JP2021504472A - 重水素化2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/または2−(n−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸を含有する腫瘍学的病気の磁気共鳴診断のための調剤薬、およびその調剤薬を使用した診断方法 - Google Patents

重水素化2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/または2−(n−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸を含有する腫瘍学的病気の磁気共鳴診断のための調剤薬、およびその調剤薬を使用した診断方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、薬に関し、すなわち腫瘍学的病気の磁気共鳴画像法のための手段に関する。この目的のために、診断薬および当該診断薬を使用することに基づく診断方法が開発され、それは2−アミノ−2−メチルプロピオン酸、もしくは2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸および/もしくはその薬学的に許容される塩の重水素化誘導体、または少なくとも2つの異なる2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/もしくは2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸および/もしくはその薬学的に許容される塩の重水素化誘導体の混合物に基づいている。本発明の方法は、MR画像および/またはNMRスペクトルをそれぞれ得るために、診断薬を投与後、診断薬が対象の腫瘍に集積するのに十分な時間の後、重水素核の振動数で磁気共鳴画像法および/または磁気共鳴分光法を実行するものである。提案される当該方法は、腫瘍学的病気を高い情報量を用いて診断することを可能にする。【選択図】図1

Description

本発明は薬に関し、具体的には腫瘍学における磁気共鳴画像法の手段に関する。
早期発見を含め、癌の診断は、国際的健康管理にとって最優先事項である。係る病気において最も有力な診断方法の1つは、磁気共鳴画像法(MRI)である。
臨床において適用されるMRIの種類のほとんどが、人の体内における水分子の一部であるプロトン磁気共鳴シグナル(H核)の検出に基づく。H MRIは高精度な解剖的詳細を提供し、多くの場合に腫瘍に応答する異常信号を有する領域を検出することを可能にする。同時に、臨床から、MRIが悪性の腫瘍と良性の腫瘍、または早急な処置を必要とするものであることを常に区別することができるわけではないことは既知である(方法の低特異性)。この背景から、腫瘍学的な病気の早期診断も、誤った陽性結果を診断する危険性があることから妨げられる。
H MRI診断値を増加させる主な方法は、近傍にあるシグナルのパラメータを変化させる造影剤を使用することである[Werner Krause,“Topics in Current Chemistry,Contrast Agents I,Magnetic Resonance Imaging”,2002]。MRI診断で使用される造影剤は多岐に渡り、市販されているOmniscan(登録商標)、Magnevis(登録商標)、ProHance(登録商標)およびガドリニウムの錯体であるClariscan(登録商標)、並びに磁性ナノ粒子の安定した水サスペンションであるFeridex(登録商標)およびResovist(登録商標)が含まれる。これらの物質は患者の血流中に注入され、悪性腫瘍が疑われる領域に供給される血液の量を評価する。
造影剤を使用したH MRIの実施の代替としては、他の核、具体的には、31P、13C、19F、H、23Naの信号の位置合わせがある。これらの核のうちの1つは重水素(H)である。この非放射性の水素の同位体は、生物対象中に自然に含有されるのは0.0156%であり、感受性はプロトンのそれに比べて数倍低い。
現在までいくつかのH NMRおよび/またはH MRIのin vivoでの適用のケースが記述されている。米国特許出願公開第2003/0211036号明細書の文書では、同位体標識化合物を使用して腫瘍組織の灌流を測定する方法が提案されている。
米国特許第5042488号明細書の文書では、バックグラウンド重水素シグナルを検出すること、およびin vivoでのDOまたは1−重水素化グルコースを注入することで得られるシグナルを検出することが可能であることを実証している。本発明は、重水素で標識された他の血流指標を使用して実施することも可能であることに留意する。
米国特許出願公開第2010/0322865号明細書の文書では、H−MRIを実施して代謝率を推定するために水の代謝前駆体を使用することが記述される。1,2,3,4,5,6,6-重水素化グルコースを、HOD代謝前駆体の例として挙げている。記述される発明の範囲内として、代謝水および脂肪酸の脂肪族鎖のみが位置合わせされるが、重水素化グルコースのNMRシグナルは位置合わせされない。
上述される方法はどれも腫瘍学的病気を診断するための実践に使用されておらず、それはおおむね重水素化された化合物を大量に使用する必要があることによる。
MRIのモダリティが存在することは広く知られているが、腫瘍学的病気のMRI診断のための、新しく、より効率的なアプローチを開発することが必要とされている。
米国特許出願公開第2003/0211036号明細書 米国特許第5042488号明細書 米国特許出願公開第2010/0322865号明細書
本発明の目的は、MRIおよび/またはMR分光法を通じて腫瘍学的病気診断するための新しい効率的な診断薬、およびその特定の薬剤を使用することを含む診断方法を開発することである。
本発明は、腫瘍学的病気、特に乳がんの診断で使用することができる、新しくかつ効果的な診断薬に関する。本発明の他の技術的実現は、重水素核の振動数での磁気共鳴画像法および/または磁気共鳴分光法の手段による腫瘍学のための新たな効果的、かつ有益な診断方法を開発することであり、それには本発明による診断薬を投与することを含み、当該薬は、in vivoで重水素MR画像またはH−NMRスペクトルを位置合わせするのに十分な濃度での腫瘍に集積することができる。
本発明による診断薬は、重水素原子の含有量が高いこと;診断のために十分な濃度で妥当な時間内で腫瘍に集積することができること;毒性が低く、体内からほぼ完全に薬が排泄されることなどの特性の組合せを特徴とする。このことにより人体に無害な量を使用して効率的に診断することができるようになる。
本発明の方法は、電離放射線(典型的な例として、CT、PET、SPECTの方法のため)の有害な影響に一切関連しておらず、そのため研究の安全性を増加させ、より頻繁に繰り返し研究することが可能となり、小児患者のために好適な方法となる。本発明は、陽電子放射断層撮影(PET)のものと同様の診断情報を得ることを目的としているが、陽電子放射断層撮影と違って、放射性医薬品の電離放射線に関連する危険性を排除することができる。
本発明は、腫瘍学的病気を重水素核の振動数での磁気共鳴画像法および/または磁気共鳴分光法によって診断するために、2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/もしくは2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸および/もしくはその薬学的に許容される塩の重水素化誘導体、または少なくとも2つの異なる2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/または2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸および/もしくはその薬学的に許容される塩の重水素化誘導体の混合物を含む診断薬を開発することに関する。
本発明のある特定の実施形態では、診断薬はさらに、少なくとも1つの追加的薬学的に許容される成分を含む。本発明のある特定の実施形態では、薬学的に許容される成分をは担体、充填剤および/または溶媒である。
本発明のある特定の実施形態では、2−アミノ−2−メチルプロピオン酸の重水素化誘導体は、2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸、または2−アミノ−2−(CDH)−3,3,3−D−プロピオン酸、または2−アミノ−2−(CDH)−3,3,3−D−プロピオン酸、または2−アミノ−2−メチル−3,3,3−D−プロピオン酸、または2−アミノ−2−(CDH)−3,3−D−プロピオン酸、または2−アミノ−2−(CDH)−3,3−D−プロピオン酸、または2−アミノ−2−メチル−3,3−D−プロピオン酸、または2−アミノ−2−(CDH)−3−D−プロピオン酸または、2−アミノ−2−メチル−3−D−プロピオン酸である。
本発明のある特定の実施形態では、2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸の重水素化誘導体は、2−(N−メチルアミノ)−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸、または2−(N−(CD)アミノ)−2メチルプロピオン酸、または2−(N−(CD)アミノ)−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸である。
本発明のある特定の実施形態では、診断薬は、2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸および/または2−アミノ−2−(CDH)−3,3,3−D−プロピオン酸および/または2−アミノ−2−(CDH)−3,3,3−D−プロピオン酸および/または2−アミノ−2−メチル−3,3,3−D−プロピオン酸および/または2−アミノ−2−(CDH)−3,3−D−プロピオン酸および/または2−アミノ−2−(CDH)−3,3−D−プロピオン酸および/または2−アミノ−2−メチル−3,3−D−プロピオン酸および/または2−アミノ−2−(CDH)−3−D−プロピオン酸または2−アミノ−2−メチル−3−D−プロピオン酸および/または2−メチルアミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸および/または2−(N−(CD)アミノ)−2メチルプロピオン酸および/または2−(N−(CD)アミノ)−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸から選択される2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/または2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸の少なくとも2つ異なる重水素化誘導体の混合物である。
本発明のある特定の実施形態では、本発明の診断薬は、任意選択的に、重水素化されていない2−アミノ−2−メチルプロピオン酸または2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸を含む。
本発明のある特定の実施形態では、2−アミノ−2−メチルプロピオン酸、または2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸の重水素化誘導体は、酸素原子および/または窒素に結合するモバイル水素原子を部分的または完全に置換する重水素の原子を含有する、炭素原子に結合する重水素原子を含む。
本発明はまた、本発明による診断薬を得るプロセスも含む。
本発明は、腫瘍学的病気のための診断方法の実施を含み、方法には、次のステージを含む:
a)本発明による診断薬が対象に投与される;
b)2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/もしくは2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸および/もしくはその薬学的に許容される塩の重水素化誘導体、または2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/もしくは2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸および/もしくはその薬学的に許容される塩の少なくとも2つの異なる重水素化誘導体の混合物が腫瘍組織に集積するのに十分な時間の後、重水素核の振動数での重水素断層撮影および/もしくはNMRスペクトル、磁気共鳴画像法および/または磁気共鳴分光法が実行され、H−MR画像および/またはH−NMRスペクトルをそれぞれ得る;
c)腫瘍学的病気の有無を、2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/または2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸および/もしくはその薬学的に許容される塩の重水素化誘導体、または2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/もしくは2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸および/その薬学的に許容される塩の少なくとも2つの異なる重水素化誘導体の混合物の集積レベルを反映する、観察される重水素核のシグナル強度に基づいて診断される。
本発明のある特定の実施形態では、診断薬の集積領域が存在しない場合、対象は癌が存在しないと診断される。
本発明のある特定の実施形態では、重水素とは異なる核を使用した磁気共鳴画像法、および/または超音波、および/またはコンピューター断層撮影法、および/またはエックス線、および/または触診、および/または生検、および/または腫瘍マーカーのための生物学的流体の分析および/または放射性核種の診断および/または視覚的身体検査から選択される少なくとも1つの追加の医学的検査が実施される。
本発明のある特定の実施形態では、腫瘍学的病気の有無は、健康な対象における、対応する細胞または臓器に観察される典型的なシグナル強度を重水素核のシグナル強度と比較することに基づいて診断される。
本発明のある特定の実施形態では、腫瘍学的病気の有無は、追加の医療的検査に従う正常および異常な組織に対応する領域における重水素核のシグナル強度を比較することに基づいて診断される。
本発明のある特定の実施形態では、腫瘍学的病気の有無は、重水素MR画像をH−MRIから取得された画像と比較することに基づいて診断される。
本発明のある特定の実施形態では、重水素核の観察されたシグナル強度に基づいて、悪性、または攻撃性、または腫瘍の分化度が結論づけられる。
本発明のある特定の実施形態では、診断される腫瘍学的病気は、乳がん、膠腫である。
本発明のある特定の実施形態では、重水素MR画像の位置合わせ中に、2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/または2−(n−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸および/またはその薬学的に許容される塩、または2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/または2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸および/またはその薬学的に許容される塩の重水素化誘導体の混合物に含まれる重水素の選択励起が使用される。
本発明のある特定の実施形態では、重水素MR画像の位置合わせ中に、2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/または2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸および/またはその薬学的に許容される塩、または2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/または2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸および/またはその薬学的に許容される塩の重水素化誘導体の混合物に含まれる重水素の広帯域励起が使用される。
本発明のある特定の実施形態では、診断薬は、対象に経口投与される。
本発明の他の特定の実施形態では、診断薬は、対象に非経口投与される。
本発明のある特定の実施形態では、重水素核上の磁気共鳴画像法および/または磁気共鳴分光法は、診断薬の投与後から20〜360分実施される。
本発明のある特定の実施形態では、診断薬は、対象の体重1kg当たり、0.25〜1gの2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/もしくは2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸および/もしくはその薬学的に許容される塩、または2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/もしくは2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸および/もしくはその薬学的に許容される塩の重水素化の混合物に対相当する量で対象に投与される。
本発明はまた、重水素振動数での磁気共鳴画像法および/または磁気共鳴分光法による腫瘍学的病気の診断のために本発明による診断薬を使用することを含む。
2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸を有する試料のHスペクトルである。 重水素化診断薬の希釈溶液を含有する試料の重水素MR画像:(a)広帯域励起;(b)2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸の振動数での選択励起。 20mgの2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸を投与してから40分後の乳がん4Т1を有するマウス番号1のMR画像である。a)H MRI(表面コイルの位置が白い輪郭で示される);b)H MRI;с)合成MR画像。 20mgの2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸を投与してから40分後の腫瘍を有さないマウス番号2のMR画像である。a)H MRI;b)H MRI。 20mgの2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸を投与してから115分後の乳がん4Т1を有するマウス番号3のMR画像である。a)H MRI;b)H MRI;с)合成MR画像。 20mgの2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸を注入してから150分後のマウス番号3から回収された腫瘍のH MR画像(a)および写真(b)である。 20mgの2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸を注入してから20分後の乳がん4Т1を有するマウス番号4のMR画像である。a)H MRI;b)H MRI;с)合成MR画像。 20mgの2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸を投与してから360分後の乳がん4Т1を有するマウス番号4のMR画像である。a)H MRI;b)H MRI;с)合成MR画像。 10mgの2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸を投与してから30分後の乳がん4Т1を有するマウス番号5のMR画像である。a)H MRI;b)H MRI;с)合成MR画像。 5mgの2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸を投与してから30分後の乳がん4Т1を有するマウス番号6のMR画像である。a)H MRI;b)H MRI;с)合成MR画像。 150mgの2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸を投与してから3時間後のC6膠腫を有するラットのMR画像である。a)H MRI;b)H MRI;с)合成MR画像。 150mgの2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸を投与してから3時間後の腫瘍を有しない対照ラットのMR画像である。a)H MRI;b)H MRI。
定義および用語
本発明をより良く理解するために、以下は本発明の説明で使用されるいくつかの用語である。
本発明の説明において、用語「含む(includes、including)」は、「特に、〜を含む」の意味として解釈される。これらの用語は「のみからなる」とは解釈されない。
本文書における、用語「重水素化誘導体」とは、少なくとも1つの位置において、その自然的含有量を超えるカーボンに関する重水素を含有する化合物を指す。本発明のある特定の実施形態では、少なくとも1つの位置における重水素含有量が30%を超え、他の特定の実施形態では、90%を超える。「少なくとも2つの異なる重水素化誘導体の混合物」は、分子の異なる位置に重水素を含有する化合物の混合物、または同じ位置に異なる量の重水素を含有することを指す。本文書におけるシンボル「「D」は、その自然含有量に対してH同位体が濃縮する水素原子を示す。
本文書における用語「ボクセル」は、磁場のパラメータを調節することにより自由に選択可能であり、核磁気共鳴試料のシグナルを生成する試料における体素を指す。
本明細書で用いる用語「薬学的に許容される塩」は、医学的結論に従って、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等がなく、リスクと利点の合理的な割合を実証するヒトおよび動物の組織に接触するのに好適である塩を指す。アミン、カルボン酸、ホスホネートおよび他の化合物の種類の薬学的に許容される塩が医学では周知である。塩は、本発明の化合物の単離または精製のプロセス中にin situで調製することができ、本発明の遊離酸、または遊離塩を適切な塩基もしくは酸とそれぞれ反応させることによって別個に得ることができる。薬学的に許容される非毒性の酸の塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸など無機酸、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、コハク酸などの有機酸、または本分野で使用される他の方法で例えばイオン交換を使用して取得されたもので形成されたアミノ基の塩が挙げられる。他の薬学的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カンフルカルボン酸塩、カンフルスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン塩、吉草酸塩等が挙げられる。典型的なアルカリの塩およびアルカリ土類金属には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。さらに、薬学的に許容される塩は、必要であれば、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルカンスルホン酸塩およびアレーンスルホン酸塩などの対イオンを使用して得た、アンモニウムの非毒性カチオン、第4級アンモニウムおよびアミンを含有し得る。
本発明による診断薬は、特定の投与形態に好適であり、特に、本発明のエッセンスを構成する成化合物と一緒に患者の体内に導入され得、かつ重水素化化合物に悪影響を与えない任意の担体、溶媒および/または賦形剤である1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含み得る。
H MRIまたはH NMRを使用した腫瘍学的病気のための診断方法を成功裏に実施するためには、十分に高い腫瘍組織中の重水素濃度を達成する必要がある。この基準を満たすためには、診断薬は:
1)腫瘍組織中に急速かつ選択的に集積される(特に、膜輸送が十分に効率的な機構である必要がある);
2)やや緩徐な排泄を特徴とする(腫瘍中に大量の薬が集積するために十分な時間を与えられる);
3)著しく代謝されない(生体分子内に重水素が組み込まれることを含む、副作用の可能性を最小限にし、腫瘍のバックグラウンドシグナルを変えずに、前回の投与からたった数時間で検査を繰返すことが可能となる);
4)必要とされる濃度において毒性が低い(十分に多くの薬剤の量を投与することが可能になる);
5)大量の重水素を含有する(十分なシグナル強度を達成するのに必要)。
本発明の著者は予期せずに、本発明による2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/または2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸の重水素化誘導体が、十分な濃度で腫瘍組織に集積し、H MRI法またはH NMRにより、in vivoで腫瘍を視覚化させることが可能であることを発見し、そのため、重水素核上の磁気共鳴画像法によって腫瘍学的病気を効率的に診断することが可能になる。
体内の重水素の含有量が少ないため(0.015%の水素原子)、H MRIでのバックグラウンドシグナルはH MRIでのものよりも数桁低い。従って、診断薬の濃度が低くても、シグナルは自然バックグラウンドシグナル成分と重畳しない。重水素化されていない診断薬の最大で達成可能なシグナル強度に匹敵する強度を有する自然低分子量の化合物のバックグラウンドシグナルが大量に存在するため、H MRIに基づく重水素化されていない診断薬を使用した同様の方法の開発は複雑である。同時に、バックグラウンドHODシグナルが存在することで、H MRIにおいて腫瘍中の診断薬の許容できる最低限の濃度に制限を与える。本発明による診断方法の実用性は、特定の診断薬の薬物動態および薬力学に依存する。
in vivoで重水素シグナルを位置合わせする能力は、化合物の構造内で十分な数の重水素原子が存在することによって決定される。そのため、1つ以上のCD基を含有する重水素化2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/または2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸を含む、本発明による診断薬が、本発明の好適な実施形態である。そのような重水素化基が存在することにより、副作用を最小限にする、診断薬を低濃度で使用してMRIスキャンを実施することが可能になる。
本発明の方法により、腫瘍学的病気の存在の有無を診断することが可能になる。本発明による方法は、重水素化診断薬の使用および重水素の振動数でのMRIおよび/またはNMRの位置合わせに基づいている。
H MRI単独では診断精度が十分でないことが知られており、本発明の方法では、従来のH MRIモードにはない2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/または2−(n−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸の分子輸送についての情報が提供され、従って、より正確な診断情報を得ることができる可能性がある。
本発明の実施形態のうちの1つでは、診断のプロセスはMRIによるものであり、以下のように実施される:
a)本発明のいくつかの実施形態では、H MRIが実施される。H MRIの位置合わせは、第1に、重水素シグナルにおいて、解剖学的基準フレームを確立し、第2に、悪性が疑われる領域を同定することを可能にする(本発明の他の実施形態では、H MRIの視野の明確化は他の方法で実施することができ、特に、超音波、コンピューター断層撮影法、X線撮影、触診、生検、腫瘍マーカーについて生物学的流体の分析、放射性核種の診断、身体検査による);
b)診断薬を投与する;
c)対象の腫瘍組織で診断薬が集積するのに十分は時間後、HMR画像が、診断薬の重水素核の歳差運動周波数で位置合わせする;
d)得られた重水素MR画像を分析し、異常に高密度の領域を見つけ、従って、診断薬の集積を説明する。特に、HおよびHで得た画像を比較することができる:HおよびHでの異常領域が同じであれば、それは高い確率で悪性が存在することを意味する。しかし、Hで異常が存在することは必須ではない:H MRIを通して得た画像に腫瘍がみられないが、一方で、H MRIで得た画像で診断薬の集積が観察されるという状況もあり得る。後者では、H MRIは、疑わしい領域の解剖学的参照のためだけに使用される。
本発明の他の特定の実施形態では、診断のプロセスは、重水素の振動数でNMR分光法を行うものであり、以下のように実行される:
a)H MRIを悪性の疑いを有する領域を同定するために実行する(本発明の他の実施形態では、H NMRの視野の明確化は他の方法で実施することができ、特に、超音波、コンピューター断層撮影法、X線撮影、触診、生検、腫瘍マーカーについて生物学的流体の分析、放射性核種の診断、身体検査による);
b)診断薬を投与する;
c)対象の腫瘍組織中の診断薬が集積するのに十分な時間の後、(例えば、H MRIの結果に従って)悪性の疑いがある領域に対応したボクセルの重水素のスペクトルが位置合わせされる(特に、局所的分光法を使用して);任意に、近隣のボクセルにスペクトルが位置合わせされるまたはシグナル強度が比較される;特定の実施形態では、送信、送受信、体積、インプラント、または表面コイルを使用して分光法を実行することができる;
d)悪性の疑いがある領域に対応したボクセルのシグナル強度を次のものと比較する:(i)当該組織の一般的な値(健常者で第一に規定される)および/または(ii)同じ組織または臓器であり、H MRIに従って、異常がない対応する近隣のボクセルの強度。増加したシグナル強度は診断薬の集積を示唆し、ゆえに悪性が存在する。
上述される本発明の実施形態の両方におけるステージa)、b)、c)の順番は異なる場合があり得、例えば、診断薬が投与され、H MRIが実施され、そしてH MRIまたはNMR分光法が実行される;またはH MRIがH MRIまたはH NMR分光法の後に実行される。
本発明のある特定の実施形態では、悪性の疑いがある領域を同定した後、疑いのある領域の内外にある個別のボクセルが選択される(具体的には、疑いのある領域の境界またぐ同じライン上にかかる連続した近隣のボクセルを選択することができる)。HまたはHスペクトル積分信号を続くHチャネルにおけるそれらの強度を比較したものを位置合わせをすることで早急かつより大きな感度で診断薬の集積を検知することができるようになる。
重水素のシグナルを位置合わせするために、本発明によるMR画像およびMRスペクトルは、装備された任意のMRIスキャナを使用して取得することができる。
本発明のある特定の実施形態では、診断薬の使用は、バックグラウンドHODシグナルを有さない領域にあるシグナルを与え、診断薬の振動数で構成された選択励起インパルスを使用してMRIを実行することができるようになる。これは画像上のHODのバックグラウンドシグナルを排除する。
本発明の診断薬の輸送および集積の分子機構を細胞で知用することを通じて、本発明による方法は、研究される組織の代謝活動を評価することが可能になり、結果として、腫瘍の悪性、または攻撃性を評価することが可能になる。従って、灌流(一般的な造影剤を含む)を評価することに基づく従来のH磁気共鳴画像法およびMRI方法と比較して、本方法の診断的可能性は増加する。
本発明のよる診断薬のシグナルは投与後最大6時間位置合わせされ得、この時間の間に腫瘍および他の臓器の薬剤の分布が変化する。従って、診断薬のシグナルは肝臓および腎臓で主にはっきり表れ、その後、おそらく最も成長が活発で、最良の血液供給がある領域に対応して、腫瘍のいくつかの領域で現れる。腹腔内注入後の全腫瘍量の重水素の最大シグナルが2時間後に観察され、その後診断薬の分布パターンは変化し続ける。かかる挙動により、本発明による診断薬の投与後に、何時間にも渡り画像生成を繰り返すことで、膜輸送の比率と腫瘍の異なる箇所の灌流レベルとの両方の情報を得ることが可能になり、結果として構造および腫瘍の種類に関する情報を得ることができる。
本著者による実験は、H MRIの量として許容される、脳、および他の臓器および組織と比較して腫瘍組織での本発明による薬剤の集積の選択性を例証する。
2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸は、非タンパク質原性アミノ酸であることは既知であり、よって、その使用量は、たんぱく質中の重水素の長期固定をもたらさない。2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸は重水素化共同因子、または基本的な生化学的なプロセスに関係する他の代謝物を形成する代謝がされない。重水素の存在は、酵素反応速度を大きく変更させることができることは先行技術から周知であり、結果として、有毒な中間体の集積および他の望まれない代謝作用の変化をもたらす可能性がある。従って、本発明による診断薬の代謝作用がないことは、副作用の可能性を減少させる因子である。実施された実験は、投与のモードに関わらず、本発明による診断薬の代謝的変換がないことを示し(血液、尿およびin vivoでもH NMRスペクトルにて新しいシグナルがない)。従って、腫瘍にて薬剤の集積のダイナミクスおよびその後の排除は、多様な組織および血液間の輸送レートにみの左右され、代謝プロセスによって複雑にならない。
本著者により実施された研究は、動物によって診断薬の許容性が優れること、指示通りの量で使用された場合に明らかな副作用がないこと、および数時間で体内から重水素含有化合物が完全に除去されることを実証している。このように、本発明による薬物を、マウスに8g/kgの量で腹腔内に注入した後に動物の死亡は観察されず、薬物の投与から72時間後に、H磁気共鳴画像法に従って、当該薬物は腫瘍から観察されなかった。腫瘍および他の組織における重水素のバックグラウンド濃度は変わらず、体内での本発明による薬剤の長期集積がないことを示す。腫瘍組織から完全に重水素が除去されることで、72時間後に繰り返し診断すること、および治療の過程における腫瘍形成のダイナミクスを監視することが可能となる。
実験により、腫瘍を視覚化することによって得られるものは、許容範囲内での診断薬の量の大きく依存することを示す。より少ない量は、最も強い吸収で腫瘍の一部を選択的に視覚化することを可能にする一方で、量を増やすことは重水素のシグナルを用いて腫瘍の境界を充填することを複雑にする。本発明による診断薬の特性により、経時的(例えば、緩徐な静脈内点滴、または連続的な少量の薬剤注入)に薬剤の血液中の濃度を徐々に増加させて動的研究を実施することが可能である。係る研究は腫瘍の異なる部位における代謝活動、および腫瘍学的病気の程度の情報を提供することができる。
本発明の方法は、電離放射線(典型的な例として、CT、PET、SPECTの方法)の有害な影響を有することなく実行され、そのため研究の安全性を増加させ、より頻繁に繰り返し研究することが可能となり、小児医学にとって魅力的な方法となる。
本発明による診断方法は、H MRIの結果および/または他の診断方法に基づいて下された診断を確証するために、特に、異なる箇所の腫瘍の早期診断、転移巣、治療に対する腫瘍の反応の評価、および療法の効率に関する結論づけのために適用することができる。
本発明による方法は、特に乳腺腫瘍および膠腫など、多様な腫瘍の診断のために使用することができる。
本発明の方法は腫瘍学的診断の既存の方法が伸展したものであり、効率的な診断モダリティを可能にする。
本発明の実施
本発明を使用した技術的結果の客観的な徴候の可能性は、この分野において採用される方法によって研究を実施するプロセスで得られる実験情報を含む、実施例から得られる信頼性のあるデータによって確認される。本発明は、図によって例証される。
出願資料で提供されるこれらおよびすべての実施例は限定されるものではなく、本発明を例証するためのみに提供されることを理解されたい。
本文書で提供される実施例は、開発された方法の原理を例証し、使用する用量の範囲および診断薬の投与から重水素の検出までの時間の間隔を限定しない、なぜならば、使用する装置の感受性および他のパラメータ、診断される病気、および対象の性質(ヒトまたは実験動物)に依存し、必要とされる量および集積に必要とする時間は異なり得るためである。さらに、シグナル集積の時間を含む、スペクトルおよび画像の位置合わせのパラメータは、本発明の特定の実施形態の一部であり、使用する装置および特定の診断タスクにより異なり得る。
2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸の合成
5mlのジエチルエーテル中の1.9gのアセトン−dの溶液を、0〜5℃で、5mlのDO中の2.0gの塩化アンモニウムの溶液に添加する。次に、1.6gのシアン化ナトリウムを3.5mlのDOに緩徐に添加する。反応混合物を1時間攪拌し、一晩放置する。エーテル層が分離し、水層を6つの3−mlポーションのジエチルエーテルで抽出する。合わせたエーテル抽出物を蒸発させ、残留物を8mlのメタノールに溶解する。得られた溶液をガス状アンモニアで飽和する。反応混合物を蒸発させ、6mlの水および10mlの臭化水素酸を残留物に添加し、その後、混合物を2時間沸騰させ、次に、真空下で蒸発させ、乾燥残留物に5mlの水を添加し、再度蒸発させる。蒸発後の残留物を15mlのメタノールに溶解し、濾過する。3mlのピリジンを、得た溶液に添加する。10時間後、結晶状態の2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸を濾過して取り除き、メタノールで洗浄し、真空中で乾燥させる。収率:1.1g(35%)
1HNMR(D2O):1.30(メチル基のプロトンの残存シグナル)。
1HNMR(D2O):178.1,23.5。
加水分解でDOを使用し、最終生成物をDO中に保持し、蒸発もさせた場合、部分的または完全に重水素化したアミノおよびカルボキシ基を有する重水素化2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸を得る。
広帯域および選択的無線周波数パルスを使用した、重水素化2−アミノ−2−メチルプロピオン酸溶液を含有する試料の重水素MR画像を検知する可能性を示す(実施例1)。
In vivoでの実験(実施例2〜3)は、in vivoでの重水素MR画像およびNMRスペクトルを記録する可能性、および2−アミノ−2−メチルプロピオン酸の重水素化誘導体が腫瘍に集積する能力を例証する。腫瘍、特に乳腺腫瘍4T1および膠腫C6を診断する可能性が、2−アミノ−2−メチルプロピオン酸の重水素化誘導体の観察されたシグナルに基づいて示される。
以下の実施例では、直径3cmおよびスキャン深さca.1cmの表面送信−受信コイルを備えた7.05Tの一定電場を用いたMRIスキャナBrukerBioSpecBC70/30USRを使用した。
重水素画像を位置合わせするために、FLASH(高速ローアングルショット)パルスシーケンスを使用した。
広帯域励起を用いた実験では、以下の設定を使用した:励起振動数がH NMRスペクトルにより同定され、sfo1≒46.1745MHzであり、1300Hzの幅を有する長方形励起パルスおよび36dBの電力、フリップ角A=30、時間TR=11.8MS、エコー時間TE=4.4ミリ秒、10cmx10cmのスキャン領域、スキャンマトリクス50x50、スライス厚さ3cm、バンド幅12500Hz、合計スキャン時間10分(1030平均)。
選択的励起を用いた実験では、励起振動数sfo1=46.1745MHzであり、130Hzの幅を有する長方形励起パルスおよび48dBの電力、フリップ角A=30°、繰り返し時間TR=25MS、エコー時間TE=10ミリ秒、10cmx10cmのスキャン領域、スキャンマトリクス50x50、スライス厚さ3cm、バンド幅125,000Hz、合計スキャン時間10分。
重水素化2−アミノ−2−メチルプロピオン酸の希釈溶液を含有する試料の重水素MR画像およびH NMRスペクトルの位置合わせ
重水素化2−アミノ−2−メチルプロピオン酸の希釈溶液の重水素MR画像の位置合わせの可能性を例証するために、以下の実験を実行した。
5mlの蒸留水中の2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸(5mg)の溶液を含むガラスバイアルをスキャナの空洞に配置する。以下の実施例では、直径3cmおよびスキャン深さca.1cmの表面透過ー受信コイルをバイアルの上に直接配置する。
図1は、2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸を有する試料のHスペクトルを示す。
図2は、広帯域励起(左)および選択励起(右)を使用して得た2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸を有する試料の重水素MR画像を示す。重水素MR画像の位置合わせのために選択励起をうまく印加させることができるが、しかし、選択励起を使用することで、シグナル/ノイズ比の大幅な減少を伴う。
2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸を診断薬として使用する、in vivoでマウスの4T1乳がんを視覚化させるための重水素MRイメージングの使用
この実施例では、乳がん4Т1を摂取した(実験の10日前に、左前足の下に510セル/60μlを注入)Balb/c系マウスにて実験を行った。
重さ20gの動物番号1〜5に、0.5mlの食塩水中の20mgの2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸の溶液を腹腔内に注入する。重さ20gの動物番号6〜7に、0.25mlの食塩水中の10mg(マウス番号4)または5mg(マウス番号5)の2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸の溶液を腹腔内に注入する。注入後、動物を個別のケージで特定の時間保管した(番号1に腫瘍有り、番号2に腫瘍無し:40分;番号3に腫瘍有り:115分;番号4に腫瘍有り:20分および360分;番号5および番号6に腫瘍有り:30分)。MR画像およびスペクトルを位置合わせするために、動物を、イソフルランを用いて動かなくさせる。マウスの体の背中側に表面送信―受信コイルを2か所(胸部、腎臓」順次固定する。図3〜7は、重水素核の広帯域励起を使用して得たHMR画像を示す。
図3は、2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸の投与後40分の腫瘍を有するマウス番号1から得たMR画像を示す:(a)H MRI(表面コイルの位置を白の輪軸で示す);(b)H MRI;(c)H MRIとH MRIを重ね合わせたもの。この図は、H MRIに従った、腫瘍(腫瘍の領域におけるシグナル/ノイズ比はおおよそ6)応答する、および肝臓に応答する領域で、重水素のシグナルがローカライズされたことを実証する。
投与後40分の番号1のマウスから得たH MR画像は、腫瘍の領域のシグナル/ノイズラット比は、おおよそ6(広帯域励起)、または約4(選択励起)であることを示す。従って、広帯域励起は、in vivoで位置合わせした場合に、当該方法の感受性を有意に向上することができる。より精巧な装置を使用した場合には、選択励起が、重水のバックグラウンドシグナルレベルを減少させるので、より好ましいオプションであり得ることに留意されたい。腎臓でのシグナル/ノイズ比はおおよそ25(広帯域励起)であった。従って、ほとんどの診断薬が腎臓に集積したと結論づけることができる。
図4は、2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸の投与後40分の腫瘍を有さない対照マウス番号2から得たMR画像を示す:(a)H MRI;(b)H MRI;(c)H MRIとH MRIを重ね合わせたもの。この図では、図3とは対照的にH MRIに従った、肝臓に応答する領域で、重水素のシグナルがローカライズされている。
図3および4で例証される結果に基づいて次のように結論づけることができる:
1)最大H MRIを使用した視覚化に十分な濃度で、2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸は腫瘍組織をin vivoで集積する。
2)H MRIを使用して悪性腫瘍を検知するために、2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸を診断薬として使用することができる。
図5は、2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸の投与後115分の腫瘍を有するマウス番号3から得たMR画像を示す:(a)H MRI;(b)H MRI;(c)H MRIとH MRIを重ね合わせたもの。この図は、H MRIに従った、腫瘍に応答する領域、および肝臓に応答する面積で、重水素のシグナルがローカライズされたことを実証する。
図6は、2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸を注入後150分のマウス番号3から切除した腫瘍の重水素MR画像(a)および写真(b)を示す。この図は、2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸が十分に集積されているため、単離された腫瘍が重水素MR画像上ではっきりと見ることができることを示す。
図7は、2−アミノ−2−(CD4)−3,3,3−D−プロピオン酸の投与後20分の腫瘍を有するマウス番号4から得たMR画像を示す:(a)H MRI;(b)H MRI;(c)H MRIとH MRIを重ね合わせたもの。この図は、H MRIに従った、腫瘍の直近で発達し、かつ活発に成長する部分に応答する領域で重水素のシグナルがローカライズされたことを実証する。
図8は、2−アミノ−2−(CD4)−3,3,3−D−プロピオン酸の投与後360分の腫瘍を有するマウス番号4から得たMR画像を示す:(a)H MRI;(b)H MRI;(c)H MRIとH MRIを重ね合わせたもの。この図は、H MRIに従った、腫瘍の直近で発達し、かつ活発に成長する部分に応答する領域で重水素のシグナルがローカライズされたことを実証する。
図7および8で例証される結果に基づいて、広い範囲の腫瘍の場合に、本発明による診断薬は、腫瘍の最も活発に成長する部分を視覚化することを可能にすると結論づけることができる。さらに、これらの結果に基づいて、数時間後には診断薬が腫瘍から除去されると結論づけることができる。
図9は、10mgの2−アミノ−2−(CD5)−3,3,3−D−プロピオン酸の投与後30分の腫瘍を有するマウス番号5から得たMR画像を示す:(a)H MRI;(b)H MRI;(c)H MRIとH MRIを重ね合わせたもの。この図は、H MRIに従った、腫瘍の個別部分、おそらく最も激しく成長するゾーンに応答する領域、および肝臓に応答する面積で重水素のシグナルがローカライズされたことを実証する。
図10は、5mgの2−アミノ−2−(CD6)−3,3,3−D−プロピオン酸の投与後30分の腫瘍を有するマウス番号6から得たMR画像を示す:(a)H MRI;(b)H MRI;(c)H MRIとH MRIを重ね合わせたもの。この図は、H MRIに従った、腫瘍の個別部分、おそらく最も激しく成長するゾーンに応答する領域、および肝臓に応答する面積で重水素のシグナルがローカライズされたことを実証する。
他の動物およびヒトについて、および他の投与経路(例えば、経口または静脈内)、および/または他の悪性病気の場合では、投与される診断薬の範囲は異なり得ることに留意されたい。特に、異なるサイズの生物での薬剤の薬物動態を説明するアロメトリック方程式を考慮すると、ヒトについては、記述される量と比較して数倍減少させた量を必要とすることが予期できる。
図3、5、7および8で例証される結果に基づいて、2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸の投与から重水素の検知までの可能な時間範囲は、具体的には、20〜360分とすることができると結論づけることができる。他の動物およびヒトについては、薬物動態の違いから、この範囲は有意に広くなってもよいことに留意されたい。
診断薬として2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸を使用するin vivoでのラットの膠腫C6を視覚化するための重水素断層撮影の使用
この実施例では、C6膠腫を摂取したウィスターラットおよび健康なウィスターラットで実験を行った。
重さ210gの動物に、1.5mlの食塩水中の150mgの2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸の溶液を腹腔内に注入する。注入後、動物を、自由に食べ物と水を与えた状態で個別のケージで保管する。MR画像およびスペクトルを位置合わせするために、動物を、イソフルランを用いて動かなくさせる。表面送信−受信コイルをラットの頭上に固定する。
図11は、2−アミノ−2−(CD6)−3,3,3−D−プロピオン酸の投与後4時間の腫瘍を有するラットから得たMR画像を示す:(a)未処理H MRI;(b)H MRI;(c)H MRIとH MRIを重ね合わせたもの。この図は、H MRIに従った、腫瘍に応答する領域で重水素のシグナルがローカライズされたことを実証する。
図12は、2−アミノ−2−(CD6)−3,3,3−D−プロピオン酸の投与後4時間の腫瘍を有さないラットから得たMR画像を示す:(a)未処理H MRI;(b)H MRI。この図は、重水素のシグナルが明確なローカライズを示さないことを実証する。
図11および12で例証される結果に基づいて、H MRIを使用した膠腫を含む悪性腫瘍を検知するために、本発明による診断薬、具体的には、2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸を含有するものを診断薬として使用することができると結論づけることができる。
開示される実施形態を参照して本発明が記述されてはいるが、本分野の専門家にとって、記述される実験の具体的な詳細は、本発明例証する目的のために提供されていることは明らかであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。本発明の趣旨から逸脱することなしに様々な修正をなすことができることが理解される。

Claims (23)

  1. 診断薬であって、2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/もしくは2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸および/もしくはその薬学的に許容される塩の重水素化誘導体、または少なくとも2つの異なる2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/もしくは2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸および/もしくはその薬学的に許容される塩の重水素化誘導体の混合物を含み、腫瘍学的病気を重水素の振動数での磁気共鳴画像法および/または磁気共鳴分光法によって診断するための、診断薬。
  2. 少なくとも1つの薬学的に許容される補助剤をさらに含む、請求項1に記載の診断薬。
  3. 薬学的に許容される賦形剤は、担体、充填剤および/または溶媒である、請求項2に記載の診断薬。
  4. 2−アミノ−2−メチルプロピオン酸の前記重水素化誘導体は、2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸、または2−アミノ−2−(CDH)−3,3,3−D−プロピオン酸、または2−アミノ−2−(CDH)−3,3,3−D−プロピオン酸、または2−アミノ−2−メチル−3,3,3−D−プロピオン酸、または2−アミノ−2−(CDH)−3,3−D−プロピオン酸、または2−アミノ−2−(CDH)−3,3−D−プロピオン酸、または2−アミノ−2−メチル−3,3−D−プロピオン酸、または2−アミノ−2−(CDH)−3−D−プロピオン酸、または2−アミノ−2−メチル−3−D−プロピオン酸である、請求項1に記載の診断薬。
  5. 2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸の前記重水素化誘導体は、2−メチルアミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸、または2−(N−(CD)アミノ)−2−メチルプロピオン酸、または2−(N−(CD)アミノ)−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸である、請求項1に記載の診断薬。
  6. 2−アミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸および/または2−アミノ−2−(CDH)−3,3,3−D−プロピオン酸および/または2−アミノ−2−(CDH)−3,3,3−D−プロピオン酸および/または2−アミノ−2−メチル−3,3,3−D−プロピオン酸および/または2−アミノ−2−(CDH)−3,3−D−プロピオン酸および/または2−アミノ−2−(CDH)−3,3−D−プロピオン酸および/または2−アミノ−2−メチル−3,3−D−プロピオン酸および/または2−アミノ−2−(CDH)−3−D−プロピオン酸、または2−アミノ−2−メチル−3−D−プロピオン酸および/または2−メチルアミノ−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸および/または2−(N−(CD)アミノ)−2−メチルプロピオン酸および/または2−(N−(CD)アミノ)−2−(CD)−3,3,3−D−プロピオン酸から選択される、少なくとも2つの異なる2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/または2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸の重水素化誘導体の混合物を含む、請求項1に記載の診断薬。
  7. 重水素化されていない2−アミノ−2−メチルプロピオン酸、または2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸をさらに含む、請求項1に記載の診断薬。
  8. 2−アミノ−2−メチルプロピオン酸、または2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸および/またはその薬学的に許容される塩は、酸素および/または窒素原子に結合する解離性水素原子を部分的または完全に置換する重水素原子を含有する、炭素原子に結合する重水素原子を含む、請求項1に記載の診断薬。
  9. 腫瘍学的病気を診断する方法であって、前記方法は、
    a)請求項1に記載される診断薬を対象に投与するステージ、
    b)MR画像および/またはNMRスペクトルをそれぞれ得るために、前記診断薬を投与後、前記診断薬が腫瘍組織に集積するのに十分な時間の後、重水素核の振動数で前記磁気共鳴画像法および/または前記磁気共鳴分光法を実行するステージ、および
    c)腫瘍学的病気の有無を、前記診断薬の集積レベルを反映する観察される前記重水素核のシグナル強度に基づいて診断するステージ
    を含む、方法。
  10. 前記診断薬の集積領域が存在しない場合、対象は癌が存在しないと診断される、請求項9に記載の方法。
  11. 重水素とは異なる核の振動数での磁気共鳴画像法、または超音波、またはコンピューター断層撮影、またはエックス線、または触診、または生検、または腫瘍マーカーについての生体物質のスクリーニング、または放射性核種診断、または身体検査から選択される、少なくとも1つの追加的医学的検査が実行される、請求項9に記載の方法。
  12. 前記腫瘍学的病気の有無は、検査された対象の前記重水素核のシグナル強度を、健康な対象の対応する細胞または臓器に観察される典型的なシグナル強度と比較することに基づいて診断される、請求項9に記載の方法。
  13. 前記腫瘍学的病気の有無は、追加の医療的研究に従って、正常および異常な組織に対応する領域における前記重水素核のシグナル強度を比較することに基づいて診断される、請求項11に記載の方法。
  14. 前記腫瘍学的病気の有無は、H MRIに従って、通常組織と腫瘍が疑われる組織との間のインターフェースとは異なる側に位置する近隣のボクセルの前記重水素核のシグナル強度を比較することに基づいて診断される、請求項11に記載の方法。
  15. 前記腫瘍学的病気の有無は、同じ対象からの重水素画像を、1H磁気共鳴画像と比較することに基づいて診断される、請求項11に記載の方法。
  16. 重水素シグナルの強度および/またはその経時的変化により、構造、悪性グレード、攻撃性、または腫瘍の分化度について結論づけることが可能となる、請求項9に記載の方法。
  17. 前記腫瘍学的病気は、乳がん、膠腫である、請求項9に記載の方法。
  18. 前記画像の位置合わせ中、2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/もしくは2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸および/もしくはその薬学的に許容される塩の前記重水素化誘導体、または2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/もしくは2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸および/もしくはその薬学的に許容される塩の前記重水素化誘導体の混合物に含まれる重水素核の選択励起が使用される、請求項9に記載の方法。
  19. 前記画像の位置合わせ中、2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/もしくは2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸および/もしくはその薬学的に許容される塩の前記重水素化誘導体、または2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/もしくは2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸および/もしくはその薬学的に許容される塩の前記重水素化誘導体の混合物に含まれる前記重水素核の広帯域励起が使用される、請求項9に記載の方法。
  20. 前記診断薬は対象に経口投与される、請求項9に記載の方法。
  21. 前記診断薬は対象に非経口投与される、請求項9に記載の方法。
  22. 前記重水素核の前記磁気共鳴画像法および/または前記磁気共鳴分光法は、前記診断薬の投与後から20〜360分実施される、請求項9に記載の方法。
  23. 前記診断薬は、対象の体重1kg当たり、0.25〜1gの2−アミノ−2−メチルプロピオン酸もしくは2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸および/もしくはその薬学的に許容される塩、または2−アミノ−2−メチルプロピオン酸および/もしくは2−(N−メチルアミノ)−2−メチルプロピオン酸および/またはその薬学的に許容される塩の重水素化の混合物に相当する量で対象に投与される、請求項9に記載の方法。
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