JP2021176380A - マルチピースソリッドゴルフボール - Google Patents

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Abstract

【課題】中上級者において、ドライバーショット時およびアイアンショット時に優位な飛距離が得られ、ソフトで良好な打感が得られるゴルフボールの提供。【解決手段】コア1、包囲層2、中間層3及びカバー4を具備したゴルフボールGであって、コア1の直径/ボール直径の値が特定範囲であり、特異なコア硬度分布を有し、コア1の中心硬度及び表面硬度と、包囲層被覆球体の表面硬度と、中間層被覆球体の表面硬度と、ボールの表面硬度との硬度関係(表面硬度はショアC硬度を意味する。)が、下記式(1)、式(2)及び式(3)コア表面硬度<包囲層被覆球体の表面硬度<中間層被覆球体の表面硬度>ボール表面硬度・・・(1)(包囲層被覆球体の表面硬度)−(コアの中心硬度)≧28・・・(2)カバー厚さ<中間層厚さ・・・(3)を満たす。【選択図】図1

Description

本発明は、コア、包囲層、中間層及びカバーを具備する4層以上からなるマルチピースソリッドゴルフボールに関する。
従来よりボールを多層構造に設計する工夫が多くなされており、プロゴルファーのみならず、上級者や中級者のアマチュアゴルファーが満足するボールが多く開発されている。例えば、コア、包囲層、中間層及びカバー(最外層)の各層の表面硬度を適正化した機能的なマルチピースソリッドゴルフボールが普及している。また、ボールの大部分の体積を占めるコア硬度分布に着目し、様々な態様のコア内部硬度を設計することにより、プロや中上級者用の高性能のゴルフボールを提供する技術がいくつか提案されている。
このような技術文献としては、例えば、下記の特許文献1〜9が挙げられる。これらのゴルフボールは4層以上の多層構造のゴルフボールに関するものであり、コア、包囲層、中間層及びカバー(最外層)の各層の表面硬度やボール直径とコア直径との関係やコア硬度分布などに着目した特許文献である。
しかしながら、上記提案のゴルフボールは、コアの硬度分布や各層との厚さ関係の最適化においては未だ改善の余地がある。即ち、上記提案のゴルフボールは、プロほどヘッドスピードは速くない中〜上級者においては、良好なドライバー(W#1)打撃時の飛距離を保つことができたとしても、アイアンショット時の飛距離については不十分なものも多い。また、上記提案のゴルフボールの中には、ドライバー打撃時だけでなくアイアンショット時においても優位な飛距離性能を得ようとすると、アプローチした時のスピン性能においては十分な高いスピン性能を発揮させることができず、ゲーム性の高いものではなく、あるいはフルショットにおける打感が良好とはいえないゴルフボールもある。よって、中級者や上級者のアマチュアゴルファー向けのゴルフボールとして、より一層改善された飛び性能や良好な打感を得るとともに、ショートゲーム性の高いゴルフボールの提案や開発が望まれている。
特開平09−248351号公報 特開2006−326301号公報 特開2007−319667号公報 特開2012−071163号公報 特開2007−330789号公報 特開2008−068077号公報 特開2009−095364号公報 特開2016−101254号公報 特開2016−116627号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、プロほどヘッドスピードは速くない中級・上級者において、ドライバーショット時の飛距離を十分に保つことができ、アイアンショット時においても優位な飛距離が得られ、アプローチした時のスピン性能に優れてショートゲームに最適であり、そのうえ、全てのショットにおいてソフトで良好な打感が得られるゴルフボールを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、コア、包囲層、中間層及びカバーを具備するゴルフボールについて、カバー材料として好ましくはウレタン樹脂材料を用いることにより軟らかく形成し、中間層はカバーより硬く形成し、包囲層は、中間層より軟らかくゴム製コアの表面よりも硬く1層又は複数層に形成するとともに、コア硬度分布及び硬度傾斜の設計において、コア半径の中点から内側及び外側に向けて2mmずつ離れた位置における、2点間の硬度傾斜を求め、これらの硬度傾斜をコア全体として適正化することにより、従来のゴルフボールよりもフルショット時のスピン量を抑えることができ、飛距離が改善され、特に、ドライバー(W#1)及びアイアンフルショットで過度なスピンがかからず良好な飛距離が得られ、ショートゲームではスピンがよくかかり、更には、ソフトな打感も付与することができることを見出した。特に、一般の中・上級者にとって、良好なドライバー(W#1)の飛距離を保ちながら、アイアンショット時においても優位な飛距離が得られ、更に、アプローチした時のスピン性能においても高いレベルを維持でき、ゲーム性の高い優位なゴルフボールに仕上げることを見出して、本発明をなすに至ったものである。なお、上記の「中上級者」とは、ハンディキャップが大凡15以下であり、そのうち、中級者が10〜15、上級者が9以下に相当する。
従って、本発明は、下記のマルチピースソリッドゴルフボールを提供する。
1.コア、包囲層、中間層及びカバーを具備し、上記コアはゴム組成物により1層又は複数層に形成され、上記包囲層は樹脂材料により1層又は複数層に形成され、中間層及びカバーは、それぞれ樹脂材料により1層に形成されるマルチピースソリッドゴルフボールであって、上記コアの直径が35.1〜41.3mmであり、該コアの硬度分布において、コアの中心のショアC硬度をCc、コアの中心と表面との中点MのショアC硬度をCm、中点Mから内側に2mm、4mm、6mmの位置のショアC硬度をそれぞれCm-2、Cm-4、Cm-6、中心Mから外側に2mm、4mm、6mmの位置のショアC硬度をそれぞれCm+2、Cm+4、Cm+6、コアの表面のショアC硬度をCsとしたとき、下記の面積A〜F
・面積A: 1/2×2×(Cm-4−Cm-6)
・面積B: 1/2×2×(Cm-2−Cm-4)
・面積C: 1/2×2×(Cm−Cm-2)
・面積D: 1/2×2×(Cm+2−Cm)
・面積E: 1/2×2×(Cm+4−Cm+2)
・面積F: 1/2×2×(Cm+6−Cm+4)
について、(面積E+面積F)−(面積A+面積B)の値が4.0以上であり、Cs−Ccの値が20以上である共に、上記コアの中心硬度、上記コアの表面硬度と、該コアを包囲層で被覆した球体(包囲層被覆球体)の表面硬度と、該包囲層被覆球体を中間層で被覆した球体(中間層被覆球体)の表面硬度と、ボールの表面硬度との硬度関係(表面硬度はショアC硬度を意味する。)が、下記式(1)及び式(2)
コア表面硬度<包囲層被覆球体の表面硬度<中間層被覆球体の表面硬度>ボール表面硬度 ・・・(1)、及び
(包囲層被覆球体の表面硬度)−(コアの中心硬度)≧28 ・・・(2)
を満たし、中間層の厚さ及びカバーの厚さが、下記式(3)
カバー厚さ<中間層厚さ ・・・(3)
を満たすことを特徴とするマルチピースソリッドゴルフボール。
2.上記コア硬度分布の面積A〜Fについて、下記式
(面積D+面積E+面積F)−(面積A+面積B+面積C)≧1.0
を満たす上記1記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
3.上記コア硬度分布の面積A〜Fについて、下記式
(面積E+面積F)−(面積A+面積B+面積C)>0
を満たす上記1又は2記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
4.上記コア硬度分布の面積A〜Fについて、下記の条件
面積D<面積E<面積F、及び、
面積A<面積C
を満たす上記1〜3のいずれかに記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
5.包囲層の厚さ及び中間層の厚さが、下記式
中間層厚さ≦包囲層厚さ
を満たす上記1〜4のいずれかに記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
6.コアの直径/ボール直径の値が0.825以上である上記1〜5のいずれかに記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
7.上記カバーの材料硬度よりも上記包囲層の材料硬度の方が高い上記1〜6のいずれかに記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
8.上記コアの中心硬度(Cc)が60以下である上記1〜7のいずれかに記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
9.上記式(2)において、(包囲層被覆球体の表面硬度)−(コアの中心硬度)の値が30以上である上記1〜8のいずれかに記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
10.コアに対して、初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量(mm)は3.9mm以上であり、且つ、ボールに対して、初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量(mm)は2.8mm以上である上記1〜9のいずれかに記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
11.上記カバー表面には塗料層が形成され、カバーの材料硬度から塗料層の材料硬度を引いた値がショアC硬度で−20以上25以下である上記1〜10のいずれかに記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
本発明のマルチピースソリッドゴルフボールによれば、ドライバー(W#1)及びアイアンフルショットで過度なスピンがかからず良好な飛距離が得られ、ショートゲームではスピンがよくかかり、更には、全てのショットにおいてソフトな打感を得ることができ、特に、中級者及び上級者向けのゴルフボールとして非常に有用な多層構造ゴルフボールである。
本発明の一実施態様であるマルチピースソリッドゴルフボールの概略断面図である。 コア硬度分布の面積A〜Fを説明するために、実施例1のコア硬度分布データを用いて説明した概略図である。 実施例1〜4及び比較例5,9のコア硬度分布を示すグラフである。 比較例1〜4,5〜8及び10のコア硬度分布を示すグラフである。 各実施例及び各比較例に共通するディンプルの態様(パターン)を示す平面図である。
以下、本発明につき、更に詳しく説明する。
本発明のマルチピースソリッドゴルフボールは、コア、包囲層、中間層及びカバーを有するものであり、例えば、図1にその一例を示す。図1に示したゴルフボールGは、コア1と、該コア1を被覆する包囲層2と、該包囲層を被覆する中間層3と、該中間層3を被覆するカバー4を有している。このカバー4は、塗料層を除き、ゴルフボールの層構造での最外層に位置するものである。本発明においては、コアおよび包囲層は、単層であっても2層以上に形成することもできる。なお、上記カバー(最外層)4の表面には、通常、空力特性の向上のためにディンプルDが多数形成される。また、カバー4の表面には、特に図示してはいないが、通常、塗料層5が形成される。以下、上記の各層について詳述する。
コアの材料としては、ゴム材を主材として用いる。具体的には、基材ゴムを主体とし、これに、共架橋剤、有機過酸化物、不活性充填剤、有機硫黄化合物等を配合させてゴム組成物を作成することができる。基材ゴムとしては、ポリブタジエンを用いることが好ましい。
ポリブタジエンの種類としては、市販品を用いることができ、例えば、BR01、BR51、BR730(JSR社製)などが挙げられる。また、基材ゴム中のポリブダジエンの割合は、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上である。上記基材ゴムには、上記ポリブタジエン以外にも他のゴム成分を本発明の効果を損なわない範囲で配合し得る。上記ポリブタジエン以外のゴム成分としては、上記ポリブタジエン以外のポリブタジエン、その他のジエンゴム、例えばスチレンブタジエンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム等を挙げることができる。
共架橋剤としては、例えば不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の金属塩等が挙げられる。不飽和カルボン酸として具体的には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等を挙げることができ、特にアクリル酸、メタクリル酸が好適に用いられる。不飽和カルボン酸の金属塩としては特に限定されるものではないが、例えば上記不飽和カルボン酸を所望の金属イオンで中和したものが挙げられる。具体的にはメタクリル酸、アクリル酸等の亜鉛塩やマグネシウム塩等が挙げられ、特にアクリル酸亜鉛が好適に用いられる。
上記不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩は、上記基材ゴム100質量部に対し、通常5質量部以上、好ましくは9質量部以上、更に好ましくは13質量部以上、上限として通常60質量部以下、好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下配合する。配合量が多すぎると、硬くなりすぎて耐え難い打感になる場合があり、配合量が少なすぎると、反発性が低下してしまう場合がある。
上記有機過酸化物としては市販品を用いることができ、例えば、パークミルD(日本油脂(株)製)、パーヘキサC−40、パーヘキサ3M(日本油脂(株)製)、Luperco 231XL(アトケム社製)等を好適に用いることができる。これらは1種を単独であるいは2種以上を併用してもよい。有機過酸化物の配合量は、上記基材ゴム100質量部に対し、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上であり、上限として、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、最も好ましくは2.5質量部以下配合する。配合量が多すぎたり、少なすぎたりすると好適な打感、耐久性及び反発性を得ることができない場合がある。
そのほか、基材ゴムに配合される配合剤として、不活性充填剤が挙げられ、例えば、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等を好適に用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。不活性充填剤の配合量は、上記基材ゴム100質量部に対し、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、上限として好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下、更に好ましくは36質量部以下とする。配合量が多すぎたり、少なすぎたりすると適正な質量、及び好適な反発性を得ることができない場合がある。
更に、必要に応じて老化防止剤を配合することができ、例えば、市販品としてはノクラックNS−6、同NS−30(大内新興化学工業(株)製)、ヨシノックス425(吉富製薬(株)製)等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
該老化防止剤の配合量は上記基材ゴム100質量部に対し、好ましくは0質量部以上、更に好ましくは0.05質量部以上、特に好ましくは0.1質量部以上、上限として好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下、特に好ましくは1質量部以下、最も好ましくは0.5質量部以下とする。配合量が多すぎたり、少なすぎたりすると好適な反発性、耐久性を得ることができない場合がある。
また、上記コアには、良好な反発性付与させるために、有機硫黄化合物を配合することができる。有機硫黄化合物としては、ゴルフボールの反発性を向上させ得るものであれば特に制限されないが、例えばチオフェノール類、チオナフトール類、ハロゲン化チオフェノール類又はそれらの金属塩等が挙げられる。より具体的には、ペンタクロロチオフェノール、ペンタフルオロチオフェノール、ペンタブロモチオフェノール、パラクロロチオフェノール、ペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩、ペンタフルオロチオフェノールの亜鉛塩、ペンタブロモチオフェノールの亜鉛塩、パラクロロチオフェノールの亜鉛塩、硫黄数が2〜4のジフェニルポリスルフィド、ジベンジルポリスルフィド、ジベンゾイルポリスルフィド、ジベンゾチアゾイルポリスルフィド、ジチオベンゾイルポリスルフィド等が挙げられ、特に、ペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩が好適に用いられる。有機硫黄化合物の配合量は、上記基材ゴム100質量部に対し、好ましくは0質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、更に好ましくは0.1質量部以上、上限として、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2.5質量部以下であることが推奨される。配合量が多すぎると、反発性(特に、W#1による打撃)の改良効果がそれ以上期待できなくなり、コアが軟らかくなりすぎ、または打感が悪くなる場合がある。一方、配合量が少なすぎると、反発性の改善効果が期待できなくなる。
更に詳述すれば、上記のコア材料に直接的に水(水を含む材料)を配合することにより、コア配合中の有機過酸化物の分解を促進することができる。また、コア用ゴム組成物中の有機過酸化物は、温度によって分解効率が変化することが知られており、ある温度よりも高温になるほど分解効率が上がる。温度が高すぎると、分解したラジカル量が多くなりすぎてしまい、ラジカル同士で再結合や不活性化してしまうことになる。その結果、架橋に有効に働くラジカルが減ることになる。ここで、コア加硫の際に有機過酸化物が分解することで分解熱が発生するとき、コア表面付近は加硫モールドの温度とほぼ同程度を維持しているが、コア中心付近は外側から分解していった有機過酸化物の分解熱が蓄積されるため、モールド温度よりもかなり高温になる。コアに直接的に水(水を含む材料)を配合した場合、水は有機過酸化物の分解を助長する働きがあるため、上述したようなラジカル反応をコア中心とコア表面において変化させることができる。即ち、コア中心付近では有機過酸化物の分解が更に助長され、ラジカルの不活性化がより促されることで有効ラジカル量が更に減少するため、コア中心とコア表面との架橋密度が大きく異なるコアを得ることができ、且つ、コア中心部の動的粘弾性特性の異なるコアを得ることができる。
上記のコア材料に配合される水については、特に制限はなく、蒸留水であっても水道水であってもよいが、特には、不純物を含まない蒸留水を使用することが好適に採用される。水の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上配合することが好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であり、上限としては、好ましくは5質量部以下であり、より好ましくは4質量部以下である。
上記コアは、上記各成分を含有するゴム組成物を加硫硬化させることにより製造することができる。例えば、バンバリーミキサーやロール等の混練機を用いて混練し、コア用金型を用いて圧縮成形又は射出成型し、有機過酸化物や共架橋剤が作用するのに十分な温度として、100〜200℃、好ましくは140〜180℃、10〜40分の条件にて成形体を適宜加熱することにより、該成形体を硬化させて製造することができる。
また、上記コアは単層のみならず複数層に形成することができ、具体例として、内層コア及び外層コアの2層構造が挙げられる。コアを内層コア及び外層コアの2層に形成する場合、内層及び外層コアの材料としては、いずれも上述したゴム材を主材として用いることができる。また、内層コアを被覆する外層コアのゴム材は、内層コアの材料と同種であっても異種であってもよい。具体的には、上記コアのゴム材料の各成分で説明したのと同様である。
コアの直径は、通常、35.1〜41.3mmであり、好ましくは35.4mm以上、より好ましくは35.8mm以上であり、上限としては、好ましくは39.2mm以下、より好ましくは38.3mm以下である。コアの直径が小さすぎると、ボールの初速が低くなったり、ボール全体のたわみ硬度が硬くなり、フルショット時のスピンが増えて、狙いの飛距離が得られなくなることがある。一方、コアの直径が大きすぎると、フルショット時のスピンが増えて狙いの飛距離が得られなくなったり、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。
コアに対して、初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量(mm)は、特に制限はないが、好ましくは3.9mm以上、より好ましくは4.0mm以上、更に好ましくは4.1mm以上であり、上限値として、好ましくは5.1mm以下、より好ましくは4.8mm以下、更に好ましくは4.6mm以下である。上記コアのたわみ量が小さすぎる、即ち、コアが硬すぎると、ボールのスピンが増えすぎて飛ばなくなったり、打感が硬くなりすぎることがある。一方、上記コアのたわみ量が大きすぎる、即ち、コアが軟らかすぎると、ボールの反発性が低くなりすぎて飛ばなくなったり、打感が軟らかくなりすぎ、あるいは繰り返し打撃時の割れ耐久性が悪くなることがある。
次に、上記コアの硬度分布については説明する。なお、以下に説明するコアの硬度はショアC硬度を意味する。このショアC硬度は、ASTM D2240規格に準拠したショアC硬度計にて計測した硬度値である。
上記コアの中心硬度(Cc)は、特に制限されるものではないが、好ましくは50以上、より好ましくは52以上、更に好ましくは54以上とすることができる。また、その上限も特に制限されるものではないが、好ましくは60以下、より好ましくは59以下、更に好ましくは58以下とすることができる。この値が大きすぎると、スピンが多くなり狙いの飛距離が得られなくなったり、打感が硬くなりすぎることがある。一方、上記値が小さすぎると、反発が低くなり狙いの飛距離が得られなくなったり、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。
上記コアの中心と表面の中間の位置M(以下「中間位置M」ともいう。)から内側に6mmの位置硬度(Cm-6)は、特に制限されるものではないが、好ましくは50以上、より好ましくは52以上、更に好ましくは54以上とすることができ、また、その上限も特に制限はなく、好ましくは67以下、より好ましくは65以下、更に好ましくは63以下とすることができる。これらの硬度を逸脱した場合、上記コアの中心硬度(Cc)で説明したのと同様の不利な結果を招くおそれがある。
上記コアの中間位置Mからコア中心に向かって内側(以下、単に「内側」という。)
の位置硬度(Cm-4)は、特に制限されるものではないが、好ましくは53以上、より好ましくは55以上、更に好ましくは57以上とすることができ、また、その上限も特に制限はなく、好ましくは68以下、より好ましくは66以下、更に好ましくは64以下とすることができる。これらの硬度を逸脱した場合、上記コアの中心硬度(Cc)で説明したのと同様の不利な結果を招くおそれがある。
上記コアの中間位置Mから内側に2mmの位置硬度(Cm-2)は、特に制限されるものではないが、好ましくは54以上、より好ましくは56以上、更に好ましくは58以上とすることができ、また、その上限も特に制限はなく、好ましくは69以下、より好ましくは67以下、更に好ましくは65以下とすることができる。これらの硬度を逸脱した場合、上記コアの中心硬度(Cc)で説明したのと同様の不利な結果を招くおそれがある。
上記コアの中間位置Mの断面硬度(Cm)は、特に制限されるものではないが、好ましくは56以上、より好ましくは58以上、更に好ましくは60以上とすることができる。また、その上限も特に制限されるものではないが、好ましくは71以下、より好ましくは69以下、更に好ましくは67以下とすることができる。これらの硬度を逸脱した場合、上記コアの中心硬度(Cc)で説明したのと同様の不利な結果を招くおそれがある。
上記コアの中間位置Mからコア表面に向けて外側(以下、単に「外側」という。)に2mmの位置硬度(Cm+2)は、特に制限されるものではないが、好ましくは57以上、より好ましくは60以上、更に好ましくは62以上とすることができ、また、その上限も特に制限はなく、好ましくは74以下、より好ましくは71以下、更に好ましくは69以下とすることができる。この値が大きすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなったり、打感が硬くなりすぎることがある。一方、上記値が小さすぎると、反発が低くなりすぎたり、フルショット時のスピンが多くなり狙いの飛距離が得られなくなることがある。
上記コアの中間位置Mから外側に4mmの位置硬度(Cm+4)は、特に制限されるものではないが、好ましくは63以上、より好ましくは66以上、更に好ましくは68以上とすることができ、また、その上限も特に制限はなく、好ましくは78以下、より好ましくは75以下、更に好ましくは73以下とすることができる。これらの硬度を逸脱した場合、上記コアの中間位置Mから2mm離れた位置硬度(Cm+2)で説明したのと同様の不利な結果を招くおそれがある。
上記コアの中間位置Mから外側に6mmの位置硬度(Cm+6)は、特に制限されるものではないが、好ましくは69以上、より好ましくは72以上、更に好ましくは74以上とすることができ、また、その上限も特に制限はなく、好ましくは84以下、より好ましくは81以下、更に好ましくは79以下とすることができる。これらの硬度を逸脱した場合、上記コアの中間位置Mから2mm離れた位置硬度(Cm+2)で説明したのと同様の不利な結果を招くおそれがある。
上記コアの表面硬度(Cs)は、特に制限されるものではないが、好ましくは75以上、より好ましくは78以上、更に好ましくは80以上とすることができる。また、その上限も特に制限されるものではないが、好ましくは90以下、より好ましくは87以下、更に好ましくは85以下とすることができる。この値が大きすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなったり、打感が硬くなりすぎることがある。一方、上記値が小さすぎると、反発が低くなりすぎたり、フルショット時のスピンが多くなり狙いの飛距離が得られなくなることがある。
コアの内外の硬度差を大きくすべく、コアの中心と表面の硬度差を適正化する。即ち、コア表面硬度(Cs)−コア中心C硬度(Cc)の値は、ショアC硬度で20以上であり、好ましくは22以上、より好ましくは24以上、とすることができる。また、その上限も特に制限されるものではないが、好ましくは40以下、より好ましくは35以下、更に好ましくは30以下とすることができる。上記硬度差が小さすぎると、フルショットした時のスピンが多くなり、狙いの飛距離が得られなくなることがある。一方、上記の硬度差が大きすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなったり、実打初速が低くなり狙いの飛距離が得られなくなることがある。なお、上記の中心硬度(Cc)とは、コアを半分に(中心を通るように)切断して得た断面の中心において測定される硬度を意味し、表面硬度(Cs)は上記コアの表面(球面)において測定される硬度を意味する。
本発明における上記コア硬度分布においては、下記の面積A〜F
・面積A: 1/2×2×(Cm-4−Cm-6)
・面積B: 1/2×2×(Cm-2−Cm-4)
・面積C: 1/2×2×(Cm−Cm-2)
・面積D: 1/2×2×(Cm+2−Cm)
・面積E: 1/2×2×(Cm+4−Cm+2)
・面積F: 1/2×2×(Cm+6−Cm+4)
について、(面積E+面積F)−(面積A+面積B)の値が4.0以上であることを特徴とする。(面積E+面積F)−(面積A+面積B)の値は、好ましくは5.0以上、より好ましくは6.0以上であり、上限値としては、好ましくは20.0以下、より好ましくは16.0以下、さらに好ましくは12.0以下である。この値が大きすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。一方、上記値が小さくなりすぎると、フルショットした時のスピンが多くなり、狙いの飛距離が得られなくなることがある。なお、図2には、実施例1のコア硬度分布データを用いて面積A〜Fを説明した概略図を示す。このように面積A〜Fは、各特定距離の差を底辺とし、各位置硬度の差を高さに持つ各三角形の面積である。
上記面積A〜Fについて、(面積D+面積E+面積F)−(面積A+面積B+面積C)の値は、特に制限はないが、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.5以上、さらに好ましく2.0以上であり、上限値としては、好ましくは18.0以下、より好ましくは14.0以下、さらに好ましくは10.0以下である。この値が大きすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。一方、上記の値が小さくなりすぎると、フルショットした時のスピンが多くなり、狙いの飛距離が得られなくなることがある。
また、(面積E+面積F)−(面積A+面積B+面積C)の値は、特に制限はないが、0を超えることが好ましく、より好ましくは0.5以上、さらに好ましく1.0以上であり、上限値としては、好ましくは17.0以下、より好ましくは13.0以下、さらに好ましくは9.0以下である。この値が大きすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。一方、上記の値が小さくなりすぎると、フルショットした時のスピンが多くなり、狙いの飛距離が得られなくなることがある。
上記コア硬度分布の面積A〜Fについては、下記条件
面積D<面積E<面積F、及び
面積A<面積C
を満たすことが好適である。この関係を満足しないと、フルショットした時のスピンが多くなり、狙いの飛距離が得られなくなることがある。
包囲層の材料硬度は、特に制限はないが、ショアD硬度で、好ましくは48以上、より好ましくは50以上、さらに好ましくは52以上であり、上限値として、好ましくは62以下、より好ましくは60以下、さらに好ましくは56以下である。また、コアを包囲層で被覆した球体(包囲層被覆球体)の表面硬度は、ショアD硬度で、好ましくは54以上、より好ましくは56以上、さらに好ましくは58以上であり、上限値としては、好ましくは68以下、より好ましくは66以下、さらに好ましくは62以下である。これらの包囲層の材料硬度及び表面硬度が上記範囲よりも軟らかすぎると、フルショット時にスピンがかかりすぎたり、初速が低くなり飛距離が出なくなることがある。一方、上記の材料硬度及び表面硬度が硬すぎると、打感が硬くなったり、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなったり、フルショット時のスピンが増えて飛距離が出なくなることがある。
包囲層被覆球体の表面硬度は、中間層被覆球体の表面硬度より低く設定される。包囲層被覆球体が中間層被覆球体より表面硬度が高いと、フルショット時のスピンが増えて飛距離が出なくなったり、打感が悪くなることがある。
なお、包囲層の材料硬度は、ショアC硬度で表すと、好ましくは74以上、より好ましくは76以上、さらに好ましくは79以上であり、上限値として、好ましくは92以下、より好ましくは90以下、さらに好ましくは88以下である。また、包囲層被覆球体の表面硬度は、ショアC硬度で表すと、好ましくは82以上、より好ましくは84以上、さらに好ましくは87以上であり、上限値としては、好ましくは97以下、より好ましくは95以下、さらに好ましくは92以下である。
包囲層の厚さは、好ましくは0.8mm以上であり、より好ましくは0.9mm以上、さらに好ましくは1.0mm以上である。一方、包囲層の厚さの上限値としては、好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1.7mm以下、さらに好ましくは1.4mm以下である。包囲層の厚さが薄すぎると、フルショットした時の低スピン効果が足りずに狙いの飛距離が得られなくなることがある。一方、包囲層が厚すぎると、ボール全体の初速が低くなり、実打初速が低くなりすぎ、狙いの飛距離が得られなくなることがある。また、包囲層は後述する中間層より厚く形成するか、あるいは両層が同じ厚さであることが好適である。
上記包囲層の材料については、特に制限はないが、各種の熱可塑性樹脂材料を好適に用いることができ、特に好ましい材料の例としては、
下記(A)〜(D)成分、
(a−1)オレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸2元ランダム共重合体の金属イオン中和物と、
(a−2)オレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体及び/又はオレフィン−不飽和カルボン酸−不飽和カルボン酸エステル3元ランダム共重合体の金属イオン中和物とを
質量比で100:0〜0:100になるように配合した(A)ベース樹脂と、
(B)非アイオノマー熱可塑性エラストマーとを質量比で100:0〜50:50になるように配合した樹脂成分100質量部に対して、
(C)分子量が228〜1500の脂肪酸及び/又はその誘導体 5〜120質量部と、(D)上記(A)成分及び(C)成分中の未中和の酸基を中和できる塩基性無機金属化合物 0.1〜17質量部
とを必須成分として配合してなる樹脂組成物を例示することができる。
上記(A)〜(D)成分については、例えば、特開2010−253268号公報に記載される中間層の樹脂材料(A)〜(D)成分を好適に採用することができる。
なお、上記包囲層の各材料には、非アイオノマー熱可塑性エラストマーを配合することができる。非アイオノマー熱可塑性エラストマーの配合量は、上記ベース樹脂の合計量100質量部に対して、0〜50質量部配合することが好適である。
上記の非アイオノマー熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリオレフィン系エラストマー(ポリオレフィン、メタロセンポリオレフィン含む)、ポリスチレン系エラストマー、ジエン系ポリマー、ポリアクリレート系ポリマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアセタールなどが挙げられ、特に、熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマー等の熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマーが挙げられる。
上記の樹脂材料には、任意の添加剤を用途に応じて適宜配合することができる。例えば、顔料,分散剤,老化防止剤,紫外線吸収剤,光安定剤などの各種添加剤を加えることができる。これら添加剤を配合する場合、その配合量としては、上記ベース樹脂の総和100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、上限として、好ましくは10質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。
次に、中間層について説明する。
中間層の材料硬度は、特に制限はないが、ショアD硬度で、好ましくは58以上、より好ましくは60以上、さらに好ましくは63以上であり、上限値として、好ましくは70以下、より好ましくは68以下、さらに好ましくは65以下である。また、上記外側包囲層被覆球体を中間層で被覆した球体(中間層被覆球体)の表面硬度は、ショアD硬度で、好ましくは64以上、より好ましくは66以上、さらに好ましくは69以上であり、上限値としては、好ましくは76以下、より好ましくは74以下、さらに好ましくは71以下である。これらの中間層の材料硬度及び表面硬度が上記範囲よりも軟らかすぎると、フルショット時にスピンがかかりすぎたり、初速が低くなり飛距離が出なくなることがある。一方、上記の材料硬度及び表面硬度が硬すぎると、繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなり、あるいはパターやショートアプローチ実施時の打感が硬くなりすぎることがある。
なお、中間層の材料硬度は、ショアC硬度で表すと、好ましくは87以上、より好ましくは89以上、さらに好ましくは93以上であり、上限値として、好ましくは100以下、より好ましくは98以下、さらに好ましくは96以下である。また、中間層被覆球体の表面硬度は、ショアC硬度で表すと、好ましくは90以上、より好ましくは93以上、さらに好ましくは96以上であり、上限値としては、好ましくは100以下、より好ましくは99以下、さらに好ましくは98以下である。
中間層被覆球体の表面硬度は、ボール表面硬度よりも高く形成される。ボール表面硬度が中間層被覆球体より硬い場合には、フルショット時のスピンが増えて飛距離が出なくなったり、ショートゲーム時のコントロール性が悪くなる場合がある。
中間層の厚さは、好ましくは0.7mm以上であり、より好ましくは0.8mm以上、さらに好ましくは1.0mm以上である。一方、中間層の厚さの上限値としては、好ましくは1.8mm以下、より好ましくは1.4mm以下、さらに好ましくは1.2mm以下である。中間層の厚さは、後述するカバー(最外層)よりも厚くすることが好適である。上記中間層の厚さが上記範囲を逸脱したり、カバーより薄いと、ドライバー(W#1)打撃時の低スピン効果が足りずに飛距離が出なくなることがある。また、上記中間層が上記範囲より薄いと、繰り返し打撃時の割れ耐久性や低温時の耐久性が悪くなることがある。
中間層の材料については、ゴルフボール材料として使用される各種の熱可塑性樹脂、特に、包囲層の材料で述べた(A)〜(D)成分を含有する高中和型樹脂材料やアイオノマー樹脂を採用することが好適である。
アイオノマー樹脂材料としては、具体的には、ナトリウム中和型アイオノマー樹脂や亜鉛中和型アイオノマー樹脂などが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上併用することができる。
特に好ましいのは、亜鉛中和型アイオノマー樹脂とナトリウム中和型アイオノマー樹脂とを混合して主材として用いる態様が望ましい。その配合比率は、亜鉛中和型/ナトリウム中和型(質量比)で25/75〜75/25、好ましくは35/65〜65/35、更に好ましくは45/55〜55/45である。この比率内にZn中和アイオノマーとNa中和アイオノマーを含めないと、反発が低くなりすぎて所望の飛びが得られなかったり、常温での繰り返し打撃時の割れ耐久性が悪くなったり、さらに低温(零下)での割れ耐久性が悪くなることがある。
また、中間層の樹脂材料として、市販品のアイオノマー樹脂のうち酸含量16質量%以上の高酸含量アイオノマー樹脂を通常のアイオノマー樹脂にブレンドして用いることもでき、このブレンドにより高反発性且つ低スピン化によるドライバー(W#1)打撃時の飛距離を良好に得ることができる。
高酸含量アイオノマー樹脂に含まれる不飽和カルボン酸の含量(酸含量は通常16質量%以上であり、好ましくは17質量%以上、より好ましくは18質量%以上であり、上限値としては、好ましくは22質量%以下、より好ましくは21質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。この値が小さすぎると、フルショット時にスピンが増え、狙いの飛距離が得られなくなることがある。逆に、上記の値が大きすぎると、打感が硬くなりすぎ、或いは繰り返し打撃時の割れ耐久性が悪くなることがある。
また、高酸含量アイオノマー樹脂が樹脂材料100質量に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。上記の高酸含量アイオノマー樹脂の配合量が少なすぎると、ドライバー(W#1)打撃時にスピンが多くなり、飛距離が出なくなることがある。
中間層材料には、任意の添加剤を用途に応じて適宜配合することができる。例えば、顔料,分散剤,老化防止剤,紫外線吸収剤,光安定剤などの各種添加剤を加えることができる。これら添加剤を配合する場合、その配合量としては、基材樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、上限として、好ましくは10質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。
中間層材料については、後述するカバー材で好適に用いられるポリウレタンとの密着度を高めるために中間層表面を研磨することが好適である。更に、その研磨処理の後にプライマー(接着剤)を中間層表面に塗布するか、もしくは材料中に密着強化材を添加することが好ましい。
中間層材料の比重は、通常1.1未満であり、好ましくは0.90〜1.05、さらに好ましくは0.93〜0.99である。その範囲を逸脱すると、ボール全体の反発が低くなり飛距離が出なくなり、または繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなることがある。
次に、カバー(最外層)について説明する。
カバーの材料硬度は、特に制限はないが、ショアD硬度で、好ましくは30以上、より好ましくは35以上、さらに好ましくは40以上であり、上限値として、好ましくは53以下、より好ましくは50以下、さらに好ましくは47以下である。また、中間層被覆球体をカバーで被覆した球体の表面硬度(ボール表面硬度)は、ショアD硬度で、好ましくは50以上、より好ましくは53以上、さらに好ましくは56以上であり、上限値としては、好ましくは70以下、より好ましくは65以下、さらに好ましくは60以下である。これらのカバーの材料硬度及びボール表面硬度が上記範囲よりも軟らかすぎると、ドライバー(W#1)打撃時にスピン量が増加し、飛距離が出なくなることがある。上記の材料硬度及び表面硬度が硬すぎると、ショートゲームにおけるコントロール性が悪くなり、あるいは耐擦擦過傷性が悪くなることがある。
なお、カバーの材料硬度は、ショアC硬度で表すと、好ましくは50以上、より好ましくは57以上、さらに好ましくは63以上であり、上限値として、好ましくは80以下、より好ましくは76以下、さらに好ましくは72以下である。また、ボールの表面硬度は、ショアC硬度で表すと、好ましくは75以上、より好ましくは80以上、さらに好ましくは85以上であり、上限値としては、好ましくは95以下、より好ましくは92以下、さらに好ましくは90以下である。
カバーの厚さは、好ましくは0.3mm以上であり、より好ましくは0.45mm以上、さらに好ましくは0.6mm以上である。一方、カバーの厚さの上限値としては、好ましくは1.2mm以下、より好ましくは0.9mm以下、さらに好ましくは0.8mm以下である。上記カバーが厚すぎると、ドライバー(W#1)やアイアンフルショット時に反発が足りなくなったりスピンが多くなったりして飛距離が出なくなることがある。一方、カバーが薄すぎると、耐擦過傷性が悪くなったり、アプローチ時にスピンが十分にかからなくなりコントロール性が不足することがある。
上記カバーの材料としては、ゴルフボールのカバー材で使用される各種の熱可塑性樹脂を使用することができるが、コントロール性と耐擦過傷性の観点から、ウレタン樹脂を好適に使用することができる。特に、ボール製品の量産性の観点から、熱可塑性ポリウレタンを主体としたものを使用することが好適であり、より好ましくは、(I)熱可塑性ポリウレタン及び(II)ポリイソシアネート化合物を主成分とする樹脂配合物により形成することができる。
上記の(I)成分と(II)成分とを合わせた合計質量が、カバーの樹脂組成物全量に対して、60%以上であることが推奨され、より好ましくは、70%以上である。上記(I)成分及び(II)成分については以下に詳述する。
上記(I)熱可塑性ポリウレタンについて述べると、その熱可塑性ポリウレタンの構造は、長鎖ポリオールである高分子ポリオール(ポリメリックグリコール)からなるソフトセグメントと、鎖延長剤およびポリイソシアネート化合物からなるハードセグメントとを含む。ここで、原料となる長鎖ポリオールとしては、従来から熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものはいずれも使用でき、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、共役ジエン重合体系ポリオール、ひまし油系ポリオール、シリコーン系ポリオール、ビニル重合体系ポリオールなどを挙げることができる。これらの長鎖ポリオールは1種類のものを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのうちでも、反発弾性率が高く低温特性に優れた熱可塑性ポリウレタンを合成できる点で、ポリエーテルポリオールが好ましい。
鎖延長剤としては、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、例えば、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有する分子量400以下の低分子化合物であることが好ましい。鎖延長剤としては、1,4−ブチレングリコール、1,2−エチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。鎖延長剤としては、これらのうちでも、炭素数2〜12の脂肪族ジオールが好ましく、1,4−ブチレングリコールがより好ましい。
ポリイソシアネート化合物としては、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、特に制限はない。具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−(又は)2,6−トルエンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン1,5−ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートからなる群から選択された1種又は2種以上を用いることができる。ただし、イソシアネート種によっては射出成形中の架橋反応をコントロールすることが困難なものがある。本発明においては生産時の安定性と発現される物性とのバランスとの観点から、芳香族ジイソシアネートである4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが最も好ましい。
具体的な(I)成分の熱可塑性ポリウレタンとし、市販品を用いることもでき、例えば、パンデックスT8295,同T8290,同T8260(いずれもディーアイシーコベストロポリマー社製)などが挙げられる。
必須成分ではないが、上記(I)及び(II)成分に、別の成分である(III)成分として、上記熱可塑性ポリウレタン以外の熱可塑性エラストマーを配合することができる。この(III)成分を上記樹脂配合物に配合することにより、樹脂配合物の更なる流動性の向上や反発性、耐擦過傷性等、ゴルフボールカバー材として要求される諸物性を高めることができる。
上記(I)、(II)及び(III)成分の組成比については、特に制限はないが、本発明の効果を十分に有効に発揮させるためには、質量比で(I):(II):(III)=100:2〜50:0〜50であることが好ましく、さらに好ましくは、(I):(II):(III)=100:2〜30:8〜50(質量比)とすることである。
さらに、上記の樹脂配合物には、必要に応じて、上記の熱可塑性ポリウレタンを構成する成分以外の種々の添加剤を配合することができ、例えば顔料、分散剤、酸化防止剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、離型剤等を適宜配合することができる。
上述したコア,包囲層,中間層及びカバー(最外層)の各層を積層して形成されたマルチピースソリッドゴルフボールの製造方法については、公知の射出成形法等の常法により行なうことができる。例えば、コアの周囲に、包囲層,中間層の各材料を順次、それぞれの射出成形用金型で射出して各被覆球体を得、最後に、最外層であるカバーの材料を射出成形することによりマルチピースのゴルフボールを得ることができる。また、各被覆層として、予め半殻球状に成形した2枚のハーフカップで該被覆球体を包み加熱加圧成形することによりゴルフボールを作製することもできる。
ゴルフボールに対して、初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量(mm)は、特に制限はないが、好ましくは2.8mm以上、より好ましくは2.9mm以上、更に好ましくは3.0mm以上であり、上限値として、好ましくは3.8mm以下、より好ましくは3.6mm以下、更に好ましくは3.4mm以下である。ゴルフボールのたわみ量が小さすぎる、即ち、硬すぎると、スピンが増えすぎて飛ばなくなったり、打感が硬くなりすぎることがある。一方、上記のたわみ量が大きすぎる、即ち、上記球体が軟らかすぎると、ボールの反発性が低くなりすぎて飛ばなくなったり、打感が軟らかくなりすぎ、あるいは繰り返し打撃時の割れ耐久性が悪くなることがある。
各層の硬度関係
本発明では、フルショットした時の優位な飛距離性能と優れたショートゲーム性を両立させる点から、上記コアの表面硬度と、該コアを包囲層で被覆した球体(包囲層被覆球体)の表面硬度と、該包囲層被覆球体を中間層で被覆した球体(中間層被覆球体)の表面硬度と、ボールの表面硬度とが下記式(1)を満たす。
コア表面硬度<包囲層被覆球体の表面硬度<中間層被覆球体の表面硬度>ボール表面硬度 ・・・(1)
包囲層被覆球体はコアより表面硬度が高く、これらの表面硬度の差は、ショアC硬度で、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、さらに好ましくは3以上であり、上限値としては、好ましくは12以下、より好ましくは8以下、さらに好ましくは5以下である。上記の値が上記範囲を外れると、フルショットした時のスピンが多くなり、狙いの飛距離が得られなくなることがある。
中間層被覆球体は包囲層被覆球体より表面硬度が高く、これらの表面硬度の差は、ショアC硬度で、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは8以上であり、上限値としては、好ましくは25以下、より好ましくは17以下、さらに好ましくは14以下である。上記の値が上記範囲を外れると、フルショットした時のスピンが多くなり、狙いの飛距離が得られなくなることがある。
中間層被覆球体はボールより表面硬度が高く、これらの表面硬度の差は、ショアC硬度で、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは6以上であり、上限値としては、好ましくは25以下、より好ましくは17以下、さらに好ましくは14以下である。上記の値が小さすぎると、ショートゲームにおけるコントロール性が悪くなることがある。上記の値が大きすぎると、フルショットにおけるスピンが多くなり、狙いの飛距離が得られなくなることがある。
また、本発明では、フルショットした時に、低スピンで優位な飛距離性能を得る観点から、下記式(2)を満たす。
(包囲層被覆球体の表面硬度)−(コアの中心硬度)≧28 ・・・(2)
(包囲層被覆球体の表面硬度)−(コアの中心硬度)の値としては、通常28以上、好ましくは29以上、より好ましくは30以上であり、上限値としては、好ましくは40以下、より好ましくは37以下、さらに好ましくは35以下である。上記値が大きすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなったり、実打初速が低くなり狙いの飛距離が得られなくなることがある。また、上記の値が小さくなりすぎると、フルショットした時のスピンが多くなり、狙いの飛距離が得られなくなることがある。
コア直径とボール直径との関係
本発明では、ドライバー(W#1)のみならずアイアンでのフルショット時の優位な飛距離性能を得る観点から、コアの直径/ボール直径の値が0.825以上であることを好ましく、より好ましくは0.830以上、さらに好ましくは0.840以上、上限値としては、好ましくは0.950以下、より好ましくは0.900以下、さらに好ましくは0.880以下である。上記の値が小さすぎると、ボール初速が低くなったり、ボール全体のたわみ硬度が硬くなり、フルショット時のスピンが増えて狙いの飛距離が得られなくなることがある。上記の値が大きすぎると、フルショット時のスピンが増えて狙いの飛距離が得られなくなったり、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。
カバーの外表面には多数のディンプルを形成することができる。カバー表面に配置されるディンプルについては、特に制限はないが、好ましくは250個以上、好ましくは300個以上、より好ましくは320個以上であり、上限として、好ましくは380個以下、より好ましくは350個以下、さらに好ましくは340個以下具備することができる。ディンプルの個数が上記範囲より多くなると、ボールの弾道が低くなり、飛距離が低下することがある。逆に、ディンプル個数が少なくなると、ボールの弾道が高くなり、飛距離が伸びなくなる場合がある。
ディンプルの形状については、円形、各種多角形、デュードロップ形、その他楕円形など1種類又は2種類以上を組み合わせて適宜使用することができる。例えば、円形ディンプルを使用する場合には、直径は2.5mm以上6.5mm以下程度、深さは0.08mm以上0.30mm以下とすることができる。
ディンプルがゴルフボールの球面に占めるディンプル占有率、具体的には、ディンプルの縁に囲まれた平面の面縁で定義されるディンプル面積の合計が、ディンプルが存在しないと仮定したボール球面積に占める比率(SR値)については、空気力学特性を十分に発揮し得る点から70%以上90%以下であることが望ましい。また、各々のディンプルの縁に囲まれた平面下のディンプルの空間体積を、前記平面を底面とし、かつこの底面からのディンプルの最大深さを高さとする円柱体積で除した値V0は、ボールの弾道の適正化を図る点から0.35以上0.80以下とすることが好適である。更に、ディンプルの縁に囲まれた平面から下方に形成されるディンプル容積の合計がディンプルが存在しないと仮定したボール球容積に占めるVR値は、0.6%以上1.0%以下とすることが好ましい。上述した各数値の範囲を逸脱すると、良好な飛距離が得られない弾道となり、十分満足した飛距離を出せない場合がある。
カバー表面には塗料層(コーティング層)を形成することができる。この塗料層は、各種塗料を用いて塗装することができ、塗料としては、ゴルフボールの過酷な使用状況に耐えうる必要から、ポリオールとポリイソシアネートとからなるウレタン塗料を主成分とする塗料用組成物を用いることが好適である。
上記ポリオール成分としては、アクリル系ポリオールやポリエステルポリオールなどが挙げられる。なお、これらのポリオールには、ポリオールの変性体が含まれ、更に作業性を向上させるため、他のポリオールを追加することもできる。
ポリオール成分としては、2種類のポリエステルポリオールを併用することが好適である。この場合、2種類のポリエステルポリオールを(a)成分及び(b)成分とすると、(a)成分のポリエステルポリオールとしては、樹脂骨格に環状構造が導入されたポリエステルポリオールを採用することができ、例えば、シクロヘキサンジメタノール等の脂環構造を有するポリオールと多塩基酸との重縮合、或いは、脂環構造を有するポリオールとジオール類又はトリオールと多塩基酸との重縮合により得られるポリエステルポリオールが挙げられる。一方、(b)成分のポリエステルポリオールとしては、多分岐構造を有するポリエステルポリオールを採用することができ、例えば、東ソー社製の「NIPPOLAN 800」等の枝分かれ構造を有するポリエステルポリオールが挙げられる。
一方、ポリイソシアネートについては、特に制限はなく、一般的に用いられている芳香族、脂肪族、脂環式などのポリイソシアネートであり、具体的には、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−4−イソシアナトメチルシクロヘキサン等が挙げられる。これらは、単独で或いは混合して使用することができる。
塗料組成物には、塗装条件により、各種の有機溶剤を混合することができる。このような有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶剤、ミネラルスピリット等の石油炭化水素系溶剤等が使用できる。
上記塗料組成物からなる塗料層の厚さについては、特に制限はないが、通常5〜40μm、好ましくは10〜20μmである。なお、ここで言う塗料層の厚さとは、ディンプルの中心部、ディンプル中心部とディンプルエッジの間の位置2箇所の計3箇所を測定し、平均した塗料の厚さを意味する。
本発明では、上記塗料組成物からなる塗料層の弾性仕事回復率が60%以上とすることを要し、好ましくは80%以上である。この塗料層の弾性仕事回復率が上記範囲であれば、塗料層が高弾性力を有するため自己修復機能が高く、耐摩耗性に非常に優れる。また、上記塗料組成物で塗装されたゴルフボールの諸性能を向上させることができる。上記の弾性仕事回復率の測定方法については以下のとおりである。
弾性仕事回復率は、押し込み荷重をマイクロニュートン(μN)オーダーで制御し、押し込み時の圧子深さをナノメートル(nm)の精度で追跡する超微小硬さ試験方法であり、塗料層の物性を評価するナノインデンテーション法の一つのパラメータである。従来の方法では最大荷重に対応した変形痕(塑性変形痕)の大きさしか測定できなかったが、ナノインデンテーション法では自動的・連続的に測定することにより、押し込み荷重と押し込み深さとの関係を得ることができる。そのため、従来のような変形痕を光学顕微鏡で目視測定するときのような個人差がなく、精度高く塗料層の物性を評価することができると考えられる。ボール表面の塗料層がドライバーや各種のクラブの打撃により大きな影響を受け、塗料層がゴルフボールの物性に及ぼす影響は小さくないことから、塗料層を超微小硬さ試験方法で測定し、従来よりも高精度に行うことは、非常に有効な評価方法となる。
また、上記塗料層の硬度は、ショアM硬度は、好ましくは40以上、より好ましくは60以上であり、上限として、好ましくは95以下、より好ましくは85以下である。なお、このショアM硬度は、ASTM D2240に準ずるものである。また、上記塗料層の硬度は、ショアC硬度で好ましくは40以上であり、上限として、好ましくは80以下である。なお、このショアC硬度は、ASTM D2240に準ずるものである。塗料層が上記硬度範囲よりも高すぎると、繰り返し打撃した際に塗料が脆くなり、カバー層を保護できなくなるおそれがある。塗料層が上記硬度範囲よりも小さすぎると、ボール表面が硬いものに当たった際に傷がつきやすくなり好ましくない。
上記塗料層とカバーとの硬度関係について、カバーの材料硬度から塗料層の材料硬度を引いた値がショアC硬度で−20以上である好ましく、より好ましくは−15以上、さらに好ましくは−10以上であり、上限値としては、好ましくは25以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは15以下である。上記範囲を外れると、打撃した時にコーティングが剥がれやすくなる場合がある。
上記の塗料組成物を使用する際は、公知の方法で製造されたゴルフボールに対し、本発明の塗料組成物を塗装時に調整し、通常の塗装工程を採用して表面に塗布し、乾燥工程を経てボール表面に塗料層を形成することができる。この場合、塗装方法としては、スプレー塗装法、静電塗装法、ディッピング法などを好適に採用することができ、特に制限はない。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〜4、比較例1〜10〕
コアの形成
表1に示した実施例1及び比較例1〜4のゴム組成物を調製した後、155℃、14分の加硫条件により加硫成形することによりソリッドコアを作製した。
また同様にして、実施例2〜4及び比較例5〜10のソリッドコアを作製する。
Figure 2021176380
なお、表1に記載した各成分の詳細は以下の通りである。
・ポリブタジエンA:JSR社製、商品名「BR01」
・ポリブタジエンB:JSR社製、商品名「BR51」
・ポリブタジエンC:JSR社製、商品名「BR730」
・アクリル酸亜鉛:「ZN−DA85S」(日本触媒社製)
・有機過酸化物(1):ジクミルパーオキサイド、商品名「パークミルD」(日油社製)・有機過酸化物(2):1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサンとシリカとの混合物、商品名「パーヘキサC−40」(日油社製)
・硫黄:「サルファックス5」(鶴見化学工業社製)
・水:純水(正起薬品工業社製)
・老化防止剤:2,2−メチレンビス(4−メチル−6−ブチルフェノール)、商品名ノクラックNS−6(大内新興化学工業社製)
・酸化亜鉛:商品名「三種酸化亜鉛」(堺化学工業社製)
・硫酸バリウム:バリコ#300W(ハクスイテック社製)
・ペンタクロロチオフェノール亜鉛塩:和光純薬工業社製
包囲層、中間層及びカバー(最外層)の形成
次に、実施例1及び比較例1〜4について、上記で得たコアの周囲に、表2に示した配合の包囲層および中間層材料を用いて射出成形法により、順次、包囲層および中間層を形成し、各被覆球体を得た。次に、上記で得た中間層被覆球体の周囲に、同表に示した配合のカバー材料を用いて射出成形法によりカバー(最外層)を形成し、マルチピースソリッドゴルフボールを作製した。この際、カバー表面には、全ての実施例及び比較例に共通する所定の多数のディンプルを形成した。なお、比較例3及び比較例4については、コアの周囲には包囲層は形成しなかった。
また同様にして、実施例2〜4及び比較例5〜10については、上記と同様に、包囲層および中間層を形成し、各被覆球体を得る。次に、中間層被覆球体の周囲に、同表に示した配合のカバー材料を用いて射出成形法によりカバー(最外層)を形成し、マルチピースソリッドゴルフボールを作製することとする。カバー表面には、全ての実施例及び比較例に共通する所定の多数のディンプルを形成することとする。
Figure 2021176380
表中に記載した主な材料の商品名は以下の通りである。
「HPF1000」THE DOW CHEMICAL COMPANY社製 HPF(商標)1000
「HPF2000」THE DOW CHEMICAL COMPANY社製 HPF(商標)2000
「ハイミラン」三井・ダウポリケミカル社製のアイオノマー
「サーリン」THE DOW CHEMICAL COMPANY社製のアイオノマー
「ハイトレル」東レ・デュポン社製の熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマー
「トリメチロールプロパン」(TMP)東京化成工業社製
「TPU」ディーアイシーコベストロポリマー社製の商品名「パンデックス」、芳香族系エーテルタイプ熱可塑性ポリウレタン
全ての実施例及び比較例に共通するディンプルは、8種類の円形ディンプルを用い、その詳細については下記表3に示し、その配置態様は図5に示すとおりである。図5(A)は、ディンプルの平面図を示し、図5(B)は、その側面図を示す。
Figure 2021176380
ディンプルの定義
縁:ディンプル中心を通る断面において最も高いところ
直径:ディンプルの縁に囲まれた平面の直径
深さ:ディンプルの縁に囲まれた平面からのディンプルの最大深さ
SR:ディンプルの縁に囲まれた平面で定義されるディンプル面積の合計が、ディンプルが存在しないと仮定したボール球面積に占める比率
ディンプル体積:ディンプルの縁に囲まれた平面下のディンプル体積
円柱体積比:ディンプルと同直径の深さの円柱の体積に対する、ディンプル体積の比
VR:ディンプルの縁に囲まれた平面から下方に形成されるディンプル容積の合計が、ディンプルが存在しないと仮定したボール球容積
塗料層(コーティング層)の形成
次に、実施例1及び比較例1〜4について、全ての実施例及び比較例に共通する塗料組成物として、下記表4に示す塗料組成物を使用し、多数形成されたカバー(最外層)表面に、エアースプレーガンにより上記塗料を塗装し、厚み15μmの塗料層を形成したゴルフボールを作製した。
また同様にして、実施例2〜4及び比較例5〜10については、上記と同様に、上記塗料を塗装し、厚み15μmの塗料層を形成したゴルフボールを作製することとする。
Figure 2021176380
[ポリエステルポリオール(A)の合成例]
環流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管及び温度計を備えた反応装置に、トリメチロールプロパン140質量部、エチレングリコール95質量部、アジピン酸157質量部、1,4−シクロヘキサンジメタノール58質量部を仕込み、撹拌しながら200〜240℃まで昇温させ、5時間加熱(反応)させた。その後、酸価4,水酸基価170,重量平均分子量(Mw)28,000の「ポリエステルポリオール(A)」を得た。
次に、上記の合成したポリエステルポリオール(A)を酢酸ブチルで溶解させ、不揮発分70質量%のワニスを調整した。
表4の塗料組成物は、上記ポリエステルポリオール溶液23質量部に対して、「ポリエステルポリオール(B)」(東ソー(株)製の飽和脂肪族ポリエステルポリオール「NIPPOLAN 800」、重量平均分子量(Mw)1,000、固形分100%)を15質量部と有機溶剤とを混合し、主剤とした。この混合物は、不揮発分38.0質量%であった。
弾性仕事回復率
塗料の弾性仕事回復率の測定には、厚み50μmの塗料シートを使用して測定する。測定装置は、エリオニクス社の超微小硬度計「ENT−2100」が用いられ、測定の条件は、以下の通りである。
・圧子:バーコビッチ圧子(材質:ダイヤモンド、角度α:65.03°)
・荷重F:0.2mN
・荷重時間:10秒
・保持時間:1秒
・除荷時間:10秒
塗料の戻り変形による押し込み仕事量Welast(Nm)と機械的な押し込み仕事量Wtotal(Nm)とに基づいて、下記数式によって弾性仕事回復率が算出される。
弾性仕事回復率=Welast / Wtotal × 100(%)
ショアC硬度及びショアM硬度
上記表4のショアC硬度及びショアM硬度は、厚さ2mmのシートを作成し、3枚重ねて試験片としてASTM D2240規格に準拠したショアC硬度計及びショアM硬度計を用いてそれぞれ計測する。
得られた各ゴルフボールにつき、コアの各位置における内部硬度、コアや各被覆球体の外径、各層の厚さ及び材料硬度、各被覆球体の表面硬度などの諸物性を下記の方法で評価し、表5及び表6に示す。
コア、包囲層被覆球体及び中間層被覆球体の各球体の外径
23.9±1℃の温度で、任意の表面5箇所を測定し、その平均値を1個の各球体の測定値とし、測定個数10個での平均値を求める。
ボールの直径
23.9±1℃の温度で、任意のディンプルのない部分を15箇所測定し、その平均値を1個のボールの測定値とし、測定個数10個のボールの平均値を求める。
コア及びボールのたわみ量
コアまたはボールの対象被覆球体を硬板の上に置き、初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重1275N(130kgf)に負荷したときまでのたわみ量を計測する。なお、上記のたわみ量は23.9℃に温度調整した後の測定値である。
コア硬度分布
コアの表面は球面であるが、その球面に硬度計の針をほぼ垂直になるようにセットし、ASTM D2240に従ってショアC硬度で表面硬度を計測する。コアの中心及び所定位置については、コアを半球状にカットして断面を平面にして、中心部分及び表5に示した所定位置に硬度計の針を垂直に押し当てて測定し、中心及び各位置の硬度をショアC硬度の値で示す。硬度の測定には、ショアC型硬度計を備えた高分子計器株式会社製の自動ゴム硬度計「P2」が用いられる。硬度の値は最大値を読み取る。測定は、全て、23±2℃の環境下でなされる。なお、表5の数値はショアC硬度の値である。
また、コアの硬度分布において、コアの中心のショアC硬度Cc、コアの中心と表面との中点MのショアC硬度Cm、中点Mから内側に2mm、4mm、6mmの位置のショアC硬度Cm-2、Cm-4、Cm-6、中心Mから外側に2mm、4mm、6mmの位置のショアC硬度Cm+2、Cm+4、Cm+6、コアの表面のショアC硬度をCsについては、下記の面積A〜F
・面積A: 1/2×2×(Cm-4−Cm-6)
・面積B: 1/2×2×(Cm-2−Cm-4)
・面積C: 1/2×2×(Cm−Cm-2)
・面積D: 1/2×2×(Cm+2−Cm)
・面積E: 1/2×2×(Cm+4−Cm+2)
・面積F: 1/2×2×(Cm+6−Cm+4)
を計算し、下記の7個の数式の値を求めた。
(1)面積:A+B
(2)面積:A+B+C
(3)面積:E+F
(4)面積:D+E+F
(5)(面積:E+F)−(面積:A+B)
(6)(面積:D+E+F)−(面積:A+B+C)
(7)(面積:E+F)−(面積:A+B+C)
コア硬度分布の面積A〜Fの説明として、実施例1のコア硬度分布データを用いて面積A〜Fを表した概略図を図2に示す。
また、実施例1〜4及び比較例1〜10のコア硬度分布のグラフを図3及び図4に示す。
包囲層、中間層及びカバーの材料硬度(ショアD硬度)
各層の樹脂材料を厚さ2mmのシート状に成形し、2週間放置する。その後、ショアD硬度はASTM D2240規格に準拠して計測する。硬度の測定には、ショアD型硬度計を備えた高分子計器株式会社製の自動ゴム硬度計「P2」が用いられる。硬度の値は最大値を読み取る。測定は、全て、23±2℃の環境下でなされる。
包囲層被覆球体、中間層被覆球体及びボールの各球体の表面硬度(ショアD硬度)
各球体の表面に対して針を垂直になるように押し当てて計測する。なお、ボール(カバー)の表面硬度は、ボール表面においてディンプルが形成されていない陸部における測定値である。ショアD硬度はASTM D2240規格に準拠したタイプDデュロメータにより計測する。硬度の測定には、ショアC型硬度計及びショアD型硬度計の両方を備えた高分子計器株式会社製の自動ゴム硬度計「P2」が用いられる。硬度の値は最大値を読み取る。測定は、全て、23±2℃の環境下でなされる。
Figure 2021176380
Figure 2021176380
各ゴルフボールの飛び(W#1)(I#6)、アプローチ時のスピン量及び打感について下記の方法で評価する。その結果を表7に示す。
飛び評価(W#1)
ゴルフ打撃ロボットにドライバー(W#1)をつけて、ヘッドスピード45m/sにて打撃した時の飛距離を測定し、下記の基準で判定した。クラブは、ブリヂストンスポーツ社製の「TourB XD−5 ドライバー」(ロフト角9.5°)を使用する。また、スピン量は同様に打撃した直後のボールを初期条件計測装置により測定する。
〈判定基準〉
トータル飛距離226.5m以上 ・・・ ○
トータル飛距離226.5m未満 ・・・ ×
飛び評価(I#6)
ゴルフ打撃ロボットに6番アイアン(I#6)をつけて、ヘッドスピード42m/sにて打撃した時の飛距離を測定し、下記の基準で判定した。クラブは、ブリヂストンスポーツ社製の「TourB X−CBP I#6」を使用する。また、スピン量は同様に打撃した直後のボールを初期条件計測装置により測定する。
〈判定基準〉
トータル飛距離167.0m以上 ・・・ ○
トータル飛距離167.0m未満 ・・・ ×
アプローチ時のスピン量の評価
ゴルフ打撃ロボットにサンドウエッジをつけてヘッドスピード11m/sにて打撃した時のスピンの量で判断する。スピン量は同様に打撃した直後のボールを初期条件計測装置により測定した。サンドウエッジは、ブリヂストンスポーツ社製の「TourB XW−1 SW」を使用する。
〈判定基準〉
スピン量が3000rpm以上 ・・・ ○
スピン量が3000rpm未満 ・・・ ×
打感
ハンディキャップが15以下でヘッドスピード40〜45m/sのアマチュアゴルファーが上記ドライバー(W#1)で実打して、そのときの打感を下記の基準で評価する。
〈判定基準〉
ソフトで良い打感と評価した人の人数が20人中15人以上 ・・・ ○
ソフトで良い打感と評価した人の人数が20人中10人以上14人以下 ・・・ △
ソフトで良い打感と評価した人の人数が20人中9人以下 ・・・ ×
Figure 2021176380
表7の結果に示されるように、比較例1〜10のゴルフボールは、本発明品(実施例)に比べて以下の点で劣る。
比較例1は、コア表面硬度より包囲層の表面硬度が軟らかく、包囲層表面硬度−コア中心硬度の値がショアCで28未満となり、その結果、アイアンフルショット(I#6)でのスピン量が増加してしまい、飛距離が十分に出ない。また、良好な打感が得られない。
比較例2は、コア表面硬度より包囲層の表面硬度が軟らかく、包囲層表面硬度−コア中心硬度の値がショアCで28未満となり、その結果、アイアンフルショット(I#6)でのスピン量が増加してしまい、飛距離が十分に出ない。また、良好な打感が得られない。
比較例3は、包囲層なしの3層構造のゴルフボールであり、その結果、アイアンフルショット(I#6)でのスピン量が増加してしまい、飛距離が十分に出ない。また、良好な打感が得られない。
比較例4は、包囲層なしの3層構造のゴルフボールであり、その結果、アイアンフルショット(I#6)でのスピン量が増加してしまい、飛距離が十分に出ない。また、良好な打感が得られない。
比較例5は、包囲層表面硬度−コア中心硬度の値がショアCで28未満となり、その結果、アイアンフルショット(I#6)でのスピン量が増加してしまい、飛距離が十分に出ない。
比較例6は、コアの断面の硬度から計算される(面積:E+F)−(面積:A+B)の値が4.0未満となり、その結果、アイアンフルショット(I#6)でのスピン量が増加してしまい、飛距離が十分に出ない。
比較例7は、コアの表面と中心との硬度差がショアC硬度で20未満であり、かつコアの硬度分布から計算される(面積:E+F)−(面積:A+B)が4.0未満となり、その結果、アイアンフルショット(I#6)でのスピン量が増加してしまい、飛距離が十分に出ない。
比較例8は、コアの表面と中心との硬度差がショアC硬度で20未満であり、かつコアの硬度分布から計算される(面積:E+F)−(面積:A+B)が4.0未満となり、その結果、アイアンフルショット(I#6)でのスピン量が増加してしまい、飛距離が十分に出ない。
比較例9は、ボール表面硬度≧中間層表面硬度であるとともに中間層表面硬度≦包囲層表面硬度である。その結果、実打初速が低くなり、フルショットで飛距離が十分に出ない。
比較例10は、カバーが中間層より厚く形成されており、その結果、フルショットで実打初速が低くなり、ドライバー(W#1)フルショットでスピン量が増加してしまい飛距離が十分に出ない。また、良好な打感が得られない。

Claims (11)

  1. コア、包囲層、中間層及びカバーを具備し、上記コアはゴム組成物により1層又は複数層に形成され、上記包囲層は樹脂材料により1層又は複数層に形成され、中間層及びカバーは、それぞれ樹脂材料により1層に形成されるマルチピースソリッドゴルフボールであって、上記コアの直径が35.1〜41.3mmであり、該コアの硬度分布において、コアの中心のショアC硬度をCc、コアの中心と表面との中点MのショアC硬度をCm、中点Mから内側に2mm、4mm、6mmの位置のショアC硬度をそれぞれCm-2、Cm-4、Cm-6、中心Mから外側に2mm、4mm、6mmの位置のショアC硬度をそれぞれCm+2、Cm+4、Cm+6、コアの表面のショアC硬度をCsとしたとき、下記の面積A〜F
    ・面積A: 1/2×2×(Cm-4−Cm-6)
    ・面積B: 1/2×2×(Cm-2−Cm-4)
    ・面積C: 1/2×2×(Cm−Cm-2)
    ・面積D: 1/2×2×(Cm+2−Cm)
    ・面積E: 1/2×2×(Cm+4−Cm+2)
    ・面積F: 1/2×2×(Cm+6−Cm+4)
    について、(面積E+面積F)−(面積A+面積B)の値が4.0以上であり、Cs−Ccの値が20以上である共に、上記コアの中心硬度、上記コアの表面硬度と、該コアを包囲層で被覆した球体(包囲層被覆球体)の表面硬度と、該包囲層被覆球体を中間層で被覆した球体(中間層被覆球体)の表面硬度と、ボールの表面硬度との硬度関係(表面硬度はショアC硬度を意味する。)が、下記式(1)及び式(2)
    コア表面硬度<包囲層被覆球体の表面硬度<中間層被覆球体の表面硬度>ボール表面硬度 ・・・(1)、及び
    (包囲層被覆球体の表面硬度)−(コアの中心硬度)≧28 ・・・(2)
    を満たし、中間層の厚さ及びカバーの厚さが、下記式(3)
    カバー厚さ<中間層厚さ ・・・(3)
    を満たすことを特徴とするマルチピースソリッドゴルフボール。
  2. 上記コア硬度分布の面積A〜Fについて、下記式
    (面積D+面積E+面積F)−(面積A+面積B+面積C)≧1.0
    を満たす請求項1記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
  3. 上記コア硬度分布の面積A〜Fについて、下記式
    (面積E+面積F)−(面積A+面積B+面積C)>0
    を満たす請求項1又は2記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
  4. 上記コア硬度分布の面積A〜Fについて、下記の条件
    面積D<面積E<面積F、及び、
    面積A<面積C
    を満たす請求項1〜3のいずれか1項記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
  5. 包囲層の厚さ及び中間層の厚さが、下記式
    中間層厚さ≦包囲層厚さ
    を満たす請求項1〜4のいずれか1項記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
  6. コアの直径/ボール直径の値が0.825以上である請求項1〜5のいずれか1項記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
  7. 上記カバーの材料硬度よりも上記包囲層の材料硬度の方が高い請求項1〜6のいずれか1項記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
  8. 上記コアの中心硬度(Cc)が60以下である請求項1〜7のいずれか1項記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
  9. 上記式(2)において、(包囲層被覆球体の表面硬度)−(コアの中心硬度)の値が30以上である請求項1〜8のいずれか1項記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
  10. コアに対して、初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量(mm)は3.9mm以上であり、且つ、ボールに対して、初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量(mm)は2.8mm以上である請求項1〜9のいずれか1項記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
  11. 上記カバー表面には塗料層が形成され、カバーの材料硬度から塗料層の材料硬度を引いた値がショアC硬度で−20以上25以下である請求項1〜10のいずれか1項記載のマルチピースソリッドゴルフボール。
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