JP2021181754A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2021181754A
JP2021181754A JP2018146391A JP2018146391A JP2021181754A JP 2021181754 A JP2021181754 A JP 2021181754A JP 2018146391 A JP2018146391 A JP 2018146391A JP 2018146391 A JP2018146391 A JP 2018146391A JP 2021181754 A JP2021181754 A JP 2021181754A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
control device
combustion engine
internal combustion
rotating body
valve timing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018146391A
Other languages
English (en)
Inventor
保英 ▲高▼田
Yasuhide Takada
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Astemo Ltd
Original Assignee
Hitachi Astemo Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Astemo Ltd filed Critical Hitachi Astemo Ltd
Priority to JP2018146391A priority Critical patent/JP2021181754A/ja
Priority to PCT/JP2019/025725 priority patent/WO2020026659A1/ja
Publication of JP2021181754A publication Critical patent/JP2021181754A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01LCYCLICALLY OPERATING VALVES FOR MACHINES OR ENGINES
    • F01L1/00Valve-gear or valve arrangements, e.g. lift-valve gear
    • F01L1/34Valve-gear or valve arrangements, e.g. lift-valve gear characterised by the provision of means for changing the timing of the valves without changing the duration of opening and without affecting the magnitude of the valve lift
    • F01L1/344Valve-gear or valve arrangements, e.g. lift-valve gear characterised by the provision of means for changing the timing of the valves without changing the duration of opening and without affecting the magnitude of the valve lift changing the angular relationship between crankshaft and camshaft, e.g. using helicoidal gear
    • F01L1/356Valve-gear or valve arrangements, e.g. lift-valve gear characterised by the provision of means for changing the timing of the valves without changing the duration of opening and without affecting the magnitude of the valve lift changing the angular relationship between crankshaft and camshaft, e.g. using helicoidal gear making the angular relationship oscillate, e.g. non-homokinetic drive

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Valve Device For Special Equipments (AREA)

Abstract

【課題】摩擦プレートの小径化を図ることにより装置の大型化を抑制し得る内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供する。【解決手段】カムシャフト2の一端部2aの先端面2dとベーンロータのロータ部14の嵌合溝14bの底面14cとの間に配置された摩擦プレート71は、前記嵌合溝の底面と接触する表面の摩擦係数が底面の摩擦係数よりも高く、カムシャフトの前記先端面と接触する裏面の摩擦係数がカムシャフトの先端面の摩擦係数よりも高いプレート本体71aと、プレート本体がベーンロータの回転軸方向において前記嵌合溝に形成された凹部70に保持される一対の折り曲げ片71b、71cと、を有している。【選択図】図7

Description

本発明は、内燃機関の吸気弁や排気弁の開閉タイミングを制御するバルブタイミング制御装置に関する。
従来における内燃機関のバルブタイミング制御装置としては、以下の特許文献1に記載されたものがある。
このバルブタイミング制御装置において、ハウジング内に相対回転可能に収容されたベーンロータは、回転軸方向の一端面がカムシャフトの回転軸方向の一端部にカムボルトの締結力によって結合されている。また、ベーンロータの一端面とカムシャフトの一端部の先端面との間には、摩擦係数の高いフリクションディスクが挟まれている。
そして、前記カムボルトによる締結時に、前記フリクションディスクによって、ベーンロータとカムシャフトとの間の大きな摩擦トルクを得てベーンロータとカムシャフトの締結力が高められるようになっている。
フリクションディスクは、薄肉な円環板状に形成されて、外周縁の周方向の四箇所に所定長さのタブが径方向へ突出して設けられている。この各タブは、ベーンロータの前記嵌合溝の内周面に係り止めされて、フリクションディスク全体を嵌合溝内に保持するようになっている。これによって、フリクションディスクは、ベーンロータがカムボルトによってカムシャフトに締結される前において、前記嵌合溝内からの不用意な脱落が抑制されるようになっている。
米国特許番号 8453616 B2
しかしながら、前記従来のバルブタイミング制御装置にあっては、前記フリクションディスクの外周縁に、保持用の4つの前記タブが径方向へ一体に設けられていることから、このフリクションディスクの外径が大きくなって装置が大型化するおそれがある。
本発明は、前記従来の技術的課題に鑑みて案出されたもので、摩擦プレートの小径化を図ることにより装置の大型化を抑制し得る内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供することを一つの目的としている。
本発明の好ましい態様によれば、とりわけ、摩擦プレートは、従動回転体の端面と接触する第1接触面の摩擦係数が前記従動回転体の端面の摩擦係数よりも高く、前記カムシャフトの端面と接触する第2接触面の摩擦係数が前記カムシャフトの端面の摩擦係数よりも高い板状部と、前記板状部が前記従動回転体の回転軸方向において前記従動回転体または前記カムシャフトに保持される保持部と、を有していることを特徴としている。
本発明によれば、摩擦プレートの小径化によって装置の大型化を抑制することが可能になる。
本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の縦断面図である。 本実施形態のバルブタイミング制御装置の全体概略図である。 本実施形態に供される油圧制御弁の分解斜視図である。 本実施形態に供される摩擦プレートの斜視図である。 本実施形態に供されるベーンロータの正面図である。 同ベーンロータの斜視図である。 図5のA−A線断面図である。 本実施形態に供される油圧制御弁のスリーブを一部断面して示し、Aは後方側から視た斜視図、Bは前方側から視た斜視図である。 本発明の第2実施形態に供される摩擦プレートの斜視図である。 摩擦プレートがロータ部に保持された状態を示す断面図である。 本発明の第3実施形態に供される摩擦プレートの斜視図である。 本実施形態の摩擦プレートがロータ部に保持された状態を示す断面図である。 本発明の第4実施形態に供される摩擦プレートがカムシャフトに取り付けられる状態を示す分解斜視図である。 同じく摩擦プレートがカムシャフトに取り付けられた状態を示す正面図である。 本発明の第5実施形態に供される摩擦プレートと固定用ピンを示す斜視図である。 本実施形態の摩擦プレートがロータ部に保持された状態を示す断面図である。
以下、本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、内燃機関のバルブタイミング制御装置を吸気弁側に適用したものを示しているが、排気弁側に適用することも可能である。
図1は本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の一実施形態を断面して示す全体構成図、図2は本実施形態のバルブタイミング制御装置の油圧回路を示す全体概略図である。
バルブタイミング制御装置は、図1及び図2に示すように、機関のクランクシャフトにより図外のタイミングチェーンを介して回転駆動される駆動回転体であるタイミングスプロケット(以下、スプロケットという。)1と、スプロケット1に対して相対回転可能に設けられた吸気側のカムシャフト2と、スプロケット1とカムシャフト2との間に配置されて、該両者1,2の相対回転位相を変換する位相変更機構3と、該位相変更機構3を最遅角位相位置でロックさせるロック機構4と、位相変更機構3とロック機構4を作動させる油圧回路5と、を備えている。
なお、駆動回転体としては、タイミングベルトによって回転力が伝達されるタイミングプーリであっても良い。
スプロケット1は、円盤状に形成されて、外周にタイミングチェーンが巻回される歯車部1aと、中央に貫通形成されて、カムシャフト2の一端部2aの外周に回転自在に支持される軸受孔1bと、を有している。また、スプロケット1は、外周部の円周方向の4箇所に雌ねじ孔1cが周方向の等間隔位置に形成されている。このスプロケット1は、後述するハウジング6の後端開口を、液密的に閉塞するリアカバーとして構成されている。
カムシャフト2は、図外のシリンダヘッド上に複数のカム軸受を介して回転自在に支持されている。このカムシャフト2は、外周面の所定位置に図外の吸気弁をバルブスプリングのばね力に抗して開作動させる回転カムが軸方向の所定位置の気筒毎に固定されている。また、カムシャフト2の一端部2aの内部軸心方向には、後述するカムボルトとして機能するバルブボディ27が螺着される雌ねじ孔2bが形成されている。
位相変更機構3は、図1及び図2に示すように、内部に作動室を有するハウジング6と、ハウジング6内に回転自在に収容された従動回転体であるベーンロータ7と、ハウジング6の作動室内に形成された複数(本実施形態ではそれぞれ4つ)の遅角作動室9及び進角作動室10と、を備えている。
この各4つの遅角作動室9と進角作動室10は、後述するハウジング本体11の内周面に突設された4つのシュー8と、後述するベーンロータ7のベーン15a〜15dとによって仕切られている。
ハウジング6は、圧粉金属を焼結して成形されたいわゆる焼結金属材によって一体に形成された円筒状のハウジング本体11と、プレス成形によって形成され、ハウジング本体11の前端開口を閉塞するフロントカバー12と、後端開口を閉塞するリアカバーとしての前記スプロケット1と、から構成されている。
ハウジング本体11は、ほぼ円筒状に形成されて、内周面に4つのシュー8が突設されている。この各シュー8の内部軸方向には、4つのボルト挿入孔11aが貫通形成されている。なお、ハウジング本体11は、スプロケット1と一体に形成されていても良い。
フロントカバー12は、中央に比較的大径な挿入孔12aが貫通形成されている。このフロントカバー12は、挿入孔12aを除く内周面とベーンロータ7の対向一側面との間で各遅角、進角作動室9,10内をシールするようになっている。また、フロントカバー12は、外周部の周方向のほぼ等間隔位置の4箇所にそれぞれボルト13が挿入されるボルト挿通孔12bが貫通形成されている。
そして、スプロケット1とハウジング本体11及びフロントカバー12は、各ボルト挿通孔12bや各ボルト挿入孔10aを挿入して雌ねじ孔1cに螺着する4本のボルト13によって軸方向から結合されている。
図4は本実施形態に供される摩擦プレートの斜視図、図5は本実施形態に供されるベーンロータの正面図、図6は同ベーンロータの斜視図、図7は図5のA−A線断面図である。
ベーンロータ7は、図2、図5及び図6にも示すように、ハウジング本体11と同じく焼結金属材によって一体に形成されている。ベーンロータ7は、後述するバルブボディ27の締め付けトルクによって、カムシャフト2の一端部2aに摩擦プレート71を介して固定されたロータ部14と、該ロータ部14の外周面に円周方向のほぼ90°等間隔位置に放射状に突設された複数(本実施形態では4つ)のベーン15a〜15dと、から構成されている。
ロータ部14は、比較的大径な円筒状に形成され、中央の内部軸方向にカムシャフト2の雌ねじ孔2bと連続するボルト挿入孔14aが貫通形成されている。また、ロータ部14は、回転軸方向の一端面(カムシャフト2側の後端面)に円形状の嵌合溝14bが形成されている。この嵌合溝14bには、カムシャフト2の回転軸方向の一端部2aの先端部が回転軸方向の外側から嵌合するようになっている。
また、この嵌合溝14bは、円周方向の所定位置、つまりロータ部14の第1ベーン15aと径方向で対応する位置に、凹部70が形成されている。
この凹部70は、嵌合溝14bの端面である底面14cからコ字形状に切欠形成されて円周方向に長いほぼ長方体の空間になっている。また、凹部70は、底面70aから立ち上がった円周方向の対向する内側面である両側面70b、70cがベーンロータ7の回転軸方向に沿って形成されている。また、この凹部70の開口部の周方向両端縁には、面取り部70d、70eがそれぞれ形成されている。
各ベーン15a〜15dは、その径方向の突出長さが比較的短く形成されて、それぞれが各シュー8の間に配置されている。また、1つのベーン15a以外の3つのベーン15b〜15dは、円周方向の巾がほぼ同一に設定されて比較的薄肉に形成されている。一つのベーン15aは、周方向の幅が大きく形成されて内部にロック機構4の一部が設けられている。
そして、摩擦プレート71は、図4〜図7に示すように、例えば鉄系金属によって厚さが例えば約0.1mmの薄板円環状に形成されて弾性力(ばね力)を有している。この摩擦プレート71は、円周方向の所定位置で分断された円環状の板状部であるプレート本体71aと、該プレート本体71aの分断された対向する両端部に一体に設けられた保持部である一対の折り曲げ片71b、71cと、を有している。
プレート本体71aは、嵌合溝14bの底面14cとカムシャフト2の一端部2aの先端面2dとの間に挟まれた状態でバルブボディ27の軸トルクによって固定されている。このプレート本体71aは、内周にボルト挿入孔14aよりも内径が僅かに大きな挿入孔71dが形成されている。この挿入孔71dは、プレート本体71aの外径と同じくほぼ円形状に形成されている。また、プレート本体71aは、その径方向の幅Wが嵌合溝14bの円環状の底面14cの径方向幅W1よりも小さく形成されて一側面である図7中の下面(裏面)全体が嵌合溝14bの底面14cに当接している。
両折り曲げ片71b、71cは、図4及び図7に示すように、プレート本体71aの両端部から同一方向へほぼ直角よりも僅かに外側に向かって折曲されている。換言すれば、両折り曲げ片71b、71cは、プレート本体71aのロータ部材14の端面との対向面から回転軸方向に折り曲げられている。つまり、両折り曲げ片71b、71cは、凹部70内に嵌合していない自由状態時には図7の一点鎖線で示すように、互いに反対方向(凹部70の両側面70b、70c方向)へ僅かに傾斜するように折り曲げられている。したがって、図4に示す自由状態にある両折り曲げ片71b、71cの間の隙間Sは、凹部70の対向両側面70b、70cの間の隙間S1よりも小さくなっている。これによって、両折り曲げ片71b、71cを、凹部70内へ挿入した際に、両側面70b、70cに対して弾性的に当接して高い保持力が得られるようになっている。
なお、摩擦プレート71は、例え自身に弾性特性を有しないとしても、前述のように、両折り曲げ片71b、71cの互いの反対方向への折り曲げによって弾性力が付与することが可能である。
また、摩擦プレート71は、上面(表面)と下面(裏面)全体に摩擦係数(摩擦抵抗)を増加する表面処理が施されている。この表面処理としては、例えば、表面と裏面全体に機械的に凹凸部を形成するとか、化学薬品などを用いて凹凸部を形成する。これによって、プレート本体71aの上面の摩擦係数は、カムシャフト2の一端部2aの先端面2dよりも大きくなっている。一方、プレート本体71aの下面の摩擦係数は、ロータ部14の嵌合溝14bの底面14cよりも大きくなっている。
なお、各折り曲げ片71b、71cのそれぞれの表面、裏面全体にも摩擦抵抗を増加させる表面処理が施されていることは勿論である。
各ベーン15a〜15dの外周面にそれぞれ形成されたシール溝15eと、各シュー8の先端面に形成されたシール溝には、各外周面と先端面それぞれハウジング本体11の内周面とロータ部14の外周面との間をシールするシール部材16a、16bがそれぞれ設けられている。
また、ベーンロータ7は、図2に示すように、遅角側(反時計方向)へ相対回転すると、第1ベーン15aの一側面が対向する一つのシュー8の対向側面8aに当接する。これによって、ベーンロータ7は、最大遅角側の回転位置が規制されるようになっている。また、ベーンロータ7が、進角側(図2の時計方向)へ相対回転すると、同じく第1ベーン15aの他側面が対向する他のシュー8の段差状の対向側面8bに当接する。これによって、最大進角側の回転位置が規制されるようになっている。
各ベーン15a〜15dの正逆回転方向の両側面と各シュー8の両側面との間には、前述した各遅角作動室9と各進角作動室10が設けられている。各遅角作動室9と各進角作動室10は、ロータ部14の内部にほぼ径方向に沿って形成されたそれぞれ4つの遅角通路孔17と進角通路孔18を介して油圧回路5にそれぞれに連通している。
ロック機構4は、ハウジング6に対してベーンロータ7を最遅角側の回転位置(図2に示す位置)に保持するものである。
すなわち、ロック機構4は、図1及び図2に示すように、スプロケット1の内側面の所定位置に形成されたロック穴19と、ベーンロータ7の第1ベーン15aの内部軸方向に形成されたピン収容孔20に進退動自在に設けられたロックピン21と、該ロックピン21をロック穴19方向へ付勢するコイルスプリング22と、供給された油圧によってロックピン21をコイルスプリング22のばね力に抗してロック穴19から後退移動させて係合を解除する解除用受圧室19aと、該解除用受圧室19aに油圧を供給するロック通路23と、から主として構成されている。
ロック穴19は、ロックピン21の小径な先端部の外径より大径な円形状に形成されていると共に、スプロケット1の内側面のベーンロータ7の最遅角側の回転位置に対応した位置に形成されている。
ロックピン21は、小径な先端部がロック穴19に挿入あるいは抜け出すようになっている。つまり、ロックピン21は、コイルスプリング22のばね力によって先端部がロック穴19の内部に挿入してベーンロータ7をハウジング6に対してロックする。または、ロック穴19から抜け出てロックを解除するようになっている。前記ロック位置は、前述したように、ハウジング6に対してベーンロータ7の最遅角側の回転位置となる。
また、ロックピン21は、先端部の受圧面に解除用受圧室19aに供給された油圧を受けて後退移動してロック穴19から抜け出してロックが解除される。
解除用受圧室19aは、ロック穴19の内部に形成されている。
油圧回路5は、図1及び図2に示すように、カムシャフト2の軸受ジャーナル部やカムシャフト2の内部軸方向に形成された供給通路24と、該供給通路24の下流側に設けられて、吐出通路25aから供給通路24に作動油圧を吐出するオイルポンプ25と、ロータ部14の内部軸方向に設けられて、機関運転状態に応じて供給通路24に対して各遅角通路孔17と各進角通路孔18の流路を切り換える油圧制御弁26と、該油圧制御弁26に連通し、各遅角、進角作動室9、10からの作動油をオイルパン51に排出する排出通路43と、を備えている。
供給通路24は、上流部がオイルポンプ25の吐出通路25aと連通している一方、下流側がカムシャフト2の雌ねじ孔2bの先端部に連通している。
オイルポンプ25は、一般的な例えばベーンタイプあるいはトロコイドタイプのものが用いられている。
図8は油圧制御弁26のスリーブを一部断面して示し、Aは後方側から視た斜視図、Bは前方側から視た斜視図である。
油圧制御弁26は、図1〜図3に示すように、ベーンロータ7をカムシャフト2の一端部2aに軸方向から固定するカムボルトである鉄系金属材からなるバルブボディ27と、該バルブボディ27の内部軸方向に貫通形成されたバルブ孔27a内に収容配置されたスリーブ28と、該スリーブ28の外周面とバルブ孔27aの内周面との間に配置されたスプール弁29と、該スプール弁29を図1の左方向へ付勢するバルブスプリング30と、スプール弁29をバルブスプリング30のばね力に抗して他方向へ押し出す電磁アクチュエータ31と、から主として構成されている。
バルブボディ27は、図3にも示すように、バルブ孔27aによって内部中空状の円筒状に形成されており、外周面が六角面に形成された頭部27bと、ロータ部14のボルト挿入孔14aに挿通する軸部27cと、該軸部27cの先端部外周に形成されて、カムシャフト2の雌ねじ孔2bに螺着する雄ねじ部27dと、から構成されている。
頭部27bは、バルブボディ27がカムシャフト2に締結された状態では、フロントカバー12の挿入孔12a内に配置されて、軸部27cの付け根側に設けられたフランジ部27eの着座面27fがロータ部14のボルト挿入孔14aの開口縁側の周面に着座している。
軸部27cは、軸方向のほぼ頭部27b寄りの位置に遅角ポート32が周壁の十字径方向へ4つ貫通形成されている。また、軸部27cの各遅角ポート32の先端部寄り側部には、進角ポート33が周壁の十字径方向へ4つ貫通形成されている。
各遅角ポート32と各進角ポート33は、図1に示すように、それぞれの内側開口がバルブ孔27aに臨み、外側開口が各遅角通路孔17と各進角通路孔18にそれぞれグルーブ溝を介して径方向から連通している。
また、軸部27cの先端部の内周には、円環状の環状溝34が形成されている。この環状溝34は、バルブ孔27aの内周面の内径よりも大径に形成されて、内端に径方向に沿った段差面34aが形成されている。
スリーブ28は、例えば、合成樹脂材あるいは金属材によって一体に形成され、図8A,Bに示すように、中実な円柱状のスリーブ本体28aと、該スリーブ本体28aの軸方向の一端部に一体に有するフランジ部28bと、から構成されている。
スリーブ本体28aは、内部に一体に設けられた仕切壁35によって第1油通路36と第2油通路37が仕切られている。また、このスリーブ本体28aのフランジ部28b側の内部には、バルブ収容凹部38が形成されている。
つまり、スリーブ本体28aの中実な内部を切り欠いて第1、第2油通路36,37が軸方向に沿って形成されている。また、スリーブ本体28aは、フランジ部28b側の軸方向の一端部28cのバルブ収容凹部38に対応する部位の外径がやや大径状に形成されている。さらに、一端部28cの内周面に複数の案内溝28dが軸方向に沿って形成されている。この各案内溝28dは、後述するボール弁体45の外周面との間を通流する作動油をスリーブ本体28aの内部に案内する機能を有している。
仕切壁35は、軸直角方向の断面が十字形状に形成されて、中央軸部35aを中心として4つの仕切部35b、35c、35d、35eによって構成されている。また、仕切壁35のバルブ収容凹部38と軸方向で反対側の端部には、第1油通路36の軸方向端部を閉塞する第1端壁39aが一体に設けられている。また、バルブ収容凹部38側の端部には、第2油通路37の軸方向端部を閉塞する第2端壁39bが一体に設けられている。さらに、仕切壁35の第2端壁39b側の中心位置には、中央軸部35aを延長した形でバルブ収容凹部38方向へ突出した突部40が設けられている。
第1油通路36と第2油通路37は、スリーブ本体28aの軸方向に沿って並行に形成されて、十字状の仕切壁35を介して互いに径方向の対称位置、つまり180°の対称位置に2つずつ形成されている。また、各油通路36,37は、仕切壁35によってそれぞれが断面扇状に形成されている。
第1油通路36は、スリーブ本体28aの第1端壁39a付近に矩形状の第1開口孔36aが貫通形成されている。この第1開口孔36aは、スプール弁29の後述する連通孔29cを介して各遅角ポート32あるいは各進角ポート33に適宜連通するようになっている。また、第1油通路36の第1端壁39aと軸方向で反対側の導入口36bには、バルブ収容凹部38が臨んでいる。
第2油通路37は、スリーブ本体28aの第2端壁39b付近に矩形状の第2開口孔37aが貫通形成されている。この第2開口孔37aは、スリーブ本体28aの外周面とバルブボディ27のバルブ孔27aの内周面との間に形成された図外の第1筒状通路を介して進角ポート33に適宜連通するようになっている。また、第2油通路36の第2端壁39bと反対側の端部には、排出口37bが形成されている。この排出口37bは、後述する円筒部材50を介して排出通路43とオイルパン51に開口している。
また、第1端壁39aは、第1油通路36側の内面に該第1油通路36から第1開口孔36aに作動油を案内する第1傾斜面39cが形成されている。一方、第2端壁39bは、第2油通路37側の内面に前記第1筒状通路から第2油通路37へ作動油を案内する第2傾斜面39dが形成されている。
さらに、各遅角ポート32は、スプール弁29が最大右方向の移動位置に保持されている状態では、円筒部材50の外周面とバルブボディ27の内周面との間に形成された図外の第2筒状通路を介してオイルパン51に連通している。
フランジ部28bは、図1に示すように、環状溝34の内部に配置されている。また、フランジ部28bは、バルブスプリング30の軸方向の一端部が弾持されるスプリングリテーナ42と後述するバルブシート46との間に軸方向から挟み込まれるように配置されている。
つまり、スプリングリテーナ42は、図3に示すように、金属プレートで円環状に形成されて、外周部42aが軸方向に沿って断面ほぼL字形状に折曲形成されていると共に、中央に大径な挿入孔42bが貫通形成されている。外周部42aは、外周面が環状溝34の内周面に圧入されていると共に、環状の前端壁42cが環状溝34の段差面34aに軸方向から当接している。
フランジ部28bは、外径がスプリングリテーナ42の外周部42aの内径よりも小さく形成されている。
したがって、組み付け後において、フランジ部28bの外周面とスプリングリテーナ42の外周部42aとの間に、例えば0.4mm程度の径方向クリアランスが形成されている。また、フランジ部28bの前端面と該前端面と軸方向で対向するバルブシート46の対向面との間には、約0.02mm程度の軸方向クリアランスが形成されている。これらの各クリアランスの存在によって、スリーブ28全体が、バルブボディ27に対して径方向及び軸方向へ僅かに移動可能に保持されている。
バルブ収容凹部38には、逆止弁44が収容配置されている。この逆止弁44は、ボール弁体45と、該ボール弁体45が離着座するバルブシート46と、ボール弁体45をバルブシート46方向へ付勢するチェックスプリング47と、から構成されている。
ボール弁体45は、金属材である例えば鋼製の球状に形成されていると共に、外径がバルブ収容凹部38の内径よりも十分小さく形成されて、外面とバルブ収容凹部38の内周面との間に比較的大きな隙間が形成されている。
バルブシート46は、円板プレート状に形成されて、ボール弁体45の方向へ膨出変形した中央部位に通路孔46aが貫通形成されている。また、外周部46bは、環状溝34の内周側に軸方向から挿入配置されていると共に、環状溝34に固定された固定部48の軸方向の押圧力によって外周部46bの前端面がスプリングリテーナ42の外周部42aの軸方向端縁に当接配置されている。
ボール弁体45は、バルブシート46の通路孔46aの孔縁に離着座して通路孔46aを開閉するようになっている。
チェックスプリング47は、ボール弁体45を通路孔46aの孔縁に着座する方向へ付勢している。そのばね力は、通路孔46aからボール弁体45に作用する所定の作動油圧によって圧縮変形してボール弁体45を後退移動させて通路孔46aを開く程度の大きさに設定されている。
固定部48は、金属材あるいは合成樹脂材によって形成されて、外周面が環状溝34の内周面に軸方向から圧入されている。また、固定部48の中央には、カムシャフト2の雌ねじ孔2bの底部側と通路孔46aとを連通する通孔48aが貫通形成されている。なお、固定部48は、環状溝34に対して雌雄ねじによるねじ込みにより固定することも可能である。
また、バルブシート46と固定部48との間に濾過フィルタ49が挟み込まれて固定されている。
濾過フィルタ49は、一般的なもので、外周部49aが固定部48とバルブシート46との間に挟まれて固定されている。また、濾過フィルタ49は、中央部のフィルタ部49bを通過する作動油内の塵等を捕集するようになっている。
スプール弁29は、図3に示すように、ほぼ円筒状に形成されて、内周面がスリーブ本体28aの外周面を軸方向へ摺動可能に設けられている。また、スプール弁29は、軸方向の両端部外周に円環状の第1ランド部29aと第2ランド部29bが設けられている。この両ランド部29a、29bの間には、遅角ポート32と第1油通路36とを適宜連通させる4つの連通孔29cが径方向に貫通形成されている。
各連通孔29cは、スプール弁29の周壁を径方向からほぼクロス状に貫通して形成されている。また、この4つの連通孔29cが位置するスプール弁29の外周面には、第1凹溝である第1グルーブ溝29dが形成されている。また、連通孔29cが位置する内周面には、第2凹溝である第2グルーブ溝29eが形成されている。この第2グルーブ溝29eは、各連通孔29cの外側開口に臨んで形成されている。第2グルーブ溝29eは、その軸方向の幅長さが両ランド部29a、29bの形成位置まで大きく形成されている。この大きな幅の第2グルーブ溝29eによって、スプール弁29の所定移動範囲の間において、スリーブ28の第1開口孔36aと各連通孔29cとの連通を確保するようになっている。
バルブスプリング30は、軸方向の一端部が前述したようにスプリングリテーナ42の前端壁42cに弾接している。一方、軸方向の他端部は、スプール弁29の第2ランド部29b側の軸方向端面に弾接して、スプール弁29を電磁アクチュエータ31方向へ付勢している。
スプール弁29の第1ランド部29a側の軸方向端面には、図1中、電磁アクチュエータ31からの右方向からの押圧力を受けてこれをスプール弁29に伝達する円筒部材50が設けられている。
この円筒部材50は、金属材によって一体に形成され、図3に示すように、外径が軸方向で大小径状に形成され、ほぼ中央に有する段差部50cを挟んでスプール弁29側の大径筒部50aと、電磁アクチュエータ31側の小径筒部50bと、を有している。
大径筒部50aは、軸方向の一端部がスプール弁29の軸方向端面に軸方向から当接している。また、大径筒部50aは、内周面がスリーブ本体28aのスプール弁29が設けられた軸方向の端部外周に摺動可能に嵌合している。
小径筒部50bは、有底状に形成されて、底壁50dの先端面に電磁アクチュエータ31のプッシュロッド61が軸方向から当接している。また、小径筒部50bは、電磁アクチュエータ31に通電されない場合は、スプール弁29を、バルブスプリング30のばね力と協働して軸方向の所定位置に保持している。
大径筒部50aと段差部50cの一部には、第2油通路37内を通った作動油を外部に排出する複数の排出用孔50eが径方向に沿って貫通形成されている。この各排出用孔50eは、円筒部材50の円周方向の90°位置に等間隔で4つ有している。
バルブボディ27の頭部27b側の他端部内には、円筒部材50を図1中、最大左方向の移動規制するストッパ部材52が圧入固定されている。
このストッパ部材52は、金属材あるいは合成樹脂材によってカップ状に形成され、所定肉厚の円筒部52aと、該円筒部52aの軸方向一端部に有する円盤状の底壁52bと、から構成されている。
円筒部52aは、バルブボディ27の軸方向他端部の内周面に圧入固定されている。
底壁52bは、円筒部52aとの結合箇所の外面に傾斜面52cが形成され、中央部に円筒部材50の小径筒部50bが挿入可能な円形孔52dが貫通形成されている。また、この円形孔52dの孔縁の円周方向の約120°位置には、それぞれ半円形状の3つのドレン孔52eが切欠形成されている。
底壁52bは、円筒部材50の小径筒部50bが円形孔52dに最大挿入された状態で、円形孔52dの孔縁部に円筒部材50の段差部50cの外面が当接してストッパとして機能するようになっている。
各ドレン孔52eは、円筒部材50の各排出用孔50eを介して第2油通路37とオイルパン51とを連通している。
電磁アクチュエータ31は、図1に示すように、合成樹脂材のケーシング53と、該ケーシング53の内部に磁性材のボビン54を介して収容された環状のコイル55と、該コイル55の外周を取り囲むように配置された磁性材の筒状部材56と、ボビン54の内周側に配置固定された磁性材の一対の第1、第2固定鉄心57、58と、を備えている。
また、電磁アクチュエータ31は、両固定鉄心57、58の内周面に当接配置された非磁性材のスリーブ59と、該スリーブ59の内部に軸方向へ摺動可能に有する円柱状の可動鉄心60と、該可動鉄心60の先端部に取り付けられたプッシュロッド61と、前側の第1固定鉄心57の前端側に固定された磁性材である保持プレート62と、を備えている。
ケーシング53は、筒状部53aと、該筒状部53aの外周面両側から径方向外側に延びる一対のボス部53b、53bと、筒状部53aの後端部に一体に有し、ECUであるコントロールユニット64に電気的に接続されるコネクタ部53cと、を備えている。
筒状部53aは、有底の薄肉円筒状に形成されて、前端が開口形成されていると共に、内周面に筒状部材56が固定されている。
各ボス部53b、53bは、外周部にシリンダブロックなどと結合する図外の複数(本実施形態では2本)のボルトが挿入される2つのボルト挿入孔53dが貫通形成されている。
コネクタ部53cは、ほぼ全体がケーシング53内に埋設された一対の端子片の各一端部がコイル55に接続されている。一方、外部に露出した各他端部53eが、コントロールユニット64側の雄コネクタの端子に接続されている。
第1、第2固定鉄心57、58は、ボビン54の内周側を覆うような形に配置されて、それぞれの円筒状の筒状部57a、58aが軸方向から近接して対向配置されている。また、各筒状部57a、58aの内周面には、スリーブ59が圧入状態で挿入されている。
スリーブ59は、細長い薄肉な有底円筒状に形成されて、前端に図外のフランジ部を一体に有し、後端部に円盤状の底壁を有している。この底壁は、内方へ凹んだすり鉢状に形成されて、この内底面に可動鉄心60の一端面が当接可能になっている。
可動鉄心60は、磁性材よって円柱状に形成され、内部軸心方向にプッシュロッド61の後端部が挿入される挿入孔60aが貫通形成されている。また、この可動鉄心60は、コイル55への非通電時には、バルブスプリング30のばね力によってスリーブ59の内底面に当接するようになっている。
プッシュロッド61は、円柱軸状に形成されて、軸方向の先端部61aの先端面に鋼球状の押圧部61bがインサート成型されている。この押圧部61bは、円筒部材50の小径筒部50bの底壁50dに軸方向から当接するようになっている。
また、このプッシュロッド61は、後端部から先端部61aの内部軸心方向に通気孔である空気抜き孔61cが貫通形成されている。さらに、先端部61aの側部には、空気抜き孔61cと連通する横孔61dが径方向に沿って形成されている。
保持プレート62は、円盤状に形成されて、内周部に可動鉄心60方向へ凹んだ円環凹部62aを有している。この円環凹部62aの中央には、プッシュロッド61の先端部61aが挿入される挿入孔が貫通形成されている。
コイル55は、コントロールユニット64からの通電により励磁され、この励磁によって可動鉄心60とプッシュロッド61を図1の右方向へ移動させる。これによって、プッシュロッド61は、スプール弁29をバルブスプリング30のばね力に抗して右方向へ移動させるようになっている。
なお、スプール弁29は、コイル55への非通電によってバルブスプリング30のばね力で図1の最大左方向位置(第1移動位置)に移動制御される。
また、スプール弁29は、コイル55への通電中における通電量に応じて、図1中、右方向の中間移動位置(保持位置)と最大右方向位置(第2移動位置)に移動制御される。
筒状部材56は、長方形状の鉄系金属材である長板をプレス成形によって円筒状に折曲形成されている。筒状部材56は、軸方向のバルブボディ27側の前端縁に複数(本実施形態では4つ)の爪部63を一体に有している。
コントロールユニット64は、内部のコンピュータが図外のクランク角センサ(機関回転数検出)やエアーフローメータ、機関水温センサ、機関温度センサ、スロットルバルブ開度センサおよびカムシャフト2の現在の回転位相を検出するカム角センサなどの各種センサ類からの情報信号を入力して現在の機関運転状態を検出している。
また、コントロールユニット64は、前述したように、電磁アクチュエータ31のコイル55への通電を遮断してスプール弁29を第1移動位置に制御する。あるいは、コイル55へパルス信号を出力して通電量(デューティ比)を制御して、第2,第3移動位置となるように連続的に可変制御するようになっている。
〔本実施形態の作用〕
以下、本実施形態に供されるバルブタイミング制御装置の作用を簡単に説明する
機関停止状態になると、オイルポンプ25も停止されて吐出通路25aから作動油が供給されないと共に、コントロールユニット64からコイル55への通電もなく非通電状態となる。
したがって、スプール弁29は、バルブスプリング30のばね力で最大右方向の第1ポジションの移動位置に保持されている。
このとき、逆止弁44は、ボール弁体45がチェックスプリング47のばね力によってバルブシート46に着座して通路孔46aを閉塞している。
次に、機関が始動されると、オイルポンプ25も駆動して吐出通路25aに作動油を圧送する。この始動初期の作動油は、ボール弁体45がチェックスプリング47のばね力に抗して後退移動して、バルブシート46から離間しつつ通路孔46aを開く。このとき、ボール弁体45は、油圧によって突部40に当接するまで最大に後退移動して供給作動油の十分な流量を確保する。
このため、オイルポンプ25から吐出通路25aを介して供給通路24内に流入した作動油は、通孔48aと濾過フィルタ49を通って2つの第1油通路36に流入する。さらに、ここから第1開口孔36aとスプール弁29の各グルーブ溝29d、29eと連通孔29cを通って遅角ポート32に流入し、各遅角通路孔17から各遅角作動室9内に供給される。
同時に、スプール弁29は、各進角ポート33と第1筒状通路を連通させることから、各進角作動室10の作動油は、各進角ポート33と第1筒状通路を通って第2開口孔37aから第2油通路37に流入する。さらに、ここから円筒部材50内を通って各排出用孔50e及び各ドレン孔52eから排出通路43を介してオイルパン51内に排出される。
したがって、ベーンロータ7は、最遅角の相対回転位置に維持されていることから、吸気弁のバルブタイミングが遅角側に制御された状態になる。これによって、機関の始動性が良好になる。
また、この時点では、ロック通路23を介して解除用受圧室に遅角作動室9と同じ油圧が供給されるが、クランキング初期の時点では解除用受圧室内の油圧が上昇しない。このため、ロックピン21は、ロック穴19内に係入してロックされた状態となる。したがって、カムシャフト2に発生する交番トルクによるベーンロータ7のばたつきなどを抑制できる。
その後、ロック通路23を介して解除用受圧室に供給された油圧が高くなると、ロックピン21が、コイルスプリングのばね力に抗して後退移動してロック穴19とのロック状態が解除される。これによって、ベーンロータ7は、回転規制が解除されてフリーな状態になる。
次に、機関運転状態の変化に伴って、コントロールユニット64からコイル55への通電量が大きくなると、スプール弁29は、図1中、第2移動位置まで僅かに右方向へ移動する。
この状態では、第1ランド部29aと第2ランド部29bによって遅角ポート32と進角ポート33が塞がれて(閉止されて)、各遅角作動室9や各進角作動室10の作動油の供給あるいは排出が停止される。したがって、各遅角作動室9と各進角作動室10内に作動油が保持された状態になる。
したがって、吸気弁は、バルブタイミングが最遅角と最進角の間の中間位相位置に制御されるので、例えば、定常運転時の機関回転の安定化と燃費の向上が図れる。
さらに、コイル55への通電量がさらに大きくなると、スプール弁29は、さらに僅かに図1中、右方向へ移動する(第3移動位置)。この状態では、スプール弁29の第1ランド部29aが遅角ポート32を開いて、該遅角ポート32に対してバルブボディ27の内周面と円筒部材50の外周面との間に形成された第2筒状通路とを連通させる。と同時に、スプール弁29は、各グルーブ溝29d、29eを介して連通孔29cと進角ポート33を連通させる。
このため、各遅角作動室9内の作動油は、各遅角通路孔17から遅角ポート32を通って第2筒状通路に流入する。ここに流入した作動油は、さらにストッパ部材52の円形孔52d及び各ドレン孔52eを通って速やかにオイルパン51内に排出される。
同時に、オイルポンプ25から圧送された作動油は、供給通路24の作動油圧によって予め押し開かれた逆止弁44を介して各第1油通路36に流入する。ここからスプール弁29の各グルーブ溝29d、29eを介して各連通孔29cから各進角ポート33に流入して各進角通路孔18から各進角作動室10に供給される。
したがって、各遅角作動室9の内圧が低下する一方、各進角作動室10の内圧が上昇する。
よって、ベーンロータ7は、図2の実線位置から、時計方向へ回転して最大進角側へ相対回転する。これによって、吸気弁のバルブタイミングが最進角位相になって排気弁とのバルブオーバーラップが大きくなり、吸気充填効率が高くなって機関の出力トルクの向上が図れる。
そして、本実施形態では、カムシャフト2に対してベーンロータ7をバルブボディ27によって締結する際には、予め、ロータ部14の嵌合溝14b内に摩擦プレート71を保持させる。すなわち、複数の指などで摩擦プレート71の外周縁の両折り曲げ片71b、71cを挟んだほぼ中央の二箇所の位置を把持して、互いに径方向内側へ互いに近接する方向へ縮径変形させる。
そうすると、両折り曲げ片71b、71cの間の隙間Sが小さくなる。この状態で、両折り曲げ片71b、71cをベーンロータ7の回転軸方向から凹部70内に挿入しつつプレート本体71aの下面を嵌合溝14bの底面14cに当接させる。
この状態で、摩擦プレート71の把持を解除する。すると、摩擦プレート71は、自身の弾性力によって元の拡径形状に復帰する。同時に、両折り曲げ片71b、71cが互いに拡がって、各外面が凹部70の両側面70b、70cに弾性的に当接する。これにより、摩擦プレート71は、全体が嵌合溝14b内に安定に保持される。
このように、摩擦プレート71は、両折り曲げ片71b、71cによってベーンロータ7の径方向ではなく回転軸方向から嵌合溝14bに保持される。つまり、両折り曲げ片71b、71cが、摩擦プレート71の外周よりも径方向外側へ突出することなく、外周よりも内側に配置されている。このため、摩擦プレート71の外径を大きくする必要がなく、嵌合溝14bの内径よりも小さい。したがって、ベーンロータ7を含めた装置全体の径方向の大型化が抑制できる。この結果、バルブタイミング制御装置のエンジンルーム内への搭載性が良好になると共に、軽量化が図れる。
また、ベーンロータ7とカムシャフト2は、摩擦プレート71を介してバルブボディ27の締め付けトルク(軸トルク)によって固定されている。このため、摩擦プレート71の摩擦力によって両者2、7間の締結力が高くなるので、その分、バルブボディ27の締め付けトルクを低減化することが可能になる。
さらに、摩擦プレート71は、両折り曲げ片71,71bと凹部70を介してロータ部14の嵌合溝14bに予め保持されている。このため、摩擦プレート71は、カムシャフト2に組み付ける前のベーンロータ7からの不用意な脱落を十分に抑制することができる。
また、摩擦プレート71は、凹部70にワンタッチで取り付け保持することができるので、その取付作業も容易である。
両折り曲げ片71b、71cを凹部70内へ挿入する際に、凹部70の開口部の両側縁に形成された面取り部70d、70eによってガイドされるので、この挿入作業が容易になる。
さらに、摩擦プレート71は、両折り曲げ片71b、71cの間にカムシャフト2に設けられた位置決めピン74(突部)が挿通可能になっている。そのため、別途位置決めピン74が挿通する孔を設ける必要がなく、構造が容易になる。
また、摩擦プレート71は、自身の弾性力によって凹部70に保持されていることから、別途、ボルトなどで保持する必要がないので、部品点数の増加や構造の複雑化を抑制できる。
両折り曲げ片71b、71cは、自由状態のときに互いに反対側に折り曲げられているので、凹部70の両側面70b、70cに対して強い弾性力をもって接触する。これによって、摩擦プレート71に対する保持力が向上する。
なお、第1実施形態では、凹部70がロータ部14に設けられているが、これをカムシャフト2の一端部2aの先端面2dに設け、摩擦プレート71の両折り曲げ片71b、71cが前記凹部に入るように設定することも可能である。この場合、位置決めピン74は、ロータ部14に固定される一方、摩擦プレート71は、カムシャフト2に取り付けられる。この後に、カムシャフト2にロータ部14を介してベーンロータ7が固定されることになる。
〔第2実施形態〕
図9及び図10は第2実施形態を示し、基本構造は第1実施形態と同じであるが、摩擦プレート71の両折り曲げ片71b、71cの構造を変更したものである。
すなわち、両折り曲げ片71b、71cは、プレート本体71aの両端部から互いに凹部70方向へ折り曲げられる部位71e、71eが湾曲状に折曲されている。また、この各湾曲状部位71e、71eよりも先端側の各先端部71f、71fが、平坦状に形成されている。
したがって、両湾曲状部位71e、71eを設けたことによって、両折り曲げ片71b、71cのばね反力がさらに強化される。これにより、平坦な各先端部71f、71fは、凹部70の両側面70b、70cに対して拡径方向へ直線的なばね反力で強く当接する。このため、摩擦プレート71全体を、凹部70に対してさらに強いばね反力で保持することが可能になる。
他の構成は、第1実施形態と同じであるから同様な作用効果が得られる。
〔第3実施形態〕
図11及び図12は第3実施形態を示し、摩擦プレート71は、折り曲げ片が廃止されて、プレート本体71aの円周方向の所定位置に円筒部71gがプレート本体71aに直角方向へ突出して形成されている。
この円筒部71gは、摩擦プレート71をプレス成形する際に、例えばプレスによる深絞りによって同時に成形されるようになっている。この円筒部71gは、内部に後述する固定ピン72を圧入されるピン挿入孔71hを有している。
また、カムシャフト2は、一端部2aの先端面に位置決め用の凹部70が形成されている。一方、ロータ部14は、嵌合溝14bの底面14cにピン穴14dが設けられている。このピン穴14dは、凹部70と対応した位置に有し、内部には予め位置決め用のピン72が圧入固定されている。このピン72は、嵌合溝14bの底面14cから突出しており、この突出量が、円筒部71gの高さとほぼ同一になっている。
したがって、摩擦プレート71を、嵌合溝14bとカムシャフト2の一端部2aの先端面の間に配置するには、図12に示すように、まず、嵌合溝14bのピン穴14dにピン72の一端部72aを予め圧入固定しておく。その後、摩擦プレート71全体を、嵌合溝14bの底面14cに位置決めする。同時に、円筒部71gのピン挿入孔71hを、ピン72の露出している他端部72bに上から、つまりベーンロータ7の回転軸方向から圧入する。これによって、摩擦プレート71は、嵌合溝14bの底面14c上に安定に保持される。
この状態で、ベーンロータ7の嵌合溝14bに、カムシャフト2の一端部2aの先端部を嵌合しつつ、ロータ部14に保持された状態にある摩擦プレート71の円筒部71gをカムシャフト2の凹部70に軸方向から挿入する。これによって、摩擦プレート71は、カムシャフト2の一端部2aとロータ部14の嵌合溝14bの底面14cの間に挟まれた状態で保持される。
その後、ベーンロータ7を、バルブボディ27によってカムシャフト2に軸方向から締め付け固定すれば、両者2,7が摩擦プレート71を介して強固に結合することができる。
しかも、この実施形態では、ベーンロータ7をカムシャフト2に固定する際に、ピン72と円筒部71gを、カムシャフト2の凹部70に挿入して位置決めされる。つまり、摩擦プレート71をロータ部14に保持する構成を利用して、ベーンロータ7とカムシャフト2との位置決めがされる。したがって、位置決めを含めた組付作業全体の能率の向上が図れると共に、部品点数の削減が図れる。
この実施形態では、カムシャフト2に凹部70を設けたが、ロータ部14に凹部を設けることも可能である。この場合、カムシャフト2にピン72を固定し、円筒部71gがピン72と共にロータ部14の凹部70に入るように設定することも可能である。
〔第4実施形態〕
図13及び図14は第4実施形態を示し、摩擦プレート71をカムシャフト2の一端部2aに保持させたものである。
すなわち、カムシャフト2は、一端部2aの先端面2dの外周部の円周方向の所定位置に凹部70が形成されている。この凹部70は、一端部2aの外周面側が開口した矩形状に形成されていると共に、円周方向に対向する内側面70b、70cを有している。
摩擦プレート71は、第1実施形態のものと類似しており、プレート本体71aと、該プレート本体71aの分離された対向する両端部に設けられ、凹部70方向へ折り曲げられた一対の折り曲げ片71b、71cと、を有している。
また、プレート本体71aは、図14に示すように、内周側に有する挿入孔71dがカムシャフト2のボルト挿入孔2cのような真円状ではなく、両折り曲げ片71b、71cに沿った方向に長い長孔状に形成されている。つまり、両折り曲げ片71b、71cとほぼ直角方向の内径Xの長さ(短軸X)が、これと直交する内径Yの長さ(長軸Y)よりも短く形成されている。したがって、プレート本体71aは、短軸Xに面する部位71i、71iが一点鎖線で示す部位よりも内側に突出している。これにより、この部位71i、71iの分だけ面積が大きくなっている。
両折り曲げ片71b、71cの構造は、第1実施形態と同じく、予めお互いに僅かな角度で反対方向へ傾斜状に折り曲げられて、弾性力が付与されている。
なお、ロータ部14の嵌合溝14bは、底面14c全体が平坦状に形成されている。
したがって、摩擦プレート71は、ベーンロータ7がカムシャフト2に組み付けられる前に、両折り曲げ片71b、71cを軸方向から凹部70に挿入して両側面70b、70cに弾性的に当接させる。これによって、摩擦プレート71を、カムシャフト2に対してワンタッチでかつ強固に保持させることができる。
このとき、摩擦プレート71は、両折り曲げ片71b、71cが凹部70内で長軸Y方向(図14の上下方向)に沿って位置ずれが発生するおそれがある。しかし、挿入孔71dは、長孔状に形成されていることから、前記位置ずれを吸収することが可能になる。したがって、摩擦プレート71の挿入孔71dとカムシャフト2のボルト挿入孔2cとの重ね合わせ時のずれの発生を抑制できる。
その後、カムシャフト2の一端部2aに、摩擦プレート71を介してベーンロータ7のロータ部14を仮止め状態に組み付ける。その後、バルブボディ27によってロータ部14をカムシャフト2に所定の締め付けトルクで締め付ければ、ベーンロータ7がカムシャフト2に摩擦プレート71の摩擦力で強固に組み付けることができる。
また、摩擦プレート71は、挿入孔71dの短軸X側の両側の部位71i、71iの面積が大きくなっていることから、カムシャフト2とロータ部14との接触面積が大きくなる。これによって、バルブボディ27の締め付けトルクが小さくとも両者2,14の結合力が大きくなる。
〔第5実施形態〕
図15及び図16は第5実施形態を示し、摩擦プレート71を、ロータ部14の嵌合溝14bの底面14cに対して固定用ピン73(ピン部材)によりベーンロータ7の回転軸方向から固定したものである。
すなわち、固定用ピン73は、円柱状の頭部73aと、該頭部73aの軸方向一端面から突出した軸部73bと、を有している。
摩擦プレート71は、前記円周方向の所定位置で分離されることなく全体が円環板状に形成されている。また、摩擦プレート71は、外径がロータ部14の嵌合溝14bの内径よりも僅かに小さく形成されている。さらに、摩擦プレート71は、その周方向の所定位置に固定用ピン73の軸部73bが挿入されるピン挿入孔71jが貫通形成されている。
ロータ部14は、嵌合溝14bの底面14cの前記ピン挿入孔71jに対応した位置に、軸部73bが圧入されるピン圧入孔14eが形成されている。
また、カムシャフト2は、図16の一点鎖線で示すように、一端部2aの先端面2dに固定用ピン73の頭部73aを避けるための円柱状の逃げ溝2eが形成されている。
したがって、摩擦プレート71は、予めロータ部14の嵌合溝14bの底面14cにピン挿入孔71jとピン圧入孔14eの位置決めされつつ載置される。その後、固定用ピン73の軸部73bを、ピン挿入孔71jを介してピン圧入孔14e内にベーンロータ7の回転軸方向から圧入する。これによって、摩擦プレート71が、嵌合溝24bの底面14c上に固定される。
よって、摩擦プレート71は、例えば搬送中などにおいてもベーンロータ7から不用意に脱落することがない。
その後、図16に示すように、ベーンロータ7の嵌合溝14bにカムシャフト2の一端部2aを嵌合するが、このとき、カムシャフト2の逃げ溝2eを固定用ピン73の頭部73aに被嵌して干渉を回避する。
この逃げ溝2eと頭部73aの嵌合をベーンロータ7とカムシャフト2の位置決めとして用いれば、位置決め用ピンを別途設定する必要がなくなるので、部品点数の削減になる。
続いて、バルブボディ27によってロータ部14をカムシャフト2に所定の締め付けトルクで締め付ければ、ベーンロータ7がカムシャフト2に摩擦プレート71の摩擦力で強固に組み付けることができる。
この実施形態では、固定用ピン73をロータ部14に固定しているが、カムシャフト2の端面に固定するようにしても良い。この場合は、逃げ溝2eはロータ部14に設けられることになる。
本発明は、前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば、摩擦プレート71の肉厚や幅長さなどは任意に変更することができる。また、摩擦力を確保するために、摩擦プレート71の表面全体に施される表面処理は、機械的や化学的あるいはその他のいずれの処理でも可能である。
以上説明した実施形態に基づく内燃機関のバルブタイミング制御装置としては、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
その一つの態様として、クランクシャフトからの回転力が伝達される駆動回転体と、前記駆動回転体の内部に前記駆動回転体に対して相対回転可能に配置され、カムシャフトに固定される従動回転体と、前記従動回転体とカムシャフトの対向する端面間に挟まれる板状の部材であって、前記従動回転体の端面と接触する第1接触面の摩擦係数が前記従動回転体の端面の摩擦係数よりも高く、前記カムシャフトの端面と接触する第2接触面の摩擦係数が前記カムシャフトの端面の摩擦係数よりも高い板状部と、前記板状部の前記従動回転体との対向面または前記カムシャフトとの対向面に設けられ、前記従動回転体または前記カムシャフトに対して回転方向から保持される保持部と、を有する摩擦プレートと、を備えている。
さらに好ましくは、前記従動回転体または前記カムシャフトに設けられ、前記従動回転体の回転軸方向へ凹んだ凹部を有し、前記保持部は、前記板状部から前記従動回転体の回転軸方向へ突出して形成されて、前記凹部に保持されている。
この発明の態様によれば、摩擦プレートは、保持部によって従動回転体あるいはカムシャフトの凹部に予め保持されていることから、カムシャフトに対する従動回転体の組付時における不用意な脱落を抑制できる。
さらに好ましくは、前記摩擦プレートは、弾性力を有し、前記保持部は、前記凹部の内側面に弾性力によって保持されている。
この発明の態様によれば、摩擦プレートは、保持部の自身の弾性力よって凹部内に保持されることから、別途、ボルトなどの部品で保持する必要がないので、構造の簡素化が図れる。
さらに好ましくは、前記摩擦プレートは、前記板状部が円周方向の所定位置で分離した円環状に形成され、前記保持部は、前記板状部の分離箇所の対向する両端部から互いに前記板状部の回転軸方向に折り曲げられた一対の折り曲げ片によって形成されている。
さらに好ましくは、前記一対の折り曲げ片は、前記凹部に挿入される前の自由状態では周方向の隙間幅が前記凹部の周方向幅よりも大きく形成され、板状部が縮径変形された状態で前記凹部に入っている。
この発明の態様によれば、摩擦プレートは、縮径変形による拡径方向への弾性復帰力によって各保持部が凹部の対向内側面に弾性的に当接して全体が保持されるため、構成が容易であり、取り付けもワンタッチでできるのでこの作業も簡単である。
さらに好ましくは、前記凹部は、前記一対の折り曲げ片が挿入される開口部の孔縁に面取り部を有している。
この発明の態様によれば、開口部から凹部内へ各折り曲げ片を挿入する際に、面取り部によって各保持部がガイドされることから挿入作業が容易になる。
さらに好ましくは、前記一対の折り曲げ片は、各先端部が互いに反対方向へ折曲形成されている。
この発明の態様によれば、各保持部が互いに反対方向へ折り曲げられていることによって、それぞれが弾性力を有することから、凹部の対向側面に対して強い弾性力をもって接触する。これによって、各保持部による摩擦プレートの保持力が向上する。
さらに好ましくは、前記一対の折り曲げ片は、それぞれ折曲部から互いに平行な平面板状に形成されている。
さらに好ましくは、前記板状部の内周縁に形成されたボルト挿通孔は、前記各折り曲げ片に沿った方向と直角方向の内径が、各折り曲げ片に沿った方向の内径よりも短く形成されて、全体が前記各折り曲げ片に沿って長い長円形状に形成されている。
このようにボルト挿通孔を、各折り曲げ片に沿った長円状に形成したことによって、摩擦プレートを取り付ける際に、該摩擦プレートが各折り曲げ片に沿った方向へ位置ずれが発生しても、ボルト挿通孔はこの位置ずれを吸収することができる。したがって、前記摩擦プレートのボルト挿通孔と、例えばカムシャフトなどのボルト挿通孔との重ね合わせ時のずれが抑制される。
長円状に形成したことによって、短軸側の板状部の幅を大きくできるので、締め付け面積が大きくなってボルトを締め付けたときの摩擦力を向上させることができる。
さらに好ましくは、前記凹部は、前記従動回転体の前記カムシャフトの先端面と対向する面に有し、前記カムシャフトは、先端面から突出して、前記保持部と一緒に前記凹部に挿入される突起部を有している。
この発明の態様によれば、カムシャフトの突起部として、位置決め用のピンを用い、従動回転体の凹部として位置決め用の凹溝を用いることができる。このため、製造作業性が良好になる。
さらに好ましくは、前記保持部は、前記凹部の内側面と接触する部位の摩擦係数が、前記従動回転体の端面の摩擦係数よりも高く形成されている。
この発明の態様によれば、保持部の表面の摩擦係数も高くなっていることによって、前記凹部に挿入された後の該凹部からの抜け出し難くなる。
さらに好ましくは、前記保持部は、前記板状部から前記従動回転体の回転軸方向へ突出した円筒状に形成されている。
さらに好ましくは、前記従動回転体またはカムシャフトは突部を有し、前記突部は、前記円筒状の保持部の内部に挿入されるようになっている。
別の好ましい態様としては、クランクシャフトからの回転力が伝達される駆動回転体と、前記駆動回転体の内部に前記駆動回転体に対して相対回転可能に配置され、カムシャフトに固定される従動回転体と、前記従動回転体とカムシャフトの間に挟まれる板状の部材であって、前記従動回転体の端面と接触する第1接触面の摩擦係数が前記従動回転体の端面の摩擦係数よりも高く、前記カムシャフトの端面と接触する第2接触面の摩擦係数が前記カムシャフトの端面の摩擦係数よりも高い板状部を有する摩擦プレートと、前記板状部と別体に設けられ、前記板状部を前記従動回転体の回転軸方向において前記従動回転体または前記カムシャフトに保持させるピン部材と、を備えている。
1…タイミングスプロケット(駆動回転体)、2…カムシャフト、2a…一端部、2c…ボルト挿入孔、2d…先端面、7…ベーンロータ、14…ロータ、14b…嵌合溝、14c…底面(端面)、15a〜15d…ベーン、27…バルブボディ(カムボルト)、70…凹部、70a…底面、70b・70c…両側面(対向内側面)、70d・70e…面取り部、71…摩擦プレート、71a…プレート本体、71b・71c…折り曲げ片(保持部)、71d…ボルト挿入孔、71e・71e…湾曲状部位、71f・71f…先端部、71g…円筒部、71h…ピン挿入孔、71j…ピン挿入孔、73…固定用ピン、S…隙間。

Claims (14)

  1. クランクシャフトからの回転力が伝達される駆動回転体と、
    前記駆動回転体の内部に前記駆動回転体に対して相対回転可能に配置され、カムシャフトに固定される従動回転体と、
    前記従動回転体とカムシャフトの対向する端面間に挟まれる板状の部材であって、前記従動回転体の端面と接触する第1接触面の摩擦係数が前記従動回転体の端面の摩擦係数よりも高く、前記カムシャフトの端面と接触する第2接触面の摩擦係数が前記カムシャフトの端面の摩擦係数よりも高い板状部と、前記板状部の前記従動回転体との対向面または前記カムシャフトとの対向面に設けられ、前記従動回転体または前記カムシャフトに対して回転方向から保持される保持部と、を有する摩擦プレートと、
    を備えたことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記従動回転体または前記カムシャフトに設けられ、前記従動回転体の回転軸方向へ凹んだ凹部を有し、
    前記保持部は、前記板状部から前記従動回転体の回転軸方向へ突出して形成されて、前記凹部に保持されることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  3. 請求項2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記摩擦プレートは、弾性力を有し、
    前記保持部は、前記凹部の内側面に弾性力によって保持されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  4. 請求項3に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記摩擦プレートは、前記板状部が円周方向の所定位置で分離した円環状に形成され、
    前記保持部は、前記板状部の分離箇所の対向する両端部から互いに前記板状部の回転軸方向に折り曲げられた一対の折り曲げ片によって形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  5. 請求項4に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記一対の折り曲げ片は、前記凹部に挿入される前の自由状態では周方向の隙間幅が前記凹部の周方向幅よりも大きく形成され、板状部が縮径変形された状態で前記凹部に入っていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  6. 請求項5に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記凹部は、前記一対の折り曲げ片が挿入される開口部の孔縁に面取り部を有することを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  7. 請求項4に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記一対の折り曲げ片は、各先端部が互いに反対方向へ折り曲げられていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  8. 請求項4に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記一対の折り曲げ片は、それぞれ折曲部から互いに平行な平面板状に形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  9. 請求項8に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記板状部の内周縁に形成されたボルト挿通孔は、前記各折り曲げ片に沿った方向と直角方向の内径が、各折り曲げ片に沿った方向の内径よりも短く形成されて、全体が前記各折り曲げ片に沿って長い長円形状に形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  10. 請求項2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記凹部は、前記従動回転体の前記カムシャフトの先端面と対向する面に有し、
    前記カムシャフトは、先端面から突出して、前記保持部と一緒に前記凹部に挿入される突起部を有していることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  11. 請求項3に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記保持部は、前記凹部の内側面と接触する部位の摩擦係数が、前記従動回転体の端面の摩擦係数よりも高く形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  12. 請求項2に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記保持部は、前記板状部から前記従動回転体の回転軸方向へ突出した円筒状に形成されていることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  13. 請求項12に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置において、
    前記従動回転体またはカムシャフトは突部を有し、
    前記突部は、前記円筒状の保持部の内部に挿入されることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  14. クランクシャフトからの回転力が伝達される駆動回転体と、
    前記駆動回転体の内部に前記駆動回転体に対して相対回転可能に配置され、カムシャフトに固定される従動回転体と、
    前記従動回転体とカムシャフトの間に挟まれる板状の部材であって、前記従動回転体の端面と接触する第1接触面の摩擦係数が前記従動回転体の端面の摩擦係数よりも高く、前記カムシャフトの端面と接触する第2接触面の摩擦係数が前記カムシャフトの端面の摩擦係数よりも高い板状部と、を有する摩擦プレートと、
    前記板状部と別体に設けられ、前記板状部を前記従動回転体の回転軸方向において前記従動回転体または前記カムシャフトに保持させるピン部材と、
    を備えたことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
JP2018146391A 2018-08-03 2018-08-03 内燃機関のバルブタイミング制御装置 Pending JP2021181754A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018146391A JP2021181754A (ja) 2018-08-03 2018-08-03 内燃機関のバルブタイミング制御装置
PCT/JP2019/025725 WO2020026659A1 (ja) 2018-08-03 2019-06-27 内燃機関のバルブタイミング制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018146391A JP2021181754A (ja) 2018-08-03 2018-08-03 内燃機関のバルブタイミング制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021181754A true JP2021181754A (ja) 2021-11-25

Family

ID=69232390

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018146391A Pending JP2021181754A (ja) 2018-08-03 2018-08-03 内燃機関のバルブタイミング制御装置

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2021181754A (ja)
WO (1) WO2020026659A1 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS589023U (ja) * 1981-07-07 1983-01-20 石井 真澄 組立式架台
JPH1182446A (ja) * 1997-09-04 1999-03-26 Nifco Inc 箱体の裏板取付用のクリップ
DE10161701A1 (de) * 2001-12-15 2003-06-18 Ina Schaeffler Kg Vorrichtung zum Verändern der Steuerzeiten von Gaswechselventilen einer Brennkraftmaschine, insbesondere Einrichtung zur hydraulischen Drehwinkelverstellung einer Nockenwelle gegenüber einer Kurbelwelle
DE102009050779B4 (de) * 2009-10-27 2016-05-04 Hilite Germany Gmbh Schwenkmotornockenwellenversteller mit einer Reibscheibe und Montageverfahren
JP6673167B2 (ja) * 2016-11-29 2020-03-25 株式会社デンソー バルブタイミング調整装置、および、バルブタイミング調整装置の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2020026659A1 (ja) 2020-02-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4222205B2 (ja) 電磁スプール弁
JP6084562B2 (ja) 油圧制御バルブ及び内燃機関のバルブタイミング制御装置に用いられる油圧制御バルブ
JPWO2020152965A1 (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置に用いられる制御弁及び内燃機関のバルブタイミング制御システム
JP5279749B2 (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP2019007515A (ja) 油圧制御弁
JP6672749B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP2018112080A (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置の油圧制御弁と内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP6295160B2 (ja) 電磁弁と、内燃機関のバルブタイミング制御装置に用いられる電磁弁並びに電磁アクチュエータ
JP5276040B2 (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP2021181754A (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP6775032B2 (ja) 油圧制御弁及び内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP7064922B2 (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置及び内燃機関のバルブタイミング制御装置に用いられる制御弁
JP6581475B2 (ja) 電磁弁
JP2020186662A (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
US6935291B2 (en) Variable valve timing controller
WO2018101155A1 (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP2019007516A (ja) 油圧制御弁とバルブタイミング制御装置。
JP6704823B2 (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置の油圧制御弁及び内燃機関のバルブタイミング制御装置
WO2023210130A1 (ja) 制御弁及びこの制御弁を用いた内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP7068495B2 (ja) 電磁弁と内燃機関のバルブタイミング制御装置
WO2023042527A1 (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP4000127B2 (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP2020193583A (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP2003106113A (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
WO2023037738A1 (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置