JP2021178921A - ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形性に優れ、難燃性、グローワイヤ特性、衝撃強度に優れる成形品を得ることのできるPBT樹脂組成物を提供すること。【解決手段】(A)ポリブチレンテレフタレート25〜45重量部および(B)ポリカーボネート55〜75重量部の合計100重量部に対し、(C)臭素化ポリアクリレート、臭素化ポリカーボネート、および臭素化エポキシ化合物より選ばれる少なくとも1種類からなる臭素系難燃剤12〜25重量部、(D)五酸化アンチモン5〜15重量部、ならびに(E)エラストマ5〜10重量部を配合してなるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物と、それを成形してなる成形品に関するものである。
ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTと略記することがある。)樹脂は、電気特性、耐薬品性、耐熱性、寸法安定性などに優れることから、各種自動車部品、電気電子部品、機械部品、日用品、水回り部品および建設部品などの用途に広く使用されている。一方で、結晶性樹脂であるPBTは靭性が低いことが課題であり、ポリカーボネート(以下、PCと略記することがある。)等のポリマーアロイにより改善する手法が知られている。その際、PCリッチ(PBTとPCの配合量の合計を100重量部とした場合に、PC配合量が50重量部を超える)の状態とすることで、より高い靭性を発現できる。
また、PCは、PBTとのアロイとすることにより材料の靭性を向上させるだけでなく、自己消火性を有することから、材料の難燃性も向上させることができる。加えて、PBTとのアロイとすることにより、非晶性樹脂であるPCの成形性、耐薬品性が低いデメリットも改善できることから、PBT/PCのポリマーアロイは、靭性、難燃性、耐薬品性等が求められる自動車用部品、電気電子部品、例えば、電気自動車用充電コネクタ、家庭用電化製品向け部品や、ファクトリーオートメーション(FA)機器筐体、医療用電子機器筐体等に多く使用されている。上記で例示した用途では、高い難燃性を要求される場合が多く、PBT/PCの難燃化処方も種々の提案がなされている。
特に、家庭用電化製品向けのコネクタ等に使用する場合には、難燃性の指標として、UL−94規格に加え、IEC−60695規格(グローワイヤ特性)を採用する場合が多い。グローワイヤ特性とは、IEC(国際電気標準会議)が定める発火性・燃焼性の試験方法で、欧州を中心に採用されている。試験方法は、平板状の試験片に加熱したニクロム線を30秒間押し当て、着火しない最高温度を求めるというもので、この最高温度に25℃を加えた温度をグローワイヤ着火温度(GWIT)と規定している。
グローワイヤ特性に優れる樹脂組成物として、熱可塑性ポリエステル樹脂、芳香族ポリカーボネート樹脂、リン系難燃剤、トリアジン系化合物とシアヌール酸またはイソシアヌール酸との塩、およびエポキシ基またはイソシアネート基を有する有機シラン化合物を配合してなる樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1)。
耐衝撃性、難燃性、熱安定性に優れる樹脂組成物として、芳香族ポリカーボネート樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ハロゲン化ビスフェノール型エポキシ樹脂を配合してなる樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2)。
耐衝撃性、難燃性に優れる樹脂組成物として、ポリカーボネート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、衝撃改良剤、ハロゲン化ポリマー系難燃剤、アンチモン化合物、エステル交換防止剤を配合してなる樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献3)。ほかにも、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ブタジエン成分を含有する耐衝撃性改良剤、臭素化エポキシ化合物又は臭素化ポリカーボネートから選択される少なくとも1種を含む難燃剤、五酸化アンチモン化合物、ドリップ防止剤を配合してなる樹脂組成物(例えば、特許文献4)、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリオレフィンおよび/またはポリエステル系エラストマ、有機臭素化合物を配合してなる樹脂組成物(例えば、特許文献5)、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリカーボネート樹脂、臭素化ポリカーボネート系難燃剤、アンチモン化合物、エラストマ―、及び、硫酸バリウムまたは酸化亜鉛を配合してなる樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献6)。
熱安定性に優れる樹脂組成物として、ポリカーボネート、芳香族ポリエステル、有機ハロゲン化合物、イオウ含有化合物を配合してなる樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献7)。また、ポリエステル、ポリカーボネート、ハロゲン系難燃剤、五酸化アンチモンとアルカリ金属酸化物及び/又はアルカリ土類金属酸化物を構成要素として含む難燃剤を配合してなる溶融時の熱安定性に優れた樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献8)。
特開2013−1772号公報 特開平06−239965号公報 特開2011−132313号公報 特開2014−95033号公報 特開平11−310692号公報 特開2016−132772号公報 特開平06−200138号公報 特開昭61−235454号公報
しかしながら、特許文献1に記載の樹脂組成物は非ハロゲン系難燃剤を使用しており、これを成形してなる成形品は耐衝撃性が不十分であった。特許文献2に記載の樹脂組成物は難燃助剤(アンチモン化合物)を配合していないため、これを成形してなる成形品は難燃性、グローワイヤ特性が不十分であった。特許文献3および5〜7に記載の樹脂組成物は三酸化アンチモンを使用しているため、加熱時にPBTとPCのエステル交換反応が促進されることから、熱安定性(成形性)が劣るものであった。また、特許文献4〜6および8に記載の樹脂組成物は、PBTとPC配合比率において、PBTリッチ(PBTとPCの配合量の合計を100重量部とした場合に、PBTが50重量部を超える)の状態となっており、これを成形してなる成形品は靭性が不十分であった。さらに特許文献4、8に記載の樹脂組成物は、PBTリッチの状態で五酸化アンチモンを配合しており、これを成形してなる成形品は靭性が極めて不十分であった。また、特許文献5、6に記載の樹脂組成物は、PBTリッチの状態であり、かつ三酸化アンチモンを配合しているため、グローワイヤ特性が不十分であった。
上記のように、PBT、PCのポリマーアロイ系難燃処方としては、靭性を維持する観点で、非ハロゲン系難燃剤ではなく、ハロゲン系難燃剤と難燃助剤の組み合わせを配合することが一般的であるが、難燃助剤として用いる三酸化アンチモンの触媒作用によりPBTとPCのエステル交換反応が促進され、成形時の離型性低下や成形品の強度低下を引き起こす(熱安定性が低い)課題があった。一方、熱安定性改良のため、三酸化アンチモンの代わりに触媒作用のない五酸化アンチモンを配合することで、エステル交換を抑制し熱安定性を改良する手法も知られているが、五酸化アンチモンを配合すると、靭性が大幅に低下することも課題であった。また、グローワイヤ特性の観点では、ポリマー種によらずハロゲン系難燃剤よりも非ハロゲン系難燃剤の方が優れることが知られているが、靭性が低下する課題があった。
このように従来の公知技術では、難燃性(UL−94規格で評価する難燃性)、グローワイヤ特性、靭性、および成形性を両立する材料の開発は難しかった。
本発明は、上記背景技術の課題に鑑み、成形性に優れ、難燃性(UL−94規格)、グローワイヤ特性、および靭性に優れた成形品を得ることのできるPBT樹脂組成物を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するため、本発明は次の構成を有する。
(1)(A)ポリブチレンテレフタレート25〜45重量部および(B)ポリカーボネート55〜75重量部の合計100重量部に対し、(C)臭素化ポリアクリレート、臭素化ポリカーボネート、および臭素化エポキシ化合物より選ばれる少なくとも1種類からなる臭素系難燃剤12〜25重量部、(D)五酸化アンチモン5〜15重量部、ならびに(E)エラストマ5〜10重量部を配合してなるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
(2)さらに前記(C)臭素系難燃剤が、臭素化ポリアクリレートである(1)に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
(3)さらに前記(E)エラストマが、オレフィン系エラストマである(1)または(2)に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
(4)さらに前記(E)エラストマが、アクリル系コアシェルエラストマである(1)または(2)に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
(5)さらに前記(E)エラストマが、ポリエステル系エラストマである(1)または(2)に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
(6)(1)から(5)のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる成形品。
本発明のPBT樹脂組成物は成形性に優れ、本発明の樹脂組成物を成形して得られる成形品は難燃性(UL−94規格)、グローワイヤ特性、衝撃強度に優れるため、電気電子部品、特に家庭用電化製品向けコネクタとして有用である。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、結晶化特性、耐熱性、成形性、耐薬品性および電気絶縁性に優れている。本発明に用いられる(A)ポリブチレンテレフタレートとは、テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体と、1,4−ブタンジオールおよび/またはそのエステル形成性誘導体とを重縮合することによって得られる重合体である。テレフタル酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、テレフタル酸ジメチルなどのテレフタル酸のアルキルエステルなどが挙げられる。1,4−ブタンジオールのエステル形成性誘導体としては、例えば、1,4−ブタンジオールエステルなどのジオールのアルキルエステルなどが挙げられる。特性を損なわない範囲であれば、テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体とともに、他のジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体を共重合したものであってもよいし、1,4−ブタンジオールおよび/またはそのエステル形成性誘導体とともに、他のジオールおよび/またはそのエステル形成性誘導体を共重合したものであってもよい。共重合成分として用いられるジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体としては、例えば、イソフタル酸、アジピン酸、シュウ酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸やこれらのアルキルエステルなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。また、共重合成分として用いられるジオールまたはそのエステル形成性誘導体としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、分子量400〜6000のポリエチレングリコールやポリ1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの長鎖グリコールやこれらの脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これら共重合成分は、(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂を形成する原料の20重量%以下が好ましい。このような共重合体の好ましい例としては、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレン(テレフタレート/ナフタレート)、ポリ(ブチレン/エチレン)テレフタレート等が挙げられる。ここで、「/」は共重合体を示す。これらを2種以上配合してもよい。
本発明に用いられる(A)ポリブチレンテレフタレートは、o−クロロフェノール溶液を25℃で測定したときの固有粘度が0.60〜1.60の範囲にあることが好ましい。固有粘度が0.60以上であれば、機械特性に優れる成形品を得ることができる。0.70以上がより好ましい。一方、固有粘度が1.60以下であれば、流動性をより向上させることができる。
ポリカーボネート樹脂は、耐衝撃性、難燃性、耐熱性、寸法安定性および、透明性に優れる。本発明に用いられる(B)ポリカーボネートは、2価フェノールとホスゲンまたは炭酸エステル化合物などのカーボネート前駆体とを主成分とする原料を反応させることにより得られる重合体である。例えば、塩化メチレンなどの溶媒中において、2価フェノールとホスゲンなどのカーボネート前駆体との反応により、あるいは2価フェノールとジフェニルカーボネートなどのカーボネート前駆体とのエステル交換反応などにより製造される。
2価フェノールとしては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、1,1−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ハイドロキノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]が好ましい。
また、炭酸エステル化合物としては、例えば、ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネートや、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネートなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
本発明に用いられる(B)ポリカーボネートの分子量は、適宜選択して決定すればよいが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]が10,000〜50,000の範囲のものが好ましい。粘度平均分子量が10,000以上であると、機械特性がより向上する。一方、粘度平均分子量が50,000以下であると、流動性がより向上する。より好ましくは15,000〜40,000であり、さらに好ましくは20,000〜30,000である。PCの粘度平均分子量が20,000〜30,000とすることは、耐衝撃性および流動性のバランスに優れる観点からも好ましい。また、粘度平均分子量の異なる2種類以上のポリカーボネートを混合してもよく、粘度平均分子量が上記範囲外であるポリカーボネートを混合してもよい。かかる粘度平均分子量を有するポリカーボネートは、例えば、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社から“ユーピロン”(登録商標)H−2000という商品名で入手できる。
ここで粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dL/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−4Mv0.83、から算出される値を意味する。ここで極限粘度[η]とは各溶液濃度[C](g/dL)での比粘度ηspを測定し、下記式により算出した値である。
Figure 2021178921
本発明に用いられる(C)臭素化ポリアクリレート、臭素化ポリカーボネート、および臭素化エポキシ化合物より選ばれる少なくとも1種類からなる臭素系難燃剤は、樹脂に難燃性を付与する目的で添加されるハロゲンを含む物質であり、具体的には、テトラブロムビスフェノール−A−エポキシオリゴマーまたはポリマー、テトラブロムビスフェノール−A−カーボネートオリゴマーまたはポリマー、ブロム化フェノールノボラックエポキシなどのブロム化エポキシ樹脂、ポリペンタブロモベンジルアクリレートなどが挙げられる。なかでも、入手容易性の点から、ポリペンタブロモベンジルアクリレート、テトラブロムビスフェノール−A−カーボネートオリゴマー、テトラブロムビスフェノール−A−エポキシオリゴマーが好ましく、グローワイヤ特性、難燃性の点から、ポリペンタブロモベンジルアクリレートがさらに好ましい。
好ましいポリペンタブロモベンジルアクリレートとしては、例えば、ICL社製のFR1025(商品名)などを挙げることができる。好ましいテトラブロムビスフェノール−A−カーボネートオリゴマーとしては、帝人化成株式会社製“ファイヤガード”(登録商標)FG−8500(商品名)などを挙げることができる。好ましいテトラブロムビスフェノール−A−エポキシオリゴマーとしては、例えば、ICL社製のF−2100L(商品名)などを挙げることができる。
本発明に用いられる(D)五酸化アンチモンは、(C)臭素化ポリアクリレート、臭素化ポリカーボネート、および臭素化エポキシ化合物より選ばれる少なくとも1種類からなる臭素系難燃剤と併用することで、難燃性を向上することができる。また、三酸化アンチモンと比較して、熱安定性(成形性)、グローワイヤ特性に優れる。(D)五酸化アンチモンは、例えば、山中産業株式会社製HY−1030(商品名)などが挙げられる。
本発明に用いる(D)五酸化アンチモンの平均粒径としては特に限定はされないが、好ましくは1.0〜2.0μmで、さらに好ましくは1.0〜1.5μmである。(D)五酸化アンチモンの粒径が上記範囲内であると、比較的少ない添加量で高度な難燃性が得られる。
本発明に用いられる(E)エラストマは、耐衝撃性を向上することができる。また、少量配合することで、グローワイヤ特性を向上させる効果があることが分かっている。(E)エラストマとしては、ポリエステル樹脂に配合して耐衝撃性を改良するために用いられる熱可塑性エラストマであればよく、オレフィン系エラストマ、スチレン系エラストマ、ポリエステル系エラストマ、コアシェルエラストマ等、種々のエラストマが挙げられる。
オレフィン系エラストマは、以下のモノマー:エチレン、プロピレン、1−ブテン、酢酸ビニル、イソプレン、ブタジエン、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸あるいはメタクリル酸等のモノカルボン酸あるいはこれらのエステル酸類等の重合性二重結合をもつ化合物類から構成された(共)重合体である。
これらのうち、入手が容易である点からモノマーとしてエチレンを含む(共)重合体であることが好ましく、かかるエチレンを含む(共)重合体としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/1−オクテン共重合体、エチレン/プロピレン/共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタクリル酸エチル共重合体等が挙げられる。また、上記のエチレンを含む(共)重合体に酸無水物あるいはグリシジルメタクリレートをグラフト重合もしくは共重合した(共)重合体も好ましく用いられる。これらは一種または二種以上で使用され、上記のエチレンを含む(共)重合体の一種以上と混合して用いてもよい。耐衝撃性、グローワイヤ特性の点からオレフィン系エラストマの中でも、エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体がより好ましい。特に好ましいエチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体は、例えば、ARKEMAからロタダー(登録商標)AX8900という商品名で入手できる。
スチレン系エラストマとしては、スチレン系化合物と、スチレン系化合物と共重合可能な他の化合物とを、ゴム質重合体存在下に重合して得られる(共)重合体が好ましい。スチレン系化合物の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ブチルスチレン等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。スチレン系化合物と共重合可能な他の化合物の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル類、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートおよびブチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物類等が挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。ゴム成分としては、ジエン系ゴム、アクリル系ゴム、エチレン系ゴム等が使用できる。具体例として、ポリブタジエン、ポリ(ブタジエン/スチレン)、ポリ(ブタジエン/アクリロニトリル)、ポリイソプレン、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル、ポリアクリル酸オクチル、ポリ(ブタジエン/アクリル酸ブチル)、ポリ(ブタジエン/メタクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸ブチル/メタクリル酸メチル)、ポリ(ブタジエン/アクリル酸エチル)、エチレン/プロピレンラバー、エチレン/プロピレン/ジエンラバー、ポリ(エチレン/イソプレン)、ポリ(エチレン/アクリル酸メチル)、ポリ(スチレン/ブタジエン/スチレン)、ポリ(スチレン/ブタジエン/エチレン/スチレン)、ポリ(ブタジエン/スチレン)のエポキシ化物等が挙げられる。これらのゴム成分は、1種または2種以上の混合物で使用される。これらのゴム成分のうち、ポリブタジエン、ポリアクリル酸ブチルが好ましく用いられる。
コアシェルエラストマは、ゴムからなる内層(コア層)とそれを覆うビニル系樹脂からなる外層(シェル層)により構成される。コア層に用いられるゴムは、ゴム弾性を有する重合体成分から構成されるものであればよい。ゴム弾性を有する重合体成分としては、例えば、アクリル成分、シリコーン成分、スチレン成分、ニトリル成分、共役ジエン成分、ウレタン成分およびエチレンプロピレン成分などを重合させたものから構成されるゴムが挙げられる。好ましいゴムとしては、例えば、アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分;ジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン成分;スチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン成分;アクリロニトリル単位やメタクリロニトリル単位などのニトリル成分;およびブタンジエン単位やイソプレン単位などの共役ジエン成分を重合させたものから構成されるゴムである。また、これらの成分を2種以上組み合わせて共重合させたものから構成されるゴムも好ましく用いられる。
また、外層(シェル層)に用いられるビニル系樹脂は、不飽和モノカルボン酸類、不飽和ジカルボン酸類、不飽和酸無水物あるいはエポキシ基含有ビニル系単量体をグラフト重合もしくは共重合されたビニル系樹脂、あるいはビニル系樹脂に過酸化物類、過ギ酸、過酢酸または過安息香酸などのエポキシ化剤でエポキシ変性したビニル系樹脂であってもよい。
コアシェルエラストマの好ましい例としては、コア層がジメチルシロキサン/アクリル酸ブチル共重合体で最外層がメタクリル酸メチル重合体またはアクリロニトリル/スチレン共重合体であるもの、コア層がブタンジエン/スチレン共重合体で最外層がメタクリル酸メチル重合体またはアクリロニトリル/スチレン共重合体であるもの、およびコア層がアクリル酸ブチル重合体で最外層がメタクリル酸メチル重合体またはアクリロニトリル/スチレン共重合体であるものなどが挙げられる。さらに、ゴム層または最外層のいずれか一つもしくは両方の層が、メタクリル酸グリシジル単位を含有する重合体であることがより好ましい態様である。
また、コアシェルエラストマにおいて、コアとシェルの重量比は、コアシェルエラストマ全体に対して、コア層が10重量%以上、90重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは30重量%以上、80重量%以下である。
コアシェルエラストマとしては、前記した条件を満たす市販品を用いてもよいし、任意の方法により作製して用いることもできる。グローワイヤ特性、成形性(流動性)の点から、コアシェルエラストマの中でも、アクリル系コアシェルエラストマであるメタクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル・ジメチルシロキサン共重合物がより好ましい。特に好ましいメタクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル・ジメチルシロキサン共重合物は、例えば、三菱ケミカル株式会社からメタブレン(登録商標)S−2001という商品名で入手できる。
ポリエステル系エラストマとしては、芳香族ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール及び/又は脂肪族ポリエステルをソフトセグメントとするポリエーテルエステルブロック共重合体、ポリエステル・エステルブロック共重合体、ポリエーテルエステル・エステルブロック共重合体が挙げられる。ここでハードセグメントを構成する芳香族ポリエステルとは、通常60モル%以上がテレフタル酸成分であるジカルボン酸成分とジオール成分を縮重合して得られる重合体である。
芳香族ポリエステル成分の具体例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)などが好ましく挙げられる。
また、ここでソフトセグメントを構成するポリ(アルキレンオキシド)グリコールおよび脂肪族ポリエステルの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体、エチレンオキシドとヒドロフランの共重合体、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリ−ε−カプロラクトン、ポリエチレンセパケート、ポリブチレンセパケートなどが好ましく挙げられる。
ポリエステル系エラストマのポリエステルハードセグメントおよびソフトセグメントのそれぞれが占める割合は、重量比で95/5〜10/90であることが好ましい。
ポリエステル系エラストマの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリ(プロピレンオキシド/エチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート・ポリ(プロピレンオキシド/エチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート/デカンジカルボキシレート・ポリ(プロピレンオキシド/エチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート・ポリ(エチレンオキシド)グリコールブロック共重合体などが好ましく挙げられる。グローワイヤ特性、成形性(流動性)の点から、ポリエステル系エラストマの中でも、ポリブチレンテレフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、ポリブチレンテレフタレート/イソフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体が好ましく、ポリブチレンテレフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体がより好ましい。特に好ましいポリブチレンテレフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体としては、例えば、東レデュポン株式会社からハイトレル(登録商標)3001という商品名で入手できる。
本発明のPBT樹脂組成物における(A)ポリブチレンテレフタレートの配合量は、(A)ポリブチレンテレフタレートおよび(B)ポリカーボネートの合計100重量部に対して、25〜45重量部の範囲である。(A)ポリブチレンテレフタレートの配合量が25重量部未満であると、成形性が低下する。30重量部以上が好ましい。(A)ポリブチレンテレフタレートの配合量が45重量部を超えると、得られる成形品のグローワイヤ特性が低下する。40重量部以下が好ましい。
本発明のPBT樹脂組成物における(B)ポリカーボネートの配合量は、(A)ポリブチレンテレフタレートおよび(B)ポリカーボネートの合計100重量部に対して、55〜75重量部の範囲である。(B)ポリカーボネートの配合量が55重量部未満であると、得られる成形品のグローワイヤ特性が低下する。さらに、ポリカーボネートの配合量が0重量部の場合、難燃性(UL94規格)、衝撃強度が低下する。60重量部以上が好ましい。(B)ポリカーボネートの配合量が75重量部を超えると、成形性が低下する。70重量部以下が好ましい。
本発明のPBT樹脂組成物における(C)臭素化ポリアクリレート、臭素化ポリカーボネート、および臭素化エポキシ化合物より選ばれる少なくとも1種類からなる臭素系難燃剤の配合量は、前記(A)ポリブチレンテレフタレートおよび(B)ポリエチレンテレフタレートの合計100重量部に対し、12〜25重量部の範囲である。(C)臭素化ポリアクリレート、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ化合物より選ばれる少なくとも1種類からなる臭素系難燃剤の配合量が12重量部未満であると、得られる成形品の難燃性(UL−94規格)が低下する。(C)臭素化ポリアクリレート、臭素化ポリカーボネート、および臭素化エポキシ化合物より選ばれる少なくとも1種類からなる臭素系難燃剤の配合量が25重量部を超えると、得られる成形品の衝撃強度が低下する。
本発明のPBT樹脂組成物における(D)五酸化アンチモンの配合量は、前記(A)ポリブチレンテレフタレートおよび(B)ポリエチレンテレフタレートの合計100重量部に対し、5〜15重量部の範囲である。(D)五酸化アンチモンの配合量が5重量部未満であると、得られる成形品の難燃性(UL−94規格)が低下する。(D)五酸化アンチモンの配合量が15重量部を超えると、得られる成形品の衝撃強度が低下する。
本発明のPBT樹脂組成物における(E)エラストマの配合量は、前記(A)ポリブチレンテレフタレートおよび(B)ポリエチレンテレフタレートの合計100重量部に対し、5〜10重量部の範囲である。(E)エラストマの配合量が5重量部未満であると、得られる成形品の衝撃強度が低下する。(E)エラストマの配合量が15重量部を超えると、得られる成形品の難燃性(UL−94規格)が低下する。
また、本発明のPBT樹脂組成物は、それを構成する各成分同士が反応した反応物を含むが、当該反応物はその構造を特定することが実際的でない事情が存在する。そのため、本発明は、各成分の配合量で発明を特定するものである。
本発明のPBT樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、耐熱剤、酸化防止剤、結晶核剤、触媒失活剤、可塑剤、抗菌剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、良流動化剤、ドリップ防止剤、耐候剤などの各種添加剤を配合することができる。
本発明のPBT樹脂組成物は、前記(A)〜(E)成分、並びに必要によりその他成分が均一に分散されていることが好ましい。本発明のPBT樹脂組成物の製造方法としては、例えば、単軸あるいは二軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーあるいはミキシングロールなどの公知の溶融混練機を用いて、各成分を溶融混練する方法を挙げることができる。各成分は、予め一括して混合しておき、それから溶融混練してもよい。なお、各成分に含まれる水分は少ない方がよく、必要により予め乾燥しておくことが望ましい。
また、溶融混練機に各成分を投入する方法としては、例えば、単軸あるいは二軸の押出機を用い、スクリュー根元側に設置した主投入口から(A)〜(E)成分および必要に応じてその他成分を供給し溶融混練する方法が挙げられる。
溶融混練温度は、流動性および機械特性により優れるという点で、200℃以上が好ましく、240℃以上がより好ましい。また、320℃以下が好ましく、300℃以下がより好ましく、280℃以下がさらに好ましい。ここで溶融混練温度とは、溶融混練機の設定温度を指し、例えば二軸押出機の場合、シリンダ温度を指す。
本発明のPBT樹脂組成物は、公知の射出成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形、紡糸などの任意の方法で成形することにより、各種成形部品に加工し利用することができる。射出成形時の温度は、流動性をより向上させる観点から230℃以上が好ましい。成形部品としては例えば、射出成形部品、押出成形部品、ブロー成形部品、フィルム、シート、繊維などが挙げられる。
本発明において、上記各種成形品は、自動車部材、電気・電子部材、建築部材、各種容器、日用品、生活雑貨および衛生用品など各種用途に利用することができる。特に、本発明のPBT樹脂組成物は、成形性に優れ、難燃性(UL−94規格)、グローワイヤ特性、靭性(耐衝撃性)に優れる成形品を得ることができるため、電気電子部品、特に家庭用電化製品向けコネクタとして好適に用いられる。
本発明のPBT樹脂組成物を使用することで、難燃性(UL−94規格)、グローワイヤ特性、衝撃強度に優れる成形品を得ることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。実施例、比較例で使用する原料の略号および内容を以下に示す。
(A)ポリブチレンテレフタレート樹脂:固有粘度0.81dl/gのポリブチレンテレフタレート
(B)ポリカーボネート樹脂:三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製“ユーピロン”(登録商標)H−2000(商品名)
(C)臭素化ポリアクリレート、臭素化ポリカーボネート、および臭素化エポキシ化合物より選ばれる少なくとも1種類からなる臭素系難燃剤
(C−1)臭素化ポリアクリレート:ポリペンタブロモベンジルアクリレート、ICL社製FR1025(商品名)
(C−2)臭素化ポリカーボネート:テトラブロムビスフェノール−A−カーボネートオリゴマー、帝人化成(株)製“ファイヤガード”(登録商標)FG−8500(商品名)
(C−3)臭素化エポキシ化合物:テトラブロムビスフェノール−A−エポキシオリゴマー、ICL社製F−2100L(商品名)
(C’)非ハロゲン系難燃剤
(C’−4)メラミンシアヌレート:日産化学(株)MC−4000(商品名)
(C’−5)ホスフィン酸アルミ:クラリアントケミカルズ(株)製“EXOLIT”(登録商標)OP1240(商品名)
(D)五酸化アンチモン:山中産業(株)製HY−1030(商品名)
(D’)三酸化アンチモン:(株)鈴裕化学製“ファイアカット” (登録商標)AT−3CN(商品名)
(E)エラストマ
(E−1)オレフィン系エラストマ:エチレン/アクリル酸メチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、ARKEMA社製“ロタダー”(登録商標)AX8900(商品名)
(E−2)アクリル系コアシェルエラストマ:メタクリル酸アルキル・アクリル酸アルキル・ジメチルシロキサン共重合物、三菱ケミカル(株)製“メタブレン”(登録商標)S−2001(商品名)
(E−3)ポリエステル系エラストマ:ポリブチレンテレフタレート・ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールブロック共重合体、東レデュポン(株)製“ハイトレル”(登録商標)3001(商品名)。
実施例および比較例においては、次に記載する測定方法によってその特性を評価した。
(1)成形性(離型性)
日本製鋼所製射出成形機“J55AD”を用い、シリンダ温度280℃、金型温度40℃、冷却時間10秒の成形条件で開口部を有する小箱成形品(幅30mm×奥行き30mm×高さ30mm、厚み1.5mm)を側面のピンゲートから成形した。成形時において、充填した後の成形品突き出し時に試験片が変形したもの、または突き出し箇所が大きく挫屈するようなものを成形性不良として表中「×」で示した。充填後、成形品突出し時に変形が起こらないものは「○」で示した。さらに冷却時間を8秒に短縮した場合に、成形品突出し時に変形が起こらないものは「◎」で示した。
(2)難燃性(UL−94規格)
日本製鋼所製射出成形機“J55AD”を用いて、一点ゲートにて棒状の試験片(125mm×13mm×0.8mm厚み)を作製した。射出条件は、シリンダ温度260℃、金型温度80℃で実施した。得られた試験片を23℃、50%RH環境下で24h放置後、UL94に準拠して測定した。試験は試験片10本を行い、UL94に従って判定を行った。
(3)グローワイヤ特性(グローワイヤ着火温度)
日本製鋼所製射出成形機“J55AD”を用いて、フィルムゲートにて正方形の板状試験片(80mm×80mm×3mm厚み)を作製した。射出条件は、シリンダ温度260℃、金型温度80℃で実施した。得られた試験片を用いて、IEC60695−2−13に準拠してグローワイヤ着火温度(GW−IT)を測定した。GW−ITが750℃以上であれば、グローワイヤ特性は良好といえる。775℃以上が望ましい。
(4)衝撃強度(シャルピー衝撃強度)
住友重工業製射出成形機“SE75DU”を使用して、各実施例および比較例で得られたPBT樹脂組成物を用いて、シリンダ温度260℃、金型温度80℃の条件で、ISO179に従って試験片(80mm×10mm×4.0mm)を成形した。得られた試験片各5本に、8mm残るようにノッチを入れ、ISO179に準拠してシャルピー衝撃強度を測定した。得られた衝撃強度を試験片の厚みと幅の積で割った値を、シャルピー衝撃強度とした。シャルピー衝撃強度が6kJ/m以上であれば、耐衝撃性は良好といえる。10kJ/m以上が望ましい。
[実施例1〜15]
表1に示す配合組成に従い、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分および(E)成分をシリンダ温度260℃に設定したスクリュー径37mmφの二軸押出機(東芝機械製TEM37)の元込め部から供給し、溶融混練を行った。ダイスから吐出されたストランドを冷却バス内で冷却した後、ストランドカッターにてペレット化し、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。得られたPBT樹脂組成物について、上記方法で評価した結果を表1に記した。
Figure 2021178921
得られたポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、いずれも成形性に優れ、難燃性、グローワイヤ特性、衝撃強度に優れる成形品を得ることができた。
実施例1〜4に示すように、(A)ポリブチレンテレフタレートの配合量が多いほど、成形性が向上し、(B)ポリカーボネートの配合量が多いほど、グローワイヤ特性、耐衝撃性が高い成形品を得ることができる。実施例5、6に示すように(C)臭素化ポリアクリレートの配合量が本発明の範囲内であると、難燃性(UL−94規格)、グローワイヤ特性は良好であり、(C)臭素化ポリアクリレートの配合量が少ないほど、得られる成形品の衝撃強度が高くなる傾向にある。
実施例7、8に示すように(C)臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ化合物を配合した場合も、成形性に優れ、難燃性、グローワイヤ特性、衝撃強度に優れる成形品を得ることができる。実施例9、10に示すように、(D)五酸化アンチモンの配合量が本発明の範囲内であると、難燃性(UL−94規格)、グローワイヤ特性が良好となり、(D)五酸化アンチモンの配合量が多いほど、成形性にすぐれ、(D)五酸化アンチモンの配合量が少ないほど、得られる成形品の衝撃強度が高くなる傾向にある。実施例11〜13に示すように、(E)エラストマの配合量が本発明の範囲内であると、難燃性(UL−94規格)、グローワイヤ特性が良好となり、(E)エラストマの配合量が多いほど、得られる成形品の衝撃強度が高くなる傾向にある。実施例13〜15に示すように、(E)エラストマとして、アクリル系コアシェルエラストマやポリエステル系エラストマを用いると、オレフィン系エラストマを使用する場合と比較して、成形性と得られる成形品のグローワイヤ特性を向上させることができる。実施例13の組成となるように配合した場合は、成形性、難燃性、グローワイヤ特性、衝撃強度のバランスが最も優れたものであった。
[比較例1〜13]
表2に示す配合組成に変更した以外は実施例1〜15と同様にして、PBT樹脂組成物のペレットを得た。
Figure 2021178921
比較例1〜3に示すように、(A)ポリブチレンテレフタレートの配合量が45重量部を超え、(B)ポリカーボネートの配合量55重量部未満であると、難燃性、グローワイヤ特性、衝撃強度が低下した。一方、(A)ポリブチレンテレフタレートの配合量が25重量部未満であり、(B)ポリカーボネートの配合量が75重量部を超えると、成形性が低下した。比較例4、5に示すように(C)臭素化ポリアクリレートの配合量が、25重量部を超えると、衝撃強度が低下した。一方、(C)臭素化ポリアクリレートの配合量が、12重量部未満であると、難燃性が低下した。比較例6、7に示すように、(C)臭素化ポリアクリレート、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ化合物より選ばれる少なくとも1種類からなる臭素系難燃剤の代わりに、非ハロゲン系難燃剤(メラミンシアヌレート、ホスフィン酸アルミ)を用いた場合、成形性や難燃性、衝撃強度の低下を確認した。比較例8、9に示すように、(D)五酸化アンチモンの配合量が、15重量部を超えると、衝撃強度が低下し、(D)五酸化アンチモンの配合量が、5重量部未満であると、難燃性が低下した。また、比較例10に示すように、(D)五酸化アンチモンの代わりに三酸化アンチモンを用いた場合、成形性、グローワイヤ特性が低下した。比較例11〜13に示すように、(E)エラストマの配合量が、10重量部を超えると、難燃性が低下し、(E)エラストマの配合量が、5重量部未満であると、衝撃特性が低下した。特に、(E)エラストマの配合量が0重量部の場合、グローワイヤ特性の低下も見られた。

Claims (6)

  1. (A)ポリブチレンテレフタレート25〜45重量部および(B)ポリカーボネート55〜75重量部の合計100重量部に対し、(C)臭素化ポリアクリレート、臭素化ポリカーボネート、および臭素化エポキシ化合物より選ばれる少なくとも1種類からなる臭素系難燃剤12〜25重量部、(D)五酸化アンチモン5〜15重量部、ならびに(E)エラストマ5〜10重量部を配合してなるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  2. さらに前記(C)臭素系難燃剤が、臭素化ポリアクリレートである請求項1に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  3. さらに前記(E)エラストマが、オレフィン系エラストマである請求項1または2に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  4. さらに前記(E)エラストマが、アクリル系コアシェルエラストマである請求項1または2に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  5. さらに前記(E)エラストマが、ポリエステル系エラストマである請求項1または2に記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のポリブチレンテレフタレート樹脂組成物からなる成形品。
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