JP2021181970A - Ae波検出装置、腐食検知システム、および構造物の腐食検知方法 - Google Patents
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Abstract
Description
非特許文献2では、ラム波AE信号を監視することにより、円筒形タンクの下部プレートの腐食の調査結果が示されている。より詳しくは、AE信号により特定された腐食ゾーンが、超音波テストによって検出された壁の減少ゾーンとよく一致していることを明らかにすることにより、円筒形タンクからのAE信号を監視することで腐食ゾーンの正確な位置を把握している。
請求項2に記載された発明は、前記付与手段により付与される前記環境ストレスは、加熱と冷却との繰り返しであることを特徴とする請求項1記載のAE波検出装置である。
請求項3に記載された発明は、板状または管状からなる鋼製の構造物に設置されたAEセンサから、当該構造物の環境ストレスが付与された所定箇所からのAE波を取得するAE波取得手段と、取得した前記AE波から前記構造物の腐食の程度に関する情報を出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする腐食検知システムである。
請求項4に記載された発明は、前記AE波取得手段は、気温差または前記構造物の温度差により誘発される前記所定箇所からのAE波を取得することを特徴とする請求項3記載の腐食検知システムである。
請求項5に記載された発明は、前記AE波取得手段は、前記所定箇所に対し前記環境ストレスとして加熱と冷却との繰り返しを付与したときのAE波を取得することを特徴とする請求項3記載の腐食検知システムである。
請求項6に記載された発明は、前記AE波取得手段から取得した前記AE波から伝播モードを分析する伝播モード分析手段、を更に備え、前記出力手段は、分析した前記伝播モードより得られた前記構造物の腐食の程度に関する情報を出力することを特徴とする請求項3記載の腐食検知システムである。
請求項7に記載された発明は、前記AE波取得手段から取得した前記AE波から対称モードおよび非対称モードを含む伝播モードの強さを把握する強さ把握手段、を更に備え、前記出力手段は、把握した前記伝播モードの強さを用いて得られた前記構造物の腐食の程度に関する情報を出力することを特徴とする請求項3記載の腐食検知システムである。
請求項8に記載された発明は、前記腐食の程度に関する情報は、腐食の減肉量または減肉率をユーザが判断できる情報であること、を特徴とする請求項3乃至7何れか1項記載の腐食検知システムである。
請求項9に記載された発明は、板状または管状からなる鋼製の構造物に設置されたAEセンサから、当該構造物の環境ストレスが付与された所定箇所からのAE波を取得し、取得した前記AE波から前記構造物の腐食の程度に関する情報を出力する、ことを特徴とする構造物の腐食検知方法である。
請求項10に記載された発明は、板状または管状からなる鋼製の構造物の腐食により発生するAE波の対称モードおよび非対称モードを含む伝播モードと当該構造物の腐食の深さとの関係を記憶し、前記構造物に設置されたAEセンサから当該構造物の環境ストレスが付与された所定箇所からの検出AE波を取得し、取得した前記検出AE波に含まれる対称モードおよび非対称モードを含む伝播モードを取り出し、取り出した前記伝播モードを、記憶された前記関係に当てはめ、前記検出AE波の元となった前記構造物の腐食の深さを把握する、ことを特徴とする構造物の腐食検知方法である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される信号処理システム1のシステム構成を示す図である。
信号処理システム1は、配管などの鋼管や鉄橋などの鋼板の、錆などによる腐食や亀裂の状態を検知する腐食検知システムとして機能する。この信号処理システム1は、鋼管や鋼板などの鋼製の構造物に設置されるAE波検出装置10と、このAE波検出装置10からの信号を処理する信号処理装置30とを有している。また、信号処理装置30とネットワーク90を介して接続され、腐食の状態を判断するとともに、信号処理システム1の全体を制御するサーバ50を備えている。さらに、ネットワーク90を介して構造物の腐食の状態に関する情報を取得するユーザ端末70を備えている。信号処理装置30およびサーバ50は、各々、単体の装置として、本件の腐食検知システムの一例として機能する場合がある。AE波検出装置10が設置される鋼製の構造物の形状は、板状や管状であり、その厚さは10mm以下、好ましくは3mm〜8mm程度である。
まず、AE波検出装置10の機能構成について説明する。
図2は、本実施の形態が適用されるAE波検出装置10の機能構成を示した図である。AE波検出装置10は、構造物の腐食により発生するAE波を電気信号(AE信号)に変換して出力するAEセンサ11と、AEセンサ11から出力された微弱なAE信号を増幅するプリアンプ(増幅器)12とを備えている。また、構造物の腐食が発生した箇所である腐食部に対して環境ストレスを付与する付与手段の一つである熱源13と、熱源13を構造物に固定する固定部14とを備えている。また、構造物に取り付けられ、熱源13が備えられた近傍の構造物の表面温度を測定する温度センサ15を備えている。
次に、AE波検出装置10にて行われるAE波の検出処理について説明する。
図3(A),(B)は、AE波検出装置10にて行われるAE波検出処理を示すフローチャートである。図3(A)は、第1の処理として、制御部20の制御のもと、電圧調整器16および熱源13により測定部位に対して環境ストレスを付与した際の検出処理を示している。また、図3(B)は、第2の処理として、変化情報取得部21にて取得された環境ストレスの情報をもとに行われる検出処理を示している。
次に、信号処理装置30の機能構成について説明する。
図4は、本実施の形態が適用される信号処理装置30の機能構成を示す図である。信号処理装置30の情報取得部31は、プリアンプ12から取得したAE波の電気信号から、解析のために必要となる周波数帯域の信号を取り出すフィルタ311と、フィルタ処理後のAE信号を再度、増幅するメインアンプ312とを含む。また、測定部位に付与された環境ストレスの情報である環境ストレス情報を取得する環境ストレス情報取得部313を有する。ここで取得する環境ストレス情報としては、図2に示す温度センサ15にて検出されデータ記録計17にて記録された情報である。例えば、この環境ストレス情報取得部313にて取得される情報をもとに信号処理装置30の主動作部の起動をON/OFFさせる。これにより電力を削減でき、例えば信号処理装置30がバッテリ駆動されているような場合には、放電を軽減して持続時間を長引かせることができる。
まず、腐食により発生するAE波には、2種類の伝播モードが含まれる。伝播速度の速い対称モードと、伝播速度の遅い非対称モードである。構造物が板状部材である場合には、対称モードをSモード、非対称モードをAモードと呼ぶ。一方、構造物が管状部材である場合には、対称モードをLモード、非対称モードをFモードと呼ぶ。
図6は、判定情報記憶部333に記憶された判定情報の一例を示した図である。ここでは、構造物として管状部材についての判定の例で説明し、対称モードであるLモードと、非対称モードであるFモードとの音源深さによる伝播モード変化を例に挙げている。図6に示す例では、横軸が減肉率(%)、縦軸がL/F強度比であり、これらの関係が示されている。ここで「減肉率」とは、腐食の程度として、健全な状態である管状部材の肉厚に対する腐食部の深さ(減肉量)の割合を示しており、減肉率が20%であるといえば、管状部材の厚みが健全な状態の4/5になっていることを示している。また、「L/F強度比」は、Lモードの強度をFモードの強度で除した値である。LモードおよびFモードとして、それぞれ着目すべき周波数におけるピーク強度を抽出し、これらの比によって「L/F強度比」が算出される。
なお、ここでは、L/F強度比と減肉率との関係を示し、音源深さを定量評価しているが、対称モードと腐食深さとの関係が把握できれば、各モードの比や減肉率の関係だけに限定されない。判定情報記憶部333には、構造物の腐食により発生するAE波の対称モードの伝播モードと、この構造物の腐食の深さとの関係が記憶されていればよい。また、構造物が板状部材である場合には、対称モードであるSモードと、非対称モードであるAモードとの関係が記憶されていてもよい。例えば、図5(C)の丸印である、対称モードであるSモードと減肉量との関係を記憶する態様もある。
図8は、信号処理装置30にて実行される構造物の腐食検知方法を示すフローチャートである。この図8では、AE波の対称モード、または対称モードおよび非対称モードの伝播モードから腐食の程度を把握する処理について説明する。
まず、信号処理装置30の判定情報記憶部333に、伝播モードと腐食深さとの関係を判定情報として記憶する(ステップ301)。ここでは、例えば、実験値として腐食を発生させた際に信号処理装置30により分析された対称モード、または対称モードおよび非対称モードの伝播モードと、その実験の際にユーザが入力した腐食深さとから生成された判定情報が記憶される。この判定情報としては、例えば図5(C)に示すような、減肉量とSモードのウェーブレット係数強度との関係や、図4に示すような、L/F強度比と浸食の程度(例えば減肉率)との関係などが記憶される。
なお、ステップ312による環境ストレスの付与の終了は、必要な数や質のAE信号が得られた段階で止めることになる。しかしながら、環境ストレスの付与の回数と信号発生の回数には、環境や条件によって大きなばらつきが予想される。そこで、例えば構造物毎に必要なAE信号の量と質を予め定め、その量と質のAE信号が得られた時点で環境ストレスの付与を停止する、という制御を行ってもよい。
次に、サーバ50の機能構成について図9および図10を用いて説明する。ここでは、腐食判定処理を信号処理装置30とサーバ50とにより行うものとして記載している。なお、実施の形態1と同様の機能については同様の符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
まず、サーバ50の判定情報記憶部333に、伝播モードと腐食深さとの関係を判定情報として記憶する(ステップ501)。
判定処理にて、サーバ50の情報取得部52は、信号処理装置30から通信部51を介して環境ストレス情報を取得する(ステップ502)。情報取得部52は、環境ストレスの付与が開始されたか否かを判断する(ステップ503)。環境ストレスが付与されていない場合には(ステップ503でNO)ステップ502に戻り、環境ストレスが付与されている場合には(ステップ503でYES)、信号処理装置30から通信部51を介してAE波を取得する(ステップ504)。取得するAE波は、AE発生の都度でも良いし、複数のAE波が束となったものを取得してもよい。サーバ50の処理部53における伝播モード分析部321は、取得したAE波から伝播モードを分析する(ステップ505)。次に、発生位置特定部322は、腐食の発生箇所を特定する(ステップ506)。腐食の発生箇所が、構造物の測定部位である場合には(ステップ507でYES)、ステップ508以降の処理となり、腐食の発生箇所が、構造物の測定部位でない場合(ステップ507でNO)には、ステップ502へ戻る。
Claims (10)
- 板状または管状からなる鋼製の構造物の所定箇所に環境ストレスを付与する付与手段と、
前記構造物に設置され、前記環境ストレスが付与された前記所定箇所からのAE波を検知するAEセンサと、
前記AEセンサにより検知されたAE波に関する情報を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とするAE波検出装置。 - 前記付与手段により付与される前記環境ストレスは、加熱と冷却との繰り返しであることを特徴とする請求項1記載のAE波検出装置。
- 板状または管状からなる鋼製の構造物に設置されたAEセンサから、当該構造物の環境ストレスが付与された所定箇所からのAE波を取得するAE波取得手段と、
取得した前記AE波から前記構造物の腐食の程度に関する情報を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする腐食検知システム。 - 前記AE波取得手段は、気温差または前記構造物の温度差により誘発される前記所定箇所からのAE波を取得することを特徴とする請求項3記載の腐食検知システム。
- 前記AE波取得手段は、前記所定箇所に対し前記環境ストレスとして加熱と冷却との繰り返しを付与したときのAE波を取得することを特徴とする請求項3記載の腐食検知システム。
- 前記AE波取得手段から取得した前記AE波から伝播モードを分析する伝播モード分析手段、を更に備え、
前記出力手段は、分析した前記伝播モードより得られた前記構造物の腐食の程度に関する情報を出力することを特徴とする請求項3記載の腐食検知システム。 - 前記AE波取得手段から取得した前記AE波から対称モードおよび非対称モードを含む伝播モードの強さを把握する強さ把握手段、を更に備え、
前記出力手段は、把握した前記伝播モードの強さを用いて得られた前記構造物の腐食の程度に関する情報を出力することを特徴とする請求項3記載の腐食検知システム。 - 前記腐食の程度に関する情報は、腐食の減肉量または減肉率をユーザが判断できる情報であること、を特徴とする請求項3乃至7何れか1項記載の腐食検知システム。
- 板状または管状からなる鋼製の構造物に設置されたAEセンサから、当該構造物の環境ストレスが付与された所定箇所からのAE波を取得し、
取得した前記AE波から前記構造物の腐食の程度に関する情報を出力する、
ことを特徴とする構造物の腐食検知方法。 - 板状または管状からなる鋼製の構造物の腐食により発生するAE波の対称モードおよび非対称モードを含む伝播モードと当該構造物の腐食の深さとの関係を記憶し、
前記構造物に設置されたAEセンサから当該構造物の環境ストレスが付与された所定箇所からの検出AE波を取得し、
取得した前記検出AE波に含まれる対称モードおよび非対称モードを含む伝播モードを取り出し、
取り出した前記伝播モードを、記憶された前記関係に当てはめ、前記検出AE波の元となった前記構造物の腐食の深さを把握する、
ことを特徴とする構造物の腐食検知方法。
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