JP2021179200A - エンジン装置 - Google Patents

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Masanao Idogawa
孝宏 内田
Takahiro Uchida
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Masahiro Kachi
玲子 郷
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啓勝 山本
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Abstract

【課題】過給域から自然吸気域に切り替わった後にエンジンの空燃比が乱れるのを抑制する。【解決手段】自然吸気域で、自然吸気域でのパージ濃度関連値の学習が未完了であることにより駆動デューティを所定デューティよりも大きくする高デューティ制御を禁止しているときに、自然吸気域から過給域に切り替わり、過給域でのパージ濃度関連値の学習を完了して高デューティ制御を許可し、その後に過給域から自然吸気域に切り替わったときには、高デューティ制御を禁止する。【選択図】図17

Description

本発明は、エンジン装置に関する。
従来、この種のエンジン装置としては、エンジンの吸気管におけるスロットル弁よりも下流側に蒸発燃料を含む蒸発燃料ガスをパージする第1パージ通路と、過給機からの過給圧を用いて負圧を発生させるエゼクタにより吸気管における過給機のコンプレッサよりも上流側に蒸発燃料ガスをパージする第2パージ通路と、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このエンジン装置では、吸気管のスロットル弁よりも下流側の吸気管圧力とエゼクタによる発生圧力とを比較し、パージが第1パージ通路および第2パージ通路のうちの何れを介して実施されるかを検出する。そして、パージが実施される通路が第1パージ通路と第2パージ通路とで切替わるときに、パージ制御バルブの制御に用いる制御特性データを、第1パージ通路に適した第1制御特性データと第2パージ通路に適した第2制御特性データとで切り替える。
特開2019−52561号公報
こうしたエンジン装置において、自然吸気域でパージ制御バルブの駆動デューティを所定デューティよりも大きくする高デューティ制御を禁止しているときに自然吸気域から過給域に切り替わり、過給域で高デューティ制御を許可し、その後に過給域から自然吸気域に切り替わったときに、高デューティ制御の許可を継続すると、エンジンの空燃比が乱れる可能性がある。
本発明のエンジン装置は、過給域から自然吸気域に切り替わった後にエンジンの空燃比が乱れるのを抑制することを主目的とする。
本発明のエンジン装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のエンジン装置は、
吸気管に配置されたスロットルバルブと、燃料噴射弁とを有し、燃料タンクから供給される燃料を用いて動力を出力するエンジンと、
前記エンジンの排気管に取り付けられた空燃比センサと、
前記吸気管の前記スロットルバルブよりも上流側に配置されたコンプレッサを有する過給機と、
前記燃料タンク内で発生した蒸発燃料を含む蒸発燃料ガスを前記吸気管の前記スロットルバルブよりも下流側に接続された第1パージ通路と第2パージ通路とに分岐して前記吸気管に供給する供給通路と、前記吸気管の前記コンプレッサと前記スロットルバルブとの間からの還流通路に吸気ポートが接続され且つ前記吸気管の前記コンプレッサよりも上流側に排気ポートが接続され且つ前記第2パージ通路に吸引ポートが接続されたエゼクタと、前記供給通路に設けられたパージ制御バルブと、を有する蒸発燃料処理装置と、
前記蒸発燃料ガスを前記吸気管に供給するパージを実行するときには、要求パージ率に基づく駆動デューティを用いて前記パージ制御バルブを制御し、前記パージを実行しているときには、前記空燃比センサにより検出される空燃比の要求空燃比に対するずれに基づいて前記蒸発燃料ガスの濃度に関連するパージ濃度関連値を学習する制御装置と、
を備えるエンジン装置であって、
前記制御装置は、自然吸気域で、前記自然吸気域での前記パージ濃度関連値の学習が未完了であることにより前記駆動デューティを所定デューティよりも大きくする高デューティ制御を禁止しているときに、前記自然吸気域から過給域に切り替わり、前記過給域での前記パージ濃度関連値の学習を完了して前記高デューティ制御を許可し、その後に前記過給域から前記自然吸気域に切り替わったときには、前記高デューティ制御を禁止する、
ことを要旨とする。
本発明のエンジン装置では、自然吸気域で、自然吸気域でのパージ濃度関連値の学習が未完了であることにより駆動デューティを所定デューティよりも大きくする高デューティ制御を禁止しているときに、自然吸気域から過給域に切り替わり、過給域でのパージ濃度関連値の学習を完了して高デューティ制御を許可し、その後に過給域から自然吸気域に切り替わったときには、高デューティ制御を禁止する。これにより、自然吸気域でのパージ濃度関連値の学習が未完了であるときにおいて、過給域から自然吸気域に切り替わった後に、高デューティ制御を継続するものに比して、エンジンの空燃比が乱れるのを抑制することができる。
本発明のエンジン装置において、前記制御装置は、前記エンジンの要求負荷率と前記空燃比センサのずれに関連する空燃比補正量と前記パージ濃度関連値に基づくパージ補正量とを用いて要求噴射量を設定して前記エンジンの燃料噴射制御を実行し、更に、設定条件が成立したときに、前記エンジンの吸入空気量または負荷率が大きいときに小さいときよりも領域幅が広くなるように区分された複数の領域のうち現在の前記吸入空気量または前記負荷率が属する所属領域の前記空燃比補正量を設定するものとしてもよい。この場合、吸入空気量または負荷率が大きい領域(過給域)では、吸入空気量または負荷率が小さい領域(自然吸気域)に比して、空燃比補正量の信頼性が低く、空燃比の要求空燃比に対するずれが大きくなりやすく、パージ濃度関連値やパージ補正量の信頼性が低い。このため、上述のように、自然吸気域でのパージ濃度関連値の学習が未完了であるときにおいて、過給域から自然吸気域に切り替わったときに、高デューティ制御を禁止するのがより好ましい。
本発明のエンジン装置において、前記パージの未実行時間に関連する未実行カウンタが閾値以上に至ったときには、前記高デューティ制御を禁止するものとしてもよい。パージの未実行が長時間に亘って継続すると、パージ濃度関連値の信頼性が低くなると想定される。このため、高デューティ制御を禁止することにより、エンジンの空燃比が乱れるのを抑制することができる。
本発明のエンジン装置において、前記自然吸気域で、前記自然吸気域に切り替わる前の前記過給域で前記パージ濃度関連値を誤学習した可能性があるときには、前記高デューティ制御を禁止するものとしてもよい。こうすれば、エンジンの空燃比が乱れるのを抑制することができる。この場合、前記自然吸気域で、前記自然吸気域に切り替わる前の前記過給域で前記パージの実行時間が閾値以上である条件、前記空燃比センサにより検出される空燃比と前記要求空燃比との差分が所定差分以上である条件を用いて、前記自然吸気域に切り替わる前の前記過給域で前記パージ濃度関連値を誤学習した可能性があるか否かを判定するものとしてもよい。こうすれば、自然吸気域に切り替わる前の過給域でパージ濃度関連値を誤学習した可能性があるか否かをより適切に判定することができる。
本発明のエンジン装置において、前記制御装置は、前記吸気管の前記スロットルバルブよりも下流側の圧力であるスロットル後圧が閾値未満のときには、前記パージが、前記第2パージ通路を介して前記蒸発燃料ガスを前記吸気管に供給する第2パージを含まないと推定し、前記スロットル後圧が前記閾値以上のときには、前記パージが前記第2パージを含むと推定する推定処理において、前記スロットル後圧が前記閾値以上から前記閾値未満に至ったときには、所定時間が経過するまで前記パージが前記第2パージを含むとの推定を継続し、更に、前記パージが前記第2パージを含むか否かの推定に基づいて前記自然吸気域および前記過給域のうちの何れであるかを判定するものとしてもよい。こうすれば、パージが第2パージを含むか否かの推定に基づいて、自然吸気域および過給域のうちの何れであるかを判定することができる。
本発明のエンジン装置において、前記制御装置は、前記吸気管の前記コンプレッサおよび前記スロットルバルブの間の圧力である過給圧と前記吸気管の前記コンプレッサよりも上流側の圧力であるコンプレッサ前圧との圧力差と、前記駆動デューティと、に基づいて前記エゼクタの前記吸引ポートの圧力であるエゼクタ相対圧を推定し、前記エゼクタ相対圧と前記スロットル後圧とに基づいて前記第1パージ通路を介して前記蒸発燃料ガスを前記吸気管に供給する第1パージおよび前記第2パージ通路を介して前記蒸発燃料ガスを前記吸気管に供給する第2パージのうち支配的である支配パージを判定し、更に、前記支配パージに基づいて前記自然吸気域および前記過給域のうちの何れであるかを判定するものとしてもよい。こうすれば、支配パージに基づいて、自然吸気域および過給域のうちの何れであるかを判定することができる。
この場合、前記制御装置は、前記エゼクタ相対圧と、前記スロットル後圧に前記第1パージ通路の断面積に対する前記第2パージ通路の断面積に基づくオフセット量を加味した値と、に基づいて前記支配パージを判定するものとしてもよい。こうすれば、第1パージ通路の断面積に対する第2パージ通路の断面積に基づくオフセット量を加味しないものに比して、支配パージをより適切に判定することができる。ここで、「断面積」は、管径によって表わされるものとしてもよい。
本発明のエンジン装置10の構成の概略を示す構成図である。 電子制御ユニット70の入出力信号の一例を示す説明図である。 燃料噴射制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 複数の負荷率領域Rk[1]〜Rk[n]の一例を示す説明図である。 空燃比補正量設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 空燃比補正量設定用マップの一例を示す説明図である。 パージ補正量設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 更新量設定用マップの一例を示す説明図である。 パージ制御ルーチンの一例を示すフローチャート(前半部分)である。 パージ制御ルーチンの一例を示すフローチャート(後半部分)である。 上流パージ推定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 サージ圧Psと上流パージ推定フラグFpupとの様子の一例を示す説明図である。 支配パージ判定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 エゼクタ相対圧設定用マップの一例を示す説明図である。 第1パージ通路62の断面積に比して第2パージ通路63の断面積が小さいときのオフセット量設定用マップの一例を示す説明図である。 全開パージ流量推定用マップの一例を示す説明図である。 高デューティ許否判定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 過給域フラグFcやパージ濃度関連値Cp、高デューティ許可フラグFhi、学習完了フラグFfi、フロント空燃比AF1、自然吸気域および過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp1,Ncp2の様子の一例を示す説明図である。 高デューティ許否判定ルーチンの一例を示すフローチャートである。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのエンジン装置10の構成の概略を示す構成図であり、図2は、電子制御ユニット70の入出力信号の一例を示す説明図である。実施例のエンジン装置10は、一般的な車両や各種のハイブリッド車両に搭載され、図1や図2に示すように、エンジン12と、過給機40と、蒸発燃料処理装置50と、電子制御ユニット70とを備える。
エンジン12は、燃料タンク11から供給されるガソリンや軽油などの燃料を用いて動力を出力する内燃機関として構成されている。このエンジン12は、エアクリーナ22により清浄された空気を吸気管23に吸入してインタークーラ25、スロットルバルブ26、サージタンク27の順に通過させる。そして、吸気バルブ29を介して燃焼室30に吸入した空気に燃焼室30に取り付けられた筒内噴射弁28から燃料を噴射して空気と燃料とを混合し、点火プラグ31による電気火花によって爆発燃焼させる。エンジン12は、こうした爆発燃焼によるエネルギにより押し下げられるピストン32の往復運動をクランクシャフト14の回転運動に変換する。燃焼室30から排気バルブ34を介して排気管35に排出される排気は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する触媒(三元触媒)を有する浄化装置37,38を介して外気に排出される。なお、筒内噴射弁28には、燃料タンク11からフィードポンプ11pや低圧側燃料通路17、高圧ポンプ18、高圧側燃料通路19を介して燃料が供給される。高圧ポンプ18は、エンジン12からの動力により駆動されて低圧側燃料通路17の燃料を加圧して高圧側燃料通路19に供給する。
過給機40は、ターボチャージャとして構成されており、コンプレッサ41と、タービン42と、回転軸43と、ウェイストゲートバルブ44と、ブローオフバルブ45とを備える。コンプレッサ41は、吸気管23のインタークーラ25よりも上流側に配置されている。タービン42は、排気管35の浄化装置37よりも上流側に配置されている。回転軸43は、コンプレッサ41とタービン42とを連結する。ウェイストゲートバルブ44は、排気管35におけるタービン42よりも上流側と下流側とを連絡するバイパス管36に設けられており、電子制御ユニット70により制御される。ブローオフバルブ45は、吸気管23におけるコンプレッサ41よりも上流側と下流側とを連絡するバイパス管24に設けられており、電子制御ユニット70により制御される。
この過給機40では、ウェイストゲートバルブ44の開度の調節により、バイパス管36を流通する排気量とタービン42を流通する排気量との分配比が調節され、タービン42の回転駆動力が調節され、コンプレッサ41による圧縮空気量が調節され、エンジン12の過給圧(吸気圧)が調節される。ここで、分配比は、詳細には、ウェイストゲートバルブ44の開度が小さいほど、バイパス管36を流通する排気量が少なくなると共にタービン42を流通する排気量が多くなるように調節される。なお、エンジン12は、ウェイストゲートバルブ44が全開のときには、過給機40を備えない自然吸気タイプのエンジンと同様に動作可能になっている。
また、過給機40では、吸気管23におけるコンプレッサ41よりも下流側の圧力が上流側の圧力よりもある程度高いときに、ブローオフバルブ45を開弁させることにより、コンプレッサ41よりも下流側の余剰圧力を解放することができる。なお、ブローオフバルブ45は、電子制御ユニット70により制御されるバルブに代えて、吸気管23におけるコンプレッサ41よりも下流側の圧力が上流側の圧力よりもある程度高くなると開弁する逆止弁として構成されるものとしてもよい。
蒸発燃料処理装置50は、燃料タンク11内で発生した蒸発燃料ガス(パージガス)をエンジン12の吸気管23に供給するパージを行なうための装置であり、導入通路52と、開閉バルブ53と、バイパス通路54と、リリーフバルブ55a,55bと、キャニスタ56と、共通通路61と、第1パージ通路62と、第2パージ通路63と、バッファ部64と、パージ制御バルブ65と、逆止弁66,67と、還流通路68と、エゼクタ69とを備える。実施例の「供給通路」としては、導入通路52および共通通路61が相当する。
導入通路52は、燃料タンク11とキャニスタ56とに接続されている。開閉バルブ53は、導入通路52に設けられており、ノーマルクローズタイプの電磁バルブとして構成されている。この開閉バルブ53は、電子制御ユニット70により制御される。
バイパス通路54は、導入通路52の開閉バルブ53よりも燃料タンク11側とキャニスタ56側とをバイパスすると共に、2つに分岐して合流する分岐部54a,54bを有する。リリーフバルブ55aは、分岐部54aに設けられると共に逆止弁として構成されており、燃料タンク11側の圧力がキャニスタ56側の圧力に比してある程度大きくなると開弁する。リリーフバルブ55bは、分岐部54bに設けられると共に逆止弁として構成されており、キャニスタ56側の圧力が燃料タンク11側の圧力に比してある程度大きくなると開弁する。
キャニスタ56は、導入通路52に接続されていると共に大気開放通路57を介して大気に開放されている。このキャニスタ56の内部には、燃料タンク11からの蒸発燃料を吸着可能な例えば活性炭などの吸着剤が充填されている。大気開放通路57には、エアフィルタ58が設けられている。
共通通路61は、導入通路52のキャニスタ56付近に接続され、分岐点61aで第1パージ通路62および第2パージ通路63に分岐する。第1パージ通路62は、吸気管23のスロットルバルブ26とサージタンク27との間に接続されている。第2パージ通路63は、エゼクタ69の吸引ポートに接続されている。
バッファ部64は、共通通路61に設けられている。このバッファ部64の内部には、燃料タンク11やキャニスタ56からの蒸発燃料を吸着可能な例えば活性炭などの吸着剤が充填されている。パージ制御バルブ65は、共通通路61のバッファ部64よりも分岐点61a側に設けられている。このパージ制御バルブ65は、ノーマルクローズタイプの電磁バルブとして構成されている。このパージ制御バルブ65は、電子制御ユニット70により制御される。
逆止弁66は、第1パージ通路62の分岐点61a付近に設けられている。この逆止弁66は、パージ通路60の共通通路61側から第1パージ通路62(吸気管23)側の方向の蒸発燃料を含む蒸発燃料ガス(パージガス)の流れを許容すると共に逆方向の蒸発燃料ガスの流れを禁止する。逆止弁67は、第2パージ通路63の分岐点61a付近に設けられている。この逆止弁67は、パージ通路60の共通通路61側から第2パージ通路63(エゼクタ69)側の方向の蒸発燃料ガスの流れを許容すると共に逆方向の蒸発燃料ガスの流れを禁止する。
還流通路68は、吸気管23のコンプレッサ41とインタークーラ25との間と、エゼクタ69の吸気ポートと、に接続されている。エゼクタ69は、吸気ポートと吸引ポートと排気ポートとを有する。エゼクタ69の吸気ポートは、還流通路68に接続されており、吸引ポートは、第2パージ通路63に接続されており、排気ポートは、吸気管23のコンプレッサ41よりも上流側に接続されている。吸気ポートの先端部は、先細状に形成されている。
このエゼクタ69では、過給機40が作動しているとき(吸気管23のコンプレッサ41とインタークーラ25との間の圧力が正圧になるとき)に、吸気ポートと排気ポートとの間に圧力差が生じ、吸気ポートから排気ポートに向かって還流吸気(吸気管23のコンプレッサ41よりも下流側から還流通路68を介して還流される吸気)が流れる。このとき、還流吸気が吸気ポートの先端部で減圧され、その先端部周辺で負圧が発生する。そして、その負圧により、蒸発燃料ガスが第2パージ通路63から吸引ポートを介して吸引され、この蒸発燃料ガスが負圧の還流吸気と共に排気ポートを介して吸気管23のコンプレッサ41よりも上流側に供給される。
こうして構成される蒸発燃料処理装置50は、基本的には、以下のように動作する。吸気管23のスロットルバルブ26よりも下流側の圧力(後述のサージ圧Ps)が負圧で、且つ、開閉バルブ53およびパージ制御バルブ65が開弁しているときには、逆止弁66が開弁し、燃料タンク11内で発生した蒸発燃料ガス(パージガス)やキャニスタ56から脱離した蒸発燃料ガスが導入通路52や共通通路61、第1パージ通路62を介して吸気管23のスロットルバルブ26よりも下流側に供給される。以下、これを「下流パージ」という。このとき、吸気管23のコンプレッサ41とインタークーラ25との間の圧力(後述の過給圧Pc)が負圧またはゼロであれば、エゼクタ69が作動しないから、逆止弁66は開弁しない。
また、吸気管23のコンプレッサ41とインタークーラ25との間の圧力(過給圧Pc)が正圧で、且つ、開閉バルブ53およびパージ制御バルブ65が開弁しているときには、エゼクタ69が作動して逆止弁67が開弁し、蒸発燃料ガスが導入通路52や共通通路61、第2パージ通路63、エゼクタ69を介して吸気管23のコンプレッサ41よりも上流側に供給される。以下、これを「上流パージ」という。このとき、吸気管23のスロットルバルブ26よりも下流側の圧力(サージ圧Ps)に応じて、逆止弁66が開弁または閉弁する。
したがって、蒸発燃料処理装置50では、吸気管23のスロットルバルブ26よりも下流側の圧力(サージ圧Ps)や、吸気管23のコンプレッサ41とインタークーラ25との間の圧力(過給圧Pc)に応じて、パージのうち下流パージだけが行なわれたり、上流パージだけが行なわれたり、下流パージおよび上流パージの両方が行なわれたりする。
電子制御ユニット70は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUに加えて、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、データを記憶保持する不揮発性のフラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートを備える。電子制御ユニット70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。
電子制御ユニット70に入力される信号としては、例えば、燃料タンク11内の圧力を検出する内圧センサ11aからのタンク内圧Ptnkや、エンジン12のクランクシャフト14の回転位置を検出するクランクポジションセンサ14aからのクランク角θcr、エンジン12の冷却水の温度を検出する水温センサ16からの冷却水温Tw、スロットルバルブ26の開度を検出するスロットルポジションセンサ26aからのスロットル開度THを挙げることができる。吸気バルブ29を開閉するインテークカムシャフトや排気バルブ34を開閉するエキゾーストカムシャフトの回転位置を検出する図示しないカムポジションセンサからのカムポジションθcaも挙げることができる。吸気管23のコンプレッサ41よりも上流側に取り付けられたエアフローメータ23aからの吸入空気量Qaや、吸気管23のコンプレッサ41よりも上流側に取り付けられた吸気圧センサ23bからの吸気圧(コンプレッサ前圧)Pin、吸気管23のコンプレッサ41とインタークーラ25との間に取り付けられた過給圧センサ23cからの過給圧Pcも挙げることができる。サージタンク27に取り付けられたサージ圧センサ27aからのサージ圧(スロットル後圧)Psや、サージタンク27に取り付けられた温度センサ27bからのサージ温度Tsも挙げることができる。筒内噴射弁28に供給する燃料の燃圧を検出する燃圧センサ28aからの供給燃圧Pfdも挙げることができる。排気管35の浄化装置37よりも上流側に取り付けられたフロント空燃比センサ35aからのフロント空燃比AF1や、排気管35の浄化装置37と浄化装置38との間に取り付けられたリヤ空燃比センサ35bからのリヤ空燃比AF2も挙げることができる。パージ制御バルブポジションセンサ65aからのパージ制御バルブ65の開度Opvや第2パージ通路63に取り付けられたOBD用センサ(圧力センサ)63aからのセンサ信号Pobdも挙げることができる。
電子制御ユニット70からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。電子制御ユニット70から出力される信号としては、例えば、スロットルバルブ26への制御信号や、筒内噴射弁28への制御信号、点火プラグ31への制御信号を挙げることができる。ウェイストゲートバルブ44への制御信号、ブローオフバルブ45への制御信号、開閉バルブ53への制御信号も挙げることができる。パージ制御バルブ65への制御信号も挙げることができる。
電子制御ユニット70は、エンジン12の回転数Neや負荷率(エンジン12の1サイクルあたりの行程容積に対する1サイクルで実際に吸入される空気の容積の割合)KLを演算している。回転数Neは、クランクポジションセンサ14aからのクランク角θcrに基づいて演算される。負荷率KLは、エアフローメータ23aからの吸入空気量Qaと回転数Neとに基づいて演算される。
こうして構成された実施例のエンジン装置10では、電子制御ユニット70は、エンジン12の要求負荷率KL*に基づいて、スロットルバルブ26の開度を制御する吸入空気量制御や、筒内噴射弁28からの燃料噴射量を制御する燃料噴射制御、点火プラグ31の点火時期を制御する点火制御、ウェイストゲートバルブ44の開度を制御する過給制御、パージ制御バルブ65の開度を制御するパージ制御などを行なう。以下、燃料噴射制御やパージ制御について説明する。なお、吸入空気量制御や点火制御、過給制御については、本発明の中核をなさないため、詳細な説明を省略する。
燃料噴射制御について説明する。図3は、燃料噴射制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、電子制御ユニット70により繰り返し実行される。このルーチンが実行されると、電子制御ユニット70は、最初に、エンジン12の負荷率KLや、空燃比補正量α[i]、パージ補正量βなどのデータを入力する(ステップS100)。
ここで、エンジン12の負荷率KLは、吸入空気量Qaと回転数Neとに基づいて演算された値が入力される。空燃比補正量α[i]は、負荷率KLについて区分された複数の負荷率領域Rk[1]〜Rk[n](n:領域数)のうち現在の負荷率KLの属する所属領域(領域番号i(i:1〜nのうちの何れか))のフロント空燃比センサ35aのずれ(オフセット量)に関連する補正量であり、後述の空燃比補正量設定ルーチンにより設定された値が入力される。図4は、複数の負荷率領域Rk[1]〜Rk[n]の一例を示す説明図である。複数の負荷率領域Rk[1]〜Rk[n]は、実施例では、図示するように、負荷率KLについて想定される範囲が、負荷率KLの小さい側から順に負荷率領域Rk[1],・・・,Rk[n]となり且つ最も高負荷率の負荷率領域Rk[n]の領域幅(負荷率KLの範囲)がそれ以外の負荷率領域Rk[1]〜Rk[n−1]の領域幅に比して広くなるように区分されて設定されるものとした。パージ補正量βは、上述の下流パージや上流パージに関連する補正量であり、後述のパージ補正量設定ルーチンにより設定された値が入力される。
続いて、負荷率KLに基づいて筒内噴射弁28のベース噴射量Qfbsを設定し(ステップS110)、設定したベース噴射量Qfbsに空燃比補正量α[i]およびパージ補正量βを加えて筒内噴射弁28の要求噴射量Qf*を設定し(ステップS120)、設定した要求噴射量Qf*を用いて筒内噴射弁28を制御して(ステップS130)、本ルーチンを終了する。ここで、ベース噴射量Qfbsは、燃焼室30内の混合気の空燃比を要求空燃比AF*とするための筒内噴射弁28の要求噴射量Qf*のベース値である。このベース噴射量Qfbsは、例えば、燃焼室30内の混合気の空燃比を要求空燃比AF*とするための筒内噴射弁28の単位噴射量(負荷率KLの1%当たりの噴射量)Qfpuと、負荷率KLと、の積として演算された値が設定される。
次に、図3の燃料噴射量制御ルーチンで用いられる、複数の負荷率領域Rk[1]〜Rk[n]のそれぞれの空燃比補正量α[1]〜α[n]を設定する処理について、図5の空燃比補正量設定ルーチンを用いて説明する。このルーチンは、電子制御ユニット70により繰り返し実行される。なお、負荷率領域Rk[1]〜Rk[n]の空燃比補正量α[1]〜α[n]は、それぞれ、現在のトリップで設定するまでは、初期値または前回以前のトリップで最後に設定した値になっている。
図5の空燃比補正量設定ルーチンが実行されると、電子制御ユニット70は、最初に、現在のトリップで本ルーチンの初回の実行であるか否かを判定する(ステップS200)。そして、現在のトリップで本ルーチンの初回の実行であると判定したときには、複数の負荷率領域Rk[1]〜Rk[n]の設定完了フラグFα[1]〜Fα[n]の全てを初期値としての値0にリセットする(ステップS210)。ここで、設定完了フラグFα[1]〜Fα[n]は、それぞれ、現在のトリップで空燃比補正量α[1]〜α[n]を設定したか否かを示すフラグである。ステップS200で現在のトリップで本ルーチンの初回の実行でないと判定したときには、ステップS210の処理を実行しない。
続いて、エンジン12の冷却水温Twや定常運転フラグFst、複数の負荷率領域Rk[1]〜Rk[n]のうち現在の負荷率KLの属する所属領域の領域番号iなどのデータを入力する(ステップS220)。ここで、冷却水温Twは、水温センサ16により検出された値が入力される。定常運転フラグFstは、図示しない定常運転フラグ設定ルーチンにより設定された値が入力される。定常運転フラグ設定ルーチンでは、電子制御ユニット70は、エンジン12の回転数Neや吸入空気量Qa、負荷率KLのうちの少なくとも1つを用いてエンジン12を定常運転しているか否かを判定し、エンジン12を定常運転していると判定したときには、定常運転フラグFstに値1を設定し、エンジン12を定常運転していないと判定したときには、定常運転フラグFstに値0を設定する。所属領域の領域番号iは、負荷率KLと複数の負荷率領域Rk[1]〜Rk[n]とに基づいて設定された値が入力される。
そして、冷却水温Twを閾値Twrefと比較すると共に(ステップS230)、定常運転フラグFstの値を調べる(ステップS240)。ここで、閾値Twrefとしては、例えば、55℃〜65℃程度が用いられる。ステップS230,S240の処理は、領域番号iの空燃比補正量α[i]の設定条件が成立したか否かを判定する処理である。ステップS230で冷却水温Twが閾値Twref未満のときや、ステップS240で定常運転フラグFstが値0のときには、領域番号iの空燃比補正量α[i]の設定条件は成立していないと判断し、本ルーチンを終了する。
ステップS230で冷却水温Twが閾値Twref以上で、且つ、ステップS240で定常運転フラグFstが値1のときには、領域番号iの空燃比補正量α[i]の設定条件が成立したと判断し、領域番号iの設定完了フラグFα[i]の値を調べる(ステップS250)。そして、領域番号iの設定完了フラグFα[i]が値0のときには、現在のトリップで領域番号iの空燃比補正量α[i]を設定していないと判断し、フロント空燃比AF1を入力し(ステップS260)、入力したフロント空燃比AF1に基づいて領域番号iの空燃比補正量α[i]を設定し(ステップS270)、領域番号iの設定完了フラグFα[i]に値1を設定して(ステップS280)、本ルーチンを終了する。
ここで、フロント空燃比AF1は、フロント空燃比センサ35aにより検出された値が入力される。領域番号iの空燃比補正量α[i]は、その設定条件が成立したときのフロント空燃比AF1を空燃比補正量設定用マップに適用して求めることができる。空燃比補正量設定用マップは、領域番号iの空燃比補正量α[i]の設定条件が成立したときのフロント空燃比AF1と空燃比補正量α[i]との関係として実験や解析により予め定められ、図示しないROMやフラッシュメモリに記憶されている。図6は、空燃比補正量設定用マップの一例を示す説明図である。図示するように、空燃比補正量α[i]は、設定条件が成立したときのフロント空燃比AF1が要求空燃比AF*に対してリッチ側、リーン側のときにそれぞれ負の範囲内、正の範囲内で且つフロント空燃比AF1と要求空燃比AF*との差分が大きい(フロント空燃比AF1が要求空燃比AF*から離間する)ほど絶対値が大きくなるように設定される。そして、この空燃比補正量α[i]が小さいほど、図3の燃料噴射制御ルーチンにおいて、要求噴射量Qf*を少なくして筒内噴射弁28を制御することになる。なお、上述したように、複数の負荷率領域Rk[1]〜Rk[n]は、最も高負荷率の負荷率領域Rk[n]の領域幅がそれ以外の負荷率領域Rk[1]〜Rk[n−1]の領域幅に比して広くなるように設定されるから(図4参照)、負荷率領域Rk[n]の空燃比補正量α[n]の信頼性は、負荷率領域Rk[1]〜Rk[n−1]の空燃比補正量α[1]〜α[n−1]の信頼性に比して低い。
ステップS250で領域番号iの設定完了フラグFα1[i]が値1のときには、現在のトリップで領域番号iの空燃比補正量α[i]を設定していると判断し、ステップS260〜S280の処理を実行することなく、本ルーチンを終了する。
次に、図3の燃料噴射量制御ルーチンで用いられるパージ補正量βを設定する処理について、図7のパージ補正量設定ルーチンを用いて説明する。このルーチンは、電子制御ユニット70により繰り返し実行される。このルーチンが実行されると、電子制御ユニット70は、最初に、現在のトリップで本ルーチンの初回の実行であるか否かを判定する(ステップS300)。そして、現在のトリップで本ルーチンの初回の実行であると判定したときには、パージ濃度関連値Cpや、現在のトリップにおける自然吸気域および過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp1,Ncp2を初期値としての値0にリセットする(ステップS302)。ここで、パージ濃度関連値Cpは、パージ率1%当たりの燃焼室30内の空燃比のずれに関連する補正係数である。「パージ濃度」は、蒸発燃料ガスにおける蒸発燃料の濃度を意味し、「パージ率」は、吸入空気量に対する蒸発燃料ガスの割合を意味する。ステップS300で現在のトリップで本ルーチンの初回の実行でないと判定したときには、ステップS302の処理を実行しない。
続いて、パージ制御バルブ65の開度Opvや過給域フラグFcを入力し(ステップS304)、入力したパージ制御バルブ65の開度Opvを用いてパージの実行の有無を判定する(ステップS310)。ここで、パージ制御バルブ65の開度Opvは、パージ制御バルブポジションセンサ65aにより検出された値が入力される。過給域フラグFcは、後述のパージ制御ルーチンにより、自然吸気域であると判定したときには値0が設定され、過給域であると判定したときには値1が設定される。この過給域フラグFcは、トリップを開始するときに、初期値としての値0が設定される。ステップS310でパージを実行していないと判定したときには、パージ濃度関連値Cpを保持すると共に(ステップS320)、パージ補正量βに値0を設定して(ステップS330)、本ルーチンを終了する。
ステップS310でパージを実行していると判定したときには、吸入空気量Qaやフロント空燃比AF1、要求パージ率Rprqなどのデータを入力する(ステップS340)。ここで、吸入空気量Qaは、エアフローメータ23aにより検出された値が入力される。フロント空燃比AF1は、フロント空燃比センサ35aにより検出された値が入力される。要求パージ率Rprqは、後述のパージ制御ルーチンにより設定された値が入力される。
続いて、フロント空燃比AF1に基づいてパージ濃度関連値Cpの更新量ΔCpを設定し(ステップS350)、前回のパージ濃度関連値(前回Cp)に更新量ΔCpを加えた値をパージ濃度関連値Cpに設定する(ステップS360)。このようにしてパージ濃度関連値Cpの学習(更新)が行なわれる。ここで、更新量ΔCpは、フロント空燃比AF1を更新量設定用マップに適用して求めることができる。更新量設定用マップは、フロント空燃比AF1と更新量ΔCpとの関係として実験や解析により予め定められ、図示しないROMやフラッシュメモリに記憶されている。図8は、更新量設定用マップの一例を示す説明図である。図示するように、更新量ΔCpは、フロント空燃比AF1が要求空燃比AF*に対してリッチ側、リーン側のときにそれぞれ負の範囲内、正の範囲内で且つフロント空燃比AF1と要求空燃比AF*との差分が大きい(フロント空燃比AF1が要求空燃比AF*から離間する)ほど絶対値が大きくなるように設定される。こうして設定されるパージ濃度関連値Cpは、負の値のときには、パージ制御バルブ65を通過する気体(ガス)に蒸発燃料が含まれていることを意味し、値0以上のときには、パージ制御バルブ65を通過する気体に蒸発燃料が含まれていないことを意味する。このパージ濃度関連値Cpは、パージのトリップで初回の開始直後や再開直後などパージ濃度が高いとき、即ち、フロント空燃比AF1が要求空燃比AF*に対してよりリッチ側になりやすいときには、比較的小さくなり(負の値としての絶対値が大きくなり)、その後に、パージが継続してパージ濃度が低下するのに従って徐々に大きくなる。
こうしてパージ濃度関連値Cpを設定すると、過給域フラグFcの値を調べる(ステップS362)。そして、過給域フラグFcが値0のとき、即ち、自然吸気域であると判定したときには、現在のトリップにおける自然吸気域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp1を値1だけカウントアップして更新する(ステップS364)。過給域フラグFcが値1のとき、即ち、過給域であると判定したときには、現在のトリップにおける過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp2を値1だけカウントアップして更新する(ステップS366)。
こうして現在のトリップにおける自然吸気域または過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp1または学習回数Ncp2を更新すると、パージ濃度関連値Cpと吸入空気量Qaと要求パージ率Rprqとの積をパージ補正量βに設定して(ステップS370)、本ルーチンを終了する。こうして設定されるパージ補正量βは、パージ濃度関連値Cpが負の値のときには、負の値となり、パージ濃度関連値Cpの絶対値が大きいほど絶対値が大きくなり、吸入空気量Qaや要求パージ率Rprqが大きいほど絶対値が大きくなる。また、パージ補正量βは、パージ濃度関連値Cpが値0のときには、値0となる。さらに、パージ補正量βは、パージ濃度関連値Cpが正の値のときには、正の値となり、パージ濃度関連値Cpの絶対値が大きいほど絶対値が大きくなり、吸入空気量Qaや要求パージ率Rprqが大きいほど絶対値が大きくなる。そして、このパージ補正量βが小さいほど、図3の燃料噴射制御ルーチンにおいて、要求噴射量Qf*を少なくして筒内噴射弁28を制御することになる。
次に、パージ制御について説明する。図9および図10は、パージ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、電子制御ユニット70により繰り返し実行される。このルーチンが実行されると、電子制御ユニット70は、最初に、図11の上流パージ推定ルーチンにより、上流パージ推定フラグFpupを設定する(ステップS400)。ここで、上流パージ推定フラグFpupは、パージが上流パージを含むか否かを示すフラグであり、パージが上流パージを含むと推定しているときには値1が設定され、パージが上流パージを含まない(下流パージだけである)と推定しているときには値0が設定される。パージが上流パージを含むとは、燃焼室30に供給される蒸発燃料ガスのうちの少なくとも一部が第2パージ通路63を介して供給される蒸発燃料ガスであることを意味する。上流パージ推定フラグFpupは、トリップを開始するときに、初期値としての値0が設定される。また、実施例では、パージを実行していないときの上流パージ推定フラグFpupは、パージを実行していると仮定したときの値となる。以下、図9および図10のパージ制御ルーチンの説明を中断し、図11の上流パージ推定ルーチンについて説明する。
図11の上流パージ推定ルーチンでは、電子制御ユニット70は、最初に、サージ圧Psを入力する(ステップS600)。ここで、サージ圧Psは、サージ圧センサ27aにより検出された値が入力される。続いて、上流パージ推定フラグFpupの値を調べる(ステップS610)。そして、上流パージ推定フラグFpupが値0のとき、即ち、パージが上流パージを含まない(下流パージだけである)と推定しているときには、サージ圧Psと閾値Psrefとを比較する(ステップS620)。ここで、閾値Psrefは、パージが上流パージを含むか否かの推定に用いられる閾値であり、実験や解析により予め定められる。閾値Psrefとしては、例えば、−6〜−9kPa程度が用いられる。
ステップS620でサージ圧Psが閾値Psref未満であると判定したときには、パージが上流パージを含まないと推定し、上流パージ推定フラグFpupを切り替えることなく(値0で保持して)、本ルーチンを終了する。サージ圧Psが閾値Psref以上であると判定したときには、パージが上流パージを含むと推定し、上流パージ推定フラグFpupを値1に切り替えて(ステップS630)、本ルーチンを終了する。
ステップS610で上流パージ推定フラグFpupが値1のとき、即ち、パージが上流パージを含むと推定しているときには、サージ圧Psと閾値Psrefとを比較する(ステップS640)。サージ圧Psが閾値Psref以上であると判定したときには、パージが上流パージを含むと推定し、上流パージ推定フラグFpupを切り替えることなく(値1で保持して)、本ルーチンを終了する。
サージ圧Psが閾値Psref未満であると判定したときには、サージ圧Psが閾値Psref未満に至ってから所定時間T1が経過したか否かを判定する(ステップS650)。そして、サージ圧Psが閾値Psref未満に至ってから所定時間T1が経過していないと判定したときには、パージが上流パージを含むと推定し、上流パージ推定フラグFpupを切り替えることなく(値1で保持して)、本ルーチンを終了する。サージ圧Psが閾値Psref未満に至ってから所定時間T1が経過したと判定したときには、パージが上流パージを含まない(下流パージだけである)と推定し、上流パージ推定フラグFpupを値0に切り替えて(ステップS660)、本ルーチンを終了する。
図12は、サージ圧Psと上流パージ推定フラグFpupとの様子の一例を示す説明図である。図示するように、上流パージ推定フラグFpupが値0でサージ圧Psが閾値Psref以上に至ると(時刻t11)、上流パージ推定フラグFpupを値1に切り替える。その後に、サージ圧Psが閾値Psref未満に至り(時刻t12)、サージ圧Psが閾値Psref未満で所定時間T1が経過すると(時刻t13)、上流パージ推定フラグFpupを値0に切り替える。
所定時間T1は、上流パージの際に蒸発燃料ガスがサージタンク27(燃焼室30)に到達するまでの時間と下流パージの際に蒸発燃料ガスがサージタンク27(燃焼室30)に到達するまでの時間との差分として実験や解析により定められる。上流パージの際に蒸発燃料ガスがサージタンク27に到達するまでの経路が下流パージの際に蒸発燃料ガスがサージタンク27に到達するまでの経路に比して長いため、上流パージの際に蒸発燃料ガスがサージタンク27に到達するまでの時間が下流パージの際に蒸発燃料ガスがサージタンク27に到達するまでの時間に比して長くなる。したがって、サージ圧Psが閾値Psref以上の状態から閾値Psref未満に至ったときに、しばらくの間(図12の時刻t12〜t13参照)は、第2パージ通路63に残留している蒸発燃料ガスと第1パージ通路62に新たに供給される蒸発燃料ガスとが吸気管23のスロットルバルブ26よりも下流側で合流してサージタンク27(燃焼室30)に供給されると想定される。実施例では、これを踏まえて、上流パージ推定フラグFpupが値1のときには、サージ圧Psが閾値Psref未満に至ってから所定時間T1が経過するのを待って、上流パージ推定フラグFpupを値0に切り替えるものとした。これにより、パージが上流パージを含むか否か(下流パージだけであるか)をより適切に推定することができる。
図11の上流パージ推定ルーチンについて説明した。図9および図10のパージ制御ルーチンの説明に戻る。ステップS400で上流パージ推定フラグFpupを設定すると、前回に本ルーチンを実行したときに後述のパージ条件が成立していたか否かを判定する(ステップS410)。この処理は、前回に本ルーチンを実行したときに要求デューティDrqを設定してパージ制御バルブ65を制御したか否かを判定する処理である。
ステップS410で、前回に本ルーチンを実行したときにパージ条件が成立していた(要求デューティDrqを設定してパージ制御バルブ65を制御した)と判定したときには、図13の支配パージ判定ルーチンにより、支配パージフラグFpdを設定する(ステップS430)。ここで、支配パージフラグFpdは、下流パージおよび上流パージのうち支配的である支配パージを示すフラグであり、下流パージが支配パージである(蒸発燃料ガスが第1パージ通路62に支配的に流れる)と判定したときには値0が設定され、上流パージが支配パージである(蒸発燃料ガスが第2パージ通路63に支配的に流れる)と判定したときには値1が設定される。この支配パージフラグFpdは、トリップを開始するときに、初期値としての値0が設定される。以下、図9および図10のパージ制御ルーチンの説明を中断し、図13の支配パージ判定ルーチンについて説明する。
図13の支配パージ判定ルーチンでは、電子制御ユニット70は、最初に、吸気圧Pinや過給圧Pc、サージ圧Ps、要求デューティDrqなどのデータを入力する(ステップS700)。ここで、吸気圧Pinは、吸気圧センサ23bにより検出された値が入力される。過給圧Pcは、過給圧センサ23cにより検出された値が入力される。サージ圧Psは、サージ圧センサ27aにより検出された値が入力される。要求デューティDrqは、図9および図10のパージ制御ルーチンの後述の処理により設定された値が入力される。
こうしてデータを入力すると、過給圧Pcから吸気圧Pinを減じた値と要求デューティDrqとに基づいてエゼクタ相対圧Pejを推定する(ステップS710)。ここで、エゼクタ相対圧Pejは、過給圧Pcから吸気圧Pinを減じた値と要求デューティDrqとをエゼクタ相対圧設定用マップに適用して求めることができる。エゼクタ相対圧設定用マップは、過給圧Pcから吸気圧Pinを減じた値と要求デューティDrqとエゼクタ相対圧Pejとの関係として実験や解析により予め定められ、図示しないROMやフラッシュメモリに記憶されている。図14は、エゼクタ相対圧設定用マップの一例を示す説明図である。図示するように、エゼクタ相対圧Pejは、要求デューティDrqが大きいほど大きくなり(負の値としての絶対値が小さくなり)、過給圧Pc(過給圧Pcから吸気圧Pinを減じた値)が大きいほど小さくなる(負の値としての絶対値が大きくなる)ように設定される。
続いて、サージ圧Psに基づいて、第1パージ通路62の断面積に対する第2パージ通路63の断面積に基づく影響を補正するためにサージ圧Psをオフセットするオフセット量kdを設定する(ステップS720)。ここで、オフセット量kdは、サージ圧Psをオフセット量設定用マップに適用して求めることができる。オフセット量設定用マップは、サージ圧Psとオフセット量kdとの関係として実験や解析により予め定められ、図示しないROMやフラッシュメモリに記憶されている。図15は、第1パージ通路62の断面積に比して第2パージ通路63の断面積が小さいときのオフセット量設定用マップの一例を示す説明図である。図示するように、オフセット量kdは、サージ圧Psの負の値としての絶対値が大きいほど負の値としての絶対値が大きくなるように設定される。これは、サージ圧Psが負の値としての絶対値が大きいほど、第1パージ通路62の断面積に対する第2パージ通路63の断面積に基づく影響が大きくなることに基づく。なお、第1パージ通路62や第2パージ通路63が管によって構成されている場合、断面積は管径の2乗に比例するから、第1パージ通路62の断面積に対する第2パージ通路63の断面積に基づく影響は、第1パージ通路62の管径に対する第2パージ通路の管径に基づく影響と言い換えることができる。
そして、エゼクタ相対圧Pejとサージ圧Psからオフセット量kdを減じた値とを比較する(ステップS730)。エゼクタ相対圧Pejがサージ圧Psからオフセット量kdを減じた値以上である(負の値としての絶対値が以下である)と判定したときには、蒸発燃料ガスが第1パージ通路62に支配的に流れる(下流パージが支配パージである)と判断し、支配パージフラグFpdに値0を設定して(ステップS740)、本ルーチンを終了する。
ステップS730でエゼクタ相対圧Pejがサージ圧Psからオフセット量kdを減じた値よりも小さい(負の値としての絶対値が大きい)と判定したときには、蒸発燃料ガスが第2パージ通路63に支配的に流れる(上流パージが支配パージである)と判断し、支配パージフラグFpdに値1を設定して(ステップS750)、本ルーチンを終了する。
実施例では、このように、サージ圧Psに基づいて、第1パージ通路62の断面積に対する第2パージ通路の断面積に基づく影響を補正するためのオフセット量kdを設定し、エゼクタ相対圧Pejとサージ圧Psからオフセット量kdを減じた値とを比較して下流パージおよび上流パージのうちの何れが支配パージであるかを判定する。これにより、第1パージ通路62の断面積に対する第2パージ通路の断面積に基づく影響を考慮しないものに比して、下流パージおよび上流パージのうちの何れが支配パージであるかをより適切に判定することができる。
図13の支配パージ判定ルーチンについて説明した。図9および図10のパージ制御ルーチンの説明に戻る。ステップS430で支配パージフラグFpdを設定すると、設定した支配パージフラグFpdの値を調べる(ステップS440)。そして、支配パージフラグFpdが値0のとき、即ち、下流パージが支配パージであると判定したときには、自然吸気域であると判断し、過給域フラグFcに値0を設定する(ステップS450)。支配パージフラグFpdが値1のとき、即ち、上流パージが支配的であると判定したときには、過給域であると判断し、過給域フラグFcに値1を設定する(ステップS460)。
ステップS410で、前回に本ルーチンを実行したときにパージ条件が成立していなかった(要求デューティDrqを設定しなかった)と判定したときには、上流パージ推定フラグFpupの値を調べる(ステップS420)。そして、上流パージ推定フラグFpupが値0のとき、即ち、パージが上流パージを含まない(下流パージだけである)と推定したときには、自然吸気域であると判断し、過給域フラグFcに値0を設定する(ステップS450)。上流パージ推定フラグFpupが値1のとき、即ち、パージが上流パージを含むと推定したときには、過給域であると判断し、過給域フラグFcに値1を設定する(ステップS460)。前回に本ルーチンを実行したときにパージ条件が成立しなかった(要求デューティDrqを設定しなかった)ときには、図13の支配パージ判定ルーチンで、エゼクタ相対圧Pejを推定することができないために、支配パージフラグFpdを設定することができない。このため、このときには、支配パージフラグFpdでなく、上流パージ推定フラグFpupを用いて過給域フラグFcを設定するものとした。
こうしてステップS450またはステップS460で過給域フラグFcを設定すると、パージ条件が成立しているか否かを判定する(ステップS470)。ここで、パージ条件としては、例えば、エンジン12の運転制御(燃料噴射制御など)を行なっていて、且つ、複数の負荷率領域Rk[1]〜Rk[n]のうち現在の負荷率KLの属する所属領域(領域番号i)の設定完了フラグFα[i]が値1である(現在のトリップで空燃比補正量α[i]を設定済みである)条件が用いられる。パージ条件が成立していないと判定したときには、本ルーチンを終了する。この場合、上述したように、要求パージ率Rprqに値0を設定し、パージ制御バルブ65を閉弁させる。
ステップS470でパージ条件が成立していると判定したときには、吸入空気量Qaや吸気圧Pin、過給圧Pc、サージ圧Psなどのデータを入力する(ステップS500)。ここで、吸入空気量Qaは、エアフローメータ23aにより検出された値が入力される。吸気圧Pinは、吸気圧センサ23bにより検出された値が入力される。過給圧Pcは、過給圧センサ23cにより検出された値が入力される。サージ圧Psは、サージ圧センサ27aにより検出された値が入力される。
続いて、目標パージ率Rptgを設定する(ステップS510)。ここで、目標パージ率Rptgは、各トリップで、パージ条件の初回の成立期間(パージ条件の成立が開始してから中断または終了するまでの期間)には、開始パージ率Rpst1から徐々に(例えば、レート値ΔRp1を用いたレート処理により)大きくなるように設定される。また、目標パージ率Rptgは、各トリップで、パージ条件の2回目以降の成立期間(パージ条件の成立が再開してから中断または終了するまでの期間)には、再開パージ率Rpst2から徐々に(例えば、レート値ΔRp2を用いたレート処理により)大きくなるように設定される。開始パージ率Rpst1や再開パージ率Rpst2としては、エンジン12の空燃比の乱れを抑制するために、比較的小さい値が用いられる。また、開始パージ率Rpst1や再開パージ率Rpst2、レート値ΔRp1,ΔRp2のうちの少なくとも1つは、過給域フラグFcが値1であるとき、即ち、過給域であると判定したときには、過給域フラグFcが値0であるとき、即ち、自然吸気域であると判定したときに比して、小さい値が設定される。
続いて、上限パージ率Rplimを設定する(ステップS520)。ここで、上限パージ率Rplimは、実施例では、過給域フラグFcが値1であると判定したとき、即ち、過給域であると判定したときには、過給域フラグFcが値0であるとき、即ち、自然吸気域であると判定したときに比して、小さい値が設定される。
そして、サージ圧Psと過給圧Pcから吸気圧Pinを減じた値とに基づいて全開パージ流量Qpmaxを推定する(ステップS530)。ここで、全開パージ流量Qpmaxは、パージ制御バルブ65の駆動デューティを100%としたときのパージ流量(吸気管23に供給される蒸発燃料ガスの体積流量)である。この全開パージ流量Qpmaxは、サージ圧Psと過給圧Pcから吸気圧Pinを減じた値とを全開パージ流量推定用マップに適用して求めることができる。全開パージ流量推定用マップは、サージ圧Psと過給圧Pcから吸気圧Pinを減じた値と全開パージ流量Qpmaxとの関係として実験や解析により予め定められ、図示しないROMやフラッシュメモリに記憶されている。図16は、全開パージ流量推定用マップの一例を示す説明図である。図示するように、全開パージ流量Qpmaxは、サージ圧Psが小さい(負の値としての絶対値が大きい)ほど多くなり、且つ、過給圧Pcから吸気圧Pinを減じた値が大きいほど多くなるように設定される。
続いて、吸入空気量Qaと所定時間T2前のバルブ前パージ流量(過去Qpv)とに基づいて燃焼室30内の空気量である燃焼室空気量Qccを推定する(ステップS540)。ここで、バルブ前パージ流量Qpvは、共通通路61のパージ制御バルブ65よりも導入通路52側の蒸発燃料ガスの流量である。所定時間T2前のバルブ前パージ流量(過去Qpv)としては、所定時間T2前にパージを実行しているときには、所定時間T2前に本ルーチンを実行したときに後述の処理で推定した値が用いられ、所定時間T2前にパージを実行していないときには、値0が用いられる。なお、所定時間T2は、共通通路61のパージ制御バルブ65よりも導入通路52側の蒸発燃料ガスが燃焼室30に到達するのに要する時間として定められ、支配パージフラグFpdや上流パージ推定フラグFpup、エンジン12の回転数Neなどに基づく時間が用いられるものとしてもよいし、簡単のために一定時間が用いられるものとしてもよい。燃焼室空気量Qccは、例えば、吸入空気量Qaおよび過去のバルブ前パージ流量(過去Qpv)を燃焼室空気量推定用マップに適用して求めることができる。燃焼室空気量推定用マップは、吸入空気量Qaおよび過去のバルブ前パージ流量(過去Qpv)と燃焼室空気量Qccとの関係として実験や解析により予め定められ、図示しないROMやフラッシュメモリに記憶されている。
こうして全開パージ流量Qpmaxおよび燃焼室空気量Qccを推定すると、これらに基づいて全開パージ率Rpmaxを推定する(ステップS550)。ここで、全開パージ率Rpmaxは、全開パージ流量Qpmaxを燃焼室空気量Qccで除することにより演算することができる。続いて、目標パージ率Rptgを全開パージ率Rpmaxおよび上限パージ率Rplimで制限(上限ガード)して要求パージ率Rprqを設定する(ステップS560)。即ち、目標パージ率Rptgと全開パージ率Rpmaxと上限パージ率Eplimとのうち最も小さい値を要求パージ率Rprqに設定する。
そして、図17の高デューティ許否判定ルーチンにより、高デューティ許可フラグFhiを設定する(ステップS570)。ここで、高デューティ許可フラグFhiは、高デューティ(後述の比較的小さい所定デューティD1よりも大きいデューティ)を用いたパージ制御バルブ65の制御(以下、「高デューティ制御」という)を許可するか否かを示すフラグであり、高デューティ制御を許可するときには値1が設定され、高デューティ制御を禁止するときには値0が設定される。この高デューティ許可フラグFhiは、トリップを開始するときに、初期値として値0が設定される。図17の高デューティ許否判定ルーチンについては後述する。
こうして高デューティ許可フラグFhiを設定すると、設定した高デューティ許可フラグFhiの値を調べる(ステップS572)。高デューティ許可フラグFhiが値1のとき、即ち、高デューティ制御を許可するときには、要求パージ率Rprqを全開パージ率Rpmaxで除してパージ制御バルブ65の要求デューティDrqを設定し(ステップS574)、設定した要求デューティDrqを用いてパージ制御バルブ65を制御する(ステップS580)。
ステップS572で高デューティ許可フラグFhiが値0のとき、即ち、高デューティ制御を禁止するときには、要求パージ率Rprqを全開パージ率Rpmaxで除した値を比較的小さい所定デューティD1で制限(上限ガード)してパージ制御バルブ65の要求デューティDrqを設定し(ステップS576)、設定した要求デューティDrqを用いてパージ制御バルブ65を制御する(ステップS580)。
そして、吸入空気量Qaおよび要求パージ率Rprqに基づいてバルブ前パージ流量Qpvを推定して(ステップS590)、本ルーチンを終了する。ここで、バルブ前パージ流量Qpvは、例えば、吸入空気量Qaおよび要求パージ率Rprqをバルブ前パージ流量推定用マップに適用して求めることができる。バルブ前パージ流量推定用マップは、吸入空気量Qaおよび要求パージ率Rprqとバルブ前パージ流量Qpvとの関係として実験や解析により予め定められ、図示しないROMやフラッシュメモリに記憶されている。
実施例では、このように、自然吸気域および過給域のうちの何れであるかにより、目標パージ率Rptg(開始パージ率Rpst1、再開パージ率Rpst2、レート値ΔRp1,ΔRp2のうちの少なくとも1つ)および上限パージ率Rplimを異なるものとした。過給域では、自然吸気域に比して、空燃比補正量αの信頼性が低いことや、過給圧Pcの変動などにより、パージを実行するときに燃料噴射制御(フロント空燃比AF1)が不安定になりやすい。したがって、目標パージ率Rptgや上限パージ率Rplimを小さくすることにより、燃料噴射制御によりフロント空燃比AF1が不安定になるのを抑制することができる。なお、実施例では、領域幅が広い負荷率領域Rk[n]は、過給域にある程度対応するように、実験や解析により定められるものとした。
次に、図9および図10のパージ制御ルーチンのステップS570の処理、具体的には、高デューティ許可フラグFhiを設定する処理について、図17の高デューティ許否判定ルーチンを用いて説明する。このルーチンでは、電子制御ユニット70は、最初に、現在のトリップで本ルーチン(図9および図10のパージ制御ルーチン)の初回の実行であるか否かを判定する(ステップS800)。そして、現在のトリップで本ルーチンの初回の実行であると判定したときには、高デューティ許可フラグFhiや学習完了フラグFfiを初期値としての値0にリセットする(ステップS810)。ここで、学習完了フラグFfiは、現在のトリップにおける自然吸気域でのパージ濃度関連値Cpの学習を完了したか否かを示すフラグである。ステップS800で現在のトリップで本ルーチンの初回の実行でないと判定したときには、ステップS810の処理を実行しない。
続いて、パージ濃度関連値Cpや、現在のトリップにおける自然吸気域および過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp1,Ncp2などのデータを入力する(ステップS820)。ここで、パージ濃度関連値Cpや、現在のトリップにおける自然吸気域および過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp1,Ncp2は、図7のパージ補正量設定ルーチンにより設定された値が入力される。そして、前回および今回に図9および図10のパージ制御ルーチンを実行したときにステップS450またはステップS460で設定した過給域フラグ(前回Fc),(今回Fc)の値を調べる(ステップS830〜S850)。
ステップS830,S840で前回および今回の過給域フラグ(前回Fc),(今回Fc)が何れも値0のとき、即ち、自然吸気域との判定が継続しているときには、パージ濃度関連値Cpを負の閾値Cpref1と比較すると共に(ステップS860)、現在のトリップにおける自然吸気域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp1を閾値Ncpref1と比較する(ステップS870)。ここで、閾値Cpref1および閾値Ncpref1は、自然吸気域でのパージ濃度関連値Cpの学習の完了の有無を判定するのに用いられる閾値である。閾値Cpref1としては、例えば、−10%/%〜−15%/%程度が用いられる。閾値Ncpref1としては、例えば、20回〜40回程度が用いられる。なお、図7のパージ補正量設定ルーチンにより、パージを実行しているときには、自然吸気域でのパージ濃度関連値Cpの学習の完了の有無に拘わらずに、パージ濃度関連値Cpの学習を実行する。
ステップS860でパージ濃度関連値Cpが閾値Cpref1よりも大きく、且つ、ステップS870で現在のトリップにおける自然吸気域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp1が閾値Ncpref1未満のときには、自然吸気域でのパージ濃度関連値Cpの学習を完了していないと判断し、高デューティ許可フラグFhiを変更することなく、本ルーチンを終了する。
ステップS860でパージ濃度関連値Cpが閾値Cpref1以下のときや、ステップS870で現在のトリップにおける自然吸気域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp1が閾値Ncpref1以上のときには、自然吸気域でのパージ濃度関連値Cpの学習を完了していると判断し、学習完了フラグFfiに値1を設定し(ステップS880)、高デューティ許可フラグFhiに値1を設定して(ステップS890)、本ルーチンを終了する。
ステップS830で前回の過給域フラグ(前回Fc)が値0で且つステップS840で今回の過給域フラグ(今回Fc)が値1のとき、即ち、自然吸気域との判定から過給域との判定に切り替わったときには、高デューティ許可フラグFhiを切り替えることなく、本ルーチンを終了する。これにより、自然吸気域との判定中に高デューティ制御を許可した後に、過給域との判定に切り替わったときに、高デューティ制御の許可を継続することができる。
ステップS830,S850で前回および今回の過給域フラグ(前回Fc),(今回Fc)が何れも値1のとき、即ち、過給域との判定を継続しているときには、パージ濃度関連値Cpを負の閾値Cpref2と比較すると共に(ステップS900)、現在のトリップにおける過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp2を閾値Ncpref2と比較する(ステップS910)。ここで、閾値Cpref2および閾値Ncpref2は、過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習の完了の有無を判定するのに用いられる閾値である。閾値Cpref2としては、例えば、閾値Cpref1と同一の値が用いられる。閾値Ncpref2としては、例えば、閾値Ncpref2と同一の値が用いられる。なお、図7のパージ補正量設定ルーチンにより、パージを実行しているときには、過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習の完了の有無に拘わらずに、パージ濃度関連値Cpの学習を実行する。
ステップS900でパージ濃度関連値Cpが閾値Cpref2よりも大きく、且つ、ステップS910で現在のトリップにおける過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp2が閾値Ncpref2未満のときには、過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習を完了していないと判断し、高デューティ許可フラグFhiを変更することなく、本ルーチンを終了する。
ステップS900でパージ濃度関連値Cpが閾値Cpref2以下のときや、ステップS910で現在のトリップにおける自然吸気域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp1が閾値Ncpref2以上のときには、過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習を完了していると判断し、高デューティ許可フラグFhiに値1を設定して(ステップS920)、本ルーチンを終了する。
ステップS830で前回の過給域フラグ(前回Fc)が値1で且つステップS850で今回の過給域フラグ(今回Fc)が値0のとき、即ち、過給域との判定から自然吸気域との判定に切り替わったときには、学習完了フラグFfiの値を調べる(ステップS930)。ステップS930の処理は、自然吸気域、過給域、自然吸気域と判定が切り替わったときにおいて、過給域との判定前の自然吸気域との判定中にパージ濃度関連値Cpの学習を完了した(高デューティ制御を許可した履歴がある)か否かを判定する処理となる。
ステップS930で学習完了フラグFfiが値1のときには、過給域との判定前の自然吸気域との判定中にパージ濃度関連値Cpの学習を完了したと判断し、高デューティ許可フラグFhiを変更することなく、本ルーチンを終了する。ステップS930で学習完了フラグFfiが値0のときには、過給域との判定前の自然吸気域との判定中にパージ濃度関連値Cpの学習を完了していないと判断し、高デューティ許可フラグFhiに値0を設定して(ステップS940)、本ルーチンを終了する。
こうした処理により、自然吸気域、過給域、自然吸気域と判定が切り替わったときにおいて、過給域との判定前の自然吸気域との判定中にパージ濃度関連値Cpの学習を完了しておらずに(高デューティ制御を許可した履歴がなく)且つ過給域との判定中にパージ濃度関連値Cpの学習を完了して高デューティ制御を許可しているときに、過給域との判定から自然吸気域との判定に切り替わると、高デューティ制御を許可から禁止に切り替えることになる。上述したように、負荷率領域Rk[n]の空燃比補正量α[n]の信頼性は、負荷率領域Rk[1]〜Rk[n−1]の空燃比補正量α[1]〜α[n−1]の信頼性に比して低い。このため、過給域でのパージ濃度関連値Cpの信頼性は、自然吸気域でのパージ濃度関連値Cpの信頼性に比して低いと想定される。したがって、過給域の前の自然吸気域でパージ濃度関連値Cpの学習を完了しておらずに且つ過給域でパージ濃度関連値Cpの学習を完了して高デューティ制御を許可しているときにおいて、過給域から自然吸気域に切り替わったときに高デューティ制御の許可を継続すると、自然吸気域で高デューティ制御のときのパージ濃度関連値Cpの学習を行なっていないなどの理由により、エンジン12の空燃比が乱れる可能性がある。実施例では、これを考慮して、過給域の前の自然吸気域でパージ濃度関連値Cpの学習を完了しておらずに且つ過給域でパージ濃度関連値Cpの学習を完了して高デューティ制御を許可しているときにおいて、過給域から自然吸気域に切り替わったときには、高デューティ制御を許可から禁止に切り替えるものとした。これにより、過給域から自然吸気域に切り替わった後にエンジン12の空燃比が乱れるのを抑制することができる。
図18は、過給域フラグFcやパージ濃度関連値Cp、高デューティ許可フラグFhi、学習完了フラグFfi、フロント空燃比AF1、自然吸気域および過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp1,Ncp2の様子の一例を示す説明図である。図中、過給域フラグFcや、自然吸気域および過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp1,Ncp2、学習完了フラグFfiについては、実施例および比較例で共通であり、パージ濃度関連値Cpや高デューティ許可フラグFhi、フロント空燃比AF1については、実線は実施例を示し、一点鎖線は比較例を示す。比較例では、過給域フラグFcが値1から値0に切り替わったときに、学習完了フラグFfiを考慮せずに、高デューティ許可フラグFhiを保持するものとした。図示するように、実施例および比較例では、自然吸気域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp1が閾値Ncpref1以上に至る前に過給域フラグFcが値0から値1に切り替わり(時刻t21)、過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp2が閾値Ncpref2以上に至ると(時刻t22)、高デューティ許可フラグFhiを値0から値1に切り替える(時刻t22)。比較例では、過給域フラグFcが値1から値0に切り替わったときに(時刻t23)、高デューティ許可フラグFhiを値1で保持し、その後にフロント空燃比AF1の乱れが生じている。これに対して、実施例では、過給域フラグFcが値1から値0に切り替わったときに(時刻t23)、学習完了フラグFfiが値0であるために、高デューティ許可フラグFhiを値1から値0に切り替える。これにより、フロント空燃比AF1が乱れるのを抑制することができる。
以上説明した実施例のエンジン装置10では、自然吸気域でのパージ濃度関連値Cpの学習を完了しておらずに(高デューティ制御を許可した履歴がなく)且つ過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習を完了している(高デューティ制御を許可した)ときに、過給域との判定から自然吸気域との判定に切り替わると、高デューティ制御を許可から禁止に切り替える。これにより、自然吸気域でのパージ濃度関連値Cpの学習を完了していないときにおいて、過給域との判定から自然吸気域との判定に切り替わった後にエンジン12の空燃比が乱れるのを抑制することができる。
実施例のエンジン装置10では、電子制御ユニット70は、図9および図10のパージ制御ルーチンのステップS570の処理として、図17の高デューディ許否判定ルーチンにより、高デューティ許可フラグFhiを設定するものとした。しかし、これに代えて、図19の高デューディ許否判定ルーチンにより、高デューティ許可フラグFhiを設定するものとしてもよい。図19の高デューディ許否判定ルーチンは、ステップS820の処理がステップS822の処理に置き換えられた点や、ステップS824,S842,S844,S950,S960の処理が追加された点を除いて、図17の高デューディ許否判定ルーチンと同一である。したがって、同一の処理については、同一のステップ番号を付し、その詳細な説明を省略する。
図19の高デューディ許否判定ルーチンでは、電子制御ユニット70は、図17の高デューティ許否判定ルーチンのステップS820の処理と同様にパージ濃度関連値Cpや自然吸気域および過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp1,Ncp2を入力するのに加えて、未実行カウンタCnpを入力する(ステップS822)。ここで、未実行カウンタCnpは、パージの未実行時間に関連するカウンタであり、パージを実行していないときには、カウントアップされ、パージを実行しているときには、値0を下限としてカウントダウンされる。なお、未実行カウンタCnpは、パージを実行しているときには、値0にリセットされるものとしてもよい。
続いて、入力した未実行カウンタCnpを閾値Cnprefと比較する(ステップS824)。そして、未実行カウンタCnpが閾値Cnpref未満のときには、ステップS830以降の処理を実行する。未実行カウンタCnpが閾値Cnpref以上のときには、高デューティ許可フラグFhiに値0を設定し(ステップS950)、パージ濃度関連値Cpや、自然吸気域および過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp1,Ncp2、学習完了フラグFfiを初期値としての値0にリセットして(ステップS960)、本ルーチンを終了する。
パージの未実行が長時間に亘って継続すると、パージ制御バルブ65よりも燃料タンク11側の実際のパージ濃度は高くなるから、実際のパージ濃度に対応するパージ濃度関連値Cpである理想パージ濃度関連値Cpthと図7のパージ補正量設定ルーチンにより設定されるパージ濃度関連値Cpとの乖離が大きくなる。即ち、パージ濃度関連値Cpの信頼性が低くなる。これを考慮して、この変形例では、パージの未実行が長時間に亘って継続したときには、高デューティ制御を禁止するものとした。これにより、エンジン12の空燃比が乱れるのを抑制することができる。また、パージ濃度関連値Cpの信頼性が低い(誤学習の可能性がある)ため、パージ濃度関連値Cpや、自然吸気域および過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp1,Ncp2、学習完了フラグFfiを初期値としての値0にリセットするのが好ましい。
そして、ステップS830,S840で前回および今回の過給域フラグ(前回Fc),(今回Fc)が何れも値0のとき、即ち、自然吸気域との判定が継続しているときには、誤学習条件フラグFerを入力する(ステップS842)。ここで、誤学習条件フラグFerは、その前の過給域フラグFcが値0のとき(自然吸気域との判定に切り替わる前の過給域との判定中)にパージ濃度関連値Cpを誤学習した可能性があるか否かを示すフラグであり、誤学習条件が成立していると判定したときには値1が設定され、誤学習条件が成立していないと判定したときには値0が設定される。この誤学習条件フラグFerは、トリップを開始するときに、初期値としての値0が設定される。誤学習条件の詳細については後述する。
続いて、入力した誤学習条件フラグFerの値を調べる(ステップS844)。そして、誤学習条件フラグFerが値0のとき、即ち、誤学習条件が成立していないときには、ステップS860以降の処理を実行する。誤学習条件フラグFerが値1のとき、即ち、誤学習条件が成立しているときには、高デューティ許可フラグFhiに値0を設定し(ステップS950)、パージ濃度関連値Cpや、自然吸気域および過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp1,Ncp2、学習完了フラグFfiを初期値としての値0にリセットして(ステップS960)、本ルーチンを終了する。
ここで、誤学習条件について説明する。誤学習条件としては、例えば、その前の過給域フラグFcが値1のとき(自然吸気域との判定に切り替わる前の過給域との判定中)のパージの実行時間Tpupが閾値Tpupref以上であり、且つ、学習完了フラグFfiが値1であり(自然吸気域でのパージ濃度関連値Cpの学習を完了しており)、且つ、フロント空燃比AF1と要求空燃比AF*との差分ΔAFが閾値ΔAFref以上である条件が用いられる。閾値Tpuprefは、上述の閾値Npref2に相当する時間よりもある程度長い時間として定められる。上述したように、過給域との判定中のパージ濃度関連値Cpの信頼性は、自然吸気域との判定中のパージ濃度関連値Cpの信頼性に比して低いと想定される。このため、過給域との判定中のパージの実行時間Tpupが長い、即ち、パージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp2が多いと、パージ濃度関連値Cpを誤学習した可能性が生じる。そして、過給域との判定から自然吸気域との判定に切り替わった後に、自然吸気域でのパージ濃度関連値Cpの学習を完了しているにも拘わらずに、フロント空燃比AF1が要求空燃比AF*に対して大きく乖離すると、過給域との判定中のパージ濃度関連値Cpの誤学習に起因してこの乖離が生じたと想定される。したがって、この変形例では、こうした誤学習条件が成立しているときには、高デューティ許可フラグFhiに値0を設定する、即ち、高デューティ制御を禁止するものとした。これにより、エンジン12の空燃比の乱れが継続するのを抑制することができる。そして、パージ濃度関連値Cpの誤学習の可能性があるため、パージ濃度関連値Cpや、自然吸気域および過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp1,Ncp2、学習完了フラグFfiを初期値としての値0にリセットするのが好ましい。
この変形例では、未実行カウンタCnpが閾値Cnpref以上のときや、誤学習条件フラグFerが値1のときには、パージ濃度関連値Cpの誤学習の可能性があると判断し、高デューティ許可フラグFhiに値0を設定するのに加えて、パージ濃度関連値Cpや、自然吸気域および過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp1,Ncp2、学習完了フラグFfiを初期値としての値0にリセットするものとした。これに対して、実施例で説明したように、過給域フラグFcが値1から値0に切り替わったときに学習完了フラグFfiが値0のときには、パージ濃度関連値Cpの誤学習が原因ではないため、高デューティ許可フラグFhiに値0を設定するものの、パージ濃度関連値Cpや、自然吸気域および過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp1,Ncp2、学習完了フラグFfiをリセットしない。これにより、その後に高デューティ制御を許可する(パージ率を十分に大きくすることができる)までの時間が長くなるのを抑制することができる。
この変形例では、未実行カウンタCnpが閾値Cnpref以上のときや、誤学習条件フラグFerが値1のときには、パージ濃度関連値Cpの誤学習の可能性があると判断し、高デューティ許可フラグFhiに値0を設定するものとした。しかし、未実行カウンタCnpが閾値Cnpref以上のとき、および、誤学習条件フラグFerが値1のときのうちの何れかだけ高デューティ許可フラグFhiに値0を設定するものとしてもよい。
この変形例では、誤学習条件として、その前の過給域フラグFcが値1のときのパージの実行時間Tpupが閾値Tpupref以上である条件、学習完了フラグFfiが値1である条件、フロント空燃比AF1と要求空燃比AF*との差分ΔAFが閾値ΔAFref以上である条件を用いるものとした。しかし、学習完了フラグFfiが値1である条件を用いないものとしてもよい。
この変形例では、未実行カウンタCnpが閾値Cnpref以上のときや、誤学習条件フラグFerが値1のときには、パージ濃度関連値Cpの誤学習の可能性があると判断し、高デューティ許可フラグFhiに値0を設定するのに加えて、パージ濃度関連値Cpや、自然吸気域および過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp1,Ncp2、学習完了フラグFfiを初期値としての値0にリセットするものとした。未実行カウンタCnpが大きいほど小さくなるように再開パージ率Rpst2を設定する場合や、パージを中断する直前の要求パージ率Rprqに基づいて再開パージ率Rpst2を設定する場合などには、パージ濃度関連値Cpや、自然吸気域および過給域でのパージ濃度関連値Cpの学習回数Ncp1,Ncp2、学習完了フラグFfiを初期値としての値0にリセットするのに加えて、再開パージ率Rpst2も初期値(比較的小さい値、例えば、開始パージ率Rpst1と同一の値など)にリセットするものとしてもよい。
実施例のエンジン装置10では、パージをトリップで初回に開始または再開するとき(支配パージフラグFpdを入力可能でないとき)には、上流パージ推定フラグFpupに基づいて自然吸気域および過給域のうちの何れであるかを判定し(過給域フラグFcを設定し)、パージを実行しているとき(支配パージフラグFpdを入力可能であるとき)には、支配パージフラグFpdに基づいて自然吸気域および過給域のうちの何れであるかを判定するものとした。しかし、パージを実行しているときも、上流パージ推定フラグFpupに基づいて自然吸気域および過給域のうちの何れであるかを判定するものとしてもよい。
実施例のエンジン装置10では、自然吸気域および過給域のうちの何れであるかにより、目標パージ率Rptg(開始パージ率Rpst1、再開パージ率Rpst2、レート値ΔRp1,ΔRp2のうちの少なくとも1つ)および上限パージ率Rplimを異なるものとした。しかし、自然吸気域および過給域のうちの何れであるかにより、目標パージ率Rptgおよび上限パージ率Rplimのうちの何れかだけを異なるものとしてもよいし、パージ制御バルブ65の制御に関する、目標パージ率Rptgや上限パージ率Rplim以外のパラメータを異なるものとしてもよい。
実施例のエンジン装置10では、サージ圧Psに基づいてオフセット量kdを設定し、エゼクタ相対圧Pejとサージ圧Psからオフセット量kdを減じた値とに基づいて下流パージおよび上流パージのうちの何れが支配パージであるかを判定するものとした。しかし、エゼクタ相対圧Pejとサージ圧Psに無関係な一定のオフセット量kdをサージ圧Psから減じた値とに基づいて下流パージおよび上流パージのうちの何れが支配パージであるかを判定するものとしてもよい。この場合でも、実施例より精度は劣るものの、第1パージ通路62の断面積に対する第2パージ通路の断面積に基づく影響を考慮しないものに比して、下流パージおよび上流パージのうちの何れが支配的パージであるかをより適切に判定することができる。
実施例のエンジン装置10では、複数の負荷率領域Rk[1]〜Rk[n]について、それぞれ、1トリップで1回だけ空燃比補正量α[1]〜α[n]を設定するものとした。しかし、1トリップで複数回に亘って空燃比補正量α[1]〜α[n]を設定するものとしてもよい。この場合、図5の空燃比補正量設定ルーチンのステップS250の処理を実行しないものとしてもよい。
実施例のエンジン装置10では、負荷率KLについて想定される範囲を複数の負荷率領域Rk[1]〜Rk[n]に区分し、複数の負荷率領域Rk[1]〜Rk[n]のそれぞれの空燃比補正量α[1]〜α[n]を設定するものとした。しかし、これに代えて、吸入空気量Qaについて想定される範囲を複数の空気量領域Rq[1]〜Rq[n]に区分し、複数の空気量領域Rq[1]〜Rq[n]のそれぞれの空燃比補正量α[1]〜α[n]を設定するものとしてもよい。
実施例のエンジン装置10では、エゼクタ相対圧Pejとサージ圧Psからオフセット量kdを減じた値とに基づいて下流パージおよび上流パージのうちの何れが支配パージであるかを判定するものとした。しかし、負荷率KLや吸入空気量Qaに基づいて下流パージおよび上流パージのうちの何れが支配パージであるかを判定するものとしてもよい。この場合、負荷率KLと、負荷率領域Rk[n−1]と負荷率領域Rk[n]との境界値と、に基づいて下流パージおよび上流パージのうちの何れが支配パージであるかを判定したり、吸入空気量Qaと、空気量領域Rq[n−1]と空気量領域Rq[n]との境界値と、に基づいて下流パージおよび上流パージのうちの何れが支配パージであるかを判定したりしてもよい。
実施例のエンジン装置10では、エンジン12は、燃焼室30内に燃料を噴射する筒内噴射弁28を備えるものとした。しかし、エンジン12は、筒内噴射弁28に加えてまたは代えて、吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射弁を備えるものとしてもよい。
実施例のエンジン装置10では、過給機40は、吸気管23に配置されるコンプレッサ41と排気管35に配置されるタービン42とが回転軸43を介して連結されるターボチャージャとして構成されるものとした。しかし、これに代えて、エンジン12やモータにより駆動されるコンプレッサが吸気管23に配置されるスーパーチャージャとして構成されるものとしてもよい。
実施例のエンジン装置10では、蒸発燃料処理装置50において、共通通路61は、導入通路52のキャニスタ56付近に接続されるものとした。しかし、キャニスタ56に接続されるものとしてもよい。
実施例では、一般的な自動車や各種のハイブリッド自動車に搭載されるエンジン装置10の形態とした。しかし、自動車以外の車両に搭載されるエンジン装置の形態としてもよいし、建設設備などの移動しない設備に搭載されるエンジン装置の形態としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン12が「エンジン」に相当し、過給機40が「過給機」に相当し、蒸発燃料処理装置50が「蒸発燃料処理装置」に相当し、電子制御ユニット70が「制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、エンジン装置の製造産業などに利用可能である。
10 エンジン装置、11 燃料タンク、11a 内圧センサ、12 エンジン、14 クランクシャフト、14a クランクポジションセンサ、16 水温センサ、17 低圧側燃料通路、18 高圧ポンプ、19 高圧側燃料通路、22 エアクリーナ、23 吸気管、23a エアフローメータ、23b 吸気圧センサ、23c 過給圧センサ、24 バイパス管、25 インタークーラ、26 スロットルバルブ、26a スロットルポジションセンサ、27 サージタンク、27a サージ圧センサ、27b 温度センサ、28 筒内噴射弁、28a 燃圧センサ、29 吸気バルブ、30 燃焼室、31 点火プラグ、32 ピストン、34 排気バルブ、35 排気管、35a フロント空燃比センサ、35b リヤ空燃比センサ、36 バイパス管、37,38 浄化装置、40 過給機、41 コンプレッサ、42 タービン、43 回転軸、44 ウェイストゲートバルブ、45 ブローオフバルブ、50 蒸発燃料処理装置、52 導入通路、53 開閉バルブ、54 バイパス通路、54a,54b 分岐部、55a,55b リリーフバルブ、55b リリーフバルブ、56 キャニスタ、57 大気開放通路、58 エアフィルタ、61 共通通路、61a 分岐点、62 第1パージ通路、63 第2パージ通路、63a OBD用センサ、64 バッファ部、65 パージ制御バルブ、65a パージ制御バルブポジションセンサ、66 逆止弁、67 逆止弁、68 還流通路、69 エゼクタ、70 電子制御ユニット。

Claims (1)

  1. 吸気管に配置されたスロットルバルブと、燃料噴射弁とを有し、燃料タンクから供給される燃料を用いて動力を出力するエンジンと、
    前記エンジンの排気管に取り付けられた空燃比センサと、
    前記吸気管の前記スロットルバルブよりも上流側に配置されたコンプレッサを有する過給機と、
    前記燃料タンク内で発生した蒸発燃料を含む蒸発燃料ガスを前記吸気管の前記スロットルバルブよりも下流側に接続された第1パージ通路と第2パージ通路とに分岐して前記吸気管に供給する供給通路と、前記吸気管の前記コンプレッサと前記スロットルバルブとの間からの還流通路に吸気ポートが接続され且つ前記吸気管の前記コンプレッサよりも上流側に排気ポートが接続され且つ前記第2パージ通路に吸引ポートが接続されたエゼクタと、前記供給通路に設けられたパージ制御バルブと、を有する蒸発燃料処理装置と、
    前記蒸発燃料ガスを前記吸気管に供給するパージを実行するときには、要求パージ率に基づく駆動デューティを用いて前記パージ制御バルブを制御し、前記パージを実行しているときには、前記空燃比センサにより検出される空燃比の要求空燃比に対するずれに基づいて前記蒸発燃料ガスの濃度に関連するパージ濃度関連値を学習する制御装置と、
    を備えるエンジン装置であって、
    前記制御装置は、自然吸気域で、前記自然吸気域での前記パージ濃度関連値の学習が未完了であることにより前記駆動デューティを所定デューティよりも大きくする高デューティ制御を禁止しているときに、前記自然吸気域から過給域に切り替わり、前記過給域での前記パージ濃度関連値の学習を完了して前記高デューティ制御を許可し、その後に前記過給域から前記自然吸気域に切り替わったときには、前記高デューティ制御を禁止する、
    エンジン装置。
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