JP2021519279A - 修飾環式ジヌクレオチド化合物 - Google Patents

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Abstract

式(I)の化合物[式中、塩基、R1およびR2は、請求項1のように定義される]は、STINGのモジュレーターである。

Description

本発明は、サイトカイン産生を誘導する式(I)の新規修飾環式ジヌクレオチド化合物(「CDN」)、およびその薬学的に許容される塩に関する。さらに、本発明は、医薬組成物および前記化合物を含む組合せ、ならびにSTING(インターフェロン遺伝子刺激因子)に関連しているまたはSTINGによってモジュレートされる疾患の処置方法におけるそれらの使用に関する。具体的には、本発明の医薬組成物は、炎症、アレルギー性および自己免疫性疾患、感染性疾患、がんの治療に適しており、かつワクチンアジュバントとして適している。
免疫系の役割は、身体を病原体および悪性細胞から保護することである。しかし、ウイルスおよびがん細胞は、免疫系を逃れる方法を見つける。したがって、免疫療法の目的は、病原性侵入物またはがん性細胞に対する免疫系のある種の細胞型において、抗原特異的免疫応答を開始させることまたは既存の応答を再活性化することである。
免疫系は、自然免疫系と適応免疫系の2群に大別することができるいくつかの特殊化された系列からなる。免疫反応の成功には、両群に由来する系列が協調的に働かなければならない。自然免疫系の主要な役割は、病原体または悪性細胞に対して、適応系とは異なり、抗原特異的かつ持続的というわけではない迅速な免疫応答に取りかかることである。病原体または形質転換細胞の直接死滅に加えて、自然免疫系は、適応免疫系の活性化とその後の指揮も行う。樹状細胞などの抗原提示細胞は、抗原を捕獲し、ペプチド−主要組織適合性複合体(MHC)複合体の形でリンパ組織のT細胞に提示する。この抗原提示はある種のサイトカインの分泌と共に、抗原特異的エフェクターCD4およびCD8T細胞の活性化および分化を引き起こす。抗原提示細胞および他の細胞型によるI型インターフェロン(IFN)産生は、I型IFNの欠如によりウイルス感染または腫瘍細胞に対するT細胞依存性免疫応答が低減されたので、T細胞の活性化における重要な事象と考えられる(Zitvogel et al, Nature Reviews Immunology 15, 405-414, 2015)。一方、がん治療時におけるI型IFNシグニチャーの存在は、腫瘍浸潤T細胞数の増加および潜在的に良好な臨床成績に関連している(Sistigu et al, Nature Medicine 20, 1301-1309, 2014)。
マウスの最近の研究により、腫瘍微小環境におけるI型IFNの効率的な分泌およびがん細胞に対するT細胞依存性免疫応答の誘導は、インターフェロン遺伝子のアダプタータンパク質刺激因子(Tmem173、MPYS、MITA、ERISとも呼ばれるSTING)の存在に依存することが示された(Woo et al, Immunity 41, 5, 830-842, 2014; Corrales et al, Cell Reports 11, 1018-1030, 2015; Deng et al, Immunity 41, 5, 843-852, 2014)。I型IFNの存在の重要性は、STINGの欠損が腫瘍微小環境におけるI型IFNレベルの低下および数種のマウス腫瘍モデルにおける抗腫瘍効果の低下をもたらしたという事実により強調された。一方、STINGの特異的活性化により、がん細胞に対する抗原特異的T細胞免疫応答が改善された。
STINGは、核酸センサーのファミリーに属し、サイトゾルDNAシグナル伝達のアダプターである。STINGは、その基礎状態では二量体として存在し、そのN末端ドメインはERに留められ、C末端ドメインはサイトゾルに存在する。タンパク質の環式GMP−AMPシンターゼ(cGAS)によって産生された環式ジヌクレオチド(CDN)は、STINGの天然リガンドである(Ablasser et al, Nature 498, 380-384, 2013)。CDNとSTINGとの結合は、立体構造変化を誘導し、TANK結合キナーゼ(TBK1)およびインターフェロン制御因子3(IRF3)の結合および活性化ならびにERから核周囲のエンドソームへの再局在化が可能になる(Liu et al, Science 347, Issue 6227, 2630-1-2630-14, 2015)。TBK1による転写因子IRF3およびNF−kBのリン酸化によって、I型IFNを含めて複数のサイトカインが発現する。
ウイルス感染症を含めて、いくつかの悪性病変およびがん治療におけるI型IFNの重要性を考えれば、STINGの特異的活性化を可能にする戦略は、治療上の重要である。
国際公開第2014/093936号には、2種のプリン核酸塩基および2種のカノニカルな3’,5’ホスホジエステルまたはホスホロチオエート部分を特徴とし、STING依存性サイトカイン産生を誘導する環式ジヌクレオチド化合物が記載されている。
米国特許第7,709,458号には、2種のプリン核酸塩基および2種のカノニカルな3’,5’ホスホジエステル部分を特徴とし、がん細胞増殖の阻害またはがん細胞アポトーシスの増加を行うために使用することができる環式ジヌクレオチド化合物、特に対称的な細菌CDNのc−ジ−GMPが記載されている。
米国特許第7,592,326号には、2種のプリン核酸塩基および2種のカノニカルな3’,5’ホスホジエステル部分を特徴とする免疫賦活性の環式ジヌクレオチド化合物、特に対称的な細菌CDNのc−ジ−GMPが記載されている。
国際公開第2016/096174号および国際公開第2016/145102号には、2種のプリン核酸塩基および2種のカノニカルな3’,5’ホスホジエステルまたはホスホロチオエート部分を特徴とし、STING依存性サイトカイン産生を誘導する環式ジヌクレオチド化合物が記載されている。
国際公開第2018/009466号には、ロックド核酸部分および2種のホスホロチオエート部分を特徴とし、STING依存性サイトカイン産生を誘導する環式ジヌクレオチド化合物が記載されている。
Bioorg. Med. Chem. Lett. 18 (2008) 5631-5634には、対称的な細菌CDNのc−ジ−GMPの免疫賦活性のモノ−およびビス−ホスホロチオエート類似体が記載されている。
国際公開第2014/189805号には、2種のプリン核酸塩基および少なくとも1種の非カノニカルな2’,5’ホスホジエステルまたはホスホロチオエート部分を特徴とし、STING依存性サイトカイン産生を誘導する環式ジヌクレオチド化合物が記載されている。
国際公開第2015/185565号には、2種のプリン核酸塩基、リボーステトラヒドロフラン環の代わりに1種または2種のシクロペンタン、および1種の非カノニカルな2’,5’ホスホジエステル部分を特徴とし、STINGをモジュレートする環式ジヌクレオチド化合物が記載されている。
国際公開第2016/120305号には、2種のプリン核酸塩基、2’−OHが2’−Fで置き換えられている1種のリボース部分、および1種の非カノニカルな2’,5’ホスホジエステル部分を特徴とし、STINGをモジュレートする環式ジヌクレオチド化合物が記載されている。
米国特許出願公開第2014/0329889号、国際公開第2014/099824号、国際公開第2015/017652号、Cell 154, 748-762 (2013)、およびMolecular Cell 51, 226-235 (2013)には、2種のプリン核酸塩基、1種のカノニカルな3’,5’および1種の非カノニカルな2’,5’ホスホジエステル部分を特徴とする環式ジヌクレオチド2’3’−cGAMP(環式[G(2’,5’)pA(3’,5’)p])が記載されている。非カノニカルに連結される2’3’−cGAMPは、カノニカルに連結される3’3’−cGAMPまたは対称的な細菌c−ジ−GMPより高い親和性でヒトSTINGに結合し、I型インターフェロン産生を誘導する。
2’,5’−2’,5’または2’,5’−3’,5’結合性を有する別の環式ジヌクレオチドがSTINGアゴニストとして、それぞれ国際公開第2017/027645号および国際公開第2017/027646号に開示されている。
第1の態様において、本発明は、式(I)の化合物
Figure 2021519279
[式中、
Baseは、アデニン、プリン、グアニンおよびヒポキサンチンからなる群から選択されるプリン核酸塩基を表し、それらのN9窒素原子を介して接続され、
1は、H、Fもしくはヒドロキシを表し、
2はHを表し、または
1は−O−であり、R2は−CH2−であり、一緒に−CH2−O−の架橋(「ロックド核酸」;「LNA」)を形成する]、
そのアイソフォーム、互変異性体、立体異性体、代謝産物、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、および塩、特に無機または有機塩基とのその生理学的に許容される塩に関する。
第2の態様において、本発明は、前もしくは後に定義される式(I)の1つもしくは複数の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、1種または複数の不活性な担体および/または希釈剤を一緒に含んでもよい医薬組成物に関する。
第3の態様において、本発明は、前もしくは後に定義される式(I)の1つもしくは複数の化合物、またはその薬学的に許容される塩、および1種または複数の追加の治療剤を含み、1種または複数の不活性な担体および/または希釈剤を一緒に含んでもよい医薬組成物に関する。
第4の態様において、本発明は、医薬として使用するための式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩に関する。
第5の態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩のワクチンアジュバントとしての使用に関する。
第6の態様において、本発明は、STINGに関連しているまたはSTINGによってモジュレートされる疾患または状態の処置、特に炎症、アレルギー性もしくは自己免疫性疾患、感染性疾患またはがんの処置を必要とする患者におけるそのような疾患または状態の処置方法に関する。
また、本発明は、STINGに関連しているまたはSTINGによってモジュレートされる疾患または状態の処置、特に炎症、アレルギー性もしくは自己免疫性疾患、感染性疾患またはがんの処置を必要とする患者におけるそのような疾患または状態の処置薬の製造における前記阻害剤の1種または複数の使用にも関する。
また、本発明は、STINGに関連しているまたはSTINGによってモジュレートされる疾患または状態の処置、特に炎症、アレルギー性もしくは自己免疫性疾患、感染性疾患またはがんの処置を必要とする患者におけるそのような疾患または状態の処置方法において使用するための、前もしくは後に定義される式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩にも関する。
本発明の他の態様は、以上および以下の説明および実施例から直接に当業者に明らかになる。
一般用語および定義
本明細書に具体的に定義されていない用語には、本開示内容および文脈を考慮に入れて、当業者であれば与えるはずの意味が与えられるべきである。しかし、本明細書において使用されるように、別段の指定のない限り、以下の用語には指示された意味があり、以下の慣例が守られている。
「本発明による化合物」、「式(I)の化合物」、「本発明の化合物」などの用語は、本発明による式(I)の化合物を意味し、その互変異性体、立体異性体および混合物と、その塩、特にその薬学的に許容される塩、ならびにその互変異性体、立体異性体および塩を含めて、そのような化合物の溶媒和物および水和物を含む。
具体的に指示されていない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲の全体にわたって、所与の化学式または名称は、互変異性体、すべての立体、光学および幾何異性体(例えば、エナンチオマー、ジアステレオマー、E/Z異性体など)と、そのラセミ体、および別個のエナンチオマーを異なる割合で含む混合物、ジアステレオマーの混合物、またはそのような異性体およびエナンチオマーが存在する場合上述の形の任意の混合物、ならびにその薬学的に許容される塩を含めて塩、および遊離化合物の溶媒和物または化合物の塩の溶媒和物を含めて、例えば水和物などのその溶媒和物を包含するものとする。
本発明の化合物が化学名の形および式で描かれている場合に、何らかの矛盾がある場合は、式が優先するものとする。
定義されたコア分子に接続されている結合を示すために、星印を部分式で使用することができる。
式(I)の化合物に関して本明細書において用いられる「実質的に純粋な」という用語は、リン原子に関して考えうる他のジアステレオマーに対して少なくとも75%の純度を有する1つの(Rp,Rp)、(Rp,Sp)、(Sp,Rp)または(Sp,Sp)ジアステレオマーを指す。好ましい実施形態において、一般式(I)の実質的に純粋な化合物は、少なくとも85%の純度、少なくとも90%の純度、少なくとも95%の純度、少なくとも97%の純度、または少なくとも99%の純度を有する。
本明細書において用いられる「保護基」という用語は、別段の定義がない限り、酸素、窒素またはリン原子に結合して、その原子のさらなる反応の防止、または他の目的を行う化学官能基を指す。多種多様な保護基は、有機合成の当業者に公知であり、例えば、“Protective Groups in Organic Synthesis” by T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Third Edition, 1999に記載されている。
「薬学的に許容される」という用語は、妥当な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしにヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに適しており、合理的なベネフィット/リスク比に相応した、化合物、材料、組成物、および/または剤形を指すために本明細書で使用されている。
本明細書において用いられる「薬学的に許容される塩」は、親化合物の酸または塩基塩を作製することにより親化合物が修飾される、開示された化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例としては、アミンなどの塩基性残基の鉱酸塩または有機酸塩;ホスホジエステルまたはホスホロチオエート部分などの酸性残基のアルカリ塩、アンモニウム塩または有機塩などが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書において用いられる「モジュレートされた」もしくは「モジュレートすること」、または「モジュレートする」という用語は別段の指示がない限り、この場合にはSTINGアゴニストを表す本発明の化合物を1つまたは複数用いて、STING経路を活性化することを指す。
本明細書において用いられる「処置(treatment)」および「処置すること(treating)」という用語は、治療的、すなわち治癒的および/または姑息的処置と、予防的(preventive)、すなわち予防的(prophylactic)処置の両方を包含する。
治療的処置は、前記状態の1種または複数を顕性、急性または慢性の形で既に発症している患者の処置を指す。治療的処置は、特定の徴候の症状を緩和するための対症的処置、あるいは徴候の状態を逆行もしくは部分逆行させるためのまたは疾患の進行を停止もしくは減速するための原因的処置とすることができる。また、治療的処置は、ある期間にわたる処置および長期治療も包含する。
予防的(preventive)処置(「予防」(prevention)、「予防的(prophylactic)処置」)は、前記状態の1つまたは複数を疾患の臨床的発症より前に発症するリスクがある患者において前記リスクを低減するための処置を指す。
「処置」および「処置すること」という用語は、症状もしくは合併症の発症を予防もしくは遅延させ、疾患、状態もしくは障害の発生の予防もしくは遅延させるために、かつ/または疾患、状態もしくは障害を除去または制御し、ならびに疾患、状態もしくは障害に伴う症状もしくは合併症を軽減するために1種または複数の活性化合物を投与することを含む。
「治療有効量」という用語は、(i)特定の疾患または状態を処理または予防し、(ii)特定の疾患または状態の1つまたは複数の症状を減弱、改善、または除去し、あるいは(iii)本明細書に記載される特定の疾患または状態の1つまたは複数の症状の発症を予防または遅延させる、本発明の化合物の量を意味する。
本発明は、処置を必要とする患者を指すとき、主に哺乳動物、特にヒトにおける処置に関する。
本発明の化合物
本発明の第1の態様は、前に本発明の概要で定義された、またはさらに詳細には、後に好ましい実施形態として定義される式(I)の化合物である。式(I)の修飾CDNは、薬理的有効性を低用量で達成することを可能にすることができる異なるヒトSTING対立遺伝子を有する細胞においてヒトSTINGに対する良好な結合親和性および良好な活性を示す。したがって、本発明の化合物は、STINGに関連しているまたはSTINGによってモジュレートされる疾患または状態の処置において有用であることが期待される。
Baseならびに置換基R1およびR2の好ましいいくつかの意味を後に記載する。これらの定義のいずれもそれぞれ、互いに組み合わせることができる。
一実施形態によれば、Baseは、アデニン、プリン、グアニンおよびヒポキサンチンからなる群から選択され、それらのN9窒素原子を介して接続される。
別の実施形態によれば、Baseは、アデニンおよびプリンからなる群から選択され、それらのN9窒素原子を介して接続される。
別の実施形態によれば、Baseはプリンであり、そのN9窒素原子を介して接続される。
別の実施形態によれば、Baseはアデニンであり、そのN9窒素原子を介して接続される。
別の実施形態によれば、Baseはグアニンであり、そのN9窒素原子を介して接続される。
別の実施形態によれば、Base1はヒポキサンチンであり、そのN9窒素原子を介して接続される。
一実施形態によれば、R1およびR2は、Hを表す。
別の実施形態によれば、R1はFを表し、R2はHを表す。
別の実施形態によれば、R1はヒドロキシを表し、R2はHを表す。
別の実施形態によれば、R1は−O−であり、R2は−CH2−であり、一緒に−CH2−O−の架橋を形成する。
別の実施形態によれば、式(I)の化合物は、化合物(I−1)である。
Figure 2021519279
別の実施形態によれば、式(I)の化合物は、化合物(I−2)である。
Figure 2021519279
別の実施形態によれば、式(I)の化合物は、化合物(I−3)である。
Figure 2021519279
本発明の化合物は、RpまたはSp立体配置のキラルなリン原子を有する。式(I)、(I−1)、(I−2)、(I−3)、および(I−4)の化合物のすべての立体異性体は実質的に純粋な形またはその混合物で、本発明によって包含される。一般式(I)、(I−1)、(I−2)、(I−3)、および(I−4)の化合物は実質的に純粋な(Rp,Rp)、(Rp,Sp)、(Sp,Rp)または(Sp,Sp)立体異性体(stereosiomer)として好ましい。
調製
当業者に公知であり、有機合成の文献に記載されている合成方法を使用して、本発明による化合物およびその中間体を得ることができる。好ましくは、化合物は、後にさらに十分に説明され、特に実験の部に記載される調製方法と類似して得られる。場合によっては、反応スキームを実施する際に採択される順序を変えてもよい。当業者に公知であるが、ここに詳細に記載されていないこれらの反応の変形も使用することができる。本発明による化合物を調製する一般方法は、以下の方法を検討すると当業者に明らかになる。出発化合物は市販されており、あるいは文献もしくは本明細書に記載される方法によって調製することができ、または類似したもしくは同様の方式で調製することができる。反応が実施される前に、通常の保護基を使用して出発化合物のいずれかの対応する官能基を保護することができる。これらの保護基は、当業者によく知られている方法を使用して、反応順序内の好適な段階で再び切断することができる。
本明細書に開示されるCDNは、以下で詳細に記載されているように、または当業者に公知の他の方法によって調製することができる。これらのスキームは決して限定するものでないこと、本発明の趣旨から逸脱することなく、細部を変更することができることが当業者に理解されている。
CDNは、Chem. Rev. 113, 7354-7401 (2013)、Org. Lett., 12, 3269-3271 (2010)、Tetrahedron 49, 1115-1132 (1993)、国際公開第2017/0247645号、国際公開第2017/027646号、国際公開第2014/189805号、国際公開第2016/096174号、国際公開第2015/185565号、国際公開第2016/145102号、国際公開第2018/009466号、または国際公開第2016/120305号、および本明細書に引用されている参考文献に記載されている方法によって得ることができる。
本発明の別の態様によれば、式(I)の化合物およびその塩を後に記載される方法によって調製することができる。
当業者は、式(I)の2つのホスホロチオエート部分はそれぞれ、R立体配置(RP)またはS立体配置(SP)で存在することができることを認識する。後に記載される方法は、合成の異なる段階で当業者に公知の方法、例えばクロマトグラフィーおよび/または分別晶出、例えば好適な溶媒系およびカラムを用いるHPLCによって分離することができる、リン原子に関して最大で4つのジアステレオマーを生じることができる。場合によっては、例えば1つの硫化ステップがジアステレオ選択的に進行するとき、後に記載される方法は、合成の異なる段階で当業者に公知のクロマトグラフまたは結晶化方法によって分離することができる2つのジアステレオマーのみを優先的に生じることができる。
上述のように、式(I)の化合物を、当業者に公知の方法によって塩、特に医薬用途の場合には薬学的に許容される塩に変換することができる。
本発明による化合物は、以下の実施例に記載されている方法を使用して得られうることも有利であり、それらの方法をこのために文献から当業者に公知の方法と組み合わせることもできる。
以下の調製方法内で明瞭に指定されていない置換基は、「発明の概要」のもとで前に述べた定義を包含するように理解されている。
式(I)の化合物は、式(II−1)または(II−2)の化合物の脱保護によって調製することができる
Figure 2021519279
[式中、
3は、ベンゾイルなどの好適な保護基を有するNHを表し、R4はHを表し(「保護されたアデニン」)、または
3はOHを表し、R4は、iso−ブチリルもしくはN,N−ジメチルホルムアミジニルなどの好適な保護基を有するNHを表し(「保護されたグアニン」)、または
3はOHを表し、R4はHを表し(「ヒポキサンチン」)、または
3およびR4は両方とも、Hを表す(「プリン」)]。
例えば、式(II−1)または(II−2)の化合物を好適な混合物、例えばメタノールまたはエタノール中メチルアミンまたはアンモニア水に溶解し、好適な温度、例えば20〜60℃で好適な期間、例えば1〜24時間撹拌する。
式(II−1)の化合物は、式(III−1)の化合物の環化、続いて硫化[式中、R3およびR4は、前述のように定義される]によって調製することができる。
Figure 2021519279
例えば、式(III−1)の化合物を好適な溶媒、例えばピリジンまたはピリジンとジクロロメタンの混合物に溶解し、好適なカップリング試薬、例えば2−クロロ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン2−オキシド(DMOCP)、ジフェニルクロロホスフェート、ピバロイルクロリドまたはアダマントイルクロリドで処理し、好適な温度、例えば−50℃〜20℃で好適な期間、例えば0.1〜2時間撹拌する。環化反応は、好適な硫化試薬、例えば3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オンまたは硫黄元素での処理によってクエンチされ、好適な温度、例えば−50℃〜20℃で好適な期間、例えば0.1〜2時間撹拌する。
類似した形で、式(II−2)の化合物は、式(III−2)の化合物の環化、続いて硫化によって調製することができる
Figure 2021519279
[式中、R3およびR4は前述のように定義される]。
式(III−1)の化合物は、式(IV−1)の化合物と式(V−1)の化合物のカップリング[式中、R3およびR4は、前述のように定義される]によって調製することができる。
Figure 2021519279
例えば、式(V−1)の化合物を好適な溶媒、例えばアセトニトリルに溶解し、式(IV−1)の化合物を好適な溶媒、例えばアセトニトリルに溶解した溶液で、好適なカップリング試薬、例えばテトラゾール、Activator 42(登録商標)(アセトニトリル中5−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−テトラゾールを含む活性化因子溶液)、ピリジニウムジクロロアセテートまたはピリジニウムトリフルオロアセテート(または混合物カップリング試薬)が存在していてもよい条件下に処理し、好適な温度、例えば0〜20℃で好適な期間、例えば0.1〜2時間撹拌する。カップリング反応は、好適な硫化試薬、例えば3−((N,N−ジメチルアミノメチリデン)アミノ)−3H−1,2,4−ジチアゾール−3−チオン(DDTT)またはフェニルアセチルジスルフィド(PADS)または3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン1,1−ジオキシド(Beaucage試薬)での処理によってクエンチされ、好適な温度、例えば0〜20℃で好適な期間、例えば0.1〜2時間撹拌する。溶媒の蒸発後、残渣を好適な溶媒、例えばジクロロメタンと水の混合物に溶解し、好適な試薬、例えばジクロロ酢酸で処理し、好適な温度、例えば0〜20℃で好適な期間、例えば0.1〜1時間撹拌する。
式(III−2)の化合物は、式(IV−2)の化合物と式(V−2)の化合物のカップリングによって類似した形で調製することができる
Figure 2021519279
[式中、R3およびR4は前述のように定義される]。
式(IV−1)の化合物は、前に定義したように式(V−2)の化合物の反応によって調製することができる。
例えば、式(V−2)の市販化合物を、好適な混合物、例えば水を含むアセトニトリルに溶解し、ピリジニウムトリフルオロアセテートで処理し、好適な温度、例えば0〜20℃で、好適な期間、例えば1〜30分間撹拌する。次いで、tert−ブチルアミンを添加し、混合物を好適な温度、例えば0〜20℃で好適な期間、例えば0.1〜1時間撹拌する。生成物を溶媒の蒸発により単離し、次いで好適な溶媒、例えば水を含むジクロロメタンに溶解し、ジクロロ酢酸で処理し、好適な温度、例えば0〜20℃で好適な期間、例えば0.1〜1時間撹拌する。
式(I)の化合物[式中、R1はHを表す]は、上記のように調製することができる。式(I)の化合物[式中、R1はOHを表す]は、酸素にtert−ブチルジメチルシリルなどの好適な保護基を使用して上記のように調製することができる。保護基は、当業者に公知の方法を使用して除去することができる。例えば、tert−ブチルジメチルシリルエーテルは、好適な溶媒、例えばピリジンまたはTHF中、それぞれトリエチルアミン三フッ化水素またはテトラブチルアンモニウムフルオリドで切断することができる。
一般式Iの化合物またはその合成中間体を、それ自体が公知の方法、例えばクロマトグラフィーおよび/または分別晶出を使用して、それらの物理化学的特性が異なることを利用することによってそれらのジアステレオマーに分割することができる。
本発明による化合物は、以下の実施例に記載されている方法を使用して得られうることも有利であり、それらの方法をこのために文献から当業者に公知の方法と組み合わせることもできる。
本発明の薬学的に許容される塩は、酸性の部分を含む親化合物から通常の化学的方法で合成することができる。一般的に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸の形と十分量の適切な塩基を水またはエーテル、酢酸エチル、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトンまたはアセトニトリル、もしくはそれらの混合物のような有機希釈剤中で反応させることによって調製することができる。あるいは、本発明の化合物(遊離酸または塩の形)を、酢酸トリエチルアンモニウム、ギ酸トリエチルアンモニウム、酢酸アンモニウムまたは炭酸水素アンモニウムの水性溶液などの「揮発性緩衝液」を使用する逆相クロマトグラフィーにかけることにより、凍結乾燥/フリーズドライ後に本発明の化合物がそれぞれのトリエチルアンモニウムまたはアンモニウム塩として得られる。あるいは、塩は、イオン交換により、例えば本発明の化合物(遊離酸または塩の形)の水性溶液をカチオン交換体で処理することによって調製することができる。
薬理活性
本発明による化合物は、ヒトSTINGに対して良好な結合親和性を示す。結合親和性は、例えばNat. Chem. Biol. 10, 1043-1048 (2014)に記載されているシンチレーション近接アッセイ(SPA)ベースの競合結合試験によって決定することができる。あるいは、結合親和性は、例えばMolecular Cell 51, 226-235 (2013)に記載される等温滴定熱量測定(ITC)によって決定することができる。あるいは、結合親和性は、例えば国際公開第2016/145102号に記載される表面プラズモン共鳴(SPR)によって決定することができる。あるいは、結合親和性は、例えば下記の示差走査蛍光定量(DSF)によって決定することができる。
本発明による化合物は、良好な細胞活性を示す。インビトロサイトカイン誘導は、下記のようにレポーター細胞系、例えばTHP1細胞において測定することができる。ヒトSTINGは、少なくとも5種の公知変異型(WT、HAQ、REF/232H、AQ、Q/293Q)で存在する。ヒトSTING変異型における異なるCDNの活性を試験するために、THP1−STING KO細胞に、異なるSTING変異型をコードするベクターを安定に導入することができる。さらに、インビトロサイトカイン誘導は、ヒト初代PBMCまたはヒト樹状細胞において測定することができる。
ヒトSTINGに対して良好な結合親和性と良好な細胞活性および/または良好なPK特性とがあいまって、より低用量で薬理的有効性が可能になりうる。より低用量には、副作用を潜在的に低減して、患者の「薬物負荷」または「薬物負担」(親薬物およびその代謝産物)を低減し、製剤の生産コストを下げるという利点がある。ヒトSTINGの変異体に対する同様に強力な活性は、一定用量が投与される場合、一塩基多型の患者において所望の薬理応答を誘導する機会を最大にするので有利である。
本発明の化合物とヒトSTINGとの結合は、以下のアッセイを使用して明らかにすることができる。
示差走査蛍光定量(DSF)
材料:
Hard−Shell(登録商標)PCR Plates 384−Well 薄壁(カタログ番号 HSP3805R、BIO−RAD)
Microseal(登録商標)’B’ Adhesive Seals for PCR Plates(カタログ番号 MSB−1001、BIO−RAD)
SYPROオレンジのDMSO溶液(SIGMAカタログ番号 S5692−500UL)、「5000x」濃縮
計測装置:読み取り装置:CFX384 Real−Time System(Bio−Rad)
ピペッティングロボット:HamiltonStarlet
アッセイ緩衝液:20mM Tris、150mM NaCl、pH7.5
標的タンパク質:ヒトSTING(hSTING、残基155−341、N末端His8タグおよびTEV切断部位を含む野生型配列、MW:23601.5Da)
タンパク質保存液:c=アッセイ緩衝液中309μM保存液
試験化合物の最終アッセイ濃度:100μM、3μM標的タンパク質、「5x」SYPRオレンジ
アッセイ手順:
1) 化合物保存液およびその希釈液をアッセイ緩衝液で調製した。
2) 5μlの蛍光色素保存液(5000x SYPROオレンジ)を50μlの標的タンパク質(309μM)および945μlの緩衝液と混合した。
3) 2μlのこのタンパク質−色素−混合物(25x SYPROオレンジおよび15μMタンパク質)を8μlの化合物溶液に添加した。最終体積は10μlであった。
4) いくつかのウェル位置を陰性対照として使用した。
5) プレートをデュプリケート測定用に調製し、1000gで2分間遠心した。
6) 測定において、0.5℃の160サイクルを使用した(温度傾斜 15秒/サイクル、15℃から95℃)。
データ解析:解離曲線をBio−Rad CFX Managerで処理した。ピーク型を「負」に設定した。少なくとも2回のTm測定を平均した。Tmの変化(「サーマルシフト」)を表1に示す。
Figure 2021519279
本発明の化合物の細胞活性は、以下のインビトロTHP1アッセイを使用して明らかにすることができる。
インビトロサイトカイン誘導
本発明による化合物のサイトカイン誘導活性は、THP1レポーター細胞系を使用して明らかにされた。
THP1細胞において発現されるSTINGタンパク質の活性化によって、インターフェロン産生が増加する。インターフェロン制御因子(IRF)誘導性SEAP(分泌型胚性アルカリホスファターゼ)レポーターコンストラクトの安定的な組込みによって、機能的インターフェロンシグナル伝達経路をモニターすることができる。InvivogenのQUANTI−Blue(商標)比色酵素アッセイおよび好適な光学濃度(OD)読み取り装置を使用して、SEAPの活性を検出および定量化することができる。この技法を使用すれば、STINGタンパク質の薬理学的修飾を特徴付けることができる。
ヒトSTINGタンパク質およびIRF誘導性SEAPレポーターコンストラクトを安定に発現するTHP1−Blue ISG細胞において、SEAP活性の測定を行った。37℃、湿度95%および5%CO2インキュベーター内で、細胞を、10%ウシ胎仔血清、50μg/mlペニシリン−ストレプトマイシン、100μg/ml Zeocin、および100μg/ml Normocinを含むRPMI1640培地にて培養増殖した。アッセイレディ細胞を凍結ストックとして貯蔵した。
アッセイの準備において、細胞をZeocin−/Normocin−不含培地にて解凍し、アッセイプレートに1ウェル当たり15000細胞/15μLの密度で分布した。化合物を、50%水性DMSOにおける8点または16点段階希釈およびアッセイにおいて最終DMSO濃度0.5%を確実にする培地への最終希釈段階によって調製した。5μlの希釈化合物と5μLの培地をプレートに添加し、続いて37℃で24時間インキュベートした。
アッセイの日に、1ウェル当たり75μlのQuanti−Blue試薬をプレートのすべてのウェルに添加し、プレートを37℃でもう30分間インキュベートした。620nmにおけるODをEnVision読み取り装置(PerkinElmer)で測定した。
EC50値およびHill勾配は、620nMにおけるODを使用してMegalabソフトウェア(Boehringer Ingelheim)で8点または16点の4パラメトリック非線形曲線適合から導き出された。表2を参照のこと。
Figure 2021519279
いくつかの一塩基多型が、環式ジヌクレオチドに対する応答に影響することができるヒトSTING遺伝子において同定された。本発明の化合物の活性を決定するために、異なるヒトSTING変異型を発現するTHP1−Blue ISGレポーター細胞系が生み出された。そうするために、CRISPR/CAS9系を使用して、内因性ヒトSTINGをまず欠失させた。THP1−Blue ISG細胞を、STING遺伝子を標的にするALL−IN−ONE CRISPRプラスミド(Sigmaから購入、導入成功のためのレポーター遺伝子としてのgRNAおよびGFPをコードする)を用いて電気穿孔した。次いで、GFP陽性細胞をトランスフェクション後24時間で選別し、増殖させた。次いで、細胞を半固体のメトセル培地に分散して、単個細胞クローン単離を可能にした。次いで、Quanti−ブルーレポーターアッセイを使用して、クローンをcGAMP応答性についてスクリーニングした。続いて、非応答性クローンを、ウエスタンブロッティングおよびSTING座位のシーケンシングによってSTING損失について分析した。
ヒトSTING変異型の過剰発現については、確認されたTHP1−Blue ISG hSTING KOクローンに、それぞれhSTINGの変異対立遺伝子(WT、HAQ、R232H、AQおよびR293Q)をコードする個々のレトロウイルスプラスミド(MSCV−ires−GFP−Blasti)を導入した。導入された細胞を異なるGFP蛍光レベルによって選別し、STING対立遺伝子発現をウェスタンブロットによって分析した。親の未修飾THP1−Blue ISG細胞系から内因性STINGレベルに匹敵するレベルで異所性STINGタンパク質(WT、HAQ、R232H、AQおよびR293Q)を発現する集団を選択し、使用して、化合物を特徴付けた。驚くべきことに、本発明による化合物は、上記の変異型細胞系の5種すべてにおいて非常に強力な細胞活性を示し、例えば実施例1.1は、WT、HAQ、R232H、AQおよびR293Q変異型細胞系のそれぞれにおいて≦1μMのEC50値を示し、変異体の明白な差異/選択性が欠けていることが示唆されることが判明した。ヒトSTINGが欠失しているTHP1細胞系において活性が観察されなかったので、観察された細胞活性はSTING依存性である。
本発明の化合物の細胞安定性を以下の通り決定した。化合物を細胞培養用培地(10%FCS、1%非必須アミノ酸および1%ピルベートを補充したMEM)に溶解し、最終濃度を10μMとし、ヒト肺上皮細胞系Calu−3(24ウェルプレートに60000細胞/ウェル)と共に最長で24時間までインキュベートした。細胞培養上清の試料を1、6、24時間に採取し、LC−MS/MSによって定量化した。
処置方法
本発明の別の態様において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩は、STINGのモジュレーションが治療上の利益となる疾患または状態の処置にとって有用であり得ることが判明している。さらに、本発明の化合物は、それらの活性のためにワクチンアジュバントとして適している。
STINGに関連しているまたはSTINGによってモジュレートされる疾患および状態は、炎症、アレルギー性もしくは自己免疫性疾患、例えばアレルギー性鼻炎もしくは喘息、感染性疾患またはがんを包含するが、これらに限定されない。
自己免疫性疾患としては、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythmatosus)、乾癬、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、皮膚筋炎およびシェーグレン症候群(SS)が挙げられるが、これらに限定されない。
炎症は、外傷に対する血管、細胞および神経学的応答群を表す。炎症は、単球、好中球および顆粒球などの炎症細胞の組織への動きと特徴付けることができる。これは、通常、内皮バリアー機能の低減および組織への浮腫に関連している。炎症を急性または慢性に分類することができる。急性炎症は、身体の有害な刺激に対する初期応答であり、血漿および白血球の血液から傷害組織への動きの増大によって実現される。一連の生化学的事象が広がり、傷害組織内の局所血管系、免疫系、および様々な細胞に関係する炎症反応を成熟させる。慢性炎症として知られている遷延化した炎症は、炎症の部位に存在する細胞の種類の進行性の変化を招き、同時に起こる破壊と組織の炎症過程からの治癒とを特徴とする。
炎症は、感染に対する免疫応答の一部分または外傷に対する急性応答として起こるとき、有益であり得、通常は自己限定性である。しかし、炎症は、様々な条件下で有害であり得る。これには、著しい器官損傷および死亡(例えば、敗血症の状況において)に至る可能性がある、感染病原体に応答した過度の炎症の生成が含まれる。さらに、慢性炎症は、一般に有害であり、組織に重度で不可逆的な損傷を引き起こす多数の慢性疾患の根源にある。そのような状況において、免疫応答は、しばしば自己組織に対して生じる(自己免疫)が、異物に対する慢性応答も、自己組織に対するバイスタンダー損傷に至る可能性がある。したがって、抗炎症療法の目的は、この炎症を低減し、自己免疫が存在するときそれを阻害し、生理的過程または治癒および組織修復が進行することを可能にすることである。
本発明の化合物を使用して、以下に例示する筋骨格炎症、血管炎症、神経炎症、消化器系炎症、眼炎症、生殖系の炎症、および他の炎症を含めて、身体のいずれかの組織および器官の炎症を処置することができる。
筋骨格炎症は、筋骨格系のいずれかの炎症状態、特に手、手首、肘、肩、顎、脊椎、頸部、尻、膝、足首、および足の関節を含めて、骨格関節に影響する状態、ならびに腱など、筋肉を骨に接続する組織に影響する状態を指す。本発明の化合物で処置することができる筋骨格炎症の例としては、関節炎(例えば、変形性関節症、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、急性および慢性の感染性関節炎、痛風および偽痛風に伴う関節炎、ならびに若年性特発性関節炎を含む)、腱炎、滑膜炎、腱鞘炎、滑液包炎、結合織炎(線維筋痛)、上顆炎、筋炎、および骨炎(例えば、パジェット病、恥骨骨炎、および嚢胞性線維性骨炎を含む)が挙げられる。眼炎症は、眼瞼を含めて、眼のいずれかの構造の炎症を指す。本発明の化合物で処置することができる眼炎症の例としては、眼瞼炎、眼瞼皮膚弛緩症、結膜炎、涙腺炎、角膜炎、乾性角結膜炎(ドライアイ)、強膜炎、睫毛乱生症、およびブドウ膜炎が挙げられる。本発明の化合物で処置することができる神経系の炎症の例としては、脳炎、ギランバレー症候群、髄膜炎、ニューロミオトニア、ナルコレプシー、多発性硬化症、脊髄炎および統合失調症が挙げられる。
本発明の化合物で処置することができる血管構造またはリンパ系の炎症の例としては、関節硬化症、関節炎、静脈炎、血管炎、およびリンパ管炎が挙げられる。
本発明の化合物で処置することができる消化器系の炎症状態の例としては、胆管炎、胆嚢炎、腸炎、腸炎、胃炎、胃腸炎、炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎など)、回腸炎、および直腸炎が挙げられる。
本発明の化合物で処置することができる生殖系の炎症状態の例としては、子宮頚炎、絨毛羊膜炎、子宮内膜炎、精巣上体炎、臍炎、卵巣炎、精巣炎、卵管炎、卵管卵巣膿瘍、尿道炎、膣炎、外陰炎、および外陰部痛が挙げられる。
作用剤を使用して、炎症性成分を有する自己免疫性状態を処置することができる。そのような状態としては、急性播種状汎発性脱毛症、ベーチェット病、シャガス病、慢性疲労症候群、自律神経障害、脳脊髄炎、強直性脊椎炎、再生不良性貧血、化膿性汗腺炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎、セリアック病、クローン病、1型糖尿病、巨細胞性動脈炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギランバレー症候群、橋本病、ヘノッホシェーンライン紫斑病、川崎病、紅斑性狼瘡、顕微鏡的大腸炎、顕微鏡的多発動脈炎、混合性結合組織病、多発性硬化症、重症筋無力症、眼球クローヌスミオクローヌス症候群、視神経炎、オード甲状腺炎、天疱瘡、結節性多発動脈炎、多発性筋肉痛、関節リウマチ、ライター症候群、シェーグレン症候群、側頭動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、温式自己免疫性溶血性貧血、間質性膀胱炎、ライム病、モルフェア、乾癬、サルコイドーシス、強皮症、潰瘍性大腸炎、および白斑が挙げられる。
作用剤を使用して、炎症性成分を有するT細胞媒介性過敏性疾患を処置することができる。そのような状態としては、接触過敏症、接触性皮膚炎(ツタウルシが原因であるものを含む)、蕁麻疹、皮膚アレルギー、呼吸アレルギー(枯草熱、アレルギー性鼻炎)およびグルテン過敏性腸症(セリアック病(Celliac disease))が挙げられる。
作用剤で処置することができる他の炎症状態としては、例えば、虫垂炎、皮膚炎、皮膚筋炎、心内膜炎、結合織炎、歯肉炎、舌炎、肝炎、化膿性汗腺炎、虹彩炎、喉頭炎、乳腺炎、心筋炎、腎炎、耳炎、膵炎、耳下腺炎、心膜炎(percarditis)、腹膜炎(peritonoitis)、咽頭炎、胸膜炎、肺臓炎、前立腺炎(prostatistis)、腎盂腎炎、および口内炎(stomatisi)、移植片拒絶(腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓(例えば、膵島細胞)、骨髄、角膜、小腸、皮膚アログラフト、皮膚ホモグラフト、および心臓弁ゼノグラフト(xengraft)などの器官、血清病(sewrum sickness)、ならびに移植片対宿主病に関係する)、急性膵炎、慢性膵炎、急性呼吸窮迫症候群、セザリー症候群(Sexary's syndrome)、先天性副腎皮質過形成症、非化濃性甲状腺炎、がんに伴う高カルシウム血症、天疱瘡、水疱性疱疹状皮膚炎、重度多形性紅斑、剥離性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、季節性または通年性アレルギー性鼻炎、気管支喘息、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎(astopic dermatitis)、薬剤過敏性反応(drug hypersensistivity reaction)、アレルギー性結膜炎、角膜炎、眼部帯状疱疹、虹彩炎および虹彩毛様体炎(oiridocyclitis)、脈絡網膜炎、視神経炎、症候性サルコイドーシス、電撃性または播種性肺結核化学療法、成人における特発性血小板減少性紫斑病、成人における続発性血小板減少症、後天性(自己免疫性(autroimmine))溶血性貧血、成人における白血病およびリンパ腫、小児期の急性白血病、限局性腸炎、自己免疫性血管炎、多発性硬化症、慢性閉塞性肺疾患、実質器官移植拒絶反応、敗血症が挙げられる。好ましい処置としては、移植片拒絶、関節リウマチ、乾癬性関節炎、多発性硬化症、1型糖尿病、喘息、炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデス、乾癬、慢性肺疾患、および感染状態に伴う炎症(例えば、敗血症)の処置が挙げられる。
一態様において、本発明の化合物を使用して処置する疾患または状態はがんである。式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物が潜在的に有益な抗腫瘍効果を及ぼすことができるがん疾患および状態の例としては、肺、骨、膵臓、皮膚、頭部、頸部、子宮、卵巣、胃、結腸、乳房、卵巣、食道、小腸、腸、内分泌系、甲状腺、副甲状腺、副腎、尿道、前立腺、陰茎、精巣、尿管、膀胱、腎臓または肝臓のがん;尿路上皮がん;直腸がん;肛門部のがん;ファロピウス管、子宮内膜、頸部、腟、陰門、腎盂、腎細胞の癌;軟部組織の肉腫;粘液腫;横紋筋腫;線維腫;脂肪腫;奇形腫;胆管癌;肝芽腫;血管肉腫;血管腫(hemagioma);肝癌;線維肉腫;軟骨肉腫;骨髄腫;慢性または急性白血病;リンパ球性リンパ腫;原発性CNSリンパ腫;CNSの新生物;脊髄軸腫瘍;扁平上皮癌;滑膜肉腫;悪性胸膜中皮腫;脳幹グリオーマ;下垂体腺腫;気管支腺腫;軟骨性過誤腫(chondromatous hanlartoma);中皮腫(inesothelioma);ホジキン病、あるいは上述のがんの1種もしくは複数の組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明による化合物で処置することができる好ましいがんは、皮膚がん、肺がん、肝がん、結腸がん、脳がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、膵がん、腎がん、胃がん、頭部がん、頸部がん、皮膚がんおよび尿路上皮がん、ならびにリンパ腫および白血病である。
新規化合物は、上記の疾患の予防、短期または長期の処置のために使用することができ、手術、放射線治療、あるいは例えば細胞分裂抑制もしくは細胞毒性物質、細胞増殖阻害剤、抗血管新生物質、ステロイドまたは抗体など他の「最新の」化合物とも組み合わせて使用してもよい。
いくつかの実施形態において、アジュバントとしての役割で、本化合物および組成物は、ワクチンを使用する治療的または予防的(prophylactic)戦略でアジュバントとして使用することができる。したがって、本発明の実質的に純粋なCDN、またはそのプロドラッグもしくは薬学的に許容される塩を、1種または複数の所定の抗原に対する免疫応答を刺激するために選択される1種または複数のワクチンと一緒に使用することができる。本発明の実質的に純粋なCDN、またはそのプロドラッグもしくは薬学的に許容される塩を、そのようなワクチンと一緒にまたはそれらに加えて提供することができる。
そのようなワクチンは、対象となる抗原、精製された抗原、抗原を発現および/もしくは分泌するように組換え改変された生ウイルスもしくは細菌送達ベクター、抗原を負荷されたもしくは抗原をコードする核酸を含む組成物をトランスフェクトされた細胞を含む抗原提示細胞(APC)ベクター、リポソーム抗原送達担体、または抗原をコードするネイキッド核酸ベクターを含む、不活性化または減弱された細菌またはウイルスを含むことができる。この一覧は、限定するものではない。例として、そのようなワクチンは、GM−CSF、CCL20、CCL3、IL−12p70、FLT−3リガンドのサイトカインの1種または複数を発現および分泌する不活性化された腫瘍細胞も含むことができる。
一般式(I)の化合物の1日当たりの適用可能な用量範囲は、患者の体重1kg当たり通常0.00001〜10mg、例えば0.00001〜1mgである。各投与量単位は、好都合には0.001〜1000mg、例えば0.001〜100mgを含むことができる。
実際の治療有効量または治療投与量は、当然、患者の年齢および体重、投与経路ならびに疾患の重症度など当業者によって公知の因子によって決まる。いずれの場合も、化合物または組成物は、様々な投与量で、患者の独自の状態に基づいて治療有効量を送達することが可能になる形で投与される。
本発明による化合物、組成物は、1種または複数の追加の治療剤とのいずれの組合せをも含めて、粘膜(例えば、経口、舌下、腟内、経鼻、頸部など)、腫瘍内、腫瘍周囲、経皮、吸入、または非経口(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、皮内、髄腔内および硬膜外投与)経路によって投与することができる。可能な投与方法のうち、腫瘍内、腫瘍周囲、皮下または静脈内投与が好ましい。
本発明の化合物は、ヒトSTINGへの良好な結合親和性、良好な細胞活性などのいくつかの利点を示し、すなわち、異なるヒトSTING対立遺伝子を有する細胞で、細胞アッセイにおいて良好な安定性を示す。
したがって、別の態様において、本発明は、サイトカイン産生をSTINGに依存した形でインビトロおよび/またはインビボで誘導し、治療で使用する、すなわち医薬として使用するのに適した薬理および薬物動態特性を有する、新規式(I)の化合物をその薬学的に許容される塩を含めて提供する。
別の態様において、本発明は、STINGに関連しているまたはSTINGによってモジュレートされる疾患または状態の処置方法において使用するための新規式(I)の化合物をその薬学的に許容される塩を含めて提供する。
別の態様において、本発明は、炎症、アレルギー性もしくは自己免疫性疾患、例えばアレルギー性鼻炎または喘息の処置のため、感染性疾患またはがんの処置のため、あるいはワクチンアジュバントとしての使用のための新規式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。
別の態様において、本発明は、STINGのモジュレーションが有益である疾患または状態の処置において使用するための医薬の製造における式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
別の態様において、本発明は、炎症、アレルギー性もしくは自己免疫性疾患、例えばアレルギー性鼻炎または喘息の処置、あるいは感染性疾患またはがんの処置において使用するための医薬の製造における式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
したがって、本発明は、医薬としての式(I)の化合物に関する。
さらに、本発明は、患者、好ましくはヒトにおいてSTINGに関連しているまたはSTINGによってモジュレートされる疾患または状態の処置方法における式(I)の化合物の使用に関する。
さらに、本発明は、炎症、アレルギー性もしくは自己免疫性疾患、例えばアレルギー性鼻炎または喘息の処置、あるいは感染性疾患またはがんの処置の方法における式(I)の化合物の使用に関する。
さらに別の態様において、本発明は、哺乳動物においてSTINGに関連しているまたはSTINGによってモジュレートされる疾患または状態の処置方法であって、そのような処置を必要とする患者、好ましくはヒトに本発明の化合物または医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含む方法に関する。
別の態様において、本発明は、対象においてSTINGに関連しているまたはSTINGによってモジュレートされる疾患または状態の処置方法であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を対象に投与するステップを含む方法を提供する。
別の態様において、本発明は、炎症、アレルギー性もしくは自己免疫性疾患、例えばアレルギー性鼻炎または喘息の処置、あるいは感染性疾患またはがんの処置を必要とする患者におけるそれらの処置方法であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量を患者に投与するステップを含む方法を提供する。
関連した態様において、本発明は、個体において免疫応答を誘導、刺激、または補助する方法に関する。これらの方法は、本発明の実質的に純粋なCDN、またはそのプロドラッグもしくは薬学的に許容される塩を個体に投与するステップを含む。
別の態様において、本発明は、疾患の処置または予防のための抗原または抗原組成物を含む免疫原性組成物を製造するための式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
別の態様において、本発明は、疾患を処置または予防する方法であって、疾患に苦しむまたは感染しやすいヒト対象に、抗原または抗原組成物および式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む免疫原性組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
別の態様において、本発明は、疾患の処置または予防において使用するための抗原または抗原組成物および式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含むワクチン組成物を提供する。
別の態様において、本発明は、疾患の処置または予防のための抗原または抗原組成物を含むワクチン組成物を製造するための式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。
別の態様において、本発明は、疾患を処置または予防する方法であって、疾患に苦しむまたは感染しやすいヒト対象に、抗原または抗原組成物および式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含むワクチン組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
医薬組成物
本発明の別の態様において、STINGに関連しているまたはSTINGによってモジュレートされる疾患または状態の処置のために前記阻害剤の治療有効量を投与するのに適している上記の化合物の医薬組成物を製剤化することができることが判明している。
本開示では、医薬組成物を薬学的に許容される担体、アジュバントおよびビヒクルを含む製剤として、経口、非経口、吸入噴霧、局所、または直腸投与を含めて様々な手段によって投与することができる。本発明の化合物の腫瘍内(腫瘍塊に直接に)または腫瘍周囲(腫瘍塊の周り)投与により、局所浸潤DCを直接に活性化し、腫瘍細胞のアポトーシスを直接に促進し、または腫瘍細胞を細胞傷害性剤に対して感作させる。
本開示の医薬組成物は、無菌の注射可能な水性または油性懸濁液などの無菌注射製剤の形をとることができる。この懸濁液は、以上または以下に述べる好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、公知技術に従って製剤化することができる。無菌注射製剤は、1,3−ブタン−ジオール溶液など無毒性の非経口投与に許容される希釈剤もしくは溶媒中の無菌の注射溶液もしくは懸濁液とすることもでき、または凍結乾燥粉末として調製することもできる。使用することができる許容されるビヒクルおよび溶媒の中に、水、リンゲル液および等張食塩水がある。さらに、無菌の不揮発油を溶媒または懸濁化媒体として慣例的に使用することができる。このために、合成モノ−またはジグリセリドを含めて、いずれの無刺激性不揮発油でも使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、同様に注射剤の調製において使用することができる。
口腔における局所投与に適した製剤としては、活性成分をフレーバー付き基剤、通常スクロースおよびアカシアまたはトラガカント中に含むロゼンジ;活性成分をゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤中に含む香錠;ならびに活性成分を好適な液体担体中に含む洗口剤が挙げられる。
腟内投与に適している製剤は、活性成分に加えて、当技術分野において適切であることが公知であるような担体を含む、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたは噴霧製剤として提示することができる。
非経口投与に適している製剤としては、製剤を所期のレシピエントの血液と等張にする抗酸化剤、緩衝液、静菌剤および溶質を含むことができる水性および非水性無菌等張注射液;ならびに懸濁化剤および粘稠化剤を含むことができる水性および非水性の無菌の懸濁液が挙げられる。製剤は、ユニット用量またはマルチ用量シール容器、例えばアンプルおよびバイアルで提示することができ、使用直前に無菌液体担体、例えば注射用水を添加するだけですむフリーズドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵することができる。注射溶液および懸濁液は、前に記載された種類の無菌粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。
したがって、本発明の別の態様によれば、式(I)の1つもしくは複数の化合物またはその薬学的に許容される塩を含み、1種または複数の不活性な担体および/または希釈剤を一緒に含んでもよい医薬組成物を提供する。
さらに、本発明は、患者、好ましくはヒトにおいてSTINGに関連しているまたはSTINGによってモジュレートされる疾患または状態の処置のための本発明による医薬組成物の使用に関する。
本発明の第2の態様の一実施形態によれば、STINGに関連しているまたはSTINGによってモジュレートされる疾患または状態の処置方法において使用するための、上記の化合物の1つもしくは複数、またはその薬学的に許容される塩を含み、1種または複数の不活性な担体および/または希釈剤を一緒に含んでもよい医薬組成物が提供される。
別の実施形態によれば、式(I)の1つもしくは複数の化合物またはその薬学的に許容される塩を含むワクチンが提供される。
別の態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含むワクチンアジュバントを提供する。
別の態様において、本発明は、抗原または抗原組成物および式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む免疫原性組成物を提供する。
別の態様において、本発明は、疾患の処置または予防において使用するための、抗原または抗原組成物および式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む免疫原性組成物を提供する。
別の実施形態によれば、式(I)の1つもしくは複数の化合物またはその薬学的に許容される塩、および1種または複数の追加の治療剤を含み、1種または複数の不活性な担体および/または希釈剤を一緒に含んでもよい医薬組成物が提供される。好ましくは、この組成物は、式(I)の1つの化合物またはその薬学的に許容される塩、および1種または複数の追加の治療剤を含む。
組合せ治療
本発明の化合物は、それら自体で使用することができ、または適切な免疫応答を誘導し、修飾し、もしくは刺激するのに十分な量の薬学的に許容される添加物と組み合わせることができる。免疫応答は、限定されるものではないが、特異的免疫応答、非特異的免疫応答、特異的応答と非特異的応答の両方、自然応答、一次免疫応答、適応免疫、二次免疫応答、記憶免疫応答、免疫細胞活性化、免疫細胞増殖、免疫細胞分化、およびサイトカイン発現を含むことができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている化合物およびその組成物は、1種または複数の所定の抗原に対する免疫応答を刺激するためのものであるワクチン;アジュバント;CTLA−4およびPD−1経路アンタゴニスト、脂質、リポソーム、化学療法剤、免疫調節性細胞系などを含む1種または複数の追加の組成物と一緒に投与される。
本明細書に記載されている化合物およびその組成物は、追加の治療もしくは予防組成物またはモダリティの前、後、および/またはそれと同時に投与することができる。これらとしては、限定されるものではないが、B7共刺激分子、インターロイキン−2、インターフェロン−g、GM−CSF、CTLA−4アンタゴニスト、OX−40/OX−40リガンド、CD40/CD40リガンド、サルグラモスチム、レバミゾール、ワクシニアウイルス、カルメットゲラン桿菌(BCG)、リポソーム、ミョウバン、フロインド完全または不完全アジュバント、無毒化エンドトキシン、鉱油、表面活性物質、例えばリポレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、および油または炭化水素乳濁液などが挙げられる。細胞溶解性T細胞応答対抗体応答を優先的に刺激するT細胞免疫応答を誘導するための担体が好ましいが、両タイプの応答を刺激するものを同様に使用することができる。作用剤がポリペプチドである場合、ポリペプチド自体またはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを投与することができる。担体は、抗原提示細胞(APC)または樹状細胞などの細胞とすることができる。抗原提示細胞としては、マクロファージ、樹状細胞およびB細胞のような細胞型が挙げられる。他のプロフェッショナル抗原提示細胞としては、単球、辺縁帯クッパー細胞、ミクログリア、ランゲルハンス細胞、指状嵌入樹状細胞、濾胞樹状細胞、およびT細胞が挙げられる。通性抗原提示細胞も使用することができる。通性抗原提示細胞の例としては、星細胞、濾胞細胞、内皮および線維芽細胞が挙げられる。担体は、ポリペプチドを発現し、またはポリヌクレオチド(polynucleoteide)を送達し、続いてワクチン接種された個体の細胞において発現されるように形質変換される細菌細胞とすることができる。水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムなどのアジュバントを添加して、ワクチンが免疫応答を引き起こし、増強し、または延長する能力を増加させることができる。リポタンパク質、LPS、モノホスホリル脂質A、リポタイコ酸、イミキモド、レシキモド、およびさらにポリI:Cなどのレチノイン酸誘導型遺伝子I(RIG−I)アゴニストを含めて、CpG、Toll様受容体(TLR)9アゴニストおよび追加のTLR 2、TLR 4、TLR 5、TLR 7、TLR 8、TLR9に対するアゴニストのような、サイトカイン、ケモカイン、および細菌の核酸配列などの追加の材料は、別々にまたは記載される組成物と組み合わせて使用され、潜在的なアジュバントでもある。アジュバントの他の代表例としては、Quillaja saponariaの樹皮およびCorynebacterium parvumから精製される均質サポニンを含む合成アジュバントQS−21が挙げられる(McCune et al., Cancer, 1979; 43:1619)。
追加の治療剤との共投与方法は、当技術分野において周知である(Hardman, et al. (eds.) (2001) Goodman and Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, 10th ed., McGraw-Hill, New York, NY; Poole and Peterson (eds.) (2001) Pharmacotherapeutics for Advanced Practice:A Practical Approach, Lippincott, Williams & Wilkins, Phila., PA; Chabner and Longo (eds.) (2001) Cancer Chemotherapy and Biotherapy, Lippincott, Williams & Wilkins, Phila., PA)。一般に、共投与または投与は一緒に、対象を2種以上の作用剤で処置することを示し、作用剤を同時にまたは異なる時間に投与することができる。例えば、そのような作用剤を単一の対象に、本質的に同じ時間でも、異なる時間でもよく、同じ投与経路でも、異なる投与経路でもよい別々の投与として送達することができる。そのような作用剤は、同時に同じ投与経路で投与されるように、単一の対象に同じ投与(例えば、同じ製剤)として送達することができる。
本発明の化合物のアジュバント特性のため、それらの使用は、他のワクチン、アジュバント、抗原、抗体、および免疫モジュレーターを含めて、他の治療モダリティと組み合わせることもできる。下にその例を示す。
アジュバント
本明細書に記載されている本発明の化合物およびその組成物に加えて、本発明の組成物または方法は、1種または複数の追加の物質をさらに含んでもよく、その追加の物質は、その性質のため、免疫系を刺激またはその他の方法で利用して、標的とされる腫瘍細胞に存在するがん抗原に応答するように働くことができる。そのようなアジュバントとしては、脂質、リポソーム、先天免疫を誘導する不活性化された細菌(例えば、不活性化または減弱されたListeria monocytogenes)、Toll様受容体(TLR)、(NOD)−様受容体(NLR)、レチノイン酸誘導遺伝子ベース(RIG)−I−様受容体(RLR)、C型レクチン受容体(CLR)および/または病原体関連分子パターン(「PAMPS」)を介して先天性免疫活性化を媒介する組成物が挙げられるが、これらに限定されない。PAMPの例としては、リポタンパク質、リポポリペプチド、ペプチドグリカン、ザイモサン、リポ多糖、ナイセリアポリン、フラジェリン、プロフィリン(profillin)、ガラクトセラミド、ムラミルジペプチドが挙げられる。ペプチドグリカン、リポタンパク質、およびリポタイコ酸は、グラム陽性の細胞壁成分である。リポ多糖は、大半の細菌によって発現され、MPLは一例である。フラジェリンは、病原性および共生細菌によって分泌される、細菌鞭毛の構造部品を指す。ガラクトシルセラミドは、ナチュラルキラーT(NKT)細胞の活性化因子である。ムラミルジペプチドは、すべての細菌に共通の生物活性ペプチドグリカンモチーフである。
免疫チェックポイント阻害剤
本発明の化合物は、CTLA−4経路アンタゴニスト、PD−1経路アンタゴニスト、Tim−3経路アンタゴニスト、Vista経路アンタゴニスト、BTLA経路アンタゴニスト、LAG−3経路アンタゴニスト、またはTIGIT経路アンタゴニストからなる群から選択される免疫チェックポイント阻害剤などの免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて使用することができる。一部の実施形態において、免疫チェックポイント阻害剤は、抗CTLA−4抗体、抗PD−1抗体、抗Tim−3抗体、抗Vista抗体、抗BTLA抗体、抗LAG−3抗体、または抗TIGIT抗体からなる群から選択される。
本発明の化合物は、CTLA−4経路アンタゴニストと組み合わせて使用することができる。一部の実施形態において、組合せを使用して、固形腫瘍または血液悪性腫瘍を処置する。CTLA−4は、適応免疫応答の重要な負の制御因子と考えられている。活性化T細胞は、CTLA−4を上方制御し、抗原提示細胞のCD80およびCD86をCD28より高い親和性で結合させ、したがってT細胞刺激、IL−2遺伝子発現およびT−細胞増殖を阻害する。CTLA4遮断の抗腫瘍効果が、結腸癌、転移性前立腺がん、および転移性悪性黒色腫のマウスモデルにおいて観察された。一部の実施形態において、CTLA−4経路アンタゴニスト(antogonist)は、トレメリムマブおよびイピリムマブからなる群から選択される抗CTLA−4抗体分子である。
イピリムマブ(MDX−010としても知られているCTLA−4抗体、CAS番号477202−00−9)およびトレメリムマブ(以前にチシリムマブとして知られているIgG2モノクローナル抗体、CP−675,206)は、ヒトCTLA4に結合し、CD80およびCD86とのその相互作用を防止するヒト化モノクローナル抗体である。同様の戦略によって標的とすることができる他の負の免疫制御因子としては、プログラム細胞死1(PD−1)、BおよびTリンパ球アテニュエーター、トランスフォーミング増殖因子β^、インターロイキン−10、および血管内皮増殖因子が挙げられる。
一部の実施形態において、本発明の化合物は、抗CTLA−4抗体および抗PD−1抗体と組み合わせて使用することができる。一実施形態において、組合せは、抗PD−1抗体分子、例えば本明細書に記載されている抗PD−1抗体分子、および抗CTLA−4抗体、例えばイピリムマブを含む。使用することができる例示的な用量としては、抗PD−1抗体分子の約1〜10mg/kg、例えば3mg/kgの用量、および抗CTLA−4抗体、例えばイピリムマブの約3mg/kgの用量が挙げられる。
本発明の化合物は、PD−1経路アンタゴニストと組み合わせて使用することができる。一部の実施形態において、組合せを使用して、固形腫瘍または血液悪性腫瘍を処置する。PD−1は、活性化されたT細胞で発現される適応免疫応答の別の負の制御因子である。PD−1は、B7−H1およびB7−DCに結合し、PD−1の関与によりT−細胞活性化を抑制する。抗腫瘍効果は、PD−1経路遮断で明らかにされた。抗PD−1抗体分子(例えば、ニボルマブ(Opdivo(商標))、ペンブロリズマブ(Keytruda(商標))、およびピディリズマブ)、およびAMP−224が、本発明において使用することができるPD−1経路ブロッカーの例であると文献で報告されている。一部の実施形態において、PD−1経路アンタゴニスト(antogonist)は、ニボルマブ、ペンブロリズマブまたはピディリズマブからなる群から選択される抗PD−1抗体分子である。
一部の実施形態において、PD−1経路アンタゴニストは、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合しているPD−LlまたはPD−L2の細胞外またはPD−1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。一部の実施形態において、PD−1阻害剤は、AMP−224(B7−DCIg;Amplimmune;例えば、国際公開第2010/027827号および国際公開第2011/066342号で開示されている)であり、PD−1とB7−H1の間の相互作用を遮断するPD−L2 Fc溶融可溶性受容体である。
一部の実施形態において、PD−1経路アンタゴニストは、PD−L1またはPD−L2阻害剤である。一部の実施形態において、PD−L1またはPD−L2阻害剤は、抗PD−L1抗体または抗PD−L2抗体である。一部の実施形態において、抗PD−Ll阻害剤は、YW243.55.S70、MPDL3280A、MEDI−4736、MSB−0010718C、またはMDX−1105から選択される。一部の実施形態において、PD−L1阻害剤は、抗PD−L1抗体MSB0010718Cである。MSB0010718C(A09−246−2と呼ぶこともある;Merck Serono)は、PD−L1に結合するモノクローナル抗体である。
本発明の化合物は、TIM−3経路アンタゴニストと組み合わせて使用することができる。一部の実施形態において、組合せを使用して、固形腫瘍または血液悪性腫瘍を処置する。一部の実施形態において、TIM−3経路アンタゴニストは抗TIM−3抗体である。一部の実施形態において、抗TIM−3抗体分子が、「Antibody Molecules to TIM−3 and Uses Thereof」という名称で2015年8月6日公開の米国特許出願公開第2015/0218274号に開示されている。
本発明の化合物は、LAG−3経路アンタゴニストと組み合わせて使用することができる。一部の実施形態において、組合せを使用して、固形腫瘍または血液悪性腫瘍を処置する。一部の実施形態において、LAG−3経路アンタゴニストは抗LAG−3抗体である。一部の実施形態において、抗LAG−3抗体分子が、「Antibody Molecules to LAG−3 and Uses Thereof」という名称で2015年3月13日出願の米国特許出願公開第2015/0259420号に開示されている。
T細胞 受容体アゴニスト
本発明の化合物は、CD28アゴニスト、OX40アゴニスト、GITRアゴニスト、CD137アゴニスト、CD27アゴニストまたはHVEMアゴニストなどのT細胞受容体アゴニストと組み合わせて使用することができる。
本発明の化合物は、CD27アゴニストと組み合わせて使用することができる。例示的なCD27アゴニストとしては、抗CD27アゴニスト抗体、例えば国際公開第2012/004367号に記載されている抗CD27アゴニスト抗体が挙げられる。
本発明の化合物は、GITRアゴニストと組み合わせて使用することができる。一部の実施形態において、組合せを使用して、固形腫瘍または血液悪性腫瘍を処置する。例示的なGITRアゴニストとしては、例えばGITR融合タンパク質および抗GITR抗体(例えば、二価の抗GITR抗体)が挙げられる。
TLRアゴニスト
本発明の化合物は、Toll様受容体アゴニストと組み合わせて使用することができる。本明細書において用いられる「Toll様受容体」(または「TLR」)という用語は、微生物産物を感知し、かつ/または適応免疫応答を開始させるタンパク質またはその断片のToll様受容体ファミリーのメンバーを指す。一実施形態において、TLRは、樹状細胞(DC)を活性化する。Toll様受容体(TLR)は、微生物病原体を認識する自然免疫系のセンサーであると最初に同定されたパターン認識受容体のファミリーである。TLRは、ロイシンリッチリピートの外部ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内TIR (Toll/IL−1R)ドメインを含む保存膜貫通分子のファミリーを含む。TLRは、「PAMP」(病原体関連分子パターン)と呼ばれることが多い、微生物における異なる構造を認識する。TLRへのリガンド結合は、炎症および免疫に関与する因子の生成を誘導する一連の細胞内シグナル伝達経路を呼び出す。
当技術分野において公知であり、本発明において使用されるTLRアゴニストとしては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
Pam3Cys、TLR−1/2アゴニスト;
CFA、TLR−2アゴニスト;
MALP2、TLR−2アゴニスト;
Pam2Cys、TLR−2アゴニスト;
FSL−1、TLR−2アゴニスト;
Hib−OMPC、TLR−2アゴニスト;
ポリリボシン酸:ポリリボシチジン酸(ポリI:C)、TLR−3アゴニスト;
ポリアデノシン−ポリウリジル酸(ポリAU)、TLR−3アゴニスト;
ポリ−L−リシンおよびカルボキシメチルセルロースで安定化されたポリイノシン酸−ポリシチジル酸(Hiltonol(登録商標))、TLR−3アゴニスト;
モノホスホリル脂質A(MPL)、TLR−4アゴニスト;
LPS、TLR−4アゴニスト;
細菌フラジェリン、TLR−5アゴニスト;
シアリル−Tn(STn)、いくつかのヒトがん細胞におけるMUC1ムチンと結合している炭水化物およびTLR−4アゴニスト;
イミキモド、TLR−7アゴニスト;
レシキモド、TLR−7/8アゴニスト;
ロキソリビン、TLR−7/8アゴニスト;および
非メチル化CpGジヌクレオチド(CpG−ODN)、TLR−9アゴニスト。
TLRアゴニストは、そのアジュバントの性質のため、好ましくは他のワクチン、アジュバントおよび/または免疫モジュレーターとの組合せで使用され、様々な組合せで組み合わせることができる。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているように、STINGに結合し、STING依存性TBK1活性化、ならびに樹状細胞誘導、動員および/または成熟を刺激する1種または複数のサイトカインを発現および分泌する不活性化された腫瘍細胞を誘導するモノ−またはジ−FCDN化合物を、治療目的の1種または複数のTLRアゴニストと一緒に投与することができる。
抗体治療薬
本発明の化合物は、治療抗体と組み合わせて使用することができる。一部の実施形態において、治療抗体の作用機序は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)である。ADCCは、膜表面抗原に特異的抗体が結合している標的細胞を免疫系のエフェクター細胞が活発に溶解する細胞性免疫防御の機序である。それは、抗体が体液性免疫応答の一部分として、感染を限定および抑制するように働くことができる機序の1つである。古典的ADCCは、ナチュラルキラー(NK)細胞によって媒介される。マクロファージ、好中球および好酸球もADCCを媒介することができる。ADCCは、トラスツズマブおよびリツキシマブを含めて治療モノクローナル抗体の腫瘍に対する重要な作用機序である。本発明の化合物は、ADCCを増強するように働くことができる。
下記は、本発明の化合物と一緒に使用することができる抗体の例示的な一覧である。
ムロモナブ−CD3、インフリキシマブ、アダリムマブ、オマリズマブ、ダクリズマブ、リツキシマブ、イブリツモマブ、トシツモマブ、セツキシマブ、トラスツズマブ、アレムツズマブ、Lym−1 イピリムマブ、ビタキシン、ベバシズマブおよびアブシキシマブ。
本発明の化合物と組み合わせて使用することができる追加の治療抗体としては、プロラクチン受容体(PRLR)阻害剤、HER3阻害剤、EGFR2および/またはEGFR4阻害剤、M−CSF阻害剤、抗APRIL抗体、または抗SIRP^または抗CD47抗体が挙げられる。
化学療法剤
本明細書に記載されている方法の追加の実施形態において、本発明の化合物は、化学療法剤(例えば、低分子医薬化合物)と組み合わせて使用される。したがって、方法は、さらに1種または複数の化学療法剤の有効量を追加の処置または組合せ処置として対象に投与するステップを含むものである。いくつかの実施形態において、1種または複数の化学療法剤は、酢酸アビラテロン、アルトレタミン、アンヒドロビンブラスチン、アウリスタチン、ベキサロテン、ビカルタミド、BMS 184476、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、ブレオマイシン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド(N,N-dimethyl-L-valyl-L-valyl-N-methyl-L-valyl-L-proly-1-Lproline-tbutylamide)、カケクチン、セマドチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビン−カロイコブラスチン、ドセタキソール、ドセタキセル(doxetaxel)、シクロホスファミド、カルボプラチン、カルムスチン、シスプラチン、クリプトフィシン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン(DTIC)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デシタビン、ドラスタチン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エトポシド、5−フルオロウラシル、フィナステリド、フルタミド、ヒドロキシ尿素およびヒドロキシ尿素タキサン、イホスファミド、リアロゾール、ロニダミン、ロムスチン(CCNU)、エンザルタミド、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、メルファラン、イセチオン酸ミボブリン、リゾキシン、セルテネフ(sertenef)、ストレプトゾシン、マイトマイシン、メトトレキセート、タキサン、ニルタミド、オナプリストン、パクリタキセル、プレドニムスチン、プロカルバジン、RPR109881、リン酸エストラムスチン(stramustine phosphate)、タモキシフェン、タソネルミン、タキソール、トレチノイン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、硫酸ビンデシン、およびビンフルニンからなる群から選択される。
本明細書に記載されている方法の追加の実施形態において、本発明の化合物は、本明細書の方法に記載されている徴候を処置するための化学療法剤および/または追加の作用剤と組み合わせて使用される。一部の実施形態において、本発明の化合物は、ソトラスタウリン、ニロチニブ、5−(2,4−ジヒドロキシ−5−イソプロピルフェニル)−N−エチル−4−(4−(モルホリノメチル)フェニル)イソオキサゾール−3−カルボキサミド、ダクトリシブ、8−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−3−メチル−1−(4−ピペラジン−1−イル−3−トリフルオロメチル−フェニル)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−オン、3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−(6−((4−(4−エチルピペラジン−1−イル)フェニル)アミノ)ピリミジン−4−イル)−1−メチル尿素、ブパルリシブ、8−(2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシフェニル)−N−(4−((ジメチルアミノ)メチル)−1H−イミダゾール−2−イル)キノキサリン−5−カルボキサミド、(S)−N1−(4−メチル−5−(2−(1,1,1−トリフルオロ−2−メチルプロパン−2−イル)ピリジン−4−イル)チアゾール−2−イル)ピロリジン−1,2−ジカルボキサミド、(S)−1−(4−クロロフェニル)−7−イソプロポキシ−6−メトキシ−2−(4−(メチル−(((1r,4S)−4−(4−メチル−3−オキソピペラジン−1−イル)シクロヘキシル)メチル)アミノ)フェニル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3(4H)−オン、デフェラシロクス、レトロゾール、(4S,5R)−3−(2’−アミノ−2−モルホリノ−4’−(トリフルオロメチル)−[4,5’−ビピリミジン]−6−イル)−4−(ヒドロキシメチル)−5−メチルオキサゾリジン−2−オン、(S)−5−(5−クロロ−1−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)−6−(4−クロロフェニル)−2−(2,4−ジメトキシピリミジン−5−イル)−1−イソプロピル−5,6−ジヒドロピロロ[3,4−d]イミダゾール−4(1H)−オン、4−((2−(((1R,2R)−2−ヒドロキシシクロヘキシル)アミノ)ベンゾ[d]チアゾール−6−イル)オキシ)−N−メチルピコリンアミド、メシル酸イマチニブ、2−フルオロ−N−メチル−4−(7−(キノリン−6−イルメチル)イミダゾ[1,2−b][1,2,4]トリアジン−2−イル)ベンズアミド、ルキソリチニブ、パノビノスタット、オシロドロスタット、(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−((S)−2−(4−(4−フルオロベンゾイル)チアゾール−2−イル)ピロリジン−1−イル)−2−オキソエチル)−2−(メチルアミノ)プロパンアミド、(S)−N−((S)−1−シクロヘキシル−2−((S)−2−(4−(4−フルオロベンゾイル)チアゾール−2−イル)ピロリジン−1−イル)−2−オキソエチル)−2−(メチルアミノ)プロパンアミド、リン酸ソニデギブ、セリチニブ、7−シクロペンチル−N,N−ジメチル−2−((5−(ピペラジン−1−イル)ピリジン−2−イル)アミノ)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド、N−(4−((1R,3S,5S)−3−アミノ−5−メチルシクロヘキシル)ピリジン−3−イル)−6−(2,6−ジフルオロフェニル)−5−フルオロピコリンアミド、2−(2’,3−ジメチル−[2,4’−ビピリジン]−5−イル)−N−(5−(ピラジン−2−イル)ピリジン−2−イル)アセトアミド、エンコラフェニブ、7−シクロペンチル−N,N−ジメチル−2−((5−((1R,6S)−9−メチル−4−オキソ−3,9−ジアザビシクロ[4.2.1]−ノナン−3−イル)ピリジン−2−イル)アミノ)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボキサミド、ビニメチニブ、ミドスタウリン、エベロリムス、1−メチル−5−((2−(5−(トリフルオロメチル)−1H−イミダゾール−2−イル)ピリジン−4−イル)オキシ)−N−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール2−アミン、二アスパラギン酸パシレオチド、ドビチニブ、(R,E)−N−(7−クロロ−1−(1−(4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エノイル)アゼパン−3−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)−2−メチルイソニコチンアミド、N6−(2−イソプロポキシ−5−メチル−4−(1−メチルピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(2−(イソプロピルスルホニル)−フェニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4,6−ジアミン、3−(4−(4−((5−クロロ−4−((5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)アミノ)ピリミジン−2−イル)アミノ)−5−フルオロ−2−メチルフェニル)ピペリジン−1−イル)チエタン1,1−ジオキシド、5−クロロ−N2−(2−フルオロ−5−メチル−4−(1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イル)ピペリジン−4−イル)フェニル)−N4−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン、5−クロロ−N2−(4−(1−エチルピペリジン−4−イル)−2−フルオロ−5−メチルフェニル)−N4−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)ピリミジン−2,4−ジアミン、バルスポダル、およびコハク酸バタラニブからなる群から選択される1種または複数の作用剤と組み合わせて使用される。
他の実施形態において、本発明の化合物は、PKC阻害剤、BCR−ABL阻害剤、HSP90阻害剤、PI3Kおよび/もしくはmTORの阻害剤、FGFR阻害剤、PI3K阻害剤、FGFR阻害剤、PI3K阻害剤、シトクロムP450の阻害剤(例えば、CYP17阻害剤)、HDM2阻害剤、アロマターゼ阻害剤、p53および/もしくはp53/Mdm2相互作用の阻害剤、またはCSF−1Rチロシンキナーゼ阻害剤と組み合わせて使用することができる。
好適な製剤としては、例えば錠剤、カプセル剤、坐剤、溶液、特に(皮下、静脈内、筋肉内)注射および点滴用溶液−エリキシル剤、乳剤または分散性散剤が挙げられる。薬学的に活性な化合物の含有量は、組成物全体の0.1〜90質量%、好ましくは0.5〜50質量%の範囲、すなわち以下に指定する投与量範囲を達成するのに十分な量とすべきである。指定された用量は、必要なら1日数回与えることができる。
上述した組合せのパートナーの投与量は普通、通常推奨される最低用量の1/5から通常推奨される用量の1/1までである。
さらに別の態様において、本発明は、患者においてSTINGに関連しているまたはSTINGによってモジュレートされる疾患または状態を処置する方法であって、そのような処置を必要とする患者、好ましくはヒトに、本発明の化合物の治療有効量を以上に記載した1種または複数の追加の治療剤の治療有効量と組み合わせて投与するステップを含む方法に関する。
本発明による化合物と追加の治療剤を組み合わせた使用を、同時にまたは時間をずらして行うことができる。
本発明による化合物および1種または複数の追加の治療剤は、両方が一緒に1種の製剤の中に存在してもよく、または別々に2種の同一または異なる製剤中に、例えばいわゆるキットオブパーツとして存在してもよい。
したがって、別の態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、および少なくとも1種の別の治療剤を含む組合せを提供する。
本発明の別の目的は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、ならびに少なくとも1種の別の治療剤および薬学的に許容される添加物の1種または複数を含む医薬組成物を提供することである。
別の態様において、本発明は、治療において使用するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、および少なくとも1種の別の治療剤を含む組合せを提供する。
別の態様において、本発明は、STINGのモジュレーションが有益である疾患または状態の処置において使用するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、および少なくとも1種の別の治療剤を含む組合せを提供する。
別の態様において、本発明は、炎症、アレルギー性および自己免疫性疾患、感染性疾患ならびにがんの処置において使用するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、および少なくとも1種の別の治療剤を含む組合せを提供する。
別の態様において、本発明は、患者におけるSTINGのモジュレーションが有益である疾患または状態の処置方法であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、および少なくとも1種の別の治療剤を含む組合せの治療有効量を投与するステップを含む方法を提供する。
別の態様において、本発明は、患者における炎症、アレルギー性もしくは自己免疫性疾患、感染性疾患またはがんの処置方法であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、および少なくとも1種の別の治療剤を含む組合せの治療有効量を投与するステップを含む方法を提供する。
実際の薬学的に有効な量または治療用量は、当然、患者の年齢および体重、投与経路ならびに疾患の重症度など当業者によって公知の因子によって決まる。いずれの場合も、組成物は、様々な投与量で、患者の独自の状態に基づいて薬学的に有効な量を送達することが可能になる形で投与される。
別の態様において、本発明は、本発明による化合物ならびに以上および以下に記載する1種または複数の追加の治療剤を含み、1種または複数の不活性な担体および/または希釈剤を一緒に含んでもよい医薬組成物に関する。
本発明の他の特徴および利点は、例として本発明の原理を説明する以下のさらに詳細な実施例から明らかになる。
実施例および実験データ
以下の実施例は、本発明を例示するためのものにすぎず、決して本発明の範囲を限定するものではない。
下記の略語は、以上および以下で使用される。
Figure 2021519279
一般的な技術的所見
「周囲温度」および「室温」という用語は同義に使用され、約20℃、例えば15〜25℃の温度を意味する。
一般に、本発明による化合物の1H NMRスペクトルおよび/または質量スペクトルが得られた。別段の記載がない限り、すべてのクロマトグラフ操作は室温で行われた。環式ジヌクレオチド合成時に、溶媒の蒸発は、典型的には、水浴が35℃を超えない温度で減圧下に回転蒸発により行われた。さらに、環式ジヌクレオチドの合成時に、反応は、典型的には窒素またはアルゴン下で行われた。
A)分析方法
LC−MS分析:
方法名:システムA
HPLC−システム:VWR/Hitachi:L−2130ポンプ;VWR/Hitachi:L−2200オートサンプラー;VWR/Hitachi:L−2300カラムオーブン;VWR/Hitachi:L−2450ダイオードアレイ検出器;Agilent:OpenLab
MS−システム:Bruker Esquire LC 6000分光計
カラム:Kromasil 100−5 C8、5μm、50mm×3mm。
流量:0.4mL/分、35℃、UV−検出範囲:220〜300nm
質量スペクトル:ネガティブおよびポジティブESIを使用して質量分析計で記録
溶媒:A:アセトニトリル
B:水
C:水中20mM NH4HCO3(pH 5.5)
グラジエント:時間 A% B% C%
0 2 93 5
20 60 35 5
23 95 0 5
24 2 93 5
30 2 93 5
試料調製:試料(2μL〜20μL)を87.5μLのアセトニトリルおよび262.5μLの水に溶解した。注入量2μL〜5μL。
方法名:Z011_S03
装置摘要:DA−およびMS−検出器を備えたAgilent 1200
カラム:XBridge C18_3.0×30mm、2.5μm
カラム製造業者:Waters
摘要:
グラジエント/溶媒 溶媒%[H2O 溶媒%[アセトニトリル] 流量[mL/分] T[℃]
時間[分] 0.1%NH4OH]
0.0 97.0 3.0 2.2 60.0
0.2 97.0 3.0 2.2 60.0
1.2 0.0 100.0 2.2 60.0
1.25 0.0 100.0 3.0 60.0
1.4 0.0 100.0 3.0 60.0
方法名:Z017_S04
装置摘要:DA−およびMS−検出器を備えたAgilent 1200
カラム:StableBond C18_3.0×30mm、1.8μm
カラム製造業者:Agilent
摘要:
グラジエント/溶媒 溶媒%[H2O 溶媒%[アセトニトリル] 流量[mL/分] T[℃]
時間[分] 0.1%TFA]
0.0 97.0 3.0 2.2 60.0
0.2 97.0 3.0 2.2 60.0
1.2 0.0 100.0 2.2 60.0
1.25 0.0 100.0 3.0 60.0
1.4 0.0 100.0 3.0 60.0
方法名:Z018_S04
装置摘要:DA−およびMS−検出器を備えたAgilent 1200
カラム:Sunfire C18_3.0×30mm、2.5μm
カラム製造業者:Waters
摘要:
グラジエント/溶媒 溶媒%[H2O 溶媒%[アセトニトリル] 流量[mL/分] T[℃]
時間[分] 0.1% TFA]
0.0 97.0 3.0 2.2 60.0
0.2 97.0 3.0 2.2 60.0
1.2 0.0 100.0 2.2 60.0
1.25 0.0 100.0 3.0 60.0
1.4 0.0 100.0 3.0 60.0
分析用HPLC構成:
方法名:構成A(グラジエントHPLC)
VWR/Hitachi:L−2130ポンプ;VWR/Hitachi:L−2200オートサンプラー;VWR/Hitachi:L−2350カラムオーブン(30℃に設定);VWR/Hitachi:L−2400可変波長UV/Vis検出器;EZChromソフトウェア、バージョン3.3.1 SP1.
YMC*GEL ODS−A 12nm(10μm;250×4mm)チャンネルA=水中20mM TEAF(pH 6.8);チャンネルB=100%アセトニトリル、20mM TEAF(pH 6.8)。グラジエント:0分 100%A;30分 100%B;40分 100%B、30℃;流量:1.0mL/分;UV 262nm;
NMR分光法:
核磁気共鳴(NMR)スペクトル:31P NMRスペクトルは、1H/31Pの絶対周波数の比較により間接的に参照した(Bruker BioSpin GmbH、Software:TopSpin、auプログラム:xsi)。すべての31P NMRスペクトルは、プロトンデカップリングを用いて記録した。
B)中間体の合成
中間体1
3’,5’−ジ−O−Ac−2’−F−2’−デオキシアデノシン
Figure 2021519279
市販の2‘−F−2‘−デオキシアデノシン(3.0g、11.1mmol)のピリジン(50mL)懸濁液を0℃に冷却し、無水酢酸(3.16mL、33.4mmol、3.0当量)を滴下して加えた。対応する混合物を0℃で30分間撹拌した後、室温まで温め、もう3時間撹拌した。溶液を減圧下で濃縮し、残渣を酢酸エチル(75mL)に溶解した。有機層をNaHCO3水溶液で(2回)洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物を、さらに精製することなく次のステップで使用した。
LC−MS(Z018_S04):tRet=0.65分;ESI−MS:354[M+H]+
中間体2
3’,5’−ジ−O−Ac−2’−F−2’−デオキシネブラリン
Figure 2021519279
中間体1(3.29g、9.31mmol)の無水THF(60mL)溶液に、亜硝酸n−アミル(9.17mL、68.9mmol、7.4当量)を添加し、反応混合物を50℃で2時間撹拌した。次いで、温度を上げ、混合物を60℃でもう4時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、有機層を水で(2回)洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物を逆相HPLC(Gilson、カラム:SunFire 50×500mm、7μmの水+0.3%HCOOH/アセトニトリル10%→90%、14分間)で精製した。精製生成物を含む画分を合わせ、真空中で濃縮した。
LC−MS(Z018_S04):tRet=0.74分;ESI−MS:339[M+H]+
中間体3
2’−F−2’−デオキシネブラリン
Figure 2021519279
中間体2(1.47g、4.35mmol)に、アンモニアのメタノール溶液(7M、12mL、84mmol、19.3当量)を添加し、混合物を室温で5時間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、残渣をエタノールで粉末にした。形成された固体を濾別し、少量のエタノールおよびジイソプロピルエーテルで洗浄し、50℃で乾燥すると、所望の生成物が得られた。それをさらに精製することなく次のステップで使用した。
LC−MS(Z018_S04):tRet=0.22分;ESI−MS:255[M+H]+
中間体4
5’−O−DMTr−2’−F−2’−デオキシネブラリン
Figure 2021519279
中間体3(0.82g、3.23mmol)に、無水ピリジン(4mL)を添加し、混合物を真空中35℃で濃縮した。この手順を2回繰り返した。次いで、中間体3を乾燥ピリジン(40mL)に溶解し、4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(1.20g、3.55mmol、1.1当量)を添加し、得られた反応混合物を室温で12時間撹拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣に酢酸エチルを添加した。有機層を半飽和NaHCO3水溶液で(3回)洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、真空中で濃縮すると、所望の生成物が得られた。それをさらに精製することなく次のステップで使用した。
LC−MS(Z011_S03):tRet=1.04分;ESI−MS:557[M+H]+
中間体5
3’−CEP−5’−O−DMTr−2’−F−2’−デオキシネブラリン
Figure 2021519279
中間体4(2.29g、4.11mmol)をアセトニトリルに溶解し、真空中35℃で濃縮した。このプロセスをもう1回繰り返した。中間体4の無水ジクロロメタン(50mL)溶液に、アルゴン雰囲気下で、1H−テトラゾール(MeCN中0.5mol/L、14.6mL、6.58mmol、1.6当量)および2−シアノエチル−N,N,N’,N’−テトライソプロピルホスホロジアミダイト(1.96mL、6.17mmol、1.5当量)を添加し、得られた混合物を室温で12時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、分離した有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、逆相HPLC(カラム:Waters XBridge C−18 5μM、50×150mm;流量:室温で150mL/分;グラジエント:MeCN/水/改質剤なし;12分で35%MeCN→98%MeCN)で精製した。精製生成物を含む画分を合わせ、真空中で濃縮した。残渣をジクロロメタン(30mL)に溶解し、無水硫酸マグネシウムで脱水し、濾過し、高真空下で1時間濃縮すると、所望の生成物が得られた。
LC−MS(Z011_S03):tRet=1.209/1.229分;ESI−MS:757[M+H]+
中間体6
5’−OH−3’−H−ホスホネート−LNA−N6−Bz−アデノシン
Figure 2021519279
5’−DMTr−3’−CEP−LNA−N6−Bz−アデノシン(Exiqonから入手、1.0g、1.27mmol)をアセトニトリル(15mL)および水(0.046mL、2.55mmol、2当量)に室温で溶解した。ピリジニウムトリフルオロアセテート(0.294g、1.52mmol、1.2当量)を添加し、反応混合物を室温で10分間撹拌した。その後、tert−ブチルアミン(10mL、95mmol)を添加し、反応混合物を室温で30分間撹拌した。反応混合物を減圧下で蒸発させ、無水アセトニトリル(30mL)に再溶解し、減圧下で蒸発させると、フォームが得られた。残渣をジクロロメタン(25mL)および水(0.229mL、12.7mmol、10当量)に溶解した。ジクロロメタン(25mL)中ジクロロ酢酸(0.944mL、11.4mmol、9当量)を添加し、得られた橙色溶液を室温で10分間撹拌した。ピリジン(1.85mL、23mmol、18当量)を添加し、反応混合物を室温で5分間撹拌した。
粗製材料のLC−MS分析により、中間体6の存在が確認された。
LC−MS(システムA):tRet=4.39分;ESI−MS:448[M+H]+
溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣を無水アセトニトリル(4回×15mL)で共沸した。最後の蒸発手順の間に、溶液を約5mLの最終共沸混合物まで濃縮した。得られた中間体6の無水溶液を直接次の反応順序で使用した。
中間体7
線状二量体5’−OH−2’−F−2’−デオキシネブラリン−(3’→5’)−シアノエチル−ホスホロチオエート−3’−H−ホスホネート−LNA−N6−Bz−アデノシン
Figure 2021519279
3’−CEP−5’−DMTr−2’−F−2’−デオキシネブラリン(中間体5、1.63g、2.16mmol、1.7当量)を無水アセトニトリル(4回×15mL)で共沸した。最後の蒸発手順の間に、溶液を約5mLの最終共沸混合物まで濃縮した。得られた溶液を、約5mLの無水アセトニトリルに溶解した5’−OH−3’−H−ホスホネート−LNA−N6−Bz−アデノシン(中間体6、最大理論量:1.27mmol)に室温で添加した。反応混合物を室温で15分間撹拌した。((N,N−ジメチルアミノ−メチリデン)アミノ)−3H−1,2,4−ジチアゾリン−3−チオン(DDTT)(0.287g、1.40mmol、1.1当量)を添加し、反応混合物を室温で30分間撹拌した。揮発性物質を減圧下で蒸発させ、残渣をジクロロメタン(25mL)および水(0.229mL、12.7mmol、10当量)に溶解した。ジクロロメタン(25mL)中ジクロロ酢酸(1.89mL、22.9mmol、18当量)を添加し、橙色溶液を室温で20分間撹拌した。ピリジン(10mL)を添加し、反応混合物を室温で5分間撹拌した。粗製材料のLC−MS分析により、中間体7の存在が確認された。
LC−MS(システムA):tRet=8.24分;ESI−MS:833[M+H]+
フラスコに栓をし、慎重に封止し、−70℃で16時間貯蔵した。混合物を減圧下で蒸発させ、残渣を無水ピリジン(2回×20mL)と減圧下で共蒸発させた。68mLの無水ピリジンの別の一部分を添加し、残渣を全体積が約20mLになるまで減圧下で濃縮した。得られた中間体7の無水溶液を直接次の反応順序で使用した。
中間体8
環式二量体2’−F−2’−デオキシネブラリン−(3’→5’)−シアノエチル−ホスホロチオエート−LNA−N6−Bz−アデノシン−(3’→5’)−ホスホロチオエート
Figure 2021519279
2−クロロ−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサホスホリナン2−オキシド(DMOCP)(0.821g、4.45mmol、3.5当量)を、粗製線状二量体5’−OH−2’−F−2’−デオキシネブラリン−(3’→5’)−シアノエチル−ホスホロチオエート−3’−H−ホスホネート−LNA−N6−Bz−アデノシン(中間体7、最大理論量:1.27mmol)の無水ピリジン溶液(全体積約20mL)に添加した。得られた混合物を室温で20分間撹拌した。水(0.80mL、44mmol、35当量)および3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン(0.321g、1.91mmol、1.5当量)を添加し、室温で撹拌を続けた。30分後、反応混合物を、炭酸水素ナトリウム(5.7g、67.9mmol)を水(200mL)にとかした溶液に注ぎ込み、次に200mLの酢酸エチルを添加した。得られた混合物を室温で5分間振盪した。さらに、水相を酢酸エチル(2回×150mL)で抽出した。有機相を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、次に溶媒を減圧下で蒸発させた。粗製材料をさらに真空中で乾燥し、分取フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル160g、0→12.5%MeOH/ジクロロメタンのグラジエント)で精製すると、粗製中間体8がジアステレオマーの混合物として得られた。
LC−MS(システムA):各ジアステレオマーのtRet=9.87分;10.05分;ESI−MS:847[M+H]+
C)本発明による化合物の合成
(実施例1.1および実施例1.2)
環式(2’−F−2’−デオキシネブラリン−(3’→5’)−ホスホロチオエート−LNA−アデノシン−(3’→5’)−ホスホロチオエート)
Figure 2021519279
無水エタノール中33%メチルアミン250mLを、粗製環式二量体2’−F−2’−デオキシネブラリン−(3’→5’)−シアノエチル−ホスホロチオエート−LNA−N6−Bz−アデノシン−(3’→5’)−ホスホロチオエート(中間体8;0.35g)に添加し、得られた溶液を室温で6時間撹拌した。すべての揮発性物質を減圧下で蒸発させ、残渣をさらに真空中で乾燥すると、実施例1.1および実施例1.2を含む粗製混合物が得られた。
50mLの水を添加し、得られた懸濁液を室温で超音波浴に入れた。15分後、この懸濁液を50mLのクロロホルムに注ぎ込み、振盪し、有機相を分離した。この抽出をクロロホルム(2回×50mL)でもう2回繰り返した。有機相を合わせ、50mLの水で抽出し、生成物を含む水性相を合わせ、0.45μmの再生セルロース(RC)フィルター(Sartorius Stedim Biotech、外径:50mm)を用いて濾過して、粒状成分を除去した。生成物溶液を水で250mLに希釈し、2M塩化ナトリウムで事前に再生し、水で洗浄したQ Sepharose(商標) Fast Flowアニオン交換カラム(40−165μm;125×35mm;約120mL)Cl-形にかけた。カラムを水(2カラム体積)で洗浄し、次に16.7カラム体積にわたって0→1M炭酸水素トリエチルアンモニウム緩衝液(TEAB、pH 7)/水のグラジエントで洗浄した(検出波長254nm)。実施例1.1および実施例1.2を約0.4M TEAB〜約0.6M TEABで溶離した。生成物を含む画分を減圧下で慎重に濃縮した。
実施例1.1(第2の溶離)および実施例1.2(第1の溶離)の最初の分離を半分取逆相HPLC精製により行った。生成物溶液を、7%アセトニトリル、水中20mMトリエチルアンモニウムホルメート(triethyammonium formate)(TEAF、pH 6.8)で事前に平衡化したYMC*ゲルODS−A 12nmカラム(10μm;250×16mm;約50mL)にかけた。溶離は7%、8%、10%および12%アセトニトリル、水中20mM TEAF(pH 6.8)のステップ−グラジエントで行った。生成物を含む画分を減圧下で慎重に濃縮した。
9〜10%アセトニトリル、水中20mM TEAF(pH 6.8)で事前に平衡化した同じカラムを用いた半分取逆相HPLC精製を繰り返すことにより、実施例1.1および実施例1.2をさらに精製した。溶離は、9%および10%アセトニトリル、水中20mM TEAF(pH 6.8)のステップ−グラジエント(実施例1.2)または10%および12%アセトニトリル、水中20mM TEAF(pH 6.8)のステップ−グラジエント(実施例1.1)で行った。生成物を含む画分を減圧下で慎重に濃縮した。
実施例1.1、ナトリウム塩(「第2の溶離ジアステレオマー」)の調製
実施例1.1、TEA塩の脱塩を分取逆相中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)で行った。生成物溶液(約25mL)を、水で事前に平衡化したMerck LiChroprep(登録商標)RP−18カラム(15〜25μm;125×35mm;約120mL)にかけた。カラムを水で洗浄して、過剰のTEAF緩衝液を除去した。その後、水中2%2−プロパノールを使用して、脱塩した実施例1.1を溶離した。生成物を含む画分を減圧下で部分濃縮し、続いて2M塩化ナトリウムで事前に再生し、水で洗浄したSP Sepharose(商標) Fast Flowカチオン交換カラム(45〜165μm;125×35mm;約120mL)Na+形にかけた。UV−吸光度が検出可能(検出波長254nm)でなくなるまで、カラムを水で洗浄した。生成物を含む画分を減圧下で慎重に蒸発させ、さらに真空中で乾燥すると、実施例1.1が二ナトリウム塩として得られた。
HPLC(構成A、UV 260nm):tRet=11.06分;ESI−MS:690[M+H]+
31P NMR (162 MHz, D2O, 303 K): δ 54.2 (s, 1P), 54.9 (s, 1P) ppm.
実施例1.2、ナトリウム塩(「第1の溶離ジアステレオマー」)の調製
実施例1.2、TEA塩の脱塩およびTEAからナトリウムへの塩変更を、実施例1.1、TEA塩について記載したのと同様の形で行った。
HPLC(構成A、UV 260nm):tRet=10.21分;ESI−MS:690[M+H]+
31P NMR (162 MHz, D2O): δ 54.3 (s, 1P), 54.9 (s, 1P) ppm.

Claims (16)

  1. 式(I)の化合物またはその塩。
    Figure 2021519279
    (式中、
    Baseは、アデニン、プリン、グアニンおよびヒポキサンチンからなる群から選択されるプリン核酸塩基を表し、それらのN9窒素原子を介して接続され、
    1は、H、Fもしくはヒドロキシを表し、
    2はHを表し、または
    1は−O−であり、R2は−CH2−であり、一緒に−CH2−O−の架橋を形成する)
  2. Baseがプリンである、請求項1に記載の化合物。
  3. Baseがアデニンである、請求項1に記載の化合物。
  4. Baseがグアニンである、請求項1に記載の化合物。
  5. Baseがヒポキサンチンである、請求項1に記載の化合物。
  6. 1がFを表し、R2がHを表す、請求項2〜5のいずれか1項に記載の化合物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物の実質的に純粋な(Sp,Sp)、(Rp,Rp)、(Sp,Rp)、もしくは(Rp,Sp)立体異性体、またはその塩。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物の薬学的に許容される塩。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の1つもしくは複数の化合物、またはその薬学的に許容される塩を含み、1種または複数の不活性な担体および/または希釈剤を一緒に含んでもよい医薬組成物。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物を含むワクチン。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の1つもしくは複数の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、1種または複数の追加の治療剤とを含み、1種または複数の不活性な担体および/または希釈剤を一緒に含んでもよい医薬組成物。
  12. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の1つの化合物と1種または複数の追加の治療剤とを含む、請求項11に記載の医薬組成物。
  13. 医薬として使用するための請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
  14. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物のワクチンアジュバントとしての使用。
  15. STINGに関連しているまたはSTINGによってモジュレートされる疾患または状態の処置、特に炎症、アレルギー性もしくは自己免疫性疾患、感染性疾患またはがんの処置を必要とする患者におけるそのような疾患または状態の処置方法であって、請求項1〜8のいずれか1項に記載の1つまたは複数の化合物を患者に投与することを特徴とする、方法。
  16. STINGに関連しているまたはSTINGによってモジュレートされる疾患または状態、特に炎症、アレルギー性もしくは自己免疫性疾患、感染性疾患またはがんの処置方法において使用するための請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物であって、方法が、請求項1〜8のいずれか1項に記載の1つまたは複数の化合物を患者に投与することを特徴とする、化合物。
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