JP2021519268A - 安定な水性抗タウ抗体製剤 - Google Patents

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Abstract

本開示は、濃度約100mg/mlのABBV−8E12、少なくとも1つの緩衝液、賦形剤、界面活性剤及び任意選択的に抗酸化剤を含む安定な水性の緩衝された組成物など、高濃度のABBV−8E12を含む安定な水性の緩衝された組成物を提供する。

Description

本出願は、2018年3月23日に出願の米国特許仮出願第62/647,615号の利益を主張し、その全開示をその全体において参照により本明細書に組み込む。
本開示は、高タンパク質濃度を有するABBV−8E12抗タウ抗体の安定な水性製剤を含めた、安定な水性抗タウ抗体製剤に一般に関する。
タウオパチーは、脳内における不溶性の過リン酸化タウタンパク質の蓄積を共通して有する。20個以上の異なる神経変性障害が、何らかの神経原線維変性によって特徴付けられ、タウオパチーに分類され得る(Williams、2006年)。進行性核上性麻痺(PSP)及び大脳皮質基底核変性症(CBD)などの典型的なタウオパチーは、タウ封入体が唯一の又は支配的な中枢神経系病巣であることによって特徴付けられる。典型的なタウオパチーは、タウ凝集体が、アルツハイマー病(AD)に見られるアミロイドベータ(Aβ)プラーク又はパーキンソン病(PD)に見られるレービー小体のような、他の神経病理学的特徴の存在に見られる他のタウオパチーと異なる。これらの典型的でないタウオパチーでは、タウ病変が、原発性疾患駆動体を表すのか又は他のタンパク質ミスフォールディング及び神経変性に続発するのか更に不明確である。
神経変性におけるタウ病変に対抗する方法としてタウ免疫療法戦略を支持する強い実験的証拠及び生物学的正当性が存在する。第1に、タウは、通常溶解性が高く、自然に折りたたまれない細胞内タンパク質なので、細胞外抗体は、タウの正常な機能に影響を及ぼしそうにない。第2に、タウ病変の負担は、ヒト及びタウオパチーのトランスジェニックマウスモデルにおいて進行性ニューロン機能不全、シナプス喪失及び機能低下と相関する。第3に、病的症状下でタウはミスフォールドし、病的タウ原線維を構成する神経細胞内神経原線維錯綜(NFT)へと凝集する。ヒトタウオパチーにおいて、この病変は、疾患特異的パターンにおいて1つの脳領域から別の領域へと進行する。実験データは、タウ凝集体が細胞から細胞へと広まって、更なるタウ凝集を誘導し、脳内にタウ病変を伝播させ得ることを示唆している。このデータは、1つの細胞内で産生された凝集体が、細胞外空間へと放出され、隣接する又は接続する細胞内で凝集を促進し得ることを示唆している。最後に、抗タウ抗体が、突然変異させたヒト型タウを保有するマウスの脳内においてタウ病変の進行を防止又は遅延させ得ることが実証された。抗タウ抗体については、例えば、米国特許出願公開第2017/0058024号及び米国特許出願公開第2015/0183855号に記載されており、その全体の開示を、その全体として参照により本明細書に組み込む。ABBV−8E12、別名C2N−8E12は、ヒト化モノクローナル抗タウ抗体である。
しばしばタンパク質に基づく医薬製品は、治療有効性のために高濃度で製剤化される必要がある。高度に濃縮されたタンパク質製剤は、より少ない容量での投薬が可能になり、患者の不快感を限定し、より経済的に包装及び貯蔵されるので治療上の使用に望ましい。しかしながら、高タンパク質濃度製剤の開発は、製造、安定性、分析、特に治療用タンパク質の場合の送達の難題を含め、多くの難題を示す。例えば、製剤中のタンパク質濃度を増やすにつれてタンパク質の凝集、不溶性及び分解の困難さが一般に増大する(総説については、Shire,S.J.他、J.Pharm.Sci.、93、1390頁(2004年)を参照のこと)。これまでに見たことのない負の効果は、より低濃度の添加剤又はタンパク質で、有益な効果をもたらした添加剤に起因し得る。高濃度タンパク質製剤の生産は、乳白色、凝集及び沈殿による重大な課題をもたらし得る。規範的なタンパク質凝集及び粒子形成の可能性に加えて可逆的自己会合が起こる場合があり、この自己会合は、粘度の増大又は注射による送達を難しくする他の特性をもたらし得る。高い粘度は、濾過手法による高濃度タンパク質の製造も難しくし得る。
したがって、医薬品タンパク質製剤は、成分と濃度を一般に慎重に両立させて、あらゆる負の副作用を限定しながらタンパク質安定性及び治療的要件を増強させる。
タンパク質及び他の生体高分子が、薬物分子として関心の増大を得るにつれて、これら分子を送達するための製剤が重要な問題になりつつある。治療上の使用のためのタンパク質の大規模製造における革命的な進展にもかかわらず、それらタンパク質の、生体膜を通る浸透性の低さ、大きな分子サイズ、短い血漿内半減期、自己会合、物理的化学的不安定性、凝集、吸着及び免疫原性を含めた本質的な物理化学的並びに生物学的特性のため、体内におけるこれら薬剤の効果的で簡便な送達は、主要な難題のままである。
米国特許出願公開第2017/0058024号 米国特許出願公開第2015/0183855号
Shire,S.J.他、J.Pharm.Sci.、93、1390頁(2004年)
したがって、高濃度で安定な水性ABBV−8E12製剤を含めて、高濃度で安定な水性抗タウ抗体製剤に対する必要性が依然として存在する。
(発明の要旨)
実施形態において、本開示は、濃度約100mg/mlで抗体を含む安定な水性の緩衝された組成物を提供する。実施形態において、抗体は、配列番号6のCDR1配列、配列番号7のCDR2配列及び配列番号8のCDR3配列を含む可変重鎖;並びに配列番号2のCDR1配列、配列番号3のCDR2配列及び配列番号4のCDR3配列を含む可変軽鎖を含む。実施形態において、抗体は、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。実施形態において、抗体はABBV−8E12である。実施形態において、組成物は、少なくとも1つの緩衝液、賦形剤、界面活性剤及び任意選択的に抗酸化剤を更に含む。実施形態において、緩衝液は、ヒスチジン、リン酸及びコハク酸緩衝液からなる群から選択される。実施形態において、緩衝液はヒスチジンである。実施形態において、界面活性剤は、ポリソルベート20又はポリソルベート80などのポリソルベートである。実施形態において、界面活性剤はポリソルベート80である。実施形態において、賦形剤は、塩(NaClなど)、多価アルコール(マンニトール、ソルビトール又はトレハロースなど)又は糖(スクロース、グルコース又はデキストロースなど)でもよい。実施形態において、pHは約5〜約7である。実施形態において、組成物の粘度は、10mPas未満又は5mPas未満など室温で約20mPas未満である。
実施形態において、本開示は、濃度約100mg/mlのABBV−8E12を含有する安定な水性の緩衝された組成物を提供する。実施形態において、組成物は少なくとも1つの緩衝液及び界面活性剤を更に含有する。組成物はまた、少なくとも1つの賦形剤及び/又は抗酸化剤を含有してもよい。実施形態において、ポリソルベートは、ポリソルベート20又はポリソルベート80である。実施形態において、賦形剤は、塩(NaClなど)、多価アルコール(ソルビトールなど)又は糖(スクロースなど)でもよい。実施形態において、抗酸化剤は、メチオニンなどのアミノ酸でもよい。実施形態において、緩衝液は、ヒスチジン、リン酸及びコハク酸からなる群から選択される。実施形態において、緩衝液はヒスチジンである。
実施形態において、本開示は、濃度約100mg/mlのABBV−8E12、ヒスチジン、ポリソルベート、賦形剤及び任意選択的に抗酸化剤を含む安定な水性の緩衝された組成物を提供する。実施形態において、ポリソルベートは、ポリソルベート20又はポリソルベート80である。実施形態において、ポリソルベートはポリソルベート80である。
実施形態において、本開示は、濃度約100mg/mlのABBV−8E12、ヒスチジン、スクロース及びポリソルベートを含有する安定な水性の緩衝された組成物を提供する。実施形態において、ポリソルベートは、ポリソルベート20又はポリソルベート80である。実施形態において、ポリソルベートはポリソルベート80である。
重鎖並びに軽鎖のそれぞれ(4つのVH及び4つのVL/VK配列)についてマウスHJ8.5抗タウ抗体の可変領域配列及び4つのヒト化バリアント配列を示す図である。CDR配列に下線を引き、元のマウス配列からのフレームワーク変化は、太字体である。 重鎖並びに軽鎖のそれぞれ(4つのVH及び4つのVL/VK配列)についてマウスHJ8.5抗タウ抗体の可変領域配列及び4つのヒト化バリアント配列を示す図である。CDR配列に下線を引き、元のマウス配列からのフレームワーク変化は、太字体である。 重鎖並びに軽鎖のそれぞれ(4つのVH及び4つのVL/VK配列)についてヒト化可変及び定常領域配列の配列を示す図である。可変重鎖が、S241Pヒンジ安定化突然変異を含有するヒトIgG4の重鎖定常に移植される。 重鎖並びに軽鎖のそれぞれ(4つのVH及び4つのVL/VK配列)についてヒト化可変及び定常領域配列の配列を示す図である。可変重鎖が、S241Pヒンジ安定化突然変異を含有するヒトIgG4の重鎖定常に移植される。 凍結/解凍ストレス後の100mg/mlで製剤化されたABBV−8E12試料の濁度を示す図である。 凍結/解凍及び機械的ストレス後の100mg/mlで製剤化されたABBV−8E12試料の濁度を示す図である。特に、ポリソルベート20又はポリソルベート80なしに製剤化された試料の場合、機械的ストレスの適用は、より激しい濁度をもたらす。 温度5℃、25℃及び40℃での貯蔵後にポリソルベートと製剤化された100mg/ml ABBV−8E12試料の濁度を示す図である。ヒスチジン及びリン酸緩衝液中に製剤化された試料は、NaClで製剤化された試料と同様に最も低い濁度を示した。 凍結/解凍及び機械的ストレス適用後の濁度の主効果プロットを示す図である。濁度は、特に界面活性剤を含まない試料の場合に、機械的ストレスの適用によって増大する。 SE−UHPLCによって測定されるABBV−8E12試料の全てのモノマー含有量を示す図である。ヒスチジン緩衝液中に製剤化された試料が、最も高いモノマー含有量を示す。 SE−UHPLCによって測定される高分子量凝集体を示す図である。 UHPLCによって測定される、測定された可逆的凝集を示す図である。 4℃におけるSEC主ピークデータによって示される、長期安定性分析に関する様々なABBV−8E12製剤のSEC%モノマーデータを示す図である。 25℃におけるSEC主ピークデータによって示される、長期安定性分析に関する様々なABBV−8E12製剤のSEC%モノマーデータを示す図である。 40℃におけるSEC主ピークデータによって示される、長期安定性分析に関する様々なABBV−8E12製剤のSEC%モノマーデータを示す図である。 4℃におけるSEC HMWピークデータによって示される、長期安定性分析に関する様々なABBV−8E12製剤のSEC%凝集体(高分子量)を示す図である。 25℃におけるSEC HMWピークデータによって示される、長期安定性分析に関する様々なABBV−8E12製剤のSEC%凝集体(高分子量)を示す図である。 40℃におけるSEC HMWピークデータによって示される、長期安定性分析に関する様々なABBV−8E12製剤のSEC%凝集体(高分子量)を示す図である。 長期安定性分析に関する4℃でインキュベートしたABBV−8E12製剤の試料のCE還元%純度のデータを示す図である。 長期安定性分析に関する25℃でインキュベートしたABBV−8E12製剤の試料のCE還元%純度のデータを示す図である。 長期安定性分析に関する40℃でインキュベートしたABBV−8E12製剤の試料のCE還元%純度のデータを示す図である。 長期安定性分析に関する4℃でインキュベートしたABBV−8E12製剤の試料のCE非還元%主データを示す図である。 長期安定性分析に関する25℃でインキュベートしたABBV−8E12製剤の試料のCE非還元%主データを示す図である。 長期安定性分析に関する40℃でインキュベートしたABBV−8E12製剤の試料のCE非還元%主データを示す図である。
高濃度タンパク質製剤の調製品は、乳白色及び安定性の課題をもたらす場合がある。高タンパク質濃度(例えば、100mg/mml)のABBV−8E12を含む水性医薬組成物が長期基準で貯蔵される場合、ABBV−8E12の活性は、凝集及び/又は分解のため失われる若しくは低下する場合がある。本開示は、ABBV−8E12の長期貯蔵を可能にする高タンパク質濃度(例えば、100mg/mml)のABBV−8E12の水性製剤を提供し、そのためABBV−8E12は、液体又は凍結状態のいずれにおいても貯蔵を通じて安定である。以下で議論され、本開示の例に示されるように、本開示の水性製剤は、安定性及び濁度の問題を解決してABBV−8E12の安定な、高濃度製剤を提供する。提供された製剤は、再水和などの、いかなる追加的なステップも必要としない。
様々な本開示の実施形態が、次に詳細に記載される。説明及び特許請求の範囲全体に使用される場合、「a」、「an」及び「the」の意味は、文脈に別段の明確な指図がない限り複数形の参照を含む。また、説明及び特許請求の範囲全体に使用される場合、「中(in)」の意味は、文脈に別段の明確な指図がない限り、「中(in)」及び「上(on)」を含む。加えて、本開示中で使用されるいくつかの用語が、以下でより具体的には定義される。
用語「水性製剤」とは、溶媒が水である溶液のことを指す。
本明細書では用語「抗体」とは、4本のポリペプチド鎖、ジスルフィド結合によって相互に接続された2本の重鎖(H)及び2本の軽鎖(L)から構成される免疫グロブリン分子のことを指す。各重鎖は、重鎖可変領域(「HCVR」又は「VH」)及び重鎖定常領域から構成される。重鎖定常領域は、3つのドメイン(CH1、CH2及びCH3)から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(「LCVR」又は「VL」)及び軽鎖定常領域から構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL)から構成される。VH及びVL領域は、より保存されていてフレームワーク領域(FR)と呼ばれる領域が挟まっている相補性決定領域(CDR)と呼ぶ超可変性の領域に更に再分割され得る。各VH及びVLは、以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4でアミノ末端からカルボキシ末端へと配置されている3つのCDR及び4つのFRで構成される。実施形態において、製剤はWO2016/201434に記載のアミノ酸配列を持つ抗体を含有し、その開示の全体をその全体において参照により本明細書に組み込む。
用語「ABBV−8E12」は、用語「C2N−8E12」と同義であり、図1並びに図2に記載したアミノ酸配列を有する重鎖(VH)領域及び軽鎖(VL)領域を含むヒト化組換えIgG4抗ヒトタウ抗体のことを指す。ABBV−8E12は、それぞれ配列番号2、3及び4に記載のLCDR1、LCDR2及びLCDR3並びに配列番号6、7及び8に記載のHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む。ABBV−8E12は、配列番号1に記載の軽鎖可変領域及び配列番号5に記載の重鎖可変領域を含む。ABBV−8E12は、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
本開示のために、「ABBV−8E12」は、ポリペプチドの機能に有意な影響を及ぼさないアミノ酸構造(アミノ酸の追加、欠失及び/又は置換を含む)又はグリコシル化特性に小さい改変があるABBV−8E12も包含する。
用語「単離した抗体」とは、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体(例えば、タウを特異的に結合する単離した抗体は、タウ以外の抗原を特異的に結合する抗体を実質的に含まない)のことを指す。更に、単離した抗体は、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含み得ない。
用語「グリシン」は、コドンがGGT、GGC、GGA及びGGGであるアミノ酸のことを指す。
用語「アルギニン」は、コドンがCCU、CCC、CCA及びCCGであるαアミノ酸のことを指す。
用語「アラニン」は、コドンがGCT、GCC、GCA及びGCGであるアミノ酸のことを指す。
用語「メチオニン」は、コドンがATGであるアミノ酸のことを指す。
用語「グルタミン酸」は、コドンがGAA及びGAGであるアミノ酸のことを指す。
用語「糖」は、単糖、二糖及び多糖のことを指す。糖の例には、スクロース、グルコース、デキストロース、その他があるが、これに限定されない。
用語「多価アルコール」は、複数の水酸基を含有するアルコールのことを指す。多価アルコールの例には、マンニトール、ソルビトール、その他があるが、これに限定されない。
用語「金属イオン」は、正又は負の正味の電荷を持つ金属原子のことを指す。本開示の場合、用語「金属イオン」は、金属塩を含むがこれに限定されない金属イオンの供給源も含む。
用語「長期貯蔵」又は「長期安定性」は、医薬組成物が、6カ月より長く(6カ月以上)又は1年より長く又は2年より長くなど、少なくとも3カ月間(即ち、3カ月以上)貯蔵され得ることを意味すると理解される。長期貯蔵は、医薬組成物が液体として貯蔵される、又は凍結されることも意味すると理解される。組成物が、2回以上凍結及び解凍され得ることも想定される。
長期貯蔵に関連する用語「安定である」は、医薬組成物中のABBV−8E12が、貯蔵開始時における組成物の活性と比較して活性の20%より大きい、より好ましくは15%又は10%又は5%を失わないことを意味すると理解される。
用語「実質的に含まない」は、物質が存在しない又は最小量、微量の物質しか存在しないかいずれかであり、組成物の特性にいかなる実質的な影響も及ぼさないことを意味する。物質の量がないことを言及する場合、それは「検出可能な量がない」と理解されるべきである。
用語「哺乳動物」は、ヒトを含むが、これに限定されない。
用語「薬学的に許容される担体」は、非毒性の固体、半固体若しくは液体増量剤、希釈剤、カプセル化材料、補助製剤又は従来通りの任意の型の賦形剤のことを指す。薬学的に許容される担体は、利用される投薬量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、製剤の他の成分と適合する。
用語「組成物」は、当技術分野で常用され、治療、診断又は予防目的での対象への投与に適している薬学的に許容される担体又は賦形剤などの担体を通常含有する混合物のことを指す。その組成物は、ポリペプチド若しくはポリヌクレオチドが細胞又は培養培地中に存在する細胞培養を含んでもよい。例えば、経口投与用の組成物は、液剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、徐放性製剤、経口リンス剤又は散剤を形成することができる。
用語「医薬組成物」及び「製剤」は、互換的に使用される。
用語「処置」は、哺乳動物の疾患に対する治療薬のあらゆる投与又は適用のことを指し、疾患を阻害する、発症を抑制する、例えば、退行を引き起こすことによって疾患を軽減する、又は欠失、欠落若しくは欠損した機能を回復若しくは修復する;又は非効率的な過程を刺激することを含む。用語は、所望の薬理学的及び/又は生理的効果を得ることを含み、哺乳動物における病的症状又は障害のあらゆる処置を網羅する。効果は、障害若しくはそれらの徴候を完全若しくは部分的に防止するという点で予防的であってもよく、並びに/又は障害及び/若しくは障害に起因する有害効果を部分的若しくは完全に治癒させるという点で治療的であってもよい。効果は、(1)障害の素因があり得るがまだ症状がない対象において障害が起こる又は再発することを防止する、(2)障害の発症を抑制するなど、障害を阻害する、(3)宿主が障害又はその徴候にもはや悩まされないように、例えば、欠失、欠落若しくは欠損した機能を回復若しくは修復する、又は非効率的な過程を刺激することによって障害若しくはその徴候の退行を引き起こすなど、障害若しくは少なくともそれに伴う徴候を停止又は終了させる、又は(4)障害若しくはそれらに伴う徴候を軽減、緩和又は改善することを含み、改善は、炎症、痛み及び/又は腫瘍サイズなどのパラメータの大きさの少なくとも減少を指すために広義で使用される。
用語「疾患」は、医学的介入を必要とする又は医学的介入が望ましいあらゆる症状、感染症、障害若しくは症候群のことを指す。これらの医学的介入には、処置、診断及び/又は防止があり得る。
用語「治療有効量」は、生きている対象に投与される場合に、生きている対象に対して所望の効果を達成する量のことを指す。例えば、生きている対象への投与に対する本開示の抗体の有効量は、アルツハイマー病又は進行性核上性麻痺などのタウオパチーを防止及び/若しくは処置する量である。正確な量は処置の目的によって決まることになり、公知の技術を使用して当業者によって確認できることになる。当技術分野で公知であるように、全身性対限局性送達、年齢、体重、全体的な健康、性別、食事、投与の時間、薬物相互作用及び症状の重症度に対する調整が必要な場合があり、当業技術者による日常の実験で確認できることになる。
用語「タウオパチー」は、脳内における過リン酸化タウタンパク質の蓄積によって特徴付けられる神経変性疾患のことを指す。タウオパチーは、例えば、アルツハイマー病又は進行性核上性麻痺を含む。
実施形態
本開示の実施形態は、以下でより詳細に説明される。
本開示の組成物は、ABBV−8E12を含む。前述のとおり、ABBV−8E12(別名C2N−8E12)は、ヒトタウを特異的に結合するヒト化組換えIgG4抗体である。ABBV−8E12は、例えば、WO2016/201434に記載されており、その開示全体をその全体において参照により本明細書に組み込む。本開示における貯蔵に適したABBV−8E12は、例えば、当業者に公知の適切な方法によって調製され得る。ABBV−8E12の精製は、任意の適した標準的方法によって実行され得る。ABBV−8E12が細胞内に産生される場合、粒子状の破片は、例えば、遠心分離又は限外濾過によって除去され得る。ABBV−8E12が培地中へ分泌される場合、これら発現系の上清は、標準的なポリペプチド濃縮フィルターを使用して最初に濃縮され得る。プロテアーゼ阻害剤を添加して、タンパク質分解を阻害することもでき、抗生物質を含めて微生物の成長を防止することができる。
ABBV−8E12は、例えば、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、アフィニティークロマトグラフィー、並びにプロテインAクロマトグラフィー、イオン交換カラムにおける分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ上でのクロマトグラフィー、ヘパリンSEPHAROSET(登録商標)上でのクロマトグラフィー、陰イオン又は陽イオン交換樹脂クロマトグラフィー(ポリアスパラギン酸カラムなど)、等電点電気泳動、CDS−PAGE及び硫酸アンモニウム沈殿を含むがこれに限定されない他の適切な精製技術の任意の組み合わせを使用して精製され得る。
実施形態において、本開示は:配列番号6のCDR1配列、配列番号7のCDR2配列及び配列番号8のCDR3配列を含む可変重鎖;並びに配列番号2のCDR1配列、配列番号3のCDR2配列及び配列番号4のCDR3配列を含む可変軽鎖を含む抗体;界面活性剤;緩衝液;任意選択的に賦形剤;及び任意選択的に抗酸化剤を含む安定な水性医薬組成物を提供し、抗体の濃度は、約100mg/mlである。実施形態において、抗体は、配列番号1に記載の軽鎖可変領域及び配列番号5に記載の重鎖可変領域を含む。実施形態において、抗体は、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
実施形態において、本開示は、ABBV−8E12、界面活性剤、緩衝液、任意選択的に賦形剤及び任意選択的に抗酸化剤を含む安定な水性医薬組成物を提供し、ABBV−8E12の濃度は約100mg/mLである。緩衝液を含む本開示の実施形態において、緩衝液は、酢酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、ヒスチジン、酒石酸塩、マレイン酸塩、アジピン酸、乳酸又はトリスヒドロキシメチルアミノメタン(tris)から選択されてもよい。実施形態において、緩衝液はヒスチジン、リン酸又はコハク酸である。実施形態において、緩衝液はヒスチジンである。
実施形態において、緩衝液は、約10〜約40mM又は約20〜約30mM又は約25mMなど、約5mM〜約50mMの濃度で存在する。
実施形態において、組成物のpHは、約5.5〜約6.5又は約6.1など、約5〜約7である。
本開示の組成物は、高タンパク質濃度(例えば、約100mg/mL)で安定であるが、室温(例えば、約20〜約25℃)での注射針又は他の適切なデバイスによる注射などの注射に適した粘度を維持している。実施形態において、組成物は、サイズ28〜31ゲージ若しくは29〜31ゲージ若しくは29ゲージなど27ゲージ〜31ゲージの範囲における注射針又は他の適切なデバイスによる室温(約20℃〜約25℃など)での注射に適した粘度を維持する。実施形態において、本開示の組成物は、ABBV−8E12の濃度約100mg/mLで、室温(例えば、20〜25℃)で約1〜約20mPas又は約1〜約15mPas又は約1〜約10mPasなど、20mPas未満の粘度を有する。実施形態において、本開示の組成物は、ABBV−8E12の濃度約100mg/mLで、室温(例えば、20〜25℃)で約1〜約10mPas又は約1〜約8mPas又は約1〜約5mPasなど、10mPas未満の粘度を有する。実施形態において、本開示の組成物は、ABBV−8E12の濃度約100mg/mLで、室温(例えば、20〜25℃)で5mPas未満の粘度を有する。実施形態において、本開示の組成物は、約4.5mPasの粘度を有する。
実施形態において、本開示は:それぞれ配列番号2、3及び4に記載のLCDR1、LCDR2及びLCDR3並びに配列番号6、7及び8に記載のHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む抗体;界面活性剤;緩衝液;任意選択的に賦形剤;任意選択的に抗酸化剤を含む安定な水性医薬組成物を提供し、抗体の濃度は約100mg/mlであり、組成物は室温で約20mPas未満の粘度を有する。実施形態において、抗体は、配列番号1に記載の軽鎖可変領域及び配列番号5に記載の重鎖可変領域を含む。実施形態において、抗体は、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。実施形態において、抗体はABBV−8E12である。実施形態において、粘度は、室温で約10mPas未満である。実施形態において、粘度は、室温で約5mPas未満である。
実施形態において、界面活性剤は、約0.3〜約5mg/mL又は約0.5〜約1.5mg/mL又は約1mg/mLなど約0.1〜約10mg/mLの量で存在する。実施形態において、界面活性剤は、ポリソルベート界面活性剤である。例えば、実施形態において、界面活性剤は、ポリソルベート20又はポリソルベート80である。実施形態において、界面活性剤はポリソルベート80である。
実施形態において、製剤組成物は、少なくとも1つの追加的な賦形剤を含む。実施形態において、少なくとも1つの追加的な賦形剤は、安定化剤である。実施形態において、少なくとも1つの追加的な賦形剤は、塩、糖又は多価アルコールからなる群から選択される。
実施形態において、少なくとも1つの追加的な賦形剤は、塩化ナトリウムなどの塩である。実施形態において、塩は、約5〜約10mg/ml又は約8〜約10mg/ml又は8mg/mlなど、約3〜約20mg/mlの量で存在する。
実施形態において、少なくとも1つの追加的な賦形剤は、多価アルコールである。実施形態において、多価アルコールは、マンニトール、ソルビトール又はトレハロースなどの糖アルコールである。実施形態において、多価アルコールは、約30〜約50mg/ml又は約35〜約45mg/ml又は約38〜約43mg/ml又は約42mg/mlの量で存在する。
実施形態において、少なくとも1つの追加的な賦形剤は糖である。実施形態において、糖はスクロース、グルコース又はデキストロースからなる群から選択される。実施形態において、糖は、約60〜約90mg/ml又は約70〜約80mg/ml又は約75mg/mlなど、約50〜約100mg/mlの量で存在する。
実施形態において、製剤は抗酸化剤を含有してもよい。実施形態において、抗酸化剤はアミノ酸である。実施形態において、アミノ酸はグリシン、アラニン、グルタミン酸、アルギニン及びメチオニンからなる群から選択される。実施形態において、アミノ酸はグリシン、アルギニン及びメチオニンからなる群から選択される。実施形態において、アミノ酸はメチオニンである。実施形態において、抗酸化剤は、約5〜約15mM又は約8〜約12mM又は約10mMの量で存在する。
実施形態において、本開示は、濃度約100mg/mLのABBV−8E12;ヒスチジン、リン酸及びコハク酸からなる群から選択される緩衝液;界面活性剤;賦形剤;任意選択的に抗酸化剤を含む安定な水性医薬組成物を提供する。実施形態において、緩衝液はヒスチジンである。実施形態において、界面活性剤はポリソルベートであり、実施形態において、界面活性剤はポリソルベート80である。実施形態において、賦形剤は、塩、多価アルコール又は糖からなる群から選択される。
実施形態において、本開示は、濃度約100mg/mLのABBV−8E12;ヒスチジン、リン酸及びコハク酸からなる群から選択される緩衝液;界面活性剤であって、界面活性剤がポリソルベートである界面活性剤;及び塩、多価アルコール又は糖からなる群から選択される賦形剤を含む安定な水性医薬組成物を提供する。実施形態において、ポリソルベートはポリソルベート80である。
実施形態において、本開示は、濃度約100mg/mlのABBV−8E12;ヒスチジン;ポリソルベート;任意選択的に賦形剤、任意選択的に抗酸化剤を含む安定な水性医薬組成物を提供する。実施形態において、ポリソルベートは、ポリソルベート20又はポリソルベート80である。実施形態において、ポリソルベートはポリソルベート80である。実施形態において、賦形剤は、塩、多価アルコール又は糖からなる群から選択される。
実施形態において、本開示は、濃度約100mg/mLのABBV−8E12;濃度約5〜50mMのヒスチジン、リン酸及びコハク酸からなる群から選択される緩衝液;濃度1〜10mg/mLの界面活性剤であって、界面活性剤がポリソルベートである界面活性剤;塩、多価アルコール又は糖からなる群から選択される賦形剤を含む安定な水性医薬組成物を提供する。実施形態において、ポリソルベートは、ポリソルベート20及びポリソルベート80からなる群から選択される。実施形態において、ポリソルベートはポリソルベート80である。実施形態において、緩衝液はヒスチジンである。実施形態において、賦形剤はスクロースである。
実施形態において、本開示は、濃度約100mg/mlのABBV−8E12;ヒスチジン、リン酸及びコハク酸からなる群から選択される緩衝液;界面活性剤であって、界面活性剤がポリソルベートである界面活性剤;及び塩化ナトリウム、ソルビトール及びスクロースからなる群から選択される賦形剤を含む安定な水性医薬製剤を提供する。実施形態において、界面活性剤は、ポリソルベート20又はポリソルベート80である。実施形態において、界面活性剤はポリソルベート80である。実施形態において、緩衝液はヒスチジンである。実施形態において、賦形剤はスクロースである。
実施形態において、本開示は、濃度約100mg/mlのABBV−8E12;濃度約5〜50mMのヒスチジン、リン酸及びコハク酸からなる群から選択される緩衝液;濃度1〜10mg/mlの界面活性剤であって、界面活性剤がポリソルベートである界面活性剤;塩化ナトリウム、ソルビトール及びスクロースからなる群から選択される賦形剤を含む安定な水性医薬製剤を提供する。実施形態において、界面活性剤は、ポリソルベート20又はポリソルベート80である。実施形態において、界面活性剤はポリソルベート80である。実施形態において、賦形剤はスクロースである。
実施形態において、本開示は、濃度約100mg/mlのABBV−8E12;ヒスチジン、リン酸及びコハク酸からなる群から選択される緩衝液;界面活性剤であって、界面活性剤がポリソルベートである界面活性剤;及び塩を含む安定な水性医薬製剤を提供する。実施形態において、塩は塩化ナトリウムである。実施形態において、緩衝液はヒスチジンである。実施形態において、界面活性剤は、ポリソルベート20又はポリソルベート80である。実施形態において、界面活性剤はポリソルベート80である。例えば、実施形態において、本開示は、濃度約100mg/mlのABBV−8E12;濃度約5〜50mMのヒスチジン、リン酸及びコハク酸からなる群から選択される緩衝液;界面活性剤であって、界面活性剤が濃度1〜10mg/mlのポリソルベートである界面活性剤;及び濃度約3〜約20mg/mlの塩を含む安定な水性医薬製剤を提供する。
実施形態において、本開示は、濃度約100mg/mlのABBV−8E12;ヒスチジン;ポリソルベート;及び塩化ナトリウムを含む安定な水性医薬製剤を提供する。実施形態において、ポリソルベートは、ポリソルベート20又はポリソルベート80である。実施形態において、ポリソルベートはポリソルベート80である。
実施形態において、本開示は、濃度約100mg/mlのABBV−8E12;ヒスチジン、リン酸及びコハク酸からなる群から選択される緩衝液;界面活性剤であって、界面活性剤がポリソルベートである界面活性剤;及び多価アルコールを含む安定な水性医薬製剤を提供する。実施形態において、多価アルコールは、マンニトール、ソルビトール又はトレハロースである。実施形態において、界面活性剤は、ポリソルベート20又はポリソルベート80である。実施形態において、界面活性剤はポリソルベート80である。実施形態において、本開示は、濃度約100mg/mlのABBV−8E12;濃度約5〜50mMのヒスチジン、リン酸及びコハク酸からなる群から選択される緩衝液;界面活性剤であって、界面活性剤が濃度1〜10mg/mLのポリソルベートである界面活性剤;及び濃度約30〜約50mg/mlの多価アルコールを含む安定な水性医薬製剤を提供する。
例えば、実施形態において、本開示は、濃度約100mg/mlのABBV−8E12、ヒスチジン、ポリソルベート及びソルビトールを含む安定な水性医薬製剤を提供する。実施形態において、ポリソルベートは、ポリソルベート20又はポリソルベート80である。実施形態において、ポリソルベートはポリソルベート80である。
実施形態において、本開示は、濃度約100mg/mlのABBV−8E12;ヒスチジン、リン酸及びコハク酸からなる群から選択される緩衝液;界面活性剤であって、界面活性剤がポリソルベートである界面活性剤;及び糖を含む安定な水性医薬製剤を提供する。実施形態において、糖はスクロース、グルコース又はデキストロースである。実施形態において、界面活性剤は、ポリソルベート20又はポリソルベート80である。実施形態において、界面活性剤はポリソルベート80である。実施形態において、緩衝液はヒスチジンである。例えば、実施形態において、本開示は、濃度約100mg/mlのABBV−8E12;濃度約5〜50mMのヒスチジン、リン酸及びコハク酸からなる群から選択される緩衝液;界面活性剤であって、界面活性剤が濃度1〜10mg/mLのポリソルベートである界面活性剤;及び濃度約50〜約100mg/mlの糖を含む安定な水性医薬製剤を提供する。
例えば、実施形態において、本開示は、濃度約100mg/mlのABBV−8E12;ヒスチジン;ポリソルベート及びスクロースを含む安定な水性医薬製剤を提供する。実施形態において、ポリソルベートは、ポリソルベート20及びポリソルベート80からなる群から選択される。実施形態において、ポリソルベートはPS80である。実施形態において、本開示は、濃度約100mg/mlのABBV−8E12;濃度約5〜50mMのヒスチジン;濃度1〜10mg/mlのポリソルベート80;及び濃度約50〜約100mg/mlのスクロースを含む安定な水性医薬製剤を提供する。
実施形態において、本開示は、ABBV−8E12、界面活性剤、少なくとも2つの緩衝液を含む緩衝液系及び任意選択的に抗酸化剤を含む安定な水性医薬組成物を提供し、ABBV−8E12の濃度は約100mg/mlである。実施形態において、緩衝液は、酢酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、ヒスチジン、酒石酸塩、マレイン酸塩、アジピン酸、乳酸又はトリスヒドロキシメチルアミノメタン(tris)などの緩衝液の2つ以上の組み合わせから選択されてもよい。実施形態において、緩衝液系は、クエン酸−リン酸緩衝液系である。
緩衝液又は緩衝液の組み合わせを含む前述の実施形態において、緩衝液は、約10〜約40mM又は約20〜約30mM又は約25mMなど、約5mM〜約50mMの濃度で存在してもよい。緩衝液又は緩衝液の組み合わせを含む前述の実施形態において、緩衝液は、酢酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩、ヒスチジン、酒石酸塩、マレイン酸塩、アジピン酸、乳酸又はトリスヒドロキシメチルアミノメタン(tris)からなる群から選択されてもよい。
前述の実施形態において、組成物のpHは、約5.5〜約6.5又は約6.1など約5〜約7であってもよい。
前述の実施形態において、界面活性剤は、約0.3〜約5mg/mL又は約0.5〜約1.5mg/mL又は約1mg/mLなど約0.1〜約10mg/mLの量で存在してもよい。前述の実施形態において、界面活性剤はポリソルベートでもよい。実施形態において、ポリソルベートはポリソルベート20又はポリソルベート80でもよい。実施形態において、ポリソルベートはポリソルベート80でもよい。
前述の実施形態において、組成物は少なくとも1つの追加的な賦形剤を含んでもよい。前述の実施形態において、賦形剤は安定化剤でもよい。前述の実施形態において、少なくとも1つの追加的な賦形剤は、塩、糖又は多価アルコールからなる群から選択される。前述の実施形態において、少なくとも1つの追加的な賦形剤は塩でもよく、塩は、約5〜約10mg/ml又は約8〜約10mg/ml又は約8mg/mlなど約3〜約20mg/mlの量で存在してもよい。前述の実施形態において、少なくとも1つの追加的な賦形剤は多価アルコールでもよく、多価アルコールは、約30〜約50mg/ml又は約35〜約45mg/ml又は約38〜約43mg/ml又は約42mg/mlの量で存在してもよい。前述の少なくとも1つの追加的な賦形剤が多価アルコールである実施形態において、多価アルコールは、マンニトール、ソルビトール又はトレハロースなどの糖アルコールでもよい。前述の実施形態において、少なくとも1つの追加的な賦形剤は、糖でもよく、糖は、約60〜約90mg/ml又は約70〜約80mg/ml又は約75mg/mlなど約50〜約100mg/mlの量で存在してもよい。少なくとも1つの追加的な賦形剤が糖である前述の実施形態において、糖は、スクロース、グルコース又はデキストロースからなる群から選択されてもよい。実施形態において、糖はスクロースである。前述の実施形態において、組成物は抗酸化剤を含んでもよい。前述の実施形態において、抗酸化剤はアミノ酸でもよい。実施形態において、アミノ酸はグリシン、アルギニン及びメチオニンからなる群から選択される。実施形態において、アミノ酸はメチオニンである。前述の実施形態において、抗酸化剤は、約5〜約15mM又は約8〜約12mM又は約10mMの量で存在してもよい。
実施形態において、前述の実施形態のいずれかによる安定な水性製剤は、容器内に提供される。実施形態において、容器はガラスバイアルである。実施形態において、容器はポリカーボネートバイアルである。実施形態において、容器は、静脈内点滴(IV)袋などの袋であり、この袋は、例えば、ポリ塩化ビニル又はポリオレフィン製であり得る。実施形態において、容器は、マイクロ注入器又は注射器などの注射デバイスである。実施形態において、本開示による組成物は、例えば、食塩水で希釈されてもよい。実施形態において、組成物は、容器内で食塩水により希釈されてもよい。
前述の実施形態のいずれかにおいて、ABBV−8E12は、配列番号9を含む軽鎖及び配列番号10を含む重鎖を含む抗体でもよい。
実施形態において、本開示は、濃度約100mg/mlの抗体であって、この抗体が、配列番号6のCDR1配列、配列番号7のCDR2配列及び配列番号8のCDR3配列を含む可変重鎖;並びに配列番号2のCDR1配列、配列番号3のCDR2配列及び配列番号4のCDR3配列を含む可変軽鎖を含む抗体;少なくとも1つの緩衝液;賦形剤;界面活性剤;及び任意選択的に抗酸化剤を含む、安定な水性の緩衝された組成物を提供する。実施形態において、抗体は、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。実施形態において、緩衝液は、ヒスチジン、リン酸及びコハク酸緩衝液からなる群から選択される。実施形態において、緩衝液はヒスチジンである。実施形態において、界面活性剤はポリソルベートである。実施形態において、界面活性剤は、ポリソルベート20又はポリソルベート80である。実施形態において、界面活性剤はポリソルベート80である。実施形態において、組成物は、塩、糖及び多価アルコールからなる群から選択される賦形剤を含む。実施形態において、賦形剤は塩化ナトリウムなどの塩である。実施形態において、賦形剤は、マンニトール、ソルビトール及びトレハロースからなる群から選択される多価アルコールなどの多価アルコールである。実施形態において、賦形剤は、スクロース、グルコース及びデキストロースからなる群から選択される糖などの糖である。実施形態において、糖はスクロースである。実施形態において、組成物のpHは、約5.5〜約6.5又は約6.1など約5〜約7である。
実施形態において、本開示は、配列番号9の軽鎖及び配列番号10の重鎖を含む抗体であって、抗体が濃度約100mg/mlである抗体;ヒスチジン;ポリソルベート;賦形剤;及び任意選択的に抗酸化剤を含む安定な水性の緩衝された組成物を提供する。実施形態において、賦形剤は、濃度約3〜約20mg/mlのNaClなどの塩である。実施形態において、賦形剤は、濃度約30〜約50mg/mlの、マンニトール、ソルビトール及びトレハロースからなる群から選択される多価アルコールなどの多価アルコールである。実施形態において、賦形剤は、濃度約50〜約100mg/mlのスクロース、デキストロース及びグルコースからなる群から選択される糖などの糖である。実施形態において、ポリソルベートは、ポリソルベート80又はポリソルベート20である。実施形態において、ポリソルベートはポリソルベート80である。実施形態において、ポリソルベートは、濃度0.1〜約10mg/mlで存在する。
実施形態において、本開示は、配列番号9の軽鎖及び配列番号10の重鎖を含む抗体であって、抗体が濃度約100mg/mlである抗体;ヒスチジン;スクロース;及びポリソルベートを含む安定な水性の緩衝された組成物を提供する。実施形態において、ヒスチジンは、濃度約5mM〜約50mMで存在し;スクロースは、濃度約50mg/ml〜約100mg/mlで存在し;ポリソルベートはポリソルベート80であり、約0.1〜約1mg/mlなど濃度約0.1〜約10mg/mlで存在する。
本発明は、以下の例において更に例示されるが、この例は、更に限定するものと解釈されるべきでない。
[実施例1] 製剤スクリーニング研究
大規模な製剤スクリーニング研究を実施して、タンパク質濃度100mg/mlにおけるABBV−8E12の製剤の安定性を評価した。研究は、25mMヒスチジン、リン酸又はコハク酸緩衝液及び水中で製剤を評価した。考え得る界面活性剤としてポリソルベート20及びポリソルベート80も調査し、考え得る等張化剤としてスクロース、ソルビトール及び塩化ナトリウムも調査した。メチオニンも、考え得る抗酸化剤として調査された。各製剤において、0.1%アジ化ナトリウムが、防腐剤として添加された。
50mMヒスチジン及び86mg/mlスクロース中にpH6.08で製剤化されたABBV−8E12が、バルク原薬として使用された。試料は、25mMクエン酸ナトリウム−リン酸緩衝液内で7倍容積の交換透析濾過/限外濾過、続いてpH6.1の3つの異なる緩衝液系(ヒスチジン、リン酸、コハク酸)及びWFI中での透析濾過によって調製された。これら試料のタンパク質内容物は、120mg/mlに調整され、滅菌濾過された。表1に記載したように、製剤は、標的濃度100mg/mlになるようにタンパク質溶液、賦形剤保存溶液及びアジ化ナトリウム(防腐剤として0.1%)を混合することにより96ウェルプレートへ手作業で調合された。
Figure 2021519268
Figure 2021519268
Figure 2021519268
以下でより詳細に議論されるように、試料は、4回の凍結/解凍周期、振盪及び3つの異なる温度(5℃、25℃及び40℃)での最長12週間のインキュベーションによってストレスを加えられた。
分析ブロック1:凍結−解凍条件
分析ブロック1(凍結−解凍ストレス)において、試料は、−80℃で凍結された。凍結試料は、全ての氷が解凍するまで室温で次いで解凍された。凍結/解凍周期は、各試料について3回反復された(合計4回の凍結/解凍周期)。
分析ブロック2:機械的ストレス
分析ブロック1の後、機械的ストレスが、試料を20℃で、1200rpmで3日間振盪することによって分析ブロック2に適用された。
分析ブロック3:温度
分析ブロック2の後、表2に記載したように試料を3枚の384ウェルプレートに分注して、5℃、25℃及び40℃で貯蔵した。試料は、40℃で1週間、25℃及び40℃で3週間、並びに5℃及び25℃で12週間貯蔵された。より具体的には、40℃で1週間貯蔵された試料は、7日目に取り出され;25℃で3週間貯蔵された試料は、21日目に取り出され;40℃で3週間貯蔵された試料は、24日目に取り出され;5℃及び25℃で12週間貯蔵された試料は、75日後に取り出された。あらかじめ定義された取り出し点からのどんな逸脱も、重要でないとみなされた。
Figure 2021519268
Figure 2021519268
Figure 2021519268
濁度(透明度及び乳白色)
700、900及び975nmにおける吸光度値を、Tecan infinite M1000 Proプレートリーダーを使用して各分析ブロック(凍結/解凍、機械的ストレス、温度5℃、25℃及び40℃)について測定し、以下の濁度算出に使用した。吸収を濁度単位(NTU)に変換するために使用される数学的モデルは、ホルマジン濁度標準に基づく。簡潔には、各ウェルの充填高は、Abs975値からAbs900値を減算し、光路長1cmにおけるこれらの2つの波長の差異で除算することによって記録される。
Figure 2021519268
Abs700値は、96ウェル(0.036)又は384ウェルプレート(0.038)のプレート特異的値を減算することによって標準化される:(Abs700−プレート特異的標準化計数)。標準化したAbs700値を算出された充填高で除算することにより、Abs700値が、その充填高に対して標準化される(Abs700norm/充填高)。この標準化したAbs700値を1248で乗算することにより、各ウェルの特異的NTU値を得られる:(Abs700norm×1248)。データは、算出されたNTUとして報告されるが、プレートリーダーに基づく吸光度測定とネフェロメ濁度決定は、異なる検出方法を使用しており、したがってネフェロメ濁度単位と直接的な対比はできない。
凍結/解凍後並びに凍結/解凍及び機械的ストレス後の96ウェルプレート(表1)中のABBV−8E12製剤の濁度が、以下の表3に示され、図3A及び図3Bに示される。特に、ポリソルベート20又はポリソルベート80を含まずに製剤化された試料の場合、機械的ストレスの適用は、より激しい濁度をもたらす(即ち、行8及び行9の試料)。図3B及び表3に示すように、ポリソルベート20又はポリソルベート80を含まずに製剤化された試料の大部分は、機械的ストレスの適用後に濁度値>200NTUを有する。
Figure 2021519268
Figure 2021519268
表2における384ウェルプレート中の製剤(等張化剤及び緩衝液によって分類されるポリソルベート含有試料)の温度貯蔵(5℃、25℃、40℃)後のABBV−8E12製剤の濁度が、図4及び表4に示される。図4及び表4に示すように、25mMヒスチジン及びリン酸緩衝液中で製剤化された試料は、コハク酸又はWFIと比較してより低い濁度を示した。更に、NaClを含有する試料は、最も低い濁度値を有し、安定化剤を含まない試料(「none」)は、最も高い濁度値を有する。
Figure 2021519268
Figure 2021519268
図5に示すように、統計解析から、温度貯蔵より前の濁度形成に対する主効果は、ストレス、緩衝液型及び界面活性剤であることが明らかになり、図5は、凍結/解凍及び機械的ストレス適用後の濁度の主効果のプロットを提供する。濁度は、界面活性剤を含まない試料の場合に最も顕著に、機械的ストレスの適用によって増大する。ヒスチジン緩衝液中に製剤化される試料は、一般に最も低い濁度を有する。
温度貯蔵後は、図4に示すように、濁度増大に対する主効果は、緩衝液及び等張化剤型であるが、界面活性剤型でもある。
サイズ排除−UHPLC(SE−UHPLC):モノマー、凝集体、断片
SE−UHPLCが、100mg/ml ABBV−8E12試料で実行された。可逆的凝集体を検出するために、試料を、1mg/mlになるようにWFIで希釈し、40%/75%RHで8時間インキュベーションした後にSE−UHPLCによって分析した。可逆的凝集の分析は、時間T0では実行されなかった。
図6は、SE−UHPLCによって測定されるABBV−8E12試料の全てのモノマー含有量を示す。ヒスチジン緩衝液中に製剤化した試料は、最も高いモノマー含有量を示し、リン酸若しくはコハク酸緩衝液又は水中に製剤化した試料が後に続いた。図7に示すように、モノマー喪失は、主に凝集体の形成をもたらす。
サイズ排除−UHPLC:可逆的凝集
図8に示すように、5℃、25℃及び40℃での貯蔵後に測定した可逆的凝集は、1.6%未満であった。リン酸緩衝液(スクロース、メチオニン及びポリソルベート80を含有する)中に40℃で21日間製剤化された1つの試料だけが、外れる。
ABBV−8E12の製剤組成物
結果は、緩衝液系としてのヒスチジンによる安定化効果を示す。リン酸、コハク酸緩衝液又は注射用水(WFI、緩衝液を含まない)と比較して、ヒスチジン含有試料は、ほとんど全てのストレス条件下でより高レベルのモノマーを維持する。
濁度データは、界面活性剤が、機械的ストレスの間、製剤のコロイド状安定性を維持するために必要とされることを明らかに示した。PS20及びPS80は、両方とも適当な界面活性剤であった。
[実施例2] ABBV−8E12製剤の長期貯蔵
長期条件(−70℃/−80℃)及びリアルタイム条件(5℃)のデータを使用して、100mg/mLのABBV−8E12製剤の安定性を、ABBV−8E12 20mg/mL製剤の安定性と比較した。
Figure 2021519268
製剤A(20mg/mlのABBV−8E12)を含むバッチ、即ち、製剤A−1が、製剤B(100mg/mLのABBV−8E12)を含む2つのバッチ、即ち、製剤B−1及びB−2と比較された。ここで示されるデータは、有意により高いタンパク質濃度を有する100mg/ml製剤が、20mg/ml製剤と比較して、報告されている貯蔵期間を超えて同程度の安定性を実証したことを実証する。
サイズ排除クロマトグラフィーは、流体力学半径により分子を分離する。固定相は、定義済み細孔径を持つゲル様粒子からなる。これら細孔より大きな分子は、最初に溶出するが、固定相の細孔より小さい分子は、カラムを通って移動するのにより長くかかり、したがってより遅く溶出する。検出は214nmで実行され、不純物(高分子量種及び低分子量種)は、領域−%における相対的領域として決定される。
CE−SDSは、キャピラリーゲル電気泳動ドデシル硫酸ナトリウム(CE−SDS)を使用して純度を決定する。CE−SDSにおいて、試料は、SDSサンプル緩衝液に希釈され、0.2% SDSを含有する交換可能なSDSゲル緩衝液で充填されるコーティングしていない(無処置)むき出しの融合されたシリカキャピラリーに動電学的に注入される。試料タンパク質は、SDSと同じ電荷対サイズ比の複合体を形成し、大きなタンパク質より速く移動する(又は早く溶出する)小さなタンパク質をサイズによって分離することが可能になる。アッセイは、還元及び非還元条件下で実行される。ピークの検出は、214nmの紫外線吸光度に基づき、定量は、相対的領域パーセントに基づく。
Figure 2021519268
Figure 2021519268
Figure 2021519268
Figure 2021519268
製剤Aバッチ及び製剤Bバッチのより詳細な比較は、透明度、色、タンパク質含有量及びpHに関する差異を示す。これらの差異は、主に製剤の差異、主にタンパク質濃度の増大による。HMW(SE−HPLC)の少しの増大が、5℃で貯蔵された3つ全てのバッチについて観察された。HMWにおけるこれらの変化は小さく、比較基準内である。全ての長期安定性(−70℃/−80℃)及びリアルタイム安定性(5℃)データは、放出及び安定性基準内にある。したがって、ここで示されるデータは、100mg/ml製剤が、有意により高いタンパク質濃度を有するものの、20mg/ml製剤と比較して、報告されている貯蔵期間を超えて同等であることを実証したことを実証する。
[実施例3]ABBV−8E12製剤の特性
製剤B−1の濃度、pH、密度(g/cm)、粘度(mPas)及び浸透圧が測定された。密度及び粘度は、20℃で決定された。結果が、表10に示される。
Figure 2021519268
[実施例4]ABBV−8E12製剤の長期安定性
以下の例は、濃度20mg/mlのABBV−8E12を有する製剤と比較して、濃度100mg/mLのABBV−8E12を有する製剤の長期貯蔵安定性を調査した研究について記載する。2つの製剤の組成物が、表11に記載される。
Figure 2021519268
製剤Aの1つのバッチ(A2)が、4℃、25℃及び40℃で製剤Bの3つのバッチ(B3、B4、B5)に対して比較された。特に、製剤A2が、長期貯蔵前、並びに1カ月(25℃、40℃)、3カ月(4℃、25℃、40℃)、6カ月(4℃、25℃)、9カ月(4℃)及び12カ月(4℃)後に試験された。製剤B3、B4及びB5が、長期貯蔵前、並びに1カ月(4℃、25℃、40℃)、3カ月(4℃、25℃、40℃)、6カ月(4℃、25℃)及び9カ月(4℃)後に試験された。
試料に対するSECの結果が、図9A〜図9C及び図10A〜図10Cに示される。図9A〜図9Cは、4つのABBV−8E12試料のモノマー含有量を示し;特に、図9Aは4℃でのSEC主ピークデータを示し、図9Bは25℃でのSEC主ピークデータを示し、図9Cは40℃でのSEC主ピークデータを示す。図10A〜図10Cは、SECによって測定される高分子量(HMW)凝集体を示し;特に、図10Aは、4℃でのSEC HMWピークを示し、図10Bは、25℃でのSEC HMWピークデータを示し、図10Cは、40℃でのSEC HMWピークデータを示す。
キャピラリーゲル電気泳動は、タンパク質純度並びに/又は不均一性を決定するためのサイズによる還元(CE R)及び非還元(CE NR)タンパク質の自動化した分析を提供する。CE分析の結果が、図11A〜図11C(還元CE 純度%)及び図12A〜図12C(非還元CE 主%)に示される。
長期安定性実験の結果は、長期貯蔵に供した場合に、ABBV−8E12の100mg/ml製剤が安定であることを示す。
前述の詳細な説明及び付随する例は、単なる例示的なものであり、添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物によってのみ定義される本開示の範囲を制限するものと考えるべきでないことが理解される。開示された実施形態に対する様々な変更及び改変は、当業技術者にとって明らかになる。本開示の化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、製剤並びに/又は使用の方法に関する変更及び改変を含むがこれに限定されない変更及び改変は、それらの本旨及び範囲を逸脱することなく行われてもよい。
本明細書に引用される全ての刊行物、特許及び特許出願は、全ての目的のためにその全体を参照により本明細書に組み込む。
Figure 2021519268

Claims (20)

  1. 濃度約100mg/mlの抗体であって、配列番号6のCDR1配列、配列番号7のCDR2配列及び配列番号8のCDR3配列を含む可変重鎖;及び配列番号2のCDR1配列、配列番号3のCDR2配列及び配列番号4のCDR3配列を含む可変軽鎖を含む抗体;
    少なくとも1つの緩衝液;
    賦形剤;
    界面活性剤;並びに
    任意選択的に抗酸化剤を含む、
    安定な水性の緩衝された組成物。
  2. 抗体が、配列番号9に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖及び配列番号10に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 緩衝液が、ヒスチジン、リン酸及びコハク酸緩衝液からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 緩衝液がヒスチジンである、請求項3に記載の組成物。
  5. 界面活性剤がポリソルベートである、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
  6. 界面活性剤がポリソルベート80である、請求項5に記載の組成物。
  7. 塩、糖及び多価アルコールからなる群から選択される賦形剤を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
  8. 賦形剤が塩化ナトリウムである、請求項7に記載の組成物。
  9. 賦形剤が、マンニトール、ソルビトール及びトレハロースからなる群から選択される多価アルコールである、請求項7に記載の組成物。
  10. 賦形剤が、スクロース、グルコース及びデキストロースからなる群から選択される糖である、請求項7に記載の組成物。
  11. pHが約5〜約7である、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
  12. 配列番号9の軽鎖及び配列番号10の重鎖を含み、濃度約100mg/mlである抗体;
    ヒスチジン;
    ポリソルベート;
    賦形剤;及び
    任意選択的に抗酸化剤を含む、
    安定な水性の緩衝された組成物。
  13. 賦形剤が、濃度約3〜約20mg/mlの塩である、請求項12に記載の組成物。
  14. 塩が塩化ナトリウムである、請求項13に記載の組成物。
  15. 賦形剤が、濃度約30〜約50mg/mlの、マンニトール、ソルビトール及びトレハロースからなる群から選択される多価アルコールである、請求項12に記載の組成物。
  16. 賦形剤が、濃度約50〜約100mg/mlの、スクロース、デキストロース及びグルコースからなる群から選択される糖である、請求項12に記載の組成物。
  17. ポリソルベートが、ポリソルベート80又はポリソルベート20である、請求項12〜16に記載の組成物。
  18. ポリソルベートが、濃度0.1〜約10mg/mlで存在する、請求項17に記載の組成物。
  19. 配列番号9の軽鎖及び配列番号10の重鎖を含み、濃度約100mg/mlである抗体;
    ヒスチジン;
    スクロース;及び
    ポリソルベートを含む、
    安定な水性の緩衝された組成物。
  20. ヒスチジンが、濃度約5mM〜約50mMで存在し;
    スクロースが、濃度約50mg/ml〜約100mg/mlで存在し;
    ポリソルベートが、ポリソルベート80であり、濃度約0.1〜約10mg/mlで存在する、
    請求項19に記載の組成物。
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