JP2021503979A - コーヒーベースの飲料を注出するコーヒーディスペンサーと、対応するコーヒー注出方法及びコーヒー注出プログラム - Google Patents

コーヒーベースの飲料を注出するコーヒーディスペンサーと、対応するコーヒー注出方法及びコーヒー注出プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】再現可能かつ正確、短時間に、利用者の特定の要求に対して個人の好みに合わせたコーヒーベース飲料をその都度供給することが可能なコーヒーベースの飲料を得ることが可能なコーヒーディスペンサー(10)。【解決手段】本発明は、液体コーヒーのディスペンサー(10)を用いて液体コーヒーを注出する方法と、この注出方法を実行する管理及び命令プログラム(21)に関する。【選択図】図2

Description

本発明の実施例は、利用者からの特定の要求に対して、要求されたコーヒーベース飲料をその都度提供することが可能なコーヒーベース飲料注出装置(dispensing machine、以下ディスペンサーという)に関する。
本発明はまた、コーヒーベース飲料(以下、液体コーヒーという)を注出する方法に関し、利用者の要望に応じて特定種類の液体コーヒーを供給するために用いられる。
本発明の実施例はまた、利用者が要求した液体コーヒーの特定種類及び特性に関して、液体コーヒーディスペンサーを管理及び制御するのに適したプログラムに関する。
コーヒー豆粉末のパネルを使用し、お湯に圧力をかけて抽出するか、もしくは制御された濾過器(パーコレーター)により、要求された種類のコーヒーベース飲料を注出する液体コーヒーディスペンサーが存在する。
この種の装置は水供給源に接続されたポンプを備え、水供給源から水を移動させるためにポンプによって圧力をかけながら加熱装置へ運ぶことが可能である。
加熱装置を通ることで湯及び/又は水蒸気が得られる。そして、得られた湯及び/又水蒸気は、ポンプによって抽出室に供給され、ろ過(パーコレーション)により抽出室に設置されたコーヒーパネルを用いて液体コーヒーを抽出する。
いくつかの公知の装置では、注出する種類の液体コーヒーに対して、ポンプ、加熱装置、おそらく抽出室の上流に位置する弁、抽出室の容量を定める空気ピストン、又は他の構成要素(部品)を駆動するように構成される制御・指令ユニットが備えられている。
公知の制御・指令ユニットは、水の経路に沿って(抽出室及びその下流に)取り付けられたセンサで複数のパラメータを検出する。
センサが検出したパラメータは、所定データとの比較が行われる制御・指令ユニットに記憶される。
ユーザーが要求した種類のコーヒーを注出可能な液体コーヒーディスペンサーは公知である。しかしこういった装置は、非効率かつ柔軟性がなく、多数の課題を含んでいる。
欧州特許第1802222号(EP’222)及び米国特許第8124150号(US’150)には、飲料(例えばコーヒー)を注出するための装置についての記載があり、注出する液体コーヒーの流量を少なくとも検出及び記憶することが可能な制御・指令ユニットを備える。
以降ではEP’222を参照するが、検討事項はUS’150にまで拡大して適用され得る。
EP’222は、2つのピストンの相互の所望位置に対応して容量を定めることができる抽出室を備えている。
ピストン(の駆動)には多くのエネルギーを必要とするが、このことは、コーヒーディスペンサーの他部分の機能に対して負担となる。また、抽出室内の圧力を正確に定めることが困難となる。しかしこれは、具体的な特性を有する異なる種類のコーヒーを得るには基本的事項である。
EP’222には、抽出室の上流に位置する弁も記載されているが、水及び/又は蒸気が抽出室に留まる時間は確定できない。
EP’222に記載されている公知の解決策にはまた、注出される液体コーヒー及び抽出室から出てくる液体コーヒーの流量と、抽出室内部の温度とは必ず検出されなければならないとある。
さらにまたこの公知の解決策では、抽出室の下流で検出されるものに対応して、もしくは液体コーヒーの注出流量に対応してコーヒーマシンのパラメータが調整されるが、検出が先延ばしになり、その結果として調整も遅れる。
こういった限界のために、具体的な特性を有する多種多様なコーヒー(例えばクリーム状のコーヒーや、所望量の空気を含むコーヒー)を得ることができないので、EP’222に記載されている公知の解決策の用途は狭く、もしくは柔軟性に欠けている。
コーヒーを注出した後に検出されるデータを記憶するために、時間的に遅延して調整がなされるので、そして、注出される液体コーヒーの流れをリアルタイムで検出した後にこの調整が生じるので、両方の点において、この公知のアプローチでは時間がかかるし、不正確でもある。
この公知の解決策の他の課題によると、コーヒーが、例えば味覚、アロマ、酸性度、ボディといった感覚を刺激する特性を有する場合、流量が検出される前に注出されたコーヒー、もしくはいずれにせよパラメータの調整が行われる前に注出されたコーヒーは、利用者の要求とは異なっており、カップに注出された最終製品の感覚刺激特性は、制御されることなく調整されている。
コーヒー愛飲者又は熱心な人であれば、ほんの僅かであっても感覚刺激特性の変化を感じることができる。これは、飲料に対する判断、そして特定種類のコーヒーのチョイス又は好み、もしくはコーヒー製造者に影響し得る。
先行技術文献である欧州特許第2409613号(EP’613)及び米国特許第8960077号(US’077)にも、飲料(例えばコーヒー)を注出するための装置についての記載がある。そしてこの装置は、2つのピストンによって容量を調節することができる抽出室を有する。
これらのピストンは具体的には、飲料を注出するノズルの高さを定めるためにも用いられるが、この解決策には、実質的にEP’222と同じ課題が存在し、パラメータ(例えば排出ノズルの高さ)にも作用する。これにより制御が行われず、注出された液体コーヒーの感覚を刺激する特性へと、時おり影響が及ぶ。
さらにまた、この解決策では維持費がかさむ。
先行技術文献である欧州特許第2294953号(EP’953)には、上記した文献に記載されているものに類似したコーヒーマシンが記載されており、このマシンは水のタンクに直列に接続した2台以上のポンプを有する。
存在する全ての上記課題に加え、この公知の解決策は、上記した公知の解決策と比較すると、エネルギーの観点からも無駄がある。さらに調節に関して、そして上記される保守すべてに関して、他にも課題が提起される。
先行技術文献である欧州特許第2001343号(EP’343)には、抽出室で予備注入を行うことが可能な注出方法及びコーヒーディスペンサーについて記載されている。
しかしこの公知の解決策では何秒かの間、定められた時間の間、(抽出)室への水の流れが遮断される。
こういった水の流れの中断は、主ポンプを停止させることによって及び/又はポンプ自体の下流に位置する弁を作動させることによって行われる。
一杯のコーヒー飲料を注出するためにポンプが数回にわたり駆動されるので、この公知の解決策は時間がかかるだけでなく、エネルギーの観点からも無駄がある。
これにより、注出される飲料を得るために用いる水と飲料自体両方において、制御できない量的及び質的なアンバランスが生じ得る。
また、装置及び構成要素の摩耗、管理プログラムの複雑さ及び過剰な応力を、機械式、油圧、及び電子の構成部品に課する。
さらにまたEP’343では、水の流れが遮断されるときに、抽出室の上流のパイプに沿って残っている水が収集コンテナに放出される。これによりディスペンサーが大型化され、広いスペースが必要となる。
EP’343では追加装置が必要であり、制御指令システムがより複雑化する。結果として、部品の摩耗、高いエネルギー消費、及び収集コンテナに留まる水の停滞及び汚染の課題が生じる。
国際公開特許第2017/189628号の、注入された飲料の製造のための装置及び方法も公知である。
より詳細には装置は、溶液流れ管理システム(SFMS)(すなわちポンプ)、溶液温度管理システム(STMS)(すなわちヒーター)、注入室、溶液/注入のための溶液/圧力管理システム(SPMS)、及び自動的に、そして独立して溶液の特性変数(例えば圧力、温度、及び流れ)をモニタ及び/又は修正するために用いられる制御システムを備える。
装置はまた、飲料を製造する装置を介して配置される熱電対、圧力計、流量計といったセンサを備える。
制御システムでは注入の間、SFMS、STMS、及びSPMSの、いずれかを制御するのに役立つ一つ以上の注入アルゴリズムを利用することができる。溶液/注入圧力調整/管理システム(SPMS)は、弁により生じる流動抵抗を加えることによって、注入圧を選択的に調整する。
しかし、国際公開特許第2017/189628号に記載されている装置の特定の構成は、最適機能条件に対して生じ得る変動に反応して、装置(の動作)を特に遅くする高い熱的及び機械的慣性を有する。
国際特許公開第2017/189628号の制御システムでは事実、装置で動作する部品それぞれを駆動することによって誘発される、機能の不安定(すなわち非線形の状態)を考慮することができない。また、注出間隔間のコーヒー注出処理が、数十秒間持続し得ることは注意すべきである。
欧州特許第1802222号 米国特許第8124150号 欧州特許第2409613号 米国特許第8960077号 欧州特許第2294953号 欧州特許第2001343号 国際公開特許第2017/189628号 国際特許公開第2016/193223号
従って、液体コーヒーディスペンサー及び液体コーヒーディスペンサーの注出方法を、いずれも最適化する必要がある。同様に、液体コーヒーディスペンサーのための管理及び制御プログラムを最適化する必要がある。
上記の改良は、従来技術の問題点の少なくとも一つを克服することを目的とする
本発明の目的の一つは、利用者が要求した特性を有する特定種の液体コーヒーを注出する要件を満たすことができる液体コーヒーを注出するためのコーヒーディスペンサーを提供することである。
また、本発明の他の目的は、柔軟性があり、そして、適切な反復、信頼性、及び精度を備え、さまざまな種類のコーヒーに対して、正確かつ適時に利用者が要求した特定の特性を備えた液体コーヒーを注出するためのコーヒーディスペンサーを提供することである。
また、他の本発明の目的は、保守をほとんど必要としない信頼性が高いコーヒーディスペンサー、プログラム、及び方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、限られたエネルギー消費で液体コーヒーを注出し、そして、素早く高い精度で、要求された特定の特性を備えた、所望の種類のコーヒーを注出することができるコーヒーディスペンサーを提供することである。
また、本発明の他の目的は、所望のコーヒーを得るために、コーヒーを注出するための装置の部品のパラメータを効率的に素早く管理し、これに命令を出すことが可能な液体コーヒーを注出するための方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、要求に応じ、そして調整された方法で、個々の部品を管理し、これに命令を出すことが可能な液体コーヒーを注出するための方法を提供することであり、不要なエネルギー消費及び熱放散を防ぐ。
また、本発明の他の目的は、コーヒーの注出処理を実行することができる、液体コーヒーを注出するための装置を管理し、これに命令を出すことが可能なプログラムを提供することである。
本発明の出願人は、従来技術の欠点を克服し、これら及びその他の目的及び利点を得るために、本発明を考案し、テストし、実施した。
本発明は独立クレームにおいて記載され、特徴づけられる。その一方で、従属クレームには、本発明の他の特徴又は主たる発明概念に対する変形例が記載されている。
本発明の実施例は、少なくとも以下を含む回路を備えた液体コーヒーを注出するための装置(コーヒーディスペンサ−)に関する。
圧力をかけた状態で制御された量の水を供給するように構成されるポンプ
ポンプによって供給される水を加熱するように構成される加熱装置
加熱装置の下流に位置し、所望量のコーヒー豆粉末を含むように構成される抽出室
比例型(proportional type)の弁であり、抽出室から出てくる液体コーヒーの注出流を制御するために、選択的な調節が可能な注出弁
本発明の一態様によると、装置は以下を含む。
回路(流路)の機能パラメータを検出するように構成されるセンサ
利用者が複数の液体コーヒーレシピから一つを選択することができる、ユーザインターフェース
液体コーヒーの特性抽出曲線のリストを記憶する記憶装置(特性抽出曲線はそれぞれ、レシピの一つに関連付いている)
本発明の考えられる解決策によると、センサは、回路の少なくとも一つの機能(作動)パラメータを、注出中に繰り返して検出するように構成されている。
さらに装置は、以下を実行するよう構成される制御・指令ユニットを備える。
回路の機能を数学的に記述するように構成される、結合された(複数の)変数を有する非線形数学モデル
センサが検出した少なくとも一つの機能パラメータを受け取り、そして、回路の経時的挙動を記述するのに適した複数のシステム変数を、注出中に繰り返し数学モデルに基づいて確定するように構成される処理及びフィルタリングアルゴリズム
システム変数と選択された特性抽出曲線との偏差を、注出中に繰り返し比較及び同定し、そして、少なくともポンプと、加熱装置と、注出弁の指令信号を、注出中に繰り返して出力に送るよう構成される非線形制御アルゴリズム
各注出の間、上記の技術的特徴を組み合せることにより、応答し、予測するように、繰り返しコーヒーディスペンサーを能動的に制御することができる。
注出時間間隔の間に、そして、システム変数と利用者が選択する抽出曲線との前記比較によって、非線形制御アルゴリズムでは、それらが非線形にふるまう場合であっても、さまざまなシステム変数の時間発展(時間的展開)を予測することが可能である。しかし、システム変数の非線形性は、前記非線形数学モデルを使用することにより推定することができる。
上記の制御システムでは事実、部品が引き起こす強い外乱及びばらつき(例えばポンプによって生じる流れの不安定さ)によって引き起こされる、各抽出過程の間に形成される非常に不安定な定常状態を考慮することが可能となる。
さらに、上記の技術的特徴を組み合せると注出間隔の間に、ポンプと、加熱装置と、調整弁とに対して微調整を複数回行うことができる。そして、都度確定された各偏差が評価されるので、システム全体が選択した抽出曲線から逸脱しないようにできる。
処理及びフィルタリングアルゴリズム、非線形制御アルゴリズム、及び非線形数学モデル間の情報の連続的なイタレーション(反復)により、有利には、自己学習ロジックを実行することが可能である制御システムを決定することが可能である。
例えば自己学習ロジックにより、都度確定されるシステム変数に従って、非線形数学モデルであっても、非線形制御アルゴリズムが経時的に修正を行うように構成される。
本発明の実施例は、回路を介した液体コーヒーを注出するための方法にも関する。この方法は以下を含む。
ポンプを用いて圧力をかけつつ制御された量の水を供給する
加熱装置で、ポンプから供給された水を加熱する
抽出室に、所望量のコーヒー豆粉末を配置する
ポンプからの加熱された水を、抽出室に通過させる
比例型で、選択的に調節可能な注出弁により、抽出室から出てくる液体コーヒーの注出流を調整する
センサを用いて回路の少なくとも一つの機能パラメータを検出する
ユーザインターフェースを使用して、液体コーヒーの複数のレシピから一つを選択する
液体コーヒーの特性抽出曲線を記憶装置に記憶する(特性抽出曲線はそれぞれ、レシピの一つに関連付いている)
本発明の一態様によるとセンサは、回路の少なくとも一つの機能パラメータを注出中に繰り返し検出する。
本発明の方法は更に以下を含む。
少なくとも一つの機能パラメータを受け取り、そして、処理及びフィルタリングアルゴリズムにより、回路の経時的挙動を記述するのに適した複数のシステム変数を、注出中に繰り返し確定する。前記システム変数はまた、結合された変数を備えた非線形数学モデルに少なくとも基づき確定され、回路の機能を数学的に記述するように構成されている。
非線形制御アルゴリズムによって、システム変数と、選択された特性抽出曲線との偏差を、注出中に繰り返し比較及び同定する。
少なくともポンプと、加熱装置と、注出弁の指令信号を、注出中に繰り返して出力に送る。
考えられる実施例によると、本明細書に記載されている実施例のいずれか一つによるディスペンサーは、飲料を準備するためのモジュラ装置に機能的に接続可能な液体コーヒーのための自動準備モジュールとして使用することができる。
考えられる設計によると、このモジュラ装置は、本出願人によって出願された国際特許公開第2016/193223号に記載されている実施例の一つに相当しており、その内容は本出願に組み込まれる。
本発明のこれら及び他の特徴は、添付の図面を参照することにより非限定的な実施例として与えられ、以下の実施例の説明より明らかとなる。
本発明の実施例による、液体コーヒーを注出する装置の略図である。 変形実施例による、液体コーヒーを注出する装置の略図である。 モジュールとして使用されるディスペンサーを備えたモジュラ装置の概略斜視図である。 本発明の実施例による、液体コーヒーの注出方法のブロック図である。 本発明の実施例による、液体コーヒーディスペンサーにおける、管理及び命令プログラムの機能を示す略図である。 図1の変形例である。 本発明の装置の部品である。 本発明の実施例による、装置の部分的な断面図である。 本発明の装置の制御・指令ユニットの概略図である。 液体コーヒーの制御された注出流の略図である 相関マップの概略図である。 ニューラルネットワークの概略図である
容易に理解できるように、図面中の同一の共通素子を識別するために、可能な場合には同じ参照番号が使用される。実施例の要素及び特徴は、更に説明がなくても他の実施例に適宜組み込まれることができるものと理解される。
本発明の実施例は、適切な反復、信頼性、及び精度を備え、正確かつ適時に、そして短時間で利用者が要求する特性を持った、広範な種類のコーヒーを注出することが可能な液体コーヒーディスペンサー10に関する。
いくつかの実施例においてコーヒーディスペンサー10は、液体コーヒーを注出するために互いに接続された、少なくともポンプ12と、加熱装置14と、抽出室11と、注出弁15とを備えた回路(流路)22を備える。
コーヒーディスペンサー10はまた、少なくともポンプ12と、加熱装置14と、注出弁15との機能を制御するように構成される制御・指令ユニット17を備える。
ポンプ12は水供給源13に接続されており、所望量の加圧水の取り出し、抽出室11への移送が可能である。
可能な実施例によればポンプ12は、容積型、シリンジ、ローブ型、蠕動型、ギア式、又は振動タイプ又はそれらの組み合わせであってもよい。ポンプ12は、水供給源13から取り出した水の流れ及び圧力を調整するために用いることができる。
考えられる解決策によればポンプ12は、マイクロギアタイプであってもよい。この種のポンプは供給された水の流れを非常に精密に制御することができ、そして、液体コーヒー注出中に発生する、一時的に非常に不安定となる過度現象を考慮可能な、極めて高い応答速度を有する。
有利な実施例によればコーヒーディスペンサー10は、水供給源13から水を取り出すことが可能な単一ポンプ12を備える。
可能な実施例によれば、水供給源13は、タンク又はメイン供給装置、又はその両方を備えることができる。
加熱装置14は、ポンプ12と抽出室11との間に位置し、水を所望の温度まで加熱するように構成される。
考えられる解決策によると、加熱装置14は急速タイプである。すなわち、所望の温度に達するのにかかる水の加熱時間は、3秒未満、好ましくは2秒未満、さらに好ましくは1秒未満である。さらにまた加熱装置14の応答遅延は、1秒以下であり得る。
可能な実施例によれば、加圧水が加熱装置14を通過する際に、加熱装置14はポンプ12から到着する加圧水を加熱するように構成される。加圧水の通過は瞬間的(短時間)でありえ、すなわち約1秒以下である。
加熱装置14は、システムの熱慣性を考慮し、1秒あたり最高100Hz、好適には5〜10Hzで熱量及びそれに伴う加熱水の温度を変化させ調節することが可能である。
本発明の一実施例によれば、加熱装置14は、導電性及び熱伝導性材料から作製される少なくとも一つの筒状管29を備えることができ、使用中はその中で水が流通する。管状管29は、鋼(例えばAISI304又はAISI316ステンレス鋼)で作製され得る。
筒状管29の直径は1.5mm〜8mm、好ましくは2mm〜5mmであり得る。筒状管29が小型であるので、水を加熱する速度を上昇させることが可能であり、極めて急速な加熱応答とすることができる。
筒状管29は、電気エネルギー源に選択的に接続することができる端子30を備える。端子30は、電力供給源の正極及び負極をそれぞれ定め、筒状管29を通じて流すようにできる。従ってこれが電気抵抗として機能し、電力を供給することで通過する水を加熱する。
本発明の一つの解決策によると、抽出室11は、少なくとも固定された部品11aと、部品11aに一時的に取り付けて使用する(すなわち取り外し可能な)部品11cとで構成される。そして、抽出室11から液体コーヒーを注出するために、少なくとも一つの出口管11bが存在する。
取り外し可能な部品11cは、選択された粒径の所望量のコーヒー豆粉末を収容するのに適している。
考えられる解決策によれば、固定された部品11aに取り外し可能な部品11cを一時的に取り付けると、部品11cの配置と大きさにより抽出室11の容量を定めることができる。
取り外し可能な部品11cはコーヒー豆粉末の格納室36を定めることができ、その中に選択された粒径のコーヒー豆粉末が投入される。
格納室36は、出口管11bと流体連通するように配置される。ポンプ12によって供給された水は格納室36に供給され、コーヒー豆粉末が充填された格納室36を通過して、出口管11bから流れ出る。
可能な実施例によれば出口管11bは、取り外し可能な部品11cと一体化又は固定化されていてもよい。
取り外し可能な部品11cが固定部品11aに取り付けられることで、抽出室11の容積が確定する。
図2に示されている可能な実施例の変形例によれば、管24により、空気制御システム(ニューマティック・システム)23と抽出室11とを接続させることができる。
空気制御システム23は、抽出室11に所望量の流体(例えば流体供給源(図示なし)から送られる圧縮された、空気や窒素、二酸化炭素、又は他の気体)を導入することが可能な注出手段25を備えることができる。
例えば注出手段25は、流体の導入が可能な選択的に駆動可能な弁、そして場合によりポンプ装置を備えることができる。
空気制御システム23は、抽出室11を導入気体により加圧状態にするよう構成される。
この実施例によれば、水供給源13から供給される水と、空気制御システム23から供給される気体と両方により、また、この両方を使用することにより、抽出室11内の圧力は決定される。
例えば、圧縮された空気、窒素、二酸化炭素等を用いると、作成中のコーヒー中にその空気又はその気体自体を直接送り込むことができる。
さらにまた、飲料を注出すると、空気又は気体により、抽出室11に残ることがある水及び/又はコーヒーの残りを取り除くことができる。これにより、例えば細菌の作用により生じ得る汚染を防止できる。
可能な実施例によれば、空気制御システム23は、制御・指令ユニット17により制御され、指令を受ける。
他の変形実施例(図6)によると回路22は、ポンプ12の送出管と、加熱装置14と抽出室11との間に設けられた接続管51と、の間に配置されるバイパス管50を含んでいてもよい。
接続管51は、分配弁52(例えば3方向タイプ)を備えており、ここにバイパス管50を接続することができる。
分配弁52は制御・指令ユニット17に接続可能であり、そして、バイパス管50を介する流れ及び/又は抽出室11へ向かう流れ、の遮断と通過の選択を指令することできる。
具体的には、液体コーヒーの注出が必要なときは、分配弁52によって、水が接続管51を介して通過できるようにする。反対に接続管51内の水が好ましい条件でないとき(例えば温度の条件が好ましくないとき)、水はバイパス管50を介し再循環し、この水が抽出室11に導入されるのを防止する。
さらに、コーヒーディスペンサー10自体を始動(コールドスタート)させた場合でも、このバイパス管50によって水を加熱装置14の方へ繰り返し循環でき、それによって、水の温度を急速に好ましい温度にまで到達させることができる。
可能な実施例によれば、出口管11bに注出弁15を結合させることができる。
注出弁15が出口管11b側に設けられているので、抽出室11内の水と、特に圧力の条件を最適に制御することができる。
注出弁15は、具体的には出口管11bに設置され、液体コーヒーを抽出室11から注出させる。
注出弁15は比例型である。すなわち、液体コーヒーの注出又は通過領域を微調整することができる。
注出領域のサイズは、制御・指令ユニット17によってその都度制御され、比例して(比例制御して)定められる。
考えられる解決策によれば、注出弁15により確定される注出領域と、この注出領域自体を介して飲料が押される圧力とにより、注出される液体コーヒーに空気を混合する乱流が生成されるようになる。
出願人は、注出領域及びポンプの動作によって、液体コーヒーに空気を取り込ませてクリーム状にすることができる条件があることを見出した。これらの条件では、定められた乱流が確立される。
可能な実施例によれば、取り外し可能な部品11cに及び/又は出口管11bに、注出弁15を組み込む又は一体化させることができる。
可能な実施例によれば注出弁15は、抽出室11からのコーヒーの注出領域を調節するために、アクチュエータ(例えばサーボモータ)によって適切な位置に配置可能な、少なくとも一つの円錐台部を有するシャッタを備えることができる。
考えられる解決策によると注出弁15は、少なくとも一つの球状部を有するシャッタを備えることができ、この少なくとも一つの球状部は、抽出室11から出ている流路に圧力をかける。そしてシャッタは例えば、シャッタに結合した形状記憶材料を動作させることによって、制御された方法で移動させることができる。
例えばこの(シャッター開閉の)動きは、電気的又は磁気的な駆動力によるものであってよい。具体的には形状記憶材料の場合、作動は、形状記憶材料に作用している電圧によって得ることができる。
可能な実施例によれば、注出弁15は、パルス幅変調(PWM)により機能する弁であってもよい。注出弁15は、電磁弁、二重磁場により電磁気又は磁気的に(場合により弾性部材と組み合わせられて)駆動する弁、もしくは他のタイプの弁を備えていてもよい。
可能な実施例によれば、注出弁15は、固定された(一定の)注出領域を介してコーヒー飲料の注出時間を定めるよう命令を受ける。この解決策では、PWM論理(制御)を用いて命令を発することができる。
この解決策により高い精度で所望量の液体コーヒーを注出することができ、その表面を改善するために、注出管に手を加えること(例えば被覆層の電着など)は必ずしも必要ではない。
さらにこの解決策により、本発明の範囲内の流量で高い注出精度が保証される。
PWM論理を備えた注出弁15を使用する解決策の他の利点は、コーヒー飲料の注出に関して、通過領域の幾何学的形状における負荷損及び/又は変動の影響を修正できるということである。
例えば、通過領域の幾何学的形状は、注出弁15のシャッタの上や注出パイプの壁のコーヒーの残留によって、変更され得る。
可能な実施例によれば、注出弁15は、液体コーヒーの遮断/通過のための流路、すなわち入口又は出口管を備えることができ、所定の流路自体の表面の公差(tolerance)が保証され得る材料で覆われている。例えば材料は、電着により流路内に堆積させてもよい。
可能な実施例によると注出弁15は、約150℃以下、好適には約130℃以下の温度に対して耐性のあるプラスチック材料で作製され得る。
考えられる解決策によれば、注出弁15は、1.5bar〜20barの圧力と、1ml/s〜6ml/sの流量とを管理し、これに耐えるように構成される。
具体的には注出弁15は、出口管11b(図8)の拡張部に沿って配置させることができる。
考えられる解決策(図8)によると注出弁15は、水が抽出室11に留まる時間を調整するために、出口管11bを閉じる又は遮断する第1の位置と、少なくとも、液体コーヒーの注出領域を画定する第2の制御可能な開位置をとるのに適したシャッタ31を備える。
考えられる解決策によると、取り外し可能な部品11cは筐体シート部32を備えることができ、この筐体シート部32は使用中に出口管11bを仲介する(塞ぐ)。そして内部にはシャッタ31が取り付けられている。注出弁15は、筐体シート部32にスライドして取り付けられ、シャッタ31と接続しているスライダ33を備えることもできる。スライダ33は、横又は実質的に横(水平)方向に選択的に移動することができる。
スライダ33とシャッタ31との間に、弾性部材34を配置することができ、そして、出口管11bが開いた状態又は閉められた状態に、シャッタ31を保つように構成される。
注出弁15はまた、シャッタ31を動作させるように構成され、少なくともシャッタ31を第1及び第2の位置へと移動させるアクチュエータ35を備えている。
アクチュエータ35は、水が通過するすきま(間隙)を調整するために、制御・指令ユニット17に接続している。
アクチュエータ35は電磁タイプであってもよい。電磁式の作動では、応答時間が極めて短縮され、調整の精度を非常に高めることができる。
考えられる解決策によると、アクチュエータ35をPWMで制御することができる。
変形実施例によれば、アクチュエータ35は、シャッタ31の動きを決定するために、選択的に駆動可能なソレノイド(電磁弁)を備えることができる。
シャッタ31に弾性部材34を取り付け、さらに電磁式のアクチュエータ35と組合せると、例えば10分の1(1/10)秒のような非常に短い時間であっても、抽出室11内の圧力によって決まる平衡点に到達させることができる。
抽出室11の圧力は事実、ポンプ12が生成する抽出室11に入ってくる流量と、また、アクチュエータ35が生成する力との関数である。
弾性部材34の作用とアクチュエータ35との平衡条件を最適に制御することによって、抽出室11から流出する液体コーヒーの流量を制御することができる。
アクチュエータ35は、アクチュエータ35と連動して使用中に位置決めされる、取り外し可能な部品11cに対して固定することができる。
本発明によるとコーヒーディスペンサー10はまた、回路22に及びその部品に接続され、複数の物理パラメータ(すなわち、回路22の機能パラメータ)をリアルタイムに検出できるセンサ16を備える。
センサ16は、温度センサT、圧力センサP、又は流量計Fのうち少なくとも1つを備えることができる。
本発明の考えられる解決策によると、センサ16は、それぞれの機能パラメータを検出するために、ポンプ12、加熱装置14、又は注出弁15の少なくともいずれか1つに取り付けられることもできる。単なる例であるが、センサ16が電気的なパラメータ(例えば回路22の部品の一つ又はその他の電圧、電流、電力、及び機能パラメータ)を検出するように構成してもよい。
単なる一例であるが、ポンプ12、加熱装置14、及び注出弁15に電力を供給する電圧「V」、又は供給電流「I」を検出するようにセンサ16を構成してもよい。
本発明の考えられる解決策によれば、直接又は間接的に、例えば、回路22の部品のどちらか一方の電気機能パラメータを決定することによって流量、温度及び圧力の少なくとも一つも検出するように、センサ16を構成してもよい。
単なる一例であるが、水の温度を最終的に決定するために加熱装置14の抵抗を検出するようにセンサ16のうちの1つを構成してもよい。
可能な実施例によれば、センサ16は、以下から成る。
2つの温度センサT(その内一つは加熱装置14の下流に、もう一つは上流に位置する)、
2つの圧力センサP(一つはポンプ12と加熱装置14の間に位置し、もう一つは抽出室11に位置する)、
ポンプ12の下流に位置する流量計F。
可能性がある変形実施例においてコーヒーディスペンサー10は、一つのセンサ16のみ、又は二つ以上のセンサ16を組合せて備えることができる。
考えられる解決策によると、センサ16によって検出される物理パラメータの検出のサンプリングは、80Hz〜120Hz、好ましくは100Hzの周波数で行われる。
本発明の他の解決策によれば、ポンプ12によって供給される水の流量を20Hz〜50Hzのサンプリング周波数で検出するように、流量計Fを構成してもよい。結果として、時間の経過とともに生じる非常に不安定な圧力の挙動を考慮に加えることができる。
他の本発明の実施によると、温度センサTは、5Hz〜10Hzの周波数で回路(流路)22を通過している水の温度を検出するように構成してもよい。サンプリング周波数の値は、装置の異なる部品の熱慣性を考慮することができる。
考えられる有利な実施例によれば、圧力センサPのみを抽出室11に存在させる。
センサ16のこの構成は、高い再現性、精度、及び速度を備えたコーヒーディスペンサー10の機能パラメータ20を調整するのに有利である。なぜなら、使用され注出弁15の前に位置させる必要なセンサ16の数を最小化するからである。
本発明の考えられる解決策によるとコーヒーディスペンサー10には、液体コーヒーの複数のレシピから、利用者が注出を希望するものを選択することができるユーザインターフェース37を備えることができる。
単なる一例であるが、レシピは、注出される液体コーヒーの種類(例えばエスプレッソコーヒー、ロング、アメリカン、アイスコーヒー)と関連づけられるものであってもよく、使用するコーヒーの品種(及び/又はその原産地)と関連づけられものであってもよい。
液体コーヒーの特性抽出曲線43は、各レシピと関連づけられ得る。
特性抽出曲線43は、所望の特性を有する液体コーヒーを得るために、コーヒーディスペンサー10の、規定の機能パラメータを同定することができる。
液体コーヒーを注出する時間又は間隔の各瞬間(時刻)に対して、特性抽出曲線43を用いることで、少なくとも抽出室に導入される水の圧力、温度、及び流速の、時間発展を同定(特定)できる。
本発明の考えられる実施態様によれば、コーヒーディスペンサー10は液体コーヒーの特性抽出曲線のリストを少なくとも記憶するように構成される記憶装置45を備える。そして、それぞれの特性抽出曲線はレシピのうち一つに関連付けられている。
制御・指令ユニット17は、結合された変数(coupled variables)を有する非線形数学モデル38を実行するように構成される。そして、回路22の機構(パラメーター)、又は少なくともポンプ12、加熱装置14、及び注出弁15の機構(パラメーター)を数学的に記述するように構成される。
本発明の考えられる実施によると、制御・指令ユニット17は、センサ16が検出する少なくとも一つの機能パラメータを受け取るように構成される処理及びフィルタリングアルゴリズム39を実行するように構成され、そして、回路22の経時的な挙動を記述するのに適した複数のシステム変数40を、注出中に繰り返して、少なくとも数学モデルに基づいて決定するように構成される。
システム変数40は独立していてもよく、すなわち測定され、及び/又は例えば指令信号としてセットされてもよい。また、システム変数40はまた依存(従属)していてもよく、すなわち、独立したシステム変数40の関数として確定されてもよい。
特に、システム変数を確定するために、従ってシステム状態を推定するために、処理及びフィルタリングアルゴリズム39でセンサ16が検出した機能パラメータを処理することができる。
いくつかの解決策によれば、数学モデル38は、回路22の物理的な事象を決定し、システム変数を確定するために用いる複数の第1原理の非線形方程式を含むことができる。
考えられる解決策によると、これらの第1原理の非線形方程式は、機能パラメータの条件が異なる場合に、回路の各部品の(場合により注出時間間隔の各瞬間(時刻)とも相関している)挙動を記述することができる複数の実験パラメータに依存する。単なる一例であるが、実験パラメータは、数値的及び実験的技術により確定することができる。
考えられる解決策によると、実験パラメータは、回路22上で行われる実際の測定によって検出することができる(例えば「グレーボックスモデリング」技術によって)。
考えられる解決策によると実験パラメータは、回路22の部品の構成及び物理パラメータ(例えば単なる一例であるが、ポンプ12の容量、加熱装置14の抵抗値、注出弁15の大きさ、各種要素間の接続管の直径、各部品の熱/電気特性)を含むことができる。
考えられる解決策によると、数学モデル38は部品それぞれの挙動を記述するために、場合により注出時間の各瞬間(時刻)に、システム変数(システム状態とも称する)、回路22の部品、もしくは少なくともポンプ12と、加熱装置14と、注出弁15との相互関係を示すように構成される複数の相関マップ19を備えるか、又はそれを実施することができる。相関マップ19により、従属システム変数及び独立システム変数40間の相関が提供され得る。
システム変数のセットにより、回路22、すなわち、ポンプ12、加熱装置14、又は注出弁15のうち少なくとも一つ、好ましくは3つすべての部品の機能に対する複数の相関マップ19のマッピングを定義する。
図11にはポンプ12の機能に対する、考えられる相関マップ19が示されており、ポンプ12の回転速度「ω」、圧力「p」、ポンプ12から出てくる水の流量(フローレート)「qeff」間の相関が同定される。
図11に示される相関マップ19では、2つの独立変数(すなわち回転速度及び圧力)及び1つの従属変数(すなわち流量)が同定される。なお、相関マップ19は、例えば2つ以上の独立変数を用いた任意のサイズの空間に適用できる。
一般的に、さらに、これらのシステム変数を用いることにより、液圧/熱回路22における、又はそれらの部品に存在するすべての非線形特性を数学的に記述することができる。
本発明の一実施によると数学モデル38は、検出された機能パラメータ20を処理するのに適したニューラルネットワーク41を実行し、そして、システム変数40を確定するように構成される。
ニューラルネットワーク41は、処理及びフィルタリングアルゴリズム39で実行することができる。
考えられる解決策(図12)によれば、複数の静的パラメータW1(重みとも称する)によりニューラルネットワーク41は確定される。
システム変数40を決定するために最適化アルゴリズムによって定義された結合関数σによって、静的パラメータW1は互いに結合される。
結合関数σにより、第2の重みW2を用いて、システム変数40を単一の値へ収束させるようにできる。
このように、機能パラメータ20から始まり、決定すべきシステム変数40の、十分に信頼性の高い推定値を得ることができる。
考えられる解決策によると、システムの静的パラメータW1は、オフライン試行、又は測定、又はオフライントレーニングによって検出することができる。そこでは、テストベンチで検出された複数の実験データが、実際のデータと相関マップの出力との間の誤差(エラー)を最小化するパラメータセットに収束させるオフライン最適化アルゴリズムにより処理される。
このように確定された実験パラメータは、時間が経過しても不変のままである。そして、回路22の機能をリアルタイムに推定し及び特性を示すために、制御・指令ユニット17によって用いられる定数となる。
他の本発明の実施によると、システム変数40は、試行、又は装置使用中に直接行われる検出、すなわちオンラインで確定することができる。
システム変数40はコーヒーディスペンサー10の使用中に記憶され、リアルタイムに実行される最適化アルゴリズムにより処理されることができる。これにより、相関マップ19を、回路22の特性の考えられる進行性の変化、例えば回路部品の摩耗、損傷、ライムスケール形成、非最適な機能(動作)に適応させることができる。この運転モードでは、特にコーヒーのブリック(brick)の液圧特性(抽出の間、そして、抽出の度に変化する)に関して、回路22により、自動自己学習ロジックを実行することができる。
単なる一例であるが、図12は、ポンプ12に適用され得るニューラルネットワークを簡略化し示している。この特定のケースでは、ポンプ12の回転速度ωの瞬時値、抵抗圧力の瞬時値、実際の流速の瞬時値の間に存在している静的な関係を近似するために、ニューラルネットワーク41が用いられる。このケースは送出管から吸引管までの漏出により、公称の流量(再循環なし)とは異なっており、そして、一般に非線形の挙動となる。
図11のグラフに示される三次元表面は、、ニューラルネットワークの出力結果を示し、点は回路22上の実際の測定値を示す。三次元表面は、ポンプ12の容積測定性能、すなわち実際の流量と公称の流量との比率、に相当する正確なマッピングである。
通常ニューラルネットワーク41は、同様の方法で、液圧回路及び熱回路の非線形特性すべてを数学的に記述するために用いられてもよい。
本発明の考えられる実施によると、処理及びフィルタリングアルゴリズム39は、センサ16が検出する機能パラメータ20の外乱及び不安定をフィルタリングするように構成される一つ以上のフィルタを備える。
機能パラメータ20は、さまざまな要因によって更に増幅され得る強いノイズ成分を含む。
処理及びフィルタリングアルゴリズム39では事実、いくつかの機能パラメータ20だけを検出し、その一方でその他のパラメータはシステム変数40を確定することによって推定されることが可能である。
従って、処理及びフィルタリングアルゴリズム39はセンサ16の総数を最小限の数まで引き下げることができる一方、回路は観察可能とする。
本発明の考えられる実施によると、処理及びフィルタリングアルゴリズム39は、「アンセンテッドカルマンフィルタ(Unscented Kalman Filter)」を備えることができる。単なる一例であるが、圧力信号は、例えばポンプの構成物(例えばポンプがギアタイプである場合はギア)によって導入される実質的なノイズ成分を表す。
これらの誘発要因(エキサイタ)は、液圧室の動的な挙動と連結して、場合によっては更に増幅される。そのうえ技術的に、システムの挙動を記述するすべての変数を測定することは、必ずしも可能でもないし、経済的に有利でもない。アンセンテッドカルマンフィルタは、測定される信号をフィルタリングし、非線形数学モデルに基づいて、測定されていない状態又は変数を推定することができる。従って、アンセンテッドカルマンフィルタはすべての状態を推定するためにセンサのサブセットを使用するよう選択することができ、システムは観察可能なままである。アンセンテッドカルマンフィルタを用いると、部品の適切な保守を行うために、経時的に起こりうるドリフトを同定するようにシステムのパラメータをモニタすることができる。
考えられる解決策によると、システム変数40と、利用者によって選択される特性抽出曲線43間の偏差を、注出中に繰り返し比較及び同定するように構成される非線形制御アルゴリズム42を実行するように、制御・指令ユニット17は構成される。
さらにまた非線形制御アルゴリズム42は、少なくともポンプ12と、加熱装置14と、注出弁15の指令信号を、注出中は繰り返して、出力に送るように構成される。
指令信号は、抽出室11で確立された状態が特性抽出曲線によって定義されるものとなるように、回路22の機能を即座に微修正することができる。
考えられる解決策によると、指令信号44は、回路22の部品の駆動パラメータを含むことができる。
考えられる解決策によると、駆動パラメータは、ポンプ12と、加熱装置14と、注出弁15とのための電気駆動パラメータを含むことができる。
単なる一例であるが、指令信号44は、ポンプに供給する電力の電圧と、加熱装置14に供給する電力の電圧と、注出弁15を駆動させる電圧とを備えることができる。
考えられる解決策によると、非線形制御アルゴリズム42は、適応タイプのモデル予測制御MPCを備えることができる。
システム変数40が、特性抽出曲線43によって定義される必要な軌道(トラジェクトリ)を実行する(描く)ように指令信号44は確定される。
非線形制御アルゴリズム42は、数学モデル38に基づいて、ごく近い将来の回路の応答をその都度瞬間的に予測することができ、そして、最適化手順によって最適指令信号44を算出する。
これより図10を参照し、回路22上の制御・指令ユニット17によって実行される制御フローについて説明する。
まず初めに利用者は、ユーザインターフェース37を用いて、希望する種類のコーヒーを選択するか、又は液体コーヒーの所望のレシピを特定する。
制御・指令ユニット17は、ユーザインターフェース37からこの情報を受け取り、選択された特定のレシピのための特性抽出曲線を同定する。
制御・指令ユニット17は、回路22の部品を作動させることによって、液体コーヒーを注出する処理を開始する。
これらの部品が駆動されると、少なくともポンプ12と、加熱装置14と、注出弁15の機能パラメータ20が検出される。
特に、回路22に沿った圧力、温度、及び流量の値を検出することができる(もしくは、電圧及び/又は電流の電気パラメータ)。これらの機能パラメータ20の幾つかは、直接検出された他の機能パラメータ20に基づき、間接的に確定及び/又は推定し得ることがある。
さらにまた注出の開始時に、ポンプ12、加熱装置14、及び注出弁15のための指令信号がセットされる。
指令信号及び機能パラメータを、処理及びフィルタリングアルゴリズム39が処理し、数学モデル38に基づいて、少なくともポンプ12と、加熱装置14と、注出弁15とを特徴づけるすべてのシステム変数40又はシステム状態を同定する。
非線形制御アルゴリズム42は、システム変数40と、利用者が選択した特性抽出曲線とを比較し、偏差を同定する。非線形制御アルゴリズム42は、数学モデル38及び検出した偏差に基づき、ポンプ12、加熱装置14、及び注出弁15のための指令信号44を同定することができる。
注出プロセスの間に複数回、全ての制御フローが連続的に繰り返され、指令信号44が少なくとも処理及びフィルタリングアルゴリズム39の入力として出力され、指令信号と、更新された機能パラメータとが結合され、制御が繰り返される。
その都度確定される指令信号44は、数学モデル38を更新するために、数学モデル38に与えられてもよい。
上記の制御ロジックにより、部品の複数箇所に問題がある場合であっても、利用者が希望する特性の液体コーヒーを得ることができる。
さらに、上記の制御・指令ユニット17により、コーヒーディスペンサー10が極端な機能条件である場合であっでも、最高の、感覚を刺激する特性のコーヒー飲料を得ることができる。
単なる一例であるが、完全に加熱装置14のスイッチを切ることもできる。従って、給水源の水又は室温の水(例えば4℃から20℃間)を抽出室11に提供し、いわゆる「冷たいエスプレッソ」といったコーヒー飲料の抽出も保証される。
考えられる解決策において、抽出室11に供給される水の温度範囲は4〜100℃であり得る。
考えられる解決策によれば、リアルタイムで特定の命令を回路の専用の部品に送るために、制御・指令ユニット17は、基本命令と利用者からの命令18の両方、ならびに物理パラメータをも処理するための基本命令及び手段を備える。
基本命令は、制御・指令ユニット17に記憶されるか、又は遠隔接続でこの基本命令を利用するようにしてもよい。
基本命令には、装置の起動/停止機能、スタンバイ動作モードの起動、タンクに存在する水量の測定及び確認、水源により供給される水量の測定及び確認、又は自動液体コーヒーディスペンサーで通常提供される他の機能が含まれ得る。
本発明の別の態様によると、制御・指令ユニット17は、ポンプ12、加熱装置14、又は注出弁15の機能パラメータ20のうち少なくとも一つをリアルタイムかつ状況に合わせてその都度調整するように構成される。
考えられる有利な解決法によれば、制御装置17は、制御・指令ユニット17に記憶された機能パラメータ20の少なくとも一つの相関マップ19(図5を参照)に対応して、センサ16が検出する物理パラメータ及び使用者からの命令18を処理するのに適している。
本発明の一態様では、制御・指令ユニット17は少なくともポンプ12と、加熱装置14と、注出弁15の機能パラメータ20をリアルタイムかつ状況に合わせて調整するように構成される。
センサ16が検出する物理パラメータ、使用者からの命令18、及び制御・指令ユニット17自体に記憶された機能パラメータ20の少なくとも一つの相関マップ19に対して調節が行われる。
より詳細には、相関マップ19及びセンサ16が検出したパラメータに基づいて、制御・指令ユニット17は、各種要素の機能を状況に合わせて調整することができ、その都度、さまざまな種類の液体コーヒーを得ることができる。しかしこれら要素が独立して制御される場合はこういったコーヒーは得られない。
出願人は、抽出室から注出される液体コーヒーの流量を検出することは必要でなく、その代わりに、注出弁15によって水が抽出室11に残る時間を調整することが有利であることを見出した。
出願人はまた、多くの場合ポンプ12を用いて抽出室11の圧力を調整することが有利であることを見出した。
注出弁15で、ポンプ12を調整し動作させることよって、抽出室11から出てくる液体コーヒーの所望の流量及び圧力が得られ、同時に所望の特性(例えばクリーム状、ボディ等)を備えた種類の液体コーヒーを得ることができることが観察された。
協調的に、すなわち、圧力と注出される液体コーヒーの注出領域とを適合させることによって、ポンプ12により注出弁15の機能パラメータを管理及び制御できれば、クリーム状のコーヒー、又はカプセルやポッドを利用して注出可能なコーヒーと類似したものを得ることもできる。
具体的には、ポンプ12を機能させ続け、そして同時に、所望の圧力に達したら注出弁15を開くことができることを見出した。
注出弁15が定める圧力と領域との関連により、所望の種類の液体コーヒーを得ることができる。
このようにすると、通常はカプセル又はポッドで淹れる種類(タイプ)の液体コーヒーを、使用後にカプセル又はポッドを処分する必要なく得ることができる。
使用者からの命令18を、遠隔(リモート)で、又は制御・指令ユニット17に接続しているユーザインターフェースを介して送ることができる。
制御・指令ユニット17は、多入力/多出力制御ロジック(MIMO)を実施するように構成される。すなわち、複数の機能パラメータ20を調整することが可能である一方で、センサ16からの、そして相関マップ19に関する複数の物理パラメータを得ることができる。
相関マップ19は、一つ以上の機能パラメータ20のファンクション展開(機能発展)を、その他の1以上の機能パラメータ20の及び/又は、センサ16が検出する1以上の物理パラメータに対して、定義する。例えば、相関マップ19では、二つ以上の機能パラメータ20間の多変数相関が定義される。
例えば相関マップ19には、ポンプ12の電力供給、加熱装置14への供給電力を供給の電流、注出弁15のシャッタの位置、抽出室11の圧力、ポンプ12の下流の水の流れ、及び他の特定の機能パラメータ20及び/又はセンサ16が検出する物理パラメータの横断的機能(クロスファンクションの)展開が含まれる。
制御・指令ユニット17に記憶されているか、又はそれから遠隔でアクセス可能な相関マップ19があるので、所望の特性を備えた特定の液体コーヒーを繰り返し得るために、ポンプ12、加熱装置14、及び注出弁15の駆動を調整することができる。
ポンプ12と、加熱装置14と注出弁15との協調した駆動により、回路の個別の部品の機能をリアルタイムで最適化することができる。最適化は、装置のエネルギー消費に作用することもでき、使用するエネルギーを最小にすることが可能な相関マップのファンクションゾーン(functional zone(機能領域))にて動作する。さらに加熱装置14は必要な時にだけ、たとえ1秒未満の短時間でも命令を受けることができる。
このことにより、液体コーヒーを淹れる際に必要な水を有効に加熱するように、熱の散逸を無くし、エネルギーを節約することができる。
可能な実施例によれば、相関マップ19は、機能パラメータ20の非線形性が高いファンクションゾーンを備え得る。
センサ16が検出する物理パラメータ及び使用者からの命令18に関連して、制御・指令ユニット17により、これらの非線形ファンクションゾーンは、リアルタイムで同定が行われてもよい。
制御・指令ユニット17はこれらのファンクションゾーンを同定し、そしてコーヒーディスペンサー10の部品がこれらの機能パラメータ20で作動するのを防止するように構成されてもよい。
制御・指令ユニット17は、特定のアルゴリズム及び/又は機能手順を用いて、非線形ゾーンで回路22の部品を最適化及び管理するように構成され得る。
例えば制御・指令ユニット17は、線形に変化(展開)する機能パラメータ20を近似するよう構成されてもよい。
制御・指令ユニット17はこの線形近似に対して、回路22の部品に命令を出すよう構成されてもよい。
相関マップ19により提供されるコーヒーディスペンサー10の部品のファンクション展開(機能発展)についての詳細な知識のおかげで、制御・指令ユニット17は、エネルギー消費をリアルタイムで最適化することができる。
利用者が希望した液体コーヒーを得るために用いられるエネルギーを最小限する機能パラメータ20を同定するように、制御・指令ユニット17を構成することができる。
使用者からの命令18及びセンサ16が検出する物理パラメータに対して、一組の機能パラメータ20と関連したエネルギーを確定することが可能なプログラムを用いて、エネルギーを最小化とする機能パラメータ20の同定を行うことができる。
要求された種類の液体コーヒーを得ることができるエネルギーに近い、所定数の機能パラメータ20のセットと関連したエネルギーを比較することにより、最小限のエネルギーと関連した機能パラメータ20のセットを同定することができる。
消費エネルギーを最小にする機能パラメータ20を同定する速度を上げるために、相関マップ19は、機能パラメータ20の複数セットと関連したエネルギーに関する情報を備えることもできる。
可能な実施例によれば、加熱装置14自体の瞬間的な状態に関して、加熱装置14を制御し指令を出すように制御・指令ユニット17を構成することができる。
例えば、非線形温度調節のために用いられる線形化モデルをリアルタイムで得るために、制御・指令ユニット17は非線形分析モデルを実行することができる。
可能な実施例によれば、制御・指令ユニット17は、それを支配するプログラムにおいて、拡張カルマンフィルタ、非線形性を管理するアンセンテッドカルマンフィルタ・タイプのアプリケーション等を実行することができる。
考えられる解決策によると、注出弁15はポンプ12を作動させたままで、水及び/又は蒸気が抽出室11に留まるよう調整するために、シャッタを少なくとも閉位置とし、そして、注出領域(出口管11bに向かうコーヒーはこの注出領域を介して注出される)を画定するように、シャッタを少なくとも開位置又は部分的開く位置とするように、構成される。
注出弁15は、比例して(比例制御で)液体コーヒーの通過領域を画定することができる。すなわち、制御・指令ユニット17が、注出するコーヒーの種類及び相関マップ19に対応して領域を調節する。
注出弁15のシャッタを閉位置とすると、所望の前注入(プレ注入)を実行するために、水が抽出室11に留まる時間を定めることができる。
この状態では、抽出室11に備えられたポンプ12の協調作用のおかげで、注出される種類のコーヒーに従って、ポンプ12自体が定める圧力で、抽出室11を水で満たすことが可能である。
ポンプ12及び注出弁15は、抽出室11のエスプレッソ・カプセルの条件をシミュレーションするように構成することができる。有利には、例えば飲料内に乱流を発生させるよう定め、(飲料内で気泡が)持続するクリーム状の液体コーヒーを作るために、ポンプ12及び注出弁15を組み合わせて作動させ、逆圧が作成される状態とすることができる。
これらの条件は、水が抽出室11の中に留まる時間及びその内部の到達圧力に基づいて定められ、圧力は、制御及び命令ユニット17の指令を受けるポンプ12により、定められた値で維持されるか、又は定められた変動に連続して調整される。
設定された時間後、注出弁15のシャッタは、注出領域を比例して(比例法で)画定するように開かれる。ポンプ12に作用することによって、そして注出弁15によって固定可能に画定されるか又は一連のパルスによって画定される注出領域の開口部に作用することによって、クリーム状の飲料を作るために、コーヒーに空気を取り込むことができる乱流を有利に生じさせることができる。
典型的には、液体コーヒー抽出物が注出領域を介して押し出されたときに、負荷が無くなることにより乱流が生じる。
注出弁15のシャッタの位置によって調整される開口部及びポンプ12の動作に対応して、注出される液体コーヒーの流量が定められる。
従って、注出される液体コーヒーの流量と、ポンプ12の機能モードの組み合わせで、水がコーヒーパネルに留まる時間を定めることによって、注出弁15は制御される
有利には、ポンプ12と加熱装置14との間で検出される水の流れをモニタすれば十分であるので、注出される液体コーヒーの流速を特定のセンサ又は他の方法で直接モニタすることは不必要であり得ることを出願人は見出した。
可能性がある変形例(図示なし)によれば、液体コーヒーが注出される容器の下部に配置され、注出される液体コーヒーの入った容器の重みを量るように構成される計量ユニットを、コーヒーディスペンサー10は備えることができる。
計量ユニットは例えばロードセルを備えることができる。計量ユニットが、注出された液体コーヒー重みのリアルタイムな情報を制御・指令ユニット17に供給することができるように、制御・指令ユニット17に計量ユニットを接続することができる。
これにより、利用者が要求した特性を有する特定種の液体コーヒーを淹れるために機能パラメータ20のあらゆる調節をも速める効果があり得る。事実、本発明のおかげで、液体コーヒーの一部がその流量を検出するために注出されるのを待つ必要はない。
本発明の考えられる実施によると、計量ユニットでは、注出が始まる前に、そして注出の間に一定の間隔で(例えば100msごと)、注出終了後、そして計量グループ(ユニット)の位置からカップが取り去られるまで、計量作業を実行することができる。
有利にはこの方式では、利用者が(過去に)要求したものとは異なる特性を有する液体コーヒーをいかなる量要求したとしても、制御された方法で(適切に)パラメーターを変更して液体コーヒーを注出する。
ポンプ12と注出弁15を組み合わせて作動させることにより、コーヒーディスペンサー10の異なった位置2箇所での作用により、流れ及び圧力を調整することができる。
注出弁15を閉じる時間と、注出弁15によって定められる負荷の消失と組み合わせ、ポンプ12が定める圧力及び流れとに基づき、その都度、カップに特定の製品を淹れることができる特定の条件を定めることが可能である。
本発明の可能な実施例は、記述の実施例の内の一つのような液体コーヒーディスペンサー10によってコーヒーベース飲料を注出する方法に関する。
本発明によれば、注出方法は以下を含む。
制御・指令ユニット17に、基本命令に加えて、少なくともポンプ12、加熱装置14、及び注出弁15に対応する機能パラメータ20の、少なくとも一つの相関マップ19を供給する、
注出される液体コーヒーの種類に関して、制御・指令ユニット17に使用者からの命令18を供給する
センサ16を用いて、回路22に沿ってリアルタイムな物理パラメータを検出する
センサ16が検出する物理パラメータ、使用者からの命令18、及び出力される相関マップ19と関連させ、少なくともポンプ12と、加熱装置14と、注出弁15の機能パラメータ20を、リアルタイムに、協調して調整する。
可能な実施例によれば、本発明の注出方法では、注出弁15を閉じた位置に保ち、同時にポンプ12を駆動して圧力及び水が抽出室11に留まる時間を定めることができる。
可能な実施例によるとこの方法では、注出弁15から液体コーヒーを注出するための注出領域を画定するためにポンプ12を作動させた状態に保ちつつ、注出弁15を駆動させる。
可能な実施例によれば、抽出室11には、流体(例えば圧縮空気、窒素又は他の気体)を注入することができる。
流体を、水と同時に抽出室11に導入してもよい。そして抽出室11の圧力は、両方の物質の混合した効果によって定められる。
考えられる解決策によると、本発明の注出方法では、リアルタイムに、かつ、使用者からの命令18、センサ16が検出する物理パラメータ、及び相関マップ19に関連させて、必要な種類の液体コーヒーを供給するのに必要なエネルギーを最小化する機能パラメータ20を同定する。
考えられる解決策によれば、本発明の注出方法では、同定された、エネルギーを最小化するような機能パラメータ20を用いて、制御・指令ユニット17が少なくともポンプ12、加熱装置14、及び注出弁15の機能を調整する。
考えられる解決策によると注出方法は、相関マップ19の一つ以上のファンクションゾーンを同定し、そこでは、機能パラメータ20は非線形ファンクション発展(展開)を有する。
ファンクションゾーン、もしくは機能パラメータ20の非線形関数の展開を有するゾーンが同定されるようになっている場合、本発明の注出方法では、回路22の部品を最適化及び管理するために、機能パラメータ20の非線形ゾーンを線形展開で近似し得る。
考えられる解決策によると、本発明の注出方法では、制御・指令ユニット17は、少なくともポンプ12と、加熱装置14と、注出弁15を、同定された非線形ファンクション発展を有する機能パラメータ20で駆動させないようにする。
また、考えられる形成では、本発明は、記載されている注出方法を実施することが可能なコーヒーディスペンサー10を管理及び制御するための、プロセッサプログラム21に関する。
考えられる解決策によると、管理及び制御プログラム21は、リアルタイムに、そして、使用者からの命令18とセンサ16が検出する物理パラメータと相関マップ19に関連させて、要求された種類のコーヒーを注出するのに必要なエネルギーを最小とする、少なくともポンプ12と、加熱装置14と、注出弁15の機能パラメータ20を同定することが可能である。この管理及び制御プログラム21は、同定された機能パラメータ20で、少なくともポンプ12と、加熱装置14と、注出弁15を駆動させるように、制御・指令ユニット17を調整することが可能である。
可能な実施例によれば、管理及び命令プログラム21は、相関マップ19の一つ以上のファンクションゾーンを同定するように構成され、そこでは、機能パラメータ20が非線形ファンクション発展を有する。
管理及び制御プログラム21は、これらの機能ゾーンに関する機能パラメータ20で、少なくともポンプ12と、加熱装置14と、注出弁15を駆動しないように、制御・指令ユニット17を調整するように構成され得る。
管理及び制御プログラム21は、少なくともポンプ12と、加熱装置14と、注出弁15を、非線形ファンクション発展を有し、かつ線形化された機能パラメータ20で駆動するよう制御・指令ユニット17を調整するように構成され得る。
本発明の分野及び範囲を逸脱しない範囲で、これまで記載された、コーヒーディスペンサー10、注出方法、及び管理及び制御プログラム21に、変更を加えたり、部品を追加することが可能であることは明白である。
可能な実施例によると、飲料を準備するためのモジュラ装置26(図3)に取り外し可能な方法で機能的に接続可能な液体コーヒーの自動的に準備するためのモジュールとして、ディスペンサー10を使用することができる。
個々の自動準備モジュールは、自律式であり、モジュラ装置26はそれぞれに異なる飲料を準備することも可能である。
一つ以上の自動準備モジュールが設置されない場合でも、モジュラ装置26は機能するように構成される。
本発明によるディスペンサー10が自動準備モジュールとして使用される場合、制御・指令ユニット17は、ディスペンサー10それぞれの機能を管理する。
可能な実施例によれば、モジュラ装置26は、個々の制御・指令ユニット17と同じようにモジュラ装置26に接続される個々のモジュールの機能を管理するように構成される、広範な制御及び管理装置27を備えることができる。
可能な実施例によれば、モジュラ装置26は、湯及び/又は蒸気28を供給するための機器を備えることができる。
いくつかの具体例を参照して本発明を説明したが、当業者がコーヒーディスペンサー10、注出方法、並びに管理及び制御プログラム21の多くの他の同等の形状を達成することが確実に可能であることは明白でもある。そして、請求項にて説明されるような特徴を有し、それ故、すべてが本明細書により定められる保護範囲である。

Claims (15)

  1. 液体コーヒーを注出するコーヒーディスペンサーであって、前記コーヒーディスペンサーは、
    圧力を加え制御された量の水を供給するように構成されるポンプ(12)と、
    前記ポンプ(12)により供給される水を加熱するように構成される加熱装置(14)と、
    前記加熱装置(14)の下流に位置し、所望量のコーヒー豆粉末を収容するように構成される抽出室(11)と、
    比例型であり、前記抽出室(11)から出てくる前記液体コーヒーの注出流の制御するために選択的な調節が可能な注出弁(15)と、を少なくとも含む回路(22)を備え、
    前記コーヒーディスペンサーは、前記回路(22)の少なくとも一つの機能パラメータ(20)を検出するように構成されたセンサ(16)と、利用者が複数の液体コーヒーレシピから一つを選択することができるユーザインターフェース(37)と、前記液体コーヒーの特性抽出曲線(43)のリストを記憶する記憶装置(45)と、を備え、前記特性抽出曲線(43)はそれぞれ、前記レシピのうち一つに関連付けられており、
    前記センサ(16)は、前記回路(22)の前記少なくとも一つの機能パラメータ(20)を注出中に繰り返し検出するように構成されており、
    前記コーヒーディスペンサーは、制御・指令ユニット(17)を備え、前記制御・指令ユニット(17)は、
    前記回路(22)の機能を数学的に記述するように構成された、結合された変数を有する非線形数学モデル(38)と、
    前記センサ(16)が検出する前記少なくとも一つの機能パラメータ(20)を受け取るように構成され、前記回路(22)の経時的挙動に記述する複数のシステム変数(40)を、注出中に繰り返し、前記数学モデル(38)に基づいて確定するように構成された処理及びフィルタリングアルゴリズム(39)と、
    選択された前記システム変数(40)と前記特性抽出曲線(43)との偏差を注出中に繰り返し、比較及び同定するように構成され、そして、少なくとも前記ポンプ(12)と、前記加熱装置(14)と、前記注出弁(15)の指令信号(44)を、注出中に繰り返して出力するように構成される非線形制御アルゴリズム(42)とを実行するように構成されることを特徴とする、コーヒーディスペンサー。
  2. 前記数学モデル(38)は、検出された前記機能パラメータ(20)を処理するためのニューラルネットワーク(41)を実行するように構成され、前記システム変数(40)を確定するように構成されることを特徴とする請求項1記載のコーヒーディスペンサー。
  3. 前記数学モデル(38)が、前記回路(22)の物理的な事象を決定し、前記システム変数(40)を確定するために用いる複数の非線形の第1原理方程式を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のコーヒーディスペンサー。
  4. 前記数学モデル(38)が、前記システム変数(40)を互いに関連させるように構成される複数の相関マップ(19)を備えるか又は実施することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項記載のコーヒーディスペンサー。
  5. 前記処理及びフィルタリングアルゴリズム(39)は、前記センサ(16)が検出した機能パラメータ(20)の外乱及び不安定をフィルタリングするように構成される1つ以上のフィルタを備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載のコーヒーディスペンサー。
  6. 前記処理及びフィルタリングアルゴリズム(39)は、アンセンテッドカルマンフィルタを備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載のコーヒーディスペンサー。
  7. 前記非線形制御アルゴリズム(42)は、適応タイプのモデル予測制御を備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項記載のコーヒーディスペンサー。
  8. 前記ポンプ(12)は、マイクロギアタイプであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項記載のコーヒーディスペンサー。
  9. 前記加熱装置(14)は急速タイプであり、水の温度を所望の温度に到達させるために、加熱時間を3秒未満、好ましくは2秒未満とするように構成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項記載のコーヒーディスペンサー。
  10. 前記注出弁(15)は、パルス幅変調ロジック(PWM)によって機能する弁であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項記載のコーヒーディスペンサー。
  11. 前記注出弁(15)は、電磁駆動弁であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項記載のコーヒーディスペンサー。
  12. 回路(22)を介して液体コーヒーを注出する方法であって、前記方法は、
    ポンプ(12)を用いて圧力を加え制御された量の水を供給するステップと、
    加熱装置(14)で、前記ポンプ(12)から供給される水を加熱するステップと、
    抽出室(11)に所望量のコーヒー豆粉末を配置するステップと、
    前記ポンプ(12)から、前記抽出室に加熱された水を通過させるステップと、
    比例型であり、選択的に調節可能な注出弁(15)により、前記抽出室(11)から出てくる前記液体コーヒーの注出流を調整するステップと、
    センサ(16)によって、前記回路(22)の少なくとも一つの機能パラメータ(20)を検出するステップと、
    ユーザインターフェース(37)を用いて、前記液体コーヒーの複数のレシピから一つを選択し、前記液体コーヒーの特性抽出曲線のリストを記憶装置(45)に記憶するステップと、を備え、前記特性抽出曲線はそれぞれ前記レシピの一つに関連付けられており、
    前記センサ(16)は、前記回路(22)の前記少なくとも一つの機能パラメータ(20)を、注出中に繰り返して検出し、
    前記方法は、
    前記少なくとも一つの機能パラメータ(20)を受け取り、処理及びフィルタリングアルゴリズム(39)により、前記回路(22)の経時的挙動を記述する複数のシステム変数(40)を、注出中に繰り返し確定するステップを含み、前記システム変数はまた、結合された変数を備えた非線形数学モデルに少なくとも基づき確定されており、前記回路(22)の機能を数学的に記述するように構成されており、
    非線形制御アルゴリズム(42)によって、前記システム変数と、選択された前記特性抽出曲線との偏差を、注出中に繰り返し比較及び同定するステップと、
    少なくとも前記ポンプ(12)と、前記加熱装置(14)と、前記注出弁(15)の指令信号(44)を、注出中に繰り返して出力に送るステップと、を含むことを特徴とする、方法。
  13. 前記指令信号(44)は、前記数学モデル(38)へ入力されることを特徴とする請求項12記載の方法。
  14. 前記機能パラメータは、前記ポンプ(12)によって供給される水の流量を含み、
    前記流量は、20Hz〜50Hzのサンプリング周波数で前記センサ(16)によって検出されることを特徴とする請求項11又は12記載の方法。
  15. 前記機能パラメータは、前記回路(22)を移動する水の温度を含み、
    前記流量は、5Hz〜10Hzのサンプリング周波数で前記センサ(16)によって検出されることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか一項記載の方法。
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