JP2021190551A - 光電変換素子、撮像素子、光センサ、化合物 - Google Patents

光電変換素子、撮像素子、光センサ、化合物 Download PDF

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Abstract

【課題】感度に優れる光電変換素子を提供する。また、撮像素子、光センサ、及び、化合物を提供する【解決手段】導電性膜11、光電変換膜12、及び、透明導電性膜15をこの順で有する光電変換素子10aであって、光電変換膜12が、式(1)で表される化合物を含む。式(1)中、D、Ar1、Ar2、及びAは、それぞれ独立に式で表される基である。Zは、水素原子、又は、炭素原子及び窒素原子からなる群から選択される原子のみを環員原子として有する芳香族六員環基である。m及びnは、それぞれ独立に、0〜2の整数である【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換素子、撮像素子、光センサ、及び、化合物に関する。
近年、光電変換膜を有する素子(例えば、撮像素子)の開発が進んでいる。
例えば、特許文献1において、有機イメージセンサの活性材料として、所定の分子が開示されている。
特表2018−510845号公報
近年、撮像素子及び光センサ等の性能向上の要求に伴い、これらに使用される光電変換素子に求められる諸特性に関してもさらなる向上が求められている。
例えば、光電変換素子における、感度(光電変換効率)のさらなる向上が求められている。
本発明者らが、特許文献1に開示されている材料を用いた光電変換素子について検討したところ、このような光電変換素子には感度(例えば、波長450nmの光のような青色光に対する感度)について改良の余地があることが確認された。
本発明は、上記実情に鑑みて、感度に優れる光電変換素子を提供することを課題とする。
また、本発明は、上記光電変換素子に関する、撮像素子、光センサ、及び、化合物を提供することも課題とする。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、下記構成により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
〔1〕
導電性膜、光電変換膜、及び、透明導電性膜をこの順で有する光電変換素子であって、
上記光電変換膜が、式(1)で表される化合物、及び、色素を含む、光電変換素子。
Figure 2021190551
式(1)中、Dは、式(1−1)〜式(1−5)のいずれかで表される基である。
Ar及びArは、それぞれ独立に、式(2−1)〜式(2−4)のいずれかで表される基である。
Aは、式(3−1)〜式(3−8)のいずれかで表される基である。
Zは、水素原子、又は、炭素原子及び窒素原子からなる群から選択される原子のみを環員原子として有する芳香族六員環基である。上記芳香族六員環基は、置換基として、メチル基、エチル基、メトキシ基、及び、ハロゲン原子からなる群から選択される基を有していてもよい。
m及びnは、それぞれ独立に、0〜2の整数である。
Figure 2021190551
式(1−1)〜式(1−5)中、*は、結合位置を表す。
式(1−1)〜式(1−5)において、環構造に含まれる−CH=の1個以上は、−CR=で置き換わっていてもよい。Rは、ハロゲン原子を表す。
Figure 2021190551
式(2−1)〜(2−4)中、*は、結合位置を表す。
は、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、又は、テルル原子を表す。
式(2−1)〜式(2−4)において、環構造に含まれる−CH=の1個以上は、−CR=で置き換わっていてもよい。Rは、ハロゲン原子を表す。
Figure 2021190551
式(3−1)〜式(3−8)中、*は、結合位置を表す。
及びBは、それぞれ独立に、硫黄原子、酸素原子、=C(CN)、又は、=C(CN)(CO)を表す。Rは、置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜2のアルキル基を表す。
Eは、置換基としてハロゲン原子、メチル基、エチル基、及び、メトキシ基からなる群から選択される基を有してもよい、芳香環を表す。上記メチル基、上記エチル基、及び、上記メトキシ基は、更に置換基としてハロゲン原子を有してもよい。
Rは、置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜2のアルキル基を表す。
Gは、−CR=、又は、−N=を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は、シアノ基を表す。ただし、式(3−8)中の5個のGのうちの少なくとも1個は、−N=である。
ArLは、式(Ar1)〜式(Ar3)のいずれかで表される基である。
式(Ar1)〜式(Ar3)中、*は、結合位置を表す。
は、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、又は、テルル原子を表す。
は、−CH=、−CR=、又は、−N=を表す。Rは、ハロゲン原子、又は、置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜2のアルキル基を表す。
式(Ar1)において、環構造に含まれる−CH=の1個以上は、−CR=で置き換わっていてもよい。Rは、ハロゲン原子を表す。
〔2〕
Dが、上記式(1−1)、上記式(1−2)、上記式(1−3)、及び、上記式(1−5)のいずれかで表される基である、〔1〕に記載の光電変換素子。
〔3〕
Dが、上記式(1−2)、上記式(1−3)、及び、上記式(1−5)のいずれかで表される基である、〔1〕又は〔2〕に記載の光電変換素子。
〔4〕
Aが、上記式(3−2)、上記式(3−3)、上記式(3−5)、上記式(3−6)、及び、上記式(3−8)のいずれかで表される基である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の光電変換素子。
〔5〕
上記式(1)で表される化合物の分子量が400〜900である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の光電変換素子。
〔6〕
上記式(1)で表される化合物と上記色素とが混合された状態で形成される混合層である、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の光電変換素子。
〔7〕
上記導電性膜と上記透明導電性膜との間に、上記光電変換膜の他に1種以上の中間層を有する、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の光電変換素子。
〔8〕
上記光電変換膜が、更に、n型半導体材料を含む、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の光電変換素子。
〔9〕
上記n型半導体材料が、フラーレン及びその誘導体からなる群より選択されるフラーレン類を含む、〔8〕に記載の光電変換素子。
〔10〕
〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の光電変換素子を有する、撮像素子。
〔11〕
〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の光電変換素子を有する、光センサ。
〔12〕
式(1)で表される化合物。
Figure 2021190551
式(1)中、Dは、式(1−1)〜式(1−5)のいずれかで表される基である。
Ar及びArは、それぞれ独立に、式(2−1)〜式(2−4)のいずれかで表される基である。
Aは、式(3−1)〜式(3−8)のいずれかで表される基である。
Zは、水素原子、又は、炭素原子及び窒素原子からなる群から選択される原子のみを環員原子として有する芳香族六員環基である。上記芳香族六員環基は、置換基として、メチル基、エチル基、メトキシ基、及び、ハロゲン原子からなる群から選択される基を有していてもよい。
m及びnは、それぞれ独立に、0〜2の整数である。
Figure 2021190551
式(1−1)〜式(1−5)中、*は、結合位置を表す。
式(1−1)〜式(1−5)において、環構造に含まれる−CH=の1個以上は、−CR=で置き換わっていてもよい。Rは、ハロゲン原子を表す。
Figure 2021190551
式(2−1)〜(2−4)中、*は、結合位置を表す。
は、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、又は、テルル原子を表す。
式(2−1)〜式(2−4)において、環構造に含まれる−CH=の1個以上は、−CR=で置き換わっていてもよい。Rは、ハロゲン原子を表す。
Figure 2021190551
式(3−1)〜式(3−8)中、*は、結合位置を表す。
及びBは、それぞれ独立に、硫黄原子、酸素原子、=C(CN)、又は、=C(CN)(CO)を表す。Rは、置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜2のアルキル基を表す。
Eは、置換基としてハロゲン原子、メチル基、エチル基、及び、メトキシ基からなる群から選択される基を有してもよい、芳香環を表す。上記メチル基、上記エチル基、及び、上記メトキシ基は、更に置換基としてハロゲン原子を有してもよい。
Rは、置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜2のアルキル基を表す。
Gは、−CR=、又は、−N=を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は、シアノ基を表す。ただし、式(3−8)中の5個のGのうちの少なくとも1個は、−N=である。
ArLは、式(Ar1)〜式(Ar3)のいずれかで表される基である。
式(Ar1)〜式(Ar3)中、*は、結合位置を表す。
は、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、又は、テルル原子を表す。
は、−CH=、−CR=、又は、−N=を表す。Rは、ハロゲン原子、又は、置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜2のアルキル基を表す。
式(Ar1)において、環構造に含まれる−CH=の1個以上は、−CR=で置き換わっていてもよい。Rは、ハロゲン原子を表す。
〔13〕
Dが、上記式(1−1)、上記式(1−2)、上記式(1−3)、及び、上記式(1−5)のいずれかで表される基である、〔12〕に記載の化合物。
〔14〕
Dが、上記式(1−2)、上記式(1−3)、及び、上記式(1−5)のいずれかで表される基である、〔12〕又は〔13〕に記載の化合物。
〔15〕
Aが、上記式(3−2)、上記式(3−3)、上記式(3−5)、上記式(3−6)、及び、上記式(3−8)のいずれかで表される基である、〔12〕〜〔14〕のいずれかに記載の化合物。
〔16〕
分子量が400〜900である、〔12〕〜〔15〕のいずれかに記載の化合物。
本発明によれば、感度に優れる光電変換素子を提供できる。
また、本発明によれば、上記光電変換素子に関する、撮像素子、光センサ、光電変換素子用材料、及び、化合物を提供できる。
光電変換素子の一構成例を示す断面模式図である。 光電変換素子の一構成例を示す断面模式図である。
以下に、本発明の光電変換素子の好適実施形態について説明する。
本明細書において、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及び、ヨウ素原子が挙げられる。
本明細書において、化学構造を示す一つの式(一般式)中に、基の種類、又は、数を示す同一の記号が複数存在する場合、特段の断りがない限り、それらの複数存在する同一の記号同士の内容はそれぞれ独立であり、同一の記号同士の内容は同一でもよいし異なっていてもよい。
また、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、水素原子は、軽水素原子(通常の水素原子)であってもよいし、重水素原子(二重水素原子等)であってもよい。
[光電変換素子]
本発明の光電変換素子は、導電性膜、光電変換膜、及び、透明導電性膜をこの順で有する光電変換素子であって、光電変換膜が、式(1)で表される化合物(以下、「特定化合物」とも言う)、及び、色素を含む。
本発明の光電変換素子がこのような構成をとることで上記課題を解決できるメカニズムは必ずしも明らかではないが、本発明者らは以下のように推測している。
すなわち、特定化合物は、分子中において、Aで表される基がアクセプターとして作用し、Dで表される基がドナーとして作用する。また、所望により、Z及び/又はArがドナーの性能を向上させる。ここで、特定化合物は、アクセプターとドナーとが、直接又は所定の連結基を介して結合する形態である。このような構造をとる特定化合物は分子内での電荷の偏りが比較的大きく、隣接する特定化合物同士のドナーとアクセプターが適度に相互作用して特定化合物が光電変換膜中で規則正しく配列できる。その結果、光電変換膜中での正孔及び電子の移送が円滑になり、光電変換素子の感度が改善したと考えられている。また、アクセプター及びドナーが、それぞれ、適切な電子受容性又は電子供与性を有する基から選択されていることも、感度の向上に寄与していると考えられている。
また、本発明の光電変換素子は、応答性、及び、応答のばらつきの抑制性も良好である。特に、応答のばらつきの抑制性の良好さは、本発明の特定化合物は分子内での電荷の偏りが比較的大きく、隣接する特定化合物同士のドナーとアクセプターが適度に相互作用して特定化合物が光電変換膜中で規則正しく配列できることによるものと推定される。
以下、光電変換素子の感度、応答性、及び/又は、応答のばらつきの抑制性がより優れることを、単に「本発明の効果がより優れる」とも言う。
図1に、本発明の光電変換素子の一実施形態の断面模式図を示す。
図1に示す光電変換素子10aは、下部電極として機能する導電性膜(以下、下部電極とも記す)11と、電子ブロッキング膜16Aと、後述する特定化合物を含む光電変換膜12と、上部電極として機能する透明導電性膜(以下、上部電極とも記す)15とがこの順に積層された構成を有する。
図2に別の光電変換素子の構成例を示す。図2に示す光電変換素子10bは、下部電極11上に、電子ブロッキング膜16Aと、光電変換膜12と、正孔ブロッキング膜16Bと、上部電極15とがこの順に積層された構成を有する。なお、図1及び図2中の電子ブロッキング膜16A、光電変換膜12、及び、正孔ブロッキング膜16Bの積層順は、用途及び特性に応じて、適宜変更してもよい。
光電変換素子10a(又は10b)では、上部電極15を介して光電変換膜12に光が入射されることが好ましい。
また、光電変換素子10a(又は10b)を使用する場合には、電圧を印加できる。この場合、下部電極11と上部電極15とが一対の電極をなし、この一対の電極間に、1×10−5〜1×10V/cmの電圧を印加することが好ましい。性能及び消費電力の点から、印加される電圧は、1×10−4〜1×10V/cmがより好ましく、1×10−3〜5×10V/cmが更に好ましい。
なお、電圧印加方法については、図1及び図2において、電子ブロッキング膜16A側が陰極となり、光電変換膜12側が陽極となるように印加することが好ましい。光電変換素子10a(又は10b)を光センサとして使用した場合、また、撮像素子に組み込んだ場合も、同様の方法により電圧を印加できる。
後段で、詳述するように、光電変換素子10a(又は10b)は撮像素子用途に好適に適用できる。
以下に、本発明の光電変換素子を構成する各層の形態について詳述する。
〔光電変換膜〕
光電変換膜は、特定化合物を含む膜である。
以下、特定化合物について詳述する。
<式(1)で表される化合物(特定化合物)>
特定化合物は、下記式(1)で表される化合物である。
Figure 2021190551
式(1)中、Dは、式(1−1)〜式(1−5)のいずれかで表される基である。
Figure 2021190551
式(1−1)〜(1−5)中、*は、結合位置を表す。
式(1−1)〜式(1−5)において、環構造に含まれる−CH=の1個以上(例えば1〜6個)は、−CR=で置き換わっていてもよい。Rは、ハロゲン原子を表す。
例えば、式(1−1)で表される基は、式(1−1F)で表される基になっていてもよい。
Figure 2021190551
本発明の効果がより優れる点から、Dは、式(1−1)、式(1−2)、式(1−3)、及び、式(1−5)のいずれかで表される基であることが好ましく、式(1−2)、式(1−3)、及び、式(1−5)のいずれかで表される基であることがより好ましい。
式(1)中、Ar及びArは、それぞれ独立に、式(2−1)〜式(2−4)のいずれかで表される基である。
Figure 2021190551
式(2−1)〜(2−4)中、*は、結合位置を表す。
式(2−1)中、Xは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、又は、テルル原子を表す。
式(2−1)〜式(2−4)において、環構造に含まれる−CH=の1個以上(例えば1〜6個)は、−CR=で置き換わっていてもよい。Rは、ハロゲン原子を表す。
中でも、Ar及びArは、それぞれ独立に、式(2−1)、及び、式(2−2)のいずれかで表される基であることが好ましい。
式(1)中、Aは、式(3−1)〜式(3−8)のいずれかで表される基である。
Figure 2021190551
式(3−1)〜式(3−8)中、*は、結合位置を表す。
式(3−1)、式(3−2)、式(3−6)、及び、式(3−7)中のB、並びに、式(3−3)、及び、式(3−4)中のBは、それぞれ独立に、硫黄原子、酸素原子、=C(CN)、又は、=C(CN)(CO)を表す。
は、置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜2のアルキル基を表す。上記アルキル基が置換基として有してもよいハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、又は、臭素原子が好ましく、フッ素原子又は塩素原子がより好ましく、フッ素原子が更に好ましい。
式(3−2)中、Eは、置換基としてハロゲン原子、メチル基、エチル基、及び、メトキシ基からなる群から選択される基を有してもよい、芳香環を表す。
上記芳香環は、単環でも多環でもよい。
上記芳香環の環員原子の数は、5〜15が好ましい。
上記芳香環は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環でもよい。
上記芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、及び、フェナントレン環が挙げられる。上記芳香族複素環としては、例えば、キノキサリン環、ピラジン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、及び、オキサゾール環が挙げられる。
上記芳香環が有する置換基(ハロゲン原子、メチル基、エチル基、及び、メトキシ基からなる群から選択される基)の数は、例えば、0〜10である。
上記芳香環が置換基として有し得る、上記メチル基、上記エチル基、及び、上記メトキシ基は、更に置換基としてハロゲン原子を有してもよい。
式(3−3)、式(3−4)、式(3−6)、及び、式(3−7)中、Rは、置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜2のアルキル基を表す。上記アルキル基が置換基として有してもよいハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、又は、臭素原子が好ましく、フッ素原子又は塩素原子がより好ましく、フッ素原子が更に好ましい。上記アルキル基の炭素数は1が好ましい。
式(3−8)中、Gは、−CR=、又は、−N=を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は、シアノ基を表す。ただし、式(3−8)中の5個のGのうちの少なくとも1個(例えば1〜4個)は、−N=である。
式(3−8)で表される基としては、例えば、置換基としてハロゲン原子及びシアノ基からなる群から選択される基を有してもよい、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基(1,2,3−トリアジニル基、1,2,4−トリアジニル基、1,3,5−トリアジニル基等)、及び、テトラジニル基(1,2,4,5−テトラジニル基等)が挙げられ、中でも、式(3−8)で表される基は、置換基としてハロゲン原子及びシアノ基からなる群から選択される基を有してもよいピリミジニル基が好ましい。
式(3−8)の結合位置とのパラ位における、Gが、Rがハロゲン原子又はシアノ基である−CR=であることも好ましい。
式(3−5)中、ArLは、式(Ar1)〜式(Ar3)のいずれかで表される基である。
式(Ar1)〜式(Ar3)中、*は、結合位置を表す。
式(Ar1)における2個の結合位置は、互いにパラ位に存在することも好ましい。
式(Ar1)において、環構造に含まれる−CH=の1個以上(例えば1〜4個)は、−CR=で置き換わっていてもよい。Rは、ハロゲン原子を表す。但し、式(Ar1)における環構造に含まれる−CH=は、−CR=で置き換わっていないほうが好ましい。
式(Ar2)及び式(Ar3)中、Xは、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、又は、テルル原子を表す。
式(Ar2)及び式(Ar3)中、Yは、−CH=、−CR=、又は、−N=を表す。Rは、ハロゲン原子、又は、置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜2のアルキル基を表す。
なお、Yが−CH=である場合、上記−CH=であるYにおける水素原子が置換されて結合位置になっていてもよい。例えば、式(3−5)で表される基は、下記式(3−5A)で表される基であってもよい。
Figure 2021190551
本発明の効果がより優れる点から、式(1)におけるAは、式(3−2)、式(3−3)、式(3−5)、式(3−6)、及び、式(3−8)のいずれかで表される基であることが好ましく、式(3−3)、式(3−5)、式(3−6)、及び、式(3−8)のいずれかで表される基であることがより好ましく、式(3−5)、及び、式(3−8)のいずれかで表される基であることが更に好ましい。
式(1)中、Zは、水素原子、又は、炭素原子及び窒素原子からなる群から選択される原子のみを環員原子として有する芳香族六員環基である。
上記芳香族六員環基としては、例えば、フェニル基、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基(1,2,3−トリアジニル基、1,2,4−トリアジニル基、1,3,5−トリアジニル基等)、及び、テトラジニル基(1,2,4,5−テトラジニル基等)が挙げられ、フェニル基が好ましい。
上記芳香族六員環基は、置換基として、メチル基、エチル基、メトキシ基、及び、ハロゲン原子からなる群から選択される基を有していてもよい。
上記芳香族六員環基が有する置換基(メチル基、エチル基、メトキシ基、及び、ハロゲン原子からなる群から選択される基)の数は、例えば、0〜5である。
式(1)中、m及びnは、それぞれ独立に、0〜2の整数である。
中でも、m及びnが0である場合、Zは上記芳香族六員環基であることが好ましい。
mが1又は2であり、かつ、Zと直接結合するArが式(2−1)及び式(2−3)のいずれかで表される基である場合、Zは上記芳香族六員環基であることが好ましい。
mが0であり、かつ、Dが式(1−1)〜式(1−4)のいずれかで表される基である場合、Zは上記芳香族六員環基であることが好ましい。
また、式(1)中、「Z−(Ar−」で表される部分構造と、「A−(Ar−」で表される部分構造とは、異なる構造であることが好ましい。
特定化合物におけるDとAとの組み合わせとしては、例えば以下の例が挙げられる。
式(1)中、Dが式(1−1)で表される基の場合、Aは、式(3−1)〜式(3−8)のいずれで表される基であってもよく、式(3−2)、式(3−3)、式(3−5)、式(3−6)、及び、式(3−8)のいずれかで表される基であることが好ましく、式(3−3)、式(3−5)、式(3−6)、及び、式(3−8)のいずれかで表される基であることがより好ましく、式(3−5)、及び、式(3−8)のいずれかで表される基であることが更に好ましい。
式(1)中、Dが式(1−2)で表される基の場合、Aは、式(3−1)〜式(3−8)のいずれで表される基であってもよく、式(3−2)、式(3−3)、式(3−5)、式(3−6)、及び、式(3−8)のいずれかで表される基であることが好ましく、式(3−3)、式(3−5)、式(3−6)、及び、式(3−8)のいずれかで表される基であることがより好ましい。
式(1)中、Dが式(1−3)で表される基の場合、Aは、式(3−1)〜式(3−8)のいずれで表される基であってもよく、式(3−2)、式(3−3)、式(3−5)、式(3−6)、及び、式(3−8)のいずれかで表される基であることが好ましく、式(3−3)、式(3−5)、式(3−6)、及び、式(3−8)のいずれかで表される基であることがより好ましく、式(3−5)、及び、式(3−8)のいずれかで表される基であることが更に好ましい。
式(1)中、Dが式(1−4)で表される基の場合、Aは、式(3−1)〜式(3−8)のいずれで表される基であってもよく、式(3−2)、式(3−3)、式(3−5)、式(3−6)、及び、式(3−8)のいずれかで表される基であることが好ましく、式(3−3)、式(3−5)、式(3−6)、及び、式(3−8)のいずれかで表される基であることがより好ましく、式(3−5)、及び、式(3−8)のいずれかで表される基であることが更に好ましい。
式(1)中、Dが式(1−5)で表される基の場合、Aは、式(3−1)〜式(3−8)のいずれで表される基であってもよく、式(3−2)、式(3−3)、式(3−5)、式(3−6)、及び、式(3−8)のいずれかで表される基であることが好ましく、式(3−3)、式(3−5)、式(3−6)、及び、式(3−8)のいずれかで表される基であることがより好ましく、式(3−5)、及び、式(3−8)のいずれかで表される基であることが更に好ましい。
以下に、特定化合物の具体例を示す。
Figure 2021190551
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特定化合物の分子量は特に制限されず、400〜1200が好ましく、400〜900がより好ましい。分子量が1200以下であれば、蒸着温度が高くならず、化合物の分解が起こりにくい。分子量が400以上であれば、蒸着膜のガラス転移点が低くならず、光電変換素子の耐熱性が向上する。
特定化合物は、撮像素子、光センサ、又は、光電池に用いる光電変換膜の材料として特に有用である。また、特定化合物は、着色材料、液晶材料、有機半導体材料、電荷輸送材料、医薬材料、及び、蛍光診断薬材料としても使用できる。
特定化合物は、後述のn型半導体材料とのエネルギー準位のマッチングの点で、単独膜でのイオン化ポテンシャルが−5.0〜−6.0eVである化合物であることが好ましい。
特定化合物の極大吸収波長は特に制限されず、例えば、350〜550nmの範囲にあることが好ましく、400〜550nmの範囲にあることがより好ましい。
なお、上記極大吸収波長は、特定化合物の吸収スペクトルを吸光度が0.5〜1になる程度の濃度に調整して溶液状態(溶剤:クロロホルム)で測定した値である。
光電変換膜の極大吸収波長は特に制限されず、例えば、300〜700nmの範囲にあることが好ましく、400〜700nmの範囲にあることがより好ましい。
光電変換素子の応答性の点から、光電変換膜中の特定化合物の含有量(=特定化合物の単層換算での膜厚/光電変換膜の膜厚×100)は、15〜75体積%が好ましく、20〜60体積%がより好ましく、25〜40体積%が更に好ましい。
特定化合物は1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
<色素>
光電変換膜は、上述した特定化合物以外の他の成分として、色素を含む。
上記色素は、有機色素が好ましい。
上記色素は、例えば、シアニン色素、スチリル色素、ヘミシアニン色素、メロシアニン色素(ゼロメチンメロシアニン(シンプルメロシアニン)を含む)、ロダシアニン色素、アロポーラー色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アザメチン色素、クマリン色素、アリーリデン色素、アントラキノン色素、トリフェニルメタン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、メタロセン色素、フルオレノン色素、フルギド色素、ペリレン色素、フェナジン色素、フェノチアジン色素、キノン色素、ジフェニルメタン色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、キノキサリン色素、ジフェニルアミン色素、キノフタロン色素、フェノキサジン色素、フタロペリレン色素、ジオキサン色素、ポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、サブフタロシアニン色素、金属錯体色素、特開2014−82483号公報の段落[0083]〜[0089]に記載の化合物、特開2009−167348号公報の段落[0029]〜[0033]に記載の化合物、特開2012−77064号公報の段落[0197]〜[0227]に記載の化合物、WO2018−105269号公報の段落[0035]〜[0038]に記載の化合物、WO2018−186389号公報の段落[0041]〜[0043]に記載の化合物、WO2018−186397号公報の段落[0059]〜[0062]に記載の化合物、WO2019−009249号公報の段落[0078]〜[0083]に記載の化合物、WO2019−049946号公報の段落[0054]〜[0056]に記載の化合物、WO2019−054327号公報の段落[0059]〜[0063]に記載の化合物、WO2019−098161号公報の段落[0086]〜[0087]に記載の化合物、及び、WO2020−013246号公報の段落[0085]〜[0114]に記載の化合物が挙げられる。
光電変換膜が色素を含む場合、光電変換膜中における、特定化合物と色素との合計の含有量に対する、色素の含有量(=(色素の単層換算での膜厚/(特定化合物の単層換算での膜厚+色素の単層換算での膜厚)×100))は、15〜75体積%が好ましく、20〜60体積%がより好ましく、25〜50体積%が更に好ましい。
なお、色素は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
<n型半導体材料>
光電変換膜は、上述した特定化合物及び色素以外の他の成分として、更に、n型半導体材料を含むことも好ましい。
n型半導体材料は、アクセプター性有機半導体材料(化合物)であり、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。
更に詳しくは、n型半導体材料は、上述の特定化合物と接触させて用いた場合に、特定化合物よりも電子親和力の大きい有機化合物が好ましい。
本明細書において、電子親和力の値としてGaussian‘09(Gaussian社製ソフトウェア)を用いてB3LYP/6−31G(d)の計算により求められるLUMOの値の反数の値(マイナス1を掛けた値)を用いる。
また、n型半導体材料は、上述の色素と接触させて用いた場合に、色素よりも電子親和力の大きい有機化合物であることが好ましい。
n型半導体材料の電子親和力は、3.0〜5.0eVが好ましい。
n型半導体材料は、例えば、フラーレン及びその誘導体からなる群より選択されるフラーレン類、縮合芳香族炭素環化合物(例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、及び、フルオランテン誘導体);窒素原子、酸素原子、及び、硫黄原子の少なくとも1つを有する5〜7員環のヘテロ環化合物(例えば、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、キノキサリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、イソキノリン、プテリジン、アクリジン、フェナジン、フェナントロリン、テトラゾール、ピラゾール、イミダゾール、及び、チアゾール等);ポリアリーレン化合物;フルオレン化合物;シクロペンタジエン化合物;シリル化合物;1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物;1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物イミド誘導体、オキサジアゾール誘導体;アントラキノジメタン誘導体;ジフェニルキノン誘導体;バソクプロイン、バソフェナントロリン、及びこれらの誘導体;トリアゾール化合物;ジスチリルアリーレン誘導体;含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体;シロール化合物;ならびに、特開2006−100767号公報の段落[0056]〜[0057]に記載の化合物が挙げられる。
中でも、n型半導体材料は、フラーレン及びその誘導体からなる群より選択されるフラーレン類を含むことが好ましい。
フラーレンは、例えば、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC80、フラーレンC82、フラーレンC84、フラーレンC90、フラーレンC96、フラーレンC240、フラーレンC540、及び、ミックスドフラーレンが挙げられる。
フラーレン誘導体は、例えば、上記フラーレンに置換基が付加した化合物が挙げられる。置換基は、アルキル基、アリール基、又は、複素環基が好ましい。フラーレン誘導体は、特開2007−123707号公報に記載の化合物が好ましい。
光電変換膜がn型半導体材料を含む場合、特定化合物と色素とn型半導体材料との合計の含有量に対する、n型半導体材料の含有量(=(n型半導体材料の単層換算での膜厚/(特定化合物の単層換算での膜厚+色素の単層換算での膜厚+n型半導体材料の単層換算での膜厚)×100))は、15〜75体積%が好ましく、20〜60体積%がより好ましく、25〜50体積%が更に好ましい。
なお、n型半導体材料は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
また、n型半導体材料がフラーレン類を含む場合、n型半導体材料の合計の含有量に対する、フラーレン類の含有量(=(フラーレン類の単層換算での膜厚/単層換算した各n型半導体材料の膜厚の合計)×100)は、50〜100体積%が好ましく、80〜100体積%がより好ましい。
なお、フラーレン類は、1種単独で使用してもよく、2種以上使用してもよい。
n型半導体材料の分子量は、200〜1200が好ましく、200〜1000がより好ましい。
光電変換膜は、実質的に、特定化合物と色素とn型半導体材料とのみから構成されることが好ましい。光電変換膜が実質的に、特定化合物と色素とn型半導体材料とのみから構成されるとは、光電変換膜全質量に対して、特定化合物と色素とn型半導体材料の合計含有量が95〜100質量%であることを意味する。
光電変換膜は、特定化合物と色素とが混合された状態で形成される混合層であることが好ましい。
また、光電変換膜がn型半導体材料を含む場合、光電変換膜は、特定化合物と色素とn型半導体材料とが混合された状態で形成される混合層であることが好ましい。
混合層は、単一の層の中において、2種以上の材料が混合されている層である。
特定化合物を含む光電変換膜は非発光性膜であり、有機電界発光素子(OLED:Organic Light Emitting Diode)とは異なる特徴を有する。非発光性膜とは発光量子効率が1%以下の膜を意図し、発光量子効率は0.5%以下が好ましく、0.1%以下がより好ましい。
<成膜方法>
光電変換膜は、主に、乾式成膜法により成膜できる。乾式成膜法は、例えば、蒸着法(特に、真空蒸着法)、スパッタ法、イオンプレーティング法、及び、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法等の物理気相成長法、並びに、プラズマ重合等のCVD(Chemical Vapor Deposition)法が挙げられる。なかでも、真空蒸着法が好ましい。真空蒸着法により光電変換膜を成膜する場合、真空度及び蒸着温度等の製造条件は常法に従って設定できる。
光電変換膜の厚みは、10〜1000nmが好ましく、50〜800nmがより好ましく、50〜500nmが更に好ましく、50〜400nmが特に好ましい。
<電極>
電極(上部電極(透明導電性膜)15と下部電極(導電性膜)11)は、導電性材料から構成される。導電性材料は、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、及びこれらの混合物等が挙げられる。
上部電極15から光が入射されるため、上部電極15は検知したい光に対し透明であることが好ましい。上部電極15を構成する材料は、例えば、アンチモン又はフッ素等をドープした酸化錫(ATO:Antimony Tin Oxide、FTO:Fluorine doped Tin Oxide)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO:Indium Tin Oxide)、及び、酸化亜鉛インジウム(IZO:Indium zinc oxide)等の導電性金属酸化物;金、銀、クロム、及び、ニッケル等の金属薄膜;これらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物;ならびに、ポリアニリン、ポリチオフェン、及び、ポリピロール等の有機導電性材料、等が挙げられる。なかでも、高導電性及び透明性等の点から、導電性金属酸化物が好ましい。
通常、導電性膜をある範囲より薄くすると、急激な抵抗値の増加をもたらすが、本実施形態にかかる光電変換素子を組み込んだ固体撮像素子では、シート抵抗は、例えば100〜10000Ω/□でよく、薄膜化できる膜厚の範囲の自由度は大きい。また、上部電極(透明導電性膜)15は厚みが薄いほど吸収する光の量は少なくなり、一般に光透過率が増す。光透過率の増加は、光電変換膜での光吸収を増大させ、光電変換能を増大させるため、好ましい。薄膜化に伴う、リーク電流の抑制、薄膜の抵抗値の増大、及び、透過率の増加を考慮すると、上部電極15の膜厚は、5〜100nmが好ましく、5〜20nmがより好ましい。
下部電極11は、用途に応じて、透明性を持たせる場合と、逆に透明性を持たせず光を反射させる場合とがある。下部電極11を構成する材料は、例えば、アンチモン又はフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、及び、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物;金、銀、クロム、ニッケル、チタン、タングステン、及び、アルミ等の金属、これらの金属の酸化物又は窒化物等の導電性化合物(一例として窒化チタン(TiN)を挙げる);これらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物;並びに、ポリアニリン、ポリチオフェン、及び、ポリピロール、等の有機導電性材料等が挙げられる。
電極を形成する方法は特に制限されず、電極材料に応じて適宜選択できる。具体的には、印刷方式、及び、コーティング方式等の湿式方式;真空蒸着法、スパッタ法、及び、イオンプレーティング法等の物理的方式;並びに、CVD、及び、プラズマCVD法等の化学的方式、等が挙げられる。
電極の材料がITOの場合、電子ビーム法、スパッタ法、抵抗加熱蒸着法、化学反応法(ゾル−ゲル法等)、及び、酸化インジウムスズの分散物の塗布等の方法が挙げられる。
<電荷ブロッキング膜:電子ブロッキング膜、正孔ブロッキング膜>
本発明の光電変換素子は、導電性膜と透明導電性膜との間に、光電変換膜の他に1種以上の中間層を有していることも好ましい。上記中間層は、電荷ブロッキング膜が挙げられる。光電変換素子がこの膜を有することにより、得られる光電変換素子の特性(光電変換効率及び応答性等)がより優れる。電荷ブロッキング膜は、電子ブロッキング膜と正孔ブロッキング膜とが挙げられる。以下に、それぞれの膜について詳述する。
(電子ブロッキング膜)
電子ブロッキング膜は、ドナー性有機半導体材料(化合物)であり、例えば、下記のp型有機半導体を使用できる。p型有機半導体は1種単独で使用してもよく、2種以上を使用してもよい。
p型有機半導体は、例えば、トリアリールアミン化合物(例えば、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジアミン(TPD)、4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)、特開2011−228614号公報の段落[0128]〜[0148]に記載の化合物、特開2011−176259号公報の段落[0052]〜[0063]に記載の化合物、特開2011−225544号公報の段落[0119]〜[0158]に記載の化合物、特開2015−153910号公報の[0044]〜[0051]に記載の化合物、及び、特開2012−94660号公報の段落[0086]〜[0090]に記載の化合物等)、ピラゾリン化合物、スチリルアミン化合物、ヒドラゾン化合物、ポリシラン化合物、チオフェン化合物(例えば、チエノチオフェン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ベンゾジチオフェン誘導体、ジチエノチオフェン誘導体、[1]ベンゾチエノ[3,2−b]チオフェン(BTBT)誘導体、チエノ[3,2−f:4,5−f´]ビス[1]ベンゾチオフェン(TBBT)誘導体、特開2018−14474号の段落[0031]〜[0036]に記載の化合物、WO2016−194630号の段落[0043]〜[0045]に記載の化合物、WO2017−159684号の段落[0025]〜[0037]、[0099]〜[0109]に記載の化合物、特開2017−076766号公報の段落[0029]〜[0034]に記載の化合物、WO2018−207722の段落[0015]〜[0025]に記載の化合物、特開2019−54228の段落[0045]〜[0053]に記載の化合物、WO2019−058995の段落[0045]〜[0055]に記載の化合物、WO2019−081416の段落[0063]〜[0089]に記載の化合物、特開2019−80052の段落[0033]〜[0036]に記載の化合物、WO2019−054125の段落[0044]〜[0054]に記載の化合物、WO2019−093188の段落[0041]〜[0046]に記載の化合物、等)、シアニン化合物、オキソノール化合物、ポリアミン化合物、インドール化合物、ピロール化合物、ピラゾール化合物、ポリアリーレン化合物、縮合芳香族炭素環化合物(例えば、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、フェナントレン誘導体、テトラセン誘導体、ペンタセン誘導体、ピレン誘導体、ペリレン誘導体、及び、フルオランテン誘導体)、ポルフィリン化合物、フタロシアニン化合物、トリアゾール化合物、オキサジアゾール化合物、イミダゾール化合物、ポリアリールアルカン化合物、ピラゾロン化合物、アミノ置換カルコン化合物、オキサゾール化合物、フルオレノン化合物、シラザン化合物、並びに、含窒素ヘテロ環化合物を配位子として有する金属錯体が挙げられる。
p型有機半導体は、n型半導体材料よりもイオン化ポテンシャルが小さい化合物が挙げられ、この条件を満たせば、上述したような色素も使用し得る。
また、電子ブロッキング膜として、高分子材料も使用できる。
高分子材料は、例えば、フェニレンビニレン、フルオレン、カルバゾール、インドール、ピレン、ピロール、ピコリン、チオフェン、アセチレン、及び、ジアセチレン等の重合体、並びに、その誘導体が挙げられる。
なお、電子ブロッキング膜は、複数膜で構成してもよい。
電子ブロッキング膜は、無機材料で構成されていてもよい。一般的に、無機材料は有機材料よりも誘電率が大きいため、無機材料を電子ブロッキング膜に用いた場合に、光電変換膜に電圧が多くかかるようになり、光電変換効率が高くなる。電子ブロッキング膜となりうる無機材料は、例えば、酸化カルシウム、酸化クロム、酸化クロム銅、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ニッケル、酸化銅、酸化ガリウム銅、酸化ストロンチウム銅、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化インジウム銅、酸化インジウム銀、及び、酸化イリジウムが挙げられる。
(正孔ブロッキング膜)
正孔ブロッキング膜は、アクセプター性有機半導体材料(化合物)であり、上述のn型半導体材料等を利用できる。
電荷ブロッキング膜の製造方法は特に制限されず、例えば、乾式成膜法及び湿式成膜法が挙げられる。乾式成膜法は、例えば、蒸着法及びスパッタ法が挙げられる。蒸着法は、物理蒸着(PVD:Physical Vapor Deposition)法及び化学蒸着(CVD)法のいずれでもよく、真空蒸着法等の物理蒸着法が好ましい。湿式成膜法は、例えば、インクジェット法、スプレー法、ノズルプリント法、スピンコート法、ディップコート法、キャスト法、ダイコート法、ロールコート法、バーコート法、及び、グラビアコート法が挙げられ、高精度パターニングの点からは、インクジェット法が好ましい。
電荷ブロッキング膜(電子ブロッキング膜及び正孔ブロッキング膜)の厚みは、それぞれ、3〜200nmが好ましく、5〜100nmがより好ましく、5〜30nmが更に好ましい。
<基板>
光電変換素子は、更に基板を有してもよい。使用される基板の種類は特に制限されず、例えば、半導体基板、ガラス基板、及び、プラスチック基板が挙げられる。
なお、基板の位置は特に制限されず、通常、基板上に導電性膜、光電変換膜、及び、透明導電性膜をこの順で積層する。
<封止層>
光電変換素子は、更に封止層を有してもよい。光電変換材料は水分子等の劣化因子の存在で顕著にその性能が劣化してしまうことがある。そこで、水分子を浸透させない緻密な金属酸化物、金属窒化物、もしくは、金属窒化酸化物等のセラミクス、又は、ダイヤモンド状炭素(DLC:Diamond−like Carbon)等の封止層で光電変換膜全体を被覆して封止することで、上記劣化を防止できる。
なお、封止層は、特開2011−082508号公報の段落[0210]〜[0215]に記載に従って、材料の選択及び製造を行ってもよい。
[撮像素子、光センサ]
光電変換素子の用途として、例えば、撮像素子が挙げられる。撮像素子とは、画像の光情報を電気信号に変換する素子であり、通常、複数の光電変換素子が同一平面上でマトリクス状に配置されており、各々の光電変換素子(画素)において光信号を電気信号に変換し、その電気信号を画素ごとに逐次撮像素子外に出力できるものをいう。そのために、画素ひとつあたり、一つ以上の光電変換素子、一つ以上のトランジスタから構成される。
撮像素子は、デジタルカメラ、及び、デジタルビデオカメラ等の撮像素子、電子内視鏡、並びに、携帯電話機等の撮像モジュール等に搭載される。
本発明の光電変換素子は、本発明の光電変換素子を有する光センサに用いることも好ましい。光センサは、上記光電変換素子単独で用いてもよいし、上記光電変換素子を直線状に配したラインセンサ、又は、平面状に配した2次元センサとして用いてもよい。
[化合物]
本発明は、化合物にも関する。
本発明の化合物は、上述の特定化合物と同じであり、好ましい条件についても同様である。
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更できる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
[化合物(評価化合物)]
<化合物(E−1)の合成>
特定化合物である、化合物(E−1)を下記スキームに従い合成した。
Figure 2021190551
化合物(e−1)(5g)を3つ口フラスコに入れ、更に上記3つ口フラスコに窒素雰囲気下にてテトラヒドロフラン150mlを加え攪拌し、得られた混合液を、−40℃に冷却した。上記混合液にノルマルブチルリチウムのヘキサン溶液を化合物(e−1)に対して1.05当量加え、0℃で30分攪拌した。更に、上記混合液に臭素を1.05当量滴下し、30分攪拌した後、室温(25℃)で1時間攪拌した。上記混合液に飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルを加えて分液抽出し、得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。得られたろ液を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製し、化合物(e−2)(7.2g)を得た。
化合物(e−2)(7.0g)を3つ口フラスコに入れ、更に上記3つ口フラスコに化合物(e−3)を1.1当量、炭酸カリウムを3当量、及び、ジメチルホルムアミド(105ml)と水(10.5ml)を加え、得られた混合液を攪拌した後、減圧脱気をして窒素置換した。その後、上記混合液にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を0.05当量加え、130℃で8時間加熱攪拌した。その後、上記混合液を室温(25℃)まで降温し、上記混合液に水を90ml滴下した。上記混合液をろ過し、得られた残渣(ろ物)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製し、化合物(e−4)(8.5g)を得た。
化合物(e−4)(8.3g)を3つ口フラスコに入れ、更に上記3つ口フラスコに塩化メチレン(160ml)を加え攪拌した。得られた混合液に、氷冷下で、臭素を1.05当量滴下し、室温で1時間攪拌した。その後、上記混合液に、5質量%亜硫酸ナトリウム水溶液と塩化メチレンを加え、分液した。得られた有機相を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製し、化合物(e−5)(8.2g)を得た。
化合物(e−5)(3g)を3つ口フラスコに入れ、更に上記3つ口フラスコに化合物(e−6)を1.5当量、炭酸カリウムを3当量、及び、ジメチルホルムアミド(100ml)と水(10ml)を加え、得られた混合液を攪拌した後、減圧脱気をして窒素置換した。その後、上記混合液にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を0.05当量加え、130℃で8時間加熱攪拌した。その後、上記混合液を室温(25℃)まで降温し、水を90ml滴下した。上記混合液をろ過し、得られた残渣(ろ物)をクロロホルムにて懸濁洗浄し、ろ過した。得られた残渣(ろ物)を減圧乾燥し、昇華精製することで化合物(E−1)(1.3g)を得た。
<化合物(E−2の合成>
特定化合物である、化合物(E−2)を下記スキームに従い合成した。
Figure 2021190551
化合物(e−7)(5g)を3つ口フラスコに入れ、更に上記3つ口フラスコに窒素雰囲気下にてテトラヒドロフラン(150ml)を加え攪拌し、得られた混合液を−40℃に冷却した。上記混合液にノルマルブチルリチウムのヘキサン溶液を化合物(e−1)に対して1.05当量加え、0℃で30分攪拌した。その後、上記混合液に、臭素を1.05当量滴下し、30分攪拌した後、室温(25℃)で1時間攪拌した。上記混合液に飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルを加えて分液抽出し、得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。得られたろ液を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製し、化合物(e−8)(6.2g)を得た。
化合物(e−8)(6.0g)を3つ口フラスコに入れ、更に上記3つ口フラスコに化合物(e−9)を1.2当量、炭酸カリウムを3当量、及び、ジメチルホルムアミド(105ml)と水(10.5ml)を加え、得られた混合液を攪拌した後、減圧脱気をして窒素置換した。その後、上記混合液にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を0.05当量加え、130℃で8時間加熱攪拌した。その後、上記混合液を室温(25℃)まで降温し、水を90ml滴下した。上記混合液をろ過し、得られた残渣(ろ物)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製し、化合物(e−10)(6.3g)を得た。
化合物(e−10)(6.0g)を3つ口フラスコに入れ、更に上記3つ口フラスコに窒素雰囲気下にてテトラヒドロフラン(180ml)を加え攪拌し、得られた混合液を−40℃に冷却した。上記混合液にノルマルブチルリチウムのヘキサン溶液を1.05当量加え、0℃で30分攪拌した。上記混合液にジメチルホルムアミドを1.1当量滴下し、30分攪拌した後、室温(25℃)で1時間攪拌した。上記混合液に飽和塩化アンモニウム水溶液と酢酸エチルを加え分液抽出し、得られた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥してからろ過し、得られたろ液を濃縮した。得られた残渣(ろ物)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー精製し、化合物(e−11)(5.7g)を得た。
化合物(e−11)(3g)を3つ口フラスコに入れ、更に上記3つ口フラスコに窒素雰囲気下にてトルエン(120ml)を加え攪拌した。得られた混合液に化合物(e−12)を1.1当量、及び、ピペリジンを1.1当量加えた後、100℃で8時間加熱攪拌した。その後、上記混合液を60℃まで降温してから、ろ過した。得られた残渣(ろ物)をクロロホルムにて懸濁洗浄し、ろ過した。得られた残渣(ろ物)を減圧乾燥し、昇華精製することで化合物(E−2)(2.1g)を得た。
<化合物(E−7)の合成>
特定化合物である、化合物(E−7)を下記スキームに従い合成した。
Figure 2021190551
化合物(e−13)(8.0g)を3つ口フラスコに入れ、更に上記3つ口フラスコに窒素雰囲気下にてテトラヒドロフラン180mlを加え攪拌し、得られた混合液を−40℃に冷却した。上記混合液にノルマルブチルリチウムのヘキサン溶液を1.05当量加え、0℃で30分攪拌した後、更に、上記混合液にジメチルホルムアミドを1.1当量滴下し、30分攪拌した。その後、上記混合液を室温(25℃)で1時間攪拌した。その後、上記混合液に水を100ml滴下してから上記混合液をろ過した。得られた残渣(ろ物)をクロロホルムで、懸濁洗浄した後、ろ過し、ろ物として化合物(e−14)(4.2g)を得た。
化合物(e−14)(4.0g)を3つ口フラスコに入れ、更に上記3つ口フラスコに化合物(e−15)を1.2当量、炭酸カリウムを3当量、及び、ジメチルホルムアミド(100ml)と水(10ml)を加え、攪拌後、得られた混合液を減圧脱気して窒素置換した。その後、上記混合液にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を0.05当量加え、130℃で8時間加熱攪拌した。その後、上記混合液を室温(25℃)まで降温し、水を90ml滴下してからろ過した。得られた残渣(ろ物)をクロロホルムで、懸濁洗浄した後、ろ過し、ろ物として化合物(e−16)(3.2g)を得た。
化合物e−16(3g)を3つ口フラスコに入れ、更に上記3つ口フラスコに窒素雰囲気下にてクロロベンゼン(120ml)を加え攪拌した。得られた混合液に、化合物e−17を1.1当量、ピペリジンを1.1当量加えた後、100℃で8時間加熱攪拌した。その後、上記混合液を60℃まで降温してから、ろ過した。得られた残渣(ろ物)をクロロホルムにて懸濁洗浄、ろ過した。得られた残渣(ろ物)を減圧乾燥し、昇華精製することで化合物(E−7)(1.6g)を得た。
上述の合成方法を参照にその他の特定化合物も合成した。
合成した各特定化合物の、ESI−MS(エレクトロスプレーイオン化質量分析)による測定結果は次の通りであった。
==========================
化合物 ESI−MS測定結果(m/z (M))
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
E−1 481.01
E−2 524.95
E−3 600.98
E−4 507.04
E−5 531.02
E−6 624.98
E−7 554.05
E−8 583.03
E−9 481.03
E−10 478.02
E−11 620.04
E−12 489.00
E−13 518.99
E−14 518.99
E−15 504.03
E−16 489.00
E−17 610.02
E−18 613.03
E−19 499.05
E−20 621.00
E−21 650.99
E−22 639.05
E−23 624.98
==========================
以下に、特定化合物である化合物(E−1)〜(E−23)と、比較用化合物である化合物(S−1)〜(S−6)を示す。
以下、特定化合物と比較用化合物とを総称して、評価化合物ともいう。
Figure 2021190551
Figure 2021190551
Figure 2021190551
Figure 2021190551
[色素(評価色素)]
下記に示す色素を、実施例における評価に用いる評価色素として、後述する光電変換素子の作製に用いた。
なお、評価色素である化合物(B−1)は、比較用化合物である(S−6)と同じ化合物である。
Figure 2021190551
Figure 2021190551
Figure 2021190551
[n型半導体材料]
フラーレンC60を、評価に用いるn型半導体材料として、後述する光電変換素子の作製に用いた。
[試験]
<実施例及び比較例:光電変換素子の作製>
得られた化合物を用いて図2の形態の光電変換素子を作製した。ここで、光電変換素子は、下部電極11、電子ブロッキング膜16A、光電変換膜12、正孔ブロッキング膜16B、及び、上部電極15からなる。
具体的には、ガラス基板上に、アモルファス性ITOをスパッタ法により成膜して、下部電極11(厚み:30nm)を形成し、更に下部電極11上に下記の化合物(C−1)を真空加熱蒸着法により成膜して、電子ブロッキング膜16A(厚み:10nm)を形成した。
更に、基板の温度を25℃に制御した状態で、電子ブロッキング膜16A上に、評価化合物(上述の評価化合物のうちのいずれか)、n型半導体材料(フラーレンC60)、及び、色素(上述の評価色素のうちのいずれか)を2.0Å/秒の蒸着レートに設定し、それぞれ単層換算で100nmとなるように真空蒸着法により共蒸着して成膜し、混合層である光電変換膜12を形成した(光電変換膜形成工程)。各実施例又は比較例において光電変換膜12の合計膜厚は、評価化合物、n型半導体材料、及び、色素を使用した場合は300nmであり、評価化合物、及び、色素を使用して、n型半導体材料を使用しなかった場合は200nmである。
更に光電変換膜12上に下記の化合物(C−2)を成膜して正孔ブロッキング膜16B(厚み:10nm)を形成した。
更に、正孔ブロッキング膜16B上に、アモルファス性ITOをスパッタ法により成膜して、上部電極15(透明導電性膜)(厚み:10nm)を形成した。上部電極15上に、真空蒸着法により封止層としてSiO膜を形成した後、その上にALCVD(Atomic Layer Chemical Vapor Deposition)法により酸化アルミニウム(Al)層を形成し、各実施例又は比較例の光電変換素子(単に「素子」ともいう)を作製した。
同じ組み合わせの評価化合物及び評価色素を使用して、同様の手順で作成した同種の素子を、それぞれ10個ずつ作製して、後述の評価に供した。
Figure 2021190551
<光電変換効率(感度)の評価>
得られた各素子の駆動を確認した。各素子に2.0×10V/cmの電界強度となるように電圧を印加した。その後、上部電極(透明導電性膜)側から光を照射して450nmでの光電変換効率(外部量子効率)を評価した。外部量子効率は、オプテル製定エネルギー量子効率測定装置を用いて測定した。照射した光量は50μW/cmであった。
なお、10個作製した同種の素子についてそれぞれの外部量子効率を測定し、その平均の外部量子効率を、その種類の素子の外部量子効率とした。
外部量子効率が、95%以上の場合は「AA」、92%以上95%未満の場合は「A」、90%以上92%未満の場合は「B」、87%以上90%未満の場合は「C」、85%以上87%未満の場合は「D」、82%以上85%未満の場合は「E」、82%未満の場合は「F」、として感度を評価した。
実用上、「D」以上の評価であることが好ましく、「C」以上であることがより好ましく、「B」以上であることが更に好ましい。
<応答性の測定>
得られた各素子を用いて、以下の応答性の評価を実施した。
具体的には、素子に2.0×105V/cmの強度となるように電圧を印加した。その後、LED(light emitting diode)を瞬間的に点灯させて上部電極(透明導電性膜)側から光を照射し、そのときの光電流をオシロスコープで測定した。この際、光の照射前の電流の強度(信号強度)を0%、光が照射されることで測定される最大の信号強度を100%として、光照射をしてから信号強度が0%から97%になるまでの時間(立ち上がり時間)を、各素子について求めた。
なお、10個作製した同種の素子についてそれぞれの立ち上がり時間を測定し、その平均の立ち上がり時間を、その種類の素子の立ち上がり時間とした。
比較例1の素子の立ち上がり時間を1としたときの、各素子の立ち上がり時間の相対値を求めた。
なお、立ち上がり時間の上記相対値、0.10未満の場合を「AA」、0.10以上0.15未満の場合を「A」、0.15以上0.20未満の場合を「B」、0.20以上0.25未満の場合を「C」、0.25以上0.30未満の場合を「D」、0.30以上1.00未満の場合を「E」、1.00以上の場合を「F」、として応答性を評価した。
実用上、「D」以上であることが好ましく、「C」以上であることがより好ましく、「B」以上であることが更に好ましい。
<応答のばらつきの抑制性の評価>
10個作製した同種の素子について、上述の<応答性の測定>と同様の方法で、立ち上がり時間をそれぞれ測定した。10個の素子の立ち上がり時間の平均値を1と規格化し、10個の素子の立ち上がり時間の標準偏差を求めて、応答のばらつきの抑制性を評価した。
標準偏差の値が、0.01未満の場合は「AA」、0.01以上0.02未満の場合は「A」、0.02以上0.03未満の場合は「B」、0.03以上0.04未満の場合は「C」、0.04以上0.05未満の場合は「D」、0.05以上0.10未満の場合は「E」、0.10以上の場合は「F」、として応答のばらつきの抑制性を評価した。
なお、標準偏差は以下の計算式で計算できる。
s:標準偏差
n:10
x:1
:10個の素子の立ち上がり時間の平均値を1と規格化した場合における、i個目の素子の立ち上がり時間
Figure 2021190551
各実施例又は比較例の光電変換素子の特徴、及び、各実施例又は比較例の光電変換素子を使用して行った試験の結果を下記表1に示す。
表中、「化合物」欄における「種類」欄は、素子の作製において評価化合物として使用した化合物の種類を示す。
「化合物」欄における「D」欄は、評価化合物として特定化合物を使用した場合にいて、その特定化合物におけるDで表される基が、式(1−1)〜式(1−5)で表される基のいずれであるかを示す。
「化合物」欄における「A」欄は、評価化合物として特定化合物を使用した場合にいて、その特定化合物におけるDで表される基が、式(3−1)〜式(3−8)で表される基のいずれであるかを示す。
「色素」、「n型半導体材料」欄は、それぞれ、素子の作製において使用した色素、又は、n型半導体材料の種類を示す。
Figure 2021190551
Figure 2021190551
表1に示す結果より、光電変換膜に特定化合物を使用する本発明の光電変換素子は、本発明の効果が優れることが確認された。
一方で、特定化合物とは異なる化合物を使用した場合、得られる光電変換素子は、感度、応答性、及び、応答のばらつき抑制性が、本発明の電変換素子と比べて劣っていた。
Dが、式(1−1)、式(1−2)、式(1−3)、又は、式(1−5)で表される基である場合、感度、及び/又は、応答性がより優れることが確認された(実施例1〜52と53〜56の結果の比較等を参照)。
Dが、式(1−2)、式(1−3)、又は、式(1−5)で表される基である場合、応答のばらつきの抑制性がより優れることが確認された(実施例1〜47と48〜56との結果の比較等を参照)。
Aが、式(3−2)、式(3−3)、式(3−5)、式(3−6)、又は、式(3−8)で表される基である場合、感度、及び/又は、応答のばらつきの抑制性がより優れることが確認された(実施例48〜52の結果の比較、実施例53〜56の結果の比較等を参照)。
10a,10b 光電変換素子
11 導電性膜(下部電極)
12 光電変換膜
15 透明導電性膜(上部電極)
16A 電子ブロッキング膜
16B 正孔ブロッキング膜

Claims (16)

  1. 導電性膜、光電変換膜、及び、透明導電性膜をこの順で有する光電変換素子であって、
    前記光電変換膜が、式(1)で表される化合物、及び、色素を含む、光電変換素子。
    Figure 2021190551
    式(1)中、Dは、式(1−1)〜式(1−5)のいずれかで表される基である。
    Ar及びArは、それぞれ独立に、式(2−1)〜式(2−4)のいずれかで表される基である。
    Aは、式(3−1)〜式(3−8)のいずれかで表される基である。
    Zは、水素原子、又は、炭素原子及び窒素原子からなる群から選択される原子のみを環員原子として有する芳香族六員環基である。前記芳香族六員環基は、置換基として、メチル基、エチル基、メトキシ基、及び、ハロゲン原子からなる群から選択される基を有していてもよい。
    m及びnは、それぞれ独立に、0〜2の整数である。
    Figure 2021190551
    式(1−1)〜式(1−5)中、*は、結合位置を表す。
    式(1−1)〜式(1−5)において、環構造に含まれる−CH=の1個以上は、−CR=で置き換わっていてもよい。Rは、ハロゲン原子を表す。
    Figure 2021190551
    式(2−1)〜(2−4)中、*は、結合位置を表す。
    は、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、又は、テルル原子を表す。
    式(2−1)〜式(2−4)において、環構造に含まれる−CH=の1個以上は、−CR=で置き換わっていてもよい。Rは、ハロゲン原子を表す。
    Figure 2021190551
    式(3−1)〜式(3−8)中、*は、結合位置を表す。
    及びBは、それぞれ独立に、硫黄原子、酸素原子、=C(CN)、又は、=C(CN)(CO)を表す。Rは、置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜2のアルキル基を表す。
    Eは、置換基としてハロゲン原子、メチル基、エチル基、及び、メトキシ基からなる群から選択される基を有してもよい、芳香環を表す。前記メチル基、前記エチル基、及び、前記メトキシ基は、更に置換基としてハロゲン原子を有してもよい。
    Rは、置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜2のアルキル基を表す。
    Gは、−CR=、又は、−N=を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は、シアノ基を表す。ただし、式(3−8)中の5個のGのうちの少なくとも1個は、−N=である。
    ArLは、式(Ar1)〜式(Ar3)のいずれかで表される基である。
    式(Ar1)〜式(Ar3)中、*は、結合位置を表す。
    は、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、又は、テルル原子を表す。
    は、−CH=、−CR=、又は、−N=を表す。Rは、ハロゲン原子、又は、置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜2のアルキル基を表す。
    式(Ar1)において、環構造に含まれる−CH=の1個以上は、−CR=で置き換わっていてもよい。Rは、ハロゲン原子を表す。
  2. Dが、前記式(1−1)、前記式(1−2)、前記式(1−3)、及び、前記式(1−5)のいずれかで表される基である、請求項1に記載の光電変換素子。
  3. Dが、前記式(1−2)、前記式(1−3)、及び、前記式(1−5)のいずれかで表される基である、請求項1又は2に記載の光電変換素子。
  4. Aが、前記式(3−2)、前記式(3−3)、前記式(3−5)、前記式(3−6)、及び、前記式(3−8)のいずれかで表される基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  5. 前記式(1)で表される化合物の分子量が400〜900である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  6. 前記式(1)で表される化合物と前記色素とが混合された状態で形成される混合層である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  7. 前記導電性膜と前記透明導電性膜との間に、前記光電変換膜の他に1種以上の中間層を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  8. 前記光電変換膜が、更に、n型半導体材料を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光電変換素子。
  9. 前記n型半導体材料が、フラーレン及びその誘導体からなる群より選択されるフラーレン類を含む、請求項8に記載の光電変換素子。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光電変換素子を有する、撮像素子。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の光電変換素子を有する、光センサ。
  12. 式(1)で表される化合物。
    Figure 2021190551
    式(1)中、Dは、式(1−1)〜式(1−5)のいずれかで表される基である。
    Ar及びArは、それぞれ独立に、式(2−1)〜式(2−4)のいずれかで表される基である。
    Aは、式(3−1)〜式(3−8)のいずれかで表される基である。
    Zは、水素原子、又は、炭素原子及び窒素原子からなる群から選択される原子のみを環員原子として有する芳香族六員環基である。前記芳香族六員環基は、置換基として、メチル基、エチル基、メトキシ基、及び、ハロゲン原子からなる群から選択される基を有していてもよい。
    m及びnは、それぞれ独立に、0〜2の整数である。
    Figure 2021190551
    式(1−1)〜式(1−5)中、*は、結合位置を表す。
    式(1−1)〜式(1−5)において、環構造に含まれる−CH=の1個以上は、−CR=で置き換わっていてもよい。Rは、ハロゲン原子を表す。
    Figure 2021190551
    式(2−1)〜(2−4)中、*は、結合位置を表す。
    は、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、又は、テルル原子を表す。
    式(2−1)〜式(2−4)において、環構造に含まれる−CH=の1個以上は、−CR=で置き換わっていてもよい。Rは、ハロゲン原子を表す。
    Figure 2021190551
    式(3−1)〜式(3−8)中、*は、結合位置を表す。
    及びBは、それぞれ独立に、硫黄原子、酸素原子、=C(CN)、又は、=C(CN)(CO)を表す。Rは、置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜2のアルキル基を表す。
    Eは、置換基としてハロゲン原子、メチル基、エチル基、及び、メトキシ基からなる群から選択される基を有してもよい、芳香環を表す。前記メチル基、前記エチル基、及び、前記メトキシ基は、更に置換基としてハロゲン原子を有してもよい。
    Rは、置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜2のアルキル基を表す。
    Gは、−CR=、又は、−N=を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、又は、シアノ基を表す。ただし、式(3−8)中の5個のGのうちの少なくとも1個は、−N=である。
    ArLは、式(Ar1)〜式(Ar3)のいずれかで表される基である。
    式(Ar1)〜式(Ar3)中、*は、結合位置を表す。
    は、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、又は、テルル原子を表す。
    は、−CH=、−CR=、又は、−N=を表す。Rは、ハロゲン原子、又は、置換基としてハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜2のアルキル基を表す。
    式(Ar1)において、環構造に含まれる−CH=の1個以上は、−CR=で置き換わっていてもよい。Rは、ハロゲン原子を表す。
  13. Dが、前記式(1−1)、前記式(1−2)、前記式(1−3)、及び、前記式(1−5)のいずれかで表される基である、請求項12記載の化合物。
  14. Dが、前記式(1−2)、前記式(1−3)、及び、前記式(1−5)のいずれかで表される基である、請求項12又は13に記載の化合物。
  15. Aが、前記式(3−2)、前記式(3−3)、前記式(3−5)、前記式(3−6)、及び、前記式(3−8)のいずれかで表される基である、請求項12〜14のいずれか1項に記載の化合物。
  16. 分子量が400〜900である、請求項12〜15のいずれか1項に記載の化合物。
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