JP2021172583A - 複層ガラスパネル - Google Patents

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JP2021172583A JP2021068542A JP2021068542A JP2021172583A JP 2021172583 A JP2021172583 A JP 2021172583A JP 2021068542 A JP2021068542 A JP 2021068542A JP 2021068542 A JP2021068542 A JP 2021068542A JP 2021172583 A JP2021172583 A JP 2021172583A
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大介 稲岡
Daisuke Inaoka
達洋 中澤
Tatsuhiro Nakazawa
秀俊 岡
Hidetoshi Oka
英明 大島
Hideaki Oshima
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Abstract

【課題】十分な断熱性を有しつつ電波透過性の確保が可能な複層ガラスパネルを提供する。【解決手段】第1ガラス板1と、第1ガラス板1と対向配置される第2ガラス板2と、第1ガラス板1と第2ガラス板2との間に配置され、第1ガラス板1と第2ガラス板2の間に空隙層3を形成するスペーサ5と、を備え、第1ガラス板1及び第2ガラス板2の少なくとも一方の板面12に、Low−E膜41が形成された被膜領域42と、Low−E膜41が形成されていない露出領域43とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、複層ガラスパネルに関する。
窓ガラスとして、第1ガラス板と、第2ガラス板とを有し、第1ガラス板及び第2ガラス板の一方の板面に、赤外線を反射するLow−E膜(低放射膜)が形成された複層ガラスパネルが存在する(例えば、特許文献1)。このような複数ガラスパネルを用いることにより、窓ガラスの断熱性を高めることができる。
特開2006−143525号公報
しかしながら、Low−E膜(低放射膜)が形成された複層ガラスパネルは、電波透過性が低いため、例えば携帯電話用の電波の送受信が困難となる問題があった。
上記実情に鑑み、十分な断熱性を有しつつ電波透過性の確保が可能な複層ガラスパネルが求められている。
本発明に係る複層ガラスパネルの特徴構成は、第1ガラス板と、前記第1ガラス板と対向配置される第2ガラス板と、前記第1ガラス板と前記第2ガラス板との間に配置され、前記第1ガラス板と前記第2ガラス板の間に空隙層を形成するスペーサと、を備え、前記第1ガラス板または前記第2ガラス板の少なくとも一方の板面に、Low−E膜が形成された被膜領域と、前記Low−E膜が形成されていない露出領域と、を有する点にある。
本構成によれば、複層ガラスパネルは、第1ガラス板または第2ガラス板の少なくとも一方の板面に、Low−E膜が形成された被膜領域と、Low−E膜が形成されていない露出領域とを有する。したがって、複層ガラスパネルは、Low−E膜が形成された被膜領域によって断熱性を確保できる。さらに、複層ガラスパネルは、Low−E膜が形成されていない露出領域によって電波透過性を確保することができる。これにより、例えば室内側にアンテナを配置した場合、露出領域を介して室外側との電波の送受信をすることができる。
また、露出領域は、Low−E膜が形成されたガラス板の板面からLow−E膜を除去する方法や、各種のマスキング材を用いることで形成することができる。したがって、露出領域は、ガラス板において所望の位置に容易に配置することができる。
他の特徴構成として、前記第1ガラス板が室外側であって、前記第1ガラス板の前記空隙層とは反対の側の板面を第1面、前記第1ガラス板の前記空隙層の側の板面を第2面、前記第2ガラス板の前記空隙層の側の板面を第3面、前記第2ガラス板の前記空隙層とは反対の側の板面を第4面と夫々を定義したときに、前記被膜領域及び前記露出領域は、前記第1ガラス板の前記第2面、または前記第2ガラス板の前記第3面に配置されていると好適である。
本構成によれば、第1ガラス板または第2ガラス板において、Low−E膜が空隙層に対向する側に配置されている。これにより、Low−E膜が形成された被膜領域において空隙層を境界にして熱を遮断することができる。その結果、複層ガラスパネルにおいて断熱性能を向上させることができる。
他の特徴構成として前記Low−E膜は、前記第1ガラス板の前記第2面に配置され、
遮熱膜が、前記第1ガラス板の前記第1面、または前記第2ガラス板の前記第3面、または前記第2ガラス板の前記第4面に配置されていると好適である。
本構成によれば、第1ガラス板の第2面にLow−E膜を配置するとともに、第1ガラス板または第2ガラス板の他の板面に遮熱膜が配置されている。これにより、複層ガラスパネルは、遮熱膜により日射光に含まれる赤外線を遮蔽するため、複層ガラスパネル全面において遮熱性を付与することができる。すなわちLow−E膜が形成されていない露出領域においても、遮熱膜によって遮熱性を確保することができる。
他の特徴構成として、前記Low−E膜は、前記第2ガラス板の前記第3面に配置され、遮熱膜が、前記第1ガラス板の前記第2面に配置されていると好適である。
Low−E膜は赤外線を反射して遮断するものが多く、遮熱膜は赤外線を吸収して遮断するものが多い。したがって、遮熱膜は隣接するガラス板に熱を伝え易い。このため、遮熱膜を第2ガラス板の第3面に配置すると、遮熱膜によって第2ガラス板が加熱されて輻射熱により室内が暖まり易くなり断熱性能が低下する。一方、本構成のように、第1ガラス板の第2面に遮熱膜が配置されると、第2ガラス板は遮熱膜から離間することで暖まり難くなる。これにより、複層ガラスパネルにおいて断熱性能を向上させることができる。また、仮に、アンテナを室内に配置した場合には、Low−E膜は、第2ガラス板の第3面に配置されることでアンテナとの距離が近くなるため、アンテナと例えば導電性薄膜で構成されるLow−E膜とのカップリング作用によりノイズ低減効果を得ることができる。その結果、室内に配置されるアンテナの性能を向上させることもできる。
他の特徴構成として、前記遮熱膜は、熱線吸収膜であると好適である。
本構成のように、遮熱膜が熱線吸収膜であると、遮熱膜によって赤外線を吸収することができるので、複層ガラスパネルにおいて遮熱性能が向上する。
他の特徴構成として、前記遮熱膜の表面抵抗率が20Ω以上であると好適である。
本構成のように、遮熱膜の表面抵抗率が20Ω以上であると、遮熱膜は電波透過性が高くなり、遮熱膜を通過する際の電波の損失を抑制できる。
他の特徴構成として、前記Low−E膜を有する前記板面は、前記露出領域を少なくとも1つ有しており、前記露出領域は、10cm角の領域よりも大きく、60cm角の領域よりも小さいと好適である。
複層ガラスパネルは、5G帯域の電波を送受信するうえで、Low−E膜を有する板面における露出領域は、10cm角以上の領域であることが好ましく、5G帯域の電波をより確実に送受信するうえでは露出領域の面積が大きい方が好ましい。しかし、露出領域の面積が大きくした場合には、第1ガラス板または第2ガラス板において露出領域の割合が増すため、複層ガラスパネルにおいて断熱性がより低下する。そこで、本構成では、第1ガラス板または第2ガラス板において、Low−E膜を有する板面は、露出領域を少なくとも1つ有しており、露出領域は、10cm角の領域よりも大きく、60cm角の領域よりも小さくしている。これにより、複層ガラスパネルは、露出領域による断熱性への影響を小さくすることができる。
Low−E膜を有する板面における露出領域は、好ましくは、高周波(30〜300MHz、10m〜1m)、超高周波(300〜3000MHz、1m〜100mm)、および/またはさらなる超高周波(3〜30GHz、100mm〜10mm)に対応する電波の通過を可能にするように配置される。
また、露出領域は、好ましくは、超高周波および/または超高周波のみに対応する電磁放射、より好ましくは携帯電話または携帯電話のみ、および/またはインターネットに無線で接続できる装置に対応する電波の通過を可能にするように配置される。
他の特徴構成として、前記Low−E膜を有する前記板面は、前記露出領域を1つのみ有すると好適である。
本構成によれば、第1ガラス板または第2ガラス板において、Low−E膜を有する板面は露出領域が1つである。これにより、複層ガラスパネルは、露出領域による断熱性への影響をより小さくすることができる。しかも、露出領域を1つとすれば、電波の透過経路上にアンテナを配置し易くなり、アンテナの受信感度を容易に向上させることができる。
他の特徴構成として、前記露出領域は矩形であり、前記露出領域の外縁と、前記Low−E膜を有する前記板面の外縁との距離は15cm以内であると好適である。
本構成のように、露出領域が矩形であることで、アンテナ形状が矩形であった場合の電波透過性を最大限活用できる。また、露出領域の外縁がガラス板の板面の外縁に近接するようになるため、露出領域をガラス板の周縁近くに配置することができる。これにより、複層ガラスパネルは、露出領域による外観上の影響を小さくすることができる。
他の特徴構成として、前記被膜領域及び前記露出領域において、JIS R3106(1998)に準拠して算出された可視光透過率の差が10%未満であると好適である。
本構成のように、被膜領域及び露出領域において、可視光透過率の差が小さく設定されることで、被膜領域と露出領域との間で外観上の差異は小さくなる。これにより、複層ガラスパネルは、露出領域による外観上の影響を小さくすることができる。
他の特徴構成として、前記被膜領域及び前記露出領域において、前記可視光透過率の差が5%未満であると好適である。
本構成によれば、被膜領域及び前記露出領域において可視光透過率の差が5%未満である。したがって、複層ガラスパネルは、露出領域による外観上の影響をさらに小さくすることができる。
他の特徴構成として、前記被膜領域及び前記露出領域において、室外側からの観測に基づき、JIS Z8781−4(2013)に準拠して算出された、前記被膜領域と前記露出領域との反射色調の差が、CIE L*a*b*色度座標図におけるa*で10以内、且つ、b*で10以内であると好適である。
本構成のように、被膜領域及び露出領域において、反射色調の差が小さく設定されることで、被膜領域と露出領域との間で外観上の差異は小さくなる。これにより、複層ガラスパネルは、露出領域による外観上の影響を小さくすることができる。
他の特徴構成として、前記被膜領域及び前記露出領域において、前記反射色調の差が、CIE L*a*b*色度座標図におけるa*で5以内、且つ、b*で5以内であると好適である。
本構成によれば、被膜領域及び前記露出領域において反射色調の差が5以内である。したがって、複層ガラスパネルは、露出領域による外観上の影響をさらに小さくすることができる。
他の特徴構成として、前記Low−E膜は導電性薄膜であると好適である。
本構成によれば、Low−E膜は導電性薄膜はであるので、導電性薄膜によって可視光を透過して取り込みつつ赤外線を反射して熱を遮断することができる。これにより、複層ガラスパネルにおいて断熱性能を向上させることができる。
他の特徴構成として、前記導電性薄膜の表面抵抗率が20Ω未満であると好適である。
本構成によれば、導電性薄膜の表面抵抗率が20Ω未満であり、赤外域から電波域にわたる波長領域で高い反射率を有する。そのため被膜領域は、電波の透過性は低くなるが、放射率も低くなる。これにより、複層ガラスパネルにおいて断熱性能を向上させることができる。
他の特徴構成として、前記Low−E膜は、銀を主成分とする金属層を含有すると好適である。
本構成のように、Low−E膜が銀を主成分とする金属層を含有すると、Low−E膜は熱の放射を抑制することができる。これにより、複層ガラスパネルにおいて断熱性能を向上させることができる。
他の特徴構成として、前記金属層の膜厚は5nm以上15nm以下であると好適である。
本構成のように、Low−E膜が所定の膜厚の金属層を有することで、Low−E膜は熱の放射を抑制することができる。これにより、複層ガラスパネルは、断熱性能を向上させることができる。また、金属層の膜厚が15nm以下であることで、Low−E膜による外観上の影響を小さくすることができる。
他の構成として、前記Low−E膜は、前記金属層の内側である、前記Low−E膜が形成された前記板面に近い側に第1反射防止層を有し、前記第1反射防止層の光学膜厚の合計が60nm以上120nm以下であると好適である。
本構成によれば、Low−E膜は、金属層を基準にしてガラス板の板面に近い側に所定の膜厚の第1反射防止層が存在する。これにより、第1反射防止層により金属層を保護して金属層による低放射性能を確実に発揮させることができる。また、複層ガラスパネルにおいて高い可視光透過率と好適な反射色調を実現できる。
他の特徴構成として、前記Low−E膜は、前記金属層の外側である、前記Low−E膜が形成された前記板面から遠い側に第2反射防止層を有し、前記第2反射防止層の光学膜厚の合計が60nm以上120nm以下であると好適である。
本構成によれば、Low−E膜は、金属層を基準にしてガラス板の板面に遠い側に所定の膜厚の第2反射防止層が存在する。これにより、第2反射防止層により金属層を保護して金属層による低放射性能を確実に発揮させることができる。また、複層ガラスパネルにおいて高い可視光透過率と好適な反射色調を実現できる。
他の特徴構成として、前記導電性薄膜は、TCO(Transparent electrically conductive glass)系薄膜であると好適である。
透明導電酸化物からなるTCO系薄膜は、ガラス製造工程においてガラス表面にコーティングされる透明導電膜である。したがって、本構成のように、導電性薄膜がTCO系薄膜であることで、ガラス板に導電性薄膜を容易に配置することができる。また、TCO系薄膜は透明であるため、複層ガラスパネルの被膜領域を透明にすることができる。これにより、複層ガラスパネルにおいて、被膜領域による外観上の影響を小さくすることができる。
他の特徴構成として、前記露出領域は、アンテナが設置可能な領域であると好適である。
本構成によれば、導電膜が形成されていない露出領域にアンテナが設置されることで、当該アンテナは電波透過性の高い露出領域を介して電波の送受信を良好に行うことができる。
第1実施形態の複層ガラスパネルの断面図である。 図1のII−II矢視図である。 第2実施形態の複層ガラスパネルの断面図である。 図3のIV−IV矢視図である。 アンテナ領域の配置を示す複層ガラスパネルの断面図である。 アンテナ領域の配置を示す複層ガラスパネルの断面図である。 対応領域とアンテナ領域との位置関係を示す平面図である。 対応領域とアンテナ領域との位置関係を示す平面図である。 対応領域とアンテナ領域との位置関係を示す平面図である。 実施例の構成及び試験結果を示す図である。 開口を通過する電波のシミュレーション結果を示す図である。 開口を通過する電波のシミュレーション結果を示す図である。 開口を通過する電波のシミュレーション結果を示す図である。 開口を通過する電波のシミュレーション結果を示す図である。 開口を通過する電波のシミュレーション結果を示す図である。 開口を通過する電波のシミュレーション結果を示す図である。 開口を通過する電波のシミュレーション結果を示す図である。 開口を通過する電波のシミュレーション結果を示す図である。 他の実施形態の複層ガラスパネルを示す図である。
〔第1実施形態〕
本発明に係る複層ガラスパネル(以下、「ガラスパネル」とも称する。)100の第1実施形態について、図1及び図2に基づいて説明する。ガラスパネル100は、種々の用途に用いることができ、例えば、建物の窓ガラス、自動車、航空機、船舶、列車などの移動体の窓ガラスとして用いることができる。また、ガラスパネル100の両板面のうち屋内(車内)側には、電波受信用の各種アンテナ60を配置することができる。
<複層ガラスパネルの概要>
図1に示すように、ガラスパネル100は、板面がほぼ同じ矩形の外形を有する2つのガラス板、つまり第1ガラス板1及び第2ガラス板2を有している。ガラス板1,2は、その周縁部に配置されたスペーサ5によって互いに連結されている。スペーサ5により、2つのガラス板1,2間には空隙層3が形成される。さらに、第1ガラス板1において、空隙層3の側の板面(第2面12)に、電波遮断性を有するLow−E膜41が形成されている。Low−E膜41は例えば導電性薄膜である。導電性薄膜の表面抵抗率は20Ω未満であると好ましい。こうすると、導電性薄膜(Low−E膜41)は赤外域から電波域にわたる波長領域で高い反射率を有する。そのためLow−E膜41が形成されている被膜領域42は、電波の透過性は低くなるが、放射率も低くなる。これにより、複層ガラスパネルにおいて断熱性能を向上させることができる。なお、ガラスパネル100の室内側の板面(第4面14)に、電波送受信用のアンテナ60を設置してもよいし、室内の天井等にアンテナ60を設置しても良い。また、図示を省略するが、スペーサ5よりも外側に配置されたシール材が配置された枠体により、空隙層3は密閉されている。
第1ガラス板1は、室外側の板面である第1面11と、空隙層3の側の板面である第2面12とを有する。第2ガラス板2は、空隙層3の側の板面である第3面13と、室内側の板面である第4面14とを有する。
第1ガラス板1の第2面12に、Low−E膜41が形成されている被膜領域42を有する。図2に示すように、Low−E膜41が形成された板面である第2面12の一部に、Low−E膜41が形成されていない露出領域43が設けられている。露出領域43は、アンテナ60が設置可能な領域である。アンテナ60は、図1に示されるように、例えばガラスパネル100の屋内(車内)側の板面に取付けられる。このように、露出領域43にアンテナ60が設置されることで、当該アンテナ60は露出領域43を介して電波の送受信を良好に行うことができる。
<Low−E膜>
Low−E膜41は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、好ましくは、銀を主成分とする層を含む多層膜である。また、Low−E膜41は、金属層、金属酸化物層、金属窒化物層および金属酸窒化物層から選ばれる2種以上の層を積層した多層からなるのも好ましい。金属層の好適な例としては銀層が挙げられる。金属酸化物層の好適な例としては、酸化スズ層、酸化チタン層または酸化亜鉛層が挙げられる。金属窒化物層の好適な例としては窒化ケイ素が挙げられる。金属酸窒化物層の好適な例としては酸窒化ケイ素が挙げられる。Low−E膜41は、物理的気相成長法(PVD)等の真空成膜法が好ましく、特にスパッタリング法が大面積を均一に成膜できるため好ましい。露出領域43は、例えば、スパッタリング法によりガラス板にLow−E膜41を成膜した後、レーザ加工等によりLow−E膜41を除去することで形成される。露出領域43は、各種のマスキング材を用いて形成してもよい。露出領域43は、このような手法で形成することで、ガラス板の所望の位置に容易に配置することができる。
また、Low−E膜41は、酸化スズ層、窒化ケイ素層、酸窒化ケイ素層、酸化チタン層、酸化亜鉛層および銀層から選ばれる3種以上の層を積層した多層からなるのがより好ましく、ガラス板表面から順次、(1)酸化スズ層(第1反射防止層の一例)、酸化亜鉛層(第1反射防止層の一例)、銀層(金属層の一例)、アルミニウム添加酸化亜鉛層(第2反射防止層の一例)および酸化スズ層(第2反射防止層の一例)、(2)窒化ケイ素層(第1反射防止層の一例)、アルミニウム添加酸化亜鉛層(第1反射防止層の一例)、銀層(金属層の一例)およびアルミニウム添加酸化亜鉛層(第2反射防止層の一例)を積層した3層または5層からなるのが最も好ましい。
Low−E膜は、銀を主成分とする金属層を含有する。金属層の膜厚は5nm以上15nm以下であることが好ましく、5nm以上10nm以下であることが更に好ましい。Low−E膜41が、銀を主成分とする所定の膜厚の金属層を有することで、熱の放射を抑制することができる。これにより、ガラスパネル100は、断熱性能を向上させることができる。また、金属層の膜厚が15nm以下であることで、Low−E膜による外観上の影響を小さくすることができる。
Low−E膜41は、金属層の内側である、Low−E膜41が形成された板面に近い側に第1反射防止層を有し、第1反射防止層の光学膜厚の合計が60nm以上120nm以下であると好適である。Low−E膜41は、金属層の外側である、Low−E膜41が形成された板面から遠い側に第2反射防止層を有し、第2反射防止層の光学膜厚の合計が60nm以上120nm以下であると好適である。光学膜厚は、(屈折率n)×(膜厚d)によって算出することができる。第1反射防止層(第2反射防止層)が複数の膜によって構成される場合には、それぞれの膜で算出される光学膜厚の合計が第1反射防止層(第2反射防止層)の光学膜厚となる。光学膜厚を算出する上で、屈折率は可視光の波長により値が変動する。ここでは、可視光の波長を一般的な可視域の基準波長(550nm)の場合の屈折率に基づいた光学膜厚である。
上記のように、Low−E膜41は、金属層を基準にして第1ガラス板1の第2面12に近い側に所定の膜厚の第1反射防止層が存在することで、金属層が保護されてLow−E膜は低反射性能を有することになり、熱を確実に遮断することができる。また、ガラスパネル100において高い可視光透過率と好適な反射色調を実現できる。
また、Low−E膜41は、金属層を基準にして第1ガラス板1の第2面12に遠い側に所定の膜厚の第2反射防止層が存在する場合においても、金属層が保護されてLow−E膜は低反射性能を有することになり、熱を確実に遮断することができる。また、ガラスパネル100において高い可視光透過率と好適な反射色調を実現できる。
本実施形態では、被膜領域42及び露出領域43を有する第1ガラス板1の第2面12(板面)は、露出領域43を1つのみ有している。露出領域43を1つとすれば、電波の透過経路上にアンテナ60を配置し易くなり、アンテナ60の受信感度を容易に向上させることができる。
露出領域43は矩形であり、露出領域43の外縁43aと、被膜領域42及び露出領域43を有する第2面12(板面)の外縁12aとの距離は15cm以内である。また、露出領域43は、10cm角の領域よりも大きく、60cm角の領域よりも小さい。
露出領域43が矩形であることで、ガラスパネル100においてアンテナ形状が矩形であった場合の電波透過性を最大限活用できる。また、ガラスパネル100は、5G帯域の電波を送受信するうえで、露出領域43が10cm角以上の領域であることが好ましく、5G帯域の電波をより確実に送受信するうえでは露出領域43の面積が大きい方が好ましい。しかし、露出領域43の面積が大きくした場合には、第1ガラス板1において露出領域43の割合が増すため、ガラスパネル100の断熱性がより低下する。そこで、本実施形態では、第1ガラス板1の第2面12は、露出領域43を少なくとも1つ有しており、露出領域43は、10cm角の領域よりも大きく、60cm角の領域よりも小さくしている。これにより、ガラスパネル100は、露出領域43による断熱性への影響を小さくすることができる。
また、第1ガラス板1の第2面12において、露出領域43の外縁43aと、第2面12の外縁12aとの距離は15cm以内であると、露出領域43の外縁43aが第1ガラス板1の第2面12の外縁12aに近接する。これにより、露出領域43は第1ガラス板1の第2面12の周縁近くに配置することができる。その結果、ガラスパネル100は、露出領域43による外観上の影響を小さくすることができる。
被膜領域42及び露出領域43において、JIS R3106(1998)に準拠して算出された可視光透過率の差が10%未満である。被膜領域42及び露出領域43において、可視光透過率の差が5%未満であるとより好ましい。
被膜領域42及び露出領域43において、JIS Z8781−4(2013)に準拠して算出された、被膜領域42及び露出領域43を有しない板面からの反射色調の差が、CIE L*a*b*色度座標図におけるa*で10以内、且つ、b*で10以内である。被膜領域42及び露出領域43において、反射色調の差が、CIE L*a*b*色度座標図におけるa*で5以内、且つ、b*で5以内であることがより好ましい。
露出領域43は、好ましくは、高周波(30〜300MHz、10m〜1m)、超高周波(300〜3000MHz、1m〜100mm)、および/またはさらなる超高周波(3〜30GHz、100mm〜10mm)に対応する電波の通過を可能にするように配置される。
また、露出領域43は、好ましくは、超高周波および/または超高周波のみに対応する電磁放射、より好ましくは携帯電話または携帯電話のみ、および/またはインターネットに無線で接続できる装置に対応する電波の通過を可能にするように配置される。
〔第2実施形態〕
図3及び図4に示すように、第2実施形態のガラスパネル100は、第1ガラス板1の第2面12に遮熱膜51が配置され、Low−E膜41は第2ガラス板2の第3面13に配置されている。第2ガラス板2の第3面13には、Low−E膜41が形成された被膜領域42と、Low−E膜41が形成されていない露出領域43が設けられている。露出領域43は、アンテナ60が設置可能な領域である。Low−E膜41は、第1実施形態と同じく、例えば導電性薄膜によって構成される。
露出領域43は矩形であり、露出領域43の外縁43aと、被膜領域42及び露出領域43を有する第2ガラス板2の第3面13(板面)の外縁13aとの距離は15cm以内である。また、露出領域43は、10cm角の領域よりも大きく、60cm角の領域よりも小さい。5G帯域の電波は指向性(直進性)高いため、使用環境に応じた電波送受信の角度の設計が重要である。つまりガラス板に対する露出領域43の位置が重要となる。よって、使用する環境や所望の電波送受信の方向によって、露出領域43の個数/大きさ/位置を適切に配置することが望ましい。
<遮熱膜>
遮熱膜51は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、好ましくは、チタンの窒化物を主成分とする層を含む多層膜である。金属窒化物層の好適な例としては窒化チタン層が挙げられる。遮熱膜51の膜厚は、積層される膜の種類により適宜選択されるが、通常、5〜100nmであり、好ましくは10〜50nmである。遮熱膜51は、例えば熱線吸収膜によって構成されている。遮熱膜51が熱線吸収膜であると、遮熱膜51によって赤外線を吸収することができるので、ガラスパネル100において遮熱性を向上することができる。
なお、後述の図8の表に示すように、遮熱膜51を有する複層ガラスパネル(実施例2の露出領域)は、可視光透過率が60%以下であり、且つJIS R3106(1998)に準拠して算出された日射熱取得率が0.6以下であり、Low−E膜41(実施例1の被膜領域)は、可視光透過率が70%以上であり、且つ日射熱取得率が0.7以上である。
Low−E膜41は、例えば銀を主成分とする金属層を含有する熱線反射膜である。熱線反射膜は、電波透過性が低く、表面抵抗率は例えば20Ω未満である。一方、遮熱膜51は、例えば窒化チタン層等を有する熱線吸収膜である。熱線吸収膜は、電波透過性を有しており、表面抵抗率は20Ω以上である。なお、後述の実施例2において用いられる、遮熱膜51としてのTiN/TiO2膜の表面抵抗率は、5000Ωである。
第2実施形態のガラスパネル100においても、被膜領域42及び露出領域43は、JIS R3106(1998)に準拠して算出された可視光透過率の差が10%未満である。被膜領域42及び露出領域43は、可視光透過率の差が5%未満であるとより好ましい。
また、被膜領域42及び露出領域43は、JIS Z8781−4(2013)に準拠し、室外側からの観測により算出される、被膜領域42と露出領域43との反射色調の差が、CIE L*a*b*色度座標図におけるa*で10以内、且つ、b*で10以内である。被膜領域42及び露出領域43は、反射色調の差が、CIE L*a*b*色度座標図におけるa*で5以内、且つ、b*で5以内であることがより好ましい。
第1実施形態及び第2実施形態において、アンテナは、例えば、室内側を向く面、つまり第2ガラス板2の第4面14に配置することができる。このとき、アンテナが配置されるアンテナ領域の位置は特には限定されないが、特に、5Gの電波用に、例えば、図5に示すように配置することができる。図5の例では、両ガラス板1,2を、これらと垂直な方向から見たとき、第2ガラス板2の第4面14において、露出領域43と対応する領域6(以下、「対応領域6」と称する。)に、アンテナ60を設定することができる。アンテナ60は、対応領域6と同じ大きさであってもよい。対応領域6よりも小さくてもよい。例えば、5Gの電波は直進性が高いため、上記のように、対応領域6にアンテナ60を配置すると、特に、5Gの電波の送受信の感度を高めることができる。
あるいは、図6及び図7Aに示すように、アンテナ60の少なくとも一部が対応領域6の内部に入り込むように形成することもできる。図6及び図7Aの例では、アンテナ60の下端が対応領域6の下端よりも距離Lだけ内側に入っている。これは、5Gの電波の直進性を考慮し、例えば、電波がガラス体に対して斜めに入射した場合を想定したものである。すなわち、図6に示すように、直進性の高い電波が入射すると、対応領域6の端部から距離Lに亘る領域に届く電波の強度が弱くなるためである。この距離Lは、例えば、10mm以上とすることが好ましく、20mm以上であることがさらに好ましく、50mm以上であることが特に好ましい。また、この距離Lだけ入り込む端部の長さS(図7A参照)は、例えば、10mm以上とすることができる。
アンテナ60の一部は、例えば、図7Bに示すように、対応領域6からはみ出していてもよい。また、図7Cに示すように、アンテナ60において対応領域6と距離Lだけ離れている端部は、アンテナ60の側辺であってもよい。
以下に、実施例1及び2のガラスパネルについて説明する。実施例1及び2のガラスパネルの構成は、図8に示す通りである。
〔実施例1〕
実施例1のガラスパネルは、第1実施形態のガラスパネル100に対応し、第1ガラス板1の第2面12にLow−E膜41が形成されている。図8の表に示す通り、Low−E膜41は、第2面12の板面から、酸化スズ、酸化亜鉛、銀、亜鉛アルミ合金、酸化亜鉛、酸化スズが積層されて構成されている。なお、第1ガラス板1及び第2ガラス板2は、板厚6mmのフロートガラス(ソーダライムガラス)を用い、第1ガラス板1と第2ガラス板2との空隙層3を12mmとしている。
Low−E膜41は、金属層である銀の内側である、Low−E膜41が形成された板面に近い側に第1反射防止層として、酸化スズ(膜厚19nm)と酸化亜鉛(膜厚27nm)とを有する。Low−E膜41の金属層として、銀(膜厚6.5nm)を有する。Low−E膜41が形成された板面から遠い側に第2反射防止層として、亜鉛アルミ合金(膜厚0.4nm)と酸化亜鉛(膜厚27nm)と酸化スズ(膜厚15nm)とを有する。
第1反射防止層の光学膜厚の合計(内側反射防止層光学膜厚)は、約94nmである。第2反射防止層の光学膜厚の合計(外側反射防止層光学膜厚)は、約85nmである。光学膜厚を算出する上で、屈折率は可視光の波長により値が変動する。ここでは、可視光の波長を一般的な可視域の基準波長(550nm)の場合の屈折率に基づいた光学膜厚である。因みに、酸化スズの屈折率は、2.08であり、酸化亜鉛の屈折率は、2.00である。
〔実施例2〕
実施例2のガラスパネルは、第2実施形態のガラスパネル100に対応し、第1ガラス板1の第2面12に遮熱膜51が形成され、第2ガラス板2の第3面13にLow−E膜41が形成されている。図8の表に示す通り、Low−E膜41は実施例1と同じ層構成であり、遮熱膜51は第1ガラス板1の第2面12の板面から、窒化チタン(膜厚6nm)、酸化チタン(膜厚5nm)が積層されて構成されている。
〔第1試験〕
実施例1及び2の複層ガラスパネルの被膜領域42及び露出領域43において、可視光透過率及び可視光反射率を、JIS R3106:1998に準拠して算出した。可視光透過率及び可視光反射率、JIS R3106(1998)に準拠して算出された日射熱取得率、JIS R3107(1998)に準拠して算出された熱貫流率(U値)の各値を図8に示す。
〔第1試験結果〕
実施例1では、被膜領域42及び露出領域43において、「可視光透過率」の差が1.
8%、「可視光反射率/out」(室外側)の差が2.4%、「可視光反射率/in」(室内側)の差が1.8%であった。このように、実施例1において、被膜領域42及び露出領域43は、可視光透過率及び可視光反射率の差がいずれも5%以内である。これにより、実施例1のガラスパネルにおいて、被膜領域42と露出領域43との間で外観上の差異は小さいことが立証された。
実施例2では、被膜領域42及び露出領域43において、「可視光透過率」の差が1.
4%、「可視光反射率/out」(室外側)の差が0.9%、「可視光反射率/in」(室内側)の差が2.5%であった。このように、実施例2においても、被膜領域42及び露出領域43は、可視光透過率及び可視光反射率の差がいずれも5%以内である。これにより、実施例2のガラスパネルにおいても、被膜領域42と露出領域43との間で外観上の差異は小さいことが立証された。また、実施例1と比較して日射熱取得率が低く、遮熱膜51の形成により複層ガラスパネルの遮熱性が高くなることが立証された。
〔第2試験〕
実施例1及び2の複層ガラスパネルの被膜領域42及び露出領域43において、透過色調及び反射色調を、室外側からの観測に基づき、JIS Z8781−4(2013)に準拠して算出した。具体的には、透過色調及び反射色調は、CIE L*a*b*色度座標図において、a*、b*を算出した。透過色調及び反射色調の各値を図8に示す。
〔第2試験結果〕
Low−E膜41が形成された被膜領域42と、Low−E膜41が形成されていない露出領域43とでは、透過色調及び反射色調が異なる。実施例1では、被膜領域42及び露出領域43において、「透過色調」の差が、「a*」で1.0、「b*」で1.7、「反射色調/out」(室外側)の差が、「a*」で1.0、「b*」で1.0、「反射色調/in」(室内側)の差が、「a*」で0.2、「b*」で0.1であった。このように、実施例1において、被膜領域42及び露出領域43は、「透過色調」、「反射色調/out」(室外側)、「反射色調/in」(室内側)における「a*」の差、及び「b*」の差がいずれも5以内である。これにより、実施例1のガラスパネルにおいて、被膜領域42と露出領域43との間で外観上の差異は小さいことが立証された。
実施例2では、被膜領域42及び露出領域43において、「透過色調」の差が、「a*」で0.9、「b*」で0.1、「反射色調/out」(室外側)の差が、「a*」で0.1、「b*」で0.6、「反射色調/in」(室内側)の差が、「a*」で1.2、「b*」で0.9であった。このように、実施例2において、被膜領域42及び露出領域43は、「透過色調」、「反射色調/out」(室外側)、「反射色調/in」(室内側)における「a*」の差、及び「b*」の差がいずれも5以内である。これにより、実施例2のガラスパネルにおいても、被膜領域42と露出領域43との間で外観上の差異は小さいことが立証された。
(アンテナ領域の位置の検討)
100mm×100mmの電波が通過可能な開口を有する遮蔽板を用いたシミュレーションを行った。この開口は露出領域43を想定している。この遮蔽板に対し、30GHz及び10GHzの電波を照射するシミュレーションを行った。また、遮蔽板に対する電波の照射角度を90°、60°、30°とした。このシミュレーションは、電磁界シミュレータMicro-Stripes2より行った。図9Aは30GHzの電波を90°で照射した電波の分布を示す図、図9Bは10GHzの電波を90°で照射した電波の分布を示す図である。図10Aは30GHzの電波を60°で照射した電波の分布を示す図、図10Bは10GHzの電波を60°で照射した電波の分布を示す図である。図11Aは30GHzの電波を30°で照射した電波の分布を示す図、図11Bは10GHzの電波を30°で照射した電波の分布を示す図である。これらの図において、電波は矢印の方向に照射されている。また、点線で囲まれた領域が強い電波、または弱い電波の分布を示している。
図9〜図11によれば、電波は開口を通過後矢印の方向に直進していることが分かる。特に、周波数が高い30GHzの電波は、周波数が低い10GHzの電波に比べ、直進性が高いことが分かる。周波数が低い10GHzの電波は、開口を通過後、やや広がっているのが分かる。
また、30GHzの電波は直進性が高いため、例えば、図10A及び図11Aに示すように、電波を斜めに照射すると、開口を通過した後の三角形の領域Mにおいて電波があまり届いていなかった。
以上より、特に、5Gの電波に対し、アンテナ領域は、図5〜図7で示したとおり、露出領域43と対応する位置に設けることが好ましいことが分かった。また、電波が斜めに入射する場合には、上述した領域Mのような電波の強度が弱い領域が生じるため、例えば、図6及び図7に示すように、アンテナ領域は、電波の向きに応じて、対応領域6に対し距離Lを設けることが好ましい。
図10Aには、領域Mの一辺が24mmであることが示されているが、これは、一例として総厚みが24mm(第1ガラス板:9mm、空隙層:6mm、第2ガラス板:9mm)のガラス体を想定している。この場合には、第2ガラス板2の第4面14において、対応領域の端部から13.9mmまでの領域の電波の強度が弱いことが示されている。一方、図11Aには、領域Mの一辺が30mmであることが示されているが、これは、一例として総厚みが30mm(第1ガラス板:9mm、空隙層:12mm、第2ガラス板:9mm)のガラス体を想定している。この場合には、第2ガラス板2の第4面14において、対応領域の端部から52mmまでの領域の電波の強度が弱いことが示されている。
以上より、図6及び図7で示す距離Lは、図10A及び図11Aの結果から、10mm以上であることが好ましく、20mm以上であることがさらに好ましく、50mm以上であることが特に好ましい。
(アンテナ領域の大きさの検討)
上述の(アンテナ領域の位置の検討)と同様に、シミュレーションを行った。このとき、開口の大きさを100mm×100mmにした場合と33mm×33mmにした場合のシミュレーションを行った。結果は、図12に示すとおりである。図12Aが100mm×100mmの開口を用いたシミュレーション(周波数は30GHz)の結果であり、図12Bが33mm×33mmの開口を用いたシミュレーションの結果である(周波数は10GHz)。これらの図に示すように、開口の大きさが小さいと、開口を通過後の電波が広がり、直進性が保てないことが分かる。したがって、上述した露出領域43の大きさは、33mm×33mmの矩形よりも大きいことが好ましいことが分かった。
〔他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、Low−E膜41を第1ガラス板1の第2面12または第2ガラス板2の第3面13に配置する例を示したが、Low−E膜41は第1ガラス板1の第1面11又は第2ガラス板2の第4面14に配置してもよい。つまり、Low−E膜41は、第1ガラス板1の両板面11,12及び第2ガラス板2の両板面13,14の何れか1つの板面又は何れか2つ以上の板面に配置されてもよい。
(2)第2実施形態では、遮熱膜51を第1ガラス板1の第2面12に配置し、Low−E膜41を第2ガラス板2の第3面13に配置する例を示したが、遮熱膜51を第1ガラス板1の第1面11に配置して、Low−E膜41を第2ガラス板2の第3面13に配置してもよい。また、Low−E膜41を第1ガラス板1の第2面12に配置し、遮熱膜51を第1ガラス板1の第1面11又は第2ガラス板2の第3面13又は第4面14に配置してもよい。第1ガラス板1の第1面11に遮熱膜51が配置されれば、ガラスパネル100は、遮熱膜51により日射光に含まれる赤外線を遮蔽するため、ガラスパネル100の全面において遮熱性を付与することができる。すなわちLow−E膜41が形成されていない露出領域においても、遮熱膜51によって遮熱性を確保することができる。
(3)上記の実施形態では、Low−E膜41として銀を主成分とする金属層を含有する膜を用いる例を示したが、Low−E膜41はTCO系薄膜であってもよい。TCO系薄膜は、例えばガラス製造工程(オンラインCVD製法)においてガラス表面にコーティングされる透明導電膜である。この透明導電膜の金属薄膜は、フッ素を添加した酸化スズ膜(FTO)である。Low−E膜41がTCO系薄膜であることで、ガラス板1,2にLow−E膜41を容易に配置することができる。また、TCO系薄膜は透明であるため、ガラスパネル100の被膜領域42を透明にすることができる。これにより、ガラスパネル100において、露出領域43による外観上の影響を小さくすることができる。
(4)上記の実施形態では、露出領域43の外周全てが被膜領域42に囲まれた位置に形成される例を示したが、図13に示すように、露出領域43は、枠体の内側においてガラス板1,2の板面の角部に配置される露出領域43A、ガラス板1,2の板面の一辺に隣接する露出領域43B、上下方向が長手方向となる露出領域43Cであってもよい。また、露出領域43は、矩形状に限定されず、楕円、長円を含む円形状、三角形状、五角形以上の多角形状等であってもよい。
本発明は、ガラス板にLow−E膜が形成された複層ガラスパネルに適用することができる。
1 :第1ガラス板
2 :第2ガラス板
3 :空隙層
5 :スペーサ
11 :第1面
12 :第2面
12a :外縁
13 :第3面
13a :外縁
41 :Low−E膜
42 :被膜領域
43 :露出領域
43A :露出領域
43B :露出領域
43C :露出領域
43a :外縁
51 :遮熱膜
60 :アンテナ
100 :ガラスパネル(複層ガラスパネル)

Claims (21)

  1. 第1ガラス板と、
    前記第1ガラス板と対向配置される第2ガラス板と、
    前記第1ガラス板と前記第2ガラス板との間に配置され、前記第1ガラス板と前記第2ガラス板の間に空隙層を形成するスペーサと、を備え、
    前記第1ガラス板または前記第2ガラス板の少なくとも一方の板面に、Low−E膜が形成された被膜領域と、前記Low−E膜が形成されていない露出領域と、を有する、複層ガラスパネル。
  2. 前記第1ガラス板が室外側であって、前記第1ガラス板の前記空隙層とは反対の側の板面を第1面、前記第1ガラス板の前記空隙層の側の板面を第2面、前記第2ガラス板の前記空隙層の側の板面を第3面、前記第2ガラス板の前記空隙層とは反対の側の板面を第4面と夫々を定義したときに、
    前記被膜領域及び前記露出領域は、前記第1ガラス板の前記第2面、または前記第2ガラス板の前記第3面に配置されている、請求項1に記載の複層ガラスパネル。
  3. 前記Low−E膜は、前記第1ガラス板の前記第2面に配置され、
    遮熱膜が、前記第1ガラス板の前記第1面、または前記第2ガラス板の前記第3面、または前記第2ガラス板の前記第4面に配置されている、請求項2に記載の複層ガラスパネル。
  4. 前記Low−E膜は、前記第2ガラス板の前記第3面に配置され、
    遮熱膜が、前記第1ガラス板の前記第2面に配置されている、請求項2に記載の複層ガラスパネル。
  5. 前記遮熱膜は、熱線吸収膜である、請求項3または4に記載の複層ガラスパネル。
  6. 前記遮熱膜の表面抵抗率が20Ω以上である、請求項3または4に記載の複層ガラスパネル。
  7. 前記Low−E膜を有する前記板面は、前記露出領域を少なくとも1つ有しており、
    前記露出領域は、10cm角の領域よりも大きく、60cm角の領域よりも小さい、請求項1から6のいずれか一項に記載の複層ガラスパネル。
  8. 前記Low−E膜を有する前記板面は、前記露出領域を1つのみ有する、請求項7に記載の複層ガラスパネル。
  9. 前記露出領域は矩形であり、
    前記露出領域の外縁と、前記Low−E膜を有する前記板面の外縁との距離は15cm以内である、請求項1から8のいずれか一項に記載の複層ガラスパネル。
  10. 前記被膜領域及び前記露出領域において、JIS R3106(1998)に準拠して算出された可視光透過率の差が10%未満である、 請求項1から9のいずれか一項に記載の複層ガラスパネル。
  11. 前記被膜領域及び前記露出領域において、
    前記可視光透過率の差が5%未満である、請求項10に記載の複層ガラスパネル。
  12. 前記被膜領域及び前記露出領域において、室外側からの観測に基づき、JIS Z8781−4(2013)に準拠して算出された、前記被膜領域と前記露出領域との反射色調の差が、CIE L*a*b*色度座標図におけるa*で10以内、且つ、b*で10以内である、請求項1から11のいずれか一項に記載の複層ガラスパネル。
  13. 前記被膜領域及び前記露出領域において、
    前記反射色調の差が、CIE L*a*b*色度座標図におけるa*で5以内、且つ、b*で5以内である、請求項12に記載の複層ガラスパネル。
  14. 前記Low−E膜は導電性薄膜である、請求項1から13のいずれか一項に記載の複層ガラスパネル。
  15. 前記導電性薄膜の表面抵抗率が20Ω未満である、請求項14に記載の複層ガラスパネル。
  16. 前記Low−E膜は、銀を主成分とする金属層を含有する、請求項1から15のいずれか一項に記載の複層ガラスパネル。
  17. 前記金属層の膜厚は5nm以上15nm以下である、請求項16に記載の複層ガラスパネル。
  18. 前記Low−E膜は、前記金属層の内側である、前記Low−E膜が形成された前記板面に近い側に第1反射防止層を有し、
    前記第1反射防止層の光学膜厚の合計が60nm以上120nm以下である、請求項17に記載の複層ガラスパネル。
  19. 前記Low−E膜は、前記金属層の外側である、前記Low−E膜が形成された前記板面から遠い側に第2反射防止層を有し、
    前記第2反射防止層の光学膜厚の合計が60nm以上120nm以下である、請求項17に記載の複層ガラスパネル。
  20. 前記導電性薄膜は、TCO系薄膜である、請求項14または15に記載の複層ガラスパネル。
  21. 前記露出領域は、アンテナが設置可能な領域である、請求項1から20のいずれか一項に記載の複層ガラスパネル。
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