JP2021194587A - 超純水製造装置の運転管理システム、超純水製造装置、および超純水製造装置の運転方法 - Google Patents

超純水製造装置の運転管理システム、超純水製造装置、および超純水製造装置の運転方法 Download PDF

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Abstract

【課題】サブシステムに導入される過酸化水素の濃度を適切に管理しつつ、回収システムの活性炭の交換が必要か否かを適切に判断することもできる超純水製造装置の運転管理システムを提供する。【解決手段】一次純水システム10と、二次純水システム20と、二次純水システム20からユースポイント2に供給されて使用された超純水を回収水として回収し、回収水を活性炭32で処理して一次純水システム10に還流させる回収システム30と、を有する超純水製造装置1の運転管理システム3は、二次純水システム30の上流側の所定位置から採取した試料水中の過酸化水素濃度を算出する過酸化水素濃度分析装置4と、過酸化水素濃度分析装置4による算出値に基づいて、一次純水システム10で製造された一次純水を二次純水システム20に供給するか否かを制御するとともに、回収システム30の活性炭32が劣化しているか否かを判定する制御装置5と、を有している。【選択図】図1

Description

本発明は、超純水製造装置の運転管理システム、超純水製造装置、および超純水製造装置の運転方法に関する。
従来から、半導体デバイスや液晶デバイスの製造プロセスでは、半導体ウエハやガラス基板等の電子部品を洗浄する洗浄液として、不純物が高度に除去された超純水が用いられている。超純水は、一般に、原水(河川水、地下水、工業用水など)を、前処理システム、一次純水システム、および二次純水システム(サブシステム)で順次処理することにより製造されている。
こうした超純水製造装置の中には、洗浄などに使用された超純水を回収水として回収し、過酸化水素などの薬品を活性炭で分解処理した回収処理水を前処理システムや一次純水システムに還流させる回収システムを備えたものがある(例えば、特許文献1,2参照)。このような回収システムでは、例えば、過酸化水素濃度が活性炭で処理しきれないほど高い場合など、回収処理水に比較的高濃度の過酸化水素が残留して一次純水システムに導入されてしまい、それが一次純水システムでも処理されずにサブシステムに導入されてしまうことがある。そのような過酸化水素は、サブシステムでも処理されないため、例えば超純水をシリコンウエハの洗浄液として使用する場合、シリコンウエハの表面に自然酸化膜を形成したり、微細な配線を腐食させたりするなどの要因となる。そこで、特許文献3に記載の超純水製造装置では、サブシステムに導入される過酸化水素の濃度を管理するために、一次純水システムの任意の位置における過酸化水素濃度に基づいて、サブシステムへの一次純水の供給を制御することが行われている。
特開平7−328693号公報 特開2004−181364号公報 特開2004−181369号公報
回収処理水に比較的高濃度の過酸化水素が残留する原因としては、上述したものの他、経年劣化によって活性炭の機能が低下している可能性も考えられる。したがって、回収システムを備えた超純水製造装置では、一次純水システム内の過酸化水素濃度が上昇した場合、それが活性炭の経年劣化によるものかどうかを適切に判断し、活性炭の交換が必要か否かを適切に判断する必要がある。しかしながら、特許文献3に記載の超純水製造装置では、一次純水システム内の過酸化水素濃度の上昇がどのような原因で発生するのかについては何も考慮されていないため、実際に過酸化水素濃度が上昇しても、それが活性炭の経年劣化によるものかどうかを判断することができない。そのため、活性炭が劣化していないにもかかわらず早めに交換されることで、交換頻度が増加したり、活性炭が劣化しているにもかかわらず交換されないことで、無駄なダウンタイムが発生したりする可能性がある。
そこで、本発明の目的は、サブシステムに導入される過酸化水素の濃度を適切に管理しつつ、回収システムの活性炭の交換が必要であるか否かを適切に判断することもできる超純水製造装置の運転管理システム、超純水製造装置、および超純水製造装置の運転方法を提供することである。
上述した目的を達成するために、本発明の超純水製造装置の運転管理システムは、一次純水システムと、二次純水システムと、二次純水システムからユースポイントに供給されて使用された超純水を回収水として回収し、回収水を活性炭で処理して一次純水システムまたはその上流側に還流させる回収システムと、を有する超純水製造装置の運転管理システムであって、二次純水システムの上流側の所定位置から採取した試料水中の過酸化水素濃度を算出する過酸化水素濃度分析装置と、過酸化水素濃度分析装置による算出値に基づいて、一次純水システムで製造された一次純水を二次純水システムに供給するか否かを制御するとともに、回収システムの活性炭が劣化しているか否かを判定する制御装置と、を有している。また、本発明の超純水製造装置は、上記の運転管理システムを有している。
また、本発明の超純水製造装置の運転方法は、一次純水システムと、二次純水システムと、二次純水システムからユースポイントに供給されて使用された超純水を回収水として回収し、回収水を活性炭で処理して一次純水システムまたはそれよりも上流側に還流する回収システムと、を有する超純水製造装置の運転方法であって、二次純水システムの上流側の所定位置から試料水を採取し、採取した試料水中の過酸化水素濃度を算出する工程と、算出された過酸化水素濃度に基づいて、一次純水システムで製造された一次純水を二次純水システムに供給するか否かを制御するとともに、回収システムの活性炭が劣化しているか否かを判定する工程と、を含んでいる。
このような超純水製造装置の運転管理システム、超純水製造装置、および超純水製造装置の運転方法によれば、一次純水システム内の過酸化水素濃度が上昇しても、その過酸化水素が二次純水システム(サブシステム)に導入されることを抑制することができる。加えて、そのような過酸化水素濃度の上昇が回収システムの活性炭の経年劣化によるものかどうかを適切に判断し、活性炭の交換が必要か否かを適切に判断することもできる。
以上、本発明によれば、サブシステムに導入される過酸化水素の濃度を適切に管理しつつ、回収システムの活性炭の交換が必要か否かを適切に判断することもできる。
本発明の一実施形態に係る超純水製造装置の概略構成図である。 本実施形態の過酸化水素濃度分析装置の第1の構成例を示す概略図である。 本実施形態の過酸化水素濃度分析装置の第2の構成例を示す概略図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る超純水製造装置の概略構成図である。なお、図示した超純水製造装置の構成は、単なる一例であり、本発明を制限するものではない。
超純水製造装置1は、河川水、地下水、工業用水などの原水を順次処理することにより超純水を製造し、その超純水をユースポイント2に供給するものであり、一次純水システム10と二次純水システム(サブシステム)20を有している。また、超純水製造装置1は、ユースポイント2に供給されて使用された超純水を回収水として回収して処理する回収システム30を有している。
一次純水システム10は、前処理システム(図示せず)で除濁や脱塩素などの前処理が施された原水(前処理水)を順次処理して一次純水を製造するものであり、前処理水タンク11と、熱交換器12と、紫外線酸化装置13と、精密ろ過膜装置14と、逆浸透膜装置15と、混床式イオン交換装置16と、膜脱気装置17とを有している。これらは、超純水製造装置の一次純水システムにおいて一般的に採用されるものであり、各装置の詳細な構成や機能については、例えば、国際公開第2009/082008号を参照されたい。
一次純水システム10で製造された一次純水は、一次純水供給ラインL1を通じてサブシステム20に供給される。一次純水供給ラインL1には、三方弁TV1を介して一次純水還流ラインL2が接続され、その下流側は前処理水タンク11に接続されている。これにより、例えば、装置起動時や運転再開時、サブシステム20で一次純水の需要がないときに加え、後述するように、一次純水の水質が悪化したときなどに、一次純水システム10で製造された一次純水を前処理水タンク11に還流させることができる。前処理水タンク11には、必要に応じて、前処理水供給ラインL3を通じて前処理水が供給される。また、一次純水供給ラインL1にはバルブV1が設けられ、その上流側には、バルブV2を介して一次純水排出ラインL4が接続されている。
サブシステム20は、一次純水システム10で製造された一次純水を順次処理して超純水を製造し、その超純水をユースポイント2に供給するものであり、一次純水タンク21と、紫外線酸化装置22と、非再生型混床式イオン交換装置23と、限外ろ過膜装置24とを有している。これらは、超純水製造装置のサブシステムにおいて一般的に採用されるものであり、そのため、ここでは各装置の詳細な構成や機能の説明は省略する。なお、サブシステム20で製造された超純水は、一部がユースポイントに供給されて使用され、残りが一次純水タンク21に還流される。
回収システム30は、回収水タンク31と、活性炭処理装置32と、混床式イオン交換装置33とを有している。ユースポイント2に供給されて使用された超純水は、回収ラインL5を通じて回収され、回収水として回収水タンク31に貯留される。なお、回収ラインL5には、バルブV3と、導電率計や全有機炭素(TOC)濃度計などの水質計(図示せず)が設けられ、バルブV3の上流側には、バルブV4を介して回収水排出ラインL6が接続されている。これにより、使用済みの超純水のうち一定の水質基準を満たしたもの、すなわち、導電率とTOC濃度のいずれもが基準値以下となったものを回収することができる。回収水タンク31に貯留された回収水は、活性炭を含む活性炭処理装置32で主に過酸化水素が除去された後、混床式イオン交換装置33でイオン類が除去される。こうして処理された回収処理水は、回収処理水ラインL7を通じて前処理水タンク11に還流される。なお、回収処理水ラインL7は、前処理システムに接続されていてもよく、したがって、回収処理水が前処理システムに還流されるようになっていてもよい。
ところで、一次純水システム10の紫外線酸化装置13では、被処理水に含まれるTOCを分解するための紫外線酸化処理の過程で微量の過酸化水素が生成されることが知られている。このときの過酸化水素濃度は、被処理水のTOC濃度や処理流量が変動せず、紫外線の照射強度が一定の場合には一定であるが、被処理水のTOC濃度や処理流量が低下したり、紫外線の照射強度を上げたりした場合には上昇し、サブシステム20に対する給水の水質基準を満たさなくなることがある。このような状況に対し、サブシステム20では、過酸化水素を分解処理するための特別な構成が設けられていないため、サブシステム20に過剰な過酸化水素が導入されると、それがそのままユースポイント2に供給されてしまう。このような過酸化水素は、例えば超純水をシリコンウエハの洗浄用水として使用する場合、シリコンウエハの表面に自然酸化膜を形成したり、微細な配線を腐食させたりするなどの要因となる。
そこで、本実施形態の超純水製造装置1は、一次純水システム10からサブシステム20に導入される過酸化水素の濃度を適切に管理するための構成として、運転管理システム3を有している。運転管理システム3は、過酸化水素濃度分析装置4と制御装置5を有している。
過酸化水素濃度分析装置(以下、単に「濃度分析装置」ともいう)4は、一次純水供給ラインL1にサンプリング配管L10を介して接続され、サンプリング配管L10を通じて採取される試料水(一次純水)中の過酸化水素濃度を分析(算出)するものである。詳細は後述するが、濃度分析装置4は、過酸化水素を水と酸素に分解する手段として、白金族金属が担体に担持された白金族金属担持触媒を有している。濃度分析装置4は、白金族金属担持触媒の過酸化水素分解機能を利用し、過酸化水素の分解前後での試料水中の溶存酸素濃度を比較することで、試料水中の過酸化水素濃度を算出することができる。濃度分析装置4の詳細な構成については後述する。
制御装置5は、濃度分析装置4による過酸化水素の算出濃度(算出値)に基づいて、一次純水システム20で製造された一次純水をサブシステム20に供給するか否かを制御するものである。具体的には、制御装置5は、過酸化水素の算出濃度が所定値以下の場合に、一次純水システム10で製造された一次純水をサブシステム20に供給する給水運転を実行し、過酸化水素の算出濃度が所定値を超えた場合に、製造された一次純水を前処理水タンク11に還流させる循環運転を実行する。すなわち、通常は給水運転が行われ、必要に応じて、一次純水排出ラインL4のバルブV2が閉鎖されるとともに、一次純水供給ラインL1のバルブV1が開放されることで、一次純水システム10からサブシステム20に一次純水が供給される。そして、過酸化水素の算出濃度が所定値を超えると、循環運転が行われ、バルブV1,V2が共に閉鎖され、三方弁TV1の位置が切り替えられることで、一次純水還流ラインL2を通じて前処理水タンク11に一次純水が還流される。このように、一次純水システム10で過剰な過酸化水素が生成されても、サブシステム20への一次純水の供給が停止されるため、そのような過剰な過酸化水素がサブシステム20に導入されることを抑制することができる。なお、このときの所定値は、特に限定されず、実際の装置構成に応じて適宜設定することができ、例えば、20〜30ppbである。
一方で、循環運転時には、一次純水が前処理水タンク11(一次純水システム10の入口側)に還流されるのと同時に、前処理水供給ラインL3を通じて前処理水タンク11に前処理水が供給される水質回復工程が実行される。これにより、所定値を超える濃度の過酸化水素を含む一次純水が前処理水で希釈され、一次純水システム10内の過酸化水素濃度が低下する。そして、濃度分析装置4による過酸化水素の算出濃度が所定値以下になった時点で、前処理水タンク11への前処理水の供給が停止され、水質回復工程が終了するのと同時に、循環運転から給水運転への切り替えが行われ、サブシステム20への一次純水の供給が再開される。
なお、循環運転時に前処理水タンク11の空き容量に余裕がない場合には、それを確保するために、三方弁TV1の位置を切り替えるとともに、一次純水排出ラインL4のバルブV2を開放することで、必要に応じて一次純水システム10内の一次純水を外部に排出してもよい。また、水質回復工程では、前処理水による希釈効果で過酸化水素濃度を低下させる代わりに、一次純水還流ラインL2に活性炭を設置したり、一次純水還流ラインL2を流れる一次純水に亜硫酸ナトリウムなどの還元剤を添加したりすることで、一次純水中の過酸化水素を分解処理してもよい。ただし、一次純水還流ラインL2に活性炭を設置する場合、活性炭から発生する微粒子を除去するためのフィルタを追加で設置することが好ましく、還元剤を添加する場合、余分な還元剤を除去するための手段(イオン交換樹脂など)を一次純水還流ラインL2に設置することが好ましい。
上述したように、一次純水システム10内の過酸化水素濃度の上昇は、被処理水(前処理水)のTOC濃度や処理流量の変動などに応じて発生するが、その他にも、回収システム30による過酸化水素の処理性能が低下した場合に発生することがある。すなわち、活性炭処理装置32の活性炭が経年劣化すると、回収水中の過酸化水素が十分に分解処理されず、回収処理水に比較的高濃度の過酸化水素が残留してしまい、一次純水システム10内の過酸化水素濃度を上昇させることがある。この場合、上述した水質回復工程により一時的に過酸化水素濃度が低下しても、高濃度の過酸化水素を含む回収処理水が一次純水システム10に還流され続けるため、一次純水システム10内の過酸化水素濃度はすぐに上昇してしまう。
逆に言えば、制御装置5は、水質回復工程の終了後、濃度分析装置4による過酸化水素の算出濃度の変化を観察することで、活性炭処理装置32の活性炭が劣化しているか否かを判定することができる。すなわち、制御装置5は、活性炭処理装置32の活性炭の劣化の有無を判定する判定システム(状態判定システム)として機能し、過酸化水素の算出濃度が所定時間内に再び所定値を超えた場合、あるいは、算出濃度が一定以上の速度で上昇し、所定時間内に所定値を超えることが予測される場合に、活性炭処理装置32の活性炭が劣化していると判定することができる。なお、このときの所定時間は、特に限定されず、活性炭の種類や処理能力、処理水量などに応じて適宜設定することができ、例えば、最長で48時間である。
制御装置5により活性炭処理装置32の活性炭が劣化していると判定された場合、例えば、警報などでそのことを外部に通知した上で、まず、排水運転が行われる。具体的には、一次純水供給ラインL1のバルブV1が閉鎖されるとともに、一次純水排出ラインL4のバルブV2が開放されることで、一次純水システム10で製造された一次純水が外部に排出される。こうして、サブシステム20への一次純水の供給が停止されるため、所定値を超える濃度の過酸化水素がサブシステム20に導入されることが抑制される。それと同時に、それまで行われていた回収システム30による回収水の回収が停止される。具体的には、回収ラインL5のバルブV3が閉鎖されるとともに、回収水排出ラインL6のバルブV4が開放されることで、ユースポイント2で使用された超純水は、全てが回収水排出ラインL6を通じて外部に排出される。こうして、一次純水システム10への回収処理水への還流が停止されるため、高濃度の過酸化水素が一次純水システム10に導入されることが抑制される。
さらに、排水運転時には、上述した循環運転時と同様に、前処理水供給ラインL3を通じて前処理水タンク11に前処理水が供給される水質回復工程が実行される。これにより、所定値を超える濃度の過酸化水素を含む一次純水が外部に排出されつつ前処理水で希釈され、一次純水システム10内の過酸化水素濃度が低下する。そして、濃度分析装置4による過酸化水素の算出濃度が所定値以下になった時点で、前処理水タンク11への前処理水の供給が停止され、水質回復工程が終了するのと同時に、排水運転から給水運転への切り替えが行われ、サブシステム20への一次純水の供給が再開される。
なお、活性炭処理装置32の活性炭が劣化していると判定されたときに、前処理水タンク11の空き容量に、前処理水による希釈のみで過酸化水素濃度を低下させられるだけの余裕があれば、節水の観点から、排水運転の代わりに循環運転を行ってもよい。また、一次純水還流ラインL2に過酸化水素を分解処理する手段が設けられていれば、排水運転の代わりに循環運転を行ってもよい。過酸化水素を分解処理する手段としては、上述したように、活性炭や還元剤添加手段などが挙げられる。
一方で、回収システム30による回収水の回収が停止された後、活性炭処理装置32の活性炭の交換が行われる。そして、活性炭の交換後、回収水排出ラインL6のバルブV4が閉鎖されるとともに、回収ラインL5のバルブV3が開放されることで、回収システム30による回収水の回収も再開される。
以上のように、本実施形態の運転管理システム3によれば、一次純水システム10内の過酸化水素濃度が上昇しても、その過酸化水素がサブシステム20に導入されることを抑制することができる。その結果、サブシステム20に導入される過酸化水素の濃度を適切に管理することができる。加えて、一次純水システム10内の過酸化水素濃度の上昇が回収システム30の活性炭の経年劣化によるものかどうかを適切に判断することができ、活性炭の交換が必要か否かを適切に判断することもできる。
図示した構成では、濃度分析装置4は膜脱気装置17の下流側に設けられているが、濃度分析装置4の設置位置は、サブシステム20の上流側であれば、一次純水システム10内の任意の位置でよい。ただし、濃度分析装置4の白金族金属担持触媒は、イオン成分により劣化する可能性があり、イオン成分との共存下で過酸化水素の分解性能が低下する可能性がある。また、詳細は後述するが、濃度分析装置4による過酸化水素濃度の分析精度は、試料水中の溶存酸素濃度と溶存水素濃度に左右される。したがって、濃度分析装置4の設置位置は、混床式イオン交換装置16の下流側であることが好ましく、図示した膜脱気装置17の下流側であることがより好ましい。換言すると、一次純水システム10の装置構成にかかわらず、濃度分析装置4は、一次純水システム10の出口よりも下流側に設けられていることが好ましく、すなわち、一次純水システム10の出口とサブシステム20の入口との間に設けられていることが好ましい。
(過酸化水素濃度分析装置)
ここで、本実施形態で用いられる濃度分析装置4の代表的な2つの構成例について説明する。
[第1の構成例]
図2は、濃度分析装置の第1の構成例を示す概略図である。なお、図示した構成は、あくまで一例であり、本発明を限定するものではない。
濃度分析装置4は、過酸化水素分解手段41と、濃度測定手段42と、演算手段43とを有している。また、濃度分析装置4は、各種分析結果(測定結果や演算結果)をリアルタイムで表示したり印刷したりするために、モニタなどの表示装置やプリンタなどの出力装置を有していてもよい。なお、本実施形態の超純水製造装置1では、一次純水システム10に送水ポンプや加圧ポンプ(共に図示せず)が設けられており、それらがもたらす圧力により、濃度分析装置4への試料水(一次純水)の供給は行われる。そのため、濃度分析装置4の間近にポンプなどの送液装置を設けることは基本的には不要であるが、必要に応じて、例えばサンプリング配管L10に送液装置が設けられていてもよい。また、サンプリング配管L10には、濃度分析装置4への試料水の供給を制御するバルブが設けられていてもよい。
過酸化水素分解手段41は、サンプリング配管L10から分岐した2つの分岐配管L11,L12のうち第1の分岐配管L11に設けられている。過酸化水素分解手段41は、上述したように、白金族金属が担体に担持された白金族金属担持触媒を備えている。白金族金属担持触媒は、例えば容器(カラム)に充填され、過酸化水素を含有する試料水と接触することで、過酸化水素を水と酸素に分解する機能を有している(2H→2HO+O)。
白金族金属担持触媒に用いられる白金族金属としては、触媒活性に優れ、比較的安価であることから、パラジウムを用いることが好ましい。白金族金属担持触媒の担体としては、一般的な粒状のアニオン交換樹脂を用いることもできるが、触媒の調整および反応性の観点から、アニオン交換体を用いることが好ましく、特に、モノリス状有機多孔質アニオン交換体を用いることがより好ましい。モノリス状有機多孔質アニオン交換体は、モノリス状有機多孔質体の骨格中にイオン交換基が導入されたものであり、2000h−1を越える空間速度での通水が可能になる。そのため、例えば、過酸化水素分解手段41に間欠的または連続的に空気(酸素)が混入したり、装置立ち上げ時に過酸化水素分解手段41に空気が残留していたりする場合にも、空気の一部または全部を速やかに下流側に押し流すことができる。その結果、空気の混入による分析精度の悪化を抑制したり、立ち上げ時間を短縮したりすることができる。なお、モノリス状有機多孔質アニオン交換体を用いることは、過酸化水素分解手段41の小型化が容易になる点でも有利である。モノリス状有機多孔質アニオン交換体の具体的な例については後述する。
白金族金属担持触媒が充填される容器(カラム)の材料としては、特に制限はないが、酸素透過率が低く、耐久性に優れたものが好ましく、加えて、装置立ち上げ時にカラム内の気泡の有無を確認できるように透明なものが好ましい。そのような材料としては、例えば、アクリル、塩化ビニル、ポリカーボネートなどが挙げられる。
濃度測定手段42は、2つの濃度測定部42a,42bから構成され、第1の濃度測定部42aは、過酸化水素分解手段41の下流側で第1の分岐配管L11に設けられ、第2の濃度測定部42bは、第2の分岐配管L12に設けられている。後述する濃度分析工程では、第1の濃度測定部42aは、過酸化水素分解手段41による過酸化水素の分解後の試料水(以下、単に「分解後の試料水」ともいう)の溶存酸素濃度を測定し、第2の濃度測定部42bは、過酸化水素分解手段41による過酸化水素の分解前の試料水(以下、単に「分解前の試料水」ともいう)、すなわち過酸化水素の分解がされていない試料水中の溶存酸素濃度を測定する。第1および第2の濃度測定部42a,42bとして、それぞれ公知の溶存酸素計を用いることができる。なお、この場合、それぞれの個体差を小さくして分析精度を高めるために、同一の型式およびロットの溶存酸素計を用いることが好ましい。
演算手段43は、濃度分析装置4の通常動作である濃度分析工程時に、第1の濃度測定部42aによる測定値と第2の濃度測定部42bによる測定値との差分に基づいて、試料水中の過酸化水素濃度を算出するものである。すなわち、第1の濃度測定部42aにより測定された分解後の試料水中の溶存酸素濃度DOと、第2の濃度測定部42bにより測定された分解前の試料水中の溶存酸素濃度DOとから、その差分ΔDO=DO−DOを算出する。ここで、算出された差分ΔDOは、過酸化水素分解手段41において過酸化水素の分解(2H→2HO+O)により生じた酸素に由来する酸素濃度の増加分に実質的に一致する。したがって、算出された差分すなわち酸素濃度の増加分ΔDOから、試料水中の過酸化水素濃度CHP=(68/32)ΔDOを算出する。ここで、係数68は、上記過酸化水素の分解反応式の左辺における過酸化水素の分子量であり、係数32は、同右辺における酸素の分子量である。
なお、過酸化水素分解手段41の白金族金属担持触媒は、試料水中の過酸化水素を分解するだけでなく、水素共存下で酸素と反応して水を生成する機能(2H+O→2HO)も有している。したがって、過酸化水素と水素を含有する試料水が過酸化水素分解手段41に供給されると、過酸化水素の分解により生じた酸素が水素と反応して消費されてしまい、算出される差分ΔDOが、実際に生じた酸素に由来する酸素濃度の増加分よりも低く見積もられる可能性がある。一方で、一次純水システム10の紫外線酸化装置13では、紫外線酸化処理の過程で微量の過酸化水素だけでなく微量の水素が生成されることが知られている。このような観点から、濃度分析装置4の設置位置は、上述したように膜脱気装置17の下流側の位置であることが好ましい。これにより、試料水に水素が含有する可能性がなくなり、算出される差分ΔDOが、実際に生じた酸素の増加分よりも低く見積もられる可能性はなくなるため、より高精度に試料水中の過酸化水素濃度を算出することが可能になる。また、濃度分析装置4が膜脱気装置17の下流側に設けられていることは、過酸化水素濃度がμg/Lレベルの微量分析において、溶存酸素のバックグラウンド濃度(ブランク値)を100μg/L以下、好ましくは10μg/L以下に下げることができる点で好ましい。
本実施形態における濃度分析装置4の使用目的を考慮すると、上述した濃度分析工程は継続的に行われることが好ましい。なお、濃度分析工程を継続的に行うことは、各測定値のばらつきが大きい場合にも、一定時間における移動平均値を用いて過酸化水素濃度を算出することができ、その結果、過酸化水素濃度の分析精度を高めることができる点で有利である。また、過酸化水素濃度の分析精度を高めるためには、濃度測定手段42に用いられる溶存酸素計に対して任意の頻度で校正を行うことが好ましい。溶存酸素計の校正方法としては、溶存酸素計の校正に一般的に用いられる大気校正やゼロ点校正を用いることができる。校正の頻度に特に制限はないが、1日に1回より多い頻度では、頻繁に校正が行われるため煩雑であり、1年に1回より少ない頻度では、校正の頻度として少なすぎるため、測定値の信頼性が乏しくなる。したがって、校正の頻度は、1日から1年に1回が好ましく、より好ましくは1週間から半年に1回である。
ただし、上述したように校正を実行しても、過酸化水素濃度がμg/Lレベルの微量分析を行う場合、各濃度計の微小な個体差が無視できないことがある。特に、本構成例のように、2つの溶存酸素計の測定値の差分に基づいて過酸化水素濃度が算出される場合、このような微小な個体差による影響がより大きくなる可能性がある。そのため、上述した通常の濃度分析工程の合間に任意の頻度で補正値取得工程を実行することが好ましい。補正値取得工程では、溶存酸素計(第1および第2の濃度測定部42a,42b)の個体差を補償するための補正値が取得され、こうして取得された補正値に基づいて、通常の濃度分析工程において、上記差分ΔDOが補正される。そして、この補正された差分が、過酸化水素の分解により生じた酸素に由来する酸素濃度の増加分に一致することになる。
この補正値取得工程を実行するために、濃度分析装置4は、第1の分岐配管L11と第2の分岐配管L12とを接続する接続配管L13と、切替手段44とを有している。接続配管L13は、具体的には、第1の分岐配管L11のうち過酸化水素分解手段41の下流側であって第1の濃度測定部42aの上流側の部分と、第2の分岐配管L12のうち第2の濃度測定部42bの上流側の部分とを接続するものである。切替手段44は、サンプリング配管L10から濃度測定手段42への試料水の供給を2つの供給モード、すなわち、濃度分析工程に対応する第1の供給モードと補正値取得工程に対応する第2の供給モードとに切り替えるものであり、3つの開閉弁V41〜V43から構成されている。第1の開閉弁V41は、接続配管L13に設けられている。第2の開閉弁V42は、第1の分岐配管L11のうち、過酸化水素分解手段41の下流側であって、第1の分岐配管L11と接続配管L13との接続部より上流側に設けられている。第3の開閉弁V43は、第2の分岐配管L12のうち、第2の分岐配管L12と接続配管L13との接続部より上流側に設けられている。
濃度分析工程に対応する第1の供給モードでは、第1の開閉弁V41が閉鎖されるとともに、第2および第3の開閉弁V42,V43が開放される。これにより、第1の濃度測定部42aには、第1の分岐配管L11に流入して過酸化水素分解手段41を通過した試料水が供給され、第2の濃度測定部42bには、第2の分岐配管L12に流入した試料水がそのまま供給される。
一方、補正値取得工程に対応する第2の供給モードでは、第1の開閉弁V41が開放されるとともに、第2および第3の開閉弁V42,V43の一方が開放され、他方が閉鎖される。第2の開閉弁V42が開放され、第3の開閉弁V43が閉鎖されると、第1の濃度測定部42aには、第1の分岐配管L11に流入して過酸化水素分解手段41を通過した試料水が供給され、第2の濃度測定部42bには、第1の分岐配管L11に流入して過酸化水素分解手段41を通過した試料水が接続配管L13から第2の分岐配管L12を通じて供給される。一方、第2の開閉弁V42が閉鎖され、第3の開閉弁V43が開放されると、第1の濃度測定部42aには、第2の分岐配管L12に流入した試料水が接続配管L13から第1の分岐配管L11を通じて供給され、第2の濃度測定部42bには、第2の分岐配管L12に流入した試料水がそのまま供給される。
補正値取得工程が実行されると、濃度測定手段42への試料水の供給が第2の供給モードに切り替えられ、分解前または分解後の試料水が第1および第2の濃度測定部42a,42bに同時に供給される。そして、第1および第2の濃度測定部42a,42bのそれぞれにおいて、分解前または分解後の試料水中の溶存酸素濃度が測定され、第1の濃度測定部42aの測定値M1と、第2の濃度測定部42bの測定値M2とから、その差分ΔM=M1−M2が算出される。こうして算出された差分ΔMは、第1および第2の濃度測定部42a,42bの溶存酸素計の個体差を補償するための補正値として演算手段43に記憶され、補正値取得工程が実行されるごとに更新される。
通常の濃度分析工程では、補正値取得工程で取得された補正値ΔMに基づいて、上記差分ΔDOが補正される。すなわち、補正値ΔMと、差分ΔDOとから、過酸化水素の分解により生じた酸素に由来する酸素濃度の増加分ΔDO=ΔDO−ΔMが算出される。そして、上述したように、算出された酸素濃度の増加分ΔDOから、試料水中の過酸化水素濃度CHPが算出される(CHP=(68/32)ΔDO)。これにより、溶存酸素計(第1および第2の濃度測定部42a,42b)の個体差による影響を抑え、より高精度に過酸化水素濃度の分析を行うことができる。
補正値取得工程は、上述した濃度計自体の校正の直後に実行されてもよいが、これとは別に所定の頻度でも実行されてもよい。その実行頻度に特に制限はないが、1日に1回より多い頻度では、濃度分析工程から補正値取得工程への切り替えが頻繁に生じるため、過酸化水素濃度を分析できない期間が長くなってしまい、本実施形態における濃度分析装置4の使用目的からは好ましくない。また、半年に1回より少ない頻度では、校正の頻度として少なすぎるため、測定値の信頼性が乏しくなる。したがって、補正値取得工程を実行する頻度は、濃度計自体の校正直後を除いて、1日から半年に1回であることが好ましい。なお、補正値取得工程における実際の補正値の算出は、試料水の供給の切り替えが行われてから一定時間が経過した後で行われることが好ましく、その算出には、所定時間における平均値を用いることもできる。
補正値取得工程では、第1および第2の濃度測定部42a,42bに対して同じ種類の試料水が供給されれば、それは分解前の試料水と分解後の試料水のどちらであってもよい。ただし、補正値取得工程の実行中にも、試料水にもともと含まれていた酸素の濃度(すなわち、分解前の試料水中の溶存酸素濃度)を監視することができる点で、分解前の試料水が供給されることが好ましい。なお、図示した構成では、接続配管L13を流れる試料水の流れ方向は、第1および第2の濃度測定部42a,42bに分解前の試料水が供給される場合と、分解後の試料水が供給される場合とで互いに反対方向になる。そのため、接続配管L13に設置される第1の開閉弁V41としては、ボールバルブのように流れ方向に制限のないものを用いることが好ましい。また、分解前の試料水と分解後の試料水のどちらが供給されるのかがあらかじめ決められている場合、第2の開閉弁V42と第3の開閉弁V43の一方を省略することができる。これにより、バルブから侵入する空気(酸素)量を低減することができ、バルブのメンテナンスも減らすことができる。
濃度測定手段42に用いられる溶存酸素計は、所定の流量範囲で最も誤差が少なくなるように調整されている。そのため、少なくとも濃度分析工程では、各濃度計に供給される試料水の流量がそのような流量範囲に調整されていることが好ましく、補正値取得工程では、2つの溶存酸素計に対して同じ流量の試料水が供給されることが好ましい。したがって、各分岐配管L11,L12には、図示したように、それぞれを流れる試料水の流量を調整する流量調整手段45,46が設けられていることが好ましい。各流量調整手段45,46の構成に特に制限はなく、例えば、流量計と流量調整弁とからなる流量調整手段をそれぞれ用いることができる。また、各流量調整手段45,46の設置位置は、配管などの継ぎ目から空気(酸素)が侵入するおそれがあるため、各濃度測定部42a,42bの下流側であることが好ましい。なお、各分岐配管L11,L12には、流量調整手段45,46の他にも、プロセス制御に用いられる周知の構成(例えば警報装置など)が任意に設けられていてもよい。
第2の分岐配管L12は、過酸化水素分解手段41が設置されていない分、圧力損失などの通水条件が第1の分岐配管L11とは異なるため、このような通水条件の違いが、過酸化水素濃度の分析精度に影響を及ぼす可能性がある。そこで、第2の分岐配管L12の通水条件を第1の分岐配管L11の通水条件と一致させるために、第2の分岐配管L12のうち、例えば、第3の開閉弁V43の上流側に、ダミー容器(カラム)が設置されていてもよい。ダミーカラムの構成に特に制限はなく、例えば、過酸化水素分解能力を備えていないこと(担体に白金族金属が担持されていないこと)を除いて過酸化水素分解手段41と同様の構成のものを設置することができる。
なお、サンプリング配管L10や分岐配管L11,L12、接続配管L13の材料としては、ガス透過性の低いものが好ましく、特に、酸素透過率が低く、不純物の溶出が少ないものが好ましい。そのような材料としては、例えば、ステンレス鋼やポリアミド樹脂が挙げられる。また、各配管の材料としてステンレス鋼が用いられる場合、継ぎ目からの空気(酸素)の侵入を抑制するために、配管の分岐部や屈曲部は、エルボやチーズなどの継手類によって構成されるのではなく、溶接や曲げ加工によって作製されることが好ましい。
本構成例では、濃度測定手段42として溶存酸素計が用いられ、演算手段43が、これらとは別個に設けられ、これらの測定値に基づいて試料水中の過酸化水素濃度を算出するようになっているが、濃度測定手段42と演算手段43の構成はこれに限定されるものではない。例えば、濃度測定手段(溶存酸素計)42の代わりに、隔膜電極法に基づいて試料水中の溶存酸素濃度に比例して電極間に流れる電流を検出する検出器が設けられ、その検出結果に基づいて、演算手段43が、溶存酸素濃度の換算と過酸化水素濃度の算出とを行ってもよい。すなわち、演算手段43が、濃度測定手段としての機能を兼ねてもよい。また、演算手段43が省略され、その機能を運転管理システム3の制御装置5が担ってもよく、あるいはその逆に、運転管理システム3の制御装置5が省略され、その機能を演算手段43が担ってもよい。
図示した構成では、2つの分岐配管L11,L12がサンプリング配管L10を介してメイン配管L1に接続されているが、それぞれが直接メイン配管L1に接続されていてもよい。ただし、試料水の採取位置が大きく異なると、溶存酸素濃度などの水質条件が異なるおそれがあるため、2つの分岐配管L11,L12は、図示したように、サンプリング配管L10を介してメイン配管L1に接続されていることが好ましい。
[第2の構成例]
図3は、濃度分析装置の第2の構成例を示す概略図である。以下、第1の構成例と同様の構成については、図面に同じ符号を付してその説明を省略し、第1の構成例と異なる構成のみ説明する。
本構成例は、濃度測定手段42が第2の分岐配管L12のみに設けられている点で、第1の構成例と異なっている。これに伴い、第1の分岐配管L11と第2の分岐配管L12との間に別の接続配管(第2の接続配管)L14が追加され、切替手段44の構成も変更されている。第2の接続配管L14は、第1の分岐配管L11のうち、第1の分岐配管L11と第1の接続配管L13との接続部より下流側の部分と、第2の分岐配管L12のうち、第2の分岐配管L12と第1の接続配管L13との接続部より上流側の部分とを接続するものである。第2の接続配管L14には、切替手段44を構成する第4の開閉弁V44が設けられ、第2の開閉弁V42は、第1の分岐配管L11のうち、第1の接続配管L13が接続される部分と第2の接続配管L14が接続される部分との間に設けられている。なお、図示した構成では、第1の分岐配管L11に流量調整手段45が設けられているが、これは必ずしも設けられていなくてもよい。
さらに、本構成例では、濃度測定手段42が第2の分岐配管L12のみに設けられていることに伴い、分解前および分解後の試料水中の溶存酸素濃度を測定する手順も第1の構成例と異なっている。すなわち、本構成例では、濃度測定手段42への試料水の供給が第1の供給モードと第2の供給モードとに交互に切り替えられ、それに応じて、分解前の試料水中の溶存酸素濃度を測定する第1の測定工程と、分解後の試料水中の溶存酸素濃度を測定する第2の測定工程とが交互に実行される。
第1の測定工程では、濃度測定手段42への試料水の供給が第1の供給モードに切り替えられ、第1および第4の開閉弁V41,V44が閉鎖されるとともに、第2および第3の開閉弁V42,V43が開放される。これにより、濃度測定手段42には、第2の分岐配管L12に流入した試料水がそのまま供給され、分解前の試料水中の溶存酸素濃度が測定される。なお、第1の分岐配管L11に流入して過酸化水素分解手段41を通過した試料水は、第1の分岐配管L11を通じて外部に排出される。一方、第2の測定工程では、濃度測定手段42への試料水の供給が第2の供給モードに切り替えられ、第1および第4の開閉弁V41,V44が開放されるとともに、第2および第3の開閉弁V42,V43が閉鎖される。これにより、濃度測定手段42には、第1の分岐配管L11に流入して過酸化水素分解手段41を通過した試料水が第1の接続配管L13から第2の分岐配管L12を通じて供給され、分解後の試料水中の溶存酸素濃度が測定される。なお、第2の分岐配管L12に流入した試料水は、第2の接続配管L14から第1の分岐配管L11を通じて外部に排出される。
本構成例では、こうして測定された分解後の溶存酸素濃度DOと分解前の溶存酸素濃度DOとから、その差分ΔDO=DO−DOが算出される。そして、第1の構成例と同様に、算出された差分すなわち酸素濃度の増加分ΔDOから、試料水中の過酸化水素濃度CHP=(68/32)ΔDOが算出される。
このように、本構成例では、第1の構成例と比べて、濃度測定手段42に使用される比較的高価な溶存酸素計の個数を減らすことができ、より低コストでの濃度分析が可能になる。また、複数の溶存酸素計を使用することに伴う個体差による影響を回避することができ、第1の構成例における補正値取得工程を行う必要もない。
第1の測定工程と第2の測定工程とを切り替える頻度に特に制限はないが、切り替えの頻度が少なすぎると、過酸化水素濃度を分析できない期間が長くなってしまい、本実施形態における濃度分析装置4の使用目的からは好ましくない。また、切り替えの頻度が多すぎると、測定値が安定する前に切り替えが行われてしまう可能性がある。そのため、切り替えの頻度は、これらのバランスを考慮して決定されることが好ましい。なお、各測定工程において、実際の濃度測定は、試料水の供給の切り替えが行われてから一定時間が経過した後で行われることが好ましく、差分の算出には、所定時間における平均値を用いることもできる。
第1の測定工程に対応する第1の供給モードでは、必ずしも過酸化水素分解手段41に試料水が供給される必要がないため、第2の開閉弁V42は必ずしも開放される必要はない。同様に、第2の測定工程に対応する第2の供給モードでは、第4の開閉弁V44は必ずしも開放される必要はない。しかしながら、そのような場合、過酸化水素分解手段41や第2の分岐配管L12に試料水が滞留することになり、その間に試料水に空気(酸素)が混入すると、測定工程の切り替え後、その空気が濃度測定手段42に流入し、測定値が安定するまでに比較的長い時間を要してしまう。このため、第1の供給モードでは、第2の開閉弁V42は開放されていることが好ましく、第2の供給モードでは、第4の開閉弁V44は開放されていることが好ましい。これにより、試料水の滞留を抑制することができ、過酸化水素濃度を分析できない期間が長くなることを抑制することができる。
(モノリスアニオン交換体)
ここで、上述した各構成例の過酸化水素分解手段41に好適に使用されるモノリス状有機多孔質アニオン交換体の具体例として、2種類のモノリス状有機多孔質アニオン交換体について説明する。以下、モノリス状有機多孔質アニオン交換体を単に「モノリスアニオン交換体」といい、モノリス状有機多孔質体を単に「モノリス」ともいう。また、モノリスの製造における中間体(前駆体)であるモノリス状有機多孔質中間体を単に「モノリス中間体」ともいう。
[Aタイプのモノリスアニオン交換体]
Aタイプのモノリスアニオン交換体は、モノリスにアニオン交換基を導入することで得られるものであり、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が水湿潤状態で平均直径30〜300μm、好ましくは30〜200μm、特に好ましくは40〜100μmの開口(メソポア)となる連続マクロポア構造体である。Aタイプのモノリスアニオン交換体の開口の平均直径は、モノリスにアニオン交換基を導入する際、モノリス全体が膨潤するため、モノリスの開口の平均直径よりも大きくなる。水湿潤状態での開口の平均直径が30μm未満であると、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、水湿潤状態での開口の平均直径が大き過ぎると、被処理水(試料水)とAタイプのモノリスアニオン交換体および担持された白金族金属ナノ粒子との接触が不十分となり、その結果、過酸化水素分解特性が低下してしまうため好ましくない。なお、乾燥状態のモノリス中間体の開口の平均直径、乾燥状態のモノリスの開口の平均直径、及び乾燥状態のモノリスアニオン交換体の開口の平均直径は、それぞれ水銀圧入法により測定される値を意味する。また、水湿潤状態のAタイプのモノリスアニオン交換体の開口の平均直径は、乾燥状態のAタイプのモノリスアニオン交換体の開口の平均直径に、膨潤率を乗じて算出される値である。また、アニオン交換基導入前の乾燥状態のモノリスの開口の平均直径、及びその乾燥状態のモノリスにアニオン交換基導入したときの乾燥状態のモノリスに対する水湿潤状態のAタイプのモノリスアニオン交換体の膨潤率がわかる場合は、乾燥状態のモノリスの開口の平均直径に、膨潤率を乗じて、水湿潤状態のAタイプのモノリスアニオン交換体の開口の平均直径を算出することもできる。
Aタイプのモノリスアニオン交換体において、連続マクロポア構造体の切断面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像において、断面に表れる骨格部面積が、画像領域中、25〜50%、好ましくは25〜45%である。断面に表れる骨格部面積が、画像領域中、25%未満であると、細い骨格となり、機械的強度が低下して、特に高流速で通水した際にモノリスアニオン交換体が大きく変形してしまうため好ましくない。更に、被処理水とAタイプのモノリスアニオン交換体およびそれに担持された白金族金属ナノ粒子との接触効率が低下し、触媒効果が低下するため好ましくなく、50%を超えると、骨格が太くなり過ぎ、通水時の圧力損失が増大するため好ましくない。
また、Aタイプのモノリスアニオン交換体の全細孔容積は、0.5〜5ml/g、好ましくは0.8〜4ml/gである。全細孔容積が0.5ml/g未満であると、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、更に、単位断面積当たりの透過流体量が小さくなり、処理能力が低下してしまうため好ましくない。一方、全細孔容積が5ml/gを超えると、機械的強度が低下して、特に高流速で通水した際にAタイプのモノリスアニオン交換体が大きく変形してしまうため好ましくない。更に、被処理水とAタイプのモノリスアニオン交換体およびそれに担持された白金族金属ナノ粒子との接触効率が低下し、触媒効果も低下してしまうため好ましくない。なお、モノリス中間体、モノリス、及びモノリスアニオン交換体の全細孔容積は、それぞれ水銀圧入法により測定される値を意味する。また、モノリス中間体、モノリス、及びモノリスアニオン交換体の全細孔容積は、それぞれ、乾燥状態でも、水湿潤状態でも、同じである。
なお、Aタイプのモノリスアニオン交換体に水を透過させた際の圧力損失は、これを1m充填したカラムに通水線速度(LV)1m/hで通水した際の圧力損失で示すと、0.001〜0.1MPa/m・LVの範囲、特に0.005〜0.05MPa/m・LVであることが好ましい。
Aタイプのモノリスアニオン交換体は、水湿潤状態での体積当たりのアニオン交換容量が0.4〜1.0mg当量/mlである。体積当たりのアニオン交換容量が0.4mg当量/ml未満であると、体積当たりの白金族金属のナノ粒子担持量が低下してしまうため好ましくない。一方、体積当たりのアニオン交換容量が1.0mg当量/mlを超えると、通水時の圧力損失が増大してしまうため好ましくない。なお、Aタイプのモノリスアニオン交換体の重量当たりのアニオン交換容量は特に限定されないが、アニオン交換基が多孔質体の表面及び骨格内部にまで均一に導入しているため、3.5〜4.5mg当量/gである。
Aタイプのモノリスアニオン交換体において、連続マクロポア構造体の骨格を構成する材料は、架橋構造を有する有機ポリマー材料である。該ポリマー材料の架橋密度は特に限定されないが、ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、0.3〜10モル%、好適には0.3〜5モル%の架橋構造単位を含んでいることが好ましい。架橋構造単位が0.3モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくなく、一方、10モル%を越えると、アニオン交換基の導入が困難になる場合があるため好ましくない。該ポリマー材料の種類に特に制限はなく、例えば、ポリスチレン等の芳香族ビニルポリマーが挙げられる。上記ポリマーは、単独のビニルモノマーと架橋剤を共重合させて得られるポリマーでも、複数のビニルモノマーと架橋剤を重合させて得られるポリマーであってもよく、また、二種類以上のポリマーがブレンドされたものであってもよい。これら有機ポリマー材料の中で、連続マクロポア構造形成の容易さ、アニオン交換基導入の容易性と機械的強度の高さ、および酸又はアルカリに対する安定性の高さから、芳香族ビニルポリマーの架橋重合体が好ましく、特に、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体やビニルベンジルクロライド−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい材料として挙げられる。
Aタイプのモノリスアニオン交換体のアニオン交換基としては、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、トリブチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム基、メチルジヒドロキシエチルアンモニウム基等の四級アンモニウム基等が挙げられる。
導入されたアニオン交換基は、多孔質体の表面のみならず、多孔質体の骨格内部にまで均一に分布している。ここで言う「アニオン交換基が均一に分布している」とは、アニオン交換基の分布が少なくともμmオーダーで表面および骨格内部に均一に分布していることを指す。アニオン交換基の分布状況は、対アニオンを塩化物イオン、臭化物イオンなどにイオン交換した後、電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いることで、比較的簡単に確認することができる。また、アニオン交換基が、モノリスの表面のみならず、多孔質体の骨格内部にまで均一に分布していると、表面と内部の物理的性質及び化学的性質を均一にできるため、膨潤及び収縮に対する耐久性が向上する。
Aタイプのモノリスアニオン交換体は、骨太のモノリスにアニオン交換基が導入されるため、例えば骨太モノリスの1.4〜1.9倍のように大きく膨潤する。このため、骨太モノリスの開口径が小さいものであっても、モノリスイオン交換体の開口径は概ね、上記倍率で大きくなる。また、開口径が膨潤で大きくなっても全細孔容積は変化しない。従って、Aタイプのモノリスイオン交換体は、開口径が格段に大きいにもかかわらず、骨太骨格を有するため機械的強度が高い。
[Bタイプのモノリスアニオン交換体]
Bタイプのモノリスアニオン交換体は、アニオン交換基が導入された全構成単位中、架橋構造単位を0.3〜5.0モル%含有する芳香族ビニルポリマーからなる平均太さが水湿潤状態で1〜60μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に平均直径が水湿潤状態で10〜100μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体であって、全細孔容積が0.5〜5ml/gであり、水湿潤状態での体積当たりのイオン交換容量が0.3〜1.0mg当量/mlであり、アニオン交換基が該多孔質イオン交換体中に均一に分布している。
Bタイプのモノリスアニオン交換体は、アニオン交換基が導入された平均太さが水湿潤状態で1〜60μm、好ましくは3〜58μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に平均直径が水湿潤状態で10〜100μm、好ましくは15〜90μm、特に好ましくは20〜80μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体である。すなわち、共連続構造は、連続する骨格相と連続する空孔相とが絡み合ってそれぞれが共に3次元的に連続する構造である。この連続した空孔は、従来の連続気泡型モノリスや粒子凝集型モノリスに比べて空孔の連続性が高くてその大きさに偏りがないため、極めて均一なイオンの吸着挙動を達成できる。また、骨格が太いため機械的強度が高い。
Bタイプのモノリスアニオン交換体の骨格の太さ及び空孔の直径は、モノリスにアニオン交換基を導入する際、モノリス全体が膨潤するため、モノリスの骨格の太さ及び空孔の直径よりも大きくなる。この連続した空孔は、従来の連続気泡型モノリスアニオン交換体や粒子凝集型モノリスアニオン交換体に比べて空孔の連続性が高くてその大きさに偏りがないため、極めて均一なアニオンの吸着挙動を達成できる。三次元的に連続した空孔の平均直径が水湿潤状態で10μm未満であると、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、100μmを超えると、被処理水(試料水)と有機多孔質アニオン交換体との接触が不十分となり、その結果、被処理水中の溶存酸素の除去が不十分となるため好ましくない。また、骨格の平均太さが水湿潤状態で1μm未満であると、体積当たりのアニオン交換容量が低下するといった欠点のほか、機械的強度が低下して、特に高流速で通水した際にBタイプのモノリスアニオン交換体が大きく変形してしまうため好ましくない。更に、被処理水とBタイプのモノリスアニオン交換体との接触効率が低下し、触媒効果が低下するため好ましくない。一方、骨格の太さが60μmを越えると、骨格が太くなり過ぎ、通水時の圧力損失が増大するため好ましくない。
上記連続構造体の空孔の水湿潤状態での平均直径は、水銀圧入法で測定した乾燥状態のモノリスアニオン交換体の空孔の平均直径に、膨潤率を乗じて算出される値である。また、アニオン交換基導入前の乾燥状態のモノリスの空孔の平均直径、及びその乾燥状態のモノリスにアニオン交換基導入したときの乾燥状態のモノリスに対する水湿潤状態のBタイプのモノリスアニオン交換体の膨潤率がわかる場合は、乾燥状態のモノリスの空孔の平均直径に、膨潤率を乗じて、水湿潤状態のBタイプのモノリスアニオン交換体の空孔の平均直径を算出することもできる。また、上記連続構造体の骨格の水湿潤状態での平均太さは、乾燥状態のBタイプのモノリスアニオン交換体のSEM観察を少なくとも3回行い、得られた画像中の骨格の太さを測定し、その平均値に、膨潤率を乗じて算出される値である。また、アニオン交換基導入前の乾燥状態のモノリスの骨格の平均太さ、及びその乾燥状態のモノリスにアニオン交換基導入したときの乾燥状態のモノリスに対する水湿潤状態のBタイプのモノリスアニオン交換体の膨潤率がわかる場合は、乾燥状態のモノリスの骨格の平均太さに、膨潤率を乗じて、水湿潤状態のBタイプのモノリスアニオン交換体の骨格の平均太さを算出することもできる。なお、骨格は棒状であり円形断面形状であるが、楕円断面形状等異径断面のものが含まれていてもよい。この場合の太さは短径と長径の平均である。
また、Bタイプのモノリスアニオン交換体の全細孔容積は、0.5〜5ml/gである。全細孔容積が0.5ml/g未満であると、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、更に、単位断面積当たりの透過水量が小さくなり、処理水量が低下してしまうため好ましくない。一方、全細孔容積が5ml/gを超えると、体積当たりのアニオン交換容量が低下し、白金族金属ナノ粒子の担持量も低下し触媒効果が低下するため好ましくない。また、機械的強度が低下して、特に高流速で通水した際にBタイプのモノリスアニオン交換体が大きく変形してしまうため好ましくない。更に、被処理水とBタイプのモノリスアニオン交換体との接触効率が低下して、過酸化水素分解効果も低下してしまうため好ましくない。三次元的に連続した空孔の大きさ及び全細孔容積が上記範囲にあれば、被処理水との接触が極めて均一で接触面積も大きく、かつ低圧力損失下での通水が可能となる。なお、モノリス中間体、モノリス、及びモノリスアニオン交換体の全細孔容積は、それぞれ、乾燥状態でも、水湿潤状態でも、同じである。
なお、Bタイプのモノリスアニオン交換体に水を透過させた際の圧力損失は、多孔質体を1m充填したカラムに通水線速度(LV)1m/hで通水した際の圧力損失で示すと、0.001〜0.5MPa/m・LVの範囲、特に0.005〜0.1MPa/m・LVである。
Bタイプのモノリスアニオン交換体において、共連続構造体の骨格を構成する材料は、全構成単位中、0.3〜5モル%、好ましくは0.5〜3.0モル%の架橋構造単位を含んでいる芳香族ビニルポリマーであり疎水性である。架橋構造単位が0.3モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくなく、一方、5モル%を越えると、多孔質体の構造が共連続構造から逸脱しやすくなる。該芳香族ビニルポリマーの種類に特に制限はなく、例えば、ポリスチレンが挙げられる。上記ポリマーは、単独のビニルモノマーと架橋剤を共重合させて得られるポリマーでも、複数のビニルモノマーと架橋剤を重合させて得られるポリマーであってもよく、また、二種類以上のポリマーがブレンドされたものであってもよい。これら有機ポリマー材料の中で、共連続構造形成の容易さ、アニオン交換基導入の容易性と機械的強度の高さ、および酸又はアルカリに対する安定性の高さから、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体やビニルベンジルクロライド−ジビニルベンゼン共重合体が好ましい。
Bタイプのモノリスアニオン交換体は、水湿潤状態での体積当たりのアニオン交換容量が0.3〜1.0mg当量/mlのイオン交換容量を有する。Bタイプのモノリスアニオン交換体は、三次元的に連続した空孔の連続性や均一性が高いため、全細孔容積を低下させても圧力損失はさほど増加しない。そのため、圧力損失を低く押さえたままで体積当たりのアニオン交換容量を飛躍的に大きくすることができる。体積当たりのアニオン交換容量が0.3mg当量/ml未満であると、体積当たりの白金族金属のナノ粒子担持量が低下してしまうため好ましくない。一方、体積当たりのアニオン交換容量が1.0mg当量/mlを超えると、通水時の圧力損失が増大してしまうため好ましくない。なお、Bタイプのモノリスアニオン交換体の乾燥状態における重量当たりのアニオン交換容量は特に限定されないが、イオン交換基が多孔質体の骨格表面及び骨格内部にまで均一に導入しているため、3.5〜4.5mg当量/gである。
Bタイプのモノリスアニオン交換体のアニオン交換基としては、Aタイプのモノリスアニオン交換体の説明で挙げたものと同様のものを挙げることができる。また、アニオン交換基の分布状態や、「アニオン交換基が均一に分布している」ことの意味内容や、アニオン交換基分布状態の確認方法や、アニオン交換基がモノリスの表面のみならず多孔質体の骨格内部にまで均一に分布することの効果もAタイプのモノリスアニオン交換体と同様である。
モノリス中間体のポリマー材料の種類は、Aタイプのモノリスアニオン交換体のモノリス中間体のポリマー材料の種類と同様であり、その説明を省略する。
モノリス中間体の全細孔容積は、16ml/gを超え、30ml/g以下、好適には16ml/gを超え、25ml/g以下である。すなわち、このモノリス中間体は、基本的には連続マクロポア構造ではあるが、マクロポアとマクロポアの重なり部分である開口(メソポア)が格段に大きいため、モノリス構造を構成する骨格が二次元の壁面から一次元の棒状骨格に限りなく近い構造を有している。これを重合系に共存させると、モノリス中間体の構造を型として共連続構造の多孔質体が形成される。全細孔容積が小さ過ぎると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの構造が共連続構造から連続マクロポア構造に変化してしまうため好ましくなく、一方、全細孔容積が大き過ぎると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの機械的強度が低下したり、体積当たりのアニオン交換容量が低下したりしてしまうため好ましくない。モノリス中間体の全細孔容積をBタイプのモノリスアニオン交換体の特定の範囲とするには、モノマーと水の比を、概ね1:20〜1:40とすればよい。
また、モノリス中間体は、マクロポアとマクロポアの重なり部分である開口(メソポア)の平均直径が乾燥状態で5〜100μmである。開口の平均直径が乾燥状態で5μm未満であると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの開口径が小さくなり、流体透過時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくない。一方、100μmを超えると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの開口径が大きくなりすぎ、被処理水とモノリスアニオン交換体との接触が不十分となり、その結果、過酸化水素分解特性が低下してしまうため好ましくない。モノリス中間体は、マクロポアの大きさや開口の径が揃った均一構造のものが好適であるが、これに限定されず、均一構造中、均一なマクロポアの大きさよりも大きな不均一なマクロポアが点在するものであってもよい。
Bタイプのモノリスアニオン交換体は、共連続構造のモノリスにアニオン交換基が導入されるため、例えばモノリスの1.4〜1.9倍に大きく膨潤する。また、空孔径が膨潤で大きくなっても全細孔容積は変化しない。従って、Bタイプのモノリスアニオン交換体は、3次元的に連続する空孔の大きさが格段に大きいにもかかわらず、骨太骨格を有するため機械的強度が高い。また、骨格が太いため、水湿潤状態での体積当たりのアニオン交換容量を大きくでき、更に、被処理水を低圧、大流量で長期間通水することが可能である。
1 超純水製造装置
2 ユースポイント
3 運転管理システム
4 過酸化水素濃度分析装置
41 過酸化水素分解手段
42 濃度測定手段
42a 第1の濃度測定部
42b 第2の濃度測定部
43 演算手段
44 切替手段
L10 サンプリング配管
L11 第1の分岐配管
L12 第2の分岐配管
L13 接続配管(第1の接続配管)
L14 第2の接続配管
5 制御装置
10 一次純水システム
17 膜脱気装置
20 サブシステム(二次純水システム)
30 回収システム
32 活性炭処理装置

Claims (10)

  1. 一次純水システムと、二次純水システムと、前記二次純水システムからユースポイントに供給されて使用された超純水を回収水として回収し、前記回収水を活性炭で処理して前記一次純水システムまたはその上流側に還流させる回収システムと、を有する超純水製造装置の運転管理システムであって、
    前記二次純水システムの上流側の所定位置から採取した試料水中の過酸化水素濃度を算出する過酸化水素濃度分析装置と、
    前記過酸化水素濃度分析装置による算出値に基づいて、前記一次純水システムで製造された一次純水を前記二次純水システムに供給するか否かを制御するとともに、前記回収システムの前記活性炭が劣化しているか否かを判定する制御装置と、を有する、超純水製造装置の運転管理システム。
  2. 前記制御装置は、前記過酸化水素濃度分析装置による算出値が所定値を超えた場合に、前記製造された一次純水の前記二次純水システムへの供給を停止し、前記製造された一次純水の前記二次純水システムへの供給を停止している間、前記過酸化水素濃度分析装置による算出値が前記所定値以下になるまで水質回復工程を実行する、請求項1に記載の超純水製造装置の運転管理システム。
  3. 前記制御装置は、前記水質回復工程を実行した後、前記過酸化水素濃度分析装置による算出値が所定時間内に再び前記所定値を超えた場合または超えることが予測される場合に、前記活性炭が劣化していると判定し、該判定結果を外部に通知する、請求項2に記載の超純水製造装置の運転管理システム。
  4. 前記制御装置は、前記水質回復工程において、前記製造された一次純水を前記一次純水システムの入口側に還流させ、該還流させた一次純水を前記一次純水システムの被処理水で希釈する、請求項2または3に記載の超純水製造装置の運転管理システム。
  5. 前記過酸化水素濃度分析装置が、前記採取した試料水中の過酸化水素を分解する過酸化水素分解手段と、前記過酸化水素分解手段による過酸化水素の分解前および分解後の前記試料水の溶存酸素濃度を測定する濃度測定手段と、前記濃度測定手段により測定された前記過酸化水素分解手段による過酸化水素の分解後の前記溶存酸素濃度と前記過酸化水素分解手段による過酸化水素の分解前の前記溶存酸素濃度との差分に基づいて、前記試料水中の過酸化水素濃度を算出する演算手段とを有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の超純水製造装置の運転管理システム。
  6. 前記過酸化水素濃度分析装置が、前記試料水を採取するサンプリング配管と、前記サンプリング配管から分岐し、前記過酸化水素分解手段が設けられた第1の分岐配管と、前記サンプリング配管から分岐した第2の分岐配管とを有し、
    前記濃度測定手段が、前記過酸化水素分解手段の下流側で前記第1の分岐配管に設けられた第1の濃度測定部と、前記第2の分岐配管に設けられた第2の濃度測定部とを有する、請求項5に記載の超純水製造装置の運転管理システム。
  7. 前記過酸化水素分解手段が白金族金属担持触媒を含む、請求項5または6に記載の超純水製造装置の運転管理システム。
  8. 前記所定位置が、前記一次純水システムの出口よりも下流側の位置である、請求項5から7のいずれか1項に記載の超純水製造装置の運転管理システム。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載の運転管理システムを有する超純水製造装置。
  10. 一次純水システムと、二次純水システムと、前記二次純水システムからユースポイントに供給されて使用された超純水を回収水として回収し、前記回収水を活性炭で処理して前記一次純水システムまたはその上流側に還流させる回収システムと、を有する超純水製造装置の運転方法であって、
    前記二次純水システムの上流側の所定位置から試料水を採取し、該採取した試料水中の過酸化水素濃度を算出する工程と、
    前記算出された過酸化水素濃度に基づいて、前記一次純水システムで製造された一次純水を前記二次純水システムに供給するか否かを制御するとともに、前記回収システムの前記活性炭が劣化しているか否かを判定する工程と、を含む、超純水製造装置の運転方法。
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