JP2021174939A - アンダーフィル用樹脂組成物及びその製造方法、半導体装置の製造方法、並びに半導体装置 - Google Patents

アンダーフィル用樹脂組成物及びその製造方法、半導体装置の製造方法、並びに半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高い流動性を維持し、ブリード現象の発生が抑制できるアンダーフィル用樹脂組成物及びその製造方法、並びにこの樹脂組成物を用いた半導体装置及びその製造方法を提供する。【解決手段】アンダーフィル用樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、酸無水物基を有するシランカップリング剤と、を含有する。【選択図】なし

Description

本開示は、アンダーフィル用樹脂組成物及びその製造方法、半導体装置の製造方法、並びに半導体装置に関する。
従来から、トランジスタ、IC(Integrated Circuit)等の半導体装置の素子を封止するための封止材としては、生産性、コスト等の面から樹脂が主に用いられている。その中でも、作業性、成形性、電気特性、耐湿性、耐熱性、機械特性、インサート品との接着性等の封止材に要求される諸特性のバランスに優れているエポキシ樹脂が広く使用されている。
近年、半導体装置の小型化及び薄型化に伴い、ベアチップを直接配線基板上に実装する、いわゆるベアチップ実装が主流となっている。このベアチップ実装による半導体装置としては、例えば、COB(Chip on Board)、COG(Chip on Glass)、TCP(Tape Carrier Package)等が挙げられる。これらの半導体装置においては、液状の樹脂組成物が封止材として広く使用されている。
また、半導体素子を、セラミック、ガラスエポキシ樹脂、ガラスイミド樹脂、ポリイミドフィルム等を基板とする配線基板(以下、単に「基板」ともいう)上に直接バンプ接続してなる半導体装置(フリップチップという)では、バンプ接続した半導体素子と配線基板との間隙(ギャップ)に充填するためのアンダーフィル材と称される封止材が使用されている。
アンダーフィル材として使用される樹脂組成物は、電子部品を温湿度及び機械的な外力から保護する重要な役割を果たしている。
近年、情報技術の発展に伴って、電子機器のさらなる小型化、高集積度化及び多機能化が進展しており、多ピン化によるバンプの小径化、狭ピッチ化及び狭ギャップ化が進んでいる。これにより、アンダーフィル材の流動経路は複雑になり、従来に比べてボイド等の未充填部分が発生し易くなっている。未充填部分は、半導体素子と基板との接着性の低下、得られる半導体製品の信頼性の低下等を招く原因となり得るため、存在しないことが望ましい。
また、上述した電子機器の小型化により、基板上に配置された接続端子と半導体チップとの間隔が従来に比べ狭くなっている。このため、フィレット部において基板への樹脂成分の滲み出し(ブリードともいう)が生じると、その滲み出しによって配線が汚染され、半導体モジュールの信頼性、接合性等が低下する場合がある。
特許文献1には、耐ブリード性及び耐クリープ性に優れるアンダーフィル用樹脂組成物として、エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、末端にグリシジル基を有するシリコーン化合物と、を含むアンダーフィル用樹脂組成物が開示されている。
特開2018−172546号公報
しかしながら、特許文献1に開示されているアンダーフィル用樹脂組成物は高い流動性を保持しているとは言い難く、流動性を維持しつつブリード現象の発生を抑制できる樹脂組成物が求められていた。
そこで、本開示は、高い流動性を維持し、ブリード現象の発生が抑制できるアンダーフィル用樹脂組成物及びその製造方法、並びにこの樹脂組成物を用いた半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段は、以下の態様を含む。
<1> エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、酸無水物基を有するシランカップリング剤と、を含有する、アンダーフィル用樹脂組成物。
<2> 前記酸無水物基を有するシランカップリング剤が下記式(C1)の構造を有する、<1>に記載のアンダーフィル用樹脂組成物:
Figure 2021174939
式(C1)において、
Xは酸無水物基を有する炭素数3〜10の有機基を表し、
Yはそれぞれ独立に、加水分解性基を表し、
Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基を表し、
nは1〜3の整数を表し、
mは1〜12の整数を表す。
<3> 前記酸無水物基を有するシランカップリング剤の含有量が、エポキシ樹脂100質量部に対して0.5質量部〜3.5質量部である、<1>又は<2>に記載のアンダーフィル用樹脂組成物。
<4> 前記硬化剤がアミン系硬化剤を含む、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のアンダーフィル用樹脂組成物。
<5> エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、酸無水物基を有するシランカップリング剤と、の混合物を調製することを含む、アンダーフィル用樹脂組成物の製造方法。
<6> 前記混合物の調製が、前記酸無水物基を有するシランカップリング剤で表面処理された前記無機充填材を、前記エポキシ樹脂及び前記硬化剤と混合することを含む、<5>に記載のアンダーフィル用樹脂組成物の製造方法。
<7> 前記混合物の調製において、前記酸無水物基を有するシランカップリング剤と前記無機充填材とが別々に混合される、<5>に記載のアンダーフィル用樹脂組成物の製造方法。
<8> 支持体と、前記支持体上に配置される半導体チップと、の間の空間を、<1>〜<4>のいずれか1項に記載のアンダーフィル用樹脂組成物、又は<5>〜<7>のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたアンダーフィル用樹脂組成物で充填する工程と、
充填された前記アンダーフィル用樹脂組成物を硬化する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
<9> <1>〜<4>のいずれか1項に記載のアンダーフィル用樹脂組成物の硬化物を備える半導体装置。
本開示によれば、高い流動性を維持し、ブリード現象の発生が抑制できるアンダーフィル用樹脂組成物及びその製造方法、並びにこの樹脂組成物を用いた半導体装置及びその製造方法が提供される。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「層」又は「膜」との語には、当該層又は膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
≪アンダーフィル用樹脂組成物≫
本開示のアンダーフィル用樹脂組成物(以下、「アンダーフィル材」とも称する)はエポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、酸無水物基を有するシランカップリング剤と、を含有する。
本開示のアンダーフィル用樹脂組成物は、耐ブリード性及び流動性に優れることが分かった。ブリードは、アンダーフィル材を硬化したときにアンダーフィル材中の成分、特に低分子成分が表面に染み出すことにより発生する。本開示のアンダーフィル用樹脂組成物は酸無水物基を有するシランカップリング剤を含有するところ、当該酸無水物基は一部エポキシ樹脂と反応すると考えられ、これによりアンダーフィル材からの成分の染み出しが抑制されると推測される。一方、酸無水物基は、アミノ基等、エポキシ基と反応性を有する他の官能基と比べ、エポキシ樹脂に対する反応性が高すぎないことから、樹脂組成物の粘度を高めすぎずに、良好な流動性を維持できるものと推測される。
アンダーフィル材は、常温で液体であることが好ましい。本開示において「常温」とは25℃を意味し、「液体」とは流動性と粘性を示し、かつ粘性を示す尺度である粘度が0.0001Pa・s〜100Pa・sである物質を意味する。また、「液状」とは前記液体の状態であることを意味する。
上記粘度は、EHD型回転粘度計を25℃で1分間、所定の回転数(回毎分)で回転させたときの測定値に、所定の換算係数を乗じた値と定義する。上記測定値は、25±1℃に保たれた液体について、コーン角度3゜、コーン半径14mmのコーンロータを装着したEHD型回転粘度計を用いて得られる。前記回転数(回毎分)及び換算係数は、測定対象の液体の粘度によって異なる。具体的には、測定対象の液体の粘度を予め大まかに推定し、推定値に応じて回転数(回毎分)及び換算係数を決定する。
上記測定において、測定対象の液体の粘度の推定値が0Pa・s以上50Pa・s未満の場合は回転数を10回毎分、換算係数を0.5とし、粘度の推定値が50Pa・s以上100Pa・s未満の場合は回転数を5回毎分、換算係数を1とする。
アンダーフィル材の粘度は特に制限されない。なかでも高流動性の観点から、25℃におけるアンダーフィル材の粘度は0.1Pa・s〜100.0Pa・sであることが好ましく、0.1Pa・s〜50.0Pa・sであることがより好ましく、0.1Pa・s〜30.0Pa・sであることがさらに好ましい。
また、100℃〜120℃付近で数十μm〜数百μmの狭ギャップ間にアンダーフィル材を充填する際の充填のしやすさの指標として、アンダーフィル材の110℃の粘度が0.20Pa・s以下であることが好ましく、0.15Pa・s以下であることがより好ましい。なお、110℃でのアンダーフィル材の粘度は、レオメータ(例えば、TA Instruments社製、AR2000、コーン半径20mm、せん断速度32.5/sec)により測定される。
(A)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂の種類は特に制限されない。エポキシ樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、ジアミノジフェニルメタン型グリシジルアミン、アミノフェノール型グリシジルアミン等の芳香族グリシジルアミン型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂;トリフェノールプロパン型エポキシ樹脂;アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂;トリアジン核含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂;ナフトール型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;フェニレン骨格及びビフェニレン骨格からなる群より選択される少なくとも一方を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン骨格及びビフェニレン骨格からなる群より選択される少なくとも一方を有するナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のアラルキル型エポキシ樹脂;並びにビニルシクロヘキセンジオキシド、ジシクロペンタジエンオキシド、アリサイクリックジエポキシ−アジペイド等の脂環式エポキシ樹脂などの脂肪族エポキシ樹脂が挙げられる。
上記エポキシ樹脂の中でも、芳香族環にグリシジルオキシ構造を有する基が結合した構造を含むエポキシ樹脂は、耐熱性、機械特性及び耐湿性向上の観点から好ましい。
好ましい一態様において、エポキシ樹脂はビスフェノールF型エポキシ樹脂を含む。エポキシ樹脂がビスフェノールF型エポキシ樹脂を含むと、流動性の高いアンダーフィル材が得られる傾向にある。
エポキシ樹脂がビスフェノールF型エポキシ樹脂を含む場合、上記性能を良好に発揮する観点から、エポキシ樹脂の全質量に対するビスフェノールF型エポキシ樹脂の含有率は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
アンダーフィル材を常温で液体にする観点からは、エポキシ樹脂全体として常温で液体となるようにエポキシ樹脂を選択することが好ましい。すなわち、1種のエポキシ樹脂のみを含む場合は、そのエポキシ樹脂が常温で液体であることが好ましい。2種以上のエポキシ樹脂の組み合わせである場合は、2種以上のエポキシ樹脂がすべて常温で液状であってもよく、一部が室温で固形のエポキシ樹脂であり、2種以上のエポキシ樹脂を混合したときに常温で液体となるような組み合わせであってもよい。
エポキシ樹脂として常温で固形のエポキシ樹脂を使用する場合、その含有率は、流動性の観点から、エポキシ樹脂全体の20質量%以下であることが好ましい。
2種以上のエポキシ樹脂を用いる場合は、あらかじめエポキシ樹脂同士を混合してから他の成分と混合してもよく、エポキシ樹脂同士を混合せずに他の成分と混合してもよい。
エポキシ樹脂の含有率は特に限定されず、アンダーフィル材全体の5質量%〜60質量%であることが好ましく、10質量%〜50質量%であることがより好ましく、15質量%〜45質量%であることがさらに好ましい。エポキシ樹脂の含有率が前記範囲内であると、硬化時の反応性、硬化後の耐熱性及び機械的強度、並びに封止時の流動性に優れる傾向にある。
エポキシ樹脂の純度は、高いことが好ましい。特に加水分解性塩素量は、IC等の素子上のアルミ配線の腐食に関わるため少ない方が好ましい。耐湿性に優れるアンダーフィル材を得る観点からは、例えば、エポキシ樹脂における加水分解性塩素量は500ppm以下であることが好ましい。
ここで、加水分解性塩素量とは、試料のエポキシ樹脂1gをジオキサン30mlに溶解し、1N−KOH(水酸化カリウム)メタノール溶液5mlを添加して30分間還流させた後、電位差滴定により求めた値を尺度としたものである。
(B)硬化剤
硬化剤の種類は特に制限されない。硬化剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化剤としては、流動性及び耐ブリード性を特に良好に両立できる観点から、アミノ基を有する化合物(アミン系硬化剤ともいう)が好ましい。アミノ基を有する化合物は、特に制限はないが、例えば、1分子中に1級アミノ基及び2級アミノ基からなる群から選ばれる1種以上(以下、単に「アミノ基」ともいう)を2個以上含む化合物が好ましく、1分子中に前記アミノ基を2〜4個有する化合物であることがより好ましく、1分子中に前記アミノ基を2個有する化合物(ジアミン化合物)であることがさらに好ましい。
アンダーフィル材を常温で液体にする観点からは、硬化剤全体として常温で液体となるようにエポキシ樹脂を選択することが好ましい。すなわち、1種の硬化剤のみを含む場合は、その硬化剤が常温で液体であることが好ましい。2種以上の硬化剤の組み合わせである場合は、2種以上の硬化剤がすべて常温で液状であってもよく、一部が室温で固形の硬化剤であり、2種以上の硬化剤を混合したときに常温で液体となるような組み合わせであってもよい。
硬化剤として常温で固形の硬化剤を使用する場合、その含有率は、流動性の観点から、硬化剤全体の20質量%以下であることが好ましい。
アミノ基を有する化合物は、芳香環を有する化合物(芳香族アミン化合物ともいう)であることが好ましく、常温で液状の芳香族アミン化合物であることがより好ましく、常温で液状であり、かつ1分子中にアミノ基を2個有する芳香族アミン化合物であることがより好ましい。
常温で液状の芳香族アミン化合物としては、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミン等のジエチルトルエンジアミン;1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン等のメチルジエチルジアミノベンゼン;1,3,5−トリエチル−2,6−ジアミノベンゼン等のトリエチルジアミノベンゼン;3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン等のジエチルジアミノジフェニルメタン;3,5,3’,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン等のテトラメチルジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。
上記化合物の中でも、保存安定性の観点からは、例えば、ジエチルジアミノジフェニルメタン及びジエチルトルエンジアミンが好ましい。硬化剤としてジエチルジアミノジフェニルメタン及びジエチルトルエンジアミンからなる群より選択される少なくとも一方を用いる場合、その含有率(いずれか一方の硬化剤を用いる場合には当該硬化剤の含有率、両方の硬化剤を用いる場合には両方の硬化剤の合計含有率)は、例えば、硬化剤全体の50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
なかでも、耐熱性、及び機械特性の観点から、硬化剤として、ジエチルトルエンジアミンとジエチルジアミノジフェニルメタンとを併用することが好ましい。ジエチルトルエンジアミンとジエチルジアミノジフェニルメタンとを併用する場合には、両者の比率は特に制限されず、例えば、両者の特性を好適に発揮する観点からは、質量比(ジエチルトルエンジアミン:ジエチルジアミノジフェニルメタン)で40:60〜90:10であってもよく、50:50〜80:20であってもよく、60:40〜70:30であってもよい。
硬化剤として、市販品を用いてもよい。例えば、常温で液状の芳香族アミン化合物の市販品としては、JERキュア(登録商標)−W、JERキュア(登録商標)−Z(三菱ケミカル株式会社製、商品名);カヤハード(登録商標)A−A、カヤハード(登録商標)AB、カヤハード(登録商標)A−S(日本化薬株式会社製、商品名);トートアミンHM−205(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製、商品名);アデカハードナー(登録商標)EH−101(株式会社ADEKA製、商品名);エポミック(登録商標)Q−640、エポミック(登録商標)Q−643(三井化学株式会社製、商品名);DETDA80(Lonza社製、商品名)等が入手可能である。
硬化剤として常温で液状の芳香族アミン化合物を用いる場合、その性能を充分に発揮する観点から、その含有率は硬化剤全体の50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。
硬化剤の官能基当量(硬化剤がアミン系硬化剤である場合には、活性水素当量)は、特に制限されない。耐ブリード性の観点から、硬化剤の官能基当量(硬化剤がアミン系硬化剤である場合には、活性水素当量)は、例えば、10g/mol〜200g/molであることが好ましく、20g/mol〜100g/molであることがより好ましく、30g/mol〜70g/molであることがさらに好ましい。
アンダーフィル材におけるエポキシ樹脂と硬化剤との当量比(エポキシ樹脂のエポキシ基のモル数/硬化剤の官能基(硬化剤がアミン系硬化剤である場合には活性水素)のモル数)は特に制限されず、それぞれの未反応分を少なく抑える観点から、例えば、0.7〜1.6であることが好ましく、0.8〜1.4であることがより好ましく、0.9〜1.2であることがさらに好ましい。
(C)無機充填材
無機充填材の種類は特に制限されない。具体的には、溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ、炭酸カルシウム、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ホウ素、珪酸カルシウム、チタン酸カリウム、窒化アルミニウム、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア等の粉体、又はこれらを球形化したビーズ、ガラス繊維などが挙げられる。さらに、難燃効果のある無機充填材として水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硼酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛等が挙げられる。無機充填材は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機充填材の粒子形状は、特に制限はなく、不定形であっても球状であってもよい。アンダーフィル材の微細間隙への流動性及び浸透性の観点からは、無機充填材は球状であることが好ましい。同様の観点から、無機充填材としては、例えば、球状シリカが好ましく、球状溶融シリカがより好ましい。
無機充填材の体積平均粒子径は、特に制限されない。例えば、無機充填材の体積平均粒子径は0.1μm〜10μmであることが好ましく、0.3μm〜5μmであることより好ましい。無機充填材の体積平均粒子径が0.1μm以上であると、エポキシ樹脂への分散性が向上し、アンダーフィル材の流動特性が向上する傾向にある。無機充填材の体積平均粒子径が10μm以下であると、無機充填材の沈降が抑制され、かつアンダーフィル材の微細間隙への浸透性及び流動性が向上して、ボイド及び未充填部分の発生が抑制される傾向にある。
本開示において無機充填材の体積平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて得られる体積基準の粒度分布において小径側からの累積が50%となるときの粒子径(D50%)である。
無機充填材の含有率は、特に制限されない。例えば、無機充填材の含有率は、アンダーフィル材全体の20質量%〜90質量%であることが好ましく、30質量%〜80質量%であることがより好ましく、40質量%〜75質量%であることがさらに好ましく、50質量%〜75質量%であることが特に好ましく、55質量%〜75質量%であることが極めて好ましい。無機充填材の含有率が20質量%以上であると、硬化物の熱膨張係数が低減する傾向にあり、無機充填材の含有率が90質量%以下であると、アンダーフィル材の粘度が低減し、流動性、浸透性及びディスペンス性が向上する傾向にある。
(D)酸無水物基を有するシランカップリング剤
本発明者らの検討の結果、酸無水物基を有するシランカップリング剤を含むアンダーフィル材は、酸無水物基を有するシランカップリング剤を含まないアンダーフィル材に比べて耐ブリード性及び流動性に優れることがわかった。
酸無水物基を有するシランカップリング剤の種類は特に制限されない。好ましい一態様において、酸無水物基を有するシランカップリング剤は下記式(C1)の構造を有していてもよい。
Figure 2021174939
式(C1)において、
Xは酸無水物基を有する炭素数3〜10の有機基を表し、
Yはそれぞれ独立に、加水分解性基を表し、
Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基を表し、
nは1〜3の整数を表し、
mは1〜12の整数を表す。
式(C1)において、Xは酸無水物基を有する炭素数3〜10の有機基を表し、酸無水物基を有する炭素数4〜8の有機基であることが好ましい。ここで、Xで表される有機基の炭素数は酸無水物基の炭素数も含む。Xに含まれる酸無水物基の数は特に制限されず、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。なお、Xのうち、−(CH−と結合する部分はアルキレン基ではない。
式(C1)において、Yはそれぞれ独立に加水分解性基を表す。加水分解性基とは、加水分解によってヒドロキシ基を生じうる基(式(C1)においては、ケイ素原子と結合してシラノール基を生じうる基)である。Yで表される加水分解性基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜5のアルケニルオキシ基、炭素数1〜5のアシルオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子等が挙げられる。安定した性能を発揮しやすい観点からは、Yで表される加水分解性基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜3のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基又はエトキシ基がさらに好ましい。
式(C1)において、Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基を表し、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
式(C1)において、nは1〜3の整数を表し、2又は3であることが好ましい。
式(C1)において、mは1〜12の整数を表し、1〜10の整数であることが好ましく、1〜8の整数であることがより好ましい。
なかでも、式(C1)において、
Xは酸無水物基を有する炭素数3〜10の有機基を表し、
Yはそれぞれ独立に、メトキシ基又はエトキシ基を表し、
Rはメチル基又はエチル基を表し、
nは2又は3を表し、
mは1〜8の整数を表すことが好ましい。
より好ましい一態様において、酸無水物基を有するシランカップリング剤は下記式(C2)の構造を有していてもよい。
Figure 2021174939
式(C2)におけるY、R、n及びmの定義及び詳細は、それぞれ式(C1)におけるY、R、n及びmの定義及び詳細と同じである。なかでも、式(C2)において、
Yはそれぞれ独立に、メトキシ基又はエトキシ基を表し、
Rはメチル基又はエチル基を表し、
nは2又は3を表し、
mは1〜8の整数を表すことが好ましい。
酸無水物基を有するシランカップリング剤としては、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物等が挙げられる。酸無水物基を有するシランカップリング剤は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸無水物基を有するシランカップリング剤は、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製X−12−967C(商品名)等が入手可能である。
酸無水物基を有するシランカップリング剤は、アンダーフィル材の調製において、エポキシ樹脂及び硬化剤と混合する前に無機充填材の表面処理剤として無機充填材にあらかじめ付与されるものであってもよい。または、酸無水物基を有するシランカップリング剤は、無機充填材とは別に配合されてもよい。より良好なブリード抑制の観点からは、酸無水物基を有するカップリング剤は、無機充填材の表面処理剤として無機充填材にあらかじめ付与されていることが好ましい。
アンダーフィル材における酸無水物基を有するシランカップリング剤の含有量は特に制限されない。酸無水物基を有するシランカップリング剤の含有量は、耐ブリード性及び流動性の観点からは、例えば、エポキシ樹脂100質量部に対して0.5質量部〜3.5質量部であることが好ましく、1.0質量部〜3.0質量部であることがより好ましく、1.5質量部〜2.5質量部であることがさらに好ましい。
好ましい一態様において、酸無水物基を有するシランカップリング剤の配合量は、酸無水物基を有するシランカップリング剤の最小被覆面積に基づき設定してもよい。例えば、酸無水物基を有するシランカップリング剤の含有量は下記式に基づき設計してもよい。
酸無水物基を有するシランカップリング剤の配合量(g)={無機充填材の質量(g)×無機充填材の比表面積(m/g)}×A/酸無水物基を有するシランカップリング剤の最小被覆面積(m/g)
上記式において、Aは、無機充填材の総表面積(m)に対する、酸無水物基を有するシランカップリング剤の最小被覆面積の和(m)の割合を表す。流動性及び耐ブリード性の観点から、Aは0.5以上であることが好ましく、1.0以上であることがより好ましく、1.5以上であることがさらに好ましい。また、効果に寄与しないカップリング剤の量を抑制する観点、及び硬化性の観点からは、Aは3.5以下であってもよく、3.0以下であってもよく、2.5以下であってもよい。以上の観点から、Aは0.5〜3.5であることが好ましく、1.0〜3.0であることがより好ましく、1.5〜2.5であることがさらに好ましい。
本開示のアンダーフィル材において、酸無水物基を有するシランカップリング剤以外のカップリング剤を併用してもよい。
酸無水物基を有するシランカップリング剤以外のカップリング剤の種類は特に制限されない。具体的には、1級アミノ基及び2級アミノ基からなる群から選ばれる1種以上を有するアミノシラン;エポキシシラン、メルカプトシラン、スチリルシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等のシラン化合物(酸無水物基を有するシランカップリング剤を除く);チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物などが挙げられる。
酸無水物基を有するシランカップリング剤以外のカップリング剤を併用する場合のカップリング剤の合計含有量は、上記「酸無水物基を有するシランカップリング剤の含有量」及び「酸無水物基を有するシランカップリング剤の配合量」において、「酸無水物基を有するシランカップリング剤」を「カップリング剤の合計含有量」に置き換えた範囲を適用することができる。
流動性とブリード抑制の効果をより良好に発揮する観点からは、酸無水物基を有するシランカップリング剤の含有量は、カップリング剤の合計質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく70質量%であることがさらに好ましい。
一方、アミノシランはエポキシ樹脂との反応性が比較的高いため、樹脂組成物の流動性が低下しやすいと考えられる。また、エポキシシラン、メルカプトシラン等のシラン化合物は、流動性と耐ブリード性の抑制との両立において、酸無水物基を有するシランカップリング剤ほど良好な特性が見出されていない。以上の観点から、酸無水物基を有するシランカップリング剤以外のシラン化合物の合計含有量は、カップリング剤の合計質量に対して50質量%以下、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下とすることが好ましい。
(E)添加剤
アンダーフィル材は、上記した成分以外の添加剤として、染料、カーボンブラック等の着色剤、硬化促進剤、希釈剤、レベリング剤、消泡剤などを必要に応じて含んでいてもよい。
(硬化促進剤)
アンダーフィル材は硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤の種類は特に制限されず、エポキシ樹脂及び硬化剤の種類、アンダーフィル材の所望の特性等に応じて選択できる。具体的には、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザ−ビシクロ[4.3.0]ノネン、5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のシクロアミジン化合物;シクロアミジン化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂などのπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン化合物;3級アミン化合物の誘導体;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;イミダゾール化合物の誘導体;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン化合物;有機ホスフィン化合物に無水マレイン酸、上記キノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有するリン化合物;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾリウムテトラフェニルボレート、N−メチルモルホリニウムテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボレート塩;テトラフェニルボレート塩の誘導体;トリフェニルホスフィン−トリフェニルボラン錯体、モルホリン−トリフェニルボラン錯体等のテトラフェニルボラン錯体などが挙げられる。硬化促進剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アンダーフィル材が硬化促進剤を含有する場合、硬化促進剤の含有量は特に制限されず、エポキシ樹脂100質量部に対して0.1質量部〜15質量部であることが好ましく、0.5質量部〜10質量部であることがより好ましく、0.8質量部〜5質量部であることがさらに好ましい。
一方、流動性をより良好に維持する観点からは、本開示のアンダーフィル材には硬化促進剤を用いない、又は硬化促進剤の使用量を抑えることもまた好ましい。特に、アンダーフィル材は、一般的に酸無水物系硬化剤と併用される硬化促進剤である、三級アミン化合物及びその誘導体をいずれも含まないか、これらの合計含有量がエポキシ樹脂100質量部に対して1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下であることが好ましい。
(着色剤)
アンダーフィル材は、着色剤を含有してもよい。着色剤の種類は特に制限されず、カーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、鉛丹、ベンガラ等が挙げられる。着色剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アンダーフィル材が着色剤を含有する場合、着色剤の含有量は特に制限されず、アンダーフィル材全量に対して0.001質量部〜1質量部であることが好ましく、0.02質量部〜0.5質量部であることがより好ましい。
<アンダーフィル材の製造方法>
本開示のアンダーフィル材の製造方法は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、酸無水物基を有するシランカップリング剤と、の混合物を調製することを含む。アンダーフィル材は、その成分を分散混合できる手法であれば、いかなる手法を用いても調製することができる。例えば、所定の配合量の前記各成分を秤量し、らい潰機、ミキシングロール、プラネタリミキサ等の混合機を用いて混合及び混練し、必要に応じて脱泡することによって得ることができる。混合及び混練条件は、原料の種類等に応じて適宜決定すればよく、各成分が均一に混合及び分散する条件を選択することが好ましい。
前記混合物の調製において、酸無水物基を有するシランカップリング剤で表面処理された無機充填材を、エポキシ樹脂及び硬化剤と混合してもよい。
一方、酸無水物基を有するシランカップリング剤と無機充填材とを別々に混合してもよい。酸無水物基を有するシランカップリング剤と無機充填材とを別々に混合する場合には、予め酸無水物基を有するシランカップリング剤と無機充填材のみを混合する手順を経ずに、エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、酸無水物基を有するシランカップリング剤と、の混合物を調製する。
酸無水物基を有するシランカップリング剤で表面処理された無機充填材を、エポキシ樹脂及び硬化剤と混合すると、より良好にブリードの発生を抑制できる傾向にある。
<アンダーフィル材の用途>
アンダーフィル材は、例えば、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、リジッド及びフレキシブル配線板、ガラス、シリコーンウエハ等の支持部材に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、抵抗アレイ、コイル、スイッチ等の受動素子などの電子部品を搭載した半導体装置に適用することができる。
本開示のアンダーフィル材は、高い信頼性が求められるフリップチップ用のアンダーフィル材として特に好適である。具体的には、配線板又はガラス基板上に形成した配線に半導体素子をバンプ接続によるフリップチップボンディングした、フリップチップBGA/LGA、COF(Chip On Film)等の半導体装置に対して好適である。
また、本開示のアンダーフィル材は、電子部品を構成する配線基板と半導体素子とのバンプ接続面の距離が200μm以下であるフリップチップ接続に対しても良好な流動性及び充填性を示し、信頼性に優れた半導体装置を提供することができる。
≪半導体装置の製造方法≫
本開示の半導体装置の製造方法は、支持体と、前記支持体上に配置される半導体チップと、の間の空間を、上述した本開示のアンダーフィル材、又は上述した本開示のアンダーフィル材の製造方法により製造されたアンダーフィル材で充填する工程と、充填された前記アンダーフィル材を硬化する工程と、を含む。
アンダーフィル材を支持体と半導体チップとの間の空間に充填する方法は特に制限されず、ディスペンス方式、注型方式、印刷方式等により行うことができる。また、半導体装置の製造に使用する支持体及び半導体チップの種類は特に制限されず、半導体装置の製造に一般的に用いられるものを使用できる。
≪半導体装置≫
本開示の半導体装置は、上述した本開示のアンダーフィル材、又は上述した本開示のアンダーフィル材の製造方法により製造されたアンダーフィル材の硬化物を備える。具体的には、例えば、支持体と、前記支持体上に配置される半導体チップと、前記支持体と前記半導体チップとの間の空間に配置されるアンダーフィル材の硬化物と、を備える。
上記半導体装置を製造する方法は特に制限されず、例えば、上述した本開示の半導体装置の製造方法により製造することができる。また、半導体装置に使用する支持体及び半導体チップの種類は特に制限されず、半導体装置の製造に一般的に用いられるものを使用できる。
以下、実施例に基づいて、本開示の実施形態をより具体的に説明する。ただし、以下の実施例は、本開示の実施形態を限定するものではない。
[アンダーフィル材の調製]
表1に示す各成分を表1に示す量(質量部)で配合し、三本ロール及び真空らい潰機にて混練分散して、実施例と比較例のアンダーフィル材を調製した。表1に示す各材料の詳細は、下記のとおりである。表1中の空欄(−)は該当する成分が未配合であることを示す。
・エポキシ樹脂:ビスフェノールFをエポキシ化して得られるエポキシ当量160g/molの液状ジエポキシ樹脂
・硬化剤1:活性水素当量45g/molのジエチルトルエンジアミン
・硬化剤2:活性水素当量63g/molのジエチルジアミノジフェニルメタン
・着色剤:カーボンブラック
・無機充填材:平均粒径0.6μmの球状溶融シリカ
・カップリング剤1:3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物
・カップリング剤2:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
・カップリング剤3:3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン
・カップリング剤4:N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
上記で得られたアンダーフィル材について、以下のようにして諸特性の評価を行った。また、以下の表1及び表2に各数値を示す。
(1)基板上の滲み出し(ブリード)の長さ(耐ブリード性の評価)
実施例及び比較例で調製したアンダーフィル材を用いて試験用の半導体装置を作製し、下記の特性試験を行った。試験用の半導体装置は、アンダーフィル材10mgを、110℃の条件下でディスペンス方式により半基板と素子との間隙に塗布した後、150℃で2時間、空気中で硬化することで間隙を封止して作製した。
封止後の半導体装置の基板におけるフィレットと接する部分近傍をレーザー顕微鏡(株式会社キーエンス製、Digital microscope VHX−500(商品名))で観察し、アンダーフィル材の滲み出し(ブリード)の長さを測定した。滲み出し(ブリード)の長さが短いほど、耐ブリード性に優れると判断できる。
試験用の半導体装置の仕様は、以下のとおりである。
・半導体チップのサイズ:10mm×10mm×0.400mm
・基板のサイズ:25mm×25mm×1mm厚
・基板(コア)の種類:E−705G(日立化成株式会社製、商品名)
・ソルダーレジストの種類:SR7400GR−A(日立化成株式会社製、商品名)
・基板と半導体素子とのギャップ:50μm
(2)流動性の評価
(110℃での粘度)
アンダーフィル材の110℃での粘度は、レオメータを用いて測定した。具体的には、レオメータとしてAR2000(商品名、TA Instruments社)を用い、60mmパラレルプレート、110℃の条件で、せん断速度32.5(1/s)のときの粘度を110℃での粘度(Pa・s)とした。
(フロータイム)
2枚のガラスで厚さ25μmの東京シクネス株式会社製スペーサーを挟み、幅1.5mm、高さ25μmの流路を作った。これを110℃のホットプレート上に水平に置いた後、アンダーフィル材を流路の開口部に滴下し、流路中に深さ20mmまで浸入する時間を測定した。
Figure 2021174939

Figure 2021174939
表1及び表2中、カップリング剤1〜4の配合量における括弧内の数値は、無機充填材の総表面積(m)に対する、酸無水物基を有するシランカップリング剤の最小被覆面積の和(m)の割合(上述の最小被覆面積の説明における「A」に相当)を表す。比較例2及び実施例1では当該割合は1.0であり、比較例3、4及び実施例2では、当該割合は2.0である。
酸無水物を有するシランカップリング剤を含有する実施例1、2は、カップリング剤を含有していない比較例1と比較すると、耐ブリード性及び流動性に優れることがわかる。また、実施例1は、酸無水物を有しないカップリング剤4を用いた比較例2と比較して耐ブリード性及び流動性に優れることがわかった。実施例2は、酸無水物を有しないカップリング剤2、3をそれぞれ用いた比較例3、4と比較して、良好な耐ブリード性及び流動性を両立できることがわかった。
以上より、酸無水物を有するカップリング剤を含有するアンダーフィル材は、耐ブリード性及び流動性に優れることがわかった。

Claims (9)

  1. エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、酸無水物基を有するシランカップリング剤と、を含有する、アンダーフィル用樹脂組成物。
  2. 前記酸無水物基を有するシランカップリング剤が下記式(C1)の構造を有する、請求項1に記載のアンダーフィル用樹脂組成物:
    Figure 2021174939

    式(C1)において、
    Xは酸無水物基を有する炭素数3〜10の有機基を表し、
    Yはそれぞれ独立に、加水分解性基を表し、
    Rはそれぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基を表し、
    nは1〜3の整数を表し、
    mは1〜12の整数を表す。
  3. 前記酸無水物基を有するシランカップリング剤の含有量が、エポキシ樹脂100質量部に対して0.5質量部〜3.5質量部である、請求項1又は請求項2に記載のアンダーフィル用樹脂組成物。
  4. 前記硬化剤がアミン系硬化剤を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のアンダーフィル用樹脂組成物。
  5. エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、酸無水物基を有するシランカップリング剤と、の混合物を調製することを含む、アンダーフィル用樹脂組成物の製造方法。
  6. 前記混合物の調製が、前記酸無水物基を有するシランカップリング剤で表面処理された前記無機充填材を、前記エポキシ樹脂及び前記硬化剤と混合することを含む、請求項5に記載のアンダーフィル用樹脂組成物の製造方法。
  7. 前記混合物の調製において、前記酸無水物基を有するシランカップリング剤と前記無機充填材とが別々に混合される、請求項5に記載のアンダーフィル用樹脂組成物の製造方法。
  8. 支持体と、前記支持体上に配置される半導体チップと、の間の空間を、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のアンダーフィル用樹脂組成物、又は請求項5〜請求項7のいずれか1項に記載の製造方法により製造されたアンダーフィル用樹脂組成物で充填する工程と、
    充填された前記アンダーフィル用樹脂組成物を硬化する工程と、
    を含む半導体装置の製造方法。
  9. 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のアンダーフィル用樹脂組成物の硬化物を備える半導体装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023162252A1 (ja) * 2022-02-28 2023-08-31 株式会社レゾナック アンダーフィル材、半導体パッケージ及び半導体パッケージの製造方法

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