JP2021187870A - ポリエステル基材の製造方法 - Google Patents

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Tomoyoshi Obe
博之 中村
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良典 石井
Yoshinori Ishii
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Koichi Ishiihara
浩 堀口
Hiroshi Horiguchi
淳 星尾
Atsushi Hoshio
雅憲 増田
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Abstract

【課題】離型層および剥離層を除去処理したポリエステル基材でありながら、離型層由来の樹脂の付着が非常に少なく、このポリエステル基材を再溶融してペレットにした場合にバージン品のペレットと同程度の品質を有するペレットにすることができるポリエステル基材の製造方法を提供する。【解決手段】ポリエステル基材の少なくとも一方の面に、Siを含有する離型層を介して剥離層が積層されている積層体を、アルカリ性処理液と接触させることにより、前記ポリエステル基材から前記離型層および前記剥離層を剥離するアルカリ処理工程、を含むことを特徴とするポリエステル基材の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、ポリエステル基材の少なくとも一方の面に、離型層を介して剥離層が積層されている積層体から離型層および剥離層を剥離してポリエステル基材を製造する方法に関する。
近年、成形体などの表面加飾や修飾の方法として転写やインモールド成形による方法が広く使われている。中でも、単に図柄だけではなく、質感の変化を付与するために離型性基材上に多孔質層を設け、これを対象物に転写して対象物を外観だけではなく、あたかも革張りのような手触りにすることも提案されており、例えば、家電製品、携帯電話、モバイル機器、建材、家具、文房具、車輌用内装部品などに用いることができる。例えば、本発明者らは特許文献1に、離型基材上に湿式凝固法によって多孔質層を形成し、これを剥離してインモールド成形用シートとする方法を開示している。
こうした転写や剥離用の積層ポリエステルフィルムを製造する過程では、ポリエステル基材の表面に離型層と、剥離・転写される層(以下、剥離層という)を積層した後に規格外となることがある。規格外となったフィルムは通常廃棄されるが、資源の有効利用のため、ポリエステル基材から離型層や剥離層を除去し、ポリエステル基材をリサイクルすることが望まれている。
特許文献2には、合成樹脂よりなる基材から該基材上に設けられた異質の層を105℃以上のアルカリ水溶液中で除去した後、0.1質量%ないし10質量%の過酸化物を含有する水溶液により処理することによって上記異質の層を除去することが記載されている。具体的には、まず処理する基材を選別し、当該合成樹脂製の基材全体を予め適当な大きさのチップに裁断し、破砕してから、所定のアルカリ処理を行なうという所謂バッチ方式を採用している。
特開2008−291089号公報 特許第3270037号公報
このような、ポリエステル基材上に剥離層が設けられた積層体から剥離層を剥離する場合は、剥離層を物理的に除去した後、離型層をアルカリ処理することになるが、工程が複雑になるという問題があった。さらに、離型層は通常シリコーン系樹脂、アクリル樹脂など分解し難いものである上、通常ポリエステルフィルムとは易接着を介して強固に接着しており、ポリエステル基材の表面に離型層の一部が付着して残ることがあった。特に離型層にSi系の撥水剤が用いられている場合には離型層を除去することが困難であった。
一方、ポリエステル基材をリサイクルするにあたっては、回収されたポリエステル基材を溶融、成形してペレットとし、得られたペレットを再度溶融してフィルム化している。そのためリサイクルに供するポリエステル基材の表面に離型層が付着していると、再生されたポリエステル基材に離型層由来の異物が混入すると考えられる。しかし、再生されたポリエステル基材に混入するこれらの異物については着目されていなかった。また、再生されたポリエステル基材を原料ポリエステルフィルムと同様の高精度の用途で用いるには、異物などの品質面で充分なものとは言えなかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、離型層および剥離層を除去処理したポリエステル基材でありながら、離型層由来の樹脂の付着が非常に少なく、このポリエステル基材を再溶融してペレットにした場合にバージン品のペレットと同程度の品質を有するペレットにすることができるポリエステル基材の製造方法を提供することにある。
本発明の構成は以下のとおりである。
[1] ポリエステル基材の少なくとも一方の面に、離型層を介して剥離層が積層されている積層体を、アルカリ性処理液と接触させることにより、前記ポリエステル基材から前記離型層および前記剥離層を剥離するアルカリ処理工程、を含むことを特徴とするポリエステル基材の製造方法。
[2] 前記アルカリ処理後のポリエステル基材と水とを接触させる水洗工程、を更に含む[1]に記載の製造方法。
[3] 前記積層体は、ロール状に巻回されており、前記アルカリ処理後のポリエステル基材と水とを接触させる水洗工程、および前記水洗後のポリエステル基材をロール状に巻き取る巻回工程、を更に含む[1]に記載の製造方法。
[4] 前記アルカリ処理工程は、70〜150℃の温度で、0.5〜60質量%のアルカリ性処理液と1秒〜180分間接触させる[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
上記構成により、本発明によれば、ポリエステル基材の少なくとも一方の面に、離型層を介して剥離層が積層されている積層体からポリエステル基材を製造できる。
図1は、本発明の一実施形態に用いられるロールツーロール装置の概略図である。
ポリエステル基材の少なくとも一方の面に、離型層を介して剥離層が積層された積層体から離型層および剥離層を剥離してポリエステル基材を製造する際には、まず剥離層を機械的手段などにより除去した後、離型層が付着しているポリエステル基材をアルカリ性処理液と接触させるなどして離型層を除去していた。しかし本発明者らが検討したところ、剥離層を除去してからアルカリ処理を施してもポリエステル基材には離型層由来の樹脂が依然として付着しており、このような樹脂が付着したポリエステル基材を用いてポリエステルペレットを成形した場合には異物の多いペレットとなり、品質が低下する原因になっていたことが判明した。
そこで本発明者らはポリエステル基材に付着している離型層を確実に剥離除去するために鋭意検討を重ねてきた。その結果、剥離層を除去してからアルカリ処理を施すのではなく、剥離層が積層された積層体のままアルカリ性処理液と接触させることにより、剥離層がポリエステル基材から剥離し、このとき、驚くべきことに、ポリエステル基材と剥離層の間に介在している離型層も併せて除去し易くなることが判明した。なお、剥離層が積層された積層体のまま処理をすることで離型層が除去しやすくなる理由は定かではないが、剥離層が除去される際に、物理的な作用で離型層ごと除去されるのではないかと推察している。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、以下、ポリエステル基材の少なくとも一方の面に、離型層を介して剥離層が積層されたものを積層体と呼び、離型層および剥離層を剥離したポリエステル基材を除去処理ポリエステル基材と呼ぶことがある。
本発明に係るポリエステル基材の製造方法は、ポリエステル基材の少なくとも一方の面に、離型層を介して剥離層が積層されている積層体を、アルカリ性処理液と接触させることにより、前記ポリエステル基材から前記離型層および前記剥離層を剥離するアルカリ処理工程、を含む点に特徴がある。
ポリエステル基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリブチレンナフタレート(PBN)フィルム、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)フィルムなどが挙げられ、好ましくはPETフィルムである。
ポリエステル基材の厚みは特に限定されないが、取扱い性などを考慮すると5μm以上、500μm以下が好ましい。厚みは、より好ましくは7μm以上であり、より好ましくは400μm以下、さらに好ましくは350μm以下、特に好ましくは300μm以下である。
離型層とは、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アルキッド樹脂など、一般に離型層として用いられているものが挙げられる。中でもシリコーン樹脂を含む撥水剤を用いて形成されたものが本発明の好適な離型層である。離型層の厚みは0.01〜50μmが好ましく、さらに好ましくは0.05μm以上であり、さらに好ましくは20μm以下である。
剥離層は離型層上に設けられ、これが剥離されて使用されるものであれば特に制限はない。剥離されて使用されるとは、剥離層を転写対象物に貼り合わせた後にポリエステル基材上の離型層と剥離層を剥がすものであっても、剥離層を単独でポリエステル基材上の離型層から剥がすもののいずれであってもよい。
剥離層を積層させた状態でアルカリ処理を行う時に、剥離層からアルカリ性処理液が浸透して離型層に作用し、離型層ごとの除去を促進させると思われるため、離型層は、多孔質層であることが好ましい。ここで言う多孔質層は、連続貫通孔を有する層である。多孔質層は、例えば、樹脂や無機材料で形成されているものが挙げられる。多孔質層としては、例えば下記の方法、素材で製造したものが挙げられ、その目的、例えば、表面修飾目的であれば目的とする風合いや手触りに合うよう、適宜選択できる。例えば、樹脂を溶媒に溶解させて塗工後に層分離させ、多孔質化させたもの、繊維状フィラーを樹脂等のバインダを用いて結合させたもの、有機粒子や無機粒子を樹脂等のバインダを用いて結合させたものなどが挙げられる。樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリエチレン、ポリオレフィン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ブチラール樹脂、セルロース樹脂などが挙げられる。繊維状フィラーとしては、例えば、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、ポリウレタン、木綿、麻、シュロ、ヤシガラ繊維、羊毛、シルク、などが挙げられる。有機粒子としては、例えば、スチレン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂などの他、木粉、コルク粉、木炭粒子などが挙げられる。無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、タルク、珪藻土、砂、軽石粉、蠣殻粉などが挙げられる。
上記剥離層の厚み(剥離層を複数有する場合は、これらの合計厚み)は、0.001μm以上が好ましい。所定の機能を有効に発揮させるためには、剥離層の厚みは、より好ましくは0.005μm以上、さらに好ましくは0.01μm以上である。一方、剥離層の厚みを50μm以下とすることにより、剥離層を短時間で除去できる。剥離層の厚みは、より好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下、特に好ましくは5μm以下である。
なお、上記は本発明が適応される好適な例である表面修飾用の積層体に関して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、剥離層を剥離して工業的な用途として用いるもの、例えば、メンブレン膜の製造、燃料電池や固体電池の電極薄膜の製造、コンデンサや積層回路の絶縁体となる薄膜樹脂フィルムや薄膜無機酸化物シートなどを製造する場合の積層体などに応用できる。
アルカリ性処理液との親和性を高める目的で、上記剥離層の表面に表面処理層を積層してもよい。表面処理層の形成に用いられる表面改質処理は公知の方法を採用でき、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理などが挙げられる。
「アルカリ性処理液と接触させる」とは、例えば所定濃度のアルカリ性処理液と、例えば浸漬、塗布、噴霧などの方法により接触させることを意味する。「アルカリ性処理液と接触させる」には、加熱されたアルカリ性処理液と接触させることにより積層体を加熱することも含まれる。
アルカリ性処理液は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ供給源を含む。上記アルカリ供給源は、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。これらは剥離層側から浸潤し、離型層を溶解、膨潤させて、ポリエステル基材から離型層を剥離(除去)する作用を有する。アルカリ性処理液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液などの水溶液が好ましく、水酸化カリウム水溶液がより好ましい。
アルカリ性処理液は、離型層および剥離層の剥離効率を高めるため、アルカリ性処理助剤を更に含んでいてもよい。アルカリ性処理助剤としては、例えば沸点上昇剤などのようにアルカリ性処理液の加熱温度を上昇し得るものが好ましく用いられ、例えば、界面活性剤、水溶性無機化合物、水溶性有機化合物、水溶性溶媒などが挙げられる。具体的には、例えば、ノニオン系界面活性剤、水溶性無機塩類、水溶性有機塩類、水溶性高分子、多糖類、アルコール、グリコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなど)、水溶性有機溶媒[ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレングリコールのエーテル類(各種セロソルブ)]、などが挙げられる。これらのうち好ましくは、グリコール類である。これらは単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
アルカリ処理条件は、ポリエステル基材の種類、厚みなどに応じて適宜適切に選択できるが、例えば、70〜150℃の温度に加熱された0.5〜60質量%のアルカリ性処理液と1秒〜180分間接触(例えば、浸漬)することが好ましい。アルカリ性処理液がアルカリ供給源およびアルカリ性処理助剤の両方を含む場合、これらを含むアルカリ性処理液の濃度を0.5〜60質量%に調整した処理液を70〜150℃の温度に加熱し、該処理液と、積層体とを1秒〜180分間接触させることが好ましい。
上記のアルカリ処理条件において、アルカリ性処理液の加熱温度を70℃以上とすることにより、離型層および剥離層を充分に除去できる。また、本発明では上述の範囲でも高濃度のアルカリ性処理液とした場合には、アルカリ性処理液の温度を高くすることにより、アルカリ成分が析出して上記処理液自体が固化することを防止できる。アルカリ性処理液の加熱温度は、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは90℃以上、特に好ましくは100℃以上である。一方、アルカリ性処理液の加熱温度を150℃以下とすることにより、アルカリ性処理液との接触により剥離処理ポリエステル基材が変質することを防止できる。アルカリ性処理液の加熱温度は、より好ましくは135℃以下である。
上記のアルカリ処理条件において、アルカリ性処理液の濃度(アルカリ性処理液がアルカリ供給源およびアルカリ性処理助剤を含む場合は、これらの合計濃度)は、0.5質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。一方、アルカリ性処理液の濃度を60質量%以下とすることにより、剥離処理ポリエステル基材が変質することを防止できる。アルカリ性処理液の濃度は、より好ましくは55質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下、特に好ましくは47質量%以下、最も好ましくは45質量%以下である。
上記のアルカリ処理条件において、アルカリ性処理液との接触時間を1秒以上とすることにより、剥離層および離型層を充分に除去できる。接触時間は、より好ましくは3秒以上、さらに好ましくは5秒以上である。一方、アルカリ性処理液との接触時間は180分以下とすることが好ましい。
これらのアルカリ処理条件のうちアルカリ性処理液の濃度と、アルカリ性処理液との接触時間は、アルカリ処理の方式などにより適宜選択すればよい。アルカリ処理の方式としては、積層体を先に裁断してチップ化後、攪拌翼付きのタンク等に投入してアルカリ処理を行うバッチ方式、ロール状に巻き取られた積層体を巻き出し、長尺状のままアルカリ処理を行うロールツーロール方式が挙げられる。
(バッチ方式)
バッチ方式の場合、アルカリ性処理液の濃度は、特に20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。バッチ方式の場合、アルカリ性処理液との接触時間が長くなるため、アルカリ性処理液の濃度が高くなりすぎたときには基材のポリエステルが分解されることがある。バッチ方式の場合、アルカリ性処理液との接触時間は、特に5分以上が好ましく、より好ましくは10分以上、さらに好ましくは15分以上であり、より好ましくは150分以下、さらに好ましくは120分以下である。バッチ方式の場合、アルカリ処理を複数回行うときは、その合計時間が上記範囲であることが好ましい。バッチ方式の場合、アルカリ処理の温度は前述の通りであるが、アルカリ処理液の濃度が低く、温度が上げられないときには加圧することにより温度を上げてもよい。
(ロールツーロール方式)
ロールツーロール方式の場合、アルカリ性処理液の濃度は、特に20質量%以上とすることにより、異物の少ない高品質の剥離処理ポリエステル基材を得るための離型層および剥離層の剥離を短時間で行うことができ、好ましい。アルカリ性処理液の濃度は、より好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上、特に好ましくは35質量%以上である。ロールツーロール方式の場合、アルカリ性処理液との接触時間は、特に120秒以下とすることにより、小型で簡便な設備(詳細は後述する。)での処理が可能となる。具体的には、アルカリ処理槽内でのポリエステル基材の架け渡しを単純化できるため、アルカリ処理槽を小型化できたり、アルカリ処理槽の数を減らせるため、設備全体を小型化できる。接触時間は、より好ましくは90秒以下、さらに好ましくは60秒以下、特に好ましくは40秒以下である。
アルカリ処理回数は、好ましくは1〜5回であり、より好ましくは1〜3回である。なお、ここでいう1回のアルカリ処理は積層体をアルカリ性処理液と接触させる回数を意味し、積層体をアルカリ性処理液に浸漬させる場合は、浸漬してから引き上げるまでを1回とする。アルカリ処理槽を用いてアルカリ処理を複数回行う場合は、同一のアルカリ処理槽を用いてもよいし、個別のアルカリ処理槽を用いてもよく、個別のアルカリ処理槽を用いる方が設備の対応柔軟性が向上し、アルカリ処理槽内のアルカリ性処理液の管理の面でも好ましい。
アルカリ処理では必要により、ブラシや超音波処理など、物理的な手段を併用してもよい。
アルカリ処理工程では、ポリエステル基材の表面から剥離された離型層および剥離層がアルカリ性処理液中に存在しているため、アルカリ性処理液から離型層および剥離層を適宜除去しながら行われることが好ましい。
本発明の製造方法では、前記アルカリ処理後のポリエステル基材と水とを接触させる水洗工程、を更に含むことが好ましい。水と接触させることにより、ポリエステル基材に付着しているアルカリ性処理液を除去したり、アルカリ処理工程で付着した離型層および剥離層を除去できる。
バッチ方式の場合、アルカリ処理後のチップを別途水洗用の攪拌翼付きタンク等に投入してもよく、アルカリ処理を行ったタンクからアルカリ性処理液を抜き出し、水を投入してもよい。水洗工程での水との接触時間はアルカリ処理の好ましい時間と同様である。水洗工程での水の温度、水洗回数は以下のバッチ処理に準じる。
ロールツーロール方式の場合、上記アルカリ処理後のポリエステル基材を水と接触させる方法は特に限定されず、例えば、アルカリ処理後のポリエステル基材を水洗槽に浸漬する方法や、アルカリ処理後のポリエステル基材に対して水を吹き付ける方法などが挙げられ、これらの方法を併用することが好ましい。水洗工程では、ポリエステル基材に対して水を吹き付けることがより好ましい。水を吹き付けることにより、ポリエステル基材に付着しているアルカリ性処理液や離型層および剥離層を効率良く除去できる。水を吹き付ける方法は特に限定されず、例えば、ポリエステル基材に向けて設けたノズルから水を例えばシャワー状に噴射させて吹き付ければよい。
水洗条件は、ポリエステル基材の種類、厚みなどに応じて適宜適切に選択できるが、全体の処理時間を延ばすことなしに異物の少ない高品質の剥離処理ポリエステル基材を得るためには、例えば、90℃以下の水と1回以上接触させることが好ましい。90℃以下の水を用いることによりポリエステル基材を損傷させることなく離型層および剥離層を洗浄、除去できる。また、水の沸騰を防止できるため、安全に安定した水洗が可能となる。水洗の温度は、より好ましくは80℃以下、更に好ましくは70℃以下である。水の温度の下限は特に限定されないが、0℃以下では水が凝固するため、0℃超とする。水の温度は、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは室温(27℃)以上、特に好ましくは40℃以上である。
水洗回数は、好ましくは2回以上であり、好ましくは5回以下、より好ましくは3回以下である。なお、ここでいう1回の水洗はポリエステル基材を水と接触させる回数を意味し、ポリエステル基材を水に浸漬させる場合は、浸漬してから引き上げるまでを1回とする。ポリエステル基材に対して水を吹き付ける場合は、例えば、ポリエステル基材に対してノズルから水を吹き付ける回数を意味するが、複数のノズルを基材の搬送方向に間隔をあけて配置したときには、途中で水切りするまでを1回とする。例えば、2つのノズルを基材の搬送方向に間隔をあけて配置した場合は、水洗回数は1回とカウントし、ノズルとノズルの間に例えばマングルなどを配置し、基材に付着した水を除去した場合は、水洗回数は2回とカウントする。また、基材に吹き付けた水を水洗槽に流し落とすのであれば、水の吹き付けと水洗槽での処理を合わせて1回とする。
水洗を2回以上行う場合は、各回同じ水温で水洗してもよいし、異なっていてもよい。水洗温度を変更する場合は、n回目の水洗温度よりもn+1回目の水洗温度を高くしてもよいし、低くしてもよく、低くすることが好ましい。離型層および剥離層は水温が高いほど除去しやすいため、アルカリ処理後のポリエステル基材を温度が相対的に高い水と接触させた後、温度が相対的に低い水と接触させることにより離型層および剥離層の除去率を高めることができる。
水洗工程で用いられる水には界面活性剤や消泡剤等を加えてもよいが、最終の水洗工程で用いる水はこれらを加えないものであることが好ましい。
水との接触時間は特に限定されないが、1秒以上とすることにより、アルカリ性処理液や離型層および剥離層を充分に除去できる。接触時間は、より好ましくは3秒以上、さらに好ましくは5秒以上である。一方、接触時間を120秒以下とすることにより、好ましく用いられる小型で簡便なロールツーロール方式の設備でも水洗できる。具体的には、水洗槽内でのポリエステル基材の架け渡しを単純化できるため、水洗槽を小型化できたり、水洗槽の数を減らすことができるため、設備全体を小型化できる。接触時間は、より好ましくは90秒以下、さらに好ましくは60秒以下、特に好ましくは40秒以下である。
水洗工程を複数回に分けて行う場合、全体の処理時間を延ばすことなしに異物の少ない高品質のポリエステル基材を得るために、例えば、水洗工程全体としての処理時間を1〜120秒間とすることが好ましい。
アルカリ処理後のポリエステル基材を水洗槽に浸漬することにより水と接触させる場合は、該ポリエステル基材に付着して水洗槽内に持ち込まれた離型層および剥離層を適宜水洗槽内から除去しながら行われることが好ましい。
残渣を除去する方法としては、フィルターを用いる方法、遠心分離による方法、浮遊物をスキジー等で掻き取る方法、沈殿タンクで沈降させる方法、一定量の新しいアルカリ性処理液や水洗の水を添加して、その分の使用済みアルカリ性処理液や水洗の水をオーバーフローなどにより抜き出す方法などを適宜組み合わせることができる。また、後述するが、水洗工程を多段階とし、最終段階ではフィルターでろ過したり、浮遊物のない新しい水を用いたシャワーで剥離処理ポリエステル基材を洗い流すことも好ましい。この時にシャワーに用いた水は水洗槽に加え、その分をオーバーフロー等で流し出すことも好ましい。
本発明の方法であれば、簡便な方法で離型層および剥離層を除去することができ、離型層および剥離層が低レベルに除去された剥離処理ポリエステル基材およびそれから得られた異物の少ないポリエステルペレットを得ることができる。
上記アルカリ処理後のポリエステル基材を水洗槽に浸漬することにより水と複数回接触させる場合は、同一の水洗槽を用いてもよいし、個別の水洗槽を用いてもよく、個別の水洗槽を用いる方が設備の対応柔軟性が向上し、水洗槽内の水の管理の面でも好ましい。
次に、上記水洗工程の後は、乾燥することが好ましい。乾燥温度は特に限定されないが、例えば、90〜150℃が好ましい。乾燥温度を90℃以上とすることにより、短時間で乾燥できる。乾燥温度は、より好ましくは100℃以上である。一方、乾燥温度を150℃以下とすることにより、ポリエステル基材の変質を防止できる。乾燥温度は、より好ましくは135℃以下である。
乾燥時間は特に限定されないが、例えば、50秒以上、120分以下が好ましい。バッチ方式の場合、ブレンダードライヤーなどで乾燥することができる。乾燥時間は、特に10分〜120分が好ましく、さらに好ましくは15分〜90分である。ロールツーロール方式の場合、長尺のままオーブンドライヤー内を通過させて乾燥することが好ましい。ロールツーロール方式の場合での乾燥時間は、例えば、50秒〜150秒が好ましい。乾燥時間を50秒以上とすることにより、乾燥ムラを低減できる。乾燥時間は、より好ましくは60秒以上である。一方、乾燥時間を150秒以下とすることにより、ポリエステル基材の変形を防止できる。乾燥時間は、より好ましくは140秒以下である。
乾燥させたポリエステル基材が長尺状の場合は、枚葉に裁断したり、シュレッダー等に導いて粉砕してもよいが、巻回工程に導くことが好ましい。
本発明の製造方法では、前記積層体は、ロール状に巻回されており、前記アルカリ処理後のポリエステル基材と水とを接触させる水洗工程、および前記水洗後のポリエステル基材をロール状に巻き取る巻回工程、を更に含んでもよい。
ロール状に巻回されている積層体は、該積層体の少なくとも一方の面に離型層および剥離層が設けられているものである。
ロール状に巻回された積層体を送り出し、長尺状の状態でアルカリ性処理液と接触させて離型層および剥離層を剥離し、水と接触させて水洗し、乾燥させることにより、ロール状に巻き取ることができる。「長尺状」の長さは、例えば使用する装置などの種類などによっても相違するが、おおむね、100〜20000mを意味する。「長尺状の状態で」とは、ロール状に巻き取られた長尺状の積層体を送り出し、そのままの長尺状の状態でアルカリ性処理液と接触させる態様と、アルカリ性処理液と接触可能な状態に調整(処理)した状態でアルカリ性処理液と接触させる態様の両方を含む趣旨である。前者の「そのままの長尺状の状態」とは、ロール状に巻き取った長尺状のポリエステル基材と全く同じ幅および長さのままで接触させる態様を意味する。後者の「調整した状態」とは、例えば、ロール状に巻き取った長尺状のポリエステル基材を、予めアルカリ性処理液と接触可能な幅に切断したり、接触可能な長さに切断したりするなどしてロール状に巻き直す態様;切断した長尺状の積層体を別々にアルカリ性処理液に導く際、上記積層体が長すぎる場合に、アルカリ性処理液と接触させる前に接触可能な長さに切断する態様などが含まれる。
また「長尺状の状態でアルカリ性処理液と接触させる」とは、上述した状態の積層体を破砕などせずに直接、接触させることを意味する。このように、長尺状で離型層および剥離層を除去することにより、破砕してチップ化する際に切断部に剥離層が食い込み、剥離層が残ったり、剥離した剥離層がチップ間や切断部に引っかかって残る、といった従来の方法による問題も起こり難く、ポリエステル基材から離型層および剥離層を効果的に除去できる。
次に、本発明に係る剥離処理ポリエステル基材の製造方法について図1を用いてより詳しく説明する。図1には、積層体としてロール状のものを用い、所謂ロールツーロール方式に好ましく用いられる装置100の一例を図示しているが、本発明の作用が有効に発揮される限り、これに限定されない。例えば図1に示すロールの数などは適宜変更できる。
まず、少なくとも一方の面に離型層および剥離層が積層されており、ロール状に巻回されている積層体1aを用意し、複数のガイドロール2を介して、アルカリ性処理液を含むアルカリ処理槽3に導入する。アルカリ性処理液による処理方法の詳細は前述したとおりである。
アルカリ処理槽3への導入態様は特に限定されず、アルカリ性処理液との接触時間を調整するため、例えば、複数のガイドロールに積層体を渡してW型形状などとして、アルカリ性処理液と接触させてもよい。また、図1では、アルカリ処理槽3を1つ配置した構成例を示したが、アルカリ処理槽3を複数配置し、複数のアルカリ処理槽内を通過させることによりアルカリ性処理液との接触時間を調整してもよい。即ち、複数のガイドロールを用いてアルカリ処理槽3に導入された積層体をW型形状にしたり、複数のアルカリ処理槽3を用いると、搬送速度を変えずにアルカリ性処理液との接触時間を長くできるため全体の処理時間を長くすることなく処理できる。
次に、アルカリ処理槽3から引き上げられたポリエステル基材を水洗槽4に導入し、アルカリ処理によりポリエステル基材の表面から一旦剥離除去された後に再付着した離型層および剥離層を水洗により除去する。
図1には、水洗槽4を2つ配置しており、水洗槽4aには40〜90℃の温水を貯留し、水洗槽4bには水洗槽4aに貯留した温水より低い温度の水を貯留している。
水洗槽4bには、水洗槽4aから水洗槽4bへ導入されるポリエステル基材の経路上にノズル5aとノズル5bを配置し、該ノズルからポリエステル基材に対して水を吹き付けている。ノズルの数は2つに限定されるものではなく、1つでもよいし、3つ以上でもよい。ノズルは、図1に示したようにポリエステル基材の両方の面に水を吹き付けるように配置してもよいし、一方の面のみに水を吹き付けるように配置してもよい。また、ノズルは、水洗槽4aに配置してもよいし、水洗槽4aと水洗槽4bの両方に配置してもよい。
図1には、ポリエステル基材を水洗槽4に貯留した水に浸漬させている例を示しているが、上記目的を達成する限り、これに限定されず、例えば、シャワーなどを施してもよい。
図1に示したように、アルカリ処理槽3と水洗槽4aの間にマングル6を配置してもよい。アルカリ処理槽3で処理して得られたポリエステル基材をマングル6で絞り、ポリエステル基材に付着しているアルカリ性処理液を除去することにより、水洗槽4での水洗効率を高めることができる。
図1には、アルカリ処理槽3の後、直ちに水洗槽4に導入する態様を示しているが、これに限定されず、例えば、アルカリ処理槽3と水洗槽4との間に、アルカリ処理槽3で除去されずに残留した離型層や剥離層を除去する目的で、ブラシ、超音波、水流などの物理的手段を備えた補助槽を配置してもよい。
水洗槽4bで水洗した剥離処理ポリエステル基材は、乾燥炉7に導入し、乾燥させた後、ロール状に巻き取り、ロール状に巻回されている剥離処理ポリエステル基材1bが得られる。
乾燥炉7内には、図1に示したように、マングル8を配置してもよい。水洗槽4bで水洗して得られた剥離処理ポリエステル基材をマングル8で絞り、剥離処理ポリエステル基材に付着している水を除去することにより、乾燥時間を短縮できる。
このようにして得られた、剥離処理ポリエステル基材は様々な用途に用いてもよい。また、溶融し、成形することも好ましい。溶融して成形する場合は、剥離処理ポリエステル基材を粉砕することが好ましい。粉砕する場合は、乾燥後の剥離処理ポリエステル基材を巻取らずに粉砕してもよいが、一旦ロール状に巻取り、その後ロールから巻き出した剥離処理ポリエステル基材をシュレッダー等で粉砕することが好ましい。また、粉砕された剥離処理ポリエステル基材は押出機に投入してフィルムなどの成形体にしてもよいが、一旦ペレットに加工し、このペレットを用いてフィルムなどを成形することが好ましい。ペレットに加工することにより、押出機に投入する時の供給安定性を確保でき、また、バージンペレットと混合して押出機に投入する場合には偏析が起こりにくく、安定した品質の成形体を得ることができる。
剥離処理ポリエステル基材をペレット化する方法は特に限定されないが、例えば、シュレッダー等で粉砕された剥離処理ポリエステル基材を、押出機に投入して溶融し、ペレット化することが好ましい。押出機は一軸でも二軸でもよい。溶融温度はフィルムの原料ポリエステルの融点以上、好ましくは「融点+10℃」以上であり、分解温度以下、好ましくは「分解温度−10℃」以下である。具体的には、ポリエステルがPETの場合は、溶融温度は好ましくは260℃以上であり、より好ましくは270℃以上、さらに好ましくは275℃以上であり、300℃以下が好ましく、さらに好ましくは290℃以下である。
溶融されたポリエステルは、ダイからストランド状に押し出され、水で冷却、裁断されてペレットとなるか、水中に押し出されダイ出口に設けられた水中カッターでペレットに切断されて冷却される。その後ペレットは乾燥される。
ペレットの形状は特に限定されず、例えば、サイコロ型、俵型、扁平な俵型、球状、ラグビーボール状、などが挙げられる。ペレットの大きさは、例えば、各辺や径(長径、短径)が1〜5mmが好ましく、さらには2〜4mmが好ましい。ペレットの形状、大きさはバージンペレットと混合して用いた場合に偏析が起こり難いよう、バージンペレットと同等であることが好ましい。
なお、ペレット化工程により異物が生じ難いよう、押出機、配管、ダイは樹脂の滞留が起こり難いようにしておくことが好ましい。また、チップを冷却する水もフィルターを通すなどして異物の少ないものを用いることが好ましい。
本発明の剥離処理ポリエステル基材から得られたポリエステルペレットは、異物が少なく、様々な用途に用いることができる。中でも、上記積層体の基材となる原料ポリエステル基材、特には光学用ポリエステル基材や離型フィルムの基材となるポリエステル基材として用いられることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって制限されず、前記または後記の趣旨に適合し得る範囲で変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(実施例1)
少なくとも一方の面に、Siを含有する離型層を介して剥離層が積層されているポリエステルフィルム(積層体)を次の手順で作製した。即ち、厚さ50μmの原料ポリエチレンテレフタレート基材の両面に、離型層としてポリジメチルシロキサン系撥水剤を用いてSiを含有する厚さ0.2μmの撥水剤の層を形成した後、下記剥離層用原料を、それぞれの面にバーコーターで塗工量を平方メートル当り200g塗工し、次いで温度25℃の水に4分間浸漬し、更に40℃の温水中に15分間浸漬した後、圧力0.4MPaのマングルで絞り、140℃のオーブンで乾燥させて剥離層を形成し、積層体を製造した。剥離層用原料の配合は、レザミンCU8614(大日精化製、ポリウレタン)100部、ジメチルホルムアミド(大日精化製)70部、セイカセブンBS780S(大日精化製、顔料)15部とした。ポリエチレンテレフタレート基材の両面に形成した剥離層は、例えば、家電製品の外装部材として用いることができる。剥離層は、多孔質層で厚みが50μmであり、得られた積層体は、幅が60cm、長さが2000mで、プラスチックコアにロール状に巻回された状態のものであった。
作製した積層体を、図1に示した装置を用い、アルカリ処理、水洗、乾燥、巻回し、剥離処理ポリエチレンテレフタレート基材を製造した。具体的には、アルカリ処理槽3に貯留しているアルカリ性処理液は、アルカリ供給源として水酸化カリウムを含有し、濃度は42%、温度は100℃であり、アルカリ処理工程は1回とした。積層体とアルカリ性処理液との接触時間は10秒とした。また、アルカリ処理槽3の水面に浮いていた離型層および剥離層の残渣はステンレスのメッシュですくい取って適宜除去した。水洗槽4aには、温度が60℃の温水を貯留し、水洗槽4bには、温度が室温(27℃)の水を貯留した。水洗槽4aにおけるポリエチレンテレフタレート基材と温水との接触時間は30秒、水洗槽4bにおけるポリエチレンテレフタレート基材と水との接触時間は30秒、水洗工程における合計接触時間は60秒とした。また、水洗槽4aの水面に浮いていた離型層と剥離層の残渣はステンレスのメッシュですくい取って適宜除去した。また、水洗槽4bには、シャワーノズル5a〜5dを配置し、50L/分の流量でポリエチレンテレフタレート基材の両面に対して水を吹き付けた。吹き付けた水は水洗槽4bに流し込み、余剰となった水洗槽4bの水はオーバーフローさせて排出した(図示せず)。
(比較例1)
実施例1で作製した積層体から、剥離層を剥離してポリエチレンテレフタレート基材と離型層の積層体とし、これをロール状に巻き取った。なお、剥離層の剥離は、紙管の表面に両面テープを貼り付けたものを2本準備し、積層体の両面の剥離層面にそれぞれ紙管の両面テープ面を接触させて、剥離層を剥離し、そのまま積層体のロールを巻き出しながら、剥離層は紙管に巻き取った。得られたポリエチレンテレフタレート基材と離型層の積層体を実施例1と同様にして水洗、乾燥、巻回し、剥離処理ポリエチレンテレフタレート基材を製造した。
次に、得られた剥離処理ポリエチレンテレフタレート基材について、離型層の除去率を算出した。
(離型層の除去率の測定)
離型層の除去率は、波長分散型蛍光X線分析計(株式会社リガク製のSupermini200)を用い、剥離処理ポリエチレンテレフタレート基材の表面におけるSi元素の量を測定し、下式に基づいて算出した。
離型層の除去率(%)={(A−C)−(B−C)/(A−C)}×100
式中、Aは剥離層を設ける前における離型層とポリエチレンテレフタレート基材の積層体の離型層面にX線を照射して検出したSi強度、Bはアルカリ処理を施した後における剥離処理ポリエチレンテレフタレート基材表面にX線を照射して検出したSi強度、Cは離型層を設ける前における原料ポリエチレンテレフタレート基材表面にX線を照射して検出したSi強度、をそれぞれ意味している。上記式は、原料ポリエチレンテレフタレート基材に元々含まれるSi量(式中、「C」で規定)を考慮して算出したものであり、式中、(A−C)はアルカリ処理前における離型層中に含まれるSi量を意味し、(B−C)はアルカリ処理後、ポリエチレンテレフタレート基材に残存する離型層由来のSi量を意味する。
その結果、実施例1における離型層の除去率は99.7%であり、比較例1における離型層の除去率は50.9%であった。
1a ロール状に巻回されている積層体
2 ガイドロール
3 アルカリ処理槽
4、4a、4b 水洗槽
5a〜5d ノズル
6、8 マングル
7 乾燥炉

Claims (4)

  1. ポリエステル基材の少なくとも一方の面に、離型層を介して剥離層が積層されている積層体を、アルカリ性処理液と接触させることにより、前記ポリエステル基材から前記離型層および前記剥離層を剥離するアルカリ処理工程、
    を含むことを特徴とするポリエステル基材の製造方法。
  2. 前記アルカリ処理後のポリエステル基材と水とを接触させる水洗工程、
    を更に含む請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記積層体は、ロール状に巻回されており、
    前記アルカリ処理後のポリエステル基材と水とを接触させる水洗工程、および
    前記水洗後のポリエステル基材をロール状に巻き取る巻回工程、
    を更に含む請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記アルカリ処理工程は、70〜150℃の温度で、0.5〜60質量%のアルカリ性処理液と1秒〜180分間接触させる請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
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