JP2021170869A - スイッチング電源装置、スイッチング電源システム及び過電流検出回路 - Google Patents

スイッチング電源装置、スイッチング電源システム及び過電流検出回路 Download PDF

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Abstract

【課題】過電流を正確に検出できる過電流検出回路及び安定した垂下点を有するスイッチング電源装置とシステムを提供する。【解決手段】スイッチング電源装置11は、トランス131の一次側電流をスイッチングすることにより、交流電圧を誘起するスイッチング回路13と、誘起された交流電圧を整流する整流回路14と、整流された電圧を平滑化するインダクタを備える平滑化回路15と、平滑化された出力電圧Voutに含まれるリプル成分の大きさを求めるDCカット回路181と、リプル成分の大きさVripに基づいて、過電流判別基準値Ithを生成するMCU182と、一次側電流と過電流判別基準値Ithとに基づいて、過電流状態にあるか否かを判別する過電流判別回路17と、を備える。過電流判別回路17とDCカット回路181とMCU182とが過電流検出回路を構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、スイッチング電源装置、スイッチング電源システム及び過電流検出回路に関する。
スイッチング電源回路には、出力電流を検出し、出力電流が予め設定されている垂下点、即ち、過電流閾値に達した場合に、出力制限をかけたり動作停止させたりする保護機能が搭載されている。例えば、特許文献1には、簡単な操作で、複数の過電流閾値のうちから任意のものを選択・設定可能な電源装置が開示されている。
特開2016−149817号公報
特許文献1に記載の回路構成では、出力電流が過電流閾値以上となったか否かをスイッチング素子を流れるスイッチング電流のピーク値が過電流判別基準値以上となったか否かに基づいて判別する。
このような判別方法の場合、スイッチング電流のピーク値が主に出力平滑化回路のインダクタンスの値によって変動するため、過電流閾値を正確に設定することが困難となる場合がある。例えば、スイッチング電流のピーク値は出力平滑化回路のインダクタンスによって変動する。このため、出力平滑化回路のインダクタンス動作が環境温度の変化等により、過電流閾値の近傍で変動する場合、スイッチング電流のピーク値(最大値)に過電流保護動作をさせる過電流閾値を正確に設定することが困難となる。このため、過電流を正確に検出できず、垂下点が不安定になるおそれがある。
本開示は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、過電流を正確に検出できる過電流検出回路及び安定した垂下点を有するスイッチング電源装置とスイッチング電源システムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本開示にかかるスイッチング電源装置は、
直流電圧が印加される入力端子対と、
直流電圧が出力される出力端子対と、
スイッチング素子を含むスイッチング回路と、前記スイッチング素子のスイッチングにより生成されたスイッチング電流または前記スイッチング電流の大きさに相関する大きさを有する電流のいずれかの電流が流れる電流路に挿入されたインダクタと、前記出力端子対間に直に接続されたコンデンサを含む平滑化回路と、を備える電圧変換部と、
前記平滑化回路の出力電圧に含まれるリプル成分の大きさを求めるリプル検出部と、
前記リプル検出部により検出されたリプル成分の大きさに基づいて、出力電流が過電流状態にあるか否かを判定するための過電流判別基準値を生成する過電流判別基準値生成手段と、
前記電圧変換部内を流れ、出力電流の大きさに相関を有する電流を測定する電流測定手段と、
前記電流測定手段により測定された電流の値と前記過電流判別基準値とに基づいて、出力電流が過電流状態にあるか否かを判別する過電流判別回路と、
を備える。
前記過電流判別基準値生成手段は、例えば、リプル成分の大きさと過電流判別基準値との予め設定されている相関に基づいて、前記リプル検出部で検出されたリプル成分の大きさに対応する過電流判別基準値を求める。
例えば、前記スイッチング電源装置は、一次巻き線と二次巻き線とを備えるトランスと、前記トランスの二次巻き線に接続され、該二次巻き線に誘起された交流電圧を整流する整流回路と、さらに備え、前記スイッチング素子は、前記トランスの一次巻き線に流れる一次側電流をスイッチングすることにより、二次巻き線に交流電圧を誘起させ、前記平滑化回路は、前記整流回路の出力電圧を平滑化し、前記リプル検出部は、前記平滑化回路の出力電圧に含まれるリプル成分の大きさを求め、前記電流測定手段は、前記トランスの一次巻き線又は二次巻き線、又は前記インダクタを流れる電流のいずれかの値を測定する。
例えば、前記トランスの一次巻き線と二次巻き線は絶縁されていることにより、前記電圧変換部は、絶縁型の直流−直流変換器を構成してもよい。
例えば、前記スイッチング素子の一端は前記入力端子対の一方の入力端子と直接接続され、前記インダクタは、前記スイッチング素子によりスイッチングされたスイッチング電流の電流路に挿入されており、前記スイッチング素子が電流路を遮断したときに、前記インダクタに電流を回生させる整流素子とをさらに備えてもよい。
前記スイッチング電源装置は、例えば、出力電圧が予め設定された基準電圧に出力電圧を維持するように前記スイッチング素子をスイッチングし、過電流判別回路が、前記電流測定手段により測定された電流が前記過電流判別基準値以上となったと判別したことに応答して、出力電圧を前記基準電圧よりも低下させるか又はスイッチングを停止させるスイッチング制御手段を備えてもよい。
例えば、前記インダクタは、特定の電流値領域で、流れる電流の大きさに応じてインダクタンス値が変動する特性を有し、前記スイッチング電源装置には、出力電流が過電流であると判定する複数の垂下点が設定されており、前記過電流判別基準値生成手段は、前記特定の電流値領域に含まれる垂下点について、前記リプル成分の大きさに基づいて前記過電流判別基準値を生成して前記過電流判別回路に設定し、他の垂下点については、固定の過電流判別基準値を前記過電流判別回路に設定してもよい。
前記リプル検出部は、前記出力電圧から交流成分を抽出し、抽出した交流成分の包絡線を求める手段を備えてもよい。
また、この発明に係るスイッチング電源システムは、
上述のスイッチング電源装置の何れかと、
前記スイッチング電源装置に直流電圧を印加する直流電源と、
前記スイッチング電源装置の出力を用いて動作する負荷と、
を備える。
また、この発明の過電流検出回路は、
スイッチング電源装置の出力電圧に含まれるリプル成分の大きさを求めるリプル検出部と、
検出されたリプル成分の大きさに基づいて、出力電流が過電流状態にあるか否かを判定するための過電流判別基準値を生成する過電流判別基準値生成手段と、
前記スイッチング電源装置内を流れ、前記出力電流の大きさと相関を有する電流を測定し、測定した電流値と前記過電流判別基準値とに基づいて、出力電流が過電流状態にあるか否かを判別する過電流判別回路と、
を備える。
上記構成のスイッチング電源装置とスイッチング電源システムによれば、出力電流の過電流を正確に検出でき、安定した垂下点を得ることができる。
また、上記構成の過電流検出回路によれば、スイッチング電源装置の出力電流の過電流状態を正確に検出できる。
本発明の実施の形態にかかるスイッチング電源装置の回路図である。 図1に示すスイッチング電源装置のスイッチング素子を流れるスイッチング電流の波形を示す図である。 図1に示すスイッチング電源装置の垂下特性を示す図である。 図1に示す平滑化回路のインダクタの電流−インダクタンス特性を示す図である。 図1に示すスイッチング電源装置の平滑化回路のインダクタンスとスイッチング電流の波形と過電流判別基準値との関係を示す図である。 図1に示すスイッチング電源装置の出力電圧の波形図であり、(A)は、平滑化回路のインダクタンスが最小のときの例、(B)は、平滑化回路のインダクタンスが最大のときの例である。 図1に示すDCカット回路の一例の回路図である。 (A)は、図1に示すリプル振幅信号Sripの電圧値Vripとインダクタのインダクタンス値との関係を示す特性図、(B)は、インダクタのインダクタンス値と過電流判別基準値との関係を示す特性図、(C)は、電圧値Vripと過電流判別基準値との関係を示す特性図である。 図1に示すMCUの過電流判別基準値設定処理のフローチャートである。 (A)と(B)は、過電流判別基準値の設定のしかたを示す図である。 (A)〜(E)は、図1に示すスイッチング電源装置の動作を説明するためのタイミングチャートであり、(A)は第1のインダクタのインダクタンス値の図、(B)はスイッチング電流の波形図、(C)は出力電圧の波形図、(D)は電圧値Vripの図、(E)は過電流判別基準値の図である。 (A)は、図1に示すリプル振幅信号Sripの電圧値Vripとインダクタのインダクタンス値との関係が非線形の例を示す特性図、(B)は、その際の、電圧値Vripと過電流判別基準値Ithとの関係を示す特性図である。 実施の形態1において、電流測定箇所の他の例を説明する回路図である。 実施の形態2に係るダウンコンバータの回路図と各部の波形図である。
以下、本発明の実施の形態に係る過電流検出回路を搭載したスイッチング電源装置とスイッチング電源システムについて図1を参照して説明する。
図1に示すように、スイッチング電源装置11は、入力端子対TinとTinとを有する入力回路12と、電圧変換部19と、出力端子対ToutとToutとを有する出力回路16と、過電流判別回路17と、スイッチング制御回路18と、を備え、直流の入力電圧Vinから、直流の出力電圧Voutを生成する電源装置である。
入力回路12は、入力端子対TinとTinと平滑コンデンサCin を備え、入力端子対Tin+とTinとの間に直流電源111から直流の入力電圧Vinを入力する。平滑コンデンサCinは、入力端子対TinとTinとの間に接続され、入力電圧Vinに含まれるノイズ成分を低減する。直流電源111は、電池、二次電池、商用電源を整流して直流電圧を出力する整流回路等任意である。直流電源111は、スイッチング電源装置11と共にスイッチング電源システムを構成する。
電圧変換部19は、スイッチング回路13と整流回路14と平滑化回路15とを備え、入力回路12により入力された直流入力電圧Vinを、直流の出力電圧Voutに変換して、出力回路16に出力する絶縁型の直流−直流変換器である。
スイッチング回路13は、トランスを備え、トランスの一次巻き線に流れる一次側電流をスイッチングすることにより、二次巻き線に交流電圧を誘起する回路である。スイッチング回路13の回路構成は、任意である。図1では、一例として、トランス131と、スイッチング素子132と、ドライブ回路133とを備える回路を示す。
トランス131は、一次巻き線1311と二次巻き線1312とを備える絶縁トランスである。一次巻き線1311の一端は、入力端子Tinに接続され、他端は、スイッチング素子132の電流路の一端(ドレイン)に接続されている。
スイッチング素子132は、NチャネルMOSトランジスタから構成され、トランス131の一次巻き線1311を含む電流路を開閉する。スイッチング素子132の電流路の一端がトランス131の一次巻き線1311の他端に接続され、スイッチング素子132の電流路の他端(ソース)が入力端子Tinに接続される。スイッチング素子132の制御端子(ゲート)には、ドライブ回路133からオン・オフ制御信号が印加され、そのオン・オフが制御される。スイッチング素子132がオンすることにより、電流路が閉じ、一次巻き線1311に電流が流れ、スイッチング素子132がオフすることにより、電流路が開き、一次巻き線1311に流れる電流が遮断される。
ドライブ回路133は、スイッチング素子132のオンとオフを切り替えることにより、トランス131の一次側電流の電流路を断続(開閉)する。これにより、トランス131の一次巻き線1311を流れる一次側電流Iswは、スイッチングされて、図2に示すように、直流成分にランプ波形成分が重畳されたパルス状のスイッチング電流波形となる。なお、ドライブ回路133は、後述するMCU182から供給されるデューティ制御信号S2に基づいて、スイッチング素子132のオンデューティを制御することにより、出力電圧Voutを基準電圧(本実施の形態では14V)に維持する等の処理も行う。
また、ドライブ回路133は、過電流判別回路17から過電流検出信号S1が供給されると、装置の保護のため、スイッチング素子132のオンデューティを徐々に小さくすることにより出力電圧Voutを低下させ又はスイッチングを停止させる。これにより、スイッチング電源装置11の入力電流Iinが減少し、図3に示すように、出力電圧Voutと出力電流Ioutの垂下特性が得られる。
トランス131の一次巻き線1311は、図2に示す一次側電流(=スイッチング電流Isw)が流れることにより、交番磁束を発生する。
トランス131の二次巻き線1312は、一次巻き線1311が発生した交番磁束と鎖交することにより、交流電圧を誘起し、整流回路14に印加する。
整流回路14は、トランス131の二次巻き線1312に誘起された交流電圧を整流して出力する。整流回路14の構成は任意である。図1では、ダイオード141と142から構成される半波整流回路の例を示す。ダイオード141のアノードは二次巻き線1312の一端に接続され、ダイオード142のアノードは、二次巻き線1312の他端に接続され、そのカソードはダイオード141のカソードに接続されている。
平滑化回路15は、二次電流の電流路に挿入されたインダクタ151とコンデンサ153とを含み、整流回路14によって半波整流された脈流電圧を平滑化して、出力電圧Voutに変換する回路である。
インダクタ151の一端はダイオード141と142のカソードの接続ノードに接続され、他端は、出力回路16の出力端子Toutに接続されている。換言すると、インダクタ151は、スイッチング素子132のスイッチングにより生成されたスイッチング電流Iswの大きさにほぼ線形な相関を有する大きさの二次電流の電流路に挿入されている。
一方、コンデンサ153は、出力回路16の出力端子対ToutとToutとの間に直に接続されており、インダクタ151と協働してローパスフィルタを構成する。
本実施の形態におけるインダクタ151は、二段ギャップコアインダクタから構成されており、図4に実線で示すように、特定の電流値領域(以下、L遷移領域)で、流れる電流が増加するに従って、インダクタンス値L1が大きく減少し、流れる電流が減少するに従って、インダクタンス値L1が大きく増加する特性を有する。本実施の形態では、L遷移領域が30A前後(近辺)にあるものとする。L遷移領域では、実線と破線で示すように、1つのインダクタでも、インダクタを構成する磁性部品自体の温度、外部磁界などの環境の変化に応じて遷移カーブが変動し、或いは、インダクタ個体間でも遷移カーブがばらついてしまうという特性を有する。このため、インダクタ151に関しては、電流30Aでのインダクタンス値L1は様々に変動する可能性がある。
図1に示す出力回路16は、一対の出力端子対ToutとToutを備える。出力端子対ToutとToutとの間には、負荷LOADが接続されている。出力回路16は、負荷LOADに出力電圧Voutを印加し、出力電流Ioutを流す。負荷LOADは、例えば、電装置またはバッテリー等で構成され、出力電圧Vout及び出力電流Ioutを用いて動作する。負荷LOADは、スイッチング電源装置11と共にスイッチング電源システムを構成する。
過電流判別回路17は、出力電流Ioutが予め設定されている垂下点、即ち、過電流閾値以上になったときに、スイッチング電源装置11の保護のため、出力電圧Voutを垂下させることを指示する過電流検出信号S1をドライブ回路133に出力する。ドライブ回路133は、過電流検出信号S1に応答して、オンデューティを徐々に低下させ、出力電圧Voutを低下させる。
本実施の形態においては、図3に例示するように、出力電圧Vout=14Vの前提で、15A,30A,45A,60A,75Aに垂下点が設定されているとする。各時点で、ユーザの選択、動作温度などに応じて、何れか1つの垂下点が選択及び設定される。
過電流判別回路17は、トランス131の一次巻き線1311に流れるスイッチング電流Iswを測定する電流トランス171を備える。電流トランス171は、電流測定手段の一例である。過電流判別回路17は、電流トランス171で測定したスイッチング電流Iswと垂下点毎に設定されている過電流判別基準値Ithとを比較することにより、出力電流Ioutが垂下点、即ち、過電流閾値以上となったか否かを判別する。なお、垂下点(15A,30A,45A,60A,75A)は出力電流Ioutの閾値であり、一方、過電流判別基準値Ithはスイッチング電流Iswに関する基準値である。ただし、出力電流Ioutとスイッチング電流Iswとは相関を有しており、過電流判別基準値Ithを適切に設定することにより、出力電流Ioutが垂下点以上となったか否かを判別することができる。
過電流判別回路17は、スイッチング電流Iswのピーク値(最大値)が過電流判別基準値Ith以上であると判別したときに、ドライブ回路133に、過電流検出信号S1を出力する。ドライブ回路133は、過電流検出信号S1に応答して、スイッチング素子132のデューティを徐々に低下させて、図3に示すように、出力電圧Vout及び出力電流Ioutを低下させる垂下制御を行う。
ここで、垂下点の1つである30Aについて考える。前述のように、インダクタ151は、二段ギャップコアインダクタから構成されており、図4に示すように、そのインダクタンス値L1が、30Aの付近で大きく変動し、その変動の様子は、素子別或いは動作環境条件別に定まらない可能性がある。
平滑化回路15を構成するインダクタ151のインダクタンス値L1が変動すると、パルス状のスイッチング電流Iswの波形が、図5に示すように変化する。即ち、インダクタンス値L1が最小のLminのときは、各パルス状のスイッチング電流Iswの初期値は相対的に小さく、その増加の傾きが大きく、ただし、ピークは相対的に大きくなる。一方、インダクタンス値L1が最大のLmaxのときには、各パルス状のスイッチング電流Iswの初期値は相対的に小さく、その増加の傾きは小さく、ただし、ピーク値は相対的に小さくなる。従って、例えば、インダクタンス値L1=Lminのときにあわせて、過電流判別基準値Ith=Ithmaxを設定すると、インダクタンス値L1がLminより大きいときには、出力電流Ioutが30Aを超えても、過電流であることを検出できなくなる。一方、インダクタンス値L1=Lmaxのときにあわせて、過電流判別基準値Ith=Ithminを設定すると、インダクタンス値L1<Lmaxのときに、出力電流Ioutが30Aに達していないのに、過電流であると誤検出してしまう。
そこで、過電流判別回路17は、図10(A)に示すように、垂下点30Aに関しては、インダクタ151のインダクタンス値L1に応じて、リアルタイムで変化させる過電流判別基準値Ithを基準とする。
なお、垂下点15Aに関しては、インダクタ151のL遷移領域に対して電流値が十分に小さく、インダクタ151のインダクタンス値L1はLmaxで安定している。また、垂下点45A、60A,75Aに関しては、インダクタ151のL遷移領域に対して電流値が十分に大きく、インダクタ151のインダクタンス値L1はLminで安定している。従って、これらの垂下点に関しては、インダクタ151のインダクタンス値L1の変動を考慮する必要はない。そこで、過電流判別回路17は、図10(A)に示すように、他の垂下点(15A,45A,60A,75A)に関しては、固定の過電流判別基準値Ithを基準とする。
なお、過電流判別基準値Ithは、MCU182により、過電流判別回路17に設定される。
図1に示すスイッチング制御回路18は、インダクタ151のインダクタンス値L1を判別し、判別したインダクタンス値L1に応じて、過電流判別回路17に垂下点が30Aであるときの過電流判別基準値Ithを設定する。
インダクタンス値L1を判別するため、スイッチング制御回路18は、出力電圧Voutに含まれるリプル成分の大きさを測定し、測定したリプル成分の大きさから、インダクタ151のインダクタンス値L1を判別する。具体的に説明すると、図6(A),(B)に示すように、出力電圧Voutに含まれるリプルは、インダクタンス値L1=Lmaxのときには、相対的に小さく、インダクタンス値L1=Lminのときには、相対的に大きくなる。スイッチング制御回路18は、出力電圧Voutに含まれるリプル成分を測定し、そのリプル成分の大きさから、インダクタ151のインダクタンス値L1を判別し、判別したインダクタンス値L1に応じて、過電流判別回路17に過電流判別基準値Ithを設定する。
このような処理を行うため、スイッチング制御回路18は、DCカット回路181と、MCU182を備える。さらに、MCU182は、演算部183と設定部184とを備える。
DCカット回路181は、出力電圧Voutに含まれるリップル成分の振幅に対応する電圧値Vripを有するリプル振幅信号Sripを出力する回路である。DCカット回路181の回路構成自体は、任意である。本実施の形態では、図7に示すように、DCカット部1811と、包絡線取得部1812と、インピーダンス変換部1813とから構成される回路を例示する。DCカット部1811は、出力電圧Voutから直流成分を除去して、交流成分を抽出するカップリングコンデンサC1から構成される。包絡線取得部1812は、ダイオードD1,抵抗R1,R2、コンデンサC2から構成され、DCカット部1811を通過した交流成分の電圧をピークホールドすることにより、包絡線を求める。インピーダンス変換部1813は、包絡線取得部1812が生成した包絡線を、増幅する演算増幅器OP1と負帰還回路を構成する抵抗R3〜R6から構成され、出力電圧Voutに含まれるリプル成分の振幅に対応する電圧値Vripを有するリプル振幅信号Sripを出力する。なお、出力電圧Voutのリプル成分の振幅に対応する電圧値Vripを求めることは、インダクタ151のインダクタンス値L1を求めることに実質的に等価であり、DCカット回路181は、インダクタ151のインダクタンス値L1を求めることと等価の処理を行っていることになる。DCカット回路181は、請求項におけるリプル検出部の一例である。
図1に示すMCU(マイクロコントロールユニット:Michro Control Unit)182は、プロセッサとメモリを内蔵し、メモリに記憶されている制御プログラムを実行することにより、その時点で有効な垂下点を選択し、その垂下点に対応する過電流判別基準値Ithを、過電流判別回路17に設定する。その時点で有効な垂下点は、例えば、ユーザの設定、温度などに基づいて、選択される。本実施の形態においては、MCU182は、図10(A)に示すように、垂下点15A,45A,60A,75Aに関しては、それぞれ固定の過電流判別基準値Ithが設定される。一方、垂下点30Aに関しては、図4に示したインダクタ151の特性を考慮し、インダクタ151のインダクタンス値L1をリアルタイムで推定し、その推定したインダクタンス値L1に対応する過電流判別基準値Ithを過電流判別回路17に設定する。
MCU182は、機能的に、インダクタ151のインダクタンス値L1に対応する過電流判別基準値Ithを求める演算部183と、求めた過電流判別基準値Ithを過電流判別回路17に設定する設定部184とを備える。MCU182は、請求項における過電流判別基準値生成手段の一例である。
演算部183は、その時点で有効な垂下点を特定し、特定した垂下点に対応する過電流判別基準値Ithを求める。より詳細には、演算部183は、内部メモリに図10(A)に示す設定データを記憶しており、その時点で有効な垂下点が30A以外であると判別すると、それぞれ対応する固定の過電流判別基準値Ithを求める。
一方、演算部183は、その時点で有効な垂下点が30Aであると判別すると、インダクタ151のインダクタンス値L1に対応する過電流判別基準値Ithをリアルタイムで求める。この処理のため、演算部183は、DCカット回路181が出力するリプル振幅信号Sripの電圧値Vripを一例としてA/D(アナログデジタル)変換して取り込み、取り込んだ電圧値Vripから、インダクタンス値L1に対応する過電流判別基準値Ithを求める。
垂下点が30Aのときの過電流判別基準値Ithの求め方を図8を参照して具体的に説明する。
まず、インダクタ151のインダクタンス値L1=Lminのときの、リプル振幅信号Sripの電圧レベルをVripmax、L1=Lmaxのときの、リプル振幅信号Sripの電圧レベルをVripminとし、インダクタンス値L1とリプル振幅信号Sripの電圧値Vripとの関係を一次関数で近似すると、図8(A)に示すようになる。
また、L1=Lminのときの過電流判別基準値をIthmax、L1=Lmaxのときの過電流判別基準値をIthminとすると、インダクタンス値L1と過電流判別基準値Ithとの関係は、図8(B)で示すように近似できる。
従って、過電流判別基準値Ithと電圧値Vripとの関係は、図8(C)に示すようになる。この関係から、インダクタ151のインダクタンス値がL1であるときの、適切な過電流判別基準値Ithは次式で示される。
Ith=Ithmin+(Vrip−Vripmin)・(Ithmax−Ithmin)/(Vripmax−Vripmin)
・・・(1)
演算部183は、取り込んだ電圧値Vripから、(1)式により、その時点でのインダクタンス値L1に適した過電流判別基準値Ithをリアルタイムに演算により求める。
なお、Ithmax、Ithmin、Vripmax、Vripminの各値は予め測定され、MCU182の内部メモリに格納されているものとする。
設定部184は、演算部183が求めた過電流判別基準値Ithを過電流判別回路17に設定する。
演算部183と設定部184は、MCU182を構成するプロセッサが内部メモリに格納されている制御プログラムを実行し、図9に示す過電流判別基準値設定処理を実行することにより実現される。プロセッサは、このスイッチング電源装置11の電源がオンされている間、図9に示す過電流判別基準値設定処理を継続して実行する。プロセッサは、処理を開始すると、まず、図10(A)の設定に従い、その時点で有効な垂下点を選択し、30Aか否か判別する(ステップS11)。
有効な垂下点が30Aの場合(ステップS11:Yes)、プロセッサは、DCカット回路181が出力する、リプル振幅信号Sripの電圧値VripをA/D変換して取り込む(ステップS12)。次に、プロセッサは、取り込んだ電圧値Vripを式(1)に代入することにより、その時点のインダクタンス値L1に対応する過電流判別基準値Ithを求め(ステップS13)、求めた過電流判別基準値Ithを過電流判別回路17に設定する(ステップS14)。その後、処理はステップS11にリターンする。
一方、有効な垂下点が30A以外の場合(ステップS11:No)、プロセッサは、その時点で有効な垂下点に対応する固定の過電流判別基準値Ithを内部メモリから読み出し(ステップS15)、読み出した過電流判別基準値Ithを過電流判別回路17に設定する(ステップS14)。その後、処理はステップS11にリターンする。
このようにして、その時点で有効な垂下点に対応する過電流判別基準値Ithが過電流判別回路17に設定される。
なお、MCU182は、出力電圧Voutを一定値、本実施形態では、一例として14Vに維持するように、スイッチング素子132のオンデューティを制御するデューティ制御信号S2をドライブ回路133に供給するPWM制御方式を用いている。出力電圧Voutを一定値に維持するための制御動作は、従来と同一である。従って、MCU182は、スイッチング素子のオン・オフを制御するスイッチング制御手段として機能する。
なお、過電流判別回路17とスイッチング制御回路18とが構成する回路は、請求項における、過電流検出回路の一例である。
次に、上記構成を有するスイッチング電源装置11の動作を、図11を参照して説明する。
ここでは、前提として、垂下点として30Aが選択されており、動作開始当初は、インダクタ151のインダクタンス値L1は、Lminであり、その後、温度の影響等で、Lmaxに変動したと想定する。
図11(A)に示すように、タイミングT1では、インダクタ151のインダクタンス値L1=Lminである。このため、図11(B)に示すように、スイッチング電流Iswのピーク値は最大になっていて、図11(C)に示すように、出力電圧Voutのリプルが相対的に大きくなる。
DCカット回路181は、出力電圧Voutの直流成分をカットし、さらに、リプル成分を整流及び平滑化して、図11(D)に示すように、最大の電圧値Vripmaxを有するリプル振幅信号Sripを出力する。
MCU182は、リプル振幅信号Sripの電圧レベルが最大のVripmaxであることから(1)式に従って、最大値のIthmaxを取得し(ステップS13)、これを過電流判別回路17に設定する(ステップS14)。
過電流判別回路17は、設定された過電流判別基準値Ithmaxと、電流トランス171で検出したスイッチング電流Iswのピーク値とを比較し、ピーク値≧Ithmaxであれば、ドライブ回路133に過電流検出信号S1を送信する。ドライブ回路133は、過電流検出信号S1に応答して、スイッチング素子132のオンデューティを徐々に小さくし、図3に示すように、出力電圧Voutを垂下させる。
ただし、図11の例では、ピーク値<Ithmaxであり、スイッチング電源装置11は、動作をそのまま続ける。
その後、タイミングT2で、温度などの影響により、図11(A)に示すように、インダクタ151のインダクタンス値L1が増加を始めたと仮定する。
図11(B)に示すように、インダクタンス値L1の増加に伴ってスイッチング電流Iswのピーク値は徐々に小さくなる。平滑化回路15を構成するインダクタ151のインダクタンス値L1が徐々に大きくなり、図11(C)に示すように、出力電圧Voutのリプル成分が徐々に小さくなる。このため、DCカット回路181が出力するリプル振幅信号Sripの電圧値Vripは、図11(D)に示すように、徐々に低下する。
MCU182は、その時点の電圧値Vripを(1)式に代入することにより、過電流判別基準値Ithを計算し、過電流判別回路17に設定する。
電圧値Vripが徐々に低下するため、過電流判別基準値Ithも、図11(E)に示すように、徐々に低下する。これは、スイッチング電流Iswのピーク値の低下に対応する。
過電流判別回路17は、設定された過電流判別基準値Ithと、電流トランス171で検出したスイッチング電流Iswのピーク値とを比較し、ピーク値≧Ithであれば、ドライブ回路133に過電流検出信号S1を送信する。ドライブ回路133は、過電流検出信号S1に応答して、スイッチング素子132のオンデューティを徐々に小さくし、図3に示すように、出力電圧Voutを垂下させる。
ただし、図11の例では、ピーク値<Ithであり、スイッチング電源装置11は、動作をそのまま続ける。
その後、図11(A)に示すように、タイミングT3で、インダクタンス値L1が上限値Lmaxに達すると、図11(B)に示すように、スイッチング電流Iswのピーク値は相対的に小さい値で一定になる。平滑化回路15を構成するインダクタ151のインダクタンス値L1は一定となり、図11(C)に示すように、そのリプルは最小の状態で一定となる。このため、電圧値Vripは、図11(D)に示すように、最低の電圧値Vripminで一定となる。このため、MCU182は、過電流判別基準値Ithminを過電流判別回路17に設定する。
過電流判別回路17は、設定された過電流判別基準値Ithminと、電流トランス171で測定したスイッチング電流Iswのピーク値とを比較し、スイッチング電流Iswのピーク値≧過電流判別基準値Ithminであれば、過電流状態であると判別して、ドライブ回路133に過電流検出信号S1を出力する。ドライブ回路133は、過電流検出信号S1に応答して、スイッチング素子132のオンデューティを徐々に小さくする。ただし、図11の例では、ピーク値<Ithminであり、スイッチング電源装置11は、動作をそのまま続ける。
以上説明したように、本実施の形態によれば、平滑インダクタのインダクタンス値が垂下点(本実施の形態では30A)の近傍で変動する場合に、インダクタンス値の増大又は減少に応じて、減少又は増大する過電流判別基準値Ithを設定する。従って、インダクタンス値の変動に関わらず、過電流状態か否かを正確に判定することができる。その結果、垂下点を安定して設定できる。
なお、上記実施の形態においては、インダクタ151が30A近傍にL遷移領域を有する場面を想定してこの発明を説明した。この発明は、これに限定されず、平滑化回路15を構成するインダクタのL遷移領域が何れかの垂下点の近傍に位置する場合に広く適用可能である。例えば、インダクタ151が60A近傍にL遷移領域を有する場面には、垂下点値として60Aが選択されているときに、インダクタ151のインダクタンス値の変動に応じて、過電流判別基準値Ithを設定すればよい。
また、上記実施の形態においては、インダクタのL遷移領域内に位置する垂下点についてのみ、インダクタンス値をリアルタイムで求めて過電流判別基準値Ithを設定した。この発明は、これに限らず、図10(B)に示すように、全ての或いは複数の垂下点について、インダクタンス値をリアルタイムで求めて、対応する過電流判別基準値Ithを求めて設定してもよい。なお、図10(B)に置いて、f1〜f5は、任意の関数であり、Vripは、リプル成分の振幅に対応する電圧値である。
上記実施の形態においては、過電流判別基準値Ithを、リプルの大きさを示す電圧値Vripの一次関数として求めた。これに限らず、図12(A)に示すように、インダクタのインダクタンス値と出力電圧のリプルの大きさとの関係が非線形の関係にある場合がある。この場合には、その非線形関係にあわせて、例えば、図12(B)に示すように、電圧値Vripに基づいて、過電流判別基準値Ithを設定してもよい。即ち、予め、過電流判別基準値Ithを、電圧値Vripの任意の線形又は非線形の関数f()として求めておき、Ith=f(Vrip)で、過電流判別基準値Ithを求めても良い。
前記実施の形態においては、電流トランス171により、トランス131の一次側電流(スイッチング電流Isw)を検出し、このピーク値と過電流判別基準値Ithとを比較することにより、出力電流が過電流状態か否かを判定した。この発明は、これに限定されない、出力電流Ioutと相関を有する任意の電流を測定し、測定した電流のピーク値とその電流用の過電流判別基準値Ithとを比較することにより、出力電流が過電流状態か否かを判定可能である。
例えば、過電流判別回路17は、図13に示すように、トランス131の一次側電流(スイッチング電流Isw)の代わりに、例えば、トランス131の二次側電流を電流トランスCS11で測定し、或いは、インダクタ151を流れる電流を、電流トランスCS12で測定し、過電流判別基準値Ithと比較することにより、過電流状態か否かを判別してもよい。このとき、各電流の測定値と比較される過電流判別基準値Ithは、その電流用に設定された基準値である。
さらに、電流測定手段も、電流トランスに限定されず、任意であり、例えば、ホール素子を使用して電流を測定してもよい。また、電流路に低抵抗素子(金属板抵抗またはマンガニン線)を挿入し、低抵抗素子に発生する電圧を検出することにより、電流を測定しても良い。
上記実施の形態においては、過電流判別基準値Ithを求めるために、出力電圧Voutに含まれるリプルの大きさを示す電圧Vripを求めたが、インダクタ151のインダクタとの相関を有する他の電圧のリプルの大きさを測定してもよい。
上記実施の形態においては、平滑化回路15を構成するインダクタが、2段ギャップコアインダクタから構成される1つのインダクタ151である例を説明した。この発明はこのような例に限定されず、平滑化回路15を構成するインダクタは複数個でもよい。例えば、2つの2段ギャップコアインダクタを直列に接続して使用することも可能である。ここで、直列接続された2つのインダクタのインダクタンスをL1とL2とする。この場合、合成インダクタンス値(L1+L2)が遷移するL遷移電流領域を特定し、L遷移電流領域と垂下点が一致又は近接する場合に、合成インダクタンス値を出力電圧Voutに含まれるリプル成分の大きさから求め、求めたリプル成分の大きさに応じた過電流判別基準値Ithを過電流判別回路17に設定すればよい。
平滑化回路15を構成するインダクタの数が3以上の場合や、L値が連続的に変動する無段階のインダクタについても同様である。
上記実施の形態1においては、2段ギャップコアインダクタのインダクタンス値が温度などの要因で変動する例を説明したが、2段ギャップコアインダクタに限定されず、何らかの要因によりインダクタンス値が変動する特性を有するインダクタを使用する場合に、広く適用可能である。
実施の形態では、過電流判別基準値Ithをリプルの大きさから、無段階に変化させる例を示したが、過電流判別基準値を最小値IthLから最大値IthHまでN段階で変化させるようにしてもよい。なお、Nは2以上の自然数である。
上記実施の形態においては、MCU182が、リプル成分の振幅を示す電圧値Vripに基づいて、過電流判別基準値Ithを演算で求める例を示した。この発明はこれに限定されない。例えば、電圧値Vripと過電流判別基準値Ithとを対応付けてテーブル等に予め格納しておき、電圧値Vripに基づいて、テーブル引きにより過電流判別基準値Ithを求めるようにしてもよい。
上記実施の形態においては、DCカット回路181として、DCカット部1811、包絡線取得部1812、インピーダンス変換部1813を備える例を示したが、リップルの振幅に対応する大きさの信号(電圧レベル信号、電流レベル信号、周波数信号など)を得ることができれば、その構成自体は任意である。また、出力電圧Voutを測定する位置も、適宜変更可能である。
例示した、垂下点の値(出力電流値)、垂下点の数、出力電圧の値等は任意であり、適宜設定可能である。
図1に示したスイッチング回路13の構成も任意であり、トランス131の構成、スイッチング素子132の構成、ドライブ回路133の構成及びドライブ手法なども、発明の目的を達成可能な範囲で任意である。例えば、スイッチング素子132として、MOSFETの代わりにバイポーラトランジスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、又はGaNトランジスタ(Gallium Nitride Transistor)若しくはSiCトランジスタ(Silicon Carbide Transistor)等の他の半導体スイッチング素子を用いても良い。
整流回路14の構成も任意である。例えば、図1では、半波整流回路を例示したが、全波整流回路でもよい。
また、平滑化回路15の構成などは一例であり、使用するインダクタの数、種類、コンデンサの種類、数などは任意である。
以上、発明に係るスイッチング電源装置11を、フォワード方式の絶縁スイッチング電源装置を例に説明したが、フォワード方式に限定されず、フライバック方式、プッシュプル方式等の絶縁型のスイッチング電源装置にも適用可能である。
(実施の形態2)
この発明を、絶縁型のスイッチング電源装置11を例に説明したが、トランスは必須の構成ではない。本願発明は、インダクタと、インダクタに流れる電流をスイッチングするスイッチング回路とを備えるスイッチング電源装置に広く適用可能である。以下、本願発明のスイッチング電源装置を、トランスを備えない非絶縁型のDC−DCコンバータに適用した例を説明する。以下の説明では、本発明をダウンコンバータに適用した例を説明する。
図14は、実施の形態2に係るダウンコンバータに本願発明を適用した例を示す。
図14に示すダウンコンバータは、直流電圧Vinが入力される入力端子対Tin,Tinと、入力コンデンサ201と、スイッチング素子202と、整流素子203と、平滑インダクタ204と、平滑コンデンサ205と、出力端子対Tout,Toutと、を備え、入力電圧Vinを降圧して出力するDC−DCコンバータである。なお、ダウンコンバータは、本発明のスイッチング電源装置の例である。
入力コンデンサ201は、入力端子対TinとTinとの間に直接接続される。
スイッチング素子202は、MOSトランジスタ等から構成され、電流路の一端が入力端子Tinと入力コンデンサ201の接続ノードに接続され、電流をスイッチングし、スイッチング電流ISを生成する。
整流素子203は、例えば、半導体ダイオード等から構成され、そのカソードはスイッチング素子202の電流路の他端に、アノードは、入力端子Tinと入力コンデンサ201の接続ノードに接続され、順方向電流Iを流す。
平滑インダクタ204は、一端がスイッチング素子202の電流路の他端と整流素子203のカソードとの接続ノードに接続され、他端が出力端子Toutに接続されている。換言すると、平滑インダクタ204は、スイッチング電流ISが流れる電流路に配置されている。平滑インダクタ204は、L遷移領域を含む特性を有するインダクタから構成される。平滑インダクタ204は、スイッチング素子202のスイッチング動作により生成された電流、即ち、スイッチング電流ISと順方向電流Iの和に相当する電流を流す。
平滑コンデンサ205の一端は、平滑インダクタ204の他端に接続され、他端は、入力端子Tinと入力コンデンサ201の他端と整流素子203のアノードとの接続ノードに接続される。即ち、平滑コンデンサ205の一端に出力端子Toutが接続され、平滑コンデンサ205の他端に出力端子Toutが接続される。
このような構成において、スイッチング素子202が短時間オンすると、入力電流IINが、入力端子Tin→(入力コンデンサ201を介して)スイッチング素子202→平滑インダクタ204→(平滑コンデンサ205を介して)出力端子Tout→負荷→出力端子Tout→(入力コンデンサ201及び平滑コンデンサ205を介して)入力端子Tinと流れる。電流は、平滑インダクタ204のインダクタにより徐々に増大する。この状態で、スイッチング素子202がオフすると、スイッチング電流ISが流れなくなる。平滑インダクタ204は従前の電流を維持しようとするため、インダクタに蓄積されていたエネルギーが、インダクタをエネルギー源として、平滑インダクタ204→(平滑コンデンサ205を介して)出力端子Tout→負荷→出力端子Tout→(平滑コンデンサ205を介して)整流素子203→平滑インダクタ204と流れる。ただだし、その電流は、徐々に減少する。
このような動作を繰り返すことにより、入力電流IIN は波形図S11に示すようにほぼ一定値となり、スイッチング素子202を流れるスイッチング電流ISは、波形図S12に示すように直流成分にランプ波形が重畳されたパルス状になる。入力コンデンサ201を流れる電流ICINは、波形図S13に示すように、スイッチング電流ISと同一波形、ただし負側にシフトした波形となる。
一方、整流素子203を流れる順方向電流Iは、波形図S14に示すように、平滑インダクタ204を流れるインダクタ電流Iのうちのスイッチング素子202のオフにより欠けた分の電流を補い、波形の連続性を確保する波形となる。即ち、整流素子203は、スイッチング素子202が電流路を遮断したときに、欠けた分の電流を補い、平滑インダクタ204と、出力端子対ToutとToutとの間と、に電流を継続して回生させるように機能する。
スイッチング電流ISと整流素子203を流れる順方向電流Iとの和に相当するインダクタ電流Iが、波形図S15に示すように、平滑インダクタ204に流れる。インダクタ電流Iが平滑コンデンサ205により平滑化され、波形図S16に示す出力電流Ioutが出力される。また、平滑コンデンサ205には、波形図S17に示す電流ICOUTが流れる。
このような動作を繰り返す結果、出力端子対ToutとToutの間には、入力電圧Vinを降圧した出力電圧Voutが得られる。
このダウンコンバータで、下垂制御を行う場合、過電流判別回路17Aは、スイッチング電流ISを電流センサCS21で測定し又はインダクタ電流Iを電流センサCS22で測定し、測定した電流のピーク値と垂下電流に対応する過電流判別基準値とを比較して、ピーク値が過電流判別基準値以上となったときに下垂制御を行う。
ただし、下垂点が平滑インダクタ204のL遷移領域の近傍にある場合、スイッチング制御回路18Aは、出力電圧Voutに含まれているリプルの大きさVripを求め、図9のステップS13と同様の処理により、過電流判別基準値Ithを求め、過電流判別回路17Aに提供する。過電流判別回路17Aは、求められた過電流判別基準値Ithと電流センサCS21とCS22で求められた電流値のピークを比較し、出力電流Ioutが過電流か否かを判別する。
なお、スイッチング制御回路18Aによるスイッチング素子202のオンデューティの制御などの処理は実施形態1と同様である。
以上、非絶縁型DC−DCコンバータの例を説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、インダクタとインダクタに流れる電流をスイッチングするスイッチング回路を備えるスイッチング電源装置に広く適用可能である。
また、平滑回路を構成するインダクタの挿入位置は、出力電流を平滑化できる位置であれば、任意である。例えば、図1及び図13において、インダクタ151を整流回路の負極(二次巻き線1312の一端とダイオード141のアノードとの接続ノード)と負の出力端子Toutの間等、スイッチング電流Iswの大きさに相関する大きさを有する電流の電流路で、出力電圧の平滑に寄与できる任意の位置に配置されてもよい。同様に、図14において、平滑インダクタ204を整流回路の負極(整流素子203のアノード)と負の出力端子Toutの間等、スイッチング電流Iswが流れる電流路で、出力電圧の平滑に寄与できる任意の位置に配置されてもよい。
上記実施の形態において、回路要素同士が接続されるとは、直接的に接続される場合に限定されず、間に回路動作に直接の影響を与えない他の素子を挟んで電気的に接続される場合を含むものである。
本開示のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載した発明とその均等の範囲に含まれる。
11 スイッチング電源装置
12 入力回路
13 スイッチング回路
14 整流回路
15 平滑化回路
16 出力回路
17 過電流判別回路
18 スイッチング制御回路
19 電圧変換部
111 直流電源
131 トランス
132 スイッチング素子
133 ドライブ回路
141,142 ダイオード
151 インダクタ
153 コンデンサ
171 電流トランス
181 DCカット回路
182 MCU(マイクロコントロールユニット)
183 演算部
184 設定部
201 入力コンデンサ
202 スイッチング素子
203 整流素子
204 平滑インダクタ
205 平滑コンデンサ
1311 一次巻き線
1312 二次巻き線
1811 DCカット部
1812 包絡線取得部
1813 インピーダンス変換部
LOAD 負荷

Claims (10)

  1. 直流電圧が印加される入力端子対と、
    直流電圧が出力される出力端子対と、
    スイッチング素子を含むスイッチング回路と、前記スイッチング素子のスイッチングにより生成されたスイッチング電流または前記スイッチング電流の大きさに相関する大きさを有する電流のいずれかの電流が流れる電流路に挿入されたインダクタと、前記出力端子対間に直に接続されたコンデンサを含む平滑化回路と、を備える電圧変換部と、
    前記平滑化回路の出力電圧に含まれるリプル成分の大きさを求めるリプル検出部と、
    前記リプル検出部により検出されたリプル成分の大きさに基づいて、出力電流が過電流状態にあるか否かを判定するための過電流判別基準値を生成する過電流判別基準値生成手段と、
    前記電圧変換部内を流れ、出力電流の大きさに相関を有する電流を測定する電流測定手段と、
    前記電流測定手段により測定された電流の値と前記過電流判別基準値とに基づいて、出力電流が過電流状態にあるか否かを判別する過電流判別回路と、
    を備えるスイッチング電源装置。
  2. 前記過電流判別基準値生成手段は、リプル成分の大きさと過電流判別基準値との予め設定されている相関に基づいて、前記リプル検出部で検出されたリプル成分の大きさに対応する過電流判別基準値を求める、
    請求項1に記載のスイッチング電源装置。
  3. 前記スイッチング電源装置は、一次巻き線と二次巻き線とを備えるトランスと、前記トランスの前記二次巻き線に接続され、前記二次巻き線に誘起された交流電圧を整流する整流回路と、さらに備え、
    前記スイッチング素子は、前記一次巻き線に流れる一次側電流をスイッチングすることにより、前記二次巻き線に交流電圧を誘起させ、
    前記平滑化回路は、前記整流回路の出力電圧を平滑化し、
    前記リプル検出部は、前記平滑化回路の出力電圧に含まれるリプル成分の大きさを求め、
    前記電流測定手段は、前記一次巻き線又は前記二次巻き線、又は前記インダクタを流れる電流のいずれかの値を測定する、
    請求項1又は2に記載のスイッチング電源装置。
  4. 前記一次巻き線と前記二次巻き線は絶縁されていることにより、前記電圧変換部は、絶縁型の直流−直流変換器を構成する、
    請求項3に記載のスイッチング電源装置。
  5. 前記スイッチング素子の一端は前記入力端子対の一方の入力端子と直接接続され、前記インダクタは、前記スイッチング素子によりスイッチングされたスイッチング電流の電流路に挿入されており、前記スイッチング素子が電流路を遮断したときに、前記インダクタに電流を回生させる整流素子とをさらに備える、
    請求項1又は2に記載のスイッチング電源装置。
  6. 前記スイッチング電源装置は、出力電圧が予め設定された基準電圧に出力電圧を維持するように前記スイッチング素子をスイッチングし、前記過電流判別回路が、前記電流測定手段により測定された電流が前記過電流判別基準値以上となったと判別したことに応答して、出力電圧を前記基準電圧よりも低下させるか又はスイッチングを停止させるスイッチング制御手段を備える、
    請求項1から5の何れか1項に記載のスイッチング電源装置。
  7. 前記インダクタは、特定の電流値領域で、流れる電流の大きさに応じてインダクタンス値が変動する特性を有し、
    前記スイッチング電源装置には、出力電流が過電流であると判定する複数の垂下点が設定されており、
    前記過電流判別基準値生成手段は、前記特定の電流値領域に含まれる垂下点について、前記リプル成分の大きさに基づいて前記過電流判別基準値を生成して前記過電流判別回路に設定し、他の垂下点については、固定の過電流判別基準値を前記過電流判別回路に設定する、
    請求項1から6のいずれか1項に記載のスイッチング電源装置。
  8. 前記リプル検出部は、前記出力電圧から交流成分を抽出し、抽出した交流成分の包絡線を求める手段を備える、
    請求項1から7のいずれか1項に記載のスイッチング電源装置。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載のスイッチング電源装置と、
    前記スイッチング電源装置に直流電圧を印加する直流電源と、
    前記スイッチング電源装置の出力を用いて動作する負荷と、
    を備えるスイッチング電源システム。
  10. スイッチング電源装置の出力電圧に含まれるリプル成分の大きさを求めるリプル検出部と、
    検出されたリプル成分の大きさに基づいて、出力電流が過電流状態にあるか否かを判定するための過電流判別基準値を生成する過電流判別基準値生成手段と、
    前記スイッチング電源装置内を流れ、前記出力電流の大きさと相関を有する電流を測定し、測定した電流値と前記過電流判別基準値とに基づいて、出力電流が過電流状態にあるか否かを判別する過電流判別回路と、
    を備える過電流検出回路。
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