JP2021172753A - 接着剤の製造方法、耐熱収縮性接着フィルム、及び電離放射線硬化型接着剤組成物 - Google Patents

接着剤の製造方法、耐熱収縮性接着フィルム、及び電離放射線硬化型接着剤組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】接着性及び耐熱性に優れ、かつ、溶媒の使用量を削減することが可能な接着剤の製造方法、該接着剤を用いて調製した耐熱収縮性接着フィルム、及び該接着剤の材料として使用し得る電離放射線硬化型接着剤組成物を提供する。【解決手段】本開示の一実施態様の接着剤の製造方法は、約20℃以上のガラス転移温度及び約1.5×105以上の重量平均分子量を有する酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子を懸濁重合法によって得ることと、(メタ)アクリレートモノマー、及び塩基官能基含有不飽和モノマーを含む混合液に、このポリマー粒子を配合して、電離放射線硬化型接着剤組成物を調製することであって、光重合開始剤を、ポリマー粒子を配合する前に混合液中に配合する、又はポリマー粒子の配合と同時に若しくはそれ以降に混合液中に配合する、電離放射線硬化型接着剤組成物を調製することと、電離放射線を照射してこの組成物を硬化させることと、を含む。【選択図】図1

Description

本開示は、接着剤の製造方法、耐熱収縮性接着フィルム、及び電離放射線硬化型接着剤組成物に関する。
近年、種々の接着剤が開発されている。接着剤は、装飾フィルム、保護フィルムなどに採用され、内装品又は外装品など幅広い分野で使用されている。
特許文献1(特開2009−035588号公報)には、基材と基材上の接着層を含む接着フィルムであって、この接着層が、(A)ポリマーの全繰返し単位数に対してカルボキシル基を含有する繰返し単位数の割合が4.0〜25%である、25℃以下のガラス転移温度(Tg)を有するカルボキシル基含有(メタ)アクリルポリマー、及び(B)ポリマーの全繰返し単位数に対してアミノ基を含有する繰返し単位数の割合が3.5〜15%である、75℃以上のガラス転移温度(Tg)を有するアミノ基含有(メタ)アクリルポリマーを含み、成分(A)と成分(B)の配合比が重量比で62:38〜75:25である、装飾フィルムなどに使用される接着フィルムが記載されている。
特許文献2(特開2016−120642号公報)には、三次元形状を有する物品を加熱延伸により被覆することが可能なフィルムであって、このフィルムは、最表面に配置される保護層と、ポリエステル系ポリウレタン及びポリカーボネート系ポリウレタンからなる群より選択される熱可塑性ポリウレタンを含み、加熱延伸時に物品に加熱接着されるポリウレタン加熱接着層とを含み、ポリウレタン加熱接着層の破断強度が135℃で1MPa以上であり、150℃、周波数1.0Hzにおける貯蔵弾性率が5×10Pa〜5×10Paであり、損失係数tanδが0.1以上である、フィルムが記載されている。
特許文献3(特開2016−156734号公報)には、電磁波が透過可能な材質よりなる基材(2)と、該基材の表面にもうけられ、透光可能な材質よりなる透光基材(4)と、該基材と該透光基材の間に配された意匠層(3)と、を有する電磁波が透過する電磁波透過カバー(1)であって、該電磁波透過カバーは、該電磁波が透過する電磁波透過領域を有し、該電磁波透過領域での該基材と該透光基材は、その間隔が0.12mm以下であり、かつその間には全面に接着剤層(5)が形成され、該電磁波が透過したときの角度ズレが0.3°以下である、車両用の電波レーダー装置等に適用し得る電磁波透過カバーが記載されている。
特開2009−035588号公報 特開2016−120642号公報 特開2016−156734号公報
接着剤の製造には、典型的には、接着性ポリマー等を溶解又は分散させるために、有機系溶媒又は水系溶媒が使用されているが、有機系溶媒は、例えば、接着剤を扱う作業者に対して健康被害をもたらすおそれがあったり、或いは、大気中に放出されると環境問題を引き起こすおそれがあった。水系溶媒を含む接着剤を用いて、例えば、接着フィルムを形成する場合には、乾燥工程に多くの熱エネルギーを要するため、環境負荷を招くおそれがあった。その結果、接着剤の製造において、溶媒の使用量の削減が望まれていた。
接着剤は、近年、被着体に適用された後、高温環境下で使用されたり、或いは、被着体への適用時に高温に晒される場合があった。したがって、良好な接着力を有しつつ、かつ、耐熱性にも優れる接着剤が望まれていた。
本開示は、接着性及び耐熱性に優れ、かつ、溶媒の使用量を削減することが可能な接着剤の製造方法、該接着剤を用いて調製した耐熱収縮性接着フィルム、及び該接着剤の材料として使用し得る電離放射線硬化型接着剤組成物を提供する。
本開示の一実施態様によれば、約20℃以上のガラス転移温度及び約1.5×10以上の重量平均分子量を有する酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子を、懸濁重合法によって得ることと、(メタ)アクリレートモノマー、及び塩基官能基含有不飽和モノマーを含む混合液に、酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子を配合して、電離放射線硬化型接着剤組成物を調製することであって、光重合開始剤を、酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子を配合する前に混合液中に配合する、又は酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子の配合と同時に若しくはそれ以降に混合液中に配合する、電離放射線硬化型接着剤組成物を調製することと、電離放射線を照射して電離放射線硬化型接着剤組成物を硬化させることと、を含む、接着剤の製造方法が提供される。
本開示の別の実施態様によれば、約20℃以上のガラス転移温度及び約1.5×10以上の重量平均分子量を有する酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー、単官能(メタ)アクリレートモノマー、塩基官能基含有不飽和モノマー、並びに光重合開始剤を含む電離放射線硬化型接着剤組成物の硬化物を含む接着層を備える、耐熱収縮性接着フィルムが提供される。
本開示の別の実施態様によれば、支持部材の表面に、上記の耐熱収縮性接着フィルムを真空加熱圧着することを含む、物品の製造方法が提供される。
本開示の別の実施態様によれば、上記の耐熱収縮性接着フィルムが接着層を介して支持部材の表面に配置されている、物品が提供される。
本開示の別の実施態様によれば、約20℃以上のガラス転移温度及び約1.5×10以上の重量平均分子量を有する酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー、単官能(メタ)アクリレートモノマー、塩基官能基含有不飽和モノマー、並びに光重合開始剤を含む、電離放射線硬化型接着剤組成物が提供される。
本開示によれば、接着性及び耐熱性に優れ、かつ、溶媒の使用量を削減することが可能な接着剤の製造方法、該接着剤を用いて調製した耐熱収縮性接着フィルム、及び該接着剤の材料として使用し得る電離放射線硬化型接着剤組成物を提供することができる。
上述の記載は、本発明の全ての実施態様及び本発明に関する全ての利点を開示したものとみなしてはならない。
本開示の一実施態様による耐熱収縮性接着フィルムの断面図である。 真空加熱圧着装置を用いて耐熱収縮性接着フィルムを支持部材に適用して物品を形成する工程を模式的に説明する図である。
以下、本発明の代表的な実施態様を例示する目的で、必要に応じて図面を参照しながらより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されない。図面の参照番号について、異なる図面において類似する番号が付された要素は、類似又は対応する要素であることを示す。
本開示において「フィルム」には、「シート」と呼ばれる物品も包含される。
本開示において、例えば、「装飾層が基材の上に配置される」における「上」とは、装飾層が基材の上側に直接的に配置されること、又は、装飾層が他の層を介して基材の上側に間接的に配置されることを意図している。
本開示において、例えば、「接着層が基材の下に配置される」における「下」とは、接着層が基材の下側に直接的に配置されること、又は、接着層が他の層を介して基材の下側に間接的に配置されることを意図している。
本開示において、「酸官能基」及び「塩基官能基」における「酸」及び「塩基」とは、アレニウスの定義による酸及び塩基ではなく、いわゆる広義の酸及び塩基、即ち、ブレンステッド及びローリーの定義、並びにルイスの定義による酸及び塩基を意図している。
本開示において「略」とは、製造誤差などによって生じるバラつきを含むことを意味し、±約20%程度の変動が許容されることを意図する。
本開示において「溶媒フリー」とは、典型的には、溶媒を含まないことを意図するが、例えば、後述する工程(1)の懸濁重合法で適用される脱水及び/又は乾燥後に残存する少量の溶媒、或いは、後述する工程(2)のモノマー混合液が吸湿している少量の水分などが含まれることは許容される。具体的には、水系又は有機系の溶媒が、約5質量%以下、約3質量%以下、約1質量%以下、約0.5質量%以下、又は約0.1質量%以下の範囲で含有されることは許容することができる。
本開示において「透明」とは、JIS K 7375に準拠して測定される可視光領域(波長400nm〜700nm)の平均透過率が、約80%以上をいい、望ましくは約85%以上、又は約90%以上であってよい。平均透過率の上限値については特に制限はないが、例えば、約100%未満、約99%以下、又は約98%以下と規定することができる。
本開示において「半透明」とは、JIS K 7375に準拠して測定される可視光領域(波長400nm〜700nm)の平均透過率が、約80%未満をいい、望ましくは約75%以下であってよく、下地を完全に隠蔽しないことを意図する。
本開示において「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
以下に、接着剤の製造方法について説明するが、本発明の接着剤の製造方法はこれらの実施態様に限定されない。
本開示の接着剤の製造方法は、少なくとも、(1)約20℃以上のガラス転移温度及び約1.5×10以上の重量平均分子量を有する酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子を、懸濁重合法によって得ることと、(2)(メタ)アクリレートモノマー、及び塩基官能基含有不飽和モノマーを含む混合液に、得られた酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子を配合して、電離放射線硬化型接着剤組成物を調製することであって、光重合開始剤を、酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子を配合する前に混合液中に配合する、又は酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子の配合と同時に若しくはそれ以降に混合液中に配合する、電離放射線硬化型接着剤組成物を調製することと、(3)電離放射線を照射してこの電離放射線硬化型接着剤組成物を硬化させることと、を含んでいる。ここで、(1)〜(3)の表記は、製造方法における各工程を意図している。
ポリマーの重合法として、典型的には、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法などが知られている。溶液重合法は、有機系溶剤等の溶媒が使用されることに加え、重量平均分子量が約1.5×10以上のポリマーを調製しようとした場合、溶液の粘度が上昇しすぎてしまい、ハンドリング性の悪化をもたらすおそれがある。有機系溶剤等の溶媒を使用しないポリマーの重合方法として、例えば、塊状重合法が知られているが、かかる方法で得られるポリマーは塊状の物質となるため、それを粒子状に微粉砕するのは容易ではない。仮に粉砕できたとしても、その形状又はサイズは不均一になりやすいため、工程(1)に続く工程(2)において、粉砕して得られたポリマー粒子を、モノマーを含む混合液に溶解又は均一に分散させることは難しく、その結果、最終的に得られる接着剤の諸性能を低下させる要因となり得る。
一方、本開示の製造方法の工程(1)で採用する懸濁重合法は、ポリマーを調製するのに必要な成分、例えば、水に不溶なモノマー等を水中で分散剤などを用いて微細な液滴の状態で分散させた後に重合させ、任意に、脱水及び/又は乾燥することによって、重量平均分子量が大きいポリマーであっても、簡易に、比較的均一な微細なポリマー粒子を得ることができる。この方法で得られるポリマー粒子は、溶媒フリーとすることができ、また、塊状重合法を経て粉砕して調製したポリマー粒子よりも、モノマーを含む混合液に対して溶解又は均一に分散させることができるため、最終的に得られる接着剤は良好な性能を発現することができる。
本開示の懸濁重合法は、一般的に公知の方法を採用することができ、重合温度、重合時間、撹拌等の条件については、要する粒子の大きさ等に応じて適宜調整することができる。
懸濁重合法により得られる酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子(「ポリマー粒子」と称する場合がある。)の平均粒子径としては特に制限はないが、モノマーを含む混合液への溶解性又は分散性等の観点から、例えば、約1マイクロメートル以上、約10マイクロメートル以上、又は約100マイクロメートル以上とすることができ、約1,000マイクロメートル以下、約800マイクロメートル以下、又は約500マイクロメートル以下とすることができる。ここで、ポリマー粒子の粒子径は、ふるい分け法によって決定されたD50値を意図する。D50値は、粒子の50体積%が、対応のメッシュサイズを有するふるいによって保持されるときの値である。
(メタ)アクリルポリマーは、(メタ)アクリル系モノマーから得られたポリマーであってもよく、或いは、(メタ)アクリル系モノマーと、(メタ)アクリル系モノマー以外の他のモノマー、例えばビニル不飽和モノマーとを任意に組み合わせた共重合体であってもよい。ここで、工程(1)で使用するモノマーは、工程(2)で使用するモノマーと区別するために、「第1のモノマー」と称することができる。
(メタ)アクリルポリマーを構成するモノエチレン性不飽和モノマーとしては、一般には、式CH=CRCOOR(式中、Rは水素又はメチル基であり、Rは直鎖若しくは分岐若しくは環状のアルキル基、フェニル基、アルコキシアルキル基、又はフェノキシアルキル基である。)で表されるモノマーを挙げることができる。この他のモノエチレン性不飽和モノマーとして、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニルモノマー、酢酸ビニル等のビニルエステル類も挙げることができる。モノエチレン性不飽和モノマーは、所望のガラス転移温度、室温下での接着性、熱間接着性等を得るために、その目的に応じて、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
このようなモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のフェノキシアルキル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。中でも、炭素原子数が1〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
工程(1)で得られるポリマー粒子は、約20℃以上のガラス転移温度(「Tg」と表記する場合がある。)及び約1.5×10以上の重量平均分子量を有する酸官能基含有(メタ)アクリルポリマーの粒子である。
ポリマー粒子を構成するガラス転移温度が約20℃以上の酸官能基含有(メタ)アクリルポリマーは、例えば、そのホモポリマーのガラス転移温度が約20℃以上となるモノマーを主成分とすることにより、容易に調製することができる。このようなモノマーとしては、例えば、メチルメタクリレート(Tg=105℃)、エチルメタクリレート(Tg=65℃)、n−ブチルメタクリレート(Tg=20℃)、iso−ブチルメタクリレート(Tg=48℃)、tert−ブチルメタクリレート(Tg=107℃)、シクロヘキシルメタクリレート(Tg=66℃)、イソボルニルアクリレート(Tg=97℃)、イソボルニルメタクリレート(Tg=180℃)、ジシクロペンタニルアクリレート(Tg=120℃)、ジシクロペンタニルメタクリレート(Tg=175℃)等を挙げることができる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
耐熱性(例えば、耐熱収縮性、被着体からのガスの発生に伴う膨れの防止性能)、耐タック性等の観点から、酸官能基含有(メタ)アクリルポリマーのTgとしては、約30℃以上、約40℃以上、又は約50℃以上であることが好ましい。Tgの上限値としては特に制限はないが、例えば、約180℃以下、約150℃以下、又は約120℃以下とすることができる。このような高Tgのポリマーは、熱がかかっても柔らかくなりすぎないため、例えば、高温下においてガスを発生しやすい被着体(例えばポリカーボネート基材)に対して接着剤を適用したとしても、接着剤に含まれる高Tgポリマーによってガスによる膨れを低減又は抑制することができ(この性能を「耐アウトガス性」と称する場合がある。)、或いは、接着剤のタックを低減又は抑制することができるため、例えば、接着フィルムの被着体等への位置合わせ作業を向上させることができる。ここで、ポリマーのガラス転移温度(℃)は、ポリマーがn種類のモノマーから共重合されているとして、以下のFOXの式より求めることができる:
Figure 2021172753
式中、Tgは成分iのホモポリマーのガラス転移温度(℃)、Xは重合の際に添加した成分iのモノマーの質量分率をそれぞれ示し、iは1〜nの自然数であり、
Figure 2021172753
である。
工程(1)で得られるポリマー粒子を構成する酸官能基含有(メタ)アクリルポリマーは、約1.5×10以上の重量平均分子量を有しており、これにより、接着剤の耐熱性、耐タック性等の性能を向上させることができる。耐熱性、凝集力等の観点から、酸官能基含有(メタ)アクリルポリマーの重量平均分子量としては、約2.0×10以上、約2.5×10以上、約3.0×10以上、約3.5×10以上、約4.0×10以上、約4.5×10以上、又は約5.0×10以上であることが好ましい。重量平均分子量の上限値としては特に制限はないが、例えば、約1.5×10以下、約1.0×10以下、約8.0×10以下、又は約6.0×10以下とすることができる。ここで、本開示において「重量平均分子量」とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ測定における、テトラヒドロフラン(THF)溶媒でのポリスチレン換算の重量平均分子量を意図する。
工程(1)で得られるポリマー粒子を構成する(メタ)アクリルポリマーは、酸官能基を含有する。(メタ)アクリルポリマーへの酸官能基の導入は、例えば、酸官能基を含有する不飽和モノマーを、上述したモノエチレン性不飽和モノマーと共重合することで実施することができる。工程(1)で調製される(メタ)アクリルポリマーは、酸官能基を含有していればよく、後述する、塩基官能基を含有する不飽和モノマーを用いて塩基官能基も導入してもよいが、耐黄変性、耐分解性等の観点から、かかる(メタ)アクリルポリマーは、塩基官能基を含有しないことが好ましい。
酸官能基を含有する不飽和モノマーとしては、例えば、カルボキシル基を含有する不飽和モノマー、スルホン基を含有する不飽和モノマー、ホスホン基を含有する不飽和モノマー、及びこれらの混合物から選択される少なくとも一種のモノマーを挙げることができる。ここで、本開示における「酸官能基」とは、例えば、アクリル酸のように、カルボン酸の水酸基が未反応の状態で(メタ)アクリルポリマーに導入されている官能基を意図し、アクリル酸ブチルのように、カルボン酸の水酸基がエステル化している状態で(メタ)アクリルポリマーに導入されている官能基は包含されない。
具体的には、例えば、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、マレイン酸、オレイン酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを挙げることができ、スルホン基を含有する不飽和モノマーとしては、2−スルホエチルメタクリレート、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を挙げることができ、ホスホン基を含有する不飽和モノマーとしては、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、ビニルホスホン酸を挙げることができる。中でも、室温下での接着性、熱間接着性等の観点から、カルボキシル基を含有する不飽和モノマーが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸がより好ましい。これらのモノマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
酸官能基含有(メタ)アクリルポリマーは、室温下での接着性、熱間接着性等の観点から、ポリマーを構成するモノマー成分全量に対し、上述した酸官能基を含有する不飽和モノマーが、約1質量%以上、約2質量%以上、又は約3質量%以上、約30質量%以下、約20質量%以下、約15質量%以下、又は約10質量%以下の割合で含まれるように調製することが有利である。酸官能基を含有する不飽和モノマーの割合は、モル濃度でも規定することができ、例えば、ポリマーを構成するモノマー成分全量に対し、約1.5モル%以上、約3.5モル%以上、又は約5.0モル%以上、約50モル%以下、約35モル%以下、約25モル%以下、又は約20モル%以下とすることができる。
工程(1)で得られた酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子は、続く工程(2)において、(メタ)アクリレートモノマー、及び塩基官能基含有不飽和モノマーを含む混合液に配合され、任意に、撹拌及び/又は加温して電離放射線硬化型接着剤組成物を調製することができる。本開示の接着剤の製造方法では、混合液中に含まれるこれらのモノマー成分が、溶媒と同等の機能、即ち、ポリマー粒子を溶解及び/又は分散させる機能を発揮することができるため、電離放射線硬化型接着剤組成物を溶媒フリーにすることができる。得られる電離放射線硬化型接着剤組成物は、酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子由来の成分と塩基官能基含有不飽和モノマーとを含み、相溶性に優れるため、溶媒を使用していないにもかかわらず、優れた使用性(例えばコーティング性能等)を呈することができる。ここで、工程(2)で使用するモノマーは、工程(1)で使用するモノマーと区別するために、「第2のモノマー」と称することができる。
工程(2)において、光重合開始剤の配合手段については特に制限はなく、光重合開始剤を、例えば、酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子を配合する前に混合液中に配合してもよく、酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子と同時に混合液中に配合してもよく、或いは、酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子を配合した後に混合液中に配合してもよい。
混合液中に配合し得る(メタ)アクリレートモノマーとしては特に制限はないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、及びラウリル(メタ)アクリレート(ドデシル(メタ)アクリレート)、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレートモノマーを挙げることができる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
工程(2)の混合液には、さらに、塩基官能基含有不飽和モノマーが配合される。ここで、本開示における「塩基官能基」とは、窒素を含む官能基を意図する。
塩基官能基含有不飽和モノマーとしては、例えば、ジアルキル(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド、及びビニルイミダゾール等の含窒素複素環を有する不飽和モノマーから選ばれる少なくとも一種の不飽和モノマーを挙げることができる。中でも、上述した酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子との相溶性、接着性、耐アウトガス性等の観点から、ジアルキル(メタ)アクリルアミド(N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド)が好ましい。
このような不飽和モノマーとしては、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAAm)、N,N−ジエチルアクリルアミド(DEAAm)、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAAm)、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド(DMAPMAm)、N,N−ジエチルアミノプロピルメタクリルアミド(DEAPMAm)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA)、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート(DEAEA)、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート(DMAPA)、N,N−ジエチルアミノプロピルアクリレート(DEAPA)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート(DEAEMA)、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド(DMAEAm)、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリルアミド(DMAEMAm)、N,N−ジエチルアミノエチルアクリルアミド(DEAEAm)、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリルアミド(DEAEMAm)、N,N−ジメチルアミノエチルビニルエーテル(DMAEVE)、N,N−ジエチルアミノエチルビニルエーテル(DEAEVE)を使用することができる。他の有用な不飽和モノマーとして、例えば、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、第三アミノ官能化スチレン(例えば、4−(N,N−ジメチルアミノ)−スチレン(DMAS)、4−(N,N−ジエチルアミノ)−スチレン(DEAS))、環状又は非環状のエチレン性不飽和アミド(例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホロムアミド、(メタ)アクリルアミド)を使用することができる。これらのモノマーは、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。中でも、上述した酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子との相溶性、接着性、耐アウトガス性等の観点から、ジアルキル(メタ)アクリルアミドである、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAAm)、N,N−ジエチルアクリルアミド(DEAAm)が好ましい。
工程(2)の混合液には、任意に、酸官能基を含有する不飽和モノマーを配合することができる。酸官能基を含有する不飽和モノマーとしては、上述した、工程(1)の酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子の調製において使用し得るものを同様に使用することができる。中でも、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を含有する不飽和モノマーを使用することが好ましい。
(メタ)アクリレートモノマーの配合割合としては、接着性等の観点から、例えば、電離放射線硬化型接着剤組成物の全単官能(メタ)アクリル系モノマー及び塩基官能基含有不飽和モノマーの合計量に対し、約70質量%以上、約73質量%以上、約75質量%以上、約77質量%以上、又は約80質量%以上とすることができ、約90質量%以下、約87質量%以下、又は約85質量%以下とすることができる。ここで、本開示における「(メタ)アクリル系モノマー」には、メチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートモノマー、及び(メタ)アクリル酸等の(メタ)アクリルモノマーが含まれる。
塩基官能基含有不飽和モノマーの配合割合としては、接着性等の観点から、例えば、電離放射線硬化型接着剤組成物の全単官能(メタ)アクリル系モノマー及び塩基官能基含有不飽和モノマーの合計量に対し、約10質量%以上、約13質量%以上、又は約15質量%以上とすることができ、約30質量%以下、約27質量%以下、約25質量%以下、約23質量%以下、又は約20質量%以下とすることができる。
室温での接着性、高温時の凝集力等の観点から、電離放射線硬化型接着剤組成物に含まれる(メタ)アクリレートモノマー等の(メタ)アクリル系モノマーと塩基官能基含有不飽和モノマーは、これらのモノマーを重合したときに得られる共重合体のガラス転移温度(Tg)が、例えば、約10℃以下、約5℃以下、約0℃以下、約−5℃以下、約−10℃以下、約−15℃以下、又は約−20℃以下となるような比率で配合されることが好ましい。Tgの下限値としては特に制限はないが、例えば、約−80℃以上、約−75℃以上、約−70℃以上、約−65℃以上、又は約−60℃以上とすることができる。かかる共重合体のTgは、上述した、FOXの式より求めることができる。
電離放射線硬化型接着剤組成物は、全単官能(メタ)アクリル系モノマー及び塩基官能基含有不飽和モノマーの合計100質量部に対し、接着性、耐熱性、耐タック性等の観点から、上述した酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子由来の成分を、約10質量部以上、約15質量部以上、又は約20質量部以上、約50質量部以下、約45質量部以下、又は約40質量部以下の範囲で配合することが好ましい。ここで、酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子は、電離放射線硬化型接着剤組成物中では、粒子の形態で含まれていない場合、例えば、溶解した状態で含まれている場合もあり得るため、酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子に基づく成分を意図する「酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子由来の成分」という表記を使用している。
光重合開始剤としては特に制限はなく、少なくとも紫外線等の電離放射線によりラジカル等を生じて重合反応を開始させ得る公知の材料を使用することができる。例えば、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、フェニルグリオキシル酸エステル系光重合開始剤などを挙げることができる。光重合開始剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(MAPO)(IGM Resins B.V.社製、Omnirad(商標)TPO)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド(BAPO)(IGM Resins B.V.社製、Omnirad(商標)819)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−エトキシフェニル−フォスフィンオキサイドを挙げることができる。
フェニルグリオキシル酸エステル系光重合開始剤としては、例えば、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル(IGM Resins B.V.社製、Omnirad(商標)MBF)などのベンゾイルギ酸メチル系光重合開始剤、オキソフェニル酢酸2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキソフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物(IGM Resins B.V.社製、Omnirad(商標)MBF754)、オキソフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルを挙げることができる。
光重合開始剤として、上記以外に、例えば、分子内開裂型の光重合開始剤のうちアルキルフェノン系光重合開始剤に分類される、ベンジルケタール系光重合開始剤、α−ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤、α−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤を使用することができる。
ベンジルケタール系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(IGM Resins B.V.社製、Omnirad(商標)651)を挙げることができる。
α−ヒドロキシアルキルフェノン系光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(IGM Resins B.V.社製、Omnirad(商標)184)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(BASF社製、Irgacure 1173)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(IGM Resins B.V.社製、Omnirad(商標)2959)、2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン(IGM Resins B.V.社製、Omnirad(商標)127)を挙げることができる。
α−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(IGM Resins B.V.社製、Omnirad(商標)907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(IGM Resins B.V.社製、Omnirad(商標)369E)、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン(IGM Resins B.V.社製、Omnirad(商標)379EG)を挙げることができる。
光重合開始剤としてはまた、分子内開裂型の光重合開始剤である、オキシムエステル系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤も使用することができる。オキシムエステル系光重合開始剤としては、例えば、1,2−オクタンジオン1,4−(4−フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)(IGM Resins B.V.社製、Omnirad(商標)OXE01)を挙げることができる。
光重合開始剤としてはさらに、水素引き抜き型光重合開始剤の一種である分子間水素引き抜き型光重合開始剤を使用することもできる。分子間水素引き抜き型光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン/アミン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン/ベンゾフェノン、チオキサントン/アミンを挙げることができる。これらに加えて、二官能型(分子内開裂及び水素引き抜き)の光重合開始剤を使用することも可能である。分子内開裂及び分子間水素引き抜きの二官能型光重合開始剤としては、例えば、1−プロパノン,1−[4−[4−ベンゾイルフェニル]チオ]フェニル]−2−メチル−2−[(4−メチルフェニル)スルホニル](Lamberti社製、Esacure(商標)1001M)を挙げることができる。
光重合開始剤の含有量としては特に制限はないが、例えば、電離放射線硬化型接着剤組成物の中の全モノマー成分100質量部に対し、約0.10質量部以上、約0.15質量部以上、又は約0.20質量部以上とすることができ、約5.0質量部以下、約3.0質量部以下、約1.0質量部以下、又は約0.50質量部以下とすることができる。
工程(3)は、工程(2)で得られた電離放射線硬化型接着剤組成物に対し、電離放射線を照射して硬化させることによって、接着剤を調製する工程である。電離放射線の照射は、例えば、電離放射線硬化型接着剤組成物を、接着剤と一体となる被着体(例えば後述する基材、支持部材)に適用してから実施してもよく、或いは、剥離ライナーに適用してから実施してもよい。
電離放射線の種類については特に制限はなく、例えば、X線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線などを挙げることができるが、典型的には、紫外線が広く用いられる。
いくつかの実施態様では、本開示の電離放射線硬化型接着剤組成物、及びかかる組成物から調製される接着剤は、使用用途等に応じ、任意成分として、例えば、充填剤、補強材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、熱安定剤、分散剤、可塑剤、フロー向上剤、粘着付与剤、レベリング剤、シランカップリング剤、触媒、顔料、染料、増粘剤などを含むことができる。これらの任意成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。例えば、接着剤を装飾用途へ使用する場合には、顔料又は染料等の着色成分を使用しても構わないが、例えば、接着剤を乗り物用の電磁波透過性部材へ使用する場合には、顔料又は染料等の着色成分を使用しないことが有利である。
いくつかの実施態様では、本開示の電離放射線硬化型接着剤組成物は、重合性モノマーとして多官能性モノマーを含んでもよい。多官能性モノマーは、一般に市販されている鎖長延長剤又は架橋剤と称する剤と同様の機能を呈することができるため、本開示の電離放射線硬化型接着剤組成物は、架橋剤を別途含有させなくてもよい。多官能性モノマーを含む電離放射線硬化型接着剤組成物から調製される接着剤は、耐熱性、耐タック性等の性能をより向上させることができる。
多官能性モノマーとして、例えば、多官能性(メタ)アクリレートモノマーなどを使用することができ、具体的には、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリルポリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレートなどを使用することができる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
いくつかの実施態様では、多官能性モノマーの配合量は、電離放射線硬化型接着剤組成物の中の全単官能(メタ)アクリル系モノマー及び前記塩基官能基含有不飽和モノマーの合計100質量部に対し、約0.01質量部以上、約0.05質量部以上、約0.1質量部以上、約0.5質量部以上、又は約1質量部以上、約5質量部以下、約3質量部以下、又は約1質量部以下とすることができる。
以下に、接着剤の使用形態の一実施態様として、耐熱収縮性接着フィルムについて説明するが、本発明の接着剤の使用形態はかかる実施態様に限定されない。
本開示の耐熱収縮性接着フィルムは、少なくとも、約20℃以上のガラス転移温度及び約1.5×10以上の重量平均分子量を有する酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー、(メタ)アクリレートモノマー、塩基官能基含有不飽和モノマー、並びに光重合開始剤を含む電離放射線硬化型接着剤組成物の硬化物を含む接着層を備えている。ここで、電離放射線硬化型接着剤組成物に含まれる各種の成分及びその配合量等については、上述したものを同様に採用することができる。
本開示の耐熱収縮性接着フィルムは、接着層の単層構成であってもよく、或いは、後述する任意の層(例えば、基材、装飾層、接合層、保護層等)を備える積層構成であってもよい。
本開示の耐熱収縮性接着フィルムの接着層の厚さとしては特に制限はなく、かかるフィルムの使用用途等に応じて適宜選択することができる。典型的には、耐熱収縮性接着フィルムの接着層の厚さとしては、約5マイクロメートル以上、約10マイクロメートル以上、又は約20マイクロメートル以上とすることができ、約2,000マイクロメートル以下、約1,000マイクロメートル以下、又は約500マイクロメートル以下とすることができる。
いくつかの実施態様において、耐熱収縮性接着フィルムを装飾用途に使用する場合には、その厚さとしては、約5マイクロメートル以上、約10マイクロメートル以上、又は約20マイクロメートル以上とすることができ、約50マイクロメートル以下、約45マイクロメートル以下、又は約40マイクロメートル以下とすることができる。
いくつかの実施態様において、耐熱収縮性接着フィルムを電磁波透過性部材に使用する場合には、その厚さとしては、約50マイクロメートル以上、約55マイクロメートル以上、又は約60マイクロメートル以上とすることができ、約300マイクロメートル以下、約150マイクロメートル以下、約100マイクロメートル以下、又は約80マイクロメートル以下とすることができる。このような厚さとすることで、例えば、被着体となる電磁波透過性部材に凹凸があったとしても、その凹凸に対して接着層を追従させることができる。本開示の電離放射線硬化型接着剤組成物は、溶媒フリーであり、コーティング後の溶媒乾燥に伴う厚さの低減を伴わないため、このような接着層の厚膜化に貢献することができる。
本開示の耐熱収縮性接着フィルムが接着層の単層構成の場合には、その厚さは、高精度デジマチックマイクロメータ(MDH−25MB、株式会社ミツトヨ製)を使用し、かかる接着層の任意の部分の厚さを少なくとも5回測定して算出した平均値として定義することができる。本開示の耐熱収縮性接着フィルムが積層構成の場合には、各層の厚さは、走査型電子顕微鏡を使用して積層構成の厚さ方向断面を測定し、積層構成のうちの目的とする層、例えば、接着層における任意の少なくとも5箇所の厚さの平均値として定義することができる。
いくつかの実施態様では、本開示の耐熱収縮性接着フィルムは、任意の構成要素として、保護層、基材、装飾層、光輝層、構成する層同士を接合する接合層(「プライマー層」などと呼ばれる場合もある。)、導電層、接着層を保護するための剥離ライナーなどの追加の層をさらに含んでもよい。これらの追加の層は、単独で又は二種以上組み合わせて採用することができる。
いくつかの実施態様では、耐熱収縮性接着フィルムの最表面に保護層を配置することができる。保護層は、耐熱収縮性接着フィルムを構成する他の層を外部からの穿刺、衝撃などから保護する機能を有してもよい。保護層は、多層積層体、例えば多層押出積層体であってもよい。保護層は、略平滑な表面を有してもよく、エンボスパターンなどの凹凸形状を表面に有してもよい。
保護層の材料として、様々な樹脂、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を含む(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、メチルメタクリレート−フッ化ビニリデン共重合体などのフッ素樹脂、シリコーン系共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの共重合体、又はこれらの混合物が使用できる。透明性、強度、耐衝撃性などの観点から、保護層の材料として、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体及びポリカーボネートが有利に使用できる。
保護層は、必要に応じて、ベンゾトリアゾール、Tinuvin(商標)400(BASF社製)などの紫外線吸収剤、Tinuvin(商標)292(BASF社製)などのヒンダードアミン光安定化剤(HALS)などを含んでもよい。紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定化剤などを用いることによって、保護層の下層に位置する層の劣化、例えば、装飾層の、変色、退色、劣化などを効果的に防止することができる。保護層は、ハードコート材、光沢付与剤などを含んでもよく、追加のハードコート層を有してもよい。
保護層は、目的とする外観(例えば艶消し外観)を提供するために、全体又は部分的に可視域において、透明、半透明、又は不透明であってもよい。
保護層の厚みは、例えば、約1マイクロメートル以上、約5マイクロメートル以上、又は約10マイクロメートル以上とすることができ、約50マイクロメートル以下、約40マイクロメートル以下、又は約30マイクロメートル以下とすることができる。
いくつかの実施態様では、本開示の耐熱収縮性接着フィルムは、図1に示されるような、基材12を含むことができる。基材12は、例えば、接着層11及び/又は他の任意の層の支持体として使用することができる。例えば、基材の一方の面に接着層を適用し、他方の面に他の任意の層を適用してもよく、或いは、基材の一方の面に接着層を適用し、他方の面には他の任意の層を適用しなくてもよい。後者の構成の耐熱収縮性接着フィルムを、被着体に対して接着層を介して適用した場合には、基材が最外層に配置されるように構成されるため、基材は保護層と同様の機能を呈することができる。基材は、その表面に対し、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理が施されていてもよい。
基材の材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、フッ素樹脂を挙げることができる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。耐熱収縮性接着フィルムを、例えば、乗り物用の電磁波透過性部材等の外装用途に使用する場合には、透明性、耐候性等の観点から、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂の使用が有利である。
基材の厚さとしては特に制限はなく、かかるフィルムの使用用途等に応じて適宜選択することができ、例えば、約50マイクロメートル以上、約80マイクロメートル以上、又は約100マイクロメートル以上とすることができる。厚さの上限値については特に制限はないが、追従性、製造コスト等の観点から、例えば、約2,000マイクロメートル以下、約1,000マイクロメートル以下、又は約500マイクロメートル以下とすることができる。
本開示の耐熱収縮性接着フィルムは、例えば、基材の上又は下に装飾層を配置することができる。装飾層は、例えば、基材に対して全面に又は一部に適用することができる。
装飾層としては、次のものに限定されないが、塗装色、例えば、白、黄等の淡色、赤、茶、緑、青、グレー、黒などの濃色を呈するカラー層;木目、石目、幾何学模様、皮革模様などの模様、ロゴ、絵柄などを物品に付与するパターン層;表面に凹凸形状が設けられたレリーフ(浮き彫り模様)層;及びこれらの組み合わせなどが挙げられる。
カラー層の材料としては、次のものに限定されないが、例えば、カーボンブラック、黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、赤色酸化鉄などの無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料、アゾレーキ系顔料、インジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、ジオキサジン系顔料、キナクリドンレッドなどのキナクリドン系顔料などの有機顔料などの顔料が、(メタ)アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂などのバインダー樹脂に分散された材料を使用することができる。
カラー層は、このような材料を用い、例えば、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、ナイフコートなどのコーティング法により形成することができ、或いはインクジェット印刷などの印刷法により形成することもできる。
パターン層としては、次のものに限定されないが、例えば、模様、ロゴ、絵柄などのパターンを、グラビアダイレクト印刷、グラビアオフセット印刷、インクジェット印刷、レーザー印刷、スクリーン印刷などの印刷法を用いて、基材等に直接適用したものを採用してもよく、或いは、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、ナイフコートなどのコーティング、打ち抜き、エッチングなどにより形成された模様、ロゴ、絵柄などを有するフィルム、シートなどを使用することもできる。パターン層の材料としては、例えば、カラー層で使用した材料と同様の材料を使用することができる。
レリーフ層として、従来公知の方法、例えば、エンボス加工、スクラッチ加工、レーザー加工、ドライエッチング加工、又は熱プレス加工などによる凹凸形状を表面に有する熱可塑性樹脂フィルムを使用することができる。凹凸形状を有する剥離ライナー上に硬化性(メタ)アクリル樹脂などの熱硬化性又は電離放射線硬化性樹脂を塗布し、加熱又は電離放射線照射により硬化させて、剥離ライナーを取り除くことによりレリーフ層を形成することもできる。
レリーフ層に用いられる熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び電離放射線硬化性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、フッ素樹脂、PET、PENなどのポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、熱可塑性エラストマー、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂などを使用することができる。レリーフ層は、カラー層で使用される顔料の少なくとも一種を含んでもよい。
装飾層の厚さとしては、要する装飾性、隠蔽性等に応じて適宜調整すればよく、特に限定されないが、例えば、約1マイクロメートル以上、約3マイクロメートル以上、又は約5マイクロメートル以上とすることができ、約50マイクロメートル以下、約40マイクロメートル以下、約30マイクロメートル以下、約20マイクロメートル以下、又は約15マイクロメートル以下とすることができる。
光輝層は、次のものに限定されないが、例えば、基材又は装飾層の全面若しくは一部に、真空蒸着、スパッタ、イオンプレーティング、めっきなどによって形成された、アルミニウム、ニッケル、金、銀、銅、白金、クロム、鉄、スズ、インジウム、チタニウム、鉛、亜鉛、ゲルマニウムなどから選択される金属、又はこれらの合金若しくは化合物を含む層であってよい。光輝層の厚さについては、要する装飾性及び輝度等に応じて適宜選択することができる。
本開示において、顔料等を配合して着色した耐熱収縮性接着フィルム、或いは、装飾層及び/又は光輝層を備える耐熱収縮性接着フィルムを、装飾フィルムと称する場合がある。
いくつかの実施態様では、本開示の耐熱収縮性接着フィルムは、構成する各層を接合するために接合層を備えることができる。接合層として、例えば、一般に使用される(メタ)アクリル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ゴム系などの、溶剤型、エマルジョン型、感圧型、感熱型、熱硬化型又は紫外線硬化型の接着剤を使用することができる。接合層は、公知のコーティング法などによって適用することができる。
接合層の厚さは、例えば、約0.05マイクロメートル以上、約0.5マイクロメートル以上、又は約5マイクロメートル以上とすることができ、約50マイクロメートル以下、約20マイクロメートル以下、又は約10マイクロメートル以下とすることができる。
いくつかの実施態様では、本開示の耐熱収縮性接着フィルムは、導電層を備えることができる。導電層は、例えば、基材上及び/又は基材下において、基材表面の全面に適用されていてもよく、或いは部分的に適用されていてもよい。例えば、導電層は、例えば、電気回路を構成するように配置されていてもよい。
導電層の調製において使用し得る導電性材料としては特に制限はなく、例えば、ニッケル、クロム、銅、銀等の金属又はこれらの金属のうちの少なくとも一種を含む金属合金、ITO(酸化インジウム錫)等の導電性酸化物、カーボンなどを挙げることができる。これらは単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
導電層は、耐熱収縮性接着フィルムの使用目的等に応じ、全体又は部分的に可視域において、透明、半透明、又は不透明であってもよい。
導電層の厚さとしては特に制限はなく、導電層の使用用途等に応じて適宜選択することができる。導電層の厚さとして、例えば、約5マイクロメートル以上、約10マイクロメートル以上、約20マイクロメートル以上、約30マイクロメートル以上、約40マイクロメートル以上、又は約50マイクロメートル以上とすることができ、約200マイクロメートル以下、約100マイクロメートル以下、又は約80マイクロメートル以下とすることができる。
いくつかの実施態様では、保護層、基材、装飾層、接合層、及び導電層は、使用用途等に応じ、任意成分として、例えば、充填剤、補強材、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、熱安定剤、分散剤、可塑剤、フロー向上剤、粘着付与剤、レベリング剤、シランカップリング剤、触媒、顔料、染料、増粘剤、バインダー樹脂などを含むことができる。これらの任意成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用することができる。
いくつかの実施態様では、接着層を保護するために、任意の好適な剥離ライナーを使用することができる。代表的な剥離ライナーとして、紙(例えば、クラフト紙)、ポリマー材料(例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンビニルアセテート、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルなど)などから調製されるものが挙げられる。剥離ライナーは、必要に応じてシリコーン含有材料又はフルオロカーボン含有材料などの剥離剤の層が適用されていてもよい。
剥離ライナーの厚さは、例えば、約5マイクロメートル以上、約15マイクロメートル以上、又は約25マイクロメートル以上とすることができ、約300マイクロメートル以下、約200マイクロメートル以下、又は約150マイクロメートル以下とすることができる。剥離ライナーの厚さは、接着層から剥離ライナーを除去した後、高精度デジマチックマイクロメータ(MDH−25MB、株式会社ミツトヨ製)を使用し、かかる剥離ライナーの任意の部分の厚さを少なくとも5回測定して算出した平均値として定義することができる。
本開示の耐熱収縮性接着フィルムは、公知の方法、例えば、グラビアダイレクト印刷、グラビアオフセット印刷、インクジェット印刷、スクリーン印刷などの印刷法、グラビアコート、ロールコート、ダイコート、バーコート、ナイフコート、押出しコート法などのコーティング法、ラミネート法、転写法、貼り合わせ法、蒸着法、メッキ法などを、単独で又は複数組み合わせて適宜調製することができる。
一例として以下の製造方法を説明するが、耐熱収縮性接着フィルムの製造方法はこれに限定されない。例えば、上述した、剥離ライナー、接着層、基材、装飾層、及び保護層を順に備える構成の耐熱収縮性接着フィルム(装飾層を含むため「装飾フィルム」と称することができる。)の場合には、上述した電離放射線硬化型接着剤組成物を基材上にコーティングし、その上に剥離ライナーを適用した後、電離放射線を照射して硬化させた接着層を備える積層体Aを調製する。かかる積層体Aの基材表面に対し、顔料及びバインダー樹脂等を含む装飾用組成物をコーティングし、必要に応じ、乾燥工程、硬化工程を適用して装飾層を調製した後、かかる装飾層に対し、ハードコート剤等を含む保護組成物をコーティングし、必要に応じ、乾燥工程、硬化工程を適用して保護層を形成し、耐熱収縮性接着フィルム(装飾フィルム)を調製することができる。保護層は、保護組成物をフィルム又はシートの形態に成形した後に、かかるフィルム又はシートを装飾層に貼り合わせてもよい。
導電層を備える耐熱収縮性接着フィルムの場合には、例えば、上述した電離放射線硬化型接着剤組成物を剥離ライナー上にコーティングし、電離放射線を照射して接着層を形成した後、金属線又は金属蒸着フィルム等の導電層を接着層上に適用し、さらにその上から基材を貼り合わせることによって、導電層を備える耐熱収縮性接着フィルムを調製することができる。
本開示の接着剤及びこの接着剤を用いて調製した耐熱収縮性接着フィルムは、接着性に優れることに加え、優れた耐熱性を呈することができる。
接着性に関しては、例えば、耐熱収縮性接着フィルムの形態にしたときの初期接着力試験又は110℃雰囲気下の熱間接着力試験によって評価することができる。これらの試験は、後述する実施例において記載される試験方法を採用することができる。
いくつかの実施態様では、本開示の接着剤を用いて調製した耐熱収縮性接着フィルムは、初期接着力に関し、約5.0N/25mm以上、約5.5N/25mm以上、約6.0N/25mm以上、又は約8.0N/25mm以上を達成することができる。初期接着力の上限値としては特に制限はないが、例えば、約100N/25mm以下、約90N/25mm以下、又は約80N/25mm以下とすることができる。
いくつかの実施態様では、本開示の接着剤を用いて調製した耐熱収縮性接着フィルムは、熱間接着力に関し、約5.0N/25mm以上、約5.5N/25mm以上、約6.0N/25mm以上、又は約6.5N/25mm以上を達成することができる。熱間接着力の上限値としては特に制限はないが、例えば、約50N/25mm以下、約40N/25mm以下、約30N/25mm以下、又は約20N/25mm以下とすることができる。
耐熱性に関しては、例えば、耐熱収縮性接着フィルムの形態にしたときの熱収縮性試験、耐アウトガス試験、又はエージング後の光学試験によって評価することができる。これらの試験は、後述する実施例において記載される試験方法を採用することができる。
いくつかの実施態様では、本開示の接着剤を用いて調製した耐熱収縮性接着フィルムは、110℃、24時間後の熱収縮に伴う露出長のサイズに関し、約2.5mm以下、約2.3mm以下、又は約2.0mm以下を達成することができる。このサイズの下限値としては特に制限はないが、例えば、約0mm以上と規定することができる。
いくつかの実施態様では、本開示の接着剤を用いて調製した耐熱収縮性接着フィルムは、65℃、80%RHで48時間エージング後において、被着体又は基材等からのアウトガスの発生に伴う接着層における気泡及び剥離を低減又は抑制することができる。
いくつかの実施態様では、本開示の接着剤を用いて調製した耐熱収縮性接着フィルム又は該フィルムを被着体に貼り合わせた物品は、65℃、80%RHで48時間エージング後のΔH(フィルム又は物品のエージング後のヘイズ値から初期ヘイズ値を差し引いた絶対値)に関し、約1.00%以下、約0.90%以下、約0.80%以下、又は約0.70%以下を達成することができる。ΔHの下限値としては特に制限はないが、例えば、約0%以上又は約0%超とすることができる。
いくつかの実施態様では、本開示の接着剤を用いて調製した耐熱収縮性接着フィルム又は該フィルムを被着体に貼り合わせた物品は、65℃、80%RHで48時間エージング後のΔT(フィルム又は物品のエージング後の全光線透過率の値から初期全光線透過率の値を差し引いた絶対値)に関し、約1.00%以下、約0.90%以下、約0.80%以下、又は約0.70%以下を達成することができる。ΔHの下限値としては特に制限はないが、例えば、約0%以上又は約0%超とすることができる。
いくつかの実施態様では、本開示の接着剤を用いて調製した耐熱収縮性接着フィルム又は該フィルムを被着体に貼り合わせた物品は、優れた透明性を呈することができる。透明性に関しては、初期ヘイズ値又は初期全光線透過率によって評価することができる。
いくつかの実施態様では、本開示の接着剤を用いて調製した耐熱収縮性接着フィルム又は該フィルムを被着体に貼り合わせた物品は、初期ヘイズ値に関し、約3.00%以下、約2.50%以下、又は約2.00%以下を達成することができる。初期ヘイズ値の下限値としては特に制限はないが、例えば、約0%以上又は約0.50%以上とすることができる。
いくつかの実施態様では、本開示の接着剤を用いて調製した耐熱収縮性接着フィルム又は該フィルムを被着体に貼り合わせた物品は、初期全光線透過率に関し、約85.00%以上、約86.00%以上、又は約87.00%以上を達成することができる。初期全光線透過率の上限値としては特に制限はないが、例えば、約100%未満、約98.00%以下、約95.00%以下、約93.00%以下、又は約90.00%以下とすることができる。
本開示の一実施態様によれば、上述した耐熱収縮性接着フィルムの接着層を支持部材(被着体)の表面に配置してなる物品が提供される。本開示の接着剤を用いて調製した耐熱収縮性接着フィルムは、伸び特性に優れるため、平板状の支持部材に限らず、曲面状又は三次元形状の支持部材などに適用することができるため、種々の用途で使用することができる。
支持部材の材料としては特に制限はなく、例えば、樹脂材料、ガラス等の無機材料、金属材料、木質材料などを使用することができる。樹脂材料としては、例えば、ポリカーボネート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、又はそれらの混合物などを使用することができる。
いくつかの実施態様では、本開示の耐熱収縮性接着フィルムは、接着性、耐熱性に優れ、また、構成する接着層は、凸凹があっても吸収できる埋まり性能等を奏し得るため、例えば、各種の内装又は外装品、例えば、自動車、鉄道、航空機、船などの乗物の内装又は外装品(例えば、ルーフ部材、ピラー部材、ドアトリム部材、インストルメントパネル部材、ボンネット等のフロント部材、バンパー部材、フェンダー部材、サイドシル部材、インテリアパネル部材、電磁波透過性部材)、建築部材(例えば、窓ガラス、ドア、サッシ、瓦等の屋根部材、外壁部材、壁紙)などに対して使用することができる。この他、本開示の耐熱収縮性接着フィルムは、パソコン、スマートフォン、携帯電話、冷蔵庫、エアコンなどの電化製品、文具、家具、机、缶等の各種容器などに対して使用することができる。ここで、電磁波透過性部材とは、例えば、かかる部材よりも内部に、光学若しくは電磁波などを用いるセンサー又は送受信機が配置されている場合において、これらが送信又は受信し得る電磁波を透過することが可能な部材を挙げることができる。
このような電磁波透過性部材、及びそれに適用されるカバー材を構成する材料には、電波干渉が生じにくく、電磁波透過性及び耐候性に優れるポリカーボネートが使用されることがある。しかしながら、ポリカーボネートの構成部材は、成形時の熱等によってガスが発生しやすく、この発生したガスによって、電磁波透過性部材とカバー材との間で膨れが生じたり、カバー材の接着層がはがれるなどの不具合が生じる場合があった。本開示の接着剤を用いて調製した耐熱収縮性接着フィルムは、接着性に加え、耐アウトガス性等の耐熱性にも優れるため、このような電磁波透過性部材のカバー材として好適に使用することができる。
物品を構成する支持部材(被着体)に対して本開示の耐熱収縮性接着フィルムを適用する方法としては特に制限はなく、公知の方法を適宜使用することができる。例えば、手貼り、インサート射出成形法、インモールド成形法、オーバーモールド成形法、二色射出成形法、コアバック射出成形法、サンドイッチ射出成形法などの射出成形法、ラミネート法、三次元被覆成形法(Three-dimensional Overlay Method、TOM)などを挙げることができる。
以下、図2を参照しながら、TOMを用いて耐熱収縮性接着フィルムを支持部材に適用する方法について例示的に説明する。
図2(A)に示すように、例示的な真空加熱圧着装置30は、上下に第1真空室31及び第2真空室32をそれぞれ有しており、上下の真空室の間に被着体である支持部材20に貼り付ける耐熱収縮性接着フィルム10をセットする治具が備えられている。また、下側の第1真空室31には、上下に昇降可能な昇降台35(不図示)の上に仕切り板34及び台座33が設置されており、三次元形状物などの支持部材20は、この台座33の上にセットされる。このような真空加熱圧着装置としては、市販のもの、例えば両面真空成型機(布施真空株式会社製)などを使用することができる。
図2(A)に示すように、まず、真空加熱圧着装置30の第1真空室31及び第2真空室32を大気圧に解放した状態で、上下の真空室の間に、耐熱収縮性接着フィルム10をセットする。第1真空室31において台座33の上に支持部材20をセットする。
次に、図2(B)に示すように、第1真空室31及び第2真空室32を閉鎖し、それぞれ減圧し、各室の内部を真空(大気圧を1atmとした場合、例えば約0atm)にする。その後又は真空にするのと同時にフィルムを加熱する。
次いで、図2(C)に示すように、昇降台35を上昇させて支持部材20を第2真空室32まで押し上げる。加熱は、例えば、第2真空室32の天井部に組み込まれたランプヒータで行うことができる。加熱温度は、一般に、約50℃以上、約180℃以下とすることができ、好ましくは約130℃以上、約160℃以下である。減圧雰囲気の真空度は、大気圧を1atmとして、約0.10atm以下、約0.05atm以下、又は約0.01以下atm以下とすることができる。
加熱された耐熱収縮性接着フィルム10は、支持部材20の表面に押しつけられて延伸される。その後又は延伸と同時に、図2(D)に示すように、第2真空室32内を適当な圧力(例えば約3atm〜約1atm)に加圧する。圧力差により、耐熱収縮性接着フィルム10が支持部材20の露出表面に密着し、露出表面の三次元形状に追従して延伸され、支持部材表面に密着した被覆を形成する。耐熱収縮性接着フィルムの少なくとも一部は、例えば、支持部材の三次元形状に追従して延伸されるときに、面積倍率で約4倍以上、約4.5倍以上、又は約5倍以上に延伸される場合がある。なお、図2(B)の状態で減圧及び加熱を行った後、そのまま第2真空室32内を加圧して、耐熱収縮性接着フィルム10で支持部材20の露出表面を被覆することもできる。
この後、上下の第1真空室31及び第2真空室32を再び大気圧に開放して、耐熱収縮性接着フィルム10で被覆された支持部材20を外に取り出す。図2(E)に示すように、支持部材20の表面に密着した耐熱収縮性接着フィルム10のエッジをトリミングして、TOM工程は完了する。このようにして、耐熱収縮性接着フィルム10が支持部材20の端部においてその裏面部21まで回り込んで露出面をきれいに被覆する、良好な巻き込み被覆がなされた物品1を得ることができる。
成形後の耐熱収縮性接着フィルムの最大面積伸び率は、一般に、約50%以上、約100%以上、又は約200%以上、約1,000%以下、約500%以下、又は約300%以下となり得る。
面積伸び率は、面積伸び率(%)=(B−A)/A(A:耐熱収縮性接着フィルムのある部分の成形前の面積、B:耐熱収縮性接着フィルムのAに対応する部分の成形後の面積)で定義される。例えば、耐熱収縮性接着フィルムのある部分の面積が成形前に100cmであって、その部分が成形後に物品の表面で250cmとなった場合は150%である。最大面積伸び率は、成形品表面全ての耐熱収縮性接着フィルムのなかで最も高い面積伸び率の箇所の値を言う。
例えば、3次元形状を有する物品に平らなフィルムをTOMにより貼り付けると、例えば最初にフィルムが物品に当たる部分はほとんど延伸されず面積伸び率はほぼ0%であり、最後に貼り付けられる端部では大きく延伸されて面積伸び率が200%以上になるといったように、場所によって面積伸び率が大きく異なる。フィルムが最も大きく延伸された部分で物品に対する未追従やフィルムの破れといった不具合が起きるか否かが成形の合否を決めることから、成形品全体の平均面積伸び率ではなく、最も大きく延伸された部分の面積伸び率、すなわち最大面積伸び率が成形品の合否の実質的な指標となる。
最大面積伸び率は、例えば成形前の耐熱収縮性接着フィルムの表面全体に1mm四方のマス目を印刷しておき、成形後にその面積変化を測定する、あるいは成形前後の耐熱収縮性接着フィルムの厚さを測定することにより確認できる。
以下の実施例において、本開示の具体的な実施態様を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。部及びパーセントは全て、特に明記しない限り質量による。また、表1〜3における「Tg」はガラス転移温度、「Mw」は重量平均分子量を意図し、表2及び表3における、「共重合体のTg」とは、単官能アクリル系モノマーと塩基官能基含有不飽和モノマーとを共重合したときのガラス転移温度を意図する。
本実施例で使用した材料を以下の表1に示す。
Figure 2021172753
Figure 2021172753
〈装飾基材フィルムの調製〉
約50マイクロメートル厚のテイジン(商標)テトロン(商標)G2フィルム上に、レザミン(商標)D6260をコーティングした後、約100℃のオーブン中に約10分間、続いて、約160℃のオーブン中に約10分間静置して、約20マイクロメートル厚のポリウレタン層を調製した。このポリウレタン層上に、スズ蒸着源に対して電子ビームを照射し得る真空蒸着装置(EX−400、ULVAC社製)を用い、約5Å/秒の速度で厚さ約430Åのスズ蒸着層を形成し、スズ蒸着フィルムを調製した。
装飾接合フィルムからポリエステル剥離層を取り除き、そこへスズ蒸着フィルムのスズ蒸着面を重ね合わせ、約100℃のラミネーターロールを備える加熱式ラミネーターに投入し、テイジン(商標)テトロン(商標)G2フィルムを取り除いて、装飾基材フィルムを調製した。
〈装飾用接着フィルムの調製〉
(実施例1:溶媒フリーの電離放射線硬化型接着剤組成物を使用)
2EHAを85.00質量部、DMAAを15.00質量部、及び懸濁重合法により調製されたハイパール(商標)YT−1504Hを17.65質量部混合した後、HDDAを0.12質量部、Irganox(商標)1010を1.18質量部、タイペーク(商標)CR−90を5.89質量部、DISPERBYK(商標)111を0.05質量部、Omnirad(商標)TPOを0.24質量部さらに混合して溶媒フリーの電離放射線硬化型接着剤組成物を調製した。
この電離放射線硬化型接着剤組成物を、テイジン(商標)ピューレックス(商標)A−50フィルムとセラピール(商標)MIBとの間に適用した後、シルバニア(商標)F20T12Bを用いて、積算光量が約1,200mJ/cmとなるように紫外線を照射し、厚さ約42マイクロメートルの白色の接着層を調製した。テイジン(商標)ピューレックス(商標)A−50フィルムを除去した後、接着層と、装飾基材フィルムのポリウレタン層が重なるようにして約60℃のラミネーターロールを備える加熱式ラミネーターに投入し、装飾用接着フィルムを調製した。
(実施例2〜12:溶媒フリーの電離放射線硬化型接着剤組成物を使用)
電離放射線硬化型接着剤組成物を構成する材料及び配合割合を、表2に示されるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜12の装飾用接着フィルムを各々調製した。ここで、実施例10の接着フィルムにおける接着層は黒色を呈し、実施例11の接着フィルムにおける接着層は銀色を呈しており、実施例12の接着フィルムにおける接着層は透明であった。
(比較例1:溶媒含有接着剤組成物を使用)
アクリルPSAを100.0質量部及びE−5XMを1.2質量部混合して接着剤組成物を調製した。
この接着剤組成物を、テイジン(商標)ピューレックス(商標)A−55フィルム上にコーティングし、約80℃のオーブン中に約5分間、続いて、約120℃のオーブン中に約5分間静置して、約40マイクロメートル厚のアクリル接着層を調製した。得られた接着層と、装飾基材フィルムのポリウレタン層が重なるようにして約60℃のラミネーターロールを備える加熱式ラミネーターに投入し、装飾用接着フィルムを調製した。
(比較例2:溶媒フリーの電離放射線硬化型接着剤組成物を使用)
電離放射線硬化型接着剤組成物を構成する材料及び配合割合を、表2に示されるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の装飾用接着フィルムを調製した。
〈物性評価試験1〉
接着フィルムの特性を、以下の方法を用いて評価した。ここで、下記の接着力試験による、初期接着力が5.0N/25mm以上、及び熱間接着力が5.0N/25mm以上、並びに下記の熱収縮試験による露出長が2.5mm以下を、ターゲット特性と設定することができ、このターゲット特性を満足している場合を「良」、満足していない場合を「不良」と評価し、その結果を表2に示す。
(接着力試験:接着性)
接着フィルムと、ポリカーボネート及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体の混合物から構成される約3ミリメートル厚の略平坦な基板(エクセロイ(商標)CK43、テクノポリマー株式会社製)とを、三次元被覆成形装置(布施真空社製)に設置し、下記の条件で貼り合わせて試験サンプルを調製した:
設定温度:136℃
面積伸び率:200%
試験サンプルをテンシロン引っ張り試験機(株式会社オリエンテック製)に取り付け、25℃又は110℃の環境下、引き剥がし速度50mm/分の条件で180度の引き剥がし接着力を測定した。その結果を表2に示す。表2では、25℃での接着力を初期接着力、110℃での接着力を熱間接着力と表記する。
(熱収縮試験:耐熱性)
接着フィルムと、ポリカーボネート及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体の混合物から構成される約3ミリメートル厚の略平坦な基板(エクセロイ(商標)CK43、テクノポリマー株式会社製)とを、三次元被覆成形装置(布施真空社製)に設置し、下記の条件で貼り合わせて試験サンプルを調製した:
設定温度:136℃
面積伸び率:200%
試験サンプルの接着フィルムをカミソリ刃で基板面までキスカットして直線状の切れ目を入れた後、110℃のオーブン中に3日間静置した。その後、試験サンプルの切れ目部分を目視観察し、熱収縮に伴う露出長を測定し、その結果を表2に示す。ここで、「露出長」とは、切れ目の直線部に対し、略垂直方向における露出したフィルム間の間隔の任意の5箇所の平均長さを意図する。
Figure 2021172753
〈接着フィルムの調製〉
(実施例13)
2EHAを70.00質量部、DMAAを30.00質量部、及び懸濁重合法により調製されたハイパール(商標)YT−1504HD−2を33.33質量部混合した後、HDDAを0.12質量部、Omnirad(商標)TPOを0.23質量部、Irganox(商標)1010を1.33質量部、さらに混合して溶媒フリーの電離放射線硬化型接着剤組成物を調製した。
この電離放射線硬化型接着剤組成物を、テイジン(商標)ピューレックス(商標)A−50フィルムとセラピール(商標)MIBとの間に適用した後、シルバニア(商標)F20T12Bを用いて、積算光量が約1,200mJ/cmとなるように紫外線を照射し、厚さ約150マイクロメートルの接着層を調製した。テイジン(商標)ピューレックス(商標)A−50フィルムを除去した後、接着層と200マイクロメートル厚のポリカーボネートシート(テクノロイ(商標)C000、住化アクリル販売株式会社製)が重なるようにして約100℃のラミネーターロールを備える加熱式ラミネーターに投入し、接着フィルムを調製した。
(実施例14〜23及び比較例3〜4)
電離放射線硬化型接着剤組成物を構成する材料及び配合割合を、表3に示されるように変更したこと以外は、実施例13と同様にして、実施例14〜23及び比較例3〜4の接着フィルムを各々調製した。
〈物性評価試験2〉
接着フィルム、及び該フィルムを用いて調製した試験サンプル(物品)の特性を、以下の方法を用いて評価した。
(三次元被覆成形後の外観試験)
接着フィルムと、ポリカーボネートから構成される約3ミリメートル厚の略平坦な基板(L−1225Z、帝人株式会社製)とを、三次元被覆成形装置(布施真空社製)に設置し、下記の条件で貼り合わせて試験サンプルを調製した:
設定温度:136℃
面積伸び率:200%
試験サンプルの外観を目視観察し、気泡が生じなかった場合を「良」、気泡が生じていた場合を「不良」と評価し、その結果を表3に示す。
(耐アウトガス試験:目視観察)
上記のようにして調製した試験サンプルを、65℃、80%RHの恒温高湿槽内に約48時間静置した後、試験サンプルの外観を目視観察し、気泡及び/又は剥離が生じなかった場合を「良」、気泡及び/又は剥離が生じていた場合を「不良」と評価し、その結果を表3に示す。
(耐アウトガス試験:光学特性評価)
上記のようにして調製した試験サンプルの初期ヘイズ値(H)及び初期全光線透過率(T)を、ヘイズメーター(NDH2000、日本電色工業株式会社製)で測定した。次いで、試験サンプルを、65℃、80%RHの恒温高湿槽内に48時間静置してエージングさせた後、23℃、55%RHの環境下に1時間静置し、ヘイズメーターで同様に、エージング後のヘイズ値(H)及び全光線透過率(T)を測定し、下記の式1及び式2から、ΔH(%)及びΔT(%)を算出した。その結果を表3に示す:
ΔH(%)=|H−H| …式1
ΔT(%)=|T−T| …式2
(接着力試験:接着性)
試験サンプルをテンシロン引っ張り試験機(株式会社オリエンテック製)に取り付け、25℃の環境下、引き剥がし速度50mm/分の条件で180度の引き剥がし接着力を測定した。その結果を表3に示す。
Figure 2021172753
本発明の基本的な原理から逸脱することなく、上記の実施態様及び実施例が様々に変更可能であることは当業者に明らかである。また、本発明の様々な改良及び変更が本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに実施できることは当業者には明らかである。
1 物品
10 耐熱収縮性接着フィルム
11 接着層
12 基材
20 支持部材
21 裏面部
30 真空加熱圧着装置
31 第1真空室
32 第2真空室
33 台座
34 仕切り板
35 昇降台

Claims (21)

  1. 20℃以上のガラス転移温度及び1.5×10以上の重量平均分子量を有する酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子を、懸濁重合法によって得ることと、
    (メタ)アクリレートモノマー、及び塩基官能基含有不飽和モノマーを含む混合液に、前記酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子を配合して、電離放射線硬化型接着剤組成物を調製することであって、光重合開始剤を、前記酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子を配合する前に前記混合液中に配合する、又は前記酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子の配合と同時に若しくはそれ以降に前記混合液中に配合する、前記電離放射線硬化型接着剤組成物を調製することと、
    電離放射線を照射して前記電離放射線硬化型接着剤組成物を硬化させることと、
    を含む、接着剤の製造方法。
  2. 前記電離放射線硬化型接着剤組成物を剥離ライナーに適用することをさらに含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記電離放射線硬化型接着剤組成物の全(メタ)アクリル系モノマー及び前記塩基官能基含有不飽和モノマーの合計量に対する、前記(メタ)アクリレートモノマーの割合が、70〜90質量%であり、かつ、前記塩基官能基含有不飽和モノマーの割合が、10〜30質量%である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記電離放射線硬化型接着剤組成物は、全(メタ)アクリル系モノマー及び前記塩基官能基含有不飽和モノマーの合計100質量部に対し、前記酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー粒子由来の成分を10〜50質量部含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記塩基官能基含有不飽和モノマーが、N,N−ジアルキルアクリルアミドである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 20℃以上のガラス転移温度及び1.5×10以上の重量平均分子量を有する酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー、単官能(メタ)アクリレートモノマー、塩基官能基含有不飽和モノマー、並びに光重合開始剤を含む電離放射線硬化型接着剤組成物の硬化物を含む接着層を備える、
    耐熱収縮性接着フィルム。
  7. 前記電離放射線硬化型接着剤組成物中の全単官能(メタ)アクリル系モノマー及び前記塩基官能基含有不飽和モノマーの合計量に対する、前記単官能(メタ)アクリレートモノマーの割合が、70〜90質量%であり、かつ、前記塩基官能基含有不飽和モノマーの割合が、10〜30質量%である、請求項6に記載の耐熱収縮性接着フィルム。
  8. 前記電離放射線硬化型接着剤組成物は、全単官能(メタ)アクリル系モノマー及び前記塩基官能基含有不飽和モノマーの合計100質量部に対し、前記酸官能基含有(メタ)アクリルポリマーを10〜50質量部含む、請求項6又は7に記載の耐熱収縮性接着フィルム。
  9. 前記塩基官能基含有不飽和モノマーが、N,N−ジアルキルアクリルアミドである、請求項6〜8のいずれか一項に記載の耐熱収縮性接着フィルム。
  10. 前記酸官能基含有(メタ)アクリルポリマーが、懸濁重合法によって調製されたポリマーである、請求項6〜9のいずれか一項に記載の耐熱収縮性接着フィルム。
  11. 装飾フィルムとして使用される、請求項6〜10のいずれか一項に記載の耐熱収縮性接着フィルム。
  12. 電磁波透過性部材に使用される、請求項6〜10のいずれか一項に記載の耐熱収縮性接着フィルム。
  13. 前記接着層の厚さが、50マイクロメートル以下である、請求項11に記載の耐熱収縮性接着フィルム。
  14. 前記接着層の厚さが、50マイクロメートル以上である、請求項12に記載の耐熱収縮性接着フィルム。
  15. 支持部材の表面に、請求項6〜14のいずれか一項に記載の耐熱収縮性接着フィルムを真空加熱圧着することを含む、物品の製造方法。
  16. 請求項6〜14のいずれか一項に記載の耐熱収縮性接着フィルムが接着層を介して支持部材の表面に配置されている、物品。
  17. 20℃以上のガラス転移温度及び1.5×10以上の重量平均分子量を有する酸官能基含有(メタ)アクリルポリマー、単官能(メタ)アクリレートモノマー、塩基官能基含有不飽和モノマー、並びに光重合開始剤を含む、電離放射線硬化型接着剤組成物。
  18. 全単官能(メタ)アクリル系モノマー及び前記塩基官能基含有不飽和モノマーの合計量に対する、前記単官能(メタ)アクリレートモノマーの割合が、70〜90質量%であり、かつ、前記塩基官能基含有不飽和モノマーの割合が、10〜30質量%である、請求項17に記載の電離放射線硬化型接着剤組成物。
  19. 全単官能(メタ)アクリル系モノマー及び前記塩基官能基含有不飽和モノマーの合計100質量部に対し、前記酸官能基含有(メタ)アクリルポリマーを10〜50質量部含む、請求項17又は18に記載の電離放射線硬化型接着剤組成物。
  20. 前記塩基官能基含有不飽和モノマーが、N,N−ジアルキルアクリルアミドである、請求項17〜19のいずれか一項に記載の電離放射線硬化型接着剤組成物。
  21. 前記酸官能基含有(メタ)アクリルポリマーが、懸濁重合法によって調製されたポリマーである、請求項17〜20のいずれか一項に記載の電離放射線硬化型接着剤組成物。
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