JP2021184031A - 赤外線透過型着色組成物、赤外線フィルタ、赤外線カメラ、および赤外線センサ - Google Patents

赤外線透過型着色組成物、赤外線フィルタ、赤外線カメラ、および赤外線センサ Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、波長400〜700nmの可視光領域の隠蔽性に優れ、波長800nm以上の近赤外領域に高い透過率を有し、かつ、初期の粘度が低く塗工性に優れ、低い異物発生率、高い濾過性、および、高い保存安定性、といった優れた特性を示す赤外線透過型着色組成物、および、赤外線透過型感光性着色組成物、またそれらを用いた赤外透過フィルタを提供することである。【解決手段】上記課題は、着色剤(A)、樹脂型分散剤(B)、色素誘導体(C)、および、有機溶剤、を含む赤外線透過型着色組成物であって、着色剤(A)の合計100質量%中、C.I.ピグメントブルー15:6を45〜60質量%、C.I.ビグメントイエロー139を10〜30質量%、およびC.I.ピグメントバイオレット23を15〜35質量%含む赤外線透過型着色組成物によって、解決される。【選択図】なし

Description

本発明は、有機色素を用いた赤外線透過型着色組成物、赤外線透過フィルタ、赤外線カメラ、および赤外線センサに関する。本発明は、赤外線透過フィルタの製造に使用される赤外線透過型着色組成物、およびこれを用いて形成されてなる固体撮像素子用赤外線透過フィルタ、近赤外線カメラ、監視カメラ、車載用カメラ、医療用カメラ、検査・分析カメラ、などの検査用カメラ用フィルタ、温度センサ、距離センサ、医療用センサ、ディスプレイなどのタッチセンサ、生体認証センサなどの赤外光を用いたセンサなどの、光学系内に具備される赤外線透過フィルタ、に使用される。
様々な光学系機器において、特定波長の光を選択的に透過させる光分離の機能が求められている。これを実現する手法として、誘電体多層薄膜の干渉を利用して特定波長の光のみを透過させる方式がある(特許文献1参照)。この方式は信頼性や波長選択設計の自由度など多くの利点を持つが、欠点の一つに角度依存性がある。干渉特性は光学膜厚によって決まるために、斜め入射によって光が通過する実効的な光路長が変化した場合には、それに対応して透過してくる光の波長が変わり、求めるフィルタ特性を得られなくなってしまうことが知られている。
この課題を解決する為に、光吸収を利用した方式のフィルタが提案されている。例えば、光吸収をする物質として無機ガラス中に金属イオン色素を分散させる着色ガラスが知られている(特許文献2、特許文献3、参照)。この方式は、着色成分の有害性(カドミウムなど)や、ガラス使用による光学膜の厚膜化、加工性や軽量化という課題が知られている。そこで、これらの課題解決の観点から、樹脂膜などの基材の上に色素を用いた光選択フィルタ膜を形成する方式の開発が行われている。その中でも、可視光領域の光を遮蔽して近赤外領域の光のみを透過させるフィルタの必要性が高まっている。赤外線透過フィルタ用着色組成物として、複数の有機顔料を組み合わせたものが知られているが(例えば、特許文献4、5、6、7)、複数の有機顔料を組み合わせる為に分散体の安定性などの特性において十分な品質を確保することが難しいという問題があった。
特開2001−331965号公報 特開2004−250285号公報 特開2003−146695号公報 特開2013−077009号公報 特開2014−130338号公報 特開2015−63593号公報 特開2016−177273号公報
本発明は、波長400〜700nmの可視光領域の隠蔽性に優れ、波長800nm以上の近赤外領域に高い透過率を有し、かつ、初期の粘度が低く塗工性に優れ、高い耐熱性、高い耐溶剤性、低い異物発生率、高い濾過性、および、高い保存安定性、といった優れた特性を示す赤外線透過型着色組成物、および、赤外線透過型感光性着色組成物、またそれらを用いた赤外透過フィルタを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記諸問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、着色剤(A)、樹脂型分散剤(B)、および有機溶剤を含む赤外線透過型着色組成物であって、着色剤(A)の合計100質量%中、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ビグメントイエロー139、およびC.I.ピグメントバイオレット23を特定の割合で含む赤外線透過型着色組成物が優れた特性を示すことを見出し、この知見に基づいて本発明をなしたものである。
すなわち、本発明は、着色剤(A)、樹脂型分散剤(B)、および有機溶剤を含む赤外線透過型着色組成物であって、着色剤(A)の合計100質量%中、C.I.ピグメントブルー15:6を45〜60質量%、C.I.ビグメントイエロー139を10〜30質量%、およびC.I.ピグメントバイオレット23を15〜35質量%含み、樹脂型分散剤(B)が、酸価30〜80mgKOH/gである酸性樹脂型分散剤(B1)を含む赤外線透過型着色組成物に関する。
また本発明は、酸性樹脂型分散剤(B1)が、少なくとも1つの末端に水酸基を有する重合体と、トリカルボン酸無水物又はテトラカルボン酸二無水物との反応生成物および/または水酸基を有する化合物の水酸基と、トリカルボン酸無水物又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体を重合する反応生成物である樹脂型分散剤を含む赤外線透過型着色組成物に関する。
また本発明は、酸性樹脂型分散剤(B1)が、酸価30〜50mgKOH/gである酸性樹脂型分散剤(B1−1)、および酸価55〜80mgKOH/gである酸性樹脂型分散剤(B1−2)を含む前記の赤外線透過型着色組成物に関する。
また本発明は、更に色素誘導体(C)を含有する前記の赤外線透過型着色組成物に関する。
また本発明は、色素誘導体(C)がフタロシアニン系色素誘導体である前記の赤外線透過型着色組成物。
また本発明は、さらに光重合性単量体および/または光重合開始剤を含有する前記の赤外線透過型着色組成物に関する。
また本発明は、前記の赤外線透過型着色組成物を用いて作製した赤外線フィルタに関する。
また本発明は、前記の赤外線フィルタを具備する赤外線カメラに関する。
また本発明は、前記の赤外線フィルタを具備する赤外線センサに関する。
本発明により、初期の粘度が低く塗工性に優れ、高い耐熱性、高い耐溶剤性、低い異物発生率、高い濾過性、および、高い保存安定性、といった優れた特性を示す赤外線透過型着色組成物、および、赤外線透過型感光性着色組成物、またそれらを用いた赤外透過フィルタを提供することができる。
以下、本発明の構成要件について詳細に説明する。
なお、本願では、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、または「(メタ)アクリレート」と表記した場合には、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイルおよび/またはメタクリロイル」、「アクリルおよび/またはメタクリル」、「アクリル酸および/またはメタクリル酸」、または「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を表すものとする。また、本明細書に挙げる「C.I.」は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
本発明の赤外線透過型着色組成物は、着色剤(A)、樹脂型分散樹脂(B)、色素誘導体(C)、および、有機溶剤、を含む赤外線透過性着色組成物であって、着色剤(A)の合計100質量%中、C.I.ピグメントブルー15:6を45〜60質量%、C.I.ビグメントイエロー139を10〜30質量%、およびC.I.ピグメントバイオレット23を15〜35質量%含有することを特徴とする。
<赤外線透過型着色組成物>
<着色剤(A)>
本発明における着色剤(A)は、C.I.ピグメントブルー15:6を45〜60質量%、C.I.ビグメントイエロー139を10〜30質量%、およびC.I.ピグメントバイオレット23を15〜35質量%含む。これにより、可視領域の光の透過が無く、優れた遮蔽性を示すことができる。かつ、低粘度で高い保存安定性、耐熱性、異物、耐溶剤性、濾過性において優れた効果を発生する。また、着色剤は、有機顔料、染料等のその他着色剤を含んでもよい。
[その他の色材]
本発明の赤外線透過型着色組成物は、さらに顔料を添加して使用することができる。顔料としては、有機または無機の顔料を、単独または2種類以上混合して用いることができる。顔料は、発色性が高く、且つ耐熱性の高い顔料、特に耐熱分解性の高い顔料が好ましく、通常は有機顔料が用いられる。以下に、赤外線透過型着色組成物に使用可能な有機顔料の具体例を、カラーインデックス番号で示す。
赤色色材としては、例えばC.I.ピグメント レッド 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、57:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、97、122、123、146、149、150、168、169、176、177、178、180、184、185、187、192、200、202、208、209、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、246、254、255、264、268、270、272、273、274、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、または287等の赤色顔料を用いることができる。橙色色材としては、C.I.ピグメント オレンジ 36、38、43、51、55、59、61、71、または73等の橙色顔料を用いることができる。黄色色材としては、C.I.ピグメント イエロー 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214、218、219、220、221、または231等の黄色顔料を用いることができる。
緑色色材としては、例えばC.I.ピグメント グリーン7、10、36、37、58、62、63等の緑色顔料を用いることができる。また、アルミフタロシアニン顔料を用いることも好ましく、特開2004−333817号公報、特許第4893859号公報等に記載のアルミニウムフタロシアニン顔料等を用いることもできる。
青色色材としては、例えばC.I.ピグメント ブルー 1、1:2、1:3、2、2:1、2:2、3、8、9、10、10:1、11、12、15、15:1、15:2、15:3、15:4、16、18、19、22、24、24:1、53、56、56:1、57、58、59、60、61、62、64等の青色顔料を用いることができる。また紫色色材としては、C.I.ピグメント バイオレット 1、19、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を併用することができる。また、アルミフタロシアニン顔料を用いることも好ましく、特開2004−333817号公報、特許第4893859号公報等に記載のアルミニウムフタロシアニン顔料等を用いることもできる。
また、無機顔料としては、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト
緑、アンバー、合成鉄黒等が挙げられる。無機顔料は、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、有機顔料と組合せて用いられる。
その他着色剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
本発明では、染料を用いることもできる。例えば、アントラキノン系染料、モノアゾ系染料、ジスアゾ系染料、オキサジン系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、トリフェニルメタン系染料などが挙げられる。染料を用いる際には。アニオン性染料、カチオン性染料の極性基を用いて樹脂中に取り込み有機溶剤への溶解性を付与する方法が有効となる。
以下に、使用可能なアニオン性染料の具体例を、カラーインデックス番号で示す。
赤色系染料としては、C.I.アシッドレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、22、23、24、25、25:1、26、26:1、26:2、27、29、30、31、32、33、34、35、36、37、39、40、41、42、43、44、45、47、50、52、53、54、55、56、57、59、60、62、64、65、66、67、68、70、71、73、74、76、76:1、80、81、82、83、85、86、87、88、89、91、92、93、97、99、102、104、106、107、108、110、111、113、114、115、116、120、123、125、127、128、131、132、133、134、135、137、138、141、142、143、144、148、150、151、152、154、155、157、158、160、161、163、164、167、170、171、172、173、175、176、177、181、229、231、237、239、240、241、242、249、252、253、255、257、260、263、264、266、267、274、276、280、286、289、299、306、309、311、323、333、324、325、326、334、335、336、337、340、343、344、347、348、350、351、353、354、356、388等が挙げられる。
また、C.I.ダイレクトレッド1、2、2:1、4、5、6、7、8、10、10:1、13、14、15、16、17、18、21、22、23、24、26、26:1、28、29、31、33、33:1、34、35、36、37、39、42、43、43:1、44、46、49、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、67、67:1、68、72、72:1、73、74、75、77、78、79、81、81:1、85、86、88、89、90、97、100、101、101:1、107、108、110、114、116、117、120、121、122、122:1、124、125、127、127:1、127:2、128、129、130、132、134、135、136、137、138、140、141、148、149、150、152、153、154、155、156、169、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、186、189、204、211、213、214、217、222、224、225、226、227、228、232、236、237、238等も使用できる。
黄色系染料としては、C.I.アシッドイエロー2,3、4、5、6、7、8、9、9:1、10、11、11:1、12、13、14、15、16、17、17:1、18、20、21、22、23、25、26、27、29、30、31、33、34、36、38、39、40、40:1、41、42、42:1、43、44、46、48、51、53、55、56、60、63、65、66、67、68、69、72、76、82、83、84、86、87、90、94、105、115、117、122、127、131、132、136、141、142、143、144、145、146、149、153、159、166、168、169,172、174、175、178、180、183、187、188、189、190、191、192、199等が挙げられる。
また、C.I.ダイレクトイエロー1、2、4、5、12、13、15、20、24、25、26、32、33、34、35、41、42、44、44:1、45、46、48、49、50、51、61、66、67、69、70、71、72、73、74、81、84、86、90、91、92、95、107、110、117、118、119、120、121、126、127、129、132、133、134等も使用できる。
橙色系染料としては、C.I.アシッドオレンジ1、1:1、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、17、18、19、20、20:1、22、23、24、24:1、25、27、28、28:1、30、31、33、35、36、37、38、41、45、49、50、51、54、55、56、59、79、83、94、95、102、106、116、117、119、128、131、132、134、136、138等が挙げられる。
また、C.I.ダイレクトオレンジ1、2、3、4、5、6、7、8、10、13、17、19、20、21、24、25、26、29、29:1、30、31、32、33、43、49、51、56、59、69、72、73、74、75、76、79、80、83、84、85、87、88、90、91、92、95、96、97、98、101、102、102:1、104、108、112、114等も使用できる。
青色染料としては、C.I.アシッドブルー1、2、3、4、5、6、7、8、9、11、13、14、15、17、19、21、22、23、24、25、26、27、29、34、35、37、40、41、41:1、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、62、62:1、63、64、65、68、69、70、73、75、78、79、80、81、83、8485、86、88、89、90、90:1、91、92、93、95、96、99、100、103、104、108、109、110、111、112、113、114、116、117、118、119、120、123、124、127、127:1、128、129、135、137、138、143、145、147、150、155、159、169、174、175、176、183、198、203、204、205、206、208、213、227、230、231、232、233、235、239、245、247、253、257、258、260、261、262、264、266、269、271、272、273、274、277、278、280等が挙げられる。
また、C.I.ダイレクトブルー1、2、3、4、6、7、8、8:1、9、10、12、14、15、16、19、20、21、21:1、22、23、25、27、29、31、35、36、37、40、42、45、48、49、50、53、54、55、58、60、61、64、65、67、79、96、97、98:1、101、106、107、108、109、111、116、122、123、124、128、129130、130:1、132、136、138、140、145、146、149、152、153、154、156、158、158:1、164、165、166、167、168、169、170、174、177、181、184、185、188、190、192、193、206、207、209、213、215、225、226、229、230、231、242、243、244、253、254、260、263等も使用できる。
紫色染料としては、C.I.アシッドバイオレット1、2、3、4、5、5:1、6、7、7:1、9、11、12、13、14、15、16、17、19、20、21、23、24、25、27、29、30、31、33、34、36、38、39、41、42、43、47、49、51、63、67、72、76、96、97、102、103、109等が挙げられる。
また、C.I.ダイレクトバイオレット1、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、16、17、18、21、22、25、26、27、28、29、30、31、32、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、51、52、54、57、58、61、62、63、64、71、72、77、78、79、80、81、82、83、85、86、87、88、93、97等も使用できる。
緑色染料としては、C.I.アシッドグリーン2、3、5、6、7、8、9、10、11、13、14、15、16、17、18、19、20、22、25、25:1、27、34、36、37、38、40、41、42、44、54、55、59、66、69、70、71、81、84、94、95等が挙げられる。
また、C.I.ダイレクトグリーン11、13、14、24、30、34、38、42、49、55、56、57、60、78、79、80等も使用できる。
以下に、使用可能なカチオン性染料の具体例を、カラーインデックス番号で示す。
トリフェニルメタン系カチオン性染料としては、C.I.ベーシック バイオレット1(メチルバイオレット)、同3(クリスタルバイオレット)、同14(Magenta)、C.I.ベーシック ブルー1(ベーシックシアニン6G)、同5(ベーシックシアニンEX)、同26(ビクトリアブルー B conc.)、C.I.ベーシック グリーン1(ブリリアントグリーンGX)、同4(マラカイトグリーン)等が挙げられる。
キサンテン系カチオン性染料としては、C.I.ベーシック レッド1(ローダミン6G、6GCP)、同3、同8(ローダミンG)、等が挙げられる。中でもC.I.ベーシック レッド1、を用いることが好ましい。
シアニン系カチオン性染料としては、C.I.ベーシック イエロー11、同21、同28、等が挙げられる。
アントラキノン系カチオン染料としては、C.I.ベーシック ブルー72、フラビン系カチオン性染料としては、C.I.ベーシック イエロー1、オーラミン系カチオン性染料としては、C.I.ベーシック イエロー2、3、サフラニン系カチオン性染料としては、C.I.ベーシック レッド2、アクリジン系カチオン性染料としては、C.I.ベーシック イエロー5、オキサジン系カチオン性染料としては、C.I.ベーシック ブルー3、チアジン系カチオン性染料としては、C.I.ベーシック ブルー24、メチレンブルー系カチオン性染料としては、C.I.ベーシック ブルー9(メチレンブルーFZ、メチレンブルーB)、同25(ベーシック ブルーGO)、同24(ニューメチレンブルーNX)等が挙げられる。中でもC.I.ベーシック イエロー1、同ブルー9、同24、同25を用いることが好ましい。
またスクアリリウム系カチオン性染料としては、特開2017−114956号公報の(SQ−1K)等が挙げられる。
<樹脂型分散剤(B)>
本発明における樹脂型分散剤(B)は、酸価30〜80mgKOH/gである酸性樹脂型分散剤(B1)を含むことを特徴とする。これにより、可視領域の光の透過が無く、優れた遮蔽性を示すことができる。かつ、低粘度で高い保存安定性、耐熱性、異物、耐溶剤性、濾過性において優れた効果を発生する。また、樹脂型分散剤は、酸価30〜80mgKOH/g以外の酸性樹脂型分散剤、アミン価を持つ塩基性樹脂型分散剤、等のその他の樹脂型分散剤を含んでも良い。
更に本発明では、酸性樹脂型分散剤(B1)において、酸価が30〜50mgKOH/gである酸性樹脂型分散剤(B1−1)、および、酸価が55〜80mgKOH/gである酸性樹脂型分散剤(B1−1)を併用することが好ましい。これらを併用することにより、着色剤である顔料、および、色素誘導体への樹脂型分散剤の吸着バランスが良化して、経時での粘度安定性や濾過性において優れた性質を示す。
以下に酸性分散剤について、詳細を説明する。
[酸性樹脂型分散剤(B1)]
酸性分散剤とは、樹脂内にカルボキシル基、スルホン基、リン酸基、等を有するものが挙げられるが、粘度安定性と耐熱性の観点でカルボキシル基を有する樹脂型分散剤が好ましい。カルボキシル基を有する樹脂型分散剤の形状としては、直鎖状の樹脂型分散剤、櫛型の樹脂型分散剤がある。
更に、本発明における酸性樹脂型分散剤(B1)は、少なくとも1つの末端に水酸基を有する重合体と、テトラカルボン酸二無水物との反応生成物(S1)および/または、水酸基を有する化合物の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体を重合する反応生成物(S2)である櫛型の樹脂型分散剤であることが好ましい。
<直鎖状の酸性樹脂型分散剤>
カルボキシル基を有する直鎖状の樹脂型分散剤は、すべて公知の方法を利用して製造することができ、例えば、特開2009−251481号公報、特開2007−23195号公報、特開1996−143651号公報、に示されるような公知の方法を利用して合成することが出来る。直鎖の分散剤の製造方法の一例として、カルボキシル基を有する分散剤は、片末端に1つの水酸基を有するビニル系重合体を原料として、トリカルボン酸無水物を水酸基に付加することによって製造することが出来る。
<櫛型の酸性樹脂型分散剤>
カルボキシル基を有する櫛型の樹脂型分散剤(S1)と(S2)について以下に説明する。
[樹脂型分散剤(S1)]
酸性の樹脂型分散剤(S1)は、WO2008/007776号公報、特開2008−029901号公報、特開2009−155406号公報等の公知の方法で製造することができる。
例えば、水酸基を有する重合体の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物である樹脂型分散剤であるか、水酸基を有する化合物の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体を重合した重合体である樹脂型分散剤が挙げられる。
[樹脂型分散剤(S2)]
酸性の樹脂型分散剤(S2)は、WO2008/007776号公報、特開2009−155406号公報、特開2010−185934号公報、特開2011−157416号公報等の公知の方法で製造することができる。
例えば、水酸基を有する化合物の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、水酸基、t-ブチル基あるいはオキセタン骨格、ブロックイソシアネートなどの熱架橋基を有するエチレン性不飽和単量体とそれ以外を重合した側鎖を持つ樹脂型分散剤とさらにその側鎖の水酸基にイソシアネート基を有するチレン性不飽和単量体を反応させて得られる樹脂型分散剤が挙げられる。
更に本発明は、以下に示す分散剤を用いても良い。
[その他の樹脂型分散剤]
その他の樹脂型分散剤としては、添加着色剤に吸着する性質を有する着色剤親和性部位と、着色剤担体と相溶性のある部位とを有し、添加着色剤に吸着して着色剤担体への分散を安定化する働きをするものであれば良く、前述と重複するものも含めて、具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコ−ル、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が用いられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。
塩基性官能基を有する高分子分散剤としては、窒素原子含有グラフト共重合体や、側鎖に3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、含窒素複素環などを含む官能基を有する、窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体及びウレタン系高分子分散剤などが挙げられる。
市販の樹脂型分散剤としては、ビックケミ−・ジャパン社製のDisperbyk−101、103、107、108、116、130、140、154、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2009、2010、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155、2163、2164またはAnti−Terra−U、203、204、またはBYK−P104、P104S、220S、LPN6919、またはLactimon、Lactimon−WSまたはBykumen等、日本ル−ブリゾ−ル社製のSOLSPERSE−3000、9000、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、33500、32600、34750、35100、36600、38500、41000、41090、53095、55000、56000、76500等、BASF社製のEFKA−46、47、48、452、4008、4009、4010、4015、4020、4047、4050、4055、4060、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4408、4300、4310、4320、4330、4340、450、451、453、4540、4550、4560、4800、5010、5065、5066、5070、7500、7554、1101、120、150、1501、1502、1503等、味の素ファインテクノ社製のアジスパ−PA111、PB711、PB821、PB822、PB824等が挙げられる。
前記、樹脂型分散剤(B)の含有量は、着色剤(A)全量に対して5〜200質量部使用することが好ましく、成膜性の観点から10〜100質量部使用することがより好ましい。
<色素誘導体(C)>
本発明では、凝集異物の観点から、色素誘導体を用いることが好ましい。本発明で使用する色素誘導体(C)としては、有機色素残基である色素母体骨格に官能基を導入した色素誘導体を用いることができる。これらは、色素母体骨格に導入されている官能基の化学構造により酸性、塩基性および、中性に分類することができる。例えば、酸性色素誘導体としては、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基などの酸性置換基を有する化合物及びこれらのアミン塩が挙げられる。塩基性色素誘導体としては、スルホンアミド基や末端に3級アミノ基などの塩基性置換基を有する化合物が挙げられる。中性色素誘導体としては、フェニル基やフタルイミドアルキル基などの中性置換基を有する化合物が挙げられる。
有機色素残基である色素母体骨格としては、例えばジケトピロロピロール系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チアジンインジゴ系顔料、トリアジン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、ベンゾイソインドール等のインドール系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ナフトール系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料、アゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、等が挙げられる。その中でも、経時での異物発生抑制の観点からフタロシアニン系母体骨格であることがさらに好ましい。
具体的には、ジケトピロロピロール系色素誘導体としては、特開2001−220520号公報、WO2009/081930号パンフレット、WO2011/052617号パンフレット、WO2012/102399号パンフレット、特開2017−156397号公報、フタロシアニン系色素誘導体としては、特開2007−226161号公報、WO2016/163351号パンフレット、特開2017−165820号公報、特許第5753266号公報、アントラキノン系色素誘導体としては、特開昭63−264674号公報、特開平09−272812号公報、特開平10−245501号公報、特開平10−265697号公報、特開2007−079094号公報、WO2009/025325号パンフレット、キナクリドン系色素誘導体としては、特開昭48−54128号公報、特開平03−9961号公報、特開2000−273383号公報、ジオキサジン系色素誘導体としては、特開2011−162662号公報、チアジンインジゴ系色素誘導体としては、特開2007−314785号公報、トリアジン系色素誘導体としては、特開昭61−246261号公報、特開平11−199796号公報、特開2003−165922号公報、特開2003−168208号公報、特開2004−217842号公報、特開2007−314681号公報、ベンゾイソインドール系色素誘導体としては、特開2009−57478号公報、キノフタロン系色素誘導体としては、特開2003−167112号公報、特開2006−291194号公報、特開2008−31281号公報、特開2012−226110号公報、ナフトール系色素誘導体としては、特開2012−208329号公報、特開2014−5439号公報、アゾ系色素誘導体としては、特開2001−172520号公報、特開2012−172092号公報、酸性置換基としては、特開2004−307854号公報、塩基性置換基としては、特開2002−201377号公報、特開2003−171594号公報、特開2005−181383号公報、特開2005−213404号公報、などに記載の公知の色素誘導体が挙げられる。なおこれらの文献には、色素誘導体を誘導体、顔料誘導体、分散剤、顔料分散剤若しくは単に化合物などと記載している場合があるが、前記した有機色素残基である色素母体骨格に酸性基、塩基性基、中性基などの置換基を有する化合物は、色素誘導体と同義である。
これら色素誘導体は、単独又は2種類以上を混合して用いることができる。
前記色素誘導体(C)の含有量は、着色剤100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましく、1〜45質量部添加することがより好ましく、1〜40質量部添加することがさらに好ましい。
<顔料の微細化>
本発明の赤外線透過型着色組成物に使用する着色剤が顔料の場合、赤外領域の透過率の観点から微細化して用いることが好ましい。微細化方法は特に限定されるものではなく、例えば湿式磨砕、乾式磨砕、溶解析出法等が挙げられる。これらの中でも湿式磨砕の1種であるニーダー法によるソルトミリング処理が好ましい。顔料のTEM(透過型電子顕微鏡)により求められる平均一次粒子径は、5〜90nmが好ましく、10〜70nmがより好ましい。適度な粒子径を有すると分散性が向上し、コントラスト比もより向上する。
ソルトミリング処理とは、顔料と水溶性無機塩と水溶性有機溶剤との混合物を、ニーダー、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル、プラネタリー型ミキサー等のバッチ式または連続式混練機を用いて、加熱しながら機械的に混練した後、水洗により水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去する処理である。水溶性無機塩は、破砕助剤として働くものであり、ソルトミリング時に無機塩の硬度の高さを利用して顔料が破砕される。顔料をソルトミリング処理する際の条件を最適化することにより、一次粒子径が非常に微細であり、また、分布の幅がせまく、シャープな粒度分布をもつ顔料を得ることができる。
水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。これらに中でも安価な塩化ナトリウム(食塩)が好ましい。水溶性無機塩は、処理効率と生産効率の両面から、顔料100質量部に対し、50〜2000質量部用いることが好ましく、300〜1000質量部がより好ましい。
水溶性有機溶剤は、顔料および水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる無機塩を実質的に溶解しないものであれば特に限定されない。ただし、ソルトミリング時に温度が上昇し、溶剤が蒸発し易い状態になるため、安全性の点から、沸点120℃以上の高沸点溶剤が好ましい。例えば、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液状のポリエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、液状のポリプロピレングリコール等が用いられる。水溶性有機溶剤は、顔料100質量部に対し、5〜1000質量部用いることが好ましく、50〜500質量部がより好ましい。
顔料をソルトミリング処理する際には、必要に応じて樹脂を添加してもよい。用いられる樹脂の種類は特に限定されず、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等を用いることができる。用いられる樹脂は、室温で固体であり、水不溶性であることが好ましく、かつ上記有機溶剤に一部可溶であることがさらに好ましい。樹脂の使用量は、顔料100質量部に対し、5〜200質量部が好ましい。
<バインダー樹脂>
本発明においては、分散体に現像性などの機能を付与するために、バインダー樹脂を併用することができる。バインダー樹脂は、被膜形成に必要な化合物である。バインダー樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エチレン性不飽和二重結合等を有する活性エネルギー線硬化性樹脂などが挙げられる。また、活性エネルギー線硬化性樹脂は、熱硬化性を有することも好ましい。バインダー樹脂は、現像性の観点からアルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。
本発明の赤外線透過型着色組成物中のバインダー樹脂の含有量は、着色剤(A)100質量部に対して、20〜400質量部が好ましく、50〜250質量部がより好ましい。適量含有すると被膜形成が容易になり、良好な色特性が得やすい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、およびポリイミド樹脂等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、およびフェノール樹脂等が挙げられる。
バインダー樹脂としては、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であることが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂は、カルボキシル基、スルホン基等の酸性基を有する樹脂である。アルカリ可溶性樹脂は、例えば、酸性基を有するアクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、またはイソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、透明性がより向上する酸性基を有するアクリル樹脂、およびスチレン/スチレンスルホン酸共重合体が好ましく、酸性基を有するアクリル樹脂がより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂に光反応性を付与するためエチレン性不飽和活性二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂を使用することが好ましい。これにより硬化後の被膜は、耐溶剤性がより向上する。
エチレン性不飽和二重結合を有する活性エネルギー線硬化性樹脂としては、たとえば以下に示す(a)〜 (c)の方法により不飽和エチレン性二重結合を導入した樹脂が挙げられる。
[方法(a)]
方法(a)としては、例えば、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖エポキシ基に、不飽和エチレン性二重結合を有する不飽和一塩基酸のカルボキシル基を付加反応させ、更に、生成した水酸基に、多塩基酸無水物を反応させ、不飽和エチレン性二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−グリシドキシエチル(メタ)アクリレート、3,4エポキシブチル(メタ)アクリレート、および3,4エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。次工程の不飽和一塩基酸との反応性の観点で、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。
不飽和一塩基酸としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体等のモノカルボン酸等が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。
多塩基酸無水物としては、テトラヒドロ無水フタル酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。カルボキシル基の数を増やす等、必要に応じて、トリメリット酸無水物等のトリカルボン酸無水物を用いたり、ピロメリット酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物を用いて、残った無水物基を加水分解すること等もできる。また、多塩基酸無水物として、不飽和エチレン性二重結合を有する、テトラヒドロ無水フタル酸、または無水マレイン酸を用いると、更に不飽和エチレン性二重結合を増やすことができる。
[方法(b)]
方法(a)の類似の方法として、例えば、カルボキシル基を有する不飽和エチレン性単量体と、他の1種類以上の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖カルボキシル基の一部に、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体を付加反応させ、不飽和エチレン性二重結合およびカルボキシル基を導入する方法がある。
この方法では、方法(a)に比べ、エポキシ基を有する不飽和エチレン性単量体由来の水酸基が多く生成する。本発明の造塩化合物を得る際に使用する、側鎖にカチオン性基を有する樹脂に、熱架橋性官能基としてオキセタニル基、t−ブチル基が含まれている場合は、バインダー樹脂として方法(b)によって得られる樹脂を使用すると、より高い耐熱性を発現するため、好ましい。
[方法(c)]
方法(c)としては、水酸基を有する不飽和エチレン性単量体を使用し、他のカルボキシル基を有する不飽和一塩基酸の単量体や、他の単量体とを共重合することによって得られた共重合体の側鎖水酸基に、イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体のイソシアネート基を反応させる方法がある。
水酸基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−若しくは3−若しくは4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、またはシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられ、これらは、単独で用いても、2種類以上を併用してもかまわない。また、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、および/またはブチレンオキシド等を付加重合させたポリエーテルモノ(メタ)アクリレートや、(ポリ)γ−バレロラクトン、(ポリ)ε−カプロラクトン、および/または(ポリ)12−ヒドロキシステアリン酸等を付加した(ポリ)エステルモノ(メタ)アクリレートも使用できる。塗膜異物抑制の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、またはグリセロール(メタ)アクリレートが好ましい。
イソシアネート基を有する不飽和エチレン性単量体としては、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、または1,1−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシ〕エチルイソシアネート等が挙げられるが、これらに限定することなく、2種類以上併用することもできる。
バインダー樹脂の質量平均分子量(Mw)は、成膜性、塗膜耐性の観点から、10,000〜100,000の範囲が好ましく、より好ましくは10,000〜80,000の範囲である。また数平均分子量(Mn)は5,000〜50,000の範囲が好ましく、Mw/Mnの値は10以下であることが好ましい。
バインダー樹脂を感光性組成物として使用する場合、顔料および造塩化合物の分散性、浸透性、現像性、および耐熱性の観点から、酸価20〜300mgKOH/gの樹脂を用いることが好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が悪く、微細パターン形成するのが困難である。300mgKOH/gを超えると、微細パターンが残らなくなる場合がある。
バインダー樹脂は、成膜性および諸耐性が良好なことから、着色剤(A)100質量部に対し、30質量部以上の量で用いることが好ましく、着色剤濃度が高く、良好な色特性を発現できることから、500質量部以下の量で用いることが好ましい。
(熱硬化性化合物)
本発明においては、バインダー樹脂である熱可塑性樹脂と併用して、さらに熱硬化性化合物を含んでもよい。熱硬化性化合物としては、例えば、エポキシ化合物および/または樹脂、オキセタン化合物および/または樹脂、ベンゾグアナミン化合物および/または樹脂、ロジン変性マレイン酸化合物および/または樹脂、ロジン変性フマル酸化合物および/または樹脂、メラミン化合物および/または樹脂、尿素化合物および/または樹脂、フェノール化合物および/または樹脂、が挙げられる。
<有機溶剤>
有機溶剤は、着色剤の分散を補助し、着色組成物の粘度を適宜調整するために使用する。
有機溶剤としては、例えば、乳酸エチル、ベンジルアルコール、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3-メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、o−キシレン、o−ジエチルベンゼン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられる。
中でも、着色剤の分散性、浸透性、および着色組成物の塗布性が良好なことから、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールアセテート類、ベンジルアルコール、ダイアセトンアルコール、3−メトキシブタノール等のアルコール類やシクロヘキサノン等のケトン類を用いることが好ましい。
有機溶剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
また有機溶剤は、着色組成物を適正な粘度に調節し、目的とする均一な膜厚の着色膜を形成できることから、着色剤(A)100質量部に対して、500〜4,000質量部の量で用いることが好ましい。
<光重合性単量体>
本発明の赤外線透過型着色組成物は、さらに光重合性単量体および/または光重合開始剤を添加し、赤外線透過型感光性着色組成物として使用することができる。本発明の赤外線透過着色組成物に添加しても良い光重合性単量体には、紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが含まれる。
紫外線や熱などにより硬化して透明樹脂を生成するモノマー、オリゴマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
光重合性化合物は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
光重合性単量体の含有量は、着色剤(A)100質量部に対して、5〜400質量部が好ましく、10〜300質量部がより好ましい。適量配合すると光硬化性および現像性がより向上する。
<光重合開始剤>
本発明の赤外線透過着色組成物は、光重合開始剤を含有できる。これによりフォトリソグラフ法によりフィルタセグメントを形成する場合、光硬化が容易になる。光重合開始剤の配合量は、着色剤(A)100質量部に対して、5〜200質量%が好ましく、10〜150質量%がより好ましい。適量配合すると光硬化性および現像性がより向上する。
光重合開始剤は、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン、または2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、またはベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、または3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、または2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、または2,4−トリクロロメチル−(4'−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物;1−(N−4−ベンゾイルフェニル−カルバゾール−3−イル)−ブタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−アセタート、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)、またはO−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4'−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、または2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物; ボレート系化合物; カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;あるいは、チタノセン系化合物等が用いられる。
光重合開始剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
光重合開始剤に含有量は、着色剤(A)100質量部に対して、5〜200質量%が好ましく、10〜150質量%がより好ましい。適量使用すると光硬化性および現像性がより向上する。
<増感剤>
本発明の赤外線透過型着色組成物は、光重合開始剤と増感剤を併用できる。
増感剤は、例えば、カルコン誘導体、ジベンザルアセトン等に代表される不飽和ケトン類、ベンジルやカンファーキノン等に代表される1,2−ジケトン誘導体、ベンゾイン誘導体、フルオレン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、キサンテン誘導体、チオキサンテン誘導体、キサントン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ケトクマリン誘導体、シアニン誘導体、メロシアニン誘導体、オキソノ−ル誘導体等のポリメチン色素、アクリジン誘導体、アジン誘導体、チアジン誘導体、オキサジン誘導体、インドリン誘導体、アズレン誘導体、アズレニウム誘導体、スクアリリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、テトラフェニルポルフィリン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、テトラベンゾポルフィリン誘導体、テトラピラジノポルフィラジン誘導体、フタロシアニン誘導体、テトラアザポルフィラジン誘導体、テトラキノキサリロポルフィラジン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、サブフタロシアニン誘導体、ピリリウム誘導体、チオピリリウム誘導体、テトラフィリン誘導体、アヌレン誘導体、スピロピラン誘導体、スピロオキサジン誘導体、チオスピロピラン誘導体、金属アレーン錯体、有機ルテニウム錯体、またはミヒラーケトン誘導体、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4'−ジエチルイソフタロフェノン、3,3'または4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4'−ジエチルアミノベンゾフェノン等が挙げられる。
また、大河原信ら編「色素ハンドブック」(1986年、講談社)、大河原信ら編「機能性色素の化学」(1981年、シーエムシー)、池森忠三朗ら編「特殊機能材料」(1986年、シーエムシー)に記載の増感剤が挙げられる。
増感剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
増感剤の使用量は、光重合開始剤100質量部に対して、3〜60質量%が好ましく、5〜50質量%がより好ましい。適量使用すると光硬化性、現像性がより向上する。
<アミン系化合物>
本発明の赤外線透過型着色組成物は、アミン系化合物を含有できる。アミン系化合物は溶存している酸素を還元できる。
アミン系化合物は、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、およびN,N−ジメチルパラトルイジン等が挙げられる。
<レベリング剤>
本発明の赤外線透過型着色組成物は、レベリング剤を含有できる。これにより塗工性がより向上し、被膜の表面平滑性がより向上する。
レベリング剤は、例えば、ジメチルシロキサンに加え、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系(界面活性剤、アニオン系界面活性剤などの各種界面活性剤が挙げられる。
ジメチルシロキサンは、主鎖にポリエーテル構造および/またはポリエステル構造を有するジメチルシロキサンが好ましい。主鎖にポリエーテル構造を有するジメチルシロキサンの市販品は、東レ・ダウコーニング社製FZ−2110、FZ−2122、FZ−2130、FZ−2166、FZ−2191、FZ−2203、FZ−2207、ビックケミー社製BYK−333などが挙げられる。主鎖にポリエステル構造を有するジメチルシロキサンの市販品は、ビックケミー社製BYK−310、BYK−370などが挙げられる。
アニオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
カオチン性界面活性剤は、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。レベリング剤に補助的に加えるノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
レベリング剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
レベリング剤の含有量は、着色組成物100質量%中、0.003〜0.5質量%が好ましい。
<エポキシ化合物>
本発明の赤外線透過型着色組成物は、エポキシ化合物を含有できる。
エポキシ化合物としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノール−A型エポキシ樹脂、ビスフェノール−F型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノール−Aノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品は、例えば、DIC社製エピクロンN−740、エピクロンN−770、エピクロンN−775、ダウ・ケミカル社製D.E.N438、日本化薬社製RE−306、三菱ケミカル社製jER152、jER154等が挙げられる。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の市販品は、DIC社製エピクロンN−660、エピクロンN−665、エピクロンN−670、エピクロンN−673、エピクロンN−680、エピクロンN−695、エピクロンN−665−EXP、エピクロンN−672−EXP、日本化薬社製EOCN−102S、EOCN−103S、EOCN−104S、ユニオンカーバイド社製UVR−6650、住友化学工業社製ESCN−195等が挙げられる。
トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂の市販品は、日本化薬社製EPPN−503、EPPN−502H、EPPN−501H、ダウ・ケミカル社製TACTIX−742、三菱ケミカル社製jER E1032H60等が挙げられる。
ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂の市販品は、DIC社製エピクロンEXA−7200、ダウ・ケミカル社製TACTIX−556等が挙げられる。
ビスフェノール型エポキシ樹脂の市販品は、三菱ケミカル社製jER828、jER1001、ユニオンカーバイド社製UVR−6410、ダウ・ケミカル7社製D.E.R−331、新日化エポキシ製造社製YD−8125等のビスフェノール−A型エポキシ樹脂、ユニオンカーバイド社製UVR−6490、新日化エポキシ製造社製YDF−8170等のビスフェノール−F型エポキシ樹脂等が挙げられる。
ビフェノール型エポキシ樹脂の市販品は、日本化薬社製NC−3000、NC−3000H等のビフェノール型エポキシ樹脂、三菱ケミカル社製jER YX−4000、jER YL−6121等のビキシレノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂の市販品は、DIC社製エピクロンN−880、三菱ケミカル社製jER E157S75等が挙げられる。
ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂の市販品は、日本化薬社製NC−7000、NC−7300、DIC社製EXA−4750等が挙げられる。
脂環式エポキシ樹脂の市販品は、株式会社ダイセル製セイキサイド2021P、2081、2000、エポリードPB3600、PB4700、GT401、EHPE−3150、サイクロマーM100等が挙げられる。
複素環式エポキシ樹脂の市販品は、日産化学工業社製TEPIC−L,TEPIC−H、TEPIC−S等が挙げられる。
エポキシ化合物は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
エポキシ化合物の含有量は、赤外線透過着色組成物の不揮発分100質量%中、0.5〜50質量%が好ましく、1〜40質量%がより好ましい。適量含有すると耐熱性がより向上する。
<オキセタン化合物>
本発明の赤外線透過型着色組成物は、オキセタン化合物を含有できる。オキセタン化合物は、オキセタン基を1官能、2官能、および3官能以上の化合物が挙げられる。
オキセタン基が1官能の化合物は、例えば、(3−エチルオキセタン−3−イル)メチルアクリレート、 (3−エチルオキセタン−3−イル)メチルメタクリレート、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−メタクリロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン等が挙げられる。市販品は、大阪有機化学工業社製OXE−10、OXE−30東亞合成社製OXT−101、212等が挙げられる。
オキセタン基が2官能の化合物は、例えば、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル)、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル−3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(2−フェノキシメチル)オキセタン、3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン、1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコースビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン、1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン、ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキシド(EO)変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、プロピレンオキシド(PO)変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールF(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。市販品は、宇部興産社製、OXBP、OXTP、東亞合成社製OXT−121、OXT−221等が挙げられる。
オキセタン基が3官能以上の化合物は、例えば、ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、オキセタン基を含有する樹脂(例えば、特許第3783462号記載のオキセタン変性フェノールノボラック樹脂等)や前述のOXE−30のような(メタ)アクリルモノマーをラジカル重合させて得られる重合体が挙げられる。
オキセタン化合物は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
オキセタン化合物の含有量は、着色組成物の不揮発分100質量%中、0.5〜50質量%が好ましく、1〜40質量%がより好ましい。適量含有すると耐熱性がより向上する。
<硬化剤、硬化促進剤>
本発明の赤外線透過型着色組成物は、熱硬化性樹脂の硬化を補助するため、硬化剤、硬化促進剤を含有できる。
硬化剤は、例えば、フェノール系樹脂、アミン系化合物、酸無水物、活性エステル、カルボン酸系化合物、スルホン酸系化合物等が挙げられる。これらの中でも、1分子内に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物、アミン系硬化剤が好ましい。
硬化促進剤は、例えば、アミン化合物(例えば、ジシアンジアミド、ベンジルジメチルアミン、4−(ジメチルアミノ)−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メトキシ−N,N−ジメチルベンジルアミン、4−メチル−N,N−ジメチルベンジルアミン等)、4級アンモニウム塩化合物(例えば、トリエチルベンジルアンモニウムクロリド等)、ブロックイソシアネート化合物(例えば、ジメチルアミン等)、イミダゾール誘導体二環式アミジン化合物およびその塩(例えば、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール等)、リン化合物(例えば、トリフェニルホスフィン等)、グアナミン化合物(例えば、メラミン、グアナミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等)、S−トリアジン誘導体(例えば、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン、2−ビニル−2,4−ジアミノ−S−トリアジン、2−ビニル−4,6−ジアミノ−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−S−トリアジン・イソシアヌル酸付加物等)等が挙げられる。
硬化剤、硬化促進剤は、それぞれ単独または2種類以上を併用して使用できる。
硬化剤、硬化促進剤の使用量は、それぞれ、熱硬化性樹脂100質量部に対して、0.01〜15質量%が好ましい。
<紫外線吸収剤>
本発明の赤外線透過型着色組成物には、紫外線吸収剤を含有できる。紫外線吸収剤は、例えば、ベンゾトリアゾール系有機化合物、トリアジン系有機化合物、ベンゾフェノン系有機化合物、シアノアクリレート系有機化合物、およびサリシレート系有機化合物などが挙げられる。
紫外線吸収剤の含有量は、光重合開始剤と紫外線吸収剤との合計100質量%中、5〜70質量%が好ましい。光感度と解像性を高度に両立できる。なお、着色組成物が増感剤を含む場合、光重合開始剤の含有量に増感剤の含有量を含む。
また、光重合開始剤と紫外線吸収剤の合計含有量は、感光性着色組成物の不揮発分100質量%中、1〜20質量%が好ましい。光重合開始剤と紫外線吸収剤の合計含有量が上記より少ない場合、密着性が弱まり画素はがれが発生し、上記より多い場合には、感度が高すぎ解像性が悪くなることがある。
ベンゾトリアゾール系有機化合物は、例えば、2−(5メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、オクチル−3[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートの混合物、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α, α-ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3−tブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、5%の2−メトキシ−1−メチルエチルアセテートと95%のベンゼンプロパン酸,3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ,C7−9側鎖および直鎖アルキルエステルの化合物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールが挙げられる。
市販品は、BASF社製「TINUVIN P」、「TINUVIN PS」、「TINUVIN 109」、「TINUVIN 234」、「TINUVIN 326」、「TINUVIN 328」、「TINUVIN 329」、「TINUVIN 360」、「TINUVIN 384−2」、「TINUVIN 900」、「TINUVIN 928」、「TINUVIN 99−2」、「TINUVIN 1130」、ADEKA社製「アデカスタブLA−29」、大塚化学社製「RUNA−93」等が挙げられる。
トリアジン系有機化合物は、例えば、2−[4,6−ジ(2,4−キシリル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−オクチルオキシフェノール、2‐[4,6‐ビス(2,4‐ジメチルフェニル)‐1,3,5‐トリアジン‐2‐イル]‐5‐[3‐(ドデシルオキシ)‐2‐ヒドロキシプロポキシ]フェノール、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル−グリシド酸エステルの反応生成物、2,4−ビス「2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル」−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン等が挙げられる。
市販品は、ケミプロ化成社製「KEMISORB 102」、BASF社製「TINUVIN 400」、「TINUVIN 405」、「TINUVIN 460」、「TINUVIN 477−DW」、「TINUVIN 479」、「TINUVIN 1577」、ADEKA社製「アデカスタブLA−46」、「アデカスタブLA−F70」、サンケミカル社製「CYASORB UV−1164」等が挙げられる。
ベンゾフェノン系有機化合物は、例えば、2,4−ジ−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルフォン酸−3水温、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2,2−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
市販品は、ケミプロ化成社製「KEMISORB 10」、「KEMISORB 11」、「KEMISORB 11S」、「KEMISORB 12」、「KEMISORB 111」、シプロ化成社製「SEESORB 101」、「SEESORB 107」、ADEKA社製「アデカスタブ1413」等が挙げられる。
<チオール系連鎖移動剤>
赤外線透過型着色組成物は、チオール系連鎖移動剤を含有できる。チオール系連鎖移動剤を光重合開始剤とともに使用すると、光照射後のラジカル重合過程で、連鎖移動剤として働き、酸素による重合阻害を受けにくいチイルラジカルが発生するので、光感度が向上する。これにより被膜表面から被膜の深部までの光硬化性がより向上する。
多官能チオールは、例えば、ヘキサンジチオール 、デカンジチオール 、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジンなどが挙げられ、好ましくは、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネートが挙げられる。
チオール系連鎖移動剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
チオール系連鎖移動剤の含有量は、赤外線透過型着色組成物の不揮発分100質量%中、1〜10%が好ましく、2〜8%がより好ましい。適量使用すると光感度が向上し、良好な形状の被膜が得られる。
<酸化防止剤>
本発明の赤外線透過型着色組成物は、酸化防止剤を含有できる。酸化防止剤は、赤外線透過型着色組成物から形成される被膜が、熱硬化等の加熱工程によって酸化し黄変することを抑制し、被膜の透過率を維持できる。特に感光性着色組成物の着色剤濃度が高い場合、相対的に架橋成分が少なくなるため、高感度の架橋成分の使用や、光重合開始剤の増量といった対応を取ると熱工程の黄変が強くなるためである。そのため、酸化防止剤を含むことで、加熱工程時の酸化による黄変を防止し、高い塗膜の透過率を得る事ができる。
本発明における「酸化防止剤」とは、紫外線吸収機能、ラジカル補足機能、または、過酸化物分解機能を有する化合物であればよく、具体的には、酸化防止剤としてヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系、リン系、イオウ系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒドロキシルアミン系、サルチル酸エステル系、およびトリアジン系の化合物があげられ、公知の紫外線吸収剤、酸化防止剤等が使用できる。また、本発明で用いられる酸化防止剤は、ハロゲン原子を含有していないものが好ましい。
これらの酸化防止剤の中でも、塗膜の透過率と感度の両立の観点から、好ましいものとしては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤またはイオウ系酸化防止剤が挙げられる。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,4−ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕−o−クレゾール、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,6−ジ−t−ブチル−4−ノニルフェノール、2,2’−イソブチリデン−ビス−(4,6−ジメチル−フェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)、2,2’−チオ−ビス−(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミル−ヒドロキノン、2,2’チオジエチルビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,1,3−トリス−(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−ブタン、2,2’−メチレン−ビス−(6−(1−メチル−シクロヘキシル)−p−クレゾール)、2,4−ジメチル−6−(1−メチル−シクロヘキシル)−フェノール、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナムアミド)等が挙げられる。その他ヒンダードフェノール構造を有するオリゴマータイプおよびポリマータイプの化合物等も使用することができる。
市販品はADEKA社製アデカスタブAO−20、AO−30、AO−40,AO50、AO60、AO80、AO320、ケミプロ社製KEMINOX101、179、76、9425、BASF社製IRGANOX1010、1035、1076、1098、1135、1330、1726、1425WL、1520L、245、259、3114、5057、565、サンケミカル社製サイアノックスCY−1790、CY−2777等が挙げられる。
ヒンダードアミン系酸化防止剤としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,6−ヘキサメチレンジアミン、2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アミノ−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)プロピオンアミド、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)(1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチル{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、ポリ〔(6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、N,N’−4,7−テトラキス〔4,6−ビス{N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ}−1,3,5−トリアジン−2−イル〕−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン等が挙げられる。その他ヒンダードアミン構造を有するオリゴマータイプおよびポリマータイプの化合物等も使用することができる。
市販品は、ADEKA社製アデカスタブLA−52、LA−57、LA−63P、LA−68、LA−72、LA−77Y、LA−77G、LA−81、LA−82、LA−87、LA−402F、LA−502XP、ケミプロ化成社製KAMISTAB29、62、77、29、94、BASF社製Tinuvin249、TINUVIN111FDL、123、144、292、5100、サンケミカル社製サイアソーブUV−3346、UV−3529、UV−3853等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリス(イソデシル)フォスファイト、トリス(トリデシル)フォスファイト、フェニルイソオクチルフォスファイト、フェニルイソデシルフォスファイト、フェニルジ(トリデシル)フォスファイト、ジフェニルイソオクチルフォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、ジフェニルトリデシルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、4,4’イソプロピリデンジフェノールアルキルフォスファイト、トリスノニルフェニルフォスファイト、トリスジノニルフェニルフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(ビフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ジ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラトリデシル4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)ジフォスファイト、ヘキサトリデシル1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタントリフォスファイト、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスファイトジエチルエステル、ソジウムビス(4−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ソジウム−2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスファイト、1,3−ビス(ジフェノキシフォスフォニロキシ)−ベンゼン、亜リン酸エチルビス(2,4−ジtert−ブチル−6−メチルフェニル)等が挙げられる。その他フォスファイト構造を有するオリゴマータイプおよびポリマータイプの化合物等も使用することができる。
市販品は、ADEKA社製アデカスタブPEP−36、PEP−8、HP−10、アデカスタブ2112、1178、1500、C、3013、TPP、BASF社製IRGAFOS168、クラリアントケミカルズ社製HostanoxP-EPQ等が挙げられる。
イオウ系酸化防止剤としては、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス〔(オクチルチオ)メチル〕−o−クレゾール、2,4−ビス〔(ラウリルチオ)メチル〕−o−クレゾール、2,2−ビス{〔3−(ドデシルチオ)−1−オキソプロポキシ〕メチル}プロパン−1,3−ジイルビス〔3−(ドデシルチオ)プロピオネート〕、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕等が挙げられる。その他チオエーテル構造を有するオリゴマータイプおよびポリマータイプの化合物等も使用することができる。
市販品は、ADEKA社製アデカスタブAO−412S、AO−503、ケミプロ化成社製KEMINOXPLSなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系酸化防止剤としては、ベンゾトリアゾール構造を有するオリゴマータイプおよびポリマータイプの化合物等を使用することができる。
市販品は、ADEKA社製アデカスタブLA−29、LA−31RG、LA−32、LA−36、−412S、ケミプロ化成社製KEMISORB71、73、74、79、279、BASF社製TINUVIN PS、99−2、384−2、900、928、1130等が挙げられる。
ベンゾフェノン系酸化防止剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5スルフォベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン等が挙げられる。その他ベンゾフェノン構造を有するオリゴマータイプおよびポリマータイプの化合物等も使用することができる。
市販品は、ADEKA社製アデカスタブ1413、ケミプロ化成社製KEMISORB10、11、11S、12、111、サンケミカル社製UV−12、UV−329等が挙げられる。
トリアジン系酸化防止剤としては、2,4−ビス(アリル)−6−(2−ヒドロキシフェニル)1,3,5−トリアジン等が挙げられる。その他トリアジン構造を有するオリゴマータイプおよびポリマータイプの化合物等も使用することができる。
市販品は、ADEKA社製アデカスタブLA−46、F70、ケミプロ化成社製KEMISORB102、BASF社製TINUVIN400、405、460、477、479、サンケミカル社製サイアソーブUV−1164等が挙げられる。
サルチル酸エステル系酸化防止剤としては、サリチル酸フェニル、サリチル酸p−オクチルフェニル、サリチル酸p−tertブチルフェニル等が挙げられる。その他サルチル酸エステル構造を有するオリゴマータイプおよびポリマータイプの化合物等も使用することができる。
これらの酸化防止剤は、1種を単独で、または必要に応じて任意の比率で2種以上混合して用いることができる。
また酸化防止剤の含有量は、着色組成物の不揮発分100質量%中、0.5〜5.0質量%の場合、分光特性、および感度が良好であるためより好ましい。
<その他添加剤>
本発明の赤外線透過型着色組成物には、その他添加剤として、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有できる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有できる。
貯蔵安定剤としては、例えば、ベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤の使用量は、着色剤100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。
密着向上剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。密着向上剤の使用量は、着色剤100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましい。
<赤外線透過型着色組成物の製造方法>
本発明の赤外線透過型着色組成物は、着色剤(A)、樹脂型分散剤(B)、および有機溶剤を含む混合物を、例えば、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、またはアトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することが好ましい。また、本発明の赤外線透過型着色組成物は、着色剤(A)を別々に分散後、それらを混合して製造することもできる。染料等、着色剤の溶解性が高い場合、具体的には使用する溶剤への溶解性が高く、攪拌により溶解、異物が確認されない状態であれば、上記のような微細に分散する工程を行わなくてもよい。なお、前記混合物が顔料を含む場合、色素誘導体等の分散助剤を併用することが好ましい。
また、赤外線透過型感光性着色組成物として用いる場合、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型として調製することが好ましい。赤外線透過型感光性着色組成物は、前記赤外線透過型着色組成物と、光重合性単量体および/または光重合開始剤と、必要に応じて、溶剤、その他の分散助剤、および添加剤等を混合して調整することができる。光重合開始剤は、赤外線透過型着色組成物を調製する段階で加えてもよく、調製した赤外線透過型着色組成物に後から加えてもよい。
着色剤(A)を分散する際、適宜、分散助剤(例えば、界面活性剤)等を用いることができる。分散助剤は、着色剤の分散に優れ、分散後の着色剤の再凝集を防止する効果が大きいので、分光透過率の高い赤外線領域の透過率を得ることができる。
<分散助剤>
(界面活性剤)
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレート等のノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物等のカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアルキルベタイン、アルキルイミダゾリン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
分散助剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
分散助剤の使用量は、着色剤100質量部に対し、0.1〜55質量部が好ましく、0.1〜45質量部がより好ましい。適量使用すると分散性がより向上する。
<粗大粒子の除去>
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタやメンブレンフィルタによる濾過等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。このように着色組成物は、実質的に0.5μm以上の粒子を含まないことが好ましい。より好ましくは0.3μm以下であることが好ましい。
<赤外線透過フィルタ>
次に、本発明の赤外線透過フィルタについて説明する。
<赤外線透過フィルタの製造方法>
赤外線透過フィルタは、本発明の赤外線透過型着色組成物を各種プラスチック基材、ガラス基材に塗工する方法や、プラスチック素材へ練りこみ成型加工する方法、等で作製することができる。赤外線を透過させるフィルムが形成されれば、その方法は問わず様々な方法で作製することができる。これらの方法で作製したフィルムをフォトダイオードと組み合わせることで、照度センサ、距離センサ、医療用センサ、ディスプレイなどのタッチセンサ、生体認証センサといった各種センサとして用いることができる。更に、本発明の赤外線透過型感光性着色組成物を用いてフォトダイオード上にフォトリソグラフィー法を用いてパターニングすることで、固体撮像素子向け赤外線透過フィルタとして用いることができる。以下にフォトリソグラフィー法で赤外線透過フィルタを作製した固体撮像素子について詳細を説明する。
<赤外線透過フィルタ層を有する固体撮像素子>
赤外線透過フィルタ層を有する固体撮像素子について説明する。一般的な赤外線センサの構成は、フォトダイオード上に赤外線透過フィルタ層が備えられた構成であり、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
基板上に、固体撮像素子(CCDセンサ、CMOSセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオード及び転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口したタングステン等からなる遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面及びフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、本発明の赤外線透過フィルタを有する構成である。
更に、デバイス保護層上であって赤外線透過フィルタの下(基板に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、赤外線透過フィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。
なお、有機CMOSセンサは、光電変換層として薄膜のパンクロ感光性有機光電変換膜とCMOS信号読み出し基板を含んで構成され、光を捕捉しそれを電気信号に変換する役割を有機材料が担い、電気信号を外部に取り出す役割を無機材料が担う2層構成のハイブリッド構造であり、原理的には入射光に対して開口率を100%にすることができる。有機光電変換膜は構造フリーの連続膜でCMOS信号読みだし基板上に敷設できるので、高価な微細加工プロセスを必要とせず、画素微細化に適している。
本発明にかかる、固体撮像素子用の赤外線透過フィルタセグメントの形成は、特に制限なく公知の方法を用いて形成することができるが、撮像素子のフィルタセグメントはサブミクロンから十数ミクロン程度と微細であることから光リソグラフィを用いるのが好適である。
赤外線透過フィルタセグメントを、所定の対応する光電変換素子上に形成する場合には、ネガ型感光性緑色組成物により形成し、この場合のネガ型赤外線透過型レジスト層の厚さは0.1〜3.0μmの範囲に設定されるものとする。
ネガ型着色膜により形成されているネガ型赤外線透過型レジスト層の表面は、形成したい複数の光電変換素子に対応する複数の部分を、フォトマスクを使用してパターン露光する。なお通常、フォトマスクは、実際に形成するパターンの寸法の4〜5倍の寸法を有しおり、パターン露光時に1/4〜1/5に縮小してパターン露光を行なう。
一般的なフォトマスクは、4〜5倍レチクルであり、ネガ型赤外線透過型レジスト層の表面に露光されるパターンの寸法の4〜5倍の大きさの寸法のパターンを有している。そして、図示しないステッパー露光装置を使用し、フォトマスクのパターンを1/4〜1/5に縮小してネガ型赤外線透過型レジスト層の表面に露光している。
露光工程に次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行うことにより、露光後の未硬化部を現像液に溶出させ、光硬化した部分を残存させる。この現像工程により、赤外線透過フィルタセグメントからなるパターン状皮膜を形成することができる。
現像方式は、デイップ方式、シャワー方式、スプレー方式、パドル方式などいずれでもよく、これらにスウィング方式、スピン方式、超音波方式などを組み合わせてもよい。
現像液に触れる前に、被現像面を予め水等で湿しておいて、現像むらを防ぐこともできる。現像液としては、下地の回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては、通常20〜30℃であり、現像時間は20〜90秒である。
現像液が含むアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジンなどの有機アルカリ性化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機化合物等が挙げられる。
現像液としては、これらのアルカリ剤を濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜1質量%となるように、純水で希釈したアルカリ性水溶液が好ましく使用される。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後、純水で洗浄して余剰の現像液を洗浄除去し、乾燥を施す。
最後に、このように形成されたフィルタセグメントは硬膜化処理される。
本発明の製造方法においては、上述した、着色層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成された着色パターンを後加熱(ポストベーク)や後露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理であり、通常100〜270℃の熱硬化処理を行う。光を用いる場合には、g線、h線、i線、KrFやArFなどのエキシマレーザ、電子線、X線等により行うことができるが、既存の高圧水銀灯で20〜50℃程度の低温で行うことが好ましく、照射時間としては、10〜180秒、好ましくは30〜60秒である。
後露光と後加熱との併用の場合、後露光を先に実施することが好ましい。
以上説明した、赤外線透過層形成工程、露光工程、及び現像工程(更に、必要により硬化工程)により赤外線透過フィルタが作製される。
<赤外線カメラ、赤外線センサ>
本発明の赤外線カメラおよび赤外線センサは、本発明の赤外線透過フィルタを有する。赤外線カメラの種類としては、近赤外線カメラ、監視カメラ、車載用カメラ、医療用カメラ、検査・分析カメラ、などが挙げられ、赤外線センサの種類としては、温度センサ、距離センサ、医療用センサ、ディスプレイなどのタッチセンサ、生体認証センサなどが挙げられる。赤外線カメラおよび赤外線センサの構成としては、本発明の赤外線透過フィルタを有する構成であり、赤外線カメラ、赤外線センサとして機能する構成であれば特に限定はない。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、特にことわりがない限り、「部」は、「質量部」、および「%」は「質量%」を意味する。
(顔料の平均一次粒子径)
顔料の平均一次粒子径は、透過型(TEM)電子顕微鏡を使用して、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で測定した。具体的には、個々の顔料の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、平均をその顔料一次粒子の粒径とした。次に、100個以上の顔料粒子について、それぞれの粒子の体積(質量)を、求めた粒径の立方体と近似して求め、体積平均粒径を平均一次粒子径とした。
(樹脂型分散樹脂(B)、及びバインダー樹脂の質量平均分子量)
樹脂の質量平均分子量(Mw)は、TSKgelカラム(東ソー社製)を用い、RI検出器を装備したGPC(東ソー社製、HLC−8120GPC)で、展開溶媒にTHFを用いて測定したポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)である。
(樹脂型分散樹脂(B)、及びバインダー樹脂の酸価)
樹脂酸価は、JIS K 0070の電位差滴定法に準拠し、測定した酸価(mgKOH/g)を不揮発分換算した値である。
<樹脂型分散剤の製造>
(酸性樹脂型分散剤(BC−1))
ビックケミ―社製 DISPER BYK−110 (不揮発成分=51%、アミン価=0、酸価=53)を使用した。
(酸性樹脂型分散剤(BC−2))
ビックケミ―社製 DISPER BYK−111 (不揮発成分=95%、アミン価=0、酸価=129)を使用した。
(酸性樹脂型分散剤(BC−3))
ビックケミ―社製 DISPER BYK−111 (不揮発成分=53%、アミン価=0、酸価=22)を使用した。
(酸性樹脂型分散剤(B1−1−1))
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、メタクリル酸6部、メチルメタクリレート134部、t−ブチルメタクリレート60部、を仕込み、窒素ガスで置換した。
反応容器内を50℃に加熱撹拌し、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール4部を添加した。90℃に昇温し、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート90部に加えた溶液を添加しながら7時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。
ピロメリット酸二無水物6部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート315部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.4部を追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し、固形分測定で固形分40%となるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて希釈し、酸価31mgKOH/g、重量平均分子量20000の酸性樹脂型分散剤(B1−1−1)を得た。
(酸性樹脂型分散剤(B1−1−2)〜(B1−1−3)、(B1−2−1)〜(B1−2−4)、(BC−4)〜(BC−5))
表1に示したように組成を変更した以外は、(B1−1−1)と同様にして酸性樹脂型分散剤(B1−1−2)〜(B1−1−3)、(B1−2−1)〜(B1−2−4)、(BC−4)〜(BC−5)を作製した。

Figure 2021184031

<バインダー樹脂溶液の製造>
(バインダー樹脂溶液:J−1)
セパラブル4口フラスコに温度計、冷却管、窒素ガス導入管、撹拌装置を取り付けた反応容器にメトキシプロピルアセテート70.0部を仕込み、80℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管よりn−ブチルメタクリレート13.3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート4.6部、メタクリル酸4.3部、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亞合成社製「アロニックスM110」)7.4部、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.4部の混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間反応を継続し、質量平均分子量26,000のアクリル樹脂の溶液を得た。室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20%になるようにメトキシプロピルアセテートを添加してバインダー樹脂溶液(J−1)を調製した。
<微細化顔料の製造>
(青色微細化顔料(P−1))
青色顔料C.I.ピグメントブルー15:6(トーヨーカラー社製「リオノールブルーES」)100部、粉砕した食塩800部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、98部の青色微細化顔料(P−1)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は28.3nmであった。
ここで、顔料の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(日本電子社製「JEM-1200EX」)を用い、5万倍での観察試料中の全顔料粒子の一次粒子径を計測してその平均値を用いた。なお、粒子形状が球状でない場合は、長径と短径を計測し、(長径+短径)/2により求められる値を粒子径とした。
(黄色微細化顔料(P−2))
黄色顔料C.I.ピグメントイエロー139(クラリアント社製「Novoperm Yellow P−M3R」)100部、粉砕した食塩800部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、97部の黄色微細化顔料(P−2)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は41.1nmであった。
(紫色微細化顔料(P−3))
紫色顔料C.I.ピグメントバイオレット23(トーヨーカラー社製「LIONOGEN VIOLET FG−6140」)100部、粉砕した食塩800部、およびジエチレングリコール100部をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所製)に仕込み、70℃で12時間混練した。この混合物を温水3000部に投入し、約70℃に加熱しながらハイスピードミキサーで約1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗をくりかえして食塩および溶剤を除いた後、80℃で24時間乾燥し、95部の紫色微細化顔料(P−3)を得た。得られた顔料の平均一次粒子径は53.7nmであった。
<色素誘導体の製造>
(色素誘導体(C−1)〜(C−2))
下記に示す構造の色素誘導体を前述の色素誘導体の説明に示した文献を参考に作製した。

(C−1)
Figure 2021184031

(C−2)
Figure 2021184031
<赤外線透過型着色組成物の製造>
[実施例1]
(赤外線透過型着色組成物(PP−1)の作製)
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミル(アイガージャパン社製「ミニモデルM−250 MKII」)で5時間分散した後、5.0μmのフィルタで濾過し赤外線透過型着色組成物(PP−1)を作製した。
青色微細化顔料(P−1) :5.5部
黄色微細化顔料(P−2) :2.0部
紫色微細化顔料(P−3) :2.5部
樹脂型分散剤(B−1) :7.7部
バインダー樹脂溶液(J−1) :30.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc) :52.3部
[実施例2〜36]
(赤外線透過型着色組成物(PP−2)〜(PP−36))
表2に示した組成に変更した以外は、以外は実施例1と同様にして、赤外線透過型着色組成物(PP−2〜PP−36)を作製した。
Figure 2021184031
Figure 2021184031
[比較例1〜11]
(赤外線透過型着色組成物(PP−37)〜(PP−47))
表3に示した組成に変更した以外は、以外は実施例1と同様にして、赤外線透過型着色組成物(PP−37〜PP−47)を作製した。
Figure 2021184031
<赤外線透過型着色組成物の評価>
得られた着色組成物について、下記のとおり、初期粘度、保存安定性(粘度)、異物、保存安定性(異物)、濾過性、遮蔽性、の評価を行った。
(初期粘度の評価)
得られた赤外線透過型着色組成物の調製直後の粘度を、E型粘度計を用いて測定し、下記判定基準で評価した。尚、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。

◎:粘度が5.00以上、8.00未満
〇:粘度が8.00以上、10.00未満
△:粘度が10.00以上、15.00未満
×:粘度が15.00以上
(保存安定性の評価(粘度評価))
得られた赤外線透過型着色組成物の調製直後と10℃で1ケ月保管した後の粘度を、E型粘度計を用いて測定した。(1ケ月保管後の粘度)/(調製直後の粘度)の比を算出して下記判定基準で評価した。尚、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。
◎:粘度比が1.00以上、1.02未満
〇:粘度比が1.02以上、1.05未満
△:粘度比が1.05以上、1.10未満
×:粘度比が1.10以上
(凝集異物の評価)
得られた赤外線透過型着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布、オーブンにて230℃で30分焼成して熱処理後の塗膜の800nmの透過率が、紫外可視近赤外分光光度計を用いて測定してT=20%となるよう塗布基板を作製した。その後、得られた基板を250℃で1時間加熱して表面観察を行った。評価にはオリンパスシステム社製金属顕微鏡「BX60」を用いた。倍率は500倍とし、透過にて任意の5視野で観測可能な粒子の数をカウントして評価した。尚、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。
◎:異物の数が5個未満
○:異物の数が5個以上、10個未満
△:異物の数が10個以上、60個未満
×:異物の数が60個以上
(保存安定性(凝集異物評価))
得られた赤外線透過型着色組成物の調製直後と10℃で1ケ月保管した後、上記の「異物評価」と同様の方法で、異物の評価を行った。
(濾過性の評価)
得られた赤外線透過型着色組成物10gを窒素圧(0.3MPa)にて、フィルタ(φ0.2μm、ADVANTEC社製、型番;39115221)に通し、フィルタを通して得られた量を測定し、下記判定基準で評価した。尚、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。
◎:濾過量が8.0g以上
〇:濾過量が5.0g以上 8.0g未満
△:濾過量が3.0g以上 5.0g未満
×:濾過量が3.0g以下

(隠ぺい性の評価)
得られた赤外線透過型着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布、オーブンにて230℃で30分焼成して熱処理後の塗膜の800nmの透過率(T)が、紫外可視近赤外分光光度計を用いて測定してT=20%となるよう塗布基板を作製した。作製した基板の400〜700nm領域の最大透過率を測定することで可視領域の隠ぺい性を評価した。尚、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。
◎:最大透過率が3.0%未満
〇:最大透過率が3.0%以上、5.0%未満
△:最大透過率が5.0%以上、7.0%未満
×:最大透過率が7.0%以上
以上の方法で評価した結果を表4および表5に示す。
Figure 2021184031
Figure 2021184031
Figure 2021184031
実施例1〜36で示した通り、任意の色素誘導体と、着色剤が合計100質量%中でC.I.ピグメントブルー15:6を45〜60質量%、C.I.ビグメントイエロー139を10〜30質量%、およびC.I.ピグメントバイオレット23を15〜35質量%含み、酸価30〜80mgKOH/gである酸性の樹脂型分散剤を含むことで、全ての評価項目で優れた特性を示した。
更に、酸性の樹脂型分散剤が1つの末端に水酸基を有する重合体とテトラカルボン酸二無水物との反応生成物および/または水酸基を有する化合物の水酸基と、トリカルボン酸無水物又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体を重合する反応生成物であることで、分散状態が良化して非常に優れた初期粘度特性を示し塗工性に非常に優れた分散体を得ることができた。更に濾過性も優れた特性を示した。
更に、酸性樹脂型分散剤(B1)が、酸価30〜50mgKOH/gである酸性樹脂型分散剤(B1−1)、および酸価55〜80mgKOH/gである酸性樹脂型分散剤(B1−2)を含むことで、より分散状態が良化して非常に優れた粘度の保存安定性と濾過性を示した。
更に、色素誘導体を用いることで、異物発生の抑制の観点で非常に優れた特性を示した。
また、色素誘導体にフタロシアニン系骨格を選択することで、経時保管した後も異物発生の抑制の観点で非常に優れた特性を示した。
比較例においては、全ての項目を満足する結果が得らず、本発明の効果が証明された。
<赤外線透過型感光性着色組成物の製造>
[実施例37]
(赤外線透過型感光性着色組成物(PR−1))
下記の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1.0μmのフィルタで濾過して、感赤外線透過型感光性着色組成物(PR−1)を作製した。

赤外線透過型着色組成物(PP−1) :60.0部
バインダー樹脂溶液(J−1) :11.0部
光重合性単量体1 : 3.6部
ジペンタエリスリトールペンタおよびヘキサアクリレート(東亞合成社製「アロニックスM402」)
光重合性単量体2 : 1.0部
トリメチロールプロパン PO 変性トリアクリレート(東亞合成社製「アロニックスM310」)
光重合開始剤1 : 0.6部
エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)
(BASFジャパン社製「イルガキュアーOXE02」)
光重合開始剤2 : 0.6部
1−(N−4−ベンゾイルフェニル−カルバゾール−3−イル)−ブタン−1,2−ジオン−2−オキシム−O−アセタート
シクロヘキサノン : 5.2部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート :18.0部
[実施例38〜72、比較例12〜22]
(赤外線透過型感光性着色組成物(PR−2〜PR−36、PR−37〜PR−47))
赤外線透過型着色組成物を表6および表7に示す赤外線透過型着色組成物に変更した以外は実施例29と同様にして、赤外線透過型感光性着色組成物(PR−2〜PR−28、PR−29〜PR−38)を作製した。
Figure 2021184031
Figure 2021184031

Figure 2021184031
<赤外線透過型感光性着色組成物の評価>
得られた赤外線透過型感光性着色組成物について、下記のとおり、初期粘度、保存安定性(粘度)、異物、保存安定性(異物)、濾過性、遮蔽性、の評価を行った。
(初期粘度の評価)
得られた赤外線透過型感光性着色組成物の調製直後の粘度を、E型粘度計を用いて測定し、下記判定基準で評価した。尚、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。
◎:粘度が3.00以上、4.00未満
〇:粘度が4.00以上、8.00未満
△:粘度が8.00以上、10.00未満
×:粘度が10.00以上
(保存安定性の評価(粘度評価))
得られた赤外線透過型感光性着色組成物の調製直後と10℃で1ケ月保管した後の粘度を、E型粘度計を用いて測定した。(1ケ月保管後の粘度)/(調製直後の粘度)の比を算出して下記判定基準で評価した。尚、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。
◎:粘度比が1.00以上、1.02未満
〇:粘度比が1.02以上、1.05未満
△:粘度比が1.05以上、1.10未満
×:粘度比が1.10以上
(凝集異物の評価)
得られた赤外線透過型感光性着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布し、70℃で20分乾燥した後に、超高圧水銀ランプを用いて積算光量150mJ/cm2で基板全面に紫外線露光を行い、塗膜を光硬化させた。ついで230℃で20分間加熱、放冷し、熱処理後の塗膜の800nmの透過率(T)が、紫外可視近赤外分光光度計を用いて測定してT=20%となるよう塗布基板を作製した。その後、得られた基板を250℃で1時間加熱して表面観察を行った。評価にはオリンパスシステム社製金属顕微鏡「BX60」を用いた。倍率は500倍とし、透過にて任意の5視野で観測可能な粒子の数をカウントして評価した。尚、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。
◎:異物の数が5個未満
○:異物の数が5個以上、10個未満
△:異物の数が10個以上、60個未満
×:異物の数が60個以上
(保存安定性の評価(凝集異物評価))
得られた赤外線透過型感光性着色組成物の調製直後と10℃で1ケ月保管した後、上記の「異物評価」と同様の方法で、異物の評価を行った。
(濾過性の評価)
得られた赤外線透過型感光性着色組成物10gを窒素圧(0.3MPa)にて、フィルタ(φ0.2μm、ADVANTEC社製、型番;39115221)に通し、フィルタを通して得られた量を測定し、下記判定基準で評価した。尚、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。

◎:濾過量が8.0g以上
〇:濾過量が5.0g以上 8.0g未満
△:濾過量が3.0g以上 5.0g未満
×:濾過量が3.0g以下
(隠ぺい性の評価)
得られた赤外線透過型感光性着色組成物を、100mm×100mm、1.1mm厚のガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布し、70℃で20分乾燥した後に、超高圧水銀ランプを用いて積算光量150mJ/cm2で基板全面に紫外線露光を行い、塗膜を光硬化させた。ついで230℃で20分間加熱、放冷し、熱処理後の塗膜の800nmの透過率(T)が、紫外可視近赤外分光光度計を用いて測定してT=20%となるよう塗布基板を作製した。作製した基板の400〜700nm領域の最大透過率を測定することで可視領域の隠ぺい性を評価した。尚、◎は非常に良好なレベル、○は良好なレベル、△は実用可能なレベル、×は実用には適さないレベルである。
◎:最大透過率が3.0%未満
〇:最大透過率が3.0%以上、5.0%未満
△:最大透過率が5.0%以上、7.0%未満
×:最大透過率が7.0%以上
以上の方法で評価した結果を表8および表9に示す。
Figure 2021184031
Figure 2021184031
Figure 2021184031
感光性着色組成物においても、実施例37〜72、比較例12〜22で示した着色組成物と同様の結果となった。
<各種の用途でのフィルム作製>
上記の結果から、実施例で作成した光学フィルムは、その優れた特性により、近赤外線カメラ、監視カメラ、車載用カメラ、医療用カメラ、検査・分析カメラ、温度センサ、距離センサ、医療用センサ、ディスプレイなどのタッチセンサ、生体認証センサなどに用いた場合に好適に使用できることが予想される。

Claims (9)

  1. 着色剤(A)、樹脂型分散剤(B)、および有機溶剤を含む赤外線透過型着色組成物であって、着色剤(A)が、着色剤(A)の合計100質量%中、C.I.ピグメントブルー15:6を45〜60質量%、C.I.ビグメントイエロー139を10〜30質量%、およびC.I.ピグメントバイオレット23を15〜35質量%含み、樹脂型分散剤(B)が、酸価30〜80mgKOH/gである酸性樹脂型分散剤(B1)を含むことを特徴とする赤外線透過型着色組成物。
  2. 酸性樹脂型分散剤(B1)が、少なくとも1つの末端に水酸基を有する重合体と、トリカルボン酸無水物又はテトラカルボン酸二無水物との反応生成物、および/または水酸基を有する化合物の水酸基と、トリカルボン酸無水物又はテトラカルボン酸二無水物の酸無水物基との反応生成物の存在下に、エチレン性不飽和単量体を重合する反応生成物である樹脂型分散剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の赤外線透過型着色組成物。
  3. 酸性樹脂型分散剤(B1)が、酸価30〜50mgKOH/gである酸性樹脂型分散剤(B1−1)、および酸価55〜80mgKOH/gである酸性樹脂型分散剤(B1−2)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の赤外線透過型着色組成物。
  4. 更に、色素誘導体(C)を含有することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の赤外線透過型着色組成物。
  5. 色素誘導体(C)がフタロシアニン系色素誘導体であることを特徴とする請求項4に記載の赤外線透過型着色組成物。
  6. さらに光重合性単量体および/または光重合開始剤を含有する請求項1〜5いずれか1項に記載の赤外線透過型着色組成物。
  7. 請求項1〜6いずれかに記載の赤外線透過型着色組成物を用いて作製したフィルタセグメントを有する赤外線フィルタ。
  8. 請求項7に記載の赤外線フィルタを具備する赤外線カメラ。
  9. 請求項7に記載の赤外線フィルタを具備する赤外線センサ。
JP2020089183A 2020-05-21 2020-05-21 赤外線透過型着色組成物、赤外線フィルタ、赤外線カメラ、および赤外線センサ Active JP7512673B2 (ja)

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