JP2021506300A - B型肝炎ウイルス(hbv)に対する免疫応答を誘導するための方法および組成物 - Google Patents

B型肝炎ウイルス(hbv)に対する免疫応答を誘導するための方法および組成物 Download PDF

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Abstract

本明細書において、HBV抗原をコードする改変ワクシニアアンカラ(MVA)ベクターおよびアデノウイルスベクターを提供する。同様に、ヒト対象における免疫応答を増強するためにプライム/ブーストレジメンにおいて、HBV抗原をコードするMVAおよびアデノウイルスベクターを利用することによって、ヒト対象における免疫応答を増強する方法も提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれている、2017年12月19日に提出された国際特許出願PCT/IB2017/058148号明細書、および2017年12月19日に提出された米国特許仮出願第62/607,439号明細書の優先権を主張する。
電子提出された配列表の参照
本出願は、作成日が2018年12月14日で、サイズ49.6KBを有するファイル名「688097−413 Sequence Listing」を有するASCIIフォーマットの配列表としてEFS−Webを介して電子提出された配列表を含有する。EFS−Webを介して提出された配列表は、本明細書の一部であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
発明の分野
本出願は生物工学に関する。より特に、本発明は、それを必要とする対象におけるB型肝炎ウイルスに対する免疫応答を増強するための方法および組成物に関する。
発明の背景
B型肝炎ウイルス(HBV)は、4つのオープンリーディングフレームおよび7つのタンパク質をコードする小さい3.2kbの肝臓指向性DNAウイルスである。約20億人の人がHBVに感染しており、およそ2億4000万人の人が、血液中のウイルスおよびサブウイルス粒子が6ヶ月超持続することによって特徴付けられる慢性B型肝炎感染症(慢性HBV)を有する(1)。持続性のHBV感染症は、HBV特異的T細胞受容体がウイルスペプチドおよび循環中の抗原によって慢性的に刺激されることにより、循環中および肝臓内のHBV特異的CD4+およびCD8+ T細胞の枯渇をもたらす。その結果、T細胞の多機能性が減少する(すなわち、IL−2、腫瘍壊死因子(TNF)−α、IFN−γレベルの減少、および増殖の欠如)。
HBV感染症に対する安全かつ有効な予防用ワクチンは、1980年代以降、利用できるようになり、B型肝炎予防の主流である(3)。世界保健機構は、全ての乳児のワクチン接種を推奨しており、B型肝炎の流行が低いまたは中間の国では、全ての子供および青年(年齢<18歳)、ならびにある特定のリスク集団カテゴリーの人々のワクチン接種を推奨している。ワクチン接種により、世界全体での感染率は劇的に低下した。しかし、予防用ワクチンは、確立されたHBV感染症を治癒しない。
慢性的なHBVは現在、IFN−α、ならびにヌクレオシドまたはヌクレオチドアナログによって処置されているが、ウイルスRNAの鋳型として、したがって新規ビリオンの鋳型として根本的な役割を果たす完全閉鎖環状DNA(cccDNA)と呼ばれる細胞内ウイルス複製中間体が、感染した肝細胞において持続することにより、最終的な治癒は生じない。誘導されたウイルス特異的T細胞およびB細胞応答は、cccDNAを有する肝細胞を有効に排除することができると考えられている。HBVポリメラーゼを標的とする現行の治療は、ウイルス血症を抑制するが、核に存在するcccDNAおよび関連する循環中の抗原の産生に及ぼす効果は限定的である。最も厳格な治癒の形態は、生物からのHBVcccDNAの排除であり得るが、これは自然の転帰としてもいずれかの治療介入の結果としても観察されていない。しかし、HBV表面抗原(HBsAg)の喪失は、臨床的に信頼できる治癒等価物であり、その理由は疾患の再発が重度の免疫抑制の場合に限って起こり得、これは予防的処置によって防止できるためである。このように、少なくとも臨床的見地から、HBsAgの喪失は、HBVに対する免疫再構成の最も厳格な形態に関連する。
例えば、peg化インターフェロン(pegIFN)−αによる免疫調節は、有限の一連の処置による非処置時の持続的応答に関して、ヌクレオシドまたはヌクレオチド治療と比較してより良好であることが証明されている。直接の抗ウイルス効果に加えて、IFN−αは、細胞培養およびヒト化マウスにおいてcccDNAの後成的抑制を発揮することが報告されており、これはビリオン生産性の低減および転写物の低減をもたらす(4)。しかし、この治療もなお副作用を伴い、理由の一部としてIFN−αがHBV特異的T細胞に及ぼす調節的影響がごくわずかであることから、全体的な応答はむしろ低い。特に、治癒率は低く(<10%)、毒性は高い。同様に、直接作用するHBV抗ウイルス剤、すなわちHBVポリメラーゼ阻害剤であるエンテカビルおよびテノフォビルは、ウイルス抑制の誘導において単剤として有効であり、薬物耐性変異体の出現に対する遺伝的障壁が高く、肝疾患の進行を持続的に防止する。しかし、HBsAgの喪失またはセロコンバージョンによって定義される慢性B型肝炎の治癒が、そのようなHBVポリメラーゼ阻害剤によって達成されることはめったにない。したがって、これらの抗ウイルス剤は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の抗レトロウイルス治療と同様に、理論的には、肝疾患の再発を防止するためにいつまでも投与する必要がある。
治療的ワクチン接種は、慢性的に感染した患者からHBVを排除する潜在性を有する(5)。多くの戦略が探索されているが、今日まで治療的ワクチン接種の成功は証明されていない。
発明の簡単な概略
したがって、B型肝炎ウイルス(HBV)、特に慢性的なHBVの処置において、高い治癒率で忍容性が良好な有限の処置のアンメットメディカルニーズが存在する。本出願はこの必要性を満たす。改変ワクシニアアンカラ(MVA)ベクターを提供する。本出願のMVAベクターは、配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチド配列を含む天然に存在しない核酸分子を含む。MVAベクターのHBVポリメラーゼ抗原は、例えば哺乳動物において少なくとも2つのHBV遺伝子型に対する免疫応答を誘導することが可能であり得る。好ましくは、HBVポリメラーゼ抗原は、哺乳動物において少なくともHBV遺伝子型B、C、およびDに対するT細胞応答を誘導することが可能である。より好ましくは、HBVポリメラーゼ抗原は、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、C、およびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能である。本出願の一実施形態では、HBVポリメラーゼ抗原は、配列番号4のアミノ酸配列を含む。本出願の一実施形態では、第1のポリヌクレオチド配列は、配列番号3と少なくとも90%同一である。本出願の一実施形態では、第1のポリヌクレオチド配列は、配列番号3のポリヌクレオチド配列を含む。
本出願の一実施形態では、MVAベクターは、HBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結されたシグナル配列をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含み得る。シグナル配列は、例えば配列番号6または配列番号11のアミノ酸配列を含み得る。好ましくは、シグナル配列は、配列番号5または配列番号10のポリヌクレオチド配列によってコードされる。
本出願の一実施形態では、MVAベクターは、配列番号2のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチド配列をさらに含む。本出願の一実施形態では、第2のポリヌクレオチド配列は、配列番号1と少なくとも90%同一である。本出願の一実施形態では、第2のポリヌクレオチド配列は、配列番号1のポリヌクレオチド配列を含む。
同様に、本出願のMVAベクターおよび薬学的に許容可能な担体を含む組成物も提供する。
同様に、それを必要とするヒト対象において免疫応答を増強する方法も提供する。方法は、(a)ヒト対象に、配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチド配列を含む天然に存在しない核酸分子を含むアデノウイルスベクターの免疫学的有効量を含む第1の組成物を投与するステップ;および(b)ヒト対象に、本出願のMVAベクターの免疫学的有効量を含む第2の組成物を投与するステップを含み、それによってヒト対象においてHBV抗原に対する増強された免疫応答を得る。本出願の一実施形態では、HBVポリメラーゼ抗原は、逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有しない。本出願の一実施形態では、第1の組成物は、それを必要とする対象において免疫応答をプライミングするためであり、第2の組成物は、免疫応答をブースティングするためである。本出願の一実施形態では、ステップ(b)は、ステップ(a)の1〜12週間後に実施される。本出願の一実施形態では、ステップ(b)は、ステップ(a)の2〜12週間後に実施される。本出願の一実施形態では、ステップ(b)は、ステップ(a)の少なくとも1週間後に実施される。本出願の一実施形態では、ステップ(b)は、ステップ(a)の少なくとも2週間後に実施される。
本出願の一実施形態では、第1の組成物のHBVポリメラーゼ抗原は、ヒト対象において少なくとも2つのHBV遺伝子型に対する免疫応答を誘導することが可能であり、好ましくは、HBVポリメラーゼ抗原は、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型B、C、およびDに対するT細胞応答を誘導することが可能であり、ならびにより好ましくは、HBVポリメラーゼ抗原は、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、C、およびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能である。
本出願の一実施形態では、第1の組成物のHBVポリメラーゼ抗原は、配列番号4のアミノ酸配列を含む。第1の組成物の第1のポリヌクレオチド配列は、例えば配列番号19と少なくとも90%同一であり得る。本出願の一実施形態では、第1の組成物の第1のポリヌクレオチド配列は、配列番号19のポリヌクレオチド配列を含む。
本出願の一実施形態では、第1の組成物におけるアデノウイルスベクターの核酸分子は、配列番号2のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチド配列をさらに含む。第1の組成物の第2のポリヌクレオチド配列は、例えば、配列番号17と少なくとも90%同一であり得る。本出願の一実施形態では、第1の組成物の第2のポリヌクレオチド配列は、配列番号17のポリヌクレオチド配列を含む。
本出願の一実施形態では、第1の組成物の第1および第2のポリヌクレオチド配列は、HBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原を含む融合タンパク質をコードする。第1の組成物の融合タンパク質は、例えばリンカーを介してHBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原を含み得る。第1の組成物のリンカーは、例えばアミノ酸配列(AlaGly)を含むことができ、式中nは2〜5の整数である。好ましくは、リンカーは、配列番号14を含むポリヌクレオチド配列によってコードされる。本出願の一実施形態では、第1の組成物の融合タンパク質は、配列番号12のアミノ酸配列を含む。
本出願の一実施形態では、増強された免疫応答は、ヒト対象におけるHBV抗原に対する増強された抗体応答を含む。増強された免疫応答は、例えばヒト対象におけるHBV抗原に対する増強されたCD8+ T細胞応答を含み得る。増強された免疫応答は、例えばヒト対象におけるHBV抗原に対する増強されたCD4+ T細胞応答を含み得る。
本出願の一実施形態では、アデノウイルスベクターは、rAd26またはrAd35ベクターである。
本出願の一実施形態では、ヒト対象において免疫応答を増強する方法は、(a)ヒト対象に、配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチド配列を含む第1の天然に存在しない核酸分子を含む第1のプラスミド、および配列番号2のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチド配列を含む第2の天然に存在しない核酸分子を含む第2のプラスミドの免疫学的有効量を含む第1の組成物を投与するステップ;ならびに(b)ヒト対象に、本出願のMVAベクターの免疫学的有効量を含む第2の組成物を投与するステップを含み、それによってヒト対象においてHBV抗原に対して増強された免疫応答を得る。本出願の一実施形態では、第1の組成物のHBVポリメラーゼ抗原は、逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有しない。本出願の一実施形態では、第1の組成物は、免疫応答をプライミングするためであり、第2の組成物は、免疫応答をブースティングするためである。本出願の一実施形態では、ステップ(b)は、ステップ(a)の1〜12週間後に実施される。本出願の一実施形態では、ステップ(b)は、ステップ(a)の2〜12週間後に実施される。本出願の一実施形態では、ステップ(b)は、ステップ(a)の少なくとも1週間後に実施される。本出願の一実施形態では、ステップ(b)は、ステップ(a)の少なくとも2週間後に実施される。
本出願の一実施形態では、第1の組成物のHBVポリメラーゼ抗原は、ヒト対象において少なくとも2つのHBV遺伝子型に対する免疫応答を誘導することが可能であり、好ましくは、HBVポリメラーゼ抗原は、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型B、C、およびDに対するT細胞応答を誘導することが可能であり、ならびにより好ましくは、HBVポリメラーゼ抗原は、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、C、およびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能である。
本出願の一実施形態では、第1の組成物のHBVポリメラーゼ抗原は、配列番号4のアミノ酸配列を含む。第1の組成物の第1のポリヌクレオチド配列は、例えば配列番号19と少なくとも90%同一であり得る。本出願の一実施形態では、第1の組成物の第1のポリヌクレオチド配列は、配列番号19のポリヌクレオチド配列を含む。
本出願の一実施形態では、第1の組成物のHBVポリメラーゼ抗原は、配列番号4のアミノ酸配列を含む。本出願の一実施形態では、第1の組成物の第1のポリヌクレオチド配列は、配列番号20と少なくとも90%同一である。第1の組成物の第1のポリヌクレオチド配列は、例えば配列番号20を含み得る。
本出願の一実施形態では、第1の組成物の第1のプラスミドの核酸分子は、第1の組成物のHBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結されたシグナル配列をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む。シグナル配列は、例えば配列番号6または配列番号11のアミノ酸配列を含むことができ、好ましくは、シグナル配列は、配列番号5または配列番号10のヌクレオチド配列によってコードされる。
本出願の一実施形態では、第1の組成物の第2のポリヌクレオチド配列は、配列番号18と少なくとも90%同一である。第1の組成物の第2のポリヌクレオチド配列は、例えば配列番号18のポリヌクレオチド配列を含み得る。
本出願の一実施形態では、第1の組成物の第1および第2のポリヌクレオチド配列は、プロモーター配列、任意選択で1つまたは複数の追加の調節配列をさらに含み、好ましくは、プロモーター配列は、配列番号7のポリヌクレオチド配列を含み、ならびに追加の調節配列は、配列番号8または配列番号15のエンハンサー配列および配列番号16のポリアデニル化シグナル配列からなる群から選択される。
本出願の一実施形態では、増強された免疫応答は、ヒト対象におけるHBV抗原に対する増強された抗体応答を含む。増強された免疫応答は、例えばヒト対象におけるHBV抗原に対する増強されたCD8+ T細胞応答を含み得る。増強された免疫応答は、例えばヒト対象におけるHBV抗原に対する増強されたCD4+ T細胞応答を含み得る。
発明の他の態様、特色および利点は、発明の詳細な記述、ならびにその好ましい実施形態および添付の特許請求の範囲を含む以下の開示から明らかであろう。
図面の簡単な説明
発明の前述の概要、ならびに以下の詳細な説明は、添付の図面と共に読むとより良好に理解される。発明は、図面に示された実施形態そのものに限定されないと理解すべきである。
以下の図において:
図1A〜1Bは、B型肝炎ウイルスのゲノムおよびウイルス生活環を示す。図1Aは、B型肝炎ウイルス(HBV)のゲノムの図であり、ネイティブウイルスでは、ポリメラーゼタンパク質(Pol)は、異なるオープンリーディングフレームにエンベロープタンパク質のコード配列を含有し、エンベロープタンパク質(pre−S1、pre−S2、およびS)は、同じオープンリーディングフレームに存在する。図1Bは、HBVのウイルス生活環を示す。 (前記の通り。) 図2A〜2Cは、本出願の実施形態に従うアデノウイルスおよびMVAベクターにおける発現カセットの略図を示す。図2Aは、CMVプロモーター、イントロン(ヒトApoAI遺伝子に由来する断片−GenBank受託番号X01038、塩基対295〜523、ApoAIの第2のイントロンを有する)、ヒト免疫グロブリン分泌シグナル、その後に続く切断型HBVコア抗原のコード配列およびSV40 ポリアデニル化シグナルを含有する切断型HBVコア抗原の発現カセットを示す。図2Bは、HBV抗原を除き、それ以外は切断型HBVコア抗原の発現カセットと同一である、HBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原の融合タンパク質の発現カセットを示す。図2Cは、Pr13.5長プロモーターに作動可能に連結されたHBVコア抗原を含む発現カセット、およびPrHybプロモーターに作動可能に連結されたHBVポリメラーゼ抗原を含む発現カセットを示す。 (前記の通り。) (前記の通り。) 図3は、HBVアデノウイルスベクターおよびHBV MVAの異なる組合せによって免疫したF1マウスのELISPOT応答のグラフを示す。様々なワクチン接種動物群から単離した脾細胞を刺激するために使用したHBVコアまたはポリメラーゼペプチドプールを、黒色(コア)および灰色(pol)で示す。Pol1およびpol2応答を合計した。X軸は、アデノベクターの用量およびMVAブーストの存在または非存在を示す。応答性T細胞の数を、脾細胞10個あたりのスポット形成細胞(SFC)として表記してy軸に示す。 図4は、HBVアデノウイルスベクターおよびHBV MVAの異なる組合せによって免疫したF1マウスの細胞内サイトカイン染色(ICS)応答のグラフを示す。様々なワクチン接種動物群から単離した脾細胞を刺激するために使用したHBVコアおよびポリメラーゼペプチドプールを、黒色(コア)および灰色(pol)で示す。Pol1およびpol2応答を合計した。X軸は、アデノベクターの用量およびMVAブーストの存在または非存在を示す。IFN−γに関して陽性のCD8(+)T細胞のパーセンテージをy軸に示す。 図5は、HBVアデノウイルスベクターおよびHBV MVAベクターの異なる組合せによって免疫したF1マウスのICS応答のグラフを示す。様々なワクチン接種動物群から単離した脾細胞を刺激するために使用したHBVコアおよびポリメラーゼペプチドプールを、黒色(コア)および灰色(pol)で示す。Pol1およびpol2応答を合計した。X軸は、アデノウイルスベクターの用量およびMVAブーストの存在または非存在を示す。IFN−γに関して陽性のCD4(+)T細胞のパーセンテージをy軸に示す。 図6は、HBVアデノウイルスベクターおよびHBV MVAベクターの異なる組合せによって免疫したNHPのELISPOT応答のグラフを示す。様々なワクチン接種動物群から単離したPBMCを刺激するために使用したHBVコアまたはポリメラーゼペプチドプールを、□(コア)、○(pol1)、および△(pol2)で示す。X軸は、異なる実験群および時点を示す。応答性T細胞の数を、脾細胞10個あたりのスポット形成細胞(SFC)として表記してy軸に示す。バックグラウンド(培地+DMSO刺激)を差し引いたデータを示す。ならびに 図7A、7B、および7Cは、HBVアデノウイルスベクターおよびHBV MVAベクターの異なる組合せによって免疫したNHPのICS応答のグラフを示す。様々なワクチン接種動物群から単離したPBMCを刺激するために使用したHBVコアおよびポリメラーゼペプチドプールを、□(コア)、○(pol1)、および△(pol2)で示す。X軸は、異なる実験群および時点を示す。IFN−γに関して陽性のCD4(+)およびCD8(+)T細胞のパーセンテージをy軸に示す。バックグラウンド(培地+DMSO刺激)を差し引いたデータを示す。 (前記の通り。) (前記の通り。)
発明の詳細な記述
様々な刊行物、論文、および特許が、背景および本出願全体を通して引用または記載されているが、これらの参照の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。本明細書に含まれている文書、行為、材料、デバイス、品目等に関する考察は、本発明の内容を提供する目的のためである。そのような考察は、これらの事柄のいずれかまたは全てが、開示または特許請求される任意の本発明に関連して先行技術の一部を形成すると認めたわけではない。
それ以外であると定義している場合を除き、本明細書で使用する全ての科学技術用語は、本発明が属する当業者に一般的に理解される意味と同じ意味を有する。そうでなければ、本明細書で使用するある特定の用語は、本明細書に記載の意味を有する。
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの」、「1つの(an)」、および「その」は、本文がそれ以外であると明白に示していない限り、複数形を含むことに注意しなければならない。
それ以外であると明記していない限り、本明細書で記載する濃度または濃度範囲などのいかなる数値も、全ての例において用語「約」によって修飾されると理解される。このように、数値は典型的に、列挙した値の±10%を含む。例えば、濃度1mg/mLは、0.9mg/mL〜1.1mg/mLを含む。同様に、濃度範囲1%〜10%(重量/体積)は、0.9%(重量/体積)〜11%(重量/体積)を含む。本明細書で使用される場合、本文が明白にそれ以外であることを示していない限り、数値範囲の使用は、全ての可能性がある小範囲、ならびにそのような範囲内の整数および値の分数を含む、その範囲内の全ての個々の数値を明白に含む。
それ以外であると示していない限り、一連の要素に先行する「少なくとも」という用語は、その一連のあらゆる要素を指すと理解される。当業者は、本明細書に記載の本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を、単なる通例の実験を使用して認識するか、または確認することができる。そのような均等物は、本発明に包含されると意図される。
以下に続く本明細書および特許請求の範囲を通して、本文がそれ以外であることを必要としていない限り、用語「含む」および「含む(comprises)」および「含む(comprising)」等の変化形は、記載の整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群を含むことを暗示するが、他の任意の整数もしくはステップまたは整数もしくはステップの群を除外しないと理解される。本明細書で使用する場合、用語「含む」は、用語「含有する」もしくは「含む(including)」に置換することができ、または時に本明細書において使用される場合、「有する」という用語に置換することができる。
本明細書で使用される場合、「からなる」は、特許請求の範囲の要素に明記されていないいかなる要素、ステップ、または成分も除外する。本明細書で使用される場合、「本質的にからなる」は、特許請求の範囲の基本的および新規特徴に実質的に影響を及ぼさない材料またはステップを除外しない。上記の用語「含む(comprising)」、「含有する」、「含む(including)」、および「有する」はいずれも、本発明の一態様または一実施形態の文脈において本明細書で使用されている場合は常に、本開示の範囲を変化させるために用語「からなる」または「本質的にからなる」と置換することができる。
本明細書で使用される場合、複数の列挙された要素の間の接続詞「および/または」は、個々のおよび組合せの選択肢の両方を包含すると理解される。例えば、2つの要素を「および/または」で接続する場合、第1の選択肢は第2の要素を有しない第1の要素の適応性を指す。第2の選択肢は、第1の要素を有しない第2の要素の適応性を指す。第3の選択肢は、第1および第2の要素の両方の適応性を指す。これらの選択肢の任意の1つが、その意味に含まれ、したがって本明細書で使用される用語「および/または」の必要条件を満たすと理解される。1つより多くの選択肢の同時の適応性もまた、その意味に含まれ、したがって用語「および/または」の必要条件を満たすと理解される。
本明細書で使用される場合、「対象」は、本出願の実施形態に従う方法によって処置されるまたは処置された任意の動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。本明細書で使用される用語「哺乳動物」は、任意の哺乳動物を包含する。哺乳動物の例には、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、非ヒト霊長類(NHP)、例えばサルまたは類人猿、ヒト等が挙げられるがこれらに限定されず、より好ましくはヒトである。
用語「アジュバント」および「免疫刺激剤」は、本明細書において互換的に使用され、免疫系の刺激を引き起こす1つまたは複数の物質として定義される。この文脈において、アジュバントは、本出願のアデノウイルスおよび/またはMVAベクターに対する免疫応答を増強するために使用される。
好ましい本発明の構成要素の寸法または特徴に言及する場合に本明細書で使用される用語「約」、「およそ」、「一般的に」、「実質的に」および類似の用語は、記載の寸法/特徴が厳密な境界またはパラメータではなく、当業者によって理解されるように機能的に同じまたは類似である軽微なその変形形態を除外しないことを示すと理解すべきである。少なくとも数値パラメータを含むそのような言及は、当技術分野で容認された数学的および工業的原理(例えば、切り上げ、測定、または他のシステムエラー、製作公差等)を使用して、最下位の有効数字を変化させない変動を含む。
2つまたはそれより多くの核酸またはポリペプチド配列(例えば、HBV抗原性ポリペプチドおよびそれらをコードするポリヌクレオチド)の文脈における用語「同一」またはパーセント「同一性」は、以下の配列比較アルゴリズムの1つを使用するかまたは目視によって測定した場合に、最大に一致するように比較および整列させた場合に、同じであるか、または同じであるアミノ酸残基もしくはヌクレオチドの明記されたパーセンテージを有する2つまたはそれより多くの配列または小配列を指す。
配列比較のため、典型的に、1つの配列は、それに対して試験配列を比較する基準配列として作用する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験および基準配列をコンピューターに入力し、必要に応じて小配列の座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。次に、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメータに基づいて基準配列と比較して試験配列のパーセント配列同一性を計算する。
比較のための配列の最適なアライメントは、例えばSmith & Waterman, Adv. Appl. Math. 2:482 (1981)のローカルホモロジーアルゴリズムによって、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48:443 (1970)のホモロジーアライメントアルゴリズムによって、Pearson & Lipman, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 85:2444 (1988)の類似性検索法によって、これらのアルゴリズムのコンピューターによる実行(Wisconsin Genetics Software PackageにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA、Genetics Computer Group、575 Science Dr.,Madison、WI)によって、または目視(一般的に、Current Protocols in Molecular Biology, F.M. Ausubel et al., eds., Current Protocols, a joint venture between Greene Publishing Associates, Inc. and John Wiley & Sons, Inc., (1995 Supplement) (Ausubel)を参照されたい)によって実行することができる。
パーセント配列同一性および配列類似性を決定するために適したアルゴリズムの例は、BLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムであり、これはそれぞれ、Altschul et al. (1990) J. Mol. Biol. 215: 403-410およびAltschul et al. (1997) Nucleic Acids Res. 25: 3389-3402において説明されている。BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、米国国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)を通して公開されている。このアルゴリズムは、データベース配列における同じ長さのワードと整列させた場合にいくつかの陽性値閾値スコアTにマッチするかまたはそれを満たす、クエリ配列における長さWの短いワードを同定することによる高スコア配列対(HSP)を最初に同定するステップを伴う。Tは、隣接ワードスコア閾値と呼ばれる(Altschulら、前記)。これらの最初の隣接ワードヒットは、それらを含有するより長いHSPを発見するための検索を開始するためのシードとして作用する。次に、ワードヒットを、累積アライメントスコアを増加させることができる限り、各々の配列に沿って両方の方向に伸長させる。
累積スコアは、ヌクレオチド配列に関して、パラメータM(マッチする残基対に関する報酬スコア;常に>0)およびN(ミスマッチ残基のペナルティスコア;常に<0)を使用して計算する。アミノ酸配列の場合、スコア行列を使用して累積スコアを計算する。各々の方向でのワードヒットの伸長は:累積アライメントスコアが、その最大達成値から量X低下した場合;1つまたは複数の負のスコア残基アライメントの蓄積により、累積スコアがゼロもしくはそれより下となる場合;またはいずれかの配列の末端に達した場合に停止する。BLASTアルゴリズムのパラメータW、T、およびXは、アライメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列の場合)は、デフォルトとしてワード長(W)11、期待値(E)10、M=5、N=−4、および両方の鎖の比較を使用する。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムは、デフォルトとしてワード長(W)3、期待値(E)10、およびBLOSUM62スコア行列を使用する(Henikoff & Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:10915 (1989)を参照されたい)。
パーセント配列同一性の計算に加えて、BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性に関する統計分析も実施する(例えば、Karlin & Altschul, Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA 90:5873-5787 (1993)を参照されたい)。BLASTアルゴリズムによって提供される1つの類似性の測定は、最小総和確率(P(N))であり、これは2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列の間のマッチが偶然に起こる確率の指標を提供する。例えば、試験核酸の基準核酸に対する比較における最小総和確率が、約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、および最も好ましくは約0.001未満である場合、核酸は基準配列と類似であると考えられる。
2つの核酸配列またはポリペプチドが実質的に同一であるさらなる指標は、第1の核酸によってコードされるポリペプチドが、以下に記載するように第2の核酸によってコードされるポリペプチドと免疫学的に交差反応性であることである。このように、ポリペプチドは、例えば2つのペプチドが保存的置換のみによって異なる場合、第2のポリペプチドと実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一である別の指標は、2つの分子が、以下に記載されるストリンジェントな条件で互いにハイブリダイズすることである。
本明細書で使用される場合、免疫応答、例えばCD4+ T細胞応答、抗体応答、またはCD8+ T細胞応答に関連して使用する場合の用語「増強された」は、本出願のMVAベクターまたはアデノウイルス単独を投与した対象から観察された対応する免疫応答と比較して、本出願に従うMVAおよびアデノウイルスベクターのプライム−ブースト組合せを投与した対象における免疫応答の増加を指す。
本明細書で使用される場合、用語「CD4+またはCD8+ T細胞応答」は、ワクチン接種後の全応答性T細胞集団内の免疫原特異的CD4+ T細胞またはCD8+ T細胞の高い割合を観察することによって特徴付けられるT細胞免疫応答を指す。全体的な免疫原特異的T細胞応答は、IFN−ガンマELISPOTアッセイによって決定することができる。免疫原特異的CD4+またはCD8+ T細胞免疫応答は、ICSアッセイによって決定することができる。
本明細書で使用される場合、用語「増強された抗体応答」は、本出願のMVAおよびアデノウイルスベクター単独を投与した対象から観察された対応する免疫応答と比較して、本出願に従うMVAおよびアデノウイルスベクターのプライム−ブースト組合せを投与した対象における増加した抗体応答を指す。
用語「アジュバント」は、免疫系の刺激を引き起こす1つまたは複数の物質として定義される。この文脈において、アジュバントは、本出願のプラスミド、アデノウイルス、および/またはMVAベクターに対する免疫応答を増強するために使用される。
本明細書で使用される場合、用語「抗原性遺伝子産物またはその断片」、または「抗原性タンパク質」は、細菌、ウイルス、寄生虫、または真菌のタンパク質またはその断片を含み得る。好ましくは、抗原性タンパク質または抗原性遺伝子産物は、宿主において保護的免疫応答を生じることが可能であり、例えば疾患もしくは感染症(例えば、細菌、ウイルス、寄生虫、または真菌の疾患または感染症)に対する免疫応答を誘導する、および/または疾患もしくは感染症に対して対象を保護する疾患または感染症に対する免疫を対象において生じる(すなわち、ワクチン接種する)ことが可能である。
本出願の読者を助ける試みで、説明は様々な段落または節で区切られているか、または本出願の様々な実施形態を対象としている。これらの区切りは、段落または節または実施形態の物質を別の段落、節、または実施形態の物質と切り離すと考えるべきではない。逆に、当業者は、説明が広い応用を有し、企図することができる様々な節、段落、および文章の全ての組合せを包含すると理解するであろう。いかなる実施形態の考察も単なる例であることを意味しており、特許請求の範囲を含む本開示の範囲はこれらの例に限定されないと示唆することを意図する。例えば、本明細書に記載の本出願のHBVベクターの実施形態(例えば、プラスミドDNAまたはウイルスベクター)は、特定の順序で配置したある特定のプロモーター配列、エンハンサーまたは調節配列、シグナルペプチド、HBV抗原のコード配列、ポリアデニル化シグナル配列等を含むがこれらに限定されない特定の構成要素を含有し得るが、当業者は、本明細書で開示される概念が、本出願のHBVベクターにおいて使用することができる他の順序で配置した他の構成要素にも等しく当てはまり得ることを認識するであろう。本出願は、特定の組合せが明白に記載されているか否かによらず、本出願のHBVベクターにおいて使用することができる任意の配列を有する任意の応用可能な構成要素の任意の組合せでの使用を企図する。
B型肝炎ウイルス(HBV)
本明細書で使用される場合、「B型肝炎ウイルス」または「HBV」は、ヘパドナウイルス科のウイルスを指す。HBVは、4つのオープンリーディングフレームおよび7つのタンパク質をコードする小さい(例えば、3.2kb)肝臓指向性のDNAウイルスである。図1Aを参照されたい。HBVによってコードされる7つのタンパク質は、small(S)、medium(M)、およびlarge(L)表面抗原(HBsAg)、またはエンベロープ(Env)タンパク質、プレコアタンパク質、コアタンパク質、ウイルスポリメラーゼ(Pol)、およびHBxタンパク質を含む。HBVは、3つの表面抗原またはエンベロープタンパク質、L、M、およびSを発現し、Sが最小であり、Lが最大である。MおよびLタンパク質におけるエクストラドメインはそれぞれ、Pre−S2およびPre−S1と呼ばれる。コアタンパク質は、ウイルスヌクレオキャプシドのサブユニットである。Polは、ウイルスDNAの合成にとって必要であり(逆転写酵素、RNアーゼH、およびプライマー)、これは感染した肝細胞の細胞質に局在するヌクレオキャプシドで起こる。プレコアは、N末端シグナルペプチドを有するコアタンパク質であり、そのN末端およびC末端でタンパク質分解によりプロセシングされ、感染した細胞からいわゆるB型肝炎e抗原(HBeAg)として分泌される。HBxタンパク質は、完全閉鎖環状DNA(cccDNA)の効率的な転写にとって必要である。HBxは、ウイルスの構造タンパク質ではない。HBVの全てのウイルスタンパク質は、mRNAを共有するコアおよびポリメラーゼを除き自身のmRNAを有する。タンパク質プレコアを除き、いずれのHBVウイルスタンパク質も翻訳後タンパク質分解によるプロセシングを受けない。
HBVビリオンは、ウイルスエンベロープ、ヌクレオキャプシド、および1コピーの部分的二本鎖DNAゲノムを含有する。ヌクレオキャプシドは、コアタンパク質の120個の二量体を含み、S、M、およびLウイルスエンベロープ、または表面抗原タンパク質に埋もれているキャプシド膜によって覆われている。細胞内に侵入後、ウイルスは、脱殻し、ウイルスポリメラーゼが共有結合したキャプシド含有不完全閉鎖環状DNA(rcDNA)が核に移行する。そのプロセスの間、コアタンパク質のリン酸化が構造の変化を誘導し、核移行シグナルを露出させ、キャプシドといわゆるインポーチンとの相互作用を可能にする。これらのインポーチンは、コアタンパク質と核膜孔複合体との結合を媒介し、それによってキャプシドが分解し、ポリメラーゼ/rcDNA複合体が核に放出される。核内でrcDNAが、脱タンパク質化され(ポリメラーゼの除去)、宿主DNA修復機構によって完全閉鎖環状DNA(cccDNA)ゲノムに変換され、重複する転写物がHBeAg、HBsAg、コアタンパク質、ウイルスポリメラーゼおよびHBxタンパク質をコードする。コアタンパク質、ウイルスポリメラーゼ、およびプレゲノムRNA(pgRNA)は、細胞質で会合し、未成熟なpgRNA含有キャプシド粒子へと自己アセンブリし、これはさらに成熟rcDNAキャプシドへと変換して共通の中間体として機能し、エンベロープに包まれて感染症のウイルス粒子として分泌されるか、または核に再度輸送されて安定なcccDNAプールを補充および維持する。図1Bを参照されたい。
今日まで、HBVは、エンベロープタンパク質に存在する抗原性エピトープに基づいて4つの血清型(adr、adw、ayr、ayw)に、およびウイルスゲノムの配列に基づいて8つの遺伝子型(A、B、C、D、E、F、G、およびH)に分類される。HBV遺伝子型は、異なる地域にわたって分布している。例えば、アジアで最も多い遺伝子型は、遺伝子型BおよびCである。遺伝子型Dは、アフリカ、中東、およびインドで一般的であるが、遺伝子型Aは、北部ヨーロッパ、サハラ下アフリカ、および西アフリカで広く認められる。
HBV抗原
本明細書で使用される場合、用語「HBV抗原」、「HBVの抗原性ポリペプチド」、「HBV抗原性ポリペプチド」、「HBV抗原性タンパク質」、「HBV免疫原性ポリペプチド」、および「HBV免疫原」は全て、対象においてHBVに対する免疫応答、例えば液性免疫応答および/または細胞性免疫応答を誘導することが可能なポリペプチドを指す。HBV抗原は、HBVのポリペプチド、その断片もしくはエピトープ、または複数のHBVポリペプチド、その一部もしくは誘導体の組合せであり得る。HBV抗原は、宿主において保護的免疫応答を生じる、例えばウイルス疾患または感染症に対する免疫応答を誘導することが可能であり、および/または対象において、ウイルス疾患または感染症に対して対象を保護する、ウイルス疾患もしくは感染症に対する免疫を生じる(すなわち、ワクチン接種する)ことが可能である。例えば、HBV抗原は、任意のHBVタンパク質、例えばHBeAg、プレコアタンパク質、HBsAg(S、M、またはLタンパク質)、コアタンパク質、ウイルスポリメラーゼ、または任意のHBV遺伝子型、例えば遺伝子型A、B、C、D、E、F、G、および/もしくはHに由来するHBxタンパク質からのポリペプチドまたはその免疫原性断片、またはその組合せを含み得る。
(1)HBVコア抗原
本明細書で使用される場合、用語「HBVコア抗原」、「HBcAg」、および「コア抗原」は全て、対象においてHBVコアタンパク質に対する免疫応答、例えば液性免疫応答および/または細胞性免疫応答を誘導することが可能なHBV抗原を指す。用語「コア」、「コアポリペプチド」、および「コアタンパク質」の各々は、HBVウイルスコアタンパク質を指す。完全長のコア抗原は、典型的には、183アミノ酸長であり、アセンブリドメイン(アミノ酸1〜149)および核酸結合ドメイン(アミノ酸150〜183)を含む。34残基の核酸結合ドメインは、プレゲノムRNAキャプシド形成にとって必要である。このドメインはまた、核輸入シグナルとしても機能する。これは、17個のアルギニン残基を含み、その機能と整合して、高度に塩基性である。HBVコアタンパク質は溶液中で二量体であり、二量体は、正二十面体のキャプシドへと自己アセンブルする。コアタンパク質の各々の二量体は、いずれかの側にα−ヘリックスドメインが隣接する4つのα−ヘリックスバンドルを有する。核酸結合ドメインを欠如する切断型HBVコアタンパク質もまた、キャプシドを形成することが可能である。
本出願の一実施形態では、HBV抗原は、切断型HBVコア抗原である。本明細書で使用される場合、「切断型HBVコア抗原」は、HBVコアタンパク質の完全長を含有しないが、対象においてHBVコアタンパク質に対する免疫応答を誘導することが可能であるHBV抗原を指す。例えば、HBVコア抗原は、典型的に17個のアルギニン(R)残基を含有するコア抗原の高度に正に帯電した(アルギニンに富む)C末端核酸結合ドメインの1つまたは複数のアミノ酸を欠失させるように改変することができる。本出願の一部の実施形態では、HBVコア抗原は、切断型HBVコアタンパク質である。本出願の切断型HBVコア抗原は、好ましくはHBVコア核輸入シグナルを含まないC末端切断型HBVコアタンパク質、および/またはC末端HBVコア核輸入シグナルが欠失している切断型HBVコアタンパク質である。本出願の一実施形態では、切断型HBVコア抗原は、C末端核酸結合ドメインの1〜34アミノ酸残基の欠失、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、または34アミノ酸残基の欠失、好ましくは34アミノ酸残基全ての欠失を含む。好ましい実施形態では、切断型HBVコア抗原は、C末端核酸結合ドメイン、好ましくは34アミノ酸残基全ての欠失を含む。
本出願の実施形態に従って、HBVコア抗原は、複数のHBV遺伝子型(例えば、遺伝子型A、B、C、D、E、F、G、およびH)に由来するコンセンサス配列であり得る。本明細書で使用される場合、「コンセンサス配列」は、例えば相同なタンパク質のアミノ酸配列のアライメント(例えば、Clustal Omegaを使用して)によって決定した、相同なタンパク質のアミノ酸配列のアライメントに基づく人工的なアミノ酸配列を意味する。これは、少なくとも100個の天然のHBV単離体からのHBV抗原(例えば、コア、pol等)の配列に基づいて、配列アライメントにおける各位置で見出される最も頻繁なアミノ酸残基の計算された順序であり得る。コンセンサス配列は、天然に存在せず、ネイティブウイルス配列とは異なり得る。コンセンサス配列は、マルチプル配列アライメントツールを使用して異なる起源からの複数のHBV抗原配列を整列させるステップ、および多様なアライメント位置で最も頻繁なアミノ酸を選択するステップによって設計することができる。好ましくは、HBV抗原のコンセンサス配列は、HBV遺伝子型B、C、およびDに由来する。用語「コンセンサス抗原」は、コンセンサス配列を有する抗原を指すために使用される。
本出願の実施形態に従う切断型HBVコア抗原は、核酸結合機能を欠如し、哺乳動物において少なくとも2つのHBV遺伝子型に対する免疫応答を誘導することが可能である。好ましくは、切断型HBVコア抗原は、哺乳動物において少なくともHBV遺伝子型B、CおよびDに対するT細胞応答を誘導することが可能である。より好ましくは、切断型HBVコア抗原は、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、CおよびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能である。
本出願の好ましい実施形態では、HBVコア抗原は、コンセンサス抗原、好ましくはHBV遺伝子型B、C、およびDに由来するコンセンサス抗原、より好ましくはHBV遺伝子型B、C、およびDに由来する切断型コンセンサス抗原である。本出願に従う例示的な切断型HBVコアコンセンサス抗原は、配列番号2と少なくとも90%同一である、例えば配列番号2と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一であるアミノ酸配列からなる。配列番号2は、HBV遺伝子型B、C、およびDに由来するコアコンセンサス抗原である。配列番号2は、ネイティブコア抗原の高度に正に帯電した(アルギニンに富む)核酸結合ドメインの34アミノ酸C末端欠失を含有する。
本出願の特定の実施形態では、HBVコア抗原は、配列番号2のアミノ酸配列からなる切断型HBV抗原である。
(2)HBVポリメラーゼ抗原
本明細書で使用される場合、用語「HBVポリメラーゼ抗原」、「HBV Pol抗原」、または「HBV pol抗原」は、対象においてHBVポリメラーゼに対する免疫応答、例えば液性免疫応答および/または細胞性免疫応答を誘導することが可能であるHBV抗原を指す。用語「ポリメラーゼ」、「ポリメラーゼポリペプチド」、「Pol」、および「pol」は、HBVウイルスDNAポリメラーゼを指す。HBVウイルスDNAポリメラーゼは、N末端からC末端に、マイナス鎖DNA合成のプライマーとして作用する末端タンパク質(TP)ドメイン、ポリメラーゼ機能にとって必須ではないスペーサー、転写のための逆転写酵素(RT)ドメイン、およびRNアーゼHドメインを含む4つのドメインを有する。
本出願の一実施形態では、HBV抗原は、HBV Pol抗原、またはその免疫原性断片または組合せを含む。HBV Pol抗原は、例えばある特定の酵素活性を減少させるかまたは実質的に排除するために、ポリメラーゼおよび/またはRNアーゼドメインの活性部位に変異を導入することによって、抗原の免疫原性を改善するためにさらなる改変を含有し得る。
好ましくは、本出願のHBV Pol抗原は、逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有さず、哺乳動物において少なくとも2つのHBV遺伝子型に対する免疫応答を誘導することが可能であり得る。好ましくは、HBV Pol抗原は、哺乳動物において少なくともHBV遺伝子型B、CおよびDに対するT細胞応答を誘導することが可能である。より好ましくは、HBV Pol抗原は、ヒト対象において、少なくともHBV遺伝子型A、B、CおよびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能である。
このように、本出願の一部の実施形態では、HBV Pol抗原は、不活化Pol抗原である。本出願の一実施形態では、不活化HBV Pol抗原は、ポリメラーゼドメインの活性部位に1つまたは複数のアミノ酸変異を含む。別の実施形態では、不活化HBV Pol抗原は、RNアーゼHドメインの活性部位に1つまたは複数のアミノ酸変異を含む。好ましい実施形態では、不活化HBV pol抗原は、ポリメラーゼドメインおよびRNアーゼHドメインの両方の活性部位に1つまたは複数のアミノ酸変異を含む。例えば、ヌクレオチド/金属イオン結合にとって必要なHBV pol抗原のポリメラーゼドメインにおける「YXDD」モチーフを、例えばアスパラギン酸塩残基(D)の1つまたは複数をアスパラギン残基(N)に置換することによって、変異させることができ、それによって金属配位機能を排除するかまたは低減させ、それによって逆転写酵素機能を減少させるかまたは実質的に排除することができる。あるいは、または「YXDD」モチーフの変異に加えて、HBV pol抗原のRNアーゼHドメインにおけるMg2+配位にとって必要な「DEDD」モチーフを、例えば1つまたは複数のアスパラギン酸塩残基(D)をアスパラギン残基(N)に置換することによって、および/またはグルタミン酸塩残基(E)をグルタミン(Q)に置換することによって変異させることができ、それによってRNアーゼH機能を減少させるかまたは実質的に排除することができる。特定の実施形態では、HBV pol抗原は、(1)ポリメラーゼドメインの「YXDD」モチーフにおいてアスパラギン酸塩残基(D)をアスパラギン残基(N)に変異させることによって、および(2)RNアーゼHドメインの「DEDD」モチーフにおける第1のアスパラギン酸塩残基(D)をアスパラギン残基(N)に、および第1のグルタミン酸塩残基(E)をグルタミン残基(N)に変異させることによって改変され、それによってpol抗原の逆転写酵素およびRNアーゼH機能を減少させるかまたは実質的に排除する。
本出願の好ましい実施形態では、HBV pol抗原は、コンセンサス抗原、好ましくはHBV遺伝子型B、C、およびDに由来するコンセンサス抗原であり、より好ましくはHBV遺伝子型B、C、およびDに由来する不活化コンセンサス抗原である。本出願に従う例示的なHBV polコンセンサス抗原は、配列番号4と少なくとも90%同一である、例えば配列番号4と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号4と少なくとも98%同一である、例えば配列番号4と少なくとも98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一であるアミノ酸配列を含む。配列番号4は、ポリメラーゼおよびRNアーゼHドメインの活性部位に位置する4つの変異を含むHBV遺伝子型B、C、およびDに由来するpolコンセンサス抗原である。特に、4つの変異は、ポリメラーゼドメインの「YXDD」モチーフにおけるアスパラギン酸塩残基(D)のアスパラギン残基(N)への変異、ならびにRNアーゼHドメインの「DEDD」モチーフにおける第1のアスパラギン酸塩残基(D)のアスパラギン残基(N)への変異、およびグルタミン酸塩残基(E)のグルタミン残基(Q)への変異を含む。
本出願の特定の実施形態では、HBV pol抗原は、配列番号4のアミノ酸配列を含む。本出願の他の実施形態では、HBV pol抗原は、配列番号4のアミノ酸配列からなる。
(3)HBVコア抗原およびHBVポリメラーゼ抗原の融合体
本明細書で使用される場合、「融合タンパク質」、または「融合体」は、単一の天然のポリペプチドに通常存在しない少なくとも2つのポリペプチドドメインを有する単一のポリペプチド鎖を指す。
本出願の一実施形態では、HBV抗原は、好ましくはリンカーを介して、HBV Pol抗原に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原、または切断型HBVコア抗原に作動可能に連結されたHBV Pol抗原を含む融合タンパク質を含む。
本明細書で使用される場合、用語「リンカー」は、リンカーの1つの部分が第1の分子に作動可能に連結され、リンカーの別の部分が、第2の分子に作動可能に連結される、2つの異なる分子を作動可能に連結するための分子架橋として作用する化合物または部分を指す。例えば、第1のポリペプチドおよび第2の異種ポリペプチドを含有する融合タンパク質では、リンカーは、主に第1のポリペプチドと第2の異種ポリペプチドとの間のスペーサーとしての役目を果たす。一実施形態では、リンカーは、ペプチド結合によって共に連結されたアミノ酸、好ましくはペプチド結合によって連結された1〜20個のアミノ酸で構成され、アミノ酸は、20個の天然に存在するアミノ酸から選択される。一実施形態では、1〜20個のアミノ酸は、グリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、グルタミン、およびリジンから選択される。好ましくは、リンカーは、立体妨害を受けないアミノ酸、例えばグリシンおよびアラニンで大部分が構成される。例示的なリンカーは、ポリグリシン、特に(Gly)、(Gly)、ポリ(Gly−Ala)、およびポリアラニンである。以下の実施例に示される1つの例示的な適したリンカーは、(AlaGly)であり、式中nは2〜5の整数である。
好ましくは、本出願の融合タンパク質は、哺乳動物において、少なくとも2つのHBV遺伝子型のHBVコアおよびHBV Polに対する免疫応答を誘導することが可能である。好ましくは、融合タンパク質は、哺乳動物において少なくともHBV遺伝子型B、CおよびDに対するT細胞応答を誘導することが可能である。より好ましくは、融合タンパク質は、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、CおよびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能である。
本出願の一実施形態では、融合タンパク質は、配列番号2と少なくとも90%同一である、例えば少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一であるアミノ酸配列を有する切断型HBVコア抗原、リンカー、および配列番号4と少なくとも90%同一である、例えば少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一であるアミノ酸配列を有するHBV Pol抗原を含む。
本出願の好ましい実施形態では、融合タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原、nが2〜5の整数である(AlaGly)を含むリンカー、および配列番号4のアミノ酸配列を有するHBV Pol抗原を含む。より好ましくは、本出願の実施形態に従う融合タンパク質は、配列番号12のアミノ酸配列を含む。
本出願の一実施形態では、融合タンパク質は、シグナル配列をさらに含む。好ましくは、シグナル配列は、配列番号6または配列番号11のアミノ酸配列を有する。より好ましくは、融合タンパク質は、配列番号13のアミノ酸配列を含む。
ポリヌクレオチドおよびベクター
別の一般的な態様では、本出願は、本出願の実施形態に従うHBV抗原をコードする天然に存在しない核酸分子および天然に存在しない核酸を含むベクターを提供する。天然に存在しない核酸分子は、本出願のHBV抗原をコードする任意のポリヌクレオチド配列を含むことができ、これは本開示を考慮して当技術分野で公知の方法を使用して作製することができる。好ましくは、ポリヌクレオチドは、本出願のHBVコア抗原およびHBVポリメラーゼ抗原の少なくとも1つをコードする。ポリヌクレオチドは、組換え技術(例えば、クローニング)によって得た、または合成(例えば、化学合成)によって産生されたRNAの形態またはDNAの形態であり得る。DNAは、一本鎖もしくは二本鎖であり得るか、または二本鎖および一本鎖配列の両方の部分を含有し得る。例えば、DNAは、ゲノムDNA、cDNA、またはその組合せを含み得る。ポリヌクレオチドはまた、DNA/RNAハイブリッドでもあり得る。本出願のポリヌクレオチドおよびベクターは、組換えタンパク質産生、宿主細胞におけるタンパク質の発現、またはウイルス粒子の産生のために使用することができる。好ましくは、ポリヌクレオチドは、DNAである。
本出願の一実施形態では、天然に存在しない核酸分子は、配列番号2と少なくとも90%同一である、例えば配列番号2と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号2と少なくとも98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードするポリヌクレオチドを含む。本出願の特定の実施形態では、天然に存在しない核酸分子は、配列番号2のアミノ酸配列を含む切断型HBVコア抗原をコードする。
配列番号2のアミノ酸配列を含む切断型HBVコア抗原をコードする本出願のポリヌクレオチド配列の例には、配列番号1と少なくとも90%同一である、例えば配列番号1と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号1と少なくとも98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列が挙げられるがこれらに限定されない。本出願の特定の実施形態では、切断型HBVコア抗原をコードする天然に存在しない核酸分子は、配列番号1、17、または18のポリヌクレオチド配列を含む。
本出願の一実施形態では、天然に存在しない核酸分子は、配列番号4と少なくとも90%同一である、例えば配列番号4と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号4と100%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする。本出願の特定の実施形態では、天然に存在しない核酸分子は、配列番号4のアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする。
配列番号4のアミノ酸配列を含むHBV Pol抗原をコードする本出願のポリヌクレオチド配列の例には、配列番号3と少なくとも90%同一である、例えば配列番号3と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号3と少なくとも98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列が挙げられるがこれらに限定されない。本出願の特定の実施形態では、HBV pol抗原をコードする天然に存在しない核酸分子は、配列番号3、19、または20のポリヌクレオチド配列を含む。
本出願の別の実施形態では、天然に存在しない核酸分子は、HBV Pol抗原に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原、または切断型HBVコア抗原に作動可能に連結されたHBV Pol抗原を含む融合タンパク質をコードする。特定の実施形態では、本出願の天然に存在しない核酸分子は、配列番号2と少なくとも90%同一である、例えば配列番号2と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号2と100%同一であるアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原;リンカー;ならびに配列番号4と少なくとも90%同一である、例えば配列番号4と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号4と少なくとも98%、99%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする。本出願の特定の実施形態では、天然に存在しない核酸分子は、配列番号2のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原、nが2〜5の整数である(AlaGly)nを含むリンカー、および配列番号4のアミノ酸配列を含むHBV Pol抗原を含む融合タンパク質をコードする。本出願の特定の実施形態では、天然に存在しない核酸分子は、配列番号12のアミノ酸配列を含む融合タンパク質をコードする。
融合タンパク質をコードする本出願のポリヌクレオチド配列の例には、配列番号1と少なくとも90%同一である、例えば配列番号1と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号1と少なくとも98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列であって、配列番号14と少なくとも90%同一である、例えば配列番号14と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号14と少なくとも98%、99%、または100%同一であるリンカーコード配列に作動可能に連結され、リンカーコード配列がさらに、配列番号3と少なくとも90%同一である、例えば配列番号3と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号3と少なくとも98%、99%、または100%同一であるポリヌクレオチド配列にさらに作動可能に連結される、ポリヌクレオチド配列が挙げられるがこれらに限定されない。本出願の特定の実施形態では、融合タンパク質をコードする天然に存在しない核酸分子は、配列番号3にさらに作動可能に連結された配列番号14に作動可能に連結された配列番号1を含む。
別の一般的な態様では、本出願は、HBV抗原をコードする単離ポリヌクレオチドを含むベクターに関する。本明細書で使用される場合、「ベクター」は、遺伝子材料を別の細胞に運ぶために使用され、そこで複製および/または発現させることができる核酸分子である。本開示を考慮して当業者に公知の任意のベクターを使用することができる。ベクターの例には、プラスミド、ウイルスベクター(バクテリオファージ、動物ウイルス、および植物ウイルス)、コスミド、および人工染色体(例えば、YAC)が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、ベクターはDNAプラスミドである。ベクターは、DNAベクターまたはRNAベクターであり得る。当業者は、本開示を考慮して標準的な組換え技術を通して、本出願のベクターを構築することができる。
本出願の実施形態に従って、ベクターは発現ベクターであり得る。本明細書で使用される場合、用語「発現ベクター」は、転写することが可能なRNAをコードする核酸を含む任意のタイプの遺伝子構築物を指す。発現ベクターには、組換えタンパク質発現のためのベクター、例えばDNAプラスミド、またはウイルスベクター、および対象の組織において発現させるために対象に核酸を送達するためのベクター、例えばDNAプラスミドまたはウイルスベクターが挙げられるがこれらに限定されない。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベル等の要因に依存し得ることは当業者によって認識される。
本出願の実施形態に従うベクターは、多様な調節配列を含有し得る。本明細書で使用される場合、用語「調節配列」は、複製、重複、転写、スプライシング、翻訳、核酸またはその誘導体の1つ(すなわち、mRNA)の安定性および/または宿主細胞もしくは生物への輸送を含む、核酸分子の機能的調節を可能にする、寄与する、またはモジュレートする任意の配列を指す。本開示の文脈では、この用語は、プロモーター、エンハンサー、および他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナルおよびmRNA安定性に影響を及ぼすエレメント)を包含する。
本出願の一部の実施形態では、ベクターは、非ウイルスベクターである。非ウイルスベクターの例には、DNAプラスミド、細菌人工染色体、酵母人工染色体、バクテリオファージ等が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、非ウイルスベクターは、DNAプラスミドである。「DNAプラスミド」は、「DNAプラスミドベクター」、「プラスミドDNA」または「プラスミドDNAベクター」と互換的に使用され、適した宿主細胞において自立複製を可能にする、二本鎖で一般的に環状のDNA配列を指す。コードされるポリヌクレオチドの発現のために使用されるDNAプラスミドは、典型的には、複製開始点、マルチクローニングサイト、および例えば抗生物質耐性遺伝子であり得る選択可能マーカーを含む。本出願で使用するために適したDNAプラスミドの例には、周知の発現系において使用するための市販の発現ベクター(原核細胞および真核細胞系の両方を含む)、例えば大腸菌(Escherichia coli)におけるタンパク質の産生および/または発現のために使用することができるpSE420(Invitrogen、San Diego、Calif.);酵母(Saccharomyces cerevisiae)株における産生および/または発現のために使用することができるpYES2(Invitrogen、Thermo Fisher Scientific);昆虫細胞における産生および/または発現のために使用することができるMAXBAC(登録商標)完全バキュロウイルス発現系(Thermo Fisher Scientific);哺乳動物細胞における高レベルの構成的タンパク質発現のために使用することができるpcDNA(商標)またはpcDNA3(商標)(Life Technologies、Thermo Fisher Scientific);ならびにほとんどの哺乳動物細胞において目的のタンパク質の高レベルの一過性の発現のために使用することができるpVAXまたはpVAX−1(Life Technologies、Thermo Fisher Scientific)が挙げられるがこれらに限定されない。任意の市販のDNAプラスミドの骨格を、宿主細胞におけるタンパク質発現を最適にするために、通常の技術および容易に入手可能な出発材料を使用して、例えばある特定のエレメント(例えば、複製開始点および/または抗生物質耐性カセット)の方向を逆転させるように、プラスミドに対して内因性のプロモーター(例えば、抗生物質耐性カセットにおけるプロモーター)を置換するように、および/または転写されたタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列(例えば、抗生物質耐性遺伝子のコード配列)を置換するように改変することができる(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning a Laboratory Manual, Second Ed. Cold Spring Harbor Press(1989)を参照されたい)。
本出願の好ましい実施形態では、DNAプラスミドは、哺乳動物宿主細胞におけるタンパク質発現にとって適した発現ベクターである。哺乳動物宿主細胞におけるタンパク質発現にとって適した発現ベクターには、pcDNA(商標)、pcDNA3(商標)、pVAX、pVAX−1、ADVAX、NTC8454等が挙げられるがこれらに限定されない。好ましくは、発現ベクターはpVAX−1に基づくが、これを、哺乳動物細胞におけるタンパク質発現を最適にするためにさらに改変することができる。pVAX−1は、DNAワクチンにおいて一般的に使用されるプラスミドであり、強いヒト前初期サイトメガロウイルス(CMV−IE)プロモーター、その後に続くウシ成長ホルモン(bGH)由来ポリアデニル化配列(pA)を含有する。pVAX−1は、細菌プラスミドの繁殖を可能にする小さい原核細胞プロモーターによって駆動されるpUC複製開始点およびカナマイシン耐性遺伝子をさらに含有する。
本出願の一実施形態では、ベクターは、ウイルスベクターである。一般的に、ウイルスベクターは、非感染性にされているが、それでもなおウイルスプロモーターおよびトランスジーンを含有し、それによってウイルスプロモーターを通してのトランスジーンの翻訳を可能にする、改変ウイルスDNAまたはRNAを保有する遺伝子操作ウイルスである。ウイルスベクターはしばしば、感染性の配列を欠如することから、それらは大規模トランスフェクションのためにはヘルパーウイルスまたはパッケージングラインを必要とする。本出願と共に使用するために適したウイルスベクターの例には、アデノウイルスベクター、改変ワクシニアアンカラ(MVA)ベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、腸内ウイルスベクター、ベネズエラウマ脳炎ウイルスベクター、セムリキ森林ウイルスベクター、タバコモザイクウイルスベクター、レンチウイルスベクター等が挙げられるがこれらに限定されない。
本出願の実施形態に従って、ベクター、例えばDNAプラスミドまたはウイルスベクターは、ベクターのポリヌクレオチド配列によってコードされるHBV抗原の複製および発現が挙げられるがこれらに限定されないベクターの通常の機能を確立するために任意の調節エレメントを含み得る。調節エレメントには、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、翻訳終止コドン、リボソーム結合エレメント、転写ターミネーター、選択マーカー、複製開始点等が挙げられるがこれらに限定されない。ベクターは、1つまたは複数の発現カセットを含み得る。「発現カセット」は、細胞機構にRNAおよびタンパク質を作製するよう指示するベクターの一部である。発現カセットは典型的には、3つの構成要素:プロモーター配列、オープンリーディングフレーム、および任意選択でポリアデニル化シグナルを含む3’非翻訳領域(UTR)を含む。オープンリーディングフレーム(ORF)は、開始コドンから終止コドンまでの目的のタンパク質(例えば、HBV抗原)のコード配列を含有する読み取り枠である。発現カセットの調節エレメントは、目的のHBV抗原をコードするポリヌクレオチド配列に作動可能に連結させることができる。本明細書で使用される場合、用語「作動可能に連結された」は、その最も広い妥当な文脈で解釈され、機能的に関連するポリヌクレオチドエレメントの連結を指す。ポリヌクレオチドは、別のポリヌクレオチドと機能的関係にある場合に「作動可能に連結」されている。例えば、プロモーターは、それがコード配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作動可能に連結されている。
一部の実施形態では、ベクターは、目的のHBV抗原の発現を制御するために、好ましくは発現カセット内にプロモーター配列を含む。用語「プロモーター」は、その通常の意味で使用され、作動可能に連結されたヌクレオチド配列の転写を開始するヌクレオチド配列を指す。プロモーターは、それが転写するヌクレオチド配列の近くの同じ鎖上に位置する。プロモーターは、構成的、誘導型、または抑制性であり得る。プロモーターは、天然に存在するかまたは合成であり得る。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、および動物を含む起源に由来し得る。プロモーターは、同種プロモーター(すなわちベクターと同じ遺伝的起源に由来する)または異種プロモーター(すなわち、異なるベクターまたは遺伝的起源に由来する)であり得る。例えば、使用されるベクターが、DNAプラスミドである場合、プロモーターは、プラスミドに対して内因性であり得るか(同種)、または他の起源に由来し得る(異種)。好ましくは、プロモーターは、発現カセット内でHBV抗原をコードするポリヌクレオチドの上流に位置する。
本出願で使用するために適したプロモーターの例には、シミアンウイルス40(SV40)のプロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルスウイルス(MMTV)プロモーター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター、例えばウシ免疫不全ウイルス(BIV)長末端反復(LTR)プロモーター、モロニーウイルスプロモーター、トリ白血病ウイルス(ALV)プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、例えばCMV前初期プロモーター(CMV−IE)、エプスタインバーウイルス(EBV)プロモーター、またはラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーターが挙げられるがこれらに限定されない。本出願において使用するために適した追加のプロモーターには、RSVプロモーター、レトロウイルスLTR、アデノウイルス主要後期プロモーター、ならびに以下のワクシニアウイルスまたはMVA由来およびFPV由来プロモーター:30Kプロモーター、I3プロモーター、PrSプロモーター、PrHyb、PrS5Eプロモーター、Pr7.5K、Pr13.5長プロモーター、40Kプロモーター、MVA−40Kプロモーター、FPV 40Kプロモーター、30kプロモーター、PrSynIImプロモーター、PrLE1プロモーター、およびPR1238プロモーターが挙げられるがこれらに限定されない様々なポックスウイルスプロモーターが挙げられるがこれらに限定されない。追加のプロモーターは、参照により本明細書に組み込まれている、国際公開第2010/060632号明細書、国際公開第2010/102822号明細書、国際公開第2013/189611号明細書および国際公開第2014/063832号明細書、ならびに国際公開第2017/021776号明細書に詳しく記載されている。
プロモーターはまた、ヒト遺伝子のプロモーター、例えばヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチン、またはヒトメタロチオネインのプロモーターであり得る。プロモーターはまた、組織特異的プロモーター、例えば天然または合成の筋特異的または皮膚特異的プロモーターであり得る。
本出願の好ましい実施形態では、プロモーターは、強い真核細胞プロモーター、好ましくはサイトメガロウイルス前初期(CMV−IE)プロモーターである。例示的なCMV−IEプロモーターのヌクレオチド配列を配列番号7に示す。
本出願の別の好ましい実施形態では、プロモーターはポックスウイルスプロモーター、好ましくはPrMVA13.5長および/またはPrHybから選択されるプロモーターである。例示的なPr13.5長プロモーターおよびPrHybプロモーターのヌクレオチド配列をそれぞれ、配列番号25および26に示す。
一部の実施形態では、ベクターは、発現された転写物を安定化させる、RNA転写物の核輸出を増強する、および/または転写−翻訳カップリングを改善する追加のポリヌクレオチド配列を含む。そのような配列の例には、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサー配列が挙げられる。ポリアデニル化シグナルは、典型的には、ベクターの発現カセット内の目的のタンパク質(例えば、HBV抗原)のコード配列の下流に位置する。エンハンサー配列は、転写因子が結合すると、関連する遺伝子の転写を増強する調節性DNA配列である。エンハンサー配列は、ベクターの発現カセット内で、好ましくはHBV抗原をコードするポリヌクレオチド配列の上流であるが、プロモーター配列の下流に位置する。
本開示を考慮して当業者に公知の任意のポリアデニル化シグナルを使用することができる。例えば、ポリアデニル化シグナルは、SV40ポリアデニル化シグナル(例えば、配列番号16)、LTRポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナル、ヒト成長ホルモン(hGH)ポリアデニル化シグナル、またはヒトβ−グロビンポリアデニル化シグナルであり得る。本出願の好ましい実施形態では、ポリアデニル化シグナルは、ウシ成長ホルモン(bGH)ポリアデニル化シグナルである。例示的なbGHポリアデニル化シグナルのヌクレオチド配列を配列番号9に示す。
本開示を考慮して当業者に公知の任意のエンハンサー配列を使用することができる。例えば、エンハンサー配列は、ヒトアクチン、ヒトミオシン、ヒトヘモグロビン、ヒト筋クレアチン、またはウイルスエンハンサー、例えばCMV、HA、RSV、もしくはEBV由来のエンハンサーであり得る。特定のエンハンサーの例には、ウッドチャックHBV転写後調節エレメント(WPRE)、ヒトアポリポタンパク質A1前駆体に由来するイントロン/エクソン配列、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV−1)長末端反復(LTR)の非翻訳R−U5ドメイン、スプライシングエンハンサー、合成ウサギβ−グロビンイントロン、またはその任意の組合せが挙げられるがこれらに限定されない。本出願の好ましい実施形態では、エンハンサー配列は、HTLV−1 LTRの非翻訳R−U5ドメイン、ウサギβ−グロビンイントロン、およびスプライシングエンハンサーの3つの構成的エレメントの複合配列であり、これを本明細書において「トリプルエンハンサー配列」と呼ぶ。例示的なトリプルエンハンサー配列のヌクレオチド配列を配列番号8に示す。別の例示的なエンハンサー配列は、配列番号15に示すApoAI遺伝子断片である。
一部の実施形態では、ベクターは、シグナルペプチド配列をコードするポリヌクレオチドを含む。好ましくは、シグナルペプチド配列をコードするポリヌクレオチド配列は、HBV抗原をコードするポリヌクレオチド配列の上流に位置する。シグナルペプチドは、典型的には、タンパク質の局在化を指示し、それが産生される細胞からのタンパク質の分泌を容易にし、ならびに/または抗原発現および抗原提示細胞に対する交差提示を改善する。シグナルペプチドは、ベクターから発現される場合、HBV抗原のN末端に存在し得るが、細胞からの分泌時にシグナルペプチダーゼによって切断される。シグナルペプチドが切断されている発現されたタンパク質は、しばしば「成熟タンパク質」と呼ばれる。本開示を考慮して当技術分野で公知の任意のシグナルペプチドを使用することができる。例えば、シグナルペプチドは、シスタチンSシグナルペプチド、免疫グロブリン(Ig)分泌シグナル、例えばIg重鎖ガンマシグナルペプチドSPIgG、またはIg重鎖イプシロンシグナルペプチドSPIgEであり得る。
本出願の好ましい実施形態では、シグナルペプチド配列は、シスタチンSシグナルペプチドである。シスタチンSシグナルペプチドの例示的な核酸およびアミノ酸配列をそれぞれ、配列番号5および6に示す。免疫グロブリン分泌シグナルの例示的な核酸およびアミノ酸配列をそれぞれ、配列番号10および27および配列番号11に示す。
ベクター、例えばDNAプラスミドはまた、細菌複製開始点、ならびに細菌細胞、例えば大腸菌(E. coli)におけるプラスミドの選択および維持のための抗生物質耐性発現カセットも含み得る。細菌の複製開始点および抗生物質耐性カセットは、ベクター内でHBV抗原をコードする発現カセットと同じ方向に、または反対(逆)方向に位置することができる。複製開始点(ORI)は、そこで複製が開始される配列であり、プラスミドが細胞内で再生および生存することを可能にする。本出願で使用するために適したORIの例には、ColE1、pMB1、pUC、pSC101、R6K、および15A、好ましくはpUCが挙げられるがこれらに限定されない。pUC ORIの例示的なヌクレオチド配列を配列番号21に示す。
細菌細胞における選択および維持のための発現カセットは典型的には、抗生物質耐性遺伝子に作動可能に連結されたプロモーター配列を含む。好ましくは、抗生物質耐性遺伝子に作動可能に連結されたプロモーター配列は、目的のタンパク質、例えばHBV抗原をコードするポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーター配列とは異なる。抗生物質耐性遺伝子は、コドン最適化することができ、抗生物質耐性遺伝子の配列組成は通常、細菌、例えば大腸菌(E. coli)のコドン使用に調整される。カナマイシン耐性遺伝子(Kan)、アンピシリン耐性遺伝子(Amp)、およびテトラサイクリン耐性遺伝子(Tet)、ならびにクロラムフェニコール、ブレオマイシン、スペクチノマイシン、カルベニシリン等に対して耐性を付与する遺伝子を含むがこれらに限定されない、本開示を考慮して当業者に公知の任意の抗生物質耐性遺伝子を使用することができる。
本出願の別の好ましい実施形態では、ベクターは、ウイルスベクター、好ましくはアデノウイルスベクターであって、配列番号4と少なくとも98%同一である、例えば配列番号4と少なくとも98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むHBV pol抗原、および配列番号2のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原からなる群から選択されるHBV抗原の少なくとも1つをコードするポリヌクレオチド;5’末端から3’末端に、プロモーター配列、好ましくは配列番号7のCMV−IEプロモーター配列、エンハンサー配列、好ましくは配列番号8のトリプルエンハンサー配列または配列番号15のApoA1エンハンサー配列、およびシグナルペプチド配列、好ましくは配列番号6のアミノ酸配列を有するシスタチンSシグナルまたは配列番号11のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン分泌シグナルをコードするポリヌクレオチド配列を含む、HBV抗原をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された上流の配列;ならびにポリアデニル化シグナル、好ましくは配列番号16のSV40ポリアデニル化シグナルまたは配列番号9のbGHポリアデニル化シグナルを含む、HBV抗原をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された下流の配列を含む発現カセットを含むウイルスベクターである。
本出願の別の好ましい実施形態では、ベクターは、ウイルスベクター、好ましくはMVAベクターであって、配列番号4と少なくとも98%同一である、例えば配列番号4と少なくとも98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一であるアミノ酸配列を含むHBV pol抗原、および配列番号2のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原からなる群から選択されるHBV抗原の少なくとも1つをコードするポリヌクレオチド;5’末端から3’末端に、プロモーター配列、好ましくは配列番号25のPrMVA13.5長プロモーター配列または配列番号26のPrHybプロモーター配列、およびシグナルペプチド配列、好ましくは配列番号6のアミノ酸配列を有するシスタチンSシグナルまたは配列番号11のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン分泌シグナルをコードするポリヌクレオチド配列を含む、HBV抗原をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された上流の配列;ならびにポリアデニル化シグナルまたは初期終止シグナルを含む、HBV抗原をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された下流の配列であって、初期終止シグナルが配列番号28のヌクレオチド配列を有するか、またはポリアデニル化シグナルが、配列番号16のポリヌクレオチド配列を有するSV40ポリアデニル化シグナルもしくは配列番号9のポリヌクレオチド配列を有するbGHポリアデニル化シグナルから選択され、好ましくはHBV抗原をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された下流の配列が配列番号28のヌクレオチド配列を有する早期終止シグナルである、下流の配列を含む発現カセットを含むウイルスベクターである。
本出願の一実施形態では、ベクター、例えばウイルスベクターは、配列番号4のアミノ酸配列を有するHBV Pol抗原をコードする。好ましくは、ベクターは、配列番号3のポリヌクレオチド配列と少なくとも90%同一である、例えば配列番号3と90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号3と100%同一であるHBV Pol抗原のコード配列を含む。
本出願の別の実施形態では、ベクター、例えばウイルスベクターは、配列番号2のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする。好ましくは、ベクターは、配列番号1のポリヌクレオチド配列と少なくとも90%同一である、例えば配列番号1と90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号1と100%同一である切断型HBVコア抗原のコード配列を含む。
本出願のなお別の実施形態では、ベクター、例えばウイルスベクターは、配列番号4のアミノ酸配列を有するHBV Pol抗原、および配列番号2のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原を含む融合タンパク質をコードする。好ましくは、ベクターは、配列番号1と少なくとも90%同一である、例えば配列番号1と90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号1と98%、99%または100%同一である切断型HBVコア抗原のコード配列であって、配列番号3と少なくとも90%同一である、例えば配列番号3と90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号3と98%、99%または100%同一であるHBV Pol抗原のコード配列に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原のコード配列を含有する融合体のコード配列を含む。好ましくは切断型HBVコア抗原のコード配列は、配列番号14と少なくとも90%同一である、例えば配列番号14と90%、91%、92%、93%、94%、95%、95.5%、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%同一である、好ましくは配列番号14と98%、99%または100%同一であるリンカーのコード配列を介してHBV Pol抗原のコード配列に作動可能に連結されている。本出願の特定の実施形態では、ベクターは、配列番号3にさらに作動可能に連結された配列番号14に作動可能に連結された、配列番号1を有する融合体のコード配列を含む。
本出願のHBV抗原をコードするポリヌクレオチドおよび発現ベクターは、本開示を考慮して当技術分野で公知の任意の方法によって作製することができる。例えば、HBV抗原をコードするポリヌクレオチドを、当業者に周知である標準的な分子生物学技術、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)等を使用して発現ベクターに導入または「クローニング」することができる。
アデノウイルス
一態様では、本出願は、抗原性のHBVコア抗原をコードする異種ヌクレオチド配列を含む組換えアデノウイルスを提供する。別の態様では、本出願は、抗原性HBV pol抗原をコードする異種ヌクレオチド配列を含むアデノウイルスを提供する。別の態様では、本出願は、抗原性HBVコア抗原をコードする第1の異種ヌクレオチド配列、および抗原性HBV pol抗原をコードする第2の異種ヌクレオチド配列を含む組換えアデノウイルスベクターを提供する。別の態様では、本出願は、抗原性HBVコア−HBV pol融合タンパク質をコードする異種ヌクレオチド配列を含む組換えアデノウイルスを提供する。
本出願に従うアデノウイルスは、アデノウイルス科に属し、好ましくはマストアデノウイルス属に属するアデノウイルスである。これはヒトアデノウイルスであり得るが、ウシアデノウイルス(例えば、ウシアデノウイルス3、BAdV3)、イヌアデノウイルス(例えば、CAdV2)、ブタアデノウイルス(例えば、PAdV3または5)、またはシミアンアデノウイルス(サルアデノウイルスおよび類人猿アデノウイルス、例えばチンパンジーアデノウイルスまたはゴリラアデノウイルスを含む)を含むがこれらに限定されない、他の種に感染するアデノウイルスでもあり得る。好ましくは、アデノウイルスは、ヒトアデノウイルス(HAdVまたはAdHu;本出願では、種を記載せずにAdと呼ぶ場合、ヒトアデノウイルスを意味し、例えば簡略表記「Ad5」は、ヒトアデノウイルス血清型5であるHAdV5と同じウイルスを意味する)、またはシミアンアデノウイルス、例えばチンパンジーもしくはゴリラアデノウイルス(ChAd、AdCh、またはSAdV)である。
ほとんどの先進的な研究はヒトアデノウイルスを使用して実施されており、ヒトアデノウイルスは、本出願のある特定の態様によると好ましい。ある特定の好ましい実施形態では、本出願に従う組換えアデノウイルスは、ヒトアデノウイルスに基づく。好ましい実施形態では、組換えアデノウイルスは、ヒトアデノウイルス血清型5、11、26、34、35、48、49、または50に基づく。本出願の特に好ましい実施形態に従って、アデノウイルスは、血清型26または35の1つのヒトアデノウイルスである。
これらの血清型の利点は、ヒト集団における低い血清有病率および/または低い既存の中和抗体力価である。rAd26ベクターの調製は、例えばその両方の全体が参照により本明細書に組み込まれている、国際公開第2007/104792号明細書、およびAbbink et al., (2007) Virol 81 (9): 4654-63に記載されている。Ad26の例示的なゲノム配列は、GenBank受託番号EF 153474および国際公開第2007/104792号明細書(例えば、配列番号1を参照されたい)に見出される。rAd35ベクターの調製は、例えばその全ての全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第7,270,811号明細書、国際公開第00/70071号明細書、およびVogels et al., (2003) J Virol 77 (15): 8263-71に記載されている。Ad35の例示的なゲノム配列は、GenBank受託番号AC_000019および国際公開第00/70071号明細書(例えば、図6を参照されたい)に見出される。
シミアンアデノウイルスもまた、一般的に、ヒト集団において低い血清有病率および/または低い既存の中和抗体力価を有し、チンパンジーアデノウイルスベクターを使用してかなりの量の研究が報告されている(例えば、米国特許第6083716号明細書;国際公開第2005/071093号明細書;国際公開第2010/086189号明細書;国際公開第2010085984号明細書;Farina et al, 2001, J Virol 75: 11603-13; Cohen et al, 2002, J Gen Virol 83: 151-55; Kobinger et al, 2006, Virology 346: 394-401; Tatsis et al., 2007, Molecular Therapy 15: 608-17;同様にBangari and Mittal, 2006, Vaccine 24: 849-62による総説;およびLasaro and Ertl, 2009, Mol Ther 17: 1333-39による総説も参照されたい)。したがって、他の好ましい実施形態では、本出願に従う組換えアデノウイルスは、シミアンアデノウイルス、例えばチンパンジーアデノウイルスに基づく。本出願の一実施形態では、組換えアデノウイルスは、シミアンアデノウイルス1、3、7、8、21、22、23、24、25、26、27.1、28.1、29、30、31.1、32、33、34、35.1、36、37.2、39、40.1、41.1、42.1、43、44、45、46、48、49、50型、またはSA7Pに基づく。
アデノウイルスベクターrAd26およびrAd35
本出願の好ましい実施形態では、アデノウイルスベクターは、2つのまれな血清型:Ad26およびAd35のキャプシドタンパク質を含む。典型的な実施形態では、ベクターは、rAd26またはrAd35ウイルスである。
このように、本出願において使用することができるベクターは、Ad26またはAd35キャプシドタンパク質(例えば、線維、ペントン、またはヘキソンタンパク質)を含む。当業者は、Ad26またはAd35キャプシドタンパク質の全体を本出願のベクターに使用する必要はないことを認識するであろう。このように、Ad26またはAd35キャプシドタンパク質の少なくとも一部を含むキメラキャプシドタンパク質を、本出願のベクターに使用することができる。本出願のベクターはまた、少なくとも1つのキャプシドタンパク質がAd26またはAd35に由来する限り、線維、ペントン、およびヘキソンタンパク質が各々異なる血清型に由来するキャプシドタンパク質も含み得る。好ましい実施形態では、線維、ペントン、およびヘキソンタンパク質は、各々がAd26に由来するか、または各々がAd35に由来する。
当業者は、複数の血清型に由来するエレメントを、単一の組換えアデノウイルスベクターにおいて組み合わせることができることを認識するであろう。このように、異なる血清型からの望ましい特性を組み合わせるキメラアデノウイルスを産生することができる。このように、いくつかの実施形態では、本出願のキメラアデノウイルスは、Ad26およびAd35血清型の既存の免疫の非存在を、温度安定性、アセンブリ、接着、産生量、リダイレクトされたまたは改善した感染症、標的細胞におけるDNAの安定性等などの特徴と組み合わせることができる。
本出願の一実施形態では、本出願において有用な組換えアデノウイルスベクターは、Ad35またはAd26に主にまたは完全に由来する(すなわち、ベクターはrAd35またはrAd26である)。一部の実施形態では、アデノウイルスは、例えばゲノムのE1領域に欠失を含有することから、複製欠損である。Ad26またはAd35に由来する本出願のアデノウイルスに関して、典型的に、アデノウイルスのE4−orf6コード配列を、ヒト亜群Cのアデノウイルス、例えばAd5のE4−orf6に置換する。これによって、Ad5のE1遺伝子を発現する周知の補完細胞株、例えば293細胞、PER.C6細胞等においてそのようなアデノウイルスの繁殖が可能となる(例えば、Havenga et al, 2006, J Gen Virol 87: 2135-43;国際公開第03/104467号を参照されたい)。本出願の一実施形態では、アデノウイルスは、その中に抗原をコードする核酸がクローニングされているE1領域の欠失、およびAd5のE4 orf6領域を有する血清型35のヒトアデノウイルスである。本出願の一実施形態では、アデノウイルスは、その中に抗原をコードする核酸がクローニングされているE1領域の欠失、およびAd5のE4 orf6領域を有する血清型26のヒトアデノウイルスである。Ad35アデノウイルスの場合、典型的に、アデノウイルスのE1B 55Kオープンリーディングフレームの3’末端、例えばpIXオープンリーディングフレームのすぐ上流の166bpまたはこれを含む断片、例えばBsu36I制限部位によって5’末端で印を付けられた、pIX開始コドンのすぐ上流の243bp断片を保持するが、その理由は、pIX遺伝子のプロモーターが部分的にこの領域に存在することにより、これがアデノウイルスの安定性を増加させるためである(例えば、Havenga et al, 2006、前記;国際公開第2004/001032号明細書を参照されたい)。
組換えアデノウイルスベクターの調製は、当技術分野で周知である。rAd26ベクターの調製は、例えば国際公開第2007/104792号明細書、およびAbbink et al.,(2007) Virol 81 (9): 4654-63に記載されている。Ad26の例示的なゲノム配列は、GenBank受託番号EF 153474および国際公開第2007/104792号明細書の配列番号1に見出される。rAd35ベクターの調製は、例えば米国特許第7,270,811号明細書、およびVogels et al., (2003) J Virol 77(15): 8263-71に記載されている。Ad35の例示的なゲノム配列は、GenBank受託番号AC_000019に見出される。
本出願の一実施形態では、本出願において有用なベクターは、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれている国際公開第2012/082918号明細書に記載されるベクターを含む。
典型的には、本出願において有用なベクターは、組換えアデノウイルスゲノム全体を含む核酸(例えば、プラスミド、コスミド、またはバキュロウイルスベクター)を使用して産生される。このように、本出願はまた、本出願のアデノウイルスベクターをコードする単離された核酸分子も提供する。本出願の核酸分子は、クローニングによって得たまたは合成によって産生したRNAの形態またはDNAの形態であり得る。DNAは、二本鎖または一本鎖であり得る。
本出願において有用なアデノウイルスベクターは、典型的に複製欠損である。これらの実施形態では、ウイルスは、ウイルスの複製にとって極めて重要な領域、例えばE1領域の欠失または不活化によって複製欠損にされる。これらの領域は、目的の遺伝子の挿入(通常、プロモーターに連結された)によって実質的に欠失または不活化させることができる。一部の実施形態では、本出願のベクターは、他の領域、例えばE2、E3、もしくはE4領域の欠失、またはプロモーターに連結された異種遺伝子の挿入を含有し得る。E2および/またはE4変異アデノウイルスの場合、一般的にE2および/またはE4補完細胞株を使用して組換えアデノウイルスを生成する。アデノウイルスのE3領域の変異は、E3が複製にとって必要ではないことから、細胞株によって補完される必要はない。
パッケージング細胞株は、典型的に、本出願のアデノウイルスベクターの十分量を産生するために使用される。パッケージング細胞は、複製欠損ベクターにおいて欠失または不活化されている遺伝子を含み、このように細胞においてウイルスを複製させる細胞である。適した細胞株は、例えばPER.C6、911、293、およびE1 A549を含む。
上記のように、広く多様なB型肝炎ウイルス(HBV)抗原(例えば、HBVコアおよびHBVポリメラーゼ抗原)を、ベクターにおいて発現させることができる。必要であれば、HBV抗原をコードする異種遺伝子をコドン最適化して、処置した宿主(例えば、ヒト)において適切な発現を確保することができる。コドン最適化は、当技術分野で広く適用されている技術である。典型的には、異種遺伝子を、アデノウイルスゲノムのE1および/またはE3領域にクローニングする。
異種B型肝炎ウイルス遺伝子は、アデノウイルス由来プロモーター(例えば、主要後期プロモーター)の制御下であり得る(すなわち、作動可能に連結され得る)か、または異種プロモーターの制御下にあり得る。適した異種プロモーターの例には、CMVプロモーターおよびRSVプロモーターが挙げられる。好ましくは、プロモーターは、発現カセット内の目的の異種遺伝子の上流に位置する。
MVAベクター
本出願にとって有用なMVAベクターは、改変ワクシニアアンカラウイルスに由来する弱毒化ウイルスを利用する。MVAベクターは、広く多様なHBV抗原(例えば、HBVコアおよびHBVポリメラーゼ抗原)を発現する。一態様では、本出願は、抗原性HBVコア抗原をコードする異種ヌクレオチド配列を含む組換えMVAベクターを提供する。別の態様では、本出願は、抗原性HBV pol抗原をコードする異種ヌクレオチド配列を含む組換えMVAベクターを提供する。一態様では、本出願は、抗原性HBVコア抗原をコードする第1の異種ヌクレオチド配列および抗原性HBV pol抗原をコードする第2の異種ヌクレオチド配列を含む組換えMVAベクターを提供する。別の態様では、本出願は、抗原性HBVコア−HBV pol融合タンパク質をコードする異種ヌクレオチド配列を含む組換えMVAベクターを提供する。
改変ワクシニアウイルスアンカラ(「MVA」)
人為的に作製した弱毒化改変ワクシニアウイルスアンカラ(「MVA」)を、ワクシニアウイルスアンカラ株(CVA)のニワトリ胚線維芽細胞での516回の連続継代によって生成した(総論に関しては、Mayr, A.m et al. Infection 3, 6-14 (1975)を参照されたい)。これらの長期間の継代の結果として、得られたMVAウイルスのゲノムはそのゲノム配列の約31キロベースが欠失しており、したがってトリ細胞に対する高度の宿主細胞複製制限として記載された(Meyer, H. et al., J. Gen. Virol. 72, 031-1038 (1991))。得られたMVAは、完全な複製コンピテント出発材料と比較して有意に非病原性であったことが、多様な動物モデルにおいて示された(Mayr, A. & Danner, K., Dev. Biol. Stand. 41: 225-34 (1978))。
本出願の実践において有用なMVAウイルスには、MVA−572(1994年1月27日にECACC V94012707として寄託)、MVA−575(2000年12月7日にECACC V00120707として寄託)、MVA−I721(Suter et al., Vaccine 2009を参照されたい)、およびACAM3000(2003年3月27日にATCC(登録商標)PTA−5095として寄託)が挙げられ得るがこれらに限定されない。
より好ましくは、本出願に従って使用されるMVAは、MVA−BNおよびMVA−BNの誘導体を含む。MVA−BNは、国際PCT出願国際公開第02/042480号明細書に記載されている。MVA−BNの「誘導体」は、本明細書に記載されるMVA−BNと本質的に同じ複製特徴を示すが、そのゲノムの1つまたは複数の部分に差を示すウイルスを指す。
MVA−BN、ならびにその誘導体は、複製インコンピテントであり、すなわちin vivoおよびin vitroで再生的に複製できないことを意味する。より詳しくは、in vitroにおいて、MVA−BNまたはその誘導体は、ニワトリ胚線維芽細胞(CEF)において再生的に複製することが可能であるが、ヒトケラチノサイト細胞株HaCat(Boukamp et al (1988), J. Cell Biol. 106:761-771)、ヒト骨骨肉腫細胞株143B(ECACC寄託番号91112502)、ヒト胎児腎細胞株293(ECACC寄託番号85120602)、およびヒト子宮頸部腺癌細胞株HeLa(ATCC寄託番号CCL−2)において再生的に複製することが可能ではない。加えて、MVA−BNまたはその誘導体は、Hela細胞およびHaCaT細胞株におけるMVA−575より少なくとも2倍小さい、より好ましくは3倍小さいウイルス増幅比を有する。MVA−BNおよびその誘導体のこれらの特性の試験およびアッセイは、国際公開第02/42480号明細書(米国特許出願公開第2003/0206926号明細書)、および国際公開第03/048184号明細書(米国特許出願公開第2006/0159699号明細書)に記載されている。
先の段落において記載されたin vitroでヒト細胞株において、用語「再生的に複製可能ではない」または「再生的に複製不可能」という用語は、例えば上記のように所望の特性を有するMVAを得る方法も教示する国際公開第02/42480号明細書に記載されている。用語は、国際公開第02/42480号明細書または米国特許第6,761,893号明細書に記載のアッセイを使用して感染後4日目にin vitroで1未満のウイルス増幅比を有するウイルスに当てはまる。
用語「再生的に複製できない」は、感染後4日目で先の段落に記載のヒト細胞株においてin vitroで1未満のウイルス増幅比を有するウイルスを指す。国際公開第02/42480号明細書または米国特許第6,761,893号明細書に記載のアッセイは、ウイルス増幅比の決定に適用可能である。
先の段落に記載したヒト細胞株におけるin vitroでのウイルスの増幅または複製は、通常、感染細胞から産生されたウイルス(産出量)の、第1の場所で細胞に感染するために当初使用した量(投入量)に対する比として表記され、「増幅比」と呼ばれる。増幅比「1」は、感染細胞から産生されたウイルスの量が、細胞に感染するために当初使用した量と同じ量である感染状態を定義し、感染細胞がウイルス感染および再生を許容することを意味する。これに対し、増幅比1未満、すなわち、投入レベルと比較した産出量の減少は、ウイルスの再生的複製の欠如を示し、したがってウイルスの弱毒化を示す。
MVAに基づくワクチンの利点は、その安全性プロファイルならびに大規模ワクチン産生の利用能を含む。前臨床試験により、MVA−BNが、他のMVA株(国際公開第02/42480号明細書)と比較して優れた弱毒化および有効性を証明することが明らかとなった。MVA−BN株の追加の特性は、DNA−プライム/ワクシニアウイルスブーストレジメンと比較した場合にワクシニアウイルスプライム/ワクシニアウイルスブーストレジメンにおいて実質的に同じレベルの免疫を誘導できることである。
組換えMVA−BNウイルスは、本明細書における最も好ましい実施形態であり、哺乳動物細胞におけるその明白な複製欠損およびその良好に確立された非病原性のために、安全であると考えられる。さらに、その有効性に加えて、工業規模での製造が実現可能であることは有益であり得る。加えて、MVAに基づくワクチンは、複数の異種抗原を送達することができ、液性および細胞性免疫の同時誘導を可能にする。
本出願にとって有用なMVAベクターは、その関連する開示が参照により本明細書に組み込まれている、国際公開第2002/042480号明細書および国際公開第2002/24224号明細書に記載の方法などの、当技術分野で公知の方法を使用して調製することができる。
本出願の好ましい実施形態では、MVAベクターは、HBVコア抗原、HBV pol抗原、およびHBVコア−HBV pol融合抗原からなる群から選択される1つまたは複数の抗原性タンパク質をコードする核酸を含む。
HBV抗原タンパク質は、MVAの1つまたは複数の遺伝子間領域(IGR)に挿入され得る。本出願の一実施形態では、IGRは、IGR07/08、IGR44/45、IGR64/65、IGR88/89、IGR136/137、およびIGR148/149から選択される。本出願の一実施形態では、組換えMVAの5、4、3、または2個未満のIGRが、HBVコア抗原および/またはHBV pol抗原の抗原性決定因子をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。異種ヌクレオチド配列は、それに加えてまたはあるいは1つまたは複数の天然に存在する欠失部位、特にMVAゲノムの主要な欠失部位I、II、III、IV、V、またはVIに挿入され得る。本出願の一実施形態では、組換えMVAの天然に存在する欠失部位の5、4、3、または2個未満が、HBVコア抗原および/またはHBV pol抗原の抗原性決定因子をコードする異種ヌクレオチド配列を含む。
HBVタンパク質の抗原性決定因子をコードする異種ヌクレオチド配列を含むMVAの挿入部位の数は、1、2、3、4、5、6、7個、またはそれより多くであり得る。本出願の一実施形態では、異種ヌクレオチド配列は、4、3、2個、またはそれより少ない挿入部位に挿入される。好ましくは、2個の挿入部位を使用する。本出願の一実施形態では、3つの挿入部位を使用する。好ましくは、組換えMVAは、2個または3個の導入部位に挿入された少なくとも2、3、4、5、6、または7個の遺伝子を含む。
本明細書に提供する組換えMVAウイルスは、当技術分野で公知の通常の方法によって生成することができる。組換えポックスウイルスを得る方法または外因性のコード配列をポックスウイルスゲノムに挿入する方法は、当業者に周知である。例えば、DNAのクローニング、DNAおよびRNAの単離、ウェスタンブロット分析、RT−PCRおよびPCR増幅技術などの標準的な分子生物学技術に関する方法は、Molecular Cloning, A laboratory Manual (2nd Ed.)(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989))に記載され、ならびにウイルスの取り扱いおよび操作に関する技術は、Virology Methods Manual (B.W.J. Mahy et al.(eds.), Academic Press (1996))に記載されている。同様に、MVAの取り扱い、操作、および遺伝子工学に関する技術およびノウハウは、Molecular Virology: A Practical Approach(A.J. Davison & R.M. Elliott (Eds.), The Practical Approach Series, IRL Press at Oxford University Press, Oxford, UK (1993)に記載されている(例えば、Chapter 9: Expression of genes by Vaccinia virus vector))およびCurrent Protocols in Molecular Biology (John Wiley & Son, Inc. (1998)(例えば、Chapter 16, Section IV: Expression of proteins in mammalian cells using vaccinia viral vector)を参照されたい)。
本明細書に開示の様々な組換えMVAの生成に関して、種々の方法が適用可能であり得る。ウイルスに挿入されるDNA配列を、MVAのDNAの区分と相同なDNAが挿入されている大腸菌(E. coli)プラスミド構築物内に入れることができる。個別に、挿入されるDNA配列をプロモーターにライゲートすることができる。プロモーター−遺伝子結合は、プロモーター−遺伝子結合が、非必須の座を含有するMVA DNAの領域に隣接するDNA配列と相同なDNAにその両方の末端で隣接するように、プラスミド構築物内に位置することができる。得られたプラスミド構築物を、大腸菌(E. coli)細菌内での繁殖によって増幅し、単離することができる。挿入されるDNA遺伝子配列を含有する単離されたプラスミドを、細胞培養物、例えばニワトリ胚線維芽細胞(CEF)にトランスフェクトすることができ、同時に培養物をMVAに感染させる。プラスミドにおける相同なMVA DNAとウイルスゲノムとの間の組換えは、それぞれ、外来のDNA配列の存在によって改変されたMVAを生成することができる。
好ましい実施形態に従って、適した細胞培養の細胞、例えばCEF細胞に、ポックスウイルスを感染させることができる。次に、感染細胞に、外来のまたは異種遺伝子または複数の遺伝子を含む第1のプラスミドベクターを、好ましくはポックスウイルス発現制御エレメントの転写制御下でトランスフェクトさせることができる。上記で説明したように、プラスミドベクターはまた、ポックスウイルスゲノムの選択された部分への外因性の配列の挿入を指示することが可能な配列を含む。任意選択で、プラスミドベクターはまた、ポックスウイルスプロモーターに作動可能に連結されたマーカーおよび/または選択遺伝子を含むカセットも含有する。
適したマーカーまたは選択遺伝子は、例えば緑色蛍光タンパク質、β−ガラクトシダーゼ、ネオマイシン−ホスホリボシルトランスフェラーゼ、または他のマーカーをコードする遺伝子である。選択またはマーカーカセットの使用は、生成された組換えポックスウイルスの同定および単離を単純化する。しかし、組換えポックスウイルスはまた、PCR技術によっても同定することができる。次に、さらなる細胞に、上記で得た組換えポックスウイルスを感染させ、第2の外来または異種遺伝子または複数の遺伝子を含む第2のベクターをトランスフェクトさせることができる。念のため、この遺伝子は、ポックスウイルスゲノムの異なる挿入部位に導入され、第2のベクターもまた、第2の外来遺伝子または複数の遺伝子のポックスウイルスのゲノムへの組み込みを指示するポックスウイルス相同配列が異なる。相同組換えが起こった後、2つまたはそれより多くの外来または異種遺伝子を含む組換えウイルスを単離することができる。追加の外来遺伝子を組換えウイルスに導入する場合、感染およびトランスフェクションステップを、以前の感染ステップにおいて単離された組換えウイルスを使用することによって、およびトランスフェクションのためのさらなる外来遺伝子または複数の遺伝子を含むさらなるベクターを使用することによって、繰り返すことができる。
あるいは、上記の感染およびトランスフェクションステップは互換可能であり、すなわち適した細胞に、最初に外来遺伝子を含むプラスミドベクターをトランスフェクトし、次にポックスウイルスを感染させることができる。さらなる代替法として、各々の外来遺伝子を異なるベクターに導入し、得られた全ての組換えウイルスを細胞に同時感染させ、および全ての外来遺伝子を含む組換え体に関してスクリーニングすることが可能である。第3の代替法は、DNAゲノムと外来配列とのin vitroでのライゲーション、およびヘルパーウイルスを使用する組換えワクシニアウイルスDNAゲノムの再構成である。第4の代替法は、細菌人工染色体(BAC)としてクローニングされたワクシニアウイルスゲノム、例えばMVAと、ワクシニアウイルスゲノムにおける所望の組み込み部位に隣接する配列と相同なDNA配列が隣接する線形の外来配列との間の大腸菌(E.coli)または他の細菌種における相同組換えである。
異種HBV遺伝子(例えば、HBVコア抗原、HBV pol抗原、および/またはHBVコア−HBV−pol融合タンパク質)は、1つまたは複数のポックスプロモーターの制御下であり得る(すなわち、作動可能に連結され得る)。本出願の一実施形態では、ポックスウイルスプロモーターは、Pr7.5プロモーター、ハイブリッド初期/後期プロモーター、またはPrSプロモーター、PrS5Eプロモーター、合成もしくは天然の初期または後期プロモーター、または牛痘ウイルスATIプロモーターである。
組成物、免疫原性組合せ、およびワクチン
本出願はまた、本出願に従う1つまたは複数のHBV抗原、ポリヌクレオチド、および/または1つまたは複数のHBV抗原をコードするベクターを含む組成物、免疫原性組合せ、より特にキット、およびワクチンにも関する。本明細書に記載の本出願のHBV抗原、ポリヌクレオチド(RNAおよびDNAを含む)、および/またはベクターはいずれも、本出願の組成物、免疫原性組合せまたはキット、およびワクチンにおいて使用することができる。
一般的な態様では、本出願は、配列番号2と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原、もしくは配列番号4と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする単離されたもしくは天然に存在しない核酸分子(DNAまたはRNA)、単離されたもしくは天然に存在しない核酸分子を含むベクター、および/または単離されたもしくは天然に存在しない核酸分子によってコードされる単離されたもしくは天然に存在しないポリペプチドを含む組成物を提供する。
本出願の一実施形態では、組成物は、配列番号2と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号2と100%同一であるアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする単離されたまたは天然に存在しない核酸分子(DNAまたはRNA)を含む。
本出願の一実施形態では、組成物は、配列番号4と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号4と100%同一であるアミノ酸配列を含むHBV Pol抗原をコードする単離されたまたは天然に存在しない核酸分子(DNAまたはRNA)を含む。
本出願の一実施形態では、組成物は、配列番号2と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号2と100%同一であるアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードするポリヌクレオチド配列を含む単離されたまたは天然に存在しない核酸分子(DNAまたはRNA);および配列番号4と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号4と100%同一であるアミノ酸配列を含むHBV Pol抗原をコードするポリヌクレオチド配列を含む単離されたまたは天然に存在しない核酸分子(DNAまたはRNA)を含む。切断型HBVコア抗原およびHBV Pol抗原のコード配列は、同じ単離されたもしくは天然に存在しない核酸分子(DNAまたはRNA)、または2つの異なる単離されたもしくは天然に存在しない核酸分子(DNAまたはRNA)に存在し得る。
本出願の一実施形態では、組成物は、配列番号2と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号2と100%同一であるアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードするポリヌクレオチドを含むウイルスベクターを含む。
本出願の一実施形態では、組成物は、配列番号4と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号4と100%同一であるアミノ酸配列を含むHBV pol抗原をコードするポリヌクレオチドを含むウイルスベクターを含む。
本出願の一実施形態では、組成物は、配列番号2と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号2と100%同一であるアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードするポリヌクレオチドを含むウイルスベクター、および配列番号4と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号4と100%同一であるアミノ酸配列を含むHBV pol抗原をコードするポリヌクレオチドを含むウイルスベクターを含む。切断型HBVコア抗原のコード配列を含むベクターおよびHBV Pol抗原のコード配列を含むベクターは、同じベクターまたは2つの異なるベクターであり得る。
本出願の一実施形態では、組成物は、配列番号2と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号2と100%同一であるアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原であって、配列番号4と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号4と100%同一であるアミノ酸配列を含むHBV Pol抗原に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原、またはその逆を含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含むウイルスベクターを含む。好ましくは、融合タンパク質は、切断型HBVコア抗原をHBV Pol抗原に作動可能に連結する、またはその逆に連結するリンカーをさらに含む。好ましくは、リンカーは、アミノ酸配列(AlaGly)を有し、式中nは2〜5の整数である。
本出願の一実施形態では、組成物は、配列番号2と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号2と100%同一であるアミノ酸配列からなる単離されたまたは天然に存在しない切断型HBVコア抗原を含む。
本出願の一実施形態では、組成物は、配列番号4と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号4と100%同一であるアミノ酸配列を含む単離されたまたは天然に存在しないHBV Pol抗原を含む。
本出願の一実施形態では、組成物は、配列番号2と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号2と100%同一であるアミノ酸配列からなる単離されたまたは天然に存在しない切断型HBVコア抗原;および配列番号4と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号4と100%同一であるアミノ酸配列を含む単離されたまたは天然に存在しないHBV Pol抗原を含む。
本出願の一実施形態では、組成物は、配列番号2と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号2と100%同一であるアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原であって、配列番号4と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号4と100%同一であるアミノ酸配列を含むHBV Pol抗原に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原を含む、またはその逆を含む、単離されたまたは天然に存在しない融合タンパク質を含む。好ましくは、融合タンパク質は、切断型HBVコア抗原をHBV Pol抗原に作動可能に連結する、またはその逆に連結するリンカーをさらに含む。好ましくは、リンカーは、アミノ酸配列(AlaGly)を有し、式中nは2〜5の整数である。
別の一般的な態様では、本出願は、本出願の実施形態に従う切断型HBVコア抗原およびHBV pol抗原を発現するポリヌクレオチドを含む免疫原性組合せまたはキットにも関する。本明細書に記載の本出願のHBVコアおよびpol抗原をコードする任意のポリヌクレオチドおよび/またはベクターを、本出願の免疫原性組合せまたはキットにおいて使用することができる。
本出願の実施形態に従って、ワクチンの組合せまたはキットにおけるポリヌクレオチドは、そのようなポリヌクレオチドから発現されたHBV抗原が、同じまたは異なるポリヌクレオチドから発現されたか否かによらず、共に融合されるかまたは個別のタンパク質として産生されるように、連結され得るかまたは個別であり得る。一実施形態では、第1および第2のポリヌクレオチドは、発現されたタンパク質がまた個別のタンパク質であるが、組み合わせて使用されるように、同じまたは個別の組成物のいずれかとして組み合わせて使用される個別のウイルスベクターに存在する。別の実施形態では、第1および第2のポリヌクレオチドによってコードされるHBV抗原を、HBVコア−pol融合抗原が産生されるように、同じウイルスベクターから発現させることができる。任意選択で、コアおよびpol抗原を、短いリンカーによって共に結合または融合することができる。あるいは、第1および第2のポリヌクレオチドによってコードされるHBV抗原は、コアおよびpol抗原コード配列の間にリボソーム翻訳スリップ部位(シス−ヒドロラーゼ部位としても知られる)を使用して、単一のベクターから独立して発現させることができる。この戦略によって、個々のコアおよびpol抗原が単一のmRNA転写物から産生されるバイシストロニック発現ベクターが得られる。そのようなバイシストロニック発現ベクターから産生されるコアおよびpol抗原は、mRNA転写物のコード配列の順序づけに応じて、追加のN末端またはC末端残基を有し得る。この目的のために使用することができるリボソーム翻訳スリップ部位の例には、手足口病ウイルス(FMDV)のFA2翻訳スリップ部位が挙げられるがこれらに限定されない。別の可能性は、第1および第2のポリヌクレオチドによってコードされるHBV抗原を、2つの個別のベクター、すなわち1つがHBVコア抗原をコードし、1つがHBV pol抗原をコードするベクターから独立して発現させることができることである。
好ましい実施形態では、第1および第2のポリヌクレオチドは、個別のウイルスベクターに存在する。好ましくは個別のベクターは、同じ組成物に存在する。
本出願の特定の実施形態では、免疫原性組成物またはキットは、配列番号2と少なくとも90%同一である、好ましくは配列番号2と100%同一であるアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードするポリヌクレオチドを含む第1のベクター、好ましくはDNAプラスミドまたはウイルスベクター;および配列番号4と少なくとも98%同一である、好ましくは配列番号4と100%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードするポリヌクレオチドを含む第2のベクター、好ましくはDNAプラスミドまたはウイルスベクターを含む。
本出願の1つの特定の実施形態では、第1のベクターは第1のDNAプラスミドであり、第2のベクターは第2のDNAプラスミドである。第1および第2のDNAプラスミドの各々は、複製開始点、好ましくは配列番号21のpUC ORI、および好ましくは配列番号22と少なくとも90%同一であるポリヌクレオチド配列を有するコドン最適化Kan(カナマイシン耐性)遺伝子を含み、好ましくはblaプロモーター、例えば配列番号24に示すblaプロモーターの制御下にある抗生物質耐性カセットを含む。第1および第2のDNAプラスミドの各々は、独立してプロモーター配列、エンハンサー配列、および第1のポリヌクレオチド配列または第2のポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されたシグナルペプチド配列をコードするポリヌクレオチド配列のうちの少なくとも1つをさらに含む。好ましくは、第1および第2のDNAプラスミドの各々は、第1のポリヌクレオチドまたは第2のポリヌクレオチドに作動可能に連結された上流の配列を含み、上流の配列は、5’末端から3’末端に、配列番号7のプロモーター配列、配列番号8のエンハンサー配列、および配列番号6のアミノ酸配列を有するシグナルペプチド配列をコードするポリヌクレオチド配列を含む。第1および第2のDNAプラスミドの各々はまた、HBV抗原のコード配列の下流に位置するポリアデニル化シグナル、例えば配列番号9のbGHポリアデニル化シグナルも含み得る。
本出願の1つの特定の実施形態では、第1のベクターは第1のウイルスベクターであり、第2のベクターは第2のウイルスベクターである。好ましくは、第1および第2のウイルスベクターの各々は、アデノウイルスベクター、より好ましくはAd26またはAd35ベクターであって、本出願のHBV pol抗原または切断型HBVコア抗原をコードするポリヌクレオチド;5’末端から3’末端に、プロモーター配列、好ましくは配列番号7のCMVプロモーター配列、エンハンサー配列、好ましくは配列番号15のApoAI遺伝子断片配列または配列番号8のトリプルエンハンサー配列、およびシグナルペプチド配列、好ましくは配列番号6のアミノ酸配列を有するシスタチンSシグナルまたは配列番号11のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン分泌シグナルをコードするポリヌクレオチド配列を含む、HBV抗原をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された上流の配列;ならびにポリアデニル化シグナル、好ましくは配列番号16のSV40ポリアデニル化シグナルを含む、HBV抗原をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された下流の配列を含む発現カセットを含むアデノウイルスベクターである。
本出願の特定の実施形態では、第1のベクターは第1のウイルスベクターであり、第2のベクターは第2のウイルスベクターである。好ましくは、第1および第2のウイルスベクターの各々は、MVAベクターであって、本出願のHBV pol抗原および/または切断型HBVコア抗原をコードするポリヌクレオチド;5’末端から3’末端に、プロモーター配列、好ましくは配列番号25のPrMVA13.5長プロモーター配列または配列番号26のPrHybプロモーター配列、および好ましくは配列番号6のアミノ酸配列を有するシスタチンSシグナルまたは配列番号11のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン分泌シグナルをコードするポリヌクレオチド配列を含む、HBV抗原をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された上流の配列;ならびにポリアデニル化シグナルまたは早期終止シグナルを含む、HBV抗原をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された下流の配列であって、早期終止シグナルが配列番号28のヌクレオチド配列を有するか、またはポリアデニル化シグナルが、配列番号16のポリヌクレオチド配列を有するSV40ポリアデニル化シグナルもしくは配列番号9のポリヌクレオチド配列を有するbGHポリアデニル化シグナルから選択され、好ましくはHBV抗原をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された下流の配列が、配列番号28のヌクレオチド配列を有する早期終止シグナルである、下流の配列を含む発現カセットを含むMVAベクターである。
本出願の一実施形態では、(a)配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチド配列を含むアデノウイルスベクターの免疫学的有効量を含む第1の組成物であって、HBVポリメラーゼ抗原が、逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有しない、第1の組成物;および(b)配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする第2のポリヌクレオチド配列を含む改変ワクシニアアンカラ(MVA)ベクターの免疫学的有効量を含む第2の組成物であって、HBVポリメラーゼ抗原が、逆転写酵素活性およびRNアーゼH活を有しない第2の組成物を含むワクチンの組合せであって、第1の組成物が、免疫応答をプライミングするためにヒト対象に投与され、第2の組成物が、免疫応答をブースティングするためにヒト対象に1回または複数回投与される、ワクチンの組合せを提供する。
本出願の一実施形態では、(a)配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチド配列を含む改変ワクシニアアンカラ(MVA)ベクターの免疫学的有効量を含む第1の組成物であって、HBVポリメラーゼ抗原が、逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有しない、第1の組成物;および(b)配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする第2のポリヌクレオチド配列を含むアデノウイルスベクターの免疫学的有効量を含む第2の組成物であって、HBVポリメラーゼ抗原が、逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有しない第2の組成物を含むワクチンの組合せであって、第1の組成物が、免疫応答をプライミングするためにヒト対象に投与され、第2の組成物が、免疫応答をブースティングするためにヒト対象に1回または複数回投与される、ワクチンの組合せを提供する。
免疫原性組合せが第1のウイルスベクターおよび第2のウイルスベクターを含む本出願のそれらの実施形態では、第1および第2のベクターの各々の量は特に限定されない。例えば第1のウイルスベクターおよび第2のウイルスベクターは、10:1〜1:10の重量比、例えば10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10の重量比で存在し得る。好ましくは、第1および第2のウイルスベクターは、1:1の重量比で存在する。
本出願の組成物および免疫原性組合せは、追加のHBV抗原および/または追加のHBV抗原もしくはその免疫原性断片をコードする追加のポリヌクレオチドまたはベクターを含み得る。しかし、特定の実施形態では、本出願の組成物および免疫原性組合せは、ある特定の抗原を含まない。
特定の実施形態では、本出願の組成物または免疫原性組合せまたはキットは、HBsAgまたはHBsAgをコードするポリヌクレオチド配列を含まない。
別の特定の実施形態では、本出願の組成物または免疫原性組合せまたはキットは、HBV Lタンパク質またはHBV Lタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含まない。
本出願のなお別の特定の実施形態では、本出願の組成物または免疫原性組合せは、HBVエンベロープタンパク質またはHBVエンベロープタンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を含まない。
本出願の組成物および免疫原性組合せはまた、薬学的に許容可能な担体も含み得る。薬学的に許容可能な担体は、非毒性であり、活性成分の有効性を妨害してはならない。薬学的に許容可能な担体は、1つまたは複数の賦形剤、例えば結合剤、崩壊剤、膨張剤、懸濁剤、乳化剤、湿潤剤、潤滑剤、香味料、甘味料、保存剤、色素、溶解剤、およびコーティングを含み得る。担体または他の材料の正確な性質は、投与経路、例えば筋肉内、皮内、皮下、経口、静脈内、皮下、粘膜内(例えば、腸)、鼻腔内、または腹腔内経路に依存し得る。液体注射可能調製物、例えば懸濁剤および液剤の場合、適した担体および添加剤は、水、グリコール、油、アルコール、保存剤、着色剤等を含む。固体経口調製物、例えば散剤、カプセル剤、カプレット、ゲルキャップおよび錠剤の場合、適した担体および添加剤は、デンプン、砂糖、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤等を含む。鼻腔内スプレー/吸入混合物の場合、水溶液/懸濁液は、適した担体および添加剤として水、グリコール、油、エモリエント、安定剤、湿潤剤、保存剤、芳香剤、着香料等を含み得る。
本出願の組成物および免疫原性組合せは、経口(腸内)投与および非経口注射を含むがこれらに限定されない、投与を容易にするためおよび有効性を改善するために対象への投与にとって適した任意の物質で製剤化することができる。非経口注射は、静脈内注射または注入、皮下注射、皮内注射、および筋肉内注射を含む。本出願の組成物はまた、経粘膜、眼、直腸、長時間作用型埋め込み、舌下投与、門脈循環を迂回する舌の下の口腔粘膜、吸入、または鼻腔内を含む他の投与経路のために製剤化することもできる。
本出願の好ましい実施形態では、本出願の組成物および免疫原性組合せは、非経口注射のために、好ましくは皮下、皮内注射、または筋肉内注射のために製剤化され、より好ましくは筋肉内注射のために製剤化される。
本出願の実施形態に従って、投与のための組成物および免疫原性組合せは、典型的には薬学的に許容可能な担体、例えば水性担体中の緩衝溶液、例えば緩衝食塩水等、例えばリン酸緩衝食塩水(PBS)を含む。組成物および免疫原性組合せはまた、pH調節剤および緩衝剤等の生理的条件を近似するために必要な薬学的に許容可能な物質を含有し得る。典型的な実施形態では、プラスミドDNAを含む本出願の組成物または免疫原性組合せは、薬学的に許容可能な担体としてリン酸緩衝食塩水(PBS)を含有し得る。プラスミドDNAは、例えば0.5mg/mL〜5mg/mL、例えば0.5mg/mL、1mg/mL、2mg/mL、3mg/mL、4mg/mL、または5mg/mL、好ましくは1mg/mLの濃度で存在し得る。
本出願の組成物および免疫原性組合せは、当技術分野で周知の方法に従ってワクチン(「免疫原性組成物」とも呼ばれる)として製剤化することができる。そのような組成物は、免疫応答を増強するためのアジュバントを含み得る。製剤における各々の構成要素の最適な比は、本開示を考慮して当業者に周知の技術によって決定することができる。
本出願の一実施形態では、アジュバントは、本出願の組成物または免疫原性組合せに含められるか、または本出願の組成物もしくは免疫原性組合せと同時投与される。アジュバントの使用は、任意選択であり、組成物をワクチン接種目的のために使用する場合、免疫応答をさらに増強し得る。本出願に従う同時投与または組成物に含めるために適したアジュバントは、好ましくはヒトにおいて潜在的に安全で、良好に認容され、および有効であるアジュバントでなければならない。アジュバントは、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD1、抗RIM−3等)、toll−like受容体阻害剤、RIG−1阻害剤、IL−15スーパーアゴニスト(Altor Bioscience)、変異体IRF3およびIRF7遺伝子アジュバント、STINGアゴニスト(Aduro)、FLT3L遺伝子アジュバント、IL−12遺伝子アジュバント、およびIL−7−hyFcが挙げられるがこれらに限定されない低分子または抗体であり得る。
本出願の実施形態はまた、本出願の組成物および免疫原性組合せを作製する方法にも関する。本出願の実施形態に従って、組成物または免疫原性組合せを産生する方法は、HBV抗原をコードする単離されたポリヌクレオチド、ベクター、および/または本出願のポリペプチドを、1つまたは複数の薬学的に許容可能な担体と混合するステップを含む。当業者は、そのような組成物を調製するために使用される通常の技術を熟知している。
免疫応答を誘導/増強する方法
別の一般的な態様では、本出願は、それを必要とする対象におけるB型肝炎ウイルス(HBV)に対する免疫応答を誘導する方法であって、対象に、本出願の組成物または免疫原性組成物の免疫学的有効量を投与するステップを含む方法に関する。本明細書に記載の任意の本出願の組成物および免疫原性組合せを、本出願の方法に使用することができる。
本出願は、アデノウイルスベクターと組み合わせたMVAベクターを使用して、ヒト対象におけるHBV抗原性タンパク質またはその免疫原性ポリペプチドに対する免疫応答をプライミングおよびブースティングする改善された方法を提供する。
本出願の一般的態様に従って、ヒト対象において免疫応答を増強する方法は:
a.ヒト対象に、本出願のアデノウイルスベクターの免疫学的有効量を含む第1の組成物を投与するステップ;および
b.ヒト対象に、本出願のMVAベクターの免疫学的有効量を含む第2の組成物を投与するステップ
を含み、それによってヒト対象においてHBV抗原に対する増強された免疫応答を得る。
本出願の別の一般的態様に従って、ヒト対象において免疫応答を増強する方法は:
a.ヒト対象に、本出願のMVAベクターの免疫学的有効量を含む第1の組成物を投与するステップ;および
b.ヒト対象に、本出願のアデノウイルスベクターの免疫学的有効量を含む第2の組成物を投与するステップ;
を含み、それによってヒト対象においてHBV抗原に対する増強された免疫応答を得る。
本出願の別の一般的な態様に従って、ヒト対象において免疫応答を増強する方法は:
a.ヒト対象に、本出願のHBV pol抗原をコードする第1のポリヌクレオチド配列を含む第1の天然に存在しない核酸を含む第1のプラスミドの免疫学的有効量、および本出願の切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチド配列を含む第2の天然に存在しない核酸を含む第2のプラスミドの免疫学的有効量を含む第1の組成物を投与するステップ;ならびに
b.ヒト対象に、本出願のMVAベクターの免疫学的有効量を含む第2の組成物を投与するステップ
を含み、それによってヒト対象においてHBV抗原に対する増強された免疫応答を得る。
本出願の別の一般的態様に従って、ヒト対象において免疫応答を誘導する方法は:
a.ヒト対象に、本出願のMVAベクターの免疫学的有効量を含む第1の組成物を投与するステップ;および
b.ヒト対象に、本出願のHBV pol抗原をコードする第1のポリヌクレオチド配列を含む第1の天然に存在しない核酸を含む第1のプラスミドの免疫学的有効量、および本出願の切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチド配列を含む第2の天然に存在しない核酸を含む第2のプラスミドの免疫学的有効量を含む第2の組成物を投与するステップ;
を含み、それによってヒト対象においてHBV抗原に対する増強された免疫応答を得る。
第1の組成物は、免疫応答をプライミングするためにそれを必要とするヒト対象に投与され、第2の組成物は、免疫応答をブースティングするためにそれを必要とするヒト対象に投与される。免疫応答のプライミングおよびブースティングは、例えば免疫応答を増強することができる。
本出願の実施形態に従って、増強された免疫応答は、ヒト対象におけるHBV抗原性タンパク質に対する増強された抗体応答を含む。
好ましくは、増強された免疫応答は、ヒト対象においてHBV抗原性タンパク質に対する増強されたCD4+応答または増強されたCD8+ T細胞応答をさらに含む。本出願の実施形態に従う方法によって生成された増強されたCD4+ T細胞応答は、例えばHBV抗原性タンパク質に対する支配的なCD4+ T細胞応答の増加もしくは誘導、および/またはヒト対象におけるHBV抗原性タンパク質に対する特異的な多機能性CD4+ T細胞の増加もしくは誘導であり得る。多機能性CD4+ T細胞は、1つより多くのサイトカイン、例えばIFN−ガンマ、IL−2およびTNF−アルファの2つまたはそれより多くを発現する。本出願の実施形態に従う方法によって生成された増強されたCD8+ T細胞応答は、例えば、ヒト対象におけるHBV抗原性タンパク質に対して特異的な多機能性CD8+ T細胞の増加または誘導であり得る。
より好ましくは、本出願の実施形態に従う方法に起因する増強された免疫応答は、ヒト対象におけるHBV抗原性タンパク質に対する増強されたCD4+ T細胞応答、増強された抗体応答、および増強されたCD8+ T細胞応答を含む。
本明細書で使用される場合、用語「感染症」は、病原体による宿主の侵入を指す。病原体は、それが宿主に侵入することが可能で、宿主内で複製または繁殖することが可能である場合、「感染性」であると考えられる。感染性作用剤の例には、ウイルス、例えばHBVおよびある特定の種のアデノウイルス、プリオン、細菌、真菌、原虫等が挙げられる。「HBV感染症」は、具体的には、HBVによる宿主生物、例えば宿主生物の細胞および組織の侵入を指す。
本出願の実施形態に従って、語句「免疫応答を誘導する」は、本明細書に記載の方法に関連して使用する場合、それを必要とする対象において、HBVまたはHBV感染症に対して所望の免疫応答または効果を引き起こすことを包含する。「免疫応答を誘導する」はまた、病原体、すなわちHBVに対して処置するために治療免疫を提供することも包含する。本明細書で使用される場合、用語「治療免疫」または「治療的免疫応答」は、ワクチン接種したHBV感染対象が、それに対するワクチン接種を行った病原体、すなわちHBVによる感染症を制御することができることを意味する。一実施形態では、「免疫応答を誘導する」は、それを必要とする対象において免疫を生じること、例えばHBV感染症等の疾患に対する治療効果を提供することを意味する。ある特定の実施形態では、「免疫応答を誘導する」は、HBV感染症に対する細胞性免疫、例えばT細胞応答を引き起こすまたは改善することを指す。本出願の一実施形態では、「免疫応答を誘導する」は、HBVに対する細胞性免疫、例えばT細胞応答を引き起こすまたは改善することを指す。本出願の一実施形態では、「免疫応答を誘導する」は、HBVに対する液性免疫応答を引き起こすまたは改善することを指す。本出願の一実施形態では、「免疫応答を誘導する」は、HBVに対する細胞性および液性免疫応答を引き起こすまたは改善することを指す。
典型的には、本出願の実施形態に従う組成物および免疫原性組合せの投与は、HBV感染症またはHBV感染症に特徴的な症状の発症後にHBVに対する免疫応答を生成する治療目的、すなわち治療的ワクチン接種を有する。
本明細書で使用される場合、「免疫原性有効量」または「免疫学的有効量」は、それを必要とする対象において所望の免疫効果または免疫応答を誘導するために十分な組成物、ポリヌクレオチド、ベクター、または抗原の量を意味する。一実施形態では、免疫学的有効量は、それを必要とする対象において免疫応答を誘導するために十分である量を意味する。別の実施形態では、免疫学的有効量は、それを必要とする対象において免疫を生じるために、例えばHBV感染症などの疾患に対する治療効果を提供するために十分な量を意味する。免疫学的有効量は、多様な要因、例えば対象の身体条件、年齢、体重、健康等;特定の応用、例えば保護免疫または治療免疫を提供すること;およびそれに対する免疫が望ましい特定の疾患、例えばウイルス感染症に応じて変化し得る。免疫学的有効量は、本開示を考慮して当業者によって容易に決定することができる。
本出願の特定の実施形態では、免疫学的有効量は、以下の効果の1つ、2つ、3つ、4つ、またはそれより多くを達成するために十分である組成物または免疫原性組合せの量を指す:(i)HBV感染症またはそれに関連する症状の重症度を低減または改善すること;(ii)HBV感染症またはそれに関連する症状の持続を低減させること;(iii)HBV感染症またはそれに関連する症状の進行を防止すること;(iv)HBV感染症またはそれに関連する症状の退行を引き起こすこと;(v)HBV感染症またはそれに関連する症状の発生または発症を防止すること;(vi)HBV感染症またはそれに関連する症状の再発を防止すること;(vii)HBV感染症を有する対象の入院を低減させること;(viii)HBV感染症を有する対象の入院期間を低減させること;(ix)HBV感染症を有する対象の生存を増加させること;(x)対象におけるHBV感染症を排除すること;(xi)対象におけるHBV複製を阻害または低減させること;ならびに/または(xii)別の治療の予防効果または治療効果を増強または改善すること。
他の特定の実施形態では、免疫学的有効量は、臨床的セロコンバージョンへの進展と整合するまでHBsAgレベルを低減させるために;対象の免疫系による感染した肝細胞の低減に関連する持続的なHBsAgクリアランスを達成するために;HBV抗原特異的活性化T細胞集団を誘導するために;および/または12ヶ月以内のHBsAgの持続的喪失を達成するために十分な量でもある。目標とする指標の例は、500コピーのHBsAg、IUの閾値より下のより低いHBsAgおよび/またはより高いCD8数を含む。
一般的な指針として、ウイルスベクターに関連して使用する場合の免疫学的有効量は、ウイルス粒子約1×10個/用量〜ウイルス粒子約1×1012個/用量の範囲であり得る。免疫学的有効量は、ウイルス粒子約1×1010、約2×1010、約3×1010、約4×1010、約5×1010、約6×1010、約7×1010、約8×1010、約9×1010、約1×1011、約2×1011、約3×1011、約4×1011、約5×1011、または約1×1012個/用量であり得る。免疫学的有効量は、1つのベクターまたは複数のベクターに由来し得る。免疫学的有効量は、単一の組成物で、または複数の組成物で、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の組成物(例えば、錠剤、カプセル剤、または注射剤)で投与することができ、複数のカプセル剤または注射剤の投与は、集合的に対象に免疫学的有効量を提供する。同様に、いわゆるプライム−ブーストレジメンにおいて、対象に免疫学的有効量を投与し、その後同じ対象に免疫学的有効量の別の用量を投与することが可能である。プライム−ブーストレジメンのこの一般的な考え方は、ワクチンの分野の当業者に周知である。さらなるブースター投与を、必要に応じて任意選択でレジメンに追加することができる。
本出願の実施形態に従って、2つのウイルスベクター、例えばHBVコア抗原をコードする第1のウイルスベクターおよびHBV pol抗原をコードする第2のウイルスベクターを含む免疫原性組合せを、両方のウイルスベクターを混合するステップおよび混合物を単一の解剖学的部位に送達するステップによって、対象に投与することができる。あるいは、各々が単一の発現ベクターを送達する2つの個別の免疫を実施することができる。そのような実施形態では、両方のウイルスベクターを2つの個別の免疫の混合物として単一の免疫として投与するかによらず、第1のウイルスベクターおよび第2のウイルスベクターを、10:1〜1:10の重量比で、例えば10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、または1:10の重量比で投与することができる。好ましくは、第1および第2のウイルスベクターは、1:1の重量比で投与される。
一部の実施形態では、本出願の方法に従って処置される対象は、HBV感染対象、特に慢性HBV感染症を有する対象である。急性HBV感染症は、生得の免疫系の効率的な活性化がその後の広い適応性の応答(例えば、HBV特異的T細胞、中和抗体)によって補完されることによって特徴付けられ、これは通常、感染した肝細胞の複製の抑制または除去の成功をもたらす。これに対し、そのような応答は、ウイルス負荷および抗原負荷が高い場合には損なわれるかまたは減損し、例えばHBVエンベロープタンパク質が大量に産生され、感染性ウイルスに対して1,000倍過剰量でサブウイルス粒子として放出され得る。
慢性HBV感染症は、ウイルス量、肝酵素レベル(壊死炎症活性)、HBeAg、またはHBsAg量、またはこれらの抗原に対する抗体の存在によって特徴付けられる語句として記載される。cccDNAレベルは、およそ10〜50コピー/細胞で比較的一定のままであるが、ウイルス血症はかなり多様であり得る。cccDNA種の持続は慢性化をもたらす。より詳しくは、慢性HBV感染症のフェーズは:(i)高いウイルス量および正常またはわずかに上昇した肝酵素によって特徴付けられる免疫寛容フェーズ;(ii)肝酵素の有意な上昇を伴うウイルス複製レベルの低下または減少が観察される免疫活性化HBeAg陽性フェーズ;(iii)血清中の低いウイルス量および正常な肝酵素レベルを伴う低い複製状態の後にHBeAgセロコンバージョンが起こり得る不活性なHBsAgキャリアフェーズ;および(iv)ウイルス複製が周期的に起こり(再活性化)、肝酵素レベルの同時の変動、プレコアおよび/または基礎コアプロモーターの変異が一般的であり、HBeAgが感染細胞によって産生されないHBeAg陰性フェーズを含む。
本明細書で使用される場合、「慢性HBV感染症」は、6ヶ月より長いHBVの検出可能な存在を有する対象を指す。慢性HBV感染症を有する対象は、慢性HBV感染症のいずれかのフェーズにあり得る。好ましい実施形態では、本明細書で呼ぶ慢性HBV感染症は、米国疾病予防管理センター(CDC)によって公表された定義に従い、それに従って慢性HBV感染症を以下の臨床基準によって特徴付ける:(i)B型肝炎コア抗原に対するIgM抗体(IgM抗HBc)陰性およびB型肝炎表面抗原(HBsAg)陽性、B型肝炎e抗原(HBeAg)陽性、もしくはB型肝炎ウイルスDNAに関する核酸試験陽性、または(ii)HBsAgもしくはHBV DNAの核酸試験陽性、または少なくとも6ヶ月間空けて2回のHBeAg陽性。
特定の実施形態に従って、免疫原性有効量は、慢性HBV感染症を処置するために十分である組成物または免疫原性組合せの量を指す。
一部の実施形態では、慢性HBV感染症を有する対象は、ヌクレオシドアナログ(NUC)処置を受けており、NUC抑制されている。本明細書で使用される場合、「NUC抑制」は、HBVの検出不能なウイルスレベルおよび安定なアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルを少なくとも6ヶ月間有する対象を指す。ヌクレオシド/ヌクレオチドアナログ処置の例は、HBVポリメラーゼ阻害剤、例えばエンタカビルおよびテノフォビルを含む。好ましくは、慢性HBV感染症を有する対象は、進行した肝線維症または肝硬変を有しない。そのような対象は典型的に、METAVIRスコア3未満および9kPa未満のフィブロスキャン結果を有するであろう。METAVIRスコアは、B型肝炎患者の肝生検における組織病理学的評価によって炎症および線維症の程度を評価するために一般的に使用される採点システムである。採点システムは、2つの標準化された数字:炎症の程度を反映する数字、および線維症の程度を反映する数字を割付する。
慢性HBVの排除または低減は、ウイルス性肝硬変および肝細胞癌を含む重度の肝疾患の早期の疾患の妨害を可能にし得ると考えられている。このように、本出願の方法はまた、HBV誘導疾患を処置するための治療としても使用することができる。HBV誘導疾患の例には、肝硬変、がん(例えば、肝細胞癌)、および線維症、特にMETAVIRスコアが3またはそれより高いことによって特徴付けられる進行線維症が挙げられるがこれらに限定されない。そのような実施形態では、免疫原性有効量は、12ヶ月以内のHBsAgの持続的な喪失および臨床疾患(例えば、肝硬変、肝細胞癌等)の有意な減少を達成するために十分な量である。
本出願の実施形態に従う方法は、それを必要とする対象に、本出願の組成物と組み合わせて別の免疫原性剤(例えば、別のHBV抗原または他の抗原)または別の抗HBV剤(例えば、ヌクレオシドアナログまたは他の抗HBV剤)投与するステップをさらに含む。
送達方法
本出願の組成物および免疫原性組合せは、非経口投与(例えば、筋肉内、皮下、静脈内、または皮内注射)、経口投与、経皮投与、および鼻腔内投与を含むがこれらに限定されない、本開示を考慮して当業者に公知の任意の方法によって対象に投与することができる。好ましくは、組成物および免疫原性組合せは、非経口(例えば、筋肉内注射または皮内注射によって)、または経皮投与される。
組成物または免疫原性組合せが1つまたは複数のウイルスベクターを含む本出願の一部の実施形態では、投与は皮膚を通しての注射、例えば筋肉内または皮内注射、好ましくは筋肉内注射であり得る。筋肉内注射は、電気穿孔、すなわちDNAプラスミドの細胞への送達を容易にするための電場の印加と組み合わせることができる。本明細書で使用される場合、用語「電気穿孔」は、生体膜において顕微鏡的経路(孔)を誘導するために膜内外で電場パルスを使用することを指す。In vivo電気穿孔の間、適切な大きさおよび持続の電場を細胞に印加し、細胞膜透過性が一過性に増強された状態を誘導し、このようにして単独では細胞膜を通過することができない分子の細胞取り込みを可能にする。電気穿孔によるそのような孔の作製は、細胞膜の1つの側から他方の側への生体分子、例えばプラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬物等の通過を容易にする。DNAワクチンを送達するためのIn vivo電気穿孔は、宿主細胞によるプラスミド取り込みを有意に増加させることが示されているが、注射部位で軽度から中等度の炎症ももたらす。その結果、皮内または筋肉内電気穿孔では、通常の注射と比較するとトランスフェクション効率および免疫応答が有意に改善される(例えば、それぞれ最大1,000倍および100倍)。
典型的な実施形態では、電気穿孔は、筋肉内注射と組み合わせる。しかし、電気穿孔を非経口投与の他の形態、例えば皮内注射、皮下注射等と組み合わせることも可能である。
本出願の組成物、免疫原性組合せ、またはワクチンの電気穿孔による投与は、可逆的な孔を細胞膜に形成させるために有効なエネルギーのパルスを哺乳動物の所望の組織に送達するように構成することができる電気穿孔デバイスを使用して達成することができる。電気穿孔デバイスは、電気穿孔構成要素および電極アセンブリまたはハンドルアセンブリを含み得る。電気穿孔構成要素は、電気穿孔デバイスの以下の構成要素の1つまたは複数を含み得る:コントローラー、電流波形ジェネレーター、インピーダンステスター、波形ロガー、インプットエレメント、ステータス報告エレメント、接続口、メモリー構成要素、電源、および電源スイッチ。電気穿孔は、in vivo電気穿孔デバイスを使用して達成することができる。本出願の組成物および免疫原性組合せ、特にDNAプラスミドを含むものの送達を容易にすることができる電気穿孔デバイスおよび電気穿孔方法の例は、CELLECTRA(登録商標)(Inovio Pharmaceuticals、Blue Bell、PA)、Elgenエレクトロポレーター(Inovio Pharmaceuticals、Inc.)Tri−Grid(商標)送達システム(Ichor Medical Systems、Inc.、San Diego、CA 92121)、ならびにその全ての全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第7,664,545号明細書、米国特許第8,209,006号明細書、米国特許第9,452,285号明細書、米国特許第5,273,525号明細書、米国特許第6,110,161号明細書、米国特許第6,261,281号明細書、米国特許第6,958,060号明細書、および米国特許第6,939,862号明細書、米国特許第7,328,064号明細書、米国特許第6,041,252号明細書、米国特許第5,873,849号明細書、米国特許第6,278,895号明細書、米国特許第6,319,901号明細書、米国特許第6,912,417号明細書、米国特許第8,187,249号明細書、米国特許第9,364,664号明細書、米国特許第9,802,035号明細書、米国特許第6,117,660号明細書、および国際特許出願国際公開第2017172838号明細書に記載されるものを含む。同様に、本出願の組成物および免疫原性組合せを送達するための応用によって企図されるのは、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第6,697,669号明細書に記載されるパルス電場の使用である。
組成物または免疫原性組合せが1つまたは複数のDNAプラスミドを含む本出願の他の実施形態では、投与方法は経皮である。経皮投与は、DNAプラスミドの細胞への送達を容易にするために表皮アブレーションと組み合わせることができる。例えば、表皮アブレーションのために皮膚パッチを使用することができる。皮膚パッチを除去すると、組成物または免疫原性組合せが剥削された皮膚に堆積することができる。
送達方法は、上記の実施形態に限定されず、細胞内送達のための任意の手段を使用することができる。本出願の方法によって企図される他の細胞内送達方法には、リポソーム封入、ナノ粒子等が挙げられるがこれらに限定されない。
アジュバント
本出願の一部の実施形態では、HBVに対する免疫応答を誘導する方法は、アジュバントを投与するステップをさらに含む。用語「アジュバント」および「免疫刺激剤」は、本明細書において互換的に使用され、免疫系の刺激を引き起こす1つまたは複数の物質として定義される。この文脈において、アジュバントは、本出願のHBV抗原および抗原性HBVポリペプチドに対する免疫応答を増強するために使用される。
本出願の実施形態に従って、アジュバントは、本出願の免疫原性組合せもしくは組成物に存在し得るか、または個別の組成物で投与することができる。アジュバントは、例えば低分子または抗体であり得る。本出願で使用するために適したアジュバントの例には、免疫チェックポイント阻害剤(例えば、抗PD1、抗RIM−3等)、toll−like受容体阻害剤、RIG−1阻害剤、IL−15スーパーアゴニスト(Altor Bioscience)、変異体IRF3およびIRF7遺伝子アジュバント、STINGアゴニスト(Aduro)、FLT3L遺伝子アジュバント、IL−12遺伝子アジュバント、およびIL−7−hyFcが挙げられるがこれらに限定されない。
本出願の組成物および免疫原性組合せはまた、少なくとも1つの他の抗HBV剤と組み合わせて投与することもできる。本出願と共に使用するために適した抗HBV剤の例には、低分子、抗体、および/またはキャプシド阻害剤として機能するCAR−T治療、TLR阻害剤、cccDNA阻害剤、HBVポリメラーゼ阻害剤(例えば、エンテカビルおよびテノフォビル)、および/または免疫チェックポイント阻害剤等が挙げられるがこれらに限定されない。そのような抗HBV剤は、本出願の組成物および免疫原性組合せと同時にまたは連続的に投与することができる。
プライム/ブースト免疫方法
本出願の実施形態はまた、いわゆるプライム−ブーストレジメンで、組成物または免疫原性組合せの免疫学的有効量を対象に投与するステップ、およびその後に同じ対象に組成物または免疫原性組合せの免疫学的有効量の別の用量を投与するステップも企図する。このように、一実施形態では、本出願の組成物または免疫原性組合せは、免疫応答をプライミングするために使用されるプライマーワクチンである。別の実施形態では、本出願の組成物または免疫原性組合せは、免疫応答をブーストするために使用されるブースターワクチンである。本出願の実施形態に従うプライミングおよびブースティングワクチンは、本明細書に記載の本出願の方法において使用することができる。プライム−ブーストレジメンのこの一般的な考え方は、ワクチン技術分野の当業者に周知である。本明細書に記載の本出願の組成物および免疫原性組合せのいずれも、HBVに対する免疫応答をプライミングおよび/またはブースティングするためのプライムおよび/またはブーストワクチンとして使用することができる。
本出願の実施形態に従って、本出願の組成物または免疫原性組合せは、免疫をプライミングするために少なくとも1回投与することができる。組成物または免疫原性組合せは、免疫をブースティングするために再投与することができる。組成物またはワクチン組合せのさらなるブースター投与を、任意選択で必要に応じてレジメンに追加することができる。アジュバントは、免疫をブースティングするために使用される本出願の組成物に存在することができ、ブースティング免疫のために本出願の組成物または免疫原性組合せと共に投与される個別の組成物に存在することができ、またはブースティング免疫として単独で投与することができる。アジュバントがレジメンに含まれるそれらの実施形態では、アジュバントは、好ましくは免疫をブースティングするため使用される。
プライム−ブーストレジメンの例および非制限的な例は、免疫応答をプライミングするために、対象に本出願の組成物または免疫原性組合せの免疫学的有効量の1回用量を投与するステップ、およびその後に免疫応答をブースティングするために、本出願の組成物または免疫原性組合せの免疫学的有効量の別の用量を投与するステップを含み、ブースティング免疫は、プライミング免疫を初めて投与した約1〜12(1〜12)週間後、約2〜12(2〜12)週間後、約2〜10(2〜10)週間後、約2〜6(2〜6)週間後、好ましくは約4週間後に初めて投与され、好ましくはプライミング免疫を初めて投与した約8週間後に初めて投与される。本出願の一実施形態では、ブースティング免疫は、プライミング免疫の少なくとも1週間後に投与される。本出願の一実施形態では、ブースティング免疫は、プライミング免疫の少なくとも2週間後に投与される。任意選択で、プライミング免疫を最初に投与した10〜14週間後、好ましくは12週間後に、組成物または免疫原性組合せまたは他のアジュバントのさらなるブースティング免疫を投与する。
キット
本出願はまた、本出願の免疫原性組合せを含むキットも提供する。キットは、第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチドを個別の組成物中に含むことができ、またはキットは、第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチドを単一の組成物中に含むことができる。キットはさらに、1つまたは複数のアジュバントまたは免疫刺激剤、および/または他の抗HBV剤を含み得る。
動物またはヒト生物において投与時に抗HBV免疫応答を誘導または刺激する能力は、当技術分野で標準的な多様なアッセイを使用してin vitroまたはin vivoのいずれかで評価することができる。免疫応答の開始および活性化を評価するために利用することができる技術の一般的な説明に関しては、例えばColiganら(1992 and 1994, Current Protocols in Immunology; ed. J Wiley & Sons Inc, National Institute of Health)を参照されたい。細胞性免疫の測定は、CD4+およびCD8+ T細胞に由来する細胞を含む活性化エフェクター細胞によって分泌されるサイトカインプロファイルの測定(例えば、ELISPOTによるIL−10またはIFNガンマ産生細胞の定量)によって、免疫エフェクター細胞の活性化状態の決定によって(例えば、古典的な[H]チミジン取り込みによるT細胞増殖アッセイ)、または感作された対象における抗原特異的Tリンパ球に関してアッセイすることによって(例えば、細胞傷害性アッセイにおけるペプチド特異的溶解等)実施することができる。
細胞性および/または液性応答を刺激する能力は、抗体結合および/または結合の競合によって決定することができる(例えば、Harlow, 1989, Antibodies, Cold Spring Harbor Pressを参照されたい)。例えば、免疫原を提供する組成物の投与に応答して産生される抗体の力価を、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)によって測定することができる。免疫応答はまた、ウイルスの中和が、特異的抗体によるウイルスの反応/阻害/中和を通しての感染性の喪失として定義される中和抗体アッセイによっても測定することができる。免疫応答はさらに、抗体依存性細胞食作用(ADCP)アッセイによって測定することができる。
実施形態
本出願は、以下の非制限的な実施形態も提供する。
実施形態1は、配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチド配列を含む天然に存在しない核酸分子を含む改変ワクシニアアンカラ(MVA)ベクターである。
実施形態2は、HBVポリメラーゼ抗原が逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有しない、実施形態1に記載のMVAベクターである。
実施形態3は、HBVポリメラーゼ抗原が、哺乳動物において少なくとも2つのHBV遺伝子型に対する免疫応答を誘導することが可能であり、好ましくはHBVポリメラーゼ抗原が、哺乳動物において少なくともHBV遺伝子型B、C、およびDに対するT細胞応答を誘導することが可能であり、ならびにより好ましくはHBVポリメラーゼ抗原が、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、C、およびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能である、実施形態1または2に記載のMVAベクターである。
実施形態4は、HBVポリメラーゼ抗原が配列番号4のアミノ酸配列を含む、実施形態1〜3のいずれか1つに記載のMVAベクターである。
実施形態5は、HBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結されたシグナル配列をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態1〜4のいずれか1つに記載のMVAベクターである。
実施形態6は、シグナル配列が、配列番号6または配列番号11のアミノ酸配列を含み、好ましくはシグナル配列が、配列番号5または配列番号10のポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態5に記載のMVAベクターである。
実施形態7は、第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号3と少なくとも90%同一である、実施形態1〜6のいずれか1つに記載のMVAベクターである。
実施形態8は、第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号3のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態7に記載のMVAベクターである。
実施形態9は、配列番号2のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態1〜8のいずれか1つに記載のMVAベクターである。
実施形態10は、第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号1と少なくとも90%同一である、実施形態9に記載のMVAベクターである。
実施形態11は、第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号1のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態10に記載のMVAベクターである。
実施形態12は、第2のポリヌクレオチド配列が、切断型HBVコア抗原に作動可能に連結されたシグナル配列をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態9〜11のいずれか1つに記載のMVAベクターである。
実施形態13は、シグナル配列が、配列番号6または配列番号11のアミノ酸配列を含み、好ましくはシグナル配列が、配列番号5または配列番号10のポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態12に記載のMVAベクターである。
実施形態14は、第1および第2のポリヌクレオチド配列が、HBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原を含む融合タンパク質をコードする、実施形態9〜13のいずれか1つに記載のMVAベクターである。
実施形態15は、融合タンパク質が、リンカーを介してHBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原を含む、実施形態14に記載のMVAベクターである。
実施形態16は、リンカーがアミノ酸配列(AlaGly)nを含み、nが2〜5の整数であり、好ましくは、リンカーが配列番号14を含むポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態15に記載のMVAベクターである。
実施形態17は、融合タンパク質が、配列番号12のアミノ酸配列を含む、実施形態16に記載のMVAベクターである。
実施形態18は、融合タンパク質がシグナル配列をさらに含み、好ましくは、シグナル配列が配列番号6または配列番号11のアミノ酸配列を含み、より好ましくは、シグナル配列が配列番号5または配列番号10のポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態14〜17のいずれか1つに記載のMVAベクターである。
実施形態19は、少なくとも1つのプロモーター配列、任意選択で1つまたは複数の追加の調節配列をさらに含み、好ましくは少なくとも1つのプロモーター配列が、配列番号25および/または配列番号26のポリヌクレオチド配列を含み、ならびに追加の調節配列が、配列番号8または配列番号15のエンハンサー配列、および配列番号9または配列番号16のポリアデニル化シグナルからなる群から選択される、実施形態1〜18のいずれか1つに記載のMVAベクターである。
実施形態20は、天然に存在しない核酸分子が、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、HBVエンベロープ(Env)抗原、およびHBV Lタンパク質抗原からなる群から選択されるHBV抗原をコードしない、実施形態1〜19のいずれか1つに記載のMVAベクターである。
実施形態21は、配列番号4のアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチド配列を含む第1の天然に存在しない核酸分子であって、第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号6のアミノ酸配列を含むシグナル配列をさらにコードし、および第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号26のポリヌクレオチド配列を含むプロモーター配列をさらに含む第1の天然に存在しない核酸分子、ならびに配列番号2のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチド配列を含む第2の天然に存在しない核酸分子であって、第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号11のアミノ酸配列を含むシグナル配列をさらにコードし、および第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号25のポリヌクレオチド配列を含むプロモーター配列をさらに含む第2の天然に存在しない核酸分子を含むMVAベクターである。
実施形態22は、実施形態1〜21のいずれか1つに記載のMVAベクターおよび薬学的に許容可能な担体を含む組成物である。
実施形態23は、ヒト対象における免疫応答を増強する方法であって、(a)ヒト対象に、配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチド配列を含む天然に存在しない核酸分子を含むアデノウイルスベクターの免疫学的有効量を含む第1の組成物を投与するステップ;および(b)ヒト対象に、実施形態1〜21のいずれか1つに記載のMVAベクターの免疫学的有効量を含む第2の組成物を投与するステップを含み、それによってヒト対象においてHBV抗原に対する増強された免疫応答を得る方法である。
実施形態24は、第1の組成物のHBVポリメラーゼ抗原が、逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有しない、実施形態23に記載の方法である。
実施形態25は、第1の組成物が免疫応答をプライミングするためであり、第2の組成物が免疫応答をブースティングするためである、実施形態23または24に記載の方法である。
実施形態26は、第1の組成物のHBVポリメラーゼ抗原が、ヒト対象において、少なくとも2つのHBV遺伝子型に対する免疫応答を誘導することが可能であり、好ましくはHBVポリメラーゼ抗原が、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型B、C、およびDに対するT細胞応答を誘導することが可能であり、ならびにより好ましくは、HBVポリメラーゼ抗原が、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、C、およびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能である、実施形態23〜25のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態27は、第1の組成物のHBVポリメラーゼ抗原が、配列番号4のアミノ酸配列を含む、実施形態23〜26のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態28は、第1の組成物のHBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結されたシグナル配列をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態23〜27のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態29は、シグナル配列が、配列番号6または配列番号11のアミノ酸配列を含み、好ましくはシグナル配列が、配列番号5または配列番号10のポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態28に記載の方法である。
実施形態30は、第1の組成物の第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号19と少なくとも90%同一である、実施形態23〜29のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態31は、第1の組成物の第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号19のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態30に記載の方法である。
実施形態32は、第1の組成物におけるアデノウイルスの核酸分子が、配列番号2のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態23〜31のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態33は、第1の組成物の第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号17と少なくとも90%同一である、実施形態32に記載の方法である。
実施形態34は、第1の組成物の第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号17のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態33に記載の方法である。
実施形態35は、第1の組成物の第1および第2のポリヌクレオチド配列が、HBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原を含む融合タンパク質をコードする、実施形態32〜34のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態36は、第1の組成物の融合タンパク質が、リンカーを介してHBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結された切断型HBVコア抗原を含む、実施形態35に記載の方法である。
実施形態37は、第1の組成物のリンカーが、アミノ酸配列(AlaGly)nを含み、nが2〜5の整数であり、好ましくはリンカーが、配列番号14を含むポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態36に記載の方法である。
実施形態38は、第1の組成物の融合タンパク質が、配列番号12のアミノ酸配列を含む、実施形態37に記載の方法である。
実施形態39は、第1の組成物の融合タンパク質が、シグナル配列をさらに含み、好ましくは、シグナル配列が配列番号6または配列番号11のアミノ酸配列を含み、より好ましくはシグナル配列が、配列番号5または配列番号10のポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態35〜38のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態40は、第1の組成物の天然に存在しない核酸分子が、プロモーター配列、任意選択で1つまたは複数の追加の調節配列をさらに含み、好ましくはプロモーター配列が、配列番号7のポリヌクレオチド配列を含み、ならびに追加の調節配列が、配列番号8または配列番号15のエンハンサー配列および配列番号16のポリアデニル化シグナル配列からなる群から選択される、実施形態23〜39のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態41は、第1の組成物の天然に存在しない核酸分子が、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、HBVエンベロープ(Env)抗原、およびHBV Lタンパク質抗原からなる群から選択されるHBV抗原をコードしない、実施形態23〜40のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態42は、増強された免疫応答が、ヒト対象におけるHBV抗原に対する増強された抗体応答を含む、請求項23〜41のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態43は、増強された免疫応答が、ヒト対象におけるHBV抗原に対する増強されたCD8+ T細胞応答を含む、実施形態42に記載の方法である。
実施形態44は、増強された免疫応答が、ヒト対象におけるHBV抗原に対する増強されたCD4+ T細胞応答を含む、実施形態42または43に記載の方法である。
実施形態45は、アデノウイルスベクターがrAd26またはrAd35ベクターである、実施形態23〜44のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態46は、ステップ(b)が、ステップ(a)の1〜12週間後に実施される、実施形態23〜45のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態47は、ステップ(b)が、ステップ(a)の2〜12週間後に実施される、実施形態23〜45のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態48は、ステップ(b)が、ステップ(a)の少なくとも1週間後に実施される、実施形態23〜45のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態49は、ステップ(b)が、ステップ(a)の少なくとも2週間後に実施される、実施形態23〜45のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態50は、(a)配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチド配列を含むアデノウイルスベクターの免疫学的有効量を含む第1の組成物;および(b)配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする第2のポリヌクレオチド配列を含む改変ワクシニアアンカラ(MVA)ベクターの免疫学的有効量を含む第2の組成物を含むワクチン組合せであって、第1の組成物が、免疫応答をプライミングするためにヒト対象に投与され、第2の組成物が免疫応答をブースティングするためにヒト対象に1回または複数回投与される、ワクチン組合せである。
実施形態51は、第1および第2の組成物のHBVポリメラーゼ抗原が、逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有しない、実施形態50に記載のワクチン組合せである。
実施形態52は、第1および第2の組成物のHBVポリメラーゼ抗原が、哺乳動物において少なくとも2つのHBV遺伝子型に対する免疫応答を誘導することが可能であり、好ましくは、HBVポリメラーゼ抗原が、哺乳動物において少なくともHBV遺伝子型B、C、およびDに対するT細胞応答を誘導することが可能であり、ならびにより好ましくはHBVポリメラーゼ抗原が、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、C、およびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能である、実施形態50または51に記載のワクチン組合せである。
実施形態53は、第1および第2の組成物のHBVポリメラーゼ抗原が、配列番号4のアミノ酸配列を含む、実施形態50〜52のいずれか1つに記載のワクチン組合せである。
実施形態54は、第1および第2の組成物のHBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結されたシグナル配列をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態50〜53のいずれか1つに記載のワクチン組合せである。
実施形態55は、シグナル配列が、配列番号6または配列番号11のアミノ酸配列を含み、好ましくはシグナル配列が、配列番号5または配列番号10のポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態54に記載のワクチン組合せである。
実施形態56は、第1および第2のポリヌクレオチド配列が配列番号3と少なくとも90%同一である、実施形態50〜55のいずれか1つに記載のワクチン組合せである。
実施形態57は、第1および第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号3のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態56に記載のワクチン組合せである。
実施形態58は、第1の組成物のアデノウイルスベクターが、MVAベクターの第3のポリヌクレオチド配列をさらに含み、および第2の組成物のMVAベクターが、第4のポリヌクレオチド配列をさらに含み、第3および第4のポリヌクレオチド配列が、配列番号2のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする、実施形態50〜57のいずれか1つに記載のワクチン組合せである。
実施形態59は、第3および第4のポリヌクレオチド配列が、配列番号1と少なくとも90%同一である、実施形態58に記載のワクチン組合せである。
実施形態60は、第3および第4のポリヌクレオチド配列が、配列番号1のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態59に記載のワクチン組合せである。
実施形態61は、(a)配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチド配列を含む改変ワクシニアアンカラ(MVA)ベクターの免疫学的有効量を含む第1の組成物;および(b)配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする第2のポリヌクレオチド配列を含むアデノウイルスベクターの免疫学的有効量を含む第2の組成物を含むワクチン組合せであって、第1の組成物が、免疫応答をプライミングするためにヒト対象に投与され、第2の組成物が免疫応答をブースティングするためにヒト対象に1回または複数回投与される、ワクチン組合せである。
実施形態62は、第1および第2の組成物のHBVポリメラーゼ抗原が、逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有しない、実施形態61に記載のワクチン組合せである。
実施形態63は、第1および第2の組成物のHBVポリメラーゼ抗原が、哺乳動物において少なくとも2つのHBV遺伝子型に対する免疫応答を誘導することが可能であり、好ましくは、HBVポリメラーゼ抗原が、哺乳動物において少なくともHBV遺伝子型B、C、およびDに対するT細胞応答を誘導することが可能であり、ならびにより好ましくはHBVポリメラーゼ抗原が、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、C、およびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能である、実施形態61または62に記載のワクチン組合せである。
実施形態64は、第1および第2の組成物のHBVポリメラーゼ抗原が、配列番号4のアミノ酸配列を含む、実施形態61〜63のいずれか1つに記載のワクチン組合せである。
実施形態65は、第1および第2の組成物のHBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結されたシグナル配列をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態61〜64のいずれか1つに記載のワクチン組合せである。
実施形態66は、シグナル配列が、配列番号6または配列番号11のアミノ酸配列を含み、好ましくはシグナル配列が、配列番号5または配列番号10のポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態65に記載のワクチン組合せである。
実施形態67は、第1および第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号3と少なくとも90%同一である、実施形態61〜66のいずれか1つに記載のワクチン組合せである。
実施形態68は、第1および第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号3のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態67に記載のワクチン組合せである。
実施形態69は、第1の組成物のMVAベクターが、第3のポリヌクレオチド配列をさらに含み、および第2の組成物のアデノウイルスベクターが、第4のポリヌクレオチド配列をさらに含み、第3および第4のポリヌクレオチド配列が、配列番号2のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする、実施形態61〜68のいずれか1つに記載のワクチン組合せである。
実施形態70は、第3および第4のポリヌクレオチド配列が、配列番号1と少なくとも90%同一である、実施形態69に記載のワクチン組合せである。
実施形態71は、第3および第4のポリヌクレオチド配列が、配列番号1のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態70に記載のワクチン組合せである。
実施形態72は、キットである、実施形態50〜71のいずれか1つに記載のワクチン組合せである。
実施形態73は、ヒト対象において免疫応答を増強する方法であって、(a)ヒト対象に、配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチド配列を含む第1の天然に存在しない核酸分子を含む第1のプラスミド、および配列番号2のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチド配列を含む第2の天然に存在しない核酸分子を含む第2のプラスミドの免疫学的有効量を含む第1の組成物を投与するステップ;ならびに(b)ヒト対象に、実施形態1〜21のいずれか1つに記載のMVAベクターの免疫学的有効量を含む第2の組成物を投与するステップを含み、それによってヒト対象におけるHBV抗原に対する増強された免疫応答を得る方法である。
実施形態74は、第1の組成物のHBVポリメラーゼ抗原が、逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有しない、実施形態73に記載の方法である。
実施形態75は、第1の組成物が、免疫応答をプライミングするためであり、第2の組成物が、免疫応答をブースティングするためである、実施形態73または74に記載の方法である。
実施形態76は、第1の組成物のHBVポリメラーゼ抗原が、ヒト対象において少なくとも2つのHBV遺伝子型に対する免疫応答を誘導することが可能であり、好ましくは、HBVポリメラーゼ抗原が、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型B、C、およびDに対するT細胞応答を誘導することが可能であり、ならびにより好ましくはHBVポリメラーゼ抗原が、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、C、およびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能である、実施形態73〜75のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態77は、第1の組成物のHBVポリメラーゼ抗原が、配列番号4のアミノ酸配列を含む、実施形態73〜76のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態78は、第1の組成物のHBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結されたシグナル配列をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態73〜77のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態79は、シグナル配列が、配列番号6または配列番号11のアミノ酸配列を含み、好ましくはシグナル配列が、配列番号5または配列番号10のポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態78に記載の方法である。
実施形態80は、第1の組成物の第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号20と少なくとも90%同一である、実施形態73〜79のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態81は、第1の組成物の第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号20のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態80に記載の方法である。
実施形態82は、第1の組成物の第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号18と少なくとも90%同一である、実施形態73〜81に記載の方法である。
実施形態83は、第1の組成物の第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号18のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態82に記載の方法である。
実施形態84は、第1の組成物の第1および第2のポリヌクレオチド配列が、プロモーター配列、任意選択で1つまたは複数の追加の調節配列をさらに含み、好ましくはプロモーター配列が、配列番号7のポリヌクレオチド配列を含み、ならびに追加の調節配列が、配列番号8または配列番号15のエンハンサー配列および配列番号16のポリアデニル化シグナル配列からなる群から選択される、実施形態73〜83のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態85は、増強された免疫応答が、ヒト対象におけるHBV抗原に対する増強された抗体応答を含む、請求項73〜84のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態86は、増強された免疫応答が、ヒト対象におけるHBV抗原に対する増強されたCD8+ T細胞応答を含む、実施形態85に記載の方法である。
実施形態87は、増強された免疫応答が、ヒト対象におけるHBV抗原に対する増強されたCD4+ T細胞応答を含む、実施形態85または86に記載の方法である。
実施形態88は、ステップ(b)が、ステップ(a)の1〜12週間後に実施される、実施形態73〜87のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態89は、ステップ(b)が、ステップ(a)の2〜12週間後に実施される、実施形態73〜87のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態90は、ステップ(b)が、ステップ(a)の少なくとも1週間後に実施される、実施形態73〜87のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態91は、ステップ(b)が、ステップ(a)の少なくとも2週間後に実施される、実施形態73〜87のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態92は、ヒト対象において免疫応答を増強する方法であって、(a)ヒト対象に、実施形態1〜21のいずれか1つに記載のMVAベクターの免疫学的有効量を含む第1の組成物を投与するステップ;ならびに(b)ヒト対象に、配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチド配列を含む天然に存在しない核酸分子を含む第1のプラスミド、および配列番号2のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチド配列を含む天然に存在しない核酸分子を含む第2のプラスミドの免疫学的有効量を含む第2の組成物を投与するステップを含み、それによってヒト対象においてHBV抗原に対する増強された免疫応答を得る方法である。
実施形態93は、第2の組成物のHBVポリメラーゼ抗原が、逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有しない、実施形態92に記載の方法である。
実施形態94は、第1の組成物が免疫応答をプライミングするためであり、第2の組成物が免疫応答をブースティングするためである、実施形態92または93に記載の方法である。
実施形態95は、第2の組成物のHBVポリメラーゼ抗原が、ヒト対象において少なくとも2つのHBV遺伝子型に対する免疫応答を誘導することが可能であり、好ましくは、HBVポリメラーゼ抗原が、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型B、C、およびDに対するT細胞応答を誘導することが可能であり、ならびにより好ましくはHBVポリメラーゼ抗原が、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、C、およびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能である、実施形態92〜94のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態96は、第2の組成物のHBVポリメラーゼ抗原が、配列番号4のアミノ酸配列を含む、実施形態92〜95のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態97は、第2の組成物のHBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結されたシグナル配列をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態92〜96のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態98は、シグナル配列が、配列番号6または配列番号11のアミノ酸配列を含み、好ましくはシグナル配列が、配列番号5または配列番号10のポリヌクレオチド配列によってコードされる、実施形態97に記載の方法である。
実施形態99は、第2の組成物の第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号20と少なくとも90%同一である、実施形態92〜98のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態100は、第2の組成物の第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号20のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態99に記載の方法である。
実施形態101は、第2の組成物の第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号18と少なくとも90%同一である、実施形態92〜100のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態102は、第2の組成物の第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号18のポリヌクレオチド配列を含む、実施形態101に記載の方法である。
実施形態103は、第2の組成物の第1および第2のポリヌクレオチド配列が、プロモーター配列、任意選択で1つまたは複数の追加の調節配列をさらに含み、好ましくはプロモーター配列が、配列番号7のポリヌクレオチド配列を含み、ならびに追加の調節配列が、配列番号8または配列番号15のエンハンサー配列および配列番号16のポリアデニル化シグナル配列からなる群から選択される、実施形態92〜102のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態104は、増強された免疫応答が、ヒト対象におけるHBV抗原に対する増強された抗体応答を含む、実施形態92〜103のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態105は、増強された免疫応答が、ヒト対象におけるHBV抗原に対する増強されたCD8+ T細胞応答を含む、実施形態104に記載の方法である。
実施形態106は、増強された免疫応答が、ヒト対象におけるHBV抗原に対する増強されたCD4+ T細胞応答を含む、実施形態104または105に記載の方法である。
実施形態107は、ステップ(b)が、ステップ(a)の1〜12週間後に実施される、実施形態92〜106のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態108は、ステップ(b)が、ステップ(a)の2〜12週間後に実施される、実施形態92〜106のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態109は、ステップ(b)が、ステップ(a)の少なくとも1週間後に実施される、実施形態92〜106のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態110は、ステップ(b)が、ステップ(a)の少なくとも2週間後に実施される、実施形態92〜106のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態111は、ステップ(b)が、ステップ(a)の少なくとも4週間後に実施される、実施形態92〜106のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態112は、ステップ(b)が、ステップ(a)の少なくとも8週間後に実施される、実施形態92〜106のいずれか1つに記載の方法である。
実施形態113は、ステップ(b)が、ステップ(a)の少なくとも12週間後に実施される、実施形態92〜106のいずれか1つに記載の方法である。
本出願の以下の実施例は、本出願の性質をさらに例証するためである。以下の実施例は本発明を限定せず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって決定されると理解すべきである。
[実施例1]
HBVコアおよびPol抗原配列の生成
肝炎コアタンパク質上のT細胞エピトープは、B型肝炎感染症の排除にとって重要であると考えられており、B型肝炎ウイルスタンパク質、例えばポリメラーゼは、応答の幅を改善するために役目を果たし得る。このため、B型肝炎コアおよびポリメラーゼタンパク質を、治療用B型肝炎ウイルス(HBV)ワクチンの設計のための抗原として選択した。
HBVコアおよびポリメラーゼ抗原コンセンサス配列の誘導
HBV polおよびコア抗原コンセンサス配列を、HBV遺伝子型B、C、およびDに基づいて生成した。異なるHBV配列を異なる起源から得て、コアおよびポリメラーゼタンパク質に関して個別に整列させた。全てのサブタイプ(A〜H)に関する当初の配列アライメントを、次にHBV遺伝子型B、C、およびDに限定した。コンセンサス配列を、各サブタイプにおいて個別におよび全ての合同BCD配列において各々のタンパク質アライメントに関して定義した。多様なアライメント位置において、最も頻繁なアミノ酸をコンセンサス配列に使用した。
HBVコア抗原の最適化
HBVコア抗原コンセンサス配列を、ネイティブウイルスタンパク質に含有される2つの欠失を作製することによって最適化した。第1の欠失は、プレコア「ジンクフィンガー」部分を構成するコアタンパク質のN末端伸長部の欠失であり、その理由は、文献での報告により、ウイルスがこの配列を利用して、感染した個体におけるウイルスタンパク質に対する寛容を誘導することが示されたためであった。第2の欠失は、C末端の高度に正に帯電した分節に対応する34アミノ酸の欠失であったが、これはウイルス生活環におけるプレゲノムキャプシド形成および生産的なウイルスプラス鎖DNA合成にとって必要である。
HBV Pol抗原の最適化
HBV pol抗原コンセンサス配列を、逆転写酵素およびRNアーゼH酵素活性を除去するために4つの残基を変化させることによって最適化した。特に、任意の配位機能、およびこのようにヌクレオチド/金属イオン結合を排除するために、逆転写酵素ドメインの「YXDD」モチーフにおけるアスパラギン酸塩残基(D)をアスパラギン残基(N)に変化させた。加えて、Mg2+配位を排除するために、RNアーゼHドメインの「DEDD」モチーフにおける第1のアスパラギン酸塩残基(D)をアスパラギン残基(N)に変化させ、第1のグルタミン酸塩残基(E)をグルタミン残基(A)に変化させた。加えて、HBV pol抗原の配列をコドン最適化して、Sタンパク質およびN末端伸長部pre−S1およびpre−S2を有するSタンパク質の変化型を含むエンベロープタンパク質の内部オープンリーディングフレームを組み換えた。その結果、エンベロープタンパク質(pre−S1、pre−S2、およびSタンパク質)およびXタンパク質のオープンリーディングフレームが除去された。
効率的なタンパク質分泌のためのシグナルペプチドの選択
以下のHBVコア抗原のN末端にインフレームで導入した3つの異なるシグナルペプチドを評価した:(1)Ig重鎖ガンマシグナルペプチドSPIgG(BAA75024.1);(2)Ig重鎖イプシロンシグナルペプチドSPIgE(AAB59424.1);および(3)シスタチンS前駆体シグナルペプチドSPCS(NP_0018901.1)。シグナルペプチド切断部位を、SignalP予測プログラムを使用してコア融合体に関してin silicoで最適化した。分泌効率を、上清中のコアタンパク質レベルを分析することによって決定した。N末端で融合した3つの異なるシグナルペプチドを使用するコア抗原分泌のウェスタンブロット分析は、シスタチンSシグナルペプチドが最も効率的なタンパク質分泌をもたらすことを証明した。
[実施例2]
切断型HBVコア抗原とHBV Pol抗原との融合体を発現するアデノウイルスベクターの生成
単一のオープンリーディングフレームから切断型HBVコア抗原およびHBV pol抗原の融合タンパク質を発現するアデノウイルスベクターを作製した。例えば2つの個別の発現カセットを使用することによる、または2つの配列を分離するために2A様配列を使用することによる、2つのタンパク質(例えば、切断型HBVコア抗原およびHBVpol抗原)を発現させるための追加の構成も同様に想像することができる。
アデノウイルスベクターの発現カセットの設計
発現カセット(図2Aおよび図2Bに図示する)は、CMVプロモーター(配列番号7)、イントロン(配列番号15)(ヒトApoAI遺伝子に由来する断片、GenBank受託番号X01038、塩基対295〜523、ApoAIの第2のイントロンを有する)、後に続く最適化コード配列−ヒト免疫グロブリン分泌シグナルコード配列(配列番号10)の後に続くコア単独またはコアとポリメラーゼとの融合タンパク質、その後に続くSV40ポリアデニル化シグナル(配列番号16)を含む。
分泌シグナルは、過去の実験により、誘発されるT細胞応答に影響を及ぼすことなく(マウスの実験)、分泌されるトランスジーンを有する一部のアデノウイルスベクターの製造性が改善することが示されたことから含めた。
コアタンパク質の最後の2つの残基(VV)およびポリメラーゼタンパク質の最初の2つの残基(MP)を融合すると、隣接する相同配列と共にヒトドーパミン受容体タンパク質(D3アイソフォーム)上に存在する接合配列(VVMP)をもたらす。
コア配列とポリメラーゼ配列との間にAGAGリンカーを挿入すると、この相同性が排除され、ヒトプロテオームのBlastにおいてさらなるヒットなしに戻った。
[実施例3]
HBVコア抗原およびHBV Pol抗原を発現するMVAベクターの生成
MVAベクターは、本出願のHBVコアおよびPolコード配列の各々をコードするように設計されている。HBVコアおよびPolコード配列を、各々個別のプロモーターの制御下でMVAベクターのIGR44/45に挿入した。2つのタンパク質を発現させるための追加の構成、例えば、コアおよびPol抗原が融合タンパク質を含む単一の発現カセットを使用すること、またはあるいは2つの配列を分離するために2A様配列を利用することもまた、想像することができる。さらに、MVAベクターにおける追加のおよび/または代替の挿入部位、例えばHBVコアおよびPolコード配列の各々を同じまたは異なる挿入部位に挿入することもまた想像することができる。
MVAベクターの発現カセットの設計
発現カセット(図2Cに示す)は、HBVコア抗原に隣接してその発現を指示するPr13.5長プロモーター(配列番号25)、およびHBV Pol抗原に隣接してその発現を指示するPrHybプロモーター(配列番号26)で構成される。HBVコアコード配列は配列番号1を含み、HBV Polコード配列は配列番号3を含む。配列番号1および3の各々は、負のシス作用部位を排除することによって、およびGC含有量を調節することによって改変した。さらに、配列番号1および3の各々を、アミノ酸配列に影響を及ぼすことなく、ヒトコドン使用に関してコドン最適化した。配列番号1および3の各々は、終止コドンに隣接して配置された追加の早期終止シグナル(TTTTTNT(配列番号28))を含む。
[実施例4]
マウスにおけるHBVアデノウイルスベクターおよびHBV MVAベクターの組合せの免疫原性
材料および方法
ベクターの設計:コア単独(配列番号2のアミノ酸配列を有するHBVコア抗原)、または単一のオープンリーディングフレームから発現された融合タンパク質としてコアに加えてポリメラーゼ(配列番号4のアミノ酸配列を有するHBV pol抗原)のいずれか発現する2つのアデノウイルスベクターを使用した。このため、in silicoでB型肝炎ウイルスのB、C、およびD遺伝子型のコンセンサスを提供する配列を設計した。発現カセットは、CMVプロモーター、ApoAIイントロン、ヒト免疫グロブリン分泌シグナルを含み、その後にコード配列−コア単独またはコアとポリメラーゼの融合タンパク質、およびSV40ポリアデニル化シグナルが続く。
組換えMVAベクターは、コアコード配列(配列番号1のヌクレオチド配列、および配列番号2のポリペプチド配列)に連結されたポックスウイルスプロモーターPr13.5(配列番号25)、およびポリメラーゼをコードするヌクレオチド配列(配列番号3のヌクレオチド配列、および配列番号4のポリペプチド配列)に連結されたPrHyb(配列番号26)で構成され、いずれもその後に転写終止配列TTTTTNT(配列番号28)が続く。コアコード配列は、N末端免疫グロブリン分泌タグ(配列番号11)を含み、およびポリメラーゼコード配列はN末端シスタチンSシグナル配列(配列番号6)を含む。例えば、図2Cを参照されたい。
マウスにおけるin vivo免疫原性試験:HBVアデノウイルスベクターおよびHBV MVAの組合せのin vivo免疫原性を評価するために、F1マウス(C57BL/6×Balb/C)を、異なるベクターの組合せによって筋肉内にプライム−ブースト免疫した。これらの免疫原性試験は、HBV抗原コアおよびポリメラーゼによって誘発された細胞性免疫応答の決定に集中した。
抗原特異的応答を、IFN−γ酵素結合イムノスポット(ELISPOT)によって分析および定量し、細胞内サイトカイン産生(TNF−アルファ、IL−2、およびIFN−γ)を、フローサイトメトリーによって検出した。これらのアッセイにおいて、免疫した動物から単離された脾細胞を、コアタンパク質、Polタンパク質、または小さいペプチドリーダーおよび接合配列(各ペプチド2μg/ml)を含むペプチドプールと共にインキュベートした。加えて、MVA特異的ペプチド(2μg/ml)を使用した。プールは、コアおよびPolアデノウイルスベクターの遺伝子型ABCDコンセンサス配列にマッチする11残基が重複する15量体ペプチドからなる。大きい94kDa HBV Polタンパク質を中央で2つのペプチドプールに分割した。ELISPOTにおいて、単一の抗原特異的T細胞によるIFN−γの放出を、適切な抗体によって、およびスポット形成細胞(SFC)と呼ばれるマイクロプレート上での着色スポットとしてその後の色素産生の検出によって可視化した。ICSにおいて、特定の集団(CD3陽性、CD4陽性、またはCD8陽性細胞)におけるサイトカイン放出細胞のパーセンテージを決定した。
結果
マウスにおけるHBVアデノウイルスベクターおよびHBV MVAの組合せの免疫原性の評価:本試験の目的は、F1マウスにIM送達後のHBVアデノウイルスベクターおよびHBV MVAの組合せによって誘導された免疫応答を評価することであった。F1マウスへの投与は、表1に要約するように実施した。動物に、HBVアデノウイルスベクターによる1回の免疫の8週間後にHBV MVAによる免疫を行った。最後の免疫の1週間後に脾細胞を収集した。
HBVアデノウイルスベクター単独およびHBV MVAベクターとの組合せは、マウスにおいてPol特異的T細胞応答を生じた。低レベルのコア応答が、コアpol融合体+コアアデノウイルスベクターによって誘導され、これらの応答は、HBV MVAベクターによるブースティングによって増幅された。コアpol融合体アデノベクターおよびHBV MVAベクターの組合せもまた、コア応答を誘導した(図3)。
Pol応答は、CD8(+)T細胞によって主に媒介されるが、コア応答は、主にCD4(+)T細胞を伴う(図4および5)。コアpol融合体+コアアデノウイルスおよびHBV MVAの組合せもまた、CD8(+)T細胞駆動性コア応答を誘導した(図4)。
結論:HBVアデノウイルスベクターおよびHBV MVAベクターの組合せは、F1マウスにおいてコアおよびpolに対するT細胞応答を生じる。
[実施例5]
非ヒト霊長類(NHP)におけるHBVアデノウイルスベクターおよびHBV MVAベクターの組合せの免疫原性
NHPにおけるin vivo免疫原性試験:HBVアデノウイルスベクターおよびHBV MVAベクターの組合せのin vivo免疫原性を評価するために、モーリシャス島産カニクイザルを、異なるベクターの組合せによって筋肉内にプライム−ブースト免疫した。これらの免疫原性試験は、HBVコアおよびポリメラーゼ抗原によって誘発された細胞性免疫応答を決定することに集中した。
抗原特異的応答を、IFN−γ酵素結合イムノスポット(ELISPOT)によって分析および定量し、細胞内サイトカイン産生(TNF−アルファ、IL−2、およびIFN−γ)をフローサイトメトリーによって検出した。これらのアッセイでは、免疫した動物のPBMCを、コアタンパク質またはPolタンパク質(各ペプチド2μg/ml)を含むペプチドプールと共にインキュベートした。プールは、コアおよびPolアデノウイルスベクターの遺伝子型ABCDコンセンサス配列にマッチする、11残基が重複する15量体ペプチドからなる。大きい94kDaのHBV Polタンパク質を、中央で2つのペプチドプールに分割した。ELISPOTでは、単一の抗原特異的T細胞によるIFN−γの放出を、適切な抗体によって、およびスポット形成細胞(SFC)と呼ばれるマイクロプレート上での着色スポットとしてその後の色素産生の検出によって可視化した。細胞内サイトカイン染色(ICS)において、特定の集団(CD3陽性、CD4陽性、またはCD8陽性細胞)におけるサイトカイン放出細胞のパーセンテージを決定した。
結果
NHPにおけるHBVアデノウイルスベクターおよびHBV MVAベクターの組合せの免疫原性の評価:本試験の目的は、モーリシャス島産カニクイザルにIM送達後のHBVアデノウイルスベクターおよびHBV MVAベクターの組合せによって誘導された免疫応答を評価することであった。NHPへの投与は、表2に要約するように実施した。動物に、HBVアデノウイルスベクターによる1回免疫の8週間後にHBV MVAベクターによる免疫を実施し、その8週間後に再度HBVアデノウイルスベクターによる免疫を行った。PBMCを、各免疫の2週間後に収集した。
コアpol融合体アデノウイルスベクター単独、およびHBV MVAベクターと組み合わせたコアpol融合体+コアアデノウイルスベクターは、NHPにおいて強力なPolおよびコア特異的T細胞応答を生じた。コアpol融合体アデノウイルスベクターによるさらなるブースティングは、応答をさらに増加させなかった(図6)。
NHPにおけるコアおよびPol応答は、CD4(+)およびCD8(+)T細胞の両方によって媒介される。コアpol融合体アデノベクター+コアアデノベクター(プライミングとして使用される)およびHBV MVA(ブースティングとして使用される)の組合せは、最も高いCD4(+)コア特異的、およびCD8(+)Pol特異的T細胞IFN−γ応答を誘導した(図7)。
これらの結果は、HBVアデノウイルスベクターおよびHBV MVAベクターの組合せが、NHPにおいてコアおよびpol抗原に対して強力なT細胞応答を生じたことを証明する。
本発明のその広い概念から逸脱することなく、上記の実施形態に変更を行うことができることは、当業者によって認識されるであろう。したがって、本発明は、開示の特定の実施形態に限定されないと理解され、本記載によって定義される本発明の精神および範囲内の改変を含むと意図される。
参考文献

Claims (49)

  1. 配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチド配列を含む天然に存在しない核酸分子を含む改変ワクシニアアンカラ(MVA)ベクター。
  2. 前記HBVポリメラーゼ抗原が、哺乳動物において少なくとも2つのHBV遺伝子型に対する免疫応答を誘導することが可能であり、好ましくは、前記HBVポリメラーゼ抗原が、哺乳動物において少なくともHBV遺伝子型B、C、およびDに対するT細胞応答を誘導することが可能であり、ならびにより好ましくは前記HBVポリメラーゼ抗原が、ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、C、およびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能である、請求項1に記載のMVAベクター。
  3. 前記HBVポリメラーゼ抗原が、配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のMVAベクター。
  4. 前記HBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結されたシグナル配列をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のMVAベクター。
  5. 前記第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号3と少なくとも90%同一である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のMVAベクター。
  6. 前記第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号3のポリヌクレオチド配列を含む、請求項5に記載のMVAベクター。
  7. 配列番号2のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチド配列をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のMVAベクター。
  8. 前記第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号1と少なくとも90%同一である、請求項7に記載のMVAベクター。
  9. 前記第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号1のポリヌクレオチド配列を含む、請求項8に記載のMVAベクター。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のMVAベクターおよび薬学的に許容可能な担体を含む組成物。
  11. ヒト対象において免疫応答を増強する方法であって、
    a.前記ヒト対象に、配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチド配列を含む天然に存在しない核酸分子を含むアデノウイルスベクターの免疫学的有効量を含む第1の組成物を投与するステップ;および
    b.前記ヒト対象に、請求項1〜10のいずれか1項に記載のMVAベクターの免疫学的有効量を含む第2の組成物を投与するステップ、
    を含み、それによって前記ヒト対象において前記HBV抗原に対する増強された免疫応答を得る方法。
  12. 前記第1の組成物の前記HBVポリメラーゼ抗原が、前記ヒト対象において少なくとも2つのHBV遺伝子型に対する免疫応答を誘導することが可能であり、好ましくは、前記HBVポリメラーゼ抗原が、前記ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型B、C、およびDに対するT細胞応答を誘導することが可能であり、ならびにより好ましくは前記HBVポリメラーゼ抗原が、前記ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、C、およびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記第1の組成物の前記HBVポリメラーゼ抗原が、配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記第1の組成物の前記第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号19と少なくとも90%同一である、請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記第1の組成物の前記第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号19のポリヌクレオチド配列を含む、請求項14に記載の方法。
  16. 前記第1の組成物における前記アデノウイルスベクターの核酸分子が、配列番号2のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチド配列をさらに含む、請求項11〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記第1の組成物の前記第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号17と少なくとも90%同一である、請求項16に記載の方法。
  18. 前記第1の組成物の前記第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号17のポリヌクレオチド配列を含む、請求項17に記載の方法。
  19. 前記第1の組成物の前記第1および前記第2のポリヌクレオチド配列が、前記HBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結された前記切断型HBVコア抗原を含む融合タンパク質をコードする、請求項16〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記第1の組成物の前記融合タンパク質が、リンカーを介して前記HBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結された前記切断型HBVコア抗原を含む、請求項19に記載の方法。
  21. 前記第1の組成物の前記リンカーが、アミノ酸配列(AlaGly)nを含み、nが2〜5の整数であり、好ましくは前記リンカーが、配列番号14を含むポリヌクレオチド配列によってコードされる、請求項20に記載の方法。
  22. 前記第1の組成物の前記融合タンパク質が、配列番号12のアミノ酸配列を含む、請求項21に記載の方法。
  23. 前記増強された免疫応答が、前記ヒト対象における前記HBV抗原に対する増強された抗体応答を含む、請求項11〜22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記増強された免疫応答が、前記ヒト対象における前記HBV抗原に対する増強されたCD8+ T細胞応答を含む、請求項23に記載の方法。
  25. 前記増強された免疫応答が、前記ヒト対象における前記HBV抗原に対する増強されたCD4+ T細胞応答を含む、請求項23または24に記載の方法。
  26. 前記アデノウイルスベクターが、rAd26またはrAd35ベクターである、請求項11〜25のいずれか1項に記載の方法。
  27. ステップ(b)が、ステップ(a)の1〜12週間後に実施される、請求項11〜26のいずれか1項に記載の方法。
  28. ステップ(b)が、ステップ(a)の2〜12週間後に実施される、請求項11〜26のいずれか1項に記載の方法。
  29. ステップ(b)が、ステップ(a)の少なくとも1週間後に実施される、請求項11〜26のいずれか1項に記載の方法。
  30. ステップ(b)が、ステップ(a)の少なくとも2週間後に実施される、請求項11〜26のいずれか1項に記載の方法。
  31. ヒト対象における免疫応答を増強する方法であって、
    (a)前記ヒト対象に、配列番号4と少なくとも98%同一であるアミノ酸配列を含むHBVポリメラーゼ抗原をコードする第1のポリヌクレオチド配列を含む第1の天然に存在しない核酸分子を含む第1のプラスミド、および配列番号2のアミノ酸配列からなる切断型HBVコア抗原をコードする第2のポリヌクレオチド配列を含む第2の天然に存在しない核酸分子を含む第2のプラスミドの免疫学的有効量を含む第1の組成物を投与するステップ;ならびに
    (b)前記ヒト対象に、請求項1〜10のいずれか1項に記載のMVAベクターの免疫学的有効量を含む第2の組成物を投与するステップ、
    を含み、それによって前記ヒト対象における前記HBV抗原に対する増強された免疫応答を得る方法。
  32. 前記第1の組成物の前記HBVポリメラーゼ抗原が、逆転写酵素活性およびRNアーゼH活性を有しない、請求項31に記載の方法。
  33. 前記第1の組成物が免疫応答をプライミングするためであり、前記第2の組成物が免疫応答をブースティングするためである、請求項31または32に記載の方法。
  34. 前記第1の組成物の前記HBVポリメラーゼ抗原が、前記ヒト対象において少なくとも2つのHBV遺伝子型に対する免疫応答を誘導することが可能であり、好ましくは前記HBVポリメラーゼ抗原が、前記ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型B、C、およびDに対するT細胞応答を誘導することが可能であり、ならびにより好ましくは前記HBVポリメラーゼ抗原が、前記ヒト対象において少なくともHBV遺伝子型A、B、C、およびDに対するCD8 T細胞応答を誘導することが可能である、請求項31〜33のいずれか1項に記載の方法。
  35. 前記第1の組成物の前記HBVポリメラーゼ抗原が、配列番号4のアミノ酸配列を含む、請求項31〜34のいずれか1項に記載の方法。
  36. 前記第1の組成物の前記HBVポリメラーゼ抗原に作動可能に連結されたシグナル配列をコードするポリヌクレオチド配列をさらに含む、請求項31〜35のいずれか1項に記載の方法。
  37. 前記シグナル配列が、配列番号6または配列番号11のアミノ酸配列を含み、好ましくは前記シグナル配列が、配列番号5または配列番号10のポリヌクレオチド配列によってコードされる、請求項36に記載の方法。
  38. 前記第1の組成物の前記第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号20と少なくとも90%同一である、請求項31〜37のいずれか1項に記載の方法。
  39. 前記第1の組成物の前記第1のポリヌクレオチド配列が、配列番号20のポリヌクレオチド配列を含む、請求項38に記載の方法。
  40. 前記第1の組成物の前記第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号18と少なくとも90%同一である、請求項31〜39のいずれか1項に記載の方法。
  41. 前記第1の組成物の前記第2のポリヌクレオチド配列が、配列番号18のポリヌクレオチド配列を含む、請求項40に記載の方法。
  42. 前記第1の組成物の前記第1および前記第2のポリヌクレオチド配列が、プロモーター配列、任意選択で1つまたは複数の追加の調節配列をさらに含み、好ましくは前記プロモーター配列が、配列番号7のポリヌクレオチド配列を含み、ならびに前記追加の調節配列が、配列番号8または配列番号15のエンハンサー配列および配列番号16のポリアデニル化シグナル配列からなる群から選択される、請求項31〜41のいずれか1項に記載の方法。
  43. 前記増強された免疫応答が、前記ヒト対象における前記HBV抗原に対する増強された抗体応答を含む、請求項31〜42のいずれか1項に記載の方法。
  44. 前記増強された免疫応答が、前記ヒト対象における前記HBV抗原に対する増強されたCD8+ T細胞応答を含む、請求項43に記載の方法。
  45. 前記増強された免疫応答が、前記ヒト対象における前記HBV抗原に対する増強されたCD4+ T細胞応答を含む、請求項43または44に記載の方法。
  46. ステップ(b)が、ステップ(a)の1〜12週間後に実施される、請求項31〜45のいずれか1項に記載の方法。
  47. ステップ(b)が、ステップ(a)の2〜12週間後に実施される、請求項31〜45のいずれか1項に記載の方法。
  48. ステップ(b)が、ステップ(a)の少なくとも1週間後に実施される、請求項31〜45のいずれか1項に記載の方法。
  49. ステップ(b)が、ステップ(a)の少なくとも2週間後に実施される、請求項31〜45のいずれか1項に記載の方法。
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