JP2023019338A - ゴルフボール - Google Patents

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Abstract

【課題】ヘッドスピード(HS)の速いゴルフプレーヤーと、そうではない普通のゴルフプレーヤーとが同じボールを使うことにより、過度に飛距離での優位性を競うのではないゴルフボールを提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、コアとカバーとを具備するゴルフボールであって、上記カバーがポリウレタンを主材として形成され、ボール直径が42.8mm以上、ボール質量が44.9g以下であり、ドライバーを用いた打撃試験(ヘッドスピード40m/s)において、ドライバーとゴルフボールとの接触開始から該ゴルフボールの変形量が最も大きくなるまでに要する時間(t1)と、上記ゴルフボールの変形量が最も大きくなった状態から該ゴルフボールと上記ドライバーとが離間するまでに要する時間(t2)との合計(t1+t2)が660μsec以下であることを特徴とするゴルフボールを提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、少なくともコアとカバーとを具備する2層以上のゴルフボールに関する。
従来より、飛距離の増大を図ると共に、良好な打感が得られるように様々なゴルフボールが提案されている。これらの多くは、ヘッドスピードが45m/sec前後のプレーヤー向けに最適化するように調整されているゴルフボールであっても、そのゴルフボールをヘッドスピードが40m/sec前後のプレーヤ-が使用すると、飛距離や打感などで満足がいくものではなかった。また、ヘッドスピードが40m/sec前後のプレーヤー向けに最適化されているゴルフボールについては、アイアンショット時にグリーンで止まり難かったり、ショートゲーム時に課題があるものが多かった。本来、ゴルフは、プレーヤーの技量を競う競技であるべきである。ゴルフプレーヤーのヘッドスピードの違いによる飛距離の差が大きくなりすぎると、プレーヤーのパワーの差を競うことになり、好ましいこととは言えない。
コアとカバーとを有する2層構造以上のゴルフボールの設計として、通常よりもボール直径を大きくすることや、ボールを軽量化すること、更には、ディンプル総体積を調整することなどの工夫がなされており、このような技術文献としては、例えば、下記の特許文献1~34が挙げられる。
しかしながら、上記提案のゴルフボールは、ヘッドスピードが速いゴルファーとそうではないゴルファーとのドライバー(W#1)で打撃した時の飛距離の差が十分に大きく、同じボールで競技するうえで、ヘッドスピードが速くないパワーのないプレーヤーにとっては不利であるものや、ゴルファーのショットの正確性やアプローチの技術でスコアを競うのに十分なゴルフボールとは言えないものであった。また、パワーに頼らず、ゴルファーの各ショットの技量でスコアを競うために、アイアン打撃時のトータル飛距離とキャリーとの差であるランを大きくせず、ショートゲームではスピン量を多くして、コントロール性を高めることが、ゴルファーの技量でスコアを競うためには公平で好ましいと言える。従って、本来のゴルフルールに従いつつ、上記の狙いの各プレーヤーに公平で適正なゴルフボールを開発すべきである。
特開平4-314462号公報 特開平4-371170号公報 特開平6-114123号公報 特開平6-327791号公報 特開平7-275419号公報 特開平8-238334号公報 特開平8-238335号公報 特開平8-238337号公報 特開平8-299497号公報 特開平9-108383号公報 特開平9-117530号公報 特開平9-168610号公報 特開平9-192265号公報 特開平9-215774号公報 特開平9-262317号公報 特開平10-211301号公報 特開平10-230023号公報 特開2002-017896号公報 特開2002-126131号公報 特開2002-529162号公報 特開2004-089544号公報 特開2005-329235号公報 特開2006-055638号公報 特開2006-087924号公報 特開2006-239435号公報 米国特許第5470075号明細書 米国特許第5497996号明細書 米国特許第5507493号明細書 米国特許第5836832号明細書 米国特許出願公開第2007-0219020号明細書 米国特許出願公開第2019-0151719号明細書 米国特許出願公開第2019-0381362号明細書 米国特許出願公開第2020-0114211号明細書 米国特許出願公開第2020-0114212号明細書
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ヘッドスピードの速い人と、そうではない人とが同じボールを使うことにより、過度に飛距離での優位性を競うのではなく、且つ、アイアンショットやショートゲームでの技量について同一のボールを使うことにより適正かつ公平に競い合うことができるゴルフボールを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、コアとカバーとを具備するゴルフボールについて、カバーがポリウレタンを主材として形成し、ボール直径を42.8mm以上、ボール質量を44.9g以下にそれぞれ設計し、ドライバーを用いた打撃試験(ヘッドスピード40m/s)において、ドライバーとゴルフボールとの接触開始から該ゴルフボールの変形量が最も大きくなるまでに要する時間(t1)と、上記ゴルフボールの変形量が最も大きくなった状態から該ゴルフボールと上記ドライバーとが離間するまでに要する時間(t2)との合計(t1+t2)が660μsec以下であるようなゴルフボールが、ヘッドスピードが速いゴルファーと、そうではないゴルファーとのドライバー(W#1)打撃時の飛距離の差が大きくなりすぎず、アイアン打撃時のランが大きくなく、且つ、ショートゲームではスピン量が多くなり、コントロール性が高いゴルフボールを提供できることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
なお、上記のヘッドスピードの速いゴルファーとは、ヘッドスピード(HS)45m/s以上の者であり、ヘッドスピードが速くないゴルファーとは、ヘッドスピード(HS)45m/s未満の者をいう。以下、本文において同じ意味である。
従って、本発明は、下記のゴルフボールを提供する。
1.コアとカバーとを具備するゴルフボールであって、上記カバーがポリウレタンを主材として形成され、ボール直径が42.8mm以上、ボール質量が44.9g以下であり、ドライバーを用いた打撃試験(ヘッドスピード40m/s)において、ドライバーとゴルフボールとの接触開始から該ゴルフボールの変形量が最も大きくなるまでに要する時間(t1)と、上記ゴルフボールの変形量が最も大きくなった状態から該ゴルフボールと上記ドライバーとが離間するまでに要する時間(t2)との合計(t1+t2)が660μsec以下であることを特徴とするゴルフボール。
2.ボールの比重が、1.02~1.10である上記1記載のゴルフボール。
3.コアとカバーとの比重関係が、コア比重≦カバー比重 である上記1又は2記載のゴルフボール。
4.上記時間(t1)と上記時間(t2)との比(t2/t1)が1.28以下である上記1~3のいずれかに記載のゴルフボール。
5.ボールに対して、初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量(mm)は3.2mm以下である上記1又は2記載のゴルフボール。
6.コアの直径が37.0mm以上であると共に、該コアの硬度分布において、コアの中心のショアC硬度をCc、コアの中心と表面との中点MのショアC硬度をCm、中点Mから内側に2mm、4mm、6mm、8mmの位置のショアC硬度をそれぞれCm-2、Cm-4、Cm-6、Cm-8、中心Mから外側に2mm、4mm、6mmの位置のショアC硬度をそれぞれCm+2、Cm+4、Cm+6、コアの表面のショアC硬度をCsとしたとき、下記の面積A~F
・面積X: 1/2×2×(Cm-6-Cm-8)
・面積A: 1/2×2×(Cm-4-Cm-6)
・面積B: 1/2×2×(Cm-2-Cm-4)
・面積C: 1/2×2×(Cm-Cm-2)
・面積D: 1/2×2×(Cm+2-Cm)
・面積E: 1/2×2×(Cm+4-Cm+2)
・面積F: 1/2×2×(Cm+6-Cm+4)
について、下記式
(面積D+面積E+面積F)-(面積A+面積B+面積C)>0
を満たす上記1~5のいずれかに記載のゴルフボール。
7.上記コア硬度分布の面積A~F,Xについて、下記式
(面積D+面積E+面積F)-(面積X+面積A+面積B+面積C)>0
を満たす上記1~6のいずれかに記載のゴルフボール。
8.上記コア硬度分布の面積A~Eについて、下記式
(面積D+面積E)-(面積A+面積B+面積C)≧1
を満たす上記1~7のいずれかに記載のゴルフボール。
9.上記コア硬度分布の面積A~E,Xについて、下記式
(面積D+面積E)-(面積X+面積A+面積B+面積C)>0
を満たす上記1~8のいずれかに記載のゴルフボール。
10.上記コア硬度分布の面積A~F、コア中心硬度Cc及びコア表面硬度Csについて、下記式
0<〔(面積:D+E+F)-(面積:A+B+C)〕/(Cs-Cc)≦1.00
を満たす上記1~9のいずれかに記載のゴルフボール。
11.コア表面硬度(Cs)-コア中心硬度(Cc)の値が20以上である上記1~10のいずれかに記載のゴルフボール。
12.コアに初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量E(mm)から、ボールに初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量B(mm)を引いた値E-B(mm)は、0.3~1.2mmである上記1~11のいずれかに記載のゴルフボール。
本発明のゴルフボールによれば、各プレーヤーのドライバー(W#1)打撃時のヘッドスピード(HS)の高低による飛距離の過度の差異を小さくし、且つ、アイアンフルショットでのランが少なく、ショートゲームではスピンがよくかかり高いコントロール性が得られる。
本発明の一実施態様であるゴルフボールの概略断面図である。 コア硬度分布の面積A~F,Xを説明するために、実施例1,2のコア硬度分布データを用いて説明した概略図である。 実施例1,2,4及び比較例5のコア硬度分布を示すグラフである。 実施例3及び比較例6のコア硬度分布を示すグラフである。 比較例1~4,7のコア硬度分布を示すグラフである。 各実施例及び各比較例に共通するディンプルの態様(パターン)を示す平面図である。
以下、本発明につき、更に詳しく説明する。
本発明のゴルフボールは、コアとカバーとを具備する。コアとカバーとの間には、1層又は複数層の中間層を介在してもよい。例えば、図1では、コア1と、該コア1を被覆する中間層2と、該中間層を被覆するカバー3を有している3層構造のゴルフボールGが挙げられる。なお、上記カバー3は、塗膜層を除き、ゴルフボールの層構造での最外層に位置するものである。上記カバー(最外層)3の表面には、通常、空力特性の向上のためにディンプルDが多数形成される。また、カバー3の表面には、通常、塗膜層が形成されるが図1では図示していない。以下、上記の各層について詳述する。
コアの材料としては、ゴム材を主材として用いる。具体的には、基材ゴムを主体とし、これに、共架橋剤、有機過酸化物、不活性充填剤、有機硫黄化合物等を配合させてゴム組成物を作成することができる。基材ゴムとしては、ポリブタジエンを用いることが好ましい。
ポリブタジエンの種類としては、市販品を用いることができ、例えば、BR01、BR51、BR730(JSR社製)などが挙げられる。また、基材ゴム中のポリブダジエンの割合は、好ましくは60質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上である。上記基材ゴムには、上記ポリブタジエン以外にも他のゴム成分を本発明の効果を損なわない範囲で配合し得る。上記ポリブタジエン以外のゴム成分としては、上記ポリブタジエン以外のポリブタジエン、その他のジエンゴム、例えばスチレンブタジエンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム等を挙げることができる。
共架橋剤としては、例えば不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の金属塩等が挙げられる。不飽和カルボン酸として具体的には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸等を挙げることができ、特にアクリル酸、メタクリル酸が好適に用いられる。不飽和カルボン酸の金属塩としては特に限定されるものではないが、例えば上記不飽和カルボン酸を所望の金属イオンで中和したものが挙げられる。具体的にはメタクリル酸、アクリル酸等の亜鉛塩やマグネシウム塩等が挙げられ、特にアクリル酸亜鉛が好適に用いられる。
上記不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩は、上記基材ゴム100質量部に対し、通常20質量部以上、好ましくは25質量部以上、更に好ましくは30質量部以上、上限として通常60質量部以下、好ましくは50質量部以下、更に好ましくは40質量部以下配合する。配合量が多すぎると、硬くなりすぎて耐え難い打感になる場合があり、配合量が少なすぎると、反発性が低下してしまう場合がある。
上記有機過酸化物としては市販品を用いることができ、例えば、パークミルD(日本油脂(株)製)、パーヘキサC-40、パーヘキサ3M(日本油脂(株)製)、Luperco 231XL(アトケム社製)等を好適に用いることができる。これらは1種を単独であるいは2種以上を併用してもよい。有機過酸化物の配合量は、上記基材ゴム100質量部に対し、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上であり、上限として、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、最も好ましくは2.5質量部以下配合する。配合量が多すぎたり、少なすぎたりすると好適な打感、耐久性及び反発性を得ることができない場合がある。
そのほか、基材ゴムに配合される配合剤として、不活性充填剤が挙げられ、例えば、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等を好適に用いることができる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。不活性充填剤の配合量は、上記基材ゴム100質量部に対し、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、上限として好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは12質量部以下とする。配合量が多すぎたり、少なすぎたりすると適正な質量、及び好適な反発性を得ることができない場合がある。
更に、必要に応じて老化防止剤を配合することができ、例えば、市販品としてはノクラックNS-6、同NS-30(大内新興化学工業(株)製)、ヨシノックス425(吉富製薬(株)製)等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
該老化防止剤の配合量は上記基材ゴム100質量部に対し、好ましくは0質量部以上、更に好ましくは0.05質量部以上、特に好ましくは0.1質量部以上、上限として好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2質量部以下、特に好ましくは1質量部以下、最も好ましくは0.5質量部以下とする。配合量が多すぎたり、少なすぎたりすると好適な反発性、耐久性を得ることができない場合がある。
また、上記コアには、良好な反発性付与させるために、有機硫黄化合物を配合することができる。有機硫黄化合物としては、ゴルフボールの反発性を向上させ得るものであれば特に制限されないが、例えばチオフェノール類、チオナフトール類、ハロゲン化チオフェノール類又はそれらの金属塩等が挙げられる。より具体的には、ペンタクロロチオフェノール、ペンタフルオロチオフェノール、ペンタブロモチオフェノール、パラクロロチオフェノール、ペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩、ペンタフルオロチオフェノールの亜鉛塩、ペンタブロモチオフェノールの亜鉛塩、パラクロロチオフェノールの亜鉛塩、硫黄数が2~4のジフェニルポリスルフィド、ジベンジルポリスルフィド、ジベンゾイルポリスルフィド、ジベンゾチアゾイルポリスルフィド、ジチオベンゾイルポリスルフィド等が挙げられ、特に、ペンタクロロチオフェノールの亜鉛塩が好適に用いられる。有機硫黄化合物の配合量は、上記基材ゴム100質量部に対し、好ましくは0質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、更に好ましくは0.1質量部以上、上限として、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、更に好ましくは2.5質量部以下であることが推奨される。配合量が多すぎると、反発性(特に、W#1による打撃)の改良効果がそれ以上期待できなくなり、コアが軟らかくなりすぎ、または打感が悪くなる場合がある。一方、配合量が少なすぎると、反発性の改善効果が期待できなくなる。
更に詳述すれば、上記のコア材料に直接的に水(水を含む材料)を配合することにより、コア配合中の有機過酸化物の分解を促進することができる。また、コア用ゴム組成物中の有機過酸化物は、温度によって分解効率が変化することが知られており、ある温度よりも高温になるほど分解効率が上がる。温度が高すぎると、分解したラジカル量が多くなりすぎてしまい、ラジカル同士で再結合や不活性化してしまうことになる。その結果、架橋に有効に働くラジカルが減ることになる。ここで、コア加硫の際に有機過酸化物が分解することで分解熱が発生するとき、コア表面付近は加硫モールドの温度とほぼ同程度を維持しているが、コア中心付近は外側から分解していった有機過酸化物の分解熱が蓄積されるため、モールド温度よりもかなり高温になる。コアに直接的に水(水を含む材料)を配合した場合、水は有機過酸化物の分解を助長する働きがあるため、上述したようなラジカル反応をコア中心とコア表面において変化させることができる。即ち、コア中心付近では有機過酸化物の分解が更に助長され、ラジカルの不活性化がより促されることで有効ラジカル量が更に減少するため、コア中心とコア表面との架橋密度が大きく異なるコアを得ることができ、且つ、コア中心部の動的粘弾性特性の異なるコアを得ることができる。
上記のコア材料に配合される水については、特に制限はなく、蒸留水であっても水道水であってもよいが、特には、不純物を含まない蒸留水を使用することが好適に採用される。水の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上配合することが好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であり、上限としては、好ましくは5質量部以下であり、より好ましくは4質量部以下である。
上記コアは、上記各成分を含有するゴム組成物を加硫硬化させることにより製造することができる。例えば、バンバリーミキサーやロール等の混練機を用いて混練し、コア用金型を用いて圧縮成形又は射出成型し、有機過酸化物や共架橋剤が作用するのに十分な温度として、100~200℃、好ましくは140~180℃、10~40分の条件にて成形体を適宜加熱することにより、該成形体を硬化させて製造することができる。
また、上記コアは単層のみならず複数層に形成することができ、具体例として、内層コア及び外層コアの2層構造が挙げられる。コアを内層コア及び外層コアの2層に形成する場合、内層及び外層コアの材料としては、いずれも上述したゴム材を主材として用いることができる。また、内層コアを被覆する外層コアのゴム材は、内層コアの材料と同種であっても異種であってもよい。具体的には、上記コアのゴム材料の各成分で説明したのと同様である。
コアの直径は、好ましくは37.0mm以上、より好ましくは38.0mm以上、より好ましくは38.8mm以上であり、上限としては、好ましくは41.2mm以下、より好ましくは40.3mm以下、さらに好ましくは39.4mm以下である。コアの直径が小さすぎると、ドライバー(W#1)打撃時にスピン量が多くなり、ヘッドスピードの速くないゴルファーにとって狙いの飛距離が得られなくなることがある。一方、コアの直径が大きすぎると、繰り返し打撃耐久性が悪くなったり、打感が悪くなることがある。
コアに対して、初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量(mm)は、特に制限はないが、好ましくは2.5mm以上、より好ましくは2.7mm以上、更に好ましくは2.9mm以上であり、上限値として、好ましくは3.9mm以下、より好ましくは3.7mm以下、更に好ましくは3.5mm以下である。上記コアのたわみ量が小さすぎる、即ち、コアが硬すぎると、ボールのスピンが増えすぎてしまい、ヘッドスピードが速いゴルファーだけでなくヘッドスピードが速くないゴルファーにおいても飛ばなくなったり、打感が硬くなりすぎることがある。一方、上記コアのたわみ量が大きすぎる、即ち、コアが軟らかすぎると、ボールの反発性が低くなりすぎてしまい、ヘッドスピードが速いゴルファーだけでなくヘッドスピードが速くないゴルファーにおいても飛ばなくなったり、打感が軟らかくなりすぎ、あるいは繰り返し打撃時の割れ耐久性が悪くなることがある。
次に、上記コアの硬度分布については説明する。なお、以下に説明するコアの硬度はショアC硬度を意味する。このショアC硬度は、ASTM D2240規格に準拠したショアC硬度計にて計測した硬度値である。
上記コアの中心硬度(Cc)は、特に制限されるものではないが、好ましくは56以上、より好ましくは58以上、更に好ましくは60以上とすることができる。また、その上限も特に制限されるものではないが、好ましくは67以下、より好ましくは65以下、更に好ましくは63以下とすることができる。この値が大きすぎると、打感が硬くなったり、フルショットでスピンが増えて狙いの飛距離が得られなくなることがある。一方、上記値が小さすぎると、反発が低くなり狙いの飛距離が得られなくなったり、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。なお、上記の中心硬度(Cc)とは、コアを半分に(中心を通るように)切断して得た断面の中心において測定される硬度を意味する。
上記コアの中心と表面の中間の位置M(以下「中間位置M」ともいう。)から内側に8mmの位置硬度(Cm-8)は、特に制限されるものではないが、好ましくは56以上、より好ましくは58以上、更に好ましくは60以上とすることができ、また、その上限も特に制限はなく、好ましくは68以下、より好ましくは66以下、更に好ましくは64以下とすることができる。
上記コアの中心と表面の中間の位置M(以下「中間位置M」ともいう。)から内側に6mmの位置硬度(Cm-6)は、特に制限されるものではないが、好ましくは57以上、より好ましくは59以上、更に好ましくは61以上とすることができ、また、その上限も特に制限はなく、好ましくは69以下、より好ましくは67以下、更に好ましくは65以下とすることができる。
上記コアの中心と表面の中間の位置M(以下「中間位置M」ともいう。)から内側に4mmの位置硬度(Cm-4)は、特に制限されるものではないが、好ましくは59以上、より好ましくは61以上、更に好ましくは63以上とすることができ、また、その上限も特に制限はなく、好ましくは70以下、より好ましくは68以下、更に好ましくは66以下とすることができる。
上記コアの中間位置Mから内側に2mmの位置硬度(Cm-2)は、特に制限されるものではないが、好ましくは60以上、より好ましくは62以上、更に好ましくは64以上とすることができ、また、その上限も特に制限はなく、好ましくは71以下、より好ましくは69以下、更に好ましくは67以下とすることができる。これらの硬度を逸脱した場合、上記コアの中心硬度(Cc)で説明したのと同様の不利な結果を招くおそれがある。
上記コアの中間位置Mの断面硬度(Cm)は、特に制限されるものではないが、好ましくは60以上、より好ましくは62以上、更に好ましくは64以上とすることができる。また、その上限も特に制限されるものではないが、好ましくは72以下、より好ましくは70以下、更に好ましくは68以下とすることができる。これらの硬度を逸脱した場合、上記コアの中心硬度(Cc)で説明したのと同様の不利な結果を招くおそれがある。
上記コアの中間位置Mからコア表面に向けて外側(以下、単に「外側」という。)に2mmの位置硬度(Cm+2)は、特に制限されるものではないが、好ましくは63以上、より好ましくは65以上、更に好ましくは67以上とすることができ、また、その上限も特に制限はなく、好ましくは77以下、より好ましくは75以下、更に好ましくは73以下とすることができる。この値が大きすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなったり、打感が硬くなりすぎることがある。一方、上記値が小さすぎると、反発が低くなりすぎたり、フルショット時のスピンが多くなり狙いの飛距離が得られなくなることがある。
上記コアの中間位置Mから外側に4mmの位置硬度(Cm+4)は、特に制限されるものではないが、好ましくは69以上、より好ましくは71以上、更に好ましくは73以上とすることができ、また、その上限も特に制限はなく、好ましくは82以下、より好ましくは80以下、更に好ましくは78以下とすることができる。これらの硬度を逸脱した場合、上記コアの中間位置Mから2mm離れた位置硬度(Cm+2)で説明したのと同様の不利な結果を招くおそれがある。
上記コアの中間位置Mから外側に6mmの位置硬度(Cm+6)は、特に制限されるものではないが、好ましくは73以上、より好ましくは75以上、更に好ましくは77以上とすることができ、また、その上限も特に制限はなく、好ましくは85以下、より好ましくは83以下、更に好ましくは81以下とすることができる。これらの硬度を逸脱した場合、上記コアの中間位置Mから2mm離れた位置硬度(Cm+2)で説明したのと同様の不利な結果を招くおそれがある。
上記コアの表面硬度(Cs)は、特に制限されるものではないが、好ましくは80以上、より好ましくは82以上、更に好ましくは84以上とすることができる。また、その上限も特に制限されるものではないが、好ましくは91以下、より好ましくは89以下、更に好ましくは87以下とすることができる。この値が大きすぎると、打感が硬くなったり、フルショットでスピンが増えて狙いの飛距離が得られなくなることがある。なお、上記の表面硬度(Cs)は上記コアの表面(球面)において測定される硬度を意味する。
コアの内外の硬度差を大きくすべく、コアの中心と表面の硬度差を適正化する。即ち、コア表面硬度(Cs)-コア中心C硬度(Cc)の値は、ショアC硬度で20以上であることが好ましく、より好ましくは22以上、さらに好ましくは23以上である。また、その上限も特に制限されるものではないが、好ましくは30以下、より好ましくは28以下、更に好ましくは25以下とすることができる。上記硬度差が小さすぎると、ドライバー(W#1)打撃時の低スピン効果が足りずにヘッドスピードが速くないゴルファーの飛距離が出なくなることがある。一方、上記の硬度差が大きすぎると、実打初速が低くなり、ヘッドスピードが速くないゴルファーの飛距離が出なくなったり、繰り返し打撃の際の割れ耐久が悪くなることがある。
本発明における上記コア硬度分布においては、下記の面積A~F,X
・面積X: 1/2×2×(Cm-6-Cm-8)
・面積A: 1/2×2×(Cm-4-Cm-6)
・面積B: 1/2×2×(Cm-2-Cm-4)
・面積C: 1/2×2×(Cm-Cm-2)
・面積D: 1/2×2×(Cm+2-Cm)
・面積E: 1/2×2×(Cm+4-Cm+2)
・面積F: 1/2×2×(Cm+6-Cm+4)
について、(面積D+面積E+面積F)-(面積A+面積B+面積C)の値が0を超えることが好ましく、より好ましくは2.0以上、より好ましくは4.0以上であり、上限値としては、好ましくは20.0以下、より好ましくは16.0以下、さらに好ましくは12.0以下である。この値が小さすぎると、ドライバー(W#1)打撃時の低スピン効果が足りずにヘッドスピードが速くないゴルファー人にとっても飛距離が出なくなることがある。一方、上記値が大きいと、実打初速が低くなりヘッドスピードが速くないゴルファーにとって飛距離が出なくなったり、繰り返し打撃の際の割れ耐久性が悪くなることがある。
上記面積A~F,Xについて、(面積D+面積E+面積F)-(面積X+面積A+面積B+面積C)の値は、特に制限はないが、0を超えることが好ましく、より好ましくは2.0以上、さらに好ましく4.0以上であり、上限値としては、好ましくは20.0以下、より好ましくは16.0以下、さらに好ましくは12.0以下である。上記の範囲を逸脱した場合は、(面積D+面積E+面積F)-(面積A+面積B+面積C)の値について説明したのと同様の不利な結果を招くおそれがある。
上記面積A~Eについて、(面積D+面積E)-(面積A+面積B+面積C)の値は、特に制限はないが、1.0以上であることが好ましく、より好ましくは2.0以上、さらに好ましく3.0以上であり、上限値としては、好ましくは14.0以下、より好ましくは11.0以下、さらに好ましくは8.0以下である。上記の範囲を逸脱した場合は、(面積D+面積E+面積F)-(面積A+面積B+面積C)の値について説明したのと同様の不利な結果を招くおそれがある。
上記面積A~E,Xについて、(面積D+面積E)-(面積X+面積A+面積B+面積C)の値は、特に制限はないが、0を超えることが好ましく、より好ましくは1.0以上、さらに好ましく2.0以上であり、上限値としては、好ましくは14.0以下、より好ましくは11.0以下、さらに好ましくは8.0以下である。上記の範囲を逸脱した場合は、(面積D+面積E+面積F)-(面積A+面積B+面積C)の値について説明したのと同様の不利な結果を招くおそれがある。
上記面積A~F、コア中心硬度Cc及びコア表面硬度Csについて、下記式
0<〔(面積:D+E+F)-(面積:A+B+C)〕/(Cs-Cc)≦1.00
を満たすことが好適であり、より好ましくは、
0.10≦〔(面積D+E+F)-(面積A+B+C)〕/(Cs-Cc)≦0.80 であり、さらに好ましくは、
0.20≦〔(面積D+E+F)-(面積A+B+C)〕/(Cs-Cc)≦0.60 である。
なお、図2には、実施例1のコア硬度分布データを用いて面積A~F,Xを説明した概略図を示す。このように面積A~F,Xは、各特定距離の差を底辺とし、各位置硬度の差を高さに持つ各三角形の面積である。
次に、中間層について説明する。
中間層の材料硬度は、特に制限はないが、ショアD硬度で、好ましくは60以上、より好ましくは62以上、さらに好ましくは64以上であり、上限値として、好ましくは72以下、より好ましくは70以下、さらに好ましくは68以下である。また、上記コアを中間層で被覆した球体(中間層被覆球体)の表面硬度は、ショアD硬度で、好ましくは66以上、より好ましくは68以上、さらに好ましくは70以上であり、上限値としては、好ましくは78以下、より好ましくは76以下、さらに好ましくは74以下である。これらの中間層の材料硬度及び表面硬度が上記範囲よりも軟らかすぎると、ヘッドスピードが速くない人でもフルショット時のスピン量が増えすぎて飛距離が出なくなったり、ボールとしての初速が低くなりフルショット時に飛距離が出なくなることがある。一方、中間層の材料硬度及び表面硬度が上記範囲より硬すぎると、繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなったり、打感が悪くなることがある。
なお、中間層の材料硬度は、ショアC硬度で表すと、好ましくは88以上、より好ましくは89以上、さらに好ましくは92以上であり、上限値として、好ましくは98以下、より好ましくは96以下、さらに好ましくは94以下である。また、中間層被覆球体の表面硬度は、ショアC硬度で表すと、好ましくは92以上、より好ましくは94以上、さらに好ましくは96以上であり、上限値としては、好ましくは100以下、より好ましくは99以下、さらに好ましくは98以下である。
中間層の厚さは、好ましくは0.9mm以上であり、より好ましくは1.1mm以上、さらに好ましくは1.2mm以上である。一方、中間層の厚さの上限値としては、好ましくは1.8mm以下、より好ましくは1.6mm以下、さらに好ましくは1.4mm以下である。中間層が薄すぎると、繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなったり、アイアンフルショット時にスピンが増えて飛距離が出なくなることがある。一方、中間層が厚すぎると、初速が低くなりヘッドスピードが速くないゴルファーも飛距離が出なくなったり、打感が悪くなることがある。
中間層の材料については、アイオノマー樹脂を主材料として採用することが好適である。
アイオノマー樹脂材料としては、不飽和カルボン酸の含量(「酸含量」ともいう)16質量%以上の高酸含量アイオノマー樹脂を通常のアイオノマー樹脂にブレンドして用いることが好適である。このブレンドにより、フルショット時の低スピン化と高反発化を実現することでヘッドスピードが速くないゴルファーが狙いどおりの飛距離を確保することができる。
高酸含量アイオノマー樹脂に含まれる不飽和カルボン酸の含量(酸含量)は通常16質量%以上であり、好ましくは17質量%以上、より好ましくは18質量%以上であり、上限値としては、好ましくは22質量%以下、より好ましくは21質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。この値が小さすぎると、フルショット時にスピンが増え、狙いの飛距離が得られなくなることがある。逆に、上記の値が大きすぎると、打感が硬くなりすぎ、或いは繰り返し打撃時の割れ耐久性が悪くなることがある。
また、高酸含量アイオノマー樹脂が樹脂材料100質量に対して、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。上記の高酸含量アイオノマー樹脂の配合量が少なすぎると、ドライバー(W#1)打撃時にスピンが多くなり、飛距離が出なくなることがある。
中間層材料には、任意の添加剤を用途に応じて適宜配合することができる。例えば、顔料,分散剤,老化防止剤,紫外線吸収剤,光安定剤などの各種添加剤を加えることができる。これら添加剤を配合する場合、その配合量としては、基材樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、上限として、好ましくは10質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。
中間層材料については、後述するカバー材で好適に用いられるポリウレタンとの密着度を高めるために中間層表面を研磨することが好適である。更に、その研磨処理の後にプライマー(接着剤)を中間層表面に塗布するか、もしくは材料中に密着強化材を添加することが好ましい。
中間層材料の比重は、好ましくは0.90以上、より好ましくは0.93以上、さらに好ましくは0.95以上であり、上限値は、好ましくは1.08以下、より好ましくは1.05以下、さらに好ましくは1.00以下である。上記の比重が大きすぎると、フルショット時の低スピン化を阻害する場合があり、ヘッドスピードが速くないゴルファーの狙いの飛距離を確保ができない場合がある。一方、上記比重が小さすぎる場合は、例えば樹脂を発泡化させて内部に気泡を設けるなどの手法をとるため、繰り返し打撃耐久性が悪くなったり、反発性が低くなり、ヘッドスピードが速くないゴルファーにとっても飛距離が出なくなることがある。
次に、カバー(最外層)について説明する。
カバーの材料硬度は、特に制限はないが、ショアD硬度で、好ましくは35以上、より好ましくは40以上、さらに好ましくは45以上であり、上限値として、好ましくは60以下、より好ましくは55以下、さらに好ましくは50以下である。また、中間層被覆球体をカバーで被覆した球体の表面硬度(ボール表面硬度)は、ショアD硬度で、好ましくは50以上、より好ましくは53以上、さらに好ましくは56以上であり、上限値としては、好ましくは70以下、より好ましくは67以下、さらに好ましくは64以下である。これらのカバーの材料硬度及びボール表面硬度が上記範囲よりも軟らかすぎると、アイアンフルショットでスピンが多くなり、どの打撃条件においても飛距離が出なくなることがある。一方、上記カバーの材料硬度及びボール表面硬度が上記範囲よりも硬すぎると、アプローチでスピンがかからなくなったり、耐擦過傷性が悪くなることがある。
なお、カバーの材料硬度は、ショアC硬度で表すと、好ましくは57以上、より好ましくは63以上、さらに好ましくは70以上であり、上限値として、好ましくは89以下、より好ましくは83以下、さらに好ましくは76以下である。また、ボールの表面硬度は、ショアC硬度で表すと、好ましくは75以上、より好ましくは80以上、さらに好ましくは85以上であり、上限値としては、好ましくは95以下、より好ましくは92以下、さらに好ましくは90以下である。
カバーの厚さは、好ましくは0.3mm以上であり、より好ましくは0.45mm以上、さらに好ましくは0.6mm以上である。一方、カバーの厚さの上限値としては、好ましくは1.2mm以下、より好ましくは1.15mm以下、さらに好ましくは1.0mm以下である。上記カバーが厚すぎると、アイアンフルショット時に反発が足りなくなったりスピンが多くなったりして飛距離が出なくなることがある。一方、カバーが薄すぎると、耐擦過傷性が悪くなったり、アプローチ時にスピンが十分にかからなくなりコントロール性が不足することがある。
中間層とカバーとの合計厚さは、特に制限はないが、1.4mm以上であることが好ましく、より好ましくは1.7mm以上、さらに好ましくは2.0mm以上であり、上限値として、好ましくは2.8mm以下、より好ましくは2.5mm以下、さらに好ましくは2.3mm以下である。上記合計厚さが上記範囲より下回ると、繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなったり、打感が悪くなることがある。一方、上記合計厚さが上記範囲より大きいと、フルショット時のスピン量が増えてヘッドスピードが速いプレーヤーだけでなくヘッドスピードが速くないプレーヤーにとっても飛距離が出なくなってしまうことがある。
上記カバーの材料としては、ゴルフボールのカバー材で使用される各種の熱可塑性樹脂を添加することができるが、コントロール性と耐擦過傷性の観点から、ウレタン樹脂を主材として使用する。即ち、本発明のゴルフボールでは、アイアンショットでランを少なくし、グリーンで止めることができ、且つ、ショートゲームでのコントロール性を高めるために、ウレタン樹脂製のカバーが必要である。特に、ボール製品の量産性の観点から、熱可塑性ポリウレタンを主体としたものを使用することが好適であり、より好ましくは、(I)熱可塑性ポリウレタン及び(II)ポリイソシアネート化合物を主成分とする樹脂配合物により形成することができる。
上記の(I)成分と(II)成分とを合わせた合計質量が、カバーの樹脂組成物全量に対して、60%以上であることが推奨され、より好ましくは、70%以上である。上記(I)成分及び(II)成分については以下に詳述する。
上記(I)熱可塑性ポリウレタンについて述べると、その熱可塑性ポリウレタンの構造は、長鎖ポリオールである高分子ポリオール(ポリメリックグリコール)からなるソフトセグメントと、鎖延長剤およびポリイソシアネート化合物からなるハードセグメントとを含む。ここで、原料となる長鎖ポリオールとしては、従来から熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものはいずれも使用でき、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、共役ジエン重合体系ポリオール、ひまし油系ポリオール、シリコーン系ポリオール、ビニル重合体系ポリオールなどを挙げることができる。これらの長鎖ポリオールは1種類のものを使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのうちでも、反発弾性率が高く低温特性に優れた熱可塑性ポリウレタンを合成できる点で、ポリエーテルポリオールが好ましい。
鎖延長剤としては、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、例えば、イソシアネート基と反応し得る活性水素原子を分子中に2個以上有する分子量400以下の低分子化合物であることが好ましい。鎖延長剤としては、1,4-ブチレングリコール、1,2-エチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。鎖延長剤としては、これらのうちでも、炭素数2~12の脂肪族ジオールが好ましく、1,4-ブチレングリコールがより好ましい。
ポリイソシアネート化合物としては、従来の熱可塑性ポリウレタンに関する技術において使用されるものを好適に用いることができ、特に制限はない。具体的には、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-(又は)2,6-トルエンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン1,5-ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートからなる群から選択された1種又は2種以上を用いることができる。ただし、イソシアネート種によっては射出成形中の架橋反応をコントロールすることが困難なものがある。本発明においては生産時の安定性と発現される物性とのバランスとの観点から、芳香族ジイソシアネートである4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートが最も好ましい。
具体的な(I)成分の熱可塑性ポリウレタンとし、市販品を用いることもでき、例えば、パンデックスT8295,同T8290,同T8260(いずれもディーアイシーコベストロポリマー社製)などが挙げられる。
必須成分ではないが、上記(I)及び(II)成分に、別の成分である(III)成分として、上記熱可塑性ポリウレタン以外の熱可塑性エラストマーを配合することができる。この(III)成分を上記樹脂配合物に配合することにより、樹脂配合物の更なる流動性の向上や反発性、耐擦過傷性等、ゴルフボールカバー材として要求される諸物性を高めることができる。
上記(I)、(II)及び(III)成分の組成比については、特に制限はないが、本発明の効果を十分に有効に発揮させるためには、質量比で(I):(II):(III)=100:2~50:0~50であることが好ましく、さらに好ましくは、(I):(II):(III)=100:2~30:8~50(質量比)とすることである。
さらに、上記の樹脂配合物には、必要に応じて、上記の熱可塑性ポリウレタンを構成する成分以外の種々の添加剤を配合することができ、例えば顔料、分散剤、酸化防止剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、離型剤等を適宜配合することができる。
上述したコア,中間層及びカバー(最外層)の各層を積層して形成されたゴルフボールの製造方法については、公知の射出成形法等の常法により行なうことができる。例えば、コアの周囲に、中間層材料を射出成形用金型で射出して各被覆球体を得、次に、最外層であるカバーの材料を射出成形することによりマルチピースのゴルフボールを得ることができる。また、各被覆層として、予め半殻球状に成形した2枚のハーフカップで該被覆球体を包み加熱加圧成形することによりゴルフボールを作製することもできる。
各層の硬度関係
中間層被覆球体はコアの表面より表面硬度が高く、これらの表面硬度の差は、ショアC硬度で、好ましくは1以上、より好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上であり、上限値としては、好ましくは30以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは15以下である。上記の値が小さすぎると、フルショットでのスピンが増えてヘッドスピードが速くないゴルファーにとっても飛距離が出なくなることがある。上記の値が大きすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなることがある。
中間層被覆球体はボールの表面より表面硬度が高く、これらの表面硬度の差は、ショアC硬度で、好ましくは1以上、より好ましくは5以上、さらに好ましくは9以上であり、上限値としては、好ましくは20以下、より好ましくは17以下、さらに好ましくは15以下である。上記値が小さい場合、その小さい値が中間層の材料硬度に起因する場合は、ヘッドスピードが速くないプレーヤーにとっても、フルショットでスピンが増えて狙いの飛距離が出なくなることがある。その小さい値がカバーの材料硬度に起因する場合は、ショットゲームでのスピンコントロール性が悪くなったり、耐擦過傷性が悪くなることがある。一方、上記値が大きい場合、その大きい値が中間層の材料硬度に起因する場合は、繰り返し打撃による割れ耐久性が悪くなったり、打感が硬くなりすぎる場合がある。その大きい値がカバーの材料硬度に起因する場合は、ヘッドスピードが速くないプレーヤーにとっても、フルショットでスピンが増えて狙いの飛距離が出なくなることがある。
コアとボールとのたわみ量関係
コアに初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量E(mm)から、ボールに初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量B(mm)を引いた値E-B(mm)は、好ましくは0.3mm以上、より好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは0.6mm以上であり、上限値として、好ましくは1.2mm以下、より好ましくは1.0mm以下、さらに好ましくは0.8mm以下である。この値が小さすぎると、フルショットした時のスピンが増えてヘッドスピードが速くないゴルファーにとっても飛距離が出なくなることがある。一方、上記値が大きすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなったり、アイアンショット時にランが出すぎることがある。
ボールとコアとのたわみ量の比、即ち、B/Eの値は、好ましくは0.70以上、より好ましくは0.73以上、さらに好ましくは0.78以上であり、上限値として、好ましくは0.84以下、より好ましくは0.82以下、さらに好ましくは0.80以下である。この値が小さすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなったり、アイアンショット時にランが出すぎることがある。一方、上記値が大きすぎると、フルショットした時のスピンが増えてヘッドスピードが速くないゴルファーにとっても狙いの飛距離が出なくなる場合がある。
コアとカバーとの比重関係
コアの比重とカバーの比重との関係については、コア比重≦カバー比重 を満たすことが好適である。即ち、カバー比重からコア比重を引いた値が、0以上であることが好ましく、より好ましくは0.01以上、さらに好ましくは0.02以上である。また、この値の上限値は、好ましくは0.09以下であり、より好ましくは0.07以下、さらに好ましくは0.05以下である。この値が小さすぎると、カバー比重に起因する場合は、アイオノマーなどの比重の小さいカバーを使用することになるので、カバーに傷が付きやすくなることがある。コア比重に起因する場合は、ボールの反発が低くなり、ヘッドスピードの速くない人にとっても狙いの飛距離が得られなくなったり、R&A公認球として認められるボール質量(重さ)45.93g以下にすることが難しくなる。一方、この値が大きすぎると、カバー比重に起因する場合は、カバーに充填剤を添加することになるので、カバーに傷が付きやすくなることがある。コア比重に起因する場合は、充填剤として酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等以外のものを使用することになり、ボールの反発が低くなり、ヘッドスピードの速くない人にとっても狙いの飛距離が得られなくなることがある。また、充填剤として、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等を使用すると、R&A公認球として認められるボール質量(重さ)45.93g以下にすることが難しくなる。
本発明では、ドライバーを用いた打撃試験(ヘッドスピード40m/s)において、ドライバーとゴルフボールとの接触開始から該ゴルフボールの変形量が最も大きくなるまでに要する時間(t1)と、上記ゴルフボールの変形量が最も大きくなった状態から該ゴルフボールと上記ドライバーのクラブフェースとが離間するまでに要する時間(t2)との比(t2/t1)が、1.28以下であることが好適である。
具体的には、ゴルフ打撃ロボットに、メタルヘッド製ドライバー(W#1)として、ブリヂストンスポーツ社製、製品名「TourB XD-5」(ロフト角9.5°)を取り付け、ヘッドスピード(HS)40m/sの条件でゴルフボールを打撃する。打撃中のゴルフボールについては、高速度ビデオカメラ(Photron社製、FASTCAM SA-Z)を用いて撮影し、撮影画像を解析し、上記の(t1)及び(t2)の時間を求める。なお、打撃を真横から撮影した画像を用いて、クラブフェースとゴルフボールとの接触面から飛行方向におけるゴルフボールの直径が最も小さくなる時点を、ゴルフボールの変形量が最も大きい時点とする。
上記の(t1)時間について、即ち、ドライバーを用いた打撃試験(ヘッドスピード40m/s)において、ドライバーとゴルフボールとの接触開始からゴルフボールの変形量が最も大きくなるまでに要する時間は、好ましくは260μsec以上、より好ましくは270μsec以上、さらに好ましくは275μsec以上であり、上限値は、好ましくは300μsec以下、より好ましくは295μsec以下、さらに好ましくは285μsec以下である。上記の値が小さすぎると、特にアイアンフルショットにおいてスピンが多くなりすぎ飛距離が出なくなったり、打感が悪くなることがある。一方、上記値が大きすぎると、初速が低くなり、特にドライバー(W#1)の打撃条件においても飛距離が出なくなったり、アイアンショット時にランが出すぎることがある。
上記の(t2)時間について、即ち、ドライバーを用いた打撃試験(ヘッドスピード40m/s)において、ゴルフボールの変形量が最も大きくなった状態からゴルフボールとドライバーとが離間するまでに要する時間は、好ましくは295μsec以上、より好ましくは305μsec以上、さらに好ましくは315μsec以上であり、上限値は、好ましくは365μsec以下、より好ましくは355sec以下、さらに好ましくは345sec以下である。上記の値が小さすぎると、特にアイアンフルショットにおいてスピンが多くなりすぎ飛距離が出なくなったり、打感が悪くなることがある。一方、上記値が大きすぎると、初速が低くなり、特にドライバー(W#1)の打撃条件においても飛距離が出なくなったり、アイアンショット時にランが出すぎることがある。
上記の比(t2/t1)は、1.00以上であることが好ましく、より好ましくは1.05以上、さらに好ましくは1.10以上であり、上限値は、好ましくは1.28以下であり、より好ましくは1.25以下、さらに好ましくは1.22以下である。この比の値が小さすぎると、特にアイアンフルショットにおいてスピンが多くなりすぎ飛距離が出なくなったり、打感が悪くなることがある。上記値が大きすぎると、初速が低くなり、特にドライバー(W#1)の打撃条件においても飛距離が出なくなったり、アイアンショット時にランが出すぎることがある。
また、上記の(t1)と(t2)との合計時間については、好ましくは550μsec以上であり、より好ましくは580μsec以上、さらに好ましくは600μsec以上であり、上限値は、好ましくは660μsec以下、より好ましくは645μsec以下、さらに好ましくは630μsec以下である。この値が小さすぎると、特にアイアンフルショットにおいてスピンが多くなりすぎ飛距離が出なくなったり、打感が悪くなることがある。一方、上記値が大きすぎると、初速が低くなり、特にドライバー(W#1)の打撃条件においても飛距離が出なくなったり、アイアンショット時にランが出すぎることがある。
本発明においては、ボール直径が42.8mm以上であり、好ましくは42.85mm以上、より好ましくは42.9mm以上である。一方、ボール直径の上限値は、通常44.0mm以下、好ましくは43.7mm以下、より好ましくは43.5mm以下である。この直径が小さすぎると、ヘッドスピードの速い人とそうでない人とが、ドライバー(W#1)で打撃した時の飛距離差が過度に大きくなってしまう。一方、ボール直径が大きすぎると、ヘッドスピードが速くない人のドライバー(W#1)打撃での飛距離が低下してしまい、ゴルフの難易度が高くなって競技上不利となる傾向がある。
本発明においては、ボール質量が44.9g以下であり、好ましくは44.7g以下、より好ましくは44.5g以下である。一方、ボール質量の下限値は、通常43.0g以上、好ましくは43.2g以上、より好ましくは43.4g以上である。このボール質量が大きすぎると、ヘッドスピードの速い人とそうでない人とが、ドライバー(W#1)で打撃した時の飛距離差が過度に大きくなってしまう。一方、ボール質量が小さすぎると、ヘッドスピードが速くない人のドライバー(W#1)打撃での飛距離が低下してしまい、ゴルフの難易度が高くなって競技上不利となる傾向がある。
ゴルフボールに対して、初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量(mm)は、特に制限はないが、好ましくは2.0mm以上、より好ましくは2.2mm以上、更に好ましくは2.4mm以上であり、上限値として、好ましくは3.2mm以下、より好ましくは3.0mm以下、更に好ましくは2.8mm以下である。ゴルフボールのたわみ量が小さすぎる、即ち、硬すぎると、ヘッドスピードが速くないプレーヤーによってもスピンが増えすぎてフルショット時に飛距離が出なくなったり、打感が硬くなりすぎることがある。一方、上記のたわみ量が大きすぎる、即ち、上記球体が軟らかすぎると、繰り返し打撃した時の割れ耐久性が悪くなったり、実打初速が低くなりヘッドスピードが速くないプレーヤーにとっても特にドライバー(W#1)で飛距離が出なくなることがある。
ゴルフボールの比重については、好ましくは1.02以上であり、より好ましくは1.03以上、さらに好ましくは1.04以上であり、上限値としては、好ましくは1.10以下、より好ましくは1.08以下、さらに好ましくは1.07以下である。ボール比重が大きすぎると、ヘッドスピードの速い人とそうでない人がドライバー(W#1)で打撃した時の飛距離差が過度に大きくなってしまう。一方、ボール比重が小さすぎると、ヘッドスピードの速くない人のドライバー(W#1)打撃した時の飛距離が低下してしまい、ゴルフの難易度が高まって競技上不利となる傾向がある。
カバーの外表面には多数のディンプルを形成することができる。カバー表面に配置されるディンプルについては、特に制限はないが、好ましくは250個以上、好ましくは300個以上、より好ましくは320個以上であり、上限として、好ましくは380個以下、より好ましくは350個以下、さらに好ましくは340個以下具備することができる。ディンプルの個数が上記範囲より多くなると、ボールの弾道が低くなり、飛距離が低下することがある。逆に、ディンプル個数が少なくなると、ボールの弾道が高くなり、飛距離が伸びなくなる場合がある。
ディンプルの形状については、円形、各種多角形、デュードロップ形、その他楕円形など1種類又は2種類以上を組み合わせて適宜使用することができる。例えば、円形ディンプルを使用する場合には、直径は2.5mm以上6.5mm以下程度、深さは0.08mm以上0.30mm以下とすることができる。
ディンプルがゴルフボールの球面に占めるディンプル占有率、具体的には、ディンプルの縁に囲まれた平面の面縁で定義されるディンプル面積の合計が、ディンプルが存在しないと仮定したボール球面積に占める比率(SR値)については、空気力学特性を十分に発揮し得る点から70%以上90%以下であることが望ましい。また、各々のディンプルの縁に囲まれた平面下のディンプルの空間体積を、前記平面を底面とし、かつこの底面からのディンプルの最大深さを高さとする円柱体積で除した値(円柱体積比)V0は、ボールの弾道の適正化を図る点から0.35以上0.80以下とすることが好適である。更に、ディンプルの縁に囲まれた平面から下方に形成されるディンプル容積の合計がディンプルが存在しないと仮定したボール球容積に占めるVR値は、0.6%以上1.0%以下とすることが好ましい。上述した各数値の範囲を逸脱すると、良好な飛距離が得られない弾道となり、十分満足した飛距離を出せない場合がある。
カバー表面には塗料層(コーティング層)を形成することができる。この塗料層は、各種塗料を用いて塗装することができ、塗料としては、ゴルフボールの過酷な使用状況に耐えうる必要から、ポリオールとポリイソシアネートとからなるウレタン塗料を主成分とする塗料用組成物を用いることが好適である。
上記ポリオール成分としては、アクリル系ポリオールやポリエステルポリオールなどが挙げられる。なお、これらのポリオールには、ポリオールの変性体が含まれ、更に作業性を向上させるため、他のポリオールを追加することもできる。
ポリオール成分としては、2種類のポリエステルポリオールを併用することが好適である。この場合、2種類のポリエステルポリオールを(a)成分及び(b)成分とすると、(a)成分のポリエステルポリオールとしては、樹脂骨格に環状構造が導入されたポリエステルポリオールを採用することができ、例えば、シクロヘキサンジメタノール等の脂環構造を有するポリオールと多塩基酸との重縮合、或いは、脂環構造を有するポリオールとジオール類又はトリオールと多塩基酸との重縮合により得られるポリエステルポリオールが挙げられる。一方、(b)成分のポリエステルポリオールとしては、多分岐構造を有するポリエステルポリオールを採用することができ、例えば、東ソー社製の「NIPPOLAN 800」等の枝分かれ構造を有するポリエステルポリオールが挙げられる。
一方、ポリイソシアネートについては、特に制限はなく、一般的に用いられている芳香族、脂肪族、脂環式などのポリイソシアネートであり、具体的には、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-4-イソシアナトメチルシクロヘキサン等が挙げられる。これらは,単独で或いは混合して使用することができる。
塗料組成物には、塗装条件により、各種の有機溶剤を混合することができる。このような有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶剤、ミネラルスピリット等の石油炭化水素系溶剤等が使用できる。
上記塗料組成物からなる塗料層の厚さについては、特に制限はないが、通常5~40μm、好ましくは10~20μmである。なお、ここで言う塗料層の厚さとは、ディンプルの中心部、ディンプル中心部とディンプルエッジの間の位置2箇所の計3箇所を測定し、平均した塗料の厚さを意味する。
本発明では、上記塗料組成物からなる塗料層の弾性仕事回復率が60%以上とすることを要し、好ましくは80%以上である。この塗料層の弾性仕事回復率が上記範囲であれば、塗料層が高弾性力を有するため自己修復機能が高く、耐摩耗性に非常に優れる。また、上記塗料組成物で塗装されたゴルフボールの諸性能を向上させることができる。上記の弾性仕事回復率の測定方法については以下のとおりである。
弾性仕事回復率は、押し込み荷重をマイクロニュートン(μN)オーダーで制御し、押し込み時の圧子深さをナノメートル(nm)の精度で追跡する超微小硬さ試験方法であり、塗料層の物性を評価するナノインデンテーション法の一つのパラメータである。従来の方法では最大荷重に対応した変形痕(塑性変形痕)の大きさしか測定できなかったが、ナノインデンテーション法では自動的・連続的に測定することにより、押し込み荷重と押し込み深さとの関係を得ることができる。そのため、従来のような変形痕を光学顕微鏡で目視測定するときのような個人差がなく、精度高く塗料層の物性を評価することができると考えられる。ボール表面の塗料層がドライバーや各種のクラブの打撃により大きな影響を受け、塗料層がゴルフボールの物性に及ぼす影響は小さくないことから、塗料層を超微小硬さ試験方法で測定し、従来よりも高精度に行うことは、非常に有効な評価方法となる。
また、上記塗料層の硬度は、ショアM硬度は、好ましくは40以上、より好ましくは60以上であり、上限として、好ましくは95以下、より好ましくは85以下である。なお、このショアM硬度は、ASTM D2240に準ずるものである。また、上記塗料層の硬度は、ショアC硬度で好ましくは40以上であり、上限として、好ましくは80以下である。なお、このショアC硬度は、ASTM D2240に準ずるものである。塗料層が上記硬度範囲よりも高すぎると、繰り返し打撃した際に塗料が脆くなり、カバー層を保護できなくなるおそれがある。塗料層が上記硬度範囲よりも小さすぎると、ボール表面が硬いものに当たった際に傷がつきやすくなり好ましくない。
上記の塗料組成物を使用する際は、公知の方法で製造されたゴルフボールに対し、本発明の塗料組成物を塗装時に調整し、通常の塗装工程を採用して表面に塗布し、乾燥工程を経てボール表面に塗料層を形成することができる。この場合、塗装方法としては、スプレー塗装法、静電塗装法、ディッピング法などを好適に採用することができ、特に制限はない。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
〔実施例1~4、比較例1~7〕
コアの形成
表1に示した各実施例及び比較例のゴム組成物を調製した後、同表に示す温度及び時間により加硫成形することによりソリッドコアを作製する。
Figure 2023019338000002
なお、表1に記載した各成分の詳細は以下の通りである。
・ポリブタジエンA:JSR社製、商品名「BR01」
・ポリブタジエンB:JSR社製、商品名「BR730」
・アクリル酸亜鉛:「ZN-DA85S」(日本触媒社製)
・有機過酸化物:ジクミルパーオキサイド、商品名「パークミルD」(日油社製)
・水:純水(正起薬品工業社製)
・老化防止剤:2,2-メチレンビス(4-メチル-6-ブチルフェノール)、商品名「ノクラックNS-6」(大内新興化学工業社製)
・酸化亜鉛:商品名「三種酸化亜鉛」(堺化学工業社製)
・ペンタクロロチオフェノール亜鉛塩:和光純薬工業社製
中間層及びカバー(最外層)の形成
次に、各実施例及び比較例について、上記で得たコアの周囲に、表2に示した配合の中間層材料を用いて射出成形法により中間層を形成し、中間層被覆球体を作製する。次に、上記で得た中間層被覆球体の周囲に、同表に示した配合のカバー材料を用いて射出成形法によりカバー(最外層)を形成し、ゴルフボールを作製する。この際、カバー表面には、下記に記載する所定の多数のディンプルを形成する。
Figure 2023019338000003
表中に記載した材料の商品名は以下の通りである。
「ハイミラン」三井・ダウポリケミカル社製のアイオノマー
「AM7318」三井・ダウポリケミカル社製のアイオノマー
「サーリン」THE DOW CHEMICAL COMPANY社製のアイオノマー
「ニュクレル 9-1」Dupont社製のエチレン-メタクリル酸共重合体
「トリメチロールプロパン」(TMP)東京化成工業社製
「TPU」ディーアイシーコベストロポリマー社製の商品名「パンデックス」、エーテルタイプの熱可塑性ポリウレタン
各実施例及び比較例のディンプルは、その配列態様(模様)は図6に示すとおりである。図6(A)は、ディンプルの平面図を示し、図6(B)は、その側面図を示す。各例において下記のディンプル態様A~Eをそれぞれ用いた。各ディンプル態様には、直径及び深さが異なるNo.1~No.8の8種類の円形ディンプルが含まれる。その詳細について下記表3に示す。
Figure 2023019338000004
ディンプルの定義
縁:ディンプル中心を通る断面において最も高いところ
直径:ディンプルの縁に囲まれた平面の直径
深さ:ディンプルの縁に囲まれた平面からのディンプルの最大深さ
SR:ディンプルの縁に囲まれた平面で定義されるディンプル面積の合計が、ディンプルが存在しないと仮定したボール球面積に占める比率
ディンプル体積:ディンプルの縁に囲まれた平面下のディンプル体積
円柱体積比:ディンプルと同直径の深さの円柱の体積に対する、ディンプル体積の比
VR:ディンプルの縁に囲まれた平面から下方に形成されるディンプル容積の合計が、ディンプルが存在しないと仮定したボール球容積
塗料層(コーティング層)の形成
次に、各実施例及び比較例について、全ての実施例及び比較例に共通する塗料組成物として、下記表4に示す塗料組成物を使用し、多数形成されたカバー(最外層)表面に、エアースプレーガンにより上記塗料を塗装し、厚み15μmの塗料層を有するゴルフボールを作製する。
Figure 2023019338000005
[ポリエステルポリオール(A)の合成例]
環流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管及び温度計を備えた反応装置に、トリメチロールプロパン140質量部、エチレングリコール95質量部、アジピン酸157質量部、1,4-シクロヘキサンジメタノール58質量部を仕込み、撹拌しながら200~240℃まで昇温させ、5時間加熱(反応)させた。その後、酸価4,水酸基価170,重量平均分子量(Mw)28,000の「ポリエステルポリオール(A)」を得た。
次に、上記の合成したポリエステルポリオール(A)を酢酸ブチルで溶解させ、不揮発分70質量%のワニスを調整した。
表4の塗料組成物は、上記ポリエステルポリオール溶液23質量部に対して、「ポリエステルポリオール(B)」(東ソー(株)製の飽和脂肪族ポリエステルポリオール「NIPPOLAN 800」、重量平均分子量(Mw)1,000、固形分100%)を15質量部と有機溶剤とを混合し、主剤とした。この混合物は、不揮発分38.0質量%であった。
弾性仕事回復率
塗料の弾性仕事回復率の測定には、厚み50μmの塗料シートを使用して測定する。測定装置は、エリオニクス社の超微小硬度計「ENT-2100」が用いられ、測定の条件は、以下の通りである。
・圧子:バーコビッチ圧子(材質:ダイヤモンド、角度α:65.03°)
・荷重F:0.2mN
・荷重時間:10秒
・保持時間:1秒
・除荷時間:10秒
塗料の戻り変形による押し込み仕事量Welast(Nm)と機械的な押し込み仕事量Wtotal(Nm)とに基づいて、下記数式によって弾性仕事回復率が算出される。
弾性仕事回復率=Welast / Wtotal × 100(%)
ショアC硬度及びショアM硬度
上記表4のショアC硬度及びショアM硬度は、厚さ2mmのシートを作成し、3枚重ねて試験片としてASTM D2240規格に準拠したショアC硬度計及びショアM硬度計を用いてそれぞれ計測する。
得られた各ゴルフボールにつき、コアの各位置における内部硬度、コアや各被覆球体の外径、各層の厚さ及び材料硬度、各被覆球体の表面硬度などの諸物性を下記の方法で評価し、表5及び表6に示す。
コア及び中間層被覆球体の各球体の外径
測定する球体を23.9±1℃に調整された恒温槽により3時間以上で調温後、23.9±2℃の室内にて測定する。任意の表面5箇所を測定し、その平均値を1個の各球体の測定値とし、測定個数10個での平均値を求める。
ボールの直径
測定するボールを23.9±1℃に調整された恒温槽により3時間以上で調温後、23.9±2℃の室内にて測定する。任意のディンプルのない部分を15箇所測定し、その平均値を1個のボールの測定値とし、測定個数10個のボールの平均値を求める。
コア及びボールのたわみ量
測定するボールを23.9±1℃に調整された恒温槽により3時間以上で調温後、23.9±2℃の室内にて測定する。コアまたはボールの対象被覆球体を硬板の上に置き、初期荷重98N(10kgf)を負荷した状態から終荷重1275N(130kgf)に負荷したときまでのたわみ量を計測する。また、ボールを圧縮するヘッドの加圧速度は10mm/sとする。
コア硬度分布
コアの表面は球面であるが、その球面に硬度計の針をほぼ垂直になるようにセットし、ASTM D2240に従ってショアC硬度で表面硬度を計測する。コアの中心及び所定位置については、コアを半球状にカットして断面を平面にして、中心部分及び表5に示した所定位置に硬度計の針を垂直に押し当てて測定し、中心及び各位置の硬度をショアC硬度の値で示す。硬度の測定には、ショアC型硬度計を備えた高分子計器株式会社製の自動ゴム硬度計「P2」が用いられる。硬度の値は最大値を読み取る。測定は、全て、23±2℃の環境下でなされる。なお、表5の数値はショアC硬度の値である。
また、コアの硬度分布において、コアの中心のショアC硬度Cc、コアの中心と表面との中点MのショアC硬度Cm、中点Mから内側に2mm、4mm、6mm、8mmの位置のショアC硬度Cm-2、Cm-4、Cm-6、Cm-8、中心Mから外側に2mm、4mm、6mmの位置のショアC硬度Cm+2、Cm+4、Cm+6、コアの表面のショアC硬度Csについては、下記の面積A~F,X
・面積X: 1/2×2×(Cm-6-Cm-8)
・面積A: 1/2×2×(Cm-4-Cm-6)
・面積B: 1/2×2×(Cm-2-Cm-4)
・面積C: 1/2×2×(Cm-Cm-2)
・面積D: 1/2×2×(Cm+2-Cm)
・面積E: 1/2×2×(Cm+4-Cm+2)
・面積F: 1/2×2×(Cm+6-Cm+4)
を計算し、下記の9個の数式の値を求める。
(1)面積:A+B+C
(2)面積:X+A+B+C
(3)面積:D+E
(4)面積:D+E+F
(5)(面積:D+E+F)-(面積:A+B+C)
(6)(面積:D+E+F)-(面積:X+A+B+C)
(7)(面積:D+E)-(面積:A+B+C)
(8)(面積:D+E)-(面積:X+A+B+C)
(9)〔(面積:D+E+F)-(面積:A+B+C)〕/(Cs-Cc)
コア硬度分布の面積A~F,Xの説明として、実施例1,2のコア硬度分布データを用いて面積A~F,Xを表した概略図を図2に示す。
また、実施例1~4及び比較例1~7のコア硬度分布のグラフを図3~図5に示す。
中間層及びカバーの材料硬度
各層の樹脂材料を厚さ2mmのシート状に成形し、2週間放置する。その後、ショアD硬度及びショアC硬度はASTM D2240規格に準拠して計測する。硬度の測定には、高分子計器株式会社製の自動ゴム硬度計「P2」が用いられる。ショアD硬度およびショアC硬度のアタッチメントを取り付けてそれぞれの硬度を計測する。硬度の値は最大値を読み取る。測定は、全て、23±2℃の環境下でなされる。
中間層被覆球体及びボールの各球体の表面硬度
各球体の表面に対して針を垂直になるように押し当てて計測する。なお、ボール(カバー)の表面硬度は、ボール表面においてディンプルが形成されていない陸部における測定値である。ショアD硬度及びショアC硬度はASTM D2240規格に準拠して計測する。硬度の測定には、高分子計器株式会社製の自動ゴム硬度計「P2」が用いられる。ショアD硬度およびショアC硬度のアタッチメントを取り付けてそれぞれの硬度を計測する。硬度の値は最大値を読み取る。測定は、全て、23±2℃の環境下でなされる。
ボールの変形時間
ゴルフ打撃ロボットに、メタルヘッド製ドライバー(W#1)として、ブリヂストンスポーツ社製、製品名「TourB XD-5」(ロフト角9.5°)を取り付け、ヘッドスピード(HS)40m/sの条件でゴルフボールを打撃した。打撃中のゴルフボールについては、高速度ビデオカメラ(Photron社製、FASTCAM SA-Z)を用いて撮影し、撮影画像を解析し、ドライバーとゴルフボールとの接触開始から該ゴルフボールの変形量が最も大きくなるまでに要する時間(t1)と、上記ゴルフボールの変形量が最も大きくなった状態から該ゴルフボールと上記ドライバーのクラブフェースとが離間するまでに要する時間(t2)との2つの時間(μsec)を求めた。なお、打撃を真横から撮影した画像を用いて、クラブフェースとゴルフボールとの接触面から飛行方向におけるゴルフボールの直径が最も小さくなる時点を、ゴルフボールの変形量が最も大きい時点とする。
ボール初速
R&AおよびUSGAと同型のHye Precision Products製のCOR型初速計を用いて、下記の内容で測定する。
先ず、ボールを23.9±0.6℃環境下、3時間以上で温度調整し、その後にテストする。ボールを、空気圧により、入射速度143.8ft/s(43.83m/s)で発射し、表面法線がボールの入射角度から5度の角度で傾斜するように設定されたバリアに衝突させて、反発係数eを測定し、以下の式より初速度を算出する。
IV=136.8+136.3e+0.019tc
〔ここで、eは反発係数、tcは衝突速度143.8ft/s(43.83m/s)での接触時間(μs)である。〕
Figure 2023019338000006
Figure 2023019338000007
各ゴルフボールの飛び(W#1)(I#6)、アプローチ時のスピン量及び傷つき性について下記の方法で評価する。その結果を表7に示す。
飛び評価(W#1)
ゴルフ打撃ロボットにドライバー(W#1)をつけて、ヘッドスピード(HS)55m/s及びヘッドスピード(HS)42m/sでそれぞれ打撃した時の飛距離(トータル)R,Qをそれぞれ測定し、これらのトータル飛距離の差(R-Q)を求めて下記の基準で判定した。クラブは、ブリヂストンスポーツ社製の「TourB XD-5 ドライバー」(ロフト角9.5°)を使用する。
〔判定基準(1)〕
HS42m/sでの飛距離(トータルQ)が202.0m以上 ・・・ ○
HS42m/sでの飛距離(トータルQ)が202.0m未満 ・・・ ×
〔判定基準(2)〕
トータル飛距離の差(R-Q)が89.0m以下 ・・・ ○
トータル飛距離の差(R-Q)が89.1m以上 ・・・ ×
飛び評価(I#6)
ゴルフ打撃ロボットに6番アイアン(I#6)をつけて、ヘッドスピード(HS)42m/sで打撃した時のキャリー及びトータルを測定し、これらの距離からランを計算し、下記の基準で判定した。クラブは、ブリヂストンスポーツ社製の「TourB X-CB I#6」を使用する。
〔判定基準〕
ラン(トータル-キャリー)が10.4m以下 ・・・ ○
ラン(トータル-キャリー)が10.5m以上 ・・・ ×
アプローチ時のスピン量の評価
ゴルフ打撃ロボットにサンドウエッジをつけてヘッドスピード(HS)16m/sにて打撃した時のスピンの量で判断する。スピン量は同様に打撃した直後のボールを初期条件計測装置により測定した。サンドウエッジは、ブリヂストンスポーツ社製の「TourB XW-1 SW」を使用する。
〔判定基準〕
スピン量が4000rpm以上 ・・・ ○
スピン量が4000rpm未満 ・・・ ×
傷付き性
ゴルフ打撃ロボットに角溝のPSウエッジを取り付け、ヘッドスピード(HS)40m/sにて打撃し、下記の基準で評価した。
〔判定基準〕
傷の付き難さが実施例1と同等又はそれ以上 ・・・ ○
実施例1より傷が目立つ ・・・ ×
Figure 2023019338000008
表7の結果に示されるように、比較例1~7のゴルフボールは、本発明品(実施例)に比べて以下の点で劣る。
比較例1は、ボール直径が42.8mmより小さく、ボール質量が44.9gより重いものであり、その結果、ヘッドスピード(HS)55m/s及び42m/sのトータルの差(R-Q)が大きくなってしまう。
比較例2は、ボール質量が44.9gより重いものであり、その結果、ヘッドスピード(HS)55m/s及び42m/sのトータルの差(R-Q)が大きくなってしまう。
比較例3は、ボール質量が44.9gより重いものであり、その結果、ヘッドスピード(HS)55m/s及び42m/sのトータルの差(R-Q)が大きくなってしまう。
比較例4は、ボール直径が42.8mmより小さいものであり、その結果、ヘッドスピード(HS)55m/s及び42m/sのトータルの差(R-Q)が大きくなってしまう。
比較例5は、ボール変形時間t1,t2の合計(t1+t2)が660μsecより大きくなり、その結果、アイアン(I#6)での打撃時のランが多くなってしまう。
比較例6は、ボール直径が42.8mmより小さく、ボール質量が44.9gより重く、また、ボール変形時間t1,t2の合計(t1+t2)が660μsecより大きくなり、その結果、アイアン(I#6)での打撃時のランが多くなってしまう。
比較例7は、カバーがポリウレタン樹脂ではなくアイオノマー樹脂を主材として形成されており、その結果、ボール表面が傷付き易くなってしまう。

Claims (12)

  1. コアとカバーとを具備するゴルフボールであって、上記カバーがポリウレタンを主材として形成され、ボール直径が42.8mm以上、ボール質量が44.9g以下であり、ドライバーを用いた打撃試験(ヘッドスピード40m/s)において、ドライバーとゴルフボールとの接触開始から該ゴルフボールの変形量が最も大きくなるまでに要する時間(t1)と、上記ゴルフボールの変形量が最も大きくなった状態から該ゴルフボールと上記ドライバーとが離間するまでに要する時間(t2)との合計(t1+t2)が660μsec以下であることを特徴とするゴルフボール。
  2. ボールの比重が、1.02~1.10である請求項1記載のゴルフボール。
  3. コアとカバーとの比重関係が、コア比重≦カバー比重 である請求項1又は2記載のゴルフボール。
  4. 上記時間(t1)と上記時間(t2)との比(t2/t1)が1.28以下である請求項1~3のいずれか1項記載のゴルフボール。
  5. ボールに対して、初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量(mm)は3.2mm以下である請求項1又は2記載のゴルフボール。
  6. コアの直径が37.0mm以上であると共に、該コアの硬度分布において、コアの中心のショアC硬度をCc、コアの中心と表面との中点MのショアC硬度をCm、中点Mから内側に2mm、4mm、6mm、8mmの位置のショアC硬度をそれぞれCm-2、Cm-4、Cm-6、Cm-8、中心Mから外側に2mm、4mm、6mmの位置のショアC硬度をそれぞれCm+2、Cm+4、Cm+6、コアの表面のショアC硬度をCsとしたとき、下記の面積A~F
    ・面積X: 1/2×2×(Cm-6-Cm-8)
    ・面積A: 1/2×2×(Cm-4-Cm-6)
    ・面積B: 1/2×2×(Cm-2-Cm-4)
    ・面積C: 1/2×2×(Cm-Cm-2)
    ・面積D: 1/2×2×(Cm+2-Cm)
    ・面積E: 1/2×2×(Cm+4-Cm+2)
    ・面積F: 1/2×2×(Cm+6-Cm+4)
    について、下記式
    (面積D+面積E+面積F)-(面積A+面積B+面積C)>0
    を満たす請求項1~5のいずれか1項記載のゴルフボール。
  7. 上記コア硬度分布の面積A~F,Xについて、下記式
    (面積D+面積E+面積F)-(面積X+面積A+面積B+面積C)>0
    を満たす請求項1~6のいずれか1項記載のゴルフボール。
  8. 上記コア硬度分布の面積A~Eについて、下記式
    (面積D+面積E)-(面積A+面積B+面積C)≧1
    を満たす請求項1~7のいずれか1項記載のゴルフボール。
  9. 上記コア硬度分布の面積A~E,Xについて、下記式
    (面積D+面積E)-(面積X+面積A+面積B+面積C)>0
    を満たす請求項1~8のいずれか1項記載のゴルフボール。
  10. 上記コア硬度分布の面積A~F、コア中心硬度Cc及びコア表面硬度Csについて、下記式
    0<〔(面積:D+E+F)-(面積:A+B+C)〕/(Cs-Cc)≦1.00
    を満たす請求項1~9のいずれか1項記載のゴルフボール。
  11. コア表面硬度(Cs)-コア中心硬度(Cc)の値が20以上である請求項1~10のいずれか1項記載のゴルフボール。
  12. コアに初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量E(mm)から、ボールに初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)を負荷したときまでのたわみ量B(mm)を引いた値E-B(mm)は、0.3~1.2mmである請求項1~11のいずれか1項記載のゴルフボール。
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