JP7333706B2 - 濃度分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、試料水中の過酸化水素濃度と溶存酸素濃度とを分析する濃度分析装置に関する。
従来から、半導体デバイスや液晶デバイスの製造プロセスでは、半導体ウエハやガラス基板等の電子部品を洗浄する洗浄液として、不純物が高度に除去された超純水が用いられている。超純水は、一般に、原水(河川水、地下水、工業用水など)を、前処理システム、一次純水システム、および二次純水システム(サブシステム)で順次処理することにより製造されている。
多くのサブシステムでは、被処理水(一次純水システムで製造された一次純水)に含まれる全有機炭素(TOC)を分解するために、被処理水に紫外線を照射する紫外線酸化装置が設けられている。紫外線酸化装置では、紫外線酸化処理の過程で微量の過酸化水素が生成されることが知られているが、この過酸化水素は、例えば超純水をシリコンウエハの洗浄液として使用する場合、シリコンウエハの表面に自然酸化膜を形成したり、微細な配線を腐食させたりするなどの要因となる。そこで、紫外線酸化装置を含むサブシステムでは、処理水(超純水)中の過酸化水素をできるだけ低減することが求められており、その前提として、処理過程における過酸化水素の濃度管理を適切に行うことが求められている。
このような要求に対し、特許文献1,2には、試料水中の過酸化水素濃度を簡便かつ高精度に分析可能な濃度分析装置が記載されている。この分析装置では、過酸化水素が水と酸素に分解されることを利用し、過酸化水素分解手段による過酸化水素の分解前後での試料水中の溶存酸素濃度を比較することで、試料水中の過酸化水素濃度が算出される。なお、この分析装置では、過酸化水素分解手段による過酸化水素の分解前の試料水中の溶存酸素濃度が測定されるため、従来から適切な管理が求められている試料水中の溶存酸素濃度の分析も可能になる。
特開2005-274386号公報 特開2012-63303号公報
ところで、過酸化水素分解手段の中には、例えば白金族金属を含む触媒のように、過酸化水素を水と酸素に分解するだけでなく(2H→2HO+O)、水素共存下で酸素と反応して水を生成するものもある(2H+O→2HO)。そのため、試料水に過酸化水素だけでなく水素も含まれていると、過酸化水素の分解により生じた酸素が水素と反応して消費されてしまう。その結果、過酸化水素の分解により生じた酸素の濃度を正確に測定することができず、試料水中の過酸化水素濃度を正確に算出できないことがある。これに対し、特許文献1,2に記載されているように、過酸化水素分解手段の前段に気体分離膜などの脱気手段を設置することで、前述の水素をあらかじめ除去することも考えられる。しかしながら、その場合、試料水にもともと含まれる酸素も除去されてしまい、試料水中の過酸化水素濃度を高精度に分析しながら溶存酸素濃度の分析も同時に行うことが困難になる。1つの装置で溶存酸素濃度の分析も同時に行うには、そのための溶存酸素計を別途追加することも考えられるが、このことは、比較的高価な溶存酸素計の個数が増えることにつながるため好ましくない。
そこで、本発明の目的は、コストアップを抑えながら、試料水中の過酸化水素濃度だけでなく溶存酸素濃度も高精度に分析可能な濃度分析装置を提供することである。
上述した目的を達成するために、本発明の一態様による濃度分析装置は、水処理システムの所定位置から採取した試料水中の過酸化水素濃度と溶存酸素濃度とを分析する濃度分析装置であって、所定位置に接続され、試料水を流通させる第1の配管と、所定位置に接続され、試料水を流通させる第2の配管と、第1の配管に設けられ、試料水中の少なくとも溶存水素を除去する脱気手段と、脱気手段より下流側の第1の配管に設けられ、試料水中の過酸化水素を分解する過酸化水素分解手段と、脱気手段と過酸化水素分解手段との間の第1の配管と、第2の配管とを接続する第3の配管と、第1および第2の配管の下流側で第1および第2の配管に接続された第4の配管と、第4の配管に設けられ、試料水の溶存酸素濃度を測定する濃度測定手段と、濃度測定手段による測定結果に基づいて、試料水中の過酸化水素濃度を算出する演算手段と、を有し、濃度測定手段は、第1の配管を経由して脱気手段と過酸化水素分解手段とを通り、第4の配管へと通じる第1の供給経路を流れた試料水の溶存酸素濃度である第1の濃度と、第1の配管を経由して脱気手段を通り、過酸化水素分解手段を通らずに、第3の配管から第2の配管を経由して第4の配管へと通じる第2の供給経路を流れた試料水の溶存酸素濃度である第2の濃度と、第2の配管から第4の配管を経由して脱気手段と過酸化水素分解手段とを通らない第3の供給経路を流れた試料水の溶存酸素濃度である第3の濃度とを別々に測定するようになっており、演算手段は、濃度測定手段による第1の濃度の測定値と第2の濃度の測定値との差分に基づいて、試料水中の過酸化水素濃度を算出する。また、本発明の他の態様による濃度分析装置は、水処理システムの所定位置から採取した試料水中の過酸化水素濃度と溶存酸素濃度とを分析する濃度分析装置であって、所定位置に接続され、試料水を流通させる第1の配管と、所定位置に接続され、試料水を流通させる第2の配管と、第1の配管に設けられ、試料水中の少なくとも溶存水素を除去する脱気手段と、脱気手段より下流側の第1の配管に設けられ、試料水中の過酸化水素を分解する過酸化水素分解手段と、脱気手段と過酸化水素分解手段との間の第1の配管と、第2の配管とを接続する第3の配管と、過酸化水素分解手段より下流側の第1の配管と、第2の配管と第3の配管との接続部より下流側の第2の配管とを接続する第4の配管と、第2の配管と第4の配管との接続部より下流側の第2の配管に設けられ、試料水の溶存酸素濃度を測定する濃度測定手段と、濃度測定手段による測定結果に基づいて、試料水中の過酸化水素濃度を算出する演算手段と、を有し、濃度測定手段は、第1の配管を経由して脱気手段と過酸化水素分解手段とを通り、第4の配管から第2の配管へと通じる第1の供給経路を流れた試料水の溶存酸素濃度である第1の濃度と、第1の配管を経由して脱気手段を通り、過酸化水素分解手段を通らずに、第3の配管から第2の配管へと通じる第2の供給経路を流れた試料水の溶存酸素濃度である第2の濃度と、第2の配管を経由して脱気手段と過酸化水素分解手段とを通らない第3の供給経路を流れた試料水の溶存酸素濃度である第3の濃度とを別々に測定するようになっており、演算手段は、濃度測定手段による第1の濃度の測定値と第2の濃度の測定値との差分に基づいて、試料水中の過酸化水素濃度を算出する。
このような濃度分析装置では、試料水中の過酸化水素濃度を算出するために、採取した試料水の濃度測定手段への供給は、脱気手段を含む第1の供給経路と、同じく脱気手段を含む第2の供給経路とを通じて行われる。そのため、仮に採取した試料水に水素が含まれていたとしても、過酸化水素の分解により生じた酸素が水素と反応して消費されることはなく、試料水中の過酸化水素濃度を高精度に分析することが可能になる。また、採取した試料水を第3の供給経路に流通させて濃度測定装置に供給することで、試料水にもともと含まれる酸素の濃度(第3の濃度)を測定することも可能になる。
以上、本発明によれば、コストアップを抑えながら、試料水中の過酸化水素濃度だけでなく溶存酸素濃度も高精度に分析可能な濃度分析装置を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る濃度分析装置の概略構成図である。 本発明の第2の実施形態に係る濃度分析装置の概略構成図である。 本発明の第3の実施形態に係る濃度分析装置の概略構成図である。 本発明の第4の実施形態に係る濃度分析装置の概略構成図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。本発明の濃度分析装置は、超純水製造装置の二次純水システム(サブシステム)における被処理水(一次純水システムで製造された一次純水)または処理水(超純水)の過酸化水素濃度と溶存酸素濃度とを分析するために好適に用いられる。ただし、本発明はこれに限定されず、様々な水処理システムの所定位置から採取した水を分析対象とすることができる。本発明が対象とする試料水としては、例えば、ユースポイントから回収された使用済みの処理水(超純水)や、水素水のようないわゆる機能水、排水処理設備における被処理水または処理水なども挙げられる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る濃度分析装置の概略構成図である。なお、図示した構成は、あくまで一例であり、本発明を限定するものではない。
濃度分析装置10は、分析対象となる試料水が流れるメイン配管L1にサンプリング配管L10を介して接続され、サンプリング配管L10を通じて採取される試料水中の過酸化水素濃度と溶存酸素濃度を分析するものである。濃度分析装置10は、脱気装置1と、過酸化水素分解装置2と、濃度測定装置3と、切替装置4と、演算装置5とを有している。また、濃度分析装置10は、各種分析結果(測定結果や演算結果)をリアルタイムで表示したり印刷したりするために、モニタなどの表示装置やプリンタなどの出力装置を有していてもよい。なお、メイン配管L1には、サンプリング配管L10が接続される部分より上流側に、試料水を流通させるためのポンプなどの送液装置(図示せず)が設けられており、それがもたらす圧力により、濃度分析装置10への試料水の供給も行われる。そのため、濃度分析装置10の間近にポンプなどの送液装置を設けることは基本的には不要であるが、必要に応じて、例えばサンプリング配管L10に送液装置が設けられていてもよい。また、サンプリング配管L10には、濃度分析装置10への試料水の供給を制御するバルブが設けられていてもよい。
脱気装置(脱気手段)1は、サンプリング配管L10から分岐した2つの分岐配管L11,L12のうち第1の分岐配管L11に設けられている。脱気装置1は、試料水中の溶存水素を除去するものであり、これにより、後述するように、過酸化水素分解装置2で過酸化水素が分解される際に生じる酸素と水素との反応を抑制することができる。また、脱気装置1は、試料水中の溶存酸素を除去することもできる。このことは、溶存酸素のバックグラウンド濃度(ブランク値)を100μg/L以下、好ましくは10μg/L以下に下げることができ、過酸化水素濃度がμg/Lレベルの微量分析において特に有用である。脱気装置1としては、例えば、気体分離膜を備えたものが挙げられる。
過酸化水素分解装置(過酸化水素分解手段)2は、脱気装置1の下流側で第1の分岐配管L11に設けられている。過酸化水素分解装置2は、白金族金属が担体に担持された白金族金属担持触媒を備えている。白金族金属担持触媒は、例えば容器(カラム)に充填され、過酸化水素を含有する試料水と接触することで、過酸化水素を水と酸素に分解する機能を有している(2H→2HO+O)。
白金族金属担持触媒に用いられる白金族金属としては、触媒活性に優れ、比較的安価であることから、パラジウムを用いることが好ましい。白金族金属担持触媒の担体としては、一般的な粒状のアニオン交換樹脂を用いることもできるが、触媒の調整および反応性の観点から、アニオン交換体を用いることが好ましく、特に、モノリス状有機多孔質アニオン交換体を用いることがより好ましい。モノリス状有機多孔質アニオン交換体は、モノリス状有機多孔質体の骨格中にイオン交換基が導入されたものであり、2000h-1を越える空間速度での通水が可能になる。そのため、例えば、過酸化水素分解装置2に間欠的または連続的に空気(酸素)が混入したり、装置立ち上げ時に過酸化水素分解装置2に空気が残留していたりする場合にも、空気の一部または全部を速やかに下流側に押し流すことができる。その結果、空気の混入による分析精度の悪化を抑制したり、立ち上げ時間を短縮したりすることができる。なお、モノリス状有機多孔質アニオン交換体を用いることは、過酸化水素分解装置2の小型化が容易になる点でも有利である。モノリス状有機多孔質アニオン交換体の具体的な例については後述する。
白金族金属担持触媒が充填される容器(カラム)の材料としては、特に制限はないが、酸素透過率が低く、耐久性に優れたものが好ましく、加えて、装置立ち上げ時にカラム内の気泡の有無を確認できるように透明なものが好ましい。そのような材料としては、例えば、アクリル、塩化ビニル、ポリカーボネートなどが挙げられる。
濃度測定装置3は、試料水中の溶存酸素濃度を測定するものであり、2つの分岐配管L11,L12の下流側で2つの分岐配管L11,L12に接続された合流配管L13に設けられている。濃度測定装置3として、それぞれ公知の溶存酸素計を用いることができる。
濃度分析装置10には、メイン配管L1を流れる試料水を3つの供給経路のいずれかを経由して濃度測定装置3に供給するために、サンプリング配管L10と2つの分岐配管L11,L12と合流配管L13に加えて、接続配管L21が設けられている。接続配管L21は、第1の分岐配管L11のうち脱気装置1の下流側であって過酸化水素分解装置2の上流側の部分と、第2の分岐配管L12とを接続するものである。
こうして、5つの配管L10~L13,L21により、上述した3つの供給経路が形成される。第1の供給経路L10,L11,L13は、サンプリング配管L10から第1の分岐配管L11を経由して脱気装置1と過酸化水素分解装置2とを通り、合流配管L13へと通じる経路である。第2の供給経路L10,L11,L21,L12,L13は、サンプリング配管L10から第1の分岐配管L11を経由して脱気装置1を通り、過酸化水素分解装置2を通らずに接続配管L21から第2の分岐配管L12を経由して合流配管L13へと通じる経路である。第3の供給経路L10,L12,L13は、サンプリング配管L10から第2の分岐配管L12を経由して合流配管L13へと通じる経路であり、脱気装置1と過酸化水素分解装置2とを通らない経路である。
したがって、濃度測定装置3は、上述した3つの供給経路L10~L13,L21を流れた試料水の溶存酸素濃度を測定するものである。具体的には、第1の供給経路L10,L11,L13を流れた試料水、すなわち、脱気装置1により溶存水素が除去され過酸化水素分解装置2により過酸化水素が分解された試料水の溶存酸素濃度である第1の濃度と、第2の供給経路L10,L11,L21,L12,L13を流れた試料水、すなわち、脱気装置1により溶存水素が除去された試料水であって過酸化水素分解装置2により過酸化水素が分解されていない試料水の溶存酸素濃度である第2の濃度と、第3の供給経路L10,L12,L13を流れた試料水、すなわち、メイン配管L1を流れる試料水の溶存酸素濃度である第3の濃度とを測定するものである。
切替装置(切替手段)4は、濃度測定装置3への試料水の供給経路を上述した3つの供給経路L10~L13,L21のいずれかに切り替えるものであり、3つの開閉弁V1~V3から構成されている。第1の開閉弁V1は、接続配管L21に設けられ、第2の開閉弁V2は、第2の分岐配管L12のうち、第2の分岐配管L12と接続配管L21との接続部より上流側に設けられ、第3の開閉弁V3は、第1の分岐配管L11のうち過酸化水素分解装置2の下流側に設けられている。このような切替装置4により、濃度測定装置3による濃度測定は3つの測定モードに切り替え可能になる。
第1の測定モードでは、第1および第2の開閉弁V1,V2が閉鎖されるとともに第3の開閉弁V3が開放される。これにより、濃度測定装置3には、第1の供給経路L10,L11,L13を通じて試料水が供給され、濃度測定装置3で第1の濃度が測定される。一方、第2の測定モードでは、第1の開閉弁V1が開放されるとともに第2および第3の開閉弁V2,V3が閉鎖される。これにより、濃度測定装置3には、第2の供給経路L10,L11,L21,L12,L13を通じて試料水が供給され、濃度測定装置3で第2の濃度が測定される。そして、第1および第2の測定モードでの濃度測定装置3の測定結果に基づいて、後述するように、演算装置5により試料水中の過酸化水素濃度が算出される。
また、第3の測定モードでは、第1および第3の開閉弁V1,V3が閉鎖されるとともに第2の開閉弁V2が開放される。これにより、濃度測定装置3には、第3の供給経路L10,L12,L13を通じて試料水が供給され、濃度測定装置3で第3の濃度、すなわち、試料水にもともと含まれる酸素の濃度(溶存酸素濃度)が測定される。
演算装置5は、濃度測定装置3による第1の濃度の測定値と第2の濃度の測定値との差分に基づいて、試料水中の過酸化水素濃度を算出するものである。すなわち、濃度測定装置3により測定された第1の濃度DOと第2の濃度DOとから、その差分ΔDO=DO-DOを算出する。ここで、算出された差分ΔDOは、過酸化水素分解装置2において過酸化水素の分解(2H→2HO+O)により生じた酸素に由来する酸素濃度の増加分に一致する。したがって、算出された差分すなわち酸素濃度の増加分ΔDOから、試料水中の過酸化水素濃度CHP=(68/32)ΔDOを算出する。ここで、係数68は、上記過酸化水素の分解反応式の左辺における過酸化水素の分子量であり、係数32は、同右辺における酸素の分子量である。
なお、過酸化水素分解装置2の白金族金属担持触媒は、試料水中の過酸化水素を分解するだけでなく、水素共存下で酸素と反応して水を生成する機能(2H+O→2HO)も有している。したがって、過酸化水素と水素を含有する試料水が過酸化水素分解装置2に供給されると、過酸化水素の分解により生じた酸素が水素と反応して消費されてしまい、算出される差分ΔDOが、実際に生じた酸素に由来する酸素濃度の増加分よりも低く見積もられる可能性がある。このような状況は、例えば、試料水として、紫外線酸化装置を含む超純水製造装置のサブシステムにおける処理水を用いた場合に発生する可能性がある。すなわち、紫外線酸化装置では、紫外線酸化処理の過程で微量の過酸化水素だけでなく微量の水素も生成されることが知られており、サブシステムにおける処理水に過酸化水素だけでなく水素も含まれる可能性がある。
しかしながら、本実施形態の濃度分析装置10では、採取した試料水は、第1の濃度を測定する場合、脱気装置1を含む第1の供給経路L10,L11,L13を経由して濃度測定装置3に供給され、第2の濃度を測定する場合、同じく脱気装置1を含む第2の供給経路L10,L11,L21,L12,L13を経由して濃度測定装置3に供給される。したがって、仮にメイン配管L1を流れる試料水に水素が含まれていたとしても、そのような水素は脱気装置1により除去されるため、過酸化水素の分解により生じた酸素が水素と反応して消費されることはなくなる。その結果、算出される差分ΔDOが、実際に生じた酸素の増加分よりも低く見積もられる可能性はなくなり、より高精度に試料水中の過酸化水素濃度を算出することが可能になる。なお、本実施形態の濃度分析装置10は、試料水に含み得る水素を除去する脱気装置1を備えているため、気体分離膜などの脱気手段を備えていない超純水製造装置のサブシステムにおける処理水を分析対象とする場合に特に有用である。
また、本実施形態によれば、採取した試料水を第3の供給経路L10,L12,L13に流通させることで、試料水中の過酸化水素濃度を分析するために用いられる濃度測定装置3により、試料水にもともと含まれる酸素の濃度(溶存酸素濃度)を測定することも可能になる。なお、濃度測定が行われた試料水は合流配管L13から外部に排出されるが、本実施形態は、濃度測定に試薬などが使用されないため、排水処理が容易になる点でも有利である。
第1の測定モードと第2の測定モードは、試料水中の過酸化水素濃度を分析する第1の濃度分析工程において交互に実行される。第1の測定モードと第2の測定モードとを切り替える頻度に特に制限はないが、切り替えの頻度が多すぎると、測定値が安定する前に切り替えが行われてしまう可能性があり、切り替えの頻度が少なすぎると、過酸化水素濃度を分析できない期間が長くなってしまう。そのため、切り替えの頻度は、これらのバランスを考慮して決定されることが好ましい。なお、第1の濃度分析工程の各測定モードにおいて、実際の濃度測定は、試料水の供給の切り替えが行われてから一定時間が経過し、測定値が安定した後で行われることが好ましく、差分の算出には、所定時間における平均値を用いることもできる。
また、第3の測定モードは、試料水中の溶存酸素濃度を分析する第2の濃度分析工程において実行される。第2の濃度分析工程は、第1の濃度分析工程と所定の頻度で切り替えて実行されてもよく、あるいは、通常は第1の濃度分析工程が実行され、必要に応じて、第1の濃度分析工程の合間に第2の濃度分析工程が実行されてもよい。第1の濃度分析工程と第2の濃度分析工程とを所定の頻度で切り替える場合、測定値が安定する前に切り替えが行われてしまわないように、切り替えの頻度は多すぎないことが好ましい。なお、第2の濃度分析工程においても、実際の濃度測定は、試料水の供給の切り替えが行われてから一定時間が経過した後で行われることが好ましい。
また、濃度測定装置3に用いられる溶存酸素計に対しては、任意の頻度で校正を行うことが好ましい。それにより、溶存酸素計の測定精度、ひいては過酸化水素濃度と溶存酸素濃度の分析精度を高めることができる。溶存酸素計の校正方法としては、溶存酸素計の校正に一般的に用いられる大気校正やゼロ点校正を用いることができる。校正の頻度に特に制限はないが、1日に1回より多い頻度では、頻繁に校正が行われるため煩雑であり、1年に1回より少ない頻度では、校正の頻度として少なすぎるため、測定値の信頼性が乏しくなる。したがって、校正の頻度は、1日から1年に1回が好ましく、より好ましくは1週間から半年に1回である。
濃度測定装置3に用いられる溶存酸素計は、所定の流量範囲で最も誤差が少なくなるように調整されているため、溶存酸素計に供給される試料水の流量がそのような流量範囲に調整されていることが好ましい。したがって、合流配管L13には、図示したように、合流配管L13を流れる試料水の流量を調整する流量調整手段6が設けられていることが好ましい。流量調整手段6の構成に特に制限はなく、例えば、流量計と流量調整弁とからなる流量調整手段を用いることができる。また、流量調整手段6の設置位置は、配管などの継ぎ目から空気(酸素)が侵入するおそれがあるため、濃度測定装置3の下流側であることが好ましい。なお、合流配管L13には、流量調整手段6の他にも、プロセス制御に用いられる周知の構成(例えば警報装置など)が任意に設けられていてもよい。
なお、各配管L10~L13,L21の材料としては、ガス透過性の低いものが好ましく、特に、酸素透過率が低く、不純物の溶出が少ないものが好ましい。そのような材料としては、例えば、ステンレス鋼やポリアミド樹脂が挙げられる。また、各配管の材料としてステンレス鋼が用いられる場合、継ぎ目からの空気(酸素)の侵入を抑制するために、配管の分岐部や屈曲部は、エルボやチーズなどの継手類によって構成されるのではなく、溶接や曲げ加工によって作製されることが好ましい。
本実施形態では、濃度測定装置3が、第1の濃度と第2の濃度と第3の濃度とを測定する濃度測定手段として機能し、演算装置5が、これらの測定値に基づいて試料水中の過酸化水素濃度を算出する演算手段として機能するが、濃度測定手段と演算手段の構成はこれに限定されるものではない。例えば、濃度測定装置(溶存酸素計)3の代わりに、隔膜電極法に基づいて試料水中の溶存酸素濃度に比例して電極間に流れる電流を検出する検出器が設けられ、その検出結果に基づいて、演算装置5が、溶存酸素濃度の換算と過酸化水素濃度の算出とを行ってもよい。すなわち、演算装置5が、濃度測定手段としての機能と演算手段としての機能とを併せ持っていてもよい。
図示した構成では、2つの分岐配管L11,L12がサンプリング配管L10を介してメイン配管L1に接続されているが、それぞれが直接メイン配管L1に接続されていてもよい。ただし、試料水の採取位置が大きく異なると、溶存酸素濃度などの水質条件が異なるおそれがあるため、2つの分岐配管L11,L12は、図示したように、サンプリング配管L10を介してメイン配管L1に接続されていることが好ましい。
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態に係る濃度分析装置の概略構成図である。以下、第1の実施形態と同様の構成については、図面に同じ符号を付してその説明を省略し、第1の実施形態と異なる構成のみ説明する。
第1の実施形態では、各測定モードの実行中に、第1および第2の分岐配管L11,L12において試料水の滞留が発生する箇所(試料水が通過して流れない箇所)がある。例えば、第2および第3の測定モードでは、過酸化水素分解装置2に試料水が供給されないため、過酸化水素分解装置2やその前後の配管に試料水が滞留することになる。この間に試料水に空気(酸素)が混入してしまい、測定モードの切り替え後、その空気が濃度測定装置3に流入する可能性がある。その結果、測定値が安定するまでに比較的長い時間を要してしまい、過酸化水素濃度を分析できない期間が長くなる可能性がある。
そこで、本実施形態の濃度分析装置10は、このような試料水の滞留を抑制するための構成として、第1の排水配管L31と第2の排水配管L32とを備えている。第1の排水配管L31は、第1の分岐配管L11のうち過酸化水素分解装置2の下流側に接続され、第2の排水配管L32は、第2の分岐配管L12のうち、第2の分岐配管L12と接続配管L21との接続部より下流側に接続されている。なお、第1および第2の排水配管L31,L32の材料や加工方法は、サンプリング配管L10や分岐配管L11,L12、合流配管L13の場合と同様であることが好ましい。
また、このような排水配管L31,L32の設置に伴い、切替装置4の構成も変更されている。具体的には、第1の実施形態の第3の開閉弁V3が省略され、第1の分岐配管L11と第1の排水配管L31との接続部に、切替装置4を構成する第1の三方弁TV1が設けられ、第2の分岐配管L12と第2の排水配管L32との接続部に、同じく切替装置4を構成する第2の三方弁TV2が設けられている。第1の三方弁TV1は、2つの位置に切り替え可能であり、具体的には、第1の分岐配管L11のうち第1の三方弁TV1の上流側を第1の三方弁TV1の下流側に連通させる第1の位置と、第1の分岐配管L11のうち第1の三方弁TV1の上流側を第1の排水配管L31に連通させる第2の位置とに切り替え可能である。換言すると、第1の分岐配管L11を流れる試料水は、第1の三方弁TV1が第1の位置にあるときには合流配管L13に流入し、第1の三方弁TV1が第2の位置にあるときには第1の排水配管L31に流入する。また、第2の三方弁TV2も、2つの位置に切り替え可能であり、具体的には、第2の分岐配管L12のうち第2の三方弁TV2の上流側を第2の三方弁TV2の下流側に連通させる第1の位置と、第2の分岐配管L12のうち第2の三方弁TV2の上流側を第2の排水配管L32に連通させる第2の位置とに切り替え可能である。換言すると、第2の分岐配管L12を流れる試料水は、第2の三方弁TV2が第1の位置にあるときには合流配管L13に流入し、第2の三方弁TV2が第2の位置にあるときには第2の排水配管L32に流入する。
このような切替装置4により、本実施形態における試料水の流れは、以下のように切り替えられ、その結果、試料水の滞留を最小限に抑えることができ、過酸化水素濃度を分析できない期間が長くなることを抑制することができる。
まず、第1の測定モードでは、第1の開閉弁V1が閉鎖されるとともに第2の開閉弁V2が開放され、かつ、第1の三方弁TV1が第1の位置に切り替えられるとともに第2の三方弁TV2が第2の位置に切り替えられる。これにより、サンプリング配管L10を通じて採取した試料水は、第1の分岐配管L11に流入する一方、第2の分岐配管L12にも流入する。そして、第1の分岐配管L11に流入した試料水が、脱気装置1と過酸化水素分解装置2とを通過し、合流配管L13を通じて濃度測定装置3に供給される一方、第2の分岐配管L12に流入した試料水は、第2の排水配管L32を通じて外部に排出される。
また、第2の測定モードでは、第1の開閉弁V1が開放されるとともに第2の開閉弁V2が閉鎖され、かつ、第1の三方弁TV1が第2の位置に切り替えられるとともに第2の三方弁TV2が第1の位置に切り替えられる。これにより、サンプリング配管L10から第1の分岐配管L11に流入して脱気装置1を通過した試料水は、接続配管L21に流入する一方、過酸化水素分解装置2にも供給される。そして、接続配管L21に流入した試料水が、第2の分岐配管L12から合流配管L13を通じて濃度測定装置3に供給される一方、過酸化水素分解装置2に供給された試料水は、第1の分岐配管L11から第1の排水配管L31を通じて外部に排出される。
また、第3の測定モードでは、第1の開閉弁V1が閉鎖されるとともに第2の開閉弁V2が開放され、かつ、第1の三方弁TV1が第2の位置に切り替えられるとともに第2の三方弁TV2が第1の位置に切り替えられる。これにより、サンプリング配管L10を通じて採取した試料水は、第2の分岐配管L12に流入する一方、第1の分岐配管L11にも流入する。そして、第2の分岐配管L12に流入した試料水が、合流配管L13を通じて濃度測定装置3に供給される一方、第1の分岐配管L11に流入した試料水は、脱気装置1と過酸化水素分解装置2とを通り、第1の分岐配管L11から第1の排水配管L31を通じて外部に排出される。
なお、第2の測定モードでは、上述したように、脱気装置1を通過した試料水が合流配管L13と第1の排水配管L31を並列に流れるが、第1の排水配管L31を流れる試料水の流量が適切に調整されていないと、脱気装置1に過剰な試料水が流入する可能性がある。その場合、脱気装置1で試料水中の溶存水素および溶存酸素を完全に除去できなくなり、そのような試料水が合流配管L13を通じて濃度測定装置3に供給されてしまう。そのため、第1の排水配管L31にも、合流配管L13に設けられているのと同様の流量調整手段7が設けられていることが好ましい。また、第1の分岐配管L11に流入した試料水の経路を合流配管L13と第1の排水配管L31のいずれかに切り替える手段として、第1の三方弁TV1の代わりに、複数の開閉弁(二方弁)が設けられていてもよい。同様に、第2の分岐配管L12に流入した試料水の経路を合流配管L13と第2の排水配管L32のいずれかに切り替える手段として、第2の三方弁TV2の代わりに、複数の開閉弁(二方弁)が設けられていてもよい。
(第3の実施形態)
図3は、本発明の第3の実施形態に係る濃度分析装置の概略構成図である。以下、上述した実施形態と同様の構成については、図面に同じ符号を付してその説明を省略し、上述した実施形態と異なる構成のみ説明する。
本実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、濃度測定装置3が第2の分岐配管L12に設けられている点で第1の実施形態と異なっている。これに伴い、第1の実施形態の合流配管L13は設けられておらず、したがって、第1および第2の分岐配管L11,L12は、その下流側で合流配管L13に接続されておらず、そのまま外部に接続されている。さらに、第1の実施形態の接続配管(第1の接続配管)L21に加えて、その下流側にさらに別の接続配管(第2の接続配管)L22が設けられている。第2の接続配管L22は、第1の分岐配管L11のうち過酸化水素分解装置2の下流側の部分と、第2の分岐配管L12のうち、第2の分岐配管L12と第1の接続配管L21との接続部より下流側であって濃度測定装置3の上流側の部分とを接続するものである。なお、第2の接続配管L22の材料や加工方法は、サンプリング配管L10や分岐配管L11,L12、第1の接続配管L21の場合と同様であることが好ましい。
したがって、本実施形態は、濃度測定装置3への試料水の3つの供給経路も第1の実施形態と異なっている。すなわち、脱気装置1と過酸化水素分解装置2とを通過する第1の供給経路は、サンプリング配管L10、第1の分岐配管L11、第2の接続配管L22、および第2の分岐配管L12から形成される。また、脱気装置1を通過して過酸化水素分解装置2を通過しない第2の供給経路は、サンプリング配管L10、第1の分岐配管L11、第1の接続配管L21、および第2の分岐配管L12から形成され、脱気装置1と過酸化水素分解装置2とを通過しない第3の供給経路は、サンプリング配管L10、および第2の分岐配管L12から形成される。
一方で、本実施形態は、切替装置4の第3の開閉弁V3が第2の接続配管L22に設けられている点で第1の実施形態と異なっているが、各測定モードにおける第1から第3の開閉弁V1~V3の開閉動作は、第1の実施形態と同様である。すなわち、第1の測定モードでは、第1および第2の開閉弁V1,V2が閉鎖されるとともに第3の開閉弁V3が開放され、濃度測定装置3により、第1の供給経路L10,L11,L22,L12を流れた試料水の溶存酸素濃度である第1の濃度が測定される。一方、第2の測定モードでは、第1の開閉弁V1が開放されるとともに第2および第3の開閉弁V2,V3が閉鎖され、濃度測定装置3により、第2の供給経路L10,L11,L21,L12を流れた試料水の溶存酸素濃度である第2の濃度が測定される。また、第3の測定モードでは、第1および第3の開閉弁V1,V3が閉鎖されるとともに第2の開閉弁V2が開放され、濃度測定装置3により、第3の供給経路L10,L12を流れた試料水の溶存酸素濃度である第3の濃度が測定される。
なお、本実施形態においても、図示したように、第1の実施形態で合流配管L13に設けられていたのと同様の流量調整手段6が第2の分岐配管L12に設けられていることが好ましく、その設置位置は、第1の実施形態と同様に、濃度測定装置3の下流側であることが好ましい。また、第1の分岐配管L11にも、第2の分岐配管L12に設けられているのと同様の流量調整手段7が設けられていてよい。
(第4の実施形態)
図4は、本発明の第4の実施形態に係る濃度分析装置の概略構成図である。以下、上述した実施形態と同様の構成については、図面に同じ符号を付してその説明を省略し、上述した実施形態と異なる構成のみ説明する。
本実施形態は、第3の実施形態の変形例であり、第1の実施形態に対する第2の実施形態と同様に、試料水の滞留を抑制するための構成を備えている点で、第3の実施形態と異なっている。すなわち、本実施形態では、試料水の滞留を抑制するための構成として、第3の接続配管L23が設けられている。第3の接続配管L23は、第1の分岐配管L11のうち、第1の分岐配管L11と第2の接続配管L22との接続部より下流側の部分と、第2の分岐配管L12のうち、第2の分岐配管L12と第1の接続配管L21との接続部より下流側であって第2の分岐配管L12と第2の接続配管L22との接続部より上流側の部分とを接続するものである。
また、このような第3の接続配管L23の設置に伴い、切替装置4の構成も変更されている。具体的には、切替装置4は、第1から第3の開閉弁V1~V3に加えて、第4から第6の開閉弁V4~V6を有している。第4の開閉弁V4は、第2の分岐配管L12のうち、第2の分岐配管L12と第2の接続配管L22との接続部より上流側であって第2の分岐配管L12と第3の接続配管L23との接続部より下流側に設けられている。また、第5の開閉弁V5は、第3の接続配管L23に設けられ、第6の開閉弁V6は、第1の分岐配管L11のうち、第1の分岐配管L11と第2の接続配管L22との接続部より下流側であって第1の分岐配管L11と第3の接続配管L23との接続部より上流側に設けられている。
このような切替装置4により、本実施形態における試料水の流れは、以下のように切り替えられ、その結果、第2の実施形態と同様に、試料水の滞留を最小限に抑えることができ、過酸化水素濃度を分析できない期間が長くなることを抑制することができる。
まず、第1の測定モードでは、第1、第4、および第6の開閉弁V1,V4,V6が閉鎖されるとともに第2、第3、および第5の開閉弁V2,V3,V5が開放される。これにより、サンプリング配管L10を通じて採取した試料水は、第1の分岐配管L11に流入し、脱気装置1と過酸化水素分解装置2とを通過して、第2の接続配管L22から第2の分岐配管L12を通じて濃度測定装置3に供給される。その一方、サンプリング配管L10を通じて採取した試料水は、第2の分岐配管L12にも流入する。そして、第2の分岐配管L12に流入した試料水は、第3の接続配管L23から第1の分岐配管L11を通じて外部に排出される。
また、第2の測定モードでは、第1、第4、および第6の開閉弁V1,V4,V6が開放されるとともに第2、第3、および第5の開閉弁V2,V3,V5が閉鎖される。これにより、サンプリング配管L10から第1の分岐配管L11に流入して脱気装置1を通過した試料水は、接続配管L21に流入し、第2の分岐配管L12を通じて濃度測定装置3に供給される。その一方、脱気装置1を通過した試料水は、過酸化水素分解装置2にも供給され、第1の分岐配管L11をそのまま流れて外部に排出される。
また、第3の測定モードでは、第1、第3、および第5の開閉弁V1,V3,V5が閉鎖されるとともに第2、第4、および第6の開閉弁V2,V4,V6が開放される。これにより、サンプリング配管L10を通じて採取した試料水は、第2の分岐配管L12に流入し、第2の分岐配管L12を通じて濃度測定装置3に供給される。その一方、サンプリング配管L10を通じて採取した試料水は、第1の分岐配管L11にも流入する。そして、第1の分岐配管L11に流入した試料水は、脱気装置1と過酸化水素分解装置2とを通過し、第1の分岐配管L11を通じて外部に排出される。
(モノリスアニオン交換体)
ここで、上述した実施形態の過酸化水素分解装置2に好適に使用されるモノリス状有機多孔質アニオン交換体の具体例として、2種類のモノリス状有機多孔質アニオン交換体について説明する。以下、モノリス状有機多孔質アニオン交換体を単に「モノリスアニオン交換体」といい、モノリス状有機多孔質体を単に「モノリス」ともいう。また、モノリスの製造における中間体(前駆体)であるモノリス状有機多孔質中間体を単に「モノリス中間体」ともいう。
[Aタイプのモノリスアニオン交換体]
Aタイプのモノリスアニオン交換体は、モノリスにアニオン交換基を導入することで得られるものであり、気泡状のマクロポア同士が重なり合い、この重なる部分が水湿潤状態で平均直径30~300μm、好ましくは30~200μm、特に好ましくは40~100μmの開口(メソポア)となる連続マクロポア構造体である。Aタイプのモノリスアニオン交換体の開口の平均直径は、モノリスにアニオン交換基を導入する際、モノリス全体が膨潤するため、モノリスの開口の平均直径よりも大きくなる。水湿潤状態での開口の平均直径が30μm未満であると、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、水湿潤状態での開口の平均直径が大き過ぎると、被処理水(試料水)とAタイプのモノリスアニオン交換体および担持された白金族金属ナノ粒子との接触が不十分となり、その結果、過酸化水素分解特性が低下してしまうため好ましくない。なお、乾燥状態のモノリス中間体の開口の平均直径、乾燥状態のモノリスの開口の平均直径、及び乾燥状態のモノリスアニオン交換体の開口の平均直径は、それぞれ水銀圧入法により測定される値を意味する。また、水湿潤状態のAタイプのモノリスアニオン交換体の開口の平均直径は、乾燥状態のAタイプのモノリスアニオン交換体の開口の平均直径に、膨潤率を乗じて算出される値である。また、アニオン交換基導入前の乾燥状態のモノリスの開口の平均直径、及びその乾燥状態のモノリスにアニオン交換基導入したときの乾燥状態のモノリスに対する水湿潤状態のAタイプのモノリスアニオン交換体の膨潤率がわかる場合は、乾燥状態のモノリスの開口の平均直径に、膨潤率を乗じて、水湿潤状態のAタイプのモノリスアニオン交換体の開口の平均直径を算出することもできる。
Aタイプのモノリスアニオン交換体において、連続マクロポア構造体の切断面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像において、断面に表れる骨格部面積が、画像領域中、25~50%、好ましくは25~45%である。断面に表れる骨格部面積が、画像領域中、25%未満であると、細い骨格となり、機械的強度が低下して、特に高流速で通水した際にモノリスアニオン交換体が大きく変形してしまうため好ましくない。更に、被処理水とAタイプのモノリスアニオン交換体およびそれに担持された白金族金属ナノ粒子との接触効率が低下し、触媒効果が低下するため好ましくなく、50%を超えると、骨格が太くなり過ぎ、通水時の圧力損失が増大するため好ましくない。
また、Aタイプのモノリスアニオン交換体の全細孔容積は、0.5~5ml/g、好ましくは0.8~4ml/gである。全細孔容積が0.5ml/g未満であると、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、更に、単位断面積当たりの透過流体量が小さくなり、処理能力が低下してしまうため好ましくない。一方、全細孔容積が5ml/gを超えると、機械的強度が低下して、特に高流速で通水した際にAタイプのモノリスアニオン交換体が大きく変形してしまうため好ましくない。更に、被処理水とAタイプのモノリスアニオン交換体およびそれに担持された白金族金属ナノ粒子との接触効率が低下し、触媒効果も低下してしまうため好ましくない。なお、モノリス中間体、モノリス、及びモノリスアニオン交換体の全細孔容積は、それぞれ水銀圧入法により測定される値を意味する。また、モノリス中間体、モノリス、及びモノリスアニオン交換体の全細孔容積は、それぞれ、乾燥状態でも、水湿潤状態でも、同じである。
なお、Aタイプのモノリスアニオン交換体に水を透過させた際の圧力損失は、これを1m充填したカラムに通水線速度(LV)1m/hで通水した際の圧力損失で示すと、0.001~0.1MPa/m・LVの範囲、特に0.005~0.05MPa/m・LVであることが好ましい。
Aタイプのモノリスアニオン交換体は、水湿潤状態での体積当たりのアニオン交換容量が0.4~1.0mg当量/mlである。体積当たりのアニオン交換容量が0.4mg当量/ml未満であると、体積当たりの白金族金属のナノ粒子担持量が低下してしまうため好ましくない。一方、体積当たりのアニオン交換容量が1.0mg当量/mlを超えると、通水時の圧力損失が増大してしまうため好ましくない。なお、Aタイプのモノリスアニオン交換体の重量当たりのアニオン交換容量は特に限定されないが、アニオン交換基が多孔質体の表面及び骨格内部にまで均一に導入しているため、3.5~4.5mg当量/gである。
Aタイプのモノリスアニオン交換体において、連続マクロポア構造体の骨格を構成する材料は、架橋構造を有する有機ポリマー材料である。該ポリマー材料の架橋密度は特に限定されないが、ポリマー材料を構成する全構成単位に対して、0.3~10モル%、好適には0.3~5モル%の架橋構造単位を含んでいることが好ましい。架橋構造単位が0.3モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくなく、一方、10モル%を越えると、アニオン交換基の導入が困難になる場合があるため好ましくない。該ポリマー材料の種類に特に制限はなく、例えば、ポリスチレン等の芳香族ビニルポリマーが挙げられる。上記ポリマーは、単独のビニルモノマーと架橋剤を共重合させて得られるポリマーでも、複数のビニルモノマーと架橋剤を重合させて得られるポリマーであってもよく、また、二種類以上のポリマーがブレンドされたものであってもよい。これら有機ポリマー材料の中で、連続マクロポア構造形成の容易さ、アニオン交換基導入の容易性と機械的強度の高さ、および酸又はアルカリに対する安定性の高さから、芳香族ビニルポリマーの架橋重合体が好ましく、特に、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体やビニルベンジルクロライド-ジビニルベンゼン共重合体が好ましい材料として挙げられる。
Aタイプのモノリスアニオン交換体のアニオン交換基としては、トリメチルアンモニウム基、トリエチルアンモニウム基、トリブチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシエチルアンモニウム基、ジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム基、メチルジヒドロキシエチルアンモニウム基等の四級アンモニウム基等が挙げられる。
導入されたアニオン交換基は、多孔質体の表面のみならず、多孔質体の骨格内部にまで均一に分布している。ここで言う「アニオン交換基が均一に分布している」とは、アニオン交換基の分布が少なくともμmオーダーで表面および骨格内部に均一に分布していることを指す。アニオン交換基の分布状況は、対アニオンを塩化物イオン、臭化物イオンなどにイオン交換した後、電子線マイクロアナライザ(EPMA)を用いることで、比較的簡単に確認することができる。また、アニオン交換基が、モノリスの表面のみならず、多孔質体の骨格内部にまで均一に分布していると、表面と内部の物理的性質及び化学的性質を均一にできるため、膨潤及び収縮に対する耐久性が向上する。
Aタイプのモノリスアニオン交換体は、骨太のモノリスにアニオン交換基が導入されるため、例えば骨太モノリスの1.4~1.9倍のように大きく膨潤する。このため、骨太モノリスの開口径が小さいものであっても、モノリスイオン交換体の開口径は概ね、上記倍率で大きくなる。また、開口径が膨潤で大きくなっても全細孔容積は変化しない。従って、Aタイプのモノリスイオン交換体は、開口径が格段に大きいにもかかわらず、骨太骨格を有するため機械的強度が高い。
[Bタイプのモノリスアニオン交換体]
Bタイプのモノリスアニオン交換体は、アニオン交換基が導入された全構成単位中、架橋構造単位を0.3~5.0モル%含有する芳香族ビニルポリマーからなる平均太さが水湿潤状態で1~60μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に平均直径が水湿潤状態で10~100μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体であって、全細孔容積が0.5~5ml/gであり、水湿潤状態での体積当たりのイオン交換容量が0.3~1.0mg当量/mlであり、アニオン交換基が該多孔質イオン交換体中に均一に分布している。
Bタイプのモノリスアニオン交換体は、アニオン交換基が導入された平均太さが水湿潤状態で1~60μm、好ましくは3~58μmの三次元的に連続した骨格と、その骨格間に平均直径が水湿潤状態で10~100μm、好ましくは15~90μm、特に好ましくは20~80μmの三次元的に連続した空孔とからなる共連続構造体である。すなわち、共連続構造は、連続する骨格相と連続する空孔相とが絡み合ってそれぞれが共に3次元的に連続する構造である。この連続した空孔は、従来の連続気泡型モノリスや粒子凝集型モノリスに比べて空孔の連続性が高くてその大きさに偏りがないため、極めて均一なイオンの吸着挙動を達成できる。また、骨格が太いため機械的強度が高い。
Bタイプのモノリスアニオン交換体の骨格の太さ及び空孔の直径は、モノリスにアニオン交換基を導入する際、モノリス全体が膨潤するため、モノリスの骨格の太さ及び空孔の直径よりも大きくなる。この連続した空孔は、従来の連続気泡型モノリスアニオン交換体や粒子凝集型モノリスアニオン交換体に比べて空孔の連続性が高くてその大きさに偏りがないため、極めて均一なアニオンの吸着挙動を達成できる。三次元的に連続した空孔の平均直径が水湿潤状態で10μm未満であると、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、100μmを超えると、被処理水(試料水)と有機多孔質アニオン交換体との接触が不十分となり、その結果、被処理水中の溶存酸素の除去が不十分となるため好ましくない。また、骨格の平均太さが水湿潤状態で1μm未満であると、体積当たりのアニオン交換容量が低下するといった欠点のほか、機械的強度が低下して、特に高流速で通水した際にBタイプのモノリスアニオン交換体が大きく変形してしまうため好ましくない。更に、被処理水とBタイプのモノリスアニオン交換体との接触効率が低下し、触媒効果が低下するため好ましくない。一方、骨格の太さが60μmを越えると、骨格が太くなり過ぎ、通水時の圧力損失が増大するため好ましくない。
上記連続構造体の空孔の水湿潤状態での平均直径は、水銀圧入法で測定した乾燥状態のモノリスアニオン交換体の空孔の平均直径に、膨潤率を乗じて算出される値である。また、アニオン交換基導入前の乾燥状態のモノリスの空孔の平均直径、及びその乾燥状態のモノリスにアニオン交換基導入したときの乾燥状態のモノリスに対する水湿潤状態のBタイプのモノリスアニオン交換体の膨潤率がわかる場合は、乾燥状態のモノリスの空孔の平均直径に、膨潤率を乗じて、水湿潤状態のBタイプのモノリスアニオン交換体の空孔の平均直径を算出することもできる。また、上記連続構造体の骨格の水湿潤状態での平均太さは、乾燥状態のBタイプのモノリスアニオン交換体のSEM観察を少なくとも3回行い、得られた画像中の骨格の太さを測定し、その平均値に、膨潤率を乗じて算出される値である。また、アニオン交換基導入前の乾燥状態のモノリスの骨格の平均太さ、及びその乾燥状態のモノリスにアニオン交換基導入したときの乾燥状態のモノリスに対する水湿潤状態のBタイプのモノリスアニオン交換体の膨潤率がわかる場合は、乾燥状態のモノリスの骨格の平均太さに、膨潤率を乗じて、水湿潤状態のBタイプのモノリスアニオン交換体の骨格の平均太さを算出することもできる。なお、骨格は棒状であり円形断面形状であるが、楕円断面形状等異径断面のものが含まれていてもよい。この場合の太さは短径と長径の平均である。
また、Bタイプのモノリスアニオン交換体の全細孔容積は、0.5~5ml/gである。全細孔容積が0.5ml/g未満であると、通水時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくなく、更に、単位断面積当たりの透過水量が小さくなり、処理水量が低下してしまうため好ましくない。一方、全細孔容積が5ml/gを超えると、体積当たりのアニオン交換容量が低下し、白金族金属ナノ粒子の担持量も低下し触媒効果が低下するため好ましくない。また、機械的強度が低下して、特に高流速で通水した際にBタイプのモノリスアニオン交換体が大きく変形してしまうため好ましくない。更に、被処理水とBタイプのモノリスアニオン交換体との接触効率が低下して、過酸化水素分解効果も低下してしまうため好ましくない。三次元的に連続した空孔の大きさ及び全細孔容積が上記範囲にあれば、被処理水との接触が極めて均一で接触面積も大きく、かつ低圧力損失下での通水が可能となる。なお、モノリス中間体、モノリス、及びモノリスアニオン交換体の全細孔容積は、それぞれ、乾燥状態でも、水湿潤状態でも、同じである。
なお、Bタイプのモノリスアニオン交換体に水を透過させた際の圧力損失は、多孔質体を1m充填したカラムに通水線速度(LV)1m/hで通水した際の圧力損失で示すと、0.001~0.5MPa/m・LVの範囲、特に0.005~0.1MPa/m・LVである。
Bタイプのモノリスアニオン交換体において、共連続構造体の骨格を構成する材料は、全構成単位中、0.3~5モル%、好ましくは0.5~3.0モル%の架橋構造単位を含んでいる芳香族ビニルポリマーであり疎水性である。架橋構造単位が0.3モル%未満であると、機械的強度が不足するため好ましくなく、一方、5モル%を越えると、多孔質体の構造が共連続構造から逸脱しやすくなる。該芳香族ビニルポリマーの種類に特に制限はなく、例えば、ポリスチレンが挙げられる。上記ポリマーは、単独のビニルモノマーと架橋剤を共重合させて得られるポリマーでも、複数のビニルモノマーと架橋剤を重合させて得られるポリマーであってもよく、また、二種類以上のポリマーがブレンドされたものであってもよい。これら有機ポリマー材料の中で、共連続構造形成の容易さ、アニオン交換基導入の容易性と機械的強度の高さ、および酸又はアルカリに対する安定性の高さから、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体やビニルベンジルクロライド-ジビニルベンゼン共重合体が好ましい。
Bタイプのモノリスアニオン交換体は、水湿潤状態での体積当たりのアニオン交換容量が0.3~1.0mg当量/mlのイオン交換容量を有する。Bタイプのモノリスアニオン交換体は、三次元的に連続した空孔の連続性や均一性が高いため、全細孔容積を低下させても圧力損失はさほど増加しない。そのため、圧力損失を低く押さえたままで体積当たりのアニオン交換容量を飛躍的に大きくすることができる。体積当たりのアニオン交換容量が0.3mg当量/ml未満であると、体積当たりの白金族金属のナノ粒子担持量が低下してしまうため好ましくない。一方、体積当たりのアニオン交換容量が1.0mg当量/mlを超えると、通水時の圧力損失が増大してしまうため好ましくない。なお、Bタイプのモノリスアニオン交換体の乾燥状態における重量当たりのアニオン交換容量は特に限定されないが、イオン交換基が多孔質体の骨格表面及び骨格内部にまで均一に導入しているため、3.5~4.5mg当量/gである。
Bタイプのモノリスアニオン交換体のアニオン交換基としては、Aタイプのモノリスアニオン交換体の説明で挙げたものと同様のものを挙げることができる。また、アニオン交換基の分布状態や、「アニオン交換基が均一に分布している」ことの意味内容や、アニオン交換基分布状態の確認方法や、アニオン交換基がモノリスの表面のみならず多孔質体の骨格内部にまで均一に分布することの効果もAタイプのモノリスアニオン交換体と同様である。
モノリス中間体のポリマー材料の種類は、Aタイプのモノリスアニオン交換体のモノリス中間体のポリマー材料の種類と同様であり、その説明を省略する。
モノリス中間体の全細孔容積は、16ml/gを超え、30ml/g以下、好適には16ml/gを超え、25ml/g以下である。すなわち、このモノリス中間体は、基本的には連続マクロポア構造ではあるが、マクロポアとマクロポアの重なり部分である開口(メソポア)が格段に大きいため、モノリス構造を構成する骨格が二次元の壁面から一次元の棒状骨格に限りなく近い構造を有している。これを重合系に共存させると、モノリス中間体の構造を型として共連続構造の多孔質体が形成される。全細孔容積が小さ過ぎると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの構造が共連続構造から連続マクロポア構造に変化してしまうため好ましくなく、一方、全細孔容積が大き過ぎると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの機械的強度が低下したり、体積当たりのアニオン交換容量が低下したりしてしまうため好ましくない。モノリス中間体の全細孔容積をBタイプのモノリスアニオン交換体の特定の範囲とするには、モノマーと水の比を、概ね1:20~1:40とすればよい。
また、モノリス中間体は、マクロポアとマクロポアの重なり部分である開口(メソポア)の平均直径が乾燥状態で5~100μmである。開口の平均直径が乾燥状態で5μm未満であると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの開口径が小さくなり、流体透過時の圧力損失が大きくなってしまうため好ましくない。一方、100μmを超えると、ビニルモノマーを重合させた後で得られるモノリスの開口径が大きくなりすぎ、被処理水とモノリスアニオン交換体との接触が不十分となり、その結果、過酸化水素分解特性が低下してしまうため好ましくない。モノリス中間体は、マクロポアの大きさや開口の径が揃った均一構造のものが好適であるが、これに限定されず、均一構造中、均一なマクロポアの大きさよりも大きな不均一なマクロポアが点在するものであってもよい。
Bタイプのモノリスアニオン交換体は、共連続構造のモノリスにアニオン交換基が導入されるため、例えばモノリスの1.4~1.9倍に大きく膨潤する。また、空孔径が膨潤で大きくなっても全細孔容積は変化しない。従って、Bタイプのモノリスアニオン交換体は、3次元的に連続する空孔の大きさが格段に大きいにもかかわらず、骨太骨格を有するため機械的強度が高い。また、骨格が太いため、水湿潤状態での体積当たりのアニオン交換容量を大きくでき、更に、被処理水を低圧、大流量で長期間通水することが可能である。
10 濃度分析装置
1 脱気装置
2 過酸化水素分解装置
3 濃度測定装置
4 切替装置
V1 第1の開閉弁
V2 第2の開閉弁
V3 第3の開閉弁
V4 第4の開閉弁
V5 第5の開閉弁
V6 第6の開閉弁
TV1 第1の三方弁
TV2 第2の三方弁
5 演算装置
6,7 流量調整手段
L1 メイン配管
L10 サンプリング配管
L11 第1の分岐配管
L12 第2の分岐配管
L13 合流配管
L21 接続配管(第1の接続配管)
L22 第2の接続配管
L23 第3の接続配管

Claims (10)

  1. 水処理システムの所定位置から採取した試料水中の過酸化水素濃度と溶存酸素濃度とを分析する濃度分析装置であって、
    前記所定位置に接続され、前記試料水を流通させる第1の配管と、
    前記所定位置に接続され、前記試料水を流通させる第2の配管と、
    前記第1の配管に設けられ、記試料水中の少なくとも溶存水素を除去する脱気手段と、
    前記脱気手段より下流側の前記第1の配管に設けられ、前記試料水中の過酸化水素を分解する過酸化水素分解手段と、
    前記脱気手段と前記過酸化水素分解手段との間の前記第1の配管と、前記第2の配管とを接続する第3の配管と、
    前記第1および第2の配管の下流側で該第1および第2の配管に接続された第4の配管と、
    前記第4の配管に設けられ、前記試料水の溶存酸素濃度測定する濃度測定手段と、
    前記濃度測定手段による測定結果に基づいて、前記試料水中の過酸化水素濃度を算出する演算手段と、を有し、
    前記濃度測定手段は、前記第1の配管を経由して前記脱気手段と前記過酸化水素分解手段とを通り、前記第4の配管へと通じる第1の供給経路を流れた前記試料水の溶存酸素濃度である第1の濃度と、前記第1の配管を経由して前記脱気手段を通り、前記過酸化水素分解手段を通らずに、前記第3の配管から前記第2の配管を経由して前記第4の配管へと通じる第2の供給経路を流れた前記試料水の溶存酸素濃度である第2の濃度と、前記第2の配管から前記第4の配管を経由して前記脱気手段と前記過酸化水素分解手段とを通らない第3の供給経路を流れた前記試料水の溶存酸素濃度である第3の濃度とを別々に測定するようになっており、
    前記演算手段は、前記濃度測定手段による前記第1の濃度の測定値と前記第2の濃度の測定値との差分に基づいて、前記試料水中の過酸化水素濃度を算出する、濃度分析装置。
  2. 水処理システムの所定位置から採取した試料水中の過酸化水素濃度と溶存酸素濃度とを分析する濃度分析装置であって、
    前記所定位置に接続され、前記試料水を流通させる第1の配管と、
    前記所定位置に接続され、前記試料水を流通させる第2の配管と、
    前記第1の配管に設けられ、前記試料水中の少なくとも溶存水素を除去する脱気手段と、
    前記脱気手段より下流側の前記第1の配管に設けられ、前記試料水中の過酸化水素を分解する過酸化水素分解手段と、
    前記脱気手段と前記過酸化水素分解手段との間の前記第1の配管と、前記第2の配管とを接続する第3の配管と、
    前記過酸化水素分解手段より下流側の前記第1の配管と、前記第2の配管と前記第3の配管との接続部より下流側の前記第2の配管とを接続する第4の配管と、
    前記第2の配管と前記第4の配管との接続部より下流側の前記第2の配管に設けられ、前記試料水の溶存酸素濃度を測定する濃度測定手段と、
    前記濃度測定手段による測定結果に基づいて、前記試料水中の過酸化水素濃度を算出する演算手段と、を有し、
    前記濃度測定手段は、前記第1の配管を経由して前記脱気手段と前記過酸化水素分解手段とを通り、前記第4の配管から前記第2の配管へと通じる第1の供給経路を流れた前記試料水の溶存酸素濃度である第1の濃度と、前記第1の配管を経由して前記脱気手段を通り、前記過酸化水素分解手段を通らずに、前記第3の配管から前記第2の配管へと通じる第2の供給経路を流れた前記試料水の溶存酸素濃度である第2の濃度と、前記第2の配管を経由して前記脱気手段と前記過酸化水素分解手段とを通らない第3の供給経路を流れた前記試料水の溶存酸素濃度である第3の濃度とを別々に測定するようになっており、
    前記演算手段は、前記濃度測定手段による前記第1の濃度の測定値と前記第2の濃度の測定値との差分に基づいて、前記試料水中の過酸化水素濃度を算出する、濃度分析装置。
  3. 記試料水を前記第1の供給経路に流通させ、前記濃度測定手段で前記第1の濃度を測定する第1の測定モードと、前記試料水を前記第2の供給経路に流通させ、前記濃度測定手段で前記第2の濃度を測定する第2の測定モードと、前記試料水を前記第3の供給経路に流通させ、前記濃度測定手段で前記第3の濃度を測定する第3の測定モードとを切り替える切替手段を有する、請求項1または2に記載の濃度分析装置。
  4. 前記切替手段が、前記第3の配管に設けられた第1の開閉弁と、前記第2の配管と前記第3の配管との接続部より上流側の前記第2の配管に設けられた第2の開閉弁と、前記過酸化水素分解手段より下流側の前記第1の配管に設けられた第3の開閉弁とを有し、
    前記第1の測定モードでは、前記第1および第2の開閉弁が閉鎖されるとともに前記第3の開閉弁が開放され、前記第2の測定モードでは、前記第1の開閉弁が開放されるとともに前記第2および第3の開閉弁が閉鎖され、前記第3の測定モードでは、前記第1および第3の開閉弁が閉鎖されるとともに前記第2の開閉弁が開放される、請求項3に記載の濃度分析装置。
  5. 前記過酸化水素分解手段より下流側の前記第1の配管に接続された第5の配管と、前記第2の配管と前記第3の配管との接続部より下流側の前記第2の配管に接続された第6の配管と、をさらに有し、
    前記切替手段が、前記第3の配管に設けられた第1の開閉弁と、前記第2の配管と前記第3の配管との接続部より上流側の前記第2の配管に設けられた第2の開閉弁と、前記第1の配管と前記5の配管との接続部に設けられた第1の三方弁と、前記第2の配管と前記第6の配管との接続部に設けられた第2の三方弁とを有し、
    前記第1の三方弁は、前記第1の配管のうち前記接続部の上流側を該接続部の下流側に連通させる第1の位置と前記第5の配管に流通させる第2の位置とに切り替え可能であり、前記第2の三方弁は、前記第2の配管のうち前記接続部の上流側を該接続部の下流側に連通させる第1の位置と前記第6の配管に連通させる第2の位置とに切り替え可能であり、
    前記第1の測定モードでは、前記第1の開閉弁が閉鎖されるとともに前記第2の開閉弁が開放され、かつ、前記第1の三方弁が前記第1の位置にあるとともに前記第2の三方弁が前記第2の位置にあり、前記第2の測定モードでは、前記第1の開閉弁が開放されるとともに前記第2の開閉弁が閉鎖され、かつ、前記第1の三方弁が前記第2の位置にあるとともに前記第2の三方弁が前記第1の位置にあり、前記第3の測定モードでは、前記第1の開閉弁が閉鎖されるとともに前記第2の開閉弁が開放され、かつ、前記第1の三方弁が前記第2の位置にあるとともに前記第2の三方弁が前記第1の位置にある、請求項3に記載の濃度分析装置。
  6. 前記第4の配管に設けられ、該配管を流れる前記試料水の流量を調整する流量調整手段を有する、請求項4または5に記載の濃度分析装置。
  7. 前記切替手段が、前記第3の配管に設けられた第1の開閉弁と、前記第2の配管と前記第3の配管との接続部より上流側の前記第2の配管に設けられた第2の開閉弁と、前記第4の配管に設けられた第3の開閉弁とを有し、
    前記第1の測定モードでは、前記第1および第2の開閉弁が閉鎖されるとともに前記第3の開閉弁が開放され、前記第2の測定モードでは、前記第1の開閉弁が開放されるとともに前記第2および第3の開閉弁が閉鎖され、前記第3の測定モードでは、前記第1および第3の開閉弁が閉鎖されるとともに前記第2の開閉弁が開放される、請求項に記載の濃度分析装置。
  8. 前記第1の配管と前記第4の配管との接続部より下流側の前記第1の配管と、前記第2の配管と前記第3の配管との接続部より下流側であって前記第2の配管と前記第4の配管との接続部より上流側の前記第2の配管とを接続する第5の配管をさらに有し、
    前記切替手段が、前記第3の配管に設けられた第1の開閉弁と、前記第2の配管と前記第3の配管との接続部より上流側の前記第2の配管に設けられた第2の開閉弁と、前記第4の配管に設けられた第3の開閉弁と、前記第2の配管と前記第4の配管との接続部より上流側であって前記第2の配管と前記第5の配管との接続部より下流側の前記第2の配管に設けられた第4の開閉弁と、前記第5の配管に設けられた第5の開閉弁と、前記第1の配管と前記第4の配管との接続部より下流側であって前記第1の配管と前記第5の配管との接続部より上流側の前記第1の配管に設けられた第6の開閉弁とを有し、
    前記第1の測定モードでは、前記第1、第4、および第6の開閉弁が閉鎖されるとともに前記第2、第3、および第5の開閉弁が開放され、前記第2の測定モードでは、前記第1、第4、および第6の開閉弁が開放されるとともに前記第2、第3、および第5の開閉弁が閉鎖され、前記第3の測定モードでは、前記第1、第3、および第5の開閉弁が閉鎖されるとともに前記第2、第4、および第6の開閉弁が開放される、請求項に記載の濃度分析装置。
  9. 前記第2の配管に設けられ、該配管を流れる前記試料水の流量を調整する流量調整手段を有する、請求項7または8に記載の濃度分析装置。
  10. 前記過酸化水素分解手段が白金族金属担持触媒を含む、請求項1からのいずれか1項に記載の濃度分析装置。
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