JP2021502328A - 筋ジストロフィーを治療するためのエダサロネキセント投与計画 - Google Patents

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Abstract

本発明は、24時間中の最低12時間、対象における脂肪酸アセチル化サリチル酸塩の閾値血漿濃度、例えば少なくとも約20ng/mlの閾値血漿濃度を達成するのに有効である、脂肪酸アセチル化サリチル酸塩、例えばエダサロネキセントを用いて、対象における筋ジストロフィー、例えばデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を治療するための方法及び組成物を提供する。

Description

関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2017年11月6日に出願される米国仮特許出願第62/581,981号の優先権及び利点を主張し、その内容はその全体が参照により本明細書中に援用される。
発明の分野
[0002] 本発明は、筋ジストロフィーの分野、特にデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を治療するための方法、特にエダサロネキセント、脂肪酸サリチル酸コンジュゲートを用いてDMDを治療するための投与計画に関する。
背景
[0003] デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、劣性X連鎖遺伝を伴う、希少な、重篤な生命を脅かす変性神経筋疾患である。DMDは、ジストロフィン遺伝子における突然変異に起因して、幼児からの骨格筋機能の進行性増悪をもたらす、機能的ジストロフィンタンパク質の不在、又はほぼ不在によって特徴づけられる。標準治療における改善、例えばグルココルチコイドの使用にもかかわらず、DMDは、最終的に致死性の疾患のままであり、患者は通常、30歳までに呼吸不全又は心不全で死亡する。
[0004] DMDにおける機能的ジストロフィンの不在は、機械的ストレス、筋肉損傷、筋細胞の炎症、及び筋肉組織を再生させるための能力低下になりやすい筋線維をもたらす。NF−κBは、DMDにおいて活性化される転写因子のファミリーである。転写因子のNF−κBファミリーは、p50(NF−κB1)、p52(NF−κB2)、p65(RelA)、c−Rel及びRelBを含む。これらの核内因子は、NF−κB阻害因子IκB、例えば、IκBα、IκBβ、及びIκBによる複合体として、細胞質において不活性状態で維持される。不活性NF−κB複合体は、IKKβなどのキナーゼを介したIκBタンパク質のリン酸化により、細胞質から放出される。NF−κB活性を調節するキナーゼは、免疫応答又は細胞ストレスにより活性化される。したがって、IkB/p65/p50などの細胞質NF−κB複合体において、IkBは、IKKβなどのキナーゼを介してリン酸化されるようになり、NF−κBとp65/p50などの核との二量体対を放出する。核において、NF−κBは、アラキドン酸をプロスタグランジンH2(PGH2)に変換する酵素の1つであるシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)などの酵素に加えて、TNFα、IL−6、及びIL−1βのようなサイトカインなどの炎症誘発性因子の遺伝子発現を制御する。これらの因子は、様々な組織における炎症を誘導する。さらに、放出される細胞内容物及びNF−κB核内因子に応じて、NF−κBは、抗炎症性遺伝子の発現を引き起こし得る。これらの経路は生物の生存及び適応に必須であるが、NF−κB系の慢性活性化は、制御されない炎症性病理をもたらす。そのことは、NF−κBの慢性活性化がジストロフィーマウス及びDMD患者の筋肉において生じる場合のジストロフィン欠損筋肉にも該当する。
[0005] DMD患者において、NF−κBの活性化は、典型的には、他の臨床症状の発症前に筋肉組織内に認められる。さらに、DMD患者の免疫細胞及び変性する筋線維は、活性化NF−κBのレベル上昇を示す。証拠はまた、機械的ストレスが筋肉におけるNF−κBを活性化し、且つNF−κB媒介炎症を駆動することを示唆する。機械的ストレス及び炎症の増加とともに、筋肉、例えば四頭筋及び大腿屈筋において、筋肉のより迅速な変質が認められる。
[0006] エダサロネキセントは、専ら細胞内の脂肪酸ヒドロラーゼによる加水分解を受けやすいリンカーにより一緒にコンジュゲートされた、NF−κBの活性化を個別に阻害する、多価不飽和脂肪酸(PUFA)及びサリチル酸を含む、経口的に生体利用可能なNF−κB阻害剤である。これらの化合物は、インビトロでNF−κB活性化を阻害することが示されており、さらに長期治療により、DMDのmdxマウス及びゴールデンレトリーバー筋ジストロフィー(GRMD)イヌモデルの双方の表現型が改善される(Hammers et al. (2016) JCI INSIGHT 1(21):e90341)。
[0007] 現在までの進歩にもかかわらず、患者における筋ジストロフィー、例えばDMDを治療するための改善された方法、例えばNF−kB阻害剤によりDMDを治療するための方法が依然として求められている。
概要
[0008] 本発明は、筋ジストロフィー、例えばデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を治療するための方法及び組成物を提供する。本発明は、部分的には、脂肪酸アセチル化サリチル酸塩、例えばエダサロネキセントを用いて対象におけるDMDを治療するとき、脂肪酸アセチル化サリチル酸塩が、血漿中の脂肪酸アセチル化サリチル酸塩の最大濃度であるか、又は脂肪酸アセチル化サリチル酸塩への総曝露でなく、対象における閾値血漿濃度であるか、又はそれを超えるような期間にかけて有効性が駆動されるという発見に基づく。
[0009] したがって、一態様では、本発明は、それを必要とする対象における筋ジストロフィー、例えばデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を治療する方法を提供する。該方法は、24時間中の最低12時間、少なくとも約20ng/mlの、対象における化合物の閾値血漿濃度を達成するのに有効である、式I
Figure 2021502328

の構造を有する化合物又はその薬学的に許容できる塩の投与計画を対象に施すことを含む。特定の実施形態では、閾値血漿濃度は、約20ng/ml〜約200ng/mlである。特定の実施形態では、該化合物は、24時間中の、少なくとも約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、又は約24時間、閾値濃度である又はそれを超える。
[0010] 特定の実施形態では、投与計画は、1日あたり1回、2回又は3回用量の化合物を含む。特定の実施形態では、各用量が、該化合物の約25mg/kg〜約100mg/kgを含む。特定の実施形態では、各用量が、該化合物の約25mg/kg〜約50mg/kgを含む。特定の実施形態では、各用量が、該化合物の約20mg/kg〜約40mg/kgを含む。特定の実施形態では、全一日量は、約100mg/kg〜約200mg/kg、又は約100mg/kg〜約150mg/kg、例えば100mg/kg又は133mg/kgを含む。特定の実施形態では、全一日量は、約100mg/kgを含む。特定の実施形態では、全一日量は、約90mg/kg〜約110mg/kgを含む。特定の実施形態では、全一日量は、該化合物の100mg/kg±5%、100mg/kg±10%、100mg/kg±15%、又は100mg/kg±20%を含む。
[0011] 特定の実施形態では、投与計画は、1日あたり3回用量を含む。特定の実施形態では、3回用量は、該化合物の等量を含む、例えば、各用量が、該化合物の約25mg/kg〜約50mg/kgを含む、又は例えば、各用量が、該化合物の約33mg/kgを含む。
[0012] 特定の実施形態では、第1用量及び第2用量は、該化合物の第3用量よりも少量を含む、例えば、第1用量及び第2用量は、該化合物の第3用量の約半量を含む。例えば、特定の実施形態では、第1用量及び第2用量は、該化合物の約25mg/kg〜約50mg/kgを含み、且つ第3用量は、該化合物の約50mg/kg〜約100mg/kgを含む、例えば、第1用量及び第2用量は、該化合物の約33mg/kgを含み、且つ第3用量は、該化合物の約67mg/kgを含む。
[0013] 特定の実施形態では、3回用量の少なくとも1回の用量が他の2回用量と異なる量である、例えば、各用量が、該化合物の約25mg/kg〜約50mg/kgを含む、又は例えば、各用量が、該化合物の約20mg/kg〜約40mg/kgを含む。一実施形態では、2回用量が等しく、且つ1回用量が異なる。一実施形態では、すべての3回用量が異なる。
[0014] 特定の実施形態では、3回用量は等しく、式Iの化合物の250mg又は100mgを含有する剤形で投与される。特定の他の実施形態では、3回用量は等しくなく、式Iの化合物の250mg又は100mgを含有する剤形で投与される、例えば、2回用量が等しく、且つ1回用量が異なる、又は例えば、各用量が異なる。特定の実施形態では、3回用量は、該化合物の100mg/kg±5%、100mg/kg±10%、100mg/kg±15%、又は100mg/kg±20%の全一日量に等しい。特定の実施形態では、2回用量が750mgであり、且つ1回用量が500mgである。特定の実施形態では、全一日量は、6,000mgを超えない。
[0015] 特定の実施形態では、第1用量は午前中に投与され、第2用量は正午に投与され、且つ第3用量は夜間に投与される。特定の実施形態では、各用量は食物とともに、例えば食事時に投与される。例えば、特定の実施形態では、第1用量は、朝食時に投与され、第2用量は昼食時に投与され、且つ第3用量は夕食時に投与される。特定の実施形態では、2回用量が、朝食及び夕食とともに投与され、それらは昼食とともに投与される用量よりも多い。特定の実施形態では、該用量は、少なくとも8gの脂肪を含有する食物又は食事とともに投与される。
[0016] 特定の実施形態では、該化合物は、医薬組成物、例えば50〜70重量%の化合物を含む組成物で投与される。該組成物は、例えば、グリセリルモノオレエート(タイプ40)、ポリソルベート80、ポリエチレングリコール400、又はDL−α−トコフェロールの1つ以上をさらに含んでもよい。特定の実施形態では、該組成物は、カプセル剤として製剤化される。特定の実施形態では、該化合物は、経口的に投与される。
[0017] 特定の実施形態では、該方法は、四頭筋における炎症を少なくとも20%低減し、且つ/又は四頭筋における線維症を少なくとも20%低減する。
[0018] 別の態様では、本発明は、50〜70重量%の式I
Figure 2021502328

の構造を有する化合物又はその薬学的に許容できる塩、並びに任意選択的には、溶媒又は希釈剤(例えば、グリセリルモノオレエート(タイプ40));界面活性剤(例えば非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80);共溶媒(例えばポリエチレングリコール400);及び抗酸化剤(例えば、DL−α−トコフェロール)の1、2、3、又は4を含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態では、溶媒又は希釈剤は、グリセリルモノオレエート(タイプ40)である。特定の実施形態では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80である。特定の実施形態では、共溶媒は、ポリエチレングリコールである。特定の実施形態では、抗酸化剤は、DL−α−トコフェロールである。
[0019] 本発明の様々な態様及び実施形態は、以下により詳細に説明される。本明細書に記載される場合に類似又は相当する方法及び材料は、本発明の実施又は試験にて用いることができるが、例示的な方法及び材料がここで説明される。本発明の他の特徴、対象、及び利点は、説明及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。本明細書及び添付の特許請求の範囲では、単数形は、文脈が特に明示しない限り、複数も含む。
図面の簡単な説明
[0020]食餌中の1.5%エダサロネキセントの用量の投与を受けたC57BL/6マウスの血漿及び骨格筋におけるエダサロネキセントの濃度レベルの折れ線グラフを示す。 [0021]1回の経口一日量として450mg/kgのエダサロネキセント、3回の経口一日量の150mg/kgのエダサロネキセント(450mg/kgの全一日量に対応)、又は2回の経口一日量の150mg/kgのエダサロネキセント及び1回の経口一日量の300mg/kgのエダサロネキセント(600mg/kgの全一日量に対応)の投与を受けたC57BL/6マウスにおけるエダサロネキセントの血漿濃度レベルを示す折れ線グラフである。 [0022]食餌中の1%エダサロネキセントの用量の投与を受けたmdxマウスにおける四頭筋の筋炎(左)及び線維症(右)を表す棒グラフを示す。 [0023]1回の経口一日量の450mg/kgのエダサロネキセント及び/又は食餌中の1%エダサロネキセントの用量の投与を受けたmdxマウスにおける四頭筋の筋炎(左)及び線維症(右)を表す棒グラフを示す。 [0024]1回の経口一日量の450mg/kgのエダサロネキセント、3回の経口一日量の150mg/kgのエダサロネキセント(450mg/kgの全一日量に対応)、又は2回の経口一日量の150mg/kgのエダサロネキセント及び1回の経口一日量の300mg/kgのエダサロネキセント(600mg/kgの全一日量に対応)の投与を受けたmdxマウスにおける四頭筋の筋炎(左)及び線維症(右)を表す棒グラフを示す。 [0025]1日2回の33mg/kg用量(67mg/kg/日の全一日量に対応)の投与を受けた、MoveDMD(登録商標)第2相試験からの対象におけるエダサロネキセント血漿濃度を示す。 [0026]1日3回の33mg/kg用量(100mg/kg/日の全一日量に対応)の投与を受けた、MoveDMD(登録商標)第2相試験からの対象におけるエダサロネキセント血漿濃度を示す。 [0027]エダサロネキセントの第1相及び第2相臨床試験からのデータを用いて開発された集団PKモデルに基づく、1日3回の33mg/kg用量(100mg/kg/日の全一日量に対応)、又は1日あたり2回の33mg/kg用量及び1回の67mg/kg用量(133mg/kg/日の全一日量に対応)を含む投与計画に対してモデル化されたエダサロネキセント血漿濃度レベルを示す。 [0028]エダサロネキセントの第1相及び第2相臨床試験からのデータを用いて開発された集団PKモデルに基づく、1日3回の33mg/kg用量(100mg/kg/日の全一日量に対応)、又は2回の33mg/kg用量(67mg/kg/日の全一日量に対応)を含む投与計画に対してモデル化されたエダサロネキセント血漿濃度レベルを示す。 [0029]MoveDMD第1相及び第2相臨床試験設計の模式図である。 [0030]33mg/kg、67mg/kg、又は100mg/kgの用量に曝露されるときの、ng/mL時間でのエダサロネキセントへの対象の一日曝露量を示す棒グラフである。 [0031]対象が33mg/kg、67mg/kg、又は100mg/kgの用量に曝露されたとき、24の異なるNF−κB調節及び炎症調節遺伝子転写物における(エダサロネキセント治療前の)1日目〜(エダサロネキセント治療の)7日目の間での発現レベルにおける変化を示す棒グラフである。各カラムは、個別の遺伝子転写物におけるデータを表す。 [0032]24の異なるNF−κB調節及び炎症調節遺伝子転写物における(エダサロネキセント治療前の)1日目〜(エダサロネキセント治療の)7日目の間での発現レベルにおける平均変化を、3回用量群(33mg/kg/日、67mg/kg/日、及び100mg/kg/日)における平均Cトラフ(ng/mL)に対して示すグラフである。 [0033]36週対照期間とその後の60週治療期間にわたる100mg/kg/日のエダサロネキセント投与群内の試験対象におけるノーススター歩行能力評価(North Star Ambulatory Assessment)スコアの平均変化率を示す折れ線グラフである。 [0034]36週対照期間とその後の60週治療期間にわたる100mg/kg/日のエダサロネキセント投与群内の試験対象における10メートル歩行/走行時間における平均変化率を示す折れ線グラフである。 [0035]36週対照期間とその後の60週治療期間にわたる100mg/kg/日のエダサロネキセント投与群内の試験対象における4階段昇降時間における平均変化率を示す折れ線グラフである。 [0036]36週対照期間とその後の60週治療期間にわたる100mg/kg/日のエダサロネキセント投与群内の試験対象における立ち上がり時間での時間における平均変化率を示す折れ線グラフである。 [0037]36週対照期間とその後の48週治療期間にわたる100mg/kg/日のエダサロネキセント投与群内の試験対象におけるMRI−T2値における年換算変化率を示す棒グラフである。 [0038]36週対照期間とその後の48週治療期間にわたる100mg/kg/日のエダサロネキセント投与群内の試験対象における脂肪画分値における変化を示す表である。 [0039]60週試験期間にわたる試験対象における拍動/分におけるベースラインからの心拍数変化を示す折れ線グラフである。 [0039]60週試験期間にわたる試験対象における身長パーセンタイルの変化を示す折れ線グラフである。 [0039]60週試験期間にわたる試験対象における肥満度指数(BMI)パーセンタイルの変化を示す折れ線グラフである。 [0039]60週試験期間にわたる試験対象における体重パーセンタイルの変化を示す折れ線グラフである。
詳細な説明
[0040] 本発明は、筋ジストロフィー、例えばデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を治療するための方法及び組成物を提供する。本発明は、部分的には、脂肪酸アセチル化サリチル酸塩、例えばエダサロネキセントを用いて対象におけるDMDを治療するとき、脂肪酸アセチル化サリチル酸塩が、血漿中の脂肪酸アセチル化サリチル酸塩の最大濃度又は脂肪酸アセチル化サリチル酸塩への総曝露でなく、対象における閾値血漿濃度である又はそれを超えるような期間にかけて有効性が駆動されるという発見に基づく。したがって、一態様では、本発明は、それを必要とする対象における筋ジストロフィー、例えばデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を治療する方法を提供する。該方法は、24時間中の最低12時間、少なくとも約20ng/mlの、対象における化合物の閾値血漿濃度を達成するのに有効である式I
Figure 2021502328

の構造を有する化合物又はその薬学的に許容できる塩の投与計画を対象に施すことを含む。
[0041] 特定の実施形態では、閾値血漿濃度は、約20ng/ml〜約200ng/mlである。例えば、特定の実施形態では、閾値血漿濃度は、約20ng/ml〜約200ng/ml、約20ng/ml〜約175ng/ml、約20ng/ml〜約150ng/ml、約20ng/ml〜約125ng/ml、約20ng/ml〜約100ng/ml、約20ng/ml〜約75ng/ml、約20ng/ml〜約50ng/ml、約20ng/ml〜約25ng/ml、約25ng/ml〜約200ng/ml、約25ng/ml〜約175ng/ml、約25ng/ml〜約150ng/ml、約25ng/ml〜約125ng/ml、約25ng/ml〜約100ng/ml、約25ng/ml〜約75ng/ml、約25ng/ml〜約50ng/ml、約50ng/ml〜約200ng/ml、約50ng/ml〜約175ng/ml、約50ng/ml〜約150ng/ml、約50ng/ml〜約125ng/ml、約50ng/ml〜約100ng/ml、約50ng/ml〜約75ng/ml、約75ng/ml〜約200ng/ml、約75ng/ml〜約175ng/ml、約75ng/ml〜約150ng/ml、約75ng/ml〜約125ng/ml、約75ng/ml〜約100ng/ml、約100ng/ml〜約200ng/ml、約100ng/ml〜約175ng/ml、約100ng/ml〜約150ng/ml、約100ng/ml〜約125ng/ml、約125ng/ml〜約200ng/ml、約125ng/ml〜約175ng/ml、約125ng/ml〜約150ng/ml、約150ng/ml〜約200ng/ml、約150ng/ml〜約175ng/ml、又は約175ng/ml〜約200ng/mlである。特定の実施形態では、閾値血漿濃度は、約200ng/ml、約175ng/ml、約150ng/ml、約125ng/ml、約100ng/ml、約75ng/ml、約50ng/ml、約25ng/ml、又は約20ng/mlである。本明細書に記載の活性薬剤、例えばエダサロネキセントの血漿濃度は、当該技術分野で公知の方法により、LC/MS/MS(液体クロマトグラフィー/質量分析/質量分析)により測定されてもよい。
[0042] 特定の実施形態では、該化合物は、24時間中の、少なくとも約12時間〜約24時間、約14時間〜約24時間、約16時間〜約24時間、約18時間〜約24時間、約20時間〜約24時間、約22時間〜約24時間、約12時間〜約22時間、約14時間〜約22時間、約16時間〜約22時間、約18時間〜約22時間、約20時間〜約22時間、約12時間〜約20時間、約14時間〜約20時間、約16時間〜約20時間、約18時間〜約20時間、約12時間〜約18時間、約14時間〜約18時間、約16時間〜約18時間、約12時間〜約16時間、約14時間〜約16時間、又は約12時間〜約14時間、閾値濃度である又はそれを超える。
[0043] 特定の実施形態では、該化合物は、24時間中の、少なくとも約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、又は約24時間、閾値濃度である又はそれを超える。
[0044] 本発明の様々な特徴及び態様は、以下により詳細に考察される。
I.定義
[0045] 本発明の理解を容易にするため、いくつかの用語及び語句が以下に定義される。
[0046] 本明細書で用いられるとき、用語「対象」及び「患者」は、互換可能に用いられ、本発明の方法及び組成物による治療対象である生物を指す。かかる生物は、好ましくは哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、雌ウシ、ブタ、又は非ヒト霊長類、例えば、サル、チンパンジー、ヒヒ、及びアカゲザル)、より好ましくはヒトである。
[0047] 本明細書で用いられるとき、語句「有効量」及び「治療有効量」は、有利な又は所望される結果をもたらすのに十分な化合物(例えば本明細書に記載の化合物)の量を指す。有効量は、1回以上の投与、適用又は用量で施すことができ、特定の配合又は投与経路に限定されることは意図されない。
[0048] 本明細書で用いられるとき、用語「医薬組成物」は、活性薬剤と、組成物を特にインビボ又は生体外で診断又は治療用途に適合させる、不活性又は活性の担体との組み合わせを指す。
[0049] 本明細書で用いられるとき、用語「薬学的に許容できる担体」は、標準の薬学的担体、例えば、リン酸緩衝食塩水溶液、水、エマルジョン(例えば、油/水又は水/油エマルジョンなど)、及び様々なタイプの浸潤剤のいずれかを指す。該組成物はまた、安定剤及び保存剤を含みうる。担体、安定剤及びアジュバントの例として、Martin, Remington’s Pharmaceutical Sciences, 15th Ed., Mack Publ. Co., Easton, PA (1975)を参照されたい。
[0050] 本明細書で用いられるとき、用語「薬学的に許容できる塩」は、開示化合物中に存在してもよい酸性基又は塩基性基の任意の塩を指し、ここで塩は薬学的投与に適合する。当業者に公知である通り、開示化合物の「塩」は、無機又は有機の酸及び塩基に由来してもよい。酸の例として、限定はされないが、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、琥珀酸、トルエン−p−スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸及びベンゼンスルホン酸が挙げられる。他の酸、例えばシュウ酸は、それ自体で薬学的に許容できないが、本明細書に記載の化合物及びそれらの薬学的に許容できる酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製において用いられてもよい。
[0051] 塩基の例として、限定はされないが、アルカリ金属(例えばナトリウム)水酸化物、アルカリ土類金属(例えばマグネシウム)水酸化物、アンモニア、及び式NW (式中、WはC1〜4アルキルである)の化合物などが挙げられる。
[0052] 塩の例として、限定はされないが、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、フルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、ウンデカン酸塩などが挙げられる。塩の他の例として、Na、NH 、及びNW (式中、WはC1〜4アルキル基でありうる)などの好適なカチオンと配合された本発明の化合物のアニオンなどが挙げられる。治療用途においては、本明細書に開示される化合物の塩が、薬学的に許容できるものとして検討される。
[0053] 用語「担体」は、賦形剤及び希釈剤を指し、医薬品を1つの臓器又は身体の一部から別の臓器又は身体の一部へ保有又は輸送することに関与する材料、組成物又は媒体、例えば、液体若しくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒又はカプセル封入材料を意味する。
[0054] 本明細書で用いられるとき、用語「治療すること」は、状態、疾患、障害などの改善をもたらす任意の効果、例えば、緩和、低減、調節、寛解若しくは排除すること、又はそれらの症状を寛解することを含む。治療は、障害を治癒すること、改善すること、又は少なくとも部分的に寛解することでありうる。特定の実施形態では、治療は、疾患を治癒することである。
[0055] 用語「障害」は、別段の指示がない限り、用語「疾患」、「状態」又は「疾病」を指し、互換可能に用いられる。
[0056] 本明細書に記載の方法及び組成物は、単独で又は他の治療薬及び/若しくは様式と組み合わせて用いることができる。「組み合わせ」投与されるという用語は、本明細書で用いられるとき、障害を有する対象が苦悩する期間、2つの(又はそれ以上の)異なる治療薬が対象に送達されることで、患者に対する治療の効果がある時点で重複することを意味すると理解される。特定の実施形態では、第1治療薬の送達が、第2治療薬の送達の開始時に依然として行われていることから、投与の観点で重複がある。これは時として、本明細書中で「同時」又は「併用送達」と称される。他の実施形態では、一方の治療薬の送達が、他方の治療薬の送達が開始する前に終了する。いずれかの場合の特定の実施形態では、その治療薬は、併用投与のため、より有効である。例えば、第2治療薬はより有効である、例えば第2治療薬の低減に伴い、同等の効果が見られる、又は第2治療薬が、第2治療薬が第1治療薬の不在下で投与された場合に見られる場合よりも症状を大幅に低減する、又は第1治療薬の存在下で同様の状況が見られる。特定の実施形態では、送達は、症状における低減、又は障害に関する他のパラメータが、一方の治療薬が他方の治療薬の不在下で送達される場合に認められる場合よりも大きい程度である。2つの治療薬の効果は、部分的に相加的でありうる、全体的に相加的でありうる、又は相加的を上回る可能性がある。送達は、送達される第1治療薬の効果が、第2治療薬が送達されるときに依然として検出可能である程度でありうる。
[0057] 「慢性投与」は、本明細書で用いられるとき、継続的、規則的、長期的な投与、即ち実質的中断を伴わない定期的投与を指す。例えば、患者における筋ジストロフィーを治療することを意図しての、少なくとも数週又は数か月又は数年の一時期にわたっての毎日が挙げられる。例えば、患者における筋ジストロフィーを治療することを意図しての、少なくとも数か月又は数年の一時期にわたっての毎週(例えば、少なくとも6週にわたって毎週、少なくとも12週にわたって毎週、少なくとも24週にわたって毎週、少なくとも48週にわたって毎週、少なくとも72週にわたって毎週、少なくとも96週にわたって毎週、少なくとも120週にわたって毎週、少なくとも144週にわたって毎週、少なくとも168週にわたって毎週、少なくとも180週にわたって毎週、少なくとも192週にわたって毎週、少なくとも216週にわたって毎週、又は少なくとも240週にわたって毎週)が挙げられる。
[0058] 「定期的投与」は、本明細書で用いられるとき、投与間にある間隔を伴うような投与を指す。例えば、定期的投与は、反復してもよい固定間隔(例えば、毎週、毎月)での投与を含む。
[0059] 特に定義されない限り、本明細書で用いられるすべての科学技術用語は、本発明が属する当業者によって周知される場合と同じ意味を有する。
[0060] 説明全体を通じて、組成物及びキットが特定成分を有する、含む(including)、若しくは含む(comprising)ものとして説明される場合、又はプロセス及び方法が特定ステップを有する、含む(including)、若しくは含む(comprising)ものとして説明される場合、さらに、本質的に列挙される成分からなる、又は列挙される成分からなる本発明の組成物及びキットが存在し、且つ本質的に列挙される処理ステップからなる、又は列挙される処理ステップからなる本発明に従うプロセス及び方法が存在すると考えられる。
[0061] 本願中で、要素若しくは成分が、列挙される要素若しくは成分のリストの中に含まれ、且つ/又はリストから選択される場合、要素若しくは成分が、列挙される要素若しくは成分のいずれか1つでありうる、又は要素若しくは成分が、列挙される要素若しくは成分の2つ以上からなる群から選択されうることは理解されるべきである。
[0062] さらに、本明細書に記載の組成物又は方法の要素及び/又は特徴が、本明細書で明示的又は暗示的にかかわらず、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく種々の方法で組み合わせ可能であることは理解されるべきである。例えば、特定化合物に対する参照がなされる場合、その化合物は、特に文脈から理解されない限り、本発明の組成物の様々な実施形態及び/又は本発明の方法において用いることができる。換言すれば、本願中で、実施形態は、文書化及び図面化されるべき明確且つ簡潔な適用を可能にするように説明及び描写されているが、実施形態が、本教示内容及び本発明から逸脱することなく、様々に組み合わされても又は分割されてもよいことは意図されており、理解されるであろう。例えば、本明細書に説明及び描写されるあらゆる特徴が、本明細書に説明及び描写される本発明のあらゆる態様に適用可能であることは理解されるであろう。
[0063] 冠詞「a」及び「an」は、文脈的に不適切でない限り、本開示中で1又は2以上(即ち少なくとも1)のその冠詞の文法的対象を指すように用いられる。例として、「an element」は、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。
[0064] 用語「及び/又は」は、特に指示されない限り、本開示中で、「及び」又は「又は」のいずれかを意味するように用いられる。
[0065] 表現「〜の少なくとも1つ」が、特に文脈及び使用から明白でない限り、個別に該表現に後続する列挙対象の各々及び列挙対象の2つ以上の様々な組み合わせを含むことは理解されるべきである。3つ以上の列挙対象と組み合わせた表現「及び/又は」は、特に文脈から明白でない限り、同じ意味を有するように理解されるべきである。
[0066] 用語「含む(include)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(have)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含有する(contain)」、「含有する(contains)」、又は「含有する(containing)」やその文法的均等物などの使用は、特に文脈から具体的に記述又は理解されない限り、一般にオープンエンドで非限定的であり、例えばさらなる列挙されない要素又はステップを排除しないものとして理解されるべきである。
[0067] 用語「約」の使用が定量値の前である場合、本発明はまた、特に具体的に記述されない限り、具体的な定量値自体を含む。本明細書で用いられるとき、用語「約」は、特に指示又は推定されない限り、名目値からの±10%の差異を指す。
[0068] 例えばポリマーについて、分子量が示され、絶対値でない場合、分子量は、特に文脈から記述又は理解されない限り、平均分子量であると理解されるべきである。
[0069] 本発明が作用可能性を維持する限り、ステップの順序又は特定の作用を実施するための順序が重要でないことは理解されるべきである。さらに、2つ以上のステップ又は作用は、同時に実施されてもよい。
[0070] 本明細書中でのありとあらゆる例、又は例示的用語、例えば「〜など」又は「〜を含む」の使用は、特許請求されない限り、あくまで本発明をより十分に例示することが意図され、本発明の範囲に制限を設けない。本明細書中の用語は、任意の特許請求されない要素を本発明の実施に不可欠なものとして示すように解釈されるべきではない。
[0071] 一般的事項として、百分率を特定する組成物は、特に指定されない限り、重量を基準とする。さらに、変数に定義を伴わない場合、変数の先行的な定義が制御する。
II.エダサロネキセント及び他のNF−κB阻害剤
[0072] NF−κB活性を阻害し、炎症を低減しうる脂肪酸アセチル化サリチル酸塩の例が、CAT−1004とも称されるエダサロネキセントである(Milne et al. (2014) NEUROMUSCULAR DISORDERS 24(9):825)。エダサロネキセントの[N−(2−[(4Z,7Z,10Z,13Z,16Z,19Z)−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミド(hexaenamido)]エチル)−2−ヒドロキシベンズアミド]は、サリチル酸とドコサヘキサエン酸(DHA)とがエチレンジアミンリンカーを介して共有結合的にコンジュゲートされ、これらの化合物双方がNF−κBを阻害する能力に相乗的に作用するように設計された小分子である。エダサロネキセントは、CAS登録番号1204317−86−1が割り当てられ、式I:
Figure 2021502328

の構造を有する。
[0073] エダサロネキセントは、mdxマウスにおいて筋肉再生を増強し、筋肉変性及び炎症を低減し、且つ筋肉機能を維持することが示されている(上記のMilne, J. et al., (2014))。mdxマウスに関する長期試験では、エダサロネキセント治療が、横隔膜機能の改善及び累積走行距離の増加をもたらす(上記のMilne, J. et al., (2014))。DMDのイヌモデルでは、p65サブユニットのDNAへの結合低下及び炎症性メディエーターTNF−αの分泌低下からも明らかなように、エダサロネキセントがNF−κB活性を低下させる。ヒトでは、エダサロネキセントの投与が、全血中での炎症のバイオマーカーの減少をもたらす。健常成人では、エダサロネキセント治療により、NF−κBのp65サブユニットのレベルが、プラセボ又は分離分子としてのサリチル酸塩及びω−3DHAによる治療と比べて低下する。
[0074] エダサロネキセントが、エダサロネキセントと構造的に類似するが、DHAがエイコサペンタエン酸(EPA)で置換された、CAT−1041として公知の構造的相同体で置換されてもよいと考えられる。mdxマウスに関する長期試験では、CAT−1041治療は、筋肉機能を維持し、骨格筋重量を増加させ、且つ筋肉線維症を低減する。CAT−1041はまた、mdxマウスにおける心筋症を低減することがある。
[0075] エダサロネキセントの例示的合成は、国際特許公開番号の国際公開第2010/006085A1号に記載されており、次のように表される。
Figure 2021502328
[0076] つまり、エチレンジアミンは、指標としてのブロモアレサールグリーン(bromoaresal green)を含有する水に溶解される。青色から淡黄色への移色が丁度なされるまで、メタンスルホン酸が水に添加される。溶液は、エタノールで希釈され、勢いよく撹拌される。混合物に、ジメトキシエタン中Cbz−CIの溶液及び50%w/vの水性AcOKが20℃で添加されると同時に、指標としての淡黄色−緑色が維持される。添加完了後、混合物は、撹拌され、低温・真空下で濃縮され、揮発物が除去される。残渣が水とともに振盪され、濾過される。次に、濾液がトルエンで洗浄され、余分な40%水性NaOHで塩基性化され、トルエンで抽出される。有機層が鹹水で洗浄され、NaSO上で乾燥され、蒸発され、2−アミノエチルカルバミン酸ベンジルが油として得られる。
[0077] 酢酸エチル中、2−アミノエチルカルバミン酸ベンジル、イミダゾール、サリチル酸の混合物に、酢酸エチル中DCCの溶液が添加される。混合物は、撹拌及び濾過される。溶液は低圧下で濃縮され、粗生成物がシリカクロマトグラフィーにより精製され、2−(2−ヒドロキシベンズアミド)エチルカルバミン酸ベンジルが白色固体として得られる。
[0078] MeOH中、2−(2−ヒドロキシベンズアミド)エチルカルバミン酸ベンジルとPd/Cとの混合物が、H雰囲気下で撹拌される。混合物は、濾過され、低圧下で濃縮される。粗生成物がシリカクロマトグラフィーにより精製され、N−2−(アミノエチル)2−ヒドロキシベンズアミドが白色粉末として得られる。
[0079] CHCN中、N−2−(アミノエチル)2−ヒドロキシベンズアミド、DHA及びEtNの混合物にHATUが添加される。混合物は、撹拌され、低圧下で濃縮される。残渣が鹹水で処理され、EtOAcで抽出される。組み合わせられた有機層が、1M HCl、鹹水、5%NaHCO及び鹹水で洗浄される。有機溶液は、MgSO上で乾燥され、低圧下で濃縮される。粗生成物がシリカクロマトグラフィーにより精製され、N−(2−ドコサ−4,7,10,13,16,19−ヘキサンアミドエチル)−2−ヒドロキシベンズアミドが淡黄色油として得られる。CAT−1041は、DHAがEPAで置換される以外は類似の手法により生成されてもよい。
III. 医薬組成物
[0080] エダサロネキセント、及び/又はCAT−1041は、送達、例えば経口送達又は皮下送達を容易にするため、1つ以上の薬学的に許容できる担体と配合されてもよい。
[0081] エダサロネキセント及び/又はCAT−1041の医薬組成物は、固体又は液体形態での投与、例えば、(1)経口投与、例えば、カプセル剤(水溶液若しくは非水溶液又は懸濁液)、錠剤、ボーラス、散剤、顆粒剤、及びペースト剤;(2)例えば無菌溶液若しくは懸濁液としての、例えば、皮下、筋肉内、静脈内若しくは硬膜外注射、又は徐放性製剤による非経口投与;(3)例えば、皮膚に適用される、クリーム、軟膏剤、又は徐放性パッチ若しくはスプレーとしての局所適用;(4)舌下;(5)経皮;又は(6)経鼻、に適応する場合を意図して製剤化されうる。
[0082] 組成物は、便宜的に単位剤形で存在可能であり、薬学分野で周知の任意の方法により調製されうる。単一剤形を作製するための、担体材料と組み合わせ可能な活性成分の量は、治療されている宿主、及び特定の投与様式に応じて変動することになる。組成物は、通常の混合、顆粒化又はコーティング方法に従って調製されうる。
[0083] 活性成分、例えばエダサロネキセントのカプセル剤、錠剤、又は他の固体剤形は、コーティング剤及び/又はシェル、例えば腸溶コーティング剤及び医薬製剤化分野で周知の他のコーティング剤を用いて調製されうる。それらはまた、例えば所望される放出特性をもたらすための様々な比率でのヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソーム及び/又は微粒子を用いて、それらの中の活性成分の緩徐な又は制御された放出をもたらすように製剤化されうる。それらは、例えば細菌保持フィルターによる濾過により、又は使用直前に、滅菌剤を、滅菌水、若しくはいくつかの他の無菌注射用培地に溶解可能な滅菌固体組成物の形態で組み込むことにより、滅菌されうる。これらの組成物はまた、任意選択的には、乳白剤を含有することができ、専ら又は優先的に活性成分を、任意選択的には遅延性に、胃腸管の特定部分に放出する組成物でありうる。活性成分、例えばエダサロネキセントの経口投与用の液体剤形は、薬学的に許容できるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤を含みうる。
[0084] 例示的な医薬組成物は、カプセル剤、例えばゼラチンカプセル剤、又は錠剤、例えばエダサロネキセント(本明細書に記載)、及び薬学的に許容できる担体、例えば、a)溶媒又は希釈剤;b)界面活性剤;c)共溶媒;又はd)抗酸化剤である。例示的な溶媒又は希釈剤は、精製水、トリグリセリド油、例えば水素化若しくは部分硬化植物油、又はそれらの混合物、トウモロコシ油、オリーブ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、EPA若しくはDHAなどの魚油、それらのエステル若しくはトリグリセリド若しくはそれらの混合物、又はグリセリルモノオレエート(タイプ40)を含む。例示的な界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリソルベート80、ポリソルベート20、臭化セチルトリエチルアンモニウム、ポリエチエレン(polyethyelene)オキシド−ポリプロピレンオキシド共重合体、クレモフォールEL、スパン80、スパン20、ツイーン20、ツイーン40、ツイーン60、ツイーン80、Brij L23、Brij 35、Labrasol、Plurol isostearique、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、PEG−35ヒマシ油(リシノール酸マクロゴールグリセロール)、PEG−40水素化ヒマシ油(ヒドロキシステアリン酸マクロゴールグリセロール)、ジエチレングリコール、モノエチルエーテル、1,2−オクタンジオール、Epikuron、1,2−プロパンジオール、ベンジルアルコール、エアロゾルOT、ドデシルグルコシド、コカミドプロピルベタイン、ホスファチジルコリン、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、カプリル酸/カプリン酸モノ/ジグリセリド、ポリソルベート、Brij、Tagat、イソプロピルアルコール、プロパノール、糖脂質、類脂質、ソジウムモノヘキシルホスフェート(sodium monohexylphosphate)、プロピレングリコール、n−ブタノール、グリセリルオレエート、ポリオキシル40脂肪酸誘導体、テトラグリコール、O−アルキルグリセロール、ドデシルグリセロール、テトラデシルグリセロール、タウロデオキシコール酸、スクロースモノラウレート、スクロースジラウレート、イソオクタノール、Epikuron、Oramix、1,2−ヘキサンジオール、ビス−2−(エチルヘキシル)スルホサクシネート、n−プロパノール、1,2−プロピレングリコール、グリセロールモノオレート、ヘキサノール、スクロースラウレート、Plurololeat、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、又はデカノールを含む。例示的な共溶媒は、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール3350、ポリエチレングリコール300、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコール、グリセリン、ジメチルイソソルビド、テトラヒドロフルフリルアルコールポリエチレングリコールエーテル、N−メチル−2−ピロリドン、1−メチル−2−ピロリジノン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、乳酸、グリコール酸、塩化メチレン、メチル−エチル−ケトン、酢酸エチル、又はメチレンジメチルエーテルを含む。例示的な抗酸化剤は、DL−α−トコフェロール、没食子酸プロピル、三次ブチルヒドロキノン(tBHQ)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)又はブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、亜硫酸ナトリウム、N−アセチルシステイン、アスコルビン酸、エデト酸、エデト酸ナトリウム、L−システイン、メタ重亜硫酸ナトリウム、グルタチオン、システイン、カプトプリル、N−アセチルシステイン、グルタチオン、Na−アスコルベート、L−システイン、Na2−EDTA、Na2−EDTA−Ca、メチマゾール、ケルセチン、アルブチン、アロエシン、N−アセチルグルコサミン(acetylglucoseamine)、α−トコフェリルフェルラ酸、MAP(Mgアスコルビルリン酸)、安息香酸ナトリウム、L−フェニルアラニン、DMSA(サクシマー)、DPA(D−ペニシラミン)、トリエンチン−HCl、ジメルカプロール、クリオキノール、チオ硫酸ナトリウム、TETA、TEPA、クルクミン、ネオクプロイン、タンニン、クプリゾン、亜硫酸水素ナトリウム、リポ酸、CB4、CB3、AD4、AD6、AD7、ビタミンE、ジ−tert−ブチルメチルフェノール、tert−ブチル−メトキシフェノール、ポリフェノール、トコフェロール、ユビキノン、又はコーヒー酸を含む。
[0085] エダサロネキセントはまた、リポソーム送達系、例えば、小型単層リポソーム、大型単層リポソーム及び多重膜小胞の形態で投与可能である。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン又はホスファチジルコリンを含有する種々のリン脂質から形成されうる。いくつかの実施形態では、脂質成分のフィルムは、米国特許第5,262,564号に記載の通り、本明細書に記載の類似体の水溶液で水和され、類似体を被包する脂質層が形成される。
[0086] 一般に非経口的注射投与が、皮下、筋肉内又は静脈内の注射及び注入のため、用いられる。注射剤は、通常の形態で、注射前の液体への溶解に適した溶液又は懸濁液又は固体形態のいずれかとして調製されうる。
[0087] 本医薬組成物は、重量又は体積を基準として約0.1%〜約80%、約5%〜約60%、又は約1%〜約20%の活性成分、例えばエダサロネキセントを含有しうる。特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、約50%〜約70重量%の活性成分を含有する。例えば、医薬組成物は、重量を基準として約50%〜約65%、約50%〜約60%、約50%〜約55%、約55%〜約70%、約55%〜約65%、約55%〜約60%、約60%〜約70%、約60%〜約65%、又は約65%〜約70%の活性成分、例えばエダサロネキセントを含有してもよい。
[0088] 特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、溶媒又は希釈剤(例えば、グリセリルモノオレエート(タイプ40));界面活性剤(例えば非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80);共溶媒(例えば、ポリエチレングリコール400);及び抗酸化剤(例えば、DL−α−トコフェロール)の1、2、3つ又はそれ以上を含んでもよい。
[0089] 特定の例示的な剤形では、該組成物は、1kgあたり、500〜700gの活性成分、150〜250gのグリセリルモノオレエート(タイプ40)、100〜200gのポリソルベート80、10〜70gのポリエチレングリコール400、及び0.5〜5gのDL−α−トコフェロールを含む。
[0090] 特定の例示的な剤形では、該組成物は、1kgあたり、550〜650gの活性成分、175〜230gのグリセリルモノオレエート(タイプ40)、130〜180gのポリソルベート80、20〜60gのポリエチレングリコール400、及び1〜4gのDL−α−トコフェロールを含む。
[0091] 特定の例示的な剤形では、該組成物は、1kgあたり、550〜625gの活性成分、170〜220gのグリセリルモノオレエート(タイプ40)、130〜170gのポリソルベート80、20〜60gのポリエチレングリコール400、及び1〜4gのDL−α−トコフェロールを含む。
[0092] 特定の例示的な剤形では、該組成物は、1kgあたり、585〜615gの活性成分、180〜220gのグリセリルモノオレエート(タイプ40)、140〜180gのポリソルベート80、20〜60gのポリエチレングリコール400、及び1〜4gのDL−α−トコフェロールを含む。
[0093] 特定の例示的な剤形では、該組成物は、1kgあたり、590〜610gの活性成分、180〜220gのグリセリルモノオレエート(タイプ40)、140〜180gのポリソルベート80、20〜60gのポリエチレングリコール400、及び1〜4gのDL−α−トコフェロールを含む。
[0094] 特定の例示的な剤形では、該組成物は、1kgあたり、585〜650gの活性成分、180〜250gのグリセリルモノオレエート(タイプ40)、140〜200gのポリソルベート80、20〜60gのポリエチレングリコール400、及び1〜4gのDL−α−トコフェロールを含む。
III. 治療用途
[0095] 本発明は、それを必要とする対象における筋ジストロフィー、例えばデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を治療するための方法及び組成物を提供する。
[0096] 特定の実施形態では、治療は、疾患進行を遅らせ、歩行運動の低下を緩徐化又は低減し、筋炎を低減し、筋肉損傷を低減し、筋肉機能を改善し、肺機能の低下を低減し、且つ/若しくは筋肉再生を増強するか、又はそれらのいずれかの組み合わせを施す。特定の実施形態では、治療は、疾患進行を維持する、遅くする、又は緩徐化する。特定の実施形態では、治療は、歩行運動を維持する、又は歩行運動の低下を低減する。特定の実施形態では、治療は、肺機能を維持する、又は肺機能の低下を低減する。特定の実施形態では、治療は、例えば6分歩行テスト(6MWT)により測定されるとき、患者における安定歩行距離を維持する又は増加させる。特定の実施形態では、治療は、10メートル歩行/走行時間(即ち、10メートル歩行/走行テスト)を維持又は低減する。特定の実施形態では、治療は、仰臥位からの立ち上がり時間(即ち、立ち上がり時間テスト)を維持又は低減する。特定の実施形態では、治療は、標準の4階段昇降時間(即ち、4階段昇降テスト)を維持又は低減する。特定の実施形態では、治療は、例えばMRI(例えば脚筋のMRI)により測定されるとき、患者における筋炎を維持又は低減する。特定の実施形態では、MRIは、筋肉変性を同定するため、T2及び/又は脂肪画分を測定する。MRIは、炎症、水腫、筋肉損傷及び脂肪浸潤によって引き起こされる筋肉構造及び組成における変化を同定可能である。特定の実施形態では、筋力は、ノーススター歩行能力評価により測定される。
[0097] 特定の実施形態では、治療は、筋炎を低減し、筋肉損傷を低減し、筋肉機能を改善し、且つ/又は筋肉再生を増強する。例えば、治療は、対象における炎症を安定化、維持、改善、又は低減することがある。治療はまた、例えば、対象における筋肉損傷を安定化、維持、改善、又は低減することがある。治療は、例えば、対象における筋肉機能を安定化、維持、又は改善することがある。さらに、例えば、治療は、対象における筋肉再生を安定化、維持、改善、又は増強することがある。特定の実施形態では、治療は、例えば磁気共鳴画像法(MRI)(例えば脚筋のMRI)により測定されるとき、患者における筋炎を維持又は低減する。
[0098] 特定の実施形態では、治療は、6分歩行テスト(6MWT)によって測定される。特定の実施形態では、治療は、10メートル歩行/走行テストによって測定される。特定の実施形態では、治療は、患者における筋炎における低減又は減少もたらす。特定の実施形態では、患者における筋炎は、MRIイメージングにより測定される。特定の実施形態では、治療は、4階段昇降テストにより測定される。特定の実施形態では、治療は、立ち上がり時間テストにより測定される。特定の実施形態では、治療は、ノーススター歩行能力評価により測定される。
[0099] 特定の実施形態では、患者は、仰臥位から独りで立ち上がる能力を失っている。特定の実施形態では、患者は、本発明の方法又は組成物による治療の少なくとも1年前に、仰臥位から独りで立ち上がる能力を失っている。特定の実施形態では、患者は、本発明の方法又は組成物による治療開始の1年内に、仰臥位から独りで立ち上がる能力を失っている。特定の実施形態では、患者は、本発明の方法又は組成物による治療開始の2年内に、仰臥位から独りで立ち上がる能力を失っている。
[00100] 特定の実施形態では、患者は、治療開始から少なくとも24週間、歩行運動を維持する。特定の実施形態では、患者は、治療開始直後少なくとも24週間、プラセボ対照と比べて、歩行運動の低下における低減を有する。
[00101] 特定の実施形態では、治療は、炎症のバイオマーカーに対して患者の血清をアッセイすることにより測定される。特定の実施形態では、治療は、炎症のバイオマーカーの1つ以上、又は組み合わせのレベルにおける低下をもたらす。例えば、特定の実施形態では、炎症のバイオマーカーは、サイトカイン(IL−1、IL−6、TNF−αなど)、C反応性タンパク質(CRP)、レプチン、アディポネクチン、及びクレアチンキナーゼ(CK)の1つ以上又は組み合わせである。特定の実施形態では、治療は、NF−κBのp65サブユニットのレベルを、プラセボによる治療と比べて低下させる。炎症のバイオマーカーは、当該技術分野で公知の方法により、例えば、Cruz-Guzman et al. (2015) BIOMED RESEARCH INTERNATIONAL 891972に記載の通りにアッセイされてもよい。
[00102] 特定の実施形態では、治療は、例えば6分歩行テスト(6MWT)(例えば、McDonald et al. (2010) MUSCLE NERVE 42:966-74に記載)により測定されるとき、患者における安定歩行距離を維持する又は増加させる。6分歩行距離(6MWD)における変化は、絶対値、百分率変化又は%予測値における変化として表されてもよい。特定の実施形態では、治療は、対象における6MWTにおける安定歩行距離を、健常なピアと比べて、20%の低下から維持又は改善する。6MWTにおけるDMD患者の健常なピアの典型的性能と比べた性能は、%予測値を計算することにより判定可能である。例えば、6MWDの%予測値は、男性における式:196.72+(39.81×年齢)−(1.36×年齢)+(132.28×メートル単位の身長)を用いて計算されてもよい。女性においては、6MWDの%予測値は、式:188.61+(51.50×年齢)−(1.86×年齢)+(86.10×メートル単位の身長)を用いて計算されてもよい(Henricson et al. (2013) PLOS CURR 5)。特定の実施形態では、アンチセンスオリゴヌクレオチドによる治療は、患者における安定歩行距離を、ベースラインから3超、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30又は50メートル(それらの間のすべての整数を含む)に増加させる。
[00103] DMDを有する患者における筋肉機能の低下は、正常な小児の成長及び発達というバックグラウンドに対して生じることがある。確かに、DMDを有する若年児は、進行性筋肉障害にもかかわらず、約1年の期間にわたり、6MWT中の歩行距離における増加を示すことがある。特定の実施形態では、DMDを有する患者からの6MWDは、典型的に発達している対照被験者並びに年齢及び性別適合対象からの既存の規範的データと比較される。特定の実施形態では、正常な成長及び発達は、規範的データにフィッティングされた年齢及び身長に基づく式を用いて説明することができる。DMDを有する対象において、かかる式を用いて、6MWDをパーセント予測(%予測)値に変換することができる。特定の実施形態では、%予測6MWDデータの分析は、正常な成長及び発達を説明するための方法を表し、早期年齢(例えば7歳以下)時の機能における利得が、DMDを有する患者における能力の改善よりむしろ安定性を表すことを示してもよい(Henricson et al. (2013) 上記)。
[00104] さらなる例示的な筋ジストロフィーは、ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)、先天性筋ジストロフィー、遠位筋ジストロフィー、エメリ・ドレフュス型筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、筋緊張性ジストロフィー及び眼咽頭型筋ジストロフィーを含む。
[00105] 特定の実施形態では、該方法は、四頭筋における炎症を少なくとも20%低減し、且つ/又は四頭筋における線維症を少なくとも20%低減する。
[00106] 本発明の方法及び組成物はまた、対象における炎症性疾患を治療するため、用いられてもよい。炎症は、炎症性疾患又は炎症が疾患の原因となる場合の疾患に関連しうる。身体組織の炎症が認められる場合、炎症性疾患が発生しうる。これらは、局所的炎症性応答及び全身性炎症を含む。かかる疾患の例として、限定はされないが、臓器移植片拒絶;限定はされないが、心臓、肺、肝臓及び腎臓といった臓器の移植を含む臓器移植に起因する再酸素負荷損傷(Grupp et al. (1999) J. MOL. CELL. CARDIOL. 31: 297-303);関節炎、関節リウマチ、変形性関節症及び骨再吸収の増加に関連した骨疾患を含む、関節の慢性炎症性疾患;回腸炎、潰瘍性大腸炎、バレット症候群、及びクローン病などの炎症性腸疾患;喘息、成人呼吸促迫症候群、慢性閉塞性気道疾患、及び嚢胞性線維症などの炎症性肺疾患;角膜異栄養症、トラコーマ、オンコセルカ症、ぶどう膜炎、交感神経性眼球炎及び眼内炎を含む眼の炎症性疾患;歯肉炎及び歯周炎を含む、歯肉の慢性炎症性疾患;尿毒症合併症、糸球体腎炎及びネフローゼを含む、腎臓の炎症性疾患;硬化性皮膚炎、乾癬及び湿疹を含む、皮膚の炎症性疾患;神経系の慢性脱髄性疾患、多発性硬化症、AIDS関連神経変性及びアルツハイマー病、感染性髄膜炎、脳脊髄炎、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、及びウイルス性又は自己免疫性脳炎を含む、中枢神経系の炎症性疾患が挙げられる。代謝疾患、例えばII型糖尿病;I型糖尿病の予防;脂質異常症(dyslipedemia);高トリグリセリド血症;糖尿病合併症、例えば限定はされないが、緑内障、網膜症、黄斑浮腫(macula edema)、腎症、例えば微量アルブミン尿及び進行性糖尿病性腎症、多発ニューロパチー、糖尿病性神経障害、アテローム硬化性冠動脈疾患、末梢動脈疾患、糖尿病性高血糖性高浸透圧性昏睡(nonketotic hyperglycemichyperosmolar coma)、単ニューロパチー、自律神経ニューロパチー、関節障害、及び皮膚又は粘膜合併症、例えば、感染、脛斑点、カンジダ感染又は糖尿病性リポイド類壊死症など;免疫複合体脈管炎、全身性エリテマトーデス;心筋症、虚血性心疾患、高コレステロール血症、及びアテローム性動脈硬化症などの心臓の炎症性疾患;並びに、子癇前症を含む有意な炎症性成分を有しうる様々な他の疾患;慢性肝不全、脳及び脊髄外傷、及びがん。炎症性疾患はまた、グラム陽性又はグラム陰性ショック、出血性若しくはアナフィラキシーショック、又は炎症促進性サイトカインに応答してがん化学療法によって誘発されるショック、例えば炎症促進性サイトカインに関連するショックによって例示される、身体の全身性炎症でありうる。かかるショックは、例えばがんに対する治療として施される化学療法剤により誘発されうる。他の障害として、抑うつ、肥満、アレルギー性疾患、急性心血管イベント、不整脈、突然死の予防、炎症性筋疾患、例えば、皮膚筋炎(dermatomositis)、封入体筋炎、及び多発性筋炎、がん悪液質、並びに手術及び外傷に起因する炎症が挙げられる。
[00107] 特定の実施形態では、本発明の方法又は組成物は、コルチコステロイドと組み合わせて施される。コルチコステロイドは、脊椎動物の副腎皮質において天然に生成されるステロイドホルモン及び実験室内で合成されるこれらホルモンの類似体を含む化学物質のクラスである。コルチコステロイドは、ストレス応答、免疫応答、並びに炎症、炭水化物代謝、タンパク質異化、血液電解質レベル、及び挙動の制御を含む、広範な生理学的プロセスに関与する。例示的なコルチコステロイドとして、ベタメタゾン、ブデソニド、コルチソン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、又はデフラザコートが挙げられる。特定の実施形態では、コルチコステロイドは、本発明の方法又は組成物に先立ち、それと併せて、又はそれに続いて投与される。
[00108] 特定の実施形態では、本発明の方法又は組成物は、例えば、エクソンスキッピング剤、エクソン51スキッピングに適合可能であるDMD遺伝子の確認された突然変異を有する患者におけるDMDの治療用に米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)によって認可されている、Exondys 51(登録商標)(エテプリルセン;米国特許第7,807,816号、米国特許第7,960,541号、米国特許第8,486,907号、米国特許第9,416,361号、及び米国特許第9,506,058号を参照)と組み合わせて施される。他のエクソンスキッピング剤、例えばエクソン45スキッピング剤、例えばSRP-4045(米国特許第8,524,880号、米国特許第9,447,415号及び米国特許第9228,187号を参照)、他のエクソンスキッピング剤、例えばドリサペルセン、及びエクソン53スキッピング剤、例えばSRP-4053(米国特許第8,455,636号、米国特許第9,024,007号、及び米国特許第9,416,361号を参照)は、本明細書に記載の活性成分、例えばエダサロネキセントと組み合わせて投与されてもよいと考えられる。
[00109] 特定の実施形態では、対象はヒトである。特定の実施形態では、対象は、7歳又はそれ以上である。特定の実施形態では、対象は、約6か月〜約4歳の間である。特定の実施形態では、対象は、約4歳〜7歳の間である。
IV. 投与
[00110] 活性成分、例えばエダサロネキセントを用いる投与計画は、患者のタイプ、種、年齢、体重、性別及び医学的状態;治療されるべき状態の重症度;投与経路;患者の腎臓又は肝臓機能;及び使用される特定化合物を含む種々の要素に応じて選択される。
[00111] 特定の実施形態では、患者に投与される脂肪酸アセチル化サリチル酸塩、例えばエダサロネキセントの用量は、約10mg/kg〜約500mg/kgの間(例えば、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、250、300、350、400、450、又は500mg/kg)を含む。特定の実施形態では、患者に投与される活性成分、例えばエダサロネキセントの用量は、約10mg/kg〜約100mg/kg、約10mg/kg〜約75mg/kg、約10mg/kg〜約50mg/kg、約10mg/kg〜約25mg/kg、約25mg/kg〜約100mg/kg、約25mg/kg〜約75mg/kg、約25mg/kg〜約50mg/kg、約50mg/kg〜約100mg/kg、約50mg/kg〜約75mg/kg、約75mg/kg〜約100mg/kg、又は約90mg/kg〜約110mg/kgを含む。特定の実施形態では、患者に投与される活性成分、例えばエダサロネキセントの用量は、約25mg/kg〜50mg/kgの間、例えば約33mg/kg、又は約50mg〜約100mg/kgの間、例えば約67mg/kgを含む。或いは、用量は、絶対項、例えば、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、500mg、550mg、600mg、650mg、700mg、750mg、800mg、850mg、900mg、950mg、1000mg、1500mg、2000mg、2500mg、3000mg、3500mg、4000mg、4500mg、5000mg、5500mg、6000mg、6500mg、7000mg、7500mg、8000mg、8500mg、9000mg、9500mg、又は10,000mgで投与されてもよい。特定の実施形態では、該用量は、100mg、250mg、500mg又は1000mgの活性成分、例えばエダサロネキセントを含有する1以上の剤形として投与される。例えば、一実施形態では、該剤形は、100mgのエダサロネキセントを含有する。別の実施形態では、該剤形は、250mgのエダサロネキセントを含有する。特定の実施形態では、全一日量は、約1500mg〜約3000mg又は約2000mg〜約3000mgである。特定の実施形態では、全一日量は、約500mg〜約1000mg又は約670mg〜約1000mgの範囲の3分割用量で送達される。
[00112] 特定の実施形態では、活性成分、例えばエダサロネキセントの用量は、1日1回、患者に投与される。特定の実施形態では、活性成分、例えばエダサロネキセントの用量は、1日2回以上、患者に投与される。例えば、特定の実施形態では、活性成分、例えばエダサロネキセントの用量は、例えば、1日2回、1日3回、又は1日4回、患者に投与される。
[00113] 1日あたり2回用量以上の活性成分、例えばエダサロネキセントが患者に投与される特定の実施形態では、各用量は、脂肪酸アセチル化サリチル酸塩の等量を含む。他の実施形態では、1回以上の用量は、活性成分、例えばエダサロネキセントのもう1つの用量と比べて異なる量を含んでもよい。
[00114] 特定の実施形態では、投与計画は、1日あたり3回用量を含む。特定の実施形態では、3回用量は該化合物の等量を含む、例えば各用量は、該化合物の約25mg/kg〜約50mg/kgを含む、例えば各用量は、該化合物の約33mg/kgを含む。特定の実施形態では、第1用量及び第2用量は、活性成分、例えばエダサロネキセントの第3用量よりも少ない量を含む、例えば第1用量及び第2用量は、活性成分、例えばエダサロネキセントの第3用量の約半量を含む。例えば、特定の実施形態では、第1用量及び第2用量は、該活性成分、例えばエダサロネキセントの約25mg/kg〜約50mg/kgを含み、且つ第3用量は、活性成分、例えばエダサロネキセントの約50mg/kg〜約100mg/kgを含む、例えば第1用量及び第2用量は、活性成分、例えばエダサロネキセントの約33mg/kgを含み、且つ第3用量は、活性成分、例えばエダサロネキセントの約67mg/kgを含む。特定の実施形態では、3回の一日量のうち、少なくとも1回の用量は、それ以外の1回用量と量が異なる。特定の実施形態では、3回の一日量のうち、2回は同じであり、且つ1回は異なる。例えば、特定の実施形態では、各用量は、約20mg/kg〜約40mg/kgを含む。例えば、2回用量が約37.5mg/kgを含む一方で、残りの用量は約25mg/kgを含む。特定の実施形態では、3回すべての用量が異なる。例えば、特定の実施形態では、各用量は、約20mg/kg〜約40mg/kgを含む。
[00115] 特定の実施形態では、第1用量は午前中に投与され、第2用量は正午に投与され、且つ第3用量は夜間に投与される。特定の実施形態では、各用量は食物とともに、例えば食事時に投与される。例えば、特定の実施形態では、第1用量は朝食時に投与され、第2用量は昼食時に投与され、且つ第3用量は夕食時に投与される。該用量が食物とともに摂取されるとき、食物含量は、活性化合物の吸収を容易にするように調整されてもよい。例えば、該用量は、高脂肪食とともに摂取されてもよい。例えば、一実施形態では、該用量は、少なくとも1g、少なくとも2g、少なくとも3g、少なくとも4g、少なくとも5g、少なくとも6g、少なくとも7g、少なくとも8g、少なくとも9g、少なくとも10g、少なくとも11g、少なくとも12g、少なくとも13g、少なくとも14g、少なくとも15g、少なくとも16g、少なくとも17g、少なくとも18g、少なくとも19g、又は少なくとも20gの脂肪を含有する食事とともに摂取される。1つの特定の実施形態では、該用量は、少なくとも8gの脂肪を含有する食事とともに摂取される。特定環境下で、同じ用量が朝食及び夕食とともに投与される一方で、より少ない用量が昼食とともに投与される。特定環境下で、3回の一日量が投与され、且つ該用量が等しくない場合、最小用量は昼食時に摂取される。特定の実施形態では、3回の一日量が投与され、且つ該用量が等しくない場合、最大用量は夕食時に摂取される。
[00116] 特定の実施形態では、患者に投与される活性成分、例えばエダサロネキセントの全一日量は、約20mg/kg〜約1000mg/kgの間(例えば、約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、又は1000mg/kg)を含む。特定の実施形態では、患者に投与される活性成分、例えばエダサロネキセントの全一日量は、約100mg/kg〜約200mg/kg、約100mg/kg〜約175mg/kg、約100mg/kg〜約150mg/kg、約100mg/kg〜約125mg/kg、約125mg/kg〜約200mg/kg、約125mg/kg〜約175mg/kg、約125mg/kg〜約150mg/kg、約150mg/kg〜約200mg/kg、約150mg/kg〜約175mg/kg、又は約175mg/kg〜約200mg/kgを含む。特定の実施形態では、活性成分、例えばエダサロネキセントの全一日量は、約100mg/kg〜200mg/kgの間、例えば約100mg/kg又は約133mg/kgを含む。
[00117] 特定の実施形態では、患者に投与される活性成分、例えばエダサロネキセントの全一日量は、約90mg/kg〜約110mg/kgを含む。特定の実施形態では、患者に投与される活性成分、例えばエダサロネキセントの全一日量は、100mg/kgを含む。特定の実施形態では、患者に投与される活性成分、例えばエダサロネキセントの全一日量は、全一日量の100mg/kg±5%を含む。特定の実施形態では、患者に投与される活性成分、例えばエダサロネキセントの全一日量は、全一日量の100mg/kg±10%を含む。特定の実施形態では、患者に投与される活性成分、例えばエダサロネキセントの全一日量は、全一日量の100mg/kg±15%を含む。特定の実施形態では、患者に投与される活性成分、例えばエダサロネキセントの全一日量は、全一日量の100mg/kg±20%を含む。
[00118] 特定の実施形態では、活性成分、例えばエダサロネキセントの全一日量は、3分割用量で患者に投与され、ここで3回用量の各々は、250mgの倍数(例えば、250mg、500mg、750mg、1000mg、1250mg、1500mg、1750mg、又は2000mgなど)又は100mgの倍数(例えば、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1000mg、1100mg、1200mg、1300mg、1400mg、1500mg、1600mg、1700mg、1800mg、1900mg、又は2000mgなど)のいずれかである。特定の実施形態では、該用量は、100mg又は250mgの活性成分、例えばエダサロネキセントを含有する1つ以上の剤形として投与される。特定の実施形態では、3分割用量は、同じであり、250mg又は100mgの倍数である。特定の実施形態では、3分割用量のうち、2回用量は等しく且つ1回用量は異なり、該用量は250mg又は100mgの倍数である。特定の実施形態では、3分割用量は各々異なるが、該用量は250mg又は100mgの倍数である。特定の実施形態では、3分割用量は同じであり、250mg又は100mgの倍数であり、100mg/kg±10%の全一日量を提供する。特定の実施形態では、3分割用量のうち、2回用量は等しく且つ1回用量は異なり、該用量は250mg又は100mgの倍数であり、また100mg/kg±10%の全一日量を提供する。特定の実施形態では、3分割用量は各々異なるが、該用量は250mg又は100mgの倍数であり、また100mg/kg±10%の全一日量を提供する。特定の実施形態では、3分割用量は同じであり、250mg又は100mgの倍数であり、また100mg/kg±15%の全一日量を提供する。特定の実施形態では、3分割用量のうち、2回用量は等しく且つ1回用量は異なり、該用量は250mg又は100mgの倍数であり、また100mg/kg±15%の全一日量を提供する。特定の実施形態では、3分割用量は各々異なるが、該用量は250mg又は100mgの倍数であり、また100mg/kg±15%の全一日量を提供する。特定の実施形態では、3分割用量は同じであり、250mg又は100mgの倍数であり、また100mg/kg±20%の全一日量を提供する。特定の実施形態では、3分割用量のうち、2回用量は等しく且つ1回用量は異なり、該用量は250mg又は100mgの倍数であり、また100mg/kg±20%の全一日量を提供する。特定の実施形態では、3分割用量は各々異なるが、該用量は250mg又は100mgの倍数であり、また100mg/kg±20%の全一日量を提供する。特定の実施形態では、活性成分、例えばエダサロネキセントの全一日量は、6000mgを超えない。
[00119] 本明細書に記載の方法及び医薬組成物は、筋ジストロフィーの治療のため、患者に慢性的に施されてもよい。例えば、該方法又は医薬組成物は、少なくとも数週又は数か月又は数年(例えば、少なくとも2週、4週、6週、8週、10週、12週、24週、36週、48週、72週、96週、120週、144週、168週、180週、192週、216週、又は少なくとも240週)の期間、施されてもよい。
[00120] 上記の通り、本明細書に開示される配合物又は製剤が、経口投与、非経口投与、全身投与、局所投与、直腸投与又は筋肉内投与されてもよい。それらは、典型的には各投与経路に適した形態で投与される。例えば、それらは、錠剤又はカプセル形態で、注射、吸入、目薬、軟膏剤、坐剤などにより投与される(注射、注入又は吸入による投与);ローション又は軟膏剤により局所投与される;また坐剤により直腸投与される。特定の実施形態では、活性成分、例えばエダサロネキセントは、好適な鼻腔内媒体の局所使用を介して、又は経皮経路を介して、当業者に周知の経皮皮膚パッチの形態を用いて、鼻腔内形態で投与されうる。特定の他の実施形態では、剤形は経口的に投与される。特定の実施形態では、剤形は、カプセル剤又は錠剤として経口的に投与される。
[00121] 特定の実施形態では、且つ実施例4に示される通り、3回の等用量(約33mg/kg)での100mg/kg/日のエダサロネキセントを用いたデュシェンヌ型筋ジストロフィーを患う小児の治療は、例えば、10メートル歩行/走行、4階段昇降、及び立ち時間の時間によって示される通り、疾患進行の臨床的に有意な緩徐化をもたらし、且つ無治療対照期間と比べて少なくとも60週の治療期間にわたり、ノーススター歩行能力評価(NSAA)スコアを安定化させる。
実施例
[00122] 本開示は、本明細書に記載の具体的手順に対する範囲又は精神において本開示を限定するものとして解釈されるべきでない、以下の実施例によりさらに例示される。実施例が、特定の実施形態を例示するために提供され、且つ本開示の範囲に対する限定がそれによって意図されるものでないことは理解されるべきである。
実施例1:C57BL/6マウスにおけるエダサロネキセント投与計画の薬物動態の評価
[00123] C57BL/6マウスに、それらの食餌中の且つ/又は経口経管栄養によるエダサロネキセントを投与した。薬物動態(PK)モデリングを用いて、エダサロネキセントヒト臨床試験にて試験している67mg/kg/日及び100mg/kg/日の用量に関して好適な投与量及びタイミングを同定した。具体的には、マウスに、それらの食餌中、1.5%エダサロネキセントを、1回の一日量として経口送達される450mg/kg/日、3回の等しい分割用量として経口送達される450mg/kg/日、又は2回の150mg/kg/用量と1回の300mg/kg/用量として経口送達される600mg/kg/日で投与した。3回の一日量を伴う投与計画においては、諸用量を7:00am、正午、及び5:00pmに送達した。
[00124] 各群における投与計画を表1に示す。各群は、マウス12匹を含んだ。
Figure 2021502328
[00125] 食餌中のエダサロネキセントを投与した動物においては、エダサロネキセント濃度は、LC/MS/MSにより、4時間ごとに24時間測定した(投与7日目に開始)。エダサロネキセントを経口投与した動物においては、エダサロネキセント濃度は、LC/MS/MSにより、投与後0.25、0.5、1、2、4、6及び24時間目に測定した(投与3日目に開始)。
[00126] 食餌中、1.5%エダサロネキセントの投与を受けた群1における指定の組織内でのエダサロネキセント濃度を図1に示し、且つこの群におけるPKパラメータを表2に示す。
Figure 2021502328
[00127] 治療群2(1回の一日量として経口送達される450mg/kg/日を投与)、群3(3回の等しい分割用量として経口送達される450mg/kg/日を投与)、及び群4(2回の150mg/kg/用量と1回の300mg/kg/用量として経口送達される600mg/kg/日を投与)における血漿エダサロネキセント濃度を図2に示し、且つこれらの群におけるPKパラメータを表3に示す。群2は、エダサロネキセントに対する間欠的な高曝露、及び群1で認められる場合よりも約2.5倍高い、1316時間ng/mLのAUCを示した。
Figure 2021502328
実施例2:mdxマウスにおけるエダサロネキセント投与計画の評価
[00128] 若いmdxマウスを、エダサロネキセントの様々な投与計画を用いて4週間処置した。mdxマウスは、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を試験するための有用な一般に認められた動物モデルである(Mann et al. (2001) PROC. NATL. ACAD. SCI. 98(1):42-7)。mdxマウスは、ジストロフィン遺伝子中の遺伝子突然変異に起因して、完全長ジストロフィンの発現が欠損している。
[00129] マウスに、それらの食餌中の且つ/又は経口経管栄養によるエダサロネキセントを投与した。具体的には、マウスに、それらの食餌中、1%エダサロネキセントを、1回の一日量として経口送達される450mg/kg/日、3回の等しい分割用量として経口送達される450mg/kg/日、及び/又は2回の150mg/kg/用量と1回の300mg/kg/用量として経口送達される600mg/kg/日で投与した。3回の一日量を伴う投与計画においては、諸用量を7:00am、正午、及び5:00pmに送達した。
[00130] 各処置群における投与計画を表4に示す。各処置群は、マウス10〜11匹を含んだ。
Figure 2021502328
[00131] 動物は、4週間処置し、屠殺し、組織を組織学的分析用に収集した。炎症及び線維症の評価においては、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)及びピクロシリウスレッド(コラーゲン)組織化学染色のため、四頭筋を処理した。各動物から、2〜4の完全な横断切片をImageJを用いてデジタル分析し、ヘマトキシリン染色した核の面積を炎症性浸潤の尺度度として判定し、そしてピクロシリウスレッド染色した面積を線維症の尺度度として判定した。
[00132] 治療群2における炎症及び線維症を組織化学染色によって測定したものを図3に示す。より高齢のマウスにおける先行試験を拡張し、若年mdxマウスにおいて、食餌中の1%エダサロネキセントにより、炎症及び線維症が低減された。実施例1からのPKデータと組み合わせると、これらの結果は、食餌中のエダサロネキセントの投与により、定常的な低曝露がもたらされ、炎症及び線維症が低減されたことを示す。
[00133] 治療群3、4、及び5における炎症及び線維症を図4に示す。結果は、治療群4が炎症又は線維症の有意な低減を引き起こさなかったことを示す。したがって、食餌中のエダサロネキセントの投与(群2;図3)が有効であった一方で、エダサロネキセントの1日1回の450mg/kg/用量での投与(群4;図4)は、実施例1におけるC57BL/6マウスにて観察すると、1日1回の450mg/kg/用量におけるAUCが約2.5倍より高いにもかかわらず、有効でなかった。これらの結果は、経口経管栄養によるエダサロネキセントへの間欠的な高曝露が有効でないことを示す。
[00134] 治療群6及び7における炎症及び線維症を図5に示す。結果は、投与頻度が有効性を駆動し、且つ1日3回投与による時間的範囲の増大が治療成績を改善したことを示す。エダサロネキセントの1日1回の450mg/kg用量での投与(群4;図4)は有効でなかったが、同じ全一日量における1日3回の150mg/kg用量での投与(群6;図5)は有効であり、これは2回の治療がC57BL/6マウスにおけるPK試験において類似する最大(C最大)及び最小濃度、並びに総薬物暴露量(AUC)をもたらすという事実に反した。最終一日量の倍加(群7)は、有効性をさらに駆動した。最終投与が長い一晩のトラフ期間中にさらなる曝露をもたらしたと考えられる。
[00135] まとめると、これらの結果は、C最大又は薬剤総曝露でなく、特定の薬物濃度閾値にわたる最大時間が、エダサロネキセントにおける有効性を主に駆動することを示唆する。
実施例3:ヒトエダサロネキセント投与計画のモデリング
[00136] エダサロネキセントは、安全で且つ十分に耐容性があることが示され、成人における3つのプラセボ対照試験を含む第1相臨床プログラムにおいて、活性化NF−κB経路を阻害した(Donovan et al. (2017) J. CLIN. PHARMACOL. 57(5): 627-639)。エダサロネキセントはまた、MoveDMD(登録商標)第2相試験(NCT02439216)及びその非盲検延長において、4〜7歳時に登録された、DMDに冒された男子における陽性治療効果を示している。
[00137] 図6及び図7は、MoveDMD(登録商標)第2相試験からの対象におけるエダサロネキセント血漿濃度を示す。対象には、(67mg/kg/日の全一日量に対する)1日2回の33mg/kg用量又は(100mg/kg/日の全一日量に対する)1日3回の33mg/kg用量を投与した。濃度測定値は、各群につき、毎日初回の33mg/kg用量後に取得した。
[00138] 第1相及び第2相エダサロネキセント臨床試験からのデータを用いて、集団PKモデルを開発した。血漿濃度及びPKパラメータは、3つの投与計画:(87mg/kgの全一日量に対する)1日2回の33mg/kg用量、(100mg/kg/日の全一日量に対する)1日3回の33mg/kg用量、又は(133mg/kg/日の全一日量に対する)1日あたり2回の33mg/kg用量及び1回の67mg/kg用量についてモデル化した。結果を図8及び9並びに表5に示す。
Figure 2021502328
[00139] 結果は、100mg/kg/日の投与計画(33mg/kg、TID)におけるC最小がmdxマウスモデルにおける有効レベルの範囲内にあり、且つ133mg/kg/日の投与計画を得るための夜間用量が閾値までの時間を増加させることを示す。さらに、図9に示す通り、100mg/kg(33mg/kg TID)用量は、67mg/kg(33mg/kg BID)用量と比べて、閾値までの時間における実質的増加をもたらす。
[00140] これらの結果は、本明細書の実施例1及び2からの結果と組み合わせると、均等に分割された100mg/kg/日の臨床用量(3回の33mg/kg用量)並びに不均等に分割された133mg/kg/日の臨床用量(1日あたり2回の33mg/kg用量及び1回の67mg/kg用量)を評価するための前臨床的サポートをもたらす。というのは、該データは、これらの用量が、ヒトにおける筋ジストロフィー、例えばDMDの治療における有効性を駆動する、閾値までの十分な時間をもたらすことがあることを示唆するためである。
実施例4:ヒトDMD患者におけるエダサロネキセントの評価
[00141] MoveDMD試験(図10参照)は、エダサロネキセントの有効性、安全性/耐容性、薬物動態(PK)、薬力学(PD)、及び用量反応を評価するように設計した。MoveDMD試験の第1相部は、2分割用量で投与される33及び67mg/kg/日、及び3分割用量で投与される100mg/kg/日での安全性、PK、及びPDを評価するための1週試験であった。
[00142] MoveDMD試験の第2相及び非盲検延長(OLE)部では、DMDを有する4〜7歳男子を登録した。第2相は、1日2回の33mg/kg(BID;67mg/kg/日;n=10)又は1日3回の33mg/kg(TID;100mg/kg/日;n=10)の投与、及びプラセボコホート(n=10)といった2つのコホートを伴う12週プラセボ対照試験であった。OLEにおける患者は、エダサロネキセントのいずれかの用法で継続した。
[00143] MoveDMD試験の第2相における投与計画は、(1)動物モデルにおいて認められる曝露/有効性の関係;(2)小児DMD患者における第1相の安全性、耐容性、及びPD;並びに(3)ヒトPKを含む非臨床及び臨床データに基づいて選択した。
[00144] 1日3回(TID)の33mg/kg(100mg/kg/日)で投与したエダサロネキセントは、エダサロネキセント治療前の対照期間中の変化率と比べて、60週を通じて筋肉機能の保存及びDMD疾患進行の緩徐化を示した。この100mg/kg/日の投与計画が、133mg/kg/日(朝食時、33mg/kg、昼食時、33mg/kg、及び夕食時、67mg/kg)を有する投与計画と同様に有効であり、副作用が低減されることもまた認められた。
4.A DMD患者における全身性曝露はNF−κB阻害が成人において認められたレベルに達する
[00145] 成人試験では、NF−κBに駆動される遺伝子の発現における変化が約100mg/kg/日の用量で、全血中で認められた。MoveDMD試験では、33mg/kg用量を1日2回(67mg/kgの総用量)又は1日3回(100mg/kgの総用量)投与したとき、全身性曝露がNF−κBが成人試験において認められるレベルに達した。図11は、NF−κB阻害を示す成人における平均一日曝露量と比べての第II相試験に登録された男子における一日曝露レベル(ng/ml時間)を示す。示されるように、67mg/kg/日及び100mg/kg/日の用量が、成人試験で示されたNF−κBの阻害に有効であるようなレベルと同等な一日曝露レベルをもたらす。
4.B DMD患者における持続的なエダサロネキセント曝露はNF−κB阻害に相関する
[00146] NF−κB阻害に対する所与のエダサロネキセント投与計画の効果を判定するため、いくつかのNF−κB調節及び炎症関連遺伝子転写物の発現レベルを、DMD患者からの全血サンプル中で測定した。
[00147] NF−kB調節及び炎症関連遺伝子は、Broad InstituteのHALLMARK TNF/NF−kB遺伝子セットから選択した(Liberzon, et. al., (2015), Cell Systems, 1(6):417-425)。エダサロネキセント治療の前と1週後、血液をDMD男子から採取し、PAXgene RNAチューブ(Qiagen)に収集した。RNAを抽出し、配列決定し、各患者における両時点における全血中での転写物の存在量を直接的に測定し、選択された転写物の各々における相対的変化を判定するため、治療1週後の転写物の存在量を治療前値と比較した。投与コホート内の全患者を通じての各遺伝子におけるこの比を平均化したものを、平均+/−平均値の標準誤差としてのカラムにより図12に示す。1未満の値は、エダサロネキセントによる1週治療後の転写物における減少を示す。
[00148] 図12に示す通り、100mg/kg/日の用量を投与した群にて測定した24の全転写物において統計学的に有意な減少が認められた一方で、67mg/kg/日の用量での減少は大して明白でなかった。33mg/kg/日の用量では、一般に減少が認められなかった。
[00149] 患者の中の24の全転写物の比についても平均化したものを、各個別患者からのこの平均を表す記号を用いて図13に示す。この平均は、各投与コホート内で平均エダサロネキセントCトラフ値に対してグラフ化した(x軸上にng/ml単位で示す)。
[00150] 図13は、33mg/kg/日、67mg/kg/日、及び100mg/kg/日のエダサロネキセント用量の各々における平均Cトラフレベル(ng/mL)に対する遺伝子転写物における平均倍数変化を示す。図13に示す通り、より高い平均Cトラフレベルは、NF−κB及び炎症関連遺伝子転写における最大の減少に相関する。特に、100mg/kg/日の用量は、33mg/kg/日及び67mg/kg/日の用量と比べて、最高のCトラフレベル及び関連遺伝子転写物における最大の減少を有し、エダサロネキセント治療の1週後、転写物の存在量における平均Cトラフレベルとの逆相関を示した。したがって、結果は、これら3つの投与計画の内、100mg/kg/日(33mg/kgで1日3回)が、DMD患者におけるNF−κB調節及び炎症関連遺伝子転写物を低減するのに最も有効であったことを示し、且つCトラフがエダサロネキセントの有効性のドライバーであることを示唆する。
4.C エダサロネキセント治療はDMDを有する男子におけるNSAA及び他の機能的尺度を安定化する
[00151] ノーススター歩行能力評価(NSAA)は、DMDを有する歩行する男子に特化して設計された検証された機能的尺度であり、若年男子における全体的機能を評価する。図14に示す通り、試験対象における疾患進行は、100mg/kg/日の治療期間(60週)中、無治療対照期間(エダサロネキセント投与期間前の36週)中でのNSAAスコアの変化率と比べて安定化するNSAAスコアによる評価として緩徐化した。
[00152] 10メートル歩行/走行、4階段昇降、及び立ち上がり時間は、DMDを有する男子における機能の尺度として用いられるすべての時間制限のあるテストである。これらのテストの各々において、図15〜17に示す通り、試験対象による、これらの身体的課題を完了する際の速度の平均変化率は、60週の100mg/kg/日でのエダサロネキセント治療期間中、無治療対照期間(治療期間前の36週)中の変化率と比べると安定化した。治療期間中、すべての時間制限のある機能試験値が安定化した。
[00153] したがって、これらの結果は、DMD患者の3回の33mg/kg用量での100mg/kg/日による治療が、60週の治療期間中、無治療対照期間と比べて、疾患進行の臨床的に有意な緩徐化をもたらすことを示唆する。
4.D エダサロネキセントはDMD試験対象におけるMRI T2レベルの変化率を有意に改善した
[00154] MRI(MRI−T;バルクTとも称される)により評価したMR横緩和時間定数は、DMDにおける疾患病理のいくつかの病態生理学的特徴、例えば、筋肉損傷、炎症、及び脂肪浸潤に対して感受性があり、広範な年齢範囲にわたり疾患病理を監視するための方法を提供する。さらに、ゴールドスタンダードなプロトンMRS(H−MRS)、又は3点Dixonイメージング技術を用いて測定した、筋肉における脂肪浸潤の割合(脂肪画分)は、疾患進行に関連し、機能試験についての性能に相関する。(Willcocks et al., (2016), ANN. NEUROL.,79(4):535-47; Barnard et al., (2018), PLOS ONE, 13(3):E0194283)。これらは、年齢とともに上昇・増加する、DMDにおける疾患進行の非侵襲的尺度であり;これら尺度における変化は、機能における変化と強力に相関し、機能的マイルストーンの将来的な欠如を予測する。
[00155] 図18に示す通り、試験対象における100mg/kg/日のエダサロネキセント治療期間(60週)中でのMRI−T2値の年換算変化率(ミリ秒/年)は、無治療期間(エダサロネキセント治療期間前の36週)中、変化率にわたって有意に改善した。MRI−T2値は、5つの下肢筋肉の複合であった。MRI−T2値の安定化は、先に考察した機能的評価を通じて認められたDMDの疾患進行に伴う緩徐化に合致する。
[00156] さらに、図19に示す通り、100mg/kg/日投与から48週後にMRスペクトロスコピーによって評価した、試験対象における脂肪画分の変化は、ヒラメ筋(子牛筋肉)において0.85%、外側広筋(四頭筋)において5.9%であった一方で、エダサロネキセント投与前の26週の無治療対照期間中、脂肪画分の変化は、ヒラメ筋において2.6%、外側広筋において10.4%であった。したがって、100mg/kg/日でのエダサロネキセントは、無治療期間と比べて、これらの筋肉における脂肪画分における増加の速度を低減するのに有効であった。これは、(試験対象の75%超が慢性ステロイド依存であるにもかかわらず)1年変化がヒラメ筋において3%、外側広筋において7%である場合のDMDの自然経過試験のイメージングにおける、脂肪画分で認められた変化をも超える改善である。
[00157] したがって、これらのMRI尺度は、DMDを患う男子における100mg/kg/日(3回用量の33mg/kg/日)で48週にわたる正のエダサロネキセント治療効果を支持する。
4.E エダサロネキセントは安全性シグナルを有さずに十分に耐容性があった
[00158] 試験対象における100mg/kgで投与されるエダサロネキセントの安全性に関して、有害な所見は認められなかった。該薬剤は、本質的に軽度であり、ほとんどが胃腸である有害事象の大部分に十分に耐容性があった。血液学、化学、腎臓又は副腎機能、又はカルシウム若しくはリン酸レベルにおける有害な傾向は認められなかった。図20に示す通り、試験対象の心拍数は年齢の規範値の方へ減少し、同じくらいの年齢の男子におけるCDC Growth Chartあたりのパーセンタイルに基づく、治療期間にわたる身長、体重、及び肥満度指数(BMI)における一定のパーセンタイルによって示される通り、身長及び体重における年齢に即した増加が認められた。
4.F 結論
[00159] これらのデータは、閾値にわたる持続的曝露及び時間が薬力学的シグナル及び有効性におけるドライバーであり、閾値レベルを超える持続的曝露が3回の33mg/kg用量での100mg/kg/日の場合に達成可能であり、且つこの投与が試験対象における無治療対照期間と比べて1年を超える疾患進行の臨床的に有意な緩徐化を示すことを実証する。
実施例5:DMDを有する小児におけるエダサロネキセントの投与計画
[00160] DMDを患っている体重が20kgの小児は、2,000mgの総用量をもたらす、一日量が100mg/kgのエダサロネキセントを処方してもよい。この総用量は、3回用量に分割する。第1用量は朝食とともに、第2用量は昼食とともに、且つ第3用量は夕食とともに経口摂取される。すべての用量は、吸収を助けるための少なくとも8gの脂肪を含有する食物とともに摂取される。用量を3回の等しい用量に分割することは望ましい一方で、エダサロネキセントが250mgカプセル剤で入手可能であることから、これは不可能である。カプセル剤の数を最小化するため、2,000mgの用量を、朝食時の750mg(3×250mgカプセル剤)、昼食時の500mg(2×250mgカプセル剤)、及び夕食時の750mg(3×250mgカプセル剤)として投与することが望ましいことがある。3回用量が不均等である場合、好ましくは、朝食時又は夕食時に1用量以上のより高い用量を投与し、且つ昼食時により低い用量を投与してもよい。
[00161] DMDを患っている体重が28kgの小児は、2,800mgの総用量をもたらす、一日量が100mg/kgのエダサロネキセントを処方してもよい。この総用量は、3回用量に分割する。第1用量は朝食とともに、第2用量は昼食とともに、且つ第3用量は夕食とともに経口摂取される。すべての用量は、吸収を助けるための少なくとも8gの脂肪を含有する食物とともに経口摂取される。用量を3回の等しい用量に分割することは望ましい一方で、エダサロネキセントが250mgカプセル剤で入手可能であることから、これは不可能である。したがって、2,800mg用量を3000mgに増加させ、朝食時の1,000mg(4×250mgカプセル剤)、昼食時の1,000mg(4×250mgカプセル剤)、及び夕食時の1,000mg(4×250mgカプセル剤)として投与することが可能である。したがって、カプセル剤において提供されるエダサロネキセントの量が理由で、総用量は3,000mgである。しかし、総実用量(3,000mg/日)は、推奨用量、即ち2800mg/日の10%超を超えることはない。この場合、実用量は、推奨用量よりも7.1%多い。代替的手法では、昼食時の4回目の250mgカプセル剤を100mgカプセル剤と交換することで、小児に、朝食とともに1,000mg、昼食とともに850mg、且つ夕食とともに1,000mgを投与し、2850mgの全一日量(その場合、実用量は2800mgの推奨用量よりも1.8%高い)を投与してもよい。
参照による援用
[00162] 本明細書で参照される特許及び科学文献の各々の全開示は、あらゆる目的で参照により援用される。
均等物
[00163] 本発明は、その精神又は本質的特徴から逸脱しない条件で、他の特定の形式で具体化されてもよい。したがって、前述の実施形態は、本明細書に記載の発明を限定するよりも、あらゆる観点で例示的なものとして考慮されるべきである。それ故、本発明の範囲は、前記説明によるものでなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の同等性の意味及び範囲の中でなされるあらゆる変更は、その中に包含されることが意図される。

Claims (40)

  1. 必要とする対象における筋ジストロフィーを治療する方法であって、24時間中の最低12時間、少なくとも約20ng/mlの前記対象における化合物の閾値血漿濃度を達成するのに有効である、式I
    Figure 2021502328

    の構造を有する前記化合物又はその薬学的に許容できる塩の投与計画を前記対象に施すことを含む、方法。
  2. 前記閾値血漿濃度が、約20ng/ml〜約200ng/mlである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記化合物が、24時間中の少なくとも約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、又は約24時間、閾値濃度であるか、あるいはそれを超える、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記投与計画が、前記化合物の1日あたり1、2又は3回用量を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 各用量が、前記化合物の約25mg/kg〜約100mg/kgを含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記全一日量が、約100mg/kg〜約200mg/kg、又は約100mg/kg〜約150mg/kgを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記全一日量が、約133mg/kgを含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記全一日量が、約100mg/kgを含む、請求項6に記載の方法。
  9. 前記全一日量が、約90mg/kg〜約110mg/kgを含む、請求項6に記載の方法。
  10. 前記全一日量が、100mg/kg±5%、100mg/kg±10%、100mg/kg±15%、又は100mg/kg±20%を含む、請求項6に記載の方法。
  11. 前記投与計画が、1日あたり3回用量を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記3回用量が、前記化合物の等量を含む、請求項11に記載の方法。
  13. 各用量が、前記化合物の約25mg/kg〜約50mg/kgを含む、請求項11又は12に記載の方法。
  14. 各用量が、約20mg/kg〜約40mg/kgを含む、請求項11又は12に記載の方法。
  15. 各用量が、前記化合物の約33mg/kgを含む、請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記第1用量及び前記第2用量が、前記化合物の、前記第3用量よりも少ない量を含む、請求項11、13又は14に記載の方法。
  17. 前記3回用量が等しく、且つ250mg又は100mgの式Iの化合物を含有する剤形で投与される、請求項11〜15のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記3回用量が、100mg/kg±5%、100mg/kg±10%、100mg/kg±15%、又は100mg/kg±20%の全一日量に等しい、請求項17に記載の方法。
  19. 前記全一日量が、6,000mgを超えない、請求項17又は18に記載の方法。
  20. 前記第1用量が、午前中に投与され、前記第2用量が正午に投与され、且つ前記第3用量が夜間に投与される、請求項11〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 各用量が、食物とともに投与される、請求項4〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 各用量が、食事時に投与される、請求項20に記載の方法。
  23. 前記第1用量が朝食時に投与され、前記第2用量が昼食時に投与され、且つ前記第3用量が夕食時に投与される、請求項20に記載の方法。
  24. 2回用量が、朝食及び夕食とともに投与され、且つ昼食とともに投与される用量よりも高い、請求項23に記載の方法。
  25. 前記用量が、少なくとも8gの脂肪を含有する食物とともに摂取される、請求項4〜24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記化合物が、医薬組成物中で投与される、請求項1〜25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記組成物が、グリセリルモノオレエート(タイプ40)、ポリソルベート80、ポリエチレングリコール400、又はDL−α−トコフェロールの1つ以上をさらに含む、請求項26に記載の方法。
  28. 前記組成物が、50〜70重量%の前記化合物を含む、請求項26に記載の方法。
  29. 前記組成物が、カプセル剤として製剤化される、請求項26〜28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記化合物が、経口的に投与される、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 四頭筋における炎症を少なくとも20%低減する、請求項1〜30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 四頭筋における線維症を少なくとも20%低減する、請求項1〜31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記筋ジストロフィーがデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)である、請求項1〜32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 前記対象がヒトである、請求項1〜33のいずれか一項に記載の方法。
  35. 式I
    Figure 2021502328

    の構造を有する50〜70重量%の化合物又はその薬学的に許容できる塩、及び任意選択的には溶媒又は希釈剤;界面活性剤;共溶媒;及び抗酸化剤の1、2、3、又は4つを含む医薬組成物。
  36. 前記溶媒又は希釈剤が、グリセリルモノオレエート(タイプ40)である、請求項35に記載の医薬組成物。
  37. 前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である、請求項35又は36に記載の医薬組成物。
  38. 前記非イオン性界面活性剤が、ポリソルベート80である、請求項37に記載の医薬組成物。
  39. 前記共溶媒が、ポリエチレングリコール400である、請求項35〜38のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  40. 前記抗酸化剤が、DL−α−トコフェロールである、請求項35〜39のいずれか一項に記載の医薬組成物。
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