JP2021178933A - 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物及び物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】近年、使用用途が広がっているエンジニアリングプラスチック(ナイロン66、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド等)や広く使用されている金属(アルミニウム、鉄、ステンレス鋼等)への接着性、耐水接着性及び作業性が良好な室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物、及び該組成物又はその硬化物を有する各種物品等を提供する。【解決手段】特定のオルガノポリシロキサン組成物において、ポリフェニレンエーテルの末端基をアルコキシシリル化したポリマーと、窒素官能性基含有一価炭化水素基を有する加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物とを併用する。【選択図】なし

Description

本発明は、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物、特に、金属及びエンジニアリングプラスチックなどの有機樹脂等の各種基材に対する接着性(特に耐水接着性)に優れる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物、及び該組成物又はその硬化物を有する各種物品等に関する。
室温で硬化してシリコーンゴムとなる組成物は従来から知られており、産業界で広く使用されてきた。室温で硬化する機構には、ヒドロシリル化反応によって硬化する機構、紫外線によって硬化する機構、ケイ素原子に結合する加水分解性基と水酸基との縮合反応によって硬化する機構などが知られている。中でも、縮合反応により硬化するオルガノポリシロキサン組成物は室温にて容易に硬化することができ、また、ヒドロシリル化反応などで起こる、不純物による硬化阻害を起しにくいという利点を有する。そのため、車載ガスケットやシール材、建築用シーラント、電気・電子部品などの分野で幅広く使用されている。
これらの用途に用いられる際、一つの重要な要素として挙げられるのが硬化したシリコーンゴムと基材との接着性とその浸水接着性である。シリコーンゴムはその耐候性や、化学的な安定性の高さから、様々な屋外用途での使用がなされている。しかし、シリコーンゴムは各種基材への接着性に乏しく、接着性を向上させるため、室温硬化型シリコーンゴム組成物に、アミノ基やエポキシ基、メタクリル基、メルカプト基などを持つシラン化合物を添加する手法が広く用いられている。
従来、アミノ基含有アルコキシシラン化合物としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−アミノエチルアミノメチルフェネチルトリメトキシシラン、N−[m−アミノメチルフェニルメチル]−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が知られており(特許文献1:特開2008−163143号公報)、エポキシ基含有アルコキシシラン化合物としては、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が知られている(特許文献2:特開2004−307723号公報)。メタクリル基含有アルコキシシラン化合物としては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等が知られており(特許文献3:特開2006−156964号公報)、メルカプト基含有アルコキシシラン化合物としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどが知られている(特許文献4:特開平9−12861号公報)。このように、すでに数多くのアルコキシシラン化合物が接着助剤として用いられているが、基材との接着性やその浸水接着性の改善要求は年々高まってきている。
特開2008−163143号公報 特開2004−307723号公報 特開2006−156964号公報 特開平9−12861号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、近年、使用用途が広がっているエンジニアリングプラスチック(ナイロン66、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド等)や広く使用されている金属(アルミニウム、鉄、ステンレス鋼等)への接着性、耐水接着性及び作業性が良好な室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物、及び該組成物又はその硬化物を有する各種物品等を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、特定のオルガノポリシロキサン組成物において、ポリフェニレンエーテルの末端基をアルコキシシリル化したポリマーと、窒素官能性基含有一価炭化水素基を有する加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物とを併用することにより、エンジニアリングプラスチック(ナイロン66、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド等)や金属(アルミニウム、鉄、ステンレス鋼等)に対する接着性を向上させ、更に浸水接着性が改善することを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、下記の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物及び該組成物又はその硬化物を有する各種物品(自動車用部品、自動車用オイルシール、電気用部品、電子用部品、建築用構造物、土木工事用構造物、接着剤、シーリング剤、ポッティング剤、コーティング剤など)等を提供するものである。
[1]
(A)分子鎖両末端に水酸基及び/又は加水分解性シリル基を有する下記一般式(1)で示される23℃における粘度が20〜1,000,000mPa・sであるジオルガノポリシロキサン:100質量部、
Figure 2021178933
〔式中、R1は、互いに独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基及び炭素原子数2〜10のアルコキシアルキル基から選択される基である。R2は、互いに独立に、非置換又は置換の炭素原子数1〜18の一価炭化水素基である。aは0、1又は2であるが、R1がアルキル基又はアルコキシアルキル基である場合は、aは0又は1であり、R1が水素原子である場合は、aは2である。nは、ジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度が、20〜1,000,000mPa・sとなる数である。Yは、互いに独立に、酸素原子、炭素原子数1〜20の非置換もしくは置換の二価炭化水素基、又は下記式で示される基である。
Figure 2021178933
(式中、R2は上記の通りであり、Zは炭素原子数1〜20の非置換又は置換の二価炭化水素基である。)〕
(B)(A)、(C)、(D)成分以外の、ケイ素原子に結合した加水分解性基を分子中に3個以上有する加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物:0.1〜40質量部、
(C)分子鎖片末端及び/又は分子鎖両末端が加水分解性シリル基で封鎖された直鎖状ポリフェニレンエーテル化合物の5〜50質量%溶液:0.1〜50質量部、
(D)下記一般式(4)で示されるシランカップリング剤及び/又はその部分加水分解縮合物:0.01〜5質量部、及び
911 dSi(OR103-d (4)
(式中、R9は、窒素原子を少なくとも1個有する炭素数1〜20の一価炭化水素基である。R10、R11は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基であり、dは0、1又は2である。)
(E)硬化触媒:0.01〜3質量部
を含有する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
[2]
(C)成分中の分子鎖片末端及び/又は分子鎖両末端が加水分解性シリル基で封鎖された直鎖状ポリフェニレンエーテル化合物が、下記平均構造式(2)で表される有機ケイ素化合物である[1]に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
Figure 2021178933
{式中、R3は、互いに独立して、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10のアルキル基、又は非置換もしくは置換の炭素原子数6〜10のアリール基を表し、R4は、互いに独立して、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10のアルキル基、非置換もしくは置換の炭素原子数2〜10のアルケニル基、非置換もしくは置換の炭素原子数6〜10のアリール基、又は非置換もしくは置換の炭素原子数7〜10のアラルキル基を表し、A1は、単結合、又はヘテロ原子を含有する二価の連結基を表し、A2は、単結合、又はヘテロ原子を含まない、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜20の二価炭化水素基を表す。R5は、互いに独立して、ハロゲン原子、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルキル基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルコキシ基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルキルチオ基、又は非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のハロアルコキシ基を表し、R6は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルキル基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルコキシ基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルキルチオ基、又は非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のハロアルコキシ基を表し、R7は、水素原子、ハロゲン原子、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルキル基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルコキシ基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルキルチオ基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のハロアルコキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、スチリル基、ビニル基又はエポキシ基を表し、bは、それぞれ独立して、1〜100の数であり、cは、0以上2未満の数である。mは1〜3の正数を示す。Bは、下記式で表される連結基を表す。
Figure 2021178933
〔式中、R6は、前記と同じ意味を表し、Lは、単結合、又は下記式から選ばれる連結基を表す。
Figure 2021178933
(式中、R8は、互いに独立して、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基又は炭素原子数7〜10のアラルキル基を表す。)〕}
[3]
上記平均構造式(2)において、−A1−A2−が、下記式(5)又は(6)で表される構造である[2]に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
Figure 2021178933
[4]
上記平均構造式(2)において、cが0である[2]又は[3]に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
[5]
上記平均構造式(2)において、cが1である[2]又は[3]に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
[6]
上記平均構造式(2)において、左端のR7−A2−A1−が水酸基であり、かつ右側の加水分解性シリル基に結合する−A1−A2−が下記式(5)又は(6)で表される構造である[5]に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
Figure 2021178933
[7]
更に、(F)成分として少なくとも1種の無機充填剤を含むものである[1]〜[6]のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
[8]
[1]〜[7]のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物を有する自動車用部品。
[9]
[1]〜[7]のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物を有する自動車用オイルシール。
[10]
[1]〜[7]のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物を有する電気・電子用部品。
[11]
[1]〜[7]のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物を有する建築用構造物。
[12]
[1]〜[7]のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物を有する土木工事用構造物。
[13]
[1]〜[7]のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を含む接着剤。
[14]
[1]〜[7]のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を含むシーリング剤。
[15]
[1]〜[7]のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を含むポッティング剤。
[16]
[1]〜[7]のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を含むコーティング剤。
本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、エンジニアリングプラスチック(ナイロン66(PA66)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等)及び金属(アルミニウム、鉄、ステンレス鋼等)への接着性及び浸水接着性が良好である。
以下、本発明を詳細に説明する。特に記述がない限り、「室温」とは温度23℃±5℃、湿度50%RH±5%RHの状態をいう。
[(A)成分]
(A)成分は分子鎖両末端に水酸基及び/又は加水分解性シリル基を有するジオルガノポリシロキサンであり、本発明のオルガノポリシロキサン組成物の主成分である。該ジオルガノポリシロキサンの分子構造は直鎖状である。該ジオルガノポリシロキサンは分子鎖にシルアルキレン構造(−SiRSi−)を有するものであってもよい。前記式においてRは、炭素原子数1〜20、好ましくは1〜6の二価炭化水素基であり、炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部がハロゲン原子もしくはシアノ基で置換されているものであってもよい。
該(A)成分のジオルガノポリシロキサンは、23℃における粘度が20〜1,000,000mPa・s、好ましくは100〜300,000mPa・s、更に好ましくは1,000〜200,000mPa・s、特に好ましくは5,000〜100,000mPa・sである。ジオルガノポリシロキサンの粘度が上記下限値(20mPa・s)未満であると、後述する(B)成分が多量に必要となるため、経済的に不利となる。また、ジオルガノポリシロキサンの粘度が上記上限値(1,000,000mPa・s)超では、作業性が低下するので、好ましくない。本発明において、粘度は回転粘度計(例えば、BL型、BH型、BS型、コーンプレート型、レオメータ等)にて測定することができる。
(A)成分のジオルガノポリシロキサンが有する加水分解性シリル基とは、アルコキシ基、又はアルコキシアルコキシ基である。ジオルガノポリシロキサンの各末端に存在する水酸基及び加水分解性シリル基の数は、末端に水酸基を有する場合は、分子鎖の両末端に、ケイ素原子に結合する水酸基(即ち、シラノール基又はヒドロキシシリル基)を一つずつ有する。また、末端にアルコキシ基又はアルコキシアルコキシ基を有する場合は、分子鎖の両末端に、ケイ素原子に結合するアルコキシ基又はケイ素原子に結合するアルコキシアルコキシ基を、2つ(即ち、ジアルコキシシリル基又はジアルコキシアルコキシシリル基)又は3つ(即ち、トリアルコキシシリル基又はトリアルコキシアルコキシシリル基)ずつ有する。
アルコキシ基は、炭素原子数1〜10のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基等が挙げられる。アルコキシアルコキシ基は、全炭素原子数2〜10のアルコキシアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシメトキシ基が挙げられる。(A)成分のジオルガノポリシロキサンとしては、特に、ジオルガノポリシロキサンの両末端に水酸基、メトキシ基、又はエトキシ基を有するものが好ましい。
水酸基及び加水分解性シリル基以外の、ケイ素原子に結合する有機基としては、非置換又は置換の、炭素原子数1〜18、好ましくは炭素原子数1〜10の一価炭化水素基が挙げられる。該一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの基の炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子又はシアノ基で置換したもの、例えば、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化一価炭化水素基;β−シアノエチル基、γ−シアノプロピル基等のシアノアルキル基が例示される。中でもメチル基であることが好ましい。
上記(A)ジオルガノポリシロキサンは、下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2021178933
〔式中、R1は、互いに独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基及び炭素原子数2〜10のアルコキシアルキル基から選択される基である。R2は、互いに独立に、非置換又は置換の炭素原子数1〜18の一価炭化水素基である。aは0、1又は2であるが、R1がアルキル基又はアルコキシアルキル基である場合は、aは0又は1であり、R1が水素原子である場合は、aは2である。nは、ジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度が、20〜1,000,000mPa・sとなる数である。Yは、互いに独立に、酸素原子、炭素原子数1〜20の非置換もしくは置換の二価炭化水素基、又は下記式で示される基である。
Figure 2021178933
(式中、R2は上記の通りであり、Zは炭素原子数1〜20の非置換又は置換の二価炭化水素基である。)〕
上記式(1)中、R1は、互いに独立に、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、及びオクチル基等の炭素原子数1〜10のアルキル基;メトキシメチル基、メトキシエチル基、及びエトキシメチル基等の炭素原子数2〜10のアルコキシアルキル基から選択される基である。好ましくは、水素原子、メチル基、又はエチル基である。
2は、互いに独立に、非置換又は置換の、炭素原子数1〜18、好ましくは炭素原子数1〜10の一価炭化水素基である。該一価炭化水素基としては、上述した水酸基及び加水分解性シリル基以外のケイ素原子に結合する有機基が挙げられ、中でもメチル基であることが好ましい。
aは0、1又は2であるが、R1がアルキル基又はアルコキシアルキル基である場合は、aは0又は1であり、R1が水素原子である場合は、aは2である。
nは、ジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度が、20〜1,000,000mPa・s、好ましくは100〜300,000mPa・s、更に好ましくは1,000〜200,000mPa・s、特に好ましくは5,000〜100,000mPa・sとなる数であり、例えば、30〜3,000の整数、好ましくは50〜2,500の整数、更に好ましくは100〜2,000の整数、特には250〜1,500程度の整数であればよい。なお、分子中のジオルガノシロキサン単位の繰り返し数(n)は、例えば、トルエン等を展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析におけるポリスチレン換算の数平均重合度(又は数平均分子量)等として求めることができる。
上記式(1)中、Yは、互いに独立に、酸素原子、炭素原子数1〜20、好ましくは炭素原子数1〜6の非置換もしくは置換の二価炭化水素基、又は下記式で示される基である。
Figure 2021178933
(式中、R2は上記の通りであり、Zは炭素原子数1〜20、好ましくは炭素原子数1〜6の、非置換又は置換の二価炭化水素基である。)
ここで、Y及びZの二価炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、2−メチルプロピレン基等のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基、これらアルキレン基とアリーレン基とが結合した基や、これらの基の炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部がハロゲン原子又はシアノ基で置換されたものなどが挙げられる。二価炭化水素基は直鎖状であっても分岐構造を有していてもよいが、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等の直鎖アルキレン基が好ましく、特にエチレン基が好ましい。
Yは、酸素原子もしくはエチレン基であることが特に好ましい。
上記ジオルガノポリシロキサンは、従来公知の方法で製造することができる。該ジオルガノポリシロキサンは、1種単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。
[(B)成分]
(B)成分は、ケイ素原子に結合した加水分解性基を分子中に3個以上有する加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物(該オルガノシラン化合物を部分的に加水分解して生成する、分子中に残存加水分解性基を少なくとも2個、好ましくは3個以上含有するオルガノシロキサンオリゴマー)である。(B)成分は上記(A)成分と縮合反応して架橋構造を形成する。但し、本発明において、該(B)成分は上記(A)成分、(C)成分及び(D)成分とは異なる化合物である。
(B)成分の加水分解性オルガノシラン化合物又はオルガノシロキサンオリゴマーが有する加水分解性基としては、全炭素原子数1〜10である、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アシロキシ基、アルケノキシ基、ケトオキシム基、アミノキシ基、及びアミド基が挙げられる。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基等のアルコキシ基;メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基等のアルコキシアルコキシ基;アセトキシ基、オクタノイルオキシ基等のアシロキシ基;ビニロキシ基、イソプロペノキシ基、1−エチル−2−メチルビニルオキシ基等のアルケノキシ基;ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、メチルイソブチルケトオキシム基等のケトオキシム基;ジメチルアミノキシ基、ジエチルアミノキシ基等のアミノキシ基;N−メチルアセトアミド基、N−エチルアセトアミド基等のアミド基が挙げられる。
上記加水分解性基以外の、ケイ素原子に結合する有機基としては、非置換又は置換の、炭素原子数1〜18、好ましくは炭素原子数1〜10の一価炭化水素基が挙げられる。該一価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの基の炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子又はシアノ基で置換したもの、例えば、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。中でも、有機基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ビニル基、フェニル基が好ましい。なお、(B)成分の加水分解性シラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物は、加水分解性基以外には分子中に、ケイ素原子に結合する一価炭化水素基として窒素原子を含む官能性基を有する一価炭化水素基を含有しないものである。
(B)成分の加水分解性オルガノシラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等のアルコキシシラン;メチルトリス(ジメチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、エチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(メチルイソブチルケトオキシム)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン[別名:ビニルトリブタノキシムシラン]等のケトオキシムシラン;メチルトリ(メトキシメトキシ)シラン、エチルトリ(メトキシメトキシ)シラン、ビニルトリ(メトキシメトキシ)シラン、フェニルトリ(メトキシメトキシ)シラン、メチルトリ(エトキシメトキシ)シラン、エチルトリ(エトキシメトキシ)シラン、ビニルトリ(エトキシメトキシ)シラン、フェニルトリ(エトキシメトキシ)シラン、テトラ(メトキシメトキシ)シラン、テトラ(エトキシメトキシ)シラン等のアルコキシアルコキシシラン;メチルトリス(N,N−ジエチルアミノキシ)シラン等のアミノキシシラン;メチルトリス(N−メチルアセトアミド)シラン、メチルトリス(N−ブチルアセトアミド)シラン、メチルトリス(N−シクロヘキシルアセトアミド)シラン等のアミドシラン;メチルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、フェニルトリイソプロペノキシシラン等のアルケノキシシラン;メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のアセトキシシランが挙げられる。
(B)成分のオルガノシロキサンオリゴマー(加水分解性オルガノシロキサン)としては、上記加水分解性オルガノシラン化合物の部分加水分解縮合物が挙げられる。該シロキサンの重量平均分子量は特に制限されるものでないが、上記シラン化合物が2〜100個、好ましくは2〜20個重合したオリゴマーであるのが好ましい。該加水分解性オルガノシロキサンは、複数の重合度を有するオリゴマーの混合物であってもよい。
(B)成分は、1種単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、本発明の効果を妨げない範囲で、一分子中に加水分解性基を2個有する加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物を併用してもよい。
(B)成分の量は、(A)成分100質量部に対して0.1〜40質量部であり、好ましくは1〜20質量部である。(B)成分の量が上記下限値(0.1質量部)未満では、硬化性や保存性の低下を招くおそれがある。また、上記上限値(40質量部)を超えると、価格的に不利になるばかりか、硬化物の伸びが低下したり、耐久性の悪化を招いたりするおそれがある。
[(C)成分]
次に、(C)成分は、分子鎖片末端及び/又は分子鎖両末端が加水分解性シリル基で封鎖された直鎖状ポリフェニレンエーテル化合物の5〜50質量%溶液であり、特には、該直鎖状ポリフェニレンエーテル化合物の5〜50質量%溶液が、下記平均構造式(2)で表される有機ケイ素化合物の5〜50質量%溶液であり、本組成物に良好な接着性と浸水接着性を発現させるための必須成分である。
Figure 2021178933
{式中、R3は、互いに独立して、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10のアルキル基、又は非置換もしくは置換の炭素原子数6〜10のアリール基を表し、R4は、互いに独立して、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10のアルキル基、非置換もしくは置換の炭素原子数2〜10のアルケニル基、非置換もしくは置換の炭素原子数6〜10のアリール基、又は非置換もしくは置換の炭素原子数7〜10のアラルキル基を表し、A1は、単結合、又はヘテロ原子を含有する二価の連結基を表し、A2は、単結合、又はヘテロ原子を含まない、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜20の二価炭化水素基を表す。R5は、互いに独立して、ハロゲン原子、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルキル基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルコキシ基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルキルチオ基、又は非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のハロアルコキシ基を表し、R6は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルキル基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルコキシ基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルキルチオ基、又は非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のハロアルコキシ基を表し、R7は、水素原子、ハロゲン原子、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルキル基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルコキシ基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルキルチオ基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のハロアルコキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、スチリル基、ビニル基又はエポキシ基を表し、bは、それぞれ独立して、1〜100の数であり、cは、0以上2未満の数である。mは1〜3の正数を示す。Bは、下記式で表される連結基を表す。)
Figure 2021178933
〔式中、R6は、前記と同じ意味を表し、Lは、単結合、又は下記式から選ばれる連結基を表す。
Figure 2021178933
(式中、R8は、互いに独立して、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基又は炭素原子数7〜10のアラルキル基を表す。)〕}
上記平均構造式(2)中、R3は、互いに独立して、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10のアルキル基、又は非置換もしくは置換の炭素原子数6〜10のアリール基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;これらの基の炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子又はシアノ基で置換したもの、例えば、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基やハロゲン化アリール基;β−シアノエチル基、γ−シアノプロピル基等のシアノアルキル基やシアノアリール基が例示される。これらの中でも好ましくは炭素数1〜6のアルキル基もしくはフェニル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基である。
4は、互いに独立して、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10のアルキル基、非置換もしくは置換の炭素原子数2〜10のアルケニル基、又は非置換もしくは置換の炭素原子数6〜10のアリール基、又は非置換もしくは置換の炭素原子数7〜10のアラルキル基を表し、アルキル基、アリール基としては、R3で例示したものと同様のものが例示でき、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等が例示できる。これらの中でも好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、ビニル基、フェニル基、ベンジル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ビニル基、ベンジル基である。
また、mは1〜3の正数を示し、好ましくは2もしくは3である。
上記平均構造式(2)中、A1は、単結合、又はヘテロ原子を含有する二価の連結基を表し、ヘテロ原子を含有する二価の連結基の具体例としては、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、アミノ結合(−NH−)、スルホニル結合(−S(=O)2−)、ホスフィニル結合(−P(=O)OH−)、オキソ結合(−C(=O)−)、チオオキソ結合(−C(=S)−)、エステル結合(−C(=O)O−)、チオエステル結合(−C(=O)S−)、チオノエステル結合(−C(=S)O−)、ジチオエステル結合(−C(=S)S−)、炭酸エステル結合(−OC(=O)O−)、チオ炭酸エステル結合(−OC(=S)O−)、アミド結合(−C(=O)NH−)、チオアミド結合(−C(=S)NH−)、ウレタン結合(−OC(=O)NH−)、チオウレタン結合(−SC(=O)NH−)、チオノウレタン結合(−OC(=S)NH−)、ジチオウレタン結合(−SC(=S)NH−)、尿素結合(−NHC(=O)NH−)、チオ尿素結合(−NHC(=S)NH−)等が挙げられる。
これらの中でも、A1としては、単結合、エーテル結合(−O−)、又はウレタン結合(−OC(=O)NH−)が好ましい。
上記平均構造式(2)中、A2は、単結合、又はヘテロ原子を含まない、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜20の二価炭化水素基を表し、ヘテロ原子を含まない、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜20の二価炭化水素基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、テトラメチレン基、イソブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、へプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基、ノナデカメチレン基、エイコサデシレン基等のアルキレン基;シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等のシクロアルキレン基;フェニレン基、α−,β−ナフチレン基等のアリーレン基などが挙げられる。
これらの中でも、A2としては、単結合、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、オクタメチレン基が好ましく、単結合、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基がより好ましく、単結合、エチレン基、トリメチレン基がより一層好ましい。
上記平均構造式(2)中、R5は、互いに独立して、ハロゲン原子、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルキル基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルコキシ基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルキルチオ基、又は非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のハロアルコキシ基を表し、R6は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルキル基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルコキシ基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルキルチオ基、又は非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のハロアルコキシ基を表す。
5及びR6の炭素原子数1〜12のアルキル基としては、直鎖状、環状、分岐状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の直鎖又は分岐状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
5及びR6の炭素原子数1〜12のアルコキシ基としては、直鎖状、環状、分岐状のいずれでもよく、その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基等の直鎖又は分岐状アルコキシ基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基等のシクロアルキルオキシ基が挙げられる。
5及びR6の炭素原子数1〜12のアルキルチオ基としては、メチルチオ基(CH3S−)、エチルチオ基(C25S−)、プロピルチオ基(C37S−)、ブチルチオ基(C49S−)、ペンチルチオ基(C511S−)、ヘキシルチオ基(C613S−)、ヘプチルチオ基(C715S−)、オクチルチオ基(C817S−)等が挙げられる。
5及びR6の炭素原子数1〜12のハロアルコキシ基としては、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、6−ブロモヘキシル基、10−クロロクロロデシル基等が挙げられる。
また、これら各基の水素原子の一部又は全部は、フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子、メルカプト基、シアノ基等で置換されていてもよく、そのような基の具体例としては、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−メルカプトプロピル基、2−シアノエチル基等が挙げられる。R5及びR6のハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素等が挙げられる。
これらの中でも、R5としては、製造の容易性の観点から、メチル基、メトキシ基が好ましく、メチル基がより好ましい。一方、R6としては、水素原子、メチル基、メトキシ基が好ましく、水素原子がより好ましい。
上記平均構造式(2)中、R7は、水素原子、ハロゲン原子、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルキル基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルコキシ基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルキルチオ基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のハロアルコキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、スチリル基、ビニル基又はエポキシ基を表し、R7としては前記のR5及びR6と同様の置換基に加えて、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、スチリル基、ビニル基又はエポキシ基が挙げられる。この中でも、R7としては、特に水素原子、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、スチリル基、エポキシ基が好ましい。なお、上記A1が酸素原子、A2が単結合の場合、R7は水素原子であることが好ましい。
また、上記平均構造式(2)中、bは、互いに独立して1〜100の数であるが、組成物への接着性付与の観点から、3〜50が好ましく、5〜20がより好ましい。bが1より小さい場合には良好な接着性得られないおそれがあり、bが100より大きい場合には、組成物への分散性が低下するおそれがある。
cは、0以上、2未満の数(0≦c<2)であるが、製造の容易性の観点から、0〜1.5(0≦c≦1.5)が好ましく、0〜1.2(0≦c≦1.2)がより好ましく、0〜1(0≦c≦1)がより一層好ましく、特には0又は1である。
上記式(2)中、Bは、下記式で表される連結基を表す。
Figure 2021178933
〔式中、R6は、前記と同じ意味を表し、Lは、単結合、又は下記式
Figure 2021178933
(式中、R8は、互いに独立して、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基又は炭素原子数7〜10のアラルキル基を表し、上述したアルキル基、アリール基、アラルキル基と同様のものが例示でき、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基又は炭素原子数7〜10のアラルキル基であり、特に好ましくはメチル基、エチル基、ベンジル基である。)
から選ばれる連結基を表す。〕
更に、本発明において、上記平均構造式(2)中の−A1−A2−基としては(特に、上記平均構造式(2)において、cが0である場合には、1分子中に2個存在する−A1−A2−基のいずれもが)、式(5)又は(6)で表される基が好適である。
Figure 2021178933
なお、上記平均構造式(2)において、cが0より大きく2未満の数(0<c<2)である場合、特にはcが0.5〜1.2(0.5≦c≦1.2)である場合、とりわけcが1である場合には、左端のR7−A2−A1−は、水酸基(ヒドロキシル基)であり、なおかつ右側の−A1−A2−基が上記式(5)又は(6)で表される基であるか、あるいは、R7がアクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基であり、分子中に2個存在する−A1−A2−基がいずれも上記式(5)又は(6)で表される基であることが好適である。
(C)成分に使用される溶剤は、前記有機ケイ素化合物が可溶であればよく、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセタート等のエステル系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒などが例示できる。
(C)成分中の有機ケイ素化合物(即ち、分子鎖片末端及び/又は分子鎖両末端が加水分解性シリル基で封鎖された直鎖状ポリフェニレンエーテル化合物)の濃度は5〜50質量%であり、好ましくは7〜45質量%、より好ましくは10〜40質量%、特に好ましくは15〜35質量%である。有機ケイ素化合物の濃度が5質量%未満であると、接着性発現に必要な添加量が多くなり、経済的に不利である。また、有機ケイ素化合物の濃度が高すぎると、溶液の粘度が高くなり、取り扱いが困難となる場合がある。
(C)成分の製造方法は公知であり、特開2018−016709号公報、特開2019−077761号公報に記載の方法で製造できる。具体的には、(C)成分中の有機ケイ素化合物(即ち、分子鎖片末端及び/又は分子鎖両末端が加水分解性シリル基で封鎖されたポリフェニレンエーテル化合物)を製造するには、例えば、市販品として入手可能な(株)SABICイノベーティブプラスチックス製 PPO(商標)SA120−100、PPO(商標)SA90−100、PPO(商標)レジンパウダー、noryl(商標)640−111や、それらの分配再配列処理により分配再配列されたポリフェニレンエーテル化合物等の分子鎖両末端が水酸基(ヒドロキシル基)で封鎖された直鎖状ポリフェニレンエーテル化合物を出発原料として、該直鎖状ポリフェニレンエーテル化合物の水酸基と、分子中にアルコキシシリル基等の加水分解性シリル基とイソシアネート基を有するオルガノシラン化合物(以下、イソシアネートシランという)とを反応(ウレタン結合形成反応)させることによって、上記平均構造式(2)においてc=0に該当する分子鎖両末端が加水分解性シリル基で封鎖されたポリフェニレンエーテル化合物を製造するか、あるいは、該直鎖状ポリフェニレンエーテル化合物の水酸基の一部(特には、該水酸基全体の1/2モル)と、分子中に該水酸基と反応し得る官能基(例えばイソシアネート基)と重合性反応基(例えば(メタ)アクリロイルオキシ基)とを有する化合物を反応させ、次いで、残余の上記水酸基と、上記イソシアネートシランのイソシアネート基との間でウレタン結合を形成する反応を行うことによって、上記平均構造式(2)においてc=1に該当する、分子鎖の片末端がウレタン構造を介した(メタ)アクリロイルオキシ基で封鎖され、他方の分子鎖末端がウレタン構造を介したトリアルコキシシシリル基等の加水分解性シリル基で封鎖されたポリフェニレンエーテル化合物を製造することができる。
(C)成分の量は、(A)成分100質量部に対して0.1〜50質量部であり、好ましくは0.5〜30質量部であり、更に好ましくは0.7〜25質量部であり、最も好ましくは1〜20質量部である。(C)成分の量が上記下限値(0.1質量部)未満であると、所望の接着性が得られない。また、(C)成分の量が上記上限値(50質量部)を超えると、ゴム物性の低下を招くおそれがある。
[(D)成分]
次に、(D)成分は、下記一般式(4)で示されるシランカップリング剤(即ち、窒素官能性基含有一価炭化水素基を有する加水分解性オルガノシラン化合物)及び/又はその部分加水分解縮合物(該オルガノシラン化合物を部分的に加水分解して生成する、分子中に残存加水分解性基を少なくとも2個、好ましくは3個以上含有するオルガノシロキサンオリゴマー)であり、本組成物に良好な接着性を発現させるための必須成分である。
911 dSi(OR103-d (4)
(式中、R9は、窒素原子を含む官能性基を少なくとも1個有する炭素数1〜20の一価炭化水素基である。R10、R11は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基であり、dは0、1又は2であり、好ましくは0又は1である。)
上記式(4)中、R9は窒素原子を含む(例えば、非置換又は置換アミノ基、非置換又は置換イミノ基、アミド基、ウレイド基、グアニジル基、イソシアネート基等)を少なくとも1個有する炭素数1〜20の一価炭化水素基であり、具体的には、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル基、γ−アミノプロピル基、N−フェニル−γ−アミノプロピル基、γ−ウレイドプロピル基、γ−イソシアネートプロピル基、γ−(2−ブタンイミノ)プロピル基、γ−ホルムアミノプロピル基、γ−テトラメチルグアニジルプロピル基等の窒素原子を少なくとも1つを含む炭素数3〜20、特に炭素数8〜14の一価炭化水素基が挙げられる。これらの中でもγ−アミノプロピル基、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル基が好ましい。
また、R10、R11は、それぞれ独立に、炭素数1〜10、特に炭素数1〜6の非置換又は置換一価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;これらの基の炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子又はシアノ基で置換したもの、例えば、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化一価炭化水素基;β−シアノエチル基、γ−シアノプロピル基等のシアノアルキル基が例示される。中でもメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が好ましい。
式(4)で示されるシランカップリング剤として、具体的には、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリプロポキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−ブタンイミノ)プロピルトリメトキシシラン、γ−(2−ブタンイミノ)プロピルトリエトキシシラン、γ−ホルムアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ホルムアミノプロピルトリエトキシシラン、γ−テトラメチルグアニジルプロピルトリメトキシシラン等が例示できる。これらの中でもγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。
(D)成分の量は、(A)成分100質量部に対して0.01〜5質量部であり、好ましくは0.1〜4質量部であり、更に好ましくは0.3〜3質量部であり、最も好ましくは0.5〜2質量部である。(D)成分の量が上記下限値(0.01質量部)未満であると、所望の接着性が得られない。また、(D)成分の量が上記上限値(5質量部)を超えると、価格的に不利になるばかりか、伸びの低下、耐水性の低下又は耐久性の悪化を招くおそれがある。
[(E)成分]
(E)成分は硬化触媒である。硬化触媒としては、例えば組成物の硬化促進剤として従来から一般的に使用されている縮合触媒、例えば、ジブチルスズメトキサイド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジオクテート、ジメチルスズジメトキサイド、ジメチルスズジアセテート等の有機スズ化合物;テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、ジメトキシチタンジアセチルアセトナート等の有機チタン化合物;ヘキシルアミンやこれらの塩などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(E)成分の量は、(A)成分100質量部に対して0.01〜3質量部、好ましくは0.02〜2.5質量部、更に好ましくは0.03〜2質量部である。(E)成分の量が上記下限値未満であると、触媒効果が得られない。また、(E)成分の量が上記上限値を超えると、組成物の保存性や外観が悪化する場合がある。
[(F)成分]
次に、本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物には、(F)少なくとも1種の無機充填剤を配合することができる。該無機質充填剤は、本組成物にゴム物性を付与するための補強性、非補強性充填剤である。本充填剤としては、表面処理又は無処理の、焼成シリカ、煙霧質シリカ[別名:煙霧状シリカ、ヒュームドシリカ]等の乾式シリカ、沈降性シリカ、ゾル−ゲル法シリカ等の湿式シリカなどのシリカ系充填剤、カーボンブラック、タルク、ベントナイト、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等が例示され、その中でも炭酸カルシウム、煙霧質シリカ、沈降性シリカ、カーボンブラック、酸化アルミニウムが好ましく、より好ましくは無機質充填剤の表面が疎水化処理された、炭酸カルシウム、煙霧質シリカ、沈降性シリカ、カーボンブラック、酸化アルミニウムである。この場合、これら無機質充填剤は、水分量が少ないことが好ましい。
なお、該表面処理剤の種類、量や処理方法等については特に制限はないが、代表的には、クロロシラン、アルコキシシラン、オルガノシラザン等の有機ケイ素化合物や、脂肪酸、パラフィン、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等の処理剤が適用できる。
(F)成分の無機質充填剤は、1種でもよく、2種以上を併用してもよい。
(F)成分を用いる場合の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して1〜500質量部の範囲が好ましく、より好ましくは20〜300質量部の範囲である。1質量部未満では十分なゴム強度が得られないため、使用用途に適さないという問題が生じる場合があり、500質量部を超えるとカートリッジからの吐出性が悪化し、並びに保存安定性が低下するほか、得られるゴム物性の機械特性も低下してしまうおそれがある。
本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、上記各成分の所定量を、乾燥雰囲気中において均一に混合することにより得ることができる。また、本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、室温で放置することにより硬化するが、その成形方法、硬化条件などは、組成物の種類に応じた公知の方法、条件を採用することができる。
本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、エンジニアリングプラスチック(ナイロン66(PA66)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等)及び金属(アルミニウム、鉄、ステンレス鋼等)への接着性及び耐水接着性に優れる。そのため、本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、接着剤、シーリング剤、コーティング剤、又はポッティング剤等として有用である。本発明の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を接着剤、シーリング剤、コーティング剤、又はポッティング剤として使用する方法は、従来公知の方法に従えばよい。対象となる物品としては、例えば、自動車用部品、電気・電子部品、電線・ケーブル、建築用構造物、土木工事用構造物等が挙げられる。
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の合成例において、粘度は、B型回転粘度計による25℃における測定値であり、分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)測定により求めたポリスチレン換算の重量平均分子量であり、不揮発分は、アルミシャーレ上で105℃、3時間加熱乾燥後の加熱残量法による測定値である。更に、実施例及び比較例はすべて適切な混合機として、プラネタリミキサー((株)井上製作所製)を用いた。また、下記例中、特に記載のない粘度(回転粘度計による測定値)などの物性値は、23℃での値を示す。重合度は、トルエンを展開溶媒としたGPC分析におけるポリスチレン換算の数平均重合度を示す。
〔有機ケイ素化合物の合成〕
[合成例1]有機ケイ素化合物1の合成
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた200mLセパラブルフラスコに、PPO(商標)SA90−100((株)SABICイノベーティブプラスチックス製)16g、トルエン80g、ジオクチルスズジラウレート0.02gを仕込み、80℃に加熱した。その中に、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン4.5gを滴下投入し、80℃にて2時間加熱撹拌した。IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりにウレタン結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、反応終了とした。
得られた反応生成物は、褐色透明の液体であり、重量平均分子量5,100、粘度5.3mPa・sであり、そのうちの不揮発分約21質量%が、平均構造式(2)においてc=0に該当する、分子鎖両末端が連結部にウレタン構造を介したトリメトキシシリル基(−OC(=O)NH−CH2CH2CH2Si(OCH33)で封鎖された直鎖状ポリフェニレンエーテル化合物であった。
[合成例2]有機ケイ素化合物2の合成
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた200mLセパラブルフラスコに、PPO(商標)SA90−100((株)SABICイノベーティブプラスチックス製)16g、トルエン80g、ジオクチルスズジラウレート0.02g及び3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシトルエン0.02gを仕込み、80℃に加熱した。その中に、2−イソシアナトエチルメタクリレート1.7gを滴下投入し、次いで3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン2.2gを滴下投入し、80℃にて2時間加熱撹拌した。IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりにウレタン結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、反応終了とした。
得られた反応生成物は、褐色透明の液体であり、重量平均分子量4,900、粘度4.9mPa・sであり、そのうちの不揮発分約20質量%が、平均構造式(2)においてc=1に該当する、分子鎖の片末端が連結部にウレタン構造を介したメタクリロイルオキシエチル基(−OC(=O)NH−CH2CH2OC(=O)C(CH3)=CH2)で封鎖され、他方の分子鎖末端が連結部にウレタン構造を介したトリメトキシシリル基(−OC(=O)NH−CH2CH2CH2Si(OCH33)で封鎖された直鎖状ポリフェニレンエーテル化合物であった。得られた反応生成物は、メタクリロイルオキシ基と、トリメトキシシリル基とが、50:50(モル比)に相当する。
[実施例1]
(A−1)23℃における粘度が20,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基(ケイ素原子に結合した水酸基)で封鎖されたジメチルポリシロキサン(数平均重合度:約620)100質量部に、(F−1)表面が脂肪酸にて処理された重質炭酸カルシウム(商品名;MCコートP−20、丸尾カルシウム(株)製)100質量部と、(F−2)煙霧状シリカ(商品名;MU−215、ジメチルジクロロシラン表面処理品、水分量0.5質量%、信越化学工業(株)製)10質量部を加えて混合した後、(B−1)ビニルトリブタノキシムシラン10質量部及び(E)ジオクチルスズジラウレート0.1質量部を加え、減圧下で混合した。最後に(C−1)前記合成例で合成した有機ケイ素化合物1を5質量部、(D)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン1質量部を加え、全体が均一になるまで混合し、組成物1を得た。
[実施例2]
(A−1)23℃における粘度が20,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基(ケイ素原子に結合した水酸基)で封鎖されたジメチルポリシロキサン(数平均重合度:約620)100質量部に、(F−1)表面が脂肪酸にて処理された重質炭酸カルシウム(商品名;MCコートP−20、丸尾カルシウム(株)製)100質量部と、(F−2)煙霧状シリカ(商品名;MU−215、ジメチルジクロロシラン表面処理品、水分量0.5質量%、信越化学工業(株)製)10質量部を加えて混合した後、(B−1)ビニルトリブタノキシムシラン10質量部及び(E)ジオクチルスズジラウレート0.1質量部を加え、減圧下で混合した。最後に(C−2)前記合成例で合成した有機ケイ素化合物2を5質量部、(D)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン1質量部を加え、全体が均一になるまで混合し、組成物2を得た。
[実施例3]
(A−2)23℃における粘度が20,000mPa・sの分子鎖両末端がトリメトキシシリル基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(数平均重合度:約620)100質量部に、(F−1)表面が脂肪酸にて処理された重質炭酸カルシウム(商品名;MCコートP−20、丸尾カルシウム(株)製)100質量部と、(F−2)煙霧状シリカ(商品名;MU−215、ジメチルジクロロシラン表面処理品、水分量0.5質量%、信越化学工業(株)製)10質量部を加えて混合した後、(B−2)ビニルトリメトキシシラン10質量部及び(E)ジオクチルスズジラウレート0.1質量部を加え、減圧下で混合した。最後に(C−1)前記合成例で合成した有機ケイ素化合物1を5質量部、(D)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン1質量部を加え、全体が均一になるまで混合し、組成物3を得た。
[実施例4]
(A−3)23℃における粘度が30,000mPa・sの分子鎖両末端がトリメトキシシリルエチレン基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(数平均重合度:約750)100質量部に、(F−1)表面が脂肪酸にて処理された重質炭酸カルシウム(商品名;MCコートP−20、丸尾カルシウム(株)製)100質量部と、(F−2)煙霧状シリカ(商品名;MU−215、ジメチルジクロロシラン表面処理品、水分量0.5質量%、信越化学工業(株)製)10質量部を加えて混合した後、(B−2)ビニルトリメトキシシラン10質量部及び(E)ジオクチルスズジラウレート0.1質量部を加え、減圧下で混合した。最後に(C−1)前記合成例で合成した有機ケイ素化合物1を5質量部、(D)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン1質量部を加え、全体が均一になるまで混合し、組成物4を得た。
[比較例1]
(A−1)23℃における粘度が20,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基(ケイ素原子に結合した水酸基)で封鎖されたジメチルポリシロキサン(数平均重合度:約620)100質量部に、(F−1)表面が脂肪酸にて処理された重質炭酸カルシウム(商品名;MCコートP−20、丸尾カルシウム(株)製)100質量部と、(F−2)煙霧状シリカ(商品名;MU−215、ジメチルジクロロシラン表面処理品、水分量0.5質量%、信越化学工業(株)製)10質量部を加えて混合した後、(B−1)ビニルトリブタノキシムシラン10質量部及び(E)ジオクチルスズジラウレート0.1質量部を加え、減圧下で混合した。最後に(D)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン1質量部を加え、全体が均一になるまで混合し、組成物5を得た。
[比較例2]
(A−1)23℃における粘度が20,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基(ケイ素原子に結合した水酸基)で封鎖されたジメチルポリシロキサン(数平均重合度:約620)100質量部に、(F−1)表面が脂肪酸にて処理された重質炭酸カルシウム(商品名;MCコートP−20、丸尾カルシウム(株)製)100質量部と、(F−2)煙霧状シリカ(商品名;MU−215、ジメチルジクロロシラン表面処理品、水分量0.5質量%、信越化学工業(株)製)10質量部を加えて混合した後、(B−1)ビニルトリブタノキシムシラン10質量部及び(E)ジオクチルスズジラウレート0.1質量部を加え、減圧下で混合した。最後に(C)成分の合成原料であるPPO−SA90−100((株)SABICイノベーティブプラスチックス製)の20質量%トルエン溶液を5質量部及び(D)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン1質量部を加え、全体が均一になるまで混合し、組成物6を得た。
[比較例3]
(A−1)23℃における粘度が20,000mPa・sの分子鎖両末端がシラノール基(ケイ素原子に結合した水酸基)で封鎖されたジメチルポリシロキサン(数平均重合度:約620)100質量部に、(F−1)表面が脂肪酸にて処理された重質炭酸カルシウム(商品名;MCコートP−20、丸尾カルシウム(株)製)100質量部と、(F−2)煙霧状シリカ(商品名;MU−215、ジメチルジクロロシラン表面処理品、水分量0.5質量%、信越化学工業(株)製)10質量部を加えて混合した後、(B−1)ビニルトリブタノキシムシラン10質量部及び(E)ジオクチルスズジラウレート0.1質量部を加え、減圧下で混合した。最後に(C−1)前記合成例で合成した有機ケイ素化合物1を5質量部加え、全体が均一になるまで混合し、組成物7を得た。
〔組成物の評価〕
これらの組成物について、23℃、50%RHの環境下に7日間暴露して硬化させ、厚さ2mmのシリコーンゴムシート(シリコーンゴム硬化物)を作製し、該シリコーンゴムシートについて、JIS K−6249に準拠してゴム物性(硬さ、切断時伸び、引張強度)を評価した。
また、これらの組成物より、幅25mm、長さ100mmのアルミニウム(A1050P)、鉄(SPCC−SB)、ステンレス鋼(SUS−304)、ナイロン66(PA66)(商品名;ザイデル80G33HS1L、デュポン(株)製)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)(商品名;ジュラネックス3300、ポリプラスチック(株)製)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)(商品名;サースティールGS−40、東ソー(株)製)を用いて接着面積2.5mm2、接着厚さ1mmのせん断接着試験体を作製し、23℃、50%RHで7日間養生した。この試験体を用いて金属及び各樹脂に対するせん断接着力と凝集破壊率[製造初期(常態時)]をJIS K 6249に規定する方法に準じて測定し、凝集破壊率を比較した。
更に、耐浸水接着性(浸水接着性)を確認するため、得られた硬化後のせん断接着試験体を水道水に浸漬し、40℃で240時間劣化させて、その後製造初期と同様の試験を行うことで、耐浸水接着性の確認試験を行った。
これらの結果を表1に示す。
Figure 2021178933
表1に示す通り、(C)成分、(D)成分を含有する実施例1〜4は、いずれも常態時、耐浸水接着性試験後も優れた接着性を示した。(C)成分中の高活性のアミノ基が金属接着性に有効であり、疎水性の樹脂骨格を有する(D)成分が樹脂接着性向上と浸水接着性向上に有効であると考えられる。一方で(C)成分を含まない比較例1では樹脂接着性や耐浸水接着性に劣る結果となった。また、(C)成分に類似の骨格を有する化合物を添加した比較例2では樹脂接着性の向上は確認されず、逆に低下してしまった。これは、添加した成分の末端にアルコキシシリル基等の反応性基を有さないため、オルガノシロキサン組成物と反応できず、接着面にブリードしてしまったためと考えられる。また、(D)成分を含まない比較例3においては、高活性のアミノ基を有さないため、金属接着性が著しく低下してしまった。
以上の結果より、本発明による室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物が有効であることがわかる。
本発明によれば、接着性、耐浸水接着性に優れた室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供することができる。従って、本発明のオルガノポリシロキサン組成物は、接着剤、シーリング剤、コーティング剤、又はポッティング剤等として有用であり、特に、自動車用部品、電気用部品又は電子用部品、建築用構造物又は土木工事用構造物のための接着剤、シーリング剤、ポッティング剤又はコーティング剤として好適に使用することができる。

Claims (16)

  1. (A)分子鎖両末端に水酸基及び/又は加水分解性シリル基を有する下記一般式(1)で示される23℃における粘度が20〜1,000,000mPa・sであるジオルガノポリシロキサン:100質量部、
    Figure 2021178933
    〔式中、R1は、互いに独立に、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基及び炭素原子数2〜10のアルコキシアルキル基から選択される基である。R2は、互いに独立に、非置換又は置換の炭素原子数1〜18の一価炭化水素基である。aは0、1又は2であるが、R1がアルキル基又はアルコキシアルキル基である場合は、aは0又は1であり、R1が水素原子である場合は、aは2である。nは、ジオルガノポリシロキサンの23℃における粘度が、20〜1,000,000mPa・sとなる数である。Yは、互いに独立に、酸素原子、炭素原子数1〜20の非置換もしくは置換の二価炭化水素基、又は下記式で示される基である。
    Figure 2021178933
    (式中、R2は上記の通りであり、Zは炭素原子数1〜20の非置換又は置換の二価炭化水素基である。)〕
    (B)(A)、(C)、(D)成分以外の、ケイ素原子に結合した加水分解性基を分子中に3個以上有する加水分解性オルガノシラン化合物及び/又はその部分加水分解縮合物:0.1〜40質量部、
    (C)分子鎖片末端及び/又は分子鎖両末端が加水分解性シリル基で封鎖された直鎖状ポリフェニレンエーテル化合物の5〜50質量%溶液:0.1〜50質量部、
    (D)下記一般式(4)で示されるシランカップリング剤及び/又はその部分加水分解縮合物:0.01〜5質量部、及び
    911 dSi(OR103-d (4)
    (式中、R9は、窒素原子を少なくとも1個有する炭素数1〜20の一価炭化水素基である。R10、R11は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の非置換又は置換一価炭化水素基であり、dは0、1又は2である。)
    (E)硬化触媒:0.01〜3質量部
    を含有する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
  2. (C)成分中の分子鎖片末端及び/又は分子鎖両末端が加水分解性シリル基で封鎖された直鎖状ポリフェニレンエーテル化合物が、下記平均構造式(2)で表される有機ケイ素化合物である請求項1に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
    Figure 2021178933
    {式中、R3は、互いに独立して、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10のアルキル基、又は非置換もしくは置換の炭素原子数6〜10のアリール基を表し、R4は、互いに独立して、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜10のアルキル基、非置換もしくは置換の炭素原子数2〜10のアルケニル基、非置換もしくは置換の炭素原子数6〜10のアリール基、又は非置換もしくは置換の炭素原子数7〜10のアラルキル基を表し、A1は、単結合、又はヘテロ原子を含有する二価の連結基を表し、A2は、単結合、又はヘテロ原子を含まない、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜20の二価炭化水素基を表す。R5は、互いに独立して、ハロゲン原子、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルキル基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルコキシ基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルキルチオ基、又は非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のハロアルコキシ基を表し、R6は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルキル基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルコキシ基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルキルチオ基、又は非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のハロアルコキシ基を表し、R7は、水素原子、ハロゲン原子、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルキル基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルコキシ基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のアルキルチオ基、非置換もしくは置換の炭素原子数1〜12のハロアルコキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、スチリル基、ビニル基又はエポキシ基を表し、bは、それぞれ独立して、1〜100の数であり、cは、0以上2未満の数である。mは1〜3の正数を示す。Bは、下記式で表される連結基を表す。
    Figure 2021178933
    〔式中、R6は、前記と同じ意味を表し、Lは、単結合、又は下記式から選ばれる連結基を表す。
    Figure 2021178933
    (式中、R8は、互いに独立して、水素原子、炭素原子数1〜12のアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基又は炭素原子数7〜10のアラルキル基を表す。)〕}
  3. 上記平均構造式(2)において、−A1−A2−が、下記式(5)又は(6)で表される構造である請求項2に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
    Figure 2021178933
  4. 上記平均構造式(2)において、cが0である請求項2又は3に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
  5. 上記平均構造式(2)において、cが1である請求項2又は3に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
  6. 上記平均構造式(2)において、左端のR7−A2−A1−が水酸基であり、かつ右側の加水分解性シリル基に結合する−A1−A2−が下記式(5)又は(6)で表される構造である請求項5に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
    Figure 2021178933
  7. 更に、(F)成分として少なくとも1種の無機充填剤を含むものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物を有する自動車用部品。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物を有する自動車用オイルシール。
  10. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物を有する電気・電子用部品。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物を有する建築用構造物。
  12. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物を有する土木工事用構造物。
  13. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を含む接着剤。
  14. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を含むシーリング剤。
  15. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を含むポッティング剤。
  16. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を含むコーティング剤。
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