JP2021507459A - 運動量分解型光電子分光装置および運動量分解型光電子分光法 - Google Patents

運動量分解型光電子分光装置および運動量分解型光電子分光法 Download PDF

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Abstract

本発明は、物理学の分野に関連し、また物性を特定可能な運動量分解型光電子分光装置に関する。本発明の課題は、装置構成要素の簡単な構造が、格段に小さな構造容積で実現される運動量分解型光電子分光装置を示すことである。この課題は、本発明による運動量分解型光電子分光装置によって解決され、この運動量分解型光電子分光装置には、光軸の方向に相前後して、少なくとも真空中に配置されている複数の構成要素が含まれており、これらの構成要素はそれぞれ、少なくとも1つの電子放出試料および集束システムであり、この集束システムは、少なくとも1つの電子レンズと少なくとも1つの検出器とから構成されており、電子レンズは、3つの円筒形構成要素から構成されており、第1の円筒形構成要素は、電位はゼロを有し、かつ後続して配置されている2つの円筒形構成要素は、電位は非ゼロを有し、検出器は、電子レンズの焦平面に配置されている1つ以上の空間分解型検出器である。

Description

本発明は、物理学の分野に関連し、また運動量分解型光電子分光装置に関し、この運動量分解型光電子分光装置により、かつ運動量分解型光電子分光法により、材料の物性を、そのエネルギ分布と電子構造に基づいて特定することが可能である。
例えば電気抵抗、光学吸収、塑性などのような材料の物性は、材料の電子構造によって決定される。したがって、材料の電子構造の該博かつ詳細な知識を得ることは有利でありかつ必要である。さらにこれらの知識は、新たな化合物および/または物性を予測するためにも役立てることが可能である。同様にこれらの知識があれば、これらの特性を考慮して、例えばトランジスタまたは太陽電池のような電子構成部材を構成することも可能である。
材料の電子構造を特定するためには、材料における電子の挙動および特にそのエネルギおよびその運動量を特定しなければならない。
運動量は、電子の力学的な運動状態を表す。運動量は、運動エネルギとは異なり、ベクトル量であり、したがって大きさおよび方向を有する(Wikipedia、見出し語Impuls(運動量))。
固体における電子のエネルギおよび運動量を特定する最もよく知られた方法は、アインシュタインがノーベル賞を受賞することになった光電効果のアインシュタイン保存則を使用することである。このために、実験において、金属表面に衝突する単色光によって表面から電子が放出させられる。これらの光電子は、材料における電子のエネルギおよび電子の運動量について情報を有する。すなわち、表面から放出される際の電子の運動エネルギおよび電子の方向、つまりそれらの運動量を特定することができれば、材料の物性を推定することができる。
しかしながらこれは、少なくとも以下の理由から容易に実現することはできない。というのは、エネルギおよび運動量を特定する際には、多くの条件を考慮しなければならないからである。
例えば、材料の表面は原子レベルで清浄でなければならず、これは超高真空(UHV:ultra high vacuum)においてのみ実現可能である。このことはさらに、光電子の放出および特定が、一般に、またそれらの方向において、同様にUHVで行われなければならないことになり、技術的な選択肢が大きく制限されてしまう。
さらに、光および光電子の経路に沿って検出器まで、外部の電場および磁場を大きく阻止し、かつ/またはシールドしなければならない。なぜならば、そうでなければ、測定結果の変化が生じてしまい、この変化が、誤った結果に結び付いてしまうからである。
情報が多くかつ意義のある測定結果を得るためには、可能な限りに多くの個数の放出された光電子のエネルギおよび運動量を特定しなければならないが、これにはコストのかかる検出装置が必要である。
このためには、電子のエネルギ分析および運動量分析に使用される電子分光装置が使用される。この電子分光装置は一般に、レンズと、特定の運動方向を有する特定のエネルギの電子を通過させる分析装置とから構成され、ならびに検出器(Wikipedia、見出し語Elektronenspektrometer(電子分光装置))から構成される。
電子分光装置におけるレンズは、電子レンズである。電子レンズは、均一でない電場および/または磁場によって、電子ビームを偏向する構成部材である。光学レンズと同様に、電子レンズを用いて、一点から種々異なる方向に放射されるビームを、元のように一点に結像することができる(www.spektrum.de/lexikon/physik/elektronenlinsen)。
電子レンズは一般に、ポテンシャル場を有する複数のチューブレンズまたは開口部から組み立てられている。電子レンズの種々異なる電位により、電子レンズは、集束レンズまたは発散レンズとして作用する。これにより、電子についてのポテンシャル場を形成することができ、このポテンシャル場は、一方では電子を加速または減速することでき、他方では電子を特定の所望の一点に集束することができる。
分析装置は、電子用の入口スリットと、検出器に至る出口スリットまたは複数の空間分解型検出器とを有する。電子エネルギをフィルタリングするために、電場または磁場における電子の偏向が利用される。ここでは、特定の角度範囲で一方向に入口スリットに当たる特定のエネルギ(パスエナジ)の電子だけが、入口スリットおよび出口スリットを通過することができる。このフィルタのパスエナジは、電圧を変化させることによって制御され、これにより、この場合には、別のエネルギを有する電子も通過可能である。
種々異なるパスエナジについて、通過した電子が検出器によってカウントされ、特定の方向の電子の個数の分布として表される。この場合、複数の方向の電子の個数の分布を特定することにより、これらの複数の方向にわたって電子のエネルギ分布が特定され、多くの場合に画像で表示することが可能である。
これらの検出器は、例えば、マイクロチャネルプレート(MCP:micro channel plate)と蛍光スクリーンとから構成される空間分解型検出器である。
これらの試験を実現するために、角度分解光電子分光法(ARPES:angle-resolved photoemission spectroscopy)のための複数の装置がすでに公知である。これらの装置を用いれば、材料の電子構造を直接、研究することが可能である。このような電子分析装置の究極の課題は、光電子が材料の表面から出る際の運動エネルギおよび方向を特定することである。これらの装置は、3つのクラス、すなわち、ディスプレイ型の電子分析装置と、半球形電子分析装置と、飛行時間型電子分析装置とに分類可能である。
第1のクラスの典型的な代表例は、メッシュ装置に基づく分光装置である。試料を出た電子は、ハイパスフィルタおよびローパスフィルタとして作用しかつ検出器に到達させてカウントしようする電子だけを選別する複数の球形メッシュを通って飛行する。ディスプレイ型のこの電子分析装置の利点は、運動量空間の比較的大きな部分を直ちに試験できる(受光角が大きい)ことであり、この構成物には、一般に、ミラーおよび球状メッシュを含む多くの構成要素が含まれている(D. Rieger等によるNucl. Instr. Methods、208、777 (1983);H. Matsuda等によるJ. Electron Spectrosc. Relat. Phenom. 195、382-398 (2014))。球形メッシュにより、メッシュセルの最終的な大きさに関連し、マイクロレンズ作用に起因して、分解能が制限される。その結果、このような分光装置のエネルギ分解および運動量分解は、半球形電子分析装置によって達成可能なものと比べると、比較的悪い。
このような半球形電子分析装置は、上記のクラスのうちで最も成功した装置である。そのエネルギ分解は、その角度分解が0.2°にまでにもなり得るのに対し、meV以下レベルに達することが可能である。これは、電子レンズと2つの半球との巧妙な組み合わせによって実現される(N. Martensson等によるJ. Electron Spectrosc. Relat. Phenom. 70、117-128、(1994))。
まず、5〜7個の構成要素から構成される電子レンズにより、電子ビームを分析装置の入口スリットに投影する。電子光学系は、入口スリットが、電子レンズの焦平面に位置するように調整される。このことが意味するのは、特定の角度で試料表面を出た電子が、この平面の特別な半径を有する円の位置することである。この結果、入口スリットの中心からの距離は、電子間で区別を行いかつ角度分布を測定する好都合なオプションである角度に対応する。引き続き、入口スリットを通過したこれらの電子のすべてのエネルギを分析する。
これらの解決手段の欠点は、すべての光電子のわずかな部分しか同時に分析できないことである。残りを処理するためには、UHVにおいては困難な作業である試料の回転を行わなければならないか、または別の電子ビームを入口スリットに投影できるようにするためにレンズ構成要素の電圧を変化させなければならないかのいずれかである。このような半球形電子分析装置の欠点を改善するための2つの解決手段により、一定の程度までの改善が得られるが、この場合に適合させなければならない多くのパラメータにより、測定には非常に長い時間がかかり、また電子分析装置における多くの器材が必要であり、これには大きなコストがかかる。
欧州特許第2851933号明細書からは、荷電粒子のパラメータを決定する方法と、粒子放出試料を分析するための半球形偏向器タイプの光電子分光装置とが公知である。この電子分光装置は、測定領域と、実質的に一直線の光学軸を備えたレンズシステムと、粒子ビームを少なくとも2回、偏向する偏向装置と、測定領域における荷電粒子の位置を2次元で検出することが可能な検出装置と、偏向装置を制御する制御ユニットとから構成されている。
飛行時間電子分析装置は、同じ名前の飛行時間(TOF:Time-of-Flight)技術によって動作する(R. Ovsyannikov等によるJ. Electron Spectrosc. Relat. Phenom. 191、 92-103 (2013))。半球形電子分析装置とは異なり、このTOF電子分析装置は、入口スリットおよび半球を有しない。電子は球において集められ、それらのエネルギおよび運動量は同時に測定される。エネルギのフィルタリングは、検出器が、試験対象の試料から遠く離されて配置され、電子の飛行時間が分光装置によって測定されることによって行われる。このためにマイクロチャネルプレート(Microchannelplate)検出器と、遅延線路検出器(delay-line detector)とが使用されることが多い。
国際公開第2011/019457号によれば、試料の粒子ビームの運動エネルギを特定可能な飛行時間電子分析装置が公知であり、この飛行時間電子分析装置は、第1、第2および第3のレンズシステムならびに90°のバンドパスフィルタから構成されており、このバンドパスフィルタからは、導電性の2つの球状プレートが、第1および第3のレンズシステムに接続されており、またこの飛行時間電子分析装置は、ターゲットから反射した後の、光電子放出された電子を捕捉する高速度のマルチチャネル検出器(MCP)を有する。
TOF電子分析装置を用いたこの方法の重大な欠点は、主に、比較的幅狭いパルス幅を有するパルス放射を実現しなければならないことである。したがってシンクロトロン放射光の使用は、シングルバンチ動作モードに限定され、適切な情報率を提供するためには、実験室のレーザの繰り返し率は不十分であることが多い。
材料の電子構造を特定する従来技術の装置のすべてについていえるのは、光電子の特定の運動エネルギにおいて、運動量の所望の分布を特定するために、それぞれ多くの測定が必要であることである。またこのような測定には、かさばりかつコストのかかる装置も必要になることが多い。
本発明の課題は、装置構成要素の簡単な構造が、格段に小さな構造容積で実現され、また特定の運動エネルギにおける光電子の運動量の分布の特定が、運動量分解型光電子分光法により、格段に容易かつ効率的に実現される運動量分解型光電子分光装置を示すことにある。
この課題は、請求項に示した本発明によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項の対象である。
本発明による運動量分解型光電子分光装置には、光軸の方向に相前後して、少なくとも真空中に配置されている複数の構成要素が含まれており、これらの構成要素はそれぞれ、少なくとも1つの電子放出試料および集束システムであり、集束システムは、少なくとも1つの電子レンズと、少なくとも1つの検出器とから構成されており、電子レンズは、光軸の方向に相前後しかつ互いに特定の間隔で配置されている3つの円筒形構成要素から構成されており、第1の円筒形構成要素は、電位=0(ゼロ)を有し、かつ後続して配置されている2つの円筒形構成要素は、電位≠0(非ゼロ)を有し、これら2つの円筒形構成要素は、同じ電位を有さず、集束システムにより、それぞれ実質的に同じ運動エネルギを有する電子を集束して検出し、これらの電子のうち、同じ運動量で電子放出試料を出た電子が、この同じ運動エネルギについての、集束システムの焦平面における実質的に一点に集束され、検出器は、集束システムの焦平面に配置されている1つ以上の空間分解型検出器であり、集束システムでは、電子レンズの円筒形構成要素および/または検出器に、変化させた電圧を印加することにより、集束対象でありかつ検出対象である電子のフェルミエネルギまでの運動エネルギの下限を設定可能である。
有利には、構成要素は、少なくとも測定中に高真空または超高真空状態にあるチャンバに配置されている。
さらに電子放出試料は有利には、検査対象の材料から構成されている。
同様に有利には、集束システムの電子レンズにより、電場が生成され、この電場により、電子の特定の運動エネルギについての焦平面が生成され、この焦平面では、上記の特定かつ同じ運動エネルギおよび同じ運動量を有する電子の集束が実現される。
また有利には、集束システムの電子レンズは、容器から構成されており、この容器は、円筒形状入口開口部を有しかつこの容器内には別の2つの円筒形構成要素が相前後して配置されている。
少なくとも1つの検出器が、電子レンズの焦平面にマイクロチャネルプレートとして配置されていることも有利であり、ここではさらに有利には、1つ以上の検出器は、容器内で光軸に対して横方向に、3つの円筒形構成要素の後ろに配置されている。
さらに、検出器の前にメッシュが配置されていると有利であり、これらのメッシュは、有利には容器にも、かつ/または有利には電子レンズの焦平面にも配置されている。
電子レンズおよび/または電子レンズの焦平面おける検出器は、電圧を印加することにより、集束対象でありかつ検出対象である電子の運動エネルギの検出可能性が変更できるように構成されていることも有利である。
本発明による運動量分解型光電子分光法では、電子放出試料から電子を放出させ、集束システムを通過させて案内し、この集束システムによって電場を生成し、この電場により、特定の運動エネルギに対応付けられる集束システムの焦平面において、所望の運動エネルギからフェルミエネルギまでの電子の集束を実現し、この所望の運動エネルギおよび実質的に同じ運動量を有するすべての電子、すなわち電子放出試料からの実質的に同じ出射方向のすべての電子を、集束システムの焦平面における検出器の実質的に一点に集束して検出する。
有利には、シンクロトロン放射光、レーザビーム、またはヘリウムランプのような別のビーム源のビームの形態の光子ビームを用いて、電子放出試料の表面から電子を放出させる。ここで、さらに有利には光子ビームは、単色の光子ビームである。
同様に有利には、実質的にフェルミエネルギを有する電子だけを集束システムによって集束して検出する。
さらに、有利には、電子レンズおよび/または集束システムの焦平面における検出器に、変化させた電圧を印加することにより、集束対象の電子のフェルミエネルギまでの所望の運動エネルギを設定する。
また有利には、集束システムにより、検出対象の電子の所望の運動エネルギを下回る運動エネルギを有する実質的にすべての電子を検出器の前で減速し、これによってこれらの電子が検出されないようにする。
集束システムにより、検出対象の電子のフェルミエネルギまでの所望の運動エネルギを有する実質的にすべて電子を、検出器の前で加速して検出することも有利であり、さらに、有利には、電子レンズの焦平面における検出器の前のメッシュを用いて、フェルミエネルギまでの所望の運動エネルギを有する検出対象の電子の加速を実現する。
さらに、フェルミエネルギを下回る所望の運動エネルギにおいて、電子の運動量分布を特定するために、フェルミエネルギまでの所望の運動エネルギを有する電子の集束を実現して運動量分布を特定し、引き続いて、フェルミエネルギまでのより高い運動エネルギを有する電子の集束を実現して運動量分布を特定し、引き続いて、所望の運動エネルギにおける運動量分布から、より高いエネルギにおける運動量分布を取り除くと有利である。
同様に、放出された電子の運動エネルギに依存して、その電子の運動量分布を画像表示として特定すると有利である。
また、放出された電子の運動量分布の特定した値から、それらのエネルギに依存して、電子放出試料の物性についての情報を導出することも有利である。
本発明の解決手段によってはじめて可能になるのは、装置構成要素の簡単な構造が、格段に小さな構造容積で実現され、また特定の運動エネルギにおける光電子の運動量の分布の特定が、運動量分解型光電子分光法により、格段に容易かつ効率的に実現される運動量分解型光電子分光装置を示すことである。
これは、光軸の方向に相前後して、少なくとも真空中に配置されている複数の構成要素を有する運動量分解型光電子分光装置によって実現され、これらの構成要素はそれぞれ、少なくとも1つの電子放出試料、ならびに電子レンズおよび検出器を備えた集束システムである。
入口スリットを備えた繁雑な半球装置は不要である。
これらの必要なすべての構成要素は、少なくとも真空中に配置されており、これは、有利にはチャンバ内で実現され、真空は有利には高真空または超高真空である。超高真空は、本発明において、10−7〜10−10hPaの範囲にあるとよい。
電子放出試料は、少なくとも部分的に、かつ電子を放出させるために光電子ビームが衝突する領域において、検査対象の材料から構成される。
さらに本発明では、電子レンズと検出器とから構成される集束システムが設けられている。
本発明による電子レンズにより、それぞれ実質的に同じ運動エネルギを有する電子と、これら電子のうちで、実質的に同じ出射方向で電子放出試料を出た電子とが、所望の運動エネルギに対応する、電子レンズのそれぞれの焦平面において実質的に一点に集束される。検出器は、それぞれこの焦平面内に設けられている。
特定の運動エネルギE1および同じ出射方向を有する電子を集束して検出するために、集束システムにより、運動エネルギE1についての焦平面を生成する電場が形成される。焦平面は、光軸と交わり、かつ電子放出試料から異なる間隔で、光軸に沿って生成されてよい。この場合に検出器は、この焦平面内にある。
別の特定の運動エネルギE2を有する電子、および別の運動エネルギを有するが同じ出射方向を有する電子を集束して検出するために、集束システムによって生成される焦平面は、光軸に沿って、電子放出試料から別の間隔の位置にある。
電子レンズは、本発明による装置の光軸の方向に相前後しかつ互いに特定の間隔で配置されている3つの円筒形構成要素から構成されている。第1の円筒形構成要素は、電位=0(ゼロ)を有し、かつ後続して配置されている2つの円筒形構成要素は、電位≠0(非ゼロ)を有し、これらの2つの円筒形構成要素は、同じ電位を有しない。
これらの円筒形構成要素により、これらの内部にポテンシャル場が形成され、このポテンシャル場により、電子放出試料から出た電子が集束される。集束しようとしている電子は、一方では、運動エネルギの共通の下限を上回る同じ運動エネルギをそれぞれ有し、かつ電子放出試料からのそれぞれ同じ出射方向を有する。これらの電子はすべて、集束システムのそれぞれの焦平面において一点に集束される。
本発明による解決手段にとって重要であるのは、電子放出試料から放出された電子が、電子放出試料の材料の結晶における、それらのエネルギに対応する運動エネルギを有することである。
周知のように、電子の最大のエネルギ、いわゆるフェルミエネルギが存在する。電子は、より大きなエネルギを有することはできない。ここでも、これらの電子の運動エネルギは、結晶におけるフェルミエネルギに対応し、以下ではフェルミエネルギとも称する。
電子の最大のエネルギが存在し、ひいては電子放出試料の電子の最大の運動エネルギも存在することを前提とすると、より小さいまたはフェルミエネルギを有する電子だけを集束して検出することが可能である。
本発明による装置の特別な利点は、異なる運動エネルギおよび出射方向を有する電子を集束することができ、これにより、それぞれの焦平面において、複数の個別の点を検出できることにある。
本発明による解決手段にとって重要であるのは、上記の装置を用いて、電子レンズおよび/または検出器によってポテンシャル場を設定することにより、また電子レンズ内に、かつ検出器の前にメッシュを組み込むことにより、検出対象の運動エネルギの下限を定められることである。所望の下限を下回る運動エネルギを有する電子は、減速され、したがって検出されない。この場合に、フェルミエネルギを有する電子までの、設定した所望の下限を上回る運動エネルギを有するすべての電子は、集束して検出することが可能である。
本発明の枠内において、電子レンズの焦平面とは、同じ運動エネルギを有するすべての電子が、集束システムのそれぞれポテンシャル場によって生成されるそれぞれの焦平面に集束されることと理解される。この場合、x方向およびy方向に同じ角度で電子放出試料を出た、この運動エネルギを有するすべての電子は、この面の一点に集束される。この場合、この運動エネルギを有する電子、および別の運動エネルギを有するが同じ出射角度を有する電子は、焦平面の別の一点に集束される。この場合、同じ運動エネルギを有する、電子放出試料から出たすべての電子は、この焦平面のどこかの点に集束され、これにより、複数の焦点からなる焦平面が得られる。
電子レンズの焦平面は、有利には、2次元空間のただ1つの平面だけではなく、3次元空間の曲面であってもよく、この曲面は、例えば、湾曲しているか、または球状に形成されているか、または曲面内に1つ以上の凹部および凸部を有していてよい。
有利には電子レンズおよび検出器は、チャンバ内の容器に配置可能であり、この容器は、有利には電子レンズの構成要素である電子入口開口部を有する。
電子の集束は、異なる電位を有する電子レンズおよび検出器の円筒形構成要素によって形成される電場によって行われる。
集束システムの電子レンズは、本発明では、光軸の方向に相前後して配置されている3つの円筒形構成要素から構成されている電子レンズである。
検出器は、1つ以上の空間分解型検出器であり、すべての検出器は、電子レンズのそれぞれの焦平面に配置されている。これらの検出器は、本発明による装置の光軸に、電子放出試料を起点として異なる間隔でスライド可能に配置可能であり、これにより、これらの検出器は、複数の焦平面において連続して電子を検出可能である。しかしながら集束システムによって電場を変更することにより、検出器の位置に焦平面をそれぞれ形成することも可能である。
有利には、少なくとも1つの検出器は、電子レンズの焦平面にマイクロチャネルプレートとして構成されている。
本発明による集束システムの特別な利点は、光軸の方向において1つまたは複数の検出器の前にメッシュを配置できることであり、これらのメッシュにより、電子レンズの検出器の前で、所望の運動エネルギを有する検出対象の電子の加速が実現され、これにより、電子は、検出器により、より良好に検出可能になる。このために、電子を減速する電圧は、検出器だけに印加することが可能であるか、または検出器ではなくメッシュに印加することも可能である。後者の場合、メッシュと検出器表面との間には、通過して到来する電子を加速する別の電圧が印加される。検出器の前にこのようなメッシュを使用する場合、メッシュは、電子レンズの焦平面に位置決めされ、検出器はそのすぐ後ろに、多くの場合に数センチメートルだけの間隔で位置決めされる。
集束システムを用いることにより、さらに、容器および/または電子レンズおよび/または検出器に、変化させた電圧を印加することにより、また電子レンズの焦平面を生成することにより、集束対象でありかつ検出対象である電子の運動エネルギの下限を設定可能である。
ここでは、電子放出試料から放出されかつ集束システムによって集束された電子用の入口スリットを有する分析装置を設けることも可能である。しかしながら本発明では、これは必須ではない。
有利には、電子レンズおよび電子レンズの焦平面における検出器は、または電子レンズだけは、電圧を印加することにより、集束対象でありかつ検出対象である電子の運動エネルギの検出可能性が変更でき、また電子放出試料からの電子の出射角度が変更できるように構成可能である。
本発明による運動量分解型光電子分光法では、電子放出試料から電子を放出させ、集束システムを通過させて案内し、この集束システムによって電場を生成し、この電場により、所望の運動エネルギの電子の集束を、この運動エネルギについて生成した、電子レンズの焦平面において実現し、この所望の運動エネルギおよび実質的に同じ運動量を有するすべての電子、すなわち電子放出試料からの実質的に同じ出射方向のすべての電子を、電子レンズのそれぞれ焦平面における検出器の実質的に一点において集束して検出する。
検出器に電子が衝突すると、放出された電子の運動量分布が特定される。
本発明の枠内において、電子の運動量とは、x方向およびy方向における角度対または極座標の偏角および方位角によって特定される出射方向で、電子放出試料の検査対象の材料の表面から電子が出る運動量のことと理解される。
運動エネルギとは異なり、運動量はベクトル量であり、したがって大きさおよび方向を有する。運動量の方向は、対象体の運動方向である。運動量の大きさは、対象体の質量と、その重心の速度との積である(Wikipedia、見出し語Impuls(運動量)を参照されたい)。
有利には、シンクロトロン放射光、レーザビーム、またはヘリウムランプのような別のビーム源のビームの形態の光子ビームを用いて、電子放出試料の表面から電子を放出させ、次にこれらの電子が集束されて検出される。有利には、電子放出試料から電子を放出させる光子ビームは、単色である。
特定の所望の運動エネルギとして、特に、電子のフェルミエネルギが重要である。したがって特に有利であるのは、特に、実質的にフェルミエネルギを有する電子だけが、本発明による装置によって検出されることである。このことは特に重要である。というのは、実質的に、検査対象のすべての電子放出試料について、フェルミエネルギにおける運動量分布は、実質的に、電子放出試料の材料の物性についてのすべての情報または最も重要な情報を含んでいるからである。
ここで特に有利であるのは、フェルミエネルギにおける運動量分布を特定するために、本発明による装置による1回の測定だけが必要であることである。というのは、運動エネルギの所望の下限は、同時に最大の運動エネルギだからである。
電子のフェルミエネルギとは別の運動エネルギにおいて、運動量分布を特定するために、以下の、本発明による手順を実現するとよい。
本発明では、フェルミエネルギよりも低い任意の別のエネルギにおいて、放出された電子の運動量分布が検出される。
これは、有利には、集束対象の電子の運動エネルギの所望の下限を設定することにより、電子レンズおよび/または検出器に、変化させた電圧を印加することによって実現可能である。これにより、所望の運動エネルギよりも低いエネルギを有するすべての電子が減速され、検出器には到達しない。
次に、運動エネルギの下限として定めた第1の測定のエネルギよりもわずかに大きなエネルギにおいて、電子放出試料から放出された電子の運動量分布を特定する。
引き続き、わずかに大きな運動エネルギにおける運動量分布を、より小さい運動エネルギにおける運動量分布から取り除く。
測定を行ったそれぞれ設定した運動エネルギの差分により、小さい運動エネルギにおける運動量分布の確かさが特定される。
さらに、本発明による集束システムにより、有利には、検出対象の電子の所望の運動エネルギを有しない実質的にすべての電子を検出器の前で減速することができ、したがって検出されることはない。この解決手段により、あたかもローパスフィルタのような作用が得られる。
しかしながら他方において、有利には、本発明による集束システムにより、フェルミエネルギまでの検出対象の所望の運動エネルギを有する実質的にすべての電子を検出器の前で加速してより効率的に検出することも可能である。
これは、例えばメッシュを用いて実現可能である。
さらに、放出された電子のエネルギに依存して、この電子の運動量分布を画像表示として実現できることは、本発明による解決手段の利点である。
本発明による光電子分光装置を用いることにより、本発明による運動量分離型光電子分光法を実現可能である。
有利であるのは、本発明による方法と、本発明による運動量分解型光電子分光装置とを用いることにより、例えばメッシュまたは半球形分析装置などの高価かつ繁雑な構成要素を省略できることである。同様に、慣用の光源を用いて作業可能である。
本発明による解決手段を用いることにより、電子の所望の運動エネルギにおいて、良好から極めて良好な範囲で運動量分解が特定可能である。運動量分解は、運動量分布の確かさについての一尺度である。
信号は同時に、検出対象の空間(運動量空間)の大部分から30°までの立体角において得ることができ、これは、本発明によるのでなければ、ToFおよびディスプレイ型分析装置だけによって可能である。さらに、運動量分布は、本発明による解決手段により、電子レンズの焦平面における検出器にほとんど直接、結像され、この際には運動量分布を角度分布から新たに計算する必要がない。
従来技術の解決手段と、本発明による解決手段との実質的な違いは、特に、電子放出試料から特定の出射方向だけにおいて放出された、種々異なる運動エネルギの電子が、検出されるのではなく、特定の所望の運動エネルギを有する電子が、それぞれの出射方向(すなわち運動量)で集束されて検出されることにある。
これにより、実質的に2回の測定により、電子放出試料の電子の特定の所望の運動エネルギにおいて運動量分布を特定し、電子放出試料の物性を直ちに推定することができる。
電子のフェルミエネルギにおける測定の場合、1回の測定だけが必要である。というのは、材料の結晶には、フェルミエネルギよりも大きな運動エネルギを有する電子は存在しないからである。
電子の所望のエネルギにおける運動量分布は、従来技術の解決手段によれば、格段に多くの測定回数によって、かつ/または格段に多くの装置コストによってのみ特定可能である。
このような理由から、また構成要素の本発明による配置構成およびこれらの連係に起因して、本発明の方法を使用する際には、検出中に電子放出試料を動かすかつ/または回転させる必要もない。
同時に、本発明による解決手段により、電子のより高い透過率と、ひいては検出器における電子のより高い強度とが達成され、これにより、特定したデータの評価のために、より高い情報率が得られる。
同様に、本発明による運動量分解型光電子分光装置の比較的大きな受光角に相まって、1つまたは複数の検出器におけるデータ検出が格段に高速になり、これにより、電子放出試料からより多くの情報を収集することも可能になる。
以下では、1つの実施例について本発明をより詳しく説明する。
実施例1
10−10hPaまで真空化可能な真空チャンバにおいて、電子放出試料を起点として光軸の方向に、電子放出試料および集束システムが相前後して配置されている。
電子放出試料は、TaSeから成り、以下の寸法、すなわち1mmの表面直径と、0.2mmの高さを有する。
集束システムは、1つの電子レンズと1つの検出器とから構成されている。
電子レンズは、長さ108mmおよび140mmの直径を有する円筒形容器と、30mmの直径および15mmの長さの円筒形入口開口部とから構成されている。
この容器には、それぞれ49mmの半径と、35mmの第1円筒形の長さおよび42mmの第2円筒形の長さとを有する2つの円筒形構成要素が、5mmの間隔で光軸の方向に相前後して配置されている。容器の入口開口部に並んでいる円筒形構成要素は、円筒形入口開口部の内側エッジから11mmの間隔で離れたところにある。
これらの2つの円筒形構成要素と、容器の円筒形入口開口部とが連係して電子レンズを構成する。
試料は、容器開口部から28mm離れて配置されている。
検出器は、直径75mmの円形のマイクロチャネルプレートであり、このマイクロチャネルプレートは、試料から130mmの間隔で、すなわちまだ第2の円筒形構成要素の内部において、光軸に対して横方向に容器に配置されており、またこのマイクロチャネルプレートは、その後ろに配置されている蛍光スクリーンに接続されている(従来技術の設計、いわゆるMCPアセンブリまたはMCP取り付け)。
電子は、21.2eVの光子エネルギを有するHeランプのビームによって試料表面から放出される。TaSeの約4.2eVの仕事関数に起因して、電子は、試料の温度に依存して、〜17eVの最大運動エネルギを有する。このエネルギはフェルミエネルギであり、対応する運動量分布は、いわゆるフェルミ面である。TaSeのフェルミ面を記録するために、集束を行う構成要素に以下の電圧、すなわち、
容器V=0V;
第1の円筒形V=−16.8V;
第2の円筒形V=−16.65V;
検出器表面V=−17V
を印加する。
この設定により、17eVより小さいエネルギを有するすべての電子は、減速されて検出器に到達しない。フェルミエネルギを有する電子は、電子レンズによって焦平面に集束され、マイクロチャネルプレートの表面に衝突する。ここでは、試料の表面を出た、フェルミエネルギを有するすべての電子が集束され、同じ出射方向を有する、すなわち同じ運動量を有するすべての電子は、検出器表面の特定の一点に集束される。
電子の運動量は、フェルミエネルギにおいて出射方向によって定められるため、検出器(MCP)の表面における強度分布は、TaSeのフェルミ運動量分布またはフェルミ面に直接対応する。この強度分布は、検出器(MCP)によって増幅され、接続された蛍光スクリーンにおいて見ることができる。これは、真空カメラの外部からCCDカメラにより、窓フランジを通して撮影可能である。
実施例2
フェルミエネルギを下回るエネルギ(例えば16.98eV)を有する電子の運動量分布を記録するために、すべてのマイナスの電圧を比例して減少させる(V=0V、V=−16.78V、V=−16.63V、V=−16.98V)。
この場合、16.98eV以上でありかつフェルミエネルギまでのエネルギを有するすべての電子が、検出器に到達する。この場合、16.98eVにおける運動量分布を特定するために、同じ試料の電子のフェルミエネルギにおける運動量分布が取り除かれ、これにより、16.8eVの運動エネルギを有する電子の所望の運動量分布が得られる。

Claims (19)

  1. 運動量分解型光電子分光装置であって、
    前記運動量分解型光電子分光装置には、光軸の方向に相前後して、少なくとも真空中に配置されている複数の構成要素が含まれており、前記構成要素はそれぞれ、少なくとも1つの電子放出試料および集束システムであり、
    前記集束システムは、少なくとも1つの電子レンズと少なくとも1つの検出器とから構成されており、
    前記電子レンズは、前記光軸の方向に相前後しかつ互いに特定の間隔で配置されている3つの円筒形構成要素から構成されており、
    第1の前記円筒形構成要素の電位はゼロであり、かつ後続して配置されている2つの前記円筒形構成要素の電位は非ゼロであり、
    2つの前記円筒形構成要素は、同じ電位を有さず、
    前記集束システムにより、それぞれ実質的に同じ運動エネルギを有する電子を集束して検出し、前記電子のうち、同じ運動量で前記電子放出試料を出た電子が、前記同じ運動エネルギについての、前記集束システムの焦平面の実質的に一点に集束され、
    前記検出器は、前記集束システムの前記焦平面に配置されている1つ以上の空間分解型検出器であり、
    前記集束システムでは、前記電子レンズの前記円筒形構成要素および/または前記検出器に、変化させた電圧を印加することにより、集束対象でありかつ検出対象の前記電子のフェルミエネルギまでの前記運動エネルギの下限を設定可能である、
    運動量分解型光電子分光装置。
  2. 前記構成要素は、少なくとも測定中に高真空または超高真空状態にあるチャンバに配置されている、請求項1記載の運動量分解型光電子分光装置。
  3. 前記電子放出試料は、検査対象の材料から構成されている、請求項1記載の運動量分解型光電子分光装置。
  4. 前記集束システムの前記電子レンズにより、電場が生成され、前記電場により、電子の特定の運動エネルギについて焦平面が生成され、前記焦平面では、特定かつ同じ運動エネルギおよび同じ運動量を有する前記電子の集束が実現される、請求項1記載の運動量分解型光電子分光装置。
  5. 前記集束システムの前記電子レンズは、容器から構成されており、前記容器は、円筒形状の入口開口部を有しかつ前記容器内には別の2つの円筒形構成要素が相前後して配置されている、請求項1記載の運動量分解型光電子分光装置。
  6. 少なくとも1つの前記検出器が、前記電子レンズの前記焦平面にマイクロチャネルプレートとして配置されている、請求項1記載の運動量分解型光電子分光装置。
  7. 1つ以上の前記検出器は、前記容器内で前記光軸に対して横方向に、3つの前記円筒形構成要素の後ろに配置されている、請求項6記載の運動量分解型光電子分光装置。
  8. 前記検出器の前にメッシュが配置されており、前記メッシュは、有利には前記容器にも、かつ/または有利には前記電子レンズの前記焦平面にも配置されている、請求項1記載の運動量分解型光電子分光装置。
  9. 前記電子レンズおよび/または前記電子レンズの前記焦平面における前記検出器は、電圧を印加することにより、集束対象でありかつ検出対象である前記電子の前記運動エネルギの検出可能性が、変更できるように構成されている、請求項1記載の運動量分解型光電子分光装置。
  10. 運動量分解型光電子分光法であって、
    電子放出試料から電子を放出させ、集束システムを通過させて案内し、
    前記集束システムによって電場を生成し、前記電場により、特定の運動エネルギに対応付けられる前記集束システムの焦平面において、所望の運動エネルギからフェルミエネルギまでの電子の集束を実現し、
    前記所望の運動エネルギおよび実質的に同じ運動量を有するすべての電子、すなわち前記電子放出試料からの実質的に同じ出射方向のすべての電子を、前記集束システムの前記焦平面における検出器の実質的に一点に集束して検出する、
    運動量分解型光電子分光法。
  11. シンクロトロン放射光、レーザビーム、またはヘリウムランプのような別のビーム源のビームの形態の光子ビームを用いて、前記電子放出試料の表面から電子を放出させ、さらに有利には前記光子ビームは、単色の光子ビームである、請求項10記載の方法。
  12. 実質的にフェルミエネルギを有する電子だけを前記集束システムによって集束して検出する、請求項10記載の方法。
  13. 前記電子レンズおよび/または前記集束システムの前記焦平面における前記検出器に、変化させた電圧を印加することにより、前記集束対象の前記電子のフェルミエネルギまでの所望の前記運動エネルギを設定する、請求項10記載の方法。
  14. 前記集束システムにより、検出対象の電子の所望の前記運動エネルギを下回る運動エネルギを有する実質的にすべての電子を前記検出器の前で減速し、これによって前記電子が検出されないようにする、請求項10記載の方法。
  15. 前記集束システムにより、検出対象の前記電子のフェルミエネルギまでの所望の前記運動エネルギを有する実質的にすべての電子を、前記検出器の前で加速して検出する、請求項10記載の方法。
  16. 前記電子レンズの前記焦平面における前記検出器の前のメッシュを用いて、前記フェルミエネルギまでの所望の前記運動エネルギを有する検出対象の前記電子の加速を実現する、請求項15記載の方法。
  17. フェルミエネルギを下回る所望の運動エネルギにおいて、電子の運動量分布を特定するために、フェルミエネルギまでの所望の運動エネルギを有する電子の集束を実現して運動量分布を特定し、
    引き続いて、フェルミエネルギまでのより高い運動エネルギを有する電子の集束を実現して運動量分布を特定し、
    引き続いて、所望の前記運動エネルギにおける前記運動量分布から、より高いエネルギにおける前記運動量分布を取り除く、
    請求項10記載の方法。
  18. 放出された前記電子の前記運動エネルギに依存して、前記電子の前記運動量分布を画像表示として特定する、請求項10記載の方法。
  19. 放出された前記電子の前記運動量分布の特定した値から、前記電子のエネルギに依存して、前記電子放出試料の物性についての情報を導出する、請求項10記載の方法。
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