JP2021195356A - 歯科用硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来の歯科用硬化性組成物と比べて機械的強度の低下を起こさず柔軟性を付与した硬化体物性が得られる歯科用硬化性組成物を提供すること。【解決手段】 ジフェニルエーテルのベンゼン環における一つの水素原子が、末端に1つの(メタ)アクリロイル基を有する一価の有機基で置換された構造を有する特定の重合性単量体と、多官能性(メタ)アクリル系重合性単量体又は、多官能性(メタ)アクリル系重合性単量体及び上記特定の重合性単量体以外の単官能性(メタ)アクリル系重合性単量体からなり、上記特定の重合性単量体の含有率が10〜50質量%である重合性単量体成分を含む歯科用硬化性組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、歯科用硬化性組成物に関する。さらに詳しくは、機械的強度、柔軟性、及び生体安全性に優れた硬化体を与えることのできる歯科用硬化性組成物に関する。
近年、歯科分野においては、デジタル化の普及によりコンピュータ画面上で歯科補綴物の形状を設計し、切削加工装置を用いて被削材料を削り出し補綴物を形成する技術や、光学的立体造形装置を用いて光硬化性材料を一層ずつ積層し補綴物を形成する技術が提案されている。これら技術は、CAD(Computer Aided Desaign/CAM(Computer Aided Manufacturing)システムと総称されるものであり、上記被削材料や光硬化性材料としては、重合性単量体成分を含む歯科用硬化性組成物が使用されている。
例えば、特許文献1には、「ウレタン化(メタ)アクリル化合物(A)、イオン性基を有する重合性単量体(B)、及び光重合開始剤(C)を含有し、前記ウレタン化(メタ)アクリル化合物(A)が、1分子内に、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリ共役ジエン、及び水添ポリ共役ジエンからなる群より選ばれる少なくとも1種の構造、及びウレタン結合を含有する(メタ)アクリレートである、光硬化性樹脂組成物」が開示されている。そして、特許文献1には、上記光硬化性樹脂組成物を用いて光造形して得られる硬化体は、ウレタン化(メタ)アクリル化合物(A)から形成される水素結合を介したポリマーネットワーク、イオン性基を有する重合性単量体(B)に含まれるイオン結合を介したポリマーネットワークが相互に介在することによって、それぞれ単独のネットワークが形成された状態より剛性が増し、さらに、2種類の可逆的な結合が、応力の負荷によって段階的に開裂し、降伏後の伸びを発現するため、靭性の改善されたものであること、イオン性基を有しない(メタ)アクリルアミド化合物(D)を含むことにより上記効果がより高くなること、並びにこれら光硬化性樹脂組成物は、マウスガード、咬合用スプリント、及び義歯床材に好適に使用できること、なども記載されている。
特開2019−199448号公報
津谷祐子等、「環境に広がるイソシアネートの有害性」、臨床環境、2012年、第21巻、82−94頁
一般に、機械的強度(例えば曲げ強さ)と柔軟性或いは靱性(例えば弾性率)はトレードオフの関係にあるところ、前記特許文献1に記載された前記光硬化性樹脂組成物は剛性と靱性に優れる硬化体を与えることができる優れたものであると言える。
ところが、前記特許文献1に記載の光硬化性樹脂組成物は、生体への為害性が指摘されているイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を原料としたウレタン化(メタ)アクリル化合物を構成成分としている(イソシアネート化合物の生体への為害性に関しては、非特許文献1参照。)。このため、重合性単量体成分の原料となるモノマーの製造工程における環境管理や製品中にイソシアネート化合物が残留していないことを確認することを含む品質管理に細心の注意が必要である。
そこで、本発明は、硬化物の機械的強度の低下を起こさず柔軟性を付与することができ、且つ不純物としてイソシアネート化合物が混入する懸念の無い歯科用硬化性組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、原料としてイソシアネート化合物を使用せずに製造できる重合性単量体のみを用いて、機械的強度と柔軟性を両立できる硬化体を得る方法について種々検討を行った。その結果、ジフェニルエーテル(Diphenyl ether:DPE)のベンゼン環における一つの水素原子が、末端に1つの(メタ)アクリロイル基を有する一価の有機基で置換された構造を有する特定の単官能性重合性単量体を用いた場合には、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するにいたった。
即ち、本発明の一の形態は、重合性単量体成分を含む歯科用硬化性組成物であって、前記重合性単量成分の10〜50質量%が、下記式(1)で表される単官能性(メタ)アクリル系重合性単量体であり、残部が多官能性(メタ)アクリル系重合性単量体又は、多官能性(メタ)アクリル系重合性単量体及び前記一般式(1)で示される単官能性(メタ)アクリル系重合性単量体以外の単官能性(メタ)アクリル系重合性単量体からなる、ことを特徴とする前記歯科用硬化性組成物である。
Figure 2021195356
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、aは0〜4の整数を表す。)
上記本発明の一の形態の歯科用硬化性組成物(以下、「本発明の歯科用硬化性組成物」とも言う。)においては、前記残部における前記多官能性(メタ)アクリル系重合性単量体の含有割合が、前記残部の総質量基準で80質量%以上であることが好ましい。また、前記重合性単量成分は、ウレタン化(メタ)アクリル化合物を含まないことが好ましく、前記重合性単量体100質量部に対して0.01〜10質量部の重合開始剤を更に含むことも好ましい。
これら本発明の歯科用硬化性組成物のうち、前記重合性単量体成分100質量部に対して50〜400質量部の有機充填材を更に含むものは、義歯床用又は義歯床裏装用の歯科用硬化性組成物として好適である。また、前記重合性単量体成分100質量部に対して50〜900質量部の無機充填材を更に含むものは、人工歯用又は歯冠修復用の歯科用硬化性組成物として好適である。
本発明の歯科用硬化性組成物によれば、機械的強度の低下を起こさず柔軟性を有する硬化体を得ることができる。しかも、生体への為害性が指摘されているイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を原料としたウレタン化(メタ)アクリル化合物を使用しなくてもよいため、不純物としてイソシアネート化合物が混入する懸念が無い。そのため、本発明の歯科用硬化性組成物からなる硬化体は、義歯床用もしくは義歯床裏装用、あるいは、人工歯用もしくは歯冠修復用として好適に使用できる。
以下、本発明の歯科用硬化性組成物について詳しく説明する。
なお、本明細書においては特に断らない限り、数値x及びyを用いた「x〜y」という表記は「x以上y以下」を意味するものとする。かかる表記において数値yのみに単位を付した場合には、当該単位が数値xにも適用されるものとする。また、本明細書において、「(メタ)アクリル系」との用語は「アクリル系」及び「メタクリル系」の両者を意味する。同様に、「(メタ)アクリレート」との用語は「アクリレート」及び「メタクリレート」の両者を意味し、「(メタ)アクリロイル」との用語は「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両者を意味する。
1.重合性単量成分
本発明の歯科用硬化性組成物の最大の特長は、重合性単量体成分として、下記式(1)で表される構造を有する単官能性(メタ)アクリル系重合性単量体(以下、「DPE骨格単官能(メタ)アクリレート」とも言う。)を特定の含有率(具体的には10〜50質量%)で含み、且つ重合性単量体成分におけるDPE骨格単官能(メタ)アクリレート以外の残余の成分を、多官能性(メタ)アクリル系重合性単量体(以下、「多官能(メタ)アクリレート」とも言う。)又は、多官能(メタ)アクリレート及び前記一般式(1)で示される単官能性(メタ)アクリル系重合性単量体以外の単官能性(メタ)アクリル系重合性単量体(以下、「その他単官能(メタ)アクリレート」とも言う。)とした点にある。このことによって、ウレタン化(メタ)アクリル化合物を使用することなく、機械的強度が高く柔軟性を有する硬化体を得ることが可能となっている。
1−1.DPE骨格単官能(メタ)アクリレート
DPE骨格単官能(メタ)アクリレートは、下記一般式で示される化合物である。
Figure 2021195356
ただし、前記一般式(1)における、Rは水素原子又はメチル基を表し、aは0〜4の整数を表す。
上記式に示されるように、DPE骨格単官能(メタ)アクリレート分子中に2つのベンゼン環を含み、且つ、該2つのベンゼン環が1つの酸素原子を介して結合したジフェニルーテル骨格(DPE骨格)を有することで、分子自身が剛直性と柔軟性を持ち合わせていることから、硬化体においてもその特長が反映されたものと考えられる。
DPE骨格単官能(メタ)アクリレートとしては、下記式(a)〜(d)に示す化合物が好適に使用できる。特に(a)および(b)が好適に使用でき、これらは1種又は2種以上を混合して使用してもよい。
Figure 2021195356
本発明の歯科用硬化性組成物の重合性単量体成分におけるDPE骨格単官能(メタ)アクリレートの配合割合は、重合性単量体成分の総質量を基準として10〜50質量%である。当該範囲外の場合には、硬化体において機械的強度(例えば曲げ強さ)と柔軟性或いは靱性(例えば弾性率)を両立させることが困難となる。すなわち、上記配合割合が10質量%未満であると硬化物の柔軟性が損なわれ、50質量%を超えると、硬化物の機械的強度が低下する。効果の観点から、DPE骨格単官能(メタ)アクリレートの配合割合は、15〜45質量%、特に20〜40質量%であることが好ましい。
1−2.多官能(メタ)アクリレート
重合性単量体成分におけるDPE骨格単官能(メタ)アクリレート以外の残余の成分は、多官能(メタ)アクリレートを含む。多官能(メタ)アクリレートとしては従来の歯科用硬化性組成物で使用されているものが特に制限なく使用できる。好適に使用できる。好適に使用できる、多官能(メタ)アクリレートを官能数ごとに例示すれば、以下のとおりである。
二官能(メタ)アクリレート:
(i)芳香族化合物系のものとして;2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン)、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジトリエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−(メタ)アクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン等を挙げることができる。
(ii)脂肪族化合物系のものとして;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
三官能(メタ)アクリレート:
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
四官能(メタ)アクリレート:
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等を挙げることができる。
これらの多官能(メタ)アクリレートは、一種を単独で用いても良いが、二種以上を組合せて使用しても良い。
重合性単量体成分における多官能(メタ)アクリレートの含有率DPE骨格単官能(メタ)アクリレート以外の残余の成分に全てであること、すなわち、DPE骨格単官能(メタ)アクリレートの含有率が10〜50質量%のときは90〜50質量%であり、DPE骨格単官能(メタ)アクリレートの含有率が15〜45質量%のときは85〜55質量%であり、DPE骨格単官能(メタ)アクリレートの含有率が20〜40質量%のときは80〜60質量%であることが好ましい。しかし、その他単官能(メタ)アクリレートと併用することもできる。このとき、DPE骨格単官能(メタ)アクリレート以外の残余の成分の総質量の80質量%以上、特に90質量%以上は、多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
1−3.その他単官能(メタ)アクリレート
重合性単量体成分は、その他単官能(メタ)アクリレートを含んでも良い。その他単官能(メタ)アクリレートとしては従来の歯科用硬化性組成物で使用されているものが特に制限なく使用できる。好適に使用できる“その他単官能(メタ)アクリレート”を例示すれば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクタデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロキシエチルプロピオネート、エトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を混合して使用してもよい。これらその他単官能(メタ)アクリレートの配合割合は、DPE骨格単官能(メタ)アクリレート以外の残余の成分の総質量の20質量%未満、特に10質量%未満であることが好ましい。
1−4.ウレタン化(メタ)アクリル化合物
本歯発明の歯科用硬化性組成物は、不純物として生体への為害性が指摘されているイソシアネート化合物が混入する懸念を払拭するために、また、重合性単量体成分の構成成分となる重合性単量体を製造する過程でイソシアネート化合物を取り扱う必要をなくすために、イソシアネート化合物を原料としたウレタン化(メタ)アクリル化合物を含まない(具体的には、重合性単量体成分の総質量基準で1質量ppm以下、特に0.1ppm以下である)ことが好ましい。ここでイソシアネート化合物とはイソシアネート基(−N=C=O)を持つ化合物を意味し、単分子の他、プレポリマーや多分子(ポリイソシアネート)をも含む。イソシアネート化合物と、アルコール性水酸基を有するアルコール化合物と、が反応すると付加反応によりウレタン結合{−NH−C(=O)−O−}が形成される。ウレタン化(メタ)アクリル化合物は、このような機構によりイソシアネート化合物と片末端に水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とを反応させることにより得られる化合物、すなわち分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物を意味する。
2.配合することが好ましい、その他成分
本発明の歯科用硬化性組成物は、重合開始剤及び/又は充填材を更に含むことが好ましい。
2−1.重合開始剤
重合開始剤としては、従来の歯科用硬化性組成物で使用されるラジカル重合開始剤、具体的には熱重合開始剤、常温重合開始剤及び光重合開始剤が特に限定されず使用できる。本発明の歯科用硬化性組成物を口腔内で重合硬化させて使用する場合には、加熱することが困難であるため、重合開始剤としては常温重合開始剤及び/又は光重合開始剤を使用するのが好適である。
以下、各ラジカル重合開始剤について説明する。
ラジカル重合開始剤が熱重合開始剤である場合について説明する。熱重合開始剤としては、加熱によってラジカルを発生するものであれば何ら制限なく使用され、有機過酸化物、アゾ化合物等が好適に用いられる。好適に使用できる有機過酸化物を具体的に例示するとベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。また、好適に使用できるアゾ化合物を具体的に例示すると2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。
本発明で使用可能な常温重合開始剤としては、有機過酸化物/アミン化合物、又は有機過酸化物/アミン化合物/スルフィン酸塩からなるレドックス型の重合開始剤;酸と反応して重合を開始する有機金属型の重合開始剤;及びピリミジントリオン誘導体/有機金属化合物/ハロゲン化合物からなる重合開始剤等が好適に使用される。このような常温重合開始剤の具体例としては、例えば特開2002−161013号公報や、特開2017−141213号公報、に例示されているものを使用できる。
例えば上記レドックス型の常温重合開始剤である有機過酸化物/アミン化合物の組み合わせのうち好適なものを具体的に例示すると、ベンゾイルパーオキサイド/N,N'−ジメチル−p−トルイジン、ベンゾイルパーオキサイド/N,N'−ジエチル−p−トルイジン、ベンゾイルパーオキサイド/p−トリルジエタノールアミンの組み合わせ等が挙げられる。
上記常温重合開始剤を用いて硬化させる方法は特に限定されないが、一般にはベンゾイルパーオキサイドを配合したユニットとアミンを配合したユニットを使用時に適切な比率で混和して、常温で重合して使用するのが好適である。
また、光重合開始剤としては、光増感剤のみからなるもの;光増感剤/光重合促進剤からなるもの;色素/光酸発生剤/スルフィン酸塩;色素/光酸発生剤/アリールボレート化合物からなるもの等が好適に使用される。このような、光重合開始剤の具体例としては、特開2008−37851号公報に例示されているものを使用できる。
また、本発明の歯科用硬化性組成物をデュアルキュア型にする場合には、上記常温重合開始剤とカンファーキノン等のα−ジケトン類及びジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のアミンの組み合わせからなる、又はビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド誘導体からなる光重合開始剤の併用が、操作性、及び機械的強度の観点から好適である。
前述した重合開始剤の配合量は、硬化体の強度等の諸物性の観点から、重合性単量体成分の総量100質量部に対して、0.01〜10質量部の範囲であるのが好ましく、0.1〜5質量部であることがより好ましい。
2−2.充填材
充填材としては、従来の歯科用硬化性組成物に配合される有機充填材、無機充填材、有機無機複合充填材が特に制限なく使用できる。
有機充填材の例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート−ポリエチルメタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などの有機高分子からなる粒子が挙げられる。これらは、一種または二種以上を混合して使用しても良い。
本発明の歯科用硬化性組成物を義歯床用もしくは義歯床裏装用に用いる場合には、柔軟性の観点からこれら有機充填材が好適に使用される。このとき、該有機充填剤の配合量は、重合性単量体成分の総質量:100質量部に対して、50〜400質量部とすることが好ましく、80〜300質量とすることが特に好ましい。また、前記有機充填材の平均粒子径は、1〜300μmであることが好ましく、5〜200μmであることがより好ましい。なお、本明細書において、充填材の平均粒子径とは、試料粉体を分散媒に分散させ、レーザー回折散乱法の原理による粒度分布計を用いて測定された体積分率で表示したメジアン径の値を言う。
無機充填材としては、具体的には、非晶質シリカ、シリカ−ジルコニア、シリカ−チタニア、シリカ−チタニア−酸化バリウム、シリカ−チタニア−ジルコニア、石英、アルミナ、ガラスなどの球形状粒子あるいは不定形状粒子を挙げることができる。このうち、シリカとジルコニア、またはシリカと酸化バリウムとを主な構成成分とする複合無機酸化物、例えば、シリカ−ジルコニア、シリカ−チタニア−酸化バリウム、シリカ−チタニア−ジルコニアが、高いX線造影性を有するため好ましく使用される。該無機充填材の平均粒子径は、0.01〜10μmであることが好ましく、0.1〜1μmであることがより好ましい。
該無機充填材は、機械的強度や耐水性を向上させるために、シランカップリング剤に代表される表面処理剤で処理されていることが多い。表面処理の方法は公知の方法で行えばよく、シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(2‐メトキシエトキシ)シラン、3‐メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3‐メタクリロイルオキシプロピルトリス(2‐メトキシエトキシ)シラン、3‐クロロプロピルトリメトキシシラン、3‐クロロプロピルメチルジメトキシシランなどが好適に用いられる。上記シランカップリング剤は、重合性単量体に合わせて、適時選択すればよく、1種類あるいは2種類以上を合わせて用いることができる。
有機無機複合充填材の例としては、前述の無機充填材と重合性単量体を混合した後、重合させ、粉砕して得られる粒状の有機無機複合充填材が挙げられる。
本発明の歯科用硬化性組成物を、人工歯用もしくは歯冠修復用として使用する場合には、無機充填材を配合することが好ましい。このとき、無機充填材は、無機充填材のままで配合しても良いし、有機無機複合充填剤として配合しても良いし、両者の混合物として配合しても良い。このときの無機充填材の配合量は、重合性単量体成分の総質量:100質量部に対して50〜900質量部とすることが好ましく、80〜800質量部とすることが特に好ましい。また、有機無機複合充填材を配合する場合における当該有機無機複合充填材の平均粒子径は、1〜50μmであることが好ましく、10〜40μmであることがより好ましい。
3.本発明の歯科用硬化性組成物の調製方法及び用途
本発明の歯科用硬化性組成物は、前記各必須成分及び必要に応じて添加する各任意成分を所定量図りとり、これらを混合又は混練しことによって容易に要請することができる。このとき、本発明の効果を阻害しない範囲で、水や有機溶媒、粘度調整剤、可塑剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、重合調整剤、色素、顔料、蛍光剤、X線造影剤、香料等のその他の成分を配合してもよい。
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例、比較例を挙げて説明するが、本発明の技術的思想は、これらにより何ら制限されるものではない。
先ず、実施例及比較例における各種物性測定方法について説明する。
(1)曲げ強さ・弾性率
歯科用硬化性組成物が光重合開始剤を用いる場合は、ステンレス製型枠に充填し、ポリプロピレンで圧接した状態で、可視光線照射器パワーライト(トクヤマ社製)を用いて一方の面から30秒×3回、全体に光が当たるように場所を変えてポリプロピレンに密着させて光照射を行なった。次いで、反対の面からも同様にポリプロピレンに密着させて30秒×3回光照射を行い、硬化体を得た。#1500の耐水研磨紙にて、硬化体を2×2×25mmの角柱状に整え、試料片とした。また、歯科用硬化性組成物が常温重合開始剤を用いる場合は、ステンレス製型枠に充填し、ポリプロピレンで圧接した状態で、37℃の雰囲気下で1時間静置し、硬化体を得た。#1500の耐水研磨紙にて、硬化体を2×2×25mmの角柱状に整え、試料片とした。得られた試験片を試験機(島津製作所製、オートグラフAG5000D)に装着し、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード1mm/分で3点曲げ破壊強度を測定し、荷重−たわみ曲線を得、以下に示す式により、曲げ強さ:σ(Pa)及び曲げ弾性率:EB(Pa)を求めた。なお、試験片5個について評価し、その平均値を曲げ強さとした。
Figure 2021195356
Figure 2021195356
但し、前記式中の各記号の意味及び単位は以下に示すとおりである。
P:試験片破折時の荷重(N)
S:支点間距離(m)
W:試験片の幅(m)
B:試験片の厚さ(m)
F/Y:荷重−たわみ曲線の直線部分の勾配(N/m)。
(2)破断確率
前記曲げ強さ・弾性率の測定において、破断したサンプル数を測定に供したサンプル数の5で除した際の100分率を破断確率とした。
次に、以下の実施例および比較例で用いた化合物の略称を以下に示す。
(A)DPE骨格単官能(メタ)アクリレート
a〜d:夫々下記式(a)〜(d)で示される化合物
Figure 2021195356
(A´)その他単官能(メタ)アクリレート
・AAEM:アセトアセトキシエチルメタクリレート
・BM:ベンジルメタクリレート。
(B)多官能(メタ)アクリレート
・ND:1,9−ノナメチレンジオールジメタクリレート
・D−2.6E:2,2−ビス[(4−メタクリロイルオキシポリエトキシ)フェニル]プロパン
・3G:トリエチレングリコールジメタクリレート。
(C)重合開始剤
・CQ:カンファーキノン
・DMBE:p−ジメチルアミノ安息香酸エチル
・BPO:過酸化ベンゾイル
・DMPT:ジメチル−p−トルイジン。
(D)充填剤
・PEMA:非架橋ポリエチルメタクリレート(平均粒径:35μm)
・Si−Zr:球状シリカ−ジルコニア(γ―メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物、平均粒径:0.5μm)。
実施例1
(A)DPE骨格単官能(メタ)アクリレートとして化合物aを30g、(B)多官能(メタ)アクリレートとしてNDを70g、(C)重合開始剤として光重合性開始剤であるCQ0.8gとDMBE0.4gを、それぞれ秤量し、撹拌子を入れた遮光性ガラス容器にて混合し、均一な硬化性組成物を得た。本組成物を前記測定方法にて評価した結果、曲げ強さは65MPa、弾性率は1.3GPa、破断確率は0%であった。
実施例2〜5、及び比較例1〜3
実施例1で用いた組成から表1に示す組成に変えた他は実施例1と同様にして硬化性組成物を調製し、実施例1と同様の方法にて評価を行った。組成および評価の結果を表1に示す。表1中の数値は、各成分の配合量(単位:質量部)を表す。
比較例1および比較例2は、(A)DPE骨格単官能(メタ)アクリレートとは異なる構造を有する(A´)その他単官能(メタ)アクリレートを用いた例であるが、曲げ強さは維持できているものの、弾性率の値が大きくなり、柔軟性を損ない、破断確率が上昇した。
Figure 2021195356
実施例6〜12、及び比較例4〜5
実施例1で用いた組成から表2に示す組成に変えた他は実施例1と同様にして硬化性組成物を調製し、実施例1と同様の方法にて評価を行った。を組成および評価の結果を表2に示す。表2中の数値は、各成分の配合量(単位:質量部)を表す。
比較例4は、(A)DPE骨格単官能(メタ)アクリレートの配合量が本発明における下限値未満と少ない場合の例であるが、曲げ強さは向上するものの弾性率の値は大きくなり柔軟性が損なわれている。破断確率も60%であった。
比較例5は、(A)DPE骨格単官能(メタ)アクリレートの配合量が本発明における上限値を越えて多い場合の例であるが、曲が弾性率の値は低下し、柔軟性は損なわれていないが、曲げ強さが低下した。破断確率は0%であった。
Figure 2021195356
実施例13〜14、及び比較例6〜7
これら実施例および比較例は(C)充填剤を配合した硬化性組成物としての態様を示す。表3に示す組成の硬化性組成物を次のようにして調製した。すなわち、表3に示す組成の硬化性組成物を調製した後に、表3に示す各種(D)充填剤20gを計りとり、前記硬化性組成物の液10.12gを赤色光下にて徐々に加えていき、暗所にて十分に混練して均一な硬化性ペーストとした。さらにこのペーストを減圧下脱泡して気泡を除去することにより各実施例及び比較例の硬化性組成物を調製した。得られた硬化性組成物について、上記の方法に基づいて各物性を評価した。組成及び結果を表3に示す。表3中の括弧内の数値は、各成分の配合量(単位:質量部)を表す。なお、実施例13及び比較例6は、義歯床用もしくは義歯床裏装用の歯科用硬化性組成物を想定して有機充填材を配合した例であり、実施例14及び比較例7は、人工歯用もしくは歯冠修復用の歯科用硬化性組成物を想定して無機充填材を配合した例である。
比較例6及び7では、本発明で示す(A)DPE骨格単官能(メタ)アクリレートとは異なる(A´)その他単官能(メタ)アクリレートを用いたため、曲げ強さは維持されるものの、弾性率の値が大きくなり、柔軟性を損ない、破断確率が上昇した。
Figure 2021195356

Claims (6)

  1. 重合性単量体成分を含む歯科用硬化性組成物であって、
    前記重合性単量成分の10〜50質量%が、下記式(1)で表される単官能性(メタ)アクリル系重合性単量体であり、残部が多官能性(メタ)アクリル系重合性単量体又は、多官能性(メタ)アクリル系重合性単量体及び前記一般式(1)で示される単官能性(メタ)アクリル系重合性単量体以外の単官能性(メタ)アクリル系重合性単量体からなる、ことを特徴とする前記歯科用硬化性組成物。
    Figure 2021195356
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、aは0〜4の整数を表す。)
  2. 前記残部における前記多官能性(メタ)アクリル系重合性単量体の含有割合が、前記残部の総質量基準で80質量%以上である、請求項1に記載の歯科用硬化性組成物。
  3. 前記重合性単量成分が、ウレタン化(メタ)アクリル化合物を含まない、請求項1又は2に記載の歯科用硬化性組成物。
  4. 前記重合性単量体100質量部に対して0.01〜10質量部の重合開始剤を更に含む、請求項1乃至3の何れか一項に記載の歯科用硬化性組成物。
  5. 前記重合性単量体成分100質量部に対して50〜400質量部の有機充填材を更に含み、且つ義歯床用又は義歯床裏装用の歯科用硬化性組成物である、請求項1乃至4の何れか一項に記載の歯科用硬化性組成物。
  6. 前記重合性単量体成分100質量部に対して50〜900質量部の無機充填材を更に含み、且つ人工歯用又は歯冠修復用の歯科用硬化性組成物である、である、請求項1乃至4の何れか一項に記載の歯科用硬化性組成物。
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