JP2019518428A - 体液試料からの細胞外小胞(ev)の単離 - Google Patents

体液試料からの細胞外小胞(ev)の単離 Download PDF

Info

Publication number
JP2019518428A
JP2019518428A JP2018554488A JP2018554488A JP2019518428A JP 2019518428 A JP2019518428 A JP 2019518428A JP 2018554488 A JP2018554488 A JP 2018554488A JP 2018554488 A JP2018554488 A JP 2018554488A JP 2019518428 A JP2019518428 A JP 2019518428A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
extracellular matrix
forming polymer
body fluid
precipitation
peg
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018554488A
Other languages
English (en)
Inventor
マリア キアーラ デレギブス
マリア キアーラ デレギブス
フェデリコ フィリョリーニ
フェデリコ フィリョリーニ
チーロ テッタ
チーロ テッタ
ジョヴァンニ カムッシ
ジョヴァンニ カムッシ
Original Assignee
ユニシテ エーファウ アクチェンゲゼルシャフト
ユニシテ エーファウ アクチェンゲゼルシャフト
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ユニシテ エーファウ アクチェンゲゼルシャフト, ユニシテ エーファウ アクチェンゲゼルシャフト filed Critical ユニシテ エーファウ アクチェンゲゼルシャフト
Publication of JP2019518428A publication Critical patent/JP2019518428A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6806Preparing nucleic acids for analysis, e.g. for polymerase chain reaction [PCR] assay
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D21/00Separation of suspended solid particles from liquids by sedimentation
    • B01D21/01Separation of suspended solid particles from liquids by sedimentation using flocculating agents
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01DSEPARATION
    • B01D21/00Separation of suspended solid particles from liquids by sedimentation
    • B01D21/26Separation of sediment aided by centrifugal force or centripetal force
    • B01D21/262Separation of sediment aided by centrifugal force or centripetal force by using a centrifuge

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Sampling And Sample Adjustment (AREA)

Abstract

本発明は、体液試料から細胞外小胞(EV)を単離する組成物および方法に関する。本発明の組成物および方法は、ポリカチオンと細胞外マトリックス形成ポリマーとの組合せに基づいている。細胞外小胞(EV)は、血液、血清、血漿、唾液、尿もしくは脳脊髄液のような体液、または成熟幹細胞培養のような細胞培養の馴化培地から単離される。本発明の単離方法および組成物の使用は、より高いEV回収、エキソソームにおける濃縮、簡便性、費用効果、およびそれらの生物活性をインビトロで保持するEVの単離をもたらす。

Description

本発明は、体液試料からの細胞外小胞(EV)の単離方法および体液試料から細胞外小胞(EV)を沈殿させる組成物に関する。
小胞が媒介する細胞間の情報伝達は、多くの生物学的プロセスにおいて重要であると思われる。細胞から放出された小型の小胞は、最近、細胞間情報伝達の重要なメディエーターとして浮上している。細胞外小胞(EV)と命名されたこれらの小胞は、エンドソームの細胞膜コンパートメントから放出されたエキソソーム、および細胞膜出芽によって細胞表面から放出された微小胞を含む。EVに含有されるタンパク質、脂質および核酸は、起源の細胞によって異なり、レシピエント細胞に取り込まれた後、レシピエント細胞の表現型および機能を変化させる情報を伝達する場合がある。
生物活性および分子成分に基づいて、生理学的および病理学的状態におけるEVの役割を扱ったいくつかの研究がなされている。さらに、EVは起源細胞の特徴を保持し、すべての体液中に存在するため、異なる病理学的状態における診断薬としてのそれらの潜在的使用が示唆されている。
根本的な問題は、生物学的機能を研究するために培養細胞から、または診断目的のために体液から、EVをどのように単離するかである。細胞培養に高頻度に用いられるウシ胎仔血清はEVに富んでいるので、インビトロ実験では、EV枯渇血清の使用が必要である。一方、体液からのEVの単離は、異なる細胞起源のEVの同時存在による複雑さに直面している。したがって、潜在的バイオマーカーを同定するために、プロテオームまたはゲノム分析により、EV分子発現または含有物に基づいて細胞起源を識別することが重要である。遠心分離による細胞破片の除去後、3つの主要な方法、すなわちスクロース勾配の非存在下または存在下における分画超遠心分離法、サイズ排除クロマトグラフィおよび免疫アフィニティがEVの単離のために従来から使用されている。これらの方法はすべて、異なるEV集団間を識別する可能性に主に関連したいくつかの利点と、生物活性の喪失を伴った精製の過程で小胞を損傷する危険性、十分に多量の試料の必要性、および単離効率に関連した懸念を有する。
さらに、主に、含有されるRNAおよびタンパク質の評価に焦点を当てた代替方法として、EVのポリマー沈殿が示唆されている。ポリマー沈殿法は、60〜180nmの範囲のサイズのEVを包埋したメッシュ状ネットの形成に基づいている。そのような方法は、培養培地または体液のいずれかに適用される場合がある。特に、ポリマー沈殿法は、少量の生物試料に由来する小胞中のバイオマーカーの検出に利点がある場合がある。
現在、EV精製の「ゴールドスタンダード」方法は、分画超遠心分離法または密度勾配超遠心分離法である。しかし、これらの方法は、溶液の粘性、ローターのタイプ、遠心半径およびg力のような標準化が困難ないくつかのパラメータの影響を受ける。さらに、長時間の高速超遠心分離後に、EVの完全性が損なわれる可能性がある。実際に、膜破片が電子顕微鏡で観察され、RNAおよびエキソソームタンパク質の回収が困難であることが報告されている。
EV精製についての他のいくつかの方法が研究されている。サイズ排除クロマトグラフィは、この方法ではEVがせん断応力を受けないので、EVの完全性を維持する点で超遠心分離に対して利点を有する場合がある。適切な細孔を有する膜を用いた濾過でも代替されるが、いくつかの小さな混入物質の除去を保証するものではなく、膜に結合することによるEVの損失を回避するものでもない。免疫アフィニティ精製は、カーゴの完全性を維持しながら特定のエキソソーム亜型を単離する場合がある。
これらの技術の大部分の限界は、少量の生物試料から出発して十分な量のEVを回収する効率である。
EVを捕捉するPEGの能力に基づくポリマー沈殿技術は、生物試料からEVを単離する迅速な方法であることが示されている。この技術は、PEGがウイルス沈殿を可能にするという観察によって開発され、分子量8000DaのPEGの使用に基づくいくつかの製品が市販されている。
US9,005,888は、400〜8,000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)の少なくとも1種を含む沈殿溶液の使用によって、液体試料から細胞分泌微小胞を単離する方法を開示する。
WO2013/188832は、約8,000ダルトンまたは約10,000ダルトンの分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)の少なくとも1種を含む沈殿溶液の使用によって、液体試料から細胞分泌微小胞を単離する方法を開示する。
US8,901,284は、ポリエチレングリコール、デキストラン、デキストラン硫酸、デキストラン酢酸、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、またはポリ硫酸ビニルのような体積排除ポリマーの使用によって、体液試料からエキソソームを単離する方法を開示する。
先行技術の欠点、特に上述の先行技術の方法が複雑であり高価であること、EV回収の効率が低いこと、単離されたEVにおける混入物質の存在の可能性およびEV膜の損傷の危険性を克服するために、本発明は、添付の請求項1に記載の、体液試料からEVを単離する方法を提供する。
さらに本発明の方法の特徴および長所は、従属請求項に記載されている。
また、添付の請求項13に記載の沈殿組成物は本発明の範囲内にあり、本発明の単離方法における使用に適している。
図1Aは、血清又はHLSCを様々な用量のプロタミンと共にインキュベートした後、回収したEVを示す。図1B〜図1Dは、超遠心分離(UC)またはP/PEG、PEG単独およびプロタミン単独での沈殿後の血清(図1B)、唾液(図1C)およびHLSC(図1D)の無細胞上清からのEV回収のNTAによる比較を示す。 図2は、UCまたはP/PEGでの沈殿後の、血清、唾液およびHLSC由来のEVの顕微鏡写真(図2A)、超遠心分離によって得られたEVについて、P/PEGによって血清、唾液およびHLSCから沈殿したEVのウエスタンブロット分析により、CD63、CD9およびCD81エキソソームマーカーが発現したこと(図2B)を示す。 図3は、超遠心分離およびP/PEG沈殿によって得られたEVにおけるApo B100およびApo A1の存在をウエスタンブロットによる評価(図3A)、Sephadex G−100によるゲル濾過により、EV調製物からApo B100およびApo A1が除去されたこと(図3B)、Sephadex G−100の予備吸収後に抽出されたRNAの量が、血清中および唾液中の両方で減少したこと(図3C)、血清EV中に存在する代表的なmRNAの約2サイクルの減少を示したこと(図3D)を示す。 図4は、P/PEG沈殿によって調製したEVから抽出したRNAと超遠心分離によって調製したEVから抽出したRNAとの比較(図4A)、超遠心分離および沈殿によって得られたEVにおけるmiR191の代表的な増幅プロット(図4B)、miR16について、同等な量の選択されたmRNAが、超遠心分離またはP/PEG沈殿のいずれかによって精製された血清、唾液およびHLSC由来のEVにおいて検出されたこと(図4C)、miR191について、同等な量の選択されたmRNAが、超遠心分離またはP/PEG沈殿のいずれかによって精製された血清、唾液およびHLSC由来のEVにおいて検出されたこと(図4D)を示す。 図5は、唾液EVの生物活性を試験するために、ヒトHaCaT角化細胞を用いてインビトロ創傷閉鎖アッセイを行ったところ、P/PEGによって得られた唾液EVが、EGFと同等な有意な創傷閉鎖を誘導したこと(図5A〜E)、尿細管上皮細胞のインビトロ増殖を行ったところ、沈殿および超遠心分離したEVの両方が、細胞増殖を有意に増加させることができたこと(図5F)を示す。
本発明の細胞外小胞(EV)を単離する方法は、EVは負荷電を示し、正荷電分子と相互作用することができるという研究結果から得られる。
本研究結果に基づいて、本発明者らは、ポリマーマトリックス中の正に荷電したプロタミンの存在下で体液および細胞培養馴化培地からEVを沈殿させ、回収された小胞の数の収率、RNA抽出の効率、エキソソームタンパク質の発現および生物活性に関して、超遠心分離のものと効率を比較した。
驚いたことに、プロタミンは、超遠心分離を必要とせずにEV沈殿を誘導することが見出された。さらに、プロタミン(P)沈殿が細胞外マトリックス形成ポリマーの存在下で行われた場合、EV再懸濁が促進された。NanoSight分析によって評価された沈殿したEVの回収は、超遠心分離によって得られたものより、より効率的であった。電子顕微鏡により、EVのサイズは、2つの方法で類似しており、本発明の方法に従って単離されたEVにおけるCD63、CD9およびCD81エキソソームマーカーの発現は、エキソソームの濃縮を示した。本発明の方法に従って単離されたEVのRNA回収は、超遠心分離によって単離されたEVのものと類似していた。さらに、本発明の方法に従って単離されたEVは、角化細胞による創傷閉鎖および尿細管上皮細胞の増殖の誘導において見られたように、インビトロの生物活性を保持した。要約すると、本発明の方法によるEVの単離は、簡便性の利点を有し、高価な装置の必要性を回避し、少量の生物試料からのEVの効率的な単離に使用される。
本発明に従って体液試料から細胞外小胞(EV)を単離する方法は、体液試料をポリカチオン物質および細胞外マトリックス形成ポリマーと混合するステップ、得られた混合物をインキュベートし、それによってEVを沈殿させるステップ、および混合物から沈殿したEVを分離するステップを含む。
ポリカチオン物質は、複数の場所で正荷電を有するポリマー分子である。EVは負に帯電しており、ポリカチオンはそれらを凝集させるという事実のために、任意のポリカチオン物質が本発明の方法で使用される。好ましいポリカチオン物質は、0.5〜50kDaの分子量および/または2〜20mVの正のゼータ電位を有する。
プロタミンは、好ましくは塩の形状であり、臨床用途に適しているのでより好ましい。プロタミンの最も好ましい形状は、プロタミン塩化物または塩酸塩である。プロタミンの適した代替物は、例えば、好ましくは塩酸塩のような塩の形状のポリリジンまたはDEAEデキストランのようなカチオン性デキストランである。
ポリカチオン物質、好ましくはプロタミンの塩は、好ましくは細胞外マトリックス形成ポリマーおよび体液試料と混合され、混合物中で0.02〜2mg/mlの濃度になる。
本発明の方法での使用に適した細胞外マトリックス形成ポリマーは、任意のポリマー物質であり、体液試料に含まれるEVを包埋したメッシュ状ネットを形成することができる。好ましくは、細胞外マトリックス形成ポリマーはハイドロゲルである。ハイドロゲル形成天然ポリマーは、コラーゲンおよびゼラチンのようなタンパク質、ならびにデンプン、アルギン酸塩およびアガロースのような多糖を含む。ハイドロゲルを形成する合成ポリマーは、化学的重合方法を用いて伝統的に調製される。より好ましくは、細胞外マトリックス形成ポリマーは、ポリエチレングリコール、デキストラン、デキストラン硫酸、デキストラン酢酸、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、またはポリ硫酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸(hyalyronic acid)、ヒドロキシエチルデンプンからなる群から選択される。4〜100kDaの範囲内に含まれる平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)は、好ましい細胞外マトリックス形成ポリマーである。より好ましくは、10〜50kDaの範囲内に含まれる、さらにいっそう好ましくは約35kDaの平均分子量を有するPEGが本発明の方法で用いられる。
本発明の方法で使用する、好ましいポリカチオン物質/細胞外マトリックス形成ポリマーの組の例は、
(i)プロタミン(P)+PEG、
(ii)ポリ−L−リジン+PEG、
(iii)ポリ−L−リジン+デキストラン硫酸、
(iv)DEAEデキストラン+PEG、である。
これらのポリカチオン物質/細胞外マトリックス形成ポリマーの組のすべてを実験的に試験し、血清試料からのEVの沈殿に効果的であることが証明された(実施例を参照)。
本発明の方法の好ましい実施形態によれば、細胞外マトリックス形成ポリマーは、ポリカチオン物質および体液試料と混合され、混合物中で0.01〜0.2g/mlの濃度になる。
混合物から沈殿したEVを分離するために、EV膜の完全性を破壊する危険性を防止する可能性がある任意の分離技術を使用してよい。好ましい方法は、好ましくは1000〜50000g、より好ましくは1000〜10000g、さらにいっそう好ましくは1000〜5000gの範囲内に含まれる速度の遠心分離である。
以下の実験例により詳細に示すように、本発明者らは、体液(血清および唾液)ならびに細胞培養馴化培地(HLSC)の両者からEVを単離するために、本発明の方法を用いた。その結果、本発明の方法を、例えば血液、血清、血漿、唾液、尿、脳脊髄液、または細胞培養馴化培地、好ましくは成熟幹細胞培養馴化培地、より好ましくは間葉系幹細胞培養馴化培地もしくは肝臓多能性前駆細胞培養馴化培地のような任意の体液または細胞培養馴化培地からEVを単離するために使用することができる。
本発明の範囲は、体液試料から細胞外小胞(EV)を沈殿させる組成物も含み、本発明の方法における使用に適している。そのような組成物はビヒクル(好ましくは水、例えば蒸留水)、ならびに方法に関してあらかじめ定義されたポリカチオン物質および細胞外マトリックス形成ポリマーを含む。本発明者らは、体液に対する沈殿溶液の好ましい体積比は約4であることを見出したので、本発明の沈殿組成物は、好ましくは0.05〜1g/mlの範囲内に含まれる濃度の細胞外マトリックス形成ポリマー、および0.1〜10mg/mlの範囲内に含まれる濃度のポリカチオン物質を含む。
以下の実施例は、説明のみのために提供され、添付の特許請求の範囲によって決定される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
実施例は、ポリカチオン物質としてプロタミン、および細胞外マトリックス形成ポリマーとしてPEG35000Daを用いて行った。本発明者らは、本技術を、以下では「P/PEG沈殿」またはそれ以上簡潔に言えば「P/PEG」と命名し、EV単離のゴールドスタンダードである分画超遠心分離法と比較した。
以下の実施例は、NTAによって判断されるように、P/PEGが、超遠心分離よりも少量の血清および唾液ならびに培養細胞の馴化培地からのEVの回収に対してより効率的であることを示す。
電子顕微鏡で観察されたように、EVのサイズは類似していたが、超遠心分離したEV中に存在する膜破片は、P/PEGのEV調製物には存在しなかった。特に唾液から沈殿したEVは、サイズおよび形が非常に均一であった。
P/PEG沈殿によって得られたEVにおけるエキソソームマーカーの発現は、これらの沈殿物中のエキソソームの濃縮を示唆している。
沈殿法によって得られたEVの主な懸念の1つは、リポタンパク質のような非小胞起源の混入物質が存在することであるので、本発明者らは、得られた異なる調製物中のApo B100およびApo Aの存在も評価した。この結果は、血清EVにおいてApo B100およびApo A1がEV沈殿物だけでなく、分画超遠心分離法によって精製されたEVにも存在することを示している。このことは、小胞に付随するexRNAをリポタンパク質に付随するものから区別することが意図されている場合に、診断上の提案に血清EVを使用する上で制限となる場合がある。しかし、生物試料中のexRNAの検出は、それらのビヒクルとは独立して液体生検に利用され、沈殿技術は、この目的に適している場合がある。Apo B100およびApo A1は、唾液中のEVおよびP/PEG調製によって培養培地から精製されたEVにおいて存在しないか、またはほとんど検出されなかったことは、リポタンパク質の汚染は、これらの生物試料ではあまり関連がないことを示唆する。
Sephadex G−25スピンカラムの使用は、沈殿したEVから、PEG 8000を含有するリポタンパク質を除去することが示唆されている(1)。本発明者らは、PEG 35000Daと会合した形で、プロタミンを用いてEVを沈殿させたので、Sephadex G100スピンカラムを使用したところ、アポリポタンパク質混入物質の効果的な除去が示された。吸収後、総RNAは減少したが、EVに含有されるmiRNAおよびmRNAの検出にはまだ適していた。
P/PEG沈殿によって得られたEVは、唾液からのEVで刺激された角化細胞による創傷閉鎖の誘導、およびHLSCによって放出されたEVで促された尿細管上皮細胞の増殖の誘導によって示されるように、インビトロでの生物活性を保持していた。
さらに異なるポリカチオン物質/細胞外マトリックス形成ポリマーの組で実験を行い、EVの沈殿に効果的であることが証明された。
EVの精製に利用可能なすべての従来技術の方法は、いくつかの長所と短所を有しており、おそらくどれも各々の用途に理想的ではない。本明細書で記載された方法は、簡便性の利点を有し、高価な装置の必要性を回避する。さらに、単離されたEVは生物活性を保持していた。
結論として、本発明者らは、本発明の沈殿方法は、生物試料からのEVの効率的な単離を提供し、新しいバイオマーカーの探索のために利用され得ることを示した。
材料および方法
生物試料
唾液は成人の正常なボランティアから得た(n=5)。健康なドナーからのヒト血清(n=5)は、インフォームドコンセントおよび内部Review Board of Blood Bankによる承認後、Blood Bank of Citta della Salute e della Scienza di Torinoによって提供された。
成人ヒト肝臓幹細胞(HLSC)
HLSCを、以前に記載されたように培養し特徴付けた、ヒト凍結保存正常成人肝細胞(Lonza、Basel、Switzerland)から単離した(2)。簡潔に、肝細胞を最初に2週間、Hepatozyme−SFM培地で培養し、次いでHepes(12mM、pH7.4)、l−グルタミン(5mM)、ペニシリン(50IU/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)(すべてSigma、St.Louis、MO、USAから)、およびウシ胎仔血清(FCS)(10%)(Invitrogen)を添加したα−MEM/EBM−1(3:1)(Invitrogen、Carlsbad、CA)培地で培養し、細胞を増殖させ、特徴付けた。細胞蛍光分析によるHLSCの特徴づけは、間葉系幹細胞マーカーの発現を示したが、記載のように内皮および造血マーカーの発現を示さなかった(3)。HLSCはアルファ−フェトプロテインおよびヒトアルブミン、ならびにビメンチンおよびネスチン常在性幹細胞マーカーも発現したが、CD34、CD117およびサイトケラチン(cytokeratin)19卵形細胞マーカーは発現しなかった(2)。さらに、HLSCは、nanog、Sox2、Oct4、およびSSEA4の胚性幹細胞マーカーに陽性であった(4)。適切な培養条件下でHLSCは、内皮分化、骨形成分化および肝分化を受けた(2)。
角化細胞
角化細胞(HaCaT)は、Lonza(Lonza、Basel、Switzerland)から購入し、KBM−gold基本培地(Lonza、Basel、Switzerland)、37℃、5%CO2で培養した。1cm2当たり1mlの培地を用いて細胞を密度3500細胞/cm2で播種し、細胞集密度が70〜80%で継代培養した。簡潔に言えば、フラスコをHEPES緩衝生理食塩溶液で洗浄し、トリプシン溶液で6分間インキュベートし、次いで10%FCSを含む培地でトリプシンを中和した。7分以内に細胞が完全に剥離しなかった場合、トリプシンでのインキュベーションを反復した。
腎臓尿細管上皮細胞(TEC)
ハイブリッドAdeno5/SV40ウイルスによる感染によって不死化されたTEC系統は以前にCantaluppiらによって開発された(5)。細胞を10%FCS(GIBCO)および2mMグルタミン(Life Technologies)を含むDMEM(Lonza、Basel、Switzerland)で増殖させた。TECはvon Willebrand因子の陰性染色、デスミンおよびビメンチンの最小染色、およびサイトケラチンおよびアクチンに対する抗体による著しい染色を示した。TECはまた、アルカリホスファターゼ、アミノペプチダーゼAおよびメガリンのような、完全に分化した近位TECのマーカーに対して陽性であった。
EVの単離
HLSC培養培地、ヒト血清および唾液からEVを精製した。HLSC(2×106細胞/T75)の上清から単離されたEVは、FCSを欠くRPMI中で24時間培養した後に得られた。EV単離の時点で、細胞の97〜99%がトリパンブルー排除アッセイによって生存可能であり、TUNELアッセイはアポトーシス細胞を検出しなかった。
唾液試料(5ml)を滅菌チューブに回収し、採取の間、氷中に保った。提供の1時間前に、健康なドナーは飲食をしないで断食するという手順に従った。
血清分離チューブ(BD)を用いて健康なドナーから血清試料を採取し、1500gで15分間遠心分離した。
単離手順の前に、HSLC上清、唾液および血清試料を、細胞破片および他の混入物質を除去するために3000gで20分間、2回遠心分離にかけた。唾液試料をPBSで1:1に希釈し、0.22μmフィルターで濾過した。
分画超遠心分離法
細胞破片およびアポトーシス小体を3,000gで20分間、2回の遠心分離によって除去後、EVは、Theryら(10)によって記載されているように、10,000gでの最初の超遠心分離、続いて4℃で1時間100,000gでの超遠心分離によって精製された(Beckman Coulter Optima L−90K、Fullerton、CA、USA)。
電荷に基づいた沈殿
沈殿操作のために準備された生物試料を、滅菌バイアルに移し、プロタミン(P)(Sigma、St.Louis、MO、USA)/ポリエチレングリコール(PEG 35000 Merck KGaA、Darmstadt、Germany)沈殿溶液(P/PEG)(1体積沈殿溶液:4体積試料)を添加した。対照として、PまたはPEG 35000単独(PEG)を使用した。沈殿溶液の組成物は、0.25gポリエチレングリコール(PEG 35000、Merck)および1mgプロタミン塩酸塩/ml(Sigma)蒸留水であった。
一晩4℃でインキュベーション後、混合物を1500gで30分間、室温で遠心分離し、上清を廃棄した。沈殿物を、生物活性を研究するために適した緩衝液、またはRNA抽出およびウエスタンブロット分析のための溶解緩衝液に再懸濁した。
リポタンパク質を除去するために、Sephadex G−100(GE Healthcare Bio−Sciences AB、Uppsala、Sweden)スピンカラムを使用した。EVは空隙容量で回収された。
EV電荷の測定
Zeta−sizer nanoinstrument(Malvern Instruments SA、Venissieux、France、サイズ範囲0.3nm〜10μm)によって分析を行った。ゼータ電位(滑り平面)は、分散体中の隣接する同様に荷電した粒子間の静電反発の程度を示す粒子から、距離xで発生する。負ゼータ電位は、粒子を横切る高度の分散体を示す。
ナノ粒子追跡分析(NTA)
NanoSight LM10(Malvern Instruments SA)を使用して、NTAソフトウェアによってEVの濃度およびサイズ分布を分析した。レーザ光源に供された試料中に存在するEVのブラウン運動をカメラで記録し、NTAによってStokes−Einstein式を介してサイズおよび濃度パラメータに変換した。
透過型電子顕微鏡
透過型電子顕微鏡法は、超遠心分離または電荷に基づく沈殿によって単離し、PBSに再懸濁し、200メッシュのニッケルフォルムバール炭素コーティンググリッド(Electron Microscopy Science、Hatfield、PA)に置き、20分間接着させたEVで行った。グリッドを、次いで2%スクロースを含む2.5%グルタルアルデヒドでインキュベートし、蒸留水で洗浄後、EVをNano Van(Nanoprobes、Yaphank、NK、USA)でネガティブ染色し、Jeol JEM 1010電子顕微鏡(Jeol、Tokyo、Japan)によって観察した。
ウエスタンブロット分析
EV調製物に含有されるタンパク質をBradford法(Bio−Rad、Hercules、CA、USA)によって定量化した。タンパク質試料を4%〜15%のグラジエントドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離し、ウサギポリクローナル抗体抗CD9、CD63、CD81、抗アポリポタンパク質(anti−apoliporotein)B100およびヤギポリクローナル抗体抗アポリポタンパク質A1(Abcam、CambridgeUK)とイムノブロッティングを行った。タンパク質バンドを高感度化学発光(ECL)検出キットおよびChemiDoc(商標) XRS+System(BioRad)で視覚化した。細胞およびEV溶解物を30μg/ウエルの濃度でロードした。
RNA抽出
mirVana RNA単離キット(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA、USA)を使用して、製造業者の手順に従ってEVから総RNAを抽出し、RNAを分光光度法で定量化した(Nanodrop ND−1000、Wilmington、DE、USA)。
定量的リアルタイムPCRによるmiRNAおよびmRNAプロファイリング
48ウエルStepOne(商標) Real Time System(Applied Biosystems、Waltham、MA、USA)を用いて、以前に(6)に記載されたように、定量的リアルタイムPCRを行った。簡潔には、miScript Reverse Transcription Kitを用いて、最初に0.2μgのRNAを逆転写し、次いで3連の3ngのcDNAをmiScript SYBR Green PCRキット(Qiagen、Valencia、CA、USA)でqRT−PCRを行う重要なmiRNAを同定および測定するために用いた。hsa−miR−16、29a、99b、191、223に対するmiRNA特異的プライマーを別々の反応で使用した。RNAの代わりにRNU44およびRNU48 snoRNAを陽性対照として使用し、10μlの水を陰性対照として使用した。
qRT−PCR分析はまた、IL8およびMeosin mRNAの存在について唾液EVで、Ago2およびGAPDHmRNAの存在についてHLSCEVで実行した。
細胞増殖アッセイ
不死化尿細管上皮細胞(TEC)を、10%FCSを添加したDMEMに、96ウエルプレートに3×103細胞/ウエルの密度で播種した。12時間後、FCSを含まない培地で2時間、TECを飢餓状態にし、HLSC EVで刺激し、次いで10μM BrdUを一晩添加した。プレートをBrdUキット(BrdU、Roche Diagnostics)で分析し、吸収値を405nmの波長で測定した。
インビトロスクラッチ−創傷治癒アッセイ
HACAT細胞を、10%FCSを添加したDMEMに、24ウエルプレートに50×103細胞/ウエルの密度で播種した。細胞が完全な集密に達した時点で、FCSを含まない培地で一晩飢餓状態にした。翌日、スクラッチ創傷を滅菌チップで作製した。刺激前に(t=0)、ウエルの顕微鏡写真をLEICA顕微鏡で得た。次いで、3つの異なるドナーの唾液から単離されたEV(標的細胞あたり50,000個のEV)で細胞を刺激した。LEICA顕微鏡を用いて36時間にわたって「創傷閉鎖」現象をモニターし、EVで刺激していない細胞と比較して唾液EVで刺激した細胞の創傷面積の減少を観測する画像Jソフトウェアで画像を分析した。
統計分析
結果は平均±SDとして表す。統計分析は、適切な場合にDunnetの多重比較検定を用いたANOVAを用いて行った。P<0.05を有意とみなした。
結果
ゼータ電位の分析は、異なる生物試料で実施され、EVが負電荷を示すことを示した(表1)。
予備実験では、血清を様々な用量のプロタミン(1、0.5、0.25、0.1mg/ml)と共に4℃で一晩インキュベートし、沈殿したEVを3000gで30分間の遠心分離によって回収した(図1A)。しかし、EV沈殿物は0.25mgプロタミン/ml血清の用量で容易に再懸濁したが、最高用量の生成された沈殿物を再懸濁させるのはより困難であった。本発明者らは、プロタミンへのPEG 35,000の添加が再懸濁に有利に働くことを観察した。これに基づいて、超遠心分離のステップを必要とせずに遠心分離後にEVを回収することができるポリマーマトリックス中での負に帯電したEVの沈殿に有利に働くように沈殿戦略が設定された。
図1は、超遠心分離(UC)またはP/PEG、PEG単独およびプロタミン単独での沈殿後の血清(B)、唾液(C)およびHLSC(D)の無細胞上清からのEV回収のNTAによる比較を示す。結果は、NTAによって検出されたEVの数に関して、P/PEG沈殿が他の条件よりも効率的であったことを示している。異なった条件で単離されたEVのサイズは、透過型電子顕微鏡で見られるように類似していた。血清由来のEVは35〜95nmの範囲であったが、唾液由来のものは45〜65nmの範囲のより均質な集団であった。HLSC由来のEVは、45〜75nmの範囲であった(図2A)。
超遠心分離によって得られたEVについては、P/PEGによって血清、唾液およびHLSCから沈殿したEVのウエスタンブロット分析により、CD63、CD9およびCD81エキソソームマーカーの発現が示された(図2B)。沈殿技術は混入したリポタンパク質を共に単離させることが示唆されているので(7、8)、本発明者らは、超遠心分離およびP/PEG沈殿によって得られたEVにおけるApo B100およびApo A1の存在をウエスタンブロットによって評価した。図3Aに示すように、Apo B100およびApo A1は、超遠心分離および沈殿の両者によって得られた血清EVで検出された。唾液EVにおいては、Apo B100は存在しなかった。Apo A1は、超遠心分離後の唾液から得られたEVにおいて検出可能であったが、P/PEG沈殿試料ではほとんど検出できなかった。Apo B100は、超遠心分離および沈降の両方によってHLSC培養培地から精製されたEVには存在しなかったが、Apo A1は、超遠心分離によって精製されたEVのみで検出可能であった。リポタンパク質を除去するために、Sephadex G−100スピンカラムを使用し、アポリポタンパク質を保持したまま、EVを空隙容量で回収した。図3Bに見られるように、Sephadex G−100によるゲル濾過により、EV調製物からApo B100およびApo A1を除去した。
EVにおけるRNAの検出
図3Cに示すように、Sephadex G−100の予備吸収後に抽出されたRNAの量は、血清中および唾液中の両方で減少したが、その差は統計的に有意ではなかった。PCR分析はまた、血清EV中に存在する代表的なmRNAの約2サイクルの減少を示した(ID1 mRNA、図3D)。図4は、P/PEG沈殿によって調製したEVから抽出したRNAと超遠心分離によって調製したEVから抽出したRNAとの比較を示す。これら2つの方法によって単離されたEV間で、含有されるRNAの有意差は観察されなかった。P/PEG沈殿によって調製されたEVから抽出されたRNAが、miRNAまたはmRNAの検出に適しているかどうかを評価するために、RT−PCR分析を行った。RT−PCR分析は、両方の技術を用いて正常な被験者から単離されたEV中にmiR16、29a、99b、191 e 223と同等な量の存在を示した。一方、miR500、142−3p、127−3p、および155は、検出不能、または非常に低いレベルで検出可能のいずれかであった(図示せず)。図4Bは、超遠心分離および沈殿によって得られたEVにおけるmiR191の代表的な増幅プロットを示す。本発明者らは、mRNAを検出するqRT−PCR分析も行った。図4Cに示すように、同等な量の選択されたmRNAが、超遠心分離またはP/PEG沈殿のいずれかによって精製された血清、唾液およびHLSC由来のEVにおいて検出された。
電荷に基づく沈殿によって単離されたEVの生物活性を保持する能力の評価
超遠心分離およびP/PEG沈殿によって得られたEVの生物活性を、唾液およびHLSCのEVについて評価した。
唾液EVの生物活性を試験するために、ヒトHaCaT角化細胞を用いてインビトロ創傷閉鎖アッセイを行った。P/PEGによって得られた唾液EVは、EGFと同等な有意な創傷閉鎖を誘導した(図5A〜E)。特に、沈殿したEVは、超遠心分離によって得られたEVよりも効果的であった(図5E)。
HLSCEVの生物活性を試験するために、尿細管上皮細胞のインビトロ増殖を行った。沈殿および超遠心分離したEVの両方が、細胞増殖を有意に増加させることができた(図5F)。
試験した追加のポリカチオン物質/細胞外マトリックス形成ポリマーの組

表は、蛍光赤色色素PKH26で標識し、提示した物質で沈殿させ、リン酸緩衝食塩水(PBS)に再懸濁した血清細胞外小胞(EV)の蛍光測定を示す。定量は、蛍光の平均強度として表される効果的な標識を共焦点顕微鏡によって検証した。
得られた結果は、a)試験したポリカチオン物質はすべて、血清試料からのEVの沈殿を促進するのに効果的であること、およびb)ポリマー物質/細胞外マトリックス形成ポリマーの組を含む沈殿溶液は、ポリマー物質単独または細胞外マトリックス形成ポリマー単独のいずれかを含む沈殿溶液より効果的であることを示す。
参考文献

Claims (18)

  1. 体液試料から細胞外小胞(EV)を単離する方法であって、
    (i)体液試料をポリカチオン物質および細胞外マトリックス形成ポリマーと混合するステップ、
    (ii)混合物をインキュベートし、それによってEVを沈殿させるステップ、および
    (ii)混合物から沈殿したEVを分離するステップ、
    を含む方法。
  2. 混合物から沈殿したEVを分離するステップが、遠心分離によって行われる、請求項1に記載の方法。
  3. ポリカチオン物質が、プロタミン塩、ポリリジン塩またはカチオン性デキストラン塩から選択される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 塩が、塩酸塩である、請求項3に記載の方法。
  5. 細胞外マトリックス形成ポリマーが、ハイドロゲルである、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 細胞外マトリックス形成ポリマーが、コラーゲン、ゼラチン、デンプン、アルギン酸塩、アガロース、ポリエチレングリコール、デキストラン、デキストラン硫酸、デキストラン酢酸、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、またはポリ硫酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸、ヒドロキシエチルデンプンからなる群から選択される、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 体液が、血液、血清、血漿、唾液、尿、脳脊髄液および細胞培養の馴化培地からなる群から選択される、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 細胞培養が、成熟幹細胞培養、好ましくは間葉系幹細胞培養または肝臓多能性前駆細胞培養である、請求項7に記載の方法。
  9. ポリカチオン物質を、細胞外マトリックス形成ポリマーおよび体液試料と混合し、混合物における濃度を0.02〜2mg/mlとする、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 細胞外マトリックス形成ポリマーを、ポリカチオン物質および体液試料と混合し、混合物における濃度を0.01〜0.2g/mlとする、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 細胞外マトリックス形成ポリマーが、4〜100kDaの範囲内に含まれる平均分子量を有する、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 遠心分離が、1000〜50000g、好ましくは1000〜10000g、より好ましくは1000〜5000gで行われる、請求項2から11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 体液試料から細胞外小胞(EV)を沈殿させるための組成物であって、ビヒクル、ポリカチオン物質および細胞外マトリックス形成ポリマーを含む組成物。
  14. 細胞外マトリックス形成ポリマーが、請求項5または6に記載のものである、請求項13に記載の組成物。
  15. ポリカチオン物質が、請求項3または4に記載のものである、請求項13または14に記載の組成物。
  16. 細胞外マトリックス形成ポリマーが、0.05〜1g/mlの範囲内に含まれる濃度を有する、請求項13から15のいずれか1項に記載の組成物。
  17. ポリカチオン物質が、0.1〜10mg/mlの範囲内に含まれる濃度を有する、請求項13から16のいずれか1項に記載の組成物。
  18. ビヒクルが、水、好ましくは蒸留水である、請求項13から17のいずれか1項に記載の組成物。
JP2018554488A 2016-04-12 2017-04-11 体液試料からの細胞外小胞(ev)の単離 Pending JP2019518428A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP16164889.4 2016-04-12
EP16164889 2016-04-12
PCT/EP2017/058649 WO2017178472A1 (en) 2016-04-12 2017-04-11 Isolation of extracellular vesicles (evs) from biological fluid samples

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019518428A true JP2019518428A (ja) 2019-07-04

Family

ID=56008452

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018554488A Pending JP2019518428A (ja) 2016-04-12 2017-04-11 体液試料からの細胞外小胞(ev)の単離

Country Status (5)

Country Link
US (1) US11484816B2 (ja)
EP (1) EP3443112B1 (ja)
JP (1) JP2019518428A (ja)
CN (1) CN109153968A (ja)
WO (1) WO2017178472A1 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021033979A1 (ko) * 2019-08-20 2021-02-25 연세대학교 산학협력단 아미노산계 블록 코폴리머, 이를 포함하는 소포를 분리하기 위한 조성물 또는 키트, 및 이를 이용하여 소포를 분리하는 방법
JP2021043037A (ja) * 2019-09-10 2021-03-18 国立大学法人広島大学 エクソソームの単離方法、エクソソームの単離キット、およびエクソソームの除去方法
WO2021210622A1 (ja) * 2020-04-15 2021-10-21 合同会社H.U.グループ中央研究所 細胞外小胞の回収方法
WO2021251462A1 (ja) * 2020-06-12 2021-12-16 国立大学法人徳島大学 粒子を分級するための高吸水性ポリマー、及びそれを用いた分級方法
WO2022080461A1 (ja) * 2020-10-16 2022-04-21 富士フイルム和光純薬株式会社 細胞外小胞の産生用培地、培地キット、添加剤及び細胞外小胞の産生方法
WO2022211006A1 (ja) * 2021-03-31 2022-10-06 三洋化成工業株式会社 架橋ポリマー、物質を分離する方法、物質を分離するためのキット、疾患を検査するためのキット及び物質を分離するための装置

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3190177B8 (en) 2010-05-12 2022-07-27 ProKidney Bioactive renal cells
JP2021506324A (ja) * 2017-12-19 2021-02-22 ウニヴェルシタ デリ ストゥディ ディ トレント 生体材料から細胞外小胞を単離する方法および固定相
US11660271B2 (en) 2018-01-29 2023-05-30 Forever Labs, Inc. System and method for isolating extracellular vesicles
US20190301985A1 (en) * 2018-04-03 2019-10-03 Tymora Analytical Operations, Inc. Methods for affinity-based non-antibody capture and purification of extracellular vesicles
EP3869177A4 (en) * 2018-10-17 2022-08-10 H.U. Group Research Institute G.K. PROCEDURE FOR RECOVERING EXTRACELLULAR VESICLES
CN109355258B (zh) * 2018-11-02 2020-04-21 北京恩泽康泰生物科技有限公司 一种用于提取体液中胞外囊泡的提取剂及其提取方法
WO2020166978A2 (ko) * 2019-02-14 2020-08-20 고려대학교 산학협력단 생물학적 샘플로부터 미소 소포체를 추출하는 방법
CN109929802A (zh) * 2019-04-02 2019-06-25 武汉理工大学 一种基于Transwell孔板上室培养细胞下室吸附分离外泌体的方法和应用
EP3936864A1 (en) * 2020-07-06 2022-01-12 Consejo Superior de Investigaciones Científicas (CSIC) Method for the detection and/or quantification of extracellular vesicles in fluid biological samples
CN113930342A (zh) * 2020-07-13 2022-01-14 香港科技大学 促进光合生物生长的培养体系与方法
CN113092642B (zh) * 2021-03-30 2022-11-01 苏州爱宝德生物科技有限公司 一种用于细胞外囊泡的快速提取装置
EP4353815A1 (en) 2021-06-04 2024-04-17 Institute for Basic Science Method for isolating extracellular vesicle using salt fractional precipitation
CN113583954B (zh) * 2021-07-16 2023-11-28 珈泌生物科技(武汉)有限责任公司 一种循环细胞外囊泡原位标记和快速分离方法
WO2023108044A1 (en) * 2021-12-08 2023-06-15 Organicell Regenerative Medicine, Inc. Compositions and methods for treating pain with extracellular vesicles

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007271388A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Hidetoshi Tsuchida 血清または血漿の分離方法および血液分離管
WO2013158203A1 (en) * 2012-04-17 2013-10-24 Life Technologies Corporation Methods for exosome isolation

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2784580B1 (fr) * 1998-10-16 2004-06-25 Biosepra Inc Microspheres de polyvinyl-alcool et procedes de fabrication de celles-ci
CA2484050A1 (en) * 2001-09-20 2003-03-27 Centre For Translational Research In Cancer Cultured stromal cells and uses thereof
DE10151296A1 (de) * 2001-10-17 2003-04-30 Boehringer Ingelheim Pharma Keratinozyten verwendbar als biologisch aktive Substanz bei der Behandlung von Wunden
US20100291584A1 (en) * 2008-02-01 2010-11-18 The Regents Of The University Of California Microfluidic imaging cytometry
CN102068691A (zh) * 2010-12-24 2011-05-25 福尔生物制药股份有限公司 一种应用蔗糖区带超速离心制备高纯度手足口病疫苗的方法
CN104321062B (zh) * 2012-04-03 2018-09-25 兰诺龙有限公司 干细胞微粒
US9005888B2 (en) 2012-06-14 2015-04-14 System Biosciences, Llc Methods for microvesicle isolation and selective removal
WO2013188832A1 (en) 2012-06-14 2013-12-19 System Biosciences, Llc Methods for microvesicle isolation and selective removal
CN103100093B (zh) * 2013-01-23 2015-05-06 中山大学附属第三医院 一种负载小干扰rna的纳米级脂质微泡超声造影剂及制备方法
EP3111212B1 (en) 2014-02-27 2018-08-29 Board of Regents, The University of Texas System Methods and compositions for isolating exosomes
CN103954770B (zh) * 2014-04-25 2015-09-30 江南大学 EVs-TRPC5在检测乳腺癌耐药程度中的应用

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007271388A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Hidetoshi Tsuchida 血清または血漿の分離方法および血液分離管
WO2013158203A1 (en) * 2012-04-17 2013-10-24 Life Technologies Corporation Methods for exosome isolation

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021033979A1 (ko) * 2019-08-20 2021-02-25 연세대학교 산학협력단 아미노산계 블록 코폴리머, 이를 포함하는 소포를 분리하기 위한 조성물 또는 키트, 및 이를 이용하여 소포를 분리하는 방법
KR102220777B1 (ko) * 2019-08-20 2021-02-26 연세대학교 산학협력단 아미노산계 블록 코폴리머, 이를 포함하는 소포를 분리하기 위한 조성물 또는 키트, 및 이를 이용하여 소포를 분리하는 방법
JP2021043037A (ja) * 2019-09-10 2021-03-18 国立大学法人広島大学 エクソソームの単離方法、エクソソームの単離キット、およびエクソソームの除去方法
JP7357346B2 (ja) 2019-09-10 2023-10-06 国立大学法人広島大学 エクソソームの単離方法、エクソソームの単離キット、エクソソームの除去方法、分離液の取得方法およびエクソソームの単離カラム
WO2021210622A1 (ja) * 2020-04-15 2021-10-21 合同会社H.U.グループ中央研究所 細胞外小胞の回収方法
WO2021251462A1 (ja) * 2020-06-12 2021-12-16 国立大学法人徳島大学 粒子を分級するための高吸水性ポリマー、及びそれを用いた分級方法
WO2022080461A1 (ja) * 2020-10-16 2022-04-21 富士フイルム和光純薬株式会社 細胞外小胞の産生用培地、培地キット、添加剤及び細胞外小胞の産生方法
WO2022211006A1 (ja) * 2021-03-31 2022-10-06 三洋化成工業株式会社 架橋ポリマー、物質を分離する方法、物質を分離するためのキット、疾患を検査するためのキット及び物質を分離するための装置

Also Published As

Publication number Publication date
US20200179827A1 (en) 2020-06-11
CN109153968A (zh) 2019-01-04
US11484816B2 (en) 2022-11-01
EP3443112B1 (en) 2020-08-05
EP3443112A1 (en) 2019-02-20
WO2017178472A1 (en) 2017-10-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2019518428A (ja) 体液試料からの細胞外小胞(ev)の単離
Deregibus et al. Charge-based precipitation of extracellular vesicles
Zhang et al. Exosomes: biogenesis, biologic function and clinical potential
AU2018211351B2 (en) Method for isolation and purification of microvesicles from cell culture supernatants and biological fluids
Liu et al. Highly purified human extracellular vesicles produced by stem cells alleviate aging cellular phenotypes of senescent human cells
Franquesa et al. Update on controls for isolation and quantification methodology of extracellular vesicles derived from adipose tissue mesenchymal stem cells
US9829483B2 (en) Methods of isolating extracellular vesicles
Henao Agudelo et al. Mesenchymal stromal cell-derived microvesicles regulate an internal pro-inflammatory program in activated macrophages
Tooi et al. Placenta mesenchymal stem cell derived exosomes confer plasticity on fibroblasts
Lin et al. Exosomes in disease and regeneration: biological functions, diagnostics, and beneficial effects
WO2020215024A1 (en) Exosome mimicking nanovesicles making and biological use
Whitehead et al. Tunneling nanotubes mediate the expression of senescence markers in mesenchymal stem/stromal cell spheroids
Dalirfardouei et al. A feasible method for the isolation of mesenchymal stem cells from menstrual blood and their exosomes
Stremersch et al. Nucleic acid loading and fluorescent labeling of isolated extracellular vesicles requires adequate purification
CA3085957A1 (en) Method and stationary phase for isolating extracellular vesicles from biological material
Zhou et al. Differentiation potential of mesenchymal stem cells derived from adipose tissue vs bone marrow toward annulus fibrosus cells in vitro
US20120288480A1 (en) Cell population comprising orbital fat-derived stem cells (ofscs) and their isolation and applications
Wang et al. Isolation and usage of exosomes in central nervous system diseases
EP3964566A1 (en) Method for selecting stem cells having ability to produce extracellular vesicles with high efficiency by using activity of protease-activated receptor-mediated signaling pathways
Tavormina Identification And Molecular Analysis Of DNA In Exosomes
WO2024079477A1 (en) Novel cell lines and their use in therapy
Stremersch et al. Inadequate purification of extracellular vesicles can lead to misinterpretation of downstream experimental data
CN115537384A (zh) 一种促使间充质干细胞产生外泌体的试剂盒

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200410

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20201119

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20201118

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20210212

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210708