JP2021196902A - ヤード管理装置、ヤード管理方法、およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】 初期山から最終山に金属材を積み替えるための金属材の搬送計画を作成する際に、初期山を構成する金属材のうちどの金属材を移動しどの金属材を移動しないのかを決定しつつ、最終山の総数の最小化と、金属材の搬送数の最小化とのバランスをとる。【解決手段】 ヤード管理装置100は、鋼材の総搬送回数と最終山の総数とを最小にすることを目的とする数理計画問題を求解することにより、初期山を構成する鋼材を、移動鋼材または非移動鋼材のいずれかに分類し、移動鋼材の搬送順と、移動鋼材を移動させる際の仮置きの発生の有無とを少なくとも決定する。【選択図】 図1
Description
本発明は、ヤード管理装置、ヤード管理方法、およびプログラムに関し、金属製造プロセスにおいて、スラブやコイルなどの金属材を次工程へ円滑に供給するために設けられたヤードで金属材の山仕分けを行うために用いて好適なものである。
金属製造プロセスの一例である製鉄プロセスにおいて、例えば製鋼工程から次工程の圧延工程へ、金属材の一例である鋼材を搬送する際、鋼材は、一旦ヤードと呼ばれる一時保管場所に置かれた後、次工程である圧延工程の処理時刻に合わせてヤードから搬出される。そのヤードのレイアウトの一例を図7に示す。ヤードとは、図7に示すように、上流工程より払い出されたスラブなどの鋼材を、下流工程に供給するためのバッファーエリアとして、縦横に区画された置場701〜704である。縦方向の分割区分を"棟"、横方向の分割区分を"列"と称することが多い。つまり、クレーン(1A、1B、2A、2B)は棟内を移動可能であり、同一棟内での異なる列の間で鋼材の移送を行う。また搬送テーブルX、Yにより棟間の鋼材の移送を行う。搬送指令を作成する際は"棟"および"列"を指定することにより、どこへ鋼材を搬送するかを示す(図7の置場701〜704に括弧書きで付されている番号(11)、(12)、(21)、(22)を参照)。
次に、図7を例にヤードでの基本的な作業の流れを示す。まず、前工程である製鋼工程の連鋳機710から搬出された鋼材は、パイラー711を経由して搬送(受入)テーブルXでヤードまで運ばれ、クレーン1A、1B、2A、2Bにより、区画された置場701〜704の何れかに搬送され、山積みして置かれる。そして、後工程である圧延工程の製造スケジュールに合わせ、再びクレーン1A、1B、2A、2Bにより払出テーブルZに載せられ、圧延工程へと搬送される。一般に、ヤードにおいて鋼材は、前記の様に山積みされた状態で置かれる。これは、限られたヤード面積を有効に活用するためである。
以下では、「元山」、「仮想山」、「初期山」、「最終山」、「固定山」、「新山」を以下の意味で用いることとする。
元山:現時点で、既にヤードにおいて形作られている山の少なくとも一部からなり、当該山から場所が変わらない山。
仮想山:現時点で、ヤードに到着していない鋼材を、ヤードへの到着順が早いものほど上に山積みすると仮定した場合の山(現実に存在する山ではない)。
初期山:現時点における元山(既にヤードにおいて形作られているそのままの山)と仮想山の総称。
最終山:後工程に払出すために積み上げた最終的な山(払出山ともいう)。
固定山:移動しない鋼材(非移動鋼材)を含む最終山。なお、非移動鋼材には、結果的に移動しないことになった鋼材(元山から仮置きされた後に再び当該元山に戻される鋼材)も含まれる。
新山:初期山から移された鋼材で構成され、非移動鋼材がない(移動鋼材のみから構成される)山。
元山および新山は最終山の候補となる山であり、その候補の内、固定山または新山として最終的に残った山が最終山となる。
元山:現時点で、既にヤードにおいて形作られている山の少なくとも一部からなり、当該山から場所が変わらない山。
仮想山:現時点で、ヤードに到着していない鋼材を、ヤードへの到着順が早いものほど上に山積みすると仮定した場合の山(現実に存在する山ではない)。
初期山:現時点における元山(既にヤードにおいて形作られているそのままの山)と仮想山の総称。
最終山:後工程に払出すために積み上げた最終的な山(払出山ともいう)。
固定山:移動しない鋼材(非移動鋼材)を含む最終山。なお、非移動鋼材には、結果的に移動しないことになった鋼材(元山から仮置きされた後に再び当該元山に戻される鋼材)も含まれる。
新山:初期山から移された鋼材で構成され、非移動鋼材がない(移動鋼材のみから構成される)山。
元山および新山は最終山の候補となる山であり、その候補の内、固定山または新山として最終的に残った山が最終山となる。
ヤードでは、次工程である熱間圧延工程における加熱炉の燃料原単位の削減のため、鋼材ができるだけ高い温度を保持した状態で加熱炉に装入されるようにすることが求められる。そのため、昨今ヤード内に保温設備を設置し、その中に鋼材を山積みされた状態で保管する場合がある。限られた保温設備を有効に活用するため、できるだけ設備限界まで高く鋼材を積み上げることが必要となる。一方、鋼材を積み上げる際には、次工程へ供給し易いよう、最終山において、次工程における処理順番に鋼材が上から積まれていること、最終山の積み形状が不安定な逆ピラミッド状でないことなどの制約(これを「積姿制約」と称する)がある。更に、山立て(最終山をつくること)を行う際の作業負荷も見逃せない要素である。従って、ヤード管制では、前述した積姿制約の下でできるだけ少ない作業負荷で、できるだけ高い最終山となるように山立てを行う作業計画を策定することが望まれる。
また、ヤードにおいて後工程にスムーズに要求された鋼材を払い出すべく行う山仕分け(鋼材を複数の山に分けること)を行う際には、到着予定の鋼材が降格となる(鋼材の造り込みの際に生ずる品質トラブルなどの理由により当初予定の用途からグレードを下げ別の用途に振り替える)こと、或いは到着予定の鋼材に対して予定されていない精整処理が必要となったり、サイズが変わったりすることにより、当初の予定通りの鋼材が到着しないことは頻繁に起こり得る。また、ヤードの置場の状態も当初の予定通りに淡々と遷移することは、ほとんど期待できず、予定していない鋼材を予定していない置場に置かざるを得ないことは日常茶飯事である。
更には、ヤードから後工程である熱間圧延工程への払出順に山に積まれていた鋼材の、後工程である熱間圧延工程における圧延順が、当該鋼材がヤードに到着した後に変更となることにより、当該山が払出順に積まれていなくなり、変更された圧延順に従い鋼材の積み替えを余儀なくされるケースも頻繁に起こり得る。ここで、鋼材が払出順に山に積まれるとは、当該山の何れの積位置においても、相対的に上にある1つまたは同時に搬送される複数の鋼材の方が、当該鋼材よりも下にある鋼材よりも早く後工程に払い出されることをいう。
しかしながら、ここで要求される積み替え作業は、ヤードへの鋼材の受入作業や、ヤードからの鋼材の払出作業と並行して行う必要があることから、鋼材の積み替えの対応が可能な時間帯や、置場スペースが限られる。このため、効率的に且つ省スペースで鋼材の積み替え作業を実行することが求められる。
従って、ヤードへの到着前後の様々な事情により、ヤード到着時の積み姿が払出順でなくなった山を払出順に積み替える作業を、効率的に(即ち、できるだけ少ない搬送数で)且つできるだけ少ない最終山数となるようにするニーズは極めて高い。
従って、ヤードへの到着前後の様々な事情により、ヤード到着時の積み姿が払出順でなくなった山を払出順に積み替える作業を、効率的に(即ち、できるだけ少ない搬送数で)且つできるだけ少ない最終山数となるようにするニーズは極めて高い。
以上のような初期山から最終山に鋼材を積み替える問題に対する従来技術として、特許文献1〜3に記載の発明がある。
まず、特許文献1には、既にヤードにある元山の鋼材を払出順に積み替える際、必要とされる配替負荷や積姿制約を考慮して最適な最終山の積姿を、組み合わせ最適化問題として定式化し、タブサーチ手法を用いて算出する手法が開示されている。
まず、特許文献1には、既にヤードにある元山の鋼材を払出順に積み替える際、必要とされる配替負荷や積姿制約を考慮して最適な最終山の積姿を、組み合わせ最適化問題として定式化し、タブサーチ手法を用いて算出する手法が開示されている。
次に、特許文献2には、ヤードに到着済みの鋼材と未到着材とが混在する状況下で、当該時点での初期山の状態と最終山の状態とが与えられた場合の、初期山の状態から最終山の状態への鋼材の積み替え搬送問題に対し、各鋼材の搬送は高々2回という前提で初期搬送時刻変数および最終搬送時刻変数を用いて混合整数計画問題として定式化する手法が開示されている。
次に、特許文献3には、山立ておよび搬送に関する制約条件を満たす数理計画問題に帰着させ、山仕分けおよび搬送順を同時に最適化する手法が開示されている。
次に、特許文献3には、山立ておよび搬送に関する制約条件を満たす数理計画問題に帰着させ、山仕分けおよび搬送順を同時に最適化する手法が開示されている。
最後に、特許文献4には、特許文献3に記載の発明における求解時間を要するという課題に対し、最終山の数および仮置きが発生する鋼材の数(積み替えの際の鋼材の搬送数)を同時に最適化することを、実操業上使用可能な時間内に実現する手法が開示されている。
しかしながら、特許文献1〜4に記載の技術では、山の積み替えに際しては、全ての鋼材を移動するか或いは、移動しない(固定する)鋼材は予め与えられている前提で問題を設定する。従って、初期山を構成する鋼材のうちどの鋼材を移動しどの鋼材を移動しないのかを考慮することができない。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、初期山から最終山に金属材を積み替えるための金属材の搬送計画を作成する際に、初期山を構成する金属材のうちどの金属材を移動しどの金属材を移動しないのかを決定しつつ、最終山の総数の最小化と、金属材の搬送数の最小化とのバランスをとれるようにすることを目的とする。
本発明のヤード管理装置は、工程間の置場であるヤードに山積みされる金属材からなる初期山の当該金属材を、搬送機器により搬送して、当該ヤードの後工程への払出順に従った積順で山積みされる金属材からなる最終山を作成するためのヤード管理装置であって、山積みの対象となる金属材についての金属材情報を取得する金属材情報取得手段と、前記金属材情報を用いて、前記金属材の総搬送回数と前記最終山の総数とを最小にすることを目的とする数理計画問題を求解することにより、前記初期山を構成する金属材を、前記初期山から移動される移動金属材または前記初期山から移動されない非移動金属材のいずれかに分類し、前記移動金属材の搬送順と、前記移動金属材を移動させる際の仮置きの発生の有無とを少なくとも決定する最適化計算手段と、を有することを特徴とする。
本発明のヤード管理方法は、工程間の置場であるヤードに山積みされる金属材からなる初期山の当該金属材を、搬送機器により搬送して、当該ヤードの後工程への払出順に従った積順で山積みされる金属材からなる最終山を作成するためのヤード管理方法であって、
山積みの対象となる金属材についての金属材情報を取得する金属材情報取得ステップと、前記金属材情報を用いて、前記金属材の総搬送回数と前記最終山の総数とを最小にすることを目的とする数理計画問題を求解することにより、前記初期山を構成する金属材を、前記初期山から移動される移動金属材または前記初期山から移動されない非移動金属材のいずれかに分類し、前記移動金属材の搬送順と、前記移動金属材を移動させる際の仮置きの発生の有無とを少なくとも決定する最適化計算ステップと、を有することを特徴とする。
山積みの対象となる金属材についての金属材情報を取得する金属材情報取得ステップと、前記金属材情報を用いて、前記金属材の総搬送回数と前記最終山の総数とを最小にすることを目的とする数理計画問題を求解することにより、前記初期山を構成する金属材を、前記初期山から移動される移動金属材または前記初期山から移動されない非移動金属材のいずれかに分類し、前記移動金属材の搬送順と、前記移動金属材を移動させる際の仮置きの発生の有無とを少なくとも決定する最適化計算ステップと、を有することを特徴とする。
本発明のプログラムは、前記ヤード管理装置の各手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
本発明によれば、初期山から最終山に金属材を積み替えるための金属材の搬送計画を作成する際に、初期山を構成する金属材のうちどの金属材を移動しどの金属材を移動しないのかを決定しつつ、最終山の総数の最小化と、金属材の搬送数の最小化とのバランスをとることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。以下の実施形態では、鉄鋼製造プロセスにおいて、初期山の積姿を所与として、2つの鋼材の相対的な搬送順を示す変数と、各鋼材の仮置きの発生の有無を示す変数と、各鋼材が搬送される最終山を特定する変数とを決定変数として含み、最終山の総数および鋼材の総搬送回数を少なくとも決定することを行う。また、以下の実施形態では、最終山の総数および鋼材の総搬送回数を決定する際に、移動すべきである鋼材と移動すべきではない鋼材と、各鋼材の搬送順と、各鋼材の仮置きの発生の有無とが同時に求められる。
尚、初期山の少なくとも一部では、製鋼工程で製造された鋼材(スラブ)が圧延工程への搬送順に積まれていないものとする。また、以下の説明では、各鋼材の圧延工程への搬送順を必要に応じて払出順と称する。また、本発明によって移動すべきであると決定される鋼材を必要に応じて移動鋼材と称し、移動すべきではないと決定される鋼材を必要に応じて非移動鋼材と称する。更に、以下の説明では、「移動鋼材」、「非移動鋼材」を、それぞれ、「移動する鋼材」、「移動しない鋼材」と称することもある。
((第1の実施形態))
まず、第1の実施形態を説明する。
(問題設定)
(A)仮定(前提)
(a) 本実施形態では、各鋼材の初期山の積姿および払出順(圧延順)は所与とする。ここで、鋼材の集合をN={1,2,・・・,n}と表記する。
まず、第1の実施形態を説明する。
(問題設定)
(A)仮定(前提)
(a) 本実施形態では、各鋼材の初期山の積姿および払出順(圧延順)は所与とする。ここで、鋼材の集合をN={1,2,・・・,n}と表記する。
(b) 初期山には、元山と仮想山とが含まれる。初期山としての元山は、最終山の作成対象となる鋼材のうち、鋼材情報が作成された時点(即ち、最終山を作成する時点)でヤードにおいて形づくられている山そのものである。その後、初期山を構成する一部の鋼材が他の山に山積みされた場合であっても、当該初期山に残った鋼材の山も元山とする。このように、元山は、鋼材情報が作成された時点(即ち、最終山を作成する時点)でヤードにおいて形づくられている山の少なくとも一部からなり、当該山から場所が変わらない山である。仮想山は、最終山の作成対象となる鋼材のうち、鋼材情報が作成された時点(即ち、最終山を作成する時点)でヤードに未だ山積みされていない鋼材を、ヤードへの予定到着順が早いものほど上になるように山積みしたと仮定した場合の山である。本実施形態では、最終山の作成対象となる鋼材のうちヤードに未到着で未だ山積みされていない全ての鋼材が1つの仮想山に山積みされるものとする。このように本実施形態では、ヤードに未到着で未だ山積みされていない鋼材も仮想山として山積みされているとし(即ち、最終山の作成対象となる全ての鋼材がヤードにおいて山積みされているものとし)、その積姿を所与とする。尚、仮想山を構成する鋼材(未到着材)については、非移動鋼材は存在しないものとし、全てを移動鋼材とする。従って、仮想山を構成する鋼材については、移動鋼材と非移動鋼材との何れかを決定する際に、移動鋼材として取り扱う。
(c) 初期山の積姿は既知であるが、最終山の積姿は未知であるとする。最終山は、上から払出順に積まれた山であるものとし、最終山の総数も未知であるとする。最終山の総数は、最小化したい目的関数の一要素となる。
(d) 仮置きとなる鋼材は後述する本実施形態の手法により決定される。ただし、仮置きとなる鋼材の山姿(仮山の山姿:仮置きとなる鋼材がどの仮山のどの積み順に位置するか)は決定されないものとし、公知の手法(例えば、特許文献5に記載されている頂点彩色問題を解くこと)により導出される。尚、仮山の山姿も同時に決定する手法は、第3、第4の実施形態に示す。
(d) 仮置きとなる鋼材は後述する本実施形態の手法により決定される。ただし、仮置きとなる鋼材の山姿(仮山の山姿:仮置きとなる鋼材がどの仮山のどの積み順に位置するか)は決定されないものとし、公知の手法(例えば、特許文献5に記載されている頂点彩色問題を解くこと)により導出される。尚、仮山の山姿も同時に決定する手法は、第3、第4の実施形態に示す。
(e) 初期山(初期置場)から最終山(最終置場)への搬送回数は、何れの鋼材についても最大2回とする。即ち、2回搬送する鋼材は仮置きされることになるが、仮山(仮置場)に搬送された鋼材は、次の搬送時には必ず最終山(最終置場)に搬送されるものとし、異なる仮山(仮置場)間で搬送されることはないものとする。
(f) 本実施形態では、以下の幅制約、長さ制約、および高さ制約を最終山の積姿制約とする。
・幅制約
或る鋼材の幅が、当該或る鋼材の下に位置する何れの鋼材の幅よりも狭いならば、当該或る鋼材を、当該下に位置する鋼材の上に無条件で置ける。或る鋼材の幅が、当該或る鋼材の下に位置する何れかの鋼材の幅よりも広い場合には、両者(当該或る鋼材と当該或る鋼材の下に位置する全ての鋼材)の幅の差が、作業制約により定まる基準値(例えば200[mm])未満であれば、当該或る鋼材を、当該下に位置する鋼材の上に置けるが、その基準値以上であると置けない。
・幅制約
或る鋼材の幅が、当該或る鋼材の下に位置する何れの鋼材の幅よりも狭いならば、当該或る鋼材を、当該下に位置する鋼材の上に無条件で置ける。或る鋼材の幅が、当該或る鋼材の下に位置する何れかの鋼材の幅よりも広い場合には、両者(当該或る鋼材と当該或る鋼材の下に位置する全ての鋼材)の幅の差が、作業制約により定まる基準値(例えば200[mm])未満であれば、当該或る鋼材を、当該下に位置する鋼材の上に置けるが、その基準値以上であると置けない。
即ち、幅制約を満たすのは、或る鋼材の幅が、当該或る鋼材の下に位置する鋼材の幅よりも狭い場合と、或る鋼材の幅が、当該或る鋼材の下に位置する鋼材の幅よりも広く、且つ、当該或る鋼材の幅と、当該或る鋼材の下に位置する全ての鋼材の幅のそれぞれとの差が基準値(例えば200[mm])未満である場合である。
・長さ制約
或る鋼材の長さが、当該或る鋼材の下に位置する何れの鋼材の長さよりも短いならば、当該或る鋼材を、当該下に位置する鋼材の上に無条件で置ける。或る鋼材の長さが、当該或る鋼材の下に位置する何れかの鋼材の長さよりも長い場合には、両者(当該或る鋼材と当該或る鋼材の下に位置する全ての鋼材)の長さの差が、作業制約により定まる基準値(例えば2000[mm])未満であれば、当該或る鋼材を、当該下に位置する鋼材の上に置けるが、その基準値以上であると置けない。
或る鋼材の長さが、当該或る鋼材の下に位置する何れの鋼材の長さよりも短いならば、当該或る鋼材を、当該下に位置する鋼材の上に無条件で置ける。或る鋼材の長さが、当該或る鋼材の下に位置する何れかの鋼材の長さよりも長い場合には、両者(当該或る鋼材と当該或る鋼材の下に位置する全ての鋼材)の長さの差が、作業制約により定まる基準値(例えば2000[mm])未満であれば、当該或る鋼材を、当該下に位置する鋼材の上に置けるが、その基準値以上であると置けない。
即ち、長さ制約を満たすのは、或る鋼材の長さが、当該或る鋼材の下に位置する鋼材の長さよりも短い場合と、或る鋼材の長さが、当該或る鋼材の下に位置する鋼材の長さよりも長く、且つ、当該或る鋼材と、当該或る鋼材の下に位置する全ての鋼材の長さのそれぞれとの差が基準値(例えば2000[mm])未満である場合である。
・高さ制約
1つの最終山として山積みできる鋼材の数は、最終山の高さの上限値h以下でなければならない。最終山の高さの上限値hは、例えば10である。
1つの最終山として山積みできる鋼材の数は、最終山の高さの上限値h以下でなければならない。最終山の高さの上限値hは、例えば10である。
(g) 非移動鋼材のある初期山(元山)の置場は最終山の置場となる。移動鋼材のみで構成される最終山は新山である。前述したように新山の置場は、初期山の置場と異なる。
(B)積姿制約以外の制約
積姿制約以外の制約として、以下の制約があるものとする。
(h) 最終山は、積姿制約を満たし、且つ、上から順に払出順に積まれている(上の鋼材の方が下の鋼材よりも払出順が早い)ものとする。
(i) 各山において、初期状態で積まれた鋼材のうち上にある鋼材から順にしか鋼材を搬送できないものとする。
(j) 最終山を作成する際には最下段から順に上にしか鋼材を積み上げることができないものとする。
(k) 同時に搬送できる鋼材の数は、使用可能なクレーンの数およびクレーンの能力に依存するものとする。尚、ここでは、説明を簡単にするため、同時に搬送できる鋼材の数が1である場合を例示するが、特許文献4等に記載されているように、同時に搬送できる鋼材の数は複数であってもよい。
積姿制約以外の制約として、以下の制約があるものとする。
(h) 最終山は、積姿制約を満たし、且つ、上から順に払出順に積まれている(上の鋼材の方が下の鋼材よりも払出順が早い)ものとする。
(i) 各山において、初期状態で積まれた鋼材のうち上にある鋼材から順にしか鋼材を搬送できないものとする。
(j) 最終山を作成する際には最下段から順に上にしか鋼材を積み上げることができないものとする。
(k) 同時に搬送できる鋼材の数は、使用可能なクレーンの数およびクレーンの能力に依存するものとする。尚、ここでは、説明を簡単にするため、同時に搬送できる鋼材の数が1である場合を例示するが、特許文献4等に記載されているように、同時に搬送できる鋼材の数は複数であってもよい。
(C)目的
目的は、最終山の総数の最小化と、鋼材の総搬送回数の最小化とのバランスをとることである。鋼材の総搬送回数は、前述した(d)および(e)より、移動鋼材のうち、仮置きが必要な鋼材は余分に1回搬送が増えることから、移動鋼材の総数と仮置きされる鋼材の総数との和で表される。
目的は、最終山の総数の最小化と、鋼材の総搬送回数の最小化とのバランスをとることである。鋼材の総搬送回数は、前述した(d)および(e)より、移動鋼材のうち、仮置きが必要な鋼材は余分に1回搬送が増えることから、移動鋼材の総数と仮置きされる鋼材の総数との和で表される。
(決定変数)
本実施形態では、任意の鋼材iに対し、非移動最上段鋼材判別変数xiと、移動有無判別変数yiとを決定変数とする。非移動最上段鋼材判別変数xiは、以下の(1)式のように定義され、移動有無判別変数yiは、以下の(2)式のように定義される。尚、変数iは、鋼材の払出順にナンバリングされている(払出順が前であるほど変数iの値は小さい)ものとする。
本実施形態では、任意の鋼材iに対し、非移動最上段鋼材判別変数xiと、移動有無判別変数yiとを決定変数とする。非移動最上段鋼材判別変数xiは、以下の(1)式のように定義され、移動有無判別変数yiは、以下の(2)式のように定義される。尚、変数iは、鋼材の払出順にナンバリングされている(払出順が前であるほど変数iの値は小さい)ものとする。
非移動最上段鋼材判別変数xiは、或る初期山を構成する鋼材iが、非移動鋼材のうち最上段にある非移動鋼材である場合に1となり、そうでない場合に0(ゼロ)となる0−1変数である。このように、初期山に、非移動鋼材が1つもなければ、当該初期山を構成する全ての鋼材iに対する非移動最上段鋼材判別変数xiは、0(ゼロ)になる。一方、初期山に、非移動鋼材が1つ以上あれば、当該非移動鋼材のうち最上段にある非移動鋼材iに対する非移動最上段鋼材判別変数xiのみが1となる。この場合、当該初期山を構成するその他の鋼材iに対する非移動最上段鋼材判別変数xiは、当該鋼材iが非移動鋼材であっても、0(ゼロ)になる。即ち、1つの初期山について、非移動最上段鋼材判別変数xiが1となる鋼材の数は最大で1である。
移動有無判別変数yiは、鋼材iが移動鋼材である場合に1となり、そうでない場合に0(ゼロ)となる0−1変数である。
移動有無判別変数yiは、鋼材iが移動鋼材である場合に1となり、そうでない場合に0(ゼロ)となる0−1変数である。
更に、本実施形態では、移動鋼材最終山割り当て変数zijと割り当て山識別変数qjとを決定変数とする。移動鋼材最終山割り当て変数zijは、以下の(3)式のように定義され、割り当て山識別変数qjは、以下の(4)式のように定義される。尚、jは、各山を一意に識別する識別情報(ID)である。例えば、ヤードにおける鋼材の置場の識別番号をjとして採用することができる。
移動鋼材最終山割り当て変数zijは、移動鋼材である鋼材iを元山j(=1,・・・,p(p≧1))または新山j(=p+1,・・・,p+m(m=n))に配置する場合に1、そうでない場合に0(ゼロ)となる0−1変数である。鋼材iが非移動鋼材である場合(即ち、移動有無判別変数yiが0(ゼロ)である鋼材iである場合)、任意の最終山jに対し、移動鋼材最終山割り当て変数zijは0(ゼロ)とする。移動鋼材最終山割り当て変数zijは、移動鋼材を最終山に移動するか否かを、鋼材iおよび最終山j(元山jおよび新山j)ごとに区別して表す変数である。
割り当て山識別変数qj(j=1,・・・,p,p+1,・・・,p+m)は、最終山として元山j(=1,・・・,p)または新山j(=p+1,・・・,p+m)が割り当てられた場合に1となり、そうでない場合に0(ゼロ)となる0−1変数である。尚、前述したように元山jおよび新山jは、最終山の候補となる山である。
割り当て山識別変数qj(j=1,・・・,p,p+1,・・・,p+m)は、最終山として元山j(=1,・・・,p)または新山j(=p+1,・・・,p+m)が割り当てられた場合に1となり、そうでない場合に0(ゼロ)となる0−1変数である。尚、前述したように元山jおよび新山jは、最終山の候補となる山である。
更に、本実施形態では、初期搬送順変数tii'を決定変数とする。鋼材の集合Nの各要素が1つの頂点を持つ完全有向グラフをG=(N,E1)とする。このとき、E1={(i,i')∈N2|i≠i'}である。有向枝集合E上に定義された0−1変数t(e)(∀e∈E1)を導入し、以下の(5)式を定義する。
初期搬送順変数tii'は、鋼材iを鋼材i'よりも先に初期山から初期搬送する場合に1、そうでない場合に0(ゼロ)となる0−1変数である。ただし、初期搬送順変数tii'は、鋼材i、i'が共に移動鋼材である場合に、(5)式に従い、tii'またはti'iの何れかが1になり、鋼材i、i'の少なくとも何れか一方が非移動鋼材である場合、tii'=ti'i=0と定義されるものとする。初期搬送とは、初期山からの搬送を指す。
更に、本実施形態では、仮置き発生有無変数riを決定変数とする。仮置き発生有無変数riは、以下の(6)式のように定義される。仮置き発生有無変数riは、初期山から鋼材iを初期搬送する際に、当該初期搬送が仮山(仮置場)への搬送である場合に1、そうでない場合(最終山(最終置場)への搬送である場合)に0(ゼロ)となる0−1変数である。最終搬送とは、最終山への搬送を指す。
(ヤード管理装置100の機能構成)
図1は、ヤード管理装置100の機能的な構成の一例を示す図である。ヤード管理装置100のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置、または専用のハードウェアを用いることにより実現される。
[鋼材情報取得部101]
鋼材情報取得部101は、山積みの対象となる鋼材についての鋼材情報を取得する。鋼材情報は、鋼材基礎情報と、各鋼材の初期山の積姿を特定する情報と、最終山の高さの上限値hを特定する情報と、重み係数k1、k2とを含む。
図1は、ヤード管理装置100の機能的な構成の一例を示す図である。ヤード管理装置100のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置、または専用のハードウェアを用いることにより実現される。
[鋼材情報取得部101]
鋼材情報取得部101は、山積みの対象となる鋼材についての鋼材情報を取得する。鋼材情報は、鋼材基礎情報と、各鋼材の初期山の積姿を特定する情報と、最終山の高さの上限値hを特定する情報と、重み係数k1、k2とを含む。
鋼材基礎情報には、最終山の作成対象となる鋼材(鋼材の集合N={1,2,・・・,n})のそれぞれについて、識別情報と、払出順と、鋼材数と、サイズ(幅、長さ)の情報が含まれる。尚、ここでは、説明を簡単にするため、全ての鋼材の厚みは同じであるものとする。
識別情報は、各鋼材を一意に識別する鋼材IDである。
払出順は、各鋼材の払出順(圧延工程への搬送順)である。尚、本実施形態では、識別情報を払出順としているので、払出順は、鋼材基礎情報に含まれていなくてもよい。
識別情報は、各鋼材を一意に識別する鋼材IDである。
払出順は、各鋼材の払出順(圧延工程への搬送順)である。尚、本実施形態では、識別情報を払出順としているので、払出順は、鋼材基礎情報に含まれていなくてもよい。
初期山の積姿を特定する情報は、初期山を一意に識別する識別情報である初期山IDと、当該初期山IDで識別される初期山の各積段に位置する鋼材IDとを含む。
鋼材情報の取得形態としては、例えば、ヤード管理装置100のユーザインターフェースの入力操作、外部装置からの送信、または可搬型の記憶媒体からの読み出しが挙げられる。
[制約式・目的関数設定部102]
制約式・目的関数設定部102は、前述した制約を数式で表した制約式と、前述した目的を数式で表した目的関数とを設定する。
<<制約式>>
まず、制約式について説明する。
制約式・目的関数設定部102は、前述した制約を数式で表した制約式と、前述した目的を数式で表した目的関数とを設定する。
<<制約式>>
まず、制約式について説明する。
(a)移動鋼材についての制約
鋼材の集合Nを分割した鋼材の部分集合Sk(⊂N)の集合をS={S1,S2,・・・,Sr}と表記する。この鋼材の部分集合Skのそれぞれが初期山となる。また、前述したように鋼材を識別する変数iは、当該鋼材の払出順にナンバリングされている(払出順が前であるほど変数iの値は小さい)ものとする。従って、以下の(7)式および(8)式が成立する。
鋼材の集合Nを分割した鋼材の部分集合Sk(⊂N)の集合をS={S1,S2,・・・,Sr}と表記する。この鋼材の部分集合Skのそれぞれが初期山となる。また、前述したように鋼材を識別する変数iは、当該鋼材の払出順にナンバリングされている(払出順が前であるほど変数iの値は小さい)ものとする。従って、以下の(7)式および(8)式が成立する。
各初期山Skにおいて、最下段の鋼材から積順が払出順(下から上に向かって払出順が降順)になっている鋼材までの鋼材で構成される部分山をmax(Sk)とする。このとき、max(Sk)の中に無い鋼材は、必ず移動鋼材(図2に示す移動部)となる。このことを以下の(9)式および(10)式で表す。
(9)式は、初期山Skからmax(Sk)を除いた部分にある鋼材iは移動する(移動鋼材になる)ことを表す。(10)式は、初期山Skからmax(Sk)を除いた部分にある鋼材iは、初期山Skにおいて、非移動鋼材のうち最上段にある鋼材になることはないことを表す。(9)式および(10)式により、各初期山Skにおいて、最下段から積順が払出順(下から上に向かって払出順が降順)になっていない鋼材iは、移動することが表される。
(b)非移動最上段鋼材判別変数xiに関する制約
各初期山Skにおいて、非移動最上段鋼材判別変数xiが1(xi=1)となる鋼材iの数の最大値は1である。従って、以下の(11)式が成り立つ。
各初期山Skにおいて、非移動最上段鋼材判別変数xiが1(xi=1)となる鋼材iの数の最大値は1である。従って、以下の(11)式が成り立つ。
(c)移動有無判別変数yiに関する制約
各初期山Skにおいて、移動鋼材iより上にある鋼材は全て移動する。従って、各初期山Skで最下段から上に向かって見た場合の払出順(=i(鋼材の識別番号))を、k1,k2,・・・とすると、以下の(12)式が成り立つ。
各初期山Skにおいて、移動鋼材iより上にある鋼材は全て移動する。従って、各初期山Skで最下段から上に向かって見た場合の払出順(=i(鋼材の識別番号))を、k1,k2,・・・とすると、以下の(12)式が成り立つ。
(d)非移動最上段鋼材判別変数xiと移動有無判別変数yiとの関係を規定する制約
全ての鋼材iは、移動鋼材および非移動鋼材の何れかに一意に識別される。初期山Skにおいて、鋼材iの最下段から数えた場合の積段数(当該鋼材を含み、それより下にある鋼材の数であり最下段の積段数を1とした場合の積段数)をbiとすると、非移動鋼材の総数は、非移動最上段鋼材判別変数xiを用いて、Σi∈Nbi・xiと表記できる。また、移動鋼材の総数は、移動有無判別変数yiを用いて、Σi∈Nyiと表記できる。従って、非移動鋼材の総数と移動鋼材の総数との和が、初期山(元山および仮想山)を構成する鋼材の総数nであることを示す以下の(13)式が成り立つ。
全ての鋼材iは、移動鋼材および非移動鋼材の何れかに一意に識別される。初期山Skにおいて、鋼材iの最下段から数えた場合の積段数(当該鋼材を含み、それより下にある鋼材の数であり最下段の積段数を1とした場合の積段数)をbiとすると、非移動鋼材の総数は、非移動最上段鋼材判別変数xiを用いて、Σi∈Nbi・xiと表記できる。また、移動鋼材の総数は、移動有無判別変数yiを用いて、Σi∈Nyiと表記できる。従って、非移動鋼材の総数と移動鋼材の総数との和が、初期山(元山および仮想山)を構成する鋼材の総数nであることを示す以下の(13)式が成り立つ。
鋼材iに対する移動有無判別変数yiが1(yi=1)ならば、初期山Skにおいて、当該鋼材iとそれより上にある鋼材iとの全てに対する非移動最上段鋼材判別変数xiは0(ゼロ、xi=0)になる。逆に、鋼材iに対する移動有無判別変数yiが0(ゼロ、yi=0)ならば、初期山Skにおいて、当該鋼材iと、それより上にある鋼材iのうち、1つの鋼材iに対する非移動最上段鋼材判別変数xiのみが1(xi=1)になる。従って、鋼材i∈Skに対し、初期山Skにおいて、当該鋼材iと、それより上にある鋼材iとの集合をSk ↑(i)と定義すると(以下の(14')式を参照)、以下の(14−1)式が成り立つ。
(14−1)式は、初期山Skの任意の鋼材iについて、当該鋼材iが移動鋼材であるならば、それより上に非移動鋼材はなく、当該鋼材iが移動鋼材でないならば、当該鋼材iまたは当該鋼材iより上の鋼材の1つが、非移動鋼材のうち最上段に位置する非移動鋼材になる(即ち、xi=1になる非移動鋼材が1つだけある)ことを表す。
(14−1)式は、鋼材iごとに、非移動最上段鋼材判別変数xiと移動有無判別変数yiとの関係を規定する。初期山Skごとに、以下の(14−2)式のように、非移動最上段鋼材判別変数xiと移動有無判別変数yiとの関係を規定することができる。
(14−2)式の左辺の|Sk|は、初期山Skに属する鋼材iの数である。(14−2)式の右辺第1項は、初期山Skに属する移動鋼材の数である。(14−2)式の右辺第2項は、初期山Skに属する非移動鋼材の数である。
本実施形態では、(14−1)式および(14−2)式の双方を用いるものとするが、片方のみを用いてもよい。
本実施形態では、(14−1)式および(14−2)式の双方を用いるものとするが、片方のみを用いてもよい。
(e)移動鋼材最終山割り当て変数zijと移動有無判別変数yiとの関係を規定する制約
任意の鋼材iは、元山j(=1,・・・,p(p≧1))または新山j(=p+1,・・・,p+m(m=n))に配置されなければならない。また、前述したように非移動鋼材である鋼材i(即ち、移動有無判別変数yiが0(ゼロ)である鋼材i)に対する移動鋼材最終山割り当て変数zijは、任意の山jに対し0(ゼロ、zij=0)と定義している。従って、以下の(15−1)式、(15−2)式、(15−3)式が成り立つ。
任意の鋼材iは、元山j(=1,・・・,p(p≧1))または新山j(=p+1,・・・,p+m(m=n))に配置されなければならない。また、前述したように非移動鋼材である鋼材i(即ち、移動有無判別変数yiが0(ゼロ)である鋼材i)に対する移動鋼材最終山割り当て変数zijは、任意の山jに対し0(ゼロ、zij=0)と定義している。従って、以下の(15−1)式、(15−2)式、(15−3)式が成り立つ。
(15−1)式は、鋼材iが、元山jあるいは新山jの何れか1つに移動するか否かが、鋼材iが非移動鋼材であるか否かと等価であることを表す。(15−2)式は、初期山Skからmax(Sk)を除いた部分にある鋼材iは、移動が必須の鋼材(yi=1)であるから、元山jあるいは新山jの何れか1つに移動する鋼材であることを表す。(15−3)式は、初期山Skにおけるmax(Sk)の部分にある鋼材iは、移動可否が決定要素となる鋼材であるから、元山jあるいは新山jの何れか1つに移動しても、元山jおよび新山jの何れに移動しなくてもよいこと(すなわち、移動鋼材であっても非移動鋼材であってもよいこと)を表す。
(f)元山へ積み替える際の制約(移動鋼材最終山割り当て変数zijを定義する制約、非移動最上段鋼材判別変数xiと、移動鋼材最終山割り当て変数zijおよび割り当て山識別変数qjとの関係を規定する制約)
元山(初期山)k(=1,・・・,p)を構成する鋼材ik(∈max(Sk))に対し、鋼材ikに上載せ可能な鋼材iの集合をU(ik)とする。鋼材ikが、元山kにおいて非移動鋼材のうち最上段にある非移動鋼材である場合(即ち、非移動最上段鋼材判別変数xiが1(xi=1)の場合)、鋼材ikに上載せできない鋼材iを、鋼材ikが属する元山kに配置することはできない。このことは、以下の(16)式で表される。(16)式により、実現不可能な最終山が得られることを禁止することができる。
元山(初期山)k(=1,・・・,p)を構成する鋼材ik(∈max(Sk))に対し、鋼材ikに上載せ可能な鋼材iの集合をU(ik)とする。鋼材ikが、元山kにおいて非移動鋼材のうち最上段にある非移動鋼材である場合(即ち、非移動最上段鋼材判別変数xiが1(xi=1)の場合)、鋼材ikに上載せできない鋼材iを、鋼材ikが属する元山kに配置することはできない。このことは、以下の(16)式で表される。(16)式により、実現不可能な最終山が得られることを禁止することができる。
ここで、本実施形態では、同一山禁止鋼材対集合Fにより、鋼材ikに上載せ可能な鋼材iの集合U(ik)を特定する。同一山禁止鋼材対集合Fは、以下の(17)式のように、任意の2つの鋼材の対{i,j}⊆Nの集合であって、前述した幅条件および長さ条件の少なくとも何れか一方を満たさない2つの鋼材の対の集合である。また、鋼材ikに上載せ可能な鋼材iの集合U(ik)は、鋼材ikだけでなく、初期山においてその下にある全ての鋼材との関係も考慮して定められる。即ち、鋼材ikおよびその下にある全ての鋼材と、鋼材ikに上載せする候補となる鋼材との対のそれぞれが、同一山禁止鋼材対集合Fに含まれていない場合に、当該鋼材ikに上載せする候補となる鋼材が、鋼材ikに上載せ可能な鋼材iの集合U(ik)に含まれる。
また、最終山において鋼材ikの上に配置できる鋼材の数は、前述した高さ制約により制限される。元山kに属する鋼材ikにおける最下段から数えた場合の積段数(当該鋼材を含み、それより下にある鋼材の数であり最下段の積段数を1とした場合の積段数)をbikとすると、以下の(18−1)式により元山kの高さを制限できる。尚、(18−1)式において、bikのkは、iの下付き記号として表記される。
(18−1)式は、元山kに移動する鋼材iの総数は、当該元山k(初期山)に属する非移動鋼材のうち最上段の非移動鋼材の上に配置することができる鋼材の数の上限値以下でなければならないことを表す。(18−1)式の右辺は、元山kにおいて、鋼材ikの上にできる空きスペース(鋼材の数)を表す。(18−1)式により、実現不可能な最終山が得られることを禁止することができる。
(18−1)式は、max(Sk)に属する鋼材iごとに設定される制約式である。以下の(18−2)式のように、元山kごとに設定することもできる。
(18−2)式の左辺第1項は、元山kに移動する鋼材iの総数である。(18−2)式の左辺第2項は、max(Sk)に属する非移動鋼材の数である。(18−2)式の右辺は、最終山となる元山kの高さの上限値hを表す。尚、(18−2)式よりも(18−1)式の方が対象を限定した制約になるので、より適用対象の広い(18−2)式を用いる場合には(18−1)式は用いなくてもよい。
また、初期山k(=1,・・・,p)に属する鋼材ikが、非移動鋼材のうち最上段にある非移動鋼材である(非移動最上段鋼材判別変数xiが1(xi=1)である)場合、当該初期山(元山)kは、最終山になるので、以下の(19)式が成り立つ。
また、元山(初期山)k(=1,・・・,p)が最終山(qk=1)となる条件は、当該元山kを構成する鋼材ik(∈max(Sk))の中に、非移動最上段鋼材判別変数xikが1(xik=1)となる鋼材が存在することであるので、以下の(19')式が成り立つ。
(19')式を用いなくても実行可能解を規定することができるが、(19')式を用いると、計算時間を短縮することができる。
(g)元山以外の最終山(新山)に対する山高さ制約
元山以外の最終山である新山j(=p+1,・・・,p+m)の高さに関する制約は、以下の(20)式で表される。
元山以外の最終山である新山j(=p+1,・・・,p+m)の高さに関する制約は、以下の(20)式で表される。
(20)式は、初期山から山jに移動する移動鋼材の総数は、最終山となる山jの高さの上限値h以下であることを表す。(20)式により、実現不可能な最終山が得られることを禁止することができる。
(h)その他の移動鋼材最終山割り当て変数zij、割り当て山識別変数qjに関する制約
新山j(=p+1,・・・,p+m(m=n))の何れかに移動する鋼材iがある(zij=1)場合、その山は最終山として存在するので、以下の(21)式が成り立つ。
(h)その他の移動鋼材最終山割り当て変数zij、割り当て山識別変数qjに関する制約
新山j(=p+1,・・・,p+m(m=n))の何れかに移動する鋼材iがある(zij=1)場合、その山は最終山として存在するので、以下の(21)式が成り立つ。
また、新山jについては、以下の(22)式のように、識別情報が小さいものが優先的に構築されるようにして解空間を制限するのが好ましい。
尚、(22)式は、元山(∀j∈{1,・・・,p})には適用されない。
(i)同一最終山禁止制約(幅、長さ制約)
移動鋼材が最終山に配置された際、最終山が積姿制約(幅制約、長さ制約)を満たすため、同一山禁止鋼材対集合Fに属する2つの鋼材i1、i2の対を同一の最終山jに配置することを禁止する制約を以下の(23)式のように定める。
(i)同一最終山禁止制約(幅、長さ制約)
移動鋼材が最終山に配置された際、最終山が積姿制約(幅制約、長さ制約)を満たすため、同一山禁止鋼材対集合Fに属する2つの鋼材i1、i2の対を同一の最終山jに配置することを禁止する制約を以下の(23)式のように定める。
尚、(23)式の制約は、移動鋼材間での積姿制約であり、非移動鋼材と移動鋼材との間の積姿制約は、前述した(16)式により規定される。(23)式により、実現不可能な最終山が得られることを禁止することができる。
(j)積み替え搬送順の定式化
以下の説明では、初期山における非移動鋼材の部分を、必要に応じて固定部と称する。また、当該初期山において固定部よりも上の、積み替えの為の搬送を行う部分を、必要に応じて移動部と称する。初期山の固定部に属する鋼材は、当該初期山の最下段から非移動最上段鋼材判別変数xiが1(xi=1)となる鋼材iの積段数まで各段にある鋼材である。
以下の説明では、初期山における非移動鋼材の部分を、必要に応じて固定部と称する。また、当該初期山において固定部よりも上の、積み替えの為の搬送を行う部分を、必要に応じて移動部と称する。初期山の固定部に属する鋼材は、当該初期山の最下段から非移動最上段鋼材判別変数xiが1(xi=1)となる鋼材iの積段数まで各段にある鋼材である。
初期山の固定部の上部にある鋼材を差し替える際の鋼材の搬送順を厳密に定式化する上で、初期山から鋼材を搬送(初期山を分解)する際の初期搬送順のみならず、仮置きが発生する鋼材については、仮山(仮置場)から最終山(最終置場)へ搬送する最終搬送順も含めた全ての搬送に対する順序関係を定める必要がある。初期山の固定部の上部にある鋼材に対して差し替えられる鋼材は、当該初期山とは別の山(初期山または仮山)の鋼材、または、当該初期山から再び当該初期山に戻される鋼材である。
一方、初期山の固定部の上部にある鋼材を差し替える際の鋼材の初期搬送順のみの順序関係を定めることにより、初期山の固定部の上部にある鋼材を差し替える際の鋼材の搬送順を必要条件または十分条件として拘束する簡易的な定式化が可能である。本実施形態では、このような簡易的な定式化を行う場合を例に挙げて説明する。尚、厳密な定式化は、後述する第2の実施形態で説明する。
(j−1)初期搬送順変数tii'に関する制約
初期山Skの固定部の上部にある鋼材(移動部の鋼材)は、初期搬送が必須となる。このような鋼材の集合Imを以下の(24)式のように定義すると、以下の(25−1)式〜(25−3)式、(26)式が得られる。Imを、必要に応じて、移動が必須となる鋼材集合と称する。また、tii'は、(5)式に示すように、鋼材iが鋼材i'よりも初期搬送順が先となる場合に1、そうでない場合に0となる変数である。
初期山Skの固定部の上部にある鋼材(移動部の鋼材)は、初期搬送が必須となる。このような鋼材の集合Imを以下の(24)式のように定義すると、以下の(25−1)式〜(25−3)式、(26)式が得られる。Imを、必要に応じて、移動が必須となる鋼材集合と称する。また、tii'は、(5)式に示すように、鋼材iが鋼材i'よりも初期搬送順が先となる場合に1、そうでない場合に0となる変数である。
(25−1)式は、初期山Skの固定部の上部にある鋼材i、i'が共に移動が必須となる鋼材集合Imに含まれ、且つ、異なる鋼材である場合、鋼材i、i'の一方の初期搬送順が先となり他方の初期搬送順が後になること(tii'またはti'iの何れか一方のみが1となること)を表す。
(25−2)式において、Imの上に−が付されている記号は、移動が必須となる鋼材集合Imに含まれない鋼材iの集合(Imの補集合)を指す。この記号の意味は、その他の式でも同じである。移動が必須となる鋼材集合Imに含まれない鋼材iは、移動鋼材であるか(初期搬送が必須か)否かが確定していない鋼材である。
(25−2)式は、初期山Skの固定部の上部にある鋼材i'が、移動が必須となる鋼材集合Imに含まれ、且つ、鋼材iが、移動が必須となる鋼材集合Imに含まれず、且つ、鋼材i、i'が異なる鋼材である場合、鋼材iが移動鋼材(移動有無判別変数yiが1(yi=1))であるときに、鋼材i、i'の一方の初期搬送順が先となり他方の初期搬送順が後になること(tii'またはti'iの何れか一方のみが1となること)を表す。一方、鋼材iが非移動鋼材(移動有無判別変数yiが0(ゼロ)(yi=0))である場合には、鋼材i、i'の初期搬送順の順序関係は定められない(tii'およびti'iは0となる)。
(25−3)式は、移動が必須となる鋼材集合Imに鋼材i、i'が含まれず、且つ、鋼材i、i'が異なる鋼材である場合、鋼材i、i'が移動鋼材(移動有無判別変数yi、yi'が1(yi=1、yi'=1))であるときに、鋼材i、i'の一方の初期搬送順が先となり他方の初期搬送順が後になること(tii'またはti'iの何れか一方のみが1となること)を表す。
(26)式は、鋼材i、i'、i''が異なる鋼材である場合、鋼材iが鋼材i'より先に初期搬送され、鋼材i'が鋼材i''より先に初期搬送されるのであれば、鋼材iは、鋼材i''より先に初期搬送されることを表す。
(j−2)初期山分解順制約
初期山Skから鋼材を搬送(初期山を分解)する場合、初期山Skの上にある鋼材から搬送する必要がある。従って、以下の(27−1)式〜(27−3)式が成り立つ。
初期山Skから鋼材を搬送(初期山を分解)する場合、初期山Skの上にある鋼材から搬送する必要がある。従って、以下の(27−1)式〜(27−3)式が成り立つ。
(27−1)式は、鋼材i、i'が、移動が必須となる鋼材集合Imに含まれる場合であって、上に鋼材iがあり、下に鋼材i'である場合、鋼材iは鋼材i'より先に初期搬送されることを表す。
(27−2)式は、鋼材iが、移動が必須となる鋼材集合Imに含まれ、且つ、鋼材i'が、移動が必須となる鋼材集合Imに含まれない鋼材iの集合(Imの補集合)に含まれる場合であって、上に鋼材iがあり、下に鋼材i'である場合、鋼材i'が移動鋼材(移動有無判別変数yiが1(yi'=1))であるときに、鋼材iは鋼材i'より先に搬送されることを表す。一方、鋼材i'が非移動鋼材(移動有無判別変数yi'が0(ゼロ)(yi'=0))である場合には、鋼材i、i'の初期搬送順の順序関係は定められない(tii'は0となる)。
(27−2)式は、鋼材iが、移動が必須となる鋼材集合Imに含まれ、且つ、鋼材i'が、移動が必須となる鋼材集合Imに含まれない鋼材iの集合(Imの補集合)に含まれる場合であって、上に鋼材iがあり、下に鋼材i'である場合、鋼材i'が移動鋼材(移動有無判別変数yiが1(yi'=1))であるときに、鋼材iは鋼材i'より先に搬送されることを表す。一方、鋼材i'が非移動鋼材(移動有無判別変数yi'が0(ゼロ)(yi'=0))である場合には、鋼材i、i'の初期搬送順の順序関係は定められない(tii'は0となる)。
(27−3)式は、鋼材i、i'が、移動が必須となる鋼材集合Imに含まれない鋼材iの集合(Imの補集合)に含まれる場合であって、上に鋼材iがあり、下に鋼材i'である場合、鋼材i'が移動鋼材(移動有無判別変数yiが1(yi'=1))であるときに、鋼材iは鋼材i'より先に搬送されることを表す。一方、鋼材i'が非移動鋼材(移動有無判別変数yi'が0(ゼロ)(yi'=0))である場合には、鋼材i、i'の初期搬送順の順序関係は定められない(tii'は0となる)。
(j−3)仮置き発生条件制約
初期山Skから最終山に鋼材を積み替える際に、2つの鋼材間で、初期山Skから初期搬送する順番と、払出順とが食い違う場合(2つの鋼材において先に初期搬送される鋼材が先に払い出される場合(即ち、初期搬送順の先後と払出順の先後とが同じである場合))、先に初期搬送される鋼材は仮置きが必要になる。従って、以下の(28)式が成り立つ。
初期山Skから最終山に鋼材を積み替える際に、2つの鋼材間で、初期山Skから初期搬送する順番と、払出順とが食い違う場合(2つの鋼材において先に初期搬送される鋼材が先に払い出される場合(即ち、初期搬送順の先後と払出順の先後とが同じである場合))、先に初期搬送される鋼材は仮置きが必要になる。従って、以下の(28)式が成り立つ。
(28)式は、鋼材iが鋼材i'よりも先に払い出される場合、鋼材i、i'が同一の最終山jに配置され、鋼材iが鋼材i'よりも先に初期搬送されるときに、鋼材iは仮置きが必要になることを表す。
(j−4)固定部上部(移動部)差替え制約
固定部と移動部の両方が存在する初期山Skでは、移動部に属する鋼材(移動鋼材)の差し替えが行われる。
図2は、移動鋼材の差し替えの一例を示す図である。図2の左側は、初期山Skの山姿の一例を示し、図2の右側は、移動鋼材の差し替えを行うことにより得られる最終山の山姿の一例を示す。
固定部と移動部の両方が存在する初期山Skでは、移動部に属する鋼材(移動鋼材)の差し替えが行われる。
図2は、移動鋼材の差し替えの一例を示す図である。図2の左側は、初期山Skの山姿の一例を示し、図2の右側は、移動鋼材の差し替えを行うことにより得られる最終山の山姿の一例を示す。
図2に示す例では、鋼材201、202が初期山Skの固定部に属する。鋼材203〜205が初期山Skの移動部に属する。初期山Sk(k=1,・・・,p)において、移動部に属する鋼材iの集合をSk ↑と定義する(このSk ↑は、前述したSk ↑(i)とは異なる記号である)。図2に示す例では、鋼材203〜205が、移動部に属する鋼材iの集合Sk ↑である。移動部に属する鋼材iの集合Sk ↑を、必要に応じて、移動部鋼材集合Sk ↑と称する。
また、初期山Skにおいて、固定部の上に新たに積まれる鋼材の集合をEk ↓と定義する。図2に示す例では、鋼材204、206、207が、初期山Skの固定部の上に新たに積まれる鋼材の集合Ek ↓である。初期山Skの固定部の上に新たに積まれる鋼材の集合Ek ↓を、必要に応じて、固定部上積載鋼材集合Ek ↓と称する。尚、図2において、鋼材204は、図2に示す初期山Skから仮山(仮置場)に初期搬送された後、当該初期山Skに再搬送(最終搬送される)鋼材である。鋼材206、207は、図2に示す初期山Skとは別の山(初期山または仮山)から図2に示す初期山Skに最終搬送される鋼材である。
初期山Skの移動部に属する鋼材(移動鋼材)の差し替えに際しては、初期山Skの移動部に属する鋼材が、当該初期山Skに最終搬送される鋼材よりも先に初期搬送される必要がある。図2に示す例では、鋼材203〜205の初期搬送が、鋼材204〜207の最終搬送よりも先である必要がある。従って、固定部と移動部の両方が存在する初期山Skにおいて、移動部に属する鋼材(移動鋼材)を、当該移動部に属する鋼材が初期搬送された後に固定部の上に最終搬送される鋼材に差し替えるための条件は、移動部鋼材集合Sk ↑(に含まれる鋼材)の初期搬送が、固定部上積載鋼材集合Ek ↓(に含まれる鋼材)の最終搬送よりも先に行わなければならない。この条件を、必要に応じて、差替え条件と称し、差替え条件を示す制約を、必要に応じて、固定部上部差替え制約と称する。
差替え条件(固定部上部差替え制約)は、移動部鋼材集合Sk ↑(に含まれる鋼材)および固定部上積載鋼材集合Ek ↓(に含まれる鋼材)の全体に対して課すこともできるが、移動部鋼材集合Sk ↑および固定部上積載鋼材集合Ek ↓それぞれの最下段にある鋼材間で、成立することを保証すればよい。
移動部鋼材集合Sk ↑の最下段にある鋼材をiSbとし、固定部上積載鋼材集合Ek ↓の最下段にある鋼材をiEbとする。図2に示す例では、鋼材203がiSbであり、鋼材204が鋼材iEbである。鋼材iSbの初期搬送が鋼材iEbの最終搬送よりも先である(「鋼材iSbの初期搬送順<鋼材iEbの最終搬送順」となる)ことが差替えの必要十分条件である。
移動部鋼材集合Sk ↑の最下段にある鋼材iSbの直下にある鋼材(固定部の最上段にある鋼材)をiSfとする。鋼材iSfは、max(Sk)の中にある。図2に示す例では、鋼材202がiSfである。一方、固定部上積載鋼材集合Ek ↓の最下段にある鋼材iEbは、固定部の最上段にある鋼材iSfよりも払出順が先の鋼材であればよく、特定できない。従って、差替え条件(固定部上部差替え制約)は、「鋼材iSbの初期搬送順<固定部上積載鋼材集合Ek ↓内の任意の鋼材iEの最終搬送順」となる。
更に、本実施形態では、最終搬送順を規定しないので、初期搬送順と最終搬送順の順序関係を規定することができない。従って、差替えの十分条件を固定部上部差替え制約として、「鋼材iSbの初期搬送順<固定部上積載鋼材集合Ek ↓内の任意の鋼材iEの初期搬送順(≦固定部上積載鋼材集合Ek ↓内の任意の鋼材iEの最終搬送順)」を、以下の(29−1)式のように規定する。また、(29−1)式の右辺に、鋼材iEに対する仮置き発生有無変数riEを加えると、以下の(29−2)式のように、差替えの必要条件を示す制約を、固定部上部差替え制約として規定することができる。尚、(29−2)式において、riEのEはiの下付き記号として表記される。また、(29−2)式において、riEに代えて、鋼材iSfに対する仮置き発生有無変数riSfを用いてもよい。差替えの必要条件を示す制約(固定部上部差替え制約)は、(29−2)式以外の式で表すこともできる。例えば、(29−2)式に代えて、以下の(29−3)式を用いてもよい。
(29−1)式は、鋼材iSfがmax(Sk)の中にある場合、当該鋼材iSfが、非移動鋼材のうち最上段にある非移動鋼材(xiSf=1)であり、且つ、鋼材iEを初期山Skに配置する(ziEk=1)とき、移動部鋼材集合Sk ↑の最下段にある鋼材iSbの初期搬送は、鋼材iEの初期搬送よりも先でなければならない(tiSbiE=1)ことを表す。ただし、鋼材iEが仮置きとなり、その最終搬送順が鋼材iSbの初期搬送順より後であれば、初期搬送順において鋼材iEが先であっても差替えは成立するので、この条件は十分条件となる。尚、(29−1)式において、xiSfのSfはiの下付き記号として表記される。ziEkのEはiの下付き記号として表記される。tiSbiEのSbはiの下付きの記号として表記され、Eはiの下付きの記号として表記される。
(29−2)式は、鋼材iEが仮置きされる(riE=1)ときは、自明の式となり、制約にならない。従って必要条件である。(29−2)式は、鋼材iEが仮置きされないときに、(29−1)式で説明した制約が課せられることを表す。
(29−3)式は、鋼材iSkが初期山Skにある場合、鋼材iCを初期山Skに配置し(ziCk=1)、且つ、鋼材iCの初期搬送が鋼材iSkの初期搬送よりも先であるとき(tiCiSk=1)、鋼材iCは仮置きをしなければならない(riC=1)ことを表す。鋼材iCの初期搬送が鋼材iSkの最終搬送よりも先であれば、差替え条件(必要十分条件)を満たすので、(29−3)式は、差替えの必要条件を示す制約となる。(29−3)式は、移動部鋼材集合Sk ↑の鋼材の初期搬送より先に固定部上積載鋼材集合Ek ↓の鋼材の初期搬送がされる場合、固定部上積載鋼材集合Ek ↓の鋼材が仮置きとなることを要請するものである。
尚、(29−3)式において、ziCk、tiCiSk、riCのCはiの下付きの記号として表記され、tiCiSkのSkはiの下付きの記号として表記される。
尚、(29−3)式において、ziCk、tiCiSk、riCのCはiの下付きの記号として表記され、tiCiSkのSkはiの下付きの記号として表記される。
制約式・目的関数設定部102は、例えば、(9)式〜(13)式と、(14−1)式〜(14−2)式と、(15−1)式〜(15−3)式と、(16)式〜(17)式と、(18−1)式または(18−2)式と、(19)式と、(19')式と、(20)式〜(23)式と、(25−1)式〜(25−3)式と、(26)式と、(27−1)式〜(27−3)式と、(28)式と、(29−1)式と、(29−2)式または(29−3)式に対し、i、j、S、Sk、p、n、N、F、h、bi、mを設定することにより、制約式を設定する。
<<目的関数>>
次に、目的関数について説明する。
前述したように本実施形態では、鋼材の総搬送回数の最小化と、最終山の総数の最小化とを目的とする。鋼材の総搬送回数は、移動鋼材の総数と仮置鋼材の総数との和で表される。従って、以下の(30)式に示す目的関数Jを用いる。
次に、目的関数について説明する。
前述したように本実施形態では、鋼材の総搬送回数の最小化と、最終山の総数の最小化とを目的とする。鋼材の総搬送回数は、移動鋼材の総数と仮置鋼材の総数との和で表される。従って、以下の(30)式に示す目的関数Jを用いる。
本実施形態では、(30)式に示すように、鋼材の総搬送回数((30)式のΣ(yi
+ri))と、最終山の総数((30)式のΣqj)との重み付き線形和を目的関数とする。尚、重み付き線形和とは、鋼材の総搬送回数に対する重み係数k1、最終山の総数に対する重み係数k2を、鋼材の総搬送回数、最終山の総数にそれぞれ乗算した値を加算したものをいう。鋼材の総搬送回数に対する重み係数k1は、鋼材の総搬送回数に対する評価の、最終山の総数に対する評価とのバランスを表す係数である。最終山の総数に対する重み係数k2は、最終山の総数に対する評価の、鋼材の総搬送回数に対する評価とのバランスを表す係数である。最終山の総数に対する重み係数k2よりも鋼材の総搬送回数に対する重み係数k1を大きな値を設定した場合、例えば、最終山の総数を1つ減らすよりも鋼材の総搬送回数を1つ減らした方が、目的関数Jの値の減少量は大きくなる。従って、この場合の目的関数Jは、最終山の総数に対する評価よりも鋼材の総搬送回数に対する評価に重きを置いた目的関数になる。逆に、鋼材の総搬送回数に対する重み係数k1よりも最終山の総数に対する重み係数k2を大きな値を設定した場合、例えば、鋼材の総搬送回数を1つ減らすよりも最終山の総数を1つ減らした方が、目的関数Jの値の減少量は大きくなる。従って、この場合の目的関数Jは、鋼材の総搬送回数に対する評価よりも最終山の総数に対する評価に重きを置いた目的関数になる。このように(30)式の目的関数Jでは、重み係数k1、k2により、鋼材の総搬送回数に対する評価と、最終山の総数に対する評価とのバランスをとることができる。即ち、(30)式は、このような評価のバランスをとったうえでの(このような評価のバランスの条件下での)、鋼材の総搬送回数の最小値と最終山の総数の最小値とを求める目的関数である。このように、鋼材の総搬送回数(移動鋼材の総数および仮置きされる鋼材の総数)と最終山の総数とを決定変数として有する(30)式を目的関数Jとして用いることにより、鋼材の総搬送回数の最小化と、最終山の総数の最小化とのバランスがとれるようになる。
+ri))と、最終山の総数((30)式のΣqj)との重み付き線形和を目的関数とする。尚、重み付き線形和とは、鋼材の総搬送回数に対する重み係数k1、最終山の総数に対する重み係数k2を、鋼材の総搬送回数、最終山の総数にそれぞれ乗算した値を加算したものをいう。鋼材の総搬送回数に対する重み係数k1は、鋼材の総搬送回数に対する評価の、最終山の総数に対する評価とのバランスを表す係数である。最終山の総数に対する重み係数k2は、最終山の総数に対する評価の、鋼材の総搬送回数に対する評価とのバランスを表す係数である。最終山の総数に対する重み係数k2よりも鋼材の総搬送回数に対する重み係数k1を大きな値を設定した場合、例えば、最終山の総数を1つ減らすよりも鋼材の総搬送回数を1つ減らした方が、目的関数Jの値の減少量は大きくなる。従って、この場合の目的関数Jは、最終山の総数に対する評価よりも鋼材の総搬送回数に対する評価に重きを置いた目的関数になる。逆に、鋼材の総搬送回数に対する重み係数k1よりも最終山の総数に対する重み係数k2を大きな値を設定した場合、例えば、鋼材の総搬送回数を1つ減らすよりも最終山の総数を1つ減らした方が、目的関数Jの値の減少量は大きくなる。従って、この場合の目的関数Jは、鋼材の総搬送回数に対する評価よりも最終山の総数に対する評価に重きを置いた目的関数になる。このように(30)式の目的関数Jでは、重み係数k1、k2により、鋼材の総搬送回数に対する評価と、最終山の総数に対する評価とのバランスをとることができる。即ち、(30)式は、このような評価のバランスをとったうえでの(このような評価のバランスの条件下での)、鋼材の総搬送回数の最小値と最終山の総数の最小値とを求める目的関数である。このように、鋼材の総搬送回数(移動鋼材の総数および仮置きされる鋼材の総数)と最終山の総数とを決定変数として有する(30)式を目的関数Jとして用いることにより、鋼材の総搬送回数の最小化と、最終山の総数の最小化とのバランスがとれるようになる。
制約式・目的関数設定部102は、例えば、(30)式に対してi、j、k1、k2を設定することにより、目的関数Jを設定する。
[最適化計算部103]
最適化計算部103は、第1の最適化計算と、第2の最適化計算を行う。第2の最適化計算は、第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満足しない場合に実行される。一方、第1の最適化計算の結果(最適解)が差替え条件を満足する場合、第2の最適化計算は行われない。
最適化計算部103は、第1の最適化計算と、第2の最適化計算を行う。第2の最適化計算は、第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満足しない場合に実行される。一方、第1の最適化計算の結果(最適解)が差替え条件を満足する場合、第2の最適化計算は行われない。
第1の最適化計算では、固定部上部(移動部)差替え制約についての制約式((29−1)式〜(29−3)式)のうち、差替えの必要条件を示す制約式((29−2)式または(29−3)式)が用いられる。第2の最適化計算では、固定部上部(移動部)差替え制約についての制約式((29−1)式〜(29−3)式)のうち、差替えの十分条件を示す制約式((29−1)式)が用いられる。
従って、最適化計算部103は、(9)式〜(13)式と、(14−1)式〜(14−2)式と、(15−1)式〜(15−3)式と、(16)式〜(17)式と、(18−1)式または(18−2)式と、(19)式と、(19')式と、(20)式〜(23)式と、(25−1)式〜(25−3)式と、(26)式と、(27−1)式〜(27−3)式と、(28)式と、(29−2)式または(29−3)式の制約式を満足する範囲で、(30)式の目的関数Jの値が最小になるときの決定変数(非移動最上段鋼材判別変数xj、移動有無判別変数yi、移動鋼材最終山割り当て変数zij、割り当て山識別変数qj、仮置き発生有無変数ri、および初期搬送順変数tii')を最適解として算出することにより、第1の最適化計算を実行する。尚、最適解の算出は、最適化問題を混合整数計画法などの数理計画法により解くための公知のアルゴリズム(solverなどの利用を含む)を用いることにより実現できる。
また、最適化計算部103は、(9)式〜(13)式と、(14−1)式〜(14−2)式と、(15−1)式〜(15−3)式と、(16)式〜(17)式と、(18−1)式または(18−2)式と、(19)式と、(19')式と、(20)式〜(23)式と、(25−1)式〜(25−3)式と、(26)式と、(27−1)式〜(27−3)式と、(28)式と、(29−1)式の制約式を満足する範囲で、(30)式の目的関数Jの値が最小になるときの決定変数(非移動最上段鋼材判別変数xj、移動有無判別変数yi、移動鋼材最終山割り当て変数zij、割り当て山識別変数qj、仮置き発生有無変数ri、および初期搬送順変数tii')を最適解として算出することにより、第2の最適化計算を実行する。
[判定部104]
前述したように、第1の最適化計算では、固定部上部(移動部)差替え制約についての制約式((29−1)式〜(29−3)式)のうち、差替えの必要条件を示す制約式((29−2)式または(29−3)式)が用いられる。従って、第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件(「鋼材iSbの初期搬送順<固定部上積載鋼材集合Ek ↓内の任意の鋼材iEの最終搬送順」)を満たさない可能性がある。このため、判定部104は、最適化計算部103による第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満たすか否かを判定する。この判定は、第1の最適化計算の結果に基づいて判定部104が自動的に行うことができる。また、最適化計算部103は、第1の最適化計算の結果(最適解)を示す情報を表示装置に表示してもよい。この場合、オペレータは、当該表示に基づいて差替え条件を満たすか否かを確認し、確認した結果をヤード管理装置100に入力する。判定部104は、当該入力の結果に基づいて、第1の最適化計算の結果(最適解)が差替え条件を満たすか否かを判定する。
前述したように、第1の最適化計算では、固定部上部(移動部)差替え制約についての制約式((29−1)式〜(29−3)式)のうち、差替えの必要条件を示す制約式((29−2)式または(29−3)式)が用いられる。従って、第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件(「鋼材iSbの初期搬送順<固定部上積載鋼材集合Ek ↓内の任意の鋼材iEの最終搬送順」)を満たさない可能性がある。このため、判定部104は、最適化計算部103による第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満たすか否かを判定する。この判定は、第1の最適化計算の結果に基づいて判定部104が自動的に行うことができる。また、最適化計算部103は、第1の最適化計算の結果(最適解)を示す情報を表示装置に表示してもよい。この場合、オペレータは、当該表示に基づいて差替え条件を満たすか否かを確認し、確認した結果をヤード管理装置100に入力する。判定部104は、当該入力の結果に基づいて、第1の最適化計算の結果(最適解)が差替え条件を満たすか否かを判定する。
この判定の結果、最適化計算部103による第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満たさない場合、最適化計算部103は、第2の最適化計算を実行する。前述したように、第2の最適化計算では、固定部上部(移動部)差替え制約についての制約式((29−1)式〜(29−3)式)のうち、差替えの十分条件を示す制約式((29−1)式が用いられる。従って、第2の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件(「鋼材iSbの初期搬送順<固定部上積載鋼材集合Ek ↓内の任意の鋼材iEの最終搬送順」)を満たさないことはない。
[出力部105]
出力部105は、判定部104により、最適化計算部103による第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満たすと判定された場合、第1の最適化計算の結果(最適解)から特定される、鋼材集合Nに含まれる各鋼材の初期山から最終山に至るまでの搬送順を示す情報を出力する。
出力部105は、判定部104により、最適化計算部103による第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満たさないと判定された場合、第2の最適化計算の結果(最適解)から特定される、鋼材集合Nに含まれる各鋼材の初期山から最終山に至るまでの搬送順を示す情報を出力する。
出力部105は、判定部104により、最適化計算部103による第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満たすと判定された場合、第1の最適化計算の結果(最適解)から特定される、鋼材集合Nに含まれる各鋼材の初期山から最終山に至るまでの搬送順を示す情報を出力する。
出力部105は、判定部104により、最適化計算部103による第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満たさないと判定された場合、第2の最適化計算の結果(最適解)から特定される、鋼材集合Nに含まれる各鋼材の初期山から最終山に至るまでの搬送順を示す情報を出力する。
出力部105は、この情報に加えてまたは代えて、移動鋼材および非移動鋼材の識別情報、最終山の総数、最終山の積姿、および、仮置きされる鋼材の識別情報のうち少なくとも1つを出力してもよい。出力の形態は、コンピュータディスプレイへの表示、ヤード管理装置100の内部または外部の記憶媒体への記憶、および外部装置への送信のうち、少なくとも1つを含む。外部装置としては、例えば、クレーン、またはクレーンの動作を制御する制御装置が挙げられる。
(フローチャート)
図3は、ヤード管理装置100によるヤード管理方法の一例を説明するフローチャートである。
ステップS301において、鋼材情報取得部101は、鋼材情報を取得する。
図3は、ヤード管理装置100によるヤード管理方法の一例を説明するフローチャートである。
ステップS301において、鋼材情報取得部101は、鋼材情報を取得する。
次に、ステップS302において、制約式・目的関数設定部102は、制約式((9)式〜(13)式と、(14−1)式〜(14−2)式と、(15−1)式〜(15−3)式と、(16)式〜(17)式と、(18−1)式または(18−2)式と、(19)式と、(19')式と、(20)式〜(23)式と、(25−1)式〜(25−3)式と、(26)式と、(27−1)式〜(27−3)式と、(28)式と、(29−1)式と、(29−2)式または(29−3)式と、を設定する。
次に、ステップS303において、制約式・目的関数設定部102は、目的関数J((30)式)を設定する。
次に、ステップS304において、最適化計算部103は、第1の最適化計算を実行する。第1の最適化計算では、(29−2)式または(29−3)式が用いられ、(29−1)式は用いられない。
次に、ステップS304において、最適化計算部103は、第1の最適化計算を実行する。第1の最適化計算では、(29−2)式または(29−3)式が用いられ、(29−1)式は用いられない。
次に、ステップS305において、判定部104は、ステップS304の第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満たすか否かを判定する。この判定の結果、ステップS304の第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満たす場合(ステップS305の判定でYESの場合)、ステップS306の処理が実行される。
ステップS306において、出力部105は、ステップS304の第1の最適化計算の結果(最適解)から特定される、鋼材集合Nに含まれる各鋼材の初期山から最終山に至るまでの搬送順を示す情報を出力する。
ステップS306において、出力部105は、ステップS304の第1の最適化計算の結果(最適解)から特定される、鋼材集合Nに含まれる各鋼材の初期山から最終山に至るまでの搬送順を示す情報を出力する。
一方、ステップS305において、ステップS304の第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満たさない場合(ステップS305の判定でNOの場合)、ステップS307の処理が実行される。
ステップS307において、最適化計算部103は、第2の最適化計算を実行する。第2の最適化計算では、(29−1)式が用いられ、(29−2)式または(29−3)式は用いられない。
ステップS307において、最適化計算部103は、第2の最適化計算を実行する。第2の最適化計算では、(29−1)式が用いられ、(29−2)式または(29−3)式は用いられない。
ステップS307の処理が終了すると、ステップS306において、出力部105は、ステップS307の第2の最適化計算の結果(最適解)から特定される、鋼材集合Nに含まれる各鋼材の初期山から最終山に至るまでの搬送順を示す情報を出力する。
(まとめ)
以上のように本実施形態では、ヤード管理装置100は、鋼材の総搬送回数と最終山の総数とを最小にすることを目的とする数理計画問題を求解することにより、初期山を構成する鋼材を、移動鋼材または非移動鋼材のいずれかに分類し、移動鋼材の搬送順と、移動鋼材を移動させる際の仮置きの発生の有無とを少なくとも決定する。従って、初期山から最終山に金属材を積み替えるための金属材の搬送計画を作成する際に、初期山を構成する金属材のうちどの鋼材を移動しどの金属材を移動するのかを決定しつつ、最終山の総数の最小化と、金属材の搬送数の最小化とのバランスをとることができる。また、最終山の総数および鋼材の総搬送回数を決定する際に、移動鋼材および非移動鋼材と、各鋼材の搬送順と、各鋼材の仮置きの発生の有無とが同時に決定される。このように、各鋼材の搬送順と、各鋼材の仮置きの発生の有無とを考慮することで、例えば、移動鋼材の総数のみを考慮した場合に比べ、鋼材の総搬送回数が少なくなる搬送計画を作成することができる。
以上のように本実施形態では、ヤード管理装置100は、鋼材の総搬送回数と最終山の総数とを最小にすることを目的とする数理計画問題を求解することにより、初期山を構成する鋼材を、移動鋼材または非移動鋼材のいずれかに分類し、移動鋼材の搬送順と、移動鋼材を移動させる際の仮置きの発生の有無とを少なくとも決定する。従って、初期山から最終山に金属材を積み替えるための金属材の搬送計画を作成する際に、初期山を構成する金属材のうちどの鋼材を移動しどの金属材を移動するのかを決定しつつ、最終山の総数の最小化と、金属材の搬送数の最小化とのバランスをとることができる。また、最終山の総数および鋼材の総搬送回数を決定する際に、移動鋼材および非移動鋼材と、各鋼材の搬送順と、各鋼材の仮置きの発生の有無とが同時に決定される。このように、各鋼材の搬送順と、各鋼材の仮置きの発生の有無とを考慮することで、例えば、移動鋼材の総数のみを考慮した場合に比べ、鋼材の総搬送回数が少なくなる搬送計画を作成することができる。
また、本実施形態では、初期搬送順変数tii' 、仮置き発生有無変数ri、移動有無判別変数yi、移動鋼材最終山割り当て変数zijを含む変数を決定変数とし、鋼材の総搬送回数と最終山の総数とを最小にすることを目的とする目的関数Jの値が最小になるときの決定変数を導出する。従って、数理計画問題を定式化して解くことができる。
また、本実施形態では、鋼材の総搬送回数に影響する第1の制約と、最終山の総数に影響する第2の制約とを含む制約式を満足する範囲で目的関数Jの値が最小になるときの決定変数を導出する。ここで、第1の制約は、2つの鋼材の搬送の相対的な順序同士の関係を、決定変数(移動有無判別変数yiおよび初期搬送順変数tii')を用いて表す制約式((25−1)式〜(26)式)と、同一の前記初期山にある前記金属材ついては当該初期山の上にある前記金属材から搬送しなければならないことを、決定変数(仮置き発生有無変数ri、移動鋼材最終山割り当て変数zij)を用いて表した制約式((28)式)とを含む。また、第2の制約は、初期山から移動されない鋼材の上に配置することができない鋼材に関する制約を、決定変数(非移動最上段鋼材判別変数xi、移動鋼材最終山割り当て変数zij)を用いて表した制約式((16)式)と、最終山の山高さの上限値に関する制約を、決定変数(非移動最上段鋼材判別変数xi、割り当て山識別変数qj、移動鋼材最終山割り当て変数zij)を用いて表した制約式((18−2)式、(20)式)と、同一の最終山に配置することを禁ずる2つの前記金属材に関する制約を、決定変数(割り当て山識別変数qj、移動鋼材最終山割り当て変数zij)を用いて表した制約式((23)式)と、を含む。従って、実際に搬送することができない搬送計画が作成されることを抑制することができる。
また、本実施形態では、2つの鋼材の搬送の相対的な順序同士の関係を表す制約式には、移動鋼材であるか否かが確定しない鋼材を含む鋼材の初期搬送順の順序関係が、移動有無判別変数yiの値によって定まることを示す制約式((25−2)式〜(25−3)式)が含まれる。従って、移動鋼材であるか否かが確定しない鋼材を含む場合であっても、鋼材の初期搬送順を定めることができる。
また、本実施形態では、鋼材ikが、元山kにおいて非移動鋼材のうち最上段にある非移動鋼材である場合、当該鋼材ikに上載せできない鋼材iを、鋼材ikが属する元山kに配置することはできないことを、決定変数(非移動最上段鋼材判別変数xiおよび移動鋼材最終山割り当て変数zij)を用いて表す制約式((16)式)を更に用いる。従って、非移動鋼材の上に配置することができない鋼材が非移動鋼材の上に配置される搬送計画が作成されることを抑制することができる。
また、本実施形態では、移動部鋼材集合Sk ↑の鋼材の初期搬送より先に固定部上積載鋼材集合Ek ↓の鋼材の初期搬送がされる場合、固定部上積載鋼材集合Ek ↓の鋼材が仮置きとなることを、決定変数(移動鋼材最終山割り当て変数zijおよび初期搬送順変数tii') を用いて表す制約式((29−1)式〜(29−3)式)を更に用いる。従って、初期山Skの移動部の鋼材の差し替えが行えなくなる搬送計画が作成されることを抑制することができる。
また、本実施形態では、最下段の鋼材から積順が払出順(下から上に向かって払出順が降順)になっている鋼材までの鋼材で構成される部分山max(Sk)にない鋼材を移動鋼材とする制約を示す制約式((9)式)を更に用い、max(Sk)にある鋼材の中から非移動鋼材((非移動最上段鋼材判別変数xi)を決定する。従って、移動鋼材と非移動鋼材として決定すべき鋼材の数を減らすことができる。
(変形例)
各実施形態では、(30)式の目的関数Jの値を最小化する最小化問題を例に挙げて説明した。しかしながら、例えば、(30)式の右辺の各項に(−1)を掛けることにより、最大化問題としてもよい。
(変形例)
各実施形態では、(30)式の目的関数Jの値を最小化する最小化問題を例に挙げて説明した。しかしながら、例えば、(30)式の右辺の各項に(−1)を掛けることにより、最大化問題としてもよい。
また、各実施形態では、鋼材を1つ1つ移動(搬送)する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、鋼材の移動(搬送)が、鋼材グループの単位で行われる場合でも本実施形態の手法を適用することができる。鋼材グループとは、搬送機器(主にクレーン)にて搬送する際に、分割されることのない(最小単位となる)一枚以上の鋼材の纏まりを指す。このようにする場合、幅制約を満たすのは、例えば、或る鋼材グループの最大幅が、当該或る鋼材グループの下に位置するどの鋼材グループの最小幅よりも狭い場合と、或る鋼材グループの最大幅が、当該或る鋼材グループの下に位置するどの鋼材グループの最小幅よりも広く、且つ、それぞれの幅の差が基準値(例えば200[mm])未満である場合である。また、長さ制約を満たすのは、例えば、或る鋼材グループの最大長が、当該或る鋼材グループの下に位置するどの鋼材グループの最小長よりも短い場合と、或る鋼材グループの最大長が、当該或る鋼材グループの下に位置するどの鋼材グループの最小長よりも長く、且つ、それぞれの長さの差が基準値(例えば2000[mm])未満である場合である。また、例えば、(1つの)鋼材グループiに含まれる鋼材の数wiを用いて鋼材の数を表現することができる。
また、本実施形態のように、移動有無判別変数yiを用いれば、アルゴリズム(制約式および目的関数)を直感的に理解し易く記述することができるので好ましい。しかしながら、(15−1)式に示すように、移動有無判別変数yiは、移動鋼材最終山割り当て変数zijを用いて表現することができる。従って、必ずしも移動有無判別変数yiを用いる必要はない。
また、本実施形態では、第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満たさない場合、第2の最適化計算を実行する場合を例に挙げて説明した。このようにすれば、最終山の総数の最小化と、鋼材の総搬送回数の最小化とのバランスを、より適切にとることができるので好ましい。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、第1の最適化計算の結果と第2の最適化計算の一方のみを行ってもよい。このようにする場合、判定部104は不要になる。
また、本実施形態では、第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満たさない場合、第2の最適化計算を実行する場合を例に挙げて説明した。このようにすれば、最終山の総数の最小化と、鋼材の総搬送回数の最小化とのバランスを、より適切にとることができるので好ましい。しかしながら、必ずしもこのようにする必要はない。例えば、第1の最適化計算の結果と第2の最適化計算の一方のみを行ってもよい。このようにする場合、判定部104は不要になる。
また、工程間の置場として、2つの製造工程間の置場を対象とし、金属材として、半製品を対象としてもよいし、工程間の置場として、製造工程と出荷工程の間の置場を対象とし、金属材として、最終製品を対象としてもよい。この際に、複数の金属材をコンテナに収容して輸送、配置する場合には、金属材が収容されたコンテナを1つの金属材として取り扱ってもよい。さらに、工程間の置場としては、金属製造プロセスにおける置場に限定されるものでなく、一般的な工程間の物流、搬送を対象としてもよい。物流分野では内容物に限定されずコンテナの搬送、配置でも適用できる。従って、本発明では、金属材は、最終製品と、半製品と、コンテナとの何れか1つを含むものとする。
((第2の実施形態))
次に、第2の実施形態を説明する。第1の実施形態では、「(i−4)固定部上部(移動部)差替え制約」の項で説明したように、初期搬送順変数tii'を決定変数とし、鋼材の初期搬送順のみを考慮し、差替えの必要条件または十分条件を示す制約を固定部上部差替え制約として用いる場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、差替えの必要十分条件を示す制約を固定部上部差替え制約として用いる場合について説明する。このように本実施形態と第1の実施形態とでは、固定部上部差替え制約の内容が主として異なる。従って、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図3に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
次に、第2の実施形態を説明する。第1の実施形態では、「(i−4)固定部上部(移動部)差替え制約」の項で説明したように、初期搬送順変数tii'を決定変数とし、鋼材の初期搬送順のみを考慮し、差替えの必要条件または十分条件を示す制約を固定部上部差替え制約として用いる場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、差替えの必要十分条件を示す制約を固定部上部差替え制約として用いる場合について説明する。このように本実施形態と第1の実施形態とでは、固定部上部差替え制約の内容が主として異なる。従って、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図3に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
(決定変数)
本実施形態では、初期搬送順変数tii'に代えて、以下の(31)式で定義される全搬送順変数vs,s'を決定変数として用いる。
本実施形態では、初期搬送順変数tii'に代えて、以下の(31)式で定義される全搬送順変数vs,s'を決定変数として用いる。
全搬送順変数vs,s'は、搬送sが搬送s'よりも先である場合に1、そうでない場合に0(ゼロ)となる0−1変数である。
初期山Skから最終山へ鋼材を積み替える際の鋼材の全搬送順序は、集合N+N'の全順序(推移的、反対称且つ完全な二項関係)となることから、鋼材の全搬送順序(初期搬送順および最終搬送順)を定める全搬送順変数vs,s'は、反対称律、完全律(比較可能)および推移律を満たす((33−1)式〜(34)式を参照)。
初期山Skから最終山へ鋼材を積み替える際の鋼材の全搬送順序は、集合N+N'の全順序(推移的、反対称且つ完全な二項関係)となることから、鋼材の全搬送順序(初期搬送順および最終搬送順)を定める全搬送順変数vs,s'は、反対称律、完全律(比較可能)および推移律を満たす((33−1)式〜(34)式を参照)。
全搬送順変数vs,s'のパラメータとして、搬送を識別する変数sを用いる。第1の実施形態で説明したように、変数iは、鋼材の払出順にナンバリングされている(払出順が前であるほど変数iの値は小さい)ものとする。また、鋼材iの初期搬送を示す変数sの値は、iである(s=i)とする。また、鋼材iの最終搬送を示す変数sの値は、i+nである(s=i+n)とする。従って、全搬送順変数vs,s'のパラメータsを、iを用いて表記することにより(例えばvi,i'、vi,i+n)、初期搬送と最終搬送とを区別することができるので、以下では、このように表記する。一方、初期搬送と最終搬送とを区別しない場合、全搬送順変数vs,s'のパラメータsは、sのままで表記する(例えばvs,s')。
鋼材iが仮置きされない場合、鋼材iの初期搬送と最終搬送は同一の搬送となるため、鋼材iの初期搬送と最終搬送の順序関係は定められない。従って、鋼材iが仮置きされない場合、vi,i+n=vi+n,i=0と定義されるものとする。また、鋼材i、i'の少なくとも何れか一方が非移動鋼材である場合、vi,i'=vi'i=0と定義されるものとする。
その他の決定変数は、第1の実施形態で説明した決定変数と同じである。
その他の決定変数は、第1の実施形態で説明した決定変数と同じである。
(ヤード管理装置400の機能構成)
図4は、ヤード管理装置400の機能的な構成の一例を示す図である。ヤード管理装置400のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置、または専用のハードウェアを用いることにより実現される。図5は、ヤード管理装置400によるヤード管理方法の一例を説明するフローチャートである。
図4は、ヤード管理装置400の機能的な構成の一例を示す図である。ヤード管理装置400のハードウェアは、例えば、CPU、ROM、RAM、HDD、および各種のインターフェースを備える情報処理装置、または専用のハードウェアを用いることにより実現される。図5は、ヤード管理装置400によるヤード管理方法の一例を説明するフローチャートである。
[鋼材情報取得部401、鋼材情報取得ステップS501]
鋼材情報取得部401は、山積みの対象となる鋼材についての鋼材情報を取得する。鋼材情報取得部401は、第1の実施形態の鋼材情報取得部101と同じである。
鋼材情報取得部401は、山積みの対象となる鋼材についての鋼材情報を取得する。鋼材情報取得部401は、第1の実施形態の鋼材情報取得部101と同じである。
[制約式・目的関数設定部402、制約式設定ステップS502、目的関数設定ステップS503]
本実施形態では、第1の実施形態で説明した「(j)積み替え搬送順の定式化」の内容が以下のように変更される。
(j−1)全搬送順変数vi,i'に関する制約
同一の鋼材iの初期搬送iと最終搬送i+nとの関係は、以下の(32)式のように表される。前述したように、鋼材iが仮置きされない場合、vi,i+n=vi+n,i=0となる。従って、鋼材iが仮置きされる場合、以下の(32')式が成り立つ。
本実施形態では、第1の実施形態で説明した「(j)積み替え搬送順の定式化」の内容が以下のように変更される。
(j−1)全搬送順変数vi,i'に関する制約
同一の鋼材iの初期搬送iと最終搬送i+nとの関係は、以下の(32)式のように表される。前述したように、鋼材iが仮置きされない場合、vi,i+n=vi+n,i=0となる。従って、鋼材iが仮置きされる場合、以下の(32')式が成り立つ。
異なる鋼材i、i'の搬送では前後関係が定まるので、以下の(33−1)式〜(33−9)式が成り立つ。また、推移律は、以下の(34)式で表される。
(33−1)式〜(33−9)式は、(25−1)式〜(25−3)式を、初期搬送同士と、最終搬送同士と、初期搬送および最終搬送とに拡張したものである。(34)式は、(26)式に対応するものである。
(j−2)初期山分解順・最終山構築順制約
初期山Skから鋼材を搬送(初期山を分解)する場合、初期山Skの上にある鋼材から搬送する必要がある。従って、以下の(35−1)式〜(35−3)式が成り立つ。
初期山Skから鋼材を搬送(初期山を分解)する場合、初期山Skの上にある鋼材から搬送する必要がある。従って、以下の(35−1)式〜(35−3)式が成り立つ。
(35−1)式は、鋼材i、i'が共に移動が必須となる鋼材集合Imに含まれ、初期山Skにおいて上に鋼材iがあり、下に鋼材i'である場合、鋼材iは鋼材i'より先に初期搬送されること(vi,i'=1、vi',i=0)を表す。
(35−2)式は、鋼材iが、移動が必須となる鋼材集合Imに含まれ、鋼材i'が、移動が必須となる鋼材集合Imに含まれず、初期山Skにおいて上に鋼材iがあり、下に鋼材i'である場合、鋼材i'が移動鋼材(yi'=1)であるときに、鋼材iは鋼材i'より先に初期搬送されること(vi,i'=yi'、vi',i=0)を表す。鋼材i'が移動鋼材でなければ、鋼材i、i'の順序関係は定められないので、vi,i'=vi',i=0となる。
(35−3)式は、鋼材i、i'が共に移動が必須となる鋼材集合Imに含まれず、初期山Skにおいて上に鋼材iがあり、下に鋼材i'である場合、鋼材i'が移動鋼材(yi'=1)であるときに、鋼材iは鋼材i'より先に初期搬送されること(vi,i'=yi'、vi',i=0)を表す。鋼材i'が移動鋼材でなければ、鋼材i、i'の順序関係は定められないので、vi,i'=vi',i=0となる。
最終山への搬送(最終搬送i+n∈N')は、最終山の下から順に行う必要がある。従って、以下の(36−1)式〜(36−4)式が成り立つ。
(36−1)式は、鋼材iの払出順が鋼材i'の払出順よりも後であり、初期山Skの固定部の上部にある鋼材i、i'が共に移動が必須となる鋼材集合Imに含まれる場合、鋼材i、i'が同じ最終山jに配置されるときには、鋼材iの最終搬送は鋼材i'の最終搬送よりも先になること(vi+n,i'+n=1)を表す(最終山jでは鋼材i'が鋼材iの上に積まれることを表す)。
(36−2)式は、鋼材iの払出順が鋼材i'の払出順よりも後であり、鋼材iが、移動が必須となる鋼材集合Imに含まれず、鋼材i'が、移動が必須となる鋼材集合Imに含まれる場合、鋼材i、i'が同じ最終山jに配置され、且つ、鋼材iが移動鋼材(yi=1)であるときに、鋼材iの最終搬送は鋼材i'の最終搬送よりも先になること(vi+n,i'+n=1)を表す。
(36−3)式は、鋼材iの払出順が鋼材i'の払出順よりも後であり、鋼材iが、移動が必須となる鋼材集合Imに含まれ、鋼材i'が、移動が必須となる鋼材集合Imに含まれない場合、鋼材i、i'が同じ最終山jに配置され、且つ、鋼材i'が移動鋼材(yi'=1)であるときに、鋼材iの最終搬送は鋼材i'の最終搬送よりも先になること(vi+n,i'+n=1)を表す。
(36−4)式は、鋼材iの払出順が鋼材i'の払出順よりも後であり、鋼材i、i'が共に移動が必須となる鋼材集合Imに含まれない場合、鋼材i、i'が同じ最終山jに配置され、且つ、鋼材i、i'が共に移動鋼材(yi=yi'=1)であるときに、鋼材iの最終搬送は鋼材i'の最終搬送よりも先になること(vi+n,i'+n=1)を表す。
(j−3)仮置き発生条件制約
或る2つの鋼材からなる鋼材対(i,i')(∈N2)において、鋼材iの初期搬送が鋼材i'の初期搬送よりも先であり、鋼材i'の最終搬送が鋼材iの最終搬送よりも先である(鋼材vi,i'=1且つvi'+n,i+n=1)場合、初期山Skから鋼材iを初期搬送してから鋼材i'を初期搬送し、最終山には鋼材i'を最終搬送してから鋼材iを最終搬送することになる。この場合、当該鋼材対(i,i')の鋼材は、初期搬送順と最終搬送順が異なるため、鋼材iは仮置きしなければならない。従って、以下の(37)式が成り立つ。
或る2つの鋼材からなる鋼材対(i,i')(∈N2)において、鋼材iの初期搬送が鋼材i'の初期搬送よりも先であり、鋼材i'の最終搬送が鋼材iの最終搬送よりも先である(鋼材vi,i'=1且つvi'+n,i+n=1)場合、初期山Skから鋼材iを初期搬送してから鋼材i'を初期搬送し、最終山には鋼材i'を最終搬送してから鋼材iを最終搬送することになる。この場合、当該鋼材対(i,i')の鋼材は、初期搬送順と最終搬送順が異なるため、鋼材iは仮置きしなければならない。従って、以下の(37)式が成り立つ。
(j−4)固定部上部(移動部)差替え制約
本実施形態では、鋼材iの初期搬送順と最終搬送順とを定めるので、差替えの必要十分条件を示す制約として固定部上部差替え制約を定式化することができる。max(Sk)の中にある鋼材ikの1つ上の段にある鋼材を鋼材ik'とすると、差替えの必要十分条件(「鋼材ik'の初期搬送順<固定部上積載鋼材集合Ek ↓内の任意の鋼材iEの最終搬送順」)は、以下の(38)式のように表される。
本実施形態では、鋼材iの初期搬送順と最終搬送順とを定めるので、差替えの必要十分条件を示す制約として固定部上部差替え制約を定式化することができる。max(Sk)の中にある鋼材ikの1つ上の段にある鋼材を鋼材ik'とすると、差替えの必要十分条件(「鋼材ik'の初期搬送順<固定部上積載鋼材集合Ek ↓内の任意の鋼材iEの最終搬送順」)は、以下の(38)式のように表される。
(38)式は、鋼材ikがmax(Sk)の中にあり、鋼材iが、移動が必須となる鋼材集合Imに含まれる場合、鋼材ikが、最上段にある非移動鋼材(xik=1)であり、且つ、鋼材iが初期山Skに配置されるときに、鋼材ik'の初期搬送順は、鋼材iの最終搬送順よりも先(vik',i+n=1)になることを表す。ただし、vik',i+nのi+nは、初期山Skとは別の山から初期山Skに最終搬送される鋼材iの最終搬送順であるものとする。尚、(38)式において、xikのkはiの下付き記号として表記される。vik',i+nのkは、iの下付き記号として表記される。
その他の制約式は、第1の実施形態で説明した制約式と同じである。また、目的関数Jは、第1の実施形態で説明した目的関数J((30)式)と同じである。
[最適化計算部403、最適化計算ステップS504]
第1の実施形態では、差替えの必要条件を示す制約式((29−2)式または(29−3)式)と、差替えの十分条件を示す制約式((29−1)式)とのそれぞれを用いて、第1の最適化計算と第2の最適化計算とが実行される。これに対し、本実施形態では、差替えの必要十分条件を示す制約式((38)式)を用いる。従って、最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満足しないことはない。よって、最適化計算の回数は1回でよい。
第1の実施形態では、差替えの必要条件を示す制約式((29−2)式または(29−3)式)と、差替えの十分条件を示す制約式((29−1)式)とのそれぞれを用いて、第1の最適化計算と第2の最適化計算とが実行される。これに対し、本実施形態では、差替えの必要十分条件を示す制約式((38)式)を用いる。従って、最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満足しないことはない。よって、最適化計算の回数は1回でよい。
従って、最適化計算部403は、(9)式〜(13)式と、(14−1)式〜(14−2)式と、(15−1)式〜(15−3)式と、(16)式〜(17)式と、(18−1)式または(18−2)式と、(19)式と、(19')式と、(20)式〜(23)式と、(32)式と、(32')式と、(31−1)式〜(33−9)式と、(34)式と、(35−1)式〜(35−3)式と、(36−1)式〜(36−4)式と、(37)式〜(38)式の制約式を満足する範囲で、(30)式の目的関数Jの値が最小になるときの決定変数(非移動最上段鋼材判別変数xj、移動有無判別変数yi、移動鋼材最終山割り当て変数zij、割り当て山識別変数qj、仮置き発生有無変数ri、および全搬送順変数vi,i')を最適解として算出することにより、最適化計算を実行する。
[出力部404、出力ステップS505]
出力部404は、最適化計算部403による最適化計算の結果(最適解)から特定される、鋼材集合Nに含まれる各鋼材の初期山から最終山に至るまでの搬送順を示す情報を出力する。出力部404は、この情報に加えてまたは代えて、移動鋼材および非移動鋼材の識別情報、最終山の総数、最終山の積姿、および仮置きされる鋼材の識別情報のうち少なくとも1つを出力してもよい。
出力部404は、最適化計算部403による最適化計算の結果(最適解)から特定される、鋼材集合Nに含まれる各鋼材の初期山から最終山に至るまでの搬送順を示す情報を出力する。出力部404は、この情報に加えてまたは代えて、移動鋼材および非移動鋼材の識別情報、最終山の総数、最終山の積姿、および仮置きされる鋼材の識別情報のうち少なくとも1つを出力してもよい。
(まとめ)
以上のように本実施形態では、ヤード管理装置400は、決定変数として初期搬送順変数tii'に代えて全搬送順変数vi,i'を用いる。従って、差替えの必要十分条件(「鋼材ik'の初期搬送順<固定部上積載鋼材集合Ek ↓内の任意の鋼材iEの最終搬送順」)を固定部上部差替え制約として定式化することができる。よって、最終山の総数の最小化と、鋼材の総搬送回数の最小化とのバランスを、より適切にとることができる。
以上のように本実施形態では、ヤード管理装置400は、決定変数として初期搬送順変数tii'に代えて全搬送順変数vi,i'を用いる。従って、差替えの必要十分条件(「鋼材ik'の初期搬送順<固定部上積載鋼材集合Ek ↓内の任意の鋼材iEの最終搬送順」)を固定部上部差替え制約として定式化することができる。よって、最終山の総数の最小化と、鋼材の総搬送回数の最小化とのバランスを、より適切にとることができる。
本実施形態においても、第1の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
((第3の実施形態))
次に、第3の実施形態を説明する。第1の実施形態では、仮置きとなる鋼材は求められるが、仮置きとなる鋼材の山姿(仮山の山姿:仮置きとなる鋼材がどの仮山のどの積み順に位置するか)は決定されない。このため、仮山の山姿は、仮置きとなる鋼材と、鋼材の搬送順とに基づいて公知の手法により、後処理で導出することができるものとした(第1の実施形態で説明した「(問題設定)(A)仮定(前提)の(d)」の項を参照)。これに対し、本実施形態では、鋼材の搬送順および最終山の山姿と共に仮山の山姿も同時に最適化計算により決定する場合について説明する。従って、本実施形態では、第1の実施形態で説明した「(問題設定)(A)仮定(前提)の(d)」の仮定はない。このように本実施形態と第1の実施形態とは、仮山の山姿を決定する手法が主として異なる。従って、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図3に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
次に、第3の実施形態を説明する。第1の実施形態では、仮置きとなる鋼材は求められるが、仮置きとなる鋼材の山姿(仮山の山姿:仮置きとなる鋼材がどの仮山のどの積み順に位置するか)は決定されない。このため、仮山の山姿は、仮置きとなる鋼材と、鋼材の搬送順とに基づいて公知の手法により、後処理で導出することができるものとした(第1の実施形態で説明した「(問題設定)(A)仮定(前提)の(d)」の項を参照)。これに対し、本実施形態では、鋼材の搬送順および最終山の山姿と共に仮山の山姿も同時に最適化計算により決定する場合について説明する。従って、本実施形態では、第1の実施形態で説明した「(問題設定)(A)仮定(前提)の(d)」の仮定はない。このように本実施形態と第1の実施形態とは、仮山の山姿を決定する手法が主として異なる。従って、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図3に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
(決定変数)
本実施形態では、第1の実施形態で説明した決定変数に加えて、仮置鋼材仮山割り当て変数uijと、割り当て仮山識別変数pjと、最終搬送順変数wii'とを決定変数として用いる。仮置鋼材仮山割り当て変数uijは、以下の(39)式のように定義され、割り当て仮山識別変数pjは、以下の(40)式のように定義され、最終搬送順変数wii'は、以下の(41)式のように定義される。
本実施形態では、第1の実施形態で説明した決定変数に加えて、仮置鋼材仮山割り当て変数uijと、割り当て仮山識別変数pjと、最終搬送順変数wii'とを決定変数として用いる。仮置鋼材仮山割り当て変数uijは、以下の(39)式のように定義され、割り当て仮山識別変数pjは、以下の(40)式のように定義され、最終搬送順変数wii'は、以下の(41)式のように定義される。
ここで、移動鋼材のうち仮置きとなる鋼材を、必要に応じて、仮置鋼材と称する。
仮置鋼材仮山割り当て変数uijは、仮置き鋼材iを仮山jに配置する場合に1、そうでない場合に0(ゼロ)となる0−1変数である。
割り当て仮山識別変数pjは、仮山として新山j(=p+1,・・・,p+m)が割り当てられた場合に1、そうでない場合に0(ゼロ)となる0−1変数である。
最終搬送順変数wii'は、鋼材iの最終搬送が鋼材i'の最終搬送よりも先である場合に1、そうでない場合に0(ゼロ)となる0−1変数である。ただし、最終搬送順変数wii'は、鋼材i、i'が共に移動鋼材である場合に、(41)式に従い、wii'またはwi'iの何れかが1になり、鋼材i、i'の少なくとも何れか一方が非移動鋼材である場合、wii'=wi'i=0と定義されるものとする。
仮置鋼材仮山割り当て変数uijは、仮置き鋼材iを仮山jに配置する場合に1、そうでない場合に0(ゼロ)となる0−1変数である。
割り当て仮山識別変数pjは、仮山として新山j(=p+1,・・・,p+m)が割り当てられた場合に1、そうでない場合に0(ゼロ)となる0−1変数である。
最終搬送順変数wii'は、鋼材iの最終搬送が鋼材i'の最終搬送よりも先である場合に1、そうでない場合に0(ゼロ)となる0−1変数である。ただし、最終搬送順変数wii'は、鋼材i、i'が共に移動鋼材である場合に、(41)式に従い、wii'またはwi'iの何れかが1になり、鋼材i、i'の少なくとも何れか一方が非移動鋼材である場合、wii'=wi'i=0と定義されるものとする。
仮置鋼材仮山割り当て変数uijを用いると、鋼材iを仮置きするか否かをΣj∈Tuij
(T:仮山の集合)と表現できる。従って、本実施形態では、仮置き発生有無変数riは不要である。仮山の集合Tの要素は、仮山の識別番号でありT={1,2,・・・,tmax}とする。
(T:仮山の集合)と表現できる。従って、本実施形態では、仮置き発生有無変数riは不要である。仮山の集合Tの要素は、仮山の識別番号でありT={1,2,・・・,tmax}とする。
(ヤード管理装置100の機能構成)
本実施形態のヤード監視装置では、図1に示すヤード管理装置100の各部の機能の一部を変更することにより実現される。従って、図1に付した符号と同一の符号を付して、第1の実施形態と異なる部分を中心に、本実施形態のヤード管理装置の機能的な構成の一例を説明する。
本実施形態のヤード監視装置では、図1に示すヤード管理装置100の各部の機能の一部を変更することにより実現される。従って、図1に付した符号と同一の符号を付して、第1の実施形態と異なる部分を中心に、本実施形態のヤード管理装置の機能的な構成の一例を説明する。
[鋼材情報取得部101]
鋼材情報取得部101は、第1の実施形態で説明した情報に加え、重み係数k3を取得する。従って、鋼材情報取得部101が取得する鋼材情報には、鋼材基礎情報と、各鋼材の初期山の積姿を特定する情報と、最終山の高さの上限値hを特定する情報と、重み係数k1、k2に加え、重み係数k3が含まれる。尚、仮山の高さの上限値は、最終山の高さの上限値hと同じであるので、最終山の高さの上限値hを用いて仮山の高さの上限値hを表すものとする。
鋼材情報取得部101は、第1の実施形態で説明した情報に加え、重み係数k3を取得する。従って、鋼材情報取得部101が取得する鋼材情報には、鋼材基礎情報と、各鋼材の初期山の積姿を特定する情報と、最終山の高さの上限値hを特定する情報と、重み係数k1、k2に加え、重み係数k3が含まれる。尚、仮山の高さの上限値は、最終山の高さの上限値hと同じであるので、最終山の高さの上限値hを用いて仮山の高さの上限値hを表すものとする。
[制約式・目的関数設定部102]
<<制約式>>
本実施形態では、第1の実施形態で説明した制約式に対し、以下のように、制約式の追加および変更がなされる。
(k)最終搬送順変数wii'に関する制約
最終山へ鋼材を搬送する際の順序も、全順序(推移的、反対称且つ完全な二項関係)となることから、仮置鋼材の最終搬送の順序を定める最終搬送順変数wi,i'は、以下の(42−1)式〜(43)式のように、反対称律、完全律(比較可能)および推移律を満たす。
<<制約式>>
本実施形態では、第1の実施形態で説明した制約式に対し、以下のように、制約式の追加および変更がなされる。
(k)最終搬送順変数wii'に関する制約
最終山へ鋼材を搬送する際の順序も、全順序(推移的、反対称且つ完全な二項関係)となることから、仮置鋼材の最終搬送の順序を定める最終搬送順変数wi,i'は、以下の(42−1)式〜(43)式のように、反対称律、完全律(比較可能)および推移律を満たす。
(42−1)式〜(42−3)式は、(25−1)式〜(25−3)式に対応するものである。(43)式は、(26)式に対応するものである。
(42−1)式〜(43)式は、第1の実施形態で説明した制約式に対し追加される制約式である。
(42−1)式〜(43)式は、第1の実施形態で説明した制約式に対し追加される制約式である。
(j−3)仮置き発生条件制約
鋼材iの仮置きが発生する条件は(28)式で表される。最終搬送順変数wii'を用いると、鋼材iの仮置きが発生する条件をより明確に記述することができる。初期山Skから鋼材iを初期搬送してから鋼材i'を初期搬送し、最終山には鋼材i'を最終搬送してから鋼材iを最終搬送する場合には、鋼材iは仮置きしなければならない。このことは、以下の(44)式のように表される。
鋼材iの仮置きが発生する条件は(28)式で表される。最終搬送順変数wii'を用いると、鋼材iの仮置きが発生する条件をより明確に記述することができる。初期山Skから鋼材iを初期搬送してから鋼材i'を初期搬送し、最終山には鋼材i'を最終搬送してから鋼材iを最終搬送する場合には、鋼材iは仮置きしなければならない。このことは、以下の(44)式のように表される。
(44)式は、(28)式に代えて用いられる制約式である。
(l)同一仮山配置可否制約
仮置鋼材i、i'を同一の仮山に配置できる条件は、仮置鋼材i、i'の初期搬送順と最終搬送順とが異なることである(例えば、仮置鋼材iを仮置鋼材i'よりも先に初期搬送するなら、仮置鋼材i'を仮置鋼材iよりも先に最終搬送する必要がある)。つまり、仮置鋼材i、i'を同一の仮山jに配置する(uij=ui'j=1)なら、仮置鋼材i、i'の初期搬送順と最終搬送順が異なること(tii'=wi'i(wii'=ti'i))が必要である。このことは、以下の(45)式で表される。
仮置鋼材i、i'を同一の仮山に配置できる条件は、仮置鋼材i、i'の初期搬送順と最終搬送順とが異なることである(例えば、仮置鋼材iを仮置鋼材i'よりも先に初期搬送するなら、仮置鋼材i'を仮置鋼材iよりも先に最終搬送する必要がある)。つまり、仮置鋼材i、i'を同一の仮山jに配置する(uij=ui'j=1)なら、仮置鋼材i、i'の初期搬送順と最終搬送順が異なること(tii'=wi'i(wii'=ti'i))が必要である。このことは、以下の(45)式で表される。
(45)式は、第1の実施形態で説明した制約式に対し追加される制約式である。
(m)仮山積姿制約
仮山j(∈T)の高さに関する制約は、以下の(46)式で表される。
仮山j(∈T)の高さに関する制約は、以下の(46)式で表される。
(46)式は、仮山jに配置される移動鋼材(仮置鋼材)iの総数は、仮山となる山jの高さの上限値h以下であることを表す。
仮山jに配置される移動鋼材(仮置鋼材)iの幅制約および長さ制約は、以下の(47)式のように表される。
仮山jに配置される移動鋼材(仮置鋼材)iの幅制約および長さ制約は、以下の(47)式のように表される。
ここで、F'は、以下の(48)式に示す同一仮山禁止鋼材対集合F'である。
同一仮山禁止鋼材対集合F'は、払出順とは無関係に、鋼材i1を下、鋼材i2を上に積んだ場合に、第1の実施形態で説明した幅条件および長さ条件の少なくとも何れか一方を満たさない2つの鋼材の対の集合である。尚、(48)式における(i1,i2)は、(17)式に示す{i1,i2}とは異なり、(i1,i2)≠(i2,i1)である(鋼材i1、i2のどちらが上であるかによって、2つの鋼材の対は異なるものになる)。
(47)式は、鋼材i1を下、鋼材i2を上に積んだ場合に、幅条件および長さ条件の少なくとも何れか一方を満たさない鋼材i1,i2は、同一の仮山jに配置することができないことを表す(鋼材i1を鋼材i2よりも先に初期搬送すること(ti1i2=1)と、鋼材i1,i2を同一の仮山に配置すること(ui1j=ui2j=1)は両立しない。ここで、ti1i2=0即ちti2i1=1の場合は、ui1j=ui2j=1でも(47)式が、成立し、鋼材i1、i2は同一仮山jに配置できることになるが、F'ではFと異なり、鋼材i1が下、鋼材i2が上にある場合での鋼材i1、i2の配置を禁じているだけで、その逆の積み方は禁止されていない。 尚、(47)式において、ti1i2、ui1jの1はiの下付き記号として表記される。ti1i2、ui2jの2はiの下付き記号として表記される。
(46)式〜(48)式は、第1の実施形態で説明した制約式に対し追加される制約式である。
(46)式〜(48)式は、第1の実施形態で説明した制約式に対し追加される制約式である。
(n)仮山変数空間限定制約
仮山jについても、以下の(49)式のように、識別情報が小さいものが優先的に構築されるようにして解空間を制限するのが好ましい。尚、前述したように、仮山の集合T={1,2,・・・,tmax}とする。また、仮置鋼材仮山割り当て変数uijと、割り当て仮山識別変数pjとの関係は、以下の(50)式で表される。
仮山jについても、以下の(49)式のように、識別情報が小さいものが優先的に構築されるようにして解空間を制限するのが好ましい。尚、前述したように、仮山の集合T={1,2,・・・,tmax}とする。また、仮置鋼材仮山割り当て変数uijと、割り当て仮山識別変数pjとの関係は、以下の(50)式で表される。
(49)式〜(50)式は、第1の実施形態で説明した制約式に対し追加される制約式である。尚、(49)式〜(50)式は、計算時間を短縮するためのものであり、(49)式〜(50)式がなくても実行可能解を導出することができる。
(i−4)固定部上部(移動部)差替え制約
本実施形態でも、固定部上部差替え制約は、(29−1)式〜(29−3)式で表される。ただし、本実施形態では、最終搬送順変数wii'を決定変数として用いるので、初期搬送順変数tii'に代えて最終搬送順変数wii'を用いて、以下の(51−1)式、(51−2)式のように、固定部上部差替え制約を表すことができる。
本実施形態でも、固定部上部差替え制約は、(29−1)式〜(29−3)式で表される。ただし、本実施形態では、最終搬送順変数wii'を決定変数として用いるので、初期搬送順変数tii'に代えて最終搬送順変数wii'を用いて、以下の(51−1)式、(51−2)式のように、固定部上部差替え制約を表すことができる。
(51−1)式は、鋼材iSfが、max(Sk)の中にあり、鋼材iEが、移動が必須となる鋼材集合Imに含まれる場合、鋼材iSfが、非移動鋼材のうち最上段にある非移動鋼材(xiSf=1)であり、且つ、鋼材iEを初期山Skに配置する(ziEk=1)とき、移動部鋼材集合Sk ↑の最下段にある鋼材iSbの最終搬送は、鋼材iEの最終搬送よりも先でなければならない(wiSbiE=1)ことを表す。尚、(51−1)式において、xiSfのSfはiの下付き記号として表記される。ziEkのEはiの下付き記号として表記される。wiSbiEのSbはiの下付きの記号として表記され、Eはiの下付きの記号として表記される。
鋼材iSbの最終搬送順<固定部上積載鋼材集合Ek ↓内の任意の鋼材iEの最終搬送順(wiSbiE)であれば、鋼材iSbの初期搬送順<鋼材iSbの最終搬送順≦固定部上積載鋼材集合Ek ↓内の任意の鋼材iEの最終搬送順となるので、(51−1)式は、差替えの十分条件を示す制約(固定部上部差替え制約)となる。(51−2)式は、(51−1)式の右辺に、鋼材iEに対する仮置き発生有無変数riEを加えたものであり、差替えの必要条件を示す制約(固定部上部差替え制約)となる。
尚、(51−2)式において、riEのEはiの下付き記号として表記される。また、(51−2)式において、riEに代えて、鋼材iSfに対する仮置き発生有無変数riSfを用いてもよい。
(51−1)式は、(29−1)式に代えて用いられる制約式であり、(51−2)式は、(29−2)式に代えて用いられる制約式である。尚、(51−1)式および(51−2)式を用いずに、(29−1)式および(29−2)式(または(29−3)式)を用いてもよい。
(51−1)式は、(29−1)式に代えて用いられる制約式であり、(51−2)式は、(29−2)式に代えて用いられる制約式である。尚、(51−1)式および(51−2)式を用いずに、(29−1)式および(29−2)式(または(29−3)式)を用いてもよい。
制約式・目的関数設定部102は、例えば、(42−1)式〜(42−3)式、(43)式〜(50)式、(51−1)式または(51−2)式に対して、i、j、S、Sk、T、N、F'を設定することにより、制約式を設定する。また、制約式・目的関数設定部102は、第1の実施形態で説明した制約式も設定する。
<<目的関数>>
次に、目的関数について説明する。
本実施形態では、鋼材の総搬送回数の最小化と、最終山の総数の最小化と、仮山の総数の最小化とを目的とする。従って、以下の(52)式に示す目的関数Jを用いる。
次に、目的関数について説明する。
本実施形態では、鋼材の総搬送回数の最小化と、最終山の総数の最小化と、仮山の総数の最小化とを目的とする。従って、以下の(52)式に示す目的関数Jを用いる。
本実施形態では、(52)式に示すように、鋼材の総搬送回数((52)式のΣ(yi
+ri))と、最終山の総数((52)式のΣqj)と、仮山の総数((52)式のΣp
j)との重み付き線形和を目的関数とする。(52)式に示すように、重み係数k3は、仮山の総数に対する重み係数である。(52)式の目的関数Jでは、重み係数k1、k2、k3により、鋼材の総搬送回数に対する評価と、最終山の総数に対する評価と、仮山の総数に対する評価のバランスをとることができる。
制約式・目的関数設定部102は、例えば、(52)式に対してi、j、k1、k2、k3を設定することにより、目的関数Jを設定する。
+ri))と、最終山の総数((52)式のΣqj)と、仮山の総数((52)式のΣp
j)との重み付き線形和を目的関数とする。(52)式に示すように、重み係数k3は、仮山の総数に対する重み係数である。(52)式の目的関数Jでは、重み係数k1、k2、k3により、鋼材の総搬送回数に対する評価と、最終山の総数に対する評価と、仮山の総数に対する評価のバランスをとることができる。
制約式・目的関数設定部102は、例えば、(52)式に対してi、j、k1、k2、k3を設定することにより、目的関数Jを設定する。
[最適化計算部103]
最適化計算部103は、第1の最適化計算と、第2の最適化計算を行う。第2の最適化計算は、第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満足しない場合に実行される。
最適化計算部103は、第1の最適化計算と、第2の最適化計算を行う。第2の最適化計算は、第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満足しない場合に実行される。
本実施形態では、最適化計算部103は、(9)式〜(13)式と、(14−1)式〜(14−2)式と、(15−1)式〜(15−3)式と、(16)式〜(17)式と、(18−1)式または(18−2)式と、(19)式と、(19')式と、(20)式〜(23)式と、(25−1)式〜(25−3)式と、(26)式と、(27−1)式〜(27−3)式と、(42−1)式〜(47)式と、(49)式〜(50)式と、(51−2)式の制約式を満足する範囲で、(52)式の目的関数Jの値が最小になるときの決定変数(非移動最上段鋼材判別変数xj、移動有無判別変数yi、移動鋼材最終山割り当て変数zij、割り当て山識別変数qj、初期搬送順変数tii'、仮置鋼材仮山割り当て変数uijと、割り当て仮山識別変数pj、および最終搬送順変数wii')を最適解として算出することにより、第1の最適化計算を実行する。
また、最適化計算部103は、(9)式〜(13)式と、(14−1)式〜(14−2)式と、(15−1)式〜(15−3)式と、(16)式〜(17)式と、(18−1)式または(18−2)式と、(19)式と、(19')式と、(20)式〜(23)式と、(25−1)式〜(25−3)式と、(26)式と、(27−1)式〜(27−3)式と、(42−1)式〜(50)式と、(51−1)式の制約式を満足する範囲で、(52)式の目的関数Jの値が最小になるときの決定変数(非移動最上段鋼材判別変数xj、移動有無判別変数yi、移動鋼材最終山割り当て変数zij、割り当て山識別変数qj、初期搬送順変数tii'、仮置鋼材仮山割り当て変数uij、割り当て仮山識別変数pj、および最終搬送順変数wii')を最適解として算出することにより、第2の最適化計算を実行する。
[判定部104]
判定部104は、第1の実施形態で説明したように、最適化計算部103による第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満たすか否かを判定する。この判定の結果、最適化計算部103による第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満たさない場合、最適化計算部103は、第2の最適化計算を実行する。
判定部104は、第1の実施形態で説明したように、最適化計算部103による第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満たすか否かを判定する。この判定の結果、最適化計算部103による第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満たさない場合、最適化計算部103は、第2の最適化計算を実行する。
[出力部105]
出力部105は、第1の実施形態で説明したように、判定部104により、最適化計算部103による第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満たすと判定された場合、第1の最適化計算の結果(最適解)から特定される、鋼材集合Nに含まれる各鋼材の初期山から最終山に至るまでの搬送順を示す情報を出力する。
出力部105は、判定部104により、最適化計算部103による第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満たさないと判定された場合、第2の最適化計算の結果(最適解)から特定される、鋼材集合Nに含まれる各鋼材の初期山から最終山に至るまでの搬送順を示す情報を出力する。
出力部105は、第1の実施形態で説明したように、判定部104により、最適化計算部103による第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満たすと判定された場合、第1の最適化計算の結果(最適解)から特定される、鋼材集合Nに含まれる各鋼材の初期山から最終山に至るまでの搬送順を示す情報を出力する。
出力部105は、判定部104により、最適化計算部103による第1の最適化計算の結果(最適解)が、差替え条件を満たさないと判定された場合、第2の最適化計算の結果(最適解)から特定される、鋼材集合Nに含まれる各鋼材の初期山から最終山に至るまでの搬送順を示す情報を出力する。
出力部105は、この情報に加えてまたは代えて、移動鋼材および非移動鋼材の識別情報、最終山の総数、最終山の積姿、仮置きされる鋼材の識別情報、仮山の総数、および仮山の積姿のうち少なくとも1つを出力してもよい。
ヤード管理装置100によるヤード管理方法の一例を説明するフローチャートは、図3の各ステップの処理の一部を、本実施形態で説明した処理に変更することで実現することができる。
ヤード管理装置100によるヤード管理方法の一例を説明するフローチャートは、図3の各ステップの処理の一部を、本実施形態で説明した処理に変更することで実現することができる。
(まとめ)
以上のように本実施形態では、ヤード管理装置100は、2つの鋼材の搬送の相対的な順序同士の関係を決定変数(移動有無判別変数yiおよび最終搬送順変数wii')を用いて表す制約式((42−1)式〜(43)式)と、仮山を構成する鋼材iに関する制約式を決定変数(初期搬送順変数tii' 、仮置鋼材仮山割り当て変数uij、割り当て仮山識別変数pj、および最終搬送順変数wii')を用いて表す制約式((44)式〜(47)式)を更に満足するように、鋼材の総搬送回数と最終山の総数と仮山の総数を最小にすることを目的とする目的関数Jの値が最小になるときの決定変数を導出する。従って、第1の実施形態で説明した効果に加え、鋼材の搬送順と、最終山の山姿に加え、仮山の山姿も同時に決定することができる。
以上のように本実施形態では、ヤード管理装置100は、2つの鋼材の搬送の相対的な順序同士の関係を決定変数(移動有無判別変数yiおよび最終搬送順変数wii')を用いて表す制約式((42−1)式〜(43)式)と、仮山を構成する鋼材iに関する制約式を決定変数(初期搬送順変数tii' 、仮置鋼材仮山割り当て変数uij、割り当て仮山識別変数pj、および最終搬送順変数wii')を用いて表す制約式((44)式〜(47)式)を更に満足するように、鋼材の総搬送回数と最終山の総数と仮山の総数を最小にすることを目的とする目的関数Jの値が最小になるときの決定変数を導出する。従って、第1の実施形態で説明した効果に加え、鋼材の搬送順と、最終山の山姿に加え、仮山の山姿も同時に決定することができる。
また、仮山を構成する鋼材iに関する制約式には、初期搬送順と最終搬送順とが異なる2つの鋼材は同一の仮山に配置できることを示す制約式((45)式)が含まれる。従って、仮山の総数を適切に決定することができる。
本実施形態においても、第1の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
本実施形態においても、第1の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
((第4の実施形態))
次に、第4の実施形態を説明する。第3の実施形態では、第1の実施形態に対し、鋼材の搬送順および最終山の山姿と共に仮山の山姿も同時に最適化計算により決定する場合について説明した。本実施形態では、第2の実施形態に対し、鋼材の搬送順および最終山の山姿と共に仮山の山姿も同時に最適化計算により決定する場合について説明する。このように本実施形態と第2の実施形態とは、仮山の山姿を決定する手法が主として異なる。従って、本実施形態の説明において、第1〜第3の実施形態と同一の部分については、図1〜図5に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
次に、第4の実施形態を説明する。第3の実施形態では、第1の実施形態に対し、鋼材の搬送順および最終山の山姿と共に仮山の山姿も同時に最適化計算により決定する場合について説明した。本実施形態では、第2の実施形態に対し、鋼材の搬送順および最終山の山姿と共に仮山の山姿も同時に最適化計算により決定する場合について説明する。このように本実施形態と第2の実施形態とは、仮山の山姿を決定する手法が主として異なる。従って、本実施形態の説明において、第1〜第3の実施形態と同一の部分については、図1〜図5に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
(決定変数)
第3の実施形態では、最終搬送順変数wii'が決定変数として用いられる。一方、第2の実施形態では、全搬送順変数vs,s'が決定変数として用いられる。従って、本実施形態では、最終搬送順変数wiiは用いられない。本実施形態では、第1の実施形態で説明した決定変数に加えて、仮置鋼材仮山割り当て変数uijと、割り当て仮山識別変数pjとを決定変数として用いる。
第3の実施形態では、最終搬送順変数wii'が決定変数として用いられる。一方、第2の実施形態では、全搬送順変数vs,s'が決定変数として用いられる。従って、本実施形態では、最終搬送順変数wiiは用いられない。本実施形態では、第1の実施形態で説明した決定変数に加えて、仮置鋼材仮山割り当て変数uijと、割り当て仮山識別変数pjとを決定変数として用いる。
(ヤード管理装置400の機能構成)
本実施形態のヤード監視装置では、図4に示すヤード管理装置400の各部の機能の一部を変更することにより実現される。従って、図4および図5に付した符号と同一の符号を付して、第2の実施形態および第3の実施形態と異なる部分を中心に、本実施形態のヤード管理装置の機能的な構成の一例を説明する。
本実施形態のヤード監視装置では、図4に示すヤード管理装置400の各部の機能の一部を変更することにより実現される。従って、図4および図5に付した符号と同一の符号を付して、第2の実施形態および第3の実施形態と異なる部分を中心に、本実施形態のヤード管理装置の機能的な構成の一例を説明する。
[鋼材情報取得部401、鋼材情報取得ステップS501]
鋼材情報取得部401は、第1の実施形態で説明した情報に加え、重み係数k3を取得する。鋼材情報取得部401は、第3の実施形態の鋼材情報取得部101と同じである。
鋼材情報取得部401は、第1の実施形態で説明した情報に加え、重み係数k3を取得する。鋼材情報取得部401は、第3の実施形態の鋼材情報取得部101と同じである。
[制約式・目的関数設定部402、制約式設定ステップS502、目的関数設定ステップS503]
<<制約式>>
本実施形態では、第2の実施形態で説明した制約式に対し、以下のように、制約式の追加および変更がなされる。
(j−3)仮置き発生条件制約
(44)式において、tii'(初期搬送順変数)は、全搬送順変数vs,s'を用いると、vi,i'となる。wi'i(最終搬送順変数)は、全搬送順変数vs,s'を用いると、vi'+n,i+nとなる。従って、第3の実施形態において(28)式に代えて用いられる(44)式は、本実施形態では、以下の(53)式のようになる。
<<制約式>>
本実施形態では、第2の実施形態で説明した制約式に対し、以下のように、制約式の追加および変更がなされる。
(j−3)仮置き発生条件制約
(44)式において、tii'(初期搬送順変数)は、全搬送順変数vs,s'を用いると、vi,i'となる。wi'i(最終搬送順変数)は、全搬送順変数vs,s'を用いると、vi'+n,i+nとなる。従って、第3の実施形態において(28)式に代えて用いられる(44)式は、本実施形態では、以下の(53)式のようになる。
(53)式は、(37)式に代えて用いられる制約式である。
(l)同一仮山配置可否制約
(45)式において、tii'(初期搬送順変数)は、全搬送順変数vs,s'を用いると、vi,i'となる。wi'i(最終搬送順変数)は、全搬送順変数vs,s'を用いると、vi'+n,i+nとなる。従って、第3の実施形態で用いられる(45)式は、本実施形態では、以下の(54)式のようになる。
(45)式において、tii'(初期搬送順変数)は、全搬送順変数vs,s'を用いると、vi,i'となる。wi'i(最終搬送順変数)は、全搬送順変数vs,s'を用いると、vi'+n,i+nとなる。従って、第3の実施形態で用いられる(45)式は、本実施形態では、以下の(54)式のようになる。
(54)式は、第1の実施形態で説明した制約式に対し追加される制約式である。
(m)仮山積姿制約
本制約を示す制約式として、第3の実施形態で説明した(46)式〜(48)式が用いられる。
(46)式〜(48)式は、第1の実施形態で説明した制約式に対し追加される制約式である。
本制約を示す制約式として、第3の実施形態で説明した(46)式〜(48)式が用いられる。
(46)式〜(48)式は、第1の実施形態で説明した制約式に対し追加される制約式である。
(n)仮山変数空間限定制約
本制約を示す制約式として、第3の実施形態で説明した(49)式〜(50)式が用いられる。
(49)式〜(50)式は、第1の実施形態で説明した制約式に対し追加される制約式である。
尚、本実施形態では、固定部上部差替え制約を示す制約式としては、第2の実施形態で説明した(38)式が用いられる。
本制約を示す制約式として、第3の実施形態で説明した(49)式〜(50)式が用いられる。
(49)式〜(50)式は、第1の実施形態で説明した制約式に対し追加される制約式である。
尚、本実施形態では、固定部上部差替え制約を示す制約式としては、第2の実施形態で説明した(38)式が用いられる。
制約式・目的関数設定部402は、例えば、(46)式〜(50)式、(53)式〜(54)に対して、i、j、S、Sk、T、n、m、N、F'を設定することにより、制約式を設定する。また、制約式・目的関数設定部102は、第2の実施形態で説明した制約式も設定する。
<<目的関数>>
本実施形態でも、第3の実施形態で説明した(52)式に示す目的関数Jを用いる。
制約式・目的関数設定部402は、例えば、(52)式に対してi、j、k1、k2、k3を設定することにより、目的関数Jを設定する。
本実施形態でも、第3の実施形態で説明した(52)式に示す目的関数Jを用いる。
制約式・目的関数設定部402は、例えば、(52)式に対してi、j、k1、k2、k3を設定することにより、目的関数Jを設定する。
[最適化計算部403、最適化計算ステップS504]
本実施形態でも、第2の実施形態と同様に、最適化計算の回数は1回でよい。
最適化計算部403は、(9)式〜(13)式と、(14−1)式〜(14−2)式と、(15−1)式〜(15−3)式と、(16)式〜(17)式と、(18−1)式または(18−2)式と、(19)式と、(19')式と、(20)式〜(23)式と、(32)式と、(32')式と、(31−1)式〜(33−9)式と、(34)式と、(35−1)式〜(35−3)式と、(36−1)式〜(36−4)式と、(38)式と、(46)式〜(50)式と、(53)式〜(54)式の制約式を満足する範囲で、(52)式の目的関数Jの値が最小になるときの決定変数(非移動最上段鋼材判別変数xj、移動有無判別変数yi、移動鋼材最終山割り当て変数zij、割り当て山識別変数qj、全搬送順変数vi,i'、仮置鋼材仮山割り当て変数uij、および割り当て仮山識別変数pj)を最適解として算出することにより、最適化計算を実行する。
本実施形態でも、第2の実施形態と同様に、最適化計算の回数は1回でよい。
最適化計算部403は、(9)式〜(13)式と、(14−1)式〜(14−2)式と、(15−1)式〜(15−3)式と、(16)式〜(17)式と、(18−1)式または(18−2)式と、(19)式と、(19')式と、(20)式〜(23)式と、(32)式と、(32')式と、(31−1)式〜(33−9)式と、(34)式と、(35−1)式〜(35−3)式と、(36−1)式〜(36−4)式と、(38)式と、(46)式〜(50)式と、(53)式〜(54)式の制約式を満足する範囲で、(52)式の目的関数Jの値が最小になるときの決定変数(非移動最上段鋼材判別変数xj、移動有無判別変数yi、移動鋼材最終山割り当て変数zij、割り当て山識別変数qj、全搬送順変数vi,i'、仮置鋼材仮山割り当て変数uij、および割り当て仮山識別変数pj)を最適解として算出することにより、最適化計算を実行する。
[出力部404、出力ステップS505]
出力部404は、最適化計算部403による最適化計算の結果(最適解)から特定される、鋼材集合Nに含まれる各鋼材の初期山から最終山に至るまでの搬送順を示す情報を出力する。出力部404は、この情報に加えてまたは代えて、移動鋼材および非移動鋼材の識別情報、最終山の総数、最終山の積姿、仮置きされる鋼材の識別情報、仮山の総数、および仮山の積姿のうち少なくとも1つを出力してもよい。
出力部404は、最適化計算部403による最適化計算の結果(最適解)から特定される、鋼材集合Nに含まれる各鋼材の初期山から最終山に至るまでの搬送順を示す情報を出力する。出力部404は、この情報に加えてまたは代えて、移動鋼材および非移動鋼材の識別情報、最終山の総数、最終山の積姿、仮置きされる鋼材の識別情報、仮山の総数、および仮山の積姿のうち少なくとも1つを出力してもよい。
(まとめ)
以上のように本実施形態では、ヤード管理装置400は、仮山を構成する鋼材iに関する制約式を決定変数(初期搬送順変数tii' 、仮置鋼材仮山割り当て変数uij、割り当て仮山識別変数pj、および最終搬送順変数wii')を用いて表す制約式((46)式〜(47)式、(53)式〜(54)式)を更に満足するように、鋼材の総搬送回数と最終山の総数と仮山の総数を最小にすることを目的とする目的関数Jの値が最小になるときの決定変数を導出する。従って、第2の実施形態で説明した効果に加え、鋼材の搬送順と、最終山の山姿に加え、仮山の山姿も同時に決定することができる。
以上のように本実施形態では、ヤード管理装置400は、仮山を構成する鋼材iに関する制約式を決定変数(初期搬送順変数tii' 、仮置鋼材仮山割り当て変数uij、割り当て仮山識別変数pj、および最終搬送順変数wii')を用いて表す制約式((46)式〜(47)式、(53)式〜(54)式)を更に満足するように、鋼材の総搬送回数と最終山の総数と仮山の総数を最小にすることを目的とする目的関数Jの値が最小になるときの決定変数を導出する。従って、第2の実施形態で説明した効果に加え、鋼材の搬送順と、最終山の山姿に加え、仮山の山姿も同時に決定することができる。
また、仮山を構成する鋼材iに関する制約式には、初期搬送順と最終搬送順とが異なる2つの鋼材は同一の仮山に配置できることを示す制約式((54)式)が含まれる。従って、仮山の総数を適切に決定することができる。
本実施形態においても、第1の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
本実施形態においても、第1の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
((計算例))
次に、計算例を説明する。本計算例では、第2の本実施形態で説明した手法を発明例とし、特許文献3に記載されている手法を比較例とし、発明例と比較例とを比較する。
発明例も比較例も、最終山の総数と総搬送回数とを同時に最適化する手法である。しかしながら、比較例は、初期山において、最下段から積順が払出順(下から上に向かって払出順が降順)になっている全ての鋼材の部分(max(Sk))を全て非移動鋼材(固定部)とする。これに対し、発明例では、最下段から積順が払出順(下から上に向かって払出順が降順)になっている全ての鋼材についても移動鋼材および非移動鋼材の何れにするかを判定する。従って、比較例では、固定部として選択可能な鋼材を全て非移動鋼材とするので、発明例に対し保守的な決定となりやすい。即ち、比較例では、固定部に属する鋼材(非移動鋼材)が多い場合には、鋼材の積み替え自由度が低くなり、最終山の総数が多くなる傾向になる。
次に、計算例を説明する。本計算例では、第2の本実施形態で説明した手法を発明例とし、特許文献3に記載されている手法を比較例とし、発明例と比較例とを比較する。
発明例も比較例も、最終山の総数と総搬送回数とを同時に最適化する手法である。しかしながら、比較例は、初期山において、最下段から積順が払出順(下から上に向かって払出順が降順)になっている全ての鋼材の部分(max(Sk))を全て非移動鋼材(固定部)とする。これに対し、発明例では、最下段から積順が払出順(下から上に向かって払出順が降順)になっている全ての鋼材についても移動鋼材および非移動鋼材の何れにするかを判定する。従って、比較例では、固定部として選択可能な鋼材を全て非移動鋼材とするので、発明例に対し保守的な決定となりやすい。即ち、比較例では、固定部に属する鋼材(非移動鋼材)が多い場合には、鋼材の積み替え自由度が低くなり、最終山の総数が多くなる傾向になる。
ここで、(30)式において、鋼材の総搬送回数に対する重み係数k1、最終山の総数に対する重み係数k2を、それぞれ1、10とした(k1=1、k2=10)。また、比較例においても、最終山の総数に対する重み係数を、鋼材の総搬送回数に対する重み係数の10倍とした。また、最終山の高さの上限値hを10段(h=10)とした。
また、計算環境は、以下の通りである。
プロセッサ:Intel(登録商標) Xeon(登録商標) CPU E5-2687W @ 3.1GHz(2プロセッサ)
実装メモリ(RAM):128GB
OS:Windows(登録商標)7 Professional 64ビットオペレーティングシステム
最適計算ソフト: ILOG CPLEX(登録商標) Cplex11.0 Concert25
鋼材情報として12種類の鋼材情報を用い、それぞれの鋼材情報について、前述した発明例、比較例の手法で、最終山の総数、移動鋼材の総数、仮置鋼材の総数、および非移動鋼材の総数を導出した。その結果を図6に示す。
プロセッサ:Intel(登録商標) Xeon(登録商標) CPU E5-2687W @ 3.1GHz(2プロセッサ)
実装メモリ(RAM):128GB
OS:Windows(登録商標)7 Professional 64ビットオペレーティングシステム
最適計算ソフト: ILOG CPLEX(登録商標) Cplex11.0 Concert25
鋼材情報として12種類の鋼材情報を用い、それぞれの鋼材情報について、前述した発明例、比較例の手法で、最終山の総数、移動鋼材の総数、仮置鋼材の総数、および非移動鋼材の総数を導出した。その結果を図6に示す。
図6は、発明例と比較例における計算結果を表形式で示す図である。尚、図6において、SL数は、初期山を構成するスラブ(鋼材)の総数である。
図6に示すように、非移動鋼材の総数(非移動鋼材数)の平均は、比較例では9.5になるのに対し、発明例では5.8になり、半減する。このため、最終山の総数(最終山数)の平均は、比較例では5.5になるのに対し、本発明例では3.7になり30%以上削減することができる。一方、最終山の総数とトレードオフの関係にある鋼材の総搬送回数(移動鋼材の総数と仮置鋼材の総数との和)の平均は、比較例では23.7(=0.5+23.2)になるのに対し、28.9(=2.0+26.9)になり、比較例に対する発明例の鋼材の総搬送回数の増加率は20%弱に留められる。全ての鋼材を移動鋼材とする場合には鋼材の総搬送回数は少なくとも32.7(=図6のSL数の平均の欄の値)になり、発明例の手法では、全ての鋼材を移動鋼材とする場合よりも少ない搬送回数で最終山の総数を最小化することができる。
図6に示すように、非移動鋼材の総数(非移動鋼材数)の平均は、比較例では9.5になるのに対し、発明例では5.8になり、半減する。このため、最終山の総数(最終山数)の平均は、比較例では5.5になるのに対し、本発明例では3.7になり30%以上削減することができる。一方、最終山の総数とトレードオフの関係にある鋼材の総搬送回数(移動鋼材の総数と仮置鋼材の総数との和)の平均は、比較例では23.7(=0.5+23.2)になるのに対し、28.9(=2.0+26.9)になり、比較例に対する発明例の鋼材の総搬送回数の増加率は20%弱に留められる。全ての鋼材を移動鋼材とする場合には鋼材の総搬送回数は少なくとも32.7(=図6のSL数の平均の欄の値)になり、発明例の手法では、全ての鋼材を移動鋼材とする場合よりも少ない搬送回数で最終山の総数を最小化することができる。
((その他の変形例))
以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体および前記プログラムなどのコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
以上説明した本発明の実施形態は、コンピュータがプログラムを実行することによって実現することができる。また、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体および前記プログラムなどのコンピュータプログラムプロダクトも本発明の実施形態として適用することができる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
また、以上説明した本発明の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
(請求項との関係)
以下に、請求項と実施形態との関係の一例を示す。尚、請求項の記載が実施形態の記載に限定されないことは、変形例などに示した通りである。
<請求項1、16>
金属材情報取得手段(ステップ)は、例えば、鋼材情報取得部101、401(鋼材情報取得ステップS301、S501)を用いることにより実現される。
金属材情報は、例えば、鋼材情報を用いることにより実現される。
最適化計算手段(ステップ)は、例えば、制約式設定手段(ステップ)は、例えば、制約式・目的関数設定部102、402(制約式設定ステップS302、S502、目的関数設定ステップS303、S503)、および最適化計算部103、403(最適化計算ステップS304、S504)を用いることにより実現される。
<請求項2>
搬送順変数は、例えば、初期搬送順変数tii'、全搬送順変数vs,s'、最終搬送順変数wii'に対応する。
仮置き発生有無変数は、例えば、仮置き発生有無変数riに対応する。
移動有無判別変数は、例えば、移動有無判別変数yiに対応する。
金属材最終山割り当て変数は、例えば、移動鋼材最終山割り当て変数zijに対応する。
目的関数は、例えば、(30)式、(52)式を用いることにより実現される。前記金属材の総搬送回数を評価する項は、例えば、(30)式、(52)式の右辺第1項に対応し、前記最終山の総数を評価する項は、例えば、(30)式、(52)式の右辺第2項に対応する。
<請求項3>
搬送順関係制約式は、例えば、(25−1)式〜(26)式、(33−1)式〜(34)式、(42−1)式〜(43)式を用いることにより実現される。
初期山分解順制約式は、例えば、(27)式を用いることにより実現される。
仮置き発生条件制約式は、例えば、(28)式、(37)式、(44)式、(53)式を用いることにより実現される。
積替制約式は、例えば、(16)式を用いることにより実現される。
山高さ制約式は、例えば、(18−2)式、(20)式を用いることにより実現される。
同一最終山禁止制約式は、例えば、(23)式を用いることにより実現される。
<請求項4>
搬送順関係制約式は、例えば、(25−2)式〜(25−3)式、(33−4)式〜(33−9)式、(42−2)式〜(42−3)式を用いることにより実現される。
<請求項5>
非移動最上段金属材判別変数は、例えば、非移動最上段鋼材判別変数xjを用いることにより実現される。
積替制約式は、例えば、(16)式を用いることにより実現される。
<請求項6>
差替え制約式は、例えば、(29−1)式〜(29−3)式、(38)式、(51−1)式〜(51−2)式を用いることにより実現される。
<請求項7>
移動金属材定義制約式は、例えば、(9)式を用いることにより実現される。
前記初期山にある前記金属材のうち、当該初期山において最下段から払出順に従った積順で山積みされている前記金属材が、前記移動鋼材または前記非移動金属材として決定されることは、例えば、max(Sk)に属する鋼材の全てを非移動鋼材とする制約式を設定しないことに対応する。
<請求項8>
初期搬送順変数は、例えば、初期搬送順変数tii'を用いることにより実現される。
<請求項9>
全搬送順変数は、例えば、全搬送順変数vs,s'を用いることにより実現される。
<請求項10>
金属材仮山割り当て変数は、例えば、仮置鋼材仮山割り当て変数uijを用いることにより実現される。仮山識別変数は、例えば、割り当て仮山識別変数pjを用いることにより実現される。
目的関数は、例えば、(52)式を用いることにより実現される。前記金属材の総搬送回数を評価する項は、例えば、(52)式の右辺第1項に対応し、前記最終山の総数を評価する項は、例えば、(52)式の右辺第2項に対応し、前記仮山の総数を評価する項は、例えば、(52)式の右辺第3項に対応する。
<請求項11>
同一仮山配置可否制約式は、例えば、(45)式、(54)式を用いることにより実現される。
<請求項12>
初期搬送順変数は、例えば、初期搬送順変数tii'に対応し、最終搬送順変数は、例えば、最終搬送順変数wii'に対応する。
<請求項13>
金属材の総搬送回数は、例えば、(30)式の右辺第1項の積算により実現される。
以下に、請求項と実施形態との関係の一例を示す。尚、請求項の記載が実施形態の記載に限定されないことは、変形例などに示した通りである。
<請求項1、16>
金属材情報取得手段(ステップ)は、例えば、鋼材情報取得部101、401(鋼材情報取得ステップS301、S501)を用いることにより実現される。
金属材情報は、例えば、鋼材情報を用いることにより実現される。
最適化計算手段(ステップ)は、例えば、制約式設定手段(ステップ)は、例えば、制約式・目的関数設定部102、402(制約式設定ステップS302、S502、目的関数設定ステップS303、S503)、および最適化計算部103、403(最適化計算ステップS304、S504)を用いることにより実現される。
<請求項2>
搬送順変数は、例えば、初期搬送順変数tii'、全搬送順変数vs,s'、最終搬送順変数wii'に対応する。
仮置き発生有無変数は、例えば、仮置き発生有無変数riに対応する。
移動有無判別変数は、例えば、移動有無判別変数yiに対応する。
金属材最終山割り当て変数は、例えば、移動鋼材最終山割り当て変数zijに対応する。
目的関数は、例えば、(30)式、(52)式を用いることにより実現される。前記金属材の総搬送回数を評価する項は、例えば、(30)式、(52)式の右辺第1項に対応し、前記最終山の総数を評価する項は、例えば、(30)式、(52)式の右辺第2項に対応する。
<請求項3>
搬送順関係制約式は、例えば、(25−1)式〜(26)式、(33−1)式〜(34)式、(42−1)式〜(43)式を用いることにより実現される。
初期山分解順制約式は、例えば、(27)式を用いることにより実現される。
仮置き発生条件制約式は、例えば、(28)式、(37)式、(44)式、(53)式を用いることにより実現される。
積替制約式は、例えば、(16)式を用いることにより実現される。
山高さ制約式は、例えば、(18−2)式、(20)式を用いることにより実現される。
同一最終山禁止制約式は、例えば、(23)式を用いることにより実現される。
<請求項4>
搬送順関係制約式は、例えば、(25−2)式〜(25−3)式、(33−4)式〜(33−9)式、(42−2)式〜(42−3)式を用いることにより実現される。
<請求項5>
非移動最上段金属材判別変数は、例えば、非移動最上段鋼材判別変数xjを用いることにより実現される。
積替制約式は、例えば、(16)式を用いることにより実現される。
<請求項6>
差替え制約式は、例えば、(29−1)式〜(29−3)式、(38)式、(51−1)式〜(51−2)式を用いることにより実現される。
<請求項7>
移動金属材定義制約式は、例えば、(9)式を用いることにより実現される。
前記初期山にある前記金属材のうち、当該初期山において最下段から払出順に従った積順で山積みされている前記金属材が、前記移動鋼材または前記非移動金属材として決定されることは、例えば、max(Sk)に属する鋼材の全てを非移動鋼材とする制約式を設定しないことに対応する。
<請求項8>
初期搬送順変数は、例えば、初期搬送順変数tii'を用いることにより実現される。
<請求項9>
全搬送順変数は、例えば、全搬送順変数vs,s'を用いることにより実現される。
<請求項10>
金属材仮山割り当て変数は、例えば、仮置鋼材仮山割り当て変数uijを用いることにより実現される。仮山識別変数は、例えば、割り当て仮山識別変数pjを用いることにより実現される。
目的関数は、例えば、(52)式を用いることにより実現される。前記金属材の総搬送回数を評価する項は、例えば、(52)式の右辺第1項に対応し、前記最終山の総数を評価する項は、例えば、(52)式の右辺第2項に対応し、前記仮山の総数を評価する項は、例えば、(52)式の右辺第3項に対応する。
<請求項11>
同一仮山配置可否制約式は、例えば、(45)式、(54)式を用いることにより実現される。
<請求項12>
初期搬送順変数は、例えば、初期搬送順変数tii'に対応し、最終搬送順変数は、例えば、最終搬送順変数wii'に対応する。
<請求項13>
金属材の総搬送回数は、例えば、(30)式の右辺第1項の積算により実現される。
100,400:ヤード管理装置、101,4001:鋼材情報取得部、102,402:制約式・目的関数設定部、103,403:最適化計算部、104:判定部、105,404:出力部
Claims (17)
- 工程間の置場であるヤードに山積みされる金属材からなる初期山の当該金属材を、搬送機器により搬送して、当該ヤードの後工程への払出順に従った積順で山積みされる金属材からなる最終山を作成するためのヤード管理装置であって、
山積みの対象となる金属材についての金属材情報を取得する金属材情報取得手段と、
前記金属材情報を用いて、前記金属材の総搬送回数と前記最終山の総数とを最小にすることを目的とする数理計画問題を求解することにより、前記初期山を構成する金属材を、前記初期山から移動される移動金属材または前記初期山から移動されない非移動金属材のいずれかに分類し、前記移動金属材の搬送順と、前記移動金属材を移動させる際の仮置きの発生の有無とを少なくとも決定する最適化計算手段と、
を有することを特徴とするヤード管理装置。 - 前記金属材情報は、前記金属材の払出順およびサイズと、前記初期山の積姿を特定する情報とを含み、
前記最適化計算手段は、
2つの前記金属材の搬送の相対的な順序を示す搬送順変数と、前記最終山への搬送の前に仮置場に前記金属材を仮置きすることが必要か否かを示す仮置き発生有無変数と、前記金属材を移動するか否かを示す移動有無判別変数と、何れの前記金属材を何れの最終山に配置するかを示す金属材最終山割り当て変数とを含む変数を決定変数とし、
前記金属材の総搬送回数を評価する項と、前記最終山の総数を評価する項と、を含む目的関数を、前記金属材情報に基づいて設定し、
前記目的関数の値が最小または最大になるときの前記決定変数の値を最適解として導出することを、数理計画法による最適化計算を行うことにより実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載のヤード管理装置。 - 前記最適化計算手段は、
前記金属材の総搬送回数に影響する第1の制約と、前記最終山の総数に影響する第2の制約とを含む制約式を、前記金属材情報に基づいて設定し、前記制約式を満足する範囲で前記目的関数の値が最小または最大になるときの前記決定変数の値を最適解として導出することを、数理計画法による最適化計算を行うことにより実行し、
前記第1の制約は、2つの前記金属材の搬送の相対的な順序同士の関係を、前記決定変数を用いて表した搬送順関係制約式と、同一の前記初期山にある前記金属材ついては当該初期山の上にある前記金属材から搬送しなければならないことを、前記決定変数を用いて表した初期山分解順制約式と、同一の前記最終山に搬送される2つの前記金属材について、前記初期山からの搬送順である初期搬送順の先後と前記払出順の先後とが同じである場合に、前記初期搬送順が先の前記金属材は、前記仮置きが必要になることを、前記決定変数を用いて表した仮置き発生条件制約式と、を含み、
前記第2の制約は、前記初期山から移動されない前記金属材の上に配置することができない前記金属材に関する制約を、前記決定変数を用いて表した積替制約式と、前記最終山の山高さの上限値に関する制約を、前記決定変数を用いて表した山高さ制約式と、同一の前記最終山に配置することを禁ずる2つの前記金属材に関する制約を、前記決定変数を用いて表した同一最終山禁止制約式と、を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載のヤード管理装置。 - 前記搬送順関係制約式は、2つの前記金属材の少なくとも一方が、前記初期山において最下段から払出順に従った積順で山積みされている部分である部分山に属さない場合の、当該2つの前記金属材の搬送の相対的な順序同士の関係を、前記決定変数を用いて表した制約式を含む、ことを特徴とする請求項3に記載のヤード管理装置。
- 前記決定変数は、前記初期山を構成する前記金属材が、前記最終山を作成するために当該初期山の場所に固定される非移動金属材の中で最上段にある非移動金属材であるか否かを示す非移動最上段金属材判別変数を更に含み、
前記積替制約式は、前記金属材が、前記初期山において前記非移動金属材のうち最上段にある前記非移動金属材である場合、当該金属材が属する元山に、当該金属材に上載せできない前記金属材を配置することができないことを、前記決定変数を用いて表した制約式であり、
前記元山は、前記最終山の候補となる山であって、前記金属材情報が作成された時点で前記ヤードにおいて形づくられている山の少なくとも一部からなり、当該山から場所が変わらない山である、ことを特徴とする請求項3または4に記載のヤード管理装置。 - 前記第1の制約は、前記初期山にある前記移動金属材の前記初期山からの搬送順である初期搬送順が、前記最終山を作成するために当該初期山の場所に固定される非移動金属材の上に搬送される前記移動金属材の前記最終山への搬送順である最終搬送順よりも先でなければならないことを、前記決定変数を用いて表した差替え制約式を更に含む、ことを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載のヤード管理装置。
- 前記第1の制約は、前記初期山にある前記金属材のうち、当該初期山において最下段から払出順に従った積順で山積みされていない前記金属材は前記移動金属材とすることを、前記決定変数を用いて表した移動金属材定義制約式を更に有し、
前記初期山にある前記金属材のうち、当該初期山において最下段から払出順に従った積順で山積みされている前記金属材が、前記移動金属材または前記非移動金属材として決定される、ことを特徴とする請求項3〜6の何れか1項に記載のヤード管理装置。 - 前記搬送順変数は、2つの前記金属材の搬送の相対的な順序として、前記初期搬送順を示す初期搬送順変数を含む、ことを特徴とする請求項3〜7の何れか1項に記載のヤード管理装置。
- 前記搬送順変数は、2つの前記金属材の相対的な順序として、前記初期搬送順と前記最終山への搬送順である最終搬送順との双方を示す全搬送順変数を含む、ことを特徴とする請求項3〜7の何れか1項に記載のヤード管理装置。
- 前記決定変数は、前記金属材を何れの仮山に配置するかを示す金属材仮山割り当て変数と、前記仮山を示す仮山識別変数と、含み、
前記仮山は、仮置場に山積みされる金属材からなる山であり、
前記目的関数は、前記金属材の総搬送回数を評価する項と、前記最終山の総数を評価する項と、前記仮山の総数を評価する項とを含む、
ことを特徴とする請求項3〜9の何れか1項に記載のヤード管理装置。 - 前記第1の制約は、同一の前記最終山に搬送される2つの前記金属材について、前記初期搬送順の先後と前記最終山への搬送順である最終搬送順の先後とが異なる場合に、当該2つの金属材を同一の前記仮山に配置することができることを、前記決定変数を用いて表した同一仮山配置可否制約式を含む、ことを特徴とする請求項10に記載のヤード管理装置。
- 前記搬送順変数は、2つの前記金属材の搬送の相対的な順序として、前記初期搬送順を示す初期搬送順変数と、前記初期搬送順を示す最終搬送順変数とを含む、ことを特徴とする請求項11に記載のヤード管理装置。
- 前記金属材の総搬送回数は、前記置場において前記初期山から前記最終山に搬送される金属材である移動金属材の総数と、前記仮置きされる前記金属材である仮置金属材の総数との和で表される、ことを特徴とする請求項1〜12の何れか1項に記載のヤード管理装置。
- 前記搬送は、金属材グループの単位で行われ、
前記金属材グループは、搬送機器にて前記金属材を搬送する際に分割されることのない複数の前記金属材からなる、ことを特徴とする請求項1〜13の何れか1項に記載のヤード管理装置。 - 前記ヤードは、鉄鋼製造プロセスにおける製鋼工程と圧延工程との間の置場であり、
前記金属材は、鋼材である、ことを特徴とする請求項1〜14の何れか1項に記載のヤード管理装置。 - 工程間の置場であるヤードに山積みされる金属材からなる初期山の当該金属材を、搬送機器により搬送して、当該ヤードの後工程への払出順に従った積順で山積みされる金属材からなる最終山を作成するためのヤード管理方法であって、
山積みの対象となる金属材についての金属材情報を取得する金属材情報取得ステップと、
前記金属材情報を用いて、前記金属材の総搬送回数と前記最終山の総数とを最小にすることを目的とする数理計画問題を求解することにより、前記初期山を構成する金属材を、前記初期山から移動される移動金属材または前記初期山から移動されない非移動金属材のいずれかに分類し、前記移動金属材の搬送順と、前記移動金属材を移動させる際の仮置きの発生の有無とを少なくとも決定する最適化計算ステップと、
を有することを特徴とするヤード管理方法。 - 請求項1〜15の何れか1項に記載のヤード管理装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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JP2020103279A JP2021196902A (ja) | 2020-06-15 | 2020-06-15 | ヤード管理装置、ヤード管理方法、およびプログラム |
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