンパク質濃度を定量化した。4〜12%SDS-PAGE法で40mgのタンパク質溶液を分離し、次にPVDF膜に移し、脱色シェーカー上で5%の脱脂粉乳で2時間振動密閉してから、ブロッキングバッファーを廃棄し、4℃の一次抗体(1:1000)中で一晩インキュベートし、PBSTで洗浄した後、1:2000の割合で二次抗体を加えて37℃で1時間インキュベートし、増強化学発光検出システム(Thermo Fisher社)で分析した。
2.霊芝抽出物によるP-gpのタンパク質レベルの変化がない
P-gpにより仲介されたMDRに対する逆転作用は、P-gpの機能を抑制する、またはその発現を低下させることによって達成することができる。本研究においては、各群の3つの腫瘍についてタンパク質発現レベルを分析した。P-gp発現レベルは、ウェスタンブロッティングにより分析された。GAPDHは、ローディングコントロールに使用された。ウェスタンブロット画像で3つの独立した実験の結果を示す。
霊芝抽出物の異なる群の異種移植腫瘍組織におけるP-gpタンパク質の発現レベルに対する影響の結果を図5に示す。ここで、Aは試料6(霊芝抽出物)を使用する場合及び試料6とパクリタキセルとを併用する場合のP-gp発現に対する効果を示しており、左側は3つの腫瘍サンプルの電気泳動図であり、右側は別の3つの腫瘍サンプルの電気泳動図であり、Bは試料6を使用する場合及び試料6とパクリタキセルとを併用する場合のP-gp発現に対する定量効果(左側の3つの腫瘍サンプルの電気泳動図に対する定量)を示しており、Cは試料6を使用する場合及び試料6とパクリタキセルとを併用する場合P-gp発現に対する定量効果(右側の3つの腫瘍サンプルの電気泳動図に対する定量)を示している。図5からわかるように、400mg/kgの霊芝抽出物は、移植腫瘍組織中のP-pg発現を大きく変化させることがない。さらに、この研究では、パクリタキセル治療群は、腫瘍組織中のP-pg発現をわずかに増加させることができた。このことから、MDRの逆転がそのmRNAまたはタンパク質レベルを低下させることではなく、P-gpの排出機能を直接抑制することにより実現される可能性が高いことは示唆されている。
異種移植組織を4%のポリホルムアルデヒドに固着して、標準作業でパラフィンに包埋し、回転式ミクロトームで5μmの切片を切除し、ヘマトキシリンとエオシンを用いて染色し、附属したデジタルカメラ(Leica ICC50)のLeica DM750顕微鏡でガラススライドを検査した。各群の代表的な病理組織切片図を図6に示す。ここで、controlは対照群、paclitaxelはパクリタキセル群、Sample6は霊芝抽出物群、Sample6+paclitaxelは霊芝抽出物及びパクリタキセル群である。
図6から明らかなように、霊芝抽出物とパクリタキセルとの協同作用で、移植腫瘍組織に面積の大きな細胞核の凝縮、腫瘍細胞細胞質の空胞化及び壊死した腫瘍細胞が認められ、同時にリンパ細胞及び形質細胞浸潤の腫瘍組織の充血があり、このことから、霊芝抽出物の作用で、HepG-2/ADM移植腫瘍のパクリタキセルに対する感受性が回復されたことを示唆している。
1.血液化学分析
Drew Trilogy Analyzer(Diamond Diagnostics, Holliston, MA, USA)を使用して血漿中アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)レベルを測定した。
2.霊芝抽出物によるパクリタキセルのインビボ副作用の増強がない
肝毒性および心筋症は、パクリタキセルの2つの危険な副作用であり、うっ血性心不全および肝不全を引き起こす。霊芝抽出物のマウスのALT及びASTレベルへの影響の統計図を図7に示す。生理食塩水群に比べて、パクリタキセルは血液中のAST濃度を軽微に増加させることができる。パクリタキセルおよび霊芝抽出物を併用してヌードマウスを治療することは、これらの動物におけるALTまたはAST濃度を増加させることができない。このことから、組み合わせ案により、毒性・副作用の発生率を増加させることがないことを示している。
Claims (10)
- 腫瘍細胞の抗腫瘍薬に対する薬剤耐性を逆転させる方法であって、患者に霊芝抽出物を投与することを含む、ことを特徴とする方法。
- 前記霊芝抽出物は、アルコールにより抽出されて得られるものである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記霊芝抽出物の調製方法において、
霊芝子実体を乾燥させ粗末に粉砕し、エタノールで加熱還流して抽出し、濾過し、抽出液を合わせてエタノール抽出液を得て、濃縮し、乾燥させ、霊芝抽出物である霊芝子実体アルコール抽出物を得る、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。 - 前記エタノールの体積分率は5〜99%、抽出回数は1〜3回、毎回の抽出時間は3時間である、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
- 前記霊芝抽出物は、ガノデル酸A、ガノデル酸B、ガノデリン酸C、ガノデル酸C2、ガノデル酸G、ガノデル酸LM2、ガノデリン酸B、ガノデル酸H、ガノデル酸D、ガノデル酸F、ルシデン酸、ガノデリン酸D、エルゴステロール及び霊芝多糖を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記霊芝抽出物において、エルゴステロールの質量パーセント濃度が0.1〜0.25%、霊芝多糖の質量パーセント濃度が0.5〜20%、ガノデル酸A、ガノデル酸B、ガノデル酸C2、ガノデル酸G、ガノデル酸LM2、ガノデル酸H、ガノデル酸F及びルシデン酸の合計質量パーセント濃度が0.1〜11%である、ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
- 前記腫瘍細胞の抗腫瘍薬に対する薬剤耐性を逆転させることは、HepG2/ADM細胞のパクリタキセル、ビンクリスチン、ドキソルビシンに対する薬剤耐性を逆転させることであり、前記腫瘍細胞の抗腫瘍薬に対する薬剤耐性を逆転させることは、MCF-7/ADR細胞のパクリタキセル、ドキソルビシンに対する薬剤耐性を逆転させることである、前記腫瘍細胞の抗腫瘍薬に対する薬剤耐性を逆転させることは、P-糖タンパク質の機能を抑制することである、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 抗腫瘍多剤耐性薬であって、霊芝抽出物を含む、ことを特徴とする薬。
- 前記薬は、さらに薬学的に受容可能なキャリアを含む、ことを特徴とする請求項8に記載の薬。
- 前記薬の剤形は、錠剤、カプセル剤、トローチ剤、顆粒剤、顆粒製剤、丸剤、散剤、膏剤、丹剤、懸濁剤、溶液剤、注射剤、坐剤、クリーム剤、噴霧剤、滴剤又は貼付剤である、ことを特徴とする請求項8または9に記載の薬。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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