以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
[第1実施形態]
図1に示すように、本発明の実施形態に係る薬品払出システム10は、薬品払出装置1、調剤管理装置2、及び上位システム3を含む。前記薬品払出装置1、前記調剤管理装置2、及び前記上位システム3は、LAN、WAN、インターネット、又はイントラネットなどの通信網N1を介して無線又は有線で通信可能に接続される。また、前記薬品払出システム10には、一又は複数の前記薬品払出装置1が含まれる。なお、前記薬品払出装置1単体を本発明に係る薬品払出システムとして捉えてもよい。
前記上位システム3は、薬品の処方内容を示す処方データの登録操作を受け付ける電子カルテシステム、オーダーリングシステム、又はレセプトシステムなどである。前記処方データには、例えば薬品を識別するための薬品名などの薬品識別情報、用量、用法、剤形、服用開始日、服用期間、及び服用終了日などの薬品情報が含まれる。また、前記処方データには、例えば薬品を服用する患者の氏名、性別、年齢、病棟、担当医師、担当薬剤師などの患者情報も含まれる。
前記調剤管理装置2は、前記上位システム3から前記処方データを読み出すと共に、前記処方データを前記薬品払出装置1に入力するパーソナルコンピュータ等である。具体的に、前記調剤管理装置2は、前記薬品払出装置1における調剤処理に必要な調剤データを前記処方データに基づいて生成し、その調剤データを前記処方データとして前記薬品払出装置1に入力する。例えば、複数の前記薬品払出装置1が前記薬品払出システム10に設けられている場合、前記調剤管理装置2は、前記処方データに基づいて払い出す必要のある薬品を前記薬品払出装置1各々に割り当てる。なお、前記調剤管理装置2が前記上位システム3から前記処方データを読み出す構成に代えて、前記上位システム3から前記調剤管理装置2に前記処方データが送信される構成も考えられる。また、前記上位システム3から前記薬品払出装置1に前記処方データが直接入力されてもよい。
図1に示すように、前記薬品払出装置1は、制御部11、記憶部12、通信I/F13、表示部14、操作部15、ドライブ装置16、プリンタ17、及び薬品払出部18などを備える。具体的に、本実施形態に係る前記薬品払出装置1は、薬品を薬箱単位で払い出す薬箱払出装置である。
また、前記薬品払出装置1は、薬品をPTPシート単位で払い出すシート払出装置、又は薬品を錠剤単位で払い出す錠剤払出装置などであってもよい。なお、前記薬品払出装置1は、前記プリンタ17及び前記薬品払出部18に、前記制御部11、前記記憶部12、前記通信I/F13、前記表示部14、前記操作部15、及び前記ドライブ装置16を含むパーソナルコンピュータが接続されたものであってもよい。
前記通信I/F13は、前記通信網N1を介して前記調剤管理装置2又は前記上位システム3などの外部機器との間で、予め定められた通信プロトコルに従って無線又は有線でデータ通信を実行する通信インターフェースである。
前記表示部14は、前記制御部11からの制御指示に従って各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部である。前記操作部15は、前記薬品払出装置1に各種の情報を入力するためにユーザーによって操作されるタッチパネル又は操作スイッチ等の操作部である。
前記ドライブ装置16は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体161から各種のデータ又は制御プログラムなどを読み取ることが可能である。前記記録媒体161は、CD、DVD、BD、又はUSBメモリなどであり、前記ドライブ装置16は、CDドライブ、DVDドライブ、BDドライブ、又はUSBポートなどである。
前記プリンタ17は、前記薬品払出装置1に搭載されており、前記制御部11から入力される印刷データを用紙などのシートに印刷することが可能である。例えば、前記プリンタ17は、後述の充填リストの印刷に使用される。なお、前記プリンタ17は、前記薬品払出装置1に前記通信網N1等を介して通信可能に接続される外部機器であってもよい。
前記薬品払出部18は、薬品が収容される複数の薬品収容部181及び前記薬品収容部181各々に収容されている薬品を払い出す複数の払出駆動部182を備える。前記薬品収容部181各々には、前記薬品収容部181に予め対応付けられた薬品識別情報が示す種類の薬品が収容される。なお、一種類の薬品に対応付けられた前記薬品収容部181が複数存在することも考えられる。前記払出駆動部182は、例えばモーター又はソレノイドなどの駆動源、及び前記駆動源の駆動力を前記薬品収容部181に伝達して薬品の払出動作を実行させるための駆動機構などを備える。
例えば、本実施形態において、前記薬品払出装置1は、薬品をその薬品が所定量ごとに収容された薬箱の単位で払い出す薬箱払出装置である。この場合、前記薬品収容部181各々に多数の薬箱が収容可能であり、ユーザーは、必要に応じて薬箱単位で薬品を前記薬品収容部181各々に充填する。なお、他の実施形態として、前記薬品払出装置1が薬品をPTPシート単位で払い出すシート払出装置である場合には、前記薬品収容部181各々にPTPシートが多数収容される。また、他の実施形態として、前記薬品払出装置1が薬品を錠剤単位で払い出す錠剤払出装置である場合には、前記薬品収容部181各々に錠剤が多数収容される。さらに、他の実施形態として、前記薬品払出装置1が散薬を重量単位で払い出す散薬払出装置である場合には、前記薬品収容部181各々に散薬が収容される。
前記記憶部12は、前記制御部11によって実行される各種の制御プログラム及び各種のデータが記憶されるハードディスク、SSD、又はフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶部である。具体的に、前記記憶部12は、プログラム領域121及びデータ領域122などの記憶領域を有する。
前記プログラム領域121には、前記制御部11に後述の薬品払出制御処理(図3参照)などの処理を実行させるための薬品払出プログラムが記憶される。なお、前記プログラム領域121には、オペレーティングシステム(OS)及びブラウザソフトなどのアプリケーションプログラムも記憶されている。
前記データ領域122には、薬品マスター、患者マスター、及び収容部マスターなどの各種のマスターデータが記憶される。例えば、前記薬品マスターでは、薬品の種類を識別するための薬品コード等の薬品識別情報ごとに、薬品名、一般名、YJコード、JANコード、RSSコード、剤形、単位、比重、薬品種、配合変化、賦形薬品、効用、及び注意事項などの情報が対応付けて記憶されている。また、前記患者マスターでは、患者を識別するための患者コード等の患者識別情報ごとに、患者名、診療科、病棟、担当医師、及び担当薬剤師などの情報が対応付けて記憶されている。さらに、前記収容部マスターでは、前記薬品収容部181各々を識別するための収容部コード等の収容部識別情報ごとに、前記薬品収容部181に収容される薬品を示す薬品識別情報及び最大収容量などの情報が対応付けて記憶されている。また、前記収容部マスターに代えて、前記薬品マスターにおいて、前記薬品の種類ごとに前記薬品の種類に対応する一又は複数の前記薬品収容部181の収容部識別情報が記憶されていることも考えられる。なお、前記データ領域122に記憶されている各種のマスターデータは、例えば前記操作部14に対するユーザー操作に応じて前記制御部11によって変更可能である。
また、前記データ領域122には、前記薬品払出制御処理において前記制御部11によって更新される払出履歴情報D11(図2参照)、単位予測量情報D12(図4参照)、及び払出予測量情報D13(図5参照)なども記憶される。
前記払出履歴情報D11には、前記薬品払出装置1における薬品各々の払出量が予め設定された期間ごとに集計された結果が含まれる。図2に示されているように、前記払出履歴情報D11では、前記薬品払出装置1における薬品の払出量(箱数)が1日単位で曜日ごとに集計された結果が記録されている。
ところで、前記払出履歴情報D11では、前記薬品払出装置1における前記薬品各々の払出量が曜日ごとに変化している。これは、前記薬品払出システム10が使用される医療関連施設における診察可能な診療科及び診察担当の医師などが異なることが原因の一つとして考えられる。そのため、後述するように、前記薬品払出装置1では、前記薬品収容部181各々に対する薬品の充填の要否を判断するための払出予測量が前記払出履歴情報D11に基づいて設定される。なお、前記単位払出情報D12及び前記払出予測量情報D13は、前記薬品ごとに対応して設定されており、前記単位払出情報D12及び前記払出予測量情報D13の内容については後述する。
前記制御部11は、CPU、ROM、RAM、及びEEPROM(登録商標)などの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部、前記EEPROMは不揮発性の記憶部である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、前記制御部11は、前記CPUを用いて、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部12に予め記憶されている各種の制御プログラムに従って各種の処理を実行する。また、前記制御部11は、日時を計時するハードウェアクロック又はシステムクロック等の計時部を有し、前記計時部を用いて現在日時を判断することが可能である。
前記制御部11は、払出処理部111、残量取得部112、判定処理部113、設定処理部114、及び出力処理部115を含む。具体的に、前記制御部11は、前記薬品払出プログラムに従って各種の処理を実行することにより、前記払出処理部111、前記残量取得部112、前記判定処理部113、前記設定処理部114、及び前記出力処理部115として機能する。
前記払出処理部111は、前記処方データに基づいて前記薬品収容部181から前記薬品を払い出すための処理を実行する。具体的に、前記払出処理部111は、前記処方データ及び前記収容部マスター等に基づいて、前記処方データに含まれる前記薬品識別情報が示す薬品に対応する前記薬品収容部181を特定する。そして、前記払出処理部111は、特定した前記薬品収容部181に対応する前記払出駆動部182を制御することにより、前記処方データに示されている処方量に応じた数の薬品を払い出す。
前記残量取得部112は、前記薬品払出装置1において前記薬品収容部181に収容されている前記薬品の残量を前記薬品の種類ごとに取得するための処理を実行する。具体的に、前記残量取得部112は、予め設定された算出開始時点から現在までの間における前記薬品収容部181各々からの薬品の払出量を、前記薬品払出装置1に入力された前記処方データに基づいてカウントし、前記記憶部12などに随時記録する。そして、前記残量取得部112は、前記薬品収容部181各々における薬品の最大収容量から前記払出量を引くことにより現在の残量を算出する。ここで、前記算出開始時点は、前記薬品収容部181に対する薬品の充填が所定のセンサーによって検出された時点、又は前記薬品収容部181に対する薬品の充填が完了した旨の操作がユーザーによって行われた時点である。なお、前記残量取得部112は、前記薬品収容部181について前記算出開始時点が到来した場合、前記薬品収容部181の払出量を0にリセットする。
また、前記薬品払出装置1に、前記薬品収容部181各々から実際に払い出された薬品の数を検出するセンサーが設けられている場合、前記残量取得部112は、前記センサーの検出結果に基づいて前記払出量をカウントすることが可能である。なお、他の実施形態として、ユーザーによる前記操作部15の操作により前記薬品収容部181に充填された薬品量が入力された場合に、前記残量取得部112が、前記薬品の充填前の残量に前記充填された薬品量を加算した在庫量を算出することが考えられる。この場合、前記残量取得部112は、前記在庫量から前記払出量を引くことにより現在の残量を算出することが可能である。また、他の実施形態として、前記調剤管理装置2において、前記処方データに基づいて前記薬品収容部181各々からの薬品の払出量又は前記薬品各々の残量が算出され、前記薬品払出装置1に伝達されることも考えられる。さらに、他の実施形態として、前記薬品収容部181各々に前記薬品の残量を検出するためのセンサーが設けられており、前記残量取得部112が前記センサーを用いて前記薬品各々の残量を取得することも考えられる。
前記判定処理部113は、前記残量取得部112によって取得される前記薬品各々の残量が、前記薬品ごとに予め設定された払出予測量以下であるか否かを判定するための処理を実行する。具体的に、前記判定処理部113では、前記薬品各々の残量が前記払出予測量以下であるか否かに応じて前記薬品各々の充填の要否が判定されることになる。
前記設定処理部114は、前記判定処理部113の判断指標として使用される前記薬品各々に対応する前記払出予測量を設定するための処理を実行する。具体的に、前記設定処理部114は、予め設定された充填タイミング各々について2回先の前記充填タイミングまでの間の前記薬品各々の払出予測量を、前記薬品各々の過去の曜日ごとの払出量のうち前記充填タイミング各々が属する曜日の前記払出量に基づいて設定する。ここで、前記充填タイミングは、曜日及び時刻によって定められた時期である。なお、本実施形態では、前記充填タイミング各々について2回先の前記充填タイミングまでの間の前記薬品各々の払出予測量を用いるが、前記払出予測量に反映する期間は2回先の前記充填タイミングまでの間に限らず、例えば3回先などの複数回先の前記充填タイミングまでの間であればよい。
前記出力処理部115は、前記判定処理部113による判定結果を出力するための処理を実行する。具体的に、前記出力処理部115は、前記充填タイミング各々における前記判定処理部113の判定結果に基づいて、残量が前記払出予測量以下であって充填が必要な薬品の一覧を示す充填リストを前記プリンタ17によって印刷する。これにより、ユーザーは、前記充填リストを参照することにより、前記薬品払出装置1に充填する必要のある薬品を容易に判断することができる。また、前記出力処理部115は、複数の前記薬品のうち前記判定処理部113により残量が前記払出予測量以下であると判定された薬品であって、前記薬品収容部181に収容された薬品の残量が最大収容量未満である薬品の一覧を示す充填リストを出力することも可能である。
ところで、前記薬品払出システム10が使用される前記医療関連施設では、前記薬品払出装置1における薬品の欠品の抑制及び前記薬品払出装置1に対する薬品の充填作業の効率化をバランス良く実現することが望まれる。具体的に、前記薬品収容部181各々に収容されている薬品が足りなくなった場合には、前記薬品を充填するための作業時間により調剤が遅延するため、前記薬品払出装置1における薬品の欠品を抑制することが望まれる。
ここで、前記払出予測量が比較的小さな値に設定されている場合には、前記薬品払出装置1への薬品の充填作業中に前記薬品の欠品が生じるおそれがある。特に、前記薬品払出装置1と充填用の前記薬品が収容されている場所とが離れている場合、又は前記薬品払出装置1に充填する必要のある前記薬品の量が多い場合には、前記充填作業に長時間を要する。一方、前記払出予測量が比較的大きな値に設定されている場合には、前記薬品払出装置1に対する薬品の充填作業の実施回数が増加し、充填作業の効率が低下する。即ち、前記薬品払出装置1における薬品の欠品の抑制と薬品の充填作業の効率化とはトレードオフの関係にある。これに対し、前記薬品払出装置1では、前記制御部11によって後述の薬品払出制御処理が実行されることにより、前記薬品払出装置1における薬品の欠品の抑制及び前記薬品払出装置1に対する薬品の充填作業の効率化がバランス良く実現される。
[薬品払出制御処理]
以下、図3を参照しつつ、前記薬品払出装置1の前記制御部11によって実行される薬品払出制御処理の一例について説明する。なお、前記薬品払出制御処理は、前記薬品払出装置1の電源が投入された後、所定の開始操作に応じて前記制御部11によって開始される。
<ステップS1>
まず、ステップS1において、前記制御部11は、前記処方データが入力されたか否かを判断する。例えば、前記制御部11は、前記調剤管理装置2から前記処方データを取得した場合に、前記処方データが入力されたと判断する。ここで、前記処方データが入力されたと判断されると(S1:Yes)、処理はステップS2に移行する。また、前記処方データが入力されていないと判断されると(S1:No)、処理はステップS4に移行する。
<ステップS2>
ステップS2において、前記制御部11は、前記処方データに基づいて、前記薬品収容部181から前記薬品を払い出すための払出処理を実行する。具体的には、前記処方データに含まれる薬品識別情報が示す薬品に対応する前記薬品収容部181が選択され、前記薬品収容部181から前記処方データに示された処方量に応じた数の薬品が払い出される。なお、前記払出処理は、前記制御部11の前記払出処理部111によって実行される。
このとき、前記払出処理において、前記制御部11は、前記処方データに基づいて払い出す必要のある薬品に不足が生じているか否かを判断し、不足が生じている場合には、エラー表示を行うと共に、前記処方データに基づく前記払出処理を一時中断する。その後、不足が生じている薬品が充填されると、前記制御部11は、前記処方データに基づく前記払出処理を再開する。なお、前記薬品払出装置1では、前記払出処理が一時中断されている場合、不足が生じていない薬品のみが含まれる他の前記処方データに基づく前記払出処理については実行可能であってもよい。
<ステップS3>
ステップS3において、前記制御部11は、前記払出処理における薬品の払出量を記録するための記録処理を実行する。具体的に、前記制御部11は、前記払出処理における薬品の払出量に基づいて前記払出履歴情報D11(図2参照)を更新する。例えば、前記制御部11は、前記払出履歴情報D11の現在の日付に対応する前記薬品各々の払出量を、前記処方データに基づいて0からカウントアップすることにより、1日ごとの前記薬品各々の払出量を前記払出履歴情報D11に記録する。なお、前記記録処理は、前記制御部11の前記残量取得部112によって実行される。
<ステップS4>
ステップS4において、前記制御部11は、予め設定された充填タイミングが到来したか否かを判断する。ここで、前記充填タイミングが到来したと判断されると(S4:Yes)、処理はステップS5に移行する。また、前記充填タイミングが到来していないと判断されると(S4:No)、処理は前記ステップS1に戻る。
前記充填タイミングは、前記薬品払出装置1の初期設定などにおけるユーザー操作に基づいて前記制御部11によって設定される。例えば、前記充填タイミングの間隔は、前記薬品払出装置1への薬品の充填作業に要する所要時間として予め設定された間隔である。より具体的に、前記充填タイミングは、例えば9時、11時、13時、15時、17時のように時刻によって設定される。以下、本実施形態では、月曜日から金曜日までの9時、11時、13時、15時、17時が前記充填タイミングとして設定されているものとする。
なお、他の実施形態として、前記制御部11が、業務開始時刻、業務終了時刻、及び充填間隔の設定操作に応じて、前記業務開始時刻から前記業務終了時刻までの間の前記充填間隔ごとの時期を前記充填タイミングとして設定することも考えられる。例えば、業務開始時刻が7時、業務終了時刻が17時、充填間隔が2時間に設定された場合、前記充填タイミングは、前記業務開始時刻から前記業務終了時刻までの間の2時間ごとの時期である9時、11時、13時、15時、17時である。また、1日における最初の前記充填タイミングが前記業務開始時刻である7時であり、その後の前記充填タイミングが、前記業務終了時刻の2時間前の15時までの間の2時間ごとの時期である9時、11時、13時、15時であることも考えられる。なお、1日あたりの前記充填タイミングの回数又は時刻などが曜日によって異なることも考えられる。また、前記業務開始終了時刻から前記業務開始時刻までの間に、前記薬品収容部181各々の薬品が最大収容量まで補充されることも考えられる。なお、前記業務開始時刻及び前記業務終了時刻は、前記医療関連施設の営業時間、診察時間、又は窓口受付時間などの開始時刻及び終了時刻である。
さらに、前記制御部11が、前記払出履歴情報D11に基づいて自動的に1日あたりの前記充填タイミングの回数及び前記充填タイミング各々の時刻を自動的に設定することも考えられる。例えば、前記制御部11は、前記薬品払出装置1に収容される全ての薬品のうちで最も早く欠品となるおそれのある薬品を基準に、その薬品が欠品とならず、且つ前記充填タイミングの回数ができるだけ少なくなるように、前記充填タイミングの回数及び前記充填タイミング各々の時刻を設定することが考えられる。
<ステップS5>
ステップS5において、前記制御部11は、前記薬品各々の残量を取得するための取得処理を実行する。具体的に、前記制御部11は、前記算出開始時点からの前記薬品各々の払出量を前記薬品払出装置1における前記薬品各々の最大収容量から引くことにより現在の薬品各々の残量を算出する。一種類の薬品について複数の前記薬品収容部181が対応付けられている場合、その薬品の最大収容量は複数の前記薬品収容部181の最大収容量の合計である。なお、前記取得処理は、前記制御部11の前記残量取得部112によって実行される。
<ステップS6>
ステップS6において、前記制御部11は、前記充填タイミング各々について2回先の前記充填タイミングまでの間の前記薬品各々の払出予測量を、前記薬品各々の過去の曜日ごとの払出量に基づいて設定するための設定処理を実行する。これにより、前記払出予測量は、前記薬品各々の払出量が時期的要因によって変化することを考慮して設定されることになる。なお、前記設定処理は、前記制御部11の前記設定処理部114によって実行される。
具体的に、前記制御部11は、前記払出履歴情報D11に基づいて、予め設定された3ヶ月などの過去の特定期間における曜日ごとの前記薬品各々の払出量の平均値を算出する。例えば、前記過去の特定期間は、現在から遡った3ヶ月などの期間であってもよいが、前年又は過去の数年間における現在と同じ月又は季節などの期間であることが考えられる。これにより、特定の病気が流行する時期又は季節などに対応する前記払出量の平均値として、その病気の流行に起因する薬品の払出量の増加が考慮された値が算出されることになる。そして、前記制御部11は、前記曜日各々の前記払出量の平均値を前記曜日各々の1日の充填タイミングの回数で割った値を、前記曜日各々における1回の前記充填タイミングに対応する単位予測量として算出し、前記単位払出情報D12に設定する。
ここに、図4は前記単位払出情報D12の一例を示す図である。図4に示されている前記単位払出情報D12では、前記充填タイミングを示す曜日及び時刻の組み合わせごとに前記単位予測量が示されている。なお、一つの充填タイミングの前記単位予測量に着目すると、前記単位予測量は、着目した充填タイミングの一つ前の充填タイミングに対応する時刻から着目した充填タイミングに対応する時刻までの間における薬品の払出量の推定値である。例えば、ある薬品について、現在の曜日の1日あたりの前記払出量の平均値が250箱であり、現在の曜日の1日あたりの前記充填タイミングの回数が5回であるとする。この場合、前記平均値を前記充填タイミングの回数で割った値、即ち1回あたりの充填タイミングに対応する前記薬品の払出予測量が50箱となる。なお、前記平均値に代えて、分散又は標準偏差などの他の統計情報を用いて前記払出予測量が設定されてもよい。また、前記払出履歴情報D11に予め設定された3ヶ月などの過去の特定期間におけるデータが蓄積されていない場合には、予め設定された初期値が前記払出予測量として設定されることが考えられる。例えば、前記初期値は、前記薬品払出システム10が使用される前記医療関連施設で採用されている薬品と同一の薬品が採用された近隣地域又は全国の医療関連施設の実績データに基づいて設定される。なお、前記実績データは、近隣地域又は全国に存在する複数の医療関連施設の実績データの平均などの統計データであってもよい。
その後、前記制御部11は、2回先の前記充填タイミングまでの間の前記充填タイミング各々に対応する前記単位予測量の合計を、現在の前記充填タイミングに対応する前記払出予測量として算出し、前記払出予測量情報D13に設定する。なお、前述したように、本実施形態では、月曜日から金曜日までの9時、11時、13時、15時、17時が前記充填タイミングとして設定されている。ここに、図5は、前記払出予測量情報D13の一例を示す図である。前記払出予測量情報D13では、前記充填タイミングを示す曜日及び時刻の組み合わせごとに前記払出予測量が示されている。
具体的に、現在の前記充填タイミングが9時である場合、2回先の前記充填タイミングは同日の13時である。この場合、前記制御部11は、現在の曜日に対応する前記単位予測量の2倍の値を算出し、現在の前記充填タイミングの前記払出予測量として設定する。一方、現在の前記充填タイミングが15時である場合、1回先の前記充填タイミングは同日の17時であるが、2回先の前記充填タイミングは翌日の9時である。この場合、前記制御部11は、現在の曜日に対応する前記単位予測量と翌日の曜日に対応する前記単位予測量との合計を算出し、現在の前記充填タイミングの前記払出予測量として設定する。また、現在の前記充填タイミングが17時である場合、1回先の前記充填タイミングは翌日の9時であり、2回先の前記充填タイミングは翌日の11時である。この場合、前記制御部11は、翌日の曜日に対応する前記単位予測量の2倍の値を算出し、現在の前記充填タイミングの前記払出予測量として設定する。
例えば、図4に示されているように、現在の前記充填タイミングの曜日が月曜日であり時刻が15時である場合、1回先の前記充填タイミングである同日の17時に対応する前記単位予測量は50箱であり、2回先の前記充填タイミングである翌日の火曜日の9時に対応する前記単位予測量が40箱である。そのため、この場合には、図5に示されているように、現在の前記充填タイミングに対応する前記払出予測量が両者の合計である90箱に設定される。また、図4に示されているように、現在の前記充填タイミングの曜日が月曜日であり時刻が17時である場合、1回先の前記充填タイミングである翌日の火曜日の9時に対応する前記単位予測量は40箱であり、2回先の前記充填タイミングである翌日の火曜日の11時に対応する前記単位予測量が40箱である。そのため、この場合には、図5に示されているように、現在の前記充填タイミングに対応する前記払出予測量が両者の合計である80箱に設定される。なお、前記払出予測量情報D13において、最初の前記充填タイミングが月曜日の9時であると考えると、最後の前記充填タイミングは金曜日の17時であり、その金曜日の17時の充填タイミングの1回先の充填タイミングは、月曜日の9時となる。
ところで、前記単位予測量情報D12及び前記払出予測量情報D13では、全ての前記充填タイミングに対応する前記単位予測量及び前記払出予測量が示されているが、前記ステップS6では、少なくとも現在の前記充填タイミングに関係する前記薬品各々の前記単位予測量及び前記払出予測量が算出されればよい。また、前記薬品払出制御処理では前記ステップS6が省略され、前記薬品払出制御処理とは別に、前記制御部11が、1日ごと又は所定時間経過ごとなどのタイミングで、前記ステップS6を実行して前記単位予測量情報D12及び前記払出予測量情報D13を更新することも考えられる。
<ステップS7>
そして、ステップS7において、前記制御部11は、前記薬品各々の充填の要否を判定するための判定処理を実行する。具体的に、前記制御部11は、前記ステップS5で取得された前記薬品各々の残量が現在の前記充填タイミングに対応する前記払出予測量以下であるか否かを判定する。これにより、前記ステップS5で取得された残量が現在の前記充填タイミングに対応する前記払出予測量以下である一又は複数の薬品が充填の必要がある薬品として抽出される。なお、前記判定処理は、前記制御部11の前記判定処理部113によって実行される。
より具体的に、前記制御部11は、例えば前記残量が前記払出予測量以下である薬品については前記制御部11のRAM等に設けられた充填フラグを1にセットし、前記充填リストの出力時に前記充填フラグを0にリセットする。これにより、前記制御部11は、前記充填フラグを参照して前記ステップS7における前記判定結果を認識することが可能である。
<ステップS8>
ステップS8において、前記制御部11は、前記ステップS7における判定結果を出力するための出力処理を実行する。前記出力処理は、前記制御部11の前記出力処理部115によって実行される。このとき、前記制御部11は、前記ステップS7における判定結果として、前記薬品払出装置1に収容されている全ての薬品のうち充填が必要な薬品のみを抽出した充填リストを出力することが考えられる。
具体的に、前記制御部11は、前記充填リストを前記プリンタ17によって印刷する。ここに、図6は、前記充填リストの一例を示す図である。図6に示されているように、前記充填リストには、前記ステップS7で充填の必要があると判定された薬品各々について、薬品が収容されている棚板の番号、薬品名、薬効成分、規格、充填数などの情報が含まれる。これにより、ユーザーは、前記充填リストを参照することにより、前記薬品払出装置1に対する薬品の取り揃え作業及び充填作業などを容易且つ効率的に実施することができる。また、充填が必要な薬品が識別可能な態様で、全ての前記薬品の充填の有無が示された充填リストが出力されることも他の実施形態として考えられる。
さらに、前記制御部11は、前記充填リストにおける薬品の記載順を予め設定された条件に応じて変更することが考えられる。具体的に、前記記憶部12には、薬品の取り揃え作業を行う作業者が、薬品庫などの薬品の収容場所の入口から出口に移動するまでの動線と、薬品各々が収容されている棚板の番号などの薬品配置情報とが対応付けられた薬品配置情報が記憶されていることが考えられる。例えば、前記薬品は位置情報では、前記動線に沿った前記棚板各々の配置順番が示されている。そして、前記制御部11は、前記薬品配置情報に基づいて、前記ステップS7で充填の必要があると判定された薬品各々を、その薬品各々が収容されている前記棚板の前記動線における配置順番で並べた前記充填リストを出力する。これにより、作業者は、前記動線に従って移動する過程において前記充填リストに含まれる薬品各々を効率的に取り揃えることができ、取り揃え作業の時間短縮を図ることが可能である。例えば、図6には、前記動線に沿って棚板1、棚板2、棚板3の順で配置されている場合の前記充填リストが示されており、作業者は、前記充填リストに記載された薬品各々を上から順に取り揃えることにより、前記動線に反した移動を行うことなく前記充填リストに記載された薬品各々を効率的に取り揃えることが可能である。
なお、前記充填リストで示されている前記充填数は、前記算出開始時点から現在までの間における前記薬品収容部181各々からの薬品の払出量であり、現時点で前記薬品収容部181各々に補充することが可能な最大量である。ところで、前記充填リストの出力態様は印刷出力に限らず、前記制御部11は、前記表示部14を用いて前記充填リストを表示出力させることも考えられる。さらに、前記制御部11は、予め設定されたメールアドレス等の送信先に前記充填リストを送信出力することも考えられる。
ところで、前記ステップS7で充填の必要があると判定された薬品であっても、前記薬品収容部181に現在収容されている薬品量が前記薬品収容部181の最大収容量である場合には、前記薬品を補充することができない。そのため、前記ステップS8において、前記制御部11は、複数の前記薬品のうち前記ステップS7により残量が前記払出予測量以下であると判定され、充填の必要があると判定された薬品であって、前記薬品収容部181に収容された薬品の残量が最大収容量未満である薬品のみの一覧を示す充填リストを出力することが考えられる。
以上説明したように、前記薬品払出システム10では、前記充填タイミング各々における前記薬品各々に対応する前記払出予測量が、前記充填タイミング各々が属する曜日の過去の払出量に基づいて設定され、前記払出予測量に基づいて前記薬品各々の充填の要否が判定される。従って、前記薬品各々の払出量の時期的要因による変化を考慮して適切なタイミングで前記薬品各々の充填の必要性が報知される。また、例えば前記充填タイミング各々において次回の前記充填タイミングまでの払出予測量、又は予め定められた固定値に基づいて充填の要否を判断する場合などに比べて薬品の欠品が抑制される。また、前記払出予測量が前記払出履歴情報D11に基づいて設定されるため、前記払出予測量が極端に大きな値に設定される可能性が低くなり、薬品の充填回数が無駄に増加しないため、薬品の充填作業の効率化が図られる。即ち、前記薬品払出システム10では、前記充填リストに充填が必要である薬品として記載される薬品の種類が無駄に増加せず、薬品の欠品の抑制及び薬品の充填作業の効率化がバランス良く実現される。
なお、前記払出予測量が比較的大きい値に設定されると、前記薬品各々が前記払出予測量以下に達する機会が多くなり、前記薬品各々の充填作業の効率が低下する。一方、前記払出予測量が比較的小さい値に設定されると、前記薬品各々が前記払出予測量以下に達した場合における前記薬品各々の残量が少なくなるため、前記薬品各々の充填作業が完了する前に前記薬品に欠品が生じるおそれがある。これに対し、前記薬品払出システム10では、前記薬品各々の過去の予め設定された特定期間における曜日ごとの払出量の平均値に基づいて前記払出予測量が設定される。即ち、同じ曜日については払出量の変化量が少ないであろうという思想から、例えば現在から遡った3ヶ月などの過去の特定期間における同じ曜日の払出量に基づいて前記払出予測量が設定される。特に、前記過去の特定期間が、前年又は過去の数年間における現在と同じ月又は季節などの期間であることも考えられ、この場合には、特定の病気が流行する時期又は季節などにおける同じ曜日の払出量に基づいて前記払出予測量が設定される。そのため、前記払出予測量が、極端に大きい値又は小さい値に設定されず、薬品の欠品の抑制及び薬品の充填作業の効率化がバランス良く実現される。さらに、前記曜日各々の前記払出量の平均値から前記曜日各々における前記単位予測量が算出されるため、例えば前記曜日各々について複数の時間帯ごとに前記薬品各々の払出量が記録されている必要がないため、前記払出量の記録処理などが簡素化される。
また、本実施形態では、前記薬品払出システム10に1台の前記薬品払出装置1が接続されている場合を例に挙げて説明したが、前記薬品払出装置1が複数台接続されていることも考えられる。この場合、前記薬品払出装置1ごとにおいて、前記制御部11は、前記調剤管理装置2から入力される前記調剤データなどに基づいて前記薬品払出装置1における前記薬品各々の払出量を算出し、前記払出予測量の設定及び前記薬品各々の充填の要否の判定を実行することが考えられる。また、前記調剤管理装置2が、前記処方データに基づいて複数の前記薬品払出装置1による前記薬品各々の払出量の合計値を算出すると共に、前記合計値を前記薬品払出装置1の台数で割った値を前記薬品払出装置1各々における薬品の払出量として前記薬品払出装置1各々に入力することも考えられる。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について説明する。なお、ここで説明しない点については前記第1実施形態と同様である。具体的に、前記第1実施形態では、前記払出履歴情報D11に薬品の払出量が1日単位で記録されており、その払出量から各時間帯における単位予測量を算出する場合について説明した。
一方、前記第1実施形態に係る構成では、前記薬品各々の1日の前記単位予測量が均等になるが、前記薬品各々の払出量は、曜日だけでなく時間帯ごとに異なることも考えられる。これに対し、前記制御部11が、予め設定された時間帯ごとの前記薬品払出装置1における薬品の払出量を前記払出履歴情報D11として記憶することが考えられる。
具体的に、前記制御部11は、前記薬品払出制御処理の前記ステップS3において、各薬品の払出量を、例えば2時間などの前記充填タイミングの間隔ごとに集計し、各薬品に対応する前記払出履歴情報D11として記録する。ここに、図7は、前記払出履歴情報D11の一例を示す図である。なお、前記払出履歴情報D11は、薬品ごとに設定されて前記データ領域122に記憶される。
図7に示されている前記払出履歴情報D11では、前記薬品払出装置1からの薬品の払出量が、曜日及び時間帯の組み合わせごとに変化している。これは、前記薬品払出システム10が使用される医療関連施設における診察可能な診療科及び診察担当の医師だけでなく、例えば各診療科の診察時間及び各時間帯の混み具合が異なることが原因の一つとして考えられる。
そして、前記制御部11は、前記薬品払出制御処理の前記ステップS6において、前記薬品各々に対応する前記払出履歴情報D11を参照し、前記単位予測量及び前記払出予測量を設定する。具体的に、前記制御部11は、前記薬品各々に対応する前記払出履歴情報D11に記録されている曜日及び時間帯の組み合わせごとにおける前記薬品各々の払出量に基づいて、前記薬品各々の曜日及び時刻の組み合わせごとに対応する単位予測量を算出する。このとき、前記制御部11は、予め設定された3ヶ月などの過去の特定期間における曜日及び時間帯の組み合わせごとの前記薬品各々の払出量の平均値を算出し、前記薬品各々の曜日及び時刻の組み合わせごとに対応する前記単位予測量として前記単位払出情報D12に設定する。例えば、前記過去の特定期間は、現在から遡った3ヶ月などの期間であってもよいが、前年又は過去の数年間における現在と同じ月又は季節などの期間であることも考えられる。これにより、特定の病気が流行する時期又は季節などに対応する前記払出量の平均値として、その病気の流行に起因する薬品の払出量の増加が考慮された値が算出されることになる。その後、前記制御部11は、前記薬品各々の払出量の平均値に基づいて、2回先の前記充填タイミングまでの間の前記充填タイミング各々に対応する前記単位予測量の合計を、現在の前記充填タイミングに対応する前記払出予測量として算出し、前記払出予測量情報D13に設定する。
ここに、図8は、前記単位払出情報D12の一例を示す図であり、図9は、前記払出予測量情報D13の一例を示す図である。図8に示された前記単位払出情報D12では、曜日及び時刻の組み合わせごとに前記単位予測量が示されている。特に、前記単位払出情報D12では、同日においても時刻ごとに前記単位予測量が異なる。また、図9に示された前記払出予測量情報D13では、曜日及び時刻の組み合わせごとに前記払出予測量が示されている。特に、前記単位払出情報D12では、同日においても時刻ごとに前記払出予測量が異なる。なお、本実施形態では、月曜日から金曜日までの9時、11時、13時、15時、17時が前記充填タイミングとして設定されている。
具体的に、図8に示されているように、現在の曜日が月曜日であって、現在の前記充填タイミングが9時である場合、1回先の前記充填タイミングである同日の11時に対応する前記単位予測量は40箱であり、2回先の前記充填タイミングである翌日の13時に対応する前記単位予測量が50箱である。そのため、この場合には、図9に示されているように、現在の前記充填タイミングに対応する前記払出予測量が両者の合計である90箱に設定される。
また、図8に示されているように、現在の前記充填タイミングの曜日が月曜日であり時刻が15時である場合、1回先の前記充填タイミングである同日の17時に対応する前記単位予測量は50箱であり、2回先の前記充填タイミングである翌日の9時に対応する前記単位予測量が40箱である。そのため、この場合には、図9に示されているように、現在の前記充填タイミングに対応する前記払出予測量が両者の合計である90箱に設定される。また、図8に示されているように、現在の前記充填タイミングの曜日が月曜日であり時刻が17時である場合、1回先の前記充填タイミングである翌日の火曜日の9時に対応する前記単位予測量は40箱であり、2回先の前記充填タイミングである翌日の火曜日の11時に対応する前記単位予測量が30箱である。そのため、この場合には、図9に示されているように、現在の前記充填タイミングに対応する前記払出予測量が両者の合計である70箱に設定される。
このように、本実施形態では、前記充填タイミング各々に対応する前記単位予測量及び前記払出予測量が、前記払出履歴情報D11に基づいて、前記充填タイミング各々に対応する曜日及び時刻の組み合わせごとに個別に設定された値である。従って、前記薬品払出システム10では、曜日だけでなく時間帯を考慮して薬品各々の充填の要否が判定され、適切なタイミングで薬品各々の充填の必要性が報知されることになる。
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態について説明する。なお、ここで説明しない点については前記第1実施形態又は前記第2実施形態と同様である。前述したように、前記薬品払出装置1では、前記記憶部12に記憶されている前記収容部マスターにおいて、前記薬品収容部181各々を識別するための収容部識別情報ごとに、前記薬品収容部181に収容される薬品の種類に対応する薬品識別情報が予め設定される。そして、前記薬品払出制御処理では、前記処方データ及び前記収容部マスターに基づいて必要な薬品が前記薬品収容部181各々から払い出される。
ところで、前記薬品払出装置1の一例として前記第1実施形態及び前記第2実施形態で説明した薬箱払出装置は、例えば特許第4755726号公報及び国際公開第2012/050120号などに開示されている。ここに、図10及び図11は、前記薬品払出装置1の一例を示す図である。図10及び図11に示されるように前記薬品払出装置1は、薬剤が収容された薬箱を多数収容し、処方毎に薬箱を払出可能な前記薬品払出部18と、前記薬品払出部18に対して薬箱を装填可能な装填装置19と、前記装填装置19に対して薬箱を補充可能な補充装置20とを有する。なお、前記装填装置19及び前記補充装置20は、前記薬品払出部18各々に対して個別に設けられ、又は前記薬品払出部18各々に共通して設けられる。
そして、前記薬品払出部18は、薬箱を直列に並べた状態で収容し、順次送り出し可能な薬箱通路として前記薬品収容部181を複数備えている。また、前記装填装置19は、前記薬品収容部181への薬箱投入側に隣接する位置において移動可能な装填ラックを備える。さらに、前記補充装置20は、薬箱を並列状態として載置可能な補充薬箱載置部、及び前記補充薬箱載置部に載置された薬箱の並列状態を維持したまま前記薬箱を前記装填ラックに移載させることが可能な移載機構などを備える。なお、前記装填ラックは、前記補充装置20から送られてきた薬箱を並列状態で載置可能な装填薬箱載置部、及び前記装填薬箱載置部に載置された薬箱を一箱ずつ前記薬品収容部181に向けて送り出して装填させることが可能な装填機構などを備える。
また、図12は、前記薬品払出部18における前記薬品収容部181各々の配置の一例を模式的に示した図である。具体的に、図12に示される前記薬品払出部18では、上下に6列、左右に3列の合計18台の払出ユニット180が設けられており、前記払出ユニット180内の矩形部各々が前記薬品収容部181である。そして、前記薬品払出装置1において、前記薬品収容部181各々には前記薬品収容部181を識別するための収容部識別情報として収容部コードが付されている。前記収容部コードは、前記薬品払出部18の左上端部から右下端部に向けて前記収容部コードの値が順に大きくなるように設定されている。より具体的に、前記収容部コードの値は、前記薬品払出部18の上下方向における列ごとに左端部から右端部に向けて大きくなっており、前記薬品払出部18の上下方向において上端部から下端部に向けて大きくなっている。なお、前記薬品払出部18における前記薬品収容部181各々の前記収容部コードの大小関係はこれに限らず、例えば右上端部から左下端部に向けて前記収容部コードの値が順に大きくなるなど、予め定められた関係があればよい。
本実施形態において、前記収容部コードは、5桁目が前記薬品払出部18の号機番号を示すものであり、5桁目が「1」である場合は1号機であることを示す。なお、図10に示されるように、前記薬品払出装置1が2台の前記薬品払出部18を備えている場合、前記薬品払出部18各々に対応する号機番号が予め設定されている。同じく、前記薬品払出システム10に前記薬品払出装置1が複数台設けられている場合には、前記薬品払出装置1各々の前記薬品払出部18各々に対応する号機番号が連番で予め設定される。
また、前記収容部コードの4桁目及び3桁目は、前記薬品払出部18における上下方向の前記払出ユニット180の連番を示す二桁の数字であって上端が「01」である。前記収容部コードの2桁目は、前記薬品払出部18における左右方向の前記払出ユニット180の連番を示す一桁の数字であって左端が「1」である。さらに、前記収容部コードの1桁目は、前記払出ユニット180内で順に付された前記薬品収容部181の個別コードであって左端が「1」である。例えば、前記薬品収容部181の収容部コードが「10323」である場合、前記薬品収容部181は、号機番号が「1」号機の前記薬品払出部18の上から「03」番目、左から「2」番目の前記払出ユニット180において左から「3」番目の位置に配置されている。
なお、薬品の種類によってその薬品の薬箱のサイズは異なる。そのため、一つの前記払出ユニット180内における前記薬品収容部181の数は予め定められた上限以下の範囲で可変であり、前記薬品収容部181に収容可能な薬箱のサイズが予め調整可能である。なお、ここでは一つの前記払出ユニット180内の前記薬品収容部181各々のサイズが同一であるものとするが、異なるものであってもよい。そして、前記収容部マスターには、前記薬品収容部181各々の配置に関する配置情報と前記払出ユニット180各々に収容可能な薬品の種類を特定するための収容可能薬品情報とが含まれる。前記収容可能薬品情報は、例えば薬箱のサイズ、薬箱の種類、又は薬品の種類(薬品名又は薬品コード)などである。これにより、前記制御部11は、前記収容部マスターの前記配置情報及び前記収容可能薬品情報に基づいて前記薬品収容部181各々の配置及び前記薬品収容部181各々に収容可能な薬品の種類を特定することが可能である。
このように構成された前記薬品払出装置1では、前記薬品払出部18に収容されていない種類の薬品又は既に前記薬品収容部181に割り当てられている種類の薬品について、新たに前記薬品収容部181を割り当てることが可能である。このとき、例えば新たに薬品が割り当てられる前記薬品収容部181が、前記収容部コードの数字が最も小さいものから順に自動的に選択されることが考えられる。しかしながら、この場合には、新たに割り当てられる薬品が既に前記薬品収容部181のいずれかに割り当てられている場合に、その既存の前記薬品収容部181と新たに割り当てられる前記薬品収容部181との距離が遠くなるおそれがある。
例えば、前記収容部マスターにおいて、図12に示される前記薬品収容部181のうち、前記収容部コードが「10622」及び「10623」の二つの薬品収容部181Aに収容される薬品として薬品Aが割り当てられている場合を考える。また、図12に示される前記薬品収容部181のうち前記収容部コードが「10112」、「10124」、「10131」、「10211」、「10212」、及び「10513」である未使用薬品収容部181B各々には現在薬品が割り当てられていないものとする。一方、前記未使用薬品収容部181Bのうち前記収容部コードが「10112」、「10211」、「10212」、及び「10513」には前記薬品Aが収容可能であるとする。この場合、前記薬品Aに対応する前記薬品収容部181が追加される際に、前記収容部コードの数字が最も小さい順で割り当てられるとすると、前記薬品Aは、前記薬品Aが収容可能な前記未使用薬品収容部181Bのうち既存の前記薬品収容部181Aから遠く前記収容部コードが「10112」である前記未使用薬品収容部181Bに割り当てられることになる。
そして、このような場合には、例えば同種の薬品を複数の前記薬品収容部181に装填する際の前記装填装置19における前記装填ラックの移動範囲が大きくなり、充填作業効率が低下するという問題が生じる。また、前記薬品払出装置1が前記装填装置19及び前記補充装置20等を備えておらず、ユーザーが手動で前記薬品収容部181各々に薬品を装填する場合も同様に、同種の薬品を複数の前記薬品収容部181に装填する際のユーザーの作業範囲が大きくなり、充填作業効率が低下するという問題が生じる。
これに対し、本実施形態では、前記薬品払出装置1において同種の薬品を複数の前記薬品収容部181に装填する際の充填作業効率の向上を図ることが可能な構成について説明する。
具体的に、前記制御部11は、前記薬品払出プログラムに従って各種の処理を実行することにより、前記薬品収容部181各々と薬品の種類との対応関係を前記収容部マスターに登録するための収容薬品登録処理を実行する登録処理部116として機能する。より具体的に、本実施形態では、前記登録処理部116が、前記操作部15に対するユーザー操作に応じて前記収容部マスターを更新可能である。
[収容薬品登録処理]
以下、図13を参照しつつ、前記制御部11によって実行される前記収容薬品登録処理の手順の一例について説明する。なお、前記収容薬品登録処理は、前記調剤管理装置2に搭載される制御部(不図示)によって実行されてもよい。
<ステップS11>
ステップS11において、前記制御部11は、当該収容薬品登録処理における登録対象として選択された薬品の種類(以下、「登録対象薬品」と称する)について前記薬品収容部181を追加登録するための登録開始操作が行われたか否かを判断する。前記登録対象薬品は、例えば前記薬品マスターのメンテナンス画面などにおけるユーザー操作によって、前記薬品マスターに登録されている薬品から選択される。ここで、前記登録開始操作が行われたと判断されると(S11:Yes)、処理がステップS12に移行し、前記登録開始操作が行われていないと判断されると(S11:No)、処理は当該ステップS11で待機する。
<ステップS12>
ステップS12において、前記制御部11は、前記薬品収容部181を追加登録するための登録画面D21を前記表示部14に表示させる。ここに、図14は、前記登録画面D21の一例を示す図である。前記登録画面D21では、実装種別を選択するための実装種別キーK11が表示されている。そして、前記制御部11は、前記実装種別キーK11の操作に応じて、図15に示すように、実装種別として自動選択及びカセット選択のいずれかを選択するための実装種別選択画面D22を前記登録画面D21にポップアップ表示させる。前記自動選択は、前記薬品収容部181を前記収容部コードの小さいものから順に自動的に選択する第1登録モードであり、前記カセット選択は、前記薬品収容部181をユーザーの指定に応じて任意に選択する第2登録モードである。そして、前記制御部11は、前記実装種別選択画面D22における前記実装種別の選択操作に応じて前記第1登録モード及び前記第2登録モードを切り替えると共に、前記実装種別キーK11における前記実装種別の表示名を変更する。なお、前記制御部11は、前記薬品払出装置1において前記登録対象薬品が前記収容部マスターに初めて登録される場合は前記実装種別として前記自動選択を選択し、前記登録対象薬品が既に前記収容部マスターに登録されている場合には前記実装種別として前記カセット選択を選択することも考えられる。
また、図14に示されるように、前記登録画面D21には、実装先を選択するための実装先キーK10が表示されている。そして、前記制御部11は、前記実装先キーK10の操作に応じて、実装先として手充填及び自動充填のいずれかを選択するための操作画面(不図示)をポップアップ表示させる。具体的に、前記薬品払出システム10に複数の前記薬品払出装置1が設けられており、その複数の前記薬品払出装置1に、前記装填装置19及び前記補充装置20等によって自動で薬品を前記薬品収容部181各々に充填可能な自動装填薬品払出装置と、ユーザーが手動で薬品を前記薬品収容部181各々に充填可能な手動充填ユニット(不図示)を備える手動装填薬品払出装置とが含まれることがある。この場合、前記手充填は、前記手動装填薬品払出装置の前記薬品収容部181を前記登録対象薬品の実装先候補とする場合に選択され、前記自動充填は、前記自動装填薬品払出装置の前記薬品収容部181を前記登録対象薬品の実装先候補とする場合に選択される。なお、前記薬品払出装置1において前記登録対象薬品が前記収容部マスターに初めて登録される場合は、任意の前記薬品払出装置1を前記実装先として選択可能であり、前記登録対象薬品が既に前記薬品収容部181に割り当てられている場合にはその割当て済みの前記薬品収容部181が設けられた前記薬品払出装置1の種別(自動充填薬品払出装置又は手動充填薬品払出装置)のみが前記実装先として選択可能であることが考えられる。
<ステップS13>
ステップS13において、前記制御部11は、前記実装種別の選択操作が行われたか否かを判断する。なお、前記実装種別が既に選択されている場合には、前記ステップS13において、前記実装種別が変更されたか否かが判断される。ここで、前記制御部11は、前記実装種別の選択操作が行われたと判断すると(S13:Yes)、処理をステップS14に移行させ、前記実装種別の選択操作が行われていない場合には(S13:No)、処理をステップS15に移行させる。
<ステップS14>
ステップS14において、前記制御部11は、前記実装種別の選択操作を前記登録画面D21に反映させる。具体的に、前記実装種別として前記自動選択が選択された場合には図14に示されているように、前記登録画面D21を前記自動選択に対応する表示状態に遷移させる。図14に示される前記登録画面D21では、追加する前記薬品収容部181の数が任意に入力可能な操作部K12が表示されている。なお、前記登録画面D21には、既に登録済みの前記薬品収容部181の数(ここでは「2」)、及び最大登録可能数(ここでは「4」)も表示されている。なお、前記ステップS12における前記登録画面D21の初期表示時には、前記実装種別として初期設定などで予め設定された前記自動選択又は前記カセット選択のいずれかが選択された状態が表示される。
一方、前記実装種別として前記カセット選択が選択された場合には、前記登録画面D21に代えて、図16に示すように、前記カセット選択に対応する登録画面D23を表示させる。図16に示される前記登録画面D23には、既登録表示領域K13及び選択操作領域K14が表示されている。前記既登録表示領域K13には、前記登録対象薬品について既に登録済みの前記薬品収容部181に対応する前記収容部コードが表示されている。また、前記選択操作領域K14には、前記薬品収容部181のうち前記登録対象薬品が収容可能であって現在未使用である前記薬品収容部181に対応する前記収容部コードが選択候補として表示されている。そして、ユーザーは、前記登録画面D23の選択操作領域K14において任意に一又は複数の前記薬品収容部181を選択することが可能である。なお、前記登録画面D23には、既に登録済みの前記薬品収容部181の数(ここでは「2」)、最大登録可能数(ここでは「4」)も表示されている。
また、前記制御部11が、前記選択操作領域K14に代えて、図12のように前記薬品収容部181各々の配列状態が模式的に示された配列表示領域を表示させるが考えられる。さらに、前記制御部11は、前記配列表示領域において、前記薬品収容部181各々の配列状態、前記登録対象薬品に対応付けて既に登録済みの前記薬品収容部181と新たな登録先として選択可能な前記薬品収容部181と新たな登録先として選択不能な前記薬品収容部181とをそれぞれ識別可能な表示態様で表示させることが考えられる。例えば、前記表示態様は、前記配列表示領域における前記薬品収容部181各々の表示色などである。そして、前記制御部11は、前記一又は複数の前記薬品収容部181の選択操作を受け付ける。これにより、ユーザーは、前記薬品収容部181各々の配置を容易に把握しながら前記薬品収容部181を選択することが可能となる。さらに、前記制御部11が、前記登録画面D23において、前記薬品収容部181のうち前記登録対象薬品に既に対応付けて登録されている前記薬品収容部181から近い順で前記薬品収容部181の選択候補を並び替えて表示可能であることも考えられる。
<ステップS15>
ステップS15において、前記制御部11は、前記登録画面D21又はD23において、入力内容を登録するための登録操作が行われたか否かを判断する。例えば、前記登録画面D21及びD23に表示されている登録キーK15が操作された場合に前記登録操作が行われたと判断される。ここで、前記登録操作が行われたと判断されると(S15:Yes)、処理はステップS16に移行し、前記登録操作が行われるまでの間は(S15:No)、処理がステップS13に戻される。なお、前記登録画面D21又はD23において前記登録対象薬品についての登録処理をキャンセルするためのキャンセルキーK16の操作が行われた場合には、前記登録画面D21又はD23の入力内容が反映されることなく前記登録画面D21又はD23が閉じられる。
<ステップS16>
ステップS16において、前記制御部11は、前記登録画面D21又はD23の入力内容に応じて前記収容部マスターを更新することにより、前記登録対象薬品と前記薬品収容部181との対応関係を登録する。
具体的に、前記登録画面D21(図14参照)が表示されている前記第1登録モードの状態で前記登録操作が行われた場合、前記制御部11は、前記操作部K12に入力されている登録数の前記薬品収容部181を自動的に前記登録対象薬品に割り当てるように前記収容部マスターを更新する。この場合、前記制御部11は、前記登録対象薬品が収容可能であって現在未使用である前記薬品収容部181の中から前記収容部コードが小さい方から順に前記登録数の前記薬品収容部181を自動的に選択する。
なお、前記第1登録モードで前記登録操作が行われた場合、前記制御部11が、前記ステップS16において、同じ種類の薬品に対応する前記薬品収容部181各々が近い位置に配置されるように前記薬品収容部181を選択して割り当てることも考えられる。例えば、前記制御部11は、前記ステップS16において、前記登録対象薬品に既に割り当てられている前記薬品収容部181が存在するか否かを判断する。そして、前記登録対象薬品に既に割り当てられている前記薬品収容部181が存在する場合、前記制御部11は、前記登録対象薬品に割り当て可能な前記薬品収容部181のうち、既に割り当てられている前記薬品収容部181から最も近いものを選択する。例えば、前記登録対象薬品に既に割り当てられている前記薬品収容部181が複数存在する場合、前記制御部11は、その中から前記収容部コードが最も小さい又は大きい前記薬品収容部181の位置に最も近い前記薬品収容部181を選択することが考えられる。また、前記登録対象薬品に既に割り当てられている前記薬品収容部181が複数存在する場合、前記制御部11が、その複数の前記薬品収容部181の重心位置に最も近い前記薬品収容部181を選択することも考えられる。なお、前記登録対象薬品に既に割り当てられている前記薬品収容部181が一つである場合には、前記制御部11は、その薬品収容部181の位置に最も近い前記薬品収容部181を選択することが考えられる。
さらに、前記制御部11が、前記払出履歴情報D11に基づいて算出される使用頻度が予め設定された閾値より低い前記薬品収容部181についても、未使用の前記薬品収容部181と同様に選択候補にすることが考えられる。そして、前記使用頻度が前記閾値より低い前記薬品収容部181が前記登録対象薬品に対応付けるものとして選択された場合、前記制御部11は、前記ステップS16において前記登録対象薬品と前記薬品収容部181とを対応付ける前に、前記薬品収容部181に現在収容されている薬品を全て払い出す回収処理を実行する。これにより、前記使用頻度が低い前記薬品収容部181を新たに前記登録対象薬品に対応付けて使用して前記薬品払出装置1の効率的な利用を支援すると共に、同種の薬品を複数の前記薬品収容部181各々に装填する場合の充填作業効率の向上を図ることが可能である。なお、前記使用頻度に代えて、所定期間における前記払出量の合計が予め設定された閾値より低いか否かが判断されてもよい。
一方、前記登録画面D23(図16参照)が表示されている前記第2登録モードの状態で前記登録操作が行われた場合、前記制御部11は、前記選択操作領域K14で選択されている一又は複数の前記薬品収容部181を前記登録対象薬品に割り当てるように前記収容部マスターを更新する。従って、ユーザーは、前記登録対象薬品に対応付けて既に登録されている前記薬品収容部181が存在する場合に、その近傍の前記薬品収容部181を任意に選択することにより、前記薬品払出装置1において同種の薬品を複数の前記薬品収容部181各々に装填する場合の充填作業効率の向上を図ることが可能である。
また、前記登録画面D23において、前記制御部11が、前記払出履歴情報D11に基づいて使用頻度が予め設定された閾値より低い前記薬品収容部181を抽出して前記登録対象薬品に対応付ける候補として表示可能な構成も考えられる。即ち、ユーザーは、既に薬品に割り当てられている前記薬品収容部181であっても、前記使用頻度が前記閾値より低いものについては、前記登録対象薬品に対応付ける登録先として選択可能である。そして、前記使用頻度が前記閾値より低い前記薬品収容部181が前記登録対象薬品に対応付けるものとして選択された場合、前記制御部11は、前記ステップS16において前記登録対象薬品と前記薬品収容部181とを対応付ける前に、前記薬品収容部181に現在収容されている薬品を全て払い出す回収処理を実行する。これにより、前記使用頻度が低い前記薬品収容部181を新たに前記登録対象薬品に対応付けて使用することが可能となり、前記薬品払出装置1の効率的な利用を支援することが可能となる。
さらに、前記ステップS16において、前記制御部11が、前記登録画面D21又はD23で登録が指示された登録数と、既に前記登録対象薬品に割り当てられている前記薬品収容部181の数との合計に対応する数の前記薬品収容部181が最も近い位置に配置されるように、前記収容部マスターを更新することも考えられる。
[第4実施形態]
本実施形態では、前記第3実施形態で説明した前記収容薬品登録処理の他の例について説明する。具体的に、本実施形態では、前記制御部11が、前記薬品収容部181各々と薬品の種類との対応関係を過去の使用履歴に基づいて前記収容部マスターに自動的に登録可能な構成について説明する。
まず、前記第3実施形態に係る前記薬品払出装置1において、ユーザーが前記薬品収容部181各々と薬品の種類との対応関係を任意に設定するためには、薬品の種類ごとの使用頻度を考慮してその薬品の種類ごとに対応付ける前記薬品収容部181の数が検討される。例えば、前記薬品払出装置1では、前記払出履歴情報D11が前記記憶部12の前記データ領域122に記憶されるため、ユーザーは、前記払出履歴情報D11を参照して前記薬品収容部181各々の使用頻度の高低を把握することが考えられる。しかしながら、前記払出履歴情報D11などに基づいて薬品の種類ごとに対応付ける前記薬品収容部181の数を検討する手間はユーザーにとって煩雑である。
[収容薬品登録処理の他の例]
これに対し、本実施形態に係る前記薬品払出装置1では、前記制御部11によって前記収容薬品登録処理(図13参照)に代えて、後述の収容薬品登録処理(図17参照)が実行される。以下、図17を参照しつつ、前記収容薬品登録処理について説明する。
<ステップS21>
まず、ステップS21では、前記収容部マスターの更新処理を開始するための登録開始操作が行われたか否かが判断される。そして、前記登録開始操作が行われた場合は(S21:Yes)、処理がステップS21に移行し、前記登録開始操作が行われていなければ(S21:No)、処理が当該ステップS21で待機する。前記登録開始操作が行われた場合、前記制御部11は、前記薬品収容部181に現在割り当てられている薬品の種類各々を前記登録対象薬品として以下の処理を実行する。なお、前記制御部11が、前記薬品払出制御処理のステップS8の実行前又は実行後などのタイミングで下記のステップS22以後の処理を実行することも考えられる。
<ステップS22>
ステップS22において、前記制御部11は、前記登録対象薬品ごとについて、前記払出予測量の最大量を前記払出履歴情報D11に基づいて取得する。前記払出予測量は、前記第1実施形態及び前記第2実施形態で説明したように、例えば前記充填タイミング各々について2回先の前記充填タイミングまでの間の薬品各々の払出予測量であり、前記払出履歴情報D11に記憶されている薬品各々の過去の払出量に基づいて算出される。なお、前記ステップS21では、前記払出予測量の最大量に限らず、前記充填タイミング各々における前記払出予測量の平均値など、前記登録対象薬品各々の払出頻度に関する指標が取得されればよい。
<ステップS23>
次に、ステップS23において、前記制御部11は、前記ステップS22で取得された前記払出予測量の最大量に基づいて、前記登録対象薬品ごとに対応する前記薬品収容部181の割り当て数を決定する。具体的に、前記制御部11は、前記払出予測量の最大量の前記登録対象薬品が収容可能な前記薬品収容部181の数を前記登録対象薬品ごとに算出する。そして、前記制御部11は、前記払出予測量が収容可能な前記薬品収容部181の数を、前記登録対象薬品に対応する前記薬品収容部181の割り当て数として決定する。なお、前記制御部11は、前記収容部マスターに含まれる前記薬品収容部181各々の最大収容量などに基づいて前記払出予測量の最大量に対応する前記薬品収容部181の数を算出可能である。
<ステップS24>
そして、ステップS24において、前記制御部11は、前記ステップS23で決定された前記登録対象薬品ごとの前記薬品収容部181の割り当て数に応じて前記収容部マスターを更新する。
例えば、前記制御部11は、前記払出予測量の最大量が多い前記登録対象薬品から順に一又は複数の前記薬品収容部181を割り当てる。具体的に、前記制御部11は、まず前記払出予測量の最大量が最も多い前記登録対象薬品を割り当て対象の薬品(以下、「割当対象薬品」と称する)として選択する。そして、前記割当対象薬品に現在割り当てられている前記薬品収容部181の数が、前記ステップS23で決定された前記割当対象薬品に対する前記薬品収容部181の割り当て数に対して不足しているか否かを判断する。
そして、前記制御部11は、前記薬品収容部181の割り当て数が不足していると判断すると、その不足数に対応する前記薬品収容部181を、前記薬品収容部181のうち現在未使用であって前記割当対象薬品が収容可能な前記薬品収容部181から選択して前記割当対象薬品に割り当てる。このとき、前記ステップS16で説明したように、前記制御部11が、同じ種類の薬品に対応する前記薬品収容部181各々が近い位置に配置されるように前記薬品収容部181を自動的に選択することも考えられる。また、前記制御部11が、前記薬品収容部181のうち現在未使用であって前記割当対象薬品が収容可能な前記薬品収容部181を表示させ、ユーザー操作に応じて前記割当対象薬品に対応付ける前記薬品収容部181を選択することも考えられる。
なお、前記薬品収容部181のうち現在未使用であって前記割当対象薬品が収容可能な前記薬品収容部181の数が、前記不足数に対して不足していることも考えられる。これに対し、前述したように、前記制御部11が、前記払出履歴情報D11に基づいて算出される使用頻度が予め設定された閾値より低い前記薬品収容部181についても、未使用の前記薬品収容部181と同様に選択候補にすることが考えられる。そして、前記使用頻度が前記閾値より低い前記薬品収容部181が選択される場合には、前記割当対象薬品への割り当てが行われる前に、前記薬品収容部181に現在収容されている薬品を全て払い出す回収処理が実行される。これにより、前記制御部11は、前記使用頻度が前記閾値より低い前記薬品収容部181を選択して前記割当対象薬品に対応付けることが可能となる。なお、前記薬品収容部181のうち現在未使用であって前記割当対象薬品が収容可能な前記薬品収容部181の数が、前記不足数に対して不足している場合であっても、前記使用頻度が前記閾値以上である前記薬品収容部181については前記選択候補とならない。また、前記使用頻度に代えて、所定期間における前記払出量の合計が予め設定された閾値より低いか否かが判断されてもよい。
そして、前記制御部11は、その他の前記登録対象薬品各々についても、前記払出予測量の最大量が多い順で前記割当対象薬品として同様の処理を実行する。なお、前記ステップS24では、前記登録対象薬品のうち前記払出予測量の最大量が多い薬品から順に割り当てが行われる場合について説明したが、前記不足量が多い順、又は前記充填タイミングにおいて補充が必要になった回数などの他の指標に従った順で前記薬品収容部181への割り当てが行われてもよい。