JP2021172785A - 高分子電解質ゲル製造用のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムとスチレンスルホン酸リチウムが高濃度で溶解した高分子電解質ゲルの製造に極めて有用なメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物、高分子電解質ゲル及びこれらの製造方法を提供する。【解決手段】メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムの水溶液を調製する際に、スチレンスルホン酸リチウムを共存させ、メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムの溶解度を増大させることによって製造されるメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムとスチレンスルホン酸リチウムが高濃度で溶解したメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物、当該水溶液組成物を重合させて得た高分子電解質ゲル及びこれらの製造方法を用いる。【選択図】なし
Description
本発明は高濃度でメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムとスチレンスルホン酸リチウムが溶解した高分子電解質ゲル製造用のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物に関する。
分子内に複数のラジカル重合性不飽和基を有するモノマー(以下、架橋性モノマーと言うことがある。)、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、フェニレンビスマレイミド、ジビニルベンゼン、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−トリメチレンビス〔2−(ビニルスルホニル)アセタミド〕、エチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテルなどは、架橋剤、コーティング材、接着剤、ポリマー改質剤、皮革処理剤、繊維処理剤、歯科材料、光学材料、感光性樹脂、分離膜や、例えば、イオン交換膜、イオン交換樹脂、燃料電池膜、電池セパレータ、ハイドロゲル等の高分子電解質ゲルなど、幅広い産業用途で利用されている。
これらの内、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−トリメチレンビス〔2−(ビニルスルホニル)アセタミド〕は工業的に入手可能な数少ない水溶性モノマーである。しかしながら、これらの水溶性は必ずしも十分ではなく、さらに酸やアルカリで加水分解され易いという課題がある。
これらの内、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−トリメチレンビス〔2−(ビニルスルホニル)アセタミド〕は工業的に入手可能な数少ない水溶性モノマーである。しかしながら、これらの水溶性は必ずしも十分ではなく、さらに酸やアルカリで加水分解され易いという課題がある。
そこで、親水性が強いイオン性基を有する架橋性モノマーのニーズがある(例えば、特許文献1〜5など参照)。中でもジビニルベンゼンスルホン酸(以下、DVBSと言うことがある。)はエステル基やアミド基を含まないため、耐加水分解性に優れることから、特にアルカリ電池用ハイドロゲルやスチレンスルホン酸をベースとした高分子電解質膜を製造する際の水溶性架橋剤として期待されている。
ジビニルベンゼンスルホン酸には、芳香環の二つのビニル基の結合位置により複数の異性体が存在するが、特に下記左側のメタ体(m(メタ)−ジビニルベンゼンスルホン酸、以下、m−DVBSと略記することがある。)と下記右側のパラ体(p(パラ)−ジビニルベンゼンスルホン酸、以下、p−DVBSと略記することがある。)が知られている。この内、水溶性が高いのはパラ体と考えられる。
特許文献2に記載の方法では、(i)工業的に入手困難な化合物(1)からの化合物(2)の合成、(ii)化合物(3)の合成、(iii)化合物(4)の合成および、(iv)例示化合物(M−1)の合成というように、多くの工程を経て合成する方法であり、実用性の観点では煩雑であるため、効率的ではない。
またこの方法では、水溶性が高いと考えられるp−DVBSを高純度且つ高回収率で取り上げることは難しいと考えられる。
またこの方法では、水溶性が高いと考えられるp−DVBSを高純度且つ高回収率で取り上げることは難しいと考えられる。
また特許文献2の段落0005には、イオン交換膜の主要性能である、透水率、電気抵抗、イオン選択透過性の高低は、膜のイオン交換容量、架橋密度、空孔サイズに大きく支配されている、として、重合物であるイオン交換膜の主要性能は架橋密度、空孔サイズなどの支配を受けることが記載されている。
その上で、重合性基が1つであるイオン性モノマーと、重合性基を2つ以上有し、架橋が可能な架橋性モノマーを含む硬化性組成物を重合硬化させる際、この硬化性組成物からなる塗布液の溶液濃度が高いほど、空孔サイズが低減し、イオン交換膜性能が良化することが明らかにされてきた、との記載がある。
これらのことから、比較的水溶性が低く重合性基を2つ有するメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムと、重合性基が1つであるイオン性モノマーであるスチレンスルホン酸リチウムとを重合させて、高分子電解質ゲルを製造するには、原料モノマーであるメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムとスチレンスルホン酸リチウムの濃度をいかに高めて重合させるかが重要であることが示されていると考えられる。
その上で、重合性基が1つであるイオン性モノマーと、重合性基を2つ以上有し、架橋が可能な架橋性モノマーを含む硬化性組成物を重合硬化させる際、この硬化性組成物からなる塗布液の溶液濃度が高いほど、空孔サイズが低減し、イオン交換膜性能が良化することが明らかにされてきた、との記載がある。
これらのことから、比較的水溶性が低く重合性基を2つ有するメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムと、重合性基が1つであるイオン性モノマーであるスチレンスルホン酸リチウムとを重合させて、高分子電解質ゲルを製造するには、原料モノマーであるメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムとスチレンスルホン酸リチウムの濃度をいかに高めて重合させるかが重要であることが示されていると考えられる。
特許文献3の方法では、ジビニルベンゼン(通常、パラ体とメタ体の混合物)から簡便且つ高効率でパラビスハロエチル体を製造することが記載されている。しかしながら、特許文献2と同様、水溶性が高く晶析し難いp−DVBSを、高純度且つ高回収率で取り上げることは難しいと考えられる。
後述したように特許文献3で実質的に製造できるのは、水溶性が劣り晶析し易いm−DVBSである。即ち、m−DVBSは工業的に入手可能ではあるが、肝心の水溶性が足りないという課題があった。
後述したように特許文献3で実質的に製造できるのは、水溶性が劣り晶析し易いm−DVBSである。即ち、m−DVBSは工業的に入手可能ではあるが、肝心の水溶性が足りないという課題があった。
また、特許文献5は、水と、ポリアクリル酸系重合体と、高分子マトリックスとを含むハイドロゲルであって、アルカリ電池用ハイドロゲル、ゲル状電解質及びそれを用いた電池に関する発明である。この中で、明細書段落0035〜0041の実施例1〜13には、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DVBS)及びポリアクリル酸を含む溶液を重合してハイドロゲルを調製したとの記載がある。
この中で、モノマーの仕込み量としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が15〜20重量部、ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムが0.3重量部として重合することで、ポリアクリル酸が複合化され、かつジビニルベンゼンスルホン酸で架橋された2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のハイドロゲルを得ている。
しかしながら、特許文献5ではジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムが0.3重量部と少量しか用いておらず、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(モノマー)の重合に際しての架橋剤として使用しているにすぎない。すなわち、ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムの溶解度を積極的に高める目的では2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(モノマー)を使用しておらず、その課題(段落0004)に認められるように、高分子マトリックスの骨格に強電離の官能基(例えば、スルホン基)を一定量導入することで、高濃度の水系電解液環境下での保水性の低下に伴うハイドロゲルの硬化を抑制することを試みるに過ぎない。
この中で、モノマーの仕込み量としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が15〜20重量部、ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムが0.3重量部として重合することで、ポリアクリル酸が複合化され、かつジビニルベンゼンスルホン酸で架橋された2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のハイドロゲルを得ている。
しかしながら、特許文献5ではジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムが0.3重量部と少量しか用いておらず、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(モノマー)の重合に際しての架橋剤として使用しているにすぎない。すなわち、ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムの溶解度を積極的に高める目的では2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(モノマー)を使用しておらず、その課題(段落0004)に認められるように、高分子マトリックスの骨格に強電離の官能基(例えば、スルホン基)を一定量導入することで、高濃度の水系電解液環境下での保水性の低下に伴うハイドロゲルの硬化を抑制することを試みるに過ぎない。
さらに特許文献5では、その実施例(段落0029)において膨潤度の測定方法を示し、実施例、比較例における膨潤度を測定している。すなわち、ハイドロゲルを幅5mm×長さ5mm×2mm厚に切って計量した後、ポリエチレン製ティーバッグにハイドロゲルを入れ、膨潤前後の重量差を基に膨潤度を算出している。
その結果、表1〜表3(段落0045〜0047)には、実施例1〜13について膨潤度は102%〜255.3%であると記載されている。またハイドロゲルの組成(構成)として、全100重量部中、モノマーである2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸は15〜20重量部、モノマーであるジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムは0.3重量部、他にポリアクリル酸単独または共重合体を2重量部〜10重量部を使用している。すなわちハイドロゲル中のモノマーとしては、15.3重量部〜20.3重量部の範囲で重合されて、ハイドロゲルが製造されている。
このように、特許文献5では重合物構成中、モノマー由来成分の含量が全100重量部中、15.3重量部〜20.3重量部の範囲であるところ、一般に、より均一性が高く架橋効率が高い(膨潤度が低い)ハイドロゲルを製造するためには、重合用モノマー成分含量をできるだけ高くする必要がある。
その結果、表1〜表3(段落0045〜0047)には、実施例1〜13について膨潤度は102%〜255.3%であると記載されている。またハイドロゲルの組成(構成)として、全100重量部中、モノマーである2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸は15〜20重量部、モノマーであるジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムは0.3重量部、他にポリアクリル酸単独または共重合体を2重量部〜10重量部を使用している。すなわちハイドロゲル中のモノマーとしては、15.3重量部〜20.3重量部の範囲で重合されて、ハイドロゲルが製造されている。
このように、特許文献5では重合物構成中、モノマー由来成分の含量が全100重量部中、15.3重量部〜20.3重量部の範囲であるところ、一般に、より均一性が高く架橋効率が高い(膨潤度が低い)ハイドロゲルを製造するためには、重合用モノマー成分含量をできるだけ高くする必要がある。
そこで、水溶性が劣るm−DVBSの水への溶解度を高める方法、あるいはm−DVBSが高濃度で溶解した高分子電解質ゲル製造用の水溶性組成物が強く求められていた。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高濃度でジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムとスチレンスルホン酸リチウムが溶解した高分子電解質ゲル製造用のジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムの水溶液を調製する際に、スチレンスルホン酸リチウムを共存させることにより、スチレンスルホン酸リチウムが高濃度で溶解しているにも関わらずメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムの溶解度が増大することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の発明に係る。
[1]メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムとスチレンスルホン酸リチウムの含量が合計で27.0重量%〜50.0重量%、メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムとスチレンスルホン酸リチウムの総和に対するメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムの重量比が5.00〜21.0の均一水溶液となる高分子電解質ゲル製造用のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物。
[2]40℃〜60℃の範囲で均一水溶液となる[1]に記載の高分子電解質ゲル製造用のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物。
[3]メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びスチレンスルホン酸リチウムを有する組成物であって、メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム単独での溶解度を超える含量のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物。
[4]メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液を調製する際に、スチレンスルホン酸リチウムを共存させることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の高分子電解質ゲル製造用のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物の製造方法。
[5][1]〜[3]のいずれかに記載のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物を重合してなる高分子電解質ゲル。
[6][1]〜[3]のいずれかに記載のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物と添加剤とからなる組成物を重合してなる高分子電解質ゲル。
[7][1]〜[3]のいずれかに記載のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物を重合する、高分子電解質ゲルの製造方法。
[8][1]又は[2]に記載のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物と添加剤からなる組成物を重合する、高分子電解質ゲルの製造方法。
[1]メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムとスチレンスルホン酸リチウムの含量が合計で27.0重量%〜50.0重量%、メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムとスチレンスルホン酸リチウムの総和に対するメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムの重量比が5.00〜21.0の均一水溶液となる高分子電解質ゲル製造用のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物。
[2]40℃〜60℃の範囲で均一水溶液となる[1]に記載の高分子電解質ゲル製造用のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物。
[3]メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びスチレンスルホン酸リチウムを有する組成物であって、メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム単独での溶解度を超える含量のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物。
[4]メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液を調製する際に、スチレンスルホン酸リチウムを共存させることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の高分子電解質ゲル製造用のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物の製造方法。
[5][1]〜[3]のいずれかに記載のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物を重合してなる高分子電解質ゲル。
[6][1]〜[3]のいずれかに記載のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物と添加剤とからなる組成物を重合してなる高分子電解質ゲル。
[7][1]〜[3]のいずれかに記載のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物を重合する、高分子電解質ゲルの製造方法。
[8][1]又は[2]に記載のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物と添加剤からなる組成物を重合する、高分子電解質ゲルの製造方法。
本発明の高濃度でメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムとスチレンスルホン酸リチウムが溶解可能なメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物は、耐加水分解性に優れるイオン性架橋剤が高濃度で溶解している。このため、高架橋密度と高イオン交換容量を兼ね備えたスチレンスルホン酸ベースの高分子電解質ゲルを、有機溶剤を使用することなく効率良く製造することができ、産業上極めて有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物>
本発明は、メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム(m−DVBS)とスチレンスルホン酸リチウム(LiSS)の含量が合計で27.0重量%〜50.0重量%、メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムとスチレンスルホン酸リチウムの総和に対するメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムの重量比が5.00〜21.0の均一水溶液となる高分子電解質ゲル製造用のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物に係る。さらに40℃〜60℃において均一水溶液となるメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物であることが好ましい。
本発明は、メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム(m−DVBS)とスチレンスルホン酸リチウム(LiSS)の含量が合計で27.0重量%〜50.0重量%、メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムとスチレンスルホン酸リチウムの総和に対するメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムの重量比が5.00〜21.0の均一水溶液となる高分子電解質ゲル製造用のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物に係る。さらに40℃〜60℃において均一水溶液となるメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物であることが好ましい。
すなわち本発明は、水に対する溶解度が比較的低いm−DVBSにLiSSを共存させることにより、溶解度が増大することを見出したことによる。例えば後述する実施例に示すように、種々の濃度のスチレンスルホン酸リチウム共存下で、m−DVBSの水に対する50℃での溶解度を測定した。その結果、表1に示したように、スチレンスルホン酸リチウムの共存によってm−DVBSの溶解度が増大した。
その結果として、m−DVBSとLiSSの含量が、水や添加物等のその他成分も加えたm−DVBS水溶液組成物の合計量に対し、27.0重量%〜50.0重量%の含量であることが好ましく、さらに好ましくは37.0〜50.0重量%である。このような含量となることで、例えばこの組成物を重合して、膨潤度が低い高分子電解質ゲルを効率的に製造することができる。
また後述の図1、図2、表1、表2に示す通り、m−DVBSの水に対する溶解度は温度に依存して変動する。このため、上記のm−DVBS水溶液組成物の合計量に対するm−DVBSとLiSSの含量は、30℃〜60℃、好ましくは40℃〜60℃における含量である。
その結果として、m−DVBSとLiSSの含量が、水や添加物等のその他成分も加えたm−DVBS水溶液組成物の合計量に対し、27.0重量%〜50.0重量%の含量であることが好ましく、さらに好ましくは37.0〜50.0重量%である。このような含量となることで、例えばこの組成物を重合して、膨潤度が低い高分子電解質ゲルを効率的に製造することができる。
また後述の図1、図2、表1、表2に示す通り、m−DVBSの水に対する溶解度は温度に依存して変動する。このため、上記のm−DVBS水溶液組成物の合計量に対するm−DVBSとLiSSの含量は、30℃〜60℃、好ましくは40℃〜60℃における含量である。
本発明はm−DVBSとLiSSを含むm−DVBS水溶液組成物であり、m−DVBS、LiSS及び水を含む水溶液組成物である。さらにこれら以外の成分としてはその目的により異なるため種々の成分が考えられ一義的に決められないが、その組成物を重合し高分子電解質ゲルを製造することができる。その場合、後述する重合開始剤、連鎖移動剤、高分子バインダー、増粘剤などを添加剤として加えることができ、特に重合する際には重合開始剤、連鎖移動剤が好ましく用いられる。
また本発明は、40℃〜60℃の範囲で均一水溶液となる上記の高分子電解質ゲル製造用のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物に係る。
すなわち本発明はm−DVBSとLiSSを含むm−DVBS水溶液組成物であるところ、特に高分子電解質ゲル製造用として、均一水溶液とした上で重合開始剤や連鎖移動剤の添加物を加えて重合させることができる。
すなわち本発明はm−DVBSとLiSSを含むm−DVBS水溶液組成物であるところ、特に高分子電解質ゲル製造用として、均一水溶液とした上で重合開始剤や連鎖移動剤の添加物を加えて重合させることができる。
さらに本発明は、メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びスチレンスルホン酸リチウムを有する組成物であって、メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム単独での溶解度を超える含量のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物に係る。
すなわち本発明はm−DVBSとLiSSを含むm−DVBS水溶液組成物であるところ、特にLiSSを加えることでm−DVBSの水に対する溶解度を増加させることができる。高分子電解質ゲル製造用として、均一水溶液とした上で重合開始剤や連鎖移動剤の添加物を加えて重合させることができる。
すなわち本発明はm−DVBSとLiSSを含むm−DVBS水溶液組成物であるところ、特にLiSSを加えることでm−DVBSの水に対する溶解度を増加させることができる。高分子電解質ゲル製造用として、均一水溶液とした上で重合開始剤や連鎖移動剤の添加物を加えて重合させることができる。
以上の通り、本発明は高濃度でメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム(m−DVBS)とスチレンスルホン酸リチウム(LiSS)が溶解可能な高分子電解質ゲル製造用のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物に関する。以下では、本発明のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物の構成材料、すなわち原料の面から説明する。
ジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DVBS)には複数の異性体が存在するが、特にメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム(m−DVBS)、パラジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム(以下、p−DVBSと略記することがあり、m−DVBSとp−DVBSを合わせてDVBSと略記することがある。)が知られている。例えば、特許文献2としての特開2016−33204号公報および特許文献3としての特開2017−36247号公報を参照されたい。
DVBSは強電解質であるスルホン酸基を含むため、高い水溶性が予想される。しかしながらその予想に反してDVBSの水への溶解度は低い。例えば、DVBSの類似化合物であるパラスチレンスルホン酸ナトリウム(NaSS)の溶解度は、常温で約19wt%(重量%、以下同じ。)、50℃で約29wt%程度である。これに対し、m−DVBSの水への溶解度はNaSSよりも低く、常温で約9wt%、50℃で約16wt%程度でしかない。
一方、後述するように、p−DVBSの水溶性はm−DVBSより高いと考えられるが、工業的に入手するのが難しいため、p−DVBSの水に対する溶解度は不明である。従って、有機溶媒を使用することなく、水を使用してスチレンスルホン酸ベースの高分子電解質ゲルを製造する際には、p−DVBSよりも工業的に入手可能なm−DVBSを架橋剤として用いることが好ましい。しかしながらm−DVBSを架橋剤として用いる場合、上記の通り、m−DVBSの水への溶解度が低いため、強度や形状安定性の面で有利となる高架橋密度と高イオン交換容量とを両立させることは難しくなるという課題がある。
そこで本発明者らが鋭意検討した結果、m−DVBSの水溶液を調製する際に、スチレンスルホン酸リチウムを共存させることによって、m−DVBSの溶解度が著しく増大することを見出し、本発明に至ったものである。m−DVBSの水への溶解度を高める化合物としては、高分子電解質の代表的な原料モノマーであるスチレンスルホン酸リチウムやスチレンスルホン酸アミンが耐加水分解性及び強酸性度の点で好適だが、メタクリル酸リチウム、アクリル酸リチウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸リチウム、ビニルスルホン酸リチウムなど水溶性アニオン性モノマーのリチウム塩やアミン塩、アンモニウム塩によってもm−DVBSの溶解度を増大させることが出来る。
まず、撹拌機、冷却管を取付けた反応器にビス(2−ハロエチル)ベンゼンスルホン酸水溶液とラジカル重合禁止剤を仕込み、十分脱酸素し、所定温度まで昇温した後、アルカリ水溶液を連続的に滴下し、ビニル化反応(脱ハロゲン化アルカリ)することにより、ジビニルベンゼンスルホン酸またはその塩を製造することができる。あるいは、反応器にアルカリ水溶液と重合禁止剤を仕込み、十分脱酸素し、所定温度まで昇温した後、ビス(2−ハロエチル)ベンゼンスルホン酸水溶液を連続的に滴下しながらビニル化反応しても良い。また、反応器に重合禁止剤とアルカリ水溶液の一部を仕込み、十分脱酸素し、所定温度まで昇温した後、ビス(2−ハロエチル)ベンゼンスルホン酸水溶液と残りのアルカリ水溶液を連続的に滴下しながらビニル化反応しても良い。
これらの条件によって、ジビニルベンゼンスルホン酸又はその塩の結晶形状を制御できる。ここで生成するジビニルベンゼンスルホン酸は異性体の混合物であり、その組成は前駆体であるビス(2−ハロエチル)ベンゼンスルホン酸の組成で決まる。さらに、ビス(2−ハロエチル)ベンゼンスルホン酸の組成は、前駆体であるビス(2−ハロエチル)ベンゼン及びその前駆体であるジビニルベンゼンの組成で決まるが、工業的に入手可能なジビニルベンゼンはパラ及びメタ体の混合物である。
これらの条件によって、ジビニルベンゼンスルホン酸又はその塩の結晶形状を制御できる。ここで生成するジビニルベンゼンスルホン酸は異性体の混合物であり、その組成は前駆体であるビス(2−ハロエチル)ベンゼンスルホン酸の組成で決まる。さらに、ビス(2−ハロエチル)ベンゼンスルホン酸の組成は、前駆体であるビス(2−ハロエチル)ベンゼン及びその前駆体であるジビニルベンゼンの組成で決まるが、工業的に入手可能なジビニルベンゼンはパラ及びメタ体の混合物である。
反応晶析時に使用されることがある重合禁止剤は特に限定されるものではなく、水溶性タイプを好適に用いることができる。例えば、亜硝酸アルカリ金属塩、ハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、アントラキノンスルホン酸塩、アンモニウムニトロソフェニルヒドロキシルアミン、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、2−t−ブチルハイドロキノン、4−t−ブチルカテコールなどがあげられる。重合禁止剤の添加量は、ジビニルベンゼンスルホン酸又はその塩に対して10ppm〜1wt%である。
アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、トリエチルアミン、ヒドロキシエチルアミンなどがあげられるが、晶析性を考慮すると水酸化ナトリウムが好ましい。
アルカリの添加量は、余剰スルホン化剤由来の酸分を考慮すると、ビス(2−ハロエチル)ベンゼンスルホン酸に対して2.0当量〜10.0当量であり、ジビニルベンゼンスルホン酸又はその塩の純度の観点から、好ましくは2.0当量〜4.0当量である。
反応温度は20℃〜120℃であり、重合抑制の観点から、好ましくは50℃〜100℃である。反応時間は1時間〜10時間であり、重合抑制の観点から、好ましくは1時間〜5時間である。
アルカリの添加量は、余剰スルホン化剤由来の酸分を考慮すると、ビス(2−ハロエチル)ベンゼンスルホン酸に対して2.0当量〜10.0当量であり、ジビニルベンゼンスルホン酸又はその塩の純度の観点から、好ましくは2.0当量〜4.0当量である。
反応温度は20℃〜120℃であり、重合抑制の観点から、好ましくは50℃〜100℃である。反応時間は1時間〜10時間であり、重合抑制の観点から、好ましくは1時間〜5時間である。
上記した製造方法において、ビニル化反応、反応液の冷却及びビニル化反応に伴って副生するハロゲン化アルカリ金属の塩析効果によってジビニルベンゼンスルホン酸塩が析出(反応晶析)し、スラリー化する。ここで、ジビニルベンゼンスルホン酸塩は複数の異性体を含むが、水溶性が低いm−DVBSが優先的に析出する。このスラリーを遠心濾過等の方法により濾過すると、m−DVBSの含水塩を得ることができる。
その後、真空乾燥等によりさらに水分を削減しても良い。さらに、m−DVBSに含まれる無機塩や有機不純物を取り除くため、水、水及び水溶性溶剤混合溶媒等を用いて再結晶精製やリパルプ精製しても良い。
水溶性溶剤は特に限定されるものではないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等があげられる。精製する場合、DVBSの重合を抑制するため、重合禁止剤を10ppm〜1wt%添加した方が良い。上記操作において、水溶性が高いp−DVBSの殆どは、高濃度のハロゲン化アルカリ金属と共に濾液として排出される。濾液からのp−DVBSの単離は、冷却、抽出、膜分離などの方法により不可能ではないが、実用レベルでの取上げは難しいと思われる。
その後、真空乾燥等によりさらに水分を削減しても良い。さらに、m−DVBSに含まれる無機塩や有機不純物を取り除くため、水、水及び水溶性溶剤混合溶媒等を用いて再結晶精製やリパルプ精製しても良い。
水溶性溶剤は特に限定されるものではないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、ブタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等があげられる。精製する場合、DVBSの重合を抑制するため、重合禁止剤を10ppm〜1wt%添加した方が良い。上記操作において、水溶性が高いp−DVBSの殆どは、高濃度のハロゲン化アルカリ金属と共に濾液として排出される。濾液からのp−DVBSの単離は、冷却、抽出、膜分離などの方法により不可能ではないが、実用レベルでの取上げは難しいと思われる。
上記したように、工業的に入手可能なジビニルベンゼンスルホン酸塩はメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム(m−DVBS)であり、m−DVBSは耐加水分解性と重合性が優れた架橋性モノマーだが、水への溶解度が低い課題があった。
そこで本発明者らがm−DVBS水溶液の調製方法を検討した結果、m−DVBSの水溶液を調製する際に、スチレンスルホン酸リチウムを共存させることにより、スチレンスルホン酸リチウムが高濃度で溶解しているにも関わらずm−DVBSの溶解度が増大することを見出した。
そこで本発明者らがm−DVBS水溶液の調製方法を検討した結果、m−DVBSの水溶液を調製する際に、スチレンスルホン酸リチウムを共存させることにより、スチレンスルホン酸リチウムが高濃度で溶解しているにも関わらずm−DVBSの溶解度が増大することを見出した。
本発明は、メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液を調製する際に、スチレンスルホン酸リチウムを共存させる、上記の高分子電解質ゲル製造用のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物の製造方法に係る。
すなわち本発明では、m−DVBS、LiSS及び水、必要に応じて添加剤を容器に採取し、30℃〜60℃の範囲の温度、好ましくは所定の目的に応じた温度に加温する。必要に応じて内容物を溶解させ、均一水溶液とするために公知の方法による撹拌操作を行ってもよい。その後静置し、沈殿物などが存在する場合には、遠心分離、ろ紙、グラスフィルター等により沈殿物を水溶液と分離する手段を施して均一水溶液とすることができる。
すなわち本発明では、m−DVBS、LiSS及び水、必要に応じて添加剤を容器に採取し、30℃〜60℃の範囲の温度、好ましくは所定の目的に応じた温度に加温する。必要に応じて内容物を溶解させ、均一水溶液とするために公知の方法による撹拌操作を行ってもよい。その後静置し、沈殿物などが存在する場合には、遠心分離、ろ紙、グラスフィルター等により沈殿物を水溶液と分離する手段を施して均一水溶液とすることができる。
上記したLiSSとの共存により、m−DVBSの水に対する溶解度が増大した理由は必ずしも定かではないが、スチレンスルホン酸ナトリウムや塩化リチウムでは同様の効果は見られず、寧ろm−DVBSの溶解度は低下したことから、スチレンスルホン酸リチウムによる可溶化やナトリウムとリチウムの交換によるものと考えられる。本発明のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムとスチレンスルホン酸リチウムが高濃度で溶解したメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物の製造法としては、例えば、40℃あるいは50℃で均一水溶液となる組成(後述する実施例に記載した図1、図2で示される三角図参照のこと)で各モノマーと水を採取し、所定温度で溶解すれば良い。あるいは飽和溶解度以上で各モノマーを水に投入し、所定温度で撹拌、濾過しても良い。
<高分子電解質ゲル>
本発明は、上記のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物を重合してなる高分子電解質ゲルに係る。また本発明は、上記のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物と添加剤とからなる組成物を重合してなる高分子電解質ゲルに係る。ここで、本発明の高分子電解質ゲルは、スチレンスルホン酸リチウムと架橋剤としてのメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムとを重合して得られる重合物であり、詳しい構造を記載することは困難であるとともに、却って複雑となるため実際的ではなく、重合用材料を重合するという製造方法を示すことで説明する方が実際的である。
従って、高分子電解質ゲルはその構成要素として、メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムによる要素(以下の式(1))とスチレンスルホン酸リチウムによる要素(以下の式(2))を有する。
本発明は、上記のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物を重合してなる高分子電解質ゲルに係る。また本発明は、上記のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物と添加剤とからなる組成物を重合してなる高分子電解質ゲルに係る。ここで、本発明の高分子電解質ゲルは、スチレンスルホン酸リチウムと架橋剤としてのメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムとを重合して得られる重合物であり、詳しい構造を記載することは困難であるとともに、却って複雑となるため実際的ではなく、重合用材料を重合するという製造方法を示すことで説明する方が実際的である。
従って、高分子電解質ゲルはその構成要素として、メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムによる要素(以下の式(1))とスチレンスルホン酸リチウムによる要素(以下の式(2))を有する。
また本発明は、上記のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物を重合する、高分子電解質ゲルの製造方法に係る。また本発明は、上記のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物と添加剤からなる組成物を重合する、高分子電解質ゲルの製造方法に係る。
上記のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物において記載した通り、メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物に重合開始剤を加えて重合し、さらに必要に応じて連鎖移動剤、高分子バインダー、増粘剤などを添加し、重合して、高分子電解質ゲルが得られる。
上記のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物において記載した通り、メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物に重合開始剤を加えて重合し、さらに必要に応じて連鎖移動剤、高分子バインダー、増粘剤などを添加し、重合して、高分子電解質ゲルが得られる。
重合開始剤としては、例えば4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェートジハイドレート、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]}ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、過硫酸塩などの熱重合開始剤、又はアルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、オキシムエステル化合物などの光重合開始剤、光重合開始剤及び光増感剤などが挙げられ、連鎖移動剤としては、例えば、チオグリセロールやメルカプトエタノールに代表されるチオール化合物が挙げられ、高分子バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシルメチルセルロース、ポリアルキレンオキサイドなどの水溶性高分子が挙げられ、増粘剤としては、ポリアクリル酸ナトリウム、疎水基で変性されたポリアルキレンオキサイド(会合性)、多糖類などの水溶性高分子が挙げられる。
すなわち本発明では、m−DVBS、LiSS、水及び重合開始剤、必要に応じて添加剤を減圧可能な容器に採取し、常温等の温度で振蕩して内容物を溶解し、均一化する。その後、アスピレーター等の吸引手段により吸引して容器内を減圧し、これに窒素等の不活性ガスを導入して容器内の雰囲気を不活性ガスに置換する。このような操作を1回または2回以上を繰り返して系内を脱気し不活性ガスに置換する。
その後、不活性ガス雰囲気下、30℃〜50℃の範囲の温度、例えば40℃温浴に浸漬し、振蕩して溶解を確認した後、温浴を高温側、例えば60℃に昇温し、温浴が60℃に到達してから所定時間、例えば20分〜24時間加熱を継続し重合させることができる。
その後、不活性ガス雰囲気下、30℃〜50℃の範囲の温度、例えば40℃温浴に浸漬し、振蕩して溶解を確認した後、温浴を高温側、例えば60℃に昇温し、温浴が60℃に到達してから所定時間、例えば20分〜24時間加熱を継続し重合させることができる。
上記したメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物と添加剤からなる組成物を、油性媒体に懸濁して重合したり、フィルムや基板表面に塗布して重合したり、不織布に含侵させて重合したり、あるいはフィルムや型枠に挟んで重合することにより、高分子電解質ゲルの粒子や(塗布)膜を製造することが出来る。
本発明の水溶液組成物は高濃度でm−DVBS及びスチレンスルホン酸リチウムを溶解させることができるため、高架橋密度と高イオン交換容量を兼ね備えた高分子電解質ゲルを効率良く製造することができる。また、本発明のジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物は高濃度化が可能なため、高分子電解質膜の製造においては空孔サイズの低減も期待できる。
本発明の水溶液組成物は高濃度でm−DVBS及びスチレンスルホン酸リチウムを溶解させることができるため、高架橋密度と高イオン交換容量を兼ね備えた高分子電解質ゲルを効率良く製造することができる。また、本発明のジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物は高濃度化が可能なため、高分子電解質膜の製造においては空孔サイズの低減も期待できる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何らの制限を受けるものではない。
<使用薬剤>
NaSS:パラスチレンスルホン酸ナトリウム(東ソー・ファインケム株式会社製、純度87.9%)
LiSS:パラスチレンスルホン酸リチウム(東ソー・ファインケム株式会社製、純度86.4%)
m−DVBS:メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム(東ソー・ファインケム株式会社製、純度88.0%)
LiCl:塩化リチウム(富士フイルム和光純薬株式会社製、純度98%)
TGL:3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(東京化成工業株式会社製、純度98%)
V−50:2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド(富士フイルム和光純薬株式会社製)
NaSS:パラスチレンスルホン酸ナトリウム(東ソー・ファインケム株式会社製、純度87.9%)
LiSS:パラスチレンスルホン酸リチウム(東ソー・ファインケム株式会社製、純度86.4%)
m−DVBS:メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム(東ソー・ファインケム株式会社製、純度88.0%)
LiCl:塩化リチウム(富士フイルム和光純薬株式会社製、純度98%)
TGL:3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(東京化成工業株式会社製、純度98%)
V−50:2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド(富士フイルム和光純薬株式会社製)
<溶解度の測定>
ガラスフラスコに薬剤、イオン交換水を採取し、密閉した後、比較例1〜3と実施例1〜3では50℃にて、比較例4〜6と実施例4〜7では40℃の温浴で加温しながら、磁気撹拌子で10分間撹拌した。その後撹拌を止め、各温度で10分静置した。
55℃オーブンで加温した0.45μmフィルターカートリッジ付きガラスシリンジで上澄みを素早く採取し、上澄み中のモノマー濃度を高速液体クロマトグラフィー(HLC)で分析した。測定条件は以下の通りである。濃度既知のモノマー溶液を用いて作成した絶対検量線から、試験液のモノマー濃度を算出した。
・機種:東ソー株式会社製 HLC−8320
・カラム:TSK ガードカラムAW−H/TSK AW6000/TSK AW3000/TSK AW2500
・溶離液:硫酸ナトリウム水溶液(0.2M)/アセトニトリル=65/35体積比
・検出器:UV検出器(波長230nm)
・カラム温度:40℃
・流速:0.6ml/min
・注入量:10μl
ガラスフラスコに薬剤、イオン交換水を採取し、密閉した後、比較例1〜3と実施例1〜3では50℃にて、比較例4〜6と実施例4〜7では40℃の温浴で加温しながら、磁気撹拌子で10分間撹拌した。その後撹拌を止め、各温度で10分静置した。
55℃オーブンで加温した0.45μmフィルターカートリッジ付きガラスシリンジで上澄みを素早く採取し、上澄み中のモノマー濃度を高速液体クロマトグラフィー(HLC)で分析した。測定条件は以下の通りである。濃度既知のモノマー溶液を用いて作成した絶対検量線から、試験液のモノマー濃度を算出した。
・機種:東ソー株式会社製 HLC−8320
・カラム:TSK ガードカラムAW−H/TSK AW6000/TSK AW3000/TSK AW2500
・溶離液:硫酸ナトリウム水溶液(0.2M)/アセトニトリル=65/35体積比
・検出器:UV検出器(波長230nm)
・カラム温度:40℃
・流速:0.6ml/min
・注入量:10μl
<重合転化率の測定>
実施例8〜9と比較例7において、以下の方法により重合物の重合転化率を測定した。
すなわち、所定のモノマー組成をベースとして、スチレンスルホン酸ナトリウム(NaSS)及び/又はスチレンスルホン酸リチウム(LiSS)、m−DVBS、イオン交換水及びV−50を採取し、常温で振蕩後、アスピレーター吸引及び窒素導入を5回繰り返して系内を脱気した。窒素雰囲気下、40℃温浴に浸漬し、振蕩して溶解を確認した後、温浴を60℃に昇温し、温浴が60℃に達してから30分間加熱を続けて重合物を得た。
重合物を1Lのイオン交換水に24時間浸漬して洗浄後、再びテフロン(登録商標)メッシュで回収し、100℃で12時間真空乾燥した。仕込みモノマー純分と乾燥重合物の重量から重合転化率を算出した。
<膨潤度の測定>
実施例8〜9と比較例7において、以下の方法により重合後の高分子電解質ゲルの膨潤度を測定した。
すなわち、所定のモノマー組成をベースに重合して得た重合物を、1Lのイオン交換水に24時間浸漬して洗浄後、再びテフロン(登録商標)メッシュで回収し、100℃で12時間真空乾燥した。ポリエチレン製ティーバッグに乾燥重合物を採取して重量を測定し、重合物の乾燥重量(a)を算出した。ティーバッグを500mlのイオン交換水に24時間浸漬し、乾燥重合物を膨潤させた。引き上げたティーバッグの重量から膨潤重合物の重量(b)を測定し、重合物の膨潤度(%)=100×(b−a)/aにより算出した。
実施例8〜9と比較例7において、以下の方法により重合物の重合転化率を測定した。
すなわち、所定のモノマー組成をベースとして、スチレンスルホン酸ナトリウム(NaSS)及び/又はスチレンスルホン酸リチウム(LiSS)、m−DVBS、イオン交換水及びV−50を採取し、常温で振蕩後、アスピレーター吸引及び窒素導入を5回繰り返して系内を脱気した。窒素雰囲気下、40℃温浴に浸漬し、振蕩して溶解を確認した後、温浴を60℃に昇温し、温浴が60℃に達してから30分間加熱を続けて重合物を得た。
重合物を1Lのイオン交換水に24時間浸漬して洗浄後、再びテフロン(登録商標)メッシュで回収し、100℃で12時間真空乾燥した。仕込みモノマー純分と乾燥重合物の重量から重合転化率を算出した。
<膨潤度の測定>
実施例8〜9と比較例7において、以下の方法により重合後の高分子電解質ゲルの膨潤度を測定した。
すなわち、所定のモノマー組成をベースに重合して得た重合物を、1Lのイオン交換水に24時間浸漬して洗浄後、再びテフロン(登録商標)メッシュで回収し、100℃で12時間真空乾燥した。ポリエチレン製ティーバッグに乾燥重合物を採取して重量を測定し、重合物の乾燥重量(a)を算出した。ティーバッグを500mlのイオン交換水に24時間浸漬し、乾燥重合物を膨潤させた。引き上げたティーバッグの重量から膨潤重合物の重量(b)を測定し、重合物の膨潤度(%)=100×(b−a)/aにより算出した。
<比較例1〜3と実施例1〜3>
比較例1
表1に示した組成で各薬剤をガラスフラスコに採取し、50℃の温浴で加温しながら10分間撹拌した。加温したまま10分間静置した後、上澄みを0.45μmフィルターカートリッジ付きガラスシリンジで素早く採取し、上澄み液のモノマー濃度を分析した。その結果、上澄み液中のm−DVBS濃度は16.05wt%だった。即ち、50℃の水に対するm−DVBSの溶解度は16.05wt%であった。これを図1の三角図で示すと図1中のaで示される点に該当する。
図中の点aは比較例1、即ち、m−DVBS単体の溶解度(上澄み液濃度)16.05wt%を示す。
比較例1
表1に示した組成で各薬剤をガラスフラスコに採取し、50℃の温浴で加温しながら10分間撹拌した。加温したまま10分間静置した後、上澄みを0.45μmフィルターカートリッジ付きガラスシリンジで素早く採取し、上澄み液のモノマー濃度を分析した。その結果、上澄み液中のm−DVBS濃度は16.05wt%だった。即ち、50℃の水に対するm−DVBSの溶解度は16.05wt%であった。これを図1の三角図で示すと図1中のaで示される点に該当する。
図中の点aは比較例1、即ち、m−DVBS単体の溶解度(上澄み液濃度)16.05wt%を示す。
比較例2
塩化リチウム存在下での水に対する50℃でのm−DVBSの溶解度を測定した。その結果、表1に示したように、上澄み液中のm−DVBS濃度は12.01wt%であり、塩化リチウムの共存によるm−DVBSの溶解度増大は見られなかった。このことは、m−DVBSの溶解度は、単なるリチウム塩の追加により溶解度が増大するのではなく、LiSSのような特定の化合物によってのみ増大することが示された。
塩化リチウム存在下での水に対する50℃でのm−DVBSの溶解度を測定した。その結果、表1に示したように、上澄み液中のm−DVBS濃度は12.01wt%であり、塩化リチウムの共存によるm−DVBSの溶解度増大は見られなかった。このことは、m−DVBSの溶解度は、単なるリチウム塩の追加により溶解度が増大するのではなく、LiSSのような特定の化合物によってのみ増大することが示された。
比較例3
スチレンスルホン酸ナトリウムを加えた以外は比較例1と同じ操作を実施した。その結果、表1に示したように、上澄み液中のm−DVBS濃度は10.88wt%であり、スチレンスルホン酸ナトリウム濃度の共存によって水に対するm−DVBSの溶解度が増大することはなかった。なお、上澄み液中のNaSS濃度は15.40wt%であり、表1に記載の通りm−DVBS濃度と合わせると、26.28wt%であった。ここでNaSSとLiSSとは、スチレンスルホン酸のNa塩であるかLi塩であるかの相違に過ぎない。このことは、m−DVBSの溶解度は、単なるスチレンスルホン酸塩の追加により溶解度が増大するのではなく、LiSSのような特定の化合物によってのみ増大することが示された。
スチレンスルホン酸ナトリウムを加えた以外は比較例1と同じ操作を実施した。その結果、表1に示したように、上澄み液中のm−DVBS濃度は10.88wt%であり、スチレンスルホン酸ナトリウム濃度の共存によって水に対するm−DVBSの溶解度が増大することはなかった。なお、上澄み液中のNaSS濃度は15.40wt%であり、表1に記載の通りm−DVBS濃度と合わせると、26.28wt%であった。ここでNaSSとLiSSとは、スチレンスルホン酸のNa塩であるかLi塩であるかの相違に過ぎない。このことは、m−DVBSの溶解度は、単なるスチレンスルホン酸塩の追加により溶解度が増大するのではなく、LiSSのような特定の化合物によってのみ増大することが示された。
実施例1〜2
種々の濃度のスチレンスルホン酸リチウム共存下で、m−DVBSの水に対する50℃での溶解度を測定した。その結果、表1に示したように、スチレンスルホン酸リチウムの共存によってm−DVBSの溶解度が増大した。
ここで、図1の三角図は上澄み液組成をプロットしたものである。図中の点bは、上澄み液のm−DVBSの溶解度21.10wt%、LiSSの濃度19.41wt%、両者の合計40.51wt%である実施例2の例を示す。図中の点cは、上澄み液のm−DVBSの濃度18.85wt%、LiSSの濃度27.45wt%、両者の合計46.30wt%である実施例1の例を示す。以上の実施例1,2は、図1中の点aで示されるm−DVBS単体の水への溶解度16.05wt%に対して、m−DVBSの溶解度が増大していることが分かる。
LiSSの共存によりm−DVBSの水に対する溶解度が増大した理由として、m−DVBSとLiSSのカチオン交換により、溶解性が高いメタジビニルベンゼンスルホン酸のリチウム塩が生成した可能性、メタジビニルベンゼンスルホン酸リチウムによりスチレンスルホン酸ナトリウムが可溶化された可能性、あるいはm−DVBSがLiSSにより可溶化された可能性が考えられる。
種々の濃度のスチレンスルホン酸リチウム共存下で、m−DVBSの水に対する50℃での溶解度を測定した。その結果、表1に示したように、スチレンスルホン酸リチウムの共存によってm−DVBSの溶解度が増大した。
ここで、図1の三角図は上澄み液組成をプロットしたものである。図中の点bは、上澄み液のm−DVBSの溶解度21.10wt%、LiSSの濃度19.41wt%、両者の合計40.51wt%である実施例2の例を示す。図中の点cは、上澄み液のm−DVBSの濃度18.85wt%、LiSSの濃度27.45wt%、両者の合計46.30wt%である実施例1の例を示す。以上の実施例1,2は、図1中の点aで示されるm−DVBS単体の水への溶解度16.05wt%に対して、m−DVBSの溶解度が増大していることが分かる。
LiSSの共存によりm−DVBSの水に対する溶解度が増大した理由として、m−DVBSとLiSSのカチオン交換により、溶解性が高いメタジビニルベンゼンスルホン酸のリチウム塩が生成した可能性、メタジビニルベンゼンスルホン酸リチウムによりスチレンスルホン酸ナトリウムが可溶化された可能性、あるいはm−DVBSがLiSSにより可溶化された可能性が考えられる。
実施例3
44.30wt%のスチレンスルホン酸リチウム共存下で、m−DVBSの水に対する50℃での溶解度を測定した。その結果、表1に示したように、上澄み液のm−DVBSの濃度4.85wt%となり、図1中の点dとして示した。このことは、高濃度のスチレンスルホン酸リチウムの共存によってm−DVBS単体の水への溶解度は減少するものの、m−DVBSとLiSS合計濃度(モノマー純分の合計)は49.15wt%となり、原料モノマー濃度の濃度範囲の上限を上げて可変域を大きくできることが可能となった。このことは、重合後の高分子電解質ゲルの特性、例えば膨潤度などの設計に有利になることが示された。
44.30wt%のスチレンスルホン酸リチウム共存下で、m−DVBSの水に対する50℃での溶解度を測定した。その結果、表1に示したように、上澄み液のm−DVBSの濃度4.85wt%となり、図1中の点dとして示した。このことは、高濃度のスチレンスルホン酸リチウムの共存によってm−DVBS単体の水への溶解度は減少するものの、m−DVBSとLiSS合計濃度(モノマー純分の合計)は49.15wt%となり、原料モノマー濃度の濃度範囲の上限を上げて可変域を大きくできることが可能となった。このことは、重合後の高分子電解質ゲルの特性、例えば膨潤度などの設計に有利になることが示された。
以上の通り、当該m−DVBS水溶性組成物は、m−DVBSとスチレンスルホン酸リチウムを高濃度で溶解させることができるため、有機溶媒を使用することなく、高架橋密度と高イオン交換容量を有する高分子電解質ゲルを効率良く製造するのに有用と考えられる。
<比較例4〜6と実施例4〜7>
比較例4
表2に示した組成で各薬剤をガラスフラスコに採取し、40℃の温浴で加温しながら10分間攪拌した。加温したまま10分間静置した後、上澄みを0.45μmフィルターカートリッジ付きガラスシリンジで素早く採取し、上澄み液のモノマー濃度を分析した。その結果、上澄み液中のm−DVBS濃度は12.60wt%だった。即ち、40℃の水に対するm−DVBSの溶解度は12.60wt%であった。これを図2の三角図で示すとを図2中のa’ で示される点に該当する。
図中の点a’は比較例4、即ち、m−DVBS単体の溶解度(上澄み液濃度)12.60wt%を示す。
なお、b’点は実施例8、即ち、m−DVBS及びLiSS混合物の溶解度(上澄み液の各濃度は17.88及び9.51wt%)を示す。a’点及びb’点の比較から、LiSSが溶解しているにも関わらず、m−DVBSの溶解度が増大していることが明らかである。同様に他の黒丸は実施例7、実施例9〜10の上澄み水溶液組成をプロットしたものである。
比較例4
表2に示した組成で各薬剤をガラスフラスコに採取し、40℃の温浴で加温しながら10分間攪拌した。加温したまま10分間静置した後、上澄みを0.45μmフィルターカートリッジ付きガラスシリンジで素早く採取し、上澄み液のモノマー濃度を分析した。その結果、上澄み液中のm−DVBS濃度は12.60wt%だった。即ち、40℃の水に対するm−DVBSの溶解度は12.60wt%であった。これを図2の三角図で示すとを図2中のa’ で示される点に該当する。
図中の点a’は比較例4、即ち、m−DVBS単体の溶解度(上澄み液濃度)12.60wt%を示す。
なお、b’点は実施例8、即ち、m−DVBS及びLiSS混合物の溶解度(上澄み液の各濃度は17.88及び9.51wt%)を示す。a’点及びb’点の比較から、LiSSが溶解しているにも関わらず、m−DVBSの溶解度が増大していることが明らかである。同様に他の黒丸は実施例7、実施例9〜10の上澄み水溶液組成をプロットしたものである。
比較例5
スチレンスルホン酸ナトリウム存在下での水に対する40℃でのm−DVBSの溶解度を測定した。その結果、表2に示したように、上澄み液中のm−DVBS濃度は8.44wt%であり、スチレンスルホン酸ナトリウムの共存によって水に対するm−DVBSの溶解度が増大することはなかった。なお、上澄み液中のNaSS濃度は16.03wt%であり、表2に記載の通りm−DVBS濃度と合わせると、24.47wt%であった。ここでNaSSとLiSSとは、スチレンスルホン酸のNa塩であるかLi塩であるかの相違に過ぎない。このことは、m−DVBSの溶解度は、単なるスチレンスルホン酸塩の追加により溶解度が増大するのではなく、LiSSのような特定の化合物によってのみ増大することが示された。
スチレンスルホン酸ナトリウム存在下での水に対する40℃でのm−DVBSの溶解度を測定した。その結果、表2に示したように、上澄み液中のm−DVBS濃度は8.44wt%であり、スチレンスルホン酸ナトリウムの共存によって水に対するm−DVBSの溶解度が増大することはなかった。なお、上澄み液中のNaSS濃度は16.03wt%であり、表2に記載の通りm−DVBS濃度と合わせると、24.47wt%であった。ここでNaSSとLiSSとは、スチレンスルホン酸のNa塩であるかLi塩であるかの相違に過ぎない。このことは、m−DVBSの溶解度は、単なるスチレンスルホン酸塩の追加により溶解度が増大するのではなく、LiSSのような特定の化合物によってのみ増大することが示された。
比較例6
塩化リチウム存在下での水に対する40℃でのm−DVBSの溶解度を測定した。その結果、表2に示したように、上澄み液中のm−DVBS濃度は11.83wt%であり、塩化リチウムの共存によってm−DVBSの溶解度が増大することはなかった。このことは、m−DVBSの溶解度は、単なるリチウム塩の追加により溶解度が増大するのではなく、LiSSのような特定の化合物によってのみ増大することが示された。
塩化リチウム存在下での水に対する40℃でのm−DVBSの溶解度を測定した。その結果、表2に示したように、上澄み液中のm−DVBS濃度は11.83wt%であり、塩化リチウムの共存によってm−DVBSの溶解度が増大することはなかった。このことは、m−DVBSの溶解度は、単なるリチウム塩の追加により溶解度が増大するのではなく、LiSSのような特定の化合物によってのみ増大することが示された。
実施例4〜7
表2に示した組成で各薬剤をガラスフラスコに採取し、40℃の温浴で加温しながら10分間攪拌した。加温したまま10分間静置した後、上澄みを0.45μmフィルターカートリッジ付きガラスシリンジで素早く採取し、上澄み液のモノマー濃度を分析した。その結果、上澄み液中のm−DVBS濃度は12.60wt%だった。即ち、40℃の水に対するm−DVBSの溶解度は12.60wt%であった。これを図2の三角図で示すと図2中のa’で示される点に該当する。
種々の濃度のスチレンスルホン酸リチウム共存下で、m−DVBSの水に対する40℃での溶解度を測定した。その結果、表2に示したように、スチレンスルホン酸リチウムの共存によってm−DVBSの溶解度が増大した。
表2に示した組成で各薬剤をガラスフラスコに採取し、40℃の温浴で加温しながら10分間攪拌した。加温したまま10分間静置した後、上澄みを0.45μmフィルターカートリッジ付きガラスシリンジで素早く採取し、上澄み液のモノマー濃度を分析した。その結果、上澄み液中のm−DVBS濃度は12.60wt%だった。即ち、40℃の水に対するm−DVBSの溶解度は12.60wt%であった。これを図2の三角図で示すと図2中のa’で示される点に該当する。
種々の濃度のスチレンスルホン酸リチウム共存下で、m−DVBSの水に対する40℃での溶解度を測定した。その結果、表2に示したように、スチレンスルホン酸リチウムの共存によってm−DVBSの溶解度が増大した。
ここで、図2の三角図は飽和溶液組成をプロットしたものである。図中の点b’は、上澄み液のm−DVBSの濃度17.88wt%、LiSSの濃度9.51wt%、両者の合計27.39wt%である実施例5の例を示す。図中の点c’は、上澄み液のm−DVBSの濃度18.19wt%、LiSSの濃度19.50wt%、両者の合計37.69wt%である実施例4の例を示す。図中の点d’は、上澄み液のm−DVBSの濃度18.20wt%、LiSSの濃度26.10wt%、両者の合計44.30wt%である実施例6の例を示す。以上の実施例4〜6は、図2中の点a’で示されるm−DVBS単体の水への溶解度12.60wt%に対して、m−DVBSの溶解度が増大していることが分かる。
図1、表1で示されたのと同様に、LiSSの共存によりm−DVBSの水に対する溶解度が増大した理由として、m−DVBSとLiSSのカチオン交換により、溶解性が高いメタジビニルベンゼンスルホン酸のリチウム塩が生成した可能性、メタジビニルベンゼンスルホン酸リチウムによりスチレンスルホン酸ナトリウムが可溶化された可能性、あるいはm−DVBSがLiSSにより可溶化された可能性が考えられる。
実施例7
40.01wt%の高濃度スチレンスルホン酸リチウム共存下で、m−DVBSの水に対する40℃での溶解度を測定した。その結果、表2に示したように、上澄み液のm−DVBSの濃度5.05wt%となり、図1中の点e’として示した。このことは、スチレンスルホン酸リチウムの共存によってm−DVBS単体の水への溶解度は減少するものの、m−DVBSとLiSS合計濃度(モノマー純分の合計)は45.06wt%となり、原料モノマー濃度の濃度範囲の上限を上げて可変域を大きくできることが可能となった。このことは、前出の実施例3と同様に、重合後の高分子電解質ゲルの特性、例えば膨潤度などの設計に有利になることが示された。
40.01wt%の高濃度スチレンスルホン酸リチウム共存下で、m−DVBSの水に対する40℃での溶解度を測定した。その結果、表2に示したように、上澄み液のm−DVBSの濃度5.05wt%となり、図1中の点e’として示した。このことは、スチレンスルホン酸リチウムの共存によってm−DVBS単体の水への溶解度は減少するものの、m−DVBSとLiSS合計濃度(モノマー純分の合計)は45.06wt%となり、原料モノマー濃度の濃度範囲の上限を上げて可変域を大きくできることが可能となった。このことは、前出の実施例3と同様に、重合後の高分子電解質ゲルの特性、例えば膨潤度などの設計に有利になることが示された。
以上の通り、当該m−DVBS水溶性組成物は、m−DVBSとスチレンスルホン酸リチウムを高濃度で溶解させることができるため、有機溶媒を使用することなく、高架橋密度と高イオン交換容量を有する高分子電解質ゲルを効率良く製造するのに有用と考えられる。
比較例7
比較例5のモノマー組成をベースに高分子電解質ゲルを作製した。外形50mmの100ml小型セパラブルフラスコにスチレンスルホン酸ナトリウム(有姿3.6144g、15.55mmol)、m−DVBS(有姿1.9182g、6.80mmol)、イオン交換水(15.1060g)及びV−50(0.1800g、0.67mmol)を採取し、常温で振蕩後、アスピレーター吸引及び窒素導入を5回繰り返して系内を脱気した。窒素雰囲気下、40℃温浴に浸漬し、振蕩して溶解を確認した後、温浴を60℃に昇温し、温浴が60℃に達してから30分間加熱を続けた。全モノマーに対するm−DVBSの含量は30.42mol%、全モノマー純分濃度は23.99wt%、全モノマー純分に対する重合開始剤量は3mol%である。
比較例5のモノマー組成をベースに高分子電解質ゲルを作製した。外形50mmの100ml小型セパラブルフラスコにスチレンスルホン酸ナトリウム(有姿3.6144g、15.55mmol)、m−DVBS(有姿1.9182g、6.80mmol)、イオン交換水(15.1060g)及びV−50(0.1800g、0.67mmol)を採取し、常温で振蕩後、アスピレーター吸引及び窒素導入を5回繰り返して系内を脱気した。窒素雰囲気下、40℃温浴に浸漬し、振蕩して溶解を確認した後、温浴を60℃に昇温し、温浴が60℃に達してから30分間加熱を続けた。全モノマーに対するm−DVBSの含量は30.42mol%、全モノマー純分濃度は23.99wt%、全モノマー純分に対する重合開始剤量は3mol%である。
常温まで冷却後、重合物を目開き150μmのテフロン(登録商標)メッシュで回収した。重合物を1Lのイオン交換水に24時間浸漬して洗浄後、再びテフロン(登録商標)メッシュで回収し、100℃で12時間真空乾燥した。
前記した重合転化率の測定に基づき、仕込みモノマー純分と乾燥重合物の重量から重合転化率を算出した結果、76%であった。
ポリエチレン製ティーバッグに乾燥重合物を採取して重量を測定し、重合物の乾燥重量(a)を算出した。ティーバッグを500mlのイオン交換水に24時間浸漬し、乾燥重合物を膨潤させた。引き上げたティーバッグの重量から膨潤重合物の重量(b)を測定し、前記した膨潤度の測定に基づき、重合物の膨潤度100×(b−a)/aを算出した結果、161wt%であった。即ち、実施例8と全モノマー中のm−DVBS及び開始剤モル比が同じでも、全モノマー濃度が低く重合速度が遅いため転化率が低く、膨潤度が高く(架橋密度が低く)なったことが明らかである。
前記した重合転化率の測定に基づき、仕込みモノマー純分と乾燥重合物の重量から重合転化率を算出した結果、76%であった。
ポリエチレン製ティーバッグに乾燥重合物を採取して重量を測定し、重合物の乾燥重量(a)を算出した。ティーバッグを500mlのイオン交換水に24時間浸漬し、乾燥重合物を膨潤させた。引き上げたティーバッグの重量から膨潤重合物の重量(b)を測定し、前記した膨潤度の測定に基づき、重合物の膨潤度100×(b−a)/aを算出した結果、161wt%であった。即ち、実施例8と全モノマー中のm−DVBS及び開始剤モル比が同じでも、全モノマー濃度が低く重合速度が遅いため転化率が低く、膨潤度が高く(架橋密度が低く)なったことが明らかである。
実施例8
外形50mmの100ml小型セパラブルフラスコにスチレンスルホン酸リチウム(有姿6.4815g、29.46mmol)、m−DVBS(有姿3.6464g、12.89mmol)、イオン交換水(9.8822g)及びV−50(0.3400g、1.27mmol)を採取し、常温で振蕩後、アスピレーター吸引及び窒素導入を5回繰り返して系内を脱気した。窒素雰囲気下、40℃温浴に浸漬し、振蕩して溶解を確認した後、温浴を60℃に昇温し、温浴が60℃に到達してから30分間加熱を続けた。全モノマーに対するm−DVBSの含量は30.43mol%、全モノマー純分濃度は44.00wt%、全モノマー純分に対する重合開始剤量は3mol%である。
外形50mmの100ml小型セパラブルフラスコにスチレンスルホン酸リチウム(有姿6.4815g、29.46mmol)、m−DVBS(有姿3.6464g、12.89mmol)、イオン交換水(9.8822g)及びV−50(0.3400g、1.27mmol)を採取し、常温で振蕩後、アスピレーター吸引及び窒素導入を5回繰り返して系内を脱気した。窒素雰囲気下、40℃温浴に浸漬し、振蕩して溶解を確認した後、温浴を60℃に昇温し、温浴が60℃に到達してから30分間加熱を続けた。全モノマーに対するm−DVBSの含量は30.43mol%、全モノマー純分濃度は44.00wt%、全モノマー純分に対する重合開始剤量は3mol%である。
比較例7と同様の方法で重合転化率を算出した結果は97%であり、重合物の膨潤度は76wt%であった。
即ち、全モノマーに対するm−DVBS及び開始剤モル比が比較例7と同じでも、全モノマー濃度が高いため転化率が高く、膨潤度が低く(架橋密度が高く)なったことが明らかである。高重合転化率、即ち、使用したモノマーのほぼ全てが高分子電解質ゲルの骨格となるため、高分子電解質ゲルの設計が容易である。本発明のm−DVBS水溶液組成物では、全モノマー濃度を高く維持した状態でさらにm−DVBSの比率を高めることが出来るため、高架橋密度と高イオン交換容量を兼ね備えたスチレンスルホン酸ベースの高分子電解質ゲルを製造するための水性原料として産業上極めて有用である。
即ち、全モノマーに対するm−DVBS及び開始剤モル比が比較例7と同じでも、全モノマー濃度が高いため転化率が高く、膨潤度が低く(架橋密度が高く)なったことが明らかである。高重合転化率、即ち、使用したモノマーのほぼ全てが高分子電解質ゲルの骨格となるため、高分子電解質ゲルの設計が容易である。本発明のm−DVBS水溶液組成物では、全モノマー濃度を高く維持した状態でさらにm−DVBSの比率を高めることが出来るため、高架橋密度と高イオン交換容量を兼ね備えたスチレンスルホン酸ベースの高分子電解質ゲルを製造するための水性原料として産業上極めて有用である。
実施例9
外形50mmの100ml小型セパラブルフラスコにスチレンスルホン酸リチウム(有姿4.5139g、20.52mmol)、m−DVBS(有姿4.1341g、14.65mmol)、イオン交換水(11.3520g)、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(0.050g、0.453mmol)及びV−50(0.2900g、1.06mmol)を採取し、常温で振蕩後、アスピレーター吸引及び窒素導入を5回繰り返して系内を脱気した。窒素雰囲気下、40℃温浴に浸漬し、振蕩して溶解を確認した後、温浴を60℃に昇温し、温浴が60℃に到達してから30分間加熱を続けた。全モノマーに対するm−DVBSの含量は41.66mol%、全モノマー純分濃度は37.69wt%、全モノマー純分に対する重合開始剤量は3mol%である。
外形50mmの100ml小型セパラブルフラスコにスチレンスルホン酸リチウム(有姿4.5139g、20.52mmol)、m−DVBS(有姿4.1341g、14.65mmol)、イオン交換水(11.3520g)、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(0.050g、0.453mmol)及びV−50(0.2900g、1.06mmol)を採取し、常温で振蕩後、アスピレーター吸引及び窒素導入を5回繰り返して系内を脱気した。窒素雰囲気下、40℃温浴に浸漬し、振蕩して溶解を確認した後、温浴を60℃に昇温し、温浴が60℃に到達してから30分間加熱を続けた。全モノマーに対するm−DVBSの含量は41.66mol%、全モノマー純分濃度は37.69wt%、全モノマー純分に対する重合開始剤量は3mol%である。
実施例8と同様の方法で重合転化率を算出した結果は98%と高く、重合物の膨潤度は62wt%と低かった。
即ち、本発明のm−DVBS水溶液組成物は、高架橋密度と高イオン交換容量を兼ね備えたスチレンスルホン酸ベースの高分子電解質ゲルを製造するための水性原料として極めて有用である。
即ち、本発明のm−DVBS水溶液組成物は、高架橋密度と高イオン交換容量を兼ね備えたスチレンスルホン酸ベースの高分子電解質ゲルを製造するための水性原料として極めて有用である。
本発明のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムとスチレンスルホン酸リチウムが高濃度で溶解可能なメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物は、高架橋密度と高イオン交換容量を兼ね備えたスチレンスルホン酸ベースの高分子電解質ゲルを製造するための水性原料として産業上極めて有用である。
Claims (8)
- メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムとスチレンスルホン酸リチウムの含量が合計で27.0重量%〜50.0重量%、メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムとスチレンスルホン酸リチウムの総和に対するメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムの重量比が5.00〜21.0の均一水溶液である高分子電解質ゲル製造用のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物。
- 40℃〜60℃の範囲で均一水溶液となる請求項1に記載の高分子電解質ゲル製造用のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物。
- メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びスチレンスルホン酸リチウムを有する組成物であって、メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム単独での溶解度を超える含量のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含むメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物。
- メタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液を調製する際に、スチレンスルホン酸リチウムを共存させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載した高分子電解質ゲル製造用のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物を重合してなる高分子電解質ゲル。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物と添加剤からなる組成物を重合してなる高分子電解質ゲル。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物を重合する、高分子電解質ゲルの製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のメタジビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液組成物と添加剤からなる組成物を重合する、高分子電解質ゲルの製造方法。
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