JP2021174617A - 二次粒子生成装置、放射性同位体生成装置、二次粒子生成方法、及び放射性同位体生成方法 - Google Patents

二次粒子生成装置、放射性同位体生成装置、二次粒子生成方法、及び放射性同位体生成方法 Download PDF

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大 友野
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【課題】中空状のビーム強度分布を有する中空荷電粒子ビームを形成して、パイオン及びミューオンをターゲットから効率的に取り出すことが可能な二次粒子生成装置、放射性同位体生成装置、二次粒子生成方法、及び放射性同位体生成方法を提供すること。【解決手段】二次粒子生成装置(1)は、ビーム源(3)において生成される荷電粒子ビームを加速して出射する加速器(5)と、ターゲット(7)と、加速器とターゲットとの間であって、加速器から出射される荷電粒子ビームの進行経路上に少なくとも1つ以上設けられ6極以上の磁極を有し非線形の磁束密度分布を有する第1磁場を形成する多重極電磁石(50)と、を具備し、多重極電磁石内に荷電粒子ビームを通過させて中空荷電粒子ビーム(Bm)を生成し、中空荷電粒子ビームをターゲットの断面に照射させて少なくとも二次粒子を生成する。【選択図】 図2

Description

本出願において開示された技術は、二次粒子生成装置、放射性同位体生成装置、二次粒子生成方法、及び放射性同位体生成方法に関する。
加速器にて得られる荷電粒子ビームを所定のターゲットに照射して、所望の生成物を生成させることが知られている。例えば、荷電粒子ビームを所定のターゲットに照射して放射性同位体を生成し、生成された放射性同位体を人体に生じた癌の診断や治療等に応用することが提案されている。また、荷電粒子ビームを所定のターゲットに照射することでパイオン(二次粒子)を生成し、当該パイオンが崩壊することで、正電荷又は負電荷を有するミューオン(三次粒子)を生成して、当該ミューオンを新しい物質の磁性研究や材料の非破壊検査・評価等に応用することが提案されている。さらにまた、ミューオンは、半導体デバイスを通過する際に、デバイス内部で電離相互作用とミューオン捕獲過程を通じた原子核反応を生じさせることが知られているが、当該2つの反応は、半導体デバイス内でソフトエラーを発生させることが報告されている。そこで、宇宙線ミューオン由来のソフトエラー対策として、ミューオンを用いたソフトエラー評価・実験も提案されている。
ここで、ミューオンを用いた非破壊検査やソフトエラー評価を効率的に実施するためには、ミューオンを大量且つ効率的に収集することが重要な鍵となっている。この点、一般的には、一次ビームである荷電粒子ビームの強度を増強することでパイオンの生成量を増加させ、当該パイオンを効率良くターゲットから取り出して輸送して、輸送中のパイオンをミューオンに崩壊させるか、或いは、低エネルギーのため短寿命なパイオンをターゲット内で崩壊させることで放出されるミューオンを高効率に収集して輸送する方法が選択される。同様に、放射性同位体を癌の診断や治療等に応用するためには、放射性同位体を効率的且つ大量に生成することが重要な鍵となる。
しかしながら、一般に、低エネルギーのパイオン及びミューオンは、ターゲットの内部から外部へ通過することができない(ターゲット内部に留まる)ため、ターゲットからパイオン及びミューオンを効率的に取り出すことは難しい。したがって、パイオン及びミューオンをターゲットから効率的に取り出すためには、一次ビームである荷電粒子ビームを、ターゲットの表面付近に集中的に照射させることが効果的である。
他方、荷電粒子ビームの強度分布(特に、ビーム進行方向に対して直交する面であるビーム断面におけるビーム位置分布であって、荷電粒子密度分布ともいう)は、一般的に、ビーム中心軸付近で高強度、ビーム外縁で低強度となり、例えばガウス分布で近似される。したがって、パイ中間子及びミューオンをターゲットから効率的に取り出すためには、ビーム強度分布を中空状(ビーム中心軸付近で低強度、ビーム外縁で高強度)とする中空荷電粒子ビーム(ホロウビーム)を形成することが求められている。
非特許文献1には、ビーム強度分布を中空状とするビームを形成する方法として、プラズマレンズを用いた方法が提案されている。
「Shaping of Intense Ion Beams into Hollow Cylindrical Form」、PHYSICAL REVIEW LETTERS、米国、2000年11月20日、Volume85 Number21、4518頁乃至4521頁
しかしながら、非特許文献1に記載のプラズマレンズを用いた方法においては、プラズマの時間構造に整合したパルスビームを用いる必要があり、サイクロトロン等の加速器から出射される連続的な荷電粒子ビームをそのまま適用することは困難である。
そこで、様々な実施形態により、中空状のビーム強度分布を有する中空荷電粒子ビームを形成して、パイ中間子及びミューオンをターゲットから効率的に取り出すことが可能な二次粒子生成装置、放射性同位体生成装置、二次粒子生成方法、及び放射性同位体生成方法を提供する。
一態様に係る二次粒子生成装置は、ビーム源において生成される荷電粒子ビームを加速して出射する加速器と、ターゲットと、前記加速器と前記ターゲットとの間であって、前記加速器から出射される前記荷電粒子ビームの進行経路上に少なくとも1つ以上設けられ、6極以上の磁極を有し非線形の磁束密度分布を有する第1磁場を形成する多重極電磁石と、を具備し、前記多重極電磁石内に、前記荷電粒子ビームを通過させて中空状のビーム強度分布を有する中空荷電粒子ビームを生成し、前記中空荷電粒子ビームを前記ターゲットの断面に照射させて少なくとも二次粒子を生成する。
この構成によれば、加速器から出射される前記荷電粒子ビームから、中空状のビーム強度分布を有する中空荷電粒子ビームを効率的に生成し、これをターゲットに対して照射することで、パイオン等の二次粒子を効率的に大量に生成することができる。
また、一態様に係る前記二次粒子生成装置において、前記ターゲットは、柱状、錘状、及び中空状からなる群から選ばれる少なくとも一の形状を呈する。
また、一態様に係る前記二次粒子生成装置において、前記中空荷電粒子ビームは、前記中空荷電粒子ビームの少なくとも一部の外縁が、前記ターゲットの前記断面の外縁の一部と略一致するように前記ターゲットに照射される。
また、一態様に係る前記二次粒子生成装置において、前記中空荷電粒子ビームは、前記ターゲットの断面に対して垂直となる方向から、前記ターゲットに対して同心上に照射される。
また、一態様に係る前記二次粒子生成装置において、前記中空荷電粒子ビームの外径は、前記ターゲットの前記断面の直径よりも小さい。
また、一態様に係る前記二次粒子生成装置において、前記ターゲットを含む所定空間内に第2磁場を形成して、生成された前記二次粒子を集束させる集束電磁石をさらに含む。
また、一態様に係る前記二次粒子生成装置において、前記多重極電磁石は、8極の磁極を有する。
また、一態様に係る前記二次粒子生成装置は、前記二次粒子を崩壊させて、前記二次粒子に由来する三次粒子をさらに生成する。
一態様に係る二次粒子生成方法は、6極以上の磁極を有し非線形の磁束密度分布を有する第1磁場を形成する多重極電磁石内に、加速器から出射される荷電粒子ビームを通過させて、中空状のビーム強度分布を有する中空荷電粒子ビームを生成する工程と、前記中空荷電粒子ビームをターゲットの断面に照射させて少なくとも二次粒子を生成する工程と、を含む。
この構成によれば、加速器から出射される前記荷電粒子ビームから、中空状のビーム強度分布を有する中空荷電粒子ビームを効率的に生成し、これをターゲットに対して照射することで、パイオン等の二次粒子を効率的に大量に生成することができる。
また、一態様に係る前記二次粒子生成方法において、前記ターゲットは、柱状、錘状、及び中空状からなる群から選ばれる少なくとも一の形状を呈する。
また、一態様に係る前記二次粒子生成方法において、前記中空荷電粒子ビームは、前記中空荷電粒子ビームの少なくとも一部の外縁が、前記ターゲットの前記断面の外縁の一部と略一致するように、前記ターゲットに照射される。
また、一態様に係る前記二次粒子生成方法において、前記ターゲットを含む所定空間内に第2磁場を形成して、生成された前記二次粒子を集束電磁石によって集束させる工程をさらに含む。
一態様に係る放射性同位体生成装置は、ビーム源において生成される荷電粒子ビームを加速して出射する加速器と、ターゲットと、前記加速器と前記ターゲットとの間であって、前記加速器から出射される前記荷電粒子ビームの進行経路上に少なくとも1つ以上設けられ、6極以上の磁極を有し非線形の磁束密度分布を有する第1磁場を形成する多重極電磁石と、を具備し、前記多重極電磁石内に、前記荷電粒子ビームを通過させて中空状のビーム強度分布を有する中空荷電粒子ビームを生成し、前記中空荷電粒子ビームを前記ターゲットの断面に照射させて放射性同位体を生成する。
この構成によれば、加速器から出射される前記荷電粒子ビームから、中空状のビーム強度分布を有する中空荷電粒子ビームを効率的に生成し、これをターゲットに対して照射することで、放射性同位体を効率的に大量に生成することができる。
一態様に係る放射性同位体生成方法は、6極以上の磁極を有し非線形の磁束密度分布を有する第1磁場を形成する多重極電磁石内に、加速器から出射される荷電粒子ビームを通過させて、中空状のビーム強度分布を有する中空荷電粒子ビームを生成する工程と、
前記中空荷電粒子ビームをターゲットの断面に照射させて放射性同位体を生成する工程と、を含む。
この構成によれば、加速器から出射される前記荷電粒子ビームから、中空状のビーム強度分布を有する中空荷電粒子ビームを効率的に生成し、これをターゲットに対して照射することで、放射性同位体を効率的に大量に生成することができる。
様々な実施形態によれば、中空状のビーム強度分布を有する中空荷電粒子ビームを形成して、パイオンやミューオン、放射性同位体をターゲットから効率的に取り出すことが可能な二次粒子生成装置、放射性同位体生成装置、二次粒子生成方法、及び放射性同位体生成方法を提供することができる。
図1は、二次粒子であるパイオン、及び三次粒子であるミューオンが生成されるメカニズムを模式的に示す概略図である。 図2は、一実施形態に係る二次粒子生成装置の構成を示す概略図である。 図3は、図2に示された二次粒子生成装置におけるターゲットと、当該ターゲットに照射される中空荷電粒子ビームを拡大して示す概略図である。 図4Aは、ターゲットの形状の一例を示す概略図である。 図4Bは、ターゲットの形状の一例を示す概略図である。 図4Cは、ターゲットの形状の一例を示す概略図である。 図5は、一実施形態に係る4極電磁石及び多重極電磁石が形成する磁場の磁束密度分布を示す図である。 図6は、中空荷電粒子ビームの断面形状と大きさを示す概略図である。 図7は、中空荷電粒子ビームにおける、断面水平方向のビーム強度分布を示す図である。 図8は、任意の荷電粒子の初期位置xに対する当該任意の荷電粒子のターゲット上での位置xとの関係、及びターゲットにおけるビーム強度分布を示す図である。 図9は、ターゲットの円形断面(半径20.0mm)に対して、外径半径の大きさが異なる様々な種類の陽子ビームBm1(外径半径0mm)、中空陽子ビームBm2(外径半径10.0mm)、及び中空陽子ビームBm3(外径半径19.5mm)を照射させた場合を模式的に示した概略断面図である。 図10Aは、陽子ビームBm1をターゲットに照射した場合における、ターゲット内部、ターゲット表面、及びターゲット周辺で生成されたミューオンの強度分布を示す図である。 図10Bは、図10Aにて示されたミューオンのうち、ターゲットより下流側に設置された検出器によってもさらに検出されたミューオンの強度分布を示す図である。 図11Aは、中空陽子ビームBm2をターゲットに照射した場合における、ターゲット内部、ターゲット表面、及びターゲット周辺で生成されたミューオンの強度分布を示す図である。 図11Bは、図11Aにて示されたミューオンのうち、ターゲットより下流側に設置された検出器によってもさらに検出されたミューオンの強度分布を示す図である。 図12Aは、中空陽子ビームBm3をターゲットに照射した場合における、ターゲット内部、ターゲット表面、及びターゲット周辺で生成されたミューオンの強度分布を示す図である。 図12Bは、図12Aにて示されたミューオンのうち、ターゲットより下流側に設置された検出器によってもさらに検出されたミューオンの強度分布を示す図である。 図13は、10個の中空陽子ビームをターゲットに入射したときに、ターゲットより下流側に設置された検出器によって検出されたミューオンの数と、中空陽子ビームの外径半径との関係を示す図である。 図14は、ターゲットより下流側に設置された検出器によって検出されたミューオン数をターゲット内部、ターゲット表面、及びターゲット周辺で生成された全ミューオン数で除した値と、中空陽子ビームの外径半径との関係を示す図である。 図15は、ターゲットより下流側に設置された検出器によって検出されたものであって、ターゲット内部又は表面で生成されたミューオン数をターゲット周辺で生成されたミューオン数で除した値と、中空陽子ビームの外径半径との関係を示す図である。 図16Aは、ターゲットの円形断面(半径1.0mm)に対して、陽子ビームBm1(外径半径0mm)を照射させた場合を模式的に示す概略断面図である。 図16Bは、ターゲットの円形断面(半径10.0mm)に対して、中空陽子ビームBm4(外径半径9.0mm)を照射させた場合を模式的に示す概略断面図である。 図16Cは、ターゲットの円形断面(半径20.0mm)に対して、中空陽子ビームBm5(外径半径19.0mm)を照射させた場合を模式的に示す概略断面図である。 図17は、10個の中空陽子ビームをターゲットの表面近傍に照射させた場合(例えば、図16A乃至図16Cに示す場合)であって、ターゲット内部、ターゲット表面、及びターゲット周辺で生成された各ミューオン数と、中空陽子ビームの外径半径との関係を示す図である。 図18は、10個の中空陽子ビームをターゲットの表面近傍に照射させた場合(例えば、図16A乃至図16Cに示す場合)であって、ターゲットより下流側に設置された検出器によって検出されたミューオン数を、ターゲット内部、ターゲット表面、及びターゲット周辺で生成された全ミューオン数で除した値と、中空陽子ビームの外径半径との関係を示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明の様々な実施形態を説明する。なお、図面において共通した構成要件には同一の参照符号が付されている。また、或る図面に表現された構成要素が、説明の便宜上、別の図面においては省略されていることがある点に留意されたい。さらにまた、添付した図面が必ずしも正確な縮尺で記載されている訳ではないということに注意されたい。
まず、以下に説明する二次粒子生成装置は、図1に示されるミューオンの生成メカニズムを利用するものである。具体的には、ビーム源から出射される荷電粒子ビーム(例えば陽子ビーム)を、ターゲットに衝突(照射)させると、荷電粒子はターゲット中でエネルギーの一部を失うと同時、当該エネルギーによってパイオンが生成され、このパイオンが崩壊することで、ミューオン(三次粒子)が生成される。なお、パイオンの寿命は26nsecであることが知られている。
1.二次粒子生成装置の構成
一実施形態に係る二次粒子生成装置1の全体構成の概要について、図2乃至図5を参照しつつ説明する。図2は、一実施形態に係る二次粒子生成装置1の構成を示す概略図である。図3は、図2に示された二次粒子生成装置1におけるターゲット7と、当該ターゲット7に照射される中空荷電粒子ビームBmを拡大して示す概略図である。図4A乃至図4Cは、ターゲット7の形状の一例を示す概略図である。図5は、一実施形態に係る4極電磁石30及び多重極電磁石50が形成する磁場の磁束密度分布を示す図である。なお、本明細書において、「上流」「下流」の語は、出射する荷電粒子ビームの上流(加速器5側)、下流(搬送電磁石8側)をそれぞれ意味している。また、本明細書において、「水平方向」及び「垂直方向」とは、荷電粒子ビームの輸送方向に直交する平面(荷電粒子ビームの断面)上において互いに直交する方向であって、輸送方向に対して左右方向に延びる方向を「水平方向」とし、輸送方向に対して上下方向に延びる方向を「垂直方向」とする。
図2に示すように、二次粒子生成装置1は、荷電粒子を生成して当該荷電粒子を加速器5へと放出するビーム源3と、当該ビーム源から放出された荷電粒子を加速させて荷電粒子ビームを出射する加速器5と、加速器5から出射された荷電粒子ビームをターゲット7まで輸送する第1輸送ライン10と、ターゲット7と、生成される二次粒子(例えば、パイオン)をターゲット7から離間する方向へと搬送するための第2磁場を形成する集束電磁石8と、を主に具備する。また、第1輸送ライン10上には、荷電粒子ビームを輸送する過程において、荷電粒子ビームを水平方向又は垂直方向に集束させるための複数の4極電磁石30、荷電粒子ビームの輸送方向を変換する複数の偏向電磁石40、及び非線形の磁束密度分布を有する磁場を形成する少なくとも1つ以上の多重極電磁石50、が適宜の順に設けられている。
さらに、集束電磁石8よりも下流側には、生成された二次粒子及び/又は二次粒子が崩壊して生成される三次粒子を下流側へと搬送するための第2輸送ライン20も設けられている。第2輸送ライン20には、複数の4極電磁石30、偏向電磁石40、及びウィーンフィルタ70等が設けられ、最も下流側には、生成された二次粒子及び/又は三次粒子を回収する回収手段(図示せず)をさらに含むことができる。
なお、二次粒子生成装置1は、ターゲット7の種類を、後述するとおり適宜に変更することができる。したがって、ターゲット7から二次粒子が生成される場合においては、参照符号1は二次粒子生成装置1を意味するものとなる。他方、ターゲット7から放射性同位体が生成される場合においては、参照符号1は放射性同位体生成装置1を意味するものとなる。なお、二次粒子生成装置1は二次粒子(及び三次粒子)を生成するものであるのに対し、放射性同位体生成装置1は放射性同位体を生成するものである点で異なるが、両者の装置の構成は基本的に同様であって、後述するビーム源3及びターゲット7の種類が異なるだけである。
次に、二次粒子生成装置1(放射性同位体生成装置1)を構成する各要素の詳細について説明する。
1−1.ビーム源3
ビーム源3としては、陽子等の荷電粒子を放出することが可能なものであればよく、例えば、マルチカスプイオン源、デュオプラズマトロンイオン源、及び電子サイクロトロン共鳴イオン源等を用いることができる。なお、一実施形態に係る二次粒子生成装置1において、ビーム源3は陽子ビームを放出するものが用いられる。また、一実施形態に係る二次粒子生成装置1を放射性同位体生成装置1として用いる場合、ビーム源3としては、例えばヘリウムビームを放出するものが用いられる。
1−2.加速器5
加速器5としては、荷電粒子を加速することが可能なものであれば、いかなるものも用いることができる。例えば、一般的なリングサイクロトンやAVF(Azimuthally Varying Field)サイクロトン等を用いることができ、その詳細な構成の説明は省略する。
1−3.ターゲット7
ターゲット7としては、ターゲット7から回収する所望の生成物の種類(二次粒子や三次粒子、又は放射性同位体)に応じて、適宜に選択すればよい。ターゲット7からパイオン等の二次粒子を生成する場合には、ターゲット7としては、例えば炭素成分(グラファイト)からなる公知且つ一般的なものを用いることができる。また、ターゲット7から放射性同位体であるアスタチンを回収する場合には、ターゲット7としては、例えばビスマスを用いることができる。
ターゲット7の形状は、例えば、図3に示すような円柱状のものや、図4Aに示すような断面多角形の角柱、図4Bに示すような円錐等の錐体、及び図4Cに示すような中空体のものを用いることができる。さらに、図3、及び図4A乃至図4Cに示すように、ターゲット7の断面(例えば、図3においては面7a)に対して垂直となる方向から荷電粒子ビームとしての陽子ビーム(後述する中空荷電粒子ビームとしての中空陽子ビームBm)を照射させることが好ましい。さらに、図3、図4B、及び図4Cに示すように、中空陽子ビームBmをターゲット7に対して同心上に照射させることが好ましい。また、中空陽子ビームBmの形状は、ターゲット7の形状(断面形状)に応じて、適宜に変更することが好ましい。例えば、図4Aに示すように、ターゲット7の形状が直方体(断面形状が長方形)であれば、中空陽子ビームBmの形状も、断面が直方体となるように後述するとおり可変されることが好ましい。このように、ターゲット7に対して、上記の条件のうちの少なくとも一つが満たされるように中空陽子ビームBmを照射させることで、二次粒子としてのパイオン(又は放射性同位体)をターゲット7から効率的且つ大量に生成させることができる。
1−4.集束電磁石8
集束電磁石8は、ターゲット7が含まれる所定空間M(図2参照)の内部に、第2磁場を形成して、ターゲット7の表面から飛び出すパイオン等の二次粒子や二次粒子の崩壊によって生成されるミューオン等の三次粒子を、その第2磁場に集束させるために設けられる。具体的には、一実施形態において、集束電磁石8は、ターゲット7の表面から飛び出したパイオンやミューオンを、第2磁場に巻き付けることでパイオン及びミューオンを収集しつつ、第2磁場を介してパイオン及びミューオンをターゲット7から離間する方向(具体的には、第2輸送ライン20の方向)へ搬送することができる。
なお、集束電磁石8は、一実施形態において、ターゲット7の表面から飛び出すパイオン及びミューオンを効率的に集束させるべく、ターゲット7のXYZ方向における周辺領域において可能な限り隙間なく第2磁場を形成することが好ましい。そのために、集束電磁石8は、ターゲット7を取り囲むように配置され、第2輸送ライン20の方向へパイオン及びミューオンを集束させる方向に第2磁場を形成する。集束電磁石8に通電させる電流値は、ターゲット7における陽子ビームの入射面(図3における面7a又は面7b)だけでなく、ターゲット7の側面(図3における面7c)から放出されるパイオン及びミューオンの進行方向を第2輸送ライン20の方向へと曲げることが可能な大きさの第2磁場を形成するように制御される。
集束電磁石8としては、例えば、ソレノイド電磁石を用いることができ、集束電磁石8によって形成される所定空間M内の第2磁場は、パイオン及びミューオンの集束効率の観点から、3.5テスラ程度の高磁場とすることが好ましい。
1−5.第1輸送ライン10
第1輸送ライン10は、荷電粒子ビームが通るビームダクト(図示せず)を有し、当該ビームダクト内は真空状態に維持されることで、輸送中の荷電粒子ビーム中の各荷電粒子が散乱することを抑制している。また、第1輸送ライン10は、図2に示すように、後述する偏向電磁石40が含まれており、この偏向電磁石40によって、荷電粒子ビームの進行方向を適宜に調整することができる。以下、第1輸送ライン10に含まれる、4極電磁石30、偏向電磁石40、及び多重極電磁石50について説明する。
1−5−1.4極電磁石30
4極電磁石30は、図2に示すように、加速器5からターゲット7までの間に複数(例えば、図2においては3つ)設けられる。4極電磁石30は、一般的に知られる構造のものを用いることができる。すなわち、軸対称に配置された4極の磁極にコイルを巻回して、N極及びS極が互い違いとなるような構成とし、巻回されたコイルに電流を通電することで、4極電磁石30は、その中心軸においては磁場強度が極小化し、中心軸から離れる位置においては次第に磁場強度が増加するような線形の磁束密度分布を有する磁場を形成する(図5の点線参照)。このような4極電磁石30を複数配置し、各4極電磁石30内に荷電粒子ビーム(一実施形態においては陽子ビーム)を通過させることで、4極電磁石30が形成する磁場は、荷電粒子ビームを集束(例えば、水平方向に対してビーム半径を集束)、又は発散(例えば、垂直方向に対してビーム半径を発散)するよう作用する。したがって、加速器5からターゲット7までの間に複数の4極電磁石30を適宜に配置することによって、水平方向及び垂直方向において、荷電粒子ビームのビーム半径を適切に集束させて、荷電粒子ビームのビーム強度を落とすことなく、荷電粒子ビームを多重極電磁石50まで輸送することが可能となる。
1−5−2.偏向電磁石40
偏向電磁石40は、荷電粒子ビーム(一実施形態においては陽子ビーム)の進行方向を調整するために配置されるものであって、一実施形態に係る二次粒子生成装置1においては、図2に示すように、第1輸送ライン10において2つ設けられるが、この数に限定されるものではない。偏向電磁石40は、一般的に知られる構造のものを用いることができるため、その構造の詳細な説明は省略する。
1−5−3.多重極電磁石50
多重極電磁石50は、荷電粒子ビーム(一実施形態においては陽子ビーム)のビーム強度分布(荷電粒子密度分布であり、一実施形態においては陽子密度分布)を、ガウス状から中空状(ビーム強度分布が、ビーム中心軸付近で低強度、ビーム外縁で高強度であること)へと可変させて中空荷電粒子ビーム(中空陽子ビーム)Bmを生成するために設けられる。具体的には、図2に示すように、一例として、多重極電磁石50は、荷電粒子ビームの進行経路上において、前述した4極電磁石30よりも下流側であって、ターゲット7の直前に少なくとも1つ以上配置される。なお、多重極電磁石50は、4極電磁石30よりも上流側に配置されてもよい。このように、多重極電磁石50を用いて、ガウス上のビーム強度分布を有する荷電粒子ビームから、中空状のビーム強度分布を有する中空荷電粒子ビームBmを生成して、この中空荷電粒子ビームBmを前述のターゲット7に照射させることで、パイオン等の二次粒子、及び二次粒子が崩壊することで生成されるミューオン等の三次粒子を効率的に生成することが可能となる。なお、荷電粒子ビームを中空荷電粒子ビームBmへと変化させて、後述のとおり、中空荷電粒子ビームBmをターゲット7の表面付近に照射すると、ターゲット7はその表面付近のみで発熱することとなるので、内部で発熱する場合に比して、ターゲット7の除熱効果を高めることが可能となる。
多重極電磁石50の個数は、特に制限はないが、2つ以上配置されることが好ましい。多重極電磁石50を荷電粒子ビームの進行経路上に複数設けることで、各多重極電磁石50が形成する第1磁場の磁束密度分布を適宜に調整して、荷電粒子ビームの断面形状を可変させることも可能となる。
多重極電磁石50としては、後述するように、非線形の磁束密度分布(図5の実線参照)を有する磁場を形成することが可能な6極以上の磁極を有していればよく、特に8極の磁極(8極電磁石)を有することが好ましい。なお、多重極電磁石50が形成する磁場が非線形の磁束密度分布を形成する理由については、後述する。
なお、第2輸送ライン20に設けられる4極電磁石30及び偏向電磁石40は、第1輸送ライン10に設けられるものと同様のものを用いることができる。また、所定空間Mの外側には、ターゲット7に照射された中空荷電粒子ビーム(中空陽子ビーム)Bmがターゲット7を貫通した場合に、その貫通した中空荷電粒子ビームBmを回収するビームダンプ60が設けられている。
2.中空荷電粒子ビーム(中空陽子ビーム)Bmの生成
次に、前述の多重極電磁石50によって実行される中空荷電粒子ビームBmの生成の概要について、図6乃至図8を参照しつつ説明する。図6は、中空荷電粒子ビームBmの断面形状と大きさを示す概略図である。図7は、二次粒子生成装置1によって生成された中空荷電粒子ビームBmにおける、断面水平方向のビーム強度分布を示す図である。図8は、任意の荷電粒子の初期位置xに対する当該任意の荷電粒子のターゲット上での位置xとの関係、及びターゲットにおけるビーム強度分布を示す図である。なお、一実施形態においては、中空荷電粒子ビームBmとして中空陽子ビームBmが用いられる。したがって、図6乃至図8における荷電粒子は、一実施形態においては陽子に読み替えられる。
前述した加速器5から出射された陽子ビーム(荷電粒子ビーム)は、第1輸送ライン10上に設けられる複数の4極電磁石30及び偏向電磁石40の内部を通過することによって、ビーム半径が発散されることなく適宜に集束されて多重極電磁石50へと輸送される。さらに、陽子ビームは、非線形の磁束密度分布を有する磁場を形成する多重極電磁石50内を通過することで、ビーム強度分布がガウス状から中空状へと可変されることで中空陽子ビームBmが生成される。
すなわち、一実施形態における中空陽子ビームBmとは、図6に示すように、一例として、断面略円環状の形状を呈するものである。図6に示されている中空陽子ビームBmは、外径半径約20mm、内径半径約19mmのものである。図6に示されている中空陽子ビームBmのビーム強度は、図7に示されるように、ビームの中心軸(図7における横軸0mmの位置)から所定半径(例えば、図7における横軸17mmの位置)にかけて、ビーム強度は略0であり、中心軸から離れた外縁(図7における横軸18mm〜20mmの位置)において、ビーム強度が大きくなっている。
次に、陽子ビーム(荷電粒子ビーム)のビーム強度分布がガウス状から中空状に可変されるメカニズムについて説明する。
8極の磁極を有する多重極電磁石50は、一般的に、図5の実線で示すように、多重極電磁石50の中心からの距離が離れるにしたがって、磁束密度が非線形状(三次関数状))に大きくなる磁束密度分布を有する第1磁場を形成することが知られている。この非線形の磁束密度分布を有する多重極電磁石50、及び4極電磁石30が組み込まれた第1輸送ライン10を陽子ビームが通過する際には、近似的に以下式1で示される運動方程式に基づく非線形力が当該陽子ビームに働く。
Figure 2021174617
式1中、xは任意の荷電粒子の水平方向における位置を示すものであり、yは当該任意の荷電粒子の垂直方向における位置を示すものである。また、KQUADは4極電磁石の磁場勾配を示すものであり、KOCTは8極電磁石の磁場勾配を示すものである。
上記式1に基づけば、4極電磁石が形成する磁場(第1磁場における一部の磁場)においては、位置の一次関数として表される非線形力(図5の点線参照)が陽子ビームに働き、8極電磁石が形成する磁場(第1磁場における一部の磁場)においては、三次関数として表される非線形力(図5の実線参照)が陽子ビームに働くこととなる。これにより、例えば、ガウス分布のビーム強度を有していた陽子ビームにおいて、そのビーム強度分布の裾部が折畳まれて、図6及び図7に示すような中空陽子ビームBmが生成される。
より詳細には、例えば、多重極電磁石50としての8極電磁石が第1輸送ライン10上に2つ配置され、当該2つの8極電磁石内を陽子ビームが通過する場合において、陽子ビームが1つ目の8極電磁石内を通過する直前における任意の1つの陽子の位置(ビーム中心軸からの位置)をx、陽子ビームが2つ目の8極電磁石内を通過した後(例えば、ターゲット7への照射時)における当該1つの陽子の位置(ビーム中心軸からの位置)をx(ビーム強度分布に相当する)と捉え、1つ目の8極電磁石の積分磁場勾配(KOCTと当該1つ目の8極電磁石の輸送方向の長さ(例えば、0.34m)の積に相当し、当該1つ目の8極電磁石の非線形力ともいう。)をK、2つ目の8極電磁石の積分磁場勾配(KOCTと当該2つ目の8極電磁石の輸送方向の長さ(例えば、0.34m)の積に相当し、当該2つ目の8極電磁石の非線形力ともいう。)をK、1つ目の8極電磁石と2つ目の8極電磁石との間の位相進度をφ、2つ目の8極電磁石からターゲット7までの位相進度をθとすると、xはβ関数を用いる以下の式2にて近似される。
Figure 2021174617
式2に基づけば、xはβ関数、位相進度φ及びθ、及び8極電磁石の非線形力K並びにKに依存し、且つxはxの三次関数として近似的に表すことができ、xとxの関係は図7に示すようなものとなる。つまり、xの分布(陽子ビームのビーム強度分布)は、xの中心付近で極小となり、当該中心付近から所定距離の離れた位置(極値Z1及びZ2)において最大となる。なお、極値Z1及びZ2は、「dx/dx=0」となる点であって、2つ目の8極電磁石内を通過した後の(ターゲット7上の)陽子ビームのビーム端部(ビーム外縁)となる位置を表すものである。ここで、ターゲット7におけるビーム強度分布は、以下の式3にて近似されて、図8に示すような分布となる。
Figure 2021174617
式3中、ρはxの分布を示すものであり、ρは、xの分布を示すものである。
ところで、図8に示すxとxの関係は、前述のとおり、式2に基づけば、8極電磁石の非線形力K及びKに依存するため、これらの非線形力K及びKを適宜に可変することで、xの分布(陽子ビームのビーム強度分布)やビーム端部の位置(ビーム半径)、さらにビームの断面形状を可変することもできる。非線形力K及びKを適宜に可変する方法としては、1つ目の8極電磁石及び2つ目の8極電磁石各々において通電する電流値を調整することで、各8極電磁石における磁束密度分布を適宜に調整すればよい。
以上のとおりの方法で生成した中空陽子ビームBmをターゲット7に後述する方向で照射させることで、二次粒子としてのパイオン及び三次粒子としてのミューオンを効率的に生成することが可能となる。
3.ターゲット7に対する中空陽子ビームBmの照射によって生成されるパイオン及びミューオン
次に、前述のとおり生成された中空陽子ビームBmのターゲット7への照射により生成されるパイオン及びミューオンについて、図9乃至図18を参照しつつ説明する。図9は、ターゲットの円形断面(半径20.0mm)に対して、外径半径の大きさが異なる様々な種類の陽子ビームBm1(外径半径0mm)、中空陽子ビームBm2(外径半径10.0mm)、及び中空陽子ビームBm3(外径半径19.5mm)を照射させた場合を模式的に示した概略断面図である。図10Aは、陽子ビームBm1をターゲット7に照射した場合における、ターゲット7内部、ターゲット7表面、及びターゲット7周辺で生成されたミューオンの強度分布を示す図である。図10Bは、図10Aにて示されたミューオンのうち、ターゲット7より下流側に設置された検出器D(図2参照)によってもさらに検出されたミューオンの強度分布を示す図である。図11Aは、中空陽子ビームBm2をターゲット7に照射した場合における、ターゲット7内部、ターゲット7表面、及びターゲット7周辺で生成されたミューオンの強度分布を示す図である。図11Bは、図11Aにて示されたミューオンのうち、ターゲット7より下流側に設置された検出器Dによってもさらに検出されたミューオンの強度分布を示す図である。図12Aは、中空陽子ビームBm3をターゲット7に照射した場合における、ターゲット7内部、ターゲット7表面、及びターゲット7周辺で生成されたミューオンの強度分布を示す図である。図12Bは、図12Aにて示されたミューオンのうち、ターゲット7より下流側に設置された検出器Dによってもさらに検出されたミューオンの強度分布を示す図である。図13は、10個の中空陽子ビームBmをターゲット7に入射したときに、ターゲット7より下流側に設置された検出器Dによって検出されたミューオンの数と、中空陽子ビームBmの外径半径Rとの関係を示す図である。図14は、ターゲット7より下流側に設置された検出器Dによって検出されたミューオン数をターゲット7内部、ターゲット7表面、及びターゲット7周辺で生成された全ミューオン数で除した値と、中空陽子ビームBmの外径半径Rとの関係を示す図である。図15は、ターゲット7より下流側に設置された検出器Dによって検出されたものであって、ターゲット7内部又は表面で生成されたミューオン数をターゲット7周辺で生成されたミューオン数で除した値と、中空陽子ビームBmの外径半径Rとの関係を示す図である。図16Aは、ターゲット7の円形断面(半径1.0mm)に対して、陽子ビームBm1(外径半径0mm)を照射させた場合を模式的に示す概略断面図である。図16Bは、ターゲット7の円形断面(半径10.0mm)に対して、中空陽子ビームBm4(外径半径9.0mm)を照射させた場合を模式的に示す概略断面図である。図16Cは、ターゲット7の円形断面(半径20.0mm)に対して、中空陽子ビームBm5(外径半径19.0mm)を照射させた場合を模式的に示す概略断面図である。図17は、10個の中空陽子ビームBmをターゲット7の表面近傍に照射させた場合(例えば、図16A乃至図16Cに示す場合)であって、ターゲット7内部、ターゲット7表面、及びターゲット7周辺で生成された各ミューオン数と、中空陽子ビームBmの外径半径Rとの関係を示す図である。図18は、10個の中空陽子ビームBmをターゲット7の表面近傍に照射させた場合(例えば、図16A乃至図16Cに示す場合)であって、ターゲット7より下流側に設置された検出器Dによって検出されたミューオン数を、ターゲット7内部、ターゲット7表面、及びターゲット7周辺で生成された全ミューオン数で除した値と、中空陽子ビームBmの外径半径Rとの関係を示す図である。
図9において、陽子ビームBm1は、外径半径が0mmであることから、中空荷電粒子ビームではなく、実質的にはガウス状の陽子ビームと捉えることができる。図9において、陽子ビームBm1、中空陽子ビームBm2、及び中空陽子ビームBm3は、ターゲット7と同心上に照射されている。なお、中空陽子ビームBm2及びBm3の断面形状は、ターゲット7の断面形状に対応して、一例として略円環状とされている。このようにして、中空陽子ビームBmにおける略円環状のビーム部分を、ターゲット7に対してどのように照射させると、パイオン及びミューオンが効率的に生成されるかを把握することができる。なお、図10A乃至図18においては、ミューオンの生成数を分析することでミューオンの生成効率を分析しているが、前述のとおり、パイオンの寿命は26nsecであるため、ミューオンの生成効率を分析することは実質的にパイオンの生成効率を分析することと同等であると理解されたい。
まず、図10Aに示すように、外径半径0mmである陽子ビームBm1を半径20.0mmの円形断面を有するターゲット7に照射させると、ターゲット7の内部又は表面(図10Aの横軸0mm〜20.0mm)であって、特にターゲット7の中心付近(図10Aの横軸0mm〜10.0mm)でミューオンが生成される。これは、陽子ビームBm1が図10Aに示される方向(図10Aにおいて紙面上から下に向かう方向)からターゲット7に照射されると、ターゲット7の中心軸(図10Aの横軸0mm)付近でパイオンがまず生成され、すぐに(26nsec後)ターゲット7の内部にてパイオンが崩壊してミューオンが生成されたことを示すものである。
図10Aに示すように、ターゲット7の周辺(例えば、図10Aの横軸21mm〜40.0mm)にも、疎らながらミューオンも生成されていることが分かる。これは、陽子ビームBm1がターゲット7に照射されて、ターゲット7の周辺(外側)にパイオンがまず取り出され、すぐに(26nsec後)ターゲット7の周辺にてパイオンが崩壊してミューオンが生成されたことを示すものである。
次に、図10Aにて示すとおり、ターゲット7の内部又は表面、若しくはターゲット7の周辺(外側)にて生成されたミューオンが、ターゲット7の下流側に設置された検出器Dまで搬送される程度について、図10Bを参照しつつ説明する。図10Bに示されるように、ターゲット7の内部で発生したミューオンは、検出器Dでは殆ど検出されない。これは、ターゲット7の内部で生成されたミューオンは、ターゲット7の外側(周辺)へと飛び出すことができず、ターゲット7の内部に留まっているためである。他方、ターゲット7の表面(図10A及び図10Bにおいて横軸20.0mm付近)で生成されたミューオンは、それらの多くが検出器Dにおいても検出される。
また、図10Bに示されるように、ターゲット7の周辺のうち、図10Bにおいて点線で囲まれた領域で生成されたミューオンは、検出器Dにおいても検出される。これは、図10Bにおいて点線で囲まれた領域(以下、「点線領域」という。)においては、集束電磁石8によって形成される第2磁場(3.5テスラ)が形成されており、点線領域にて生成されたミューオンは、第2磁場に巻き付けられることで集束されて、最終的に検出器Dまで第2磁場に沿って搬送されることに起因している。
次に、外径半径10.0mmの中空陽子ビームBm2を半径20.0mmの円形断面を有するターゲット7に照射させた場合について、図11A及び図11Bを参照しつつ説明する。
図11Aに示すように、中空陽子ビームBm2を半径20.0mmの円形断面を有するターゲット7に照射させると、ターゲット7の内部であって中空陽子ビームBm2が照射される付近(図11Aの横軸10.0mm付近)でミューオンが生成される。また、ターゲット7の表面(図11Aの横軸20.0mm付近)においても、ミューオンが生成される。
さらにまた、ターゲット7の周辺(例えば、図11Aの横軸21mm〜40.0mm)にも、疎らながらミューオンも生成されていることが分かる。これは、図10Aにて説明したとおり、中空陽子ビームBm2がターゲット7に照射されて、ターゲット7の周辺(外側)にパイオンがまず取り出され、すぐに(26nsec後)ターゲット7の周辺にてパイオンが崩壊してミューオンが生成されたことを示すものである。但し、図10Aと比較すると、ターゲット7の周辺で生成されるミューオンの生成数は若干少ない。
次に、図11Aにて示したとおりターゲット7の内部又は表面、若しくはターゲット7の周辺にて生成されたミューオンが、ターゲット7の下流側に設置された検出器Dまで搬送される程度について、図11Bを参照しつつ説明する。図11Bに示されるように、ターゲット7の内部で発生したミューオンは、検出器Dでは殆ど検出されない。これは、前述にて図10Bを参照しつつ説明した理由と同様、ターゲット7の内部で生成されたミューオンは、ターゲット7の外側(周辺)へと飛び出すことができず、ターゲット7の内部に留まっているためである。他方、ターゲット7の表面(図11A及び図11Bにおいて横軸20.0mm付近)で生成されたミューオンは、一定程度検出器Dにおいても検出される。
また、図11Bに示されるように、ターゲット7の周辺のうち、図11Bにおける点線領域で生成されたミューオンは、検出器Dにおいても比較的効率的に検出される。これは、前述にて図10Bを参照しつつ説明した理由と同様、図11Bにおける点線領域においては、集束電磁石8によって形成される第2磁場(3.5テスラ)が形成されており、点線領域にて生成されたミューオンは、第2磁場に巻き付けられることで集束されて、最終的に検出器Dまで第2磁場に沿って搬送されることに起因している。
次に、外径半径19.5mmの中空陽子ビームBm3を半径20.0mmの円形断面を有するターゲット7に照射させた場合について、図12A及び図12Bを参照しつつ説明する。
図12Aに示すように、中空陽子ビームBm3を半径20.0mmの円形断面を有するターゲット7に照射させると、ターゲット7の表面付近(図12Aの横軸20.0mm付近)でミューオンが大量に生成される。つまり、図10A及び図11Aと比較しても、中空陽子ビームBm3をターゲット7に照射させた場合に、ターゲット7の表面付近でより多くのミューオンが生成されている。これは、中空陽子ビームBm3がターゲット7の表面付近に直接照射されていることに起因する。
また、ターゲット7の周辺(例えば、図12Aの横軸21mm〜40.0mm)にも、大量のミューオンが生成されていることが分かる。これは、中空陽子ビームBm3がターゲット7の表面付近に直接照射されている関係で、図10A及び図11Aの場合と比較して、ターゲット7の表面付近で生成されたより多くのパイオンがターゲット7の外側(周辺)にまで飛び出した後崩壊した結果、大量のミューオンがターゲット7の周辺で生成されたものと理解できる。
次に、図12Aにて示したとおりターゲット7の内部又は表面、若しくはターゲット7の周辺にて生成されたミューオンが、ターゲット7の下流側に設置された検出器Dまで搬送される程度について、図12Bを参照しつつ説明する。図12Bに示されるように、ターゲット7の表面付近で発生したミューオンは、一定程度検出器Dにて検出される。
また、図12Bに示されるように、ターゲット7の周辺のうち、図12Bにおける点線領域で生成されたミューオンは、検出器Dにおいても比較的効率的に検出される。これは、前述にて図10B及び図11Bを参照しつつ説明した理由と同様、図12Bにおける点線領域においては、集束電磁石8によって形成される第2磁場(3.5テスラ)が形成されており、点線領域にて生成されたミューオンは、第2磁場に巻き付けられることで集束されて、最終的に検出器Dまで第2磁場に沿って搬送されることに起因している。なお、図12Aを参照しつつ説明したとおり、そもそも、中空陽子ビームBm3がターゲット7に照射された場合、ターゲット7の周辺で生成されるミューオンの総数が図10A及び図11Aの場合と比較しても圧倒的に多いため、図12Bの点線領域にて検出されるミューオンの総数も、図10B及び図11Bの場合と比較して当然に多くなる。
以上、図10A乃至図12Bに基づけば、中空陽子ビームBmの少なくとも一部の外縁が、ターゲット7の断面の外縁の一部と略一致するように、ターゲット7の表面付近に照射される場合(例えば、中空陽子ビームBmの全ての外縁がターゲット7の断面の外縁と略一致している、中空陽子ビームBm3を用いる場合)、ミューオン(及びパイオン)を効率的且つ大量に生成することが可能となる。なお、一実施形態に係る二次粒子生成装置1を放射性同位体生成装置1として利用した場合においても、前述と同様の構成とすることにより、例えば、アスタチン等の放射性同位体を効率的且つ大量に生成することができる。
次に、図13を参照しつつ、10個の中空陽子ビームBmをターゲット7に入射したときに、ターゲット7より下流側に設置された検出器Dによって検出されたミューオンの数(生成数)と、中空陽子ビームBmの外径半径Rとの関係について説明する。なお、図13において、R=0とは、陽子ビームがターゲット7に入射された場合を意味する。また、図13に関連して、図14を参照しつつ、ターゲット7より下流側に設置された検出器Dによって検出されたミューオン数をターゲット7内部、ターゲット7表面、及びターゲット7周辺で生成された全ミューオン数で除した値と、中空陽子ビームBmの外径半径R(R=0の場合においては、中空陽子ビームBmではなく陽子ビームである)との関係について説明する。なお、図13及び図14において使用されるターゲット7は、全て20.0mmの外径を有するものとする。
図13に示すように、中空陽子ビームBmの外径半径Rが大きくなるほど、検出器Dで検出されるターゲット7内部又は表面で生成されるミューオンの生成数、及び検出器Dで検出されるターゲット7周辺で生成されるミューオンの生成数は多くなる。つまり、ミューオンの生成は、ターゲット7の表面付近に中空陽子ビームBmを照射させる場合(中空陽子ビームBm3を照射させる場合)が効果的であるといえる。なお、この傾向は、高エネルギーを有するミューオン(>30MeV/c)であっても、低エネルギーを有するミューオン(<30MeV/c)であっても共通である。高エネルギーを有するミューオンとは、一般に、ターゲット7周辺において所定速度で動く動的なパイオンが崩壊することで生成されるミューオンを意味する。他方、低エネルギーを有するミューオンとは、主にターゲット7の内部又は表面にて滞留し実質的に速度0の状態の静的なパイオンが崩壊することで生成されるミューオンを意味する。
また、図14に示すように、中空陽子ビームBmの外径半径Rが大きくなるほど、検出器Dで検出されるミューオンの検出効率(検出器Dで検出されたミューオン数/生成された全ミューオン数)は向上する。つまり、ターゲット7の下流側で収集しうるミューオンの収集効率は、ターゲット7の表面付近に中空陽子ビームBmを照射させる場合(中空陽子ビームBm3を照射させる場合)が効果的であるといえる。
次に、図15を参照しつつ、ターゲット7より下流側に設置された検出器Dによって検出されたものであって、ターゲット7内部又は表面で生成されたミューオン数をターゲット7周辺で生成されたミューオン数で除した値と、中空陽子ビームBmの外径半径R(R=0の場合においては、中空陽子ビームBmではなく陽子ビームである)との関係を説明する。なお、図15においても、使用されるターゲット7は、全て20.0mmの外径を有するものとする。
ところで、パイオンが崩壊すると、ミューオンとニュートリノを同時に生成するとともに、パリティ非保存の原理に基づき、ミューオンは進行方向に対して前向き又は後向きのいずれかの方向にスピンが向く(偏極する)ことが知られている。ここで、動的なパイオンが崩壊する場合には、前向きのスピンを有するミューオンと後向きのスピンを有するミューオンが混在(以下、「低偏極ミューオン」という。)する。他方、ターゲット7内で捕獲反応が起きない静的な正電荷パイオンが崩壊する場合には、後向きのスピンを有する正電荷ミューオンのみが生成される(以下、「高偏極ミューオン」という。)。したがって、生成されるミューオンの使用用途に応じて、高偏極ミューオンのみを収集する、又は低偏極ミューオンのみを収集することも可能である。
ターゲット7内部又は表面で生成されたミューオンは、前述のとおり静的なパイオンが崩壊することに生成されるため、高偏極ミューオンといえる。したがって、高偏極ミューオンの収集効率を向上させるという目的が存在する場合には、図15に示すように、中空陽子ビームBmの外径半径Rを大きくすることで、中空陽子ビームBmをターゲット7の表面付近に直接照射させることが効果的である。
以上、図10A乃至図15を参照しつつ説明したとおり、ミューオンの生成効率及び収集効率、さらに高偏極ミューオンの収集効率の観点から、中空陽子ビームBmをターゲット7の表面付近に直接照射させる(より厳密には、中空陽子ビームBm3のように、中空陽子ビームBmの外縁が、ターゲット7の断面の外縁と略一致するように、ターゲット7に対して中空陽子ビームBmを照射させる)ことが好ましい。
次に、中空陽子ビームBmをターゲット7の表面付近に直接照射させることを前提として、ターゲット7の半径の大きさの最適範囲について、図16A乃至図18を参照しつつ説明する。
図16Aは、ターゲット7の円形断面(半径1.0mm)に対して、陽子ビームBm1(外径半径0mmであり、実質的にはガウス状の陽子ビームである)を照射させた場合であり、図16Bは、ターゲット7の円形断面(半径10.0mm)に対して、中空陽子ビームBm4(外径半径9.0mm)を照射させた場合であり、図16Cは、ターゲット7の円形断面(半径20.0mm)に対して、中空陽子ビームBm5(外径半径19.0mm)を照射させた場合を示す。なお、図17及び図18においては、図16A乃至図16Cの場合に加えて、中空陽子ビームBmの外径半径を様々な値に適宜調整しつつ、ターゲット7の半径の大きさを、対応する中空陽子ビームBmの外径半径Rよりも1.0mm大きくなるように調整した場合を含む。
まず、図17に示すように、10個の中空陽子ビームBmをターゲットに入射したときに、ターゲット7内部又は表面で生成されるミューオン、及びターゲット7周辺(外側)で生成されるミューオンの生成数は、中空陽子ビームBmの外径半径Rが大きくなるほど、つまりターゲット7の半径が大きくなるほど次第に多くなる。
他方、図18に示すように、中空陽子ビームBmの外径半径Rが小さいほど、検出器Dで検出されるミューオンの検出効率(検出器Dで検出されたミューオン数/生成された全ミューオン数)は向上する。つまり、ターゲット7の半径が小さいほど、ターゲット7の下流側で収集しうるミューオンの収集効率は向上する。これは、ターゲット7の半径を小さくするほど、集束電磁石8が形成する第2磁場がターゲット7周辺の領域を隙間なくカバーすることができることに起因する。逆にいえば、ターゲット7の半径を大きくするほど、ターゲット7周辺の領域において、集束電磁石8が形成する第2磁場によって集束しきれない陽子数(荷電粒子数)が増加する。
以上、図17及び図18を考慮すれば、ミューオンの生成数及びターゲット7の下流側におけるミューオンの収集効率を両立するためには、ターゲット7の半径を2mm〜8mmとすることが好ましく、2mm〜4mmとすることが最も好ましい。なお、ターゲット7の半径を8mm以上とする場合には、第2磁場を形成する集束電磁石8の大きさやターゲット7の形状等を適宜調整することで、ミューオンの生成数とミューオンの収集効率を両立させることが可能である。
以上、様々な実施形態を例示したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数等は適宜変更して実施することができる。二次粒子生成装置1、及び放射性同位体生成装置の各部の配置や構成等は、上記実施形態には限定されない。
1 二次粒子生成装置(放射性同位体生成装置)
3 ビーム源
5 加速器
7 ターゲット
8 集束電磁石
10 第1輸送ライン
20 第2輸送ライン
30 4極電磁石
40 偏向電磁石
50 多重極電磁石
Bm、Bm1、Bm2、Bm3、Bm4、Bm5 中空荷電粒子ビーム、中空陽子ビーム
M 所定空間

Claims (14)

  1. ビーム源において生成される荷電粒子ビームを加速して出射する加速器と、
    ターゲットと、
    前記加速器と前記ターゲットとの間であって、前記加速器から出射される前記荷電粒子ビームの進行経路上に少なくとも1つ以上設けられ、6極以上の磁極を有し非線形の磁束密度分布を有する第1磁場を形成する多重極電磁石と、
    を具備し、
    前記多重極電磁石内に、前記荷電粒子ビームを通過させて中空状のビーム強度分布を有する中空荷電粒子ビームを生成し、前記中空荷電粒子ビームを前記ターゲットの断面に照射させて少なくとも二次粒子を生成する、二次粒子生成装置。
  2. 前記ターゲットは、柱状、錘状、及び中空状からなる群から選ばれる少なくとも一の形状を呈する、請求項1に記載の二次粒子生成装置。
  3. 前記中空荷電粒子ビームは、前記中空荷電粒子ビームの少なくとも一部の外縁が、前記ターゲットの前記断面の外縁の一部と略一致するように前記ターゲットに照射される、請求項1又は2に記載の二次粒子生成装置。
  4. 前記中空荷電粒子ビームは、前記ターゲットの断面に対して垂直となる方向から、前記ターゲットに対して同心上に照射される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の二次粒子生成装置。
  5. 前記中空荷電粒子ビームの外径は、前記ターゲットの前記断面の直径よりも小さい、請求項4に記載の二次粒子生成装置。
  6. 前記ターゲットを含む所定空間内に第2磁場を形成して、生成された前記二次粒子を集束させる集束電磁石をさらに含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の二次粒子生成装置。
  7. 前記多重極電磁石は、8極の磁極を有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の二次粒子生成装置。
  8. 前記二次粒子を崩壊させて、前記二次粒子に由来する三次粒子をさらに生成する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の二次粒子生成装置。
  9. 6極以上の磁極を有し非線形の磁束密度分布を有する第1磁場を形成する多重極電磁石内に、加速器から出射される荷電粒子ビームを通過させて、中空状のビーム強度分布を有する中空荷電粒子ビームを生成する工程と、
    前記中空荷電粒子ビームをターゲットの断面に照射させて少なくとも二次粒子を生成する工程と、
    を含む、二次粒子生成方法。
  10. 前記ターゲットは、柱状、錘状、及び中空状からなる群から選ばれる少なくとも一の形状を呈する、請求項9に記載の二次粒子生成方法。
  11. 前記中空荷電粒子ビームは、前記中空荷電粒子ビームの少なくとも一部の外縁が、前記ターゲットの前記断面の外縁の一部と略一致するように、前記ターゲットに照射される、請求項9又は10に記載の二次粒子生成方法。
  12. 前記ターゲットを含む所定空間内に第2磁場を形成して、生成された前記二次粒子を集束電磁石によって集束させる工程をさらに含む、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の二次粒子生成方法。
  13. ビーム源において生成される荷電粒子ビームを加速して出射する加速器と、
    ターゲットと、
    前記加速器と前記ターゲットとの間であって、前記加速器から出射される前記荷電粒子ビームの進行経路上に少なくとも1つ以上設けられ、6極以上の磁極を有し非線形の磁束密度分布を有する第1磁場を形成する多重極電磁石と、
    を具備し、
    前記多重極電磁石内に、前記荷電粒子ビームを通過させて中空状のビーム強度分布を有する中空荷電粒子ビームを生成し、前記中空荷電粒子ビームを前記ターゲットの断面に照射させて放射性同位体を生成する、放射性同位体生成装置。
  14. 6極以上の磁極を有し非線形の磁束密度分布を有する第1磁場を形成する多重極電磁石内に、加速器から出射される荷電粒子ビームを通過させて、中空状のビーム強度分布を有する中空荷電粒子ビームを生成する工程と、
    前記中空荷電粒子ビームをターゲットの断面に照射させて放射性同位体を生成する工程と、
    を含む、放射性同位体生成方法。
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