後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
嵌合穴を有するレセプタクルと、前記レセプタクルに挿入され、前記嵌合穴に嵌合する嵌合突起を有する弾性片を有するプラグと、前記プラグに保持され、付勢部材により前記レセプタクルの側に付勢され、前記プラグに対して前記レセプタクルの側とは反対側に移動可能なカップリングと、を備え、前記弾性片は、前記プラグを前記レセプタクルに挿入する挿入方向に対して垂直方向に弾性変形可能であり、前記カップリングは、前記付勢部材により付勢された状態で前記弾性片の端部を保持する保持部を有する光コネクタシステム。このような光コネクタシステムによれば、レセプタクルとプラグとを接続させる際に、レセプタクルの嵌合穴とプラグの嵌合突起との嵌合を維持させる状態(嵌合維持状態)に移行し易くすることができる。
前記カップリングは、前記プラグに対して移動したときに前記弾性片を弾性変形させて前記嵌合穴と前記嵌合突起との嵌合を解除させる解除機構を有することが望ましい。これにより、カップリングを移動させることによって、前記嵌合穴と前記嵌合突起との嵌合を解除させることができる。
前記解除機構は、前記保持部と前記嵌合突起との間に配置されることが望ましい。これにより、カップリングをプラグ20に対して移動させることによって、保持部に保持されていた弾性片の自由端を解除機構の位置に到達させることができる。
前記解除機構は、傾斜面を有し、前記カップリングが前記プラグに対して移動したときに、前記弾性片の前記端部が前記傾斜面によって変位することによって、前記嵌合穴と前記嵌合突起との嵌合が解除されることが望ましい。これにより、傾斜面によって、カップリングの移動方向とは異なる方向に弾性片の端部を変位させることができ、嵌合穴と嵌合突起との嵌合を解除させることができる。
前記弾性片は、前記弾性片の基端と前記嵌合突起との間の第1部分と、前記嵌合突起と前記端部との間の第2部分とを有し、前記第1部分が弾性変形しつつ前記第2部分が変位することによって、前記嵌合穴と前記嵌合突起との嵌合が解除されることが望ましい。第1部分を弾性変形させることによって、嵌合突起を大きく変位させることができるため、嵌合穴と嵌合突起との嵌合を解除させ易くできる。
前記第2部分は、前記第1部分よりも厚いことが望ましい。これにより、第2部分が第1部分よりも弾性変形し難くなるため、嵌合穴と嵌合突起との嵌合を解除させ易くできる。
前記プラグの本体と前記弾性片との間に隙間が形成されており、
前記第2部分は、前記端部の側ほど前記隙間が大きくなるテーパ部を有することが望ましい。これにより、弾性片の端部を大きく変位させることが可能になり、嵌合穴と嵌合突起との嵌合を解除させ易くなる。
前記保持部が前記弾性片の端部を保持する長さは、前記カップリングが前記プラグに対して移動可能な長さよりも短いことが望ましい。これにより、カップリングをプラグに対して移動させたときに、弾性片の端部を保持部から外すことが可能になる。
前記レセプタクルと前記プラグとを接続させるとき、前記カップリングが前記付勢部材により付勢されることによって前記保持部が前記弾性片の端部を保持された状態で、前記嵌合穴に前記嵌合突起が嵌合することが望ましい。これにより、嵌合突起と嵌合穴とを確実に嵌合できる。
嵌合穴を有するレセプタクルに挿入され、前記嵌合穴に嵌合する嵌合突起を有する弾性片を有するプラグと、前記プラグに保持され、付勢部材により前記レセプタクルの側に付勢され、前記プラグに対して前記レセプタクルの側とは反対側に移動可能なカップリングと、を備え、前記弾性片は、前記プラグを前記レセプタクルに挿入する挿入方向に対して垂直方向に弾性変形可能であり、前記カップリングは、前記付勢部材により付勢された状態で前記弾性片の端部を保持する保持部を有する光コネクタ。このような光コネクタによれば、レセプタクルに接続させる際に、レセプタクルの嵌合穴と嵌合突起との嵌合を維持させる状態(嵌合維持状態)に移行し易くすることができる。
===第1実施形態===
<光コネクタシステム1>
図1A及び図1Bは、光コネクタシステム1の斜視図である。図2は、接続状態の光コネクタの斜視図である。図3A及び図3Bは、光コネクタシステム1の断面図である。
光コネクタシステム1は、レセプタクル10と、プラグ20とを有する。レセプタクル10のことを「レセプタクル側光コネクタ」と呼び、プラグ20のことを「プラグ側光コネクタ」と呼んでも良い。また、レセプタクル10のことを「第1光コネクタ」と呼び、プラグ20のことを「第2光コネクタ」と呼んでも良い。また、レセプタクル10及びプラグ20のそれぞれのことを単に「光コネクタ」と呼んでも良い。
以下の説明では、図1A及び図1Bに示すように、各方向を定義する。すなわち、コネクタ着脱方向を「前後方向」とし、相手側の光コネクタの側を「前」とし、逆側を「後」とする。なお、プラグ20をレセプタクル10に挿入する挿入方向は、前後方向に平行な方向である。一対の嵌合穴121又は一対の嵌合突起24Aの並ぶ方向を「左右方向」とし、後側から前側向かって見たときの右側を「右」とし、逆側を「左」とする。また、前後方向及び左右方向に垂直な方向を「上下方向」とする。また、キー溝126又はキー突起233の側を「上」とし、逆側を「下」とする。
<レセプタクル10>
レセプタクル10は、プラグ20を接続させる光コネクタである。本実施形態のレセプタクル10は、嵌合穴121を有する。嵌合穴121については後述する。
レセプタクル10は、図3A及び図3Bに示すように、フェルール11と、ハウジング12と、バネ13と、バネ受け14とを有する。
フェルール11は、光ファイバを保持する部材である。本実施形態のフェルール11は、複数の光ファイバを保持するMT形光コネクタ(JIS C5981に制定されるF12形光コネクタ)である。レセプタクル10のフェルール11の端面から一対のガイドピン11Aが突出している。フェルール11(及びガイドピン11A)は、レセプタクル10(詳しくはハウジング12)の前縁よりも後側に配置されている。本実施形態では、レセプタクル10は上下に並ぶ2個のフェルール11を有する。但し、フェルール11の数は、1個でも良いし、3個以上でも良い。また、複数のフェルール11が上下ではなく左右に並んでも良い。
ハウジング12は、フェルール11を後退可能に収容する部材である。ハウジング12は、円筒形状に構成されている。ハウジング12には、フェルール11を収容するフェルール収容部が形成されている。フェルール収容部の内壁面には突起部が形成されており、この突起部にフェルール11の鍔部が接触することによって、フェルール11の前抜けが防止される。ハウジング12の前側は開口しており、この開口からプラグ20が挿入される。ハウジング12の前部の左右側面には一対の嵌合穴121が形成されている。ハウジング12は、嵌合穴121と、プラグ収容部122と、キー溝126と、ガイド溝127とを有する。
嵌合穴121は、プラグ20の嵌合突起24Aを嵌合させるための穴(係合穴)である。嵌合穴121にプラグ20の嵌合突起24Aが嵌合することによって、レセプタクル10にプラグ20が接続される。嵌合穴121の前縁は、プラグ20の嵌合突起24Aを係合させる部位であり、レセプタクル10の側の機械的基準面となる。
プラグ収容部122は、プラグ20を収容する部位である。プラグ収容部122は、円筒形状のハウジング12の前部の内部空間によって構成される。プラグ収容部122は、凹部123を有する。凹部123は、プラグ20の先端部231(後述)を収容する凹状の部位である。凹部123は、フェルール収容部を囲繞するように形成された凹状の部位である。凹部123の内壁面は、プラグ20のOリング231Aと接触する接触部となる。レセプタクル10とプラグ20とを接続したとき、凹部123の内壁面がプラグ20のOリング231Aと接触することによって、光コネクタシステム1の内部(特にフェルール同士の接続部)が防水される。
キー溝126(図1B参照)は、円筒形状のハウジング12の内壁面に形成された溝状の部位であり、プラグ20のキー突起233に適合するように形成されている。キー溝126は、前後方向に沿って形成されており、本実施形態ではハウジング12の内壁面の上側に形成されている。キー溝126にプラグ20のキー突起233を合わせることによって、レセプタクル10とプラグ20の周方向(前後方向を軸とする回転方向)の位置合わせが行われる。
ガイド溝127(図1B参照)は、円筒形状のハウジング12の内壁面に形成された溝状の部位であり、プラグ20の弾性片24に適合するように形成されている。ガイド溝127は、前後方向に沿って形成されており、ハウジング12の内壁面の左右両側に形成されている。嵌合穴121はガイド溝127に配置されている。これにより、ガイド溝127によって弾性片24の嵌合突起24Aを嵌合穴121に案内できる。ガイド溝127が弾性片24の嵌合突起24Aを嵌合穴121に案内することによって、レセプタクル10の嵌合穴121とプラグ20の嵌合突起24Aとを嵌合させ易くなる。
バネ13は、フェルール11を前側に押圧するための部材である。バネ受け14は、ハウジング12に固定される部材であり、バネ13の後端と接触する部材である。バネ13は、フェルール11とバネ受け14との間で圧縮された状態で配置されており、フェルール11を前側に押圧している。バネ13及びバネ受け14は、フェルール11を後退可能に前側に押圧するフローティング機構を構成している。
<プラグ20>
プラグ20は、レセプタクル10に接続させる光コネクタである。本実施形態のプラグ20は、レセプタクル10に挿入されるとともに、嵌合穴121に嵌合する嵌合突起24Aを有する弾性片24を有する。また、本実施形態のプラグ20は、カップリング30を保持している。なお、弾性片24(及び嵌合突起24A)やカップリング30については後述する。
プラグ20は、図3A及び図3Bに示すように、フェルール21と、ハウジング22と、バネ27と、バネ受け28とを有する。
フェルール21は、光ファイバを保持する部材である。プラグ20のフェルール21は、レセプタクル10のフェルール11と同様であるが、ガイドピン11Aは有しておらず、ガイドピン11Aを挿入するガイド穴がフェルール端面で開口している。フェルール21は、プラグ20(詳しくはハウジング22)の前縁よりも後側に配置されている。本実施形態では、プラグ20は上下に並ぶ2個のフェルール21を有する。但し、フェルール21の数は、1個でも良いし、3個以上でも良い。また、複数のフェルール21が上下ではなく左右に並んでも良い。
ハウジング22は、フェルール21を後退可能に収容する部材である。ハウジング22は、ハウジング本体23と弾性片24とを有する。ハウジング本体23は、円筒形状に構成された部位であり、ハウジング22のうちの弾性片24を除く部位である。ハウジング本体23には、フェルール21を収容するフェルール収容部が形成されている。フェルール収容部に形成されている突起部によって、フェルール21の前抜けが防止されている。ハウジング本体23の前側は開口しており、この開口からレセプタクル10のフェルール11が挿入される。ハウジング本体23は、先端部231と、キー突起233とを有する。
先端部231は、ハウジング22の前側の円筒形状の部位である。先端部231は、フェルール21よりも前側に突出しており、フェルール21を保護する機能を有する。レセプタクル10とプラグ20とを接続したとき、先端部231は、レセプタクル10の凹部123に収容される。先端部231の外周面には、Oリング231Aが配置されている。Oリング231Aは、光コネクタシステム1の内部(特にフェルール同士の接続部)を防水する部材である。レセプタクル10とプラグ20とを接続したとき、Oリング231Aは、レセプタクル10の凹部123の内壁面(接触部)と接触し、径方向に圧縮される。なお、先端部231よりも後側のハウジング本体23の部位(弾性片24が設けられた部位)のことを本体部232と呼ぶことがある。
キー突起233は、円筒形状のハウジング本体23の外周面に形成された突条の部位であり、レセプタクル10のキー溝126に適合するように形成されている。キー突起233は、前後方向に沿って形成されており、本実施形態ではハウジング本体23の外周面の上側に形成されている。キー突起233をレセプタクル10のキー溝126を合わせることによって、レセプタクル10に対するプラグ20の周方向(前後方向を軸とする回転方向)の位置合わせが行われる。つまり、キー突起233とレセプタクル10のキー溝126とによって、プラグ20とレセプタクル10の位置合わせを行う位置合わせ部が構成されている。なお、レセプタクル10にキー突起を形成し、プラグ20にキー溝を形成しても良い。
バネ27は、フェルール21を前側に押圧するための部材である。バネ受け28は、ハウジング22に固定される部材であり、バネ27の後端と接触する部材である。バネ27は、フェルール21とバネ受け28との間で圧縮された状態で配置されており、フェルール21を前側に押圧している。バネ27及びバネ受け28は、フェルール21を後退可能に前側に押圧するフローティング機構を構成している。
<プラグ20の弾性片24とカップリング30>
図4Aは、プラグ20の斜視図である。図4Bは、カップリング30を分離させた状態のプラグ20の斜視図である。図5A及び図5Bは、弾性片24とカップリング30との位置関係を説明するための説明図である。
本実施形態のハウジング22は、弾性片24を有する。弾性片24は、弾性変形可能な部位である。弾性片24とハウジング本体23との間には隙間25が形成されている。これにより、弾性片24は、プラグ20をレセプタクル10に挿入する際に径方向(プラグ20をレセプタクル10に挿入する挿入方向に対して垂直な方向)に弾性変形可能である。弾性片24は、前後方向に沿った片持ち梁状の部位である。弾性片24の基端(ハウジング本体23に固定された側の弾性片24の端部)は、自由端よりも前側に位置している。つまり、弾性片24は、前側の基端から後側に向かって延び出た形状である。プラグ20をレセプタクル10に挿入すると、弾性片24は、レセプタクル10の円筒形状のハウジング22の内側に配置される。
本実施形態では、一対の弾性片24がハウジング本体23の左右の両側面に配置されている。但し、弾性片24の数は、2個に限られるものではない。また、弾性片24の配置は、ハウジング22の外周面であればよく、左右の側面に限られるものではない。
弾性片24は、嵌合突起24Aを有する。嵌合突起24Aは、レセプタクル10の嵌合穴121に嵌合する突起である。嵌合突起24Aがレセプタクル10の嵌合穴121に嵌合することによって、プラグ20がレセプタクル10に接続される。嵌合突起24Aの後縁は、レセプタクル10の嵌合穴121に係合させる部位(段差部)であり、プラグ20の機械的基準面となる。嵌合突起24Aが弾性片24に配置されているため、弾性片24が弾性変形すると、嵌合突起24Aが変位する。嵌合突起24Aは、弾性片24の外側の表面に配置されており、外側に向かって突出している。プラグ20をレセプタクル10に挿入すると、嵌合突起24Aは、レセプタクル10の嵌合穴121の内側から外側に向かって嵌合する。
図3A及び図3Bに示すように、弾性片24の自由端(基端の側とは逆側の端部)は、カップリング30の保持部31(後述)によって保持される。これにより、弾性片24が不意に弾性変形することが抑制され、嵌合突起24Aが嵌合穴121から外れることが抑制される。
図4Bに示すように、弾性片24の自由端(基端の側とは逆側の端部)には、突出部24Bが設けられている。突出部24Bは、弾性片24の側面から外側に突出した部位である。突出部24Bは、カップリング30の解除機構32(図4B参照)と接触する部位である。突出部24Bがカップリング30の解除機構32に接触することによって、弾性片24の自由端がハウジング本体23の側に向かって径方向に変位し、嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合が解除されることになる(嵌合突起24Aが嵌合穴121から外れる)。
弾性片24は、第1部分241と、第2部分242とを有する(図3A参照)。第1部分241は、基端と嵌合突起24Aとの間の部位である。第2部分242は、嵌合突起24Aと自由端(突出部24B)との間の部位である。つまり、嵌合突起24Aよりも前側の部位が第1部分241であり、嵌合突起24Aよりも後側の部位が第2部分242である。弾性片24が弾性変形するとき、主に第1部分241が弾性変形し、第2部分242が変位することになる。
図3A及び図3Bに示すように、第2部分242は、第1部分241よりも厚い。このため、第2部分242は、第1部分241よりも弾性変形し難くなる。なお、仮に第2部分242が弾性変形し易い形状だとすると、弾性片24の自由端(突出部24B)がハウジング本体23の側に向かって変位しても、嵌合突起24Aが変位し難くなってしまい、嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合が解除され難くなってしまう(後述:図8B参照)。但し、嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合を解除可能であれば、第2部分242が第1部分241よりも厚くなくても良い。
第2部分242は、テーパ部242Aを有する。テーパ部242Aは、ハウジング本体23に対向する面に設けられた傾斜面である。弾性片24(第2部分242)とハウジング本体23との間には隙間25が形成されており、自由端(突出部24B)の側ほど隙間25が大きくなるようにテーパ部242Aが形成されている。これにより、後述するように、弾性片24の自由端(突出部24B)をハウジング本体23の側に向かって大きく変位させることが可能になる(図8A参照)。但し、嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合を解除可能であれば、第2部分242にテーパ部242Aが形成されていなくても良い。
カップリング30は、ハウジング22に対してレセプタクル10の側とは反対側に移動可能な部材である。つまり、カップリグは、プラグ20(ハウジング22)に対して後退可能な部材である。カップリング30は、プラグ20に保持されている。カップリング30は、ハウジング22の外側に配置された筒状の部材である。カップリング30は、嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合を維持させる機能と、嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合を解除させる機能とを有する。カップリング30は、保持部31と、解除機構32とを有する。
保持部31は、弾性片24の端部(自由端)を保持する部位である。保持部31が弾性片24の自由端を保持することによって、弾性片24の自由端が変位することが抑制され、嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合が維持される。なお、保持部31が弾性片24の自由端を保持したとき、弾性片24の自由端が保持されていない状態と比べて、弾性片24の自由端の変位が抑制されていれば良い。つまり、保持部31が弾性片24の自由端を保持したときに、弾性片24の自由端が若干変位することが許容されていてもよい。保持部31は、筒状のカップリング30の内壁面に配置されている。本実施形態では、保持部31は、弾性片24のそれぞれに対応するように配置されており、カップリング30の内壁面の左右両側にそれぞれ配置されている。
本実施形態の保持部31は、押さえ部31Aと、連結部31Bとを備えている(図3A、図3B、図5A及び図5B参照)。押さえ部31Aは、弾性片24の自由端を内側(ハウジング本体23の側)から押さえる部位であり、前後方向に平行な板状の部位である。図3A及び図5Aに示すように、板状の押さえ部31Aとカップリング30の内壁面との間に弾性片24の自由端が挿入されることによって、弾性片24の自由端が保持されることになる。連結部31Bは、押さえ部31Aをカップリング30の内壁面に連結する部位である。連結部31Bは、板状の押さえ部31Aの後縁をカップリング30の内壁面に連結する。これにより、押さえ部31Aの前縁において、押さえ部31Aとカップリング30の内壁面との間に弾性片24の自由端を挿入するための隙間25が形成される。なお、保持部31は、押さえ部31A及び連結部31Bから構成された断面L字形状に限られるものではない。
本実施形態では、図5Aに示すように、保持部31(詳しくは、押さえ部31A)が弾性片24の自由端を保持する長さをL1とする。また、図5Bに示すように、カップリング30がプラグ20(ハウジング22)に対して移動可能な長さ(後退可能な長さ)をL2とする。そして、本実施形態では、長さL1は、長さL2よりも短い。これにより、カップリング30をプラグ20に対して後退させたときに、弾性片24の自由端を保持部31から外すことが可能になる。
解除機構32は、弾性片24を弾性変形させて嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合を解除させる部位である。本実施形態では、カップリング30に解除機構32が設けられているため、カップリング30をプラグ20に対して移動させることによって、弾性片24を弾性変形させて嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合を解除させることができる。なお、カップリング30が解除機構32を有していなくても良い。解除機構32は、一対の弾性片24のそれぞれに対応するように配置されており、カップリング30の内壁面の左右両側にそれぞれ配置されている。解除機構32は、保持部31よりも前側に配置されており、ここでは、カップリング30の前縁に設けられている。
解除機構32は、保持部31と嵌合突起24Aとの間に配置されている(図5A参照)。これにより、カップリング30をプラグ20(ハウジング22)に対して後側に移動すると、保持部31に保持されていた弾性片24の自由端が解除機構32の位置に到達する(図5B参照)。
本実施形態では、解除機構32は、傾斜面を有する。傾斜面は、前側ほどカップリング30の内壁面から内側に突出するように、形成されている。言い換えると、傾斜面は、前側ほどハウジング本体23の側に近づくように、形成されている。カップリング30がプラグ20(ハウジング22)に対して後側に移動すると、解除機構32の傾斜面が弾性片24の突出部24Bに接触することによって、弾性片24の自由端がハウジング本体23の側に向かって径方向(カップリング30の移動方向とは異なる方向)に変位し、嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合が解除されることになる(嵌合突起24Aが嵌合穴121から外れる)。1つの弾性片24に対して、2つの解除機構32が弾性片24を上下方向から挟むように配置されている(図5A及び図5B参照)。これにより、弾性片24とカップリング30との周方向の位置ずれが抑制される。
図3A及び図3Bに示すように、カップリング30は、付勢部材35によりレセプタクル10の側に付勢されている。つまり、カップリング30は、付勢部材35によって前側に押圧された状態でプラグ20(ハウジング22)に保持されている。
付勢部材35は、プラグ20(ハウジング22)に対してカップリング30を前側に付勢する部材である。本実施形態の付勢部材35は、例えばスプリングであるが、他の部材でも良い。付勢部材35(スプリング)の後端はハウジング22に接触しており、付勢部材35の前端はカップリング30に接触している。つまり、付勢部材35は、ハウジング22とカップリング30との間に配置されている。付勢部材35は、ハウジング22とカップリング30との間で圧縮された状態で配置されており、ハウジング22に対してカップリング30を前側に押圧している。
本実施形態では、付勢部材35がカップリング30をプラグ20に対して前側に付勢しているため、図3Aに示すように、カップリング30は、付勢部材35により付勢された状態で弾性片24の端部(自由端)を保持する。これにより、後述するように、レセプタクル10とプラグ20とを接続させる際に、レセプタクル10の嵌合穴121とプラグ20の嵌合突起24Aとの嵌合を維持させる状態(嵌合維持状態)に移行し易くなる。
カップリング30は、キー溝33を有している(図4B参照)。キー溝33は、筒状のカップリング30の内壁面に形成された溝状の部位であり、プラグ20のキー突起233に適合するように形成されている。キー溝33は、前後方向に沿って形成されており、本実施形態ではカップリング30の内壁面の上側に形成されている。カップリング30は、キー溝33によってプラグ20のキー突起233に案内されて、プラグ20に対して前後方向に移動可能である。本実施形態では、プラグ20のキー突起233は、カップリング30のキー溝33とレセプタクル10のキー溝126との両方に適合するように形成されている。これにより、1つのキー突起233によって、プラグ20に対するカップリング30の移動を案内する機能と、プラグ20とレセプタクル10とを位置合わせする機能とを両方兼ね備えることができ、プラグ20の形状が簡易になる。但し、プラグ20が、カップリング30を案内するためのキー突起を別に備えても良い(この場合、プラグ20は2つのキー突起を有することになる)。また、カップリング30にキー溝33が形成されていなくても良い。
<レセプタクル10とプラグ20との接続について>
図6A〜図6Eは、レセプタクル10とプラグ20とを接続する様子の説明図である。
図6Aは、初期状態の様子の説明図である。付勢部材35がカップリング30をプラグ20に対して前側に付勢しているため、カップリング30の保持部31は、付勢部材35により付勢された状態で弾性片24の端部(自由端)を保持している。このため、初期状態では、片持ち梁状の弾性片24の両端が支持された状態になっている。レセプタクル10とプラグ20とを接続するとき、作業者は、プラグ20のハウジング本体23又はカップリング30を持ちながら、プラグ20をレセプタクル10に挿入することになる。
図6Bは、プラグ20の先端部231をレセプタクル10に挿入した様子の説明図である。作業者は、レセプタクル10のキー溝126にプラグ20のキー突起233を合わせながら、プラグ20の先端部231をレセプタクル10に挿入する。これにより、レセプタクル10とプラグ20との周方向(前後方向を軸とする回転方向)の位置合わせが行われる。また、図6Bに示すように、プラグ20の先端部231をレセプタクル10に挿入すると、プラグ20の弾性片24の前縁がレセプタクル10のガイド溝127に入り込む。そして、図6Bに示す状態から更にプラグ20をレセプタクル10に挿入すると、弾性片24がガイド溝127に案内される。これにより、レセプタクル10とプラグ20との周方向の位置ずれが更に抑制される。なお、図6Bに示す段階では、レセプタクル10のフェルール11のガイドピン11Aは、プラグ20のフェルール21のガイド穴に挿入されていない。
図6Cは、ガイドピン11Aがガイド穴に挿入開始した様子の説明図である。図6Bに示す状態から作業者が更にプラグ20をレセプタクル10に挿入すると、図6Cに示すように、レセプタクル10のフェルール11のガイドピン11Aが、プラグ20のフェルール21のガイド穴に挿入される。ガイドピン11Aがガイド穴に挿入されることによって、レセプタクル10のフェルール11とプラグ20のフェルール21との位置合わせが高精度に行われる。なお、図6Cに示す段階では、弾性片24の嵌合突起24Aは、レセプタクル10の前縁よりも前側に位置しており、レセプタクル10には挿入されていない。
図6Dは、弾性片24の嵌合突起24Aがレセプタクル10に挿入開始した様子の説明図である。図6Cに示す状態から作業者が更にプラグ20をレセプタクル10に挿入すると、ガイドピン11Aがガイド穴に挿入されつつ、レセプタクル10のフェルール11とプラグ20のフェルール21とが接近する。また、図6Cに示す状態から作業者が更にプラグ20をレセプタクル10に挿入すると、図6Dに示すように、弾性片24の嵌合突起24Aが、レセプタクル10のハウジング12の内側に入り込む。このとき、嵌合突起24Aが内側(ハウジング本体23の側)に向かって押し込まれて変位し、弾性片24が弾性変形する。なお、本実施形態では、弾性片24の端部(自由端)が保持部31に保持された状態で、弾性片24が弾性変形する。
図6Eは、嵌合突起24Aが嵌合穴121に嵌合した様子の説明図である。図6Dに示す状態から作業者が更にプラグ20をレセプタクル10に挿入すると、嵌合突起24Aがレセプタクル10の嵌合穴121に到達する。嵌合突起24Aがレセプタクル10の嵌合穴121に到達すると、弾性片24の弾性変形が元に戻り、嵌合突起24Aが外側に向かって変位し、嵌合突起24Aがレセプタクル10の嵌合穴121に嵌合する。このとき、フェルール同士の端面が突き当り、それぞれのフェルール11,21は、ハウジング22に対して後退し(それぞれのバネ13,27が圧縮変形し)、バネ13,27によって所定の押圧力で相手方のフェルールに向かって押圧される。これにより、プラグ20とレセプタクル10との接続が完了する。
本実施形態では、プラグ20(弾性片24を含む)がレセプタクル10に挿入されるため、図6Eに示すように、プラグ20とレセプタクル10とが接続されている状態の時に、弾性片24は、レセプタクル10のハウジング12の内側に配置される。このため、プラグ20とレセプタクル10とが接続されている状態の時に、弾性片24が外部から力を受け難い構造になる。これにより、弾性片24が不意に弾性変形することを抑制でき、嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合が不意に外れることを抑制できる。
加えて、本実施形態では、図6Eに示すように、プラグ20とレセプタクル10とが接続されている状態の時に、弾性片24の端部(自由端)が保持部31に保持される。保持部31が弾性片24の自由端を保持することによって、弾性片24の自由端が変位することを抑制でき、嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合を維持できる。なお、保持部31が弾性片24の自由端を保持することによって嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合を維持させる状態のことを「嵌合維持状態」と呼ぶことがある。
本実施形態のカップリング30は、付勢部材35により付勢された状態で弾性片24の端部(自由端)を保持する保持部31を有している。このため、本実施形態では、嵌合突起24Aがレセプタクル10の嵌合穴121に到達したとき、弾性片24の端部(自由端)が保持部31に保持された状態になっている。これにより、弾性片24の端部(自由端)が保持部31に保持された状態で、嵌合突起24Aがレセプタクル10の嵌合穴121に嵌合する。なお、仮に弾性片24の端部(自由端)が保持部31に保持されていない状態で嵌合突起24Aと嵌合穴121とを嵌合してしまうと、嵌合後から保持部31が弾性片24の自由端を保持する状態(嵌合維持状態)に移行するまでの間に、嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合が不意に外れるおそれがある。これに対し、本実施形態では、レセプタクル10とプラグ20とを接続させる際に、レセプタクル10の嵌合穴121とプラグ20の嵌合突起24Aとの嵌合を維持させる状態(嵌合維持状態)に速やかに移行するため、嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合が不意に外れることを抑制できる。
ところで、図6Eに示す状態では、レセプタクル10とプラグ20のそれぞれのバネ13,27が圧縮変形しており、嵌合突起24Aの後縁(プラグ20の機械的基準面)と嵌合穴121の前縁(レセプタクル10側の機械的基準面)との接触部は、レセプタクル10とプラグ20のそれぞれのバネ13,27の力を受けることになる(接触部にバネの力が掛かることになる)。そして、本実施形態のように、レセプタクル10やプラグ20が複数(本実施形態では2個)のフェルールを備える場合にはバネ13,27の数が増えるため、嵌合突起24Aの後縁と嵌合穴121の前縁との接触部は、大きな力を受けることになる。また、それぞれのフェルール11,21の光ファイバの本数が多い場合には、フェルール11,21を押圧する力を強くする必要があるため、強いバネ13,27が使用されるので、嵌合突起24Aの後縁と嵌合穴121の前縁との接触部は、大きな力を受けることになる。このような状況下では、嵌合突起24Aの後縁と嵌合穴121の前縁との間に働く摩擦力が大きくなる。そして、このような状況下において、仮に弾性片24の弾性変形が元に戻る力が弱いと、嵌合突起24Aがレセプタクル10の嵌合穴121に到達したときに、摩擦力によって嵌合突起24Aが外側に向かって十分に変位しないおそれがあり、嵌合突起24Aと嵌合穴121との嵌合が不十分になるおそれがある。
これに対し、本実施形態では、レセプタクル10とプラグ20とを接続させるとき、カップリング30が付勢部材35により付勢されることによって保持部31が弾性片24の端部(自由端)を保持した状態で、嵌合突起24Aが嵌合穴121に嵌合する。つまり、本実施形態では、嵌合突起24Aがレセプタクル10の嵌合穴121に到達したときに、弾性片24の端部(自由端)が保持部31に保持された状態になっており、弾性片24の両端が支持された状態になっている。このため、本実施形態では、嵌合突起24Aがレセプタクル10の嵌合穴121に到達したときの弾性片24の弾性変形が元に戻る力は、弾性片24の自由端が保持部31に保持されていない状態(弾性片24が片持ち支持の状態)と比べて、強くなる。これにより、本実施形態では、摩擦力に抗して嵌合突起24Aが外側に向かって十分に変位でき、嵌合突起24Aと嵌合穴121とを確実に嵌合できる。
<レセプタクル10とプラグ20との接続解除について>
図7A〜図7Eは、レセプタクル10とプラグ20との接続を解除する様子の説明図である。
図7Aは、レセプタクル10とプラグ20の接続中の様子の説明図である。図7Aに示す状態では、図6Eに示す状態と同様に、プラグ20の嵌合突起24Aがレセプタクル10の嵌合穴121に嵌合している。また、図7Aに示す状態では、保持部31が弾性片24の自由端を保持しており、嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合が維持された状態(嵌合維持状態)になっている。レセプタクル10とプラグ20との接続を解除するとき、作業者は、図7Aに示す状態から、カップリング30をプラグ20(ハウジング22)に対して後側に移動させることになる。
図7Bは、カップリング30を移動させた様子の説明図である。作業者がカップリング30をプラグ20(ハウジング22)に対して後側に移動させると、保持部31(押さえ部31A)が弾性片24の自由端よりも後側に移動し、これにより、弾性片24の自由端が保持部31に保持された状態(嵌合維持状態)が解除される。また、作業者がカップリング30をプラグ20(ハウジング22)に対して後側に移動させると、カップリング30の解除機構32(傾斜面)が弾性片24の突出部24Bに接触することによって、弾性片24の自由端がハウジング本体23の側に向かって径方向に変位し、これにより、嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合が解除される(嵌合突起24Aが嵌合穴121から外れる)。
本実施形態では、図7Bに示すように、弾性片24の第1部分241が弾性変形しつつ、第2部分242が変位することによって、嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合が解除される。第1部分241を弾性変形させることによって、嵌合突起24Aを大きく変位させることができるため、嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合が解除され易くなる。
図8Aは、嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合が解除されるときの本実施形態の弾性片24の変形の様子の説明図である。図8Bは、比較例の弾性片24の変形の様子の説明図である。
比較例の弾性片24は、第2部分242の厚さが、本実施形態の第2部分242よりも薄く、第1部分の厚さと同程度である。このため比較例では、本実施形態と比べて、第2部分242が弾性変形し易い形状である。比較例の場合、弾性片24の自由端(突出部24B)がハウジング本体23の側に向かって変位しても、嵌合穴121に嵌合している嵌合突起24Aが摩擦力に抗して変位し難くなってしまい、嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合が解除され難い。なお、既に説明したように、レセプタクル10やプラグ20が複数のフェルールを備える場合や、それぞれのフェルールの光ファイバの本数が多い場合には、嵌合突起24Aの後縁と嵌合穴121の前縁との間に大きな摩擦力が働く。このような状況下では、比較例の場合、特に嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合が解除され難くなる。
これに対し、本実施形態では、第2部分242は、第1部分241よりも厚い。このため、第2部分242は、第1部分241よりも弾性変形し難くなる。このため、図8Aに示すように、弾性片24の自由端(突出部24B)がハウジング本体23の側に向かって変位したときに、嵌合穴121に嵌合している嵌合突起24Aが摩擦力に抗して変位し易いため、嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合が解除され易くなる。
また、本実施形態では、弾性片24(第2部分242)とハウジング本体23との間には隙間25が形成されており、自由端(突出部24B)の側ほど隙間25が大きくなるように第2部分242にテーパ部242Aが形成されている。仮に、第2部分242(第1部分241よりも厚い第2部分242)にテーパ部242Aが形成されていない場合には、弾性片24の自由端がハウジング本体23に接触するほど変位しても、嵌合突起24Aを大きく変位させることができなくなるため、嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合が解除され難くなる。これに対し、本実施形態では、第2部分242にテーパ部242Aが形成されることによって、図8Aに示すように、弾性片24の自由端(突出部24B)をハウジング本体23の側に向かって大きく変位させることが可能になり、嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合を解除させ易くなる。
図7C及び図7Dは、レセプタクル10とプラグ20との接続が解除された様子の説明図である。嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合が解除されると、圧縮変形していたバネ13,27が元に戻り、このときのバネ13,27の力によってレセプタクル10とプラグ20とが離間する(図7C参照)。作業者は、図7Cに示す状態から図7Dに示す状態まで更にプラグ20を後退させることによって、レセプタクル10からプラグ20を抜去する。
<第1実施形態の小括>
上記の通り、第1実施形態の光コネクタシステム1は、レセプタクル10と、プラグ20と、カップリング30とを有する(図1A及び図1B参照)。レセプタクル10は嵌合穴121を有しており、プラグ20は、嵌合突起24Aを有する弾性片24を有しており、プラグ20はレセプタクル10に挿入される。カップリング30は、プラグ20に保持されており、付勢部材35(図3A及び図3B参照)によりレセプタクル10の側に付勢されており、プラグ20(ハウジング22)に対してレセプタクル10の側とは反対側に移動可能である。弾性片24は、プラグ20をレセプタクル10に挿入する際に径方向(プラグ20をレセプタクル10に挿入する挿入方向に対して垂直な方向)に弾性変形可能である。
第1実施形態のカップリング30は、付勢部材35(図3A及び図3B参照)により付勢された状態で弾性片24の端部(自由端)を保持する保持部31を有している。このため、嵌合突起24Aがレセプタクル10の嵌合穴121に到達したとき、弾性片24の端部(自由端)が保持部31に保持された状態になる。これにより、弾性片24の端部(自由端)が保持部31に保持された状態で、嵌合突起24Aがレセプタクル10の嵌合穴121に嵌合する。第1実施形態によれば、レセプタクル10とプラグ20とを接続させる際に、レセプタクル10の嵌合穴121とプラグ20の嵌合突起24Aとの嵌合を維持させる状態(嵌合維持状態)に速やかに移行するため、嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合が不意に外れることを抑制できる。
===第2実施形態===
<第2実施形態の概要>
図9Aは、第1比較例の説明図である。レセプタクル10のハウジング12には、円筒面状の内壁面を有するプラグ収容部122が形成されており、第1比較例では、プラグ20のハウジング22は、レセプタクル10の内壁面に対向する円筒面状の外周面を有している。また、レセプタクル10のプラグ収容部122にプラグ20のハウジング22を嵌合させるため、図9Aの一部拡大図に示すように、レセプタクル10の内壁面とプラグ20の外周面との間には隙間W1が形成されている。第1比較例の場合、隙間W1の分だけ、プラグ20は、レセプタクル10に対してガタつくことになる。
図9Bは、第2比較例の説明図である。既に説明したように、プラグ20のハウジング本体23の両側面に弾性片24(図9Bでは不図示;図4B参照)が設けられている。また、弾性片24を弾性変形可能にさせるためには、弾性片24とハウジング本体23との間に隙間25を設ける必要がある。このため、図9Bに示すように、ハウジング本体23の左右の両側面(弾性片24の設けられた側面)には、平面部23Aが形成されている。この結果、図9Bに示すように、ハウジング本体23は、2つの平行な平面部23Aと、2つの平面部23Aの間に配置された2つの円筒部23Bと、を有する形状になる。
図9Bの一部拡大図に示すように、プラグ20の円筒部23Bでは、第1比較例と同様に、レセプタクル10のハウジング12とプラグ20のハウジング22との間に隙間W1が形成されている。ハウジング本体23に平面部23Aが形成されている場合、図中の左右方向(平面部23Aに垂直な方向)に、レセプタクル10の内壁面とプラグ20の外周面との間の隙間W2が大きくなる。このため、第2比較例のようにプラグ20の外周面に平面部23Aが形成されている場合、プラグ20は、レセプタクル10に対して、平面部23Aに垂直な方向のガタつきが大きくなってしまう。このように、レセプタクル10とプラグ20とのガタツキが大きくなると、光信号の損失(接続損失)が大きくなるおそれがある。
図9Cは、第2実施形態の説明図である。第2実施形態においても、第2比較例と同様に、ハウジング本体23は、2つの平行な平面部23Aと、2つの平面部23Aの間に配置された2つの円筒部23Bとを有する。
第2実施形態では、レセプタクル10の内壁面に溝128が形成されている。また、第2実施形態では、プラグ20のハウジング本体23は、突起部234を有する。図9Cの一部拡大図に示すように、第2実施形態では、プラグ20の突起部234がレセプタクル10の溝128に嵌合する。第2実施形態では、前述の第2比較例と比べて、平面部23Aに垂直な方向におけるレセプタクル10の内壁面とプラグ20の外周面との間の隙間Wを狭めることができる。これにより、レセプタクル10とプラグ20とのガタツキを抑制することができ、光信号の損失を抑制することができる。
<第2実施形態の構成>
図10A及び図10Bは、第2実施形態の光コネクタシステム2の斜視図である。図11は、第2実施形態のレセプタクル10の斜視図である。図12Aは、第2実施形態のプラグ20の斜視図である。図12Bは、第2実施形態のカップリング30を分離させた状態のプラグ20の斜視図である。
第2実施形態の光コネクタシステム2は、第1実施形態の光コネクタシステム1と同様に、レセプタクル10と、プラグ20と、カップリング30とを有する。レセプタクル10は、嵌合穴121を有する。プラグ20は、嵌合突起24Aを有する弾性片24を有しており、レセプタクル10に挿入される。カップリング30は、プラグ20に保持されており、第1実施形態と同様に付勢部材35(不図示:図3A及び図3B参照)によりレセプタクル10の側に付勢されており、プラグ20(ハウジング22)に対してレセプタクル10の側とは反対側に移動可能である。弾性片24は、プラグ20をレセプタクル10に挿入する際に径方向(プラグ20をレセプタクル10に挿入する挿入方向に対して垂直な方向)に弾性変形可能である。
また、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、カップリング30は、付勢部材35(不図示:図3A及び図3B参照)により付勢された状態で弾性片24の端部(自由端)を保持する保持部31を有している。このため、第2実施形態においても、嵌合突起24Aがレセプタクル10の嵌合穴121に到達したとき、弾性片24の端部(自由端)が保持部31に保持された状態になる。これにより、第2実施形態においても、弾性片24の端部(自由端)が保持部31に保持された状態で、嵌合突起24Aがレセプタクル10の嵌合穴121に嵌合する。したがって、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、レセプタクル10とプラグ20とを接続させる際に、レセプタクル10の嵌合穴121とプラグ20の嵌合突起24Aとの嵌合を維持させる状態(嵌合維持状態)に速やかに移行するため、嵌合穴121と嵌合突起24Aとの嵌合が不意に外れることを抑制できる。
・レセプタクル10
第2実施形態のレセプタクル10(詳しくはハウジング12)は、図11A及び図11Bに示すように、第1実施形態と同様に、プラグ収容部122を有する。プラグ収容部122の内壁面は、円筒面状に形成されている。第2実施形態のレセプタクル10は、円筒面状の内壁面に溝128を有する。本実施形態では、レセプタクル10は4本の溝128を有する。
溝128は、円筒形状のハウジング12の内壁面に形成された溝状の部位であり、プラグ20の突起部234(図9C、図12A及び図12B参照)に適合するように形成されている。溝128は、前後方向に沿って形成されている。図11Bに示すように、本実施形態では、溝128は、プラグ収容部122の凹部123よりも前側(プラグ20の側)に位置している。これは、仮に凹部123にも溝128が形成されてしまうと、凹部123の内壁面とプラグ20のOリング231A(防水部材)との間に隙間が形成されてしまい、隙間から水が浸入するおそれがあるためである。
溝128は、第1面128A及び第2面128Bを有するV溝状に形成されている。第1面128Aは、前後方向及び左右方向に平行な面である。第2面128Bは、前後方向及び上下方向に平行な面である。或る溝128の第1面128Aと、左右方向に隣接する位置合わせ溝128の第1面128Aは、同じ平面上に位置する。また、或る溝128の第2面128Bと、上下方向に隣接する位置合わせ溝128の第2面128Bは、同じ平面上に位置する。このため、4本の溝128のそれぞれの第1面128A及び第2面128Bを延長させると、仮想的な四角筒が形成されることになる。レセプタクル10を前側から見たとき、この仮想的な四角筒の内側にレセプタクル10のフェルール11が配置されている。
・プラグ20
図12A及び図12Bに示すように、プラグ20は、先端部231と、本体部232とを有する。先端部231は、プラグ20(ハウジング22)の前側(レセプタクル10の側)の円筒形状の部位である。先端部231の外周面にOリング231Aを配置するため、先端部231の外周面は、円筒形状に形成されている。先端部231の外周面は、レセプタクル10のプラグ収容部122の内壁面に対向することになる。
本体部232は、先端部231とともにハウジング本体23を構成する部位である。本体部232は、先端部231よりも後側(レセプタクル10の側とは反対側)の部位である。本体部232の左右の両側面には、弾性片24が配置されている。本体部232は、平面部23Aと、円筒部23Bと、突起部234とを有する。
平面部23Aは、本体部232の外周面を構成する平面状の部位である。平面部23Aは、弾性片24の設けられた側面に配置されており、ここでは、本体部232の左右の両側面に配置されている。これにより、平面部23Aと弾性片24との間に隙間25が形成され、弾性片24が本体部232の側に向かって変位可能になる。本実施形態では、2つの平面部23Aが本体部232の左右の両側面に配置されている。
円筒部23Bは、レセプタクル10の内壁面に対向する円筒面状の外周面を有する部位である。円筒部23Bは、2つの平面部23Aの間に配置されている。本実施形態では、2つの円筒部23Bが本体部232の上下に配置されている。上側の円筒部23Bには、キー突起233が配置されている。
突起部234は、本体部232の外周面(円筒部23Bの外周面)から突出した突条の部位であり、レセプタクル10の溝128に嵌合する部位である。突起部234は、レセプタクル10の溝128に適合するように形成されている。突起234は、前後方向に沿って形成されている。本実施形態では、突起部234がレセプタクル10の溝128に嵌合することによって、平面部23Aに垂直な方向におけるレセプタクル10の内壁面とプラグ20の外周面との間の隙間Wを狭めることができる(図9C参照)。このため、本実施形態によれば、突起部234がレセプタクル10の溝128に嵌合することによって、レセプタクル10とプラグ20とを高精度に位置合わせ(前後方向に垂直な方向の位置合わせ)することができる。本実施形態では、本体部232は、4本の突起部234を有する。
突起部234は、第1面234A及び第2面234Bを有する三角形状(逆V字状)に形成されている。第1面234Aは、前後方向及び左右方向に平行な面である。第2面234Bは、前後方向及び上下方向に平行な面である。或る突起部234の第1面234Aと、左右方向に隣接する突起部234の第1面234Aは、同じ平面上に位置する。また、或る突起部234の第2面234Bと、上下方向に隣接する突起部234の第2面234Bは、同じ平面上に位置する。このため、4本の突起部234のそれぞれの第1面234A及び第2面234Bを延長させると、仮想的な四角筒が形成されることになる。プラグ20を前側から見たとき、この仮想的な四角筒の内側にプラグ20のフェルール21が配置されている。4本の突起部234で構成される仮想的な四角筒は、レセプタクル10の4本の溝128で構成される仮想的な四角筒に嵌合することになる。
本実施形態では、突起部234は、一対の平面部23Aが対向する方向(ここでは左右方向)に対して垂直な方向(ここでは上下方向)に突出している。言い換えると、図9Cに示すように、突起部234の第2面234Bは、円筒部23Bの外周面の延長よりも上下方向に突出している。これにより、平面部23Aに垂直な方向(ここでは左右方向)におけるレセプタクル10の内壁面とプラグ20の外周面との間の隙間Wを狭めることができる(図9C参照)。
また、本実施形態では、突起部234は、平面部23Aから延出している。言い換えると、図9Cに示すように、突起部234の第2面234Bは、平面部23Aの延長面として構成されている。これにより、突起部234を簡素な構成で実現できる。但し、突起部234の第2面234Bが、平面部23Aと同一の平面上に配置されていなくても良い。
また、本実施形態では、突起部234は、平面部23Aに平行な第2面234Bと、平面部23Aに対して垂直な第1面234Aとを有する。これにより、左右方向及び上下方向の2方向において、レセプタクル10とプラグ20とのガタツキを抑制することができる。なお、左右方向及び上下方向の2方向は光軸(フェルール11,21が保持する光ファイバの光軸)に垂直な方向に相当するため、この2方向のガタツキを抑制することは、光信号の損失の抑制に特に有効である。
本実施形態では、突起部234は、平面部23Aと円筒部23Bとの間に配置されている。なお、図9Bに示す第2比較例のように、平面部23Aと円筒部23Bとの間において、平面部23Aに垂直な方向の隙間W2が大きくなる。これに対し、本実施形態では、平面部23Aと円筒部23Bとの間に突起部234を配置することによって、図9Cに示すように平面部23Aに垂直な方向の隙間Wを抑制することができる。
また、本実施形態では、突起部234の数が偶数(ここでは4本)である。突起部234の数を偶数にすることによって、突起部234を対称的に配置させつつ、或る突起部234の面(特に第2面)と別の突起部234の面とが平行になるように配置可能である。なお、突起部234の数は、4本に限られるものではない。
図13A及び図13Bは、突起部234の配置の変形例の説明図である。これらの変形例に示すように、本体部232が2本の突起部234を有しており、一方の突起部234の第2面と他方の突起部234の第2面とを平行に配置させても良い。このような配置であっても、平面部23Aに垂直な方向の隙間Wを抑制することができる。
また、突起部234は、2つの平面部23Aのそれぞれに設けられている。言い換えると、2つの平面部23Aのうちの一方の平面部23Aに少なくとも1つの突起部234が設けられるとともに、他方の平面部23Aにも少なくとも1つの突起部が設けられている。これにより、いずれの平面部23Aにおいても、平面部23Aに垂直な方向(ここでは左右方向)におけるレセプタクル10の内壁面とプラグ20の外周面との間の隙間Wを狭めることができる(図9C参照)。
また、図12A及び図12Bに示すように、突起部234の前側(レセプタクル10の側)の端面234Cは、傾斜している。つまり、突起部234の前側(レセプタクル10の側)の端面に垂直な方向は、前後方向に対して傾斜している。これは、仮に突起部234の前側の端面が前後方向に対して垂直であると、プラグ20をレセプタクル10に挿入する時に、突起部234の端面がレセプタクル10の開口の縁(ハウジング12の溝128の前縁)にぶつかり、プラグ20が挿入し難くなるためである。これに対し、本実施形態では、突起部234の端面が傾斜しているため、プラグをレセプタクル10に挿入し易くなる。
なお、本実施形態では、プラグ20をレセプタクル10に挿入する時、レセプタクル10のフェルール11のガイドピン11A(図11B参照)がプラグ20のフェルール21のガイド穴に挿入される前に、突起部234の端面がレセプタクル12の溝128の前縁に挿入され始める。すなわち、第2実施形態では、図6Cに示すようにガイドピン11Aがガイド穴に挿入開始する時点では、既に突起部234がレセプタクル12の溝128に嵌合している。これにより、突起部234と溝128との嵌合によってレセプタクル10に対するプラグ20の位置合わせ(前後方向に垂直な方向の位置合わせ)が行われた後に、ガイドピン11Aがフェルール21のガイド穴に挿入されるため、ガイドピン11Aによってフェルール21の端面を損傷させることを抑制できる。
図14A及び図14Bは、プラグ20の変形例の説明図である。変形例では、突起部234の端面が弾性片24の嵌合突起24Aよりも後側に位置しており、プラグ20をレセプタクル10に挿入する時、フェルール11のガイドピン11A(図11B参照)がプラグ20のフェルール21のガイド穴に挿入された後に、突起部234の端面がレセプタクル12の溝128の前縁に挿入され始める。このような変形例の構成であっても、レセプタクル10とプラグ20とが接続されている状態の時には、突起部234がレセプタクル12の溝128に嵌合している。このため、変形例においても、レセプタクル10とプラグ20とが接続されている状態の時に、レセプタクル10とプラグ20とのガタツキを抑制することができ、光信号の損失を抑制することができる。
・カップリング30
第2実施形態のカップリング30は、図12Bに示すように、4本の溝34を有する。溝34は、筒状のカップリング30の内壁面に形成された溝状の部位であり、プラグ20の突起部234に適合するように形成されている。溝34は、前後方向に沿って形成されている。溝34は、レセプタクル10の溝128(図9C及び図11B参照)と同様に、第1面34A及び第2面34Bを有するV溝状に形成されている。本実施形態では、プラグ20の突起部234は、カップリング30の溝34とレセプタクル10の溝128との両方に適合するように形成されている。これにより、1つの突起部234によって、プラグ20に対するカップリング30を位置合わせする機能と、プラグ20とレセプタクル10とを位置合わせする機能とを両方兼ね備えることができ、プラグ20の形状が簡易になる。
なお、レセプタクル10及びプラグ20の形状は、第1実施形態及び第2実施形態に限られるものではない。例えば、レセプタクル10及びプラグ20の形状は、FASコネクタ、FAコネクタなどに適合した形状でも良いし、他の形状でも良い。
===その他の実施形態===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。