JP2021175263A - アキシャルギャップモーター - Google Patents

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Abstract

【課題】アキシャルギャップモーターにおいて、コアを形成する磁性体の製造の容易化と、出力トルクの増大とを、図る。【解決手段】このアキシャルギャップモーターは、ローターと、このローターの回転軸と平行な方向に、ギャップを隔てて配置されたステーターとを備える。ステーターは、コイルを収納した複数のボビンと、ボビンの内部に設けられ、複数の磁性部で構成されたコアと、を備える。複数の磁性部のうちの第1磁性部は、ボビンの側部のうち、隣接する一方側のボビンの側部に対向する第1側部の内周壁に接しており、複数の磁性部のうちの第2磁性部は、ボビンの側部のうち、隣接する他方側のボビンの側部に対向する第2側部の内周壁に接しており、第1磁性部と第2磁性部との間には空隙部が存在する。【選択図】図4

Description

本開示は、アキシャルギャップモーターに関する。
アキシャルギャップモーターは、回転磁束が形成されるステーターとローターとの間のギャップをモーターの回転軸方向に備える。こうしたアキシャルギャップモーターでは、各ティースを一体に形成するのではなく、特許文献1に記載のように、電磁鋼板を積層した積層部を複数設け、これらを離間して構成することがある。積層部間に空隙を設けるのは、磁気抵抗の高い部分を設けて渦電流を低減するためである。特許文献1に記載のアキシャルギャップモーターでは、電磁鋼板を回転軸中心から外方に向かう方向に積層して積層部を構成し、この積層部を、ティースの周方向中心に配置している。
特開2012−23879号公報
しかしながら、特許文献1に記載のアキシャルギャップモーターでは、ティースの周方向端面に磁性体が存在しない隙間ができてしまい、ローターを回転するための界磁の磁路が長くなってしまう。磁束密度は磁路が長いほど小さくなるから、特許文献1の構成では、アキシャルギャップモーターのトルクを十分に大きくするという点で、改善の余地があった。
本開示は、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。即ち、本開示にかかるアキシャルギャップモーターは、ローターと、前記ローターの回転軸と平行な方向に、ギャップを隔てて配置されたステーターとを備えたアキシャルギャップモーターであって、前記ステーターは、コイルを収納した複数のボビンと、前記ボビンの内部に設けられ、複数の磁性部で構成されたコアと、を備え、前記複数の磁性部のうちの第1磁性部は、前記ボビンの側部のうち、隣接する一方側のボビンの側部に対向する第1側部の内周壁に接しており、前記複数の磁性部のうちの第2磁性部は、前記ボビンの側部のうち、隣接する他方側のボビンの側部に対向する第2側部の内周壁に接しており、前記第1磁性部と前記第2磁性部との間には空隙部が存在する。
第1実施形態のアキシャルギャップモーターの概略構成を断面視で示す概略構成図。 ステーターの形状を例示する斜視図。 第1実施形態におけるコアの構成例を示す説明図。 コアの外形形状の一例を示す説明図。 ローター側磁石とステーター側コアとを貫く磁束を模式的に示す説明図。 コアに働く力の大きさを説明する説明図。 コアのB−H特性を例示する説明図。 B−H特性とパーミアンス係数から求まる動作点を例示する説明図。 第2実施形態におけるコアの構成例を示す説明図。 第3実施形態におけるコアの構成例を示す説明図。 第4実施形態におけるコアの構成例を示す説明図。 第5実施形態におけるコアの構成例を示す説明図。 タイプT1のコアの構成例を示す説明図。 タイプT2のコアの構成例を示す説明図。 タイプT3のコアの構成例を示す説明図。 タイプT4のコアの構成例を示す説明図。 タイプT5のコアの構成例を示す説明図。 他のコアの構成例を示す説明図。
A.第1実施形態:
(1)アキシャルギャップモーターとしての全体構成:
図1は、後述する幾つかの実施形態に共通のアキシャルギャップモーター20の概略構成を断面視で示す概略構成図である。このアキシャルギャップモーター20は、回転軸21の軸方向中心に、ローター40を備え、このローター40の軸方向に両側にステーター31,32を備えるいわゆるダブルステーター構造を備える。図示するように、回転軸21の軸方向上向きを符号A、この回転軸21に対するローター40やステーター31,32の径方向外側向きを符号R、として各々示す。この符号A、Rで示す方向は、他の図でも同様に示した。符号Aの方向を軸方向、符号Rの方向を径方向と呼ぶことがある。これらの方向に加えて、ローター40やステーター31,32の周方向のうち、回転軸21上方からの平面視において時計回りの方向を、符号Cとして、併せて図示することがある。
回転軸21は、図1では、円柱体として示したが、中空の回転軸としてもよい。アキシャルギャップモーター20では、回転軸方向Aの厚みが薄くなり、径方向Rの寸法が大きくなる傾向にあるため、回転軸21の径を大きくし、中空軸として、内部にアキシャルギャップモーター20への配線を通すといった構成を取ることも望ましい。
この回転軸21の軸方向の略中心に固定されたローター40は、その径方向Rの終端近くに、複数個の永久磁石41,43を周方向に均等に、12個配置している。永久磁石41,43の個数と配置は、アキシャルギャップモーター20の相数と極数とにより定められる。ローター40の中心部は、回転軸21が固定される接合部45が形成されており、回転軸21は、接合部45に圧入されて、固定される。もとより、キーとキー溝とにより両者を結合してもよい。
ローター40の接合部45には、軸受け23,24を介して、ステーター31,32が取り付けられる。この軸受け23,24により、回転軸21およびローター40は、ステーター31,32を側面ケース27で結合したモーターケースに対して、回転可能に保持される。ステーター31,32は、ローター40の永久磁石41,43に対向するように、ステーターコア(以下、単にコアという)51,52が設けられている。ステーター31の概略構成を、図2の斜視図に示した。このアキシャルギャップモーター20は、三相4スロットの構成を備えることから、ステーター31当りのコア51の数は、上述した通り、12個である。
ステーター31は、12個のコア51と、これらのコア51に共通に設けられたバックヨーク(以下単にヨークという)35と、各コア51の外周に配置される巻線であるコイル61とからなる。コイル61は、後述するように、合成樹脂性のボビン60に収容された形態で、コア51の外周に配置される。ヨーク35は、図2に示したように、コア51の径方向の幅と略同一の幅を有する円環状、すなわち穴のあいた円板状の電磁鋼板を積層して構成されており、所定の厚みを有する。また、コア51は、ヨーク35上に周方向Cに並んで配置されている。磁性体の板である電磁鋼板の表面には、絶縁皮膜が形成されており、積層後、各電磁鋼板は絶縁被膜を溶融させて固着される。なお、接着剤の塗布や溶接、あるいは半カシメによって、積層後の電磁鋼板を接合してもよい。半カシメとは、各電磁鋼板の一部を厚み方向に、板厚の半分程度プレスにより押しだし、これを複数枚重ねて、押し出した部分を隣接する電磁鋼板の窪みに圧入して固定する手法である。こうした電磁鋼板同士の接合は、後述するコアにおいても同様である。
ヨーク35上に配列されたコア51の1つの外観を、図3に一部分解斜視図として示した。図示するように、第1実施形態のコア51は、第1磁性部に相当する第1磁性体101と第2磁性部に相当する第2磁性体102とからなる。第1磁性体101と第2磁性体102とは、同一形状の電磁鋼板71を積層し、同一形状に形成されている。第1磁性体101および第2磁性体102の電磁鋼板71は、第1磁性体101,第2磁性体102の積層後の形状における長手方向に沿って積層されている。第1磁性体101,第2磁性体102は、各電磁鋼板71の中央付近に、プレスにより形成された凹部72を用いた半カシメにより一体化されており、ヨーク35の表面の4箇所WP(一部図示せず)において溶接されている。この溶接箇所WPは、第1磁性体101,第2磁性体102それぞれにおける両側面中央の下部、つまり各電磁鋼板71を積層した第1,第2磁性体101,102の両側部が、積層方向に沿った中央で、ヨーク35と接する位置である。
このようにヨーク35に溶接されたコア51の外周には、界磁を形成するためのコイル61がボビン60に収容された状態で、ボビン60ごと嵌め込まれる。図3では、ボビン60の一部を破断して、ボビン60に収容されたコイル61の一部を示した。図4に示すように、ボビン60は、ヨーク35上に周方向Cに並んで、複数配置されている。コア51にボビン60を取り付けた状態を、図4に平面視として示す。ボビン60の外形形状は、回転軸Aに沿った方向に平面視したヨーク35を、コア51の数、本実施形態では値12で等分した形状に近似の形状、つまり台形形状において、上辺と下辺とを、同心の円弧とした形状をしている。ボビン60の外形は連続しているが、便宜的に、隣接する、すなわち隣り合う他のボビンに対向する2つの側面のうち周方向C側とは反対にある側面を第1側面SC1と呼び、周方向C側にある側面を第2側面SC2と呼ぶ。また、径方向Rに沿った2つの側面のうち、外側の側面を第3側面SC3と呼び、内側の側面を第4側面SC4と呼ぶものとする。
図4に示したように、第1磁性体101と第2磁性体102とは、回転軸Aから径方向Rに沿ってコア51の中心を通る線に対して線対称に向かい合って配置されている。コア51の中心とは、コア51を回転軸Aに沿って平面視したときのコア51の幾何中心であり、コア51の重心といってもよい。この状態で、第1磁性体101の片側の側面は、ボビン60の第1側面SC1の内周壁に、第2磁性体102の片側の側面は、ボビン60の第2側面SC2の内周壁に、それぞれ接している。ボビン60は略台形形状に形成されており、また第1磁性体101,第2磁性体102は直方体形状に形成されているので、第1磁性体101と第2磁性体102とは、その内周側端部は近接してほぼ接し、外周側端部は離間した配置となっている。この結果、コア51の内部には、空隙部75が形成される。上述したように、本実施形態では、第1磁性体101および第2磁性体102における電磁鋼板71積層方向は、それぞれの長手方向となっているが、第1磁性体101および第2磁性体102が組み合わされてコア51を構成している状態では、積層方向は一致しておらず、交差している。第1磁性体101,第2磁性体102それぞれにおける各電磁鋼板71の積層方向を、径方向Rに倣った第1軸方向と呼ぶが、本実施形態では、この第1軸方向も、回転軸Aから径方向Rに沿ってコア51の中心を通る線に対して線対称となっている。
コア51の外周コイル61が配置されていることから、コイル61に通電することにより、コア51を通る磁束が形成される。このコイル61への通電のタイミングを制御して、通電するコイル61の位置を周方向Cに沿って順次移動して、界磁を形成すれば、この界磁により、ローター40に設けられた永久磁石41が引き寄せられ、ローター40は回転する。アキシャルギャップモーター20が出力するトルクの大きさについて、などについては、後でまとめて説明する。なお、本実施懈怠では、コイル61は、ボビン60に収納して一体としたが、コア51に個々に巻き付けてもよい。
以上説明したステーター31の構造について説明したが、このアキシャルギャップモーター20ダブルステーター構造を備え、ローター40を挟んで、反対側にもう一つのステーター32が設けられている(図1参照)。このステーター32も、ステーター31と同様に、12個のコア52と、これらのコア52に共通のヨーク36と、ボビン60に収容されて各コア52の外周に配置されるコイル63とを備える。12個のコア51に取り付けられた12個のコイル61は、3相4極の巻線を構成する。二つのステーター31,32は、ローター40を挟んで面対称の構造を備える。ローター40に設けられた12個の永久磁石41,43とコア51、コア52とは、軸方向Aに沿った所定の距離のギャップを隔てて、向き合っている。
(2)第1実施形態の特徴:
以上説明した第1実施形態のアキシャルギャップモーター20では、コア51は、ボビン60の内側全体に、電磁鋼板のような磁性体が存在しておらず、ボビン60の内側の一部にのみ存在する形態を採用している。この結果、本実施形態のアキシャルギャップモーター20では、以下の効果を奏する。
[1]コア51を構成する第1磁性体101および第2磁性体102の製作が容易である。
[2]ボビン60の内側の面積に対して磁性体が占める割合が100%未満である場合の発生トルクが、磁性体がボビン60の内側の中心部に存在する場合と比べて高い。
以下、これらの理由について説明する。
[1]第1,第2磁性体101,102の製作が容易である点:
図2に示したように、アキシャルギャップモーター20では、高トルクを実現するため、磁束が通るコア51の断面形状をできるだけ大きくしようとしており、コア51は長方形状でなく、略台形形状とすることが多い。この場合、渦電流を小さくするために、電磁鋼板を径方向Rに沿って、または主方向Cに沿って積層して台形形状を実現するには、各電磁鋼板71の大きさを変更する必要がある。これに対して、本実施形態では、コア51を、直方体形状の第1磁性体101と第2磁性体102とを組み合わせることで形成しており、積層する電磁鋼板を一種類にでき、積層も容易である。
[2]発生トルクを大きくできる点:
複数の磁性体、ここでは第1磁性体101および第2磁性体102を、コア51内に設ける場合、磁性体の位置により、得られるトルクが異なる点について説明する。図5は、アキシャルギャップモーター20において、ローター40を回転するための界磁が形成される様子を模式的に示す説明図である。図示するように、回転する界磁のうちの1つに着目すると、ローター40の表面に取り付けられた複数個の永久磁石のうち、S極をステーター31側にする永久磁石41に向き合ったコア51に設けられたコイル61と、N極をステーター31側にする永久磁石43に向き合ったコア51に設けられたコイル61とに逆向きの電流iを流すと、磁束は、永久磁石41からローター40側のヨーク、もう一つの永久磁石43からこれに向き合ったコア51、更にコア51が取り付けられたステーター31側のヨーク35を通って、永久磁石41に向き合ったコア51を通るように形成される。この界磁が移動していくことで、アキシャルギャップモーター20は、ローター40を回転する。界磁の通る磁路の長さを、以下、磁路長LLと呼ぶ。
この場合のアキシャルギャップモーター20から出力されるトルクTは、図6に示すように、ローター40の半径Lγとコア51に作用する電磁力Fとから、次式(1)により、
T=F・Lγ …(1)
として求めることができる。電磁力Fは、フレミングの左手の法則に従い、次式(2)により求めることができる。
F=B×i×Lf=B×i×Nt×2Np×Lf×α …(2)
ここで、
B :界磁Lの磁束密度、
i :コイルを流れる電流量、
Lf:コイルの磁界と直交する長さ、
Nt:1極当たりのコイルの巻き数、
Np:ステーターの極数、
α :補正係数、
である。
したがって、アキシャルギャップモーター20の各諸元が同一であれば、トルクTは、磁束密度Bに比例する。この磁束密度Bは、永久磁石41,43の動作点における磁束密度である。この動作点は、永久磁石41,43の減磁曲線であるB−H特性線とパーミアンス係数Pcとにより決定される。この点について、図7,図8を用いて説明する。図7は、B−H特性を材料毎に示すグラフである。磁場H[A/m]を大きくしたときの磁束密度B[T]は、材料MA,MB,MCの違いによりほぼ決定される。永久磁石などの強磁性体では、磁場を0に戻しても、大きな残留磁束が残る。したがって、アキシャルギャップモーター20に限らず、モーターのトルクを増大するには、同じ磁場Hに対して、大きな磁束密度Bを示す材料MCが用いられる。
実線BHとして示した特定の材料のB−H特性線のうち第3象限、つまり残留磁束が反対向きの磁場により減じる場合の特性(実線RBで示す。以下、減磁特性と呼ぶ)の一例を、図8に示した。ここで、動作点を、できるだけ磁束密度Bが高い側、つまり動作点P1より動作点P2の側に、更に動作点P3とすれば、動作点の磁束密度Bは高くなり、トルクTも大きくなる。動作点P2を例にとると、動作点P2における磁場Hdと磁束密度Bdとの比、つまり
Pc=Bd/Hd
は、磁気回路の状態を表わす係数であり、これをパーミアンス係数Pcという。パーミアンス係数Pcは、アキシャルギャップモーター20の磁気回路、つまり図7に示した回路では、次式(3)、
Pc=μ(As/LL) …(3)
として定まる。ここで、μは磁気回路を構成する材料の透磁率、Asは図5に示した磁路断面積、LLは同じく磁路長である。したがって、上記式(3)から分かるように、動作点をP3の側に近づけて、磁束密度Bを大きくするには、磁気回路における磁路の断面積を大きくするか、磁路長を短くすれば良いことが分かる。
翻って、第1実施形態のアキシャルギャップモーター20では、図4に示したように、第1磁性体101をボビン60の第1側面SC1の内周壁に接して、また第2磁性体102をボビン60の第2側面SC2の内周壁に接して、それぞれ設けている。仮に、コア51を回転軸Aに沿って平面視した場合のコア51の内部における磁性体の占有面積が同一であるとすると、磁性体がコア51の中心付近に存在する場合と比べて、本実施形態のコア51の形態は、磁路長LLを短くするのに貢献している。このように、本実施形態では、磁路長LLを短くできるため、式(3)として示したパーミアンス係数Pcを大きくでき、この結果、磁束密度Bがより高いい動作点でアキシャルギャップモーター20を動作させることができる。この結果、アキシャルギャップモーター20の出力トルクTを大きくできる。
以上説明したように、第1実施形態のアキシャルギャップモーター20では、以下に挙げる〈1〉から〈8〉の作用・効果を奏する。
〈1〉第1磁性体101と第2磁性体102とが同一形状であるためコア51の製造が容易である。
〈2〉しかもコア51内に同一面積の磁性体を、コア51の中心よりに配置するといった他の場合と比べて、高い出力トルクが得られ易い配置にできる。
この2つの作用効果、すなわちコア51を形成する磁性体の製造の容易化と、出力トルクの増大とは、アキシャルギャップモーターにとって、両立させることの困難な課題であり、両者を同時に達成できることの意義は大きい。
〈3〉第1磁性体101と第2磁性体102とが同一形状をしているので、製造に用いる各電磁鋼板71も一種類で済ませることができる。
〈4〉また、第1実施形態では、第1磁性体101および第2磁性体102は、コア51の中心と回転軸Aとを通る直線に対して線対称に設けられているので、コア51内の重量バランスがよく、ローター40の回転方向によらず、振動の発生を抑制できる。
〈5〉更に、第1実施形態では、第1磁性体101,第2磁性体102を構成する電磁鋼板71を、径方向Rに倣った第1軸に沿って積層している。このため、電磁鋼板71の積層方向に対して、同方向に通過する磁束を抑制できるので、磁気抵抗を増加させず、かつ渦電流の発生を抑制でき、アキシャルギャップモーター20の効率を高めることができる。
〈6〉また、第1実施形態では、第1磁性体101および第2磁性体102の積層方向の両端部は、ボビン60の第3側面SC3および第4側面SC4に当接している。したがって、径方向Rに沿って電磁鋼板71を最も長く配置でき、しかもコイル61に近い部分に磁性体が存在するので、効率を高める上でも望ましい。
〈7〉この他、第1実施形態では、ボビン60を填めた状態で、第1磁性体101および第2磁性体102は、それぞれボビン60の第3側面SC3および第4側面SC4に挟持された状態となる。このため、ヨーク35上に溶接された第1磁性体101および第2磁性体102により、ボビン60、ひいてはコイル61の位置決めを容易に行なうことができる。
〈8〉第1実施形態では、第1磁性体101と第2磁性体102との間には空隙部75が設けられているので、この空隙部75には、非磁性材料を配置し、第1磁性体101および第2磁性体102の固定や位置ずれ防止を図ることも容易である。また、空隙部75に設けた支持部材により、第1磁性体101や第2磁性体102を支持するものとすれば、ステーター31としての耐久性などを高めることができる。
B.第2実施形態:
第2実施形態について、説明する。以下の第2から第5実施形態は、いずれもアキシャルギャップモーター20の基本構成は、第1実施形態と同様である。各実施形態は、コアの構成が異なる。したがって、以下、各実施形態については、コアを中心に説明する。
第2実施形態のコア51Aは、図9に示すように、第1磁性体101Aと第2磁性体102Aとからなる。第1磁性体101Aと第2磁性体102Aとは、同一形状に形成されている。第1磁性体101Aは、小さな電磁鋼板71aからなる第1端部部材81aおよび第2端部部材81cと、電磁鋼板71aより大きな電磁鋼板71Aを積層した中央部材81bとからなる。第1端部部材81aと中央部材81bと第2端部部材81cとは、本実施形態では、半カシメを用いて、この順に一体に形成されている。三者は接着や溶接などによって一体化しても差し支えない。また、第2磁性体102Aも、第1磁性体101Aと同様に、第1端部部材82aおよび第2端部部材82cと、中央部材82bとを一体化してなる。本実施形態では、中央部材81b,82bが第1,第2磁性体に相当し、第1端部部材81a,82aおよび第2端部部材81c,82cが、第3,第4磁性部に相当する。
第1磁性体101Aおよび第2磁性体102Aは、第1実施形態と同様、コア51Aの中心とは反対側の、つまり外側の側面が、ボビン60の第1側面SC1および第2側面SC2の内周壁に接している。また、第1端部部材81aおよび82aは、ボビン60の第3側面SC3の内周壁に接し、第2端部部材81cおよび82cは、ボビン60の第4側面SC4の内周壁に、接している。
第1磁性体101Aの中央部材81bおよび第2磁性体102Aの中央部材82bに用いられている電磁鋼板71Aは、第1実施形態の第1磁性体101および第2磁性体102に用いられた電磁鋼板71より大きい。このため、中央部材81bおよび中央部材82bの、径方向Rに対して内側に位置する端部は、第4側面SC4より手前で互いの端部に接している。中央部材81bおよび中央部材82bの端部から、第4側面SC4の内周壁までの間隙には、第2端部部材81c,82cが配置される。第1磁性体101Aと第2磁性体102Aとの間の、コア51Aの中心部側には、空隙部75Aおよび76Aが形成される。この空隙部75A,76Aに、第1磁性体101Aや第2磁性体102Aを支持する支持部材を設けてもよい。
以上説明した第2実施形態でも、第1実施形態と同様、前述の〈1〉〈2〉の作用効果を奏する上、更に第1実施形態との作用効果のうち前述した〈4〉から〈8〉も奏し得る。なお、第2実施形態では、第1磁性体101Aおよび102Aの体積は、第1実施形態より大きくでき、出力トルクの更なる向上も得られる。また、第2実施形態で使用する電磁鋼板は、第1端部部材81aや第2端部部材81c等を形成する電磁鋼板71aと、これより大きく、中央部材81b等を形成する電磁鋼板71Aとの2種類で済ませることができ、製造の容易化の効果も一定程度奏する。
C:第3実施形態:
次に、第3実施形態について説明する。図10に示すように、第3実施形態のアキシャルギャップモーター20のコア51Bは、第1磁性体101Bと第2磁性体102Bとからなる。第1磁性体101と第2磁性体102Bとは、同一形状に形成されている。第2実施形態と比較すると、第3実施形態のコア51Bは、第1磁性体101Bの第1端部部材83aおよび第2磁性体102Bの第1端部部材84aは、第2実施形態の第1端部部材81aおよび第1端部部材82aより大きな電磁鋼板71bからなる。他の部材は、第2実施形態の部材と形状や積層枚数、積層方法等も同一である。また、第1端部部材83aと中央部材81bと第2端部部材81cとは、他の実施形態同様、半カシメを用いて、この順に一体に形成されている。もとより、三者は接着や溶接などによって一体化しても差し支えない。本実施形態では、中央部材81b,82bが第1,第2磁性体に相当し、第1端部部材83a,84aおよび第2端部部材81c,82cが、第3,第4磁性部に相当する。
また、第2磁性体102Bも、第1磁性体101Bと同様に、第1端部部材84aと中央部材82bと第2端部部材82cを一体化してなる。第1磁性体101Bおよび第2磁性体102Bは、第1実施形態と同様、コア51Bの中心とは反対側の、つまり外側の側面が、ボビン60の第1側面SC1および第2側面SC2の内周壁に接している。また、第1端部部材83aおよび84aは、ボビン60の第3側面SC3の内周壁に接し、第2端部部材81cおよび82cは、ボビン60の第4側面SC4の内周壁に、接している。第1磁性体101Bと第2磁性体102Bとの間の、コア51Bの中心部側には、空隙部75Bおよび76Bが形成される。この空隙部75B,76Bに、第1磁性体101Bや第2磁性体102Bを支持する支持部材を設けてもよい。
第1磁性体101Bの第1端部部材83aおよび第2磁性体102Bの第1端部部材84aに用いられている電磁鋼板71bは、第2実施形態の第1磁性体101Aおよび第2磁性体102Aに用いられた電磁鋼板71aより大きい。このため、コア51Bにおける磁性体の占める割合は、第2実施形態より大きくなり、コア51Bが形成する磁束を大きくできる。したがって、アキシャルギャップモーター20の出力トルクを高めることにも寄与する。
以上説明した第3実施形態でも、上記効果に加えて、第1実施形態と同様、前述の〈1〉〈2〉の作用効果を奏する上、更に第1実施形態との作用効果のうち前述した〈4〉から〈8〉も奏し得る。なお、第3実施形態では、第1磁性体101Bの第1端部部材83aおよび第2磁性体102Bの第1端部部材84aに用いられている電磁鋼板71bは、第2実施形態の第1磁性体101Aおよび第2磁性体102Aに用いられた電磁鋼板71aより大きい。このため、コア51Bにおける磁性体の占める割合は、第2実施形態より大きくなり、コア51Bが形成する磁束を大きくできる。したがって、アキシャルギャップモーター20の出力トルクを高めることにも寄与する。また、第3実施形態で使用する電磁鋼板は、第2端部部材81cや82cを形成する電磁鋼板71aと、これより大きく、中央部材81b,82bを形成する電磁鋼板71Aと、これより大きく、第1端部部材83a,84aを形成する電磁鋼板71bの3種類で済ませることができ、製造の容易化の効果も一定奏する。
第3実施形態では、説明の便を図って、第1磁性体101Bの中央部材81bや第2磁性体102Bの中央部材82bは、第2実施形態の部材と同一の形状であるとして説明したが、中央部材81b,82bの積層方向長さを短くし、その分、第1端部部材83a,84aの積層方向長さを長くしてもよい。この方が、コア51Bに占める磁性体の割合を大きくして、トルクの向上に寄与し得る。なお、各部材の積層方向長さは、各電磁鋼板の積層枚数を調整することで変更してもよいし、各電磁鋼板の厚みを調整することで変更しても良い。
D.第4実施形態:
次に、第4実施形態について説明する。図11に示すように、第4実施形態のアキシャルギャップモーター20のコア51Cは、第1磁性体101Cと第2磁性体102Cとからなる。第1磁性体101と第2磁性体102Cとは、一体に構成されており、かつコア51Cの中心と回転軸Aとを通る直線に対して線対称の形状となっている。他の実施形態と比較すると、第4実施形態のコア51Cを構成する第1磁性体101Cの中央部材81bと第2磁性体102Cの中央部材82bとは、第2,第3実施形態の部材と同一だが、この中央部材81b,82bの両端に、第2,第3実施形態の第1端部部材および第2端部部材に代えて、第1共通部材85および第2共通部材87が設けられている。この第4実施形態および後述する第5実施形態では、これら第1共通部材85および第2共通部材87が第3磁性部に相当する。
第1共通部材85は、中央で屈曲された同一形状の電磁鋼板73を複数枚重ねて構成されている。また、第2共通部材87は、中央で屈曲された同一形状の電磁鋼板74を複数枚重ねて構成されている。この結果、第1共通部材85,第2共通部材87も、中央で屈曲した形状となっている。この屈曲は、ボビン60の第3側面SC3,第4側面SC4の屈曲の程度に倣ったものである。第1共通部材85と、第1磁性体101Cおよび第2磁性体102Cの中央部材81b,82bと、第2共通部材87とは、他の実施形態同様、半カシメを用いて、一体に形成されている。もとより、これらの部材の全部または一部は、接着や溶接などによって固定しても差し支えない。第1磁性体101Cおよび第2磁性体102Cは、第2,第3実施形態と同様、コア51Cの中心とは反対側の、つまり外側の側面が、ボビン60の第1側面SC1および第2側面SC2の内周壁に接している。また、第1共通部材85は、ボビン60の第3側面SC3の内周壁に接し、第2共通部材87は、ボビン60の第4側面SC4の内周壁に、接している。第1磁性体101Cと第2磁性体102Cとに囲まれた、コア51Cの中心部には、空隙部75Cが形成される。この空隙部75Cに、第1磁性体101Cや第2磁性体102Cを支持する支持部材を設けてもよい。
以上説明した第4実施形態でも、他の実施形態と同様、前述の〈1〉〈2〉の作用効果を奏する上、更に前述した〈4〉から〈8〉も奏し得る。なお、第1磁性体101Cおよび第2磁性体102Cに共通に設けられた第1共通部材85および第2共通部材87に用いられている電磁鋼板73および74は、第3実施形態の第1磁性体101Bおよび第2磁性体102Bに用いられた電磁鋼板71aおよび71bの各2枚分より大きい。このため、コア51Cにおける磁性体の占める割合は、第3実施形態より大きくなり、コア51Cが形成する磁束を大きくできる。したがって、アキシャルギャップモーター20の出力トルクを高めることにも寄与する。また、第4実施形態で使用する電磁鋼板は、中央部材81b,82bを形成する電磁鋼板71Aと、第1共通部材85を形成する屈曲された電磁鋼板73と、第2共通部材87を形成する屈曲された電磁鋼板74の3種類で済ませることができ、製造の容易化の効果も一定奏する。
E.第5実施形態:
次に、第5実施形態について説明する。図12に示すように、第4実施形態のアキシャルギャップモーター20のコア51Dは、第1磁性体101Dと第2磁性体102Dとからなる。第1磁性体101と第2磁性体102Dとは、一体に構成されており、かつコア51Dの中心と回転軸Aとを通る直線に対して線対称の形状となっている。他の実施形態と比較すると、第5実施形態の第1共通部材85および第2共通部材87は、第4実施形態のものと同一だが、第1磁性体101Dは、第1中央部材88aと第2中央部材88bとからなり、同様に、第2磁性体102Dは、第1中央部材89aと第2中央部材89bとからなる点で、異なる。
第1共通部材85と、第1磁性体101Dの第1中央部材88aおよび第2中央部材88bと、第2磁性体102Dの第1中央部材89aおよび第2中央部材89bと、第2共通部材87とは、他の実施形態同様、半カシメ等の手法で、一体に形成されている。第1磁性体101Dおよび第2磁性体102Dは、第2,第3実施形態と同様、コア51Dの中心とは反対側の、つまり外側の側面が、ボビン60の第1側面SC1および第2側面SC2の内周壁に接している。また、第1共通部材85が中央で屈曲され、ボビン60の第3側面SC3の内周壁に接していること、また、第2共通部材87も中央で屈曲され、ボビン60の第4側面SC4の内周壁に、接していることなどは、第4実施形態と同様である。第1磁性体101Dと第2磁性体102Dとに囲まれた、コア51Dの中心部には、空隙部75Dが形成される。この空隙部75Dに、第1磁性体101Dや第2磁性体102Dを支持する支持部材を設けてもよい。
以上説明した第5実施形態でも、他の実施形態と同様、前述の〈1〉〈2〉の作用効果を奏する上、更に前述した〈4〉から〈8〉も奏し得る。なお、第1磁性体101Dを構成する第1中央部材88aと、第2磁性体102Dを構成する第1中央部材89aとに用いられている電磁鋼板71Dは、第4実施形態の第1磁性体101Cおよび第2磁性体102Cに用いられた電磁鋼板71aより大きい。このため、コア51Dにおける磁性体の占める割合は、第4実施形態より大きくなり、コア51Dが形成する磁束を大きくできる。したがって、アキシャルギャップモーター20の出力トルクを高めることにも寄与する。また、第5実施形態で使用する電磁鋼板は、第1中央部材88a,89aを形成する電磁鋼板71Dと、第2中央部材88b,89pを形成する電磁鋼板71Aと、第1共通部材85を形成する屈曲された電磁鋼板73と、第2共通部材87を形成する屈曲された電磁鋼板74の4種類で済ませることができ、製造の容易化の効果も一定奏する。
F.その他の実施形態:
コア内部の磁性体の配置は種々の形態が考えられ。以下、様々な配置について、幾つかのタイプに分けて説明する。タイプに分けるのは、理解の便を図るためであり、タイプ分けにこだわらず、様々な組み合わせが可能なことは勿論である。以下の説明では、第1磁性体と第2磁性体とを、コア51の内部に配置される磁性体を分割して構成するという意味で、「分割コア」として総称する場合がある。
[1]タイプT1:
図13に、コアを構成する第1,第2磁性体が対称形であるその他の実施形態(以下、タイプT1)のバリエーションを示す。図13にタイプT1として示した構成例は、分割コアの数が2であり、分割コアの種類は1種類であり、電磁鋼板の種類も1種類である。タイプT1Aは、第1磁性体101Eおよび第2磁性体102E、つまり2つの分割コアが、同一形状であり、両者の積層方向の端部の一方が、ボビン60の外周側端部である第3側面SC3の内側壁に接している形態を示す。また、タイプT1Bは、分割コアの積層方向の端部の他方が、ボビン60の内周側端部である第4側面SC4の内周壁に接している形態を示す。更に、タイプT1Cは、分割コアが同一形状であり、分割コアの一方である第1磁性体101Eの積層方向の端部の1つがボビン60の第4側面SC4の内周壁に接し、分割コアの他方である第2磁性体102Eの積層方向の端部の1つが、ボビン60の第3側面SC3の内周壁に接している形態を示す。これらの形態でも、第1実施形態について説明した効果〈1〉ないし〈5〉および〈8〉を奏することができる。
タイプT1のサフィックスA〜Cは、Aが、分割コアが外周側端部である第3側面SC3の内周壁に接し、内周側端部である第4側面SC4の内周壁に接しない形態、Bが、分割コアが第3側面SC3の内周壁に接せず、第4側面SC4の内周壁に接する形態、Cが、分割コアの一方のみが第3側面SC3の内周壁に接し、他方のみが第4側面SC4の内周壁に接する形態、をそれぞれ示す。以下の説明でも、このサフィックスは同様である。
[2]タイプT2:
図14に、コアを構成する第1,第2磁性体が非対称形である実施形態(タイプT2)のバリエーションを示す。図14にタイプT2として示したこれらのコアは、分割コアの数が2であり、分割コアの種類は2種類であり、電磁鋼板の種類も2種類である。タイプT2Dは、第1磁性体101Fおよび第2磁性体102F、つまり2つの分割コアが、異なる形状をしており、両者の積層方向の端部の両方が、ボビン60の外周側端部である第3側面SC3の内周壁および内周側端部である第4側面SC4の内周壁に接している形態を示す。この形態では、第1実施形態について説明した効果〈1〉〈2〉〈5〉ないし〈8〉を奏することができる。サフィックスDは、以下についても同様の形態、つまり分割コアの両方が、第3側面SC3および第4側面SC4の内周壁に接する形態を示す。
また、タイプT2Eは、分割コアの1つである第1磁性体101Gの積層方向の各端部が、ボビン60の第3側面SC3および第4側面SC4の内周壁に接しており、分割コアの他方である第2磁性体102Gの積層方向端部の一方が、ボビン60の第3側面SC3の内周壁に接している形態を示す。サフィックスEは、以下についても同様の形態、つまり分割コアの一方が、第3側面SC3および第4側面SC4の内周壁に接し、他方が第3側面SC3の内周壁にする形態を示す。
更に、タイプT2Cは、分割コアの一方である第1磁性体101Hがコア51に占める割合を最大としたものであり、第1磁性体101Hの積層方向の端部の1つがボビン60の内周側端部である第4側面SC4の内周壁に接し、分割コアの他方である第2磁性体102Hの積層方向の端部の1つが、ボビン60の外周側端部である第3側面SC3の内周壁に接している形態を示す。これらタイプT2E,2Cでは、第1実施形態について説明した効果〈1〉〈2〉〈5〉および〈8〉を奏することができる上、コア51において磁性体が占める割合を、タイプT2Dより高くすることができる。
[3]タイプT3:
図15に、分割コアが複数種類で第1,第2磁性体が対称形であるその他の実施形態(以下、タイプT3)のバリエーションを示す。図15にタイプT3として示した構成例は、分割コアの数が4であり、分割コアの種類は2種類であり、電磁鋼板の種類も2種類である。タイプT3Aは、第1磁性体101Iが、第1分割部95aおよび第2分割部95bからなり、第2磁性体102Iが、第1分割部96aおよび第2分割部96bからなる。タイプT3Aでは、第1分割部95aと96a、第2分割部95bと96bとは、それぞれ同一形状であり、両者の積層方向の端部の一方が、ボビン60の外周側端部である第3側面SC3の内側壁に接している形態を備える。これらの形態でも、第1実施形態について説明した効果〈1〉、〈2〉、〈4〉、〈5〉および〈8〉を奏することができる。
タイプT3Cは、第1磁性体101Iと第2磁性体102Iとが同一形状であり、第1磁性体101Iの積層方向の端部の1つがボビン60の第3側面SC3の内周壁に接し、第2磁性体102Iの積層方向の端部の1つが、ボビン60の第4側面SC4の内周壁に接している形態を示す。これらの形態でも、第1実施形態について説明した効果〈1〉、〈2〉、〈5〉および〈8〉を奏することができる。
タイプT3Dは、第1磁性体101Jと第2磁性体102Jとが同一形状であり、第1磁性体101Jおよび第2磁性体102Jの積層方向の両端部が、ボビン60の第3側面SC3の内周壁と第4側面SC4の内周壁に接している形態を示す。これらの形態でも、第1実施形態について説明した効果〈1〉、〈2〉、〈4〉〜〈8〉を奏することができる。しかも、例えば第1実施形態と比べて、コアにおける磁性体の占める割合を高めることができ、アキシャルギャップモーター20の出力トルクを更に高めることも可能である。
[4]タイプT4:
図16に、分割コアの数が奇数であるような実施形態(タイプT4)のバリエーションを示す。図16にタイプT4として示したこれらのコアは、分割コアが奇数個であり、分割コアの種類は2種類(タイプT4F)または3種類(タイプT4D,4E)であり、電磁鋼板の種類が2種類(タイプT4E,4F)または3種類(タイプT4D)である。タイプT4Dは、第1磁性体101Kおよび第2磁性体102Kが異なる形状をしており、第1磁性体101Kは同一の電磁鋼板を積層することで形成されているのに対して、第2磁性体102Kは、大きさの異なる電磁鋼板からなる第1分割部97aと第2分割部97bとが別々積層され、その後一体化されている。一体化は、半カシメ等の既知の手法により行なうことができる。このタイプT4Dでは、3種類の大きさの電磁鋼板を用いた。ここで、第1磁性体101K,第2磁性体102Kは、積層方向の端部の両方が、ボビン60の外周側端部である第3側面SC3および第4側面SC4の内周壁に接している。この形態では、第1実施形態について説明した効果〈1〉〈2〉〈5〉ないし〈8〉を奏することができる。
また、タイプT4Eは、第1磁性体101Lの積層方向長さをタイプT4Dの第1磁性体101Kより短くし、その分、第2磁性体102Lを構成する第2分割部98bを形成する電磁鋼板を、タイプT4Dの第2分割部97bを形成する電磁鋼板より大きくしている。また、102Lを構成する第1分割部98aを形成する電磁鋼板も、タイプT4Dの第1分割部97aの電磁鋼板より大きくしている。しかも、タイプT4Eでは、第1磁性体101Lを形成する電磁鋼板と第2分割部98bを形成する電磁鋼板を同一形状としているので、電磁鋼板は2種類ですませることができる。ここで、第1磁性体101Lは、積層方向の端部のうちの一方が、ボビン60の外周側端部である第3側面SC3の内周壁に接しているのに対して、第2磁性体102Lは、積層方向の両端が、ボビン60の外周側端部である第3側面SC3および第4側面SC4の内周壁に接している。この形態では、第1実施形態について説明した効果〈1〉〈2〉〈5〉および〈8〉を奏することができる。しかも、例えばタイプT4Dと比べると、コアにおける磁性体の占める割合を高めることができ、アキシャルギャップモーター20の出力トルクを更に高めることも可能である。
更に、タイプT4Fに示すように、コアを構成する分割コアの数を奇数個にしつつ、第1磁性体101Mと第2磁性体102Mとを同一形状、かつコアの中心と回転軸Aとを通る直線に対して線対称とすることも可能である。タイブ4Fでは、第1磁性体101M,第2磁性体102Mを同じ形状の第1,第2分割コア99aにより構成し、この分割コアとは別に第3分割コア99cを設けている。第3分割コア99cは、第4,第5実施形態と同様、屈曲した電磁鋼板を用い、中央で屈曲した形状としてもよい。この形態では、第1実施形態について説明した効果〈1〉〈2〉〈4〉ないし〈8〉を奏することができる。
[5]タイプT5:
図17に、分割コアを形成する電磁鋼板の積層方向が異なるような実施形態(タイプT5)のバリエーションを示す。図17にタイプT5として示したこれらのコアは、分割コアの配置は、これまで説明した第1〜第5実施形態や、タイプT1〜タイプT4のいずれでもよいが、分割コアの少なくとも1つにおいて、電磁鋼板の積層方向が異なっている。タイプT5Dは、2つの分割コアは同一形状をしており、コアの中心と回転軸Aとを通る直線に対して線対称に設けられている。したがって形状的には、第1実施形態と同様だが、第1実施形態とは、電磁鋼板の積層方向が90度異なり、周方向Cに倣った方向となっている。この形態では、電磁鋼板は1種類で済み、第1実施形態について説明した効果〈1〉ないし〈8〉を奏することができる。また、積層する電磁鋼板の枚数を減らすことができ、分割コアを形成する際の積層工程を簡素化できる場合がある。
タイプT5dは、タイプT5Dにおける分割コアの片方を、第1実施形態の分割コアと同一のものに代えた形態を有する。このように、複数の分割コアの積層方向を異ならせてもよい。この形態でも、第1実施形態について説明した効果〈1〉〈2〉〈4〉ないし〈8〉を奏することができる。また、電磁鋼板の種類は2種類にでき、また一部の分割コアについては、枚数の少ない電磁鋼板を積層することで形成できる。更に、電磁鋼板の積層方向異なる分割コアの組合わせは、タイプT5Fとして示したように、奇数個の分割コアの一部の電磁鋼板の積層方向を異ならせる構成であってもよい。この場合、タイブ4Fとほぼ同様の効果を奏する。
[6]コアの他の構成例:
分割コアからなるコアとしては、電磁鋼板の積層方向がヨーク35と同方向のものも採用可能であり、あるいは電磁鋼板を用いないコアの構成も可能である。これらの例を、図18にまとめた。図18は、コアの1つを回転軸Aを通る平面で破断した断面図として描いてある。図示した構成例CC1は、第1〜第5実施形態およびタイプT1〜タイプT5で示した様に、電磁鋼板を縦積層、つまり電磁鋼板の積層方向を、回転軸Aの軸方向に直交する方向としたものである。回転軸Aに直交する方向であれば、どの方向でもよよい。例えば、回転軸Aから外方に向かう径方向Rにそって積層してもよく、周方向Cに沿って積層してもよい。もとより、径方向Rや周方向Cに倣った方向、つまりボビン60の形状に合わせて、径方向Rや周方向Cから少しずれた方向であってもよい。
分割コアを形成する電磁鋼板の積層方向は、構成例CC2として示したように、横積層、つまり電磁鋼板の積層方向を、回転軸Aの軸方向に沿ったものとしてもよい。この場合、ヨーク35における電磁鋼板の積層方向と同一方向になるので、ヨーク35とコア51Eとの間に隙間が生じ難く、磁束の形成が容易となる。
あるいは、分割コアを圧粉体として構成しても良い。構成例CC3は分割コアを圧粉体としたものである。圧粉体による分割コアは、磁性体の粉末を型に入れて、高温下で高圧を加えることにより形成される。圧粉体の製造方法を簡略に説明すると、まず分割コアとなる磁性体の粉末を用意し、この磁性体粉末を、予め用意したコア形状の型に入れて加熱・加圧する。これにより、磁性体粉末は固められ、圧粉体が形成される。なお、粉体の粒径は、用いる磁性体材料や目標となるコアの透磁率などにより適宜選択される。次に、型から外された圧粉体の外形を分割コアの形状に加工する。分割コアの形状とは、高さや幅ともとより、ヨークや分割コア同士の固定を行なう部分の形状などを含む。磁性体の粉末の場合、型だけでは細かい形状を作り込むことは難しい場合がある。そうした場合は、後加工を行なえばよい。後加工は、例えばエンドミルなどにより行なうことができる。もとより、型だけで実使用可能な形状が作れる場合には、後加工は必要ない。
以上、様々な分割コアを用いたコアの構成について説明したが、コアの構成はこれらに限るものではなく、例えば、電磁鋼板を用いた分割コアと圧粉体の分割コアを組み合わせるなど、第1〜第5実施形態、タイプT1〜タイプT5、構成例CC1〜3などとして例示したものを、適宜組み合わせても差し支えない。また分割コアの分割数なども、第1磁性体101や第2磁性体102毎に、5つ以上でもよい。更に、第1磁性体101と第2磁性体102との分割数は異なっていてもよく、例えば第1磁性体101が2分割で、第2磁性体102が4分割など、その総和が偶数個でも差し支えない。
G.他の態様:
(1)その他の態様として、以下の態様のアキシャルギャップモーターを提供できる。このアキシャルギャップモーターは、ローターと、前記ローターの回転軸と平行な方向に、ギャップを隔てて配置されたステーターとを備えたアキシャルギャップモーターであって、前記ステーターは、コイルを収納した複数のボビンと、前記ボビンの内部に設けられ、複数の磁性部で構成されたコアと、を備え、前記複数の磁性部のうちの第1磁性部は、前記ボビンの側部のうち、隣接する一方側のボビンの側部に対向する第1側部の内周壁に接しており、前記複数の磁性部のうちの第2磁性部は、前記ボビンの側部のうち、隣接する他方側のボビンの側部に対向する第2側部の内周壁に接しており、前記第1磁性部と前記第2磁性部との間には空隙部が存在する。こうすれば、アキシャルギャップモーターにおいて、コアを形成する磁性体の製造の容易化と、出力トルクの増大とを、図ることができる。
(2)こうしたアキシャルギャップモーターにおいて、前記第1磁性部と前記第2磁性部とは、同一形状を有するものとしてもよい。こうすれば、少ない種類の部材で、コアを構成できる。
(3)こうしたアキシャルギャップモーターにおいて、前記第1磁性部と前記第2磁性部とは、前記コアの中心と前記回転軸とを通る直線に対して線対称に設けられたものとしてもよい。こうすれば、コアのバランスを対象にでき。ローターの回転方向によらず、ローターを安定に回転できる。
(4)こうしたアキシャルギャップモーターにおいて、前記コアを、前記回転軸に沿った方向に平面視した場合、前記第1磁性部および前記第2磁性部の一方は、他方より面積が大きい形状を有するものとしてもよい。こうすれば、片方向に対して出力トルクが大きいアキシャルギャップモーターを実現できる。
(5)こうしたアキシャルギャップモーターにおいて、前記第1磁性部および前記第2磁性部は、磁性体の板が積層されているものとしてもよい。磁性体の板を積層して第1,第2磁性部を形成すると、渦電流の発生を抑制でき、アキシャルギャップモーターの効率を高めることができる。
(6)こうしたアキシャルギャップモーターにおいて、前記第1磁性部および前記第2磁性体の板は、同一形状であるものとしてもよい。こうすれば、第1,第2磁性部の特性を揃えやすい。
(7)こうしたアキシャルギャップモーターにおいて、前記板は、前記ステーターの径方向に倣った第1軸に沿って積層されているものとしてもよい。こうすれば、板の積層方向に対して、同方向に通過する磁束を抑制できるので、磁気抵抗を増加させず、かつ渦電流の発生を抑制でき、アキシャルギャップモーターの効率を高めることができる。
(8)こうしたアキシャルギャップモーターにおいて、前記板は、前記ステーターの周方向に倣った第2軸に沿って積層されているものとしてもよい。こうすれば、同じ厚みの板を用いていれば、板の枚数を減らすことができ、積層が容易となる。
(9)こうしたアキシャルギャップモーターにおいて、前記複数の磁性部のいずれか1つは、前記ボビンの側部のうち、前記ステーターの径方向外側に存在する第3側部の内周壁に接しているものとしてもよい。こうすれば、磁性部のいずれか1つとボビンのステーターの径方向外側に存在する内周壁との位置決めが容易となる。
(10)こうしたアキシャルギャップモーターにおいて、前記複数の磁性部のいずれか1つは、前記ボビンの側部のうち、前記ステーターの径方向内側に存在する第4側部の内周壁に接しているものとしてもよい。こうすれば、磁性部のいずれか1つとボビンのステーターの径方向内側に存在する内周壁との位置決めが容易となる。
(11)こうしたアキシャルギャップモーターにおいて、前記コアは、前記複数の磁性部として、前記第1磁性部および前記第2磁性部を接続する第3磁性部を含むものとしてもよい。こうすれば、コアに占める磁性体の割合を高め、アキシャルギャップモーターの出力を高めることができる。
(12)こうしたアキシャルギャップモーターにおいて、前記第3磁性部は、前記ステーターの径方向外側および径方向内側の少なくとも一方で前記第1磁性部および前記第2磁性部を接続するものとしてもよい。こうすれば、コアに占める磁性体の割合を更に高め、アキシャルギャップモーターの出力を更に高めることができる。
(13)こうしたアキシャルギャップモーターにおいて、前記コアは、前記複数の磁性部として、更に第3磁性部および第4磁性部を含み、前記第3磁性部は、前記第1側部の内周壁または前記第2側部の内周壁の一方に接し、前記第4磁性部は、前記第1側部の内周壁または前記第2側部の内周壁の他方に接しているものとしてもよい。こうすれば、第3,第4磁性部が存在する場合でも、アキシャルギャップモーターにおいて、コアを形成する磁性体の製造の容易化と、出力トルクの増大とを、共に図ることができる。
(14)こうしたアキシャルギャップモーターにおいて、前記複数の磁性部の間には、前記磁性部を支持する支持部材を備えるものとしてもよい。こうすれば、支持部材により、磁性部を支持することができ、ステーターとしての耐久性などを高めることができる。
(15)本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。また、ボビンを形成する側面を、側部といってもよい。
20…アキシャルギャップモーター、21…回転軸、27…側面ケース、31,32…ステーター、35,36…ヨーク、40…ローター、41…永久磁石、43…永久磁石、45…接合部、51,51A〜51D,52…コア、60…ボビン、61…コイル、63…コイル、71,71A,71D,71a,71b,73,74…電磁鋼板、72…凹部、75,75A…空隙部、81a,82a,83a,84a…第1端部部材、81b,82b…中央部材、81c,82c…第2端部部材、85…第1共通部材、87…第2共通部材、88a,89a…第1中央部材、88b,89b…第2中央部材、95a,96a,97a,98a…第1分割部、95b,96b,97b,9b…第2分割部、99a…第2分割コア、99c…第3分割コア、101,101A〜101M…第1磁性部、102,102A〜102M…第2磁性部、A…回転軸、SC1…第1側面、SC2…第2側面、SC3…第3側面、SC4…第4側面

Claims (14)

  1. ローターと、前記ローターの回転軸と平行な方向に、ギャップを隔てて配置されたステーターとを備えたアキシャルギャップモーターであって、
    前記ステーターは、
    コイルを収納した複数のボビンと、
    前記ボビンの内部に設けられ、複数の磁性部で構成されたコアと、を備え、
    前記複数の磁性部のうちの第1磁性部は、前記ボビンの側部のうち、隣接する一方側のボビンの側部に対向する第1側部の内周壁に接しており、
    前記複数の磁性部のうちの第2磁性部は、前記ボビンの側部のうち、隣接する他方側のボビンの側部に対向する第2側部の内周壁に接しており、
    前記第1磁性部と前記第2磁性部との間には空隙部が存在する、アキシャルギャップモーター。
  2. 前記第1磁性部と前記第2磁性部とは、同一形状を有する、請求項1に記載のアキシャルギャップモーター。
  3. 前記第1磁性部と前記第2磁性部とは、前記コアの中心と前記回転軸とを通る直線に対して線対称に設けられた、請求項2に記載のアキシャルギャップモーター。
  4. 前記コアを、前記回転軸に沿った方向に平面視した場合、前記第1磁性部および前記第2磁性部の一方は、他方より面積が大きい形状を有する、請求項1に記載のアキシャルギャップモーター。
  5. 前記第1磁性部および前記第2磁性部は、磁性体の板が積層されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のアキシャルギャップモーター。
  6. 前記第1磁性部および前記第2磁性部の板は、同一形状である、請求項5記載のアキシャルギャップモーター。
  7. 前記板は、前記ステーターの径方向に倣った第1軸に沿って積層されている、請求項5または請求項6に記載のアキシャルギャップモーター。
  8. 前記板は、前記ステーターの周方向に倣った第2軸に沿って積層されている、請求項5または請求項6に記載のアキシャルギャップモーター。
  9. 前記複数の磁性部のいずれか1つは、前記ボビンの側部のうち、前記ステーターの径方向外側に存在する第3側部の内周壁に接している、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のアキシャルギャップモーター。
  10. 前記複数の磁性部のいずれか1つは、前記ボビンの側部のうち、前記ステーターの径方向内側に存在する第4側部の内周壁に接している、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のアキシャルギャップモーター。
  11. 前記コアは、前記複数の磁性部として、前記第1磁性部および前記第2磁性部を接続する第3磁性部を含む、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のアキシャルギャップモーター。
  12. 前記第3磁性部は、前記ステーターの径方向外側および径方向内側の少なくとも一方で前記第1磁性部および前記第2磁性部を接続する、請求項11に記載のアキシャルギャップモーター。
  13. 前記コアは、前記複数の磁性部として、更に第3磁性部および第4磁性部を含み、前記第3磁性部は、前記第1側部の内周壁または前記第2側部の内周壁の一方に接し、前記第4磁性部は、前記第1側部の内周壁または前記第2側部の内周壁の他方に接している、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のアキシャルギャップモーター。
  14. 前記複数の磁性部の間には、前記磁性部を支持する支持部材を備える、請求項1から請求項13のいずれか一項に記載のアキシャルギャップモーター。
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