JP2021195378A - 樹脂成形体の製造方法、添加剤組成物及び樹脂成形体 - Google Patents

樹脂成形体の製造方法、添加剤組成物及び樹脂成形体 Download PDF

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Takashi Yamamoto
豊 酒井
Yutaka Sakai
豊和 遠藤
Toyokazu Endo
寛 郡山
Hiroshi Koriyama
伸一 足立
Shinichi Adachi
達也 久保田
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Abstract

【課題】本発明の目的は、樹脂成形の際に、機能性樹脂成分を効率的にブリードアウトさせることができる添加剤組成物を提供することである。【解決手段】ポリラクトン構造(a1)及び/又はポリエーテル構造(a2)を有し、二重結合当量が700〜1200g/eqである多官能(メタ)アクリレート(A)を含む活性エネルギー線硬化性添加剤組成物と、熱可塑性樹脂(B)とを含む混錬物を調製する工程1と、前記混錬物を成形し、成形体表面に前記(A)成分をブリードアウトさせることでブリードアウト層を形成する工程2と、前記ブリードアウト層を活性エネルギー線硬化する工程3と、を含む、樹脂成形体の製造方法により、樹脂成形の際に、機能性樹脂成分を効率的にブリードアウトさせることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂成形体の製造方法、添加剤組成物及び樹脂成形体に関する。より具体的には、本発明は、樹脂混錬物に配合した添加剤組成物中の機能性成分を成形体表面に効率的にブリードアウトさせることが可能な樹脂成形体の製造方法、当該製造方法に用いられる添加剤組成物、及び当該製造方法によって得られる樹脂成形体に関する。
樹脂成形体の表面に、耐擦傷性、親水性、導電性等を奏する機能性層を設けることを目的として、滑剤、シラン化合物、離型促進剤等の添加剤、機能性樹脂を形成可能なモノマー、オリゴマー、プレポリマーの樹脂成分等、様々な機能性成分が用いられる。これらの機能性成分を用いて機能性層を設ける具体的な方法としては、塗料用樹脂組成物に配合され、樹脂成形体の表面に塗布することで塗膜を機能性層として形成する方法、及び樹脂成形体の本体部分を構成するための熱可塑性樹脂中に混錬され、成形時に機能性成分をブリードアウトさせ、必要に応じて硬化することでブリードアウト層又はその硬化物を機能性層として形成する方法が挙げられる。
中でも、ブリードアウト層又はその硬化物を機能性層として形成する方法は、樹脂成形体における機能性層との密着性が高いこと、塗布工程が不要であること、表面にシボ加工等の微細な凹凸を表現する成形体にも容易に機能性層を形成できること等の点で優れた方法とされている。
ブリードアウト層の硬化物を機能性層として形成する方法のうち、上記樹脂成分のブリードアウト層を形成する方法の具体的な報告例として、以下の技術が報告されている。
特許文献1には、スチレン系成分を少なくとも40重量%含有するスチレン系樹脂(A)に、分子内に少なくとも1個以上の二重結合を有する(メタ)アクリル基を含む化合物(B)を、上記化合物(A)100重量部に対して1重量部以上、10重量部未満の割合で添加したことを特徴とする光または電子線硬化樹脂組成物において、化合物(B)は、化合物(A)と混合した後、加熱成形時に表面にブリードまたは析出して成形体表面の被膜を形成するものであり、具体的に、化合物(B)としてトリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを用いて耐傷付性が改良された皮膜が形成できたことが記載されている。
特許文献2には、透明な合成樹脂からなるコアを透明な合成樹脂からなるクラッド基板に埋め込んだ後透明な上部クラッド層で覆うポリマ光導波路の製造方法において、熱可塑性樹脂と液状の重合反応性物質前駆体との混合組成物を射出成型でクラッド基板を形成し、コアを埋め込むための溝を形成した後、そのクラッド基板を加熱処理することにより上記クラッド基板の表面に上記重合反応性物質前駆体をブリードさせ、その重合反応性物質前駆体に紫外線か、あるいは電子ビーム等を照射することにより重合硬化させた重合反応性物質で低屈折率のクラッド層を形成し、上記溝内にそのクラッド層より高屈折率のコア層を形成することを特徴とするポリマ光導波路の製造方法において、具体的に、2,2−トリフルオロエチルメタクリレートをブリードさせ重合硬化することで、クラッド層を形成できたことが記載されている。
特許文献3には、支持体の外周に導電性弾性層を有し、該導電性弾性層の外周に表面層を有する帯電部材の製造方法であって、(1)3官能以上の硬化性アクリルモノマーとベースポリマーとを含む混合物を調製する工程と、(2)該混合物の層を該支持体の周面に形成する工程と、(3)該硬化性アクリルモノマーをブリードさせて、該混合物の層の表面に移行させる工程と、(4)該混合物の層の表面に移行した該硬化性アクリルモノマーを硬化させて該表面層を形成すると共に、該ベースポリマーを架橋させて導電性弾性層を形成する工程とを有することを特徴とする帯電部材の製造方法において、具体的に、3官能以上の硬化性アクリルモノマーとして、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートを用いて導電性弾性層を形成できたことが記載されている。
特開昭63−297444号公報 特開2001−166170号公報 特開2011−107547号公報
しかしながら、機能性樹脂成分を成形体表面にブリードアウトさせ、得られたブリードアウトを硬化して機能性層を形成するこれまでの方法(以下において、ブリードアウト法とも記載する)では、形成された機能性層に、当該機能性樹脂成分のポテンシャルから期待できる機能性を十分に発揮できているとは言えない。これは、これまでのブリードアウト法が、機能性樹脂成分のブリードアウト現象を十分に生じさせることができずに、機能性樹脂成分の配合量の割に表出できているものが少ないことによると考えられる。
そこで本発明は、樹脂成形の際に、機能性樹脂成分を効率的にブリードアウトさせることができる添加剤組成物;当該添加剤組成物を用いた、表面に十分な厚さのブリードアウト層硬化物を機能性層として有する樹脂成形体を製造する方法;及び当該製造方法により製造される、表面に十分な厚さのブリードアウト層硬化物を機能性層として有する樹脂成形体を提供することを目的とする。
本発明者が鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂に混錬する添加剤として、ポリラクトン構造及び/又はポリエーテル構造を有し、二重結合当量が700〜1200g/eqである多官能(メタ)アクリレート化合物を含む活性エネルギー線硬化性添加剤を用いることで、樹脂成形の際に、多官能(メタ)アクリレート化合物を効率的にブリードアウトさせることができ、これによって、十分な厚さのブリードアウト層硬化物を機能性層として有する樹脂成形体を得ることができることを見出した。本発明は、この知見に基づいてさらに検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. ポリラクトン構造(a1)及び/又はポリエーテル構造(a2)を有し、二重結合当量が700〜1200g/eqである多官能(メタ)アクリレート(A)を含む活性エネルギー線硬化性添加剤組成物と、熱可塑性樹脂(B)とを含む混錬物を調製する工程1と、
前記混錬物を成形し、成形体表面に前記(A)成分をブリードアウトさせることでブリードアウト層を形成する工程2と、
前記ブリードアウト層を活性エネルギー線硬化する工程3と、
を含む、樹脂成形体の製造方法。
項2. 前記(A)成分が、前記(a1)構造と前記(a2)構造との両方を含む、項1に記載の製造方法。
項3. 前記(A)成分が、ポリシロキサン構造(a3)を更に有する、項1又は2に記載の製造方法。
項4. 前記(A)成分と前記(B)成分との総量100質量部に対し、前記(A)成分を0.1〜20質量部用いる、項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
項5. 前記(A)成分と前記(B)成分とのSP値の差が0.5〜3.0である、項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
項6. 前記(B)成分がポリプロピレンである、項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
項7. 前記混錬物が、活性エネルギー線重合開始剤(C)を更に含む、項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
項8. 前記(A)成分100質量部に対し、前記(C)成分を1〜20質量部用いる、項7のいずれかに記載の製造方法。
項9. ポリラクトン構造(a1)及び/又はポリエーテル構造(a2)を有し、二重結合当量が700〜1200g/eqである多官能(メタ)アクリレート(A)を含む活性エネルギー線硬化性添加剤組成物であって、
熱可塑性樹脂(B)と共に混錬物中に添加され、前記混錬物の成形体表面に前記(A)成分のブリードアウト層の硬化物を形成するために用いられる、添加剤組成物。
項10. ポリラクトン構造(a1)及び/又はポリエーテル構造(a2)を有し、二重結合当量が700〜1200g/eqである多官能(メタ)アクリレート化合物(A)を含む活性エネルギー線硬化性添加剤組成物と、熱可塑性樹脂(B)とを含む樹脂ペレット。
項11. ポリラクトン構造(a1)及び/又はポリエーテル構造(a2)を有し、二重結合当量が700〜1200g/eqである多官能(メタ)アクリレート(A)を含む活性エネルギー線硬化性添加剤組成物と、熱可塑性樹脂(B)とを含む混錬物の成形体であって、
前記成形体表面に前記(A)成分のブリードアウト層の硬化物が形成されている、樹脂成形体。
項12. 前記ブリードアウト層の硬化物の厚さが、赤外線吸収スペクトルにおいて、前記(B)成分におけるメチレン基のC−H変角振動に由来するピークの吸光度に対する前記(a1)構造におけるエステル基のC=O伸縮振動に由来するピークの吸光度の比が0.6以上となる厚さである、項11に記載の樹脂成形体。
項13. 車両の内外装材である、項11又は12に記載の樹脂成形体。
本発明の添加剤組成物及び製造方法によれば、表面に十分な厚さのブリードアウト層硬化物を機能性層として有する樹脂成形体を製造することができる。また、本発明の樹脂成形体によれば、表面に十分な厚さのブリードアウト層硬化物を機能性層として有するため、耐薬品性及び/又は耐擦傷性等の優れた機能性を発揮することができる。
スカッフ足蹴り試験装置の模式図を示す。
本明細書において、「〜」で示される数値範囲は、その両端の値を含む。例えば、「700〜1200g/eq」との表記は、「700g/eq以上1200g/eq以下」の意である。また、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」を包含する意である。
1.樹脂成形体の製造方法
本発明の樹脂成形体の製造方法は、所定の多官能(メタ)アクリレート化合物(A)(以下において、「(A)成分」とも記載する。)を含む活性エネルギー線硬化性添加剤組成物と、熱可塑性樹脂(B)(以下において、「(B)成分」とも記載する。)とを含む混錬物を調製する工程1と;前記混錬物を成形し、成形体表面に(A)成分をブリードアウトさせることでブリードアウト層を形成する工程2と;前記ブリードアウト層を活性エネルギー線硬化する工程3と、を含むことを特徴とする。以下、本発明の樹脂成形体について詳述する。
1−1.工程1
工程1においては、(A)成分である所定の多官能(メタ)アクリレート化合物を含む活性エネルギー線硬化性添加剤組成物と、(B)成分である熱可塑性樹脂を含む混錬物を調製する。
1−1−1.所定の多官能(メタ)アクリレート化合物(A)
(A)成分である所定の多官能(メタ)アクリレート化合物は、ポリラクトン構造(a1)(以下において、「(a1)構造」とも記載する。)及び/又はポリエーテル構造(a2)(以下において、「(a2)構造」とも記載する。)を有し、且つ、二重結合当量が700〜1200g/eqである。このような所定の多官能(メタ)アクリレート化合物を用いることで、樹脂成形の際に、所定の多官能(メタ)アクリレート化合物を効率的にブリードアウトさせ、得られる樹脂成形体において、十分な厚さのブリードアウト層硬化物を機能性層として得る効果(以下において、「優れたブリードアウト効果」とも記載する。)が奏される。
(A)成分の構造は、(a)構造及び/又は(b)構造を有し且つ複数のアクリロイル基を含んでいれば特に限定されない。(A)成分の好ましい構造としては、複数の(メタ)アクリロイル基が、(a)構造及び/又は(b)構造を介して、多官能イソシアニル基とウレタン基(−NHCOO−)を形成している構造が挙げられる。この好ましい構造を有する(A)成分は、(a)構造及び水酸基を有する(メタ)アクリロイル基含有モノマー及び/又は(b)構造及び水酸基を有する(メタ)アクリロイル基含有モノマーと、多官能イソシアネート化合物とをウレタン化反応に供することで得られる。
(ポリラクトン構造(a1)及びポリエーテル構造(a2))
ポリラクトン構造(a1)及びポリエーテル構造(a2)としては、それぞれ下記式(1)及び(2)で表される構造が挙げられる。
Figure 2021195378
式(1)において、X1は直鎖又は分岐アルキレン基、好ましくは直鎖アルキレン基であり、その炭素数は、好ましくは3〜7、より好ましくは4〜6で、更に好ましくは5である。また、nは2以上の数であり、二重結合当量の所定範囲内への調整を容易にする観点から、好ましくは2〜10、より好ましくは2〜8、更に好ましくは3〜5、一層好ましくは4〜5、特に好ましくは5である。
式(2)において、X2及びX3は、同一又は異なっていてよい直鎖又は分岐アルキレン基(好ましくは直鎖アルキレン基)であり、その炭素数は、好ましくは2〜7、より好ましくは2〜5、更に好ましくは2〜3、特に好ましくは両方共に2である。また、lとmとの和は、樹脂成形の際に、所定の多官能(メタ)アクリレート化合物をより一層効率的にブリードアウトさせ、得られる樹脂成形体において、より厚いブリードアウト層を機能性層として得る(以下において、「より一層優れたブリードアウト効果を得る」とも記載する。)観点から、好ましくは2〜15、より好ましくは2〜14、更に好ましくは2〜13、一層好ましくは4〜12である。更に、より一層優れたブリードアウト効果を得る観点及び活性エネルギー線硬化性添加剤組成物の貯蔵安定性を向上させる観点から、lとmとの和は、特に好ましくは8〜12又は9〜11である。
(A)成分の合成に使用される原料の(メタ)アクリロイル基含有モノマーを一般式:CH2=CR−COO−R’(Rは水素原子又はメチル基を表し、R'は水酸基を有する有機基を表す。)で表した場合、R’に(a1)構造を含む(メタ)アクリロイル基含有モノマー及び/又は(a2)構造を含む(メタ)アクリロイル基含有モノマーを用いて多官能イソシアネートとウレタン化反応することで、(a1)構造及び/又は(a2)構造を有する(A)成分が合成される。
(A)成分の(a1)構造及び(a2)構造においては、上記式(1)及び(2)に示す構造の末端酸素原子が多官能イソシアニル基と共にウレタン基(−NHCOO−)を成している。このようなウレタン基は、(a1)構造及び(a2)構造の一部又は全部、好ましくは一部において形成されている。また、(a1)構造及び(a2)構造の一部が当該ウレタン基を形成している場合、(A)成分の(a1)構造及び(a2)構造の残りの一部については、上記式(1)及び(2)に示す構造の末端酸素原子が水酸基(以下において、「末端水酸基」とも記載する。)を成している。更に、上記の「(a1)構造及び(a2)構造の一部」が占める具体的な割合としては、(a1)構造及び(a2)構造の総量1モル当たり、0.05〜0.4モル、好ましくは0.1〜0.3モル、より好ましくは0.15〜0.25モル、更に好ましくは0.18〜0.22モルが挙げられる。
(A)成分の合成に使用される上記(メタ)アクリロイル基含有モノマー(CH2=CR−COO−R’)のR’は、下記式(1−1)及び(2−1)に示す、末端水酸基を含有するポリラクトン及びポリエーテルでそれぞれ構成される。
Figure 2021195378
式(1−1)において、X1は、式(1)で述べた通りである。また、X4は、直鎖又は分岐アルキレン基(好ましくは直鎖アルキレン基)であり、その炭素数は、好ましくは2〜7、より好ましくは2〜5、更に好ましくは2〜4、特に好ましくは2である。更に、nは、式(1)で述べた通りである。
また、式(2−1)において、X2、X3、l及びmは、式(2)で述べた通りである。
式(1−1)に示す構造を有する(メタ)アクリロイル基含有モノマーの市販品としては、例えば、株式会社ダイセル製のプラクセルFシリーズ(ポリカプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート)等、好ましくは、プラクセルFA2D(ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート;カプロラクトン2モル付加物)、プラクセルFA5(ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート;カプロラクトン5モル付加物)等が挙げられる。
式(2−1)に示す構造を有する(メタ)アクリロイル基含有モノマーの市販品としては、例えば、日油株式会社製の、ブレンマーPE−90、200、350、350G、1000、500、800(ポリエチレングリコールモノメタクリレート)、ブレンマー50E−300(ポリエチレングリコール-プロピレングリコール-モノメタクリレート)、ブレンマー55PET−800(ポリエチレングリコール-テトラメチレングリコール-モノメタクリレート)、ブレンマー10PPB−500B(プロピレングリコール-ポリブチレングリコール-モノメタクリレート)、ブレンマーAE−90U、200、400(ポリエチレングリコールモノアクリレート)、ブレンマーAP−400、550、800(ポリプロピレングリコールモノアクリレート)等が挙げられる。
より一層優れたブリードアウト効果を得る観点及びブリードアウト層硬化物の耐擦傷性(特に、耐スカッフ性)を向上させる観点から、(A)成分は、(1a)構造と(2a)構造との両方を含むことが好ましい。従って、(A)成分の合成においては、上記観点から、(1a)構造を有するモノマーと(2a)構造を有するモノマーとを組み合わせて用いることが好ましい。
また、(A)成分に含まれる(a1)構造は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、(A)成分に含まれる(a2)構造は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。従って、(A)成分の合成においては、これらの(a1)構造を有するモノマー、(a2)構造を有するモノマー構造を有するモノマーのそれぞれは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)成分において、ウレタン結合及びイソシアネート基(ウレタン結合に寄与せず残存しているイソシアネート基)の総量1モル当たりの(a1)構造の量(総量)としては特に限定されないが、例えば0.3モル以上が挙げられる。より一層優れたブリードアウト効果を得る観点及び活性エネルギー線硬化性添加剤組成物の貯蔵安定性を向上させる観点から、上記(a1)構造の量の範囲の下限としては、好ましくは0.4モル以上、より好ましくは0.55モル以上、更に好ましくは0.6モル以上、一層好ましくは0.65モル以上、より一層好ましくは0.75モル以上、特に好ましくは0.8モル以上が挙げられる。上記(a1)構造の量の範囲の上限としては特に限定されないが、例えば1.5モル以下が挙げられる。より一層優れたブリードアウト効果を得る観点から、上記(a1)構造の量の範囲の上限としては、好ましくは1モル以下、より好ましくは0.95モル以下、更に好ましくは0.9以下、一層好ましくは0.85モル以下、特に好ましくは0.82モル以下が挙げられる。従って、(A)成分の合成においては、多官能イソシアネートのイソシアネート基の総量に対して(a1)構造を有するモノマーを上記の割合で用いることができる。
(A)成分において、ウレタン結合及びイソシアネート基(ウレタン結合に寄与せず残存しているイソシアネート基)の総量1モル当たりの(a2)構造の量(総量)としては特に限定されないが、例えば0.1モル以上が挙げられる。より一層優れたブリードアウト効果を得る観点から、上記(a2)構造の量の範囲の下限としては、好ましくは0.15モル以上、より好ましくは0.2モル以上、更に好ましくは0.25モル以上、一層好ましくは0.30モル以上、より一層好ましくは0.35モル以上、特に好ましくは0.38モル以上が挙げられる。上記(a2)構造の量の範囲の上限としては特に限定されないが、例えば1.5モル以下が挙げられる。より一層優れたブリードアウト効果を得る観点及び活性エネルギー線硬化性添加剤組成物の貯蔵安定性を向上させる観点から、上記(a2)構造の量の範囲の上限としては、好ましくは0.9モル以下、より好ましくは0.8モル以下、更に好ましくは0.7以下、一層好ましくは0.6モル以下、一層好ましくは0.65モル以下、より一層好ましくは0.5モル以下、特に好ましくは0.45モル以下が挙げられる。従って、(A)成分の合成においては、多官能イソシアネートのイソシアネート基の総量に対して(a1)構造を有するモノマーを上記の割合で用いることができる。
(a1)構造及び(a2)構造を有する(A)成分において、(a1)構造の量(総量)に対する(a2)構造の量(総量)の比率は、上記の各量によって決定されるが、例えば(a1)構造の量(総量)1モル当たりの(a2)構造の量(総量)の比率として、例えば0.1モル以上が挙げられる。更に、より一層優れたブリードアウト効果を得る観点から、前記比率の下限としては、好ましくは0.2モル以上、より好ましくは0.3モル以上、更に好ましくは0.4モル以上が挙げられる。また、より一層優れたブリードアウト効果を得る観点及び活性エネルギー線硬化性添加剤組成物の貯蔵安定性を向上させる観点から、上記比率の上限としては、好ましくは2.5モル以下、より好ましくは2モル以下、更に好ましくは1.5モル以下、一層好ましくは1モル以下、特に好ましくは0.6モル以下が挙げられる。従って、(a1)構造及び(a2)構造を有する(A)成分の合成においては、原料モノマーである(a1)構造を有するモノマー及び(a2)構造を有するモノマーは、上記の比率で用いることができる。
(A)成分において、ウレタン結合及びイソシアネート基(ウレタン結合に寄与せず残存しているイソシアネート基)の総量1モル当たりの(a1)構造の量(総量)及び(a2)構造の量(総量)の総和としては特に限定されないが、例えば0.5〜2モルが挙げられる。(A)成分の貯蔵安定性及び/又は適切な量のブリードを生じさせる観点から、上記総和としては、好ましくは0.6〜1.8モル、より好ましくは0.8〜1.7モル、さらに好ましくは0.9〜1.5モル、一層好ましくは1.1〜1.3が挙げられる。
(ポリシロキサン構造(a3))
(A)成分は、上記(a1)構造及び/又は(a2)構造に加えて、ポリシロキサン構造(a3)(以下において、「(a3)構造」とも記載する。)を更に有していてもよい。(a3)構造は、ブリードアウト層硬化物の耐擦傷性(特に、耐スカッフ性)を向上させる目的で含ませることができる。
(a3)構造の好ましい例としては、ポリオルガノシロキサン構造が挙げられ、より好ましい例としては、ジアルキルオルガノシロキサン構造が挙げられる。(a3)構造の具体例としては、下記式(3−1)、式(3−2)、式(3−3)、及び式(3−4)に示す構造が挙げられる。
Figure 2021195378
上記式(3−1)、(3−2)、(3−3)及び(3−4)において、Raは、各々独立に水素原子又は1価の有機基であり;Rb及びRcは、各々独立に水素原子又は1価の有機基であり;Yは、−R1−O−又は−R2OR3O−(R1、R2、及びR3は、それぞれ独立に2価の有機基であり、R1及びR2がケイ素原子に結合している。);pは2以上の数であり;q及びrはそれぞれ1以上の数である。
また、Raの好ましい例としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基等が挙げられ、さらに好ましくはアルキル基が挙げられ、一層好ましくは炭素数1〜5(好ましくは1〜3、より好ましくは1〜2、特に好ましくは1)のアルキル基が挙げられる。
b及びRcの好ましい例としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基等が挙げられ、さらに好ましくはアルキル基(好ましくは直鎖アルキル基)が挙げられ、一層好ましくは炭素数1〜8(好ましくは2〜6、より好ましくは3〜5、特に好ましくは4)のアルキル基が挙げられる。
1、R2、及びR3の好ましい例としては、アルキレン基(好ましくは直鎖アルキレン基)が挙げられ、さらに好ましくは、炭素数2〜8(好ましくは2〜6、より好ましくは2〜4、さらに好ましくは2〜3)が挙げられる。また、Yの好ましい例としては−R2OR3O−(R2、及びR3の好ましい例としては前述の通り)が挙げられ、より好ましくは−C36OC25O−(C36基がケイ素原子に結合している)が挙げられる。
p及びq+rの値のより具体的な例としては、それぞれ、たとえば3〜200が挙げられる。より一層好ましいブリードアウト効果を得る観点から、p及びq+rの値としては、それぞれ、好ましくは6〜135、より好ましくは7〜80、さらに好ましくは8〜65、一層好ましくは9〜35、特に好ましくは10〜15が挙げられる。
なお、(a3)構造を有する(A)成分において、(a3)構造が上記式(3−2)、(3−3)、及び(3−4)のいずれかの構造である場合、これらの構造において、一部の−Y−が末端水酸基を構成して(つまり、−Y−Hの態様となって)いてもよい。
(a3)構造を有する(A)成分において、(a3)構造は、−Y−を介して((a3)構造が上記式(3−2)、(3−3)、及び(3−4)のいずれかの構造である場合は、少なくとも一部の−Y−を介して)多官能イソシアネート化合物とウレタン結合を形成している。
(a3)構造を有する(A)成分の合成に原料として使用される、(a3)構造を与えるポリシロキサンとしては、上記式(3−1)、(3−2)、(3−3)及び(3−4)に表される構造において、−Y−が末端水酸基を構成している(つまり、−Y−Hの態様となっている)、(a3)構造及び水酸基を有するポリシロキサンが挙げられる。このようなポリシロキサンの数平均分子量(Mn)としては、たとえば500〜15000が挙げられる。より一層好ましいブリードアウト効果を得る観点から、当該ポリシロキサンの数平均分子量としては、好ましくは700〜10000、より好ましくは800〜6000、さらに好ましくは850〜5000、一層好ましくは900〜3000、特に好ましくは950〜1500が挙げられる。なお、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン換算で測定される値である。
上記式(3−1)に対応するポリシロキサン(分子の片末端に水酸基を有するポリシロキサン)の市販品としては、JNC株式会社のサイラプレーンFM−0411、0421、425;信越化学工業株式会社製のシリコーンオイルX−22−170BX、X−22−170DX、及びX−22−176DX、X−22−176F、X22−176GX−A等が挙げられる。
上記式(3−2)に対応するポリシロキサン(分子の両末端に水酸基を有するポリシロキサン)の市販品としては、JNC株式会社のサイラプレーンFM−4411、4421、4425、5511、及び5521;信越化学工業株式会社製のシリコーンオイルX−22−160AS、X−22−160A、X−22−160B、X−22−160C、X−22−161AS、X−22−161A、X−22−161B及びX−22−161C;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のシリコーンオイルA7813、XC96−713、YF3804、YF−3800、YF−3905、YF−3057、YF−3807、YF−3802等が挙げられる。
上記式(3−3)に対応するポリシロキサン(分子の側鎖に水酸基を有するポリシロキサン)の市販品としては、信越化学工業株式会社製のシリコーンオイルX−22−3701E、X−22−4015、X−22−4039等が挙げられる。
上記式(3−4)に対応するポリシロキサン(分子の側鎖及び両末端に水酸基を有するポリシロキサン)の市販品としては、信越化学工業株式会社製のシリコーンオイルKF−857、KF−862及びKF−8001等が挙げられる。
(a3)構造を有する(A)成分の合成において、これらの(a3)構造及び水酸基を有するポリシロキサンは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。つまり、(a3)構造を有する(A)成分は、上記式(3−1)、(3−2)、(3−3)、及び(3−4)に示す4種の構造のうち、1種単独で含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。さらに、(a3)構造を有する(A)成分に含まれる上記式(3−1)に示す構造は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよく、同様に、(a3)構造を有する(A)成分に含まれる上記式(3−2)、(3−3)、(3−4)に示す構造は、それぞれ1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
(a3)構造の好ましい例としては、上記式(3−1)、(3−2)、(3−3)、及び(3−4)に示す構造の中でも、より一層好ましいブリードアウト効果を得る観点から、式(3−1)に示す構造が挙げられる。
(a3)構造を有する(A)成分において、(a1)構造の量(総量)及び(a2)構造の量(総量)の総和1モル当たりの、(a3)構造の−Y−基の量(総量)としては特に限定されないが、例えば0.005〜0.015モル、好ましくは0.006〜0.012モル、より好ましくは0.008〜0.01モルが挙げられる。
(a3)構造を有する(A)成分において、ウレタン結合及びイソシアネート基(ウレタン結合に寄与せず残存しているイソシアネート基)の総量1モル当たりの(a3)構造の−Y−基の量(総量)としては特に限定されないが、例えば0.006〜0.018モル、好ましくは0.007〜0.014モル、より好ましくは0.009〜0.012モルが挙げられる。
(a3)構造を有する(A)成分において、ウレタン結合及びイソシアネート基(ウレタン結合に寄与せず残存しているイソシアネート基)の総量1モル当たりの(a1)構造の量(総量)、(a2)構造の量(総量)及び(a3)構造の−Y−基の量(総量)の総和としては特に限定されないが、例えば0.5〜2モルが挙げられる。耐薬品性を維持しつつ、耐擦傷性を向上させる観点から、上記総和としては、好ましくは0.6〜1.8モル、より好ましくは0.8〜1.7モル、さらに好ましくは0.9〜1.5モル、一層好ましくは1.1〜1.3が挙げられる。
(多官能イソシアニル基)
多官能イソシアニル基は、対応する多官能イソシアネート(複数の−Rd−NCO基を有する化合物)に由来する基であり、当該多官能イソシアネートが有する複数のイソシアネート基(−NCO)由来のイソシアニル基(−NCO−)を構成している。
多官能イソシアニル基におけるイソシアニル基の数としては、複数個であれば特に限定されないが、好ましくは2〜6個、より好ましくは2〜4個、更に好ましくは3個が挙げられる。
dは二価の有機基を表し、好ましくは、脂肪族炭化水素基、環状脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられ、好ましくは脂肪族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、エチルヘキサメチレン基、トリエチルヘキサメチレン基、トリエチルヘキサメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基等の、直鎖又は分岐鎖、好ましくは直鎖の、炭素数1〜15、好ましくは2〜10、より好ましくは3〜8、更に好ましくは4〜7、一層好ましくは5〜6のアルキレン基が挙げられる。環状脂肪族炭化水素基としては、シクロヘキシレン基、メチルシクロヘキシレン基、イソホロン基、ビシクロヘキシレン基、ジシクロヘキシルメタン残基等の炭素数3〜15、好ましくは炭素数5〜15の環状脂肪族炭化水素基が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、フェニレン基、キシリレン基、メチルフェニレン基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられる。
多官能イソシアニル基に対応する多官能イソシアネートの具体例としては、ヌレート、ビウレット、及びアダクトが挙げられ、好ましくはヌレート及びビウレットが挙げられる。より好ましくはヌレートが挙げられる。
多官能イソシアニル基に対応する多官能イソシアネートの市販品としては、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートとして、旭化成ケミカルズ株式会社製のデュラネートTPA−100、デュラネートTKA−100、バイエル社製のデスモデュールN3300、BASF社製のバソナートHI−100、日本ポリウレタン工業株式会社製のコロネートHXが挙げられ、ペンタメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートとして、三井化学株式会社製のスタビオD−370Nが挙げられ、トルエンジイソシアネートのイソシアヌレートとして、日本ポリウレタン工業株式会社製のコロネート2037等が挙げられ、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレートとして、Degussa社製のVestagon T1890、バイエル社製のデスモデュールZ4470等が挙げられ;ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクトとして、旭化成ケミカルズ株式会社製のデュラネートP301−75E等が挙げられ、イソホロンジイソシアネートのアダクトとして、三井化学株式会社製のタケネートD140N等が挙げられ;ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレットとして、旭化成ケミカルズ株式会社製のデュラネート24A−100、デュラネート22A−75PX、バイエル社製のデスモデュールN−75,同N3200、BASF社製のバソナートHB−100、ローディア社製のトロネートHDB等が挙げられる。
((A)成分の合成)
(A)成分の合成は、上記「(ポリラクトン構造(a1)及びポリエーテル構造(a2))」で詳述した(a)構造及び水酸基を有する(メタ)アクリロイル基含有モノマー並びに/若しくは(b)構造及び水酸基を有する(メタ)アクリロイル基含有モノマー(以下において、これらをまとめて「原料モノマー」とも記載する。)と、必要に応じて上記「(ポリシロキサン構造(a3))」で詳述した(a3)構造及び水酸基を含むポリシロキサン(以下において、「原料ポリシロキサン」とも記載する。)とを、上記「(多官能イソシアニル基)」で詳述した多官能イソシアネート化合物とともにウレタン化反応に供することによって行うことができる。それぞれのモノマー及びポリシロキサンの好ましい使用量及び割合等についても、上述の通りである。
なお、(A)成分に用いる多官能イソシアネート(複数の−Rd−NCO基を有する化合物)の使用量としては、当該多官能イソシアネート由来のイソシアネート基が(A)成分において極力残存しないよう、原料モノマー及び原料ポリシロキサンの水酸基よりも少ない量であることが好ましい。これは、残存イソシアネートが、水分との反応(脱炭酸反応)及び/又はアミン形成反応等の副反応を生じる可能性があるためである。例えば、多官能イソシアネートの使用量としては、イソシアネート基が、原料モノマー及び原料ポリシロキサンの水酸基の総量1モル当たり、例えば0.6〜0.95モル、好ましくは0.7〜0.9モル、より好ましくは0.75〜0.85モル、さらに好ましくは0.78〜0.82モルとなる量が挙げられる。なお、本発明においては、(A)成分において多官能イソシアネート由来のイソシアネート基が残存しないことがもっとも望ましいが、多官能イソシアネートを上記の使用量で用いた場合であっても、得られた(A)成分においてウレタン結合に寄与しなかったイソシアネート基が偶発的に残存する態様も許容する。また、多官能イソシアネートを上記の使用量で用いた場合は、仮にイソシアネート基が偶発的に残存したとしても、残存するイソシアネート基は極微量であるため、それによる上記副反応が生じたとしても、実使用上問題とならない。
(A)成分合成のためのウレタン化反応系には、適宜、ウレタン化触媒及び/又は重合禁止剤を共存させることができる。
ウレタン化触媒としては特に限定されないが、例えば、トリエチルアミン等のアミン化合物;ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、ジオクチル錫ジネオデカネート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル酸錫等の有機錫化合物;オクチル酸亜鉛(2−エチルヘキサン酸亜鉛)等の有機金属化合物等が挙げられる。これらのウレタン化触媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのウレタン化触媒の中でも、好ましくは有機錫化合物が挙げられ、より好ましくはジオクチル錫ジネオデカネートが挙げられる。
重合禁止剤としては特に限定されないが、例えば、フェノール系化合物、有機酸銅塩、フェノチアジン類、ホスファイト類、チオエーテル類、ヒンダードアミン系化合物、アスコルビン酸類、チオシアン酸塩類、チオ尿素誘導体、亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドロキシルアミン誘導体等が挙げられる。これらの中でも、重合禁止剤としては、好ましくはフェノール系化合物が挙げられる。フェノール系化合物の具体例としては、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、メトキノン(ヒドロキノンモノメチルエーテル)、6−t−ブチル−2,4−キシレノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられ、好ましくはメトキノンが挙げられる。
(二重結合当量)
本発明において、(A)成分の二重結合当量は、700〜1200g/eqである。ここで、二重結合当量とは、当該分子1分子中の重合性結合の数に対する当該分子の重量平均分子量(Mw)の比率である。重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン換算で測定される値である。(A)成分の二重結合当量が700g/eqを下回ると、成形時の熱による混錬物のゲル化等を招来し、これによって混錬物の流動性が低下しブリードアウトが妨げられる。(A)成分の二重結合当量が1200g/eqを上回ると、架橋に支障を招来し、これによって硬化層の形成が困難になったり、硬化できたとしても硬化層に十分な強度が備わらなくなったりする。
より一層優れたブリードアウト硬化を得る観点から、(A)成分の二重結合当量の範囲の下限としては、好ましくは750g/eq以上、より好ましくは760g/eq以上、更に好ましくは770g/eq以上、一層好ましくは780g/eq以上、790g/eq以上、800g/eq以上、810g/eq以上、820g/eq以上、830g/eq以上、又は840g/eq以上が挙げられる。(A)成分の二重結合当量の範囲の上限としては、好ましくは1150g/eq以下、より好ましくは1130g/eq以下、1100g/eq以下、1050g/eq以下、1000g/eq以下、950g/eq以下、又は900g/eq以下が挙げられる。
二重結合当量の調節法としては、(a1)構造、(a2)構造の配合割合を調節すること:(a3)構造の導入の如何を選択すること;多官能イソシアニル基に対応する多官能イソシアネート(上記「(多官能イソシアニル基)」で述べた複数の−Rd−NCO基を有する化合物)の構造を選択すること、等が挙げられる。具体的には、(a1)構造、(a2)構造の配合割合については、(a1)構造の比率を多くすると二重結合当量が大きくなる傾向にあり、(a2)構造の比率を多くすると二重結合当量が小さくなる傾向にある。また、(a3)構造の導入の如何については、(a3)構造の導入により二重結合当量が上がる傾向にある。さらに、多官能イソシアネートの構造については、ヌレート、ビウレット、アダクトの順に二重結合当量が上がる傾向にある。また、上述のRd(二価の有機基)が、脂肪族炭化水素基、環状脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基の順に二重結合当量が上がる傾向にある。
(平均分子量)
(A)成分の数平均分子量Mnとしては、例えば3000〜7000、好ましくは3500〜6500、より好ましくは4000〜6000、さらに好ましくは4400〜5600が挙げられる。また、(A)成分の重量平均分子量Mwとしては、例えば5000〜12000、好ましくは5500〜11000、より好ましくは6000〜10000、更に好ましくは6500〜9500が挙げられる。さらに、多分散度(Mw/Mn)としては、例えば1.3〜1.9、好ましくは1.4〜1.8、より好ましくは1.5〜1.7が挙げられる。
なお、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、標準ポリスチレン換算で測定される値である。
(SP値)
(A)成分のSP値としては、例えば9〜12、好ましくは10〜11、より好ましくは10.3〜10.6が挙げられる。
なお、本明細書において、SP値は、濁点滴定法によって測定される値である。濁点滴定法では、ポリマーをSP値既知の良溶媒に溶解させておき、ポリマーが溶解された良溶媒より高いSP値の貧溶媒と、ポリマーが溶解された良溶媒より低いSP値の貧溶媒とで濁度滴定することにより、高分子のSP値を決定する方法である。具体的には、SP値は、(1)50mL三角フラスコに測定対象となるサンプル0.500g±0.005gを秤取する;(2)テトラヒドロフラン(THF)10mLを加え、サンプルを溶解させて試料溶液を調製する;(3)調製した試料溶液を磁気撹拌しながら冷却し、25℃に保ちながらn−ヘキサンで濁点(mL)を滴定する(具体的には、試料溶液の入った三角フラスコを25℃に保持したまま、電子写真方式で普通紙に印字した明朝体の文字(12pt)上に置き、上から覗いた際に液層の濁りで文字がぼやけて判読できなくなった時点を滴定点とする);(4)同様の手順で、イオン交換水の濁点(mL)を滴定する;及び(5)実施例に記載の計算式(a)〜(g)式に従って樹脂粒子のSP値δ(cal/cm30.5を算出することによって得ることができる。
なお、(A)成分のSP値とは、(A)成分が1種の多官能(メタ)アクリレートである場合にあっては当該多官能(メタ)アクリレート固有のSP値をいう。また、(A)成分が2種以上の多官能(メタ)アクリレートからなる場合は、(A)成分のSP値とは、個々の多官能(メタ)アクリレートのSP値に当該多官能(メタ)アクリレートのモル比((A)成分の総量を1とした場合の比率)を乗じた値の総和をいう。つまり、(A)成分が多官能(メタ)アクリレートA1と多官能(メタ)アクリレートA2からなり、(A)成分の総量を1とした場合の多官能(メタ)アクリレートA1のモル比がx、多官能(メタ)アクリレートA2のモル比が1−xであり、多官能(メタ)アクリレートA1固有のSP値がSP1、多官能(メタ)アクリレートA2固有のSP値がSP2である場合、(A)成分のSP値は、SP1x+SP2(1−x)となる。
(使用量)
(A)成分の使用量としては、(A)成分と(B)成分との総量100質量部に対し、0.1〜20質量部、好ましくは1〜10質量部、より好ましくは2〜9質量部、更に好ましくは4〜8.5質量部、一層好ましくは6〜8質量部、特に好ましくは6.5〜7.5質量部が挙げられる。
1−1−2.(A)成分を含む活性エネルギー線硬化性添加剤組成物
活性エネルギー線硬化性添加剤組成物は、(A)成分を含み、且つ、(B)成分と共に混錬物中に添加され、当該混錬物の成形体表面に(A)成分のブリードアウト層の硬化物を形成するために用いられることを限度として、特に限定されるものではない。
活性エネルギー線硬化性添加物組成物中に含まれる(A)成分の含有量としては、例えば90質量%以上、好ましくは95質量%以上、より好ましくは98質量%以、一層好ましくは99重量%が挙げられ、特に好ましくは100質量%が挙げられる。
また、活性エネルギー線硬化性添加剤組成物に含まれる(A)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
活性エネルギー線硬化性添加物組成物に、(A)成分以外の他の成分が含まれる場合、他の成分としては、例えば、顔料、界面活性剤、保存安定剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、流動改質剤、表面調整剤、帯電防止剤等が挙げられる。
1−1−3.熱可塑性樹脂(B)
(B)成分である熱可塑性樹脂としては、様々な樹脂成形に用いられる熱可塑性樹脂を特に限定されることなく用いることができる。具体的な(B)成分としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂、アクリロニトリルブタジエンスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、及び熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの熱可塑性樹脂の中でも、好ましくはポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン(PMP)及びシクロオレフィンポリマー(CPO)等が挙げられ、好ましくはポリプロピレンが挙げられる。ポリプロピレンとしては、ホモポリプロピレン;ホモプロピレンとエチレンおよび炭素数4〜10のαオレフィンの共重合体からなるブロック共重合体(「ブロックポリプロピレン」とも記載する。)、プロピレンとエチレンおよび炭素数4〜10のαオレフィンの共重合体とのランダム共重合体(「ランダムポリプロピレン」とも記載する。)が挙げられる。
ブロックポリプロピレン及びランダムポリプロピレンに用いられる炭素数4〜10のαオレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、イソブチレン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン等が挙げられる。ブロックポリプロピレン及びランダムポリプロピレン中のエチレン構成単位の含有量としては、例えば5質量%以下が挙げられる。また、ブロックポリプロピレン及びランダムポリプロピレン中の炭素数4〜10のαオレフィンの含有量としては、20質量%以下が挙げられる。
これらのポリオレフィンは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのポリオレフィンの中でも、成形体の耐擦傷性(特に、耐スカッフ性)をより一層向上させる観点から、好ましくはホモポリプロピレン及びブロックポリプロピレン、より好ましくはブロックポリプロピレンが挙げられる。
(B)成分のメルトマスフローレート(「MFR」とも記載する;測定温度230℃、2.16kg荷重下)としては、例えば1〜50g/10分、好ましくは5〜40g/10分、より好ましくは7〜32g/10分が挙げられる。また、より一層好ましいブリードアウト効果を得る観点から、(B)成分のMFRとしては、好ましくは1〜20g/10分、より好ましくは1〜15g/10分、一層好ましくは1〜13g/10分、特に好ましくは1〜10g/分も挙げられる。
(B)成分のSP値としては、(B)成分からの(A)成分の排斥力を高めてより一層優れたブリードアウト効果を得る観点から、(A)成分のSP値より小さいことが好ましい。具体的な(B)成分のSP値としては、例えば6〜12、好ましくは6.5〜10、より好ましくは7〜9、さらに好ましくは7.5〜8.5が挙げられる。また、(B)成分のSP値は、(A)成分のSP値との差として、例えば0.5〜3が挙げられ、より一層優れたブリードアウト効果を得る観点から、好ましくは1〜3、より好ましくは2〜3、さらに好ましくは2.2〜2.8が挙げられる。
なお、(B)成分のSP値とは、(B)成分が1種の熱可塑性樹脂である場合にあっては当該熱可塑性樹脂固有のSP値をいう。また、(B)成分が2種以上の熱可塑性樹脂からなる場合は、(B)成分のSP値とは、個々の熱可塑性樹脂のSP値に熱可塑性樹脂のモル比((B)成分の総量を1とした場合の比率)を乗じた値の総和をいう。つまり、(B)成分が熱可塑性樹脂B1と熱可塑性樹脂B2からなり、(B)成分の総量を1とした場合の熱可塑性樹脂B1のモル比がx、熱可塑性樹脂B2のモル比が1−xであり、熱可塑性樹脂B1固有のSP値がSP1、熱可塑性樹脂B2固有のSP値がSP2である場合、(B)成分のSP値は、SP1x+SP2(1−x)となる。
(B)成分の使用量としては、(A)成分と(B)成分との総量100質量部に対し、90〜99質量部、好ましくは91〜98質量部、より好ましくは91.5〜96質量部、更に好ましくは92〜94質量部、一層好ましくは92.5〜93.5質量部が挙げられる。
1−1−4.活性エネルギー線重合開始剤(C)
本発明の樹脂成形体の製造方法において、上記混錬物は、更に、活性エネルギー線重合開始剤(C)(以下において、「(C)成分」とも記載する。)を含むことができる。(C)成分の配合の如何は、硬化方法に基づいて決定することができる。具体的には、可視光、紫外線(UV)、熱線等の活性エネルギー線を用いて硬化する場合は、(C)成分を配合することができる。一方、電子線(EB)を用いて硬化する場合は、(C)成分は要さないが、(C)成分を配合しても差し支えない。
(C)成分である活性エネルギー線重合開始剤としては、可視光、紫外線(UV)、熱線等の活性エネルギー線の照射により活性種としてラジカルを発生するものであればよく、公知の活性エネルギー線重合開始剤を限定されることなく用いることができる。これらの活性エネルギー線重合開始剤の中でも、好ましくは紫外線(UV)の照射により活性種としてラジカルを発生するものが挙げられる。
活性エネルギー線重合開始剤の具体例としては、アルキルフェノン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、及びアシルフォスフォンオキサイド系化合物等が挙げられる。
アルキルフェノン系化合物としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等が挙げられる。
ベンゾイン系化合物としては、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物としては、ベンゾフェノン、オルト−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
チオキサントン系化合物としては、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等が挙げられる。
アシルフォスフォンオキサイド系化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
これらの活性エネルギー線重合開始剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述の活性エネルギー線重合開始剤の中でも、好ましくはアルキルフェノン系化合物が挙げられ、より好ましくはα−ヒドロキシアルキルフェノン系化合物がより好ましい。より具体的には、ラジカル重合開始剤の市販品としては、Omnirad184(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン:IGM Resin社製)、Omnirad1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン:IGM Resin社製)、Omnirad2959(1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン:IGM Resin社製)、Omnirad127(2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン:IGM Resin社製)等が挙げられる。
混錬物が(C)成分を含む場合の(C)成分の含有量は、(A)成分の重合反応(ラジカル重合)を良好に進行させる範囲で適宜調整すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、(A)成分1質量部に対して例えば0.01〜0.2質量部が挙げられる。(C)成分の含有量の範囲の下限は、より一層優れた機能性(例えば、耐薬品性及び耐擦傷性が挙げられ、特に、耐薬品性及び耐スカッフ性が挙げられる。)を得る観点から、好ましくは0.02質量部以上、より好ましくは0.03質量部以上、0.04質量部以上、0.05質量部以上、0.06質量部以上、又は0.07質量部以上、一層好ましくは0.08質量部以上が挙げられる。(C)成分の含有量の範囲の上限としては、より一層優れたブリードアウト効果を得る観点から、好ましくは0.1質量部以下、好ましくは0.09質量部以下、0.08質量部以下、0.07質量部以下、又は0.06質量部以下が挙げられる。
1−1−5.混錬物
混錬物は、(A)成分を含む活性エネルギー線硬化性添加剤組成物と(B)成分と、必要に応じ(C)成分とを適当な順番で混錬することで調製される。
本発明の一態様(以下において、「ペレット後成形を行う態様」とも記載する。)において、混錬物は、まず、後述の工程2を行う成形機とは別の混錬機内で、(A)成分を含む活性エネルギー線硬化性添加剤組成物と(B)成分とが配合された第1の混錬物を調製し、更に第1の混錬物をペレットに成形した後、ペレット化された第1の混錬物と、必要に応じ(C)成分とのブレンド物を、工程2を行う成形機内で混錬することで、(A)成分を含む活性エネルギー線硬化性添加剤組成物と(B)成分と、必要に応じ(C)成分とを含む第2の混錬物として得ることができる。
本発明の別の態様(以下において、「直接成形を行う態様」とも記載する。)において、混錬物は、後述の工程2を行う成形機内で、(A)成分を含む活性エネルギー線硬化性添加剤組成物と(B)成分と、必要に応じ(C)成分とのブレンド物を混錬することによって得ることができる。
本発明においては、ペレット後成形を行う態様及び直接成形を行う態様いずれであっても、後述の工程2において優れたブリードアウト効果が得られるが、成形体毎の(A)成分のブリード量の均一性をより高める観点からは、好ましくはペレット後成形を行う態様が挙げられ、ブリード量をより多くする観点からは、好ましくは直接成形を行う態様が挙げられる。
なお、本工程において混錬物が接触する機械部材(例えばシリンダ)の設定温度としては、例えば100℃以上が挙げられる。本発明は、(A)成分のブリードアウト効率に優れているため、(A)成分の性急な硬化が抑制され、高温設定で混錬物を調製しても、成形体におけるブリードアウトを効果的に得ることができる。このような観点から、混錬物が接触する機械部材の設定温度として、好ましくは150℃以上、より好ましくは170℃以上、さらに好ましくは190℃以上、一層好ましくは195℃以上が挙げられる。当該設定温度の範囲の上限としては、たとえば250℃以下、好ましくは230℃以下、より好ましくは210℃以下が挙げられる。
1−1−6.他の成分
混錬物には、上記成分以外に、必要に応じて、他の成分を配合することができる。このような他の成分としては、重合開始助剤、無機充填剤、滑剤、帯電防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、耐光安定剤、老化防止剤、酸化防止剤、軟化剤、分散剤、着色剤、顔料紫外線吸収剤、核剤等が挙げられる。
これら他の成分を配合するタイミングも特に限定されない。例えば、ペレット後成形を行う態様においては、工程2を行う成形機とは別の混錬機内で(A)成分を含む活性エネルギー線硬化性添加剤組成物及び(B)成分と共に他の成分を配合し、第1の混錬物のペレットをコンパウンドとして得てもよいし、工程2を行う成形機内でペレットと他の成分とを混合してもよい。また、直接成形を行う態様においては、工程2を行う射出成形機内で、(A)成分を含む活性エネルギー線硬化性添加剤組成物、(B)成分及び、必要に応じ(C)成分と共に他の成分を配合することができる。
1−2.工程2
工程2においては、混錬物を成形し、成形体表面に(A)成分をブリードアウトさせることでブリードアウト層を形成する。
ブリードアウトとは、混錬物中に配合されていた(A)成分が、混錬物で形成された成形体表面に移行する現象である。本発明においては、(A)成分として所定の多官能(メタ)アクリレートを用いることで、ブリードアウトを効率的に生じさせることができ、これによって、充分な厚さのブリードアウト層を得ることができる。なお、本発明においては、ブリードアウト層とは、混錬物中から成形体表面に移行した(A)成分が局在した層であって、未硬化の状態のものをいう。
成形方法としては特に限定されないが、例えば、射出成形、押出成形、インフレーション成形、ブロー成型、圧縮成形、真空成型、トランスファ成形、注型成形、カレンダ成形等が挙げられ、好ましくは射出成形が挙げられる。
成形における金型温度についても特に限定されないが、例えば、25〜85℃、好ましくは30〜80℃、30〜60℃、又は30〜40℃が挙げられる。
1−3.工程3
工程3においては、ブリードアウト層を活性エネルギー線硬化する。活性エネルギー線としては、可視光、紫外線(UV)、熱線、電子線(EB)等が挙げられ、好ましくは紫外線(UV)、電子線(EB)が挙げられ、より好ましくは紫外線(UV)が挙げられる。
ブリードアウト層の活性エネルギー線硬化によって、ブリードアウト層硬化物が得られる。これによって、目的とする樹脂成形体が得られる。樹脂成形体においては、ブリードアウト層硬化物が機能性層を成す。このブリードアウト層硬化物つまり機能性層は、表面局在した(A)成分の硬化物で構成される。
本発明においては、工程2において優れたブリードアウト効果が奏されるため、樹脂成形体におけるブリードアウト層硬化物つまり機能性層は、充分な厚さを有するものとして得ることができる。従って、ブリードアウト層硬化物つまり機能性層は、(A)成分の硬化物が有するポテンシャルから期待できる機能性を効率的に発揮することができる。(A)成分の硬化物によって発揮される機能性としては、耐薬品性、耐擦傷性等が挙げられる。さらに、本発明の好ましい態様においては、耐擦傷性の中でも特に高いレベルの耐擦傷性が求められる耐スカッフ性も良好に得ることができる。
得られる樹脂成形体の詳細については、下記「2.樹脂成形体」で述べる。
2.樹脂成形体
本発明の樹脂成形体は、ポリラクトン構造(a1)及び/又はポリエーテル構造(a2)を有し、二重結合当量が700〜1200g/eqである多官能(メタ)アクリレート化合物(A)を含む活性エネルギー線硬化性添加剤組成物と、熱可塑性樹脂(B)とを含む混錬物の成形体であって;前記成形体表面に(A)成分のブリードアウト層の硬化物が形成されている。
上述のとおり、本発明の樹脂成形体の製造に用いられる(A)成分が(a1)構造及び/又は(a2)構造を有し且つ所定の二重結合当量となるように設計されることで、製造時に優れたブリードアウト効果が得られるため、樹脂成形体表面の機能性層は、充分な厚さを有するブリードアウト層硬化物で構成される。
ブリードアウト層の硬化物の具体的な厚さとしては、赤外線吸収スペクトルにおいて、(B)成分におけるメチレン基のC−H変角振動に由来するピークの吸光度(AbsC=O)に対する(a1)構造におけるエステル基のC=O伸縮振動に由来するピークの吸光度(AbsC-H)の比(AbsC=O/AbsC-H)が、0.6以上となる厚さが挙げられる。より好ましいAbsC=O/AbsC-Hとしては、0.65以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.75以上、一層好ましくは0.8以上、より一層好ましくは0.85以上、特に好ましくは0.9以上が挙げられる。
本発明の樹脂成形体の用途としては特に限定されないが、好ましくは、耐薬品性及び/又は耐擦傷性を要する用途に用いられ、さらに好ましくは、耐薬品性及び/又は耐擦傷性の中でも特に高いレベルの耐擦傷性が求められる耐スカッフ性を要する用途に用いられる。
本発明の樹脂成形体の用途の具体例としては、好ましくは車両の内外装材、電子機器又は家電製品、建材、家具、文具、生活用品、玩具等が挙げられる。
車両の内外装剤の具体例としては、ドアトリム、ピラートリム、ドアパネル、インストルメントパネル、コンソール、シートプロテクター、空気ダクト、ドアリスト、エアバッグコンテナ、センターコンソール、ピラーガーニッシュ、キッキングトリム、インストトリム、コンソールトリム、トランクトリム、ラゲッジトリム、サッシュトリム、カウルトップトリム、バンパートリム、モールトリム、ランプ等が挙げられる。電子機器又は家電製品の具体例としては、パソコン、固定電話、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット、POS端末、ルーター、プロジェクター、スピーカー、照明器具、電卓、リモコン、冷蔵庫、洗濯機、加湿器、除湿器、ビデオレコーダー/プレイヤー、掃除機、エアコン、炊飯器、電動髭剃り、電動歯ブラシ、食洗機等の筐体;スマートフォン等の携帯端末のケース類等が挙げられる。建材の具体例としては、壁材、床材、窓枠、ドアノブ等のインテリア部材;エクステリア部材;サニタリー製品等が挙げられる。家具の具体例としては、タンス、本棚、テーブル、イス等が挙げられる。文具の具体例としては、ペン、ペンケース、ブックカバー、はさみ、カッター等が挙げられる。生活用品用途としては、めがねのフレーム等が挙げられる。
上記の樹脂成形体の用途の中でも、好ましくは車両の内外装材が挙げられる。
3.活性エネルギー線硬化性添加剤組成物
本発明の活性エネルギー線硬化性添加剤組成物は、ポリラクトン構造(a1)及び/又はポリエーテル構造(a2)を有し、二重結合当量が700〜1200g/eqである多官能(メタ)アクリレート化合物(A)を含む活性エネルギー線硬化性添加剤組成物であって;熱可塑性樹脂(B)を含む混錬物中に添加され、前記混錬物の成形体表面に(A)成分のブリードアウト層の硬化物を形成するために用いられるものである。
活性エネルギー線硬化性添加剤組成物の詳細は、上記「1.樹脂成形体の製造方法」の「1−1.工程1」における「1−1−1.所定の多官能(メタ)アクリレート化合物(A)」及び「1−1−2.(A)成分を含む活性エネルギー線硬化性添加剤組成物」で述べた通りである。
4.樹脂ペレット
本発明の樹脂ペレットは、ポリラクトン構造(a1)及び/又はポリエーテル構造(a2)を有し、二重結合当量が700〜1200g/eqである多官能(メタ)アクリレート化合物(A)を含む活性エネルギー線硬化性添加剤組成物と、熱可塑性樹脂(B)とを含む。
本発明の樹脂ペレットは、具体的には、(A)成分を含む活性エネルギー線硬化性添加剤組成物と(B)成分とを混錬し、ペレット化されたものである。また、本発明の樹脂ペレットは、上記成分と共に他の成分が配合されることで、コンパウンド化されたものであってもよい。当該他の成分としては、上記「1.樹脂成形体の製造方法」の「1−1.工程1」における「1−1−6.他の成分」で述べた通りである。
本発明の樹脂ペレットは、上記「2.樹脂成形体」を製造するために用いることができ、具体的には上記「1.樹脂成形体の製造方法」で記載される製造方法、より具体的には上記「1.樹脂成形体の製造方法」の「1−1.工程1」における「1−1−5.混錬物」に記載するペレット後成形を行う態様において用いることができる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[1]使用原料
実施例及び比較例で用いた試薬等を以下に示す。
[1−1]多官能アクリレート(A)合成用原料
[1−1−1]多官能イソシアネート
・HMDIヌレート:
デュラネートTPA−100;ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)の3量化物、ヌレート、旭化成株式会社製、NCO23.1質量%、固形分100質量%
・HMDIビウレット:
デュラネート24A−100;ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)の3量化物、ビウレット、旭化成株式会社製、NCO23.5質量%、固形分100質量%
・HMDIアダクト:
デュラネートP301−75E;ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)の3量化物、アダクトタイプ、旭化成株式会社製、NCO12.5質量%、固形分75質量%(酢酸エチル溶液)
・TDIヌレート:
コロネート2037;トルエンジイソシアネート(TDI)の3量化物、ヌレート、株式会社東ソー製、NCO8質量%、固形分50%(酢酸ブチル溶液)
・PDIヌレート:
スタビオD−370N;ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)の3量化物、ヌレート、三井化学株式会社製、NCO25質量%
[1−1−2](a1)構造及び水酸基を有する(メタ)アクリロイル基含有モノマー
・FA2D:
プラクセルFA2D;ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルモノアクリレート、株式会社ダイセル製、カプロラクトンの平均繰り返し単位数n(上記式1−1の「n」)=2、水酸基価=163.0、Mw=344
・FA5:
プラクセルFA5;ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルモノアクリレート、株式会社ダイセル製、カプロラクトンの平均繰り返し単位数n(上記式1−1の「n」)=5、水酸基価=80.0、Mw=689
・FA10L:
プラクセルFA10L;ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルモノアクリレート、株式会社ダイセル製、カプロラクトンの平均繰り返し単位数n(上記式1−1の「n」)=10、水酸基価=44.6、Mw=1258
[1−1−3](a2)構造及び水酸基を有する(メタ)アクリロイル基含有モノマー
・AE−200:
ブレンマーAE−200;ポリオキシエチレンモノアクリレート、日油株式会社製、エチレンオキサイドの平均繰り返し単位数(上記式(2−1)の「l」+「m」)=4.5、水酸基価=208、Mw=270
・AE−400:
ブレンマーAE−400;ポリオキシエチレンモノアクリレート、日油株式会社製、エチレンオキサイドの平均繰り返し単位数(上記式(2−1)の「l」+「m」)=10、水酸基価=95.6、Mw=512
・PE−350:
ブレンマーPE−350;ポリオキシエチレンモノメタクリレート、日油株式会社製、エチレンオキサイドの平均繰り返し単位数(上記式(2−1)の「l」+「m」)=8、水酸基価=128.0、Mw=438
[1−1−4](a3)構造及び水酸基を有するポリシロキサン
・FM0411:
サイラプレーンFM0411;片末端OH型変性シリコーンオイル(上記式(3−1)に該当)、JNC株式会社製、Mn=1000
・FM0421:
サイラプレーンFM0421;片末端OH型変性シリコーンオイル(上記式(3−1)に該当)、JNC株式会社製、Mn=5000
・FM0425:
サイラプレーンFM0425;片末端OH型変性シリコーンオイル(上記式(3−1)に該当)、JNC株式会社製、Mn=10000
[1−2]比較用多官能アクリレートの原料
・FA1:
ラクセルFA1;カプロラクトン変性ヒドロキシエチルモノアクリレート、株式会社ダイセル製、カプロラクトン単位数n(上記式1−1の「n」)=1
・AP−400:
ブレンマーAP−400;ポリオキシプロピレンモノアクリレート、日油株式会社製、プロピレンオキサイドの平均繰り返し単位数(上記式(2−1)の「l」+「m」)=6
[1−3]比較用多官能アクリレート
・TAIC:
トリアリルイソシアヌレート、三菱ケミカル株式会社製、TAIC、分子量=249.27
・TMPT:
トリメチロールプロパントリアクリレート、新中村化学株式会社製、TMPT、分子量=338
・A−DPH:
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、新中村化学株式会社製、A−DPH、分子量=578
・14EG−A:
ポリエチレングリコールジアクリレート(PEG平均分子量600)、共栄化学株式会社製、ライトアクリレート14EG−A、数平均分子量Mn=692
[1−4]熱可塑性樹脂(B)
以下において、MFRは、後述「[4−1]MFR」に示す方法による測定値(単位:g/10分)であり、SPは、後述「[4−2]SP」に示す方法による測定値(単位:(cal/cm30.5)である。
・b−PP MFR9,SP8.0:
J705UG;ポリプロピレン系樹脂、株式会社プライムポリマー製、プライムポリプロ、グレードJ107G(ブロックタイプ)
・b−PP MFR14,SP8.0:
J−750HP;ポリプロピレン系樹脂、株式会社プライムポリマー製、プライムポリプロ、グレードJ−750HP(ブロックタイプ)
・b−PP MFR30,SP8.0:
J707G;ポリプロピレン系樹脂、株式会社プライムポリマー製、プライムポリプロ、グレードJ707G(ブロックタイプ)
・h−PP MFR9,SP8.1:
J105G;ポリプロピレン系樹脂、株式会社プライムポリマー製、プライムポリプロ、グレードJ105G(ホモタイプ)
・h−PP MFR15,SP8.1:
J106G;ポリプロピレン系樹脂、株式会社プライムポリマー製、プライムポリプロ、グレードJ106G(ホモタイプ)
・h−PP MFR30,SP8.1:
J107G;ポリプロピレン系樹脂、株式会社プライムポリマー製、プライムポリプロ、グレードJ107G(ホモタイプ)
・r−PP MFR25,SP8.0:
J−2021GRP;ポリプロピレン系樹脂、株式会社プライムポリマー製、プライムポリプロ、グレードJ−2021GRP(ランダムタイプ)
[1−5]活性エネルギー線重合開始剤(C)
・Omnirad184:
アルキルフェノン系光重合開始剤、IGM Resins社製、α−ヒドロキシアルキルフェノン(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)
[2]多官能アクリレートの合成(合成例A−1〜A−29)
攪拌機、温度計、滴下ロート、冷却管及び空気導入口を備えた反応容器に、表1〜5、8、9に示す多官能イソシアネート、メトキノン0.5g及びジオクチル錫ジネオデカネート0.2gを仕込み、空気の通気下、攪拌しながら60℃まで昇温した。次いで、表1〜5、8、9に示す(a1)構造含有(メタ)アクリレート及び/又は(a2)構造含有(メタ)アクリレート、必要に応じ表1〜5、8、9に示す(a3)構造含有ポリシロキサンの混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、反応容器を80℃まで昇温し、5時間攪拌することによりウレタン化反応を行い、多官能(メタ)アクリレート(A)を得た。また、ウレタン化反応後、用いた市販の多官能イソシアネートに含まれていた溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル)をエバポレータ等により留去させた。
なお、表1〜5、8、9において、(A)成分の合成の原料となる、多官能イソシアネート、(a1)構造含有(メタ)アクリレート、(a2)構造含有(メタ)アクリレート、及び(a3)構造含有ポリシロキサンの配合量を示す数値は、多官能イソシアネートに含まれるイソシアネート基(NCO)のモル数、(a1)構造含有(メタ)アクリレートの末端水酸基のモル数(つまり、(a1)構造のモル数)、(a2)構造含有(メタ)アクリレートの末端モル数のモル数(つまり、(a2)構造のモル数)、及び(a3)構造の水酸基のモル数(つまり、上記式(3−1)に示す−Y−基のモル数であり、(a3)構造のモル数)の比率を示す。
[3]多官能アクリレート(A)の測定
得られた(A)成分について、二重結合当量、分子量及びSP値を求めた。
[3−1]二重結合当量
JIS K 0070に準ずる手法によりヨウ素価を求めた。得られたヨウ素価から二重結合の量を算出し、更に、二重結合の量に基づいて二重結合当量を求めた。
[3−2]分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、数平均分子量Mnと重量平均分子量Mwとを測定した。用いた装置、条件等は以下の通りである。
・使用機器:HLC8220GPC(株式会社東ソー製)
・使用カラム:TSKgel SuperHZM−M、TSKgel GMHXL−H、TSKgel G2500HXL、TSKgel G5000HXL(株式会社東ソー製)
・カラム温度:40℃
・標準物質:TSKgel 標準ポリスチレンA1000、A2500、A5000、F1、F2、F4、F10(株式会社東ソー製)
・検出器:RI(示差屈折)検出器
・溶離液:テトラヒドロフラン
・流速:1ml/分
[3−3]SP
SPの値は、濁度滴定法を用いて算出した。より具体的には、以下の手順により算出した。
(1)50mL三角フラスコに測定対象となるサンプル0.500g±0.005gを秤取した。
(2)テトラヒドロフラン(THF)10mLを加え、サンプルを溶解させて試料溶液を調製した。
(3)調製した試料溶液を磁気撹拌しながら冷却し、25℃に保ちながらn−ヘキサンで濁点(mL)を滴定した。具体的には、試料溶液の入った三角フラスコ(試料溶液の厚みは、4〜5mm)を25℃に保持したまま、電子写真方式で普通紙に印字した明朝体の文字(12pt)上に置き、上から覗いた際に液層の濁りで文字がぼやけて判読できなくなった時点を滴定点とした。
(4)同様の手順で、イオン交換水の濁点(mL)を滴定した。
(5)下記の計算式に基づいて、SP値(単位:(cal/cm30.5)を求めた。
Figure 2021195378
上記式における各変数の意味及び値は以下に示す通りである。
L:低極性溶剤(n−ヘキサン)の滴定量(mL)
H:高極性溶剤(水)の滴定量(mL)
φSL:溶解溶剤(THF)と滴定溶剤(n−ヘキサン)の和に対する、溶解溶剤(THF)の体積分率
φL:溶解溶剤(THF)と滴定溶剤(n−ヘキサン)の和に対する、滴定溶剤(n−へキサン)の体積分率
φSH:溶解溶剤(THF)と滴定溶剤(イオン交換水)の和に対する、溶解溶剤(THF)の体積分率
φH:溶解溶剤(THF)と滴定溶剤(イオン交換水)の和に対する、滴定溶剤(イオン交換水)の体積分率
S:溶解溶剤(THF)の分子容〔mL/mol〕=81.0
L:滴定溶剤(n−ヘキサン)の分子容〔mL/mol〕=132
H:滴定溶剤(イオン交換水)の分子容〔mL/mol〕=18.0
δS:溶解溶剤(THF)のSP値〔(cal/cm30.5〕=9.54
δL:滴定溶剤(n−ヘキサン)のSP値〔(cal/cm30.5〕=7.24
δH:滴定溶剤(イオン交換水)のSP値〔(cal/cm30.5〕=23.5
δ:樹脂粒子のSP値〔(cal/cm30.5
[3−4]貯蔵安定性
多官能アクリレート化合物(A)10gをガラス瓶に測り取り、200℃の雰囲気下で最大10分間静置した後でその流動性を目視で確認し、以下の評価基準で評価を行った。結果を表1〜11に示す。
5:流動性を保っており、粘度上昇も認められない
4:流動性を保っているが、わずかに粘度上昇が認められる
3:流動性を保っているが、粘度上昇が大きい
2:わずかに流動性はあるものの、ほぼ硬化してしまっている
1:流動性を失い、完全に硬化してしまっている
[4]熱可塑性樹脂(B)の測定
(B)成分について、MFR及びSP値を求めた。
[4−1]MFR
JIS K7210に準拠し、230℃、荷重2.16kgの条件で測定した。
[4−2]SP
サンプルを溶解させる溶媒として、THFに代えてp−キシレン及びトルエンを使用したことをのぞいて、上述の「[3−3]SP値」と同様に測定を行った。但し、「[3−3]SP」において示した式における各変数は、以下に示す通りとした。
φSL:溶解溶剤(p−キシレン/トルエン)と滴定溶剤(n−ヘキサン)の和に対する、溶解溶剤(p−キシレン/トルエン)の体積分率
φL:溶解溶剤(p−キシレン/トルエン)と滴定溶剤(n−ヘキサン)の和に対する、滴定溶剤(n−へキサン)の体積分率
φSH:溶解溶剤(p−キシレン/トルエン)と滴定溶剤(イオン交換水)の和に対する、溶解溶剤(THF)の体積分率
φH:溶解溶剤(p−キシレン/トルエン)と滴定溶剤(イオン交換水)の和に対する、滴定溶剤(イオン交換水)の体積分率
S:溶解溶剤(p−キシレン/トルエン)の分子容〔mL/mol〕=123/106
δS:溶解溶剤(p−キシレン/トルエン)のSP値〔(cal/cm30.5〕=8.80/8.91
[5]ペレットの製造
合成例A−1〜A−29で得た(A)成分又は市販の(A)成分と、(B)成分とを、表1〜6、8〜11に示す質量比でドライブレンドしたものを、直径2mmのストランドダイを備えた二軸押出機(東洋精機製ラボプラストミル、型式:4C−150)に投入し、シリンダ温度180℃、スクリュー回転数60rpmの条件で溶融混練を行った。得られた混錬物の樹脂ストランドを水冷し、その後ペレタイザーでカットすることにより、ペレット(直径約5mm程度)を得た。得られたペレットは、除湿型乾燥機を用いて100℃で3時間乾燥処理した。
[6]樹脂成形体の製造
(工程1及び工程2)
表1〜6、8〜11に示す実施例及び比較例については、得られたペレットに、活性エネルギー線重合開始剤(C)を、(A)成分に対する質量比が表1〜6、8〜11に示す量となるように配合してドライブレンドし、これを射出成形機(住友重機械工業(株)製、SE18S)に投入して射出成形を行い、1.5mm×50mm×50mmの、表面が平滑な試験用平板を得た(ペレット後成形を行う態様)。
また、表7に示す比較例については、市販の(A)成分と、(B)成分と、活性エネルギー線重合開始剤(C)とを、表7に示す質量比で直接射出成形機(住友重機械工業(株)製、SE18S)に投入し、射出成形を行い、1.5mm×50mm×50mmの、表面が平滑な試験用平板を得た(直接成形を行う態様)。
なお、表1〜11に示す全ての実施例及び比較例について、射出成形は、シリンダ温度200℃、金型温度30℃、冷却時間15秒の条件で行った。
(工程3)
成形した試験用平板について、UVコンベア装置(アイグラフィックス社製 ECS−4011GX、岩崎電気製高圧水銀ランプEYE UV LAMP H04−L41)にて、その表面(両面)に紫外線の照射(積算光量800mJ/cm2)を行い、硬化後試験用平板を樹脂成形体として得た。
[7]ブリードアウト及び硬化の確認
[7−1]UV照射前,ブリードアウト
工程2終了後(つまり、UV照射前)試験用平板の表面に指を接触させたり表面を目視で観察したりすることにより、その表面状態を目視で確認し、以下の評価基準で評価を行った。結果を表1〜11に示す。なお、(A)成分が表面にブリードアウトすると、ブリードアウト層が液状物として目視で観察され、当該液状物を指で触れたときにベタツキ(タック性)により指に付着する量が多いほど、ブリードアウト量が多いことを示す。
5:ブリードアウト物を、平板の表面全体で明確に目視でき、指で触れると多く付着する
4:ブリードアウト物を、若干のむらはあるものの平板の表面全体で目視でき、指で触れるとやや多く付着する
3:ブリードアウト物を、平板の表面の一部で目視でき、指で触れると付着するものが確認できる
2:ブリードアウト物を、平板表面の一部で目視できるものの、指で触れても付着するものは無い
1:ブリードアウト物は全く目視できず、指で触れても付着するものは全く無い
[7−2]UV照射後,硬化
上記のブリードアウトの確認で評価が「3」以上の試験用平板についてのみ、工程3終了後(つまり、UV照射後)の試験用平板の紫外線照射後の状態について、以下の評価基準で評価を行った。結果を表1〜11に示す。なお、ブリードアウト層の(A)成分が硬化すると、表面のベタツキ(タック性)が無くなる。
◎:触ってもベタツキは無く、完全に硬化している
×:触るとベタツキがあり、硬化していない
[8]ブリードアウト層硬化物の評価
[8−1]厚み平均値
上記「[7−2]UV照射後,硬化」で評価が「◎」以上の硬化後試験用平板について、その表面を、1マスにつき縦10mm×横10mmで、縦5マス、横5マスの合計25マスに分画し、各区画の中心付近をFT−IR(ATR)により測定を行った。得られたIRスペクトルより、(a1)構造におけるエステル基のC=O伸縮振動に由来するピークの吸光度(AbsC-H;1730cm-1)と、(B)成分におけるメチレン基のC−H変角振動に由来するピークの吸光度(AbsC=O;1460cm-1)との比(AbsC=O/AbsC-H)を区画毎に算出し、その平均値を算出した。結果を表1〜11に示す。
なお、比(AbsC=O/AbsC-H)が大きいほど、ブリードアウト量が多く、厚いブリードアウト層硬化物が得られていることを示す。比(AbsC=O/AbsC-H)が0.6以上であれば、本発明の所望のブリードアウト効果が達成できていることを示す。
[8−2]厚み標準偏差
硬化後試験用平板上の25マスそれぞれについて得られた上記の比(AbsC=O/AbsC-H)の標準偏差を算出した。結果を表1〜11に示す。なお、標準偏差が小さい程、ブリードアウト量のばらつきが小さく、ブリードアウト層硬化物がその厚さについて均一性高く形成されていることを示す。
[8−3]耐薬品性
上記の「[8−1]厚み平均値」において、厚み平均値が0.6を越えた硬化後試験用平板についてのみを用い、以下の手順により耐薬品性の評価を行った。
硬化後試験用平板の表面に、メチルエチルケトンを十分に浸み込ませた脱脂綿を置き、当該脱脂綿に100gの荷重をかけた状態で20往復ラビングを行った。その後、脱脂綿を取り除き、表面の状態について目視で観察を行い、以下の評価基準に基づいて評価した。結果を表1〜11に示す。
5:全く異常は認められない
4:ほとんど異常は無いものの、わずかに白化が認められる
3:フクレ等の異常は無いものの、全体的に白化が認められる
2:表面層にフクレ等の不具合が発生し、一部に剥がれが認められる
1:表面層が溶解している
[8−4]耐擦傷性
片側の面にシボ加工(シボパターンが株式会社棚澤八光社のTH−1008、シボ深さ100μm、抜き勾配10°)を施した金型を使用したこと以外は、上記「[6]樹脂成形体の製造」で記載された方法と同様の操作を行うことにより、表面にシボ加工が施された硬化後試験用平板(以下、シボ付き試験板)を得た。得られたシボ付き試験板について、以下の評価を行った。
[8−4−1]動摩擦係数
シボ付き試験板をHEIDON動摩擦係数測定装置にかけ、10mmφステンレス球摺動、荷重100g、摺動速度150mm/分の条件で、シボが付いた面の動摩擦係数を測定した。結果を表1〜11に示す。なお、動摩擦係数が小さいほど、一般的な耐擦傷性に優れることが推認できる。
[8−4−2]耐スカッフ性
まず、スカッフ足蹴り試験装置を準備した。試験装置の模式図を図1に示す。図1に示すように、スカッフ足蹴り試験装置は、テストピースTを固定する台座1と、摩擦物2を自由端に装着した金属製の振り子3と、パンタグラフ4とを具備し、テストピース1の試験面TSから所定の高さhより振り子3を作動させ、テストピースTの試験表面TS上を摩擦物2が摩擦して通過することによって靴底での足蹴り状態を再現するモデルである。摩擦物2としては、ショアA表面硬度が75であるゴム片(本田技研工業株式会社製、品番18215−SA0−000)を用いた。
次の手順で、靴底での足蹴り状態に対する耐性(耐スカッフ性)を評価した。
i):テストピースTであるシボ付き試験板を装置の台座1上に固定した(試験面TSであるシボ面は上側とした)。
ii):デジタルデップスゲ−ジを振り子3上部にセットし、ゲージの先端を振り子3上部へ当て、ゲージの目盛りが0mmになることを確認した。
iii):パンタグラフ4のレバーを回転させ、台座1を上昇させゲージの目盛りが1.5mmになるよう合せた。
iv):摩擦物2であるゴム片を装着した振り子3の自由端を、試験面TSから所定の高さ(h=20cm)まで引き上げた。
v):振り子3の自由端を振り下ろし、テストピースTの試験面TS上を摩擦物2で摩擦した。
vi):試験面TSの傷つき性を目視で判断した。
試験後のテストピースTの試験面TSの表面状態を目視により観察を行い、以下の評価基準により耐スカッフ性を評価した。結果を表1〜11に示す。評価が「3」以上であれば、耐スカッフ性に優れているといえる。耐スカッフ性は、耐擦傷性の中でも、極めて高いレベルの耐擦傷性が求められる特性である。
5:ゴムが擦った跡も見受けられない。
4:摩擦部にゴムが擦った後が見受けられるが、白化は見受けられない。
3:摩擦部の表面がやや白化している。
2:摩擦部の表面の白化が目立つ。
1:摩擦部の表面の白化が著しく目立つ
Figure 2021195378
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比較例1、2、4〜21に示すように、多官能イソシアネートの二重結合当量が700g/eqを下回ると、所望のブリードアウト効果が得られないため、硬化前において表面の触指によりブリードアウト物が指に付着しないほどにブリードアウト量が少ないか、硬化前において表面の触指によりブリードアウト物が指に付着する程度にブリードアウトが認められても、得られたブリードアウト層硬化物の厚みが不足していたうえに、その厚みのばらつきも大きかった。これら比較例のうち、比較例1、2、4〜17による樹脂成形は、ペレット後成形を行う態様により行われたものである一方、比較例18〜21による樹脂成形は、直接成形を行う態様を行う態様により行われたものである。一般的に、ペレット後成形を行う態様と直接成形を行う態様とで対比すると、直接成形を行う態様の方でブリードアウト量が多くなる。このことは、比較例14〜17と比較例18〜21との対比にも表れている。比較例の中で最もブリードアウト量が多い比較例21であっても、耐薬品性を備えるほどのブリードアウト層硬化物を得ることはできなかった。これに付随して、比較例21は、一般的な耐擦傷性も得られないことが推認でき、当然ながら、耐スカッフ性を得ることもできなかった。
これに対して、実施例1〜39に示すように、(a1)構造及び/又は(a2)構造を有し二重結合当量が700〜1200g/eqの範囲内である多官能イソシアネート(A)を用いた場合は、優れたブリードアウト効果が奏されることで、十分な厚みのブリードアウト層硬化物が得られた。このような厚いブリードアウト層硬化物により、優れた耐薬品性が得られ、また、動摩擦係数から優れた耐擦傷性が推認できる。特に、実施例4〜18及び2〜39に示すように、多官能イソシアネート(A)に(a1)構造及び(a2)構造の両方を有するものを用いたり、活性エネルギー線重合開始剤(C)の使用量を調整したりすることで、耐スカッフ性まで奏する極めて優れた耐擦傷性が得られた。
1…台座
2…摩擦物(ゴム片)
3…振り子
4…パンタグラフ
T…テストピース(シボ付き試験板)
TS…試験面(シボ面)
h…振り子自由端の振り下ろし高さ(20cm)

Claims (13)

  1. ポリラクトン構造(a1)及び/又はポリエーテル構造(a2)を有し、二重結合当量が700〜1200g/eqである多官能(メタ)アクリレート(A)を含む活性エネルギー線硬化性添加剤組成物と、熱可塑性樹脂(B)とを含む混錬物を調製する工程1と、
    前記混錬物を成形し、成形体表面に前記(A)成分をブリードアウトさせることでブリードアウト層を形成する工程2と、
    前記ブリードアウト層を活性エネルギー線硬化する工程3と、
    を含む、樹脂成形体の製造方法。
  2. 前記(A)成分が、前記(a1)構造と前記(a2)構造との両方を含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記(A)成分が、ポリシロキサン構造(a3)を更に有する、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記(A)成分と前記(B)成分との総量100質量部に対し、前記(A)成分を0.1〜20質量部用いる、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記(A)成分と前記(B)成分とのSP値の差が0.5〜3.0である、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記(B)成分がポリプロピレンである、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記混錬物が、活性エネルギー線重合開始剤(C)を更に含む、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記(A)成分100質量部に対し、前記(C)成分を1〜20質量部用いる、請求項7に記載の製造方法。
  9. ポリラクトン構造(a1)及び/又はポリエーテル構造(a2)を有し、二重結合当量が700〜1200g/eqである多官能(メタ)アクリレート(A)を含む活性エネルギー線硬化性添加剤組成物であって、
    熱可塑性樹脂(B)と共に混錬物中に添加され、前記混錬物の成形体表面に前記(A)成分のブリードアウト層の硬化物を形成するために用いられる、添加剤組成物。
  10. ポリラクトン構造(a1)及び/又はポリエーテル構造(a2)を有し、二重結合当量が700〜1200g/eqである多官能(メタ)アクリレート化合物(A)を含む活性エネルギー線硬化性添加剤組成物と、熱可塑性樹脂(B)とを含む樹脂ペレット。
  11. ポリラクトン構造(a1)及び/又はポリエーテル構造(a2)を有し、二重結合当量が700〜1200g/eqである多官能(メタ)アクリレート(A)を含む活性エネルギー線硬化性添加剤組成物と、熱可塑性樹脂(B)とを含む混錬物の成形体であって、
    前記成形体表面に前記(A)成分のブリードアウト層の硬化物が形成されている、樹脂成形体。
  12. 前記ブリードアウト層の硬化物の厚さが、赤外線吸収スペクトルにおいて、前記(B)成分におけるメチレン基のC−H変角振動に由来するピークの吸光度に対する前記(a1)構造におけるエステル基のC=O伸縮振動に由来するピークの吸光度の比が0.6以上となる厚さである、請求項11に記載の樹脂成形体。
  13. 車両の内外装材である、請求項11又は12に記載の樹脂成形体。
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