JP2021179080A - 連結金具、連結金具付き鉄筋トラス及びその製造方法、並びに、デッキプレート及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】デッキプレートに並設される鉄筋トラスと連結金具を、主筋に溶接を施すことなく係合させて、連結の作業効率の向上と連結固着の強度の維持を図ることができる、連結金具、連結金具付き鉄筋トラス及びその製造方法、デッキプレート及びその製造方法を提供する。【解決手段】線状の上部主筋１０と、２本の線状の下部主筋２０と、波状の一対のラチス材３０を備える鉄筋トラス２が、コンクリートスラブの構造材としての底板部４０と一体となって建造物の躯体梁５に掛け渡されるデッキプレート１の端部に連結される、連結金具３である。連結金具３は、底板部４０の板面方向に延出した第１棒状部５１と、第１棒状部５１の一端が屈曲して上方に延出した第２棒状部５２を有する支持部材５０と、第２棒状部５２と交差して接合された第１直線部６１と、第１直線部６１の両端に下部主筋２０に係り合った状態を維持する係合部６２を有する留め部材６０と、を備える。【選択図】図１

Description

本発明は、連結金具、連結金具付き鉄筋トラス及びその製造方法、並びに、デッキプレート及びその製造方法に関する。

従来、コンクリート床等の構築に用いられる構造材として、主筋とラチス材を有する鉄筋トラスが、板状部材に接合され一体となったトラス付デッキプレートが知られている。

例えば、特許文献１には、鉄筋トラスが配設されたデッキプレートが開示されている。このデッキプレートにおける鉄筋トラスは、１本の上部主筋と２本の下部主筋が、波形に屈曲させた２本のラチス材とそれぞれ接合されている。デッキプレートは、建造物の躯体をなす梁（以下躯体梁という。）に掛け渡されており、鉄筋トラスに溶接固着された連結金具によって、デッキプレートの端部と躯体梁が固着されている。

特開２００７−２６２８５９号公報

ところで、鉄筋トラスの上部主筋、下部主筋とラチス材との接合箇所は周期的であるため、上部主筋、下部主筋に対するラチス材の接合は、機械による溶接が行われることがある。その一方で、デッキプレート上の鉄筋トラスと連結金具の接合においては、躯体梁やデッキプレートに対する連結金具の位置を調整する必要があり、機械による溶接は困難であることから、手作業によって接合されるのが一般的である。しかしながら、手作業による鉄筋トラスと連結金具の溶接は、機械による溶接と比べて、溶接の強度に幅が生じ易い。そのため、コンクリート打設等における連結金具の脱落を防ぐ観点から、連結金具と鉄筋トラスとの固着の強度を維持できるよう注意を払う必要があり、作業工程において手間がかかる傾向にあった。さらには、主筋におけるラチス材との溶接箇所と、連結金具との溶接箇所が集中する場合があるため、主筋の強度維持の観点から、主筋に対する溶接箇所の数を抑制し、鉄筋トラスに固定できる連結金具が望まれていた。

本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、デッキプレートにおいて並設される鉄筋トラスと連結金具を、主筋に溶接を施すことなく係合させて、連結の作業効率の向上と、連結固着の強度の維持を図ることができる、連結金具、連結金具付き鉄筋トラス及びその製造方法、並びに、デッキプレート及びその製造方法を提供することにある。

上記課題を解決するために、本発明は、次の手段をとる。先ず、第１の発明は、線状に延在する上部主筋と、前記上部主筋の下方に並行して線状に延在し、互いに離間した２本の下部主筋と、前記上部主筋の長さ方向に沿って山部と谷部を繰り返した波状の一対のラチス材とを備える鉄筋トラスが、コンクリートスラブに用いられる構造材としての底板部と一体となって建造物の躯体梁に掛け渡されるデッキプレートの端部に連結される、連結金具であって、前記デッキプレートの前記底板部の板面方向に延出した第１棒状部と、前記第１棒状部の一端が屈曲して上方に延出した第２棒状部とを有する支持部材と、前記支持部材の前記第２棒状部と交差して接合された第１直線部と、前記第１直線部の両端に、前記鉄筋トラスにおける前記下部主筋に係り合った状態を維持する係合部とを有する留め部材とを備える。

第１の発明によれば、連結金具は、留め部材の係合部が鉄筋トラスにおける下部主筋と係り合って当接する構成となる。この構成により、連結金具を下部主筋に取り付ける作業において溶接が不要となるため、作業効率の向上を図ることができる。また、連結金具と下部主筋が係合する構成により、連結金具が下部主筋から離脱し難くなり、連結金具と主筋の固着の強度を維持し得る。さらには、下部主筋に対する溶接箇所の数を抑えることができる。

第２の発明は、第１の発明による連結金具であって、前記留め部材に加え、前記支持部材の前記第２棒状部と交差して接合された第２直線部と、前記第２直線部の両端から前記底板部の板面に向かって延出し、下端が互いに離間するように側方に拡開して、前記底板部の板面と当接する拡開部と、を有する枠状部材を備え、前記枠状部材の前記拡開部は、前記デッキプレートにおける前記底板部の板面から突出し、前記鉄筋トラスにおける前記ラチス材の前記谷部と接合する突条部まで延出し、前記突条部と接合可能な構成とする。

第２の発明によれば、連結金具は、留め部材が鉄筋トラスの下部主筋と係合し、枠状部材が底板部の板面と当接する構成とされる。これにより、下部主筋に取り付けられた連結金具の枠状部材は、第２直線部が下部主筋と当接すると共に、底板部の板面に固定される構成とすることができる。よって、連結金具は、より安定して鉄筋トラスと係合される。

第３の発明は、第２の発明による連結金具であって、前記留め部材は、前記第１直線部が、前記鉄筋トラスにおける前記下部主筋の下面側と接すると共に、前記係合部が、前記下部主筋の外周面に巻き込んだ状態で係り合っている構成であり、前記枠状部材は、前記第２直線部が、前記鉄筋トラスにおける前記下部主筋の下面側から前記下部主筋を支持する。

第３の発明によれば、連結金具は、留め部材の第１直線部と枠状部材の第２直線部が、鉄筋トラスにおける下部主筋をその下面側から支持する構成となる。これにより、連結金具の浮き上がりを抑制できる。また、留め部材の係合部が、鉄筋トラスにおける下部主筋を巻き込んだ状態で係り合っている構成となる。これにより、連結金具が下部主筋から離脱し難くなり、より安定して鉄筋トラスに係合される。よって、連結金具と下部主筋の固着の強度及び安定性の向上を図ることができる。

第４の発明は、第２の発明による連結金具であって、前記留め部材は、前記第１直線部が、前記鉄筋トラスにおける前記下部主筋の上面側と接すると共に、前記係合部が、前記下部主筋の下面側まで巻き込んだ状態で取り付けられる構成であり、前記枠状部材は、前記第２直線部が、２本の前記下部主筋に掛け渡される構成とする。

第４の発明によれば、連結金具は、枠状部材の第２直線部が下部主筋に架かった状態で、底板部に固定される構成となる。また、留め部材の係合部が、鉄筋トラスにおける下部主筋を巻き込んだ状態で取り付けられる構成となる。これにより、連結金具が下部主筋から離脱し難くなり、より安定して鉄筋トラスに係合される。よって、連結金具と下部主筋の固着の強度及び安定性の向上を図ることができる。

第５の発明は、第２の発明から第４の発明のいずれか一の発明による連結金具であって、前記枠状部材は、前記鉄筋トラスの長さ方向において、前記ラチス材の端部における前記山部と前記谷部を結ぶ傾斜部に隣接するように配設される。

第５の発明によれば、連結金具は、枠状部材の拡開部が、鉄筋トラスにおけるラチス材の谷部とより近い位置に配設される構成となる。これにより、鉄筋トラスはより安定して底板部の板面に固定され得る。

第６の発明は、第２の発明から第５の発明のいずれか一の発明による連結金具であって、前記枠状部材は、前記鉄筋トラスにおける前記ラチス材と同一径、同一素材の設定で構成される。

第６の発明によれば、連結金具における枠状部材は、鉄筋トラスにおけるラチス材と同一の径、同一の素材で構成される。これにより、ラチス材の谷部を底板部の板面上に固定する工程と同一の条件で、枠状部材を底板部の板面上に固定することができる構成となる。よって、溶接に係る条件設定の手間を軽減し、デッキプレートを製造する工程における作業効率の向上を図ることができる。

第７の発明は、第１の発明による連結金具であって、前記留め部材は、前記第１直線部が、前記第２棒状部に対し、前記第２棒状部の径方向の両側から挟むように互いに対向する。

第７の発明によれば、連結金具における留め部材が、その係合部において下部主筋と係り合って当接する。また、留め部材の第１直線部が、連結金具における支持部材の第２棒状部を径方向の両側から挟むようにして支持する構成となる。この構成により、連結金具が下部主筋と当接する部分がより多くなり、連結金具と下部主筋の固着の強度及び安定性の向上を図ることができる。

第８の発明は、第７の発明による連結金具であって、前記留め部材は、前記第１直線部が前記下部主筋の下面側と接した状態で係合されて取り付けられる構成とする。

第８の発明によれば、連結金具は、留め部材の第１直線部が、下部主筋の下面側に位置するように取り付けられる構成とされる。これにより、下部主筋に取り付けられた連結金具の浮き上がりを抑制でき、連結金具と下部主筋の固着の強度及び安定性の向上を図ることができる。

第９の発明による連結金具付き鉄筋トラスは、第２の発明から第６の発明のいずれか一の発明による連結金具と、前記鉄筋トラスとを備え、前記鉄筋トラスにおける前記一対のラチス材は、前記上部主筋を、前記上部主筋の長さ方向と交差する幅方向の両側から挟むように互いに対向し、前記山部が前記上部主筋と接合されていると共に、前記山部と前記谷部の中間部位が前記下部主筋とそれぞれ接合されており、前記連結金具における前記留め部材は、前記係合部が前記鉄筋トラスの前記下部主筋と係合しており、前記連結金具における前記枠状部材は、前記鉄筋トラスの長さ方向において、前記ラチス材の端部における前記山部と前記谷部を結ぶ傾斜部に隣接して位置している。

第９の発明によれば、鉄筋トラスの端部における連結金具は、留め部材が鉄筋トラスの下部主筋と係合すると共に、枠状部材がよりラチス材に隣接した位置において下部主筋に当接し、拡開部が底板部に固定される構成となる。これにより、連結金具付き鉄筋トラスは、鉄筋トラスの端部におけるラチス材の谷部と、枠状部材の拡開部がより隣接してデッキプレートの底板部に固定される構成となる。よって、連結金具付き鉄筋トラスと底板部の接合における作業効率の向上を図ることができる。

第１０の発明による連結金具付き鉄筋トラスは、第７の発明又は第８の発明による連結金具と、前記鉄筋トラスとを備え、前記鉄筋トラスにおける前記一対のラチス材は、前記上部主筋を、前記上部主筋の長さ方向と交差する幅方向の両側から挟むように互いに対向し、前記山部が前記上部主筋と接合されていると共に、前記山部と前記谷部の中間部位が前記下部主筋とそれぞれ接合されており、前記連結金具における前記留め部材の前記係合部は、前記鉄筋トラスの前記下部主筋と係合している。

第１０の発明によれば、鉄筋トラスの下部主筋と、連結金具における留め部材の係合部とが係り合って当接しており、連結金具が安定して鉄筋トラスと係合されている。これにより、連結金具と鉄筋トラスの固着の強度の維持を図ることができる、連結金具付き鉄筋トラスを構成し得る。

第１１の発明は、第９の発明又は第１０の発明による連結金具付き鉄筋トラスであって、前記連結金具における前記留め部材は、前記鉄筋トラスの長さ方向において、前記ラチス材の端部における前記山部と前記谷部を結ぶ傾斜部より中央側に位置している。

第１１の発明によれば、連結金具は、留め部材が鉄筋トラスの長さ方向においてラチス材の端部における傾斜部より中央側に配設され、鉄筋トラスの下部主筋と係合している。これにより、連結金具は、留め部材がラチス材の傾斜部よりも、鉄筋トラスの端側にずれない構成となるため、連結金具の鉄筋トラスからの脱落を抑制し得る。

第１２の発明は、第１０の発明による連結金具付き鉄筋トラスであって、前記連結金具による前記留め部材は、前記鉄筋トラスの長さ方向において、対向した前記第１直線部の間に、前記ラチス材の端部における前記山部と前記谷部を結ぶ傾斜部が位置している。

第１２の発明によれば、連結金具は、留め部材における第１直線部の間に、鉄筋トラスにおけるラチス材の傾斜部が位置するように、鉄筋トラスの下部主筋と係合している。これにより、留め部材がラチス材の傾斜部を挟む構成となるため、連結金具の鉄筋トラスからの脱落を抑制し得る。

第１３の発明によるデッキプレートは、第９の発明から第１１の発明のいずれか一の発明による連結金具付き鉄筋トラスと、金属製の前記底板部とを有し、前記連結金具付き鉄筋トラスは、所定間隔を隔てて複数並設した状態で、前記底板部の板面に一体的に固着されている。

第１３の発明によれば、鉄筋トラスが、底板部に固着されて一体化したデッキプレートが構成される。また、鉄筋トラスには連結金具が取り付けられており、鉄筋トラスの２本の下部主筋と、連結金具における留め部材の係合部とが係り合って当接している。さらに、連結金具の支持部材は、第１棒状部が底板部の板面に沿うように配設されている。この構成により、連結金具は鉄筋トラスに安定して係合され、連結金具と鉄筋トラスの固着の強度を維持し得る。

第１４の発明による連結金具付き鉄筋トラスの製造方法は、線状に延在する上部主筋と、前記上部主筋の下方に並行して線状に延在する２本の下部主筋と、前記上部主筋の長さ方向に沿って山部と谷部を繰り返した波状である一対のラチス材とを備え、前記山部と前記上部主筋とが接合されると共に、前記山部と前記谷部の中間部位と前記下部主筋とが接合される鉄筋トラスとする鉄筋トラス成形工程と、棒状に延出した第１棒状部と、前記第１棒状部の一端を屈曲させて延出した第２棒状部とを有する支持部材とする支持部材成形工程と、前記支持部材の前記第２棒状部と交差して接合される第１直線部と、前記第１直線部の両端に、前記鉄筋トラスにおける前記下部主筋に係り合った状態を維持する係合部とを有する留め部材とする留め部材成形工程と、前記支持部材と前記留め部材とが接合された連結金具とする連結金具成形工程と、前記連結金具を前記鉄筋トラスに係合させる係合工程と、を含む。

第１４の発明によれば、連結金具と鉄筋トラスを係合させる係合工程において、下部主筋と連結金具の溶接が不要であり、連結金具を鉄筋トラスに取り付ける作業が容易になる。よって、連結金具付き鉄筋トラスの製造工程における作業効率の向上を図ることができる。

第１５の発明は、第１４の発明による連結金具付き鉄筋トラスの製造方法であって、前記係合工程は、前記鉄筋トラスにおける２本の前記下部主筋が互いに近接するように、前記鉄筋トラスを弾性変形させてから前記連結金具を取り付けて、前記鉄筋トラスと係合させる。

第１５の発明によれば、鉄筋トラスの上部主筋には、２本のラチス材が上部主筋を挟むようにして接合されており、ラチス材には互いに並行して離間する下部主筋がそれぞれ接合されている構成である。この構成により、鉄筋トラスを弾性変形させて、２本の下部主筋の間隔を一時的に狭くすることができる。そのため、連結金具を取り付け易くなり、連結金具付き鉄筋トラスの製造工程における作業効率の向上を図ることができる。

第１６の発明によるデッキプレートの製造方法は、線状に延在する上部主筋と、前記上部主筋の下方に並行して線状に延在する２本の下部主筋と、前記上部主筋の長さ方向に沿って山部と谷部を繰り返した波状である一対のラチス材とを備え、前記山部と前記上部主筋とが接合されると共に、前記山部と前記谷部の中間部位と前記下部主筋とが接合される鉄筋トラスとする鉄筋トラス成形工程と、棒状に延出した第１棒状部と、前記第１棒状部の一端を屈曲させて延出した第２棒状部とを有する支持部材とする支持部材成形工程と、前記支持部材の前記第２棒状部と交差して接合される第１直線部と、前記第１直線部の両端に、前記鉄筋トラスにおける前記下部主筋に係り合った状態を維持する係合部とを有する留め部材とする留め部材成形工程と、前記支持部材と前記留め部材とが接合された連結金具とする連結金具成形工程と、前記連結金具を前記鉄筋トラスに係合させる係合工程と、前記鉄筋トラスの前記谷部をコンクリートスラブに用いられる構造体としての底板部の板面にそれぞれ固着させる固着工程と、を含む。

第１６の発明によれば、連結金具と鉄筋トラスを係合させる係合工程において、下部主筋と連結金具の溶接が不要であり、連結金具を鉄筋トラスに取り付ける作業が容易になる。よって、デッキプレートの製造工程における作業効率の向上を図ることができる。

第１７の発明は、第１６の発明によるデッキプレートの製造方法であって、前記支持部材の前記第２棒状部と交差して接合される前記第２直線部と、前記第２直線部の両端が前記底板部の板面に向かって延出し、下端が互いに離間するように側方に拡開して、前記底板部の板面と当接する拡開部とを有する枠状部材とする枠状部材成形工程と、前記支持部材と、前記留め部材、前記枠状部材が接合された連結金具とする連結金具成形工程と、前記連結金具における前記枠状部材の前記拡開部を、前記底板部の板面に溶着させる溶着工程と、を含む。

第１７の発明によれば、連結金具における枠状部材の拡開部が、デッキプレートにおける底板部に溶着される。これにより、連結金具がデッキプレートに安定して固定されると共に、鉄筋トラスと底板部との固着の強度の向上を図ることができる。

第１８の発明は、第１６の発明又は第１７の発明によるデッキプレートの製造方法であって、前記係合工程は、前記固着工程より前に行われる。

第１８の発明によれば、連結金具を鉄筋トラスに係合させてから、鉄筋トラスを底板部に固着させる。このように係合工程を固着工程の前に行うことにより、底板部と干渉することなく、連結金具を鉄筋トラスに係合させることができる。そのため、係合工程において、連結金具を鉄筋トラスに取り付ける作業がより容易となるよう、取り付ける方向を任意に選択できる。よって、デッキプレートの製造工程における作業効率の向上を図ることができる。

本発明は、上記の各発明の構成をもつことにより、デッキプレートにおいて並設される鉄筋トラスと連結金具を、主筋に溶接を施すことなく係合させて、連結の作業効率の向上と連結固着の強度の維持を図ることができる連結金具、連結金具付き鉄筋トラス及びその製造方法、並びに、デッキプレート及びその製造方法を提供できる。

第１実施形態に係る連結金具付鉄筋トラス及びそれを並設したデッキプレートの斜視図であり、鉄筋トラスは、その端部がラチス材の山部において切断されたもの（山カット）を示す図である。 第１実施形態に係る連結金具付鉄筋トラス及びそれを並設したデッキプレートの斜視図であり、鉄筋トラスは、その端部がラチス材の谷部において切断されたもの（谷カット）を示す図である。 第１実施形態に係るデッキプレートの分解斜視図である。 図１のＩＶ方向矢視図である。 図２のＶ方向矢視図である。 デッキプレートにおける鉄筋トラスを長さ方向からみた状態を示す図である。 図１のＶＩＩ方向矢視図である。 図２のＶＩＩＩ方向矢視図である。 図４をＩＸ方向から矢視した連結金具付き鉄筋トラスを示す図である。 第１実施形態に係る連結金具が、山カットの鉄筋トラスに取り付けられた状態を示す図である。 第１実施形態に係る連結金具が、谷カットの鉄筋トラスに取り付けられた状態を示す図である。 第２実施形態に係る連結金具が、山カットの鉄筋トラスに取り付けられた状態を示す斜視図である。 第２実施形態に係る連結金具が、谷カットの鉄筋トラスに取り付けられた状態を示す斜視図である。 第２実施形態に係る連結金具付き鉄筋トラスを示す図である。 第２実施形態に係る連結金具が、山カットの鉄筋トラスに取り付けられた状態を示す図である。 第２実施形態に係る連結金具が、谷カットの鉄筋トラスに取り付けられた状態を示す図である。 第３実施形態に係る連結金具付鉄筋トラス及びそれを並設したデッキプレートの斜視図であり、連結金具は山カットの鉄筋トラスに取り付けた状態を示す図である。 第３実施形態に係る連結金具付鉄筋トラス及びそれを並設したデッキプレートの斜視図であり、連結金具は谷カットの鉄筋トラスに取り付けた状態を示す図である。 第３実施形態に係るデッキプレートの分解斜視図である。 図１７のＸＸ方向矢視図である。 第３実施形態に係る連結金具が、山カットの鉄筋トラスの外側に取り付けられた状態を示す図である。 第３実施形態に係る連結金具が、谷カットの鉄筋トラスの外側に取り付けられた、連結金具付き鉄筋トラスを示す図である。 第３実施形態に係る連結金具が、山カットの鉄筋トラスの傾斜部より中央側に取り付けられた状態を示す図である。 第３実施形態に係る連結金具が、谷カットの鉄筋トラスの傾斜部より中央側に取り付けられた状態を示す図である。 第３実施形態に係る連結金具が、留め部材の間に傾斜部が位置するように、山カットの鉄筋トラスに取り付けられた状態を示す図である。 第３実施形態に係る連結金具が、留め部材の間に傾斜部が位置するように、谷カットの鉄筋トラスに取り付けられた状態を示す図である。 図２０をＸＸＶＩＩ方向から矢視した連結金具付き鉄筋トラスを示す図である。 第４実施形態に係る連結金具を示す図である。 第４実施形態に係る連結金具が、山カットの鉄筋トラスに取り付けられた状態を示す図である。 第４実施形態に係る連結金具が、谷カットの鉄筋トラスに取り付けられた状態を示す図である。 第５実施形態に係る連結金具が、山カットの鉄筋トラスに取り付けられた状態を示す図である。 第５実施形態に係る連結金具が、谷カットの鉄筋トラスに取り付けられた状態を示す図である。 第５実施形態に係る連結金具付き鉄筋トラスを示す図である。 第１実施形態に係る連結金具の分解斜視図である。 第３実施形態に係る連結金具の分解斜視図である。 鉄筋トラスを弾性変形させて、連結金具を取り付ける工程を示す図である。 連結金具付き鉄筋トラスを底板部に接合する工程、及び溶接装置の模式図である。

以下に、本発明の実施形態について、図１から図３７を用いて説明する。本発明の実施形態に係る連結金具３は、例えばコンクリートスラブ等の建設工事に用いられ、デッキプレート１を建造物の躯体梁５に固着するものである。デッキプレート１は、コンクリートスラブに用いられる構造材としての底板部４０と鉄筋トラス２が一体となっており、建設現場においては、建造物の躯体梁５に掛け渡される。すなわち、躯体梁５の間に複数のデッキプレート１が並行して架かった状態で敷き込まれる。そして、鉄筋トラス２の上に必要な配筋工事を行った後に、コンクリートが打設される。なお、デッキプレート１の端部が、連結金具３によって躯体梁５に固着される。

第１から第５の実施形態において、構成及び作用効果等が実質的に同じとなる箇所については、第１実施形態に係る連結金具、連結金具付き鉄筋トラス及びその製造方法、並びに、デッキプレート及びその製造方法において説明する。また、第２から第５の実施形態において、第１実施形態と構成、作用効果等が実質的に同じ箇所については、これらと同一の符号を付して説明を省略し、異なる箇所について詳しく説明することとする。

＜第１実施形態＞
先ず、第１実施形態について説明する。図１及び図２は、本実施形態に係る連結金具付き鉄筋トラス４及びそれを併設したデッキプレート１の斜視図である。デッキプレート１は、鉄筋トラス２が、所定間隔を隔てて複数並設した状態で、金属製の底板部４０の板面に一体的に固着されている。また、鉄筋トラス２の端部における下部主筋２０には、連結金具３が取り付けられている。なお、鉄筋トラス２及び底板部４０の大きさは、床スラブ等の面積や厚さに応じて設定される。

＜鉄筋トラスの構成＞
鉄筋トラス２は、図１、図２、図６から図９に示すように、１本の上部主筋１０、２本の下部主筋２０、及び一対のラチス材３０を備える。上部主筋１０と２本の下部主筋２０は直線状に延在しており、２本の下部主筋は、上部主筋１０の下方にそれぞれ並行して配設されている。一対のラチス材３０は、上部主筋１０の長さ方向に沿って山部３１と谷部３２を繰り返した波状であり、上部主筋１０を、上部主筋１０が延びる方向と交差する幅方向の両側から挟むように互いに対向して配設され、山部３１が上部主筋１０と接合されている。また、下部主筋２０は、一対のラチス材３０の側面にそれぞれ１本ずつ接するように、上部主筋１０の斜め下方に配設された構成となっている。

上部主筋１０と下部主筋２０は、金属製の線材を軸方向に引き伸ばして、直線状に成形されている。例えば、異形鉄筋を用いても良い。また、上部主筋１０と下部主筋２０には、それぞれ異なる径の鉄筋が用いられている。なお、上部主筋１０の径が、下部主筋２０の径よりも大きい構成となっている。これらの主筋に用いる鉄筋は、上部主筋１０と下部主筋２０に同じ径の鉄筋を用いても良く、それぞれ異なる径の鉄筋を用いても良い。また、上部主筋１０及び下部主筋２０のそれぞれの高さ位置は、鉄筋トラス２の大きさに応じて適宜設定できる。一対のラチス材３０は、金属製の線材を、長さ方向に波状となるように折曲げ加工して成形されている。例えば、鉄線コイルを用いても良い。

一対のラチス材３０は、長さ方向に山部３１と谷部３２を互いに繰り返し、山部３１と谷部３２の間に傾斜部３８、すなわち、斜め上方に延びた上方傾斜部３８Ｕ、及び斜め下方に延びた下方傾斜部３８Ｄをそれぞれ有している。

具体的には、長さ方向において、斜め上方へ直線状に延びたラチス材３０が、斜め下方に向きを変えて折り曲げられる。斜め上方から斜め下方に向きを変えて折曲したラチス材３０の曲線状の部分が、山部３１となる。また、斜め下方へ直線状に延びたラチス材３０が、斜め上方に向きを変えて折り曲げられる。斜め下方から斜め上方に向きを変えて折曲したラチス材３０の曲線状の部分が、谷部３２となる。また、長さ方向に、谷部３２から山部３１に向かって斜め上方に延びている部分が上方傾斜部３８Ｕ、山部３１から谷部３２に向かって斜め下方に延びている部分が下方傾斜部３８Ｄである。

言い換えれば、ラチス材３０は、長さ方向に、上方傾斜部３８Ｕが山部３１に向かって延びており、山部３１において斜め下方に向きを変えて折り曲げられている。そして、下方傾斜部３８Ｄが谷部３２に向かって延びており、谷部３２において斜め上方に向きを変えて折り曲げられている。なお、ラチス材３０の端部は、山部３１において切断された山カットの構成（図１、図７参照）としても良く、谷部３２において切断された谷カットの構成（図２、図８参照）としても良い。

ラチス材３０は、図１、図２、及び図６に示すように、一方のラチス材３０ａと他方のラチス材３０ｂで一対となっている。これらのラチス材３０ａ、３０ｂは、上部主筋１０を、上部主筋１０が延びる方向と交差する幅方向の両側から挟むように互いに対向して配設されている。また、上部主筋１０を挟んで対向する各谷部３２ａ、３２ｂが互いに離間して、ラチス材３０ａ、３０ｂが幅方向にそれぞれ広がりを有するように配設され、拡開した構成となっている。すなわち、長さ方向からみて、一対のラチス材３０が三角状になるように配設されている。なお、対向する谷部３２ａ、３２ｂの幅方向における離間距離Ｌ１は、任意に設定することができ、ラチス材３０ａ、３０ｂは所定の幅方向における離間距離Ｌ１に合わせて拡開している。

また、下部主筋２０が、一対のラチス材３０ａ、３０ｂの側面にそれぞれ接するように配設されている。上部主筋１０と２本の下部主筋２０は、それぞれ互いに離間している。なお、下部主筋２０は、上部主筋１０に沿うように斜め下方に位置している。上部主筋１０と下部主筋２０は互いに平行であるのが好ましい。

ラチス材３０は、第１接合部位３３と第２接合部位３４を有している。第１接合部位３３は、上部主筋１０の上方外周面とラチス材３０における山部３１の頂点部分とが接する部位にそれぞれ設定されている。第１接合部位３３において、上部主筋１０と一対のラチス材３０が溶接によって接合されている。なお、第１接合部位３３の位置は、任意に設定できる。

第２接合部位３４は、一対のラチス材３０ａ、３０ｂにおいて、下部主筋２０と、山部３１と谷部３２の中間部位とが接する部位にそれぞれ設定されている。各第２接合部位３４において、下部主筋２０とラチス材３０ａ、３０ｂが溶接によってそれぞれ接合されている。なお、第２接合部位３４の位置は、任意に設定できる。すなわち、第２接合部位３４を鉄筋トラス２の内側に設定しても良く、外側に設定しても良い。

ラチス材３０は、図１、図２、図６から図９を参照として、一方のラチス材３０ａの山部３１ａと他方のラチス材３０ｂの山部３１ｂとがそれぞれ向かい合い、一方のラチス材３０ａの谷部３２ａと他方のラチス材３０ｂの谷部３２ｂとがそれぞれ向かい合うように配設される。なお、ラチス材３０はそれぞれ同じ振幅、同じピッチで山部３１と谷部３２を互いに繰り返す構成である。よって、山部３１の角度θ１及び谷部３２の角度θ２は一定になる。言い換えれば、幅方向から見た図において（図７、図８参照）、一方のラチス材３０ａの山部３１ａと他方のラチス材３０ｂの山部３１ｂがそれぞれ重なり、一方のラチス材３０ａの谷部３２ａと他方のラチス材３０ｂの谷部３２ｂがそれぞれ重なるように配置されている。

ラチス材３０は、第２接合部位３４と谷部３２の間に、任意に設定された折曲点３６をそれぞれ有している。また、折曲点３６において折曲した脚部３７をそれぞれ有している。具体的には、折曲点３６において、一方のラチス材３０ａの各谷部３２ａと他方のラチス材３０ｂの各谷部３２ｂが互いに遠ざかるように、ラチス材３０ａ、３０ｂが折り曲げられ、傾斜部３８の谷部３２側において脚部３７が成形される。言い換えれば、一対のラチス材３０は、折曲点３６において、幅方向の外側に水平になるように折り曲げられる。なお、折曲点３６から谷部３２までが脚部３７となる。

図６を参照として、長さ方向からみたラチス材３０の拡開の角度θ５、及び折曲点３６におけるラチス材３０の折曲の角度θ６は、脚部３７が水平となるように設定されている。なお、拡開の角度θ５及び折曲の角度θ６は、鉄筋トラス２の大きさに応じて任意に設定できる。よって、拡開の角度θ５を小さくし、一対のラチス材３０の幅方向への広がりを抑えた構成とすることができる。また、一対のラチス材３０が幅方向に拡開せず、幅方向において広がりを有さないように配設することができる。

＜連結金具の構成＞
連結金具３は、図１、図２に示すように、建造物の躯体梁５に掛け渡されるデッキプレート１の端部に連結される。なお、デッキプレート１における底板部４０の板面には、鉄筋トラス２が並設されており、連結金具３は、鉄筋トラス２における下部主筋２０に係合される。連結金具３は、支持部材５０、留め部材６０、枠状部材７０を有しており、留め部材６０が鉄筋トラス２における下部主筋２０と係合すると共に、枠状部材７０が底板部４０に溶着され、支持部材５０が躯体梁５に接合される構成となっている。

支持部材５０は、図１０、図１１を参照として、第１棒状部５１と、第２棒状部５２とを有している。第１棒状部５１は、デッキプレート１の底板部４０の板面方向に延出し、後述する突条部４１と並行した構成となっている。第２棒状部５２は、第１棒状部５１の一端が任意に設定された屈曲点５５において屈曲して、上方に延出した構成となっている。支持部材５０は、鉄製の線状素材がＬ型に曲げ加工され、構成されている。鉄製の素材は、例えば丸形の鉄筋が用いられる。また、異形鉄筋を用いても良い。

支持部材５０は、第１棒状部５１側の端部５３が、底板部４０の長さ方向における端部から外側にはみ出すように構成されている。すなわち、第１棒状部５１は、底板部４０の端部から外側に所定の長さ分はみ出すように、その長さが設定されている。なお、デッキプレート１が躯体梁５に掛け渡されると、この第１棒状部５１の端部５３側の部分が、躯体梁５に接合される構成となる。また、底板部４０の板面を基準として、第２棒状部５２の高さＨが、鉄筋トラス２における上部主筋１０の下面側の高さｈ１と、下部主筋２０の上面側の高さｈ２との間で設定されている。言い換えれば、第２棒状部５２は、上部主筋１０の高さ位置までは延出しない構成となっている。これにより、支持部材５０は、第２棒状部５２が上部主筋１０の直下に位置した状態で配設できる。

留め部材６０は、図１、図４に示すように、第１直線部６１を有しており、第１直線部６１の両端に係合部６２をそれぞれ有している。第１直線部６１は、鉄筋トラス２における２本の下部主筋２０に掛け渡されている。係合部６２は、それぞれ下部主筋２０に係り合った状態を維持する構成となっている。また、留め部材６０は、第１直線部６１が下部主筋２０の上面側と接すると共に、係合部６２が下部主筋２０の下面側まで巻き込んだ状態で、取り付けられる構成となっている。すなわち、第１直線部６１は、その両端の係合部６２が下方を向くように曲げられた状態で、第２棒状部５２と接合されている。

留め部材６０は、金属製の線状素材を、曲げ加工して成形されている。例えば、鉄線コイルを用いても良い。本実施形態に係る留め部材６０は、連結される鉄筋トラス２のラチス材３０と同一径、同一素材のものが用いられている。第１直線部６１の長さは、鉄筋トラス２における２本の下部主筋２０の間隔に応じて設定される。係合部６２は、下部主筋２０の径の大きさに応じた曲率で曲線状に曲げられて成形されている。本実施形態においては、第１直線部６１の両端が下部主筋２０の外周面に沿うように曲線状に曲げ加工されて、係合部６２が成形されている。また、係合部６２は、下部主筋２０の下面側まで巻き込まない状態で係合する構成としても良い。例えば、図２、図５に示すように、係合部６２が下部主筋２０と近接して、第１直線部６１の両端から下方に延出した構成とすることもできる。

枠状部材７０は、図１、図２、図４及び図５に示すように、２本の下部主筋２０に掛け渡される第２直線部７１と、第２直線部７１の両端が外側に拡開した拡開部７２を有している。第２直線部７１は、２本の下部主筋２０の間に架かっている。拡開部７２は、第２直線部７１の両端から底板部４０の板面に向かって延出し、下端が互いに離間するように側方に拡開して、底板部４０の板面と当接する構成となっている。なお、拡開部７２は、第２直線部７１の長さ方向において外側に拡開している。具体的には、第２直線部７１の両端が下方に向かって延出し、底板部４０の板面における突条部４１の高さに合わせた位置において屈曲して、底板部４０の板面方向に沿って突条部４１まで延出している。また、拡開部７２は、突条部４１に接合可能な構成となっている。

枠状部材７０は、金属製の線状素材を、凸状に曲げ加工して成形されている。例えば、鉄線コイルを用いても良い。本実施形態に係る枠状部材７０は、連結される鉄筋トラス２のラチス材３０と同一径、同一素材の設定で構成されている。なお、枠状部材７０の第２直線部７１は水平方向に延在しており、第２直線部７１の両端が下部主筋２０に当接している部分から折曲して、拡開部７２が成形されている。第２直線部７１の長さは、鉄筋トラス２における２本の下部主筋２０の間隔に応じて設定される。

連結金具３は、留め部材６０の第１直線部６１と、枠状部材７０の第２直線部７１が、それぞれ支持部材５０の第２棒状部５２と交差しており、第２棒状部５２に対し、第２棒状部５２の径方向の両側から挟むように互いに対向して接合されている。なお、第１直線部６１の長さ方向における中間部位と、第２棒状部５２の長さ方向における中間部位とが接するように接合され、第２直線部７１の長さ方向における中間部位と、第２棒状部５２の長さ方向における中間部位とが接するように接合されている。また、第１直線部６１と第２直線部７１は、第１棒状部５１が延出する方向と交差する構成となる。

連結金具３は、枠状部材７０が、鉄筋トラス２の長さ方向において、ラチス材３０の端部における山部３１と谷部３２を結ぶ傾斜部３８に隣接するように配設されて、鉄筋トラス２に取り付けられる構成となっている。言い換えれば、図１０、図１１に示すように、連結金具３は、枠状部材７０の第２直線部７１が、対向する留め部材６０の第１直線部６１よりも傾斜部３８寄りに位置した状態で取り付けられる構成となっている。

＜連結金具付き鉄筋トラスの構成＞
連結金具付き鉄筋トラス４は、図１、図２に示すように、鉄筋トラス２に連結金具３が係合されて取り付けられた構成となっている。なお、連結金具３は、ラチス材３０を山部３１において切断した山カットの鉄筋トラス２（図１、図７参照）、ラチス材３０を谷部３２において切断した谷カットの鉄筋トラス２（図２、図８参照）のいずれにも取り付けられる構成である。また、支持部材５０の第１棒状部５１は、端部５３が底板部４０の端部から外側にはみ出す構成となっている。

図１、図４、図７及び図１０は、山カットの鉄筋トラス２に連結金具３が取り付けられた状態の一例を示す図である。連結金具３は、互いに対向した留め部材６０の第１直線部６１と枠状部材７０の第２直線部７１が、鉄筋トラス２の下部主筋２０の上面側に接するように掛け渡されると共に、第１直線部６１の両端の係合部６２が、下部主筋２０の下面側まで巻き込んだ状態で、下部主筋２０と係合している。なお、枠状部材７０は、第２直線部７１の両端から拡開部７２が下方に延出した構成となっている。

また、連結金具３は、留め部材６０と枠状部材７０が、鉄筋トラス２の長さ方向において、ラチス材３０の端部における山部３１と谷部３２を結ぶ傾斜部３８より端側に位置している。具体的には、図１０に示すように、山カットの鉄筋トラス２において、留め部材６０の第１直線部６１が下方傾斜部３８Ｄより端側に位置する。さらに、枠状部材７０の第２直線部７１が、下方傾斜部３８Ｄに隣接するように配設された構成となっている。このように、第２直線部７１が、対向する第１直線部６１よりも傾斜部３８寄りに位置することにより、拡開部７２が鉄筋トラス２の端部における脚部３７により近い配置構成となる。

図２、図５、図８及び図１１は、谷カットの鉄筋トラス２に連結金具３が取り付けられた状態の一例を示す図である。連結金具３は、留め部材６０と枠状部材７０が、鉄筋トラス２の長さ方向において、ラチス材３０の端部における山部３１と谷部３２を結ぶ傾斜部３８より中央側に位置するように取り付けられた構成としても良い。具体的には、図１１に示すように、谷カットの鉄筋トラス２において、留め部材６０の第１直線部６１、枠状部材７０の第２直線部７１が上方傾斜部３８Ｕより中央側に位置する。さらに、枠状部材７０の第２直線部７１が、上方傾斜部３８Ｕに隣接するように配設された構成となっている。

このように、留め部材６０と枠状部材７０が傾斜部３８より鉄筋トラス２の中央側に位置することにより、連結金具３は鉄筋トラス２の端側に向かう動きについて、第２接合部位３４において係止される構成となる。また、第２直線部７１が、対向する第１直線部６１よりも傾斜部３８寄りに位置することにより、拡開部７２が鉄筋トラス２の端部における脚部３７により近い配置構成となる。

また、連結金具３における留め部材６０は、図２、図５に示すように、係合部６２が、下部主筋２０と近接して第１直線部６１の両端から下方に延出した構成としても良い。これにより、鉄筋トラス２におけるラチス材３０の上方傾斜部３８Ｕと下方傾斜部３８Ｄの間においても、連結金具３を取り付け易い構成となる。

また、連結金具３は、留め部材６０が、鉄筋トラス２の長さ方向において、互いに対向した留め部材６０の第１直線部６１と枠状部材７０の第２直線部７１の間に、ラチス材３０の端部における山部３１と谷部３２を結ぶ傾斜部３８が位置するように取り付けた構成としても良い。すなわち、第１直線部６１と第２直線部７１が、傾斜部３８を挟むように位置して連結金具３が取り付けられた構成としても良い。このように、第１直線部６１と第２直線部７１の間に傾斜部３８が位置することにより、第２接合部位３４において連結金具３が下部主筋２０、ラチス材３０の傾斜部３８と係合される構成となる。

連結金具３は、躯体梁５に掛け渡されるデッキプレート１の設置位置、鉄筋トラス２のラチス材３０の切断位置等に応じて、鉄筋トラス２の端部における任意の位置に取り付けることができる。

＜デッキプレートの構成＞
デッキプレート１は、図１、図２に示すように、金属製の底板部４０を有しており、鉄筋トラス２が、所定間隔を隔てて複数並設した状態で、底板部４０の板面に一体的に固着されている。なお、鉄筋トラス２の上部主筋１０の間隔Ｌ５は、コンクリートスラブの強度に対応して設定されている（図６参照）。また、鉄筋トラス２には、連結金具３が取り付けられている。すなわち、デッキプレート１は、連結金具付き鉄筋トラス４が、所定間隔を隔てて複数並設した状態で、底板部４０の板面に一体的に固着された構成となっている。

底板部４０は、金属製の板部材であり、例えば溶融亜鉛メッキ鋼板を用いても良い。底板部４０の板面には、連結金具付き鉄筋トラス４の設置位置に合わせて、突条部４１が成形されている。突条部４１は、底板部４０がその厚み方向において上方へ凸状に突出して成形され、底板部４０の長さ方向に沿って直線状に延びた構成とされている。突条部４１の断面形状は、半円形になっている。底板部４０の大きさは、コンクリートスラブの広さに対応して任意に設定できる。また、底板部４０の幅は、上部主筋１０の間隔Ｌ５に対応して設定される。

突条部４１には、ラチス材３０の谷部３２が接合されている。具体的には、ラチス材３０の傾斜部３８の谷部３２側に成形された脚部３７が、突条部４１と当接する部分、すなわち固着部３９において溶接により接合されている。さらに、連結金具３における枠状部材７０の拡開部７２が、突条部４１と当接する部分、すなわち溶着部７３において接合されている。このように、鉄筋トラス２と連結金具３がそれぞれ底板部４０と接合され、一体となってデッキプレート１が構成されている。

デッキプレート１は、一枚の底板部４０に二つの連結金具付き鉄筋トラス４を並設して一組のデッキプレート１として構成されている。なお、底板部４０の上に設置する連結金具付き鉄筋トラス４の数は、任意に設定できる。例えば、三つの連結金具付き鉄筋トラス４を並設して一組のデッキプレート１を構成しても良い。デッキプレート１は、床の大きさに合わせて、複数並べて敷き詰めることができる。また、デッキプレート１を幅方向に複数並べる際、隣接する底板部４０の端縁部同士が係合するように構成されている。例えば、底板部４０の端縁部を長さ方向に沿って曲げ加工することにより、互いに係合する折り返し片が成形された構成としても良い。

谷カットの鉄筋トラス２が固着されたデッキプレート１は、長さ方向において、底板部４０の端部にラチス材３０の脚部３７が位置しており、このデッキプレート１が躯体梁５に掛け渡されると、脚部３７が躯体梁５に掛かる構成となっている（図１１参照）。

＜連結金具付き鉄筋トラスの製造方法＞
次に、連結金具付き鉄筋トラスの製造方法について図１から図１１、及び図３４を用いて説明する。本実施形態に係る連結金具付き鉄筋トラス４は、少なくとも、鉄筋トラス成形工程、支持部材成形工程、留め部材成形工程、枠状部材成形工程、連結金具成形工程、及び連結金具３を鉄筋トラス２に係合させる係合工程をそれぞれ経て製造される。

＜鉄筋トラス成形工程＞
鉄筋トラス成形工程においては、鉄筋トラス２が成形される。鉄筋トラス２は、図１から図３に示すように、１本の上部主筋１０、２本の下部主筋２０、及び一対のラチス材３０を備える。上部主筋１０と２本の下部主筋２０は直線状に延在しており、２本の下部主筋は、上部主筋１０の下方にそれぞれ並行して位置する。上部主筋１０及び下部主筋２０は、鉄製の素材を軸方向へ線状に引き伸ばして成形される（図３参照）。本実施形態においては、異形鉄筋が用いられる。主筋の径は、例えば上部主筋１０を下部主筋２０より大きい径として、それぞれ異なる径で設定しても良く、同一の径で設定しても良い。

一対のラチス材３０は、上部主筋１０の長さ方向に沿って山部３１と谷部３２を繰り返した波状であり、上部主筋１０を、上部主筋１０が延びる方向と交差する幅方向の両側から挟むように互いに対向する。また、山部３１が上部主筋１０と接合されると共に、山部３１と谷部３２の中間部位と下部主筋２０とが接合される。

ラチス材３０は、金属製の線状素材（例えば鉄線コイル）を、長さ方向に山部３１と谷部３２を繰り返す波状となるように折曲げ加工して成形される。具体的には、長さ方向において、斜め上方へ直線状に延びたラチス材３０が、斜め下方に向きを変えて折り曲げられる。斜め上方から斜め下方に向きを変えて折曲したラチス材３０の曲線状の部分が、山部３１となる。また、斜め下方へ直線状に延びたラチス材３０が、斜め上方に向きを変えて折り曲げられる。斜め下方から斜め上方に向きを変えて折曲したラチス材３０の曲線状の部分が、谷部３２となる。また、長さ方向に、谷部３２から山部３１に向かって斜め上方に延びている部分が上方傾斜部３８Ｕ、山部３１から谷部３２に向かって斜め下方に延びている部分が下方傾斜部３８Ｄである。

言い換えれば、ラチス材３０は、長さ方向に、上方傾斜部３８Ｕが山部３１に向かって延びており、山部３１において斜め下方に向きを変えて折り曲げられる。そして、下方傾斜部３８Ｄが谷部３２に向かって延びており、谷部３２において斜め上方に向きを変えて折り曲げられる。なお、ラチス材３０はそれぞれ同じ振幅、同じピッチで山部３１と谷部３２を互いに繰り返す構成である。よって、山部３１の角度θ１及び谷部３２の角度θ２は一定になる（図６、図９参照）。なお、ラチス材３０の端部は、山部３１において切断された山カットの構成（図１、図７参照）としても良く、谷部３２において切断された谷カットの構成（図２、図８参照）としても良い。

上部主筋１０、下部主筋２０、ラチス材３０は、次のように配設される。ラチス材３０は、図６、図９に示すように、一方のラチス材３０ａと他方のラチス材３０ｂで一対とされる。これらのラチス材３０ａ、３０ｂは、上部主筋１０を、上部主筋１０が延びる方向と交差する幅方向の両側から挟むように互いに対向すると共に、山部３１の頂点部分が、それぞれ上部主筋１０の上方外周面と接する。

下部主筋２０は、一対のラチス材３０ａ、３０ｂの山部３１と谷部３２の中間部位において、ラチス材３０ａ、３０ｂの側面にそれぞれ接するように配設される。上部主筋１０と２本の下部主筋２０は、それぞれ互いに離間している。下部主筋２０は、上部主筋１０に沿うように斜め下方に位置する。上部主筋１０と下部主筋２０は互いに平行であるのが好ましい。

ラチス材３０ａ、３０ｂは、上部主筋１０を挟んで対向する各谷部３２ａ、３２ｂが互いに離間して、幅方向にそれぞれ広がりを有しており、拡開する。すなわち、長さ方向からみて、一対のラチス材３０が三角状になるように配設される。なお、対向する谷部３２ａ、３２ｂの幅方向における離間距離Ｌ１は、任意に設定することができる。ラチス材３０ａ、３０ｂは、所定の幅方向における離間距離Ｌ１に合わせて拡開する（図６参照）。

また、一対のラチス材３０は、一方のラチス材３０ａの山部３１ａと他方のラチス材３０ｂの山部３１ｂとがそれぞれ向かい合い、一方のラチス材３０ａの谷部３２ａと他方のラチス材３０ｂの谷部３２ｂとがそれぞれ向かい合うように配設される。言い換えれば、幅方向から見た図において（図７、図８参照）、一方のラチス材３０ａの山部３１ａと他方のラチス材３０ｂの山部３１ｂがそれぞれ重なり、一方のラチス材３０ａの谷部３２ａと他方のラチス材３０ｂの谷部３２ｂがそれぞれ重なる。

ラチス材３０ａ、３０ｂは、上部主筋１０の上方外周面と接する部位に第１接合部位３３が設定される。第１接合部位３３において、上部主筋１０と一対のラチス材３０が溶接によって接合される。なお、第１接合部位３３の位置は、任意に設定できる。本実施形態においては、第１接合部位３３ａ、３３ｂが上部主筋１０を挟んで対向しており、対向するラチス材３０ａ、３０ｂの上部主筋１０との溶接ポイントが重なる。この溶接ポイント、すなわち上部主筋１０に沿って直線状に並んだ第１接合部位３３ａ、３３ｂにおいて機械により溶接される。

また、ラチス材３０ａ、３０ｂは、下部主筋２０と、山部３１と谷部３２の中間部位とが接する部位に第２接合部位３４がそれぞれ設定される。各第２接合部位３４において、下部主筋２０とラチス材３０ａ、３０ｂが溶接によってそれぞれ接合される。なお、第２接合部位３４の位置は、任意に設定できる。すなわち、第２接合部位３４を鉄筋トラス２の内側に設定しても良く、外側に設定しても良い。本実施形態においては、下部主筋２０にそってそれぞれ直線状に並んだ第２接合部位３４において機械により溶接される。

ラチス材３０ａ、３０ｂは、第２接合部位３４と谷部３２の間に、折曲点３６がそれぞれ設定される。折曲点３６において、一方のラチス材３０ａの各谷部３２ａと他方のラチス材３０ｂの各谷部３２ｂが互いに遠ざかるように、ラチス材３０ａ、３０ｂが折り曲げられ、傾斜部３８の谷部３２側において脚部３７が成形される。言い換えれば、一対のラチス材３０は、折曲点３６において、幅方向の外側に水平になるように折り曲げられる。なお、折曲点３６から谷部３２までが脚部３７となる。

次に、連結金具３を製造する工程について説明する。連結金具３は、図１、図３、及び図３４に示すように、支持部材５０に留め部材６０と枠状部材７０が接合されて成形される。

＜支持部材成形工程＞
支持部材成形工程においては、鉄製の線状素材、例えば丸形の鉄筋が曲げ加工されて支持部材５０が成形される。支持部材５０は、棒状に延出した第１棒状部５１と、第１棒状部５１の一端を屈曲させて延出した第２棒状部５２とを有する。具体的には、所定の長さに切断された棒状の鉄筋が、長さ方向における中間部位に設定された屈曲点５５において、Ｌ型に屈曲される。屈曲点５５から上方に延出した部分が第２棒状部５２となり、他方に延出した部分が第１棒状部５１となる。なお、デッキプレート１においては、第１棒状部５１は底板部４０の板面方向に延出した配置構成となる。また、支持部材５０は、鉄筋の径を任意に選択でき、例えば下部主筋２０より小さい径で設定しても良い。さらには、異形鉄筋を用いても良い。

また、支持部材５０は、図１０、図１１を参照として、第１棒状部５１側の端部５３が、底板部４０の長さ方向における端部から外側にはみ出すように構成される。すなわち、第１棒状部５１は、底板部４０の端部から外側に所定の長さ分はみ出すように、その長さが設定される。また、底板部４０の板面を基準として、第２棒状部５２の高さＨが、鉄筋トラス２における上部主筋１０の下面側の高さｈ１と、下部主筋２０の上面側の高さｈ２との間で設定される。言い換えれば、第２棒状部５２は、上部主筋１０の高さ位置までは延出しない構成とされる。これにより、支持部材５０は、第２棒状部５２が上部主筋１０の直下に位置した状態で配設できる。

＜留め部材成形工程＞
留め部材成形工程においては、金属製の線状素材が曲げ加工されて留め部材６０が成形される。例えば、鉄線コイルを用いても良い。留め部材６０は、支持部材５０の第２棒状部５２と交差して接合される第１直線部６１と、第１直線部６１の両端に、鉄筋トラス２における下部主筋２０に係り合った状態を維持する係合部６２とを有する。具体的には、直線状の鉄線からなる第１直線部６１の両端が、下部主筋２０の径の大きさに応じた曲率で曲線状に曲げられて係合部６２が成形される。言い換えれば、下部主筋２０の外周面に沿った曲線状に曲げ加工される。第１直線部６１の長さは、２本の下部主筋２０の間隔に応じて設定される。なお、留め部材６０は鉄筋トラス２のラチス材３０と同一径、同一素材で設定しても良い。

留め部材６０は、図４に示すように、係合部６２が鉄筋トラス２の下部主筋２０の下面側まで巻き込んだ構成とされる。また、留め部材６０は、図５に示すように、係合部６２が第１直線部６１の両端から下方に延出した構成としても良い。

＜枠状部材成形工程＞
枠状部材成形工程においては、図１から図３、図３４に示すように、鉄筋トラス２におけるラチス材３０と同一径、同一素材の金属製の素材（例えば鉄線コイル）が曲げ加工されて、枠状部材７０が成形される。枠状部材７０は、２本の下部主筋２０に掛け渡される第２直線部７１と、第２直線部７１の両端が側方、すなわち外側に拡開した拡開部７２を有する。具体的には、直線状の鉄線からなる第２直線部７１の両端が、第２直線部７１と交差する方向に曲げられて延出する。その延出した下端は、第２直線部７１と並行する方向に曲げられて互いに離間するように延出する。すなわち、拡開部７２は、第２直線部７１の長さ方向において外側に拡開した構成となる。第２直線部７１の長さは、２本の下部主筋２０の間隔に応じて設定される（図４、５参照）。

＜連結金具成形工程＞
連結金具成形工程においては、留め部材６０、枠状部材７０が、それぞれ支持部材５０と接合されて連結金具が成形される。具体的には、留め部材６０の第１直線部６１、枠状部材７０の第２直線部７１が、支持部材５０の第２棒状部５２とそれぞれ交差して接合される。なお、第１直線部６１と第２直線部７１は、第２棒状部５２に対し、第２棒状部５２の径方向の両側から挟むように互いに対向すると共に、並行する。また、第１直線部６１と第２直線部７１は、第１棒状部５１が延出する方向と交差した状態で接合される。

連結金具３は、図４に示すように、留め部材６０の第１直線部６１が下部主筋２０の上面側と接した状態で係合されて取り付けられる構成とされる。すなわち、第１直線部６１は、その両端から係合部６２が下方に向かって曲げられた状態で、第２棒状部５２と接合される。本実施形態においては、第１直線部６１の長さ方向における中間部位と、第２棒状部５２の長さ方向における中間部位とが接する位置において、溶接により接合される。

また、連結金具３は、図４、図５に示すように、枠状部材７０の第２直線部７１が２本の下部主筋２０に掛け渡された状態で取り付けられる構成とされる。すなわち、第２直線部７１は、その両端から拡開部７２が下方に向かって曲げられ、外側に拡開した状態で第２棒状部５２と接合される。本実施形態においては、第２直線部７１の長さ方向における中間部位と、第２棒状部５２の長さ方向における中間部位とが接する位置において、溶接により接合される。

連結金具付き鉄筋トラスの製造方法は、鉄筋トラス成形工程、支持部材成形工程、留め部材成形工程、枠状部材成形工程、連結金具成形工程の順序を定める必要はなく、それぞれ係合工程より前に行われていればよい。

＜係合工程＞
次に、係合工程について説明する。係合工程においては、連結金具３を鉄筋トラス２に係合させる。具体的には、鉄筋トラス２の長さ方向において、下部主筋２０の端部側から、留め部材６０における係合部６２をスライドさせるようにして係合させる。連結金具３は、留め部材６０と枠状部材７０が、鉄筋トラス２の長さ方向において、ラチス材３０の端部における山部３１と谷部３２を結ぶ傾斜部３８より端側に位置している。また、枠状部材７０が、ラチス材３０の傾斜部３８と隣接した配置となるように取り付けるのが好ましい。この係合工程を経て、連結金具付き鉄筋トラス４が得られる。なお、留め部材６０の第１直線部６１、枠状部材７０の第２直線部７１は、下部主筋２０の上面側に掛け渡された状態となる。

連結金具３は、躯体梁５に掛け渡されるデッキプレート１の設置位置、鉄筋トラス２のラチス材３０の切断位置等に応じて、鉄筋トラス２の端部における任意の位置に取り付けることができる。例えば、連結金具３における留め部材６０と枠状部材７０が、鉄筋トラス２の長さ方向において、ラチス材３０の端部における傾斜部３８より中央側に位置した構成としても良い。また、係合工程においては、鉄筋トラス２における２本の下部主筋２０が互いに近接するように、鉄筋トラス２を弾性変形させてから連結金具３を取り付けて、鉄筋トラス２と係合させても良い（図３６参照）。

＜デッキプレートの製造方法＞
次に、デッキプレートの製造方法について説明する。デッキプレート１は、鉄筋トラス成形工程、支持部材成形工程、留め部材成形工程、枠状部材成形工程、連結金具成形工程、係合工程、鉄筋トラス２の谷部３２を底板部４０の板面にそれぞれ固着させる固着工程、及び、連結金具３の枠状部材７０を底板部４０の板面に溶着させる溶着工程をそれぞれ経て、製造される。なお、鉄筋トラス成形工程、支持部材成形工程、留め部材成形工程、枠状部材成形工程、連結金具成形工程、係合工程については、連結金具付き鉄筋トラスの製造方法におけるそれぞれの工程と実質的に同様であるため、これらの説明を省略し、固着工程と溶着工程に関した説明とする。

デッキプレート１は、図１から図３に示すように、底板部４０と連結金具付き鉄筋トラス４が一体となるように固着される。底板部４０には、金属製の板部材が用いられる。例えば溶融亜鉛メッキ鋼板を用いても良い。底板部４０の板面には、連結金具付き鉄筋トラス４の設置位置に合わせて、突条部４１が成形される。具体的には、底板部４０をその厚み方向において上方へ凸状に突出させ、底板部４０の長さ方向に沿って直線状に延ばして、突条部４１が成形される。なお、突条部４１の位置は、鉄筋トラス２におけるラチス材３０の谷部３２が固着される位置に合わせて設定される。また、突条部４１の断面形状は半円形に加工される。底板部４０の大きさは、コンクリートスラブの広さに対応して任意に設定できる。また、底板部４０の幅は、連結金具付き鉄筋トラス４の配設間隔、すなわち上部主筋１０の間隔Ｌ５に対応して設定される（図６参照）。

次に、連結金具付き鉄筋トラス４を底板部４０の上に配設する。本実施形態に係るデッキプレート１は、一枚の底板部４０に二つの連結金具付き鉄筋トラス４を並設して一組のデッキプレート１として構成する。なお、底板部４０の上に設置する連結金具付き鉄筋トラス４の数は、任意に設定できる。例えば、三つの連結金具付き鉄筋トラス４を並設して一組のデッキプレート１を構成しても良い。デッキプレート１は、床の大きさに合わせて、複数並べて敷き詰めることができる。また、デッキプレート１を幅方向に複数並べる際、隣接する底板部４０の端縁部同士が係合するように構成される。例えば、底板部４０の端縁部を長さ方向に沿って曲げ加工することにより、互いに係合する折り返し片を成形しても良い。

＜固着工程＞
固着工程においては、底板部４０の突条部４１に、鉄筋トラス２におけるラチス材３０の谷部３２が溶接により接合される。本実施形態においては、図３７に示すように、傾斜部３８の谷部３２側に成形された脚部３７が、突条部４１と当接する箇所において固着される。この脚部３７と突条部４１が接合された箇所が固着部３９とされる。

＜溶着工程＞
溶着工程においては、連結金具３と底板部４０が溶接により接合される。連結金具３における枠状部材７０の拡開部７２は、第２直線部７１の両端が下方に向かって延出して外側に拡開し、底板部４０の突条部４１と当接している。この拡開部７２と突条部４１が当接する箇所が溶着部７３に設定され、溶着される。

連結金具付き鉄筋トラス４は、底板部４０の突条部４１上において、ラチス材３０の脚部３７、枠状部材７０の拡開部７２の下端が直線状に並ぶように配設される。これにより、溶着工程における溶接は、固着工程における溶接と同一のライン工程で溶接装置６によって行われる。図３７（ａ）から（ｃ）に示すように、鉄筋トラス２の長さ方向において、溶接装置６に連結金具付き鉄筋トラス４が配設された底板部４０が所定の長さ分ずつ送られ、突条部４１と当接する箇所（固着部３９、溶着部７３）がそれぞれ溶接される。また、ラチス材３０と枠状部材７０には同一径、同一素材の鉄線が用いられるため、固着部３９と溶着部７３の溶接の条件を統一することができる。

固着工程、溶着工程においては、スポット溶接が採用されるが、他の溶接方法を採用しても良い。例えば、プロジェクション溶接により、鉄筋トラス２の脚部３７、連結金具３の拡開部７２を底板部４０の突条部４１に接合しても良い。

本実施形態においては、係合工程は、固着工程より前に行うのが好ましい。すなわち、鉄筋トラス２に連結金具３を取り付ける係合工程を経た後、固着工程、溶着工程において連結金具付き鉄筋トラス４を底板部４０に接合し、デッキプレート１を構成する。これにより、固着工程と溶着工程における溶接作業を、同一のライン工程で機械により行うことができる。また、鉄筋トラス２を弾性変形させて、連結金具３を取り付けることができる。

＜第２実施形態＞
次に、第２実施形態について説明する。なお、連結金具付き鉄筋トラス及びその製造方法、並びにデッキプレート及びその製造方法における、鉄筋トラスの構成、鉄筋トラス成形工程、支持部材成形工程、枠状部材成形工程については、上記第１実施形態と実質的に同一の構成及び作用効果等を有する。よって、これら実質的に同一の箇所については、同一の符号を付して説明を省略し、異なる箇所について以下に詳しく説明する。

＜連結金具の構成＞
連結金具２０３は、図１２から図１６に示すように、建造物の躯体梁５に掛け渡されるデッキプレート１の端部に連結される。デッキプレート１における底板部４０の板面には、鉄筋トラス２が併設されており、連結金具２０３は、鉄筋トラス２における下部主筋２０に係合される。連結金具２０３は、支持部材５０、留め部材６０、枠状部材７０を有しており、留め部材６０が鉄筋トラス２における下部主筋２０と係合すると共に、枠状部材７０が底板部４０に溶着され、支持部材５０が躯体梁５に接合される構成となっている。

支持部材５０は、第１実施形態と同様に、金属製の線状素材、例えば丸形の鉄筋がＬ型に曲げ加工されており、第１棒状部５１と第２棒状部５２を有している。線状素材は、異形鉄筋を用いても良い。第１棒状部５１は、デッキプレート１の底板部４０の板面方向に延出し、その端部５３が底板部４０の端部から外側にはみ出す構成となっている。すなわち、第１棒状部５１は、底板部４０の端部から外側に所定の長さ分はみ出すように、その長さが設定されている。

支持部材５０の第２棒状部５２は、第１棒状部５１の一端が任意に設定された屈曲点５５において屈曲して、上方に延出した構成となっている。なお、底板部４０の板面を基準として、第２棒状部５２の高さＨは、鉄筋トラス２における上部主筋１０の下面側の高さｈ１と、下部主筋２０の上面側の高さｈ２との間で設定されている。すなわち、第２棒状部５２は、上部主筋１０の高さ位置までは延出しない構成となっている。これにより、支持部材５０は、第２棒状部５２が上部主筋１０の直下に位置した状態で配設できる。

留め部材６０は、第１直線部６１を有しており、第１直線部６１の両端に係合部６２をそれぞれ有している。係合部６２は、それぞれ下部主筋２０に係り合った状態を維持する構成となっている。また、留め部材６０は、第１直線部６１が下部主筋２０の下面側と接すると共に、係合部６２が下部主筋２０の外周面に巻き込んだ状態で係り合っている構成となっている。すなわち、第１直線部６１は、その両端の係合部６２が上方を向くように曲げられた状態で、第２棒状部５２と接合されている。

留め部材６０は、第１実施形態と同様に、金属製の線状素材を、曲げ加工して成形されている。例えば、鉄線コイルを用いても良い。留め部材６０は、連結される鉄筋トラス２のラチス材３０と同一径、同一素材のものが用いられている。第１直線部６１の長さは、鉄筋トラス２における２本の下部主筋２０の間隔に応じて設定される。係合部６２は、下部主筋２０の径の大きさに応じた曲率で曲線状に曲げられて成形されている。本実施形態においては、第１直線部６１の両端が下部主筋２０の外周面に沿うように曲線状に曲げ加工されて、係合部６２が成形されている。なお、係合部６２は、図１２に示すように下部主筋２０の上面側まで巻き込んだ状態で係合される構成としても良く、図１３に示すように下部主筋２０の外周面の一部を巻き込んだ状態で係合される構成としても良い。係合部６２の巻き込み量を小さくすることにより、連結金具２０３は下部主筋２０の下方から係合させ易い構成となる。

枠状部材７０は、第２直線部７１と、第２直線部７１の両端が外側に拡開した拡開部７２を有している。第２直線部７１は、２本の下部主筋２０の下面側に当接している。拡開部７２は、第２直線部７１の両端から底板部４０の板面に向かって延出し、下端が互いに離間するように側方に拡開して、底板部４０の板面と当接する構成となっている。なお、拡開部７２は、第２直線部７１の長さ方向において外側に拡開している。具体的には、第２直線部７１の両端が下方に向かって延出し、底板部４０の板面における突条部４１の高さに合わせた位置において屈曲して、底板部４０の板面方向に沿って突条部４１まで延出している。また、拡開部７２は、突条部４１に接合可能な構成となっている。

枠状部材７０は、第１実施形態と同様に、金属製の線状素材を、凸状に曲げ加工して成形されている。例えば、鉄線コイルを用いても良い。枠状部材７０は、連結される鉄筋トラス２のラチス材３０と同一径、同一素材の設定で構成されている。

連結金具２０３は、留め部材６０の第１直線部６１と、枠状部材７０の第２直線部７１が、それぞれ支持部材５０の第２棒状部５２と交差しており、第２棒状部５２に対し、第２棒状部５２の径方向の両側から挟むように互いに対向して接合されている。なお、第１直線部６１の長さ方向における中間部位と、第２棒状部５２の長さ方向における中間部位とが接するように接合され、第２直線部７１の長さ方向における中間部位と、第２棒状部５２の長さ方向における中間部位とが接するように接合されている。また、第１直線部６１と第２直線部７１は、第１棒状部５１が延出する方向と交差する構成となる。

連結金具２０３は、枠状部材７０が、鉄筋トラス２の長さ方向において、ラチス材３０の山部３１と谷部３２を結ぶ傾斜部３８に隣接するように配設されて、鉄筋トラス２に取り付けられる構成となっている。言い換えれば、図１５、図１６に示すように、連結金具２０３は、枠状部材７０の第２直線部７１が、対向する留め部材６０の第１直線部６１よりも傾斜部３８寄りに位置した状態で取り付けられる構成となっている。

＜連結金具付き鉄筋トラスの構成＞
連結金具付き鉄筋トラス４は、鉄筋トラス２に連結金具２０３が係合されて取り付けられた構成となっている。なお、連結金具２０３は、第１実施形態と同様に、ラチス材３０を山部３１において切断した山カットの鉄筋トラス２、ラチス材３０を谷部３２において切断した谷カットの鉄筋トラス２のいずれにも取り付けられる構成である。また、支持部材５０の第１棒状部５１は、端部５３が底板部４０の端部から外側にはみ出す構成となっている。

図１２、図１５は、山カットの鉄筋トラス２に連結金具２０３が取り付けられた状態の一例を示す図である。連結金具２０３は、互いに対向した留め部材６０の第１直線部６１と枠状部材７０の第２直線部７１が、鉄筋トラス２の下部主筋２０の下面側に当接すると共に、第１直線部６１の両端の係合部６２が、下部主筋２０の上面側まで巻き込んだ状態で下部主筋２０と係合している。なお、枠状部材７０は、第２直線部７１の両端から拡開部７２が下方に延出した構成となっている。

また、連結金具２０３は、留め部材６０と枠状部材７０が、鉄筋トラス２の長さ方向において、ラチス材３０の端部における山部３１と谷部３２を結ぶ傾斜部３８より端側に位置している。具体的には、図１５に示すように、山カットの鉄筋トラス２において、留め部材６０の第１直線部６１が下方傾斜部３８Ｄより端側に位置する。さらに、枠状部材７０の第２直線部７１が、下方傾斜部３８Ｄに隣接するように配設された構成となっている。このように、第２直線部７１が、対向する第１直線部６１よりも傾斜部３８寄りに位置することにより、拡開部７２が鉄筋トラス２の端部における脚部３７により近い配置構成となる。

図１３、図１６は、谷カットの鉄筋トラス２に連結金具２０３が取り付けられた状態の一例を示す図である。連結金具２０３は、留め部材６０と枠状部材７０が、鉄筋トラス２の長さ方向において、ラチス材３０の端部における山部３１と谷部３２を結ぶ傾斜部３８より中央側に位置するように取り付けられた構成としても良い。具体的には、図１６に示すように、谷カットの鉄筋トラス２において、留め部材６０の第１直線部６１、枠状部材７０の第２直線部７１が上方傾斜部３８Ｕより中央側に位置する。さらに、枠状部材７０の第２直線部７１が、上方傾斜部３８Ｕに隣接するように配設された構成となっている。また、連結金具２０３は、留め部材６０の係合部６２が下部主筋２０の外周面の一部を巻き込んだ状態で係合されている。このように係合部６２の巻き込み量を小さくすることにより、連結金具２０３は下部主筋２０の下方から係合させ易い構成となっている。よって、鉄筋トラス２の上方傾斜部３８Ｕより中央側において、連結金具２０３を取り付けることが容易になる。

連結金具２０３は、躯体梁５に掛け渡されるデッキプレート１の設置位置、鉄筋トラス２のラチス材３０の切断位置等に応じて、鉄筋トラス２の端部における任意の位置に取り付けることができる。

＜デッキプレートの構成＞
デッキプレート１は、第１実施形態と同様に、金属製の底板部４０を有しており、鉄筋トラス２が、所定間隔を隔てて複数並設した状態で、底板部４０の板面に一体的に固着されている。また、鉄筋トラス２には、連結金具３が取り付けられている。具体的には、今一枚の底板部４０に二つの連結金具付き鉄筋トラス４が並設されている。なお、底板部４０の構成については、第１実施形態と実質的に同一であるため、説明を省略する。

底板部４０の突条部４１には、ラチス材３０の谷部３２が接合されている。具体的には、ラチス材３０の傾斜部３８の谷部３２側に成形された脚部３７が、突条部４１と当接する部分、すなわち固着部３９において溶接により接合されている。さらに、連結金具２０３における枠状部材７０の拡開部７２が、突条部４１と当接する部分、すなわち溶着部７３において接合されている。また、枠状部材７０は、第２直線部７１が鉄筋トラス２の下部主筋２０の下面側と当接している。これにより、枠状部材７０は、下部主筋２０と底板部４０の間において固定された構成となる。

次に、連結金具２０３を製造する工程について説明する。連結金具２０３は、第１実施形態と同様に、支持部材５０に留め部材６０と枠状部材７０が接合されて成形される。支持部材成形工程、枠状部材成形工程については、第１実施形態と実質的に同一であるため、説明を省略する。

＜留め部材成形工程＞
留め部材成形工程においては、第１実施形態と同様に、金属製の線状素材が曲げ加工されて留め部材６０が成形される。例えば、鉄線コイルを用いても良い。留め部材６０は、支持部材５０の第２棒状部５２と交差して接合される第１直線部６１と、第１直線部６１の両端に、鉄筋トラス２における下部主筋２０に係り合った状態を維持する係合部６２とを有する。具体的には、直線状の鉄線からなる第１直線部６１の両端が、下部主筋２０の径の大きさに応じた曲率で曲線状に曲げられて係合部６２が成形される。言い換えれば、下部主筋２０の外周面に沿った曲線状に曲げ加工される。第１直線部６１の長さは、２本の下部主筋２０の間隔に応じて設定される。

留め部材６０は、図１２に示すように、係合部６２が下部主筋２０の上面側まで巻き込んだ状態で、係合される構成としても良い。これにより、連結金具２０３が鉄筋トラス２から離脱し難い構成となる。また、図１３に示すように、係合部６２が下部主筋２０の外周面の一部を巻き込んだ状態で、係合される構成としても良い。これにより、連結金具２０３は、鉄筋トラス２のいずれの位置においても係合させ易い構成となる。なお、留め部材６０は、鉄筋トラス２のラチス材３０と同一径、同一素材で設定しても良い。

＜連結金具成形工程＞
連結金具成形工程においては、留め部材６０、枠状部材７０が、それぞれ支持部材５０と接合される。具体的には、留め部材６０の第１直線部６１、枠状部材７０の第２直線部７１が、支持部材５０の第２棒状部５２とそれぞれ交差して接合される。なお、第１直線部６１と第２直線部７１は、第２棒状部５２に対し、第２棒状部５２の径方向の両側から挟むように互いに対向すると共に、並行する。また、第１直線部６１と第２直線部７１は、第１棒状部５１が延出する方向と交差した状態でそれぞれ接合される。

連結金具２０３は、図１２から図１６に示すように、留め部材６０の第１直線部６１が下部主筋２０の下面側と接した状態で係合されて取り付けられる構成とされる。すなわち、第１直線部６１は、その両端から係合部６２が上方に向かって曲げられた状態で、第２棒状部５２と接合される。なお、第１直線部６１の長さ方向における中間部位と、第２棒状部５２の長さ方向における中間部位とが接する位置において、留め部材６０と支持部材５０が溶接により接合される。

また、連結金具２０３は、枠状部材７０の第２直線部７１が２本の下部主筋２０の下面側に当接した状態で取り付けられる構成とされる。すなわち、第２直線部７１は、その両端がそれぞれ下部主筋２０の下面側と接すると共に、第２直線部７１の両端から、拡開部７２が下方に向かって曲げられ、外側に拡開した状態で第２棒状部５２と接合される。なお、第２直線部７１の長さ方向における中間部位と、第２棒状部５２の長さ方向における中間部位とが接する位置において、枠状部材７０と支持部材５０が溶接により接合される。

連結金具付き鉄筋トラスの製造方法は、鉄筋トラス成形工程、支持部材成形工程、留め部材成形工程、枠状部材成形工程、連結金具成形工程の順序を定める必要はなく、それぞれ係合工程より前に行われていればよい。

＜係合工程＞
次に、係合工程について説明する。係合工程においては、連結金具２０３を鉄筋トラス２に係合させる。具体的には、鉄筋トラス２の長さ方向において、下部主筋２０の端部側から、留め部材６０における係合部６２をスライドさせるようにして係合させる。連結金具２０３は、留め部材６０と枠状部材７０が、鉄筋トラス２の長さ方向において、ラチス材３０の端部における山部３１と谷部３２を結ぶ傾斜部３８より端側に位置している。また、枠状部材７０が、ラチス材３０の傾斜部３８と隣接した配置となるように取り付けるのが好ましい。なお、留め部材６０の第１直線部６１、枠状部材７０の第２直線部７１は、下部主筋２０の下面側に当接した状態となる。

連結金具付き鉄筋トラス４は、連結金具２０３の留め部材６０と枠状部材７０が、鉄筋トラス２の長さ方向において、ラチス材３０の端部における傾斜部３８より中央側に位置した構成としても良い。また、連結金具２０３を下部主筋２０の下方から取り付けても良い。さらには、鉄筋トラス２における２本の下部主筋２０が互いに近接するように、鉄筋トラス２を弾性変形させてから連結金具２０３を取り付けて、鉄筋トラス２と係合させても良い（図３６参照）。

＜デッキプレートの製造方法＞
デッキプレート１は、鉄筋トラス成形工程、支持部材成形工程、留め部材成形工程、枠状部材成形工程、連結金具成形工程、係合工程、固着工程、溶着工程をそれぞれ経て、製造される。

鉄筋トラス成形工程、支持部材成形工程、留め部材成形工程、枠状部材成形工程、連結金具成形工程、係合工程は、上記第２実施形態に係る連結金具付き鉄筋トラスの製造方法と実質的に同一である。また、固着工程、溶着工程は、図３７に示す第１実施形態に係る同工程における方法が採用される。

＜第３実施形態＞
次に、第３実施形態について説明する。なお、連結金具付き鉄筋トラス及びその製造方法、デッキプレートの製造方法における、鉄筋トラスの構成、鉄筋トラス成形工程、支持部材成形工程については、上記第１実施形態と実質的に同一の構成及び作用効果等を有する。よって、これら実質的に同一の箇所については、同一の符号を付して説明を省略し、異なる箇所について以下に詳しく説明する。

＜連結金具の構成＞
連結金具３０３は、図１７、図１８に示すように、建造物の躯体梁５に掛け渡されるデッキプレート１の端部に連結される。デッキプレート１における底板部４０の板面には、鉄筋トラス２が併設され、鉄筋トラス２における下部主筋２０が底板部４０の上方に位置して延在している構成となっている。連結金具３０３は、支持部材５０と留め部材６０を有しており、留め部材６０が鉄筋トラス２における下部主筋２０と係合し、支持部材５０が躯体梁５に接合される構成となっている。

支持部材５０は、第１実施形態に係る連結金具３と同様に、金属製の線状素材がＬ型に曲げ加工されており、第１棒状部５１と第２棒状部５２を有している。第１棒状部５１は、デッキプレート１の底板部４０の板面方向に延出し、その端部５３が底板部４０の端部から外側にはみ出す構成となっている。すなわち、第１棒状部５１は、底板部４０の端部から外側に所定の長さ分はみ出すように、その長さが設定されている。第２棒状部５２は、第１棒状部５１の一端が任意に設定された屈曲点５５において屈曲して、上方に延出した構成となっている。第２棒状部５２の高さは、第１実施形態と同様の設定となっている。なお、線状素材は、例えば丸形の鉄筋を用いても良く、異形鉄筋を用いても良い。

留め部材６０は、図１７、図１８、及び図２１から図２７を参照として、２本の第１直線部６１ａ、６１ｂを有しており、第１直線部６１ａ、６１ｂの両端に係合部６２とガイド６３をそれぞれ有している。２本の第１直線部６１ａ、６１ｂは、支持部材５０の第２棒状部５２と交差しており、第２棒状部５２に対し、第２棒状部５２の径方向の両側から挟むように互いに対向して接合されている。係合部６２は、鉄筋トラス２における下部主筋２０に係り合った状態を維持する構成となっている。ガイド６３は、係合部６２の端部において、下部主筋２０の外周面を案内する構成となっている。

留め部材６０は、金属製の線状素材を、曲げ加工して成形されている。例えば、鉄線コイルを用いても良い。また、鉄筋トラス２のラチス材３０と同一径、同一素材の鉄線を用いても良い。第１直線部６１ａ、６１ｂの長さは、鉄筋トラス２における２本の下部主筋２０の間隔に応じて設定される。係合部６２は、下部主筋２０の径の大きさに応じた曲率で曲線状に曲げられて成形されている。言い換えれば、下部主筋２０の外周面に沿った曲線状に曲げ加工されている。係合部６２は、その端部が第１直線部６１ａ、６１ｂから離れる方向に屈曲して、ガイド６３が成形されている。すなわち、第１直線部６１ａ、６１ｂの端部において、係合部６２とガイド６３がＳ字状に接続するように曲げ加工されている。

留め部材６０は、第１直線部６１ａ、６１ｂが下部主筋２０の下面側と接した状態で係合されて取り付けられる構成となっている。すなわち、第１直線部６１ａ、６１ｂは、その両端から係合部６２及びガイド６３が上方に向かって曲げられた状態で、第２棒状部５２と接合されている。また、第１直線部６１ａ、６１ｂの長さ方向における中間部位と、第２棒状部５２の長さ方向における中間部位とが接するように接合されている。

＜連結金具付き鉄筋トラスの構成＞
連結金具付き鉄筋トラス４は、図１７、図１８に示すように、鉄筋トラス２に連結金具３０３が係合されて構成されている。図２０を参照として、連結金具３０３における留め部材６０の係合部６２は、鉄筋トラス２の下部主筋２０と係合している。留め部材６０の第１直線部６１ａ、６１ｂは、下部主筋２０の下面側に接するように位置している。図２１から図２６を参照として、支持部材５０の第１棒状部５１は、端部５３が底板部４０の端部から外側にはみ出す構成となっている。また、連結金具３０３は、ラチス材３０の端部が山部３１において切断された山カットの鉄筋トラス２、ラチス材３０の端部が谷部３２において切断された谷カットの鉄筋トラス２のいずれにも取り付けられる構成である。

連結金具３０３は、留め部材６０が、鉄筋トラス２の長さ方向において、ラチス材３０の端部における山部３１と谷部３２を結ぶ傾斜部３８より端側に位置するように取り付けた構成となっている。具体的には、図２１に示すように、山カットの鉄筋トラス２において、留め部材６０の第１直線部６１ａ、６１ｂが下方傾斜部３８Ｄより端側に位置する。また、図２２に示すように、谷カットの鉄筋トラス２において、留め部材６０の第１直線部６１ａ、６１ｂが上方傾斜部３８Ｕより端側に位置する。なお、連結金具３０３は、躯体梁５に掛け渡されるデッキプレート１の設置位置に応じて、鉄筋トラス２の端部において任意の位置に取り付けることができる。

連結金具３０３は、留め部材６０が、鉄筋トラス２の長さ方向において、ラチス材３０の端部における山部３１と谷部３２を結ぶ傾斜部３８より中央側に位置するように取り付けた構成としても良い。具体的には、図２３に示すように、山カットの鉄筋トラス２において、留め部材６０の第１直線部６１ａ、６１ｂが下方傾斜部３８Ｄより中央側に位置する。また、図２４に示すように、谷カットの鉄筋トラス２において、留め部材６０の第１直線部６１ａ、６１ｂが上方傾斜部３８Ｕより中央側に位置する。このように、留め部材６０が傾斜部３８より鉄筋トラス２の中央側に位置することにより、連結金具３０３は鉄筋トラス２の端側に向かう動きについて、第２接合部位３４において係止される構成となる。

また、連結金具３０３は、留め部材６０が、鉄筋トラス２の長さ方向において、対向した第１直線部６１ａ、６１ｂの間に、ラチス材３０の端部における山部３１と谷部３２を結ぶ傾斜部３８が位置するように取り付けた構成としても良い。具体的には、図２５に示すように、山カットの鉄筋トラス２において、対向した第１直線部６１ａ、６１ｂが下方傾斜部３８Ｄを鉄筋トラス２の長さ方向の両側から挟むように位置する。また、図２６に示すように、谷カットの鉄筋トラス２において、対向した第１直線部６１ａ、６１ｂが上方傾斜部３８Ｕを鉄筋トラス２の長さ方向の両側から挟むように位置する。このように、留め部材６０の第１直線部６１ａ、６１ｂの間に傾斜部３８が位置することにより、第２接合部位３４において連結金具３０３が下部主筋２０、ラチス材３０の傾斜部３８と係合される構成となる。

＜デッキプレートの構成＞
第３実施形態に係るデッキプレート１は、金属製の底板部４０を有している。なお、底板部４０の構成は、第１実施形態と実質的に同一であるため、説明を省略する。デッキプレート１は、図１７、図１８に示すように、鉄筋トラス２が所定間隔を隔てて複数並設した状態で、底板部４０の板面に一体的に固着されている。具体的には、鉄筋トラス２におけるラチス材３０の脚部３７が、底板部４０の板面に成形された突条部４１にそれぞれ接合されて、固着されている。また、鉄筋トラス２には、連結金具３０３が取り付けられている。第１実施形態と同様に、底板部４０の上に設置する連結金具付き鉄筋トラス４の数は、任意に設定できる。

＜連結金具付き鉄筋トラスの製造方法、デッキプレートの製造方法＞
第３実施形態に係る連結金具付き鉄筋トラス４は、鉄筋トラス成形工程、支持部材成形工程、留め部材成形工程、連結金具成形工程、係合工程、固着工程をそれぞれ経て製造される。

＜留め部材成形工程＞
留め部材成形工程においては、金属製の線状素材が曲げ加工されて留め部材６０が成形される。例えば、鉄線コイルを用いても良い。図１９、図３５に示すように、留め部材６０は、２本の第１直線部６１（６１ａ、６１ｂ）と、第１直線部６１ａ、６１ｂの両端に成形された係合部６２をそれぞれ有する。第１直線部６１ａ、６１ｂは、それぞれ支持部材５０の第２棒状部５２と交差して接合される。係合部６２は鉄筋トラス２における下部主筋２０に係り合った状態を維持する。具体的には、直線状の鉄線からなる２本の第１直線部６１ａ、６１ｂの両端が、下部主筋２０の径の大きさに応じた曲率で曲線状に曲げられて係合部６２が成形される。言い換えれば、下部主筋２０の外周面に沿った曲線状に曲げ加工される。第１直線部６１ａ、６１ｂの長さは、鉄筋トラス２における２本の下部主筋２０の間隔に応じて設定される（図２０参照）。

留め部材６０における係合部６２は、その端部が第１直線部６１ａ、６１ｂから離れる方向に屈曲して、下部主筋２０の外周面を案内するガイド６３が成形される。すなわち、第１直線部６１ａ、６１ｂの端部において、係合部６２とガイド６３がＳ字状に接続するように曲げ加工される。

＜連結金具成形工程＞
連結金具成形工程においては、支持部材５０と留め部材６０とが接合されて連結金具３０３が成形される。留め部材６０は、２本の第１直線部６１ａ、６１ｂが、支持部材５０の第２棒状部５２と交差して接合される。なお、第１直線部６１ａ、６１ｂは、第２棒状部５２に対し、第２棒状部５２の径方向の両側から挟むように互いに対向して接合される。

留め部材６０は、第１直線部６１ａ、６１ｂが下部主筋２０の下面側と接した状態で係合されて取り付けられる構成とされる。すなわち、第１直線部６１ａ、６１ｂは、その両端から係合部６２及びガイド６３が上方に向かって曲げられた状態で、第２棒状部５２と接合される。本実施形態においては、第１直線部６１ａ、６１ｂの長さ方向における中間部位と、第２棒状部５２の長さ方向における中間部位とが接する位置において、溶接により接合される。

連結金具付き鉄筋トラスの製造方法は、鉄筋トラス成形工程、支持部材成形工程、留め部材成形工程、連結金具成形工程の順序を定める必要はなく、それぞれ係合工程より前に行われていればよい。

＜係合工程＞
次に、係合工程について説明する。係合工程においては、連結金具３０３を鉄筋トラス２に係合させる。具体的には、鉄筋トラス２の端部における下部主筋２０の下方から、留め部材６０における係合部６２を、下部主筋２０に巻き込ませるように当接させる。なお、留め部材６０は、係合部６２及びガイド６３が第１直線部６１ａ、６１ｂより上方に向かって屈曲しており、第１直線部６１ａ、６１ｂが下部主筋２０と交差し、下部主筋２０の外周下面側と当接するように係合される。この係合工程を経て、連結金具付き鉄筋トラス４が得られる。

連結金具３は、躯体梁５に掛け渡されるデッキプレート１の設置位置、鉄筋トラス２のラチス材３０の切断位置等に応じて、鉄筋トラス２の端部における任意の位置に取り付けることができる。また、係合工程では、図３６に示すように、鉄筋トラス２における２本の下部主筋２０が互いに近接するように、鉄筋トラス２を弾性変形させてから連結金具３を取り付けて、鉄筋トラス２と係合させても良い。

デッキプレート１は、鉄筋トラス成形工程、支持部材成形工程、留め部材成形工程、連結金具成形工程、係合工程、固着工程をそれぞれ経て製造される。なお、デッキプレート１の底板部４０を製造する工程、及び鉄筋トラス２の配設の方法については、第１実施形態と実質的に同一であるため、説明を省略する。

＜固着工程＞
固着工程においては、底板部４０の突条部４１に、鉄筋トラス２におけるラチス材３０の谷部３２が溶接により接合される。本実施形態においては、傾斜部３８の谷部３２側に成形された脚部３７が、突条部４１に固着される。このようにして、連結金具付き鉄筋トラス４と底板部４０が接合され、一体となってデッキプレート１が構成される。

本実施形態においては、係合工程は、固着工程より前に行うのが好ましい。すなわち、鉄筋トラス２に連結金具３０３を取り付ける係合工程を経た後、固着工程において連結金具付き鉄筋トラス４を底板部４０に固着させ、デッキプレート１を製造する。これにより、係合工程において、連結金具３０３を鉄筋トラス２における下部主筋２０の下方から取り付けることができる。また、鉄筋トラス２を弾性変形させて、連結金具３０３を取り付けることができる（図３６参照）。

＜第４実施形態＞
次に、第４実施形態について説明する。なお、連結金具付き鉄筋トラス及びその製造方法、デッキプレート及びその製造方法における、鉄筋トラスの構成、鉄筋トラス成形工程については、上記第１実施形態と実質的に同一の構成及び作用効果を有する。また、留め部材成形工程、支持部材の構成及び支持部材成形工程については、上記第３実施形態と実質的に同一の構成及び作用効果を有する。よって、これら実質的に同一の箇所については、同一の符号を付して説明を省略し、異なる箇所について以下に詳しく説明する。

＜連結金具、連結金具付き鉄筋トラスの構成＞
連結金具４０３は、図２８から図３０に示すように、留め部材６０が、鉄筋トラス２の長さ方向において、対向した第１直線部６１ａ、６１ｂの間に傾斜部３８が位置している。留め部材６０の係合部６２、ガイド６３は、鉄筋トラス２の長さ方向における端側又は中央側に傾斜した構成となっている。具体的には、鉄筋トラス２の長さ方向において、対向している第１直線部６１ａ、６１ｂの両端における係合部６２からガイド６３の端部までの部分が、互いに離間するように傾斜している。これにより、留め部材６０と傾斜部３８が干渉することなく、連結金具４０３が鉄筋トラス２に取り付けられる構成とされる。

＜連結金具付き鉄筋トラスの製造方法、デッキプレートの製造方法＞
連結金具成形工程においては、留め部材６０の係合部６２、ガイド６３が、鉄筋トラス２の長さ方向における端側又は中央側に傾斜した構成とされる。すなわち、留め部材６０は、鉄筋トラス２の長さ方向において、対向している第１直線部６１ａ、６１ｂの両端における係合部６２からガイド６３の端部までの部分が、互いに離間するように傾斜した状態で、支持部材５０に接合される。

係合工程においては、連結金具４０３を鉄筋トラス２に係合させる。具体的には、鉄筋トラス２の端部における下部主筋２０の下方から、留め部材６０における係合部６２を、下部主筋２０に巻き込ませるように当接させる。なお、留め部材６０は、係合部６２及びガイド６３が第１直線部６１ａ、６１ｂより斜め上方に向かって屈曲しており、第１直線部６１ａ、６１ｂが下部主筋２０と交差し、下部主筋２０の外周下面側と当接するように係合される。なお、連結金具４０３は、鉄筋トラス２の端部において、任意の位置に取り付けることができる。

係合工程は、固着工程より前に行うのが好ましい。すなわち、鉄筋トラス２に連結金具４０３を取り付ける係合工程を経た後、固着工程において連結金具付き鉄筋トラス４を底板部４０に固着させ、デッキプレート１を構成する。これにより、係合工程において、連結金具４０３を鉄筋トラス２における下部主筋２０の下方から取り付けることができる。また、鉄筋トラス２を弾性変形させて、連結金具４０３を取り付けることができる（図３６参照）。

＜第５実施形態＞
次に、第５実施形態について説明する。なお、連結金具付き鉄筋トラス及びその製造方法、デッキプレート及びその製造方法における、鉄筋トラスの構成、鉄筋トラス成形工程については、上記第１実施形態と実質的に同一の構成及び作用効果を有する。また、留め部材成形工程、支持部材及び支持部材成形工程については、上記第３実施形態と実質的に同一の構成及び作用効果を有する。よって、これら実質的に同一の箇所については、同一の符号を付して説明を省略し、異なる箇所について以下に詳しく説明する。

＜連結金具、連結金具付き鉄筋トラスの構成＞
連結金具５０３は、図３１から図３３に示すように、留め部材６０の第１直線部６１ａ、６１ｂが下部主筋２０の上面側と接した状態で係合されて取り付けられる構成としても良い。すなわち、第１直線部６１ａ、６１ｂが、係合部６２及びガイド６３が下方に向かって曲げられた状態で、第２棒状部５２と接合された構成とすることもできる。この構成により、連結金具５０３を下部主筋２０の上方から取り付けることができる。

＜連結金具付き鉄筋トラスの製造方法、デッキプレートの製造方法＞
連結金具成形工程においては、連結金具５０３は、留め部材６０の第１直線部６１ａ、６１ｂが下部主筋２０の上面側と接した状態で係合されて取り付けられる構成としても良い。すなわち、第１直線部６１ａ、６１ｂが、係合部６２及びガイド６３が下方に向かって曲げられた状態で、第２棒状部５２と接合される。

係合工程においては、連結金具５０３を鉄筋トラス２に係合させる。具体的には、鉄筋トラス２の端部における下部主筋２０の上方から、留め部材６０における係合部６２を、下部主筋２０に巻き込ませるように当接させる。なお、留め部材６０は、係合部６２及びガイド６３が第１直線部６１ａ、６１ｂより下方に向かって屈曲しており、第１直線部６１ａ、６１ｂが下部主筋２０と交差し、下部主筋２０の外周上面側と当接するように係合される。

デッキプレート１を製造する工程においては、固着工程の後に、係合工程を行っても良い。すなわち、鉄筋トラス２を底板部４０に固着した後においても、連結金具５０３を下部主筋２０の上方から鉄筋トラス２に取り付けることができる。

次に、上記第１から第５の実施形態に係る鉄筋トラス、連結金具、連結金具付き鉄筋トラス及びその製造方法、並びにデッキプレート及びその製造方法の共通する作用について説明する。なお、連結金具については、代表として第１実施形態の符号を使用する。

＜鉄筋トラスの作用＞
鉄筋トラス２は、一対のラチス材３０ａ、３０ｂが上部主筋１０を幅方向の両側から挟むように配置された構成である。これにより、幅方向において上部主筋１０を両側から支えることができ、左右から均一に保持し得る。また、一対のラチス材３０ａ、３０ｂは、外側に広がりを有するように拡開した配置構成である。これにより、鉄筋トラス２をより広い面積で支えることができ、鉄筋トラス２の左右の傾きを抑制し得る。よって、コンクリート打設時においても、上部主筋１０及び下部主筋２０が互いに平行である状態を維持し易くなる。さらに、構成部材の変形を抑えることができる。

図６から図９を参照として、一方のラチス材３０ａの各山部３１ａと他方のラチス材３０ｂの各山部３１ｂとがそれぞれ向かい合う構成をとるため、一対のラチス材３０は、各山部３１ａ、３１ｂが幅方向からみてそれぞれ重なる。また、一方のラチス材３０ａの各第１接合部位３３ａと、他方のラチス材３０ｂの各第１接合部位３３ｂとが、幅方向からみてそれぞれ重なる。よって、各第１接合部位３３ａ、３３ｂにおいて、上部主筋１０と一対のラチス材３０ａ、３０ｂとの溶接作業を一度に行うことができ、溶接ポイントの削減を図ることができる。

また、ラチス材３０ａ、３０ｂは、上部主筋１０を幅方向の両側から挟むように接合され、上部主筋１０及び下部主筋２０を跨がない配置構成であるから、上部主筋１０、下部主筋２０、ラチス材３０の径を選択する際、自由度が高くなる。

さらに、ラチス材３０は、外側に拡開した構成により、より広い面積で鉄筋トラス２を支えることができる。また、傾斜部３８の谷部３２側において脚部３７を有する構成により、脚部３７によって鉄筋トラス２を支えることができる。そのため、鉄筋トラス２は安定して自立し、剛性が向上し得る。さらに、鉄筋トラス２を底板部４０に接合する際には、鉄筋トラス２が底板部４０に当接する面積がより広くなるため、鉄筋トラス２の剛性、安定性が向上し得る。

また、ラチス材３０はそれぞれ同じ振幅、同じピッチで山部３１と谷部３２を互いに繰り返す構成である。そのため、上部主筋１０とラチス材３０における各山部３１の頂部を接合することにより、上部主筋１０が直線状に保持される。言い換えれば、ラチス材３０において第１接合部位３３が直線上に並ぶように設定される。なお、上部主筋１０に沿って下部主筋２０が並行して配置されることにより、第２接合部位３４が直線上に並ぶように設定される。また、振幅及びピッチが一定であるため、ラチス材３０の折り曲げ加工や主筋との接合作業を効率良く行うことができる。

鉄筋トラス２は、ラチス材３０の端部を山部３１において切断した、山カットの構成としても良く、ラチス材３０の端部を谷部３２において切断した谷カットの構成としても良い。そのため、鉄筋トラス２及びデッキプレート１の長さの設定において自由度がより高くなる。

＜連結金具、連結金具付き鉄筋トラス、デッキプレートの作用＞
連結金具３は、留め部材６０における係合部６２が、鉄筋トラス２における下部主筋２０と係合する構成により、溶接によらず連結金具３を鉄筋トラス２に取り付けることができる。また、連結金具３が下部主筋２０から離脱し難くなり、連結金具３と鉄筋トラス２の固着の強度を維持し得る。さらに、支持部材５０の第１棒状部５１が、デッキプレート１の底板部４０の板面に沿うように配設された構成により、連結金具３は鉄筋トラス２に安定して係合される。

連結金具３が安定して鉄筋トラス２に係合されることにより、連結金具付き鉄筋トラス４の強度、剛性を高めることができる。よって、躯体梁５に掛け渡されたデッキプレート１上においては、上部主筋１０、下部主筋２０に掛かる力が、連結金具３を介して躯体梁５へ伝達される。

連結金具３は、留め部材６０が鉄筋トラス２の長さ方向においてラチス材３０の端部における傾斜部３８より中央側に配設され、鉄筋トラス２の下部主筋２０と係合する構成としても良い。これにより、連結金具３は、第２接合部位３４において係止され、留め部材６０がラチス材３０の傾斜部３８よりも、鉄筋トラス２の端側にずれない構成となる。よって、連結金具３の鉄筋トラス２からの脱落を抑制し得る。

谷カットの鉄筋トラス２を用いたデッキプレート１は、鉄筋トラス２におけるラチス材３０の谷部３２が底板部４０の端部に掛かるように位置する構成となる。これにより、躯体梁５にデッキプレート１を掛け渡すと、ラチス材３０の谷部３２が躯体梁５に掛かるように位置する。そのため、ラチス材３０を介して、上部主筋１０、下部主筋２０に掛かる力が躯体梁５へ伝達される。

また、谷カットの鉄筋トラス２を用いたデッキプレート１は、山カットの鉄筋トラス２を用いた場合に比べて、ラチス材３０の端部における第２接合部位３４が、底板部４０の端部から近い距離に位置する。そのため、連結金具３の留め部材６０が上方傾斜部３８Ｕより中央側に位置する場合、又は留め部材６０が上方傾斜部３８Ｕを両側から挟む場合のように、連結金具３を傾斜部３８より中央側に配置しても、支持部材５０の第１棒状部５１の長さが長くなりすぎず、鉄筋の使用量を抑制できる。

底板部４０の大きさは、コンクリートスラブの広さに対応して任意に設定できる。また、鉄筋トラス２の配設の数や間隔に対応して底板部４０の幅を設定できる。例えば、底板部４０に二つの鉄筋トラス２を並設して一組のデッキプレート１を構成しても良く、底板部４０の幅は、隣接する鉄筋トラス２の上部主筋１０の間隔Ｌ５に応じて設定できる（図６参照）。具体的には、デッキプレート１を幅方向に複数並設した際、上部主筋１０の間隔Ｌ５がそれぞれ等間隔になるように、底板部４０の幅を設定できる。これにより、鉄筋トラス２が等間隔で配設され得る。

デッキプレート１は、床の大きさに合わせて複数並べることができる。底板部４０は、デッキプレート１を幅方向に複数並べる際、隣接する底板部４０の端縁部同士が係合する構成となっている。これにより、デッキプレート１は隙間なく敷き詰められる。

躯体梁５に掛け渡されたデッキプレート１は、連結金具３における支持部材５０の第１棒状部５１の端部５３側が、底板部４０の端部から外側に所定の長さ分はみ出した状態で、躯体梁５に掛かっている。連結金具３は、第１棒状部５１の端部５３側が、躯体梁５に溶接により固定される。すなわち、連結金具３により、デッキプレート１と躯体梁５が連結される。連結金具３は、デッキプレート１に掛かる荷重を躯体梁５に伝達し、デッキプレート１を支持する。デッキプレート１は、コンクリートスラブを支える構造材として機能する。

＜連結金具付き鉄筋トラスの製造方法、デッキプレートの製造方法の作用＞
留め部材成形工程では、連結金具３がその係合部６２と鉄筋トラス２の下部主筋２０が係り合って当接する構成とされる。これにより、連結金具３と鉄筋トラス２を係合させる係合工程において、溶接が不要であり、連結金具３を鉄筋トラス２に取り付ける作業が容易になる。

鉄筋トラス２は、その上部主筋１０には、一対のラチス材３０が上部主筋１０を挟むようにして接合され、一対のラチス材３０は外側に広がりを有するように拡開している。さらに、ラチス材３０には互いに並行して離間する下部主筋２０がそれぞれ接合された構成とされる。この構成により、幅方向において外側から下部主筋２０に力を加えて、鉄筋トラス２を弾性変形させ、２本の下部主筋２０の間隔を一時的に狭くすることができる（図３６参照）。そのため、係合工程において、連結金具３を取り付け易くなり、作業効率の向上を図ることができる。

次に、上記第１から第５の実施形態に係る連結金具、連結金具付き鉄筋トラス及びその製造方法、並びに、デッキプレート及びその製造方法の、それぞれ異なる作用について説明する。

第１及び第２の実施形態に係る連結金具３、２０３は、留め部材６０の第１直線部６１と枠状部材７０の第２直線部７１が、支持部材５０の第２棒状部５２に対し、第２棒状部５２の径方向の両側から挟むように互いに対向して接合されている。この構成により、支持部材５０は、第２棒状部５２との接合部において、留め部材６０と枠状部材７０により両側から支持され、姿勢が安定し得る。すなわち、支持部材５０は、第１棒状部５１が水平、第２棒状部５２が垂直の状態で姿勢を保つことができる。よって、連結金具３と鉄筋トラス２との固着の強度と安定性が向上し得る。

第１及び第２の実施形態に係る連結金具３、２０３は、枠状部材７０が外側に拡開するため、拡開部７２が底板部４０の突条部４１の上面に当接する構成である。これにより、枠状部材７０と底板部４０の接合箇所である溶着部７３を、底板部４０の平面部分ではなく突条部４１の上面に設定することができる。

第１及び第２の実施形態に係る連結金具３、２０３は、留め部材６０と枠状部材７０が、鉄筋トラス２の長さ方向において、ラチス材３０の端部における傾斜部３８より中央側に位置するように取り付けられた構成としても良い。なお、谷カットの鉄筋トラス２は、その端部におけるラチス材３０の谷部３２が、底板部４０の端部に掛かるように位置する。そのため、躯体梁５に掛け渡されたデッキプレート１において、ラチス材３０の脚部３７が躯体梁５に掛かり、連結金具３の支持部材５０に掛かる荷重を軽減し得る。よって、連結金具３を鉄筋トラス２におけるラチス材３０の傾斜部３８より中央側に取り付けた場合でも、デッキプレート１の強度を保持し得る。

第１及び第２の実施形態に係る連結金具付き鉄筋トラス４は、鉄筋トラス２のラチス材３０と連結金具３の枠状部材７０に同一径、同一素材の鉄線が用いられている。また、ラチス材３０の脚部３７と枠状部材７０の拡開部７２が、底板部４０において同じ突条部４１の上面にそれぞれ接合されるため、これらの接合箇所（固着部３９、溶着部７３）は直線状に並ぶ構成となる。これにより、デッキプレート１の製造工程においては、固着工程と溶着工程の溶接を、同一ラインで行うことができ、溶接装置の条件設定を統一することができる。よって、デッキプレート１と連結金具付き鉄筋トラス４の固着の強度を維持し得る。

第１実施形態に係る連結金具３は、留め部材６０の第１直線部６１が鉄筋トラス２の下部主筋２０の上面側と当接し、係合部６２が下部主筋２０の下面側を巻き込むようにして、２本の下部主筋２０と係合している。これにより、留め部材６０は下部主筋２０から離脱し難い構成となっている。よって、連結金具３は、安定して鉄筋トラス２の下部主筋２０と係合する。また、枠状部材７０の第２直線部７１が下部主筋２０の上面側と当接すると共に、拡開部７２の端が、底板部４０の表面に沿って突条部４１まで延出している。すなわち、突条部４１の上面に、拡開部７２が当接するように延出しており、底板部４０に溶着されている。この構成により、連結金具３は枠状部材７０に支持され、強度、安定性が向上し得る。よって、連結金具３は、鉄筋トラス２を安定して支持し、底板部４０に固着させる機能を果たす。

第１実施形態に係る連結金具３は、留め部材６０の係合部６２が下部主筋２０の下面側まで巻き込んで係合した構成により、鉄筋トラス２に取り付けられた連結金具３の浮き上がりを抑制できる。よって、連結金具３と鉄筋トラス２の固着の強度が向上し得る。なお、山カットの鉄筋トラス２は、端部におけるラチス材３０の谷部３２が、谷カットの場合に比べて、底板部４０の端部より内側に位置する。そのため、躯体梁５に掛け渡されたデッキプレート１において、ラチス材３０の脚部３７が躯体梁５に掛からず、連結金具３の支持部材５０に、より荷重が掛かる構成となり易い。よって、係合部６２を下部主筋２０の下面側まで巻き込んだ構成の連結金具３は、山カットの鉄筋トラス２に取り付けた場合に、より強度と剛性が向上し、機能を発揮する。

第１実施形態に係る連結金具３は、留め部材６０の係合部６２が、下部主筋２０と近接して第１直線部６１から下方に延出した構成としても良い。この構成により、鉄筋トラス２におけるラチス材３０の上方傾斜部３８Ｕと下方傾斜部３８Ｄの間においても、連結金具３を取り付け易くなる。そのため、留め部材６０と枠状部材７０がラチス材３０の傾斜部３８より中央側に位置するように、連結金具３を鉄筋トラス２に係合させる場合において、係合工程の作業効率がより向上し得る。

第２実施形態に係る連結金具２０３は、留め部材６０の第１直線部６１が鉄筋トラス２の下部主筋２０の下面側と当接し、係合部６２が下部主筋２０の外周面を巻き込むようにして、２本の下部主筋２０と係合している。これにより、留め部材６０は下部主筋２０から離脱し難い構成となっている。よって、連結金具２０３は、安定して鉄筋トラス２の下部主筋２０と係合する。また、枠状部材７０の第２直線部７１が下部主筋２０の下面側と当接すると共に、突条部４１の上面に、拡開部７２が当接するように延出しており、底板部４０に溶着されている。この構成により、連結金具２０３は、下部主筋２０をその下方から支持する。よって、連結金具２０３は、鉄筋トラス２に掛かる荷重をより安定して支持する機能を果たす。また、連結金具付き鉄筋トラス４の強度、剛性の向上を図ることができる。

第２実施形態に係る連結金具２０３は、留め部材６０の第１直線部６１、枠状部材７０の第２直線部７１がそれぞれ下部主筋２０の下面側に位置する構成となっている。この構成により、鉄筋トラス２に取り付けられた連結金具２０３の浮き上がりを抑制できる。よって、連結金具２０３と鉄筋トラス２の固着の強度が向上し得る。また、躯体梁５に掛け渡されたデッキプレート１において、連結金具２０３の支持部材５０と躯体梁５の接合の強度、安定性が向上し得る。

第３から第５の実施形態に係る連結金具３０３、４０３、５０３は、留め部材６０の第１直線部６１ａ、６１ｂの間に、鉄筋トラス２におけるラチス材３０の傾斜部３８が位置するように、鉄筋トラス２の下部主筋２０と係合する構成としても良い。これにより、留め部材６０がラチス材３０の傾斜部３８を挟むように位置し、連結金具３は第２接合部位３４において固定される構成となる。よって、連結金具３の鉄筋トラス２からの脱落を抑制し得る。

第３から第５の実施形態に係る連結金具３０３、４０３、５０３は、留め部材６０の係合部６２が、その端部が第１直線部６１ａ、６１ｂから離れる方向に屈曲して、ガイド６３が成形されている。この構成により、ガイド６３が下部主筋２０の外周面を案内し、係合部６２が下部主筋２０と係り合って当接する。

第３から第５の実施形態に係る連結金具３０３、４０３、５０３は、留め部材６０の２本の第１直線部６１ａ、６１ｂが、支持部材５０の第２棒状部５２に対し、第２棒状部５２の径方向の両側から挟むように互いに対向して接合されている。この構成により、留め部材６０は、第１直線部６１ａ、６１ｂと第２棒状部５２の接合部において、支持部材５０を挟持して支持する。また、連結金具３０３、４０３、５０３の留め部材６０が下部主筋２０と当接する部分がより多くなる。この構成により、支持部材５０は、第２棒状部５２との接合部において、留め部材６０により両側から支持され、姿勢が安定し得る。すなわち、支持部材５０は、第１棒状部５１が水平、第２棒状部５２が垂直の状態で姿勢を保つことができる。よって、連結金具３０３、４０３、５０３と鉄筋トラス２との固着の強度と安定性が向上し得る。

第３及び第４の実施形態に係る連結金具３０３、４０３は、留め部材６０の第１直線部６１ａ、６１ｂが、鉄筋トラス２の下部主筋２０の下面側に位置するように取り付けられる構成である。これにより、連結金具３を取り付けた連結金具付き鉄筋トラス４において、連結金具３の浮き上がりを抑制できる。さらに、この連結金具付き鉄筋トラス４と底板部４０とが一体となったデッキプレート１は、連結金具３０３、４０３が鉄筋トラス２の下部主筋２０と底板部４０の間において固定される。よって、連結金具３０３、４０３の鉄筋トラス２からの脱落を抑制し得る。

第３及び第４の実施形態に係るデッキプレートの製造方法では、連結金具３０３、４０３を鉄筋トラス２に係合させてから、鉄筋トラス２を底板部４０に固着させるのが好ましい。このように係合工程を固着工程の前に行うことにより、鉄筋トラス２における下部主筋２０の下方から、連結金具３０３、４０３を係合させることができる。そのため、係合工程において、連結金具３０３、４０３の留め部材６０が下部主筋２０の下面側に位置するように、連結金具３０３、４０３を鉄筋トラス２に取り付ける作業がより容易になる。よって、デッキプレート１の製造工程における作業効率の向上を図ることができる。

第４実施形態に係る連結金具４０３及び連結金具付き鉄筋トラス４は、連結金具４０３の留め部材６０が、鉄筋トラス２の長さ方向において、対向した第１直線部６１ａ、６１ｂの間に傾斜部３８が位置する構成である。図２８から図３０に示すように、留め部材６０は、鉄筋トラス２の長さ方向において、対向している第１直線部６１ａ、６１ｂの両端における係合部６２からガイド６３の端部までの部分が、互いに離間するように傾斜している。これにより、留め部材６０と傾斜部３８が干渉することなく、連結金具４０３が鉄筋トラス２に取り付けられる構成とすることができる。そのため、係合工程において、連結金具４０３を鉄筋トラス２に取り付け易い構成となっている。

第５実施形態に係る連結金具５０３は、留め部材６０の第１直線部６１ａ、６１ｂが下部主筋２０の上面側と接した状態で係合されて取り付けられる構成とされる。すなわち、第１直線部６１ａ、６１ｂが、係合部６２及びガイド６３が下方に向かって曲げられた状態で、第２棒状部５２と接合されている。これにより、連結金具５０３を下部主筋２０の上方から取り付け易い構成となっている。そのため、デッキプレートの製造方法については、係合工程を固着工程の前に行っても良く、後に行っても良い。

上記第１から第５の実施形態における連結金具、連結金具付き鉄筋トラス及びその製造方法、並びに、デッキプレート及びその製造方法は、次のような効果がある。なお、連結金具は、代表として第１実施形態の符号を使用する。

連結金具３は、留め部材６０の係合部６２がデッキプレート１における鉄筋トラス２の下部主筋２０と係り合って当接する構成となる。この構成により、連結金具３を下部主筋２０に取り付ける作業において溶接が不要となるため、作業効率の向上を図ることができる。また、連結金具３と下部主筋２０が係合する構成により、連結金具３が下部主筋２０から離脱し難くなり、連結金具３と下部主筋２０の固着の強度を維持し得る。

連結金具付き鉄筋トラス４は、鉄筋トラス２の下部主筋２０と、連結金具３における留め部材６０の係合部６２とが係り合って当接しており、連結金具３が安定して鉄筋トラス２と係合されている。これにより、連結金具３と鉄筋トラス２の固着の強度の維持を図ることができる、連結金具付き鉄筋トラス４を構成し得る。

連結金具付き鉄筋トラス４は、連結金具３における留め部材６０が、鉄筋トラス２の長さ方向においてラチス材３０の端部における傾斜部３８より中央側に配設され、鉄筋トラス２の下部主筋２０と係合した構成とすることができる。これにより、連結金具３は、留め部材６０がラチス材３０の傾斜部３８よりも、鉄筋トラス２の端側にずれない構成となるため、連結金具３の鉄筋トラス２からの脱落を抑制し得る。

デッキプレート１は、連結金具付き鉄筋トラス４が、底板部４０に固着されて一体化した構成とされる。また、連結金具付き鉄筋トラス４は、鉄筋トラス２の２本の下部主筋２０と、連結金具３の係合部６２とが係り合って当接している。さらに、連結金具３の支持部材５０は、第１棒状部５１が底板部４０の板面に沿うように配設されている。この構成により、連結金具３は鉄筋トラス２に安定して係合され、連結金具３と鉄筋トラス２の固着の強度を維持し得る。

連結金具付き鉄筋トラスの製造方法では、連結金具３がその係合部６２と鉄筋トラス２の下部主筋２０が係り合って当接する構成とされる。これにより、連結金具３と鉄筋トラス２を係合させる係合工程において、下部主筋２０と連結金具３の溶接が不要であり、連結金具３を鉄筋トラス２に取り付ける作業が容易になる。よって、連結金具付き鉄筋トラス４の製造工程における作業効率の向上を図ることができる。

連結金具付き鉄筋トラスの製造方法では、鉄筋トラス２が、その上部主筋１０には、２本のラチス材３０が上部主筋１０を挟むようにして接合され、ラチス材３０には互いに並行して離間する下部主筋２０がそれぞれ接合された構成とされる。これにより、鉄筋トラス２を弾性変形させて、２本の下部主筋２０の間隔を一時的に狭くすることができる。そのため、連結金具３を取り付け易くなり、連結金具付き鉄筋トラス４の製造工程における作業効率の向上を図ることができる。

デッキプレートの製造方法では、連結金具３がその係合部６２と鉄筋トラス２の下部主筋２０が係り合って当接する構成とされる。これにより、連結金具３と鉄筋トラス２を係合させる係合工程において、下部主筋２０と連結金具３の溶接が不要であり、連結金具３を鉄筋トラス２に取り付ける作業が容易になる。よって、デッキプレート１の製造工程における作業効率の向上を図ることができる。

デッキプレートの製造方法では、連結金具３を鉄筋トラス２に係合させてから、鉄筋トラス２を底板部４０に固着させている。このように係合工程を固着工程の前に行うことにより、底板部４０と干渉することなく、連結金具３を鉄筋トラス２に係合させることができる。そのため、連結金具３の取り付け位置に応じて、任意の方向から連結金具３を鉄筋トラス２に係合させることができる。さらには、鉄筋トラス２を弾性変形させて、連結金具３を取り付けることができる。そのため、係合工程において、鉄筋トラス２の下部主筋２０の間隔を、連結金具３の留め部材６０の第１直線部６１の長さより狭くすることができ、連結金具３を鉄筋トラス２に取り付ける作業がより容易になる。よって、デッキプレート１の製造工程における作業効率の向上を図ることができる。

連結金具３は、支持部材５０の第２棒状部５２の高さが、鉄筋トラス２の上部主筋１０の下面側の高さｈ１と下部主筋２０の上面側の高さｈ２の間で設定されている。このように、第２棒状部５２が上部主筋１０の高さ位置まで延出しない構成とすることにより、支持部材５０は、第２棒状部５２が上部主筋１０の直下に位置した状態で配設できる。これにより、連結金具３は、支持部材５０が２本の下部主筋２０の間において中央に位置した構成とできるため、主筋にかかる荷重を均等に支持し得る。また、第２棒状部５２の長さ（高さＨ）を短く設定することにより、支持部材５０に係る鉄筋の使用量を抑制することができる。よって、連結金具３の軽量化、経費削減を図ることができる。

鉄筋トラス２は、上部主筋１０を挟んで対向する一対のラチス材３０の各山部３１ａ、３１ｂが向かい合うことによって、対向する一対のラチス材３０における各第１接合部位３３ａ、３３ｂが重なる構成となる。よって、上部主筋１０と一方のラチス材３０ａの接する部位と、上部主筋１０と他方のラチス材３０ｂの接する部位とがそれぞれ重なり、各第１接合部位３３において、上部主筋１０と一対のラチス材３０の接合作業を一度に行い易くなる。よって、接合作業の効率化を図ることができる。

また、ラチス材３０の各谷部３２が幅方向において外側に広がるため、より広い面積で鉄筋トラス２を支えることができ、鉄筋トラス２が安定して自立する。よって、鉄筋トラス２の剛性、強度の向上、及び底板部４０に鉄筋トラス２を接合する際における安定性の向上を図ることができる。さらに、ラチス材３０が各谷部３２側において折曲し、脚部３７がそれぞれ構成されるため、ラチス材３０の脚部３７によって鉄筋トラス２を支えることができる。よって、鉄筋トラス２はより安定して自立し、剛性及び安定性の向上を図ることができる。また、連結金具付き鉄筋トラス４と底板部４０が一体となった強固なデッキプレート１を構成し得る。

さらに、一対のラチス材３０ａ、３０ｂが上部主筋１０を幅方向の両側から挟むように配置され、谷部３２ａ、３２ｂが互いに遠ざかるように拡開した構成であるため、一対のラチス材３０ａ、３０ｂによって上部主筋１０を幅方向の両側から安定して支えることができる。これにより、上部主筋１０が左右から均一に保持され、構成部材の変形が抑制される。よって、鉄筋トラス２の安定性及び剛性が向上し得る。

また、上部主筋１０と一対のラチス材３０ａ、３０ｂとの溶接ポイントが重なる構成により、全体として溶接ポイントの数が削減され、作業工程の短縮化を図ることができる。さらに、ラチス材３０の各山部３１と各谷部３２の振幅、ピッチは一定である構成により、第１接合部位３３及び第２接合部位３４がそれぞれ直線上に並ぶように設定される。そのため、ラチス材３０の折り曲げ加工、及び上部主筋１０、下部主筋２０との接合作業を効率的に行うことができ、作業工程の短縮化を図ることができる。

鉄筋トラス２は、ラチス材３０が鉄筋トラス２の外側に拡開し、傾斜部３８の谷部３２側において脚部３７を有するため、安定して自立する。この構成により、底板部４０に接合する際、及びコンクリート打設時における鉄筋トラス２の安定性向上を図ることができる。

また、ラチス材３０ａ、３０ｂはそれぞれ、上部主筋１０及び下部主筋２０を跨ぐことなく、これらの主筋と接合されているため、上部主筋１０、下部主筋２０、ラチス材３０の径を選択する際には、自由度が高くなる。よって、様々な大きさ又は高さの鉄筋トラス２を提供し得る。さらに、上部主筋１０及び下部主筋２０の変形が抑制されることにより、鉄筋トラス２の安定性及び剛性の向上を図ることができる。

鉄筋トラス２は、下部主筋２０を任意の位置に配置できる。下部主筋２０を鉄筋トラス２の内側に配置する構成、すなわち、ラチス材３０において第２接合部位３４を鉄筋トラス２の内側に設定する構成においては、複数の鉄筋トラス２を互いに上下逆向きにして重ねる際において、下部主筋２０の引っ掛かりを防ぎ、重ね易くすることができる。よって、運搬等の際の嵩張りを抑え、省スペース化を図ることができる。

鉄筋トラス２は、ラチス材３０の端部を山部３１において切断した、山カットの構成としても良く、ラチス材３０の端部を谷部３２において切断した谷カットの構成としても良い。そのため、鉄筋トラス２及びデッキプレート１の長さの設定において自由度がより高くなる。よって、種々のコンクリートスラブの大きさに対応したデッキプレート１を提供し得る。

谷カットの鉄筋トラス２を備えたデッキプレート１は、ラチス材３０の谷部３２がデッキプレート１の端に位置する構成となる。これにより、デッキプレート１を建造物の躯体梁５に掛け渡すと、ラチス材３０の谷部３２が梁の上に掛かり、ラチス材３０が上部主筋１０、下部主筋２０に掛かる力を躯体梁５に伝達できる。そのため、より強固なコンクリートスラブを構築し得る。また、連結金具３の取付け位置の自由度が向上する。

上記第１から第５の実施形態により、デッキプレート１に並設される鉄筋トラス２の下部主筋２０と連結金具３を溶接によらず係合させ、連結の作業効率の向上と連結固着の強度の維持を図ることができる連結金具３、連結金具付き鉄筋トラス４及びその製造方法、並びに、デッキプレート１及びその製造方法を提供できる。

＜第１及び第２の実施形態における効果＞
第１及び第２の実施形態においては、上記の共通の効果に加えて次の効果がある。連結金具３、２０３は、留め部材６０が鉄筋トラス２の下部主筋２０と係合し、枠状部材７０が底板部４０の板面と当接する構成とされる。これにより、下部主筋２０に取り付けられた連結金具３、２０３の枠状部材７０は、第２直線部７１が下部主筋２０と当接すると共に、底板部４０の板面に固定される構成とすることができる。よって、連結金具３、２０３は、より安定して鉄筋トラス２と係合される。

第１及び第２の実施形態に係る連結金具３、２０３は、枠状部材７０の拡開部７２が、鉄筋トラス２におけるラチス材３０の谷部３２とより近い位置に配設される構成となる。これにより、鉄筋トラス２はより安定して底板部４０の板面に固定され得る。また、留め部材６０の係合部６２が、鉄筋トラス２における下部主筋２０を巻き込んだ状態で取り付けられる構成となる。これにより、連結金具３、２０３が下部主筋２０から離脱し難くなり、より安定して鉄筋トラス２に係合される。よって、連結金具３、２０３と下部主筋２０の固着の強度及び安定性の向上を図ることができる。

また、連結金具３、２０３は、留め部材６０と枠状部材７０が、鉄筋トラス２におけるラチス材３０と同一の径、同一の素材で構成される。これにより、ラチス材３０の谷部３２を底板部４０の板面上に固定する工程と同一の条件で、枠状部材７０を底板部４０の板面上に固定することができる構成となる。よって、溶接に係る条件設定の手間を軽減し、デッキプレート１の製造工程における作業効率の向上を図ることができる。

また、連結金具３、２０３は、枠状部材７０が外側に拡開した構成により、拡開部７２が底板部４０の突条部４１と当接し、溶着部７３が突条部４１の上面に設定される。そのため、底板部４０の平面部分に溶接することなく、連結金具３、２０３を底板部に固定することができる。よって、底板部４０の平面部分に溶接跡がないデッキプレート１を構成し得る。

第１及び第２の実施形態に係る連結金具付き鉄筋トラス４は、枠状部材７０の拡開部７２が、ラチス材３０の谷部３２により近い位置に配設される。そのため、固着部３９が、鉄筋トラス２の端部における溶着部７３により近い位置に設定される。これにより、デッキプレート１の製造工程において、固着工程と溶着工程を同一の工程ラインで行うことが容易となり、作業効率の向上を図ることができる。

山カットの鉄筋トラス２を備えたデッキプレート１は、脚部３７が躯体梁５に掛からない構成となる。そのため、連結金具３、２０３が、鉄筋トラス２の長さ方向において、鉄筋トラス２の端部におけるラチス材３０の下方傾斜部３８Ｄより外側に位置した構成とすることにより、連結金具３、２０３の支持部材５０がより底板部４０の端側に位置し、デッキプレート１の荷重が躯体梁５に伝達される。また、留め部材６０の係合部６２が下部主筋２０を巻き込んだ状態で係合されており、枠状部材７０が下方傾斜部３８Ｄに隣接している。これにより、連結金具３、２０３は安定して鉄筋トラス２に取り付けられると共に、脚部３７により近い位置で底板部４０に固定される。よって、強固なデッキプレート１を構成することができる。

第１及び第２の実施形態に係るデッキプレートの製造方法では、溶着工程において、連結金具３、２０３における枠状部材７０の拡開部７２が、デッキプレート１における底板部４０に溶着される。これにより、連結金具３、２０３がデッキプレート１に安定して固定されると共に、鉄筋トラス２と底板部４０との固着の強度の向上を図ることができる。また、溶着工程の溶接は、固着工程と同一のラインにおいて同一の条件で機械溶接できる。これにより、連結金具付き鉄筋トラス４と底板部４０との固着の強度のばらつきを抑制でき、デッキプレート１の剛性、強度の安定性の向上を図ることができる。また、デッキプレート１を製造する工程における作業効率の向上を図ることができる。

第１実施形態に係る連結金具３は、枠状部材７０の第２直線部７１が下部主筋２０に架かった状態で、底板部４０に固定される構成となる。また、留め部材６０の係合部６２が、鉄筋トラス２における下部主筋２０をその下面側まで巻き込んだ状態で取り付けられる構成となる。これにより、連結金具３が下部主筋２０から離脱し難くなり、より安定して鉄筋トラス２に係合される。よって、連結金具３と下部主筋２０の固着の強度及び安定性の向上を図ることができる。

第１実施形態に係る連結金具３は、鉄筋トラス２の端部において、枠状部材７０がよりラチス材３０に隣接して下部主筋２０に掛かり、拡開部７２が底板部４０に固定される構成となる。これにより、連結金具付き鉄筋トラス４は、より安定してデッキプレート１の底板部４０に固定される。よって、鉄筋トラス２と連結金具３との係合、及び連結金具付き鉄筋トラス４と底板部４０の固着における、強度と安定性の向上を図ることができる。

また、第１実施形態に係る連結金具３は、支持部材５０の第２棒状部５２が、留め部材６０と枠状部材７０により両側から支持される構成である。これにより、連結金具付き鉄筋トラス４における連結金具３の姿勢が安定し得る。すなわち、連結金具３は、支持部材５０の第１棒状部５１が水平、第２棒状部５２が垂直の状態で姿勢を保つことができる。そのため、上部主筋１０に支持部材５０を溶接することなく、連結金具３を安定して鉄筋トラス２に取り付けることができる。また、支持部材５０は、第２棒状部５２の高さＨが、上部主筋１０の下面側の高さｈ１と下部主筋２０の上面側の高さｈ２の間で設定され、第２棒状部５２が上部主筋１０の高さまで延出しない構成とすることができる。よって、鉄筋トラス２と連結金具３を主筋に溶接を施すことなく係合させ、連結の作業効率の向上と連結固着の強度の維持を図ることができる。

谷カットの鉄筋トラス２を備えたデッキプレート１は、脚部３７が躯体梁５に掛かる構成となるため、連結金具３が、鉄筋トラス２の長さ方向において、鉄筋トラス２の端部におけるラチス材３０の上方傾斜部３８Ｕより中央側に位置した構成としても良い。これにより、第１実施形態に係る連結金具３は、第２接合部位３４において下部主筋２０と上方傾斜部３８Ｕに係止され、下部主筋２０から離脱し難くなる。さらには、留め部材６０の係合部６２が、第１直線部６１の両端から下方に延出した構成とすることにより、連結金具３は鉄筋トラス２に取り付け易い構成となる。よって、連結金具付き鉄筋トラス４と底板部４０の固着の強度を保持すると共に、デッキプレート１の製造工程における作業効率の向上を図ることができる。

第２実施形態に係る連結金具２０３は、留め部材６０の第１直線部６１と枠状部材７０の第２直線部７１が、鉄筋トラス２における下部主筋２０をその下面側から支持する構成となる。これにより、連結金具２０３の浮き上がりを抑制できる。また、留め部材６０の係合部６２が、鉄筋トラス２における下部主筋２０と、その外周面を巻き込んだ状態で係り合っている構成となる。これにより、連結金具２０３が下部主筋２０から離脱し難くなり、より安定して鉄筋トラス２に係合される。よって、連結金具２０３と下部主筋２０の固着の強度及び安定性の向上を図ることができる。

第２実施形態に係る連結金具２０３は、留め部材６０が下部主筋２０と係り合う状態で、係合部６２の巻き込み量を任意に設定できる。係合部６２の巻き込み量を小さくすることにより、連結金具２０３をスライドさせることなく、下部主筋２０の下方から係合させ易い構成とすることができる。よって、留め部材６０が、鉄筋トラス２の端部におけるラチス材３０の傾斜部３８より中央側に位置するように、連結金具２０３を取り付けることが容易になる。

また、第２実施形態に係る連結金具２０３は、支持部材５０の第２棒状部５２が、留め部材６０と枠状部材７０により両側から支持される構成である。この構成により、連結金具付き鉄筋トラス４における連結金具２０３の姿勢が安定し得る。すなわち、連結金具２０３は、支持部材５０の第１棒状部５１が水平、第２棒状部５２が垂直の状態で姿勢を保つことができる。そのため、上部主筋１０に支持部材５０を溶接することなく、連結金具２０３を安定して鉄筋トラス２に取り付けることができる。また、支持部材５０は、第２棒状部５２の高さＨが、上部主筋１０の下面側の高さｈ１と下部主筋２０の上面側の高さｈ２の間で設定され、第２棒状部５２が上部主筋１０の高さまで延出しない構成とすることができる。よって、鉄筋トラス２と連結金具２０３を主筋に溶接を施すことなく係合させ、連結の作業効率の向上と連結固着の強度の維持を図ることができる。

第２実施形態に係る連結金具２０３は、下部主筋２０をその下方から支持する構成により、鉄筋トラス２に掛かる荷重をより安定して支持する機能を果たす。よって、連結金具付き鉄筋トラス４の強度、剛性の向上を図ることができる。さらには、より強固なデッキプレート１を構成することができる。

第２実施形態に係るデッキプレート１は、連結金具２０３における枠状部材７０が、下部主筋２０と底板部４０の間において固定された構成となる。この構成により、連結金具２０３は、より安定して鉄筋トラス２及び底板部４０と接合され得る。よって、デッキプレート１の強度、剛性の向上を図ることができる。

＜第３から第５の実施形態における効果＞
第３から第５の実施形態においては、上記の共通の効果に加えて次の効果がある。連結金具３０３、４０３、５０３は、留め部材６０がその係合部６２において下部主筋２０と係り合って当接する。また、留め部材６０の第１直線部６１が、連結金具３０３、４０３、５０３における支持部材５０の第２棒状部５２を径方向の両側から挟むようにして支持する構成となる。この構成により、連結金具３０３、４０３、５０３が下部主筋２０と当接する部分がより多くなり、連結金具３０３、４０３、５０３と下部主筋２０の固着の強度及び安定性の向上を図ることができる。

第３から第５の実施形態に係る連結金具付き鉄筋トラス４は、連結金具３０３、４０３、５０３における留め部材６０の第１直線部６１ａ、６１ｂの間に、鉄筋トラス２におけるラチス材３０の傾斜部３８が位置するように、鉄筋トラス２の下部主筋２０と係合した構成とすることができる。これにより、留め部材６０がラチス材３０の傾斜部３８を挟む構成となるため、連結金具３０３、４０３、５０３の鉄筋トラス２からの脱落を抑制し得る。

第３から第５の実施形態に係る連結金具３０３、４０３、５０３は、留め部材６０の係合部６２の端部に有するガイド６３が、下部主筋２０の外周面を案内し、係合部６２が下部主筋２０と係り合って当接する構成となる。これにより、連結金具３０３、４０３、５０３を下部主筋２０に取り付け易くなり、係合工程における作業効率の向上を図ることができる。

第３及び第４の実施形態に係る連結金具付き鉄筋トラス４において、連結金具３０３、４０３における留め部材６０の第１直線部６１ａ、６１ｂが、鉄筋トラス２の下部主筋２０の下面側に位置し、下部主筋２０と係合されている。この構成により、連結金具３の浮き上がりを抑制でき、連結金具３と鉄筋トラス２の固着の強度及び安定性の向上を図ることができる。

第３及び第４の実施形態に係るデッキプレートの製造方法では、連結金具３０３、４０３を鉄筋トラス２に係合させてから、鉄筋トラス２を底板部４０に固着させるのが好ましい。このように係合工程を固着工程の前に行うことにより、鉄筋トラス２の下方から、連結金具３０３、４０３を鉄筋トラス２に係合させることができる。そのため、係合工程において、連結金具３０３、４０３の留め部材６０が鉄筋トラス２の下部主筋２０の下面側に位置するように、連結金具３０３、４０３を鉄筋トラス２に取り付ける作業がより容易になる。よって、デッキプレート１の製造工程における作業効率の向上を図ることができる。

また、第３及び第４の実施形態に係るデッキプレート１は、連結金具３０３、４０３の留め部材６０が下部主筋２０の下方に位置し、下部主筋２０と底板部４０の間において固定される構成となる。そのため、連結金具３０３、４０３の浮き上がりを抑制でき、連結金具３と下部主筋２０の連結の強度及び安定性の向上を図ることができる。

本発明に係る連結金具、連結金具付き鉄筋トラス及びその製造方法、並びにデッキプレート及びその製造方法は、上記第１から第５の実施形態に限られるものではなく、その他各種の形態で実施することができるものである。

鉄筋トラス２に用いる鉄筋の径や素材は、任意に選択でき、上部主筋１０と下部主筋２０に同じ径の鉄筋を用いても良く、それぞれ異なる径の鉄筋を用いても良い。なお、断面形状が円形の鉄筋に限られるものではなく、様々な種類や断面形状の鉄筋を用いても良い。また、上部主筋１０及び下部主筋２０のそれぞれの高さ位置は、鉄筋トラス２の大きさに応じて適宜設定できる。さらには、上部主筋１０及び下部主筋２０は直線状に限られず、床スラブの設計に応じて円弧状等他の形状に加工しても良い。また、上記第１から第５の実施形態においては、底板部４０には溶融亜鉛メッキ鋼板を用いた例を示したが、他の金属板を用いても良い。

鉄筋トラス２における上部主筋１０及び下部主筋２０のそれぞれの高さ位置は、鉄筋トラス２の大きさに応じて適宜設定できる。また、第２接合部位３４の位置は任意に設定できる。すなわち、下部主筋２０は、幅方向からみて鉄筋トラス２の内側又は外側のいずれの位置に接合しても良い。また、ラチス材３０の折曲点３６の位置は任意に設定できる。よって、様々な高さや幅の鉄筋トラス２を構成することができる。

鉄筋トラス２におけるラチス材３０の波状については、山部３１と谷部３２が同じ振幅、同じピッチで繰り返す構成に限られず、部分的に異なる振幅や異なるピッチを含む構成とすることもできる。例えば床スラブの段差に合わせて、ラチス材３０が部分的に異なる振幅で山部３１と谷部３２を繰り返す構成とすることもできる。

鉄筋トラス２における、長さ方向からみたラチス材３０の拡開の角度θ５、及び折曲点３６におけるラチス材３０の折曲の角度θ６は、任意に設定することができ、拡開の角度θ５を小さくしてラチス材３０の幅方向における広がりを抑えた構成としても良い。また、ラチス材３０が幅方向において拡開しない構成としても良い。

鉄筋トラス２は、ラチス材３０の山部３１又は谷部３２において切断した構成に限られず、傾斜部３８において切断した構成としても良い。また、連結金具３は、支持部材５０の第１棒状部５１が底板部４０の端部から所定の長さ分はみ出し、躯体梁５に掛かる構成であれば、鉄筋トラス２の端部において任意の位置に取り付けできる。

連結金具３は、支持部材５０の形状はＬ型に限られず、他の形状としても良い。すなわち、第１棒状部５１と第２棒状部５２がなす角度は、直角でなくとも良く、任意の角度で曲げ加工できる。また、支持部材５０には丸形の鉄筋を用いても良く、異形鉄筋を用いても良い。さらには、鉄筋の素材、径を任意に選択できる。

また、連結金具３は、鉄筋トラス２のラチス材３０が山カット、谷カット又は他の場合のいずれに対しても取り付けることができ、鉄筋トラス２の下部主筋２０と係合する構成であれば良い。さらには、鉄筋トラス２の長さ方向において、鉄筋トラス２の端部における傾斜部３８の端側、中央側、いずれの位置にも取り付けても良く、留め部材６０の形状を取り付け位置に応じて変更しても良い。これにより、種々の連結金具付き鉄筋トラス４及びデッキプレート１を提供することができる。

連結金具３を鉄筋トラス２に取り付ける係合工程においては、鉄筋トラス２を弾性変形させることなく、連結金具３を取り付けても良い。また、係合工程においては、連結金具３の構成に応じて、下部主筋２０の下方から連結金具３を鉄筋トラス２に取り付けても良く、下部主筋２０の上方から取り付けても良い。また、他の方向から取り付けても良い。また、デッキプレートの製造方法における係合工程と固着工程は、連結金具３の構成に応じて、どちらから先に行っても良く、順序を定めなくても良い。

上記第１及び第２の実施形態に係る連結金具３、２０３は、枠状部材７０の第２直線部７１の両端から延出した拡開部７２がＬ型に曲げられた形状としたが、この形状に限られず、底板部４０に接合される構成であれば良い。例えば、第２直線部７１から曲線状に延出した構成としても良い。また、第１実施形態に係る連結金具３における留め部材６０は、係合部６２が下部主筋２０の下面側まで巻き込んだ状態とする構成に限られず、下部主筋２０と係合する構成であれば良い。

第１及び第２の実施形態に係る連結金具３、２０３は、留め部材６０及び枠状部材７０の径、素材について鉄筋トラス２のラチス材３０と同一径、同一素材のものに限られず、異なる径、異なる材質のものを用いても良い。

また、第１及び第２の実施形態に係る連結金具付き鉄筋トラス４は、連結金具３、２０３の枠状部材７０が鉄筋トラス２の傾斜部３８に隣接して位置する構成としたが、留め部材６０が傾斜部３８に隣接して位置する構成としても良い。

上記第３から第５の実施形態に係る連結金具３０３、４０３、５０３は、留め部材６０が、支持部材５０の第２棒状部５２に対して径方向の両側から挟む構成に限られず、第２棒状部５２の径方向において片側にのみ留め部材６０を接合する構成としても良い。また、留め部材６０の係合部６２が、ガイド６３を有する構成としたが、ガイド６３を有さない構成としても良く、鉄筋トラス２における下部主筋２０と係合する構成であれば良い。

上記第４実施形態に係る連結金具４０３の留め部材６０は、一方の第１直線部６１のみが鉄筋トラス２の長さ方向において、傾斜した構成としても良い。すなわち、対向している第１直線部６１ａ、６１ｂの両端における係合部６２からガイド６３の端部までの部分が、互いに離間するように傾斜した構成としたが、例えば一方の第１直線部６１ａが傾斜部３８に沿って傾斜した構成としても良い。

また、第４実施形態に係る連結金具４０３は、留め部材６０が、鉄筋トラス２の長さ方向において、対向した第１直線部６１ａ、６１ｂの間に傾斜部３８が位置する構成としたが、連結金具４０３を他の位置に取り付ける場合においても、一方の第１直線部６１を傾斜部３８に沿うように傾斜させた構成としても良い。これにより、留め部材６０と傾斜部３８が干渉することなく、連結金具４０３が鉄筋トラス２に取り付けられる構成とすることができる。

１ デッキプレート
２ 鉄筋トラス
３、２０３、３０３、４０３、５０３ 連結金具
４ 連結金具付き鉄筋トラス
５ 躯体梁
１０ 上部主筋
２０ 下部主筋
３０ ラチス材
３１ 山部
３２ 谷部
３３ 第１接合部位
３４ 第２接合部位
３６ 折曲点
３７ 脚部
３８ 傾斜部
３８Ｕ 上方傾斜部
３８Ｄ 下方傾斜部
４０ 底板部
４１ 突条部
５０ 支持部材
５１ 第１棒状部
５２ 第２棒状部
６０ 留め部材
６１ 第１直線部
６２ 係合部
６３ ガイド
７０ 枠状部材
７１ 第２直線部
７２ 拡開部

Claims (18)

1. 線状に延在する上部主筋と、前記上部主筋の下方に並行して線状に延在し、互いに離間した２本の下部主筋と、前記上部主筋の長さ方向に沿って山部と谷部を繰り返した波状の一対のラチス材と、を備える鉄筋トラスが、コンクリートスラブに用いられる構造材としての底板部と一体となって建造物の躯体梁に掛け渡されるデッキプレートの端部に連結される、連結金具であって、
   前記デッキプレートの前記底板部の板面方向に延出した第１棒状部と、前記第１棒状部の一端が屈曲して上方に延出した第２棒状部と、を有する支持部材と、
   前記支持部材の前記第２棒状部と交差して接合された第１直線部と、前記第１直線部の両端に、前記鉄筋トラスにおける前記下部主筋に係り合った状態を維持する係合部と、を有する留め部材と、
   を備えた、連結金具。
2. 請求項１に記載の連結金具であって、
   前記留め部材に加え、
   前記支持部材の前記第２棒状部と交差して接合された第２直線部と、
   前記第２直線部の両端から前記底板部の板面に向かって延出し、下端が互いに離間するように側方に拡開して、前記底板部の板面と当接する拡開部と、を有する枠状部材を備え、
   前記枠状部材の前記拡開部は、前記デッキプレートにおける前記底板部の板面から突出し、前記鉄筋トラスにおける前記ラチス材の前記谷部と接合する突条部まで延出し、前記突条部と接合可能な構成とする、連結金具。
3. 請求項２に記載の連結金具であって、
   前記留め部材は、
   前記第１直線部が、前記鉄筋トラスにおける前記下部主筋の下面側と接すると共に、
   前記係合部が、前記下部主筋の外周面に巻き込んだ状態で係り合っている構成であり、
   前記枠状部材は、
   前記第２直線部が、前記鉄筋トラスにおける前記下部主筋の下面側から前記下部主筋を支持する、連結金具。
4. 請求項２に記載の連結金具であって、
   前記留め部材は、
   前記第１直線部が、前記鉄筋トラスにおける前記下部主筋の上面側と接すると共に、
   前記係合部が、前記下部主筋の下面側まで巻き込んだ状態で取り付けられる構成であり、
   前記枠状部材は、
   前記第２直線部が、２本の前記下部主筋に掛け渡される構成とする、連結金具。
5. 請求項２から請求項４のいずれか一項に記載の連結金具であって、
   前記枠状部材は、
   前記鉄筋トラスの長さ方向において、前記ラチス材の端部における前記山部と前記谷部を結ぶ傾斜部に隣接するように配設される、連結金具。
6. 請求項２から請求項５のいずれか一項に記載の連結金具であって、
   前記枠状部材は、前記鉄筋トラスにおける前記ラチス材と同一径、同一素材の設定で構成される、連結金具。
7. 請求項１に記載の連結金具であって、
   前記留め部材は、前記第１直線部が、前記第２棒状部に対し、前記第２棒状部の径方向の両側から挟むように互いに対向する、連結金具。
8. 請求項７に記載の連結金具であって、
   前記留め部材は、前記第１直線部が前記下部主筋の下面側と接した状態で係合されて取り付けられる構成とする、連結金具。
9. 請求項２から請求項６のいずれか一項に記載の連結金具と、
   前記鉄筋トラスと、を備え、
   前記鉄筋トラスにおける前記一対のラチス材は、前記上部主筋を、前記上部主筋の長さ方向と交差する幅方向の両側から挟むように互いに対向し、前記山部が前記上部主筋と接合されていると共に、前記山部と前記谷部の中間部位が前記下部主筋とそれぞれ接合されており、
   前記連結金具における前記留め部材は、
   前記係合部が前記鉄筋トラスの前記下部主筋と係合しており、
   前記連結金具における前記枠状部材は、
   前記鉄筋トラスの長さ方向において、前記ラチス材の端部における前記山部と前記谷部を結ぶ傾斜部に隣接して位置している、
   連結金具付き鉄筋トラス。
10. 請求項７又は請求項８に記載の連結金具と、
    前記鉄筋トラスと、を備え、
    前記鉄筋トラスにおける前記一対のラチス材は、前記上部主筋を、前記上部主筋の長さ方向と交差する幅方向の両側から挟むように互いに対向し、前記山部が前記上部主筋と接合されていると共に、前記山部と前記谷部の中間部位が前記下部主筋とそれぞれ接合されており、
    前記連結金具における前記留め部材の前記係合部は、前記鉄筋トラスの前記下部主筋と係合している、
    連結金具付き鉄筋トラス。
11. 請求項９又は請求項１０に記載の連結金具付き鉄筋トラスであって、
    前記連結金具における前記留め部材は、前記鉄筋トラスの長さ方向において、前記ラチス材の端部における前記山部と前記谷部を結ぶ傾斜部より中央側に位置している、
    連結金具付き鉄筋トラス。
12. 請求項１０に記載の連結金具付き鉄筋トラスであって、
    前記連結金具における前記留め部材は、前記鉄筋トラスの長さ方向において、対向した前記第１直線部の間に、前記ラチス材の端部における前記山部と前記谷部を結ぶ傾斜部が位置している、
    連結金具付き鉄筋トラス。
13. 請求項９から請求項１１のいずれか一項に記載の連結金具付き鉄筋トラスと、
    金属製の前記底板部と、を有しており、
    前記連結金具付き鉄筋トラスは、所定間隔を隔てて複数並設した状態で、前記底板部の板面に一体的に固着された、デッキプレート。
14. 線状に延在する上部主筋と、前記上部主筋の下方に並行して線状に延在する２本の下部主筋と、前記上部主筋の長さ方向に沿って山部と谷部を繰り返した波状である一対のラチス材と、を備え、前記山部と前記上部主筋とが接合されると共に、前記山部と前記谷部の中間部位と前記下部主筋とが接合される鉄筋トラスとする、鉄筋トラス成形工程と、
    棒状に延出した第１棒状部と、前記第１棒状部の一端を屈曲させて延出した第２棒状部とを有する支持部材とする、支持部材成形工程と、
    前記支持部材の前記第２棒状部と交差して接合される第１直線部と、前記第１直線部の両端に、前記鉄筋トラスにおける前記下部主筋に係り合った状態を維持する係合部と、を有する留め部材とする、留め部材成形工程と、
    前記支持部材と前記留め部材とが接合された連結金具とする、連結金具成形工程と、
    前記連結金具を前記鉄筋トラスに係合させる、係合工程と、
    を含む、連結金具付き鉄筋トラスの製造方法。
15. 請求項１４に記載の連結金具付き鉄筋トラスの製造方法であって、
    前記係合工程は、前記鉄筋トラスにおける２本の前記下部主筋が互いに近接するように、前記鉄筋トラスを弾性変形させてから前記連結金具を取り付けて、前記鉄筋トラスと係合させる、連結金具付き鉄筋トラスの製造方法。
16. 線状に延在する上部主筋と、前記上部主筋の下方に並行して線状に延在する２本の下部主筋と、前記上部主筋の長さ方向に沿って山部と谷部を繰り返した波状である一対のラチス材と、を備え、前記山部と前記上部主筋とが接合されると共に、前記山部と前記谷部の中間部位と前記下部主筋とが接合される鉄筋トラスとする、鉄筋トラス成形工程と、
    棒状に延出した第１棒状部と、前記第１棒状部の一端を屈曲させて延出した第２棒状部とを有する支持部材とする、支持部材成形工程と、
    前記支持部材の前記第２棒状部と交差して接合される第１直線部と、前記第１直線部の両端に、前記鉄筋トラスにおける前記下部主筋に係り合った状態を維持する係合部と、を有する留め部材とする、留め部材成形工程と、
    前記支持部材と前記留め部材とが接合された連結金具とする、連結金具成形工程と、
    前記連結金具を前記鉄筋トラスに係合させる、係合工程と、
    前記鉄筋トラスの前記谷部を、コンクリートスラブに用いられる構造体としての底板部の板面にそれぞれ固着させる、固着工程と、
    を含む、デッキプレートの製造方法。
17. 請求項１６に記載のデッキプレートの製造方法であって、
    前記支持部材の前記第２棒状部と交差して接合される第２直線部と、前記第２直線部の両端が前記底板部の板面に向かって延出し、下端が互いに離間するように側方に拡開して、前記底板部の板面と当接する拡開部と、を有する枠状部材とする、枠状部材成形工程と、
    前記支持部材と、前記留め部材、前記枠状部材が接合された連結金具とする、連結金具成形工程と、
    前記連結金具における前記枠状部材の前記拡開部を、前記底板部の板面に溶着させる、溶着工程と、を含む、デッキプレートの製造方法。
18. 請求項１６又は請求項１７に記載のデッキプレートの製造方法であって、
    前記係合工程は、前記固着工程より前に行われる、デッキプレートの製造方法。

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