本開示の例示的な一態様によれば、細胞外小胞を単離する方法は、血液又は骨髄のうちの1つ以上を濃縮システムの入力ポートに装填することと、濃縮システムの遠心分離デバイスを介して、血液又は骨髄のうちの1つ以上を遠心分離して、赤血球、乏血小板血漿、又は多血小板血漿/骨髄濃縮物分画のうちの1つ以上を分離することとを含む。該方法はさらに、骨髄/多血小板血漿分画及び乏血小板血漿分画のうちの1つ以上を、濃縮システムの第1の容器にポンプ注入することと、ポリ(エチレングリコール)−デキストラン(PEG−DEX)溶液のような濃縮水性二相溶液を、骨髄濃縮/多血小板血漿分画及び乏血小板血漿分画のうちの1つ以上に加えることとを含む。該方法はさらに、濃縮水性二相溶液と、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画又は乏血小板血漿分画のうちの1つ以上とを、遠心分離デバイスに戻し、細胞外小胞及び多血小板血漿/骨髄濃縮物分画のうちの1つ以上を単離することを含む。該方法はまた、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画及び単離された細胞外小胞のうちの1つ以上を、注射用シリンジにポンプ注入することも含む。
本開示の別の態様によれば、細胞外小胞を単離する方法は、シリンジ又は容器に、濃縮二相PEG−DEX水溶液を配置し、乏血小板血漿分画又は骨髄/多血小板血漿分画のうちの1つ以上を、濃縮水性二相溶液に加えることを含む。該方法はさらに、シリンジ又は容器に配置された濃縮水性二相溶液と、乏血小板血漿分画又は骨髄/多血小板血漿分画のうちの1つ以上とを遠心分離して、細胞外小胞及び骨髄/多血小板血漿分画のうちの1つ以上を単離することを含む。該方法はまた、濃縮水性二相溶液と、乏血小板血漿分画及び骨髄/多血小板血漿分画のうちの1つ以上との遠心分離から、細胞外小胞及び骨髄/多血小板血漿分画のうちの1つ以上を含むペレットを作成することであって、該ペレットが注射用である、作成することも含む。
本開示のさらに別の例によれば、細胞外小胞を単離するシステムは、血液又は骨髄のうちの1つ以上を受け入れる第1の入力ポートと、入力ポートに結合されて、赤血球、乏血小板血漿、及び/又は骨髄濃縮物/多血小板血漿のうちの1つ以上の分画を分離する遠心分離デバイスとを含む。該システムはさらに、遠心分離デバイスから遠心分離された骨髄濃縮物分画/多血小板血漿分画又は乏血小板血漿分画のうちの1つ以上を収集し、遠心分離デバイスに結合された容器と、第1の容器に結合されて、第2の入口ポートに結合されたシリンジを介して水性二相溶液を受け入れる第2の入口ポートとを含む。出口ポートは、遠心分離デバイスに結合され、遠心分離デバイスにおいて単離された細胞外小胞を受け入れる。このように構成されているので、遠心分離デバイスが、血液及び骨髄のうちの1つ以上を、赤血球、乏血小板血漿、及び/又は骨髄濃縮物/多血小板血漿分画のうちの1つ以上に分離した後、水性二相溶液は、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画又は乏血小板血漿のうちの1つ以上が配置された第1の容器に加えられる。次に、水性二相溶液と、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画又は乏血小板血漿分画のうちの1つ以上とが、遠心分離デバイスに戻され、細胞外小胞又は骨髄濃縮物/多血小板血漿分画のうちの1つ以上が、注射用に単離される。
さらに例示的な態様のうちのいずれか1つ以上によれば、細胞外小胞を単離するシステム又は本開示のいずれかの方法は、以下の好ましい形態のうちのいずれか1つ以上を含むことができる。
いくつかの態様では、該方法はさらに、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画及び乏血小板血漿分画のうちの1つ以上に、濃縮水性二相溶液を加える前に、水性二相溶液を所定の濃度で予混合することを含む。さらに、該方法は、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画及び乏血小板血漿分画のうちの1つ以上に、濃縮水性二相溶液を加えた後に、室温インキュベーションのための時間を与えることを含んでもよい。さらに、該方法は、濃縮水性二相溶液と、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画又は乏血小板血漿分画のうちの1つ以上とを、遠心分離のために遠心分離デバイスに戻した後、溶液及び乏細胞外小胞血漿を第1の容器にポンプ注入することを含んでもよい。
他の態様によれば、濃縮水性二相溶液と、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画又は乏血小板血漿分画のうちの1つ以上とを、遠心分離のために前記遠心分離デバイスに戻すことが、乏血小板血漿分画から細胞外小胞を単離して、注射用の細胞外小胞ペレットを作成することを含んでもよい。さらに、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画及び乏血小板血漿分画のうちの1つ以上に、濃縮水性二相溶液を加えることが、第1の容器における、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画及び乏血小板血漿分画のうちの1つ以上の量に基づいて、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画及び乏血小板血漿分画のうちの1つ以上に、濃縮水性二相溶液を加えることを含んでもよい。
さらに他の態様では、骨髄/多血小板血漿分画及び乏血小板血漿分画のうちの1つ以上を、濃縮システムの第1の容器にポンプ注入することが、乏血小板血漿分画のみを前記第1の容器にポンプ注入し、その後骨髄/多血小板血漿分画をシリンジにポンプ注入することを含んでもよい。この例では、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画及び乏血小板血漿分画のうちの1つ以上に、濃縮水性二相溶液を加えることが、乏血小板血漿のみに濃縮水性二相溶液を加えることを含んでもよい。さらに、濃縮水性二相溶液と、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画又は乏血小板血漿分画のうちの1つ以上とを、遠心分離のために遠心分離デバイスに戻すことが、濃縮水性二相溶液及び乏血小板血漿分画を、遠心分離のために遠心分離デバイスに戻すことを含んでもよい。さらに、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画及び細胞外小胞のうちの1つ以上を、注射用シリンジにポンプ注入することが、細胞外小胞を注射用シリンジにポンプ注入することを含んでもよい。
さらに他の態様では、該方法は、注射される水性二相溶液の量を、シリンジにおける単離された骨髄/多血小板血漿分画の量に基づいて決定し、使用される水性二相溶液の濃度を減少させ、骨髄/多血小板血漿分画中の有核細胞に対する水性二相溶液の影響を最小にすることをさらに含んでもよい。さらに、該方法は、細胞外小胞の量を、シリンジにおける単離された骨髄/多血小板血漿分画の量に基づいて決定することを含んでもよい。
他の態様では、該方法は、シリンジ又は容器内に配置する前に、水性二相溶液を所定の濃度で予混合することを含んでもよい。さらに、乏血小板血漿分画又は骨髄/多血小板血漿分画のうちの1つ以上を、濃縮水性二相溶液に加えることが、一例において、約1.5%の濃縮水性二相溶液の希釈標準溶液に希釈されるなど、濃縮水性二相溶液の量が希釈されるように、ある量の乏血小板血漿を加えることを含んでもよい。さらに、該方法は、作成した細胞外小胞を、多血小板血漿、骨髄濃縮物、又は乏血小板血漿のうちの1つ以上を含む生体液と混合することを含んでもよい。
さらに他の態様では、該システムは、第2の入口ポート、したがって第2の容器に結合されたシリンジを含んでもよく、シリンジが、第1の容器内に配置された、骨髄濃縮物分画/多血小板血漿分画又は乏血小板血漿分画のうちの1つ以上に加えられる、予混合済みの水性二相溶液を含む。さらに、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画又は乏血小板血漿分画に加えられる水溶液の量は、容器に配置される骨髄濃縮物/多血小板血漿分画又は乏血小板血漿分画のうちの1つ以上の出力量に基づいていてもよい。該システムは、出口ポートに結合され、単離された細胞外小胞、又は遠心分離デバイスでの遠心分離後に作成された骨髄濃縮物分画/多血小板血漿分画のうちのいずれか1つ以上を受け入れる単離シリンジをさらに含んでもよい。さらに、容器は第1の容器を含むことができ、システムは、遠心分離デバイスから遠心分離された赤血球分画を収集するための第2の容器をさらに含むことができ、第2の容器は遠心分離デバイスに結合される。
さらなる任意の態様及び特徴が開示されており、それらは、開示の教示と一致して、単独で、又はいずれかの機能的に実行可能な組み合わせで、いずれかの機能的に適切な方法で配置されてもよい。他の態様及び利点は、以下の詳細な説明を検討することにより、明らかになるであろう。
一般に、細胞外小胞を単離するシステム及び方法が開示される。システムは、血液又は骨髄のうちの1つ以上を受け入れる第1の入力ポートを含み、遠心分離デバイスは、入力ポートに結合されて、赤血球、乏血小板血漿、及び/又は骨髄濃縮物/多血小板血漿のうちの1つ以上の分画を分離させる。システムはまた、遠心分離デバイスから遠心分離された、骨髄濃縮物分画/多血小板血漿分画又は乏血小板血漿分画のうちの1つ以上を収集するための第1の容器も含んでおり、第1の容器は、遠心分離デバイスに結合されている。遠心分離デバイスから遠心分離された赤血球分画を収集するための第2の容器も含まれており、第2の容器は同様に遠心分離デバイスに結合される。第2の入口ポートは、第1の容器に結合され、第2の入口ポートに結合されたシリンジを介して、ポリ(エチレングリコール)−デキストラン(PEG−DEX)溶液などの濃縮水性二相溶液を受け入れ、出口ポートは、遠心分離デバイスに結合されて、遠心分離デバイスで単離された細胞外小胞を受け入れる。このように構成されているので、遠心分離デバイスが、血液及び骨髄のうちの1つ以上を、赤血球、乏血小板血漿、及び/又は骨髄濃縮物/多血小板血漿分画のうちの1つ以上に分離した後、濃縮水性二相溶液は、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画又は乏血小板血漿のうちの1つ以上が配置された第1の容器に加えられる。次に、濃縮水性二相溶液と、骨髄濃縮物分画/多血小板血漿分画又は乏血小板血漿分画のうちの1つ以上とが、遠心分離デバイスに戻され、細胞外小胞又は骨髄濃縮物/多血小板血漿分画のうちの1つ以上が、注射用に単離される。
より具体的には、水性二相溶液を使用して、10分間の遠心分離プロセスなどの遠心分離プロセスにおいて、細胞外小胞を、乏血小板血漿から単離することができる。乏血小板血漿は、末梢血からのもの、又は骨髄からのものである可能性がある。次に、単離された細胞外小胞は、直接適用することができ、又は多血小板血漿又は骨髄濃縮物に懸濁して適用することができる。この単離プロトコルは、多血小板血漿/骨髄濃縮システムと組み合わせて使用できるので、これらの生物学的治療の治療上の可能性は大きく広がる。
ここで図1を参照すると、濃縮システムなどの細胞外小胞10を単離するシステムが示されている。濃縮システムは通常、全血又は骨髄を濃縮するために使用される。例えば、骨髄濃縮物分画を生物学的注射に使用することができる。
より具体的には、システム10は、コンパートメント11と、コンパートメント11の一部に隣接又は配置された血液又は骨髄のうちの1つ以上を受け入れるための第1の入力ポート12とを含む。一例では、第1の入力ポート12は、図1に示されるように、ハウジング11の第1の側部13に配置される。遠心分離デバイス14は、入力ポート12に結合され、コンパートメント11の第2の側部分15(図3A)に隣接して配置される。遠心分離デバイス14は、例えば、第1の入力ポート12を介して遠心分離デバイス14に移動させられる赤血球、乏血小板血漿、及び/又は骨髄濃縮物/多血小板血漿のうちの1つ以上の分画を分離する。さらに、システム10はまた、遠心分離デバイス14から遠心分離された骨髄濃縮物分画/多血小板血漿分画又は乏血小板血漿分画のうちの1つ以上を収集するための第1の容器16を含む。第1の容器16は、遠心分離デバイス14に結合され、コンパートメント11の第1の側部13に隣接して配置される。第1の容器16と同様に、第2の容器18もまた、遠心分離デバイス14に結合され、コンパートメント11の第1の側部13に隣接して配置される。第2の容器18は、例えば、遠心分離デバイス14から遠心分離された赤血球分画を収集する。
第2の入口ポート20は、第1の容器16に結合され、以下でさらに説明されるように、PEG−DEX溶液などの濃縮水性二相溶液を受け入れる。一例において、図2に示されるように、シリンジ22は、第2の入口ポート20に結合され、第1の容器16内に配置された乏血小板血漿及び/又は骨髄濃縮物/多血小板血漿分画のうちの1つ以上に加えられる濃縮水性二相溶液を含む。
水性二相溶液には、遠心分離中に微小胞の分離と分割を可能にするいずれかの溶液が含まれる。より一般的には、水性(又は水系)溶液は、極性であり、非極性有機溶媒(クロロホルム、トルエン、ヘキサンなど)と非混和性であり、例えば、二相系を形成する。異なる相の形成は、2つの成分のpH、温度、及びイオン強度の影響を受け、存在するポリマーの量が、これらの要因によって決定される一定の限界濃度を超えると、分離が生じる。一例において、そして上記のように、水性二相溶液は、濃縮PEG−DEX溶液を含む。この例では、「上相」は、より疎水性の高いポリエチレングリコール(PEG)によって形成され、これは、より親水性が高く、高密度のデキストラン溶液からなる「下相」よりも密度が低い。
図1を再び参照すると、出口ポート24は、コンパートメント11の上部25(図3A)に配置され、遠心分離デバイス14に結合されている。一例では、隔離シリンジ26が出口ポート24に結合される。単離シリンジ26は、後述する遠心分離プロセスの1つに従って、少なくとも遠心分離デバイス14によって分離された細胞外小胞、及び/又は遠心分離デバイスでの遠心分離後に作成された骨髄濃縮物分画/多血小板血漿分画のうちの1つ以上を受け入れる。
このように構成されているため、血液又は骨髄のうちの1つ以上を入力ポート12に充填すると、遠心分離デバイス14は、血液を赤血球に、骨髄を乏血小板血漿及び/又は骨髄濃縮物/多血小板血漿分画のうちの1つ以上に分離する。乏血小板血漿又は骨髄濃縮物/多血小板血漿分画のうちの1つ以上が、第1の容器16にポンプ注入され、赤血球が、第2の容器18に移動、例えばポンプ注入される。以下でさらに説明するように、第1の容器16に配置された骨髄濃縮物/多血小板血漿分画及び/又は乏血小板血漿分画のうちの1つ以上に、濃縮水性二相溶液が加えられる。その後、水性二相溶液と、骨髄濃縮物分画/多血小板血漿分画又は乏血小板血漿分画のうちの1つ以上とが、遠心分離デバイス14に戻され、細胞外小胞又は骨髄濃縮物/多血小板血漿分画のうちの1つ以上が、注射用に単離される。一般に、そして一例において、以下でもさらに説明するように、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画又は乏血小板血漿分画に加えられる水性二相溶液の量は、第1の容器16に配置される骨髄濃縮物/多血小板血漿分画又は乏血小板血漿分画のうちの1つ以上の出力量に基づいている。
ここで図3Aを参照すると、図1及び2のシステム10の上面図が示されており、本開示の一態様による、小胞を単離する例示的な方法100を示している。より具体的には、細胞外小胞を単離する方法100は、例えば図3Aの点1に示されるように、血液又は骨髄のうちの1つ以上を濃縮システム10の入力ポート12に充填することを含む。次に、方法100は、点2で示すように、濃縮システム10の遠心分離デバイス14によって、血液又は骨髄のうちの1つ以上を遠心分離して、赤血球、乏血小板血漿、又は多血小板血漿/骨髄濃縮物分画のうちの1つ以上を分離することを含む。より具体的には、例えば、図3Aに示されるように、血液又は骨髄のうちの1つ以上が、管17を介して、入力ポート12から遠心分離デバイス14に引き込まれる。管17が示されているが、当業者は、他の機構及び/又はプロセスが、血液及び/又は骨髄のうちの1つ以上を遠心分離デバイス14に移動させるために代替的及び/又は追加的に使用されてもよく、さらに本開示の範囲内に収まることを理解するであろう。
加えて、方法100は、図3Aの点3で示すように、遠心分離デバイス14内での遠心分離後に作成された骨髄/多血小板血漿分画及び乏血小板血漿分画のうちの1つ以上を、濃縮システム10の第1の容器16にポンプ注入することをさらに含む。同様に、該方法は、例えば、点4で示すように、赤血球分画を濃縮システム10の第2の容器18にポンプ注入することをさらに含んでもよい。
次に、方法100は、点5で示すように、第1の容器16に配置された骨髄濃縮物/多血小板血漿分画及び乏血小板血漿分画のうちの1つ以上に、濃縮水性二相溶液を加えることを含む。該方法はさらに、点6に示すように、濃縮水性二相溶液と、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画又は乏血小板血漿分画のうちの1つ以上とを、遠心分離デバイス14に戻し、細胞外小胞及び多血小板血漿/骨髄濃縮物分画のうちの1つ以上を単離することを含む。一例では、方法100は、例えば図3Aにおいて、点7で示すように、水性二相溶液及び乏細胞外小胞血漿(EPP)を、第1の容器16にポンプで戻すことをさらに含んでもよい。次に、方法100は、点8に示すように、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画及び単離された細胞外小胞のうちの1つ以上を、注射用シリンジ26にポンプ注入することを含む。
ここで図3Bを参照すると、図1のシステム10の上面図が示されており、本開示の別の態様による、小胞を単離する例示的な方法200を示している。一般に、及び図3Aに関連して上記の方法100の代替として、注射される水性二相溶液の量を最小限に抑えるため、細胞外小胞の単離の前に、骨髄濃縮物又は多血小板血漿濃縮物のうちの1つ以上を単離してもよい。有利にも、この例では、細胞外小胞の量を決定することができ、水性二相溶液の濃度が低下し、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画中の細胞に対する水性二相溶液の効果が、最小化される。
より具体的には、本開示のシステム10を使用して小胞を単離する別の方法200を以下に説明する。上記の方法100と同様に、方法200は、図3Aの部分1に示されるように、濃縮システム10の入力ポート12に、血液又は骨髄のうちの1つ以上を装填することを含む。次に、方法200は、部分2で示すように、濃縮システム10の遠心分離デバイス14を介して、血液又は骨髄のうちの1つ以上を遠心分離して、赤血球、乏血小板血漿、又は多血小板血漿/骨髄濃縮物分画のうちの1つ以上を、1回目の遠心分離のために分離することを含む。次に、方法100とは異なり、方法200は、図3Aの部分3に示すように、骨髄/多血小板血漿分画のみを、コンパートメント11の上部25に隣接して配置された単離シリンジ26などのシリンジにポンプ注入することを含む。当業者は、1回目の遠心分離後に作成された骨髄/多血小板血漿分画のみを、例えば、単離シリンジ26とは異なる別のシリンジ又は容器にポンプ注入してもよく、それでも本開示の範囲内に収まることを理解するであろう。さらに、方法200は、次に、部分4に示されているように、乏血小板血漿分画のみを、濃縮システム10の第1の容器16にポンプ注入することを含む。いくつかの例では、方法200は、部分5に示されるように、赤血球分画を、第2の容器18にポンプ注入することをさらに含んでもよい。
さらに図3Bを参照すると、方法200は、例えば、部分6に示されるように、第1の容器16内に配置された乏血小板血漿分画に濃縮水性二相溶液を加え、次いで、部分7に示すように、濃縮水性二相溶液及び乏血小板血漿を遠心分離デバイス14に戻し、細胞外小胞のうちの1つ以上を単離することも含む。一例では、以下にさらに説明するように、2回目の遠心分離のために、濃縮水性二相溶液及び乏血小板血漿分画を遠心分離デバイス14に戻すことは、乏血小板血漿分画から細胞外小胞を単離し、注射用の細胞外小胞ペレットを作成することを含む。
次に、方法200は(方法100と同様に)、部分8に示すように、濃縮水性二相溶液と、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画又は乏血小板血漿分画のうちの1つ以上とを、遠心分離のために遠心分離デバイスに戻した後、水性二相溶液及び乏細胞外小胞血漿を第1の容器16にポンプ注入することを含む。
さらに、方法200はまた、図3Bの部分9に示すように、単離された細胞外小胞のみを、注射のために、コンパートメント11の上部25に隣接して配置されたシリンジ26にポンプ注入することも含む。より具体的には、濃縮水性二相溶液の遠心分離により作成した細胞外小胞と、例えば2回目の遠心分離のために遠心分離デバイス14に戻された乏血小板血漿分画とを、1回目の遠心分離で骨髄濃縮液/多血小板血漿分画で満たされたシリンジにポンプ注入してもよい。一例では、このシリンジは、図3A及び3Bに示すように、コンパートメント11の上部25に隣接して配置された単離シリンジ26であってもよい。したがって、この例では、濃縮水性二相溶液は細胞外小胞と一緒に加えられるだけなので、単離シリンジ26内の残留濃縮水性二相は大幅に減少される。
例として、1mLの細胞外小胞を、単離シリンジ36内に既に配置されている、(例えば、注射される)4mLの骨髄濃縮物に加えて、PEG−DEX溶液などの残留濃縮水性二相溶液を5分の1に減少させることができる。そのため、(図3Bの部分6のように)PEG−DEX溶液などの濃縮水性二相溶液を乏血小板血漿のみに加え、次に、例えば乏血小板血漿細胞外小胞などの、2回目の遠心分離で作成した細胞外小胞を、(図3Bの部分3のように)シリンジ26にポンプ注入した骨髄濃縮物/多血小板血漿分画に加えることにより、残留濃縮水性二相溶液が減少する。さらに、細胞外小胞、例えば乏血小板血漿細胞外小胞が、単離シリンジ26に加えられるので、追加の細胞外小胞の量を容易に決定することができる。
別の例では、方法200は、シリンジ26内の単離した骨髄/多血小板血漿分画の量に基づいて、注射するPEG−DEX溶液の量を決定することをさらに含んでもよい。その結果、使用される水性二相溶液の濃度が低減され、例えば、骨髄/多血小板血漿分画中の有核細胞に対する水性二相溶液の影響が最小限に抑えられる。
ここで図4〜6を参照すると、上記のシステム10とともに使用されるように適合されたシリンジの斜視図が示されている。より具体的には、そして一例では、図4〜6のシリンジは、図2に示すシリンジ22であってもよく、これは上述のように、第1の容器16に結合されている。この例では、図4に示されているように、濃縮水性二相溶液が最初にシリンジ22に配置される。さらに、方法200に関連して上述したように、例えば、乏血小板血漿(PPP)は、水性二相溶液を有するシリンジ22に加えられ、図5に示すように、PEG−DEX溶液などの水性二相溶液と、PPP溶液32とがシリンジ22内で作成される。より具体的には、そして一例では、最終的な1.5%のPEG−DEX濃度を得るために、15%のPEG−DEXの1mLがシリンジ22内にある場合、総量が10mLとなるよう、9mLの乏血小板血漿がシリンジ22に引き込まれる。より一般的には、シリンジ22に引き込まれるなどして、ある量の乏血小板血漿を濃縮水性二相溶液に加えて、濃縮水性二相PEG−DEX溶液の量を、約1.5%の濃縮水性二相溶液の希釈標準溶液にまで希釈することができる。さらに、そして別の例では、以下でさらに説明するように、濃縮水性二相溶液が乏血小板血漿に加えられ、約5分の室温インキュベーションが与えられる。
図6に示すように、シリンジ22内の水性二相溶液とPPP溶液32とが、遠心分離デバイスで遠心分離され、例えば、注射用、又は多血小板血漿又は骨髄濃縮物のうちの1つ以上に加えられる細胞外小胞のペレット34が作成される。より具体的には、そして一例において、水性二相及びPPP溶液を有するシリンジ22を、200×gで約10分間シリンジ22を保持することができる遠心分離デバイス内で遠心分離にかけるので、細胞外小胞が単離され、細胞外小胞ペレット34が作成される。
より一般的には、例えば、図4〜6に示されるシステム10及びシリンジ22を使用して細胞外小胞を単離する別の方法300は、シリンジ22などのシリンジ又はシステム10の容器のうちの1つ以上に濃縮水性二相溶液を配置することを含む。方法300は、例えば、図5のシリンジ22に示すように、乏血小板血漿分画又は骨髄/多血小板血漿分画のうちの1つ以上を、濃縮水性二相溶液に加えることをさらに含む。方法300はまた、シリンジ22内に配置された溶液と、乏血小板血漿分画又は骨髄/多血小板血漿分画のうちの1つ以上とを遠心分離して、細胞外小胞を単離することを含む。図6に示されるように、方法300はさらに、単離された細胞外小胞を有するペレット34を作成することを含み、ペレット34は注射用である。別の例では、細胞外小胞ペレット34は、例えば、骨髄/多血小板血漿分画のうちの1つ以上に加えられてもよい。
図7及び8に示されているように、代替のシリンジ40は、図7に示すように、細胞外小胞ペレットのみ、又は図8に示すように、細胞外小胞ペレットと骨髄濃縮物又は多血小板血漿との組み合わせのうちの一方又は両方を収容するように設計されてもよい。より具体的には、図7を参照すると、シリンジ40は、遠位端44及び近位端46を有する本体42を含み得る。円筒状突起などの突起48は、本体42の遠位端44から延在し、上述の遠心分離プロセスによって形成された細胞外小胞ペレット50を含む。この例では、図4〜6のシリンジ22とは異なり、図7及び8のシリンジ40は、例えば図4〜6に示すように、本体42内ではなく、シリンジ40の本体42の外側に配置された突起48内で、細胞外小胞ペレット50を受け入れる。同様に、図8は、細胞外小胞と、骨髄濃縮物又は多血小板血漿のうちの1つ以上とを両方含むペレット52を有するシリンジ40の突起48を示す。細胞外ペレット50、52を、本体42ではなく、シリンジ40の突起48内に配置することにより、例えば、シリンジ40から排出される、乏細胞外小胞血漿及びPEG−DEXなどの水性二相溶液の量を最小にしつつ、細胞外小胞濃縮物をシリンジ40からより容易に排出することができる。
上記の方法100、200、300の全ては、濃縮性二相溶液を、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画及び乏血小板血漿分画のうちの1つ以上に加える前に、所定の濃度でPEG−DEX溶液を予混合することをさらに含んでもよい。一例では、所定の濃度でPEG−DEX溶液を予混合することは、10倍濃度でPEG−DEX溶液を予混合することを含む。別の例では、所定の濃度でPEG−DEX溶液を予混合することは、5倍濃度でPEG−DEX溶液を予混合することを含む。さらに別の例では、所定の濃度でPEG−DEX溶液を予混合することは、8倍濃度でPEG−DEX溶液を予混合することを含む。他の例では、そして当業者が理解するように、所定の濃度は、3倍濃度〜15倍濃度の範囲内のいずれかの濃度であってもよく、それでもなお本開示の範囲内に収まる。いくつかの例では、PEG−DEX溶液を予混合することは、迅速な細胞外小胞の単離にとって不可欠である。さらに、方法100、200、300は、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画及び乏血小板血漿分画のうちの1つ以上に、濃縮水性二相溶液を加えた後に、室温インキュベーションのための時間を与えることを含んでもよい。一例では、室温インキュベーションのための時間は約5分である。当業者は、時間が、5分よりも長いか、あるいは3分、4分、又は4分半のようにわずかに短くてもよく、それでもなお本開示の範囲内に収まることを理解するであろう。
さらに、方法100、200、300のそれぞれにおいて、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画及び乏血小板血漿分画のうちの1つ以上に、濃縮水性二相溶液を加えることは、第1の容器16内の、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画及び乏血小板血漿分画のうちの1つ以上の量に基づいて、骨髄濃縮物/多血小板血漿分画及び乏血小板血漿分画のうちの1つ以上に、濃縮水性二相溶液を加えることを含んでもよい。
ここで図9〜12を参照すると、本開示のシステム10及び方法100、200、及び300の様々な実験結果が示されている。より具体的には、図9は、遠心分離前の容器60内の水性二相溶液と乏血小板血漿の組み合わせの斜視図である。そこに示されているように、遠心分離の前に、細胞外小胞は単離されていなかった。この例では、水性二相溶液はPEG−DEXである。さらに、乏血小板血漿に添加した場合の1.5%のPEG−DEX濃度により、例えば、シリンジを保持できる遠心分離デバイスなどの卓上型遠心分離機を用いて、細胞外小胞を単離させることができた。さらに、分子量450k〜650kのデキストランを使用し、遠心分離デバイスを1000×gで10分間運転した。理解されるように、PEG−DEX濃度の様々な他のパーセンテージ量、またより一般的には、水性二相溶液の第1の相を代わりに使用してもよく、それでも本開示の範囲内に収まる。同様に、デキストランの様々な他の重量、またより一般的には、水性二相溶液の第2の相も使用することができ、それでも本開示の範囲内に収まる。別の言い方をすると、PEG−DEX溶液の様々な組み合わせを、乏血小板血漿に加えて、遠心分離中に細胞外小胞を単離することができる。より一般的には、水性二相溶液の第1の相と水性二相溶液の第2の相の様々な組み合わせを使用して、遠心分離中に細胞外小胞を単離することができ、それでもなお本開示の範囲内に収まる。
ここで図10を参照すると、例えば10分間の遠心分離プロセス後の、図9の容器60の斜視図が示されている。上記のプロセスと前述の実験パラメータにより、細胞外小胞が単離され、細胞外小胞ペレット62が作成された。
ここで図11を参照すると、容器60は、PEG−DEX濃度とddH2Oの組み合わせがその中に配置されている状態で示されている。遠心分離が行われ、細胞外小胞ペレットは作成されなかった。
ここで図12を参照すると、遠心分離後の容器60が示されている。この実験例では、遠心分離の前に、PEG−DEX濃縮溶液と乏血小板血漿の組み合わせを、再び容器60内に配置した。乏血小板血漿をPEG−DEX濃縮溶液とともに配置する前に、例えば、乏血小板血漿を1900×gで30分間事前回転させて、残留細胞を完全に除去した。遠心分離後も、図12に示すように、細胞外小胞ペレット64が作成され、回収された。
ここで図13を参照すると、例示的な細胞外小胞ペレットの位相差写真が示されている。具体的には、細胞外小胞ペレットは、20倍の倍率で再懸濁される。この図では細胞は示されていないが、細胞外小胞クラスタ66が見られる。
前述を考慮し、当業者は、上述の本開示のシステム10及び方法100、200、300の以下の利点を理解するであろう。例えば、システム10及び方法100、200、300は、迅速に臨床の場で、細胞外小胞を乏血小板血漿から単離することができる。細胞外小胞を迅速に単離することにより、実用的、治療的、及び規制上の理由で重要な、血液又は骨髄のうちの1つ以上の収集を含む同じ臨床手順内で、細胞外小胞を適用することができる。例えば、血液又は骨髄から単離された細胞外小胞は、生物学的注射の有効性を高めるために、又は単独の生物学的治療法として使用することができる。
さらに、システム10は、通常は使用されないが、従来のシステムにおいて量では遠心分離プロセスの出力のかなりの部分となる、乏血小板血漿分画からの細胞外小胞の収集を可能にする。さらに、例えば、システム10のシリンジ22、26、40は、シリンジ22、26、40が遠心分離デバイス14に装填されるように設計されていてもよいので、乏血小板血漿及びPEG−DEX溶液などの水性二相溶液、又は細胞外小胞濃縮物を遠心分離管に移送する必要がない。このように構成すると、汚染のリスクが最小限に抑えられ、エラーやサンプルの損失のリスクが軽減され、手順が迅速になる。
さらに、システム10は、上記でさらに説明したように、生物学的サンプルが2回の遠心分離サイクルにかけられても、1台の遠心分離デバイス14のみが使用されるように設計されている。その結果、さらなる遠心分離デバイスとさらなる遠心分離シリンジとが不要になる。さらに、汚染のリスクがさらに軽減され、単離手順が迅速になる。
以下の追加の検討事項が、上記の考察に適用される。本明細書を通して、複数の事例は、単一の事例として記載された構成要素、動作、又は構造を実施し得る。1つ以上の方法の個々の動作が別個の動作として例示及び記載されたが、個々の動作のうちの1つ以上が同時に実行されてもよく、例示された順序で動作が実行される必要はない。例示的な構成内で別個の構成要素として提示された構造及び機能は、組み合わされた構造又は構成要素として実施されてもよい。同様に、単一構成要素として提示された構造及び機能は、別個の構成要素として実施されてもよい。これらの及び他の変形、修正、追加、及び改善は、本明細書の主題の範囲内にある。
いくつかの実施は、派生語とともに「結合された」という表現を用いて記載されてもよい。例えば、いくつかの実施は、2つ以上の要素が物理的又は電気的に直接接触していることを示すのに、「結合された」という用語を用いて記載されてもよい。しかしながら、「結合された」という語はまた、2つ以上の要素が互いに直接には接触してはいないが、それでも互いに協働又は相互作用していることも意味し得る。上記実施は、この文脈において限定されるものではない。
本明細書に使用される際、「備える(comprises、comprising)」、「含む(includes、including)」、「有する(has、having)」という用語、又はそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含を網羅することを意図する。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるものではなく、明示的に列挙されていないか、又はかかるプロセス、方法、物品若しくは装置に固有の他の要素を含み得る。さらに、正反対に明示的に述べられない限り、「又は」は、排他的な又はではなく、包括的な又はであることを意味する。例えば、条件A又はBは、Aが真(又は存在)かつBが偽(又は存在しない)、Aが偽(又は存在しない)かつBが真(又は存在する)、ならびにA及びBの両方が真である(又は存在する)のうちのいずれか1つによって満たされる。
加えて、「a」又は「an」の使用は、本明細書の実施の要素及び構成要素を説明するために用いられる。これは単に便宜上、かつ本発明の一般的な観念を与えるために行われているにすぎない。この記述は、1つ又は少なくとも1つを含むと読み取るべきであり、別の意味であることが明らかでない限り、単数形は複数形も含む。
さらに、特定の実施及び応用が図示され、説明されているが、開示された実施は、本明細書に開示された正確な構造及び構成要素に限定されないことを理解されたい。当業者には明らかとなる、様々な修正、変更、及び変形が、添付の特許請求の範囲で定義される趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される方法及び装置の構成、動作、及び詳細において行われ得る。