JP2021175916A - 波動歯車装置、アクチュエータ及びカバー体 - Google Patents

波動歯車装置、アクチュエータ及びカバー体 Download PDF

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Abstract

【課題】信頼性の低下が生じにくい波動歯車装置を提供する。【解決手段】波動歯車装置1は、回転軸Ax1を中心とする波動発生器4の回転に伴って可撓性外歯歯車3を変形させ、外歯31の一部を内歯21の一部に噛み合わせて、可撓性外歯歯車3を剛性内歯歯車2との歯数差に応じて剛性内歯歯車2に対して相対的に回転させる。波動発生器4は、回転軸Ax1を中心に回転駆動される非円形状のカム41と、カム41の外周面411と可撓性外歯歯車3の内周面301との間に配置されるベアリング42と、を有する。波動歯車装置1は、回転軸Ax1の一方側からベアリング42に対向するように配置されるカバー部材5を更に備える。カバー部材5は、ベアリング42の外輪421との間に隙間G1を確保した状態でベアリング42と対向しており、回転軸Ax1の一方側から外輪421の内側への異物X1の進入を阻害する。【選択図】図1

Description

本開示は、一般に波動歯車装置、アクチュエータ及びカバー体に関し、より詳細には、剛性内歯歯車と可撓性外歯歯車と波動発生器とを備える波動歯車装置、アクチュエータ及びカバー体に関する。
特許文献1には、波動歯車装置(撓み噛み合い式歯車装置)における可撓性外歯歯車の表面処理を、窒化処理にて行うことの開示がある。
波動歯車装置は、環状の剛性内歯歯車と、この内側に配置されたカップ形の可撓性外歯歯車と、この内側にはめ込まれた楕円形の波動発生器とを有している。可撓性外歯歯車は、円筒状の胴部と、胴部の外周面に形成された外歯とを備えている。可撓性外歯歯車は、波動発生器によって楕円形に撓められ、その楕円形状の長軸方向の両端に位置する外歯の部分が、剛性内歯歯車の内周面に形成した内歯に噛み合っている。
波動発生器がモータ等により回転すると、両歯車の噛み合い位置が円周方向に移動し、内歯と外歯との歯数差(2N(Nは正の整数))に応じた相対回転が両歯車の間に発生する。ここで、剛性内歯歯車の側が固定されていると、可撓性外歯歯車の側から、両歯車の歯数差に応じて大幅に減速された回転出力が得られる。
特開2001−59153号公報
しかし、波動歯車装置は、可撓性外歯歯車を撓ませながら、内歯と外歯との噛み合いによる動力の伝達がなされるため、特に、長期間の使用になれば、例えば、内歯と外歯との間で生じる摩耗等により金属粉又は窒化物等の異物が発生し得る。このような異物が、波動発生器のベアリングに入り込むことがあれば、ベアリングの外輪、内輪及び転動体(ボール)のいずれかの表面に損傷が生じ、波動歯車装置の信頼性に影響する可能性がある。
本開示は上記事由に鑑みてなされており、信頼性の低下が生じにくい波動歯車装置、アクチュエータ及びカバー体を提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る波動歯車装置は、内歯を有する環状の剛性内歯歯車と、外歯を有し、前記剛性内歯歯車の内側に配置される環状の可撓性外歯歯車と、前記可撓性外歯歯車の内側に配置され、前記可撓性外歯歯車に撓みを生じさせる波動発生器と、を備える。前記波動歯車装置は、回転軸を中心とする前記波動発生器の回転に伴って前記可撓性外歯歯車を変形させ、前記外歯の一部を前記内歯の一部に噛み合わせて、前記可撓性外歯歯車を前記剛性内歯歯車との歯数差に応じて前記剛性内歯歯車に対して相対的に回転させる。前記波動発生器は、前記回転軸を中心に回転駆動される非円形状のカムと、前記カムの外周面と前記可撓性外歯歯車の内周面との間に配置されるベアリングと、を有する。前記波動歯車装置は、前記回転軸の一方側から前記ベアリングに対向するように配置されるカバー部材を更に備える。前記カバー部材は、前記ベアリングの外輪との間に隙間を確保した状態で前記ベアリングと対向しており、前記回転軸の一方側から前記外輪の内側への異物の進入を阻害する。
本開示の一態様に係るアクチュエータは、前記波動歯車装置と、前記カムを回転させる駆動源と、前記可撓性外歯歯車の回転力を出力として取り出す出力部と、を備える。
本開示の一態様に係るカバー体は、前記波動歯車装置に前記カバー部材として用いられる。
本開示によれば、信頼性の低下が生じにくい、という利点がある。
図1Aは、実施形態1に係る波動歯車装置の概略構成を示す断面図である。図1Bは、図1Aの領域Z1の拡大図である。 図2Aは、同上の波動歯車装置を、カバー部材を外した状態で回転軸の入力側から見た概略図である。図2Bは、同上の波動歯車装置を回転軸の入力側から見た概略図である。 図3Aは、同上の波動歯車装置を回転軸の出力側から見た概略の分解斜視図である。図3Bは、同上の波動歯車装置を回転軸の入力側から見た概略の分解斜視図である。 図4は、同上の波動歯車装置を含むアクチュエータの概略構成を示す断面図である。 図5A及び図5Bは、同上の波動歯車装置におけるカバー部材の傘部周辺の拡大図である。 図6は、同上の波動歯車装置を用いたロボットの一例を示す断面図である。 図7Aは、実施形態2に係る波動歯車装置の概略構成を示す断面図である。図7Bは、図7Aの要部の拡大図である。 図8Aは、実施形態2の第1変形例に係る波動歯車装置の概略構成を示す断面図である。図8Bは、図8Aの要部の拡大図である。 図9Aは、実施形態2の第2変形例に係る波動歯車装置の概略構成を示す断面図である。図9Bは、図9Aの要部の拡大図である。 図10A、図10B及び図10Cは、それぞれ実施形態2の第3、第4及び第5変形例に係る波動歯車装置の概略構成を示す要部の断面図である。 図11Aは、実施形態3に係る波動歯車装置の概略構成を示す断面図である。図11Bは、図11Aの要部の拡大図である。
(実施形態1)
(1)概要
以下、本実施形態に係る波動歯車装置1の概要について、図1A〜図4を参照して説明する。本開示で参照する図面は、いずれも模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。例えば、図2A〜図3Bにおける、内歯21及び外歯31の歯形、寸法及び歯数等は、いずれも説明のために模式的に表しているに過ぎず、図示されている形状に限定する趣旨ではない。
本実施形態に係る波動歯車装置1は、剛性内歯歯車2と、可撓性外歯歯車3と、波動発生器4と、を備える歯車装置である。この波動歯車装置1は、環状の剛性内歯歯車2の内側に、環状の可撓性外歯歯車3が配置され、さらに、可撓性外歯歯車3の内側には波動発生器4が配置される。波動発生器4は、可撓性外歯歯車3を非円形状に撓ませることにより、剛性内歯歯車2の内歯21に対して可撓性外歯歯車3の外歯31を部分的に噛み合わせる。波動発生器4が回転すると、内歯21と外歯31との噛み合い位置が、剛性内歯歯車2の円周方向に移動し、可撓性外歯歯車3を剛性内歯歯車2との歯数差に応じた相対回転が両歯車(剛性内歯歯車2及び可撓性外歯歯車3)の間に発生する。ここで、剛性内歯歯車2が固定されているとすれば、両歯車の相対回転に伴って、可撓性外歯歯車3が回転することになる。その結果、可撓性外歯歯車3からは、両歯車の歯数差に応じて、比較的高い減速比で減速された回転出力が得られる。
また、可撓性外歯歯車3に撓みを生じさせる波動発生器4は、入力側の回転軸Ax1(図1A参照)を中心に回転駆動される非円形状のカム41と、ベアリング42と、を有している。ベアリング42は、カム41の外周面411と可撓性外歯歯車3の内周面301との間に配置される。ベアリング42の内輪422は、カム41の外周面411に固定され、ベアリング42の外輪421は、ボール状の転動体423を介して、カム41に押されて弾性変形する。ここで、転動体423が転がることで外輪421は内輪422に対して相対的に回転可能であるので、非円形状のカム41が回転すると、内輪422の回転は外輪421には伝わらず、カム41に押された可撓性外歯歯車3の外歯31には、波動運動が発生する。外歯31の波動運動が発生することで、上述したように内歯21と外歯31との噛み合い位置が剛性内歯歯車2の円周方向に移動し、可撓性外歯歯車3を剛性内歯歯車2との間に相対回転が発生する。
要するに、この種の波動歯車装置1においては、ベアリング42を有する波動発生器4が可撓性外歯歯車3を撓ませながら、内歯21と外歯31との噛み合いによる動力の伝達が実現される。そのため、特に、長期間の使用になれば、例えば、内歯21と外歯31との間で生じる摩耗等により金属粉又は窒化物等の異物X1(図5A参照)が発生し得る。このような異物X1が、ベアリング42に進入するようなことがあれば、ベアリング42の外輪421、内輪422及び転動体423のいずれかの表面に損傷が生じ、波動歯車装置1の信頼性に影響する可能性がある。本実施形態に係る波動歯車装置1は、以下の構成により、主として、ベアリング42への異物X1の進入を抑制して、信頼性の低下を生じにくくする。
すなわち、本実施形態に係る波動歯車装置1は、図1A〜図3Bに示すように、内歯21を有する環状の剛性内歯歯車2と、外歯31を有する環状の可撓性外歯歯車3と、波動発生器4と、を備えている。可撓性外歯歯車3は、剛性内歯歯車2の内側に配置される。波動歯車装置1は、回転軸Ax1を中心とする波動発生器4の回転に伴って可撓性外歯歯車3を変形させ、外歯31の一部を内歯21の一部に噛み合わせて、可撓性外歯歯車3を剛性内歯歯車2との歯数差に応じて回転させる。波動発生器4は、非円形状のカム41と、ベアリング42と、を有する。カム41は、回転軸Ax1を中心に回転駆動される。ベアリング42は、カム41の外周面411と可撓性外歯歯車3の内周面301との間に配置される。この波動歯車装置1は、カバー部材5を更に備える。カバー部材5は、回転軸Ax1の一方側からベアリング42に対向するように配置される。カバー部材5は、ベアリング42の外輪421との間に隙間G1(図1B参照)を確保した状態でベアリング42と対向しており、回転軸Ax1の一方側から外輪421の内側への異物X1の進入を阻害する。
この態様によれば、回転軸Ax1の一方側からベアリング42に対向するように配置されたカバー部材5にて、回転軸Ax1の一方側からベアリング42の外輪421の内側への異物X1の進入が阻害される。そのため、例えば、波動歯車装置1の長期間の使用により、内歯21と外歯31との間で生じる摩耗等により金属粉又は窒化物等の異物X1が発生することがあっても、このような異物X1のベアリング42内(外輪421の内側)への進入が抑制される。結果的に、異物X1によるベアリング42の外輪421、内輪422及び転動体423等の表面に損傷が生じにくく、ベアリング42の損傷による波動歯車装置1の信頼性の低下が生じにくくなる。よって、本実施形態に係る波動歯車装置1によれば、信頼性の低下が生じにくい、という利点がある。そして、本実施形態に係る波動歯車装置1は、特に長期間の使用に際しても信頼性の低下が生じにくいため、ひいては、波動歯車装置1の長寿命化、及び高性能化にもつながる。
また、本実施形態に係る波動歯車装置1は、図4に示すように、駆動源101及び出力部102と共に、アクチュエータ100を構成する。言い換えれば、本実施形態に係るアクチュエータ100は、波動歯車装置1と、駆動源101と、出力部102と、を備えている。駆動源101は、カム41を回転させる。出力部102は、可撓性外歯歯車3の回転力を出力として取り出す。
また、本実施形態に係る波動歯車装置1のカバー部材5は、カバー体10(図1A参照)を構成する。言い換えれば、本実施形態に係るカバー体10は、波動歯車装置1にカバー部材5として用いられる。つまり、カバー体10は、カバー部材5である。
これら、本実施形態に係るアクチュエータ100及びカバー体10によれば、波動歯車装置1の信頼性の低下が生じにくい、という利点がある。
(2)定義
本開示でいう「環状」は、少なくとも平面視において、内側に囲まれた空間(領域)を形成する輪(わ)のような形状を意味し、平面視において真円とある円形状(円環状)に限らず、例えば、楕円形状及び多角形状等であってもよい。さらに、例えば、カップ状の可撓性外歯歯車3のように底部322を有するような形状であっても、その胴部321が環状であれば、「環状」の可撓性外歯歯車3という。
本開示でいう「阻害」は、邪魔したり、妨げたりすることを意味するのであって、完全に遮断する、というような意味ではない。すなわち、外輪421の内側への異物X1の進入を阻害するカバー部材5は、外輪421の内側への異物X1の進入を邪魔すればよく、異物X1を完全に遮断することは必須ではない。言い換えれば、カバー部材5があることで、外輪421の内側への異物X1の進入が抑制されればよく、結果的に、外輪421の内側に進入する異物X1の量が低減すればよい。もちろん、カバー部材5によって、外輪421の内側への異物X1の進入が完全に遮断されてもよい。
本開示でいう「異物」は、波動歯車装置1の本来の構成要素以外の物質を意味し、その一例として、内歯21と外歯31との間の摩耗等により発生する金属粉又は窒化物等がある。つまり、カバー部材5にて外輪421の内側への進入が阻害される異物X1は、波動歯車装置1の内部で摩耗等により発生する物質に限らず、例えば、波動歯車装置1の外部から進入するゴミ、砂塵又は塵埃等を含む。
本開示でいう「剛性」は、物体に外力が加わり物体が変形しようとするとき、物体がその変形に抵抗する性質のことを意味する。言い換えれば、剛性を持つ物体は、外力が加わっても変形しにくい。また、本開示でいう「可撓性」は、物体に外力が加わったときに、物体が弾性変形する(撓む)性質のことを意味する。言い換えれば、可撓性を持つ物体は、外力が加わったときに弾性変形しやすい。したがって、「剛性」と「可撓性」とは相反する意味である。
特に、本開示においては、剛性内歯歯車2の「剛性」と、可撓性外歯歯車3の「可撓性」とは、相対的な意味で用いている。すなわち、剛性内歯歯車2の「剛性」は、少なくとも可撓性外歯歯車3に比較して相対的に、剛性内歯歯車2が高い剛性を持つ、つまり外力が加わっても変形しにくいことを意味する。同様に、可撓性外歯歯車3の「可撓性」は、少なくとも剛性内歯歯車2に比較して相対的に、可撓性外歯歯車3が高い可撓性を持つ、つまり外力が加わったときに弾性変形しやすいことを意味する。
また、本開示では、回転軸Ax1の一方側(図1Aの右側)を「入力側」といい、回転軸Ax1の他方側(図1Aの左側)を「出力側」という場合がある。つまり、図1Aの例では、カバー部材5は、回転軸Ax1の「入力側」からベアリング42に対向するように配置されていることになる。ただし、「入力側」及び「出力側」は、説明のために付しているラベルに過ぎず、波動歯車装置1から見た、入力及び出力の位置関係を限定する趣旨ではない。
本開示でいう「非円形状」とは、真円ではない形状を意味し、例えば、楕円形状及び長円形状等を含む。本実施形態では一例として、波動発生器4の非円形状のカム41は、楕円形状であることとする。つまり、本実施形態では、波動発生器4は、可撓性外歯歯車3を楕円形状に撓ませることになる。
本開示でいう「楕円形状」は、真円が押し潰されて、互いに直交する長軸と短軸との交点が中心に位置するような形状全般を意味し、一平面上のある2定点からの距離の和が一定である点の集合からなる曲線である数学的な「楕円」に限らない。つまり、本実施形態におけるカム41は、数学的な「楕円」のように一平面上のある2定点からの距離の和が一定である点の集合からなる曲線状であってもよいし、数学的な「楕円」ではなく長円のような楕円形状であってもよい。上述したように、本開示で参照する図面は、いずれも模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。そのため、例えば、図2A及び図2Bでは、波動発生器4のカム41の形状を、やや大げさな楕円形状としているが、実際のカム41の形状を限定する趣旨ではない。
本開示でいう「回転軸」は、回転体の回転運動の中心となる仮想的な軸(直線)を意味する。つまり、回転軸Ax1は、実体を伴わない仮想軸である。波動発生器4は、回転軸Ax1を中心として回転運動を行う。
本開示でいう「内歯」及び「外歯」は、それぞれ単体の「歯」ではなく、複数の「歯」の集合(群)を意味する。つまり、剛性内歯歯車2の内歯21は、剛性内歯歯車2の内周面に形成された複数の歯の集合からなる。同様に、可撓性外歯歯車3の外歯31は、可撓性外歯歯車3の外周面に形成された複数の歯の集合からなる。
(3)構成
以下、本実施形態に係る波動歯車装置1及びアクチュエータ100の詳細な構成について、図1A〜図4を参照して説明する。
図1Aは、波動歯車装置1の概略構成を示す断面図であって、図1Bは、図1Aの領域Z1の拡大図である。図2Aは、カバー部材5を外した状態の波動歯車装置1を回転軸Ax1の入力側(図1Aの右側)から見た概略図である。図2Bは、カバー部材5を含む波動歯車装置1を回転軸Ax1の入力側から見た概略図である。図3Aは、波動歯車装置1を回転軸Ax1の出力側(図1Aの左側)から見た概略の分解斜視図である。図3Bは、波動歯車装置1を回転軸Ax1の入力側から見た概略の分解斜視図である。図4は、波動歯車装置1を含むアクチュエータ100の概略構成を示す断面図である。
(3.1)波動歯車装置
本実施形態に係る波動歯車装置1は、上述したように、剛性内歯歯車2と、可撓性外歯歯車3と、波動発生器4と、カバー部材5と、を備えている。本実施形態では、波動歯車装置1の構成要素である剛性内歯歯車2、可撓性外歯歯車3、波動発生器4及びカバー部材5の材質は、ステンレス、鋳鉄、機械構造用炭素鋼、クロムモリブデン鋼、リン青銅又はアルミ青銅等の金属である。ここでいう金属は、窒化処理等の表面処理が施された金属を含む。
また、本実施形態では、波動歯車装置1の一例として、カップ型の波動歯車装置を例示する。つまり、本実施形態に係る波動歯車装置1では、カップ状に形成された可撓性外歯歯車3を用いている。波動発生器4は、カップ状の可撓性外歯歯車3内に収容されるように、可撓性外歯歯車3と組み合わされる。
また、本実施形態では一例として、波動歯車装置1は、剛性内歯歯車2が入力側ケース111(図4参照)及び出力側ケース112(図4参照)等に固定された状態で使用される。これにより、剛性内歯歯車2と可撓性外歯歯車3との相対回転に伴って、固定部材(入力側ケース111等)に対して、可撓性外歯歯車3が相対的に回転することになる。
さらに、本実施形態では、波動歯車装置1をアクチュエータ100に用いる場合に、波動発生器4に入力としての回転力が加わることで、可撓性外歯歯車3から出力としての回転力が取り出される。つまり、波動歯車装置1は、波動発生器4の回転を入力回転とし、可撓性外歯歯車3の回転を出力回転として動作する。これにより、波動歯車装置1では、入力回転に対して、比較的高い減速比にて減速された出力回転が得られることになる。
さらに、本実施形態に係る波動歯車装置1では、入力側の回転軸Ax1と、出力側の回転軸Ax2とは、同一直線上にある。言い換えれば、入力側の回転軸Ax1と、出力側の回転軸Ax2とは、同軸である。ここで、入力側の回転軸Ax1は、入力回転が与えられる波動発生器4の回転中心であって、出力側の回転軸Ax1は、出力回転を生じる可撓性外歯歯車3の回転中心である。つまり、波動歯車装置1では、同軸上において、入力回転に対して、比較的高い減速比にて減速された出力回転が得られることになる。
剛性内歯歯車2は、サーキュラスプライン(circular spline)ともいい、内歯21を有する環状の部品である。本実施形態では、剛性内歯歯車2は、少なくとも内周面が平面視において真円となる、円環状を有している。円環状の剛性内歯歯車2の内周面には、内歯21が、剛性内歯歯車2の円周方向に沿って形成されている。内歯21を構成する複数の歯は、全て同一形状であって、剛性内歯歯車2の内周面における円周方向の全域に、等ピッチで設けられている。つまり、内歯21のピッチ円は、平面視において真円となる。また、剛性内歯歯車2は、回転軸Ax1の方向に所定の厚みを有している。内歯21は、いずれも剛性内歯歯車2の厚み方向の全長にわたって形成されている。内歯21の歯筋は、いずれも回転軸Ax1と平行である。
剛性内歯歯車2は、上述したように、入力側ケース111(図4参照)及び出力側ケース112(図4参照)等に固定される。そのため、剛性内歯歯車2には、固定用の複数の固定孔22が形成されている。
可撓性外歯歯車3は、フレックススプライン(flex spline)ともいい、外歯31を有する環状の部品である。本実施形態では、可撓性外歯歯車3は、比較的薄肉の金属弾性体(金属板)にて、カップ状に形成された部品である。つまり、可撓性外歯歯車3は、その厚みが比較的小さい(薄い)ことで可撓性を持つ。可撓性外歯歯車3は、カップ状の本体部32を有している。本体部32は、胴部321及び底部322を有している。胴部321は、可撓性外歯歯車3に弾性変形が生じていない状態において、少なくとも内周面301が平面視で真円となる、円筒状を有している。胴部321の中心軸は、回転軸Ax1と一致する。底部322は、胴部321の一方の開口面に配置され、平面視において真円となる、円盤状を有している。底部322は、胴部321の一対の開口面のうち、回転軸Ax1の出力側の開口面に配置されている。上記より、本体部32は、胴部321及び底部322の全体で、回転軸Ax1の入力側に開放された、有底の円筒状、つまりカップ状の形状が実現される。本実施形態では、胴部321及び底部322は1つの金属部材にて一体に形成されており、これにより、シームレスな本体部32が実現される。
ここで、可撓性外歯歯車3に対しては、胴部321の内側に、非円形状(楕円形状)の波動発生器4が嵌め込まれるようにして、波動発生器4が組み合わされる。これにより、可撓性外歯歯車3は、内側から外側に向けて、波動発生器4からラジアル方向(回転軸Ax1に直交する方向)の外力を受けることにより、非円形状に弾性変形する。本実施形態では、波動発生器4が可撓性外歯歯車3に組み合わされることにより、可撓性外歯歯車3は、胴部321が楕円形状に弾性変形する。つまり、可撓性外歯歯車3に弾性変形が生じていない状態とは、可撓性外歯歯車3に波動発生器4が組み合わされていない状態を意味する。反対に、可撓性外歯歯車3に弾性変形が生じている状態とは、可撓性外歯歯車3に波動発生器4が組み合わされた状態を意味する。
また、胴部321の外周面のうち少なくとも底部322とは反対側(回転軸Ax1の入力側)の端部には、外歯31が、胴部321の円周方向に沿って形成されている。外歯31を構成する複数の歯は、全て同一形状であって、可撓性外歯歯車3の外周面における円周方向の全域に、等ピッチで設けられている。つまり、外歯31のピッチ円は、可撓性外歯歯車3に弾性変形が生じていない状態で、平面視において真円となる。外歯31は、胴部321の開口側(回転軸Ax1の入力側)の端縁から一定幅の範囲にのみ形成されている。外歯31の歯筋は、いずれも回転軸Ax1と平行である。
本実施形態では、上述したように、可撓性外歯歯車3の回転が出力回転として取り出される。そのため、可撓性外歯歯車3には、アクチュエータ100の出力部102(図4参照)が取り付けられる。可撓性外歯歯車3の底部322には、出力部102としてのシャフトを取り付けるための複数の取付孔33が形成されている。さらに、底部322の中央部には、透孔34が形成されている。底部322における透孔34の周囲は、底部322の他の部位よりも肉厚である。
このように構成される可撓性外歯歯車3は、剛性内歯歯車2の内側に配置される。ここで、可撓性外歯歯車3は、胴部321の外周面のうち底部322とは反対側(回転軸Ax1の入力側)の端部のみが、剛性内歯歯車2の内側に挿入されるように、剛性内歯歯車2と組み合わされる。ここで、可撓性外歯歯車3の外周面には外歯31が形成され、剛性内歯歯車2の内周面には内歯21が形成されている。そのため、剛性内歯歯車2の内側に可撓性外歯歯車3が配置された状態では、外歯31と内歯21とは、互いに対向することになる。
ここで、剛性内歯歯車2における内歯21の歯数は、可撓性外歯歯車3の外歯31の歯数よりも2N(Nは正の整数)だけ多い。本実施形態では一例として、Nが「1」であって、可撓性外歯歯車3の(外歯31の)歯数は、剛性内歯歯車2の(内歯21の)歯数よりも「2」多い。このような可撓性外歯歯車3と剛性内歯歯車2との歯数差は、波動歯車装置1での入力回転に対する出力回転の減速比を規定する。
また、本実施形態では一例として、外歯31の歯筋方向(回転軸Ax1に平行な方向)の寸法は、内歯21の歯筋方向(回転軸Ax1に平行な方向)の寸法よりも小さい。言い換えれば、回転軸Ax1に平行な方向においては、内歯21の歯筋の範囲内に、外歯31が収まることになる。
ただし、可撓性外歯歯車3に弾性変形が生じていない状態(可撓性外歯歯車3に波動発生器4が組み合わされていない状態)で、真円を描く外歯31のピッチ円は、同じく真円を描く内歯21のピッチ円に比べて一回り小さくなるように設定されている。つまり、可撓性外歯歯車3に弾性変形が生じていない状態では、外歯31との内歯21とは、隙間を介して対向することになり、互いに噛み合ってはいない。
一方で、可撓性外歯歯車3に弾性変形が生じた状態(可撓性外歯歯車3に波動発生器4が組み合わされた状態)では、胴部321が楕円形状(非円形状)に撓むので、剛性内歯歯車2の内歯21に対して可撓性外歯歯車3の外歯31が部分的に噛み合う。つまり、可撓性外歯歯車3(の胴部321)が楕円形状に弾性変形することで、図2Aに示すように、楕円形状の長軸方向の両端に位置する外歯31が、内歯21に噛み合うこととなる。言い換えれば、楕円を描く外歯31のピッチ円の長径は、真円を描く内歯21のピッチ円の直径に一致し、楕円を描く外歯31のピッチ円の短径は、真円を描く内歯21のピッチ円の直径より小さくなる。このようにして、可撓性外歯歯車3が弾性変形すると、外歯31を構成する複数の歯のうちの一部の歯が、内歯21を構成する複数の歯のうちの一部の歯に噛み合うことになる。結果的に、波動歯車装置1では、外歯31の一部を内歯21の一部に噛み合わせることが可能となる。
波動発生器4は、ウェーブジェネレータ(wave generator)ともいい、可撓性外歯歯車3に撓みを生じさせて、可撓性外歯歯車3の外歯31に波動運動を生じさせる部品である。本実施形態では、波動発生器4は、平面視において外周形状が非円形状、具体的には楕円形状となる部品である。
波動発生器4は、非円形状(ここでは楕円形状)のカム41と、カム41の外周に装着されるベアリング42と、を有している。つまり、ベアリング42に対しては、ベアリング42の内輪422の内側に非円形状(楕円形状)のカム41が嵌め込まれるようにして、カム41が組み合わされる。これにより、ベアリング42は、内輪422の内側から外側に向けて、カム41からラジアル方向(回転軸Ax1に直交する方向)の外力を受けることにより、非円形状に弾性変形する。つまり、ベアリング42に弾性変形が生じていない状態とは、ベアリング42にカム41が組み合わされていない状態を意味する。反対に、ベアリング42に弾性変形が生じている状態とは、ベアリング42にカム41が組み合わされた状態を意味する。
カム41は、入力側の回転軸Ax1を中心に回転駆動される、非円形状(ここでは楕円形状)の部品である。カム41は、外周面411(図1B参照)を有しており、少なくとも外周面411が、平面視において楕円形状となる金属板からなる。カム41は、回転軸Ax1の方向に所定の厚みを持つ。これにより、カム41は、剛性内歯歯車2と同程度の剛性を持つ。ただし、カム41の厚みは、剛性内歯歯車2の厚みに比べて小さい(薄い)。本実施形態では、上述したように、波動発生器4の回転を入力回転とする。そのため、波動発生器4には、アクチュエータ100の入力部103(図4参照)が取り付けられる。波動発生器4のカム41の中央部には、入力部103としてのシャフトを取り付けるためのカム孔43が形成されている。
ベアリング42は、外輪421と、内輪422と、複数の転動体423と、を有している。本実施形態では一例として、ベアリング42は、転動体423としてボールを用いて深溝玉軸受からなる。
外輪421及び内輪422は、いずれも環状の部品である。外輪421及び内輪422は、いずれも比較的薄肉の金属弾性体(金属板)にて、環状に形成された部品である。つまり、外輪421及び内輪422の各々は、その厚みが比較的小さい(薄い)ことで可撓性を持つ。本実施形態では、外輪421及び内輪422は、ベアリング42に弾性変形が生じていない状態(ベアリング42にカム41が組み合わされていない状態)において、いずれも平面視で真円となる、円環状を有している。内輪422は、外輪421よりも一回り小さく、外輪421の内側に配置される。ここで、外輪421の内径は内輪422の外径よりも大きいため、外輪421の内周面と内輪422の外周面との間には隙間が生じる。
複数の転動体423は、外輪421と内輪422との間の隙間に配置されている。複数の転動体423は、外輪421の円周方向に並べて配置されている。複数の転動体423は、全て同一形状の金属球(ボール)であって、外輪421の円周方向の全域に、等ピッチで設けられている。ここでは特に図示しないが、ベアリング42は保持器を更に有しており、複数の転動体423は、保持器にて外輪421と内輪422との間に保持されている。
また、本実施形態では一例として、内輪422の幅方向(回転軸Ax1に平行な方向)の寸法は、カム41の厚みと同一である。外輪421の幅方向(回転軸Ax1に平行な方向)の寸法は、内輪422の幅方向の寸法に比べて大きい。本実施形態では、外輪421及び内輪422は、図1Bに示すように、回転軸Ax1の出力側の端面が面一となるような位置関係にあるため、回転軸Ax1の入力側には外輪421が内輪422に対して突出する。さらに、外輪421の幅方向の寸法は、剛性内歯歯車2の厚みに比べて小さい。
このようなベアリング42の構成により、カム41がベアリング42に組み合わされることにより、ベアリング42は、内輪422がカム41に固定されることになり、カム41の外周形状に倣った楕円形状に内輪422が弾性変形する。このとき、ベアリング42の外輪421は、複数の転動体423を介して、内輪422に押されて楕円形状に弾性変形する。よって、ベアリング42は、外輪421及び内輪422のいずれもが、楕円形状に弾性変形する。このようにベアリング42に弾性変形が生じている状態(ベアリング42にカム41が組み合わされた状態)で、外輪421及び内輪422は、互いに相似形となる楕円形状をなす。
ベアリング42に弾性変形が生じている状態であっても、外輪421と内輪422との間には、複数の転動体423が介在することで、外輪421と内輪422との間の隙間は外輪421の全周にわたって略一定に維持されている。そして、この状態で、外輪421と内輪422との間の複数の転動体423が転がることで、外輪421は内輪422に対して相対的に回転可能である。よって、ベアリング42に弾性変形が生じている状態で、カム41が回転軸Ax1を中心に回転すると、カム41の回転は外輪421には伝わらず、内輪422の弾性変形が複数の転動体423を介して外輪421に伝わることになる。つまり、波動発生器4においては、カム41が回転軸Ax1を中心に回転すると、外輪421によって象られる楕円形状の長軸が回転軸Ax1を中心に回転するように外輪421が弾性変形する。そのため、波動発生器4全体としては、回転軸Ax1の入力側から見た、楕円形状をなす波動発生器4の外周形状は、その長軸が回転軸Ax1を中心に回転するように、カム41の回転に伴って変化する。
このように構成される波動発生器4は、可撓性外歯歯車3の内側に配置される。ここで、可撓性外歯歯車3は、胴部321の内周面301のうち底部322とは反対側(回転軸Ax1の入力側)の端部のみが、波動発生器4に嵌め合わされるように、波動発生器4と組み合わされる。このとき、波動発生器4のベアリング42は、カム41の外周面411と可撓性外歯歯車3の内周面301との間に配置されることになる。ここで、ベアリング42に弾性変形が生じていない状態(ベアリング42にカム41が組み合わされていない状態)での外輪421の外径は、同じく弾性変形が生じていない状態での可撓性外歯歯車3(胴部321)の内径と同一である。そのため、波動発生器4における外輪421の外周面は、可撓性外歯歯車3の内周面301に対して隙間なく接する。よって、可撓性外歯歯車3に弾性変形が生じた状態(可撓性外歯歯車3に波動発生器4が組み合わされた状態)では、胴部321は楕円形状(非円形状)に撓むことになる。この状態で、可撓性外歯歯車3はベアリング42の外輪421に対して固定される。
カバー部材5は、回転軸Ax1の一方側(入力側)から少なくともベアリング42に対向するように配置される。カバー部材5は、ベアリング42の外輪421との間に隙間G1(図1B参照)を確保した状態でベアリング42と対向しており、回転軸Ax1の一方側(入力側)から外輪421の内側への異物X1(図5A参照)の進入を阻害する。カバー部材5については、「(3.3)カバー部材」の欄で詳しく説明する。
上述した構成の波動歯車装置1では、図2Aに示すように、可撓性外歯歯車3の胴部321が楕円形状(非円形状)に撓むことで、剛性内歯歯車2の内歯21に対して可撓性外歯歯車3の外歯31が部分的に噛み合う。つまり、可撓性外歯歯車3(の胴部321)が楕円形状に弾性変形することで、その楕円形状の長軸方向の両端に相当する2箇所の外歯31が、内歯21に対して噛み合うこととなる。そして、カム41が回転軸Ax1を中心に回転すると、カム41の回転は外輪421及び可撓性外歯歯車3には伝わらず、内輪422の弾性変形が複数の転動体423を介して外輪421及び可撓性外歯歯車3に伝わることになる。したがって、回転軸Ax1の入力側から見た、楕円形状をなす可撓性外歯歯車3の外周形状は、その長軸が回転軸Ax1を中心に回転するように、カム41の回転に伴って変化する。
その結果、可撓性外歯歯車3の外周面に形成された外歯31には、波動運動が発生する。外歯31の波動運動が発生することで、内歯21と外歯31との噛み合い位置が剛性内歯歯車2の円周方向に移動し、可撓性外歯歯車3を剛性内歯歯車2との間に相対回転が発生する。つまり、外歯31は、可撓性外歯歯車3(の胴部321)がなす楕円形状の長軸方向の両端において内歯21と噛み合っているので、この楕円形状の長軸が回転軸Ax1を中心に回転することで、内歯21と外歯31との噛み合い位置が移動する。このように、本実施形態に係る波動歯車装置1は、回転軸Ax1を中心とする波動発生器4の回転に伴って可撓性外歯歯車3を変形させ、外歯31の一部を内歯21の一部に噛み合わせて、可撓性外歯歯車3を剛性内歯歯車2との歯数差に応じて回転させる。
ところで、波動歯車装置1においては、上述したように、可撓性外歯歯車3と剛性内歯歯車2との歯数差は、波動歯車装置1での入力回転に対する出力回転の減速比を規定することになる。つまり、剛性内歯歯車2の歯数を「V1」、可撓性外歯歯車3の歯数を「V2」とした場合、減速比R1は、下記式1で表される。
R1=V2/(V1−V2)・・・(式1)
要するに、剛性内歯歯車2と可撓性外歯歯車3との歯数差(V1−V2)が小さいほど、減速比R1は大きくなる。一例として、剛性内歯歯車2の歯数V1が「202」、可撓性外歯歯車3の歯数V2が「200」、その歯数差(V1−V2)が「2」であるので、上記式1より、減速比R1は「100」となる。この場合、回転軸Ax1の入力側から見て、カム41が回転軸Ax1を中心に時計回りに1周(360度)回転すると、可撓性外歯歯車3は回転軸Ax1を中心に歯数差「2」の分(つまり3.6度)だけ反時計回りに回転する。
本実施形態に係る波動歯車装置1によれば、このように高い減速比R1が、1段の歯車(剛性内歯歯車2及び可撓性外歯歯車3)の組み合わせで実現可能である。
また、波動歯車装置1は、少なくとも、剛性内歯歯車2と、可撓性外歯歯車3と、波動発生器4と、カバー部材5と、を備えていればよく、例えば、「(3.2)アクチュエータ」の欄で説明するスプラインブッシュ113等を構成要素として更に備えていてもよい。
(3.2)アクチュエータ
次に、本実施形態に係るアクチュエータ100の構成について、より詳細に説明する。
本実施形態に係るアクチュエータ100は、図4に示すように、本実施形態に係る波動歯車装置1と、駆動源101と、出力部102と、を備えている。つまり、アクチュエータ100は、波動歯車装置1を構成する剛性内歯歯車2、可撓性外歯歯車3、波動発生器4及びカバー部材5に加えて、駆動源101及び出力部102を備えている。また、アクチュエータ100は、波動歯車装置1、駆動源101及び出力部102に加え、入力部103、入力側ケース111、出力側ケース112、スプラインブッシュ113、スペーサ114、第1留め具115、第2留め具116及び取付板117を更に備える。また、本実施形態では、アクチュエータ100は、入力側ベアリング118,119、入力側オイルシール120、出力側ベアリング121,122及び出力側オイルシール123を更に備えている。
本実施形態では、アクチュエータ100における駆動源101、入力側オイルシール120及び出力側オイルシール123以外の部品の材質は、ステンレス、鋳鉄、機械構造用炭素鋼、クロムモリブデン鋼、リン青銅又はアルミ青銅等の金属である。
駆動源101は、モータ(電動機)等の動力の発生源である。駆動源101で発生した動力は、波動歯車装置1における波動発生器4のカム41に伝達される。具体的には、駆動源101は入力部103としてのシャフトにつながっており、駆動源101で発生した動力は入力部103を介してカム41に伝達される。これにより、駆動源101は、カム41を回転させることが可能である。
出力部102は、出力側の回転軸Ax2に沿って配置された円柱状のシャフトである。出力部102としてのシャフトの中心軸は、回転軸Ax2と一致する。出力部102は、回転軸Ax2を中心として回転可能となるように、出力側ケース112にて保持される。出力部102は、可撓性外歯歯車3における本体部32の底部322に固定されており、回転軸Ax2を中心に可撓性外歯歯車3と共に回転する。つまり、出力部102は、可撓性外歯歯車3の回転力を出力として取り出す。
入力部103は、入力側の回転軸Ax1に沿って配置された円柱状のシャフトである。入力部103としてのシャフトの中心軸は、回転軸Ax1と一致する。入力部103は、回転軸Ax1を中心として回転可能となるように、入力側ケース111にて保持される。入力部103は、波動発生器4のカム41に取り付けられており、回転軸Ax1を中心にカム41と共に回転する。つまり、入力部103は、駆動源101で発生した動力(回転力)を入力としてカム41に伝達する。本実施形態では、上述したように、入力側の回転軸Ax1と、出力側の回転軸Ax2とは、同一直線上にあるので、入力部103と出力部102は同軸上に位置することになる。
入力側ケース111は、入力部103が回転可能となるように、入力側ベアリング118,119を介して入力部103を保持している。一対の入力側ベアリング118,119は、回転軸Ax1に沿って、間隔を空けて並べて配置されている。本実施形態では、入力部103としてのシャフトは、入力側ケース111を貫通しており、入力側ケース111における回転軸Ax1の入力側の端面(図4の右端面)からは、入力部103の先端部が突出する。入力側ケース111の回転軸Ax1の入力側の端面における、入力部103との間の隙間は、入力側オイルシール120にて塞がれている。
出力側ケース112は、出力部102が回転可能となるように、出力側ベアリング121,122を介して出力部102を保持している。一対の出力側ベアリング121,122は、回転軸Ax2に沿って、間隔を空けて並べて配置されている。本実施形態では、出力部102としてのシャフトは、出力側ケース112を貫通しており、出力側ケース112における回転軸Ax1の出力側の端面(図4の左端面)からは、出力部102の先端部が突出する。出力側ケース112の回転軸Ax1の出力側の端面における、出力部102との間の隙間は、出力側オイルシール123にて塞がれている。
ここで、入力側ケース111及び出力側ケース112は、図4に示すように、波動歯車装置1の剛性内歯歯車2を回転軸Ax1に平行な方向の両側から挟んだ状態で、互いに結合される。具体的には、入力側ケース111は、剛性内歯歯車2に対して回転軸Ax1の入力側から接触し、出力側ケース112は、剛性内歯歯車2に対して回転軸Ax1の出力側から接触する。このように、入力側ケース111は、出力側ケース112との間に、剛性内歯歯車2を挟んだ状態で、複数の固定孔22を通して、ねじ(ボルト)にて出力側ケース112に対して締め付け固定される。これにより、入力側ケース111、出力側ケース112及び剛性内歯歯車2は、互いに結合されて一体化される。言い換えれば、剛性内歯歯車2は、入力側ケース111及び出力側ケース112と共に、アクチュエータ100の外郭を構成する。
スプラインブッシュ113は、入力部103としてのシャフトをカム41に対して連結するための筒状の部品である。スプラインブッシュ113は、カム41に形成されたカム孔43に挿入され、スプラインブッシュ113には、入力部103としてのシャフトがスプラインブッシュ113を貫通するように挿入されている。ここで、スプラインブッシュ113は、回転軸Ax1を中心とする回転方向においては、カム41及び入力部103の両方に対する移動が規制されており、回転軸Ax1に平行な方向においては、少なくとも入力部103に対して移動可能である。これにより、入力部103とカム41との連結構造として、スプライン連結構造が実現される。よって、カム41は、入力部103に対して回転軸Ax1に沿って移動可能であって、回転軸Ax1を中心に入力部103と共に回転する。
本実施形態では、スプラインブッシュ113は、入力部103としてのシャフトを、カム41だけでなく、カバー部材5に対しても連結する。そのため、スプラインブッシュ113は、カム孔43だけでなく、カバー部材5に形成されたカバー孔53にも挿入される。ここで、スプラインブッシュ113は、回転軸Ax1を中心とする回転方向においては、カバー部材5及び入力部103の両方に対する移動が規制されており、回転軸Ax1に平行な方向においては、少なくとも入力部103に対して移動可能である。これにより、入力部103とカバー部材5との連結構造として、スプライン連結構造が実現される。よって、カバー部材5は、入力部103に対して回転軸Ax1に沿って移動可能であって、回転軸Ax1を中心に入力部103と共に回転する。
スペーサ114は、スプラインブッシュ113とカム41との隙間を埋める部品である。第1留め具115は、カム41及びカバー部材5からのスプラインブッシュ113の抜け止めを行う部品である。第1留め具115は、例えば、Eリングからなり、カバー部材5に対して回転軸Ax1の入力側から接触するように、スプラインブッシュ113に取り付けられる。第2留め具116は、スプラインブッシュ113からの入力部103の抜け止めを行う部品である。第2留め具116は、例えば、Eリングからなり、スプラインブッシュ113に対して回転軸Ax1の出力側から接触するように、入力部103に取り付けられる。
取付板117は、可撓性外歯歯車3の底部322に出力部102としてのシャフトを取り付けるための部品である。具体的には、取付板117は、出力部102のフランジ部との間に、底部322における透孔34の周囲の部分を挟んだ状態で、複数の取付孔33を通して、ねじ(ボルト)にてフランジ部に対して締め付け固定される。これにより、可撓性外歯歯車3の底部322には、出力部102としてのシャフトが固定される。
(3.3)カバー部材
次に、本実施形態に係る波動歯車装置1のカバー部材5(カバー体10)の構成について、図1A〜図3Bを参照して、より詳細に説明する。
カバー部材5は、ベアリング42を回転軸Ax1の一方側(入力側)からカバーする板状の部品である。カバー部材5は、非円形状(ここでは楕円形状)の部品である。カバー部材5は、少なくとも外周面が、平面視において楕円形状となる金属板からなる。カバー部材5は、回転軸Ax1の方向に所定の厚みを持つ。ただし、カバー部材5の厚みは、剛性内歯歯車2の厚みに比べて小さい(薄い)。これにより、カバー部材5は、可撓性外歯歯車3よりも高く、剛性内歯歯車2よりも低い剛性を持つ。
カバー部材5は、ベース部51と、傘部52と、を有している。ベース部51は、回転軸Ax1の一方側(入力側)から見て、楕円形状となる金属板である。傘部52は、回転軸Ax1の一方側(入力側)から見て、カバー部材5の外周部となる環状の部位である。言い換えれば、傘部52の内側にベース部51が位置することになる。本実施形態では、傘部52についても、回転軸Ax1の一方側(入力側)から見て、少なくともその外周形状が楕円形状に形成されている。本実施形態では、傘部52の外周形状及びベース部51の外周形状は、いずれもカム41の外周形状と相似形となる。また、ベース部51及び傘部52は1つの金属部材にて一体に形成されており、これにより、シームレスなカバー部材5が実現される。
カバー部材5は、回転軸Ax1の入力側から少なくともベアリング42に対向するように配置されることで、ベアリング42を回転軸Ax1の入力側からカバーする。つまり、カバー部材5は、波動発生器4に対して、回転軸Ax1の入力側から重ね合わせるように組み合わされる。本実施形態では、回転軸Ax1に平行な方向において、カバー部材5の大部分が剛性内歯歯車2の厚み方向の両面間に収まるように、カバー部材5が波動発生器4と組み合わされる。図1Aに示すように、カバー部材5の厚み方向の一部のみが、剛性内歯歯車2から回転軸Ax1の入力側に突出する。これにより、カバー部材5は、回転軸Ax1の一方側(入力側)から外輪421の内側への異物X1の進入を阻害する。ただし、カバー部材5は、ベアリング42の外輪421との間に一定以上の隙間G1を確保して、ベアリング42と対向するように配置される。そのため、カバー部材5は外輪421に接触することはない。
本実施形態では、カバー部材5は、回転軸Ax1の一方側から見て、少なくとも波動発生器4の全体を覆うような形状及び大きさを有している。さらに、カバー部材5は、可撓性外歯歯車3と同等の外周形状を有している。そのため、カバー部材5は、図2Bに示すように、回転軸Ax1の入力側から見て、ベアリング42だけでなく、カム41も含めた波動発生器4の全体、更には可撓性外歯歯車3についても覆うことになる。
このように、カバー部材5は、ベアリング42に対向する部位に、回転軸Ax1の一方側からみて、カム41に対応する非円形状の部位を有する。本実施形態では、ベース部51及び傘部52からなるカバー部材5の全体が、回転軸Ax1の一方側からみて、カム41と相似形となる非円形状(ここでは楕円形状)である。そのため、カバー部材5は、回転軸Ax1の入力側から見て、波動発生器4の全体を覆いながらも、波動発生器4からほとんどはみ出さない。さらに、カバー部材5から波動発生器4がはみ出すこともない。言い換えれば、カバー部材5と波動発生器4(カム41及びベアリング42)とは、図2Bに示すように、回転軸Ax1の一方側からみて、互いに相似形でかつ同一方向に長軸を持つ楕円形状を有する。
また、本実施形態では、上述したように、カバー部材5は、スプラインブッシュ113によって、入力部103としてのシャフトに連結される。そのため、ベース部51の中央部には、入力部103としてのシャフトを取り付けるためのカバー孔53が形成されている。カバー孔53は、回転軸Ax1の一方側(入力側)から見て、カム41のカム孔43と同一の形状を有している。
本実施形態では、カバー部材5は、カム41と等速で回転する。つまり、カバー部材5は、カム41と共に、剛性内歯歯車2に対して相対的に回転する。そのため、回転軸Ax1の入力側から見て、カム41が回転軸Ax1を中心に時計回りに1周(360度)回転すると、カバー部材5についても回転軸Ax1を中心に時計回りに1周(360度)回転する。本実施形態では、上述したように、入力部103とカム41及びカバー部材5との連結構造として、スプライン連結構造が用いられており、これにより、カバー部材5は、カム41と等速で回転する。さらに、カバー部材5とカム41とが等速で回転することで、カバー部材5と波動発生器4(カム41及びベアリング42)とは、回転軸Ax1の一方側からみて、互いに相似形でかつ同一方向に長軸を持つ楕円形状を維持することになる。
次に、ベース部51の形状について更に詳しく説明する。ベース部51は、回転軸Ax1の出力側の表面の外周部に窪み部511を有している。窪み部511は、図3Aに示すように、ベース部51の外周部において、回転軸Ax1の出力側の表面が凹むような段差を形成する。窪み部511は、ベース部51の周方向の全周にわたって形成されている。ここで、窪み部511の側面と底面とは互いに直交する。そのため、窪み部511内には、図1Bに示すように、断面視において直角となる「入隅」が形成される。
ベース部51は、このような窪み部511内に、ベアリング42の外輪421の角部が収まるように、波動発生器4と組み合わされる。つまり、図1Bに示すように、ベース部51の窪み部511には、外輪421における回転軸Ax1の入力側の端面における内側の角部が、収容されることになる。本実施形態では、カバー部材5とベアリング42の外輪421との隙間G1は、窪み部511内において最小となる。ただし、カバー部材5は、ベアリング42の外輪421との間に隙間G1を確保した状態でベアリング42と対向しており、窪み部511内においても、カバー部材5と外輪421とが接触することはない。より詳細には、窪み部511の側面と外輪421の内周面424との間には、ラジアル方向(回転軸Ax1に直交する方向)の隙間G11が存在する。さらに、窪み部511の底面と外輪421における回転軸Ax1の入力側の端面との間には、スラスト方向(回転軸Ax1に平行な方向)の隙間G12が存在する。カバー部材5と外輪421との間の隙間G1は、これらの隙間G11及び隙間G12を含んでいる。
隙間G11及び隙間G12は、いずれも各部品の加工誤差及び組立誤差を考慮しても干渉しない程度の寸法に設定され、一例として、0.05mm以上1.0mm以下に設定される。隙間G11及び隙間G12は、いずれも0.1mm以上であることがより好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。
そして、窪み部511は、ベース部51の周方向の全周にわたって形成されている。また、本実施形態では、カバー部材5の全体が、回転軸Ax1の一方側からみて、カム41と相似形となる楕円形状である。そのため、外輪421の周方向の全周にわたって、上述したような隙間G1が確保されることになる。つまり、外輪421の周方向においては、隙間G1は略均一に確保される。
また、ベース部51は、回転軸Ax1の出力側の表面のうち、窪み部511の内側となる領域にくびれ部512を有している。くびれ部512は、図3Aに示すように、ベース部51の中央部を除き、回転軸Ax1の出力側の表面を窪ませることで、ベース部51の厚みをベース部51の中央部よりも小さく(薄く)した部分である。くびれ部512は、ベース部51の周方向の全周にわたって形成されている。くびれ部512によれば、カバー部材5として必要な剛性を確保しながらも、カバー部材5の軽量化を図ることができる。
さらに、ベース部51は、回転軸Ax1の入力側の表面のうち、カバー孔53の周囲の環状の領域に凹部513を有している。凹部513は、図3Bに示すように、ベース部51の中央部を除き、回転軸Ax1の入力側の表面を窪ませることで、ベース部51の厚みをベース部51の中央部よりも小さく(薄く)する。凹部513は、ベース部51の周方向の全周にわたって形成されている。凹部513によれば、カバー部材5として必要な剛性を確保しながらも、カバー部材5の軽量化を図ることができる。
次に、傘部52の形状について更に詳しく説明する。傘部52は、図1Bに示すように、ベアリング42側から回転軸Ax1の一方側(入力側)に向けて、回転軸Ax1からの距離が徐々に大きくなるように形成されている。つまり、傘部52は、ベアリング42から離れるほどに、回転軸Ax1からの距離(半径)が徐々に大きくなるように、回転軸Ax1に対して傾斜した外周面521を有している。そのため、傘部52は、図1Bに示すように、断面視において三角形状となる。このような傘部52は、カバー部材5の周方向の全周にわたって形成されている。
カバー部材5は、傘部52においても、ベアリング42の外輪421、更には可撓性外歯歯車3及び剛性内歯歯車2に対して、所定の隙間を確保するように構成されている。外輪421、可撓性外歯歯車3及び剛性内歯歯車2のうち、傘部52との隙間が最も狭くなるのは、剛性内歯歯車2に設けられた案内部23である。案内部23は、傘部52と一定以上の隙間を介して対向する。案内部23は、図1Bに示すように、剛性内歯歯車2の内歯21における回転軸Ax1の入力側の端面から、回転軸Ax1の入力側に突出した部位である。
案内部23は、回転軸Ax1の一方側(入力側)に向けて、回転軸Ax1からの距離(半径)が徐々に大きくなるように、回転軸Ax1に対して傾斜した傾斜面231を有している。案内部23の傾斜面231は、傘部52の外周面521と平行である。これにより、傘部52は、案内部23において剛性内歯歯車2との隙間を狭めつつも、剛性内歯歯車2との間に一定以上の隙間を確保することができる。傘部52と案内部23との間の隙間(間隔)は、各部品の加工誤差及び組立誤差を考慮しても干渉しない程度の寸法に設定され、一例として、0.05mm以上1.0mm以下に設定される。傘部52と案内部23との間の隙間(間隔)は、0.1mm以上であることがより好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。本実施形態では、案内部23及び剛性内歯歯車2は1つの金属部材にて一体に形成されている。
ところで、本実施形態では、カバー部材5は、液体を通さないように構成されている。言い換えれば、液体はカバー部材5にて遮蔽され、カバー部材5を透過しない。本開示でいう「液体」は、液状又はゲル状の物質を含む。ここでいう「ゲル状」は、液体と固体との中間の性質を有する状態を意味し、液相と固相との2つの相からなるコロイド(colloid)の状態を含む。例えば、分散媒が液相であって、分散質が液相であるエマルション(emulsion)、分散質が固相であるサスペンション(suspension)等の、ゲル(gel)又はゾル(sol)と呼ばれる状態が「ゲル状」に含まれる。また、分散媒が固相であって、分散質が液相である状態も、「ゲル状」に含まれる。つまり、カバー部材5で遮蔽される液体は、温度と圧力が一定ならば体積は一定であって、定まった形状を持たない流体としての性質を持つ物体である。言い換えれば、カバー部材5で遮蔽される液体は、気体以外の流体(流動体)である。ここでいう「流体」は、ニュートン流体と非ニュートン流体との両方を含む。
波動歯車装置1において、例えば、内歯21と外歯31との噛み合い部位、及びベアリング42の外輪421と内輪422との間等には、液状又はゲル状の潤滑剤54(図5A参照)が注入されている。潤滑剤54は液体であるため、カバー部材5は、少なくとも潤滑剤54を遮蔽することになる。そのため、カバー部材5への潤滑剤54の浸潤が生じにくくなる。
また、本実施形態では、カバー部材5は、撥油性を有する。カバー部材5は、全体に撥油性を有していてもよいが、少なくとも一部に撥油性を有してればよい。本実施形態では、カバー部材5に対して、部分的に、例えば、フッ素化合物による撥油コーティングが施されており、カバー部材5のうち撥油コーティングされた部位が撥油性を有することになる。具体的には、カバー部材5のうち傘部52の外周面521は、撥油性を有している。一例として、カバー部材5の撥油性を有する部位に、潤滑剤54としての潤滑油(オイル)を付着させた際に、潤滑剤54の液滴に対するカバー部材5の静的接触角、つまりカバー部材5の対油接触角は25度以上になることが好ましい。ここでいう「対油接触角」は、油に対する接触角、つまり、潤滑剤54(潤滑油)からなる油滴が、固体表面(カバー部材5の撥油性を有する部位の表面)に付着したときに、油滴と固体表面とで形成される角度を意味する。
(4)作用
次に、本実施形態に係る波動歯車装置1の作用について、図5A及び図5Bを参照して説明する。
図5A及び図5Bは、図1Bにおけるカバー部材5の傘部52周辺の拡大図である。図5A及び図5Bにおいては、カバー部材5の機能を説明するために、カバー部材5にて外輪421の内側への進入が阻害される異物X1を例示しているが、波動歯車装置1の構成要素に異物X1を含む趣旨ではない。また、図5A及び図5Bにおいては、外輪421とカバー部材5との間に保持された潤滑剤54を図示しているが、潤滑剤54の形状及び量を図示する態様に規定する趣旨ではない。
カバー部材5は、上述したように、回転軸Ax1の入力側から少なくともベアリング42に対向するように配置されることで、ベアリング42を回転軸Ax1の入力側からカバーしている。これにより、カバー部材5は、回転軸Ax1の一方側(入力側)から外輪421の内側への異物X1の進入を阻害する。したがって、例えば、内歯21と外歯31との間で生じる摩耗等により金属粉又は窒化物等の異物X1が生じることがあっても、外輪421の内側(外輪421と内輪422との間)への異物X1の進入が生じにくい。
特に、波動歯車装置1においては、内歯21と外歯31との噛み合いによる動力伝達は、歯形方向にも歯筋方向にも滑りを伴うため、摩耗による異物X1が発生しやすい。さらに、潤滑剤54が用いられているものの、波動歯車装置1で使用される回転数領域での潤滑剤54の流れる速度は比較的低く、発生した異物X1が潤滑剤54で洗い流される効果も期待しにくい。このような異物X1が、ベアリング42内に進入するようなことがあれば、ベアリング42の外輪421、内輪422及び転動体423のいずれかの表面に損傷が生じ、波動歯車装置1の信頼性に影響する可能性がある。つまり、異物X1がベアリング42の外輪421と内輪422との間に進入すると、転動体423による異物X1の噛み込みが生じ、外輪421、内輪422及び転動体423のいずれかの表面に損傷を生じる可能性がある。本実施形態に係る波動歯車装置1は、カバー部材5により、ベアリング42への異物X1の進入を抑制するので、信頼性の低下が生じにくくなる。
一例として、外輪421の内周面(転動面)に、異物X1の噛み込みによるフレーキングが生じた場合、ベアリング42としての機能に障害が発生し、波動歯車装置1としての動作に支障が出る可能性がある。本実施形態に係る波動歯車装置1では、カバー部材5により、このようなベアリング42内での異物X1の噛み込みを圧倒的に減らすことができるため、波動歯車装置1の信頼性の向上につながる。特に長期間の使用に際しても信頼性の低下が生じにくいため、ひいては、波動歯車装置1の長寿命化、及び高性能化にもつながる。
しかも、カバー部材5は、ベアリング42の外輪421との間に一定以上の隙間G1を確保しており、外輪421に接触することはない。そのため、波動歯車装置1の駆動時において、カバー部材5とベアリング42の外輪421との間に相対的な移動が生じたとしても、カバー部材5と外輪421との間に摩擦抵抗、及びカバー部材5又は外輪421の摩耗等が生じにくい。つまり、本実施形態では、カバー部材5はカム41と共に回転し、外輪421は可撓性外歯歯車3と共に回転するため、カバー部材5と外輪421との間には、カム41と可撓性外歯歯車3との間の回転数の差(減速比)に応じた相対的な回転が生じる。このとき、カバー部材5と外輪421との間に隙間G1を確保されていることで、摩擦抵抗、及びカバー部材5又は外輪421の摩耗等が生じにくく、カバー部材5を設けたことによる波動歯車装置1の動作への不具合が生じにくい。
カバー部材5と外輪421との間の相対的な回転数は、カム41と可撓性外歯歯車3との間の回転数の差(減速比)にもよるが、比較的高い減速比であれば、カバー部材5と外輪421との間の相対的な回転数も大きくなる。その結果、カバー部材5と外輪421との間に摩擦抵抗が生じると、波動歯車装置1における動力伝達効率が著しく低下し、寒冷地等の過酷な環境下では始動性能にも影響が出る可能性がある。本実施形態に係る波動歯車装置1では、カバー部材5と外輪421との間の隙間G1により、このような摩擦抵抗による不具合が生じにくく、波動歯車装置1としての信頼性が大幅に向上する。
ところで、本実施形態に係る波動歯車装置1においては、上述したように、例えば、内歯21と外歯31との噛み合い部分、及びベアリング42の外輪421と内輪422との間等には、液状又はゲル状の潤滑剤54が注入されている。一例として、潤滑剤54は、液状の潤滑油(オイル)である。そして、波動歯車装置1の使用時においては、潤滑剤54は、図5A及び図5Bに示すように、ベアリング42の外輪421とカバー部材5との間にも入り込む。具体的には、潤滑剤54は、外輪421とカバー部材5との間の隙間G1(図1B参照)の少なくとも一部に入り込み、隙間G1の少なくとも一部を封止する。要するに、本実施形態では、外輪421とカバー部材5との間の隙間G1の少なくとも一部に潤滑剤54が充填されている。
図5A及び図5Bの例では、潤滑剤54は、外輪421とカバー部材5との間のラジアル方向の隙間G11、及びスラスト方向の隙間G12との両方を埋めるように、隙間G1の全体に充填されている。さらに、本実施形態では、外輪421の周方向の全周にわたって形成された隙間G1の全体に、潤滑剤54が充填されている。カバー部材5に対して、回転軸Ax1の入力側(図5Aの右側)の空間と、回転軸Ax1の出力側(図5Aの左側)の空間とは、隙間G1を通してつながり得る。このように、カバー部材5の内側と外側とをつなぐ隘路を形成する隙間G1が、潤滑剤54で埋められることになる。そのため、回転軸Ax1の入力側の空間と、回転軸Ax1の出力側の空間とは、潤滑剤54にて遮蔽されることになる。したがって、回転軸Ax1の一方側(入力側)から外輪421の内側への異物X1の進入が、より確実に阻害されることになる。
ここで、潤滑剤54は、外輪421とカバー部材5との間の隙間G1に毛細管現象により保持されている。つまり、外輪421とカバー部材5との間の隙間G1は、比較的狭く、この隙間G1に潤滑剤54が充填された状態では、毛細管現象によって、潤滑剤54は隙間G1内に保持されることになる。そのため、隙間G1が潤滑剤54で埋められた状態が維持される。毛細管現象による保持力の大きさは、外輪421及びカバー部材5と潤滑剤54との間の「ぬれ性」によっても変化する。そこで、カバー部材5のうち、少なくとも隙間G1に面する部位、つまり窪み部511の側面及び窪み部511の底面は、撥油性を有しないことが好ましい。
また、本実施形態に係る波動歯車装置1では、カバー部材5が傘部52を有するので、遠心力によって異物X1を外方へ振り切る作用も期待できる。つまり、傘部52は、ベアリング42側から回転軸Ax1の入力側に向けて、回転軸Ax1からの距離が徐々に大きくなるように形成されている。そのため、例えば、内歯21と外歯31との間で生じる摩耗等により金属粉又は窒化物等の異物X1が生じ、この異物X1が傘部52の外周面521に付着することがあっても、異物X1を外方(回転軸Ax1の入力側)へ振り切ることが可能である。
つまり、傘部52の外周面521に付着した異物X1には、カバー部材5の回転に伴って、回転軸Ax1から離れる向きの遠心力が作用する。これにより、傘部52の外周面521に付着した異物X1は、図5Aに示すように、外周面521に沿って回転軸Ax1から離れる向き、つまり回転軸Ax1の入力側に向けて移動する。結果的に、異物X1は、ベアリング42から離れる向きに移動することになり、最終的には、図5Bに示すように、カバー部材5よりも回転軸Ax1の入力側へと排出される。このとき、異物X1は、傘部52の外周面521と案内部23の傾斜面231との間を通って排出される。言い換えれば、傘部52と案内部23との間の隙間は、異物X1の排出路を構成する。このような傘部52の機能によれば、発生した異物X1を、カバー部材5の外方へと振り切ることができるため、カバー部材5の内側に異物X1がたまりにくくなる。
さらに、カバー部材5は、上述したように、傘部52の外周面521に撥油性を有している。そのため、特に、潤滑剤54等により油分を帯びた異物X1にあっては、傘部52上にとどまりにくくなり、カバー部材5の外方へと振り切りやすくなる。
(5)適用例
次に、本実施形態に係る波動歯車装置1及びアクチュエータ100の適用例について、図6を参照して説明する。
図6は、本実施形態に係る波動歯車装置1を用いたロボット9の一例を示す断面図である。このロボット9は、水平多関節ロボット、いわゆるスカラ(SCARA:Selective Compliance Assembly Robot Arm)型ロボットである。
図6に示すように、ロボット9は、2つの波動歯車装置1と、リンク91と、を備えている。2つの波動歯車装置1は、ロボット9における2箇所の関節部にそれぞれ設けられている。リンク91は、2箇所の関節部を連結する。図6の例では、波動歯車装置1は、カップ型ではなく、シルクハット型の波動歯車装置からなる。つまり、図6に例示する波動歯車装置1では、シルクハット状に形成された可撓性外歯歯車3を用いている。また、図6では、カバー部材5の図示を省略する。
(6)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、本開示で参照する図面は、いずれも模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
波動歯車装置1は、実施形態1で説明したカップ型に限らず、例えば、シルクハット型、リング型、ディファレンシャル型、フラット型(パンケーキ型)又はシールド型等であってもよい。
また、カバー部材5は、回転軸Ax1の一方側からベアリング42に対向するように配置されていればよく、実施形態1のように、ベアリング42に対して回転軸Ax1の入力側に配置されることは必須ではない。つまり、カバー部材5は、回転軸Ax1の出力側からベアリング42に対向するように配置されていてもよい。この場合、カバー部材5は、回転軸Ax1の出力側から外輪421の内側への異物X1の進入を阻害する。
さらに、カバー部材5は、回転軸Ax1の一方側からベアリング42に対向するように配置されていればよく、一対のカバー部材5が、ベアリング42に対して回転軸Ax1の入力側及び出力側にそれぞれ配置されていてもよい。この場合、カバー部材5は、回転軸Ax1の入力側及び出力側のそれぞれから外輪421の内側への異物X1の進入を阻害する。
また、アクチュエータ100の構成についても、実施形態1で説明した構成に限らず、適宜の変更が可能である。例えば、入力部103と、カム41及びカバー部材5との連結構造については、スプライン連結構造に限らず、オルダム継手等が用いられてもよい。入力部103と、カム41及びカバー部材5との連結構造としてオルダム継手が用いられることで、入力側の回転軸Ax1と波動発生器4(カム41)との間の芯ずれを相殺し、さらには、剛性内歯歯車2と可撓性外歯歯車3との芯ずれを相殺することができる。さらに、カム41及びカバー部材5は、入力部103に対して回転軸Ax1に沿って移動可能でなくてもよい。
また、本実施形態に係る波動歯車装置1及びアクチュエータ100の適用例は、上述したような水平多関節ロボットに限らず、例えば、水平多関節ロボット以外の産業用ロボット、又は産業用以外のロボット等であってもよい。水平多関節ロボット以外の産業用ロボットには、一例として、垂直多関節型ロボット又はパラレルリンク型ロボット等がある。産業用以外のロボットには、一例として、家庭用ロボット、介護用ロボット又は医療用ロボット等がある。
また、ベアリング42は、深溝玉軸受に限らず、例えば、アンギュラ玉軸受等であってもよい。さらには、ベアリング42は、玉軸受に限らず、例えば、転動体423がボール状でない「ころ」からなる、円筒ころ軸受、針状ころ軸受又は円錐ころ軸受等のころ軸受であってもよい。
また、波動歯車装置1又はアクチュエータ100の各構成要素の材質は、金属に限らず、例えば、エンジニアリングプラスチック等の樹脂であってもよい。
また、カバー部材5がカム41と等速で回転することは、波動歯車装置1に必須の構成ではなく、例えば、カバー部材5は剛性内歯歯車2に対して相対的に回転しなくてもよい。
また、案内部23は、剛性内歯歯車2に設けられていればよく、1つの金属部材にて剛性内歯歯車2と一体に形成されていることは、波動歯車装置1に必須の構成ではない。例えば、剛性内歯歯車2とは別部品である案内部23が、剛性内歯歯車2に対して接合等により固定されることで、剛性内歯歯車2に設けられていてもよい。さらに、剛性内歯歯車2が固定される入力側ケース111の内周面に板材が固定され、この板材が案内部23として機能してもよい。
また、潤滑剤54は、潤滑油(オイル)等の液状の物質に限らず、グリス等のゲル状の物質であってもよい。
(実施形態2)
本実施形態に係る波動歯車装置1Aは、図7A及び図7Bに示すように、カバー部材5Aの構成が実施形態1に係る波動歯車装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
図7Aは、波動歯車装置1Aの概略構成を示す断面図であって、図7Bは、図7Aの要部(図1Aの領域Z1に相当する範囲)の拡大図である。
本実施形態では、波動歯車装置1Aは、一対のカバー部材5Aを有している。一対のカバー部材5Aのうち、一方のカバー部材5Aは、回転軸Ax1の入力側からベアリング42に対向し、他方のカバー部材5Aは、回転軸Ax1の出力側からベアリング42に対向する。言い換えれば、波動歯車装置1Aは、ベアリング42に対して回転軸Ax1の入力側及び出力側にそれぞれ配置された、一対のカバー部材5Aを有している。
この構成によれば、ベアリング42は、回転軸Ax1に平行な方向において一対のカバー部材5Aにて挟まれることになる。したがって、一対のカバー部材5Aは、回転軸Ax1の両側からの外輪421の内側への異物X1の進入を阻害する。
また、各カバー部材5Aの形状についても、実施形態1におけるカバー部材5とは相違する。本実施形態では、一対のカバー部材5Aは、回転軸Ax1に平行な方向において対称な形状を有するため、以下では、一対のカバー部材5Aの一方の形状について説明する。
すなわち、本実施形態では、カバー部材5Aは、図7Bに示すように、ベース部51と、凸部55と、を有している。ベース部51は、回転軸Ax1の一方側(入力側)から見て、楕円形状となる金属板である。凸部55についても、回転軸Ax1の一方側(入力側)から見て、少なくともその外周形状が楕円形状に形成されている。本実施形態では、凸部55の外周形状及びベース部51の外周形状は、いずれもカム41の外周形状と相似形となる。また、ベース部51及び凸部55は1つの金属部材にて一体に形成されており、これにより、シームレスなカバー部材5Aが実現される。
ベース部51は、可撓性外歯歯車3の内側に配置される。回転軸Ax1に直交する方向において対向するベース部51の外周面514と可撓性外歯歯車3の内周面301との間には、第1の隙間G21が形成される。すなわち、ベース部51は、回転軸Ax1の一方側(入力側)から見て、その外周形状が可撓性外歯歯車3の内周面301よりもわずかに小さい楕円形状をなす。そのため、可撓性外歯歯車3の内側に配置されるベース部51の外周面514は、可撓性外歯歯車3の内周面301との間に第1の隙間G21を確保した状態で可撓性外歯歯車3と対向し、可撓性外歯歯車3に接触することはない。より詳細には、ベース部51の外周面514と可撓性外歯歯車3の内周面301との間には、ラジアル方向(回転軸Ax1に直交する方向)の第1の隙間G21が存在する。
凸部55は、ベース部51から突出し外輪421の内側に挿入される。回転軸Ax1に直交する方向において対向する凸部55の外周面551と外輪421の内周面424との間には、第2の隙間G22が形成される。すなわち、凸部55は、回転軸Ax1の一方側(入力側)から見て、その外周形状が外輪421の内周面424よりもわずかに小さい楕円形状をなす。そのため、外輪421の内側に配置される凸部55の外周面551は、外輪421の内周面424との間に第2の隙間G22を確保した状態で外輪421と対向し、外輪421に接触することはない。より詳細には、凸部55の外周面551と外輪421の内周面424との間には、ラジアル方向(回転軸Ax1に直交する方向)の第2の隙間G22が存在する。
また、回転軸Ax1の方向において対向するベース部51と外輪421との間には、第3の隙間G23が形成される。第1の隙間G21と第2の隙間G22とは、第3の隙間G23を通じてつながっている。すなわち、ベース部51は、外輪421の回転軸Ax1の方向の端面との間に第3の隙間G23を確保した状態で外輪421と対向し、外輪421に接触することはない。より詳細には、ベース部51と外輪421との間には、スラスト方向(回転軸Ax1に平行な方向)の第3の隙間G23が存在する。そして、図7Bに示すように、ラジアル方向の第1の隙間G21及び第2の隙間G22の間が、第3の隙間G23にてつながっている。カバー部材5Aと外輪421及び可撓性外歯歯車3との間の隙間G2は、これらの第1の隙間G21、第2の隙間G22及び第3の隙間G23を含んでいる。
第1の隙間G21、第2の隙間G22及び第3の隙間G23は、いずれも各部品の加工誤差及び組立誤差を考慮しても干渉しない程度の寸法に設定され、一例として、0.05mm以上1.0mm以下に設定される。第1の隙間G21、第2の隙間G22及び第3の隙間G23は、いずれも0.1mm以上であることがより好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。
つまり、カバー部材5Aと外輪421及び可撓性外歯歯車3との間には、第1の隙間G21、第2の隙間G22及び第3の隙間G23にて、断面視においてクランク状の隙間G2が形成される。カバー部材5Aに対して、回転軸Ax1の入力側(図7Aの右側)の空間と、回転軸Ax1の出力側(図7Aの左側)の空間とは、隙間G2を通してつながり得る。このように、カバー部材5Aの内側と外側とをつなぐ隘路を形成する隙間G2が、上記のように入り組んだラビリンス構造を採用することで、カバー部材5Aによる封止性能が向上する。これにより、回転軸Ax1の一方側(入力側又は出力側)から外輪421の内側への異物X1の進入が、より確実に阻害されることになる。しかも、特に、スラスト方向の第3の隙間G23については、外輪421及び可撓性外歯歯車3の弾性変形によらずに、一定の最小限の隙間に維持され、隙間G2を異物X1が通過することを防止しやすい。ラジアル方向の第1の隙間G21及び第2の隙間G22についても、外輪421及び可撓性外歯歯車3の弾性変形によらずに、一定の最小限の隙間に維持可能であって、隙間G2を異物X1が通過することを防止できる。
さらに、本実施形態では、カバー部材5Aは、カバー孔53の周囲の領域にくびれ部515(図10A参照)を有している。くびれ部515は、図7Aに示すように、厚み方向(回転軸Ax1に平行な方向)の両面を窪ませることで、カバー部材5Aの厚みをカバー部材5Aの中央部よりも小さく(薄く)した部分である。くびれ部515は、カバー部材5Aの周方向の全周にわたって形成されている。くびれ部515によれば、カバー部材5Aとして必要な剛性を確保しながらも、カバー部材5Aの軽量化を図ることができる。
また、本実施形態においても、隙間G2には、潤滑剤54が充填されていることが好ましい。
図8Aは、実施形態2の第1変形例に係る波動歯車装置1Bの概略構成を示す断面図であって、図8Bは、図8Aの要部(図1Aの領域Z1に相当する範囲)の拡大図である。実施形態2の第1変形例に係る波動歯車装置1Bでは、実施形態2で説明した一対のカバー部材5Aのうち、回転軸Ax1の入力側からベアリング42に対向する一方のカバー部材5Aに代えて、実施形態1で説明したカバー部材5を採用する。この構成では、回転軸Ax1の入力側からベアリング42に対向する一方のカバー部材5にあっては、傘部52の機能により、発生した異物X1を、カバー部材5の外方へと振り切ることができるため、カバー部材5の内側に異物X1がたまりにくくなる。
図9Aは、実施形態2の第2変形例に係る波動歯車装置1Cの概略構成を示す断面図であって、図9Bは、図9Aの要部(図1Aの領域Z1に相当する範囲)の拡大図である。実施形態2の第2変形例に係る波動歯車装置1Cでは、実施形態2で説明した一対のカバー部材5Aのうち、回転軸Ax1の入力側からベアリング42に対向する一方のカバー部材5Aに代えて、形状が異なるカバー部材5Cを採用する。カバー部材5Cは、カバー部材5Aと同様のベース部51及び凸部55に加えて、傘部52を更に有している。
カバー部材5Cの傘部52は、図9Bに示すように、ベース部51における厚み方向のベアリング42とは反対側の表面から突出する。傘部52は、ベアリング42側から回転軸Ax1の一方側(入力側)に向けて、回転軸Ax1からの距離が徐々に大きくなるように形成されている。つまり、傘部52は、ベアリング42から離れるほどに、回転軸Ax1からの距離(半径)が徐々に大きくなるように、回転軸Ax1に対して傾斜した外周面521を有している。このような傘部52は、カバー部材5の周方向の全周にわたって形成されている。この構成では、回転軸Ax1の入力側からベアリング42に対向する一方のカバー部材5Cにあっては、傘部52の機能により、発生した異物X1を、カバー部材5Cの外方へと振り切ることができるため、カバー部材5Cの内側に異物X1がたまりにくくなる。
図10A、図10B及び図10Cは、それぞれ実施形態2の第3、第4及び第5変形例に係る波動歯車装置1D,1E,1Fの概略構成を示す要部の断面図である。
実施形態2の第3変形例に係る波動歯車装置1Dでは、図10Aに示すように、カバー部材5Dの形状が実施形態2で説明したカバー部材5Aと相違する。カバー部材5Dでは、凸部55に代えて、ベース部51の表面における外輪421との対向部位に溝部56を有している。溝部56は、ベース部51の周方向の全周にわたって形成されている。さらに、外輪421は、回転軸Ax1の方向の端面から突出するリブ425を有している。リブ425は、外輪421の周方向の全周にわたって形成されている。リブ425は溝部56内に挿入される。ここで、リブ425と溝部56との間を含めて、カバー部材5Dと外輪421との間には隙間G3が確保される。隙間G3は、リブ425及び溝部56にて、上記隙間G2と同様に入り組んだラビリンス構造をなすので、カバー部材5Dによる封止性能が向上する。
実施形態2の第4変形例に係る波動歯車装置1Eでは、図10Bに示すように、カバー部材5Eの形状が実施形態2で説明したカバー部材5Aと相違する。カバー部材5Eでは、ベース部51自体が外輪421の内側に配置される。すなわち、ベース部51は、回転軸Ax1の一方側(入力側)から見て、その外周形状が外輪421の内周面424よりもわずかに小さい楕円形状をなす。ここで、カバー部材5Eは、ベース部51の外周面514から突出するリブ57を有している。リブ57は、ベース部51の周方向の全周にわたって形成されている。さらに、外輪421は、内周面に溝部426を有している。溝部426は、外輪421の周方向の全周にわたって形成されている。リブ57は溝部426内に挿入される。ここで、リブ57と溝部426との間を含めて、カバー部材5Eと外輪421との間には隙間G4が確保される。隙間G4は、リブ57と溝部426にて、上記隙間G2と同様に入り組んだラビリンス構造をなすので、カバー部材5Eによる封止性能が向上する。さらに、隙間G4には、潤滑剤54が充填されている。
実施形態2の第5変形例に係る波動歯車装置1Fでは、図10Cに示すように、カバー部材5Fの形状が実施形態2の第6変形例のカバー部材5Eと相違する。カバー部材5Fでは、ベース部51の外周面514から突出するリブ58を有している。リブ58は、その外周形状が外輪421の幅方向における内径よりもわずかに小さい。リブ58は、ベース部51の周方向の全周にわたって形成されている。さらに、外輪421は、内周面に溝部427を有している。溝部427は、外輪421の周方向の全周にわたって形成されている。外輪421の内径は、溝部427を挟んで内側と外側とで異なっており、溝部427の外側の方が大きくなる。リブ58は溝部427に対向する。ここで、リブ58と溝部427との間を含めて、カバー部材5Fと外輪421との間には隙間G5が確保される。隙間G5は、リブ58と溝部427にて、上記隙間G2と同様に入り組んだラビリンス構造をなすので、カバー部材5Fによる封止性能が向上する。さらに、隙間G5には、潤滑剤54が充填されている。
また、実施形態2で説明した各種のカバー部材5A〜5Fは、一対設けられることは必須ではなく、回転軸Ax1の一方側からベアリング42に対向するように、1つのみ設けられていてもよい。
実施形態2の構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。
(実施形態3)
本実施形態に係る波動歯車装置1Gは、図11A及び図11Bに示すように、カバー部材5Gの構成が実施形態2に係る波動歯車装置1Aと相違する。以下、実施形態2と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
図11Aは、波動歯車装置1Gの概略構成を示す断面図であって、図11Bは、図11Aの要部(図1Aの領域Z1に相当する範囲)の拡大図である。
本実施形態では、一対のカバー部材5Gは、回転軸Ax1に平行な方向において対称な形状を有するため、以下では、一対のカバー部材5Gの一方の形状について説明する。
すなわち、本実施形態では、カバー部材5Gは、回転軸Ax1の一方側から波動発生器4のうちのベアリング42のみに対向する。つまり、カバー部材5Gは、ベアリング42と同様の環状に形成された部品である。カバー部材5Gは、ベアリング42の内輪422に対して固定される。
具体的には、カバー部材5Gは、主板501と、第1側板502と、第2側板503と、を有している。主板501は、回転軸Ax1の一方側から見て環状に形成される板状の部材である。第1側板502は、主板501の内周縁から、回転軸Ax1に沿ってベアリング42側に突出する。第2側板503は、主板501の外周縁から、回転軸Ax1に沿ってベアリング42側に突出する。言い換えれば、第1側板502及び第2側板503は、ラジアル方向において互いに対向し、主板501にて連結されている。主板501、第1側板502及び第2側板503は1つの金属部材にて一体に形成されており、これにより、シームレスなカバー部材5Gが実現される。
カバー部材5Gは、その厚みが比較的小さい(薄い)ことで可撓性を持つ。したがって、カバー部材5Gが内輪422に固定された状態で、内輪422が弾性変形すれば、カバー部材5Gは、内輪422の変形に伴って弾性変形する。
ここでは、主板501は、ベアリング42に対して回転軸Ax1の一方側から、ベアリング42の端面に対して隙間をあけた状態で対向する。そして、第1側板502が内輪422とカム41との隙間に圧入され、カバー部材5Gは、第1側板502にて内輪422に固定される。一方、第2側板503は外輪421と可撓性外歯歯車3との隙間に挿入されるものの、第2側板503においては、外輪421と可撓性外歯歯車3との間に隙間G6が確保される。
上記構成によれば、カバー部材5Gは、ベアリング42の外輪421との間に隙間G6を確保した状態でベアリング42と対向する。このカバー部材5Gであっても、回転軸Ax1の一方側(入力側)から外輪421の内側への異物X1の進入を阻害する機能がある。
また、実施形態3で説明したカバー部材5Gは、一対設けられることは必須ではなく、回転軸Ax1の一方側からベアリング42に対向するように、1つのみ設けられていてもよい。
実施形態3の構成(変形例を含む)は、実施形態1又は実施形態2で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る波動歯車装置(1,1A〜1G)は、内歯(21)を有する環状の剛性内歯歯車(2)と、外歯(31)を有し、剛性内歯歯車(2)の内側に配置される環状の可撓性外歯歯車(3)と、波動発生器(4)と、を備える。波動発生器(4)は、可撓性外歯歯車(3)の内側に配置され、可撓性外歯歯車(3)に撓みを生じさせる。波動歯車装置(1,1A〜1G)は、回転軸(Ax1)を中心とする波動発生器(4)の回転に伴って可撓性外歯歯車(3)を変形させ、外歯(31)の一部を内歯(21)の一部に噛み合わせて、可撓性外歯歯車(3)を剛性内歯歯車(2)との歯数差に応じて剛性内歯歯車(2)に対して相対的に回転させる。波動発生器(4)は、回転軸(Ax1)を中心に回転駆動される非円形状のカム(41)と、カム(41)の外周面(411)と可撓性外歯歯車(3)の内周面(301)との間に配置されるベアリング(42)と、を有する。波動歯車装置(1,1A〜1G)は、回転軸(Ax1)の一方側からベアリング(42)に対向するように配置されるカバー部材(5,5A〜5G)を更に備える。カバー部材(5,5A〜5G)は、ベアリング(42)の外輪(421)との間に隙間(G1〜G6)を確保した状態でベアリング(42)と対向しており、回転軸(Ax1)の一方側から外輪(421)の内側への異物(X1)の進入を阻害する。
この態様によれば、波動歯車装置(1,1A〜1G)での長期間の使用により、内歯(21)と外歯(31)との間で生じる摩耗等により異物(X1)が発生することがあっても、このような異物(X1)のベアリング(42)内への進入が抑制される。したがって、信頼性の低下が生じにくい、という利点がある。
第2の態様に係る波動歯車装置(1,1A〜1G)では、第1の態様において、カバー部材(5,5A〜5G)は、カム(41)と等速で回転する。
この態様によれば、ベアリング(42)が弾性変形しても、カバー部材(5,5A〜5G)にてベアリング(42)の弾性変形を追従することができる。
第3の態様に係る波動歯車装置(1,1A〜1G)では、第2の態様において、カバー部材(5,5A〜5G)は、ベアリング(42)側から回転軸(Ax1)の一方側に向けて、回転軸(Ax1)からの距離が徐々に大きくなるように形成された傘部(52)を有する。
この態様によれば、遠心力により傘部(52)に付着した異物(X1)をベアリング(42)から離れる向きに移動させることができる。
第4の態様に係る波動歯車装置(1,1A〜1G)では、第3の態様において、剛性内歯歯車(2)に設けられ、傘部(52)と一定以上の隙間を介して対向する案内部(23)を更に備える。
この態様によれば、遠心力による傘部(52)に付着した異物(X1)の移動をガイドできる。
第5の態様に係る波動歯車装置(1,1A〜1G)では、第1〜4のいずれかの態様において、カバー部材(5,5A〜5G)は、ベアリング(42)に対向する部位に、回転軸(Ax1)の一方側からみて、カム(41)に対応する非円形状の部位を有する。
この態様によれば、カバー部材(5,5A〜5G)の波動発生器(4)からのはみ出し量を比較的小さく抑えられる。
第6の態様に係る波動歯車装置(1,1A〜1G)では、第1〜5のいずれかの態様において、外輪(421)とカバー部材(5,5A〜5G)との間の隙間(G1〜G6)の少なくとも一部に潤滑剤(54)が充填されている。
この態様によれば、潤滑剤(54)を用いた封止が実現可能である。
第7の態様に係る波動歯車装置(1,1A〜1G)では、第6の態様において、潤滑剤(54)は、外輪(421)とカバー部材(5,5A〜5G)との間の隙間(G1〜G6)に毛細管現象により保持されている。
この態様によれば、潤滑剤(54)を保持するための部材が不要となる。
第8の態様に係る波動歯車装置(1,1A〜1G)では、第1〜7のいずれかの態様において、カバー部材(5,5A〜5G)は、可撓性外歯歯車(3)の内側に配置されるベース部(51)を有する。回転軸(Ax1)に直交する方向において対向するベース部(51)の外周面(514)と可撓性外歯歯車(3)の内周面(301)との間には、第1の隙間(G21)が形成される。
この態様によれば、第1の隙間(G21)にて隘路を形成し、外輪(421)の内側への異物(X1)の進入を阻害しやすくなる。
第9の態様に係る波動歯車装置(1,1A〜1G)では、第8の態様において、カバー部材(5,5A〜5G)は、ベース部(51)から突出し外輪(421)の内側に挿入される凸部(55)を更に有する。回転軸(Ax1)に直交する方向において対向する凸部(55)の外周面(551)と外輪(421)の内周面(424)との間には、第2の隙間(G22)が形成される。
この態様によれば、第2の隙間(G22)にて隘路を形成し、外輪(421)の内側への異物(X1)の進入を阻害しやすくなる。
第10の態様に係る波動歯車装置(1,1A〜1G)では、第9の態様において、回転軸(Ax1)の方向において対向するベース部(51)と外輪(421)との間には、第3の隙間(G23)が形成される。第1の隙間(G21)と第2の隙間(G22)とは、第3の隙間(G23)を通じてつながっている。
この態様によれば、第1の隙間(G21)、第2の隙間(G22)及び第3の隙間(G23)にて隘路を形成し、外輪(421)の内側への異物(X1)の進入を阻害しやすくなる。
第11の態様に係る波動歯車装置(1,1A〜1G)では、第1〜10のいずれかの態様において、カバー部材(5,5A〜5G)は、液体を通さないように構成されている。
この態様によれば、カバー部材(5,5A〜5G)にて液体を遮蔽できる。
第12の態様に係る波動歯車装置(1,1A〜1G)では、第1〜11のいずれかの態様において、カバー部材(5,5A〜5G)は、撥油性を有する。
この態様によれば、カバー部材(5,5A〜5G)に油分を帯びた異物(X1)が付着しにくくなる。
第13の態様に係るアクチュエータは、第1〜12のいずれかの態様に係る波動歯車装置(1,1A〜1G)と、カム(41)を回転させる駆動源(101)と、可撓性外歯歯車(3)の回転力を出力として取り出す出力部(102)と、を備える。
この態様によれば、信頼性の低下が生じにくい、という利点がある。
第14の態様に係るカバー体(10)は、第1〜12のいずれかの態様に係る波動歯車装置(1,1A〜1G)にカバー部材(5,5A〜5G)として用いられる。
この態様によれば、信頼性の低下が生じにくい、という利点がある。
第2〜12の態様に係る構成については、波動歯車装置(1,1A〜1G)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
1,1A〜1G 波動歯車装置
2 剛性内歯歯車
3 可撓性外歯歯車
4 波動発生器
5,5A〜5G カバー部材
10 カバー体
21 内歯
23 案内部
31 外歯
41 カム
42 ベアリング
51 ベース部
52 傘部
54 潤滑剤
55 凸部
100 アクチュエータ
101 駆動源
102 出力部
411 外周面
421 外輪
Ax1 回転軸
G1〜G6 隙間
G21 第1の隙間
G22 第2の隙間
G23 第3の隙間
X1 異物

Claims (14)

  1. 内歯を有する環状の剛性内歯歯車と、
    外歯を有し、前記剛性内歯歯車の内側に配置される環状の可撓性外歯歯車と、
    前記可撓性外歯歯車の内側に配置され、前記可撓性外歯歯車に撓みを生じさせる波動発生器と、を備え、
    回転軸を中心とする前記波動発生器の回転に伴って前記可撓性外歯歯車を変形させ、前記外歯の一部を前記内歯の一部に噛み合わせて、前記可撓性外歯歯車を前記剛性内歯歯車との歯数差に応じて前記剛性内歯歯車に対して相対的に回転させる波動歯車装置であって、
    前記波動発生器は、
    前記回転軸を中心に回転駆動される非円形状のカムと、
    前記カムの外周面と前記可撓性外歯歯車の内周面との間に配置されるベアリングと、を有し、
    前記回転軸の一方側から前記ベアリングに対向するように配置されるカバー部材を更に備え、
    前記カバー部材は、前記ベアリングの外輪との間に隙間を確保した状態で前記ベアリングと対向しており、前記回転軸の一方側から前記外輪の内側への異物の進入を阻害する、
    波動歯車装置。
  2. 前記カバー部材は、前記カムと等速で回転する、
    請求項1に記載の波動歯車装置。
  3. 前記カバー部材は、前記ベアリング側から前記回転軸の一方側に向けて、前記回転軸からの距離が徐々に大きくなるように形成された傘部を有する、
    請求項2に記載の波動歯車装置。
  4. 前記剛性内歯歯車に設けられ、前記傘部と一定以上の隙間を介して対向する案内部を更に備える、
    請求項3に記載の波動歯車装置。
  5. 前記カバー部材は、前記ベアリングに対向する部位に、前記回転軸の一方側からみて、前記カムに対応する非円形状の部位を有する、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の波動歯車装置。
  6. 前記外輪と前記カバー部材との間の隙間の少なくとも一部に潤滑剤が充填されている、
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の波動歯車装置。
  7. 前記潤滑剤は、前記外輪と前記カバー部材との間の隙間に毛細管現象により保持されている、
    請求項6に記載の波動歯車装置。
  8. 前記カバー部材は、前記可撓性外歯歯車の内側に配置されるベース部を有し、
    前記回転軸に直交する方向において対向する前記ベース部の外周面と前記可撓性外歯歯車の内周面との間には、第1の隙間が形成される、
    請求項1〜7のいずれか1項に記載の波動歯車装置。
  9. 前記カバー部材は、前記ベース部から突出し前記外輪の内側に挿入される凸部を更に有し、
    前記回転軸に直交する方向において対向する前記凸部の外周面と前記外輪の内周面との間には、第2の隙間が形成される、
    請求項8に記載の波動歯車装置。
  10. 前記回転軸の方向において対向する前記ベース部と前記外輪との間には、第3の隙間が形成され、
    前記第1の隙間と前記第2の隙間とは、前記第3の隙間を通じてつながっている、
    請求項9に記載の波動歯車装置。
  11. 前記カバー部材は、液体を通さないように構成されている、
    請求項1〜10のいずれか1項に記載の波動歯車装置。
  12. 前記カバー部材は、撥油性を有する、
    請求項1〜11のいずれか1項に記載の波動歯車装置。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の波動歯車装置と、
    前記カムを回転させる駆動源と、
    前記可撓性外歯歯車の回転力を出力として取り出す出力部と、を備える、
    アクチュエータ。
  14. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の波動歯車装置に前記カバー部材として用いられる、
    カバー体。
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