JP2021181837A - 熱処理炉 - Google Patents
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Abstract
【課題】水平かつ搬送方向と垂直な方向に並べて載置される複数の被処理物を安定して搬送する。【解決手段】熱処理炉は、被処理物を熱処理する。熱処理炉は、被処理物を熱処理する熱処理空間を備える熱処理部と、熱処理部に配置され、被処理物を熱処理空間の一端から他端まで搬送する複数の搬送ローラと、複数の搬送ローラを駆動する駆動装置と、を備えている。複数の搬送ローラのそれぞれは、被処理物が載置されていない無負荷状態における当該搬送ローラの反り量をZとし、被処理物が載置された負荷状態における当該搬送ローラの撓み量をδとしたときに、撓み量δ≧反り量Zの関係が成立している。【選択図】図1
Description
本明細書に開示する技術は、被処理物を熱処理する熱処理炉に関する。
熱処理炉(例えば、ローラーハースキルン等)を用いて、被処理物を熱処理することがある。この種の熱処理炉は、複数の搬送ローラを備えており、搬送ローラに被処理物を載置した状態で搬送ローラを回転させることによって被処理物を搬送する。例えば、特許文献1には、熱処理炉の一例が開示されている。
この種の熱処理炉では、生産性を高くするため、搬送ローラ上に搬送方向(以下、第1方向ともいう)と垂直かつ水平な方向(以下、第2方向ともいう)に複数の被処理物を並べて載置し、これら複数の被処理物を同時に搬送することがある。このような場合には、複数の被処理物は第2方向に並んだ状態で同時に熱処理炉内に搬入されて搬送される。しかしながら、搬送ローラには、製造時に反りが生じることがある。被処理物の搬送時に搬送ローラに反りが生じていると、被処理物と搬送ローラとの接触面積が狭くなる。すると、被処理物の搬送が不安定になり、搬送中に搬送物が傾いてしまうことがある。この問題は、特に被処理物の搬送距離が長い熱処理炉において顕著となる。被処理物が傾いて搬送されると被処理物の蛇行が生じ、第2方向に並んで載置される他の搬送物の搬送を妨害したり、熱処理炉内の側壁に衝突したりするという問題が生じ得る。
本明細書は、水平かつ搬送方向と垂直な方向(第2方向)に並べて載置される複数の被処理物を安定して搬送する技術を開示する。
本明細書に開示する熱処理炉は、被処理物を熱処理する。熱処理炉は、被処理物を熱処理する熱処理空間を備える熱処理部と、熱処理部に配置され、被処理物を熱処理空間の一端から他端まで搬送する複数の搬送ローラと、複数の搬送ローラを駆動する駆動装置と、を備えている。複数の搬送ローラのそれぞれは、被処理物が載置されていない無負荷状態における当該搬送ローラの反り量をZとし、被処理物が載置された負荷状態における当該搬送ローラの撓み量をδとしたときに、撓み量δ≧反り量Zの関係が成立している。
上記の熱処理炉では、複数の搬送ローラのそれぞれについて撓み量δ≧反り量Zの関係が成立する。すなわち、搬送ローラに被処理物が載置されると、その撓み量δが搬送ローラの反り量Zより大きくなり易く、撓み量δが反り量Zより小さくなることが抑制できる。このため、被処理物が搬送ローラに載置されたときの当該搬送ローラと被搬送物との接触面積が狭くなりすぎることを抑制することができる。このため、被搬送物の搬送を安定化することができる。
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
(特徴1)本明細書が開示する熱処理炉では、搬送ローラの反り量Zは、当該搬送ローラに外力が作用しない状態で、その両端を自由支持したときに測定される最大の反り量であってもよい。搬送ローラの撓み量δは、反り量が0となる理想的な搬送ローラにおいて、被処理物を載置したときに発生する外力を作用させた状態で、その両端を自由支持したときに算出される最大の撓み量であってもよい。このような構成によると、反り量Zと撓み量δの関係が成立するように熱処理炉を製造することができ、撓み量δ≧反り量Zの関係をより確実に成立させることができる。
(特徴2)本明細書が開示する熱処理炉では、被処理物は、n本(≧2)の搬送ローラに支持される寸法(具体的には、1個の被処理物の搬送方向の寸法)を有していてもよい。被処理物の質量をMとすると、搬送ローラの撓み量δは、被処理物が載置される位置にM/nの点荷重又は分布荷重が作用するとして算出されてもよい。このような構成によると、搬送ローラの撓み量δを好適に算出することができる。
(特徴3)本明細書が開示する熱処理炉では、搬送ローラの軸長をLとすると、搬送ローラの反り量Zは0.001×L以下であってもよく、搬送ローラの撓み量δは0.001×L〜0.0015×Lの範囲内となってもよい。このような構成によると、被処理物を搬送ローラ上に載置したときに、搬送ローラを好適な範囲内に撓ませることができる。このため、被搬送物の搬送をより安定化することができる。
以下、実施例に係る熱処理炉10について説明する。図1に示すように、熱処理炉10は、熱処理部20と、搬入部34と、搬出部40と、搬送装置50を備えている。熱処理炉10は、搬送装置50によって被処理物12が熱処理部20内を搬送される間に、被処理物12を熱処理する。
被処理物12としては、例えば、セラミックス製の誘電体(基材)と電極とを積層した積層体や、リチウムイオン電池の正極材や負極材等が挙げられる。熱処理炉10を用いてセラミック製の積層体を熱処理する場合には、これらを平板状のセッターに載置して炉内を搬送することができる。また、熱処理炉10を用いてリチウムイオン電池の正極材や負極材を熱処理する場合には、これらを箱状の匣鉢に収容して炉内を搬送することができる。本実施例の熱処理炉10では、搬送ローラ52(後述)上に複数のセッターや匣鉢を搬送方向に並んだ状態で載置して搬送することができる。以下、本実施例においては、熱処理する物質と、その熱処理する物質を載置したセッターや収容した匣鉢を合わせた全体を「被処理物12」という。また、以下の説明では、被処理物12を搬送する方向(図1のYZ平面に垂直な方向)を「搬送方向」又は「第1方向」と称することがあり、水平かつ第1方向に垂直な方向(図1のXZ平面に垂直な方向)を「第2方向」と称することがある。
熱処理部20は、略直方形の箱型の炉体を備えており、炉体の内部には周囲を外壁22で囲まれた空間24が設けられている。外壁22の前端面(図1の−X側の端面)には、開口26が形成されており、外壁22の後端面(図1の+X側の端面)には、開口28が形成されている。被処理物12は、搬送装置50によって開口26から熱処理部20内に搬送され、開口28から熱処理部20外へ搬送される。すなわち、開口26は熱処理部20の搬入口として用いられ、開口28は熱処理部20の搬出口として用いられる。
空間24には、複数の搬送ローラ52と、複数のヒータ30、32が配置されている。ヒータ30は、搬送ローラ52の上方の位置に搬送方向に等間隔で配置され、ヒータ32は搬送ローラ52の下方の位置に搬送方向に等間隔で配置されている。ヒータ30,32が発熱することで、空間24内が加熱される。なお、本実施例では、ヒータ30、32はそれぞれ搬送方向に等間隔で配置されているが、このような構成に限定されない。ヒータは、例えば、被処理物12の種類や熱処理部20の熱処理の条件等に合わせて、所望の位置に適宜変更して配置してもよい。また、本実施例では、空間24内にヒータ30、32を配置しているが、このような構成に限定されない。空間24内を加熱できればよく、例えば、空間24内にガスバーナー等を設置してもよい。
図2に示すように、熱処理部20では、被処理物12は第2方向に複数並べて搬送される。本実施例では、熱処理部20(すなわち、熱処理炉10全体)において、3つの被処理物12を第2方向に並べて搬送する。このため、本実施例では、熱処理部20の第2方向の寸法は、被処理物12を第2方向に3つ並べた寸法より大きくされているが、熱処理部20の第2方向の寸法は、特に限定されない。熱処理部20の第2方向の寸法は、被処理物12を第2方向に3つより多く並べて搬送可能な大きさであってもよい。また、被処理物12は、第2方向に3つより多く並べて搬送してもよいし、3つより少なく並べて搬送してもよい。また、熱処理部20の搬送方向の寸法は、約100mと比較的大きくなっているが、熱処理部20の搬送方向の寸法は、特に限定されない。例えば、熱処理部20の搬送方向の寸法は、100mより小さくてもよく、30m〜100mであってもよいし、100mより大きくてもよい。なお、被処理物12は、搬送方向に所定の間隔を空けて熱処理部20に連続して搬入される。このため、被処理物12は、第2方向だけでなく搬送方向にも並んで配置されていることになる。
搬入部34は、熱処理部20の上流側(すなわち、搬送方向の上流側であり、図1では熱処理部20の−X方向)に位置している。搬入部34は、熱処理炉10の外部から運ばれる被処理物12を受け取り、受け取った被処理物12を熱処理部20の空間24内に搬入する。搬入部34には、搬送ローラ52が設置されており、熱処理炉10の外部から運ばれた被処理物12を搬送ローラ52によって搬送する。
搬出部40は、熱処理部20の下流側(すなわち、搬送方向の下流側であり、図1では熱処理部20の+X方向)に位置している。搬出部40は、熱処理部20の空間24から被処理物12を搬出し、搬出された被処理物12を熱処理炉10の外部に受け渡す。搬出部40には、搬送ローラ52が設置されており、被処理物12を搬送ローラ52によって空間24外に搬送する。
搬送装置50は、複数の搬送ローラ52と、駆動装置60と、制御装置62を備えている。搬送装置50は、搬入部34に運ばれた被処理物12を、搬入部34から開口26を通って熱処理部20の空間24内に搬送する。さらに、搬送装置50は、空間24内において、開口26から開口28まで被処理物12を搬送する。そして、搬送装置50は、空間24から開口28を通って搬出部40まで被処理物12を搬送する。被処理物12は、搬送ローラ52によって搬入部34から搬出部40まで搬送される。
搬送ローラ52は円筒状であり、その軸線は搬送方向と直交する方向に伸びている。複数の搬送ローラ52は、全て同じ直径を有しており、搬送方向に一定のピッチで等間隔に配置されている。なお、本実施例では、熱処理炉10に設置される搬送ローラ52は全て同じ直径を有しているが、このような構成に限定されない。熱処理部20に設置される搬送ローラが全て同じ直径を有しており、搬入部34に設置される搬送ローラが全て同じ直径を有しており、搬出部40に設置される搬送ローラが全て同じ直径を有していればよく、熱処理部20に設置される搬送ローラの直径は、搬入部34及び搬出部40に設置される搬送ローラと異なる直径であってもよい。また、熱処理部20に設置される搬送ローラ52は、搬入部34及び搬出部40に設置される搬送ローラ52と異なるピッチで配置されてもよい。搬送ローラ52は、その軸線回りに回転可能に支持されており、駆動装置60の駆動力が伝達されることによって回転する。詳細には、搬送ローラ52は、軸線方向の一端(図2では+Y方向側の端部)が駆動装置60に接続されており、他端(図2では−Y方向側の端部)が自由端となっている。以下の説明では、搬送ローラ52の軸線方向において、搬送ローラ52が駆動装置60に接続される端部側(すなわち、+Y方向側)を「駆動側」と称することがあり、搬送ローラ52の自由端側(すなわち、−Y方向側)を「従動側」と称することがある。搬送ローラ52は、熱処理部20、搬入部34及び搬出部40に複数配置されている。搬送ローラ52の軸線方向の寸法は、熱処理部20の第2方向の寸法より大きい(図2参照)。
熱処理部20に配置される複数の搬送ローラ52は、被処理物12を搬送ローラ52上に載置したときに、被処理物12の荷重によって下方に撓むように設計されている。搬送ローラ52には、製造時に反りが生じることがある。熱処理部20に配置される搬送ローラ52は、被処理物12を搬送ローラ52上に載置したときに、製造時に生じた反り量より被処理物12の荷重による撓み量のほうが大きくなるように設計されている。
本実施例では、搬送ローラ52の製造時に生じた反り量(以下、「搬送ローラ52の反り量」ともいう)とは、搬送ローラ52を軸方向(すなわち、第2方向又はY方向)に沿ってみたときに、搬送ローラ52の軸方向の部位のうち反りが最も大きくなる部位の反り量の大きさをいう。換言すると、搬送ローラ52に外力が作用しない状態(すなわち、無負荷状態)で、その両端を自由支持したときに、搬送ローラ52の軸方向の部位のうち反りが最も大きくなる部位の反り量の大きさである。以下では、搬送ローラ52の反り量をZとする。搬送ローラ52の反り量Zは、例えば、ダイヤルゲージ等の測定器を用いて測定されてもよい。具体的には、搬送ローラ52の軸方向のある部位にダイヤルゲージを設置し、搬送ローラ52を軸線周りに一回転させ、搬送ローラ52が最も上方に位置するときと搬送ローラ52に反りがない状態との差を測定する。搬送ローラ52の軸方向の複数の部位において同様の測定を実行し、反り量が最も大きい部位の反り量を、その搬送ローラ52の反り量としてもよい。本実施例では、反り量Zが搬送ローラ52の軸長(すなわち、第2方向又はY方向の寸法)Lの0.1%以内となっている搬送ローラ52が、熱処理部20に配置される。
また、搬送ローラ52の被処理物12の荷重による撓み量(以下、「搬送ローラ52の撓み量」ともいう)とは、搬送ローラ52に反りが全く生じていない場合において、被処理物12を搬送ローラ52上に載置したときに、搬送ローラ52が被処理物12の荷重によって最も撓んだ位置の撓み量の大きさをいう。換言すると、反り量が0となる理想的な搬送ローラ52において、その両端を自由支持した状態で、被処理物12を載置したときに発生する外力(仮想的な外力)を作用させたときに、搬送ローラ52が被処理物12の荷重によって最も撓んだ位置の撓み量の大きさである。以下では、搬送ローラ52の撓み量をδとする。搬送ローラ52の撓み量δは、搬送ローラ52の材質や形状、及び被処理物12の質量等に基づいて算出される。搬送ローラ52の撓み量δは、計算による理論値を用いることができ、その算出方法は、下記に例示するものに特に限定されない。また、搬送ローラ52に被処理物12を実際に載置し、そのときの撓み量δを計測してもよい。
ここで、搬送ローラ52の撓み量δを算出する算出方法の一例を説明する。図3に示すように、搬送ローラ52は、軸線方向に、被処理物12が載置されない端部側の領域A,Bと、被処理物12が載置される中央の領域Cに分割できる。搬送ローラ52の撓み量δを算出する際には、領域Cの範囲内に被処理物12の質量Mが等分布荷重として作用するものとする。ここで、被処理物12の質量Mは、被処理物12を第2方向(すなわち、Y方向)に複数並べて載置する場合には、第2方向に並べた複数の被処理物12の質量の合計とする。例えば、図3では、被処理物12の質量Mは、第2方向に並べた3個の被処理物12の質量の合計となる。また、被処理物12を搬送ローラ52上に載置したとき、被処理物12は、n本(nは整数であり、n≧2)の搬送ローラ52に亘って支持される。被処理物12の載置状態により被処理物12を支持する搬送ローラ52の本数が変化する場合には、その最小本数をnの値とする。例えば、図1では、被処理物12は3本の搬送ローラ52に亘って支持されている。しかしながら、被処理物12の載置状態によっては(例えば、搬送方向(X方向)にずらした場合には)、被処理物12は4本の搬送ローラ52によって支持される状態になり得る。すなわち、図1では、被処理物12は3〜4本の搬送ローラ52に支持される。したがって、nの値は最小本数の3となる。搬送ローラ52の撓み量δは、領域CにM/nの等分布荷重が作用するものとして算出される。なお、搬送ローラ52の撓み量δを算出する際には、搬送ローラ52の自重による撓みを考慮してもよい。これによって、搬送ローラ52の撓み量δをより精度よく算出できる。また、被処理物12の質量Mが点布荷重として作用するものとして搬送ローラ52の撓み量δを算出してもよい。また、室温で戴置しているものとして搬送ローラ52の撓み量δを算出してもよい。本実施例では、熱処理部20に配置される搬送ローラ52は、撓み量δが、搬送ローラ52の軸長(すなわち、第2方向又はY方向の寸法)Lの0.1%〜0.15%となるように設計される。
なお、搬送ローラ52に作用する荷重は、搬送ローラ52の状態(例えば、最大の反りが生じる位置及びその反り量等)や搬送ローラ52の温度によって変化する。したがって、搬送中に生じる搬送ローラ52の実際の撓み量δは、上記した算出方法によって算出された撓み量とは異なることとなる。しかしながら、熱処理炉10で被処理物12を熱処理する際は、熱処理炉10内に連続して被処理物12が投入され、また、搬送ローラ52の反り量も全長Lの0.1%以内と比較的小さな値に抑えられる。これらのため、上記のように理想的な状態を前提として撓み量δを計算しても、被搬送物の搬送の安定化を好適に実現することができる。
本実施例の熱処理炉10では、熱処理部20に、撓み量δ≧反り量Zの関係が成立するように搬送ローラ52が配置される。このため、熱処理部20では、搬送ローラ52上に被処理物12が載置されると、搬送ローラ52が反った状態にならず、わずかに撓んでいるか、又は反りも撓みもない状態となる。なお、上述したように、搬送ローラ52に実際に生じる撓み量は、設計時に算出された撓み量δとは異なることとなる。このため、状況によっては(搬送ローラ52の実際の撓み量)<(搬送ローラ52の反り量Z)となる場合が生じ得る。しかしながら、撓み量δ≧反り量Zの関係が成立するように設計することで、搬送ローラ52が反った状態とならない状態が支配的となり、被処理物12の蛇行を効果的に抑制することができる。
また、本実施例では、搬送ローラ52の両端部は、機械加工されている。すなわち、搬送ローラ52の駆動側の端部が機械加工されていると共に、搬送ローラ52の従動側の端部も機械加工されている。搬送ローラ52の駆動側の端部は、駆動装置60に接続するため、通常、金属製のキャップ(図示省略)が接合されている。搬送ローラ52の駆動側の端部は、この金属製のキャップと接合するために機械加工される。これによって、複数の搬送ローラ52間において、駆動側の端部は外径寸法のバラツキが比較的小さくなっている。一方、搬送ローラ52の従動側の端部は、自由端となっている。このため、従来の搬送ローラでは、従動側の端部は機械加工されていない。このため、従動側の端部は、複数の搬送ローラ間において外径寸法のバラツキが大きくなり、駆動側に配置される被処理物12の搬送速度と従動側に配置される被処理物12の搬送速度との間に差が生じることがある。すると、第2方向に並べて載置される他の被処理物12の搬送を妨害したり、熱処理炉10内の側壁に衝突したりするという問題が生じ得る。本実施例の搬送ローラ52は、駆動側の端部だけでなく、従動側の端部も機械加工されている。このため、複数の搬送ローラ52間において、駆動側の端部と従動側の端部のいずれも、外径寸法のバラツキが小さくなり、駆動側に配置される被処理物12の搬送速度と従動側に配置される被処理物12の搬送速度とに差が生じることを抑制することができる。このため、第2方向に並べて配置される複数の被処理物12の搬送速度の間に差が生じることを抑制することができ、第2方向に並べて載置される複数の被処理物12が蛇行して搬送されることを抑制することができる。なお、本実施例では、搬送ローラ52の駆動側の端部が機械加工されていると共に、搬送ローラ52の従動側の端部も機械加工されているが、このような構成に限定されない。搬送ローラ52は、撓み量δ≧反り量Zの関係が成立するように設計されていればよく、搬送ローラ52の従動側の端部は、機械加工されていなくてもよい。
駆動装置60(図1参照)は、搬送ローラ52を駆動する駆動装置(例えば、モータ)である。駆動装置60は、動力伝達機構を介して、搬送ローラ52に接続されている。駆動装置60の駆動力が動力伝達機構を介して搬送ローラ52に伝達されると、搬送ローラ52は回転するようになっている。動力伝達機構としては、公知のものを用いることができ、例えば、スプロケットとチェーンによる機構が用いられている。駆動装置60は、搬送ローラ52が略同一の速度で回転するように、搬送ローラ52のそれぞれを駆動する。駆動装置60は、制御装置62によって制御されている。
次に、被処理物12を熱処理する際の熱処理炉10の動作について説明する。被処理物12を熱処理するためには、まず、ヒータ30、32を作動させて、空間24の雰囲気温度を設定した温度とする。次いで、3つの被処理物12を、熱処理炉10の外部から搬入部34に設置される搬送ローラ52上にそれぞれ移動させる。このとき、被処理物12は第2方向に3つ並べて載置される。次いで、駆動装置60を作動させて、搬入部34から開口26を通って、第2方向に並べた3つの被処理物12を熱処理部20の空間24内に搬送する。空間24内に搬送された被処理物12は、空間24内を開口26から開口28まで搬送される。これによって、被処理物12は熱処理される。そして、熱処理された被処理物12は、開口28を通って搬出部40に搬送され、搬出部40から運び出される。
搬送ローラ52には、製造時に反りが生じることがある。搬送ローラ52上に被処理物12を載置すると、被処理物12の質量によって搬送ローラ52が撓み、その撓み量は被処理物12の質量、被処理物12の載置位置、搬送ローラ52の材質や形状等によって決定される。しかしながら、搬送ローラ52の反り量が撓み量より大きいと、搬送ローラ52上に被処理物12を載置することによって搬送ローラ52が撓んでも、被処理物12が載置された搬送ローラ52は反った状態となる場合が生じる。被処理物12が載置されても搬送ローラ52が反った状態となる場合があると、被処理物12の下面と搬送ローラ52との接触面積が、搬送ローラ52の回転に伴って大きく変化する。具体的には、図4(a)に示すように、搬送ローラ52の反り方向が下方向となる回転位置に搬送ローラ52が位置するときは、搬送ローラ52と被処理物12との接触面積が比較的広くなる。すなわち、被処理物12は、Y方向の両端近傍で搬送ローラ52に接触する。一方、図4(b)に示すように、搬送ローラ52の反り方向が上方向となる回転位置に搬送ローラ52が位置するときは、搬送ローラ52と被処理物12との接触面積が狭くなる。すなわち、被処理物12は、Y方向の中央付近でのみ搬送ローラ52に接触する。このため、被処理物12が載置されても搬送ローラ52が反った状態になり得ると、搬送ローラ52と被処理物12の接触面積が周期的に変化し、搬送ローラ52による被処理物12の搬送が不安定な状態となり、被処理物12が蛇行し易くなる。
本実施例では、熱処理部20に、撓み量δ≧反り量Zの関係が成立している搬送ローラ52が配置される。このため、搬送ローラ52に反りが生じていても、搬送ローラ52上に被処理物12が載置されると搬送ローラ52は下方向に撓んだ状態となる。すなわち、本実施例では、搬送ローラ52上に被処理物12が載置されると、常に図4(a)に示すような状態(撓んだ状態)又は反りも撓みもない状態となり、図4(b)に示すような状態(反った状態)にはならない。このため、搬送ローラ52と被処理物12との接触面積が狭くなることを抑制できる。したがって、搬送ローラ52による被処理物12の搬送が不安定な状態となることを抑制することができ、被処理物12を安定して搬送することができる。
なお、本発明者が行なった実験によると、熱処理部20に配置される搬送ローラ52の撓み量δを、搬送ローラ52の軸長(すなわち、第2方向又はY方向の寸法)Lの0.1%〜0.15%とすることによって、被処理物12を安定して搬送できることが確認されている。図5に示すように、実験例1〜5において、炉長(熱処理部20の搬送方向の長さ)、搬送ローラ52一本あたりにかかる荷重、搬送ローラ52の軸長L、搬送ローラ52の撓み量δが異なる熱処理炉10で被処理物12を搬送した。実験例1及び2の熱処理炉10は、炉長が約50mであり、実験例3〜5の熱処理炉10は、炉長が約100mであった。実験では、外径が40mmの搬送ローラ52を用いた。また、搬送ローラ52の反り量Zが、搬送ローラ52の軸長(すなわち、第2方向又はY方向の寸法)Lの0.1%以内となっている搬送ローラ52を用いた。
搬送ローラ52一本あたりにかかる被処理物12の荷重は、被処理物12の質量(すなわち、第2方向に並べた複数の被処理物12の質量の合計)と、1つの被処理物12を支持する搬送ローラ52の数から算出した。例えば、実験例1では、質量が約11.26kgの被処理物12を第2方向に6個並べて搬送した。また、被処理物12は、4本の搬送ローラ52に支持された。したがって、実験例1では、搬送ローラ52一本あたりにかかる被処理物12の荷重は、約17kgと算出された。これらの被処理物12を、軸長Lが3,100mmの搬送ローラ52上に6個並べて載置したときに、搬送ローラ52に等分布荷重が作用するものとして、搬送ローラ52の撓み量δを算出した。その結果、実験例1では、搬送ローラ52の撓み量δは、3.5mmと算出された。搬送ローラ52の軸長Lは3,100mmであるため、搬送ローラ52の撓み量δは、搬送ローラ52の軸長Lの約0.11%となり、0.1%〜0.15%の間となった。実験例1の熱処理炉10で被処理物12を搬送したところ、被処理物12はほとんど蛇行することなく搬送され(図5の搬送評価が○)、被処理物12は安定して搬送されることが確認された。
実験例1と同様にして搬送ローラ52の撓み量δを算出したところ、実験例2では、搬送ローラ52の撓み量δが、2.5mmと算出され、搬送ローラ52の軸長L(実験例2では3,000mm)の約0.08%であった。すなわち、実験例2の熱処理炉10では、搬送ローラ52の撓み量δは、搬送ローラ52の軸長Lの0.1%より小さく、0.1%〜0.15%の間でなかった。実験例2の熱処理炉10で被処理物12を搬送したところ、被処理物12はわずかに蛇行して搬送され(図5の搬送評価が△)、被処理物12は安定して搬送されるとは言えなかった。したがって、実験例1及び2の結果から、炉長が約50mの熱処理炉10において、搬送ローラ52の撓み量δが搬送ローラ52の軸長Lの0.1%〜0.15%の間である場合には、搬送ローラ52の撓み量δが搬送ローラ52の軸長Lの0.1%より小さい場合と比較して、被処理物12を安定して搬送できることが確認できた。
また、実験例3〜5に示すように、炉長が約100mの熱処理炉10についても、同様に実験を実施した。実験例1と同様にして搬送ローラ52の撓み量δを算出したところ、実験例3では、搬送ローラ52の撓み量δが、4.5mmと算出され、搬送ローラ52の軸長L(実験例3では3,300mm)の約0.14%であった。実験例4では、搬送ローラ52の撓み量δが、3.0mmと算出され、搬送ローラ52の軸長L(実験例4では2,800mm)の約0.11%であった。実験例5では、搬送ローラ52の撓み量δが、2.0mmと算出され、搬送ローラ52の軸長L(実験例5では2,800mm)の約0.07%であった。すなわち、実験例3及び4の熱処理炉10では、搬送ローラ52の撓み量δは、0.1%〜0.15%の間であり、実験例5の熱処理炉10では、搬送ローラ52の撓み量δは、0.1%より小さかった。実験例3〜5の熱処理炉10で被処理物12を搬送したところ、実験例3及び4の熱処理炉10では、被処理物12はほとんど蛇行することなく搬送され(図5の搬送評価が○)、被処理物12は安定して搬送された一方、実験例5の熱処理炉10では、被処理物12は蛇行して搬送され(図5の搬送評価が×)、被処理物12は安定して搬送されなかった。したがって、実験例3〜5の結果から、炉長が約100mの熱処理炉10においても、搬送ローラ52の撓み量δが搬送ローラ52の軸長Lの0.1%〜0.15%の間である場合には、搬送ローラ52の撓み量δが搬送ローラ52の軸長Lの0.1%より小さい場合と比較して、被処理物12を安定して搬送できることが確認できた。
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
10:熱処理炉
12:被処理物
20:熱処理部
22:外壁
24:空間
26、28:開口
30、32:ヒータ
34:搬入部
40:搬出部
50:搬送装置
52:搬送ローラ
60:駆動装置
62:制御装置
12:被処理物
20:熱処理部
22:外壁
24:空間
26、28:開口
30、32:ヒータ
34:搬入部
40:搬出部
50:搬送装置
52:搬送ローラ
60:駆動装置
62:制御装置
Claims (4)
- 被処理物を熱処理する熱処理炉であって、
前記被処理物を熱処理する熱処理空間を備える熱処理部と、
前記熱処理部に配置され、前記被処理物を前記熱処理空間の一端から他端まで搬送する複数の搬送ローラと、
複数の搬送ローラを駆動する駆動装置と、を備えており、
前記複数の搬送ローラのそれぞれは、前記被処理物が載置されていない無負荷状態における当該搬送ローラの反り量をZとし、前記被処理物が載置された負荷状態における当該搬送ローラの撓み量をδとしたときに、撓み量δ≧反り量Zの関係が成立している、熱処理炉。 - 前記搬送ローラの反り量Zは、当該搬送ローラに外力が作用しない状態で、その両端を自由支持したときに測定される最大の反り量であり、
前記搬送ローラの撓み量δは、反り量が0となる理想的な搬送ローラにおいて、前記被処理物を載置したときに発生する外力を作用させた状態で、その両端を自由支持したときに算出される最大の撓み量である、請求項1に記載の熱処理炉。 - 前記被処理物は、n本(≧2)の前記搬送ローラに支持される寸法を有しており、
前記被処理物の質量をMとすると、前記搬送ローラの撓み量δは、前記被処理物が載置される位置にM/nの点荷重又は分布荷重が作用するとして算出される、請求項2に記載の熱処理炉。 - 前記搬送ローラの軸長をLとすると、前記搬送ローラの反り量Zは0.001×L以下であり、前記搬送ローラの撓み量δは0.001×L〜0.0015×Lの範囲内となる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱処理炉。
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JP2018107207A JP2021181837A (ja) | 2018-06-04 | 2018-06-04 | 熱処理炉 |
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JP2018107207A Pending JP2021181837A (ja) | 2018-06-04 | 2018-06-04 | 熱処理炉 |
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JPH10253259A (ja) * | 1997-03-12 | 1998-09-25 | Tokai Konetsu Kogyo Co Ltd | ローラハース炉用ローラ材及びその製造方法 |
JP4183108B2 (ja) * | 1999-12-20 | 2008-11-19 | 日本碍子株式会社 | リング付き炉内搬送用ローラーとその製造方法 |
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2018
- 2018-06-04 JP JP2018107207A patent/JP2021181837A/ja active Pending
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2019
- 2019-03-22 WO PCT/JP2019/012223 patent/WO2019235028A1/ja active Application Filing
- 2019-04-25 TW TW108114459A patent/TW202004111A/zh unknown
Also Published As
Publication number | Publication date |
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WO2019235028A1 (ja) | 2019-12-12 |
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