本発明は、少なくとも1つのポリマーセグメントおよび超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも2つのセグメントを含むポリマー、ならびに上記少なくとも2つのポリマーのセグメントと同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成できる少なくとも1つのセグメントを含む添加剤、を含む組成物に関する。
また、本発明は、上記組成物の調製方法、少なくとも1つのセグメント及び添加剤と同じ超分子相互作用に基づく非共有結合を形成することができる少なくとも2つのセグメントを含むポリマーとの超分子相互作用に基づく非共有結合を形成することができる少なくとも1つのセグメントを含む添加剤の使用、に関する。上記組成物は、改善された靭性および/または動作温度範囲を有する、熱可塑性エラストマーおよび熱可塑性ポリマー材料を提供するために使用することができる。
熱可塑性エラストマーの用途
自動車産業と輸送産業は、世界のゴム生産の70〜75%を占めており、世界のゴム産業は現在、エレクトロニクス産業、特に医療分野など他の分野にも急速に拡大しており、特に高性能エラストマーの成長が見込まれている。同時に、ゴム業界は、従来の熱硬化性ゴムの代替品として、設計された熱可塑性エラストマー(TPE)にますます注目している。TPEは、特に自動車業界で法律によってエンドユーザーに課せられることが多いリサイクル性を改善するが、サイクル時間を短縮して加工性も向上させ、設計の柔軟性を大幅に向上させ、非常に複雑なマルチ資材の部品でも簡単に製造できる加工オプションを備えている。ただし、既存のTPEソリューションは、熱安定性と耐クリープ性が不十分であるか、弾性と形状回復性が低いため、多くの用途、特に自動車業界、での厳しい性能要件を満たすことができない。
TPEは、通常、物理的な架橋として機能する剛体ドメイン(rigid domain)と組み合わされた連続的なゴム状相で構成される。このような材料はエラストマーとして機能し、動作温度Tでの、ロードおよびアンロード時に、準瞬間的な形状回復を示す。しかしながら、従来の加硫ゴムエラストマーとは異なり、共有架橋の連続ネットワークを含まないため、剛体ドメインのガラス転移温度(Tg)または融解温度(Tm)を超える温度で溶融加工する[J. G. Drobny, Handbook of Thermoplastic Elastomers, 2nd edition, Elsevier 2014]。TPEは、最も一般的には、Tg<Tのポリマーの1つ以上の長い「ソフト」セグメントと、Tg>Tの非晶性ポリマーまたはTm>Tの半結晶性ポリマーの最低2つの「ハード」セグメントを含むトリブロックコポリマーまたはセグメント化コポリマーに基づいている。バルク内のこれらのセグメントのミクロ相分離は、ゴム弾性を示すソフトポリマーの連続マトリックス内の不連続な剛体ドメインの分散につながる。
工業用途のTPEの最も重要なクラスは、スチレンブロックコポリマー(SBC、35〜38%の市場シェア、たとえばKratonTM)であり、物理的な架橋は、ガラス状のスチレンに富んだ介在物を介して行われる。これらには、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)(SBS)、ポリ(スチレン-イソプレン-スチレン)(SIS)、ポリ(スチレン-イソブチレン-スチレン)(SIBS)、またはポリ(スチレン-(エチレン-co-ブチレン)-スチレン)(SEBS)が含まれる。TPEのさらに重要なクラスは、結晶化度が非常に低いゴム状半結晶性ポリオレフィンコポリマーに基づくオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO、13〜16%の市場シェア)、熱可塑性加硫ゴム(TPV、14〜17%の市場シェア)であり、ゴム相は化学的に架橋されているが、連続した熱可塑性マトリックス内で分離した介在物を形成する(例えば、アイソタクチックポリ(プロピレン)-加硫エチレン-プロピレン-ジエン-モノマー(EPDM)ブレンド、およびポリアミドマトリックスと熱可塑性シリコーン加硫物)、コポリエステルエラストマー(COPE、例えばHytrelTMなど、8〜11%の市場シェア)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU、19〜22%の市場シェア)、およびポリアミドエラストマー(PAE、たとえばVestamidTMおよびPebaxTM、約1%の市場シェア)、である[J. G. Drobny, Handbook of Thermoplastic Elastomers, 2nd edition, Elsevier 2014; J. Markarian, Plastics Additives & Compounding, September/October 2008]。
TPEの用途とその限界は、軟化温度Ts、すなわち剛体ドメインが物理的架橋として有効でなくなる温度、復元力(材料が変形後、形状を回復する能力)、および高負荷および/または高温での安定性(耐クリープ性、圧縮永久ひずみ)、および弾性(低ヒステリシス)、によって決まる。これらの重要な特性はすべて、硬質相の熱機械特性に強く依存している。実際、業界が現在直面している大きな課題は、高い軟化温度Ts(≧150℃)と高い弾性とを組み合わせたTPEの開発である。これは、例えば、自動車業界のフード下のアプリケーションなどの高温エラストマーに対する需要の高まりによって推進されている。典型的には化学的安定性によって制限され、高温での安定性が低いため、ほとんどの一般的な加硫ゴムは、これを満たすことができない。例外として、動作温度が最大約150℃のEPDM、アクリルゴム、最大動作温度が300℃と高いシリコーンベースの高温加硫ゴム(HTV)、フルオロカーボン、フルオロシリコーン、パーフルオロカーボンゴムなどがある。これらの中で、EPDMは、ブレーキシールやラジエーターガスケットなどの自動車用途で最も広く使用されている。しかしながら、石油、潤滑油、燃料との接触においては不十分である。逆に、アクリルゴムは、湿気、酸、および塩基との接触において、不十分な特性を示す。シリコーンベースHTVの主な欠点は、その価格が高いことであり、通常、一般的な加硫物の7〜10倍である。これらはまた、強酸および強塩基、アルコールおよび燃料に対して限定された耐性を示し、そして適度な機械的特性、特に、商品加硫物と比較して低い引張強度を有する。高温のフルオロカーボン、フルオロシリコーン、およびパーフルオロカーボンゴムもまた、適度な機械的特性に悩まされており、そして、それらは商品の加硫物よりも30〜1000倍高価である。
現在、一般的に使用されているSBC、TPO、およびTPVの剛体ドメインのTgまたはTmが低いため、これらは90〜100℃を超える温度での使用には適していない[H. Ohtaki, F. Shimizu, G. W. Coates, G. H. Fredrickson, Mitsubishi Chemical Corporation, Cornell University US 20150057415, “Thermoplastic Elastomer Composition and Process for Manufacturing the Same”]。対照的に、耐熱TPV、COPE、PAEの軟化温度Tgは、200℃を超えることがある。しかしながら、このような材料は、通常、加硫物よりもはるかに制限された柔らかさ/硬さの範囲を示し、COPEの場合、約10〜15%の非常に低い弾性限界を示す[A. K. Bhowmick, H. L. Stephens, Handbook of Elastomers, Marcel Dekker 2001]。
PAEの高温耐性、およびTPUの優れた特性の多くは、水素結合による剛体ドメインの安定化による。TPUは、比較的安価であり(天然ゴムの約2倍の価格だが、長持ちする)、他のエラストマーと比較して、耐候性、耐オゾン性、耐炭化水素性、優れた耐摩耗性、靭性、耐引裂き性、強度など、パフォーマンスに大きな利点がある[C. Prisacariu, Polyurethane Elastomers: From Morphology to Mechanical Aspects, Springer 2011]。それにもかかわらず、TPUの用途は、現在、頑丈な伝動ベルトから義足にまで及んでいるが、タイヤでの使用は、室内の電気フォークリフトなどの制御された環境での低速移動車両、および欄フラットインサートなどの一時的なコンポーネントに限られている。これは、TPUにおいて高い耐荷重性と低い転がり抵抗を実現するには、剛性の高いドメインの含有が必要であり、そのため相対的に硬度が高くなり、クッション能力、牽引力、グリップが低下するためである。さらに、TPUは、発熱とその結果の不安定性(ブレーキング時のメルトダウンなど)により、高速でのパフォーマンスが低下する傾向がある[A. K. Bhowmick, H. L. Stephens, Handbook of Elastomers, Marcel Dekker 2001; C. Prisacariu, Polyurethane Elastomers: From Morphology to Mechanical Aspects, Springer 2011; Weblinks: http://www.thombert.com/website/white_papers/ PolyurethaneRubberTires.pdf, http://tomdwyer.com/2011/uncategorized/will-polyurethane-replace-rubber-for-tires]。実際には、不完全な相分離と剛性ドメインの無秩序な性質のために、市販のTPUの上限連続使用温度はめったに約120℃を超えない[C. Prisacariu, Polyurethane Elastomers: From Morphology to Mechanical Aspects, Springer 2011; M. Szycher, Handbook of Polyurethanes, 2nd edition, CRC Press 2012; M. F. Sonnenschein, W. Koonce, Polyurethanes, in Encyclopedia of Polymer Science and Technology, Wiley 2011; H. Ulrich, Polyurethanes, in Encyclopedia of Polymer Science and Technology, Wiley 2001; G. Oertel, Polyurethane Handbook, Hanser 1985; F. L. G. Malet, in Handbook of Condensation Thermoplastic Elastomers, S. Fairkov, ed., Wiley 2005]。
最も一般的なPAEは、ポリアミド12(PA12)とポリエーテルのセグメント化ブロックコポリマー(例:VestamidTM[Weblink: http://www.vestamid.com/product/vestamid/en/Pages/default.aspx])で、その融点は約170℃である純粋なPA12の融点をはるかに下回る。しかしながら、PA6ベースのPAEは、最大使用温度が200℃で市販されており(PebaxTMおよびNyrimTM)、芳香族または半芳香族のポリアミドセグメントを含むセグメント化されたPAEの最大使用温度は、これよりも高い場合がある。ただし、これは、マトリックスの希釈効果にもかかわらず、高く維持される明確な融点を持つ、秩序あるラメラ結晶を形成できる場合に限られる[Weblinks: http://www.extremematerials-arkema.com/en/product-families/pebax-elastomer-family/; https://www.brueggemann.com/english/nyrim. html]。結果として、特定のPAEは、最大300℃の温度で、有用な物理的特性の多くを保持する[J. G. Drobny, Handbook of Thermoplastic Elastomers, 2nd edition, Elsevier 2014; F. L. G. Malet, in Handbook of Condensation Thermoplastic Elastomers, S. Fairkov, ed., Wiley 2005; M. C. E. J. Niesten, J. Feijen, R.J. Gaymans, Polymer 2000, 41, 8487-8500; P. Latko, A. Boczkowska, in Flexible and Stretchable Electronic Composites, K. Ponnamma et al. eds., Springer 2016]。したがって、それらはシリコーンベースのHTVの最も有望な競争相手の1つです。しかしながら、硬度/柔らかさの範囲はHTVの範囲よりもはるかに小さく、実際、多くのPAEが、その機械的挙動に基づいて真のエラストマーであると見なすことができるかどうかは議論の余地がある。さらに、PAEの機械的特性を特定の目的に合わせて調整することはできない。特に、優れたエラストマー特性と高融点を同時に達成することはできない。一方、シリコーンベースのHTVは、難しいため、過程に費用がかかるという問題がある。さらに、シリコンベースのHTVは、数量限定の環境でのみ使用される。最後に、シリコーンベースのHTVの機械的特性はあまり大きくない。これは、これらの材料の高温に対する耐性を確保するために必要な高度の結晶化度が、弾性、低引張弾性率、低ヒステリシスなどのエラストマーの望ましい特性と両立しないためである。
PAEのアプリケーションには、現在、スポーツ用品、レジャー用品、自動車部品、油圧および空気圧機器、ワイヤーおよびケーブルのジャケットおよびチューブ、医療アプリケーションが含まれる。PAEはまだTPE市場全体の約1%にすぎない。ただし、熱硬化性ゴムと他のTPEの両方と比較して高い価格であるにもかかわらず、高い使用温度と耐油性、耐老化性、耐摩耗性、および優れた絶縁耐力のおかげで、今後数年間の世界の消費量は、主にスポーツ用品、電子機器(誘電エラストマー、コンプライアントナノコンポジット電極、湿度センサー、タッチパッドなど)、および自動車産業に牽引され、大幅に増加すると予想される[P. Latko, A. Boczkowska, in Flexible and Stretchable Electronic Composites, K. Ponnamma et al. eds., Springer 2016]。PAEおよびPAEベースの複合材料は、透過性が高く、極性ガス選択性があり、薄膜の製造に適しているため、ろ過にも重要である[S. Armstrong, B. Freeman, A. Hiltner, E. Baer, Polymer 2012, 53, 1383-1392.]。
COPE、TPU、またはPAEに基づく典型的なTPEは、高い安定性と耐クリープ性を示すが、弾力性が低く、ヒステリシスのない形状回復に悩まされるが、オリゴペプチド、オリゴアミド、オリゴウレタン又はオリゴ尿素などの水素結合した自己組織化末端基を持つポリマーに基づく材料は、これまでのところ、関連する科学文献および特許文献ではほとんど注目されていない。長さが20アミノ酸未満の末端オリゴペプチドセグメントを持つTPEは、アクロン大学が出願した特許出願に開示され、ガラス転移や融解温度などの特定の温度についてのクレームしている(EP2841505) [L. Jia, J. Scavuzzo, J. Kennedy, University of Akron, EP2841505, “Thermoplastic Elastomers Containing an Oligopeptide Hard Component”。 アクロン大学は、グラフト化されたオリゴアミド単位を備えたエラストマーの特許も取得している(WO2015138871) [L. Jia, J. Scavuzzo, J. Kennedy, University of Akron, WO2015138871, “Supramolecular Elastomer Networks Containing Grafted Oligoamide Hard Components”]。最後に、グッドイヤーは、グラフト化オリゴアミドまたはオリゴペプチドを含む官能化エラストマーの使用について記載している(EP2639246) [R. Mruk, R. F. Roskamp, A. Hermann, R. W. Zentel, The Goodyear Tire & Rubber Company, EP2639246, “Functionalized Elastomer and Tire Comprising Such an Elastomer”]。この文献は、タイヤの引裂き挙動を改善するためにタイヤに材料を使用することをクレームしている。ただし、これらのすべてのケースにおいて、オリゴアミドまたはオリゴペプチドセグメント間の水素結合相互作用は、加硫によって得られた共有ネットワークを補足するだけである。これは、おそらく、純粋な超分子エラストマーは大きなひずみで不十分な機械的強度を示したためである。
使用温度範囲と長期安定性を向上させた熱可塑性樹脂
高温安定性は、多くの非晶性または半結晶性の汎用熱可塑性プラスチックにとって重要な問題でもある。これは、高温への持続的および/または一時的な暴露にさらされるボンネット下の自動車部品などのアプリケーションにおいて、より高価なエンジニアリングポリマーと競合することができません。
ポリ(エチレン)(Tm≒140℃)やポリ(プロピレン)(Tm≒160℃)などの一般的なポリオレフィンにおける、低いガラス転移温度Tgと融解温度Tmは、内圧下の水道管やガス管などの低レベルの荷重条件における長期脆化の影響を特に受けやすくする。そして、アタクチックポリ(スチレン)(Tg≒100℃)またはポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)(Tg≧85℃)などの多くのアモルファスガラス状ポリマーは、温度がガラス転移温度に近づくにつれ、引張強度の大幅な低下を示す。分子量、長鎖分岐、および光架橋の増加は、絡み合いネットワークを安定化させることにより、そのような材料の長期的な性能と温度安定性を改善することが知られている[C. J. G. Plummer, Adv. Polym. Sci. 2004, 169, 75-119; Y.L. Huang, N. Brown, J. Polym. Sci. Polym. Phys. Ed. 1991, 29, 129-137; B. Langer, A. Berthold, W. Grellmann, H. F. Enderle, Mater. Testing 2012, 54, 578-583; 49; H.-H. Kausch, R. Gensler, C. Grein, C. J. G. Plummer, P. Scaramuzzino, J. Macromol. Sci. Phys. B 1999, 38, 803-815; R. A. C. Deblieck, D. J. M. van Beek, K. Remerie, I. M. Ward, Polymer 2011, 52, 2979-2990; F. Nilsson, X. Lan, T. Gkourmpis, M. S. Hedenqvist, U. W. Gedde, Polymer 2012, 53, 3594-3601]。しかしながら、熱可塑性エラストマーと同様に、溶融粘度が同時に増加するため、加工性とリサイクル性を犠牲にして性能が大幅に向上することが多く[T. C. B. McLeish, Curr. Opinion. Solid State Mater. Sci. 1997, 2, 678-682]、半結晶性ポリマーの場合、分子量があまりにも高いと、結晶化度の低下につながり、強度と剛性に悪影響を与える可能性がある[M. G. Andersson, J. Hynynen, M. R. Andersson, P.-O. Hagstrand, T. Gkourmpis, C. Muller, J. Polym. Sci. Polym. Phys. 2016, 55, 146-156]。極端な例では、卓越した耐摩耗性を備えているが、熱可塑性樹脂の押し出しなどの従来の技術を使用して加工することができない、超高分子量ポリエチレンが挙げられる。ポリオレフィンにおける、高温クリープを低減したり、長期脆化を制限したりする別の方法は、バルクの融点よりも大幅に高い温度で安定である高度に局所化された物理的架橋を導入することである。したがって、それらは、長期脆化の原因であると考えられている、固体状態における強制的な絡み合いを強く妨げるはずである[T. C. B. McLeish, C. J. G. Plummer, A. M. Donald, Polymer 1989, 30, 1651-1655; L. L. Berger, E. J. Kramer, Macromolecules 1987, 20, 1980-1985; C. J. G. Plummer, A. Goldberg, A. Ghanem, Polymer 2001, 42, 9551-9564]。
ポリ(スチレン)、およびその他の汎用アモルファスガラス状ポリマーの場合、制御された立体規則性(tacticity)によってひずみにより誘導される結晶化を促進すると、Tgのすぐ下の温度範囲で安定性が促進される可能性があることが示されている[C. J. G. Plummer, H.-H. Kausch, Polymer 1993, 43, 1972-1974]。しかしながら、結晶化可能なアイソタクチックおよびシンジオタクチックのグレードのポリ(スチレン)が利用可能ですが、それらはより高価であり、その高い溶融温度のために加工が困難である。市販の汎用ポリ(スチレン)のもう1つの大きな問題は、もつれ密度が低いため、Tgを超えると非常に限られた弾性しか示さなくなることである。これにより、Tgを超える温度に一時的にさらされたときの寸法安定性だけでなく、その加工性も大幅に制限され、たとえば、フィルムのブロー成形の結果が悪くなり、発泡時に不均一なセルの形態や過剰な開気孔の含有量に関する問題が発生する。
不十分な溶融強度は、ポリ(スチレン)やポリ(メチルメタクリレート)などの広く使用されているアモルファスポリマーだけでなく、ポリ(エチレン)やポリ(プロピレン)などのポリオレフィンやポリエステルなどを含む、多くの半結晶性ポリマーでも繰り返し発生する問題である。例えば、その加工温度は、一般にTgをはるかに上回る、すなわち、ゴム状のプラトーに対応する温度範囲をはるかに上回る。不十分な溶融強度は、フィルムのブローや発泡だけでなく、押出成形や熱成形を含む他のさまざまな加工にも影響を与える可能性がある。繰り返しになるが、添加剤(過酸化物、エポキシなど)の存在下での反応加工による連鎖構造とモル質量分布の変更は、ブレンドやフィラーの追加、極性またはイオン性官能基を含む部分との共重合、及びTmのすぐ下の温度での加工、とともに、そのようなポリマーの加工性を改善する手段として広く研究されている[S. Japon, Y. Leterrier, J. A. E. Manson, Polym. Eng. Sci. 2000, 40, 1942-1952; D. M. Bigg, Polym. Eng. Sci. 1988, 28, 830-841; M. Drewniak et al., US 6770697 B2, “High melt-strength polyolefin composites and methods for making and using same”; B. J. Scheve, US 4916198 A, “High melt strength, propylene polymer, process for making it, and use thereof”; C.-J. Johansson, EP0737219 B1, “Processable poly(lactide)s”; C.-F. Hsu et al., US 6797737 B1, “Crosslinked foam of ethylene vinyl acetate copolymer and acid copolymer”]。これらのシステムにおけるバルクポリマーのTgまたはTmを超えて安定している局所的な物理的架橋の使用は、これまで調査されていない。
超分子ネットワークを基盤とした材料
水素結合した超分子ポリマー及びネットワークの分野は、周囲温度で優れた機械的特性を持ちながら、急激な溶融転移、および低い粘土、および適度な高温での優れた加工特性を備えた熱可塑性エラストマーを得る手段として、近年かなり重要性を増している[A. W. Bosman, R. P. Sijbesma, E. W. Meijer, Mater. Today 2004, 7, 34-39; B. J. B. Folmer, R. P. Sijbesma, R. M. Versteegen, J. A. J. van der Rijt, E. W. Meijer, Adv. Mater. 2000, 12, 874-878; R. P. Sijbesma, F. H. Beijer, L. Brunsveld, B. J. B. Folmer, J. H. K. K. Hirschberg, R. F. M. Lange, J. K. L. Lowe, E. W. Meijer, Science 1997, 278, 1601-1604]。文献に記載されている超分子ポリマー及びネットワークは、典型的には、多価非共有相互作用を介して可逆的に二量化する単分散末端基で官能化された、柔らかく低分子量の線状のテレケリックポリマー(telechelic polymers)で構成されている[S. Seiffert, J. Sprakel, Chem. Soc. Rev. 2012, 41, 909-930]。2−ウレイド−4[1H]−ピリミジノン、UPyなどの多価自己相補的水素結合リガンドは、特に有用な超分子モチーフであることが証明されている[O. J. G. M. Goor, S. I. S. Hendrikse, P. Y. W. Dankers, E. W. Meijer, Chem. Soc. Rev. 2017, DOI: 10.1039/C7CS00564D]。水素結合二量体の解離温度より下では、結果として生じる超分子ポリマーの機械的特性は、対応する高分子量ポリマーの機械的特性を反映するが、溶融粘度ははるかに低くなる。たとえば、Meijerらは、UPy末端基を有するポリ(エチレン/ブチレン)(Mw 3500)を報告した。これは、ゴム状のプラトーと室温の剛性率(plateau modulus)G’≒1MPa、90℃を超える温度で低粘度の溶融物を備えた形状持続性エラストマーを提供する[B. J. B. Folmer, R. P. Sijbesma, R. M. Versteegen, J. A. J. van der Rijt, E. W. Meijer, Adv. Mater. 2000, 12, 874-878]。
別の有用な超分子モチーフは、ベンゼントリカルボン酸トリアミド(BTA)官能基である。BTA基間の分子間水素結合により、超分子ポリマーの実現に適している[S. Cantekin, T. F. A. de Greef, A. R. A. Palmans, Chem. Soc. Rev. 2012, 41, 6125-6137]。これらのタイプのポリマーは、高度で複雑な柔らかい材料のシステムの作製にますます注目を集めている。BTA基は、アモルファスまたは半結晶テレケリックポリマーの末端基としても使用されている。疎水性ポリマーの場合、ポリマーとBTAユニットの間の相分離は、後者のヘリカルスタック(helical stacks)への優先的な自己組織化により、容易に発生し、これにより、比較的低分子量のベースポリマー(Mn≒4000)で200℃もの溶融転移が生じる[T. Mes, M. M. J. Smulders, A. R. A. Palmans, E. W. Meijer, Macromolecules 2010, 43, 1981-1991]。バルク材料で自己集合するBTAユニットの強い傾向は、コイルドチェーンコンフォメーションが安定化することとなるポリアクリレートの側鎖への組み込みにより、さらに説明される[T. Mes, R. van der Weegen, A. R. A. Palmans, E. W. Meijer, Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 5085-5089; N. Hosono, M. A. J. Gillissen, Y. Li, S. S. Sheiko, A. R. A. Palmans, E. W. Meijer, J. Am. Chem. Soc. 2013, 135, 501-510; N. Hosono, A. M. Kushner, J. Chung, A. R. A. Palmans, Z. Guan, E. W. Meijer, J. Am. Chem. Soc. 2015, 137, 6880-6888]。しかしながら、BTAベースのポリ(エチレンオキシド)に基づくヒドロゲルを除いて、BTAモチーフに基づく熱可塑性エラストマーなどのバルク材料の機械的特性の報告はない[C. M. A. Leenders, T. Mes, M. B. Baker, M. M. E. Koenigs, P. Besenius, A. R. A. Palmans, E. W. Meijer, Mater. Horiz. 2014, 1, 116-120]。そして、それらの熱特性は未だ探索されていない。さらに、低分子量BTA誘導体および関連化合物は、結晶化温度を高め、低添加剤含有量でアイソタクチックポリ(プロピレン)の透明性を向上させる働きをする、核剤としての商業的用途を見出された[M. Blomenhofer, S. Ganzleben, D. Hanft, H.-W. Schmidt, M. Kristiansen, P. Smith, K. Stoll, D. Mader, K. Hoffmann, Macromolecules 2005, 38, 3688-3695; F. Abraham, S. Ganzleben, D. Hanft, P. Smith, H.-W. Schmidt, Macrmol. Chem. Phys. 2010, 211, 171-181]。しかしながら、BTAをポリマーの末端基および側鎖と特定の相互作用を有する低分子量の添加剤として使用することは報告されていない。
より高いモジュラス(moduli)および/またはより高い転移温度を有する超分子エラストマーは、多官能性、分岐状または星型ポリマーから得られ得る。ブロックコポリマーに基づく従来のTPEとは異なり、特定の非共有結合により、エラストマーネットワークにシャープな溶融転移がもたらされることが多く、平衡条件下での動的ネットワーク再編成さえ可能になる。これにより、自己修復特性、強化エラストマー、または熱応答性材料につながる可能性がある[B. J. B. Folmer, R. P. Sijbesma, R. M. Versteegen, J. A. J. van der Rijt, E. W. Meijer, Adv. Mater. 2000, 12, 874-878; R. F. M. Lange, M. Van Gurp, E. W. Meijer, J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem. 1999, 37, 3657-3670; S. Sivakova, D. A. Bohnsack, M. E. Mackay, P. Suwanmala, S. J. Rowan, J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 18202-18211; P. Cordier, F. Tournilhac, C. Soulie-Ziakovic, L. Leibler, Nature 2008, 451, 977-980; Y. Chen, A. M. Kushner, G. A. Williams, Z. Guan, Nature Chem. 2012, 4, 467-472]。したがって、UPy末端基を有する3官能性ポリ(プロピレンオキシド-co-エチレンオキシド)(Mw 6000)に基づくポリマーネットワークは、顕著なゴム状プラトーと剛性率(plateau modulus)G’≒1MPaのエラストマー応答を示す。同様の特性は、アデニン末端基を有するポリ(テトラヒドロフラン)(Mn 2000)に基づくネットワークでも報告されている。水素結合によるこれらの核酸塩基の二量化に加えて、この場合の二量体も結晶化して、π-πスタッキングにより異方性の「ハード」ドメインが得られ、これは、弾性率(G’≒1MPa)及び融点(80℃)の両方に寄与すると仮定される[S. Sivakova, D. A. Bohnsack, M. E. Mackay, P. Suwanmala, S. J. Rowan, J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 18202-18211]。
末端が官能基化された線状または星型のポリ(イソブチレン)に基づく超分子ネットワークおよびエラストマーは、ガラス転移温度が低く、水素結合末端基の凝集が大幅に向上させる、ポリ(イソブチレン)マトリックスの疎水性で化学的に不活性な性質のため、特に注目される。例えば、Cretonらは、ビス尿素配位子で官能化された低分子量ポリ(イソブチレン)(Mn≒1700)を調査した[J. Courtois, I. Baroudi, N. Nouvel, E. Degrandi, S. Pensec, G. Ducouret, C. Chaneac, L. Bouteiller, C. Creton, Adv. Funct. Mater. 2010, 20, 1803-1811]。得られた超分子ポリマーの室温レオロジー特性は、剛性率(plateau modulus)G’≒0.1MPaで、80℃で溶融転移する、軟質エラストマーの特性であった。同様の材料特性が、ポリ(イソブチレン)に基づく類似の超分子材料についても報告された[F. Herbst, K. Schroter, I. Gunkel, S. Groger, T. Thurn-Albrecht, J. Balbach, W. H. Binder, Macromolecules 2010, 43, 10006-10016; F. Herbst, S. Seiffert, W. H. Binder, Polym. Chem. 2012, 3, 3084-3092; K. Hackethal, F. Herbst, W. H. Binder, J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem. 2012, 50, 4494-4506]。
これらの従来報告されたすべての超分子エラストマーの共通の特徴は、それらが、超分子相互作用によって二量体、三量体、または小さなオリゴマーを形成できるリガンドを運ぶ末端基を有する、線状または星型ポリマーによって形成されたネットワークに基づいていることである。結果として、これらのリガンドは、2つ、3つ、またはおそらくいくつかのポリマー鎖の間に「点と点」(point-to-point)の接続を確立している。これらのすべての場合において、同じ相補的な超分子モチーフに基づく添加剤の使用は、必然的に競合相互作用を引き起こし、超分子ポリマーネットワークのネットワークポイントの破損につながり、結果として得られるエラストマーの弱体化につながることは注目に値する[X. J. Loh, J. del Barrio, P. P. C. Toh, T.-C. Lee, D. Jiao, U. Rauwald, E. A. Appel, O. A. Sherman, Biomacromolecules 2012, 13, 84-91]。超分子エラストマーの熱的および機械的安定性に対するそのような添加剤のプラスの効果は、報告されていない。
二分岐のH結合を介してリボン状の構造に自己組織化できる、2つの尿素官能基を含む中心コアを有するポリ(ε-カプロラクトン)に基づく材料の例がある。同じコアに基づく低分子量の添加剤を追加すると、超分子リボンの形成が強化され、添加剤の含有量7wt%において、ヤング率が2倍になる、より硬い材料が得られる[E. Wisse, L. E. Govaert, H. E. H. Meijer, E. W. Meijer, Macromolecules 2006, 39, 7425-7432; E. Wisse, A. J. H. Spiering, F. Pfeifer, G. Portale, H. W. Siesler, E. W. Meijer, Macromolecules 2009, 42, 524-530]。溶融温度における添加剤の存在に付随する効果は確認されなかった。これは、この単官能性システムではネットワークが形成されていないためと考えられる。
要約すると、水素結合リガンドに基づく超分子ポリマーネットワークは、シャープな融解転移を有するTPEを生み出し、多くの場合、室温および小さなひずみで優れた弾性挙動を示す。しかしながら、それらのせん断弾性率G’は通常1MPaを超えず、最も重要なのは、水素結合した配位子の融解または分解温度に依存する軟化温度Tsが通常100℃未満であることである。そのため、その最大の動作温度は、多くの技術的用途には不十分である。上述の材料は、相補的な超分子相互作用に基づく添加剤を使用して熱機械特性を変更することさえできない。これは、これらが競合する分子間相互作用によりネットワークポイントの破損につながるためである。高弾性率、高動作温度、優れた弾性、低ヒステリシス、および大きなひずみに対する形状回復を組み合わせた新しいTPEの開発は、依然として大きな課題である。
オリゴペプチド修飾ポリマーおよび関連材料
ペプチド、アミド、ウレタン、尿素などの、自己相補的で電子的に共役した、ダイトピック水素結合ドナーおよびアクセプター基に基づく、よく理解されたリガンドの自己組織化は、特に、協調的自己組織化によって1Dまたは2Dの拡張ナノスケール凝集体を形成するβシート形成オリゴペプチドなどのオリゴマーの場合、既存の材料の欠点に対する解決策を提供する[D. I. Bower, An Introduction to Polymer Physics, Cambridge University Press, 2002; I. A. Nyrkova, A. N. Semenov, A. Aggeli, N. Boden, Eur. Phys. J. B 2000, 17, 481-497]。オリゴペプチドを形成するポリマー置換βシートが、明確なナノ構造を生み出すことが十分に実証されている[L. Tian, E. Croisier, H. Frauenrath, Chimia 2013, 67, 782-787]。しかしながら、これまでのほとんどの研究は、生体材料と生物医学的応用に焦点を当てているため、通常、ポリ(エチレンオキシド)官能化オリゴペプチドなどの水処理可能なシステムに関係している[J. Hentschel, H. G. Borner, J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 14142-14149; J. Hentschel, E. Krause, H. G. Borner, J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 7722-7723; D. Eckhardt, M. Groenewolt, E. Krause, H. G. Borner, Chem. Commun. 2005, 2814-2816]。
しかしながら、これまでに、βシート形成オリゴペプチド末端基を持つ軟質ポリマーから得られるバルク材料の機械的特性に関する報告はほとんどない。たとえば、Sogahらは、ポリ(エチレンオキシド)セグメントと、短い線状または組織化前のβシート形成オリゴペプチドのマルチブロック共重合体の機械的性質を調査し、絹の材料を与えた[M. J. Winningham, D. Y. Sogah, Macromolecules 1997, 30, 862-876; O. Rathore, D. Y. Sogah, Macromolecules 2001, 34, 1477-1486; O. Rathore, D. Y. Sogah, J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 5231-5239; O. Rathore, M. J. Winningham, D. Y. Sogah, J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem. 2000, 38, 352-366]。これらの著者は、純粋なポリ(エチレンオキシド)と比較して、βシート様の凝集体の形成と機械的特性の向上を報告した。Borneretらは、高分子量ポリアクリル酸ブチルに分散したオリゴペプチド末端基を持つポリアクリル酸ブチルのナノフィブリルを調査し、tanδ≦0.3の損失係数が低く、剛性率(plateau modulus)が約G’≒0.1MPaに増加した材料をもたらした[J. Hentschel, H. G. Borner, Macromol. Biosci. 2009, 9, 187-194]。これらすべての以前の例は、実際にはナノ構造の絡み合いによるネットワーク形成に限定された、単官能性ポリマー(オリゴペプチド末端基を1つだけ有する)に焦点を当てていた。そのため、結果として生じる機械的特性は、クレームされたナノフィブリル凝集体の形成にもかかわらず、単純な水素結合超分子エラストマー及び標準のTPEの特性よりも劣っている(上記参照)。
オリゴペプチドベースの超分子エラストマーのこれまでのすべての報告とは異なり、我々自身の以前の調査は、短いβシート形成オリゴペプチド末端基を持つ単官能性および二官能性ポリマーの混合物に焦点を当てている。我々の研究は、得られるエラストマーの機械的特性が、オリゴペプチド末端基の選択と組み合わせに応じて、広範囲の目標弾性率、損失係数、転移温度にわたって調整できることを明確に示した[E. Croisier, S. Liang, T. Schweizer, S. Balog, M. Mioni?, R. Snellings, J. Cugnoni, V. Michaud, H. Frauenrath, Nat. Commun. 2014, 5, 4728; E. Croisier, From Reinforcement to High-Performance Damping, EPFL PhD Thesis 5861, 2013; S. Liang, Damping Materials from Hierarchically Structured Oligopeptide-Modified Polymer Blends, EPFL PhD Thesis 6648, 2015; E. Croisier, H. Frauenrath, S. Liang, V. Michaud, EPFL, WO 2014080043, “Blends of oligopeptide terminal poly(isobutylene) or poly(styrene)”]。我々は、例えば、オリゴペプチドで修飾されたポリ(イソブチレン)に基づくバルク材料の疎水性環境において、オリゴペプチド間の水素結合が強いので、1〜4アミノ酸単位(2〜5ペプチド基)のオリゴペプチドでは、軟化温度が高い材料が得られることを示した。たとえば、65℃までの温度で損失係数tanδ≦0.2の弾性材料、およびG’≒5MPaまでの剛性率(plateau modulus)が達成された。さらに、より高い軟化温度を有する材料でさえ達成された。
しかしながら、オリゴペプチドにつながれたポリマーセグメントのモル質量が増加すると、軟化温度は徐々に低くなり、転移は広くなる。これは、つながれたポリマー鎖の立体配座エントロピーから、βシート形成オリゴペプチド末端基の会合の自由エネルギーへの負の寄与が、分子量の増加とともに増加すると予想されるためである。構造エントロピーの低下は、基質(この場合は、オリゴペプチド基によって形成されたβシートフィブリルまたはテープ(tapes))と、隣接する鎖との両方による、閉じ込め(confinement)に関連している可能性がある。基板の単位表面あたりの多数のつながれたポリマーセグメントの場合、この場合、凝集体はオリゴペプチドから形成された。自己組織化はまた、ポリマーマトリックスの粘度が増加するにつれて、オリゴペプチドにつながれたポリマーのモル質量の増加のために、速度論的にますます妨げられる可能性がある。それらが実際の用途に十分な延性、強度、靭性を示す場合、絡み合い長の数倍をはるかに超える分子量がエラストマーと熱可塑性材料の両方に必要となるため、これはこのようなシステムの重大な欠点である。
本発明の目的は、従来の熱可塑性プラスチックおよびTPEと比較して、熱可塑性ポリマーおよびTPEの動作温度範囲及び/又は靭性を改善することである。さらなる目的は、特に自動車産業、エレクトロニクス産業、および医療セクター向けの、高温用途向けの低コストの汎用ポリマーからの材料を提供することである。
本発明の特定の目的は、ガラス転移温度Tgが動作温度Tより低く、分子量がそれぞれの絡み合い分子量の数倍を十分に上回り、軟化温度Tsが動作温度を大幅に上回る、好ましくは150℃超、安価な汎用ポリマーからのTPEを提供することである。追加の目的は、それぞれのガラス転移温度Tgまたは溶融温度Tmをはるかに超える高い動作温度Tで、アモルファスまたは半結晶性熱可塑性ポリマーの形状安定性を高めることです。さらなる目的は、引張りおよび/または衝撃時の靭性が向上した、向上した高温での形状安定性を有する、そのようなアモルファスまたは半結晶性熱可塑性ポリマーを提供することである。
本発明を使用することにより、従来技術の欠点のいくつかまたはすべてを克服することができる。特に、従来技術の難点および欠点の一部またはすべては、請求項1の組成物、請求項23の方法、請求項26の使用、請求項28の使用、および請求項29のシート、繊維または成形部品によって克服できる。特に、本発明を使用することにより、汎用ポリマーに基づく熱可塑性ポリマー及びTPEの動作温度範囲の増加は、達成される。それと同時に、そのそれぞれの機械的特性を改善でき、これにより、用途を大幅に広げることができる。
図1は、本発明による組成物をどのようにして得ることができるかについての概略的かつ例示的な概要を示す。
図2は、純粋な官能化ポリマーおよび本発明による組成物のレオロジー測定のグラフを示す。
図3は、純粋な官能化ポリマーおよび本発明による組成物のレオロジー測定のグラフを示す。
図4は、純粋な官能化ポリマーおよび本発明による組成物のレオロジー測定のグラフを示す。
図5は、純粋な官能化ポリマーおよび本発明による組成物のレオロジー測定のグラフを示す。
図6は、純粋な官能化ポリマーおよび本発明による組成物のレオロジー測定のグラフを示す。
[課題を解決するための手段]
本発明は、以下を提供する。
a 少なくとも1つのポリマーセグメント(13)および超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも2つのポリマー凝集セグメント(11、12)を含む官能化ポリマー(10)、
b 前記ポリマー凝集セグメント(11、12)と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成できる少なくとも1つの添加凝集セグメント(21)を含む凝集添加剤(20)、
を含み、
前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加凝集セグメント(21)はダイトピックであり、
前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加凝集セグメント(21)は、それらがポリマー凝集セグメント(11、12)及び添加凝集セグメント(21)を含む凝集体(31)を形成できるように設計されており、
前記凝集添加剤(20)は、50〜2000g/molの分子量を有する、
組成物。
ダイトピックセグメントは、非共有結合を形成できる少なくとも2つの相互作用サイトを含み、セグメントが別のセグメントとすでに集合体を形成している場合、セグメントは少なくとも1つの不飽和相互作用部位を含む。好ましくは、ダイトピックセグメントは、非共有結合を形成できる少なくとも1つの相互作用部位をそれぞれ含む2つの結合領域を含むセグメントであり、セグメントが他の結合領域を介して別のセグメントとすでに集合体を形成している場合は、結合領域の1つの少なくとも1つの相互作用部位が不飽和のままであるように、結合領域は配置される。好ましくは、ダイトピックセグメントの少なくとも2つの相互作用部位は、2つの結合領域にわたって分布している。特に、ダイトピックセグメントは他の2つのセグメントと統合できる。セグメントの結合領域の1つで形成される非共有結合は、他の結合領域で形成される非共有結合と同じまたは異なる超分子相互作用に基づくことができる。好ましくは、ダイトピックセグメントの結合領域の1つで形成される非共有結合は、他の結合領域で形成される非共有結合と同じ超分子相互作用に基づく。したがって、本実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12および添加凝集セグメント21はダイトピックであり、ダイトピックセグメントの結合領域の1つで形成された非共有結合は、他の結合領域で形成された非共有結合と同じ超分子相互作用に基づく。より好ましくは、ダイトピックセグメントの2つの相互作用部位から形成される非共有結合間の角度は、90°〜180°、より好ましくは170°〜180°である。これは、少なくとも一方向に延びる凝集体31を形成するのに役立つ。相互作用部位から形成される非共有結合は、好ましくは、同じまたは異なる超分子相互作用に基づくことができ、同じ超分子相互作用に基づくことがより好ましい。
ダイトピックセグメントの例は、ジアラニンなどのオリゴペプチド、またはベンゼントリカルボキサミドなどの1つ以上の-C(=O)-NH-基を含む多官能環状部分である。オリゴペプチドおよび1つ以上の-C(=O)-NH-基を含む多官能環状部分では、-C(=O)-および-NH-基は、オリゴペプチドまたは多官能環状部分の2つの結合領域に分布しており、これらの2つの結合領域を介して互いに独立して凝集することができる。
科学的理論に拘束されることを望むことなく、官能性ポリマー10のポリマー凝集セグメント11、12および凝集性添加剤20の添加剤凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21が共有する同じ超分子相互作用に基づいて、非共有結合を介して凝集体を形成すると考えられている。凝集体は、少なくとも1方向および最大でも2方向に延在し、最大でも2方向および最大でも1方向にナノスケールの大きさを有し、組成物中に十分に分散していると考えられている。このようにして、これらの凝集体は、組成物中の物理的架橋として機能すると考えられている。科学的理論に拘束されることを望むことなく、官能化ポリマー10は、少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12を構成するので、これらの物理的架橋がネットワークを形成し、それによって機械的特性が改善され、これらの組成物の軟化温度を上昇させるのに役立つと考えられている。
凝集性添加剤20は、特に高分子量ポリマーの場合には、それらの自己相補的相互作用に基づくナノ構造形成が強化されるように、凝集性セグメントの特定の最小濃度を確立するために第一の目的を果たすと考えられている。凝集性添加剤20が50g/molから2000g/molの分子量を有するので、凝集性セグメント11、12、21の高濃度が凝集性添加剤20の低含有量で達成され得るので、高く鋭い軟化点を有する組成物が達成され得ると考えられる。
本発明の結果として、組成物の軟化温度、ひいては組成物から得られる材料は、添加剤の量を増加させることによって増加させることができる。この観察は、文献で報告されたことがない。対照的に、末端基に超分子自己組織化モチーフを有するポリマーは、常に競合的相互作用のために同一/相同な自己組織化モチーフの添加時に分裂することが示されており、低分子量の添加剤が1つの中央の自己組織化コアのみからなるポリマーにおけるナノ構造形成を強化するために使用されたときに、軟化温度に有意な影響は観察されなかった(「背景技術」を参照)。
本発明では、官能性ポリマー10の分子量とは無関係に、組成物中の官能性ポリマー10と凝集性添加剤20との非共有結合が可能な結合セグメントの合計濃度を調整することが可能である。その結果、得られる材料の軟化温度は、官能化ポリマー10の性質および分子量に関係なく、またその機械的特性に関係なく選択することができる。さらに、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21の共集合によって形成される凝集体のナノスコピックサイズ、および組成物中でのそれらの良好な分散性は、等しくまたは有意に低い重量分率で、凝集体の機械的および熱的安定性が古典的なTPEにおける物理的架橋よりも有意に高いことを確実にすると考えられている。
本発明は、以下を含む組成物を提供する。
a. 少なくとも1つのポリマーセグメント13と、超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することが可能な少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12とからなる官能化ポリマー10。
b. ポリマー凝集セグメント11、12と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21からなる凝集添加剤20。
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21は、ジトピックである。
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21を含む凝集体31を形成するように設計されており
ここで、凝集性添加剤20は、50g/molから2000g/molの分子量を有する。
好ましい実施形態によれば、本発明は、以下を含む組成物を提供する。
a. 少なくとも1つのポリマーセグメント13と、超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することが可能な少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12とからなる官能化ポリマー10。
b. ポリマー凝集セグメント11、12と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21からなる凝集添加剤20。
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21は、ジトピックである。
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21を含む凝集体31を形成するように設計されており
ここで、凝集性添加剤20は、50g/molから1300g/molの分子量を有する。
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、以下を含む組成物を提供する。
a. 少なくとも1つのポリマーセグメント13と、超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することが可能な少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12とからなる官能化ポリマー10。
b. ポリマー凝集セグメント11、12と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21からなる凝集添加剤20。
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21は、ジトピックである。
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21を含む凝集体31を形成するように設計されており
ここで、凝集性添加剤20は、50g/mol〜10000g/molの分子量を有する。
本発明の別の実施形態によれば、凝集性添加剤20は単分散である。
好ましくは、単分散化合物の場合、その化合物のサンプル中のすべての分子は均一である。例えば、すべての分子は、異なる同位体の取り込みによる分子量の違いを除いて、同じ分子量を有する。例えば、エタンは単分散化合物であるが、ポリスチレンはそうではない。好ましくは、化合物中の単分散残基については、この残基は、化合物のサンプルの全分子中で均一である。例えば、アミン(C2H5)-NH-ポリスチレンにおいて、エチル残基は単分散であるのに対し、ポリスチレン残基は単分散ではない。
別の好ましい実施形態によれば、本発明は、以下を含む組成物を提供する。
a. 少なくとも1つのポリマーセグメント13と、超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することが可能な少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12とからなる官能化ポリマー10。
b. ポリマー凝集セグメント11、12と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21からなる凝集添加剤20。
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21は、ジトピックである。
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21を含む凝集体31を形成するように設計されており
ここで、凝集性添加剤20が50g/molから2000g/molの分子量を有し、凝集性添加剤20が単分散である。
機能性高分子10の構造
機能性ポリマー10は、異なる構造を有していてもよい。例えば、直鎖状ポリマーであってもよいし、多腕スターポリマーであってもよい。好ましくは、官能化ポリマーは、直鎖状ポリマーである。官能化ポリマー10は、官能化ポリマー10のバックボーンに沿った少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11,12を、末端基として、または側部基として構成してもよい。好ましくは、官能化ポリマー10は、末端基として、最後の2つのポリマー凝集セグメント11、12を構成する。本発明の一実施形態によれば、官能化ポリマー10は、直鎖状ポリマーであり、および/または2つのポリマー凝集セグメント11,12を、特に末端基として構成する。本発明の別の実施形態によれば、官能化ポリマー10は、2つのポリマー凝集セグメント11,12からなる直鎖状二官能性ポリマーであり、ここで、2つのポリマー凝集セグメント11,12は、官能化ポリマー10の末端基である。例えば、官能性ポリマー10は、X-Q-Xの構造を有していてもよく、ここで、Xはポリマー凝集セグメント11,12を表し、Qはポリマーセグメント13を表す。つのポリマー凝集セグメント11,12を末端基として構成する直鎖状二官能性ポリマー、特に、Xがポリマー凝集セグメント11,12を表し、Qがポリマーセグメントを表す構造X-Q-Xを有する直鎖状二官能性ポリマーは、合成的に最も容易に入手可能である。
本発明の別の実施形態によれば、官能化ポリマー10は、多腕スターポリマーであり得る。この場合、ポリマーの各アームは、好ましくはアームの末端基としてポリマー凝集セグメントを構成することが好ましい。例えば、官能化ポリマー10は、中心コアEにm=2〜6個のポリマーアームQ-Xがグラフトされた構造E(-Q-X)mを有していてもよく、ここでQおよびXは上記で定義した通りである。中心コアEは、三官能性、四官能性、五官能性または六官能性ユニットであってもよい。多官能性スターポリマーは、多官能性開始剤または多官能性クエンチング剤のいずれかを使用して、当業者に知られている標準的なリビング重合プロトコルを介して得ることができる[J.M. Ren, T. G. McKenzie, Q. Fu, E. H. H. Wong, J. Xu, Z. An, S. Shanmugam, T. P. Davis, C. Boyer, G. G. Qiao, Chem. Rev. 2016, 116, 6743-6836]。例えば、リビングアニオン重合技術によって合成されたリビングポリマー鎖は、Me2SiCl2、MeSiCl3、SiCl4などのクロロシラン、または2つ以上のクロロメチルもしくはブロモメチル置換基を有するベンゼン誘導体で終端することによって中心コアEに便利に連結され、結果としてコアE=Me2Si、MeSi、Si、またはC6H4(CH2)2、C6H3(CH2)3、C6H2(CH2)4をそれぞれ得ることができる[N.Hadjichristidis, M. Pitsikalis, S. Pispas, H. Iatrou, Chem. Rev. 2001, 101, 3747-3792]。マルチアームスターポリマーアーキテクチャにおいて、分岐点は、材料の溶融加工性およびリサイクル性に影響を与えることなく、全体のネットワーク密度を高めるために、共有結合ネットワーク点として機能してもよい。
本発明の別の実施形態によれば、機能化ポリマー10は、少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12をサイドグループ、特に機能化ポリマー10のポリマーセグメント13に沿ったサイドグループとして構成する。この場合、官能化ポリマー10は、2個以上のポリマー凝集セグメント11,12、特に3〜100個の非共有結合を形成することが可能なセグメントから構成されていてもよい。このような構造を有するポリマーは、側官能性ポリマーと呼ばれてもよい。例えば、機能化ポリマー10は、U'x-ran-(U''(-X))y、すなわち、共有結合を形成することが可能なセグメントXを担持した繰り返し単位U'と繰り返し単位U''とのランダムな共重合体である構造を有する側官能性ポリマーであってもよい。
本発明の一実施形態によれば、官能化ポリマー10は、上記で定義されたような直鎖状または多腕状のスターコポリマーであり、組成物は、上記で定義されたような側官能性ポリマーをさらに含む。このようにして、ポリマー凝集セグメント11,12の濃度を簡単な方法で局所的に増加させることができる。
本発明に従った組成物から得られる材料の機械的特性は、官能化ポリマー10の分子量に強く依存する。選択されたアプローチの結果として、材料の軟化温度はもはやポリマーマトリックスの分子量に依存しないので、官能化ポリマー10の分子量は、広い範囲の分子量、例えば数平均分子量Mn=10000g/mol〜1000000g/molから選択することができる。したがって、本発明の一実施形態によれば、官能化ポリマー10は、10000g/mol〜1000000g/mol、特に2000g/mol〜1000000g/mol、または10000g/mol〜50000g/molの数平均分子量を有する。
機能化ポリマー10において、分子量の主要部分は、好ましくはポリマーセグメント13によって寄与される。少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12は、好ましくは、官能化ポリマー10の分子量への寄与が小さいように設計されている。したがって、本発明の一実施形態によれば、ポリマーセグメント13は、10000g/モルから1000000g/モル、特に20000g/モルから1000000g/モル、または100000g/モルから50000g/モルの数平均分子量を有する。しかしながら、好ましくは、ポリマーセグメント13の分子量の下限は、材料の良好な弾性挙動を考慮するために、それぞれのポリマーのもつれ分子量を十分に超えている;より好ましくは、ポリマーセグメント13の分子量の下限は、もつれネットワークを形成することができるように、それぞれのポリマーのもつれ分子量の少なくとも5倍である。
もつれ分子量は、ポリマーの種類によって異なるが、典型的には、Me=20000g/mol〜19000g/mol(それぞれの場合の数平均分子量)のオーダーである。[L. J. Fetters, D. J. Lohse, R. H. Colby, Chain Dimensions and Entanglement Spacings, in Physical Properties of Polymers Handbook, 2nd edition, J. E. Mark, ed. Ch. 25, 2007; ポリマーハンドブック、第4版、J. Brandrup, E. H. Immergut, E. A. Grulke, eds, Wiley, 2003] 以下のようなものが挙げられる。PE、Me≒10000g/mol;PIB、Me≒6700〜10000g/mol;HPI、Me≒2860〜18000g/mol、PI、Me≒6000g/mol;PB、Me≒2000〜4000g/mol;アタクチックPMMMA、Me≒12'500g/mol;アタクチックPS、Me≒19000g/mol。
さらに好ましくは、ポリマーセグメント13の分子量の下限は、分子量の増加に伴う機械的特性の変化が平準化し始める分子量閾値を超えているので、数平均分子量Mn=20000g/mol〜3000g/molを十分に超えている。同時に、ポリマー凝集セグメント11,12の濃度を必要以上に低下させないために(これは、より多くの凝集添加剤20の添加を必要とするであろう)、ポリマーセグメント13の好ましい分子量は、さらなる分子量の増加は典型的には変化した特性をもたらさないので、分子量の増加に伴う機械的特性の変化が平準化し始める分子量閾値よりもはるかに上で選択されるべきではない。したがって、ポリマーセグメント13の好ましい数平均分子量は、Mn=20000g/mol〜1000000g/molであり、さらに好ましいのは、Mn=100000g/mol〜50000g/molである。
ポリマーセグメント13としては、様々な種類のポリマーが好適である。ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21の共重合が水素結合に基づくものである場合、ポリマーセグメント13は、バルク材料中の水素結合相互作用が水または他の親水性薬剤との競合によって妨げられないように疎水性であることが好ましく、それ故に親水性ポリマー材料と比較してより強い。これにより、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21の長さ、ならびにそれらの必要な総濃度の両方が、所与の結合強度および軟化温度に対して可能な限り低く選択され得ることが保証され、これは材料の弾性特性にとって有益である。
本発明の一実施形態によれば、ポリマーセグメント13は、ポリオレフィン、特にポリイソプレン(PI)、水添ポリイソプレン(HPI)、ポリブタジエン(PB)、水添ポリブタジエン(HPB)、ポリエチレン-コ-ブチレン(エチレン-ブチレンゴム、EB)からなる群から選択される。ポリ(スチレン-コ-イソプレン)、ポリ(スチレン-コ-ブタジエン)(スチレン-ブタジエンゴム、SBR)、ポリ(イソブチレン)(PIB)、非晶性ポリ(スチレン)(PS)、半結晶性シンジオタクチックポリ(スチレン)(sPS)、半結晶性アイソタクチックポリ(スチレン)(iPS)、ポリ(スチレン-コ-アクリロニトリル)(SAN)、ポリ(エチレン)(PE)、ポリ(プロピレン)(PP)。ポリシロキサン、特にポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS);ポリエステル、特にポリ(グリコリド)(PGA)、非晶性または半結晶性のポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(3-ヒドロキシ酪酸)(P3HB)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(エチレンサクシネート)。ポリエーテル、特にポリ(エチレンオキサイド)(PEO)、ポリ(プロピレンオキサイド)(PPPO)、ポリ(テトラヒドロフラン)(PTHF);およびポリアクリレートおよびポリメタクリレート、特にポリ(ブチルアクリレート)(PBuA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMMA)、およびポリ(エチレン-コ-アクリレート)。
さらに、ポリマーセグメント13に使用されるポリマーの種類もまた、結果として得られる材料が果たすべき目的、特に材料が通常使用されるサービス温度に依存する。したがって、本発明の一実施形態によれば、ポリマーセグメント13は、ポリイソプレン(PI)、水添ポリイソプレン(HPI)、ポリブタジエン(PB)、水添ポリブタジエン(HPB)、ポリエチレン-コ-ブチレン(エチレン-ブチレンゴム、EB)、ポリスチレン-コ-イソプレン、ポリスチレン-コ-ブタジエン(スチレン-ブタジエンゴム)からなる群から選択される。SBR)、ポリイソブチレン(PIB)、およびポリシロキサン、特にポリジメチルシロキサン(PDMS)、軟質ポリエステル、特にポリグリコリド(PGA)、ポリアジペート(エチレンアジペート)。ポリ(エチレンサクシネート)、ポリエーテル、特にポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(プロピレンオキシド)(PPPO)、ポリ(テトラヒドロフラン)(PTHF)、ポリアクリレート、特にポリ(ブチルアクリレート)(PBuA)。およびポリ(エチレン-コ-アクリレート)のもの。C. 官能化ポリマー10が前記ポリマーから選択されたポリマーセグメント13からなる組成物は、特に、調整された軟化温度を有する熱可塑性エラストマーとして機能することができる。
本発明の別の実施形態によれば、ポリマーセグメント13は、非晶質ポリ(スチレン)(PS)、半結晶性シンジオタクチックポリ(スチレン)(sPS)、半結晶性アイソタクチックポリ(スチレン)(iPS)、ポリ(スチレン-コ-アクリロニトリル)(SAN)、ポリ(エチレン)(PE)、ポリ(プロピレン)(PP)からなる群から選択され、ポリ(エチレン)(PE)、ポリ(プロピレン)(PP)は、非晶質ポリ(スチレン)(PS)、半結晶性シンジオタクチックポリ(スチレン)(sPS)、半結晶性アイソタクチックポリ(スチレン)(iPS)、ポリ(スチレン-コ-アクリロニトリル)(SAN)、ポリ(エチレン)(PE)、ポリ(プロピレン)(PP)からなる群から選択されている。ポリメタクリレート、特にポリ(メチルメタクリレート)(PMMA);およびポリエステル、特に非晶性ポリ(ラクチド)(PLA)、特にポリ(L-ラクチド)(PLLA)のD-ラクチド含有量が高い半結晶性ポリ(ラクチド)(PLLA)、特にポリ(L-ラクチド)(PLLA)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)(P3HB);および半結晶性ポリエーテル。官能化ポリマー10が前記ポリマーから選択されたポリマーセグメント13を構成する組成物は、高温での形態安定性を高めた熱可塑性ポリマーとして特に有用であり得る。
添加物の構造
凝集性添加剤20は、ポリマー凝集セグメント11、12と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加性凝集セグメント21を含む。凝集性添加剤20は、非共有結合を形成することが可能な1つ以上の添加性凝集セグメント21を含んでいてもよく、例えば、2つ、3つ、4つ、または5つの添加性凝集セグメント21を含んでいてもよい。凝集性添加剤20が1つ以上の添加性凝集セグメント21を含む場合、これらの添加性凝集セグメント21は、互いに異なっていてもよいし、同一であってもよく、好ましくは同一である。本発明の一実施形態によれば、凝集性添加剤20は、ポリマーセグメントにサイドグループとして取り付けられた複数の添加性凝集セグメント21を含む。本発明の別の実施形態によれば、凝集性添加剤20は、2〜5個、特に2〜4個の添加性凝集セグメント21を含む。本発明の別の実施形態によれば、凝集性添加剤20は、1つの添加剤凝集セグメント21を含む。つの添加剤凝集セグメント21を含む凝集添加剤20は、容易に入手可能である。さらに、それらは、本発明に従った組成物中により容易に分散させることができる。
少なくとも1つの付加的な凝集セグメント21に加えて、凝集性添加剤20は、1つ以上の付加的な基22を含んでいてもよい。これらの追加の基22は、様々な目的、例えば、組成物中の凝集性添加剤20の溶解度を高めるために機能してもよいが、他の目的、例えば、難燃性などの別の機能を付与するために機能してもよい。好ましくは、追加の基22は、ポリマー凝集セグメント11、12と凝集体を形成するために、および/または他の凝集性添加剤20の他の添加剤凝集セグメント21と凝集体を形成するために、凝集性添加剤20の添加剤凝集セグメント21の能力を妨げない。より好ましくは、追加の基22は、組成物中の凝集性添加剤20の溶解度を高めるのに役立つ。有利には、付加的な基は、官能化ポリマー10のポリマーセグメント13と混和性である。本発明の一実施形態によれば、凝集性添加剤20は、少なくとも1つの付加的な基22からなる。本発明の別の実施形態によれば、凝集性添加剤20は、2つの付加的な基22を構成する。凝集性添加剤20が2つ以上の付加的な基を構成する場合、これらの基は、互いに異なっていてもよいし、同一であってもよく、互いに異なっていることが好ましい。
凝集性添加剤20中の追加の基22は、異なる方法で凝集性添加剤20に組み込まれてもよい。例えば、それらは、末端基として、側部基として、または凝集性添加剤20のバックボーン内の基として組み込まれてもよい。凝集性添加剤20は、線状構造を有していてもよいし、多官能性環状または多環式および/または分枝状の部位に基づく構造を有していてもよい。本発明の一実施形態によれば、凝集性添加剤20は、少なくとも1つ、特に2〜6個の付加的な基22、特に末端基としての基22を構成する。凝集性添加剤20の付加的な基22、特に末端基としての基22は、互いに異なっていてもよいし、同一であってもよい。線状構造を有する凝集性添加剤20は、有利には2つの付加的な基22、特に2つの末端基22からなり、付加的な基22、特に末端基22は、好ましくは互いに異なっていてよい。多官能性環状または多環式および/または分岐した部位に基づく構造を有する凝集性添加剤は、有利には3〜6個の付加的な基22、特に3〜6個の末端基22からなり、ここで付加的な基22、特に末端基22は、互いに同一であることが好ましい。
原則として、様々な化学基を、凝集性添加剤20の付加的な基22として使用することができる。有利には、凝集性添加剤20の付加的な基22は、他の凝集性添加剤20の他の付加的な凝集性セグメント21との、またはポリマー凝集性セグメント11、12との、付加的な凝集性セグメント21の凝集を妨害したり、妨げたりすることはない。付加的な基22は、単分散または多分散であってもよい。好ましくは、少なくとも1つの付加的基22は、単分散であり、および/または500g/mol未満、特に400g/mol未満、または300g/mol未満、または200g/mol未満、または100g/mol未満の分子量を有する。単分散付加基22は、特に、組成物のより高い軟化温度を達成することを可能にする。
凝集性添加剤20の付加的な基22、特に末端基22がポリマーセグメント13と混和性である場合、良好な結果が得られた。本発明の一実施形態によれば、付加的な基22、特に末端基22は、炭素原子数1〜30の炭化水素基、C1〜C30のアルキル基、特にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、C4〜C20の芳香族部分、特にフェニル基、ジイソプロピルフェニル基、ジ-tert. ブチルフェニル基、ベンジル基、ジイソプロピルベンジル基、ジ-tert. ブチルベンジル基、炭素原子数1〜26の分岐炭化水素基、特に2-エチルヘキシル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル基、2-デシルテトラデシル基、2-ヘキシロオクタニル基、2-オクチルドデシル基、1-メチルエチル基などが挙げられる。1-エチルプロピル基、1-プロピルブチル基、1-ブチルペンチル基、1-ペンチルヘキシル基、1-ヘキシルヘプチル基、1-ヘプチルオクチル基、1-オクチルノニル基、1-ノニルドシル基、1-ドシルウンデシル基、1-ウンデシルドデシル基、1-ドデシルトリデシル基などが挙げられる。
好ましくは、付加的な基22、特に末端基22は、2-エチルヘキシル基、2-ブチロクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル基、2-デシルテトラデシル基、2-ヘキシロオクタニル基、2-オクチルドデシル基からなる群から選択される。1-メチルエチルエチル基、1-エチルプロピル基、1-プロピルブチル基、1-ブチルペンチル基、1-ペンチルヘキシル基、1-ヘキシルヘプチル基、1-ヘプチルオクチル基、1-オクチルノニル基、1-ノニルドシル基、1-ドシルウンデシル基、1-ウンデシルドデシル基、1-ドデシルトリデシル基などが挙げられる。
本発明の一実施形態によれば、凝集性添加剤20は、線状構造を有し、組成物中、特にポリマーセグメント13と混和可能な任意の基であり得る2つの末端基22からなる。つの末端基22は、同一であってもよいし、同一でなくてもよい。特に、2つの末端基22は、両方、またはそれらのうちの1つが、組成物中、特にポリマーセグメント13によって提供されるポリマーマトリックス中、および任意にはさらなる非官能性ポリマー中での溶解性を提供する限り、任意の化学的性質を有することができる。好ましくは、2つの末端基22は、C1〜C30炭化水素基、より好ましくは分枝状のC1〜C30アルキル基、さらに好ましくは上記の付加的な基22から選択されるようなアポル基である。好ましくは、末端基22は同一ではなく、一方の末端基は、可能な限り低立体要求度のものである。このようにして、この末端基が、凝集性添加剤20の添加剤凝集セグメント21とポリマー凝集セグメント11,12との共凝集に対抗することを回避することができる。有利には、第2の末端基は、ポリマー中での十分な溶解性を提供し、加工目的のために十分な溶解性を提供するように設計されているが、好ましくは、特定の分子間相互作用を受けないように設計されている。好ましくは、第1の末端基は、C1〜C12アルキル基、より好ましくはメチル基であり、第2の末端基は、C1〜C30炭化水素フラグメント、特に1〜30の炭素原子を有する炭化水素基からなる群から選択される基である。C1〜C30アルキル基、特にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、C4〜C20芳香族部位、特にフェニル基、ジイソプロピルフェニル基、ジ-tert. - ブチルフェニル基、ベンジル基、ジイソプロピルベンジル基、ジ-tert. ブチルベンジル基、炭素原子数1〜26の分岐炭化水素基、特に2-エチルヘキシル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル基、2-デシルテトラデシル基、2-ヘキシロオクタニル基、2-オクチルドデシル基、1-メチルエチル基などが挙げられる。1-エチルプロピル基、1-プロピルブチル基、1-ブチルペンチル基、1-ペンチルヘキシル基、1-ヘキシルヘプチル基、1-ヘプチルオクチル基、1-オクチルノニル基、1-ノニルドクチル基、1-ドシルウンデシル基、1-ウンデシルドデシル基、および1-ドデシルトリデシル基が挙げられる。好ましくは、C1〜C30炭化水素フラグメントは、ポリマーマトリックスとの混和性を改善するために、水素結合単位の結晶化傾向を減少させるために分岐している。好ましい実施形態によれば、凝集性添加剤20の末端基22は、2-エチルヘキシル基、2-ブチロクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル基、2-デシルテトラデシル基、2-ヘキシロオクタニル基、2-オクチルドデシル基、1-メチルエチルエチル基、1-エチルプロピル基、1-プロピルブチル基からなる群から選択される。1-ブチルペンチル基、1-ペンチルヘキシル基、1-ヘキシルヘプチル基、1-ヘプチロクチル基、1-オクチルノニル基、1-ノニルドシル基、1-ドシルウンデシル基、1-ウンデシルドデシル基、および1-ドデシルトリデシル基、特に好ましくは2-エチルヘキシルであり、少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21中のジグリシンまたはジアラニンからなる凝集性添加剤20のためのものである。この好ましい実施形態では、凝集性添加剤20は、第2の末端基22としてメチル基を構成し、添加剤凝集セグメント21は、さらに、2-エチルヘキシル基およびメチル基とジラニンとをそれぞれ連結する-NH-基および-C(=O)-基を構成する。ただし、凝集性添加剤20の付加型凝集セグメント21がアセチル化トリグリシンやアセチル化トリアニンなどのより大きなオリゴペプチドである場合には、アセチル化トリアニンの溶解性が低いため、末端基22として2-エチルヘキシルに代えて2-オクチルドデシルなどのより大きな残基が必要となる場合がある。
本発明の別の実施形態によれば、凝集性添加剤20は、多官能性の環状または多環式および/または分枝状の部位に基づいており、組成物中で、特にポリマーセグメント13と混和可能な任意の基であり得る3〜6個の末端基22からなる。好ましくは、3〜6個の末端基22は同一である。特に、3〜6個の末端基22は、組成物中、特にポリマーセグメント13によって提供されるポリマーマトリックス中、および任意にはさらなる非官能性ポリマー中での溶解性を提供する限り、任意の化学的性質を有することができる。好ましくは、3〜6末端基22は、より好ましくは、1〜30個の炭素原子を有する炭化水素基、C1〜C30アルキル基、特にメチル基からなる群から選択されるC1〜C30炭化水素基のようなアポラール基である。エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、C4〜C20の芳香族部位、特にフェニル基、ジイソプロピルフェニル基、ジ-tert. - ブチルフェニル基、ベンジル基、ジイソプロピルベンジル基、ジ-tert. ブチルベンジル基、炭素原子数1〜26の分岐炭化水素基、特に2-エチルヘキシル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル基、2-デシルテトラデシル基、2-ヘキシロオクタニル基、2-オクチルドデシル基、1-メチルエチル基などが挙げられる。1-エチルプロピル基、1-プロピルブチル基、1-ブチルペンチル基、1-ペンチルヘキシル基、1-ヘキシルヘプチル基、1-ヘプチルオクチル基、1-オクチルノニル基、1-ノニルドクチル基、1-ドシルウンデシル基、1-ウンデシルドデシル基、1-ドデシルトリデシル基などが挙げられる。
凝集性添加剤20は、50g/molから2000g/molの分子量を有する。好ましくは、凝集性添加剤20は、50g/molから1900g/molの分子量を有する。特に、50 g/molから1800 g/molまで、または50 g/molから1700 g/molまで、または50 g/molから1600 g/molまで、または50 g/molから1500 g/molまで、または50 g/molから1400 g/molまで、または50 g/molから1300 g/molまで、または50 g/molから g/mol〜1200g/mol、又は50g/mol〜1100g/mol、又は50g/mol〜1000g/mol、又は100g/mol〜800g/mol、又は150g/mol〜700g/mol、又は150g/mol〜600g/mol、又は150g/mol〜500g/molのいずれかである。
凝集性添加剤20は、単分散であっても多分散であってもよい。好ましくは、凝集性添加剤20は単分散である。単分散の凝集性添加剤20では、組成物のより高い軟化温度を達成することができる。
本発明に従う組成物は、材料の調製に、または様々な用途における材料として特に適している。例えば、本発明に従う組成物からの材料は、自動車産業において使用することができる。組成物からの材料は、異なる温度で使用される。それらが最も一般的に使用される温度は、使用温度と呼ばれることもある。例えば、80℃の温度で最も一般的に使用される材料は、80℃の動作温度で使用される。本発明の一実施形態によれば、凝集性添加剤20の融解温度は、本発明に従った組成物からの材料が使用される動作温度よりも、少なくとも30℃、より詳細には少なくとも40℃または少なくとも50℃高い。融点は、融点と呼ばれることもある。融点は、10K/分の加熱速度での示差走査熱量測定(DSC)加熱スキャンによって決定することができる。融点は、解離温度Tdと呼ばれることもある。組成物中の融解温度または解離温度Tdは、特に、10K/分の加熱速度で、示差走査熱量測定(DSC)加熱スキャンによって決定されてもよい。添加剤の融解温度が使用温度より高いほど、高い軟化温度Tsを有する材料を得るために必要な添加剤の量は少なくなる。軟化温度Tsは、特に、損失係数がtan≧1となる温度であってもよい。軟化温度Tsは、特に、振動的なせん断レオロジー温度スイープを用いて、特に平行平板レオメーターを用いて、冷却速度3℃/分、固定ラジアル周波数1rad/s、120℃〜200℃に20分間アニールした後の測定中のひずみ振幅0.好ましくは、組成物からの熱可塑性エラストマー用材料の軟化温度Tsは、それが使用される動作温度よりも高い。
高分子凝集体セグメント11、12及び添加物凝集体セグメント21の構造
特に、ポリマー凝集セグメント11、12および少なくとも1つの付加的凝集セグメント21は、同じであっても異なっていてもよいが、好ましくは、両方とも、同じ超分子相互作用による協調的な自己組織化が可能である。このようにして、ポリマー凝集セグメント11、12および添加性凝集セグメント21は、共集合により、ポリマー凝集セグメント11、12および添加性凝集セグメント21の両方を組み込んだ凝集体を形成することができる。超分子相互作用の例としては、水素結合相互作用、イオン-双極子相互作用、双極子-双極子相互作用、カチオンとπ系との相互作用などが挙げられる。超分子相互作用に基づく非共有結合は、好ましく化学官能基間で形成される。このような化学官能基の例としては、カルボン酸基、アミド基、ウレタン基、尿素基、芳香族基、パーフルオロ芳香族基、水酸基、アミン基、トリアルキルアンモニウム残基などが挙げられる。同じ超分子相互作用に基づく非共有結合は、異なる化学官能基間または同一の化学官能基間に形成されていてもよい。例えば、同じ超分子相互作用に基づく非共有結合の例として、アミド基とウレタン基との間に水素結合が形成されていてもよく、ここで、非共有結合は異なる化学官能基の間に形成される。また、同じ超分子間相互作用に基づく非共有結合の例として、水素結合が2つのアミド基の間に形成されていてもよく、ここで非共有結合は同一の化学官能基の間に形成される。
本発明の一実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21は、それぞれ、非共有結合が形成される少なくとも2つの相互作用部位を含む。
本発明の別の実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21によって形成され得る非共有結合は、水素結合、イオンと双極子間の結合、双極子間の結合、カチオンとπ系との間の結合、およびπ系間の結合からなる群から選択され、特に、水素結合および双極子間の結合、より特に水素結合からなる群から選択される。本発明の別の実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21によって形成され得る非共有結合がベースとなる超分子相互作用は、水素結合相互作用、イオン-双極子相互作用、双極子-双極子相互作用、カチオンとπ系との間の相互作用、およびπ系間の相互作用からなる群から選択され、特に、水素結合相互作用および双極子-双極子相互作用からなる群から選択され、特に、水素結合相互作用および双極子-双極子相互作用、より特に、水素結合相互作用からなる群から選択される。前記超分子相互作用、特に水素結合は、組成物のより高い軟化温度を達成することを可能にする。
組成物中の凝集体31の良好な形成のために、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21の共集合に影響を与えるように選択された超分子相互作用は、意味のある凝集を可能にしないように弱すぎず、また可逆的、動的な解離および再結合による誤り訂正を禁止するように強すぎず、この目的のための結合エネルギーの適切な範囲は、相互作用部位あたり20〜100kJ/molであることが好ましい。したがって、本発明の一実施形態によれば、各非共有結合は、20kJ/molから100kJ/molの結合エネルギーを有する。
ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21は、ジトピックである。好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21は、ジトープ性および自己相補性である。好ましくは、ジトープで自己相補的なセグメントにおいて、セグメント内の相互作用部位の種類および配置は、2つのセグメントが各セグメントの結合領域の1つを介して凝集するときに、凝集した結合領域のすべての相互作用部位が飽和し、特に、すべての相互作用部位が非共有結合を形成しているように設計される。より好ましくは、ジトープで自己相補的なセグメントにおいて、セグメント内の相互作用部位の種類および配置は、2つのセグメントが凝集すると、これらの共有結合の間に0°から45°までの角度を有する非共有結合が形成されている一方のセグメントのすべての相互作用部位が飽和するように設計されている。ジトープで自己相補的なセグメントの例としては、ジアラニン単位またはベンゼントリカルボキサミド単位が挙げられる。つのダイヤラニンユニットから形成された集合体では、各ダイヤラニンユニットの結合領域の1つの相互作用部位の全てが非共有結合を形成しており、したがって、飽和状態にある。つのベンゼントリカルボキサミド単位から形成された集合体についても同様である。
ジトープ性および自己相補的なポリマー集合セグメント11、12および付加的集合セグメント21の助けを借りて、ポリマー集合セグメント11、12および/または付加的集合セグメント21が少なくとも1つの延在寸法に沿って周期的に配置された集合体31を、多数のポリマー集合セグメント11、12および/または付加的集合セグメント21から繰り返し単位として形成することができる。このように、自己組織化末端基および/またはリガンドが、複数の自己相補的超分子相互作用に依存していても、材料中のポリマー鎖間の点間接続として機能する二量体、三量体、またはオリゴマーのみを生じさせる先行技術の任意の例とは異なり、共集合集合集合体中のポリマー集合セグメント11、12の付加的集合セグメント21への連続的な置換は、ゴム状ネットワークを構成する物理的ネットワーク点の破損を生じさせず、従って材料の弱体化を生じさせない。
したがって、本発明の一実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21は、相補的および/または同一であり、特に相補的および同一であり、より特にポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21は、自己相補的および/または同一であり、より特に自己相補的および同一である。
好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12と付加的凝集セグメント21との共集合体の起源であるジトピックセグメント11、12、21、特にジトピックおよび自己相補的セグメント11、12、21における超分子相互作用は、ポリマーマトリックス中によく分散されたよく定義された形状を有する凝集体が形成されるように、特異的で、限定された範囲で、空間中で配向されていることが好ましい。
本発明の一実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21は、それぞれ、非共有結合が形成される相互作用部位としてのドナー部位および/またはアクセプター部位を含む。好ましくは、ポリマー会合セグメント11、12および付加的会合セグメント21の自己相補的、ジトピック超分子相互作用は、それぞれ、双極子のような電子的に共役化されたドナーおよびアクセプター機能を構成することが好ましい。有利には、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21は、それぞれ、非共有結合が形成される相互作用部位として、少なくとも1つのドナーサイトおよび少なくとも1つのアクセプターサイトを含み、特に、少なくとも1つのドナーサイトおよび少なくとも1つのアクセプターサイトが電子的に共役している。電子的に共役するドナー部位とアクセプター部位の例としては、アミド(-NH-C(=O))基が挙げられる。ポリマー凝集セグメント11、12および付加体凝集セグメント21がそれぞれ1以上のドナーサイトおよび1以上のアクセプターサイトを含む場合、すべてのドナーサイトおよびアクセプターサイトがドナー-アクセプターサイト対で電子的に共役していることが好ましい。好ましくは、ドナーサイトとアクセプターサイトは、化学官能基、例えば、水素結合ドナーと水素結合アクセプターサイトを同時に提供する化学官能基で結合していてもよい。好ましくは、ジトピックポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21のそれぞれにおいて、セグメントの同じ結合領域に存在しない2つの相互作用サイトが電子的に共役化されている。このように、ジトピックポリマー集合セグメント11、12および付加的集合セグメント21がそれぞれ1以上の対の電子的に共役したドナーサイトおよびアクセプターサイトを含む場合、好ましくは、各電子的に共役したドナーサイトおよびアクセプターサイトの対にあるドナーサイトおよびアクセプターサイトは、それぞれのジトピックセグメントの2つの結合領域に分散している。このようにして、ポリマー凝集セグメント11,12と付加的凝集セグメント21との凝集体への共集合が協調的になり、これは、それらの解離温度を上昇させ、解離温度範囲を低下させるのに役立つ。各ドナーサイトとアクセプターサイトの対にあるドナーサイトとアクセプターサイトが、ジトープセグメントの2つの結合領域に分散している、対をなす電子共役ドナーサイトとアクセプターサイトを含むジトープセグメントの例としては、アミド基またはウレタン基または尿素基からなるセグメントが挙げられ、このようなジトープセグメントの例としては、アミド基またはウレタン基または尿素基からなるセグメントが挙げられる。特に、オリゴペプチド、オリゴアミド、オリゴウレタン、オリゴウレア、および多官能性環状または多環状および/または分枝状の部位、ここで、多官能性環状または多環状および/または分枝状の部位は、少なくとも3つのアミド基またはウレタン基または尿素基からなる。
より好ましくは、ジトピックポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21のそれぞれにおいて、これらの隣接する相互作用部位間の角度が90°〜180°、好ましくは170°〜180°である2つの隣接する相互作用部位が電子的に共役している。このように、ジトピックポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21が、それぞれ1つ以上の隣接する一対の電子的に共役したドナーサイトおよびアクセプターサイトを含む場合、好ましくは、それぞれのジトピックセグメント内の各電子的に共役したドナーサイトおよびアクセプターサイトの対のドナーサイトおよびアクセプターサイトから形成される非共有結合の間に、90°から180°、特に170°から180°の角度が存在する。隣接して対をなす電子的に共役したドナー部位とアクセプター部位を含むジトープセグメントの例としては、ジトープセグメント内の各電子的に共役したドナー部位とアクセプター部位の対の各電子的に共役したドナー部位から形成される非共有結合とアクセプター部位から形成される非共有結合との間に90°から180°、特に170°から180°の角度があるセグメントが挙げられ、アミド基またはウレタン基または尿素基からなるセグメントが挙げられる。特に、オリゴペプチド、オリゴアミド、オリゴウレタン、オリゴウレア、および多官能性環状または多環状および/または分枝状の部位、ここで、多官能性環状または多環状および/または分枝状の部位は、少なくとも3つのアミド基またはウレタン基または尿素基からなる。
したがって、ポリマー凝集セグメント11、12および少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21は、1つ以上のそのような化学官能基を提供することが好ましい。本発明の一実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12および少なくとも1つの付加的凝集セグメント21は、それぞれ、少なくとも1つ、特に2〜10または2〜5の化学官能基を含み、これは、特に、非共有結合が形成される相互作用部位としてのドナー部位およびアクセプター部位を提供し、特に、ドナー部位およびアクセプター部位が電子的に共役化されている。このようにして、それらの共集合体は、凝集をもたらすように、より容易に調整することができるが、動的な解離および再結合による誤差の修正をまだ可能にする。好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21は、それぞれ、自己相補的、ジトープ的、電子的に共役化されたドナーサイトおよびアクセプターサイトを提供する2〜10個または2〜5個の化学官能基を含む。
電子共役ドナーサイトとアクセプターサイトを提供する化学官能基としては、種々の化学官能基を用いることができる。有利なのは、それぞれが同時に電子的に共役の水素結合ドナーおよび水素結合アクセプターサイトを提供する化学官能基であり、特に、-C(=Y)-NH-機能、-O-C(=Y)-NH-機能、または-NH-C(=Y)-NH-機能の一部であり得る-C(=Y)-NH-機能の形態であり、ここで、Yは、それぞれの場合に、NH、SおよびOからなる群から選択され、好ましくはOである。このように、本発明の一実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21の化学官能基のドナー部位およびアクセプター部位は、水素結合を形成することができる。特に、化学官能基が、ペプチド(-C(=O)-NH-)、アミド(-C(=O)-NH-)、ウレタン(-O-C(=O)-NH-)、尿素(-NH-C(=O)-NH-)、チオペプチド(-C(=S)-NH-)からなる群から選択される場合には、ここで、化学官能基が、ペプチド(-C(=O)-NH-)、アミド(-C(=O)-NH-)、ウレタン(-O-C(=O)-NH-)、尿素(-NH-C(=O)-NH-)、チオペプチド(-C(=S)-NH-)からなる群から選択される。チオアミド(-C(=S)-NH-)、チオウレタン(-O-C(=S)-NH-)、チオ尿素(-NH-C(=S)-NH-)、-C(=NH)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、および-NH-C(=NH)-NH-からなる群から選択される、より好ましくはペプチド(-C(=O)-NH-)からなる群から選択される。アミド(-C(=O)-NH-)、ウレタン(-O-C(=O)-NH-)、および尿素(-NH-C(=O)-NH-)からなる群から選択される、最も好ましくはペプチド(-C(=O)-NH-)およびアミド(-C(=O)-NH-)からなる群から選択される。前記化学官能基のうちの少なくとも1つを含むセグメントは、非共有結合、特に水素結合が形成され得る、少なくとも2つの相互作用部位を含むジトピックセグメントである。
このように、実施形態によれば、本発明は、以下を含む組成物を提供する。
a. ペプチド(-C(=O)-NH-)、アミド(-C(=O)-NH-)、ウレタン(-O-C(=O)-NH-)、尿素(-NH-C(=O)-NH-)、チオペプチド(-C(=S)-NH-)、チオアミド(-C(=S)-NH-)からなる群から選択される少なくとも1つの化学官能基からなる少なくとも1つのポリマーセグメント13および少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12をそれぞれ構成する官能化ポリマー10。チオウレア(-O-C(=S)-NH-)、チオウレア(-NH-C(=S)-NH-)、-C(=NH)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、および-NH-C(=NH)-NH-からなる群から選択される、より好ましくはペプチド(-C(=O)-NH-)からなる群から選択される、チオウレア(-NH-C(=S)-NH-)である。アミド(-C(=O)-NH-)、ウレタン(-O-C(=O)-NH-)、および尿素(-NH-C(=O)-NH-)からなる群から選択される最も好ましくはペプチド(-C(=O)-NH-)およびアミド(-C(=O)-NH-)からなる群から選択される。
b. ペプチド(-C(=O)-NH-)、アミド(-C(=O)-NH-)、ウレタン(-O-C(=O)-NH-)、尿素(-NH-C(=O)-NH-)、チオペプチド(-C(=S)-NH-)、チオアミド(-C(=S)-NH-)、チオウレタン(-O-C(=S)-NH-)からなる群から選択される少なくとも1つの化学官能基を含む少なくとも1つの付加的な凝集セグメント21からなる凝集性添加剤20。チオ尿素(-NH-C(=S)-NH-)、-C(=NH)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、および-NH-C(=NH)-NH-からなる群から選択される、より好ましくは、ペプチド(-C(=O)-NH-)からなる群から選択される、チオ尿素(-NH-C(=S)-NH-)。アミド(-C(=O)-NH-)、ウレタン(-O-C(=O)-NH-)、および尿素(-NH-C(=O)-NH-)であり、最も好ましくは、ペプチド(-C(=O)-NH-)およびアミド(-C(=O)-NH-)からなる群から選択される。
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21を含む凝集体31を形成することができるように設計されており、ここで、凝集添加剤20は、50g/mol〜20000g/mol、特に50g/mol〜1300g/mol、より特に50g/mol〜1000g/molの分子量を有する。本実施形態によれば、凝集性添加剤20は、好ましくは単分散である。
ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21がそれぞれ1つ以上の化学官能基を含む場合、これらの化学官能基は互いに異なっていてもよいし、同一であってもよい。これらの化学官能基が、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21に沿って定義された距離に配置されていることが特に好ましく、これにより、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21は、超分子相互作用の特異的、短距離、および幾何学的に定義された性質にもかかわらず、インレジスター内で共集合することができる。
本発明の別の実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21は、それぞれ、オリゴペプチドおよび/またはオリゴアミドおよび/またはオリゴウレタンおよび/またはオリゴ尿素および/または少なくとも2つからなる多官能性環状または多環状および/または分枝状の部位からなる。特に、独立して-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH)-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=NH)-、-NH-C(=O)-O-からなる群から選択される少なくとも3つの、化学的官能基。-NH-C(=S)-O、NH-C(=NH)-O、NH-C(=O)-O、NH-C(=S)-O、NH-C(=S)-O、NH-C(=S)-O、NH-C(=S)-O、NH-C(=S)-O、NH-C(=S)-O、NH-C(=S)-O、NH-C(=S)-O、NH-C(=S)-O、NH-C(=S)-O、NH-C(=S)-O、NH-C(=S)-O、NH-C(=S)-O、NH-C(=S)-O、NH-C(=S)-O、NH-C(=S)-O、NH-C(=S)-O、NH-C(=S)-O -S-C(=S)-NH-、および-S-C(=NH)-NH-、特に-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-O-C(=O)-NH-、および-NH-C(=O)-NH-、特に-C(=O)-NH-および-NH-C(=O)-からなる群から選択される。好ましくは、ポリマー会合セグメント11、12および付加的会合セグメント21は、それぞれオリゴペプチドおよび/またはオリゴアミドからなる。
少なくともオリゴペプチドおよび/またはオリゴアミドおよび/またはオリゴウレタンおよび/またはオリゴ尿素および/または上述の多官能性環状または多環状および/または分岐部位からなるセグメントは、非共有結合、特に水素結合が形成され得る少なくとも2つの相互作用部位を含むジトピックセグメントである。
このように、実施形態によれば、本発明は、以下を含む組成物を提供する。
a. オリゴペプチドおよび/またはオリゴアミドおよび/またはオリゴウレタンおよび/またはオリゴ尿素および/または少なくとも2つ、特に少なくとも3つの-C(=O)-NH-からなる群から独立して選択される化学官能基からなる多官能性環状または多環状および/または分枝状の部位からなる少なくとも1つのポリマーセグメント13と少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12とからなる官能化ポリマー10。 -NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=NH)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-O-C(=S)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、-S-C(=O)-NH-、-S-C(=S)-NH-、および-S-C(=NH)-NH-。
b. オリゴペプチドおよび/またはオリゴアミドおよび/またはオリゴウレタンおよび/またはオリゴ尿素および/または少なくとも2つ、特に少なくとも3つの-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(=S)-NH-からなる群から独立して選択される化学官能基からなる多官能性環状または多環状および/または分枝状の部位からなる少なくとも1つの付加的な凝集セグメント21からなる凝集添加剤20。-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(=NH)-NH-、NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=NH)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-O-C(=S)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、-S-C(=O)-NH-、-S-C(=S)-NH-、および-S-C(=NH)-NH-。
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21を含む凝集体31を形成することができるように設計されており、ここで、凝集性添加剤20は、50g/モルから2000g/モル、特に50g/モルから1300g/モル、より特に50g/モルから1000g/モルの分子量を有する。本実施形態によれば、凝集性添加剤20は、好ましくは単分散である。
好ましくは、オリゴペプチドは1〜10、特に2〜5のペプチド単位を含み、オリゴアミドは1〜10、特に2〜5のアミド単位を含み、オリゴウレタンは1〜10、特に2〜5のウレタン単位を含み、オリゴウレアは1〜10を含む。特に、2から5まで、尿素単位および/または多官能性環状または多環状および/または分岐部位は、2から6まで、特に、-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-からなる群から独立して選択される3個の化学官能基を含有する。 -S-C(=O)-NH-、-S-C(=S)-NH-、および-S-C(=NH)-NH-、特に-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-NH-、-O-C(=O)-NH-、および-NH-C(=O)-NH-、特に-C(=O)-NH-および-NH-C(=O)-NH-からなる群から選択される。
上記の実施形態において、多官能性環状または多環式および/または分岐部位の少なくとも2つ、特に少なくとも3つの化学官能基は、好ましくは同一であり、かつ-C(=O)-NH-からなる群から選択される。 -NH-C(=NH)-S-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=NH)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-O-C(=S)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-S-C(=S)-NH-、および-S-C(=NH)-NH-。からなる群より特に-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-O-、および-NH-C(=O)-NH-、より特に-C(=O)-NH-および-NH-C(=O)-からなる群より選択される。
オリゴペプチド、オリゴアミド、オリゴウレタンおよびオリゴ尿素の単位は、天然アミノ酸、合成アミノ酸、二酸、ジアミン、イソシアネート、アルコール、アミンおよびそれらの混合物からなる群から選択されるビルディングブロックから構成されていてもよい。天然アミノ酸は当業者に公知である。合成アミノ酸は好ましくは構造HOOC-R1-NH2を有し、ここでR1は2〜15個の炭素原子を有する炭化水素基であり、特にそれらはβ-アラニン、3-アミノプロパン酸、4-アミノブタン酸、5-アミノペンタン酸、6-アミノヘキサン酸、p-アミノ安息香酸、またはm-アミノ安息香酸からなる群から選択される。二酸は好ましくは構造HOOC-R2-COOHを有し、ここでR2は1〜15個の炭素原子を有する炭化水素基であり、特にマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメル酸、亜吉草酸からなる群から選択される。アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、p-テレフタル酸、m-テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸、および1,1'-ビフェニル-4,4'-ジカルボン酸からなる群から選択される。ジアミンは好ましくは構造H2N-R3-NH2を有し、ここでR3は1〜15個の炭素原子を有する炭化水素基であり、特にテトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミンからなる群から選択される。オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4-ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、および4,4'-ジアミノ-1,1'-ビフェニル。ジイソシアネートは好ましくは構造OCN-R4-NCOを有し、ここでR4は1〜15個の炭素原子を有する炭化水素基であり、特にそれらはヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、およびジフェニルメチレンジイソシアネートからなる群から選択される。ジオールは好ましくは構造HO-R5-OHを有し、ここでR5は2〜15個の炭素原子を有する炭化水素基であり、特にそれらはエタンジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、1,4-ジヒドロキシベンゼン、4,4'-ジヒドロキシ-1,1'-ビフェニル、およびビスフェノールAからなる群から選択される。
前記繰り返し単位が、オリゴペプチド、オリゴアミド、オリゴウレタン、およびオリゴ尿素のいずれに該当するかは、当技術に熟練した者にとって明らかである。特に、オリゴペプチドはアミノ酸を組み合わせることによって得ることができ、オリゴアミドはアミノ酸および/または二酸および/またはジアミンを組み合わせることによって得ることができ、オリゴウレタンはジイソシアネートとジオールを組み合わせることによって得ることができ、オリゴウレアはジイソシアネートとジアミンを組み合わせることによって得ることができることは、当技術分野に熟練した者明らかである。もちろん、他の組み合わせも考えられ、例えば、ジアミンとジア酸およびジイソシアネートを組み合わせて混合オリゴアミド-オリゴ尿素を提供することができる。
C(=O)-NH-からなる群から独立して選択される少なくとも2個、特に少なくとも3個の化学官能基からなる多官能性環状または多環状および/または分枝状の部位。 NH-C(=NH)-S-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-。および-S-C(=NH)-NH-は、それぞれのポリカルボン酸またはポリアミン誘導体、またはポリオールまたはポリチオール誘導体、または異なる官能基をビルディングブロックとして有する誘導体から構成されていてもよい。特に、多官能性の環状または多環式および/または分枝状の部位は、ポリカルボン酸由来のアミド、またはポリアミン由来のアミドおよびウレア、またはポリオール由来のウレアに基づくものであってもよい。
ポリカルボン酸は好ましくは構造R6-(COOH)aを有し、ここでR6は2〜20個の炭素原子を有する炭化水素基であり、aは3〜6の整数であり、特にそれらはベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸からなる群から選択される。ベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボン酸、ベンゼン-1,2,3,4,5-ペンタカルボン酸、ベンゼン-1,2,3,4,5,6-ヘキサカルボン酸、1,1'-ビフェニル-3,4′,5-トリカルボン酸、1,1'-ビフェニル-3,3′,5,5′-テトラカルボン酸、[1,1′. 4′,1″]テルフェニル-3,3″,5,5″-テトラカルボン酸、1,3,5-トリス(4-カルボキシフェニル)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(4-カルボキシフェニル)ベンゼン、3,3′,5,5′-テトラカルボキシジフェニルメタン、1,3. 5-s-トリアジン-2,4,6-トリカルボン酸、2,4,6-トリス(4-カルボキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボン酸、シクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸。シクロヘキサン-1,2,3,4,5,6-ヘキサカルボン酸、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸、1,1,2,2-エタンテトラカルボン酸、1,2.3-プロパントリカルボン酸、2-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸(クエン酸)、1,2,4-ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、1,3,5-ペンタネトラカルボン酸などが挙げられる。
ポリアミンは好ましくは構造R7-(NH2)bを有し、ここで、R7は2〜20個の炭素原子を有する炭化水素基であり、bは3〜6の整数であり、特にそれらは1,3,5,5-トリアミノベンゼン、1,2,4,4-トリアミノベンゼン、2,4,6-トリアミノトルエン、1,2,4からなる群から選択される。 5-テトラアミノベンゼン、1,3,5-トリス(アミノメチル)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(アミノメチル)ベンゼン、1,3,5-トリアミノシクロヘキサン、3,3',4,4'-テトラアミノ-1. 1'-ビフェニル、N,N,N,N-トリス(2-アミノエチル)アミン、N,N,N,N-トリス(3-アミノプロピル)アミン、およびN,N,N′,N′-テトラキス(3-アミノプロピル)-1,4-ブタンジアミンなどが挙げられる。
ポリオールは好ましくは構造R8-(OH)cを有し、ここで、R8は2〜20個の炭素原子を有する炭化水素基であり、cは3〜6の整数であり、特にそれらは1,3,5,5-トリヒドロキシベンゼンおよびその誘導体、特に2,4,6-トリヒドロキシ安息香酸、1,2,4-トリヒドロキシベンゼンおよびその誘導体、特に2,4,5-トリヒドロキシ安息香酸、1,2からなる群から選択される。 3-トリヒドロキシベンゼンおよびその誘導体、特に3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸および2,3,4-トリヒドロキシ安息香酸、2,4,6-トリヒドロキシトルエン、3,4,5-トリヒドロキシトルエン、2,3,5,6-テトラヒドロキシ-1. 4-キノン、1,3,5-トリヒドロキシシクロヘキサン、1,2,3,4,5,6-ヘキサヒドロキシシクロヘキサン、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)メタン、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタン、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
前記ビルディングブロックからアミド、ウレタン、またはウレアを調製する方法は、当技術分野に熟練した者には明らかである。特に、アミドは、前記ポリカルボン酸とアミンとの組み合わせ、または前記ポリアミンとカルボン酸誘導体との組み合わせによって調製することができ、ウレタンは、前記ポリオールとイソシアネートとの組み合わせによって調製することができ、ウレアは、前記ポリアミンとイソシアネートとの組み合わせによって調製することができることは、当技術に熟練した者には明らかである。勿論、異なる官能性を有する分子をそれぞれのアミン、カルボン酸誘導体またはイソシアネートと組み合わせることにより、例えば、クエン酸をアミンと組み合わせ、イソシアネートを組み合わせることにより、混合官能性を有する分子を調製することができる。
本発明の実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21は、それぞれ、オリゴペプチドおよび/またはオリゴアミドおよび/またはオリゴウレタンおよび/またはオリゴ尿素および/または少なくとも2個、特に少なくとも3個からなる多官能性環状または多環状および/または分枝状の部位からなる。C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH)-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=NH)-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH)-、-NH-C(=NH NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-。S-C(=S)-NH-、および-S-C(=NH)-NH-、特に-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-O-からなる群から選択される。および-NH-C(=O)-NH-、より特に-C(=O)-NH-および-NH-C(=O)-からなる群から選択され、ここで、オリゴペプチド、オリゴアミド、オリゴウレタン、オリゴ尿素、または多官能性の環状または多環式および/または分枝状の部位は、上述したようにそれぞれのビルディングブロックから構成される。
本発明の別の実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21は、それぞれ、オリゴペプチドおよび/またはオリゴアミドおよび/またはオリゴ尿素および/または少なくとも2つ、特に少なくとも3つからなる多官能性環状または多環状および/または分枝状の部位からなる。C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH)-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=NH)-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH)-、-NH-C(=NH NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=S)-NH-。-S-C(=S)-NH-、および-S-C(=NH)-NH-、特に-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-O-C(=O)-NH-からなる群から選択される。-NH-C(=O)-O-、および-NH-C(=O)-NH-、より特に-C(=O)-NH-および-NH-C(=O)-からなる群から選択され、ここで、オリゴペプチド、オリゴアミド、オリゴ尿素、または多官能性環状または多環状および/または分岐部位は、上述のようにそれぞれのビルディングブロックから構成されている。
本発明の別の実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11が 12および付加的凝集セグメント21は、それぞれ、構造(-C(=O)-R9-NH-)dまたは構造(-C(=O)-R10-C(=O)-NH-R11-NH-)eまたは構造(-C(=O)-NH-R12-NH-C(=O)-O-R13-O-)fまたは構造(-C(=O)-NH-R14-NH-C(=O)-NH-R15-NH-)gを有する、または構造D(-Z-)oを有するモティーからなり、ここで
dは1〜10、特に2〜5の整数であり、R9は-C6H4-または(-CR16H-)hであり、ここでhは1〜6、特に1または2の整数であり、各R16は独立してHまたはMeである。
eは1〜10、特に2〜5の整数であり、R10は-C6H4-または(-CH2-)iであり、ここでiは1〜6の整数であり、R11は-C6H4-または-CH2C6H4CH2-または(-CH2C6H4CH2-)jであり、ここでjは1〜6の整数である。
fは1〜10、特に2〜5の整数であり、R12は-C6(Me)H3-または(-CH2-)kであり、ここでkは1〜6の整数であり、R13は-C6H4-または(-CH2-)lであり、ここでlは1〜6の整数であり、R13は-C6H4-または(-CH2-)lであり、ここでlは1〜6の整数である。
gは1〜10、特に2〜5の整数であり、R14は-C6(Me)H3-または(-CH2-)zであり、ここでzは1〜6の整数であり、R15は-C6H4-または-CH2C6H4CH2-または(-CH2C6H4CH2-または(-CH2-)yであり、ここでyは1〜6の整数である。
oは3〜6の整数、特に3であり、Dはベンゼンもしくはシクロヘキサンもしくは1,3,5-トリアジン部位であり、各Zは独立して-C(=O)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=NH)-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=NH)-O-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=O)-からなる群から選択される。NH-C(=NH)-NH-、および-O-C(=O)-NH-、より好ましくは-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-NH-、および-NH-C(=O)-NH-、さらに好ましくは-C(=O)-NH-および-NH-C(=O)-からなる群から選択される。本実施形態では、好ましくは、全ての-Z-は同一である。
一価、二価、もしくは多価のオリゴマーまたは多官能性の環状もしくは多環状および/または分枝状の部位のビルディングブロックに由来する相互作用部位に加えて、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21は、それぞれ、付加的な相互作用部位を提供してもよい化学官能基を含んでいてもよい。好ましくは、追加の化学官能基は、独立して、-O-、-NH-、-S-、-C(=O)-、-C(=S)-、および-C(=NH)-からなる群から選択され、より好ましくは、-NH-および-C(=O)-からなる群から選択される。好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21は、1または2個の付加的な化学官能基を含む。
本発明の一実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12および少なくとも1つの付加的凝集セグメント21は、線状である。この実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12は多分散または単分散であり、特に単分散であり、および/または少なくとも1つの付加的凝集セグメント21は多分散または単分散であり、特に単分散である。例えば、ポリマー凝集セグメント11、12および少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21は、正確な数nの繰り返し単位および定義されたモル質量を有する単分散オリゴマーに基づくことができ、または短い多分散セグメント、すなわち、異なる数nの繰り返し単位および数平均重合度N=1〜10のモル質量分布を有するオリゴマーの混合物であることができる。好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21は、単分散オリゴマーに基づくものであり、それは、それらの凝集、特にそれらの協働的なインレジスター自己組織化が、その後、ポリマー凝集セグメント11の同じ長さまたはさらに小さい長さで、より高い解離温度を有する幾何学的に定義された凝集体、およびヒステリシスを低減したよりシャープな解離遷移をもたらすからである。多分散混合物は、凝集体とポリマーマトリックスとの間の界面エネルギーの寄与の増加に主に起因する融点降下および不均一性を受けることになるため、材料中のポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21、および/またはポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21の合計濃度が同じか、またはさらに小さい。例えば、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21は、1価、2価、または多価のオリゴマー、特に1価分散オリゴマーから構成されていてもよく、またはそれらから構成されていてもよい。二価のオリゴマーは、特に、オリゴペプチド、オリゴアミド、オリゴウレタン、またはオリゴ尿素であり得る構造-Un-を有していてもよく、ここで、n個の繰り返し単位Uのためのビルディングブロックは、任意の天然または合成のアミノ酸、二酸、ジアミン、ジオール、および/またはジイソシアネートから選択することができる。また、異なる種類の繰り返し単位Uを組み合わせることもできる。繰り返し単位Uの好ましい数は、n=1〜10である。セグメントは、脱凝集が高温で起こりすぎ、凝集が遅すぎる時間スケールで起こりすぎ、可逆的で動的な解離と再結合による誤差補正が運動学的に阻害されるため、10個以上の単位を含まないことが好ましい。
ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21は、異なるものであっても同一のものであってもよい。ポリマー凝集セグメント11、12および少なくとも1つの付加的凝集セグメント21が線状であり、異なる場合、繰り返し単位の同じ数nまたは数平均数nを有することが好ましく、これにより、より良好な協働的、インレジスター共集合が保証され、したがって、ヒステリシスが低減された比較的高い解離温度およびよりシャープな解離遷移が保証されるであろう。さらに好ましいのは、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21の組み合わせであって、共集合のために責任を負う化学官能基を同じ距離に配置する繰り返し単位の同じ数nまたは数平均数nの組み合わせであり、再びより良い協力的な、インレジスター共集合によってより高い解離温度、および減少したヒステリシスを有するより鋭い解離遷移を確実にするであろう。さらに好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21は、同一であるように選択され、それにより、さらに良好な協調性、インレジスター共集合体、およびその結果、比較的に高い解離温度、および低減されたヒステリシスを有するより鋭い解離遷移をさらに確実にするであろう、なぜなら、ポリマー凝集セグメント11、12が付加的凝集セグメント21と異なる混合物は、結果として得られる凝集体の融点降下を受けるからである。
したがって、好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21は、上記で定義されているようなオリゴペプチド、オリゴアミド、オリゴウレタン、および/またはオリゴ尿素からなる。より好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21は、上記で定義されているようなオリゴペプチド、オリゴアミド、および/またはオリゴウレアからなる。
本発明の別の実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21は、それぞれ、構造D(-Z-)xを有する基を構成し、ここで、Dは、多官能性の環状または多環式および/または分枝状の部位である。Zは、-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH)-、-NH-C(=O)-O-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH)-O-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=O)-S-からなる群から選択され、Zは、-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-NH-C(=O)-S-からなる群から選択される。NH-C(=s)-S-、-NH-C(=nh)-S-、-NH-C(=o)-NH-、-NH-C(=s)-NH-、-NH-C(=o)-NH-、-NH-C(=s)-NH-、-NH-C(=s)-NH-、-NH-C(=s)-NH-、-NH-C(=s)-NH-、-NH-C(=s)-NH-、-NH-C(=s)-NH-、-NH-C(=s)-NH-、-NH-C(=s)-NH-、-NH-C(=s)-NH-、-NH-C(=s)-NH-。好ましくは、-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-O-、および-NH-C(=O)-NH-からなる群から選択され、より好ましくは、-C(=O)-NH-および-NH-C(=O)-からなる群から選択され、そしてxは2〜6の整数である。好ましくは、多官能性環状または多環式および/または分枝状の部位は、上記で定義された通りである。好ましい実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21は、それぞれ、構造D(-C(=O)-NH-)3またはD(-NH-C(=O)-)3を有する基からなり、ここで、Dは、ベンゼンまたはシクロヘキサン、または1,3,5-トリアジンコアである。
ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21は、キラルまたはアキラルであることを選択することができる。ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21が線状である場合、好ましくはキラルである。線状のキラルセグメントの拡張ナノ構造への共集合は、横方向の相互作用を抑制する超分子ヘリシティの出現に関連しており、したがって、1つの拡張された寸法のみを有するナノ構造の形成を支持すると考えられる。キラルまたはアキラルポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21が、環状または多環状および/または分枝状のコアに基づいている場合、このコアは、1つだけの拡張された寸法を有するナノ構造体の形成を支持するように選択されるべきである。いずれの場合においても、1つだけの拡張された寸法を有するナノ構造体のこの形成は、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21から形成された凝集体31のポリマーマトリックス中での分散を有利にし、凝集性添加剤20が、ポリマー凝集セグメント11、12との相互作用なしに、その少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21の自己集合に基づいてマトリックス中で結晶化する可能性を不利にし、これは、相分離および劣った巨視的特性をもたらすと考えられるので、有利であると考えられる。
コンポジション
ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21を含む凝集体31を形成するように設計されている。本発明の一実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21を含む凝集体31が組成物中に形成される。凝集体31は、特に、組成物の調製中に組成物中に形成されてもよい。より具体的には、凝集体31は、官能化ポリマー10と凝集性添加剤20と任意のさらなる成分とを溶液中または溶融物中で混合する間に形成されてもよい。したがって、本発明の一実施形態によれば、組成物は、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21を含む凝集体31を含む。好ましくは、凝集体31は、一次元または二次元、特に一次元に延びる。一次元または二次元で延びる集合体31は、特に、この次元またはこれらの次元において、多数、より特に少なくとも30または少なくとも50の繰り返し単位を有していてもよい。他方、一の寸法または二の寸法で延びる集合体31は、特に、この寸法またはこの寸法で延びていない寸法に、少ない数、より特に5未満の繰り返し単位、特に2または1の繰り返し単位を有していてもよい。この場合の繰り返し単位は、特に、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21であってもよい。ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21が直線状である場合、構造はテープまたは梯子のいずれかであってもよく、その場合、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21が梯子の梯子の小節を形成するように捻られていてもよい。そのような2つ以上のテープまたはラダーは、さらに、それらの面で会合してフィブリル状会合体を形成してもよい。一実施形態によれば、凝集体31は、テープ状の構造体である。別の実施形態によれば、集合体31はフィブリル集合体である。テープ状またはフィブリル状の集合体31は、1つの次元で延在していてもよく、特に、50nmを超える長さスケールで1つの特徴的な長さを有していてもよく、より詳細には100nmを超える長さを有していてもよい。他の2つの次元において、テープ状またはフィブリル状集合体31のサイズは、繰り返し単位の数が少ないことによって、特に5個以下、より好ましくは1個または2個の繰り返し単位によって制限されてもよい。したがって、テープ状またはフィブリル状集合体31は、他の2次元において、20nm未満、特に10nm未満の直径を有していてもよい。別の実施形態では、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21は、2次元に延びるラメラ構造を生じる。この実施形態によれば、凝集体31はラメラ構造である。ラメラ構造は、特に、50nm以上、特に100nm以上の長さスケールで2つの特徴的な長さを有していてもよい。他の次元では、ラメラ凝集体31の大きさは、繰り返し単位の数が少ないことによって、特に5個未満の繰り返し単位、より具体的には1個または2個の繰り返し単位によって制限されていてもよい。したがって、ラメラ集合体31は、20nm以下、特に10nm以下の厚さを有していてもよい。テープ状またはフィブリル状の凝集体31についても、ラメラ凝集体31についても、繰り返し単位は、特に、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21であってもよい。
好ましくは、少なくとも50wt%、より好ましくは少なくとも60wt%、または少なくとも70wt%、または少なくとも80wt%、または少なくとも90wt%の、それぞれの場合において組成物中の凝集性添加剤20の総重量に基づいて、ポリマー凝集セグメント11、12をも含む凝集体31の一部として組成物中に存在する。
本発明に従う組成物は、官能化ポリマー10と凝集性添加剤20とを含む。組成物は、官能化ポリマー10と凝集性添加剤20とから構成されていてもよい。組成物は、1種類の凝集性添加剤20のみを含んでもよく、または本明細書に記載されているような複数の異なる種類の凝集性添加剤20を含んでもよい。さらに、組成物は、さらなるポリマーおよび/または他の添加剤を含んでもよい。組成物がポリマーをさらに含む場合、それは好ましくは非官能性である。したがって、本発明の一実施形態によれば、組成物は、ポリオレフィン、特にポリイソプレン(PI)、水添ポリイソプレン(HPI)、ポリブタジエン(PB)、水添ポリブタジエン(PB)、ポリエチレン-コ-ブチレン(HPB)(エチレン-ブチレンゴム)からなる群から選択されるポリマーをさらに含む。EB)、ポリ(スチレン-コ-イソプレン)、ポリ(スチレン-コ-ブタジエン)(スチレン-ブタジエンゴム、SBR)、ポリ(イソブチレン)(PIB)、非晶質ポリ(スチレン)(PS)。半結晶性シンジオタクチックポリスチレン(sPS)、半結晶性アイソタクチックポリスチレン(iPS)、ポリスチレン-コ-アクリロニトリル(SAN)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)。ポリシロキサン、特にポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS);ポリエステル、特にポリ(グリコリド)(PGA)、非晶性または半結晶性ポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(3-ヒドロキシ酪酸)(P3HB)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(エチレンサクシネート);ポリエーテル、特にポリ(エチレンオキサイド)(PEO)、ポリ(プロピレンオキサイド)(PPPO)、ポリ(テトラヒドロフラン)(PTHF)。およびポリアクリレートおよびポリメタクリレート、特にポリ(ブチルアクリレート)(PBuA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、およびポリ(エチレン-コ-アクリレート)S、および/または組成物は、無機充填剤、有機充填剤、顔料、染料、難燃剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される添加剤をさらに含む。組成物がポリマーをさらに含む場合、このポリマーは、好ましくは、官能化ポリマー10のポリマーセグメント13と同じタイプのものである。例えば、官能化ポリマー10のポリマーセグメント13がポリイソブチレンである場合、更なるポリマーは好ましくはポリイソブチレンである。さらなるポリマーの分子量については、ポリマーセグメント13に関する規定が適用される。
組成物は、異なる量で凝集性添加剤20を含有してもよい。好ましくは、組成物は、組成物の総重量に基づいて、それぞれ0.1〜20wt%、より好ましくは0.1〜10wt%、さらに好ましくは0.1〜5wt%の量で、凝集性添加剤を含有する。
本発明に従った組成物の重要なパラメータは、組成物中のポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21の合計濃度である。ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21の合計濃度は、以下のように計算される。
ポリマー凝集セグメント11,12と添加剤凝集セグメント21との合計濃度=(組成物中のポリマー凝集セグメント11,12の重量+組成物中の添加剤凝集セグメント21の重量)/(組成物の総重量)である。
好ましくは、組成物中のポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21の合計濃度は、0.1wt%から20wt%の範囲、好ましくは1wt%から20wt%の範囲、または1wt%から10wt%の範囲、または1wt%から15wt%の範囲、または1wt%から5wt%の範囲である。
好ましい実施形態
したがって、本発明の好ましい実施形態によれば、凝集性添加剤20は、構造R'-X'-R''を有し、ここで、X'は非共有結合を形成することができる添加性凝集セグメント21であり、R'およびR''は、好ましくは、組成物中の凝集性添加剤20の溶解性を提供するのに役立つ末端基22であり、より好ましくは、R'およびR''は、上述の追加の基22から選択される。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、凝集性添加剤20は、構造R20-A1-U1-C(=O)-R21を有し、ここで、ここに
R20は、2-エチルヘキシル基、2-ブチロクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル基、2-デシルテトラデシル、2-ヘキシロオクタニル、2-オクチルドデシル、1-メチルエチルエチル、1-エチルプロピルからなる群から選択される分岐アルキル基であり、R20は、2-エチルヘキシル基、2-ブチロクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル、1-メチルエチルプロピルからなる群から選択される分岐アルキル基である。1-プロピルブチル、1-ブチルペンチル、1-ペンチルヘキシル、1-ヘキシルヘプチル、1-ヘプチルオクチル、1-オクチルノニル、1-ノニルドシル、1-ドシルトリデシル、1-ウンデシルトリデシル、1-ドデシルトリデシルであり、好ましくは2-エチルヘキシル基または2-オクチルドデシル基である。
A1は共有結合であり、-C(=O)-、-O-または-NH-であり、好ましくは-NH-である。
U1は、1〜5個の天然および/または合成アミノ酸、特にアラニン、グリシン、β-アラニン、3-アミノプロパン酸、4-アミノブタン酸、5-アミノペンタン酸、6-アミノヘキサン酸、p-アミノ安息香酸、またはm-アミノ安息香酸を含むオリゴペプチドであり、好ましくは2〜5個のアラニンを含む。
R21は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基からなる群から選択され、好ましくはメチル基である。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、凝集性添加剤20は、構造R20-A1-U2-B1-R21を有し、ここで
R20、A1、R21は、上記で定義した通りである。
B1は、共有結合、-C(=O)-、-NH-、および-O-からなる群から選択され
U2は、好ましくはマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、亜吉草酸、アゼライン酸からなる二酸類とジアミン類からなる繰り返し単位を1〜5個含むオリゴアミドである。セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、p-テレフタル酸、m-テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸。1,1'-ビフェニル-4,4'-ジカルボン酸、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン。p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4-ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4'-ジアミノ-1,1'-ビフェニル。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、凝集性添加剤20は、構造R20-A2-U3-B2-R21を有し、ここで
R20、R21は上記で定義した通りである。
A2は、共有結合、-C(=O)-、-NH-、および-O-からなる群から選択され、好ましくは-NH-または-O-である。
B2は、共有結合、-C(=O)-、-NH-、および-O-、好ましくは-NH-または-O-からなる群から選択され
U3は、ジイソシアネートとジオールからなる繰り返し単位を1〜5個含むオリゴウレタンであり、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、エタンジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ベンゼン-1,4-ジオール、ビスフェノールAからなる群から選択される。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、凝集性添加剤20は、構造R20-A2-U4-B2-R21を有し、ここで
R20、A2、B2、R21は、上記で定義したとおりであり
U4は、ジイソシアネートとジアミンからなる繰り返し単位を2〜5個含むオリゴウレアであり、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンからなる繰り返し単位を含むオリゴウレアである。ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4-ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4'-ジアミノ-1,1'-ビフェニル。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、凝集性添加剤20は、構造D1(-Z1-R22)3を有し、ここで
各R22は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、フェニル基、ジイソプロピルフェニル基、ジ-tert-ブチルフェニル基、ベンジル基、ジイソプロピルベンジル基、ジ-tert. ブチルベンジル基、2-エチルヘキシル基、2-ブチロクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル基、2-デシルテトラデシル基、2-ヘキシロクタニル基、2-オクチルドデシル基、1-メチルエチルエチル基、1-エチルプロピル基、1-プロピルブチル基、1-ブチルペンチル基、1-ペンチルヘキシル基、1-ヘキシルヘプチル基、1-ヘプチルオクチル基などが挙げられる。好ましくは、1-オクチルノニル基、1-ノニルドデシル基、1-ドシルトリデシル基、1-ウンデシルトリデシル基、1-ドデシルトリデシル基からなる群から選択され、より好ましくは、2-エチルヘキシル基、2-ブチロクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル基、1-ペンチルヘキシル基、1-ヘキシルヘプチル基、1-ヘプチルオクチル基からなる群から選択される。
D1は、好ましくはベンゼンまたはシクロヘキサンまたは1,3,5-トリアジン部位、好ましくはベンゼンコアであり
Z1は、-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=O)-、-O-C(=O)-NH-、および-NH-C(=O)-NH-からなる群から選択され、好ましくは、-C(=O)-NH-または-NH-C(=O)-からなる群から選択され、より好ましくは、-C(=O)-NH-または-NH-C(=O)-からなる群から選択される。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、官能化ポリマー10は、構造R21-B1-U1-A1-Q1-A1-U1-B1-R21を有し、ここで
R21、U1、A1、B1は、上記で定義したとおりであり
Q1は、数平均分子量が20000g/mol〜5000g/molのポリマーセグメントであり、好ましくは、ポリオレフィン、特にポリイソプレン(PI)、水添ポリイソプレン(HPI)、ポリブタジエン(PB)、水添ポリブタジエン(HPB)、ポリ(エチレン-コ-ブチレン)(エチレン-ブチレンゴム)からなる群から選択される。EB)、ポリ(スチレン-コ-イソプレン)、ポリ(スチレン-コ-ブタジエン)(スチレン-ブタジエンゴム、SBR)、ポリ(イソブチレン)(PIB)、非晶質ポリ(スチレン)(PS)。半結晶性シンジオタクチックポリスチレン(sPS)、半結晶性アイソタクチックポリスチレン(iPS)、ポリスチレン-コ-アクリロニトリル(SAN)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)。ポリシロキサン、特にポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS);ポリエステル、特にポリ(グリコリド)(PGA)、非晶性または半結晶性のポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(3-ヒドロキシ酪酸)(P3HB)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(エチレンサクシネート)。ポリエーテル、特にポリ(エチレンオキサイド)(PEO)、ポリ(プロピレンオキサイド)(PPPO)、ポリ(テトラヒドロフラン)(PTHF);およびポリアクリレートおよびポリメタクリレート、特にポリ(ブチルアクリレート)(PBuA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMMA)、およびポリ(エチレン-コ-アクリレート)。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、官能化ポリマー10は、構造R21-B1-U2-A1-Q1-A1-U2-B1-R21を有し、ここで
R21、U2、A1、B1、Q1は、上記で定義した通りである。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、官能化ポリマー10は、構造R21-B2-U3-A2-Q1-A2-U3-B2-R21を有し、ここで
R21、U3、A2、B2、Q1は、上記で定義した通りである。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、官能化ポリマー10は、構造R21-B2-U4-A2-Q1-A2-U4-B2-R21を有し、ここで
R21、U4、A2、B2、Q1は、上記で定義した通りである。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、官能化ポリマー10は、構造(R22-Z1-)2D1-Z2-Q1-Z1-D1(-Z2-R22)2を有し、ここで、イン
R22、Z1、D1、Q1は上記で定義した通りであり
Z2は、-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-O-、および-NH-C(=O)-NH-からなる群から選択され、好ましくは、-NH-C(=O)-または-C(=O)-NH-からなる群から選択され、より好ましくは、-NH-C(=O)-または-C(=O)-NH-からなる群から選択される。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、本発明は、構造R20-A1-U1-C(=O)-R21を有する凝集性添加剤20を含む組成物を提供し、ここで、イン
R20、A1、U1、R21は上記で定義した通りであり
構造R21-B1-U1-A1-Q1-A1-U1-B1-R21を有する官能基化ポリマー10であって、ここで、ここに
R21、U1、A1、B1、Q1は、上記で定義した通りである。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、本発明は、構造R20-A1-U2-B1-R21を有する凝集性添加剤20を含む組成物を提供し、ここで、以下は
R10、A1、B1、B2、R11は、上記で定義した通りであり
構造R21-B1-U2-A1-Q1-A1-U2-B1-R21を有する官能基化ポリマー10であって、ここで、ここに
R21、U2、A1、B1、Q1は、上記で定義した通りである。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、本発明は、構造R20-A2-U3-B2-R21を有する凝集性添加剤20を含む組成物を提供し、ここで、以下は
R20、A2、B2、U3、R21は、上記で定義した通りであり
構造R21-B2-U3-A2-Q1-A2-U3-B2-R21を有する官能化ポリマー10であって、ここで、イン
R21、U3、A2、B2、Q1は、上記で定義した通りである。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、本発明は、構造R20-A2-U4-B2-R21を有する凝集性添加剤20を含む組成物を提供し、ここで、以下は
R20、A2、B2、U4、R21は、上記で定義した通りであり
構造R21-B2-U4-A2-Q1-A2-U4-B2-R21を有する官能化ポリマー10であって、ここで、イン
R21、U4、A2、B2、Q1は、上記で定義した通りである。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、本発明は、以下の構造を有する凝集性添加剤20を含む組成物を提供する。
D1(-Z1-R22)3であり、ここで
R22、Z1、D1は、上記で定義した通りであり
構造(R22-Z1-)2D1-Z2-Q1-Z1-D1(-Z2-R22)2を有する官能性ポリマー10であって、ここで、ここで、ここには
R22、Z1、Z2、D1、Q1は上記で定義した通りである。
上記の本発明に従った組成物の好ましい実施形態では、組成物は、特に、ポリオレフィン、特にポリイソプレン(PI)、水添ポリイソプレン(HPI)、ポリブタジエン(PB)、水添ポリブタジエン(HPB)からなる群から選択されるポリマーをさらに含んでもよい。ポリ(エチレン-コ-ブチレン)(エチレン-ブチレンゴム、EB)、ポリ(スチレン-コ-イソプレン)、ポリ(スチレン-コ-ブタジエン)(スチレン-ブタジエンゴム、SBR)、ポリ(イソブチレン)(PIB)、非晶質ポリ(スチレン)(PS)。半結晶性シンジオタクチックポリスチレン(sPS)、半結晶性アイソタクチックポリスチレン(iPS)、ポリスチレン-コ-アクリロニトリル(SAN)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)。ポリシロキサン、特にポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS);ポリエステル、特にポリ(グリコリド)(PGA)、非晶性または半結晶性のポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(3-ヒドロキシ酪酸)(P3HB)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(エチレンサクシネート)。ポリエーテル、特にポリ(エチレンオキサイド)(PEO)、ポリ(プロピレンオキサイド)(PPPO)、ポリ(テトラヒドロフラン)(PTHF);およびポリアクリレートおよびポリメタクリレート、特にポリ(ブチルアクリレート)(PBuA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMMA)、およびポリ(エチレン-コ-アクリレート)。
本発明の意味合いは、調整された軟化温度を有する熱可塑性エラストマー、高温での形態安定性が向上した熱可塑性ポリマー、および高温機械的特性が向上し、融点を超えて溶融弾性が向上した半結晶性ポリマーからの熱可塑性ポリマーに関する以下の好ましい実施形態でさらに説明されるが、これらは特定の例として提供されるに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
軟化温度を調整した熱可塑性エラストマー
本発明の特定の目的の一つは、古典的なTPEと比較して、物理的架橋として機能するドメインの重量分率が同じか、あるいはそれよりも低い重量分率で、著しく高い軟化遷移を有する高分子量ポリマーに基づくTPEを提供することである。
この目的のために、本発明は、任意に、好ましくは非官能性ポリマーをさらに含む、請求項1に従った組成物を提供する、上記の記載に従った組成物を提供する。
TPEとして機能するために、この特定の実施形態では、ポリマーセグメントおよび任意のさらなるポリマーは、ゴム状マトリックスを提供し、それゆえに、動作温度T以下のガラス転移温度Tgを有する;好ましくは室温以下である。Tgは、温度が低下するにつれて、ポリマーの非晶質領域が粘性またはゴム状の状態からガラス状の状態へと通過する温度である。ガラス状状態の一般的な操作上の定義は、ガラス状状態の材料の粘度がしきい値1012Pa・sを超えることである。Tgを決定する方法は、当業者に知られている。特に、ここで与えられるTgは、10K/分の加熱速度での示差走査熱量測定(DSC)加熱スキャンにおける熱容量ステップの中点として決定することができ、また決定されてきた。他の実験室での方法は、しかしながら、本発明では適用されなかったが、誘電分光法、静的機械的試験、動的機械的分析(DMA)、または熱膨張係数の測定(ディラトメトリー)を含む。特に好ましい実施形態では、ポリマーセグメント13および任意のさらなるポリマーが、ポリイソプレン(PI)、水添ポリイソプレン(HPI)、ポリブタジエン(PB)、水添ポリブタジエン(HBP)、ポリエチレン-コ-ブチレン(エチレン-ブチレンゴム、EB)、ポリスチレン-コ-イソプレン、ポリスチレン-コ-ブタジエン(スチレン-ブタジエンゴム)からなる群から選択される組成物を含む。SBR)、ポリイソブチレン(PIB)、およびポリシロキサン、特にポリジメチルシロキサン(PDMS)、軟質ポリエステル、特にポリグリコリド(PGA)、ポリアジペート(エチレンアジペート)。ポリ(エチレンサクシネート)、ポリエーテル、特にポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(プロピレンオキシド)(PPPO)、ポリ(テトラヒドロフラン)(PTHF)、ポリアクリレート、特にポリ(ブチルアクリレート)(PBuA)。およびポリ(エチレン-コ-アクリレート)のことです。
最終材料は、機能性ポリマー10、凝集性添加剤20、および任意に、溶液中または溶融物中のさらなるポリマーを、適切な配合技術を用いて混合することにより、便利に調製することができる。本発明による機能性ポリマー10と凝集性添加剤20との組み合わせは、ポリマーセグメント13および任意のさらなるポリマーの性質のために、通常の熱可塑性エラストマーの欠点(硬質ドメインの重量分率が高い)、および超分子ポリマーおよび高分子量ポリマーのネットワークの欠点(十分に強い凝集ではない)を回避すると考えられる。それらの分子量、ポリマー凝集セグメント11、12および少なくとも1つの付加的凝集セグメント21の性質および結合強度、ならびに組成物中のポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21の総濃度は、すべて独立して選択することができる。したがって、得られる材料の弾性特性および熱特性は、それらのガラス転移温度に基づくポリマーセグメント13および任意のさらなるポリマーの種類の選択、およびそれらの分子量の選択によって調整することができる。一方、それらの軟化温度は、主に、ポリマー凝集セグメント11、12および少なくとも1つの付加的凝集セグメント21の選択、ならびに組成物中のそれらの総濃度によって決定される。したがって、本発明は、熱可塑性エラストマー、および超分子ポリマーおよびネットワークの分野における技術の現状に関して重要な利点を暗示する。
また、本発明によれば、ポリマー成分の融点と添加剤の融点との間の任意の温度に、その混合比を変化させるだけで、軟化遷移を正確に調整することができる。
パラメータの適切な組み合わせを選択するために、人は以下の例示的な手順を都合よく適用することができる。ある所望の軟化温度Tsを有するTPEを調製することを望む場合、人は、融点Tm>Ts、好ましくはTm>Ts+50Kを(純粋な形態で)有する凝集性添加剤20を選択することから開始する。Tmは、典型的には、標準的な速度、典型的には10K/分で試験片を加熱し、融解転移に関連するエンタルピー変化を検出することによって、示差走査熱量測定(DSC)によって決定される。しかしながら、Tmは、光透過率測定、密度測定および機械的測定を含む、分子移動度または分子秩序に敏感な任意の技術によって決定されてもよい。この融点は、いかなる状況下でも最終的なTPEにおいて達成され得る最大の軟化温度Tsを表す。次いで、1つは、最終的なTPEの所望の機械的特性に応じて、ポリマーセグメント13および任意に、さらなるポリマーおよびそれらの分子量を選択する。少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12からなる機能性ポリマー10に純粋に基づく材料の軟化温度Tsは、すなわち、付加的な凝集セグメント21からなる凝集添加剤20を添加することなく、典型的には、上で概説した理由により、凝集添加剤20の融点Tmをはるかに下回るであろう。しかしながら、凝集性添加剤20を混合物に添加すると、軟化温度Tsは、漸近的に凝集性添加剤20の融点Tmに近づく。所望の軟化温度Tsが、高すぎる(機械的特性に有害な)とみなされる(機械的特性に有害な)ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21の合計濃度でのみ達成されるか、または全体的に低すぎるままである場合、人は、より高い融点Tmを有する凝集添加剤20から開始することを好都合に選択することができる。この例示的な手順では、ポリマー凝集セグメント11、12および少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21の組み合わせは、物理的架橋として機能するドメイン(凝集体)の所定の重量分率において、軟化温度Tsを、これらのタイプのポリマーに対して、これまでアクセスできなかった温度にまで上昇させる手段をも提供する。あるいは、高分子量ポリマーについては、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21の合計濃度が比較的低い場合でも、高い軟化温度Tsにアクセス可能であり、これは弾性特性に有益である。
本発明の好ましい実施形態は、物理的架橋として機能する剛体ドメインの融解または解離温度Tdが、Td>120℃、特にTd>150℃、さらにはTd>180℃であり、セグメント11、12、21の好ましい総濃度が20wt%未満、特に10wt%未満、および5wt%未満であるTPEである。
物理的な架橋として機能する剛体ドメインは、特に、凝集体31であってもよい。剛体ドメインまたは凝集体31の融解または解離温度は、特に、示差走査熱量測定、特に10K/分の加熱速度で決定されてもよい。
さらに、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21の高度に協調的な脱凝集から特に提供され得る鋭い溶融温度は、弾性レジームから粘性挙動への十分に定義された移行をもたらすので、大規模な粘性流動を伴う射出成形のような技術による溶融処理は、軟化温度のすぐ上の温度で好都合に実施され得る。したがって、本発明に従った組成物により、共有結合的に架橋されたゴムの機械的特性と熱可塑性材料の加工性、設計の自由度、およびリサイクル性とを組み合わせた超分子エラストマーが達成され得、そしてその著しく高い軟化温度のために広い温度範囲で動作する。
高温での成形安定性が向上した熱可塑性ポリマー
本発明の別の目的は、物理的架橋として機能する官能性ドメインの低重量分率を含む、室温以上のガラス転移温度Tgを有する非晶質ポリマーに基づく熱可塑性ポリマーを提供することであり、それにより、これらの熱可塑性ポリマーは、Tg以上の温度に過渡的に曝される間の改善された形態安定性、Tg直下の温度での改善された破壊抵抗性、および対応する非官能性熱可塑性ポリマーと比較して、Tg以上の広い範囲の温度での加工上の利点を伴う改善された溶融弾性を示す。この目的のために、本発明は、任意に、好ましくは非官能化ポリマーをさらに含む、請求項6に従った組成物を提供する、上記の記載に従った組成物。
この特定の実施形態では、ポリマーセグメント13および任意のさらなるポリマーは、使用温度Tよりも高いガラス転移温度Tgを有し、好ましくは室温よりも高いガラス転移温度を有する。特に好ましい実施形態は、ポリマーセグメント13および任意のさらなるポリマーが、非晶性ポリスチレン(PS)、ポリスチレン-コ-アクリロニトリル(SAN)、ポリメタクリレート、特にポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、および非晶性ポリエステル、特に非晶性ポリラクチド(PLA)、特にD-ラクチドの高含有量を有するポリ(L-ラクチド)(PLLA)からなる群から選択される組成物を含む。
最終材料は、官能性ポリマー10、凝集添加剤20、および任意に、溶液中または溶融物中のさらなるポリマーを、適切な配合技術を用いて混合することにより、都合よく調製することができる。本発明は、非晶質ポリマーからの熱可塑性プラスチックの分野における芸術の状態に関して重要な利点を暗示する。特に、本実施形態によれば、本発明は、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21の合計濃度を正確に調整することを可能にし、したがって、凝集添加剤20の低い重量分率であっても、材料の有効な上部溶融温度を制御することを可能にする。このようにして、ゴム状プラトーは、ガラス転移温度Tgよりも十分に上の温度まで拡張されてもよく、その結果、使用中のTgよりも上の温度への過渡的曝露に対する形態安定性、および材料の加工性が著しく向上する。改善された形状安定性は、Tg以上の弾性挙動が、短期的な低強度の機械的な勧誘に対して固体のような応答を与えるため、大規模な流動を防止し、その結果として、使用中の部品の構造的および機械的な完全性の損失を防ぐことができるからです。改良された加工性は、ゴム状の状態での有効なもつれおよび/または物理的架橋密度に応じて、Tgのすぐ上から、もつれおよび/または物理的架橋の損失を特徴付ける温度まで伸びる温度で、破断することなく、支持されていない状態で数100%までの変形を受ける材料の能力に由来する。材料が破断することなく大きな変形を受ける能力は、フィルムブロー、繊維紡糸、発泡、熱成形、押出/絞り、および非支持状態の材料の高度な変形性を必要とする他のあらゆるプロセスを含む様々な加工技術にとって非常に重要である。実際、包装および絶縁フォームの製造に広く使用されている未変性ポリ(スチレン)は、その高いエンタングルメント分子量のために、特に限定された溶融弾性を示し、そのようなゴム状プラトーの範囲は、分子量に依存してTg上の約15℃に制限され、発泡細胞壁の合体および破壊につながることは、当技術の状態からよく知られている。これは、包装および断熱用の高品質のクローズドセル発泡体の製造にとって非常に望ましくなく、その溶融弾性を改善するために多くの努力がなされてきた。また、物理的架橋の存在は、非晶質熱可塑性プラスチックが長期間にわたって低強度の荷重にさらされたときに、Tg未満の使用温度での機械的特性を著しく改善する可能性があり、これは、絡み合いの損失のために構造的および機械的完全性の損失につながる可能性がある。安定した物理的架橋は、チェーンスリップによる絡み合いの損失を防止し、クラックの発生を防止したり、妨げたりするように作用します。最後に、射出成形のような大規模な粘性流動を必要とする溶融加工技術による材料のリサイクル性と加工は、軟化点以上の自己組織化ユニットの解離によって保証されます。
なぜなら、材料中の物理的架橋の存在から生じる溶融弾性および他の利点の改善は、主に、ポリマー凝集セグメント11、12と添加剤凝集セグメント21との間の超分子相互作用の性質および結合強度によって決定され、結果的に、ポリマー凝集セグメント11の総濃度の関数であるからである。12と付加的凝集セグメント21との組み合わせは、物理的架橋として作用する硬質ドメインの軟化転移温度に影響を与えることなく、ポリマーセグメント13の性質、および任意に、さらなるポリマーの性質、鎖構造、およびポリマーセグメント13とさらなるポリマーの分子量を独立して選択することが可能である。したがって、非晶質ポリスチレン(PS)、ポリスチレン-コ-アクリロニトリル(SAN)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、または非晶質ポリエステル、特に非晶質ポリラクチド(PLA)、特にポリマー凝集セグメント11を構成するD-ラクチドの高含有量を有するポリL-ラクチド(PLLA)に基づく非晶質ポリマーの組み合わせは、ポリマー凝集セグメント11を構成するD-ラクチドの軟化転移温度に影響を与えることなく、独立して選択することが可能である。12と凝集性添加剤20との組み合わせは、それぞれのガラス転移温度Tgを超え、かつ、凝集セグメント11、12、21の溶融または解離温度以下での最終材料の形態安定性および弾性特性の改善、およびTgのすぐ下の温度での材料の機械的特性の改善をもたらす。
以下では、適切なパラメータを選択するための例示的で非限定的な手順が提示される。この例示的な手順によれば、凝集性添加剤20は、最終的な熱可塑性材料中の物理的架橋の所望の解離温度Td以上の脱凝集温度または融点Tm(添加剤)を有するように選択され、これは、順番に、材料のガラス転移温度Tgよりもかなり高い温度であるように選択され得る。好ましくは、人は、凝集性添加剤の融点20Tm≧Td+50℃を選択する。この融点Tm(添加剤)は、最終的な熱可塑性材料の物理的架橋として機能する硬質ドメインの可能な最大軟化温度を表す。材料の巨視的特性をさらに調整するために、人は、次に、ポリマーセグメント13および任意に、さらなるポリマーおよびそれらの分子量を選択する。ポリマーセグメント13および非官能性ポリマーの数平均分子量Mnは、原則として10000〜1000000の範囲であってもよい。しかしながら、固体状態での十分な耐破壊性を得るためには、もつれ分子量を十分に超えた分子量、好ましくはもつれ分子量の少なくとも5倍の分子量(PSの場合、もつれ分子量は典型的には190000のオーダーである)が所望される。Mn=1000000の上限は、ポリマー末端基の一定の閾値濃度を維持することを意図している。好ましい数平均分子量Mn>400000を考えると、ポリマー凝集セグメント11、12を構成する官能化ポリマー10に純粋に基づく材料における物理的架橋として機能する剛体ドメインの解離温度Tdは、典型的には、凝集添加剤20を使用する組成物と比較して、上に概説された理由により劣るであろう。i)ポリマーマトリックス中の自己組織化リガンドの濃度が低すぎる;(iii)リガンドに結合したポリマー鎖に関連した顕著な鎖エントロピーペナルティ;(iiii)溶融物中のポリマーマトリックスの粘度が比較的高いために、運動学的に凝集が妨げられる。これらの問題は、最終材料中の自己組織化単位の総濃度を調整するために添加剤凝集セグメント21からなる凝集添加剤20を使用することにより、ポリマー凝集セグメント11、12と添加剤凝集セグメント21とによって形成される剛体ドメインの解離温度Tdに対応する後者のゴム状プラトーの上限を、材料のガラス転移温度Tgと、それぞれの純粋な形態における凝集添加剤20の溶融温度Tmとの間に位置するように調整することが可能になる。
本発明の好ましい実施形態は、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21の好ましい総濃度<20wt%、特に<10wt%、および<5wt%で、解離温度Td>120℃、特にTd>150℃、さらに好ましくはTd>180℃を有する熱可塑性材料である。したがって、間隔Td〜Tgによって与えられるゴム状プラトーの程度は、好ましい非晶質ポリマーのTgが、ポリ(ラクチド)(PLA)については60℃の間に、ポリ(スチレン)(PS)については100℃の間に、ポリ(スチレン-コ-アクリロニトリル)(SAN)およびポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)についてはそれぞれの組成および戦術性に応じて100℃以上になるように制御されてもよく、20℃〜120℃の間に横たわるように制御されてもよい。Td-Tgの選択は、所望の加工特性と用途に依存し、Tg以上の成形安定性が第一に重要である場合には、できるだけ大きな値が好まれ、一方で、例えば、熱成形や発泡の目的で溶融弾性を向上させたい場合には、20℃から50℃の間の値が好ましいかもしれません。
本発明のさらなる目的は、ベースとなる半結晶性ポリマーのTmよりもかなり高くなるように選択される解離温度Tdまで安定したままの物理的架橋として機能する硬質ドメインの低重量分率を組み込むことにより、改善された高温機械的特性、およびそれらの融点Tmを超える改善された溶融弾性を有する半結晶性ポリマーからの熱可塑性ポリマーを提供することである。この目的のために、本発明は、任意に、好ましくは非官能性であるポリマーをさらに含む、請求項7に従った組成物を提供する、上記の記載に従った組成物。
この特定の実施形態では、ポリマーセグメント13および任意のさらなるポリマーの結晶性ドメインは、動作温度Tよりも高い融解温度Tmを有していなければならない。特に好ましい実施形態では、ポリマーセグメント13および任意のさらなるポリマーが、半結晶性シンジオタクチックポリ(スチレン)(sPS)、半結晶性アイソタクチックポリ(スチレン)(iPS)からなる群から選択される組成物を含む。ポリ(エチレン)(PE)、ポリ(プロピレン)(PP)、半結晶性ポリエステル、特にポリ(3-ヒドロキシ酪酸)(P3HB)、半結晶性ポリ(ラクチド)(PLA)、特にポリ(L-ラクチド)(PLLA)、および半結晶性ポリエーテル。
最終材料は、官能性ポリマー10、凝集添加剤20、および任意に、溶液中または溶融物中のさらなるポリマーを、適切な配合技術を用いて混合することにより、便利に調製することができる。本発明は、半結晶性ポリマーからの熱可塑性プラスチックの分野における芸術の状態に関して重要な利点を暗示する。ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21を構成する拡張ナノ構造は、溶融物中で相互に貫通するネットワーク構造として作用し得る物理的な架橋として機能し、それに応じて、ベースポリマーの融点Tm以上の形態安定性、長期低レベル負荷時の耐クラック性、特にTm未満の使用温度での長期低レベル負荷時の耐クラック性、およびTm以上の溶融弾性に寄与する。これは、追加の物理的架橋が、例えば内圧下の水道管やガス管などの用途で長期的な脆化の原因となることが知られている絡み合いの損失を妨げたり、防止したりするためです。
ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21の濃度を調整することにより、溶融物が有意な弾性を示す温度範囲を制御することができる。これは、溶融温度Tmが一般的にガラス転移温度Tgよりもはるかに高い半結晶性ポリマーにとって特に重要である。したがって、多くの半結晶性ポリマーでは、絡み合いネットワークの不安定性のために、ポリマーの分子量に応じて、Tmを超えるゴム状プラトーの範囲が制限されるか、またはゴム状プラトーが存在しない場合さえある。したがって、多くの半結晶性ポリマーの場合、熱成形や発泡などの加工技術は技術的に困難であり、他の特性に不利な分子構造へのその場しのぎの修正を必要とする可能性がある。Tgを大幅に上回る解離温度Tdまで安定な物理的架橋を含むことは、これらのポリマーの加工性を大幅に向上させるであろう。
さらに、最終材料の巨視的特性は、半結晶性ポリマーの融解温度Tmと対応する組成物の軟化温度Ts.との間の温度で、ゴム状状態の材料を一方向または二軸延伸することによって有利に影響され得るが、これは、凝集セグメント11、12および添加物凝集セグメント21を構成する凝集体によって確立された物理的架橋の存在によって安定化されている。これにより、凝集性ポリマーの凝集セグメント11、12および添加剤の凝集セグメント21からなる凝集体からなる配向性ナノ構造を形成する凝集体31が得られる。ポリマーセグメント13の連続的な再結晶化は、したがって、高度に異方的で制御可能な微細構造を有する剛性ポリマーをもたらす可能性があり、これは、使用温度での弾性特性および機械的強度、ならびに光学的透明性のような微細構造制御に依存する他の特性のための利点を有する。
以下では、適切なパラメータを選択するための例示的で非限定的な手順が提示される。この例示的な手順によれば、凝集性添加剤20は、最終的な熱可塑性材料中の物理的架橋の所望の解離温度Tdよりも上の融点Tmを有するように選択され、これは順番に、材料の融解温度Tmよりもかなり上に位置するように選択され得る。好ましくは、凝集性添加剤の融点は、20Tm≧Td+50℃を選択する。この融点Tmは、最終的な熱可塑性材料で達成され得る最大の軟化温度を表す。
ポリマーセグメント13および任意に、さらに、非官能性ポリマーが、上述の記載に従って選択される。好ましい実施形態では、ポリマーセグメント13の分子量は、ポリマーのもつれ分子量を大幅に超え、好ましくは、もつれ分子量の少なくとも5倍である。したがって、ポリマー凝集セグメント11、12からなる機能化ポリマー10に純粋に基づく材料は、凝集添加剤20を添加しないで、典型的には、凝集添加剤20を使用する組成物と比較して、上記で概説した理由で劣るであろう:(i)ポリマーマトリックス中の自己組織化リガンドの濃度が低すぎること;(iii)リガンドにテザリングされたポリマー鎖に関連する顕著な鎖エントロピーペナルティ;(iiii)溶融物中のポリマーマトリックスの粘度が比較的高いために、運動学的に凝集が妨げられること;。これらの問題は、最終材料中の自己組織化単位の総濃度を調整するために添加剤凝集セグメント21からなる凝集添加剤20を使用することによって、機能化ポリマー10の溶融温度Tmと、それぞれの純粋な形態での凝集添加剤20の溶融温度Tmとの間の、凝集セグメント11、12、21によって形成される剛体ドメインの解離温度Tdに対応する、この後者のゴム状プラトーの上限を調整することを可能にすることによって改善され得る。
本発明の他の側面
本発明はまた、以下からなる、本発明に従った組成物の調製方法を提供する。
a. 超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つのポリマーセグメント13および少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12からなる官能化ポリマー10を提供すること。
b. ポリマー凝集セグメント11、12、およびポリマー凝集セグメントと同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21からなる凝集添加剤20を提供すること
c. 熱エネルギーおよび/または機械的エネルギーを加えることにより、官能化ポリマー10と凝集性添加剤20とを混合する。
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21は、ジトピックである。
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21を含む凝集体31を形成するように設計されており
ここで、凝集性添加剤20は、50g/molから2000g/mol、特に50g/molから1300g/mol、より特に50g/molから1000g/molの分子量を有しており、ここで、凝集性添加剤20は、50g/molから2000g/mol、特に50g/molから1000g/molの分子量を有する。
本発明の方法の好ましい実施形態によれば、凝集性添加剤20は、好ましくは単分散である。
上記で提供される方法のステップは、任意の順序で実施することができるが、好ましくは、上記で与えられた順序で実施される。
本発明の方法の一実施形態によれば、さらなるポリマーおよび/またはさらなる添加剤が追加のステップで提供され、官能化ポリマー10および凝集性添加剤20と混合される。
本発明の方法の別の実施形態によれば、官能化ポリマー10、凝集性添加剤20、および任意に、さらなるポリマーおよび/またはさらなる添加剤は、溶液中または溶融物中で、特に熱エネルギーおよび/または機械的エネルギーを印加することによって混合される。好ましくは、混合後、得られた溶液は、機械的エネルギーを印加することなく、0.1〜50時間、より好ましくは1〜30時間、さらに好ましくは10〜25時間放置される。
本発明の方法の別の実施形態によれば、ステップcの後の追加ステップにおいて、組成物は、高温、特に半結晶性ポリマーの融点と組成物の軟化温度との間の温度で、一方向または二軸延伸される。
官能化ポリマー10は、ポリマー凝集セグメント11、12、付加的凝集セグメント21、共有結合、超分子相互作用、凝集体31、非共有結合の結合エネルギー、凝集体添加剤20、任意のさらなるポリマー、および本発明に従って調製するための方法の任意のさらなる添加剤を含む。官能化ポリマー10、ポリマー凝集セグメント11、12、付加的凝集セグメント21、共有結合、超分子相互作用、凝集体31、非共有結合の結合エネルギー、凝集添加剤20、任意のさらなるポリマーおよび本発明に従った組成物の任意のさらなる添加剤に関する上記の規定が適用されるものとする。
本発明の方法は、ベースとなる熱可塑性ポリマーの上部固-ゴム転移温度または固-液転移温度(融点またはガラス転移温度であってもよい)よりも有意に高いように選択されてもよい凝集セグメント11,12,21の凝集体のよく定義された解離温度Td以上の流動特性に悪影響を及ぼすことなく、可逆的な物理的分岐または物理的架橋または物理的鎖延長を熱可塑性ポリマーに導入するための一般的な手段を提供する。この解離温度Tdは、好ましくは100℃〜250℃の範囲にあり、より好ましくは150℃〜250℃の範囲にあり、これにより、以下のような商業的に重要な熱可塑性プラスチックの範囲の熱力学的特性および加工特性を改善することができる。アタクチックポリ(スチレン)(PS)、ポリ(スチレン-コ-アクリロニトリル)(SAN)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、非晶質または高D含有半結晶ポリ(L-ラクチド)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)(P3HB)、ポリ(エチレン)(PE)、およびアイソタクチックポリ(プロピレン)(PPP)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の方法によって製造される改質熱可塑性プラスチックは、対応する未改質ベース熱可塑性ポリマーよりも改善された溶融強度を有し、(i)例えばゴットファート "レオテンス "溶融強度試験機を用いたベース熱可塑性ポリマーの融点またはガラス転移温度以上の固定温度における溶融破壊強度の増加;(iii)固定周波数での動的温度スキャンにおけるゴム状プラトーまたは溶融転移の高温限界の貯蔵弾性率と損失弾性率の特性のクロスオーバーの温度の増加として定量化できる。iii)キャピラリーレオメトリーによって決定される基材熱可塑性ポリマーの融点またはガラス転移温度以上の一定温度における見かけの伸長粘度の増加;(iv)基材熱可塑性ポリマーの融点またはガラス転移温度から物理的架橋点または分岐点の解離温度までの温度範囲における熱可塑性ポリマーの弾性特性の増加を反映する他の任意の技術。
改質熱可塑性プラスチックの溶融強度が向上しているため、未改質のベースポリマーよりも熱成形用途に適しており、特に線状の形態は溶融強度が低く、熱成形、フィルムブロー、物理的・化学的発泡などの加工が困難であることが技術的によく知られています。その利点は、線状の熱可塑性ベースポリマーよりも、改質された熱可塑性プラスチックにおけるより広い温度処理ウィンドウを含む。改質熱可塑性プラスチックは、マーガリンチューブ、使い捨て飲料容器、または冷蔵庫ライナー、バスルーム継手、レーダーハウジングのような食品包装の項目の生産のような小さな部分と大きな部分の熱成形で使用することができます。それらは、改善されたブロー成形特性を示してもよく、設備コストの削減につながり、例えば、回転成形に代わるものとして、リザーバーや燃料タンクなどの大型ブロー成形部品の生産を容易にする。これらは、物理的または化学的な発泡剤を使用して、未改良のベースポリマーよりも広い加工ウィンドウで発泡させることができ、オープンセル含有量の低減やセルの合体の低減など、断熱材やパッケージング用に改良された形態学的および物理的特性を有する発泡体を提供することができます。多くの線状熱可塑性ポリマーの廃棄物の流れは、使用中の分子量の減少のために、現在のところリサイクルが困難である。アタクチックポリスチレン、アイソタクチックポリプロピレンまたはポリエチレンを含む廃棄物ストリームを、それらの溶融強度を向上させることによって改質するための本発明の使用は、例えば、熱成形、フィルムブローまたは物理的および化学的発泡によるリサイクル対象物の製造を容易にする可能性がある。
本発明によって提供される剛体または半剛体の線状熱可塑性ポリマーへの可逆的な物理的分岐または物理的架橋または物理的鎖延長の導入は、任意の温度での低荷重下、または使用温度の上限範囲の低荷重から高荷重下、および長期使用に対応する使用温度の範囲を超える温度に過渡的に曝露される間に、鎖の非絡合を妨げるか、または防止する。高温での使用を含む長期低レベル負荷の条件下で一般的に使用される熱可塑性プラスチックには、ポリ(エチレン)(PE)およびアイソタクチックポリ(プロピレン)(PP)が含まれるが、これらに限定されるものではない。さらに、本発明は、ポリ(スチレン)(PS、最高連続使用温度65℃、短時間使用温度80℃)、ポリ(スチレン-コ-アクリロニトリル)(SAN、最高連続使用温度65℃、短時間使用温度95℃)、およびポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)のような非晶質熱可塑性プラスチックの連続使用温度および過渡的な温度上昇に対する耐性の範囲を拡張することができる。ポリエチレン(PE、最高連続使用温度70℃、 短期間の最高使用温度90℃)や、ポリエチレン(PE、最高連続使用温度80℃、 短期間の最高使用温度100℃)、アイソタクチックポリプロピレン(PP、最高連続使用温度130℃、 短期間の最高使用温度145℃)などの半結晶性ポリマーを導入することで、高温補強が可能になります。ベースポリマーよりもかなり高い温度まで熱的に安定な可逆的な物理的分岐、物理的架橋、物理的鎖延長を導入することで、これらの熱可塑性ポリマーの加工特性を損なうことなく、100℃から250℃、好ましくは150℃から250℃の温度範囲での高温補強を提供することができ、加工特性を向上させることができます。これは、通常、熱可塑性樹脂の使用が、半芳香族ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエステルまたはポリエーテルのような、より高価なおよび/またはより高価な高温耐性ポリマーに限定されている、アンダーフード自動車部品(半硬質ホースおよびダクト、マニホールド、ケーシング、ギアホイール)滅菌可能な包装および医療機器および電子機器の包装のような、高温に曝されることを必要とする用途での使用の範囲を広げるであろう。
耐熱性の改善は、燃料、潤滑油および油圧システムのOリングシールおよびチューブ、ラジエーターシール、バルブステムシール、電気コネクタ、ホース、ダイヤフラム、ガスケットおよびダクトなどのエラストマー用途にとって重要であり、特に、より小さく、より高温のエンジンコンパートメントが、連続使用温度および過渡的な温度への曝露の両方に関してエラストマー特性にますます厳しい要件を課す自動車産業だけでなく、電気および電子産業、生物医学、航空および他の産業においても重要である。本発明の方法は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレンアクリレート)およびポリシロキサンを含むがこれらに限定されない化学的に安定な低ガラス転移ポリマーに可逆的な物理的架橋を導入する一般的な手段を提供することができ、そのような方法により、得られる熱可塑性エラストマーは、その下限がベースポリマーの特性により決定されるが、その上限が物理的架橋を生じさせる凝集体の低重量分率の解離温度により決定される温度範囲でエラストマー的挙動を示すようになる。これは、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM、最高連続使用温度150℃)に代表される汎用の耐熱性加硫剤の連続使用温度を超えており、ポリジメチルシロキサンのようなより高価な高温加硫剤との競争力があります。凝集体の解離温度が明確に定義されているため、改良された熱可塑性エラストマーは、射出成形、押出成形、熱成形、フィルムブローなどの標準的な熱可塑性加工技術を用いて、短いサイクル時間で加工することができ、永久に架橋された加硫剤とは異なり、凝集体の解離温度以上の温度でリサイクルすることができます。このようなポリウレタンやポリアミドエラストマーなどの既存の耐熱性熱可塑性ゴムは、典型的には、転移温度がドメインの体積に依存する広い解離転移を有する不定形の剛体ドメインを含むため、高温安定性がエラストマー特性を犠牲にしてしか得られない可能性がありますが、それと比較して、改善された高温圧縮永久歪、強度および破断時の伸びを示す可能性があります。
本発明はまた、少なくとも1つのポリマーセグメント13と少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11,12とからなる官能化ポリマー10との超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することが可能な少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21を構成する凝集添加剤20の使用を提供する。
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21は、ジトピックである。
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21を含む凝集体31を形成するように設計されており
ここで、凝集性添加剤20は、50g/molから2000g/mol、特に50g/molから1300g/mol、より特に50g/molから1000g/molの分子量を有しており、ここで、凝集性添加剤20は、50g/molから2000g/mol、特に50g/molから1000g/molの分子量を有する。
本発明の使用の好ましい実施形態によれば、凝集性添加剤20は、好ましくは単分散である。
本発明の使用の好ましい実施形態によれば、凝集性添加剤20は、官能化ポリマー10との組成物を調製するために使用される。
機能化ポリマー10について、ポリマー凝集セグメント11、12、少なくとも1つの添加剤凝集セグメント21、共有結合、超分子相互作用、凝集体31、非共有結合の結合エネルギー、凝集添加剤20、任意のさらなるポリマー、および本発明に従った使用の任意のさらなる添加剤が挙げられる。官能化ポリマー10、ポリマー凝集セグメント11、12、付加的凝集セグメント21、共有結合、超分子相互作用、凝集体31、非共有結合の結合エネルギー、凝集添加剤20、任意のさらなるポリマーおよび本発明に従った組成物の任意のさらなる添加剤に関する上記の規定が適用されるものとする。
本発明に従う組成物は、シート、繊維または成形体の調製に使用することができる。従って、本発明はまた、本発明に従った組成物を含むシート、繊維または成形体を提供する。
図1は、ポリマーセグメント13と、末端基としての超分子相互作用に基づく非共有結合を形成することが可能な2つのポリマー凝集セグメント11,12とからなる官能性ポリマー10と、官能性ポリマー10のポリマー凝集セグメント11,12と同じ超分子相互作用に基づく非共有結合を形成することが可能な1つの付加的凝集セグメント21とからなる整合性凝集添加剤20との例示的な組み合わせから、本発明に従った組成物を得る方法の概略的な概要を示す。この場合、ポリマー凝集セグメント11、12および付加的凝集セグメント21は、自己相補的である。ポリマー凝集セグメント11、12および添加剤凝集セグメント21は、官能性ポリマー10のポリマー凝集セグメント11、12および凝集添加剤20の添加剤凝集セグメント21の両方を含む組成物中で凝集体31に凝集する。この場合、凝集は協力的である。
例としては、以下のようなものがあります。
材料
アミン-テレケリックポリ(スチレン-コ-ブタジエン)(H2N-SBR-NH2)(Mn=33500)をアニオン重合の標準的な技術を用いて調製し、使用前にTHF溶液からMeOHへの2回の後続の沈殿によって精製した。シス-ジ-ジ-tert-ブチル-2-ブテン-1,4-ジイルジカルバメートを用いたシクロオクタジエンの開環メタセシス重合により、ボックアミノテレケリックポリブタジエン(Mn=29000)を調製した[R.岡林、太田陽一郎、横澤孝明、マクロモレキュリーズ2017、50、9589-9597]を連鎖移動剤として用いた[S. Ji、T. R. Hoye、C. W. Macosko、マクロモレキュリーズ2004、37、5485-5489]。続いて、p-トルエンスルホニルヒドラジドで還元すると、Boc-アミノテレケリックPE(Mn = 29000)が得られました[A. D. Todd, R. J. J. T. J. Hoye, C. W. Macosko 2004, 37, 5485-5489]。D. Todd, R. J. McEneany, V. A. Topolkaraev, C. W. Macosko, M. A. Hillmyer, Macromolecules 2016, 49, 8988-8994]。2-ヘキシルデシルアミンは、文献で知られている手順に従って合成された[X. 郭、R. Ponce Ortiz、Y. Zheng、M.-G. Kim、S. Zhang、Y.-G。また、この方法では、2-ヘキシルデシルアミンは、従来から知られている方法で合成することができました[X. Guo, R. Ponce Ortiz, Y. Zheng, M.-G. Kim, S. Zhang, Y. Hu, G. Lu, A. Facchetti, T. J. Marks, J. Am. 化合物は、その構造を理解するために必要不可欠なものであることがわかった。Soc. 2011, 133, 13685-13697]。2-オクチルドデシルアミンは、文献で知られている手順に従って合成しました。劉、Z. 菅、S. トーマス、F. Cruciani、J-L. Bredas、P. M. Bredas, P. M. Beaujuge, Angew. Chem. Int. Ed. 2016, 55, 12996-13000];N-アセチル-L-アラニンおよびN-アセチル-グリシンを、文献で知られている手順に従って合成した[R.J. Cox, H. Jenkins, J. A. Schouten, R. A. Stentiford, K. J. Wareing, J. Chem. Soc. Soc. 1 2000, 2023-2036];5-(メトキシカルボニル)イソフタル酸を文献で知られている手順に従って合成した[M. A. J. Veld, D. Haveman, A. R. A. Palmans, E. W. Meijer, Soft Matter 2011, 7, 524-531];1-(3-ブロモプロピル)-2,2,5,5,5-テトラメチル-1-アザ-2,5-ジシラシクロペンタンは公知の方法で合成されました。N. Ottou, S. Norsic, I. Belaid, C. Boisson, F. D'Agosto, Macrom. D'Agosto, Macromolecules 2017, 50, 8372-8377];アミンテレケリックポリジメチルシロキサン(H2N-PDMS-NH2, ABCR)(Mn=1000, 3000, 30000, 50000);ジイソプロピルエチルアミン(DIEA, TCI);ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホニウム-ヘキサフルオロホスファット(PyBOP, GL Biochem (Shanghai) Ltd.)。溶媒は技術的なグレードのものを使用し、使用前に蒸留した。テトラヒドロフラン(THF)を使用前に乾燥させ、溶媒精製システム(PureSolvMD-5、Introvation Technology Inc);ジクロロメタン(DCM);ジメチルスルホキシド(DMSO);1,1,2,2-テトラクロロエタン(TCE);トリフルオロ酢酸(TFA)を使用した。
方法
示差走査熱量測定(DSC)。 DSC測定は、TA Instruments Q100熱量計を用いて、窒素(50 mL/min)の流れの下で10℃/分の走査速度で行った。熱遷移のために与えられたデータは、第2の加熱スキャンから得られた。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)。 GPC 測定は、屈折率検出器を備えた Agilent 1260 Infinity GPC/SEC システムで行いました。溶離液としてTHFを使用した。
プロトン核磁気共鳴(1H NMR)分光法。 NMR分光法は、400 MHzの周波数でBruker Avance III 400分光計で298 Kで実施した。スペクトルは、DMSO-d6(2.50 ppm)またはCDCl3(7.26 ppm)またはTCE-d2(6.00 ppm)の残留溶媒ピークに較正した。
高分解能質量分析(HRMS)。 HRMSはESI-TOF測定用のQ-TOF Ultima(Waters)で実施しました。
動的せん断レオロジー。 レオロジー測定は、平行平板レオメーター AR 2000(TA Instruments)で実施した。形状が安定した円盤状の試料を、ホットステージ上またはレオメーター内で100〜150℃の温度で手動で調製した。15mmのアルミニウム板を使用し、板間のギャップは0.4-0.6mmの範囲であった。すべての試料は、測定に先立ち、レオメーターで120〜200℃の温度範囲で20分間アニールした。測定は、200℃から-60℃まで、冷却速度3℃/分、固定ラジアル周波数1、10または100rad/s、ひずみ振幅0.1%で、完全な測定中に実施した。
機能性高分子の合成 10
実施例1:Ac-Ala-Ala-NH-SBR-NH-Ala-Ac
合成。アミンテレケリックポリ(スチレン-コ-ブタジエン)H2N-SBR-NH2(Mn = 33500)とN-アセチル-L-アラニル-L-アラニンを、THFを溶媒とするPyBOP促進ペプチドカップリング反応でカップリングさせることにより、NH-Ala-Ala-Ac構造を有する2つの同一のポリマー凝集セグメントからなる官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-SBR-NH-Ala-Acを合成した。このために、N-アセチル-L-アラニン(0.18 g)、DIEA(0.24 mL)、およびPyBOP(0.50 g)を、乾燥THF(300 mL)中のアミンテレケリックポリ(スチレン-コ-ブタジエン)H2N-SBR-NH2(24 g)の溶液に添加した。反応混合物を室温で3d撹拌し、1M HClに沈殿させた。沈殿物をTHFに再溶解し、1 M HClにさらに2回沈殿させ、無色の固体(22 g)として機能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-SBR-NH-Ala-Ala-Acを得た。
特性評価。1H-NMR(400 MHz、CDCl3):= 7.32 - 6.50(bs、875H)、5.66 - 4.71(bs、1684H)、3.79(m、4H)、2.64 - 1.19(bs、3116H)。1H-NMRスペクトルの特徴帯から、ポリスチレン(8 n/n%)、1,2-ポリブタジエン(39 n/n%)、1,4-ポリブタジエン(53 n/n%)単位の含有量を算出した。GPC(THF)を用いた。Mn=33500であった。
実施例2:Ac-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ac(Mn=10000)を用いた。
合成。アミン-テレケリックポリジメチルシロキサン(Mn=1000)とN-アセチル-L-アラニル-L-アラニンをTHFを溶媒とするPyBOP促進ペプチドカップリング反応でカップリングさせることにより、NH-Ala-Ala-Ac構造を有する2つの同一のポリマー凝集セグメントからなる官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Acを合成した。このために、N-アセチル-L-アラニン(1.02 g、5.10 mmol)、アミンテレケリックポリジメチルシロキサン(2 g)、DIEA(1.10 mL)、およびPyBOP(2.85 g、5.48 mmol)をTHF(50 mL)に懸濁し、反応混合物を室温で一晩撹拌した後、1 M HCl(1 L)に沈殿させた。沈殿物を回収し、H2O(3×100 mL)で洗浄し、高真空下で乾燥して、オフホワイトの固体(1.97g、69%)として官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Acを得る。
特性評価。1H-NMR (400 MHz, CD2Cl2): = 7.93-6.51 (bs, 6H), 4.73 (bs, 4H), 3.24 (m, 4H), 2.05 (s, 6H), 1.57 (bs, 4H), 1.38 (m, 12H), 0.59 (bs, 4H), 0.13 (bs, 128H) ppm.
実施例3:Ac-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Ac(Mn=10000)を用いた。
合成方法 アミンテレケリックポリジメチルシロキサン(Mn=1000)とN-アセチル-グリシンをDMF/THFを溶媒とするPyBOP促進ペプチドカップリング反応でカップリングさせることにより、NH-Gly-Gly-Ac構造を有する2つの同一のポリマー凝集セグメントからなる機能性ポリマーAc-Gly-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Gly-Acを合成した。このため、N-アセチル-グリシン(0.84 g, 4.80 mmol)をDMF(20 mL)に溶解し、THF(30 mL)を加えた。 アミンテレケリックポリジメチルシロキサン(2 g)、DIEA(1.5 mL)、PyBOP(2.63 g, 5.09 mmol)を加え、反応混合物を室温で3 d撹拌した後、H2Oに沈殿させた。沈殿物をTHFに再溶解し、H2Oにもう一度沈殿させ、高真空下で乾燥させて、オフホワイトの固体(1.20 g、54%)として官能化ポリマーAc-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Gly-Acを得た。
特性評価。1H-NMR(400 MHz、CDCl3):= 7.10(bs、2H)、6.62(bs、2H)、6.38(bs、2H)、3.96(m、8H)、3.23(bs、4H)、2.05(s、6H)、1.53(m、4H)、0.50(bs、4H)、0.07(bs、80H)ppm。
実施例4:Ac-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ac(Mn=30000)を用いた。
合成。アミン-テレケリックポリジメチルシロキサン(Mn=3000)とN-アセチル-L-アラニル-L-アラニンを、THFを溶媒とするPyBOP促進ペプチドカップリング反応でカップリングさせることにより、NH-Ala-Ala-Ac構造を有する2つの同一のポリマー凝集セグメントからなる官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Acを合成した。このために、N-アセチル-L-アラニン(0.32 g, 1.60 mmol)、アミンテレケリックポリジメチルシロキサン(2 g)、DIEA(0.35 mL)、およびPyBOP(0.90 g, 1.73 mmol)をTHF(50 mL)に懸濁し、反応混合物を室温で一晩撹拌した後、1 M HCl(1 L)に沈殿させた。沈殿物を回収し、H2O(3×100 mL)で洗浄し、高真空下で乾燥して、オフホワイトの固体(2.04 g、90%)として官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Acを得る。
特性評価。1H-NMR(400 MHz、CDCl3):= 7.26-6.40(bs、6H)、4.60(bs、4H)、3.22(m、4H)、2.03(s、6H)、1.53(m、4H)、1.37(m、12H)、0.53(m、4H)、0.07(bs、213H)ppm。
実施例5:Ac-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Ac(Mn=30000)を用いた。
合成方法 アミンテレケリックポリジメチルシロキサン(Mn = 3000)とN-アセチル-グリシンをDMF/THFを溶媒とするPyBOP促進ペプチドカップリング反応でカップリングさせることにより、NH-Gly-Gly-Ac構造を有する2つの同一のポリマー凝集セグメントからなる官能基化ポリマーAc-Gly-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Gly-Acを合成した。このため、N-アセチル-グリシン(0.27 g, 1.54 mmol)をDMF(10 mL)に溶解し、THF(20 mL)を加えた。アミンテレケリックポリジメチルシロキサン(2 g)、DIEA(0.5 mL)、PyBOP(0.85 g, 1.65 mmol)を加え、反応混合物を室温で3 d撹拌した後、H2Oに沈殿させた。沈殿物をTHFに再溶解し、H2Oにもう一度沈殿させ、高真空下で乾燥させて、オフホワイトの固体(1.28 g、47%)として官能化ポリマーAc-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Gly-Acを得ることができました。
特性評価。1H-NMR(400 MHz、DMSO-d6):= 8.19(bs、2H)、8.11(bs、2H)、7.73(bs、2H)、3.67(m、8H)、3.03(bs、4H)、1.87(s、6H)、1.41(bs、4H)、0.53(m、4H)、0.07(bs、222H)ppm。
実施例6:Ac-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ac(Mn=30000)を用いた。
合成した。アミンテレケリックポリジメチルシロキサン(Mn=30000)とN-アセチル-L-アラニル-L-アラニンを、THFを溶媒とするPyBOP促進ペプチドカップリング反応でカップリングさせることにより、NH-Ala-Ala-Ac構造を有する2つの同一のポリマー凝集セグメントからなる官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn=30000)を合成した。このために、THF(150 mL)中のアミンテレケリックポリジメチルシロキサン(20 g)の溶液に、N-アセチル-L-アラニン(0.34 g)、DIEA(0.70 mL)およびPyBOP(1.03 g)を添加した。反応混合物を室温で3d撹拌し、次いでH2O(2L)に沈殿させた。沈殿物をTHF(150 mL)に再溶解し、H2O(2 L)にさらに2回沈殿させた。沈殿物をDCM(200 mL)に溶解し、MgSO4上で乾燥させた。濾過後、溶媒を除去し、オフホワイトの固体(16g、79%)として官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ac(Mn=30000)を得た。
特性評価。1H-NMR(400 MHz、CDCl3):= 6.94(bs、2H)、6.42(bs、2H)、6.36(bs、2H)、4.52(m、2H)、4.46(m、2H)、3. 24(m、4H)、2.05(s、6H)、1.54(m、4H)、1.39(t、6H)、1.39(t、6H)、0.53(m、4H)、0.08(bs、3026H)。
実施例7:Ac-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Ac(Mn=30000)を用いた。
合成した。アミンテレケリックポリジメチルシロキサン(Mn=30000)とN-アセチル-グリシンを、THFを溶媒とするPyBOP促進ペプチドカップリング反応でカップリングさせることにより、NH-Gly-Gly-Ac構造を有する2つの同一のポリマー凝集セグメントからなる機能化ポリマーAc-Gly-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Gly-Ac(Mn=30000)を合成した。このために、アミンテレケリックポリジメチルシロキサン(20g)の溶液にN-アセチル-グリシン(0.31g)、DIEA(0.70mL)、およびPyBOP(1.05g)を乾燥THF(150mL)中に添加した。反応混合物を室温で3d撹拌し、次いでH2O(2L)に沈殿させた。沈殿物をTHF(200 mL)に再溶解し、H2O(2 L)にさらに2回沈殿させた。沈殿物をDCM(250 mL)に溶解し、MgSO4上で乾燥させた。濾過後、溶媒を除去し、オフホワイトの固体(17 g、85%)として官能化ポリマーAc-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Gly-Ac(Mn = 30000)を得た。
特性評価。1H-NMR (400 MHz, CDCl3): = 6.83 (bs, 2H), 6.38 (bs, 4H), 3.97 (m, 8H), 3.28 (m, 4H), 2.08 (6H), 1.55 (m, 4H), 0.53 (m, 4H), 0.07 (bs, 5112H) ppm.
実施例8:Ac-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ac(Mn=30000)。
合成した。アミン-テレケリックポリジメチルシロキサン(Mn=30000)とN-アセチル-L-アラニンを、THFを溶媒とするPyBOP促進ペプチドカップリング反応でカップリングさせることにより、NH-Ala-Ac構造を有する2つの同一のポリマー凝集セグメントからなる官能化ポリマーAc-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ac(Mn=30000)を合成した。このために、アミンテレケリックポリジメチルシロキサン(16.3 g)のTHF(120 mL)中の溶液に、N-アセチル-L-アラニン(0.36 g)、DIEA(0.8 mL)およびPyBOP(1.56 g)を添加した。反応混合物を室温で1d撹拌し、H2O(1.5 L)に沈殿させた。水相をデカンテーションオフし、残りのポリマーに追加の水を加えた。30分間激しく撹拌した後、水をデカンテーションオフした。ポリマーをDCMに再溶解し、MgSO4上で乾燥させた。濾過後、溶媒を除去し、無色の粘性液体(9.61 g、59%)として官能化ポリマーAc-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ac(Mn = 30000)を得た。
特性評価。1H-NMR(400MHz、CDCl3):=6.30(bs、4H)、4.45(m、2H)、3.24(m、4H)、2.02(s、6H)、1.53(m、4H)、1.38(d、6H)、0.53(m、4H)、0.07(bs、3634H)ppm。
実施例9:Ac-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Ac(Mn=30000)。
合成。アミンテレケリックポリジメチルシロキサン(Mn=30000)とN-アセチルグリシンを、THFを溶媒とするPyBOP促進ペプチドカップリング反応でカップリングさせることにより、NH-Gly-Ac構造を有する2つの同一のポリマー凝集セグメントからなる機能化ポリマーAc-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Ac(Mn=30000)を合成した。このために、アミンテレケリックポリジメチルシロキサン(2.00 g)のTHF(50 mL)中の溶液に、N-アセチル-グリシン(42 mg)、DIEA(0.10 mL)、およびPyBOP(0.21 g)を添加した。反応混合物を室温で1d撹拌し、H2Oに沈殿させた。ポリマーをDCM(200 mL)に再溶解し、H2Oで3回洗浄した。さらなる精製のために、ポリマーをTHFに溶解し、その後H2Oに沈殿させた。ポリマーをDCMに再溶解し、MgSO4上で乾燥させた。濾過後、溶媒を除去し、無色の粘性液体(1.04 g、52%)として官能化ポリマーAc-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Ac(Mn = 30000)を得た。
特性評価。1H-NMR(400MHz、CDCl3):=6.38(bs、2H)、6.11(bs、2H)、3.92(d、4H)、3.26(m、4H)、2.05(s、6H)、1.54(m、4H)、0.53(m、4H)、0.07(bs、3180H)ppm。
実施例10:BTA-PDMS-BTA(Mn=30000)の場合
合成した。アミン-テレケリックポリジメチルシロキサン(Mn=30000)と(3,5-ビス(2-エチルヘキシル)カルバモイル)安息香酸とを、THFを溶媒とするPyBOP促進ペプチドカップリング反応でカップリングさせることにより、ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミド末端基からなる群からなる2つの同一のポリマー凝集セグメントからなる機能性ポリマーBTA-PDMS-BTAを合成した。このため、5-(メトキシカルボニル)イソフタル酸(5.40 g, 24.1 mmol)、2-エチルヘキサン-1-アミン(6.85 g, 53.0 mmol)、およびPyBOP(28.9 g, 55.9 mmol)をTHF(150 mL)に懸濁させ、(3,5-ビス(2-エチルヘキシル)カルバモイル)安息香酸を合成した。DIEA(18.9 mL)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌し、H2O(1 L)に沈殿させた。沈殿物を回収し、DCMに溶解し、MgSO4上で乾燥させ、溶離液としてDCM/MeOH(100:0.5)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製した。中間体のメチル(3,5-ビス(2-エチルヘキシル)カルバモイル)安息香酸塩を無色の固体(4.63 g, 10.4 mmol, 43%)として得た。
特性評価を行う。1H-NMR(400 MHz、CDCl3):=8.51(s、2H)、8.39(s、1H)、6.32(t、2H)、3.96(s、3H)、3.42(m、4H)、1.58(m、2H)、1.39(m、4H)、1.32(bs、12H)、0.95〜0.88(m、12H)ppm。HRMS(ESI-TOF、正):m/z 469.3042 [M + Na]+、C26H42N2O4Naのために計算された:469.30。
(3,5-ビス(2-エチルヘキシル)カルバモイル)安息香酸塩(4.50 g, 10.1 mmol)をMeOHに溶解した。LiOH(362 mg, 15.1 mmol)と水(0.5 mL)を加え、反応混合物を室温で3日間撹拌した後、1 M HCl(0.5 L)に沈殿させた。沈殿物を回収し、水で洗浄した。(3,5-ビス(2-エチルヘキシル)カルバモイル)安息香酸を無色固体(4.34 g, 10.0 mmol, 99%)として得た。
特性評価を行った。1H-NMR(400 MHz、DMSO-d6):=8.68(t、2H)、8.60(s、2H)、8.45(s、1H)、3.37(m、4H)、1.68(m、2H)、1.47〜1.37(m、16H)、1.00〜0.93(m、12H)ppm。HRMS(ESI-TOF、正):m/z 455.2886 [M + Na]+、C25H40N2O4Naのために計算された:455.29。
(3,5-ビス(2-エチルヘキシル)カルバモイル)安息香酸(1.73 g, 4.00 mmol)、DIEA(0.87 mL)、およびPyBOP(2.25 g, 4.33 mmol)を、THF(250 mL)中のアミンテレケリックポリジメチルシロキサン(50 g)の溶液に添加した。反応混合物を室温で3日間撹拌し、次いでH2O(1.5 L)に沈殿させた。ポリマーをTHF(100 mL)に再溶解し、H2Oに沈殿させ、もう一度沈殿させた。次いで、ポリマーをDCMに再溶解し、MgSO4上で乾燥させた。濾過後、溶媒を除去し、オフホワイトの固体(49g、98%)として官能化ポリマーBTA-PDMS-BTA(Mn=3000)を得た。
特性評価。1H-NMR (400 MHz, CDCl3): = 8.35 (s, 6H), 6.46 (t, 2H), 6.35 (t, 4H), 3.45 (m, 12H), 1.66 (m, 4H), 1.40 (m, 4H), 1.33 (m, 32H), 0.96-0.89 (m, 24H), 0.61 (m, 4H), 0.08 (bs, 7052H) ppm.
実施例11:Ac-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ac(Mn=50000)の場合
合成。アミンテレケリックポリジメチルシロキサン(Mn=50000)とN-アセチル-L-アラニル-L-アラニンを、THFを溶媒とするPyBOP促進ペプチドカップリング反応でカップリングさせることにより、NH-Ala-Ala-Ac構造を有する2つの同一のポリマー凝集セグメントからなる官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Acを合成した。このために、アミンテレケリックポリジメチルシロキサン(25g)の溶液にN-アセチル-L-アラニン(0.24g、1.20mmol)、DIEA(0.26mL)、およびPyBOP(0.67g、1.50mmol)をTHF(350mL)中で添加した。反応混合物を室温で3d撹拌し、次いでH2O(1.5 L)に沈殿させた。沈殿物をTHF(150 mL)に再溶解し、H2O(1.5 L)にさらに2回沈殿させた。沈殿物をDCM(200 mL)に溶解し、MgSO4上で乾燥させた。さらなる精製のために、ポリマーをDCM(150 mL)に再溶解し、溶液を濃縮し、MeOH(150 mL)を激しく攪拌しながら徐々に添加した。一晩攪拌した後、MeOH相をデカンテーションオフした。この沈殿の手順を2回繰り返した。最後に、DCMを真空中で除去し、オフホワイトの固体(12 g、48%)として機能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 50000)を得るために得た。
特性評価。1H-NMR(400 MHz、CDCl3):= 6.80(bs、2H)、6.25(bs、2H)、6.19(bs、2H)、4.51(m、2H)、4.43(m、2H)、3. 24(m、4H)、2.03(s、6H)、1.54(m、4H)、1.39(t、6H)、1.39(t、6H)、0.51(m、4H)、0.08(bs、5592H)。
実施例12:Ac-Ala-Ala-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn=5000)の場合
合成を行った。アミンテレケリックポリジメチルシロキサン(Mn=50000)とN-アセチル-L-アラニル-L-アラニンを、THFを溶媒とするPyBOP促進ペプチドカップリング反応でカップリングさせることにより、NH-Ala-Ala-Ala-Ac構造を有する2つの同一のポリマー凝集セグメントからなる官能化ポリマーAc-Ala-Ala-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ala-Acを合成した。このために、THF(100 mL)中のN-アセチル-L-アラニン(2.40 g, 8.02 mmol)とL-アラニンtert-ブチルエステル(1.73 g, 11.9 mmol)の溶液にPyBOP(8.60 g, 16.5 mmol)とDIEA(6 mL)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、DCMを加え、混合物を2時間撹拌し、得られた沈殿物を回収し、DCMで洗浄して、N-アセチル-L-アラニン-L-アラニン-tert-ブチルエステルを無色の固体として収得した(2.24g、11.9mmol、57%)。
特性評価。1H-NMR(400 MHz、D2O):= 4.24-4.10(m、3H)、1.94(s、3H)、1.38(s、9H)、1.33-1.26(m、9H)ppm。HRMS(ESI-TOF、正):m/z 352.185 [M + Na]+、C15H27N3O5Naのために計算された:352.18。
N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン-tert-ブチルエステル(1.60 g, 4.96 mmol)をCHCl3(5 mL)およびTFA(8.2 mL)中で室温で3時間撹拌した。揮発物を真空下で除去し、残りの固体をDCMで洗浄して、無色固体としてN-アセチル-L-アラニル-L-アラニンを得た(1.18 g, 4.32 mmol, 87%)。
特性評価。1H-NMR(400 MHz、D2O):=4.29〜4.18(m、3H)、1.93(s、3H)、1.35(d、3H)、1.31(d、3H)、1.28(d、3H)ppm。HRMS(ESI-TOF、正):m/z 296.122 [M + Na]+、C11H19N3O5Naのために計算された:296.12。
次いで、THF(300 mL)中のアミンテレケリックポリジメチルシロキサン(50 g, 1 mmol)の溶液に、N-アセチル-L-アラニン(0.66 g, 2.4 mmol)、PyBOP(2.3 g, 4.30 mmol)、およびDIEA(0.87 mL)を添加した。反応混合物を室温で3d撹拌し、H2O(1.5 L)に沈殿させた。沈殿物をDCMに再溶解し、MeOHにさらに3回沈殿させ、オフホワイトの固体(32 g、0.64 mmol、64%)として官能化ポリマーAc-Ala-Ala-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ala-Ac(Mn = 50000)を得た。
特性評価。1H-NMR(400 MHz、CDCl3):= 7.03(bs、2H)、6.68(bs、2H)、6.61(bs、2H)、6.26(bs、2H)、4.18(m、6H)、3. 22(m、4H)、2.09(s、6H)、1.54(m、4H)、1.45(d、6H)、1.43(d、6H)、1.37(d、6H)、0.53(m、4H)、0.07(bs)ppm。
実施例13:BTA-PDMS-BTA(Mn=50000)の場合
合成した。アミン-テレケリックポリジメチルシロキサン(Mn=50000)と(3,5-ビス(2-エチルヘキシル)カルバモイル)安息香酸を、THFを溶媒とするPyBOP促進ペプチドカップリング反応でカップリングさせることにより、ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミド末端基からなる群からなる2つの同一のポリマー凝集セグメントからなる機能性ポリマーBTA-PDMS-BTAを合成した。このために、THF(350 mL)中のアミンテレケリックポリジメチルシロキサン(25 g)の溶液に(3,5-ビス(2-エチルヘキシル)カルバモイル)安息香酸(0.52 g, 1.20 mmol)、DIEA(0.26 mL)およびPyBOP(0.68 g, 1.30 mmol)を添加した。反応混合物を室温で3日間撹拌し、次いでH2O(1.5 L)に沈殿させた。ポリマーをTHF(150 mL)に再溶解させ、H2Oに沈殿させ、もう一度沈殿させた。次いで、ポリマーをDCMに再溶解し、MgSO4上で乾燥させた。濾過後、溶媒を除去し、オフホワイトの固体(16g、64%)として官能化ポリマーBTA-PDMS-BTA(Mn=5000)を得た。
特性評価。1H-NMR(400 MHz、CDCl3):= 8.35(s、6H)、6.46(t、2H)、6.36(t、4H)、3.44(m、12H)、1.66(m、4H)、1.40(m、4H)、1.33(m、32H)、0.96〜0.89(m、24H)、0.61(m、4H)、0.07(bs、5606H)ppm。
実施例14:Ac-Ala-Ala-NH-PS-NH-Ala-Ac(Mn=3500)。
合成した。アミン末端ポリスチレン(Mn=3500)とN-アセチル-L-アラニル-L-アラニンとを、THFを溶媒とするPyBOP-促進ペプチドカップリング反応でカップリングさせることにより、NH-Ala-Ala-Ac構造を有する2つの同一のポリマー凝集セグメントと非晶質ポリマーセグメントとしてのポリスチレン(PS)からなる機能性ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn=3000)を合成した。このため、ナフタレン化ナトリウムを開始剤とするスチレンの双方向リビングアニオン重合により、アミノテレケリックポリスチレンを合成した。この目的のために、ナフタレン(0.39 mg)とナトリウム片(200 mg)を乾燥THF中でアルゴン雰囲気下、室温で3時間撹拌した。濃い緑色の溶液から残りのナトリウムを除去した後、スチレン(9.09 g、87.3 mmol、10 mL)を-78 ℃で30分かけてゆっくりと加えた。得られた暗赤色溶液を室温まで温めながら3時間撹拌した。次いで、反応混合物を-78℃まで冷却し、1-(3-ブロモプロピル)-2,2,5,5-テトラメチル-1-アザ-2,5-ジシラシクロペンタン(1.7 mL)を添加する前に、室温で一晩攪拌した。混合物を酸性メタノールに3回沈殿させ、無色の沈殿物(8.69g, 96%)を得た。そのまま得られたアミノテレケリックポリスチレン(Mn=3500)(0.48g)をTHFに溶解した。 N-アセチル-L-アラニン(70mg、0.35mmol)、PyBOP(0.36g)、およびDIEA(0.14mL)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した後、MeOHに沈殿させ、官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 3000)を無色固体(0.23 g, 46%)として得た。
特性評価。1H-NMR(400MHz、CDCl3):=7.00(bs)、6.51(bs)、3.66(bs、4H)、3.01(bs、4H)、1.78(bs)、1.36(bs)ppm。
実施例15:Ac-Ala-Ala-NH-PE-NH-Ala-Ac(Mn=29000)。
合成した。アミン末端ポリエチレン(Mn=29000)とN-アセチル-L-アラニル-L-アラニンとをトルエンを溶媒とするPyBOP-促進ペプチドカップリング反応でカップリングさせることにより、NH-Ala-Ala-Ac構造を有する2つの同一の凝集セグメントと半結晶性ポリマーセグメントとしてのポリエチレン(PE)からなる機能性ポリマーAc-Ala-Ala-Ala-Ac(Mn=29000)を合成した。このために、ボックアミノテレケリックポリエチレン(Mn=29000)(0.5g、0.02mmol)を、アルゴン雰囲気下、70℃で、o-ジクロロベンゼン(15 mL)に溶解した。この混合物にトリフルオロ酢酸(0.2 mL)を加え、70℃で16時間撹拌した。次に、混合物を0℃で激しく撹拌したMeOH(75 mL)に沈殿させた。沈殿物を回収し、MeOHおよびDCMで洗浄して、NH2-PE-NH2(Mn = 29000)オフホワイト固体(0.46 g、92%)を得る。
特性評価。1H-NMR(400MHz、Tol-d8):=2.50(br)、1.33(s)ppm。
次いで、NH2-PE-NH2(Mn=29000) (0.46 g)をアルゴン雰囲気下、100℃でトルエン(20 mL)に溶解し、次いでPyBOP(42 mg, 0.08 mmol)を添加した。次いで、DMSO(1 mL)に溶解したN-アセチル-L-アラニン(16 mg、0.08 mmol)、DIEA(2 mL)を加え、反応混合物を100℃で16時間撹拌した後、0℃で激しく撹拌したMeOH(75 mL)に沈殿させた。沈殿物を回収し、MeOHおよびDCMで洗浄して、オフホワイトの固体(0.44 g、96%)として官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PE-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 29000)を得た。
特性評価。1H-NMR(400MHz、Tol-d8):=4.15(bs、4H)、3.00(bs、4H)、2.01(s、6H)、1.33(s、1174H)。
骨材添加剤の合成 20
実施例16:N-アセチル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミド
合成方法 THFを溶媒としたPyBOP促進ペプチドカップリング反応により、NH-Ala-Ala-Ac構造を有する凝集セグメントを構成する凝集添加剤N-アセチル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドを合成した。このために、N-アセチル-L-アラニン(6.00 g, 29.6 mmol)、2-エチルヘキサン-1-アミン(4.23 g, 32.6 mmol)、およびPyBOP(18.4 g, 35.6 mmol)をTHF(75 mL)に懸濁した。DIEA(15 mL)を加え、均質な溶液を得た。反応混合物を室温で一晩撹拌し、1 M HCl(1 L)に沈殿させた。沈殿物を回収し、H2O(3×50 mL)で洗浄し、高真空下で十分に乾燥させて、無色の固体(5.91 g、18.9 mmol、64%)としての凝集添加剤N-アセチル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドを得た。
特性評価。1H-NMR(400 MHz、DMSO-d6):= 8.06(d、1H)、7.91(t、1H)、7.65(t、1H)、4.23(m、2H)、3.05(m、1H)、2.94(m、1H)、1.84(s、3H)、1.37(m、1H)、1.25〜1.17(bs、14H)、0.87(t、3H)、0.83(t、3H)ppm。HRMS(ESI-TOF、正):m/z 336.2268 [M + Na]+、C16H31N3O3Naのために計算された:336.2263。DSC: Tm = 223 ℃。
実施例17:N-アセチル-L-アラニン(2-ヘキシルデシル)アミド
合成。THFを溶媒としたPyBOP促進ペプチドカップリング反応により、NH-Ala-Ala-Ac構造を有する凝集セグメントからなる凝集性添加剤N-アセチル-L-アラニン(2-ヘキシルデシル)アミドを合成した。このために、N-アセチル-L-アラニン(0.40 g、1.98 mmol)をアルゴン雰囲気下で乾燥THF(200 mL)に溶解した。2-ヘキシルデカン-1-アミン(0.45 g, 1.88 mmol)、DIEA(0.97 mL)、およびPyBOP(1.18 g, 2.26 mmol)を加えた。反応混合物をアルゴン雰囲気下で室温で3時間撹拌し、真空中で濃縮した後、1 M HClに沈殿させた。沈殿物を回収し、1M HClへの沈殿を2回繰り返した。沈殿物をDCMに溶解し、MgSO4上で乾燥させた。濾過し、溶媒を蒸発させた後、凝集添加物であるN-アセチル-L-アラニン(2-ヘキシルデシル)アミドを無色の固体(0.71 g, 1.67 mmol, 89%)として得た。
特性評価。1H-NMR(400 MHz、DMSO-d6):=6.86(d、1H)、6.30(d、1H)、6.17(bs、1H)、4.55(m、1H)、4.47(m、1H)、3.22(m、2H)、2.05(s、3H)、1.50(bs、1H)、1.40(m、6H)、1.28(bs、24H)、0.91(m、6H)ppm。DSC:Tm=184℃。
実施例18:N-アセチル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミド
合成。THFを溶媒としたPyBOP促進ペプチドカップリング反応により、NH-Ala-Ala-Ac構造を有する凝集セグメントからなる凝集助剤N-アセチル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドを合成した。このために、2-オクチルドデカン-1-アミン(2.01 g, 6.72 mmol)をTHF(50 mL)に溶解した。N-アセチル-L-アラニン(1.64 g, 8.11 mmol)、PyBOP(4.87 g, 9.36 mmol)、DIEA(3.5 mL)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、混合物を1 M HCl(1 L)に沈殿させた。沈殿物をTHFに再溶解し、溶液を再び1M HClに沈殿させた。沈殿物を最後に水(50 mL)およびアセトン(50 mL)で洗浄し、無色の固体(2.97 g, 6.16 mmol, 92%)としての凝集添加剤N-アセチル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドを得た。
特性評価。1H-NMR(400 MHz、CDCl3):= 7.51(d、1H)、7.09(d、1H)、6.77(t、1H)、4.71(m、1H)、4.60(m、1H)、3. 23(m、1H)、3.15(m、1H)、2.08(s、3H)、1.51(m、1H)、1.38(m、6H)、1.25(bs、32H)、0.87(m、6H)ppm。HRMS(ESI-TOF、正):m/z 504.4145 [M + Na]+、C28H55N3O3Naのために計算された:504.4141。DSC: Tm = 186 ℃。
実施例19:N-アセチル-グリシン(2-エチルヘキシル)アミド
合成方法 THFを溶媒としたPyBOP促進ペプチドカップリング反応により、NH-Gly-Gly-Ac構造を有する凝集セグメントからなる凝集助剤N-アセチル-グリシン(2-エチルヘキシル)アミドを合成した。この目的のために、N-アセチル-グリシン(4.30 g, 21.3 mmol)をTHF(250 mL)に分散させた。透明な溶液が得られるまで水を徐々に加えた。2-エチルヘキシルアミン(5.50 g, 42.5 mmol)、DIEA(11 mL)、およびPyBOP(13.3 g, 25.5 mmol)を加えた。反応混合物を室温で15時間撹拌し、真空中で濃縮した後、1 M HCl (400 mL)に沈殿させ、無色の固体としての凝集添加剤N-アセチル-グリシン(2-エチルヘキシル)アミドを得た(3.70 g, 13.0 mmol, 61%)。
特性評価。1H-NMR(400 MHz、DMSO-d6):= 8.21(t、1H)、8.10(t、1H)、7.62(t、1H)、3.67(m、4H)、3.00(m、2H)、1.87(s、3H)、1.39(m、1H)、1.23(m、8H)、0.88(t、3H)、0.83(t、3H)ppm。HRMS(ESI-TOF、正):m/z 308.1953 [M + Na]+、C14H27N3O3Naのために計算された:308.1950。DSC:Tm=187℃。
実施例20:N-アセチル-グリシン(2-オクチルドデシル)アミド
合成 THFを溶媒としたPyBOP促進ペプチドカップリング反応により、NH-Gly-Gly-Ac構造を有する凝集セグメントからなる凝集助剤N-アセチル-グリシン(2-オクチルドデシル)アミドを合成した。このために、N-アセチル-グリシン(0.25 g, 1.24 mmol)をDMF(25 mL)に溶解した。2-オクチルドデカン-1-アミン(0.37 g, 1.24 mmol)、DIEA(0.65 mL)、およびPyBOP(0.77 g, 1.48 mmol)を加えた。反応混合物を室温で1d撹拌した後、1 M HCl (400 mL)に沈殿させ、無色の固体としての凝集添加剤N-アセチル-グリシン(2-オクチルドデシル)アミドを得た(0.31 g, 0.68 mmol, 55%)。
特性評価。1H-NMR(400 MHz、CDCl3):= 7.14(t、1H)、6.61(t、1H)、6.29(t、1H)、3.99(d、2H)、3.96(d、2H)、3.19(m、2H)、2.05(s、3H)、1.49(m、1H)、1.25(bs、32H)、0.88(m、6H)ppm。HRMS(ESI-TOF、陽性):m/z 476.3835 [M + Na]+、C26H51N3O3Naのために計算された:476.3828。DSC:Tm=137℃。
実施例21:N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミド
合成した。ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミド誘導体からなる群からの凝集セグメントを構成する凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドを合成した。この目的のために、トリエチルアミン(2.11 g)および2-エチルヘキサン-1-アミン(2.20 g、17.0 mmol)をアルゴン雰囲気下で乾燥DCM(10 mL)に溶解した。乾燥DCM(2 mL)中の1,3,5-ベンゼンテトラカルボン酸クロリド(1.01 g, 3.80 mmol)の溶液を0℃で反応混合物に滴下添加した。反応混合物をアルゴン雰囲気下で室温で一晩撹拌した。溶媒を除去し、得られた固体を1 M HCl(3 x 50 mL)、およびH2O(3 x 50 mL)で洗浄した。凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドを無色の固体(2.01 g, 3.70 mmol, 97%)として得た。
特性評価。1H-NMR(400 MHz、DMSO-d6):=8.61(t、3H)、8.37(s、3H)、3.22(m、6H)、1.58(m、3H)、1.29(bs、24H)、0.88(m、18H)ppm。HRMS(ESI-TOF、正):m/z 544.4485 [M + H]+、C33H58N3O3のために計算された:544.4478。DSC:Tm=289℃。
実施例22:N1,N3,N5-トリス(2-オクチルドデシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミド
合成。ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミド誘導体からなる群から、凝集性セグメントを構成する凝集性添加剤N1,N3,N5-トリス(2-オクチルドデシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドを合成した。この目的のために、トリエチルアミン(3.40 g)と2-オクチルドデカン-1-アミンをアルゴン雰囲気下で乾燥DCM(20 mL)に溶解した。乾燥DCM(10 mL)中の1,3,5-ベンゼンテトラカルボン酸クロリド(2.55 g, 9.60 mmol)の溶液を、0 ℃で反応ミチュールに滴下添加した。反応混合物をアルゴン雰囲気下で室温で2日間撹拌した。溶媒を除去し、得られた固体を1MHCl(2×50mL)、H2O(2×50mL)、エーテル(25mL)で洗浄し、溶離液として酢酸エチル/ヘキサン(1:1)を用いたカラムクロマトグラフィーで精製した。凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-オクチルドデシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドを無色の固体として得た。
特性評価。1H-NMR (400 MHz, CDCl3): = 8.34 (s, 3H), 6.37 (t, 3H), 3.41 (m, 6H), 1.63 (m, 3H), 1.32-1.25 (m, 96H), 0.87 (m, 18H) ppm. HRMS(ESI-TOF、正):m/z 1070.9932 [M + Na]+、C69H129N3O3Naのために計算された:1070.9932 DSC:Tm = 200 °C。
実施例23:N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボキサミド
合成。シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボキサミド誘導体からなる群からの凝集セグメントを構成する凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボキサミドを、THFを溶媒としたPyBOP促進ペプチドカップリング反応により合成した。このために、シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボン酸(2.00 g, 9.25 mmol)、2-エチルヘキサン-1-アミン(4.78 g, 37.0 mmol)、およびPyBOP(15.9 g, 30.5 mmol)をTHF(100 mL)に懸濁した。DIEA(6.5 mL)を加え、反応混合物を室温で18時間撹拌した。1 M HCl(100 mL)を加え、混合物をDCM(3×100 mL)で抽出した。有機相をMgSO4上で乾燥し、溶媒を留去した。粗生成物を、溶離液としてDCM/MeOH(96:4)を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し、最後にEtOHから再結晶することにより精製した。凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボキサミドを無色の固体(2.60 g, 4.73 mmol, 51%)として得た。
特性評価を行った。1H-NMR(400 MHz、DMSO-d6):=7.62(t、3H)、2.97(t、6H)、2.20(dd、3H)、1.67〜1.43(ddd、6H)、1.36(m、3H)、1.23(m、24H)、0.88〜0.81(m、18H)ppm。DSC:Tm=231℃。
実施例24:N1,N3,N5-トリス(2-オクチルドデシル)シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボキサミド
合成。シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボキサミド誘導体からなる群からの凝集セグメントを構成する凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-オクチルドデシル)シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボキサミドを、THFを溶媒としたPyBOP促進ペプチドカップリング反応により合成した。このために、シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボン酸(1.00 g, 4.63 mmol)、2-オクチルドデカン-1-アミン(4.40 g, 14.8 mmol)、およびPyBOP(7.94 g, 15.3 mmol)をTHF(100 mL)に懸濁した。DIEA(3.2 mL)を加え、反応混合物を室温で18時間撹拌した。1 M HCl(100 mL)を加え、混合物をDCM(3×100 mL)で抽出した。有機相を真空中で濃縮した。一晩かけて沈殿物が発生し、これを回収し、EtOHから再結晶した。凝集添加物N1,N3,N5-トリス(2-オクチルドデシル)シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボキサミドを無色固体(3.40 g, 3.22 mmol, 70%)として得た。
実施例25のN-アセチル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミド N-アセチル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミド
合成した。THFを溶媒としたPyBOP促進ペプチドカップリング反応により、NH-Ala-Ala-Ala-Ala-Ac構造の凝集セグメントからなる凝集性添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドを合成した。このために、THF(10 mL)中の2-オクチルドデカン-1-アミン(181 mg、0.67 mmol)の溶液にN-アセチル-L-アラニン(200 mg、0.73 mmol)を加えた。PyBOP(444 mg, 0.85 mmol)およびDIEA(0.3 mL)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、混合物を1 M HClに沈殿させた。沈殿物を最終的に水で洗浄し、MeOH含量を0から5%まで徐々に増加させてDCMを用いたカラムクロマトグラフィーで精製し、無色固体としての凝集添加剤N-アセチル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドを得た。
特性評価。HRMS(ESI-TOF、陽性):m/z 575.800 [M + Na]+、C31H60N4O4Naのために計算された:575.83。
官能化ポリマー10と凝集性添加剤20とを含有する組成物
実施例26
組成物の調製。実施例1に記載の官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-SBR-NH-Ala-Ac(Mn=33500)、および実施例17に記載の凝集性添加剤N-アセチル-L-アラニン(2-ヘキシルデシル)アミドの異なる量に基づいて、一連の組成物を調製した。この目的のために、Ac-Ala-Ala-NH-SBR-NH-Ala-Acおよび異なる量のアセチル-L-アラニル-L-アラニン-(2-ヘキシルデシル)アミドの両方をDCMに溶解した。それぞれの溶液を、撹拌することなく、2dの間平衡化させた。その後、真空中で溶媒を除去した。
熱力学的挙動。我々は、3℃/分の冷却速度で200℃から-60℃の間で実施された振動せん断レオロジー温度スイープによって調製された組成物の熱力学的挙動を特徴付けた(表1)。測定に先立ち、凝集性添加剤の解離温度TdをDSCで測定し、試料を溶融状態でレオメーター中で融解遷移以上の温度(120℃から200℃の範囲=融解遷移以上になるように選択した)で20分間焼鈍した。軟化温度Tsは、損失係数がtan≧1となる温度として導出した。
表1. 機能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-SBR-NH-Ala-Ac(Mn=33500)および振動せん断レオロジー温度スイープによって得られた凝集性添加剤アセチル-L-アラニン(2-ヘキシルデシル)アミドの組成物の熱力学的特性。
図2は、実施例26の熱力学的挙動の項で説明したように実施したレオロジー測定のグラフである。図2において、純機能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-SBR-NH-Ala-Ala-Ac(Mn=33500)(空記号)と、凝集セグメントの総濃度が5.7wt%に調整された凝集添加剤アセチル-L-アラニル-(2-ヘキシルデシル)アミドを含む組成物について、貯蔵弾性率(G')を四角で、損失弾性率(G'' )を円で描いている(塗りつぶされた記号)。例えば、純粋な官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-SBR-NH-Ala-Ac(Mn=33500)は、プラトー弾性率G'≒1MPa、および損失係数が最終的にtan≧1になる温度として定義されるかなり広い軟化転移Ts(約=98℃)を示す熱可塑性エラストマーとして振る舞った。対応する凝集添加剤アセチル-L-アラニン-L-アラニン(2-ブチロクチル)アミドを添加すると、軟化温度は、材料中の自己組織化セグメントの全体的な濃度の関数として、より高い温度に向かって単調に増加し、漸近的に183℃で添加剤の融解温度に近づきました。例えば、自己組織化セグメントの総濃度を5.7 wt%に調整すると、軟化温度Ts = 157 °Cが得られたが、1 MPaのプラトー弾性率G'は維持された。
実施例27
組成物の調製 実施例7に記載の官能化ポリマーAc-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Gly-Ac(Mn=30000)と、実施例19に記載の凝集添加剤N-アセチル-グリシン(2-エチルヘキシル)アミドとに基づいて、組成物を調製した。この目的のために、Ac-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Gly-Ac(1.10 g)およびアセチル-グリシル-グリシン(2-エチルヘキシル)アミド(55 mg)の両方をDCM(20 mL)に溶解した。溶媒溶液を撹拌することなく、2 d間平衡化させた。その後、MeOH(5 mL)を加え、溶媒を除去した。得られた組成物を高真空中で120℃でアニールした。
熱的特性を測定した。組成物中の凝集セグメントAc-Gly-Gly-NHの凝集体の解離温度Tdは、10K/minの加熱速度で示差走査熱量測定によって得られた第2の加熱曲線から決定され、Ac-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Ac(Mn=30000)およびアセチル-グリシン(2-エチルヘキシル)アミドの対応する融解転移とともに、表2に記載されている。
表2. 示差走査熱量測定により得られた官能基化ポリマーAc-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Ac(Mn=30000)と凝集性添加剤アセチル-グリシン(2-エチルヘキシル)アミドの組成物の熱的特性。加熱速度は 10℃/分とした。
例えば、純粋な官能基化ポリマーAc-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Gly-Ac(Mn = 30000)は、解離温度Td = 118 °Cまで熱可塑性エラストマーとして振る舞った。対応する凝集添加剤アセチル-グリシル-グリシン(2-エチルヘキシル)アミドを添加すると、解離温度は、自己組織化セグメントの全体的な濃度の関数として、より高い温度に向かって単調に増加した。例えば、自己組織化セグメントの濃度が4.0 wt%の場合、解離温度はTd = 183 °Cであった。
実施例28
組成物の調製 実施例10に記載の官能化ポリマーBTA-PDMS-BTA(Mn=30000)および実施例21に記載の凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドに基づく組成物を調製した。このために、BTA-PDMS-BTA(Mn=30000)(1.00g)とN1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミド(21mg)の両方をTCEに溶解させた。この溶液を100℃で1時間撹拌した。その後、真空下で溶媒を除去した。
熱力学的挙動。加熱速度10 K/minでの示差走査熱量測定により得られた第2の加熱曲線から、組成物中の凝集性BTAセグメントの凝集体の解離温度Tdを決定することにより、調製されたままの組成物の熱力学的挙動を特徴付けた(表3)。さらに、温度依存性の機械的特性は、150℃から-25℃まで、10℃/分の冷却速度で実施した振動せん断レオロジー温度スイープによって決定した。試験片は100℃でレオメーターに装填した。
表3. 官能化ポリマーBTA-PDMS-BTA(Mn=30000)および示差走査熱量測定により得られた凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドの組成物の熱的特性。加熱速度。a 全濃度c(BTA)については、2-エチルヘキシルアルキル鎖を持たないベンゼントリカルボキサミドコアであるC6H3(C(=O)NH)3-のみを採用し、2-エチルヘキシルアルキル鎖を持たないベンゼントリカルボキサミドコアであるC6H3(C(=O)NH)3-のみを採用した。
図3は、実施例28の熱力学的挙動の項で説明したように実施したレオロジー測定のグラフである。図3において、実施例10に記載された純粋な官能化ポリマーBTA-PDMS-BTA(Mn=30000)についての貯蔵弾性率(G')は四角で描かれ、損失弾性率(G')は円で描かれている(空の記号)と、凝集性添加剤の含有量が1.8wt%であるN1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドを追加的に含む組成物についての損失弾性率(G'')が描かれている(塗りつぶされた記号)とが示されている。例えば、純粋な官能化ポリマーBTA-PDMS-BTA(Mn = 30000)は、プラトー弾性率G'≒0.3MPaと、208℃を中心とした解離温度Tdに関連したかなり広い軟化転移を示した熱可塑性エラストマーとして振る舞った。対応する凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドを添加すると、解離温度は、自己組織化セグメントの全体的な濃度の関数として、より高い温度に向かって増加した。例えば、凝集性添加剤の含有量が1.8wt%と低い場合、解離温度はTd=219℃であったが、プラトー弾性率G'は0.4MPaまでわずかに上昇した。
実施例29
組成物の調製 実施例13に記載の官能化ポリマーBTA-PDMS-BTA(Mn=5000)および実施例21に記載の凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドに基づく組成物を調製した。この目的のために、BTA-PDMS-BTA(Mn = 50000) (1 g )とN1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミド(21 mg)の両方をTCE(50 mL)に溶解した。この溶液を100℃で1時間撹拌した。その後、真空中で溶媒を除去した。
熱的特性。組成物中の凝集性BTAセグメントの凝集体の解離温度Tdは、10K/分の加熱速度で示差走査熱量測定によって得られた第2の加熱曲線から決定され、BTA-PDMS-BTA(Mn=5000)およびN1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドの対応する融解遷移とともに、表4に記載されている。
表4. 官能化ポリマーBTA-PDMS-BTA(Mn=5000)および示差走査熱量測定によって得られた凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドの組成物の熱的特性。加熱速度。10℃/分である。
例えば、純粋な官能化ポリマーBTA-PDMS-BTA(Mn = 50000)は、室温で熱可塑性エラストマーとして挙動し、解離温度Td = 205 °Cを示した。対応する凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドを添加すると、解離温度は、自己組織化セグメントの全体的な濃度の関数として、より高い温度に向かって単調に増加した。例えば、自己組織化セグメントの濃度が1.5wt%の場合、解離温度はTd=220℃であった。
実施例30
組成物の調製 実施例11に記載の官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ac(Mn=5000)と、実施例16に記載の凝集添加剤N-アセチル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドとに基づいて、組成物を調製した。このために、Ac-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ac(Mn=5000)(1g)とN-アセチル-L-アラニン-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミド(13mg)の両方をTCE(50mL)に溶解した。この溶液を100℃で1時間撹拌した。その後、真空中で溶媒を除去した。
熱力学的挙動。Ass-調製された組成物中の凝集セグメントAc-Ala-Ala-NHの凝集体の解離温度Tdは、10K/分の加熱速度で示差走査熱量測定によって得られた第2の加熱曲線から決定され、Ac-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ac(Mn=5000)およびN-アセチル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドの対応する融解遷移とともに、表5に記載されている。さらに、冷却速度10℃/分で200℃から25℃までの温度範囲で実施した振動せん断レオロジー温度スイープにより、調製した組成物の温度依存性の機械的挙動を評価した。
表5. 官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ac(Mn=5000)と示差走査熱量測定により得られた凝集添加剤N-アセチル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドの組成物の熱的特性。加熱速度は 10℃/分とした。
図4は、実施例30の熱力学的挙動の項で説明したように実施したレオロジー測定のグラフである。図4において、純粋な官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn=50000)(空記号)と、凝集性添加剤N-アセチル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドを追加的に含有する組成物について、凝集性セグメントの総濃度を2.1wt%に調整した組成物について、貯蔵弾性率(G')を四角で、損失弾性率(G'' )を円で描いている(塗りつぶした記号)。例えば、純粋な官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn=50000)は、プラトー弾性率G'≒0.6MPa、および約152℃を中心とした解離温度Tdに関連したかなり広い解離転移を示す熱可塑性エラストマーとして挙動した。対応する凝集添加剤N-アセチル-L-アラニン-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドを添加すると、解離温度は、自己組織化セグメントの全体的な濃度の関数として、より高い温度に向かって単調に増加した。プラトー弾性率が増加している間、例えば、2.1 wt%の凝集セグメントの全体的な濃度では、解離温度はTd = 211℃であった(G'?1 MPa)。これは、損失係数が最終的にtan≧1になる温度として定義される軟化転移、Tsのシフトによってさらに反映され、純粋な官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 50000)の147℃から組成物の165℃へのシフトであった。
実施例31
組成物の調製 実施例11に記載の官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn=5000)と、実施例18に記載の凝集添加剤N-アセチル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドとに基づいて組成物を調製した。このために、Ac-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ac(Mn=5000)(1g)とN-アセチル-L-アラニン-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミド(18mg)の両方をTCE(50mL)に溶解させた。この溶液を100℃で1時間撹拌した。その後、真空中で溶媒を除去した。
熱力学的挙動。調製したままの組成物中の凝集セグメントAc-Ala-Ala-NHの凝集体の解離温度Tdは、10K/分の加熱速度で示差走査熱量測定によって得られた第2の加熱曲線から決定され、Ac-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ac(Mn=5000)およびN-アセチル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドの対応する融解遷移とともに、表6に記載されている。さらに、冷却速度10℃/分で200℃から40℃までの間で実施した振動せん断レオロジー温度スイープにより、調製した組成物の温度依存性の機械的挙動を評価した。
表6. 官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ac(Mn=5000)と、示差走査熱量測定によって得られた凝集添加剤N-アセチル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドの組成物の熱的特性。加熱速度は 10℃/分である。
図5は、実施例31の熱力学的挙動の項で説明したように実施したレオロジー測定のグラフである。図5において、純粋な機能性ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn=50000)(空の記号)と、凝集性添加剤N-アセチル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドを追加的に含有する組成物について、凝集性セグメントの総濃度を1.6wt%に調整した組成物について、貯蔵弾性率(G')を四角で、損失弾性率(G'' )を円で描いている(塗りつぶした記号)。例えば、純粋な官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn=50000)は、プラトー弾性率G'≒0.6MPaと、約152℃を中心とした解離温度Tdに関連したかなり広い解離転移を示した熱可塑性エラストマーとして挙動した。対応する凝集添加剤N-アセチル-L-アラニン-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドを添加すると、解離温度は、自己組織化セグメントの全体的な濃度の関数として、より高い温度に向かって単調に増加した。例えば、凝集セグメントの濃度が1.6wt%の場合、解離温度はTd=175℃であったが、プラトー弾性率G'は1MPaを超えていた。これは、損失係数が最終的にtan≧1になる温度として定義される軟化転移Tsのシフトによってさらに反映され、純粋な官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn=50000)の147℃から組成物の176℃へのシフトによって示されている。
実施例32
組成物の調製。実施例6に記載の官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ac(Mn=30000)、および実施例18に記載の凝集添加剤N-アセチル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドの可変量に基づいて、一連の組成物を調製した。この目的のために、Ac-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ac(Mn=30000)およびN-アセチル-L-アラニン-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドの両方をTCEに溶解した。それぞれの溶液を100℃で1時間撹拌した。その後、真空中で溶媒を除去した。
熱力学的挙動。200℃から0℃までの間、3℃/分の冷却速度で実施した振動せん断レオロジー温度スイープにより、調製したままの組成物の熱力学的挙動を特徴付けた。測定に先立ち、材料中の凝集セグメントAc-Ala-Ala-NHの解離温度TdをDSCにより測定し(表7)、融点以上になるように選択した温度でレオメーター内で溶融状態で焼鈍した。
表7. 官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ac(Mn=30000)と、示差走査熱量測定によって得られた凝集添加剤N-アセチル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドの組成物の熱的特性。加熱速度。10℃/分である。
図6は、実施例32の熱力学的挙動の項で説明したように実施したレオロジー測定のグラフである。図6において、純粋な官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn=30000)(空の記号)と、凝集性添加剤N-アセチル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドを追加的に含有する組成物について、凝集性セグメントの総濃度を3.3wt%に調整した組成物について、貯蔵弾性率(G')を四角で、損失弾性率(G'' )を円で描いている(塗りつぶした記号)。例えば、純粋な官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn=30000)は、プラトー弾性率G'≒0.1MPa、および約140℃を中心とした解離温度Tdに関連したかなり広い解離転移を示す熱可塑性エラストマーとして挙動した。対応する凝集添加剤N-アセチル-L-アラニン-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドを添加すると、解離温度は、自己組織化セグメントの全体的な濃度の関数として、より高い温度に向かって単調に増加し、凝集添加剤の融解温度(Td = 186℃)に近づいた。プラトー弾性率は、桁(G'?1 MPa)のオーダーで増加しながら、例えば、3.3 wt%の凝集セグメントの全体的な濃度で、解離温度は、Td = 181℃であった。これは、損失係数が最終的にtan≧1になる温度として定義される軟化転移、Tsのシフトによってさらに反映され、純粋な官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 30000)の126 °Cからこの組成物の159 °Cに。
実施例33
組成物の調製 実施例15に記載の官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PE-NH-Ala-Ac(Mn=29000)と、実施例16に記載の凝集添加剤N-アセチル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドとに基づいて組成物を調製した。このために、Ac-Ala-Ala-NH-PE-NH-Ala-Ac(Mn=29000)(285mg)とN-アセチル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミド(15mg)の両方をTCE(15mL)に溶解した。この溶液を100℃で1時間撹拌した。その後、真空中で溶媒を除去した。
熱的性質を調べた。組成物中のAc-Ala-Ala-NHセグメントの凝集体の解離温度Tdは、10K/分の加熱速度で示差走査熱量測定によって得られた第2の加熱曲線から決定され、Ac-Ala-Ala-NH-PE-NH-Ala-Ac(Mn=29000)およびN-アセチル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドの対応する融解転移とともに、表8に記載されている。
表8. 官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PE-NH-Ala-Ac(Mn=29000)と示差走査熱量測定により得られた凝集添加剤N-アセチル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドの組成物の熱的特性。加熱速度は 10℃/分である。
例えば、純粋な官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PE-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 29000)は、室温で熱可塑性ポリマーとして挙動し、解離温度Td = 155 °Cを示したPEセグメントの融解温度よりも高い。対応する凝集添加剤N-アセチル-L-アラニン-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドを添加すると、解離温度は、自己組織化セグメントの全体的な濃度の関数として、より高い温度に向かって有意に増加した。例えば、凝集セグメントの全体濃度が4.0 wt%の場合、解離温度はTd = 229 °Cであった。
本発明は、少なくとも1つのポリマーセグメント及び超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも2つのセグメントを含むポリマー、並びに上記少なくとも2つのポリマーのセグメントと同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成できる少なくとも1つのセグメントを含む添加剤、を含む組成物に関する。また、本発明は、上記組成物の調製方法、及び少なくとも1つのセグメント及び添加剤と同じ超分子相互作用に基づく非共有結合を形成することができる少なくとも2つのセグメントを含むポリマーとの超分子相互作用に基づく非共有結合を形成することができる少なくとも1つのセグメントを含む添加剤の使用、に関する。上記組成物は、改善された靭性及び/又は動作温度範囲を有する、熱可塑性エラストマー及び熱可塑性ポリマー材料を提供するために使用することができる。
熱可塑性エラストマーの用途
自動車産業と輸送産業は、世界のゴム生産の70〜75%を占めており、世界のゴム産業は現在、特に高性能エラストマーの成長が見込まれている、エレクトロニクス産業、特に医療分野等他の分野にも急速に拡大している。同時に、ゴム業界は、従来の熱硬化性ゴムの代替品として、構築された熱可塑性エラストマー(thermoplastic elastomer、TPE)にますます注目している。TPEは、特に自動車業界で法律によってエンドユーザーに課せられることが多いリサイクル性を改善するが、サイクル時間を短縮して加工性も向上させ、設計の柔軟性を大幅に向上させ、非常に複雑なマルチ資材の部品でも簡単に製造できる加工オプションを備えている。しかしながら、既存のTPEソリューションは、熱安定性と耐クリープ性が不十分であるか、弾性と形状回復性が低いため、多くの用途、特に自動車業界、での厳しい性能要件を満たすことができない。
TPEは、通常、物理的な架橋として機能する剛性ドメイン(rigid domain)と組み合わされた連続的なゴム状相で構成される。このような材料はエラストマーとして機能し、動作温度Tでの、ロード及びアンロード時に、準瞬間的な形状回復を示す。しかしながら、従来の加硫ゴムエラストマーとは異なり、共有架橋の連続ネットワークを含まないため、剛性ドメインのガラス転移温度(Tg)又は融解温度(Tm)を超える温度で溶融加工する[J. G. Drobny, Handbook of Thermoplastic Elastomers, 2nd edition, Elsevier 2014]。TPEsは、最も一般的には、Tg<Tのポリマーの1つ以上の長い「ソフト」セグメントと、Tg>Tの非晶性ポリマー又はTm>Tの半結晶性ポリマーの最低2つの「ハード」セグメントを含むトリブロックコポリマー又はセグメント化コポリマーに基づく。バルク内のこれらのセグメントのミクロ相分離は、ソフトポリマーの連続マトリックス内の不連続な剛性ドメインの分散につながり、これはゴム弾性を示す。
工業用途のTPEの最も重要なクラスは、スチレンブロックコポリマー(SBC、35〜38%の市場シェア、例えばKratonTM)であり、物理的な架橋は、ガラス状のスチレンに富んだ介在物を介して行われる。これらには、ポリ(スチレン-ブタジエン-スチレン)(SBS)、ポリ(スチレン-イソプレン-スチレン)(SIS)、ポリ(スチレン-イソブチレン-スチレン)(SIBS)、又はポリ(スチレン-(エチレン-co-ブチレン)-スチレン)(SEBS)が含まれる。TPEのさらに重要なクラスは、結晶化度が非常に低いゴム状半結晶性ポリオレフィンコポリマーに基づくオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO、13〜16%の市場シェア)、熱可塑性加硫ゴム(TPV、14〜17%の市場シェア)であり、これらはゴム相が化学的に架橋されているが、連続した熱可塑性マトリックス内で分離した介在物を形成する(例えば、アイソタクチックポリ(プロピレン)-加硫エチレン-プロピレン-ジエン-モノマー(EPDM)ブレンド、及びポリアミドマトリックスと熱可塑性シリコーン加硫物)、コポリエステルエラストマー(COPE、例えばHytrelTM等、8〜11%の市場シェア)、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU、19〜22%の市場シェア)、及びポリアミドエラストマー(PAE、例えばVestamidTM及びPebaxTM、約1%の市場シェア)、である[J. G. Drobny, Handbook of Thermoplastic Elastomers, 2nd edition, Elsevier 2014; J. Markarian, Plastics Additives & Compounding, September/October 2008]。
TPEの用途とその限界は、軟化温度Ts、すなわち剛性ドメインが物理的架橋として有効でなくなる温度、復元力(材料が変形後、形状を回復する能力)、及び高負荷及び/又は高温での安定性(耐クリープ性、圧縮永久ひずみ)、及び弾性(低ヒステリシス)、によって決まる。これらの重要な特性はすべて、硬質相の熱機械特性に強く依存している。実際、業界が現在直面している大きな課題は、高い軟化温度Ts(≧150℃)と高い弾性とを組み合わせたTPEの開発である。これは、例えば、自動車業界のフード下の用途等の高温エラストマーに対する需要の高まりによって推進されている。典型的には化学的安定性によって制限され、高温での安定性が低いため、ほとんどの一般的な加硫ゴムは、これを満たすことができない。例外として、動作温度が最大約150℃のEPDM、アクリルゴム、最大動作温度が300℃と高いシリコーンベースの高温加硫ゴム(HTV)、フルオロカーボン、フルオロシリコーン、パーフルオロカーボンゴム等がある。これらの中で、EPDMは、ブレーキシールやラジエーターガスケット等の自動車用途で最も広く使用されている。しかしながら、石油、潤滑油、燃料との接触においては不十分である。逆に、アクリルゴムは、湿気、酸、及び塩基との接触において、不十分な特性を示す。シリコーンベースHTVの主な欠点は、その価格が高いことであり、通常、一般的な加硫物の7〜10倍である。これらはまた、強酸及び強塩基、アルコール及び燃料に対して限定された耐性を示し、そして適度な機械的特性、特に、商品加硫物と比較して低い引張強度を有する。高温のフルオロカーボン、フルオロシリコーン、及びパーフルオロカーボンゴムもまた、適度な機械的特性に悩まされており、そして、それらは商品の加硫物よりも30〜1000倍高価である。
現在、一般的に使用されているSBC、TPO、及びTPVの剛性ドメインのTg又はTmが低いため、これらは90〜100℃を超える温度での使用には適していない[H. Ohtaki, F. Shimizu, G. W. Coates, G. H. Fredrickson, Mitsubishi Chemical Corporation, Cornell University US 20150057415, “Thermoplastic Elastomer Composition and Process for Manufacturing the Same”]。対照的に、耐熱TPV、COPE、PAEの軟化温度Tgは、200℃を超えることがある。しかしながら、このような材料は、通常、加硫物よりもはるかに制限された柔らかさ/硬さの範囲を示し、COPEの場合、約10〜15%の非常に低い弾性限界を示す[A. K. Bhowmick, H. L. Stephens, Handbook of Elastomers, Marcel Dekker 2001]。
PAEの高温耐性、及びTPUの優れた特性の多くは、水素結合による剛性ドメインの安定化による。TPUは、比較的安価であり(天然ゴムの約2倍の価格だが、長持ちする)、他のエラストマーと比較して、耐候性、耐オゾン性、耐炭化水素性、優れた耐摩耗性、靭性、耐引裂き性、強度等、パフォーマンスに大きな利点がある[C. Prisacariu, Polyurethane Elastomers: From Morphology to Mechanical Aspects, Springer 2011]。それにもかかわらず、TPUの用途は、現在、頑丈な伝動ベルトから義足にまで及んでいるが、タイヤでの使用は、室内の電気フォークリフト等の制御された環境での低速移動車両、及びランフラットインサート等の一時的なコンポーネントに限られている。これは、TPUにおいて高い耐荷重性と低い転がり抵抗を実現するには、剛性の高いドメインの含有が必要であり、そのため相対的に硬度が高くなり、クッション能力、牽引力、グリップが低下するためである。さらに、TPUは、ブレーキング時のメルトダウン等の発熱とその結果の不安定性により、高速でのパフォーマンスが低下する傾向がある[A. K. Bhowmick, H. L. Stephens, Handbook of Elastomers, Marcel Dekker 2001; C. Prisacariu, Polyurethane Elastomers: From Morphology to Mechanical Aspects, Springer 2011; Weblinks: http://www.thombert.com/website/white_papers/ PolyurethaneRubberTires.pdf, http://tomdwyer.com/2011/uncategorized/will-polyurethane-replace-rubber-for-tires]。実際には、不完全な相分離と剛性ドメインの無秩序な性質のために、市販のTPUの上限連続使用温度はめったに約120℃を超えない[C. Prisacariu, Polyurethane Elastomers: From Morphology to Mechanical Aspects, Springer 2011; M. Szycher, Handbook of Polyurethanes, 2nd edition, CRC Press 2012; M. F. Sonnenschein, W. Koonce, Polyurethanes, in Encyclopedia of Polymer Science and Technology, Wiley 2011; H. Ulrich, Polyurethanes, in Encyclopedia of Polymer Science and Technology, Wiley 2001; G. Oertel, Polyurethane Handbook, Hanser 1985; F. L. G. Malet, in Handbook of Condensation Thermoplastic Elastomers, S. Fairkov, ed., Wiley 2005]。
最も一般的なPAEは、ポリアミド12(PA12)とポリエーテルのセグメント化ブロックコポリマー(例:VestamidTM [Weblink: http://www.vestamid.com/product/vestamid/en/Pages/default.aspx])で、その融点は約170℃である純粋なPA12の融点をはるかに下回る。しかしながら、PA6ベースのPAEは、最大使用温度が200℃で市販されており(PebaxTM及びNyrimTM)、芳香族又は半芳香族のポリアミドセグメントを含むセグメント化されたPAEの最大使用温度は、これよりも高い場合がある。ただし、これは、マトリックスの希釈効果にもかかわらず、高く維持される明確な融点を持つ、秩序あるラメラ結晶を形成できる場合に限られる[Weblinks: http://www.extremematerials-arkema.com/en/product-families/pebax-elastomer-family/; https://www.brueggemann.com/english/nyrim. html]。結果として、特定のPAEは、最大300℃の温度で、有用な物理的特性の多くを保持する[J. G. Drobny, Handbook of Thermoplastic Elastomers, 2nd edition, Elsevier 2014; F. L. G. Malet, in Handbook of Condensation Thermoplastic Elastomers, S. Fairkov, ed., Wiley 2005; M. C. E. J. Niesten, J. Feijen, R.J. Gaymans, Polymer 2000, 41, 8487-8500; P. Latko, A. Boczkowska, in Flexible and Stretchable Electronic Composites, K. Ponnamma et al. eds., Springer 2016]。従って、それらはシリコーンベースのHTVの最も有望な競争相手の1つである。しかしながら、硬度/柔らかさの範囲はHTVの範囲よりもはるかに小さく、実際、多くのPAEが、その機械的挙動に基づいて真のエラストマーであると見なすことができるかどうかは議論の余地がある。さらに、PAEの機械的特性を特定の目的に合わせて調整することはできない。特に、優れたエラストマー特性と高融点を同時に達成することはできない。一方、シリコーンベースのHTVは、加工が難しく、費用がかかるという問題がある。さらに、シリコンベースのHTVは、限られた範囲の環境でのみ使用される。最後に、シリコーンベースのHTVの機械的特性はあまり大きくない。これは、これらの材料の高温に対する耐性を確保するために必要な高度の結晶化度が、弾性、低引張弾性率、低ヒステリシス等のエラストマーの望ましい特性と両立しないためである。
PAEの用途には、現在、スポーツ及びレジャー用品、自動車部品、油圧及び空気圧機器、ワイヤー及びケーブルのジャケット及びチューブ、医療用途が含まれる。PAEはまだTPE市場全体の約1%にすぎない。ただし、熱硬化性ゴムと他のTPEの両方と比較して高い価格であるにもかかわらず、高い使用温度と耐油性、耐老化性、耐摩耗性、及び優れた絶縁耐力のおかげで、今後数年間の世界の消費量は、主にスポーツ用品、電子機器(誘電エラストマー、コンプライアントナノコンポジット電極、湿度センサー、タッチパッド等)、及び自動車産業に牽引され、大幅に増加すると予想される[P. Latko, A. Boczkowska, in Flexible and Stretchable Electronic Composites, K. Ponnamma et al. eds., Springer 2016]。PAE及びPAEベースの複合材料は、透過性が高く、極性ガス選択性があり、薄膜の製造に適しているため、フィルターにも重要である[S. Armstrong, B. Freeman, A. Hiltner, E. Baer, Polymer 2012, 53, 1383-1392.]。
COPE、TPU、又はPAEに基づく典型的なTPEは、高い安定性と耐クリープ性を示すが、弾力性が低く、ヒステリシスのない形状回復に悩まされるが、オリゴペプチド、オリゴアミド、オリゴウレタン又はオリゴ尿素等の水素結合した自己凝集化末端基を持つポリマーに基づく材料は、これまでのところ、関連する科学文献及び特許文献ではほとんど注目されていない。長さが20アミノ酸未満の末端オリゴペプチドセグメントを持つTPEは、アクロン大学が出願した特許出願に開示され、ガラス転移温度や融解温度等の特定の温度についてのクレームしている(EP2841505) [L. Jia, J. Scavuzzo, J. Kennedy, University of Akron, EP2841505, “Thermoplastic Elastomers Containing an Oligopeptide Hard Component”]。アクロン大学は、グラフト化されたオリゴアミド単位を備えたエラストマーの特許も取得している(WO2015138871) [L. Jia, J. Scavuzzo, J. Kennedy, University of Akron, WO2015138871, “Supramolecular Elastomer Networks Containing Grafted Oligoamide Hard Components”]。最後に、グッドイヤーは、グラフト化オリゴアミド又はオリゴペプチドを含む官能化エラストマーの使用について記載している(EP2639246) [R. Mruk, R. F. Roskamp, A. Hermann, R. W. Zentel, The Goodyear Tire & Rubber Company, EP2639246, “Functionalized Elastomer and Tire Comprising Such an Elastomer”]。この文献は、タイヤの引裂き挙動を改善するためにタイヤに材料を使用することをクレームしている。ただし、これらのすべてのケースにおいて、オリゴアミド又はオリゴペプチドセグメント間の水素結合相互作用は、加硫によって得られた共有ネットワークを補足するだけである。これは、おそらく、純粋な超分子エラストマーは大きなひずみで不十分な機械的強度を示したためである。
動作温度範囲と長期安定性が改善された熱可塑性ポリマー
高温安定性は、多くの非晶性又は半結晶性の汎用熱可塑性プラスチックにとって重要な問題でもある。これは、高温への持続的及び/又は一時的な暴露にさらされるボンネット下の自動車部品等の用途において、より高価なエンジニアリングポリマーと競合することができない。ポリ(エチレン)(Tm≒140℃)やポリ(プロピレン)(Tm≒160℃)等の一般的なポリオレフィンにおける、低いガラス転移温度Tgと融解温度Tmは、内圧下の水道管やガス管等の低レベルの荷重条件における長期脆化の影響を特に受けやすくする。そして、アタクチックポリ(スチレン)(Tg≒100℃)又はポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)(Tg≧85℃、立体規則性に依存)等の多くのアモルファスガラス状ポリマーは、温度がガラス転移温度に近づくにつれ、引張強度の大幅な低下を示す。分子量、長鎖分岐、及び光架橋の増加は、絡み合いネットワークを安定化させることにより、そのような材料の長期的な性能と温度安定性を改善することが知られている[C. J. G. Plummer, Adv. Polym. Sci. 2004, 169, 75-119; Y.L. Huang, N. Brown, J. Polym. Sci. Polym. Phys. Ed. 1991, 29, 129-137; B. Langer, A. Berthold, W. Grellmann, H. F. Enderle, Mater. Testing 2012, 54, 578-583; 49; H.-H. Kausch, R. Gensler, C. Grein, C. J. G. Plummer, P. Scaramuzzino, J. Macromol. Sci. Phys. B 1999, 38, 803-815; R. A. C. Deblieck, D. J. M. van Beek, K. Remerie, I. M. Ward, Polymer 2011, 52, 2979-2990; F. Nilsson, X. Lan, T. Gkourmpis, M. S. Hedenqvist, U. W. Gedde, Polymer 2012, 53, 3594-3601]。しかしながら、熱可塑性エラストマーと同様に、溶融粘度が同時に増加するため、加工性とリサイクル性を犠牲にして性能が大幅に向上することが多く[T. C. B. McLeish, Curr. Opinion. Solid State Mater. Sci. 1997, 2, 678-682]、半結晶性ポリマーの場合、分子量があまりにも高いと、結晶化度の低下につながり、強度と剛性に悪影響を与える可能性がある[M. G. Andersson, J. Hynynen, M. R. Andersson, P.-O. Hagstrand, T. Gkourmpis, C. Muller, J. Polym. Sci. Polym. Phys. 2016, 55, 146-156]。極端な例では、優れた耐摩耗性を備えているが、熱可塑性樹脂の押し出し等の従来の技術を使用して加工することができない、超高分子量ポリエチレンが挙げられる。ポリオレフィンにおける、高温クリープを低減したり、長期脆化を制限したりする別の方法は、バルクの融点よりも大幅に高い温度で安定である高度に局所化された物理的架橋を導入することである。従って、それらは、長期脆化の原因であると考えられている、固体状態における強制的な絡み合いほぐしを強く妨げるはずである[T. C. B. McLeish, C. J. G. Plummer, A. M. Donald, Polymer 1989, 30, 1651-1655; L. L. Berger, E. J. Kramer, Macromolecules 1987, 20, 1980-1985; C. J. G. Plummer, A. Goldberg, A. Ghanem, Polymer 2001, 42, 9551-9564]。
ポリ(スチレン)、及びその他の汎用アモルファスガラス状ポリマーの場合、制御された立体規則性によってひずみにより誘導される結晶化を促進すると、Tgのすぐ下の温度範囲で安定性が促進される可能性があることが示されている[C. J. G. Plummer, H.-H. Kausch, Polymer 1993, 43, 1972-1974]。しかしながら、結晶化可能なアイソタクチック及びシンジオタクチックのグレードのポリ(スチレン)が利用可能であるが、それらはより高価であり、その高い融解温度のために加工が困難である。市販の汎用ポリ(スチレン)のもう1つの大きな問題は、絡み合い密度が低いため、Tgを超えると非常に限られた弾性しか示さなくなることである。これにより、Tgを超える温度に一時的にさらされたときの寸法安定性だけでなく、その加工性も大幅に制限され、例えば、フィルムのブロー成形の結果が悪くなり、発泡時に不均一なセルの形態や過剰な開気孔の含有量に関する問題が発生する。
不十分な溶融強度は、ポリ(スチレン)やポリ(メチルメタクリレート)等の広く使用されているアモルファスポリマーだけでなく、例えば、その加工温度は、一般にTgをはるかに上回る、すなわちゴム状プラトーに対応する温度範囲をはるかに上回る、ポリ(エチレン)やポリ(プロピレン)等のポリオレフィンやポリエステル等を含む、多くの半結晶性ポリマーでも繰り返し発生する問題である。不十分な溶融強度は、フィルムのブローや発泡だけでなく、押出成形や熱成形を含む他のさまざまな加工にも影響を与える可能性がある。繰り返しになるが、添加剤(過酸化物、エポキシ等)の存在下での反応加工による鎖構造とモル質量分布の変更は、ブレンドやフィラーの追加、極性又はイオン性官能基を含む部分との共重合、及びTmのすぐ下の温度での加工、とともに、そのようなポリマーの加工性を改善する手段として広く研究されている[S. Japon, Y. Leterrier, J. A. E. Manson, Polym. Eng. Sci. 2000, 40, 1942-1952; D. M. Bigg, Polym. Eng. Sci. 1988, 28, 830-841; M. Drewniak et al., US 6770697 B2, “High melt-strength polyolefin composites and methods for making and using same”; B. J. Scheve, US 4916198 A, “High melt strength, propylene polymer, process for making it, and use thereof”; C.-J. Johansson, EP0737219 B1, “Processable poly(lactide)s”; C.-F. Hsu et al., US 6797737 B1, “Crosslinked foam of ethylene vinyl acetate copolymer and acid copolymer”]。これらのシステムにおけるバルクポリマーのTg又はTmを超えて安定している局所的な物理的架橋の使用は、これまで調査されていない。
超分子ネットワークに基づく材料
水素結合した超分子ポリマー及びネットワークの分野は、周囲温度で優れた機械的特性を持ちながら、急激な溶融転移、及び低い粘度、及び適度な高温での優れた加工特性を備えた熱可塑性エラストマーを得る手段として、近年かなり重要性を増している[A. W. Bosman, R. P. Sijbesma, E. W. Meijer, Mater. Today 2004, 7, 34-39; B. J. B. Folmer, R. P. Sijbesma, R. M. Versteegen, J. A. J. van der Rijt, E. W. Meijer, Adv. Mater. 2000, 12, 874-878; R. P. Sijbesma, F. H. Beijer, L. Brunsveld, B. J. B. Folmer, J. H. K. K. Hirschberg, R. F. M. Lange, J. K. L. Lowe, E. W. Meijer, Science 1997, 278, 1601-1604]。文献に記載されている超分子ポリマー及びネットワークは、典型的には、多価非共有相互作用を介して可逆的に二量化する単分散末端基で官能基化された、柔らかく低分子量の線状のテレケリックポリマー(telechelic polymers)で構成されている[S. Seiffert, J. Sprakel, Chem. Soc. Rev. 2012, 41, 909-930]。2−ウレイド−4[1H]−ピリミジノン、UPy、等の多価自己相補的水素結合リガンドは、特に有用な超分子モチーフであることが証明されている[O. J. G. M. Goor, S. I. S. Hendrikse, P. Y. W. Dankers, E. W. Meijer, Chem. Soc. Rev. 2017, DOI: 10.1039/C7CS00564D]。水素結合二量体の解離温度より下では、結果として生じる超分子ポリマーの機械的特性は、対応する高分子量ポリマーの機械的特性を反映するが、溶融粘度ははるかに低くなる。例えば、Meijerらは、UPy末端基を有するポリ(エチレン/ブチレン)(Mw 3500)を報告した。これは、ゴム状領域と室温の剛性率(plateau modulus)G’≒1MPa、90℃を超える温度で低粘度の溶融物を備えた形状持続性エラストマーを提供する[B. J. B. Folmer, R. P. Sijbesma, R. M. Versteegen, J. A. J. van der Rijt, E. W. Meijer, Adv. Mater. 2000, 12, 874-878]。
別の有用な超分子モチーフは、ベンゼントリカルボン酸トリアミド(BTA)官能基である。BTA基間の分子間水素結合により、超分子ポリマーの実現に適するようになる[S. Cantekin, T. F. A. de Greef, A. R. A. Palmans, Chem. Soc. Rev. 2012, 41, 6125-6137]。これらのタイプのポリマーは、高度で複雑な柔らかい材料のシステムの作製にますます注目を集めている。BTA基は、アモルファス又は半結晶テレケリックポリマーの末端基としても使用されている。疎水性ポリマーの場合、ポリマーとBTAユニットの間の相分離は、後者のヘリカルスタック(helical stacks)への優先的な自己凝集化により、容易に発生し、これにより、比較的低分子量のベースポリマー(Mn≒4000)で200℃もの溶融転移が生じる[T. Mes, M. M. J. Smulders, A. R. A. Palmans, E. W. Meijer, Macromolecules 2010, 43, 1981-1991]。バルク材料で自己凝集するBTAユニットの強い傾向は、コイルドチェーンコンフォメーションが安定化することとなるポリアクリレートの側鎖への組み込みにより、さらに説明される[T. Mes, R. van der Weegen, A. R. A. Palmans, E. W. Meijer, Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 5085-5089; N. Hosono, M. A. J. Gillissen, Y. Li, S. S. Sheiko, A. R. A. Palmans, E. W. Meijer, J. Am. Chem. Soc. 2013, 135, 501-510; N. Hosono, A. M. Kushner, J. Chung, A. R. A. Palmans, Z. Guan, E. W. Meijer, J. Am. Chem. Soc. 2015, 137, 6880-6888]。しかしながら、BTAベースのポリ(エチレンオキシド)に基づくヒドロゲルを除いて、BTAモチーフに基づく熱可塑性エラストマー等のバルク材料の機械的特性の報告はない[C. M. A. Leenders, T. Mes, M. B. Baker, M. M. E. Koenigs, P. Besenius, A. R. A. Palmans, E. W. Meijer, Mater. Horiz. 2014, 1, 116-120]。そして、それらの熱特性は未だ探索されていない。さらに、低分子量BTA誘導体及び関連化合物は、結晶化温度を高め、低添加剤含有量でアイソタクチックポリ(プロピレン)の透明性を向上させる働きをする、核剤としての商業的用途を見出された[M. Blomenhofer, S. Ganzleben, D. Hanft, H.-W. Schmidt, M. Kristiansen, P. Smith, K. Stoll, D. Mader, K. Hoffmann, Macromolecules 2005, 38, 3688-3695; F. Abraham, S. Ganzleben, D. Hanft, P. Smith, H.-W. Schmidt, Macrmol. Chem. Phys. 2010, 211, 171-181]。しかしながら、ポリマーの末端基及び側鎖と特定の相互作用を有する低分子量の添加剤としてBTAを使用することは報告されていない。
より高いモジュラス(moduli)及び/又はより高い転移温度を有する超分子エラストマーは、多官能性、分岐状又は星型ポリマーから得られ得る。ブロックコポリマーに基づく従来のTPEとは異なり、特定の非共有結合により、エラストマーネットワークにシャープな溶融転移がもたらされることが多く、平衡条件下での動的ネットワーク再編成さえ可能になる。これにより、自己修復特性、強化エラストマー、又は熱応答性材料につながる可能性がある[B. J. B. Folmer, R. P. Sijbesma, R. M. Versteegen, J. A. J. van der Rijt, E. W. Meijer, Adv. Mater. 2000, 12, 874-878; R. F. M. Lange, M. Van Gurp, E. W. Meijer, J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem. 1999, 37, 3657-3670; S. Sivakova, D. A. Bohnsack, M. E. Mackay, P. Suwanmala, S. J. Rowan, J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 18202-18211; P. Cordier, F. Tournilhac, C. Soulie-Ziakovic, L. Leibler, Nature 2008, 451, 977-980; Y. Chen, A. M. Kushner, G. A. Williams, Z. Guan, Nature Chem. 2012, 4, 467-472]。従って、UPy末端基を有する3官能性ポリ(プロピレンオキシド-co-エチレンオキシド)(Mw 6000)に基づくポリマーネットワークは、顕著なゴム状領域と剛性率G’≒1MPaのエラストマー応答を示す。同様の特性は、アデニン末端基を有するポリ(テトラヒドロフラン)(Mn 2000)に基づくネットワークでも報告されている。水素結合によるこれらの核酸塩基の二量化に加えて、この場合の二量体も結晶化して、π-πスタッキングにより異方性の「ハード」ドメインが得られ、これは、弾性率(G’≒1MPa)及び融点(80℃)の両方に寄与すると仮定される[S. Sivakova, D. A. Bohnsack, M. E. Mackay, P. Suwanmala, S. J. Rowan, J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 18202-18211]。
末端が官能基化された線状又は星型のポリ(イソブチレン)に基づく超分子ネットワーク及びエラストマーは、ガラス転移温度が低く、水素結合末端基の凝集が大幅に向上させる、ポリ(イソブチレン)マトリックスの疎水性で化学的に不活性な性質のため、特に注目される。例えば、Cretonらは、ビス尿素配位子で官能基化された低分子量ポリ(イソブチレン)(Mn≒1700)を調査した[J. Courtois, I. Baroudi, N. Nouvel, E. Degrandi, S. Pensec, G. Ducouret, C. Chaneac, L. Bouteiller, C. Creton, Adv. Funct. Mater. 2010, 20, 1803-1811]。得られた超分子ポリマーの室温レオロジー特性は、剛性率G’≒0.1MPaで、80℃で溶融転移する、軟質エラストマーの特性であった。同様の材料特性が、ポリ(イソブチレン)に基づく類似の超分子材料についても報告された[F. Herbst, K. Schroter, I. Gunkel, S. Groger, T. Thurn-Albrecht, J. Balbach, W. H. Binder, Macromolecules 2010, 43, 10006-10016; F. Herbst, S. Seiffert, W. H. Binder, Polym. Chem. 2012, 3, 3084-3092; K. Hackethal, F. Herbst, W. H. Binder, J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem. 2012, 50, 4494-4506]。
これらの従来報告されたすべての超分子エラストマーの共通の特徴は、それらが、超分子相互作用によって二量体、三量体、又は小さなオリゴマーを形成できるリガンドを運ぶ末端基を有する、線状又は星型ポリマーによって形成されたネットワークに基づいていることである。結果として、これらのリガンドは、2つ、3つ、又はおそらくいくつかのポリマー鎖の間に「点と点」の接続(point-to-point connection)を確立している。これらのすべての場合において、同じ相補的な超分子モチーフに基づく添加剤の使用は、必然的に競合相互作用を引き起こし、超分子ポリマーネットワークのネットワークポイントの破損につながり、結果として得られるエラストマーの弱体化につながることは注目に値する[X. J. Loh, J. del Barrio, P. P. C. Toh, T.-C. Lee, D. Jiao, U. Rauwald, E. A. Appel, O. A. Sherman, Biomacromolecules 2012, 13, 84-91]。超分子エラストマーの熱的及び機械的安定性に対するそのような添加剤の前向きの効果は、報告されていない。
二分岐のH結合を介してリボン状の構造に自己凝集化できる、2つの尿素官能基を含む中心コアを有するポリ(ε-カプロラクトン)に基づく材料の例がある。同じコアに基づく低分子量の添加剤を追加すると、超分子リボンの形成が強化され、添加剤の含有量7wt%において、ヤング率が2倍になる、より硬い材料が得られる[E. Wisse, L. E. Govaert, H. E. H. Meijer, E. W. Meijer, Macromolecules 2006, 39, 7425-7432; E. Wisse, A. J. H. Spiering, F. Pfeifer, G. Portale, H. W. Siesler, E. W. Meijer, Macromolecules 2009, 42, 524-530]。融解温度における添加剤の存在に付随する効果は確認されなかった。これは、この単官能性システムではネットワークが形成されていないためと考えられる。
要約すると、水素結合配位子に基づく超分子ポリマーネットワークは、シャープな融解転移を有するTPEを生み出し、多くの場合、室温及び小さなひずみで優れた弾性挙動を示す。しかしながら、それらのせん断弾性率G’は通常1MPaを超えず、最も重要なのは、水素結合した配位子の融解又は分解温度に依存する軟化温度Tsが通常100℃未満であることである。そのため、その最大の動作温度は、多くの技術的用途には不十分である。上述の材料は、相補的な超分子相互作用に基づく添加剤を使用して熱機械特性を変更することさえできない。これは、これらが競合する分子間相互作用によりネットワークポイントの破損につながるためである。高弾性率、高動作温度、優れた弾性、低ヒステリシス、及び大きなひずみに対する形状回復を組み合わせた新しいTPEの開発は、依然として大きな課題である。
オリゴペプチド修飾ポリマー及び関連材料
ペプチド、アミド、ウレタン、尿素等の、自己相補的で電子的に共役した、ダイトピック水素結合ドナー及びアクセプター基に基づく、よく理解されたリガンドの自己凝集化は、特に、協調的自己凝集化によって1D又は2Dの拡張ナノスケール凝集体を形成するβシート形成オリゴペプチド等のオリゴマーの場合、既存の材料の欠点に対する解決策を提供する[D. I. Bower, An Introduction to Polymer Physics, Cambridge University Press, 2002; I. A. Nyrkova, A. N. Semenov, A. Aggeli, N. Boden, Eur. Phys. J. B 2000, 17, 481-497]。オリゴペプチドを形成するポリマー置換βシートが、明確なナノ構造を生み出すことが十分に実証されている[L. Tian, E. Croisier, H. Frauenrath, Chimia 2013, 67, 782-787]。
しかしながら、これまでのほとんどの研究は、生体材料と生物医学的応用に焦点を当てているため、通常、ポリ(エチレンオキシド)官能化オリゴペプチド等の水処理可能なシステムに関係している[J. Hentschel, H. G. Borner, J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 14142-14149; J. Hentschel, E. Krause, H. G. Borner, J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 7722-7723; D. Eckhardt, M. Groenewolt, E. Krause, H. G. Borner, Chem. Commun. 2005, 2814-2816]。これまでに、βシート形成オリゴペプチド末端基を持つ軟質ポリマーから得られるバルク材料の機械的特性に関する報告はほとんどない。例えば、Sogahらは、ポリ(エチレンオキシド)セグメントと、短い線状又は組織化前のβシート形成オリゴペプチドのマルチブロック共重合体の機械的性質を調査し、絹の材料を与えた[M. J. Winningham, D. Y. Sogah, Macromolecules 1997, 30, 862-876; O. Rathore, D. Y. Sogah, Macromolecules 2001, 34, 1477-1486; O. Rathore, D. Y. Sogah, J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 5231-5239; O. Rathore, M. J. Winningham, D. Y. Sogah, J. Polym. Sci., Part A: Polym. Chem. 2000, 38, 352-366]。これらの著者は、βシート様の凝集体の形成と、純粋なポリ(エチレンオキシド)と比較した機械的特性の向上を報告した。Bornerらは、高分子量ポリアクリル酸ブチルに分散したオリゴペプチド末端基を持つポリアクリル酸ブチルのナノフィブリルを調査し、tanδ≦0.3の低い損失係数と剛性率の約G’≒0.1MPaへの増加を有する材料をもたらした[J. Hentschel, H. G. Borner, Macromol. Biosci. 2009, 9, 187-194]。これらすべての以前の例は、実際にはナノ構造の絡み合いによるネットワーク形成に限定された、単官能性ポリマー(オリゴペプチド末端基を1つだけ有する)に焦点を当てていた。そのため、結果として生じる機械的特性は、クレームされたナノフィブリル凝集体の形成にもかかわらず、単純な水素結合超分子エラストマー(上記参照)及び標準のTPEの特性よりも劣っている。
オリゴペプチドベースの超分子エラストマーのこれまでのすべての報告とは異なり、我々自身の以前の調査は、短いβシート形成オリゴペプチド末端基を持つ単官能性及び二官能性ポリマーの混合物に焦点を当てている。我々の研究は、得られるエラストマーの機械的特性が、オリゴペプチド末端基の選択と組み合わせに応じて、広範囲の目標弾性率、損失係数、転移温度にわたって調整できることを明確に示した[E. Croisier, S. Liang, T. Schweizer, S. Balog, M. Mionic, R. Snellings, J. Cugnoni, V. Michaud, H. Frauenrath, Nat. Commun. 2014, 5, 4728; E. Croisier, From Reinforcement to High-Performance Damping, EPFL PhD Thesis 5861, 2013; S. Liang, Damping Materials from Hierarchically Structured Oligopeptide-Modified Polymer Blends, EPFL PhD Thesis 6648, 2015; E. Croisier, H. Frauenrath, S. Liang, V. Michaud, EPFL, WO 2014080043, “Blends of oligopeptide terminal poly(isobutylene) or poly(styrene)”]。我々は、例えば、オリゴペプチドで修飾されたポリ(イソブチレン)に基づくバルク材料の疎水性環境において、オリゴペプチド間の水素結合が強いので、1〜4アミノ酸単位(2〜5ペプチド基)のオリゴペプチドでは、軟化温度が高い材料が得られることを示した。例えば、65℃までの温度で損失係数tanδ≦0.2の弾性材料、及びG’≒5MPaまでの剛性率が達成された。さらに、より高い軟化温度を有する材料でさえ達成された。
しかしながら、オリゴペプチドにつながれたポリマーセグメントのモル質量が増加すると、軟化温度は徐々に低くなり、転移は広くなる。これは、つながれたポリマー鎖の配座エントロピーから、βシート形成オリゴペプチド末端基の会合の自由エネルギーへの負の寄与が、分子量の増加とともに増加すると予想されるためである。配座エントロピーの低下は、基質(この場合は、オリゴペプチド基によって形成されたβシートフィブリル又はテープ(tapes))と、隣接する鎖との両方による、閉じ込め(confinement)に関連している可能性がある。基質の単位表面あたりの多数のつながれたポリマーセグメントの場合、この場合、凝集体はオリゴペプチドから形成された。自己凝集化はまた、ポリマーマトリックスの粘度が増加するにつれて、オリゴペプチドにつながれたポリマーのモル質量の増加のために、速度論的にますます妨げられる可能性がある。それらが実際の用途に十分な柔軟性、強度、靭性を示す場合、絡み合い長の数倍をはるかに超える分子量がエラストマーと熱可塑性材料の両方に必要となるため、これはこのようなシステムの重大な欠点である。
本発明の目的は、従来の熱可塑性プラスチック及びTPEと比較して、熱可塑性ポリマー及びTPEの動作温度範囲及び/又は靭性を改善することである。さらなる目的は、特に自動車産業、エレクトロニクス産業、及び医療セクター向けの、高温用途向けの低コストの汎用ポリマーからの材料を提供することである。本発明の特定の目的は、ガラス転移温度Tgが動作温度Tより低く、分子量がそれぞれの絡み合い分子量の数倍を十分に上回り、軟化温度Tsが動作温度を大幅に上回る、好ましくは150℃超、安価な汎用ポリマーからのTPEを提供することである。追加の目的は、それぞれのガラス転移温度Tg又は融解温度Tmをはるかに超える高い動作温度Tで、アモルファス又は半結晶性熱可塑性ポリマーの形状安定性を高めることである。さらなる目的は、引張り及び/又は衝撃時の靭性が向上した、向上した高温での形状安定性を有する、そのようなアモルファス又は半結晶性熱可塑性ポリマーを提供することである。
[発明の概要]
本発明を使用することにより、従来技術の欠点のいくつか又はすべてを克服することができる。特に、従来技術の難点及び欠点の一部又はすべては、請求項1の組成物、請求項23の方法、請求項26の使用、請求項28の使用、及び請求項29のシート、繊維又は成形部品によって克服できる。特に、本発明を使用することにより、汎用ポリマーに基づく熱可塑性ポリマー及びTPEの動作温度範囲の増加は、達成される。それと同時に、そのそれぞれの機械的特性を改善でき、これにより、用途を大幅に広げることができる。
図1は、本発明による組成物をどのようにして得ることができるかについての概略的かつ例示的な概要を示す。
図2は、純粋な官能化ポリマー及び本発明による組成物のレオロジー測定のグラフを示す。
図3は、純粋な官能化ポリマー及び本発明による組成物のレオロジー測定のグラフを示す。
図4は、純粋な官能化ポリマー及び本発明による組成物のレオロジー測定のグラフを示す。
図5は、純粋な官能化ポリマー及び本発明による組成物のレオロジー測定のグラフを示す。
図6は、純粋な官能化ポリマー及び本発明による組成物のレオロジー測定のグラフを示す。
[課題を解決するための手段]
本発明は、以下を提供する。
a 少なくとも1つのポリマーセグメント(13)及び超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも2つのポリマー凝集セグメント(11、12)を含む官能化ポリマー(10)、
b 前記ポリマー凝集セグメント(11、12)と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成できる少なくとも1つの添加凝集セグメント(21)を含む凝集添加剤(20)、
を含み、
前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加凝集セグメント(21)はダイトピック(ditopic)であり、
前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加凝集セグメント(21)は、それらがポリマー凝集セグメント(11、12)及び添加凝集セグメント(21)を含む凝集体(31)を形成できるように設計されており、
前記凝集添加剤(20)は、50〜2000g/molの分子量を有する、
組成物。
ダイトピックセグメントは、非共有結合を形成できる少なくとも2つの相互作用部位を含む、ここで、セグメントが別のセグメントとすでに集合体を形成している場合、セグメントは少なくとも1つの不飽和相互作用部位を含む。好ましくは、ダイトピックセグメントは、非共有結合を形成できる少なくとも1つの相互作用部位をそれぞれ含む2つの結合領域を含むセグメントであり、セグメントが他の結合領域を介して別のセグメントとすでに集合体を形成している場合は、結合領域の1つの相互作用部位の少なくとも1つが不飽和のままであるように、結合領域は配置される。好ましくは、ダイトピックセグメントの少なくとも2つの相互作用部位は、2つの結合領域にわたって分布している。特に、ダイトピックセグメントは他の2つのセグメントと凝集できる。セグメントの結合領域の1つで形成される非共有結合は、他の結合領域で形成される非共有結合と同じ又は異なる超分子相互作用に基づくことができる。好ましくは、ダイトピックセグメントの結合領域の1つで形成される非共有結合は、他の結合領域で形成される非共有結合と同じ超分子相互作用に基づく。従って、本実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21はダイトピックであり、ダイトピックセグメントの結合領域の1つで形成された非共有結合は、他の結合領域で形成された非共有結合と同じ超分子相互作用に基づく。より好ましくは、ダイトピックセグメントの2つの相互作用部位から形成される非共有結合間の角度は、90°〜180°、より好ましくは170°〜180°である。これは、少なくとも一方向に延びる凝集体31を形成するのに役立つ。相互作用部位から形成される非共有結合は、好ましくは、同じ又は異なる超分子相互作用に基づくことができ、同じ超分子相互作用に基づくことがより好ましい。ダイトピックセグメントの例は、ジアラニン等のオリゴペプチド、又はベンゼントリカルボキサミド等の1つ以上の-C(=O)-NH-基を含む多官能環状部分である。オリゴペプチド及び1つ以上の-C(=O)-NH-基を含む多官能環状部分では、-C(=O)-及び-NH-基は、オリゴペプチド又は多官能環状部分の2つの結合領域に分布しており、これらの2つの結合領域を介して互いに独立して凝集することができる。
科学理論に束縛されることを望まないが、官能化ポリマー10のポリマー凝集セグメント11、12及び凝集添加剤20の添加凝集セグメント21は、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21によって共有される同じ超分子相互作用に基づく非共有結合を介して凝集体を形成すると考えられている。凝集体は、少なくとも一方向及び多くて二方向に伸張し、多くとも二方向及び少なくとも一方向にナノスケールサイズであり、組成物中に十分に分散すると考えられている。このように、これらの凝集体は、組成物において物理的な架橋として機能すると考えられている。科学理論に束縛されることを望まないが、官能化ポリマー10は少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12を含むので、これらの物理的架橋はネットワークを形成し、これによって機械的特性を改善し、これらの組成物の軟化温度の向上を助けると考えられる。
凝集添加剤20は、特に高分子量ポリマーの場合、凝集セグメントの特定の最小濃度を確立するための主な目的を果たし、それにより、それらの自己相補的相互作用に基づくナノ構造形成が強化されると考えられる。凝集添加剤20は50g/molから2000g/molの分子量を有するので、凝集添加剤20の低い含有量において、凝集セグメント11、12、21の高濃度を達成することができるため、高くてシャープな軟化点を有する組成物を達成することができる、と考えられる。
本発明の結果として、組成物、そしてその組成物から得られる材料の軟化温度は、添加剤の量の増加と共に、増加させることができる。この結果は文献では報告されていない。対照的に、末端基に超分子自己凝集化モチーフを持つポリマーは、競合的相互作用により同一/類似の自己凝集化モチーフを追加すると分解することが示されてきた。そして、低分子量の添加剤を使用して、中央の自己凝集化コアを1つだけ含むポリマーのナノ構造形成を強化した場合、軟化温度に大きな影響は見らなかった(背景技術を参照)。
本発明によれば、官能化ポリマー10の分子量とは無関係に、組成物中の官能化ポリマー10と凝集添加剤20との非共有結合が可能な結合セグメントの総濃度を調整することが可能である。結果として、得られる材料の軟化温度は、官能化ポリマー10の性質及び分子量に関係なく、その機械的特性とは無関係に選択することができる。さらに、ポリマー凝集セグメント11、12と添加凝集セグメント21の共凝集によって形成される凝集体のナノスケールサイズ、及び組成物におけるそれらの良好な分散により、凝集体の機械的及び熱的安定性が、同等又は大幅に低い重量分率(weight fraction)で、従来のTPEの物理的な架橋よりも大幅に高くなることが確保されると考えられます。
本発明は、以下を提供する。
a 少なくとも1つのポリマーセグメント(13)及び超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも2つのポリマー凝集セグメント(11、12)を含む官能化ポリマー(10)、
b 前記ポリマー凝集セグメント(11、12)と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成できる少なくとも1つの添加凝集セグメント(21)を含む凝集添加剤(20)、
を含み、
前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加凝集セグメント(21)はダイトピックであり、
前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加凝集セグメント(21)は、それらがポリマー凝集セグメント(11、12)及び添加凝集セグメント(21)を含む凝集体(31)を形成できるように設計されており、
前記凝集添加剤(20)は、50〜2000g/molの分子量を有する、
組成物。
好ましい実施形態によれば、本発明は、以下を提供する。
a 少なくとも1つのポリマーセグメント(13)及び超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも2つのポリマー凝集セグメント(11、12)を含む官能化ポリマー(10)、
b 前記ポリマー凝集セグメント(11、12)と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成できる少なくとも1つの添加凝集セグメント(21)を含む凝集添加剤(20)、
を含み、
前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加凝集セグメント(21)はダイトピックであり、
前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加凝集セグメント(21)は、それらがポリマー凝集セグメント(11、12)及び添加凝集セグメント(21)を含む凝集体(31)を形成できるように設計されており、
前記凝集添加剤(20)は、50〜1300g/molの分子量を有する、
組成物。
他の好ましい実施形態によれば、本発明は、以下を提供する。
a 少なくとも1つのポリマーセグメント(13)及び超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも2つのポリマー凝集セグメント(11、12)を含む官能化ポリマー(10)、
b 前記ポリマー凝集セグメント(11、12)と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成できる少なくとも1つの添加凝集セグメント(21)を含む凝集添加剤(20)、
を含み、
前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加凝集セグメント(21)はダイトピックであり、
前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加凝集セグメント(21)は、それらがポリマー凝集セグメント(11、12)及び添加凝集セグメント(21)を含む凝集体(31)を形成できるように設計されており、
前記凝集添加剤(20)は、50〜1000g/molの分子量を有する、
組成物。
本発明の別の実施形態によれば、凝集添加剤20は単分散である。
好ましくは、単分散化合物の場合、化合物のサンプル中のすべての分子は均一である。例えば、異なる同位体の取り込みによって引き起こされる分子量の違いを除いて、すべての分子は同じ分子量を有する。例えば、エタンは単分散化合物であるが、ポリスチレンはそうではない。好ましくは、化合物中の単分散残基について、この残基は、化合物のサンプルのすべての分子において均一である。例えば、アミン(C2H5)-NH-ポリスチレンでは、エチル残基は単分散であるが、ポリスチレン残基は単分散ではない。
他の好ましい実施形態によれば、本発明は、以下を提供する。
a 少なくとも1つのポリマーセグメント(13)及び超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも2つのポリマー凝集セグメント(11、12)を含む官能化ポリマー(10)、
b 前記ポリマー凝集セグメント(11、12)と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成できる少なくとも1つの添加凝集セグメント(21)を含む凝集添加剤(20)、
を含み、
前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加凝集セグメント(21)はダイトピックであり、
前記ポリマー凝集セグメント(11、12)及び前記添加凝集セグメント(21)は、それらがポリマー凝集セグメント(11、12)及び添加凝集セグメント(21)を含む凝集体(31)を形成できるように設計されており、
前記凝集添加剤(20)は、50〜2000g/molの分子量を有し、
前記凝集添加剤(20)は単分散である、
組成物。
本発明の実施形態によれば、組成物は、好ましくは官能基化されていないさらなるポリマーを含む。組成物がさらなるポリマーを含有する場合、このポリマーは、より好ましくは、官能化ポリマー10のポリマーセグメント13と同じタイプのものである。任意のさらなるポリマーも、以下により詳細に記載される。例えば、官能化ポリマー10のポリマーセグメント13がポリ(イソブチレン)である場合、さらなるポリマーは好ましくはポリ(イソブチレン)である。
(官能化ポリマー10の構造)
官能化ポリマー10は、異なる構造を有していてよい。例えば、線状ポリマー又はマルチアームの星型ポリマーであり得る。好ましくは、官能化ポリマーは線状ポリマーである。官能化ポリマー10は、末端基として、又は側鎖として、官能化ポリマー10の骨格に沿った少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12を含み得る。好ましくは、官能化ポリマー10は、末端基として少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む。本発明の一実施形態によれば、官能化ポリマー10は、線状ポリマーであり、及び/又は特に末端基として、2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む。本発明の別の実施形態によれば、官能化ポリマー10は、2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む線状二官能性ポリマーであり、2つのポリマー凝集セグメント11、12は、官能化ポリマー10の末端基である。例えば、官能化ポリマー10は、構造X-Q-Xを有することができ、ここで、Xはポリマー凝集セグメント11、12を表し、Qはポリマーセグメント13を表す。末端基として2つのポリマー凝集セグメントを含む、特に構造X-Q-Xを有する、ここでXはポリマー凝集セグメント11、12を表し、Qはポリマーセグメントを表す、線状二官能性ポリマーは、合成的に最も簡単に入手できる。
本発明の別の実施形態によれば、官能化ポリマー10は、マルチアームの星型ポリマーであり得る。この場合、ポリマーのすべてのアームが、ポリマー凝集セグメントを含むことが好ましく、アームの末端基としてポリマー凝集セグメントを含むことが好ましい。例えば、官能化ポリマー10は、中心コアEにグラフトされたm=2〜6のポリマーアームQ-Xを有する構造E(-Q-X)mを有することができ、ここでQ及びXは上記で定義されたとおりである。中心コアEは、三官能性、四官能性、五官能性又は六官能性ユニットであり得る。マルチアームの星型ポリマーは、多官能性開始剤又は多官能性クエンチング剤のいずれかを使用して、当業者に既知の標準的なリビング重合プロトコルを介して得ることができる[J. M. Ren, T. G. McKenzie, Q. Fu, E. H. H. Wong, J. Xu, Z. An, S. Shanmugam, T. P. Davis, C. Boyer, G. G. Qiao, Chem. Rev. 2016, 116, 6743-6836]。例えば、リビングアニオン重合法によって合成されたリビングポリマー鎖は、Me2SiCl2、MeSiCl3、SiCl4等のクロロシラン又は2つ以上のクロロメチル又はブロモメチル置換基を持つベンゼン誘導体で停止することにより、中心コアEに容易に結合でき、その結果、それぞれコアE=Me2Si、MeSi、Si、又はC6H4(CH2)2、C6H3(CH2)3、C6H2(CH2)4となる[N. Hadjichristidis, M. Pitsikalis, S. Pispas, H. Iatrou, Chem. Rev. 2001, 101, 3747-3792]。マルチアームの星型ポリマーの構造では、分岐点が共有結合ネットワークポイントとして機能し、材料の溶融加工性とリサイクル性に影響を与えることなく、全体的なネットワーク密度を高めることができる。
本発明の別の実施形態によれば、官能化ポリマー10は、側基として、特に官能化ポリマー10のポリマーセグメント13に沿った側鎖として、少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む。この場合、官能化ポリマー10は、非共有結合を形成することができる2つより多いポリマー凝集セグメント11、12、特に3〜100のセグメント、を含むことができる。この構造を有するポリマーは、側部官能性ポリマーと呼ばれる場合がある。例えば、官能化ポリマー10は、構造U'x-ran-(U''(-X))y、すなわち繰り返し単位U’と共有結合を形成できるセグメントXを持つ繰り返し単位U’’とのランダムコポリマー、を有する側部官能性ポリマーでありうる。
本発明の実施形態によれば、官能化ポリマー10は、上記で定義された線状又はマルチアームの星型コポリマーであり、組成物は、上記で定義された側部官能性ポリマーをさらに含む。このようにして、ポリマー凝集セグメント11、12の濃度は、簡単な方法で局所的に増加させることができる。
本発明による組成物から得られる材料の機械的特性は、官能化ポリマー10の分子量に強く依存する。選択されたアプローチの結果として、材料の軟化温度は、もはやポリマーマトリックスの分子量に依存しないので、官能化ポリマー10の分子量は広範囲の分子量、例えば、数平均分子量Mn=1000g/mol〜1000000g/mol等の広い範囲から選択できる。従って、本発明の一実施形態によれば、官能化ポリマー10は、1000g/molから1000000g/mol、特に2000g/molから100000g/mol、又は10000g/molから50000g/molの数平均分子量を有する。
官能化ポリマー10において、分子量の主要部分は、好ましくはポリマーセグメント13によって寄与される。少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12は、それらが官能化ポリマー10の分子量に小さな寄与をするように設計されることが好ましい。従って、本発明の一実施形態によれば、ポリマーセグメント13は、1000g/molから1000000g/mol、特に2000g/molから100000g/mol、又は10000g/molから50000g/molの数平均分子量を有する。しかしながら、好ましくは、ポリマーセグメント13の分子量の下限は、材料の良好な弾性挙動を説明するために、それぞれのポリマーの絡み合い分子量を十分に上回る。より好ましくは、ポリマーセグメント13の分子量の下限は、それぞれのポリマーの絡み合い分子量の少なくとも5倍であり、それにより、絡み合いネットワークを形成することができる。
絡み合い分子量はポリマーの種類によって異なる。通常は、Me=2000g/molから19000g/molのオーダーである(いずれの場合も数平均分子量)。例えば、絡み合い分子量の例は、L. J. Fetters, D. J. Lohse, R. H. Colby, Chain Dimensions and Entanglement Spacings, in Physical Properties of Polymers Handbook, 2ndedition, J. E. Mark, ed., Ch. 25, 2007; Polymer Handbook, 4thedition, J. Brandrup, E. H. Immergut, E. A. Grulke, eds, Wiley, 2003に記載がある。例えば、PE Me≒1000g/mol;PIB Me≒6700−10000g/mol;HPI Me≒2860−18000g/mol、PI Me≒6000g/mol;PB Me≒2000−4000 g/mol;アタクチックPMMA Me≒12500g/mol;アタクチックPS Me≒19000g/mol。
さらにより好ましくは、ポリマーセグメント13の分子量の下限は、分子量の増加に伴う機械的特性の変化が横ばいになり始める分子量閾値を超える。そのため、数平均分子量Mn=20000g/mol〜30000g/molをはるかに超える。同時に、ポリマー凝集セグメント11、12の濃度を必要以上に低下させないようにするには(より多くの凝集添加剤20を追加する必要がある)、さらなる分子量の増加は通常、特性の変化をもたらさないため、ポリマーセグメント13の好ましい分子量は、分子量の増加に伴う機械的特性の変化が横ばいになり始める分子量閾値をはるかに超えて選択すべきではない。従って、ポリマーセグメント13の好ましい数平均分子量は、Mn=2000g/mol〜100000g/molであり、さらにより好ましいのは、Mn=10000g/mol〜50000g/molである。
様々な種類のポリマーがポリマーセグメント13として適している。ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21の共凝集が水素結合に基づく場合、ポリマーセグメント13は好ましくは疎水性であり、その結果、バルク材料における水素結合相互作用は、水や他の親水性物質との競争によって妨げられないため、親水性ポリマー材料と比較して強力である。これにより、所定の結合強度と軟化温度に対して、ポリマー凝集セグメント11、12と添加凝集セグメント21の長さ、及びそれらの必要な総濃度を可能な限り低く選択できるようになり、これは材料の弾性特性に有益である。
本発明の一実施形態によれば、ポリマーセグメント13は、ポリオレフィン、好ましくはポリ(イソプレン)(PI)、水素化ポリ(イソプレン)(HPI)、ポリ(ブタジエン)(PB)、水素化ポリ(ブタジエン)(HPB)、ポリ(エチレン-co-ブチレン)(エチレン-ブチレンゴム、EB)、ポリ(スチレン-co-イソプレン)、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)(スチレン-ブタジエンゴム、SBR)、ポリ(イソブチレン)(PIB)、アモルファスポリ(スチレン)(PS)、半結晶性シンジオタクチックポリ(スチレン)(sPS)、半結晶性アイソタクチックポリ(スチレン)(iPS)、ポリ(スチレン-co-アクリロニトリル)(SAN)、ポリ(エチレン)(PE)、ポリ(プロピレン)(PP);ポリシロキサン、好ましくはポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS);ポリエステル、好ましくはポリ(グリコリド)(PGA)、アモルファス又は半結晶性ポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)(P3HB)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(エチレンコハク酸);ポリエーテル、好ましくはポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(プロピレンオキシド)(PPO)、ポリ(テトラヒドロフラン)(PTHF);及び、ポリアクリレート及びポリメタクリレート、好ましくはポリ(ブチルアクリレート)(PBuA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、及びポリ(エチレン-co-アクリレート)、からなる群から選択される。
さらに、ポリマーセグメント13に使用されるポリマーの種類はまた、得られる材料が役立つべき目的、特に材料が通常使用される使用温度、に依存する。従って、本発明の実施形態によれば、ポリマーセグメント13は、ポリ(イソプレン)(PI)、水素化ポリ(イソプレン)(HPI)、ポリ(ブタジエン)(PB)、水素化ポリ(ブタジエン)(HPB)、ポリ(エチレン-co-ブチレン)(エチレン-ブチレンゴム、EB)、ポリ(スチレン-co-イソプレン)、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)(スチレン-ブタジエンゴム、SBR)、ポリ(イソブチレン)(PIB)、及びポリシロキサン、好ましくはポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)、ソフトポリエステル、特にポリ(グリコリド)(PGA)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(エチレンコハク酸塩)、ポリエーテル、好ましくはポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(プロピレンオキシド)(PPO)、ポリ(テトラヒドロフラン)(PTHF)、ポリアクリレート、特にポリ(ブチルアクリレート)(PBuA);及びポリ(エチレン-co-アクリレート)からなる群から選ばれる。官能化ポリマー10が上述のポリマーから選択されたポリマーセグメント13を含む組成物は、特に、調整された軟化温度を有する熱可塑性エラストマーとして役立ち得る。
本発明の他の実施態様によれば、ポリマーセグメント13は、アモルファスポリ(スチレン)(PS)、半結晶性シンジオタクチックポリ(スチレン)(sPS)、半結晶性アイソタクチックポリ(スチレン)(iPS)、ポリ(スチレン-co-アクリロニトリル)(SAN)、ポリ(エチレン)(PE)、ポリ(プロピレン)(PP);ポリメタクリレート、好ましくはポリ(メチルメタクリレート)(PMMA);及びポリエステル、好ましくはアモルファスポリ(ラクチド)(PLA)、好ましくは高含有量のD−ラクチドを有するポリ(L−ラクチド)(PLLA)、半結晶性ポリ(ラクチド)(PLA)、好ましくはポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)(P3HB);及び半結晶性ポリエーテルからなる群から選ばれる。官能化ポリマー10が上述のポリマーから選択されるポリマーセグメント13を含む組成物は、特に、高温での形状安定性が向上した熱可塑性ポリマーとして役立ち得る。
添加剤の構造
凝集添加剤20は、ポリマー凝集セグメント11、12と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加凝集セグメント21を含む。凝集添加剤20は、非共有結合を形成することができる複数の添加凝集セグメント21、例えば、2、3、4、又は5つの添加凝集セグメント21、を含むことができる。凝集添加剤20が1より多い添加凝集セグメント21を含む場合、これらの添加凝集セグメント21は、互いに異なっていても、又は同一であってもよく、好ましくはそれらは同一である。本発明の実施形態によれば、凝集添加剤20は、側鎖としてポリマーセグメントに結合された複数の添加凝集セグメント21を含む。本発明の別の実施形態によれば、凝集添加剤20は、2〜5の、特に2〜4の、添加凝集セグメント21を含む。本発明の別の実施形態によれば、凝集添加剤20は、1つの添加凝集セグメント21を含む。1つの添加凝集セグメント21を含む凝集添加剤20は、容易にアクセス可能である。さらに、それらは、本発明による組成物中に、より容易に分散させることができる。
少なくとも1つの添加凝集セグメント21に加えて、凝集添加剤20は、1つ又は複数の付加基(追加の官能基)22を含むことができる。これらの付加基22は、例えば、組成物中の凝集添加剤20の溶解度を増加させる等の様々な目的に役立ち得るが、他の目的、例えば難燃性等の別の機能性を付与することにも役立ち得る。好ましくは、付加基22は、凝集添加剤20の添加凝集セグメント21が、ポリマー凝集セグメント11、12及び/又は他の凝集添加剤20の他の添加凝集セグメント21と凝集体を形成する能力を妨げない。より好ましくは、上記付加基22は、組成物中の凝集添加剤20の溶解度を高めるのに役立つ。有利には、上記追加の官能基は、官能化ポリマー10のポリマーセグメント13と混和性を有する。本発明の実施形態によれば、凝集添加剤20は、少なくとも1つの付加基22を含む。本発明の別の実施形態によれば、凝集添加剤20は、2つの付加基22を含む。凝集添加剤20が2つ以上の追加の官能基を含む場合、これらの官能基は互いに異なっていても同一であってもよく、それらは互いに異なっていることが好ましい。
凝集添加剤20中の付加基22は、異なる方法で凝集添加剤20に組み込まれていてもよい。例えば、それらは、凝集添加剤20の、末端基として、側基として、又は骨格内の基として組み込まれ得る。凝集添加剤20は、線状構造を有していてもよいし、又は多官能性環状若しくは多環状及び/若しくは分岐した部分に基づく構造を有していてもよい。本発明の実施形態によれば、凝集添加剤20は、特に末端基として、少なくとも1個、特に2〜6個の付加基22を含む。凝集添加剤20の付加基22、特に末端基22は、互いに異なっていてもよいし同一でもよい。線形構造を有する凝集添加剤20は、有利には、2個の付加基22、特に2個の末端基22を含み、ここで上記付加基22、特に末端基22は、互いに異なることが好ましい。多官能性環状又は多環状及び/又は分岐した部分に基づく構造を有する凝集添加剤は、有利には、3〜6個の付加基22、特に3〜6個の末端基22を含み、ここで、上記付加基22、特に末端基22は、同一であることが好ましい。
原則として、凝集添加剤20の付加基22として、様々な化学基を使用することができる。有利には、凝集添加剤20の付加基22は、添加凝集セグメント21と他の凝集添加剤20の他の添加凝集セグメント21との凝集又は添加凝集セグメント21とポリマー凝集セグメント11、12との凝集を干渉又は妨害しない。上記付加基22は、単分散又は多分散であってよい。好ましくは、少なくとも1つの付加基22は、単分散であり、及び/又は500g/mol未満、特に400g/mol未満又は300g/mol未満又は200g/mol未満又は100g/mol未満、の分子量を有する。単分散の付加基22は、特に、組成物のより高い軟化温度を達成することを可能にする。
凝集添加剤20の付加基22、特に末端基22が、ポリマーセグメント13と混和性である場合、良好な結果が得られた。本発明の実施形態によれば、付加基22、特に末端基22は、1〜30個の炭素原子を有する炭化水素基、C1〜C30アルキル基、特にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、C4〜C20芳香族部分、特にフェニル基、ジイソプロピルフェニル基、ジ-tert-ブチルフェニル基、ベンジル基、ジイソプロピルベンジル基、ジ-tert-ブチルベンジル基、炭素原子数1〜26の分岐炭化水素基、特に2-エチルヘキシル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル基、2-デシルテトラデシル基、2-ヘキシロクタニル基、2-オクチルデシル基、1-メチルエチル基、1-エチルプロピル基、1-プロピルブチル基、1-ブチルペンチル基、1-ペンチルヘキシル基、1-ヘキシルヘプチル基、1-ヘプチルオクチル基、1-オクチルノニル基、1-ノニルドシル基、1-ドシルウンデシル基、1-ウンデシルドデシル基、及び1-ドデシルトリデシル基、からなる群から選ばれる。
好ましくは、付加基22、特に末端基22は、2-エチルヘキシル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル基、2-デシルテトラデシル基、2-ヘキシルオクタニル基、2-オクチルデシル基、1-メチルエチル基、1-エチルプロピル基、1-プロピルブチル基、1-ブチルペンチル基、1-ペンチルヘキシル基、1-ヘキシルヘプチル基、1-ヘプチルオクチル基、1-オクチルノニル基、1-ノニルドシル基、1-ドシルウンデシル基、1-ウンデシルドデシル基、及び1-ドデシルトリデシル基からなる群から選ばれる。
本発明の実施形態によれば、凝集添加剤20は、線状構造を有し、組成物の中で混和性である、特にポリマーセグメント13と混和性である、任意の基であり得る2つの末端基22を含む。2つの末端基22は、同一であってもなくてもよい。特に、両方又はそれらの一方が、組成物、より好ましくはポリマーセグメント13及び任意選択でさらなる非官能化ポリマーによって提供されるポリマーマトリックス、に溶解性を提供する限り、2つの末端基22は、任意の化学的性質のものであり得る。好ましくは、2つの末端基22は、C1〜C30炭化水素基、より好ましくは分岐C1〜C30アルキル基等の無極性部分であり、さらにより好ましくは、上に挙げた付加基22から選択される。好ましくは、末端基22は同一ではなく、末端基の1つは可能な限り立体的かさ高さが低い。このようにして、この末端基が、凝集添加剤20の添加凝集セグメント21とポリマー凝集セグメント11、12との共凝集に対抗することを回避することができる。有利には、第2の末端は、それがポリマー中で及び加工目的のために十分な溶解性を提供するように設計され、好ましくは特定の分子間相互作用を受けないようにする。好ましくは、第1末端基はC1〜C12アルキル基、より好ましくはメチル基であり、第2末端基はC1〜C30炭化水素フラグメント、特に炭素原子1〜30を有する炭化水素基、C1〜C30アルキル基、特にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、C4〜C20芳香族部分、特にフェニル基、ジイソプロピルフェニル基、ジ-tert-ブチルフェニル基、ベンジル基、ジイソプロピルベンジル基、ジ-tert-ブチルベンジル基、1〜26個の炭素原子を有する分岐炭化水素基、特に2-エチルヘキシル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル基、2-デシルテトラデシル基、2-ヘキシルオクタニル基、2-オクチルデシル基、1-メチルエチル基、1-エチルプロピル基、1-プロピルブチル基、1-ブチルペンチル基、1-ペンチルヘキシル基、1-ヘキシルヘプチル基、1-ヘプチルオクチル基、1-オクチルノニル基、1-ノニルドシル基、1-ドシルウンデシル基、1-ウンデシルドデシル基、及び1-ドデシルトリデシル基からなる群から選ばれる。好ましくは、ポリマーマトリックスとの混和性を改善するために水素結合単位の結晶化傾向を低減するために、C1〜C30炭化水素フラグメントは分岐している。好ましい実施形態によれば、凝集添加剤20、特に少なくとも1つの添加凝集セグメント21にジグリシン又はジアニンを含む凝集添加剤20、の末端基22の1つは、2-エチルヘキシル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル基、2-デシルテトラデシル基、2-ヘキシルオクタニル基、2-オクチルデシル基、1-メチルエチル基、1-エチルプロピル基、1-プロピルブチル基、1-ブチルペンチル基、1-ペンチルヘキシル基、1-ヘキシルヘプチル基、1-ヘプチルオクチル基、1-オクチルノニル基、1-ノニルドシル基、1-ドシルウンデシル基、1-ウンデシルドデシル基、及び1-ドデシルトリデシル基、からなる群から選ばれ、好ましくは2-エチルヘキシルである。この好ましい実施形態において、凝集添加剤20は、第2の末端基22としてメチル基、及びそれぞれ、2-エチルヘキシル基及びメチル基をジアニンと結合する-NH-基及びC(=O)-基をさらに含む添加凝集セグメント21、を含む。ただし、凝集添加剤20の添加凝集セグメント21が、アセチル化トリグリシンやアセチル化トリアラニン等の大きなオリゴペプチドである場合、アセチル化トリアラニンの溶解度が低いため、2-エチルヘキシルの代わりに2-オクチルドデシル等の大きな残基が末端基22として必要になる場合がある。
本発明の別の実施形態によれば、凝集添加剤20は、多官能性環状又は多環状及び/又は分岐した部分に基づき、組成物において、特にポリマーセグメント13と、混和性の任意の基であり得る3〜6個の末端基22を含む。3〜6個の末端基22は、好ましくは同一である。特に、3〜6個の末端基22は、それらが組成物、より好ましくはポリマーセグメント13と任意のさらなる非官能化ポリマーとによって提供されるポリマーマトリックス、に溶解性を提供する限り、任意の化学的性質のものであり得る。好ましくは、3〜6個の末端基22は、C1〜C30炭化水素基等の無極性部分、より好ましくは、1〜30個の炭素原子を有する炭化水素基、C1〜C30アルキル基、特にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、C4〜C20芳香族部分、特にフェニル基、ジイソプロピルフェニル基、ジ-tert-ブチルフェニル基、ベンジル基、ジイソプロピルベンジル基、ジ-tert-ブチルベンジル基、炭素原子数1〜26の分岐炭化水素基、特に2-エチルヘキシル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル基、2-デシルテトラデシル基、2-ヘキシルオクタニル基、2-オクチルデシル基、1-メチルエチル基、1-エチルプロピル基、1-プロピルブチル基、1-ブチルペンチル基、1-ペンチルヘキシル基、1-ヘキシルヘプチル基、1-ヘプチルオクチル基、1-オクチルノニル基、1-ノニルドシル基、1-ドシルウンデシル基、1-ウンデシルドデシル基、及び1-ドデシルトリデシル基からなる群から選ばれる。
凝集添加剤20は、50g/molから2000 g/molの分子量を有する。好ましくは、凝集添加剤20は、50 g/molから1900g/mol、特に50g/molから1800g/mol、又は50g/molから1700g/mol、又は50g/molから1600g/mol、又は50g/molから1500g/mol、又は50g/molから1400g/mol、又は50g/molから1300g/mol、又は50g/molから1200g/mol、又は50g/molから1100g/mol、又は50g/molから1000g/mol、又は100g/molから800g/mol、又は150g/molから700g/mol、又は150g/molから600g/mol、又は150g/molから500g/mol、の分子量を有する。
凝集添加剤20は、単分散又は多分散であり得る。好ましくは、凝集添加剤20は単分散である。単分散凝集添加剤20により、組成物のより高い軟化温度を達成することができる。
本発明による組成物は、様々な用途における、材料の調製に、又は材料として特に適している。例えば、本発明による組成物からの材料は、自動車産業で使用することができる。組成物からの材料は、さまざまな温度で使用される。最も一般的に使用される温度は、動作温度と呼ばれることもある。例えば、80℃の温度で最も一般的に使用される材料は、80℃の動作温度で使用される。本発明の一実施形態によれば、凝集添加剤20の溶融温度は、少なくとも30℃、より好ましくは少なくとも40℃又は少なくとも50℃、本発明の組成物からの材料が使用される動作温度よりも高い。融解温度は、融点と呼ばれることもある。融点は、10K/分の加熱速度での示差走査熱量測定(DSC)加熱スキャンによって決定できる。融解温度は、解離温度Tdとも呼ばれることがある。組成物中の溶融温度又は解離温度Tdは、特に、示差走査熱量測定によって、特に10K/分の加熱速度で決定され得る。添加剤の溶融温度が操作温度より高いほど、高い軟化温度Tsを有する材料を実現するために必要な添加剤の量は少なくなる。軟化温度Tsは、特に、損失係数がtanδ≧1になる温度である場合がある。軟化温度Tsは、特に、振動せん断レオロジー温度スイープ(oscillatory shear-rheological temperature sweeps)を使用して、特に、120℃〜200℃で20分間アニールした後、3℃/minの冷却速度、1rad/sの固定ラジアル周波数、及び測定中の0.1%のひずみ振幅で、0.4〜0.6mmの隙間を有する平行板レオメーターを用いて、決定され得る。好ましくは、熱可塑性エラストマーのための組成物からの材料の軟化温度Tsは、それが使用されるであろう操作温度よりも高い。
ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21の構造
特に、ポリマー凝集セグメント11、12及び少なくとも1つの添加凝集セグメント21は、同じであっても異なっていてもよいが、好ましくは、それらは両方とも、同じ超分子相互作用による協調的自己凝集が可能である。このようにして、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、共凝集により、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21の両方を組み込んだ凝集体を形成することができる。超分子相互作用の例には、水素結合相互作用、イオン-双極子相互作用、双極子-双極子相互作用、及び陽イオンとパイシステム間の相互作用が含まれる。超分子相互作用に基づく非共有結合は、化学官能基間で形成されることが好ましい。そのような化学官能基の例には、カルボン酸基、アミド基、ウレタン基、尿素基、芳香族基、ペルフルオロ芳香族基、ヒドロキシル基、アミン基、及びトリアルキルアンモニウム残基が含まれる。同じ超分子相互作用に基づく非共有結合は、異なる又は同一の化学官能基間で形成され得る。例えば水素結合の場合、同じ超分子相互作用に基づく非共有結合の例として、アミド基とウレタン基との間に水素結合が形成され、ここで非共有結合は異なる化学官能基間で形成される。同じ超分子相互作用に基づく非共有結合の例として、2つのアミド基の間に水素結合を形成され、ここで非共有結合は同一の化学官能基の間に形成される。
本発明の実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21はそれぞれ、非共有結合が形成される少なくとも2つの相互作用部位を含む。
本発明の別の実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21によって形成され得る非共有結合は、水素結合、イオンと双極子との間の結合、双極子間の結合、カチオンとパイシステムとの間の結合、及びパイシステム間の結合、好ましくは水素結合及び双極子間の結合からなる群から選択され、より好ましくは水素結合である。本発明の別の実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21によって形成され得る非共有結合に基づく超分子相互作用は、水素結合相互作用、イオン-双極子相互作用、双極子-双極子相互作用、カチオンとパイシステム間の相互作用、及びパイシステム間の相互作用からなる群から選ばれ、好ましくは水素結合相互作用及び双極子-双極子相互作用からなる群から選択され、より好ましくは水素結合相互作用である。上述の超分子相互作用、特に水素結合は、組成物のより高い軟化温度を達成することを可能にする。
組成物中の凝集体31の良好な形成のために、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21の共凝集に影響を与えるように選択された超分子相互作用は、意味のある凝集ができないほど弱すぎず、可逆的で動的な解離と再結合によるエラー修正を抑制するほど強すぎないことが好ましい。この目的に適した結合エネルギーの範囲は、相互作用部位あたり20〜100kJ/molである。従って、本発明の実施形態によれば、各非共有結合は、20kJ/molから100kJ/molの結合エネルギーを有する。
ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21はダイトピックである。ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、好ましくはダイトピックであり、自己相補的である。好ましくは、ダイトピック及び自己相補的セグメントにおいて、セグメント内の相互作用部位の種類及び配置は、2つのセグメントが各セグメントの結合領域の1つを介して凝集する場合、凝集した結合領域のすべての相互作用部位が飽和するように、好ましくは、それらはすべて非共有結合を形成するように、設計される。より好ましくは、ダイトピック及び自己相補的セグメントにおいて、セグメント内の相互作用部位の種類及び配置は、2つのセグメントが凝集するとき、これらの共有結合の間に0°〜45°の角度を持つ非共有結合が形成される1つのセグメントのすべての相互作用サイトは飽和するように設計される。ダイトピック及び自己相補的セグメントの例は、ジアラニン単位又はベンゼントリカルボキサミド単位である。2つのジアラニンユニットから形成された凝集体では、各ジアラニンユニットの1つの結合領域のすべての相互作用部位が、非共有結合を形成しているため、飽和している。同じことが、2つのベンゼントリカルボキサミド単位から形成された凝集体にも当てはまる。
ダイトピック及び自己相補的なポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21を用いて、少なくとも1つの伸長次元に沿って、ポリマー凝集セグメント11、12及び/又は添加凝集セグメント21の周期的配置を有する凝集体31は、繰り返し単位として、多数のポリマー凝集セグメント11、12及び/又は添加凝集セグメント21から形成することができる。このようにして、例えそれらが複数の自己相補的超分子相互作用に依存しても、自己凝集化末端基及び/又は配位子が、材料のポリマー鎖間の点と点結合として機能するダイマー、トリマー、又はオリゴマーのみを生成する、先行技術の例とは異なり、共凝集凝集体中における、ポリマー凝集セグメント11、12と添加凝集セグメント21との連続する配置が、ゴム状ネットワークを構成する物理的ネットワークポイントを破損することはなく、従って、材料が弱くなることはない。
従って、本発明の実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、相補的であり及び/又は同一である、特に相補的及び同一である、より好ましくはポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、自己相補的及び/又は同一であり、より好ましくは、自己相補的及び同一である。
好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12と添加凝集セグメント21との共凝集の起源であるダイトピックセグメント11、12、21、特にダイトピック及び自己相補的セグメント11、12、21における超分子相互作用は、特定のものであり、限定された範囲であり、空間に向けられるべきであり、その結果、ポリマーマトリックス中に十分に分散された明確な形状を有する凝集体が形成される。
本発明の実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21はそれぞれ、非共有結合が形成される相互作用部位として、ドナー部位及び/又はアクセプター部位を含む。好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21の、自己相補的、ダイトピック超分子相互作用はそれぞれ、双極子等の電子的に共役したドナー及びアクセプター機能を含むべきである。有利には、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、それぞれ、非共有結合が形成される相互作用部位として、少なくとも1つのドナー部位及び少なくとも1つのアクセプター部位を含み、特に前記少なくとも1つのドナー部位及び少なくとも1つのアクセプター部位が電子的に共役されている。電子的に共役しているドナー部位とアクセプター部位の例は、アミド基(-NH-C(=O)-)である。ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21がそれぞれ1つのドナー及び1つのアクセプター部位以上を含む場合、すべてのドナー及びアクセプター部位が、ドナー−アクセプター部位のペアにおいて電子的に共役していることが好ましい。好ましくは、ドナー部位及びアクセプター部位は、化学官能基、例えば水素結合ドナー部位及び水素結合アクセプター部位を同時に提供する化学官能基、において組み合わせることができる。好ましくは、ダイトピックポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21のそれぞれにおいて、セグメントの同じ結合領域にない2つの相互作用部位が電子的に共役している。このようにして、凝集体中のポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21の共凝集は協調的になり、これはそれらの解離温度を増加させ、解離温度範囲を減少させるのに役立つ。対の電子的に共役したドナー及びアクセプター部位を含むダイトピックセグメント、ここで各ドナー部位とアクセプター部位との対の中のドナー部位とアクセプター部位はダイトピックセグメントの2つの結合領域に分布している、の例は、アミド基又はウレタン基又は尿素基を含むセグメントであり、特に、オリゴペプチド、オリゴアミド、オリゴウレタン、オリゴ尿素、及び多官能性環状又は多環状及び/又は分岐した部分、ここで該多官能性環状又は多環状及び/又は分岐した部分は少なくとも3つのアミド又はウレタン又は尿素基を含む、である。
より好ましくは、ダイトピックポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21のそれぞれにおいて、2つの隣接する相互作用部位、ここでこれらの隣接する相互作用部位間の角度が90°〜180°、好ましくは170°〜180°である、は、電子的に共役である。従って、ダイトピックポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21がそれぞれ1つ以上の隣接する対の電子的に共役したドナー及びアクセプター部位を含む場合、それぞれのダイトピックセグメント中のそれぞれの電子的に共役したドナーとアクセプター部位の対の、ドナー部位から及びアクセプター部位から形成された非共有結合間に、好ましくは90°〜180°、特に170°の角度がある。隣接する対の電子的に共役したドナー及びアクセプター部位を含むダイトピックセグメント、ここでダイトピックセグメント中のそれぞれの電子的に共役したドナーとアクセプター部位の対の、ドナー部位から及びアクセプター部位から形成された非共有結合間に90°〜180°、特に170°の角度がある、の例は、アミド基又はウレタン基又は尿素基、特にオリゴペプチド、オリゴアミド、オリゴウレタン、オリゴ尿素、及び多官能性環状又は多環状及び/又は分岐した部分、ここで該多官能性環状又は多環状及び/又は分岐した部分は少なくとも3つのアミド基又はウレタン基又は尿素基を含む、を含むセグメントである。
従って、ポリマー凝集セグメント11、12及び少なくとも1つの添加凝集セグメント21が、1つ又は複数のそのような化学官能基を提供することが好ましい。本発明の実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、それぞれ、少なくとも1つの、特に2〜10又は2〜5の化学官能基を含み、特に、該化学官能基は、非共有結合が形成される相互作用部位としてドナー部位及びアクセプター部位、ここで、特にドナー部位とアクセプター部位は電子的に共役している、を提供する。このようにして、それらの共凝集は、より容易に凝集することができるが、動的な解離と再結合によるエラー修正は可能なように調整できる。好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、それぞれ、自己相補的、ダイトピック、電子的に共役したドナー及びアクセプター部位を提供する2〜10又は2〜5の化学官能基を含む。
電子的に共役したドナー及びアクセプター部位を提供する様々な化学官能基を使用することができる。有利なのは、それぞれが電子的に共役した水素結合ドナー及び水素結合アクセプター部位を同時に提供する化学官能基、特に-C(=Y)-NH-基、-O-C(=Y)-NH-基、又は-NH-C(=Y)-NH-基、ここでそれぞれにおいてYはNH、S及びO、好ましくはO、から選択される、の一部である-C(=Y)-NH-基の形式である。従って、本発明の実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21の化学官能基のドナー部位及びアクセプター部位は、水素結合を形成することができる。ここで、化学官能基は、特に、ペプチド(-C(=O)-NH-)、アミド(-C(=O)-NH-)、ウレタン(-O-C(=O)-NH-)、尿素(-NH-C(=O)-NH-)、チオペプチド(-C(=S)-NH-)、チオアミド(-C(=S)-NH-)、チオウレタン(-O-C(=S)-NH-)、チオ尿素(-NH-C(=S)-NH-)、-C(=NH)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、及び-NH-C(=NH)-NH-からなる群から選ばれ、より好ましくはペプチド(-C(=O)-NH-)、アミド(-C(=O)-NH-)、ウレタン(-O-C(=O)-NH-)及び尿素(-NH-C(=O)-NH-)からなる群から選ばれ、さらに好ましくはペプチド(-C(=O)-NH-)及びアミド(-C(=O)-NH-)からなる群から選ばれる。上述の化学官能基の少なくとも1つを含むセグメントは、そこから非共有結合、特に水素結合、を形成することができる少なくとも2つの相互作用部位を含むダイトピックセグメントである。
従って、一実施形態によれば、本発明は、以下を含む組成物を提供する。
a
少なくとも1つのポリマーセグメント13と、それぞれが以下の群から選ばれる少なくとも1つの化学官能基を含む、少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12とを含む官能ポリマー10、ここで、上記群は、ペプチド(-C(=O)-NH-)、アミド(-C(=O)-NH-)、ウレタン(-O-C(=O)-NH-)、尿素(-NH-C(=O)-NH-)、チオペプチド(-C(=S)-NH-)、チオアミド(-C(=S)-NH-)、チオウレタン(-O-C(=S)-NH-)、チオ尿素(-NH-C(=S)-NH-)、-C(=NH)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、及び-NH-C(=NH)-NH-からなる群が好ましく、より好ましくはペプチド(-C(=O)-NH-)、アミド(-C(=O)-NH-)、ウレタン(-O-C(=O)-NH-)及び尿素(-NH-C(=O)-NH-)からなる群であり、さらに好ましくはペプチド(-C(=O)-NH-)及びアミド(-C(=O)-NH-)からなる群である。
b
以下の群から選ばれる少なくとも1つの化学官能基を含む、少なくとも1つの添加凝集セグメント21を含む凝集添加剤20、ここで、上記群は、ペプチド(-C(=O)-NH-)、アミド(-C(=O)-NH-)、ウレタン(-O-C(=O)-NH-)、尿素(-NH-C(=O)-NH-)、チオペプチド(-C(=S)-NH-)、チオアミド(-C(=S)-NH-)、チオウレタン(-O-C(=S)-NH-)、チオ尿素(-NH-C(=S)-NH-)、-C(=NH)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、及び-NH-C(=NH)-NH-からなる群が好ましく、より好ましくはペプチド(-C(=O)-NH-)、アミド(-C(=O)-NH-)、ウレタン(-O-C(=O)-NH-)及び尿素(-NH-C(=O)-NH-)からなる群であり、さらに好ましくはペプチド(-C(=O)-NH-)及びアミド(-C(=O)-NH-)からなる群である。
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、それらがポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21を含む凝集体31を形成できるように設計され、凝集添加剤20は、50〜2000g/mol、好ましくは50〜1300 g/mol、さらに好ましくは50〜1000g/mol、の分子量を有する。この実施形態によれば、凝集添加剤20は、好ましくは単分散である。
ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21がそれぞれ1より多い化学官能基を含む場合、これらの化学官能基は互いに異なるか、又は同一であり得る。これらの化学官能基は、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21に沿って所定の距離に配置されることが特に好ましく、それにより、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、超分子相互作用の特定の短い範囲及び幾何学的に定義された性質にもかかわらず、レジスター内(in-register)で共凝集することができる。
本発明の別の実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、それぞれ、オリゴペプチド及び/又はオリゴアミド及び/又はオリゴウレタン及び/又はオリゴ尿素及び/又は以下の群から独立して選ばれる少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、の化学官能基を含む多官能性環状又は多環状及び/又は分岐した部分を含む。ここで、上記群は、-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH)-、-NH-C(=O)-O-、-NH-C(=S)-O-、-NH-C(=NH)-O-、-NH-C(=O)-S-、-NH-C(=S)-S-、-NH-C(=NH)-S-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=NH)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-O-C(=S)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、-S-C(=O)-NH-、-S-C(=S)-NH-、及び-S-C(=NH)-NH-からなる群が好ましく、より好ましくは-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-O-、及び-NH-C(=O)-NH-からなる群であり、さらに好ましくは-C(=O)-NH-及び-NH-C(=O)-からなる群である。好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、それぞれ、オリゴペプチド及び/又はオリゴアミドを含む。
上述の少なくともオリゴペプチド及び/又はオリゴアミド及び/又はオリゴウレタン及び/又はオリゴ尿素及び/又は多官能性環状又は多環状及び/又は分岐した部分を含むセグメントは、そこから非共有結合、特に水素結合、が形成される少なくとも2つの相互作用部位を含むダイトピックセグメントである。
従って、一実施形態によれば、本発明は、以下を含む組成物を提供する。
a
少なくとも1つのポリマーセグメント13と、それぞれがオリゴペプチド及び/又はオリゴアミド及び/又はオリゴウレタン及び/又はオリゴ尿素及び/又は以下の群から独立して選ばれる少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、の化学官能基を含む多官能性環状又は多環状及び/又は分岐した部分を含む、少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12とを含む官能化ポリマー10、ここで上記群は、-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH)-、-NH-C(=O)-O-、-NH-C(=S)-O-、-NH-C(=NH)-O-、-NH-C(=O)-S-、-NH-C(=S)-S-、-NH-C(=NH)-S-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=NH)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-O-C(=S)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、-S-C(=O)-NH-、-S-C(=S)-NH-、及び-S-C(=NH)-NH-からなる群である。
b
オリゴペプチド及び/又はオリゴアミド及び/又はオリゴウレタン及び/又はオリゴ尿素及び/又は以下の群から独立して選ばれる少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、の化学官能基を含む多官能性環状又は多環状及び/又は分岐した部分を含む、少なくとも1つの添加凝集セグメント21を含む凝集添加剤20、ここで上記群は、-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH)-、-NH-C(=O)-O-、-NH-C(=S)-O-、-NH-C(=NH)-O-、-NH-C(=O)-S-、-NH-C(=S)-S-、-NH-C(=NH)-S-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=NH)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-O-C(=S)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、-S-C(=O)-NH-、-S-C(=S)-NH-、及び-S-C(=NH)-NH-からなる群である。
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、それらがポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21を含む凝集体31を形成できるように設計され、凝集添加剤20は、50〜2000g/mol、好ましくは50〜1300 g/mol、さらに好ましくは50〜1000g/mol、の分子量を有する。この実施形態によれば、凝集添加剤20は、好ましくは単分散である。
好ましくは、オリゴペプチドは、1〜10、好ましくは2〜5、のペプチドユニットを含み、オリゴアミドは、1〜10、好ましくは2〜5、のアミドユニットを含み、オリゴウレタンは、1〜10、好ましくは2〜5、のウレタンユニットを含み、オリゴ尿素は、1〜10、好ましくは2〜5、の尿素ユニットを含み、及び/又は多官能性環状又は多環状及び/又は分岐した部分は、以下の群から独立して選ばれる2〜6、好ましくは3つ、の化学官能基を含む。ここで上記群は、-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH)-、-NH-C(=O)-O-、-NH-C(=S)-O-、-NH-C(=NH)-O-、-NH-C(=O)-S-、-NH-C(=S)-S-、-NH-C(=NH)-S-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=NH)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-O-C(=S)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、-S-C(=O)-NH-、-S-C(=S)-NH-、及び-S-C(=NH)-NH-からなる群が好ましく、より好ましくは-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-O-、及び-NH-C(=O)-NH-からなる群であり、さらに好ましくは-C(=O)-NH-及び-NH-C(=O)-からなる群である。
上記の態様において、多官能性環状又は多環状及び/又は分岐した部分の上記少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、の化学官能基は、好ましくは同一であって、-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH)-、-NH-C(=O)-O-、-NH-C(=S)-O-、-NH-C(=NH)-O-、-NH-C(=O)-S-、-NH-C(=S)-S-、-NH-C(=NH)-S-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=NH)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-O-C(=S)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、-S-C(=O)-NH-、-S-C(=S)-NH-、及び-S-C(=NH)-NH-からなる群、好ましくは-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-O-、及び-NH-C(=O)-NH-からなる群、より好ましくは-C(=O)-NH-及び-NH-C(=O)-からなる群、から選ばれる。
オリゴペプチド、オリゴアミド、オリゴウレタン及びオリゴ尿素の単位は、天然アミノ酸、合成アミノ酸、二酸、ジアミン、イソシアネート、アルコール、アミン、及びそれらの混合物からなる群から選択されるビルディングブロックから構成され得る。天然アミノ酸は当業者間で知られている。合成アミノ酸は、HOOC-R1-NH2の構造を有することが好ましい、ここで、R1は2〜15の炭素原子を持つ炭化水素基であり、好ましくはベータアラニン、3-アミノプロパン酸、4-アミノブタン酸、5-アミノペンタン酸、6-アミノヘキサン酸、p-アミノ安息香酸、又はm-アミノ安息香酸である。二酸は、HOOC-R2-COOHの構造を持つことが好ましい、ここでR2は1〜15の炭素原子を持つ炭化水素基であり、好ましくは、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバコン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、p-テレフタル酸、m-テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸、及び1,1'-ビフェニル-4,4'-ジカルボン酸からなる群から選ばれる。ジアミンは、H2N-R3-NH2の構造を有することが好ましい、ここでR3は1〜15個の炭素原子を有する炭化水素基であり、好ましくはテトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4-ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、及び4,4'-ジアミノ-1,1'-ビフェニルからなる群から選ばれる。ジイソシアネートはOCN-R4-NCOの構造を有することが好ましく、ここでR4は1〜15個の炭素原子を有する炭化水素基であり、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、及びジフェニルメチレンジイソシアネートからなる群から選ばれる。ジオールは、HO-R5-OHの構造を有することが好ましい、ここで、R5は炭素原子数2〜15の炭化水素基であり、好ましくはエタンジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、1,4-ジヒドロキシベンゼン、4,4'-ジヒドロキシ-1,1'-ビフェニル、及びビスフェノールAからなる群から選ばれる。
上述の繰り返し単位のどれがオリゴペプチド、オリゴアミド、オリゴウレタン、及びオリゴ尿素に適用可能であるかは、当業者に明らかである。特に、オリゴペプチドはアミノ酸を組み合わせることによって得ることができ、オリゴアミドはアミノ酸及び/又は二酸及び/又はジアミンを組み合わせることによって得ることができ、オリゴウレタンはジイソシアネートをジオールと組み合わせることによって得ることができ、及びオリゴ尿素はジイソシアネートとジアミンを組み合わせることによって得ることができることが当業者には明らかである。もちろん、混合されたオリゴアミド−オリゴ尿素を提供するためのジアミンと二酸及びジイソシアネートとのような、他の組み合わせが考えられる。
少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つの、以下の群から独立して選ばれる化学官能基を含む多官能性環状又は多環状及び/又は分岐した部分は、ビルディングブロックとしての、異なる官能基を有する、それぞれのポリカルボン酸又はポリアミン誘導体、又はポリオール又はポリチオール誘導体から構成できる。ここで、上記群は、-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH)-、-NH-C(=O)-O-、-NH-C(=S)-O-、-NH-C(=NH)-O-、-NH-C(=O)-S-、-NH-C(=S)-S-、-NH-C(=NH)-S-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=NH)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-O-C(=S)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、-S-C(=O)-NH-、-S-C(=S)-NH-、及び-S-C(=NH)-NH-からなる群である。好ましくは、多官能性環状又は多環状及び/又は分岐した部分は、ポリカルボン酸から誘導されたアミド、又はポリアミンから誘導されたアミド及び尿素、又はポリオールから誘導されたウレタンに基づくことができる。
ポリカルボン酸は、好ましくはR6-(COOH)aの構造を有することが好ましい、ここでR6は2〜20個の炭素原子を有する炭化水素基であり、aは3〜6の整数であり、好ましくはベンゼン-1,3,5-トリカルボン酸、ベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸、ベンゼン-1,2,4,5-テトラカルボン酸、ベンゼン-1,2,3,4,5-ペンタカルボン酸、ベンゼン-1,2,3,4,5,6-ヘキサカルボン酸、1,1'-ビフェニル-3,4',5-トリカルボン酸、1,1'-ビフェニル-3,3',5,5'-テトラカルボン酸、[1,1':4',1'']ターフェニル-3,3'',5,5''-テトラカルボン酸、1,3,5-トリス(4-カルボキシフェニル)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(4-カルボキシフェニル)ベンゼン、3,3',5,5'-テトラカルボキシジフェニルメタン、1,3,5-s-トリアジン-2,4,6-トリカルボン酸、2,4,6-トリス(4-カルボキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボン酸、シクロヘキサン-1,2,4-トリカルボン酸、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸、シクロヘキサン-1,2,3,4,5,6-ヘキサカルボン酸、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸、1,1,2-エタネトリカルボン酸、1,2,3-プロパントリカルボン酸、2-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸(クエン酸)、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、及び1,3,5-ペンタントリカルボン酸からなる群から選ばれる。
ポリアミンは、R7-(NH2)bの構造を有することが好ましい、ここでR7は2〜20個の炭素原子を有する炭化水素基であり、bは3〜6の整数であり、好ましくは1,3,5-トリアミノベンゼン、1,2,4-トリアミノベンゼン、2,4,6-トリアミノトルエン、1,2,4,5-テトラアミノベンゼン、1,3,5-トリス(アミノメチル)ベンゼン、1,2,4,5-テトラキス(アミノメチル)ベンゼン、1,3,5-トリアミノシクロヘキサン、3,3',4,4'-テトラアミノ-1,1'-ビフェニル、N,N,N-トリス(2-アミノエチル)アミン、N,N,N-トリス(3-アミノプロピル)アミン、及びN,N,N',N'-テトラキス(3-アミノプロピル)-1,4-ブタンジアミンからなる群から選ばれる。
ポリオールは、R8-(OH)cの構造を有することが好ましい、ここでR8は2〜20個の炭素原子を有する炭化水素基であり、cは3〜6の整数であり、好ましくは1,3,5-トリヒドロキシベンゼン及びその誘導体、好ましくは2,4,6-トリヒドロキシ安息香酸、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン及びその誘導体、好ましくは2,4,5-トリヒドロキシ安息香酸、1,2,3-トリヒドロキシベンゼン及びその誘導体、好ましくは3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸及び2,3,4-トリヒドロキシ安息香酸、2,4,6-トリヒドロキシトルエン、3,4,5-トリヒドロキシトルエン、2,3,5,6-テトラヒドロキシ-1,4-キノン、1,3,5-トリヒドロキシシクロヘキサン、1,2,3,4,5,6-ヘキサヒドロキシシクロヘキサン、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)メタン、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタン、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)プロパン、及びペンタエリスリトールからなる群から選ばれる。
上述のビルディングブロックから、アミド、ウレタン、又は尿素を調製する方法は、当業者には明らかである。特に、アミドは、上記ポリカルボン酸をアミンと組み合わせることによって、又は上記ポリアミンをカルボン酸誘導体と組み合わせることによって調製でき、ウレタンは、上記ポリオールをイソシアネートと組み合わせることによって調製でき、尿素は上記ポリアミンをイソシアネートと組み合わせることによって調製できる。混合官能基を有する部分は、もちろん、例えば、クエン酸をアミン及びイソシアネートと組み合わせること等の、異なる官能基を有する分子をそれぞれのアミン、カルボン酸誘導体又はイソシアネートと組み合わせることによって調製することができる。
本発明の一実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、それぞれ、オリゴペプチド及び/又はオリゴアミド及び/又はオリゴウレタン及び/又はオリゴ尿素及び/又は以下の群から独立して選ばれる化学官能基を、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、有する、多官能性環状又は多環状式及び/又は分岐された部分を含む。ここで、上記群は-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH)-、-NH-C(=O)-O-、-NH-C(=S)-O-、-NH-C(=NH)-O-、-NH-C(=O)-S-、-NH-C(=S)-S-、-NH-C(=NH)-S-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=NH)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-O-C(=S)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、-S-C(=O)-NH-、-S-C(=S)-NH-、及び-S-C(=NH)-NH-からなる群であり、好ましくは-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-O-、及び-NH-C(=O)-NH-からなる群であり、より好ましくは-C(=O)-NH-及び-NH-C(=O)-からなる群である。ここで、オリゴペプチド、オリゴアミド、オリゴウレタン、オリゴ尿素、又は多官能性環状又は多環状及び/又は分岐した部分は、上記のようにそれぞれのビルディングブロックから構成される。
本発明の別の実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、それぞれ、オリゴペプチド及び/又はオリゴアミド及び/又はオリゴ尿素及び/又は以下の群から独立して選ばれる化学官能基を、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、有する、多官能性環状又は多環状式及び/又は分岐された部分を含む。ここで、上記群は-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH)-、-NH-C(=O)-O-、-NH-C(=S)-O-、-NH-C(=NH)-O-、-NH-C(=O)-S-、-NH-C(=S)-S-、-NH-C(=NH)-S-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=NH)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-O-C(=S)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、-S-C(=O)-NH-、-S-C(=S)-NH-、及び-S-C(=NH)-NH-からなる群であり、好ましくは-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-O-、及び-NH-C(=O)-NH-からなる群であり、より好ましくは-C(=O)-NH-及び-NH-C(=O)-からなる群である。ここで、オリゴペプチド、オリゴアミド、オリゴ尿素、又は多官能性環状又は多環状及び/又は分岐した部分は、上記のようにそれぞれのビルディングブロックから構成される。
本発明の別の実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、それぞれ、(-C(=O)-R9-NH-)dの構造、又は(-C(=O)-R10-C(=O)NH-R11-NH-)eの構造、又は(-C(=O)-NH-R12-NH-C(=O)-O-R13-O-)fの構造、又は(-C(=O)-NH-R14-NH-C(=O)-NH-R15-NH-)gの構造、又はD(-Z-)oの構造を有する部分を含む。
ここで、dは1〜10、特に2〜5の整数であり、R9は-C6H4-又は(-CR16H-)h、ここでhは1〜6、特に1又は2の整数であり、R16はそれぞれ独立してH又はMeである。
eは1〜10、特に2〜5の整数であり、R10は-C6H4-又は(-CH2-)iで、iは1〜6の整数であり、R11は-C6H4-又は-CH2C6H4CH2-又は(-CH2-)jで、jは1〜6の整数である。
fは1〜10、特に2〜5の整数であり、R12は-C6(Me)H3-又は(-CH2-)kで、kは1〜6の整数であり、R13は-C6H4-又は(-CH2-)lで、lは1〜6の整数である。
gは1〜10、特に2〜5の整数であり、R14は-C6(Me)H3-又は(-CH2-)zで、zは1〜6の整数であり、R15は、-C6H4-又は-CH2C6H4CH2-又は(-CH2-)yで、yは1〜6の整数である。
oは3〜6、特に3の整数であり、Dはベンゼン又はシクロヘキサン又は1,3,5-トリアジン部分であり、Zはそれぞれ独立して-C(=O)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=NH)-、-NH-C(=O)-O-、-NH-C(=NH)-O-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=NH)-NH-、及び-O-C(=O) -NH-からなる群から選ばれ、より好ましくは-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-O-、及び-NH-C(=O)-NH-からなる群から選ばれ、さらに好ましくは-C(=O)-NH-及び-NH-C(=O)-からなる群から選ばれる、
この実施形態では、すべての-Z-は同一であることが好ましい。
一価、二価、又は多価のオリゴマー又は多官能性の環状又は多環状及び/又は分岐した部分のビルディングブロックに由来する相互作用部位に加えて、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、それぞれ、追加の相互作用部位を提供する化学官能基を含んでいてもよい。好ましくは、追加の化学官能基は、-O-、-NH-、-S-、-C(=O)-、-C(=S)-、及び-C(=NH)-、より好ましくは-NH-及び-C(=O)-、からなる群から独立して選ばれる。好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、1つ又は2つの追加の化学官能基を含む。
本発明の一実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12及び少なくとも1つの添加凝集セグメント21は線状である。この実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12は、多分散又は単分散であり、好ましくは単分散であり、及び/又は少なくとも1つの添加凝集セグメント21は、多分散又は単分散であり、好ましくは単分散である。例えば、ポリマー凝集セグメント11、12及び少なくとも1つの添加凝集セグメント21は、繰り返し単位の正確な数n及び定義されたモル質量を持つ単分散オリゴマーに基づく、又は短い多分散セグメント、すなわち繰り返し単位の数nが異なり、数平均重合度n=1〜10のモル質量分布を有するオリゴマーの混合物、であってよい。好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、単分散のオリゴマーに基づく。なぜなら、それらの凝集、特に協調的な、レジスター内の自己凝集化は、材料内のポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21の同じ又はさらに短い長さ、及び/又はポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21同じ又はさらに低い総濃度で、ヒステリシスが低減された、より高い解離温度とより鋭い解離転移を伴う幾何学的に定義された凝集体をもたらすためである。これは、多分散混合物は、凝集体と凝集に不利なポリマーマトリックス間の界面エネルギーの増加した寄与に主な起因する、融点の低下と不均一性の影響を受けるためである。例えば、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、一価、二価、又は多価のオリゴマー、好ましくは単分散オリゴマーを含むか、又はそれらからなってもよい。特に、二価のオリゴマーは、オリゴペプチド、オリゴアミド、オリゴウレタン、又はオリゴ尿素である、構造-Un-を有していてよい。ここで、nの繰り返し単位Uのビルディングブロックは、天然又は合成のアミノ酸、二酸、ジアミン、ジオール、及び/又はジイソシアネートから選ばれ得る。異なるタイプの繰り返し単位Uを組み合わせることもできる。繰り返し単位Uの好ましい数はn=1-10である。解凝集は高すぎる温度で発生し、凝集は遅すぎる時間スケールで発生し、可逆的で動的な解離と再結合によるエラー修正は速度論的に妨げられるため、セグメントには10ユニットを超えないことが好ましい。
ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、異なるか又は同一であるように選択することができる。ポリマー凝集セグメント11、12と少なくとも1つの添加凝集セグメント21が線状で異なる場合、それらは同じ数n又は数平均数n(エニュ)の繰り返し単位を持つことが好ましい。これにより、協調的でレジスター内のより良い凝集が保証され、ヒステリシスが低減された比較的高い解離温度とより鋭い解離転移が保証される。さらに好ましくは、同じ距離での共集合に関与する化学官能基を配置する繰り返し単位の同じ数n又は同じ数平均数n(エニュ)を有するポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21の組み合わせである、これにより、この場合も、協調性が高く、レジスター内の共凝集が向上し、ヒステリシスが低減された比較的高い解離温度とより鋭い解離転移が保証される。さらにより好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、同一であるように選択される、これにより、より良好な協調的、レジスター内の共凝集がさらに保証され、従って、ヒステリシスが低減された比較的高い解離温度及びより鋭い解離転移が保証される。なぜなら、ポリマー凝集セグメント11、12が添加凝集セグメント21とは異なる混合物は、結果として生じる凝集体の融点降下にさらされるためである。
従って、好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、上記で定義されたオリゴペプチド、オリゴアミド、オリゴウレタン、及び/又はオリゴ尿素を含む。より好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、上記で定義されたオリゴペプチド、オリゴアミド、及び/又はオリゴ尿素を含む。
本発明の別の実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、それぞれ、D(-Z-)xの構造を有する基を含む、ここで、Dは多官能性環状又は多環状及び/又は分岐した部分であり、Zは-C(=O)-NH-、-C(=S)-NH-、-C(=NH)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=S)-、-NH-C(=NH)-、-NH-C(=O)-O-、-NH-C(=S)-O-、-NH-C(=NH)-O-、-NH-C(=O)-S-、-NH-C(=S)-S-、-NH-C(=NH)-S-、-NH-C(=O)-NH-、-NH-C(=S)-NH-、-NH-C(=NH)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-O-C(=S)-NH-、-O-C(=NH)-NH-、-S-C(=O)-NH-、-S-C(=S)-NH-、及び-S-C(=NH)-NH-からなる群から選ばれ、好ましくは-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-O-、及び-NH-C(=O)-NH-からなる群から選ばれ、より好ましくは-C(=O)-NH-及び-NH-C(=O)-からなる群から選ばれる。また、xは2〜6の整数である。好ましくは、多官能性の環状又は多環状及び/又は分岐した部分は、上で定義されたとおりである。好ましい実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、それぞれ、D(-C(=O)-NH-)3又はD(-NH-C(=O)-)3の構造を有する基を含む、ここで、Dはベンゼン又はシクロヘキサン又は1,3,5-トリアジンコアである。
ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、キラル又はアキラルであるように選択することができる。ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21が線状である場合、それらは好ましくはキラルである。伸長したナノ構造内の線状キラルセグメントの共凝集は、超分子ヘリシティーの出現に関与すると考えられる。これにより、横方向の相互作用が抑制され、拡張次元が1つだけのナノ構造の形成がサポートされる。キラル又はアキラルポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21が、環状又は多環状及び/又は分岐したコアに基づいている場合、このコアは、ただ1つの拡張次元のナノ構造の形成に有利になるように選択されることが好ましい。どちらの場合でも、ただ1つの拡張次元のナノ構造の形成は、好ましいとみなされる、なぜならポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21から形成される凝集体31のポリマーマトリックス中の分散に有利であり、ポリマー凝集セグメント11、12との相互作用のない少なくとも1つの添加凝集セグメント21の自己凝集に基づいて凝集添加剤20がマトリックス中で結晶化する可能性を不利にするためである。これにより、結果として、相分離が起こり、巨視的特性が低下します。
・組成物
ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、それらがポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21を含む凝集体31を形成できるように設計される。本発明の実施形態によれば、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21を含む凝集体31が組成物中に形成される。凝集体31は、特に、組成物の調製中に組成物中に形成され得る。より具体的には、凝集体31は、官能化ポリマー10と凝集添加剤20及び任意のさらなる成分を、溶液又は溶融物中で混合する間に形成されてもよい。従って、本発明の実施形態によれば、組成物は、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21を含む凝集体31を含む。好ましくは、凝集体31は、1次元又は2次元、好ましくは1次元に延びる。1次元又は2次元に延びる凝集体31は、特に、この次元又はこれらの次元において、多数、より具体的には少なくとも30又は少なくとも50、の繰り返し単位を有し得る。一方、一次元又は二次元に延びる凝集体31は、特に、それが少数、より好ましくは5未満、の繰り返し単位、さらに好ましくは2又は1の繰り返し単位を伸長しない一つの次元又は複数の次元を有し得る。この場合の繰り返し単位は、特に、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21であり得る。ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21が線状である場合、構造は、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21がはしごの横木を形成する、どちらかがねじられ得るテープ又ははしごであり得る。2つ以上のそのようなテープ又ははしごは、それらの面とさらに凝集して、フィブリル状凝集体を形成し得る。一実施形態によれば、凝集体31は、テープ状構造である。別の実施形態によれば、凝集体31は、フィブリル状凝集体である。テープ状又はフィブリル凝集体31は、一次元で延ばされてもよく、好ましくは、それらは、50nmを超える、より好ましくは100nmを超える、長さスケールで1つの特徴的な長さを有してもよい。他の2つの次元では、テープ状又はフィブリル凝集体31のサイズは、少数の繰り返し単位、好ましくは5未満の繰り返し単位、より好ましくは1又は2の繰り返し単位、によって制限され得る。従って、テープ状又はフィブリル凝集体31は、他の2つの次元において、20nm未満、好ましくは10nm未満、の直径を有し得る。別の実施形態では、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、2次元で延びるラメラ構造を生じさせる。この実施形態によれば、凝集体31はラメラ状構造である。ラメラ構造は、特に、50nmを超える、好ましくは100nmを超える長さスケールで2つの特徴的な長さを有することができる。他の次元では、ラメラ凝集体31のサイズは、少数の繰り返し単位、好ましくは5未満の繰り返し単位、より好ましくは1又は2の繰り返し単位によって制限され得る。従って、ラメラ凝集体31は、20nm未満、特に10nm未満の厚さを有することができる。 テープ状又はフィブリル状凝集体31及びラメラ凝集体31の両方について、繰り返し単位は、好ましくは、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21であってよい。好ましくは、それぞれの場合に、組成物中の凝集添加剤20の総量に基づいて、凝集添加剤20の、少なくとも50wt%、より好ましくは少なくとも60wt%又は少なくとも70wt%又は少なくとも80wt%又は少なくとも90wt%が、ポリマー凝集セグメント11、12も含む凝集体31の一部として、組成物中に存在する。
本発明による組成物は、官能化ポリマー10及び凝集添加剤20を含有する。組成物は、官能化ポリマー10及び凝集添加剤20のみからなることができる。組成物は、本明細書に記載されるような1種類のみの凝集添加剤20又はいくつかの異なる種類の凝集添加剤20を含むことができる。さらに、組成物は、さらなるポリマー及び/又は他の添加剤を含み得る。組成物がさらなるポリマーを含む場合、それは官能基化されていないことが好ましい。従って、本発明の実施形態によれば、組成物は、ポリオレフィン、好ましくはポリ(イソプレン)(PI)、水素化ポリ(イソプレン)(HPI)、ポリ(ブタジエン)(PB)、水素化ポリ(ブタジエン)(HPB)、ポリ(エチレン-co-ブチレン)(エチレン-ブチレンゴム、EB)、ポリ(スチレン-co-イソプレン)、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)(スチレン-ブタジエンゴム、SBR)、ポリ(イソブチレン)(PIB)、アモルファスポリ(スチレン)(PS)、半結晶性シンジオタクチックポリ(スチレン)(sPS)、半結晶性アイソタクチックポリ(スチレン)(iPS)、ポリ(スチレン-co-アクリロニトリル)(SAN)、ポリ(エチレン)(PE)、ポリ(プロピレン)(PP);ポリシロキサン、好ましくはポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS);ポリエステル、好ましくはポリ(グリコリド)(PGA)、アモルファス又は半結晶性のポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)(P3HB)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(エチレンスクシネート);ポリエーテル、好ましくはポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(プロピレンオキシド)(PPO)、ポリ(テトラヒドロフラン)(PTHF);及びポリアクリレート又はポリメタクリレート、好ましくはポリ(ブチルアクリレート)(PBuA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、及びポリ(エチレン-co-アクリレート)、からなる群から選ばれる他のポリマーを含む、及び/又は組成物は、無機充填剤、有機充填剤、顔料、染料、難燃剤、及びそれらの混合物からなる群から選ばれるさらなる添加剤を含む。組成物がさらなるポリマーを含む場合、このポリマーは、官能化ポリマー10のポリマーセグメント13と同じタイプのものであることが好ましい。例えば、官能化ポリマー10のポリマーセグメント13がポリ(イソブチレン)である場合、さらなるポリマーは好ましくはポリ(イソブチレン)であることが好ましい。さらなるポリマーの分子量については、ポリマーセグメント13に関する規定が適用されるものとする。
組成物は、凝集添加剤20を異なる量で含んでもよい。好ましくは、組成物は、いずれの場合も組成物の総重量に基づいて、0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%、さらにより好ましくは0.1〜5重量%の量で凝集添加剤を含有する。
本発明による組成物の重要なパラメータは、組成物中のポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21の総濃度である。ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21の合計濃度は、次のように計算される。
ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21の総濃度=(組成物中のポリマー凝集セグメント11、12の重量+組成物中の添加凝集セグメント21の重量)/(組成物の総重量)
好ましくは、組成物中のポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21の総濃度は、0.1重量%〜20重量%、好ましくは1重量%〜20重量%、又は1重量%〜15重量%、又は1重量%〜10重量%、又は1重量%〜5重量%である。
・好ましい実施形態
従って、本発明の好ましい実施形態によれば、凝集添加剤20は、構造R'-X'-R''、ここでX'は、非共有結合を形成することができる添加凝集セグメント21であり、R'及びR''は、好ましくは組成物中の凝集添加剤20の溶解性を提供するのに役立つ末端基22であり、より好ましくは、R'及びR''は、上述の付加基22から選択される、を有する。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、凝集添加剤20は、構造R20-A1-U1-C(=O)-R21を有する。ここで、
R20は、2-エチルヘキシル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル基、2-デシルテトラデシル、2-ヘキシルオクタニル、2-オクチルデシル、1-メチルエチル、1-エチルプロピル、1-プロピルブチル、1-ブチルペンチル、1-ペンチルヘキシル、1-ヘキシルヘプチル、1-ヘプチルオクチル、1-オクチルノニル、1-ノニルドシル、1-ドシルウンデシル、1-ウンデシルドデシル、及び1-ドデシルトリデシルからなる群から選ばれる分岐状アルキル基、好ましくは2-エチルヘキシル基又は2-オクチルドデシル基であり、
A1は共有結合、-C(=O)-、-O-又は-NH-、好ましくは-NH-であり
U1は、1〜5個の天然及び/又は合成アミノ酸、好ましくはアラニン、グリシン、β-アラニン、3-アミノプロパン酸、4-アミノブタン酸、5-アミノペンタン酸、6-アミノヘキサン酸、p-アミノ安息香酸、又はm-アミノ安息香酸、より好ましくは2〜5個のアラニン、を含むオリゴペプチドであり、及び
R21は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、及びヘキシル基からなる群から選択され、好ましくはメチル基である。
本発明の他の好ましい実施形態によれば、凝集添加剤20は、構造R20-A1-U2-B1-R21を有する。
ここで、R20、A1及びR21は上記で定義したとおりである。
B1は、共有結合、-C(=O)-、-NH-、及び-O-からなる群から選択され、及び
U2は、二酸とジアミンで構成される、好ましくはマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバコ酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、p-テレフタル酸、m-テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸、1,1'-ビフェニル-4,4'-ジカルボン酸、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4-ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、及び4,4'-ジアミノ-1,1'-ビフェニルから構成される、1から5の繰り返し単位を含むオリゴアミドである。
本発明の他の好ましい実施形態によれば、凝集添加剤20は、構造R20-A2-U3-B2-R21を有する。
ここで、R20及びR21は上記で定義したとおりである。
A2は、共有結合、-C(=O)-、-NH-、及び-O-からなる群から選択され、好ましくは-NH-又は-O-であり、
B2は、共有結合、-C(=O)-、-NH-、及び-O-からなる群から選択され、好ましくは-NH-又は-O-であり、
U3は、ジイソシアネートとジオール、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、エタンジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ベンゼン-1,4-ジオール、及びビスフェノールAから構成される、1から5の繰り返し単位を含むオリゴウレタンである。
本発明の他の好ましい実施形態によれば、凝集添加剤20は、構造R20-A2-U4-B2-R21を有する。
ここで、R20、A2、B2及びR21は上記で定義したとおりである。
U4は、ジイソシアネートとジアミン、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4-ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、及び4,4'-ジアミノ-1,1'-ビフェニルから構成される2から5の繰り返し単位を含むオリゴ尿素である。
本発明の他の好ましい実施形態によれば、凝集添加剤20は、構造D1(-Z1-R22)3を有する。
各R22は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、フェニル基、ジイソプロピルフェニル基、ジ-tert-ブチルフェニル基、ベンジル基、ジイソプロピルベンジル基、ジ-tert-ブチルベンジル基、2-エチルヘキシル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル基、2-デシルテトラデシル基、2-ヘキシルオクタニル基、2-オクチルデシル基、1-メチルエチル基、1-エチルプロピル基、1-プロピルブチル基、1-ブチルペンチル基、1-ペンチルヘキシル基、1-ヘキシルヘプチル基、1-ヘプチルオクチル基、1-オクチルノニル基、1-ノニルドシル基、1-ドシルウンデシル基、1-ウンデシルドデシル基、及び1-ドデシルトリデシル基からなる群から選択される、好ましくは2-エチルヘキシル基、2-ブチルオクチル基、2-ヘキシルデシル基、2-オクチルドデシル基、1-ペンチルヘキシル基、1-ヘキシルヘプチル基、及び1-ヘプチルオクチル基からなる群から選択され、
D1はベンゼン又はシクロヘキサン又は1,3,5-トリアジン部分、好ましくはベンゼン核であり、及び
Z1は、-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-、-NH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NH-、及び-NH-C(=O)-NH-からなる群から選択され、好ましくは-C(=O)-NH-又は-NH-C(=O)-である。
本発明の他の好ましい実施形態によれば、官能化ポリマー10は、構造R21-B1-U1-A1-Q1-A1-U1-B1-R21を有する。
ここで、R21、U1、A1、及びB1は上記で定義したとおりである。
Q1は、数平均分子量が2000g/molから50000g/molのポリマーセグメントであり、好ましくはポリオレフィン、好ましくはポリ(イソプレン)(PI)、水素化ポリ(イソプレン)(HPI)、ポリ(ブタジエン)(PB)、水素化ポリ(ブタジエン)(HPB)、ポリ(エチレン-co-ブチレン)(エチレン-ブチレンゴム、EB)、ポリ(スチレン-co-イソプレン)、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)(スチレン-ブタジエンゴム、SBR)、ポリ(イソブチレン)(PIB)、アモルファスポリ(スチレン)(PS)、半結晶性シンジオタクチックポリ(スチレン)(sPS)、半結晶性アイソタクチックポリ(スチレン)(iPS)、ポリ(スチレン-co-アクリロニトリル)(SAN)、ポリ(エチレン)(PE)、ポリ(プロピレン)(PP);ポリシロキサン、好ましくはポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS);ポリエステル、好ましくはポリ(グリコリド)(PGA)、アモルファス又は半結晶性のポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)(P3HB)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(エチレンスクシネート);ポリエーテル、好ましくはポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(プロピレンオキシド)(PPO)、ポリ(テトラヒドロフラン)(PTHF);及びポリアクリレート及びポリメタクリレート、好ましくはポリ(ブチルアクリレート)(PBuA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、及びポリ(エチレン-co-アクリレート)、からなる群から選ばれる。
本発明の他の好ましい実施形態によれば、官能化ポリマー10は、構造R21-B1-U2-A1-Q1-A1-U2-B1-R21を有する。
ここで、R21、U2、A1、B1及びQ1は上記で定義したとおりである。
本発明の他の好ましい実施形態によれば、官能化ポリマー10は、構造R21-B2-U3-A2-Q1-A2-U3-B2-R21を有する。
ここで、R21、U3、A2、B2及びQ1は上記で定義したとおりである。
本発明の他の好ましい実施形態によれば、官能化ポリマー10は、構造R21-B2-U4-A2-Q1-A2-U4-B2-R21を有する。
ここで、R21、U4、A2、B2及びQ1は上記で定義したとおりである。
本発明の他の好ましい実施形態によれば、官能化ポリマー10は、構造(R22-Z1-)2D1-Z2-Q1-Z1-D1(-Z2-R22)2を有する。
ここで、R22、Z1、D1及びQ1は上記で定義したとおりである。
Z2は、-NH-C(=O)-、-C(=O)-NH-、-O-C(=O)-NH-、-NH-C(=O)-O-及び-NH-C(=O)-NH-からなる群から選ばれ、好ましくは-NH-C(=O)-又は-C(=O)-NH-である。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、本発明は、構造R20-A1-U1-C(=O)-R21を有する凝集添加剤20、ここでR20、A1、U1及びR21は上記で定義したとおりである、及びR21-B1-U1-A1-Q1-A1-U1-B1-R21の構造を有する官能化ポリマー10、ここでR21、U1、A1、B1及びQ1は、上記で定義したとおりである、を含む組成物を提供する。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、本発明は、構造R20-A1-U2-B1-R21を有する凝集添加剤20、ここでR20、A1、B1、U2、及びR21は上記で定義したとおりである、及びR21-B1-U2-A1-Q1-A1-U2-B1-R21の構造を有する官能化ポリマー10、ここでR21、U2、A1、B1、及びQ1は、上で定義したとおりである、を含む組成物を提供する。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、本発明は、構造R20-A2-U3-B2-R21を有する凝集添加剤20、ここでR20、A2、B2、U3、及びR21は上記で定義したとおりである、及びR21-B2-U3-A2-Q1-A2-U3-B2-R21の構造を有する官能化ポリマー10、ここでR21、U3、A2、B2、及びQ1は、上で定義したとおりである、を含む組成物を提供する。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、本発明は、構造R20-A2-U4-B2-R21を有する凝集添加剤20、ここでR20、A2、B2、U4、及びR21は上記で定義したとおりである、及びR21-B2-U4-A2-Q1-A2-U4-B2-R21の構造を有する官能化ポリマー10、ここでR21、U4、A2、B2、及びQ1は、上で定義したとおりである、を含む組成物を提供する。
本発明の別の好ましい実施形態によれば、本発明は、構造D1(-Z1-R22)3を有する凝集添加剤20、ここでR22、Z1、及びD1は上記で定義したとおりである、及び(R22-Z1-)2D1-Z2-Q1-Z1-D1(-Z2-R22)2の構造を有する官能化ポリマー10、ここでR22、Z1、Z2、D1、及びQ1は、上で定義したとおりである、を含む組成物を提供する。
上述の本発明による組成物の好ましい実施形態では、好ましくは、組成物は、ポリオレフィン、好ましくはポリ(イソプレン)(PI)、水素化ポリ(イソプレン)(HPI)、ポリ(ブタジエン)(PB)、水素化ポリ(ブタジエン)(HPB)、ポリ(エチレン-co-ブチレン)(エチレン-ブチレンゴム、EB)、ポリ(スチレン-co-イソプレン)、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)(スチレン-ブタジエンゴム、SBR)、ポリ(イソブチレン)(PIB)、アモルファスポリ(スチレン)(PS)、半結晶性シンジオタクチックポリ(スチレン)(sPS)、半結晶性アイソタクチックポリ(スチレン)(iPS)、ポリ(スチレン-co-アクリロニトリル)(SAN)、ポリ(エチレン)(PE)、ポリ(プロピレン)(PP);ポリシロキサン、好ましくはポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS);ポリエステル、好ましくはポリ(グリコリド)(PGA)、アモルファス又は半結晶性のポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)(P3HB)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(エチレンスクシネート);ポリエーテル、好ましくはポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(プロピレンオキシド)(PPO)、ポリ(テトラヒドロフラン)(PTHF);及びポリアクリレート及びポリメタクリレート、好ましくはポリ(ブチルアクリレート)(PBuA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、及びポリ(エチレン-co-アクリレート)、からなる群から選ばれる追加のポリマーを含んでいてもよい。
本発明に含まれる意味は、好ましい例としてのみ提供され、本発明の範囲を限定するものではないが、軟化温度を調整した熱可塑性エラストマー、高温での形状安定性が向上した熱可塑性ポリマー、及び高温機械的特性が改善され、融点以上の溶融弾性が改善された半結晶性ポリマーからの熱可塑性ポリマーに関する以下の好ましい実施形態でさらに説明される。
・軟化温度を調整した熱可塑性エラストマー
本発明の1つの好ましい目的は、高分子量ポリマーに基づく、従来のTPEと比較して、物理的架橋として機能する、同じ又はさらに低いドメインの重量分率において、著しく高い軟化転移を有する、TPEを提供することである。
この目的のために、本発明は、必要に応じて、上記の説明に従って、好ましくは官能基化されていないさらなるポリマーを含む、請求項1に記載の組成物を提供する。
TPEとして機能するために、この好ましい実施形態では、ポリマーセグメント及び任意のさらなるポリマーは、ゴム状マトリックスを提供し、従って、動作温度Tより低い、好ましくは室温より低い、ガラス転移温度Tgを有する。Tgは、温度が下がるときに、ポリマーのアモルファス領域が粘性又はゴム状の状態からガラス状の状態に移行する温度である。ガラス状態の一般的な操作上の定義は、ガラス状態の材料の粘度が1012Pa・sの閾値を超えることである。Tgを決定する方法は当業者に知られている。特に、ここで示されるTgは、10K/minの加熱速度での示差走査熱量測定(DSC)加熱スキャンにおける熱容量ステップの中間点とすることができ、決定される。しかしながら、本発明では適用されなかった他の実験室的方法には、誘電分光法、静的機械的試験、動的機械分析(DMA)、又は熱膨張係数の測定(膨張測定)が含まれる。特に好ましい実施形態は、ポリマーセグメント13及び任意のさらなるポリマーが、ポリ(イソプレン)(PI)、水素化ポリ(イソプレン)(HPI)、ポリ(ブタジエン)(PB)、水素化ポリ(ブタジエン)(HPB)、ポリ(エチレン-co-ブチレン)(エチレン-ブチレンゴム、EB)、ポリ(スチレン-co-イソプレン)、ポリ(スチレン-co-ブタジエン)(スチレン-ブタジエンゴム、SBR)、ポリ(イソブチレン)(PIB)、及びポリシロキサン、好ましくはポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)、軟化ポリエステル、好ましくはポリ(グリコリド)(PGA)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(エチレンスクシネート)、ポリエーテル、好ましくはポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(プロピレンオキシド)(PPO)、ポリ(テトラヒドロフラン)(PTHF)、ポリアクリレート、好ましくはポリ(ブチルアクリレート)(PBuA);及びポリ(エチレン-co-アクリレート)からなる群から選ばれる、組成物を含む。
最終材料は、適切な混合技術を使用することにより、溶液又は溶融状態の、官能化ポリマー10、凝集添加剤20、及び任意選択で、さらなるポリマーを混合することによって、容易に調製することができる。本発明による官能化ポリマー10と凝集添加剤20との組み合わせは、通常の熱可塑性エラストマー(ハードドメインの高い重量分率)、並びに超分子ポリマー及び高分子量ポリマーのネットワーク(十分に強い凝集ではない)の欠点を回避すると考えられている。なぜなら、ポリマーセグメント13及び任意のさらなるポリマーの性質、それらの分子量、ポリマー凝集セグメント11、12と少なくとも1つの上記添加凝集セグメント21との結合強度、並びに組成物中のポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21の総濃度は、すべて独立して選択することができるためである。従って、得られた材料の弾性及び熱特性は、ガラス転移温度に基づくポリマーセグメント13及び任意のさらなるポリマーのタイプの選択によって、並びにそれらの分子量の選択によって、調整することができる。一方、それらの軟化温度は、ポリマー凝集セグメント11、12及び少なくとも1つの添加凝集セグメント21の選択、並びに組成物中のそれらの総濃度、によって主に決定される。従って、本発明は、熱可塑性エラストマー及び超分子ポリマー及びネットワークの分野における技術水準に関して、重要な利点を意味する。
さらに、本発明は、それらの混合比を変えるだけで、ポリマー成分の融解温度と添加剤の融解温度との間の任意の温度へ、軟化転移を正確に調整することを可能にする。
パラメータの適切な組み合わせを選択するために、以下の例示的な手順を都合よく適用することができる。特定の望ましい軟化温度TsのTPEを調製したい場合は、(純粋な形で)融点Tm>Ts、好ましくはTm>Ts+50K、を有する凝集添加剤20を選択することから始める。Tmは通常、試料を標準速度(通常10K/min)で加熱し、溶融転移に関連するエンタルピー変化を検出することにより、示差走査熱量測定(DSC)によって決定される。ただし、Tmは、光透過率測定、デンシトメトリー、機械的測定等を含む、分子の移動度や分子秩序に感度のよい任意の手法で決定できる。この融点は、あらゆる状況下で、最終TPEで達成できる最大可能な軟化温度Tsを表す。次に、最終TPEの所望の機械的特性に応じて、ポリマーセグメント13、任意のさらなるポリマー及びそれらの分子量を選択する。少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む官能化ポリマー10に純粋に基づく材料、すなわち添加凝集セグメント21を含む凝集添加剤20の追加なし、の軟化温度Tsは、通常、上述した理由により、添加凝集剤20の融点Tmよりもはるかに低い。しかしながら、混合物中への凝集添加剤20の添加において、軟化温度Tsは、凝集添加剤20の融点Tmに漸近的に近づく。高すぎる(機械的特性に有害である)か、全体的に低すぎると思われるポリマー凝集セグメント11、12と添加凝集セグメント21の合計濃度に、所望の軟化温度Tsに到達する場合のみ、次に、より高い融点Tmを有する凝集添加剤20から始めることを好都合に選択することができる。この例示的な手順では、ポリマー凝集セグメント11、12と少なくとも1つの添加凝集セグメント21の組み合わせにより、物理的な架橋として機能するドメイン(凝集)の重量分率で、これらのタイプのポリマーの軟化温度Tsを、これまで到達できない温度に上げる手段も提供される。あるいは、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21の比較的低い総濃度においてさえ、高い分子量ポリマーでは、高い軟化温度Tsにアクセスできる。これは弾性特性に有益である。
本発明の好ましい実施形態は、セグメント11、12、21の好ましい総濃度<20重量%、好ましくは<10重量%、及び<5重量%において、物理的架橋として機能する剛性ドメインの融解又は解離温度Td、Td>120℃、好ましくはTd>150℃、さらにはTd>180℃、を有するTPEである。
物理的架橋として機能する剛性ドメインは、好ましくは凝集体31である。剛性ドメイン又は凝集体31の融解又は解離温度は、好ましくは、示差走査熱量測定によって、特に10K/minの加熱速度で決定できる。
さらに、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21の高度に協調的な解凝集から特に提供できる鋭い融解温度は、弾性レジームから粘性挙動への明確な転移をもたらすため、大規模な粘性流動を伴う射出成形等の手法による溶融加工は、軟化温度のすぐ上の温度で都合よく行うことができる。従って、本発明による組成物を用いて、共有結合的に架橋されたゴムの機械的特性と、熱可塑性材料の加工性、設計の自由度、及びリサイクル性を組み合わせた、そして軟化温度が大幅に高いため広い温度範囲で動作できる、超分子エラストマーを実現できる。
・高温での形状安定性が向上した熱可塑性ポリマー
本発明の別の目的は、物理的架橋として機能する官能化ドメインを低重量分率含み、ガラス転移温度、Tgが室温よりも高いアモルファスポリマーをベースとする熱可塑性ポリマーを提供することである。そのため、これらの熱可塑性ポリマーは、対応する非官能化熱可塑性ポリマーと比較して、Tgを超える温度に一時的にさらされたときの形状安定性の向上、Tgのすぐ下の温度での耐破壊性の向上、及びTgを超える広い温度範囲において同時に加工できる溶融弾性が向上を示す。この目的のために、本発明は、必要に応じて、上記の説明に従って、好ましくは官能基化されていないさらなるポリマーを含む、請求項6に記載の組成物を提供する。
この特定の実施形態において、ポリマーセグメント13及び任意のさらなるポリマーは、動作温度Tを超える、好ましくは室温を超える、ガラス転移温度Tgを有する。特に好ましい実施形態は、ポリマーセグメント13及び任意のさらなるポリマーが、アモルファスポリ(スチレン)(PS)、ポリ(スチレン-co-アクリロニトリル)(SAN)、ポリメタクリレート、好ましくはポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、及びアモルファスポリエステル、好ましくはアモルファスポリ(ラクチド)(PLA)、好ましくはDラクチド高含有量のポリ(L-ラクチド)(PLLA)からなる群から選ばれる、組成物を含む。
最終材料は、官能化ポリマー10、凝集添加剤20、及び任意選択でさらなるポリマー、を、適切なブレンド技術を使用して、溶液又は溶融状態で混合することによって便利に調製することができる。本発明は、アモルファスポリマーからの熱可塑性プラスチックの分野における最新技術に関する重要な利点を意味する。特に、この実施形態によれば、本発明は、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21の総濃度を正確に調整することを可能にし、従って、凝集添加剤20の低い重量分率においてさえも、材料の効果的なより高い融解温度の制御を可能にする。このようにして、ゴム状プラトー(rubbery plateau)は、ガラス転移温度Tgをはるかに超えるまで伸長することができ、その結果、使用中、Tgを超える温度への一時的な曝露に対する形状安定性と材料の加工性が大幅に向上する。形状安定性が向上するのは、Tgを超える弾性挙動が、短期間の低強度の機械的要請に固体のような応答を与え、大規模な流れとその結果として使用中の部品の構造的及び機械的完全性が失われるのを防ぐためである。改善された加工性は、Tgのすぐ上から絡み合い及び/又は物理的架橋の損失を特徴付ける温度まで伸長する温度において、ゴム状態における有効な絡み合い及び/又は物理的架橋の密度に依存して、サポートされていない状態で数百%までの変形を破損することなく受ける材料の能力から生じる。破損せずに大きな変形を受ける材料の能力は、フィルムのブロー、繊維の紡糸、発泡、熱成形、押し出し/延伸、及びサポートされていない状態で材料の高度な変形を必要とするその他の加工を含む、多種多様の加工技術において不可欠である。実際、パッケージング及び断熱フォームの製造に広く使用されている、未修飾のポリ(スチレン)は、その高い絡み合い分子量のため、特に限定された溶融弾性を示すことが知られている。そのため、ゴム状のプラトーの範囲は、分子量に応じてTgより約15℃高く制限され、発泡セル壁の合体と破壊につながる。これは、パッケージング及び断熱材用の高品質の独立気泡フォームの製造には非常に望ましくなく、その溶融弾性を改善するための多くの努力をもたらしてきた。長期間にわたって低強度の負荷にさらされたとき、物理的架橋の存在は、Tgのすぐ下の使用温度において、アモルファス熱可塑性樹脂の機械的特性を大幅に改善する場合もある。このことは、絡み合いが失われることによる、構造的及び機械的完全性の損失を導くことがある。安定した物理的架橋は、チェーンスリップ(chain slip)による絡み合いの損失を防ぎ、クラックの発生を防止又は妨害するように機能する。最終的に、射出成形等の大規模な粘性流動を必要とする溶融加工技術による材料のリサイクル性と加工性は、軟化点を超える自己凝集化ユニットの解離によって保証される。
材料中の物理的架橋の存在から生じる溶融弾性及びその他の利点の改善は、主に、ポリマー凝集セグメント11、12と添加凝集セグメント21の間の超分子相互作用の性質と結合強度によって決定され、結果として、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21の総濃度の関数であるため、ポリマーセグメント13、及び任意のさらなるポリマーの性質を選択することができ、ポリマーセグメント13及びさらなるポリマーの鎖構造及び分子量は、物理的な架橋として機能する剛性ドメインの軟化転移温度に影響を与えることなく、独立して選択することができる。従って、アモルファスポリ(スチレン)(PS)、ポリ(スチレン-co-アクリロニトリル)(SAN)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)又はアモルファスポリエステル、好ましくはD-ラクチドの含有量が高いポリ(L-ラクチド)(PLLA)に基づく、ポリマー凝集セグメント11、12を含むアモルファスポリマーと、凝集添加剤20との組み合わせは、それぞれのガラス転移温度Tgを超え、凝集セグメント11、12、21の融解又は分解温度未満の最終材料の形状安定性と弾性特性が向上し、Tgのすぐ下の温度で材料の機械的特性が向上する結果となる。
以下では、適切なパラメータを選択するための例示的で非限定的な手順を提示する。この例示的な手順によれば、凝集添加剤20は、最終的な熱可塑性材料において、物理的架橋の所望の解離温度Tdを超える分解温度又は融点Tm(添加剤additive)を有するように選択される。これは、材料のガラス転移温度Tgよりもかなり高くなるように選択することができる。好ましくは、凝集添加剤20の融点を、Tm≧Td + 50℃に選択する。この融点Tm(添加剤additive)は、最終的な熱可塑性材料において、物理的な架橋として機能する剛性ドメインの可能な最大軟化温度を表す。材料の巨視的特性をさらに調整するために、次いで、ポリマーセグメント13、及び任意のさらなるポリマー及びそれらの分子量を選択する。ポリマーセグメント13及び非官能化ポリマーの数平均分子量Mnは、原則として1000〜100000の範囲であり得る。しかしながら、絡み合い分子量を十分に超える分子量、好ましくは絡み合い分子量の少なくとも5倍(PSの場合、絡み合い分子量は典型的には19000程度)が、固体状態での適切な耐破壊性のために望ましい。Mn=100000の上限は、ポリマー末端基の特定の閾値濃度を維持することを意図している。好ましい数平均分子量Mn>40000の場合、ポリマー凝集セグメント11、12を含む官能化ポリマー10に純粋に基づく、即ち凝集添加剤20の添加がない、材料において、物理的架橋として機能する剛性ドメインの解離温度Tdは、凝集添加剤20を用いる組成物と比較して、上記で概説した理由により、通常、劣っている。(i)ポリマーマトリックス中の自己凝集化リガンドの濃度が低すぎること。(ii)リガンドにつながれたポリマー鎖に関連する顕著な連鎖エントロピーペナルティ(pronounced chain entropy penalty)。(iii)溶融物中のポリマーマトリックスの粘度が比較的高いため、速度論的に凝集が妨げられること。これらの問題は、添加凝集セグメント21を含む凝集添加剤20を使用して、最終材料の自己凝集化ユニットの総濃度を調整することで改善できる。これにより、後者のゴム状プラトーの上限を調整できる。これは、ポリマー凝集セグメント11と12、及び添加凝集セグメント21によって形成される剛性ドメインの解離温度Tdに対応し、そのため、材料のガラス転移温度Tgと、それぞれの純粋な形の凝集添加剤20の溶融温度Tmとの間にある。
本発明の好ましい実施形態は、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21の好ましい総濃度 <20wt%、特に<10wt%、及び<5wt%において、解離温度Td>120℃、好ましくはTd>150℃、さらに好ましくはTd>180℃、を有する熱可塑性材料である。従って、間隔Td-Tgによって与えられる、ゴム状のプラトーの範囲は、好ましいアモルファスポリマーのTgが、それぞれ組成と立体規則性に応じて、ポリ(ラクチド)(PLA)の場合60℃、ポリ(スチレン)(PS)の場合は100℃、及びポリ(スチレン-co-アクリロニトリル)(SAN)及びポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)の場合は100℃以上の間であることを考慮すると、20℃から120℃の間になるように制御してよい。間隔Td-Tgの選択は、所望の加工特性と用途によって異なる。Tgを超えるフォームの安定性が最も重要な場合は、可能な限り大きな値が好ましいが、20℃と50℃の間の値は、熱成形又は発泡の目的で溶融弾性を改善することが望まれる場合に好ましい。例えば、Tdは、材料が大きな粘性流動を必要とする射出成形等の技術で加工され得る温度範囲の下限も決定することを念頭に置く。
本発明のさらなる目的は、ベースの半結晶性ポリマーのTmよりもかなり高くなるように選択された解離温度Tdまで安定を保持する物理的架橋として機能する、剛性ドメインの低重量分率を組み込むことによって、改良された高温機械特性、及び融点Tm以上の改良された溶融弾性を有する半結晶性ポリマーからの熱可塑性ポリマーを提供することである。この目的のために、本発明は、必要に応じて、上記の説明に従って、好ましくは官能基化されていない、さらなるポリマーを含む、請求項7に記載の組成物を提供する。
この特定の実施形態の場合、ポリマーセグメント13及び任意のさらなるポリマーの結晶性ドメインは、動作温度Tを超える融解温度Tmを有していなければならない。特に好ましい実施形態は、ポリマーセグメント13及び任意のさらなるポリマーが、半結晶性シンジオタクチックポリ(スチレン)(sPS)、半結晶性アイソタクチックポリ(スチレン)(iPS)、ポリ(エチレン)(PE)、ポリ(プロピレン)(PP)、半結晶性ポリエステル、好ましくはポリ(3-ヒドロキシブチレート)(P3HB)、半結晶性ポリ(ラクチド)(PLA)、好ましくはポリ(L-ラクチド)(PLLA)及び半結晶性ポリエーテルからなる群から選ばれる組成物を含む。
最終材料は、適切なブレンド技術を使用して、官能化ポリマー10、凝集添加剤20、及び任意でさらなるポリマーを、溶液又は溶融状態において混合することによって都合よく調製することができる。本発明は、半結晶性ポリマーからの熱可塑性プラスチックの分野における最新技術に関する重要な利点を意味する。ポリマー凝集セグメント11、12及び添加剤凝集セグメント21を含む拡張ナノ構造は、溶融状態における相互侵入ネットワーク構造として機能する物理的架橋として機能する。従って、ベースポリマーの融点Tm以上でのフォームの安定性に貢献し、特にTmのすぐ下の使用温度における、長期低レベル荷重時の耐亀裂性(耐クラック性)に貢献し、及び付随する加工の利点を伴うTmを超える溶融弾性に貢献する。低添加量での材料の低レベル荷重時の長期機械的安定性は、特にTmのすぐ下の使用温度で、大幅に増加し、靭性が大幅に向上し得る。なぜなら、追加の物理的架橋が、例えば内圧下の水道管やガス管等の用途において長期間の脆化に貢献することが知られている、絡み合いの損失を妨げる又は防ぐためである
ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21の濃度の調整により、溶融物が有意な弾性を示す温度範囲の制御が可能となる。これは、融解温度Tmが一般にガラス転移温度Tgよりはるかに高い半結晶性ポリマーにとって特に重要である。従って、多くの半結晶性ポリマーでは、絡み合いネットワークの不安定性のために、ポリマーの分子量によっては、Tmを超えるゴム状プラトーの範囲が制限されるか、ゴム状プラトーが存在しない場合さえある。従って、多くの半結晶性ポリマーの場合、熱成形や発泡等の加工技術は、技術的に困難であり、他の特性に不利な分子構造にその場で変更する必要がある場合がある。Tgをかなり超える解離温度Tdまで安定している物理的架橋が含まれると、これらのポリマーの加工性が大幅に向上する。
さらに、最終材料の巨視的特性は、凝集セグメント11、12及び21を含む凝集体により確立された物理的架橋の存在により安定化された、半結晶性ポリマーの融解温度Tmと対応する組成物の軟化温度Tsとの間の温度におけるゴム状態の材料の一方向又は二軸方向の延伸によって、有利に、影響され得る。これは、凝集したポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21からなる配向ナノ構造を形成する凝集体31をもたらす。従って、ポリマーセグメント13の連続的な再結晶により、非常に異方性で制御可能な微細構造を有し、使用温度において弾性特性と機械強度との利点を有し、並びに微細構造制御に依存するその他の特性、を備えた堅いポリマーが得られる。
以下において、適切なパラメータを選択するための例示的で非限定的な手順が提示される。この例示的な手順によれば、凝集添加剤20は、最終的な熱可塑性材料における、物理的架橋の所望の解離温度Tdを超える融点Tmを有するように選択され、これは、材料の融解温度Tmをかなり上回るように選択することができる。好ましくは、凝集添加剤20の融点を Tm≧Td+50℃に選択する。この融点Tmは、最終的な熱可塑性材料で達成できる最大可能な軟化温度を表す。
ポリマーセグメント13、及び任意のさらなる非官能化ポリマーは、上記の説明に従って選択される。好ましい実施形態では、ポリマーセグメント13の分子量は、ポリマーの絡み合い分子量を大幅に超え、好ましくは、絡み合い分子量の少なくとも5倍である。従って、ポリマー凝集セグメント11、12を含む官能化ポリマー10に純粋に基づく材料、すなわち凝集添加剤20を添加しない材料は、凝集添加剤20を使用する組成物と比較して、上で概説した理由により通常劣る:(i)ポリマーマトリックス中の自己凝集化リガンドの濃度が低すぎること(ii)リガンドにつながれたポリマー鎖に関連する顕著な鎖エントロピーのペナルティ(iii)溶融物中のポリマーマトリックスの粘度が比較的高いため、速度論的に妨げられた凝集。これらの問題は、最終材料の自己凝集化ユニットの総濃度を調整するために添加凝集セグメント21を含む凝集添加剤20を使用することで改善できる。これにより、この後者のゴム状プラトーの上限、これは凝集セグメント11、12、及び21によって形成された剛性ドメインの解離温度Tdに対応する、を官能化ポリマー10の溶融温度Tmと、それぞれの純粋な形態の凝集添加剤20の溶融温度Tmとの間に調整することを可能にする。
発明の他の側面
本発明はまた、以下を含む、本発明による組成物の調製方法もまた提供する。
a. 少なくとも1つのポリマーセグメント13と、超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも2つのポリマー凝集セグメント11、12と、を含む官能化ポリマー10を提供すること、
b.ポリマー凝集セグメント11、12と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも1つの添加凝集セグメント21を含む凝集添加剤20を提供すること、及び
c.熱エネルギー及び/又は機械エネルギーを加えることにより、官能化ポリマー10及び凝集添加剤20を混合すること、
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21はダイトピックであり、
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、それらがポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21を含む凝集体31を形成できるように設計されており、及び
ここで、凝集添加剤20は、50g/molから2000g/mol、好ましくは50g/molから1300g/mol、より好ましくは50g/molgから1000g/molの分子量を有する。
本発明の方法の好ましい実施形態によれば、凝集添加剤20は、好ましくは単分散である。
上記で提供された方法のステップは、任意の順序で実行することができるが、好ましくは、上記の順序で実行される。
本発明の方法の実施形態によれば、さらなるポリマー及び/又はさらなる添加剤が追加のステップで提供され、官能化ポリマー10及び凝集添加剤20と混合される。
本発明の方法の別の実施形態によれば、官能化ポリマー10、凝集添加剤20、及び任意のさらなるポリマー及び/又はさらなる添加剤は、好ましくは熱及び/又は機械的エネルギーを加えることによって、溶液中又は溶融中で混合される。好ましくは、混合後、得られる溶液は、機械的エネルギーを適用することなく、0.1〜50時間、より好ましくは1〜30時間、さらにより好ましくは10〜25時間放置される。
本発明の方法の別の実施形態によれば、組成物は、ステップcの後の追加のステップで、高温、好ましくは半結晶性ポリマーの融点と組成物の軟化温度の間の温度で、一方向又は二軸方向に延伸される。
本発明による調製方法の、官能化ポリマー10、ポリマー凝集セグメント11、12、添加凝集セグメント21、共有結合、超分子相互作用、凝集体31、非共有結合の結合エネルギー、凝集添加剤20、任意のさらなるポリマー及び任意のさらなる添加物としては、官能化ポリマー10、ポリマー凝集セグメント11、12、添加凝集セグメント21、共有結合、超分子相互作用、凝集体31、非共有結合の結合エネルギー、凝集添加剤20、任意のさらなるポリマー及び任意のさらなる添加物に関する上記の規定が適用されるものとする。
本発明の方法は、凝集セグメント11、12、21の凝集体の明確に定義された解離温度Td、これはベースの熱可塑性ポリマーの固体−ゴム又は固体−液体の上限転移温度よりも優位に高くなるように選択しえ、融点又はガラス転移温度とすることができる、を超える流動特性に悪影響を与えることなく、熱可塑性ポリマーに、可逆的な物理分岐、又は物理的架橋、又は物理的鎖伸長を導入する一般的な手段を提供する。この解離温度Tdは、これに限定されないが、アタクチックポリ(スチレン)(PS)、ポリ(スチレン-co-アクリロニトリル)(SAN)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、アモルファス又は高D含有量の半結晶性ポリ(l-ラクチド)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)(P3HB)、ポリ(エチレン)(PE)、及びアイソタクチックポリ(プロピレン)(PP)を含む商業的に重要な一連の熱可塑性樹脂の熱機械特性と加工特性を改善するため、100℃から250℃の範囲にあることが好ましく、150℃から250℃の範囲にあることがより好ましい。
本発明の方法により製造される修飾熱可塑性樹脂は、対応する未修飾ベース熱可塑性ポリマーよりも改善された溶融強度を有し、
(i)例えばGottfert「Rheotens」溶融強度試験機を使用して、ベース熱可塑性ポリマーの融点又はガラス転移温度を超える固定温度においての溶融破壊強度の増加;
(ii)固定周波数での動的温度スキャンにおける、ゴム状プラトー又は溶融転移の高温限界の、貯蔵弾性率と損失弾性率特性の間のクロスオーバーの温度上昇;(iii)キャピラリーレオメトリーによって測定される、ベース熱可塑性ポリマーの融点又はガラス転移温度を超える固定温度での見かけの伸長粘度の増加;
(iv)ベースの熱可塑性ポリマーの融点又はガラス転移温度から物理的な架橋又は分岐点の解離温度までの温度範囲における、熱可塑性樹脂の弾性特性の増加を反映する他の技術、
として定量可能である。
修飾熱可塑性樹脂の増加した溶融強度は、未修飾のベースポリマーよりも熱成形用途での使用に適するようにする。その線状形状は、特に、溶融強度が低く、そのため例えば、熱成形、フィルムブロー、又は物理的及び化学的発泡による加工が難しいことが技術水準でよく知られている。利点としては、線状熱可塑性ベースポリマーよりも広い、修飾熱可塑性樹脂の温度加工ウィンドウがある。修飾された熱可塑性プラスチックは、マーガリン入れ、使い捨て飲料容器、又は冷蔵庫のライナー等の食品パッケージ、バスルームの付属品、及びレーダーハウジングの製造等、大小の熱成形に使用できる。それらは、ブロー成形特性の改善を示し、設備コストの削減につながり、例えば回転成形の代替として、リザーバーや燃料タンク等の大型ブロー成形部品の製造を容易にする。それらは物理的又は化学的発泡剤を使用して、未修飾のベースポリマーよりも広い加工ウィンドウで発泡させることができ、オープンセルの含有量の減少やセルの合体の減少等、絶縁及びパッケージングとしての、形態及び物理特性が向上したフォームを提供する。多くの線状熱可塑性ポリマーの廃棄流れは、使用中の分子量の低下により、現在リサイクルするのが困難である。本発明を使用して、溶融強度を改善することにより、アタクチックポリスチレン、アイソタクチックポリプロピレン又はポリエチレンを含有する廃棄流れを改変すると、例えば、熱成形、フィルムブローイング又は物理的及び化学的発泡によるリサイクル物体の製造が容易になる。
本発明によって提供される、剛性又は半剛性の線状熱可塑性ポリマーへの、可逆的な、物理的分岐又は物理的架橋又は物理的鎖延長の導入は、あらゆる温度での低負荷率又は使用温度の上限範囲で低い負荷率から高い負荷率までの負荷下、及び長期間の使用に対応する使用温度範囲を超える温度への一時的な曝露中において、鎖の絡み合いがほどけることを防止し、抑制する。高温を含む長期低レベル負荷の条件下で一般的に使用される熱可塑性樹脂には、特に限定されないが、ポリ(エチレン)(PE)、及びアイソタクチックポリ(プロピレン)(PP)が含まれる。さらに、本発明は、ポリ(スチレン)(PS、最大連続使用温度65℃、短期間の最大動作温度80℃)、ポリ(スチレン-co-アクリロニトリル)(SAN、最大連続使用温度65℃、短期間の最大動作温度95℃)、及びポリ(メチルメタクリレート)(PMMA、最大連続使用温度70℃、短時間の最大動作温度90℃)、及びポリ(エチレン)(PE、最大連続使用温度80℃、短期間の最大動作温度100℃)及びアイソタクチックポリ(プロピレン)(PP、最大連続使用温度130℃、短期間の最大動作温度145℃)等の半結晶性ポリマー等のアモルファス熱可塑性プラスチックの、連続使用温度の範囲と、一時的な温度上昇に対する耐性を拡張することができる。basポリマーよりもかなり高い温度まで熱的に安定している可逆的な物理的分岐又は物理的架橋又は物理的鎖延長の導入は、これらの熱可塑性ポリマーのいずれも、加工特性を損なうことなく、また場合によっては改善して、100℃〜250℃、好ましくは150℃〜250℃の範囲の温度範囲まで、高温補強を提供しうる。これにより、アンダーフード(under-hood)の自動車部品(セミリジッドホース及びダクト、マニホールド、ケーシング、歯車)、滅菌可能包装、医療機器、及び電子機器包装等、高温への暴露を必要とする用途での使用範囲が広がる。この用途において、熱可塑性プラスチックの使用は、通常、半芳香族ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリエステル又はポリエーテル等の高温耐性ポリマーを加工するために、より高価及び/又はより高価に制限されている。
耐熱性の向上は、特に、より小さく、より高温のエンジンコンパートメントが、連続使用温度と一時的温度への曝露の両方に関して、エラストマー特性にますます厳しい要件がある自動車分野において、そして電気及び電子産業、生物医学、航空及びその他の産業においても、燃料、潤滑油、油圧システムのOリングシールやチューブ、ラジエーターシール、バルブステムシール、電気コネクター、ホース、ダイヤフラム、ガスケットやダクト等のエラストマー用途にとって重要である。本発明の方法は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレンアクリレート)及びポリシロキサンを含むがこれらに限定されない、化学的に安定な低ガラス転移ポリマーに可逆的物理的架橋を導入する一般的な手段を提供することができ、得られた熱可塑性エラストマーは、下限がベースポリマーの特性によって決定されるが、上限が物理的な架橋を生じさせる凝集体の低い重量分率の解離温度によって決定される温度範囲、好ましくは100℃から250℃、特に150℃から250℃の範囲、でエラストマー挙動を示す。これは、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM、最大連続使用温度150℃)によって例示される耐熱商品加硫ゴムの連続使用温度を超えており、ポリ(ジメチルシロキサン)等のより高価な高温加硫ゴムと競合する。凝集体の明確に定義された解離温度のおかげで、改善された熱可塑性エラストマーは、永久に架橋された加硫物と異なり、短いサイクル時間で、射出成形、押出、熱成形、又はフィルムブロー等の標準的な熱可塑性加工技術を使用して有利に加工され、凝集体の解離温度より高い温度でリサイクルされ、そして、ポリウレタンやポリアミドエラストマー等の既存の耐熱性熱可塑性ゴム、ここで該ゴムは、通常、明確に定義されていない剛性ドメインを含み、その転移温度がドメインの体積に依存する幅広い解離転移を伴い、そのため、エラストマーの特性を犠牲にしてのみ、高温安定性を得ることができる、と比較して、高温圧縮永久歪み、強度、及び破断時の伸びの改善を示す。
本発明はまた、少なくとも1つのポリマーセグメント13、及び少なくとも1つの添加凝集セグメント21と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる少なくとも2つのポリマーセグメント11、12を含む官能化ポリマー10との超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成できる少なくとも1つの添加凝集セグメント21を含む凝集添加剤20
ここで、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21はダイトピックであり、
ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、それらがポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21を含む凝集体31を形成できるように設計され、及び
凝集添加剤20は、50g/molから2000g/mol、特に50g/molから1300g/mol、より特に50g/molから1000g/molの分子量を有する、
の使用を提供する
本発明の使用の好ましい実施形態によれば、凝集添加剤20は、好ましくは単分散である。
本発明の使用の好ましい実施形態によれば、凝集添加剤20は、官能化ポリマー10を含む組成物を調製するために使用される。
本実施形態の使用の、官能化ポリマー10、ポリマー凝集セグメント11、12、少なくとも1つの添加凝集セグメント21、共有結合、超分子相互作用、凝集体31、非共有結合の結合エネルギー、凝集添加剤20、任意のさらなるポリマー、及び任意のさらなる添加剤において、本発明の組成物の、官能化ポリマー10、ポリマー凝集セグメント11、12、添加凝集セグメント21、共有結合、超分子相互作用、凝集体31、非共有結合の結合エネルギー、凝集添加剤20、任意のさらなるポリマー、及び任意のさらなる添加剤に関する上記の規定が適用されるものとする。
本発明による組成物は、シート、繊維、又は成形部品の製造に使用することができる。その結果、本発明は、本発明による組成物を含むシート、繊維、又は成形部品も提供する。
図1
図1は、ポリマーセグメント13及び末端基としての超分子相互作用に基づく非共有結合を形成することができる2つのポリマー凝集セグメント11、12を含む官能化ポリマー10、及び官能化ポリマー10のポリマー凝集セグメント11、12と同じ超分子相互作用に基づいて非共有結合を形成することができる1つの添加凝集セグメント21を含む適合する凝集添加剤20の例示的な組み合わせから得られる、本実施形態の一例の組成物の概略図である。この例において、ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は自己相補的である。ポリマー凝集セグメント11、12及び添加凝集セグメント21は、官能化ポリマー10のポリマー凝集セグメント11、12及び凝集添加剤20の添加凝集セグメント21の両方を含む組成物中で凝集体31に凝集する。この例において、凝集は協調的である。
・材料
アミン−テレケリック(Amine-telechelic) ポリ(スチレン-co-ブタジエン)(H2N-SBR-NH2)(Mn=33500)は、アニオン重合の標準的な手法を使用して調製し、使用前に、THF溶液からMeOHへの2回の沈殿により精製した。Boc-アミノ-テレケリック(BOC-amino-telechelic) ポリブタジエン(Mn=29000)は、シス-ジ-tert-ブチル-2-ブテン-1,4-ジイルジカルバメートを連鎖移動剤として使用して、シクロオクタジエンの開環メタセシス重合により調製した[R. Okabayashi, Y. Ohta, T. Yokozawa, Macromolecules 2017, 50, 9589-9597] [S. Ji, T. R. Hoye, C. W. Macosko, Macromolecules 2004, 37, 5485-5489]。p-トルエンスルホニルヒドラジドによるその後の還元により、Boc-アミノ-テレケリックPE(Mn = 29000)を得た[A. D. Todd, R. J. McEneany, V. A. Topolkaraev, C. W. Macosko, M. A. Hillmyer, Macromolecules 2016, 49, 8988-8994]。2-ヘキシルデシルアミンは、文献で知られている手順に従って合成した[X. Guo, R. Ponce Ortiz, Y. Zheng, M.-G. Kim, S. Zhang, Y. Hu, G. Lu, A. Facchetti, T. J. Marks, J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 13685-13697]。2-オクチルドデシルアミンは、文献で知られている手順に従って合成した[S. Liu, Z. Kan, S. Thomas, F. Cruciani, J-L. Bredas, P. M. Beaujuge, Angew. Chem. Int. Ed. 2016, 55, 12996-13000]。N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン及びN-アセチル-グリシル-グリシンは、文献で知られている手順に従って合成した[R. J. Cox, H. Jenkins, J. A. Schouten, R. A. Stentiford, K. J. Wareing, J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1 2000, 2023-2036]。5-(メトキシカルボニル)イソフタル酸は、文献で知られている手順に従って合成した[M. A. J. Veld, D. Haveman, A. R. A. Palmans, E. W. Meijer, Soft Matter 2011, 7, 524-531]。1-(3-ブロモプロピル)-2,2,5,5-テトラメチル-1-アザ-2,5-ジシラシクロペンタンは、文献で知られている手順に従って合成した[W. N. Ottou, S. Norsic, I. Belaid, C. Boisson, F. D’Agosto, Macromolecules 2017, 50, 8372-8377]。アミンテレケリックポリジメチルシロキサン(H2N-PDMS-NH2、ABCR)(Mn=1000、3000、30000、50000);ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、TCI);ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウム-ヘキサフルオロホスファット(PyBOP、GL Biochem(Shanghai)Ltd.)溶媒は、工業用グレードであり、使用前に蒸留した。テトラヒドロフラン(THF)は、溶媒精製システム(PureSolv MD-5、Innovative Technology Inc.)で使用する前に乾燥した。ジクロロメタン(DCM);ジメチルスルホキシド(DMSO);1,1,2,2-テトラクロロエタン(TCE);トリフルオロ酢酸(TFA)。
方法
示差走査熱量測定(DSC)
DSC測定は、TA Instruments Q100カロリメーターで、窒素流(50 mL/min)の下、10℃/minのスキャン速度で行った。熱転移のデータは、2回目の加熱スキャンから得たものである。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
GPC測定は、屈折率検出器を備えたAgilent 1260 Infinity GPC/SECシステムで行った。THFを溶離液として使用した。
プロトン核磁気共鳴(1H NMR)分光法
NMR分光法は、400MHzの周波数で、Bruker Avance III 400分光計で、298Kで行った。スペクトルは、DMSO-d6(2.50ppm)又はCDCl3(7.26ppm)又はTCE-d2(6.00 ppm)の残留溶媒ピークに合わせて較正した。
高分解能質量分析(HRMS)
HRMSは、ESI-TOF測定用にQ-TOF Ultima(Waters)で行った。
動的せん断レオロジー
レオロジー測定は、平行板レオメーターAR 2000(TA Instruments)で行った。形状が持続する円盤状のサンプル試験片を、100〜150℃の高温ステージ又はレオメーターで、手動で準備した。15mmのアルミ板を使用し、板間の隙間は0.4〜0.6mmの範囲であった。すべてのサンプルは、測定前にレオメーターで120〜200℃の温度範囲で20分間アニールされた。測定は、測定全体中、3℃/分の冷却速度、1、10、又は100rad/sの固定ラジアル周波数、及びひずみ振幅0.1%で、200℃〜−60℃で実行した。
官能化ポリマーの合成10
(実施例1)
Ac-Ala-Ala-NH-SBR-NH-Ala-Ala-Ac
−合成−
溶媒としてのTHF中のPyBOPで促進されたペプチドカップリング反応において、アミン-テレケリックポリ(スチレン- co-ブタジエン)H2N-SBR-NH2(Mn=33500)を、N-アセチル-L-アラニル-L-アラニンにカップリングすることにより、構造NH-Ala-Ala-Acを有する2つの同一のポリマー凝集セグメントを含む、官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-SBR-NH-Ala-Ala-Acを合成した。この目的のために、N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(0.18g)、DIEA(0.24mL)、及びPyBOP(0.50g)を、乾燥THF(300mL)中のアミン-テレケリックポリ(スチレン-co-ブタジエン)H2N-SBR-NH2(24g)の溶液に加えた。反応混合物を室温で3日間撹拌し、次に1M HCl中に沈殿させた。沈殿物をTHFに再溶解し、1M HClにさらに2回沈殿させて、官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-SBR-NH-Ala-Ala-Acを無色の固体(22g)として得た。
−特性評価−
1H-NMR(400MHz、CDCl3):δ=7.32 - 6.50 (bs, 875H), 5.66 - 4.71 (bs, 1684H), 3.79 (m, 4H), 2.64 - 1.19 (bs, 3116H)。ポリスチレン(8n/n%)、1,2-ポリブタジエン(39n/n%)、及び1,4-ポリブタジエン(53n/n%)ユニットの含有量は、1H-NMRスペクトルの特性ゾーンから計算した。GPC(THF):Mn=33500。
(実施例2)
Ac-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac (Mn=1000)
−合成−
溶媒としてのTHF中のPyBOPで促進されたペプチドカップリング反応において、アミン-テレケリックポリジメチルシロキサン(Mn=1000)を、N-アセチル-L-アラニル-L-アラニンにカップリングすることにより、構造NH-Ala-Ala-Acを有する2つの同一のポリマー凝集セグメントを含む、官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Acを合成した。この目的のために、N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(1.02g、5.10mmol)、アミン-テレケリックポリジメチルシロキサン(2g)、DIEA(1.10mL)、及びPyBOP(2.85g、5.48mmol)をTHF(50 mL)中で懸濁し、反応混合物を室温で一晩撹拌し、次に1M HCl(1L)に沈殿させた。沈殿物を収集し、H2O(3x100mL)で洗浄し、高真空下で乾燥して、官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Acをオフホワイトの固体(1.97g、69%)として得た。
−特性評価−
1H-NMR(400MHz、CD2Cl2):δ=7.93-6.51 (bs, 6H), 4.73 (bs, 4H), 3.24 (m, 4H), 2.05 (s, 6H), 1.57 (bs, 4H), 1.38 (m, 12H), 0.59 (bs, 4H), 0.13 (bs, 128H) ppm
(実施例3)
Ac-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Gly-Ac (Mn=1000)
−合成−
溶媒としてのDMF/THF中のPyBOPで促進されたペプチドカップリング反応において、アミン-テレケリックポリジメチルシロキサン(Mn=1000)を、N-アセチル-L-グリシル-L-グリシンにカップリングすることにより、構造NH-Gly-Gly-Acを有する2つの同一のポリマー凝集セグメントを含む、官能化ポリマーAc-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Gly-Acを合成した。この目的のために、N-アセチル-グリシル-グリシン(0.84g、4.80mmol)をDMF(20 mL)に溶解し、THF(30 mL)を加えた。アミン-テレケリックポリジメチルシロキサン(2g)、DIEA(1.5mL)、及びPyBOP(2.63g、5.09mmol)を加え、反応混合物を室温で3日間撹拌してから、H2Oに沈殿させた。沈殿物をTHFに再溶解し、H2Oにもう一度沈殿させ、高真空下で乾燥して、官能化ポリマーAc-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Gly-Acをオフホワイトの固体(1.20g、54%)として得た。
−特性評価−
1H-NMR(400MHz、CDCl3):δ=7.10 (bs, 2H), 6.62 (bs, 2H), 6.38 (bs, 2H), 3.96 (m, 8H), 3.23 (bs, 4H), 2.05 (s, 6H), 1.53 (m, 4H), 0.50 (bs, 4H), 0.07 (bs, 80H) ppm
(実施例4)
Ac-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac (Mn=3000)
−合成−
溶媒としてのTHF中のPyBOPで促進されたペプチドカップリング反応において、アミン-テレケリックポリジメチルシロキサン(Mn=3000)を、N-アセチル-L-アラニル-L-アラニンにカップリングすることにより、構造NH-Ala-Ala-Acを有する2つの同一のポリマー凝集セグメントを含む、官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Acを合成した。この目的のために、N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(0.32g、1.60mmol)、アミンテレケリックポリジメチルシロキサン(2g)、DIEA(0.35mL)、及びPyBOP(0.90g、1.73mmol)をTHF(50mL)中で懸濁し、反応混合物を室温で一晩撹拌し、次に1M HCl(1L)に沈殿させた。沈殿物を収集し、H2O(3x100mL)で洗浄し、高真空下で乾燥して、官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Acをオフホワイトの固体(2.04g、90%)として得た。
−特性評価−
1H-NMR(400MHz、CDCl3):δ=7.26-6.40 (bs, 6H), 4.60 (bs, 4H), 3.22 (m, 4H), 2.03 (s, 6H), 1.53 (m, 4H), 1.37 (m, 12H), 0.53 (m, 4H), 0.07 (bs, 213H) ppm
(実施例5)
Ac-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Gly-Ac (Mn=3000)
−合成−
溶媒としてのDMF/THF中のPyBOPで促進されたペプチドカップリング反応において、アミン-テレケリックポリジメチルシロキサン(Mn=3000)を、N-アセチル-グリシル-グリシンにカップリングすることにより、構造NH-Gly-Gly-Acを有する2つの同一のポリマー凝集セグメントを含む、官能化ポリマーAc-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Gly-Acを合成した。この目的のために、N-アセチル-グリシル-グリシン(0.27g、1.54mmol)をDMF(10mL)に溶解し、THF(20mL)を添加した。アミンテレケリックポリジメチルシロキサン(2g)、DIEA(0.5mL)、及びPyBOP(0.85g、1.65mmol)を添加し、反応混合物を室温で3日間攪拌し、次にH2Oに沈殿させた。沈殿物をTHFに再溶解し、H2Oにもう一度沈殿させ、高真空下で乾燥して、官能化ポリマーAc-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Gly-Acをオフホワイトの固体(1.28g、47%)として得た。
−特性評価−
1H-NMR(400MHz、DMSO-d6):δ=8.19 (bs, 2H), 8.11 (bs, 2H), 7.73 (bs, 2H), 3.67 (m, 8H), 3.03 (bs, 4H), 1.87 (s, 6H), 1.41 (bs, 4H), 0.53 (m, 4H), 0.07 (bs, 222H) ppm
(実施例6)
Ac-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac (Mn=30000)
−合成−
溶媒としてのTHF中のPyBOPで促進されたペプチドカップリング反応において、アミン-テレケリックポリジメチルシロキサン(Mn=30000)を、N-アセチル-L-アラニル-L-アラニンにカップリングすることにより、構造NH-Ala-Ala-Acを有する2つの同一のポリマー凝集セグメントを含む、官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn=30000)を合成した。この目的のために、N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(0.34g)、DIEA(0.70mL)、及びPyBOP(1.03g)を、THF(150mL)中のアミンテレケリックポリジメチルシロキサン(20g)の溶液に添加した。反応混合物を室温で3日間攪拌し、次にH2O(2L)に沈殿させた。沈殿物をTHF(150mL)に再溶解し、H2Oにさらに2回沈殿させた。次に、沈殿をDCM(200mL)に溶解させ、MgSO4で乾燥させた。ろ過後、溶液を除去して、官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn=30000)をオフホワイトの固体(16g、79%)として得た。
−特性評価−
1H-NMR(400MHz、CDCl3):δ=6.94 (bs, 2H), 6.42 (bs, 2H), 6.36 (bs, 2H), 4.52 (m, 2H), 4.46 (m, 2H), 3.24 (m, 4H), 2.05 (s, 6H), 1.54 (m, 4H), 1.39 (t, 6H), 1.39 (t, 6H), 0.53 (m, 4H), 0.08 (bs, 3026H)
(実施例7)
Ac-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Gly-Ac (Mn=30000)
−合成−
溶媒としてのTHF中のPyBOPで促進されたペプチドカップリング反応において、アミン-テレケリックポリジメチルシロキサン(Mn=30000)を、N-アセチル-グリシル-グリシンにカップリングすることにより、構造NH-Gly-Gly-Acを有する2つの同一のポリマー凝集セグメントを含む、官能化ポリマーAc-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Gly-Ac(Mn=30000)を合成した。この目的のために、N-アセチル-グリシル-グリシン(0.31g)、DIEA(0.70mL)、及びPyBOP(1.03g)を、乾燥THF(150mL)中のアミンテレケリックポリジメチルシロキサン(20g)の溶液に添加した。反応混合物を室温で3日間攪拌し、次にH2O(2L)に沈殿させた。沈殿物をTHF(200mL)に再溶解し、H2Oにさらに2回沈殿させた。次に、沈殿をDCM(250mL)に溶解させ、MgSO4で乾燥させた。ろ過後、溶液を除去して、官能化ポリマーAc-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Gly-Ac(Mn=30000)をオフホワイトの固体(17g、85%)として得た。
−特性評価−
1H-NMR(400MHz、CDCl3):δ=6.83 (bs, 2H), 6.38 (bs, 4H), 3.97 (m, 8H), 3.28 (m, 4H), 2.08 (6H), 1.55 (m, 4H), 0.53 (m, 4H), 0.07 (bs, 5112H) ppm
(実施例8)
Ac-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ac (Mn=30000)
−合成−
溶媒としてのTHF中のPyBOPで促進されたペプチドカップリング反応において、アミン-テレケリックポリジメチルシロキサン(Mn=30000)を、N-アセチル-L-アラニンにカップリングすることにより、構造NH-Ala-Acを有する2つの同一のポリマー凝集セグメントを含む、官能化ポリマーAc-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ac(Mn=30000)を合成した。この目的のために、N-アセチル-L-アラニン(0.36g)、DIEA(0.8mL)、及びPyBOP(1.56g)を、THF(120mL)中のアミンテレケリックポリジメチルシロキサン(16.3g)の溶液に添加した。反応混合物を室温で1日間攪拌し、次にH2O(1.5L)に沈殿させた。水相をデカントし、残りのポリマーに追加の水を加えた。30分間激しく撹拌した後、水をデカントして除いた。ポリマーをDCMに再溶解し、MgSO4で乾燥させた。ろ過後、溶媒を除去して、官能化ポリマーAc-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ac(Mn=30000)を無色の粘性液体(9.61g、59%)として得た。
−特性評価−
1H-NMR(400MHz、CDCl3):δ=6.30 (bs, 4H), 4.45 (m, 2H), 3.24 (m, 4H), 2.02 (s, 6H), 1.53 (m, 4H), 1.38 (d, 6H), 0.53 (m, 4H), 0.07 (bs, 3634H) ppm
(実施例9)
Ac-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Ac (Mn = 30000)
−合成−
溶媒としてのTHF中のPyBOPで促進されたペプチドカップリング反応において、アミン-テレケリックポリジメチルシロキサン(Mn=30000)を、N-アセチル-グリシンにカップリングすることにより、構造NH-Gly-Acを有する2つの同一のポリマー凝集セグメントを含む、官能化ポリマーAc-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Ac(Mn=30000)を合成した。この目的のために、N-アセチル-グリシン(42mg)、DIEA(0.10mL)、及びPyBOP(0.21g)を、THF(50mL)中のアミンテレケリックポリジメチルシロキサン(2.00g)の溶液に添加した。反応混合物を室温で1日間攪拌し、次にH2Oに沈殿させた。ポリマーをDCM(200mL)に再溶解し、H2Oで3回洗浄した。さらなる精製のために、ポリマーをTHFに溶解し、続いてH2Oに沈殿させた。ポリマーをDCMに再溶解し、MgSO4で乾燥させた。ろ過後、溶媒を除去して、官能化ポリマーAc-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Ac(Mn=30000)を無色の粘性液体(1.04g、52%)として得た。
−特性評価−
1H-NMR(400MHz、CDCl3):δ=6.38 (bs, 2H), 6.11 (bs, 2H), 3.92 (d, 4H), 3.26 (m, 4H), 2.05 (s, 6H), 1.54 (m, 4H), 0.53 (m, 4H), 0.07 (bs, 3180H) ppm
(実施例10)
BTA-PDMS-BTA (Mn = 30000)
−合成−
溶媒としてのTHF中のPyBOPで促進されたペプチドカップリング反応において、アミン-テレケリックポリジメチルシロキサン(Mn=30000)を、(3,5-ビス(2-エチルヘキシル)カルバモイル)安息香酸にカップリングすることにより、ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミド末端基から2つの同一のポリマー凝集セグメントを含む、官能化ポリマーBTA-PDMS-BTAを合成した。この目的のために、(3,5-ビス(2-エチルヘキシル)カルバモイル)安息香酸は、5-(メトキシカルボニル)イソフタル酸(5.40 g、24.1mmol)、2-エチルヘキサン-1-アミン(6.85 g、53.0mmol)及びPyBOP(28.9g、55.9mmol)をTHF(150mL)中で懸濁することで合成された。DIEA(18.9mL)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌し、次にH2O(1L)に沈殿させた。沈殿物を収集し、DCM中に溶解し、MgSO 4で乾燥させ、溶離液としてDCM/MeOH(100:0.5)を使用するカラムクロマトグラフィーで精製した。中間体のメチル(3,5-ビス(2-エチルヘキシル)カルバモイル)ベンゾエートが無色の固体(4.63g、10.4mmol、43%)として得られた。
−特性評価−
1H-NMR(400MHz、CDCl3):δ=8.51 (s, 2H), 8.39 (s, 1H), 6.32 (t, 2H), 3.96 (s, 3H), 3.42 (m, 4H), 1.58 (m, 2H), 1.39 (m, 4H), 1.32 (bs, 12H), 0.95-0.88 (m, 12H) ppm. HRMS (ESI-TOF, positive): m/z 469.3042 [M + Na]+、C26H42N2O4Na:469.30で計算された。
(3,5-ビス(2-エチルヘキシル)カルバモイル)ベンゾエート(4.50 g、10.1 mmol)をMeOHに溶解した。LiOH(362 mg、15.1 mmol)と水(0.5 mL)を加え、反応混合物を室温で3日間攪拌し、1M HCl(0.5L)に沈殿させた。沈殿物を収集し、水で洗浄した。(3,5-ビス(2-エチルヘキシル)カルバモイル)安息香酸を無色の固体(4.34g、10.0mmol、99%)として得た。
−特性評価−
1H-NMR (400MHz、DMSO-d6):δ=8.68 (t, 2H), 8.60 (s, 2H), 8.45 (s, 1H), 3.37 (m, 4H), 1.68 (m, 2H), 1.47-1.37 (m, 16H), 1.00-0.93 (m, 12H) ppm. HRMS (ESI-TOF, positive): m/z 455.2886 [M + Na]+、C25H40N2O4Na:455.29で計算された.
(3,5-ビス(2-エチルヘキシル)カルバモイル)安息香酸(1.73 g、4.00 mmol)、DIEA(0.87 mL)、及びPyBOP(2.25 g、4.33 mmol)を、THF(250 mL)中のアミン-テレケリックポリジメチルシロキサン(50 g)の溶液に添加した。反応混合物を室温で3日間撹拌し、次にH2O(1.5L)中に沈殿させた。ポリマーをTHF(100 mL)に再溶解し、もう一度H2Oに沈殿させた。次に、ポリマーをDCMに再溶解し、MgSO4で乾燥させた。ろ過後、溶媒を除去して、官能化ポリマーBTA-PDMS-BTA(Mn = 30000)をオフホワイトの固体(49g、98%)として得た。
−特性評価−
1H-NMR (400 MHz, CDCl3):δ=8.35 (s, 6H), 6.46 (t, 2H), 6.35 (t, 4H), 3.45 (m, 12H), 1.66 (m, 4H), 1.40 (m, 4H), 1.33 (m, 32H), 0.96-0.89 (m, 24H), 0.61 (m, 4H), 0.08 (bs, 7052H) ppm
(実施例11)
Ac-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac (Mn = 50000)
−合成−
溶媒としてのTHF中のPyBOPで促進されたペプチドカップリング反応において、アミン-テレケリックポリジメチルシロキサン(Mn=50000)を、N-アセチル-L-アラニル-L-アラニンにカップリングすることにより、NH-Ala-Ala-Acの構造を有する2つの同一のポリマー凝集セグメントを含む、官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Acを合成した。この目的のために、N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(0.24g、1.20mmol)、DIEA(0.26mL)、及びPyBOP(0.67g、1.50mmol)を、THF(350mL)中アミン-テレケリックポリジメチルシロキサン(25g)の溶液に添加した。反応混合物を室温で3日間攪拌し、次にH2O(1.5L)に沈殿させた。
沈殿物をTHF(150mL)に再溶解し、H2O(1.5L)にさらに2回以上沈殿させた。次に、沈殿をDCM(200mL)に溶解させ、MgSO4で乾燥させた。さらなる精製のために、ポリマーをDCM(150mL)に再溶解し、溶液を濃縮し、激しく攪拌しながら徐々にMeOH(150mL)を加えた。一晩攪拌した後、MeOH相をデカントして除いた。この沈殿手順を2回繰り返した。最後に、DCMを真空で除去して、官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 50000)をオフホワイトの固体(12 g、48%)として得た。
−特性評価−
1H-NMR (400MHz、CDCl3):δ=6.80 (bs, 2H), 6.25 (bs, 2H), 6.19 (bs, 2H), 4.51 (m, 2H), 4.43 (m, 2H), 3.24 (m, 4H), 2.03 (s, 6H), 1.54 (m, 4H), 1.39 (t, 6H), 1.39 (t, 6H), 0.51 (m, 4H), 0.08 (bs, 5592H).
(実施例12)
Ac-Ala-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ala-Ac (Mn = 50000)
−合成−
溶媒としてのTHF中のPyBOPで促進されたペプチドカップリング反応において、アミン-テレケリックポリジメチルシロキサン(Mn=50000)をN-アセチル-L-アラニル-L-アラニル-L-アラニンにカップリングすることにより、構造NH-Ala-Ala-Ala-Acを有する2つの同一のポリマー凝集セグメントを含む、官能化ポリマーAc-Ala-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ala-Acを合成した。この目的のために、PyBOP(8.60 g、16.5mmol)とDIEA(6 mL)を、THF(100mL)中のN-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2.40 g、8.02mmol)とL-アラニンtert-ブチルエステル(1.73g、11.9mmol)の溶液に加えた。反応混合物を室温で一晩攪拌した。次に、DCMを加え、混合物を2時間撹拌し、得られた沈殿物を収集し、DCMで洗浄して、N-アセチル-L-アラニル-L-アラニル-L-アラニンtert-ブチルエステルを無色の固体(2.24g、11.9 mmol、57%)として得た。
−特性評価−
1H-NMR (400 MHz, D2O):δ=4.24-4.10 (m, 3H), 1.94 (s, 3H), 1.38 (s, 9H), 1.33-1.26 (m, 9H) ppm. HRMS (ESI-TOF, positive):m/z 352.185 [M+Na]+, C15H27N3O5Na: 352.18で計算された。
N-アセチル-L-アラニル-L-アラニル-L-アラニンtert-ブチルエステル(1.60 g、4.96 mmol)を室温でCHCl3(5 mL)及びTFA(8.2 mL)中で3時間撹拌した。揮発性物質を真空下で除去し、残りの固体をDCMで洗浄して、N-アセチル-L-アラニル-L-アラニル-L-アラニンを無色の固体として得た(1.18 g、4.32 mmol、87%)。
−特性評価−
1H-NMR (400 MHz, D2O): δ=4.29-4.18 (m, 3H), 1.93 (s, 3H), 1.35 (d, 3H), 1.31 (d, 3H), 1.28 (d, 3H) ppm. HRMS (ESI-TOF, positive): m/z 296.122 [M+Na]+, C11H19N3O5Naで計算された。: 296.12.
次に、N-アセチル-L-アラニル-L-アラニル-L-アラニン(0.66g、2.4mmol)、PyBOP(2.3g、4.30 mmol)、及びDIEA(0.87 mL)を、THF(300 mL)のアミン-テレケリックポリジメチルシロキサン(50 g、1 mmol)の溶液に加えた。反応混合物を室温で3日間撹拌し、次にH2O(1.5L)中に沈殿させた。沈殿物をDCMに再溶解し、MeOHにさらに3回沈殿させて、官能化ポリマーAc-Ala-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ala-Ac(Mn = 50000)をオフ-白色の固体(32g、0.64mmol、64%)として得た。
−特性評価−
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ=7.03 (bs, 2H), 6.68 (bs, 2H), 6.61 (bs, 2H), 6.26 (bs, 2H), 4.18 (m, 6H), 3.22 (m, 4H), 2.09 (s, 6H), 1.54 (m, 4H), 1.45 (d, 6H), 1.43 (d, 6H), 1.37 (d, 6H), 0.53 (m, 4H), 0.07 (bs) ppm.
(実施例13)
BTA-PDMS-BTA (Mn = 50000)
−合成−
溶媒としてのTHF中のPyBOPで促進されたペプチドカップリング反応において、アミンテレケリックポリジメチルシロキサン(Mn = 50000)を、(3,5-ビス(2-エチルヘキシル)カルバモイル)安息香酸にカップリングすることにより、ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミド末端基の基からの2つの同一のポリマー凝集セグメントを含む官能化ポリマーBTA-PDMS-BTAを合成した。この目的のために、(3,5-ビス(2-エチルヘキシル)カルバモイル)安息香酸(0.52 g、1.20mmol)、DIEA(0.26 mL)、及びPyBOP(0.68 g、1.30mmol)を、THF(350 mL)中のアミン-テレケリックポリジメチルシロキサン(25 g)の溶液に添加した。反応混合物を室温で3日間撹拌し、次にH2O(1.5L)中に沈殿させた。 ポリマーをTHF(150 mL)に再溶解し、もう一度H2Oに沈殿させた。次に、ポリマーをDCMに再溶解し、MgSO4で乾燥させた。濾過後、溶媒を除去して、官能化ポリマーBTA-PDMS-BTA(Mn = 50000)をオフホワイトの固形物(16 g、64%)として得た。
−特性評価−
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ=8.35 (s, 6H), 6.46 (t, 2H), 6.36 (t, 4H), 3.44 (m, 12H), 1.66 (m, 4H), 1.40 (m, 4H), 1.33 (m, 32H), 0.96-0.89 (m, 24H), 0.61 (m, 4H), 0.07 (bs, 5606H) ppm
(実施例14)
Ac-Ala-Ala-NH-PS-NH-Ala-Ala-Ac (Mn = 3500)
−合成−
溶媒としてのTHF中のPyBOPで促進されたペプチドカップリング反応において、アミン末端ポリスチレン(Mn = 3500)を、N-アセチル-L-アラニル-L-アラニンにカップリングすることにより、アモルファスポリマーセグメントとして、構造NH-Ala-Ala-Acとポリスチレン(PS)を持つ2つの同一のポリマー凝集セグメントを有する官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 3000)を合成した。この目的のために、ナトリウムナフタレニドによって開始されるスチレンの双方向リビングアニオン重合によって、アミノテレケリックポリスチレンが合成された。この目的のために、ナフタレン(0.39 mg)とナトリウム片(200 mg)を、乾燥THF中、アルゴン雰囲気下、室温で3時間撹拌した。残りのナトリウムを濃い緑色の溶液から除去し、次にスチレン(9.09 g、87.3 mmol、10 mL)を-78℃で30分かけてゆっくりと添加した。得られた暗赤色の溶液を3時間攪拌し、その間、それを室温まで温めた。次に、1-(3-ブロモプロピル)-2,2,5,5-テトラメチル-1-アザ-2,5-ジシラシクロペンタン(1.7 mL)を添加する前に、反応混合物を-78℃に冷却し、室温で一晩攪拌した。混合物を酸性化メタノールに3回沈殿させて、無色の沈殿物(8.69g、96%)を得た。得られたままのアミノテレケリックポリスチレン(Mn = 3500)(0.48g)をTHFに溶解した。N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(70 mg、0.35 mmol)、PyBOP(0.36 g)、及びDIEA(0.14 mL)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いで、MeOH中に沈殿させて、官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 3000)を無色の固体(0.23g、46%)として得た。
−特性評価−
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ=7.00 (bs), 6.51 (bs), 3.66 (bs, 4H), 3.01 (bs, 4H), 1.78 (bs), 1.36 (bs) ppm.
(実施例15)
Ac-Ala-Ala-NH-PE-NH-Ala-Ala-Ac (Mn = 29000)
−合成−
溶媒としてのトルエン中のPyBOPで促進されたペプチドカップリング反応において、アミン末端ポリエチレン(Mn = 29000)をN-アセチル-L-アラニル-L-アラニンにカップリングすることにより、半結晶性ポリマーセグメントとして構造NH-Ala-Ala-Acとポリエチレン(PE)を有する2つの同一の凝集セグメントを有する官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PE-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 29000)を合成した。この目的のために、boc-アミノ-テレケリックポリエチレン(Mn = 29000)(0.5g、0.02 mmol)をアルゴン雰囲気下、70℃でo-ジクロロベンゼン(15mL)に溶解した。トリフルオロ酢酸(0.2 mL)を混合物に加え、70℃で16時間攪拌した。次に、混合物を激しく撹拌したMeOH(75 mL)に0℃で沈殿させた。沈殿物を収集し、MeOH及びDCMで洗浄して、NH2 -PE-NH2(Mn = 29000)のオフホワイトの固体(0.46g、92%)を得た。
−特性評価−
1H-NMR (400 MHz, Tol-d8): δ=2.50 (br), 1.33 (s) ppm.
次に、NH2-PE-NH2(Mn = 29000)(0.46 g)をアルゴン雰囲気下、100℃でトルエン(20 mL)に溶解し、PyBOP(42 mg、0.08 mmol)を加えた。次に、DMSO(1 mL)に溶解したN-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(16 mg、0.08 mmol)、及びDIEA(2 mL)を加え、反応混合物を100℃で16時間撹拌した。その後、激しく攪拌したMeOH(75 mL)に0℃で沈殿させた。沈殿物を収集し、MeOH及びDCMで洗浄して、官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PE-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 29000)をオフホワイトの固体(0.44 g、96%)として得た。
−特性評価−
1H-NMR (400 MHz, Tol-d8): δ=4.15 (bs, 4H), 3.00 (bs, 4H), 2.01 (s, 6H), 1.33 (s, 1174H).
凝集添加剤20の合成
(実施例16)
N-acetyl-L-alanyl-L-alanine (2-ethylhexyl)amide
−合成−
溶媒としてのTHF中のPyBOPで促進されたペプチドカップリング反応により、構造NH-Ala-Ala-Acを有する凝集セグメントを含む凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドを合成した。この目的のために、N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(6.00 g、29.6mmol)、2-エチルヘキサン-1-アミン(4.23 g、32.6mmol)、及びPyBOP(18.4 g、35.6mmol)を THF(75 mL)中に懸濁した。DIEA(15mL)を添加し、均質な溶液を得た。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次に1M HCl(1L)中に沈殿させた。沈殿物を収集し、H2O(3 x 50 mL)で洗浄し、高真空下で完全に乾燥させて、凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドを無色の固体(5.91 g、18.9mmol、64%)として得た。
−特性評価−
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=8.06 (d, 1H), 7.91 (t, 1H), 7.65 (t, 1H), 4.23 (m, 2H), 3.05 (m, 1H), 2.94 (m, 1H), 1.84 (s, 3H), 1.37 (m, 1H), 1.25 - 1.17 (bs, 14H), 0.87 (t, 3H), 0.83 (t, 3H) ppm. HRMS (ESI-TOF, positive): m/z 336.2268 [M+Na]+, C16H31N3O3Naで計算された。: 336.2263. DSC: Tm = 223℃
(実施例17)
N-acetyl-L-alanyl-L-alanine (2-hexyldecyl)amide
−合成−
溶媒としてのTHF中のPyBOPで促進されたペプチドカップリング反応により、構造NH-Ala-Ala-Acを有する凝集セグメントを含む凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-ヘキシルデシル)アミドを合成した。この目的のために、N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(0.40 g、1.98 mmol)をアルゴン雰囲気下で乾燥THF(200 mL)に溶解した。2-ヘキシルデカン-1-アミン(0.45 g、1.88 mmol)、DIEA(0.97 mL)、及びPyBOP(1.18 g、2.26 mmol)を加えた。反応混合物を室温でアルゴン雰囲気下で3時間撹拌した。混合物を真空で濃縮した後、1M HClに沈殿させた。沈殿物を収集し、1M HClへの沈殿を2回繰り返した。沈殿物をDCMに溶解し、MgSO4で乾燥させた。濾過及び溶媒蒸発後、凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-ヘキシルデシル)アミドが無色の固体(0.71 g、1.67 mmol、89%)として得られた。
−特性評価−
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=6.86 (d, 1H), 6.30 (d, 1H), 6.17 (bs, 1H), 4.55 (m, 1H), 4.47 (m, 1H), 3.22 (m, 2H), 2.05 (s, 3H), 1.50 (bs, 1H), 1.40 (m, 6H), 1.28 (bs, 24H), 0.91 (m, 6H) ppm. DSC: Tm = 184℃.
(実施例18)
N-acetyl-L-alanyl-L-alanine (2-octyldodecyl)amide
−合成−
溶媒としてのTHF中のPyBOPで促進されたペプチドカップリング反応により、NH-Ala-Ala-Ac構造を有する凝集セグメントを含む凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドを合成した。この目的のために、2-オクチルドデカン-1-アミン(2.01 g、6.72 mmol)をTHF(50 mL)に溶解した。N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(1.64 g、8.11 mmol)、PyBOP(4.87 g、9.36 mmol)、及びDIEA(3.5 mL)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。 次に、混合物を1M HCl(1 L)に沈殿させた。沈殿物をTHFに再溶解し、溶液を再び1 M HClに沈殿させた。最後に、沈殿物を水(50 mL)とアセトン(50 mL)で洗浄して、凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドを無色の固体(2.97 g、6.16 mmol、 92%)として得た。
−特性評価−
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ=7.51 (d, 1H), 7.09 (d, 1H), 6.77 (t, 1H), 4.71 (m, 1H), 4. 60 (m, 1H), 3.23 (m, 1H), 3.15 (m, 1H), 2.08 (s, 3H), 1.51 (m, 1H), 1.38 (m, 6H), 1.25 (bs, 32H), 0.87 (m, 6H) ppm. HRMS (ESI-TOF, positive): m/z 504.4145 [M+Na]+, C28H55N3O3Naで計算された: 504.4141. DSC: Tm = 186℃
(実施例19)
N-acetyl-glycyl-glycine (2-ethylhexyl)amide
−合成−
溶媒としてのTHF中のPyBOPで促進されたペプチドカップリング反応により、構造NH-Gly-Gly-Acを有する凝集セグメントを含む凝集添加剤N-アセチル-グリシル-グリシン(2-エチルヘキシル)アミドを合成した。この目的のために、N-アセチル-グリシル-グリシン(4.30 g、21.3 mmol)をTHF(250 mL)に分散させた。透明な溶液が得られるまで水を徐々に加えた。2-エチルヘキシルアミン(5.50 g、42.5 mmol)、DIEA(11 mL)、及びPyBOP(13.3 g、25.5 mmol)を加えた。反応混合物を室温で15時間撹拌した。混合物を真空で濃縮した後、1M HCl(400 mL)に沈殿させて、凝集添加剤N-アセチル-グリシル-グリシン(2-エチルヘキシル)アミドを無色の固体(3.70 g、13.0 mmol、61%)として得た。
−特性評価−
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=8.21 (t, 1H), 8.10 (t, 1H), 7.62 (t, 1H), 3.67 (m, 4H), 3.00 (m, 2H), 1.87 (s, 3H), 1.39 (m, 1H), 1.23 (m, 8H), 0.88 (t, 3H), 0.83 (t, 3H) ppm. HRMS (ESI-TOF, positive): m/z 308.1953 [M+Na]+,C14H27N3O3Naで計算された: 308.1950. DSC: Tm = 187℃
(実施例20)
N-acetyl-glycyl-glycine (2-octyldodecyl)amide
−合成−
溶媒としてのTHF中のPyBOPで促進されたペプチドカップリング反応により、構造NH-Gly-Gly-Acを有する凝集セグメントを含む凝集添加剤N-アセチル-グリシル-グリシン(2-オクチルドデシル)アミドを合成した。この目的のために、N-アセチル-グリシル-グリシン(0.25g,1.24mmol)をDMF(25mL)に溶解した。 2-オクチルドデカン-1-アミン(0.37 g、1.24 mmol)、DIEA(0.65 mL)、及びPyBOP(0.77 g、1.48 mmol)を添加した。反応混合物を室温で1日間撹拌し、1M HCl(400 mL)に沈殿させて、凝集添加剤N-アセチル-グリシル-グリシン(2-オクチルドデシル)アミドを無色の固体(0.31 g、0.68 mmol、55%)として得た。
−特性評価−
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ=7.14 (t, 1H), 6.61 (t, 1H), 6.29 (t, 1H), 3.99 (d, 2H), 3.96 (d, 2H), 3.19 (m, 2H), 2.05 (s, 3H), 1.49 (m, 1H), 1.25 (bs, 32H), 0.88 (m, 6H) ppm. HRMS (ESI-TOF, positive): m/z 476.3835 [M+Na]+, C26H51N3O3Naで計算された: 476.3828. DSC: Tm = 137℃
(実施例21)
N1,N3,N5-tris(2-ethylhexyl) benzene-1,3,5-tricarboxamide
−合成−
ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミド誘導体の基からの凝集セグメントを含む、凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドを合成した。この目的のために、トリエチルアミン(2.11 g)及び2-エチルヘキサン-1-アミン(2.20 g、17.0 mmol)をアルゴン雰囲気下で乾燥DCM(10 mL)に溶解した。乾燥DCM(2 mL)中の1,3,5-ベンゼントリカルボン酸クロリド(1.01 g、3.80 mmol)の溶液を反応混合物に0℃で滴下した。反応混合物を室温でアルゴン雰囲気下で一晩攪拌した。溶媒を除去し、得られた固体を1M HCl(3x50mL)、及びH2O(3x50mL)で洗浄した。凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドが無色の固体(2.01g、3.70mmol、97%)として得た。
−特性評価−
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=8.61 (t, 3H), 8.37 (s, 3H), 3.22 (m, 6H), 1.58 (m, 3H), 1.29 (bs, 24H), 0.88 (m, 18H) ppm. HRMS (ESI-TOF, positive): m/z 544.4485 [M+H]+, C33H58N3O3で計算された: 544.4478. DSC: Tm = 289℃
(実施例22)
N1,N3,N5-tris(2-octyldodecyl)benzene-1,3,5-tricarboxamide
−合成−
ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミド誘導体の基からの凝集セグメントを含む、凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-オクチルドデシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドを合成した。この目的ために、トリエチルアミン(3.40 g)及び2-オクチルドデカン-1-アミンをアルゴン雰囲気下で乾燥DCM(20 mL)に溶解した。乾燥DCM(10 mL)中の1,3,5-ベンゼントリカルボン酸クロリド(2.55 g、9.60 mmol)の溶液を0℃で反応混合物に滴下した。反応混合物を室温でアルゴン雰囲気下で2日間撹拌した。溶媒を除去し、得られた固体を1M HCl(2x50 mL)、H2O(2x50mL)、及びエーテル(25mL)で洗浄し、溶離液としての酢酸エチル/ヘキサン(1:1)を用いて、カラムクロマトグラフィーにより精製した。 凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-オクチルドデシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドは無色の固体として得られた。
−特性評価−
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ=8.34 (s, 3H), 6.37 (t, 3H), 3.41 (m, 6H), 1.63 (m, 3H), 1.32-1.25 (m, 96H), 0.87 (m, 18H) ppm. HRMS (ESI-TOF, positive): m/z 1070.9932 [M+Na]+,C69H129N3O3Naで計算された: 1070.9932 DSC: Tm = 200℃
(実施例23)
N1,N3,N5-tris(2-ethylhexyl)cyclohexane-1,3,5-tricarboxamide
−合成−
溶媒としてのTHF中のPyBOPで促進されたペプチドカップリング反応により、シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボキサミド誘導体の基からの凝集セグメントを含む、凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボキサミドを合成した。この目的のために、シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボン酸(2.00 g、9.25 mmol)、2-エチルヘキサン-1-アミン(4.78 g、37.0 mmol)、及びPyBOP(15.9 g、30.5 mmol)をTHF(100mL)中に懸濁した。DIEA(6.5 mL)を加え、反応混合物を室温で18時間撹拌した。1M HCl(100 mL)を加え、混合物をDCM(3x100 mL)で抽出した。溶媒を除去する前に、有機相をMgSO4で乾燥させた。粗生成物を、溶離液としてDCM/MeOH(96:4)を使用するカラムクロマトグラフィーにより、そして最後にEtOHからの再結晶により精製した。凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボキサミドが無色の固体(2.60 g、4.73 mmol、51%)として得られた。
−特性評価−
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ=7.62 (t, 3H), 2.97 (t, 6H), 2.20 (dd, 3H), 1.67-1.43 (dd, 6H), 1.36 (m, 3H), 1.23 (m, 24H), 0.88-0.81 (m, 18H) ppm. DSC: Tm = 231℃
(実施例24)
N1,N3,N5-tris(2-octyldodecyl)cyclohexane-1,3,5-tricarboxamide
−合成−
溶媒としてのTHF中のPyBOPで促進されたペプチドカップリング反応により、シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボキサミド誘導体の基からの凝集セグメントを含む、凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-オクチルドデシル)シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボキサミドを合成した。この目的のために、シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボン酸(1.00 g、4.63 mmol)、2-オクチルドデカン-1-アミン(4.40 g、14.8 mmol)、及びPyBOP(7.94 g、15.3 mmol)をTHF(100mL)中に懸濁した。DIEA(3.2 mL)を加え、反応混合物を室温で18時間撹拌した。1M HCl(100 mL)を加え、混合物をDCM(3x100 mL)で抽出した。有機相を真空で濃縮した。一晩かけて、収集され、EtOHから再結晶された沈殿物が生じた。凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-オクチルドデシル)シクロヘキサン-1,3,5-トリカルボキサミドが無色の固体(3.40 g、3.22 mmol、70%)として得られた。
(実施例25)
N-acetyl-L-alanyl-L-alanyl-L-alanine (2-octyldodecyl)amide
−合成−
溶媒としてのTHF中のPyBOPで促進されたペプチドカップリング反応により、構造NH-Ala-Ala-Ala-Acを有する凝集セグメントを含む凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドを合成した。この目的ために、N-アセチル-L-アラニル-L-アラニル-L-アラニン(200 mg、0.73 mmol)を、THF(10mL)中の2-オクチルドデカン-1-アミン(181 mg、0.67 mmol)の溶液に加えた。PyBOP(444 mg、0.85 mmol)及びDIEA(0.3 mL)を加え、反応混合物を室温で一晩撹拌した。次に、混合物を1M HClに沈殿させた。沈殿物を最後に水で洗浄し、MeOH含有量を0から5%に徐々に増加させることによりDCMを使用したカラムクロマトグラフィーで精製して、凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドを無色の固体として得た。
−特性評価−
HRMS (ESI-TOF, positive): m/z 575.800 [M+Na]+,C31H60N4O4Naで計算された: 575.83.
官能化ポリマー10及び凝集添加剤20を含む組成物
(実施例26)
−組成物の調製−
実施例1に記載の官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-SBR-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 33500)と、さまざまな量の実施例17に記載の凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-ヘキシルデシル)アミドに基づき、一連の組成物を準備した。この目的のために、Ac-Ala-Ala-NH-SBR-NH-Ala-Ala-Acと異なる量のアセチル-L-アラニル-L-アラニル-(2-ヘキシルデシル)アミドの両方をDCMに溶解した。それぞれの溶液を攪拌せずに2日間平衡化させた。次に、溶媒を真空で除去した。
−熱機械的挙動−
3℃/minの冷却速度で200℃から-60℃で行われる振動せん断レオロジー温度スイープによって、準備された組成物の熱機械的挙動を特徴付けした(表1)。測定の前に、凝集添加剤の解離温度TdをDSCで測定し、レオメーターで試料を溶融状態で、温度において(120℃から200℃の範囲で、20分間の溶融転移より高くなるように選択された)アニールした。軟化温度Tsは、損失係数がtanδ≧1になる温度として導出された。
(表1)
振動せん断レオロジー温度スイープによって取得された、官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-SBR-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 33500)及び凝集添加剤のアセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-ヘキシルデシル)アミドの組成物の熱機械的特性。a純粋な添加剤の溶融転移はDSCによって決定された。
図2は、実施例26の熱機械的挙動のセクションで説明されているように実施されたレオロジー測定のグラフを示す。図2において、純粋な官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-SBR-NH-Ala-Ala- Ac(Mn = 33500)(空の記号)及び凝集添加剤アセチル-L-アラニル-L-アラニル-(2-ヘキシルデシル)アミドを含む組成物(塗りつぶされた記号)、ここで凝集セグメントの合計濃度は5.7wt%に調整される、として、貯蔵弾性率(G')が四角で示され、損失弾性率(G'')が円で示される。例えば、純粋な官能基化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-SBR-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 33500)は、剛性率G'≒1MPa及びかなり広い軟化転移、Ts、損失係数が最終的にtanδ≧1になる温度として定義される、が約98℃としてふるまう。対応する凝集添加剤アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-ブチルオクチル)アミドを添加すると、軟化温度は、材料内の自己凝集化セグメントの全体的な濃度の関数として単調に上昇し、漸近的に添加剤の溶融温度183℃に近づいた。例えば、自己凝集化セグメントの合計濃度を5.7 wt%に調整すると、プラトー係数G’が1MPaを維持しながら、軟化温度Ts=157℃になる。
(実施例27)
−組成物の調製−
実施例7に記載の官能化ポリマーAc-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Gly-Ac(Mn = 30000)と、実施例19に記載の凝集添加剤N-アセチル-グリシル-グリシン(2-エチルヘキシル)アミドに基づき、組成物を準備した。この目的のために、Ac-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Gly-Ac(1.10 g)とアセチル-グリシル-グリシン(2-エチルヘキシル)アミド(55 mg)の両方をDCM(20mL)に溶解した。溶液を攪拌せずに2日間平衡化させた。次に、MeOH(5 mL)を加え、溶媒を除去した。得られた組成物を高真空で120℃でアニールした。
−熱的特性−
組成物中の凝集セグメントAc-Gly-Gly-NHの凝集体の解離温度Tdは、10K/minの加熱速度で示差走査熱量測定によって得られた2番目の加熱曲線から決定され、Ac-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Gly-Ac(Mn = 30000)及びアセチル-グリシル-グリシン(2-エチルヘキシル)アミドの対応する溶融転移と共に、表2に示した。
(表2)
示差走査によって得られた、官能化ポリマーAc-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Gly-Ac(Mn = 30000)と凝集添加剤アセチル-グリシル-グリシン(2-エチルヘキシル)アミドの組成物の熱的特性。加熱速度:10℃/分。
例えば、純粋な官能化ポリマーAc-Gly-Gly-NH-PDMS-NH-Gly-Gly-Ac(Mn = 30000)は、解離温度Td=118℃まで熱可塑性エラストマーとしてふるまった。対応する凝集添加剤のアセチル-グリシル-グリシン(2-エチルヘキシル)アミドを追加すると、自己凝集化セグメントの全体的な濃度の関数として、解離温度が高温に向かって単調に増加した。例えば、4.0wt%の凝集セグメントの全体的な濃度において、解離温度はTd=183℃であった。
(実施例28)
−組成物の調製−
実施例10に記載の官能化ポリマーBTA-PDMS-BTA(Mn = 30000)及び実施例21に記載の凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドに基づく組成物を調製した。この目的のために、BTA-PDMS-BTA(Mn = 30000)(1.00g)及びN1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミド(21mg)の両方をTCEに溶解した。溶液を100℃で1時間撹拌した。次に、溶媒を真空で除去した。
−熱機械的挙動−
組成物中の凝集BTAセグメントの凝集体の解離温度Tdを、10K/minの加熱速度で示差走査熱量測定により得られた2番目の加熱曲線から決定することにより、調製された組成物の熱機械的挙動を特徴付けた(表3)。さらに、温度依存の機械的特性は、150℃から-25℃まで10℃/minの冷却速度で実行される振動せん断レオロジー温度スイープによって決定された。試料を100℃のレオメーターにロードした。
(表3)
官能基化ポリマーBTA-PDMS-BTA(Mn = 30000)と凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドの組成物の熱的特性は、示差走査熱量測定によって得た。加熱速度:10℃/分。a総濃度c(BTA)については、2-エチルヘキシルアルキル鎖なしで、ベンゼントリカルボキサミドコアC6H3(C(=O)NH)3-のみを使用した。
図3は、実施例28の熱機械的挙動のセクションで説明されているように実施されたレオロジー測定のグラフを示す。図3において、実施例10に記載されている純粋な官能化ポリマーBTA-PDMS-BTA(Mn = 30000)(空の記号)、及び凝集添加剤含有量1.8wt%における凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5トリカルボキサミドをさらに含む組成物(黒塗りの記号)として、貯蔵弾性率(G')は四角で示し、損失弾性率(G'')は円で示す。例えば、純粋な官能化ポリマーBTA-PDMS-BTA(Mn = 30000)は、プラトー係数G'≒0.3MPaと、約208℃を中心とする解離温度Tdに関連するかなり広い軟化転移を示す熱可塑性エラストマーとしてふるまう。対応する凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドを添加すると、自己凝集化セグメントの全体的な濃度の関数として、解離温度が高温に向かって上昇した。例えば、凝集添加剤の含有量が1.8wt%と低い場合、解離温度はTd=219℃であったが、プラトー係数G'はわずかに0.4MPaに増加した。
(実施例29)
−組成物の調製−
実施例13に記載されている官能化ポリマーBTA-PDMS-BTA(Mn=50000)及びに実施例21に記載されている凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドに基づく組成物を調製した。この目的のために、BTA-PDMS-BTA(Mn = 50000)(1 g)及びN1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミド(21 mg)の両方をTCE(50mL)中に溶解した。溶液を100℃で1時間撹拌した。次に、溶媒を真空で除去した。
−熱的特性−
組成物中の凝集BTAセグメントの凝集体の解離温度Tdは、10K/minの加熱速度での示差走査熱量測定によって得られた2番目の加熱曲線から決定され、対応するBTA-PDMS-BTA(Mn=50000)及びN1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドの溶融転移とともに表4に示す。
(表4)
官能化ポリマーBTA-PDMS-BTA(Mn=50000)と、凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドの組成物の熱的特性は、示差走査熱量測定によって得た。加熱速度:10℃/分。
例えば、純粋な官能基化ポリマーBTA-PDMS-BTA(Mn = 50000)は、室温で熱可塑性エラストマーとしてふるまい、解離温度Td=205℃を示した。対応する凝集添加剤N1,N3,N5-トリス(2-エチルヘキシル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドを添加すると、自己凝集化セグメントの全体的な濃度の関数として、解離温度が高温に向かって単調に増加した。例えば、1.5wt%の凝集セグメントの全体的な濃度において、解離温度はTd=220℃であった。
(実施例30)
−組成物の調製−
実施例11に記載の官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn=50000)と実施例16に記載の凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドに基づく組成物を調製した。この目的のために、Ac-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 50000)(1g)及びN-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミド(13mg)をTCE(50mL)に溶解した。溶液を100℃で1時間撹拌した。次に、溶媒を真空で除去した。
−熱機械的挙動−
調製された組成物中の凝集セグメントAc-Ala-Ala-NHの凝集体の解離温度Tdは、10K/minの加熱速度で示差走査熱量測定によって得られた2番目の加熱曲線から決定され、対応するAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn=50000)及びN-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドの溶融転移とともに、表5に示す。さらに、200℃から25℃の範囲で10℃/minの冷却速度で行われる振動せん断レオロジー温度スイープによって、調製された組成物の温度依存の機械的挙動を特徴付けた。
(表5)
官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 50000)と凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドの組成物の熱的特性は、示差走査熱量測定により得た。加熱速度:10℃/分。
図4は、実施例30の熱機械的挙動のセクションで説明されているように行われたレオロジー測定のグラフを示す。図4において、純粋な官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 50000)(空の記号)及び凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドをさらに含む組成物(塗りつぶされた記号)、ここで凝集セグメントの総濃度は2.1wt%に調整された、として、貯蔵弾性率(G')が四角で示され、損失弾性率(G'')が円で示される。例えば、純粋な官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 50000)は、プラトー係数G'≒0.6MPa及び約152℃を中心とする解離温度Tdに関連するかなり広い解離転移を示す熱可塑性エラストマーとしてふるまう。対応する凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドを追加すると、自己凝集化セグメントの全体的な濃度の関数として、解離温度が高温に向かって単調に増加した。例えば、凝集セグメントの全体濃度が2.1wt%の場合、解離温度はTd = 211℃であったが、プラトー係数は増加した(G’≒1MPa)。これは、損失係数が最終的にtanδ≧1になる温度として定義される軟化転移Tsの純粋な官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 50000)の場合の147℃から、組成物の場合の165℃までのシフトによってさらに反映される。
(実施例31)
−組成物の調製−
実施例11に記載される官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn=50000)と、実施例18に記載される凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドに基づく組成物を調製した。この目的のために、Ac-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn=50000)(1 g)とN-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミド(18mg)の両方をTCE(50 mL)に溶解した。溶液を100℃で1時間撹拌した。次に、溶媒を真空で除去した。
−熱機械的挙動−
調製された組成物中の凝集セグメントAc-Ala-Ala-NHの凝集体の解離温度Tdは、10K/minの加熱速度で示差走査熱量測定によって得られた2番目の加熱曲線から決定され、Ac-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn=50000)及びN-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドの対応する溶融転移とともに、表6に示される。さらに、10℃/minの冷却速度で200℃から40℃で実行される振動せん断レオロジー温度スイープによって、調製された組成物の温度依存の機械的挙動を特徴付けた。
(表6)
官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 50000)及び凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドの組成物の熱的特性は、示差走査熱量測定により得た。加熱速度:10℃/分。
図5は、実施例31の熱機械的挙動のセクションで説明されているように実施されたレオロジー測定のグラフを示す。図5では、純粋な官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn=50000)(空の記号)及び凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドをさらに含む組成物(塗りつぶされた記号)、ここで凝集セグメントの合計濃度は1.6 wtに調整される、として、貯蔵弾性率(G')が四角で示され、損失弾性率(G'')が円で示される。例えば、純粋な官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 50000)は、プラトー係数G'≒0.6MPa及び約152℃を中心とする解離温度Tdに関連するかなり広い解離転移を示す熱可塑性エラストマーとしてふるまった。対応する凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドを添加すると、自己凝集化セグメントの全体的な濃度の関数として、解離温度が高温に向かって単調に増加した。例えば、凝集セグメントの全体的な濃度が1.6 wt%の場合、解離温度はTd=175℃であり、プラトー係数G'は1MPaを超えていた。これは、損失係数が最終的にtanδ≧1になる温度として定義される軟化転移Tsの、純粋な官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH- Ala-Ala-Ac(Mn = 50000)から組成物の176℃までのシフトによってさらに反映される。
(実施例32)
−組成物の調製−
実施例6に記載の官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 30000)と、さまざまな量の実施例18に記載の凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドに基づいて、一連の組成物を調製した。この目的のために、Ac-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 30000)とN-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドの両方をTCEに溶解した。それぞれの溶液を100℃で1時間攪拌した。次に、溶媒を真空で除去した。
−熱機械的挙動−
3℃/minの冷却速度で200℃から0℃まで実行される振動剪断レオロジー温度スイープによって、調製された組成物の熱機械的挙動を特徴付けた。測定の前に、材料中の凝集セグメントAc-Ala-Ala-NHの解離温度TdがDSCによって決定され(表7)、試験片はレオメーターで溶融状態で、溶融転移より高くなるように選択された温度でアニールされた。
(表7)
官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 30000)と凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドの組成物の熱特性は、示差走査熱量測定により得られた。加熱速度:10℃/分。
図6は、実施例32の熱機械的挙動のセクションに記載されるように行われたレオロジー測定のグラフを示す。図6では、純粋な官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 30000)(空の記号)及び凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドをさらに含む組成物(塗りつぶされた記号)、ここで、凝集セグメントの合計濃度は3.3 wt%に調整された、として、貯蔵弾性率(G')が四角で示され、損失弾性率(G'')が円で示される。例えば、純粋な官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 30000)は、プラトー係数G'≒0.1MPa及び約140℃を中心とする解離温度Tdに関連するかなり広い解離転移を示す熱可塑性エラストマーとしてふるまう。対応する凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-オクチルドデシル)アミドを添加すると、自己凝集化セグメントの全体的な濃度の関数として、解離温度が高温に向かって単調に増加し、凝集添加剤の溶融温度(Td=186℃)に近づく。例えば、3.3wt%の凝集セグメントの全体的な濃度において、解離温度はTd=181℃でしたが、プラトー係数は1桁増加した(G’≒1MPa)。これは、損失係数が最終的にtanδ≧1になる温度として定義される軟化転移Tsの純粋な官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PDMS-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 30000)の場合の126℃から組成物の場合の159℃までのシフトによってさらに反映される。
(実施例33)
−組成物の調製−
実施例15に記載の官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PE-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 29000)及び実施例16に記載の凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドに基づく組成物を調製した。この目的のために、Ac-Ala-Ala-NH-PE-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 29000)(285 mg)とN-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミド(15 mg)をTCE(15mL)に溶解した。溶液を100℃で1時間撹拌した。次に、溶媒を真空で除去した。
−熱的特性−
組成物中の凝集Ac-Ala-Ala-NHセグメントの凝集体の解離温度Tdは、10K/minの加熱速度で示差走査熱量測定によって得られた2番目の加熱曲線から決定され、Ac-Ala-Ala-NH-PE-NH-Ala-Ala-Ac(Mn = 29000)及びN-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドの対応する溶融転移とともに、表8に記載した。
(表8)
官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PE-NH-Ala-Ala-Ac(Mn=29000)と凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドの組成物の熱特性は、示差走査熱量測定により得た。加熱速度:10℃/分。
例えば、純粋な官能化ポリマーAc-Ala-Ala-NH-PE-NH-Ala-Ala-Ac(Mn=29000)は、室温で熱可塑性ポリマーとして挙動し、PEセグメントの融解温度を超える解離温度Td=155℃を示した。対応する凝集添加剤N-アセチル-L-アラニル-L-アラニン(2-エチルヘキシル)アミドを追加すると、自己凝集化セグメントの全体的な濃度の関数として、解離温度が高温に向かって大幅に上昇した。例えば、4.0wt%の凝集セグメントの全体的な濃度では、解離温度はTd=229℃であった。