JP2021501783A - ペプチド抗生物質 - Google Patents

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Abstract

一連の新規化合物を提供する。これらの新規化合物は広範な抗菌活性および抗真菌活性を示しうる。これらの化合物は新興ポリミキシン耐性菌に対して活性がありうる。また、これらの化合物は、他の薬学的に活性な物質との組み合わせで使用される際に有用でありうる。

Description

発明の分野
本発明は、医学的処置の分野に関する。より具体的には、本発明は、抗菌化合物およびそれらの使用に関する。より具体的には、本発明は、細菌感染症または真菌感染症を処置するための新規ペプチド抗菌剤に関する。
発明の背景
本明細書中での背景技術に対するいかなる言及も、当該技術がオーストラリアまたは他の場所における共通の一般的知識を構成することの承認として解釈されるべきではない。
多剤耐性菌および多剤耐性真菌の出現は、ヒトの生命に対する深刻かつますます大きな脅威となっている。細菌性敗血症により年間で数百万人が死亡しており、多剤耐性菌がこれらの多数の死亡の原因である。敗血症は、最も一般的には、グラム陽性の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)および化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、ならびにグラム陰性のクレブシエラ属、大腸菌(Escherichia coli)、および緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)により引き起こされる。残念ながら、高多剤耐性グラム陰性菌が不気味に増加している。多剤耐性グラム陰性菌の出現により、ポリミキシンBおよびポリミキシンE(コリスチン)などの「最終手段」抗生物質の臨床的使用への回帰が生じている。しかし、現在これらの菌株の適切な処置薬がないことから、ポリミキシン耐性菌の出現は厄介な問題である。
ポリミキシンの使用拡大に対する制限要因の1つは、それらの腎毒性である。これによって、処置が困難になり、最適以下の投与量での処置、および/または処置の中断につながることもある。オクタペプチンは、ポリミキシンと多少類似した構造を有する。しかし、オクタペプチンは、ポリミキシン耐性菌に対する抗生物質として広範に検討されていない。
真菌感染症の有効な処置薬はほとんどなく、真菌感染症を処置するために使用される抗生物質に対する耐性は増加している。天然オクタペプチンは、真菌に対して活性があることが示されているが、広範には検討されていない。これらの新規抗菌剤がヒトおよび獣医学的動物において真菌に対する有効性の増加および/または腎毒性の減少を示すことができればさらに有利であろう。
感染性微生物、特にポリミキシン耐性菌に対して有効な新規抗生物質の開発が必要であることは明らかなはずである。これらの新規抗生物質が腎毒性の減少、安定性の改善、および有効性の増加のうち1つまたは複数を示すことができればさらに有利であろう。あるいは、特定の患者感染症に対処する上で、抗生物質の選択肢が広がることが望ましいであろう。
第1の局面では、それが唯一の局面または実際に最も広範囲の局面である必要はないが、本発明は、式(I)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体に関する:
Figure 2021501783
式中、
Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、およびY8は独立してCおよびNからなる群より選択され;
R1、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく;
R1'、R2'、R3'、R4'、R5'、R6'、R7'、R8'、およびR9'は独立して水素および置換または非置換アルキルからなる群より選択され、あるいは、R1'およびR1の対、R3'およびR3の対、R4'およびR4の対、R5'およびR5の対、R6'およびR6の対、R7'およびR7の対、ならびにR8'およびR8の対はそれぞれ一緒になってシクロアルキルを形成してもよく;
nは0、1、2、または3より選択される整数であり;
Zは
Figure 2021501783
より選択され; ここで、
R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
一態様では、式(I)の化合物は、式(Ia)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体より選択されうる:
Figure 2021501783
式中、
Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、およびY8は独立してCおよびNからなる群より選択され;
R1、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく;
nは0、1、2、または3より選択される整数であり;
Zは
Figure 2021501783
より選択され; ここで、
R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
一態様では、式(I)または(Ia)の化合物は、式(Ib)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体より選択されうる:
Figure 2021501783
式中、
Y1およびY2は独立してCおよびNからなる群より選択され;
R1、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく;
nは0、1、2、または3より選択される整数であり;
Zは
Figure 2021501783
より選択され; ここで、
R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
好ましい一態様では、式(I)、(Ia)、または(Ib)の化合物は、式(Ic)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体より選択されうる:
Figure 2021501783
式中、
R4、R5、R6、R7、およびR8は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく;
Zは
Figure 2021501783
より選択され; ここで、
R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
別の好ましい態様では、式(I)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)の化合物は、式(Id)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体より選択されうる:
Figure 2021501783
式中、
R6、R7、およびR8は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく;
Zは
Figure 2021501783
より選択され; ここで、
R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
別の態様では、式(I)の化合物は、式(Ie)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体より選択されうる:
Figure 2021501783
式中、
R1、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく;
R1'、R2'、R3'、R4'、R5'、R6'、R7'、R8'、およびR9'は独立して水素および置換または非置換アルキルからなる群より選択され、あるいは、R1'およびR1の対、R3'およびR3の対、R4'およびR4の対、R5'およびR5の対、R6'およびR6の対、R7'およびR7の対、ならびにR8'およびR8の対はそれぞれ一緒になってシクロアルキルを形成してもよく;
Zは
Figure 2021501783
より選択され; ここで、
R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
一態様では、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、または(Id)の化合物は、式(If)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体より選択されうる:
Figure 2021501783
式中、
R1およびR8は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく;
Zは
Figure 2021501783
より選択され; ここで、
R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
一態様では、式(I)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)の化合物は、式(Ig)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体より選択されうる:
Figure 2021501783
式中、
R4、R5、およびR8は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく;
Zは
Figure 2021501783
より選択され; ここで、
R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
第2の局面では、本発明は、第1の局面の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグと、薬学的に許容される担体、希釈剤、および/または賦形剤とを含む、薬学的組成物に関する。
一態様では、薬学的組成物は治療剤をさらに含む。治療剤は抗生剤、抗真菌剤、抗病原性剤、バイオフィルム破壊剤、抗炎症剤、および抗菌有効性を増強することが知られている物質からなる群より選択される。
第3の局面では、本発明は、対象における疾患、障害、または状態の処置または予防の方法であって、有効量の第1の局面の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、あるいは第2の局面の薬学的組成物を該対象に投与することで該疾患、障害、または状態を処置または予防する段階を含む方法に関する。
好適には、疾患、障害、または状態は細菌感染症または真菌感染症に関連している。
一態様では、第1の局面の化合物は、治療剤を投与する段階をさらに含む。治療剤は抗生剤、抗真菌剤、抗病原性剤、バイオフィルム破壊剤、抗炎症剤、および抗菌有効性を増強することが知られている物質からなる群より選択される。一態様では、治療剤は第1の局面の化合物と同時投与されるか、その前に投与されるか、またはその後に投与される。
第4の局面では、本発明は、疾患、障害、または状態の処置のための医薬の製造における、第1の局面の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、あるいは第2の局面の薬学的組成物の使用に関する。
別の局面では、本発明は、疾患、障害、または状態の処置における使用のための、第1の局面の化合物に関する。
好適には、疾患、障害、または状態は細菌感染症または真菌感染症に関連している。
個々の上記セクションにおいて言及された本発明の様々な特徴および態様は、必要な変更を加えて適宜、他のセクションに適用される。したがって、1つのセクションにおいて規定される特徴を、他のセクションにおいて規定される特徴と適宜組み合わせることができる。
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
本発明の理解を支援するために、また、当業者が本発明を実施することを可能にするために、本発明を、例示のみを目的として、添付図面を参照して説明する。
本発明の例示的な化合物、ならびにポリミキシンB、オクタペプチン-C4、およびゲンタマイシンに応答しての、初代ヒト腎細胞からの、薬物誘発性腎損傷の臨床的に検証済みのマーカーである乳酸脱水素酵素(LDH)(A)、γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)(B)、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)(C)、および腎損傷分子-1(KIM-1)(D)の放出量を測定する、インビトロ腎毒性試験を示す。 図1Aの説明を参照のこと。 図1Aの説明を参照のこと。 図1Aの説明を参照のこと。 マウスにおいて皮下投与された本発明の例示的な化合物の薬物動態プロファイルの、ポリミキシンBおよびオクタペプチンC4との比較を示す。 本発明の例示的な化合物ならびにポリミキシンB、オクタペプチン-C4、およびゲンタマイシンの皮下投与による大腸菌マウス大腿感染症の処置に関する、未処置対照との比較による、24時間後に大腿に残留する細菌のcfu(コロニー形成単位)を測定するインビボ有効性試験を示す。 本発明の例示的な化合物ならびにポリミキシンB、オクタペプチン-C4、およびゲンタマイシンの静脈内投与による大腸菌マウス大腿感染症の処置に関する、未処置対照との比較による、24時間後に大腿に残留する細菌のcfu(コロニー形成単位)を測定するインビボ有効性試験を示す。
発明の詳細な説明
本発明の態様は、主に新規環状ペプチド化合物に関する。
定義
本明細書において、「少なくとも1つ」および「1つまたは複数」などの形容詞は、1つの要素または行為と別の要素または行為とを、この関係または順序が実際に存在することを常に必要とするかまたは伴うことなく区別するためにのみ使用可能である。
本明細書において使用される「約」という用語は、量が名目上は「約」という用語に続く数であるが、実際の量がこの正確な数からわずかに変動しうることを意味する。
本特許明細書において、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」という用語、または同様の用語は、要素のリストを含む方法または群が当該要素のみを含むのではなく、明確に列挙されていない他の要素を含むことが十分にありうるという、非排他的包含を意味するように意図されている。
別途定義がない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が通常理解するであろう意味と同じ意味を有する。
「置換された」という用語は、本明細書中でそれが使用される毎に、任意の特定の部分に関する明示的なリストの非存在下で、当該の部分、例えばアルキル鎖または環構造が、C1〜C12アルキル、C2〜C12アルケニル、C1〜C12ハロアルキル、C1〜C12アルコキシ、CN、OH、SH、SeH、S-アルキル、オキソ、NH2、NH-C(=NH)-NH2、-NH-C(=NH)-NH-NO2、-NH-C(=NH)-Me、-NH-SO2-Me、-NH-C(=O)Me、モノアルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアルキルアンモニウム、テトラアルキルアンモニウム、-NH-C(=NH)-NHMe、-NH-C(=NMe)-NHMe、-NH-C(=NH)-N(Me)2、-NH-C(=NH)-NHCN、-NH-C(=O)-NH2、-NH-C(=NH)-NH-OMe、-NH-C(=NH)-NHOH、(CH2)2-O-NH-C(=NH)-NH2、(CH2)3-ONH2、N(R1)-C(=N2)-N(R3R4)(R1〜R4 = H、アルキル)、Cl、F、Br、I、COOH、シクロアルキル、イミン、アミド、アリール、およびヘテロシクリルより選択される、いずれもそれ自体置換されていてもよい1個または複数の基で置換されていることを意味する。さらに、任意の置換基が存在する場合、各置換基は、ハロゲン(例えば塩素、フッ素、臭素、またはヨウ素)、=O、=S、-CN、-NO2、-CF3、-OCF3、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、シクロアルキルアルケニル、ヘテロシクロアルキルアルケニル、アリールアルケニル、ヘテロアリールアルケニル、シクロアルキルヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルキルオキシ、アルキルオキシアルキル、アルキルオキシシクロアルキル、アルキルオキシヘテロシクロアルキル、アルキルオキシアリール、アルキルオキシヘテロアリール、アルキルオキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルケニルオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルケニルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルケニルオキシ、アリールオキシ、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アミノスルフィニルアミノアルキル、-C(=O)OH、-C(=O)Ra、C(=O)ORa、C(=O)NRaRb、C(=NOH)Ra、C(=NRa)NRbRc、NRaRb、NRaC(=O)Rb、NRaC(=O)ORb、NRaC(=O)NRbRc、NRaC(=NRb)NRcRd、NRaSO2Rb、-SRa、SO2NRaRb、-ORa、OC(=O)NRaRb、OC(=O)Ra、およびアシルからなる群より独立して選択される部分で置換されていてもよく、
ここでRa、Rb、Rc、およびRdはそれぞれ独立してH、C1〜C12アルキル、C1〜C12ハロアルキル、C2〜C12アルケニル、C1〜C10ヘテロアルキル、C3〜C12シクロアルキル、C3〜C12シクロアルケニル、C1〜C12ヘテロシクロアルキル、C1〜C12ヘテロシクロアルケニル、C6〜C18アリール、C1〜C18ヘテロアリール、およびアシルからなる群より選択され、あるいは、Ra、Rb、Rc、およびRdのうち任意の2つ以上は、それらが結合している原子と一緒になる際に、3〜12個の環原子を有する複素環系を形成する。
「アルキル」という用語は、例えば1個〜約18個の炭素原子、好ましくは1個〜約10個の炭素原子、より好ましくは1個〜約8個の炭素原子、さらに好ましくは1個〜約6個の炭素原子、さらに好ましくは1個〜2個の炭素原子を含む直鎖または分岐アルキル置換基を意味する。該置換基の例としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソアミル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、ヘキシル、ヘプチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-エチルブチル、3-エチルブチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルなどが挙げられる。言及される炭素数は、炭素骨格および炭素分岐に関連するが、任意の置換基に属する炭素原子、例えば炭素主鎖から分岐するアルコキシ置換基の炭素原子を含まない。置換アルキルは、ハロ(例えばCl、F、Br、およびI); 他のアルキル基、ハロゲン化アルキル(例えばCF3、2-Br-エチル、CH2F、CH2Cl、CH2CF3、またはCF2CF3); ヒドロキシル; アミノ; カルボキシレート; カルボキサミド; アルキルアミノ; アリールアミノ; アルコキシ; アリールオキシ; ニトロ; シアノ; チオ; スルホン酸; スルフェート; ホスホン酸; ホスフェート; ならびにホスホネート、ならびに、「置換された」の定義に基づいて記載される部分からなる群より選択される1個または複数の部分で置換されたアルキルを含む。
「アルケニル」という用語は、2〜18個の炭素原子、好ましくは2〜9個の炭素原子、より好ましくは2〜6個の炭素原子を有しかつ少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する、置換されていてもよい不飽和の直鎖または分岐炭化水素基を意味する。適切な場合、アルケニル基は指定された数の炭素原子を有することができ、例えば、C2〜C6アルケニルは、2個、3個、4個、5個、または6個の炭素原子を直鎖または分岐配置で有するアルケニル基を含む。言及される炭素数は、炭素骨格および炭素分岐に関連するが、任意の置換基に属する炭素原子を含まない。これらの置換基の例はエテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、s-およびt-ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプタ-1,3-ジエン、ヘキサ-1,3-ジエン、ノナ-1,3,5-トリエンなどからなる群より選択可能である。置換アルケニルは、ハロ(例えばCl、F、Br、およびI); ハロゲン化アルキル(例えばCF3、2-Br-エチル、CH2F、CH2Cl、CH2CF3、またはCF2CF3); ヒドロキシル; アミノ; カルボキシレート; カルボキサミド; アルキルアミノ; アリールアミノ; アルコキシ; アリールオキシ; ニトロ; シアノ; チオ; スルホン酸; スルフェート; ホスホン酸; ホスフェート; ならびにホスホネート、ならびに、「置換された」の定義に基づいて記載される部分からなる群より選択される1個または複数の部分で置換されたアルケニルを含む。
本明細書において使用される「アルコキシ」という用語は、酸素原子により連結された、置換されていてもよい直鎖または分岐鎖アルキル基(すなわち-O-アルキル)を意味し、ここでアルキルは上記の通りである。特定の態様では、アルコキシとは、1〜18個の炭素原子を含む酸素連結基(「C1〜18アルコキシ」)を意味する。さらなる態様では、アルコキシとは、1〜8個の炭素原子を含む酸素連結基(「C1〜8アルコキシ」)、1〜6個の炭素原子を含む酸素連結基(「C1〜6アルコキシ」)、1〜4個の炭素原子を含む酸素連結基(「C1〜4アルコキシ」)、または1〜3個の炭素原子を含む酸素連結基(「C1〜3アルコキシ」)を意味する。酸素原子により連結された直鎖または分岐鎖アルケニル(すなわち-O-アルケニル)が、「アルコキシ」という用語の範囲内に含まれる。
「シクロアルキル」および「シクロアルケニル」という用語は、置換されていてもよい飽和および不飽和の単環式、二環式、または三環式炭素基を意味する。適切な場合、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基は指定された数の炭素原子を有することができ、例えば、C3〜C6シクロアルキルまたはシクロアルケニルは、3、4、5、または6個の炭素原子を有する炭素環基を範囲内に含む。これらの置換基の例はシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニルなどからなる群より選択可能である。置換シクロアルキルまたはシクロアルケニルは、ハロ(例えばCl、F、Br、およびI); ハロゲン化アルキル(例えばCF3、2-Br-エチル、CH2F、CH2Cl、CH2CF3、またはCF2CF3); ヒドロキシル; アミノ; カルボキシレート; カルボキサミド; アルキルアミノ; アリールアミノ; アルコキシ; アリールオキシ; ニトロ; シアノ; チオ; スルホン酸; スルフェート; ホスホン酸; ホスフェート; ならびにホスホネート、ならびに、「置換された」の定義に基づいて記載される部分からなる群より選択される1個または複数の部分による置換を含む。
本明細書において使用される「アミノ」または「アミン」という用語は、構造-NH2、-NHR1、-NR1R2、およびN+R1R2,R3で表される部分を意味し、アルキルで置換された第一級、第二級、第三級、および第四級アミン/アンモニウム(すなわちアルキルアミノ)を含む。これらの置換基(R1〜R3)の例としてはアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、およびヘテロアリールが挙げられる。
本明細書において使用される「アミド」という用語は、構造R1C(=O)NR2R3で表される部分を意味し、アルキル部分で置換された第一級アミド、第二級アミド、および第三級アミド(アルキルアミド)を含む。好適には、R1〜R3は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、複素環、またはヘテロアリールより選択可能である。
「アリール」という用語は、当技術分野において一般的に理解されるように、非置換または置換芳香族炭素環置換基を意味する。アリールという用語が、平面状でありかつヒュッケル則に従って4n+2π個の電子を含む、環状置換基に適用されることが理解されよう。C-5またはC-6アリールが好ましい。また、「アリール」という用語は、上記定義のアルキル基を通じて分子に連結された上記定義のアリール基を範囲内に含む。アリールの非限定的な例はフェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、およびフェノールより選択可能である。アリール基は、1個または複数のシクロアルキル基と縮合していてもよく、シクロアルキル基を通じて分子に連結していてもよい。
本明細書において使用される「複素環」および「ヘテロシクリル」という用語は、環中に5〜7個の原子を有し、該原子のうち1〜4個がヘテロ原子であり、該環が孤立しているかまたは第2の環に縮合しており、該ヘテロ原子が独立してO、N、およびSより選択される、非芳香環を意味する。複素環は、部分飽和および完全飽和複素環基を含む。複素環系は、基の任意の数の炭素原子またはヘテロ原子を通じて別の部分に結合していてもよく、飽和でも不飽和でもよい。複素環の非限定的な例はピラゾール、イミダゾール、インドール、イソインドール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラゾール、ピリミジン、ピリジン、ピラジン、ジアジン、トリアジン、テトラジン、ピロリジニル、ピロリニル、ピラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピラゾリニル、ジチオリル、オキサチオリル、ジオキサニル、ジオキシニル、オキサジニル、アゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、オキセピニル、チアピニル、イミダゾリニル、チオモルホリニルなどより選択可能である。
「ヘテロアリール」という用語は、1個または複数(特に1〜4個)の非炭素原子(特にN、O、またはS)を含むアリール基、あるいはその組み合わせを意味し、該ヘテロアリール基は1個または複数の炭素原子または窒素原子で置換されていてもよい。ヘテロアリール環は1個または複数のシクロアルキル環、複素環、アリール環、またはヘテロアリール環と縮合していてもよい。ヘテロアリールとしては、1個のヘテロ原子を有する5員ヘテロアリール(例えばチオフェン、ピロール、フラン); 2個のヘテロ原子を1,2位または1,3位に有する5員ヘテロアリール(例えばオキサゾール、ピラゾール、イミダゾール、チアゾール、プリン); 3個のヘテロ原子を有する5員ヘテロアリール(例えばトリアゾール、チアジアゾール); 3個のヘテロ原子を有する5員ヘテロアリール; 1個のヘテロ原子を有する6員ヘテロアリール(例えばピリジン、キノリン、イソキノリン、フェナントリン、5,6-シクロヘプテノピリジン); 2個のヘテロ原子を有する6員ヘテロアリール(例えばピリダジン、シンノリン、フタラジン、ピラジン、ピリミジン、キナゾリン); 3個のヘテロ原子を有する6員ヘテロアリール(例えば1,3,5-トリアジン); および4個のヘテロ原子を有する6員ヘテロアリールが挙げられるがそれに限定されない。「置換ヘテロアリール」とは、1個または複数の非干渉性基を置換基として有するヘテロアリールを意味する。
構造中の炭素数の範囲が示される(例えばC1〜C12、C1〜C10、C1〜C9、C1〜C6、C1〜C4アルキルなど)場合は常に、示される範囲内にある任意の部分範囲または任意の個別の炭素原子数を使用してもよいことが具体的に想定される。したがって、例えば、本明細書中で言及される任意の化学基(例えばアルキルなど)に関して使用される、1〜12個の炭素原子(例えばC1〜C12)、1〜9個の炭素原子(例えばC1〜C9)、1〜6個の炭素原子(例えばC1〜C6)、1〜4個の炭素原子(例えばC1〜C4)、1〜3個の炭素原子(例えばC1〜C3)、または2〜8個の炭素原子(例えばC2〜C8)の範囲という記載は、適宜1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、および/または12個の炭素原子を包含および具体的に記述し、かつ、その任意の部分範囲(例えば適宜1〜2個の炭素原子、1〜3個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、1〜5個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜7個の炭素原子、1〜8個の炭素原子、1〜9個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜11個の炭素原子、1〜12個の炭素原子、2〜3個の炭素原子、2〜4個の炭素原子、2〜5個の炭素原子、2〜6個の炭素原子、2〜7個の炭素原子、2〜8個の炭素原子、2〜9個の炭素原子、2〜10個の炭素原子、2〜11個の炭素原子、2〜12個の炭素原子、3〜4個の炭素原子、3〜5個の炭素原子、3〜6個の炭素原子、3〜7個の炭素原子、3〜8個の炭素原子、3〜9個の炭素原子、3〜10個の炭素原子、3〜11個の炭素原子、3〜12個の炭素原子、4〜5個の炭素原子、4〜6個の炭素原子、4〜7個の炭素原子、4〜8個の炭素原子、4〜9個の炭素原子、4〜10個の炭素原子、4〜11個の炭素原子、および/または4〜12個の炭素原子など)を包含および具体的に記述する。
本明細書において、不定冠詞(a, an)は、1つの実体または複数の実体(例えば成分)を指すことができるものであり、1つの実体に限定するものと読まれるべきでも理解されるべきでもない。
本発明は、少なくとも部分的には、オクタペプチンおよび関連化合物に関連する特定の環状ペプチドが、特定のポリミキシン耐性菌に対する活性を含む有利な特性を示すという発見に基づく。さらに、本化合物は、安定性および/または有効性の改善、腎毒性の減少、ならびに細胞毒性の減少などのさらなる有利な特性を示しうる。
オクタペプチンは、相対的に検討が進んでいない分子のクラスである天然環状リポペプチドのクラスである。これらの化合物は広範な抗菌活性および抗真菌活性を示しうるものであり、本明細書においては、オクタペプチン関連化合物が新興ポリミキシン耐性菌に対して活性がありうることが示される。さらに、これらの化合物が抗原虫活性、抗甲虫類活性、抗アメーバ活性、または他の抗寄生虫活性を示しうることが想定される。さらに、これらの化合物は、他の抗生物質との組み合わせで「耐性破壊剤」となると想定される。言い換えれば、これらの化合物は他の抗生物質との組み合わせで使用される際に有用でありうる。
第1の局面では、それが唯一の局面または実際に最も広範囲の局面である必要はないが、本発明は、式(I)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体に関する:
Figure 2021501783
式中、
Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、およびY8は独立してCおよびNからなる群より選択され;
R1、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく;
R1'、R2'、R3'、R4'、R5'、R6'、R7'、R8'、およびR9'は独立して水素および置換または非置換アルキルからなる群より選択され、あるいは、R1'およびR1の対、R3'およびR3の対、R4'およびR4の対、R5'およびR5の対、R6'およびR6の対、R7'およびR7の対、ならびにR8'およびR8の対はそれぞれ一緒になってシクロアルキルを形成してもよく;
nは0、1、2、または3より選択される整数であり;
Zは
Figure 2021501783
より選択され; ここで、
R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
一態様では、式(I)の化合物は、式(Ia)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体より選択されうる:
Figure 2021501783
式中、
Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、およびY8は独立してCおよびNからなる群より選択され;
R1、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく;
nは0、1、2、または3より選択される整数であり;
Zは
Figure 2021501783
より選択され; ここで、
R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
好ましい一態様では、式(I)または(Ia)の化合物は、式(Ib)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体より選択されうる:
Figure 2021501783
式中、
Y1およびY2は独立してCおよびNからなる群より選択され;
R1、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく;
nは0、1、2、または3より選択される整数であり;
Zは
Figure 2021501783
より選択され; ここで、
R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
好ましい一態様では、式(I)、(Ia)、または(Ib)の化合物は、式(Ic)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体より選択されうる:
Figure 2021501783
式中、
R4、R5、R6、R7、およびR8は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく;
Zは
Figure 2021501783
より選択され; ここで、
R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
別の好ましい態様では、式(I)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)の化合物は、式(Id)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体より選択されうる:
Figure 2021501783
式中、
R6、R7、およびR8は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく;
Zは
Figure 2021501783
より選択され; ここで、
R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
別の態様では、式(I)の化合物は、式(Ie)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体より選択されうる:
Figure 2021501783
式中、
R1、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく;
R1'、R2'、R3'、R4'、R5'、R6'、R7'、R8'、およびR9'は独立して水素および置換または非置換アルキルからなる群より選択され、あるいは、R1'およびR1の対、R3'およびR3の対、R4'およびR4の対、R5'およびR5の対、R6'およびR6の対、R7'およびR7の対、ならびにR8'およびR8の対はそれぞれ一緒になってシクロアルキルを形成してもよく;
Zは
Figure 2021501783
より選択され; ここで、
R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
一態様では、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、または(Id)の化合物は、式(If)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体より選択されうる:
Figure 2021501783
式中、
R1およびR8は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく;
Zは
Figure 2021501783
より選択され; ここで、
R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
一態様では、式(I)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)の化合物は、式(Ig)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体より選択されうる:
Figure 2021501783
式中、
R4、R5、およびR8は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく;
Zは
Figure 2021501783
より選択され; ここで、
R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
式(I)の一態様では、Y4およびY8はC、好ましくはCHである。
式(I)の一態様では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、およびY8はC、好ましくはCHである。
式(I)の別の態様では、R1'、R2'、R3'、R4'、R5'、R6'、R7'、R8'、およびR9'は独立してH、メチル、エチル、およびプロピルより選択される。
式(I)の好ましい一態様では、R1およびR1'の対、R3およびR3'の対、R4およびR4'の対、R5およびR5'の対、R6およびR6'の対、R7およびR7'の対、ならびにR8およびR8'の対における少なくとも一方のR基は水素である。
式(I)の特に好ましい一態様では、Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、およびY8はCHであり、R1'、R2'、R3'、R4'、R5'、R6'、R7'、R8'、およびR9'はHである。
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、または(Ig)の一態様では、Zは
Figure 2021501783
であり、ここでR10はアルキル、アルケニル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールより選択され、いずれの基もそれ自体置換されていても置換されていなくてもよい。
式(I)、(Ia)、および(Ib)の一態様では、nは0、1、および2より選択される整数である。好適には、nは0または1である。好ましくは、nは1である。
好適には、Zは
Figure 2021501783
であり、ここでR10はC1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、C1〜C6シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。一態様では、R10は置換または非置換C1〜C13アルキル基である。一態様では、R10は置換または非置換C4〜C13アルキル基である。
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、または(Ig)の化合物の任意の態様では、好ましくは、Zは以下からなる群より選択されうる:
Figure 2021501783
Figure 2021501783
Figure 2021501783
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、または(Ig)の一態様では、Zは3-ヒドロキシル置換アシル基、またはアセチル基であり、いずれもさらに置換されていても置換されていなくてもよい。好ましくは、Zは以下である:
Figure 2021501783
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、または(Ig)の一態様では、Zは1個を超えるアミノ酸を含まない。言い換えれば、Zは1個を超えるペプチド連結または結合を含まない。すなわち、Zが
Figure 2021501783
である場合、R10は構造
Figure 2021501783
を有さず、ここでR11、R11'、R12、R12'、およびR13は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、または(Ig)の別の態様では、Zが
Figure 2021501783
である場合、R10は構造
Figure 2021501783
を有さず、ここでR11、R11'、およびR13は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。別の態様では、Zはアミノ酸またはペプチド連結または結合を含まない。
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、または(Ig)の一態様では、適宜、R1、R3、R4、R5、R6、R7、R8は独立して以下からなる群より選択される:
Figure 2021501783
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ie)、または(If)の一態様では、R1は水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アミン、C1〜C4アミド、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
好適には、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ie)、または(If)の化合物の任意の態様では、R1は水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アミン、C1〜C4アミド、ベンジル、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
好ましくは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ie)、または(If)の化合物の任意の態様では、R1は以下からなる群より選択されうる:
Figure 2021501783
式(I)、(Ia)、(Ib)、または(Ie)の好ましい一態様では、R1は以下からなる群より選択される:
Figure 2021501783
式(I)、(Ia)、(Ib)、または(Ie)の一態様では、R3は水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アミン、C1〜C6アミド、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
好適には、式(I)、(Ia)、(Ib)、または(Ie)の化合物の任意の態様では、R3は水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アミン、C1〜C4アミド、およびベンジルからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
好ましくは、式(I)、(Ia)、(Ib)、または(Ie)の化合物の任意の態様では、R3は以下からなる群より選択されうる:
Figure 2021501783
式(I)、(Ia)、(Ib)、または(Ie)の好ましい一態様では、R3
Figure 2021501783
である。
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Ie)、または(Ig)の一態様では、R4は水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アミン、C1〜C6アミド、C3〜C10シクロアルキル、複素環、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
好適には、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Ie)、または(Ig)の化合物の任意の態様では、R4は水素、C1〜C4アルキル、C3〜C9シクロアルキル、フェニル、ベンジル、ナフチル、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
好ましくは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Ie)、または(Ig)の化合物の任意の態様では、R4は以下からなる群より選択される:
Figure 2021501783
好ましい一態様では、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Ie)、または(Ig)の化合物の任意の態様では、R4は以下からなる群より選択される:
Figure 2021501783
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Ie)、または(Ig)の化合物の一態様では、R5は水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アミン、C1〜C6アミド、C3〜C10シクロアルキル、複素環、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
好適には、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Ie)、または(Ig)の化合物の任意の態様では、R5は水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アミン、C1〜C6アミド、C3〜C9シクロアルキル、フェニル、ベンジル、およびナフチルからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
好ましくは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Ie)、または(Ig)の化合物の任意の態様では、R5は以下からなる群より選択される:
Figure 2021501783
好ましくは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Ie)、または(Ig)の化合物の好ましい一態様では、R5は以下からなる群より選択される:
Figure 2021501783
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、または(Ie)の一態様では、R6は水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アミン、C1〜C6アミド、アリール、ヘテロアリール、および複素環からなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
好適には、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、または(Ie)の化合物の任意の態様では、R6は水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アミン、C1〜C4アミド、およびベンジルからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
好ましくは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、または(Ie)の化合物の任意の態様では、R6は以下からなる群より選択されうる:
Figure 2021501783
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、または(Ie)の好ましい一態様では、R6は以下からなる群より選択される:
Figure 2021501783
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、または(Ie)の化合物の一態様では、R7は水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アミン、C1〜C6アミド、C3〜C10シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
好適には、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、または(Ie)の化合物の任意の態様では、R7は水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アミン、C3〜C9シクロアルキル、ベンジル、ナフチル、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、または(Ie)の好ましい一態様では、R7は以下からなる群より選択されうる:
Figure 2021501783
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、または(Ie)の好ましい一態様では、R7は以下からなる群より選択される:
Figure 2021501783
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、または(Ig)の一態様では、R8は水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アミン、C1〜C6アミド、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
好適には、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、または(Ig)中、R8は水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アミン、フェニル、ベンジル、ナフチル、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
好ましくは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、または(Ig)の化合物の任意の態様では、R8は以下からなる群より選択されうる:
Figure 2021501783
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、または(Ig)の好ましい一態様では、R8は以下からなる群より選択される:
Figure 2021501783
一代替態様では、本発明の化合物は、式(II)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体と見なされうる:
Figure 2021501783
式中、
AA1は、アザ-Dab、3PyPhe、4NH2Phe、4NO2Phe、Ala、Asn、Dab、Dap、Lys、Orn、Ser、Trp、Gly、およびArgからなる群より選択されるアミノ酸であり;
AA2は、Dap、Dab、Orn、Lys、アザ-Dap、アザ-Dab、アザ-Orn、およびアザ-Lysからなる群より選択されるアミノ酸であり;
AA3は、Dab、アザ-Dab、4NH2Phe、Ala、Arg、Dab(Arg)、Dap、Lys、およびOrnからなる群より選択されるアミノ酸であり;
AA4は、インダニルGly、Phe、Leu、4CNPhe、4FPhe、Ala、Ala(3,3'-ジフェニル)、Bip、Cha、Ile、2-ナフチルAla、Trp、Tyr、3-Cl-Phe、HPhe、シクロヘキシルグリシン、およびアザ-Pheからなる群より選択されるアミノ酸であり;
AA5は、Leu、Phe、アザ-Leu、Ala、Bip(ビフェニルアラニン)、シクロヘキシルアラニン、シクロプロピルアラニン、インダニルグリシン、HPhe(ホモフェニルアラニン)、2-ナフチルAla、およびtert-ロイシンからなる群より選択されるアミノ酸であり;
AA6は、Dab、4-NH2Phe、アザ-Dab、Ala、Arg、Dab(Arg)、Dap、Lys、およびOrnからなる群より選択されるアミノ酸であり;
AA7は、Dab、Dap、Orn、Lys、Ala、Dab(Arg)、4NH2Phe、Arg、およびアザ-Dabからなる群より選択されるアミノ酸であり;
AA8は、Leu、Thr、Trp、Phe、Ala、Arg、Ser、Tyr、Glu、Asp、4PyAla、3PyAla、2-ナフチルAla、1-ナフチルAla、Ala(Bth)、His、HPhe、インダニルGly、およびアザ-Leuからなる群より選択されるアミノ酸であり;
Tはカルボン酸、塩化スルホニル、クロロホルメート、アルデヒド、またはイソシアネートから誘導される。好適には、Tは、酢酸、ペンタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、3,7-ジメチルオクタン酸、3OH-ペンタン酸、3OH-オクタン酸、3OH-デカン酸、3OH-ドデカン酸、3OH-テトラデカン酸、8OH-オクタン酸、3OH-6Me-オクタン酸、3OH-7Me-オクタン酸、3OH-8Me-ノナン酸、3OH-8Me-デカン酸、3OH-9Me-デカン酸、3-ヒドロキシ-3-フェニルプロパン酸、4-[1,1'-ビフェニル]-4-イル)-3-ヒドロキシブタン酸、4-フェノキシブタン酸、4-(ペンチルオキシ)安息香酸、[1,1'-ビフェニル]-4-カルボン酸、4-フェノキシ安息香酸、4-(ヘプチルアミノ)安息香酸、2-フェニルイソニコチン酸、1-ヘプチルピペリジン-4-カルボン酸、4-ペンチルシクロヘキサン-1-カルボン酸、およびコール酸からなる群より選択されるカルボン酸から誘導される。
アミノ酸はペプチド結合または連結により互いに接続される。本明細書において説明されるアミノ酸はD-アミノ酸またはL-アミノ酸でありうる。例えば、DabはD-DabまたはL-Dabでありうる。
記述を容易にするために、第1の局面の化合物の以下の態様をアミノ酸配列で記述する。以下、アミノ酸配列で記述される化合物の構造を、合成化合物に関する実験データに見ることができる。これらの化合物の命名がT部分(またはTが誘導された化合物)およびAA1〜AA8と相関することが認識されよう。例えば、以下の命名規則が使用される: [T]-(AA1)-cyc[(AA2)-(AA3)-(AA4)-(AA5)-(AA6)-(AA7)-(AA8)]。例えば、化合物631(オクタペプチンC4)は3(R)OH-nC9CO-D-Dab-cyc[L-Dab-L-Dab-D-Phe-L-Leu-L-Dab-L-Dab-L-Leu]と記述され、これは3(R)OH-nC9CO[T]-D-Dab[AA1]-cyc[L-Dab[AA2]-L-Dab[AA3]-D-Phe[AA4]-L-Leu[AA5]-L-Dab[AA6]-L-Dab[AA7]-L-Leu[AA8]]と相関している。好ましい態様では、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、および/または(II)の化合物は以下からなる群より選択される:
Figure 2021501783
Figure 2021501783
Figure 2021501783
Figure 2021501783
Figure 2021501783
Figure 2021501783
Figure 2021501783
Figure 2021501783
Figure 2021501783
一態様では、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、および/または(II)の化合物は以下からなる群より選択される:
Figure 2021501783
一態様では、第1の局面の化合物は、以下の化合物より選択されることはない:
R4
Figure 2021501783
であり; R5
Figure 2021501783
であり; R8
Figure 2021501783
であり; Zが
Figure 2021501783
からなる群より選択され;好ましくは、Zが
Figure 2021501783
からなる群より選択される、化合物。
一態様では、第1の局面の化合物は、以下の化合物より選択されることはない:
R4
Figure 2021501783
であり; R5
Figure 2021501783
であり; R8
Figure 2021501783
であり; Zが
Figure 2021501783
からなる群より選択される、化合物。
別の態様では、第1の局面の化合物は、以下の化合物より選択されることはない:
R4
Figure 2021501783
であり; R5
Figure 2021501783
であり; R8
Figure 2021501783
であり; Zが
Figure 2021501783
からなる群より選択され;好ましくは、Zが
Figure 2021501783
からなる群より選択される、化合物。
別の態様では、第1の局面の化合物は、以下の化合物より選択されることはない:
R4
Figure 2021501783
であり; R5
Figure 2021501783
であり; R8
Figure 2021501783
であり; Zが
Figure 2021501783
からなる群より選択され;好ましくは、Zが
Figure 2021501783
からなる群より選択される、化合物。
別の態様では、第1の局面の化合物は、以下の化合物より選択されることはない:
R1
Figure 2021501783
であり; R4
Figure 2021501783
であり; R5
Figure 2021501783
であり; R8
Figure 2021501783
であり; Zが
Figure 2021501783
からなる群より選択され;好ましくは、Zが
Figure 2021501783
からなる群より選択される、化合物。
別の態様では、第1の局面の化合物は、以下の化合物より選択されることはない:
R4
Figure 2021501783
であり; R5
Figure 2021501783
であり; R8
Figure 2021501783
であり; Zが
Figure 2021501783
からなる群より選択され;好ましくは、Zが
Figure 2021501783
からなる群より選択される、化合物。
一態様では、第1の局面の化合物は、R10が水素である化合物より選択されることはない。
一態様では、式(II)の化合物は、以下の化合物より選択されることはない:
AA4がD-Leuであり、AA5がL-Pheであり、AA8がL-Leuであり、Tが
Figure 2021501783
からなる群より選択されるカルボン酸から誘導され;好ましくは、Tが
Figure 2021501783
からなる群からのカルボン酸から誘導される、化合物。
一態様では、式(II)の化合物は、以下の化合物より選択されることはない:
AA4がL-Leuであり、AA5がD-Pheであり、AA8がL-Leuであり、Tが
Figure 2021501783
からなる群より選択されるカルボン酸から誘導される、化合物。
一態様では、式(II)の化合物は、以下の化合物より選択されることはない:
AA4がD-Pheであり、AA5がL-Leuであり、AA8がL-Leuであり; Tが水素であるか、または
Figure 2021501783
からなる群より選択されるカルボン酸から誘導され;好ましくは、Tが
Figure 2021501783
からなる群からのカルボン酸から誘導される、化合物。
一態様では、式(II)の化合物は、以下の化合物より選択されることはない:
AA4がD-Pheであり、AA5がL-Leuであり、AA8がL-Thrであり; Tが
Figure 2021501783
からなる群より選択されるカルボン酸から誘導され;好ましくは、Tが
Figure 2021501783
からなる群からのカルボン酸から誘導される、化合物。
一態様では、式(II)の化合物は、以下の化合物より選択されることはない:
AA1がD-Serであり、AA4がD-Leuであり、AA5がL-Leuであり、AA8がL-Leuであり; Tが
Figure 2021501783
からなる群より選択されるカルボン酸から誘導され;好ましくは、Tが
Figure 2021501783
からなる群より選択されるカルボン酸から誘導される、化合物。
一態様では、式(II)の化合物は、以下の化合物より選択されることはない:
AA4がD-Leuであり、AA5がL-Leuであり、AA8がL-Leuであり; Tが
Figure 2021501783
からなる群より選択されるカルボン酸から誘導され;好ましくは、Tが
Figure 2021501783
からなる群からのカルボン酸から誘導される、化合物。
一態様では、式(II)の化合物は、以下の化合物より選択されることはない:
Tが水素であるか、またはギ酸、イソシアン酸、クロロギ酸、ハロゲン化スルホニル、もしくはホルムアルデヒドから誘導される、化合物。
記述を容易にするために、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、および/または(II)の化合物は、アミノ酸配列で記述される以下の化合物より選択されることはない:
Figure 2021501783
一態様では、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、および(II)の化合物は、以下からなる群より選択される化合物ではない:
Figure 2021501783
Figure 2021501783
Figure 2021501783
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、および(II)の化合物は強力なペプチド抗生物質と見なされうる。実験セクションに示されるデータはこの見方を裏づけるものである。式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、および(II)のいくつかの化合物は、特定の細胞に対する活性に基づく、予測される腎毒性に関する優れた特性を示している。これらの細胞の非限定的な例としては、新たに単離されるヒト腎近位尿細管上皮細胞であるHK2(LDH)細胞、HEK293細胞、およびHepG2細胞が挙げられる。さらに、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、および(II)の特定の化合物は、ポリミキシンBおよびポリミキシンEに比べて優れた、ポリミキシン耐性菌に対する最小阻害濃度(MIC)値を示している。
さらに、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、および(II)の化合物は、グラム陽性菌および/またはグラム陰性菌に対する阻害活性および/または殺菌活性を示しうる。これに加えて、これらの化合物は、酵母、真菌、および原虫に対するこれらの活性も示しうる。
オクタペプチンC4、ポリミキシンB、およびポリミキシンEのうちいずれか1つまたは複数に比べて改善された安定性、改善されたポリミキシン耐性菌に対する有効性、低い腎毒性、および低い細胞毒性を示しうることが、本化合物の1つの利点である。
本発明のいくつかの態様では、第1の局面の化合物の治療的に不活性なプロドラッグが提供される。
プロドラッグとは、哺乳動物に投与される際に全体または一部が本発明の化合物に変換される化合物のことである。大部分の態様では、プロドラッグは、インビボで活性薬物分子に変換されて治療効果を発揮しうる、薬理学的に不活性な化学誘導体である。本明細書に記載のいずれかの化合物の活性、バイオアベイラビリティ、もしくは安定性を増加させるか、または他の点で該化合物の特性を改変するために、該化合物をプロドラッグとして投与することができる。プロドラッグの典型例としては、活性化合物の官能性部分上に生物学的に不安定な保護基を有する化合物が挙げられる。プロドラッグとしては、酸化、還元、アミノ化、脱アミノ化、ヒドロキシル化、脱ヒドロキシル化、加水分解、脱加水分解、アルキル化、脱アルキル化、アシル化、脱アシル化、リン酸化、および/または脱リン酸化されて活性化合物を生成しうる化合物が挙げられるがそれに限定されない。
いくつかのプロドラッグリガンドが知られている。一般に、遊離アミンまたはカルボン酸残基などの化合物の1個または複数のヘテロ原子のアルキル化、アシル化、または他の親油性修飾により、極性が減少して該化合物の細胞への通過が可能になりうる。遊離アミンおよび/またはカルボン酸部分上の1個または複数の水素原子を置き換え可能な置換基の例としては以下が挙げられるがそれに限定されない: アリール; ステロイド; 炭水化物(糖を含む); 1,2-ジアシルグリセロール; アルコール; アシル(低級アシルを含む); アルキル(低級アルキルを含む); スルホン酸エステル(アルキルスルホニルもしくはアリールアルキルスルホニル、例えばメタンスルホニル、および本明細書に示されるアリールの定義に示される1個もしくは複数の置換基でフェニル基が置換されていてもよいベンジルを含む); 置換されていてもよいアリールスルホニル; 脂質(リン脂質を含む); ホスファチジルコリン; ホスホコリン; アミノ酸残基もしくは誘導体; アミノ酸アシル残基もしくは誘導体; ペプチド; コレステロール; またはインビボで投与される際に遊離アミンを生じさせる他の薬学的に許容される脱離基。これらの分子のいずれも、所望の効果を実現するために、開示される活性物質との組み合わせで使用することができる。これらの化合物の好ましいプロドラッグは、塩基性アミン/グアニジン基がプロドラッグにより遮蔽されることで正電荷全体が減少するプロドラッグである。非限定的な例としては、コリスチンメタンスルホネート(コリスチンメタナトリウム)のプロドラッグ中で使用されるメタンスルホネート基がある。本発明に従って有用でありうるプロドラッグの非限定的な例を示すProdrugs, Challenges and Rewards Parts 1 and 2, Stella, V., Borchardt, R., Hageman, M., Oliyai, R., Maag, H., Tilley, J. (Eds.) Springer-Verlag New Yorkを参照されたい。
いくつかの態様では、1個または複数のキラル中心を有する化合物が提供される。本発明の化合物のラセミ混合物は活性、選択性、およびバイオアベイラビリティを示しうるが、単離異性体も同様に関心対象でありうる。
光学活性体を調製するための様々な方法、および活性を確定するための様々な方法は、当技術分野において公知である。これらの方法は、本明細書に記載の標準的試験、および当技術分野において周知である他の同様の試験を含む。本発明の化合物の光学異性体を得るために使用可能な方法の例としては以下が挙げられる。
i) 個々の鏡像異性体の肉眼的結晶を手動で分離する、結晶の物理的分離。この技術は、別々の鏡像異性体の結晶が存在し(すなわち材料が集合体であり)、結晶が視覚的に別々である場合に特に使用可能である。
ii) 個々の鏡像異性体をラセミ体の溶液から、おそらくは後者が固体状態の集合体である場合にのみ、別々に結晶化する、同時結晶化。
iii) 鏡像異性体の酵素との反応速度の差によりラセミ体を部分的または完全に分離する、酵素的分割。
iv) 合成の少なくとも1つの工程が、所望の鏡像異性体の鏡像異性的に純粋なまたは鏡像異性的に濃縮された合成前駆体を得るために酵素反応を使用する、合成技術である、酵素的不斉合成。
v) 生成物中に不斉(すなわちキラリティー)を生じさせる条件下で所望の鏡像異性体をアキラル前駆体から合成する、キラル触媒またはキラル補助剤を使用して実現可能な、化学的不斉合成。
vi) ラセミ化合物と個々の鏡像異性体をジアステレオマーに変換する鏡像異性的に純粋な試薬(キラル補助剤)とを反応させる、ジアステレオマー分離。次に、得られたジアステレオマーをクロマトグラフィー、またはいっそう明瞭になったそれらの構造差による結晶化により分離した後、キラル補助剤を除去して所望の鏡像異性体を得る。
vii) ラセミ体に由来するジアステレオマーが平衡することで所望の鏡像異性体に由来するジアステレオマーが溶液中で優勢になるか、または所望の鏡像異性体に由来するジアステレオマーの優先的結晶化により平衡が破られることで最終的に原則としてすべての材料が所望の鏡像異性体に由来する結晶性ジアステレオマーに変換される、一次および二次不斉変換。次に所望の鏡像異性体をジアステレオマーから放出する。
viii) 鏡像異性体とキラル非ラセミ試薬または触媒との反応速度が速度論的条件下で不均一であることによるラセミ体の部分的もしくは完全な分割(または部分分割化合物のさらなる分割)を含む、速度論的分割。
ix) 所望の鏡像異性体が非キラル出発原料から得られ、かつ合成過程中に立体化学的完全性が損なわれないかまたは最小限にしか損なわれない、非ラセミ前駆体からのエナンチオ特異的合成。
x) ラセミ体の鏡像異性体を固定相との相互作用の差によって液体移動相中で分離する、キラル液体クロマトグラフィー。固定相をキラル材料で作製してもよく、移動相が相互作用の差を誘発するさらなるキラル材料を含んでもよい。
xi) ラセミ体を揮発し、鏡像異性体を気体移動相中での固定非ラセミキラル吸着相を含むカラムとの相互作用の差によって分離する、キラルガスクロマトグラフィー。
xii) 鏡像異性体を特定のキラル溶媒中への1つの鏡像異性体の優先的溶解により分離する、キラル溶媒による抽出。
xiii) ラセミ体と薄膜バリアとを接触させる、キラル膜を横断する輸送。バリアは通常、一方がラセミ体を含む2つの混和性流体を分離するものであり、濃度差または圧力差などの原動力が、膜バリアを横断する優先的輸送を引き起こす。分離は、ラセミ体の1つの鏡像異性体しか通過させない膜の非ラセミキラル特性の結果として生じる。
第1の局面の化合物はキラル中心を含むことができ、キラル中心は(R)配置でも(S)配置でもよく、その混合物を含んでもよい。したがって、本発明はまた、適切な場合、個々の、または任意の割合で混合された、本明細書に記載の化合物の立体異性体を含む。立体異性体としては鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ混合物、およびそれらの組み合わせを挙げることができるがそれに限定されない。これらの立体異性体は、従来の技術を使用して、鏡像異性出発原料を反応させることで、または本発明の化合物およびプロドラッグの異性体を分離することで、調製および分離可能である。異性体としては幾何異性体を挙げることができる。幾何異性体の例としては、二重結合にまたがるシス異性体またはトランス異性体が挙げられるがそれに限定されない。他の異性体も本発明の化合物として想定される。異性体は、純粋な形態で使用してもよく、本明細書に記載の化合物の他の異性体との混合物として使用してもよい。
本化合物は、ジアステレオ異性的に濃縮された組成物中で、例えば1つのジアステレオマーが過剰に、特に95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上(100%を含む)の程度で存在するジアステレオマー混合物中で与えられてもよい。
本明細書において使用される(R)、(S)、(R,R)、(S,S)、(R,S)、および(S,R)という用語は、組成物が本化合物の指名される異性体を他の異性体に比べて大きい割合で含むことを意味する。当業者は、この記述が2個を超えるキラル中心を有する化合物に及びうることを認識するであろう。これに関して、第1の局面の化合物はR1〜R8およびZ部分に応じて2個、3個、4個、5個、6個、7個、および8個を超えるキラル中心を有しうる。好ましい一態様では、これらの用語は、組成物が少なくとも90重量%の指名される異性体および10重量%以下の1つまたは複数の他の異性体、より好ましくは約95重量%の指名される異性体および5%以下の1つまたは複数の他の異性体を含むことを示す。いくつかの態様では、組成物は少なくとも99重量%の指名される異性体および1重量%以下の1つまたは複数の他の異性体を含んでもよく、100重量%の指名される異性体および0重量%の1つまたは複数の他の異性体を含んでもよい。これらのパーセントは組成物中に存在する本発明の化合物の総量に対するものである。
第1の局面の化合物は、そのまま利用してもよく、適宜、薬学的に許容されるエステル、アミド、塩、溶媒和物、プロドラッグ、または異性体の形態で利用してもよい。例えば、本化合物を薬学的に許容される塩として与えることができる。薬物化合物の塩は、使用される場合に薬理学的かつ薬学的に許容されるものであるべきだが、薬学的に許容されない塩は、遊離の活性化合物またはその薬学的に許容される塩を調製するために好都合に使用されることがあり、本発明の範囲から除外されない。これらの薬理学的かつ薬学的に許容される塩は、文献に詳述される標準的方法を使用して、薬物と有機酸または無機酸との反応により調製可能である。
本発明に従って有用な化合物の薬学的に許容される塩の例としては酸付加塩が挙げられる。しかし、薬学的に許容されない酸の塩が、例えば本化合物の調製および精製において有用なことがある。本発明の好適な酸付加塩は有機酸および無機酸を含む。好ましい塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、オキサロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびイセチオン酸から形成される塩が挙げられる。他の有用な酸付加塩はプロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、サリチル酸などを含む。薬学的に許容される塩の具体例としては硫酸塩、ピロ硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-二酸塩、ヘキシン-1,6-二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、およびマンデル酸塩が挙げられるがそれに限定されない。
酸付加塩を好適な塩基での処理によって遊離塩基に再変換することができる。本発明に従って有用な化合物またはプロドラッグ上に存在しうる酸性部分の塩基性塩は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、トリエチルアミンなどの薬学的に許容される塩基を使用して同様に調製可能である。
本発明の化合物のエステルを、本化合物の分子構造内に存在しうるヒドロキシル基および/またはカルボキシル基の官能化を通じて調製することができる。アミドおよびプロドラッグも、当業者に公知の技術を使用して調製することができる。例えば、アミドは、エステルから好適なアミン反応物を使用して調製してもよく、無水物または酸塩化物からアンモニアまたは低級アルキルアミンとの反応により調製してもよい。さらに、本発明の化合物のエステルおよびアミドを、好適な有機溶媒(例えばテトラヒドロフラン、アセトン、メタノール、ピリジン、N,N-ジメチルホルムアミド)中、温度0℃〜60℃での、カルボニル化剤(例えばギ酸エチル、無水酢酸、メトキシアセチルクロリド、塩化ベンゾイル、イソシアン酸メチル、クロロギ酸エチル、塩化メタンスルホニル)および好適な塩基(例えば4-ジメチルアミノピリジン、ピリジン、トリエチルアミン、炭酸カリウム)との反応により作製することができる。通常、プロドラッグは、1つの部分を共有結合させることで調製され、これにより、個体の代謝系によって改変されるまで治療的に不活性である化合物が得られる。薬学的に許容される溶媒和物の例としては、本発明の化合物と水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、またはエタノールアミンとの組み合わせが挙げられるがそれに限定されない。
固体組成物の場合、本発明の方法において使用される化合物が異なる形態で存在可能であると理解されよう。例えば、本化合物は安定結晶形および準安定結晶形、ならびに等方晶形および非晶形で存在可能であり、いずれも本発明の範囲内にあるように意図されている。
本発明の化合物が塩基である場合、所望の塩は、遊離塩基を塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、または酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、例えばグルクロン酸およびガラクツロン酸、α-ヒドロキシ酸、例えばクエン酸および酒石酸、アミノ酸、例えばアスパラギン酸およびグルタミン酸、芳香族酸、例えば安息香酸および桂皮酸、スルホン酸、例えばp-トルエンスルホン酸もしくはエタンスルホン酸などの有機酸で処理することを含む、当技術分野において公知である任意の好適な方法により調製可能である。
第1の局面の化合物が酸である場合、所望の塩は、遊離酸をアミン(第一級、第二級、または第三級)、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物などの無機塩基または有機塩基で処理することを含む、当技術分野において公知である任意の好適な方法により調製可能である。好適な塩の実例としては、グリシンおよびアルギニンなどのアミノ酸、アンモニア、第一級、第二級、および第三級アミン、ならびにピペリジン、モルホリン、およびピペラジンなどの環状アミンから誘導される有機塩、ならびに、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、およびリチウムから誘導される無機塩が挙げられる。
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、および(II)の化合物の別の利点は、相対的に容易に合成可能であるということである。これに関して、当業者は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、および(II)の化合物が、環状リポペプチドであり、当技術分野において公知の標準的固相ペプチド合成プロトコルを利用して合成可能であることを認識するであろう。
Figure 2021501783
式(I)の化合物の上記化学構造を別々の成分に分離することができる。例えば、Y1〜Y8がCHであり、R1'〜R8'がHである場合、8個のアミノ酸を含むポリペプチドを環化させることで式(I)の化合物を生成することができる。このポリペプチドは、Fmoc化学反応などの標準的固相ペプチド合成プロトコルを使用しかつHBTUをカップリング剤として使用して形成可能である。当業者は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、および(II)の化合物が、当技術分野において公知である他の技術を使用して合成可能であること、ならびに、本明細書において説明される合成技術が、これらの化合物をどのようにして得ることができるかの一例にすぎないことを認識するであろう。
R(R1およびR3〜R8)基を、アミノ酸または同等の化合物、およびそれらの直鎖ポリペプチド前駆体中での位置の選択を通じて、環構造に単純に取り込むことができる。AA2および/またはAA8の反応性中心を選択的に脱保護することで直鎖ポリペプチドを環状ポリペプチドに環化させることができるように、特定の保護基を選択することができる。これらの保護基の非限定的な例としては9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジル(Bn)、アリルオキシカルボニル(alloc)、1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソ-シクロヘキシリデン)-3-メチル-ブチル(ivDde)、およびtert-ブチル(tBu)保護基が挙げられる。これに関して、必要であれば、他のアミノ酸の他のR基(側鎖)を、それらが環化プロセスに関与しないように保護することができる。したがって、保護基を使用して官能化R基(側鎖)を保護することができる。
Figure 2021501783
式(I)の化合物を形成するための環化反応
アミノ酸(AA1〜AA8)のうち任意の1個をN-アルキルアミノ酸で置換することで官能性部分を窒素中心から外すことができることが認識されよう。例えば、AA1〜AA8をN-メチル置換アミノ酸で置き換えることでR'(R1'〜R8')をメチル部分として得ることができる。これに関して、固相ペプチド合成中にN-アルキルアミノ酸を直鎖ポリペプチドに単純に取り込むことができる。
さらに、Y(Y1〜Y8)基がNになるようにするために、アミノ酸をアザアミノ酸にすることができることが認識されよう。環化後に所望の環状ポリペプチドを得ることができるように、直鎖ポリペプチドの固相ペプチド合成中に、本化合物の構造のこれらの変更を容易に行うことができる。
また、AA2を変更することで環状ペプチドのサイズを改変することができることが認識されよう。これに関して、得られる環状ペプチドの環のサイズを変更するために、AA2位においてDap、Dab、Orn、Lys、アザ-Dap、アザ-Dab、アザ-Orn、またはアザ-Lysを使用することができる。例えば、Dapが使用される場合、n(式(I)、(Ia)、および(Ib)中の)は0であり、Dabが使用される場合、nは1であり、Ornが使用される場合、nは2である。
Z部分を容易にカルボン酸から誘導してアミドを形成し、塩化スルホニルから誘導してスルホンアミンを形成し、クロロホルメートから誘導してウレタンを形成し、アルデヒドから誘導してアミノアルキルを形成し、イソシアネートから誘導して尿素を形成することができる。これらの部分を固相合成経路中に結合させることができる。幅広い好適な市販のカルボン酸、塩化スルホニル、クロロホルメート、アルデヒド、およびイソシアネートが使用可能であり、容易に入手可能でないものが当業者に周知の方法により合成可能であることが認識されよう。例えば、固相合成経路中にカルボン酸、塩化スルホニル、クロロホルメート、アルデヒド、またはイソシアネートをアミン(-NR1')とカップリングすることで所望のZ部分を形成することができる。当業者には、この合成技術が、多くの誘導体を生成するための単純な合成経路を実現することが認識されよう。Z前駆体を容易に合成することができる。以下、いくつかの例を実施例に示す。
例えば、Zがアルキル基である場合、アミノアルキルが形成され、アミノアルキルは、固相ペプチド合成中に、アルデヒドを単純に導入し、次に還元的アミノ化を行うことで形成可能である。あるいは、Zがアシル基である場合、アミンが形成され、これはペプチド合成を通じて実現可能である。さらに、Zがスルホニル基である場合、スルホンアミドが形成され、スルホンアミドは、固相ペプチド合成中にハロゲン化スルホニルを単純に導入することで形成可能である。
任意の数のアミノ酸、アザアミノ酸、およびN-アルキル化アミノ酸を直鎖ポリペプチドに取り込むことができることが認識されよう。これに加えて、Z部分を直鎖ポリペプチドに容易に取り込むことができる。アミノ酸、アザアミノ酸、および/またはN-アルキル化アミノ酸を直鎖ポリペプチドの合成によって任意の位置に取り込むことができる。当業者には、これらの修飾によって式(I)、(IIb)、(Ic)、(Id)、(Ie)、および(II)の構造の範囲内のすべての化合物が入手可能になることが認識されよう。
既に言及したように、本合成方法では、異なるアミノ酸の使用を通じた修飾が容易であることから、多数のオクタペプチン様化合物が入手可能になる。第1の局面の化合物を形成するために使用されるアミノ酸の非限定的な例としては以下が挙げられる:
Figure 2021501783
Figure 2021501783
これらのアミノ酸はD-アミノ酸でもL-アミノ酸でもよく、すなわち、α中心において(R)-または(S)-配置/キラリティーを示す。言い換えれば、D-アミノ酸およびL-アミノ酸を、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、または(II)の化合物を合成するために使用することができる。
既に言及したように、アザアミノ酸を直鎖ポリペプチドの合成において使用することができる。アザアミノ酸の非限定的な例としてはアザ-グリシン(aza-Gly)、アザ-ジアミノ酪酸(aza-Dab)、およびアザ-ロイシン(aza-Leu)がある。アザ-グリシンの構造は
Figure 2021501783
であり、アザ-ジアミノ酪酸の構造は
Figure 2021501783
であり、アザ-ロイシンの構造は
Figure 2021501783
である。
一態様では、AA1はアザ-Dabである。一態様では、AA3はアザ-Dabである。一態様では、AA5はアザ-Leuである。一態様では、AA6はアザ-dabである。別の態様では、AA7はアザ-Dabである。さらなる態様では、AA8はアザ-Leuである。さらに別の態様では、AA4はアザ-Pheである。
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、および(II)の化合物を形成するための標準的固相ペプチド合成アプローチの非限定的な例を以下に示す。
Figure 2021501783
i) アミノ酸、HCTU、2,4,6-コリジン、DMF; ii) 30%ピペリジンDMF溶液; iii) FA、HCTU、2,4,6-コリジン、DMF; iv) 4%ヒドラジン水和物DMF溶液; v) 20% HFIP-DCM溶液; vi) DPPA、NaHCO3、DMF、0.008M; vii) TFA/H2O/iPr3SiH。
上記の図が、保護基を例示するために、-NHivDdeであるDab2(AA2はDABである)を例外として、保護Dab側鎖を-NHBocとして示すことが認識されよう。この例では、ペプチドを2-クロロトリチル(2-Ct)樹脂から切断する際に、環化用のカルボン酸官能基を露出させる。樹脂からの切断の前に、ivDde基をヒドラジンでの処理によって選択的に除去する。他の官能化側鎖をBoc基で保護する。Boc基は反応条件下で除去されず、したがって環化に関与しない。これは直交保護基の1つのありうる組み合わせである。当業者には、同じ最終生成物を生成するために他の組み合わせを使用してもよいことが認識されよう。
第2の局面によれば、本発明は、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、もしくは(II)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグと、薬学的に許容される担体、希釈剤、および/または賦形剤とを含む、薬学的組成物に関する。
さらに、第1の局面の化合物を他の化合物と組み合わせることで、有用な組み合わせを得ることができる。この組み合わせは、第1の局面の化合物の活性を消失させない限り、薬学的に活性な物質の任意の化学的に適合性のある組み合わせを含むように意図されている。一態様では、第1の局面の化合物は他の治療剤との組み合わせで使用される。一態様では、第1の局面の化合物は、抗生剤、抗真菌剤、抗病原性剤、バイオフィルム破壊剤、抗炎症剤、および抗菌有効性を増強することが知られている物質より選択される治療剤との組み合わせで使用される。治療剤の非限定的な例としてはリファンピシン(リファンピン)、ミノサイクリン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、フシジン酸、ムピロシン、レタパムリン、メロペネム、アズトレオナム、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ノボビオシン、テリスロマイシン、コリスチン、ポリミキシンB、ホスホマイシン、シプロフロキサシン、テトラサイクリン、ゲンタマイシン、バンコマイシン、キヌプリスチン・ダルホプリスチン、ラモプラニン、テイコプラニン、レボフロキサシン、オクタペプチンC4、アレニシン-3、リネゾリド、および抗菌ペプチドが挙げられる。
したがって、さらなる局面では、本発明は、第1の局面の化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体を、1つの非限定的な態様では抗生物質でありうる別の治療的に活性な剤と共に含む、組み合わせを提供する。したがって、薬学的組成物が少なくとも1つの他の薬学的に活性な物質をさらに含みうることが認識されよう。好適には、薬学的に活性な物質は抗生剤および抗真菌剤より選択されうる。
化合物6442、8980、または8981は、リファンピシンおよびミノサイクリンなどであるがそれに限定されない薬学的に活性な物質との有用な組み合わせを実現するようである。一態様では、化合物6442、8980、または8981をリファンピシンおよびミノサイクリンと組み合わせることができる。第1の局面の化合物を当業者に公知のいくつかの薬学的に活性な物質と組み合わせることができることが認識されよう。言い換えれば、薬学的組成物は、リファンピシン(リファンピン)、ミノサイクリン、メロペネム、コリスチン、ポリミキシンB、ホスホマイシン、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、テトラサイクリン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、アレニシン-3、およびリネゾリドからなる群より選択される少なくとも1つの他の薬学的に活性な物質をさらに含みうる。第1の局面の化合物は、いくつかの薬学的に活性な物質との有用な組み合わせを実現することができると想定される。
上記で言及された組み合わせを、薬学的製剤の形態での使用に好都合に供することができ、したがって、上記定義の組み合わせを薬学的に許容される担体と共に含む製剤は、本発明のさらなる局面を構成する。
好適には、薬学的に許容される担体、希釈剤、および/または賦形剤は、希釈剤、溶媒、pH緩衝剤、結合剤、充填剤、乳化剤、崩壊剤、ポリマー、潤滑剤、油、脂肪、ワックス、コーティング、粘度調整剤、滑剤などのうち1つもしくは複数でありうるか、またはそれを含みうる。
本発明の化合物の塩形態は、溶解性が改善されていることから、特に有用でありうる。
希釈剤としては結晶セルロース、乳糖、マンニトール、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、カオリン、乾燥デンプン、粉砂糖などのうち1つまたは複数を挙げることができる。結合剤としてはポビドン、デンプン、ステアリン酸、ガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのうち1つまたは複数を挙げることができる。崩壊剤としてはデンプン、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウムなどのうち1つまたは複数を挙げることができる。溶媒としてはエタノール、メタノール、イソプロパノール、クロロホルム、アセトン、メチルエチルケトン、塩化メチレン、水などのうち1つまたは複数を挙げることができる。潤滑剤としてはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、硬化植物油、ベヘン酸グリセリルなどのうち1つまたは複数を挙げることができる。滑剤はコロイド状二酸化ケイ素、タルク、またはコーンスターチなどのうち1つまたは複数でありうる。緩衝剤としてはリン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、および炭酸緩衝液を挙げることができるがそれに限定されない。充填剤としては、ゼラチン、デンプン、および合成ポリマーゲルを含む、1つまたは複数のゲルを挙げることができるが、それに限定されない。コーティングは被膜形成剤、溶媒、可塑剤などのうち1つまたは複数を含みうる。好適な被膜形成剤はヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポビドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール、アクリレートなどのうち1つまたは複数でありうる。好適な溶媒は水、エタノール、メタノール、イソプロパノール、クロロホルム、アセトン、メチルエチルケトン、塩化メチレンなどのうち1つまたは複数でありうる。可塑剤はプロピレングリコール、ヒマシ油、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリソルベートなどのうち1つまたは複数でありうる。
本発明に従って有用でありうる賦形剤の非限定的な例を示すHandbook of Excipients 6th Edition, Eds. Rowe, Sheskey & Quinn (Pharmaceutical Press)を参照されたい。
薬学的に許容される担体、希釈剤、および/または賦形剤の選択が少なくとも部分的には製剤の投与様式に依存することが認識されよう。単に一例として、組成物は錠剤、カプセル剤、カプレット剤、散剤、注射液剤、坐薬、緩徐放出製剤、浸透圧ポンプ製剤、または投与に関して有効かつ安全な任意の他の形態でありうる。
好適には、薬学的組成物は、細菌感染症および/または真菌感染症により引き起こされる、哺乳動物における疾患、障害、または状態の処置または予防用の組成物である。
第3の局面では、本発明は、対象における疾患、障害、または状態の処置または予防の方法であって、有効量の第1の局面の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、あるいは第2の局面の薬学的組成物を該対象に投与することで該疾患、障害、または状態を処置または予防する段階を含む方法に関する。好適には、疾患、障害、または状態は細菌感染症または真菌感染症に関連している。
上記で説明したように、処置方法が、有用な組み合わせを実現する他の化合物を投与する段階をさらに含みうることが認識されよう。このさらなる活性物質を第1の局面の化合物と同時投与するか、その前に投与するか、またはその後に投与することができる。
この組み合わせは、第1の局面の化合物の活性を消失させない限り、薬学的に活性な物質の任意の化学的に適合性のある組み合わせを含むように意図されている。一態様では、第1の局面の化合物は他の治療剤との組み合わせで使用される。治療剤は抗生剤、抗真菌剤、抗病原性剤、バイオフィルム破壊剤、抗炎症剤、および抗菌有効性を増強することが知られている物質からなる群より選択されうる。一態様では、第1の局面の化合物は他の抗生物質との組み合わせで使用される。
一態様では、本発明は、対象における疾患、障害、または状態を処置または予防する方法であって、有効量の第1の局面の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、あるいは第2の局面の薬学的組成物を該対象に投与することで該疾患、障害、または状態を処置または予防する段階を含む方法に関する。
第4の局面では、本発明は、疾患、障害、または状態の処置のための医薬の製造における、第1の局面の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、あるいは第2の局面の薬学的組成物の使用に関する。好適には、疾患、障害、または状態は細菌感染症または真菌感染症に関連している。
医薬は、さらなる活性物質をさらに含みうる。好適には、活性物質は他の治療剤でありうる。治療剤は抗生剤、抗真菌剤、抗病原性剤、バイオフィルム破壊剤、抗炎症剤、および抗菌有効性を増強することが知られている物質からなる群より選択されうる。
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、または(II)の化合物が異なる菌株に対する改善された有効性を示しうることが想定される。一態様では、疾患、障害、または状態は病原体により引き起こされるか、またはそれに関連している。病原体はウイルス、細菌、原生生物、蠕虫、もしくは真菌、または哺乳動物に感染可能な任意の他の生物でありうるが、それに限定されない。これらの細菌はグラム陽性菌およびグラム陰性菌の両方を含む。
細菌の非限定的な例としては大腸菌、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、緑膿菌、アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)、および黄色ブドウ球菌が挙げられる。細菌のさらなる非限定的な例としては大腸菌ATCC 25922; 肺炎桿菌ATCC 13883; 肺炎桿菌ATCC 700603、MDR; 肺炎桿菌ATTC BAA-2146、NDM-1 pos; アシネトバクター・バウマンニATCC 19606; 緑膿菌ATCC 27853; 緑膿菌GN_043、PmxR; 緑膿菌GN_105、PmxR; アシネトバクター・バウマンニGN_093、PmxR; 肺炎桿菌GN_102、PmxR; 肺炎桿菌GN_106、PmxR; および黄色ブドウ球菌ATCC 25923、MSSAが挙げられる。細菌の他の非限定的な例としては、バチルス属に由来する細菌(例えば炭疽菌(Bacillus anthracis)およびセレウス菌(Bacillus cereus)); バルトネラ属に由来する細菌(例えばヘンセラ菌(Bartonella henselae)および塹壕熱菌(Bartonella quintana)); ボルデテラ属に由来する細菌(例えば百日咳菌(Bordetella pertussis)); ボレリア属に由来する細菌(例えばライム病ボレリア(Borrelia burgdorferi)、ボレリア・ガリニ(Borrelia garinii)、ボレリア・アフゼリ(Borrelia afzelii)、および回帰熱ボレリア(Borrelia recurrentis)); ブルセラ属に由来する細菌(例えばウシ流産菌(Brucella abortus)、イヌ流産菌(Brucella canis)、ヤギ流産菌(Brucella melitensis)、ブタ流産菌(Brucella suis)); カンピロバクター属に由来する細菌(例えばカンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)); クラミジア属に由来する細菌(例えば肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)およびトラコーマクラミジア(Chlamydia trachomatis)); クラミドフィラ属に由来する細菌(例えばオウム病クラミジア(Chlamydophila psittaci)); クロストリジウム属に由来する細菌(例えばボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)、および破傷風菌(Clostridium tetani)); コリネバクテリウム属に由来する細菌(例えばジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)); 腸内細菌科に由来する細菌(例えばエンテロバクター属、シトロバクター属、大腸菌、肺炎桿菌、およびネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)); 腸球菌属に由来する細菌(例えばフェカリス菌(Enterococcus faecalis)およびフェシウム菌(Enterococcus faecium)); 大腸菌属に由来する細菌(例えば大腸菌); フランシセラ属に由来する細菌(例えば野兎病菌(Francisella tularensis)); ヘモフィルス属に由来する細菌(例えばインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)); ヘリコバクター属に由来する細菌(例えばピロリ菌(Helicobacter pylori)); レジオネラ属に由来する細菌(例えば在郷軍人病菌(Legionella pneumophila)); レプトスピラ属に由来する細菌(例えばレプトスピラ・インテロガンス(Leptospira interrogans)、レプトスピラ・サンタロサイ(Leptospira santarosai)、レプトスピラ・ウェイリイ(Leptospira weilii)、およびレプトスピラ・ノグチイ(Leptospira noguchii)); リステリア属に由来する細菌(例えばリステリア菌(Listeria monocytogenes)); マイコバクテリウム属に由来する細菌(例えばらい菌(Mycobacterium leprae)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、およびマイコバクテリウム・ウルセランス(Mycobacterium ulcerans)); マイコプラズマ属に由来する細菌(例えば肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)); ナイセリア属に由来する細菌(例えば淋菌(Neisseria gonorrhoeae)および髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)); プロテウス属に由来する細菌(例えばプロテウス・ミラビリス(Proteus Mirabilis)); シュードモナス属に由来する細菌(例えば緑膿菌); リケッチア属に由来する細菌(例えばリケッチア・リケッチイ(Rickettsia rickettsii)); サルモネラ属に由来する細菌(例えばチフス菌(Salmonella typhi)およびネズミチフス菌); セラチア属に由来する細菌(例えば霊菌(Serratia Marcescens)); 赤痢菌属に由来する細菌(例えばソンネ菌(Shigella sonnei)); ブドウ球菌属に由来する細菌(例えば黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、およびスタフィロコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus)); 連鎖球菌属に由来する細菌(例えばストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)、および化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)); トレポネーマ属に由来する細菌(例えば梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)); ウレアプラズマ属に由来する細菌(例えばウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)); ビブリオ属に由来する細菌(例えばコレラ菌(Vibrio cholerae)); ならびにエルシニア属に由来する細菌(例えばペスト菌(Yersinia pestis)、エンテロコリチカ菌(Yersinia enterocolitica)、および仮性結核菌(Yersinia pseudotuberculosis))が挙げられる。
真菌の非限定的な例としてはアスペルギルス属(例えばアスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、およびアスペルギルス・クラバタス(Aspergillus clavatus))、ブラストミセス属、カンジダ属、コクシジオイデス属、クリプトコッカス属(例えばクリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、クリプトコッカス・ローレンティ(Cryptococcus laurentii)、クリプトコッカス・アルビダス(Cryptococcus albidu)、およびクリプトコッカス・ガッティ(Cryptococcus gattii))、ヒストプラズマ属(例えばヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum))、ニューモシスチス属(例えばニューモシスチス・ジロベシ(Pneumocystis jirovecii))、スポロトリクス属、スタキボトリス属(例えばスタキボトリス・チャルトラム(Stachybotrys chartarum))、エクセロヒルム属、ならびにクラドスポリウム属が挙げられる。
本明細書において一般的に使用される「投与すること」または「投与」などの用語は、例えば特定の経路または媒体による対象への化合物または組成物の導入を記述するものである。投与経路としては、経口、頬側、舌下、鼻腔、肛門、胃腸、皮下、筋肉内、および皮内を含む、局所、非経口、および経腸投与経路を挙げることができるがそれに限定されない。
「処置する」、「処置」、または「処置すること」とは、対象が経験する疾患、障害、または状態の既存の徴候または症状を少なくとも寛解させ、減少させ、または抑制するための、該対象への化合物または組成物の投与を意味する。
「予防する」、「予防すること」、または「予防的」とは、疾患、障害、または状態の徴候または症状を示していないが、予防がなければ該徴候または症状をおそらく示すと予想または予測される、対象への製剤の予防的投与を意味する。予防的処置は、予想される症状または徴候を少なくとも減少させうるかまたは部分的に寛解させうる。
本明細書において使用される「有効量」とは、処置される状態の症状の発生を予防するために、または症状の悪化を中断させるために、または症状を処置して症状を寛解させるかもしくは少なくとも症状の重症度を減少させるために十分な量の、当該の化合物または組成物の投与を意味する。有効量は、患者の年齢、性別、体重などによって、当業者が理解するであろう様式で変動する。適切な投与量または投与レジメンは日常的試行を通じて確認可能である。
本明細書において使用される「対象」または「個体」または「患者」という用語は、処置が望まれる任意の対象、具体的には脊椎動物対象、さらに具体的には哺乳動物対象を意味しうる。好適な脊椎動物としては霊長類、鳥類、家畜動物(例えばヒツジ、ウシ、ウマ、ロバ、ブタ)、実験動物(例えばウサギ、マウス、ラット、モルモット、ハムスター)、伴侶動物(例えばネコ、イヌ)、および捕獲野生動物(例えばキツネ、シカ、ディンゴ)が挙げられるがそれに限定されない。好ましい対象は、疾患、障害、または状態、特に細菌感染症または真菌感染症に関連する疾患、障害、または状態の処置を必要とするヒトである。
さらに、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、または(II)の化合物が皮下、局所、筋肉内、および静脈内投与される際に有効であることが想定される。いくつかの例示的化合物をマウス大腿感染症モデルにおいて試験した。結果を図3および図4に示す。以下の略語が図3および図4において使用されることに留意されたい。「b.i.d」とは「1日2回」のことであり、投与が1日2回で完了したことを意味する。「q.d」とは「1日1回」のことであり、投与が1日1回であったことを意味する。「IV」とは静脈内治療を意味する。「SC」とは皮下注射を意味する。
いくつかの例示的化合物を、感受性菌および耐性菌のパネルに対するそれらのMICを確定するために、また、HK2細胞、HEK293細胞、HEPG2細胞、および初代腎細胞に対するそれらの細胞毒性(CC50)および腎毒性を確定するために試験した。これらの結果を以下の表(表1〜表12)に示す。
疾患、障害、および状態の広範な分類に従って定義されるこれらの一般的態様が相互に排他的なものではないことが認識されよう。これに関して、任意の特定の疾患、障害、または状態を2つ以上の上記の一般的態様に従って分類することができる。
(表1)AA1 = D-Dab、AA3 = AA6 = AA7 = L-Dab、FA = 3(R)-ヒドロキシデカン酸を有し、AA4位および/またはAA5位および/またはAA8位の変動を伴う、オクタペプチン化合物の最小阻害濃度(MIC、μg/mL)値。別途指示がない限り、アミノ酸はL配置である。
Figure 2021501783
(表2)AA1 = D-Dab、AA3 = AA6 = AA7 = L-Dab、AA8 = L-Trp、FA = 3(R)-ヒドロキシデカン酸を有し、AA4位またはAA5位の変動を伴う、オクタペプチン化合物の最小阻害濃度(MIC、μg/mL)値。別途指示がない限り、アミノ酸はL配置である。
Figure 2021501783
(表3)AA3 = L-Dab、AA8 = L-Trpを有し、AA1位および/またはAA4位および/またはAA5位および/またはAA6位および/またはAA7位および/または脂肪酸(FA)の変動を伴う、オクタペプチン化合物の最小阻害濃度(MIC、μg/mL)値。別途指示がない限り、アミノ酸はL配置である。
Figure 2021501783
(表4)AA3 = AA6 = L-Dab、AA5 = AA8 = L-Leu、FA = 3(R)-ヒドロキシデカン酸を有し、AA1位および/またはAA4位および/またはAA7位の変動を伴う、オクタペプチン化合物の最小阻害濃度(MIC、μg/mL)値。別途指示がない限り、アミノ酸はL配置である。
Figure 2021501783
(表5)AA1 = D-Dab、AA4 = L-Phe、AA5 = AA8 = L-Leu、FA = 3(R)-ヒドロキシデカン酸を有し、AA3位またはAA6位の変動を伴う、オクタペプチン化合物の最小阻害濃度(MIC、μg/mL)値。別途指示がない限り、アミノ酸はL配置である。
Figure 2021501783
(表6)AA3 = AA6 = AA7 = L-Dab、AA4 = L-Phe、AA5 = AA8 = L-Leuを有し、AA1位および/または脂肪酸(FA)の変動を伴う、オクタペプチン化合物の最小阻害濃度(MIC、μg/mL)値。別途指示がない限り、アミノ酸はL配置である。
Figure 2021501783
(表7)AA3 = AA6 = AA7 = L-Dab、AA8 = L-Leuを有し、AA1位および/またはAA4位および/またはAA5位および/または脂肪酸(FA)の変動、さらには環のサイズ(AA2)の変動を伴う、オクタペプチン化合物の最小阻害濃度(MIC、μg/mL)値。別途指示がない限り、アミノ酸はL配置である。
Figure 2021501783
Figure 2021501783
Figure 2021501783
(表8)AA1 = D-Dab、AA3 = L-Dab、AA8 = L-Thr、FA = 3(R)-ヒドロキシデカン酸を有し、AA4位および/またはAA5位および/またはAA6位および/またはAA7位の変動を伴う、オクタペプチン化合物の最小阻害濃度(MIC、μg/mL)値。別途指示がない限り、アミノ酸はL配置である。
Figure 2021501783
(表9)AA6 = AA7 = L-Dab、AA4 = L-Phe、AA5 = L-Leu、AA8 = L-Thrを有し、AA1位および/またはAA3位および/または脂肪酸(FA)の変動を伴う、オクタペプチン化合物の最小阻害濃度(MIC、μg/mL)値。別途指示がない限り、アミノ酸はL配置である。
Figure 2021501783
(表10)AA1 = D-Dab、AA3 = AA6 = AA7 = L-Dab、AA4 = L-Phe、AA5 = AA8 = L-Leuを有し、脂肪酸(FA)の変動を伴う、オクタペプチン化合物の最小阻害濃度(MIC、μg/mL)値。別途指示がない限り、アミノ酸はL配置である。
Figure 2021501783
(表11)オクタペプチン-C4中の各アミノ酸位置がそのアザ-アミノ酸等価物で置換された一置換アザ-オクタペプチン化合物の最小阻害濃度(MIC、μg/mL)値。別途指示がない限り、アミノ酸はL配置である。
Figure 2021501783
(表12)指示される配列を有するオクタペプチン化合物の淋菌に対する最小阻害濃度(MIC、μg/mL)値。
Figure 2021501783
(表13)抗生物質リファンピシン、ミノサイクリン、アレニシン-3、およびリネゾリドによるオクタペプチンC4の増強の概要
Figure 2021501783
*表中、FICI値が0.5以下である化合物組み合わせに灰色の影を付けて相乗作用を示し; NA = 活性なし; 灰色の値は、増強剤のMICがこの値であることから除外される値を示す。
(表14)抗生物質リファンピシンおよびミノサイクリンによる6442の増強の概要
Figure 2021501783
*表中、FICI値が0.5以下である化合物組み合わせに灰色の影を付けて相乗作用を示し; NA = 活性なし; 灰色の値は、増強剤のMICがこの値であることから除外される値を示す。
(表15)抗生物質リファンピシンおよびミノサイクリンによる8980の増強の概要
Figure 2021501783
*表中、FICI値が0.5以下である化合物組み合わせに灰色の影を付けて相乗作用を示す。
(表16)抗生物質リファンピシンおよびミノサイクリンによる8981の増強の概要
Figure 2021501783
*表中、FICI値が0.5以下である化合物組み合わせに灰色の影を付けて相乗作用を示す。
(表13)代表的化合物に関する細胞毒性CC50データ(HepG2およびHEK293細胞株)、ならびに初代ヒト腎細胞からのLDH(A)およびGGT(B)の放出量を測定する腎毒性CC50データの、対照化合物(ポリミキシンB、オクタペプチン-C4、およびゲンタマイシン)との比較の概要。
Figure 2021501783
上記の表1〜表12からは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、および(II)のいくつかの化合物が上記菌株に対するMICに関して有利な特性を示すことが明らかなはずである。さらに、上記化合物が、多くのありうる抗生物質を生じさせる現行の合成経路を通じて入手可能であることも明らかなはずである。
表13〜表16からは、式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、および(II)のいくつかの化合物が、他の抗生物質との組み合わせで使用される際に有利な特性を示し、いくつかの上記菌株に対する部分阻害濃度指数(FICI)確定値による相乗作用を示すことが明らかなはずである。
図1は、本発明のいくつかの化合物、ならびにポリミキシンB、オクタペプチン-C4、およびゲンタマイシンを使用する、初代ヒト腎細胞からのLDH(A)およびGGT(B)およびNGAL(C)およびKIM-1(D)の放出量を測定するインビトロ腎毒性試験を示す。
図2は、マウスにおいて皮下投与された本発明の例示的な化合物の薬物動態プロファイルの、ポリミキシンBおよびオクタペプチンC4との比較を示す。
図3は、本発明の例示的な化合物ならびにポリミキシンB、オクタペプチン-C4、およびゲンタマイシンの皮下投与による大腸菌マウス大腿感染症の処置に関する、未処置対照との比較による、24時間後に大腿に残留する細菌のcfu(コロニー形成単位)を測定するインビボ有効性試験を示す。
図4は、本発明の例示的な化合物ならびにポリミキシンB、オクタペプチン-C4、およびゲンタマイシンの静脈内投与による大腸菌マウス大腿感染症の処置に関する、未処置対照との比較による、24時間後に大腿に残留する細菌のcfu(コロニー形成単位)を測定するインビボ有効性試験を示す。
実験
材料および方法
すべての化学物質を商業的供給業者から入手し、さらに精製せずに使用した。H-L-Leu-2-クロロトリチル樹脂およびFmoc α-アミノ酸をChem-Impex International Inc.(米国イリノイ州ウッドデール)またはIris Biotech(ドイツ・マルクトレドヴィッツ)またはNovabiochem(Merck)から購入した。ペプチドグレードトリフルオロ酢酸(TFA)、ピペリジン、メタノール、およびN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)をAusPep(オーストラリア・メルボルン)から購入した。硫酸ゲンタマイシン(USPグレード)、硫酸ポリミキシンB(USPグレード)、および塩酸バンコマイシン水和物をSigma-Aldrich(オーストラリア・シドニー)から購入した。3-(R)-ヒドロキシデカン酸メチルエステルをToronto Research Chemicals, Inc.(カナダ・トロント)から購入した。他のすべての溶媒はHPLCグレードとした。
LC-MS分析を、λ=210nmに設定されたG1316A可変波長検出器、1200シリーズELSD、6110四重極型ESI-MSを備えたAgilent Technologies 1200シリーズ機器を使用し、Agilent Eclipse XDB-Phenyl(3x100mm、粒径3.5μm、流量1mL/分、移動相: 0.05%ギ酸水溶液および0.05%ギ酸アセトニトリル溶液)を使用して行った。化合物精製を、λ=210nmに設定されたG1365D多波長検出器を備えたAgilent 1260 Infinity分取HPLCを使用して行った。溶離液1: 0.05%ギ酸水溶液(A)および0.05%ギ酸アセトニトリル溶液(B)。溶離液2: 0.05%トリフルオロ酢酸水溶液(A)および0.05%トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液(B)。溶離液3: 水(A)およびアセトニトリル(B)。HPLCカラム - カラム1: Agilent Eclipse XDB phenyl; 4.6x150mm、5μ。カラム2: Agilent Eclipse XDB phenyl; 30x100mm、5μ。カラム3: Grace Reverleris C18 RP 12gカートリッジ。HPLC方法 - 方法1: 溶離液1、カラム1、流量1mL/分。比はそれぞれ溶媒A、溶媒Bを指す: 95:5、0.5分; 95:5〜0:100、8.5分; 0:100、2分。方法2: 溶離液1、カラム1、流量1mL/分。比はそれぞれ溶媒A、溶媒Bを指す: 95:5、0.5分; 95:5〜0:100、3分; 0:100、0.7分。方法3: 溶離液2、カラム2、流量20mL/分。比はそれぞれ溶媒A、溶媒Bを指す: 95:5〜59:41、16分。方法4: 溶離液2、カラム2、流量20mL/分。比はそれぞれ溶媒A、溶媒Bを指す: 95:5、5分; 95:5〜75:25、1分; 75:25〜70:30、5分; 70:30、10分。方法5: 溶離液3、カラム3、流量30mL/分。比はそれぞれ溶媒A、溶媒Bを指す: 100:0、1.9分; 100:0〜0:100、9.5分; 0:100、3.4分。
95%超の最終純度を、1つまたは複数の以下の技術の組み合わせを使用して確認した: MS/MS(API QSTAR(商標)PulsarハイブリッドLC-MS/MSシステムを使用して取得)、高分解能質量分析(HRMS)(Bruker Micro TOF質量分析計上で、ギ酸ナトリウムおよび1H(600MHz)に対して較正された(+)-ESIを使用して実行)、ならびに2D NMRスペクトル(TXIクライオプローブを備えたBruker Avance-600分光計を使用してD2O中で、NaOAc(δH 1.90および8.44; D2O 500μL中10mg)を外部標準とし、次にδ4.77でのHDO共鳴を内部標準として取得)。
一般的合成方法
式(I)、(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、および(II)の化合物を、Fmoc化学反応を使用しかつHBTUをカップリング試薬として使用する固相ペプチド合成を使用して構築した。側鎖上のBoc保護基およびt-ブチルエーテルをそのまま残す弱酸性条件下で樹脂からの選択的切断を可能にすることから、2-クロロトリチル(2-CT)などの典型的な樹脂を固体支持体として選択した。
モノエチルマロン酸マグネシウムを使用して出発酸から対応するb-ケトエステルを形成し、ケトンをアルコールに還元し、エチルエステルを加水分解することで3-ヒドロキシ脂肪酸を合成した。
固相ペプチド合成の一般的手順(オクタペプチンC4の合成により例示)
ペプチドカップリングの一般的方法
出発樹脂H-L-Leu-2CT(1006mg、0.674mmol、0.67mmol/g)をTHF中で予備膨潤させた後、DCM(x3)およびDMF(x3)で短時間洗浄した。2,4,6-コリジン(4当量)で処理されたHCTU溶液(0.279M、1.8当量)に適切なFmoc-アミノ酸(2当量)を溶解させ、5分間静置した。予備活性化アミノ酸溶液を樹脂に加えた。2時間振盪後、溶媒を排出し、樹脂をDMF(x3)で洗浄した。少量の樹脂(1〜3mg)を95:2.5:2.5 TFA/トリイソプロピルシラン/H2O(10μL)で15分間処理した後、1:1アセトニトリル/H2O(1mL)に懸濁させ、濾過し、LC/MS分析を行うことで、カップリング効率をモニタリングした。このようにして、すべてのカップリングは各工程において定量的と見なされた。次のアミノ酸が直ちにカップリングされるように予定されていない場合、樹脂をDCM(x3)、IPA(x3)で洗浄し、終夜減圧乾燥させた後、保管した。あるいは、樹脂を周囲温度にて30%ピペリジンDMF溶液(樹脂1グラム当たり約10mL)で2回連続処理(1x10分、1x20分)することでFmoc脱保護を実施した。溶媒を排出し、各処理の間、および順序の完了後に樹脂をDMF(x3)で洗浄した。上記で概説したものと同じプロトコルを使用してAA-1のN末端を3-(R)-ヒドロキシデカン酸(1.5当量)でアシル化することで、ペプチド合成を完了した。樹脂をDMF(x3)、DCM(x3)、IPA(x3)、DCM(x3)、IPA(x3)で洗浄した後、終夜減圧乾燥させた。樹脂1aの最終重量は2214mg(SV 0.33mmol/g)であった。
直交N-脱保護
上記で得た樹脂1a(2214mg)をTHF中で30分間予備膨潤させた。溶媒を排出し、樹脂を4%ヒドラジン水和物DMF溶液(6.5mL、約8当量)と共に周囲温度で1時間攪拌した。溶媒を排出し、樹脂をDMF(x3)、THF(x3)、IPA(x3)、DCM(x3)、およびIPA(x3)で順次洗浄した。得られた脱保護樹脂を終夜減圧乾燥させた。樹脂1bの最終重量は2030mg(SV 0.354mmol/g)であった。
樹脂切断
上記で得た樹脂(2030mg、0.354mmol/g、0.718mmol)をヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)のDCM溶液(1:4、45mL)で1時間処理した。溶媒を排出し、樹脂をさらなる量の切断溶液(25mL)と共にさらに30分間振盪した。溶媒を排出し、樹脂をDCM(x3)で洗浄した。濾液をプールし、蒸発させた後、終夜減圧乾燥させて粗生成物1c(1.357g、理論値の129%)をクリーム色固体として得た。tR 6.7(方法1)。(ES) m/z 1462.9 (MH+)。この材料をさらに精製せずに使用した。
樹脂外での環化および脱保護
粗生成物1c(1.357g、推定0.718mmol)をDMF(90mL、0.008M)に溶解させ、わずかに混濁した溶液を短いセライトベッドを通じて濾過した。得られた透明溶液をNaHCO3(1260mg、約20当量)、続いてDPPA(395mg、1.436mmol、2当量)で処理した。混合物を周囲温度で終夜攪拌した。LC/MS分析(tR 6.7直鎖、tR 7.5環化、方法1)でモニタリングしたように、変換は定量的であった。混合物をセライトベッドを通じて濾過し、溶媒を蒸発させた。微量のDMFをヘプタン(x3)からの同時蒸発により除去し、得られた生成物を終夜減圧乾燥させて環化粗生成物1d(1697mg)を得た。ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)と樹脂切断工程の残留HFIPとの間の反応により生じた副生成物を除去するために、粗固体を過剰の石油スピリット(40〜60)に懸濁させ、終夜攪拌して均一な帯黄白色固体を生成し、これを濾取した。ケークをペンタンで洗浄し、固体を終夜減圧乾燥させて環化粗生成物1dを帯黄白色粉末(1367mg)として得た。この段階で1dはジフェニルホスフェート以外の不純物を実質的に含まず、続いてジフェニルホスフェートを逆相HPLC精製(方法5)により除去した。完全保護オクタペプチン-C4前駆体1dの最終収量は600mg(収率58%、純度97%超)であった。tR 7.5(方法1)。(ES) m/z 1445.4 (MH+)、1345.52 (MH+-Boc)。
オクタペプチン類似体の精製
精製1d(600mg、0.415mmol)を94:5:1 TFA/H2O/iPr3iH(10mL)に溶解させ、周囲温度で1時間静置した。揮発物を減圧除去し、得られた残渣をヘプタン(x2)から同時蒸発させた。こうして得られた粗生成物オクタペプチンC4を水から凍結乾燥させた後、10mM NH4HCO3溶液から再凍結乾燥させて白色粉末(605mg)を得た。tR 3.4(方法1)。(ES) m/z 1067.0 (M+Na+)、1045.1 (MH+)、523.1 (MH2 2+)。精製を逆相HPLC(方法4)により実現した。TFA塩としてのオクタペプチンC4 631の最終収量は386mg(62%、純度97%超)であった。HRMS精密質量(ESI microTOF-LC): C51H90N13O10 +の計算値1044.6928 (MH2 2+)、実測値1044.6917。H-L-Leu-2CT樹脂からのオクタペプチンC4の全収率は38%であった。
オクタペプチンC4の固相合成および樹脂外での環化
Figure 2021501783
試薬および条件: i) 2当量の対応するアミノ酸(表1参照)、1.8当量の0.28M HCTU DMF溶液、および4当量の2,4,6-コリジンを使用する固相ペプチド合成(SPPS); ii) 30%ピペリジン、DMF; iii) 1.5当量の(R)-3-ヒドロキシデカン酸(3(R)OH-nC9CO)、1.8当量の0.28M HCTU DMF溶液、および4当量の2,4,6-コリジン; iv) (a) 4%ヒドラジン水和物DMF溶液; (b) HFIP DCM溶液; v) DPPA、NaHCO3、DMF; vi) TFA/iPr3SiH/H2O(95:1:4)。
アザ-ペプチドの固相ペプチド合成の一般的手順(アザ-leu 4 -オクタペプチンC4の合成により例示)
アザ-アミノ酸を樹脂とカップリングするための一般的方法
出発樹脂Fmoc-L-Dab-L-Dab-L-Leu-2CT(別の工程で既に調製、418mg、0.198mmol、0.473mmol/g)をTHF中で予備膨潤させた後、DCM(x3)およびDMF(x3)で短時間洗浄した。樹脂を周囲温度にて30%ピペリジンDMF溶液(樹脂1グラム当たり約10mL)で処理した(1x10分、1x20分)。樹脂を無水DCM(x3)で洗浄した後、以下のようにして調製されたFmoc-アザ-Leu-COClで処理した: Fmoc-アザ-Leu(196mg、0.631mmol)の無水DCM(5mL)溶液を0℃に冷却し、20%ホスゲントルエン溶液(665μL、1.26mmol、2当量)で処理した。15分後、TLCは反応が完了に至ったことを示した。溶液を濃縮し、減圧乾燥させて無色油状物を得た。油状物をDCM(4mL)およびDIPEA(220μL)の溶液に再溶解させ、得られた溶液をペプチド樹脂に加えた。2時間攪拌後、樹脂を排出し、DCM、DMF、MeOH、およびDCM(各x3)で順次洗浄し、終夜高真空乾燥させた。樹脂2aの収量は420mg(SV 0.458mmol/g)であった。
Fmoc-アミノ酸をアザ-アミノ酸とカップリングするための一般的方法
樹脂2a(420mg、約0.19mmol)を周囲温度にて30%ピペリジンDMF溶液(樹脂1グラム当たり約10mL)で処理した(1x10分、1x20分)。樹脂をDMF、続いて無水THF(各x3)で洗浄した。樹脂を最小量のTHFに懸濁させ、DIPEA(300μL)で処理した。1分後、樹脂を排出し、THF(最小量)に再懸濁させ、DIPEA(300μL)、続いて以下のようにして調製されたFmoc-Phe-COClで順次処理した: Fmoc-Phe-OH(234mg、0.604mmol、樹脂に対して約3当量)およびBTC(56mg、0.188mmol)の無水THF(2mL)溶液を0℃に冷却し、2,4,6-コリジン(260μL、1.98mmol、樹脂に対して10当量)で処理した。1分後、溶液を室温に昇温させ、5分間攪拌した後、樹脂に加えた。3時間攪拌後、樹脂を排出し、DMFおよびDCM(各x3)で順次洗浄し、終夜高真空乾燥させた。LC/MS分析によればカップリングは未完了であった。2回目のカップリングをさらに4時間行った。洗浄および乾燥後、樹脂2bの収量は420mg(SV 0.429mmol/g)であった。ペプチドの残りを、オクタペプチンC4について概説した標準的ペプチドカップリング手順を使用して合成した。樹脂2cの最終重量は408mg(SV 0.33mmol/g)であった。
直交N-脱保護
上記で得た樹脂2c(408mg)をTHF中で30分間予備膨潤させた。溶媒を排出し、樹脂を4%ヒドラジン水和物DMF溶液(1.3mL、約8当量)と共に周囲温度で1時間攪拌した。溶媒を排出し、プロセスをさらなる量の4%ヒドラジン水和物DMF溶液(2mL)で繰り返した。樹脂をDMF(x3)、THF(x3)、IPA(x3)、DCM(x3)、およびIPA(x3)で順次洗浄した。得られた脱保護樹脂を終夜減圧乾燥させた。樹脂2dの最終重量は約400mg(SV 0.36mmol/g)であった。
樹脂切断
上記で得た樹脂(400mg、0.36mmol/g、0.14mmol)をヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)のDCM溶液(1:4、15mL)で2時間処理した。溶媒を排出し、樹脂をDCM(x3)で洗浄した。濾液をプールし、蒸発させた後、終夜減圧乾燥させて粗生成物2d(123mg)をクリーム色固体として得た。tR 6.8(方法1)。(ES) m/z 1463.8 (MH+)。この材料をさらに精製せずに使用した。
樹脂外での環化および脱保護
粗生成物2d(123mg、推定0.08mmol)をDMF(10mL、0.008M)に溶解させ、NaHCO3(140mg、約20当量)、続いてDPPA(36μL、0.16mmol、2当量)で処理した。混合物を周囲温度で終夜攪拌した。反応をLC/MS分析(tR 6.8直鎖、tR 7.5環化、方法1)でモニタリングした。混合物をセライトベッドを通じて濾過し、溶媒を蒸発させた。微量のDMFをヘプタン(x3)からの同時蒸発により除去し、得られた生成物を終夜減圧乾燥させた。ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)と樹脂切断工程の残留HFIPとの間の反応により生じた副生成物を除去するために、粗固体を過剰のペンタンに懸濁させ、終夜攪拌して均一な帯黄白色固体を生成し、これを濾取した。ケークをペンタンで洗浄し、固体を終夜減圧乾燥させて環化粗生成物2eを帯黄白色粉末(145mg)として得た。この段階で2eはジフェニルホスフェート以外の不純物を実質的に含まず、続いてジフェニルホスフェートを逆相HPLC精製(方法5)により除去した。完全保護アザ-Leu4-オクタペプチン-C4前駆体2eの最終収量は26mg(収率22%、純度95%)であった。tR 7.5(方法1)。(ES) m/z 1446.2 (MH+)、1346.2 (MH+-Boc)。
オクタペプチン類似体の精製
精製2e(26mg、0.018mmol)を94:5:1 TFA/H2O/iPr3iH(4mL)に溶解させ、周囲温度で1時間静置した。揮発物を減圧除去し、得られた残渣をヘプタン(x2)から同時蒸発させた。こうして得られた粗生成物8803を水から凍結乾燥させて白色粉末(23.7mg)を得た。tR 3.5(方法1)。(ES) m/z 1068.0 (M+Na+)、1046.1 (MH+)、523.5 (MH2 2+)。精製を逆相HPLC(方法4)により実現した。TFA塩としての8803の最終収量は15.8mg(58%、純度97%超)であった。HRMS精密質量(ESI microTOF-LC): C50H90N14O10 2+の計算値524.3549 (MH2 2+)、実測値524.3489。Fmoc-L-Dab-L-Dab-L-Leu-2CT樹脂からの8803の全収率は5.3%であった。
式(I)のアザ化合物の固相合成および樹脂外での環化の一般的手順
Figure 2021501783
試薬および条件: i) 30%ピペリジン、DMF; ii) Fmoc-aza-Leu-COCl、DIPEA、DCM; iii) Fmoc-Phe-COCl、THF; iv) (a) 2当量の対応するアミノ酸、1.8当量の0.28M HCTU DMF溶液、および4当量の2,4,6-コリジンを使用する固相ペプチド合成(SPPS);(b) 1.5当量の(R)-3-ヒドロキシデカン酸(3(R)OH-nC9CO)、1.8当量の0.28M HCTU DMF溶液、および4当量の2,4,6-コリジン; v) (a) 4%ヒドラジン水和物DMF溶液; (b) HFIP DCM溶液; vi) DPPA、NaHCO3、DMF; vii) TFA/iPr3SiH/H2O(95:1:4)。
式(I)の別の化合物の固相合成および樹脂外での環化
Figure 2021501783
試薬および条件: i) 2当量の対応するアミノ酸、2当量の0.5M HCTU DMF溶液、および4当量のDIPEAを使用する固相ペプチド合成(SPPS); ii) 30%ピペリジン、DMF; iii) 1.2当量の(R)-3-ヒドロキシデカン酸(3(R)OH-nC9CO)、2当量の0.5M HCTU DMF溶液、および4当量のDIPEA; iv) 2% ヒドラジン水和物DMF溶液; v) Boc-Arg(Pbf)-OH、2当量の0.5M HCTU DMF溶液、および4当量のDIPEA; vi) Pd(PPh3)、PhSiH3、DCM; vii) 2% TFA DCM溶液; viii) DPPA、DIPEA、DMF; vii) TFA/H2O/Et3SiH(94:5:1)。
β-ヒドロキシカルボン酸の合成
(S)-(+)-6-メチル-1-オクタン酸2b
Figure 2021501783
(S)-(+)-6-メチル-1-オクタノール2a(3.14g、21.80mmol)のDMF(57mL)溶液にPDC(28.75g、76.43mmol)を加えた。この溶液をN2下、室温で終夜攪拌した。水(60mL)を加え、混合物をジエチルエーテル(2x100mL)で抽出した。有機相をMgSO4で乾燥させた。溶媒を減圧除去した。粗生成物を、EtOAc:石油エーテル(1:1)を溶離液とするシリカカラムクロマトグラフィーを使用して精製して、無色油状物を得た。収量: 2.05g、59%;
Figure 2021501783
(S)-(+)-4-メチル-1-ヘキサン酸3b
Figure 2021501783
2bについて記載のように、但し(S)-(+)-4-メチル-1-ヘキサノール3a(3.15g、27.12mmol)を使用して、3bを無色油状物(1.56g、収率46%)として得た。
Figure 2021501783
7-メチル-1-オクタン酸4b
Figure 2021501783
2bについて記載のように、但し7-メチル-1-オクタノール4a(0.75g、5.21mmol)を使用して、4bを無色油状物(0.311g、収率38%)として得た。
Figure 2021501783
(S)-エチル-8-メチル-3-オキソデカノエート5
Figure 2021501783
(S)-(+)-6-メチル-1-オクタン酸2b(0.629g、15.66mmol)の乾燥THF(19.9mL)溶液にCDI(2.404g、14.82mmol)を加え、溶液を窒素下、周囲温度で終夜攪拌した。マロン酸モノエチル(0.933g)の乾燥THF(11mL)溶液中にマグネシウムエトキシド(1.96g、14.82mmol)を加え、窒素下で1時間攪拌することで、Mg(OOCCH2COOEt)2を調製した。THFを減圧蒸発させて無色吸湿性塩を得て、活性化(S)-(+)-6-メチル-1-オクタン酸を含む溶液をこれに加え、窒素下での攪拌を続けた。1時間後、溶液がpH約2〜3に達するまで1M HClを加えた。混合物をDCMで抽出し、抽出物を飽和NaHCO3で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧除去した。粗生成物をEtOAc:石油エーテル(9:1)によるシリカカラムクロマトグラフィーで精製して帯黄色油状物を得た。収量: 2.34g、76%;
Figure 2021501783
エチル-8-メチル-3-オキソノナノエート6
Figure 2021501783
5について記載のように、但し(S)-(+)-4-メチル-1-ヘキサン酸3b(1.00g、6.934mmol)を使用して、6を無色油状物(0.454g、収率59%)として得た。
Figure 2021501783
エチル-9-メチル-3-オキソデカノエート7
Figure 2021501783
5について記載のように、但し7-メチル-1-オクタン酸4b(0.390g、2.46mmol)を使用して、7を無色油状物(0.495g、収率94%)として得た。
Figure 2021501783
エチル-8-メチル-3-オキソノナノエート9
Figure 2021501783
5について記載のように、但し6-メチル-ヘプタン酸8(1.00g、6.934mmol)を使用して、9を無色油状物(0.6896g、収率50%)として得た。
Figure 2021501783
(8S)-エチル-3-ヒドロキシ-8-メチルデカノエート10
Figure 2021501783
(S)-エチル-8-メチル-3-オキソデカノエート5(0.50g、2.19mmol)のEtOH(25mL)溶液に水素化ホウ素ナトリウム(0.083g、2.19mmol)を加えた。0℃で2.5時間攪拌後、EtOHを減圧蒸発させ、水(25mL)を加え、混合物をDCM(2x15mL)で抽出した。一緒にした抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧除去した。粗生成物を1:4(EtOAc:石油エーテル)によるシリカカラムクロマトグラフィーで精製して無色油状物を得た。収量: 0.297g、59%;
Figure 2021501783
(6S)-エチル-3-ヒドロキシ-6-メチルオクタノエート11
Figure 2021501783
10について記載のように、但しエチル-6-メチル-3-オキソオクタノエート6(0.385g、1.924mmol)を使用して、11を無色油状物(0.248g、収率64%)として得た。
Figure 2021501783
3-ヒドロキシ-9-メチルデカノエート12
Figure 2021501783
10について記載のように、但しエチル-9-メチル-3-オキソデカノエート7(0.350g、1.533mmol)を使用して、12を無色油状物(0.174g、収率49%)として得た。
Figure 2021501783
エチル-3-ヒドロキシ-8-メチルノナノエート13
Figure 2021501783
10について記載のように、但しエチル-8-メチル-3-オキソノナノエート9(0.602g、2.807mmol)を使用して、13を無色油状物(0.467g、収率77%)として得た。
Figure 2021501783
(8S)-エチル-3-ヒドロキシ-8-メチルデカノエート14
Figure 2021501783
(8S)-エチル-3-ヒドロキシ-8-メチルデカノエート10(0.287g、1.24mmol)のTHF/H2O(1:1)4.6mL溶液にLiOH(0.089g、3.73mmol)を加え、混合物を周囲温度で終夜攪拌した。1M HClを加えて溶液をpH 2〜3に酸性化した。溶液をEtOAc(3x15mL)で抽出し、一緒にした抽出物をMgSO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧除去して淡帯黄色油状物を得た。収量: 0.237g、94%;
Figure 2021501783
(6S)-エチル-3-ヒドロキシ-6-メチルオクタン酸15
Figure 2021501783
14について記載のように、但し(6S)-エチル-3-ヒドロキシ-6-メチルオクタノエート11(0.238g、1.176mmol)を使用して、15を淡黄色油状物(0.196g、収率96%)として得た。
Figure 2021501783
3-ヒドロキシ-9-メチルデカン酸16
Figure 2021501783
14について記載のように、但し3-ヒドロキシ-9-メチルデカノエート12(0.171g、0.742mmol)を使用して、16を黄色油状物(0.144g、収率96%)として得た。
Figure 2021501783
エチル-3-ヒドロキシ-8-メチルノナン酸17
Figure 2021501783
14について記載のように、但しエチル-3-ヒドロキシ-8-メチルノナノエート13(0.462g、2.136mmol)を使用して、17を黄色油状物(0.393g、収率98%)として得た。
Figure 2021501783
3-(R)-ヒドロキシデカン酸19
Figure 2021501783
14について記載のように、エチル-3-(R)-ヒドロキシデカノエート18(0.654g、3.232mmol)を使用して、19を無色固体(0.596g、収率98%)として得た。
Figure 2021501783
(文献Wu, C.; Miller, P. A.; Miller, M. J., Syntheses and studies of amamistatin B analogs reveals that anticancer activity is relatively independent of stereochemistry, ester, or amide linkage and select replacement of one of the metal chelating groups. Bioorg. Med. Chem. Lett. 2011, 21, 2611-2615と一致)。
合成化合物の実験データ
Figure 2021501783
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最小阻害濃度(MIC)の確定
以下の表6に列挙するように、細菌をAmerican Type Culture Collection(ATCC; 米国バージニア州マナサス)または独立系学術臨床分離株収集機関から取得した。細菌を栄養ブロス(NB; Bacto Laboratories、カタログ番号234000)またはミューラー・ヒントンブロス(MHB; Bacto Laboratories、カタログ番号211443)中で振盪(約180RPM)しながら37℃で終夜培養した。次に、各培養物の試料を新たなMHB中で50倍に希釈し、振盪(約180RPM)しながら37℃で2〜3時間インキュベートした。化合物ストック溶液を水中で0.64mg/mLまたは2.56mg/mLとして調製した。所望の最終濃度の2倍の化合物を96ウェルプレート(ポリスチレン、Corning、カタログ番号3370)のウェル全体にわたって2倍系列希釈した。対数中期の細菌培養物(2〜3時間のインキュベーション後)を1x106コロニー形成単位(CFU)/mLの最終濃度に希釈し、50μLを各ウェルに加えて最終細胞密度を5x105個とし、化合物濃度範囲を32μg/mL〜0.015μg/mL(緑膿菌PA9704に対して128〜0.06μg/mL)とした。37℃で20〜24時間のインキュベーション後、MICを目視で確定した。MICは、細菌増殖が見えなくなる最低化合物濃度として規定される。
増強/相乗作用抗菌アッセイを、上記の標準的MICと同様にして、以下の修正を加えて行った。アッセイを384ウェル非結合性表面プレート(NBS; Corning 3460)中およびカチオン調整ミューラー・ヒントンブロス(CA-MHB; BD、カタログ番号212322)中で、細胞を5x105 CFU/mLで加えたときに最終アッセイ量が50μLになるように行った。抗生物質およびオクタペプチン化合物を二つ組で2倍濃度系列としてマトリックスチェッカーボードフォーマットでプレーティングした。37℃で18〜20時間のインキュベーション後に生じるアッセイプレートの細菌細胞密度を、Tecan M1000 Pro分光光度計を使用して光学密度600nm(OD600)で読み取り、増殖対照に比べて90%以上の増殖阻害に関して解析することで活性濃度を確定した。相乗効果を部分阻害濃度指数(FICI)に基づいて下記式により計算した。ここで相乗作用はFICI≦0.5と見なされる。
Figure 2021501783
(表6)最小阻害濃度(MIC)の確定に使用した菌株
Figure 2021501783
細胞毒性方法論: HK2 LDHアッセイ
合成ペプチドの細胞毒性を、乳酸脱水素酵素(LDH)アッセイを行うことで、市販のコリスチン(ポリミキシンE)、ポリミキシンB(米国ミズーリ州セントルイス、Sigma chemical Co.)、および合成オクタペプチンC4との比較で評価した。細胞増殖の用量依存的阻害のカーブフィッティングに基づいて計算されたCC50値がペプチドの細胞毒性を表すものとした。ヒト腎臓2(HK2)細胞を384ウェル細胞培養プレート中に、ウェル1個当たり細胞2000個として、最終量20μLで、10% FBSを加えたDMEM/F12培地(Invitrogen #11330057)中に播種した。細胞を37℃、5% CO2で24時間インキュベートして細胞をプレートに付着させた。同様の条件をHEK293およびHepG2細胞毒性アッセイに使用した。
コリスチンおよびポリミキシンBを2mM〜0.9μMの範囲で試験した。各合成ペプチドの1mMストック水溶液120μLを凍結乾燥させ、LDHアッセイ用に処理した。凍結乾燥手順後、培地を使用して化合物を600μM溶液に再構成した。すべての試験化合物を3倍希釈で600μMから0.27μMに希釈した。次に各希釈液20μLを、最終濃度に到達するように培地20uL中に四つ組で加えた。細胞を化合物と共に37℃、5% CO2で24時間インキュベートした。インキュベーション後、培地5μLをLDHアッセイ緩衝液50μLに加え、室温で1時間インキュベートした。吸光度をPolarstarを使用して450nmで読み取った。次にデータをPrismソフトウェアにより解析した。結果を四つ組ウェルの各セットについて、下記式を使用して対照に対する平均パーセント x SDとして示す: 細胞毒性% = (ABS試料 - ABS未処理 / ABS 1% Triton X-100 - ABS未処理)*100。ヒト近位尿細管細胞中での腎毒性評価。
細胞毒性方法論: レサズリンアッセイ
HEK293細胞およびHepG2細胞に対する細胞毒性を、レサズリンアッセイを使用して確定した(McMillian, M. K.; Li, L.; Parker, J. B.; Patel, L.; Zhong, Z.; Gunnett, J. W.; Powers, W. J.; Johnson, M. D. An improved resazurin-based cytotoxicity assay for hepatic cells; Cell Biol. Toxicol. 2002, 18, 157-173; O'Brien, J.; Wilson, I.; Orton, T.; Pognan, F. Investigation of the Alamar Blue (resazurin) fluorescent dye for the assessment of mammalian cell cytotoxicity. Eur. J. Biochem. 2000, 267, 5421-5426)。簡潔に言えば、HEK293細胞およびHepG2細胞を黒色壁透明底384ウェルプレート(Corning、オーストラリア)中にて細胞4000個/ウェルで播種し、37℃、5% CO2で24時間インキュベートした。次に化合物を各ウェル中に加えた。24時間のインキュベーション後、5μMレサズリンを各ウェルに加え、37℃で2時間インキュベートした。次に蛍光強度を、Polarstar Omegaを使用して励起/発光560/590で読み取った。次にデータを、GraphPad Prism 6ソフトウェアを使用して解析した。CC50値を、GraphPad Prism 6ソフトウェア(Inc.カリフォルニア州ラホヤ)を使用して確定した。
hPT細胞の単離および培養
hPT細胞をInternational Institute for the Advancement of Medicine(米国ニュージャージー州エジソン)が調達したヒト腎臓全体から抽出した。すべての組織を病理医が正常(すなわち非がん性・非疾患性組織から抽出)とスコアリングした。細胞単離手順は、Toddら(1996)に最初に記載され、修正された(Cummings and Lash, 2000; Cummings et al., 2000)手順に基づき、滅菌条件の使用を伴った(すなわち、すべての機器およびガラス器具をオートクレーブ滅菌し、すべての緩衝液を孔径0.2μmフィルターを通じて濾過した)。腎皮質および外帯を薄片に切断し、滅菌PBSで洗浄し、切り刻み、25mM NaHCO3、25mM HEPES(pH 7.4)、0.5mM EGTA、0.2%(w/v)ウシ血清アルブミン、50μg/mlゲンタマイシン、1.3mg/mLコラゲナーゼ、および0.59mg/ml CaCl2を含む使用前に濾過された滅菌濾過ハンクス緩衝液300mlが充填されたトリプシン処理フラスコに小片を入れた。腎臓全体をウィスコンシン培地で灌流し、通常はドナーから取り出してから24時間以内である実験室への到着まで氷上に維持した。
すべての緩衝液に95% O2/5% CO2を連続的に吹き込み、37℃に維持した。腎臓全体由来の切り刻まれた皮質片を60分間のコラゲナーゼ消化に供した後、上清を70μmメッシュフィルターを通じて濾過することで組織断片を除去し、150xgで7分間遠心分離し、ペレットをダルベッコ変法イーグル培地:ハムF12培地(DMEM/F12; 1/1)に再懸濁させた。ヒト腎皮質組織1g当たり細胞約5〜7x106個が得られた。
hPT細胞をDMEM/F12 2mLに再懸濁させ、無血清ホルモン限定培地である細胞培地で500mLに希釈した。この補充培地の組成は、ラットPT細胞の初代培養の最適条件を確立する以前の研究(Lash et al., 1995)に基づいた。基本培地はDMEM/F12の1:1混合物とした。標準補充物は15mM HEPES(pH 7.4)、20mM NaHCO3、細菌増殖を阻害するための0日目〜3日目のみの抗生物質(ペニシリンG 192 IU/mL + 硫酸ストレプトマイシン200μg/mlまたはゲンタマイシン50μg/ml)、真菌増殖を阻害するためのアムホテリシンB 2.5μg/mL、ウシインスリン5μg/mL(= 0.87μM)、ヒトトランスフェリン5μg/ml(=66nM)、30nM亜セレン酸ナトリウム、ヒドロコルチゾン100ng/ml(=0.28μM)、上皮増殖因子100ng/mL(=17nM)、および3,3',5-トリヨード-DL-チロニン7.5pg/ml(=111nM)を含んだ。細胞を24ウェルプレート上にて0.5ml量で、1cm2当たりタンパク質50〜100μg(細胞0.5〜1.0x106個/ml)の密度で播種した。培養物を加湿インキュベーター中、95%空気/5% CO2の雰囲気下、pH 7.4、37℃で増殖させた。実験前に培養物を約80%〜90%コンフルエンスまで増殖させた(一般に5〜6日)。フラスコからテフロンスクレーパーで掻き出すか、またはCellstripper(米国バージニア州ハーンドン、Cellgro)(Ca2+およびMg2+を含まないハンクス緩衝液)と共に短時間インキュベートすることで、細胞を収集した。
KIM-1およびNGAL: ELISAアッセイ
KIM-1(DY1750)およびNGAL(DY1757)Duo-Set(登録商標)ELISAキットをR&D systems(米国ミネソタ州ミネアポリス)から購入した。サンドイッチELISA実験を製造者の説明書に従って、わずかな修正を加えた上で行った。96ウェルマイクロプレート(MaxiSorp(登録商標)、Nunc)を捕捉抗体(PBS中で1:200に希釈)100μLでコーティングし、終夜インキュベートした。次にプレートを洗浄緩衝液(0.05% Tween 20入りPBS、pH 7.4)で2回洗浄し、ブロッキング緩衝液(1% BSA入りPBS)300μLを室温で1時間加えることでブロッキングした。PBSで2回洗浄後、試料(細胞培地もしくは細胞溶解液)または標準物質100μlを各ウェルに加え、室温で2時間インキュベートした。次にビオチン化検出抗体をブロッキング緩衝液中で希釈し、各ウェルに加え、2時間インキュベートした。次に西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)標識ストレプトアビジン(100μL)を加えて検出抗体に結合させた。各ウェルに基質溶液(H2O2およびテトラメチルベンジジンの1:1混合物)100μLを加え、20分間インキュベートした後、反応を停止溶液(2N H2SO4)50μLで終了させた。各ウェルの光学密度を、POLARstar Omegaプレートリーダー(BMG Labtech; オーストラリア・ビクトリア州モーニントン)を使用して450nmで測定した。すべてのアッセイを少なくとも3回行った。
γ-グルタミルトランスフェラーゼアッセイ
γ-グルタミルトランスフェラーゼの放出量をOrlowski, M., Meister, A. 1963. γ-Glutamyl-p-nitroanilide: A new convenient substrate for determination and study of L- and D-γ-glutamyltranspeptidase activities (Biochim. Biophys. Acta 73: 679-681)に従って評価した。
2.5mM基質溶液をγ-グルタミル-p-ニトロアニリド67mg + グリシルグリシン264mgから0.05M Tris、pH 8.2(50mM Tris、pH 8.2: 100mL当たりTris/HCl 605mg)100mL中で調製した。
96ウェルプレート中でのアッセイでは、試料6μLおよび基質溶液0.3mLを各ウェルに加えた。吸光度を生成物p-ニトロアニリド(モル吸光 = 8800M-1cm-1)の出現に関して410nmで測定した。
マウス薬物動態試験
雄6〜9週齢CD-1マウス(試験群当たり3匹)を試験施設において試験前に少なくとも3日間馴化させた。動物を馴化中には群毎に収容し、試験中には個々に収容した。動物室環境を制御した(目標条件: 温度20〜26℃、相対湿度30〜70%、人工光12時間および暗所12時間)。温度および相対湿度を毎日モニタリングした。
動物を少なくとも12時間絶食させた後、投与を行った。すべての動物は認定げっ歯類食を摂取できた。水をオートクレーブ滅菌した後、動物に自由に与えた。体重を試験動物の選別前、および投与実行日に確定した。全身的健康および外見に関するケージ側観察を投与日に行った。動物を各試料採取時点および各投与時点で観察した。試験期間全体を通じて注目されたあらゆる異常な観察事項を記録した。
適量の試験物を正確に秤量し、ボルテックスまたは超音波処理により、必要であれば水浴中で、適量の媒体と混合して透明溶液または均一懸濁液を得た。静脈内投与用溶液を投与前に0.45μMフィルターを通じて滅菌濾過した。製剤を調製してから4時間以内に動物に投与し、各製剤溶液または製剤懸濁液から製剤試料を取り出し、1.5mLポリプロピレン微量遠心管に移し、用量確認をLC/UVまたはLC-MS/MSにより実行した。
皮下投与では、施設SOP後に投与製剤を皮下投与した。静脈内投与では、尾静脈を通じて投与製剤を投与した。用量体積は、投与日の朝に収集された動物の体重により決定した。
採血: 各採血(各時点で約0.03mL)を各動物の尾静脈または伏在静脈からポリプロピレン管中に各時点で行った。各PP管はEDTA-K2 2μLを抗凝固剤として収容した。採血後の血液を遠心分離前に氷水中に保管した。
血漿処理: 採取された各血液試料を血漿採取のために4℃および3000gで15分間遠心分離した。血漿を採取し、氷水中の予めラベルを付けたPP管中に移した。最終採取後、すべての血漿試料を、生物分析用に運搬するまで約-80℃の冷凍庫に保管した。
生物分析方法および試料分析: 対応する生物マトリックス中での試験化合物の定量的確定用のLC-MS/MS法を非GLPコンプライアンス下で開発した。動物血漿中の試験物のベンチトップ安定性を中間QC濃度にて三つ組で、室温にて0時間、2時間の時点で確定した。安定性を、T2/T0試料の平均ピーク面積比を使用して確定した。平均ピーク面積比が80%〜120%の範囲内である場合、血漿中の試験物を室温で2時間安定であると見なした。8個の非ゼロ較正標準を伴う検量線を、LLOQの確定を含む方法開発に適用した。低濃度、中濃度、および高濃度からなるQC試料のセットを方法開発に使用した。試験試料分析を、較正標準の1つのセットおよびQC試料の2つのセットについて同時に、LC-MS/MS法を使用して行った。
血漿試料では、試料8μLのアリコートを0.1% FA水溶液入りの水16μLに加え、十分にボルテックス混合した後、タンパク質をIS溶液64μLで析出させ、混合物を十分にボルテックス混合し、13000rpmで10分間遠心分離した。次に、上清70μLを0.1% FA入りのACN/水(v:v、20:80)70μLと混合した後、10分間十分にボルテックス混合した。上清10μLをLC-MS/MS分析用に注入した。試料をAB Sciex Triple Quad 5500 LC/MS/MS上で取り扱った。
データ解析: 血漿中濃度対時間データを、Phoenix WinNonlin 6.3ソフトウェアプログラムを使用する非コンパートメントアプローチにより解析した。Cl、Vdss、C0、Cmax、Tmax、T1/2、AUC(0-t)、AUC(0-inf)、MRT(0-t)、MRT(0-inf)、%F、および血漿中濃度対時間プロファイルグラフを確定した。
マウス大腿感染症モデル
ポリミキシンB(MCC_000636:003)、MCC_006442:003、およびMCC_000631:008を好中球減少性マウスによる大腸菌ATCC 25922大腿感染症モデルにおいて試験した。試験動物を大腸菌ATCC 25922、8.1x104 CFU/マウス(0.1mL/大腿)に筋肉内感染させた。
体重22±2gの5匹の雄ICRマウスの群を使用した。免疫抑制をシクロホスファミドの2回の腹腔内注射により誘導し、1回目の投与は感染4日前(-4日目)に150mg/kg、2回目の投与は感染1日前(-1日目)に100mg/kgとした。0日目に、動物の右大腿に目標接種サイズ1.0x105 CFU/マウス(実際の接種サイズは8.1x104 CFU/マウスであった)の大腸菌(ATCC 25922)を筋肉内接種した(0.1mL/大腿)。MCC_006442:003の3つの投与レジメンを評価した。25mg/kgおよび40mg/kgのMCC_006442:003を感染2時間後に1日1回(QD)皮下(SC)投与し、25mg/kgのMCC_006442:003を感染2時間後および8時間後に1日2回(BID)皮下投与した。ポリミキシンB(MCC_000636:003)およびMCC_000631:008を感染2時間後に25mg/kgで1日1回(QD)皮下投与した。参照化合物ゲンタマイシン10mg/kgを感染2時間後および8時間後に2回(BID)皮下投与した。さらなる試験では、5mg/kgで1日1回投与されるポリミキシンB、オクタペプチンC4、およびMCC_006442の静脈内投与を比較し、10mg/kgで1日1回投与されるMCC_006442をさらに試験し、対照ゲンタマイシン10mg/kgを感染2時間後および8時間後に2回(BID)皮下投与した。
試験動物を接種26時間後にCO2窒息により人道的に安楽死させ、大腿組織を収集、秤量した。大腿組織を滅菌PBS(pH 7.4)3mL中でホモジナイズした後、10倍系列希釈液を作製した。希釈液のアリコート(100μL)を1.5% Bacto寒天入りの栄養ブロス培地上に別々にプレーティングした。大腿組織中の細菌数(CFU/g)を計算し、対応する媒体対照に対する細菌数の減少パーセントを下記式によって計算した。
減少(%) = [(媒体群のCFU/g - 処置群のCFU/g)/(媒体群のCFU/g)] x 100%
細菌数の2対数減少(99%以上の減少)は、本発明者らの組織内有意性判定基準による有意な活性を示す。また、統計的有意性(p<0.05)を一元配置分散分析、続いてダネット法により評価した。
25mg/kgで1日1回のポリミキシンB(MCC_000636:003)、25mg/kgで1日1回、25mg/kgで1日2回、および40mg/kgで1日1回のMCC_006442:003、ならびに25mg/kgで1日1回のMCC_000631:008の皮下投与は、26時間媒体対照群に対して有意な、細菌数に関する抗菌効果(2対数減少およびp<0.05)を生じさせた(表および図を参照)。また、過去のデータと一致して、ゲンタマイシンの皮下投与による有意な抗菌活性が観察された。化合物は5mg/kgで静脈内投与された際にも有効であった。
本発明の様々な態様に関する上記説明は、当業者に対する説明のために示される。網羅的であるかまたは本発明を1つの開示される態様に限定するようには意図されていない。上記で言及したように、本発明の数多くの代替態様および変形は、当業者には上記教示から明らかであろう。したがって、いくつかの代替態様が具体的に説明されているが、他の態様は、当業者に明らかであるかまたは当業者によって相対的に容易に開発されるであろう。したがって、本発明は、本明細書において説明された本発明のすべての代替態様、修正、および変形、ならびに上記発明の真意および範囲内にある他の態様を包含するように意図されている。

Claims (33)

  1. 式(I)の化合物、またはその塩もしくは立体異性体:
    Figure 2021501783
    式中、
    Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、およびY8は独立してCおよびNからなる群より選択され;
    R1、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく;
    R1'、R2'、R3'、R4'、R5'、R6'、R7'、R8'、およびR9'は独立して水素および置換または非置換アルキルからなる群より選択され、あるいは、R1'およびR1の対、R3'およびR3の対、R4'およびR4の対、R5'およびR5の対、R6'およびR6の対、R7'およびR7の対、ならびにR8'およびR8の対はそれぞれ一緒になってシクロアルキルを形成してもよく;
    nは0、1、2、または3より選択される整数であり;
    Zは
    Figure 2021501783
    より選択され; ここで、
    R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく、Zは1個を超えるペプチド連結または結合を含まず;
    ここで、R4
    Figure 2021501783
    であり、R5
    Figure 2021501783
    であり、R8
    Figure 2021501783
    である場合、Zは
    Figure 2021501783
    からなる群より選択されることはなく; R4
    Figure 2021501783
    であり、R5
    Figure 2021501783
    であり、R8
    Figure 2021501783
    である場合、Zは
    Figure 2021501783
    からなる群より選択されることはなく; R4
    Figure 2021501783
    であり、R5
    Figure 2021501783
    であり、R8
    Figure 2021501783
    である場合、Zは
    Figure 2021501783
    からなる群より選択されることはなく; R4
    Figure 2021501783
    であり、R5
    Figure 2021501783
    であり、R8
    Figure 2021501783
    である場合、Zは
    Figure 2021501783
    からなる群より選択されることはなく; R1
    Figure 2021501783
    であり、R4
    Figure 2021501783
    であり、R5
    Figure 2021501783
    であり、R8
    Figure 2021501783
    である場合、Zは
    Figure 2021501783
    からなる群より選択されることはなく; R4
    Figure 2021501783
    であり、R5
    Figure 2021501783
    であり、R8
    Figure 2021501783
    である場合、Zは
    Figure 2021501783
    からなる群より選択されることはない。
  2. 式(Ia)の化合物である、請求項1記載の化合物:
    Figure 2021501783
    式中、
    Y1、Y2、Y3、Y4、Y5、Y6、Y7、およびY8は独立してCおよびNからなる群より選択され;
    R1、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく;
    nは0、1、2、または3より選択される整数であり;
    Zは
    Figure 2021501783
    より選択され; ここで、
    R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
  3. 式(Ib)の化合物である、請求項2記載の化合物:
    Figure 2021501783
    式中、
    Y1およびY2は独立してCおよびNからなる群より選択され;
    R1、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく;
    nは0、1、2、または3より選択される整数であり;
    Zは
    Figure 2021501783
    より選択され; ここで、
    R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
  4. 式(Ic)の化合物である、請求項3記載の化合物:
    Figure 2021501783
    式中、
    R4、R5、R6、R7、およびR8は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく;
    Zは
    Figure 2021501783
    より選択され; ここで、
    R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
  5. 式(Id)の化合物である、請求項4記載の化合物:
    Figure 2021501783
    式中、
    R6、R7、およびR8は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく;
    Zは
    Figure 2021501783
    より選択され; ここで、
    R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
  6. 式(Ie)の化合物である、請求項3記載の化合物:
    Figure 2021501783
    式中、
    R1、R3、R4、R5、R6、R7、およびR8は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく;
    R1'、R2'、R3'、R4'、R5'、R6'、R7'、R8'、およびR9'は独立して水素および置換または非置換アルキルからなる群より選択され、あるいは、R1'およびR1の対、R3'およびR3の対、R4'およびR4の対、R5'およびR5の対、R6'およびR6の対、R7'およびR7の対、ならびにR8'およびR8の対はそれぞれ一緒になってシクロアルキルを形成してもよく;
    Zは
    Figure 2021501783
    より選択され; ここで、
    R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
  7. 式(If)の化合物である、請求項3記載の化合物:
    Figure 2021501783
    式中、
    R1およびR8は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく;
    Zは
    Figure 2021501783
    より選択され; ここで、
    R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
  8. 式(Ig)の化合物である、請求項3記載の化合物:
    Figure 2021501783
    式中、
    R4、R5、およびR8は独立して水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよく;
    Zは
    Figure 2021501783
    より選択され; ここで、
    R10は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい。
  9. R1が水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アミン、C1〜C4アミド、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい、請求項1〜3、6、および7のいずれか一項記載の化合物。
  10. R1
    Figure 2021501783
    からなる群より選択される、請求項9記載の化合物。
  11. R3が水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アミン、C1〜C6アミド、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい、請求項1〜3および6のいずれか一項記載の化合物。
  12. R3
    Figure 2021501783
    からなる群より選択される、請求項11記載の化合物。
  13. R4が水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アミン、C1〜C6アミド、C3〜C10シクロアルキル、複素環、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい、請求項1〜4、6、および8のいずれか一項記載の化合物。
  14. R4
    Figure 2021501783
    からなる群より選択される、請求項13記載の化合物。
  15. R5が水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アミン、C1〜C6アミド、C3〜C10シクロアルキル、複素環、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい、請求項1〜4、6、および8のいずれか一項記載の化合物。
  16. R5
    Figure 2021501783
    からなる群より選択される、請求項15記載の化合物。
  17. R6が水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アミン、C1〜C6アミド、アリール、ヘテロアリール、および複素環からなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい、請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物。
  18. R6
    Figure 2021501783
    からなる群より選択される、請求項17記載の化合物。
  19. R7が水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アミン、C1〜C6アミド、C3〜C10シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい、請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物。
  20. R7
    Figure 2021501783
    からなる群より選択される、請求項19記載の化合物。
  21. R8が水素、C1〜C6アルキル、C1〜C6アミン、C1〜C6アミド、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい、請求項1〜8のいずれか一項記載の化合物。
  22. R8
    Figure 2021501783
    からなる群より選択される、請求項21記載の化合物。
  23. Zが
    Figure 2021501783
    であり、ここでR10がC1〜C18アルキル、C2〜C18アルケニル、C1〜C6シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され、いずれの基も置換されていても置換されていなくてもよい、請求項1〜22のいずれか一項記載の化合物。
  24. R10が置換または非置換C1〜C13アルキル基である、請求項23記載の化合物。
  25. 請求項1〜24のいずれか一項記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグと、薬学的に許容される担体、希釈剤、および/または賦形剤とを含む、薬学的組成物。
  26. 少なくとも1つの他の薬学的に活性な物質をさらに含む、請求項25記載の薬学的組成物。
  27. 少なくとも1つの他の薬学的に活性な物質が抗生剤、抗病原性剤、バイオフィルム破壊剤、抗炎症剤、抗菌有効性を増強することが知られている物質、および抗真菌剤からなる群より選択される、請求項26記載の薬学的組成物。
  28. 少なくとも1つの他の薬学的に活性な物質がリファンピシンおよびミノサイクリンからなる群より選択される、請求項27記載の薬学的組成物。
  29. 少なくとも1つの他の薬学的に活性な物質がリファンピシン(リファンピン)、ミノサイクリン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、フシジン酸、ムピロシン、レタパムリン、メロペネム、アズトレオナム、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、ノボビオシン、テリスロマイシン、コリスチン、ポリミキシンB、ホスホマイシン、シプロフロキサシン、テトラサイクリン、ゲンタマイシン、バンコマイシン、キヌプリスチン・ダルホプリスチン、ラモプラニン、テイコプラニン、レボフロキサシン、アレニシン-3、リネゾリド、および抗菌ペプチドからなる群より選択される、請求項27または28記載の薬学的組成物。
  30. 対象における疾患、障害、または状態の処置または予防の方法であって、有効量の請求項1〜24のいずれか一項記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、あるいは請求項24〜29のいずれか一項記載の薬学的組成物を該対象に投与することで該疾患、障害、または状態を処置または予防する段階を含む、方法。
  31. 疾患、障害、または状態が細菌感染症または真菌感染症に関連している、請求項30記載の方法。
  32. 疾患、障害、または状態の処置のための医薬の製造における、請求項1〜24のいずれか一項記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、あるいは請求項8〜10のいずれか一項記載の薬学的組成物の使用。
  33. 疾患、障害、または状態が細菌感染症または真菌感染症に関連している、請求項32記載の使用。
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