JP2021181417A - プロリノールの製造方法、複合金属化合物およびその製造方法 - Google Patents

プロリノールの製造方法、複合金属化合物およびその製造方法 Download PDF

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【課題】新規なプロリノールの製造方法を提供する。また、プロリノールの製造に適した、複合金属化合物およびその製造方法を提供する。【解決手段】本発明のプロリノールの製造方法は、RhまたはPtから選ばれる金属と、Moおよびその酸化物からなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の金属化合物とが担体に担持された複合金属化合物の存在下、プロリンを水素と反応させることを含む。本発明の複合金属化合物は、RhまたはPtから選ばれる金属と、Moおよびその酸化物からなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の金属化合物とが、Al2O3の担体に担持されている。【選択図】図3

Description

本発明は、プロリノールの製造方法、ならびにプロリノールの製造に適した複合金属化合物(特に、複合金属化合物触媒)、およびその製造方法に関する。
従来、発酵法によって糖からグルタミン酸を経由してプロリンを製造し、このプロリンのカルボキシ基を水素化することによりプロリノールを製造することが知られている。プロリノールはキラル有機塩基触媒の材料として利用することが可能なアミノアルコールである。また、プロリノールは、医薬品、殺虫剤、キラル助剤などの物質を合成する際の出発物質や中間体となり得る重要な成分である。
プロリンからプロリノールの合成では、一般的に、水素化アルミニウムリチウムを化学量論比以上で用いる(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、水素化アルミニウムリチウムは、取り扱いが難しく、具体的には、純粋なものは発火性をもち静電気などで着火する可能性があり、大変危険でコストや廃棄物などの問題もある。そのため、固体触媒を用いて水中でプロリノールを合成できれば、安全で環境に優しいプロセスで付加価値の高い化合物を製造できる可能性がある。
Organic Syntheses,Coll.Vol.8,p.26(1993)
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、新規なプロリノールの製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、プロリノールの製造に適した、複合金属化合物(特に、複合金属化合物触媒)およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、下記に挙げられる実施態様を含むが、これらに限定されるものではない。
[1] RhまたはPtから選ばれる金属と、Moおよびその酸化物からなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の金属化合物とが担体に担持された複合金属化合物の存在下、プロリンを水素と反応させることを含む、プロリノールの製造方法。
[1−1] 前記複合金属化合物が複合金属化合物触媒である、[1]に記載のプロリノールの製造方法。
[2] 酸の存在下で反応を行う、[1]または[1−1]に記載のプロリノールの製造方法。
[2−1] 酸が、無機酸である、[2]に記載のプロリノールの製造方法。
[2−2] 酸が、リン酸、硫酸、および硝酸からなる群から選ばれる少なくとも1つの酸である、[2]に記載のプロリノールの製造方法。
[3] 酸が、リン酸である、[2]に記載のプロリノールの製造方法。
[4] Moおよびその酸化物がMo酸化物である、[1]〜[3]のいずれか1つに記載のプロリノールの製造方法。
[4−1] 前記担体がAl、SiO、ゼオライト、カーボン、マグネシア、チタニア、ジルコニア、セリア、ニオビア、および酸化タンタルからなる群から選ばれる少なくとも1つである、[1]〜[4]のいずれか1つに記載のプロリノールの製造方法。
[5] 前記担体がAlである、[1]〜[4]のいずれか1つに記載のプロリノールの製造方法。
[6] 前記複合金属化合物は、複合金属化合物総重量に対し、RhまたはPtから選ばれる金属の含有量が、0.1〜20重量%であり、Moおよびその酸化物からなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の金属化合物に含まれるMoの含有量が、0.01〜2重量%である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載のプロリノールの製造方法。
[6−1] 前記複合金属化合物は、複合金属化合物総重量に対し、RhまたはPtから選ばれる金属の含有量が、1〜10重量%であり、Moおよびその酸化物からなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の金属化合物に含まれるMoの含有量が、0.125〜1.25重量%である、[1]〜[5]のいずれか1つに記載のプロリノールの製造方法。
[7] 前記複合金属化合物は、RhまたはPtから選ばれる金属と、Moおよびその酸化物からなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の金属化合物に含まれるMoとのモル比が、2:1〜50:1である、[1]〜[6]および[6−1]のいずれか1つに記載のプロリノールの製造方法。
[7−1] 前記複合金属化合物は、RhまたはPtから選ばれる金属と、Moおよびその酸化物からなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の金属化合物に含まれるMoとのモル比が、4:1〜16:1である、[1]〜[6]および[6−1]のいずれか1つに記載のプロリノールの製造方法。
[8] 前記複合金属化合物の使用量が、プロリンの使用量に対してモル比が1:1〜1:500である、[1]〜[7]のいずれか1つに記載のプロリノールの製造方法。
[8−1] 前記複合金属化合物の使用量が、プロリンの使用量に対してモル比が1:5〜1:200である、[1]〜[7]のいずれか1つに記載のプロリノールの製造方法。
[9] RhまたはPtから選ばれる金属と、Moおよびその酸化物からなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の金属化合物とが、Alの担体に担持された、複合金属化合物。
[10] 複合金属化合物総重量に対し、RhまたはPtから選ばれる金属の含有量が、0.1〜20重量%であり、Moおよびその酸化物からなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の金属化合物に含まれるMoの含有量が、0.01〜2重量%である、[9]に記載の複合金属化合物。
[10−1] 複合金属化合物総重量に対し、RhまたはPtから選ばれる金属の含有量が、1〜10重量%であり、Moおよびその酸化物からなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の金属化合物に含まれるMoの含有量が、0.125〜1.25重量%である、[9]に記載の複合金属化合物。
[11] RhまたはPtから選ばれる金属と、Moおよびその酸化物からなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の金属化合物に含まれるMoとのモル比が、2:1〜50:1である、[9]、[10]または[10−1]に記載の複合金属化合物。
[11−1] RhまたはPtから選ばれる金属と、Moおよびその酸化物からなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の金属化合物に含まれるMoとのモル比が、4:1〜16:1である、[9]、[10]または[10−1]に記載の複合金属化合物。
[12] プロリンからプロリノールを製造する反応に使用するための、[9]〜[11]のいずれか1つに記載の複合金属化合物。
[13] プロリンからプロリノールを製造する反応のための、[9]〜[11]のいずれか1つに記載の複合金属化合物からなる、触媒。
[14] RhまたはPtから選ばれる金属がAlの担体に担持された金属担持担体に、Moおよびその酸化物からなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の金属化合物を担持させることを含む、[9]〜[12]のいずれか1つに記載の複合金属化合物の製造方法。
本発明によれば、新規なプロリノールの製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、プロリノールの製造に適した複合金属化合物(例えばプロリンからプロリノールを製造するための複合金属化合物触媒)およびその製造方法を提供することができる。
複合金属化合物(Rh−Mo/Al)の一例の表面の概念図である。 比較となる化合物(Pd−Mo/Al)の一例の表面の概念図である。 X線回折(XRD)測定の結果である。 製造例1の結果を示すグラフである。 製造例2の化合物例1の結果(リン酸の影響)を示すグラフである。 製造例2の化合物例2の結果(リン酸の影響)を示すグラフである。 製造例3の化合物例1の結果(硫酸の影響)を示すグラフである。 製造例3の化合物例2の結果(硫酸の影響)を示すグラフである。 製造例4の化合物例1の結果(水素圧の影響)を示すグラフである。 製造例4の化合物例2の結果(水素圧の影響)を示すグラフである。 製造例5の化合物例1の結果(反応時間の影響)を示すグラフである。 製造例5の化合物例2の結果(反応時間の影響)を示すグラフである。
本発明のプロリノールの製造方法は、RhまたはPtから選ばれる金属と、Moおよびその酸化物からなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の金属化合物とが担体に担持された複合金属化合物(以下、「本発明の複合金属化合物」と称し得る)を用いる。また、プロリンからプロリノールを製造するための方法(以下、「本発明のプロリノールの製造方法」と称し得る)に、複合金属化合物からなる複合金属化合物の触媒(以下、「本発明の複合金属化合物触媒」と称し得る)を用いる。本明細書中、特に断らない限り、「本発明の複合金属化合物」と呼称する場合には、本発明の複合金属化合物触媒を包含することを意味する。
上記の複合金属化合物では、Rh(ロジウム)またはPt(白金)から選ばれる金属が、担体に担持されている。この金属は、酸化物などの化合物になっているものであってもよいが、好ましくは、ゼロ価の金属である。すなわち、金属単体が好ましい。なお、RhおよびPtの両方が担持されてもよいが、単一の金属の方が、調製が容易なため、好ましい。
上記の複合金属化合物では、RhまたはPtから選ばれる金属が粒子の状態であり、この金属の粒子が担体の表面に担持されていることが好ましい。ここで、担持とは、基材として機能する担体の上に、担持される物質が固定されている状態のことを意味する。担持は、粒子状の金属が担体の表面に付着している状態であり得る。例えば、金属粒子が、担体上に、点在していているような状態でもよい。担体が結晶であると、その結晶上に金属粒子が配置され得る。担体は、分子または分子の集合体であってもよい。金属の粒子は、複合金属化合物において、非共有結合によって担持されていてもよい。その場合、共有結合を介しないで、金属の粒子が担体の表面に固定される。もちろん、金属の粒子と担体とがそれらの界面で非共有結合以外の結合(共有結合、金属結合など)を形成していてもよい。
上記の複合金属化合物では、また、Mo(モリブデン)およびその酸化物からなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の金属化合物(以下、「Mo化合物」とも称し得る)が、担体に担持されている。Mo化合物は、担体上に直接、非共有結合によって担持されていてもよいし、RhまたはPtから選ばれる金属と結合し、その結合によって担体に担持されていてもよい。好ましくは、Mo化合物は、後述のように、RhまたはPtから選ばれる金属と結合を形成し得る。その結合は、それらの異なる金属の界面で結合されるものであってよく、結合形態は、共有結合、非共有結合、または金属結合、あるいはそれ以外の結合であってもよい。
上記の複合金属化合物では、RhまたはPtから選ばれる金属とMo化合物とが担体上に、金属が複合した粒子(複合金属の粒子)となって固定され得て、複合金属化合物を与える。この複合金属化合物の粒子(担体上に担持された金属の粒子)は、粒子径が0.2〜30nmであることが好ましい。それにより、粒子の表面積が大きくなり、優れた反応活性(例えば、触媒作用)を奏することができる。複合金属化合物の粒子の粒子径が小さくなると、反応活性が高くなる傾向にある。その観点から、複合金属化合物の粒子の粒子径は、20nm以下がより好ましく、10nm以下がさらに好ましく、5nm以下がよりさらに好ましい。複合金属化合物の粒子の粒子径は、好ましい範囲として、例えば、0.2〜10nmであってもよい。また、複合金属化合物の粒子の粒子径は、0.5nm以上であってもよく、さらに1nm以上であってもよい。なお、複合金属化合物の粒子の粒子径の平均値(平均粒子径)については、0.2〜30nmが好ましく、0.2〜20nmがより好ましく、0.5〜10nmがさらに好ましく、1〜5nmがよりさらに好ましい。
複合金属化合物の粒子の大きさは、透過型電子顕微鏡(TEM)の観察によって測定することができる。上記の複合金属化合物は、複合金属化合物の粒子が担体上で固定されているため、レーザ回折式粒度分布測定装置などの方法では粒子の大きさは確認しにくいが、TEMによれば、容易に粒子径を確認することができる。例えば、TEMにより複合金属化合物の表面を観測することで、複合金属化合物の粒子の粒子径を測定することができる。このとき、任意に選択した所定個数(例えば、50個、100個、200個、または300個)の複合金属化合物の粒子の粒子径を計測し、その平均値を算出することで、複合金属化合物の粒子の平均粒子径を求めることができる。
上記の複合金属化合物における担体としては、限定されるものではないが、アルミナ(Al)、シリカ(SiO)、ゼオライト、カーボン、マグネシア、チタニア、ジルコニア、セリア、ニオビア、酸化タンタルなどが挙げられる。担体としては、アルミナ(Al)が好ましい。その場合、プロリノールを効率よく製造することができる。アルミナとしては、具体的には、例えば、γ−Alを用いることができる。本明細書において、RhまたはPtから選ばれる金属と、Mo化合物とが、Alの担体に担持された、複合金属化合物の発明が開示される。
複合金属化合物の担体は、粒子であってよい。ただし、担体として機能するために、担体粒子は、通常、担持される金属の粒子よりも大きい粒子径の粒子である。例えば、担体の粒子径は、担持される金属の粒子の粒子径よりも、2倍以上、5倍以上、10倍以上、50倍以上、または100倍以上であり得る。担体の粒子径は、10〜5000nmであることが好ましい。粒子径がこの範囲になることにより、金属粒子を効果的に配置することができる。担体の粒子径は、20〜4000nmであることがより好ましく、50〜1000nmであることがさらに好ましい。担体の粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)の観察で得られた画像を解析することにより得ることができる。その際、任意に選択した所定個数(例えば、50個、100個、200個、または300個)の担体粒子の粒子径を計測し、その平均値を算出することで、担体粒子の平均粒子径を求めることができる。
上記の複合金属化合物では、複合金属化合物の総重量(100重量%)に対して、RhまたはPtから選ばれる金属の含有量が、0.1〜20重量%であることが好ましい。上記金属の含有量がこの範囲になることにより、優れた反応活性(例えば、触媒作用)を奏することがより可能になる。この含有量が、複合金属化合物における上記金属の担持率(重量%)となる。複合金属化合物における上記金属の含有量は、1〜10重量%がより好ましい。
上記の複合金属化合物では、複合金属化合物の総重量(100重量%)に対して、Moおよびその酸化物からなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の金属化合物(すなわち、Mo化合物)に含まれるMoの含有量が、0.01〜2重量%であることが好ましい。Moの含有量がこの範囲になることにより、優れた反応活性(例えば、触媒作用)を奏することがより可能になる。この含有量が、複合金属化合物におけるMoの担持率(重量%)となる。複合金属化合物におけるMoの含有量は、0.1〜1.5重量%がより好ましく、0.125〜1.25重量%がさらに好ましい。なお、Moの酸化物に含まれるMoの量は、元素としてのMoの量に基づく。
Moおよびその酸化物はMo酸化物であることが好ましい一態様である。Mo酸化物とは、Moが酸素原子で酸化されているものを意味する。Moは、酸素原子と単結合または二重結合を形成し得る。Mo酸化物は、MoOであってもよいが、別の形態で担体に担持されてもよい。複合金属化合物中において、Moは、1〜6個の酸素原子と結合していてもよく、好ましくは、1〜3個(例えば、2個)の酸素原子と結合し得る。Mo上の、酸素原子と結合しない結合手は、他の原子や物質(例えば、RhまたはPt、または担体)と結合し得る。
上記の複合金属化合物では、RhまたはPtから選ばれる金属と、Mo化合物に含まれるMoとが直接結合して複合化し得、この構造が複合金属のコア構造となり得る。推測されるコア構造は後記で詳述するが、コア構造は、例えば、Moの原子1個に対し、RhまたはPtから選ばれる金属の原子が、1〜10個であってもよく、1〜5個(例えば、2個)であってもよく、同一原子が好ましい。また、1個のMoは、RhまたはPtから選ばれる金属の原子1〜5個と結合してもよく、1〜3個と結合してもよく、例えば、2個と結合してもよい。
上記の複合金属化合物において、RhまたはPtから選ばれる金属と、Mo化合物に含まれるMoとのモル比(具体的には、Rh:MoまたはPt:Mo)は、2:1〜50:1であることが好ましい。これらの金属のモル比がこの範囲になることにより、優れた反応活性(例えば、触媒作用)を奏することがより可能になる。このモル比は、3:1〜20:1がより好ましく、4:1〜16:1がさらに好ましい。
上記の複合金属化合物、特に複合金属化合物触媒は、例えば、Rh−Mo/Al、またはPt−Mo/Al、であり得る。なお、[/」を用いた表記は、触媒分野でよく用いられる記載方法であり、金属が担体に担持されていることを示す。例えば、Rh−Mo/Alは、Rh−Mo(RhとMo化合物とが複合した金属を表す)が、Alの担体に担持されている化合物(特に、触媒)であることを意味する。ここで、Rh−Moの表記は、RhとMoとの組み合わせを意味する。好ましくは、RhとMoは結合して複合化し得るが、これに限定されるものではない。
上記の複合金属化合物を製造する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、RhまたはPtから選ばれる金属をAlなどの担体に担持させ、その金属が担持された担体(金属担持担体)に、Mo化合物を担持させることにより、複合金属化合物を製造することができる。
上記の金属担持担体(RhまたはPtから選ばれる金属が担持された担体)は、例えば、含浸法によって得ることができる。具体的には、Alなどの担体を金属塩の水溶液に含浸し、次いで、水溶液を蒸発乾固し、その後、焼成することによって、金属担持担体を得ることができる。金属塩としては、例えば、金属ハロゲン化物(例えば、金属塩化物、金属臭化物、金属ヨウ化物)、金属水酸化物、金属硝酸塩、金属硫酸塩、金属炭酸塩、金属酢酸塩、金属カルボニル、金属シクロペンタジエニル錯体、などが挙げられる。金属塩の具体例としては、ロジウム(Rh)では、塩化ロジウム、硝酸ロジウム、酢酸ロジウム、テトラカルボニルジクロロ二ロジウムなどが挙げられ、白金(Pt)では、塩化白金、硝酸白金、白金アセチルアセトネート、硝酸テトラアンミン白金などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
金属担持担体を得る際の焼成温度は、200℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましく、300℃以上がさらに好ましい。また、焼成温度は、800℃以下が好ましく、700℃以下がより好ましく、600℃以下がさらに好ましい。焼成時間は、限定されるものではないが、例えば、0.5時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましく、2時間以上がさらに好ましい。また、焼成時間は、10時間以下が好ましく、5時間以下がより好ましく、4時間以下がさらに好ましい。焼成により、金属塩は還元され、ゼロ価の金属となり、その際、金属の粒子となって担体に担持される。金属イオンの対となった塩の成分は、焼成によって、分解、蒸発などして、消失する。
金属担持担体を得る際、好ましくは、金属の塩および担体を含む混合物を、焼成し、その後または焼成と同時に水素の存在下で還元処理することにより、金属担持担体を得ることができる。水素による還元処理を行うことにより、金属が安定化し、反応活性(例えば、触媒作用)を高めることができる。金属塩および担体を含む材料を、焼成、および、水素の存在下で還元処理することにより得た金属担持担体は、金属がゼロ価の状態になりやすく、反応活性が向上するのである。金属は、水素の存在下でないと、焼成後は、酸化物として存在することがあり得るが、水素還元処理によって、酸化物が還元されて、ゼロ価(メタル種)の金属となる。好ましくは、金属担持担体は、所定の時間、水素と接触する。より好ましくは、金属担持担体は、高温で水素と接触する。
水素還元処理の温度は、焼成温度と同じであってよいし、異なっていてもよい。焼成と同時に水素還元処理を行う場合は、これらは同じ温度となり得る。水素還元処理の温度は、還元処理を確実に行う観点から、200℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましい。また、水素還元処理の温度は、還元処理の効率化の観点から、800℃以下が好ましく、700℃以下がより好ましく、600℃以下がさらに好ましい。水素還元処理の時間は、限定されるものではないが、例えば、還元処理を確実に行う観点から、0.5時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましく、2時間以上がさらに好ましい。また、水素還元処理の時間は、還元処理の効率化の観点から、10時間以下が好ましく、5時間以下がより好ましく、4時間以下がさらに好ましい。水素還元処理は、例えば、高温となった金属担持担体を形成する材料に、水素を流すことにより行うことができる。具体的には、水素を常時供給する水素雰囲気下で焼成することで、水素還元処理を行うことができる。
上記のようにして得た金属担持担体(例えば、Rh/Al、Pt/Al)に、Mo化合物を担持させる。Mo化合物の担持は、含浸法により行うことができる。具体的には、モリブデンを含む化合物の塩の水溶液に、金属担持担体を含浸し、次いで、水溶液を蒸発乾固し、その後、焼成することによって、Mo化合物をさらに担持した担体(すなわち、複合金属化合物)を得ることができる。モリブデンを含む化合物の塩としては、モリブデン酸塩が好ましい。モリブデン酸塩は、Mo以外の金属(Li、K、Na、Caなど)を含まないことが好ましい。モリブデンを含む化合物の塩としては、例えば、モリブデン酸アンモニウム4水和物(七モリブデン酸六アンモニウム四水和物ともいう)、塩化モリブデン、およびペンタエトキシモリブデン、などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
複合金属化合物を得る際の焼成温度および時間は、上記の金属担持担体の焼成の場合と同様であってよい。すなわち、焼成温度は、200℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましく、300℃以上がさらに好ましい。また、焼成温度は、800℃以下が好ましく、700℃以下がより好ましく、600℃以下がさらに好ましい。焼成時間は、限定されるものではないが、例えば、0.5時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましく、2時間以上がさらに好ましい。また、焼成時間は、10時間以下が好ましく、5時間以下がより好ましく、4時間以下がさらに好ましい。焼成により、Mo化合物が担体に担持される。モリブデンを含む化合物のモリブデンまたはその酸化物以外の塩の成分は、焼成によって、分解、蒸発などして、消失し得る。
複合金属化合物を得る際、焼成の後または焼成と同時に水素の存在下で還元処理することが好ましい。水素による還元処理を行うことにより、複合金属化合物が安定化し、反応活性(例えば、触媒作用)を高めることができる。水素還元処理は、上記の金属担持担体において行った方法と同様の方法で行うことができる。すなわち、水素還元処理の温度は、還元処理を確実に行う観点から、200℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましく、一方、還元処理の効率化の観点から、800℃以下が好ましく、700℃以下がより好ましく、600℃以下がさらに好ましい。水素還元処理の時間は、限定されるものではないが、例えば、還元処理を確実に行う観点から、0.5時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましく、2時間以上がさらに好ましく、一方、還元処理の効率化の観点から、10時間以下が好ましく、5時間以下がより好ましく、4時間以下がさらに好ましい。水素還元処理は、例えば、高温となった複合金属化合物を形成する材料に、水素を流すことにより行うことができる。具体的には、水素を常時供給する水素雰囲気下で焼成することで、水素還元処理を行うことができる。
複合金属化合物の製造においては、不動態化処理を行うことが好ましい。不動態化処理とは、複合金属化合物上の金属に不動態被膜(酸化被膜)を形成する処理のことを意味する。不動態被膜を形成することにより、複合金属化合物が安定化し、複合金属化合物の反応活性(例えば、触媒活性)を安定して得ることができる。不動態化処理は、焼成の後に行うことができ、水素還元処理を行う場合はその処理の後に行うことが好ましい。不動態化処理は、例えば、酸素(O)を含む気体を流すことにより行うことができる。不動態化処理の気体は、酸素と不活性ガス(例えば、ヘリウム)との混合ガスが好ましい。不動態化処理は、10℃以上の温度で行うことが好ましい。また、不動態化処理は、600℃以下の温度で行うことが好ましい。例えば、不動態化処理は室温で行うことができる。あるいは、不動態化処理を200℃以上で行ってもよい。不動態化処理の時間は、例えば、0.25〜6時間にすることができる。
上記の複合金属化合物は、CO化学吸着量測定において、金属(RhまたはPtから選ばれる金属とMoとの総量)1gあたりのCO化学吸着量が、0.001〜0.5mmolであることが好ましい。CO化学吸着量の範囲がこの範囲になることにより、優れた反応活性(例えば、触媒作用)を奏することができる。CO化学吸着量は、反応活性(例えば、触媒作用)に寄与する金属表面の量を示す値であり、金属の分散の程度の指標ともなる。したがって、CO化学吸着量の範囲が上記の範囲になると、金属の分散の程度が反応に適したものになる。CO化学吸着量は、例えば、蒸気吸着量測定装置(例えば、日本ベル株式会社製BELSORP−max−2)を用いた方法(静止法)により測定することができる。
以上により、RhまたはPtから選ばれる金属と、Mo化合物とが、担体(好ましくはAl)に担持された複合金属化合物が得られる。この複合金属化合物は、化学反応の触媒として使用可能であり、好適には、プロリンからプロリノールを生成する反応に、使用することができる。
以下、本発明のプロリノールの製造方法について、説明する。
本発明のプロリノールの製造方法は、上記の複合金属化合物(すなわち、RhまたはPtから選ばれる金属と、Mo化合物とが担体に担持された複合金属化合物)(特に、複合金属化合物触媒)の存在下、プロリンを水素と反応させてプロリノールを生成する。
プロリンからプロリノールへの反応の反応スキームを下記に示す。下記では、還元がさらに進行するピロリジンへの反応のスキームも括弧書きで合わせて記載している。
Figure 2021181417
上記の複合金属化合物(特に、複合金属化合物触媒)は、還元反応の触媒として機能し得る。プロリノールの合成反応においては、複合金属化合物の還元作用により、プロリンのカルボキシ基(COOH)がヒドロキシメチル基(CHOH)に還元される。上記の複合金属化合物により、プロリノールを効率よく合成することができる。ただし、プロリンからプロリノールの還元反応では、還元が進行しすぎて、ピロリジンを生成することがあり得る。ピロリジンは、キラリティーも失われ、材料としての価値も低下し得る。そのため、プロリンからプロリノールを選択性よく合成することが重要となる。
ここで、プロリンは、不斉炭素を有する化合物であり、光学的に活性な化合物(キラル化合物)となり得る。プロリノールの製造に用いるプロリンとしては、光学活性を有するものであっても、有さないものであってもよい。具体的には、プロリンとして、L−プロリン、D−プロリン、DL−プロリンなどを用いることができる。上記の反応においては、プロリンの光学活性が維持され得る。したがって、L−プロリンからはL−プロリノールを製造することができ、D−プロリンからはD−プロリノールを製造することができる。製造されたプロリノールは、光学活性が維持されるため、キラル化合物の原料やキラル触媒などの有用な材料となる。本明細書において、単にプロリンというときは、光学活性を問わないことを意味する(すなわち、例えば、L−プロリン、D−プロリン、およびDL−プロリンのいずれであってもよい)。
上記の反応は、水素の存在下で行うことができる。上記の反応スキームで示すように、プロリンからプロリノールへの変換の反応は、水素還元により進行し得る。そのため、通常、水素(H)の存在下で反応を行う。水素は、気体の水素であってよい。気体の水素は、水素ガスボンベから得ることができる。例えば、水素は、ガスボンベから反応容器に送られ、充填されて、反応に用いられる。ただし、気体内に、水素以外の気体が含まれていてもよい。水素が存在すれば、反応は進行し得るからである。水素以外の気体が含まれる場合、不活性ガスが好ましい。不活性ガスは、反応に関与しにくいからである。不活性ガスとして、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウムなどが挙げられる。ただし、より好ましくは、水素のみのガスが用いられる。
水素は、反応前に密閉容器内に充填されて充填状態が保持されていてもよいし、反応中に反応容器に常時供給されてもよい。充填状態が保持される場合、バッチ式の反応器とすることができ、反応を容易に行うことができる。
上記の反応は、酸の存在下で反応を行うことが好ましい。酸がある場合、反応がスムーズに進行する。
酸による作用は、下記のアミノ酸のイオン化状態を示すスキームを用いて、一般的なアミノ酸のアミノアルコールへの還元反応を例に、説明することができる。
Figure 2021181417
アミノ酸は、中性領域ではカルボキシ基がアニオンとして存在し、カルボニル炭素の電子が非局在化しているため、反応性は高くない。そして、塩基性になるとさらにアニオンとして存在しやすくなり、カルボニル炭素の求電子性がますます低下し、カルボキシ基の水素化反応は起こりにくくなる。一方、アミノ酸は、酸性になると、カルボン酸がイオン化しにくくなり、カルボニル炭素は、求電子性が高まってヒドリド種の攻撃を受けやすくなり、カルボキシ基が水素化しやすくなる。ここで、プロリンからプロリノールへの反応においては、生成物であるプロリノールは、アミノアルコールであり、塩基性物質であるため、反応の進行とともにpHが上昇する。そのため、反応の進行に伴って、プロリンの反応性が低下し得る。しかしながら、酸を添加すると、反応系が酸性側にシフトするため、pHの上昇を抑え、カルボン酸のイオン化を抑制して、カルボニル炭素の求電子性を高め、水素化を容易にすることができる。そのため、酸を添加すると、反応がよりスムーズに進行することができるのである。なお、酸の添加量が過剰になると、酸による分解が進行しやすくなり、また、アミノアルコールの水素化も促進してしまう可能性がある。そのため、適切な酸の選択およびその量の調整が重要であると考えられる。
プロリノールの製造に用いる酸としては、限定されるものではないが、例えば、無機酸(具体的には、例えば、リン酸、硫酸、硝酸、塩酸、およびフッ化水素酸)、および有機酸(具体的には、例えば、酢酸)、などを用いることができる。酸としては、無機酸が好ましく、リン酸がより好ましい。リン酸を用いる場合、高い選択性で、プロリノールを生成することができる。
酸を使用する場合、酸の量は、限定されるものではないが、反応基質であるプロリンに対して、0.1〜10当量が好ましい。酸の量がこの範囲になると、プロリノールの反応を効率よく進行させることができる。酸の量は、0.2〜5当量がより好ましく、0.5〜3当量がさらに好ましい。ここで、当量は、モル比に基づき、例えば、2当量は、プロリン1molに対して、酸が2molであることを意味する。
プロリノールの製造は、好ましくは、溶媒の存在下で行われる。反応基質であるプロリンは、好ましくは、溶媒に溶解されて、用いられる。上記の反応では、好ましくは、プロリンの溶液が用いられる。溶媒としては、限定されるものではないが、水、および、エタノール、メタノールなどのアルコール、テトラヒドロフランなどのエーテルなどに例示される有機溶媒(例えば水混和性有機溶媒)が挙げられる。溶媒としては、水を含むことが好ましい。水は、入手が容易であり、反応に関与しにくく、効率よく反応を行うことができるからである。さらに、溶媒は、水であってよく、実質的に水のみであってもよい。本態様では、プロリンの水溶液を好ましく用いることができる。上記の酸は、好ましくは、プロリンの溶液(好ましくは水溶液)に溶解されて用いられる。なお、プロリンの溶液は、さらに、その他の成分(添加剤など)を含有してもよいし、含有していなくてもよい。
プロリンの溶液または水溶液を用いる場合、プロリンの濃度は、0.001〜10mol/Lが好ましい。プロリンの濃度がこの範囲になることにより、効率よくプロリノールを得ることができる。さらに、上記のプロリンの濃度は、0.01〜1mol/Lがより好ましく、0.05〜0.5mol/Lがさらに好ましい。
プロリノールを製造する反応においては、複合金属化合物の使用量が、プロリンの使用量に対してモル比が1:1〜1:500であることが好ましい。複合金属化合物の使用量が、このモル比の範囲で、優れた反応活性(例えば、触媒作用)を奏することができる。上記のモル比(複合金属化合物:プロリン)は、1:3〜1:300がより好ましく、1:5〜1:200がより好ましい。
プロリンに対する複合金属化合物(例えば、Rh−Mo/AlまたはPt−Mo/Al)の量は、プロリン1molに対して、0.5g〜5000gの比率であることも好ましい。複合金属化合物の量が、この比率範囲で、優れた反応活性(例えば、触媒作用)を奏することができる。プロリンに対する複合金属化合物の量(上記の比率)は、プロリン1molに対し、5〜1000gがより好ましく、25〜250gがさらに好ましい。
プロリンに対する、複合金属化合物において担持された全金属(Rh、Pt、およびMo)の元素に換算した場合の総重量は、プロリン1molに対し、0.025〜250gの比率であることが好ましい。複合金属化合物において担持された全金属の量がこの範囲になることにより、優れた反応活性(例えば、触媒作用)を奏することができる。プロリンに対する、複合金属触媒で担持された全金属の量(上記の比率)は、プロリン1molに対し、0.25〜50gがより好ましく、1.25〜12.5gがさらに好ましい。
プロリノールの製造にあたっては、まず、プロリンの溶液および複合金属化合物を、反応容器に入れる。反応容器としては、水素雰囲気を保持することができるバッチ式の反応容器を好ましく用いることができる。反応容器として、例えば、触媒スクリーニング容器や、バッチ式のオートクレーブ反応容器が挙げられる。
次に、反応容器に気体の水素を入れる。気体の水素は、例えば、水素ガスボンベから送ることができる。気体の水素を送り込むことにより、水素が反応容器に充填される。またバッチ式の場合、好ましくは、水素を容器に入れて排気するという操作を複数回繰り返し行い、容器内の雰囲気を水素雰囲気にすることができる。反応においては、水素が密閉容器に充填された後、密閉状態が維持されてもよいし、反応容器の中の圧力が一定になるように、水素の供給が維持されてもよい。水素の供給により、容器に圧力(水素圧)をかけることが好ましい。
そして、プロリンの溶液を撹拌すると、上記で説明した反応が進行する。プロリン溶液の撹拌は、振とうであってもよい。
上記の反応においては、温度が50〜200℃で反応を行うことが好ましい。温度がこの範囲になることで、反応基質を効率よく反応させることができる。温度は、60〜180℃がより好ましく、70〜150℃がさらに好ましい。上記の温度は、例えば、加熱式の反応容器を使用することで得ることができる。
上記の反応においては、圧力(水素圧)が0.1〜50MPaで反応を行うことが好ましい。圧力がこの範囲になることで、プロリンを効率よく反応させることができる。圧力は、0.2〜5MPaがより好ましく、0.5〜2MPaがさらに好ましい。上記の圧力は、例えば、反応系を加圧することで得ることができる。反応容器内の圧力は、水素ガスの注入時の圧力で調整することができる。なお、反応中、圧力が低下し得ることもあるが、上記の圧力は、反応開始時の圧力であってよい。好ましくは、反応終了時も、上記の圧力の範囲が維持されている。
このようにして、上記で説明したように、プロリンの還元反応(水素付加反応)が進行して、プロリンからプロリノールが生成する。なお、プロリノールは、別名、2−(ヒドロキシメチル)ピロリジンとも呼ばれる。
上記の複合金属化合物(特に、複合金属化合物触媒)は、再利用可能である。例えば、上記のプロリノールの製造に用いた複合金属化合物触媒について、使用後に、回収し、水で洗浄し、高温乾燥したもの(好ましくはさらに水素還元処理を行う)は、再度、プロリノールの製造に用いることができる。その際、複合金属化合物触媒の触媒活性は、初回の活性と同等程度のレベルになり得る。したがって、複合金属化合物触媒を効率よく使用して、プロリノールを製造することができる。
ここで、プロリンからプロリノールへの変換の反応機構について、推定される機構を説明する。以下の説明は、あくまで推定であり、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下では、Rh−Moの場合を主に示すが、Pt−Moの場合も同様である(RhをPtに置き換えればよい)。
複合金属化合物は、表面に次の構造を有し得ると考えられる(Rh−Moの場合)。
Figure 2021181417
すなわち、複合金属化合物は、メタル種のRhにMoO(上記ではx=2)が結合した構造を有する。RhとMoとの間の結合は、金属結合および共有結合などの結合であり得る。そして、Moは1つ以上の酸素原子と結合し(上記では2個の酸素原子とそれぞれ二重結合を形成)、酸化状態にある。このように、金属のRhにMoOが添加され、担体の表面で、RhとMoとが複合金属化しているのではないかと推測される。この構造が触媒反応に寄与すると考えられる。そのため、複合金属化合物におけるMoおよびその酸化物はMo酸化物であることが好ましい。また、複合金属の構造の態様の例として、1個のMoが2個のRhと結合する場合が挙げられ、複合金属の構造としては、金属Rh上にこれらMo酸化物と複合化した部分と、Mo酸化物と複合化していない部分の両方の構造部分を含む構造が挙げられる。ただし、この構造は、あくまで推定である。したがって、複合金属化合物では、担体上に、あるいはRhまたはPt上に、Moの金属が担持されていてもよいし、Moの酸化物が担持されていてもよいし、Moおよびその酸化物の両方が担持されていてもよい。
なお、Pt−Moの場合、複合金属化合物は、表面に次の構造を有し得ると考えられる。
Figure 2021181417
プロリンからプロリノールへの変換の反応機構(推定)を下記のスキームで示す。下記では、Rhの場合を示すが、Ptの場合も同様である。
Figure 2021181417
上記の反応機構では、まず、プロリンのカルボキシ基のOHが、複合金属化合物のRh上に吸着するとともに、Mo=Oと水素結合を形成する(ステップ1)。次に、水素分子(H)が、RhとMoOの界面で解離し、生成したH種がRh上に、H種がMoO上にそれぞれ吸着する(ステップ2)。そして、Hがカルボニル炭素を求核攻撃し、脱水してアルデヒドを生成する(ステップ3)。その後、もう一度水素分子が解離して生成したHがカルボニル炭素を求核攻撃することで、炭素が還元され、プロリノールが生成する(ステップ4)。最後に、プロリノールが触媒から脱離し、触媒が再生される(ステップ5)。このようなメカニズムで、反応が進行すると推測される。
後述の実施例で示すように、複合金属化(MoO添加)されていない化合物(RhまたはPtの金属を担持した担体)では、プロリノールの生成が見られないが、RhまたはPtの金属とMoとが複合金属化された化合物(化合物例1、2)では、反応が進行して、プロリノールが生成することが確認されている。このことからも、上記の反応機構が示唆される。
図1−Aおよび図1−Bに、複合金属化合物の表面の概念図を示す。図1−Aは、Rh−Mo/Alと記される本発明の複合金属化合物であり、図1−Bは、Pd−Mo/Alと記される比較対照の化合物である。これらの概念図により、本発明の複合金属化合物の推定される構造を説明する。後述の実施例で示すように、PdまたはRuについても複合金属化したが、これらの化合物(比較化合物例1、2)では、プロリノール合成の反応は進行しなかった。これは、PdまたはRuでは、それらの金属の上をMoOが覆ってしまい、PdまたはRuが露出していないからではないかと推定される(図1−B)。さらにこの推定は、PdまたはRuにMoO添加した場合に、吸着CO/金属モル比が減少していることからも示唆される。一方、本発明の複合金属化合物では、Mo化合物の金属種(MoO)が外側に配置されるとともに、RhまたはPtが表面で露出していると推定される(図1−A)。すなわち、本発明の複合金属化合物では、MoOおよびRh(またはPt)の両方が表面に存在するため、上記の反応機構での反応が容易に進行し得る。本発明では、このような構造となることによって、複合金属化合物の活性が得られているものと推定される。もちろん、以上のメカニズムや構造はあくまで推定であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
プロリノールの製造では、反応の結果、プロリノールを含む混合物の状態で、プロリノールが得られる。製造されたプロリノールは、副生成物などを含む反応混合物の中に含まれる。この混合物から、プロリノールを単離することも可能であるし、反応混合物をそのまま、あるいはある程度精製して、次の用途に用いることも可能である。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
[金属担持担体の調製]
Rh/Al(Rhを担持したAl)を次のように調製した。まず、γ−Alを、RhCl水溶液に、Rhの担持量が5重量%となるように含浸した。次に、含浸後のAlを蒸発乾固し、110℃で24時間乾燥した。その後、流通式の管状炉に入れ、6mL/minの水素流中、昇温速度2℃/minで400℃まで昇温し、3時間、焼成および水素還元処理を行った。これにより、金属担持担体Rh/Al(Rhの含有量:5重量%)を得た。
RhClをPtClに置き換えること以外は上記と同様の方法で、Pt/Al(Ptの含有量:5重量%)を得た。また、比較のため、上記と同様の方法で、PdClおよびRuClを用いて、Pd/Al(Pdの含有量:5重量%)およびRu/Al(Ruの含有量:5重量%)をそれぞれ得た。
[複合金属化合物の製造]
化合物例1:Rh−Mo/Al
上記で得たRh/Alを、Moの担持量(含有量)が0.625重量%となる量の七モリブデン酸六アンモニウム四水和物をイオン交換水30mLに溶解した水溶液に加え、混合した。この混合液を温度が70℃となるようにホットプレートで加熱し、蒸発乾固させた。得られた固体をメノウ乳鉢ですり潰し、焼成皿に移して、110℃で12時間以上乾燥させた。その後、混合物を、昇温速度2℃/minで500℃まで昇温し、3時間、焼成を行った後、流通式の管状炉に入れ、水素流量20mL/minで水素を流しながら、昇温速度2℃/minで400℃まで昇温し、3時間、水素還元処理を行った。その後、室温で、さらに2%O/Heを流量20mL/minで1時間以上流し、不動態化処理を行った。これにより、RhとMoが担体に担持された複合金属化合物(Rh−Mo/Al;Rh含有量5重量%、Mo含有量0.625重量%)を得た。
化合物例2:Pt−Mo/Al
Rh/Alの代わりに、Pt/Alを使用したこと以外は、化合物例1の製造と同様にして、化合物例2の複合金属化合物(Pt−Mo/Al;Pt含有量5重量%、Mo含有量0.625重量%)を製造した。
比較化合物例1:Pd−Mo/Al
Rh/Alの代わりに、Pd/Alを使用したこと以外は、化合物例1の製造と同様にして、比較化合物例1の複合金属化合物(Pd−Mo/Al;Pd含有量5重量%、Mo含有量0.625重量%)を製造した。
比較化合物例2:Ru−Mo/Al
Rh/Alの代わりに、Ru/Alを使用したこと以外は、化合物例1の製造と同様にして、比較化合物例2の複合金属化合物(Ru−Mo/Al;Ru含有量5重量%、Mo含有量0.625重量%)を製造した。
[複合金属化合物の構造解析]
1.X線回折(XRD)測定
化合物例1、2、および比較化合物例1、2、ならびにそれらの各中間体(Rh/Al、Pt/Al、Pd/Al、およびRu/Al)について、粉末X線回折(XRD)測定を行った。
図2に、XRDの測定結果(XRDパターン)を示す。また、あわせて、担体であるAl(詳細にはγ−Al)についてのXRDパターンも示す。
図2に示すように、化合物例1(Rh−Mo/Al)およびRh/Alでは、Rhメタル(Rh)由来のピーク(▼)が確認され、また、化合物例2(Pt−Mo/Al)およびPt/Alでは、Ptメタル(Pt)由来のピーク(■)が確認され、また、比較化合物例1(Pd−Mo/Al)およびPd/Alでは、Pdメタル(Pd)由来のピーク(▲)が確認された。これらは、複合金属化すること(MoO添加)による回折パターンに大きな変化は見られなかった。このことから、Mo種および金属(Rh、Pt、Pd)の凝集は起きていないと考えられる。一方、比較化合物例2(Ru−Mo/Al)およびRu/Alでは、Ruメタル(Ru)由来のピーク(●)が観察されたが、複合金属化すること(MoO添加)によって、44°の回折線の強度が大きくなった。このことから、化合物を調製する過程(MoO添加)で、Ruが凝集したのではないかと考えられる。
2.平均粒子径の測定
化合物例1、2、および比較化合物例1、2、ならびにそれらの各中間体(Rh/Al、Pt/Al、Pd/Al、およびRu/Al)について、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、その画像から担体(Al)上に存在する粒子(金属粒子)の粒子径を複数個測定し、それらの平均粒子径を算出した
表1に、平均粒子径の測定結果を示す。いずれの場合も、複合金属化すること(MoO添加)による平均粒子径に大きな変化は見られなかった。
Figure 2021181417
3.CO化学吸着測定
CO化学吸着測定は、蒸気吸着量測定装置(日本ベル株式会社、BELSORP−max−2)を用い、50℃で、CO(一酸化炭素)を送り込む方法(静止法)によって行った。
表2に、化合物例1、2、および比較化合物例1、2、ならびにそれらの各中間体(Rh/Al、Pt/Al、Pd/Al、およびRu/Al)についてのCO化学吸着測定の結果を示す。CO化学吸着量(mmol/g)は、金属(Rh、Pt、PdまたはRu)1gに対してCOが吸着した量(mmol)であり、吸着CO/金属モル比は、金属(Rh、Pt、PdまたはRu)1molに対する、吸着したCOの量(mol)である。
表2に示すように、CO化学吸着量は、化合物例1が最も高く、次に化合物例2と比較化合物例1が同等で、比較化合物例2が最も低かった。ここで、化合物例1および2は、複合金属化すること(MoO添加)でも、CO化学吸着量および吸着CO/金属モル比があまり変化しなかったのに対し、比較化合物例1および2は、複合金属化すること(MoO添加)によって、CO化学吸着量および吸着CO/金属モル比がかなり減少した。この減少は、図1−Bのモデルで説明したようなMoOの被覆により起こる可能性があり、触媒性能の低下と関係し得ると推察される。
Figure 2021181417
[プロリノールの製造(一般条件)と分析]
0.10mol/LのL−プロリン水溶液2g、複合金属化合物試料0.02g、および任意に酸を、触媒スクリーニング容器(容積7.0mL、EYELA)に入れて蓋をした。容器内に水素を圧力2.2MPaになるまで供給した後にこれを排気する、という操作を3回繰り返して、容器内の気体を水素で置換し、その後の水素の供給で容器を水素で満たすとともに、所定の圧力(水素圧0.5〜2.0MPa)に加圧した。容器内をヒーターで昇温した後、反応液を150rpmで撹拌しながら、所定の温度(70〜150℃)、所定の時間(1.5〜4.5時間)、反応を行った。反応後に反応液を室温まで冷却し、固体成分(複合金属化合物試料を含む)を遠心分離により沈殿させ分離し、上澄みを取り出して、反応溶液を得た。この溶液0.5gに、アミノ酸誘導体化試薬であるフェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(PTAH)溶液(8.0%メタノール溶液)0.1g、および内部標準物質としてトリエチレングリコールモノメチルエーテル(TGME)0.06gを加えた。この溶液をFID−GC(水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフィー)で分析することにより、プロリンの転化率と、生成物(目的物であるプロリノールおよび副生成物であるピロリジン)の変換率(または選択率)を測定した。なお、転化率は、反応基質であるプロリンが、何らかの反応によって他の物質に転化した比率のことである。また、変換率は、転化したプロリンの量に対する生成物質の量の比率のことである。
製造例1:複合金属化合物触媒による反応性
上記のプロリノールの製造において、反応温度110℃、水素圧2.0MPa、反応時間1.5時間、リン酸2当量(プロリンに対して)、の条件で反応を行った。触媒試料として、化合物例1、2、比較化合物例1、2、およびそれらの中間体(例えば、Rh/Al)などを使用した。
図3に、結果(反応の転化率および選択率)を示す。複合金属となっていないもの(Rh/Al、Pt/Al、Pd/Al、Ru/Al)、および比較化合物例1、2は、プロリノールやピロリジンの生成物は見られなかった。一方、化合物例1、2では、転化率が100%であり、プロリノール選択率がいずれも44%で、プロリノールを生成した。また、このとき、過剰な水素化により生じる副生成物のピロリジンも確認された。このように、化合物例1、2では、複合金属化すること(MoO添加)で、プロリノール合成反応の触媒活性が生じたのに対し、比較化合物例1、2では、複合金属となっても(MoO添加)、そのような触媒活性は生じなかった。なお、Rh/AlとMo/Alを物理的に混合したもの(Rh/Al+Mo/Al)、およびPt/AlとMo/Alを物理的に混合したもの(Pt/Al+Mo/Al)についても、反応を試みたが、転化率0%で、反応は進行しなかった。また、Mo/Alについて、反応を試みたところ、転化率20%であったが、目的の生成物であるプロリノールは得られたかった。なお、上記の化合物例1と同様にして製造したRh−Mo/SiOについても、反応を試みたが、反応は進行しなかった。
製造例2:リン酸の添加の影響
上記のプロリノールの製造において、反応温度110℃、水素圧2.0MPa、反応時間1.5時間の条件下、リン酸(HPO)の使用量を変化させて、反応を行った。
図4−Aに化合物例1の結果を示す。この系においては、リン酸を添加しない場合、反応は進行しなかった。リン酸の添加量を増加させると転化率は増加し、2当量以上で転化率100%を示した。プロリノール選択率は1当量で47%と最大となり、それより増えると減少した。なお、ピロリジンも同様の傾向を示した。
図4−Bに化合物例2の結果を示す。この系においても、リン酸を添加しない場合、反応は進行しなかった。リン酸の添加量を増加させると転化率は増加し、2当量以上で転化率100%を示した。プロリノール選択率は1当量で48%と最大となり、それより増えると減少した。なお、ピロリジンは、リン酸2当量以上で生成が見られたが、化合物例1のときよりも少なかった。
製造例3:硫酸の添加の影響
上記のプロリノールの製造において、反応温度110℃、水素圧2.0MPa、反応時間1.5時間の条件下、硫酸(HSO)の使用量を変化させて、反応を行った。
図5−Aに化合物例1の結果を示す。この系においては、硫酸を添加しない場合、反応は進行せず、硫酸の添加量が1当量以上で転化率100%を示した。プロリノール選択率は1および2当量で約19%となり、3当量ではプロリノールの生成は見られなかった。なお、ピロリジンは、硫酸1当量のときに選択率5%で生成したが、それ以外は生成しなかった。
図5−Bに化合物例2の結果を示す。この系においても、硫酸を添加しない場合、反応は進行せず、硫酸の添加量が1当量以上で転化率100%を示した。しかしながら、プロリノールおよびピロリジンの生成は見られなかった。
図5−Aおよび図5−Bに示すように、硫酸を使用した場合、リン酸を使用した場合に比べて、プロリノールの選択率は大幅に減少した。これは、酸性度が高いと、生成物であるプロリノールが分解しやすいからと考えられる。また、化合物例2において、ピロリジンの生成も見られないのは、強酸条件では、ピロリジンの開環などの過剰な分解反応も進行するためではないかと考えられる。よって、適切な酸の種類およびその量の選択が重要であることが示唆された。
製造例4:水素圧の影響
上記のプロリノールの製造において、反応温度110℃、反応時間1.5時間、リン酸1当量の条件下、水素圧を変化させて、反応を行った。
図6−Aに化合物例1の結果を示す。水素圧0.5Mpaのときに転化率は58%であり、水素圧を上げると、転化率も増加した。プロリノール選択率は、水素圧1MPaのときに60%と最大になったが、それより高くなると減少した。なお、ピロリジンは、水素圧2MPaのときに生成した。
図6−Bに化合物例2の結果を示す。水素圧0.5Mpaのときに転化率は62%であり、水素圧を上げると、転化率も増加した。プロリノール選択率は、水素圧1MPaのときに60%と最大になったが、それより高くなると減少した。なお、ピロリジンの生成は見られなかった。
図6−Aおよび図6−Bに示すように、水素圧を高くすると、転化率が増加するが、プロリノールの選択率は、上限を示した後、かえって低下する傾向がある。これは、水素圧が低い方が、アミノアルコールであるプロリノールで反応が止まりやすいからであると考えられる。そのため、適切な水素圧の設定が重要であることが示唆された。また、化合物例1ではピロリジンが生成されたのに対し、化合物例2ではピロリジンが生成されなかったのは、Rh−Mo上では、プロリノールからピロリジンへの転換反応(脱水素・脱カルボニル化)が進行しやすいのに対し、Pt−Mo上では、この脱水素・脱カルボニル化が、進行しにくいからではないかと考えられる。
製造例5:反応時間の影響
上記のプロリノールの製造において、反応温度110℃、水素圧1.0MPa、リン酸1当量の条件下、反応を行い、反応時間を変化させて、反応を行った。
図7−Aに化合物例1の結果を示す。転化率は時間の経過ともに増加する傾向が見られた。プロリノール選択率は、反応初期(22.5分)において76%を示したが、時間の経過とともに減少した。なお、ピロリジンの生成は見られなかった。
図7−Bに化合物例2の結果を示す。転化率は、反応初期(22.5分)で47%、1.5時間で58%を示し、その後、ほとんど変化がなかった。プロリノール選択率は、反応初期(22.5分)において54%を示し、反応時間の増加とともに増加して、4.5時間では、75%を示した。なお、ピロリジンの生成は見られなかった。
図7−Aおよび図7−Bに示すように、化合物例1では、反応時間を長くするとプロリノール選択率が低下する傾向にあるのに対し、化合物例2では、反応時間を長くするとプロリノール選択率が上昇する傾向にある。これは、逐次的な副反応の進行しやすさに関係していると考えられ、化合物例2は、水素化活性があるものの、化合物例1に比べて弱いからではないかと考えられる。したがって、化合物例2は、化合物例1よりも高いプロリノール選択率を示すことが示唆された。

Claims (14)

  1. RhまたはPtから選ばれる金属と、Moおよびその酸化物からなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の金属化合物とが担体に担持された複合金属化合物の存在下、プロリンを水素と反応させることを含む、プロリノールの製造方法。
  2. 酸の存在下で反応を行う、請求項1に記載のプロリノールの製造方法。
  3. 酸が、リン酸である、請求項2に記載のプロリノールの製造方法。
  4. Moおよびその酸化物がMo酸化物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロリノールの製造方法。
  5. 前記担体がAlである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロリノールの製造方法。
  6. 前記複合金属化合物は、複合金属化合物総重量に対し、RhまたはPtから選ばれる金属の含有量が、0.1〜20重量%であり、Moおよびその酸化物からなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の金属化合物に含まれるMoの含有量が、0.01〜2重量%である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロリノールの製造方法。
  7. 前記複合金属化合物は、RhまたはPtから選ばれる金属と、Moおよびその酸化物からなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の金属化合物に含まれるMoとのモル比が、2:1〜50:1である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロリノールの製造方法。
  8. 前記複合金属化合物の使用量が、プロリンの使用量に対してモル比が1:1〜1:500である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のプロリノールの製造方法。
  9. RhまたはPtから選ばれる金属と、Moおよびその酸化物からなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の金属化合物とが、Alの担体に担持された、複合金属化合物。
  10. 複合金属化合物総重量に対し、RhまたはPtから選ばれる金属の含有量が、0.1〜20重量%であり、Moおよびその酸化物からなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の金属化合物に含まれるMoの含有量が、0.01〜2重量%である、請求項9に記載の複合金属化合物。
  11. RhまたはPtから選ばれる金属と、Moおよびその酸化物からなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の金属化合物に含まれるMoとのモル比が、2:1〜50:1である、請求項9または10に記載の複合金属化合物。
  12. プロリンからプロリノールを製造する反応に使用するための、請求項9〜11のいずれか1項に記載の複合金属化合物。
  13. プロリンからプロリノールを製造する反応のための、請求項9〜11のいずれか1項に記載の複合金属化合物からなる、触媒。
  14. RhまたはPtから選ばれる金属がAlの担体に担持された金属担持担体に、Moおよびその酸化物からなる群から選ばれる1つまたはそれ以上の金属化合物を担持させることを含む、請求項9〜12のいずれか1項に記載の複合金属化合物の製造方法。
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